1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十四日(水曜日)
午前十一時四十分開議
出席委員
委員長 岡 良一君
理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君
理事 福井 勇君 理事 石野 久男君
理事 田中 武夫君 理事 原 茂君
理事 三木 喜夫君
小沢 辰男君 小宮山重四郎君
坂田 英一君 野呂 恭一君
渡辺美智雄君 内海 清君
出席国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
国 務 大 臣 小泉 純也君
国 務 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第一部長) 関 道雄君
防衛庁参事官 麻生 茂君
防衛庁参事官
(長官官房長) 小幡 久男君
科学技術政務次
官 纐纈 彌三君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 小林 貞雄君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局長) 村田 浩君
外務事務官
(条約局長) 藤崎 萬里君
外務事務官
(アメリカ局
長) 安川 壯君
運 輸 技 官
(船舶局長) 芥川 輝孝君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 西村 熊雄君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局次長) 中川理一郎君
運輸事務官
(大臣官房審議
官) 中野 大君
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四月十四日
理事三木喜夫君同理事辞任につき、その補欠と
して石野久男君が理事に当選した。
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四月十二日
東海村に原子燃料再処理施設設置反対に関する
陳情書(第八七
号)
原子力潜水艦の寄港に伴う海水汚染調査に関す
る陳情書(第八八
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一五号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/0
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001・岡良一
○岡委員長 これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
理事三木喜夫君より理事を辞任いたしたいとの申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/1
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002・岡良一
○岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
引き続き、ただいま辞任されました理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/2
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003・岡良一
○岡委員長 御異議なしと慰めます。それでは、石野久男君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/3
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004・岡良一
○岡委員長 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/4
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005・田中武夫
○田中(武)委員 私が質疑をするというよりか、この前の委員会で私が質問をして、政府委員等が答弁できなかった点につきまして、政府から統一見解とか称せられるものが出るそうでございますので、まずそれを出していただきたいと思います。
それでは、この前私がお伺いをいたしまして、政府間に十分な答弁ができなかった問題はといいますと、実はいま当委員会で審議をいたしておりますのは、原子炉の規制法の改正案をやっておるわけなんです。その中にも、外国原子力船舶の中に「軍艦を除く。」こういう規定があるわけです。さらに、それに関連をいたしまして、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約、この国際条約におきましても、軍艦は除くということになっております。
そこで、海上自衛隊の船舶、持っておる船ですね、これは軍艦であるのかないのか、まずそれをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/5
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006・小泉純也
○小泉国務大臣 ただいまお述べになりました海上人命安全条約等から軍艦が除かれておるということは、一般の船舶といわゆる軍艦とはおのずからその任務が違うのでございまして、そういう点から除外されておるものだと私どもは考えておるのでございます。
そこで、海上自衛隊の艦艇というものは、この条約にいわれておる軍艦かどうかというお尋ねでございまするが、いわゆる憲法第九条の二項にいわれておりまする、憲法に禁止されておる軍艦ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/6
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007・田中武夫
○田中(武)委員 おかしなことを言われたのですがね。憲法に定められておる軍艦といって、憲法に軍艦の定義なんかありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/7
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008・小泉純也
○小泉国務大臣 いわゆる軍艦に該当するものではないというような意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/8
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009・田中武夫
○田中(武)委員 自衛隊法の八十七条には、武器の保有ということが規定せられておりますね。それから八十八条には、防衛出動等の武力行使、こういう規定があります。
そこで、海上自衛艦が武器を保有し、あるいは必要に応じて武力を行使する。これが積極的であるか消極的であるかということは別といたしまして、武器を保有し、これを行使する。その場合、それを一般船舶といえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/9
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010・麻生茂
○麻生政府委員 お答えいたします。
その前に、先ほど大臣からお答えいたしました点につきまして、ちょっと補足をいたしておきたいと思います。
海上人命安全条約におきましては、軍艦について適用されない、こう規定されておるわけでございます。この軍艦について人命安全条約が適用されないということは、同条約が海上における安全を保護するという点から、一般船舶を対象にいたしまして、その行動の要件とかその他の点を規定しておるわけでございます。ところが、軍艦というのは元来戦闘任務というものを持っておるわけでございまして、一般船舶と同一にこれを律することはできないという点から、軍艦に対して適用がないものだというふうに考えられるのでございます。
自衛隊は、自衛権の発動といたしまして、外からの侵略に対してわが国を防衛する一つの海上の部隊であるわけでございます。その任務は、やはり自衛権の行使としてではございますが、戦闘行動を行なうわけでございまして、したがって、海上人命安全条約で申しておるところの軍艦には、自衛艦もこの条約の適用上は軍艦に該当するものであるというふうに解しておるわけでございます。
それから、先ほど自衛隊法につきまして、自衛隊が任務遂行に必要な武器を保有できる。これは船について申しますならば、海上自衛隊の使用する船、すなわち自衛艦が武器をそれに装備することができるということを意味しておるものだと思います。
それから第八十八条に、自衛隊は、わが国を防衛するため必要な武力を行使することができるということになっておりまして、いわゆる自衛権の発動としての武力を行使することができるということになっておるわけでございます。
なお、その二項におきましては、その武力行使にあたっては、国際法規並びに「慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、」ということになっておるのでありまして、海上自衛隊の艦船がその自衛権の発動として武力を行使する場合におきましては、国際の法規及び慣例によるべきこととされておるわけでございます。
したがいまして、その自衛権の行使という限りにおきましては、これはやはり軍艦と同様な地位に立って行ない得るものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/10
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011・田中武夫
○田中(武)委員 海上自衛艦は軍艦である、こうおっしゃるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/11
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012・麻生茂
○麻生政府委員 直接軍艦というかどうかという問題は別といたしまして、一般に軍艦といいます場合におきましては、普通は、交戦権を行使できるというのが普通の一般の軍艦であろうかと思うのでございます。憲法の九条二項では、いわゆる国の交戦権は認めない、こう規定しておるわけでございますから、したがいまして、交戦権の行使という面についての自衛艦は制約を受けておるわけでございますが、しかし、自衛権の行使として武力行使をする、いわゆる戦闘行動をするということは、これは認められておるわけでございます。したがって、その限りにおいては、軍艦と同じような地位に立つものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/12
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013・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、海上自衛艦は軍艦ではあるのですか、ないのですか。ただ条約上軍艦とみなされるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/13
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014・麻生茂
○麻生政府委員 先ほど申しました点をさらにふえんして申しますと、海上自衛隊の艦船、自衛艦ですが、それが軍艦であるかどうかということは、個々の国際条約あるいは国際法規で用いておりますところの軍艦というものが、どういう趣旨でその条約なりその法規において取り扱われているかという趣旨に照らしまして、個々的に判断していくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/14
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015・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、軍艦という定義はそのときそのときによって変わる、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/15
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016・麻生茂
○麻生政府委員 要するに、その条約なりその法規がどういう趣旨でその場合軍艦ということを規定しておるか、あるいは軍艦の適用除外を認めておるかという趣旨に照らして判断をしていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/16
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017・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、この一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約、ここでいうところの軍艦である、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/17
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018・麻生茂
○麻生政府委員 海上人命安全条約にいっております軍艦に、自衛艦はその任務の性質から相当するものであるというふうに解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/18
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019・田中武夫
○田中(武)委員 防衛庁長官、いまの答弁でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/19
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020・小泉純也
○小泉国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる俗にいう交戦権を持つ一般の軍艦はこれに該当しないという意味のことを申し上げたのでありまして、日本の憲法の規定によって交戦権は持たない、自衛のための戦闘行動をするというようなことの解釈をしていきますと、これは一般の軍艦というものに該当するものではないかと考えるのでございまして、その軍艦というものに対する考え方の相違によると申しますか、いま政府委員はその場の状況によって判断をしなければならないと申しましたが、私がさっき憲法のことを申し上げましたゆえんも、憲法に規定しているいわゆる交戦権を持たないという意味で、一般の交戦権を持つという軍艦であるならばこれは該当しない。しかし、日本の憲法の規定に基づいてその範囲内における、交戦権は持たないけれども自衛のための行動をするというものの意味からはこれはやはり軍艦ということに該当するのではないか、こういうふうな意味のことをただいま申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/20
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021・田中武夫
○田中(武)委員 どうもひとつ明確でないのですがね。それでは、ひとつ軍艦の定義を言ってくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/21
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022・麻生茂
○麻生政府委員 軍艦の定義につきましては、あるいは先生も十分御承知のことと思うのでございますが、日本はまだ加入してありませんが、最近行なわれている条約におきましては公海に関する条約というのがございます。この公海に関する条約の適用上におきましては「「軍艦」とは、国家の海軍部隊に属する船舶であって、その国の軍艦であることを示す外部標識を掲げ、その国の政府によって正式に任命され、かつ、その氏名が海軍名簿に記載されている士官の指揮のもとにあり、かつ、海軍の正規の紀律に服する者を乗組員とするものをいう。」という定義がございます。この考えは従来商船を軍艦に変更する条約というようなものにあらわれた思想で、一般に国際法的に認められてきたものを成文化したものと、こう思われますので、申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/22
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023・田中武夫
○田中(武)委員 いまあなたのおっしゃったいわゆる国際法上の軍艦の定義といいますか、これは私もいま持っておりますが、大体いまおっしゃったようなことなんです。こういう定義の上に立って自衛艦は軍艦である、こういうように言われるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/23
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024・麻生茂
○麻生政府委員 先ほどから申しておりますように、要するに、先ほど読みました条約におきましても、「この条約の適用上、「軍艦」とは、」というような表現があるわけでございます。したがいまして、たとえばこの公海に関する条約上から申しますと、公海に関する条約は平時における公海の秩序を維持するという目的で規定されておるわけでございます。したがいまして、この公海に関する条約の適用上からは自衛艦も軍艦に相当するものというふうに解してよいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/24
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025・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、国際条約の上では軍艦である。国内法の上においては軍艦でない。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/25
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026・麻生茂
○麻生政府委員 先ほど申しましたように、国の交戦権というものは憲法第九条第二項におきまして認められていないわけでございます。したがいまして、そういう国の交戦権の行使はできないという制約を海上自衛隊の艦船は受けておるわけでございます。したがいまして、通常の軍艦と全く同じものであるというわけにはいかないわけでございます。あくまでその自衛権の行使に当たるところの海上自衛隊の艦船であるという意味で、国内法的にはこれを自衛艦と、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/26
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027・田中武夫
○田中(武)委員 国内法的には自衛艦といっておるんですね。その自衛艦が国際的には軍艦になる。そうですね。そういうことですね。
それから、国内における自衛艦の扱いはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/27
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028・麻生茂
○麻生政府委員 国内におきます自衛艦の扱いは、要するに自衛艦の任務に即した扱いをしておるということと思いますけれども、要するに自衛隊は外部からの侵略に対してわが国を防衛するという任務を持っておるわけでございます。そうして一たん侵略があった場合に対しては武力をもってわが国を防衛する任務に従事するわけでございます。したがって、その任務の遂行に必要という観点から自衛隊についての規律をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/28
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029・田中武夫
○田中(武)委員 どうも言われることがもう一つはっきりしないんですがね。国内における自衛艦の取り扱いはどうなんです。軍艦として扱っているのですかどうですかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/29
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030・麻生茂
○麻生政府委員 自衛艦に関する規定は、これは自衛隊法にもございまするが、いろいろと自衛艦に関連しての規定を、自衛隊法において規定をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/30
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031・田中武夫
○田中(武)委員 どうもはっきりしないのですが、それではこちらからお伺いしましょう。
自衛隊法の百九条で船舶法とか船舶安全法は除外せられておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/31
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032・麻生茂
○麻生政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/32
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033・田中武夫
○田中(武)委員 それは何がゆえに除外したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/33
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034・麻生茂
○麻生政府委員 これは海上自衛隊の任務の性質からいたしまして、一般船舶を対象にいたしましたこの船舶安全法なり船舶職員法というものを、自衛隊の任務遂行の上に必要とするところの自衛艦の形態とか用途とかいう点から見て、一般のものを適用するのは不適当である、そういう観点から適用除外しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/34
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035・田中武夫
○田中(武)委員 軍艦だから除外したんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/35
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036・麻生茂
○麻生政府委員 直接の目的は、要するに海上自衛隊の任務の遂行を最も円滑に遂行するという目的から適用除外したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/36
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037・田中武夫
○田中(武)委員 運輸省見えておりますね。海上保安庁の巡視艇はどうなんです。これは一般船舶ですか、それとも特別な扱いを受けておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/37
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038・芥川輝孝
○芥川政府委員 海上保安庁の巡視艇は、船舶安全法の適用を受ける船舶でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/38
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039・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、いわゆる一般船舶なんですね。
ところが、自衛艦だけは一般船舶とは違う。しかし、この場合、船舶を分ける場合には軍艦と軍艦でない船舶とに分けるのではないですか。大体それが国際法上のたてまえじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/39
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040・小泉純也
○小泉国務大臣 私の、何と申しますか、考え方を申し上げて御理解を得たいと思うのでございますが、一般の世界の通念としての軍艦と申しますると、田中委員も御承知のとおり、もちろん自衛権を持つと同時に交戦権を持つ。自衛権とか交戦権とかというものを分けて考えるのは、これは日本の憲法の制約がありますので、これは何と申しますか、世界の通念から異なった自衛隊のあり方でございますので、正面から海上自衛隊の艦艇は軍艦であるかないか、こういうお尋ねがありますると、軍艦であるとも断定ができないし、といってまた軍艦でないともお答えができないわけでございまして、そこにやはり憲法の制約、交戦権云々という説明を入れなければ明確さを欠くということになるわけでございます。そこで、私は、交戦権を持つ世界一般の軍艦かといわれると、そうじゃございません、こういうふうに答えざるを得ない。といって国際法上、いろんな船舶関係の国際法的な立場からいえば、やはり自衛権を持つ。場合によっては、侵略を受けた場合には戦闘行動もするのでございまするから、これはやはり一般の船舶と海上自衛隊の艦艇は迷うということになるわけでございまして、そういう場合には、いわゆる軍艦であるとは断定できないけれども、まあ軍艦に該当するというような取り扱いを受ける、こういう気持ちを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/40
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041・田中武夫
○田中(武)委員 外国から見れば、自衛艦は軍艦だと規定しているわけですね。外国から見れば軍艦ですね。ところが、国内においては、これを軍艦ではない。何かおかしいことありませんか。この船舶の規定なんというのは国際的な要素をたくさん持っているんですね。ところが、国際的には軍艦だ、こういうことであって、国内においては軍艦ではない、しかし一般の船舶とは違った扱いをするんだ、こういう点、何だかすっきりしないんですがね。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/41
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042・小泉純也
○小泉国務大臣 そこいらは、実は先ほど申し上げたとおり、断定ができない。ないとも言えないし、また軍艦であるとも言えない。そこで私は、まあ該当ということばを使いまして、交戦権を持たない——世界の通念からする軍艦とは日本の自衛隊の艦艇はおのずから違いがございまするので、国際法的には、一般に世界の通念でいう軍艦という中にいわゆる該当ということばを使って、その辺で何とかニュアンスの違いがあるのでございまして、軍艦でないとも言えないし、軍艦であるとも断定ができない。しかし、国際法上にはいわゆる軍艦の中に該当するものである、こういうことばを使ってそのニュアンスのところを御理解がいただけないものかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/42
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043・田中武夫
○田中(武)委員 外国が軍艦だと、こう言うんですね。それに対して、軍艦とも言えないし、あるいはその中間的なものだ、こういうような感じだ、こういうことですね。外国からするところの軍艦に対して、これは軍艦ではありません、こういうことは言えないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/43
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044・関道雄
○関政府委員 お答え申し上げます。
いま田中先生と防衛庁長官との問答、やりとりを拝聴しておりまして、法制局としての考え方で長官の御答弁を補わしていただきたいと思いますが、要するに問題は、おそらく長官の御意図もそうであったと思うのでありますが、わが国といたしまして、防衛庁で使用しております戦闘の行動をとることもあり、自衛行動をとることのある、要するに武装をしました艦艇、そういうものが軍艦であるかどうかということの焦点は、結局憲法九条の趣旨といたしまして、徹低的に交戦をいたしまして、本来その戦闘行動に自衛のための限度にとどまるべきであるとかないとかいう制約を持たないものはわが国としては保有できないという点が焦点でございまして、その点を明らかにする意味で、そういうような憲法上の制約をになった艦艇しか自衛隊は持てない、そういう制約を明らかにする意味において自衛艦というふうに呼んでおるわけでございます。
したがって、それが外国から、国際法上いろいろな規定の適用にあたりまして、そういう特殊の戦闘に適するような形態を備えているために、いろいろ海上の一般の船舶に当てはまるところの構造上の制約とか、そういうものをそのまま当てはめることができないというようなことで軍艦を除外しているような場合におきましては、これを国際法上の軍艦というふうに考えてその条約の規定を適用する、そういう限りでは軍艦というふうに見ても差しつかえないわけでございます。
ただ、要するに問題は、何と呼びましょうとも、憲法九条の制約をになった艦艇しかわが国としては持てないということだけが明らかになれば、この問題の焦点は達成できるものであるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/44
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045・田中武夫
○田中(武)委員 あのね、結局自衛艦は軍艦なんでしょう。軍艦じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/45
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046・関道雄
○関政府委員 結局そういうふうに先生に詰め寄られますと、その場合の答弁は定義のいかんにかかるという言い方をいたすことになるわけでありますが、先ほど私が申し上げておりますように、軍艦という場合に、一体それが自衛の範囲にとどまるような日本国特有の憲法の制約をになっているものであるかどうかということを国際法上において区別して考える必要がない場合においては、条約等において軍艦というふうに一般に呼ばれた場合に、自衛艦はそこに入ると考えて差しつかえない、その場合には、先生のおっしゃるとおり軍艦だと言ってかまわないわけでございます。
ただ、自衛艦、自衛艦とうるさく先ほどから防衛庁長官が気を使って言っておられますのは、要するに軍艦だと言ってしまった場合に、普通いわゆる国際法で、一般の諸外国において日本の憲法のような制約のない場合における、あくまで戦闘を行なって、自衛行動などの制約などがない、そういう制約をになっていない本来の普通の意味の軍艦と同じ意味だというふうに同視されるのを非常にいとって長官がお話しになったのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/46
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047・田中武夫
○田中(武)委員 何でそういうことを気にせにゃいかぬのです。外国では軍艦だと言っているのです。まさに軍艦なんです。それが国内においてはなぜ軍艦でないか。
しかし、船舶法とか船舶安全法とかから除外しているのです。先ほどの答弁で明らかなように、海上保安庁の巡視艇は一般船舶なんですよ。ところが、これだけは別にしてあるでしょう。それはやはり軍艦だからでしょう。
もう一つ尋ねますが、海難審判法の二条でいうところの船舶の中に自衛艦は入るか入らないか。巡視艇は入るか入らないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/47
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048・麻生茂
○麻生政府委員 海難審判決に、これはうちのほうも入るということで、やはり来判に服しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/48
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049・田中武夫
○田中(武)委員 海上保安庁もそうでしょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/49
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050・芥川輝孝
○芥川政府委員 私の担当でないので、正確なことは申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/50
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051・田中武夫
○田中(武)委員 いや、海上保安庁の巡視艇が衝突をやるとか、何かの海難を起こしますね。そのときには海難審判の適用を受けるか受けないか、こういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/51
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052・中野大
○中野説明員 海上保安庁の巡視艇は船舶免状を持っております。船舶職員がおりますので、やはり海難審判の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/52
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053・田中武夫
○田中(武)委員 これは法制局ですかな。外国の軍艦は、その国の国内法において海難審判の対象になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/53
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054・関道雄
○関政府委員 ちょっと私調査しておりませんので、確かな返事をいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/54
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055・田中武夫
○田中(武)委員 防衛庁は、国外的には、外に対しては軍艦を持っているわけでしょう、さっきの答弁で明らかなとおり。そういたしますと、その点は研究なされていると思のうですが、海難審判の場合に、外国の軍艦はその対象になっていますか、なっていないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/55
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056・麻生茂
○麻生政府委員 海難審判の点につきましては、私直接担当ではないわけでございますが、おそらく外国の軍艦が他国の法権に服するということは、国際法から考えて、まずないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/56
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057・田中武夫
○田中(武)委員 いや、いまの御答弁では、国内において日本の自衛艦は海難審判の対象になる、こういうことでしょう。それなら、たとえばアメリカならアメリカの国内法において、軍艦は海難審判の対象になっていますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/57
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058・麻生茂
○麻生政府委員 私不勉強で、その辺のところの外国の例をつまびらかにしておりません。しかし、旧海軍時代におきましは、旧海軍の軍艦は海難審判の対象になっておらなかったわけでございます。そういう点から推して考えますと、おそらく軍自身の査問委員会においてそういう原因を調べるということになっておるのではないかと思いますが、はっきりした資料を持ち合わせておりませんので、これは私の憶測として御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/58
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059・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、日本の自衛艦が外国の領海内において事故を起こした場合、これはその相手国の海難審判に服しますか、どうですか。対象になりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/59
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060・麻生茂
○麻生政府委員 われわれのいま理解しておるところでは、やはり外国の法権のもとに立たないというふうに考えておるわけでございます。したがって、外国の海難審判は受けないでよいのではないかというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/60
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061・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、外に対してはまさに間違いなしに軍艦ですね。内に対しても一般船舶から除外しておる。ただし、海難審判のときだけは自衛艦も対象になる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/61
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062・麻生茂
○麻生政府委員 私ちょっと条約を持ち合わせておりませんのであれですが、船舶衝突ニ付テノ規定ノ統一二関スル条約では、軍艦ばかりではなく公用の艦船についても適用除外になっておったような気がするわけです。公船についても適用除外の規定があったような気がするわけでございますが、これはしかしよく調べませんと正確なことを申し上げられませんけれども、何か一緒に扱っておったような気がいたします。この点は正確な答弁ということではなくお聞き取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/62
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063・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、海上保安庁の巡視艇も公船ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/63
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064・麻生茂
○麻生政府委員 これは私のほうから申し上げるのは僭越かと思いますけれども、一般に公船といわれるものに該当すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/64
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065・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、全く自衛艦は軍艦と変わりないじゃありませんか。軍艦だということが、憲法九条二項によってなぜいけないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/65
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066・関道雄
○関政府委員 先ほど来、私御説明申し上げたとおり、軍艦という名前をつければ憲法違反であるというようなことは毛頭ございませんので、要するに名前は何と言いましょうとも、憲法九条の規定するとおり、自衛行動を越えた行動をとるようなことは許されていないということが確保されればよろしいわけでございます。そこで、田中先生が先ほど来お述べになっておられますように、いろいろな国際法あるいは国内法の規定におきまして一般商船と違った取り扱いをする必要があるために、それは、船の形であるとか、あるいは船の一つの国家権力とのつながりとか、そういういろいろな事情によりまして、国際法あるいは国内法上において一般の商船とは取り扱いを異にするということがあるのは、ちっともそれはそのために、それが軍艦であると呼ばれるということと憲法九条との関係はないのでございます。要するに、問題は、自衛艦と呼びましょうとも軍艦と呼びましょうとも、わが国の自衛隊において持ちます艦船は、そういう自衛行動以上の行動をとることができないという制約さえ確保されれば、それでよろしいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/66
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067・田中武夫
○田中(武)委員 いまの法制局の説明を聞いておって、防衛庁長官どうです。自衛艦イコール軍艦であると解釈してよろしいですか。軍艦をお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/67
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068・小泉純也
○小泉国務大臣 そこが、いままで田中委員の言われたような国内船舶との国際法上とかいろいろな関係から、海難審判とかなんとか、そういうことを前提としてお尋ねになれば、あるいは軍艦に該当するというお答えでも差しつかえないと思われます。しかし、そういう前提が、ただ単に日本の海上自衛隊の艦艇は軍艦かどうか、こういう御質問がありますと、私がさっきから繰り返しておるとおり、世界の通念として、交戦権も持つのが普通通念としての軍艦でございますから、軍艦でありますと言ったら、それはけしからぬじゃないかというような議論もできるわけでございます。交戦権を日本の海上自衛隊は持っていないじゃないか、それを軍艦であるとは何事か、こういう議論もあり得るわけでございますので、私は念を入れまして、いろいろな御説明を、くどいようですけれども、申し上げたわけでございまして、いま当委員会で問題になっておりまする海難審判を受けるとか、国際法上一般の船舶とは別に扱われておるというようなことから、こういう実際問題を背景として考えてまいりますと、日本の海上自衛隊の艦艇も軍艦であると——断定はまたいろいろな疑義も起こりましょうけれども、しかし、いわゆる軍艦に該当するということはお答えができると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/68
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069・田中武夫
○田中(武)委員 はっきり言って、軍艦を持っておると、こうは言えないのですか。何かまどうっこしいことを言っているが、外国からはまさに日本は軍艦を持っておると見られておるわけですよ。いいですか、国際公法上では、日本の自衛艦は軍艦になっておるわけなんです。そうであるならば、外国から見れば、日本は軍艦を持っておる、こういうことになっておるわけです。国内においても、一般船舶とは別な規定によって律せられておる、一般船舶ではない、こういうことが明らかになっておるわけですね。それでなお軍艦ではないというのはどういうことなんですか。法制局に言わしめるならば、名前はどう呼ぼうとも、憲法九条二項には関係がない、こう言っておるのですよ。しかし、あなたは、憲法九条二項によって、そういうように軍艦だと言われると、戦力だと言われるから警戒しておられるのですが、しかし、裏面かう言うならば、憲法九条二項の戦力とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/69
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070・小泉純也
○小泉国務大臣 戦力とは、自衛のための必要以上の力を戦力というふうに解しておるのでございます。
それから、再三繰り返すようでございますが、軍艦であるといっても差しつかえないじゃないかというような田中委員のお尋ねでございますが、それはもちろん前提において、憲法の範囲内における、いわゆる交戦権を持たない自衛のみのための軍艦であるということであれば、それはそういう前提ではっきりしたワクがきめられておれば、私は軍艦であると申し上げても差しつかえないのではないかと思うのであります。
ただ軍艦であるかどうかと言われますと、先ほど来繰り返し申し上げるとおり、誤解があるといけませんから、軍艦であるとも断定ができないし、といって国際法上の実際上の取り扱いにおいては一般船舶とは異なるし、任務も違うのでございますから、軍艦でないともいえない。そういうふうな該当ということばを付加しての軍艦である。ということは申し上げられると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/70
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071・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来言っておりますように、また、参事官から御答弁があったように、国隊法上の「「軍艦」とは、国家の海軍に属し、かつ、当該国の軍艦であることを明示する外面的標識を具備するすべての船舶であって、当該国の政府により正式に任命され、かつ、海軍軍人名簿に登載されている将校によって指揮され及び正規の海軍の規律のもとにある者を乗組員としているものをいう。」こうなっていますね。この点あなたはお答えになったのですね。この点から言うならばどうなんです。外国は軍艦とみなしているわけでしょう。それなら国内的に言ったって軍艦じゃないのですか。名前は違うが、海上自衛隊と海軍とはどう違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/71
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072・関道雄
○関政府委員 まだわが国が入っておらない条約でございますが、条約の文言にかかわる問題でございますので、ちょっと私から御説明いたしますが、海軍部隊ということばを使っております条約の定義におきまして、その場合に、その条約の趣旨、目的から考えまして、そこにいう海軍部隊というのは、その行動が、本来自衛の範囲にとどまるべきものを——自衛の範囲を越えるものに限るとか限らないとかそういうことを問題にしていないというふうに考えられる場合、それから軍艦であるという外面的な標識という場合も、別に普通の公船でありますとか、それから普通の商船であるとかいうものと迷ったものであるということが認識されるような標識というようなものであればいいというふうに考えられる限りにおきましては、そういう定義にある軍艦に当たるといってもちっとも差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/72
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073・田中武夫
○田中(武)委員 だから防衛庁長官も、そういうあるとも言えないし、ないとも言えないというようなことでなく、軍艦を持っていますということが言えないのですか。そうなりますと憲法九条二項の戦力であるかどうかが問題になる、そういうことでおっしゃっておるのですが、海上自衛隊も実は海軍でしょう。しかも、自衛艦は軍艦でしょう。そうするならば、憲法九条の解釈は違う。あなた方の解釈とわれわれの解釈は違う。これはいまさらにやったってしかたがないです。自衛権があるのかないのかとか、集団防衛がどうだとか、こういうような問題にまた入っていかないと解決せぬから、その点はおいておきましょう。
しかし、海上自衛隊が海軍である、同時に自衛艦は軍艦である、そう解釈していいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/73
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074・関道雄
○関政府委員 いま先生のおっしゃいましたこと、私の先ほどの答弁に関係がございますので、ちょっと一言申し上げますが、先ほど軍艦と言ってもいいというふうに私申し上げましたのは、それぞれの規定の趣旨、目的に照らしまして軍艦であると言っていい場合があるということを申し上げましたので、わが国内法上で特にそれを軍艦であると言わずに自衛艦と言っておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、憲法九条との関係において軍艦と混同することをきらって自衛艦ということを使っておるわけでございますから、その意味においては、そういう憲法九条に光を当てました場合におきましては、軍艦と言うことはできないで、自衛艦、こういうふうに言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/74
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075・田中武夫
○田中(武)委員 はっきりしませんね。ということは、政府が憲法九条二項の違反とまでは言わなくても——われわれは違反だと思っていますが、違反だと言わなくとも、そこにやましいものがあるからと言っておるのでしょう。そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/75
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076・小泉純也
○小泉国務大臣 これは先ほど来申し上げますとおり、防衛庁長官として、いきなり自衛艦は軍艦ではないか、といって簡単に軍艦でありますと断定することは非常な誤解を与えますので、私はいろいろ申し上げているわけであります。いまの自衛艦は軍艦ではないかと言われますけれども、これもそういうふうにお答えができないのであります。
だから、やはり憲法第九条の制約を受けておりますので、あくまでも自衛の範囲にとどまるべきものであるという限定がございますから、日本の場合においてはこれを軍艦とは断言できない。だから、ことさらに自衛艦ということばを使っておるわけでございます。国隊法的には、いろいろなときと場合によっては軍艦に該当するというような取り扱いを受けることもあるし、また軍艦に該当すると解釈してもいい場合もございますけれども、ただ単に自衛艦は軍艦であるということには言い切れないと申し上げているわけでございます。この点は、そういう意味において軍艦ということばを使わないで自衛艦ということばを使っておる、そうしてあくまでもいわゆる自衛の範囲を越えてはならないのだという憲法の制約があるという意味からいたしまして、田中委員の言われることは私もよくわかりますけれども、具体的な場合においては軍艦であると言ってもいい場合もあり得る。実際の面においては軍艦に該当する場合もある。しかし、ただ単に軍艦でありますという断定は、やはりこの際差し携えなければならない。軍艦に該当する場合もあり得るということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/76
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077・田中武夫
○田中(武)委員 こんなことばかりやっておってもしようがないので、整理をいたします。
自衛艦は、外国から見れば国際法上では軍艦である、しかし、国内においては軍艦でなく自衛艦である。しかし、一般船舶とは違う。これは自衛隊法で明確になっているように、船舶法だとか船舶安全法は適用は受けないのだ。何か知らぬが中途はんぱなものである。それでしょうがないから自衛艦と呼んでおるのだ、こういうことを言うのですね。そういうことでいいんですか。イエスかノーかでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/77
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078・小泉純也
○小泉国務大臣 国際法的にはいろいろな場合によりまして、軍艦であるとみなされる場合もあるし、また軍艦に該当する場合もある。また、国際的に軍艦と他国から見られても差しつかえない場合もありますけれども、国内的には、われわれとしてはあくまでも自衛の範囲をいずるものではないという意味で軍艦と問うことは、先ほど私が申し上げましたとおり、世界通念からして、自衛だけではない、一般の軍艦は交戦権も持つという意味においてそこに誤解が生ずるから、軍艦と言うわけにはいかない、あくまでも自衛艦という名前を使うことが日本独特の自衛隊のあり方からいたしまして適当と考えて、ずっと自衛艦ということばを使っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/78
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079・田中武夫
○田中(武)委員 これ以上言ってもしかたがないので、外国からは軍艦を持っておるとみなされておるということだけは間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/79
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080・小泉純也
○小泉国務大臣 それは外国が日本の自衛艦を軍艦とみなすということはあり得ることで、これは遠洋航海なんかで日本の練習艦隊が行きましても、外国は軍艦と言っているし、また軍艦としての取り扱いをしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/80
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081・田中武夫
○田中(武)委員 ところが、防衛庁長官は、軍艦ではない。それならば、外国が軍艦だとして取り扱うのに対して、なぜ軍艦でありませんと言わないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/81
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082・小泉純也
○小泉国務大臣 これは最初に申し上げましたとおり、一般の通念としての軍艦と日本の自衛艦は御承知のとおり違うのですから、日本だけが特にこういう憲法の制約を受けて、交戦権を持たない、自衛のための最小限度の自衛隊のあり方で、防衛でありますので、それを外国に向かって、日本独特のものを、世界の通念から離れて、一々軍艦と呼んでもらっては困ると言うこともどうかと考えまして、世界の一つの従来の慣習からいって、平時の場合において日本の練習艦隊等が外国に参りましても、向こうは軍艦とみなし、また国際法上いろいろな場面に軍艦としての実質的な取り扱いをしてくれておりますので、特に世界の通念からはずれて日本だけの立場を軍艦と呼んでは困るというようなこともいかがかということで、世界の通例に従って軍艦という取り扱いを受け、あるいは呼ばれてもそのままにしておるというのがいまの実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/82
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083・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、外国が自衛艦を軍艦だとみなす、これに対して防衛庁は肯定しているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/83
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084・小泉純也
○小泉国務大臣 外国が軍艦としての取り扱いをすることについては、一向差しつかえないことでございますので、そのままそういう取り扱いを受けておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/84
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085・田中武夫
○田中(武)委員 これ以上論議しても進まないと思いますので、この点はその程度にして、またあとで触れることにいたします。
そこで、三月十九日の当院の本会議において、この法案の本会議趣旨説明に対して、先輩の原委員があなたに対して、自衛隊は原子力潜水艦を持つか持たないか、こういうことを尋ねたのに対して、どうお答えになったかということはもう御存じだろうと思いますが、何でしたら会議録を読み上げましょうか。
「なおまた、原子力潜水艦の建造についてのお尋ねでございましたが、世界の商船のすべてが原子力を推進力とするというような時代がまいりますれば、当然また考慮しなければならないかとも考えられまするが、」
いままではその考え方は持っておりません、こういうことですが、この「当然また考慮しなければならない」ということは、どういうことなんです。将来防衛庁は原子力潜水艦を持つということに解釈していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/85
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086・小泉純也
○小泉国務大臣 原委員の本会議の質問に対する私の答弁は、いま御指摘のとおりでございますが、私は将来世界の商船のすべてが原子力を推進力として持つようになるという時代が来たならば、日本の潜水艦も原子力を推進力とするものをつくるんだというような意図や前提があって申し上げたのではないのでございまして、このあとに続く「考慮しなければならないかとも考えられまするが、現在の段階においては、原子力潜水艦をつくるというような意思もございませんし、また具体的な検討をいたしておらないのでございます。」とお答えをしておりますとおり、この全体の考え方からいたしまして、「当然」というようなことばがここへ出てまいっておりますので、こういうところに重点を当ててお考えになればいまのような考え方も起きるかもしれませんけれども、「当然」というのは、入れたことがかえって誤解を与えたと私は考えております。何といいますか、ことばのあやで「当然」ということばがここに出てきたと思いますが、そういう時代が来れば「考慮しなければならないかとも考えられまするが、」ということになっておりますので、将来そういう時代が来たらば原子力潜水艦もつくるんだとか、またつくることが当然なんだというような前提は全然心持ちの上にないということをひとつ御理解をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/86
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087・田中武夫
○田中(武)委員 当然というようなことはことばのあやだ、こういうようにおっしゃっておるのですが、この文面から見れば、ある時期が来れば考慮するんだ、こう解釈できるんですが、どうです。絶対に原子力潜水艦なんかは持たない、こう言い切るんですか。それとも、ある時期が来れば考えるんだ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/87
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088・小泉純也
○小泉国務大臣 この答弁のおしまいにもあるし、いま私が申し上げましたことにもございますとおり、そういうことを前提として申し上げたのではない。また、そういうことを考えてもおらないし、具体的な検討もしていないということでございますので、いまの段階においては、さようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/88
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089・田中武夫
○田中(武)委員 いまは考えていない、しかし将来は考えることがあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/89
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090・小泉純也
○小泉国務大臣 将来といってもいろいろございますが、いまの段階においてわれわれの常識においてはこういうことは考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/90
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091・田中武夫
○田中(武)委員 法制局、先ほどあなたの軍艦に対する解釈からいって、原子力潜水艦は軍艦ですか、軍艦でないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/91
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092・関道雄
○関政府委員 いま先生のお尋ねは、おそらく原子力の平和利用の問題との関連においてお尋ねかと思いますが、そうじゃありませんか。
一般的に原子力潜水艦というのは軍艦かというお尋ねと思います。そうしますと、普通の意味における軍艦であるというように考えるのが普通あたりまえのことですが、ただ、わが国は原子力潜水艦ということは考えませんが、潜水艦一般として考えれば、わが自衛隊の持っておりますものも、原子力がございません普通の潜水艦でございます。原子力であるないにかかわらず、潜水艦は軍艦かといえば、また先ほど来の軍艦の論議に戻るのでありますが、一般には軍艦としての形態を備えておるもの。しかし、わが国がそれを持つ場合には憲法上の制約が加わりますから、これを自衛艦と呼ぶというふうになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/92
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093・田中武夫
○田中(武)委員 いや、潜水艦は軍艦ではないのですか、あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/93
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094・関道雄
○関政府委員 物理的な、形状その他からいいますと、一般的に軍艦と唱えられるものの形態を備えておるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/94
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095・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、潜水艦は軍艦ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/95
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096・関道雄
○関政府委員 戦闘の目的でつくられた船という意味では軍艦であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/96
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097・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、現在の海上自衛隊は潜水艦をお持ちですから、潜水艦の推進力が原子力かどうかは別として、やはりいま法制局の答弁した意味における軍艦を持っておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/97
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098・小泉純也
○小泉国務大臣 これはやはり先ほどの艦艇のお答えと同じでございまして、潜水艦も海上自衛隊の艦艇の一種類でございますから、いま軍艦かとまつこうに言われますと、先ほど来の答弁のとおり、おのずから制約があるということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/98
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099・田中武夫
○田中(武)委員 潜水艦の要件に、原子力を推進力とするとかしないとかいうことは要件じゃありませんね。はっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/99
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100・関道雄
○関政府委員 たぶんそういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/100
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101・田中武夫
○田中(武)委員 それならば、アメリカの原子力潜水艦が日本へ入ってきた。寄港した。いまの防衛庁の考え方からいくならば、軍艦ではないのですね。アメリカの原子力潜水艦は軍艦ではないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/101
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102・小泉純也
○小泉国務大臣 日本の自衛隊の艦艇や潜水艦は、先ほど来たびたび申し上げておりますとおり、軍艦かと言われると、軍艦と断定はできませんという、これは何べん繰り返しても同じでありますが、アメリカのは、これは交戦権を持つ、世界のいわゆる通念の上に立つ海軍でございますから、潜水艦あくまでも軍艦でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/102
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103・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、どういう装備をしたらば軍艦であって、交戦権を持っておって、どういう程度の装備まではそうではないという限界がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/103
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104・麻生茂
○麻生政府委員 私、先ほど軍艦の定義を申し上げましたので、私から御説明いたしたいと思いますが、軍艦の定義は、先ほど申し上げましたのが軍艦の定義の要件でございまして、あの中におけるどういう装備を持ったかということは要件ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/104
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105・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、同じものを日本が持っておれば、日本は軍艦とは解しない。しかし、外国が持っておれば軍艦と解する、そういことですね。したがって、軍艦と解しないのならば、アメリカの原子潜水艦に対しても調査権限があるわけなんですよ。そうでしょう。ところが、軍艦を除くのだから調査も何もできないと、向こうの言うなりになったでしょう。
だとするならば、潜水艦ということだけで軍艦であるとかないとかがきめられるということなら、日本的解釈ではこれは軍艦でないから調査をさしていただきますということはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/105
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106・関道雄
○関政府委員 これは先ほど来何度も繰り返しまして恐縮でございますが、自衛艦、自衛艦とうるさく申しますのは、要するに、憲法九条との関係で、ほかの軍艦とは迷うのだということを明瞭にいたそうという苦心から出たところでございまして、アメリカの軍艦のごときは、そういう憲法九条などの関知せざるところでございまして、完全なる交戦の権能を持っておりますので、そういうものについては、これは自衛艦と呼ぶわけにはいかないわけでございます。
自衛艦は、御承知のごとく、自衛隊法の規定によりまして自衛隊が持つものに限って自衛艦というふうに呼んでおるわけでございますので、ほかのものとは、そういう性格のない外国の——外国に、もしもかりにそういう性格のあるのがあれば、それはあるいは自衛艦というものは——自衛艦というのはわが国内法上の名前でありますから、その名前でそのまま呼ぶことはできないかもしれませんが、いずれにしましても、それは普通の軍艦じゃないということになろうかと思います。
しかしながら、自衛艦についても外国で軍艦と見るというようなお話が先ほど来ありますのも、要するに、国の防衛力に関係のある船は、外国において、その国の主権を尊重いたしまして、いわゆる一種の礼儀といたしまして——礼儀というよりも、権威を認めますがゆえに、国際法上それに対して調査権限を行使いたしましたり乗り込んで検査するというようなことをやらないという、そういう一つの慣行といいますか、一種の国際法規ができ上がっております。そこにいいますところの軍艦には、おそらく自衛艦も当たっておるということであろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/106
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107・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、対外的にはすべて軍艦である。これははっきりしました。
そこで、軍艦であるのかないのかを国内的に自衛艦と言っていることは、憲法九条二項の関係があるからと、こういうことなんです。ところが、それを演繹していきますと、結局、指揮官といいますか、それを指揮する者の心の持ち方によって軍艦になったりならなかったりすると思うのです。そうじゃないですか。ここで撃つことが自衛でない、これは進んでの攻撃であると判断するかしないか。そうでしょう。だから、先ほど来言っておる、自衛艦と軍艦との違いはどこにあるかと言ったら、指揮官の精神状態だ、これだけの迷いになったですね。そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/107
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108・関道雄
○関政府委員 どうも田中先生のように、百も御承知で御質問なさると、私も答弁がしにくいのでありますが、指揮官の心の持ち方で、法規において定められた船の性格が変わるということはございませんので、かりに先生のおっしゃいますように、自衛艦の艦長が、自衛の範囲を越えた行動に出たといたしました場合には、自衛艦の性格が軍艦に変わるのではなくて、その艦長が、任務権限の範囲を越えたという事実があるだけでございまして、指揮官のそういう違法な行動によって軍艦の法律上定められました性格が変わるということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/108
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109・田中武夫
○田中(武)委員 まあ結局は憲法九条二項の規定があるので、軍艦ではあるけれども、軍艦とは大っぴらに言えないのだ、それだけのことですね。
防衛庁長官、実際は軍艦なんだ、外国も軍艦だと見ておるのだ、しかし憲法九条二項の規定があるから、防衛庁長官の口から軍艦だとは言えない、しかし、軍艦である、こういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/109
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110・小泉純也
○小泉国務大臣 防衛庁長官の口から軍艦とは言えない、しかし軍艦である、と言ってしまえば、これはもう軍艦であるという答弁と同じことになりますので、その点は先ほど来繰り返しておることで御了承いただきたいと思います。そしてまた、外国は、これを軍艦とみなして取り扱う場合もあるということ、全部が全部というわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/110
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111・田中武夫
○田中(武)委員 そんなことを言われると、どういう場合が軍艦とみなされるんですかと聞きたくなるんですがね。結局、軍艦だと政府は認めておるわけです。また、国内においても軍艦と同じ扱いを受けておるわけです。しかし軍艦ではないと言わなくちゃならないのは、憲法九条二項があるからだ、こういうことなんでしょう。しかし、やっていることは、実際は軍艦としてのことをやっておるし、また国内法においても、軍艦とは言えないけれども、軍艦と同じように一般の船舶から除外せられておる。船舶安全法からも除外せられておる。だから、実際は軍艦は持っておるのだ。事実において持っておるのだ。ただ、形式的に自衛艦だと呼んでおるだけだ、こう言いなさいよ。そうなると、同じことを繰り返してもしかたがないのだから、この答弁なり質疑の中から、それは明らかになってきておるのですよ。
そこで、もう一ぺんお伺いしますが、絶対に原子潜水艦は持つのか持たないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/111
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112・小泉純也
○小泉国務大臣 田中委員のおっしゃることは私どもよくわかるのでございますが、これがいわゆる一般の国民の間の常識として、軍艦として認めているということは、これはもう申さるるとおりであります。しかし、こうした国会の正式な委員会の場で防衛庁長官として答弁いたしまする場合に、世間の一般の常識はこうだからこう言って差しつかえないのだということは、いろいろな先ほど来申しますとおり、そのことばだけをば見て、軍艦と断定したことは、世界の通念の、日本の海上自衛隊は交戦権を持つものと同じじゃないかということの論議をやはり起こしますし、また誤解が起こりますので、こういう公開の、責任を持たなくちゃならぬ場合においての答弁は、いままでのお答えを繰り返す以外はないのでありまして、その点はひとつどうぞ御了承いただきたいと思います。
なおまた、原子力潜水艦の問題についても、これも先ほど申し上げましたとおり、将来原子力潜水艦を持つんだとか、あるいは持つようになるだろうということは、現在のところでは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/112
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113・田中武夫
○田中(武)委員 そういいたしますと、三月十九日の本会議における長官の答弁の中で、「当然また考慮しなければならない」という個所は削除せられたものとみなしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/113
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114・小泉純也
○小泉国務大臣 いまのは、「当然また考慮しなければならないかとも考えられまするが、」ということでございますので、私は、田中委員の申さるることと食い違いはないと考えております。
しかしながら、これにこだわるわけじゃございませんが、「当然」ということばあたりは、何と申しますか、ないほうがかえって誤解を生まないのではないか。何といいますか、口が走って「当然」ということばが入ったと私は率直に申し上げます。この「当然」ということはひとつ、ないということでお考えいただければ、大体これで御了解がつくのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/114
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115・田中武夫
○田中(武)委員 「当然」は取り消された。しかし「考慮」は生きておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/115
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116・小泉純也
○小泉国務大臣 形ばって取り消すということじゃなしに、「当然」ということばはなかったほうがかえって適当ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/116
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117・田中武夫
○田中(武)委員 「考慮」は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/117
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118・小泉純也
○小泉国務大臣 「考慮」は、これはもう何も、「ならないかとも」というような前後を読んでいただけば、私はそう誤解を生むものではないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/118
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119・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来の論議で、絶対に現在の段階においては自衛隊は原子潜水艦は持ちません。またそういうことも考えておりません。しかし将来は考慮することもある。「当然」を除いたらそういうことになるのですね。当然考慮しなければならないかとも思うというのは、「当然」を除くと、考慮することもあるかもしれませんと、こういうことなんですね。だから、まだ長官の胸の中といいますか、頭の中には、考慮する場合もあるということは残りますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/119
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120・小泉純也
○小泉国務大臣 これもやはり将来の問題でございまして、将来というのは、やはり五年、十年も、あるいは三十年、五千年、百年もまあ将来でございまして、世界が非常に変わってまいりまして、もう原子力潜水艦なんというものは——原子力というものはもうあらゆる船舶、艦艇、それこそどうかといいますと、漁船に至るまですべてに原子力推進力を利用するというような事態がまたくれば、それはまたおのずから考えなければ——考えられるというようなことになるのではないかということもございますので、将来絶対に、二十年も三十年も五十年もあり得ないということは、私は、これは人間としてだれしも断定はできないことではないかと思うのでございまして、お互いが、常識上の、いわゆる将来わが自衛隊の海上艦艇に原下方の推進力を持つというようなことは考えてもおらないし、検討もしておらないということでひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/120
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121・田中武夫
○田中(武)委員 私は長官の答弁には不満なんです。と申しますのは、二十年、三十年、五十年というようなことを言っていないのですよ。そういうことでなく、かりに百年先でも、日本の原子力基本法が変わらない限り、憲法の九条二項の規定が変わらない限り、原子力潜水艦は持ちません。かりに漁船まで原子力を推進力とする船ができたといたしましても、基本法のある限りは、潜水艦はつくられないでしょう。その点、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/121
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122・小泉純也
○小泉国務大臣 これはもちろん法律の範囲内のことで申し上げたわけでございまして、いま田中委員の申されますとおり、基本法のある限り、これは法律というものは、五十年、百年、二百年の先といえどもあくまでも厳守していかなければならないという前提に立つことは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/122
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123・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、この議事録を、私は訂正してくれとは言いませんが、こういうように読み変えますが、よろしいですね。
原子力基本法が現存し、平和利用の精神が生きておる限り、防衛庁といたしましては、原子潜水艦は絶対に検討もし考慮もいたしません。こういう答弁と受け取りますが、いかがです。それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/123
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124・小泉純也
○小泉国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、もちろん現在の法律の観点はあくまでも守っていかなければならないということでございますので、現在の段階においては、毛頭そういうことは考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/124
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125・田中武夫
○田中(武)委員 現在の段階じゃなしに、原子力基本法ある限り検討はできません、とは言えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/125
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126・小泉純也
○小泉国務大臣 もちろん原子力基本法の方針に従わなければならぬことは当然でございますので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/126
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127・田中武夫
○田中(武)委員 ならば、私が先ほど言ったように、原子力基本法が現存し、憲法九条二項の規定のある限り、自衛隊は原子潜水艦は持ちません、検討もいたしません、そう御答弁があったものと解釈いたしますが、よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/127
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128・小泉純也
○小泉国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、あくまでも原子力帯本法の方針にわれわれは従って考えていかなければならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/128
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129・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、私の言っているのとは違いませんね。原子力基本法があり、憲法九条二項のある限り、絶対に原子力潜水艦は考慮いたしません、そう答弁があったものと解釈しますが、よろしいかというのです。あなたの言っていることと私の言っていることがどこが違うか、もし違うところがあれば違ったところを明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/129
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130・小泉純也
○小泉国務大臣 私の方針としては、もう田中委員が申されるとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/130
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131・田中武夫
○田中(武)委員 私の方針で、長官がかわればわかりません、そういう抜け穴を考えての答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/131
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132・小泉純也
○小泉国務大臣 決してそういう抜け穴とかなんとかいうことでございませんで、私の率直な気持ちを申し上げておるわけでございまして、私の時代がかわってどうというようなことも私は考えておりません。先ほどから申し上げているとおり、現在の状況においてはもう全然考えておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/132
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133・田中武夫
○田中(武)委員 防衛庁長官はこれでけっこうです。しかし、あとの科学技術庁長官の答弁との関連があるかもしれませんから、もうしばらく・・。
それで、愛知長官、本来ならば先日の私への答弁に関連をして、政府から統一見解を発表していただいて、そして防衛庁長官に質問する、こういうのが順序だったのです。ところが、長官の出席がおくれましたので、まずはしょって防衛庁長官に質問を進めておったわけなんです。
そこで、先日の私の質問に対する統一見解ができておるそうでありますから、発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/133
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134・愛知揆一
○愛知国務大臣 先般の田中委員の質問と、それから岡委員長から補足的な御質問がございまして、それに対して政府としてはかように考えておりますということを以下申し述べます。
原子力基本法第二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」云々と規定されており、わが国における原子力の利用が平和の目的に限られていることは明らかであります。したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところであります。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/134
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135・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、原子力が殺傷力としての場合は全然考えない。推進力とした場合も現在においては考えられない。しかし将来においてはあり得る、こういう含みがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/135
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136・愛知揆一
○愛知国務大臣 船舶の推進力としての原子力利用も一般化いたしておりません現状におきましては、同じく原子力基本法においては認められない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/136
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137・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、先ほど来防衛庁長官との論議もありましたが、将来原子力を推進力とすることが一般化せられた場合においては認める、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/137
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138・愛知揆一
○愛知国務大臣 その将来に関する問題につきましては、先ほど来小泉防衛庁長官が答弁をされているとおりに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/138
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139・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、潜水艦について、それが殺傷力となる場合は平和目的ではない。しかし推進力となる場合は平和目的にかなうという解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/139
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140・愛知揆一
○愛知国務大臣 平和目的にかなうかどうかということは、原子力が推進力として一般化するかどうかということにかかわると思いますが、現状においてはそういう昨朝はまだまだ先のことであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/140
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141・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、原子力基本法のいわゆる三原則は、原子力が一般化するかしないか、それに解釈はかかっている、こういうふうに解釈するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/141
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142・愛知揆一
○愛知国務大臣 いいえ、将来のことについてそこまで申し上げているわけではございませんで、将来のことについて私どもとしては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/142
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143・田中武夫
○田中(武)委員 いや、潜水艦の推進力を原子力でやる場合、これは平和目的ですか、それとも平和目的ではないと考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/143
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144・愛知揆一
○愛知国務大臣 それは原子力の利用がどういうふうに一般化するかということにかかっているわけでありまして、いまそれに対してどうこうということは私は言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/144
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145・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、いわゆる原子力基本法の三原則は、原子力の利用が一般化するかしないか、こういうことによって解釈が変わるというようにおっしゃっておるのと同じじゃないですか。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/145
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146・愛知揆一
○愛知国務大臣 私から申し上げるのは以上申し上げたとおりを繰り返すだけになります。たとえば先ほどもお話が出ておりましたけれども、遠い将来、漁船が原子炉を使うというような状態だって想像されないことはないと思いますけれども、しかし、そういう想像とか未来のことをいろいろと憶測して現在確定的な解釈というようなものは私はあり得ないと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/146
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147・田中武夫
○田中(武)委員 いや、原子力の平和利用ということ、そのことは原子力が一般化するかしないかによって変わるというのと一緒でしょう、あなたの答弁は。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/147
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148・愛知揆一
○愛知国務大臣 原子力基本法は、先ほども読み上げましたように、平和の目的に限っておりますし、日本としてはあくまでもそれで考えるべきものである、かように考えます。
ただ、その平和目的というものもそのときどきの状況によりましては、科学の力によって、いま予想されないようなものにも使われるかもしれないというようなこともあり得るであろうということが考えられるということを申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/148
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149・田中武夫
○田中(武)委員 したがって、先ほど来私が言っているように、平和目的ということは原子力の一般化せられるかせられないかによってその解釈は動くんだ、こういうことですね。あなたの言っていることはそうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/149
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150・愛知揆一
○愛知国務大臣 平和目的ということは絶対に動くべきものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/150
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151・田中武夫
○田中(武)委員 そうするならば、いかに一般化せられたとしても潜水艦に推進力として使うことは平和目的ですか、そうではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/151
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152・愛知揆一
○愛知国務大臣 これは統一見解として申しましたとおりでありまして、船舶の推進力としての原子力利用も一般化していないんですから、今日におきまして確定解釈としてこれは原子力基本法にかなうものではないということをはっきり申し上げると同町に、これで十分ではないかと思うのです、考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/152
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153・田中武夫
○田中(武)委員 いや、そこはわかっているんですよ。しかし、そこで今日では、ということばですね。それにひっかかるわけです。そして、一般化せられたときには解釈が変わるようなことをおっしゃっているから聞いているわけです。平和目的というものは、原子力が一般化するかしないかによって変わるのか変わらないのかということについて、あなたは変わらない、こう言うのでしょう。平和目的には変わりはない。ところが、先ほど来のお話では、たとえば漁船に使えるようになれば話は別だということなら、一般化するかせぬかによって平和目的というものは変わるのです、こういうことでしょう。だから、政府の統一見解の中で、今日においては、ということは余分じゃないですか。一般化せられるというようなこととかいうのは余分じゃないですか。平和目的以外には絶対に使わないんだ、こういうことが言い切れなくちゃいけないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/153
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154・愛知揆一
○愛知国務大臣 平和の目的に限るということは変わらない。平和目的ということはもう基本的な何よりも大事なことでありますから、これは絶対に変わらない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/154
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155・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、将来もかりに原子力の利用が一般化しても原子力潜水艦をつくらない、こういうことに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/155
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156・愛知揆一
○愛知国務大臣 原子力利用が一般化していない現状においては考えられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/156
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157・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、一般化したときは考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/157
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158・愛知揆一
○愛知国務大臣 それは仮定の事実ですから何とも言えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/158
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159・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、同じことを繰り返しているのだが、平和目的ということは、原子力が一般化するかしないかによって動くのすね。平和目的ということが効くのか動かないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/159
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160・愛知揆一
○愛知国務大臣 平和の目的ということは動きませんと何べんも申し上げているのです。
そうして、将来のことを考えれば、私どもとしては、たとえば戦争などということを絶対に考えないで済むような社会情勢、世界情勢になることが望ましいことでもあるし、またそういうことも起こり得るであろう、いろいろ情勢も変わるであろう。これは何人もいまかくなるということを前提として、はっきり前提を置くことはできないと思うのです。
私は、したがいまして、平和目的ということは絶対に変わりませんと申し上げ、それから、先ほど来防衛庁長官がお答えになっているとおりのことを政府全体として申し上げているわけでございます。それ以上は私は何か観念的な論議の遊戯になるような感じがいたしますので、責任者といたしましては答弁を差し控えるべき筋合いのものではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/160
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161・田中武夫
○田中(武)委員 いやいや、平和目的ということは変わらないでしょう。そうすると、現在原子力が一般化していない現状においては、こういうことでしょう。そうすると、一般化したときには変わるような印象を受けるのですよ。そうではないですか。私の聞いていることは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/161
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162・愛知揆一
○愛知国務大臣 田中委員のおっしゃりたいこと、あるいはわれわれから求められていることのお気持ちはよく理解できますけれども、政府の統一見解、責任者の答弁といたしましては、本件については先ほど読み上げましたとおりでございます。それ以外に申し上げることはございません。これがもう誠実な私は責任ある御答弁だと確信いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/162
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163・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、政府の統一見解は、現状においては考えられない、これははっきりしています。しかし、一般化したときには考えることもあり得るという含みがあると解釈いたしますが、それでよろしでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/163
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164・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはたいへんぎくしゃくするようでございますが、統一見解はここに書きましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/164
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165・田中武夫
○田中(武)委員 もう一ぺん、それじゃ、将来一般化せられたときには云々ということばがあるでしょう、そこをもう一ぺん読んでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/165
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166・愛知揆一
○愛知国務大臣 「自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考え」ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/166
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167・田中武夫
○田中(武)委員 そこから「原子力利用が一般化していない」ということは削除できませんか。「一般化していない現状」ということを前提とするならば、一般化せられたときには考えるのだという反面解釈が出てくるのです。
大臣はいろいろな解釈を出されるのです。いつか原潜の安全性のことについて私が原子力委員会の所管事務かとお伺いしたときには、潜在的解釈というような新しいことばを出していたのですね。これは潜在的解釈でなしに、いまお読みになった統一解釈の反面解釈として私の疑問が当然出てきますよ。その点はいかがですか、こう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/167
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168・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはどうも困りましたな。私としては、政府の統一見解として関係各省庁で十分に検討いたしましてこういうものができ上がりましたので、これに関しましてさらにとやこう申し上げることは私としてはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/168
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169・田中武夫
○田中(武)委員 同じことを繰り返しておってもどうかと思うのです。これは書いたものを持ってきて、これ以外のことは言えませんということなら、これはやむを得ないと思います。しかし、その文面から、だれに見てもらってもいいですが、反面解釈が必ず出てきますよ。そのことについてもう一度政府の統一見解を出してください。反面解釈が出てきます。そのあとでいたします。もう時間も時間ですから、その程度にしまして、その休憩の間にその文章の反面解釈が出ないような文章にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/169
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170・岡良一
○岡委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後一時十一分休憩
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午後二時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/170
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171・原茂
○原(茂)委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。
委員長が都合によりお見えになりませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
質疑を続行いたします。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/171
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172・田中武夫
○田中(武)委員 私が質問する前に、先ほど示されました政府の統一見解に対する統一解釈といいますか、それを示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/172
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173・愛知揆一
○愛知国務大臣 政府の統一見解は午前中の委員会で申し上げたのでありますが、さらに田中委員からの御質問によりまして、この統一解釈の解釈とでも申しましょうか、政府部内で打ち合わせました見解を補足して申し上げたいと思います。
推進力として原子力の利用が一般化した状況というものが現在においては想像の域を出ないので、そのような想像をもとにして政府の方針を述べるわけにはまいりませんが、現時点において言う限り、原子力基本法第二条のもとで、原子力を自衛艦の推進力として利用することは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/173
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174・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、この統一見解から「原子力利用が一般化していない」云々は除かれて、「現時点において」、こういうことになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/174
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175・愛知揆一
○愛知国務大臣 統一見解については、先ほど申し上げましたとおりで、これを修正したのではございません。推進力として原子力の利用が一般化した状況というものが現在においては想像の域を出ませんので、そのような想像をもとにして行政の方針を述べるわけにまいりません、ということを先ほども率直に申し上げたつもりでございます。そういうわけでございますけれども、現時点において言う限りにおいては、原子力基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として利用することは毛頭考えておりません、ということを、自分で言うのはおかしいのですが、すなおに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/175
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176・田中武夫
○田中(武)委員 ことばじりを拾うわけではありませんが、やはり何か聞いておると、将来のことは何とも言えないのだ、こういうように受けるのです。そのことは先ほど申しましたように反射解釈というか、反面解釈からいって、将来は持つこともあるかもしれぬという含みがあるように思うのです。やはりどういうように統一解釈をなされてもそういう危惧の念は除かれないのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/176
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177・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはとやかく申しますとかえってどうかと思いますので、これは十分に防衛庁はじめ責任の閣僚との間で話し合いました結果を取りまとめまして、ただいま申し上げたとおりでございますから、ひとつこれで御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/177
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178・田中武夫
○田中(武)委員 いや、御了承じゃなしに、私が了承するとかしないとかいうことでなく、この統一見解なるものは公表せられるわけですね。そうすると、いまの内閣なり政府が、将来原子力潜水艦を自衛隊が持つことについてどう考えておるかということについて、これなら将来持つかもしれない、こういうように解釈せられますよ、こう申し上げておるのですよ。それでよろしいですか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/178
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179・愛知揆一
○愛知国務大臣 その点には、将来の想像をもとにして政府の方針を述べるわけにまいりませんということを率直に申しておるのですから、これでおわかりいただけるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/179
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180・田中武夫
○田中(武)委員 いや、これはおわかり願いたいと言うけれども、おわかり願えないんですよ。「原子力基本法第二条には」云々とあるんですから、これを前提にする限り、はっきりと「原子力の利用が一般化していない現状においては」云々を除いてしまって、「同じく認められない」でいいんじゃないですか。「一般化していない現状においては」と特に断わっておるのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/180
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181・愛知揆一
○愛知国務大臣 その点は、先ほど小泉防衛庁長官も申しましたように、将来の想像ということになりますと、これは何十年先、あるいは百年先ということばも先ほど出しましたけれども、原子力というものがいまの他の、たとえば石油であるとか、石炭であるとか、あるいは電気でありますとかいうようなものと全く同じ、あるいはそれ以上に普遍化して、日常の生活に密着したようなエネルギーとして扱われるような状態も、長い将来におきましてはくるのではなかろうか。そういう場合に、そういう一般化した、そしてきわめてもう平和的という以上に、平和的なような状況に常識化されたような場合のことまで、いま想像してとやかく申し上げることはいかがであろうか。また、逆に言えば、そういう場合には、今日の時点では想像も及ばぬような考え方もまた出てまいりましょう。そういうときまでを思い越して、ここに現政府といたしまして、現時点で何か申すということは、かえって誠意のない態度ではなかろうか、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/181
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182・田中武夫
○田中(武)委員 おっしゃっていることはわからぬこともないんですよ。しかし、特に「一般化していない現状」ということをなぜうたう必要があるのか。こういうことをうたうから、むしろ、それでは一般化したときには別の考えが出てくるのかという疑問がわくわけなんですよ。
だから、この統一見解から「原子力利用が一般化していない」云々は除いたっていいんじゃないですか。なぜこの「一般化していない現状」云々にこだわられるんですか。こだわられるところにわれわれはやはり疑問を持つわけなんですよ。
もっと簡単に言うならば、原子力基本法第二条がある限りはそういうことは考えません、それでいいんじゃないですか。それをなぜ一般化しないといったようなことにこだわられるか。そうなると、私は先ほど来何回も言っておるように、一般化した場合は基本法の第二条の平和目的という解釈が変わるのですかと、こう聞かざるを得ないんですよ。私の言っていること、無理なことを言っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/182
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183・愛知揆一
○愛知国務大臣 無理だとかどうとかいうことは私も全然考えておりませんで、午前中も申し上げたように、田中委員の御心配の点や、あるいはお考えというものが私には理解できるのですけれども、しかし、実にすなおに率直に考えてみて、たとえば原子力の平和利用ということについては、もう世界を通じて非常な努力をしている。将来においては、あるいは他のエネルギーと全く同じようにきわめて常識化するような場合もあるであろう。一方においてはそれが望ましい。そういう将来が早くくることが望ましいと考えられているかと思うのでありますけれども、そういったような場合に、たとえて言えば、自衛隊が持っている船であるからといって、原子力なんというものは未来永劫に全然使うことはございませんと言うのもまた言い過ぎではなかろうかと私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/183
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184・田中武夫
○田中(武)委員 そういうこと自体が私は矛盾があるように思うんですよ。政府が将来どうなるかわからないことについて見解を述べることはどうかと思う、こうおっしゃっておるんでしょう。ところが、この統一見解自体はそのことをうたっているんじゃないですか。そうでしょう。
私の言わんとするところは、いかに原子力が一般化しようとも、平和目的以外には使っちゃいけないんだ、そういうことを申し上げておるわけなんですよ。政府なり大臣が言っておることは、現状ではいけないんだ、しかし、一般化せられた場合にはわからぬ、こういう言い方なんですね。
ならば、一般化せられるということによって平和目的という解釈が変わるんですかと午前からも何回も私聞いておるわけなんです。この点がはっきりしない。そうすると、平和目的というものは変わりませんと、こう言う。一般化されたときにも平和目的が変わらないのなら、一般化されたときも平和目的以外には使いません、こういうことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/184
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185・愛知揆一
○愛知国務大臣 これも何べんも申してくどいようですが、平和目的ということは絶対に変わりません。
それから、いまお話しのとおりなんでありまして、将来のことをとやかく言うよりも、いまも申しましたように、現時点において言う限りにおいては、原子力基本法第二条のもとで、原子力を自衛艦の推進力として利用することは毛頭考えておりません、ということをはっきり御認識いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/185
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186・田中武夫
○田中(武)委員 「毛頭考えておりません。」、それでいいんじゃないですか。あとがいけない。あとがなければいい。そうなると、一般化せられた階階においては、自衛艦に使ってもこれは平和目的であるという解釈になるのですね。そうじゃないのですか。「毛頭考えておりません。」、ここでお切りになったらいいじゃないですか。それを将来一般化せられた場合に云々ということがあるから、何らか下心があるんじゃないか、こういうことになるのです。これは政府の統一見解だから、愛知大臣だけで削除しますというようなことは言えないと思うのですが、あるのとないのとどう違うのですか。
私の言っておるのは、一般化せられた云々があることは、将来原子力を自衛艦の推進力にする場合もあり得るんだ、こういう反射解釈といか、反対解釈が出ます、こう申し上げておる。大臣はこれがあってもなくても同じだということであるならば、削られたらいいわけです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/186
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187・愛知揆一
○愛知国務大臣 推進力として原子力の利用というものが一般化する状態というものは、私は早くきたほうが望ましいのじゃないかと思うのです。しかし、それは、現在におきましては想像の域を脱しておりませんから、その場合にどうするというようなことについて「政府の方針を述べるわけにはまいりません」ということは、バックグラウンドを御説明しておるわけでございます。そして「現時点において言う限り、原子力基本法第二条のもとで」「毛頭考えておりません。」こういうわけでございますから、私は御理解いただけるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/187
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188・田中武夫
○田中(武)委員 それがどうもひっかかる。ということは、原子力が船の推進力として一般化せらたときには自衛艦に使うこともあるんだ、それは平和原則にはひっかからないんだ、こういうように言われておるように聞こえるのですが、そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/188
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189・愛知揆一
○愛知国務大臣 これも繰り返すようでありますが、「平和の目的」云々ということは絶対に変わることではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/189
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190・田中武夫
○田中(武)委員 どうも困るな。それでは、原子力が一般化せられた云々、このことがあるのとないのと、どう解釈が違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/190
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191・愛知揆一
○愛知国務大臣 そこは、「現時点において言う限り、原子力基本法第二条のもとで」は「毛頭考えておりません。」これを繰り返して申し上げるわれであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/191
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192・田中武夫
○田中(武)委員 ならば、一般化せられた云々は削除しても同じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/192
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193・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはここに書きましたとおりで、先ほどから申しておりますように、推進力として原子力の利用ということが他のエネルギー資源、石炭をたこうがあるいは電気を使おうが、油をたこうが、これ以上に全く平和的なものであるということに理解できるような状態になれば、これはどういう船に使おうがそれはいいのではないかという状態が私はくるのではないかと思うわけです。そういう想像を一応想像として申し上げておき、しかし、それは想像なんだから、その「想像をもとにして政府の方針を述べるわけにはまいりません」ということは、私はこれは正しい見解ではないかと思います。そこで、現在、現政府としては原子力基本法のもとではそういうことは考えておりません、ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/193
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194・田中武夫
○田中(武)委員 いや、ちょっと違うのです。大臣が言っておられるのは、エネルギー源として原子力が現在の石炭、石油のように一般化したときには自衛艦に使ってもいいのだ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/194
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195・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはもう前回以来申し上げておりますように、そういった想像をもとにしましての見解というものはこれは私言えないと思うのです。そうだとかこうだとかいうことを想像のもとに申し上げることは私はできないと思うのです。ですから「政府の方針を述べるわけにはまいりません」ということを前提に申し上げているわけで、これはありのまま、それだけのことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/195
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196・田中武夫
○田中(武)委員 どういう時代がこようとも原子力を自衛艦に使うということは平和目的には沿わないのだと私は申し上げているのですよ。それがいかに一般化しようとも、あるいは先ほど大臣言われたように、石油、石炭と同じようなエネルギー源として一般化せられたときでも平和目的以外には使ってはいけないのだ、そう申し上げているわけなんです。
たとえば現在重油で船を動かしておるといたしましょう。ところが、重油についてはそういう原則はないから、だから重油でやっておるのですが、かりに重油は平和目的にのみ使うのだということでそういう法律があるとすれば、重油を自衛艦に使うことはどうかということと同じことなんですよ。
私の言っていることわかりませんかね。将来どういうことになるか、想像の域を脱しないような状態については言うことができないとおっしゃるなら、将来の含みのあるような一般化せられない云々というようなことはお抜きになったほうがいいのではないかと申し上げておるのです。これにこだわられるところに、将来は原子力を平和目的以外に使うことがあり得るんだという懸念がある、こう申し上げておるわけなんですよ。かりに、一般化せられた場合に基本法を改正するということなら話はわかるのです。しかし、基本法がある限り、平和目的がある限り自衛艦には使われない。したがって原子力潜水艦は持てないのだ。こういうことを私は申し上げておるわけなんです。それでも一般化したときには打てるんだと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/196
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197・愛知揆一
○愛知国務大臣 ますますこれは将来の想像の問題がたくさん出てくるわけでありますけれども、たとえば、原子力基本法にいたしましても、未来永劫これが改正を必要としないというようなことは現段階におきましてはやはり言えないことではなかろうかと思うのです。私は、ですからここに申し上げましたとおりのことで、どうもこれを繰り返すよりほかにしょうがないんで、たいへん御不満かとも思いますけれども、政府としてはこれ以上のことは申し上げることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/197
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198・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、もうここで何と言っても、同じようなところをぐるぐる回っていることになると思うのです。
そこで、政府の見解に対しましては私はこう解釈いたします。現時点においては認めない、しかし将来原子力利用が一般化したときには認めることもあり得るのだ、こういう含みのあるのがこの統一見解である、こういうように解しますが、よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/198
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199・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはくどいようでございますが、将来の想像を前提にしての御意見でありますから、そういう前提のもとにいろいろの御意見、あるいは御解釈くださることは、これはやむを得ないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/199
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200・田中武夫
○田中(武)委員 原子力利用が一般化せられないということ自体が——これは一般化せられないというのが現状です。しかし、せられるということは将来ですよ。だから、大臣自体が将来のことを、この統一見解の中に含みがある統一見解を出しておられるわけなんですよ。そうじゃないですか。将来の含みがないのなら、もう現状においては認めない、それでいいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/200
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201・愛知揆一
○愛知国務大臣 ですから、先ほど補足的に申し上げましたように、現時点においては毛頭考えておりませんと、こういうことをはっきり申し上げているわけでございますし、それから、統一見解におきましては現状を申し上げているわけでございます。現状は原子力の利用というものが船舶の推進力として一般化していない。この現状の認識はだれも変わるところはないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/201
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202・田中武夫
○田中(武)委員 いや、現状においてはわかりました。そこで、一般化せられるようなときがきても、原子力基本法第二条がある限り同じ解釈だ、こう思いますが、それでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/202
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203・愛知揆一
○愛知国務大臣 それはいま直前の御質問とちょっとお考えが違うようでございますが、将来のことについては私は言えませんと申し上げているわけです。ですから、言えませんということに対してどういうふうに御解釈になろうが、これはどうも考え方の相違ということにもなりましょう、解釈の相違ということにもなりましょうけれども、私どもとしてはここに書いたものを差し上げ、さらにそれを補足して申し上げていること、これで、政府の統一見解というものはこれ以上は申し上げることはございませんという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/203
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204・田中武夫
○田中(武)委員 私は直前の質問と変わってはいないわけです。
まず一段として、現状においては認めない。これはもうお互い意思がわかったのです。
だが、将来のことについて、大臣は何とも言えない、そういうように解釈します。それに対して、私は、将来いかなる時代がこようとも、原子力基本法が厳存する限り、三原則が厳存する限り持てないのだ、こう申し上げておる。あなたが将来のことは言えないというなら、もうこれ以上は申しません。私の解釈は私のかってだといえばそれまでですが、そう解釈しますが、よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/204
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205・愛知揆一
○愛知国務大臣 それは田中委員がそういうふうに御解釈になるということを、私がとやかく申し上げる筋合いではございませんので、私は、要するに政府の方針は述べるわけにまいりませんということ以上に申し上げることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/205
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206・田中武夫
○田中(武)委員 もう疲れましたから、これはこれでおいておきます。
そこで、外務大臣、せっかく来ていただいて、時間がないようですが、実は防衛庁長官、それから外務大臣、みんな一緒に伺いたいと思っておったのですが、時間の都合ですれ違いになったわけなんです。
そこで、また防衛庁長官との議論を蒸し返すようなことになるのですが、実は外務大臣、防衛庁の自衛庁の自衛艦、これは条約では、いわゆる国際法上では軍艦とみなされておるわけです。そのことは防衛庁からもはっきり答弁があったわけです。外務省もそれでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/206
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207・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 同様の解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/207
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208・田中武夫
○田中(武)委員 そのことについて、これは軍艦ではありません、こういうようなことを外国に向かって外務省は言ったことがあるのかないのか。今後、そういうことは言わなくても、軍艦の扱いでけっこうだ、こういうことであるならば、自衛艦は国内においても外務省では軍艦とみなされるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/208
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209・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 御承知のとおり、日本は憲法上国際的紛争に戦力を用いることができないというたてまえになっております。それで、そういう制約はたとえ外形上軍艦という取り扱いを受けるにいたしましても、その内容においては憲法上の制約がございますから、当然制約を受けることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/209
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210・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、外務省ではこの条約を結ぶ場合に、日本の自衛艦は軍艦である、こういう規定については別に何らの異議はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/210
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211・藤崎萬里
○藤崎政府委員 個々の条約につきまして軍艦に関する規定がある場合に、日本の自衛艦がこれに該当すると考えるべきかどうかを検討してきめたい、こういうことでございまして、前に先生から、海上人命安全条約の関係はどうかというお尋ねがございましたが、これは、この条約の適用上は日本の自衛艦は軍艦に該当すると解釈すべきもの、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/211
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212・田中武夫
○田中(武)委員 この一九六〇年の条約の批准をしておるのは、どこどこです。たくさんあるようだったら、おもなところ二、三でもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/212
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213・藤崎萬里
○藤崎政府委員 アルゼンチン、デンマーク、フランス、ギリシア、アイスランド、日本、リベリア、オランダ、ノルウェー、ペルー、連合王国——英国でございます。それからアメリカ合衆国。そういったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/213
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214・田中武夫
○田中(武)委員 いわゆる共産圏は入ってないわけですね。そういたしますと、日本の自衛艦が共産圏所属の船舶との間に海難事故を起こした場合、どういう処置になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/214
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215・藤崎萬里
○藤崎政府委員 この条約は規律されないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/215
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216・田中武夫
○田中(武)委員 そのときには自衛艦は軍艦として扱うのか、一般船舶として扱うのか。この条約で自衛艦は軍艦だ、こうなる。そうすると、この条約を離れたら軍艦じゃないということも言えるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/216
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217・藤崎萬里
○藤崎政府委員 先ほど申し上げましたように、個々の場合について、日本の自衛艦を対外的にこの場合は軍艦として扱うのが至当かどうかを判断すべきもの、これは相手がどこの国であろうがかかわりなく、その事柄の内容に応じて判断すべきものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/217
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218・田中武夫
○田中(武)委員 これもそういう仮定の上に立っては答弁できぬと言われたらしまいですが、共産圏所属の船舶との間に海難事故を起こした場合、これはどういうことになります。条約はないのでしょう。
それでは、言いかえて、一本の領海内でそういうことが起こったときはどういう法律でやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/218
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219・中野大
○中野説明員 ただいまお尋ねの、日本の領海内におきまして、自衛と外国船舶が海難事故を起こしました場合の海難審判の扱いでございますが、海難審判といたしましては、受審人と海難関係人がございまして、受審人といたしましては海技従事者と水先人、これにつきましては審判の扱いをいたすわけでございます。しかし、それ以外につきましても、海難関係人といたしまして必要な場合には勧告するというような扱いがございます。外国船舶には海難関係人の扱いはございませんで、その場合には参考人としまして外国船舶を招致することができることになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/219
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220・田中武夫
○田中(武)委員 何だかよくわからぬのですが、それじゃもっとくだいて言いましょう。
午前中の質問で明らかになったのですが、海難審判法の二条にいう「船舶」に自衛艦を含むかと言ったら、含むということです。そうすると、第二条の「船舶」に外国の軍艦は含むのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/220
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221・中野大
○中野説明員 船舶という扱いではございませんで、海難審判としましては、海難原因を探求いたしまして、その結果審判いたしますときに、海技従事者と水先人に対しましては受審人として招致することができることになっております。外国船舶の船長につきましては、参考人といたしまして、三十二条にございますが、理事官の権限といたしまして、必要があるときには出頭させることができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/221
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222・田中武夫
○田中(武)委員 そんなむずかしいことは聞いてないのですよ。
海難審判法の第二条、ここに「船舶」という字が各一号、二号にも三カ所ばかり使うてありますね。この「船舶」に自衛艦が入るかということについては、午前中の質疑で入るという答弁があったのですよ。外国の軍艦はこれに入るのか。ここでいう船舶とは何だ。こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/222
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223・中野大
○中野説明員 いまお話しのように、自衛隊の船舶も入りますし、外国の船舶も入ることになるわけであります。外国の軍艦も入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/223
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224・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、ここの海難審判法の第二条の「船舶」にはすべてのものが入る、こういうわけですね。
そうすると、日本の領海内で外国の軍艦が事故を起こしたときには、日本の海難審判に服するわけですね。審判権があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/224
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225・中野大
○中野説明員 審判権はございませんで、ただいまの軍艦がこの船舶に入るという点については、後ほどちょっと調べまして、はっきりと御返事をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/225
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226・田中武夫
○田中(武)委員 いやいや、二条の「船舶」に外国の軍艦も、すべて船舶が入るという答弁でしょうし二条というのは、船舶による海難事故をいうておるのでしょう。すべてのものが入るということになるのでしょう。
そうすると、審判権というものが外国の軍艦にも及ぶといたしますと、この人命救助の条約で軍艦を除いておるというのとはどういう関係になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/226
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227・中野大
○中野説明員 ただいまお話しございました点につきましては、四条に裁決というのがございますが、海難を起こしましたときに受審人として対象になりますのは、海技従事者と水先人でございます。これは日本の船舶職員法によって免状を出しました海技従事者、それから水先人法によりまして免許しました水先人へこれだけが受審の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/227
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228・田中武夫
○田中(武)委員 受審のなには第四条によってやる。しかし、あなたの言った二条にはすべての船舶、いわゆる軍艦も含むのだ。そうすると、審判のこのなには外国の軍艦に及ぶのじゃないですか。受審人としては、審を受ける者としては日本の船舶なんかは免許を持っている人に限られるとしても、事故を起こした現場を調査したり、そういうときには軍艦の中に入って調査できますか、こういうことです。
そうじゃなかったら、受審人は日本人だけだ、そういうことになったら、受審人だけをとっちめておいたって、その原因追及のために軍艦について調査ができますか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/228
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229・中野大
○中野説明員 軍艦についてはできない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/229
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230・石野久男
○石野委員 関連して・・。外務大臣にひとつお聞きしますが、水戸の射爆場の問題があります。これは、ほかにも米軍の射爆場がありますが、水戸の射爆場というのは原子力施設の周辺地にあって、原子力施設の安全のために非常に大事な地域にああいう演習場があるということから、地元では射爆場返還の運動を従来ともずっと行なっておる。最近になりましてまた誤爆誤射が頻発している、こういう実情がある。
そこで、防衛庁関係では、これに対して、原子力局あるいはまた科学技術庁長官ともどもに射爆場返還の運動に積極的な協力をするという体制をとっていただいているわけです。外務大臣にこの問題をできる限り日米合同委員会の中で処理するような方法をひとつ積極的にとっていただきたい、こう私は思っておるのですが、大臣ひとつ所見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/230
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231・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 しょっちゅう誤爆等によってあの地方の人心が非常におびえておることは承知しておりますが、問題は適当なるかえ地があるかどうか、大体の当たりがつきましたならば適当な方法によって申し入れをすることも考えないことではございませんが、どうもいかんせん、適当なる代替地が容易に見つからないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/231
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232・石野久男
○石野委員 適当な代替地があれば何とかそうしたいということはしばしば聞いているところなんです。
そこで問題は、在日米軍の実際の演習との関係があるから、向こうとの折衝に微妙な点があろうかと思います。けれども、現在の東海の原子力施設の実情から見ますと、一日も早くあそこを返してもらわなければ困るというのが、ほんとうのところ、あの地域の人の声でもあるし、また原子力開発の観点からしてもそういうことが言えると思うのです。それを代替地を見つけ出すという問題について微妙な折衝はありましょうけれども、これはやはり日本の側でその代替地を先に見つけないことは話にならないだろうと思う。日本の側で代替地を見つけるということについての外務省あるいはまた防衛庁との協力体制がどの程度できておるかということを、われわれは答弁は聞いておるけれども、どの程度できているのか非常に信用ができないわけです。実際にこれをやってくれているのがどうかということを、この際ひとつ大臣から意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/232
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233・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 御指摘を待つまでもなく、防衛庁とは絶えず連絡をとっておるのでありますが、どうもなかなか適当な個所が見つからない、こういう状況でありまして、これには全くわれわれも困惑をしておるような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/233
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234・石野久男
○石野委員 防衛庁長官は、この問題については高度な政治折衝をすることに積極的に努力をするということを、この前の委員会でも御答弁あったわけです。愛知長官からもそういうことについて所見もありました。外務大臣もそれに対して積極的に協力してもらえるものと思いますが、そういう積極的な態度をとってこの問題の処理に当たるということに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/234
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235・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 この問題については積極的に努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/235
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236・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、もうはしょることになったが、これだけをはっきりしておいてやめたいと思います。
先ほどの話ですが、結局海難審判法では二条の「船舶」にはすべてを含む、こういう答弁だったんですね。しかし、先ほどからのまたほかの答弁を聞くと、この二条の船舶には外国軍艦を含まないんだ、こういうことになるのではないですか。その点もう一ぺんはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/236
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237・中野大
○中野説明員 初め入るようなことを申し上げましたのは誤りでございまして、軍艦は入らない、こういうふうに考えます。あとのほうの答弁で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/237
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238・田中武夫
○田中(武)委員 外国の軍艦は海難審判の船舶から除かれる、自衛艦は入る、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/238
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239・中野大
○中野説明員 いま軍艦が正式に入るかどうか問い合わせをさせていただいておりますので、その辺についてはまたはっきりした御返事をさせていただきたいと思います。
ただ、申し上げましたのは、受審人となりますのは先ほど申し上げましたように海技従事者と水先人でございまして、あと外国船舶、一般船舶につきましては、参考人として呼んだり、あるいは海技従事者、水先人につきましては海難関係人として出頭させることができるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/239
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240・田中武夫
○田中(武)委員 いや、私の言っているのはそういうことではなしに、第二条には船舶ということの定義をうたっておるんですがね。この定義を聞いておるわけです。この受審者とか参考人とかいうことでなく、入るとするならば、そういう海難事故が起きたときにその船について調査ができるのでしょう。できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/240
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241・中野大
○中野説明員 二条は船舶の事故でございますので、当然外国軍艦でございましても事故が相手船舶の審判という状態に入るわけでございます。
ただ、その場合に、外国軍艦に調査できるかどうかということにつきましては、これは一般の外交交渉といいますか、国際的な取り扱いの問題になろうと思いますので、現在どういうふうに扱っておりますか。ただいま正式にはっきりした点で調べさせてございますので、はっきりした御返事を後ほどさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/241
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242・田中武夫
○田中(武)委員 はっきりした御返事がないようだと次にいかれないんですがね。
この海難審判法と一九六〇年の条約とは関係があるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/242
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243・関道雄
○関政府委員 いま御指摘の条約は模範法典的なものでございまして、それによりまして海上衝突事故を起こした場合の国内的な措置が講ぜられておるわけであります。
それで、海難審判法は手続法でございますから、そこにおいて適用されるのは海上衝突予防法なりあるいは条約なりそれによって審判がなされるということになると思いますが、審判法と、そういうような手続と実体というような関係はございますが、直接の関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/243
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244・田中武夫
○田中(武)委員 いや、この一九六〇年の国際条約はいわゆる実体的な関係である、これは手続を主としてやっておる。しかし、審判するときのいわゆる判断の内容については、一九六〇年の海上における人命の安全のための条約が効力を発生するわけでしょう。そうすると、そこでは軍艦を除くということになっているでしょう。そうした場合に、この二条の「船舶」に軍艦が入ると言ったらおかしいでしょう。軍艦による海難は別個のものだ、こういう解釈の上にこの条約は立っているのと違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/244
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245・関道雄
○関政府委員 いまちょっと条約のあれを持っておりませんものですから、具体的な点であるいは思い違いがあるかもしれませんが、私の原則から推して考えますところでは、かりに軍艦は御指摘の条約の規則どおりに動かないといたしましても、海難審判法で海難審判の対象になる海難というものは、こちらのほうからぶつかって起こることもございますし、その場合に相手がその「船舶」に入っておりませんと衝突によって損を来たすということになるような現象もありますので、一応この海難審判法の二条では、そういうことにかかわらず、向こうの軍艦が一定の航法に従ってやるべきものかどうかということにかかわらず、一応船舶の中に入れておきまして、海難という現象が生じた場合には、先ほど来運輸省から御説明がありましたような審判の手続に入るということではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/245
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246・田中武夫
○田中(武)委員 軍艦から受ける場合と、こちらから軍艦にぶつかる場合もありますね。ところが、条約では、軍艦は除くのだ、こうなっているでしょう。私どもは実は原子力船に関係のあるところだけしか、もらっていないので、本則は私もよくわからぬのです。しかし、軍艦を除くのだということであるならば、軍艦によって生ずる海難については別に考えるのだ、条約はこういう解釈の上に立っているのと違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/246
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247・関道雄
○関政府委員 いまの点、私いま条約を持っておりませんのではっきりしたお答えができないでたいへん申しわけございませんが、いまかりに先生のおっしゃいましたような筋道であるといたしましても、いずれにしても、軍艦のほうに原因がありまして、軍艦のほうが悪くて普通の一般の商船が損害を受けた、衝突されたという場合におきましても、わが国の海難審判法においては、その軍艦には立ち入って強制的に調査をいたすわけにもいきませんし、また艦長を呼び出して審判を行なうということもできませんので、結局においては同じことになりはしないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/247
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248・田中武夫
○田中(武)委員 だから、軍艦にぶつかった場合でも軍艦にぶつけられた場合でも、結局対象外になるのでしょう。軍艦に立ち入っての調査もできないし、あるいは軍艦の艦長といいますか、指揮者を呼んで事情を聞くこともできないでしょう。そうでしょう。それと同じ扱いを日本の自衛艦は外国では受けておるわけですね。
ところが、国内においては海難審判法の適用を受けて、事故を起こした場合には、自衛艦の艦長という名前かどうか知りませんが、艦長を呼び出したり、自衛艦に立ち入っての検査はできるわけですね。捜査はできるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/248
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249・中野大
○中野説明員 自衛艦は、先生のおっしゃるとおり、海難関係人としまして理事官が必要な場合には出頭させ、質問することができることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/249
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250・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、結局自衛艦は国際法上は軍艦であり、国内においては軍艦でない取り扱いを受けておる。ただし、船舶法とか船舶安全法では除外されておる。そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/250
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251・関道雄
○関政府委員 おっしゃるとおり、国内法におきまして自衛艦をいかに扱うかということですが、これは事の性質によって、一般船舶並みに扱ったほうがよろしいというときにはそういうふうに扱っております。また、先生の先ほど来おっしゃったとおり、軍艦並みに扱ったほうがよいという場合には、外国の軍艦と同じような取り扱いをする場合もあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/251
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252・田中武夫
○田中(武)委員 その場合、都合がいい悪いはどの立場に立ってきめるのですか。自衛隊法から見ると自衛隊側に立って都合のよいようにきめてある。一般船舶の適用を受けないとか、船舶安全法の適用を受けないとかいうことになっておりますね。こういう関係の法律がどれほどあるか私は知りませんが、おそらく海難審判だけでしょう。そのほかは全部除外しておるのと違いますか。そうすると、海難審判については普通の船舶と同じように扱われるということですか。しかし、外国の軍艦についてはどういうことがあってもできないということですね。
なぜこういうことを言っておるかというと、愛知大臣、原子力潜水艦が入ってきていかなる事故を起こしても、どんなことがあっても、たとえばアメリカのシードラゴン号が入ってきて何があっても、絶対手出しというか、調査もできない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/252
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253・愛知揆一
○愛知国務大臣 この手続等については政府委員から御答弁いたさせたいと思いますけれども、アメリカの原子力潜水艦の寄港については、前々から申し上げておりますように、両国間の話し合いと申しますか、アメリカ側の保証というものを前提にして、それが守られるならば日本の国民の安全を脅かすものではない、こういうことで見解を発表し、またそれによって政府としての措置をいたしたわけであります。
そういうような両国間のいろいろな話し合い等がございますから、万々一事故が日本の商船その他との間に起きました場合の措置等については、二国間の条約とかあるいは法律のかっこうにはなっておりませんが、十分の措置ができるように配慮されておるはずでございますので、詳しいことにつきましては政府委員から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/253
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254・田中武夫
○田中(武)委員 それでは詳しいことについてどなたか、たとえば事故を起こした場合に入って調べられるようになっておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/254
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255・村田浩
○村田政府委員 なっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/255
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256・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、いかなる場合でも調べられない、立ち入りができない、こういうことですね。
それから、原子力商船といいますか、サバンナ号については、一般の船舶と同じようにやられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/256
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257・村田浩
○村田政府委員 ただいまの事故の際のお話でございますが、事故といいますのは、原子力船の場合には、いわゆる原子炉事故、つまり衝突その他の海難とは無関係に起こるかもしれない原子炉事故と、それから衝突、座礁等の海難事故に伴って起こる事故とあるわけでありますが、原子力商船の場合においても、現に行なわれておるサバンナ号の運航基準その他から見まして、いわゆる船の周辺には管理区域と申しますか、そういう区域が設けられることになっております。その区域内における事故の際の指示というものがその船の船長の手で行なわれることになっております。事故自身がどういう影響を外に与えるかということは、その船の船長が一番よく知っておることでございますので、私、原子力に限って申しておりますが、原子力に限って申しますと、そういうようになっております。
したがいまして、アメリカの原子力潜水艦がかりに領海内でそのような原子炉事故を起こしました場合には、それに伴いまして事故防止対策上いかようなことをなすかということは、艦長のほうから日本政府が通報を受けることになっております。その通報の中身は日本側としてやるべきことを含めて通報を受けるもの、こういうふうに相なっております。その通報に従いまして、わがほうとして、日本側としてやることがございましたならば、その線で直ちに措置をいたす、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/257
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258・田中武夫
○田中(武)委員 結局いま原子炉の規制法の改正をやっておるのは、サバンナ号といいますか、潜水艦でない一般の船舶が原子力を推進力とした場合の、これが入ってくることを前提としての改正でしょう。そうでしょう。したがって、サバンナ号等では、すべて調査なりあるいは立ち入りなんていうことは、全部一般船舶と同じようにやれるんですね。潜水艦ではできないが、これはやれるんですね。海難のときも、いわゆる原子炉の事故による事故と、それからいわゆる海難といいますか、海難による事故があるわけでしょう。だから、いま私が聞いているのはその海難のことです。しかも、一九六〇年の海上における人命安全に関する条約ということで、特に第八章でしたか、設けて、原子力船についての規定を設けたということは、一般の船舶と原子力船を区別するという上に立ってではなく、原子力船といえどもほかのやつは全部適用があるが、なお、原子力を推進力としておるのでたとえばこの八章に書いてあるような手続を受けるのだ、そういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/258
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259・村田浩
○村田政府委員 原子炉に直接にも間接にも関係がございませんいわゆる海難事故は、むしろ運輸省の所管かと思いますけれども、私の承知いたしておるところでは、そのような海難事故が起こりましても、領海内にあります限り、沿岸国の監督に服することになっておりますから、もしこれに立ち入って検査する必要があるというような場合にはそのようなことが行なわれるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/259
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260・田中武夫
○田中(武)委員 原子力船の原子炉について規制しようというのが今度の改正の目的でしょう。そうすると、それ以外のことについては運輸省において一般船舶並みに扱うんですね。それは変わらないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/260
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261・中野大
○中野説明員 まず海難のほうで申し上げますと、船舶としましては一般船舶と同じように扱うわけでございます。
なお、先ほどはっきりした御答弁を申し上げるという点につきましては、一応船舶と船舶の海難の発生でございますので、以上につきましては外国軍艦も一応入るというふうに考えられるわけでございます。ただしかし、その場合に海難審判としての手続ができるかどうかにつきましては、これは不可侵権がございますので、外効手段を通じまして協力を求めるというようなことは行なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/261
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262・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、原子力船の原子炉の事故、これは海難になりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/262
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263・中野大
○中野説明員 船舶の安全と原子炉の安全、これは一体した場合もございます。ただ、原子炉の危険がない海難という場合があり得るかどうか、この点、科学技術庁のほうの御見解もございましょうけれども、ただ原子力船として——もし普通の海難だけで、原子炉としての関係がないということでございますれば、先ほど申し上げましたように、一般船としての扱いで処理することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/263
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264・田中武夫
○田中(武)委員 科学技術庁はそれでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/264
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265・村田浩
○村田政府委員 海難事故に伴って原子炉事故が起こるとか、あるいはそれとは無関係にただ原子炉の事故が起こった、こういう場合を考えますときには、万一そのようなことがありますときには、本法の第六十四条でございましたか、危険時における措置という条項を適用して必要な指示を行なう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/265
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266・田中武夫
○田中(武)委員 その原子力船が事故を起こした場合、衝突によって原子炉が爆発したような場合は、海難でいくんですか、民事訴訟なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/266
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267・村田浩
○村田政府委員 仮定の問題といたしましてはどういうことになりますか、いろいろ考えられると思いますが、私どもの判断の及ぶ限りにおきましては、衝突によって原子炉が爆発するということはあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/267
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268・田中武夫
○田中(武)委員 あり得ないかあり得るかは、一ぺんぶつけてみないとわかぬですね。
ともかく原子炉の事故は海難じゃないんですね。しかし、海難に関連して原子炉の事故が起こったときには、これは海難になるんですか。裁判の管轄権が違うでしょう。片っ方は審判、片っ方は裁判になるんでしょう。損害賠償についての管轄権はどっちにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/268
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269・中野大
○中野説明員 海難審判として海難を扱いますのは、海難の原因を探求するわけでございます。したがいまして、原因を探求しまして、取り調べを行なって、裁決をもってその結論を明らかにするだけでございまして、訴訟問題は全然海難審判では扱わないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/269
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270・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、原子炉の事故が起きた、それが海難による場合は一応海難審判にかかって、訴訟という段階を踏むんですね。そうでない場合は直ちに訴訟という関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/270
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271・中野大
○中野説明員 訴訴は民事訴訟、刑事訴訟がございますけれども、審判との関係は、長年裁判権の先決の問題と海難審判の先決の問題が従来いろいろございましたけれども、話し合いによりまして大体同時に行なうように現在行なっておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/271
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272・田中武夫
○田中(武)委員 海難審判というのは、事故の原因を探求し、責任がいずれにあるか、こういうことを見るんでしょう。だから、原子力船が事故を起こした場合に、これは海難として一応そういう海難審判の対象になるのか。これがはっきり船の方向によるというか、そういうことではっきりしておるときはいいですが、原子炉の事故の場合には海難とみなさずに直ちに訴訟に入るというんですか、いわゆる海難審判の外になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/272
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273・中野大
○中野説明員 いま申し上げましたように、海難審判を行ないますのは海難の原因の探求でございます。したがいまして、その結果行なわれます裁決は、免許の取り消し、業務の停止、戒告、こういった海技免状受有者並びに水先人に対しましてその結果の裁決が行なわれるわけでございます。
したがいまして、民事、刑事の裁判権のほうの問題はこれと全然別個でございまして、一応参考になるかもわかりませんけれども、海難審判の結果、責任がどこにあるということによって民事、刑事の責任問題が起こるというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/273
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274・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃ、法制局、原子力商船ですか、原子力船が日本へこれからどんどん入ってくる、こういうことを前提としてこの法律の改正が行なわれているわけなんです。そうすると、それに関連して、海難審判法の二条あたりを改正する必要はないですか。船舶による事故ということで、それが船舶による事故なのか、あるいは船舶ではあるけれども原子炉の事故なのか、ということがわからぬ場合があるでしょう。そんな場合はどうなるのか、こういうことです。したがって、現在の海難審判法はそういう原子炉を使うという船のあることを前提としての規定じゃない。そんなことは考えられなかったときの規定なんです。ところが、原子炉を持って入ってくるという船に対して、海難審判という立場に立って、二条あたりに何か改正する必要はないか、こういうことです。
これは船舶だということで十ぱ一からげにやる。それならすべて、民事訴訟なり刑事訴訟は別として、一応は全部海難審判にかかるのだ、そう解釈するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/274
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275・関道雄
○関政府委員 海難審判決の規定の上から申しますと、原因が、その船舶が原子力船であろうとなかろうと区別のないような規定になっております。先生の御指摘のような結果に一応はなっております。
さらに、お尋ねの原子力船について海難審判上特別の取り扱いをする必要があるかないかということは、私いまにわかに御返事はできませんが、あるいはそういう必要があるかないか、もう少しそれは研究してみませんと、ちょっとお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/275
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276・田中武夫
○田中(武)委員 これは運輸大臣でもいなくちゃいかぬと思うのだが、原子力船ということは、海難審判法をつくったときには考えられなかったものですね。
そこで、原子力船というのができて、世界の海を渡り歩くということで、海難についての条約は別に原子力船について規定を設けたわけですね。ならば、こちらの原子炉の規制という法の改正が出ておりますが、それも同じ船だという上に立って船舶関係の法律を検討する必要はどうです。ないと言い切れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/276
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277・中野大
○中野説明員 炉のために起こりました事故、これは海難審判と全然別でございます。
ただしかし、船舶としまして起こりました場合には、これは海難審判で取り扱うことになりますので、原子力船でも、もし衝突ということになれば、いまの海難審判で、一般船と同じように海難審判の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/277
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278・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、海難審判は一つの例ですが、船舶関係の法律の国内法を、いままでなかった原子船というものが入ってくることにおいて、検討し直す必要はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/278
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279・芥川輝孝
○芥川政府委員 船舶関係の法律、いろいろございますが、たとえば船舶安全法とかあるいは船舶法、いずれも改正せずに原子力船は取り扱われると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/279
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280・田中武夫
○田中(武)委員 海難審判は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/280
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281・中野大
○中野説明員 海難審判は現在のところ改正を検討いたしておりませんが、ただ、今度の御審議願っております規制法によりまして、港則法の改正をお願いしておるわけでございまして、港則法で、万が一危険を生じました場合には、先ほど科学技術庁でお話しございましたように、六十四条によって措置される場合、三十七条の二によりまして、港長の指示を、危険物を搭載している船と同じような扱いによりまして措置するように、港則法の改正を今度はお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/281
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282・田中武夫
○田中(武)委員 いままでは動かざる原子炉の規制ということが法律にあったわけです。今度は船に乗っかってといいますか、動く原子炉がくるわけです。そこで、この原子炉という点だけをつかまえて、原子炉の規制法の改正を出してきたわけでしょう。しかし、それは全体からいえば、原子炉の部分だけですね。全体はやはり船なんですよ。そのことについて、こちらの原子炉の規制に関する法律の改正と同時に、船という立場についてのいろいろなことの検討について、科学技術庁は運輸省と相談したことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/282
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283・村田浩
○村田政府委員 原子炉そのものの安全確保といいますか、そういう意味での規制は当然原子炉等規制法に入ります。
いわゆる一般船舶としての安全の問題、これはもちろんあるわけでございますが、これは現在船舶安全法によってやられておるわけであります。
この船舶安全法にもいろいろと技術基準等がございます。この技術基準等が、原子力船が今度加わることによって、さらにいろいろと基準をまた新たに加えていかなくちゃならない。そういう点につきましては相談を受けております。また、その基準をつくります上で、原子力にかかります部分で、結局放射線に対する防護というようなことになりますので、この点につきましては、科学技術庁が事務局をいたしております総理府に設置されておる放射線審議会にかけて、そうして十分御検討いただいて、御了承を得た基準を使うようにする、このような措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/283
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284・田中武夫
○田中(武)委員 大臣、大体私の言わんとするところはおわかり願ったと思うのですが、動かざる原子炉についてのいままで規制の法律があった。ところが、今度動く原子炉について、これは具体的にいえば原子力船舶ですね。そこで今度の改正案を出されたわけですね。
それと同時に、船という全体の立場から見て、私は船についてどれだけの法律があるかよく知りませんが、さらに検討する必要はないか、こういうことなんです。あるいは科学技術庁から、こういう点について検討を必要とするというような意見が出てもいいのじゃないか。
ということは、現在の船舶に関する法律ですね、船舶法あるいは船舶安全法等々は、そういう動く原子炉を乗せたという上に立ってつくられたものじゃないわけなんです。そこで、動く原子炉を乗せてきた場合に、いままでの基準で船舶の規律が保てるかどうか。私まだ詳細に見ておりませんが、あらためてたとえば船舶安全法について欠陥はないかどうか。欠陥というか、追加する必要はないかどうか。あるいは海難審判についても、いろいろな規定を整備する必要があるだろうと思うのです。皆さんがいまそういうことについて、運輸省、科学技術庁等が十分やられました結果、そういう必要がありませんので、ただ原子炉の規制法だけ出してまいりました、こうおっしゃるならけっこうです。しかし、この点がまだ十分に行なわれていないのならば、私は、この際原子力船というものが現実に入ってくる、運航せられるという上に立って、従来の船舶関係法を整備する必要があると思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/284
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285・愛知揆一
○愛知国務大臣 この今回御審議を願っております法律案をつくるに際しましては、ただいまも御指摘のように、日本としても初めての法制でもございますし、また外国等の立法例などもそうたくさんあるわけではないようでございますから、科学技術庁としても、運輸省をはじめ所管の官庁の方々に十分御検討願って、そうしてこの法律案の御審議を願っているわけでございますから、現在の段階といたしましては、この法律で十分規制もやっていけると思いますし、また直ちに関係のいろいろの法律を改正するということは考えなくて済むという態度でおるわけでございますが、いま申しましたように、何ぶんにも初めての法制でもあり、いろいろ今後におきましても十分な研究は続けるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/285
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286・田中武夫
○田中(武)委員 実は内閣委員会で私の提案説明をやらなくちゃいけないので、向こうが待っておるので、きょうはこの程度でやめさせていただきます。
なお、船舶関係については、私もこれからもう一度勉強して、あらためて、どこか変えなくちゃいけない点があるのかないのか、それについては質問を保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/286
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287・原茂
○原(茂)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104803913X01519650414/287
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