1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月一日(木曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君
理事 橋本龍太郎君 理事 河野 正君
理事 八木 昇君 理事 吉村 吉雄君
伊東 正義君 亀山 孝一君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
坂村 吉正君 田中 正巳君
竹内 黎一君 藤本 孝雄君
松山千惠子君 粟山 秀君
山村新治郎君 淡谷 悠藏君
伊藤よし子君 小林 進君
滝井 義高君 八木 一男君
本島百合子君 吉川 兼光君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(援護局長) 鈴村 信吾君
水産庁長官 松岡 亮君
委員外の出席者
外務事務官
(アジア局北東
アジア課長) 黒田 端夫君
厚生事務官
(年金局年金課
長) 曾根田郁夫君
厚生事務官
(援護局援護課
長) 木暮 保成君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部業務課
長) 馬渡 一真君
専 門 員 安中 忠雄君
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四月一日
理事藏内修治君同日理事辞任につき、その補欠
として橋本龍太郎君が理事に当選した。
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三月三十一日
清掃法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
二〇号)(参議院送付)
優生保護法の一部を改正する法律案(横山フク
君外一名提出、参法第一〇号)(予)
医療法の一部を改正する法律案(草葉隆圓君外
二名提出、参法第一一号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六六号)
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案
(内閣提出第六七号)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出六八号)
厚生関係の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/1
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002・滝井義高
○滝井委員 いま議題になりました三法について、まず逐条的に先にお尋ねをいたします。その逐条の質問の中でいろいろ具体的な問題をあわせて御質問を申し上げますので、明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。
まず第一に、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案から質問いたします。
この法律が昭和三十八年の第四十三国会で制定をされてから足かけ三年ばかり経過することになったわけですが、その場合に、まず第一に、八条の二の戦傷病者相談員の問題についてでございます。この相談員の任務を八条の二の条文で見てみますと、戦傷病者の福祉の増進をはかる、それから戦傷病者の更生、援護のための指導ということになっておるわけです。そして社会的信望があり、識見と熱意を持っている人を選ぶことになるわけでございますが、一体この人たちの戦傷病者の相談に応ずる具体的なことはどういうことをすることになるのか。これは、御存じのとおり、民生委員とか児童委員とかいうようなものが現実に社会福祉行政にはあるわけです。それから福祉事務所にはケースワーカーみたいな人もおるわけです。そういう人たちは、おそらくいままでいろいろこういう相談、指導をやっておったと思うのです。特に今度相談員をおつくりになって、抽象的に福祉の増進をはかるとか、更生、援護のための指導をやるとか言ったって、そんな抽象的なことではわからぬ。具体的には一体どういうことをやることになるのか、それをまず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/2
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003・鈴村信吾
○鈴村政府委員 お答えいたします。
今回戦傷病者の相談員という制度を設けるにつきましての御質問でありますが、おっしゃるように、従来県なりあるいは市町村の公務員が、それぞれの仕事につきまして個々の戦傷病者の相談に乗っておったことは事実でございます。しかしながら、戦傷病者につきましては、一方において援護法によります障害年金あるいは障害一時命の給付があり、また特別援護法によりまして、療養の給付あるいは補装具の支給等のことがございます。また国鉄の無賃乗車等の制度もあるわけでありまして、そういうふうな各種の法律に基づく援護措置があるわけでありますが、これは法律も非常に難解でありますし、また手続も煩瑣なものがありますので、そういうことにつきまして役所では聞きにくいようなことを民間の相談員が親身になって相談に乗ってあげる、あるいは指導するということが非常に必要と存ずるのであります。一般の社会福祉行政につきましては、民生委員という制度がございまして、役人の指導の手の届かないところを民生委員が親身になって相談に応ずるという制度があるのでありますが、戦傷病者につきましても、いわば一般の社会福祉における民生委員的な立場におきまして、民間人の立場から親身の相談に乗ってあげる、あるいは指導をするということがこのねらいであります。したがいまして、役人のできないような親身の相談に応ずるということがこの制度の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/3
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004・滝井義高
○滝井委員 役人ができぬような親身の相談に応ずるというが、もう少し具体的に何だというと、法律が難解で手続が複雑だ、だから役人のできぬようなかゆいところに手の届く相談をやるということですが、そういうものは一体いままではやっていなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/4
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005・鈴村信吾
○鈴村政府委員 もちろんいままでも非常に篤志な方がおられまして、あるいは傷痍軍人会の関係者でありますとか、その他の方で非常に篤志な方で、実際そういうことをやっておられた例が非常にあるわけであります。それを一つの制度的なものといたしまして、厚生大臣からはっきり委嘱するという形にいたしたほうが、やられる方もやりがいがあり、やりやすいという点もありますし、またそういう相談員というものをはっきり委嘱することによりまして、一般の戦傷病者も相談に行きやすくなるということがありますので、特にこういう制度を設けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/5
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006・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、一体そういう相談員が相談に応じなければならぬような戦傷病者の対象の数というのはどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/6
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007・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、戦傷病者の総数といたしましては十八万二千五百六十三という数字になっております。その内訳を申し上げますと、軍人、準軍人が十七万三千六百九十七、軍属が七千四百三十六、準軍属が千四百三十というような数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/7
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008・滝井義高
○滝井委員 あとでまたお尋ねをしますけれども、この中で無賃の乗車船の恩典に浴する方々は非常に少ないわけですね。それから、傷病手当をもらうような人も非常に少ないわけです。そうすると、たぶん十八万のほとんど大部分、十七万ぐらいの人は、この法律の恩典には浴さないことになるわけですね。今度の改正のこのものには浴さないわけです。そうすると、一体どういうことを相談員がその十七万ばかりの人についてやることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/8
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009・鈴村信吾
○鈴村政府委員 ただいま申し上げました十八万何がしの戦傷病者の数のうち、傷病恩給あるいは障害年金等を受けておる者の数が十四万ございます。したがいまして、相当大きなパーセントの方が、むしろそういう給付を受けることについて、いろいろな戦傷病者の相談員を利用するということになるかと思います。
それから、無賃乗車船の対象の数といたしましては一応十三万六千の方が対象になりますが、現実に受けておる方は若干減っておりますが、対象数としては一応十三万をこえております。したがいまして、かなりの数の者が、直接に戦傷病者相談員を利用する実益があるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/9
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010・滝井義高
○滝井委員 この戦傷病者の相談員の数は、予算面は四百七十人ですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/10
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011・鈴村信吾
○鈴村政府委員 本土が四百六十人、沖繩が十人で、四百七十人であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/11
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012・滝井義高
○滝井委員 本土が四百六十人、沖繩が十人、この四百七十人の予算は百五十八万六千円でしょう。そうすると、この手当はこの中から出すことになるのですか。その手当は一体幾ら差し上げることになるのですか。それから、各県に配分をしなければならない。御承知のとおり、四つの島といってもなかなか日本も狭くはないですよ。十八万人の人がばらばらっと日本全土にまかれておるわけです。沖繩まで分布しておるわけです。そうしますと、百五十八万六千円の予算の中から、この四百七十人の相談員に一体幾らの報酬を差し上げることになるか。そうして、各県の分布はどういうような分布でこれを配分することになるか。いま言ったように非常にむずかしいこの法律を、われわれも勉強するけれども、この援護三法というのはわかりにくい。これに恩給法が加わってくるとますますわからない。わからないので、うしろに解説を必ずつけてくれと言っても、またこの解説たるや実に不親切な解説で、もう少し労働省の解説を見習いなさいと言うんですが、実に不親切です。余談はさておいて、この百五十八万の予算の中から幾ら差し上げることになるのか。各県の配分はどういうようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/12
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013・鈴村信吾
○鈴村政府委員 お尋ねの報酬の件でありますが、予算面におきましては一人月額五百円ということで計上しておるわけであります。これは実費弁償というたてまえでありますので、一律にということよりも、むしろ現実に要した実費に応じてという考え方でありますが、一応予算面は月額五百円ということであります。
それから、四百六十人をどういうふうに地域的に置くかという問題でありますが、これは予算面では一応一県当たり十名ということで四百六十名入っておりますが、現実にはやはり各県の地域の広さもまちまちでありますし、また戦傷病者の数も県によって差がありますので、現実に委嘱いたします場合には、そういう地域の広さの問題あるいは戦傷病者の数を勘案いたしまして、各県別に具体的にきめたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/13
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014・滝井義高
○滝井委員 当然そうなると思う。ただ問題は、一人月五百円で、一体そういう人がうまくおるかどうかということです。いままで傷痍軍人の団体がやっていた。そうして傷痍軍人は団体をきちっとつくって、こういう事務的な世話をやっているわけでしょう。それならばこういう相談員をつくらずに、その傷痍軍人会にお金を差し上げたらいい。そうしてそこに専任の事務職員を置くようにして、一括してやるほうが能率的でしょう。(「事実そうなるんだ」と呼ぶ者あり)者実そうなるというなら、そうしたらいいと思う。この条文からは、相談員というのは戦傷病者が選ぶんじゃないでしょう。戦傷病者以外の者から選ぶとするならば、こんなむずかしい法律の研究をやる奇特な人がおりますか、四百七十人も。あなた方でさえも勉強してもなかなかわからぬ、私らもわからぬ。勉強すれば勉強するほどわからなくなってしまう。それをおやりになるのですから、むしろこういう複雑怪奇な法律は、もう少し単純化しなければいけない。そうして、あとから具体的にえぐり出していきますが、とにかくこういうむずかしい制度というものは、民生委員や児童委員らをつくって、わずかな金をやることで非常に非難が出ておるわけです。そういう悪い厚生行政の上塗りを、援護局のところでまねをするのはよくないと思う。それならば、その団体に差し上げたらいい。百五十何万かを各県の傷痍軍人会に差し上げたらいい。そうして事務的な指導をしてください、このほうがはるかにいい。選挙の前にこんな相談員なんかをつくるのは、自民党の選挙対策じゃないかと社会党では言っている。選挙対策じゃないかという疑いを持たれる。お互いに疑いを持たれるだけいやでしょう。われわれも疑うだけいやです。それならば、既存の傷痍軍人会に金を差し上げたらいい。そうすると年三、四万円の金がいくことになる。これは助かるですよ。いま傷痍軍人会は、傷痍軍人の皆さん方から、十八万何がしかの人たちから幾ぶんかの会費を取って運営しているでしょう。そうすると、そこに四万円でも差し上げれば、だれかが出てきて指導することになるわけですよ。出たときにその中から日当をやったらいい。そういうほうが合理的なのですよ。変な相談員をつくって、そして文章だけは、社会的信望があって、戦傷病者の福祉の増進に非常に熱意があるとかなんとか言ったって、そんな相談員は、かねや太鼓でさがし回ったってそんな奇特な人は非常に少ない。そういう悪いものをつくるよりも、やはり自立更生ですよ。みずからのことはみずからがやるという形にしたほうがいいということですよ。あなた方はこの法律をつくるのに、一番先に戦傷病者相談員を持ってきている。これは最悪の改正ですよ。その点、一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/14
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015・淡谷悠藏
○淡谷委員 関連して。いま滝井委員の質問に対する答弁を聞いておりますと五百円という数が出ておりますが、予算は合いますか。私の計算だと三百円ないし四百円にしかならないのですが、人数はありますけれども、それを少なくするという予定なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/15
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016・鈴村信吾
○鈴村政府委員 お尋ねの件でありますが、実は月額五百円ということで計上してありますが、十月一日からの施行でありますので、その半分を計上しているということであります。
それからいまお話しの、むしろ傷痍軍人会にそういう金を与えたほうがいいのではないかという意見もあるようでありますが、われわれが考えておりますのは、やはりほんとうに社会的信望があり、戦傷病者の援護の問題に熱意のある方ということでお願いしたいというふうに考えておりますので、その多くの方があるいは傷痍軍人会の関係者になるかもしれません。しかし、傷痍軍人会の関係者だからするというのではなくて、やはり社会的信望もあり、そういう業務に非常に熱意を持っておられる方ということで選ぶわけでありますので、やはり法律にありますような考え方のほうが適当であると考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/16
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017・滝井義高
○滝井委員 どうもいまのような答弁では納得いかない。むしろこの八条の二は削除したいくらいです。そしてその金を相談員のほうに出すのではなくて、傷痍軍人令にやったほうがいい。それのほうが能率があがるのです。いま傷痍軍人会は金がなくて困っているのだから、補助金を出してそこで業務をやってください、国が補助金を出します、それのほうがもっといいですよ。
それから、秘密保持の規定なんかも置いているわけです。したがってこの相談員というのは、いわば公務員みたいな形でここで格づけされているわけですよ。これは民生委員その他も同じだと思いますけれども。そうしますと、いまのように傷痍軍人の中からも選ぶかもしれない、あるいは社会的信望があって、傷病者の福祉の増進その他に熱意を持っている人からも選ぶかもしれないというようなあいまいなことでは困ることになるわけです。やはり傷痍軍人の中から選ぶことになると問題が出てくるわけです。お互いにそねみもあるかもしれません。そういう点で問題がある。だからこういう点で、あなた方の指導方針というものはどうも一貫をしていない。これは常勤でなくて当然非常勤であって、いろいろ診療相談その他もあるのだから、秘密の保持をしなければならないということになって、傷痍軍人の内部から選ぶということになれば、なかなか問題が出てくるところである、そうしますと、秘密の保持ということになれば、傷痍軍人の中から選んじゃいかぬということになるわけです。(「そうはならぬよ」と呼ぶ者あり)そうはならぬと言っているけれども、たとえば国会議員の身分に関することを私なら私に専属にまかせるということは、他の議員はなかなかやらぬものですよ。やはり公正な第三者にやってもらわなければ困るということになる。そうしないと、傷痍軍人だったら勢力争いになる。それを一つの足場にしていろいろのことをやることもできないことはないのだから、そういう問題にもなりかねないわけです。変な言い方かもしれないけれども、傷痍軍人会を足場にして、おれが会長になろうなんと言う者も出てくるかもしれない。だからそういう点でもやはり私は、社会的に非常に大きな犠牲を払った人に対しては、やるのなら第三者がやる、やらないならば思い切って軍人会に補助金を出してやる、どっちかにきちっとやるようにしなければ、指導方針があいまいでは困ると思うのですよ。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/17
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018・鈴村信吾
○鈴村政府委員 傷痍軍人の中から選ぶのはむしろ不適当ではないかというお話のようでございますが、私、必ずしもそういうように考えておりません次第でありまして、傷痍軍人の中にも非常にりっぱな方もおいでになりまして、社会的信望もあり、またこういう問題に熱意を持っておられる方が、かなり多数おられるように承知しておる次第であります。したがいまして、現実の委嘱にあたりましては、都道府県知事からの推薦を受けて委嘱するということになる予定でありますが、知事が、ほんとうにりっぱな方であるという太鼓判を押される方であるならば、傷痍軍人であっても差しつかえないというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/18
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019・滝井義高
○滝井委員 そこらは私とあなたと議論の平行するところです。これは具体的な選考基準みたいなものはおつくりになるのですか、こういう条件の人でなければすることができないということをおつくりになるのですか、それとももう知事にまかせて、知事が自由裁量でそれぞれ配分された人員だけを選ぶということになるのですか。これは何か基準でもおつくりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/19
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020・鈴村信吾
○鈴村政府委員 全く白紙で知事に依頼ということも不適当だと存じますので、若干の基準的なものは示したいと思います。しかしながら、知事の自由な推薦権をまた不当に拘束するというようなことになっても必ずしもよくないと思いますので、そういうことにならない範囲におきまして、ある程度の基準を示したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/20
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021・滝井義高
○滝井委員 次は、療養手当です。「十八条第二項中「二千円」を「三千円」に改める。」——年金局長はまだいらっしゃっていないですが、いまおられればここでやりますが、いなければ、また同じようなのがあとにありますからまたあとでやりますが、この療養手当二千円を三千円に引き上げられておるわけでございます。原爆医療の手当も、同じく二千円を三千円に引き上げておる。こういう引き上げをやる場合には、何か政府は具体的な基準を持って引き上げておるのか、それとも全く腰だめ的に、予算の関係でやかましいから千円ぐらい上げておったらいいだろうという、そういう簡単な気持ちでお引き上げになっておるのか。そこらの原則というか、引き上げの基準というか、そのよりどころをひとつお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/21
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022・鈴村信吾
○鈴村政府委員 こういうものの引き上げに関しましていろいろあると思うのでございます。かなり厳格な一定の数字的根拠に基づいて引き上げるようなものもあると思いますが、またものによっては、必ずしもそういうふうな厳格な数字的な根拠ではじけないようなものもありますので、一律に申し上げかねますが、本件の場合は、その後の物価の変動等も考慮いたしまして、また経済情勢の変動等も考慮いたしまして、一応五割増ということで算定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/22
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023・滝井義高
○滝井委員 これはしばらく置いておきましょう。とにかく一応五割増だということでございますから、あとでこういうところ全部関連してきますから、しばらく置いておきます。
次は、日本国有鉄道の無賃乗車船の取り扱いについて、まず現在、こういう無賃乗車船の恩典を受けておる人はどのくらいおって、その予算は一体どのくらいであるか。今度拡大することによってどの程度の増加があって、予算としては総額幾らになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/23
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024・鈴村信吾
○鈴村政府委員 現在の制度におきまして対象になる方は、先ほど申し上げましたように十三万をこえるわけでありますが、現実に引きかえ証を交付しておる者の数は九万二千六百十七人になっております。これが今日の適用範囲の拡大によりまして、大体四千八十八名程度ふえるというふうに考えておる次第であります。
この予算の問題でありますが、三十九年度は七千百七十六万九千円計上されております。四十年度は、七千三百九十二万二千円というのが運輸省のほうに計上されておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/24
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025・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この回数と等級と区間というのは一体どういうことになるのか。一人一人の回数、一等とか二等という等級、それから区間、どういう区間をやることになるのか、まずそれからお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/25
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026・鈴村信吾
○鈴村政府委員 等級、回数、区間の問題でありますが、まず等級は二等であります。回数は、障害の程度によって変わっておりまして、まず特別項症から二項症までは十二回、これは介護者を含んで十二回でございます。それから三項症、四項症は、介護者を要する場合には六回。六回というのは、介護者を含んで六回という意味でございます。それから介護者を要しない場合には、本人一人の場合には十二回ということでございます。それから五項症、六項症及び一款症、この三つの場合には、もちろん介護者はありませんが六回、それから二款症から五款症までは四回、こういうことになっております。それから同一区間を往復いたします場合には、これは二回とみなしております。それから経路でありますが、これは通常の経路といいますか、あまり寄り道をしない一定の経路で算定するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いま言われた十二回とか四回とかいうその額、項症、款症によって違うのはわかりましたが、区間はどういう遠距離でもいいことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/27
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028・鈴村信吾
○鈴村政府委員 遠距離でもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/28
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029・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは運輸大臣の関係ですが、この金の負担というものは運輸省の予算に計上をしておるわけですが、その具体的な負担方法というのはどういう形になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/29
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030・馬渡一真
○馬渡説明員 お答えいたします。
実際にいま各戦傷病者の方が御乗車されました場合に、引きかえ証を国鉄に提出をされます。その提出をされました引きかえ証をもとにいたしまして、国鉄が運輸省に負担金の申請をいたします。それに基づいて国鉄に支払いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/30
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031・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、七千三百九十二万二千円という四十年度の予算のワクの中でやることになるわけですね。そうして区間はどういう遠距離でもいいことになるわけです。回数は四回とか十二回とかきまっておる。そうしますと、七千三百九十二万二千円のワクをこえたり少なくなったりすることが非常にあるわけですよ。この調整というものは一体どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/31
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032・馬渡一真
○馬渡説明員 私ども運輸省のほうでは、国鉄の申請に基づいて負担をいたしておりますので、国鉄のほうで現在まで申請をしてまいりました内容が、おそらくその実績に基づいての申請であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/32
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033・滝井義高
○滝井委員 それぞれ人間はやはり目的を持って恣意的に動いていくことになるわけです。したがって、実績だけではそれはそうはいかぬわけです。だから私は、ここの二十三条の四項をごらんになりますと、「前項の規定による負担の方法その他必要な事項は、運輸大臣が定める。」こういうことになって、条文で明示してないわけですよ。これは負担方法その他の必要な事項は運輸大臣が定めるということで、一体どういう負担方法をやるかということは明示されていないわけです。しかし運輸大臣は、国鉄当局に対しては迷惑をかけませんよということははっきりわかるのです。しからば一体、いまの七千三百九十二万二千円の予算の範囲内でいけるかどうかということは、これは実績を見ないとわからない。そうすると、これは補正予算でも組むことになるのかということになるわけです。そこらの関係は一体どういうことになっておるのですか。もし予算が足らなかったということで、いや君、そんな遠いところへ行ってもらっては困るよというようなことになるのでは、これは困るのです。だから、ここらの過去の運営のしかたというものは、一体どういうように実際に運用しているのかということですね。これは援護局長のほう、かからないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/33
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034・馬渡一真
○馬渡説明員 三十八年度までが実績として出ておりますけれども、その間におきましては不足したことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/34
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035・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、七千三百九十二万二千円というものは相当余裕を持ったものとして取っている、過去においてその補正予算その他やったことがない、こうおっしゃるならば。そうすると、今度は新しく恩給法以外の方にも適用することになるわけですね。四千八十八人ですか、人数がふえる。額にしたら二百十五万三千円程度ふえて、四月一日からこれはワクの拡大で実施することになるわけですが、どうもそこらあたりちょっと疑問点がありますけれども、まあそう大きな問題じゃないから——もうちょっとそこらあたりきちっとしておいてもらいたい。予算が足らなかったからといって戦傷病者の旅行を抑制するようなことがあっては困るのです。これが法律事項であれば、わりあいここでも、きちっと一問一答で詰めていけばそれで終わるわけです。ところがこれはみんな行政の事項、政令事項になるわけでしょう。政令事項になるのか、指導事項になるのかわかりませんけれども、みんなあなた方の行政の指導で事が運ぶわけです。三月に申請すると、予算が切れました、だから今度予算の通った四月にお回しなさい、こういうことになる可能性があるわけです、私に言わせれば。そういうことがあると、傷痍軍人としては、何だ、国会で無賃乗車券をくれるといっても、三月に行ったら予算がないから来年度にしろということでは困るということにもなりかねない。そこらの詰めをひとつしっかりやっておいてもらいたい。
次は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案について御質問しますが、その前に、今度戦傷病者会館の建設費が二億円予算に計上をされておるのです。これは大臣に聞くことになるのですが、この戦傷病者会館の建設はどこに、一体幾らの経費で建てることになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/35
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036・神田博
○神田国務大臣 この戦傷病者会館の建設者はだれかというのですが、これは社会福祉法人戦傷病者会館、社会福祉法人でやる予定になっておりまして、最初は三億三千万円ということでございまして、このうち三億円を国庫補助にしてもらいたい、こういう予定でございましたが、そのときの設計が総坪数が千四百坪、地上六階地下一階の鉄筋コンクリート建てでございまして、内容は主として戦傷病者の収容、それから授産、更生のための職業補導、それから補装具製作研究及び宿泊等の施設、こういうことでございました。しかしそれが、いまお話しもございましたように、国庫補助の額が三億円でございましたのを二億円ということになりましたので、当初の計画を再検討する、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/36
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037・滝井義高
○滝井委員 もう予算が通りましたから、三億三千万円の目的が二億円に予算が削られたということになれば、一億三千万不足になるわけです。そこでこれは計画を縮小して二億のものにすることになるのか、それともなお三億三千万円の当初の目的を貫いて、一億三千万円くらいの金はどこからか集めてくることになるのか、そこらあたりはどういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/37
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038・神田博
○神田国務大臣 これは私、折衝いたしたのでございまして、最後の折衝で組まれたわけでございますが、大体予定どおり建てたいという強い希望でございました。不足分の三千万円は自己調達するという予定でございましたが、一億円不足するわけでございます。これをどうするかということを、そのとき詰めた話によりまして、これは援護者と申しましょうか、有力者と申しましょうか、財界と申しましょうか、その方面の寄付をひとつ仰いだらどうだろうか、その際には大蔵省とも話がいたしてありまして、免税措置をいたしましょう、こういう話になっております。それをそういうようなことでやりますか、あるいは非常に御承知のように不況でございますので、そういうことができなくて縮小していくか、これは今後、これから検討いたしまして御相談して実施計画がきまる、こういうことになろうかと思います。しかし予算のときには、いま申し上げたように、原案のとおり三億三千万円でいきたい、不足分については他の援助を仰ぎたい、こういうようなことで話は一応ついたわけでございます。
〔委員長退席、井村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/38
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039・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、一応三億三千万円でつくるんだが、援護者、財界等の寄付をやる、戦傷病者のほうで三千万円の自己調達をやる、これは自己調達でもおそらく寄付かカンパになるんでしょうが、しかし、これはなかなか不況なのでそううまくいくかどうかというお話でございます。これが具体化したときには、われわれのほうにもぜひひとつお知らせを願いたいと思うのです。どういう形でやるのか。そうしますと、社会福祉法人として戦傷病者会館を発足させるんだが、これを利用する人は、さいぜん御答弁のございました十八万二千五百六十三人、この方々を対象にするのであって、九段会館との関係というものは、これはないわけですね。全く十八万有余の戦傷病者向けの専用のものとして建てる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/39
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040・鈴村信吾
○鈴村政府委員 たてまえは全くそのとおりでございます。ただ、利用に若干余裕があるという場合には、若干その他の方の利用も許されるかもしれませんが、たてまえはあくまでもそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/40
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041・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは授産から宿泊、それから補導、それから補装具の何かモデル的な製作まで言われたんですがね。そうしますと、この社会福祉法人には相当の幹部ができ、職員ができて、それらの指導体制をやらなきゃならぬことにこれはなるんですね。そうなると、また役人のおば捨て山ができるということになるのかもしれぬけれども、こういう体制はどういうことになっておりますか。その社会福祉法人の構成とかその指導体制ですね、これはどういう形になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/41
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042・神田博
○神田国務大臣 そういうことを含めまして、いま傷痍軍人会の顧問でございます植木さんが理事長をやっておられまして、検討をなすっておられるわけでございます。その検討の結果に基づきまして、おそらく厚生省のほうにも御相談があると思います。その御相談がある際に、いま滝井さんのお話しのようなことを含めまして、この予算のねらっておるとおり、りっぱなものができまして、傷痍軍人の福祉更生のために役立つようにして指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/42
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043・滝井義高
○滝井委員 そうすると、これはもう傷痍軍人だけのものになるが、一般の同じような身体障害者、すなわち身体障害者福祉法の対象になっておる人々の関係というものはどうなるんです。それらの人々がこの宿泊施設を利用したり、あるいは補装具その他の関係もありますが、こういう関係というものは全然切り離されて、別に、それでは身体障害者のために厚生省は建てる意思があるかということにもなるわけですか、その関係はどう
なりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/43
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044・神田博
○神田国務大臣 身体障害者の共通点がございますから、たとえば職業補導とか補装具の製作とかいうようなことは、いろいろ相関関係といいましょうか、お互いに参考になる問題があろうかと思っております。
それから、会館の趣旨はあくまで傷痍軍人用ということになっておりますので、別個の観念でございます。しかし、余裕があれば、いまの補導とか補装具、あるいは宿泊等の施設の問題もからめて、使用させていただくということもあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/44
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045・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いま身体障害者のことは、どうも必ずしもはっきりしないんですがね。原爆の被爆者の恩典を受けている人は、これは関係してもよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/45
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046・神田博
○神田国務大臣 余裕がありますれば、そういうことは、話し合いと申しましょうか、共通の点がございますから、喜んでその施設の利用をしていただく、こういうことになろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/46
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047・滝井義高
○滝井委員 これはやはり、こういうところにも一つ問題があるわけです。いま言ったように、余裕があればということは、結局原則的には排除しておるわけですね。そうしますと、原爆被爆者の方が会館を建ててくれと言うたら建ててくれるのか。十八万人でしょう。私は、これは建てることは反対でない、賛成です。しかし、こういう施設を国が出してお建てになろうとすれば、私はもっと二億が五億でもいいと思うのです。そして戦傷病者部門、普通の身体障害者部門、原爆医療部門というぐあいに、やはり身体障害者を全部一括して差別のないようなぐあいにやるのが、私は政治じゃないかと思うのですよ。こういう点に、今度は一般身体障害者はそねみを持ちます。それから原爆医療——きょうは大原君がおらぬからなんですが、大原君がおってごらんなさい、これはわれわれ被爆者は入れないのか、こういうことになると思うのです。私は、こういうところは、一億が五億でも、場合によっては十億でも要求をして、大きなものをきちっとすべきだと思うのですよ。遺族のためには九段会館というものがあるのですからね。そうすると、十八万人の戦傷病者のために社会福祉法人をお建てになってやろうというなら、全国の身体障害者もその恩典に浴するようにすべきだ。それは柱は戦傷病者でいいです。しかし、その両翼には原爆の被爆者、それから身体障害者、これを両翼に持って大きくやるほうがいいのじゃないか。国家の中で、戦傷病者、身体障害者、原爆医療者、こうばらばらにやるのでは、そのわずかな予算が絶えず非能率的にばらばらに使われてしまって、そうして国民の間に何か差別感をつくるという形が出ると思う。やはりこういう政策をおやりになるときは、私は、そういう部類の人を一括してやるべきだと思う。柱は立ててもいいですよ。そういう形を政策としてとるべきだと私は思うのです。こういう点については、どうも政治感覚が欠けておる。だから、一つだけを先行していくと、他のものがおくれをとったという形になって、また攻勢がかかってくる。われわれのための会館をつくってくれ、われわれが東京へ行ったときにはどうにもならぬじゃないか、こうなる。だから、そういう配慮をしてもらわなければいかぬと私は思うのですがね。だから、ことしはたとえば二億円だけしか取れなければ、来年はさらにもう二、三億足してやるというくらいの余裕を持ってやるべきだと私は思う。こういう職業補導とか補装具の問題等は、何も戦傷病者だけの問題ではないでしょう。そういう点ももうちょっと考えて、片手落ちのない、前向きの、それこそ大蔵大臣や神田さんが言うように、前向きの政策というものを残しておく必要があると私は思う。どうですか。一体これはどこにお建てになるのですか。私の要望としては、もしこれをお建てになるとするならば、場所を広くとって建てるべきだ。どこにお建てになるか知らぬが、場所を広くとっておいて、戦傷病者会館と一緒にまず二億でお建てになり、あるいは三億でお建てになったら、余裕を残しておいて、同時に原爆医療者も一般の身体障害者も一緒に大きく入れるようにして、身体障害者、戦傷病者会館として発足できるような余裕を敷地その他にも残しておいてやるという、それだけの仕組みをやれるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/47
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048・鈴村信吾
○鈴村政府委員 土地のほうはまだ最終的には決定いたしておりませんが、大体市ケ谷の土地ということで話がいま進んでおる次第でございます。
あとの、一緒にやれるかどうかとおっしゃる点でございますが、いま直ちにここで一緒にということは申し上げかねるわけでありますが、将来、そういう点も参考にして十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/48
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049・滝井義高
○滝井委員 おざなりの答弁では困るですね。市ケ谷におつくりになるなら、それだけの土地の余裕をとっておかないとあとで困る。それは、山下春江さんが何かやったような、ああいうようなマンションと一緒にされたのでは困る。だから、やるならばやはり前もってそういうことも勘案して、今後やる必要があると私は思うのですよ。十八万人の戦傷病者のために福祉会館をつくることはいい。それならば、身体障害者や原爆の者はどうしてくれるのだ。それをやってくれますか。同じ日本国民で、なるほど片一方は国家犠牲かもしれぬけれども、片一方は産業の犠牲になった者もいる、公傷で労災でなった者もいるのだから、金は労働省に相談をして、労災の分も出してもらおうということだってできる。原爆医療は当然国が処置しなければならぬものでしょう。最低二千円から三千円というのは、同じ処置をしておる。同じ処遇、手当をしておって、会館はどうしてできないのだということになっら、答弁できないでしょう。そういう面から、大所高所から考えて、たとえば土地もそうしておく、建物も、いつでも一体的に継ぎ足しができるような建物の構造を前もって設計しておけばいいことになる。何も自民党だって、身体障害者はやらなくてもよろしい、原爆の障害者はやらなくてもよろしいとはおそらく言い切らないと思うのですよ。ここらあたりをもう少し明白にする必要があるのです。そんなことを明白にしなければ、この法案を通しませんぞ。こういうところをもう少し政府が政策的に明らかにしておかないことには話にならぬ、法案々通すことが目的じゃないのですから、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/49
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050・神田博
○神田国務大臣 いま滝井委員のお述べになっておられますこと、私もその考え方については同感の点をたくさん持っております。ただ問題は、いまお尋ねの点にもございましたように、この戦傷病者に対する対策の一つというものは長い間の懸案になっておりまして、それが今度熟して解決したということだと考えるのであります。それなら当然、原爆被災者あるいはいまの労災その他のいわゆる不自由な方々について同じことを考えていくかどうかという問題でございますが、これはやはり私は、時と事情によりまして、どういうような対策を立てたらいいかというようなことは当然考えていいことじゃないか、こう考えております。そういう意味で、ここに直ちに一緒にしていくということは、少しこのほうがもう先行しておるのでございまして、いまこの段階では少し無理なことじゃなかろうか。しかし、滝井委員の言われたことは私も同感でございますので、これらは別途にまたひとつ検討を加えまして、そうして考えていったらどうだろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/50
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051・滝井義高
○滝井委員 その戦傷病の状態になった原因についてはいろいろ差がある。しかし結果はみな同じです。手が切れ、足が切れたのは同じです。戦いで切れようと、仕事の、労働災害で切れようと、それから原爆の被爆によってそういう身体障害の状態になったのも、結果はみな同じです。結果が同じなら、その結果から出てくる指導体制というものは、みな同じでなければならないはずです。そうでしょう。職業指導だって、補装具の問題だって、福祉の増進の問題だって何ら差別はないはずです。もし差別があるのだったら、原因の点について差別がある。片や、いままでのものの考え方から言えば、国家補償をしなければいけない、片方では、労働の災害の保険の補償をしなければならない。そういうやり方、補償の金銭的なやり方は違います。しかし、指導の体制というものは同じでなければならぬ。とするならば、私はこれを先に発足させて悪いとは言わない。発足させてよろしい。しかし将来は、同じことを結果としてはその人間についてやるんだから、したがってそこに一つの大きな身体障害者なり戦傷病者の会館というものを一括して建ててやる。そうすれば指導だって、これは一緒にして交渉をやっていいんです。何も別々にして差別をする必要はちっともないでしょう。何も鉄砲で撃たれて手を切ったからといって、あるいはベルトに巻き込まれて腕を切ったって、左手のない人の指導は同じです。そういう将来の合理的な、能率的な、効率的な指導体制をとろうとすれば、一緒でいいじゃないか。だから市ケ谷にお建てになることはよろしい。しかし、将来そういうものができるだけの余裕と企画だけはしておいてくださいよ、そういうことです。それさえできない。これが先行しておるからこれだけ先にいくのだということなら、他のものを言明するまで法案を通さぬ。われわれのほうはそれ以外に歯どめがないのだから、これは予算が通ったから、いまこういう法案ででも言質をとる以外にないのです。そういう点の配慮をしてください、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/51
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052・神田博
○神田国務大臣 おっしゃる御意見の趣旨は私も同感でございまして、よくわかっておるのでございます。そういうことを念頭に置いてやりますが、ただこのこと自体はそういうような経緯を経て先行してきた、こういうことを申し上げておるわけでございまして、滝井さんの考え方をそれはいけないのだと言っているのではない、それは全く私どもも同感の点が多いし、指導としても単一でできるわけでございますから、また充実する側からいきましてもそのほうがしあわせでございますから、それは非常にけっこうだ、そういうことも念頭に置きましてひとつ考慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/52
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053・滝井義高
○滝井委員 ぜひひとつ、そういう総合的なことを頭に置いて、政策を推進していただきたいと思う。私はちっとも無理を言っているとは思わぬ。当然国の金をつぎ込むからには、その施設が百%に、戦傷病者を中心にしながら他の人にも有効に利用できる方法をとるべきだと思う。
次は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法についてでありますが、今度三万円の特別弔慰金を記名国債で出すことになりました。十年以内にこれを償還して、無利子です。時間がありませんから要点だけを質問いたします。
これは大臣にお尋ねをしますが、池田さんが天下をおとりになってから足かけ五年が過ぎたわけです。この間に、一体消費者物価はどの程度上がったかということです。これは大臣が御答弁できなければ、局長でもだれでもかまいません。一体どの程度の物価の上昇があったのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/53
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054・神田博
○神田国務大臣 正確なことはちょっといま調べないとお答えできませんが、私の感じからいきますと、三五、六%ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/54
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055・滝井義高
○滝井委員 とにかく三五、六%から四〇%近く物価の上昇があったわけでしょう。そうすると、今度三万円の記名国債を、弔慰金しかもらっていなかった人々に特別弔慰金として支給しますが、それを十で割れば、一回三千円ずつ一年に支給することになる、全くのたばこ銭を支給することになるわけです。そうしますと、中期経済計画では一年に二・五%ずつの物価上昇だと言っておったが、実際には三十九年、四十年ですでに九%近くの物価の上昇があったわけです。そうすると、いまの状態で二・五%というのは全く絵にかいたモチで、そのとおりにならない、やはり四、五%以上の物価の上昇があるわけだ。そうしますと、十年間で三万円が一万五千円の価値に下がってしまうおそれがある。そういうふうに、日本経済の高度成長というものはインフレをもとにして成長してきているのですから、そうしますとこの十年で価値が半減してしまう、毎年もらうものがだんだん半減してしまう。この場合に、一体政府は、二十周年記念として三万円の記名国債をくれることになるのですが、そういう物価上昇によって価値が下がってしまった分の補てんをする考えがあるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/55
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056・神田博
○神田国務大臣 これは経済的に言いますと、滝井さんのおっしゃることは私は一つの理論的な根拠、また思いやりとしても十分意を尽くしたことだと思います。しかし、今度の弔慰金を三万円差し上げたいということは、先般の戦争の惨禍を受けた、いわゆる戦没者の方々に思いをいたしまして、ちょうど二十年になるから、ここで一つの区切りとして弔慰の誠を国として表したい、こういうことでございまして、これは金額の多いことに越したことはありませんが、やはり財政事情というものもございます。それから金額が多いから弔慰の誠が多いのだということだけでもなかろうかと思うのでございまして、ちょうど一つの区切りとして二十周年を記念して三万円を差し上げたい。これは一時金のほうが一番いいことは、私も十分そういうように考えておりますが、しかし事柄が弔慰金でございますので、二十年に一ぺんにお祭りをしてしまうというよりも、また十年間、細々ではございますが、そういうことに国が心を使ったのだというような気持ちを残すということも弔慰の方法ではなかろうか、こういうことじゃないかと思います。十年間で今後どのように物価が上がるかは、いまのようなことでまいりますれば、お述べになったとおりでございますが、またこれは政治、経済のことでございますから、十年後においてはどうなるかということも問題だと思います。しかし、その議論をしようというわけではございません。おっしゃるお気持ちは、もうよく私もそういう議論のあることも考えておったわけでございますが、しかし、われわれといたしましては弔慰の誠をひとつ披瀝いたしたい、戦没者にこの機会にあらためて弔慰の誠を披瀝いたしたい、そうして遺族の方々を慰めて、また戦没者の霊にその誠をささげたい、こういうことで計画いたしたわけでございまして、その点をひとつ御了察願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/56
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057・滝井義高
○滝井委員 まあ二十周年がきたから記念品を差し上げる、弔慰の誠をささげるんだ、なかなかことばは美しいですわ。美しいことはいいことだと思いますけれども、これは利子もつけていないのですよ。なるほど、妻に対する二十万円の記名国債をやるときも、これは無利子だった。しかし、他のものに出したのは、同じ援護関係でも利子がついているのもあるのですね。三万円の金を十年間に、一回三千円ずつ差し上げる。しかもいま、去年の百円がことしになったら九十五、六円になってしまっておったというようなことでは、出すことについても私は、弔慰の誠を尽くすにしても、あまりにも事務的である、何かちょっとそこにヒューマニズムが欠けておるような感じがします。これは所得制限をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/57
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058・神田博
○神田国務大臣 これはもう、事の性質上そういうことは考えておりません。いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/58
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059・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、特別弔慰金の事務処理ですが、この事務処理は予算が四百十七万四千円計上されている。これは市町村にやることになるのですか。どういうようにこの事務を処理するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/59
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060・鈴村信吾
○鈴村政府委員 まず裁定の問題でありますが、厚生大臣の権限とされておりますけれども、これを本土につきましては都道府県知事に委任する、それから沖繩地区につきましては、那覇にあります日本政府南方連絡事務所長に委任するということに考えております。そこで、委任されました都道府県知事あるいは南連所長が裁定いたしまして厚生大臣に報告をいたす、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/60
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061・滝井義高
○滝井委員 厚生大臣が知事と沖繩の南方連絡事務所長に委託をしてやる。そうすると、この四百十七万四千円というのは、沖繩とそれから知事にやることになるのですか。そうすると、こういう事務を市町村がやらずに、県でやれるはずはないでしょう。当然知事は市町村に委託をしないとできないじゃないですか、こういう事務は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/61
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062・鈴村信吾
○鈴村政府委員 いま予算額のお話が出ましたが、予算はこういうことになっております。本省事務費として約五百十万円、それから事務委託費、つまり地方へ配分する金が四千九百万、合計五千四百万になっております。
それから、これは知事に委任いたしまして、大臣が裁定するわけでありますが、書類は市町村を経由して出てまいります。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/62
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063・滝井義高
○滝井委員 私、間違えました。四百十七万と言ったのは五千四百十七万、五を一つ抜かしておりました。五千四百十七万四千円、そうすると、地方にいく四千九百万円、あなたの四千九百万円は、当然これは市町村にいくのでしょうね。市町村にいかずに県どまりですか。そうすると、市町村は事務処理はサービスでやれ、こういうことにはならぬのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/63
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064・鈴村信吾
○鈴村政府委員 当然市町村にまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/64
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065・滝井義高
○滝井委員 そうすると、その市町村のこういう配賦のしかたですね、御存じのとおり、この戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給というものは、いままで弔慰金しかもらっていない人に選択的に出すわけです。その数は四十一万人ですから、各県にそんなによけいおるわけじゃないです。したがって、これはまず市町村が、こういう特別弔慰金が出るようになりましたよというPRを各行政単位というか、昔の町内会あるいはいまの区というか、こういう末端にずっと周知徹底しなければならない。そうすると今度は、その事務処理に、おそらく戸籍謄本とか何かたくさんなものが出てくるわけですね。これは福祉事務所に出てくるのか、市民課みたいなところに出るのか知りませんけれども、ともかく出てくるわけです。それを今度は、一々その事務処理を市町村は、いまの相談員の問題じゃないけれども、しなければならぬわけなんです、間違っておったら書類が返ってくるのですから……。そういうことになれば、市町村に金がいくというのは、一体一人について幾ら事務費が市町村にはいくことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/65
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066・鈴村信吾
○鈴村政府委員 四十一万件のうち、初年度は一応十六万件の裁定を予定しております。したがいまして、それで割ってみますと、まあ一件出たりあるいは四十円くらいになるのじゃないかと思いますが、ただ具体的に県が市町村に配分する場合には、必ずしもそれにこだわらないで、県の適当と思う方法で配分されるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/66
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067・滝井義高
○滝井委員 そうすると、一件当たり四十円くらいになって、県がそれぞれ四十円以上だったり、以下だったりすることになるのですか。ここらあたり、もう少しやはり事務処理をやる市町村の立場を考えて、そうしてかゆいところに手の届くような予算配賦をしておかぬと、こういう問題というのは、なかなかPRが徹底をしないとあとからあとからになる。そうすると、何年間に申請しなさいということになると時効になってしまうのですよ。期限までに申請しなかったらだめになるのだから、そういう点は、もう少し事務処理費をきちっと市町村に渡してやらなければならぬ、そういう点をぜひひとつ注意してもらいたいと思う。
それから、郵政大臣が国債償還金の支払いに関する専務をやりますね。これは四十年の六月十六日に発行して、四十一年以降六月十五日に支払うことになりますね。この郵政省の事務費というのはどういうことになるのですか。
それから第二点は、十三条の2、政令で定める者に委託するということになるが、この「政令で定める者」というのは、これは市町村とか、たとえば農協とかということでなくて、これは沖繩の関係だけをいうのかどうか、その二点。
〔井村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/67
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068・鈴村信吾
○鈴村政府委員 後段のお話の点は、これは沖繩の琉球政府の当局者だけでございます。
それから、ただいまの郵政省の事務費でありますが、これは国債整理基金特別会計のほうから郵政省にいくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/68
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069・滝井義高
○滝井委員 その国債整理基金の特別会計から幾ら郵政省にいくことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/69
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070・鈴村信吾
○鈴村政府委員 償還は来年以降でございますので、ことしは予算が組んでなくて、来年以降組まれる予定と聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/70
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071・滝井義高
○滝井委員 その場合に、郵政省の経費と市町村の経費というものが関連してくることになるわけですよ。市町村にどのくらい、郵政省に一体どのくらい——これは妻に対して記名国債をやったときの前例があるでしょう。これは幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/71
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072・鈴村信吾
○鈴村政府委員 大蔵省の国債整理基金特別会計から当時幾ら出しておりますか、ちょっといまここに数字がございませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/72
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073・滝井義高
○滝井委員 けっこうです。あとで調べて教えてください。
そうすると、いまの戦没者等の遺族に対する特別弔慰金のことはそれくらいにして、今度は戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律、これの実施は四十年十月から実施することになりますが、遺族年金の額が七万一千円から九万二千円に引き上げられておるわけでございます。この七万一千円から九万二千円に引き上げた理論的な根拠というものは、一体どこにあるのかということです。これは御存じのとおり年金ですから、したがってあとで年金課長にも関係があるわけですが、この引き上げの理論的根拠というものをまず御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/73
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074・鈴村信吾
○鈴村政府委員 今回、恩給法の改正におきまして、元軍人につきまして、現在の兵の仮定俸給十万八千二百円でございますが、これを二〇%増額いたしまして、またその兵の公務扶助料にかけすす倍率を、現在三十五・五割でございますが、これを四十三・二割に引き上げまして、その結果丘の公務扶助料の額が、現行七万二千四百二十円が九万三千四百五十七円に増額されたわけであります。これが約三九%になるわけでございますが、それに伴いまして遺族年金のほうもほぼ同率引き上げたということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/74
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075・滝井義高
○滝井委員 そうするとお尋ねしたいのは、いまの仮定俸給二〇%アップと、それから公務扶助料の年額は、普通の扶助料の年額に対する一定の倍率を乗じて得た額できまるが、その倍率を三十五・五から四十三・二に上げた、こういうことなんですね。これが二九%アップですか、こういうことになったわけです。
そこで年金課長に問うことになるわけです。今度国民年金の無拠出の年金をお上げになりましたね。これは幾らお上げになっておりますか。老齢年金でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/75
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076・曾根田郁夫
○曾根田説明員 月額において二百円ベースアップになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/76
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077・滝井義高
○滝井委員 パーセントにするとどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/77
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078・曾根田郁夫
○曾根田説明員 現行が千百円でございますから、二百円といたしまして大体一七、八%になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/78
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079・滝井義高
○滝井委員 生活保護は、大臣幾らお上げになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/79
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080・神田博
○神田国務大臣 一二%です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/80
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081・滝井義高
○滝井委員 いいですか、こういうように日本で一番低い生活をしていらっしゃる生活保護の階層、ほとんどは栄養失調です。その栄養失調の階層、世帯六十万、約百五、六十万人の人に対しては、この苦しい物価高、インフレの中で一割二分上げた。それから七十歳以上の、所得が非常に低い、二十万円以下の人たちに対する老後を保障する年金についてはたった二百円上げた。一割七、八分をおしげになった。所得と全然関係なくて、国家補償の見地からやられるいまの遺族年金については、七万一千円を九万二千円にお上げになったのだが、それは仮定俸給表を二割上げて、それから倍率を二割九分ですか、こういう形になったわけです。同じ厚生省の行政ですよ。一方は、食うや食わずやの状態のところが一割二分しか上がらなかった。一方は、そんな生活に関係ないのです。国家に功労があった、国家補償の見地からということでこう上げておるわけです。そうすると
一体、人間として生きていくためには、どちらが恩典を受けたかということです。そうでしょう。ここが政治の非常に重要なところです。こういう厚生省の行政というものは、一番貧しいところに対しては一割二分しか上げなかったけれども、食うや食わずという生活には関係のないところには、二割九分とか二割とかずっと上げていったということになると、社会保障というものはどうなるのです。こういう点の勘案というものを、何か一つのルールをつくっておかないと、参議院の選挙前に力関係でものが決定していく、そういうことでは私はいかぬと思うのです。さんぜん言ったように、三万円の額は少ないじゃないかと言えば、それは金でないのです、全く国が弔慰の気持ちで出すのですと言う。気持ちは、これは弔慰の気持ちで出すわけでしょう。弔慰の気持ちで出すものが二割であり、二割九分である。食うや食わずやのものは一割二分であり、一割八分であるといったら、あまりに差があるのではありませんか。こういう点、厚生省のこういう最低の生活を保障するような経費というもの——これは遺族はある程度最低生活を保障するということが、国家補償の見地とともに入っていると思うのです。こういう点を、もう少しやはり地ならしをきちっとして、上げるときにはやはり同じような額が上げていく。もしそこに国家補償の見地が伴うとすれば、それは幾ぶんのプラスアルファであって、あまりにもかけ離れた上げ方では困ると思うのです。それは、なるほど厚生省は、今度の生活保護費を二割上げるということを要求しました。上げよと言ったけれども認められていない。片一方は二割とか二割九分が認められておるということになると、あまりにあれじゃないですか。これは国民年金のときに問題にするのですけれども、きょうは関連があるから言うのです。片一方は月に二百円しか上げないのですよ。これは率直に言って、自由民主党の選挙基盤というものはこういう老人層にある。私がいつも言うように、非常に大きな選挙基盤ですよ。日本の生産に寄与した七十歳以上のおじいさん、おばあさん方について月に二百円しか上げない。この無拠出年金は三十四年に発足しておる。三十四年に発足して、三十四年以来考えたら、物価は四割とか四割五分、五割上がっておるのですよ。こういうふうに上がっておるにかかわらず、たった二百円しか上げない。先般やかましく言って千円を千百円にし、そうして今度二百円ですか、すると年間で二千四百円、ところがさいぜんの原爆の医療とかその他は五割上げているでしょう。ここはいま言ったように一割七、八分、あるいは生活保護は一割二分しか上げなかった。こういうように、厚生省の同じ屋根の下におる人たちが、あまりにもアンバランスに扱われるということになることは、私は将来の日本国民の社会保障なり、こういう問題を処理する場合に非常に差別感を与える。貧しいだけにそのひがみが激しいですよ。貧しいだけに貧乏人の恨みというのは激しいんだから。そういう意味で、この点についてはどうも論理の一貫性がない。そうして恩給にそれは右へならえをしたんだとおっしゃるけれども、これは恩給とも関連のあった問題なんです。こういう点は、大臣、今度はこれはやむを得ぬと思うのです。もうやむを得ない、すでに予算は通っちゃったんだから。しかし今度は、来年度また和田厚生大臣が大臣であるかどうかわからぬが、後任にはしっかりした事務引き継ぎをしてもらって、やはりこういうものはある程度ルールをつくって——医療費問題だってルールをつくらなければいかぬということを、大臣しょっちゅうおっしゃるじゃないですか。ルールがない、これだって同じですよ。生活保護費なり、いまのような無拠出の年金なり、こういう恩給なり、公務扶助料、遺族年金というものは、やはりルールをつくって一定のレベルへ上げていかぬことには、こんなにアンバランスが多過ぎたのでは困ると思うのですが、この点、大臣、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/81
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082・神田博
○神田国務大臣 いまの滝井委員のお話、たいへんごもっともでございますが、これは恩給法に右へならえしたので、率がいいというのは、御承知のように恩給法は数年改正しておらない。それから生活保護のごときは、毎年基準を改定して上げております。だから単年度でやると恩給のほうだけがとてもよく見えて、生活保護のほうが少ないということになりますが、恩給は毎年上げてないので、たしか三年目でございますから、これは上がった三分の一だということになると思います。そういう見方をしますと、恩給と生活保護基準との間の比率というものは、保護基準のほうが私は高く上がっておる、こう思っております。この点、少しそういうようにお考え願いたいと思います。
それからもう一つ、国民年金の二百円が安いじゃないかということはごもっともでございます。この点につきましては、御承知のように、四十一年度がちょうど国民年金の支給の改定期になっておりますので、その際に計算のやり直しをやるものですから、ことしだけは一年、緊急是正といいますか、とにかくそういうような意味をもちましてやりましたのでございまして、厚生省といたしましては、一連のこういった社会保障につきましてはバランスをとってございまして、おおむねとれているという考え方のもとに立っておるわけでございます。しかし、それをしさいに計算いたしましてそうなっていないということになりますれば、これは大いに考えなければなりませんが、一応いま滝井委員が言われたような考え方を持ちまして、バランスをとってやっておる考えでございますので、この点はひとつ誤解のないように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/82
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083・滝井義高
○滝井委員 ものごとはそのときそのときの問題で見ていくわけです。予算というものはその年のことで決着をつけていくわけですから、ぜひひとつ全般を見て均衡のとれたやり方を、ルールをつくってやってもらいたいと思うのです。医療問題あたりでも、ルールをつくれと大臣おっしゃっているのだから、こういうものだってルールがなければ、さいぜん言ったように、一体二千円を三千円に上げるというのはどういう理由ですか。理由は何もない。まあ五割くらいいいだろうということで五割上げたということですから、それなら何で無拠出年金その他を五割上げないんだということになるのです。五割上げてないですから、それだったら戦傷病者の手当を五割上げたんだ、原爆も五割上げたんですから、これも五割上げたらいいんですよ。おじいちゃんおばあちゃんのほうは所得制限しているんですから、食うや食わずの貧しい人たちですから五割上げたらいいんですよ。それを五割上げないんだからね。そこらあたりを、今度予算編成するときには一覧表をつくってみて、一体均衡のとれた上がり方になっておるかどうか、ちょっと大臣が勘を働かしてごらんになればわかる。それで大蔵省に行って、これはいかぬ、もう少しやり直してくれ、こういう形に私はすべきだと思う。そうすれば神田厚生大臣を支持する勢力というのは、きゅう然一体になってやるのだ。いまはばらばらですよ。だから、大蔵省からていよく各個撃破されているのです。それではいかぬ、こういうことです。
そうしますと、今度の九万二千円に上がった遺族年金は、生活保護と併給されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/83
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084・鈴村信吾
○鈴村政府委員 収入として認定されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/84
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085・滝井義高
○滝井委員 こういうように生活保護を併給されるわけです。遺族でこれをもらっている人は非常によくなります。われわれは、これは併給しなさいと主張してきました。(「併給されないよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/85
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086・鈴村信吾
○鈴村政府委員 収入認定をされるというふうに申し上げたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/86
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087・滝井義高
○滝井委員 そうすると、福祉年金との併給はありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/87
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088・鈴村信吾
○鈴村政府委員 あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/88
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089・滝井義高
○滝井委員 福祉年金との併給があれば、その併給のワクを上げなければならぬですが、幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/89
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090・曾根田郁夫
○曾根田説明員 今回の改正法案は、従来八万円でございましたのを、戦争、公務等に伴うものにつきましては十万二千五百円に引き上げることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/90
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091・滝井義高
○滝井委員 そういうように引き上げられてくるわけですね。いいことですけれども、この年金の併給のない人との格差は広がってくるわけですよ。したがって、併給なんかしないでもいいような状態をつくってやらなければいかぬわけです。私たちは併給を主張しました。しかし、併給をやればやるほど制度的に非常に複雑になる。それだけ国会議員が、要らぬところと言っては語弊があるかもしれぬけれども、実際併給しないで、きちっとうまく均衡がとれてくれば審議の時間も軽くなってくるわけです。やはり額が少ないんだから、併給をさせて満足させなければならぬ、こういう形になる。だから実に政策が、絶えずジグザグのコースをとらなければならぬことになる。
今度遺族年金を上げましたが、その上げるやり方について、年齢的な段階を設けたわけですね。国家補償ということになると、一体なぜ年齢的な段階を設けなければならぬのかということです。これまたさっぱり理由がわからない。これは全く政策的な予算的な関係だとするならば、これくらいけしからぬことはないのです。こういうように政府は、七万一千円を九万二千円に上げますといって高々とにしきの御旗を掲げたから、ほんとうにそのとおりしてくれるのかと思ったら、あにはからんや、待った、それは七十歳以上の人だけをことしの十月からやるので、七十歳以下の人はだめなんだ、それはもらうものは二分の一しかもらえないんだ、あるいは三分の一しかもらえないんだというようなことになっておるのですね。これは国家補償なんですといえば、国家補償と言うからには、年をとっておろうと若かろうと同じわけなんです。おとうさんを失ったという遺族については、全く同じなんです。それにそういう段階をつける、段階をつけるとすれば、これは社会保障です。社会保障のニュアンスが入ってきている。年をとった人は働けないだろう、若い人はもっと働いておそらく収入があるだろうから、しばらく三分の一とか二分の一でいいんだ。社会保障ですよ、これは。援護法の中にこういう概念というものが入ってき始めたということなんです。国家補償の見地がくずれつつあるのです。これは一体どういう理論的な根拠から年齢の段階をつけ、しかも年齢の段階に応じて給付の期間に段階をつけ、額に段階がついていくのかということです。どういう理論的な根拠からこういうことが出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/91
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092・鈴村信吾
○鈴村政府委員 援護法におきましては、その法律の第一条にありますように、国家補償の精神にのっとって給付をいたすことにしておるわけでありますが、ただそこに若干社会保障的色彩が加味されておるわけでございます。今回のいわゆるベースアップを実施する場合におきまして、国家財政の負担力等の関係もございまして、なるべく緊急度の高いものから優先的に実施しようということで、特に七十歳以上の方については直ちに実施する。さらに、その他六十五歳未満でも、妻子とかあるいは不具廃疾の父母等の者につきましては、やはり緊急度等を考慮いたしまして差をつけたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/92
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093・滝井義高
○滝井委員 こういうように非常な差をつけて、しかも法律を複雑にしておるでしょう。七十歳以上は四十年の十月から実施する、六十五から七十までは、四十年十月から四十一年十二月末までは増加額の二分の一、四十二年の一月からは全額、六十五歳未満は、四十年十月から四十年十二月までは三分の一、ずっとやって四十二年一月から全額、六十から六十五はどうだ、六十歳以下はどうだ、こういうように五段階にも分けて、しかもこまかく支給の年月日を刻んで、額も先のほうを多くしていく。こういうやり方というものは非常におかしい。法律的に非常に複雑です。こういうやり方をやるのなら、初めから、予算がなかったら少しでもいいから、一律にやったらいい。そして四十二年なら四十二年から全額やるというように、何かきちっとする必要があると思うのです。どうもこういうところは、今度は遺族の内部においてアンバランスをつくっていっている。遺族というものは一本だ。だから三万円でも、これは弔慰金でございますと言ってこう大みえを切った大臣のもとにおいて、また予算がなかったら今度は遺族の中でアンバランスをやって、ちびりちびりとやる。それなら三万円やらずに利子をつけたらどうですか、こういうことになるのです。それならインフレで困るじゃないか、いや、それは弔慰金でございますと、私に言わせると全く論理が一貫していない。こういう点は、やはり論理の一貫するようなことをやらないとおかしいのです。しかも、近ごろは社会保障のニュアンスが幾ぶんかあります。いままでは、ないないと言ってきたのが、今度は社会保障があると言い出した。どうも答弁が出たとこ勝負で困りますね。
それから、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案その他で調べてみましたら、請求件数が、三十九年二月一日まででは二百三十万件くらい出ておる。当時却下したのが九万八千件、その大半は、死因の公務性が認められなかったということが却下の理由になっておるわけです。そこで、とにかくこの九万八千件というような人たちは、死因の公務性が認められなかったというけれども、結局その人たちも軍隊に行った、あるいは戦争に行ったというのが大部分なんです。そして帰って死んだとか戦病死したとかいうことなんです。私は、もうこの段階までくると——戦争に行ったんだ、そしてうちのとうちゃん、にいちゃんは帰ってきて、とにかく死んだ、それが今度退職後二年以内、それから結核などは六年以内に緩和されていますね。私は、もうこういうものに当てはまるものは、人数はそんなに多くないのですから、みんな認めてやっていいんじゃないか。二百三十万とか二百四十万おる中で、あきらめ切れぬで泣いている人が、去年の二月で九万八千だった。そのうち、あなたのところにきた再審査要求は、当時で一万三千四百件、厚生白書によりますと、現在六百八十件くらいしか残っておらぬということなんです。これはよけい見積もったって一万か二万件の問題なんです。そこでこの段階になったら、召集されて戦争に行って、いま言ったように二年以内とか六年以内で死んだというようなものは、もうそんなに厳重に目の色を変えてやらなくったって、認めていいんじゃないか。そういう人には、今度は弔慰金を五万円差し上げて、あと三万円の国債を差し上げる、このくらいの踏み切りをして、この戦争の問題は一ぺんに片づけてしまうということのほうが、だらだらと長く援護局に役人を置いて給料を払うよりは安上がりだと思うのです。だから大臣、そのくらいの英断を持ってやるほうがいいんじゃないか。それはもう遺族はたいへんなんです。私もいま扱っているのですが、とにかく書類を集めて、あっちこっちにおる元上官を調べてこいというので調べに行く。上官がどこかよそに行っておらぬ。二度、三度調べる。それから戦友に会って証明書を書いてもらう。もと見てもらった軍医は、どこかにおらぬかといってさがし回る。やっとさがし出して書類をつくってもらったら、書類のつくり方がいけない、だめだといって却下される。また遺族の未亡人は一生懸命になってやる。こういうことなんです。そんなものは一万か二万件ですから、ほんとうにおとうさんなりおにいさんが軍隊にとられて、二年とか六年以内に帰って死んでおったら認めてやっていいと思うのです。もうこの段階でそんなに厳重にやる必要はない。それでこの遺族の問題というものはすぱっと片づけてしまう。(「ヒヤヒヤ」)ヒヤヒヤと与党は初めて言っておるけれども、それだけ苦労しておると見、える。私はそれだけの英断を持っていいと思うのです。どうですか、大臣、もうこの段階ですから、最後ですから審査を緩和してやるべきだ。医者が医学的な見地に立ってしゃちこばって、いや、このガンというものは、ほんとうに軍隊のときにキニーネをうんと飲んで起こったものかどうか、そう根堀り葉堀り調べたってわからぬですよ。はるか霧のかなたの二十年も前のことでしょう。またその資料を集めてこいと言ったって無理なんです。ここらあたりは一万か二万件しかないのですから、もうこの際、そういうあいまいもこたるもの、公務性が明白でないものは、思い切って五万円の弔慰金で片づける。そして一三万円の記名国債を与える。戦後二十年になったのですから、大胆率直にこのくらいのところで打ち切って、何かほかの方向に行くほうがいい。援護局の役人の給料がそれだけ倹約になって、役人ももっといいところに行けますよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/93
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094・神田博
○神田国務大臣 いま滝井委員のおっしゃることは、私も全く同感なんです。いま事務的にちょっと調べてみたのですが、却下件数が十万千百七十六件あったそうでございます。このうち、しばしば法令の改正等が行なわれまして、これから処遇をされることになったのが約八万件だそうでございます。ですから、残っておりますのが二万件そこそこなんです。この中に一体どのくらいほんとうにうそがあるかと言ったら、私はうそがないと思います。問題は、いま滝井さんが言われたように、ほんとうにさがし歩いて証明をとるのに苦労しておる者に尽きているのだろうと思うのです。そういうように善意の解釈をしてやることが、ほんとうは私も賛成なんです。しかし、これは、私が政治的意見を言いましても、日本の行政機構はなかなか複雑でございまして、御承知のようにそのまま通るとは思いませんが、考え方といたしまして、将来の方向といたしまして私は自分でもそう考えておりますので、そのように指導してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/94
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095・滝井義高
○滝井委員 したがって、いまの事務的な処理のところは、やはり援護局長がきちっとやらなければいかぬわけです。そうしてこれは片づけるべきだと思うのです。これは五年も十年も引っぱれば引っぱるほど、役人の給料だけ払わなければならぬ。役人の給料を払うことを考えたら、これはかえって遺族を喜ばしてやることになりますから、ひとつ十分局長さん心得て、いまの大臣の答弁を拳々服膺してやってもらいたい。
まだたくさんあるけれども、もうこれでやめますが、沖繩の恩給法、援護法等の適用の現況と、その支払った総額だけを言ってもらって、あとはひとつ資料をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/95
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096・鈴村信吾
○鈴村政府委員 数字で申し上げますと、遺族援護法、恩給法等全部含めまして、沖繩にいままで払いました額は、弔慰金を除いた額として百七十八億円、弔慰金が四十三億円、合計二百二十一億になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/96
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097・滝井義高
○滝井委員 それでけっこうです。あとでその資料の内訳をいただきたいと思います。
そこで最後にお尋ねしたいのは、在日朝鮮人の問題です。今度内国民待遇をやることになるわけですね。そうしますと、公務員の問題と選挙権の問題を除いては、内国民待遇になる可能性がある。大臣は、国民健康保険、年金については考慮する、特に国民健康保険については考慮することを言明したわけですね、新聞で見たんですが。そうしますと、この援護関係の諸法というものは——朝鮮の当時の青年も軍隊へ行っている。そうすると、この関係というものは一体どういうことになるのかということです。これは大平・金メモによる有償、無償の五億ドルの中に解消してしまうことになるのか、それとも請求があればこれは出すことになるのか、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/97
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098・神田博
○神田国務大臣 お答えする前に、ちょっと正確に申し上げておきたいと思います。
今度の日韓会談による韓国人の処遇の問題につきまして、私は、生活保護、それから国保の取り扱いについては、これはいままでどおりにしていきたい、国民健康保険については、市町村の数からまいりますと、全国で半分くらい入っておるようです、半分くらいはまだ入っていないという状態でございます。生活保護は日本人並み、それから国民健康保険も日本人並みの取り扱いをしていく、こういうようなことでひとつ妥結をしてけっこうですということを申し上げておりますが、年金の問題については申し上げておりません。いま滝井さんから年金もというお話がございましたから、これは誤解があるといけませんが、年金は申し上げておりませんから誤解のないように願います。それから、いまの日本に帰化した方についてはその処遇を同じくしたいと思いますが、そうでない者については、やはり遺族としての扱いを従来のままにしていきたい、こういう見解に変わりありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/98
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099・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、御存じのとおり、帰化しなくて戦争に行った人もおるわけですね。そして遺族で日本におる人もおるわけだ。そういう人は、大平・金メモの有償、無償の財産請求権の中に入って、もらえることになるのかどうかということです。どうしてかと言うと、未払い賃金その他は入るのです。郵便貯金等も入る。それから当時の厚生年金の資格も入るんだから、みんな入るのです。だから、この援護関係や恩給だけが入らぬというわけにはいかぬわけです。当然権利として、当時陛下の命令によって召集されたらあるわけですからね。大臣は、国民健康保険と生活保護とおっしゃったけれども、韓国側は、厚生年金その他を書いてくれと言ったら、いやそうは書けぬ、だから抽象的に、たとえば生活保護、国民健康保険等々と、等の中にごまかそうとしている傾向があるのです、きょうのラジオの放送などを聞くと。そこで、法案をやるときに援護法関係を明らかにしておかなければならぬ。実は私どもは、沖繩に援護法がそれだけ浸透していることを初め知らなかったのです。それでだんだん沖繩の財政問題を質問しているうちに、当時二百億恩給関係がいっているととがわかった。あれから二十一億ふえているわけです。実は税金を取っていないところに税金を出すということは、非常に問題があるところです。しかし今度、在日朝鮮人に国民健康保険なり生活保護を差し上げるということになれば、必ずその問題が出てくるので、大平・金メモの有償、無償五億ドルの中に解消してしまうのかどうかということを明らかにしておかぬと、あとに問題が残るわけです。だから、それはその中に解消してしまうのか、それとも帰化しないで召集を受けて、遺族になった方には差し上げることになるのか、これを詰めておいてもらわなければいかぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/99
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100・鈴村信吾
○鈴村政府委員 援護法の取り扱いといたしましては、遺族が帰化しておれば給付しているわけです。ただその他の遺族が帰化していない方にはいままで差し上げていないわけですが、これは恩給法とも関連した問題でありまして、援護法だけで片づかない問題であります。恩給法を含めて援護法、そういう全体としてどう処置するか、いま外務省でまだ折衝中の段階でありまして、いまのところわれわれは現在のままでいくように了解しておりますが、その辺まだ外務省で折衝中の問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/100
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101・滝井義高
○滝井委員 外務省で折衝中という問題でなくて、主管省は厚生省でしょう。厚生省が外務省のほうに、おれのほうの立場はこういう立場だということを言ってもらわなければ、何かよそ馬のこけたようなことを言ってもらっては困りますよ。あなたが馬の手綱を握っているのだから、あなたのほうで、この問題はどうするのだと——国民健康保険は入れますと言っている。生活保護も差し上げると言っている。厚生省のベースの中で非常に大きな生活保護、国民健康保険はよろしいと言っているが、援護法のことはどうか。それをイエスかノーか言えぬというのはおかしいじゃないか。外務省の言うとおりだ、外務省が言ったら厚生省はそのとおり従います、これでは厚生行政の主体性がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/101
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102・鈴村信吾
○鈴村政府委員 これは恩給局の意向もございますので、大体両者とも現状のままでいくという考え方が適当であろうという意向は伝えておりますが、両国の折衝中の問題でありますので、確定的なことはまだ申し上げられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/102
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103・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、厚生省の方針としては、国民年金、厚生年金、それからこういう援護法関係、恩給法関係というものは現状のままで、在日朝鮮人は入れるべきでない。限界は、国民健康保険あるいは生活保護が厚生行政の立場から限界である、こう理解して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/103
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104・神田博
○神田国務大臣 そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/104
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105・滝井義高
○滝井委員 これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/105
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106・松澤雄藏
○松澤委員長 関連質疑の申し出がありますから、これを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/106
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107・河野正
○河野(正)委員 援護法がだんだん集約されてまいりましたので、そういう点で関連して一点だけお伺いをいたしておきたいと思います。特に日韓会談がいよいよ妥結の直前であるわけですから、そこへしぼってひとつお伺いをいたします。
それは、具体的な例でございますけれども、李承晩ラインで漁船の船員が拿捕され、そしてその一部は韓国の刑務所に収容され、あるいはまた、拿捕されるに際して韓国側の警備員に殴打をされ、あるいは銃床で殴打をされる、そういうことで負傷したり、あるいは刑務所で非常に栄養状態が悪いということで、栄養失調におちいったということによっていまなお病床に呻吟しておる人もおるし、さらにまた、不具廃疾になりましてそのために生活上非常に困窮をきわめる、こういうようなケースがもうすでに、私どもが知っておる範囲におきましても、昭和三十三年あたりからこういう事情というものが出てまいっております。ところが、なるほど、この援護法等によって戦争関係については、まあやや私ども不満でございますけれども、前向きでいろいろ戦傷病者の処遇等が改善されるということでございますが、戦争そのものとは直接関係はないけれども、やはりいま申し上げましたようなケースに対しても、私は、当然これは厚生大臣も重大な関心を持って配慮していただかなければならぬし、また関係各行が、日韓会談が妥結するからというようなことで、いまのような状態というものが放置されてよろしいということではないと思う。それは外交上の問題はあるけれども、やはり国内上の問題として一日も早く解決しなければならぬ問題もあると思うのです。たとえばいま病気で病床に呻吟しておる者に対するところの処置、あるいは生活上非常に困窮をきわめておるならば、それに対する手当てというものが、これは日韓会談の交渉の過程の中でそれぞれ韓国側に要求する面もございましょうが、さればといって、国内問題として放置してよろしいという問題ではないと思う。しかもいまのように非常にきびしい状態にあるわけでございますので、そういう点について、厚生大臣として今日まで御配慮いただいておるのかどうかということを率直にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/107
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108・神田博
○神田国務大臣 いまのお尋ねでございますが、李承晩ラインの取り締まりによって、いろいろ、たとえば漁船の拿捕がある、あるいはまた人体に傷害を受けて、そして病気手当てをしておるというような者に対する補償をどうするかという問題だと思います。李承晩ラインそのものにつきましては、わが国といたしましては、これはもう国際法上承服できないことでございますことは御承知のとおりでございます。そこで、今度の日韓交渉にあたりまして、そういう国際法上わが国が承認できないことを、韓国の取り締まりによって生じた犠牲については、韓国に賠償してもらわなければならぬ、こういうことであることも御承知のとおりであります。しかしこれは交渉の過程によって、何か相互に放棄しようということの段階になったように承知いたしております。そうなりますと、これは当然わが国として、いわゆる賠償といいますか、補償といいますか、かわって見てやるということになるわけでございます。それらの面につきましては、農林大臣、外務大臣等ともよく話してありまして、大蔵大臣もこれはやむを得ないだろう、こういうようなことでございます。こまかいことは、まだ細目の決定はございませんから、私十分承知いたしておりませんが、大筋といたしまして、李承晩ラインの取り締まりによって起きた不詳事は韓国の責任において賠償させる、こういうことでございますが、それをいろいろ外交交渉の段階におきまして、相互賠償の棒引きというような、ことばは何と言いましたか、そういうような趣旨のことになるようでございます。日本の終戦後韓国籍のあった船の賠償問題等と関連して、相互に賠償権を放棄するということを言っておりますから、もしそういうことだとすれば日本がかわって賠償する、こういう方針が確立いたしておりますから、むろんその方針によってこれは救われていく、また見ていかなければならぬ、こういうことだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/108
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109・松澤雄藏
○松澤委員長 河野委員に念のために申し上げます。外務省からは黒田北東アジア課長、さらに水産庁からは松岡水産庁長官が見えておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/109
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110・河野正
○河野(正)委員 いま厚生大臣からもお答えがございましたように、それは明らかに韓国側の不法行為ですから、したがって、それらについて韓国側に対して賠償要求があることは当然だと思う。ところが、それらの点が解決しないからといって放置されていい問題ではないと思うのです。ですから私は、やはり現実に病床で呻吟をし、あるいは生活上の困窮を来たしておるわけですから、それらに対しては、この日韓会談とは別個に国内問題として解決する方策があろうと思う。ですから、これは両面の解決が一番望ましいわけですけれども、いま申し上げますように、日韓会談が妥結しないからといって放置されていい問題ではないのでございますので、そこで、少なくとも、日韓会談は日韓会談の問題ですけれども、国内問題は国内問題として早急に解決するという方策が私はとらるべきだと思う。その点については、援護法では戦争に関係する遺族、戦傷病者についてはいろいろと改善の措置がとられているわけですから、したがって、それらの李承晩ラインで抑留され、あるいはまた拿捕された漁船については、ひとつ早急に解決してほしいということを私は強く大臣にもあらためて要望いたしたいと思います。
そこで、時間がございませんから、いま委員長からも、外務省あるいは水産庁長官も御出席ということでございますから、具体的にどのような処置がとられておりまするのか。特に私どもも二、三例を持っておるわけですが、たとえば昭和三十年三月時点におきましては森下利治という漁船員、それから三十七年の十月十三日時点におきましては一野万吉という漁船員、こういうふうに、もうすでにここ七年も八年もこの問題が推移しておるというような事態でもございますから、厚生大臣もこの解決のために早急にひとつ善処されると同時に、水産庁長官ないし外務省として具体的にどういう方向でこの問題の解決に当たっておられますか、時間もございませんから、ひとつ率直にお答えをしていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/110
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111・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 いわゆる李ラインの周辺におきまして拿捕されました漁船とその乗り組み員に対する損害につきましては、従来、漁船保険に特殊保険という制度を設けまして、漁船の損害に対しまする補てんは保険によってやってまいったのでございます。乗り組み員に対しましても、その中で給付金を交付し、また別途見舞い金等を支給してまいりました。それで、漁船保険制度には特に国の負担もございまするので、そういった方向でできるだけの措置はとってまいったのでございますが、これは本来、韓国側の不法な措置によりまする損害でございまするので、政府といたしましては、韓国側に対しましてその損害についての補てんを請求する筋合いということで、そういった事件が起きましたつど請求権を留保してまいったわけでございます。そこで、今回の日韓交渉におきましても、それらを一括しまして請求することとして、請求権委員会におきまして交渉に当たっておるわけでございます。その結論はまだ出ていないのでございますが、その模様は、必ずしも水産庁として考えております方向にいくかどうか、まだはっきりいたしませんが、そういうことにならない場合におきましても、韓国側の不法処置による損害に対しましては、水産庁としては、もしもそれが意図するごとくならない場合におきましても、できるだけ漁民の納得のいくような措置がとられる必要がある、こういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/111
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112・河野正
○河野(正)委員 そこで、この日韓会談の交渉の過程の中でいろいろ折衝が進められる、だから、それだけにたよっておってよろしいということではないと思う。現実にいまの負傷者がおり、不具廃疾者がおる、また生活上の困窮をきわめておる人がおるわけですから、それらについては、やはり国内的な問題として対処してもらわなければ困ると思うのです。ですから、これは韓国側の不法行為ですから、したがって交渉の中で解決されることは、それは一つの方法だと思う。それかといって、それだけでは、いまの現実に困っておる人がおるわけですから、やはり並行してこの問題の解決をはかる必要があろうと私は思うのです。いま私は一、二の例をあげて指摘をいたしたわけですけれども、いま申し上げまするように、日韓会談の妥結の中でどういう解決が行なわれるかということについては若干疑問がございますが、水産庁長官のおっしゃったとおりですから、それと並行して国内的にもこの補償の問題を解決するという作業をやはり進めていただかなければならぬ。これを早急にやっていただけまするかどうか、これをひとつ明確にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/112
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113・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 私どもといたしましても、そういった方向で目下あわせて検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/113
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114・河野正
○河野(正)委員 検討だけじゃ困るのです。もう現実に不具廃疾になったり、あるいは生活上非常に困窮をきわめた人がおるわけですから、すみやかに結論を得てもらわなければならぬと思うのです。大体どのくらいの目途で結論で出てくるのか。これはもう家族の方々の問題もございますし、また周囲の関係者も非常に憂慮している問題ですから、ひとつ見通し等についてもお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/114
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115・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは一方において請求権全体の問題の一部として交渉中でございますので、国内におきましてどういう措置をする、あるいはどういった対策をすぐやるということをいま申し上げかねるわけでございますが、今日まですでに乗り組み員に対しまして給付金を交付したり、あるいは見舞い金等を支出してまいりました。また抑留中における差し入れ料等につきましても、補助金を出すというような措置をとってまいっておるのございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/115
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116・河野正
○河野(正)委員 いままでとられた措置というものが万全を期しておらぬところに私どもの主張があるわけです。たとえば、いま私が御指摘しました例を見ましても、全く不具廃疾で仕事にならぬということですから、弔慰金だとか見舞い金だとか、そういうなまやさしい方法で解決する問題じゃないわけです。ですから、私どもあえてこの問題を取り上げておるわけです。いろいろ日韓交渉の過程の中でという微妙な問題点もあろうと思うのですけれども、やはり私どもがいま主張いたしておりまする根拠というものは、時期的にも非常に早急に解決してほしいという問題がございます。いままでのように弔慰金なり見舞い金だ、給付金だというようなことでは納得のできぬような非常に深刻な状態だという点から取り上げておるのでございますので、そういう点を勘案して、すみやかに具体的に関係者が納得のいくような方向で解決するということをぜひお答えいただきたいと思うし、またせっかく援護法の審議の過程でございますので、厚生大臣としても、この法に関連をしてやはりこの問題の抜本的解決のために御努力願わなければならぬ立場にあるわけですから、そういう意味ではさらに厚生大臣が早急に、具体的に納得のいく範囲で解決するために努力をする、こういう御意思をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/116
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117・神田博
○神田国務大臣 いまのお尋ねでございますが、これは当然のことでございまして、政府は一体でございますから、関係大臣と協力いたしまして、この事態の十分な解決をはかりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/117
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118・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 ただいま厚生大臣からお答えがございましたように、私どもも早急に解決するように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/118
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119・松澤雄藏
○松澤委員長 他に御質問の申し出もありませんので、これにて三案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/119
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120・松澤雄藏
○松澤委員長 ただいま委員長の手元に、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案に対し、橋本龍太郎君、八木昇君及び吉川兼光君、また戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案に対し、橋本龍太郎君、河野正君及び吉川兼光君より、それぞれ修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/120
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121・松澤雄藏
○松澤委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。橋本龍太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/121
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122・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案の、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案及び戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案に対し、それぞれ修正案を提出いたします。
その内容は、お手元に配付してあるとおり施行期日に関するものでありまして、両案が原案の施行期日までに成立が不可能となりましたため、所要の修正を行なおうとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/122
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123・松澤雄藏
○松澤委員長 修正案に対する御発言はありませんか。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/123
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124・松澤雄藏
○松澤委員長 御発言がなければ、各案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/124
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125・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
これより順次採決いたします。
まず、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/125
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126・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/126
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127・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本案は橋本龍太郎君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
次に、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案に対する修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/127
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128・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/128
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129・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本案は橋本龍太郎君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/129
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130・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/130
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131・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/131
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132・松澤雄藏
○松澤委員長 この際、おはかりいたします。
理事藏内修治君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/132
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133・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は、委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/133
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134・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、橋本龍太郎を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/134
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135・松澤雄藏
○松澤委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/135
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136・河野正
○河野(正)委員 インターン問題は、もうすでに昨年来いろいろ物議をかもしてまいった問題でございます。私どももかねがね憂慮をいたしておったわけですけれども、不幸にして来たるべき事態が来たというふうな感じを持つわけです。それは、ことしの三月大学を卒業いたしました医学生が、厚生省の指定いたしました教育病院にインターンの願書を提出いたしまする三月三十一日が実はきのうやってまいったわけでございます。したがって、ことし四十六大学で三千二百名前後の卒業生が出たわけでございますけれども、いま申し上げましたように、この四十六大学の中で、札幌大学、東北大学、日大、奈良、三重、この五大学、約千名ばかりがこのインターンの申請をしたということであって、三分の二の、約二千名近くの卒業生はついに申請の手続を行なわなかった、こういう事態が生じてまいったわけでございます。ところがこのことは医師国家試験の受験資格がなくなるというような問題も含んでおりますがために、事はかなり私は重大な問題だと思うのです。この点について大臣はどのようにお考えになっておりまするか、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/136
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137・神田博
○神田国務大臣 いま河野委員がお述べになったようなことは私も実は新聞で承知したわけでございます。もっともその前に、この大学の学生の代表諸君と一度国会で懇談したこともございまして、そういうような意向を承知しておったわけでございまして、非常に心配しておるわけでございます。一月ほど前でございますか、学生諸君にお目にかかりました際に、そういう手荒なことをしないで、まだどうなるか、立法府のきめることだから、やはり法律は順法しなければいけない、手続だけはしておきなさいということをじゅんじゅんと言ったわけでございますが、いま申し上げるように、新聞を見て、実は心配しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/137
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138・河野正
○河野(正)委員 与党のほうからも笑声が出ておりますが、心配しておられるのはけっこうですけれども、この及ぼす影響というのは非常に甚大だと思うのですね。そこで、しからばこの事態収拾のためにどういう方策をお考えになっているか。これは心配しておるだけではどうにもならぬですね。しかも、この三千二百名程度の卒業生の中で千名程度が申請をした、要するに過半数が受験資格を消失するというような事態ですから、これはもう非常に重大な問題だと思います。そこで大臣としては、しからばこの事態をどういう形で解決しようというふうにお考えになっておるか、これはやはりお聞かせ願わぬと、ただ心配しておるだけではどうにもならぬ。心配しておるだけでは解決の方策になりませんから、具体的にどういう形で解決しようとお考えになっておるか、明確にお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/138
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139・神田博
○神田国務大臣 心配しておることは、そのようなことも含めて、これからひとつ省内の関係者と協議をしてみたい。まあきのうのきょうでございますから、御承知のようにきのうもきょうも、国会のほうで私のからだもあかないものでございますから、これからひとつ善後策を協議したい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/139
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140・河野正
○河野(正)委員 このことは、なるほど締め切りまで申請をしなかったということで、卒業生そのものにも問題がございますけれども、しかし、この締め切りまでにこの問題に対して解決策を与えなかったという厚生省に対しても私は非常に大きな責任があると思うのです。そういう意味で、私は当然厚生大臣も責任をお感じにならなければいかぬというふうに考えますが、どのように責任をお感じになっておりまするか、それをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/140
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141・神田博
○神田国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、学生代表諸君に会いました際に、やはり、ことしは問に合うかどうかわからぬような状態だ、まだ厚生省としても諸君の希望をそのままいれるということについての検討が十分尽くされておらないし、そういう際だから、やはり手続だけはしておきなさい、法治国なんだから法は守りなさいということを厳重に私は示達しております。そこでそういうことになったわけでございまして、私はそういうことにならぬことを期待しておったわけでございますが、ただいまおあげになったような事態が出ておるということは事実でございますから、これはひとつ——私はだから責任がないのだという意味で申し上げているわけではございませんが、責任のあるなしの問題よりも、一体そういうあとの事態をどうするかということについて検討を加えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/141
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142・河野正
○河野(正)委員 これはやはり責任のあるなしの問題ではなくて、やはり事態を収拾するだけの解決案を与えなかったというところに問題があると思う。そういう意味で、私は明らかにその一半の責任は厚生大臣がお負いにならなければならぬというふうに考えます。そこでこの事態を収拾するために、全国の医学部長会議の中のインターン問題小委員会あるいは全国大学病院長インターン問題委員会、それぞれそういうふうな委員会がこの問題について非常に憂慮して、厚生大臣に対していろいろ申し入れが行なわれたというふうに聞いているわけですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/142
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143・神田博
○神田国務大臣 私はまだ会ってもいませんし、申し込みを受けたのでもございませんから——医務局長の話ではいま持ってきたという話でございます。ただ、いま河野さんからお話がございましたように、法律を守らなかったから厚生大臣は責任があると言われたことに対して私は言うわけではございませんが、自分たちの意に反して——法律に反したことをやったから主管大臣に責任があるのだ、こういう意味でおっしゃっているとは考えませんが、そういう意味でおっしゃっているなら、私はそういう責任はないということを言わざるを得ません。そういう意味でなく、学生諸君が真摯な気持ちでまじめな気持ちで苦慮されていることはわかる、しかし法治国だから法律は守りなさい、そういうことを検討して結論を出したいと思うが、当時厚生省としては結論が出ておらぬ時代でありますから、そのことは十分戒めておったわけでございます。それで出なかった。出なかったのは厚生省が悪いのだと言われるならば、われわれ法治国なんだから法律を守らぬほうに責任がある——守らせなかったほうにも責任がある、道義的にはそういうことは言えるかもしれませんが、法理的には、そういうことを言われても、責任があるとは考えません。ただ、いまお話がございましたように教授団の方々が医務局長にお会いになっているそうでございますから、その真相を医務局長から申し上げたほうがこの問題の解明に役立つと思いますから、政府委員に説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/143
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144・河野正
○河野(正)委員 医務局長のお答えの前に、いまの大臣のお答えについて異論があります。というのは、私はやはり厚生大臣としては事態をうまく解決するだけの責任があると思うのです。その解決が行なわれなかったから、そういうような法律を破る行為が出てきたわけですから、やはり法律を破ったことについて問題はあろうけれども、できるならば厚生大臣としては彼らを納得させて法律をそのまま実行させる、こういう処置が当然行なわれなければならぬと思うのです。そういう意味で私はやはり卒業生なら卒業生を納得せしめ得なかったという点について、大臣の不徳なり努力の不十分なり、そういうものがあったと思うのです。ですから、何か厚生大臣は、法律を破ったのだから、法治国では法律を破るほうに責任があるのだ、そのことはそうでしょう。しかしながら、やはりその法律を破らせないように彼らを十分納得させる処置が行なわれなかった。だから法律を破ったと思う。ですからその間、そういう行為に出てきた間の努力なり誠意というものが乏しかったのではないか、そういう意味で私は責任がある、こういうふうに言っている。それがないとおっしゃるならば、これはちょっと——そういうような卒業生が三分の二も結局この申請をしなかったということが、私は及ぼす影響としては常非に大きいと思うが、そういう大きな問題についても何ら責任をお感じにならなかったというふうに私どもは感じますので、いまの点はちょっと大臣も反省してもらいたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/144
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145・神田博
○神田国務大臣 私、申し上げておりますのは、とにかく学生諸君もお医者さんになろうということで大学にお入りになったのであって、医師になるにはなる条件を備えなければならぬことは十分承知のはずなんであります。それを自分たちの希望がいれられないから法律を守らないのだというようなことは穏やかではない、といって、それを手続をしたから私どもがインターンの改正をしないということじゃないのだ、そのくらいのことはやりなさい、改正は改正としてやりましょう、しかし、どうするかということについていろいろやはり解明しなければならぬことがある、十分検討してやらぬといけないのだ、だからそういうことを考えてやらなければいけませんぞ、法治国なんだから、ことに君たちは社会に出て尊敬される立場にあるのだから、そういうのが、自分たちが入学をして初めからこういう改悪でも出して、聞かないというなら話はわかるが、相当行なわれて、もちろん批判もありますことは事実ですけれども、それを卒業のまぎわになってやらないということは穏やかではない、元気のいいということは私も大いに買うけれども、そういうことは穏やかではないということを戒めたわけでございます。だから、河野さんのおっしゃったことは、道義的の責任ということなら私も承服しましょう、こういうことなんであって、しかし、法律的に責任と言われると、それは破ったほうの責任なんで、私のほうといわれても、私はちょっと困る、しかし、責任なしとは言わない、道義的の責任はありますよ、こう分けて申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/145
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146・河野正
○河野(正)委員 もちろん法治国ですから、その法律を破ったということについては、大いに責任があることは当然のことだと思う。これは私どもあえて申し上げぬでも、小学校の生徒でもわかる。ですけれども、そうだからといって、卒業生全体が責められるべき問題ではない。やはり三月三十一日までに円満に解決するということについて最善の努力が払われ、そしてみんなが納得して申請をするという方向に行くことが望ましかったと思うのです。それができなかったことについては、私は、全幅の責任が厚生大臣にあるということは言いませんけれども、やはり一半の責任というものは厚生大臣もお考えにならなければならぬ。というのは、申請したか、せぬかという問題もありますが、もちろんそれがために起こってくる問題がありますね。これはもしいまのままでいけば、厚生省の方針を見ますと、二千名余りの人が国家試験を一年受けられないわけですから、それらの及ぼす影響というものはかなり甚大なものがあると思うのです。そういう事態もあるわけでありますから、私はやはりこの問題が円満に三月三十一日までに解決することが望ましいということは、だれも否定することのできない事実だと思うのです。ところが、少なくとも過半数の人が申請しなかったわけです。それらの点については、私どもはやはり何らか厚生省としてもお感じにならなければならぬ点があったのではないかと思う。これは一部の人がやらなかったというなら刑です。過半数の人がやらなかった。これらについては、やはり厚生省としては反省されるべき余地があったのではないか、こういうことを実は申し上げたのでございます。特にこの学生と直接の関係のございまする医学部長、それから大学病院長等がやはりこの問題の解決について非常に憂慮されているということは、いずれ局長からもお答えがあると思うけれども、それらの方々が、やはりこれは円満に解決しなければならぬと言うことは、今後に及ぼす影響というものが非常に大きいからだと思うのです。ですから私は、このすべての責任が医学部卒業生にあるとすれば、医学部長会議が動いたり、あるいは大学病院長会議が動いたりというようなことはないと思うけれども、やはり彼らは彼らの立場というものをある程度尊重されたがゆえに、この問題はうまく解決されなければならぬということで動かれたと思うのです。ですから、私はこの事態を収拾するためには、そういう方々の動きというものをある程度尊重されて、すみやかに、円満に解決されることが望ましいのではないか、こういうふうに思うわけですが、その点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/146
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147・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 まずその前に、学生さんが実地修練に対しての願書を出しておる問題でございますが、現在、新聞報道には札幌とか三重大学とかいうふうなものしか出てないように報道がありますが、いま全体の状況をつかむように各地方医務局などに連絡をしてやらしておるところでございまして、まだ実態がつかめておりませんが、私、けさ東大の病院長、慶応の医学部長等にお話を承りましたところでは、東大とか慶応の中にも数名すでに出しておる者もあるというふうにして、全体的にやはり動いてはおるようでございます。しかし全部が出しておるわけでない。とにかく過半数かどうか、この辺がまだつかめてない状態でして、至急われわれとしても実態をつかみたいと思っております。
それからいまのお話の法律の問題でございますが、これにつきましては、いまの医師法を改正してインターン制度を改正する法律を出しましても、昭和四十年におきましての実地修練はいままでどおり行なわざるを得ないという見通しを大体つけておりまして、この点はことしの二月五日に各実地修練病院長等にも連絡をしておりますし、また大学等を通じまして、さらに学生さん等にも直接に話をいたしまして、四十年のいまの卒業生は、四十年の実地修練はいままでどおりやるのだということはよく知らしておったはずであります。それと、いまのインターン制度を改正する法律を出さぬという問題とは、間接の関連はいろいろありましょうが、直接の関連はないのではないかとわれわれは考えておるものでありますが、しかしそれはそれといたしまして、できるだけ学生さんたちによくわかってもらうようにいままでもいろいろ話をし、また各修練病院、大学等につきましても、いろいろ連絡もしておるわけでございます。さらにこの二、三日前には、各大学病院を通じまして、教育者としてひとつできるだけ学生によくわかってもらって、むちゃな行動をしないようにということを御説得願うようにお願いしたというような状態でございまして、われわれもこのような事態が起こらないようにできるだけ努力をしておったわけでございます。しかし、事態がこういうふうなことになりまして、そういうふうな責任は感じております。
なお、この問題につきまして、御承知のとおりに、八人委員会と申しますか、厚生省と文部省と両方のほうから、いろいろ日本の医学界の中心的な方々にお集まり願って、一応の考え方が出ておりまして、そういうふうな案を中心にしてわれわれはいろいろ案を考えながら、しかし、学術会議だとかまた医学部長さん、病院長さん方の御意見も十分参考にさしてもらうというつもりでいまやっておるわけでございますが、法制的の問題がいろいろございまして、いまだに最終案ができませんので、一挙に提案ができない状態でおりますことを申しわけなく思っております。
なお、医学部長さん、病院長さん方から、実は先ほど申しましたように、これを代表いたしまして東大の秋元教授と慶応の松林教授がけさお見えになりまして、そしてインターン制度にこういうふうな混乱が起こることを至急解決するように、その方策といたしましては、大体いままでの医学部長さん、病院長さん方の会議の考え方でありますような、現行のインターン制度を廃止して、そして卒業と同時に国家試験をやって、同時に一〇〇%の免許をやれ、あとは実地修練というものは大学の責任においてやれというような意見が出されておったのでございますが、それはちょっと、まあ大学の医学部長さん方の御意見はそうであろうと、世界の医学界、医学教育の状態、また医者の免許のレベルというふうな問題等とほかの法制的の問題等との関連で、必ずしもそう簡単なものではない、しかし御意見はよくわかりましたので、われわれのほうの意見もまたゆっくりお話ししたい、それで来週の火曜日にできればお会いしていろいろ御説明をしたい、こういうふうな話をいましておるところでございます。なお、それと同時に、インターン制度に関して、教育者として、ひとつ十分そういうふうな法律を守って、法律に規定があるのにそれを無視して、申請をしないで押し切ろうというふうな考えはやめるように御指導願いたいということを、きょうお願いしている状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/147
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148・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員長代理 関連質問を許します。竹内黎一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/148
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149・竹内黎一
○竹内委員 関連して一点だけ、事務当局の御説明を聞きたいと思います。と申しますのは、不幸にして締め切りまでに学生諸君の大多数が届け出をしなかった。しかし事態は放置できないことはすでに河野委員御指摘のとおりでございます。私は、この締め切り期日をたとえば一カ月、四月末日とか、技術的に延期は可能であるかどうか、その点の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/149
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150・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 これは願書を出さなければ、もう医師の資格は永久にもらえないというものではなくて、一年間の実地修練をやれば国家試験が受けられるということでございまして、ここに一カ月、二カ月おくれて出して、それから修練せられてもけっこうなんでございます。ただ、その試験が来年の冬の試験は受けられない、その次の秋の試験になる、こういうふうな事態になるわけでございます。しかし、私たちといたしましては、三月三十一日付で一応こういう方々のリストをいただくように手配をしておるので、そのリストによりまして、年末、試験をやろうとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/150
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151・小沢辰男
○小沢(辰)委員 ただいま竹内委員が言われたことは、いまこういう不幸な事態なんだから、何とか事態を収拾しなければいかぬ。厚生大臣が言われるように、インターン生の、いまるる説明があったように法律改正をやるにしても、当面の実地修練に間に合わないんだから、そういう方向で政府も、また国会のほうでもいろいろ研究をしているんだから、出さなければいかぬということは、ひとつ政府のほうでも強力に指導していただきたい。われわれもそういうような機会があれば協力するのにやぶさかじゃないんです。ただ問題は、いま竹内委員の言われるように、たとえば一カ月延ばす、そうすると法律上は一年以上実地修練を経たものでなければ国家試験の受験資格がないわけです。だからしたがって、もし来年の春のの国家試験が四月末以前に行なわれるとすると、ことしのインターン生は、来年の春の国家試験には受験資格は出てこないわけなんです。一年というきちんとした法律上の制限があるからして、締め切り期間にできるだけ早く出させるように指導しなければならぬ。四月末なり、あるいは四月二十日なり十五日なりにできるだけして、そして厚生省のほうでも来年の春の国家試験の日取りを法律上一年の要件が満たし得るような時期を選んで国家試験をやる、こういうことでやるような配慮をやはり考えておきませんと、学生諸君は、どうせ来年の春は受けられない、そういう厚生省の態度ならもっとひとつ強力な闘争をやれというようなことにもなって、かえって事態の収拾にはよくない、その意味で、いまからでもおそくないから早く出しなさい、そのかわりそういう面の配慮は厚生省としても十分考えておるのだということで、事態の収拾をはかっていただかなければいかぬというのが竹内委員の趣旨だろうと思いますので、そのつもりでひとつ明確な答弁をいただきたい、こういうことです。その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/151
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152・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 一カ月、二カ月、あまり長くなるのもいかがかと思いますが、御趣旨に沿ってできるだけ善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/152
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153・河野正
○河野(正)委員 そこでこういう事態をすみやかに解決するということで、私どもも期日に重点を置いてやっておるわけですから、したがって解決の方策としてはいまも提案されましたように、いま締め切りという現実の事態が出てきておるわけですから、その事態を何らかの形で解決するという方策はひとつとられなければならぬ。
それからもう一つは、法律改正の中身の問題でありますけれども、これを解決するにしても若干時間がかかるでしょう。そうすれば二つの問題がございますけれども、当面解決しなければならぬ問題は、やはりいまの締め切りの問題をどう措置するかということが、私は当面の課題だと思うのです。これについて大臣から一言おっしゃっていただけば、私は建設的な意見を言っているのですから、あとは今後に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/153
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154・神田博
○神田国務大臣 この事態はおよそわかっておりますから、私も大体結論的なことも考えております。若い人の気持ちもありましょうから、私も親心はあるつもりですから、前向きに善処したい、こういう前提でひとつ処理したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/154
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155・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる六日、火曜日午前十時から運輸委員会との連合審査会、午後一時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01519650401/155
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