1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月八日(木曜日)
午後一時五分開議
出席委員
委員長 中村庸一郎君
理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
理事 小川 平二君 理事 小島 徹三君
理事 島上善五郎君 理事 畑 和君
理事 山中日露史君
今松 治郎君 小澤佐重喜君
大石 八治君 久保田円次君
佐藤 孝行君 鈴木 善幸君
田中 彰治君 中野 四郎君
藤枝 泉介君 藤田 義光君
堀 昌雄君 山下 榮二君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
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四月八日
委員仮谷忠男君及び篠田弘作君辞任につき、そ
の補欠として田中彰治君及び大石八治君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員大石八治君及び田中彰治君委員辞任につ
き、その補欠として篠田弘作君及び仮谷忠男君
が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案(三木武夫
君外十一名提出、衆法第二二号)
公職選挙法改正に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/0
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001・中村庸一郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/1
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002・堀昌雄
○堀委員 総理に、選挙法の問題についてお伺いをいたすわけでありますが、まず最初に、昨日総理は自由民主党の中央政治大学院の開校式に臨まれて、新聞の伝えるところによりますと、民主主義の危機について大いに警鐘を乱打された、こういうふうに新聞は伝えております。私もその点民主主義の危機ということについては同感でございますが、昨日のお話の中で、選挙の腐敗の問題についてはお触れになったのかどうか、ちょっとその点を最初にお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/2
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003・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 選挙については触れなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/3
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004・堀昌雄
○堀委員 新聞の伝えるところでは、国費、県費の浪費の問題であるとか、汚職の問題であるとか、いろいろな点について政府としての問題点についてはお触れになっておるようでありますが、実は私は民主主義の危機の最大なるものは選挙の腐敗の問題ではないのかというふうに感じておるわけでございます。
そこで選挙制度審議会が、第一次、第二次、引き続き第三次の選挙制度審議会ということで設けられておりまして、学識経験者をはじめ多数の皆さんによって真剣な検討をお進めいただいておるわけでありますけれども、総理は、第一次の選挙制度審議会における答申、第二次の選挙制度審議会における答申等について、ごらんになったことがありましょうか。答申文をごらんになったことがあるかどうか、ちょっと承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/4
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005・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 第一次、第二次、最近第三次をやっておりますが、第三次に私出かけまして、いろいろ皆さんの意見を親しく聞いております。また、過去のものは皆さまの御審議によりましてそれぞれ所要の改正を行なってきた、必ずしも答申どおりではない、かように私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/5
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006・堀昌雄
○堀委員 そこで私は本日、全般の中で特に問題のあります政治資金の問題と高級公務員の立候補の問題と、この二点にしぼって論議を進めたいと思いますけれども、選挙制度審議会はこれらの問題についてこういう答申をいたしておりますのでまあ念のために申し上げておきますと、昭和三十六年十二月二十六日の当時の野村秀雄さんが会長でありました答申は、その第五番目に、「高級公務員の立候補の制限」という項目を設けまして、「国又は公社、公団若しくは公庫の法律で定める職にあった者は、離職後最初に行なわれる参議院全国選出議員の選挙に立候補できないものとすること。」という答申を実はいたしておるわけでございます。
政治資金の問題につきましては、第一次答申は、「選挙に関する寄附及び政治資金の規正の合理化」という問題について、「1 団体等のする寄附の制限 会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止すべきものである。但し、その実施時期等については引き続き検討を加えるものとし、とりあえず、次の措置を講ずること。」ということになりまして、「(1)国又は公共企業体と請負その他特別の利益を伴なう契約の当事者である者は、選挙に関するもののほか、政治活動に関しても、寄附をしてはならないものとすること。(2)国から補助金、奨励金、助成金、負担金その他これに準ずる交付金又は出資金を受けている会社その他の法人及び国から直接又は間接に利子補給金の交付を受けている会社その他の法人は、選挙又は政治活動に関しては、寄附をしてはならないものとすること。」というふうな答申をいたしておるわけでございます。
第二次の選挙制度審議会は、昭和三十八年十月十五日に阿部真之助会長から、やはり政治資金についてこのように答申をいたしております。「選挙資金および政治資金の規制ならびに選挙運動の方法の合理化および選挙運動の公営の拡充等に関する事項」の中で「一 選挙資金および政治資金の規制に関する問題 1 寄付金きょ出の原則選挙資金および政治資金についての寄附は、個人に限る。会社、労働組合その他の団体からの寄附は禁止するという第一次審議会の答申を再確認するものとする。2 資金の収集機関等資金を集める機関を設け、または個人がこれを集めるあっ旋をすることは認める。ただし、寄附者は、個人に限り、また、強制にわたることを防止するよう立法上適当な措置を講ずるものとする。3
寄附金額の制限 個人の寄附については、さしあたり、金額に制限を設けないこととする。ただし、将来その必要があると認められる事態が生じた場合には、あらためてその措置を講ずるものとする。4 実施時期 実施時期については、これが法文化された後、一年位の猶予期間をおいて実施するのを相当と認める。」 このように第一次、第二次の選挙制度審議会は原則を明らかにして答申をいたしておりますけれども、今日まで政府では、この会社、法人あるいは労働組合等からの寄付の問題については何ら検討が進められていないというのが実は現在の状態でございます。補助を受けておるもの等については一部法律の改正が行なわれましたが、これはどちらかといいますと従たる部分の問題でありまして、主たる部分の問題については今日依然としてこの答申はそのままになっておるという状態であります。
そこで、私も第一次、第二次の選挙制度審議会の委員をいたしておりまして、その各委員の声を聞いておりますと、選挙の腐敗の最も大きな原因は異常に金が出てくることであり、その金が出てくるものが使われることによって選挙の腐敗というものが次第に進行しつつあるということが委員一般としての大体の意見でございました。そこで選挙の腐敗を粛正するには、まず何よりも金が異常な形で出てくるところをふさがない限り、その他の方法をもってはなかなか抜本的にこの選挙の腐敗を是正することはできないというのが実は審議会の委員の一般の意見でございました。そこらの問題について総理はどのようにお考えになるのか。政府としては、選挙制度審議会法は答申を尊重するということを実は法律にうたっておるわけでありますので、この政治資金規制についての原則的なお考えを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/6
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007・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 堀委員は第一次、第二次ともにその委員であった、こういうことを言われておりますし、また、この問題がいかにむずかしい問題であるか、ただいま高級公務員の制限の問題と合わしてこの政治資金を規制することがいかに困難かということ、よくおわかりになったろうと思うのです。もちろんただいまのような、片一方で金が使われる、選挙が腐敗する、こういうことも替われる。それならば出てくるところを押えるのだ。これも一応の首肯すべき議論かと思います。しかしながら全体として、民主主義、かように申しましても、ひとり選挙ばかりじゃございません。やはり政党ができている。そうするとその政党がたくさんの金を使うということはいかがかと思いますが、しかし必要なる経費をまかなっていくということも、これは一方で必要なことだと思いますね。これは民主主義が正しくあるためにも、政党の活動というものはこういう点で拘束を受けてはならない。そういたしますと、やはり政党に政治資金が要るということはこれはどうもいなめない。これはひとり選挙に限って特殊な制限方式が採用されるにいたしましても、この選挙自身が政治活動の一部だ。あるいはその基盤をなすものと言うことができるかしらないが、その一部になる。かように思うと、やはり政治資金そのものは要るのだ。そうしてわが国の産業の実態というものは、厚薄の度合いはあるでしょうが、やはり政府や地方団体と何らかの関係を持っておるというのがただいまの現状ではないかと思う。
そこで、政治活動をするための政治資金、これは一方で必要だ。そうしてとにかく選挙自身は腐敗されないように、こういうことでそのほうにはいろいろ目を光らしておる。それがいまの、出てくるところで押えるのか、今度は使ったときの公表をすることによって、資金を集める公表主義で一般の批判を受けるようにして自粛していただくほうがいいのか。それは実情どちらの方法がいいか、ただいままでのところではやはり政治資金は公表主義をとっていく。そうして一般の資金とは違って政治資金が各方面からの批判を正しく受け得るようなそういう方向でいく。そうして選挙の場合には特殊な状態だというのでこれに制限を加えていく。たとえばいまのような特殊な関係のあるものについても、これはざる法だと言われますが、いわゆる選挙に関しては資金を出してはいかぬとか、こういうような制限を加えておる。現状においてこれをさらに進めていくにはどういう方法がいいのだろうかというようなことがただいま衆知を集めて研究されておるところではないかと思う。私はその言われる点もよくわかりますが、やはり政治そのものに、政党の活動自身に政治資金は要るのだ、そういうことがやはり選挙も含めての党活動というものには必要だと思っておる。そういうものが公表されることによって自粛もされるだろうし、これが秘密であってはいけないけれども、その点に妥協点を見つけておるのが今日のたてまえではないか、かように私は理解しておるのであります。もちろん今後とも選挙自身において金がかからぬような方法が望ましい。そういう意味では候補者はもちろんのこと、また選挙民におきましても十分厳正なまた公正な態度で選挙に臨んでいただきたい、こういう観点に立っていわゆる公明化運動も推進していきたい、かように思うのであります。ただいま言われることは一応ごもっともですが、政治そのもの、政党活動そのものとして区別し、特に制限を加えることはこれは困難なことではないだろうか、かように私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/7
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008・堀昌雄
○堀委員 実はお話しのように政党に対する政治資金の問題は、ややこれは角度を変えて考えてもいいかと思いますが、私がお尋ねをいたしておりますのは、アメリカにおいてもその他諸外国においても、日本のように会社、法人等が巨額な寄付をしておる例はございません。民主主義が定着をした国家においてはそのような例はなくて、原則としてすべて個人の寄付によってまかなわれておるというのがたてまえであります。そこで私は、その原則の部分、要するに選挙制度審議会が答申をしておる原則、会社、法人あるいは労働組合等の団体の寄付というものにたよらずして、個人が寄付をするという原則、そうしてそれをあっせんする団体として、自由民主党では国民協会のようなものをつくられておりますが、そのような形もそれはそれなりに意義があると思いますけれども、その原則を首相も確認をしていただきたい、こう思うのです。取り扱いをあとどうするかということは二の次として、この原則はやはり私は一国の総理として確認をしていただかないと困るのではないか、こう思いますので、その点を重ねてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/8
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009・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いま原則を確認しろと言われますが、これはやはりその国の経済の発展過程、また民主主義の成長過程等におきましていろいろの考えなければならない点があると思います。アメリカは個人からの寄付で活動するのだ、かように申しましても、実情は必ずしもそうなっていないような、いろいろな脱法行為等が行なわれておるというようなこともありますし、心ずしもいい方法ではないだろう。これは一がいに私はそれだけがいいとも思いません。ただいま会社あるいは組合その他の団体等から寄付は一切しないんだ、そうして個人だけという、これは必ずしもいいとも思えないのであります。私は、そういう点も含めて十分審議会で議論していただいて、そしてその結論を出していただきたい。今回も過去の二回のものについて引き続いて、やはりこの問題は重要なる審議問題だろう、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/9
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010・堀昌雄
○堀委員 何か日本の経済の実情との関連でそうおっしゃるのですが、いまから具体的な例をあげますけれども、私はいまの状態というものは非常に遺憾な状態だと思っておるわけです。審議会は原則だけはおそらく今度の第三次の審議会も変えることはないと思います。これが最も正しい道だからでありますが、時間がありませんから、それ以上は触れません。
そこで、それでは現在の選挙資金の状態を私のほうから少し申し上げますと、昭和三十五年に、政党その他の政治団体に寄付をされました金額の総計は、寄付総額が八十一億四千七百五十六万円になっておりまして、三十八年には、これが百三十八億五千万円に達しておるわけであります。三十五年というのが総選挙の時期であり、三十八年が総選挙の時期でありますけれども、内部にわたって申し上げますならば、政党としては、自由民主党は、三十五年には二十三億三千八百十一万円の寄付を受けておられますが、三十八年には、五十三億八千三百二十万円と、倍以上に実は自民党に対する寄付金はふえておるわけであります。そうしてこれは自民党の党としてのいまの政治活動、正常な政治活動としての問題点でありますけれども、さらに非常に重要な問題は、自民党の派閥に対する寄付も非常に問題があるわけでございます。三十五年の上期には、佐藤さんの、一番最初に出して恐縮でありますが、周山会は三億八千百十七万円の寄付を受けておられましたのが、三十八年には、五億五千二百八十四万円ということにふえております。宏池会は、三十五年が五億一千万円でありましたのが、三十八年は三億四千万円になっております。河野さんの第一国政研究会は、三十五年が一億四千五百六十二万円であったものが、三十八年は、四億八千万円と、その他数多くございますが、大口なところはこのような形で、実は三十五年と三十八年の間には、著しく政治資金というものはたくさんに寄付をされている。しかしそれはやはりあげて選挙に使われたことは、これは上期、下期に区別をされておりますが、ほとんどが下期に集中をしておる。総選挙は御承知のように、これは両方とも十一月にございましたから、この点は選挙に異常な金が使われたということは明らかだと思います。そこでこれらの中から、自民党系以外のものを差し引いて私ちょっと試算をいたしますと、三十五年には、総計自民党及びこれらの派閥がお集めになった金は、七十二億一千百二十二万円、これが三十八年には、百二十三億六千万円と、この三年間に五十億円が増加をしておるという異常な事態が実はあるわけでございます。今度はその状態を会社の角度から調べてみますならば、三十七年には、一番多く寄付金を出しましたのが、出光石油でございますが、これが一年間に三千七百十万円の寄付をして、各法人、会社中の最高位でございます。それから三十八年は、日本水産が四千八百八十万円の寄付をいたしまして、これがこの年度の最高でございます。私は、先ほど総理がおっしゃったように、政治資金の姿が、政党に資金が集まるというのならばまだ筋が通るかと思います。ところが、いまのこの日本水産を一つここに例にとってみますならば、日本水産の四千八百八十万円の中には、第一国政研究会、河野さんのところに三千六百万円が寄付をされておるわけです。財団法人国民協会——自民党には直接いっておりませんが、財団法人国民協会にはわずか二百万円しかいっていない。こういうのが現在の会社、法人等の寄付の実態でございます。そうしてこの会社側から調べた資料を調べてみますと、大体大口の寄付をするところは特定の会社にきまっておるということが資料から明らかになりました。これは業種別に申しますと、石油精製、水産業、精糖業、商事会社、製鉄会社、建設会社等が上位の二十数社を占めておりまして、これらの中には特に顕著でありますのは、水産、精糖関係の各社においては一部特定の派閥に対して毎度巨額の政治資金が投入をされておる。私はこれは本日は時間がございませんから、日をあらためて自治大臣と論議をいたしたいと思いますし、あわせて通産大臣、大蔵大臣等も御出席を願って議論をしなければならない問題だと思いますけれども、特定の一部の会社だけがたくさんの政治資金を寄付をしている。同じ業種にあるほかのものがしない場合、会社としてはたして株主に対してそれでいいのかどうかという、会社側としての問題点もあろうかと思うのであります。そこらについては後刻また時間をあらためてやります。
そこで、総理にお伺いをいたしたいのは、あなたのお話で、政党の政治活動に資金の要ることは私もよくわかります。しかし、どうしてこのいまの政治資金が各派閥のほうにこのように寄付されているのか。これはわが党は、なるほど政治資金が党には入りますけれども、いまのような派閥などというものには政治資金が入る道はございません。そこでお伺いをいたしたいのは、一体この政治資金のあり方はどういうあり方が望ましいのか。いまのような、私が計算をいたしました三十八年の上位二十の政治団体というのは、これは全部こまかく名前を調べておりますが、あげて自民党系の派閥とその関係の団体でございます。ここに集められた金の総額は五十四億七千万円に達しておるわけでございます。ですから、自民党の派閥が集められる金と、自由民主党が集められる金は、自由民主党のほうが五十三億八千三百二十万円に対して、派閥のほうが五十四億七千万円で多いんですから、このような姿がいまの政治資金の問題として適当であるかどうか、総理大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/10
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011・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま詳細に資料に基づいてお話がございました。私は過去におきまして二回党の幹事長をし、今日総裁をしております。そしてその間における党の変遷推移、これを見まして、当時は物価等の関係もありますが、党の運営におきまして、そう金がかからない。そうして非常にじみちにではあったが、しかしながら党活動は非常に活発なものだった、かように私は思っております。ところが最近は、だんだんそれがかさんでくる、資金が要る、こういうことでは、これは国民からも見捨てられるだろう、そういう意味で国民ともっと直結することが必要だ。この党をそういう意味で直す、これはいわゆる党の近代化、そういう意味から、いわゆる派閥解消なども唱え、またそういう意味の努力を続けてまいっておるのであります。
ところで片一方選挙の実情というか、今日の選挙制度のあり方等を見ますと、本来党一本の、党本位の活動であるべきものが、どうしても選挙の場合には個人単位になりがちだ。最近の選挙におきましては特にそういうようなことが日に立つ。したがって今度は選挙制度審議会等におきましても、政党政治のほんとうのあり方から、選挙はどちらかというと、党活動本位に、一本にしぼるべきじゃないか。個々ばらばらの個人的活動で、個人的なたてまえで選挙を遂行するということは弊害がそこにも生ずるんだ、こういうことでその面からの見方もあるようであります。私は現状がいいとは申しません。もちろん党は、かような意味で党本部が集める金より派閥が集めた金のほうが上を越すということは、これはいいことじゃないと思います。もちろんこういうことは自粛し、また直していかなければならぬことだと思います。しかし今日までの選挙の実態そのものを見ると、私どもの希望とは違う方向にいっておる、こういうところにも直していかなければならないものがあるのじゃないだろうか。ただいま保守党のほうを特に例をあげて行われましたが、私は、こういう悩みは、それは金額の相違はあるかわかりませんが、社会党さんにもあるのじゃないだろうか、やはり民社党にもあるのじゃないだろうか、かように私は思います、これは正直に見て。そして国民に対して——国民のほうがよく知っておるのですから、むしろお互がそんなことはない、こう言っても、国民のほうがよく実情を見ておるようです。やはり選挙は大事だ、民主政治を守り抜くのだ、そういう意味から公明な選挙活動をやりたい、正しく清らかなものをやりたい。こういう点についてはお互いにやはり虚心たんかいに反省すべきものは反省すべきではないだろうか、私はかように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/11
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012・堀昌雄
○堀委員 そこで、いま選挙制度審議会の答申は非常に原則的で、必ずしも、いま当面立法しにくいということであれば、かつて三木調査会で議論がなされたと新聞が伝えておりましたけれども、法人の寄付額に制限額を設けてはどうか、私はかように考えるわけであります。そこで法人の寄付額の制限等については、私も政党活動のほうはややゆるやかであってよろしいのではないかと思いますが、政党以外に対する政治資金の寄付についてはこれは一口幾らということで金額の制限があってしかるべきではないか。それはいまの現状から一挙にもまいりませんでしょうが、たとえば一口二十万円とするとか三十万円とするとかという範囲にとどめて、そうして政党については、一応は——両方とも一ぺんに締めるわけにもいかないでありましょうから、多少現状のままでいくならいくとしても、漸次これについて漸進的な方途によってこういう形が正しいあるべき姿に変わるのが望ましいのではないか、こう考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/12
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013・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま堀議員の言われる事柄、私も一案だと思います。そういう点が十分審議会等において議論されることを心から望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/13
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014・堀昌雄
○堀委員 そうすると、そういう形で具体的に答申が出るならば、総理はそれを採用されるというふうに私どもここで確認をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/14
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015・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは総理が採用するというこでなくて、皆さまとともどもにそういう審議会の結果を尊重していく、こういうことでありたいものだ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/15
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016・堀昌雄
○堀委員 しかしいまの選挙制度審議会は総理府に置かれておりまして、答申は総理大臣にされるわけです。そうして総理大臣が政府の原案をつくってお出しになるというのがこれまでのたてまえでありますから、審議は私どもがいたしますが、提案は総理がなさることになるわけです。ですからその点、これまでは答申がされててもやや原則論に過ぎたので具体化されなかった。今度は原則でなくて具体的なものが出るならば、それは政府の段階で多少それは検討されるとしても、提案をされるかどうか確認しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/16
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017・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 もちろん政府は答申を尊重する、皆さま方の意向も十分そんたくいたしまして、そうして原案を作成するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/17
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018・中村庸一郎
○中村委員長 島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/18
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019・島上善五郎
○島上委員 私は選挙法改正に関連して総理に若干御質問申し上げますが、時間が制約されておりますので、私も簡潔に質問しますから御答弁も簡潔に、焦点だけをひとつお答え願いたいと思います。
参議院選挙はもう目前に迫っております。事前運動は相も変わらずあの手、この手できわめて活発に行なわれておる。すでに三月十五日現在で警察庁から法に違反する事前運動の容疑で警告した案件数が九百三件に及んでおります。その以後本日まではさらに件数が急増しておる状況であることは隠れもない事実です。けさの読売新聞をごらんになったかどうか知りませんが、東京の警視庁におきましては署長会議を開いて、最近の事前運動の急増と悪質化に対して訓示、指示を与えております。そうしてあまりにも目に余るものは告示前でも検挙をするようにと、こういうふうに言っております。私はこれはきわめて当然であり、時宜を得た指示だと思っております。しかしそれにもかかわらず、もしこのまま放置するならば、前回の選挙を上回る悪質違反の増加、倍増が心配されます。堀委員も指摘しましたように、政治をよくするということは、選挙をよくすることがまず最初であります。この参議院選挙の悪質化という憂慮すべき事態に対してこれを防止するために総理はどのようなことをお考えになっておるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/19
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020・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われましたごとく、また堀委員も指摘したように、まず選挙から正しくして、そして国民の信頼する代表を国会に送るということが望ましい。それこそが民主主義、議会政治の基盤だ、私もかように考えております。政府におきましてもかつてはいわゆる公明選挙ということを推進していくということを申したのでありますが、今回は明るく正しい選挙、これを皆さまとともどもに進めていく、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/20
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021・島上善五郎
○島上委員 私はそういうようなおざなりで済むほどなまやさしい状態ではないと思います。明るく正しい選挙運動、いわゆる公明選挙運動というのはいわば国民の啓蒙運動と申しますか、国民に協力を得るという運動です。私はそれも必要だと思います。必要でないなどとは申しません。私たちは法律の改正も必要だと思います。私たちは政治資金規正法の改正と高級公務員の立候補制限を伴う改正及び連座制の強化というような改正案をいま用意しておりますが、会期が少なくなりましたのでよほど自民党さんの協力を得ないと、法改正というものは実際問題としてむずかしい。法律改正と国民の啓蒙、国民の協力ともう一つ私は肝心なことがあるはずだと思うのです。そのもう一つ肝心なことこそこれからなすべきことではないかと思う。それは政党自体——政党自体ということはもちろん候補者、候補者の運動員、党の支部を含めてのことですが、政党自体が自粛、反省をするということをことばの上だけではなしに事実をもって示してこそ国民の協力も得られると思うのです。そのことについて何か具体的にお考えになっているかどうかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/21
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022・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は国民の啓蒙運動なんというような考えは毛頭持っておりません。国民ともどもにこの選挙を正しくしよう、こういうことでなければならない。もちろん政党自身が自粛、反省するということは、これはもちろんしなければならないことなんです。しかし何といっても国民自身が民主政治、議会政治を守り抜くのだ、こういう観点に立って初めて正しい選挙ができる。もしもこの国民の期待に反するような候補者なら、国民から必ず不信を買って、それは投票をかち得ないだろう、私はかように信じます。そういう意味で国民のきびしい批判、それこそが最も望ましいのだ。だが政党自身が自粛、反省するということはもちろんのことでありますが、もしも自粛、反省を怠ったら国民から不信を買って、そういう政党は支持を得ない、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/22
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023・島上善五郎
○島上委員 どうも国民に責任を転嫁するような御答弁ですが、政党もわれわれも佐藤総理も国民の一人ですから、そういう意味においては国民が大いに自覚して協力するということ、それはそのとおりだと思うのです。しかしながら選挙に立候補し、選挙運動の中心になるのは現に政党なんですから、その政党が自粛、反省のことを事実をもって示して、同時に国民の協力を求める、こういうふうでないと国民が逆にあいそをつかして政治から離れていってしまう。こういうことになったらおそるべきファッショ発生の基盤をつくることになりますよ。そうですよ。あいそをつかしてしまったら、その候補者に投票しないということによって不信の意を表明する方法と、政治自体にあいそをつかしてどうでもいいということになってしまうと、そういうおそるべき傾向が発生しないとは保証できないのです。それはもし議論にわたるとしたらお答えは特に要りませんけれども、私はたとえばこういうことが政党として必要だと思うのです。
それは自民党、社会党、何党と言わずに、政党自体がきれいな正しい選挙をやろうとする姿勢を事実をもって国民に示すためには——これは私の私見のようなものですから、考えが違えば違うでけっこうです。しかし、たとえば公認候補者を決定する際に、前回の選挙で買収や供応で本人もしくは出納責任者、総括主宰者が起訴された場合、これはつまり連座制の対象ですね。連座で失格する対象になるような違反をしておる場合、裁判所で最終的決定をしていなくてもそういう者は公認しない、このくらいのことは政党としては自粛、反省の実を示すためには必要ではないかと思う。
それからまたもう一つは、もし今度の選挙でいま申し上げたような違反をした者があったならば、当落のいかんを問わず、裁判所で最終的に無罪の決定があるまでは党から離党させる、あるいは除籍をする、このくらいのきびしい態度が必要だと思うのです。
またもう一つは、この前の衆議院選挙では、私の聞くところによりますれば、公認料と貸し金という形で自民党さんは法定費用をオーバーする金を各候補者に渡しております。法定費用をオーバーする金を渡すということは、法定費用以上に使いなさいということを言っているにひとしいことなんですから、私は、今度の選挙に関しては法定費用をオーバーする資金は名目のいかんを問わず党は候補者に渡さない、支給しないこのくらいのことは必要だと思う。
それから、またもう一つ、これは私の気がついた点ですが、高級公務員の立候補については、先ほども議論がありましたが、法的規制が必要であるというのはもういまは常識的になっておる。しかし法的規制が現在まだない。そこで最少限度、高級公務員が立候補して役所の職制を利用したり、在職中の許可、認可の対象であった会社、団体等を利用するということをやめさせよう、戒めよう、自分が在職中の役所の職制を利用したり、在職中の許可、認可の対象となった会社、団体、そういうものを利用することを戒めよう、このくらいのことは最少限度私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/23
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024・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 最初の御議論に私こだわるようですが、私は社会党さんとやや意見が違うのかわかりませんが、主権在民の姿において国民こそが審判者だ、かように私は信じておりますので、したがいまして党自身が自粛、反省も必要だ、もちろんまた選挙制度自身もかくあるべきだと思いますが、とにかく国民自身が審判する、その審判からはずされないようにおそらく党自身はりこうに考えるだろう、また自粛もするだろう、こういうことを実は申したのであります。やっぱり国民自身が主権者でありまた審判者であるということ、これだけは私どもも忘れてはならない。ただ私どもが国民の支持を得て代議士になるんだ、こういうことではないんだ、この点は根本に関することだから、もう一度議論めいたことを申し上げて相すみませんが、お聞き取りを願いたいと思います。
それからただいま具体的にお話がございました、私どもは過去におきましても起訴された者について公認しなかったことがございます。また今後もこういう点は私どもも厳正にいたすつもりであります。これはひとり公職選挙法で起訴されたというばかりでなく、いわゆる刑事被告人、こういうような立場に立てば、こういう点について厳正な態度をとりたい、かように私は思います。また今度の選挙においてそういうような事態が起きたら、当落のいかんにかかわらず離党、あるいは入党させない、こういう処置をとれということでありますが、なかなか直ちに——入党とかいうことになりますが、いまの裁判の制度では、判決が下るまでは全部白というのが法のたてまえじゃないかと思います。したがいましてそういう点で誤解のないような処置をとることは私どももいたしますが、起訴されたというだけで直ちに入党を差し控えるとかいうようなことはいかがかと思います。これは私は結果でありますだけに、それは必ずしも賛成をしない。
それからその次は公認料の問題でありますが、これは御説のように公認料を、これは法定費用だけでそれより以上出すなというようなこともお気持ちとしてわかりますけれども、選挙に関しての際におきまして、私は、直接選挙には関しないが、なかなか各候補者等は私生活その他におきましても何かと費用がかさむのじゃないか、そういうような意味のもの、いわゆる選挙には関しないものでそういうような費用をやはり見ていかなければならないことがあるのじゃないだろうか。これはおそらく保守党ばかりじゃない、社会党さんも同じじゃないか、かように私は思います。したがいましてその点は必ずしも賛成しない。
それから最後の高級公務員等につきましてのお話は、ただいま三十七年の改正、それだけでは不十分だというお話であろうと思いますが、ただいま組織を利用するというようなことは、連座規定その他におきましてもやかましくいっておるようでありますので、その趣旨は賛成であります。ただ現実の場合どういうようにこれを規定するか、なかなか困難なことだろうと思いますけれども、その趣旨に沿うような考え方でいきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/24
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025・島上善五郎
○島上委員 公認料その他で選挙に関して私生活まで見るとおっしゃるのですからずいぶん親切な総裁もあったもので、自民党の党員さんはたいへん感激しているだろうと思いますが、公認料とか貸し金というのはおおむね告示直前ですよ。一カ月かそこらの間ですよ。その間に法定費用をオーバーする金を政党本部から候補者にやるということは、法定費用など無視して使ってもよろしいということにひとしいのですよ。そう言わないだけです。そういうことはおよしになったほうがいいですよ。自民党の近代化のためにも、自民党が国民から信頼されるためにもおよしになったほうがいいと思う。
実は私いま高級公務員の問題を出しましたのは、前回の選挙で目に余るような高級公務員の選挙に関連しての違反があったのです。幸いその人は当選していないのですが、しかしそれに類似の行為をした者で当選した者が相当ある。現にこの落選をした高級公務員の選挙運動をした課長が、千葉県の衛生部長に推薦をされてお断わりを食っているでしょう。新聞の論説にまで書いていますよ。五年間公民権を停止されておる。この人は罰金も食っているはずです。罰金を食って五年間も公民権を停止されて、しかもそれを、こともあろうに衛生部長といえばこれは栄転ではないですか。栄転を役所から推薦するということはいかがでしょう。このことについてちょっとお伺いいたしまししょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/25
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026・吉武恵市
○吉武国務大臣 その点は、すでにそういうことはよくないということで取りやめておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/26
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027・島上善五郎
○島上委員 それは自治省は、自分の役所ではないからよくないといって見解を言っておりますけれども、同じ佐藤内閣の厚生省で推薦しておることですから、私は総理の御感想を伺いたいわけなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/27
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028・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま吉武君が答えたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/28
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029・島上善五郎
○島上委員 たいへん言いにくいことのようですが、そういうことはおやめになったほうがよろしいですよ。
そこで私は最後に、締めくくりの意味で伺っておきますが、二月九日の衆議院の予算委員会で、同僚の高田君がこういうことに関連して質問をしまして、ひとつ各党で今度の参議院選挙の不正、腐敗を防止するために各党で話し合いをしてそれを実行するようにしようではないか、何かの機関を持ってしようではないか、こういう意味の提案と申しますか、質問をいたしましたら、総理は、御趣旨けっこうだから賛成です、こう答えておる。ところがその答えた日の午後、党の四役、橋本さん、川島さん、三木さんと佐藤総理が相談をしまして、選挙と政治運営の明朗化に関する各党話し合いについて相談をした。そして三木幹事長の手元において具体案をつくって成案ができたら各党に提唱する、こういう新聞の報道です。私は、政治運営というふうに間口を広げていくということは当面の問題の焦点をぼかすことなので、そう間口を広げずに、将来は間口をどんどん広げていくのもよかろうけれども、さしあたっては不正、腐敗の選挙を防止するために各党が話し合う、そして私がいま四点ほどあげたように、これは自民党さんはほかに意見があれば出してももちろんけっこうですけれども、こういったようなことを各党で話し合って実行するというふうにすれば多少なりあるいは大いなる成果があがると思うのです。こういうことは、私は必ずしもいまの項目にこだわるわけではありませんが、各党が持ち寄って不正、腐敗を防止するためにこういうことをやろうじゃないか、そういうことを、選挙は二カ月先ですから、各党で相談して実行するということについてのお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/29
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030・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私はたいへんけっこうなことだと思います。したがいまして、それはあまり間口を広げないで明確にされて、そうして各党で案を持ち寄って相談をなさること、そうして一つのことがきまったらそれを進めていく、そういうことが一番いいだろう、同じように候補者を出しておる、しかもお互いに選挙で戦うことはございますけれども、公正な同一の土俵を持つということはたいへんよいことだ、かように思います。よく話し合いができるように、私も三木幹事長に御意向を伝えておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/30
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031・中村庸一郎
○中村委員長 山下榮二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/31
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032・山下榮二
○山下委員 時間もないようでありますから、まとめて質問を申し上げたいと思います。政治資金規正法、公務員の立候補者の問題については、すでに話がございましたから、それらは省略いたしたいと存じます。
一点伺いたいと思いますことは、総理は、かねて政党の近代化ということをよく言われております。政党の近代化のためには選挙区制の改正がきわめて大きなウエートを占めておる、こういうところから選挙制度審議会に対して諮問をされて小選挙区制の問題がいま話題となっておることは御承知のとおりであると思うのであります。しかし派閥の解消をし政党を近代化することは、小選挙区制だけが万能薬ではないと私は考えておるのであります。小選挙区制になっても派閥が解消されるとは思わないのでありますが、一体総理はほんとうに派閥を解消して政党を近代化するためにはどうすればよいということをお考えになっておるか、伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/32
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033・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私個人の意見もいろいろございますが、ただいませっかく選挙制度審議会で審議しておる最中でございますので、まさか私の意見が影響を与えるとは思いたくありませんけれども、そういう際でありますので、私の意見は差し控えたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/33
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034・山下榮二
○山下委員 次に、最近の地方選挙に非常に選挙違反事件が多く発生いたしておるのであります。たとえば都道府県にいたしましても、市町村の首長あるいは議会の議員、議会の議長選挙等にきわめて嘆かわしい、いかがわしい選挙違反が起こっておることは、新聞を通じて総理も御承知であろうと思うのであります。これはいろいろな問題があると思うのですが、地方の市町村あるいは府県議会議長というものは、一年交代制ということが大体慣習のようになっておるように思われます。こういうこと等が非常に悪い弊害を及ぼすのではなかろうか、こう考えておるのでありますが、これらに対しまして一体総理はいかようにお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/34
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035・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 最近の市長選挙に見た非常に忌まわしい事件、これでは私自身非常に心を痛めております。また、議長のいすをめぐり、いまお話しのような点がただいま批判を受けておる、かように思いますが、私は、中央から地方議会のあり方等について、かくあるべしとは申しませんが、望ましくないこと、これは端的に意見を出してもいいのかと思いますけれども、なるべく地方自治体にそういう点はまかすべきじゃないだろうか、かように思いますが、最近起きておる地方議会の議長のいすをめぐっての問題、これは今後必ず反省されるだろう、かように私は期待しておる、これより以上に申し上げないで、他の点は差し控えさしていただきたい、これもさように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/35
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036・山下榮二
○山下委員 いま総理のお考えのような、地方にまかしていくというようななまっちょろいことでは、とうていこの問題は解決つくとは私は思わないのであります。たとえば、御承知のとおり、山梨県の大月市の市長選の問題、きわめてこれは自民党自身としても再考を願わなければならぬ問題ではなかろうかと私は思っておるのであります。あるいは、同じ山梨県の甲府市の市長選にからむ県会議員の選挙違反事件、千葉県の香取郡の山田町の町長の選挙に対する違反事件、大阪府の茨木市長の選挙違反事件に伴う失格の問題、愛知県の丹羽郡の岩倉町の町会議員の選挙の問題等がいろいろ新聞にも報道されてまいってきておるのであります。こう考えてまいりますと、この愛知県の岩倉町の投票はかえ玉投票をやったりいろいろやって、結局最高裁判所の裁判の結果は、失格者がたくさん出て、とうとう町会議員の二十六名中六分の一の欠員を生じて、法律に基づいて補欠選挙を行なわなければならぬ、こういう事態になったと新聞は報道をいたしておるのであります。またもう一つ、愛媛県のある市の選挙管理委員会は、市長の選挙が行なわれるときには、市会議員の補欠のあった場合は同時選挙を行なわなければならない、しかるに、それも忘れて同時選挙が行なわれていない、そういうこと等も報道されてまいってきておるのであります。
こういうことを考えてまいりますと、選挙違反ということよりも、むしろ地方における選挙管理委員会というものがきわめて弱体化してまいっておるのじゃなかろうか。事務局がありながら事務局員のいない、兼職をしているという事務局というものがたくさんある、こういうこと等でございまして、もっと政府が補助金を出して、地方の選挙管理委員会というのを強化していく、いわゆる民主平和国家建設のためには、議会を構成するその基盤たる選挙がきわめて重要でございますから、この選挙管理委員会というものの強化というところに力を入れるべきでないか、こう思うのですが一体これに対して総理はいかようにお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/36
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037・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほど私は、地方議会の議長の問題、これだけはお答えいたしました。市長の問題については、たいへん心を痛めておるというだけで、それより以上申し上げなかったのであります。ただいま詳細にわたって自治体の首長の選挙についてこれでよろしいのか、こういうお話がございました。私はもともと、衆議院の選挙あるいは参議院の選挙、まあ国家選挙については、これの取り締まりその他等は、各方面からいわれ、非常に厳正に行なわれつつある、その方向へいっておる、かように私は信じておりますが、それにいたしましても、この国家選挙の基盤をなすところの地方選挙、これがもっと厳正でないならば、ただいま申し上げるような衆議院選挙やあるいは参議院選挙、その姿が直らない、必ず正されないだろう、こういうことを実は非常に心配しているものでございます。ただいまお話がございましたが、候補者を立てるについても、また選挙をするにしても、かえ丘を使うとか、たいへんルーズになっておるようだ、しかもこの選挙違反、供応、買収等についての取り締まり等も、何だかルーズであるのではないか、こういうような見方をされる。これでは実はたいへんだと思います。いろいろ事務的に計画しておるものもあるだろうと思いますが、私は衆議院選挙や参議院選挙が正しく明るく行なわれるためにも、この地方選挙、自治体の選挙はもっと厳正でなければならない、こういう主張の持ち主でございますので、ただいまの扱い方等につきまして、選挙管理委員会等をもっと強化しろとかいうようなお話については、十分心がけてまいりたい、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/37
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038・中村庸一郎
○中村委員長 総理は本会議に出られますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/38
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039・山下榮二
○山下委員 最後ですから、一つだけ……。
それでは、時間がないようでございますから、いずれ他の機会に譲ることにいたしまして、先ほど申し上げました民主主義平和国家を建設するためには、何というてもやはり選挙がその基盤をなすのでございます。昨日の新聞を見ますと、アメリカのマクナマラ国防長官が、日本の国防費は国民総生産に比べて少額過ぎる、こういうことばを言っておられるのであります。私は、このことは一面内政干渉のような感じもいたしますが、総理はそういう方面よりも、むしろいま申されましたいわゆる選挙管理委員会、民主国家建設の基盤をなす選挙管理委員会等に思い切った予算措置をとって、選挙が公正にしかも正しく行なわれるべきだ、こう考えるのでありますが、それらに対して、一体今後の選挙管理委員会の常時啓発宣伝その他についての予算措置等について、一体いかようにお考えになっているか、最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/39
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040・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 円滑大臣からとくとお聞き取りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/40
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041・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のように、選挙管理委員会の強化につきましては、私どももできるだけ今後努力していきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/41
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042・山下榮二
○山下委員 終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/42
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043・中村庸一郎
○中村委員長 次に、三木武夫君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案に対しましては、前回の委員会において御質疑願ったのでありますが、他に御質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/43
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044・中村庸一郎
○中村委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに本案を採決いたします。
三木武夫君外十一名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/44
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045・中村庸一郎
○中村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
ただいま決議いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/45
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046・中村庸一郎
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/46
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047・中村庸一郎
○中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00719650408/47
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