1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十五日(土曜日)
午前十一時二分開議
出席委員
委員長代理 理事 大西 正男君
理事 關谷 勝利君 理事 久保 三郎君
理事 矢尾喜三郎君
加藤常太郎君 木部 佳昭君
佐藤 孝行君 壽原 正一君
西村 英一君 藤本 孝雄君
細田 吉藏君 山村新治郎君
泊谷 裕夫君 野間千代三君
山口丈太郎君 内海 清君
出席政府委員
運輸事務官
(大臣官房長) 堀 武夫君
運輸事務官
(海運局長) 若狹 得治君
委員外の出席者
運輸事務官
(海運局参事
官) 高林 康一君
専 門 員 小西 真一君
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五月十五日
委員浦野幸男君、小渕恵三君、田澤吉郎君、南
條徳男君及び山村新治郎君辞任につき、その補
欠として藤本孝雄君、木部佳昭君、佐藤孝行
君、加藤常太郎君及び細田吉藏君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員加藤常太郎君、木部佳昭君、佐藤孝行君、
藤本孝雄君及び細田吉藏君辞任につき、その補
欠として南條徳男君、小渕恵三君、田澤吉郎
君、浦野幸男君及び山村新治郎君が議長の指名
で委員に選任された。
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五月十二日
臨時行政調査会の答申における運輸行政に関す
る請願(加藤清二君紹介)(第三八八六号)
同月十三日
地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅開設に
関する請願(川野芳滿君紹介)(第四四〇四号)
同(久保三郎君紹介)(第四四〇五号)
同(四宮久吉君紹介)(第四四〇六号)
同月十四日
地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅開設に
関する請願(田中榮一君紹介)(第四四五一号)
同(山田彌一君紹介)(第四四五二号)
同(浦野幸男君紹介)(第四五三三号)
同(佐々木義武君紹介)(第四五三四号)
同(壽原正一君紹介)(第四五三五号)
同(塚原俊郎君紹介)(第四五三六号)
同(西村英一君紹介)(第四五三七号)
同(野田卯一君紹介)(第四五三八号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第四六二五号)
同(小山省二君紹介)(第四六二六号)
肥薩線経由の急行列車運行等に関する請願(池
田清志君紹介)(第四六二四号)
は本委員会に付託された。
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五月十三日
友ケ島水域の特定水域指定反対に関する陳情書
(第三九八号)
大阪国際空港の航空機騒音被害補償に関する陳
情書(第三九九号)
大阪、上海間の定期航空路開設に関する陳情書
外二件(第四
〇〇号)
同(第四六二号)
海上運賃の値上げ延期に関する陳情書
(第四〇一号)
五島、長崎間に国鉄フェリー航路開設に関する
陳情書
(第四六〇号)
国鉄貨物運賃の公共政策割引恒久化に関する陳
情書
(第四六一
号)
同月十四日
道路運送車両法の改正に関する陳情書
(第五〇七号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)(参議院送付)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/0
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001・大西正男
○大西委員長代理 これより会議を開きます。
海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/1
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002・關谷勝利
○關谷委員 この改正法案をよく読んでおりますと、読めば読むほどわかりにくくなってきます。運用を誤ると改正しないほうがいいのではないかと思われるような点があります。もし運用を誤りますと、従来の旅客定期航路事業が円滑に行なわれておりまするものを、ことさら混乱を引き起こすような結果にならないとも限りませんので、その点を明確にしたいと思いまして、二、三お尋ねをいたしたいと思います。
この法律案の提案理由の説明にもありますが、「自動車とその運転者、乗客、積み荷を一体として運送する面にについては、これを的確に規制する手段がない」。それで、この改正案を出して、これを的確に規制をするんだ、こういうことになっておるのでありまするが、問題になりまするのは、これは条文に書いてありまするのも、運転者、それから、乗務員、乗客その他の乗車人というふうに、区分がしてあるのでありまするが、運転者と乗務員というものも、これは旅客ということになるのか、これは旅客にならないのか、これが一番基礎になるわけでありますが、これは旅客であるのかないのか、この点をまず第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/2
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003・若狹得治
○若狭政府委員 この法律の第一号、第二号に掲げてある運転者、それから乗務員、乗客その他、すべてこれは海上運送法上の乗客、船客というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/3
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004・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますと、この法律というものが、読めば読むほどわからなくなってくるのであります。と申しますのは、貨物フェリーと旅客フェリーというものを、これを画然と区分をするのだということがこの法律の趣旨であり、そうして貨物フェリーのほうは許可制、旅客フェリーのほうは免許、こういうことになってくるわけでありまするが、そうすると、これからできてまいりまする貨物フェリーでも、相当大きな船ができてまいります。十三人以上がことごとくこれは旅客ということになってまいりますと、貨物だけを運びます際にも、二十台のトラックを運びます場合には、運転手だけでも二十人おります。それを旅客とするということにいたしますと、これは貨物フェリーの許可ではやれなくなって、十三人以上の旅客を運ぶということになってまいりますと、旅客定期航路事業ということにならなければならない。そうなってくると、免許をしなければならない、こういうことになってきて、免許をいたしますと、同じ免許ではないということで、従来の旅客定期あるいは旅客フェリーというものと、形の上では、法律の上では同格のものになってくる。これが混乱を引き起こすきっかけになってくるのですが、ここが非常に重大なポイントだと私は思います。運転手、乗務員というものは旅客とみなさないのだということになってまいりますと、この法律はすっきりとした解釈が成り立つのでありますが、運転手、乗務員を旅客と見るということになりますと、この法律の、貨物フェリーと旅客フェリーとの区分をどこでするのか、こういうことになってまいります。十二台以下のトラックだけを積む小さなものだけが貨物フェリーであって、それ以上のものはみんな旅客フェリーになってくる、こういうことになりますが、これはどういうふうに考えておられますか。これは将来大きな混乱を起こすもとになりますので、はっきりとしておかなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/4
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005・若狹得治
○若狭政府委員 今回海上運送法の改正を立案いたしましたのは、いま御指摘のように、十三名以上の旅客を運送する場合は免許制になっておりまして、これにつきましては非常に厳重な審査を行なった上で免許を与えておるわけでございますが、最近自動車のフェリーが急激に増加してまいりまして、これについては、いま御指摘のように、一般旅客を運ばないから、船の型は大きくて、実際上は、たとえば三十台、四十台の自動車を積むことができましても、それを免許を受けないで運航するというような弊害が相当出てまいるというような形勢でございますので、これは人命の安全というような面から見ましても、また旅客定期航路の運送秩序という面から見ましても、いろいろ問題がございます。したがいまして、われわれといたしましては、運転者も含めまして旅客定員が十三名以上のものにつきましては、従来どおり免許制を厳格に施行してまいりたい。それ以下のものにつきましては、今度の法律改正によりまして許可制にいたしましてこれを規制する、助長するということじゃなしに、むしろ十三名以上の旅客定期航路というものの秩序を守ると同時に、人命の安全という面からいろんな条件を付しておりますけれども、これ以外のものについてはむしろ規制をしようということで、十二名以下の旅客定員を持っておるような自動車航送につきましてはこれを許可制にするというような考え方で法律を立案いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/5
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006・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、十三名以上積む場合には、貨物だけをいままでやっておったものも全部旅客定期航路事業の免許を受けなければならぬ、こういうことになりますね。そうしますと、いままでの旅客定期航路事業の秩序を守るためにと言いますけれども、これは混乱におとしいれるための法律になります。おかしなことになりますが、そうなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/6
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007・若狹得治
○若狭政府委員 従来の海上運送法によりましても、たとえば十三名以上の運転者を乗せる場合には当然免許をとらなければ営業はできないはずでございます。しかしながら、私は貨物を運ぶ貨物自動車を運んでおるんですということで、免許をとらないで相当大きな船を運航しているというのが実情でございますので、こういう点について誤解のないように、われわれとしては、十三名以上運ぶ能力を持っているものは全部免許制としてはっきり規制してまいりたいと考えているわけでございます。
それから問題は、そういう場合に、たとえばバラ客をどんどんとってしまう、自動車航送事業としての免許を受けておりながら、一般の旅客をどんどんとるというような弊害はあらわれてこないかという問題があるわけでございますけれども、これにつきましては、その当該航路の旅客輸送の需給関係を十分検討いたしまして、免許の際に適当な条件をつけるということをわれわれとしては考えておるわけでございます。したがいまして、自動車航送事業という免許を受けながら一般のバラ客を運ぶことによって需給関係を混乱させるということがないように、われわれとしてはできるだけ注意をしてまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/7
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008・加藤常太郎
○加藤(常)委員 関連して伺いますが、いまの關谷君の御質問もごもっともであり、局長の御答弁も当を得たようでありますが、その間に現状がちょっと行き過ぎになりまして、この法で規制いたしましても、關谷君から御質問のあったような点が将来生じやすい現状であります。と申しますのは、いままで届け出制の貨物フェリーは、届け出をすれば、貨物だからといって幾ら運送してもいいというので、地方によっては二十台、二十五台積む。そうなりますと、当然、自動車も運転者も一体でありますから、自然と二十人——助手を入れますと三十人、四十人の運送をいたしておるのであります。そうなると、十三人まで、これもいろいろな見方が法の解釈によって、常時十三人積むのはどうかというような疑念の点もありますが、それはともかくとして十三人まではよかろう、それを現に二十人なり三十人オーバーして運送しておるのであります。これは今回の改正にもうたっておるように、この点を厳格に規制するといっておりますが、さあ実際にこの法律を施行してやった場合に、従来から二十台、三十台積んでおる船が許可制となって、貨物フェリーという許可制をとって運送をやる場合に、關谷君から話があったように、やはり二十人、三十人を積んで走る、このような混乱を来たす場合があるのであります。そういう場合に、これは旅客定期だから免許制にしたらいいということになりますと、それを免許制にしなければならぬということに追い込むような結果になった場合には、これまた重大な混乱を来たすのであります。と申しますのは、大体船舶を建造する場合に、貨物定期でも、フェリーの許可がつく場合には、最初建造の場合に、そういうような十三台なら十三台以上積むことができない、それは積まないといって船舶のほうの検査をごまかして許可をとっておるのであります。ところが実際に運航する場合には十三台以上常時積んでおるのでありますが、ごまかして運送しておるものを免許の方向に追い込むということは、免許の本質からいっても、初めから悪いと知りつつやっておる悪質な業者を免許制にしなければならぬというような結果を招くと思うのでありまして、この点は、關谷先生から質問があったように、これを乗客ではなくして上荷というようなかっこうで認めたら混乱を招かないではないかというような点から、また、十三名以上の定員に該当するものであるというだけで免許制に追い込んでいくというようなことは、これまた混乱を招きますから、この点はこの法の改正にあたって一つの重大な疑点であると思いますので、海運局においても十分御検討を願って御善処なさるように御忠告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/8
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009・若狹得治
○若狭政府委員 いまの問題は御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましては、従来この自動車航送船というものは非常に急激に発達をしてまいりまして、いま御指摘のように単なる届け出だけで船をつくっておるという状態でございます。こういうものは実績をつくりましてその後に免許申請をするというような例が非常に多いわけでございます。これが輸送定期航路の秩序を乱しておるという実情でございますので、まず第一に船舶の建造規制をすることができないかという問題がございますが、これにつきましては、現在内航海運業法によりまして建造規制を行なっておるわけであります。したがいまして、従来のように船をつくってしまったからどうしても動かさなければならぬというような事態は、われわれのほうが十分地方にも連絡をとりましてこれを押えております関係上、今後はそういうものはおそらく出てこないであろうというふうに考えられるわけでございます。
それから、この十三名以上の運転者の問題でございますけれども、これにつきまして一番問題になりますのは、やはりバスではないかという感じがしておるわけでございます。バスの運行につきましては、バスの乗車人員が非常に多いという点から需給関係にも非常に大きな影響を及ぼしてくるということと、それから船舶の安全運航という面につきましても、いろいろ問題があるわけでございます。たとえばバスの乗客は、すべて船内におる場合にはバスの中から出て、一般の旅客の客席に行ってもらいたいというような指導もいたしておるような関係もございますので、バスの運送につきましては事業計画の中で明確にこれを規定してもらうということと、必要によりまして許可の条件としてこのバスを乗せるか乗せないかという点を明確にしてまいりたいというように、われわれとしては考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/9
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010・關谷勝利
○關谷委員 バスの場合は、旅客定期をやっておる人間が旅客フェリーをやっておるのがほとんどでございますので、バスの際には問題ないのです。ところがこのごろトラック輸送が非常に盛んになってきておる。そのトラックだけだということでいままでは届け出制でやってきた。そういうような届け出でやってきたものも、実際船が大型化してきておるのは事実なので、将来このトラック輸送の面が大きく伸びてくることは、私は間違いないと思います。その際に十三人以上が旅客フェリーということになると、運転手だけを数えても、十二台以下の船でなければトラック輸送の許可は出せない。それ以上のものは全部旅客フェリーということになってしまうのだから、これはそこらで免許との区分がつかなくなってくる。たとえ二十台、三十台積むような大型の貨物フェリーであっても、それは許可制でやれるというふうなことにするのには、この運転者、乗務員というものは旅客ではないのだという扱いをすることによって明確にできるけれども、それをしなかったならば、将来これは大きく混乱を招いて、トラックだけをやるということで、そのフェリーが旅客定期の免状を持っておるということになってくると、その名前にとらわれて、また計画変更とかどうとかいうようなことになってきて、最初の免許をとるのと違ってやりやすくなる。そういうようなことを必ずやらせてくれということで計画変更が出てくる、それをまたしなければならぬ。いろいろな政治的な配慮等によってやらなければならぬような事態が出てきて、従来の旅客定期航路事業というものを混乱におとしいれるような結果に必ずなると思います。これはならぬと保障ができません。私、必ずなると思う。このトラックだけを運ぶのでも十二台以下のものでなければならぬ、それ以上のものは旅客にしてしまうのだということで、許可で済むものを免許を与えるということになってくるわけです。免許ということになると、権利になってまいります。権利になってまいりますと、それから後に変更してくれということが、いままでの海上運送だけでない、陸上運送、道路運送の場合にも私はそういうようなことになっておると思うのですが、私はそういうようになって、非常な混乱を招くことになると思いますが、そう思いませんか。そしてこれからつくるものは、トラックをやるものは小さいものでなければならぬということになりますね。大型のトラックの貨物フェリーというものはできないということになりますが、私はこれからの海上輸送、これからのトラック輸送というものが大きく伸びてくる際に、こんなまずい改正案を出すということはどうもふに落ちないのですが、そんな気がしませんか。そこまで考えずにこの法律改正をやっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/10
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011・若狹得治
○若狭政府委員 現在は、先ほども申し上げましたように、四十台、五十台程度の自動車を運び得る能力のある船舶を建造いたしまして、単なる届け出だけで事業を行なっているわけでございます。したがいまして、それが放置されておりますと、そういう状態が相当多数に出てまいりまして、そういう実績ができたあとで免許の申請が行なわれるわけでありますから、かえって秩序の混乱を招くのじゃないかというのがわれわれの考えであります。したがいまして、いま御指摘のように、この自動車航送事業は、十二台以下の、旅客定員十二名以下のものを対象とするわけでございますから、許可申請が出てまいりました場合におきまして、船舶の構造その他が現在のように四十台、五十台のようなものを自動車航送として許可するという場合は、私はあり得ないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/11
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012・加藤常太郎
○加藤(常)委員 ちょっとその点が關谷君の質問と局長の御答弁と食い違っておる点があるのであります。現在届け出制の貨物フェリーでも、これをやらんとする場合には、船舶の建造許可を運輸省へ届け出する。そうすると運輸省の船舶局のほうが、貨物フェリーの場合には、この船舶は何台積むのだ、こういうので、十二台でございます、こういうような申請をして船舶の建造を許可しておるのであります。これは局長が言ったように、今後許可制になれば、現在よりまだ一そう船舶を建造する許可が判然とすると思います。それでありますから、その点がうまくいくのでありますが、実際は十二台積む船だといっても、今度運航する場合には、運転手以外に助手を積む、また十二台の船を積んで走るのだといっても、無理すれば二十台、二十五台ぐらいは積める能力を持っておりますから、常時十二、三台でなくして、二十台積んで走っておる。そうなりますと、いま關谷君から質問があったように、相当多人数の定員十三人以上をオーバーする、そういうことはいかぬじゃないか、また自動車貨物運送をする場合に、もう少し積ましてもどうだというような疑念が出てくるのでありますが、そうなった場合に、これを悪いと知りつつ、悪いことをやったのに免許に追い込むことはできないのでありますから、この点は、この法を施行する場合に、き然たる態度で運輸省がそれを規制する確信があるか。または確信がない場合は、これをどういうような解釈をするかという点が私は残ると思います。關谷先生の御質問も当然でありますし、海運局長の答弁もはっきりいたしておりますけれども、実際これを行なう場合になかなかそうはいかないというような疑念の点があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/12
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013・若狹得治
○若狭政府委員 いまの問題は御指摘のとおりでございまして、十二名以下の定員を持っている船が、実際上は二十台、三十台の自動車を運ぶという場合が懸念されるわけでございます。しかしこれを放置するよりは、われわれとしては許可制をしきまして、厳格にこれを監督してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、むしろそういうような、いま關谷先生がおっしゃいましたような懸念があるために、この法律を制定して厳格に規制してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。これを放置しておきますと、結局船舶の建造というものをやはりなかなか規制するわけにまいりませんし、許可制があって初めてこの規制もできるわけでございます。したがいまして、大きな船をつくって自動車をどしどし運んでいく。これは地方の住民の利便ということにも結びつくわけでございますので、ある程度既成事実が出てまいりますと、これを押えるということは非常に困難なことでございます。したがいまして、そういう面から現在の航路秩序というものが非常に乱れてくるということをわれわれとしては心配いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/13
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014・關谷勝利
○關谷委員 局長の答弁と私の質問とは食い違っておる。そうすると、なんですか、この貨物フェリーというのは、何台以下のものが貨物フェリーということになるのですか。その際に十二台ということになれば、運転手だけでなければならぬ、他の乗務員は乗ってはならぬ、こういうようなことになりますが、そうすると、最高十二台ということにするのですか。何台以下のものが許可制ということになるのですか。これは実際問題としてむずかしい問題なんですよ。将来これは許可をするしないということで大きな問題だ。簡単にあなた方は考えておりますけれども、これは非常に混乱しますのと、出先の海運局あたりでは許可するかしないかということについては、私は非常に苦しむだろうと思う。何台以下を貨物フェリーということで許可するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/14
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015・若狹得治
○若狭政府委員 最高十二台以下でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/15
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016・關谷勝利
○關谷委員 そうすると十二台はあり得るということですね。そうすると、助手を乗せておった場合に、十二台積みますと、十三人以上になりますが、その際にはやはりそういうようなことが取り締まれると思いますか。十二台で許可をしておるのですよ。それに助手が乗ることがあるのですよ。フェリーでやるやつは大てい長距離の輸送をするのですが、その際には運転手の交代者も乗っておるかもわかりませんが、そういうふうな場合に、十二台を積む許可をしたときに、これは十三人以上の旅客が乗るということになってまいります。そうすると、それはいつも違反ということで取り締まらなければならぬ。助手は一切乗せてはならない。運転手の交代者も乗せてはならない。こんなことになって、取り締まりという面がそういうようなことまでできるかできないかということになってきますし、私はかえって混乱を起こすのじゃないかという気持ちがしますが、これはどういうふうに扱いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/16
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017・若狹得治
○若狭政府委員 そういう必ず助手が乗っているというようなものにつきましては、十二台の自動車を載せるということ自体が無理なわけでございまして、そういう場合には、やはり正式の免許事業者として免許をとっていただくというわれわれの考え方でございます。したがいまして、十二台以下という制限でございまして、当然常時たとえば助手が乗っていなければならぬという場合には、やはり搭載車両の数を減らしていただくということをわれわれとしては監督しなければならぬと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/17
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018・加藤常太郎
○加藤(常)委員 そこがちょっと、初め船舶を許可するときから大体十二台はよろしい、それで建造許可を申請する。運送車は十二台積んで、助手は乗らないようにして、運転手だけは乗れるのですといって建造許可をとっておるのであります。でありますから、いま局長が言ったように、十二台は私は認めておるのでありますから、積ましていいと思います。そういう場合に、助手が乗った場合は、ほかの一般の旅客船に乗って到着地で待っておる、こういうふうな取り締まりをするのが当然で、十二台を五台に減らせというのはちょっと局長の答弁が間違っておると思います。それが実際いま關谷先生が言ったほんとうにそれが厳密に断固としてそういうような取り締まりができるかできないか、従来の海運局の現状から見ると、そこまではちょっとやらぬのじゃないか、そういう実際論が起こるのであります。これが關谷先生が実際に十二台積んで、助手がこそこそと乗っていく、そういう場合に規制することはたぶんなかろう、こういう見地からかえって混乱を来たすから、關谷先生が言われたのは、十二台以上の場合は当然免許の申請をしなければならぬのでありますが、また従来からやっておる免許制のフェリーのほうから見て、ごまかしたものが免許になるということはもってのほかだ、こういうような矛盾も出てくるのであります。十二台の場合には、これはいたし方がないと私は思います。それ以上助手が乗った場合には、ほかの船舶で到着地に行ってもらう、こういう規制をする以外に道がないと思いますが、關谷先生が言っておるのは、そういった規制ができないのだから、この際せめて十二台までは、運送する場合に運転手ぐらいは、まあ何か改正でなくして、海運局のほうで認めるというようなことにすれば、取り締まりなり、その他の点が実際に適合したやり方にいけるから、そうしたらどうかという御質問と思います。この点について、法の改正自体から見ますと、私は局長が言っておるのは当然と思いますが、実際論から見ると、關谷先生が言っておるような十二台許可しておって、助手も乗っていくから始終違反を犯していくということになって、法の施行と実際との矛盾がありますので、この点は海運局でこの法律を施行する場合に解釈を拡大して、解釈できる範囲まではやらなくちゃならぬかとも私は思うのであります。この点は海運当局の御意思によって、今後の取り締まり方針、いろいろな法を実行する場合のやり方を勘案して、断を下してやっていただくほかに道がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/18
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019・若狹得治
○若狭政府委員 ただいまの問題は、たとえば乗用車等につきまして、家族が乗っておるとか、いろいろな場合が想定されるわけでございます。そういう場合の取り締まりについて非常にむずかしい問題があるということは事実でございます。ただ、従来のように、これを法的に放置いたしておきますと、先ほど申し上げましたように航路運送の秩序、海上運送の秩序というものが保てないという状況にきておるというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、こういうように許可事業にいたしましたことは、そういう事業を規制してまいるというのがわれわれの考え方であります。したがいまして、法律的にも明確になりました段階におきましては、海上保安庁とも十分連絡をとりまして、やはり定員の厳守ということはあくまでも実行していただくという考え方で、われわれは現在その問題を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/19
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020・關谷勝利
○關谷委員 これはおかしいですよ。私が言っておるのは、従来の貨物フェリーのことをいま言っているのですよ。トラックだけを積むものでも十二台積みますと、中には助手を連れておるものもある。それに、フェリーでやる場合ですから長距離が多い、そうなってきますと、交代の運転手が乗っていることもある。それが、十二台で許可をしておって、いま言うように交代の運転手は別の航路事業のほうへ行け、それからトラックの運転手だけがそれに乗って行けというようなことで、助手は別ので行けというようなことにして、それはやれますか。そんなことはできるはずがないのです。料金を一台幾らできめておるので、それにトラックと運転手と助手と両方乗っているから、その助手の乗っている分は運賃がふえる、割り増しがあるというわけではないのですから、その際におまえは一人だけで行け、運転手だけであとは乗ってはならぬのだということが言えるはずがない。やはりみんな絶えずやっておるようなものについては、非常に両方親しみができておって、そんなことは言おうにも言えません。また商売柄そんなことを言って、ほかに客をのがすようなことはしないということになってまいりますと、それらのものをあっさり乗せてしまいます。そこで十二台で二人ずつ乗っておると二十四人になりますが、まあ十二台に一人よけい乗っておってもこれは違反ということになりますから、それが二十四人乗っておれば大きな違反ということになります。そういうようなことを絶えず取り締まっていなければならぬ。現実の姿としては必ずそういうようなことになるということがわかっておっても、それを取り締まる。ちょうどわなをこしらえておいて、その中に入れておいて処分をする、こういうようなかっこうに私はとられるのですが、こういうようなことを私はもう少しはっきりさせれば、そんなことにならないで済むと思うのですが、これはこのままでやるだけの自信がありますか。それを取り締まるだけの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/20
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021・若狹得治
○若狭政府委員 現在の海上運送法の旅客定員は十三名以上を免許制にいたしておるわけであります。実際上は、先ほども例にあがっておりますように、こういう十三名の旅客定員に対する違反というようなものは、相当多いことも事実であると考えております。ただこれを放置いたしておきますと、先ほどから申しておりますように、人命の安全の点から見ても相当問題がございますし、また海上の運送の秩序という面から見ましても、だんだんくずれていくという形勢でございますので、何らかの法的規制を必要とする。その場合に、現在の旅客定員の十三名以上のものは免許制になっておりますので、これは自動車を運びます場合とあるいはバラ客を運ぶ場合とを問わず、すべてこれを免許制にする。それ以外につきましては、むしろ航路秩序という面から見ましてこれを規制するというほうが適当であろう、という考え方でこの法律案をつくっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/21
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022・久保三郎
○久保委員 ちょっと関連して。——だいぶ粘って御質問のようでありますが、私はあらためてしますが、いまの問題でありますけれども關谷委員からお話があったようなことが実際は実情としてあるわけです。法の上ではないはずなんですがね。といって、これを拡大解釈というか、そういうものでやれるものではないと私は思うのです、頭数でありますから。かっこうが違うというくらいなら拡大解釈できますが、人数の問題でありますから。そこでこれは旅客定期船の需給の関係とも関連があります。だから言うならば、もう一つ制度として限定旅客定期免許、限定とはさっき關谷委員から指摘があったように、運転者、乗務員ですね、これだけは運んでよろしい、そういう限定された——いわゆるバラ積みの旅客をとることは、定期旅客船に与える影響が大きいですから、秩序が混乱しますから、だからもしもいまの点を充足する、あるいは現状に合わせるというならば、限定旅客というか、そういうものがあるかどうか知りませんが、限定した旅客定期の免許、こういう制度をつくる以外にないだろうと私は思うのです。ということは、十二名を十三名とか十五名にかってにするわけにはいきません、船舶安全法の関係もございますから。だからそうなりますと、単にフェリーの問題でなくて、旅客船の問題になりますから、関係するところ非常に多いのでありまして、どうしても実情からいって取り締まりも不可能である、あるいは取り締まりという問題よりは実情に合わぬ。船の構造が十五台積めるようになっている、あるいは二十台積めるかもわからぬというような大型船になると、十二台でおさまるというような船もあると思うのですが、そういう実情からいって十二名までということでは確かになかなか押え切れない。それはやはりいまの旅客限定免許というものでやったらいいのではなかろうかと私は思うのです。しかしこれもなかなかむずかしいかもしれませんが、私は方法としてはそうだと思うのです。そういうものを御研究なさることは、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/22
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023・高林康一
○高林説明員 法律解釈論の点がありますので、私から御答弁申し上げます。
まず結論から先に申し上げますと、いま久保先生のおっしゃいました限定免許の問題でございますけれども、現行法二十三条の五におきまして、「免許、許可又は認可には、条件を附し、及びこれを変更することができる。」こういうふうになっております。この条件といたしましては、二十三条の五の二項にございますように、「免許、許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な」ものというふうに規定されておるわけであります。したがいまして、この場合に、限定免許というふうなことをこの二十三条の五によりまして進めていきたいというふうに考えております。
この場合に、ではいかなる方法で限定というものを考えるかということにつきましては、この自動車航送事業の改正案の二条に定員がございますけれども、この定員の中で「次の各号に掲げる人及び物を合わせて運送することをいう。」という自動車航送事業の定義がございます。その中に各号といたしまして、「当該自動車の運転者」というのが一号、二号といたしまし、「前号に掲げる者を除き、当該自動車に乗務員、乗客その他の乗車人がある場合にあっては、その乗車人」、それから第三号には「積載貨物」というふうに三つ分けておるわけでございます。そこでこれらの自動車航送事業のいわば内容と申しますようなものは、まず運転者というもの、それから運転者以外の乗車員、これはいろいろの場合があると思います、助手の場合もございましょうし、それから自家用自動車の場合にそこにだれか友だちが乗っておるというような場合もいろいろあるかと思います。そこでそれぞれの自動車航送事業にこれらの三つのものが要件として加わっておりますので、これにつきましては、今度は「事業計画」というもの、今回の改正案におきましての十一条でございますけれども、従来は「運航計画」ということになっております。
そこでその事業計画におきましては、当該自動車航送事業がまず運転者のみを乗せるところのものであるかどうかが第一点、それから当該自動車運転者以外の乗車員というものはどういう範疇のものであるかということが第二点、貨物のことについてもそれぞれ必要に応じて考えなければならぬと思いますけれども、それぞれ事業計画に運転者あるいは運転者以外の乗車員というようなものを明示いたしまして、それらがもし変更がございます、たとえば十二人あるいは十五人というふうにそれぞれ運転者あるいは運転者以外の乗車員が合わせてそういうふうな数字になるケースがいろいろございますけれども、それらの場合につきましては、それぞれ事業計画の変更ということで、従来十二人といっておりましたのが、もし十三人というようなことになりますれば、法律上は当然事業計画の変更を必要とするということになってくるわけであります。
そこで、その事業計画の変更が必要になってくるので、それは認可処分にかかってくるということになります。それからこの事業計画を担保いたしますために、二十三条の五によりまして、免許にそれぞれ所要の条件をつけるように進めていきたいというふうに一応考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/23
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024・久保三郎
○久保委員 ちょっと参事官の説明は専門的過ぎましてわかりにくいのでありますが、一つの例でお尋ねします。いまの事業計画変更を十二名から十五名にしてきたというときには、どうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/24
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025・高林康一
○高林説明員 そのときには当然新規に免許事業ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/25
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026・久保三郎
○久保委員 しかしそれではいわゆる旅客輸送と貨物輸送の秩序という前提を一つ置かれなければならないですね。それから片方には、もう一つは特に貨物の問題をいまやっておりますが、貨物フェリーの場合は、一般の内航船との関係があるので、いま問題が出ておる、これを没却しての話は実際はないわけです。それで限定免許の限界というものはどこまでかという問題が一つあります。当然内部的には基準を設けなければいかぬと思うのです。百人も乗せられるような、自動車貨物と旅客を乗せる、いわゆるぼくの言うところの限定免許というものは実際問題としてあり得ない。そういうものを考えていけば、いまのようにいくと、十五名になれば当然旅客の定期に免許を切りかえてもらいましょう、それではそうなった場合に、今度一般のバラ積みというか、一般の旅客まで吸収できるわけです。それでは一般の定期旅客船の秩序を乱すということになるわけです。これは主として貨物というのでありますから、私はこれは貨物としての範疇で押えていく、名前は法律上しかたがないから限定旅客免許というふうにしてやったらどうか、こういう方法がありはしないか、こう思うのです。というのは、私が二つ申し上げた輸送秩序の問題がある、これは無制限にやったら大型化していきます。大型化をどんどん急速にやられた場合に、定期船も困るし、内航のほうも困ってしまう、そういうことを考えれば、いまのお二人の御質問で、実際は十二名以下の車が十三台乗った、車のほうは十三台乗せられるが、人間は十二人、しかし実情はそうだからもぐって乗っかっていく、そういうことでしょう。それを法的にも救済し、いわゆる一つのワクをはめるというなら、やはり限定免許という制度を考えてみたらどうかというのが私の主張なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/26
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027・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、十三台以上の貨物フェリーというものはないということになるわけですね。そこをはっきりしておかなければいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/27
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028・若狹得治
○若狭政府委員 この法律では、自動車と運転者が一体となって輸送するものを考えておりますので、現実的には、たとえば貨物自動車だけを乗せて運転者は一切乗せないという企業の経営のしかたもあり得るかと思いますけれども、そういうものは、観念的にあり得るわけではございましょうけれども、実際問題としては必ず運転者が乗っておるわけでございますので、旅客定員十三名以上のものは自動車航送事業の範疇には入らないわけでございます。したがいまして、最大限度十二台以下のものだけをこの事業の許可制度の対象にするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/28
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029・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、それはそれで原則でいいと思いますけれども、もう少し貨物フェリーと旅客フェリーというものを画然とすることを考えなければ、こんなまずい法律では、取り締まりの上からもこれから先の許可、認可のときに困ることができてきます。そうして、これからますます大型化しようとする際に、もう十三台をこえたら貨物フェリーというものはなくなるのだということになる。二十台積もうが三十台積もうが、貨物フェリーは貨物フェリー、旅客フェリーは旅客フェリーと、かちっと分けられるような法律体系の形が望ましい。そのためには、これはいまの場合やむを得ぬのかもしれませんけれども、将来これを考えなければ、せっかく伸びようとする貨物フェリーを伸ばさないことになっていく。それを伸ばそうといたしますと、やむを得ず、十三人以上だからというので、旅客フェリーの免許をやらなければならぬことになる。そうすると、旅客フェリーの免許をもらったら、それはもう従来のものと形の上で同じようなものが出てくる。形が同じになってくると内容まで同じにしてくれとくるのが人情であり、そういうふうに発展してきます。そうすると将来はそのために混乱を起こすことは間違いないのであって、いま理屈を言うのじゃありませんが、ここ二年先になったら、どうぞと私が言うたときには、あなた方が答弁できない結果ができてくる。私はいまから予言しておきます。これはもう少し、いま久保委員が提案しておるような、これはトラックだけしか積まない貨物フェリーなんだ、二十台積もうが三十台積もうが、貨物フェリーなんだ、そのためにいまの海上運送をとりあえずやることは不完全であるけれども、将来には考えなければならぬ。そうしてそれには限定ということで運転手、助手だけを乗せるための特別な法的規制をして、それによって大きな貨物フェリーもできていく、こういうふうなことにしなければいけません。これをやっておりますと、貨物フェリーの発展を阻害しますよ。これは悪法ですよ。そのために十三台以上のものがみんな旅客と同じ形になってくる。そこから混乱が始まる。私はいまから予言しておきます。こういうふうなことは、将来早い機会に改正しなければならぬ。限定免許というふうな方法を考えなかったら、貨物フェリーと旅客フェリーとこれを画然とするというが、画然じゃない、これは混乱せしめる法律です。私はいまからはっきりそれは言うておきますから、将来の運用を誤らないようにしていただきたい。そういうことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/29
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030・若狹得治
○若狭政府委員 この法律は、先ほどから申し上げておりますように、十二名以下の旅客運送を行なうものであって自動車航送を行なうもの、これを許可制にする、これを制限しようということが目的でございまして、実情は、こういうような形態でどしどし大きなものが出てまいりまして、それが航路秩序を乱しておるというのが実情でございます。したがいまして、あるいは御指摘のように、こういう法律改正によって自動車航送船の発達を抑制するというような結果が出るかもしれませんけれども、われわれといたしましては、実際の需要があるものであればやはり正式の免許をとって出てきてもらいたい。それから既存の事業、航路秩序との関係につきましては、事業計画の認可あるいはその認可の際の条件ということによって調整をはかっていこうといたしておるわけであります。したがいまして、あるいは御指摘のように、数年後にさらに新しい考え方で自動車航送というものを取り上げるということを考えなければならぬような事態がくるかもしれませんけれども、当面の問題といたしましては、内航運送の問題もございますし、また航路秩序の維持もございますので、最近続出いたしておりますところの小さい事業者の抑制ということをはかってまいりませんと、このまま放置しておきますと、航路秩序は全く乱れてしまうということをわれわれとしては心配いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/30
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031・關谷勝利
○關谷委員 私が言いますことが局長にはどうも通じないのです。局長がことさらそらしてずるく逃げておるのかもわかりませんけれども、私が言うのはこういう意味ですよ。はっきり言いますと、貨物フェリーは二十台積むものであろうと三十台積むものであろうと、貨物フェリーとしての許可でいいことに法律体系を整えろというのです。それから旅客フェリーは旅客フェリーで免許制にして、貨物フェリーが、貨物の積載台数が多いからそれにも免許をやらなければならないような、そんな姿のかわったものにするなというのです。貨物はいつまでたっても貨物で許可でいいんだ、許可ということでやれるようにしろ、そして限定のいろんな関係もありましょう。どういうような形にするか、貨物フェリーは許可ということでやれるようにして、許可と免許とがはっきりそこで区別できることになって、初めて貨物フェリー、旅客フェリーというものがすっきりした形になるので、こういうふうな、十三人以上になったら免許になってしまうんだということになったら、形の上から、はや、乱れ始める。形が乱れてくると内容も乱れてくるということなんです。そこらのところは考えて、なるべく早い機会にこれを改正するのが私はいいと思います。それを法文をわずか変えただけでやろうとするところに無理がある。すでに参議院を通過してここに出てきておるので、私は、これは運用の面でやらなければならぬと思いますから、その点運用の面で間違いないようにと要望するのですが、私は近い機会に、貨物フェリーは百台積むような貨物フェリーになっても許可でいける、免許のほうは十三人か十五人であっても免許でやらなければならぬ、そういうふうなことにしてはどうかというのですが、そういうふうに将来早く改正するというような気持ちがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/31
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032・若狹得治
○若狭政府委員 これは私たちはいま御指摘のとおりの考え方でこの法律案の改正を検討いたしたわけでございます。しかし現在の法制が十三名以上の旅客定員を持っておるものにつきましては、船舶の安全上の面から見ましてこれを免許制にいたしておるというのが現在の法制でございますので、たとえ運転者でありましょうと、上乗りでありましょうと、やはりこれは人命の安全の面から見まして、旅客定期として扱うべきであるというような考え方から、その区別が非常に困難であるというところから、こういう体系になってきたわけでございます。したがいまして、実際上のこの法律の実施にあたりましては、いま御指摘のような問題があるかと思います。われわれといたしましては、事業計画の変更あるいはその認可というような面でそういう点については十分監督指導いたしてまいりたいと思っておりますけれども、将来自動車航送船というものが急激に増加いたしました場合に、現状のままでいいかどうか、むしろ御指摘のとおり、この法律の改正というものは、小さい十二名以下の自動車航送船の続出を抑制しようというところにねらいがありまして、大きなものにつきましては何ら特別の考え方を持っておらない、従来の旅客定期航路の免許をとってもらうということだけにすぎないわけでございますので、今後の情勢の推移によりましては、あるいは御指摘のような、たとえば限定免許の方法とか、あるいは自動車航送事業というものを、従来の旅客定期航路事業というものと全然別個に規制するというような必要が出てくるかもしれませんけれども、われわれといたしましては、立案当初はいま御指摘のようなことで実はいろいろ検討しておったわけでございます。しかし、現在の法体系から見まして、こういうようなかっこうで出てまいったわけでございますけれども、今後の情勢の推移によりましては、十分そういうことも検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/32
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033・關谷勝利
○關谷委員 最初はそういうふうに考えたけれども、やってみるとあちらも直さなければならない、こちらも直さなければならない、うるさいから、ここらくらいで済ませるということで来たんであろうと思います。そこらでこちらもしんぼうをいたしまするが、これから先、いまやっておるものでもトラックであれば届け出でいいということで、二十台、三十台載るような大型でやっておるのもありますが、そういうふうなものに対しましては、これらはいままで届け出でやっておったもの、そいつをぴしゃりとやめいというようなことは言えないことになりますが、そういう際の取り扱いはどういうようにするのですか。既成事実はこれを認めて、そうして大きいもので安全性のあるものを許可していくんだというふうになりますか、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/33
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034・若狹得治
○若狭政府委員 そういう二十台、三十台の場合には、当然この海上運送法に定める免許の申請をやっていただかなければ今後の事業の運営はできないわけでございます。われわれはそういう点につきましては、この法律の施行ができました場合には、海上保安庁とも十分連絡をとりまして、その点の規制を強化してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/34
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035・關谷勝利
○關谷委員 それからもう一つ。この料金決定のときには、運転手や助手というものは旅客というふうに見ていないので、一台幾らというふうにきめているのです。そうして法律的に今度いう場合には、これは旅客だという。一方運賃決定の際には旅客でない。そうしてこの法律を行なう上においては、これは旅客であるというふうな、まことに首尾一貫しない法律でありますので参事官、またひまなときに考えて、将来それはすっきりしたものに直していただきたいと思います。
それからもう一点第二十一条でありますが、「特定の者の需要に応じ、特定の範囲の自動車航送をする貨物定期航路事業」は自動車航送貨物定期航路事業から除外してあるので、これは届け出でいいということになっておるのでありまするが、そうすると、ここにも法の矛盾が出てくるのであります。「特定の者の需要に応じ、特定の範囲」、これはこういう場合ならいいのですよ。トヨタ自動車とか日産自動車がつくった自動車を専門で運ぶやつはこれは何ら差しつかえない——それを想定してこの条文を書いたのであろうと思いまするけれども、しかしながらこういうふうな「特定の者の需要に応じ、特定の範囲の自動車航送をする」、そうすると、かりに日通という特定のものの需要に応じて日通のトラックという特定の範囲の自動車を航送する場合にはこれは届け出でいい、こういうことになるわけですね。文句の上からいくとそうなるのですよ。それでいいのかどうか、これははっきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/35
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036・高林康一
○高林説明員 ただいまの、特定の業者の需要に応じ特定の範囲の自動車を航送する事業といいますのは、先ほど先生が例にあげられました場合におきましては、たとえばトヨタなんかの場合でございます。あるいは普通の自動車運送業が当該自動車の事業用の自動車を、いわゆる自家用の自動車だけを自動車航送するというようなものをこの場合において考えておるわけであります。そこでいま御指摘の日通なんかの場合におきましては、自家用運送ということではなしに、一般公衆の用に供するところの自動車事業をやっておるわけでございますので、この範疇には入らない。ただ特殊に日通自身の荷物などがございますれば別でございますが、普通の場合におきましては、自家用自動車ではなしに一般公衆の用に供するところの自動車輸送をやっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/36
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037・關谷勝利
○關谷委員 おかしいですよ。そんな解釈ができますか。積み荷が日通のものであろうと人のものであろうと、日通の自動車には変わりはないのですよ。それは日通という特定のものの需要に応じて、ある一つの会社が日通のトラックだけを運ぶ、ほかのものは積まないのだというふうな場合にはこの届け出制でいいのだ、こういう解釈が成り立つと思いますよ。これはどうなんですか、ことばの上からはそうでなければなりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/37
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038・若狹得治
○若狭政府委員 この規定につきましては、表現が明確でない点があるかと思います。たとえば内航の関係の荷物の需給状況ということも関連いたしておりますし、また旅客の一般の需給というようなことも考えておるわけでございますので、その特定のものと申しますのは、そういう輸送に直接の関連のない事業者であって、工場間の輸送であるとか、そういう特殊の場合のみを考えておりまして、一般の輸送事業に直接の関係を持っておるようなものをここで想定いたしておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/38
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039・關谷勝利
○關谷委員 そういうふうな面でも、この条文の上からいきますと、非常に解釈がむずかしくなる。運営の上でそういうふうにやっていく、免許、許可の際には、そういうようにやって、取り締まり等もそうしていくということならけっこうですが、今度の改正案をいろいろ深く考えれば考えるほど、むずかしくなってきます。というのは、あなた方が考えて、うるさくなったから、しかたがないから、この程度でやってしまったからこの程度になるのですが、少し早い機会にすっきりした形で法律を改正してもらいたいと思います。そしていままではこれは届け出でよかったのでありますから、定員をオーバーしておるかどうかというようなことだけしか取り締まれなかったのでありますが、今度からは許可を持っておるかおらないかということで取り締まれるわけでありますが、これは十分に取り締まってもらいたいと思います。いま各方面ではこの法案が通過するということを見越してかけ込みで届け出をやって、事業をやっておるものがたくさんあります。その既得権を認めろといって殺到してくることは間違いないのでありますが、これらにつきましては、旅客定期航路事業等を混乱におとしいれないように、非常な決断がなければやれないと思うのですが、その点思い切ってやられるのかどうか。これでやっていこうと思いましたら、許可の際あたり思い切ってはねるだけの決断がなければならぬ。そうかといっていままでやっておるものを一切認めないというわけにいかないというので、あなたたち中央にいてはわかりませんが、おそらくこの許可は出先の海運局あたりでやるのだと思いますが、出先の第一線あたりは非常に困ると思います。そこらの点は何か通牒というようなもので厳重にやって混乱せしめないというようなことを徹底させなければいかぬと思いますが、そういうようなことを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/39
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040・若狹得治
○若狭政府委員 当然、先ほどから問題になっておりますように、十二台以下の自動車を積むということで実際はそれより多いものを積んでいるというようなケースが一番問題になるかと考えております。したがいまして、今度の法律が公布されました場合には、そういう取り締まりについて十分われわれとしては努力してまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/40
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041・關谷勝利
○關谷委員 もう一つ、これからの認可等について考えなければならないことであると思いますが、同一航路で同一の業態のもの、たとえば一つの航路に二以上の旅客フェリーができた場合に、その運賃の認可ということについては、それが異なっておるというふうなことではぐあいが悪い、両方が同じだというふうなことにしなければなりませんので、その運賃調整というふうなことは非常に問題になってくると思います。この点は貨物フェリーと旅客フェリーで運賃が違うということはやむを得ません、それは施設その他においてもずいぶん違うと思いまするので。しかし同一航路で同一業種のものについては同一額でなければならない、そうして、その運賃を固く守るというふうに指導しなければなりませんが、そういうふうなことは考えておられますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/41
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042・若狹得治
○若狭政府委員 原則的にはそのとおりでございまして、われわれとしてはそういう方向で指導してまいりたいと思っておりますが、ただその航路の事情によって、たとえば夜中の便であるとか、あるいは船舶が非常に老朽しておるというようなものについて特別料金を設定したいという希望のものもあるかもしれませんので、そういう場合には実情をよく調査いたしまして、措置してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/42
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043・關谷勝利
○關谷委員 運賃は厳重に守らせませんと、私はこういう事態ができてくると思います。いままで貨物フェリーや何かを大きい船でやっておったものにどうしても免許をやらなければならぬような形ができてまいります。そうすると、需要と供給とのバランスがとれなければならないのだけれども、いろいろな既成事実とか何とかいうので、輸送力のほうが余るような事態が当分の間、この法律をやってもある一定の期間はできると思います。そういうことになった場合に、両方が荷物が十分にないというようなことで取り合いをする。そうして運賃を裏で割り引いてやるということになってくる。そしてあそこへ行けば安くなるのだから、あちらへ行けというようなことで、荷物が足らないと、自分のほうが一ぱい積めば少々安くてもそのほうがいいんだという形のものが私は出てくると思います。そういう事態のないようによく取り締まらなければならないと思いますが、そういう取り締まりをするのに、いまの海運局、海上保安庁あたりの人員でそれがやれますか。私は非常に疑問に思うのです。運賃の面まで実際に行なわれておるかどうかということを何か調査するような方法を考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/43
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044・若狹得治
○若狭政府委員 御指摘のように運賃の収受の監督ということは非常にむずかしい問題でございますけれども、やはり秩序を維持するという点からいきましても非常に重要なことでございますので、この法律の公布を機会に、海上保安庁と地方の海運局と十分連携をとりながら運賃収受の適正化という面についてできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/44
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045・關谷勝利
○關谷委員 八条で運賃を認可をして、そうして四十八条に罰則があります。これは罰金三万円というふうなことでありますが、これには営業の停止とか免許の取り消しというふうな条項はありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/45
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046・高林康一
○高林説明員 現行法の十六条におきまして事業の停止及び免許の取り消しの規定がございます。そこで、この一号にあります「この法律若しくはこれに基く処分又は免許、許可若しくは認可に附した条件に違反したとき。」というのが、いま御指摘の場合に該当すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/46
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047・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、その際にはやはり運輸審議会を開いて、その意見を聞いてでないと、この十六条の適用はできないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/47
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048・高林康一
○高林説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/48
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049・加藤常太郎
○加藤(常)委員 いま同僚關谷君から御質問があったように、免許制の旅客フェリーと、この法が施行されますと許可制の貨物フェリーの二制度ができる。ところが、許可をするのであれば当然権利も生ずるし、義務も生ずると思います。今度貨物フェリーが許可になるというので、ただいま關谷君からもお話があったように、最近は貨物フェリーを需要とか供給とかに関係なく多量に建造いたしまして、届け出でありますから、需要をオーバーするように供給過剰になっておるのであります。現状から見るとそれが行き過ぎまして、結局瀬戸内海におきましては、最近は四国方面から中国なり阪神方面へ行く——これは従来は一般の内航の機帆船並びに鋼鉄船の定期なり不定期の一般内航船で輸送しておったのでありますが、内航船は、積む場合、トラックなり車で積み込む、積み込みの途中の運送費と積み込み賃、今度到着いたしまして水揚げ賃、また配達賃、こういうような二重、三重の費用が要りますから、これを自動車に積んで貨物フェリーなり免許フェリーで到着地まで運ぶ、こういう趨勢が相当出てきておるのであります。それがある程度の場合には、一般内航船には影響はなかったのでありますが、このごろこの貨物フェリーが許可制になるというので一ぺんに需要をオーバーするような供給過剰な現状であります。そうなりますと当然貨物フェリーの場合には、これをその航路以外に転用することが構造上できないのです。それでありますから、どうせ定期的に走っているのであるから、運賃はもう何ぼでもいけ、こういうように採算を度外視した過当競争が大阪方面なり四国方面であまりにも強く出た。その結果、ただいま久保さんにもお聞きしたのでありますが、一般内航船にも累を及ぼすような悪影響を惹起いたしております。その点について同僚關谷君から話があったように、今後これが許可制で実施された場合に、一般の免許制のフェリーも、従来は旅客のほうは認可制になっており、貨物のほうはワク外になっておりますが、当然これは第八条によって認可制になる。一般貨物自動車航送のほうは十九条かどこかで規制を受けると思いますが、そういう場合に、運賃の規制をやらなくては、これはたいへんな悪影響を一般の機帆船なり内航船にも及ぼすと思うのであります。これに対して海運当局は、今後貨物自動車の運賃と免許制の定期の旅客自動車運送と、これはどういうような方法で的確に実施していくか、この点について当局の御意見をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/49
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050・若狹得治
○若狭政府委員 御指摘のように、いわゆる自動車航送船の許可制に関連いたしまして、かけ込み建造的なものが相当あるんじゃないかということが心配されましたので、本年初め各地方に、そういうものにつきましてはできるだけ地方の海運局において抑制し、取り締まるようにという通牒を出しまして、それによって現在指導いたしておるわけでございます。それにもかかわらず、なお御指摘のような状態でございます。これが法律が施行されますと、結局、従来放置されておりましたものについて規制されるわけでございますが、先ほどからいろいろ御議論がございましたように、自動車航送事業というものは十二台以下のものについて適用されるわけでございます。したがいまして、定員関係その他についていろいろ取り締まり面で問題が起こるだろうというようにわれわれ考えておりますけれでも、やはり法律秩序の維持、航運秩序の維持というような面から見ましても、この点についてはできるだけの努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。同時に、運賃面につきましても、いま御指摘のような状態があり得ると思いますけれども、これも従来全く放置されていたものをやはり明確に事業計画の中で運賃を決定してまいるわけでございますので、そういう面から、従来と異なりまして、はっきり取り締まりの対象としてこれを守らせることができるようになるというように考えておるわけでございまして、ただ法律的にそういうような制度がしかれまして、守ってくれるであろうということだけではなしに、やはり地方の海運局あるいは海上保安庁と十分連絡をとりまして、そういう事業計画の中に定めました料金というものは順守されますよう、できるだけの指導並びに監督を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/50
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051・加藤常太郎
○加藤(常)委員 いまの局長の答弁ではもひとつ納得せぬのでありますが、やることはこれは間違いないと思いますが、免許フェリーのほうも、従来は貨物のほうはそのワク外である、これが第八条ではっきりと認可制になる。貨物フェリーのほうも、これを運賃表を公示して十九条でやらなくてはならぬ。こういうふうになった場合に、同一航路の免許制のフェリーと同一航路の貨物自動車の許可制のフェリー、こう二社あった場合に、従来から免許制の旅客フェリーは運賃表は各方面が厳守いたしております。そうなりますから、貸物のほうも旅客と同じように認可になった場合には、免許制のフェリーのほうはこれは実行すると思います。そうなった場合に、貸物フェリーのほうは従来から届け出で運賃はかって次第である、こういうふうになっておって、競争になっておるのでありますが、許可制になってもやはり従来の考え方で、相当もぐりの運賃でやると思いますけれども、そういう場合には、一般の免許制は、罰則その他を考えて、順守して、かたくやる。ところが貸物フェリーのほうはやみであるということになることは間違いないと思います。貨物フェリーは、バスとか乗用車は積むようになりますが、トラックはもう全然運賃関係で貨物フェリーのほうは行ってしまう。こういうような悪結果を必ず惹起すると私は思いますが、それは一般免許制を保護するという立場からもいけませんが、これがひいては一般の内航に重大なる影響を及ぼすのであります。あまりにも過当競争を運賃でやった場合には、先ほど私が申しましたように、機帆船なり内航船に重大な悪影響を及ぼす。これについて今後この法を実行する場合に、運賃の認可なり貨物フェリーのほうの運賃の認可制度かもしくはほかの制度でやるのか、同一認可制度でそれを実施するか、また運賃をきめる場合、同一航路で、同一運賃でやるのか、貨物フェリーは少しは差をつけて、それを必ず実行させるのか。私はかようなことを申し上げるのはいかがかと思うのでありますけれども、従来から運輸省でも海運関係のほうは、法律はつくったが実際は実行せぬ。ただ名目だけの法律をつくるのであったら私はかえって悪法になると思います。運賃をやる場合には、それはいかに運賃を取り締まりしてでも、多少はもぐりがありますけれどもその運賃を厳守する体制に持っていくか。多少のもぐりは、これは世の中でいろいろの悪人もできますから、一例を取り上げて全部が悪いということはできません。しかし、このままこの法を実施する場合には、ただ法は、貨物のほうも運賃は認可制度にしたが、実際実行する場合には、もう何ら規制がないという現状であるならば、この法律は私は施行する必要がないと思います。これに対して従来のような海運当局のやり方でなく、厳格に運賃の問題は取り締まっていく。両方ともどういう方法で認可制にするのか、または少し違った運賃の規制で貨物フェリーはやるのか、そしてこれが法を実施する場合には免許フェリーのほうは、これは重大問題だから業界が委員会でもつくって監視隊をこしらえよう、こういうようなことも出ておりますが、そういった場合、法を施行する役所のほうは、法律は出したけれども、これはかって次第だというような従来のやり方でないように、厳として取り締まるのだという確固たる答弁を、局長でなかったら参事官でも課長でも、当局の厳たる方針をひとつお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/51
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052・高林康一
○高林説明員 まず貨物運賃の規制のやり方でございますが、今度の改正案の第二十三条の四の改正条項でございますけれども、ここにおきまして、「第八条から第十一条まで」云々という規定は、「自動車航送貨物定期航路事業について準用する。」というふうにしておりまして、第八条以下、先ほど先生が御指摘になったとおり、運賃は認可制になっております。その点では両方とも同じ認可制、貨物フェリーの場合でも旅客フェリーの場合でも、同じ第八条の規定によるところの認可制でやっていくというふうに今度の改正案を考えておる次第でございます。もちろんこれも運賃の励行方につきましては、私ども地方海運局におきまして従来も非常に努力しておりますけれども、今後ますます——やはり運賃が一番問題でございますので、その点は海上保安庁ともよく協力いたしまして、この認可の処分その他に違反をしないよう、またそういうような事例が発見された場合には、先ほどの十六条の処分に関するところの違反ということになりますので、当然事業に対する停止あるいま免許の取り消しというような問題が発生してまいる、それらの点については十分注意し、また努力して施行していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/52
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053・加藤常太郎
○加藤(常)委員 いまの参事官の御答弁ではっきりいたしましたが、結局この法律案の改正は、最終的には先ほど關谷君からあったように、貨物フェリーと旅客フェリーとの区別をはっきりさせる、免許制と許可制をはっきりさす。許可制以外の貨物フェリーは、これは定期的にやるものは取り締まる。これが第一の問題。
次に、法律を実行する場合には、ただいまの参事官の解釈では、私も危惧いたしておりますが、従来のような規制でなく、貨物フェリーのほうの許可制のフェリーも、また免許制のフェリーのほうも、貨物運賃は同等な認可制で厳重にこれは規制をして監督をするということで了承したいと思いますが、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/53
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054・若狹得治
○若狭政府委員 いま御指摘のとおりでございます。
なお、先ほど御質問の中で、運賃というものについて、自動車航送事業の場合と一般旅客事業の場合の運賃が違うのかどうかというようなお話がございましたが、これにつきましても、先ほど關谷先生に申し上げましたとおり、われわれといたしましては、原則的には全く同一航路、同一自動車につきましては全く同一の運賃額でいくということを前提に考えております。ただ先ほど申し上げましたように、たとえば、夜中の便があるとか何とかいう場合に、多少の割引ということはあり得るかもしれませんけれども、それは特殊な例外でございます。原則的には全く同一運賃ということで考えておるわけでございます。なお運賃の収受の励行についての監督につきましては、われわれが先ほどから申しておりますように、あらゆる努力を傾けてまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/54
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055・關谷勝利
○關谷委員 一つ私はお尋ねしておかなければならないことを忘れておりますのでお尋ねしますが、自動車航送貨物定期航路事業者がやりますのは、これはトラックだけということであって、バスとかライトバン、乗用車等は、たとえ客を乗せておらないという場合でも、積んではならないというふうにしておきませんことには、バスとかライトバン、乗用車等を、空車なんだからこれは貨物定期航路事業者がやっていいのだということになりますと、そこらがまた混乱のきっかけになるような気がします。これはどういうふうに区分しますか。人間の乗り得るものは、トラック以外のライトバンとか乗用車、バスというふうなものは、これは旅客定期航路事業者のほうでやるのであって、貨物フェリーのほうはやってはならないのだというふうにはっきりするのですか。そこらはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/55
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056・若狹得治
○若狭政府委員 貨物につきましては、旅客の収容人員が非常に多いわけでございますので、からのバスを運ぶだけであって、実際上は乗客の乗っているものは運ばないというような事業の形態は考えられないわけでございますので、そういう場合にはやはり明確な指導方針をもって、バスについては対処してまいりたいと考えておるわけでございます。それから乗用車につきましては、自動車航送事業の中で、その乗車人員が十二名をオーバーするかどうかという、そういう可能性が常にあるのかどうかという点にやはり問題をしぼりまして、これを考えていくことにしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/56
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057・關谷勝利
○關谷委員 私が言うておりますのは、こういうふうにしたらいいというのです。バスとかライトバン、乗用車というふうなものは。貨物フェリーは積んではならないのだということにしておけばすっきりするというのです。それをしてないと、そういうものを積んでもいいのだということになりますと、わずかの客がそれに乗っておったとか何とかいうことで、そのくらいのものはよかろうということになって、やはりこれが違反をするきっかけになりますから、そういうふうなことのないようにするためには、最初のとりきめが大事だということで、私はそういうふうに言うておるのです。いまの、バスの場合には人間がたくさん乗るので、からの場合はないということを言ってけれども、からの場合もあります。どこからどこまで運んでくれというようなことでフェリーを使って、行きは客を積んでおりますけれども、帰りにはからで帰ってくることもあるのです。私は現にそういうふうなのを見ておる。ないとは言えないのですが、そういうふうな場合に、空車であるから、客を乗せておらないから、これは貨物フェリーのほうにやっていいのだとか、乗用車もこれは客を積んでいないからというようなことでやったのではぐあいが悪い。人間を運び得るそのものは、トラック以外のものは、これは旅客フェリーのほうでやるのであって、貨物フェリーはトラックに限るのだ、こうはっきりしたほうが、取り締まりにおいても一番都合がよくなってくる。そうでなければ、取り締まりができないということになるということを心配して私はお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/57
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058・若狹得治
○若狭政府委員 バスの場合には、空車の場合はもちろんあり得るでありましょうけれども、一般的に考えまして、いつでも乗客を積める状態でございますので、これは乗客を積んだ場合には十二名の制限を超過することが明らかでございますので、そういうものについての規制ということは当然考えられるわけでございます。ただ、いま御指摘のような自動車につきましては、もちろん自動車航送船自体の規模の問題もございますけれども、小さいものは三台、四台という程度のものもございますので、そういう場合にやはり常識的に考えても、制限の人員をオーバーしないという場合がやはりあり得るわけであります。したがいまして乗用車を一切積んではいけないというような規制を加えることは、実際問題として非常にむずかしい。ただ航路の需給関係から見まして、その事業開始につきましてそういう条件をつけるということはあり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/58
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059・關谷勝利
○關谷委員 おかしいですよ。そうすると空車であって十三人をこえない場合は、バスであろうと乗用車であろうと、それは積んで差しつかえない、こういうことになるわけのような御答弁ですが、そうすると、何ですね、監視でも出して絶えず見ておらなければならぬようなことになる。これは貨物フェリーのほうはトラックだけだということに限定することが、一番取り締まりの上からいってもすっきりするのですが、そういうふうに考え直してみたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/59
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060・高林康一
○高林説明員 いまの問題でございますけれども、もちろん理論的には旅客定員の範囲内でございますれば旅客の乗車した乗用車やバスの運送も可能なわけでございます。しかしながら、このような自動車航送を認めます場合においては、実際問題として定員超過も起こりやすい、また貨物船でございますから、非旅客船によりまして旅客を運ぶというようなことも、安全という見地から非常に問題でございます。そこで、この貨物フェリー事業の許可にあたりましては、原則といたしまして、運送する車種を貨物車というふうに限定するように措置したいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/60
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061・加藤常太郎
○加藤(常)委員 いま参事官の答弁と局長の答弁とが違うのでありますが、免許制と許可制とはっきりそこに一段階あるのであります。そこでバスのほうの問題は無理でありますから、当然バスは積めない。貨物フェリーというのは貨物を積むために、許可制と免許制との差異を生じておる。そこへ持ってきて先ほどから言ったように、貨車だけでも十三人をオーバーしょうといういろいろな解釈の疑点が実行する場合にある。一般の車種の許可がバスだとかまたは乗用車というふうに、旅客を専門に運ぶというふうに陸上の規定がそうなっておるものを、一人乗ったら貨物フェリーに積んだらいいというようなことになってきますと、これはますます混乱を来たすと思います。このごろはバカンスの時代で、そういう貨物フェリーのほうは許可制で、片一方は免許制というふうなことを知らない一般の乗用車が家族を連れて二台でも乗りますと、これはオーバーして、そういう場合に事故でもあった場合には、これは大問題が起こると思いますから、参事官の言うように旅客をおもに運ぶバスだとか、こういう場合にはこれは貨物フェリーには積まないのだ、こういうような大体の方針で、同じ乗用車でもこれが新車で、形は乗用車でも、製造会社から販売業者に貨物として、だれも乗っていかない、また許可もとっておらない、商品として、貨物として送る場合もあり得るかもしれません。そういう以外は貨物フェリーには積まないという参事官の定義が私ははっきりしておると思いますから、ついでに局長もそこに同調して御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/61
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062・若狹得治
○若狭政府委員 御指摘のとおりでございますので、われわれとしては原則的には貸物自動車のみの運送ということについて指導してまいりたいと考えておる次第でございます。ただ法律的に、たとえば運転者が一人乗って、ライトバンを一台載せてもらいたいというものを直ちに違反として取り扱うかどうかという問題については、多少問題があるのではないかというふうに考えますけれども、われわれの行政指導といたしましては、そういうような方針でやってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/62
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063・大西正男
○大西委員長代理 次会は来たる十八日火曜日委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803830X03119650515/63
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