1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十六日(火曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
建設委員会
委員長 森山 欽司君
理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君
理事 福永 一臣君 理事 三池 信君
理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君
理事 西宮 弘君
逢澤 寛君 天野 光晴君
稻村左近四郎君 大倉 三郎君
木部 佳昭君 佐藤 孝行君
砂原 格君 堀内 一雄君
山本 幸雄君 渡辺 栄一君
金丸 徳重君
農林水産委員会
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
池田 清志君 亀岡 高夫君
吉川 久衛君 笹山茂太郎君
中川 一郎君 中山 榮一君
丹羽 兵助君 細田 吉藏君
川俣 清音君 兒玉 末男君
千葉 七郎君 松浦 定義君
湯山 勇君 林 百郎君
出席国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(林野庁長官) 田中 重五君
建 設 技 官
(河川局長) 上田 稔君
委員外の出席者
運 輸 技 官
(気象庁予報部
長期予報管理
官) 和田 英夫君
専 門 員 松任谷 健太郎君
専 門 員 熊本 政晴君
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本日の会議に付した案件
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四八号)
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〔森山建設委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより建設委員会農林水産委員会連合審査会を開きます。
先例により、私が委員長の職務を行ないます。
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/1
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002・森山欽司
○森山委員長 本案について、その趣旨の説明は、お手元に配付いたしております資料で御了承願うことにいたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/2
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003・兒玉末男
○兒玉委員 昭和三十五年に制定されました治山治水緊急措置法の一部改正につきまして、特に治山関係を中心にして御質問したいと思いますが、特に林野庁長官にお伺いしたいのでございますが、いただきました治山事業関係の十カ年計画の進捗表というものを見てまいりますと、事業費の面におきましては、大体進捗率が、前期五カ年計画に対しましては、一一八%という比率を示しておるわけでございますけれども、事業量の面におきましては、わずかに六〇%足らずという状況になっておるわけでございます。これは一体どういうところに、こういうふうな、事業費と事業量との関係において、誤差があるのか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/3
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004・田中重五
○田中(重)政府委員 前期五カ年計画の樹立の当時に予想しなかったところの、たとえば三十六災の長野、新潟、岐阜、それから三十八災の高知、熊本等、予想しない災害が頻発したということが一点、それから労務費の高騰、あるいは資材費の値上がり、そういうものがございまして、そこでいま御指摘のとおりに、事業量としては四割を残す、事業費としては一八%をこえたという形でございます。ただ、当初の計画の事業量に対しては約九割を上回る実行をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/4
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005・兒玉末男
○兒玉委員 予想しない災害の発生ということは、過去、戦後二十年間の経過の中から当然考えられることでありますが、そういうような予想しなかった災害というのは、大体どのような形態で災害が起きているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/5
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006・田中重五
○田中(重)政府委員 予想しなかった災害は、ただいまも申し上げましたような、たとえば三十六災の長野、新潟、岐阜、それから三十八災の高知、熊本、それから三十九災の島根、石川、そういうような地帯に多かったわけでございます。そうして、その新生崩壊地の状況といたしましては、地質的に崩壊の起こりやすい花こう岩あるいは第三紀層あるいはまた古生層の破砕地帯、そういうところに対してきわめて異例な長雨が続いた。そうして、そのあとで集中的な豪雨に見舞われたというような災害があったわけでございます。そういうような災害が、計画樹立以前にその発生をあまり見なかったために、予想しなかった災害、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/6
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007・兒玉末男
○兒玉委員 過去の災害の状況等を見ておりますと、たとえば諫早等に発生しました災害等は、特に、いわゆる中小河川でありますけれども、いわゆる上流地帯における砂防に対する積極的な取り組みというものが全く放置されておった、こういうことで、われわれは先般現地の災害調査に行った場合にも、これは明確に指摘をされるわけですが、特に、今後の治山治水関係において、私は上流地帯における砂防関係にもう少し力点を置く必要があるのではなかろうかと考えるわけですが、今回の治山治水関係には、砂防関係にはどのような措置をされておるのか。特に、林野庁に関係のある分について、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/7
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008・田中重五
○田中(重)政府委員 いま砂防というおことばでございましたが、治山事業という面でお話を申し上げたいと思います。仰せのとおりに、治山事業と、治水事業の中の砂防事業とは、きわめて密接な関係がございます。水系を一貫してその総合調整をはかりながら、有機的にその事業がつながってまいりませんと、その効果を発揮し得ない、こういうことでございます。そこで現在は、この計画樹立にあたりまして、まず具体的に、図上で治山事業、砂防事業の行なわるべき場所、あるいは現地において、治山事業、砂防事業の行なわるべき場所、そういう場所を関係の建設省、林野庁で十分に調整をいたしまして、その計画地域の連係を強化し、それから重複を避けるということをやっております。いま全体計画のあとで、これを年次計画としておろします場合に、具体的なその水系ごとの個所、あるいは災害の発生等に対する措置、それについて、今度は県、営林局それから地方建設局、その三者がそれぞれ緊密に連絡をとり、協議を行ないまして、その復旧対策について十分協議をし、その事業の効果をあげるように計画をいたします。それからなおさらに、そういう仕事の事務を円滑に行なうために、建設省あるいは農林省で、それぞれ課長あるいは係長の交流人事を行なっております。さらに建設省の河川局長あるいは林野庁長官名をもちまして、その趣旨の徹底をはかるように、通達も共同で出しているというふうに進めておりますが、今後、治山事業新五カ年計画を遂行するにあたりましては、さらにその治山との関係において効果をあげていくということのために、いままで以上に緊密な連絡調整をとってまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/8
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009・兒玉末男
○兒玉委員 ただいまの長官の答弁を、多少は了としますが、農林省の資料によりましても、過去五カ年間において、当初の十カ年計画遂行の過程において、先ほど説明もございましたとおり、予想しない災害が五万七千ヘクタールあったといこことが出されております。これらの点については、やはり農林省関係と建設省との所管の関係において、当初の計画を策定する際における分析が相当甘かったのではないか。あるいはまた予算の組み方において、こっちは林野庁だ、いやこっちは建設省だ、こういうことの、いわゆる俗にいう繩張り争いによって——こういうふうなものは当然予想されなければいけないはずであったというふうに考えるわけですが、そういうふうなこともあって、予想しなかった五万七千ヘクタールのいわゆる荒廃地を出してきたのだと私は思う。今度の新しい五カ年計、画の策定にあたっては、どういうふうなお考えを持って、このような予期しない災害を防止するために努力をしてこられたか、この点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/9
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010・田中重五
○田中(重)政府委員 御指摘のとおりに、今度の治山事業新五カ年計画につきましては、さらに建設、農林の連絡を緊密にいたしまして、できる限り災害の発生の予防に当たりたい、こういう考え方でございまして、そこで、やはり最も必要なことといたしましては、予防治山事業、これをさらに積極的に強化をしてまいる、そういう点に重点を置きまして、治山事業の全体といたしましては、事業費として対三十九年度比一九%の伸びであるのに対しまして、予防治山事業については、対三十九年度七割増の予算を要求いたしまして、その全きを期したい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/10
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011・兒玉末男
○兒玉委員 昭和三十五年から四十四年までの、当初の十カ年計画による予算規模は千六百六十七億でありましたのが、今回の新五カ年計画は千八百七十億、しかも過去三十五年から三十九年における消化した実績が八百五十八億で、大体予定どおりといいますか、当初の半分程度が消化をされておりますが、今回策定されました五カ年間における千八百七十億の予算はこれで十分に消化できるのかどうか。また治山関係者のかねがね要望するところは少なくとも三千億程度の予算規模でなければ——特に先ほど長官も御答弁なさったように、地すべりなりあるいは砂防等の不完全による、いわゆる予測しない荒廃地が五万七千ヘクタールも発生した、こういう現実にかんがみますならば、この千八百七十億という予算において、長官は責任をもって、向こう五カ年間のいわゆる治山事業を十分にまかなっていける確信があるのかどうか。それと、先ほど申し上げましたとおり、関係者が三千億程度必要だという、こういう要望等について、どういうような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/11
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012・田中重五
○田中(重)政府委員 今回の治山事業新五カ年計画におきましては、現在予想されます国土の利用開発、あるいは水利用の増大、そういうものに対応いたしまして、国土保全の全きを期し、さらに水資源の培養について積極的な対策を立てるということで、理想的な形の治山の状態を基本の構想といたしまして、そしてそのうち重要地域に属するものから優先的に取り上げ、そしてそれをほぼ十五カ年で理想的な形に持ってまいる。その他の地域は、全体について十五カ年間の構想でございますが、そのうちさらに重要なものについては、十年の期間をもってできるだけ完全なものにしたい。さらに特にこの中で緊急を要する重要な地域について、今回の治山事業新五カ年計画の中で取り上げました結果、民有林について、いまお話のございました千五百億、それから国有林について三百七十億、合計千八百七十億ということに相なったわけでございますが、当面特に緊急を要する個所についての治山事業の経費としましては、これで間に合うかと、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/12
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013・兒玉末男
○兒玉委員 大臣が御出席でございますので、特に一言御質問したいと存じます。
過去の五カ年間における治水治山事業の経過から見まして、先ほど長官にもお尋ねしましたが、予想しなかったいわゆる災害荒廃地というものが五万七千町歩にも及んだ。このことは、先般河川法が制定されまして、いわゆる水系ごとの河川管理、こういう方向に大綱が変わったわけでございますけれども、過去五カ年間の実績から判断いたしましても、いわゆる利水という面には非常に力点が置かれてきたけれども、治水という面において万全でなかった。同時に、水資源の涵養という、水源地におけるいわゆる森林の保護ということと、同時にまた、いわゆる森林砂防等に対する十分な対策がやはり怠ってこられたのではないか。このことが予想しない五万町歩をこえる荒廃地をつくった大きな原因ではなかろうかと考えますが、大臣として、今回の新治水五カ年計画の策定にあたって、特に水源地帯に対して、このような荒廃地をなくするため、あるいはそういうふうな災害を防止するためにどのような御配慮をなされたのか、先ほど長官の御答弁では、千八百七十億の予算規模において、万全ということは言えないにしても、何とか見通しは立てられるということを言われておりますけれども、私はやはり治山治水ということは、事前に災害の発生を防止する、この予防措置ということに最も力点が置かれてしかるべきではなかろうかと存じますが、これらの点に関して、大臣の見解を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/13
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014・小山長規
○小山国務大臣 御承知のように、今度の五カ年計画では、一兆一千億という治水計画を立てたわけでありますが、そのうちで治水費を八千五百億を見ておるわけであります。そのほかに予備費が千億、それから災害関連と単独で千五百億。この治水の八千五百億の中には、当然に砂防費は見てあるのですけれども、予期せざるといいますか、やっております間に緊急を要するものが出てくるかもしれないということの用意のために、予備費千億をとっておるわけでありますから、今度の治水計画においては、そういう問題については、まず万全を期せられるだろうというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/14
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015・兒玉末男
○兒玉委員 建設省から出しておる資料によりますと、過去十年間の統計を見てみましても、結局、年々災害によって破砕する率と、それから災害復旧によって復旧する率とを比較した場合に、常に破砕をする率が、平均しますとオーバーしている。このことは、いま大臣がご答弁になりましたが、過去の実績がよく示しておるわけであって、常にやはり災害復旧の——もちろんこれは相当の資金を投入しなければいけないのでありますが、先ほども私が申し上げましたとおり、いわゆる治山関係だけにおいても五万七千町歩という膨大な荒廃地ができ、しかも前期五カ年において、まだ全体の面積におきまして約六万五千ヘクタールというのが残っておるわけです。こういう点から判断をいたしましても、この点、今後の予算実行の過程において、もう少し私は積極的な取り組みを御要望したいと存じます。
次に、長官にお聞きしたいのは、過去五カ年においては予防治山等の面において、約四千ヘクタールが予想されてきたわけでありまするが、先ほどの質疑応答の中においても明らかにされておりますとおり、今回の新五カ年計画においては、七千ヘクタール程度の、いわゆる予防治山地域というものが想定をされておるそうでございまするが、私は、予防治山地域においては、先ほど大臣の答弁にもありましたが、これでは過去五カ年間の予期しなかった荒廃地の面積等から比較しましても、決して十分ではないんじゃないか、こういうような判断をいたすわけですが、この辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/15
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016・田中重五
○田中(重)政府委員 治山事業新五カ年計画の中で、特に力点を置いておりますのは、いまも申し上げましたように、予防治山でございます。予防治山に十分に配慮をすることによって、災害を未然に防止をしたい、こういう考え方で、その予算の増大を特に要求しておるわけでございますが、そこで、この予防治山が計画どおりに進められますならば、新五カ年計画期間中に発生する新生崩壊地、これの面積も逐次抑止されてまいるであろう、こういう考え方に立ちまして、いまお話しのとおりに、七千ヘクタール程度予想しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/16
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017・兒玉末男
○兒玉委員 前期の旧五カ年間における四千ヘクタール程度の予防治山地域においては、それでは一体どの程度の効果をあげることができたのか、この点お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/17
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018・田中重五
○田中(重)政府委員 現在の十カ年計画の中の前期五カ年計画で事実上発生を見ました新生崩壊比の面積は、これを統計によりまして昭和三十年から三十九年の中で見ますと、約一万二千ヘクタールになっております。これは、先ほども御説明を申し上げました昭和三十四年災、それから昭和三十六年災、この異常な災害によるところの新生崩壊地が加わった数字として、このように大きく出てまいっておるわけでございます。そこで、それを除いて平均をいたしますと九千ヘクタールになります。で、これをもとといたしまして、治山事業新五カ年計画では、予防治山を徹底強化することによって、その効果等、あるいはまたこの前期五カ年計画当時の予防治山の実施の効果、そういうもの等を勘案をいたしますと、七千ヘクタール程度を見込むのが妥当ではなかろうか、こういう判断でございますが、なお、それにいたしましても、予想をしなかった異常災害の発生等に対処するために、先ほど申し上げました全事業費の中に、治山事業としても予備費を組んでこれに対処する、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/18
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019・兒玉末男
○兒玉委員 それでは、特に治山関係における予防治山の予想される七千ヘクタールというのは、一体どういうふうな地域を想定して策定をされておるのか、また、現地作業はどういうふうに進められておるのか、その辺の見解を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/19
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020・田中重五
○田中(重)政府委員 現在の治山事業新五カ年計画につきましては、具体的な個所の調査とその策定等につきまして、大体四月一ぱいにその具体案を編成をしたい、こういう考え方でございますが、この異常災害等の予想せざる個所については、現在のところ特に異常災害として予想することは困難かと存じます。また、前期五カ年計画の実施の経験にかんがみて、この災害を受けた地帯等について、特に重点的に予防治山の対策を考えてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/20
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021・兒玉末男
○兒玉委員 この関連におきまして、河川局長にお伺いしたいと思いますが、先ほど大臣の答弁にもあったわけでございますけれども、過去における五カ年間の災害の実績から判断しまして、また今回策定されておる一兆一千億規模の治山関係の予算の中において、治山関係が総額大体千八百七十億、こういう予算規模でございますが、いままでの過去五カ年間における災害発生の状況、それから先ほど大臣の答弁にもありましたし、あるいはいま長官の答弁にもございました、七千ヘクタール程度のいわゆる予防治山区域の設定、こういうことを言われておりますが、過去の、実績からいった場合、治山関係においては実に十五万六千ヘクタールという驚くべき荒廃地ができておるわけですが、その点について、私は、少し治山関係に対する予算の配分が少ないのではないかというような判断をいたすわけでございますが、特に河川関係を担当される局長として、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/21
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022・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問は、治山関係の全体計画から見て、現在のこの新しく立てようとする五カ年計画の予算が、建設省が考えておる全体計画から見て、治水関係で考えておる砂防の五カ年計画とその歩調が合うのか、こういう御質問かと思うわけでございますが、この点につきましては、先ほど農林省のほうからお答えになりましたように、お打ち合わせをいたしまして、砂防の関係と治山の関係とが合うように計画をしたわけでございます。ただ、治山というのは、どちらかといいますと流出に直接関係はない——ないとは申しません、非常に関係が深いわけでございますけれども、わりあいに関係の少ない部分を治山でやっていただいて、砂防のほうでは、直接河川あるいは渓流に出てくるものをとめる、ということをやっておるわけでございます。したがって幾ぶん考え方が違う点はございますけれども、その全体計画としてといいますか、長期計画として考えておりますのは、同一歩調で、そして地域を分けて計画をいたしております。それに対しての比率としては歩調が合っておるもの、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/22
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023・兒玉末男
○兒玉委員 特に農林省関係と建設省関係において、昨年の二十号災害の際、建設省のほうの主張と農林省側の主張がなかなかうまく合わなかった、こういう実例もあるわけです。この点について、先般の説明でございましたか、課長同士の交流をやって相互の理解を深める、こういうふうなことについて、わが党の、どの代議士でしたか忘れましたが、そういうふうな単なる人の交流だけでもって万全を期することはできない、問題は治山治水の一貫した形態をとっていく、特に基本的な政策の統合性がなければ、いわゆる役人のなわ張り根性というものによって治山治水のほんとうの実効をあげることは困難ではなかろうかと考えるわけであります。特に先ほど上田局長が申されましたが、治山あるいは地すべり等の問題におきましても、先般来静岡県下の発生いたしておりますこれらの、問題等は、幸いその地域に河川がないから、下流に対して大きな災害をもたらさなかったものの、やはりこういうふうな相互の関連性というものについて、いま一段の緊密な連携がとられてしかるべきではなかろうかと私は思いますが、今度の新五カ年計画の策定にあたりまして、農林省との関連について、特に河川局長は、災害防止の最大のにない手でもありますので、その辺の関係について、再度ひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/23
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024・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。
治山関係と砂防関係は、これが非常に意見を異にしてお互いに争っておるのではないか、こういう印象をもし与えておりましたら、まことに申しわけないと思うわけでございます。もともとずっと以前には一緒に仕事をしておった仲でもあるし——内務省時代というか、ずっと昔はそういう状態であり、そうして学校もやはり同じ種類の学校を出ておるのでありまして、その主張するところはお互いに主張していいのではなかろうか、したがって、議論は大いに戦わせてやってもいいけれども、最後に結論を出して、こういうふうにしましょうということがきまった分については、実行をしていくようにしていけばいいのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういう点におきまして、治山関係と砂防関係とは、前にも言っておりますように、課長をお互いに交流したり、課長補佐を交流いたしたりいたしまして、そういう点において融和をいたすと同時に、計画もお互いに検討し合って、一致したもの、つまり災害の起こらないようにいたすということでやっております。今後もその方針でやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/24
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025・兒玉末男
○兒玉委員 学校は一緒だったとか、そういうことだけで問題の本質は解決できないと思うのです。やはり問題は、ほんとうに国土保全という立場に立って、もう少し高度の立場から、しかも積極的な姿勢というものがなければ、単に人の融和というだけでこの自然の災害を克服することは困難だと思うのです。やはり治水計画なり治山計画策定にあたっては、過去十数年間の趨勢なり、いままでの災害の貴重な経験というものに立って、しかもどういうところに最大の欠陥があったかということを指摘しながら、計画は樹立されなければならないと思います。そのことは、先ほど指摘しましたとおり、治山関係においてすら、そういうふうな、五カ年間に、予想しないばく大な荒廃地が発生したということが如実に物語っておるわけであります。この点について、大臣に再度お伺いしたいのでありますが、やはりいままでの過去五年間の事業費の消化と事業量の遂行というものに非常にギャップがあるわけであります。総合的に見た場合に、私たちは、事業量の進捗がおくれておることは、予想しなかった災害の発生地域が非常に多かったということを意味しますと同時に、関係各省間のそういうふうな、策定にあたってのもう少し緊密な連携に立ったところの計画がなかったから、こういうふうな結果を招いたものではないかというふうに判断をいたすわけですが、大臣としての、こういう両省間における調整なり事業遂行上における点についての御見解を再度承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/25
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026・小山長規
○小山国務大臣 いま言われましたことに関連いたしますが、計画されたところが進捗しておらなという話でありますけれども、これは私詳細を知りませんが、元来前期五カ年計画で作成した当時は、そこには工場もなければ住宅もないというようなところが、この五カ年間に相当たくさん日本全国に出てきまして、しかもそれが不時の大洪水その他によって、堤防もないところで災害が起こったという事態は確かにあったろうと思うのであります。そこで今度の新五カ年計画にあたりましては、したがって、現在の状況下において長期計画を定めるにあたりましては、守るべき工場地帯とかあるいは人家の稠密しているところとかそういうようなものを勘案しながら、五カ年計画を立てておるわけでございます。なおそれに関連しまして、流れてくる川の堤防だけ考えておったのでは十分でないことは御指摘のとおりで、上流におけるダムあるいは治山関係の砂防、こういうものを当然考えていかなければならぬわけであります。そこで御指摘のように、われわれのほうは、先ほど局長が申し上げましたように、砂防といいましても、水が直接出てくる場所、そしてそれで川に砂が押し流されて崩壊をするというようなところを計画の中に入れているわけでありますけれども、農林省の場合は、さらにその奥の、たとえば山が非常に荒れておる、あるいはまだ植林が十分でないというようなところをとらえて計画しておるわけであります。その間にはやはり緊密な連絡をとりながら、下流における状況と上流における状況というものを——農林省では下流のことはよくわからぬわけでありますから、そこで下流にはこれこれだけの守るべき利益がある、団地がある、あるいは工場地帯があり、人家があるということは、われわれのほうが知っておるわけでありますから、そこで、治水計画を立てるにあたりましては、われわれのほうの重要性を農林省側にも十分説明しまして、それを計画の中に取り入れていく、こういうふうな緊密な連携は当然必要であると考え、さらに一そうそれを推進いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/26
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027・兒玉末男
○兒玉委員 最後に、大臣もう一言お伺いしたいのですが、今回の河川法の改正によりまして、一級河川十五水系が一応その指定の中に入っているわけでございますが、この一級河川に入ってない河川等についても、これは含めておりますけれども、私の記憶は間違いかもしれませんが、昭和三十七年だったと思いますが、神奈川県下を襲いました集中豪雨等によりまして、下流地域、横浜市等をはじめ、相当の被害を受けているわけです。この状況はわれわれはつぶさに見たわけですけれども、その上流地帯において当然遊水地帯になったり、あるいは集中豪雨に対しても十分にこれを吸水するような森林地帯があったのが、先ほど大臣からもお話がありましたが、いつの間にか住宅用の団地なりあるいはゴルフ場等ができまして——これはもちろん民有地でございますから、どこに何をつくるなという規制をすることは、いわゆる私権の制限でありますので、きわめて問題があろうと存じますが、そういうふうないわゆる流域における森林等の乱伐なり、またはかって気ままにゴルフ場をつくるとか、あるいは住宅団地等の造成についても、せっかくの治水五カ年計画の効果をあげる上においても、単に一級河川の水系だけでなくて、河川全体に対して、もう少し規制を加えていかなければ、一兆円をこえるばく大な国家投資をいたしましても、そういうふうな相互の関連性というものを相当慎重に配慮していかないと、治水五カ年計画の所期の目的を達成することはきわめて困難ではなかろうかと考えるわけであります。そういう観点に立ちましても、特に建設、農林両省の緊密な連携の必要性を私は主張してまいったわけですが、最後にこの点、ひとつ大臣から御答弁を聞きまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/27
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028・小山長規
○小山国務大臣 われわれのほうの計画では、一級河川であろうとその他の河川であろうと、重要な水系につきましては、同じように、その流域に面しておりますところの工場地帯あるいは住宅地帯、そういうものを勘案して、それを守るための計画を立てておるわけでありますが、いまお話しになりました点は、十分農林省とも打ち合わせをしながら、治水の万全を期していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/28
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029・森山欽司
○森山委員長 次に、川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/29
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030・川俣清音
○川俣委員 私は、この際せっかく建設大臣がお見えになっておりますので、農林省ともあわせて、ひとつ総論的な点を先にお尋ねをして、さらに深く掘り下げて、各論的に御質問いたしたいと思います。
そこで第一の問題は、一体ことしの天気予報は、年次から申して、非常に異常な天候であるということが予報されておりまするし、またこれは災害の歴史的な経過から見ましても、ことしは災害の年ではないか、気象異変の年ではないかといわれておるのでございますが、こういう点について、建設省はどういう見解を持っておられますか、また農林省はどういう見解を持っておられますか、この際明らかにしてほしいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/30
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031・上田稔
○上田政府委員 お答えを申し上げます。
気象庁の関係でお話しになっておりますのは、ことしは夏が非常に寒いのじゃなかろうか——寒いといってはおかしいのでございますが、温度が低いのではなかろうか、そしてまた、雨が少ないのじゃなかろうかというような長期予報もお出しになっておるのでございますが、気象の長期予報というものは、非常にむずかしい点もあるわけでございます。どちらかというと、気象庁のほうは水道の水とかそういうようなものを非常に心配をしておられるわけでございますが、もっとも、建設省としてもそういう点も考えてはおりますけれども、さしあたって治山治水という点から、ある程度いろいろなことを予想をいたしまして、計画を立てておるわけであります。建設省としては、この二、三年というものは非常に災害の少ない——というと、昨年も北陸、山陰にはございましたけれども、全体から見て、災害費というものはここ三年くらいはきわめて低うございました。それで、これは治山ができ、砂防ができ、治水ができて、そしてこれが治まってきたのかというと、私どもは決してそういうふうには見ておりません。むしろ大型の台風が襲ってこなかった、しかも、河川あるいは治山に最も害を及ぼす豪雨というか、大きな台風による大きく集中した雨というものが少なかったのではなかろうか、こういうことからそういうことになっておるのであって、その状態が三年続いたから、あともう一年続くかどうかということに対しては、過去の実績から見ると、大体三年ぐらいすると、次には豪雨の年が来ることが考えられるわけでございます。それで、そういうようなことがあった場合には、たいへんなことになるわけでございますが、そういうことがないように、五カ年計画というのは、幸いいままで災害が少なくて、災害復旧費がちょっと減ってきておるというときに、これは立案をして、そうして大いに治山治水というものをやるべきじゃないかということで、今年度は大いに長期計画を立てて、この日本の国をうんとよくしていこうということから出発いたしまして、五カ年計画を立てたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/31
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032・川俣清音
○川俣委員 建設大臣、いまの説明でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/32
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033・小山長規
○小山国務大臣 ちょっと質問の御趣旨がどこにあるかわからなかったのですが、私、ただいまわかったわけであります。要するに、今年の天候がどうであろうかというようなことを予想して計画を立てておるわけではない、あくまでも長期間に、どのような台風がありましても、それを克服できるような計画を立てていくのがわれわれの役目なんであります。しかしそうかといいましても、無限に財源があるわけじゃありませんので、与えられた財源の範囲内で、それを重点的に施行して、そして私どもの計画では、昭和五十五年までにはすべての河川を守っていこうという計画を立てて、それの第二期の五カ年計画、こういうふうな考え方で進んでおるということを申し上げておきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/33
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034・川俣清音
○川俣委員 それはひとつあと回しにいたしまして、農林省からも、今年の気象、あるいはここ数年後の気象等の予報、観察を承りたいのですが、せっかくここに気象庁の和田長期予報管理官がお見えになっておりますから、この際お尋ねをしたいと思います。気象庁が、今年の長期予報あるいは数年後の気象をいかように判断しておられますか、お尋ねをしたいと思うのです。そのことは、いまこの委員会で治山治水の緊急措置法の一部改正案が議題となっておりまして、すみやかに対応策を講じなければならないということが議題になっておるわけでございます。そこで、ここ数年来それほど大きな被害を与えておりませんが、災害は忘れたころに発生をするということを俗にいっておるわけですが、気象庁は必ずしもそうは、忘れたころにくるなんということは言わないだろうと思います。一定の長期見通しを立てて——長期見通しですから、必ずしも当たるとはいわれませんけれども、当たる当たらないではなくて、予想したものと違った形のものが出てくることはやむを得ないと思いますが、しかしながら、現在の科学知識で可能な予想を立てておられるはずですから、その予報を承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/34
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035・和田秀夫
○和田説明員 この長期予報は、お医者さんでいうとガンみたいなものでして、非常に問題は多いのですけれども、私の勉強した範囲内でお答えをしたいと思います。
昨年オリンピックが日本にありましたけれども、オリンピックの新記録もさることながら、気象のほうでも——気象観測は、御承知のように百年近くありました。その記録の中で、ほとんどが更新された、ということは、昨年非常に異常な天候だったということが言えるわけです。これはなぜかと申しますと、こういうふうに考えられます。私らのほうで、太陽黒点というもののデダータが二百五十年あるわけです。そのうちで、昭和三十五年の極大というのは、その二百五十年のうちで一番大きいのです。そして昨年が極小になっているわけです。極小の前後に非常に異常な天候が起こるということは、過去の資料でわかっているわけです。第二極大は昭和二十九年前、二十五年なんです。その前は天明年間なんです。そういった因果関係はわかりませんけれども、ここ二、三年非常に異常な天候が起こるということは、まず統計的に言えるわけであります。それを裏書きするように、最近の乾燥の度合い、これもおそらく三月としては気象庁の新記録になると思います。そういったことを含めて、あるいは北海道は二月から非常に雪が多いのです。これも最近にないと思うのです。そういったことを含めて、これからの天候は、まだ一年、二年は非常に異常な天候が起こるという可能性があるわけです。先ほど台風の話が出ていましたけれども、台風は、一昨年まで二年続けて秋に来なかった。昨年は二十号でしたか、来ましたけれども、幸いに大きな被害がなかった。しかし、これもまた、そんなに台風が来ないという年はまず考えられないのでして、これからまた台風の多い時期に入ると考えられます。さらに、雨の問題ですけれども、これは雨にも長期の変動がありまして、最近は、長い期間から見ますと、雨が少ない時期なんです。そういった意味で考えますと、東京なんか干ばつが続きますけれども、そういった傾向は若干続くけれども、これからはまただんだん雨の多い時期に入るということが言えます。
そういったことが長期的な見通しでして、しからば、ことしのこれからの天候はどうかということになりますが、これは三月十日に発表いたしましたが、いろいろ検討した末、大体こういう考えにまとまっています。と申しますのは、非常に異常な天候が起こるというのは、平年よりも、高緯度とわれわれいいますけれども、北極のほうに冷たい寒気がたくさんたまるわけなんです。それがやはりわれわれの天候に影響する。そのたまった寒気が中緯度へ来まして、昨年は、非常に残念ですけれども、津軽海峡を境にして、北海道は非常にやられました。非常な寒気が入ってきたわけです。もしこの寒気がもっと日本のほうに来ますと、東北を含む冷害になるわけです。その寒気が、二月の状態を見ますと、やはりことしも近年にないほど強いのです。こういうことを含めまして、ことしの夏は、残念ながら非常にいい夏ということは考えられないというふうな一応の決心をしております。どういう形であらわれてくるかと申しますと、農業のほうでいいますと、まず晩霜、これはてまえみそのようですけれども、昨年気象庁は非常によく当たっております。こういった晩霜というものは二年か三年続くのです。ないときは全然、四、五年ない、そういう特性がありまして、そういった意味も含めまして、晩霜、これは北海道を含めて、四月下旬から五月中旬までに、晩霜のおそれがことしも非常に多いのです。
それからつゆ期の状態は、最近の特性として、西日本はどっちかというと、七月まではことしも干ばつ傾向が強い。しかし、北日本のほうは、今度は東北も含めて、どうも低温の可能性が大きい。その度合いはどのくらいになるかということは申し上げられませんけれども、低温の可能性が大きい。と同時に、昨年のような、梅雨前線の変動による大雨というものが非常に可能性が大きいのです。これは九州を除きまして、やはり山陰から北のほうで可能性が大きい。ことしの夏も、北日本と西日本と比べてかなり対照的な、コントラストの大きい天候になる可能性が大きい。あと、この秋口の問題ですけれども、台風の予報は非常にむずかしいのですけれども、昨年よりは多いのじゃないか、特に八月に西日本に台風が来る可能性が、ことしは昨年よりもかなり大きいということが考えられています。どうも台風というやつはひねくれなんでして、常襲地帯の法律ができてからさっぱり九州に来ない。ことしあたりは、そろそろ九州に来る可能性が大きいと考えられます。そういうことを含めまして、やはりこれからの天候も、昨年とはまた変わった意味で、異常な天候が続くということが言えると思います。具体的に、しからば天気図上から見てわかるのはいつかといいますと、これは四月くらいまでの北半球の状況を見ませんと、こうなるということは言えません。いままでのは、私たちの研究した、あるいは統計的な結果をもとにしたお答えでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/35
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036・川俣清音
○川俣委員 どうもありがとうございました。
気象庁の長期予報というのは、長年日本の農業用の長期予報が主として立てられておりますが、災害の長期予報というようなものもあっていいんじゃないか、こういうふうに思います。しかし、大体日本の農業自体が天候に支配されることはもちろんであります。したがってそういうところから、いままでの長期予報というものが、比較的農業に関する予報をお立ていただいて、その点非常にありがたいんですけれども、今後は、災害等に対する予報等も御研究いただければ非常にしあわせだとも思うわけでございます。それだけお願いいたしまして、せっかくおいでくださいましたのですが、本論のほうへ入りたいと思いますから、和田さん、ありがとうございました。
そこで建設省並びに農林省にお尋ねいたしましが、かなり権威ある気象庁の見解が述べられたわけです。そこで、もう一つ基本について、建設省の見解を承りたいのですが、先ほどからの兒玉君に対する局長の説明を聞いておりますと、どうも疑問の点が多々出てまいります。それは、渓谷砂防は治水関係で処理する、早くいえば、建設省が処理するんだということですが、河川局長、一体河川というのは何を言うのですか。あなた方の従来の説明だと、河川の管理は流水の土台をなす敷地も入るわけです。それから、河川管理の上から地上も入る。したがって、河川というものは、空気のほうにも影響し、地下にも及ぶ形になる、そういう説明じゃないですか。
〔森山建設委員長退席、仮谷農林水産委員長
代理着席〕
私はそう説明を聞いておったのでございますが、そうなのでございましょう。そうすると、兒玉委員に対する答弁はおかしいですね。というのは、渓谷というと、これは山の間の水ということにかりますね。河川ですから、幾らか傾斜があることは当然です。傾斜がなければ流水しないから、傾斜があるはずです。渓谷ということになると川の領域ですね。そうすると、流水の敷地は山だということになる。そうすると、そこの山まで管理下に入るというような説明になるわけですが、一体河川の源流はどこなんです。河川の起こりはどこから言うのですか、河川の領域は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/36
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037・上田稔
○上田政府委員 河川といいますのが、俗にいいます河川と、河川法にきめております河川とでは違うわけでございます。河川法にきめておりますのは、政令によって地域をきめておりまして、その地域が河川でございまして、それから上流の部分は一応河川法にいう河川ではございません。それで、一般にいう河川というのは、これもいろいろな解釈がございますが、水の流れておる部分は河川だというような意見もあるわけです。しかし、私どもの扱っておりますのは、河川法による河川でございます。先ほど、その河川について非常に影響を及ぼす、いわゆる渓流の部分、その部分のものは河川に直接影響があるわけです。それからさらに上のほうの部分は、これはないとは先ほども申しません。非常に関係はございますけれども、直接にいわゆる河川法の河川に影響しない部分——しないということはありませんが、少ない部分、そういう部分でございます。そういう点で、それではどこで分けるのかといわれると非常に——片方の治山のほうは森林行政、つまりそういう樹木を育てるという面から考えて、非常に大切なところでございます。渓谷の部分で、これは河川の流出に非常に影響があって、関係が深いという部分は、砂防として、あるいは砂防ダムをつくったりそのほかの工法をやってとめる、こういうことをやっておりまして、それは話し合いで、まあこの部分はこうしましょう、この部分はこうたからこうしましょうということで、分けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/37
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038・川俣清音
○川俣委員 いよいよあいまいなんですね。話し合いで分けていると言いますけれども、予算は話し合いできめてはおりませんですね。会計法上からいいましても、所管の管轄について必要な予算か組まれておるのであって、これから話し合いがつくところだということでは、予算化が困難なこと、現在の会計法上からいって、財政法からいって、明らかなのです。これは、話し合いをしてきめるんだからという内容のものではないはずです。また、私どもの審議の対象にはそれはならないわけです。そういう意味からいって、やはり山腹砂防などでも、河川に非常に関係あるところは建設省がやるという従来の取りきめがございますが、その取りきめを私は否定しようとするものじゃないのです。一定の取りきめがありますが、その取りきめに従って、分担をされて、砂防をやられることについて、別に異議を言うのじゃない。渓谷も建設省の砂防の範囲に入るんだという根拠がわからぬから、お尋ねをしておる。地上、地下に及ぶ河川は、河川法の適用しないところでも、あるいはいわゆる、あなた方が言う河川の管理上必要な砂防というものは、上流はどこまで及ぶという見解に立っておられますか、この点をお尋ねしておるのです。何かさっき兒玉委員に対するものは簡単に答弁しておられますけれども、十分検討されていないのじゃないか、こう思うのですよ。特に従来、この点を私はたびたび質問しておるのですが、水の発生するところから川だ、こういうのですね。ところが、干ばつになったりすると、川がぐっと下がってくる。上流が下がるわけです。出水期になると川が上がる。河川法ではそうではない。一定の地域をきめているでしょう。雨量によって河川は上下しないでしょう。従来の答弁からいうと、あなたのきょうの答弁も、水量によって河川は移動する、長さが移動するという説明にならざるを得ないでしょう、水の出るところからだということになると。そうじゃないですか。河川法でいう河川とは、地域がきめられておるのですよ。きめられておるはずですね。そうすると、河川とは何だということになると、俗にいう河川は、と言われるけれども、俗にいうと、水の発生するところから河川だ。そうすると、干ばつ期になると河川の長さが短くなる。雨季になると河川の長さが違うということなんです。法制上はそうは言えないはずだと思うのです。答弁ではそう言われるから、おかしいのじゃないかというのが一点なんです。これは別にしつこく聞く意味じゃないのですが、少し建設省が水についての勉強が足りない一例として、これを私は示しているのです。
そこで次に移ります。大臣にお尋ねしたいのですが、三十五年を初年度とする十カ年計画がございます。いま前期が終わりました。後期に入るわけですが、なぜ一体、十カ年計画をやめて新五カ年計画を立てなければならぬのか、この説明が十分でないようであります。それは必ずしも不十分——私なりに理解すれば、意味もあるようですけれども、十分じゃないようですから、この際明らかにしてほしい。予算上不足を来たして、新五カ年計画を立てなければならぬようにも説明されますね。または事業量がふえたために新五カ年計画を立てる。十カ年計画は長期計画なんですね。いま河川局長の説明によると、長期的な見通しから、五カ年計画を立てなければならない、長期計画を立てなければならない。十カ年の長期計画があるわけなんです。まだ後期に入らんとしておるわけです。そういう点からいうと、十カ年計画の後期でもいいはずじゃないか。予算上不足を来たした、あるいは進捗率といいますか、達成率が不十分だから、新五カ年計画を立てなければならないという理由はないと思うのです。それは予算上の措置であって、法律上の措置じゃないと思うのです。いま建設省、農林省が求められておるのは、予算上の措置ではなくして、法律的に改正をしたいという意図ですから、その意図がはっきりしなければならぬと思うのです。十カ年計画では不十分で、新五カ年計画にしなければならないという理由があまり明確じゃないようです。それでも大臣、まだ建設省のほうが幾らかもっともらしい説明になっておりますが、農林省に至っては、説明がまことに不十分です。なぜ一体十カ年計画でやれないのか。何か予算的に非常に不十分であるということのようですが、これは予算上の問題であって、法律上の問題ではない。(岡本委員「PR上の問題だ。」と呼ぶ)PRならPRでいいけれども、なぜPRをしなければならぬのか。十カ年計画でPRができないで、新五カ年計画ならPRができるということも、これも十分じゃない。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/38
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039・小山長規
○小山国務大臣 十カ年計画では、いろいろ河川ごとに、ダムをどこにつくるかとか、あるいは堤防はどこからどこまで、というふうにきめておったと思うのであります。ところがだんだんやっている間に、たとえばいままではたんぼの中であった、あるいは畑の中であったところに大きな工場地帯ができたり、あるいは家屋が密集したり、いままではこういうところは、洪水が起こっても、人命あるいは財産にそれほど大きな被害はないというふうに思われたところに、非常に被害の発生しそうな地域社会ができた、こういうふうにいろいろ変化しておると思うのであります。そういう変化に応じて、新河川法もできたことであるし、水系を一貫しての計画を立てよう、こういうことでつくられたのが、今度の新五カ年計画である。それに合わせて、当然事業の分量を、今後われわれは——ただ五カ年計画は、全体の九兆七千億に達する計画を立てておるわけですが、その計画の中の一部として、予算上は五カ年計画を出してきた。事業の内容は前の五カ年計画とは違う、こういうことなんでありまして、なお詳細なことは局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/39
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040・川俣清音
○川俣委員 大臣の説明では、いよいよかえって不十分なんですね。十カ年計画は、いまの新河川法を、予想したような重要河川、いわゆる一級河川に当たるようなところの河川改修をもくろんでおられるわけですね。したがって、そういう点からいえば、あえて十カ年計画の工期を変更する必要はないはずなんですね。いま新しく住宅地なり集団ができたとしても、それは重要河川の領域なんです。したがって問題はないはずです。そうじゃなくて、私が理解をするには、いままでの治水計画は治水計画で、河川改修であったのが、今度は新たなる水の用途に従って、むしろ利水計画を新たに立てなければならなくなったところに新五カ年計画が発生したと、私はそう理解をするんですよ。都市の集中が行なわれ、人口が稠密になって、したがって生活の向上のために要する用水量が非常に重大になってきた、あるいは工業の規模あるいは構造が変わってきて、新たなる用水の要求が起こってきた、そういう問題の要請にこたえるために、新五カ年計画を立てられたのではないか、前の十カ年計画は河川改修に主力を置いたんだが、今度は用水確保のために計画を立てなければならぬところに、新しい要請に従って計画を立てなければならぬから、新五カ年計画だ、私はそういうふうに理解をしておるわけなんですが、そうすると、私の理解が非常に間違っておるんですね。旧態依然の建設省の考え方で、足りないところを補うというなら、これは十カ年計画の後期でいいはずなんですね。あえて新五カ年計画というからには、別な事業、別な規模を持たなければならぬ。新たなる事業をもくろまなければならないところに、新五カ年計画が生まれてこなければならぬはずだと、私はそう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/40
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041・小山長規
○小山国務大臣 それは川俣先生の御理解がちょっと違うと思います。あくまでこれは治水計画でありまして、治水の守るべき場所がいろいろ変化しておるということが一つの理由であります。同時に、しかしながら利水の問題も起こっておることは事実でありますので、その利水にあわせて治水計画を立てておるという点はあります。しかしこの利水の費用というものは、この治水計画の五カ年の一兆一千億には入っていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/41
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042・川俣清音
○川俣委員 そうすると、前の緊急措置法によって立てられた十カ年計画はどうして支障があるんですか。あんなりっぱなものが、あれではやれないという理由はどこにあるのですか、この点をはっきりしてもらいたい。いま後期に入らんとしておる。前期の反省がどこにあるのですか。いま、大臣の説明によると、治水ということばを使っておるから、治水でないとぐあいが悪いということなら別ですけれども、新たなる要求として、あなたの説明にあるとおり、用水の需要が増してきた、こう説明をされておるわけです。説明にある。そのために新五カ年計画を立てなければならないという説明になっているんです。それならば新たなる事業計画が立てられなければならないということで、従来の十カ年計画の後期五カ年では不十分だというところに、新しい五カ年計画が生まれたと、私は非常に好意的にこれを理解しているが、私は、そうじゃなくてもいい。十カ年計画の後期で、あえて法律を改正する必要はないのです。予算なら、あえて法律を改正する必要はないと思うのです。前は治水計画だけれども、利水計画じゃないんだ。たとえば、多目的ダムなんというのは、これは治水計画じゃないのです。利水計画なんです。こういう意味で新例を開くという意味で、あえて質問をしておるわけですが、この点はやっぱり明瞭にしなければならぬと思うのです。あんまり法律をいたずらに改廃するということは好ましい形ではないと思うのです。そこで、やはり変えなければならない理由がはっきりしなければならぬのじゃないか。大体大蔵省で、予算措置なら法律改正をしないでもできるんですよ。あなたも御承知のとおりなんです。あえて変えるという理由が明確でなければならぬ。改正しなければならぬ、しかも国会も相当押し迫ってきたときに、あえてこの法案を出すからには、はっきりしたもっともな理由がなければならぬのじゃないか。そこで、賛成するために、あえて質問をしているのです。不十分では、賛成できないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/42
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043・小山長規
○小山国務大臣 先ほど申しましたように、治水計画の内容が変わっているわけでありますが、同時に、たとえば利水の問題もありまして、ここには治水上たとえばダムを必要とする。同時にまたある一面、利水の面からダムを必要とする場所もあると思うのです。その場合に、しかも同時に、せっかくダムをつくるならば、治水の効果のあがるようなダムにしたいという要請はあるはずでありますから、そういう意味で、治水計画の内容が変わっているわけでございます。詳細は局長から答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/43
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044・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。
新河川法ができまして、新河川法では、水系を一貫して治水をやっていこう、こういう趣旨が織り込まれて、それが精神になっておるわけでございます。いままで、それでは水系一貫ということではなかったのかというと、これは明治の初めにきめられた法律でございまして、その後修正はされておりますけれども、どちらかというと、区間的な考え方が非常に多かった。今度の法律は、それを水系を一貫してやっていこう、したがって、一級水系においては、これは国が責任を持って管理をやっていこうじゃないか、二級水系については、これは全面的に知事さんにお願いをしよう、こういうのが趣旨でございます。したがいまして、水系を一貫して工事をやっていくということで構想を新たにいたしておるわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/44
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045・川俣清音
○川俣委員 そうでしょう。構想を新たにするために新五カ年計画を立てられた、こういうことなんでしょう。したがって、前の十カ年計画では不十分だ。前の十カ年計画では治水が主なんです。河川改修が、治水計画が主でしょう。予算から見るというと、河川改修がおもなる事業になっている。それを、最近の経済発展並びに国民経済の上から、新たなる需要が起こってきたから、それに対応するような措置を新河川法が受け持たなければならないということになる。その新河川法に基づいて、計画を新たに立て直さなければならぬ。明治から始まっているのはみな治水計画なんですね。治水です。これは前例をどこにとっているかというと、これは中国の治水計画、これを前例にとっている。徳川時代にやったのも治水計画である。それにならっているのがいままでの建設省である。それが十カ年計画となってあらわれているわけです。それを新たなる角度でやらなければならないという意味でしょうとお尋ねをしているわけです。十カ年計画のいままでと変わらないならば、十カ年計画も後期でやれないことはないはずです。何も新たなる法律改正をする必要はない。そうじゃないですか。十カ年計画もちゃんとみなある。りっぱなものがあるのですよ。閣議決定したりっぱなものがある。それを変えるというからには、目標ははっきりしなければならぬのじゃないか。あえて法律を改正するというならば、その改正の趣旨が徹底しなければならないのじゃないか。私はできるだけ賛成しようと思って聞いているのに、あなたは賛成できないような答弁をされるならば、これはまたやり直しをさせるよりほかにないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/45
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046・小山長規
○小山国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、前の十カ年計画と今度の五カ年計画の内容を申し上げたのでありまして、その構想自体が、おっしゃるように、片方は旧河川法にのっとっているし、今度は新河川法にのっとっている。この大きな違いがありますことは、御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/46
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047・川俣清音
○川俣委員 そこで、新河川法の実施にあたりまして、この新河川法を実施するならば、いろいろな関係の法律の整備が必要になってくるのじゃないかということを、委員会で指摘しているのです。いま、せっかく従来やってきたことを整備するだけであって、その他に影響するところは少ないという答弁になっているのですよ。これはおかしいのです。その場その場で答弁していると、こういう結果になる。まあ、大体それで了承しますが、了承するのでなくて、了承をするように説明しなければいけませんという説明をしなければならなくなってくる。
そこで、今度は農林省にお尋ねしますが、建設省のほうは、従来治山治水の治水の中には、まだもう一つ落としております。従来は、都市河川の浄化対策など入っていないですね。治水対策ですからね。今度はこれが計画の中に当然入らなければならない。こういうように事業の内容が変わってきているから五カ年計画を立てなければならない、という説明にならなければならない。従来の治水対策の中には、河川の浄化なんてものは入っていないのだ。いまあなた方はまだ説明が——大臣、ここの説明はそうじゃないけれども、文書による説明になりまするというと、都市河川の浄化対策も講じなければならぬ、それから上水道対策も講じなければならないというふうに、かなり利水の面が重点的に取り上げられてきた、従来の十カ年計画では不十分だ、こう説明されなければならぬはずだと思うのです。大臣が少し勉強不足だか、局長が勉強不足だか、どっちだかわかりませんけれども、私はそう理解をいたします。そこでまた基本に入るのですが、この際、農林省の案によりますると、これこそ十カ年計画の後期五カ年でやれそうなことを、もうすでに十カ年計画の予算をオーバーしているし、あらためて新規五カ年計画が必要だというような説明になっておる。いま言ったとおり、予算上のことであれば、後期五カ年計画が予算が不足をするならば、予算要求をすればいいのであって、新たに事業が加わるというならば、その事業を明示しなければならぬはずだと思う。そういう点について、林野庁、少し説明が不十分だと思うのですが、この機会に趣旨の弁明を求めますから、明確にしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/47
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048・田中重五
○田中(重)政府委員 その点につきましては、いま初めて申し上げたわけでございますが、現在の治山事業十カ年計画につきましても、治山事業新五カ年計画につきましても、事業の種類としましては、やはり治山事業でございますから、荒廃地復旧であり、あるいは予防治山であり、あるいはまた防災林地の造成であるということには変わりはないわけでございます。ただ現在の治山事業十カ年計画が策定を見ました当時は、やはり三十四災の伊勢湾台風、あるいは七号台風等、ああいうきわめて異常な災害を受けたあと、それにかんがみて策定を見ました計画であるだけに、やはり災害復旧、荒廃地復旧、そういう点にどうしても力点が置かれておったかと思います。そうしてその計画の一応の目標といたしましては、比較的山地か安定をしておりました昭和の初期のころの状態に返すことを考えて、それを十カ年で達成したいというのが十カ年計画の策定当時の目標であったかと思います。現在の時点に立って考えますならば、もちろんこの現行の前期五カ年計画で災害復旧、復旧治山、これらの仕事がまだ残っておるというふうに見られるだけに、荒廃地復旧は新五カ年計画におきましても重要な仕事ではございます。しかしながら、現在の観点に立ちますと、現在から将来に向かって予測されるところの国土の利用、開発、ことに水の需要の増大、国民の生活水準の向上、産業の発展に伴うそのような新しい展開といいますか、経済の飛躍といいますか、そういうことに対処して、なおかつ国土の保全を期し、そうして水資源の確保、水資源の供給の増大をはかっていくというような角度から、やはり予防治山あるいは水資源の維持培養という点に力点を置くべきではなかろうか。先ほども建設大臣からお話がございましたように、いままでは山地崩壊があり、荒廃地が発生しても、そこには被害を受けるべき人家もなければ、工場もなく、施設もなく、したがって災害と呼ばれなかった地域があったわけでございますが、今日では、そこにそのような施設あるいは人家あるいは田畑、そういうものが先行するというような傾向があるわけでございますから、そういうことも産業の発展に伴う現象として、十分に予測をして、そうしてそれに対応するところの予防治山、あるいは水資源の維持培養に力点を置く必要がある。そういう点が、現行の十カ年計画策定当時の考え方とやはり構想を異にするのではなかろうか、こういう考え方でございます。
そこで、治山新五カ年計画といたしましては、全国の二百十六流域に対しまして、それぞれその流域の荒廃地、あるいは荒廃地に移行するおそれのある地域、そういうものを十分に頭に入れて、同時に、その下流におきますところの被災対象となるであろうと考えられる農耕地、人家その他の工場施設等、それぞれの経済効果といいますか、そういうものとの関連も十分に考えまして、そうして、その治山事業と下流地帯の経済、産業との関連を十分に勘案しながら、しかもそれは十分に建設省との意見の調整、協議を経ながら、重要な地域から取り上げていく。そして全体の基本構想としては、現時点で考え得る理想的な治山事業の施行された状態をまず基本構想として予定をいたしまして、そうして、その中から、先ほど申し上げましたような、特に予防治山、水源の涵養維持、そういう面で治山工事が緊急を要すると考えるものをそれぞれ拾い上げまして、たとえば十五カ年計画とか、あるいは十カ年計画でもって、特にその中でも緊急を要するものについては五カ年計画で取り上げて、これを治山事業新五カ年計画として策定する必要がある。そこが、この現行の十カ年計画の樹立された当時の構想とはやはり異なるのではなかろうか、したがって予算の措置だけの問題ではない、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/48
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049・川俣清音
○川俣委員 これは私非常に不十分だと思うのです。当時十カ年計画にあたって、特に説明を加えられております。十カ年計画の二年度である昭和三十四年度の基礎となるべき治山事業についての計画が、国会で説明をされておりますが、それによりますと、その基調は林業の長期的計画にも及び、これが前期五カ年計画であるとして、そうして林業の長期計画は、わが国経済の拡大に伴う木材需要の激増に対応して、森林資源の保続と国土の保全をはかり、しかも山林経営者の生活の安定もはかるということで説明をしておるわけでございまして、予算的には、いわゆる崩壊地といいますか、荒廃地のすみやかなる復旧を予算の重点として計画されておるわけです。いわゆる荒廃地の復旧、それは昭和の初期の一番治山の安定したところに復元をするというのが十カ年計画の目標であるわけです。今度の新規五カ年計画も、昭和の初期におけるような安定した治山になることを目標としている。目標は同じなんです。変わっていないのですよ。ただ進捗率が遅々として進まないために、荒路地が復旧するどころじゃなくして、あるいは昭和の初めに復元するどころではなくして、さらに荒廃地が拡大されてくるから、急いで復旧をしなければならないという理由のように、説明によると、受け取れるのです。そうではなくて、いま長官の説明のように、もう少し積極的な理由がはっきりしなければならぬのじゃないか。従来の十カ年計画では不十分だという点が明確になってこなければならぬのじゃないか。これは建設省と同じなんですよ。前の十カ年計画は、これも私はりっぱだと思うんです。このりっぱなものをやらなかったための欠陥はありますけれども、やっておれば、これは欠陥がなかったと思うのです。復旧費の、事業量の予算単価が過小であったとかいうことで進捗率が上がらない、達成率が上がらないという欠陥はあったかもしれぬけれども、そういう欠陥を除いては、能力がないんじゃない、予算的にだというだけにすぎないんじゃないか。そうであれば、十カ年の後期五カ年計画でもいいんじゃないか。ただ私は、この際、建設省に教えたように、林野庁にも教えなければならぬのは、もっと積極的な要請が出てきておる。すなわち最近では、水は土地とともに人類の生活に最も大切な天然資源であるという見方、水及び土地は、人類の生存の基盤であるし、産業活動の基盤でもあるのだから、この水に対する需要に応じた対策を講じてやらなければ、生活の向上もできないし、あるいは産業活動も十分に行なわれないから、水対策をあらためた角度で対応してやろうというのが新しい五カ年計画でなければならない、私はそう思うのです。従来やってきた治山に予算が加わればいい、事業量が少しふえていればいいというだけであれば、あるいは法律の改正は必要でないんじゃないか、そういうふうに考えるのですが、政務次官、どうなんですか。せっかく提案されたからには、やはりものをしっかりつかんで提案されなければならぬ。特に政務次官は国会で説明する必要要員ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/49
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050・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 十カ年計画を改めまして、新五カ年計画といたしましたのは、先ほど建設大臣から詳しく御説明のありましたように、十カ年計画の前提としておる条件が変わっているということが、私は改正の一番大事な点だと思うのです。大臣がおっしゃいましたように、経済のすみやかなる成長によりまして、予測しない土地に、集団的に住宅ができる、あるいは大規模の工場が移転する、さような工場とか集団的な住宅地帯を保護するためにも、またそれに必要なるところのかんがい用水とかあるいはまた飲用水とか工業用水というようなものを提供するということは、いままでの十カ年計画の前提には、なかったというわけじゃありませんけれども、その重要度が今度は非常に加わったので、これが私は改正の一番重点だと思います。さような立場から、農林省も林野庁も、治山のほうの立場を問題にいたしますと、治山と治水とは相応じなければいけないと思う。治山あっての治水でありますし、また治水あっての治山でございまして、あくまでも水系を中心として、一貫的な工事を行なわなければならぬ。さような立場から、農林省の立場を申し上げますと、渓流地、あるいは山腹地におきます荒廃地をすみやかに復旧する、あるいは予防治山を行なう、あるいはまた保安林を造成するというようなことによりまして、下流の新しい水需要に応じまして、水源林を涵養する。この条件というものはいままでよりも非常に重要性が増したわけでございます。これが新しいこの五カ年計画のいままでと異なった前提でございますし、さような前提に立ちまして、今度新しい案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/50
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051・川俣清音
○川俣委員 どうも少し物足りないのです。十カ年計画のおもなる目標は、治山の目標は、荒廃地を解消するために復旧工事を行なう、すみやかに復旧して山の荒れを防ぎ、下流に土砂の流出等も起こらないように復元をしようというのが大きなねらいであった、そのための事業が計画されておることは、これは十カ年計画で明らかなんです。前期五カ年計画でも、これに向かって努力を払って、ためにわりあいに成績があがってきたのもあるわけですけれども、さらに進んで、新たなる需要として起こってきております、利水のほうもそうですが、治山の面にもっと山から協力しようというのが、新五カ年計画であるだろうと私は想定をしておる。したがって、長官の説明にありますような積極的な予防治山というようなことはないわけじゃないけれども、説明にはありますけれども、事業量としては予防治山などにまで及ばなかった。考えがなかったわけじゃないでしょうけれども、長い間林野のめしを食っておって、予防治山は知らないというわけにはいかぬから、考えはあったでしょうけれども、荒廃地の復旧に追われてそこまでは手が伸びないという形で、十カ年計画ができておる。それを、さらに進んで予防治山をして、今度は荒廃地が起きないように整備していこう、強化していこう、というのが大きなねらいだと私は思う。そういう意味で、長官がきょう補足的に説明されたのは、予防治山の点では了承します。そうでなければならぬと思うから、それは了承するのです。
そこでさらに、やはりいま新たなる需要としての水の供給を山からしなければならぬということだと、従来の保安林のあり方では不十分な点がある。もっと降雨量を巧みに山で捕捉して、それを徐々に下流に流してくるという、積極的な保安林のあり方を検討しなければならぬ。従来の保安林というのは、山に木があれば、とにかく保水作用を行なって水源地になるのだという考え方のようですけれども、溝渠を設ける——いま天気予報にありましたように、雨量の多い場合は、山においてこれを捕捉して、徐々に下流に流すというような、積極的な保安林のあり方に変えていかなければならぬ。それが今度の新五カ年計画に盛られてこなければならぬのではないかと思うのですけれども、事業量を見ると、説明では、予防治山までやるという説明にはなりますけれども、予防治山だけではなしに、さらに進んで、降雨量を、せっかく木の本能であります保水力を活用して、山に保有しておいて、そして干ばつ期に徐々に下流に流す、あるいは洪水期にこれを一時停とんさせるというような、積極的な山に対する施策、これは必ずしも、保安林と名づけるべきか、あるいはもっと積極的な表現をしなければならぬかは別にいたしまして、そういう積極的な事業もやるということにならなければ、新五カ年計画にはならないのではないかと私は思うのですよ。この点長官どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/51
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052・田中重五
○田中(重)政府委員 ただいまも申し上げましたように、産業経済の発達に伴う水需要の増大ということに対応するところの水源涵養林の拡大、これは先生のお説のとおりでございます。そこで、先生も御承知のとおりに、四十六国会におきましては、保安林整備臨時措置法の一部改正をいたしまして、自来十年にわたりまして、水源涵養保安林の拡大強化を中心とするところの保安林の配備を考える、ということにしたわけでございますが、そういう保安林整備と、この治山治水緊急措置法に基づくところの治山事業新五カ年計画の中身とは、密接に関連を持っておるわけでございます。そこで、この治山事業新五カ年計画におきましても、保安林改良事業等につきましては、でき得る限りの助成を政府としても考えていく、そしてこの保安林の指定された目的に対して保安林が十分に機能するように持ってまいる、ということを予算上考えているわけでございます。この治山事業新五カ年計画が予防治山の強化、それから保安林改良事業の強化とあわせて、一方、保安林整備臨時措置法におきますところの、水源涵養保安林を中心とする保安林の整備、この両方が一体となりまして、この治山治水緊急措置法の第一条にいうところの目的にも沿うゆえんではなかろうかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/52
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053・川俣清音
○川俣委員 いろいろの説明で、やや明らかになってまいりましたものの、水源地として、水源保安林が重要な役目を果たすことはいいと思いますが、やはり水源保安林だけでは、水の保水が完ぺきだとはいえない点があるのではないか。天然の森林の機能を巧みに活用しての水源保安林が必要なことはもちろんでございますけれども、保水能力を山において発掘できるような形を、もっと積極的にとるべきではないかと思うのです。そういう意味で、たとえば治水と同じように、治山だけではなしに、山の活用と申しますか、森林全体の活用をもう少し考えていくということでなければ、積極的ではないのではないかという感じを持つわけなんです。荒れた山を復旧する、あるいは荒れた川を改修するというだけではなくして、さらに進んで、新五カ年計画を建設省が立てられるのでありますから、農林省あるいは林野庁におきましても、荒れた山を治めて土砂の流出を阻止するということばかりでなく、さらに進んで、水の水源地である山をどう活用するかという施策もまた講ずる必要があるのではないかということなのです。早く言えば、小ダムを山の中へつくるということも必要になってくるのではないか。建設省の及ばない、たとえば渓谷のやや上流に一時水を停滞させる、その貯留は河川の保護であるばかりでなくして、河川の利水にも役立たせるというところに、初めて——建設省と農林省とのうまいタイアップによって、新五カ年計画の完成をみることが望ましいのではないか。十カ年計画にはその構想が入っていなかった。新たなる構想が必要になってきた。新たなる構想が必要になってきたというけれども、具体的な案がなければ、これは何にもならないと思う。建設大臣、どうです、そこまでいって初めて河川の活用も有意義になってくるであろうし、ただよそから流れてくる水を途中でキャッチしてやる利水ということだけでは、私は不十分ではないかと思う。そういう考え方が十カ年計画にあったのだけれども、新しい角度で新五カ年計画を立てられるからには、いま国民の要請しているような、水の需要に応じたまた再び災害の起きないような、改修も必要だ、改修も必要でないとは言わぬけれども、水の利用を河川が担うのだという積極性があっていいのではないか。同時に、山におきましても、ただ山が土砂の流出を防ぐというだけの消極的なことばかりでなく、さらに積極的に森林の保水能力を発揮して、徐々に河川に流し込むことによって、治水の役目を果たすであろうし、さらに利水の必要を果たさせるように、ともども計画が必要だということです。同時に法律の改正が行なわれておると私は理解し、そういうふうにあってほしいという念願もあるわけです。ほんとうにそう思うのです。もう一段と説明を加えられると同時に、特に建設大臣は、この予算化については絶大の努力を払う必要はもちろんありますけれども、構想もまた雄大な構想を持っていただかなければ、時勢の進軍に沿い得ないのではないか、こう思うので、せっかく大臣においでを願っておるわけですから、御答弁願い、あるいは農林省から政務次官おいでになっておりますから、御答弁願って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/53
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054・小山長規
○小山国務大臣 川俣委員がおっしゃいますように、治水の根本は治山であります。治山はただ荒れた山を直すだけでなしに、さらにそこに植林をしまして、いわゆる保水能力が十分であることが望ましいわけでありますから、農林省で計画される五カ年計画には、当然そういうふうな植林まで入ってくるものと理解するわけでありますが、もしその点が足りませんでしたならば、さらにその点もわれわれとしてはお願いをしたい、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/54
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055・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 農林省といたしましても、もちろん治山事業だけでなくて、造林一般につきましても特別に奨励措置を講じておりますし、ことに水源涵養林の造成ということにつきましては最も重点を置いているわけでございまして、御趣旨のとおり、今後御期待に沿いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/55
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056・川俣清音
○川俣委員 これで終わりますが、大きな河川になりますと、必ずしも国有林だけでなくて、民有林も含まれて計画を立てなければならぬことはもちろんのことでありまするし、ただ従来の、水資源保安林で十分だという考え方よりもさらに進んで、山に施設を講ずるということが必要なんじゃないか。この計画を盛られることが、新五カ年計画の意義を深めるのではないか、というふうに私は理解をするから、これからでもおそくないから、ひとつ御検討願って、この法律の目的が達成できるようにせられたいと思うのです。達成できないような法律だったら無意味ですから、達成できるようにしていただきたいということを条件として、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/56
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057・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/57
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058・林百郎
○林委員 三問ほど質問したいと思いますが、最初に、これは調査室の資料等にもあるのですが、建設大臣にお聞きしたいのです。
この新しい五カ年計画の一つの要因になっているのは、やはり工業用水その他の水の需要の増大ということが重要な要因になっておると思います。中期経済計画の中に、見通しとして、日本の工業用水についてどのような見通しを持っておるのか、増大の内容あるいはそれに対する処置、この工業用水の異例な増大に対して、建設大臣としては、任期がどこまであるかは別として(「失礼じゃないか」と呼ぶ者あり)とりあえず、建設大臣として率直にいって、五年先のことまで責任を負えといっても無理だと思うのですが、それはさておいて、この見通しについて、ちょっと御説明願いたいと思います。過大な責任を負わしてはいかぬという意味ですから、どうぞあしからず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/58
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059・小山長規
○小山国務大臣 私どもが新五カ年計画を立てましたのは、先ほど川俣委員に御答弁しましたとおり、河川の流域における社会情勢がいろいろ違っておる、あるいは新河川法が制定されて水系一貫で河川の管理をすることになった、ということに伴ってやっておりますことは、先ほど申し上げたとおりでありますが、同時に、社会情勢が変わっておるということは、水の需要が変化しておるということも入っておるわけであります。そこで、この水の需要が変化しておりますが、われわれの治水五カ年計画は、あくまでも利水を目的とするものではなくして、治水でありますから、その水の需要と——水の需要ということは、要するに、端的に言えば、ダムの問題だと思うのでありますけれども、そのダムをつくるときには、同時に、治水の要素を含んでダムをつくるということを言っておるのでありまして、したがって、一体どのくらいのダムがなければ水の需要に対応できないかという点は、これは通産省その他と打ち合わせをしながら、どの地点にどういうものが好ましいか、ということを策定していくわけでありますから、幾らなければならぬのかというところは、私のほうでは策定はしていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/59
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060・林百郎
○林委員 そうすると、中期経済計画の中における工業用水の需要の増大、これに対する公共事業としての計画、そういうようなものは、中期経済計画の一環として、現在ではまだ策定されておらない、需要量の増大の見通し、それに応ずる河川に対するいろいろの処置、あるいはダムの建設の計画、そういうようなものは、中期経済計画に対応するものとしてはつくられておらない、建設省としては、将来通産省と打ち合わせばするつもりだけれども、現在の段階では、つくられておらない、こういう解釈でいいですか、それでいいならいいでかまいませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/60
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061・小山長規
○小山国務大臣 いま、五カ年計画は、いわば青写真ができておるだけでありまして、その一本一本の河川の五カ年計画というものは、これからつくるわけなんです。そういうときに、当然その水の需要に対してはどういう処置をとるかというようなことは、政府部内で打ち合わせしながらつくっていくのだ、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/61
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062・林百郎
○林委員 そうしますと、私はこの新五カ年計画の中には、当然水の需要、利水の要因も含まなければならないと思うのです。それでは、ここであらためて私が大臣にお聞きしたいことは、前の十カ年計画が、予想せざる事態、不慮の災害だとかあるいはインフレに基づく資材の騰貴だとかによって、計画の手直しをした、ところが、ここでまた新しい五カ年計画の当初にあたって、その治水の新しい五カ年計画の中で、最も重要な要因である工業川水あるいは飲料水あるいはかんがい用水、そういうものは、この五カ年間でどういう見通しになるのか、国民の需要量に対して、どういう公共事業としての処置をしなければならないか、そうして、それを要因としての新しい五カ年計画というものがつくられなければ、いまここで五カ年計画を新しくつくっても、ほんとうの建設省の腹としては、いずれまたこれは修正せざるを得ないだろうということが、腹の中にあるんじゃないですか。それならそれで私聞いておいて、われわれ国会議員としても、大体政府の腹はそこらかということで、またわれわれやりますけれども、これが責任ある案として国会に提出され、国会議員としてわれわれが審議する場合には、やはりすべての要因が確定されなければ、また前と同じことを繰り返すことになるのではないかというように思って、質問しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/62
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063・小山長規
○小山国務大臣 私どもの治水計画というのは、冒頭に申し上げましたように、川を治めるためには堤防はどういうふうにつくればいいかとか、あるいはダムはどうすればいいか、ということが主眠になるわけであります。その場合に、ダムをつくる以上は、当然利水上の需要もあるわけだから、たとえば治水上はダムの高さはこの程度でいいんだけれども、利水の問題あるいは発電の問題のためには、もっとたくさん水をためたらいいという要求なり計画が出た場合は、それに合わせてつくっていくのだ、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/63
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064・林百郎
○林委員 御承知のとおり、これは河川法が改正されて新河川法にもなったし、新しい計画の中にそういう要因も入っておるわけでしょう。ところが、新河川法が設定された大きな要因は、治水という要因と同時に、工業用水の需要の著しい拡大、それに対する措置、そういうことも当然河川法の中に含まれているわけです。そうすると、新しい五カ年計画をつくる一つの要因として、河川法が新しくつくられた、そういういろいろの改正された面も、この中に取り入れなければならない。ところが、新河川法の目的の重大なる要因は、何も治水ばかりではなくて、治水と関連して、水の需要度が非常に多いものですから、たとえば利根川の水をどういうようにして都民に供給するかというようなことが、治水と同時に利水とからんでくるわけです。そういうものがなくして、治山治水の新五カ年計画というものは、利水の面を全然ネグレクトしてできるはずはない、こういうふうに私は思います。この点は、やっていますと時間がかかりますので、その点、大臣の考えはその程度だということで聞いておきますけれども、あったら、私たち非常に関心を持っておりますから、あとでもいいから、出してください。
それから、治山治水新五カ年計画の財政的な裏づけについてちょっとお聞きしたいのですが、これは一兆一千億、大体こういうことですね。そこで、このうちの治山と治水を見ますと、治山関係は、現行十カ年計画では、私のほうの資料で見ますと、一千六百六十七億、これが新五カ年計画ですと一千八百七十億、これは従来の計画を大体大まかに踏襲されていますが、やはり治水関係が圧倒的に、予算面では、金額の上でも増大されているし、ここに大きな新五カ年計画をつくる上の意義があるんじゃないかと見られるわけです。
そこで、少し問題になります点を一、二お聞きしたいのですけれども、この予備費が、新五カ年計画では、治水関係では幾らと組まれておるのか、それはなぜ予備費として組まれたのか、前の十カ年計画にはなかった予備費が、どうして新五カ年計画では、額は政府から聞きますけれども、新しく予備費として相当の額が組まれたのか、その辺の事情をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/64
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065・小山長規
○小山国務大臣 予備費は、一兆一千億円の中で一千億円と見ているわけです。それで、その使い道は、その五カ年計画を立てますときには、治水計画としては八千五百億円で立てるわけですね。ところが、五カ年間にはいろいろ変動が起こりますから、たとえば、いままではまあ山林原野であったようなところに工場施設ができたり、といりような事態が起こるはずですから、そういう場合に備えて一千億を持っておれば、五カ年計画を変更しなくとも治水計画が成り立つので、そういう趣旨の予備費であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/65
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066・林百郎
○林委員 これは、御承知のとおり、現行の十カ年計画には、予備費の計上はなかったわけですね。計画としてはなかった。それで新しい五カ年計画に、大臣いま言われたように、今度は弾力性を持って組んだ、一千億あれば、五カ年計画の不慮の事態に対して対処できる弾力性が十分あるのだと言う根拠はどこにあるのですか。いや、この新しい計画にどういう変更があっても、予備費一千億持っていれば、新しい五カ年計画の中で足りるのだといういまの御答弁でしょう。だから、一千億ならいいと言う根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/66
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067・小山長規
○小山国務大臣 一千億円ならいいということじゃないのです。八千五百億円で治水計画を立てておいて、一千億円の予備費を持っておれば対応できるだろう、こういうことを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/67
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068・林百郎
○林委員 ですから、一千億予備費を持っておれば対応できると——前にはなかった項目なんですから、それを新しく設けたわけでしょう。だから、新しく設けた理由と、一千億予備費を持っていれば責任持ってこれが遂行できる、こう言う根拠を聞いているわけなんです。御承知のとおり、前の計画は、計画の財政的な費用は上回っているのに、計画は六〇%しか実行できなかったわけでしょう。だから、そういう事態の中に、八千五百億の治水計画に対して一千億の予備費を持っていれば十分対応できる、責任を持って遂行できると言う根拠はどこにあるのかと、そう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/68
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069・小山長規
○小山国務大臣 いま前段であなたが、前の五カ年計画では六〇%しか実施をできなかっただろうとおっしゃいました。それは違うのでありまして、五カ年計画を上回ったわけなんです。(林委員「金のほうはね」と呼ぶ。)金のほうは。
それから、いまなぜ一千億円をとったかということですが、これは、この第二次といいますか、今度の新五カ年計画で、われわれは全部やろうというのではなしに、全体の計画は九兆七千億円ですか、それだけの計画を持っているわけですね。その中で、今度の新五カ年計画では幾らやろうか、これは政府部内のいろいろな折衝があったわけです。それで、総額は、現在の中期経済計画の関係からいっても、あるいは財政の需要その他からいっても、一兆一千億円が妥当であろうという結論になりましたので、その辺の振り分けが、八千五百億円と一千億円と一千五百億円だ、こういうことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/69
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070・林百郎
○林委員 どうもわからないようですが、現行十カ年計画で予備費は組んでなかったわけでしょう。新しく予備費を組んだというのは、過去にそういう事例があって、項目の決定した予算だけ組んでおいても、不慮のいろいろの事態があって、弾力性のある財政をつかんでいたいということで、予備費という、具体的にどこへどう使うかという費目のないものを持っているわけでしょう。だからそれが一千億で十分足りるという根拠はどこにあるのだ、こう聞いているのですが、わかりませんか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/70
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071・小山長規
○小山国務大臣 それは、おそらく過去の経験から推してだろうと思うのであります。なお詳しくは、河川局長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/71
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072・上田稔
○上田政府委員 補足して、御説明申し上げます。
前期五カ年計画におきましてそれを実施していきました際に、三十六年には第二室戸台風あるいはまた伊那谷の災害、そういうものが発生いたしまして、そしてその地方に非常な被害を与えたわけでございます。したがいまして、災害そのもの、あるいはその災害に関連した工事というもの、これは災害と災害関連で実施をいたしたわけでございますが、川というのは、よく岡本先生が生きものだということを言われるのですが、一カ所強化いたしますと、それから下流部あるいはまたそのやったところの横というものが非常に弱くなりますので、その点をまた考えに入れて改修を促進しなければいけないという面が出てくるわけでございます。第二室戸台風では、大阪が非常な高潮に見舞われまして、やられました。これにかんがみまして、東京も高潮が来てやられたらたいへんになるじゃないかということで、高潮の計画というものをやはり前期五カ年計画に、以前は少ししか入っておりませんでしたが、これを大幅に組み入れて計画をしたわけでございます。したがいまして、農林省のほうで、治山のほうでもおっしゃっているように、やはり最初に計画をいたしました計画を食い込んできておるわけでございます。これは長期のもののうちの一部分ではございますけれども、五カ年計画としては、うんと食い込んできたというものでございます。こういうふうにして食い込んできた額というのが、大体二割足らずでございます。それからかんがみまして、それじゃ今度の五カ年計画ではどれだけそういうものが発生するであろうか、というようなことを予想をしなければいけないわけでございますが、これまた非常にむずかしゅうございます。これは天候の予想とある程度関連もいたしますし、長期予報というのは現在では非常にやりにくい。そういうようなことから考えまして、前期五カ年計画では高潮に非常に金がかかった。それを除きますと、まあ一割くらいを考えて、一千億円くらいで予備費を考えておこう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/72
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073・林百郎
○林委員 河川局長の答弁のほうがずっと私の質問には答えてくれていると思うのです。そこで、大臣、私の聞いたのはこういうことですよ。現行十カ年計画で九千二百億、その二割くらいが、やはりいままでの実績からいっても、そういう不慮の高潮があったとか、あるいは思わざるところの溢水で、かかってきている。ところが、一兆一千億のうちで、そういうことに備えるための項目、ワクをはめない予備費が一千億円では、過去の実績からいってこれは足りない。そういう意味で、ここでまた新五カ年計画を立てても、この財政面だけ見ても、これではやはり政府が責任を負えない重要な要因があるんじゃないかというように思うから、その点を聞いたわけなんですよ。おわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/73
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074・小山長規
○小山国務大臣 わかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/74
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075・林百郎
○林委員 それはまあいいですよ。
時間の関係で次に移りますけれども、その次に、この財政計画一兆一千億のうち、地方自治体の財政負担はどういう関係になりますか。ちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/75
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076・小山長規
○小山国務大臣 それは局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/76
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077・林百郎
○林委員 時間がありませんから、数字だけでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/77
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078・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。県単独の事業費と災害関連とを合わせまして、千五百億円組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/78
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079・林百郎
○林委員 これは、この千五百億というのは、県単関連事業の補助金として見るという意味でなくて、自治体としての県が独自で負担する金額が、新五カ年計画では、あなたの言う千五百億、こういうように聞いていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/79
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080・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。いずれも事業費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/80
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081・林百郎
○林委員 ちょっと私、わからないのです。いずれも事業費というのですが、それは政府の地方自治体の事業に対する補助金として出すのが千五百億で、地方自治体は、この新五カ年計画に基づいての独自の財政負担が発生するのかしないのか、するとすればどのくらいと見ているのか、それをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/81
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082・上田稔
○上田政府委員 いま申しましたように事業費でございまして、災害関連につきましては、これは国庫補助がついておるわけでございます。しかしその国庫補助につきましては、その県の財政状況、災害関連事業がつきました県の財政状況によって、あるいは激甚災が発生しましたときの率とか、そういうものがみな違ってくるわけでございます。県単独の事業費というのは、これは県が単独でおやりになる事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/82
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083・林百郎
○林委員 わからないことを言っているんだな。一兆一千億のうちの千五百億は、政府が出すのか、地方自治体の負担金かと、こう聞いているんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/83
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084・上田稔
○上田政府委員 災害関連事業というのは、おおむね二分の一であります。それから、県単は国庫補助は出しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/84
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085・林百郎
○林委員 そうしますと、一兆一千億の中に、県単関連の千五百億があるわけでしょう。もしわからなかったら、時間の関係で、あとでいいですから、私の聞くことだけ理解してください。要するに、一兆一千億というけれども、この中で県が独自で負担するのが千五百億あるのかどうかという点が一つ。それから、もし補助だとなれば、かりに一兆一千億の事業としても、これまた県が独自で負担しない部分がこの五カ年計画の中にはあるのか。そうすると、国が負担するのは一兆一千億だけれども、県が独自でやるのがそのうちで——一兆一千億あるんだけれども、そのほかに補助されない部分の、地方自治体が負担するものがあるのかないのか、その三つですよ。一つは一兆一千億の県単の千五百億というのは、国の財政支出はなくして、県独自が負担する金額なのかどうか。それからもう一つは、一兆一千億のほかに、地方自治体は、国が行なう五カ年計画に基づく補助金に見合って、やはり財政負担があるのかないのか、あるとすればどのくらいの財政負担を見込んでいるのか、大まかでいいですから、これは大臣答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/85
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086・小山長規
○小山国務大臣 一兆一千億というのは総事業費でございまして、その中で、たとえば一級河川の場合には四分の三を国が持って、四分の一を地方が持ちます。それから中小河川の場合には、三分の二と三分の一の負担になってくるわけであります。それから災害関連の場合はどうとか、いろいろありますから、その内訳は、国が幾ら負担をし、それから県なり地方自治体が幾ら負担するかはあとで出しますが、総事業費が一兆一千億ですから、その一兆一千億のほかに、地方の負担というものはないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/86
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087・林百郎
○林委員 わかりました。そうすると、この県単関連の千五百億、これは県が独自で純粋に負うものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/87
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088・小山長規
○小山国務大臣 いま申し上げましたように、災害関連がありますから、災害関連は、実際災害が起こってみなければわからぬわけですから、その災害関連がありました場合には、災害関連については国の補助が幾らで地方の負担が幾らという法律上の区分がありますね、その国と地方との総合計が千五百億円だ、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/88
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089・林百郎
○林委員 これで終わります。時間の関係で、またあとでこの点は質問します。
そうすると、一兆一千億のうちの国が負担する部分と、総事業量のうちの財政的な裏づけの、国が幾ら見て地方自治体が幾ら見るかという内訳は、ここでは発表できないというわけですね。できないということが一つと、それから県単関連の千五百億というのも、この中にも国と地方自治体との関連があるので、これが必ずしもそっくり地方自治体にいくとも言えないし、これはそっくり国が見るとも言えない、こう理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/89
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090・小山長規
○小山国務大臣 それは、つまり五カ年計画では総事業童を一兆一千億としているわけですが、そのうちで、いまの治水費が八千五百億ですね。その治水費の八千五百億については、具体的な計画を、利根川についてはどうするとか、あるいは木曾三川についてはどうするとかいうやつは、これから一本一本きめていくわけです。そうしますと、そこでその川ごとに、国の負担が幾ら、地方の負担が幾らというやつがやがて出てくるわけですが、現在はそれはないわけです。これは一本一本積み上げていきますから。
それからもう一つは、災害関連の場合は、災害が発生してみないと、一体関連事業は幾らなのかということは出てこない。ただ、単独費の場合は、ある程度予想はされるわけだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/90
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091・林百郎
○林委員 われわれは、やはり国会で審議する場合、新五カ年計画は、地方自治体に財政的な負担が幾らになるかということも全然無視してイエス、ノーときめるのは、私たちとしては無責任になると思うんですよ。したがって、政府としては、新五カ年計画の総事業費が一兆一千億という、あるいは治水関係ならば八千五百億ですけれども、このうち、大体地方自治体へはこのくらいの負担になるんだ、どの河川をどうすればどうなるんだということを出してもらわなかったら、総事業費は八千五百億ですが、まだこれは国が幾ら持つか、地方自治体が幾ら持つかわからぬし、事業計画も一つの川ごとに見なければわからぬということでは、まだ審議の対象になっていないじゃないですか。私の質問はこれで終わりますけれども、地方自治体に大きな財政負担になりますよ。それを国会がろくに内容も知らぬでやっていくというわけにいかない。そこを心配して私は聞いているのです。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/91
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092・小山長規
○小山国務大臣 五カ年計画につきましては、いま申し上げましたように、まだ一本一本の積み上げが出ませんから、正確なところは申し上げられないわけですが、大体三分の二が国、三分の一が地方というふうに御理解願っていいと思います。同時に、五カ年計画の初年度の予算は今度の国会に出してあるわけですから、その予算で御審議願うわけでありますし、こっちは、法律上の問題といたしましては、五カ年計画をつくるということを御審議願っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/92
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093・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 これにて本連合審査会は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804179X00119650316/93
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