1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三十一日(火曜日)
午後一時二十五分開議
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議事日程 第十四号
昭和三十九年三月三十一日
午後一時開議
第一 原子力委員会委員の任命に関
する件
第二 昭和三十九年度一般会計予算
第三 昭和三十九年度特別会計予算
第四 昭和三十九年度政府関係機関
予算
第五 日本科学技術情報センター法
の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第六 所得税法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 法人税法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第八 租税特別措置法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第九 相続税法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第一〇 物品税法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一一 とん税法及び特別とん税法
の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第一二 日本開発銀行法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第一三 北海道東北開発公庫法の一
部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第一四 地方自治法第百五十六条第
六項の規定に基づき、税関支署及
び税務署の設置に関し承認を求め
るの件(衆議院送付)
第一五 国会議員の秘書の給料等に
関する法律の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
第一六 参議院事務局職員の定員に
関する件
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一 原子力委員会委員の
任命に関する件
一、日本放送協会経営委員会委員の
任命に関する件
一、日程第二 昭和三十九年度一般
会計予算
一、日程第三 昭和三十九年度特別
会計予算
一、日程第四 昭和三十九年度政府
関係機関予算
一、日程第五 日本科学技術情報セ
ンター法の一部を改正する法律案
一、日程第六 所得税法の一部を改
正する法律案
一、日程第七 法人税法の一部を改
正する法律案
一、日程第八 租税特別措置法の一
部を改正する法律案
一、日程第九 相続税法の一部を改
正する法律案
一、日程第十 物品税法の一部を改
正する法律案
一、日程第十一 とん税法及び特別
とん税法の一部を改正する法律案
一、日程第十二 日本開発銀行法の
一部を改正する法律案
一、日程第十三 北海道東北開発公
庫法の一部を改正する法律案
一、日程第十四 地方自治法第百五
十六条第六項の規定に基づき、税
関支署及び税務署の設置に関し承
認を求めるの件
一、日程第十五 国会議員の秘書の
給料等に関する法律の一部を改正
する法律案
一、日程第十六 参議院事務局職員
の定員に関する件
一、道路整備緊急措置法等の一部を
改正する法律案
一、公営住宅法第六条第三項の規定
に基づき、承認を求めるの件
一、裁判所職員定員法の一部を改正
する法律案
一、地方税法等の一部を改正する法
律案
一、市町村民税減税補てん債償還費
に係る財政上の特別措置に関する
法律案
一、道路運送車両法の一部を改正す
る法律案
一、地方自治法第百五十六条第六項
の規定に基づき、海運局の支局の
出張所の設置に関し承認を求める
の件
一、義務教育諸学校施設費国庫負担
法の一部を改正する法律案
一、私立学校振興会法等の一部を改
正する法律案
一、文部省設置法の一部を改正する
法律案
一、通商産業省設置法の一部を改正
する法律案
一、社会福祉事業振興会法の一部を
改正する法律案
一、医療金融公庫法の一部を改正す
る法律案
一、中小企業指導法の一部を改正す
る法律案
一、中小企業信用保険法及び中小企
業信用保険公庫法の一部を改正す
る法律案
一、商工組合中央金庫法の一部を改
正する法律案
一、甘味資源特別措置法案
一、沖繩産糖の政府買入れに関する
特別措置法案
一、北海道寒冷地畑作営農改善資金
融通臨時措置法の一部を改正する
法律案
一、揮発油税法及び地方道路税法の
一部を改正する法律案
一、関税定率法等の一部を改正する
法律案
一、自動車検査登録特別会計法案
一、食糧管理特別会計法の一部を改
正する法律案
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。石田次男君から病気のため二十八日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、原子力委員会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、原子力委員会設置法第八条第一項の規定により、武田榮一君を原子力委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/4
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005・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって同意することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/6
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007・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
内閣から、放送法第十六条第一項の規定により、松坂佐一君を日本放送協会経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/7
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008・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって同意することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/8
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009・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、昭和三十九年度一般会計予算、
日程第三、昭和三十九年度特別会計予算、
日程第四、昭和三十九年度政府関係機関予算、
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/9
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010・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長太田正孝君。
〔太田正孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/10
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011・太田正孝
○太田正孝君 ただいま議題となりました昭和三十九年度予算三案の委員会における審査の経過並びに結果を御報告申します。
この三案は、三月二日衆議院から送付され、翌三日より本審査を始め、公聴会二日、分科会三日を含め、二十二日間にわたり慎重に審議いたしました。ここに予算の内容のおもなる質疑を御報告いたします。
一般会計の規模は三兆二千五百五十四億円であります。三十八年度当初予算より一割四分二厘増しています。伸び率は過去三カ年にわたって下回っておりますが、他方において、国立学校特別会計が新設されたことや、さらに予算と深い関係のある財政投融資計画額が一兆三千四百二億円に達し、前年度より二割八厘の増加であり、一般会計の四割一分に当たっていることや、さらに、国の予算と関連する地方財政計画も三兆一千三百八十四億円とされ、これまた前年度に比べ一割九分二厘の増加であることなど、一般会計、財政投融資、地方財政を通じて見ますると、この予算規模は前年度の伸びを上回るものとなるのであります。これについて政府の説明によりますると、国際収支の改善と物価の安定をはかりつつ、経済の安定成長と均衡的発展の基盤強化を眼目としているものであり、景気を刺激するおそれはない、健全均衡財政であると申しております。しかも、その運用にあたっては、今後の経済の動向に留意しつつ、十分弾力的にやっていくとのことであります。以上が予算規模についてのことであります。
次に、一般会計の財源はどうか。前年度剰余金は一千八百余億円を減少していまするが、租税等の自然増収は六千八百二十五億円が計上されています。この自然増収額は三十八年度の場合の二倍をこえていますが、それは、出産水準の高かった三十八年度後半の法人の収益が多かった関係もありまして、税目ごとに合理的に積算されたものであると政府は説明しております。
次に、減税はどうなっているか。国税では、所得税、法人税を中心に、地方税では、住民税の合理化、電気ガス税の引き下げを行ない、平年度、国税、地方税を合わせ約二千二百五十億円となっています。うち、国税は、平年度一般会計分千三百七十余億円、明年度分としては約一千億円でありますが、道路整備財源として揮発油税の税率を引き上げ、増収をはかっておりまするため、一般会計としては、差し引き八百三十六億円が税制改正による減となるわけであります。かように減税を行ないましても、国民の負担する国税、地方税は、明年度四兆四千二百三十億円となり、対国民所得率では二二・二%を示し、これは昭和二十八年以来の高い負担率となるのでございます。
ひるがえって、この予算の規模をもって何をするか。歳出について申し述べます。一般会計における最重要点の一つは、総額六千十一億円にのぼる公共事業費であります。なかんずく、道路整備については四兆一千億円の新五カ年計画が発足し、初年度として約二千七百七十億円が計上され、財政投融資千百余億円を別に予定されておるのであります。もう一つの重点は、総額四千三百七億円にのぼる社会保障関係の費用であります。一般会計に占める社会保障の比率は一三・二%と、過去の最高を示しております。さらに、一般会計の歳出中、地方交付税の交付金が、主税の伸びを反映いたしまして、六千二百余億円にのぼっておるのであります。そのほか、文教、科学技術振興費、住宅対策、環境衛生対策、農業の近代化、中小企業の高度化、貿易振興、海運対策等々に、優先的に経費配当が行なわれ、よってもって開放体制への移行に備え、経済の体質改善、国際収支改善のための諸施策が講ぜられることになっております。
一般会計に次いで、特別会計は、新たに国立学校特別会計と自動車検査登録特別会計の二つが設けられ、合わせてその数四十三となり、一般会計との歳出純計は約五兆八千四百億円となるのであります。そのうち、食管会計の飼料の赤字補てん、米の調整資金補充のため、一般会計より千二十六億円の繰り入れをし、また産業投資特別会計には五百七十余億円の繰り入れが計上されております。産業投資特別会計は、この繰り入れのほか、同会計資金より受け入れ、外債発行手取り金を加え、合計九百四十七億円の産業投資支出を行なうこととなっております。
終わりに、政府関係機関の数は十三であります。注目すべきことは、中小企業対策の一環として、中小企業金融公庫が新たに百億円の公庫債を発行することと、中小企業信用保険公庫で中小企業の手形割り引きを拡大するため一般会計より四十五億円の出資を行なうことになったのであります。
以上が予算三案の大要であります。
質疑は広範にわたりました。そのうち、第一、外交、第二、経済及び金融政策、第三、減税、第四、地方財政、第五、社会保障、第六、農業政策につき、若干を御報告申し上げることにいたします。
まず、外交につきましては、当面の焦点たる中共承認の問題、対国府国交調整、日韓会談等を中心に多くの質疑が行なわれました。
すなわち、中共承認問題では、「フランスがすでに中共を承認しており、今年秋の国連総会においても中共の加盟が問題となると思われるが、これに対するわが国の態度は改めないか。また、国連で中共の加盟が認められた場合は、当然わが国も中共承認を考慮するか」などの積極的立場からの質疑と、これとは別に、慎重論の立場から、「中共は現在なお平和に対し重大なる脅威を与えるものと見られているから、日中国交回復論には軽々には同調すべきではない」とする質疑がありました。これに対し政府より、「中共の国連加入は国連の場できめられる問題で、重要問題であるとするわが国の態度は変えない。国連に入ったから直ちに日本は中共と国交を正常化しなければならぬということはない。中共が好戦国ではなく、平和愛好、世界の繁栄に貢献するりっぱな国であることが前提であり、世界の情勢を見て考えるべきである」との答弁がありました。
また、国民政府との国交調整についての質疑は、「相互の理解を深め、正常な外交関係を維持することを期待するものであるが、国民政府と何らかの合意を約束する場合、共産主義に対して政治的に団結するとか、あるいは反共に協力するとか、意義のあいまいなものを内容とするがごときは、不測の事態を発生するおそれもあり、きわめて慎重な配慮を要すべきではないか」というものでありました。これに対し政府より、「共産主義にいかに対処すべきかは他国と折衝してきめるべきものではなく、わが国自体が決定すべきことであって、国民政府との関係については、わが国独自の立場から離れていかなる交渉にも当たるというようなことは、絶対に考えていない」との答弁がありました。
日韓交渉につきましては、事態がきわめて流動的であります。そのため、審議の当初より終盤まで繰り返されたのであります。それら質疑の焦点は、結局、日韓交渉の当面の争点は何か、条約の形式をどうするか、条約の効果は三十八度線以北に及ぶか、日韓条約は南北朝鮮の統一を困難ならしめるのではないかということでありますが、来日中の金鍾泌氏が呼び帰され、韓国国会で李ラインに関する決議があったという最近の韓国の政情と関連し、今後日韓交渉は続けられるのかどらか、韓国が李ラインを撤廃しないときめたらば、交渉は無意味ではないかとの質疑がありました。これに対し、政府側から明らかにせられた点は、「漁業問題の目下の争点は、基線の引き方、共同規制区域に出漁する両国の漁船隻数と収獲分配の方法、漁業援助について民間ベースの融資金額などであり、李ラインは、日韓漁業協定が発効すれば撤廃されるものと信じている。条約の形式については、まだきめていないが、韓国の支配が三十八度線以南であるという事実を前提として交渉に当たっておる。また、金氏の帰国により交渉に支障を生ずることはない。韓国議会の議決は、韓国の議会と政府との間のことである。会談は今後も最善を尽くしたい」との答弁がありました。
第二は、経済金融についてであります。国際収支と物価の問題が特に論議されました。
まず、国際収支の問題では、「輸入が予想以上の増加を続けているため、経常収支の赤字の幅が大きくなり、国際収支の赤字は、政府見通しよりふえるのではないか」ということ、及び「国際収支が赤字になれば、経済成長の制約になるが、外貨準備は十分かどらか」ということでありました。
その第二は、消費者物価の問題であります。「予算が膨張したこと、及びこれまでの経過から見て、政府の見通しのごとく四分二厘におさまるかどうか」ということと、それから「賃金と物価の関係について、早急に結論を出したり、春闘を前にして、賃金抑制の印象を与える政府の見解を発表しようとするのは軽率である。総理は物価問題についての従来の考え方を変えたのかどらか」というのであります。
これに対し政府は、第一点の問題につきましては、「三十八年度国際収支は、経常収支では当初の見通しより赤字がふえているが、資本収支の黒字は、予想を上回ったので、見通しは変える必要はない。外貨準備の点については、一月末現在で十八億五千万ドルあるし、IMFから無条件に引き出せる分を含め、約二十億ドルあるので、十分対処することができる」というのであります。
第二点といたしましての、消費者物価の問題につきましては、「現在の上昇が昨年三月に比べ三分九厘の上昇で落ちついておるし、公共料金の一年間ストップムードが浸透すれば四分二厘におさまると思う。物価と賃金の関係は、むずかしい問題で、政府としても、必ずしもコストインフレであるとは見ていないが、賃金が物価上昇と無関係とは考えていない。春闘相場を押えようという意図はないが、八条国移行を前に、物価、賃金、経済の成長について一般的見解を発表するのは、政府の責任と考えている。経済が成長すれば、人間の価値が上がり、生活水準が上がり、ある程度の消費者物価上昇はやむを得ないとの考え方に変わりはない」との答弁でありました。
金融政策につきましては、「諸外国では中央銀行は金利政策を機動的に行なっているのに、わが国では必ずしも時宜を得た運用がなされていないのは、結局、戦時色の濃い日本銀行法がそのままとなっているためで、これを早急に改正しないか」との質疑がありました。これには、政府、日銀双方より、早急に改正を考えたいとの態度の表明があったのであります。その後、三月十七日の公定歩合の引き上げと関連して、再度質疑が行なわれました。その質疑の重点は、大体三つあります。すなわち、「政府はこれまで国際収支について楽観論で終始してきたにもかかわらず、突如として公定歩合が二厘も引き上げられたことは、政府と日銀との間に経済情勢に対する根本的な認識の違いがあったからではないか」ということが一つ、また、「今回の措置が政府の低金利政策と矛盾しないかということが二つ、三つ目は、「中小企業に対しどういう配慮がなされたか」という大体三つの点でありました。これに対し、日銀総裁から、「日銀は昨年秋以来、一連の金融引き締め政策を進めてきたが、日本経済に弱い面があることを考え、急カーブの引き締めを避けてきた。しかし、生産水準の鎮静と国際収支の早期回復が困難である点に留意し、かつ、開放経済体制への移行を前にして、円の信用を維持するために、この際、公定歩合の二厘引き上げが必要と判断した。これは短期的金融措置であり、政府の低金利政策とは矛盾するものではない」という答弁がありました。また、大蔵大臣からは、「今回の公定歩合の引き上げは、八条国移行を前にしての慎重な配慮以外にはない。外貨準備の不十分なことによるものではない」という答弁がありました。また、中小企業への影響につきましては、政府から、「公定歩合の引き上げ直後、政府、日銀が一体となって対処することを申し合わせており、買いオペへの弾力的運用、政府系三機関の四月から六月に至る貸つけワクの繰り上げ使用をはじめとする、一連の中小企業政策に遺憾なきを期する」という答弁がありました。
第三は、歳入見積もりと減税の問題であります。一つは、「政府案の自然増収六千八百億円は前年度の倍額の見積もりであり、過大である。そのため、徴税強化にならないか」というのであります。また、「税制調査会の答申は、ここ当分の間は、租税負担率は二〇%が適当だと言っておるのに、三十九年度は二二・二%で、いままでの最高である。減税額も、ガソリン税の増徴を考えると、平年度千八百億円で、二千億円以上の減税という公約の違反である。また、所得税の減税では、物価上昇分が調整されているかどうか。税制調査会の答申の中から控除引き上げを削り、答申にない配当軽課、投信配当金の公離課税を行なっているのは、不労所得を優遇しようとするものである。基礎控除と配偶者控除を同一にすることも公約ではないか」という、大体三点を強く主張されたのであります。
以上の点に対し、政府は、「第一の税の増収見積もりの点については、前年度の補正で二千億円を追加しておるので、実際は四千億円の増収で、前年度下期の好況による増収分を考えると適正なもので、徴税強化にはならない。第二の租税負担率の点については、二〇%は望ましいが、歳出需要の多い現状では、二一%ないし二二%と読みかえていただきたい。また、公約違反という点については、今回の減税は二千億円をこえており、ガソリン税の増徴は目的税的なものであるから、別に考えるべきである。物価上昇分の調整は、三十七年度を基礎として、五人世帯で百九万三千五百円まで調整されている。配当課税の軽減、投信配当金の分離課税は、開放経済体制への移行に備え、自己資本の充実、貯蓄増強等のためである。配偶者控除の引き上げは来年度の問題として考えたい」という答弁がありました。
第四点として、地方財政について申し上げます。投資的経費の増加のため収支が悪化しておるとして、いろいろな点が問題になりましたが、質疑の重点は、大体歳入の面における問題でありました。すなわち、その一つは、「地方税の収入見積もりが、国税の場合と同じく、前年度の倍になっており、この点から徴税強化が起こりはしないか。」その二つは、住民税の減税に関する問題であります。「今回の減税は、地方住民の間の負担の格差をなくするための、いわゆる本文方式への統一だけで、三十七年以来、基礎控除の引き上げ等が行なわれていない。これでは実質的な増税になるのではないか。」その三は、住民税の減税分の補てん方法に関するもので、「国の方針できまった減税であるのに、何ゆえ全額を国でみてやらないのか。国が元利を補給する地方債というのは補助金の延べ払いとも見られるし、形を変えた赤字公債ではないか。」その四は、固定資産の評価がえに関する問題であります。すなわち、「今年から固定資産の評価制度が改正されることになっておるが、これによって増税となるおそれがある。そうだとすれば、増税にならないようにすると言ってきた政府の言明に反する。また、これによって土地の評価が上がれば、地代家賃に響かないということは考えられない。これは物価対策に逆行するのではないか」というのであります。
この四つの質疑に対し、政府はこう答弁しております。「地方税収の見積もりは、最近の収入状況等を考慮して見積もったもので、徴税強化は考えられない。今回の減税は負担の不均衡是正という観点から行なったものだ。また、補てん方法は三分の二の分について元利を補給することにしたのは、高い課税方式をとっておる地方団体は貧弱な財政であるという事実にかんがみましての特別な措置であり、他面、自力で低い課税方式をとっておる団体もあることを考え、残りは交付税でみることとしたもので、元利補てん地方債という形は前例もあり、国が発行する赤字公債ではない。第四の固定資産の評価がえについては、各資産を通ずる評価の不均衡是正が目的で、税負担の増加が目的ではない。評価がえによる税負担については、三十九年度以降三年間は、農地は据え置き、宅地と山林については前年度の税負担の一・二倍の額に押えることにしており、全体として見れば一割程度の増収で、従来の評価がえと同じで、増税とは言えない。地代家賃に対する影響については、物価の問題もあるが、他の税との権衡上からやむを得ない」という答弁でありました。
第五は、社会保障関係についてであります。質疑は、各保険間の格差の解消の問題、精神薄弱児や肢体不自由児の問題、医者や看護婦の不足の問題等、いろいろありましたが、その中で、全体を通ずる大きな問題としては、各制度間の格差解消の問題でありました。すなわち、「社会保険の各制度間には、費用の負担方法から給付に至るまで格差があり、それを解消することが急務になっておる。健康保険、共済組合等の被用者保険については、資金のプールをつくって統合する考えがあるとのことであるが、国民健康保険は一緒にできないのか。国民健康保険は被用者保険に比べて非常な格差があるし、診療所の医師の不足の問題、施設の不備等の問題をかかえているが、今後どういうふうにしてこれを直していくのか」ということが質疑の重点でありました。これに対する政府の答弁は、「社会保障制度の一本化ということは望ましいけれども、一挙にはできない。健康保険、共済組合等の資金をプールするという考え方は、その内部の格差解消というねらいと共同で処理できる事業があるからで、国民健康保険は費用の負担方法等のたてまえが違うので、一緒にはできない。国民健康保険については、加入者の大部分が低所得者なので、これまでも財政援助をしてきたし、今後もする考えである。今回の家族七割給付も、減税の恩典の及ばない低所得者に対する特別な配慮をしたものである。国保相互間の格差解消については、四年計画でやっていく過程でも配慮する。医療担当者施設の点についても最善の努力をする」ということでありました。
最後に、農業問題について申します。特に問題となりました点は、経営規模の拡大の点であります。すなわち、「所得倍増計画で考えられていた二町五反の自立経営農家を百万戸つくるという考え方は、兼業農家が農地を手放したがらない現状では達成が不可能だ。農業収入についても、兼業収入を入れなければ達成が不可能で、この点、倍増計画の考え方は再検討が必要ではないか」ということと、「経営規模の拡大の一つの方法として考えられた農地の信託制度の普及が進まないのは、小作料や農地法に原因があるのではないか」ということでありました。これに対して、政府から、「二町五反農家の百万戸創設ということは、年率としては予定どおり進んでいないことは事実だが、方向としては間違っていない。したがって、比較的短期間に経営規模の拡大ができるとの考え方は、中期計画をつくるときは再検討する。収入の点については、農家全体の生活水準を上げることが第一で、二町五反の問題は第二段の問題として考えるべきものである」ということでありました。また、信託制度の普及の点については、「施行後まだ日が浅いことや、他産業の受け入れ態勢が整備されていないことなどが原因だと思うが、小作料、農地法にも問題が生じてきているので、改正を検討したい」という答弁がありました。
このほか、委員会における質疑は数多くあったのであります。政治、特に内閣のとるべき態度、姿勢、憲法改正の問題、防衛力問題、家庭教育、青少年対策等の文教政策、国民生活の問題、ILO批准、炭鉱労働者、駐留軍労働者等の労働及び雇用の問題、産業保安対策、道路整備及び新産業都市等の地域開発の財源とその調整問題、国鉄の輸送力問題、旧地主の農地報償問題、酪農及び畜産振興の問題、沿岸漁業の振興問題、米の需給問題等、国政全般にわたり、微細にわたって行なわれたのであります。
なお、質疑の過程におきまして、ライシャワー・アメリカ大使の刺傷事件が起こり、政府の責任及び事後の対策についての質疑が行なわれましたことを付言しておきます。これらの詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。
かくて、昨日質疑を終了し、討論に入りました。日本社会党を代表して山本委員が反対、自由民主党を代表して大谷委員が賛成、公明会を代表して中尾委員が反対、緑風会を代表して奥委員が賛成、民主社会党を代表して村尾委員が反対、日本共産党を代表して須藤委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、予算三案は多数をもって可決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 三案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。山本伊三郎君。
〔山本伊三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/12
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013・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました三十九年度予算三案に対し、反対の立場から討論をするものであります。
反対の第一の理由といたしまして、まず、池田総理の政治に対する姿勢を指摘したいのであります。池田総理は、予算審議の過程におきましてもたびたび言明されておりますが、自民党の来たる七月の総裁選挙には立つとも立たないとも言わない、口々これ実なりと言って、うそぶいております。しかし、その総理の政治のとり方の姿勢を見ますと、遺憾ながら、国政の処理にあたっては、常に七月選挙にどう響くかを尺度として行動していることがうかがわれるのであります。これが国の方途を誤らしめ、あるいは政治の混迷をもたらしていると思うのであります。すなわち、その例といたしまして、ILO条約八十七号の批准の問題にいたしましても、いまや一刻の遷延をも許しません事態に置かれているにもかかわらず、また自社両党の正式な機関において倉石・河野修正案がすでにきめられているにもかかわらず、与党内または政府部内の意見の調整と称して、じんぜん日を送り、その解決を放棄した感があるのであります。与党または政府部内の意見の調整は、当然、総裁であり総理である池田首相が責任をもって強い決意を持ってこれにあたるならば、私は解決はでき得ると信じているのであります。しからば、池田首相がこの解決の責任をとらないとするならば、一体だれがこれを責任をとってやるのでありますか。しかるに、池田首相は党内の反感を買うことをおそれ、池田三選のためには、重要なILO問題も、自己の責任によって解決しようとは動かないのであります。また、これに関しては、開放経済へすでに乗り出すわが国が、結社の自由を約する条約すら、これが解決をできないということ、またILO当局の査察を受けなければならないという、この事態は、池田さんがいつも言われる極東の大国として豪語できるかどうかということであります。また経済政策にいたしましても、池田内閣の誤れる高度成長政策の結果、昨年来すでに国際収支は天井に当たったのであります。金利政策をはじめ、輸入抑制、金融引き締め等の手当てを講ずべきときであるにもかかわらず、池田内閣としては、大型予算を組んだ手前もあり、経済政策の失敗をできるだけおおい隠さんとして、ついに三月まで押し通したのであります。三月半ばになって初めて日銀の公定歩合も二厘の引き上げをしたのであるが、この時期を失した金融引き締め措置も、やはり池田総理の党内における力の限界をうかがわれるのであります。
反対の第二の理由は外交問題であります。池田内閣は、流動する世界の情勢の中にあって、わが国の果たし得る役割りをみずから縛り、あまりにもアメリカに追随しているのではなかろうかと思われるのであります。現在アメリカのアジアの外交は八方手詰まりになっているのであります。その矢先に、ドゴール仏大統領の投げた一石は、アジアの局面を一変せしめた感があります。フランスの中共承認の意義は、固定した軍事優先外交の視野から離れ、現実に発展しつつある事態に直面し、アジア諸国の平和と繁栄を築く、現実的、合理的な前提をつくり出したのであります。かかる情勢にかかわらず、日本の外交は自主性がありません。アメリカの外交の失敗のしりぬぐいをしているとしか考えられないのであります。朝鮮民族統一の悲願を閉ざす日韓会談にいたしましても、米国の韓国に対する軍事上経済上の負担を日本がかぶる以外に何ものもありません。隣国朝鮮との友好関係は、われわれもそれを樹立することは望ましいことであります。しかし、日本の漁業権益、竹島の領土権、文化財の返還、筋の通らない請求権の解決等、わが国の譲歩により朴政権の崩壊を防ごうというのが日韓交渉の実態であります。また、中国との関係につきましては、フランスの中国承認直後でありました衆議院の予算審議の過程では、政府は一時前向きの答弁をしているのであります。その後どういう事情があったかわかりませんが、参議院の予算審議に至りましては、中共の国連加盟が認められても、わが国が中共承認するかどうかは、国際世論を見てからきめたいというように、その態度が豹変してきたのであります。アジアの安定と繁栄なくして日本の平和と繁栄はあり得ないという、この明白な公理にかかわらず、池田内閣の外交は、アジア諸国間の対立不信を深めるような、米国外交路線に追随するような、独自性を完全に喪失した池田外交と断ぜざるを得ないのであります。
第三の反対理由は、経済政策であります。先ほど委員長の報告もありましたけれども、池田内閣ができて以来、高度経済成長政策をとってまいりました。それがため、消費者物価の高騰、国際収支の悪化、農業、中小企業の格差の拡大、また地域格差はいよいよ激しくなってきたのであります。最近、これに気づいて、にわかに中小企業または農業の革新的な改善を打ち出したのでありまするが、事態はこれに反し、中小企業の倒産はますますはなはだしくなっているのであります。また、農業の革新的改善と称しながら、三十九年度予算では、農業基盤整備費と農業近代化資金及び構造改善資金を合せても、百七十三億円程度の増額であります。これで革新的改善は私はとうてい望めないと思うのであります。また、消費者物価の安定策を見ても、一部の公共料金の抑制と金融引き締め政策によってこれを行なわんとしているが、おそらく、今日の日本の経済の動向から考え、池田内閣の所得倍増と称する経済政策を根本的に改めなければ、一時的な小康は得ましょう。しかし結局は、私は失敗に終わるものだということをここで明らかにしておきたいのであります。
ここで申し上げておきますが、わが党も、経済成長そのものを否定しているものではありません。当然、国民の生活の向上のためには、質量ともに拡大生産は当然のことであります。ただ池田内閣と相違する点は、池田内閣のごとく無計画な経済の成長政策は、いたずらに勤労大衆または消費者大衆を犠牲にして、一部の独占階層のみに奉仕するということを指摘したいのであります。また、国際収支の改善の問題にいたしましても、今後わが国がIMF八条国に移行し、また、OECDにも加盟がすでに決定しているようであります。この際、国際収支もますます重要な課題となります。今日の政府の輸出の振興策または海運対策では、とうてい国際収支の改善は急速な解決を見ないと思うのであります。あまつさえ、三十九年度景気刺激の大型予算では、三十九年度も輸入の超過は免れないことは明らかであります。
政府は、このような自己の責任をも考えずに、生計費の高騰に伴う労働者の正当な賃上げ要求に対しても、あたかも賃上げが物価騰貴の原因であるかのごとき見解を流しているのであります。昨日の予算委員会の討論においても、与党の賛成討論の中にも、これが見られたのであります。しかも、具体的に指摘されております。これは重要な問題であると思いますので、ここで賃金の問題について論じたいと思います。
一体、賃金理論を理解されているのかどうかということであります。賃金の上昇する要素は三つあります。その一つは、生産の向上であります。第二は、雇用の率の増大であります。第三には、物価の上昇であります。このうちの、第一の年産性の向上、第二の雇用の増大、その賃金との関係は因果関係であり、ます。しかし、第三の物価騰貴による賃金の上昇は、因果関係ではなく、相関関係であります。物価と賃金の問題は、物価がインフレ傾向にあるときによく取り上げられるが、常にこの相関関係の理解がないから、そこにいつも問題が起こるのであります。この物価と賃金の相関関係については、おそらく日本政府にもそのデータは私はないと思います。私が、かつてフランスの年金制度を調べましたときに、フランスでは御存じのように、年金のスライド制を持っております。したがって、年に一回必ず年金の査定の基礎をつくる基準賃金を作成せねばなりません。その際、物価と賃金の上昇を科学的に調査をして、それによって物価と賃金との相関関係をきめているのであります。その資料によりますると、やはり物価が賃金より先行するというのが常態であります。特にインフレ傾向の強い経済成長の際に、この物価が先行するというのが、これが原則であります。わが国にそういうデータがあるか知りませんが、私は昨日の予算委員会の際に質問をいたしました。これは少し違いますけれども、日本の国民の消費性向と貯蓄性向をお聞きいたしました。池田総理は、ぶ然として、それは経済白書にありますから、十分見てください、——きわめて失礼な態度の答弁でありました。そのあと大蔵大臣が立って説明をされました。国民の貯蓄性向の表をあとから係り官が丁寧に持ってきましたので、私はおきましたけれども、このような有能な政府でありますから、そういうデータもあって、昨日の与党の賃金論に変わったのだと思っております。したがって、ここでお願いをしておきまするが、私のあとからおそらく与党の賛成演説があると思います。その際に、日本における賃金と物価の相関関係のデータを示して、いかにも賃金の上昇によって物価が上がるということの反論をお聞かせ願えれば、きわめて幸いだと思う次第であります。
第四の反対理由は、今回の予算は、政府のいう物価の安定、国際収支の改善を企図した、景気を刺激しない健全均衡予算であるというのに反して、実質的にはきわめて大型な刺激的予算だということであります。一般会計規模は、当初一〇%増にとどめたいというのが、財政当局の目標であったようであります。しかし、与党や圧力団体の力に押され、前年度比一四・二%増の三兆二千五百五十四億となったのであります。しかも、これは国立大学経費を特別会計に移すというからくりもひそんでいるのであります。したがって、歳出の実質的膨張は一五・二%で、予想経済成長率の二倍に及んでいるのであります。なお、一般会計から漏れたものは、無理に財政投融資になだれ込んで、その結果、財投計画規模は、一般会計の四十数%にも当たる一兆三千四百二億円に達し、その伸び率は二〇・一%となり、なおこのほかに、国鉄に対する国庫債務負担行為四百億円をも加えると、財投の伸び率は、近年の最高の伸び率を示しているのであります。このような積極刺激的予算を編成したのであるが、しかし、その後の経済情勢は、必ずしもこの膨大な予算を消化するにふさわしくない傾向があらわれてきたのであります。したがって、金融引き締めの圧力を一そう過重せねばならない結果となり、そのしわ寄せが労働者や中小企業にくることは明らかであります。政府なり与党の方々が、さきの衆議院で予算審議の段階で、社会党でも三兆円を上回る組みかえ予算案を出したではないか、よって三兆円を上回る政府予算だって何も大型な刺激予算ではないという反論もされました。これは一を知って二を知らない人々の言うことであります。政府案と社会党案では、なるほど金額はおのおの三兆円を上回っているかもしれません。すなわち、量はひとしいでありましょうが、その内容、質が違うのであります。わが社会党の組みかえ案の歳入におきましても、その歳入源である租税においては、応能主義をより徹底させ、すなわち、担税能力のある方々には多く税の負担をしていただく、低所得者の方々には少なく、または免税によって、その課税政策を考えて、三兆円の歳入をはかっているのであります。また、歳出においても、これと逆に社会保障または国民福祉にウエートを置いて考えているのでありまして、量は同じであるからといっても、その質の相違するところを御理解を願いたいのであります。
反対の第五といたしまして、今日の国税、地方税の減税が、公約を下回っていることであります。政府自民党は、かつての総選挙で二千億円の減税を公約されました。その後、予算編成の過程では、公約を上回る二千二百五十億円を減税するのだとして、三十九年度予算案とともに減税案を出してまいったのであります。ところが、一方には、予算委員会においても指摘いたしましたが、揮発油税あるいは軽油引取税、とん税等、増税となる部分は、全くこれは計算に入れられておらないのであります。これは、われわれ厳格に申しますならば、国民を欺瞞するものであって、この増税分を差し引くと、その前に公約をされた二千億円の減税よりもはるかに低い千七百八十億円にすぎないのであります。しかも、このうち所得税の減税は六百四十九億で、この減税の程度では、物価騰貴による名目所得の増に伴う税負担の加重を調整すると、結局、勤労者にとっては実質的増税となる結果によるのであります。政府与党は、これにつきましても、今回の減税案は近年まれに見る大幅減税と言っておられます。その根拠として、昭和三十八年度は七百四十億、昭和三十七年度は千二百六十億であったけれども、本年は二千億以上の減税をしているということで、いかにも国民に納得を要請するような言い分でありますが、これは少しどうかと思います。減税は、何も前年度比較とか、そういうもので考えるべき性質のものではありません。三十九年度の自然増収はすでに六千億をはるかに上回る実情であります。この自然増収は、言いかえれば、一種の増税分であります。したがって、これと比較すると、あまりにも減税は足らないということであります。それに、三十九年度の国民所得との比が、先ほど委員長報告でもありましたけれども、二二・二%という、近年にない高い比率を示しているのであります。減税の妥当性は、この自然増収と国民所得との比率によってその税の比較の基準をとるべきであって、前の年が七百億円であったから、ことしは二千億円で、それが減税が大幅にされたということは、妥当でないと考えるのであります。
最後に、この予算の組み方では国の財政が弾力性を失われる危険があるということであります。国と地方財政との関係は、予算編成の際は常に大きな問題となるのであります。今回の場合、地方の市町村民税の減税による税収減の補てんのために、国庫が元本利子を補給する地方債の発行という方法がとられたのであります。これは当面の一般会計の歳出増加を防ぐためにはよいかもしれませんが、問題は、このような便法をとることは、今後の国の財政、予算が、いよいよ硬直性を増すということであります。
以上、重要なる反対理由を述べましたが、この他に、社会保障あるいは庶民住宅建設についても、環境衛生についても、政府公約に反すると同時に、国民に背を向けた不健全予算と断ぜざるを得ないのであります。
以上、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 草葉隆圓君。
〔草葉隆圓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/14
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015・草葉隆圓
○草葉隆圓君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題とされております昭和三十九年度一般会計予算外二件について、賛成の討論を申し述べるものでございます。
申すまでもなく、本年は、IMF八条国への移行、OECDへの加盟など、本格的な開放経済体制への移行を目前にいたしまして、わが国の経済体質の一段の強化を急務といたします画期的な年でございます。今日わが国がこのような重大な転機を迎え得るに至りましたことは、もとより国民の勤勉と英知のたまものでありますることは申すまでもないことでございまするが、一方におきまして、わが党の経済政策の成功の結果にほかならぬのでありまして、ともどもに御同慶にたえない次第であります。
ここ数年間の高度の経済成長によりまして、製造業、特に重化学工業は、ようやく西欧水準に近づいて国際競争力が強化され、他面、雇用の大幅な増加、賃金水準の上昇、賃金格差の縮小、消費内容の高度化等が着々と実を結び、ここに開放経済体制に入り得る道が開かれたのでございます。私は、以下数点にわたりまして、新年度予算案に賛成する理由と、若干の希望とを申し述べたいと存じます。
その第一は、財政規模についてであります。
開放経済体制に入ることを前提といたしましたこの予算案は、物価の安定と国際収支の均衡をはかるために、健全均衡であるべきであるとの根本方針から編成されたことは、申すまでもないことでございまするが、はたして、この予算案は景気に対して刺激的であるかいなか、まず、これが問題にされておる点であると存じます。三十九年度一般会計予算の前年度に対しまする比率は一四・二%の増加になっており、これに、国立学校特別会計や自動車検査登録特別会計の新設を考慮に入れましても、前年度対比一五%増と相なり、これが景気に対して刺激的であるとの声も聞かれるのでございます。しかしながら、予算の規模が妥当であるかいなかを判断する場合、その基準を前年度に対する比率に求めることは必ずしも適当でないのでありまして、基本的には、予算の規模を決定するにあたって、その計算の基礎とされました経済成長率が妥当であるかいなかが問題であるのでございます。昭和三十九年度予算で想定されました経済成長率は、名目九・七%、実質七%であり、この数字は、予算編成の当初、経済企画庁の考えておりました六・七%よりもやや高いことは事実でありまするが、しかしながら、ここ数年間、引き続き高い水準で進められてまいりました成長率から見ますれば、著しく控え目なものでありましたことも、また事実であります。これは、各年の経済成長率を引用して説明するまでもないところであると存じます。
さらに重要なことは、ここで一挙に成長率を落とすことが、国民経済の上から、はたして妥当なものであるかどうかという点でございます。過去数年にわたる高度成長によりまして、企業生産能力は大幅な伸びを示し、供給過剰、超過傾向を生じていることから見ますれば、資本費や人件費の増勢にたえ、売り上げ高、利潤率を維持向上せしめまするためには、設備の操業度をどうしても引き上げざるを得ないのであります。そのための重要な成長要因といたしまして、財政支出に依存せざるを得ないでありましょう。いわんや、あたかも開放経済体制下に向かうにあたっては、操業度の低下に伴って企業の国際競争力が低下しますることは、最も避けねばならないところであると存ずるのでございます。加えて、現在生じておりまする株価の低迷などに見られる経済的諸困難の実情をあわせ考えますると、前回の経済引き締め当時のごとく、一挙に成長率の低下をはかることは、はなはだ疑問であり、あえてとらざるところであると存ずるのでありまして、この意味におきまして、成長率を一挙に落とすことなく、従前よりやや低目に設定しながら、しかも施策の重点を従来の成長政策のひずみ是正を目ざして編成されておりまするこの三十九年度予算案は、その大綱において、私どもは妥当なものであると考える次第でございます。
なお、これに関連いたしまして問題と相なりまするものは、金融政策の弾力的運用の必要が特に重要であるという点でございます。とりわけ、一般会計に盛り込まれなかった予算要求を財政投融資に振り向け、その対前年度比が二〇・八%と格段の増加を見、かつ、そのうち、政府債や地方債の増発が金融を圧迫し、金融政策の調整力を減退させる傾向にあることを考えますると、財政と一体となって金融政策の慎重かつ弾力的な運用が切望されるところであると存ずる次第でございます。
問題の第二点は、減税問題でございます。
三十九年度予算における租税負担率が二二・二%となり、前年度の二一・五%を上回ったということから、国民の税負担が重くなったのではないかという批判もあるようであります。しかしながら、租税の負担率のみをもって租税の適正水準をはかることは、必ずしも妥当ではないことは、よく御承知であると存じます。昨年十月に発表されました税制調査会基礎問題小委員会の中間報告におきましても、「負担率は、一人当たりの実質国民所得水準の高い国ほど、一般に高くなっておるので、これを固定的に考えるべきではない」と述べておるのでございます。成長経済のもとにおきましては、税収の伸びが国民所得の伸び率よりも高くなるのが通常の現象であると存じます。元来、経済活動の拡大に伴って生じまする税の増収分を減税に充てるか、それとも財政支出に充当するかという、この問題は、国民経済に与える効果によって判断すべきことであり、この予算案における租税負担率が前年よりやや高く、そしてまた二〇%をこえておるということをもって非難することは、決して当を得た批判ではないと考えるのであります。しかしながら、より現実的にこれを考えまするならば、租税負担が重いかいなかということは、税収入の主要部分をなす所得税を支払う国民個人々々が、感覚的にそれをどのように受け取るかという問題も、また重要なことであるのであります。とりわけ、所得税が最低生活費に食い込むという印象を国民に与えることがあったとするならば、これは問題であると言わざるを得ないのであります。この点におきまして、夫婦子供三人の課税最低限が四十八万五千円にまで引き上げられましたということは、まことに妥当な処置であると存ずるのであります。しかしながら、所得税は諸外国に比べて実質的にはまだまだ高いと考えられる点がある。今後とも支出面における冗費の計上を厳に慎重を期しながら、さらに所得税の減税に向かって一段の努力を望むこと切なるものがある次第であります。
問題の第三は、この三十九年度予算に盛り込まれた重点政策についてであります。この予算案におきましては、従前の重点政策でありました御案内の社会保障、公共投資、文教、科学振興などよりも、さらに高い優先度をもって、中小企業及び農業の近代化が取り上げられました点に、われわれは大きな特色を見出すのでございます。この二つの部門は、従来の所得倍増政策の中におきまして、比較的日の当たらない場所に置かれておった部門であったのでございます。特に中小企業の生産性向上のおくれ、それは消費者物価の高騰の一つの原因であったとも見られており、また、農業は開放体制に向かうにあたりまして最も脆弱な部門であるだけに、この措置は時宜を得た措置であると言わなければならないのであります。しかして、中小企業関係予算は前年度比四〇%の増、また農林漁業関係予算はこれまた前年度比三三%増の高さを示しております。ことに、その施策のおもなる内容は金融面に置いており、融資量の増大、金利上の優遇が考慮されておりますとともに、とりわけ、農業に対しましては、従来の補助金依存から、農家経営独立の第一歩として、融資対策と指導の強化にその重点が移行されたことは、いわゆる農業近代化への方向づけを行なったものといたしまして、注目に値する点と考えるのでございます。ただ、この場合、この両者ともに融資対象となり得ない零細部分のありますることは見のがし得ないところでありまして、これに対しましては、別途の対策が望まれる次第であります。ことに、中小企業におきましては、最近、中規模企業の発展部門と零細企業の停滞部門とがさい然と分かれて来つつあります感がありますだけに、今後とも行き届いた配慮が望まれる次第であります。
また、社会保障費に関しましては、一般会計において対前年度比一八・五%の増となり、約四千三百余億円に達しておりまして、歳出予算中に占めまする割合が初めて一三%の台をこえて一三・二%に達しましたことは、ほんとうに喜びにたえない次第であります。しかしながら、これを先進諸国に比べますると、なお遺憾の点が多々ある次第であります。今後は、まず社会保障の総合的調整を行ないますと同時に、各種保険制度の不均衡の是正、医療保障の抜本的刷新、年金制度による社会保障の確保等につとめねばならないと存ずるのでございます。
以上のほか、新年度予算の重点項目といたしましては、新五カ年計画によりまする道路並びに港湾の整備、住宅と生活環境施設に対する公共事業の顕著な進展、文教と科学技術政策の拡充、青少年対策の推進、貿易振興のための各種の施策、恩給の不均衡是正、その他、特別会計におきましても論及すべき幾多の問題がありまするが、これは割愛いたしまして、私は特にこの際一言つけ加えて申し述べておきたい点がございます。
それは、この予算執行にあたっての基本的な心がまえについてであります。国際経済の上で開放体制に入る本年のわが国といたしましては、内外にわたる経済施策の上で慎重に誤りなきを期すべきことは言うをまたないところでありまするが、これと並んで、わが国の置かれておりまする国際的地位、なかんづくアジアにおけるわが国の果たすべき国際的役割りのきわめて重大でありますることを、国民がひとしく十分に認識してかからなければならないという点でございます。言うまでもなく、今日のアジアの情勢は決して安定しておるとは言えないと存じます。朝鮮の問題、中国の問題、あるいはベトナム、マレーシアの問題等、解決を迫られており、しかも、重要にして困難な問題が山積いたしております。とりわけ、わが国が自由陣営の一員として常に受けつつある国際共産主義の脅威は、今日決して衰えておるとは言えない。思想的にも、政治的にも、軍事的にも、わが国を取り巻いておる四囲の情勢は、安泰では決してないと存じます。申すまでもなく、わが国は、社会体制、政治体制を全く異にしている共産圏諸国との間に一衣帯水にあります。しかして、わが国は、日本海を隔てた対岸のソ連の動向、日夜、日本海にあると最近しきりに言われまする数隻の原子力潜水艦と十数隻のミサイル潜水艦、また百機をこえるミサイル搭載のジェット爆撃機TU16、それらの動きは、われわれが一日も目を離すことができない現実でありましょう。また、中共の対日活動は最近ことに顕著であります。この七月までに、十六団体、四百人以上にのぼる来日予定者が対日活動に当たると伝えられております。このような活発な動きに対しまして、これまたわれわれは決して無関心にこれを見のがすわけにはまいらないと存じます。さらに最近の日韓会談の反対の動きを見ましても、御案内のように、去る三月二十七日の北鮮最高人民会議における日韓会談粉砕の決議をはじめといたしまして、その他、共産主義の総合的な指導は最近急に活発化してきた状態であることも、また強く心にとどめておかねばならないと存じます。こうした中にありまして、わが日本及び日本民族は、いよいよ明日から新年度を迎え、八条国に移行し、開放経済体制に入り、しかもこの秋にはオリンピックを迎えんといたしております。いまやその準備に忙殺されておる状態でありますが、これもぜひとも私どもは期日までに十分準備を完成して、世界の国々から多数の人々を心から迎えたいものでございます。かくのごとく、内外の情勢下にありまして、われわれは画期的な新年度を迎えることと相なったのであります、
このときにあたり、私は、総理をはじめ各大臣に心からこいねがいますることは、何とぞ不動の信念と確固たる勇気とをもって本予算の執行に遺憾なきを期せられますると同時に、日本民族の持つ最も伝統的な美点を十分発揮し得るよう、みずから国民の先頭に立って進まれまするよう心からこいねがって、本予算に対する賛成の討論を終わりたいと存じます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/15
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016・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 中尾辰義君。
〔中尾辰義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/16
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017・中尾辰義
○中尾辰義君 私は公明会を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の三案に対しまして、反対の討論をするものであります。
開放経済の初年度を迎えるにあたり、日本経済の前途は、まさしく赤信号を呈しているのであります。すなわち池田内閣は、わが国を自由陣営の三本の柱の一つと自負し、所得倍増の旗じるしのもとに、IMF八条国への移行、OECD加盟等、かけ声勇ましく、日本経済の成長を宣伝しながらその準備をしてきたのでありまするが、開放経済の何たるかを洞察して、そのきびしさに十分順応できる国内経済の正常化を着実に進めてきたとは言えないのであります。安易に外国からの借金による資金に大きく依存し、ずさんな輸出計画のもとに、国内市場中心主義ともいえる高度成長一本やりで拡大をしてきたのが、池田内閣の手による今日の偽らざる日本経済の姿であります。したがって、その行き過ぎは、物価の上昇と国際収支の悪化のため、拡大のテンポにブレーキをかけざるを得なくなったのであります。すなわち、構造的といわれる貿易外収支の赤字は、海運赤字と特許料や利子配当等の外資対価の支払い増加で、三十八年度では約四億ドルの赤字と推定をされ、一方、輸入はますます増勢をたどり、五十九億ドル台に迫り、貿易収支も三十八年度においては四億ドル前後の赤字になりかねないのであります。したがって、経常収支全体で八億ドルの赤字が予想され、これを資本収支で補っても、なお二億ドル程度の赤字が見込まれ、国民の不安のままに、まさに外貨危機が到来しているのであります。したがって、政府は昨年十二月以来、預金準備率の引き上げ、新窓口規制、さらに売りオペによる引き締め等、一連の金融調整の措置をとらざるを得なくなったのであります。そして最後に、抜き打ち的に公定歩合の日歩二厘引き上げと同時に、輸入担保率の引き上げとなったのでありまするが、その間、戦後最高ともいうべき中小企業の倒産を招き、その金融不安は連鎖的に今後多数の倒産を予想されるのであります。さらに消費者物価は、過去三年間連続六ないし八%の上昇を見、その物価対策も何ら見るべき成果はあがっておらないのであります。
このような国際収支の悪化にしても、消費者物価の騰貴にしても、それは単純な景気循環的な現象として生じたものでなく、日本経済の構造的なゆがみのあらわれであり、単に金融引き締め政策だけではどうにもならないものが存在しているのであります。これは明らかに池田経済政策による日本経済のジレンマであり、失政であります。したがって政府は、船腹増強を主体とする強力な海運政策、中小企業や農業の近代化、積極的な輸出の増強等の一連の施策と物価安定策等を強力に推進していくことが、この際肝要であります。
さて、このような経済情勢を背景にいたしましてでき上がった新年度予算の財政規模は、一般会計が三兆二千五百五十四億円、財政投融資で一兆三千四百二億円、前年度に比しまして伸び率は一四・二%及び二〇・八%となっております。さらに一般会計では、国立学校特別会計、自動車検査登録特別会計の新設によって約二百五十億円の規模が減少いたしておりまするが、これは財政規模を過小に見せかける財政操作のトリックと思われるのでありまして、これを含めると、実質一五%の伸び率となっているのであります。また、財政投融資も、本年度補正に回した国鉄、輸銀への資本追加分各百億円や、国鉄への国庫債務負担行為ないし財政補正四百億円は、実質的には新年度規模に加算すべきものであり、これらを加えると、財政投融資の伸び率は二七%にも達するのであります。一方、三十九年度における政府推定の経済成長率は九・七%となっているのであります。とのように、経済の成長率以上に財政が膨張するということは、国民所得に対する予算額の割合が増加しつつあることを示すものであり、国民所得に対する予算の割合が伸びることは、国民の租税負担を重くすることであります。また、自然増収六千五百億円は、成長率九・七%とすれば大体目一ぱいの数字と思われるのでありますが、政府は、一千億ないし一千五百億円程度の補正財源を当然予想しての見積もりと思われますので、実質的には、予算編成作業の当初、名目一二%を前提にして編成されているというように思われるのであります。国際収支の改善と物価の安定が叫ばれている今日、このような膨張予算を組むことは、当然、政府需要を増大させ、生産増加による輸入を増大きせるばかりでなく、政府には物価安定の意図がないものと言わざるを得ないのであります。そうして毎年連続の消費者物価の高騰は、人件費、予算単価の引き上げなどを通じて財政膨張の要因となり、特に財政支出の中でも、公共投資は、その基礎をなす道路、港湾、治山治水等の各長期計画について一連の改定が行なわれましたが、それは計画自体を補正する意味もありますが、主として労務費、資材費、用地費等の建設コストの高騰によって、既定の計画の実施が不可能になってきたことによるのであります。必ずしも事業量の増大をはかっているとは言えないのであります。
また、三十九年度予算の矛盾は、特に財政投融資において顕著な形であらわれていると言えるのであります。まず、原資の面におきまして、資金運用部八千五十四億円、公募債借り入れ金二千五百億円、外貨債等は五百三十六億円等となっております。また、一般財源より産投資金へ八百十二億円を繰り入れておるのでありまするが、これは、一般会計で行なわれてきた一般行政を財政投融資に移し、金融的べースに乗せて収益事業化していく行政の事業化であり、公募債借り入れ金の中で、政府保証債は、本年度に比べ、五百七十一億円増の一千八百十億円に達しており、そしてまた、住民税の減税に伴う地方減収分六百億円の元利補給債の発行は、現行国債発行制度の抜け道であり、五年間による一種の延べ払い方式による事実上の赤字公債であり、警戒をしなければならない問題であります。こうした三十九年度の財政規模の膨張は、所得倍増計画による日本経済のジレンマであり、膨大な財政支出と、一方においては金融引き締めという矛盾をはらんだ予算と言えるのでありまして、われわれといたしましては、賛成をいたしかねるのであります。
次に、税制について申し上げます。
三十九年度の税制改正によりまして、国税、地方税を合わせまして、平年度は二千百五十二億円という、一応二千億減税の形は成立をいたしておりまするが、国民の一番聞きたいのは、初年度、つまり新年度のことであります。六千八百億円という史上最大の自然増を見込み、そのうち初年度分は千四百二十五億円の減税であり、国税のみでは一千三億円にすぎないのであります。これからガソリン税の一〇%引き上げ分百八十二億円を差し引くと、八百二十一億円が正味の減税額ということになり、自然増収のたった一二%を減税したにすぎないのであります。また地方減税は、地方道路税の一〇%、軽油引取税の二〇%の各引き上げ分を差し引くと、三百五十億円程度となるのであります。シャウプ勧告以来の十四年ぶりの大減税と言われながら、国民の税負担率は逆に二二・二%とはね上がり、まことに奇妙と言わざるを得ないのでありまして、減税というより、むしろ物価上昇による税負担額の調整にすぎないのであります。また所得税減税は、物価高に対する事後的調整とも言うべきものであり、給与所得者の標準五人世帯の課税最低限は、三十九年度分四十七万一千百四十五円となり、一応五万円程度の引き上げとなりまするが、かりに、この世帯の年収が七十万円だとすれば、年間の減税額は三千五百五十八円、一カ月当たり三百円弱の減税にすぎないのであり、三十九年度の物価には何ら対応措置がされておらないのであります。また、開放経済体制を迎えて、大蔵大臣のお得意である資本蓄積、内部留保ということも大事でありますが、耐用年数の短縮による企業減税等は大企業に傾斜をする傾向があり、また、税制調査会の反対を押し切り、証券投信の源泉分離を取り上げ、給与所得控除の引き上げ幅の削減と引きかえたのは、はなはだ納得がいかないのであります。以上、税制に対しまして若干の批判をいたしましたが、まだまだ減税の余地があり、勤労所得者、中小企業者等の大幅減税を断行すべきであります。
次に、中小企業予算について簡単に申し上げます。ことしに入ってから、中小企業の倒産件数は、はなはだしいものがありまして、現在までに、負債総額一千万円以上の倒産企業は五百件をこえるに至っております。その原因は、いろいろ取りざたをされておりまするが、その中で看過し得ないものは、一つは、大企業が下請代金を遅延したり、あるいは系列企業を選別する等の、大企業による中小企業への圧迫、他の一つは、設備の拡張近代化を実力以上に強行しなければならなかった中小企業の構造的矛盾が、金融引き締め等によって明らかになってきたということであります。これは、とりもなおさず、池田内閣の高度成長政策の矛盾が中小企業にしわ寄せされたのであります。新年度の中小企業関係予算は、一般会計百六十億円、中小企業金融機関向け財政投融資は一千六百四十二億円であり、一般会計のわずか〇・五%、財投の一二・八%にすぎず、三十八年度における〇・四%、一一・八%の比率と比較して、重点施策と言えるほどの変化を示しておらないのであります。しかも、その内容におきましては、たとえば、近代化促進費は八十九億八千万円を計上してはおりますが、これによって促進される工場の集団化は、用地難等の重大な壁に突き当たっているのであり、またその貸し付け率は、土地二分の一、建物三分の一となってはおりますが、土地一坪当たり二千五百円、建物軽量鉄骨二万円という、現実とはかけ離れた限度額が設けられておるため、実際の補助率は五分の一以下になるというお粗末なものであります。これでは、開放経済に向かう中小企業は、将来も弱体のまま苦悩に沈み、真の発展は全く望み得ないのであります。輸出増強のためにも、さらに強力な対策を要望するのであります。
次に、住宅問題につきまして申し上げます。戦後十九年、衣食住の中でいまだ解決されないのが住宅の問題でありまして、公営住宅、公団住宅等の申し込みが何十倍という数字を示しておるところにも、いかに国民が住宅に困窮しておるかがうかがわれるのであります。政府は、昭和四十五年度までに七百八十万戸の住宅を建設するというのでありまするが、このうち民間の建設に依存しているのが四百六十万戸、政府がこれから建てようというのはわずか三百二十万戸であります。しかも、宅地の入手難、建築単価の高騰という、きわめて建設困難な環境において、不足せる七百八十万戸の中で、自己資金による建設能力のある人が何割あるでありましょうか。住宅難にあえいでいる人は、ほとんどが所得の低い層であります。最近、木造アパートの安建築が大都市に激増しておりますが、その結果、不衛生な環境に過密住宅のスラム化を生じ、青少年の不良化の温床ともなっておりますることは、住宅政策がいかに貧困であるかを暴露するものであります。新年度においては、公営、公団、住宅金融公庫、改良住宅、プレハブ住宅等をもって二十三万五百戸の予算が計上され、一応、戸数におきましては、前年度に比し八千戸の増を示しておりまするが、資材、土地の高騰による建築単価の引き上げ、生活革新による住宅規模の向上等を考えあわせるならば、このようなおそい建築速度では、とうてい住宅難の解消は不可能と思われるのであります。政府は、この際、七カ年計画を全面的に改め、公営、公団住宅等、政府施策による住宅建設に比重を置いて、積極的に推進すべきであることを望むものであります。
以上要望を兼ねまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 村尾重雄君。
〔村尾重雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/18
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019・村尾重雄
○村尾重雄君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案にかかる昭和三十九年度一般会計予算外二件に反対し、その討論を行なうものであります。
まず、政府予算の基礎に重大な欠陥を持っていることを数点にわたって指摘いたしたい。
第一に、現在わが国の国際収支が次第に悪化に向かっている事実、過去三年間続いた消費者物価の上昇が、依然として政府の無策から抑制されていない事実に対して、何らの有効なる具体策を準備していないので、政府案は、単なる膨張予算として財政支出をなし、国際収支と物価の不安定をさらに招来するおそれを内蔵していること。
第二に、政府案は、前年度よりも租税自然増収を約六千八百億円の多額を見積もりながら、国税の減税は千三億円の規模にすぎない。また所得税の免税点の引き上げは、五人世帯の給与所得者にあっても年収約四十七万一千円であって、政府の想定する明年度の標準家計規模を下回るもので、大衆減税は軽視されている。
第三に、歳出面では、大幅増額されたのは、公共事業、社会保障、文教、食管会計繰り入れ、防衛各予算の当然増であって、経済格差是正、住宅と環境衛生など、国民福祉の増進のための歳出は、依然としてあと回しにされている。いまや歳出予算は、既定方針の踏襲のみを続けていては、経費の当然増加がまず大型化して、新規政策のための財源が過小となることは必至となっている。この意味において、政府の歳出予算は明らかに行き詰まっている。
第四に、財政投融資計画の規模は、前年度より二千三百五億円増となったが、その融資先が依然として民間大企業に帰着しており、これは財政投融資の性格が大企業奉仕に固定していることを意味するものであって、財政投融資のあり方を根本的に再編成する必要があることをわれわれは再々申し入れたが、依然として取り上げられていない。
第五に、政府は住民税減税の財源として、減収補てんのための特例地方債の発行を許容して、その元利の三分の二を国の負担としているが、自主財源増強がきわめて困難なる市町村にとって、かかるこそくなる措置は、地方住民に対する行政水準の引き上げに役立たず、単なる減収補てんにすぎない。特例債の発行は、市町村の赤字団体への転落の道を開くものである。政府は地方自治の存立を保障するよう積極的な財政措置を講ずるべきであるが、政府はその道を全然講じていない。
第六に、いまや年度予算の編成は、その年度の経費充足のみをもって足れりとするのではなく、相当の長期にわたっての計画的な支出継続をもって、計画的に、経済格差の是正、国民福祉の向上等を実現するための長期見通しに立つべきである。この点において、政府の予算は、場当たり、無責任、公約不履行のきわみを尽している。
わが民主社会党は、政府予算案を批判するとともに、次のごとき五つの基本方針を主張してまいったのであります。
一、国の予算は、国民福祉の増進を予算編成の鉄則とすべきである。明年度の国税、地方税の減税は、給与所得者が五人世帯で平均月収五万円、年収六十万円の家計支出を行ない得るよう、所得税減税を行なうことを軸として実施すべきである。
二、医療保険、国民の老後保障の諸制度、公営住宅の建設、住宅環境施設と文教施設の整備拡充等の国民福祉増進のための歳出については、少なくとも最低三カ年継続の改善計画を立てて、その計画に基づく歳出予算として編成すべきである。政府案は、任意の政策に余剰財源をただ総花式に配分しているだけで、政策増強の計画性が保障されていない。
三、政府は、中小企業、農業等の格差是正について革命的前進をはかる政策実施を公約したにかかわらず、政府案は、特に中小企業対策予算の計上においてきわめて消極的である。中小企業経営の過当競争と大企業圧迫を排除しつつ、経営近代化をすみやかに促進するよう——さらに農業近代化対策費を増額すべきである。
四、現在の地方財政は、地方公共団体ごとの格差がはなはだしくなっているので、地方税減税により行政水準向上のための必要経費の確保が困難になっているものが多くなっている。したがって、政府は、地方税減税による地方財源の減収に対しては、過渡的な赤字補てんの措置のみならず、自主財源増強のための特別措置を講ずべきである。
五、政府は、当面する消費者物価高を抑制するため、価格調整に必要な物価対策費を積極的に計上すべきである。
以上、わが党の主張とあまりにもかけ離れた政府予算案に対して、遺憾ながら賛成することはできません。以上、政府案に反対するわれわれの立場を申し述べまして、私の反対討論といたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/19
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020・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 須藤五郎君。
〔須藤五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/20
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021・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、本予算案に反対するものであります。
池田内閣は、過去三年間、日米経済協力に基づき、独占資本本位の高度成長政策を強行してきました。しかし、いまや至るところにその矛盾が累積し、現在、国際収支の構造的赤字となってあらわれ、この処理を通じてやがて本格的な過剰生産恐慌に突入せざるを得なくなりつつあります。これは明らかに池田内閣の所得倍増政策の失敗であり、すべて池田内閣の責任と言わなければなりません。ところが政府は、この責任は、勤労者の賃金引き上げ、国民の消費水準の向上にあるかのように言い、金融引き締めによって、中小企業、農民、勤労者に対し、倒産、整理、賃金ストップ、労働強化、首切りなど、すべての犠牲を押しつける一方、独占資本に対しては、集中合併を促進して、新産業秩序なる新しい独占支配体制をつくり上げようとし、そのために、国家財政、金融、税制など、総力をあげて独占資本の補強をやろうとしているものであります。同時に、新たに、アメリカの直接投資や、ひもつき融資を積極的に導入し、日本経済をアメリカに一そう従属させて、独占資本の補強に利用しようとしているのであります。以上の政府の措置だけでも、日本経済と日本国民には耐えがたい被害を与えるのでありますが、政府はその上に、IMF八条国移行、OECD加盟によって、日本経済を資本主義世界市場の激しい争奪戦のまっただ中に投げ込み、わが国の産業を外国資本と商品の侵出のもとに放置し、産業、商業、農業に破壊的な影響を与え、同時に、わが国から、貿易、産業、経済政策を自主的に決定する権利さえ失わさせようとするものであります。かかる反民族的、反人民的政策を断じて許せないのは、当然ではないですか。
反対する第二の理由は、本予算案によって、わが国はますます危険な軍国主義の道に追いやられるからであります。との予算案には、二千七百五十二億円に及ぶ防衛関係費をはじめ、膨大な軍事予算が組まれております。さらに、第三次防衛計画によれば、アメリカの肩がわり自主防衛の名目で、現在の倍をこえる軍事費になることは必至であります。すでに独占資本によって軍需生産の基礎は確立されつつあります。政府は、おこがましくも防衛費と称していますが、とんでもないうそであり、実は侵略費であります。アメリカ帝国主義にかわって、中国封じ込め政策、日韓会談など、アジア人民抑圧の下請政策をやるものであり、断じて許すことはできないのであります。
反対する第三の理由は、この予算案が不健全膨張予算であり、大収奪予算であるからであります。本予算の中で最大の支出を占める公共投資は、重化学工業、独占資本のために、国民の血税で需要を保証し、さらに、道路、港湾、鉄道、用地用水などは、独占資本の産業基盤強化のため強権を発動して、国民の土地、財産を収奪し、同時に、地方自治を破壊し、国民の負担を一そうたえがたいものにするのであります。
また、政府の高度福祉国家のかけ声にかかわらず、社会保障費の増額は、物価値上がりに追いつかず、一世帯一住宅の公約も、本予算では捨てて顧みられていないのであります。二千億減税の公約も、実際には六千八百億円に達する自然増収の名目で大増税が強行されようとしているのであります。しかも独占資本に対しては、輸出振興などを口実にして、露骨な税の減免が公然と行なわれております。加えて、政府保証債の増発、地方税減税補給債などは、事実上の赤字公債の発行であり、インフレをあおり、不況の中でも物価を高騰させ、国民生活を不況と物価高の二重苦で締めつけるものであります。
かかる性格の予算に反対することは、国民のために当然の義務と感ずるものであります。よってわが党は、本予算案に反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/21
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022・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
三案全部問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 山高しげり君から、歩行困難のため、投票を参事に委託したいとの申し出がござまました。これを許可いたします。投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/23
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024・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百九票
白色票 百二十九票
〔拍手〕
青色票 八十票
〔拍手〕
よって三案は可決せられました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十九名
山高しげり君 植木 光教君
野知 浩之君 二木 謙吾君
大竹平八郎君 青田源太郎君
赤間 文三君 鈴木 恭一君
堀本 宜実君 森 八三一君
上原 正吉君 野本 品吉君
松平 勇雄君 最上 英子君
岩沢 忠恭君 岡崎 真一君
河野 謙三君 三木與吉郎君
佐藤 尚武君 野田 俊作君
木暮武太夫君 太田 正孝君
笹森 順造君 中上川アキ君
森田 タマ君 北口 龍徳君
鈴木 一司君 沢田 一精君
源田 実君 栗原 祐幸君
熊谷太三郎君 久保 勘一君
川野 三暁君 丸茂 重貞君
坪山 徳弥君 石谷 憲男君
植垣弥一郎君 岸田 幸雄君
谷村 貞治君 徳永 正利君
中野 文門君 豊田 雅孝君
天坊 裕彦君 竹中 恒夫君
鈴木 万平君 八木 一郎君
村上 春藏君 山下 春江君
山本 利壽君 大谷 贇雄君
館 哲二君 佐藤 芳男君
青柳 秀夫君 平島 敏夫君
鍋島 直紹君 堀 末治君
藤野 繁雄君 新谷寅三郎君
西郷吉之助君 紅露 みつ君
木内 四郎君 杉原 荒太君
田中 茂穂君 小林 英三君
大野木秀次郎君 寺尾 豊君
植竹 春彦君 黒川 武雄君
西川甚五郎君 井野 碩哉君
重政 庸徳君 井川 伊平君
鹿島 俊雄君 川上 為治君
松野 孝一君 日高 広為君
温水 三郎君 山崎 斉君
亀井 光君 野上 進君
山本 杉君 金丸 冨夫君
米田 正文君 村山 道雄君
谷口 慶吉君 北畠 教真君
西田 信一君 柴田 栄君
大谷藤之助君 江藤 智君
稲浦 鹿藏君 石井 桂君
吉江 勝保君 井上 清一君
岡村文四郎君 加藤 武徳君
剱木 亨弘君 梶原 茂嘉君
田中 啓一君 高野 一夫君
吉武 恵市君 高橋 衛君
草葉 隆圓君 小柳 牧衞君
中山 福藏君 村松 久義君
林屋亀次郎君 郡 祐一君
安井 謙君 高橋進太郎君
石原幹市郎君 青木 一男君
鹿島守之助君 木村篤太郎君
津島 壽一君 迫水 久常君
長谷川 仁君 櫻井 志郎君
佐野 廣君 後藤 義隆君
林田 正治君 横山 フク君
前田 久吉君 白井 勇君
小林 武治君 古池 信三君
斎藤 昇君 下村 定君
小山邦太郎君
—————————————
反対者(青色票)氏名 八十名
市川 房枝君 林 塩君
鬼木 勝利君 渋谷 邦彦君
北條 雋八君 浅井 亨君
小平 芳平君 二宮 文造君
鈴木 一弘君 白木義一郎君
矢山 有作君 野々山一三君
柳岡 秋夫君 瀬谷 英行君
稲葉 誠一君 吉田忠三郎君
林 虎雄君 豊瀬 禎一君
千葉千代世君 山本伊三郎君
武内 五郎君 柴谷 要君
北村 暢君 森 元治郎君
光村 甚助君 鈴木 壽君
大河原一次君 伊藤 顕道君
近藤 信一君 戸叶 武君
松澤 兼人君 藤田藤太郎君
中村 順造君 田中 一君
秋山 長造君 大倉 精一君
阿部 竹松君 岩間 正男君
須藤 五郎君 野坂 參三君
鈴木 市藏君 渡辺 勘吉君
小林 武君 松本 賢一君
高山 恒雄君 鶴園 哲夫君
野上 元君 米田 勲君
安田 敏雄君 基 政七君
横川 正市君 小柳 勇君
大矢 正君 鈴木 強君
相澤 重明君 占部 秀男君
田上 松衞君 向井 長年君
久保 等君 藤田 進君
亀田 得治君 阿具根 登君
加瀬 完君 田畑 金光君
天田 勝正君 永岡 光治君
成瀬 幡治君 中田 吉雄君
小酒井義男君 藤原 道子君
中村 正雄君 村尾 重雄君
椿 繁夫君 大和 与一君
木村禧八郎君 岡田 宗司君
野溝 勝君 千葉 信君
羽生 三七君 曾禰 益君
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/25
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026・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第五、日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長向井長年君。
〔向井長年君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/26
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027・向井長年
○向井長年君 ただいま議題となりました日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
〔議長退席、副議長着席〕
日本科学技術情報センターは、わが国における科学技術情報に関する中枢的機関として昭和三十二年に設立されて以来、世界の科学技術情報を提供して、わが国の科学技術の振興に寄与してまいったものでありますが、現今の科学技術研究の目ざましい発展に伴い、その業務量は設立当時に比して著しく増加し、今後ますます増加の傾向にあるにもかかわらず、現在賃借りしている建物は数カ所に分散しており、また、きわめて狭隘となったため、業務の円滑な遂行に著しい支障を来たしているのであります。
本案は、このような現状にかんがみ、同センターの機能を十分に発揮し得る建物を建設するため、これに必要な土地等を国が現物出資することができるように改めることといたしております。
委員会におきましては、科学技術情報に関する世界各国の現状及び国際的協力関係、本センターの財政と活動状況及び今後の方針、その利用状況、特に中小企業の利用状況並びに利用の促進策、情報従事者の養成及び健康管理の問題、建設予定の建物の構想等、各般にわたる質疑を行ない、また、学者、利用者等を参考人として招致し、その意見を徴する等、熱心な審議が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
かくて質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/27
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028・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/28
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029・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/29
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030・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第六、所得税法の一部を改正する法律案、
日程第七、法人税法の一部を改正する法律案、
日程第八、租税特別措置法の一部を改正する法律案、
日程第九、相続税法の一部を改正する法律案、
日程第十、物品税法の一部を改正する法律案、
日程第十一、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案、
日程第十二、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、
日程第十三、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第十四、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)、
以上九件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/30
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031・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長新谷寅三郎君。
〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/31
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032・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました八法律案外一件につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
まず、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
これら三案は、税制調査会の臨時答申を受け、さらに政府が検討を加えた結果、昭和三十九年度税制改正として、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、企業資本の充実と設備の更新を促進するため企業課税の軽減を行なうほか、産業の国際競争力の強化、科学技術の振興等、所要の税制上の措置を講ずるため、平年度約千三百三十四億円の減税を行なおうとするものであります。
所得税法の一部を改正する法律案のおもな内容は、
第一に、最近における生計費の動向にかんがみ、課税最低限を引き上げるため、次のような諸控除の改正を行なっております。すなわち、基礎控除を一万円引き上げ、十二万円にするとともに、配偶者控除、扶養控除、専従者控除、給与所得控除をそれぞれ引き上げる等、その負担を軽減しております。この改正により、夫婦及び子三人の家族の場合で所得税を課せられない限度額は、給与所得者につきましては、現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、青色申告の事業所得者につきましては、現在の約三十九万円までが約四十三万円までに引き上げられております。
第二は、その他、負担の軽減、税制の整備合理化をはかるため、退職所得の特別控除額、譲渡、山林、一時所得の特別控除額など、所得計算における特別控除額の引き上げ、生命保険料控除、損害保険料控除など所得控除の引き上げと創設、寄付金控除の税額控除の引き上げ、その他、三年未満の保有資産の譲渡に対する課税の適正化、及び芸能法人の受ける報酬または料金について新たに源泉徴収を行なうこととする等、所要の規定の整備をはかっております。
なお、本案につきましては、衆議院において、損害保険料控除の保険期間、共済期間が十五年以上のものは五千円を控除するとあるのを、十年以上、一万円に修正しております。この結果、所得税においては、修正減を含めまして平年度約七百三十九億円の減税となっております。
法人税法の一部を改正する法律案は、中小所得に対する負担の軽減と中小法人の内部留保の充実をはかるため、法人税の軽減税率の適用範囲を年三百万円以下と拡張するとともに、同族会社の留保所得に対する課税につき、この留保所得金額から控除する額の引き上げを行なうものであり、これに政令等で改められます耐用年数の短縮をも含めまして、平年度約四百九十二億円の減税となっております。
租税特別措置法の一部を改正する法律案のおもなる内容は、
第一に、輸出所得の特別控除制度はガット規定に抵触することもあり、これを期限の到来とともに廃止するものでありますが、輸出の振興はきわめて重要でありますので、企業の国際競争力の強化等に資するための諸措置を講じております。すなわち、輸出特別償却制度及び技術輸出所得控除制度の適用期間を延長するとともに、その拡充合理化をはかるほか、新たに、海外市場開拓準備金、中小企業海外市場開拓準備金及び海外投資損失準備金の諸制度を創設しております。
第二は、企業の資本充実及び資本市場の育成に資するため、支払い配当に対する法人税の軽減税率の引き下げ、証券投資信託の収益分配金についての源泉分離課税方式の採用、証券取引責任準備金制度の創設、増資登録税の適用期間の延長等の諸措置を講じております。
第三は、科学技術の振興に資するため、試験研究用機械設備等の特別償却制度の適用期間の延長と拡充をはかる等の措置を講じております。
その他、交際費の損金不算入制度の改善合理化措置、新築貸家住宅の特別償却割合の引き上げ措置、農地等にかかる贈与税についての納期限の特例措置、及び農業協同組合等の留保金に対する法人税の軽減措置を講ずる等、所要の改正を行なっております。
なお、これらの措置による減税額は、平年度約百二億円であります。
委員会におきましては、一橋大学教授木村元一参考人より意見を聴取する等、慎重審議を行なったのでありますが、おもなる質疑について申し上げますると、自然増収額に比して減税額が少な過ぎるのではないか、租税負担は西欧諸国に比して実質的には重いのではないか、税制調査会の答申を尊重すべきではないか、租税特別措置は納税モラルに悪影響を与えており、負担公平の見地からも縮小すべきではないか、税収の見積もり過大により徴税強化となるおそれはないか等の諸点でありますが、特に、輸出所得控除制度廃止による中小企業輸出業者に対する影響は甚大であるが、これに対しいかに対処していく考えか、また、消費生活協同組合を留保所得の特別措置適用対象に含めるべきではないかとの質疑に対し、大蔵大臣より、「中小企業に対する輸出振興税制の適用に万全を期する行政指導を行なうとともに、今後さらに中小企業に対する優遇措置を検討し、また、消費生活協同組合についても、今後実態を調査して善処したい」との答弁がありました。これらの質疑応答の詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、三案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表し柴谷委員より、「現在の税制は、税金が重過ぎ、負担の公平を欠いている。租税負担率より見て減税でなく増税であり、課税最低限が生活費に食い込んでいる。政府の企業課税政策に誤りがあり、不公平、不合理な租税特別措置の拡大をはかっている」との反対意見が述べられ、自由民主党を代表し栗原委員より、「三案は、自民党の二千億減税の公約を実現し、かつ税制調査会の答申を尊重したもので、中小所得者、中小企業の負担軽減、開放経済に向かうわが国経済の国際競争力の強化をはかったもので、妥当な措置である」との賛成意見が述べられ、公明会を代表して渋谷委員より、「国民生活安定の基本線は税金に苦しまないことであって、特に、開放経済下、国際競争力を持たない中小企業への影響は深刻なものが予想されるので、税制の抜本的な改革が望ましい」との反対意見が述べられ、民主社会党を代表して天田委員より、「税制調査会の答申と重要な点においてかけ離れており、現行の国民所得水準においては、租税特別措置は整理し、企業減税よりも所得減税を優先すべきである」との反対意見が述べられ、さらに、日本共産党を代表して鈴木委員より、「三案は不可解な大衆収奪を露骨化し、独占資本への奉仕を強化するものである」との反対意見が述べられました。
討論を終了し、三案についてそれぞれ採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、最近における所得の増加に伴う個人財産の増加の状況等を考慮し、相続税及び贈与税の負担の軽減合理化をはかるため、相続税では、遺産にかかる基礎控除額の二百万円を二百五十万円と改めるものであり、また、贈与税では、基礎控除を引き上げ、年四十万円以下の財産贈与については課税されないこととしております。
委員会における質疑応答の詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、昭和三十七年度より新たに課税され、現在暫定的に一〇%の軽減税率の適用を受けているアンサンブル式レコード演奏装置、パッケージ型ルームクーラー及び自動車用の冷房装置の三品目につき、その生産及び取引の実情並びに輸入品との競争力等を考慮し、その軽減措置をさらに二年間延長するとともに、未納税移入の手続の簡素合理化をはかる等、所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
委員会におきましては、物品税の抜本的検討を行なうべきこと、冷水器等について軽減措置を講じなかった理由等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、最近におけるわが国の貿易外収支の動向及びわが国の港湾経費が諸外国に比べ低位にある状況等にかんがみ、今回、とん税を、現行の入港ごと納付、トン当たり八円を十六円に、一年分一時納付、トン当たり二十四円を四十八円に、特別とん税を、現行の入港ごと納付、トン当たり十円を二十円に、一年分一時納付、トン当たり三十円を六十円に、それぞれ引き上げるほか、この改正に伴う所要の規定の整備をはかろうとするものであります。
委員会におきましては、今回の引き上げによる国内船主に対する影響、港湾経費の外国主要港との比較等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、最近における地域開発の進展に伴い必要となります産業用地の供給をはかるため、譲渡を目的とする土地造成事業に対し、融資の道を開くとともに、同行の業務の円滑な運営をはかるため、理事及び参与の定数をそれぞれ一名増加しようとするものであります。
委員会におきましては、土地造成事業の融資基準、外債市場の現状と開銀債発行の見通し等について、熱心なる質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して鈴木委員より、「民間企業の土地造成事業に対して融資の道を開くことは、投機を助長するものであるから反対である」旨の意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、同公庫への出資の追加が、現在そのつど資本金額の改正を必要としているのを改め、今後は、政府が必要と認めるときは予算の定める金額の範囲内において追加出資ができることとし、また、従来、主務大臣の指定により同公庫の業務の対象となっていた土地造成事業を法律に明記するとともに、監事の権限を強化して、総裁または主務大臣に意見を提出することができるようにしようとするものであります。なお、主務大臣に対する意見の提出は、政府原案においては総裁を通じて行なうことになっておりましたが、衆議院において、これを直接提出できるよう修正されております。
委員会におきましては、公庫が北海道東北地方の開発に果たしてきた役割り、融資に対する延滞の状況、同地方における産業用地造成の見通し等について熱心なる質疑が重ねられましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して野々山委員より、「公庫への出資の追加を政府が予算の定める金額の範囲内で行なうことは、国会の審議権を縮小しようとするもので反対である」として、公庫の資本金額を「四十五億円」とする修正案が提出され、また、民主社会党を代表して天田委員より、「追加出資の規定の改正は国会における審議をおろそかにするとともに、党略的に出資の追加を行なう道を開くもので反対であり、野々山委員提出の修正案に賛成する」旨の意見が述べられました。
討論を終了して採決に入り、まず、野々山委員提出の修正案について採決を行ないましたところ、少数をもって否決せられ、次いで、本案について採決を行ないました結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
最後に、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件」について申し上げます。
本件は、最近における外国貿易の進展に伴う税関業務の増加に対処し、横浜税関に小名浜税関支署を設置するとともに、大都市地域における納税者及び課税物件の大幅な増加に対処し、東京国税局に向島税務署ほか二税務署を、名古屋国税局に名古屋中村税務署ほか一税務署を設置することについて、国会の承認を求めようとするものであります。
委員会における質疑応答の詳細につきましては、会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して鈴木委員より反対意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/32
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033・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。柴谷要君。
〔柴谷要君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/33
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034・柴谷要
○柴谷要君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました所得税法、法人税法及び租税特別措置法の一部改正案に対しまして、反対の討論を行なわんとするものであります。
まず、最初に申し上げたいことは、現行税制のあり方を見る場合、何よりも国民にとって税金が高過ぎないかということであります。その負担が公平であるかどうかについて、深く考慮いたさねばならないのであります。その意味におきまして、本案はその両方とも落第であるということであります。さらには、政府はこれまで口を開けば減税と言い、二千億減税を断行したと宣伝しているのであります。池田総理は、確かに歴代首相の中では減税の好きな大臣ということができるのであります。しかし、このことは、池田総理の減税に対し、国民が喜んでいることを証明するものではなく、相かわらず税金が高い。戦前に比べても、外国に比べても高い。しかも、これまでのような小手先の減税では国民を納得させることができない。むしろ、池田内閣の言う減税が、国民にとってはいかに欺瞞的なものであったかの証明以外の何ものでもないのであります。
私は、以上のような立場から、以下五点にわたって反対の理由を申し上げたいのであります。
第一の点は、本案は減税案ではなくて、中小所得者にとっては逆に増税案であるということであります。政府は、今度の選挙で国民に対し二千億円減税を公約いたしたことは、よく知られているとおりであります。ところが、いざ、ふたをあけてみると、二千億減税とは名ばかりであり、初年度総計千百二十六億円にすぎず、国税においては七百八十八億であり、国民の租税負担率は逆に前年二一・七%から二二・二%へと、急激に増大いたしておるのであります。明らかに公約違反といわなければなりません。これは昭和三十六年税制調査会が答申いたしました、社会保障の点にも十分考慮を払い、諸外国の税制とも比較いたし、各税目別に全部調べて総合的に判断いたしました場合、大体二〇%程度の負担率が妥当ではないかという結論を、全く無視したものと言わなければなりません。この点につきましては、今国会におきまして、わが党議員から再三追及いたしたにもかかわらず、何ら納得のいく回答は得られないのであります。しかも、これに対して政府は、諸外国に比べればまだまだ日本は高くないなんと言うに至っては、不正解というよりは、まさに財政担当者としての識見を疑わざるを得ないのであります。
さらに、こうした結果をもたらした最大の原因は、前年度当初予算に比して六千八百二十六億円という前例のない画期的な自然増収を見込んでいることであります。所得税だけをとりましても、二千億円をこえているのであります。このような自然増収が得られますことは、政府の政策よろしきを得て所得が増加したからではありません。政府の誤った高度成長政策の波紋によってもたらされた物価高による擬制的な名目所得増加に伴う増税によってもたらされるものであります。しかも、この自然増収を可能ならしめるためには、徴税の苛斂誅求が待ちかまえているということであります。最近の取りてしやまんの徴税強化は、それを裏書きしてあまりあるものであります。
反対の第二の理由は、所得税における課税最低限があまりにも低過ぎるということであります。物価値上がりによる増税すら調整し得ていないばかりか、生活費にまで食い込んで課税されているという事実であります。本改正案における所得税の課税最低限は、標準五人世帯サラリーマンにつき来年度三十七万一千三百七十七円であります。これは生きるための最低線すら保障し得ないマーケット・バスケット方式による三十八年度の最低生計費を基準としたものであり、総理府の家計調査からはじき出した数字は、昨年度すでに六十万円もこえております。さらに、来年度の政府見込みによりますと、四・二%値上がりするという物価騰貴を考え合せますならば、実質増税が問題となってまいります本年度をさらに上回る増税と言わなければなりません。しかるに、政府は、税制調査会の答申にある給与所得控除の減税案すら削り、これを大資本減税に回しているのであります。この事実は、今日、所得税納税者約千八百万人のうち給与所得者が九割近くを占めている現状からいっても、所得把握の実情から見ても、負担公平のたてまえからいっても、まことに適正を欠く措置と言わなければなりません。しかも、昨年の税制改正におきまして約束された配偶者控除の引き上げにつきましても、相変わらず基礎控除との差を据え置いていることであります。これは、妻の座を軽視し、男女平等を踏みにじる考えであり、憲法違反の疑い十分なりと断ぜざるを得ないのであります。さらに、専従者控除の引き上げにつきましても、青色、白色の区別をなくし、むしろ、事業主、家族専従者に対する自家労賃を経費として認めることを推進すべきでありましょう。
ここで特に強調いたしたい点は、政府が減税を行なうかどうかということではありません。国民が減税をどう受け取っているか、減税によって現実の国民の重過ぎる負担が軽くなるのかどうかが問題であります。税金が重過ぎることが問題なのであります。税金は生活費に食い込んで課税してはならないのであります。しかるに、政府は、さきの本会議における私の質問に対して、社会保障としての生活保護費には、標準世帯二十万円足らずしか出していないではないか、免税点が四十八万円もあればよいと答えているのであります。これは政府の生活保護政策の無能を暴露しているだけではなく、人権をも無視していると言わなければなりません。このような立場から、生活保護費の大幅引き上げを含む課税最低限は、少なくとも来年度標準世帯につき六十万円とすることを要求するものであります。
反対の理由のその三は、政府の企業課税に対する方針は誤っているということであります。現在わが国の法人の実効税率は、先進諸外国に比べましても決して高過ぎる率ではありません。むしろ、至れり尽くせりの保護措置によって、大企業ほど実質負担は低くなっているのが現実であります。むしろ、企業課税における問題は、個人企業税と法人課税のアンバランス、さらには所得種類間のアンバランスこそ問題としなければならないのであります。しかるに、このことには何ら手を触れることなく、逆に、一方では税制調査会の答申にすら盛られていない各種の優遇措置をあえて行ない、かえって、大企業、中小企業間の負担のアンバランスを拡大している結果になっているのであります。同族会社の留保所得課税の特例にいたしましても、同族会社は何ら重税の方向で大企業と差別さるべき理由を持たないのであります。むしろ景気調整期における中小企業育成の見地から、減税の方向で大企業と区別すべきこそ当然であります。
反対のその四は、政府の誤った大企業保護政策は、単に不公平を拡大するだけではなく、税体系そのものをずたずたにしてしまうという点であります。政府は、本改正案におきまして、これまでもたびたびその整理改廃が論議せられてまいりました租税特別措置を無制限に拡大していることであります。特にその代表的なものは、配当軽課措置の拡大、証券配当分離課税などの一連の資本減税であります。これら一連の租税特別措置、特に配当軽課の拡大、利子所得の分離課税など、資産所得の優遇措置は、有価証券の譲渡所得の非課税措置と相まって、わが国の現行税制の基本をずたずたにするものであります。とりわけ、シャウプ税制以後の税制改正の過程を振り返ってみるとき、まさにその実態は、高額所得優遇のための特別措置の拡大と総合累進課税方式の崩壊の過程であり、負担の不均衡の拡大の過程であったと言わなければならないのであります。このように不合理きわまる租税特別措置は、これを思い切って廃止すべきであり、不労所得、資産所得につきましては、格差是正、税体系の確立の観点から、応能課税を実現するために、総合累進税率の強化、利子、配当の優遇の廃止、キャピタル・ゲイン課税を実施し、他方、所得税の思い切った軽減を行なうべきであります。これらの特別措置は、一たび制定されると、固定化するだけでなく、次々と他の関連措置を呼び起こすものであります。思い切った整理改廃が行なわれない限り、悪循環を繰り返すものであることを強調いたしたいのであります。
反対の理由の第五は、本改正案は、まさに無原則、無理解な改正案と言わなければならないということであります。現段階における税制改正の基本的な考え方は、私どもが常に主張しております「大衆には安く、公平に、わかりやすく」の三原則を貫くことであります。その上に立って、税制の近代化と景気調整の機能を強化することであります。すなわち、最近の高度成長政策の強行によって生じたひずみを解消するために、税制をどう役立たせるか、さらには、税制の近代化を行なうのには、いたずらに保護主義的な政策によって表面を糊塗するのでなく、抜本的な租税原則を確立すること、加えて税制の累進構造を強化して、税制を通ずる景気変動に対する自動安定装置をつくりあげなければならないということでございます。このような原則をもって思い切った税制改正を行なうことこそが、目下の最大の急務と言わなければならないのであります。
以上五点にわたって私は本案に反対の理由を申し述べてまいりましたが、最後に、およそ政府を担当するものの任務は、国民に悪政を行なわないことはもちろん、進んで、国民の不満に対し適切な措置を講じ、不満を解消せしめなければならないことは言うまでもないのであります。しかしながら、それは最低限の条件でありまして、当然のことであります。総理はこのことを深く反省せられ、いたずらに大資本の走狗となることを改め、今日の生活に呻吟している広範な国民大衆の生活安定向上にこそ意を注ぐべきであることを強く申し上げ、本案に対する反対討論を終わらんとするものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/34
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035・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
まず、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案及び北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。五案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/35
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036・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって五案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/36
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037・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 次に、相続税法の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/37
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038・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/38
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039・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/39
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040・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/40
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041・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第十五、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長田中茂穂君。
〔田中茂穂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/41
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042・田中茂穂
○田中茂穂君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。
本法律案は、国会議員の秘書のうち、月額三万八千五百円の給料を受ける者の滞在雑費の日額現行四百五十円を五百五十円に、また、閉会中雑費の月額現行六千七百五十円を八千二百五十円に改めようとするものであります。
なお、この法律は、昭和三十九年四月一日から施行することになっております。
議院運営委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/42
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043・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/43
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044・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/44
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045・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 日程第十六、参議院事務局職員の定員に関する件、
議長は、本件につきまして、議席に配付いたしましたとおりの参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を、議院運営委員会にはかりましたところ、異議がない旨の決定がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/45
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046・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 本規程案に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/46
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047・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
これにて休憩いたします。
午後四時十五分休憩
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午後十時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/47
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048・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
参事に報告させます。
〔参事朗読〕
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/48
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049・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件(衆議院送付)、
以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/49
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050・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長北村暢君。
〔北村暢君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/50
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051・北村暢
○北村暢君 ただいま議題となりました二件につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。
道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案は、最近の著しい経済の成長に伴う道路輸送需要の増大と新情勢に即応するため、現在実施中の道路整備五カ年計画及び積雪寒冷特別地域の道路交通確保五カ年計画を改定し、昭和三十九年度を初年度とする総事業費四兆一千億円の五カ年計画を策定するとともに、道路の改築で土地区画整理事業に対するこれまでの国の負担率または補助率を三分の二に引き上げることができる特例を設けたことであります。
本委員会におきましては、本案の重要性にかんがみ、参考人を招致し、意見を徴するなど、慎重な審議を重ねてまいったのでありますが、詳細は会議録に譲ることといたします。
質疑を終了、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件について申し上げます。
本件は、昭和三十九年度以降四十一年度までの第五期公営住宅建設三カ年計画について承認を求められたものであります。
その内容は、第一種公営住宅八万戸、第二種公営住宅十二万戸、計二十万戸を建設し、地域別需要に即応するとともに、母子世帯、炭鉱離職者等に対する配慮、不燃構造化と立体化、規模の引き上げ等をはかることといたしております。
本委員会における審議の詳細は、会議録に譲ります。
質疑を終了、討論に入りましたところ、田中委員から、附帯決議を付して賛成する旨の発言があり、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定し、附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
附帯決議の内容は、
本法制定以来、四期にわたる公営住宅建設三カ年計画はいずれも達成されていない。
公営住宅は、国民の強く要求しているものであるから、第五期三カ年計画においては、政府は責任をもって完全に達成すべきである。
というものであります。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/51
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052・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/52
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053・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/53
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054・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/54
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055・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/55
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056・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/56
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057・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中山福藏君。
〔中山福藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/57
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058・中山福藏
○中山福藏君 ただいま議題となりました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案の趣旨は、第一に、特に裁判官の負担が重くなっている大都市における地方裁判所の審理の促進並びに漸増しつつある交通事件の適正な処理をはかるため、判事、判事補及び簡易裁判所判事の員数を、それぞれ五名増員すること。第二に、右の裁判官の増員等に対処するため、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び裁判所事務官の員数を、総数百三十五名増員しようとするものであります。
委員会は、二月四日、提案理由の説明を聞いた後、三月三十一日、質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/58
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059・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/59
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060・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/60
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061・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
地方税法等の一部を改正する法律案、
市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/61
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062・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。
〔竹中恒夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/62
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063・竹中恒夫
○竹中恒夫君 ただいま議題となりました二法案について、地方行政委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案の内容について申し上げます。
本法律案は、地方税法を改正し、市町村民税について、二年度にわたって、ただし書き方式を廃止して本文方式に統一する等の措置を講じ、これに伴う減収額を補てんするため地方債の発行を認めること、固定資産税については、昭和三十九年度から実施される新評価による税負担の著しい変動を避けるため、三年間、農地は据え置き、その他の土地については二割をこえない範囲で調整措置を講ずること、事業税、不動産取得税、固定資産税、電気ガス税の軽減、軽油引取税の引き上げ等について所要の措置を講ずるほか、外人客に対する料理飲食等消費税を本年七月から十二月まで非課税とすること、その他所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
—————————————
次に、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の内容について申し上げます。
本法律案は、減税に伴う地方債の元利償還金について、国は市町村に対し、その三分の二に相当する額の補給金を交付することとし、また、他の三分の一については地方交付税に算入し、財政上特別の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、提案理由説明聴取後、一括質疑を行ない、また参考人を招致する等、慎重審議を行ないましたが、その詳細は会議録で御承知願います。
かくて、三月三十一日、質疑を終局し、両法律案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して西田委員から、衆議院送付案どおり賛成の旨を述べられ、また日本社会党を代表して鈴木委員、公明会を代表して白木委員、並びに民主社会党を代表して基委員は、それぞれ衆議院送付案に反対の旨を述べられました。
かくて、両法律案についてそれぞれ採決を行ないましたところ、両法律案は、いずれも衆議院送付案どおり、賛成多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/63
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064・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/64
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065・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/65
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066・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)、
以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/66
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067・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長米田正文君。
〔米田正文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/67
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068・米田正文
○米田正文君 ただいま議題となりました法律案及び承認案件について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず最初に、道路運送車両法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本改正案は、最近の自動車数の増加に対応し、検査施設等の整備をはかるため、検査手数料の限度額を、二輪の小型自動車にあっては五十円、その他の自動車にあっては百円、それぞれ引き上げるとともに、検査及び登録の手数料について自動車検査登録印紙による納付を義務づけようとするものであります。
委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと思います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。
本件は、最近における苫小牧港及び水島港の港湾開発等の現状にかんがみ、これら港湾における海運行政の円滑かつ適正な運営を確保するため、両港に海運局の支局の出張所を設置することについて国会の承認を求めようとするものであります。
委員会におきましては、格別の質疑もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/68
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069・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、道路運送車両法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/69
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070・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/70
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071・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の出張所の設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/71
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072・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/72
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073・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
私立学校振興会法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/73
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074・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長中野文門君。
〔中野文門君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/74
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075・中野文門
○中野文門君 ただいま議題となりました二法案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について申し上げます。
現在、義務教育諸学校の施設整備に要する経費については、国がその一部を負担する制度が確立されております。
〔議長退席、副議長着席〕
本法律案は、前国会において改正されました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により、今後、五ヵ年計画をもって実施される一学級定員基準の引き下げ、専科教員等の増員など、一連の教育水準向上施策に対応して、施設の一そうの整備をはかるため、現行制度を改善しようとするものであります。
内容のおもな点は、第一には、従来の国庫負担対象が校舎については普通教室に限られていたのを、特別教室まで拡大すること。第二には、国庫負担の対象となる校舎の坪数の算定基礎を、児童生徒数基準から学級数基準に改めること。第三には、小学校の屋内運動場を新たに国庫負担の対象とすること。第四には、集団住宅の建設に伴って校舎の不足の生ずるおそれがある場合には、校舎の整備を原則として一年以前から着手できるようにすることなどであります。
委員会におきましては、文部大臣から提案理由の説明を聞いた後、きわめて熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細につきましては、速記録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたが、別に御発言もなく、直ちに採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次いで、委員長から附帯決議案を提出いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決いたしました。附帯決議の内容及びこれに対する文部大臣の発言についても、会議録によって御承知願いたいと存じます。
—————————————
次に、私立学校振興会法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、「私立学校振興会法」及び「私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律」の一部を改正しようとするものであります。
私立学校振興会法の改正は、今日の技術者養成の緊急性にかんがみ、私立学校振興会の資金の融資対象を拡大し、新たに職業に必要な技術の教授を目的とする私立各種学校で学校法人または準学校法人の設置するもののうち、理科系のものについて、政令で定めるものを加えようとするものであります。
また、私立大学における研究設備に対する国の補助に関する法律の改正は、学術の進展に伴い、次第に高度の研究設備が必要となり、その整備には多額の経費を要しますので、国の補助金の補助率が従来二分の一以内であったものを三分の二以内に改め、私立大学の財政負担を軽減しようとするものであります。
委員会の審議におきましては、各般にわたり熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細につきましては会議録によって御承知願いたいと思います。
かくて、質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、続いて採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、委員長より附帯決議案を提出いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決いたしました。附帯決議の内容及びこれに対する文部大臣の発言につきましても、会議録に譲りたいと存じます。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/75
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076・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/76
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077・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/77
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078・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、
文部省設置法の一部を改正する法律案、
通商産業省設置法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/78
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079・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長三木與吉郎君。
〔三木與吉郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/79
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080・三木與吉郎
○三木與吉郎君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、文部省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、文部省の職員の定員を三千八百七十九人増員しようとするものでありまして、その大部分は国立学校の新設並びに拡充に伴う教職員の増員に関するものであります。
委員会におきましては、大学付属病院の無給医局員の処遇に関する具体策、四十一年度以降に予想される大学生急増対策、国立青年の家設置についての将来の構想、学校警備員の問題、姫路城修理工事終了に伴い減員される七十一名の職員の処遇等について質疑がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の改正点は、通商局に国際経済部を、企業局に産業立地部をそれぞれ新設すること、産業構造調査会と産業合理化審議会を統合して産業構造審議会とすること、産炭地域振興審議会の設置期限を延長すること、通商産業省の定員を二百六名増員すること等であります。
委員会におきましては、産業構造審議会の目的及びその運営、特許庁の審査、群判の事務処理について、昨年の当委員会の附帯決議にもかかわらず、その後、未処理件数がさらに増加している理由及びこれを解消するための対策等について質疑が重ねられましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/80
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081・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/81
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082・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/82
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083・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案、
医療金融公庫法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/83
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084・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長鈴木強君。
〔鈴木強君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/84
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085・鈴木強
○鈴木強君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審議の経過と結果を報告いたします。
まず、社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の要旨は、第一に、社会福祉事業振興会は、厚生大臣の認可を受けて借り入れ金を行ない、または社会福祉事業振興債券を発行できること。第二に、振興会は、毎事業年度に、長期借り入れ金及び債券の償還計画を立てて、厚生大臣の認可を受けること等であります。
委員会においては、小林厚生大臣及び政府委員に対し、振興会の貸し付け金利と借り入れ金利の逆ざやの問題、社会福祉施設拡充の方針及び老朽施設の整備計画、振興会の業務及び職員の状況等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、委員会において、全会一致をもって柳岡秋夫委員提案にかかる次の附帯決議を行ないました。
附帯決議
社会福祉事業振興会の健全な運営を図り、増大する需要に応ずるためには、政府は、今後更に本会に対する財政的助成に努めるべきである。
右決議する。
右に対して、厚生大臣から、決議の趣旨を尊重して努力する旨の発言がありました。
—————————————
次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府原案の要旨は、第一に、政府は、予算の範囲内において医療金融公庫に追加出資することができ、公庫の資本命は追加出資額だけ増加すること、第二に、監事は、監査に基づく意見を総裁に、または総裁を通じて主務大臣に提出できること等であります。
本法律案は、衆議院において修正せられ、監事の主務大臣に対する意見提出には、総裁経由を必要としないことに改められました。
委員会においては、小林厚生大臣及び政府委員に対して、無医地区対策、公庫の貸し付け条件、特に、診療所、助産所への条件の緩和、年金福祉事業団の貸し付け条件との均衡、公庫役員の構成等について熱心な質疑が行なわれ、また、柳岡委員から、資本金に関する第四条の改正規定を、「第四条中「八十一億円」を「百十億円」に改める。」とする修正案が提出されました。詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、高野委員から、修正案に反対、衆議院送付案に賛成の旨の発言があり、続いて採決の結果、柳岡委員提出の修正案は賛成少数をもって否決され、衆議院送付案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/85
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086・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/86
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087・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/87
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088・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/88
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089・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/89
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090・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、
中小企業指導法の一部を改正する法律案、
中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/90
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091・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長前田久吉君。
〔前田久吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/91
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092・前田久吉
○前田久吉君 ただいま議題となりました三法案について、商工委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
三法案の要旨を申し上げますと、
まず、中小企業指導法の一部を改正する法律案は、特殊法人中小企業指導センターに対し政府の出資を一億五千万円増加するに際し、今後は、追加出資のつど法改正を要せざるよう出資の規定を整備するとともに、指導センターの業務を拡充しようとするものであります。
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次に、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案は、信用保険法において、小口、第一種及び第二種の保険について保険限度額を引き上げ、中小企業者の手形の割引を容易にするために、信用保証協会が一般に実施している手形割引の根保証も保険に付し得るよう改正しようとするものであり、保険公庫法においては、右の手形割引保証の推進その他信用補完の拡充を期するため、公庫に対する政府出資を四十五億円増加して融資基金に充てるとともに、ここでも追加出資の規定を整備し、監事の権限を拡大して、総裁に、または総裁を通じて主務大臣に意見を提出できるようにしようとするものであります。
なお、監事の権限に関しては、衆議院において「総裁を通じて」を削除し、直接主務大臣に意見を提出できるよう修正しております。
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最後の商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案は、政府出資を三十億円増額するにあたり、ここでも政府の追加出資に関する規定を整備するとともに、準所属団体の範囲を拡大して、組合または組合員が出資設立した法人も金庫の貸し出し対象に加え、また金庫は外国為替業務をも営むことができる等の改正をしようとするものであります。
当委員会においては、三法案を便宜一括して慎重に審査いたしました。質疑では、中小企業対策の全般から金融問題、下請問題等に及び、法案に関しては追加出資の規定を改正する理由、その他各条項にわたり、つぶさに政府当局の意見をただしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、近藤委員から追加出資の規定を改正する三法案に反対する旨の発言があり、次いで赤間、田畑、鈴木の各委員よりそれぞれ三法案に賛成する旨の発言があり、討論を終わって三法案を順次採決の結果、いずれも多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定した次第であります。
以上で報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/92
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093・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/93
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094・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/94
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095・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、
甘味資源特別措置法案、
沖繩産糖の政府買入れに関する特別
措置法案、
(いずれも第四十五回国会内閣提出、
第四十六回国会衆議院送付)、
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/95
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096・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事梶原茂嘉君。
〔梶原茂嘉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/96
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097・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、甘味資源特別措置法案は、砂糖類及び甘味資源作物を農業基本法の重要な農産物とし、甘味資源作物の生産振興地域の指定、出産振興計画の樹立及びこれが実施のための政府の助成、振興地域内の産糖指定施設の新設及び変更の農林大臣による承認、国内産糖及び国内産ぶどう糖の政府買い入れ、農林省に甘味資源審議会及び地方に都道府県甘味資源作物生産振興審議会の設置その他について規定したものであります。
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次に、沖繩産糖の政府買入れに関する特別措置法案は、沖繩援助措置の一部として、当分の間、国内産糖に準じ、国内に輸入された沖繩産糖を政府が買い入れることができることとしたものであります。
委員会におきましては、これら両法案を一括して質疑を行ない、砂糖の国内自給度の向上の問題、てん菜の生産者価格その他各般にわたり質疑が行なわれました。
続いて順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、甘味資源特別措置法案に対して、てん菜の最低生産者価格に関し政府の善処を求める趣旨の附帯決議を、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定され、農林大臣から善処する旨発言がありました。
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次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案は、営農改善資金の貸し付け資格の認定を申請する期限を二カ年間延長しようとするものであります。
委員会におきましては、貸し付け条件等につき質疑を行ない、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/97
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098・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/98
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099・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/99
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100・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、
揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案、
関税定率法等の一部を改正する法律案、
自動車検査登録特別会計法案、
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/100
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101・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告と求めます。大蔵委員長新谷寅三郎君。
〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/101
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102・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
まず、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、道路整備計画の改訂に伴う所要財源の確保をはかるため、揮発油税及び地方道路税の税率をそれぞれ一〇%引き上げ、一キロリットル当たり揮発油税を二万四千三百円、地方道路税を四千四百円とする等、所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
委員会におきましては、揮発油税の引き上げ措置が、中小企業者、運送業者に及ぼす影響、農林漁業用の揮発油に対する減免措置等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して鈴木委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、最近の経済情勢の変化に対応するため、関税定率法、関税暫定措置法及び関税法の一部について、所要の改正を行なおうとするものでありまして、その大要を申し上げますと、関税率の調整を必要とする八十二品目について所要の措置を講ずることとし、また、割り高な国産原油を購入する石油精製業者に対する関税還付制度を新設することとし、また、豚肉については、国内卸売り価格が安定上位価格をこえ、かつ輸入豚肉の価格が国内卸売り価格をこえて上昇しているときは、関税を減免できることとしております。
なお、本案については衆議院において、バナナの関税率を向こう一年間現行どおり七〇%に据え置く旨の修正がなされております。
委員会における質疑の詳細は、録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して鈴木委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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次に、自動車検査登録特別会計法案について申し上げます。
本案は、道路運送車両法の規定による自動車の検査及び登録の事務に関する経理を、一般会計と区分して明確にするため、新たに特別会計を設置することとし、これに必要な諸規定を設けようとするものであります。
委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知を願います。質疑を終了し、採決の結果、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
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最後に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、飼料需給安定法の規定により、政府が行なう輸入飼料の買い入れ、売り渡しに関する経理を明確にするため、食糧管理特別会計に新たに輸入飼料勘定を設けることとし、必要な規定を整備しようとするものであります。
委員会における質疑の詳細は、録によって御承知願います。質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して鈴木委員より反対、民主社会党を代表して天田委員より賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/102
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103・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案及び自動車検査登録特別会計法案全部を問題に供します。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/103
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104・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/104
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105・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/105
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106・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/106
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107・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/107
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108・重政庸徳
○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後十一時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01419640331/108
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