1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月六日(火曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 大橋 武夫君
理事 坂田 道太君 理事 田中 龍夫君
理事 田村 元君 理事 中野 四郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 小林 進君
理事 多賀谷真稔君 理事 野原 覺君
秋田 大助君 荒木萬壽夫君
仮谷 忠男君 藏内 修治君
澁谷 直藏君 田中 正巳君
床次 徳二君 八田 貞義君
濱田 幸雄君 有馬 輝武君
河野 密君 村山 喜一君
安井 吉典君 山田 耻目君
栗山 礼行君 吉川 兼光君
出席国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
労 働 大 臣 石田 博英君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
国 務 大 臣 増原 恵吉君
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本日の会議に付した案件
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第
八十七号)の締結について承認を求めるの件(
条約第一号)
公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第五号)
地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
案(内閣提出第六号)
国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七号)
地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/0
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001・大橋武夫
○大橋委員長 これより会議を開きます。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/1
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002・大橋武夫
○大橋委員長 これより順次その趣旨の説明を求めます。
まず、外務大臣椎名悦三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/2
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003・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約は、一九四八年七月九日に、国際労働機関の総会の第三十一回会期においてサンフランシスコで採択されたものであります。
この条約は、その前文にもありますとおり、国際労働機関憲章が、結社の自由の原則を労働条件の改善、平和の確立等の手段であるとしていることにかんがみ、この原則を国際的規制のもとに確保することを目的として作成されたものであり、条約に規定された内容は、団体の設立及び加入の自由、団体の自主運営、団体の停止及び解散に対する保障、連合及び国際的団体の設立及び加入の自由、法人格の取得に対する保障等、労働者及び使用者の結社の自由を保障し、その団結権を保護することについての一般的な原則を定めたものであります。
わが国におきましては、憲法、労働組合法、公共企業体等労働関係法、地方公営企業労働関係法、国家公務員法、地方公務員法等によって、条約の規定する保障はおおむねこれを確保しているのでありますが、代表者選出の自由等についてはこれを本条約の規定に適合させるため、現在国会に関係諸法律の改正法律案を提案しているところでありまして、これらの成立につき御承認を得た暁には、この条約の規定はわが国において完全に実現されることとなりますので、このことを条約の批准によって世界に示し、国際的な規制のもとに右の諸原則の実施を確保いたしますことは、わが国の労使関係における正常な労働慣行を確立する上からも、また、労働問題の分野におけるわが国の国際的地位を高める上からも、きわめて有意義であると信じます。
よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/3
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004・大橋武夫
○大橋委員長 次に、労働大臣石田博英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/4
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005・石田博英
○石田国務大臣 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
政府としましては、自由にして民主的な労働組合の発展を期するという労働政策の基本的な立場から結社の自由及び団結権の保護に関する条約を批准する方針を定決したのでありますが、これに伴い、公共企業体等労働関係法及び地方公営企業労働関係法中、職員でなければ組合の組合員または役員になることができない旨の規定その他団結権に関する規定を改正する必要があるのであります。また、これらの規定を改正するにあたっては、これに関連して公共企業体等及び地方公営企業等の業務の正常な運営を確保するため公労法及び地公労法の関係諸規定について所要の整備を行なうことといたし、本法律案を提案することといたした次第であります。
以下、両法律案の概要について御説明申し上げます。
まず第一に、現行の公労法第四条第三項及び地公労法第五条第三項は、職員でなければ、組合の組合員またはその役員となることができない旨を定めておりますが、これらの規定は、結社の自由及び団結権の保護に関する条約第二条に定める労働者団体に対する無差別加入の原則並びに第三条の代表者の自由な選出についての規定に抵触いたしますので、これらの規定を削除することといたしております。
第二に、公労法第四条第一項ただし書き及び地公労法第五条第一項ただし書きに、管理監督の地位にある者及び機密の事務を取り扱う者は、労働組合を結成し、またはこれに加入することができない旨の規定がありますが、この規定も、この際、条約第二条の趣旨にかんがみ削除することといたしております。
第三に、前に述べました公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を削除することに関連して、争議行為を共謀、教唆、扇動することを禁止される者の範囲に職員以外の組合員及び役員を加えることといたしております。
第四に、現行公労法及び地公労法におきましては、職員でなければ組合の役員となることができないこととされていることに対応して、当局は、職員が職員としての身分を持ちながら、労働組合の役員としてもっぱら組合の業務に従事することを認めることができる旨の規定が設けられておりますが、本改正案におきまして右の制限規定を削除することといたしておりますことに関連し、これらの職員が、本来はその職務に専念する義務を保有する者であることにかんがみ、この在籍専従に関する規定を改正いたしまして、職員は労働組合の業務にもっぱら従事することができないという原則を規定するとともに、当局が相当と認めて許可した場合は、その者の職員としての在職期間を通じて三年をこえない範囲において、役員として組合の業務にもっぱら従事することができることとし、さらに、この許可を受けた者は、その許可が効力を有する間は休職者とし、その期間は退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないことを明定することといたしております。しかしながら、この点については、別途附則において、法律施行の日から二年間は、なお従前の例により在籍専従を認めることができるという経過措置を講ずることといたしております。
以上が公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案を提案するに至った理由及びその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/5
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006・大橋武夫
○大橋委員長 次に、国務大臣増原恵吉君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/6
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007・増原恵吉
○増原国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
この改正案は、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、国家公務員の団結権に関する規定を改正いたしますとともに、これに関連して所要の規定の整備を行ない、あわせて、国家公務員の人事管理に関する責任体制を確立するため、中央人事行政機構の改編整備を行なおうとするものであります。
現行の国家公務員法のもとにおきましては、職員体団の役員は、すべて職員の中から選任すべきものとされ、職員でない者が職員団体の代表者となることが認められず、また、消防庁の職員は警察職員等と同様その団結が禁止されているのでありますが、これらの点は、職員の自由な団結及びその代表者の自由選出等条約の保障をしようとする団結権の原則に沿わないものと認められますので、この際、条約の趣旨に適合するように現行制度を改正するとともに、これに関連して職員団体に関する所要の規定を整備することといたしました。また、今後における当局と職員団体との間に正常な労働関係を維持確立するためには、職員団体について期待される自主性、責任性の確立と対応して、当局側についてもその人事管理に関する責任体制を整備する必要があるのにかんがみ、この際、従来から責任関係に明確を欠くきらいのありました中央人事行政機構を改編整備することといたした次第であります。
以下、改正案の主要な点についてその概要を簡単に御説明いたします。
まず、職員団体に関する一節を第九節として新たに設け、職員団体に関する事項で現在国家公務員法中服務事項として規定されているもの及び人事院規則で規定されているもの等をまとめてこの節に法定することといたしました。第一に、職員団体の定義を設け、その目的及び性格を明確に規定し、第二に、職員の団結権について規定いたしました。ここで従来と異なります点は、条約の趣旨にかんがみ、警察職員等団結を禁止される職員のうちから消防庁の職員を除くこと、及び管理もしくは監督の地位にある職員または機密の事務を取り扱う職員とこれらの職員以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができないこととするほか、次に述べる登録制度との関係において、その身分について係争中の離職者等の職員団体加入及び職員でない者の職員団体の役員就任が否定されることのないように改めることであります。第三に、職員団体の登録制度及び職員団体の交渉につきまして、その手続及び要件等必要な事項を法定することといたしました。新たに法定されることとなるものの内容は、現在人事院規則で定められております事項とおおむね同様でございます。第四に、公務員は、本来その職務に専念すべき義務を有している基本的性格にかんがみ、職員団体の業務にもっぱら従事することができないものといたしましたが、所轄庁の長が相当と認めて許可を与えた場合においては、職員としての在職期間を通じて三年をこえない範囲で、登録された職員団体の役員としてその業務にもっぱら従事することができることといたしました。なお、この法律施行後二年間は、経過措置として従前の例により登録された職員団体の業務にもっぱら従事できることといたしております。
次に、人事行政機構の改正でありますが、新たに内閣総理大臣を中央人事行政機関の一つとし、現在人事院の所掌とされている国家公務員の能率、厚生及び服務に関する事務の一部並びに大蔵大臣の所掌とされている退職手当及び特別職の国家公務員の給与に関する事務等を所掌するほか、各行政機関が行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整を行なうことといたしました。これに伴い、これらの事務について内閣総理大臣を補佐する総理府総務長官は国務大臣をもって充てることに改め、総理府総務副長官を一人増員するとともに、その事務を担当する部局として総理府に人事局を設置することといたしました。
なお、人事院につきましては、若干の所掌事務を内閣総理大臣に移管することといたしましたほかは、すべて現行どおりこれを存置することといたしております。
この法律案は、以上の趣旨に基づきまして、国家公務員法及びその他の関係法律の改正を行なうとともに、必要な経過措置を規定いたしたものであります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/7
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008・大橋武夫
○大橋委員長 次に、自治大臣吉武恵市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/8
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009・吉武恵市
○吉武国務大臣 地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
この改正案は、今回、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、同条約の趣旨を実現するため、国家公務員の職員団体に関する規定の改正に準じて、地方公務員の職員団体に関する規定を改正するとともに、これに関連して所要の規定の整備を行なおうとするものであります。
第一に、職員団体とは、職員が、その勤務条件の維持改善をはかることを目的として組織する団体またはその連合体をいうものとし、その性格を明らかにいたしたことであります。また、第八十七号条約の趣旨にかんがみ、職員団体がその目的を達成するために必要な要件である自主性を確保するため、管理もしくは監督の地位にある職員または機密の事務を取り扱う職員と、これらの職員以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができないものといたしたのであります。
第二は、職員団体の登録についてであります。職員団体が所定の要件に適合している場合には、一定の手続によって登録される現行法のたてまえは変更いたしておりませんが、登録に関する事務は、人事委員会を置かない地方公共団体においては公平委員会が行なうことといたしました。なお、第八十七号条約の趣旨とする代表者自由選出の原則に照し、職員でない者の役員就任を認めている職員団体をそのゆえをもって登録の要件に適合しないものと解してはならないことを明らかにいたしております。
第三は、職員団体の交渉についてであります。地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から適法な交渉の申し入れがあつた場合においては、その申し入れに応ずべき地位に立つものとし、交渉の対象とすることができない事項、職員団体が交渉することのできる当局を明確にいたしますとともに、交渉に当たる者、その員数、議題、時間、場所その他交渉が正常に行なわれるために必要な手続及び条件を規定し、交渉における秩序を確保し、よき労働慣行の確立に資することといたしたのであります。
第四は、在籍専従度制についてであります。職員は、その職務に専念すべき義務を負う公務員としての基本的な性格にかんがみ、職員団体の業務にもっぱら従事することができないものといたしましたが、登録を受けた職員団体の役員としてもっぱらその業務に従事することについて、任命権者が相当と認めて許可を与えたときは、この限りでないものといたしたのであります。在籍専従の期間は、職員としての在職期間を通じて三年をこえることができないこととするとともに、在籍専従職員は休職者とし、休職者とされている期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入しないものといたしました。なお、この法律施行後二年間は、従前の例により、在籍専従を許可することができる旨の経過措置を設けることといたしております。
第五は、職員の給与の支払いに関する事項であります。職員に対する給与の支払いについては、労働基準法に定められておりますが、この改正案においては、国家公務員の場合と同様のたてまえで、給与の支払いについての原則を地方公務員法自体において規定することといたしたのであります。
以上のほか、地方公務員の職員団体に関する規定の改正に伴い、教育公務員特例法の一部を改正する等所要の規定の整備をはかることといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/9
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010・大橋武夫
○大橋委員長 以上をもちまして、各案件の趣旨の説明は終わりました。
質疑は次会に譲ります。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804313X00219650406/10
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