1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年十二月十七日(木曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君
理事 辻 寛一君 理事 内藤 隆君
理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
井原 岸高君 田澤 吉郎君
塚田 徹君 綱島 正興君
西岡 武夫君 野呂 恭一君
保科善四郎君 湊 徹郎君
茜ヶ久保重光君 大出 俊君
中村 高一君 村山 喜一君
受田 新吉君 山下 榮二君
出席国務大臣
法 務 大 臣 高橋 等君
出席政府委員
法務政務次官 大坪 保雄君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 鹽野 宜慶君
検 事
(民事局長) 平賀 健太君
委員外の出席者
検 事
(刑事局参事
官) 海治 立憲君
法務事務官
(矯正局長) 大沢 一郎君
検 事
(保護局長) 武内 孝之君
法務事務官
(入国管理局
長) 八木 正男君
公安調査庁長官 吉河 光貞君
専 門 員 加藤 重喜君
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十二月十五日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西村榮一君辞任につき、その補欠として受
田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員高瀬博君及び坪川信三君辞任につき、その
補欠として西岡武夫君及び田澤吉郎君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員田澤吉郎君及び西岡武夫君辞任につき、そ
の補欠として坪川信三君及び高瀬傳君が議長の
指名で委員に選任された。
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十二月十五日
法務省設置法の一部を改正する法律案(第四十
六回国会閣法第五九号)(参議院送付)
同月十一日
農林省蚕糸局の機構縮小反対に関する請願外一
件(上村千一郎君紹介)(第五四九号)
同外五件(中垣國男君紹介)(第五八七号)
同外一件(渡辺美智雄君紹介)(第六六八号)
同(上村千一郎君紹介)(第六六九号)
同(小平久雄君紹介)(第七〇九号)
同(森下國雄君紹介)(第七一〇号)
同外一件(森山欽司君紹介)(第七一一号)
同(上村千一郎君紹介)(第七八〇号)
同(亘四郎君紹介)(第七八一号)
旧軍人等の恩給に関する請願(高見三郎君紹介)
(第五五〇号)
同(竹山祐太郎君紹介)(第五五一号)
同外六件(羽田武嗣郎君紹介)(第五五二号)
同外十四件(橋本龍太郎君紹介)(第五五三号)
同(上林山榮吉君紹介)(第五八二号)
同(塚原俊郎君紹介)(第五八三号)
同外一件(野田武夫君紹介)(第五八四号)
同外九件(福永健司君紹介)(第五八五号)
同外一件(小川平二君紹介)(第七〇一号)
同(上林山榮吉君紹介)(第七〇二号)
同外二件(谷垣專一君紹介)(第七〇三号)
同(塚原俊郎君紹介)(第七〇四号)
同(森下國雄君紹介)(第七〇五号)
同外一件(池田清志君紹介)(第七〇六号)
同(上林山榮吉君紹介)(第七三一号)
元満州国等政府職員の恩給に関する請願(福永
健司君紹介)(第五八六号)
恩給(共済年金)の格差是正に関する請願(島
上善五郎君紹介)(第五八八号)
同外一件(井岡大治君紹介)(第六七六号)
同(砂田重民君紹介)(第七〇八号)
同外四件(井岡大治君紹介)(第七七九号)
公務員の賃金引き上げ等に関する請願(島上善
五郎君紹介)(第六七七号)
平和の日制定に関する請願(西村関一君紹介)
(第六七八号)
公務員の給与改定に関する請願(山内広君紹介)
(第六七九号)
公務扶助料増額に関する請願(池田清志君紹介)
(第七〇七号)
金鵄勲章年金復活に関する請願(池田清志君紹
介)(第七三二号)
同月十二日
恩給(共済年金)の格差是正に関する請願(大
出俊君紹介)(第八三四号)
同(野間千代三君紹介)(第八三五号)
人事院勧告完全実施に関する請願外八十二件
(中村重光君紹介)(第八三六号)
旧軍人等の恩給に関する請願外三十二件(青木
正君紹介)(第八六七号)
同(秋田大助君紹介)(第八六八号)
同(大竹太郎君紹介)(第八六九号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第八七〇号)
同(渡海元三郎君紹介)(第八七一号)
同外四件(岩動道行君紹介)(第八九七号)
同(遠藤三郎君紹介)(第八九八号)
同外一件(岡崎英城君紹介)(第八九九号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第九〇〇号)
同 (小坂善太郎君紹介)(第九〇一号)
同 外一件(田川誠一君紹介)(第九〇二号)
同(田中彰治君紹介)(第九〇三号)
同(塚田徹君紹介)(第九〇四号)
同(上林山榮吉君紹介)(第九四一号)
同(河本敏夫君紹介)(第九四二号)
農林省蚕糸局の機構縮小反対に関する請願外一
件(江崎真澄君紹介)(第八七二号)
同外一件(塚田徹君紹介)(第八七三号)
同外九件(浦野幸男君紹介)(第九〇五号)
同外一件(江崎真澄君紹介)(第九〇六号)
同(仮谷忠男君紹介)(第九〇七号)
同(天野光晴君紹介)(第九四六号)
同(伊東正義君紹介)(第九四七号)
同(野口忠夫君紹介)(第九四八号)
同外十件(福井勇君紹介)(第九四九号)
同(福田赳夫君外四名紹介)(第九五〇号)
同(保科善四郎君紹介)(第九五一号)
同(湊徹郎君紹介)(第九五二号)
同(粟山秀君紹介)(第九五三号)
旧軍人等の恩給に関する請願(有田喜一君紹介)
(第八九六号)
公務員の賃金引き上げ等に関する請願(村山喜
一君紹介)(第九〇八号)
米空軍板付飛行場内の用地買収に関する請願
(進藤一馬君紹介)(第九四三号)
同(中島茂喜君紹介)(第九四四号)
同(中村寅太君紹介)(第九四五号)
同月十四日
臨時行政調査会の答申及び国家公務員法の改悪
反対等に関する請願(加藤進君紹介)(第一〇四
八号)
同(川上貫一君紹介)(第一〇四九号)
同(林百郎君紹介)(第一〇五〇号)
同(谷口善太郎君紹介)(第一〇五一号)
憲法改正反対に関する請願(谷口善太郎君紹
介)(第一〇五二号)
国家公務員の賃金引き上げ等に関する請願(谷
口善太郎君紹介)(第一〇五三号)
農林省蚕糸局の機構縮小反対に関する請願(宇
野宗佑君紹介)(第一〇八〇号)
同外一件(江崎真澄君紹介)(第一〇八一号)
同(田村良平君紹介)(第一〇八二号)
同(上村千一郎君紹介)(第一三八七号)
同外一件(江崎真澄君紹介)(第一三八八号)
同(竹山祐太郎君紹介)(第一三八九号)
同外三件(海部俊樹君紹介)(第一五五八号)
同(澁谷直藏君紹介)(第一五五九号)
同外一件(谷垣專一君紹介)(第一五六〇号)
同(八田貞義君紹介)(第一五六一号)
同(濱地文平君紹介)(第一五六二号)
旧軍人等の恩給に関する請願(上林山榮吉君紹
介)(第一〇八三号)
同外九件(小澤佐重喜君紹介)(第一三八五号)
同外一件(千葉三郎君紹介)(第一三八六号)
同(上林山榮吉君紹介)(第一五六三号)
恩給、年金受給者の処遇改善に関する請願(早
稻田柳右ェ門君紹介)(第一〇八四号)
公務員の賃金引き上げ及び労働基本権の確立等
に関する請願外一件(平林剛君紹介)(第一三八
四号)
国家公務員の給与引き上げ等に関する請願(大
出俊君紹介)(第一五六四号)
同月十五日
旧軍人等の恩給に関する請願外一件(青木正君
紹介)(第一六七九号)
同(上林山榮吉君紹介)(第一六八〇号)
同(井出一太郎君紹介)(第一七六二号)
同(小沢辰男君紹介)(第一七六三号)
同(加藤高藏君紹介)(第一七六四号)
同(加藤常太郎君紹介)(第一七六五号)
同外一件(上林山榮吉君紹介)(第一七六六号)
同外七件(椎名悦三郎君紹介)(第一七六七号)
同(壽原正一君紹介)(第一七六八号)
同外十件(塚原俊郎君紹介)(第一七六九号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第一七七〇号)
恩給、年金受給者の処遇改善に関する請願(高
橋頭一君紹介)(第一六八一号)
在外私有財産補償促進に関する請願(小坂善太
郎君紹介)(第一六八二号)
農林省蚕糸局の機構縮小反対に関する請願(亀
岡高夫君紹介)(第一六八三号)
同外一件(川崎秀二君紹介)(第一六八四号)
同(小島徹三君紹介)(第一六八五号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第一六八六号)
同外一件(田村元君外一名紹介)(第一六八七号)
同外一件(玉置一徳君紹介)(第一六八八号)
同(古井喜實君紹介)(第一六八九号)
同外一件(松澤雄藏君紹介)(第一六九〇号)
同外一件(青木正君紹介)(第一七七二号)
同外五件(浦野幸男君紹介)(第一七七三号)
同(大橋武夫君紹介)(第一七七四号)
公務員の賃金引き上げ等に関する請願外四件
(茜ヶ久保重光君紹介)(第一七五〇号)
公務員賃金引き上げに関する請願(坂本泰良君
紹介)(第一七五一号)
恩給(共済年金)の格差是正に関する請願外十
三件(井岡大治君紹介)(第一七七一号)
刑部日羅公の贈位に関する請願(小川平二君紹
介)(第一七七五号)
公務扶助料増額に関する請願(椎熊三郎君紹
介)(第一七七六号)
米海軍厚木航空基地移転に関する請願(小金義
照君紹介)(第一七七七号)
は本委員会に付託された。
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十二月十五日
中小企業省の設置に関する陳情書
(第五四七号)
同(第五四八号)
臨時行政調査会の蚕糸局整理縮小案反対に関す
る陳情書
(第
五四九号)
在外資産の補償に関する陳情書
(第五五〇号)
同(第五
五一号)
同(第五五二号)
同
(第五五三号)
同(第
七〇六号)
同
(第七〇七号)
統計調査制度等改善に関する陳情書
(第五七〇号)
元満州開拓関係者の処遇に関する陳情書
(第六〇五号)
恩給及び年金受給者の処遇改善に関する陳情書
(第七三二号)
青少年対策推進に関する陳情書
(第八〇一号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
法務省設置法の一部を改正する法律案(第四十
六回国会閣法第五九号)(参議院送付)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/1
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002・河本敏夫
○河本委員長 本案は、御承知のとおり、第四十六国会におきまして本院において修正議決の上参議院に送付いたしましたものを、参議院におきまして継続審査に付し、今国会におきまして可決して本院に送付してまいったものであります。
したがいまして、この際本案の趣旨説明を省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/2
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003・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/3
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004・石橋政嗣
○石橋委員 大臣も参議院の本会議のほうの出席の都合があるということですから、簡単に御質問したいと思うのですが、これは法案に関したものではなくて、昨日の毎日新聞の夕刊に出ておりました記事を読んでおりますうちに、ぜひお伺いしておいたほうがいいのじゃないかという感じがしましたので、お尋ねするわけです。
大体のことは新聞で御承知じゃないかと思うのですが、十一月十九日に法務省羽田入国管理事務所審査課第二班の審査官、薦田典史さんですか、この人が夜勤に出かける途中、自宅近くの東海岸バス停留所わきの砂地に軽四輪車が後輪をとられてめり込んだのを見て、あと押しを手伝っていた。車のうしろのバンパーを持ち上げようとしたところ、車があとずさりして腰くだけになり、第一腰椎圧迫骨折という重傷を負った、こういう事故の内容が報ぜられておるわけです。このことに関して、出勤途中であるからというので、公務傷病の扱いができないという見解をとっていられるようですが、これは善意に基づく行為から発したことでもあるし、出勤途中のことでもあるし、あまりにも気の毒であるというので、所長から十一月二十七日に法務大臣に事故の経過の説明書をつけた上申書を提出して、何とか公務扱いをしてもらえないものだろうかという相談がかけられておった、こういう報道であります。ここに入国管理局の総務課長の談話も出ておるわけでございますが、要は大臣の判断ということになっておりますし、この点もう少し経過がわかっていましたら、事務当局からでもけっこうです、現段階における検討の状況等につきまして、まずお知らせを願いたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/4
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005・八木正男
○八木説明員 私どものところへ来ております報告の趣旨は、ただいま御質問のとおりでございます。本来出勤途上であるということで、そのまま直ちに公務傷害に結びつくかどうか、非常に問題があるのでありますけれども、非常に気の毒なケースでございますので、何とか好意的に計らいたいと思っていろいろ努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/5
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006・石橋政嗣
○石橋委員 この出勤途中あるいは退庁時というのは非常に微妙で、私も何度もこういうケースを扱ったことがあるわけでございます。これは個人的な動きをしておる段階ではないわけです。いわゆる勤務時間につながった一連の行動というふうに考えられるものがあるので、ケースによっては非常に好意のある扱いを各省において、あるいは実際に労災なんかの関係なんかでも認めてもらっているケースがあるわけです。これは遊びに行っているわけでも何でもない、いわゆる勤務に行く途中であるというふうな際の問題でもありますし、たとえば一つの例をあげますと、郵便局の職員がけがをしたような場合でも、その人が保険業務に携わっておる人であるならば、出勤途中あるいは退庁の際にでも勧誘をやるということは、従来の例からいってもある。したがって、これは当然公務扱いをすべきであるというような措置をとってもらったことが、再三ございます。皆さんのほうで好意的に扱おうと思えば、出勤途中という厳然たる事実があるわけでございますから、救済することができるのじゃないかという感じを持っておりますので、ひとつ積極的に、こういう善意に基づく行為によって起きた事故でございますから、みんなに喜ばれるような措置をとっていただきたいと思うのですが、大臣の決意をひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/6
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007・高橋等
○高橋(等)国務大臣 このケースは、職員として全くうれしい行為をやってくれたものと私は考えます。それらのいろいろなことで、実はまだ報告が上がっておりませんが、私としましても、十分好意のある扱いをしてみたい、こういう考えでおりますから、いずれもう少し検討をする時間をお与え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/7
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008・山内広
○山内委員 関連して。ちょっといまの問題でお願いというか、私どもぜひこの問題を明らかにしていただきたい。というのは、最近御承知のとおり、産業災害が非常にふえておりまして、非常に問題になっておる。もう一つは、労働基準法ではどういう考え方に立っているのか、これは労働省とも十分打ち合わせていただきたい。これは、何もこの問題が美的な行為であるから好意を持ってやるだけでなく、こういう出勤、退庁時間の災害というものをどう処理するかということは、これは数千万の労働者の共通した利益を守ることになりますから、ぜひこの点は明らかにして、悪い先例をつくってもらっては困る、労働者に不利な先例にならないような処理をしてもらいたい。現在各現業で働いているところは、大体出勤、退庁というものは勤務と認めて、その間のこういう災害というものは公務員傷と認めている現実があるわけです。それを法務省のあなた方が、法文解釈だけにあまりこだわって、そうして不利な解釈をするということは、非常に不利益を全労働者に及ぼすわけです。ぜひこの出勤、退庁時における——本人の重大な過失とか悪意があれば別ですけれども、こういう正当な災害については、公務の取り扱いをする、こういう解釈を厳然とつくっていただきたい。この点を大臣に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/8
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009・高橋等
○高橋(等)国務大臣 全般的の問題としましては、関係省と十分打ち合わせをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/9
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010・河本敏夫
○河本委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/10
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011・受田新吉
○受田委員 二点だけ。第一は、法務省の局長、特に管理職の地位にある局長のポストは、検事をもって充てることができるものと、しからざるものがある。ところが、私しばしば指摘していると思うので、きょうお答えを願いたい。
法務省設置法の規定の中にも、検事による充員規定が十七条に書いてあるわけでございますけれども、検事をもって充てる職種は、そのポストにつく場合に、検事の任務と職務を行なわないにかかわらず、検事の給与を出しているという事例を私しばしば指摘したのですが、一方入国管理局長のようなポスト、五つほど検事をもって充てないポストがあるのでございますが、この五つの局長は、そこのポストにつく際に、入国管理局長などに例をとりましても、前に大使をやった人の給与をちゃんと引き下げて給与が決定されておる。検事の高い給与をもらってその検事の職務を行なわないポストにあるもの、一方では新しく局長に就任すると同時にその局長の職務の給与をもらっている局長と、二つ法務省に系統があるようでありますが、一体これはどうしたことか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/11
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012・高橋等
○高橋(等)国務大臣 法律できめられておりまするいわゆる事務充当検事、法務省の本省へ検事が勤務をいたします、それを法律で百三十三名まで認められていることは、御承知のとおりであります。そこで、検事をもって充てなければならないという職種は、あるわけではないのであります。ただ、非常に専門的な、またそうした経験を持った人を充てることが運用上非常に大切だということ、それからまた、法務省へ入りまして、検事の身分を持たないでも、相当な経験をこれから経てまいりますれば、そうした人たちにも重要なポストについていただくという考えでおりますが、まだ局長になるような方は、年数がそこまできておりませんというようなこともあるのです。それから御指摘の現場からこちらにきた場合に給与が下がる、こういうことは、実際は従来あったのであります。事実あったのです。それはいわゆる管理職手当などが法務省の本省へつとめておりまする検事については認められないという妙なことが、実は最近までありました。そういうために、法務省へ来ると、現場では管理職手当をもらっておった人が、法務省へ来たためにもらえない、こういう欠点が実はありました。これはいろいろ人事問題として重要なものとして取り扱いまして、今度の裁判官、検察官の給与の改定にあたりまして、この管理職手当も本俸に繰り入れることになりました。したがいまして、今後は御指摘のような事案は起こらない、こうお考えを願ってけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/12
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013・受田新吉
○受田委員 そうすると、はっきりしたわけですが、たとえば検事が検事長などをやり、あるいは総長をやる場合もあるでしょうが、法務省へ入ってきたという場合に、給与は法務省の管理職たる局長の給与に切りかえるということができるようになるのですか。検事の給与でなくて、局長の給与を出すことになるのか。そういう方向へ持っていこうということですか、はっきりしてもらいたい。充て検の給与はどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/13
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014・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ただいまの発言につきまして御説明いたします。
今回の給与改定によりまして、法務省の局長が検事給でなくなるというわけではございません。その点は、従来どおり、検察庁の現場から法務省の局長になるということになりますと、通常は検察庁で受けておりました検事の俸給をそのまま法務省の局長になりましても受ける、こういう形になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/14
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015・受田新吉
○受田委員 それをけしからぬことだと、いま指摘しておったのです。特命全権大使をやっている人が、入国管理局長にはよくなります。そのときは、特別職の給与表の大使の給与をそのまま持ってくるわけではない。局長の給与しか出さない。一方検事から局長の職につく人には検事の給与を出しておる。特別職の該当者から来る分は、法務省の局長の給与を出しておる。ここに問題がある。同じ法務省の中で、一方は下げ、一方には前のいいほうをとる、そんなばかげた、バランスのくずれたようなやり方はけしからぬじゃないかとお尋ねしておる。そのお答えをお願いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/15
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016・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御説明申し上げます。
御承知のとおり、法務省の担当しております所掌事務の中には、民事、刑事の基本法の立案とか、それから司法制度に関する問題、それから検察の人事その他検察庁に関する事項等、法律の専門的な素養のある人がこれに当たることが望ましい、あるいはまた検察事務に精通している者がこれに当たるのが望ましいという仕事が、多々あるわけでございます。そこで、本来なれば、ただいま御指摘のように、そういう人を得まして、あるいは部外からでも得まして、その人にこういう仕事を担当させるというのが最も合理的な方法なのでございますけれども、現在の実情では、外部の、たとえば法曹資格をお持ちの弁護士の方に入っていただくということが、実際問題として非常に困難でございますので、これは部内でそういう法律家を求めるということになりますと、法務省といたしましては検事以外にはないわけでございます。そこで現地の検察庁におります検事を法務省に回しまして、法務省の事務を担当させるということにしておるわけでございますが、その場合に、ただいま御指摘のような給与の格差がございます。これは裁判官にならいまして、検察官につきましても、一般の行政官よりも給与が比較的高く定められておりますので、これを検察庁から法務省に移しまして、給与を格下げして法務省の職員として使うということは、きわめて困難なことでございます。そういう事情でございましたので、昭和二十三年に、法律によりまして検事の肩書きを持って法務省の事務に従事させる、いわゆる法務省の職員のうち一部は検事をもって充てる、こういうことが認められたわけでございます。それからその数につきまして数次の改正がございまして、結局ただいまのところ、百三十三名だけはそういう措置が認められるということが、法務省設置法で定められているわけでございます。そこで、現在はその範囲内でそういうようにいたしているということに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/16
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017・受田新吉
○受田委員 それが間違いだと私は指摘しているのです。つまり検事の給与を出して、検事の仕事をしているわけではないのです。いま御指摘の検事給与を、検察官の俸給等に関する法律の適用を受けるその人が、法務省へ来た限りは、検事の職務を行なっておるのですか、行なっていないのですか、これははっきりお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/17
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018・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 法務省の職員としての仕事を行なっているのでございまして、本来の検察官の仕事をしておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/18
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019・受田新吉
○受田委員 それであれば、検事の給与を出すのが間違いであって、法務省の局長の給与を出すべきです。法務省の局長の仕事しかしていない。ただ検事という肩書きを持ってきたというので検事の給与を出す、そういう不合理な給与制度というものは、あり得ないですよ。検事の仕事をやっていない人に高い検事の給与をやって、実際は法務省の局長の仕事をやっている、こういう矛盾をこわさなければならない。特に入国管理局長などは、大使の地位からそこへ来てくださっているのです。その人は、特別職の大使の給与、やはり検察官と同じように特別の給与の適用を受けている人が、それをやめて安い給与で入ってきているのに、検事のほうは高い給与で、都会のいいやり方をしている。同じ法務省の中に二つの系統のあることに、私ははなはだ不審を持っている。伏魔殿といわれてもこれはしようがない。大臣、あなたは、この機会にこの伏魔殿を解消してもらいたいです。つまり筋の通った管理職の給与という制度をこの際はっきりきちっと確立しておかないと、法務省に対する批判は相当手きびしくなると思うのです。それから行政系統からいっても、給与制度からいっても、間違いです。あなたはひとつ英断をふるってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/19
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020・高橋等
○高橋(等)国務大臣 御指摘のような意見もありますが、実際問題として検事の職を行なっている者の中から連れてくる必要が、いまの段階ではあるのであります。その際に、給与を下げて連れてくる——実はいままではそういう状況もあったのであります。給与を下げて持ってくるなり、持ってくるときは同じ給与で持ってきても、そこにつとめているうちには管理職手当その他の関係で現場と非常に差ができたのをくっつけた。それがいかぬといま受田さんおっしゃるのですが、実際の運用上の面からいいますと、これはやむを得ない措置である、私はそう考えております。
それからいまの入管の問題なんかにつきましても、一応考えられることは、大使から来た場合には俸給が下がるのじゃないかということは言えます。しかし、実際問題としての扱いは、俸給が下がるような人を入管局長に最近迎えておらないのです。要するに、待遇が下がるということのないように実はやってまいっておる。しかし、いまの充足検事の問題も、先ほど言いましたように、法務省に事務系統で入った人がだんだんと養成されてまいりまして、相当の年月がたって十分これはやれるということになれば、だんだん本省の検事の数は減ってまいる。これは減ってまいらなければ、法務省につとめる希望が一般の人はだんだん薄らいでくるでしょうから、そうした措置をとっていくことは、先行きは考えられる。しかし、現在の過渡期の問題といたしましては、一応給料を下げてよこすということがなかなか困難である事情を御了承願いたいと思いますし、そのために百三十三名という検事をもってこれに充てるという法律ができ、そして給与の点でもそういうことをやっておるわけです。この点は、ひとつ受田さんに過渡期の問題として御了承をお願いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/20
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021・受田新吉
○受田委員 大臣、あなたは一つ間違いをしておられるのです。大使の地位から法務省の局長に入った者は給与が下がっていないとおっしゃったが、明らかに下がっていますよ。相当額の引き下げです。大使の等級は五等級ある。そのどのポストにある人が法務省の局長としてどこに行っているか、いまの局長さんの場合を例にとって担当政府委員から御説明を願いたいと思うのです。はっきりしていただきたい。前にもらった大使の給与よりもはっきり下がっていないとおっしゃったから、これは大臣の言明ですから、重大なことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/21
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022・八木正男
○八木説明員 どうも個人的な事情になりますが、私個人のケースで申しますと、実は入管に参りますまでもらっておりました月給といいますのは、私不勉強で総額が幾らで税が幾らということを詳しく存じておりませんが、もらっておりました月給は大体九万円くらいでございました。そして海外に出ておりますと、在勤俸が出ますので、実は大使の本俸というものはあまり考えなくともいいのでありますが、内地に帰りまして入管に参りまして、そのとき法務事務次官から私非常に好意的に考慮をいただいて現在の号俸にきめていただきましたが、それによりますと、毎月の収入は大体大使の本俸と同じくらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/22
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023・受田新吉
○受田委員 八木さん、これは大使の俸給のほうがはるかに高いのです。局長の一等級のどこに号俸を持ってこられても、はるかに下げられると思います。この点大臣は十分検討されて——これは個人的な問題じゃなくて、公的な問題です。私的問題じゃないのです。給与制度全般の問題、管理職の職務の遂行上の正当な給与ということで、法務省として十分検討していただきたい。
もう一つ大臣に一言だけ伺っておきたいのは、前の賀屋さんのときに私がお尋ねをした人権上の問題として、死刑執行の方法について私警告を申し上げておきたい。こういう絞首刑の制度は非常に残酷な方法であるから、今度の法案でも刑務所の位置が二つ変わることになっておるので、変わる機会にひとつ死刑執行の方法について、人権尊重という上から、人間の生命を断つものですから、首を絞めてつり下げるような非情なる方法を用いることをおやめ願いたい。もっと楽な安楽死的な方法をとるべきじゃないか。それが一つ。
それから死刑執行権はあなたが握っておられる。歴代の法務大臣はなかなか人を殺すことに判を押さないということで事務が渋滞しておるが、大臣は十分これを御検討になって、大臣になられた瞬間においらの判によってどれだけ殺されるかをずいぶん考えられたと思いますが、このことについて、死刑執行の責任者である高橋法務大臣としては、死刑執行の遅延ということを人権尊重の上から適当であるとお考えになっておられるかどうか。これは決して隠す問題ではなくて、罪を犯す人に、こういうことは非常に重大な結果が出るぞということを自覚させるのにも大事なことであるし、それから私、刑務所を訪問して死刑執行の場所を見せてくれと言ったが、これは絶対見せられないのだと言われておりますが、死刑執行の場所をよく見ておけば、もう罪を犯すことがはなはだ残酷な最期を遂げるのだという印象を国民に与えることになりますから、死刑執行場は思い切ってオープンで国民に見せておく、こういうことが必要じゃないかと思うので、こういうこともあわせてひとつ大臣の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/23
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024・高橋等
○高橋(等)国務大臣 死刑の方法につきましては、なお御意見がございますから、研究をいたします。
また、その他お述べになりましたことですが、これは法務大臣に課せられました厳粛なる職務でございます。そうした自覚の上で私は考えておるのでございます。これ以上の御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/24
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025・受田新吉
○受田委員 そこで、死刑執行場を一般に公開することの許可がなぜできないのか、このことの事情を、事務当局でもけっこうですから伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/25
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026・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 死刑執行の場所は、いま御指摘のとおり、一般には公開いたしておらないのであります。これは各国の例を見ますと、完全に調査いたしたわけではございませんが、アメリカのように場所を公開して見せておるというような国もあるように聞いております。しかしながら、先ほどから御指摘のとおり、死刑ということは非常に重要な問題でございまして、その場所を一般に見せるということが、御指摘のようにいい面で働くこともあるかと存じますけれども、また他面よくない影響を与えるという面もあるのではないかというふうに考えまして、現在までのところは一般には見せておらないという状況でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/26
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027・河本敏夫
○河本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
これより討論に入るのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。
法務省設置法の一部を改正する法律案について採択いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/27
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028・河本敏夫
○河本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/28
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029・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/29
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030・河本敏夫
○河本委員長 次会は、明十八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104704889X00419641217/30
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