1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十一日(火曜日)
午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 長谷川 峻君
理事 進藤 一馬君 理事 關谷 勝利君
理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
理事 矢尾喜三郎君
有田 喜一君 浦野 幸男君
小渕 恵三君 木村 俊夫君
田澤 吉郎君 壽原 正一君
塚原 俊郎君 西村 英一君
小川 三男君 勝澤 芳雄君
泊谷 裕夫君 野間千代三君
山口丈太郎君 内海 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
出席政府委員
運輸事務官
(大臣官房長) 堀 武夫君
運輸事務官
(海運局長) 若狹 得治君
委員外の出席者
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 山中 義一君
運輸事務官
(海運局参事
官) 高林 康一君
海上保安官
(警備救難部
長) 猪口 猛夫君
専 門 員 小西 真一君
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五月七日
自動車運送事業免許制度の維持強化等に関する
請願(天野公義君紹介)(第三六八六号)
地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅開設に
関する請願(山田彌一君紹介)(第三七六〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
港則法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
〇八号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/0
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001・長谷川峻
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
港則法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
この際、本案について補足説明を聴取いたします。若狭海運局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/1
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002・若狹得治
○若狭政府委員 提案理由の説明について、若干補足いたしますと、この港則法という法律は、港内における船舶交通の安全と港内の整とんをはかるために、港内の船舶に対して一定の行為を制限したり、あるいは、特別の航法によらしめる等の義務を課したりしておる法律でありますが、その適用範囲である港の区域につきましては、その第二条で、別に法律でこれを定めると規定しております。この規定に基づき制定されているのが港域法でありまして、この法律の中では、約五百の港につきまして、港の区域を直接、詳細に定めております。したがいまして、このような制度のままでは、提案理由説明にありましたように、最近のように港湾事情が急速に変化してまいりますと、法改正をするまでは、港域が著しく実情にマッチしない、ひいては、港内の交通安全規則の適用も適正を欠くという状態が避けられなくなっております。このため、この際、変動する港湾事情に対応して、臨機に適正な港の区域を設定することができるよう港則法第二条を改正し、港の区域を政令で定めることとした上で、港の区域のみを定めておりました港域法を廃止しようとするものであります。
次に特定港の問題でありますが、この特定港は、大型船舶が出入し特に船舶交通がふくそうして、一般の港のように単に航法等の規則を適用するのみでは不十分で、海上保安庁の港長を配置しまして、危険物積載船舶の指揮や信号による航行の管制等を行なう必要がある港でありまして、現在五十八港が直接港則法の別表で指定されているのでありますが、これも、先ほど、一般港の指定について申し上げましたと同様の事情で、著しく変動する港湾交通事情に対応し、必要な港について港長業務の執行体制を整備して特別の交通規制を行なうことができるようにする必要があるのであります。このため、この特定港の指定も政令によって行なうこととしたものであります。
以上簡単でございますが、この法律案を提出いたします理由を補足して御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/2
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003・長谷川峻
○長谷川委員長 質疑の通告がありますから、これを許します。内海清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/3
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004・内海清
○内海(清)委員 港則法の一部改正の法律案につきまして、ごく簡単に御質問申し上げたいと思いますが、今日港の状態は、この提案理由の説明にもありますように、わが国の経済の発展に伴いまして、港湾の取り扱いの貨物量が非常に増大した。あるいはまた大型船あるいは新しい型の船の出現等によりまして、港を利用する船舶の質量ともに非常に変動した。いわば港湾事情が非常に変化したということであります。これに対応いたしますように、この港則法が改正せられることは当然だと考えるのであります。そこで私、一、二御質問申し上げたいと思うんでありますが、特に瀬戸内におきまするこの海域の航行の安全の問題点であります。瀬戸内海におきまする掃海が完了し、近く瀬戸内海の特定水域がこれによって解除される、こういうふうに承っておるのでありますが、掃海が完了して特定水域が解除されるのは大体いつの見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/4
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005・若狹得治
○若狭政府委員 瀬戸内海の掃海が一応完了いたしましたのは昭和三十九年三月末でございます。したがいまして、従来掃海水域を指定いたしまして、特定水域航行令によって指定することによって船舶の航行の制限をいたしておりましたものを、七月一日に政令を公布いたしまして、九月一日より実施するという予定で現在この廃止の手続きを進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/5
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006・内海清
○内海(清)委員 そういたしますというと、特定水域を解除して航行の自由と申しますか、こういうふうなことが行なわれるということでありますが、特にこの特定水域を解除するという理由、この点についてひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/6
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007・若狹得治
○若狭政府委員 掃海水域につきましては、特定水域航行令の中で、第一条に、非常に交通ふくそうする区域について一般的な特定水域があるわけでございます。それと別個に掃海が完了しない瀬戸内海の狭い水道の水域について特別に特定水域を指定しておるわけでございます。これにつきましては、掃海が完了いたしました現状におきましては特に制限する必要がございませんので、これは廃止するということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/7
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008・内海清
○内海(清)委員 掃海も完了した、このことによって特定水域をすでに設ける必要がなくなるということで解除されるのだと思いますが、そういたしますと、航行の安全という点から考えまして、大型船と漁船、その他雑船等が同じように航行する、こういうことが出てくると思います。そうすると航行の安全というものが脅かされるのじゃないか、つまり大型船の航行に危険が生じてくるのじゃないか、ことに瀬戸内におきましては、狭い海域においてこれら多くの船が航行いたしておるのでありまして、最近の船舶の航行量というものは非常な数にのぼっておると思うのであります。ここでそういう危険が生じはしないか、こういうことでありますが、これに対しまする御見解をひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/8
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009・若狹得治
○若狭政府委員 特定水域航行令に、御承知のように特定の水域における船舶の航法について規定しておるわけでございます。特に漁船等の関係につきましては、航路筋で漁労してはならない、回避しなければならないという規定があるわけでございます。しかし、航路筋につきましては、海上衝突予防法二十六条のただし書きがございまして、航路筋で漁船が本船の進路を妨げてはならないという規定もございますので、その適用によって航路筋は確保されるわけでございます。ただ、いま御指摘のような瀬戸内海の非常に船舶航行のふくそうしているところ、たとえば明石海峡等につきましては、すでに特定水域航行令のような、単なる航法指定だけではとうてい処理できないという実情になるのではないか、したがいまして、われわれは現在海上航行安全審議会において、瀬戸内海の航行についてどういう対策をとるべきか、早急に案を立てて、これを実施に移したいということで検討を進めておるわけでございます。単なる特定水域航行令のようなものではまかない切れないというのが実情ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/9
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010・内海清
○内海(清)委員 運輸省でも、特定水域が解除されまして、航行が自由になってまいりますと、その点心配しておられると思うのですが、それを海上航行安全審議会で十分審議してやるというのでありまするが、これは早急にやられませんと、従来においてもなお多くの危険があったのであります。瀬戸内におきまする海難の状況から見ますと、もしこれが解除された場合には、そういう何らかの規制の処置というものが緊急の問題になると思うのであります。大体いつごろ結論が出る見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/10
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011・若狹得治
○若狭政府委員 まだ結論を出す時期まで明確にいたしておりませんけれども、本年に入りまして、特定水域航行令の問題に関連いたしまして、瀬戸内海の掃海水域の廃止にかわりまして、特定水域をさらに存続させるかどうかということをいろいろ検討いたしまして、海上航行安全審議会におきまして検討いたしました際に、これではとうていまかない切れないところが多いのじゃないかということで、特別に小委員会を設けまして、現在検討を進めておるわけでございますが、できるだけ早く結論を出していただきたい。われわれのほうもそういう方向で努力いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/11
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012・内海清
○内海(清)委員 そうすると、現在海上航行安全審議会で審議されておる状態は、今日まで特定水域の航行が規制されておったよりも、特定水域は解除されるけれども、むしろ航行については規制が強化されるという方向でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/12
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013・若狹得治
○若狭政府委員 特定水域航行令のような規制の方法ではなしに、根本的に考え直すべきではないか。ことに明石海峡等については全く新しい航法で船舶交通の規制の問題を検討し直すべきではないかというのが海上航行安全審議会の考え方でございまして、われわれはそういう方向でできるだけ新しい規制方法あるいは新しい航行方法というものについての結論を出していただきたいということを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/13
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014・内海清
○内海(清)委員 新しい一つの航法ということでありますが、これは従来の特定水域の航行法よりも変わった形のものということでありますが、実際の航行にあたってそう特別な航法がとれるかどうかということもありますが、大体どういうふうな構想か、できればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/14
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015・若狹得治
○若狭政府委員 まだ具体的な方法まで議論する段階にはいっておりませんで、現在の瀬戸内海の交通の状況というものを十分把握するというところで、現在各関係方面の意見を聴取いたしておるのが実情でございます。水産関係、それから海運関係等の各方面の意見を現在聞いておりまして、それによってその実情を把握した上で新しい考え方を打ち立てようというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/15
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016・内海清
○内海(清)委員 現在なお構想がまとまっておらぬようでありますが、このことはこの法令が施行されますと直ちに問題になることだと思うのです。でありますから、この法令が施行されれば早急にそれが生まれなければ、ことに瀬戸内海のごときふくそうしておるところでは、海上の危険が生まれてくるということで、それがいまだなお大体の構想さえも見通しがつかぬようでは、その間もしこれが行なわれて、そういう海難でも起きた場合には、当然これは監督官庁である運輸省の責任になる。でありますから、これは早急にやられなければならぬが、いまだなお見通しがつかぬようでは、この問題はこの法案が通過すれば直ちに施行されるということでは問題が残るのじゃないか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/16
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017・松浦周太郎
○松浦国務大臣 いまこの法案をひとつ通してもらいまして、私は二つの考え方があると思うのです。一つは、応急的に、この港則法によって御指摘のような航法に瀬戸内海を直していくという方法、これが応急的な問題であります。恒久的なビジョンとして持たなければならぬもの、それはたぶん新産業都市は瀬戸内海、小松島を入れると四カ所だったと思いますが——ということで、また後進工業都市の問題も相当指定しておるはずであります。私どもの考え方は、ドイツのエルベ川とかライン川というような一つの運河にしたい、その周辺に日本の工業を集中したい、そして東京や大阪や神戸のような、こんな亜硫酸ガスでのどを痛めるというようなところをだんだんそっちに集中したいと思うのです。生産コストも安くあがるのです。だんだんとそっちへ移していきたい、そうすれば人口の分布においてもよくいきますから。いまは港則法はこれでいきますが、将来それくらいの規模をもって瀬戸内海の周辺に日本の鉱工業を集めるということは、原料を持たない国、また外へ製品を売り出さなければならない国では、そういう運河の周辺に工場を持つということは、何よりも生産を安くあげる、コストを安くあげるゆえんでありますから、そういう方向にいくために、現在も備讃瀬戸を政府のほうでは十五メートル、それ以上に必要であるならば、利用者のほうで十六メートルでも十七メートルでも掘ってくれということをやっております。児島湾も同様であります。
もう一つの隘路は、来島海峡の問題でありますが、この来島海峡の問題についても、両方通れるようにしたいということで、いま局長の答えられました明石海峡のみならず、そういう隘路をどんどんと片づけて、日本における一つの工場地帯の運河にしたいというのが私どもの持っている考え方であります。
それでは、いますぐはどうかといえば、いまはひとつこれを通して応急対策にしたい。将来はそこまで考えて、一方は紀州の和歌山、こっちへいけば小松島ということになり、それから瀬戸内海全体はあれを運河にしまして、そして豊後水道のほうに分かれていく、全体を日本の工業地帯にするということで、こういうところに集まって、人口一千万も一千五百万も来ることのないような方向にお互い一つの創意を出すべきではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/17
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018・内海清
○内海(清)委員 いまお話しの点は、私どもこれは全く同感です。当然そうなっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。ただ私の申し上げることをお考え願いたいのは、これによっていわゆる特定水域が今度は解除される、したがって、大型船も漁船も同じように航路を航行できるわけです。そこで航行上の危険はないかということであります。ところがそれについては船舶の海上航行安全審議会で、これが解除されてもそういう危険のないような特別な航法についていま審議中であるということであります。そうすれば、その過渡期においては、この法が適用されれば、当然特定の水域というものがなくなるのでありますから、いま審議されておる次の特別な航法が出てくるまでの間において、いままでよりも一そう危険が増大しはせぬか、こういうことを言っておる。それをどうするか。もしその間に大きな海上の災害でも起きれば、これは当然監督官庁である運輸省の責任になるのではないか、こういうことを申し上げておる。その点についていまお尋ねしておるのであって、大臣のお話しの点につきましては、私どももちろん、瀬戸内海地方に住んでいるのですが、当然そうなってこなければならぬと思う。特に国民人口の状態、産業の開発の状況から見まして、当然そうなるべきであるということを考えております。でありますから、私の尋ねておるのは、その過渡期における処置なんですね、それをどう考えておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/18
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019・若狹得治
○若狭政府委員 特定水域航行令によって掃海水路の指定だけを現在廃止しようとしておるわけであります。これは播磨灘等の比較的船舶交通の少ないところだけでございまして、たとえば備讃瀬戸あるいは来島海峡というところの特定水域航行令の指定を取り消すわけではございません。したがって掃海水路に指定されております部分だけ、掃海が終わりましたのでこれを解除する、ただその際に、従来掃海水路について航行の規制が行なわれておったものを解除するということになった場合には、漁船と本船との航行の関係で不安がないであろうかというような問題が出たわけでございます。しかし、これにつきましては、先ほど申しましたように、海上衝突予防法の法律自体の適用によりまして、航路筋は保護されるわけでございますので、問題はないであろう。ただその際明石海峡等が非常に交通が混雑しているから、特定水域航行令の特定水域に指定したらどうかという問題が出てきたわけでございます。ただわれわれはその当時、そういうような特定水域航行令だけではもう現在まかないきれない状態になっているのじゃないだろうかということで、現在海上航行安全審議会で検討いたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/19
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020・内海清
○内海(清)委員 そうすると、この法の施行によって決して瀬戸内等においても航行上の危険は生じてこない、増大しない、こういうことがはっきり言えるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/20
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021・若狹得治
○若狭政府委員 特定水域の問題は衝突予防法の付属の政令でございまして、現在御審議いただいておりますのは港則法の関係でございます。したがいまして、直接の関係はないわけでございます。瀬戸内海の航行安全につきましては、現在検討中でございます。
それから港則法の改正というものは、これは港湾の区域につきまして、従来の法律によって定めておったものを政令によって臨機応変に定めていきたいという趣旨でございますので、瀬戸内海の航行安全の問題とは直接関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/21
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022・内海清
○内海(清)委員 瀬戸内海の航行の安全にさらにこれは支障はないということで、ことにさっき局長のお話のような明石海峡あたりは、従来から申しましても、一番船舶航行のふくそうして危険が多い個所である。こういうところにおきましても、決して従来より航行の安全を脅かされることはない、こういうことでありますから、これ以上は申し上げません。
私は最後に、いまお話しのような港域法もこれは廃止されますので、今後は政令で港域あるいは特定港を定めるということになっておりますから、現在あります海上航行安全審議会、こういうものに今後十分諮問して、意見を十分聞いて、そうして港域であるとかあるいは特定港、これらのことについて今後進めていただきたい。このことをひとり強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/22
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023・松浦周太郎
○松浦国務大臣 ただいまの御要望に対しましては、十分御意思の点を行ないまして、災害の起こらないように十分注意いたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/23
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024・長谷川峻
○長谷川委員長 久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/24
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025・久保三郎
○久保委員 港域法が港則法の中へ吸収されるわけでありますが、この吸収されることは提案説明で大体了解はできるわけです。ただ問題は、港域を設定する場合の手続、これはどういうふうな手続をやっているのか。手続というのは、言うならば一つの特定な港の区域を決定するわけですが、その場合、地元の関係、たとえば関係地方自治団体あるいは特に問題の多いのは漁業者との関係であります。漁業権との関係が当然出てくると思うのでありますが、そういう手続は従来どういうふうにしてやっておられるのか、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/25
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026・若狹得治
○若狭政府委員 実際の港域の決定の状況を申し上げますと、地方の海運局あるいは海上保安官署等に地方の申請がございましたときは、調査を指示いたしまして、地方公共団体、それから漁業関係あるいは海運関係と協議を行なわせまして、これらの意見の一致したものにつきまして、これを手続を進めるという状況になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/26
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027・久保三郎
○久保委員 そこで、港域の設定、新設と港域の変更、こういうものの発動はどこからしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/27
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028・若狹得治
○若狭政府委員 港域の変更につきましては、地元各団体が地方公共団体を通じて本省に上申してくるわけでございますので、そういう上申があった場合に、われわれのほうで検討を進めて、港域の変更の手続を進めるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/28
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029・久保三郎
○久保委員 関係団体から地方自治体の長を通じて運輸省に申請があれば、これをきめる、こういう御説明ですね。ところが、港域設定の場合、ともすれば船舶関係、海運関係、そういうものが主体になっておりまして、必ずしもこれと利害一致しない漁業団体、そういうものの意見はないがしろにされる傾向が事実最近多いと思うのです。港域を設定したあとで紛争が出るというのも間々聞いておるわけです。この手続については、別に政令なり規則なりというか、そういうものではきめてはありませんね。大体慣例というか、そういうしきたりというか、そういうものだけでおやりになっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/29
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030・高林康一
○高林説明員 御指摘のように、その手続につきましては、別に政令、省令その他の手続規定は設定されておりません。ただ、いま御指摘のございました漁業関係の問題につきましてはいろいろ利害関係が非常にございますので、私ども具体的な港域の設定または変更に伴います問題が出ましたとき、各地方海運局には、特に漁業団体の意見を十分求めるようにということを注意いたしまして、そういう旨を各地方海運局に指示しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/30
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031・久保三郎
○久保委員 そこで、水産庁にお尋ねしますが、港域の設定については当然合議があると思うのでありますが、合議されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/31
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032・山中義一
○山中説明員 資料はまいっております。それから現地のほうへは、われわれのほうは、漁業協同組合あるいは海区漁業調整委員会というものがございまして、これらには積極的にそういう場合には発言したほうがいいという趣旨のことを、これはかなり以前でございますけれども、通達を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/32
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033・久保三郎
○久保委員 そうしますと、合議じゃなくて、一応の通知があるという、これは水産庁としては非常に消極的じゃないか、こう思っておるのです。問題が起きてから、いま参事官が言うように、いろいろやるというのではなくて、最近漁業権と港の問題は非常に大きな問題になっているわけですね。その辺のことがどうも非常に積極的でない一思うのであります。たとえば、いまお話のあった海区調整委員会ですね、これはいわゆる漁業権の設定なり変更をきめる権限を持っているわけなのでありますが、これと重複するというか、そういうのがいわゆる港則法にいうところの特定港あるいは衝突予防法に基づくところの特定水域航行令、こういうのは当然競合してくるわけですね。漁業権として設定したところに乗ってくるというか、こういうことが、言うならば一方的にそちらもこちらも設定するということでは、うまくいかぬじゃないかと私は思うのです。そういう点をもう少しきちんと整備する必要があると私は思うのです。これはどう考えておりますか。これはむしろ水産庁として積極的にそういう制度というか、システムというか、を考える筋合いだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/33
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034・山中義一
○山中説明員 お説はまことにごもっともな点があると思いますが、水産庁といたしましては、旧漁業法以来の考え方といたしまして、港あるいは船舶の停泊運航というような点については、旧漁業法以来、そういう場合に、必要があれば漁業権を若干遠慮すると申しますか、制約するという点もやむを得ないという考え方に立っております。ただし、その場合に、その地方の自治体なりあるいは漁業協同組合、市町村というようなものがいろいろ勘案した上で、この際は漁業のほうの都合のために港湾をある程度やめるとか、あるいは全く漁業とは相反するという意味の港湾、大きな商業港の場合、そういうような場合でも、漁業者の船だまりを特にある一部につくってもらうとか、そういうかっこうである程度調整がとれている。漁業権その他は、そういう点では若干、率直に申し上げますと遠慮するというようなかっこうになっております。港則法の三十五条でしたかに、「みだりに漁ろうをしてはならない。」というのがございますが、「みだりに」してはいけないというので、一応船の出入りにあまりさしつかえないような範囲ではやることもできるということで、水産庁といたしましてはいままで港域の設定について積極的に役所から反対を猛運動したというようなことはございません。御説の点は確かに一理——大いに御意見のような点もあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/34
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035・久保三郎
○久保委員 別に反対しろと言っているんじゃないのです。同じ政府のやることについて、もっと合理的な調整をはかるべきだ。みだりに漁労してはいかぬという条項がございます。ところが最近の船は大型、高速化しているわけですね。いざとめようとした場合に、大体新幹線と同じで、うまくやったって二キロくらいはとまらぬ。そういうさなかに、「みだりに」やってはいけないから、「みだり」でなくてやっていたというようなことが出てくると思うのですね。それからもう一つは、海面汚濁の問題も一つ出てくるわけです。そういうものも勘案して、合理的な、いわゆる船の出入りと漁業権と、こういう調整の方法を考えなければいかぬ時代だと思うのです。どうも、あなたの水産庁としての答弁では、ちょっとわれわれは意に満たない点があるわけです。
そこでいまの手続の方法でありますが、漁業権を設定してあるところについては、当然港域をきめる場合に関係漁業団体の意見を聴取しなければならぬという義務づけがあってしかるべきだと思うのです。これは海運局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/35
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036・若狹得治
○若狭政府委員 実際に漁業権の指定の設定されているという場合には、当然地方公共団体においてもその調整をはかっております。また、われわれも農林省と十分に協議いたしまして、港域に設定するかどうかという問題を決定いたしておりますので、実際上の運用といたしましては、法律に明記してございませんけれども、そういう点は十分協議の上で決定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/36
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037・久保三郎
○久保委員 いままで局長の答弁のようには実際は全部がやっておらないとわれわれは見ているわけなんで、そういう点がいまの答弁ではっきりするならば、はっきりしてけっこうでありますが、水産庁としても、それはやはり水産団体というか、漁業権者に対してそういうきちっとしたいわゆる指示を与えて、あとで問題が出ないようにすべきだと私は思うのです。あなたはあらためてそういう手段をとりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/37
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038・山中義一
○山中説明員 水産庁といたしましては、近年また特に港域が拡張されるというような事態が多いような点もございますので、だいぶ以前にそういう通達を出しましたのですが、今度あらためてまたその辺を検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/38
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039・久保三郎
○久保委員 私は、航行安全の問題は二の次で、漁業権が優先するという立場でいま質問しているのじゃない。やはりちゃんと円満な調整をはかりながら両立できるようなくふうをしろというような意味でありますから、これは誤解のないようにしてほしいのです。
そこで、先ほど内海委員からお話がありました、たとえば瀬戸内におけるところの掃海水域を今度はやめた、特定水域にするのかしないのかということでいま論議がありましたが、たとえばこの問題は漁業権との問題が非常に多いと思うのですね。当然この漁業権との調整がなされない限りは、どこまでもうまくいかぬと思うのです。局長は海上衝突予防法というようなものでさしあたりは航行は差しつかえない、こうおっしゃっていますが、内海委員が言うように、そう簡単には、あなたの答弁のようにはいかぬと私は思うのです。紫雲丸が衝突してから十年になるそうでありますが、遠からずまたそういう事故が起きないとも限らぬ。そういうことを考えてみると、この調整の方法いかんということですね。
そこで、これは運輸大臣にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、これは漁業権をそのまま認めておけば特定水域航行令の航行指定はできない。あるいはいわゆる特定港内におけるところの航行制限も実際できかねます。そこで漁業と航路の調整であります。言うならばこれは単純な補償問題でないと私は思うのですね。たとえば瀬戸内のような漁業はどうなっているか私はよく知りません。しかし、たとえばこの掃海区域にいまなっているものを、そこを航行制限するということになりますれば、当然漁業権は排除されなければならぬ。漁業権が排除されれば漁民が困るということでありますから、困らないような手段をどうするんだ。単に補償でなくて、これは水産庁の分野にもなりますが、新たな魚礁を、いわゆる漁族資源の保護というか増殖というか、そういう措置を、その区域外に、特定のところにつくるという方向へ持っていかない限りは、私はむずかしいと思うのです。そういう施策がうらはらにならぬと、なかなかうまくいかぬのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/39
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040・山中義一
○山中説明員 その点につきましては、水産庁の立場では、特定水域をどんどん設けられるということについては賛成いたしかねます。しかしながら、いまのように航路の必要上設定がやむを得ないというような場合には、いまの先生のお説のように、ほかに新たな漁場を設けるというような点で——ただし、御承知のようにもう瀬戸内海などにおきましては、新たな漁場の拡張の余地はございません。陸地で囲まれておりますから、ございませんので、投石、あるいはよく魚のアパートといわれておりますが、私のほうでは魚礁と呼んでおります、こういうようなものを国が補助いたしまして適当な海域にそれを設置して、そこへ魚か集めたり、魚をふやしたりするというような方法、こういうようなものも考えて実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/40
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041・久保三郎
○久保委員 実施しているというが、たとえばいまの瀬戸内の問題等については、そういう方法を考えて、円満な航行と漁業を並立させるという方向をとっていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/41
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042・山中義一
○山中説明員 現在特定水域になっております備讃瀬戸あるいは来島海峡、この付近の海峡、その中にはあまり石は入れておりませんけれども、海峡から出て灘に広がりますその付近あるいは播磨灘の適当な場所、そういうようなところには相当たくさんの魚礁を入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/42
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043・久保三郎
○久保委員 そういう施策が先行しなければ私は無理だと思うんですね。だから、そういう施策が先行して初めて航行の安全も確保されるということでありますので、これは水産庁とか運輸省という問題でなくて、政府全体の施策として考えるべきだと思うのです。
そこでもう一つお伺いしたいのは、この航行制限区域に指定された場合に、漁業権と抵触する部面については、漁業権に対して補償措置をいままでとっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/43
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044・山中義一
○山中説明員 現在まだ特定水域について補償も受けておる実例はございません。これは一つには、特定水域が初め設定されたというのが戦後間もなくの時期で、機雷がたくさん敷設されておる、それを除くというときの段階であの特定水域という声が出ましたので、その場合に補償その他の問題が出なかったのではないかといま考えておりますが、ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/44
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045・久保三郎
○久保委員 いまないけれども、たとえば瀬戸内なら瀬戸内でそういう問題が遠からず出た場合には、漁業権に対しての補償をすべきものであるかどうか、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/45
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046・山中義一
○山中説明員 水産庁としては補償をすべきでもあると考えております。ただ漁業法の中にも、そういうような場合には補償をするということをうたってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/46
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047・久保三郎
○久保委員 補償をすることは、法律上補償する。しかしその金はだれが負担するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/47
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048・山中義一
○山中説明員 政府でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/48
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049・久保三郎
○久保委員 そうしますと、現実には、政府といっても水産庁で漁業権の補償金を出す、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/49
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050・山中義一
○山中説明員 水産庁は、どこへ設定されるか、その他については、あらかじめ一年前に予知することができません。むしろその点は、予算の初めの発議は水産庁でない、それを設定されるほうで考えていただかないと困難ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/50
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051・久保三郎
○久保委員 そうすると、運輸大臣のほうで補償をしてもらうということですな。そういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/51
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052・若狹得治
○若狭政府委員 今日まで前例はないわけでございますが、漁業権の具体的な内容と、それから制限される内容いかんによってきまる問題ではないかと思います。たとえばいま例にあげられております特定水域航行令というものは、水域においては漁船は本船の進路を避けなければならないという程度の規定でございますので、それが具体的に漁業権自体にどのような影響を及ぼしておるかという点を十分検討した上でなければ、補償がどういう性質のものであるかというような結論が出てこないであろう。今日までのところはそういう実例がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/52
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053・久保三郎
○久保委員 いまの局長の話はデリケートな話なんで、ちょっとわかりかねるのですが、これはいまから数多く出る問題だと私は思うので、この辺でやはり制度的にもきちっとしておかぬと、スムーズになかなかうまくいかない。大体瀬戸内の問題も漁業権の問題で安全審査会とかいうことでやっていますが、安全審査会のほうは特定水域に指定すればいいのでありまして、ただ漁業権の問題があるので、簡単に言えば問題が長引いているのでしょう。これはこれからしょっちゅうどこでも出ますよ。瀬戸内海ベルト地帯ばかりではありません。ほかにもどんどん出てきます。だから、この辺でやはり制度的にきちっとする必要があると私は思うのです。いままでのようなわけにはいかぬと思うのです。だから、たとえばその場合に、私としては、補償の金をやるか、それともさっき話が出たように、魚礁を新たにつくって漁業は漁業でやっていけるような方向をまず考えるということが一つでありはしないか、こういうことを言っているのでありまして、これは両省に関係あることでありますから、十分検討をしていただきたい問題だと思うのであります。
そこで海上保安庁にお尋ねしますが、この特定水域航行令をしいている航路及び港則法の特定港におけるところの海難というか、衝突事故ですね、一番この問題に関係するのは衝突、最近の傾向としてはそういうものが多くなっているかどうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/53
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054・猪口猛夫
○猪口説明員 御質問のありました特定水域といわれます狭水道の海難事情について御説明申し上げますと、一番航行船舶の多い狭水道は明石海峡でございますが、大体私たちの実態調査によりますと、一日に千五百隻くらい明石海峡に交通量がございます。それに対しまして海難件数は、一年に、——先ほど申しました隻数は一日の交通量でございますが、海難発生件数は一年で、三十七年が二十九隻、三十八年が二十五隻、三十九年が十二隻というようなことでございまして、傾向的には、明石海峡に関しましては顕著に多いというような傾向ではございません。
その次に一番問題になります備讃瀬戸について申し上げますと、これも毎日大体五百隻から七百隻くらい交通量があるのでございますが、その海難件数を申し上げますと、三十七年が二十四隻、三十八年が三十隻、三十九年が二十六隻というようなことでございまして、どちらかと申しますと、海難防止思想が普及したと申しますか、若干減っているのではないかというような感じがする次第でございます。そのほか浦賀水道、伊良湖水道といいますような狭水道内におきます交通量と海難発生件数につきまして、もおおむねそのような傾向にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/54
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055・久保三郎
○久保委員 そこで事故の内容でございますが、これはいわゆる漁船あるいは雑種船、そういうものとの関係が多いかどうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/55
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056・猪口猛夫
○猪口説明員 このうちの大体半数近いものが衝突事故になっております。それから衝突の相互関係でございますが、私、詳細な資料をここに持ち合わせておりませんが、私の記憶では汽船同士の事故が多いように覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/56
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057・久保三郎
○久保委員 その汽船同士の衝突ということでありますが、その中にたとえば漁船がまぎれ込んでいて、これを回避するために汽船同士が衝突したというような問題もありはしないかと思うのであります。そこで単純に汽船同士ということになれば、そういう航行制限区域においてなおかつ衝突事故が多いということは、これは一体どうした関係かということになるのですが、どうですか、どういうふうに思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/57
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058・猪口猛夫
○猪口説明員 常々この委員会でも、先生のお尋ねに対しまして御答弁申し上げておりますとおり、海難の約七〇%近くの原因というのは運航の誤りに基因するという統計的な数字が出ておるのでございまして、やはり先ほどの狭水道内における衝突事故も相互間のおおむね不注意によるとかいうようなことで、乗り組み員の十分なる運航上の注意が望ましいというような感じが私たちではしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/58
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059・久保三郎
○久保委員 航行の誤りというか、操船の誤りというか知りませんが、そういう原因が多いという話でありますが、これはいわゆる乗り組み員の質の問題にも関係いたすわけでありますが、もう一つは、この問題は別に取り上げることにいたしましても、この保安庁の巡視艇船が、これらの航行の整理、いわゆる海上交通整理、こういうものに十分当たっておれば、陸上におけるところの交通事故と同様に、ある程度これは防げる、こういうふうにわれわれは思うわけです。これについては十分ないわゆる巡視艇、あるいはこれに対する要員、こういうものが現実には確保されないままに航行制限だけはしているというところにも問題がありはしないか、いまお話しの、一日に千七百隻も航行しているようなところに、はたしてそれじゃそういう常時航行整理に当たっている巡視艇船というものが十分配置されているのかどうか、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/59
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060・猪口猛夫
○猪口説明員 仰せのとおりでございまして、私たちの巡視船程度では十分ではございません。しかし、常時はそういう海難の多発地域に前進哨戒させるほどの余裕はございませんが、たとえば今月の八日、九日は非常な煙霧が内海方面に起こりまして、事実海難事故が両日で九件もあったわけでございます。そういうような特異な気象条件とか、あるいはその他特別に大型船舶が運航するというような特異の事例の際には、巡視艇を、先ほど申しましたような狭水道あるいは海難の起こりそうな海域に前進配備いたしまして、交通の整理、あるいはもし事故が起きた場合におきます救助速報体制と申しますか、そういうものは備えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/60
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061・久保三郎
○久保委員 あとで、これは資料でけっこうでありますが、そういう特定の航行制限をしているところで、どの程度巡視艇船が航行整備に当たっているか、そういうものを資料として出してください。
私からお尋ねすることは、大体そういうことでありますが、とにかく先ほど来お尋ねしているように、今回は港域法が廃止になるというような次第でありますが、政令に譲る、譲るからには、先ほど申し上げた漁業権の問題等はやはり大きな問題になるわけでありまして、いままでは一々国会にもそういうのはかかりますから、ある程度そこに審議の時間があります。でありますから、その問におきまして目こぼしを食ったものが大体意見として出てくる。ある程度ここで調整するということであります。いままではそういう事例があまりお話しのようにございません。しかし、今後は新しいものが相当出てくると思うのですね。やはり、その際には、しかも今度は国会にはこの法はかからない、政府部内で政令できめてくるというようなことになりますと、いままでのようなやり方では必ずしも十分ではないと思うので、補償の問題、あるいは漁業の転換の問題、そういうのを含めて、やっぱり運輸省は運輸省だけというのではなくて、水産庁の関係もあわせて考えていくようにやるべきだと思うのです。これは運輸大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/61
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062・松浦周太郎
○松浦国務大臣 先ほど来、久保議員のお尋ねになった二点について私の考えを申し上げたいと思いますが、まず、漁業権を侵される水域についてどうするかという問題については補償問題がありましたが、これは初めてのことでありますから、農林大臣及び総理大臣と相談しなければはっきりした答弁はできないと思いますが、私の考えを申し上げたいと思います。
いま例にあげられているのは、瀬戸内海における明石水道及び備讃瀬戸、来島海峡のことでございますが、この間も通ったばかりでございまして、内容もいろいろ調べてまいりました。これは、今後十五メートル、十七メートルあそこが掘られるとするならば、必ず大船巨舶が通るようになりますから、そこではとても漁業はできないと思うのです。狭いところで、特に来島海峡のごときは、大きい船が通ったらとても二隻は一緒に通れない状況でございますから、そこに漁船がおる余裕はないと思います。しかし、いま掘っておる間にでも問題が起きているのです。それは、つまり、爆破するために煙硝のにおいとか、あるいは爆破の音響に驚かされて、浜焼きにするタイが一番とれる場所であるのに、それがとれなくなるというので、非常に苦情が出ているということをあそこの県知事が言っておりました。そういうことがあるだろうと私も思います。そこで、これは、一ぺんに補助金、つまり補償金を出すというほうがいいか、いま漁政部長が言われるように、浅海養殖並びに大型魚礁等をやって、そこの一個所が漁労ができなくなっても、他のそういうことに障害のないところにおいて安全操業のできるところで永続的に養殖するほうに金をかけたほうがいいかということは、これは今後も問題だと思うのです。私はやはり後者をとるべきじゃないかというふうに考えておりますから、この問題は農林大臣とひとつ十分相談してみたいと思います。
それからもう一つは何だったかな……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/62
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063・久保三郎
○久保委員 もう一つは、制度上そういうシステムを……。手続上の問題だが、もういいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/63
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064・松浦周太郎
○松浦国務大臣 そういうことで、赤城さんと相談してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/64
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065・長谷川峻
○長谷川委員長 肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/65
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066・肥田次郎
○肥田委員 具体的なことで簡単にお伺いしたいのですが、ここに港域変更案というのが一番うしろのページについておりますね。全国的なことじゃなしに、具体的にひとつ例をとってお伺いするのですが、これによると、たとえば大阪府の泉大津港というのは、これは合併に伴う削除ということで、大阪港のほうへ編入されるということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/66
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067・高林康一
○高林説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/67
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068・肥田次郎
○肥田委員 この変更の手続というのはどういう形でおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/68
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069・高林康一
○高林説明員 その場合におきましては、近畿海運局長を通じまして、大阪府、それから関係市町村等と相談いたしまして、そうして意見のまとまったところで決定するというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/69
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070・肥田次郎
○肥田委員 そうすると、変更については当該の自治体あたりとも相談してやられる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/70
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071・高林康一
○高林説明員 よく相談しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/71
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072・肥田次郎
○肥田委員 それからここに変更の面で出ておる旧岸和田港が阪南港になるということですね。この阪南港にするというような下相談というものはもうできているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/72
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073・高林康一
○高林説明員 これは、関係の公共団体と相談いたしまして、名称その他を決定——内定といいますか、しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/73
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074・肥田次郎
○肥田委員 これは私が知らないからお伺いするのですが、たとえば岸和田港といえば、これは堺港と同じように、地理的にも非常になじまれた名前なんです。それが新しい阪南港というような名称になってくると、全く地域的な感覚というものは狂ってしまうんですが、これに対して公共団体にオーケーということを打診しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/74
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075・高林康一
○高林説明員 やってほしいという公共団体から申し入れがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/75
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076・肥田次郎
○肥田委員 なお、したがって、これらの港名の変更だとか、それから編入だとかというような問題については、これは十分相談をしてやられるということだから、相談を持ちかけられる余地というものが残っておる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/76
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077・高林康一
○高林説明員 具体的な港名の変更あるいは港域の変更等につきましては、それぞれ関係の市町村や府県その他にそれぞれ相談いたしまして、大体実態的な手続としましては、府県等におきまして関係市町村の意見を取りまとめていただいて、そしてこちらへまた連絡していただくというふうな手続をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/77
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078・肥田次郎
○肥田委員 地域の公共団体というよりも、地域住民の意思が全く無視せられておる、というのは、地域住民の意思というものと公共団体の代表的な表現というものは異なる場合がありますから、したがって、そういうものが抜きにされて、いままでの形は、これはあなたたちではわからない場合があるのですが、とにかく押しつけで名称変更になったり、あるいは編入地域が決定せられた、こういうことにはならないというふうに考えておいてよろしいですね。念を押しておきますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/78
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079・高林康一
○高林説明員 そのように押しつけでやっておるつもりはありません。また、その点、さらに今後政令指定公布段階におきましてさらに確認をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/79
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080・肥田次郎
○肥田委員 もう一つ。これは海上保安庁がおられるから、先ほど久保委員の質問に関連したような形で少しお伺いしておきたいんですが、——水産庁もおられますね。実は特定水域の問題でいろいろと陳情が来ています。先ほどこの補償なんかの話もありましたが、陳情が来ても、これはむずかしい問題だろうと思うのです。従来の漁業方法によるところの漁船などは、新しく船が航行することについて迷惑を感じておるだろうし、それから船舶の安全という面から見ると、漁船がその海域を自由気ままに漁業して歩くということについては、これは船舶のほうでは矛盾を感じておるだろうし、こういうことになって非常にむずかしい問題だと思う。ところが、漁船などでは、そういう陳情が盛んに参ります。特定水域に指定されて、漁業に対しては非常に脅威を感ずる、漁獲も減る、こういう陳情がやってまいります。したがって、私の手元に来ておるのは明石海峡付近あるいは大阪湾の南のほうの入口の和歌山県と大阪の区域、こういうところから陳情が来ておりますが、この陳情についての判断をするために、この辺の漁船とそれから船舶の航行との関係について、これはあとから研究する材料ということでひとつ資料をいただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/80
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081・松浦周太郎
○松浦国務大臣 さっきもう一つと言ったのはその問題であったのです。ちょうど陸上交通の十字路における交通巡査が整理をしていると同じようなことを、瀬戸内海だとか、大阪及び紀州の方面の水路には必要になってくると思うのです。いまのところ日本の船舶は一千万トン程度でありますが、だんだんとこれはふえてまいりますから、そこでまた日本の企業が大きくなれば外国船の出入もふえてくる。同時に漁船の数も減らない。瀬戸内海には大体小舟が二万隻以上あると言われている。したがっていま仰せになりました個所であるとか、あるいは明石水道であるとか、備讃水道であるとか、あるいは来島海峡、あるいは門司のS字型に回ってくるところ、そういうところにはやはり巡視艇の交通巡査的なものが水先案内をしたりする程度に設備を将来しなければ危険であるということを考えてきました。そのことを答弁しようと思ったのです。したがって、今後この船のふえるに従いまして海上保安庁の巡視艇をふやすということはどうしても必要である、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/81
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082・肥田次郎
○肥田委員 大臣からそういう答弁をいただきましたので、私のほうでさらに一つの提言というようなものがあるのですが、いわゆる従来の船舶による巡視——巡視というのは救難を含めたところの巡視という大がかりなものではなしに、海上パトロールという形にふさわしい、いわゆる高速船、ハイドロマスターのような、そういうものを使用して、海上巡視をやられると、漁船なんかはあまり波ゆれの害は少ないと思うのです。スピードも早いですから、随時漁船その他についても注意を与える、こういうことも可能だろうと思います。したがって、海上パトロールというような問題については、パトロールする実情にふさわしいような巡視体系の変更というか、こういうものもぜひ考慮に入れておいていただきたい。いま大臣からせっかくお答えをいただきましたので、私のほうからもそういう提言をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/82
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083・松浦周太郎
○松浦国務大臣 さっき申しましたような陸上ロータリーと同じようなことをどうしてもやる必要が生じてきますから、したがいまして、現在もおっしゃったような海上パトロールという、ことばまで同じようなことばを使ってやっておりますと同時に、電波パトロールもやっております。それをさらに拡大していく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/83
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084・長谷川峻
○長谷川委員長 他に質疑はございませんか。——他に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/84
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085・長谷川峻
○長谷川委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/85
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086・長谷川峻
○長谷川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/86
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087・長谷川峻
○長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/87
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088・長谷川峻
○長谷川委員長 この際大臣より発言を求められております。これを許します。松浦運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/88
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089・松浦周太郎
○松浦国務大臣 慎重御審議の上、御決定いただきまして、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/89
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090・長谷川峻
○長谷川委員長 次会は来たる十四日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03019650511/90
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