1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十六日(水曜日)
午前十時二十四分開議
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議事日程 第八号
昭和三十九年二月二十六日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件
(沿岸漁業等振興法に基づく昭和
三十八年度年次報告及び昭和三十
九年度沿岸漁業等の施策につい
て)
第二 日本国とアメリカ合衆国との
間の領事条約の締結について承認
を求めるの件
第三 千九百六十二年の国際コーヒ
ー協定の締結について承認を求め
るの件
第四 千九百六十二年の国際小麦協
定の締結について承認を求めるの
件
第五 地方税法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 日本鉄道建設公団法案(内閣
提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一 国務大臣の報告に関
する件(沿岸漁業等振興法に基づ
く昭和三十八年度年次報告及び昭
和三十九年度沿岸漁業等の施策に
ついて)
一、日程第二 日本国とアメリカ合
衆国との間の領事条約の締結につ
いて承認を求めるの件
一、日程第三 千九百六十二年の国
際コーヒー協定の締結について承
認を求めるの件
一、日程第四 千九百六十二年の国
際小麦協定の締結について承認を
求めるの件
一、日程第五 地方税法の一部を改
正する法律案
一、日程第六 日本鉄道建設公団法
案
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。石田次男君から病気のため三十一日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の報告に関する件(沿岸漁業等振興法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度沿岸漁業等の施策について)、
農林大臣から発言を求められております。発言を許します。赤城農林大臣。
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/4
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005・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 先般国会に提出いたしました「昭和三十八年度漁業の動向等に関する年次報告」及び「昭和三十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について、その概要を御説明いたします。
これらの報告及び文書は、沿岸漁業等振興法第七条の規定に基づいて政府が毎年国会に提出するものの三十八年度分であります。
まず、「昭和三十八年度漁業の動向等に関する年次報告」について御説明いたします。
この年次報告は、「第一部 漁業の動向に関する報告書」と「第二部 沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」とに分かれております。
第一部の「漁業の動向に関する報告書」につきましては、本年度が最初の報告でありますので、おおむね昭和三十二年から三十七年までの過去五カ年間を対象期間として取り上げ、現状において利用可能な信憑性のある統計資料に基づいて、できるだけ客観的に実態を把握することといたしております。
その概要を申し述べますと、
第一に、漁業の一般的な動向につきましては、三十二年から三十七年にかけて、漁業生産は年率五%とかなりの伸びを示し、また、漁船をはじめ漁業の生産手段の進歩も著しいものがありました。その間、漁業就業者数は他産業の発展による若年労働力の流出により減少いたしました。漁業経営体の数も同様に減少し、また経営の階層構成は、労働力の流出や技術の進歩に影響されて、中間層が減少いたしますとともに、家族的集約経営の増加と上層の比較的大きな経営の増加という二つの方向に進んできております。一方水産物に対する需要は、食料の消費構造や消費形態の変化等を反映して、加工品向けの比重が大きくなってきており、輸出向け数量も増加してきております。さらに高級魚に対する需要が強く、そのため高級魚の価格はかなり上昇いたしましたが、多獲性魚につきましては、生鮮需要が停滞し、生産者価格は横ばいに推移しております。
第二に、沿岸漁業につきましては、三十二年から三十七年にかけて、生産の伸びが少なかったため、漁業生産の総量に占める比重が低下してまいりましたが、一経営当たりの生産量は若干増加し、高級魚等の価格上界、資材価格の横ばい等の事情も加わって、漁家経済は好転してきております。しかし、一人当たりの所得や家計費は、都市勤労者世帯に比べて低く、特に漁船漁家の低さが目立っております。
第三に、中小漁業につきましては、同じ期間に、サケ・マス漁業等を除き、各漁業種類とも生産量はかなり増加してきております。一部の多獲性魚を対象とする漁業において、魚価の変動はありましたが、中小漁業全般としては漁業収入も伸び、漁業支出の伸びがこれを下回りましたので、漁業所得は増加し、経営内容は改善されてまいりました。しかし、中小の製造業者などに比べれば、一部の階層を除いては、利益率その他の経営内容において劣っている点が見受けられ、また、従事者の労働条件の近代化がおくれているという事情があります。以上は第一部の概要であります。
次に、第二部の「沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」について申し述べますと、第一部と同じく、本年度が最初の報告でありますので、三十七年度を中心とし、必要な範囲でその沿革及び三十八年度にも触れつつ、政府が沿岸漁業等について講じた施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目の分類に従って、客観的に記述したものであります。
最後に、「昭和三十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について申し述べます。
政府は、沿岸漁業等振興法に示されました沿岸漁業等についての施策の基本的方向に沿い、沿岸漁業の構造改善と中小漁業の経営の改善に重点を置き、これらに関する諸施策の展開をはかるとともに、そのための体制を整備することを基本方針としております。との方針に基づき、三十九年度におきまして、特に、沿岸漁業等の経営の安定に資するため、漁業共済事業の本格実施をはかり、またその経営の発展を促進するため、漁業金融制度の拡充につとめ、さらに水産物の流通形態の変化の動向に応じて流通対策の整備をはかることとし、このほか、水産資源の保護培養、生産基盤の整備、沿岸漁業構造改善対策事業の実施、中小漁業の経営及び労働条件の近代化等、沿岸漁業及び中小漁業の生産性の向上、環境条件の整備、近代化の推進のための諸施策を推進することといたしております。
この文書におきましては、これらの昭和三十九年度において講じようとする諸施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目の分類に従って、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項を含め、沿岸漁業及び中小漁業に関する施策全般について記述いたしております。
以上、「昭和三十八年度漁業の動向等に関する年次報告」及び「昭和三十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について、その概要をご説明いたした次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。渡辺勘吉君。
〔渡辺勘吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/6
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007・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私は、ただいま報告されましたいわゆる漁業の年次報告について、日本社会党を代表して質問をいたします。
政府は、第四十三回通常国会に沿振法を提案した際、従来の漁業法、水産協同組合法とともに、これら三法をもって漁業に関する基本法と実体法が整備されると主張しました。
わが党は、これに対して、漁業基本法案、水産物価格の安定等に関する法律案、沿岸漁業振興法案、水産業改良助長法案の四法案を掲げて、政策をもって対決いたしました。沿振法を本院において採決の際、反対討論をいたしましたのも、政府案に欠けている根本的な問題点として、大資本漁業の規制なしに沿岸漁業の真の振興はあり得ないとの主張によったものであります。
はたせるかな、今度の漁業の年次報告には、大資本漁業について全くふれるところなく、ただ単に生産量について、大資本漁業が過去五年の間に二倍半もふえているのに、沿岸漁業はほんの七%の伸びにすぎないとして、これらの相互関係の原因分析を避けております。沿岸漁業の振興は、生産から加工、流通、消費に至る水産業全体の中でとらえてこそ、政策の正しい方向が生まれるものであります。わが国の水産業は、沿岸から沖合い、そして沖合いから遠洋へと発展してまいりました。そしてまた、国際的には日米加漁業条約改正問題があり、もしもアメリカの横車を許し、「自発的抑止の原則」の粉砕に敗れたならば、日本の国際的漁業は致命的打撃を受けるでありましょう。日韓漁業交渉、アメリカのバートレット法案の帰趨、大陸だな条約の発効等、どれ一つをとってみても、その措置を一歩誤るならば、わが国漁業に重大な影響を与えるものばかりであります。北洋サケ・マス漁業、南洋捕鯨、遠洋マグロ漁業にとっても、前途容易ならざるものが予見されます。年次報告には、これら漁業部門における国際関係の現状と、それの沖合い、沿岸漁業に及ぼす影響について、全く触れておりません。現に、大手資本漁業は各地で系列化を進め、漁業独占による収奪が進行しつつあり、採算的にもこれらは好調を持続しております。浅海養殖をはじめ、定置漁業、まき網部門、さらに加工部門も、原材料の供給面を通じてその傘下におさめつつあり、また、市場を通ずる収奪も顕著な動向を示しております。こうした動向に目をおおうて、他産業との格差の問題だけをとらえても、客観的な現状分析の意義を見失うものであります。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)また、所得格差を単に数字的に並べてみても、格差のよってきたる原因の究明なしには問題解決の方向は出てまいりません。年次報告は、これらを踏まえて、沿岸漁業の位置づけなり将来の展望を明らかにすべきなのに、それがないのであります。漁業労働力の移動も、沿岸から他部門への流出が激しいというばかりではなく、漁業内部の移動も明らかにすべきであります。漁獲高世界一の光栄に輝く水産王国日本を分析いたしますならば、その頂点に君臨する大資本漁業の繁栄の底辺に、政治の日の当たらない場に放置されている零細沿岸漁業者の苦悩の実態を政府は直視すべきであります。(拍手)
まず、池田総理にお伺いいたします。
国際漁業におけるわが国の基本的態度は、他国のいかなる圧力にも屈するところなく、自主独立の立場において堂々とこれを貫くべきものと思うが、御所見はいかがでありますか。
特に、日米加漁業条約改正問題に対して、五月オタワで開催予定の第三回会談に際し、わが国は自発的抑止原則にいかなる方針で臨む所在でありますか、お伺いします。
また、アメリカの上院は、このほどアラスカの大陸だなにおけるタラバガニの漁獲制限を内容とするバートレット法案を可決いたしましたが、政府は、この重大なる動向に対し、これまでいかなる折衝を続けてこられたのか、また、今後の対策はいかがでありますか、この点をお伺いいたします。
次に、農林大臣にお尋ねをいたします。
年次報告には肝心な資源の動向に少しも触れていないことは、これは問題であります。今日までの漁獲量を羅列してみただけで、それだけで、資源の状態なり、ことに今後資源がどうなるかを示すことには、これは、ならないのであります。資源抜きの生産性向上では、絵にかいたもちにすぎないではありませんか。資源の分布状況、また、それに対応する今後の施策につき、具体的に御答弁をお願いいたします。
次に、年次報告には漁場の問題が取り上げられておりません。生産手段の一つである漁場の存在を無視して生産性の向上と言っても、これは無意味であります。また、独占寡占資本による沿岸漁業に対する圧迫ないし収奪の実態について、年次報告は全く触れておりません。新産都市、臨海地帯の工業化による漁場の喪失、工場汚水による漁場の荒廃、漁場の埋め立てによる漁民の放逐等は、ただ単にこれは漁場が奪われるだけではなくして、漁類の産卵場が奪われることによって資源枯渇の原因となります。農林大臣、あなたは、こうした現状分析と、それに基づく沿岸漁業や中小漁業の漁場の利用状況、ことに沿岸漁民に漁場が確保されているかどうかの現状を明らかにしていただきたいのであります。特に工場廃水で河川や海岸の汚濁の激しい地域に対しては、伝家の宝刀ともいうべき水産資源保護法による工場廃水禁止措置の発動こそが当然の措置と思いますが、御決意のほどをお伺いいたします。
次に、通産大臣に伺いますが、あなたはこの工場廃水問題については対蹠的な立場にあると思いますが、このことに対して従来いかに善処されてきたのか、また今後の対策がおありならば、その点、明確な御答弁をお願いいたします。
再び農林大臣にお尋ねをいたします。年次報告には、水産物の流通価格対策の立ちおくれと、それが沿岸、沖合い漁業に及ぼす影響が何ら検討されておりません。また、これと関連して、貿易自由化と水産物輸入問題を分析することもこれは必要でありましょう。特にイワシ、アジ、サバ、サンマ、イカといったような多獲性大衆魚の値段は、年次報告にもありますように、ここ五年の間に一割三分の値下がりを来たしております。サンマが全水揚げ高の四割を占める、サンマの本場である岩手県の例を見ましょう。三十七年のサンマ水揚げ高が七万八千トン、この水揚げ金額は十億六千万円で、生産地価格はキロ当たりわずか十四円、文字どおり大漁貧乏に泣かされているのであります。三十八年は前年より約三割減少の五万三千トンであったのに、水揚げ金額は約二十億円、キロ当たり三十七円と、金額は倍以上になりました。こうしたことは、流通機構の決定的欠陥を示すとともに、多獲性大衆魚に対する政府の価格安定政策を強力に実施する必要性を如実に物語るものであります。これらに対する政府の抜本的な施策についてお伺いをいたします。
次は、漁業権のあり方と密接な関連があるのでありますが、共同漁業権あるいは区画漁業権の大部分は漁業協同組合に免許されることになっており、組合は漁業権の管理団体としての性格を持っております。このことが、従来から指摘しているとおり、部落組合として固定させ、経済事業体としての組合本来の機能を発揮できるに足る適正規模化を阻害しているのでありますが、こうした漁業権のあり方に対する施策に欠けております。申し上げるまでもなく、漁業組合のにない手の中核は漁協であります。この漁協の分析を抜きにしては、沿岸漁業の振興等は推進できないと考えられますが、今後の漁業権制度、許可制度と、漁業協同組合のあり方に対する政府のお考えを伺いたいのであります。
次に、科学技術庁長官に伺います。近年、日本海の海況は著しい異変を示し始めて、わが国の沿岸各地では顕著な海水温の変化によって各地の魚類が死んだり、漁場の荒廃等が起こっており、現在漁業の対象となっている魚類だけでなく、稚魚、幼魚、あるいは魚卵、そうしたものが特に環境変化に対する適応性が小さいために、今後このような異常現象が繰り返し生じるような場合には、従来の日本の漁業構造を大きく変革させることになるでありましょう。日本近海における黒潮が先月からあばれ出して、去年の春先のような冷水騒ぎが起こるのではないかと心配であります。政府は、こうした事態にかんがみ、日本近海における海況、魚況、海洋気象、そうした実態を把握して、異常海況の現象を究明し、もって異常冷温水下の漁業対策を確立する責任でありましょう。従来、水産庁、海上保安庁、気象庁がそれぞれ調査に当たってきておりますが、事態の重要性にかんがみて、科学技術庁の強力なる機能発揮のもとに、各省機関がそれぞれ分担し、総合的かつ科学的な研究を行なって、漁業構造のあるべき方向を明示すべきものであると思うが、御所見を伺います。
最後に、再び池田総理にお尋ねをいたします。
年次報告からも読みとれるのでありますが、沿岸漁業は他企業と大資本漁業と二重の格差に締めつけられております。三十七年度における沿岸漁船漁家一人当たりの所得は、全都市勤労者の六割にも達しておりませんし、貧しさの表徴である農家に比べても、その八割程度にすきないのであります。生活水準も同様に低く、しかも漁民は、生活文化、衛生、労働等、環境が陸上部門に比べて非常に劣るので、これらを考えると、実質的水準はさらに低いと年次報告が述べているのは妥当であります。経済の二重構造の底辺に深く沈でんしているこれら零細漁民を貧しさから解放することは、政治の重大なる課題でなければなりません。総理は、去年の総選挙を目前にして、「とりわけ、立ちおくれの目立つ農業の近代化については、革新的な施策を講ずる」旨を国民の前に公約し、「そのためには財政金融の総力をあげてこれに立ち向かう決意である」と所信を表明されました。しかるに三十九年度予算案を見ましても、水産関係総額は、前年度より一億一千万円増の百八十六億円、三十九年度予算総額に対してはわずかに〇・六%にすぎません。漁民が実現を期待した多くの事業は完全に葬り去られたか、あるいは取り上げられたものを歪曲され、もしくは著しく圧縮されてしまいました。すでに農林大臣は、去る十五日の衆議院の予算委員会において「今年度の農林予算は革命的、革新的なものだとは思っておりません」と答弁しております。総選挙を控えては「革新的施策を講じ、財政金融の総力をあげて実施する」と公約し、総選挙後に提案された予算では革新的ではないと言う。総理は、この予算内容でも革新的なものだと強弁するなら、それは農林大臣との見解の不統一となりましょう。率直に三十九年度予算が革新的なものでないと言うなら、これは公約を裏切ったことになりましょう。いずれにしても、これは政治上の重大な責任ではありませんか。池田総理の御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/7
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008・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 国際漁業に対しまするわが国の基本的態度といたしましては、公海自由の原則に立脚いたしまして、漁業資源の永続的かつ有効な開発につとめて、しかも、国際漁場におきましては、関係各国とあくまで協調のもとに、漁業の振興をはかっていきたいと考えておるのであります。
なお、日米加漁業条約につきましては、昨年その期限がまいりました。まずワシントンにおいて、その次は東京において、いろいろ協議いたしましたが、われわれとしては、あくまで抑止原則を廃止するというたてまえで進んでおるのであります。このことは、オタワにおいてこれから開かれる会議におきましても主張していくことに違いございません。また、バートレット法の大陸だなの原則は、御承知のとおりわが国としては認めていないのであります。あくまでわれわれの主張を通したいと考えております。
なお、漁業関係の予算につきましては、御承知のとおり、漁民の方々の生活は中小企業あるいは農民の方々よりも低いことはお示しのとおりでございます。したがいまして、沿岸漁業振興法に基づきまして、漁業の環境条件の整備あるいは経営内容の改善をはかっていきたいと考えております。来年度の予算におきましても、漁業構造改善の拡充あるいは漁業資金の融資の拡大、漁港の修築あるいは水産技術の改善等をはかっていくことにいたしておるのであります。
なお、画期的の予算、革新的の予算ではないではないというお話でございますが、農林水産業のごとく、その仕事が構造改善に長い年月を要しますものにつきましては、来年度の予算だけですぐできるものではないのであります。これは、漁業、農業の性質から申しまして、長い目で見て、そうしてそのスタートを私は三十九年から始めた、こういう確信を持っておるのであります。(拍手)
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/8
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009・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 第一に、水産資源と漁場等についての御質問にお答えいたします。水産資源につきましては、現在の研究段階では、まだ不確定な要素が非常にありますので、その全貌を明らかにすることは困難でありますが、漁獲努力の著しい増大のために、資源の状況を悪化させ、また、漁業調整上種々の問題が生じますので、必要な規制措置及び資源の培養、漁場の改良等の措置を講じて、沿岸漁業及び中小漁業の生産の維持増大につとめておる次第であります。今後とも、水産資源に関する調査研究の一そうの充実をはかりますが、三十九年度におきましては、御承知のとおり、漁況、海況の予測体制を強化しまして、資源の状況の把握につとめていくことにいたしたいと思います。
第二に、漁場との関係で、工場廃水等による汚水の防止対策につきましてお答え申し上げますが、水質二法によりましてその措置をとっておりますけれども、水質二法による指定区域以外の水域におきましても、関係各省庁とも十分協議して、水産資源の保護対策を講じてまいるつもりでございます。その対策の一つとして、御指摘の水産資源保護法第四条の規定を強力に発動せしむるべきではないか、こういうことでございますが、その適用につきまして、検討をさらに進めます。
第三番目といたしましては、多獲性大衆魚といいますか、その流通と価格対策はどうしているかということでございます。水産物の流通、価格対策といたしまして、従来から、漁獲量及び価格変動の激しい多獲性魚をおもな対象として対策を講じてきておるのでございますが、そのおもなるものといたしましては、漁業生産調整組合及び魚価安定基金によりまして、生産の調整、産地及び消費地におきまする冷蔵庫の建設、魚油、魚かす製造施設の設置に対する助成等をいたしております。三十九年度におきましては、これらの対策をさらに推進いたしまして、新たに産地共同加工施設の整備、冷凍魚の消費普及等の対策を実施するつもりであります。
なお、漁業協同組合と漁業権、漁業許可との今後のあり方についてどうか。——漁業権につきましては、総合的な漁場計画に基づきまして、漁業の種類に応じて漁業を営む者または漁業協同組合に免許するたてまえをとっているのは、御指摘のとおりであります。また、許可漁業等につきましては、三十七年の漁業法改正によりまして、一斉に更新制がとられまして、五年ごとに水産資源の状況、漁業調整等を勘案して、許可する隻数等について再検討を加えることといたしております。また、昭和三十七年に行なわれました水産業協同組合法の改正によりまして、漁業協同組合が経済事業体として活発に活動し得るよう、組織運営及び監督につきまして必要な規定の整備がなされましたので、この法律改正の趣旨に沿うて、適切な運営をはかり、漁業協同組合が経済団体として健全な活動ができるよう、その育成に一そう努力いたすつもりでおります。(拍手)
〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/9
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010・福田一
○国務大臣(福田一君) お答えいたします。
河川の汚濁を防止するために、通産省がどういう態度をとっておったかということでございますが、御案内のように水産資源保護法ができましてから、なお、これでは足りないというので、公共用水域の水質の保全に関する法律、それから工場排水等の規制に関する法律、この二つの法律が制定されております。したがって、われわれといたしましては、この法律に基づいて、この指定された水域に排水をする工場については厳重な監督をいま実施をいたしております。また、工場排水を処理する施設の基準をつくりまして、そうして十五業種にこれを適用いたしております。それから中小企業で、なかなか、そういう詳しいことがわからないようなところもございますので、これについては汚水処理技術を解説をいたしまして、十一業種についてすでに配付をいたしております。また、そういうような施設をするについて金がかかる、あるいはまた、非常にそれをやるために経営の面にも影響があるというようなことも考えまして、税制上、金融上の措置もいたしておるのでございますが、今後も、農林大臣とよく御連絡をとらしていただきまして、所期の目的を達するように努力をいたしたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お説のように、最近の異常冷水、これは沿岸漁業並びに稚魚あるいは魚卵等に影響を与えるだろう、そういうことが想像されますので、科学技術庁は、三十八年度におきまして特別研究促進調整費、こういうものから約四千二百万円余の金を出しまして、そして水産庁や、また気象庁、海上保安庁、これらに異常冷水に対する研究をそれぞれさせるため援助をいたしたのでございます。そうして科学技術庁の中に連絡室を設けまして、総合的な調査研究を進めております。この総合的な調査研究がかような問題に対しては必要でございますが、水産庁におきましては昨年の八月以降、また海上保安庁等は今年の一月になりまして、それぞれの研究を進めておりますから、その総合的な結果もだんだん明らかになってくるだろう。また、三十九年度の予算では、もうすでにその事業費が計上されておりますので、今度は五千四百万円ばかりの予算になっております。いずれにいたしましても、科学技術庁が中心になりまして、総合的にこの研究を進めてまいる。これはお説のとおりいたすつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/12
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013・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件、
日程第三、千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、
日程第四、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件。
以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員会理事井上清一君。
〔井上清一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/14
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015・井上清一
○井上清一君 ただいま議題となりました三件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、日米領事条約は、日米間の領事に関する事項を、通商条約と別個の条約をもって規律したものでありまして、領事官の職務及び特権、免除、領事財産等につき規定しているものであります。
次に、国際コーヒー協定は、 コーヒーの世界的生産過剰に基づく価格下落の実情にかんがみ、輸出割当等によって価格の安定をはかるとともに、発展途上にあるコーヒー出産国の国際収支の改善、経済成長に資することを目的としたものであります。
最後に、国際小麦協定は、千九百五十九年の協定にかわるもので、協定による最高及び最低価格の引き上げ、輸入国の買い入れ割合の変更等がおもな改正点であります。
これら三件は、去る四十三通常国会で、先議の本院を通過し、衆議院において審議未了となったものであります。
委員会は、審議の結果、二月二十五日三件とも全会一致をもって、承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/15
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016・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、「日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件」及び「千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件」全部を問題に供します。
両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/16
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017・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/18
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019・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/19
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020・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第五、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。
〔竹中恒夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/20
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021・竹中恒夫
○竹中恒夫君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、新固定資産評価基準による課税の円滑をはかるため、昭和三十九年度に限り、固定資産税については、固定資産課税台帳の縦覧期間を一月延期して、四月一日から同月二十日までとし、また第一期分の納期四月中とあるのを五月中とするほか、都市計画税の第一期の納期についても、これを五月中とする等、特別措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては二月四日、早川自治大臣から提案理由の説明を聞いた後、質疑に入り、改正評価制度と税負担の関係などについて熱心に論議が行なわれましたが、その詳細は会議録によってごらんを願います。
かくて二月二十五日質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/21
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022・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/23
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024・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第六、日本鉄道建設公団法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。運輸委員長米田正文君。
〔米田正文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/24
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025・米田正文
○米田正文君 ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
御承知のように、従来、わが国の国有鉄道の新線建設は、鉄道敷設法に基づき日本国有鉄道が行なってきたのでありますが、日本国有鉄道におきましては、独立採算制のたてまえとその経営状態から、新線建設を積極的に行ない得ない状態にありますので、本法律案は、かかる事態に対処して新線の建設を促進するため、新たに政府及び日本国有鉄道の出資による日本鉄道建設公団を設立し、日本国有鉄道にかわって鉄道新線施設の建設を行なわしめ、もって鉄道網の整備をはかり、経済基盤の強化と産業の発展及び地域格差の是正に寄与せしめようとするものであります。
次に、法律案のおもなる点について申し上げます。
第一点は、公団は法人とし、その資本金は政府及び日本国有鉄道の出資によるものとしていることであります。
第二点は、公団は、運輸大臣が鉄道建設審議会にはかって策定した基本計画に基づいて鉄道施設の建設を行ない、建設した鉄道施設を日本国有鉄道に貸し付けまたは譲渡すること、及び貸し付けた鉄道施設にかかる災害復旧工事を行なうことを主たる業務としていることであります。
第三点は、公団が建設した鉄道施設を日本国有鉄道に貸し付け、または譲渡する場合は、有償を原則としておりますが、特に運輸大臣が、後進地域その他特定の地域の開発等のため無償で貸し付ける必要があると認めて指定したものについては、無償で貸し付けることができることとなっておることであります。
その他、役職員、財務会計、監督、公団設立の手続、税の減免等について規定しております。
委員会の審査にあたりましては、政府及び国鉄当局との間に熱心に質疑がかわされましたが、そのうちおもな事項を申し上げますと、陸海空を通ずる総合交通政策における鉄道輸送の分野と、他の交通機関、なかんずく道路交通との対比、所得倍増計画と今後の新線建設のあり方との関連、公団設置の理由とその利害得失、新線建設所要資金確保に関する政府の方策、建設された鉄道施設の運営に関する基本的方針、公団職員の処遇及び管理の方針等でありましたが、その詳細については会議録により御承知願いたいと存じます。
以上で質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して吉田委員より、公明会を代表して浅井委員より、また民主社会党を代表して中村委員より、それぞれ、新線建設のために新たに別個の公団を設立すべき理由に乏しいのみならず、かえって将来に種々の禍根を残すものである等の理由をあげて本法案に反対の趣旨を表明され、次いで自由民主党を代表して谷口委員より、国鉄経営の現状にかんがみ、本法案は新線建設を推進するため適切な措置であるとして賛意を表明され、また第二院クラブの加賀山委員は、本法案に賛成の旨を述べられ、さらに次の趣旨の附帯決議案を提出されました。すなわち、
一、日本鉄道建設公団の業務の遂行に当たっては、国鉄の経営に寄与するよう努めしめること。
二、国鉄より公団に転職する職員の労働条件について十分配慮すること。
三、国鉄の新長期計画の推進に当たり、特に輸送安全確保に重点を置き、資金、要員の確保、労働条件の改善につき特別の配慮を講ずべきこと。
であります。
以上で討論を終わり、採決に入りましたところ、賛成多数をもって本法案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、討論中に加賀山委員より提出の附帯決議案について採決しましたところ、全会一致をもって委員会の決議とすることと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/25
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026・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/26
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027・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X00919640226/27
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