1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十四日(水曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君
理事 福永 一臣君 理事 三池 信君
理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君
逢澤 寛君 天野 光晴君
稻村左近四郎君 大野 明君
木部 佳昭君 木村 武雄君
佐藤 孝行君 砂原 格君
丹羽喬四郎君 堀内 一雄君
山本 幸雄君 渡辺 栄一君
金丸 徳重君 久保田鶴松君
實川 清之君 山中日露史君
稲富 稜人君
出席国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
出席政府委員
建設政務次官 白浜 仁吉君
建設事務官
(大臣官房長) 鶴海良一郎君
建設事務官
(都市局長) 鮎川 幸雄君
建 設 技 官
(住宅局長) 尚 明君
委員外の出席者
住宅金融公庫総
裁 師岡健四郎君
参 考 人
(日本住宅公団
理事) 水野 岑君
参 考 人
(首都高速道路
公団理事長) 神崎 丈二君
参 考 人
(首都高速道路
公団理事) 中大路俊安君
専 門 員 熊本 政晴君
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三月二十二日
適正単価に基づく公共工事発注に関する請願
(山村新治郎君紹介)(第二一四四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四三号)
建設行政の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
本件について、首都高速道路公団理事長神崎丈二君、首都高速道路公団理事中大路俊安君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/1
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002・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお、参考人からは、質疑応答の形式で意見を聴取いたしたいと思いますので、御了承願います。
質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/2
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003・岡本隆一
○岡本委員 きょうは、日本道路公団と首都高速道路公団の組合がストライキをやっておる模様でございます。まあ労使の話がつかなければ、ストライキになるということもやむを得ないことではございますが、しかしながら、建設行政という面から見ますときには、まことにこれは遺憾なことでございますが、どういうふうなことで、きょうはストに入っているのか、その辺について、事情の御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/3
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004・神崎丈二
○神崎参考人 本日ストに入りましたことは、まことに私どもも遺憾千万なのでございます。昨年秋以来、労組方面から出されておりまする要求が、年度末手当とかあるいはベースアップの問題であるとか、その他二十数項目に及んでおるかと思います。そうしてそれ以来、公団側と労組側と、何とか妥結の道はないかと今日までに及んだのでございます。ついに最終的な妥結が見られないまま、昨日、私のほうとしては、これ以上のことはできないという案件を申し述べたのでございます。その結果、全面ストになり、労組側のほうも、本日午後、昼でございますか、関係者一同集まって、これを受諾するかどうかということを考慮することに相なっておるかと思います。いずれにいたしましても、こういう事態に相なったことは深く遺憾に思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/4
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005・岡本隆一
○岡本委員 私どもの聞いております範囲では、大きな問題はベースアップの問題、それから年度末手当の支給の問題、さらにまたいろいろな手当その他をふやしてもらいたいということ、それから時間短縮、さらにまた、きょう首都高速の理事長に御足労をわずらわしましたのは、業務の一部を民間に委託する問題、それに労働組合が反対しておる、そういうふうな五つの問題が大きな柱であるように聞いております。
そこで、建設大臣にお伺いいたしますが、こうして不幸にストライキに入りましても、残念ながらこの首都高速にいたしましても、道路公団にいたしましても、完全に当事者能力をその首脳部が持っておられない。そういたしますと、ストの円満な解決ということに公団の当事者がどのように心を砕いても、建設省からの強い干渉があって、なかなか思うように労使の紛争の解決がつきがたいということになってまいりますが、公団の首脳部の持っておられる当事者能力の範囲というものは、建設省ではどのように解釈しておられますか。たとえて言えば、この五本の柱のうち、どれか一つでも自主的に公団のほうで解決する能力があるのかないのか。この範囲まではやってもらってよろしい、ここから先は困る、こういうふうなことをはっきりしておいていただかぬと、公団のほうでは話のしょうがない。何もかも建設省まかせで、ただ間の、でっち走りしておる、使い走りしておるだけというようなことでは、公団首脳部としてもまことに権威のない話で、これは私は、公団の首脳部が気の毒だと思うのです。やはりこういうような大きな特殊法人をつくって大事業をやらせるという限りにおいては、自主的に労使の問題を解決できるだけの力を持たなければ、事業は完全に行なうことができません。建設省では、それじゃこの五つの柱のうち、どういうふうな点まで公団で自主的に解決せよと言われるのか、その点について、建設大臣の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/5
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006・小山長規
○小山国務大臣 この前の委員会以来、当事者能力の問題がよく出ておりますが、この間の委員会におきましても申し上げましたように、公団というものはいわゆる民間会社じゃないのでありますから、資金調達そのものが大体政府に依存しておる、そういう性質の法人であります。それからまたもう一つは、事業そのものが道路をつくったり管理するという公の目的を持って駆りますから、しかもその料金はできるだけ安くしなければならぬ要請もありますので、そういう意味で、法律上あるいは予算上の制約があるわけであります。その前提に立っておりますから、したがって、その給与の基準であるとかいうようなものは、建設大臣の認可事項として、法律上明定されているわけです。そういう意味では、給与の基準については建設大臣の認可を要する点があるのでありますけれども、給与の総額については、予算上認められているわけですから、その総額を越えない範囲内で、たとえば初任給をどうするかとか、あるいはその能力に応じて給与の体系をどうするかとかいうような問題は、これは当然理事者側においてその権限を持っているわけであります。そういう意味では、当事者能力があるわけですから、一口に言えば、予算上、法律上の制限以外の問題については、当事者能力があるのだ、こういうふうに申し上げていいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/6
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007・岡本隆一
○岡本委員 そうしますと、予算に関連するものについては、現段階においては当事者能力はない、しかし予算に直接関係しないものについては、自主的にやってよろしい、こういうふうな御答弁でございます。これについては、いろいろわれわれのほうには意見がございますが、きょうは、その問題は、先般来ずいぶん論議されておる問題でございますし、今後の問題として、ちょっと預かりにいたしておきまして、それじゃ予算に直接そう強く関係のない問題として、いま首都高速と労働組合との間の大きな問題点となっているのは、事業の一部、トールゲートのところを民間委託する問題、これについて両者の見解が相当違っておるようでございますが、こういうような料金徴収業務というふうなものを、民間委託するか、あるいは公団自体でやっていくかというふうなことくらいは、当然これは公団自体の判断におまかせになるべきであって、建設省がタッチなさるべき問題でないと私は理解いたしておりますが、建設大臣はいかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/7
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008・小山長規
○小山国務大臣 民間に業務を委託するかしないかは、建設省がとやかく言うことではありません。ただ希望を言えばわれわれのほうにもいろいろあるわけでありますけれども、本来の権限としては、理事長が判断すべき問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/8
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009・岡本隆一
○岡本委員 それじゃお尋ねをいたしますが、先般夕張炭鉱でガス爆発の事故がございまして、多数の死亡者が出ております。同じ炭鉱で働いておっても、いわゆる組員というのがございます。それは会社が下請業者を雇ってまいりまして、どんどん掘っていくのは組員にやらせる、それで採炭業務は本採用の従業員にやらせる、というふうなことをやっておりまして、それが同じようにガス事故で死亡いたしております。炭鉱の直接の従業員については、死亡者に対してある程度の弔慰金も出ております、決してそれが十分なものとは言えませんが。しかしながら組員については、炭鉱は知らない。だから、組なんというものは、ほんの小さな企業でありますから、十万円も弔慰金が出れば上の部だというようなことで、その組員の家族の悲痛な気持ちが、新聞に一ページ大に、たしか読売か朝日に載っておったのを私は読みました。その記事をお読みかお読みでないか存じませんが、とにかく、いわゆる社外工問題は、従来から労使間で相当論議されている問題でありまして、大企業はみなある程度一部を下請会社に委託して、社外工を使っておる。社外工と本工とは同じような仕事をしておるにかかわらず、労賃について非常に大きな開きがある。のみならず、いろいろな給与外の待遇というふうな面においても、たいへんな差別待遇がある。企業体のほうでは、社外工を一種の景気不景気のひとつの予備軍のような、防波堤のような意味に使っておるわけです。そういうように、企業自体が、自分のほうの仕事をやるのに、一部を小さな業者に委託して、低賃金で労働者を使わせることによって、できるだけコストの切り下げをやるというふうなことが行なわれておって、これは日本の労働政策の中の非常に大きな盲点になっております。こういうことは非常に好ましくないことであると思うのであります。社外工というふうな制度が日本の産業界に存在すること、これは労使の慣行の中からきわめて好ましくないことであると、一般に常識的にはいわれておりますが、建設大臣はこういう問題をいかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/9
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010・小山長規
○小山国務大臣 これは一般論で論議するのは少し無理じゃないかと思います。たとえば、いまの首都公団のような場合には、私の聞いているところでは、料金徴収事務というふうなものは非常に単純な事務で、かりに若い人がそこに入って一生そこにいなければならないとなったら、これは若い人たちにとっても非常な苦痛でしょうし、あまり愉快なことでないだろう、やはり、たとえば何年間は料金徴収事務におっても、何年後にはほかの仕事も来るのだという希望がないと、料金徴収事務に当たっておる人はおそらく希望がない職場におるということになるのじゃないかと思うのでありますが、そういう意味で、その単純な作業が、どの程度の人間が必要であるか、また、それはたくさんの人が必要であるのであろうと思いますが、その人たちが将来ほかの職場に移る可能性は一体幾らあるのかということを考えてあげる必要もある、そういう意味で、いまのいわゆる若年労働者の将来の問題を考えて、いまのような委託業務というものを考えたというように聞いておるわけであります。一方また、一般労働情勢として、若い人の労働力は非常に逼迫しているけれども、中高年齢層の人たちは職場がないという問題もあるわけです。むしろ、そういう中高年齢層の人で、たとえば公務員を退職したりして年金とかなんとかがある。公務員以外の人も年金はあるでしょうが、年金のようなものを持っている人で、しかも適当な職場ではないけれども、そういうことならできるというような労働事情も一方にあるわけです。ですから労働問題全般として考えたときには、この制度が必ずしも悪い制度だというふうには言い切れない面があると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/10
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011・岡本隆一
○岡本委員 一般論としての御意見を承りましたのに、特殊問題としてお答えになりましたので、私へのお答えにはなっておらないと思うのでございますが、一般論としてはいかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/11
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012・小山長規
○小山国務大臣 たとえば、先ほどおっしゃったような炭鉱の問題のような場合には、非常に同じ危険度をになうところの労務者が、一方においては給与条件が違うというような場合には、これは労働問題として考える場合には好ましいことではない、こう思いますが、それじゃ今度はそういう制度をやめた場合に、その企業会社自体の永続性の問題はどうだろうかという問題を、一方において考えていきませんと、全体の労働者の職場を失ってしまうようなことでは、全体の労働者の問題になりますから、やはりこれまた抽象論で言うのは適当でないのじゃないかと思います。というのは、企業体というものは生きておりますから、全体が死んでしまったら、全体の労働者が失業のうき目にあうわけですから、全体を生かすために一体どういう制度をとるかということは、やはり企業の責任において考えるべきことであって、その結果生じてくるところのいろいろなアンバランス、不幸な事態というものは、また別の制度から、たとえば労働災害保険とかいう面から考えていくべきものではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/12
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013・岡本隆一
○岡本委員 十五分から参議院へ大臣お越しのようでございますから、一応大臣へのお尋ねはあと回しにしておきたいと思いますが、確認しておきたいことは、この民間への委託問題は、公団自身でどのように処理してもかまわない、それは建設省のほうはそういう点についてもまかしておる、こう理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/13
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014・小山長規
○小山国務大臣 その点は、理事者の権限の範囲内の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/14
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015・岡本隆一
○岡本委員 それでは、政務次官並びに公団の理事長にお尋ねをいたしますが、民間に委託される理由ですね。いま大臣が一部おっしゃいました、非常に単純な作業であるということ、むしろ中高年層の人にそれは適しておるのではないかということですね。それから同時にまた、そんなところにいつまでも若い人を働かしておると、何か職業に希望を失うのではないか。そういうふうな点が民間委託にする理由であるかのように、大臣から御説明が、こざいましたが、その他に何か補足される理由がございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/15
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016・神崎丈二
○神崎参考人 お答えいたします。
主たる一番大きな理由は、いま大臣が御説明になったとおりなのであります。実は五カ年計画というのが私どものほうにございまするが、これが完成いたしますると、約九十キロでございまするから、全部これを直営にいたしますと、徴収員の数だけで一千名くらいが予想されるのであります。そうなりますると、いま大臣のおっしゃられた、単純にして、そして若い人にそういう仕事を長くやらせることが不適当である。そうするとやはりある年度で配置転換、あるいは昇進というようなことを考えなければならない。そうすると一千名の人を動かすということに相なりますると、かなり人事の渋滞等が予想されるのであります。入団当初は徴収員としてかりに満足されておっても、やはりある年限になれば昇進等を当然望むことになる。また仕事そのものも非常な単純でございますので、どうしてもこれはある年月の間には配置転換、昇進ということを考えなければならぬ人数が、そのとおり非常に多くなる予想がございますので、いまのうちから手を打っておかなければ、公団自体の人事に非常な影響を及ぼす、渋滞を来たす、ということが主たる理由でございます。
それから、これはずっと先の話でございまするが、御承知のように、あの道路は現在は有料道路でございますが、やがてこれを償還いたしますれば、無料の都道に相なるわけでございます。そのころどのくらいの徴収員がおるか予想もできませんけれども、その多数の、むろん千名もっともっとになるわけでございますが、そういう徴収員の、今度また就職その他のことも考えなければなりませんし、そういう、これはずいぶん先の話ですから、そんなことをいまから予想する必要もないかもしれませんけれども、そういうこともやはり理由の一つに相なります。
それからもう一つは、これはいかがお考えになるかわかりませんけれども、サービス面――公団の一番大きな仕事は、やはり道路をつくるとか、地下駐車場をつくるとかということが主たる目的でありますので、料金徴収とかあるいは駐車場の営業というものは、ややサービスの面に属するわけで、そういう面は、民間のそういう方面で熟達した会社に委託するのも一つの方法ではなかろうかとも考えております。しかし根本問題は、大臣もお話しになった、また私も繰り返しました、人事の渋滞というようなことが一番大きな問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/16
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017・岡本隆一
○岡本委員 単純作業で若い人に希望がない、こういうことでございますが、技術革新が進めば進むほど、人間の労働内容というものは単純になるのです。テレビであるとか電気製品なんかつくっている工場を、理事長もごらんになったかと思いますが、単純も単純、全く人間が機械の付属品のようになっている。これが民間の大企業の労働作業内容の実態なんです。そういう面から見ますなれば、料金の徴収業務というものは、必ずしもそれほど単純ではございません。冬の日に、寒いときもあるでしょう。しかしながらやはりからりとした環境の中で従事する業務でございますから、それにそう長くいることが、人間の希望を失わせるものとは私には思われません。それなら、室内の狭いところで旋盤にとりついて、じっと同じものを繰り返して単純作業で削っておるというようなところ、そんなことから比べましたら、これははるかに、いまおっしゃるような作業内容の単純性というものは否定できると思うのです。さらにまた、そういうふうなお考えなら、採用のときに、やはりそういうふうな作業内容を持つということを条件としてお雇いになればいいので、またそういうふうな業務の種類が相当あるのだから、そういう要員としてお入れになればいい。また、そんなような単純作業をいつまでもやらされることはごめんだというのなら、常識的に組合側から、これはやめてくれと言ってくべきはずです。労働者のほうでそんなにきらうような内容であれば、労働組合側から、これは委託してください、私らはオフィスの中に入りたいのです、こういうふうなことで、あなたのほうでそういう部門を切りたいとおっしゃっても、これはまあ切ってほしくない、そういうものを切りはずしてほしくない、こういう要求は出てこないと思うのです。それが強い要求として出てくることの中には、やはり必ずしもそういうことばかりではないとわれわれには思われる。さらにまた、中高年層に向いておるというのなら、いままで採用された分はいままでの分といたしまして、これから一千名にもふえてくるということでございますから、新たに中高年層の人を採用するという道をお開きになればいいと思うのです。最近、若年労働力は非常に逼迫しておる。しかしながら、中高年層はあり余っておる。中高年層の人は就職難だ。政府機関であるようなところこそ、範を示して中高年層の就職難というものを排除するために、もしそういうふうな労働内容が中高年層に向いておる、若い人に向かないというのなら、それでは、トールゲートの作業員は中高年層をとるという方針に切りかえられまして、そして広く一般に大きな社会問題になっておる中高年層の再就職の困難性というものを打開するための努力を、政府機関であるところから範をまず示されるべきであると私は思うのです。あなたのほうがいろいろ理由としておあげになるのに、一応の理由としては聞くことができます。しかしながら、それに対する解釈はいろいろございますし、反論も幾らもあると思うのです。だから、そういうふうな何だけでは、私はどうも民間委託、単に営利会社が利潤をちょっとでも上げるために、できるだけ金がかからぬようにしていこう、こういうふうな考え方と、なるほどそれは公共企業体でございますから、浪費というものは慎んでもらわなければいけません。しかしながら、社会的な問題としての中高年層の雇用問題に奉仕するというふうなことであれば、これは決して浪費ではございません。有用なことなんです。そのために償還がたとえ少々延びても、私はやはり社会的に大きな役割りを果たしておると思うのです。だから、そういう意味では、いまおっしゃったような理由が私には納得できない。人事の渋滞の問題にいたしましても、それはやはりあなたのほうで、運用のいかんで、どのようにでもできる問題であって、私は、そういう点でやはりその運営の考え方の中に、単純な企業体としての運営方針をそのまま持ち込んでこられて、そうして、単純に、経費を切り詰めるというようなことを考えられているというところに、私は誤りがあるように思うのでございますが、それについての理事長の御見解を承りたい。
もう一つは、いま委託は全体の何%程度か。場所で何%程度、必要とする人員で何%程度。それから、料金徴収の額の面で大体何%程度を委託に回しておられますか、その辺、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/17
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018・神崎丈二
○神崎参考人 後段の御質疑に対しましては、その方面の担当理事である中大路が来ておりますから、中大路君からお答え申し上げます。
前段について申し上げますが、岡本先生のおっしゃることも、確かに、単純といっても、世の中には単純な仕事がどっさりある、それに比べれば、というお話も一応ごもっともでございます。が、しかし、徴収員として入ってきて、公団の他の職員等と交わって、ことに非常に年少の連中でありますから、どうしても二年、三年のうちに多少の不満等の起こるのが実情なのでございます。それから、中高年層というお話が出ましたが、これはむろん私どもとしても考えたいことでありますし、これまでもたびたび考えたのでございます。ところが、中高といいますけれども、中のほうをとりますと、給与の面で特に行き詰まるのであります。御承知のように、何号俸と、年齢と経歴できまっておりますから、これは非常に高給なものとなってきます。また、高のほう、老年のほう、先ほど大臣からもちょっとおことばのあった、たとえば年金をもらって退職した人、それを嘱託というような形でということでございましょう。嘱託ということばはお使いになりませんでしたが、要するに、正規の雇い入れでなしにする、つまり隠居仕事として雇い入れる、この面も非常に考えましたのです。しかし、実際に当たってみますと、なかなか適当な人を多数引き受けるわけにいかない。たとえば、本人は希望しても、健康その他でとても――あれは徹夜で、ございますから、そういう点も非常に困難である。中高年層ばかりではない。女子ということもずいぶん考えたのであります。しかし、あれで存外敏活な挙動を要する場合があるので、女子等では危険に属するというような話も出まして、そうして現状を続けておるという形に相なっておるのであります。後段の、いま委託しております現状について、中大路理事からお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/18
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019・中大路俊安
○中大路参考人 ただいま、委託をしておる場所その他について御質問がありましたので、お答えいたします。
いまわれわれがやっております料金所というのは二十あります。そのうち四つやっておりますから、これは二〇%ということになります。人間は二八%。料金の取り扱い高では、数字が出ていますけれども、計算しますから、少し待っていただくわけにいきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/19
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020・岡本隆一
○岡本委員 幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/20
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021・中大路俊安
○中大路参考人 いま七万四千台通っているわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/21
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022・岡本隆一
○岡本委員 金高は、年間でも月間でもいいです。月間幾らで、トータルで幾ら、そのうち幾ら徴収しているかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/22
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023・中大路俊安
○中大路参考人 大体四〇%です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/23
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024・岡本隆一
○岡本委員 いまの理事長の御説明でございますと、単純な仕事で、必ずしも若いぴちぴちとした人でなくてもいい、そういう業務の内容だから民間に委託するんだ、こういうことでございますが、いま民間に委託しておられる場所を伺いますと、ひまなところは公団で握っていられる。そして忙しいところを民間委託しておる。つまり活動性のある、ぴんぴんぴちぴちした人が、てきぱきと処理していかなければならないようなところは、民間に委託しておられる。極端に言うと、ぼおっとしていてもいいようなところは公団で握っていて、しゃんしゃんやらなければならぬところを民間委託、こういう形になっておるわけです。そうでしょう。場所としては二十のうち四カ所で二〇%だけれども、人員は二八%を配置しなければならぬ。さらに料金徴収額は四〇%だ。場所は二〇%だけれども料金徴収額は四〇%であるということは、非常に出入りが激しい、それだけ忙しい、だから退屈な仕事をさせておくのはかわいそうだから、民間委託するんだというお説でございますが、やっていられることは逆じゃないですか。退屈なところは公団で握っていて、忙しい、ばりばりやらなければならぬところを民間委託するなんて、いま理事長がおっしゃることと全く逆なことをしていられるんじゃないんですか。これはどういう理由で、そういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/24
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025・神崎丈二
○神崎参考人 岡本先生のおっしゃることと私のほうの考えと、ちょっと食い違っておるようでごさいますが、ブースの閑疎はあるのでございます。そして委託しているところが非常に台数の多いところであることは事実であります。しかしそれだけに、またそこには人を大ぜい要するわけであります。それで、これはまた根本問題にさかのぼるのでありますが、結局なるべく民間委託に持っていこうという方針でありますれば、一番人員を多く要するところを重点的に委託せざるを得ない。残っておるところは、むろん一日の通過台数としては少ないのでありますが、それだけに人数はやはり少ない。したがって、繁忙の度は、つまり一人の労働量はあまり変わらないかと思います。決して単純で非常に閑散なところに回したという意味ではない。むしろ根本問題にさかのぼって、委託方針をとるのならば、非常に多くの人を要するところをまず委託したい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/25
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026・岡本隆一
○岡本委員 これは重要なことをお伺いいたしました。それでは、公団は今後料金徴収業務はなるべく民間に持っていくんだ、できれば全部民間委託するんだ、こういうふうな御意向のように響きますが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/26
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027・神崎丈二
○神崎参考人 民間委託の根本問題について、先ほどから申し上げておるわけであります。徴収員というものをそうどっさりかかえていくということが、人事その他の面で困るというのが根本問題です。将来に及ぶということもございませんが、公団の人事として渋滞を来たすということが根本でございますから、全面委託ということはまだ考えておりませんけれども、並行的にブースがだんだんふえて、徴収員がふえていきますから、それをなるべくふやさないようにするという方針では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/27
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028・岡本隆一
○岡本委員 先ほどから、どうも公団直営でやっているとサービス面に欠けるところがある、民間に委託したほうがサービス面でよくなるというふうなことをおっしゃった。さらにまた、二十年後、大体償還が終わったときには、非常に多くの人を整理しなければならぬ、だからあらかじめそういう煩を避けるために民間に委託しておる、こういうことであった。まずサービス面の問題でございますが、これは民間だったらサービスはいいけれども、公団でやったらサービスが悪いということは、公団の当事者の無能力を表明しておられることになると思う。民間より以上のいいサービスをしろというふうな教育をされ、指導をされ、監督をされて、民間でやるよりも直接自分の手でやることによって、りっぱな運営をやっていこうという意欲をどうして示していただけないのか。これはおしかりを受けるかもしれませんが、事なしに済んだらそれでよろしいという気持ちでおやりになるとするなれば、いまのようなおことばはそれで通用するかもしれませんが、しかしながら、とにかく首都の交通事情の緩和のために、自分らは献身的な努力をするんだ、理事長以下全理事が中心になって、火の玉になって、交通緩和のために住民へ奉仕するんだ、こういう気持ちで陣頭指揮をおやりになる、こういう決意を持って事に当たっていただく。公団直接で、民間に委託するよりももっといいサービスをやるんだ、こういう気魄と意欲を私は示していただきたいと思う。さらに償還したときには人員整理しなければならぬから、いまのうちにはずしておくんだ、これは非常なひきょうな考え方です。償還したときには失業者は当然出る。それは公団でやっておられようと民間でやっておられようと、失業者が出るということにおいては同じです。ただ、その問題のときに、めんどうな問題をいまから回避しておこうということは、公的性格を持つところの機関のあり方としてはきわめて遺憾である。国の労働政策の一端を、そういうような面から回避しようなどということは許しがたい態度だと思う。そういうふうな気持ちであなたが事業の運営に当たっておられるとするなれば、これは隠居仕事に、何でもいい、波風さえ立たなければいいんだというふうな気持ちでやっておられるというふうにしか受け取れない。少なくとも国の行なっておるところの公的な特殊法人です。そこには国の中に持つところのいろいろな悩みがあります。中高年層の雇用の問題、あるいは失業者をどうするかという問題、いろいろ悩みがございます。いわゆるこのごろはやりのことばでいうひずみでございますか、ひずみ是正にちょっとでも一役買いたい、こういう気持ちを持って、私は運営していただきたいと思うのでございますが、理事長のお考えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/28
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029・神崎丈二
○神崎参考人 いまの二つのことでございますが、冒頭に申し上げたときにお断わりいたしましたように、そういうことも考えられないことはないという意味で、しいて申し上げれば、言わずもがなであったかもしれませんが、そういう意味でちょっと申し上げたのであります。いま岡本先生から御注意のあった気持ちは、私も十分体しておるつもりでございます。たとえばブースの徴収員についても、厳重な研修を施して、できる限りサービスにつとめるようにと常に注意しておりますし、それから、社会のひずみでございますか、中高年層の人とか、あるいは政府機関として社会に何か奉仕できる面には何とかしてつとめたいという気持ちは心に持っておりますし、さらに御注意がありましたから、なおそのお心持ちを体して運営していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/29
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030・岡本隆一
○岡本委員 それでは、全面的に民間委託するのだという方針をこの際お取りやめになって、もうこれ以上民間委託はやらない、そして公団の手でもってりっぱな運営をやっていこう、さらにまた、社会のひずみを是正していこう、こういうふうな方針に切りかえていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/30
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031・神崎丈二
○神崎参考人 全面的に委託するとは申し上げておりません。また今日ここで、今後一切委託しないとも申し上げかねるのでございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/31
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032・岡本隆一
○岡本委員 政務次官にお尋ねしますが、いまの議論を聞いていられて、どっちに軍配を上げられますか。建設省としては、それは干渉はされる必要はないと思います。しかしながら、好ましいという希望意見は述べることができると思うのです。建設省の指導下にあるところの公団が、そういうふうな、民間の純粋の営利企業体が行なうような経費の節減方針をやって、もう失業者が出ようが、うるさいことは困る、あるいは中高年層なんか雇うのは損だ、もうできるだけ安く事業を上げなきゃいかぬ、経費を切り詰めなきゃいかぬ、こういうふうな方針で、民間の企業体がやっておる社外工や組員を使うのと同じようなことを、公団がこれからやっていくということを好ましいと思われるか。あるいは、それは浪費は節減しなければいけませんが、しかしながらやはり国の施策としてやるべきことの一端をにないつつ、りっぱに十分な事業目的を果たしていくという態度をとることを好ましいと思われますか。これは大臣にかわって、あなたからはっきりとした方針を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/32
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033・白浜仁吉
○白浜政府委員 いまの御質疑の中にもありましたとおり、私はじっと承っておりながら、岡本委員の言われることとまた理事長が言われることとは、同じようなことを言っておられるのではないかというふうに、実は承っておったのであります。したがいまして、ことばのあやは幾らか違うかもしれませんが、精神においては、いろいろ御質問がありましたとおり、御希望がありましたとおりの線で理事長も考えて、今後の問題を処置していきたい、こういうふうに考えているものと、私は理解をいたしておるのでございます。予算その他で縛られておることも、御承知のとおりでございますし、また今後――いまようやく三〇%弱しか事業ができてない、建設もできてないというさなかに、なかなか技術者を集めることもむずかしい、こういうふうな時代に公団が苦労しているというふうな現実も、十分岡本委員は御承知のことと思うのでありまして、その間で予算をやりくりして、なるたけ安く上げようということが、いろいろな問題を検討されなければならぬということにもなっておるわけであります。大臣は、公団の諸君とも常々十分連絡しながら、そういうふうな問題を前向きで検討している最中でございますので、ひとつ御了承願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/33
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034・岡本隆一
○岡本委員 これはどう取ったらいいかわからぬような御答弁でございますが、私は、いろいろな合理的な運営というふうなものは、経費の節減なんぞは、たとえて言えば、きょうは問題がそういうふうな意味でございますから、労働問題でございますから、触れたくはございませんが、しかしながら、三宅坂のインターチェンジに起こったような不正事件、ああいうふうな、請負関係の経費を節減するとか、鉄材が一割もどこかよそへいってしまうというようなことがないように、そういうふうな面におけるところの節減は厳としてやっていただかなければならぬ。しかしながら、労働対策というものについては、これは事業は人の集まりでございます。どこまでいっても、事業体というものは人の集まりでございます。だからみんなが満足した気持ちで働くところにりっぱな事業ができる。その意味においては、給与がただ安ければいい、安く使えばいいというふうな考え方よりも、ある程度の待遇をしつつ、うまく人を使っていくということ、やはりその持つ能力を六、七〇%で使うか一〇〇%以上に使うかというところに、企業の運営のうまみ、技術があるわけでございますから、そういう点については今後十分心していただきまして、ただ労務費、人件費を安く上げさえすればいい、こういう考え方に立つのでなく、労使の関係を円満にこれからしていただくようにお願いしておきたいと思います。
ことに、ただいま私どもが理事長のお話を承りますと、どうも忙しいところから順にはずしていく、こうしてストが起こってみると、これはスト予防策だ、こうとれないこともないわけです。いまはまだ建設中でございます。しかしながら、建設が終わりましたら、公団の事業内容というものはどういうものになりますか。建設された道路の維持管理、これは仕事は非常に少のうございますね。そうすると、仕事の内容というものは、ほとんど料金徴収が一番大きな現業になるわけです。だから公団の事業といえば、料金徴収をやって、あと負債を償還していくというのが一番大きな事業になるわけでしょう。その一番大きな現業部門を全部民間に委託してしまうということになりますと、これは全くホワイトカラーだけの事務団体のようなものになってしまいまして、ほんとうの現業的な企業体でなくなるということです。これは、建設が終われば仕事は終わったのだという意見もあるかもしれませんけれども、しかし建設が終われば、あと債務をきちっと整理するということも大きな仕事の一つでございますし、そういうふうな企業の性格からして、その現業部門をほとんど民間へ委託してしまって、あとはもう涼しい顔だ、左うちわだ、こういうふうな考え方になられるということは、私は、大きな事業の首脳者としては誤りであり、いい仕事をやっていきたい、りっぱに国民に奉仕していきたいという点において、意欲に欠けるところが多いと思うのです。さらにまた、私がいま申し上げているように――私が勘ぐっている、それは誤解ですとおっしゃるかもしれませんが、しかしながら、もしもスト対策のために、ストライキができぬように、小さい幾つかの業者に分けてしまうのだ、委託をした業者に分けてしまうのだ。だから、分散管理によるところのスト対策ということになれば、トールゲートに使う人たちはできるだけ低賃金で、薄給で、小さな下請業者として、きゅうきゅうした企業の中で働いていけということを強制されることになる。そういうことになりますと、これはあなた方の事業のために一生懸命働いておるところの従業員じゃないですか。直接雇用しなくても、あなた方の仕事のためにほんとうの下積みになって働く従業員じゃないですか。その従業員を分散管理して、分散的に支配して、それでもって、ストもできぬ、自分らの要求も何ら主張できない、そういうふうな弱い労使関係の中に追い込んでいって、それで人間を安く使おう、そういう考え方は、私は、国の大きな企業体の中での理事長としてのあなたのお考えとしては、どうしても納得することはできません。だから、今後こういう方針は絶対にやめていただきたいというのが私の意見でございますが、しかしながら、まあそれはいまあなたも、じゃそうしますということをおっしゃることはできないと思いますが、ひとつ十分部内の皆さんとも御相談願い、また円満な労使慣行というものを立てるためには、やはり団体交渉にも応じる、また当事者能力を持つための努力をする。そのために、私どもは幾らでもあなた方のためにできろ限りの力にもなりたいと思います。だから、そういう意味においては、政務次官にもお願いしておきますが、十分な労使の交渉の当事者になるだけの資格を与えていただくことを、建設省としては、そういう方針を持たれることを望みますが、公団のほうでも、大ぜいの人を使われるなら、やはり人を使うのにはそれだけの思いやり、さらにまた、労使関係の近代的なあり方、そういうものを十分お考え願いたい。いましておられることは封建的な方向へ逆戻りですよ。分散支配で、小さな下請にして、それでもってぎゅうぎゅう労働者をいためつけていこうということは、これは労使慣行の封建制への逆戻りです。中大路理事さんは、にやにやして聞いておられますが、実際あなたの担当しておられる業務の中で議論しているのに、ちょっと不謹慎じゃないですか、実際あなたは大きな企業体の理事となって、あなたはその大きな部門を担当しておられる。だからこっちは汗をかいて議論しているのだ。あなたはにやにやして聞いておられますが、もう少しまじめにあなたは考えていただきたいと思うのです。あなたがそういうふうに不まじめな態度をとるとするならば、もう一ぺんまた、この問題がうまく解決しなければ、何べんでも追及しますよ。私は、いたずらに当事者をそういうふうな非難する、追及するというようなことよりも、いい労使慣行をつくっていただきたい、そしてみんな満足して働いて、りっぱな国の機関としての義務を果たしていただくことで仕事をやっていただきたい、こういう気持ちで申し上げているのでありますから、理事長におかれましても、十分御勘案の上、今後の方針を立てられるようにお願いしたいと思うのですが、御意見があれば、この際承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/34
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035・白浜仁吉
○白浜政府委員 いろいろ貴重な御意見を承ったわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、御承知のとおり、理事長以下一生懸命になって努力をしている最中だし、また職員の方々も、国民の要望に沿うように一生懸命努力をしてているさ中でございます。しかも御指摘のとおり、正しい労使慣行をつくるというふうなことや、あるいはまた将来どういうふうにしたほうが一番まっすぐな行き方をするかということを、実は検討している最中でございます。発足して間もない公団でございますので、長い目で、ひとつ御指導を願いまして、われわれもまた十分今後気をつけていきたいと思いますので、その点御了承願いたいと思うわけであります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/35
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036・森山欽司
○森山委員長 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、本案審査のため、参考人として、日本住宅公団理事水野零君の御出席をいただいておりますが、参考人からの意見聴取は、質疑応答の形で行ないたいと存じますので、御了承願います。
質疑の通告がありますので、これを許します。實川清之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/36
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037・實川清之
○實川委員 住宅局長にお伺いいたします。この法律案につきましては、すでに各委員の方々から、いろいろの御質問があったようでございますので、簡単に御質問申し上げたいと思います。
今度、住宅金融公庫法の一部を改正して、民間の個人あるいは法人にも、アパートを建設する融資をするということになったわけでありますが、いまの住宅政策を遂行いたします場合に大きなネックになっておりますのは、申すまでもなく、敷地、住宅用地の確保という問題が大きな問題でございますが、この法律改正によって、ある程度そういう隘路の一部も打開できるのではないかと思います。ただ問題は、この法案のねらいが、個人の持っておる土地を提供さして、そしてアパートを建設する、これは従来住宅公団の当然やるべきことを、そういう変則的な形でやっていこうということになるわけですが、ただ問題は、その際、個人のアパート建設を住宅金融公庫の金を流してやらせるということになりますと、これは土地はうまく吸い上げることができますが、逆に、それをやろうとする人は、端的に申し上げますと、そういうことをやることによって、ある程度金をもうけたいということになってくるわけです。そうしますと、個人の営利目的のほうが中心になって、住宅はできたがあとは野放しで、居住者の利便とか福祉というものが等閑視されるのではないか、こういうことが心配になるわけですが、一体こういうような形でアパートを建てた場合、建設省としてはどのように監督され、居住者の利便を確保されるが、その点についてひとつお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、三池委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/37
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038・尚明
○尚政府委員 お話ございましたように、今回の改正は、民間の方がなるべくその土地を提供して、その上に鉄筋コンクリートのアパートの経営をしやすいようにする、そうして市街地の中の土地の高度利用をはかるということを大きな目的にいたしております。しかしながら、いまおっしゃられましたように、それの経営につきましては、公共の資金を非常に多く流すようにして、これを促進するわけでございますから、おのずからその経営につきましては、法律上の規制をもちまして、家賃の算定方法あるいは分譲価格の算定方法、それから入居者の募集方法、すなわちこれは原則的には一般公開で募集させるというふうにいたしまして、公正に住宅に困っておられる方に行き渡るようにいたしたい、こういうふうに考えております。なおこの問題につきましては、さりとてあまり公共性が強い算定方法をとりましては、今度は地主の方にとりましては、むしろアパート建設の意欲をなくすわけでありまして、これはどちらかと申しますと、在来は土地担保賃貸住宅等で、やや厳密に過ぎた家賃算定法をとっていたきらいがございますので、今回若干は家賃の算定方法等に緩和を加えて、土地を出している方にとっても若干は魅力があるようにいたしたいというふうに考えます。さりとて野放しにしては、いま御指摘のような問題が起きますので、その点を適度なところに算定方法を新たに規定いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/38
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039・實川清之
○實川委員 まあ住宅公団でやっております団地の状態を見ましても、表面、外観から見ますと非常に、りっぱな団地になっておりますが、いろいろ居住者の意見等を聞いてみますと、非常に抜け穴を申しますか、穴だらけだ。と申しますのは、たとえば相当大きな団地でも病院等がない、あるいはまた郵便局がない、あるいはまた育児所、託児所等の施設がない、幼稚園とか、あるいはまた公民館の施設がない。いろいろ、何千戸という戸数のある大団地であっても、そういういわゆる町の形が実はできていないわけです。見たところりっぱな、外観は非常にりっぱですが、住む者の立場で団地を観察いたしますと、いろいろ欠陥が多いようです。これは公団がやっておられるアパートの場合、団地の場合でなおかつそうなんです。それが、個人が半ば営利的な目的のためにアパートの経営をされるということになりますと、なおさらそういう欠陥が露呈してくるんではないか、こういうぐあいに考えるわけです。いまあなたのおっしゃったところを聞けば、十分監督もし規制も加えるということでありますが、公団ですらなおかつそうなんだけれども、いわんや個人の私企業的な性格を多分に持ったこの場合ですと、相当問題があるんではないか。たとえばアパートを建てる場所にいたしましても、道路の整備していない場所とか、あるいは防火施設の十分できていないところとか、あるいは地盤の脆弱なところとか、あるいは家屋の密集地帯で、環境上きわめて不良の場所とか、いろいろ考えればあるわけでございます。そういう点について、どうもこの公庫法の改正によってこういうアパートを建てることにつきましては、着想としては一応わからないこともないのですが、あとの居住者の立場になって考えますと、非常に問題が多いと私は考えております。こういう点について重ねてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/39
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040・尚明
○尚政府委員 前段で御指摘になられましたように、団地関係の各種の公共の施設が不十分であるという御指摘は、私どもも鋭意努力しておりますが、いまをもって十分だとはやはり申しかねます。と申しますのは、歴史的に申しまして、住宅団地の建設というものは、あちらで二百戸へこちらで三百戸という小規模に建てて、在来からある町のいろいろな諸施設を使わしていただきながら、少しずつ住宅を建てておりました過去の時代では、その種の問題は少なかったのでございます。しかるに、あるいはこれはおかげさまでと申しますか、住宅建設が大規模になりまして、一度に何千戸、あるいは何万戸と建てるほどの大規模な事業が最近において行なわれるようになりました。これはまさに町づくりでございまして、御指摘のように、学校、病院、警察署、区役所、事務所、そういった各種のものが必要になってまいりました。しかしながら、残念ながら、私ども住宅のほうの建設が拡大していくのにぴったりと伴いまして、それらの諸施設を設ける制度がまだ不十分の点がございます。この問題につきましては、住宅公団は、つとに小学校の建設資金を持つとか、あるいは区役所等の建物を持つとか、あるいは若干の集会所等を設けるというような制度ができて、比較的進んでいるほうでございます。しかしながら、御指摘のように、保育所だとか何かに至っては、まだ制度ができておりません。これらの問題につきましては、今後一そう努力して充実をはかっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
それから、住宅金融公庫のほうの融資による住宅団地の建設でも、これは公団より、正直言いまして、なお一そうそれらの諸施設の整備についておくれた感がございました。したがいまして、今回の法改正の中にも、学校施設の建設に融資ができる道を初めて開き、予算的な措置も四十年度からいたした次第でございます。これにつきましても、逐次整備をはかっていくという考えにいたしております。
それからなお、民間の土地を提供して、これにアパート建設を推進する方策、このほうは、まだ現在のところ、それらの諸施設が大幅に要るほどの郊外の大団地の建設をねらったわけではございませんで、目下のところねらっておりますのは、既成市街地の中で、数百坪とかあるいは千坪とかいうふうな住宅地を持っておられる方に、そこに一棟とか三棟とかいうのを建てていただくことのほうを主眼に、今回の法改正をいたした次第でございます。しかし、先生の御指摘のごとく、将来大規模に民間が土地を提供してやるという問題が起きますと、それらの施設については、私どももその点をまだ想定の中に入れておりませんので、不十分なんでございますが、今回は、先ほど申し上げましたように、むしろ既成の市街地の中における土地所有者の方のアパート建設の推進、というところに主眼を置きましたので、各種公共施設が要るほどの大規模なものにはならないと思います。なお、しかしながら、市街地の中におけるアパートの建設に伴いましても、当然物置きだとか車庫だとか、そういうものは要ると存じております。したがいまして、それも住宅とあわせて建設してもよい、あるいは一部そういうものについて融資もできる、というふうにくふういたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/40
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041・實川清之
○實川委員 私は主として居住者の利便、福祉という点を中心に御質問申し上げたいのですが、団地で共益費というものをとっているようです。この共益費を取り立てている根拠をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/41
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042・尚明
○尚政府委員 通常一般の方でも、住宅に住みますと、これに伴いまして、たとえば自分の敷地の中にかりに植木がございますと、その植木は年に一回か二回は手入れを要する。あるいはどぶ掃除というようなことも必要でございます。それらの、つまり住宅を取り巻いておりますいろいろの施設につきまして、通常入居者の方が負担するもの、これを共益費の形でいただくというふうに、団地でいたしているわけでございます。団地の場合は、御承知のように、共同の庭になっていたり、それから街灯等もみんな共同でいたしております。したがいまして、それらを維持するため、維持を目的といたしまして、共益費をいただくということにいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/42
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043・實川清之
○實川委員 そうしますと、この共益費を取り立てる目的は、そこの居住者の共同の施設を、お互いの金を出し合ってやるということだと思います。また、字から解釈しても当然そうなるわけですが、この共益費は収納金として考えられているというように聞いておりますが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/43
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044・水野岑
○水野参考人 私、住宅公団でございます。住宅公団の状況につきまして、ちょっとお話し申し上げたいと思います。
住宅公団におきましては、賃貸借契約書の第七条をもちまして、共益費の定義をきめているのでございますが、共益費は、先ほど住宅局長からお話がありましたように、共用施設の維持、運営に要する費用でございまして、その額は公団が決定する、そうして入居者から徴収する、そういうたてまえのものでございます。そこで共益費の運用は、団地ごとに経理をいたしまして、毎年度決算をいたしまして、そうして東京地区の場合でございますと、大体三年ごとに共益費の改定を行なっております。支所によりましては、二年ごとに改定を行なうというようなことにいたしておりまして、先ほど申しましたように、この賃貸借契約書によりまして、共益費の額は、公団側で一方的にこれをきめるというたてまえにはなっておりますが、何ぶんこの共益費を増額するというようなことになりますと、入居者に負担をかけるというようなことに相なりますので、入居者との間の摩擦をできるだけ少なくしたい、そういうことで、毎年度の決算は、これを明確に入居者にお示しをする。それから共益費を値上げするという必要性のある場合におきましては、その根拠を詳細に御説明申し上げまして、御了解いただく、こういう措置を運用でやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/44
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045・實川清之
○實川委員 賃貸契約の七条で、公団側が一方的に共益費の額をきめて、それを徴収するということになりますと、これはまあ居住者の立場から、どういう施設が必要だとか、あるいは現在ある施設がどういう点が不便で、どういうぐあいに直してもらいたいとか、いろいろ要望があろうと思うのです。しかし、たてまえから言うと、そういう居住者の意向というものを聞かないで、一方的に公団のほうできめることができる、そして税金と同じような形で徴収することができる、この共益費の性格と申しますか、ここに一番問題があるのではないかと思うのです。元来、これはそこに居住しておる人たちが、何をつくろう、あるいはどこがどういうぐあいにぐあいが悪いから、どういうぐあいに直そうということを、お互い相談をし合って、そのためにこれくらいの金がかかるから、ひとつ割り勘で出そうじゃないか、こういうことになるのだろうと思うのです。ところが、家主のほうの立場に立つ公団が一方的に判断をして、一方的に金を徴収する、ここに私は一この共益費は七条にあるんだそうですが、これを変える必要があるのではないか。もっと民主的に、自主的に居住者が運用するような方向に変えたほうがいいんではないか。それが本来の姿ではないかと思うのですが、この点についての御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/45
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046・水野岑
○水野参考人 共益費の点の賃貸契約を変えたらどうかということですが、共益費は、先ほども申しましたように、共用施設の維持運営、つまり清掃でありますとか、浄化槽の消毒でありますとか、それから外灯の電気代でありますとか、そういう費用でございまして、その大部分はいわゆる清掃費が占めております。そういうような性質のものでございまして、ことに浄化槽の消毒なんということになりますと、ある程度技術的な考慮も必要になってまいりますので、公団で共益費を入居者からいただきまして、これを公団が運営していく、こういうたてまえがやはり能率的ではないか。ただ、共益費がどういうように使われたか、これは十分入居者の方に毎年度御説明を申し上げる。それから先ほど御説明申しましたように、三年ごとに共益費を改定いたしますが、それは値上げする必要がある場合におきましては、それの詳細を御説明申し上げまして御了解いただく、こういうようなやり方が、現段階におきましては、私はやはり能率的であり、合理的である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/46
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047・實川清之
○實川委員 それは決算報告をそこの居住者に示すとか、あるいはまた自治会を通じていろいろ意見を聞くということは、この賃貸契約書七条によれば、必要のない、やらなくてもいいことなんですね。しかし、それを円滑に運用するためにやっておられる。けっこうだと思いますが、それはまあ枝葉末節の問題で、むしろこのあり方が、そういうことを当然しなければならないのですが、公団自体が共用施設の維持管理のためにこれこれの額が必要だということをきめられて、それを場合によれば住民の意思に合致しなくとも強制的に取り立てる、もし滞納すれば追い出すというような、半ば天下り的、強制的な形というのがおかしいのじゃないか。たとえば私の調査しましたところによりますと、これは千葉県のある団地なんですが、十二月の十七日に通知が来て、越えて一月二十日までに諾否の回答をしろ、もしその回答のない場合は、一方的にその額は決定したものとして収納する、というような通知が出されております。これなんかはまさに徳川幕府の切り捨てごめんと同じで、問答無用に近いような強制的な形であると思うのです。しかし、これもいまの賃貸契約書七条の規定によれば、やっても差しつかえないということになるわけですが、大体こういうような形の契約条項を残すということがおかしいのじゃないか。これはあくまで家主と借家人の合意の上できめるのが本来の姿だと私は思うのです。重ねてもう一回、その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/47
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048・水野岑
○水野参考人 ただいま御指摘のありました団地の例、私は詳細に承知しておりませんが、その点-何か少し高圧的のような印象があったような印象を受けるのでございますが、そういう点につきましては、今後とも十分注意をしていきたいと思いますが、居住環境を良好なものにしていく、あるいは維持向上していきたい、こういうことを、公団も大部分の入居者と同じように考えておるのであります。ただ、その場合に、入居者によりましては、居住環境を維持向上するよりは共益費をできるだけ安くしろ、最低限度の居住環境の良好性を維持する、そういう点について反対を唱える人も一部にはどうしても出てまいります、いろいろな方が入っておられますから。そういうことになりますと、最低限度の居住環境の維持向上もできないということになりますので、やはり契約書といたしましては、一方的にきめられ得る、こういうたてまえにしておきまして、運用面におきましては、十分その運用に注意を加えまして、あくまでも入居者の御納得をいただくように説得につとめる、御了解いただく、こういうふうに運営していきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/48
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049・實川清之
○實川委員 あなたのおっしゃることもわかります。数多くの居住者の中には、相当へそ曲がりもいるだろうし、破壊的な議論を言うことをもって得意にしている連中もいるでしょうから、そういう点を押えるには、こういう形のほうがやりやすいのではないかと思うのです。ただ、その反面、これが善意の管理者の場合は問題はないと思います。それが非常に善意の管理者ばかりの場合は問題がないが、もしそうでない、適当でない管理者があらわれますと、いろいろトラブルが起こってくる。その実例について若干申し上げますが、それと関連いたしまして、環境整備費と修繕費というものが、公団の共用施設の維持運用について準備されておるようですが、その環境整備費、修繕費はどういうものですか、それをちょっとお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/49
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050・水野岑
○水野参考人 まず環境整備費でございますが、これは御承知かと思いますが、三カ月分の敷金を入居者からいただいておりますが、この敷金を住宅建設のほうに運用しておりますので、その利子分というようなものを還元していただきまして、それを共用施設の追加、新設、改良という点に使用することにいたしておりまして、毎年度全国で約一億円ぐらいの予算でございますが、団地が四百ぐらいございますから、全体とすればごくわずかなものになるのでございますが、それが環境整備費の性格でございます。それから修繕費と申しますのは、公団が住宅なり施設なりを建設いたしました、それの原状を維持するために修繕をする、こういう費用でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/50
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051・實川清之
○實川委員 そうしますと、環境整備費は全国を一本にプールするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/51
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052・水野岑
○水野参考人 環境整備費につきましては、毎年度重点事項をきめまして、各支所に配分をいたしまして、五支所においてこれをプールしておきまして、必要性、入居者の御要望などを参酌しまして、必要度に応じて各団地にこれを配分する、こういういき方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/52
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053・實川清之
○實川委員 共益費はだれがきめるのですか。公団の本所、支所、営業所といろいろ段階があるようですが、あるいは各団地の管理事務所長という人があるかどうか知りませんが、そういう人がきめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/53
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054・水野岑
○水野参考人 共益費につきましては、各支所長にその決定を、本所として委任をいたしておりまして、支所におきまして、各団地の統制を一応とり、そして具体的な額の決定は、その支所長のもとに営業所長というのがございますが、この営業所が大きな団地は一団地、あるいは数団地を管轄いたしておりまして、この営業所長がきめるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/54
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055・實川清之
○實川委員 その共益費の算定の基礎というものはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/55
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056・水野岑
○水野参考人 共益費につきましては、先ほども御説明がありましたように、清掃関係が六、七割を占めておりまして、この一般清掃費がこの団地については幾らくらいかかるか――それには労務者が何人要る、労務者の賃金はどのくらいだということを算定いたしまして、一般清掃費を計算するのでございます。それから外灯の電気料金が一カ月どのくらいかかるということを算定する。それから屋外の共同水道の水道料がどのくらいかかる。それから植木や砂場の手入れ、それから浄化槽の消毒、殺虫剤、これがどのくらいの薬品が要るか、そういうような点を計算いたしまして、決定するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/56
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057・實川清之
○實川委員 その清掃費の問題で、やはり実例があったのですが、千葉県の光ケ丘団地で、居住者側と管理事務所の団交の結果、八百円の要求が四百八十円に減額されたという事例があるわけです。それで、なぜ半額近い大幅減額をしたかというと、いまおっしゃった浄化槽の掃除の問題があるわけです。この浄化槽の掃除を従来共益費でとっておったのですが、それをはずしたためにこの大幅減額が実現した、こういうことだそうです。ところが、別の団地におきましては、浄化槽の掃除はやっぱり共益費でやっておるようです。団地の名前をあげてもいいのですか。そうしますと、同じ営業所管内の甲の団地においては、共益費で浄化槽の掃除をやっておる。乙の団地では、共益費からはずして別の費目でやっておる。こういう実例があるわけです。そうしますと、先ほどの共益費の算定基礎と申しますか、そういう点がきわめてあいまいな、でたらめでもないでしょうが、末端では解釈がまちまちだ、こういうふうに考えられるわけですが、その点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/57
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058・水野岑
○水野参考人 浄化槽の消毒、手入れの費用につきましては、先ほど申しました賃貸借契約書の第七条の共益費の条項の中に、共益費の支出項目になっておりまして、浄化槽の消毒、手入れというものは、やはり共益費でまかなうべきものだと考えます。ただ、いま御例示になりましたような団地におきまして、八百円を四百八十円にまけた、それではやっていけないので消毒のほうを落としたのだ、こういうような説明をしたようでございますが、その点につきましては、私は事実をよく存じませんので、後刻よく調査をいたしたいと思います。私の考えでは、おそらくいま男の子の労務者の一日賃金は八百円くらいかかると思いますが、それが入居者との話し合いで認められない。そういうようなことになりました場合におきましては、労務者の数を減らすことによりまして、いろいろな清掃であるとか植木の手入れとかいうことを実施する頻度を少なくする、そういうことによって経費を浮かしたのではないかと私は考えるのでございますが、よく調査をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/58
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059・實川清之
○實川委員 そういう解釈の不統一と申しますか、計算基礎がまちまちになっておるというのは、たとえば庭木がございます。その庭木の剪定は共益費で、幹に乾燥を防ぐためにわらやこもを巻きつける場合がありますが、それは共益費ではないというように、いろいろ末端の解釈が不統一でまちまちな場合が非常に多いようです。したがいまして、こういう問題も、直接的には営業所長なりあるいはまた管理事務所の責任者が十分知らなければならないし、同時にまた、こういう問題については、どこどこまで共益費で扱う、それからどれは環境整備費でやる、あるいはまた修繕費でやる、こういう限界と申しますか、解釈についても、やはり居住者によく知らせたほうが、私は親切じゃないかと思います。そういう点で、末端ではいろいろ問題がございます。
それからもう一つは、私は現在千葉の小仲台団地の真裏に住んでおりまして、団地の建設から現状までよく経過を知っておりますが、共益費の額の算定がもうひとつずさんである。たとえば、私の前の小仲台団地の決算を聞きますと、九十万くらい剰余金を出しているようです。普通の民間の企業なら剰余金が出ることはけっこうですが、こういう共益費といったような性格のものが、一年で九十万も使い残しの金が出るということは、実は要らない金を徴収したことになるわけです。こういう点も、私としては非常に不明朗なでたらめな結果だと思います。こういうような九十万も出た共益金の残は、どういうぐあいに処理されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/59
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060・水野岑
○水野参考人 共益費の算定につきましては、今後とも十分、末端の営業所長なりその下の管理主任なりを指導していきたいと思います。お尋ねになりました、もし共益費が余ったらどうなるか。その余りました分は、翌年度へ繰り越します。そして東京支所の場合ですと、三年間くらい様子を見まして、なお余るようですと、共益費の減額ということをいたします。現に四十年度におきましても、四カ所ばかりは減額をやっておるところがございます。そういうようなことで、経理をいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/60
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061・實川清之
○實川委員 大体、アパート住まいの諸君というのは、それほど家計上豊かな生活をしている人たちでもないので、要りもしない金をあらかじめ大ざっぱに見積もって徴収しておいて、さて使ってみたら余ったから返そう、こういうことは、私は逆じゃないかと思うのです。むしろ厳密に計算して、余らないほうがいいと思いますが、あまり厳密に計算をした結果、逆に若干不足分が出た、その場合に初めて追加でいただくということのほうが、私は居住者に対しては親切じゃないかと思うのです。できるだけたくさん取っておいて、ふんだんにぜいたくに使って、それが余ったから返すというやり方は、私は非常に官僚的でけしからぬやり方だと思います。こういう点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/61
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062・水野岑
○水野参考人 ただいまの御意見ごもっともでございます。私も全く同感でございまして、そういうような方向で今後指導していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/62
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063・實川清之
○實川委員 たとえば、共益費の算定の問題でもう一つ申し上げておきたいと思いますのは、やはりある団地で一定の額を示された、それに対して団交したら、相当の減額をした、こういう形になっておりますが、要するに先ほどから申し上げておりますように、これが家主の側の一方的な計算で天下り的に徴収をするというところに、根本的な原因があるわけです。先ほどおっしゃるように、居住者同士で話し合いで共同施設の維持管理をやるということについてはなかなか困難だから、収納金という形で公団がまず徴収して、その金で共用施設の維持運用に当たるということは、一応一歩譲りまして承認いたすといたしましても、こういうような問題を住民の側と常設的に話し合いをする――共同生活をお互いに健康的に、あるいはまた平和的に運用していくために、公団側家主側とたな子の間における話し合いの場というものを常設的につくる必要があるのじゃないか。いまの共益費を非常にべらぼうにたくさん取ったり、あるいはまた不当な見込みを立てて吹っかけたり、そういうことをするから、問題が起こるのです。これは一つは居住者側の意向というものが十分公団側に反映してないところに、こういう欠陥が出るわけであります。したがって、両者の関係を円滑にするためにも、常設的に家主の側とたな子の側との協議機関とでも申しますか、そういうような機関を設立する必要があるのじゃないか。特に共益費を算定するような場合におきましては、たな子のほうも正式に参画をさして、合理的な運営をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/63
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064・水野岑
○水野参考人 居住者の方と公団側とが意思疎通をよくはかるようにするということは、お話のとおりでありまして、私ども本所におる者といたしましては、自治会、協議会というのがございまして、この自治会、協議会と、随時私も出席をしましていろいろな問題につきまして意見の交換をやっておるのでございますが、各団地におきましてもそれぞれ自治会が大部分の団地でできておりまして、自治会と営業所長、そういうものがよく話し合う、こういうことは非常にけっこうなことでございまして、そういう方向でひとつ今後とも私は指導していきたいと思います。ただ、お話のありました共益費をどういうふうに使っていくか、どういうふうに使われたか、そういう点につきましては、居住者の意向をお聞きすることは持続していきたいと思いますが、一々運営に関与するということになりますと、またこれは別の弊害が出てまいりますので、そういう点はできるだけ避けていきたいと思いますが、居住者の意向を十分お聞きすることは、やりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/64
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065・實川清之
○實川委員 あなたがいまおっしゃった別の弊害というものについて、予想されるものを一、二お話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/65
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066・水野岑
○水野参考人 たとえば清掃をどの業者にやらせるか、これはやはり請け負わせてやらせるわけですが、その場合はどの業者にやらせるかということで、入居者からいろいろな注文が出るということは避けていただきたいというようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/66
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067・實川清之
○實川委員 たとえばその問題について申し上げますと、業者の指定の問題等についても、この点が善意で業者指定をされる場合は問題ございませんが、相当問題があるように思います。たとえば芝刈りの人夫などの使い方にしましても、ほとんどこれは匿名で指名されておるようです。それで、実際の支払い金額が帳簿上千円ということになっておるのに、実際働いた芝刈り人夫は八百円しかもらっていない、女性の場合で八百円が六百円になっている、というような実態があるわけです。あるいはまた、ある公団では石油をサービス会社で売っておりますが、これが三百十円で売っておる。ところがその内容を調べてみると、三十円ピンはねをやっている。こういうような実態があるわけです。どうもこれは、日本の場合のように、とかく権力的にものごとが処理できるような形になると、必ずそこに汚職などの暗い影がさしてまいります。公団のサービス会社の運用等についても、あなたも御承知のとおり、非常にこれは評判が悪い。ということは、そういう官僚的なやり方、あるいはその中間にあるものが、それに便乗して私利私欲をはかるということが多いわけであります。いま申し上げた芝刈りの人夫の問題にしましても、石油の問題にいたしましても、そういう事例が多い。もし出せというなら、実態的にどこの団地はどうだということを出してもよろしゅうございますが、そういうことが事実あるわけであります。そういう点が、サービス会社の非常に評判の悪い点であります。極端に申し上げますと、共益費によって、サービス会社のバランスを維持するために悪用されておる、こういうような見方も実は成り立つわけです。そういう点が、公団の共益費あるいはまた管理費等をめぐっていろいろ問題がございますので、こういう点を是正するためにも、やはり住民と公団側とが常設的な話し合いの機関を持って、住民の意見を絶えず聞き取れる――決定権を与えなくてもよろしいと思いますが、話し合いの場を常設的に開設するのがいいのではないか。あなたは、それをやると弊害が起こると言うのですが、決定権はないのですから、常設的に住民の意見を反映させるような、それは自治会という一つの団体の形をとってもけっこうだと思いますし、あるいは居住者協議会でやってもけっこうだと思いますが、いずれにしましても、もう少し民主的な、住民の福祉のために公団がサービスをする、こういう形にならなければ、今後問題はひとり共益費のみならず、その他の面において問題がたくさん出ると思います。しかも全国に四百団地もあるそうですが、そういう相当の多人数の生活にも直接関係のある大きな問題でございますので、もう一回お伺いいたしますが、住民と話し合いの場を常設する考えはないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/67
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068・水野岑
○水野参考人 居住者団体と公団側とがよく話し合う、そういうことは賛成であります。そういう特別な機構を常設するかどうかということですが、大部分のところは、自治会というような居住者団体もあることでありますし、自治会等と連絡を絶えずとるということでも、それらの目的が達せられるのではないかというようにも考えられますし、お考えの点は、私も決して異論のあるものではございません。十分検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/68
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069・實川清之
○實川委員 それから、これはこまかい問題ですが、千葉市では外灯に対して市のほうから六〇%の補助があるわけです。ところが、共益費の中で電灯料は取られているわけです。その問題で若干のトラブルがあったわけです。公団側で、電灯料はこちらが払っているのだから、市からの還付金というか助成金は公団がもらうべきだ。ところが市のほうでは、公団には出せない、やはり町内会というか、そういう町民の自治組織に対して与えるということで、何かだいぶ折衝が重ねられたようでございますが、とどのつまり、市側としては、公団の管理事務所には出すわけにはいかないということで、自治会長の名前で領収書を出して、それでその金はもらうことになったそうです。ところが、その金は、本来は居住者が出した電灯代金ですから、居住者がもらってしかるべきだし、市のほうでも、居住者に返す、こういうたてまえになっておるわけですが、その市からの助成金というか、補助金といいますか、その還付金は、公団が取って居住者には返さない、こういうようなケースがあるのです。私は、これは居住者に返すべきものだし、市側の意見も、自治会でなければ金は渡せない、こういうような経過から見ましても、当然電灯代を払った居住者に返すべきものだ、こういうぐあいに考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/69
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070・水野岑
○水野参考人 外灯の電気代につきましては、全額共益費で一応お払いを公団からする、そういうことになっておるものでございますが、その際、全額補助というようなことになりますと、経理が非常に明確になりますので、町内会、自治会と申しますか、そういうところで受け取っていただいてもけっこうでございますが、やはり一部補助ということになりますと、どうしても共益費から払うというようなことになりますので、やはりたてまえといたしましては、共益費を運用しております公団側が、市町村からその補助金をちょうだいして、そのかわり共益費は安くなるわけであります。こういうふうにしたほうが、総合的な運営、一貫的な運営ができるというような気がするのでございますが、その場合に、公団にはもちろん出さぬ、町内会には出す、こういうようなことでございますので、まずそういう点については検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/70
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071・實川清之
○實川委員 それはぜひひとつ、割り戻し分というか、六〇%の還付金については、居住者に払うように検討していただきたいと思います。
なお、先ほどちょっと申し上げましたが、サービス会社の運用の問題についてどのように考えられておりますか。非常にうまく行っていると思いますか。相当居住者から問題が出ているが、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/71
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072・水野岑
○水野参考人 団地サービス会社の運営状況でございますが、御案内のとおり、去る三十六年に団地サービス会社を設立いたしまして、入居者の利便施設で政令で定めるものということで、託児所の建設、運営――これは現在七カ所ばかりやっております。それから、貸し倉庫、駐車場、集団電話、こういうようなものの運営、そのほか浄化槽でありますとか、水道の管理でありますとか、補修業務でありますとか、そういうような仕事をやっておるわけでございますが、いま団地サービスといたしまして一番困っておりますのは、託児所の運営問題であります。託児所の料金は、御案内のとおりなかなか値上げするわけにはまいりません。ところが、保母さんやなんかの人件費も上がる、そういうことで、一カ所当たり毎月平均十万円ぐらい赤字が出ている状況でございます。そういうような大幅な赤字を生む仕事をしている。そのはね返りが各種の事業に及んでおるというようなこともあるかと思いますけれども、団地サービスの運営につきましては、なお改善を要すべき点が多々あることは私も十分承知いたしております。この団地サービスの運営につきましては、もっと親切に入居者に接すること、あるいは団地サービス職員の教養訓練をもっと徹底して行なう。それから、現在土曜、日曜は休んでおりますが、土曜、日曜につきましても、大団地におきまして、これを交代勤務で勤務させる、そういうふうなこともぜひ改善を加えたいということで、いま具体案を練りつつあります。
〔三池委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/72
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073・實川清之
○實川委員 要するに共益費の徴収の問題から、サービス会社の運用の問題、あるいはまた団地全体としての経営の問題については、一言で申し上げますと、居住者が快適な生活を楽しめるような角度で、住民の声というものは十分反映されるような民主的な運営というものが、大ざっぱに言うと、欠けておるというのが現況だと思います。したがいまして、今後の共益費の額の算定、あるいはまたその収納の方法、あるいはまたその使い方というような問題につきましても、十分自治会あるいは協議会等々で相談いたしまして、住民の納得のいくような運営を心がけていただきたい。特にサービス会社につきましては、いろいろ好ましからざるうわさも相当ございますので、さらにこれを厳密に監督指導をしていただきたいと思います。
以上、はなはだ雑駁でありますが、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/73
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074・森山欽司
○森山委員長 岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/74
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075・岡本隆一
○岡本委員 今度の住宅金融公庫法の改正、大改正というほどのものでもございませんが、しかしながら、非常に多くの内容を含んでおります。たとえて申しますと、休閑地の利用の問題であるとか、あるいはまた民間資金の導入をどういうふうにやるかとか、あるいはまた、都市の空間の利用をどうしていくか、また団地づくりと学校、その他の公共施設との関係、公的住宅の建設の場合の質の向上、既存住宅の保全と改良というふうに、非常に多くの問題を含んでおります。しかしながら、どれもこれも寸足らずと申しますか、ちょっぴりいらったという程度でございまして、この程度の法改正をもっていたしましては、日本の住宅難の今日の事情の解消ということになりますと、まことに二階から目薬のようなものでございますので、私どもとしては非常に不満なんでございます。しかしながら、かねがねから、きょうは採決というふうな話もごさいましたので、まだ問題点はたくさん残っておりますが、きょうはその中の特に重要な点、二、三点お尋ねいたしまして、幾らもまだ住宅関係の法案も出ておりますから、次回に論議は十分に尽くしていきたいと思っております。
建設大臣が来ていないようですから、それでは建設大臣へのお尋ねはあと回しにいたしまして、局長にお尋ねをいたしますが、今度の十七条の改正でございますが、十七条の改正で、個人にも融資ができるということになっております。そこで、その個人に対する融資ですね。十七条の一項の融資の場合、貸し付け条件は五分五厘五十年という償還期限ですね。さらにまた十項ですが、十項の場合には七分で十年ということでございまして、今度は対象が個人にも貸し得る、貸すことができるというふうに変わりましたが、一項と十項では、貸し付け条件に非常に大きな開きがございます。それで、私どもの解釈するのでは、この一項の場合には給与住宅である、十項の場合には純粋の個人に貸し付けるのだ、こういうふうに読み取っておるのでございますが、そういう読み方でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/75
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076・尚明
○尚政府委員 まず十七条一項の改正は、いままでの貸し付け対象が、アパート等の建設につきましては、会社、法人あるいは地方公共団体になっておりましたのに、個人を加えました改正でございます。そこで、いま岡本先生のお話しになりました五十年五分五厘の貸し付けというのは、いわゆる土地担保全貸し賃貸住宅と申している分のことと思います。それから十項のほうは、この公庫法の一条の三項に基づきますいわゆる中高層の都市不燃化とか立体化を主体として考えました分の融資でございます。お尋ねのように、その二つの条件は、片方が五分五厘五十年、片方が七分十年というふうになっております。これは土地をお持ちの方のそれぞれの事情に応じまして、どちらでも借り得るということを考えているわけでございまして、先ほどお話しのように五十年のほうは給与住宅、ということではございませんで、現在でも賃貸住宅で運営しているわけでございます。そこで、この両者の差の使い分けでございますが、これは住宅を経営される方、すなわち土地をお持ちになっていて、公庫から金を借りて住宅を建てて、住宅経営をする方のもくろみによるわけでありますが、比較的都市内の地価が高く、相当の家賃で貸せるようなところの御利用は、おそらく七分十年のほうをお使いになるでありましょう。しかし地方都市等で、そう高い家賃を取れないというところは、長期低利のほうをお使いになって住宅経営をされる。そのどちらのほうでも地主の方が選べる、というような御便宜をはかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/76
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077・岡本隆一
○岡本委員 そういたしますと、必ずしも十項に限ることなく、個人でも、これから後は、自分の意思によれば、五分五厘、五十年という長期低利の融資をもって貸し家経営に踏み出せる、こういうような意味でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/77
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078・尚明
○尚政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/78
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079・岡本隆一
○岡本委員 そういたしますと、ここで問題になってくるのは、家賃の問題でございます。この施行規則を見ますと、十一条の三に、家賃の算定のしかたが書いてございます。その家賃の算定のしかたで、公庫からの貸し付け額を、貸し付け期間中に元利を均等払いで払い出す額、これは一応一定の算定方式があることと思いますが、今度は、標準建設費と実際の建設費の間には相当差額がございます。現在、大体こういうふうな貸し付けの対象となるものは、四階ないし五階の、大体建坪が百坪前後というようなもの、四、五百坪のアパートということになると思うのでございますが、そういうふうな、かりに五百坪のものと仮定いたしまして、標準建設費にどれぐらい見込んでおられますか。そうしてまた同時に、実際の建設費がどれぐらいの持ち出し分になるか、どれぐらい持ち出して建設可能というふうに計算しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/79
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080・尚明
○尚政府委員 予算がきまりまして、実際の貸し付け標準額等をいま作業をしつつあるところでございます。非常に大まかな言い方で恐縮でございますが、四、五階建てのアパートでもって、実際の建設費は十万ないし十一万かかるのではないかと思います。これは公団のごとく大規模集団建設でございませんで、やはり一棟ぐらいしか建てないから、高くつくわけでございます。それに対しまして、公庫から貸し付けます金額が約八万になる予定にいたしております。実際問題として、二、三万の自己の持ち出し金はやむを得ず必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/80
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081・岡本隆一
○岡本委員 そういたしますと、二、三万持ち出し分がある。しかしながら、その持ち出し分についての利子相当分を公庫が承認するということになるわけでございます。ただしそれが二割をこえるときは二割までということになっておりますと、実質的には少し欠けることになりますね。実際の持ち出し分以下になってまいりますね。そうすると、公庫は、これに対する利子相当分の家賃に対する加算を認めるということでございますが、どれくらいを認めておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/81
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082・尚明
○尚政府委員 在来の計算法によりますと、標準建設費の二割増しの範囲内の自己負担金を認めて、それに対しまして六分五厘の利率を認めるというやり方をいたしておりましたが、今回こういうふうな土地の高度利用推進の政策を推進するにあたりましては、在来のごときでは、端的に申しまして、地主にとって魅力が薄いという点がございましたので、これを改めまして、まず二割増しというのを、今回法改正にありますように、十九条の削除に伴いまして、二割増しの建設費でなければならないという条項が削除されましたので、これにつきましては、無制限とは考えませんけれども、かりに二割増しないし五割増しぐらいのところまでに規定を設けたいと思っております。したがいまして、ここにまた幅を設けまして、おおむね持ち出しておるお金の全部は一応計算の中に入るということにいたしました。かつ利回りにつきましても、まだこれは決定いたしておりませんが、六分五厘では、今日としては、住宅を経営する方にはやや低いと思いますので、これを九分程度に上げたらいかがかと思って、いま検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/82
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083・岡本隆一
○岡本委員 租税公課であるとか、運営管理費、保険料、これは実質的な支払い額になってくると思いますが、従来、大体坪当たりどれぐらいの金額を見ておられますか。合計でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/83
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084・尚明
○尚政府委員 いろいろのケースがございまして、特に土地の価格によって地代がいろいろ変わっておりますので、かりに試算いたしまして、土地が地価十万円のところ、この地代につきましては、おおむね六分の地代をみたいと思っております。それから土地につきましては、かりにその土地につきましてどれだけの建物が建つかという仮定が要りますが、この場合、土地面積に対して建築の延べ面積が倍建つ、かりに三百坪の土地に六百坪の家屋が建つ、したがいまして、これは五階建てぐらいになるわけでありますが、そういう仮定をいたします。そういたしまして、実際の建設費が十一万円で、公庫からの借り入れ金が八万円だったら、三万円の差があったということで計算いたしまして、償却費その他いまお話のございました管理費、修繕費等すべてを計算いたしますと、坪当たり千七百二十円ぐらいの計算が出てまいります。したがいまして、十五坪の家を貸しますと、二万五千八百円くらいの月額家賃になる。やや高いような感じもいたしますが、市街地の土地の非常にいいところで経営するわけでございますので、この価格は、ちょうどいわゆる民間の営利会社のやっておるマンション等の家賃と、年率五分五厘で賃貸住宅をやっているのとの間くらいの価格、というふうな感触になる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/84
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085・岡本隆一
○岡本委員 全額建設費を見て九分の利回りというふうなことになると、まだ計算していませんが、私の感じでは、二万五千円という積算は、少し安過ぎやしないかと思いますが、それは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/85
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086・尚明
○尚政府委員 計算のこの過程は、自己の負担した分についてのみ九分の利回り、公庫から貸した分については七分の利回り、つまり、十一万円とするならば、八万円の分については七分、残りの三万円の分については九分、こういう計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/86
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087・岡本隆一
○岡本委員 それでは、大臣お戻りでございますから、大臣にお尋ねいたしますが、今度の公庫法の改正でございますけれども、幾つかの点について手直しをしておられますが、今日の住宅問題の解決を少しでも前進させるため、ちょっとずつあちこちやっていられるというかっこうでございますが、それだけに問題点がたくさんあるわけです。そこで、私も、空閑地を利用し、同時にまた民間資金を動員してアパートづくりをやって、都市の空間の利用をやるということば、非常にいいことだからやったらどうですかというようなことを、この委員会でも申し上げたことがございますが、それが出てきたことはけっこうでございますが、しかしながら、今日の住宅事情という点から見ますと、これに対するところの資金的な手当てが二万戸である。ところが、実際上それじゃ東京の住宅事情はどうなっているか。最近のいろいろな記事を見ておりますと、たとえて言えば、東京都内で現在アパート数が六十数万戸ある。その六十数万戸のアパートの中で、公営、公団とい奇形のものは八千五百六十三むねで、十四万戸余りである。それから個人の経営のアパートは五万四千六百三十七むねで四十九万九千戸、約五十万戸である。そういたしますと、公営、公団のアパートというのは不燃性のアパートでございますけれども、民間アパートというのは、五十万戸のほとんどが木造のいわゆる重層長屋、いつも私が申しておりますが、これは完全な将来のスラムです。そういうものがどんどんどんどんいま建ち進んでおるわけです。それで、私はこの間ある新聞記事を見てびっくりしたのでございますが、警察の戸口調査で、アパートの調査をやっておる。そうしますと、池袋署管内あるいは巣鴨署の管内、そういうところになりますと、そこに居住している、管内居住世帯数の、池袋では四四%、巣鴨では四三%がアパート住まいだというのです。私は、そういうふうな実情を新聞記事で見まして、東京都内の住環境というものがそのようにひどいものになってきておる、ことに環状線の中側の住民の住環境というものは、そのような全くのスラムのような住まいをしておる、という事実が新聞で指摘されておるのを見て驚いたのでございますが、今日こういうふうな住宅づくりというもの、いま政府のいうところの四十五年には一世帯一住宅というスローガンに合わしていま進んでおるところの住建設というものが、実質的には、巣鴨、池袋では四〇%というような重層長屋、木造劣悪アパート、さらに王子、中野警察署管内では、いずれも三六%、少し郊外地に出ても、なおそのような状態でどんどんこれから進んでいくというような趨勢で、ございますが、これに対して、二万戸の手当てで、それも全国二万戸でございますから、これはあまりにも手ぬるい。ここらで政府としては、やはり思い切った住対策というものに手を打つべきじゃないか、そうして少なくとも、こういうふうな野放しの市街地のスラムづくり、これに対していまのうちに何らかの手を打たなければ、一世帯一住宅はできた、しかしながらそのときには、一帯のスラムに住民が住んでおる。四畳半一間、六畳一間のアパートに住んで、とにかくそれで一世帯一住宅になっておる。しかしその中で、やはりその時期が来ても、住宅難というものは依然として激しいものだ、こういうことになるわけでございますが、これに対して、建設大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/87
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088・小山長規
○小山国務大臣 それはもうおっしゃるとおりに、住宅政策の根本の問題だと思うのですが、いま何と申しましても、たとえばアパートにしろ、隔離された自分の家に住んでおる人はまだいいほうで、いわゆる間借り住まいというような人が非常に多い現状であります。だからこれは何とかして、せめて隔離された自分の家にしたいという念願で急いでおりますために、いま言われたようなところまで手がつかないわけです。ただしかしながら、これは確かにほっておくべき問題ではありませんから、今後の政府の住宅政策としては、おっしゃるような、そういう木造の、しかも非常に劣悪なものができないようにしていきたいということで、こういうふうな法律の改正もしたわけでございますが、問題は、資金が足りない、したがって、そのために建設戸数が少な過ぎるという点にあります。一方において公営住宅やあるいは公団の住宅もつくっていきますが、いまおっしゃったような面もあわせて資金をふやしていくということに、これは全努力を傾けなければなりません。問題はただ民間の住宅でやりますと、いまもここで局長が説明をしておりましたように、現在の所得階層からいうと、どうしても家賃が高くなり過ぎる。そこで、政府が力を入れるのは、公営住宅あるいは公団住宅というような、できるだけ安い家賃で住まえるような住宅に勢い手をつけざるを得ない、こういうことでありまして、今後は、いま言ったような面も、資金をふやしつついかなければならぬと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/88
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089・岡本隆一
○岡本委員 これは、戦争が終わったときに、非常に大きな住宅の滅失があった、それに対するところの政府の急速な手当てができていなかったのが、今日までずっと持ち越してきておるわけです。だからそういう意味においては、政府がいままで、たとえば国民の食生活に手当てをされた、あるいは産業の再建のためには、戦後いち早く復興金融公庫をつくって、産業の再建をはかられた。あのときに、やはり復興金融公庫でもって企業の再建をはかるなら、それと並行して、住宅というものの解決をはかるべきだった。またILOの勧告でも、工場を建てたりあるいは企業に新たに設備の投資をやるときには、一緒に、それに対する従業員の住宅投資もあわせて並行してやるべきだ、こういうことを指摘しておるわけであります。だから、そういう点で、たとえば所得倍増計画なんかでも、企業の設備投資だけをどんどん進めて、住宅投資をそれに並行させていかなかった、そのことのために、片一方では、企業はどんどん大きくなり、物価は上がる、住宅の建設費も一緒に上がっていく。ところがそういうふうな手当てがないから、住民側ではもう立ちおくれてしまって――いまから数年前だったら、土地も安いし、建設費も安かったのです。その時期にこの設備投資を並行させていけば、今日の住事情よりは幾らかましだったと思うのです。そういう点においては、日本の政府のいままでの施策のあり方というものの中に、国民の住生活ということを忘れてしまって、とにかく国際競争に勝たなければいかぬ、自由化に備えてやらなければいかぬというふうなことで、全く国民の生活基盤というものを忘れた今日の経済政策のあり方、それが住事情を一そう悪化させたということが言えると思うのです。だから、これはやはり大臣も、建設畑というよりも、むしろ経済畑の専門家でいられますから、これはやはり閣内でも、あるいはまた党内でも、そういう点については、従来の誤った日本の政治の姿勢というものを正すということに、ひとつ今後留意していただきまして、少なくとも与党の考え方を方向転換させていただきたいと思うのでございますが、御所見いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/89
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090・小山長規
○小山国務大臣 多少所見を異にする点もあります。たとえば、いままでの政策の方向が、自由化に備えてやっておったことに急なあまり、住宅を顧みなかったという点は、これは前後の関係でありまして、どっちを先にやったほうがよかったかということについては、多少意見を異にいたしますが、いまやすでに産業のための体制ができ上がって、国民の側にも、住に対する非常な希望がふえてきておる。またそれだけの財力というか、ゆとりというか、個人的にもあるいは国家的にも、そういうふうなゆとりができてきた、この機会に、もはや今度は、いわゆる人間尊重の精神というか、社会開発というか、そういう意味から、今度は人間の住関係に全力を注ぐべきときである、そういう意味で、住宅問題と河川問題というものに、現内閣は非常な熱意を入れておるわけでありますが、これはわれわれの政策の方向として、今後ますますこれを拡大し、努力を続けていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/90
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091・岡本隆一
○岡本委員 経済が繁栄したから、いまや人間尊重だ、だから経済が先行しているということですね。そういう意味においては、私とはなるほど所見が違う。所見は違うが、その池田内閣の誤りが、さらにまた佐藤内閣によって是正されつつあるという。しかしながら、やはり池田内閣を構成している間は、自民党の一員として、あなたもその責任を、前内閣の誤ってきた施策の賃任を感じてもらいたいと思う。それなればこそ、いまの国民の暮らしを見てごらんなさい。テレビはもう二つ目を持ちなさい、重層アパートに住んでおって自動車を持っておる、しかし駐車場がないので路上駐車だ、そしてあっちこっち一ぱい置くから、道路が狭くなってどうにもならぬ。逆ですよ。国民生活の姿というものが、ことに国民生活の消費の姿というものが全く逆です。生活にとって何よりも大切なものは住宅です。その住宅がもう一間か二間、プライバシーも保たれない、そういうような住環境の中にいながら、テレビ、洗たく機等、あらゆる電気製品、耐久消費財はもうそれ以上です。マツダとかそういうふうな小型自動車まで持っておる。これは生活が逆立ちしていると言ってもいいのです。そういうふうな国民の生活環境というものをつくり出している。そういう国民の消費の姿というものをつくっていった。このことはやはり設備の過剰投資、大量生産や、売らんかな主義で、マスコミを利用し、それによってどんどん国民の購買心をそそって企業を育てていった、こういう姿が、今日の国民生活の消費面でのさか立ちの姿であると思います。だから、そういう点では、今後うんと民間の設備投資を仰制して、住宅建設を促進していく。そうして住宅産業の繁栄の中で、日本経済の繁栄を考えていくべきでしょう。設備投資によって、日本の産業は伸びてきました。しかしながら、ここで大きな転換をして、従来の機械産業だとか金属産業だとか、そういうようなものから、住宅建設、住宅産業という方向に産業を転換させていく、そういうふうな住宅産業の中に、少なくも国民の生活基盤の強化という形の中で、日本経済の安定を保っていくこと、繁栄を考えていくということ、これはやはり経済政策として当然とるべき姿であると思いますので、あるいは御意見もあるかもしれませんが、議論すればこれはもう切りのないことでございますので、そういう意味もあるということを十分考えていただきまして、ひとつ施策の参考にお願いをいたしておきたいと思います。
そこで問題は、私は、少なくとも一方でそういう手当てをすると一緒に、この不良住宅の建設というものをもっと規制すべきではないかと思う。そうして、都心にいまのような非常な重層長屋が密集しているということについては、建築基準法を改正して、ある程度の規制をすべきではないか。さらにまた、いまは建築基準法というものが、あってなきがごとしですので、不法建築をどんどんやります。そしてもう使用許可もとらずに入居させておる。建て売り屋がかってに建てて、どんどん入居させておる。役所のほうで気がついたときには、どうすることもできない。結局、不法建築がそのまま天下を横行しておるというような状況でございますが、こんなふうな状態を、一体いつまで建設省としては見過ごしにしていかれるのか。これはやはり、いまにしてこういうふうな住宅建設の野放し状態というか、無軌道な住宅建設をどう規制していかれますか、方針をきちんと立てることをひとつ考えてもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/91
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092・小山長規
○小山国務大臣 いまでも建築基準法で、防災街区だとかいろいろな規制の方法がありまして、法律上の問題はまだ若干手直しをする点はありますが、基本的には、その取り締まり能力の問題だと思います。この取り締まり能力の問題については、いま警察側といろいろ常時連絡をしながらやっているわけですが、取り締まりの権限を一体どうやって強化するのか、この問題は、おっしゃるとおりに真剣に考えていかなければなりません。それで、いま私も事務当局に命じまして、この建築基準法を変えるのか、それとも取り締まり能力を一体どうやって強化するのか、この問題と取り組んでもらいたいということを、かねがね依頼しているわけです。まだ結論が出ませんが、そのおっしゃるような方向に持っていきたい、こう思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/92
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093・岡本隆一
○岡本委員 これはおっしゃるとおり経費の問題です。それに対する財政的な裏づけがないから、建築基準法はどうにも動かぬ。建築基準法そのものは、相当こまかく、安全性あるいは環境の整備というふうな点について、法律としてはそう不備はございません。あるいは不備の点があるのを気づかないのかもしれませんが、法律そのものよりも、それに違反した建物をどうすることもできない、こういうことになっておるわけですね。第一そういうようなものがどんどん建っておっても、役所は査察機能を持っておりませんから、知らないのです。投書があって初めてわかる、あるいは隣地から不服の申し立てがあって初めて、そんな違反建築が行なわれていることがわかるのですね。今度わかって注意を与えましても、指導いたしましても、その指導の、いうことを聞かずにどんどん建築を進めていっても、どうすることもできぬ。たとえば、そこのところをぴしゃっと出ていって、封鎖して、絶対に立ち入りできないようにして、建築がそれ以上進まないようにする、そういうような措置をとることすらできないのです。また、建ってしまったものを強制的に撤去させる。それには相当な人も要りますし、処分のいろいろな手続が要りますし、そういうことをする費用もない。結局、建築基準法ではいろいろなことはさまっておるが、それをどう実行していくかということについて、何ら手の打ちようがない。だから、基準法におけるその規定をきちんと守らしていくだけの人的、財的な裏づけがないということが、基準法を眠れる基準法にしておって、今日至るところに不法建築ができ、しかもその不法建築たるや軒と軒とを接して並んで、長屋がずっと並んで建って、全然日光が入らないという家、集団的なそういう住宅ができておることを、新聞でも、この間、朝日か何かで報じておりましたし、私自身がやはりそういう建物を見ております。こんなものが建築基準法で建ち得るはずがないというのに、あちこちに建っておる。しかもどんどんそこへ人が入居しておるというふうなことでございますが、これに対しては、この際やはり建設省として、また今日ほど住宅難に乗じて悪徳なそういう業者のばっこ、さらにまた住宅建設に対する考え方のルーズさ、そういうふうなものを、いまこそ秩序をきちっと立てるべき時期ではないか。これを野放しにしておいたのでは、一そうこれはつのっていくばかりであると思います。それについて、建設省として断固とした方針を立てていただきたいと思いますが、大臣の所信を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/93
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094・小山長規
○小山国務大臣 その点、かねがね考えておりまして、最後は、結局、一体、警察官に戸口立ち入りしてでも取り締まり能力を与えるかどうか、同時に、これは自治体と国との権限の分譲の問題になりますが、そういうところまで考えていかなければならぬと思うのであります。その際には、思い切った処置をとりますから、野党側のほうでも応援していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/94
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095・岡本隆一
○岡本委員 これは前進になることは、幾らでも私ども協力をいたしますから、ぜひ実行していただくようにお願いいたしたいと思います。
それから、もう一つ、先日、これも新聞を見ておりまして、日本の政策と他の先進国との間に、あまりに大きな開きがあるのに驚いておるのでありますが、これは朝日新聞の十二月二十五日の記事であります。ロンドンで都市過大化を防ぐために、七年間、新築、増築を許さないという記事であります。その内容を見てみますと、大ロンドン市、東京でいえば、東京都内というようなことになるのだろうと思いますが、そこでの建築規制は、工場や学校だけでなしに、ビル、オフィスの規制をやっておる。日本の首都圏整備法における工場等の制限では、これは工場と学校だけなんです。ところが、ロンドンでは一切のビルを禁止しておる。ロンドンは日本ほど住宅事情もひどうありませんし、過密化があるといっても、東京のような状態ではありません。しかしながら、そのロンドンで、すでに東京よりもきびしい規制をやっておる。しかも大きさの点でも、首都圏整備法の場合には、工場は一千平方メートルから千八百平方メートルということでございますが、ロンドンの場合には四百六十平方メートル、だから大体半分から三分の一、それだけきびしいわけですね。とにかく、約五百平方メートル以上の工場は一切建てさせない。事務所ビルに至りましては、二百三十平方メートル以上のものは建てさせないというのです。ですから、二百三十平方メートル以上の、六十坪以上のオフィスは建てさせないし、それから百四十坪以上の工場は建てさせないというのでありますから、首都圏整備法よりもずっときびしい規制をやっておるのです。さらに、イギリスの場合には、ロンドンの周辺の、ロンドン圏といいますか、ロンドン首都圏ですね、これは日本でいいますと、千葉、神奈川、埼玉くらいを含んだところでありますから、首都圏に近いと思う。この地域では、やはりそういうふうな工場やビルを建てるのには特別の許可が要る。許可制になっておる。だから、日本の首都圏整備法よりもはるかにきびしい進んだ建築規制がロンドンでは行なわれておる。こういうような形で、都市の過密化を防ぐという施策が講ぜられておるのに、日本では、こういうふうな制限との間には、考え方にあまりに大きな開きがあり過ぎはしないか。だから、これは首都圏整備委員長としての大臣にお尋ねをいたしますが、首都圏整備法は、もうすでにそういうような手直しをすべき時期が来ておるのではないか。また、それでなければ、日本の国民の住環境はいいものにならない、こういうように思うのでございますが、その点についての整備委員長の御所感を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/95
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096・小山長規
○小山国務大臣 いま政府でもまだ成案を得るに至っておりませんけれども、いまお話しのような方向に、この過密都市問題を解決していこう、それには過密地帯内のビルの制限をするのに、一体どういう方法でやるか。一つは開発税をかけることによってやったらどうかというような構想などがいま出ておるわけでございますが、同時に、しかし一方ここで禁止する以上は、集中してくる人口、これは法律でも行政でも、これの禁止はなかなかできませんから、集中してこようとする人口を受け入れる周辺の開発都市、こういうものをどうしても考えていかなければなりません。あわせて、開発都市を整備すると同時に、またその開発都市と既成市街地との間の中間地帯、この中間地帯もまた計画的に市街地をつくっていく必要があります。そういうふうな構想を描きながら、今度、近く首都圏整備法の手直しを国会にお願いするつもりでありますが、それは一つの手段の一部を構成するわけでございますが、そういうような法律を整備しまして、そして一方においては、あとでまた御審議を願うと思いますけれども、大団地をつくるための特殊な手法による法律案も準備をしまして、両々相まって、既成市街地の整備とそれからその近郊地帯、あるいはさらに離れた開発都市というものを総合的に施策を講じて、そしていまお話しのような、スラム化しようとするおそれのあるこの既成市街地を、きれいな町としていきたい、こういう構想を立てて、近く二つの法律案を御提案申し上げるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/96
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097・岡本隆一
○岡本委員 すでに一時半でございますから、この程度で打ち切りたいと思いますが、金融公庫法の改正内容としては、少しずつは前進でございますが、やはり私どもの気持ちからいたしますと、あまりにもマンマンデーである。そしてまた、日本の今日の実情から見るなれば、あまりに微温的であって、こんな牛の歩み以下の、のろのろしたところの政策の前進では、とても一世帯一住宅というものは昭和四十五年にはできない。かりにそれが達成されましても、そのときにはやはり至るところスラムに満ちておる。そこには依然としてはなはだしい住宅難がある。そしてまた、大体所得倍増計画の終わるころには道路は欧米並みだとか、いろいろ国民の喜びそうなうたい文句はございますが、住宅に至っては、欧米以下どころか、これはもう依然として戦後そのままということで残ると思うのです。だから、その点については、大臣が緊褌一番、住問題の解決のために善処していただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/97
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098・森山欽司
○森山委員長 これにて本案に対する質疑は終局するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/98
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099・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/99
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100・森山欽司
○森山委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたします。
位宅金融公庫法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/100
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101・森山欽司
○森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/101
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102・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/102
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103・森山欽司
○森山委員長 次会は、来たる二十六日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X01119650324/103
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