1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十二日(水曜日)
午前十時二十分開議
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議事日程 第十八号
昭和三十九年四月二十二日
午前十時開議
第一 肥料価格安定等臨時措置法
案(趣旨説明)
第二 通商に関する日本国とオー
ストラリア連邦との間の協定を
改正する議定書の締結につい
て承認を求めるの件(衆議院送
付)
第三 通商に関する日本国とエ
ル・サルヴァドル共和国との間
の協定の締結について承認を求
めるの件(衆議院送付)
第四 道路交通法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
第五 郵政省設置法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第六 旧金鵄勲章年金受給者に関
する特別措置法案(草葉隆圓君
外十六名発議)
第七 農業改良資金助成法の一部
を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第八 農林漁業金融公庫法の一部
を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第九 毒物及び劇物取締法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
第一〇 保険業法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
第一一 自家用自動車の一時輸入
に関する通関条約の実施に伴う
関税法等の特例に関する法律案
(内閣提出)
第一二 臨時船舶建造調整法の一
部を改正する法律案(内閣提出)
第一三 石油資源探鉱促進臨時措
置法を廃止する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第一四 金属鉱物探鉱融資事業団
法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一 肥料価格安定等臨時
措置法案(趣旨説明)
一、日程第二 通商に関する日本国
とオーストラリア連邦との間の協
定を改正する議定書の締結につい
て承認を求めるの件
一、日程第三 通商に関する日本国
とエル・サルヴァドル共和国との
間の協定の締結について承認を求
めるの件
一、日程第四 道路交通法の一部を
改正する法律案
一、日程第五 郵政省設置法の一部
を改正する法律案
一、日程第六 旧金鵄勲章年金受給
者に関する特別措置法案
一、日程第七 農業改良資金助成法
の一部を改正する法律案
一、日程第八 農林漁業金融公庫法
の一部を改正する法律案
一、日程第九 毒物及び劇物取締法
の一部を改正する法律案
一、日程第十 保険業法の一部を改
正する法律案
一、日程第十一 自家用自動車の一
時輸入に関する通関条約の実施に
伴う関税法等の特例に関する法律
案
一、日程第十二 臨時船舶建造調整
法の一部を改正する法律案
一、日程第十三 石油資源探鉱促進
臨時措置法を廃止する法律案
一、日程第十四 金属鉱物探鉱融資
事業団法の一部を改正する法律案
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。加賀山之雄君から病気のため十六日間、小林篤一君から病気のため十四日間、請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、肥料価格安定等臨時措置法案(趣旨説明)、
本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。赤城農林大臣。
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/4
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005・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
農業生産上の基礎資材としての肥料の重要性と輸出産業としての肥料工業の意義につきましては、ここにあらためて申し上げるまでもないところであります。政府といたしましても、昭和二十九年に、現行肥料二法、すなわち臨時肥料需給安定法及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法を制定し、肥料工業の合理化の推進につとめると同町に、農家に対し低廉にして豊富な肥料の供給を確保するよう措置してまいった次第であります。
ひるがえって、最近のわが国における肥料の生産、需給等の事情を見ますると、現行肥料二法制定当時に比べ、著しい変貌をみるに至っております。すなわち、肥料工業の合理化の進展に伴い、その生産能力は急速に増大し、現在では、内需を充足した上で、その生産量の四割以上を輸出に向ける状況となっております。また、価格も逐次引き下げられてまいっております。国内需給がこのような状態にあるのでありますから、現行肥料二法のように、国が需給計画を策定し、これに従って生産指示、調整保管指示等を行ない、また、国が価格を公定するというような措置を必要とする段階ではないと考えられるのであります。したがって、今後の肥料対策の中心は、内需確保の趣旨に基づいて輸出を適切に調整するとともに、価格の低位安定をはかることにあると考えるのであります。
以上のような考え方のもとに、現行肥料二法失効後、すなわち本年八月以降における肥料対策のあり方につきまして、昨年より、関係各方面の御見解をも伺ってまいったところであります。
これらの御意見を参酌し、慎重に検討した結果、内需優先、国内価格の低位安定、輸出体制の一本化等を基本とする臨時措置法を制定し、これによって、二法失効後の肥料対策につき遺憾のないよう対処いたしたいと考えるに至った次第であります。
以下、この法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず第一に、内需確保措置について申し上げます。
肥料の国内需要を優先的に確保し、内需向け供給にいささかの不安もなからしめる措置をとることといたしました。すなわち、肥料の輸出、特にあとに述べます日本硫安輸出株式会社の肥料の買い入れについては、農林大臣及び通商産業大臣が定める肥料の需給見通しに基づいて通商産業大臣が承認するものとし、その承認については、農林大臣の同意を要するものといたしておるのであります。また、前記需給見通しを定めたときは、これを関係者に対し通知するものといたしております。
第二に、国内価格の安定について申し上げます。
まず、肥料の国内価格の安定をはかるため、肥料の生産業者と販売業者とが互いに共同して自主的に価格取りきめを締結することができるよう、当該共同行為について独禁法の適用を除外することといたしております。
次に、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめが農業または肥料工業の健全な発展に支障を与える等、不適当と認める場合には、その取りきめの変更を命じ、または締結を禁止しなければならないこととしているのであります。
さらに、農林大臣及び通商産業大臣は、右の取りきめの締結を促進するため、これに必要な資料を当事者に対し交付し、または取りきめの締結に関し必要な勧奨もしくは助言を行なうことといたしたのであります。
また、その取りきめが成立しがたく、その当事者の双方またはいずれか一方から申請があった場合において、特に必要があると認めるときは、農林大臣及び通商産業大臣は調停を行なうことといたしておるのであります。
第三に、肥料の輸出についてでありますが、これに関しては、一手輸出体制を引き続きとるものとし、このため、日本硫安輸出株式会社を存置することとして、これに関し所要の規定を設けることといたしておるのであります。
第四に、以上の措置を実施するため、農林大臣及び通商産業大臣は、必要があると認めるときは、肥料の生産業者及び販売業者に対し必要な事項の報告を求め、または生産業者の事務所等に立ち入り検査を行なうことができることといたしておるのであります。
第五に、この法律は、現在における肥料をめぐる客観情勢にかんがみ、附則におきまして五年以内に廃止することといたしておるのであります。
以上が肥料価格安定等臨時措置法案の趣旨でございますが、政府といたしましては、このような措置のほか、肥料輸入の自由化をはかるとともに、肥料工業の合理化、体質の改善確立、流通の合理化、円滑化等に努力し、今後の肥料対策に遺憾なきを期してまいる所存でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中田吉雄君。
〔中田吉雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/6
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007・中田吉雄
○中田吉雄君 私は、ただいま提案されました肥料価格安定等臨時措置法案に対し、日本社会党を代表いたしまして、池田総理並びに関係閣僚に対して質問せんとするものであります。
池田総理は、昨年の総選挙の際に、農業の近代化に対して思い切った施策を講じたいと所信を表明されました。しかるに、昭和三十九年度の農業予算は、食管の赤字を差し引きますと、わずかに二千三百三十四億円、予算全体に対して七・二%にすぎません。また、肥料二法失効後の措置についても、合理的メリットの独占、輸出赤字の国内転嫁のため、法律無用論を主張します肥料資本にほんろうされまして、全購連等の運動によって、やっと成案を得ましたが、価格対策に明確を欠き、硫安工業偏重となり、農民不在の肥料政策となったことは、まことに遺憾と言わなくてはなりません。これでは、農業予算といい、重大なる公約違反と思いますが、池田総理の御所信をお伺いいたす次第であります。
次に、肥料二法が制定されましてから今日まで十年間、ほとんど国内価格は輸出価格より割り高であります。すなわち、昭和三十八年十二月には、硫安一かます当たり国内七百三十三円、輸出は五百十五円であって、国内価格は輸出価格よりもおよそ三割高であります。国内の農民には高く、外国の農民には安くというのでは、歴代の自民党内閣の肥料政策は、日本農民のための肥料政策でなく、外国農民のためであると言われてもしかたがないと思う次第であります。しかるに新法では、原価主義によるマル公制度を廃しまして、生産業者と販売業者が協議して値段をきめることになっていますが、これでは、結局、協議の名のもとに、公然と輸出赤字を国内価格に転嫁し、農民の犠牲によって硫安工業を輸出産業として育成せんとするものではないか。私は、池田総理が内閣の責任において、かようなことが断じてないことを本議場を通じて全国の農民に保証されることを望むものであります。
硫安工業合理化のための投下資本は、この十年間で千六百十九億円、うち財政資金は三百十七億円の多きに達しております。このほか、昭和三十八年から体質改善のため百六億円の財政資金が予定されています。今日までのところ、硫安の中に占める減価償却費や借り入れ金に対する支払い利息が増大いたしまして、価格の引き下げを著しく阻害しております。しかし、償却が進むにつれましてこれも急速に下がってまいります。しかるに、合理化による効果が国内農民の利益となってこれからこようとしますやさき、マル公制度を廃止しますから、これでは合理化のメリットが肥料資本の独占するところになるではないか。われわれは、あくまで価格決定にコストが反映されまして、合理化メリットが国内価格にも適正に反映する措置を、最低限の要求として求むるものであります。新法にはかような保証がないではありませんか。いまの価格を据え置き、値上げせずといたしましても、メーカーには利益があるはずであります。総理の御所見をお伺いいたします。
本肥料年度は、計画では、輸出見込みは二百三十四万トンでありまして、海外からの需要は実に四百十二万トンと倍近くもあり、完全に売り手市場であります。メーカーは市場に出す肥料の数量と時期を操作いたしまして、値段をつり上げることは決して困難ではありません。したがって、需給見通しに基づいて輸出を承認するただいま説明の新法では、内需の絶対量を数字の上で確保できるといたしましても、それだけで、適期に地域的に、また、どの品目についても内需を優先的に確保する保証とはならぬと思う次第であります。しかるに、政府は、なぜ需給計画を需給見通しにかえ、責任を回避されるのであるか。また、農林大臣の輸出承認権というものは、肥料二法のごとく土産命令や出荷命令なしには内需の優先確保はできないと思いますが、その点の御所見をお伺いいたします。
次に、新法は、バルクライン方式をやめまして、生産業者と販売業者との協議によって価格をきめ、通産、農林両大臣が取りきめの変更を命じ、締結を禁止することができ、また、協議がととのわない場合には、政府は調停価格を指示することができます。しからば、この場合、政府はいかなる価格を基準としまして変更や禁止や調停をなされるのであるか。それは実際のこれまでの取引価格でありますか。バルクライン方式によってはじき出されました価格でありますか等を、明確にいたしていただきたいと思う次第であります。出血輸出に向けられる硫安コストの固定費部分を国内向けの出荷価格に織り込みました西独方式によるような調停価格は、断じて農民は承服いたしません。内需バルクに基づいて計算いたします現在のやり方は問題があるといたしましても、重要な参考資料になると思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、特定肥料の生産業者や販売業者は、政府に対し価格の取りきめの締結に必要な資料を求めることができることになっています。当事者双方が価格を取りきめるにいたしましても、また、政府が調停されるにいたしましても、一番大切なのはコストの内容であります。本法案が所期の効果をあげるかどうかは、一に、妥当なる生産費計算ができ、これが明示されるかどうかにかかっているといわなくてはなりません。したがって、法三条にいいます政府の交付すべき資料とは、コストと解していいと思うのですが、いかがでございますか。しかも、少なくともコストは、現在、肥料審議会に提出されている以上に詳細なものが必要であり、そして、コスト調査の機関を一そう充実すべきではないか。本法案はこのことを要請していると思うのですが、御所見をお伺い申し上げます。
新法では肥料審議会がなくなっています。したがって、価格についての農民の利益擁護の全責任は交渉の当事者であります全購連が負うことになっています。なるほど農協は全購連段階で、硫安では七八%、末端の単協ではもっと高い市場占拠率を示しています。しかし、農協は政府と違いまして権力を持っていません。したがって、きめられた価格を安定的に維持することに十分な力があるとは、市場占拠率の大きさだけでは言えません。「えさ」をみましてもこのことは明らかであります。政府や審議会等の強力なバック・アップが必要だと思う次第であります。法の性格がかわりましても、新法の運用に万全を期するために、各界の権威を網羅した肥料審議会を置くべきではなかったでしょうか。何ゆえこれを置かれないのか、理由をお伺いいたします。
肥料二法下の硫安工業に対する政府の三百十七億円の財政融資、五十二億円の税法上の恩典等の保護政策にかかわらず、合理化目標を大きく下回り、三十八年度の硫安の公定価格は五十一ドル五十セントですが、輸出価格は比較的高値の昨今でも、なお大きな開きがあります。まず、なぜ計画を下回ったか、通産大臣にお伺いいたします。政府の財政、税制の援助にもかかわりませず、いまなお合理化目標を達成できず、国内価格と輸出価格とに大きな開きがありますのに、なぜ、原案にはあったと伝えられますが、合理化の条項を削除されたのであるか。アンモニアの多角的利用、動力用電力の節減、硫酸部門の合理化等、コスト引き下げの余地があるのに、合理化を新法に織り込まなかったのはなぜでしょう。硫安会社が自力でこなし得るとみられたからでしょうか。安い回収硫安を優先的に輸出に回したりして、国内価格に転嫁することを期待されたのでしょうか。もし合理化を盛り込めば、国の財政負担を伴うというので、これを避けたのでありますれば、政府の責任は重大と言わなくてはなりません。明確にしていただきたいと思う次第であります。
三十八年度は、輸出の成約、引き合いを合計しますと四百十二万トンとなり、輸出見込み二百三十四万トンの一七六%で、輸出は非常に活況を呈しております。これは、欧州の本年春の寒波襲来による減産と需要の増大等、一時的要因にもよりましょうが、しかし、この需要は相当続くと思いますが、長期の展望に立ち、国際的な需給の見通しについて、福田大臣からお伺いいたします。一番重要なことは、欧州の輸出国の生産動向、ソ連、中共の需要の的確な把握だと思います。調査員を現地に特派いたしましてこれに当たらせる必要があると思いますが、その用意はいかがでございますか、お伺いいたします。
窒素肥料の輸出は、この十二月成約した二百八十三万トンのうち、中共は九十二万トンで、全体の三二%を占め、輸出の最大の市場であり、さらにふえることが予想されます。したがって、共産圏市場は硫安工業にとっては死活的な重要性を持ってまいりました。アメリカのアライド・ケミカルは、台湾に進出しまして生産を開始し、来年からは日本からの肥料を買わなくてもいいということであります。もはや台湾政府等に遠慮をする必要はないと思います。わが党は、共産圏貿易に対して、肥料といわず、プラント輸出といわず、台湾やアメリカに気がねせず、もっと積極的に不動の方針を確立すべきと思うが、いかがでありますか。労農政府が一九一七年に成立しました際、わが国はその八年後の一九二五年にこれを承認しました。しかるにアメリカは、一九三三年、すなわちソビエト政権ができましてから実に十六年後に、やっとこれを承認しております。戦前のわが国外交の自主性を想起すべきだと思う次第であります。アメリカ外交の硬直性は歴史的な事実であり、これに追随しては国を誤るものといわなくてはなりません。松村・廖承志の間に肥料輸出の三年契約ができたようであります。これに積極的に協力し、肥料生産の本格的な体制を整備すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
今回の肥料新法におきまして、メーカーに価格協定のためのカルテルを公認したことは注目すべき点であります。この種カルテルは、金属鉱物等安定臨時措置法に認められた二番目のカルテルでございます。カルテルは、全工業製品の三分の一を支配し、価格つり上げの大きな「てこ」となっています。特に、肥料の国内価格は、輸出価格より三割も割り高でありますが、メーカーが、価格カルテルの力によって、国内価格に一そうしわを寄せるではないかというのが農民の心配するところであります。したがって、生産者と販売者の取りきめは、厳に基準価格の決定だけであり、数量の決定、生産の調整をしたりしてはならぬと思います。また、個々の業者が基準価格を下回る値段で取引をしても、これを過当競争をしたものとして取り締まることは、断じてあってはなりません。一定の条件に適しないものは価格の取りきめの変更または禁止を命ずることになっており、公正取引委員会にも処分請求権を規定していますが、独禁法の厳正なる運用が望まれる次第であります。渡邊委員長の御所信のほどをお伺いしたいと思う次第であります。
わが党は、本法案に対して、輸出産業としての肥料工業の健全なる発展と、内需の優先確保、輸出赤字の国内非転嫁、合理化の推進等、農民側の要求が、新法にいかに調和的に織り込まれているかを中心として、慎重に審議し、農民と農業団体の要請にこたえんとするものであることを申し上げて、私の質問にかえる次第であります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/7
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008・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、選挙の公約である農業に対しての革新的措置が予算面にあらわれていないではないかというお尋ねでございます。予算の内容を御検討いただければ、私は革新的予算ができたと考えております。すなわち、農業基盤整備費におきましては、前年に比べまして二割の増であります。また農業構造改善費は前年に対して六割以上の増になっておるのであります。また農林比産物の流通改善費につきましても四割近い増加をいたしております。そういう一般の経費ばかりでなしに、金融におきましてはそのワクを増大するのみならず、多年の願望でありました無利子貸し付けを十八億円から四十五億円、三倍近い増加に相なっております。つぶさにごらんくださいましたならば、われわれが公約を十分に実行しているということが言い得ると思うのであります。
次に肥料政策についてでございますが、いまから十年前に肥料二法案をこしらえましたときと、いまとは、非常な事情の変化があります。国内の出産から申しましても、また海外の肥料事情から申しましても、お話にもありましたごとく、いまや売り手市場になりつつあるのであります。こういう機会に、二百万トン近くしか製造しなかった、しかもあのときにはどうしても内需を確保しなければならぬという至上命令のためにつくった二法案を、いまもまだこれを墨守しようということは、時代の変化にあまりにもむとんちゃくと言わなければなりません。したがいまして、最近の国際市場、ことに肥料関係のヨーロッパのあり方、またお話にもありました東南アジア、ことに共産圏のあり方等を見まして、肥料工業の合理化、そうして農民へ低廉な安定した肥料を供給しようというたてまえから、法案の改正をいたしたのでございます。したがいまして、御心配のこれからの肥料価格というものは、私は、いまの需給の大幅緩和の点から申しまして、低位に推移すると思います。また、輸出価格の値下がりを国内に転嫁するというふうなことの御心配でございますが、これは政府は十分監督できるのであります。また輸出価格も、いまの韓国へ四十四ドル五十セント、これがだんだん高くなってきた。いまや、ちょうど外国におきましては補助金を出しておったのを、あるいはやめる傾向になっておりますので、いまに肥料は国内価格と国際価格がマッチしていく、そうして輸出の損を国内価格に転嫁するということは杞憂に終わる情勢であるということを、お考え願いたいと思うのであります。
なお、硫安工業の合理化の進展につきましては、われわれはこの資材が農業の発達に非常に必要な点でございますので、十分に合理化の進展に努力いたしまして、価格の低位安定に力を尽くしていきたいと考えておる次第であります。(拍手)
〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/8
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009・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 新法では内需が不安定じゃないか、こういうような第一の御質問でございます。先ほどからお話もありましたように、二法制定当時と違いまして、出産が非常にふえました。四割程度輸出しているということでございますから、内需の優先はこれは十分できるというふうに考えます。ただし、時期的とか、あるいは工場の分布状態等によって、地域的とかあるいは品目別に需給の見通しを立てなければ、その目的を十分に達し得ませんので、時期的、地域的、品目別に需給の見通しを立てたい、こう思っております。ただ、計画というものを見通しというふうに改めたのはどうかということでございますが、内容におきましては、特に需給計画と、需給の見通し等について、違いはないと存じます。ただ、たてまえが、生産者及び販売業者との話し合いで、ものをきめるというたてまえでございますので、特に需給計画ということばは使いませんが、内容については計画と同様の見通しを立てていく、こういう考えでございます。
第二に、政府が調停をする場合等における価格の基準をどこに置くか、従来のバルク・ライン方式を維持していくのかどうかということでございますが、当聖者の話し合いによってきめ、その話し合いが不適当であるという場合には、政府は是正命令を出し、あるいはまた、話し合いがきまらぬ場合には調停をすると、こういうたてまえでございます。でございますので、価格の決定方式等をあらかじめきめておくということは、たてまえから不適当であると思いますので、特にバルクラインをとるというようなことには考えておりませんが、話し合いの経緯、資料等におきまして、適当と認める価格によって是正をし、あるいは調停をするというふうな考え方でございます。
第三に、価格を当事者間できめる場合にその資料を政府が交付するとのことだが、その交付は、出産費、調査費等を含めた資料であるかどうかということでございます。政府といたしましては、従来のとおり、合理化の資料とか、あるいは生産の資料等を提出させ、あるいは事務所等を調査するというような権限を持っておりますが、当事者に交付すべき資料につきましては、企業の機密にわたらないものは、十分これを交付して難事者が話し合いをする資料とし、便宜にいたすつもりでございます。
第四に、肥料審議会を設けなくなった理由はどうかということでございますが、御承知のように、たてまえが、当事者間の話し合いできめていく、それに対して是正命令も出し、あるいは調停に付する、あるいは輸出の承認につきましては厳格にこれを行なっていくということにいたしておりますので、現行のような強い統制方式をとりません。したがいまして、生産あるいは保管あるいは価格等を決定するための肥料審議会というものは設けないで、十分に政府としてもこの法律の機能を発揮させることができる、こういうふうに考えて、肥料審議会は設けないことにいたした次第でございます。(拍手)
〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/9
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010・福田一
○国務大臣(福田一君) 私に対する質問の第一点は、輸出赤字が農民に転嫁されることになりはしないか、こういうことであると思います。それについては、総理からも御説明がございましたが、私からも補足させていただきます。
御案内のように、肥料産業というのは装置産業、いわゆる設備をたいへんたくさん必要とする産業でございます。それでありますから、設備ができました以上はそれを遊ばせておくわけにはいかない。相当量をやはりつくるということになります。したがって、量は確保できることは、中田さんが御指摘になったとおりでございます。そこで、その量ができたのを、どんどん輸出してしまいますと、今度は国内で足りないということがありますから、輸出承認という形で、国内の量を確保するということをまず考えておるわけであります。
一方、価格の問題でございますが、価格はこの十年の間に大体一六%ぐらい低下いたしております。ほかの物価は上がりましたけれども、低下いたしております。しかし、合理化の目標である四十三ドルまでは、まだいっておらない。これは資材とか、あるいは労賃というようなものがどんどん上がったことが一つの原因にもなっておるわけでありますが、しかし、なるべく価格を安くしなければなりませんから、そこで、昨年からまた百六億円の、これも御指摘がありましたように、合理化資金をつけて、そして合理化をやっておるわけであります。したがって、その合理化をされたメリットというものは、当事者同士の話し合いの点において、やはり資料としてもある程度出てまいりますから、値段をきめる場合には、これだけ君のほうは合理化されておるじゃないかというようなお話し合いができるのでありますから、私は値段はだんだん安くなって安定をしていくものと考えておるわけでございます。
次に、今後の輸出計画についてどう考えておるか、こういうことでございます。仰せのとおり、欧州におきましては、昨年非常な寒波が襲来いたしまして、そのために水力発電が動かない、したがって、電力不足で肥料ができなかった。あるいはまた、非常に寒かったので肥料をよけい必要としたというような事情もございましたし、またソ連は、農業生産をもっと拡充したいというような考えに転換されております。等々のこともございますが、今後相当量まだこの肥料の増産ということが必要になると思います。で、こういうことについて、何らかの調査その他の方法を考えておるかということでございますが、われわれといたしましては、ことしの予算に、お説のように、そういう調査をする予算を取りまして、そうして海外市場の調査に万全を期したいと考えておるところでございます。
それから、今度松村先生が行かれまして、廖承志氏との間で肥料の三年間の長期契約をしてきたが、これをもっと応援して積極的にやってはどうかという御趣旨であります。われわれといたしましては、政経分離のたてまえでございまして、適正な価格で、適正な条件によって輸出をするということは望むところでございます。しかし、どういう内容でおきめになってきたかまだ承知をいたしておりませんので、松村先生がお帰りになりましたら、それらの事情も十分お聞かせを願いまして、そうしてただいま申し上げたように、国内の必要量を確保するということをまず第一条件に置いて、その後においては適正な価格によって肥料を出すということについては、これを十分考慮してまいりたいと、かように考えておるところでございます。(拍手)
〔政府委員渡邊喜久造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/10
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011・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。
この法案で認めようとしております価格取りきめは、生産業者と販売業者との間の団体交渉によって行なおうとするものであります。したがいまして、この種の取りきめによりまして、メーカー側が一方的に硫安の輸出赤字を国内価格に転嫁するという心配は、直ちには出てこないものと考えます。もちろん、両者の力関係で弊害の生ずるおそれが全くないとは言い切れません。したがいまして、法案第二条第二項には、主務大臣がこの取りきめを認可するための要件をきめております。そして、これら要件を備えておらない場合には、主務大臣がその取りきめの締結の禁止または変更を命じ得ることになっておりますし、また、公正取引委員会としましても、そのような場合には主務大臣に対して処分請求をすることができることになっております。また、生産調整や出荷調整は、国内向け硫安については全く認められておりません。ただ、輸出向け硫安については、日本硫安輸出株式会社に譲渡すべき硫安の数量に関し、生産業者間の取りきめが認められておりますが、この場合にも主務大臣が必要な規制を加え得ることとなっており、さらに、公正取引委員会としましても、主務大臣に対して処分請求をすることになっております。公正取引委員会としましては、これらの条項に基づきまして、法の運用にあたっては最も厳正に措置してまいる所存であります。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 牛田寛君。
〔牛田寛君君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/12
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013・牛田寛
○牛田寛君 私は公明会を代表して、肥料価格安定等臨時措置法案につきまして、総理並びに農林、通産各大臣に若干の質問を行ないたいと思います。
この法律案は、すでに昭和三十六年以来問題とされていた現行のいわゆる肥料二法にかわるものであって、この問題については現在なお数々の異論のあることは周知の事実であります。現行二法は、この十年間、肥料の安価で安定した供給を確保するということと、肥料工業の合理化を促進するということとの二つの役割りを果たしてまいりました。現在において、すでに合理化は実現され、安定した供給も一応確保されて、現行二法の役割りは終わったと言うことができますが、ただ一つ残された問題は、安い価格で肥料を供給するという点であります。現在農業の振興が強く要請されているときに、農業の重要な生産資材である肥料の安い供給は、あくまでも確保されなければならないと考えます。この意味からも、また、肥料工業がその合理化と体質改善をなし遂げた現在におきましては、この法律が農家に対して安い価格で肥料を供給するという役割りを強力に果たすことを、第一義として考えなければならないと思うものであります。この点について、まず総理、農林、通産、各大臣のお考えを承っておきたいのであります。
次に伺いたいことは、このような対立意見の多い、しかも、わが国の化学工業と農業という二つの産業に重大な影響を持つ基本的な問題の処理について、政府のとった態度についてであります。すなわち、新法の立案について正式に肥料審議会が開かれず、最後まで非公式な懇談会等の話し合いによる意見調整というやり方で終始したことであります。審議会の答申を軸として対立見解を調整していくという方向をとるべきではなかったか。この新法の内容を見ますと、その運用のいかんによって立法の趣旨が左右され得ることが、十分予想されるところであります。将来の適切な運用を期する上からも、この際、何ゆえにこのような扱い方をなされたのか、その理由を、農林、通産大臣より明らかにしていただきたいのであります。
第三に、現行のバルク・ライン方式ないしコストを基本とした公定価格制を維持することが、農家の強い要望でございました。先ほど問題がございました、消費者である農家の育成と保護、農業の振興の必要性が強く要求されている今日において、何ゆえにこれを廃止したのか、その理由と経過を明らかにしていただきたいのであります。農林、通産大臣からお答えいただきたい。
第四番目に、肥料工業の体質変化によりまして、現行法制定当時の条件が変化し、法律によらなくとも価格が下がるということと、さらに、合理化による多角的生産形態ができ上がったためコストの算定が困難になったということが、公定価格制を廃止、話し合い方式によることとした理由の一つであるというふうに言われておりますが、これを逆に考えますと、合理化による利益が直接硫安価格の引き上げに反映することがより一そう困難になっているという事実を裏書きするものではないか、こう考えるのでありますが、この点についてどのように判断されているのか、納得のいくよう懇切な説明を通産大臣からお伺いしたいのであります。
第五番目に、昭和三十七年十二月の閣議決定による硫安工業対策の中で、体質改善対策として、開銀及び北海道東北開発公庫からの融資百六億円が決定されました。従来の硫安から他の肥料形態への転換対策をさらに一歩進めて、アンモニアの多角利用という点について強力な合理化促進対策が行なわれることになったと承知しておりますが、この計画の具体的な内容を通産大臣から明らかにしていただきたいのであります。
第六番目に、生産者側の見解として伝えられるところでは、バルク・ライン方式による公定価格制と輸出価格差による赤字のプール制によって、生産者側が非常な不利な立場に立ってきた、このように言われ、これが公定価格制の廃止の有力な理由になっていると言われておりますが、反面、過去三回にわたって合理化促進のための強力な政府の助成措置によりまして、その体質改善が急速に進んだと見られるのであります。すでにアンモニアの需要構造は、肥料向けのものと合成化学原料向けのものとの比率は、七対三から六対四へと急速に変化しつつあります。またさらに、合成化学工業の発展を背景として、この傾向はますます促進されることになると予想されます。肥料価格の統制による不利な点は、これまでの政府の強力な助成措置による合理化及び体質改善の効果が補って余りある結果になったと考えられますが、この点について政府の見解を伺いたいのであります。総理並びに通産大臣よりお答えいただきたい。
第七番目に、価格決定方式の問題点であります。アンモニアの多角利用が進むに従いまして、肥料生産者側では、次第に生産調整等が弾力性を持って自由に行なえる条件ができ上がってきていると考えられます。このような生産者側の整備された条件に対応して、消費者側である農民にとりましては、一定必要量の肥料の確保は絶対の要件でありまして、生産者側のような弾力性のある条件には立っていないのであります。したがって、この方式では、勢い、消費者側が不利な立場に立たざるを得ないと考えますが、農林大臣並びに通産大臣の見解を伺いたい。
八番目に、価格が割り高に取りきめされた場合の消費者側に及ぼす不利な影響と、割り安にきめられた場合の生産者側に及ぼす影響との差異についてであります。ただいま申し上げました問題とも関連するわけでありますが、農家にとっては、価格の値上がりはそのまま生産費の増加となって直接の影響をこうむるわけでありますが、反面、生産者の側におきましては、肥料形態の転換体制の完成、また、アンモニアの多角利用の体制ができ上がれば、生産調整によりまして取りきめ価格から生ずる不利を弾力的に転換することができるわけであります。このような実質上の不平等はぜひとも考慮に入れた上で価格の決定が行なわれなければならないと考えるのでありますが、農林、通産両相のお考えを承りたい。
第九番目に、調停の問題についてであります。話し合いによる価格の取りきめが不成功に終わった場合の最後の手段として、政府が調停を行なう、こういうことになっているようでありますが、調停が成功しない場合の措置はどのようにお考えになっておられるか。かりに国内価格が上がったとしても、肥料の自由化が行なわれるのであるから、国内価格は国際価格の水準にとどまるであろう、というような当局の御説明もあるようでございますが、肥料の輸入は、価格取りきめが成功せず、肥料の値上がりを見たから直ちに輸入できるといった性質のものではないと考えられる。また、消費者側は、肥料を使用する点においては時期的な制約を受けているわけであります。生産者、消費者、両者の意見がまとまらないときには、消費者側である農家の不利は決定的であると考えられますが、このような場合、消費者の保護対策をどのようにするか、その用意がおありかどうか。農林、通産両大臣のお考えを承りたい。
第十番目に、現在におきましては、肥料の輸出事情が好転しております。にもかかわらず、その割合には輸出は伸びていないのが実情であります。実例といたしまして、現にソ連等からの引き合いに対しても、それに応じられないということが報道されております。これはいかなる理由によるのか。また今後の輸出の見通しについて、また輸出の方針についてどうお考えになっておられるか。通産大臣よりお答えいただきたい。
第十一番目に、この法案では輸出価格に関する保証は全くないわけでありまして、輸出会社に譲り渡すべき価格の取りきめを行なうことについてのみ規定されております。輸出会社は当然輸出価格で生産者から買い取ることになるのでありますから、生産者の側において輸出向けと国内向けとの二重価格が生まれることになるのであります。先ほどのお話では、輸出の赤字が国内価格に転嫁されることはないというようなお話でございましたけれども、この二重価格が生まれるということ自体が、すでに輸出の赤字が国内に転嫁されるという機構上の問題となってあらわれると思いますが、この点について通産大臣からお考えを承りたい。
第十二番目に、新法は、輸出については、国内需要を確保するため、輸出の調整が主要目的となっております。この法案の基礎となった肥料問題懇談会の意見書におきましては、「肥料の輸出については、国際競争の激化と主要輸入国における輸入一本体制に対応し、健全なる輸出の振興を図るため肥料輸出についての業界の協調を図り、肥料の一手輸出体制をとることが必要である。」と、輸出体制に関する積極的な意見が述べられておるようでありますが、この法案においては、このような積極的な輸出体制についての条項はないようであります。長期的な観点からするならば、日本の輸出貿易にとりましても、肥料の輸出は積極的に考えられるべき問題ではなかろうかと思いますが、この点につきまして、総理、通産両大臣のお考えを承りたいのであります。
最後に、肥料価格の農家経営に及ぼす影響についての考え方であります。農家の生産費の中で肥料の占める割合は小さくなったから、価格の値上がりの影響は、たいしたことはないというような考え方が一部にあるようでありますが、農業現金支出の中で最も大きな部分を占めているのは依然として肥料と飼料でありまして、その割合は、三十七年度におきましても二一%及び三二%という統計が出ております。農業経営の形態が急速な変化を迫られている今日におきまして、農家の現金支出の増加は避けられない事実であります。農業の体質改善、農家経営の向上のためには、生産資材の価格は極力抑制するように、積極的な対策がとられるべきであると思うのであります。農業支出の主要部分を占める肥料の価格についても、この観点から強力な対策を立てるべきではないかと考えるのであります。総理及び農林大臣のお考えはいかがでありましょうか。
以上のような立場から、この新法の運用にあたりまして、コストを基本とした公正な価格決定が行なわれ、農家に対して安い価格で肥料を供給するという本法の役割りが十分果たされるよう、政府当局の努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/13
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014・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私に対しての御質問は大体三点であったかと思います。
第一の、将来の肥料政策でございます。肥料は、それが農民の生産資材の重要な部面であるのみならず、わが国産業から申しましても、これは外貨の手取り率から申しまして、輸出産業のはなはだ重要なものであるのであります。したがいまして、今後は、いわゆる肥料工業が総合化学工業として発展する過程におきまして、特に硫安その他の硫安工業に対しまして合理化を進め、そうして肥料が低位にかつ十分に確保できるよう、いろいろな施策をとっていこうとしておるのであります。私は、合理化を進めていくならば、また将来輸出が相当伸びるならば、肥料の需給は大幅に緩和されて、低位な価格にずっと推移していくと考えておるのであります。
なお、輸出振興についてのお話でございました。いままで肥料工業の発展を阻害したものは、あの二法であるのであります。バルク・ラインその他が非常ないわゆる生産意欲を低下させる。そこで、私は、一段といわゆる自由化的な方向に確めていって、生産意欲を盛り上がらす方法が得策であるというので、肥料二法を廃止することにいたしたのであります。本法案の改正が私は非常な輸出振興政策として見狩ると思うのであります。
なお、第三の御質問の、農業の非常な重要な生産資材であります肥料の価格は、ある程度下がりましたけれども、肥料を施す量が多くなってまいりました。したがいまして、農家の現金支出においては、お話のとおり、「えさ」と肥料というものは重要なものであります。したがいまして、そういう意味におきまして、今回の予算につきましても、農林関係資材の確保と価格の低廉ということにつきましては、予算上相当の措置を講じておるのであります。今後もその方向で進んでいきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/14
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015・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。
農民にとって安価な肥料を手に入れるということが大事であるが、それについての自信があるかと、こういうことでございます。先ほどから申し上げましたように、需給面におきまして、四割も輸出するというふうに、供給面は非常にふえております。その面からいたしましても、肥料の価格は漸次安くなることに推移するという見通しは十分持てると思います。なお、合理化も進んでおりまするし、その合理化のメリットは、当然、消費者及び経営者に分配されるということでなければならないと思います。そういう点からいきましても、肥料価格は安くなる方面に推移していくということが申し上げられると思います。
第二に、本法案を提出する際に、肥料審議会等の議を経ないで、いろいろな方面の意見を聞いてまとめていったことがどうであろうか、というようなお尋ねであると思います。肥料審議会は、御承知のとおり、需給計画とか、あるいは価格とか、保管の問題とか、そういう問題を審議するものでございますが、現行二法を廃止してどうするかということについては、各方面の意見を聞くほうが適当であろう、こういうことで、各方面の意見を聞いてまとめたわけであります。もちろん肥料審議会におきましても、正式の審議会は開きませんでしたが、懇談会等にはかって多くの意見を聞いて、まとめてきた次第でございます。
第三は、バルク・ライン方式をとらないのはどうだろうかということでございますが、これは総理からも御答弁がありましたように、両当事者の話し合いで、きめていくというたてまえでございますから、あらかじめバルク・ライン方式とか何々の方式ということをきめていくことは不適当である、こういうふうに考えておりますので、話し合いの経緯に基づいて、あるいは是正命令を出すときもありましょうし、あるいは輸出の承認等についての考え方も出てくるわけで、あらかじめバルク・ライン方式というような価格決定方式をきめなかった理由は以上のとおりでございます。
第四に、価格決定の場合に消費者側に不利にならないか。――もちろん不利になってはいけない、こういう考え方のもとにこの法案はできておるのでございますが そういう点で内需を優先し、あるいは輸出の承認制を認め、あるいはまた話し合いがまとまらぬ場合には調停をいたす、あるいはまた、まとまったものでも不適当と認める場合にはこれを是正する、こういうような方法によりまして、消費者側に不利になるようなことはないように十分配意いたすつもりでございます。
第五に、農業生産上、肥料及び飼料が非常に重大なウエートを持っておるということは御指摘のとおりでございます。でありますので、飼料についても十分これから検討を加えて問題の解決を進めていかなくちゃならぬと思います。肥料につきましても、従来の二法によるやり方は今度の法律で改めることにいたしますけれども、肥料が農業の生産に非常に重大であるということの認識におきましてはちっとも変わっておりません。むしろウエートを強く再認識いたしておる次第でございます。ただ、時代の推移に即応いたしまして、前二法と違ったような提案を今回いたしておる次第でございますが、重大性につきましては十分認識をいたしております。(拍手)
〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/15
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016・福田一
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。私に対する御質問は大体三点に要約できると思うのでございますが、まず第一は価格の問題だと思うのであります。
そこで、まず合理化されたいわゆるメリットが価格に反映しないのではないか、こういうことでございますが、資料として提出する等、いろいろの姿において、どの程度になってきておるかということはわかるわけでありまして、しかも一方においては、量は、いわゆる国内に出す量はもう十分に確保してありますから、それを輸出に向けるということはいたしません。そうなれば、つくったほうの会社といたしましても、それが売れなくては困る、こういうような弱味が出てまいるのでありますから、私は、価格はやはり安定して、しかもだんだん安くなると考えておるものでございます。なお、輸出赤字が国内に転嫁されはしないかということでございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたけれども、私たちとしては、そういうようなことのないように十分行政指導をいたしてまいるつもりでございます。
なお、三十七年十二月の閣議決定の内容を示せということでございますが、これはアンモニア系肥料のうち硫安が占めておるのはたしか五五%であります。それを三四%に下げる、あるいはまた肥料に使用いたしますアンモニアの比率というものを、現在は七〇%でありますが、これを六〇%に下げるというようなことを内容とする、いわゆる合理化の計画でございまして、三十八年度から二百六十六億円合理化資金を出します。そのうち百六億円は政府が融資をする、こういうことになっておるわけであります。
なおまた輸出の見通しに関連いたしまして、ソ連に対して肥料を十分になぜ出さないのかと、こういうことでございますが、ソ連との貿易関係は、毎年貿易の協定をいたして、話し合いをいたしておりますが、その間におきましては双方が大体見合う金額で売ったり買ったりしよう、こういうことになります。日本のほうから出します肥料は向こうは買いたいんでありますが、こちらが買いたいものがなかなかございません。そういうような関係で、これが貸し売りになるというようなことでは困るというようなことから、これはあまり量がふえておらないというのが実情でございまして、売買がうまくいくようでございますれば、われわれも、もっとふやすことにやぶさかではございません。
なお、輸出の見通しでございますが、これについては輸出会社がありまして、そうして今後も輸出秩序を守りながら、一手でといいますか、まとまった形において諸外国との輸出の問題を十分うまく処理をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。詳細の点につきましては、また委員会等においてお答えを申し上げたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/16
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017・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、
日程第三、通商に関する日本国とエル・サルヴァドル共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、(いずれも衆議院送付)、
以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/18
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019・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長黒川武雄君。
〔黒川武雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/19
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020・黒川武雄
○黒川武雄君 ただいま議題となりました二件のうち、日豪通商協定改正議定書は、このたび豪州が対日ガット三十五条の援用を撤回することになりましたので、現行の協定に所要の改正を加え、かつ差別的な緊急輸入制限条項を削除すること等を取りきめたものでございます。
次に、エル・サルヴァドルとの通商協定は、わが国と同国との間に、一般通商関係及び事業活動等に関し最恵国待遇を、また特許権、工業所有権等に関し内国民待遇を、相互に与え合うこと等を取りきめたものでございます。
委員会における審議の詳細は会議録で御承知をお願いいたします。
四月二十一日質疑を終え、採決の結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/20
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021・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
両件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/21
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022・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって両件は、全会一致をもって承認することに決しました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第四、道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。
〔竹中恒夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/23
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024・竹中恒夫
○竹中恒夫君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
この法律案のおもな内容について申し上げます。
第一は、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等の交通方法を同条約に定める方式に適合するように、車両の通行区分を道路の左側部分の左側を通行するいわゆるキープ・レフトの原則に改め、また、国際運転免許証の国内における取り扱い及びわが国で発給する国外運転免許証の制度を新設するものであります。
第二は、最近の交通事情にかんがみ、車両等の追い越し、駐車等の規制、その他、道路における危険防止について規定の整備をはかることであります。
第三は、いわゆるひき逃げ、酔っぱらい運転、不正運転免許証等についての罰則の強化をはかろうとするものであります。
委員会におきましては、四月二日赤澤国務大臣より提案理由の説明を聞き、慎重審査を行ないましたが、四月十四日質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/25
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026・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/26
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027・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第五、郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、
日程第六、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案(草葉隆圓君外十六名発議)、
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/27
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028・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長三木與吉郎君
〔三木與吉郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/28
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029・三木與吉郎
○三木與吉郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、郵政省設置法の一部を改正する法律案は、郵政省の職員のうち、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員を二十二人増員しようとするものでありまして、これは、主として宇宙通信研究のための要員として、電波研究所の職員を増員するものであります。
本委員会におきましては、テレビ、ラジオの難視聴地域対策、特定郵便局の局舎改善についての構想、郵政犯罪防止対策等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、村山委員より、自由民主党を代表して、本法律案の附則中、施行期日の「昭和三十九年四月一日」を「公布の日」に修正の上、原案に賛成する旨の発言がありました。
次いで、採決の結果、村山委員提出の修正案並びに右修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。
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次に、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案について申し上げます。
本法案は、本院議員草葉隆圓君外十六名発議の法律案でありまして、去る二月二十一日の本会議において提案の趣旨説明が行なわれました後、本委員会に付託されたものであります。
本法案の要旨は、金鵄勲章年金は昭和二十年十二月末日を限り一切廃止され、今日に至ったのでありますが、わが国の経済は順調に発展し、国民生活も向上の一途をたどりつつあるとき、旧金鵄勲章年金受給者の多くは、その経済的期待権を喪失し、経済的、精神的に不遇のうちに老残の日を送っている現状にかんがみ、これらの人々の処遇改善の措置として、かつての年金受給者のうち、昭和三十八年四月一日において満六十歳以上の者及びその後に六十歳に達した者に一時金七万円を支給しようとするものであります。
本委員会におきましては、発議者草葉隆圓君、小林厚生大臣、野田総理府総務長官、関係政府委員、本院法制局のほか、参考人として、京都大学教授大石義雄、静岡大学教授鈴木安蔵、法政大学教授中村哲、全国戦争犠牲者援護会理事島本正一の四氏の出席を求め、慎重に審査いたしました。その質疑のおもなるものを申し上げますと、政府提案としなかった理由、本法案と憲法第十四条との関係、本法案の趣旨は社会保障政策の一環として措置すべきではないか、旧一時賜金金鵄勲章保持者に対してはどう考えているか、などの諸点でありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。なお、本法案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を求めましたところ、野田総理府総務長官より、本法案については、国会において可決された場合は政府は尊重する旨の発言がありました。
質疑を終局し、昨二十一日討論に入りましたところ、山本委員より、日本社会党を代表して、旧金鵄勲章年金受給者のみに限りこのような措置を講ずることは、民主主義の理念から見て納得できないなどの理由をあげて、本法案に反対する旨の発言があり、大谷委員より、自由民主党を代表して、本法案は憲法に違反するものではなく、むしろこの措置はおそきに失する感がある。また、旧一時賜金金鵄勲章保持者についてもその事情は同一であるから、すみやかにこれにも適用することを要望するとの賛成意見が述べられました。次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/29
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030・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。鶴園哲夫君。
〔鶴園哲夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/30
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031・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま問題になっています旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案について、反対の立場から討論を行なうものであります。
本法案は旧金鵄勲章年金令によりまして年金を支給されてきた者が、昭和二十年十二月末日限りその年金が廃止されたことに対して、あらためて、一定の年齢的条件、満六十歳の条件のもとに、一時金七万円を支給しようとするものであります。
まず第一に、金鵄勲章そのものが、現憲法の基本的趣旨に全く反することを指摘しなければなりません。金鵄勲章が制定されましたのは、明治二十三年二月十一日であります。そのときの詔勅を読んでみますと、「朕惟ミルニ神武天皇皇業ヲ恢弘シ継承シテ朕二及ヘリ 今ヤハルカニ登極紀元ヲ算スレハ二千五百五十年ニ達セリ 朕此期三際シ 天皇戡定ノ故事ニ徴シ金鵄勲章ヲ創設シ 将来武功抜群ノ者ニ授與シ 永ク 天皇ノ威烈ヲ光ニシテ 以テ其忠勇ヲ奨励セントス 汝衆庶此旨ヲ禮セヨ」とあります。天皇の裁定、つまり天皇の討伐、天皇の威烈を明らかにする等、天皇主権のこの考え方は、現憲法の国民主権と鋭く対立するものでありまして、現憲法の否定するところであります。
金鵄勲章制度並びに金鵄勲章年金令が廃止になりました理由は、第一には、いま述べた現憲法の根本精神に反するからであります。次に、憲法第九条及び前文による戦争放棄、非武装平和主義、この観点から、金鵄勲章という栄典制度そのものが、また金鵄勲章に伴って、年金を与えるという制度そのものが、日本国憲法の条項に反するからであります。すなわち、憲法第九条、第十四条並びに前文に反するからであります。
この金鵄勲章並びに金鵄勲章年金令が廃止された憲法上の根拠は、今日何ら変更する理由はないのであります。にもかかわらず、これに対して一時金を支給するということは、憲法の基本精神及び基本規定に反する行為に対して金銭的利益を提供することでありまして、それ自体許されないと考えるべきであります。
第二は、提案趣旨によりますと、かつて年金を受けていた経済的期待権を失ったということに、一時金支給の重要な理由があることであります。年金を支給されるというこの経済的期待権は、旧憲法のもとにおいてでありまして、それはすでに十八年前に日本国憲法に反するとして廃止されたのであります。当然、今日その期待権は成り立ち得ませんし、消滅しているのであります。通俗的な意味で、いまごろ金鵄勲章が生きていれば年金をもらえたのに、精神的な名誉もあり得たのにという、こういう気持ちのあることは、十分理解もできますが、しかし、法的には消滅いたしているのであります。
第三に、期待権は消滅して成り立たないが、政策として、かつて金鵄勲章年金の期待を持っていた者に一時金を支給するという論理が、はっきりうかがえることであります。このような意味の期待権、期待感を問題にいたしますならば、日清、日露、第一次、第二次大戦、この戦争は限りない国民の期待権や期待感を奪ったのであります。いま、父や息子や、夫や兄弟が戦死していなかったら、あのときに負傷していなかったら、家屋の強制疎開や取りこわしや焼失がなかったら等々、それこそ無限の期待感を奪ったのであります。その中で、金鵄勲章を持っている者だけを政策的に取り上げる合理的な根拠がどこにもございません。それだけではありません。金鵄勲章年金廃止に対して、十八年たった今日、あらためて一時金を支給することによって、実は憲法違反の既成事実をつくろうとするものであります。
第四に、提案理由が、「年金受給者の大部分が経済的精神的に不遇のうちに老後の日々を送っている」ということにもあることであります。老齢で経済的精神的に不遇な人々には、金鵄勲章をもらっている人もありましょう、そうでない人々もあります。しかるに、金鵄勲章をもらっている人だけを取り出して一時金を支給して、いうところの処遇を改善しようとすることは、憲法第十四条の国民平等の原則に反し、第二十五条の国民全体の社会福祉の方針に反すると言わなければなりません。提案理由になっている生活保障につきましては、日本国民は、ひとしく第二十五条の規定に基づいて社会保障的に解決すべきことを主張すべきであります。
第五に、提案理由の最後に、「武功抜群の者を放置していることは、列国にその例を見ない」ということばがあります。おそらく日本に類似した西ドイツの場合を想定してのことと推測されます。しかし、日本と西ドイツは、憲法が根本的に違っております。さらに西ドイツは、再軍備のために十年前に憲法の改正をいたしていることを指摘をすれば、十分であります。私は軍国主義のためになくなった数百万の人々、戦死して金鵄勲章を受けた数多くの人々、金鵄勲章を受けて生存している人々、こういう方々に対して払うべき哀悼の意や感謝の気持ちを問題にしているのではありません。ただ、そのことと、憲法第九条、第十四条並びに前文の精神と混同してはならないことを、強く主張いたしているのであります。
以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/31
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032・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
まず、郵政省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/32
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033・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/33
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034・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/34
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035・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/35
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036・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第七、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案
日程第八、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出衆議院送付)、
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/36
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037・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長青田源太郎君。
〔青田源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/37
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038・青田源太郎
○青田源太郎君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
まず、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案は、農業改良資金の貸し付け対象に、新たに、農家生活改善資金及び農業後継者育成資金を加えるとともに、従来の技術導入資金をも含め各種資金の償還期間を延長しようとするものであります。
―――――――――――――
次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案は、農林漁業金融公庫の貸付金の貸し付け条件を改正整理するとともに、公庫に対する政府の追加出資及び公庫の資本金の増加並びに公庫の監事の権限に関する規定を整備しようとするものであります。
委員会におきましては、これら両法案を一括審議し、質疑において、農業事情とその対策、農業構造改善、農家の負債整理、農業金融のあり方と、これが一般金融及び中小企業金融並びに政府融資などとの関係、融資の普遍化、公庫の資本金、資金の需給とその効果、金利その他貸し付け条件と貸し付け、手続及びこれが債権管理、公庫の組織及び役職員、農業改良資金の性格、資金ワク、貸し付け対象、運用方法及びその成果、農林漁業改良普及手当などに関し、諸般の事項が問題になりました。
質疑を終わり、まず、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案を問題とし、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、この法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定されました。
次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題とし、討論に入りましたところ、渡辺委員から、日本社会党を代表し、公庫に対する政府の追加出資及び法律の施行日に関する規定について修正案が提出され、その理由並びに金利体系の合理化及び農業金融のあり方などについて意見が述べられました。また、自由民主党を代表して、桜井委員から、法律の施行日に関する規定について修正案が提案されました。続いて、これら両修正案及び修正部分を除いた原案について順次採決の結果、渡辺委員提案の修正案は否決され、この法律案は多数をもって、原案に対し、桜井委員提案の修正を加えて可決すべきものと決定されました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/38
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039・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/39
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040・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/40
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041・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/41
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042・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/42
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043・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第九、及び劇物取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。社会労働委員長鈴木強君。
〔鈴木強君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/43
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044・鈴木強
○鈴木強君 ただいま議題となりました毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審議の経過と結果を報告いたします。
本法律案は、毒物、劇物等の業務上使用者による事故発生の状況にかんがみ、これが規制を強化しようとするものであります。
本法律案の要旨は、
第一に、毒物劇物取り扱い責任者の任務及び資格をさらに明確にし、販売業の登録を三種数に分けて、一般販売業以外の農業用品目または特定品目の販売業の取り扱い品目を制限すること。
第二に、製造所、店舗等の設備基準を厚生省令で具体的に定めることとし、営業者及び研究者をして、毒物、劇物またはその含有物の施設外への流出等によって危害を生じないよう必要な措置をとらしめること。
第三に、メッキ業など、業務上、毒物、劇物を取り扱う特定の業者に対し、所定事項の届け出及び毒物、劇物取り扱い責任者の設置を命じ、これらの業者並びに、別に定めるその他の業務上取り扱い者に対し、毒物、劇物等の事業場外への流出等を防止する義務を課すること。
第四に、毒物、劇物及び特定毒物を定める別表を整備すること。
第五に、公布の日から六カ月以内で政令で定める日に施行すること等であります。
委員会においては、小林厚生大臣及び政府委員に対し、改正法によって規制せられる業務上取り扱い者の範囲とその規制方法、農薬に対する農薬取締法と改正法の適用関係、劇毒物含有剤の用途に関する啓蒙運動、劇毒物及びその含有物の流出、廃棄と公害関係、特に水俣病防止対策の強化等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/44
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045・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/45
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046・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/46
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047・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第十、保険業法の一部を改正する法律案、
日程第十一、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案、
(いずれも内閣提出)、
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/47
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048・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長新谷寅三郎君。
〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/48
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049・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました二法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、保険業法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、昭和三十七年に行なわれました商法の一部改正により、株式会社である保険会社に対し資産の評価についての改正規定が全面的に適用せられたことに伴い、相互会社である保険会社に対してもこれを準用することとするとともに、契約者の利益を確保するために、取引所の相場のある株式について、相当程度の含みのある場合には、一定の条件のもとに時価までの評価益の計上を認めようとするものであります。
委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
―――――――――――――
次に、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案について申し上げます。
本案は、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の批准に伴い、同条約を実施するため、関税法等の特例措置を講じようとするものでありまして、そのおもな内容は、所定の要件を具備した者は、一時輸入書類により、関税及び物品税の免除を受けて自家用自動車等を輸入することができることとし、輸入された免税自家用自動車等が条件違反等の場合には、関税及び物品税の徴収をすることができることとし、また、一時輸入書類の発給は保証団体に限られますので、保証団体になろうとする者は大蔵大臣の認可を要することとする等、所要の規定を設けております。
委員会における審議の詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/49
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050・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
まず、保険業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/50
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051・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/51
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052・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 次に、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/52
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053・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/53
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054・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第十二、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。運輸委員長米田正文君。
〔米田正文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/54
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055・米田正文
○米田正文君 ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。
本法は、わが国外航船腹の整備拡充をはかるための助成策に対応して昭和二十八年に制定されたものでありまして、その内容は、国際航海に従事し得る五百総トン以上の船舶の建造を許可制とするものであり、当初四年間の時限立法でありましたが、その後二回にわたる法律改正により、昭和四十年三月末日まで存続することとなっております。
この改正法律案は、わが国海運業の自立体制の整備を主眼とし、外航船舶の建造を国民経済の要請に適合するよう調整するとともに、最近における輸出船受注の飛躍的増大にかんがみ、輸出船と国内向け新造船との競合関係を調整するため、海運業の再建整備に要する期間に見合って、現行法の存続期間をさらに四年間延長しようとするものであります。
委員会の審議におきましては、本法の運用状況、特に輸出船と日本船との競合関係の調整問題のほか、外航船腹拡充計画と海運国際収支の問題等につき、熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終え、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/55
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056・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/56
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057・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/57
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058・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第十三、石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案、
日程第十四、金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案、
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/58
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059・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
まず委員長の報告を求めます。商工委員長前田久吉君。
〔前田久吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/59
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060・前田久吉
○前田久吉君 ただいま議題となりました二法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案は、昭和二十九年に石油資源の探鉱を促進することを目的として制定された現行法の期限が、本年四月三十日に到来するので、今回これを廃止しようとするもので、あわせて廃止に伴う若干の経過処置を規定したものであります。
委員会におきましては、廃止後の国内石油資源開発の見通し、石油資源開発株式会社と帝国石油との関係、石油業法の運用状況等について質疑が行なわれましたが、詳しくは会議録に譲ることといたします。
―――――――――――――
次に、金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案は、法律の題名を「金属鉱物探鉱促進事業団法」に改め、事業団の業務を拡充して、これに地質構造調査を実施させることとし、その調査のため、費用の負担、土地の立ち入り等に関する規定を整備するとともに、理事一名を増員しようとするものであります。
委員会におきましては、事業団の業務の状況、貸し付け金利の引き下げの見通し、地質構造調査と中小鉱山の探鉱との関係等について質疑がありましたが、これも詳しくは会議録に譲りたいと存じます。
両法案に対する質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに両法案を順次採決いたしましたところ、両法案は、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/60
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061・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/61
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062・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X01819640422/62
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