1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十日(月曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君
理事 河野 正君
上村千一郎君 大石 八治君
亀岡 高夫君 田中 正巳君
竹内 黎一君 武市 恭信君
塚田 徹君 中野 四郎君
橋本龍太郎君 松山千惠子君
粟山 秀君 山村新治郎君
亘 四郎君 小林 進君
多賀谷真稔君 松平 忠久君
八木 一男君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(児童家庭局
長) 竹下 精紀君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部長) 実本 博次君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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五月十日
委員伊東正義君、亀山孝一君、熊谷義雄君、小
宮山重四郎君及び地崎宇三郎君辞任につき、そ
の補欠として武市恭信君、上村千一郎君、塚田
徹君、亀岡高夫君及び大石八治君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員上村千一郎君、大石八治君、亀岡高夫君、
武市恭信君及び塚田徹君辞任につき、その補欠
として亀山孝一君、地崎宇三郎君、小宮山重四
郎君、伊東正義君及び熊谷義雄君が議長の指名
で委員に選任された。
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五月七日
健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請
願(岡本隆一君紹介)(第三四九八号)
同外十一件(加藤進君紹介)(第三四九九号)
同(神近市子君紹介)(第三五〇〇号)
同外十一件(林百郎君紹介)(第三五〇一号)
同外七件(川上貫一君紹介)(第三五〇二号)
同外九件(谷口善太郎君紹介)(第三五〇三
号)
同外一件(加藤進君紹介)(第三五五六号)
同外二件(稲富稜人君紹介)(第三五五七号)
同(川上貫一君紹介)(第三五五八号)
同外九件(谷口善太郎君紹介)(第三五五九
号)
同(秋山徳雄君紹介)(第三六八一号)
同(大出俊君紹介)(第三六八二号)
同(中嶋英夫君紹介)(第三六八三号)
同外一件(野間千代三君紹介)(第三六八四
号)
同(平林剛君紹介)(第三六八五号)
同(大出俊君紹介)(第三七九四号)
同(茜ケ久保重光君紹介)(第三七九五号)
日雇労働者健康保険廃止反対等に関する請願
(谷口善太郎君紹介)(第三五〇四号)
原爆被害者援護法制定並びに原子爆弾被爆者の
医療等に関する法律改正に関する請願(谷口善
太郎君紹介)(第三五〇五号)
同(谷口善太郎君紹介)(第三五五三号)
老後の生活保障のため年金制度改革に関する請
願(佐藤洋之助君紹介)(第三五〇六号)
同外四件(四宮久吉君紹介)(第三五〇七号)
同(永田亮一君紹介)(第三五〇八号)
同(安藤覺君紹介)(第三六八〇号)
同(黒金泰美君紹介)(第三七四八号)
民営職業紹介事業の手数料に関する請願(今澄
勇君紹介)(第三五一三号)
療術の新規開業制度に関する請願(今澄勇君紹
介)(第三五一四号)
同(井岡大治君紹介)(第三五一五号)
同(受田新吉君紹介)(第三五一六号)
同(堂森芳夫君紹介)(第三五一七号)
同(吉川兼光君紹介)(第三五一八号)
同外一件(今松治郎君紹介)(第三五九二号)
同(井手以誠君紹介)(第三六七九号)
全国一律最低賃金制の確立に関する請願(谷口
善太郎君紹介)(第三五五二号)
同(岡本隆一君紹介)(第三七四六号)
同(中村高一君紹介)(第三七四七号)
同(大出俊君紹介)(第三七九三号)
日雇労働者健康保険法の改悪反対等に関する請
願(谷口善太郎君紹介)(第三五五四号)
健康保険法改悪反対及び医療の改善に関する請
願(加藤進君紹介)(第三五五五号)
興行場法の改正等に関する請願(天野公義君紹
介)(第三五七七号)
医療過誤事故対策に関する請願(門司亮君紹
介)(第三五九三号)
原爆被害者援護法制定並びに原爆症の根治療法
研究機関設置に関する請願(岡本隆一君紹介)
(第三七四五号)
引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願
(田口長治郎君紹介)(第三七四九号)
同(澁谷直藏君紹介)(第三八〇一号)
労働者の賃金引き上げ及び団体交渉権確立等に
関する請願(板川正吾君紹介)(第三七五〇
号)
同外一件(大柴滋夫君紹介)(第三七五一号)
同(勝間田清一君紹介)(第三七五二号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第三七五三号)
同(久保三郎君紹介)(第三七五四号)
同(重盛寿治君紹介)(第三七五五号)
同(田口誠治君紹介)(第三七五六号)
同(野間千代三君紹介)(第三七五七号)
同外十件(長谷川正三君紹介)(第三七五八
号)
同(松井政吉君紹介)(第三七五九号)
同(大出俊君紹介)(第三七九二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第六五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山村新治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/1
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002・山村新治郎
○山村委員 国民年金は制度発足以来六年近くを経過いたしましたが、この間、急速な経済成長による所得の水準の上昇、産業の構造の変動に伴う農村人口の減少など、社会的、経済的諸条件の変動は著しく、また今度の厚生年金の改善により他の年金制度との格差も顕著になってきますが、これらの局面を前にして国民年金の将来の見込みはいかなるものであるか、所感をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/2
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003・神田博
○神田国務大臣 ただいま山村委員からお尋ねがございました問題でございます。厚生年金につきましては、先般当委員会において御審議を願いまして、いろいろ御意見のあったことも十分拝聴いたしました。したがいまして、国民年金については一体将来どうするかということでございます。これは、その際にもしばしば申し上げましたように、今回は国民年金の改正にあたりましては福祉年金をひとつ変えたい、それから拠出年金につきましては、ちょうど来年度が改定期になっておりますから来年度に変えたい、すなわち根本的な問題は来年の改定期にひとつ行ないたい、とりあえず福祉年金を改善しようと増額いたしまして、そしてこれらの福祉にひとつ沿ってまいりたい、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/3
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004・山村新治郎
○山村委員 今次改正の基本方針と内容についてお伺いしたいと思います。
まず、改正の基本方針についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/4
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005・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいま大臣から答弁がございましたように、国民年金の全般的な改正問題は、来年度の財政再計算の時期において大幅に検討をし、かつ改正案を提出したい、かように考えておるのでございますが、国民年金の制度ができましてから、この制度に伴います幾つかのまだ不十分であるという点が毎国会指摘されまして、その面におきまして毎年、財政ともにらみ合わせまして改正を実施いたしておるのでございますが、今回も、昨年に引き続きまして福祉年金を中心とした改正を意図しておるわけでございます。それは、福祉年金は現実に七十歳以上の老齢者あるいは母子、障害者につきまして全額国庫負担で給付が行なわれておるのでございますが、ただいまも御指摘のように、最近におきまする経済の諸情勢の変化、特に物価の変動というものと、制度創立当時あるいはまたその後におきまして一回改正いたしました福祉年金額の引き上げというものがなお不十分であるということで、今回さらに福祉年金額を引き上げるということに重点を置きまして、その改善をはかりたいというのが第一点。
第二点は、これもまた経済情勢の変動に応じまして所得水準が一般的に上昇してまいっておりますので、その所得の上昇に伴いまして所得制限の緩和をはかりたい、これも毎年実施いたしておるのでございますが、従来の受給者が所得水準の上昇に伴って福祉年金をもらえなくなるということがないように、所得水準の上昇に応じました制限緩和の限度額を引き上げていくというのが第二点でございます。
第三点は、昨年特に当委員会におきまして強く指摘されました点、すなわち精神薄弱者につきまして、昨年重度精神薄弱児の扶養手当の法律ができたのでございますが、その際、おとなの精薄者についての措置が落ちておるじゃないかということで強く指摘されまして、この問題につきましては、私ども一応の見解は持っておりましたが、現実の問題といたしましておとなの精薄に対する措置というものが行なわれておらないということで、今回、福祉年金の中で障害年金の対象者におとなの精薄者を加えるという措置を講じた。
この三点が、今回の国民年金法の改正、すなわち福祉年金を中心といたしました法律改正の主要点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/5
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006・山村新治郎
○山村委員 年金額の引き上げ、すなわち月額二百円になりますが、この根拠は何でしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/6
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007・山本正淑
○山本(正)政府委員 老齢福祉年金につきましては、制度発足の当時、御承知のように月額千円でございまして、そうしてそれは三十八年度におきまして、当時の物価の上昇状況というものを考えまして、老齢福祉年金につきましては百円、それから障害年金、母子年金につきましては三百円ずつという引き上げを実施いたしたのでございますが、その当時も、老齢福祉年金の引き上げ額が不十分じゃないかという御指摘はございました。昭和三十四年度、すなわち福祉年金ができました当時の基準といたしましての消費者物価、あるいは農村の家庭用品の物価指数、こういったものを勘案いたしまして、消費者物価におきましては昭和三十九年度までで約三〇%の上昇を示しておる。それから農村の家庭用品の物価指数におきましては二〇%の上昇を示しておる。こういう結果になっておりまして、福祉年金額そのものが十分でないという点はございますが、その十分でない福祉年金額が、物価の変動によりましてさらに減額されるといった結果に相なることを防ぐ、当時の実質価値は少なくとも維持するという意味におきまして二百円増して、老齢福祉年金を当時の三割増しの月額千三百円にするということにいたしまして、そうして母子年金、障害年金は、昭和三十八年度におきましてすでに三百円ずつの引き上げをいたしておりますが、これは障害者並びに母子家庭というものの実態に即しまして、当時格差をつけて引き上げることが適当であろうということによりまして三百円ずつ値上げをいたしておりますが、今回さらに、老齢福祉年金と同様に二百円ずつの増額をはかるといったような措置を講じたいという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/7
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008・山村新治郎
○山村委員 福祉年金の支給制限について、夫婦受給制限や公的年金との併給制限等、もう一度全般的に再検討するつもりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/8
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009・山本正淑
○山本(正)政府委員 国会の御審議を通じまして昨年度もたくさんの附帯決議をいただいておるのでございますが、その中で、今回十分に取り上げることのできなかった項目もあるわけでございます。
ただいま御指摘の、夫婦が老齢福祉年金をもらっている際における減額措置というものは、制度発足当時からございまして、これは実額で三千円という減額がなされておるのでございます。これは発足当時におきましては、定額での支給停止額三千円というのは、当初はそれぞれ二五%額を減額するという趣旨でございまして、これは夫婦の生活実態というものはあるのだが、しかしながら、現に福祉年金そのものの額が少ないからこの制度は廃止すべきじゃないか、あるいは少なくとも緩和すべきじゃないかという議論があるわけでございます。これにつきましては、毎年いろいろ検討いたしてまいっておりますが、今回の改正に際しましても、現在の年金額の引き上げ、それから現存障害年金の対象になっておりません精薄者を取り入れるといったようなことをまずやるべきであるということで、今回も見送りになったのでございます。ただ、現実には、その後年金額が上がっておりますので、今回の改正によりますと月額千三百円ということになります。夫婦の場合には二千六百円という金額になりまして、それから夫婦受給の場合の支給停止額が、制度創立当時の二五%という率でなくて、定額で三千円を減額するということになっておりますので、実質的には、制度発足当時は二五%の減額でございましたが、今日の段階は、この法律が通りますれば一九%の減額という、比率にいたしましては事は下がってくるという結果になりますので、今回は見送った次第でございます。
それから併給の問題でございますが、これは他の公的年金制度と福祉年金との併給という点で、今回戦争公務による扶助料が引き上げになりまして、それに伴いまして、従来併給の限度額が八万円になっておりましたのを、今回引き上げまして十万二千五百円といたしまして、これによりまして、従来公務扶助料との併給を受けておりました人たちに対しましては、従来の併給額というものは確保いたしまして、なお今回の改正による引き上げ分を、全額ではございませんが、見まして、そうして併給の制度をさらに充実いたしておるのでございます。
ただ、御指摘のように、戦争公務による扶助料以外の一般の公的年金との併給、これは制度当初から二万四千円というものが限度額に相なっておりまして、年額二万四千円以下の年金の場合には二万四千円との差額を福祉年金で支給する、こういった立て方に相なっております。
この問題につきましては、公務扶助料との関係において引き上げを行なうべきではないかという御主張があるわけでございますが、ただ問題は、一つには、国民年金におきまして二十五年の年数を満たした者の年金額が二万四千円であるという現状と関連いたしましても、やはり拠出制の年金額を検討する際にあわせて検討するのが筋道じゃないかという考え方が一つと、それから、今回の厚生年金の改正によりまして、厚生年金におきましては従来年額二万四千円以下の年金というものがたくさんあったのでございますが、今回の改正では年額六万円、すなわち月額五千円の最低保障を設けておるのでございます。したがいまして、もちろん厚生年金改正の法律が通りますれば、厚生年金では月額五千円という最低保障のなにによりまして、二万四千円との併給という問題は起こらなくなるわけでございまして、他の古い恩給制度等に年額二万四千円以下の年金もあるわけでございますが、本来の筋から言いますと、それぞれの制度におきまして年金額の最低保障を設けるのが筋道じゃないかという考え方もあるわけでございます。そういう意味におきまして、拠出年金との関係、あるいは他の年金制度における最低保障といったような問題との関係におきまして将来なお検討いたしたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/9
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010・山村新治郎
○山村委員 次に、事務費交付金の引き上げについてお伺いいたしたいと思います。
国民年金事務費は、国の委任事務であることから考えまして、この事務執行に要する費用は全額国で負担するべきものであると思います。ところが、実際は市町村からかなりの持ち出しになっております。昭和三十八年度分について、百九十五の町村について全国町村会が抽出調査した結果は、実際の支出額に対して拠出年金事務費交付金は約半額、印紙売りさばき手数料を加えても約四割が不足しております。拠出年金事務費は九十一万一千円、福祉年金事務費九万六千円、そのほかの経費は三万二千円、計百三万九千円、これに対して拠出年金事務費交付金四十四万九千円、福祉年金事務費交付金三万三千円、印紙売りさばき手数料十五万九千円、円計六十四万一千円の収入で、差し引き三十九万八千円の不足になっております。この約四十万円は町村の一般財源の持ち出しとなっておるわけでございますが、全国二千八百町村とすると、十一億二千万円もの額が町村の持ち出しになることが推計されるわけでございます。これは町村だけでございますから、市の分までを加えるとかなりの額になるのではないでしょうか。国民健康保険にも同様の問題があるわけでございますが、政府は国で負担するべきものは国で負担するのでなければ、わずかな財源でもほしい地方団体は、一般財源が食われてしまって、ますます困ってきます。これは実情に合うような計算で交付するべきではないでしょうか。これについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/10
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011・神田博
○神田国務大臣 こまかいことは政府委員から答弁させますが、ただいま山村委員から、この国民年金の事務費その他について政府が支出を渋っている、そのために市町村に非常な迷惑をかけている、これはお説のとおりでございます。私どもも、まことに遺憾といいますか、残念に思っております。今年度の予算編成にあたりましても、その点は十分留意いたしまして大きな折衝をいたしたつもりでございましたが、何しろ悪い習慣が押せ押せになってまいっておりまして、一ぺんでここで解決することが困難であった、こういうことでございます。それで済む問題かと言われると、済む問題ではないと私は思います。これらの点につきましては、ここ一両年の間でこれは解決する。いま国民健康保険の問題も例にお持ち出しになりましたが、そのとおりでございます。これは国民健康保険との直接の関係はございませんが、やはりいまの事務費の計算になりますと全くその例を同じくしておりますから、これらの点は財政当局と十分話し合っておりまして、財政当局も悪いことは重々承知しておりますが、財源難でやむを得なかった、こういうことでございます。財源雑なら何でもやむを得ないか、なお市町村がひどいじゃないかということも言われるわけでございますが、まあ長い間の悪習慣というか、そういう問題でございまして、しかもことしは、たとえば従来一人当たりについて十円くらいしか上げてまいらなかったのを、国民年金では三十五円上げた。従来からすれば三倍半上がったということになりますが、しかし、根本的にこれを是正するという時期が到来していると思います。でございますから、あと一両年でこの問題を解決いたしたい。御心配ごさいました国民健康保険の問題も同じでございます。そういう方向に努力いたしますことを申し上げまして、御了解を得たいと思います。
残余の点は、政府委員からひとつお答えをいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/11
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012・実本博次
○実本政府委員 事務費の市町村交付金の問題につきましては、山村先生御指摘のように、非常に市町村の持ち出しが多いというふうな実情をきわめて遺憾に考えておるわけでして、毎年大臣折衝まで上げていただいて、この交付金の獲得に努力をしてまいっておるところでございます。先生が御指摘されました百九十五市町村についての町村会のお話がございましたが、三十八年度の決算額にあらわれました全市町村の実支出額の決算額について見ますと、四十七億円支出いたしております。それに対しましてこちらが二十四億出しておりますので、約五二%といった実情でございます。各市町村ともそういう状態でございます。できるだけこれを増額してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/12
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013・山村新治郎
○山村委員 次に、年金手帳に貼付する印紙についてお尋ねいたします。
市町村では印紙売りさばきの事務が多くて、現行の三%の手数料ではとてもまかない切れないから、五%程度に上げてもらいたい、また、印紙は市町村で前払いをして一括購入することになっているが、これは市町村の財政事情からあと払いにしてもらいたい、そういう要望がございます。しかし、それよりも何よりも、市町村で印紙を買って、年金手帳に張って検印をするといった二重、三重の手数のかかる事務になっております。この印紙貼付制度をやめてスタンプだけにしたら、事務も簡素化されるのではないでしょうか。少しは地方団体の立場にもなってやってみてもらいたいと思います。政府としてこの問題に対して検討したことがあるかどうか、また、あるならばどのような見解をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/13
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014・実本博次
○実本政府委員 まず、印紙売りさばき手数料の問題でございますが、これはほかの手数料と同様に、売りさばき額に対します三%という率でもって算定をしてまいっておるわけでございます。なお、国民年金の場合につきましては、一般の三%の手数料のほかに加算手数料というものを二%出しておりまして、また、そのほかに特別手数料というものをやはり一%交付いたしておりますが、これはいずれも先買い、あるいは基準購買量よりよけいに買ったというところに出すことにいたしております。いずれにいたしましても、この手数料の問題も、先ほどの事務費と同様に、なるべく市町村の負担のかからないように増額をはかっていかなければならないと考えておるわけでございます。
それから前払いの問題、その他印紙貼付をやめてスタンプにしてはどうかというふうな事務の合理化を考えての先生のお話でございますが、実は実施を担当いたしております社会保険庁といたしましても、そういう点につきましていまいろいろ検討を加えておるわけでございますが、印紙を張らないでやりますと、どうしても会計法上やはり現金徴収方式に切りかえなければならないような結論が出てまいりますので、その点、印紙をやめた場合は現金徴収という国民健康保険の場合と同じようなかっこうになるわけでございますが、その点、まだ来年の根本的改正の時期とにらみ合わせまして、いま検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/14
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015・山村新治郎
○山村委員 最後にお伺いしたいのは、国民年金の融資についてであります。
国民年金の還元融資については、都道府県、市町村に対してどのように配分されておるのか、たとえば会館の新築、増改築については、市は融資の対象になっておるが、町村ははずされております。しかし、市とか町村とかいいますが、町村合併によってできた小さな市と、充実した町村との違いはあまりないものと思います。町村でも会館をつくりたいというところがあれば、融資対象にするべきではないでしょうか。財源の乏しい農山村へこそ、融資の道を開いて格差是正をはかるべきものと思いますが、この点についての方針はどうなっておるのかお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/15
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016・山本正淑
○山本(正)政府委員 国民年金の還元融資でございますが、国民年金の性格から言いまして、この還元融資の資金は主として特別地方債として市町村の施設に融資をいたしておるのでございますが、御承知のように、二五%の額で本年度におきましては百二十三億を予定いたしまして、そのうちで九五億が特別地方債として融資をするということに相なっておるのでございます。そこで、この融資が、市町村の要望する各般の施設に十分にこたえられるだけの範囲なり金額なりになっていないじゃないかという点でございますが、市町村の場合におきましては、厚生福祉施設関係というものの需要が非常に多いわけでございまして、これは非常に広範な中身を含んでおりまして、あるいは保育所、老人ホームといったものから国民宿舎、児童館等、各種の施設の種類のものにわたっておるのでございます。
そこで、いま御指摘の市町村の会館といったものについてどうかという点でございますが、御指摘のように、市制をしいておりますところにつきましては市民会館という名儀のものを融資の対象といたしております。町村の場合におきましては、従来それに相当するものはいわゆる公民館でございまして、公民館に対する融資につきましては制度発足当時から議論がございまして、そうして今日まで公民館ずばりには融資をいたしておりません。ただ現実には、体育館にいたしましてもあるいは福祉センターといった名前にいたしましても、町村でそういった公民館的な性格も帯びた施設というものが出ておりまして、そういう形におきましては市の場合と町村の場合と区別をつけないで融資をいたしておるのでございます。問題は、公民館と名前のつくものにずばり融資をするかどうかということが、一つの懸案として残っておるのでございます。こういったものにつきましては、今後の推移を見ましてさらにこの範囲は拡張していきたい。したがいまして、町村の場合におきましても、そういった福祉センターとか児童センターという名前でなしに、公民館といった名前でありましても、あるいは町村会館というような名前でありましても融資をしていくという道を開いていきにい、かように考えておるのでございます。今日の資金需要の関係その他の事情がございまして、今日までそれは実現いたしておりませんが、いずれそういう方向に拡張をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/16
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017・松澤雄藏
○松澤委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時十分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02819650510/17
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