1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月三日(水曜日)
午前十時二十分開議
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議事日程 第二十六号
昭和三十九年六月三日
午前十時開議
第一 国会法第三十九条但書の規
定による議決に関する件(米価
審議会委員)
第二 中央更生保護審査会委員の
任命に関する件
第三 緊急質問の件
第四 国際開発協会への加盟に伴
う措置に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
第五 農山漁村電気導入促進法の
一部を改正する法律案(衆議院
提出)
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○本日の会議に付した案件
一、故衆議院議員元衆議院議長大野
伴睦君に対し弔詞贈呈の件
一、常任委員長辞任の件
一、常任委員長の選挙
一、日程第一 国会法第三十九条但
書の規定による議決に関する仲
(米価審議会委員)
一、日程第二 中央更生保護審査会
委員の任命に関する件
一、日程第三 緊急質問の件
一、日程第四 国際開発協会への加
盟に伴う措置に関する法律の一部
を改正する法律案
一、日程第五 農山漁村電気導入促
進法の一部を改正する法律案
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
縦議院議員・元衆議院議長大野伴睦君は、去る五月二十九日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
ここにその弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院はさきに衆議院議長として憲政の発揚につとめられまた国務大臣としての重責にあたられました衆議院蔵員従二位勲一等大野伴睦君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。
社会労働委員長鈴木強君、逓信委員長光村甚助君、建設委員長北村暢君、決算委員長横川正市君、懲罰委員長森元治郎君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/4
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005・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/6
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007・永岡光治
○永岡光治君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/7
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008・村上春藏
○村上春藏君 ただいまの永岡君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/8
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009・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 永岡君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/9
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010・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、社会労働委員長に藤田藤太郎君を指名いたします。
〔拍手〕
逓信委員長に占部秀男君を指名いたします。
〔拍手〕
建設委員長に安田敏雄君を指名いたします。
〔拍手〕
決算委員長に柴谷要君を指名いたします。
〔拍手〕
懲罰委員長に武内五郎君を指名いたします。
〔拍手〕
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/10
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011・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(米価審議会委員)を議題といたします。
内閣から、毅議院議員淡谷悠藏君、舖林三喜男君、根本龍太郎君、湯山勇君、本院議員白井勇君、森八三一君を米価審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。
これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/12
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013・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、中央更生保護審査会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により、藤野庄蔵君を中央更生保護審査会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/14
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015・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第三、緊急質問の件、
矢山有作君から、「米国のいわゆる大陸だな法制定とわが国漁船の操業に関する緊急質問」が提出されております。矢山君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/15
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016・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。矢山有作君。
〔矢山有作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/16
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017・矢山有作
○矢山有作君 私は日本社会党を代表して、去る五月六日、アメリカ上院で可決され、同月二十日、大統領の署名によってついに発効するに至った「合衆国の領海及びその他の特定水域における合衆国の船舶以外の船舶及び当該船舶の責任者による漁業を禁止するための法律」、いわゆるバートレット法が、わが国漁業に及ぼす重大な影響と、こに対応するための方策について、池田総理並びに外務、農林の各大臣に質問を行なわんとするものであります。
この法律は、合衆国の領海及び大陸だなから外国漁船の操業を締め出すことを目的としており、これを犯した者は、一万ドル以下の罰金もしくは一年以下の懲役に処し、または、これらを併科することを規定しております。しかも、どのような方法であれ、この法律の違反に関連して使用された船舶は、その漁具、装備、調度品、装置、貨物、貯蔵品とともに没収することができ、また、この法律に灘反して採捕され、または保有されているすべての漁類を没収し、または、それらに相当する価額を追徴するものとする旨、あわせて定められております。
さて、ひるがえって、わが国の漁業を見てまいりますと、その急激な発展をささえてきた遠洋漁業も、最近では、いよいよ強化の度を加えてまいりました国際的な規制によって、次第に頭打ちの状態となっていることは、周知のとおりであります。これは、従来、無条件的な権利と考えられていた公海自由の原則も、実は無条件的な権利と考えるべきではなく、資源の保存措置を講じ、かつ、関係国の正当な権利を尊重するという条件のもとにおいてのみ許される権利であるとの考え方が、国際的に強くなってきたためであります。
このことは、一つには、戦後急速に向上してきた漁業生産力によって、漁業資源に枯渇のおそれが生じたためであり、二つには、新興の沿岸国の漁業に依存する度合いが増大し、それに伴って、沿岸国優先の考え方が生まれてきたためであります。一九五八年の国際海洋法会議で定められた「漁業及び公海の生物質流の保存に関する条約」、「大陸だなに関する条約」をはじめ、関係諸条約は、いずれもこうした趨勢を反映したものにほかなりません。
これに対しわが国は、常に公海自由の原則をよりどころとし、領海三海里説を固守して、領海外の漁業規制は認めないという態度をとってまいりました。しかし、「大陸だな条約」は今月十日に発効を見ることになっており、また、近い将来、「領海及び接続水域に関する条約」、「漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約」の発効が見込まれておりまして、バートレット法も成立し、さらに今年四月、ロンドンで開かれた欧州漁業十六九国国際会議では、漁業専管水域を十二海里とする条約案が採択され、カナダ政府も、国内立法で漁業専管水域を十二海里とする動きを示す等、国際漁業環境は大きく変わりつつあります。
その中で、わが国の領海三海里の主張は、旧来の国際通念からは正しいのでありますが、これまでの国際会議の場においては、わが国は、その主張である公海の自由が新しい世界の情勢にどれほど重要な意味を持つかを強く主張し、会議の中心理念をつくり上げるという積極的態度と熱意に欠けていたものと思われるのであります。したがって、国際会議の舞台では、三海里説はすでに忘れられているのであります。もっとも、対韓交渉では、十二海里云々と言っているようでありますが、沿岸国の漁業利益の保護確保という基本的立場から、資源の科学的適正管理の措置を確立し、資源保存に関する国際協力機構をつくることを提案し、その中で漁業水域等の問題を解決すべきであって、従来の場当たり式と認められるような自信のないやり方は、国際会議の場では、もはや許されないと思うのであります。そこで、まず総理にお伺いをいたします。
第一点は、さきに申しましたような、国際漁業に対する規制の強化されてくる中で、今後、わが国漁業の保護発展のために、いかなる基本的方針で臨まれるのか、明確にお示しを願いたいのであります。
第二点は、公海自由の原則のもとに、これまでわが国は、漁業、海洋関係の国際的動きには多く反対をしてきたのでありますが、このことが現在では国際的孤立を招き、事態を悪化せしめる傾向を生むとも考えられます。そこで、この際、朝野の識者から成る権威ある機関を設け、内外諸情勢とにらみ合わせ、対外漁業政策の基本的あり方を徹底的に検討すべきであると考えますが、これに対する総理の御見解を承りたい。
次に、バートレット法について若干お伺いいたします。
まず、外務大臣にお尋ねいたします。この法律が、第五条で、大陸だなにおける漁獲を禁止すべき定君種族に属する生物を、単なる国内措置によって一方的に指定することができるとしているのは、いかなる国も、合意することなしに他国から漁業を規制されないという、漁業条約の基本原則を踏みにじるものであり、また、この法律に違反して漁獲を行なった者に対し、一年以下の懲役をはじめ、数々の刑罰を科することとしているのは、規制措置は必ず漁船の属する国籍国の政府によってのみ行なわれるべきであるとする、漁業条約の基本原則の不当な侵犯であると考えますが、外務大臣はどういう御所見であるか。また、もし大臣が、アメリカの今回の措置は重大な国際法の侵犯であると考えておられるとするならば、これに対して、どのように処置されるのであるか、具体的にお示し願いたい。
次に、かりに、日本のタラバガニ漁業に十分の配慮を払うという大統領声明で、ブリストル湾におけるタラバガニ漁業が、過去の実績を認められて、引き続き操業できることになった場合、その形式はどうであれ、それで政府が満足されるとするならば、従来のわが国の主張である公海自由の原則にそむき、実績主義に対する反対と矛盾をし、大陸だな条約、バートレット法自体をも認めたことになると思いますが、この点、どうお考えになっておられるかについてもお伺いをしておきたいと思います。
次は、農林大臣にお尋ねしたい。
まず第一に、一九四五年、トルーマンが大陸だなに関して行なったいわゆるトルーマン宣言が、直ちに他の諸国によって悪用され、たとえば一九五二年の李承晩ラインの設定、及び一九五三年、オーストラリアの大陸だな宣言によって、アラフラ海の真珠貝採取が日豪間でもめ抜いたこと等、重大な影響を国際漁業に及ぼしたことは、いまなお、われわれの記憶に新たなところであります。大陸だな条約の発効も見ない今日、アメリカが世界にさきがけて強行した今回の措置が、トルーマン宣言の及ぼした影響同様、再び国際的悪影響を引き起こし、わが国の国際漁業に重大な損害をもたらさないという保証はどこにもありません。現に、早くも韓国によって、朝鮮海域から日本漁船を締め出すための口実として利用されようとしております。すなわち、韓国のウオン無任所長官は五月二十五日の記者会見で、米国の大陸だな漁業禁止法の成立は、当然日韓漁業交渉にも影響を与えると称し、特に韓国西南方面の大陸だな水域の保存問題を提起すると発言をしております。また、特に憂慮されるのは、バートレット法の成立が、ソ連によって、カムチャッカ周辺におけるわが国のカニ漁業の禁止のきっかけに利用されることはないかという点であります。なぜなら、ソ連は、一九五八年の国際海洋法会議において、積極的に大陸だな条約に賛成したばかりか、大陸だな条約第二条第四項の原案には、「但し、甲殻類及び浮遊魚は含まない」とあったのを、このただし書きの削除を主張し、それを実現させた有力国の一つであります。しかも、ソ連は大陸だな条約をすでに批准しているのであります。農林大臣は、アメリカの今回のバートレット法成立の及ぼす、これらの国際的な悪影響を阻止するため、どのような方法をとろうとするのか、具体的に承りたい。
第二に、大陸だなに関する条約第二条第四項の定着種族に属する生物に関する規定が抽象的に過ぎることが、国際紛争の原因になり、ひいては、今回のバートレット法に見られるように、わが国漁業に不利なように運用されるおそれが多いのでありますが、拡張解釈を許さぬように、これを明確化するためのイニシアチブをとるお考えはないか。この点は外務大臣にもお考えを伺いたいと存じます。
次に、今回のバートレット法制定と日米加漁業条約の関係について、外務大臣にお尋ねをしたい。
日米加に関係のある北太平洋の公海における漁業資源を保存し、最大の持続的生産を確保するために、日米加漁業条約が締結されていることは御承知のとおりであります。われわれは、この条約があまりにも不条理かつ不平等な条約であり、日本の国際漁業の発展に甚大な障害をもたらす条約であるとして、この条約締結以来、一貫してこれに反対してきたのであります。特に、昨年六月、この条約の有効期限の満了する機会に、同条約を廃棄し、すみやかに合理的な新条約を締結することを強く要求し、今日に至っているのであります。今回のアメリカの措置は、日米加漁業条約改定に対する日本側の主張を打ち砕くための圧力として出されたものとも見られるのであります。そうでないなら、当然、日米加漁業条約の内容として討議を要求すべき問題であります。外務大臣は、この点どう受けとめておられるのか、お伺いをしたい。
次は総理からお答えをいただきたいのでありますが、五月三十一日の新聞は、オヒョウ漁の全面禁止を日米加漁業委員会に勧告する用意があるとユードル米国内務長官が発表しておりますが、今秋の日米加漁業委員会年次会議で採択されることは必至であると報じております。昨年の日米加漁業交渉のとき、総理は、「過去に実績のない国は魚をとることができないというのは全くおかしい。新条約により公海における適切なる資源配分を行なうべきである」といっておられるが、今回の一方的なバートレット法制定から見ても、この総理の発言を実行に移し、日米加漁業条約を廃棄し、厳然たる態度で平等の立場に立った新条約締結を要求すべきだと考えますが、総理の率直な御見解を承りたい。
最後に、このたびのバートレット法制定というアメリカの一方的な措置に対するわが国の態度いかんが、今後の国際漁業の全般に大きく影響を持つものであるということを十分に理解され、政府が断固たる態度をもって、本法の廃止を要求して努力されんことを、強く要望します。なお、このたびの米国の一方的な漁業規制に対しては、国民的な世論を背景に、その不当な措置の撤廃を求めて全力を傾注すべく、文字どおり緊急に対処すべきであるのに、バートレット法の上院通過の報ぜられて以来、一カ月余りの経過を顧みて、政府・与党のとった態度に大きな誤りがあったのではないか、猛省を促して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/17
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018・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 近年、他国におきまする漁業の発展に伴いまして、国際漁場におけるわが国の漁業と競合する例が多くなってきたのであります。これがため、自国の地先沖合いに漁業管轄権を一方的に設定しようという例が多くなってきたことは、お話のとおりであります。しかし、われわれは、あくまで公海自由の原則のもとに、今後の魚族保存とこれが最大利用につきまして、関係国と協調しながら、わが国漁業の操業の確保をはかっていきたいと考えておるのであります。
なお、海外漁業対策につきましては、漁業法にありまする中央漁業調整審議会、こういう審議会等を利用いたしまして、善処をしていきたいと思っております。
なお、日米加漁業条約につきましては不平等でございますので、抑止原則を撤廃し、資源の確保と科学的調査の上に平等な条約を結ぶべく努力いたしております。わが国の正当な主張は、私は実現すると考えております。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/18
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019・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 大陸だな条約は、御指摘のように、六月十日に発効をすることになりまするが、この条約におきましては、大陸だなの定着生物に対する沿岸国の主権がその条約によって認められるわけでございまするから、これに加盟しておる当事国間におきましては、その生物の漁獲を禁止したり、あるいは違反者に刑罰を科することは、国際法違反であるとは言えないと思います。ただ、わが国はこれに加盟いたしておりませんので、何らの拘束を受けないわけでございます。
それから、大陸だな条約のこの定着生物の問題につきまして、わが国がイニシアチブをとって、この定義を明確にすべきじゃないかという御提案でございますが、わが国はもともとこの条約を認めておりませんので、わが国がイニシアチブをとってやるというようなことは、私は適当でないと考えております。
それから、アメリカとわが国との間でタラバガニの件につきまして調整をいたしたことが、この条約を間接的に認めたようなことになりはしないかという御懸念でございまするが、大陸だな条約を認めておるアメリカと、これを認めていないわが国との相互の立場の違いを明確にした上で、タラバガニについて現実に起こっておる問題の調整を、その立場で十分双方が確認した上で調整するということは、私は決して悪いことではないと思って、そのようにいたしたわけでございます。
それから、バートレット法は、外国漁船の米国の領海における漁業並びに米国に属する大陸だな資源の漁獲を禁止することが内容になっておるわけでございまして、北太、平洋漁業条約のサケ、マス、オヒョウ、ニシン、そういった資源保存をはかる条約とは、何ら直接の関係はないと思っております。
それから、この日米加三国漁業条約の改定問題につきましては、ただいま総理から御答弁がありましたとおりでございます。(拍手)
〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/19
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020・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) いわゆる大陸だなの法律につきましては、政府といたしましても、わが国の漁業に対する影響が非常に大きいものでありますので、これに対しましては、その成立を阻止すべく相当働きかけておったのでございます。
御承知のように、アメリカは三権今立が非常に強いところでございまして、政府に対しましては相当強く言ってきましたし、国会方面につきましても相当な方法をもって阻止をいたしておったのでございますが、御承知のように成立いたしました。
との成立いたしました結果、これが国際的にどういうような悪影響を及ぼすか、それに対してどういう措置をとるかというお尋ねでございます。
第一番目に、日本とアメリカとの関係でございますが、この法律は、御承知のように、アメリカ大陸に属する大陸だな漁業資源の採捕を原則として禁止しておりますけれども、具体的に何を大陸だな漁業資源に含めるか、こういうことは、内務長官が国務長官と協議の上、決定公表することになっております。わが国といたしましては、一九三〇年以来、お話のような米国沿岸に行なってきましたわが国のタラバガニ漁が、どういう取り扱いを受けるかということにつきまして、重大な関心を持っておるわけであります。アメリカ政府といたしましても、数次にわたるわがほうの対米折衝の結果、バートレット法の施行する前には日本と協議を行なって、その際には、日本のタラバガニ漁業に不当な影響を及ぼすべきでないというわが国の立場を十分考慮することを保証しております。近く、この協議が行なわれることになっておるのでございます。
したがいまして、もし国際的に、米国以外の他の国が、アメリカのバートレット法にならった措置を講ずるようなことがありました場合には、アメリカに対すると同様、大陸だな条約に加盟していないわが日本国といたしましては、これらの一方的措置に対して拘束されないという基本的態度を留保しつつ、長年にわたって確保されておりますところのわが国のタラバガニその他の漁業がそこなわれないように折衝するつもりでございます。
御指摘の、韓国等にそういう話題が出ているようなことは、私はこちらの新聞で見ておりましたが、直接まだ会っておりませんから、どういう様子か知りませんが、韓国等には、大陸だな生物というものを取り上げるような余地はないと思います。こういう問題は、私は韓国との間にはないと思います。あるいはソ連との関係等におきましては、大陸だな条約に加盟していない日本といたしましては、こういうものを認めていないのでございますから、その点につきましては、強硬にわがほうの主張を、もしそういう場ができました場合には主張して、これが影響を日本に及ぼさないように措置をとるつもであります。(拍手)
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/20
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021・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第四、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長新谷寅三郎君。
〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/21
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022・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました「国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
国際開発協会、すなわち、いわゆる第二世銀は、昭和三十五年十一月創立以来、低開発地域における経済開発の促進、生産性の増大及び生活水準の向上のために、長期低利の融資を行なってまいりましたが、この融資に対する低開発諸国の需要が累年増大し、同協会の保有する資金は、遠からずその全額の貸し付けを約定される見通しとなりましたので、同協会において、その増資が検討された結果、総額七億五千万ドルの資金追加が決議され、わが国としても、同協会に対して新たに四千百二十五万ドル相当額の追加出資を行なうこととなり、これに伴い、この法律案により、追加出資の規定を設け、百四十八億五千万円相当額の出資ができることとしようとするものであります。なお、今回の追加出資は全額を円貨で行なうこととしておりますが、実際の払い込みは、昭和四十年度以降三カ年度にわたり均等分割して行ない、かつ、その全額を国債により行なうことが認められております。
委員会におきましては、低開発国援助の基本方針、国際流動性の問題、韓国、南ベトナムの援助問題等について、熱心な審議が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して、成瀬委員より、「第二世銀は西側陣営の防衛体制の一環をなす性格を持っているから、現在の東西融和の方向に反することとなり、また、今回の増資はアメリカの軍事援助から招来されたドル危機の肩がわりをさせられるものとなるので、反対する」との意見が述べられましたが、採決の結果、本案は多数をもつて原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/23
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024・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第五、農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長青田源太郎君。
〔青田源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/25
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026・青田源太郎
○青田源太郎君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
この法律案は、農山漁村において未利用のままになっております発電小水力資源を農山漁民の手で開発し、農林漁業の生産力の増大と農山漁家の生活文化の向上に資するため提案されたものでありまして、そのおもな内容は、農山漁村電気導入促進法による電気導入事業の対象地域に、発電水力が未開発のままにある農山漁村を加え、事業の内容に、農山漁村に電気を供給する者に対し発電水力を開発して電気を供給することをも含ましめ、また、事業主体の範囲を、現行法で規定している農林漁業者が組織する非営利法人のほか、これらの法人が主たる出資者となっている特定の法人にまで広げ、これら事業に必要な施設資金を農林漁業金融公庫から貸し付けることができることとしようとするものであります。
委員会におきましては、説明を聞き、質疑に入り、提案の経緯、事業のねらい及びその実施方針、所要の資金、一般電気事業との関係、発電原価、工事負担金、売電の促進、事業の拡充助成と阻害要因の排除、離島電気導入の強化などの問題について、提出者策議院農林水産委員長代理野原正勝君、政府委員及び通商産業省当局に対し、事情が尋ねられ、所信がただされました。
質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、この法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/26
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027・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/27
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028・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615254X02619640603/28
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