1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十二日(月曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 保科善四郎君
理事 小笠 公韶君 理事 二宮 武夫君
川野 芳滿君 佐々木秀世君
中野 四郎君 野原 正勝君
橋本龍太郎君 八田 貞義君
山村新治郎君 山本 幸雄君
肥田 次郎君 細谷 治嘉君
門司 亮君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁水
資源局長) 鈴木 喜治君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
通商産業事務官
(企業局長) 島田 喜仁君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部長) 馬郡 巖君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(環境衛生局公
害課長) 橋本 道夫君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部産業公害課
長) 平松 守彦君
自治事務官
(行政局行政課
長) 倉橋 義長君
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四月十二日
委員宇野宗佑君、江崎真澄君、熊谷義雄君、福
田一君、村山達雄君及び角屋堅次郎君辞任につ
き、その補欠として橋本龍太郎君、佐々木秀世
君、山村新治郎君、中野四郎君、八田貞義君及び
細谷治嘉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐々木秀世君、中野四郎君、橋本龍太郎君、
八田貞義君及び山村新治郎君辞任につき、その
補欠として江崎真澄君、福田一君、宇野宗佑君、
村山達雄君及び熊谷義雄君が議長の指名で委員
に選任された。
四月十二日
理事角屋堅次郎君同日委員辞任につき、その補
欠として二宮武夫君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
公害防止事業団法案(内閣提出第九七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/0
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001・保科善四郎
○保科委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任の件についておはかりいたします。
ただいま理事一名が欠員となっておりますので、その補欠選任をいたしたいと存じます。先例によって委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/1
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002・保科善四郎
○保科委員長 御異議なしと認めます。よって、二宮武夫君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/2
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003・保科善四郎
○保科委員長 公害防止事業団法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/3
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004・肥田次郎
○肥田委員 目下審議中の公害防止事業団につきまして、その審議に入る前に若干聞いておきたいことがあるのであります。
それは、産業公害問題というのは、実は政府がこの問題を取り上げたのはきわめて最近であるけれども、一般には早くからこの産業公害対策というものが唱えられておった。にもかかわらず、これらに対する具体的な対策がないままに、やっとここで事業団をもってこの問題の一部を解決しよう、こういう程度のものですから、この内容が本質的にきわめて不十分だという印象を強く受けるのであります。今日の状態の中でわれわれが考えられることは、こうした政府の行政上のそごからきた問題、あるいは企業者としての措置に誤りがあったような場合、こういう場合に起きた問題については、すべてこれは国と企業者がその責任を持つべきである、こういうふうに考えるのであります。したがってこの問題のとらえ方というものを、そういうところからとらえて、そして具体的な解決をはかっていく、こういうふうにならなければいけないと思うのです。
こうして事業団というものができましたが、私はこれから本質的な問題に入りたいと思います。まずこの事業団の理事長と監事、こういうふうなものについての任命権といいますか指名権というものが、厚生大臣と通産大臣、こういう俗にいうトロイカ方式といいますか、二人の大臣でこれを指名するということになっておる。これは簡単な問題のようですけれども、こういう形で実際にその理事長あるいは監事の指名がうまく行なわれていくのかどうか、こういう点にまず疑問を持つのです。これはそれぞれについて、たとえば厚生大臣にこれは一体どうなんです、こういうことをお聞きするのもなかなかむずかしいだろうと思うし、通産大臣も同じことだろうと思います。要は、理事長あるいは監事というふうな人的指名を両大臣で指名しなければならぬという形は、どういう着想からこういうふうにおきめになったのか、まずその点から質問を始めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/4
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005・神田博
○神田国務大臣 いまの肥田委員のお尋ねでございますが、この公害防止事業団の責任者、理事長または監事の任命につきまして、厚生、通産両大臣が共管でございますのでなかなかきめにくいのじゃないかというような御趣旨にも承ったわけであります。
これは、この種の公団等におきましては他にも例がございまして、大体うまくいっていると申しましょうか、そう大きな支障はなくいっているようであります。この事業団にいたしましても、御承知のように、公害防止の完ぺきを期するということになりますと、厚生省だけの力でもなかなかいけないところがございます。同時にまた、通産省だけで公害防止を完全にやるというわけにまいらない面がございます。両省の共管でございますので、したがいまして人事問題につきましても両大臣が協議してきめる。理事長、監事の責任者をきめることすら両大臣が意思疎通を欠くようなこともしありとすれば、この公害防止事業団の仕事自体が十分その機能を発揮することができないのじゃないか。でございますから、私どもをして言わしむるならば、この公害を完全にひとつ防止しよう、こういう面から考えますと、両省間の協議というものは、そういった最高目的に沿うために一致いたしておりますから、その機能もまた必然的に、お互いに主張すべきものは主張し、また譲るべきものは譲って、円満に人事の運行ができる、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/5
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006・肥田次郎
○肥田委員 私はこの厚生及び通産両省がこの事業団を共同管理するということについては、これはその他の面についてはそうあるべきだと思うのです。ただこの第九条それから附則の第二条で、両大臣が理事長あるいは監事を指名あるいは任命する、こういうことについては、何も他の条項がそういうことになっておるからということで、そうやらなくてもいいような気がする。これはたいして論争の焦点にはならぬと思います。それぞれの表現、言いわけというものは幾らでもありますからいいと思うのですが、実際に一人の人を任命して、そうしてその人にこの仕事をしてもらおう、これが適役だということになれば、何も二人の大臣が持ち回りで、これでどうだろう、あれでどうだろうというような手間をかける必要はないのではないか、こういうことで、第九条と附則の第二条という関係については、これは一名で事足りるじゃないか、こういう感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/6
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007・神田博
○神田国務大臣 いろいろ疑問と申しますか、御心配をいただいておるわけでございますが、やはり先ほど来お答え申し上げますように、仕事自体の完ぺきをはかるには、両省が十分な、しかも緊密な連絡のもとに行なわなければならぬわけであります。したがいまして最高人事も両大臣が相談してやる、こういう趣旨でございまして、実際問題としていままでの他の公団の例を考えましても、そうもめるというようなことは考えられないわけでございます。これは一つの例でございますが、両方から適当な公団の幹部を推薦し合いましても、その中から最も適位者はだれかというようなことにしぼりましてきめるわけでございますから、理屈からいいますと、いまお述べになりましたようなことが想像できます、そういうような御心配の点はわからぬでもございませんが、実際問題としてこの辺の地位につく人は、社会的また経験的すべてを勘案いたしまして、これよりもこれがいいとか、あるいはあれよりもこれがいいとかいうことを常識的にしぼれる、こう考えておりますので、やはり両大臣の共管のもとに、そうして人材登用の道を用いておく、こういう趣旨と考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/7
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008・肥田次郎
○肥田委員 これは議論の応酬になりますからやめますが、そこでこういうことをお聞きするのは無理ですか。いま厚生大臣一人しかおられませんが、しからば、そういうふうにお考えになっておるのなら、これはいまも委員長のお話では、この月の中ごろにはこれを上げて参議院のほうへ回したい、こういうことなんです。そうして参議院を通れば直ちにこれが発効するわけなんですが、そうすると、この事業団の理事長というようなものについての目鼻というものは、これはいまこの場でお聞きするということになると無理ですね、二人で相談しなければならぬことですから。そういう際にどういう角度からこの理事長というようなものが浮かび上がってくることになりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/8
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009・神田博
○神田国務大臣 御承知のように、この役職員の予算は半年分計上になっておりまして、それに間に合うような人事を考えるというようなことになろうかと思います。そこでいまさしあたってどういうような者を採るかということにつきましては、まだ御相談の範疇に入っていないわけでございます。ただしいて申し上げれば、これはどなたにもそうおっしゃると思いますが、この種の仕事をやっていくのに一番いい人を選びたい。ただ御承知のように、それぞれいい人ほど就職先もきまっておりますから、どちらかひとつ譲っていただくというようなこともあり得ると思います。遊んでいる人の中からこれを見つけるというようなことは、私はむずかしいのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、選考の時期の余裕があります。下半期から始まるわけでございますから相当余裕がございますので、十分ひとつ両大臣で御相談いたしまして最も適任者というものを選びたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/9
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010・肥田次郎
○肥田委員 これも簡単にお聞きしたらそれで事足りるわけでありますが、当然こういう性質のものですから、理事長にその両面を兼備した適当な人があれば申し分はないのですが、たとえば生産面からの経験の深い人、それから衛生環境面からの経験の十分な方、こういう者が当然理事長あるいは監事、こういう面に出てくることになりますね。しかしおおよそどこかに、その目安というものがあるのでしょう。これはいま通産大臣もお見えになったから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/10
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011・神田博
○神田国務大臣 先ほど来ちょうど私からお答え申し上げておりますので、お答え申し上げたいと思います。
実はこの問題につきましては、まだ通産大臣と何も御相談いたしておりません。通産大臣のほうからいえば、私と何も相談していないということになろうかと思います。問題はいまおあげになった経験をどういうところに重点を置いて採るかという意味のお尋ねもございましたが、これはやはり私どもが今後どういうふうにするか御相談してきめるわけでございます。一応こういう方が適任じゃないかというものを持ち寄りまして、そうしてその中で、その中ならこれだという選び方になるのじゃなかろうか。理事長をひとつ厚生省へよこせとか、あるいは通産省でそれはほしいんだ、そういったセクショナリズムなことを考えないで、両方持ち寄って、そうしてその中の最適任者をお互いが推薦して、そうして歩調を合わせていきたい、私はこういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/11
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012・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ただいま厚生大臣からお答えしたとおり、私の立場といたしましても、相互に適任と思われる人を出し合って、そこで協議をし、円満に人選をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/12
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013・肥田次郎
○肥田委員 それでは中身に入っていきたいと思うのですが、この第三条に「事業団は、厚生大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」こういうふうになっているのですが、従たる事務所というものの概念についてお伺いしたいのです。たとえばこの従たる事務所というのは、具体的にいうとどういう地域に何カ所ぐらい置くような計画になっておるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/13
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014・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 この従たる事務所は、事業団が事業を実施する上で特に必要な場所を考えておるわけでございまして、たとえば事業団の事業の中には、共同処理施設をつくりそれを譲渡するという事業があるわけでございますが、その共同処理施設をある公害防止に必要な地域で実施をする、その場合に、その事業の内容によっては、従たる事務所をその地に設けることが必要である場合が生ずるわけでございます。そのようなところに事業団の従たる事務所をつくってまいるということでございまして、その事業が完成し、その地域の公害防止施設が一応事業目的を達成して譲渡が終われば、その従たる事務所はこれを閉鎖するというようなこともあり得るわけでございます。したがいまして、事業団の実施地域の場所につきまして、ただいまから予測することはできないわけでございますが、事業団の実施対象としましては、既存の産業の集中地域のほかに、新産都市、工業特別地域というようなところが対象となってまいりますので、予想としましては、これらの場所に従たる事務所が漸次できてまいることが予測せられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/14
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015・肥田次郎
○肥田委員 もう少しお伺いしますが、いまそういう計画というものは全然ないのですが、事業団としての事業計画というものは、大体のアウトラインというものはもうあるのでしょう。そうすると当然それに従って、名称はどういうことになるか。ここでは単なる従たる事務所、こうなっておるけれども、これは事業団の支所になるのか、あるいはどういう名称になるのか知りませんが、そういうものについての計画というものは当然あるのでしょう。それは何ヵ所ぐらいで、当面どういう形でやっていくかという、そういう点についてはまだ答えてもらうというところまで内容がいっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/15
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016・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 事業団の将来の構想といたしましては、少なくとも新産都市、工業特別地域を含んだ、現存の東京、横浜あるいは大阪というような従来の産業集中地域というものを含めた地域ということになるわけでございますが、一応具体的に昭和四十年度の事業として、二十億の事業内容として考えておりますのは、そのような広い地域でございませんで、京浜並びに千葉とか、あるいは阪神地域、四日市等が一応対象になるわけでございます。しかも事業が直ちに建設に着手するかどうかというようなことともにらみ合わせまして支所をつくってまいるわけでございますので、今日の段階で支所が何カ所ということは申し上げにくいわけでございます。また、ある程度事業が片づきましたところでは、すでに支所をつくりましても、それは引き揚げて他の地区に移すことも考えられるわけでございまして、将来具体的に何カ所になるかということは申し上げにくいのでございますが、結局設置する個所としては、先ほど来申しておりますように、既存の産業集中地域と新産都市、工特地域と申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/16
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017・肥田次郎
○肥田委員 そういうことでしょうね。これは常設という形じゃなしに、地域によれば常設もあるけれども、逐次移動性を持っておる、こういうものが事業所というか、事業支所というのですか、こういうことになるのですね。
そこで、これはいまここで少し深めてお聞きすることが適当かどうかと思うのですが、ひとつ本質的な問題で、大臣もそれぞれ時間の関係もあることでしょうからお聞きしておきたいことがあるのです。この産業公害対策というものの重点と申しますか、既存施設に対する改良対策、それから新産都市に対するこれからの発生対策といいますか、こういうものについてはいずれに重点を置いてやられるということになりますか。これはひとつ両方の大臣からお考えを聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/17
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018・神田博
○神田国務大臣 私から先にお答えいたします。
これはどちらに重点を置くという性質じゃなく、どちらも平等に考えていく、こういうことになろうかと思います。ただ、手をつける順序からいいますと、あるいは既存のほうが先になるということはあり得るかもしれませんが、法のねらっているところは、どちらも同一の条件で考えていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/18
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019・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 厚生大臣のおっしゃるとおりでありまして、並行して行なっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/19
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020・肥田次郎
○肥田委員 もう少し詳しく考え方を聞かしてもらいたいのですが、たとえばわれわれがしろうと考えをしても、産業公害対策というものは、既存の施設に対して公害防止施設を実施するということになると、これはばく大な経費もかかる。これに対しては事業団の事業能力にもおのずから限度があると思うのです。事業団として行なわすべき事業の内容、それから国がやるべき具体的な対策の内容、この重点はいずれかということはないけれども、二通りのやり方があると思うのです。いわゆる既存対策と、それから新産都市なんかを中心にした、新しく発生することを予想したところの予防対策、こういうものがあると思うのです。これはどちらが重点というのではないけれども、しかしどちらも重点に考えてやらなければならぬ性質のものだと思うのですが、どういう構想でもってこれらに対する措置を考えていかれるのか。これが産業公害対策の基本でもあろうというふうに考えます。事業団をつくって、初年度は二十億、将来どれだけの金が事業団に注ぎ込まれるかわかりませんが、その点の基本的な考え方をまずはっきり聞かしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/20
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021・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 大臣から申し上げましたとおり、既存の産業地域のすでにできてしまっておる公害を防除するのと、これから新産都市が建設されようとする地域で予防的に公害対策を推進するのと、両方とも重点でございますが、性質がやや異なっておりますのは、既存の都市においてでき上がっておる公害を排除することは早急に手をつける必要はございますけれども、これを完全に防止の状態にもってまいることはなかなか容易でないわけでございます。一朝一夕にその目的を達成することは容易でございません。相当長期の計画で、相当ばく大な資金を使い実施する必要があるわけでございます。それに対しまして、新産都市のような地域におきましては、あらかじめ都市計画を設定する際に公害を起こさないような計画を織り込むことによりまして、ほとんど完全に近いほどの公害防止対策をとることができるわけでございます。したがいまして、その計画に基づいて新産都市計画が遂行され、企業側もその計画をよく守るということであれば、公害はおおむね防除できるわけでございまして、その意味合いからすれば、むしろ新産都市なり工業特別地域の公害防止対策のほうが、公害が発出しないで早く進められるということでございまして、かりにこの事業団がまず手をつけ、しかも事業団の相当大きな経費がむしろ既存の公害処理のほうに多く費されるとしましても、この防除の目的を達成するというのはなかなか長期を要するであろう、かように私どもは予測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/21
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022・肥田次郎
○肥田委員 この関係はよくわかるので念のためにお伺いいたしておきたいのですが、生産面を担当しておられるところの通産省のほうでは、これは口が悪いのですが、産業公害の出しっぱなしになる。厚生省のほうはあと始末ということになると思うのです。したがって、あと始末ということではなしに、厚生省としても事前にとるべき対策というものがあるだろうし、それから通産省にしてもいわゆる新産都市などのような場合には、それぞれの施設が行なわれると同時に、これらに対して必要な施設を命令してやらすということになれば、より一そうこの具体性、積極性というものが出てくるのですが、こういうことについて、将来のいわゆる公害対策について、今日までのようなやり方を若干修正するというような形でこれからもおやりになるのか、そうではなしに、何かもっとすっきりした、具体的な考え方というものを明らかにして公害対策というものをおやりになるのか、この点どういうふうにお考えになっておるのか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/22
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023・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 わが国の公害問題は最近になって非常に大きな問題となってきておるわけでございますが、今後さらにこれが増大していくことが予測されるわけであります。それは新しい産業開発地域、また新しい産業が既存の都市にできるような場合があるわけでございます。これは少なくとも予防的にこれらの新しい産業が公害を惹起しないという手は、相当強く打ち出していく必要があると私ども考えておるわけでございまして、それには新産都市、工業特別地域においてあらかじめ計画を立てるときに、絶対に公告を起こさない、かたい決意をもって計画を設定する必要があるということから、通産省も厚生省も、それらの地域の予備調査をする予算を相当程度計上いたしまして、しかも計画の設定にあたりましては、各省にその計画の承認を求めてまいるわけでございますが、その際に公害防止について十分配慮しまして、この計画であれば公害は起こらないということを念頭に置いて計画を承認いたしておるわけであります。その計画に基づいて、地方公共団体並びに企業側がその線に沿った産業開発をやっていただければ、公害は起こらない。ただその際いろいろ資金のめんどうを見るとか、地方側が相当の経費を負担するとかいう実際上の問題は起こりましょうが、そういうことで今後わが国にこれ以上はなはだしい公害が起こらないというような予防的な部分には、かなり私どもとしても重点を注いでまいりたい。既存の隈田川とか四日市とか、こういうものも当面相当大きな問題でございまして、これに対しても大きな力を注いでまいりたいと思っておりますけれども、少なくとも新しく公害を発生させないということに対しては特に力を注いでまいりたい、かような考え方で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/23
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024・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 ただいま厚生省から答弁のありましたことにつけ加えまして御説明申し上げたいと思います。
ただいま大臣並びに環境衛生局長から御説明がありましたように、既成工業地帯と新地帯とは並行して公害防止につとめることは当然でございますけれども、いま話のありましたほかに、基本的には公害の発生する源で公害を防止しなければならぬ。そのためには、水質汚濁につきましても、大気汚染につきましても、その他の公害みな同じでございますが、これを防止する技術を開発しなければならぬ点が一つの大きな問題でございまして、ここを基本的に解決しない限りは、公害の発生をその発生源において除去することができません。そういう意味で技術開発を通産省といたしましても、前向きで思い切って早急にしようという方向で考えておるわけでございます。世界的にもまだこの公害防止技術というのは完成をいたしておりませんので、この点はよほど官民ともにこの技術開発に取り組まなければならぬということになっておりますので、通産省といたしましては、新しく通産省傘下の試験所をさらに強化をいたし、特に資源技術研究所には産業公害防止技術部というものをつくりまして、これが中心となって傘下の試験所を動員しまして技術開発に専念をいたしたい。それからただいま説明がございましたように、この事業団では既成工業地帯、特に集中的に公害が発生する地域を対象にいたしまして、早急に公害を防止することをたてまえにしておりますが、新しく実施をする地点においては、事前に公害防止を予防することが、経済的にも国の効率から見ましても、そのほうが効率的でございますので、そういう面では科学的な事前調査をするということに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/24
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025・肥田次郎
○肥田委員 いまの両省の考え方は、今日までの一つのそういう方針ということなのか、それをただ方針としてこれからも踏襲をしていこうというお考え方なのか。いまたとえば通産の考え方のように、産業公害を防止するような産業の技術開発、こういうものはただそういうことだけで指導していけますか。何かそれに対する基本的な方策というもの、諸規定というものを明らかにして、それに基づいてやりながら、片面では実際に産業面の開発をやっていく、こういう両面の対策というものが必要であることは当然だと思うのですが、いままでのような形で十分成果をあげられるというふうにお考えになるのですか。私がお聞きしたのはそういうことではなしに、新しい着想のもとに、たとえば産業公害対策というものをもっと法律化したものの中から具体的に成果をあげていく、こういうところまではお考えになっていないかどうか、こういうことをお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/25
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026・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 御承知のように、法律的には水の関係では水質保全法がございまして、それに基づいて各省が工場排水法という形で規制をいたしております。それからばい煙につきましては、御承知のように通産省と厚生省の両省で、ばい煙規制法というものができておりまして、これをさらに強力に運用をしていくことが一つでございますが、ただいま申し上げました公害防止技術の面につきましては新しく部を設けましたり、全体を総合して総合的な研究を推進する調整官をつくったり、その他、試験所を人員的にも予算的にも強化しております。さらに私どもといたしましては、従来考えておった公害対策をさらに基本的に検討するために、通産省に産業構造審議会というのがございますが、この産業構造審議会の中に産業公害部会というものを設けまして、この基本的な問題を目下検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/26
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027・肥田次郎
○肥田委員 現在のところ、いうところの水と煙、これらに対する規制というものはできています。ところがその他には、これを具体的に規制するはっきりしたものはないのですね。一つの考え方を示しているという程度です。これは本来ならはっきりすべきなんだけれども、いろいろな面からこれが実施し得ない、こういう実情だろうと思うのです。ですから結局中途はんぱなものになる。ただ良心的な措置にまつ、こういう形になっておると思うのですが、それらをもっと明確にするお考えはないのか、こういうことです。厚生省あたりにしても同じです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/27
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028・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 公害防止に対しまする国と地方公共団体あるいは企業というものの責任なり、それぞれの分担分野を明確にする、あるいは公害防止に対する基本的な施策を明快にするというような意味合いから、公害に関する法的なはっきりした規定というものをどう考えるかという御質問かと思いますが、今日の段階におきましては、公害防止をはっきり目標にしました法律は、ばい煙規制法並びに公共用水域の水質の保全に関する法律、あるいは工場排水に関する法律というような程度でございまして、なお公害には騒音、悪臭その他諸要素がございます。また、それらの既存の法律におきましても、責任分担とか費用負担区分というものの明文もないわけでございまして、それらのものを十分考えた広範囲な法的規制というような形の公害対策の樹立ということも十分考えられるわけでございまして、私どもとしましてもそれらの点は今後十分検討してまいりたい、かように考えてはおりますが、当面は既存の法律のできるだけの実施ということで、この事業団をそのてこ入れと申しますか、裏づけと申しますか、そのような事業をするように役立たせたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/28
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029・肥田次郎
○肥田委員 これはこのくらいにしておきます。
そこで、今度は二十五条の関係で聞きたいのです。事業団の損益の処理のことが二十五条一項二項でうたわれていますが、ずばりお伺いするのは、一体この事業団というものは採算性を考えたところの事業団にするのか、そうじゃなしに、はっきりと非採算性のもとに運営をしていくというふうに考えておられるのか。この点は、簡単にはっきりと答えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/29
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030・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 この事業団の本来の性格並びに事業団の事業費に対して国の交付金があるというようなたてまえから考えまして、事業団は利益を考えるような運営をすべきでない、かように考えておるわけでございまして、もしもそのような利益が生ずるような事態でございますれば、当然それは貸し付け条件その他で考えて、利益を生じない公的な事業として推進すべきだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/30
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031・肥田次郎
○肥田委員 そういうことだろうと思います。事業団ですから、ここでは文章上ああいうことになっておっても、これはあくまで非採算性な事業団であって、すべて公共の目的を達する、こういうことでなくてはいけないと思うのであります。
そこで、そういう形の中で、本年度はこれから発足するわけですから二十億ということになると思うのですが、四十一年度以降の実際に事業団が動き出した状態の中での事業団の事業規模というものは、どういうふうに考えたらいいでしょう。それから同時に、この事業団の当面の職員というのですか、人的構成というようなものはどの程度のものを考えておられるのか、これもあわせてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/31
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032・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 本年度は半年分の事業を予測いたしておりますし、なお事業開始早々でございますので二十億でございますが、この事業団の将来計画としましては、この事業団に与えられた任務を遂行するに十分な資金を私どもとしては当然考えざるを得ない。今日の段階で、それがどの程度になるかということは具体的には申し上げかねるわけでございますが、この事業の目的が達成できるように、十分公害防止の企業の共同施設に対処できるような事業規模にいたすべきである。かように考えております。当面この事業団の職員としましては、約四十名程度を予測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/32
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033・肥田次郎
○肥田委員 これがよくわからぬのですが、しからばこの事業団の事業というものは、どういう経路になりますか。たとえばこの事業計画は、事業団が発足してからまず最初の事業計画については当然通産、厚生両省からその事業の内容について承認をもらうということでございますね。その間の事務的な仕事だけでも、四十名くらいじゃどうにもならぬのじゃないですか。それで一体できますか。
それからもう一つは、そうなってみるとおのずから明らかなように、この事業団が、たとえば諸施設の事業、工事、こういうものを直接やるわけじゃないですから、それらは当然それぞれの専門の事業者、専門でなければ専門に近いものを入れてきて、これを技術指導して、そしていろいろと施設を完成していく、こういうことになるのですが、その経路というものをわかりやすくひとつ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/33
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034・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 この事業団の十分な活動が四十名程度では不十分であることは、お説のとおりでございますが、当面事業団の事業開始にあたって、本年度分として四十名程度を計上しておるわけでございます。この事業団の事業は、お話にございましたように、みずから技術者を擁し、労務者を擁して建設事業をするというやり方をいたしませんで、建設すれば直ちにこれを譲渡することでもございますし、みずから管理運営することもいたしませんので、計画を立て、また事業の監督をするということが主たる業務になるわけでございます。また、貨し付け業務は金融機関を利用いたす予定でおりますので、貸し付け事業に対する職員はそれほど多くないわけでございます。したがいまして、事業の流れといたしましては、中央で事業計画を立て、その計画に基づいて企業者にその施設の造成をしてもらい、その事業に対する監督を事業団がいたし、またそれを譲渡する事務、譲渡した施設に対する返還金の取り扱いというようなことをし、また貸し付け業務は貸し付け計画に基づいて金融機関にこれを委託する、このような仕事の流れで進めていくつもりでおります。しかしながら、四十名程度でございますと、その活動の分野はごく狭い範囲に限られるわけでございまして、御説のように、今後広い地域に事業団が手を伸ばす段階になりますと、これではとうてい不十分である、かように考えております。その際にはそれに必要な人員の増加を必要とする、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/34
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035・肥田次郎
○肥田委員 この点よくわからぬので、ひとつあとから専門家の門司さんあたりにさらに確認してもらいたいというふうに私は考えておるのですが、もうちょっと詳しくお伺いをすると、結局この事業団の事業の内容については、こういうふうに考えたらよろしいですか。通産省それから厚生省、とにかくこういう関係の認許をもらって、そして仕事に手をつけていくということ、その前にいろいろ改良を要する、あるいは施設を要するものについては、それぞれの条例あるいはその他のものに従って直接厚生省、通産省が扱う場合のものと、それから都道府県に移管をされてやっておるものと、そういうもののいろいろな連携のもとに、事業団が手をつけるべき仕事の内容というものが決定せられていく、こういうことで、事業団として積極的に行動する条件というものは持っていないのですか。その点もっとわかりやすく経路を説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/35
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036・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 ちょっと御質問の点で、あるいは私のほうで勘違いすると恐縮でございますが、要するに、ばい煙の規制法あるいは工場排水法というのは、御承知のように、公害を防止するために規制する法律でございます。ところが事業団は、むしろ規制ではなしに、公害を防止するために国が財政資金を投入し、しかも個々の企業でなしに、できるだけ効率的に目的を達するために、共同施設というものを中心にいたしましてこれに財政投融資をつぎ込む、こういう考え方でございまして、実はそのねらいが違うわけでございます。
それからいまお話しの四十人では少な過ぎるではないかという問題に関連しまして、事業団はどういう経路で運営をしていくかというお話がございましたが、まず事業団がいまの過密地域におきまして事業団の目的に沿って計画をつくりまして、その計画をつくりましたのをいよいよ実施する場合には、国が事業団を指導いたします。そこでこの事業団が地方公共団体あるいは企業等と相談をして、国の指導を受けて計画をつくって実施に向かうわけでございますが、その設計につきましては、事業団がこれを設計するわけでございます。設計をした場合に、おそらく共同設備等につきましては工事請負業者に請け負わせることになるかと思います。そういう面は事業団がやらずに請け負わせる。そうしてできますと、企業の設備につきましては企業にこれを譲渡いたしますから、譲渡してから企業が運営するわけでございまして、その監督を事業団がする。それから福利厚生施設については事業団が地方公共団体に譲渡する、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/36
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037・肥田次郎
○肥田委員 私の考えておるところもそう違いはなかろうと思うのですが、もっとわかりやすく言うと、事業団というものは、国が考えるところのいわゆる公害防止のいろいろなものについて、これを具体化する仕事だけをする、こういうことですね。それ以外に積極的な行動というものは事業団には何にもない、こういうことになるのでしょう。いわば下請会社のようなもので、ただ仕事をもらって初めて仕事をやる、こういう単純なものが事業団だ、こういうふうに考えればいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/37
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038・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 御承知のように、公害問題というのは非常に複雑多岐で、特に既成工業地帯等につきましてはなかなかむずかしいわけでございます。公害についての考え方は、生活環境をよくして住みよい社会をつくっていかなければならぬ。一方、やはり日本経済が発展するためには産業も振興しなければならぬという問題を調整しながら、よき社会をつくっていくわけでございますが、その考え方とこれを実現する手段ということになると非常にむずかしい。しかも、これを実施するということは非常にむずかしいわけであります。その公害を防止する一つの考え方に沿って、実はいわゆる実働部隊がなければならぬのです。したがいまして、この事業団は、そういう公害防止の国の方針に沿ってその実働部隊になるという考え方でございます。と申しますのは、たとえば東京について申しますと、隅田川周辺の現状を見ますと、中小企業が非常に多いわけでございます。汚水を排出する中小企業が非常に多い。中小企業にみずからやれといいましても、すでにそういうところに住みついて生産活動をやっておるわけですから、簡単にはいかぬ。そのためにはやはり共同で設備をつくったほうが、経済的にも効率的だということになりますと、やはり共同施設が必要になってくるわけでございますから、共同施設をみんな一緒になってつくろうという一つの施策を、事業団が実際に実施をするわけでございます。国が全部そういう問題について実施するわけにまいりませんので、事業団がこれを実施をする。必要がありますれば工場をみんな集団化をするとか、あるいはどうしてもいかぬ場合には、隅田川周辺から新しい土地を求めて工場が移転をしていく、その移転先の土地も考えなければならぬ、それに必要な金も融資しなければならぬ、こういうような問題を実際にこの事業団がやるわけでございまして、これは公害防止の国の方針に沿ってできるだけ早急に効率的にやるには、個々の企業だけではできないから、ひとつ事業団が効率的な実施をいたしましょう、こういうかっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/38
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039・肥田次郎
○肥田委員 そうすると、第三章の業務の中の十八条の五号の範囲、それ以外の仕事に対する能動性というのですか、こういうものはこの事業団には何もないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/39
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040・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 例をたとえば隅田川周辺にとりますと、この地域に生じております水質の汚濁を防止するというような大きな計画は、ただに公害防止事業団の事業の範疇の中で処理できるものではございませんで、下水道事業あるいは隅田川の水路を増加する事業、その他個々の企業、ことに大きな企業は個々に防止施設をつくるというような事業、それらを包含して事業団の事業も含めた大きな公害施策が要るわけであります。したがいまして、事業団だけが隅田川地区の公害防止計画を持ち、それによって隅田川が浄化されるという計画が樹立するわけではないわけであります。したがいまして、公害防止計画は国みずから地方公共団体と協議をして設定するわけでございます。その基本線に沿ってこの部分を公害防止事業団に分担してもらう、こういうことになるわけでございます。その分担範囲内におきまして、事業団が計画を立て、実施をしてもらう、こういう筋合いになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/40
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041・肥田次郎
○肥田委員 私がお聞きしているのは、事業団のいわゆる能動性の範囲ともいうものは一体何なのかということなのです。もちろん、産業公害対策という、いわゆる産業に限らず、公害対策というものはすべて国がやらなければならぬというたてまえであることは、これは当然だと思うのです。せっかくこうして事業団をつくる以上は、事業団がもっと何か積極的にやれる範囲があってもいいのじゃないか、こういうことで、その内容が一体あるのかないのかということをお聞きしているわけです。ですから、いまここで言われることは、いわゆるそれぞれの政府機関、こういうものから与えられたものだけをやるのが事業団だ、こういうことになるのか、そうではなしに、もっと事業団としては能動性は持たされるのか、こういうことを聞いておるわけなんです。いいかげんなものならば、事業団をつくらなくても、それぞれの指定業者にやらしたって足りるのですよ。それを事業団をつくるというのですから、何か事業団にもっと積極的なものが許されるだろう。それでこそ初めて事業団というものが生きていく。それでなければ、下請会社、というよりも指定会社にやらしたらいいのです。たとえば水処理については横浜にある栗田工業汚水処理研究所ですか、向こうへやらしておけばいいじゃないか、こういうことになるのです。何も事業団までつくる必要はないじゃないか、こういうことになる。事業団をつくる必要性というものは一体どこにあるのか、こういう点を私ははっきり聞きたいので、いろいろと質問したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/41
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042・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 第十八条に、業務の範囲というのが書いてございます。事業団はこの業務の範囲内の事業をするわけでございますが、先ほど申し上げましたように、その範囲内で最も実効のあがる計画をつくるのは、この事業団がやるわけでございます。国がやるわけでございませんので、専業団がその範囲内では、どうしたならば能動的に公害防止ができるか、あるいはばい煙の問題につきましても、汚水処理の問題についても事業団がやるわけでございますが、ただ業務の範囲はここに書いてあるように限定されておるわけでございます。御承知のように、公害問題につきましては非常に範囲が広いわけですから、事業団で全部実施するというわけにはまいりません。たとえば、先ほど環境衛生局長からお話がありましたように、下水道の問題等につきましては、これは事業団以外の仕事でございますから、そういういろいろな総合的な技術開発の問題もございます。ただ、ここでは事業団法に掲げてある業務の範囲内で、事業団は能動的に自分みずから計画をつくって、しかも先ほど申し上げましたように、これを実施をいたしてまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/42
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043・肥田次郎
○肥田委員 いま二宮委員から、双方の表現のしかたが違うじゃないか、こういう——私は、あとのあなたの言われることなら大体それでわかるのではないか、内容のよしあしは別にして筋書きはそれで了承できた。こう思うのですが、いま二宮委員からもああいうなにがありましたが、その点はそういうふうに理解をしていいのでしょうね。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/43
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044・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 両省同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/44
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045・肥田次郎
○肥田委員 同じことだということは、あなたが言ったのじゃぐあいが悪いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/45
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046・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 十八条の業務について事業団が計画を立て、実施をするわけでございます。同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/46
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047・肥田次郎
○肥田委員 私が聞いているのは少し中身を開いたのです。第三童の十八条のこの条文は、これは読めばそのとおりです。ところがその中身を聞いたわけでして、両者の間に食い違いがなければ、これはまた私は私の意見として別にありますけれども……。
そこで、ちょっと話が横道にそれますが、公害と称するものについてはいろいろあると思うのです。たとえばこの事業団が当面取り上げる事業の目標というものは一体何なのか、こういうことをこれは最後にお聞きをするわけなのです。私の住んでおる堺市は、御承知のように、急速な臨海開発によって、わずか三十万前後の都市であったものが八十万あるいは百万の都市としての構想がここに立てられておる。そして、それらはもうほとんどが重化学工業である、こういうことになるのです。こういうところについて、いわゆる事前措置というものはどういうふうに講じられておるのか。これは私のほうへ具体的に実は資料を送ってきております。堺市の保健部長の大脇六郎という人が、いろいろと資料を送ってきております。三十九年度中に公害陳情の数だけでも百十一件あった、こういうふうにしてその内容を詳細に送ってきています。ここではやっとことしになって産業公害対策の協議会も発足する、こういうことなんですが、これらは、現在、中途はんぱな形ではあるけれども、いわゆる臨海都市としては千葉に次ぐような規模で、それからそれだけの計画というものを持っておるのですが、これらはどうしますか。どういう具体的な指導をおやりになる考え方ですか。たとえば、関西電力の発電所、あるいはゼネラル石油、こういう巨大なものがここにできるわけです。いまできつつありますが、こういうものに対して事前措置というものがどういうふうに講じられておるのでしょうか。わかっておったら、ここではっきりしていただきたい。
それからもう一つは、これも関連して。実は私は専門家じゃありませんからよくわかりませんが、この堺の埋め立てというものが非常に大きな影響を及ぼしておる。いわゆる産業公害だと思うのです。本来この地盤沈下というものは、大阪湾の周辺、特に尼崎から堺あたりにかけて非常に顕著でした。これらの地盤沈下は一応工業用水の規制によって小康を得たような状態ではありますが、実はこの数年来、こういう特異な情勢が出ています。堺が埋め立てを大体完了し、それからこの隣接しておるところの泉北地域もいま盛んに埋め立てをやっておる。その結果、堺を中心にして堺から泉大洋というのがちょうど一つの大きな湾のような関係を持っておる。そこで特に地盤が沈下したという調査はしておらないけれども、満潮時において従来より非常に水位が上がってきた。いわゆる水ぶくれというか、片一方で海流の関係があって、それが埋め立てによって押えられたものだから、自然その間にたまるところの水位がふくれてきて高くなり、そしていままではいろんな関係でつけておったところのいわゆる調節用の水門を、常時締めておかなければいかぬようになった。台風なんかのときはもちろんですが、満潮時に水門をあけると海水が逆流してくる、そうして下水もふき出してくる、こういうことがここ数年来続いている。こういう公害は、地方にまかせっきりでそれらの施策を講じさしておくのか。これらについては強力な国の指導をやるべきだと思うのですが、そういうものに対しては一体どういうふうにお考えになるか。これを要約すると、この土地を埋め立てたために起こったところのいわゆる潮位の上昇についての対策を、公害として国がどのような解決方法を持っておられるのか。それから堺のような、新産都市ということとは別だけれども、既存の中には入らぬ半既存的なこういう発展過程にあるところの重化学工業地域においての公害防止の指導というものは、積極的にはどういうふうにおやりになるか、こういう点をお伺いしておきたいのです。聞くところによると、まず当面手をつけるべきところのものは、いわゆるこの汚水の浄化というものにこの事業団としては事業の主目標が当面置かれておる、こういうふうにも聞くので、それだけではこの事業団が生まれた価値がないではないか、もっと積極的に、多角的に事業団としてのこの事業内容というものを明らかにして、そして四十一年度からさらに強力な予算のバックのもとにこういうものに手をつけていく、こういう形にならなければいかぬと思うのですが、ひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/47
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048・馬郡巖
○馬郡政府委員 堺地区及び泉大津の関係でございますが、堺地区はすでにばい煙規制法の指定地域に指定いたしておりまして、各工場に対しましても、立地状況によりましていろいろ指導をいたしております。あそこで一番大きな施設の一つでございます堺化学につきましては、特に指導を強化しておりまして、煙突もあの地区は特に百五十メートルという相当高度の煙突を建てまして、煙の拡散をはかるべく、すでに現在工事をやっておるところでございます。さらにこのほかに、現在大阪府におきましても、御承知のように、昭和三十七年から専門委員会を設けまして、いろいろな調査をやっていただいております。そのデータも全部厚生省及び通産省に御連絡してもらっておりまして、この分析をさらに現在検討中でございます。
なおこの地区の今後のいろいろな問題を検討いたしますために、現在風洞実験を実施中でございますが、そういう従来からの大阪府でいろいろな御調査をいただきました気象関係その他のデータ、それから現在やっております風洞実験の結果というものを、さらに全部集めまして総合的に検討いたしまして、この地区の公害問題につきましての方向を出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
なお、地盤沈下につきましては、先生から御指摘ございましたように、工業用水道の布設につきましては、従来からかなり強力にやっておりますし、なお現在におきましても、さらに地盤沈下の状態もございますので、東大阪地区あるいは北摂地区あたりを新しく工業川水道法に基づく指定地域として指定いたしたいというふうに考えております。現在まで基礎調査をやっておるところでございますが、もう間もなくこの結論は出るものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/48
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049・肥田次郎
○肥田委員 工業用水の規制法によって堺市はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/49
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050・馬郡巖
○馬郡政府委員 堺市直接につきましては、まだ非常に大きな地盤沈下があるという報告を聞いておりませんが、今後東大阪の指定をいたしますならば、あの地区の問題は、どうも奥のほうの工業用水のくみ上げが原因ではなかろうかという見方もございますので、東大阪の指定と関連いたしましてその近所の原因を探求いたしまして適当な措置をとってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/50
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051・肥田次郎
○肥田委員 これはそれと関連してお伺いしておきたいのですが、堺市が臨海開発をやり、そうしてそれぞれ工場が生産開始をしてからここ二、三年の間に、その後背地である泉北地域の山間部で異常な渇水が起こってきたのです。井戸水が全部干上がって、簡易水道で何とかまかなっておったやつもどうにもならなくなる。結局原因は臨海開発地域に大きな井戸を掘られ、工業用水のくみ上げをやられたために、そういう後背地山間部の水が全部かれてしまったんだろうというのが、一応の考え方なんです。ですから飲料用水その他のものについては、何とか水道で補給する道はあるとしても、現実にこれがこのままほっておかれると、さらにこの地域にいろんな問題を起こしてくる、こういうふうに考えますから、先ほどの東大阪地区との関係と同町に、この堺地域の問題もぜひ調査の対象にしてもらいたい、こう思います。
それから最後にお伺いしたいのは、これは通産大臣と厚生大臣にお伺いしたいのですが、要は、こういうふうに事業団ができても、結局はこれに対してはすべて国がやらす、こういう経路を打つわけですから、本委員会、いわゆる産業公害特別委員会というものは、この法案が上がってしまえば、これでもう必要なしということになるのか、その点の考え方を承っておきたい。私が考えるのは、本質的に、この産業公害対策というものは生まれるのがむしろおそかった、おそきに失したのですから、この特別委員会という名称はともかくとして、産業公害問題に対する専門的な委員会というものは、他の災害対策と同じような形で今後存置しておかなければ、こういう問題をそのときそのときに適切に強力に措置するということは非常にむずかしいだろう、こういうふうに考える。で、産業公害対策特別委員会がこの産業公害の事業団法案をつくるために必要なものであったら——こういう委員会がなくても、どこでもこの法案はつくれる性質のものだと思う。ですから、その点についてひとつ両大臣にはっきりしたお考えを承っておきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/51
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052・神田博
○神田国務大臣 ただいま、当委員会はこの事業団法の成立等によって廃止してもいいのか、われわれはそう思っておらぬがという、いろいろな事由をあげてのお尋ねでございましたが、当委員会をどうするかは、これは院議できめることでございまして、政府側といたしましてとやかく言う筋はないと思いますが、せっかくのお尋ねでございますので政府側の意見を申し上げます。
日本の公害対策というのはもうおそきに失しておる、おっしゃるとおりでございます。しかも産業構造の今後の変化と申しましょうか、大発展が約束されておる実情でございます。そういう意味からいたしますると、当委員会の活動分野というものは私は将来相当長期間に及ぶんじゃなかろうか、これにかわる何らかの制度ができますればこれはまた別問題といたしまして、現在の段階といたしましては、ますますその重要性は加わってくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/52
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053・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 本委員会の設置のことは、ただいま厚生大臣のおっしゃるように、国会独自の問題であろうと思います。しかしながら、私どもの立場から申し上げまして、今後公害問題が非常に重要である、またおくれておるということからいたしまして、取り返していかなければならない面があろうかと思います。かような点からいたしますれば、ただいまおっしゃられたような御趣旨で、今後委員会が一そう活躍するということは非常に好ましいことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/53
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054・肥田次郎
○肥田委員 この産業公害対策というものは、なかなか広範囲なむずかしい問題でして、私もごく限られた面で質問いたしました。なおこのお答えをいただいた面については、よくわからない面もありましたから、議事録などを参照した上で、あらためて質問の必要な場合には質問をさしていただく、こういうことで、きょうは私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/54
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055・保科善四郎
○保科委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/55
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056・細谷治嘉
○細谷委員 私は、昨日長崎県の伊王島炭鉱の爆発を見てまいったのでありますが、国会等でいろいろやかましく言われておるにかかわらず、炭鉱の大災害、爆発、こういう問題が頻発に近い形で起こっております。化学工場等でも昭和電工の爆発、三菱油化の爆発、あるいは富山の事件、塩素問題、こういう忌まわしい事件が起こっておるのでありますが、いま爆発等で人がなくなる、こういうようなことになりますと、かなり問題が具体化するわけでありますけれども、いま言っておる公害問題ということになりますと、なかなか具体的につかみにくい、いつの間にか長い間にやられる、こういうようなことで、これに対する取り組み方というのがずいぶんおくれておるということは、間違いない事実であろうと思う。四日市の問題、あるいは三島におけるような問題、こういうような問題までが出ておるわけであります。
まず、お尋ねいたしたいことは、先ほど肥田委員の質問に対して、そういう公害問題の中における、今度出されております事業団法の位置づけというものについては、ほぼわかったわけでございますけれども、公害問題というものは、もっともっとたくさんいろいろな問題があります。やはりもっと基本的な姿勢をはっきりしてこれに取り組まなければならぬというのが、今日の事態であろうと思う。
そこでまずお尋ねいたしたいことは、公害基本法、こういうようなものをつくる御意思があるのかないのか、これについて、両大臣に、時間も十分ないようでありますから、まずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/56
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057・神田博
○神田国務大臣 わが国の公害対策がおくれておることは、もうおっしゃるとおりでございます。むしろ政府がいま公害防止事業団をつくって真剣に取り組もうというようなことは、これは時宜に適したことでございますが、しかしその内容、規模等については、これは不十分であることは先ほど来質疑応答の際にも述べたとおりでございます。そこで、ほんとうに真剣に長期展望のもとに取り組むということになりますならば、やはり基本法をつくってやるというお考え方、これは私もその感を同じくするものでございます。しかし何しろ公害基本法をつくるということになりますと、いろいろの問題を十分検討いたして、しかる後にやらなければならぬことではないか。この公害防止事業団法案をつくるにあたりましても、そういう問題も十分検討したわけでございますが、それをやっておりますと、もう目先のことにも間に合わないというような問題がございますので、今回は公害防止事業団法案、この程度にとどめまして、この発足と同時に、いまお述べになったことは、ひとつわれわれ構想として十分検討して、そうして最善の方法をとりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/57
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058・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 公害対策が非常におくれておることはもとよりでございますが、しかしこれは国際的にも、この公害に対する取り組み方がずいぶん不足しておると思うのであります。公害についての実態というものがなかなか明らかになっておらない、あるいはまた、防止技術の開発等についてもおくれておる面が多々あろうと思います。でありますから、その基本法をつくる前提となるべき諸要素というものが、いまだ不十分であるのじゃないか、こういうふうに思います。さような点から、とりあえず今回の事業団のようなものをまず発足せしめる、こういうことになった次第でございますが、いずれ御趣旨の点に沿いまして、基本法も検討しなければならぬかと思います。また、現在このように各省にもまたがっておる事項でございますので、総理府などで連絡協議会をもちまして、大きく取りまとめて見ていく必要もあろうかというようなことで、そういう会議を現在では活用しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/58
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059・細谷治嘉
○細谷委員 佐藤内閣の非常な大きな政策の柱というのは、社会開発だ。社会開発の中における、住宅問題とかいろいろありますけれども、今日一番立ちおくれて、しかも一番問題点は、やはり公害問題、産業災害、こういう問題ではないかと私は思うのであります。いま両大臣のおことばによりますと、とにかく技術開発をこういう事業団でやっていく、たとえば降下ばいじんの問題とか、あるいはこれから亜硫酸ガスの技術を開拓しよう、さらには自動車の排ガスがどうなっているのか、こういう問題を把握しよう、一つ一つある程度めどをつけてから立法措置を講じて、そういう中において基本法というようなものをつくらなければならぬと、こういう御構想のようでありますけれども、私は、今日のこういう公害問題という問題からいって、やはり公害問題がどうあるべきかという基本的な姿勢をきめていく上において公害基本法というものをつくって、個々の問題については、それをもとにして掘り下げて立法措置を講じていく、こういう形をとるべきではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/59
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060・神田博
○神田国務大臣 いまのお考え方、むろん政府側といたしましても十分検討いたしたわけでございます。決してこの公害防止事業団をもってやすきについて当面をびほうしたというような考え方はないのでございまして、いま通産大臣からもお述べになったように、この公害問題の技術開発というものは非常におくれている。これは日本だけじゃなく、世界的におくれている。私どものほうも先般伊部審議官等をして海外調査に回ってもらったわけでございますが、その帰朝報告を聞いてみましても、やはり同じことで苦しんでおるようでございます。でございますから、基本法をつくるにいたしましても、まずその実態を把握する必要があるのじゃなかろうか、こういう観点でやはり一歩前進になりますか、数歩前進ということになりますか、この事業団を発足せしめて、そして取っ組んだ上で、いまお述べになったこと等々の問題を解決するために、いわゆる基本法をつくる、こういうような順序になろうか、これは議論の違いになるかもしれませんが、政府側の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/60
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061・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げたように、御趣旨の点について私ども反対はないのであります。しかし、公害というものの実態というものがなかなかまだ把握されておらない実情にある、こういうことからいたしまして、とりあえずの問題に取り組んでいきたいと、かように考えておるわけでありますが、現在産業構造審議会のほうで、公害問題についての基本的問題について検討してもらっております。これは近く答申が出ると思いますが、その答申が出ますれば御趣旨の線に沿えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/61
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062・細谷治嘉
○細谷委員 まだはっきりわからない点があるから、あるいはまた、外国ですらも技術開発がおくれているんだという通産大臣のおことばでありますが、重ねて通産大臣にお聞きしたいのでありますが、ある新聞の三月十四日に出ておることでありますけれども、通産省は石油化学など化学工場の大型化に対処して、その災害を防止するために、特定化学工業保安法案を本国会に提出する予定だ、ところが、大詰めの段階で、労働省側との意見が対立しているために国会提出を見送った、事実見送ったようでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、炭鉱の災害あるいは昭電なり三菱油化の爆発あるいは富山化学の問題等々、あるいは消防関係の新潟火災における問題、こういう点からいきまして、公害の問題についての技術開発というのが、おっしゃるように相当おくれておるということは私も認めますけれども、化学工場のこういう災害について、特定化学工業保安法というものを通産省がお考えになっているにかかわらず、各省の縦割り行政の問題、特に北炭の爆発に関連して、鉱山保安も含めた保安問題の一元化、こういう問題もあって、こういう重要な法案、しかも公害と同様に産業災害という問題、これは相当技術的に開発されているわけですから、これすらも立法化しないということになりますと、おっしゃるように、私が言う大網をかぶせて、それから個々具体的に掘り下げていくという、そういう方向には趣旨としては賛成だけれども、帰納的な問題として、一つ一つの問題を組み上げていって、そういう基本法にするのだという政府の考えは、どうもおことばどおり、額面どおり受け取れない姿勢があるのではないかという気がいたしますけれども、通産大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/62
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063・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 お尋ねの特定化学保安法について作業したことは事実でございます。これが自治省、それから通産省、労働省と多岐にわたります関係がございまして、結論が得られないままに、今国会の特殊性から提案を見合わさざるを得ないような段階に至っております。こまかく、どういうふうに作業を進めたかは、また機会を得まして局長からでもお答えさしたらよろしいかと思いますが、事実はそのようになっております。
なお、重ねて、公害基本法についての御意見でございましたが、実は、私どもとしても、そういう基本法がまずあって、それから個々の取り締まり等について考える、あるいは対策を考えるべきだと思うのでありますが、しかし、公害の発生過程をお考えいただきますと、なかなか公害をどういうふうに把握していくかということはむずかしいと思うのでございます。煙突が一本の場合はどう、これが十本だったらどう、密集地帯だったからそれによって公害になった、あるいは騒音にしても、都市においては騒音があっても、これが地方の町村ではどうというようなことにもなろうかと思うのであります。で、いま、一応公害対象となっているのは、ばい煙規制法による大気汚染の問題、それから水質法による水質汚濁の問題、先ほど局長も言われておりましたように、今後臭気の問題とか、騒音の問題とか、それから現在特定の地域における地盤沈下の問題、こういうふをに多岐にわたっておると思います。これを総括的にどういうふうに一本にするかということもなかなか困難性もございますので、産業構造審議会のほうにこれらの基本的な取りまとめをお願いしており、その答申を待っておるという実情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/63
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064・細谷治嘉
○細谷委員 特定化学工業保安法という問題については、かなり作業をされたにかかわらず、消防関係の自治省、あるいは労働保安に関連する労働省、いわゆる縦割り行政の弊で、早急に法案化しなければならぬ問題が見送られたということについては、まことに遺憾に思っておるわけでございますけれども、ぜひひとつ、この問題は立法措置が非常に立ちおくれておりますから、早急にそういう問題の調整をとって、前向きでこの近代化学工場の産業災害問題の基盤をつくっていただきたいということを特に要望しておきたいと思う。
次に、私がお尋ねをいたしたい点は、こういう問題についての法制上の問題について若干お尋ねしたいと思っておりますが、地方自治法の十四条にこういうことが書いてございます。第一項に「法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」こういうふうにございます。それから「普通地方公共団体は、行政事務の処理に関しては、法令に特別の定があるものを除く外、条例でこれを定めなければならない。」こう言っております。その次に、「都道府県は、市町村の行政事務に関し、法令に特別の定があるものを除く外、条例で必要な規定を設けることができる。」これを受けて「行政事務に関する市町村の条例が前項の規定による都道府県の条例に違反するときは、当該市町村の条例は、これを無効とする。」こういう条文がございます。かつて三十七年ごろかと記憶しますけれども、東京都がこういう公害問題に関連して、立法措置、法律ができる前に地方団体独自の措置として条例をつくった。ところが、これが問題になりました。国の法令に違反したものについては条例は無効です。都道府県の条例に違反した。市町村がどうしてもこういう条例をつくって公害の対策をやろう、こういうふうに考えた問題も、これは無効になる。この法令に違反する、あるいは都道府県の条例に違反するという問題は、今日の公害問題にとっても非常に重要なポイントになっております。これについて自治省はどういうふうに御見解をとっているのか。ある本にこういうことが書いてございます。これも抽象的な域を出ていないのでありますが、「最近の法律、とくに公害防止立法の中には、政令等で指定する一定の地域についてのみ一定の規制を加える建前をとっているものがみられるが、これらの法律の指定地域外について当該法律と同一の目的の下に条例で規制をすることができるかどうかが問題となりうる。この問題についても、その規制が地方公共団体の事務でないと考えられる場合、または法律が指定地域外における規制を明らかに許さない趣旨と解せられる特段の事由の存在する場合を除き、条例による規制を認めてもよいのではないかと思われる。」これは抽象的に書いてございます。具体的にお答えしにくいと思いますが、国が一つの基準をきめました、これでは地方は困るんだという意味で、その基準を上回った基準を地方団体の条例がきめた場合には、一体これは違反と考えるのか。このことは無効だということになるのかどうか。これは、公害問題を推進していく場合の地方団体の役割りは非常に重要でありますから、これについてどうお考えになりますか、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/64
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065・倉橋義長
○倉橋説明員 いま御指摘のございましたように、地方公共団体の条例は法令に違反して制定することはできないわけであります。そこで、法令に違反するという意味でございますが、ちょっと前後いたしますが、地方公共団体が行政事務に関しますことをきめます場合には、これは条例で定めなければならないということが、いま読み上げられたように書いてあります。地方自治法の二条の行政事務に関しては、国の規定がない限りにおいては地方公共団体が規定を定める。したがって、行政事務に関する限りは地方公共団体の事務になるのであります。すなわち、国が法律等によって先取していなければ、それは地方公共団体の事務になるということが言えるわけであります。そこで問題は、国が法律で一定事項につきまして規定をいたしました場合に、その事項を上回って条例で書けるか書けないかという御質問であろうと思われます。そこで、その法律が一定の事項を先取いたしております場合に、その法律の趣旨は、全体からながめまして解釈いたしました場合に、その限度でもって足りておる。住民の権利を制限いたしましたり、義務を課す限度がその限度に限るのだという趣旨でございますならば、それ以上のことを条例で定めますことはできないというふうに解すべきでございますが、国が一定の限度をきめております場合におきましても、これはそういう趣旨でない場合、たとえば、例は適当でないかもわかりませんが、予防接種法におきましては一定の予防接種の義務が書いてございます。しかしその場合には、その予防接種をするのはその限度に限るのだという趣旨ではないわけでございます。これは条例等におきましてさらにその範囲をふやすことができるわけでございまして、そこはいまの本におきましての御引用もございましたように、法がどういう趣旨であるかということによって解釈すべきである。しかし法が一定の限度をきめておるからといって、それを越えたものが必ずしも無効になるというものではないと解してよろしいのではないか、そういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/65
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066・細谷治嘉
○細谷委員 予防接種の話が出ましたが、たとえば花柳病の予防法というのがあって、国が一定の方針をきめておる。そういうものに対して、こういうことではまだ花柳病予防はだめなんだということで、県なら県が条例をつくったといたします。そういたしますと、これは違法という解釈のようでございます。それは無効なんだということのようでございます。それで当該立法の場合、これは私はけさ東京都に電話をして聞いたんでありますが、三十年ごろに東京都の水質保全のための条例ができております。公害防止の条例ができております。国でできたのが三十七年ごろでしょう。七年おくれている。この政府から出ました「公害問題の理解のために」という論文を読んでみますと、公害という概念は法律から出たのではなくて、地方団体の条例ができて、その条例によって大体かたまってきた、地方団体が政府よりも先にこの問題に取り組んでいる、こういうさか立ちの実態になっておるわけなんです。東京都の言い分を聞きますと、三十年ごろつくった条例が、国の法律ができたので問題になったので、国の法律どおりいたしました。内容はどうかと言いますと、国の基準が下回っておりますから、東京都の条例は改悪されたということである。それで不都合がなかったかと言いますと、あまり不都合を感じませんでしたというおことばでございます。私はこのことは重大な意味を含んでおるのではないかと思う。ほんとうに条例どおりやっておったら不都合があります。国のきめた基準については後ほど少し質問を具体的にしたいと思うのですが、そうなってまいりますと、国がつくった法例に違反した条例はできない。都道府県とか市町村は、どうしてもこの問題についてはこの地域の特殊性からいってこの法律の基準ではいかぬのだということになった場合に、独自の条例を基準をきびしくしてつくったという場合に、それが違法ということになりますと、いま公害問題はあいまいもことしておって前進しません。公害事業団だけでやっていこうあるいは開発部ということで研究開発をひとつやろう、どの程度の国の施策の中においては、これは百年河清を待つにひとしいのではないかと私は思うのです。それでこの地方が独自でやる場合に、具体的にお尋ねしたい点は、指定された都市、指定をされた地域の自治体がもっときびしい基準をつくった場合に、それは違法なのかどうか。この指定地域外で特に法で定めない限りはよろしいということでありますけれども、指定されておらぬところで重要なところもありますが、やはり指定されたところに問題があると思うので、この点をはっきりとしておきたいと思う。これは自治省の見解ばかりではなくて、公等問題を進めるにあたって重要な問題でありますから、厚生省あるいは通産省のこれについての考え方もひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/66
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067・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 国で定めました法令に条例が違反をしておる場合には、無効とならざるを得ないと思います。ただ問題は、国の行政として、あるいはその目的を達成するためにどちらが適当であるかどうかの問題は、もしそういう問題が起こった場合には、基準につきまして検討をすべきでございまして、ひとたび法律ができておりましたときに、その指定地域内で条例がそれよりきびしい規制、言いかえれば義務を課するというようなことは法令違反でございまして、無効となる。したがって、その基準がはたして妥当であるかどうかは、さらに必要があれば検討いたしまして、法令を変えるなり、あるいは条例をその範囲内において定めるようにするか、それをきめるべきである、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/67
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068・細谷治嘉
○細谷委員 この厚生省から出た資料によりますと、「新産都市等の開発計画」という中に、こういうふうに書いてあるのです。「地方条例のあるときはこれをじゅうぶんに生かすようにすることが大切であろう。」こういうふうに書いてあります。ですから、基準がおかしいんだということになった場合に、これを生かすように、通産省のいまの局長さんのおことばもありますし、厚生省もそう書いておるのですから、そういうことでありましょうが、そういう場合に、これはこの条例がと言ったって、基準がと言ったってそう簡単にはいきませんから、すぐそれは無効だ、違反だということになりますが、地方のこの問題の取り組みに非常に大きく期待しておる今日の段階において、この十四条の運営と解釈の問題は、私は重要だと思うのです。あらためて自治省の見解をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/68
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069・倉橋義長
○倉橋説明員 この基準の問題でございますが、法律で示しております基準と同じ対象におきまして、条例が基準を書いてございまして、その法律と同じ対象について基準を条例で変えるということになりますと問題があろうかと存じますが、別の施設なり、観点なりからの基準ということになりますれば、これは必ずしも違法ではない。そこは解釈の問題が出てくるわけであります。そういうふうに、基本的にはいま申しましたように考えております。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/69
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070・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、時間がないようでありますから、お尋ねしたいのですが、熊本県にあるある人絹会社で、法令どおりやっておったけれども、法令どおりの基準で守っておったけれども、中毒患者ができて死亡を起こした。これは明らかにやはり法令の基準が誤っておった、こういうことを示しておるかと思うのです。あるいは水質汚濁の問題に関連しても、基準というのは、一日これだけの排水量以上のものについてという基準が設けられてあります。それ以下のものは除かれております。たとえば、一日に百トン以下というものはとにかく法律にかからないということになりますが、五十トンの工場が四つあれば二百トンですよ。どんどん隅田川はよごれていきます。こういうことになりますと地方団体はたまりませんから、独自の条例でそれを防ごうとします。基準の問題、範囲の問題でがったりぶつかります。百トンじゃ、困るのだ、どうしてもこれは十トンにしなければならぬのだということになりますと、これは問題が起こってまいります。これは非常にたいへんな問題でありまして、自治省は非常にしゃくし定木に解釈しておりますが、基準が必ずしも正確じゃないわけであります。大臣、こういう問題についてどう対処していくつもりなのかお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/70
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071・神田博
○神田国務大臣 いまの熊本県のおあげになった例は、実は私承知いたしませんでまことにこれは恐縮でございますが、さっそく調査いたさせたいと思います。
そこで、いまお述べになりました、基準をきめても、それの数がふえてまいりますとやはり量がふえることになるので、そういう基準のきめ方は甘いというか、基準にならぬではないかという意味のお尋ねだと思います。私もいまおっしゃっていることをよく聞いたつもりでございますが、そういう意味のように承りましたが、もしそういうことが、一つの工場の排水ならその基準でよいのだが、それが五つなり十になったという場合に、濃度が増してきて、それが非常に人体に害を及ぼして、あるいは死傷が出たというようなことになると、これはゆゆしいことだと思います。そういう基準については十分ひとつ検討いたしたいと思います。詳細なことでございまして、具体的なことでございますから、ひとつ政府委員からお答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/71
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072・平松守彦
○平松説明員 ただいまの問題は、熊本の工場内の二硫化炭素の問題だろうと思いますが、これにつきましては、労働省のほうで定めております労働衛生規則の基準の問題とも関連があると思いますので、さっそくその関係者とも話して、もう一回実情を調査の上お答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/72
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073・細谷治嘉
○細谷委員 私がお尋ねしたいのは、きょうは時間もありませんから、個々の問題について掘り下げて議論をしようとは思わない。私、かつて地方自治体に関係しておった際に、私の住んでおるところの川が非常によごれておりまして、これについては、昭和三十年に県の条例というものができた。ところが、一向よくなりませんから、市独自の条例を制定しようとしたときに、十四条の見解について県等に聞きますと、県の条例よりきびしいものについてはこれは無効だということになりまして、もう県の条例にたよる以外にない。市としては手をつけることができない。こういう惨たんたる経験を持っているわけです。そういうことでありますから、県の条例ができた、あるいは法律ができたということになりますと、法律によって県も独自の措置ができない。毎日毎日苦労している市町村は、それができたらかえってじゃまになってもうどうにもならないという経験を持っております。ですから、私はこの点を非常に重要に考えておるわけなんです。そういう点で、これは技術的な基礎、こういうものによって基準がきめられていると思いますけれども、基準必ずしも金科玉条ではないわけでありまして、この運用についてはやはり十分な配慮をしていただかなければならぬのではないか。特に通産省等でありますと、私はそうは思いませんけれども、世間では、どうもやはり公害の問題よりも生産のほうに力が入るのではないか、生産第一主義ということで貫いておるではないか、こういうことがよく言われておることでございますから、市町村が国の法令よりも、あるいは県の条例よりもきびしいものをつくると、そんなことでは産業が立っていかぬ、こういうことで、なかなかことばどおりにはならないではないかという気がいたします。こういう場合に、厚生省の立場というものはたいへん重要だと思うのですが、こういう点について厚生省の見解を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/73
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074・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 お話のように、公害防止のための大気なり水質なりに関する各種の基準の設定については、国の法律で設定したものと、その法律ができる前に地方の条例によって設定されたものとの食い違い、あるいは国が法律によって設定した基準で不十分として、いまお話しのように、その後において、地方自治体がもう少し基準を強くいたしたいというような考え方の食い違いの事態は、実際上あり得るわけであります。国のそのような場合の地域の設定並びに基準の内容は、かなり地域的背景を考慮に置いて設定すべき性質のものでございます。したがいまして、当然その際には、従来その地域に地方条例において設定された基準があるということであれば、その基準を十分参酌いたしまして、実情に合う基準をつくるべきでありまして、その段階において十分調整をとるべきもの、かように考えるわけであります。また国が基準を設定した後において、その基準では不十分であるというような地方自治体側、あるいは住民といいますか、実態上不十分であるという事態が生じました際には、当然国はその基準を改めて再検討する必要があるわけでありまして、そのようなことによって調整をはかっていく筋合いのものと考えます。法律上の筋合いは当然国の法律できめられた基準を除いた条例の設定という形は考えられませんので、そのような方策で十分実情に合った基準を国としては考えていく必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/74
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075・細谷治嘉
○細谷委員 この点について公害というのは非常に立ちおくれている。したがって基準自体も幾多の問題点を持っておる、こういうことでありますから、地方がかりに条例をつくった場合に、国の基準よりも低い場合はむろん国の基準をやらなければならぬ、これは法律上の問題もありますけれども、その地方の実情に沿うてもっとこの問題についてはきびしい基準をつくらなければならぬ、許容限度をつくらなければならぬということも起こり得るわけでありまして、そういう場合に、私はこの公害問題に取り組む地方団体が、国の法律いわゆる政府というものが大きな壁になって、地方団体独自としてこの問題が推進できないようなことが起きないように、ひとつ十分な配慮をお願いをしておきたい、こういうふうに私は思うのです。これは特に通産大臣にお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/75
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076・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 御承知のように、かりに水質汚濁の問題にいたしましても、ばい煙規制の問題にいたしましても、まずその地域を指定するわけでございます。その地域あるいは水域を指定しまして、そのときに水質審議会にかけまして、企画庁が水質基準をきめるわけでございますが、そのときにはその地域あるいは水域の実情を考慮いたしまして、しかもその地方公共団体の長もそれに参画いたしましてきめるわけでございます。一般的な基準ではございませんので、その地域、その水域に応じた基準をつくるわけでございます。したがいまして、その基準のときにその実情を十分考えた上で公害防止のための基準を、きめるということになっております。
それから通産省といたしましても、生産第一主義ではなしに、やはり社会環境をよくするという考え方に重点を置きまして行政施策をやってまいりたいと思っております。
それからただいまお話のありました中で、当然と思いますが、いまのように地域を指定し、あるいは水域を指定いたしまして、そこできめられた基準につきましては、条例と法令との関係は先ほど答弁をいたしたとおりでございますが、水域もしくは地域指定のない地域が多いわけでございますが、そういう地域におきましては、条例によりまして適当な基準をきめることは何ら問題にはならないわけであります。と同時にまた、御承知のように、地域指定の場合も、水域指定をいたしまして水質基準をきめる場合でも、それに基づいて工場排水等を規制いたしておる場合には、施設の対象がきまっております。したがって施設以外につきまして、もしそういう条例で特別の指定をされていない施設について基準をきめるということも、これまた問題はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/76
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077・細谷治嘉
○細谷委員 次にお尋ねいたしたい点は、先ほど肥田委員の質問にもあったわけでありますが、この両省から出ました解説の中に、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭、こういう問題についての公害問題を一日も早く年次計画を立てて解決をしなければ、新産都市、工業整備特別地域における工業開発等もきわめて困難な状態にある、こういうふうにうたっております。この事業団の予算が、当初百億程度の要求をなさったようでありますが、初年度ということで二十億になって、計画がたいへん狂って、もう四日市と京浜の一部の既成工業地帯のほんの一部分に今度事業をやっていこうという計画の変更を行なわざるを得なかったようでございます。お尋ねしたい点は、そういう年次計画というのができておるのか、できておらぬのか。それからもう一つは、そういう公害問題におけるこの事業団の位置づけというのは、どういう位置づけをお考えになっておるのか。新産と工特と六兆三千億という基本計画があります。そういう中においてどういうウェートをこの公害問題、そうしてその事業団に持たせようとしておるのか、年次計画とあわせてお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/77
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078・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 隅田川とか四日市のような既設の公害地域を公害防止するためには、計画を立てて推進しなければなかなか解決がむずかしいわけであります。したがって政府といたしましては、これはどうしても一定の年次計画を持って強力に推進いたしたい、かような考え方を持っておるわけであります。したがいまして、当面この計画を樹立するのは地方公共団体を中心として計画をするということで、それぞれの地方公共剛体にそのような方向で計画を立てるようにということを申してあるわけでありまして、その基本計画が立てられました暁には、その計画に沿って強力に施策を推進する、かようなことであります。なお、新産都市、工業特別地域におきましては、これは年次計画というよりは、それらの地域における公害政策のみならず、産業立地計画そのものが計画的に推進されるわけでありまして、その計画の樹立にあたりましては関係各省、各大臣の承認が要るわけであります。その際に公害防止を含めた全計画を十分検討いたしましてその計画が設定されるわけでありまして、その意味で、これまたその計画のもとに一種の年次計画的に公害防止を考慮した計画が推進される、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/78
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079・細谷治嘉
○細谷委員 これにも、年次計画を立てて計画的に推進しなければいけない、こういうことが書いてあるとおり、本年度百億円の予算を要求をしたからには、つかみでないと思うのです。通産省なり厚生省はやはりある程度の基本的な年次計画、これだけの事業をこの事業団にやってもらわなきゃならぬ、公害問題についてはこれだけ両省協力してやるんだ、こういう計画の中における事業団の役割りというものが想定されて、四十年度に百億円、こういう形で予算折衝に入ったかと思うのです。したがって、その年次計画というのはむろん十分固まったものではないにしても、当然なければ私はおかしいと思う。一体どういう根拠で予算要求したのか、こういうことになろうと思う。しかも新産と工特の問題は、もうすでに昨年の暮れには新産都の四兆三千億円という基本計画が是認されております。一月初めには工特の二兆円というのも基本計画はでき上がった。そういう中においてこういう問題がどういうふうな位置づけをされておるかということは、あらかたのことでもわかっておらなければおかしいのじゃないか。これほど重要な公害問題について、しかも通産省なりあるいは厚生省にこの専門の担当課ができたというのは、そう古くはありませんけれども、一年ないし二年たっておるのですから、あらかたの基本計画、年次計画というのは当然できておらなければならぬと私は思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/79
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080・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 お尋ねのように私どもとしましては、当初計画として百億を想定したわけであります。遺憾ながら昭和四十年度の資金需要が非常に各方面多かったために、また年度当初からこの事業を進めることにも実際上の困難も生ずるということで、年度途中から事業を発足するということで、本年度の計画は当初の予定の百億をかなり下回る二十億にとどまったわけでございますが、当面私どもとしては、一応目標の地域につきましてはある程度の事業量を想定しまして、その想定のもとに進めておるわけであります。ただ新産業都市全体といたしましては、個々の事業計画を漸次設定いたしましたので、全体の事業計画は数量的にはなかり把握できる状態になっておりますが、これを年次的に、全体的に把握するという段階に今日は至っておらぬわけであります。しかしながら、当面ここ二、三年の経過につきましては、ある程度私どもとしましても、計画量を持ちまして推進いたしたい、かようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/80
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081・細谷治嘉
○細谷委員 全く中身がないのです。これは、新聞にすらもこういうことが書いてあるんですよ。四十年度予算では二十億円であるけれども、これでは全く不十分で、「事業団の仕事が順調に進むにつれ資金需要も急速に膨張する見通しで関係者は、数年内に三百億円以上の資金が必要になるのではないかと予想している。」私もそう思います。私はこの間四日市に行ってきました。都市改造をしなければならぬのですよ。厚生省が長い間調べたのでは、四キロ以内は八時間のとにかく仕事をするだけであって、住居にしてはいかぬということを言っております。富山化学の事故も、住宅地区の中にそういう、工場ができたので、ああいう四百何人の中毒患者が起こった。都市改造の問題も起こってきます。そういうことになりますと、ばく大な金がかかるわけでございますから、当然なこととして、十分なものでなくても、事業団がやる年次計画、こういうものが新産と工特の六兆三千億の中のどういう位置を占めるのか、公害問題がどういう位置を占めるのかということは当然あらかにのところでもでき上がって、その第一歩としての四十年度はこうだという形で予算要求がなされなきゃならぬと思う。つかみで、ことしはひとつこれまでだ。百億円の計画があったが、二十億だからこれだ。来年はまたひとっことしのうちに考えておこうなんということでは、この重要な深刻な公害問題というのはとても推進できないと私は思う。もう少し、構想の段階でもよろしいのですから、お聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/81
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082・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 全般的な推定から申しますと、産業の種類にもよりますが、設備投資における公害防止施設の企業側の負担する部分の比率は四%前後、かように推定されておるわけであります。もちろん施設の種類によりましては、六%あるいはそれ以上の公害防止施設を必要とするわけであります。ただそれと、これから投資される産業投資の全体ワクの中で、公害防止に投ぜられる額の中のどの程度がこの事業団の事業範疇に入るか、あるいは、開発銀行ないし中小企業金融公庫から個々に企業が借り入れて独自に設置する部分に所属するかというのは、必ずしも当初から算定できるわけではないわけでありますのが一つと、いま一つは、緩衝地帯も、これは地方公共団体がその緩衝地帯をかなり他の目途に利用する場合がございます。また下請工場等が進出するという度合いの広さによりまして、緩衝地帯に対して公害事業団が手をつける広さも異なってくるわけでございますので、具体的にどの程度事業団がこの投資額の四、五%に及ぶ公害防止施設の中の分担をしなければならないかということは、ただいま直ちに明確には予測できないわけでございますが、明年度開銀並びに中小企業金融公庫側が持っております個々の企業に貸す公害防止の費用は二十億から三十億の範囲でございまして、公害防止事業団が四十年度に持っております事業のワクが二十億ということでございまして、当面はほぼ同じ比率でございますが、ただ事業団は半年分でございますので、総体のワクとしては事業団のほうが多く資金を必要とする、かようなめどは持っておりますが、具体的の数字は今後個々に検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/82
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083・細谷治嘉
○細谷委員 いま重要な具体的な点について触れられたのです。もう一度申し上げますが、「公害問題の理解のために」という厚生省の責任ある方の論文、それから個人の名前は書いてございませんけれども、厚生省の方の書いた論文の一節を読んでみます。「現存企業の設備投資は年間四兆円余である」、もう一つの論文は「約三兆円である」ということで一兆円違うのですけれども、その辺は別としまして、「四兆円余であるが、この八〇%が生産直結施設、六〇%が公害関連企業、八〇%が企業集中地域となっているので、その三%ないし五%を公害のための設備投資に使うとすると五百億円ないし八百億円となる。一方積み上げ計算による推計をしてみると、約六百億円強となっているが、現存の公害関係の設備投資実績は六十億円ないし百億円弱という少額にとどまっており、これでは公害対策の前進はほとんど望めない。」と断言しております。いまあなたは四%くらいと言いました。実際は〇・三%くらいにしかならないのですよ。そうなってまいりますと、これはやはり事業団ができた中において公害問題にどう対処していくかということについては、基本計画、年次計画等を持たなければ、この事業団は毎年ウサギのくそのようにぽつりぽつりと無計画に推進するというようになるのではないかと私は思うのです。企業がどれだけ責任を持ってやるのか、事業団がどれだけ責任を持ってやるのか、あるいは政府が公害問題全体にどういう体制で取り組んでいくのか、これはきわめて重要な問題で、その相関関係がきちんとできておらないにしても、構想だけでもいいからひとつ披露していただきたい。
企業が投ずるのは、あなた方は四%か五%を期待しておりますけれども、実際は〇・三%くらいなんですよ。これではもう事業団は孤立無援ですよ。もう一度ひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/83
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084・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、公害防止に対して企業側がしっかりした施設をするとすれば、相当な比率で設備投資の中から産業公害防止のための費用を投ずる必要があることは、お説のとおりでございます。そして欧米先進国においては、すでにそれが工業開発のための基本的ルールに近いほど、企業側が努力をしておるという実態があるわけであります。わが国の現状においては、その点不十分であるということはお説のとおりでございますが、近年企業側もこの点に非常に目ざめまして、特に企業努力をする施設においては六%、あるいはそれを上回ったような施設を漸次できてまいっております。全般的に通産省とも力を合わせまして、企業側を強く指導いたしまして、漸次その方向が実現されておる姿であります。したがいまして政府としましても、開銀その他の融資措置を十分考え、また事業団体等によって側面的にこれを援助いたしたい、かような姿勢を持っているわけでありまして、従来のような〇・何%というようなことは今後ないように十分指導いたし、公害が発生しない努力をいたし、十分な投資が行なわれるよう努力をいたしてまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/84
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085・細谷治嘉
○細谷委員 私はその答弁に納得できない。この新聞にも書いてあるように、厚生省はということ、主語は厚生省はということで、数年来三百億円というような金が要ると書いてある。ことしも二十億円でありますけれども、これは事業団の事業内容、先ほど肥田委員も質問したのでありますが、四十名ということで発足するということでありますが、事業内容がどういうふうになっておって、その事業内容が公害問題の中でどういう位置づけになっているか。その公害問題というのは、新産あるいは工特の中でどういう位置づけになっているか。その地域以外のものはどういう形で推進していくのか。こういう問題については、私はこの際明確な構想なりともお聞かせいただかなければならぬと思うのであります。
そこで私はひとつ委員長にお願いなんですが、次会までに、あらかたでもよろしいのでありますが、そのいう相関関係、位置づけというものをある程度描いた資料をいただきたいと思うのです。
もう一つ、大気汚染の問題、水質の問題等についても具体的に後ほど質問しなければなりませんけれども、最近問題になっておりますビルディング等に関連するいわゆる太陽エネルギー、人間の保健上の問題に関連する建築基準法との問題でありますが、いわゆる日射時間の問題というのも、これも公害化しようとしております。そういう問題についても、どういうふうに今後取り組んでいくのか。こういう問題もあわせてひとつ御検討いただいて、次会に厚生省なり通産省等の態度をひとつお示しいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/85
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086・島田喜仁
○島田(喜)政府委員 事業団の事業計画につきましては、ここに示してございますように、とりあえず最過密地域として公害の発生しております京浜、阪神、四日市地区等につきまして、これは個個の企業がみずから公害防除施設をつくりまして公害を防止するというところに重点を置かずに、できるだけ早急に公害問題を解決するために、先ほど申し上げましたように共同施設をつくるとか、あるいは工場アパートをつくって中小企業が一ヵ所に入るとか、あるいは場合によりましては、その地区から移転をいたしまして新まい工場団地に移るというような問題をひとつ集約的に、しかも早急に実現をしたいというのが実はねらいでございます。したがいまして、いま予定されておる地域は、ただいま申し上げたような地域を実は予定しておるわけでございます。ところが先ほど説明がございましたように、これからの公害を防止するためには、企業がみずから公害防止の施設をつくるべきである。これも私は当然だろうと思いますが、同時に、中小企業等みずから公害防除施設をつくることが企業の存立に影響を与えるというような場合には、国がこれに財政投融資等によって援助するということになっておりまして、個々の企業につきましては中小企業金融公庫、あるいは近代化資金あるいはまた開銀の融資というようなものを考えて、個々の企業に対して援助するということになっておるわけでございます。そこで、公害防止事業団以外に、新産都市あるいは工業整備特別地域等につきまして新しく立地されていく場合には、これは御承知のように、個々の企業がこれからどういう地域に、新産都市あるいは工特地域に導出していくかという問題は非常にむずかしい問題でございまして、これは経済の成長のいかんにもよりますし、それからまた同時に、出ていくときには港湾の問題あるいは道路の問題、輸送施設等の問題がございまして、そういう点から考えますと、あらかじめどういう企業が、公害に影響あるような企業がいくかというような問題は、なかなかむずかしいわけでございます。ただ具体的にいわゆる公害の発生原因となるような工場が新設されるときには、私ども個々に具体的にその問題について公害問題を考慮して、立地することが適当であるかどうかを判断をいたすわけであります。場合によりますというと、そういうところに立地することが不適当であるということになる場合と、それから適当である場合にも条件がついておりまして、やはり公害防除施設をつくって、そうして公害発生の原因にならないようにする、こういうことになるわけであります。したがいましてその計画を年次的に立てて、二年三年先にぴたりと計画ができているかというと、それは実際にはできておりません。新産、工特等につきましても同様でございまして、一つの方針のもとに逐次工場が新しく立地していく段階に応じて問題を処理していくということに相なろうかと思います。ただ公害の発生を未然に防止するために、進出につきましてはいま申し上げましたような、公害の防止の立場で問題を具体的に処理していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/86
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087・肥田次郎
○肥田委員 委員長、ちょっと関連して。
私も細谷委員の質問に関連して、資料の点ではっきりしてもらいたい点があるのです。これは私が先ほどからの質問の中でも同じことを質問したのですけれども、いま細谷委員の質問に対する答弁を聞いておると、いよいよあいまいになってきます。少なくとも法案を審議する際にわれわれが必要なことは、その内容が明らかにされるということが法案審議の対象になるのです。ただばく然として、こういう気持ちでおりますというようなものを、われわれが想定をして法案を審議するということはできない。ですから先ほどからの私に対する答弁にもあったように、この事業団と称するものはきわめて能動性の小さいものである。政府の計画によって、あるいは民間とのいろいろな折衝の過程の上から着手できるという、そういう範囲のものなのか。これでは事業団をつくる必要がないではないかとさえ思っているわけなんです。ですから、事業団をつくる必要性というものは、年次計画が明らかにされて、そして、そのとおり計画が進捗するとかしないとかいうようなことはともかくとして、とにかくこのような構想のもとに、こういうものを実現するために事業団をつくっていく。そして初年度は二十億だったけれども、四十一年度は幾らぐらい、四十二年度についてはさらにこういうものを考えておるのだという程度のことが、私は明らかにならぬはずはないと思うのです。それが明らかにされないと、私はこれから審議をする必要がないのじゃないかと思うのです。ですから、細谷委員の言っておるように、その点に対する計画というものを明示してもらって、これをわれわれが対象にして審議を継続しなければならぬ。こう思いますから、ぜひこれについては、ひとつ計画の資料を出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/87
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088・細谷治嘉
○細谷委員 いま肥田委員から話がありましたように、なるほど新産都十三地区、工特六地区、基本計画六兆三千億というものの年次計画というものは、ぴしゃっときまっておるわけではございません。しかし、基本計画ができて、そうしてその全部についてどういう企業が来るかということはわかっておりませんけれども、水島にはどういうものが行くんだ、あるいは播磨にはどういうものが行くんだ、あるいは大分地区にはどういうものが行くんだ、鹿島にはどういうものが行くんだということは、大体基本計画の中でほぼわかっている。そういう現段階における基本計画の中において、どういう形で事業団を推進しなければならぬのか、あるいは公害問題にどう取り組まなければならぬかということは、少なくとも工特、新産都の基本計画と同じ程度の正確度を持った、その計画くらいの内容を持った、粗雑でありますけれども、そういうものを出していただかなければ、行き当たりばったりの事業団ではどうにもなりません。
したがって、肥田委員が申しますように、次会までにその構想等を明らかにした資料を提出していただきたいことをお願い申し上げまして、きょうは質問を打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/88
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089・保科善四郎
○保科委員長 いま細谷委員並びに肥田委員からの御要請は、通産、厚生両当局でひとつ検討していただきまして、この次の審議までに、ごく大きい目安でけっこうです、あるいははっきりした数字は出ないかもしれませんけれども、大体の大きい構想はあるのですから、その中の一応の基本的な考え方を数字にあらわしたものが出ると思うのです。そういうものをひとつ御検討の上、この委員会に出していただきたい。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804381X00819650412/89
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