1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十五日(木曜日)
午後一時十九分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君
理事 澁谷 直藏君 理事 藤本 孝雄君
理事 河野 正君 理事 吉村 吉雄君
伊東 正義君 熊谷 義雄君
倉石 忠雄君 小宮山重四郎君
坂村 吉正君 砂原 格君
田中 正巳君 竹内 黎一君
地崎宇三郎君 中川 一郎君
西岡 武夫君 橋本龍太郎君
松山千惠子君 湊 徹郎君
粟山 秀君 山村新治郎君
渡辺 栄一君 亘 四郎君
淡谷 悠藏君 伊藤よし子君
大柴 滋夫君 大原 亨君
小林 進君 多賀谷真稔君
滝井 義高君 平林 剛君
細谷 治嘉君 八木 一男君
山田 耻目君 内海 清君
本島百合子君 吉川 兼光君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 若松 栄一君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部長) 実本 博次君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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四月十五日
委員内海安吉君、倉石忠雄君、中野四郎君、山
口喜久一郎君、亘四郎君、大原亨君、松平忠久
君、山口シヅエ君、山田耻目君及び内海清君辞
任につき、その補欠として西岡武夫君、中川一
郎君、湊徹郎君、渡辺栄一君、砂原格君、長谷
川保君、大柴滋夫君、細谷治嘉君、平林剛君及
び本島百合子君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員砂原格君、中川一郎君、西岡武夫君、湊徹
郎君、渡辺栄一君、大柴滋夫君、平林剛君及び
細谷治嘉君辞任につき、その補欠として亘四郎
君、倉石忠雄君、内海安吉君、中野四郎君、山
口喜久一郎君、松平忠久君、山田耻目君及び
山口シヅエ君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
理事井村重雄君同日理事辞任につき、その補欠
として藤本孝雄君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出第二〇号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/1
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002・松澤雄藏
○松澤委員長 社会党から催促がありますから、再度読み上げます。
内閣提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
〔「ちょっと待ってくれ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/2
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003・松澤雄藏
○松澤委員長 他に御質疑の申し出がありませんので、これにて本案に対する……。
〔「ちょっと待ってくれ」「まだまだ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/3
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004・松澤雄藏
○松澤委員長 それじゃ質疑しなさい。河野正君。質疑しなさい。——他に質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/4
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005・松澤雄藏
○松澤委員長 ただいま委員長の手元に、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、井村重雄君、河野正君及び内海清君より修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/5
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006・松澤雄藏
○松澤委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。井村重雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/6
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007・井村重雄
○井村委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。
その内容は、お手元に配付してあるとおり施行期日に関するものでありまして、本案が原案の施行期日までに成立いたしませんでしたので、所要の修正を行なおうとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/7
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008・松澤雄藏
○松澤委員長 修正案に対する御発言はございませんか。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/8
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009・松澤雄藏
○松澤委員長 御発言がなければ、原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/9
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010・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと慰め、そのように決しました。
まず、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/10
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011・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/11
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012・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本案は井村重雄君外二久提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/12
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013・松澤雄藏
○松澤委員長 この際、藤本孝雄君、大原亨君及び内海清君より、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
その趣旨の説明を求めます。藤本孝雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/13
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014・藤本孝雄
○藤本委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するの動議を提出いたします。
案文を朗読いたします。
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当り、次の事項について速かにその実現を期するよう要望する。
一、節四十六通常国会における被爆者援護強化の決議に沿って今後一層改善に努力すること。
二、特別被爆者の範囲拡大に伴い国民健康保険などの財政上の負担が加重している実情にかんがみ抜本的対策を検討すること。
三、原爆被爆者の実態調査については、各界の意見を尊重することは勿論今後の施策の改善充実に役立つよう配慮して完全を期すること。
四、原爆スラム街に対する住宅の総合対策を確立すること。
五、沖繩の被爆者対策に万全を期すること。
何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/14
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015・松澤雄藏
○松澤委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/15
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016・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本案については藤本孝雄君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、神田厚生大臣より発言を求めれらておりますので、これを許します。厚生大臣神田博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/16
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017・神田博
○神田国務大臣 慎重な御審議の上御可決をいただきまして、ありがとうございました。
御審議にあたり御意見をいただきました諸点、特にただいま議決せられました附帯決議につきましては、十分にその御趣旨を体し、善処すべく努力いたしたいと存じます。
どうもありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/17
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018・松澤雄藏
○松澤委員長 ただいま議決いたしました法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/18
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019・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/19
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020・松澤雄藏
○松澤委員長 内閣提出の厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。橋本龍太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/20
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021・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 ちょうど一昨年の衆議院の総選挙におきまして、自由民主党が国民に対して公約をいたしましたものの一つに、いわゆる一万円年金の実現というものがございました。それに基づいて、先国会において政府から厚生年金法の一部改正案が提出をいたされました。遺憾ながら審議に入ることができずに廃案となり、今国会冒頭において新たに提出されまして、本日ようやく審議に入ることになりました。わが党として、この一万円年金の実現という政府の施策に対しては、心から賛意を表するものであります。ただ、遺憾ながら、世上相当の疑念もあるやに聞いておりますので、本案の審議に入りました機会に種々の疑問点を御質問し、政府側からの御答弁をいただきたい。
まず、大臣にお尋ねをいたしますが、今回の岸生年金保険法の改正の基本方針はどのように定めておるか、その点からお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/21
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022・神田博
○神田国務大臣 厚生年金保険法改正の基本方針をどういうふうに考えておるかというお尋ねでございます。御承知のように、今年度は厚生年金保険の財政再計画期に当たっておりますので、この際厚生年金の給付の大幅な改正を行ないたい、かようなことで準備検討を進めてまいったわけでございます。これは申し上げるまでもなく、最近における人口構造の老齢化現象に伴いまして、老後における生活保障が政府の重要施策の一つとなっておることは御承知のとおりであります。しかしながら、使用者年金制度の中核体である厚生年金は、昭和二十九年に現行体制に改められまして、自来、昭和三十五年に若干の手直しをしたという程度の改正で今日に至っているわけであります。その間、所得水準の上昇、生活水難の大幅な上昇がございまして、給付額がいままでのようでは、もう立ちおくれといわざるを得ないわけでございます。また、他の共済組合の給付水準に比べましても非常な見劣りがするというような現状でございまして、今回の改正にあたっては、その基本方針は、被用者年金制度として老後保障の実をあげる給付内容に改善すること、言いかえれば、他の共済組合の給付水準とほぼ同一の一万円年金の増をいたしまして、昭和三十七年の社会保障制度審議会の勧告の趣旨をできる限り取り入れまして国民の信頼にこたえたい、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/22
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023・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 本日は時間が非常に限られておりますので、簡単な御答弁をいただきたいと思います。
次に、国に種々の年金制度がございますけれども、おそらく、この年金制度全体について関連を持っての基本的な構想が当然政府になければならぬ。この年金制度全体に対する政府としての長期的な構想はどのようになっておりますか、これを大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/23
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024・神田博
○神田国務大臣 年金制度全体に対する長期的な構想はどうかという問題でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、この年金制度は、昭和三十七年の社会保障制度審議会の答申に述べられておりますように、厚生年金、国民年金の二本立てになっておりますので、これを根幹としてやってまいりたい、こういうことでございます。とりあえず厚生年金の給付水準を二倍以上に引き上げ、昭和四十五年を目途として社会保障制度審議会の答申の線に沿っていきたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/24
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025・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 ただいま大臣のお答えの中に、昭和三十七年に提出された社会保障制度審議会の答申のことがございました。ところが、この厚生年金法の改正が今回非常に難航いたしました理由の一つに、この社会保障制度審議会の答申が政府原案に生かされておらないという一部の方からの御意見がございます。社会保険審議会の答申は、三者の共通した意見として、まず定額部分の引き上げあるいはスライド制の導入、保険料率の引き下げ、国庫負担の増大、そうして積み立て金運用方式の改善、この五項目を提示し、同時に、社会保障制度審議会の答申においては、このほかに、さらに妻の座の明確化というものをうたっております。ところが、現在出ております一部の方からの政府原案に対する攻撃の内容は、政府はこの三十七年の答申というものを無視した、そうしてわずかに定額部分を諮問案の四千円から五千円に引き上げて若干料率を引き下げたのみで、あとはこめ答申というものを無視してきた、それが今回のわれわれの反対をする理由であるというような御意見が出ております。私どもは、必ずしも答申案は無視されたとは考えておりませんけれども、確かにその意見にも、一部正しい点があることは私ども認めざるを得ません。今回の政府提案の原案の中にこの答申が十分に採用され切れなかった、それはどういう理由によるものであるか、また今後においてこれをどのように生かしていかれるおつもりか、その点をお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/25
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026・神田博
○神田国務大臣 いまのお尋ねでございますが、社会保障制度審議会の答申を尊重して、これを骨子として組み立てたことに対しますいろいろお述べになったような御議論があることも、私どもは承知いたしております。いまもお述べになりましたように四千円を五千円に引き上げた、さらに三十年までの加算額を二百円から二百五十円に引き上げたというような問題、これが第一点でございます。
第二点といたしまして、スライド制の導入については、これはなかなか、いろいろ御承知のような問題がございまして、たとえば物価にスライドするのか賃金にスライドするのか、あるいはまた、他の制度にどういうように見合うかというようなこともございます。スライド制そのものについては、私どもも、一つの考え方でございまして、尊重すべきものと考えております。この改正につきましては間に合わなかったと言いましょうか、なお十分検討いたしたいという幅のある考え方で御審議を願っておるわけでございます。
それから、第三点の保険料率につきまして、他の被保険者についてもそれぞれ若干の引き上げをやっておりますので、この程度の引き上げはやはりがまんしていただかなければならない。これにつきましては、国のほうの負担ができなかったのはけしからぬではないかということでございます。それはおっしゃるとおりでございますが、ずいぶん努力いたしたのでありますが、やむを得ず現状のようになっておるという苦心を申し上げなければならないという事情も、御了承願いたいと思います。
そういうわけでございまして、いろいろ御主張の点はございますが、何といってもだいぶ古い法律でございます。それから賃金、物価の上昇も相当のものでございますので、それらの問題点は問題点といたしまして、やはり早期に一万円年金を解決することが被保険者に対する思いやりでなかろうか、こういうことで踏み切ったわけでございます。
詳細のことは、政府委員から、ひとつここは大事なところですから、お答えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/26
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027・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいまの御質問は二つあったやにお伺いしたのでございますが、まず、社会保障制度審議会が、昭和三十七年に社会保障制度の総合調整に関する勧告、答申がございまして、それをどの移度取り入れておるかという問題、これにつきましては、先ほど大臣から、四十五年というのを目途としておるので、今回の改正におきましては年金額の大幅引き上げを中心として問題を一応解決して、そうしてその他の項目については、次の段階で、四十五年に間に合うようにその趣旨を実現していきたいという答弁を一応されたのでございますが、第二点の今回の改正案について、社会保険審議会、社会保障制度審議会の意見、答申というものが出ておるわけでございます。それにつきましても、ただいま大臣から主要項目については御説明があったわけでございますが、そのほかに、社会保険審議会におきましては、積み立て金の運用方式の改善という問題が出ております。これは御承知のように、現在資金運用部資金に預託いたしておりまして、総合的に運用されておりますが、ただ年金資金の特殊性にかんがみまして、これをその使途が明確になるように、少なくとも特別勘定を設置するという意見が早くから出ております。また、今回の審議会の意見にも載っておる。この問題はきわめて重要な問題でございまして、現在資金運用審議会におきまして、積み立て金の運用の基本問題を審議する特別委員会が設置されまして、現在審議中でございます。
それからもう一つは、妻の座の確立あるいは五人未満事業所への適用といったような問題が、社会保障制度審議会の意見に載っておるのでございますが、妻の座の確立ということは、今日の段階におきましてはきわめて重要な恩義を有すると承知いたしておりますが、何ぶんにもこれは他の制度に関連する問題であり、また年金制度の中におきましても遺族年金をどうするか、あるいは国民年金の任意加入をどうするかといったやっかいな問題がございまして、そういった諸制度との関連において、積極的に検討を進めてまいりたいという考えでおります。それから五人米満事業所への適用等につきましても、これは健康保険その他の社会保険との関連におきまして検討を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/27
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028・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 ただいまの御答弁で大体私は納得をいたしたわけですが、どうも従来から、厚生省当局の考え方というものが十分世間に訴えられていない、そのために、この法案の改正に対して非常に誤った考え方が横行しておることを私は非常に残念に思います。なお現在御答弁のあったような諸点は、当局としても、十分国民全般に納得させるような御努力を願いたいと思います。
これと並んで、もう一つ大きな誤解を生んでおる点がございます。たしか社会保険審議会の際においても、企業年金との調整問題というものは最後まで意見の一致を見ることができずに、また社会保障制度審議会においても、この答申の中で、企業年金との調整問題については十分慎重に取り扱うようにという注がついておりましたものを、今回何ゆえこの改正案に取り入れたかという議論が非常に出ております。私は、この点の議論に相当何か誤った理解のしかたがなされたために、こうした誤解が生じておるのではないかと思いますが、この点、政府側から十分に説明されたものをいまだ拝聴したことはございません。この機会に、この誤解をも国民の前に解き、明瞭にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/28
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029・山本正淑
○山本(正)政府委員 御指摘のように、厚生年金保険法の改正に際しまして、両審議会の答申の中に企業年金との調整について慎重に扱うように、特に社会保障制度審議会におきましてはそういった意見が明確に表現されておるわけでございます。厚生年金の改正につきましては、改正案を各審議会に諮問いたします以前に、数カ月にわたりまして予備的な審議をわずらわしまして、その間におきましても、企業年金との調整問題が労使からそれぞれ異なった意見として主張されたわけでございます。何ゆえにこういった問題が起こってくるかという点につきましては、現在の段階におきまして労働者の老後の生活保障ということが一般的にきわめて重要な問題となってまいりまして、その意味におきまして、各企業におきまして企業年金が相当普及いたしておる次第でございます。これは、企業年金といたしましては退職一時金との関連のある問題でございますが、かように民間企業におきまして企業年金が普及しているということは、老後の生活保障としての機能を一面においては果たしておるという点と、また他面におきましては、公的年金との関係において、負担がどういうふうに調整されるべきであるかという問題をはらんでおるわけでございます。現在わが国の厚生年金がきわめて低い給付水準にあるという状態ともまたからんでおる問題でございまして、そういう意味におきまして、今回公的年金である厚生年金の給付を大幅に引き上げる、そして老後保障の実をあげるようにいたしたいということになりますと、当然、現在民間にあります企業年金が同じような機能を果たしておるという面をどう調整するか、また負担関係をどう調整するかということが生じてまいったのでございます。これらの点を考えまして、かつまた昭和三十七年以来、この民間の企業年金に対しまして、一定の要件を備えたものは税制上の優遇措置を講じまして、税制適格年金として急速に普及してまいっておる、かような現状にありますので、むしろこの企業年金と厚生年金との法的調整をはかり、そしてこの調整をはかった結果、労働者の利益を保護するという観点に立ってものを考えたほうがいいんじゃないかということから、慎重に扱うようにという意見も出ておりますが、十分に慎重に検討いたしました結果、厚生年金のうちで所得再配分に関係のない報酬比例部分だけについて調整をはかりまして、そして政府の保障する厚生年金の所得比例分相当よりも上積みの給付水準が確保され、また企業の成長にかかわらずこれは権利として保護されるという措置を講じまして、この調整をはかるのが適切な措置であるという観点から、企業年金との調整をはかった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/29
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030・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 調整部分にはなお多数の問題もありまして、細部に関しては、いずれわが党の竹内黎一委員から質問がなされると思います。
なお幾つか、現在議論として出ておりますものの中に、たとえば民間企業における私的退職金と、同時に公的退職金である厚生年金、この調整を行なうことは筋違いである、なお、こういうことが行なわれるというのは、国が本来責任を持って行なうべきである社会保障の後退ではないかというような反対もなされておるやに聞いております。また同時に、調整を行なうとすれば、これは私的退職金のほうで考えるべきであって、公的年金の側で取り上げることは筋違いではないか、こういった議論も提出されておるようであります。同時に、退職金の問題は、本来労使の間において調整が行なわれるべきものであって、これを法律に取り入れるということ自身が、当局の労使への不当介入ではないか、こうしたような幾つかの反対理由が、現在までに行なわれておるように私どもは聞いております。これについて簡単に、年金局長からでけっこうですが、政府としての考え方を答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/30
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031・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいまお話しになりましたのは、企業年金というものは民間ベースの問題じゃないかということが基本になっておるようでございます。そういった意見があるわけでございまして、ただ社会保障制度を考えます際に、たとえば国庫負担で、あるいは保険料でといったようなそれぞれの方法があるわけでございますが、いずれも同じような、国庫負担にいたしましても、保険料にいたしましても、意義を持っておるという面があるわけでございます。それで、私的年金につきましては労使間の問題でございますが、その機能といたしましては、老後の保障といったような機能を持っておる。したがいまして、今後におきましては、公的年金、私的年金との調整というものを強制しない範囲においてどう扱っていくかということは、決して民間企業に対する公的統制にはならないと思います。今回の企業年金の調整につきましても、労使で意見が一致して代行するという合意が成立した場合に、一定の条件を備えておる場合にはやるという、あくまでも労使間の問題として、そうして、そういった方向を労使が合意で希望する場合に認可するということでございますので、労使の問題に政府が介入するということにはならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/31
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032・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 厚生年金においても今回調整部分を取り入れながら、同時に改正案を提出されておる船員保険では、何ゆえに同町にこれを採用しないのか、この点について簡単にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/32
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033・山本正淑
○山本(正)政府委員 船員につきましては、実は昭和三十五年に船主側と海員組合との間に締結された協定がございまして、これは船員退職年金というものがあるわけでございます。この制度は、実は船員中央労働委員会の調停に基づくものでございまして、その調停におきまして、本制度はすみやかに船員保険の老齢年金の付加年金とすべきである、こういった勧告が出ておりまして、労使間におきまして、この船員退職年金制度をどう取り扱うかという問題が検討中でございます。そういう意味におきまして、この問題と関連いたしまして今後船員保険においてはどう扱うかということに、将来の問題として残されておるわけでございますので、今回の船員保険法の改正には、それを厚生年金と同一に取り扱いをしなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/33
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034・橋本龍太郎
○橋本(龍)委員 最後に、もう一点だけお尋ねして終わりたいと思います。
現在、政府が一万円年金を非常に鳴りもの入りで宣伝しているけれども、過去に非常に標準報酬の低い時代があった、その時代のことを考えると、当面の年金額はたかだか六、七千円にしかならないのではないか、それでは一万円年金の実現というのはずっと先のことになる、そういう議論が、これもまた非常に強く出されております。私どもは、わが党の公約としてこの一万円年金の実現をはかる肴として、こうした議論を聞くことは非常に残念であります。このような事態が実際にあるのかどうか、また、もしそのような過去の低い標準報酬を基礎に置いた場合にそうした事態が発生するなら、この改正案が施行されることによって、受給者の大半が一万円年金を現実に支給されるのは大体いつごろになるのか、この点を本日はお尋ねして、あとは保留にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/34
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035・山本正淑
○山本(正)政府委員 一万円年金と申しますのは、現時点におきまして標準報酬の平均が二万五千円でございますので、二万五千円の場合に二十年で一万円になる、こういうことでございます。ただ現実に、実際問題といたしましては、被用者年金におきましては三十年の勤続というものが通常な状態になるわけでございますから、もう数年たちますればむしろ一万五千円年金である、かように申して差しつかえないと思っておる次第であります。
それから、現在の受給者につきましても、坑内夫につきましては年限の加算がございますので、現在の受給者もほぼ一万円になるし、かつまた一般の被保険者につきましても、来年度くらいから出てくる受給者はおおむね一万円年金でございます。
なお、遺族年金は一万円年金の二分の一の五千円の最低保障をいたしておりますので、現在受給いたしております遺族年金平均千四、五百円というものは、今回の改正によって、すべて最低限五千円に保障されるということになっているわけでございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/35
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036・松澤雄藏
○松澤委員長 この際、おはかりいたします。
理事井村重雄君より理事の辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/36
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037・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
これにより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は、委員長において指名するに御異議ありませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/37
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038・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと慰めます。よって、藤本孝雄君を理事に指名いたします。
本日はこの程度にとどめ、次会は明十六日、金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02019650415/38
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