1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十一日(火曜日)
午後零時五十七分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君
理事 竹内 黎一君 理事 河野 正君
伊東 正義君 亀山 孝一君
熊谷 義雄君 小宮山重四郎君
坂村 吉正君 田中 正巳君
中野 四郎君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松山千惠子君
粟山 秀君 伊藤よし子君
小林 進君 滝井 義高君
松平 忠久君 八木 一男君
本島百合子君 吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
国 務 大 臣 高橋 衛君
出席政府委員
厚生政務次官 徳永 正利君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(児童家庭局
長) 竹下 精紀君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部長) 實本 博次君
委員外の出席者
総理府事務官
(経済企画庁長
官官房調査官) 蔵田 直躬君
専 門 員 安中 忠雄君
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五月十一日
理事藏内修治君同日理事辞任につき、その補欠
として竹内黎一君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第六五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
理事藏内修治君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/1
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002・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/2
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003・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、竹内黎一君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/3
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004・松澤雄藏
○松澤委員長 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/4
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005・滝井義高
○滝井委員 国民年金法等の一部を改正する法律案について御質問申し上げますが、きょうは時間の関係上、こまかいところは次会に回させていただきまして、まず先に大局論を少しやらせていただいて、そして各論に入らせていただきたいと思います。そこで、各論に入らぬうちに、滝井義高、二時間やったからやめろと言わぬようによろしくお願いいたします。
〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
まず第一に、経済企画庁がいらっしゃっていませんので、その前に厚生省の見解をお尋ねしておきたいのですが、中期経済計画において、御存じのとおり、振替所得が二兆一千百億円を昭和四十三年には支出をすることになっておるわけです。昭和三十八年が九千七百億円程度だったわけですが、その場合に、医療の問題と年金の問題と児童手当の問題というものが密接な関連を持ってくるわけです。今後われわれが年金制度を確立する上において、国民年金と厚生年金とを所得保障の二大支柱にしようとするならば、四十三年における中期経済計画におけるきちっとした位置づけをして、今度の国民年金の改正なり厚生年金の改正が当然行なわれておると思うのです。特に国民年金が来年度において再計算の五年の終期を迎えるということになれば、ますます、二大支柱の一つをかつぐ国民年金としては、ある程度の展望を持っておらなければならぬと思うのです。したがって、私がお尋ねをしたいのは、一体四十三年になったときにおいては、二兆一千百億円の中において一体各種の年金制度というものはどういう支出をするという見通しを厚生省としてはお立てになっておるのかということです。どの程度の給付の財源を必要とするとお考えになっておるか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/5
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006・山本正淑
○山本(正)政府委員 御指摘のように、中期経済計画で、四十三年度で二兆一千百億という振替所得の中で医療保険なり年金なりを合計した金額でございますが、その年金、保険にどういうふうな位置づけをしておるかという点でございます。先般来御審議を願いました厚生年金におきましては、一万円年金構想というものを基礎といたしまして、その改正が実現されるということを基本といたしておるわけでございます。国民年金におきましては、現行の年金の給付をどこまで上げるかという問題があるわけでございますが、この四十三年の中期経済計画を実現していくということにつきましては、現在の給付の基準というものをおおよそ二倍に引き上げなければならぬじゃないか、かように考えております。そういたしますと、年金部門においての中期経済計画で分担する分につきましてはおおむね実現できる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/6
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007・滝井義高
○滝井委員 もうすぐ経済企画庁が必要になるのですが、私が言いたいのは、単に厚生年金と国民年金のことだけ考えておったのではいかぬのであって、当然船員保険もあるし、共済組合もあるし、みんなあるわけです。二兆一千百億というのは、これは医療保険なり長期の所得保障のすべての年金を包含をしておるわけでしょう。そこで、それならばお尋ねしたいが、一体昭和四十年度の予算においては、各種の年金支出というものは総額幾らになっていますか。こういうところをあなたたちがきちっとやっておらぬから、大局を見誤って、井戸の中のカワズになっちゃうんだ。やはり四方八方に目を配って、きちっとしておかなければだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/7
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008・山本正淑
○山本(正)政府委員 あとから調べまして、数字は手持ちございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/8
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009・滝井義高
○滝井委員 四十年のあとに四十一年があり、四十一年のあとに四十二年があり、そうして四十三年が来るんですから、三年あとの見通しさえつかぬようなことでは話にならぬですよ。二十年先を見るんでしょう、厚生年金は。国民年金は四十五年の先の話をするんですから、その四十五年の先の話をする法案を出しておって三年先がわからぬ、ことしもわからぬということでは、ちょっとこれは質問にならぬですよ。これは経済企画庁が来るまでひとつ残しておきます。二兆一千百億というその振替所得をお出しになったら、その二兆一千百億というものの積み上げがないと、こんなものは出てこないです。その積み上げをするときは、当然、来年は国民年金の改定の時期になると言うんだから、あなたがいま言ったように、少なくとも、いま三千五百円、その二倍程度の七千円くらいにはしなければならないというのが常識です。すでに社会保障制度審議会は、昭和四十五年には七千円から七千五百円ということを言っているのですから、そういう点ではきまっておるわけです。きまっておるならば、その計算と財源措置というものが振替所得の中にきちっと出てこなければならぬわけですよ。そこは保留をしておいて、それならば、いまの段階で、一体医療保険に支出する額とこういう年金に支出する額との比率というのはどういう形になっていますか。この振替所得の中における、たとえば四十年度において、すべての年金の支出が一体幾らのパーセントを占めて、医療のパーセントが一体どの程度を占めておるかということです。これもあとで一緒でいいですから、やっておいてもらいたい。
もう一つ、それと関連をして、一体厚生省なり経済企画庁は、現在の日本の予算編成の姿を見ますと、三百六十五日晴れ晴れ、三兆六千五百八十億八千万円ということしの予算の中で、道路とか港湾とか用地とか用水とか住宅とか、あるいは上下水道とか、こういうものに対する予算、いわゆる公共投資というものが非常に大きな比重を占めておることは、昨年以来同じです。そうしますと、今後日本経済が、物価が二・五%程度だけ上がっていくんだというのが中期経済計画の方針だったわけです。ところが、それはもうすでにくずれつつあるから、中期経済計画を手直ししなければならぬ。長期経済計画を手直しして中期経済計画をつくったら、その実施に入るか入らぬうちに、もう手直ししなければならぬということになってきておるわけです。そのことは、財源的にも、税の伸びから見ても、そんなに躍進がないという客観情勢があるわけです。そしてここ四、五年くらいは、日本経済は道路、港湾、用地、用水等の公共投資に少なくとも国の予算の三分の一程度——交付税とそれから直接に出す補助金とを合わしてみたら、三分の一程度は取られる。だから、予算の弾力性というものは非常になくなっておることは御存じのとおりです。そういう中で、一体この年金の金が出る客観情勢があると見ておるかどうかということです。これはさいぜんの質問を、数字でなくておぼろげな形で質問しておるのです。そこらあたりをあなた方がはっきりしないと、ことしの夏か秋ごろになったら、大内先生あたりの審議会にいろいろ意見を出してもらうにしても、あなた方が意見を述べるにしても、年金政策は立たないですよ。そこらあたり、あなた方はどういうような見通しを持っておるのか。ここ二、三年したら、日本は公共投資が少なくなって、ぐっと年金やら社会保障に金をやるという客観情勢にあると見るのか、とてもその見通しはありませんという見通しに立って、今後の年金の改定の作業をやろうとするのか、そこらを先にちょっと……。これなら抽象論で、数字じゃないから答弁できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/9
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010・山本正淑
○山本(正)政府委員 公共投資の部門に非常に資金を要するということは、御指摘のとおりと思います。そこで、年金制度につきまして、大幅な改善を実施するということによりまして国庫負担の問題が起こってくるわけでございますが、一つの問題は、社会保障に対する経費が考えられます際に、医療保険と所得保障の部門に資金の振り分けという問題が基本的にはあるわけでございまして、現段階におきまして、医療保険に関する経費というものが非常に急速に毎年伸びておるということから、所得保障部門への資金の振り当てというものが、一般的に言って困難な情勢にあるということは考えておるわけでございます。ただ、国民年金の改正ということは次の段階に行なわなければならないと考えておりますので、それに伴います資金というものは、社会保障費全体のワクというものはないわけでございますが、伸びを考えながら国民年金は所要の改正をいたしたい。それに伴う国庫負担の増というものは、当然のものとして考えていかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/10
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011・滝井義高
○滝井委員 国民年金の前進を考え、同時に国庫負担の増を考えなければならぬ、観念論としてはよろしい。しからばその裏づけはどうするか、こうなる。小山さんは国民年金をつくった創始者だから、したがって国民年金のこともよく知っておるわけで、同時に小山さんは連帯責任があるわけです。同時に、医療問題もいまその渦中にあるわけなんです。火中のクリを拾っておるわけだから、したがって国民年金と医療の問題については、両方について深い知識を持っておるのですが、いま山本さんの説明をお聞きのとおり、今後二兆一千百億円の中期経済計画における昭和四十三年の振替所得の中に、どの程度の年金の額が入っておるかということはわからなかった。わからなかったけれども、いまの段階では、社会保障の全給付の中で医療の占める割合というのはおよそどの程度ですか。たとえば、ことしの社会保障費は五千百六十四億二千二百万円ですね。そうすると、そういう中で国のこの予算のあれをごらんになると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/11
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012・小山進次郎
○小山政府委員 いま手元に資料がございませんので取り寄せて申し上げますが、大体滝井先生見当をおつけのように、少なくとも現在の段階では、社会保障費のうちで医療関係の費用がおそらく六、七割にはなっておったと思います。なお正確な資料はただいま整えまして、後ほど申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/12
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013・滝井義高
○滝井委員 私ちょっと計算をしたら、そうはならぬのじゃないかと思うが、とにかく六、七割と小山さんが考える程度に、相当に多いということは事実です。そうしますと、小山さんの感覚としては、この経費というものは——いままであなたがたびたびこの委員会で言うように、医療費というものは、とにかく二割前後毎年伸びていっていることは確実ですね。どこまでも二割伸び続けていくかということは疑問があります。疑問がありますけれども、少なくとも減ることはないだろう。伸びる情勢というのは、ずっとやはりカーブが急カーブになるか、なだらかなカーブになるかの違いはあるにしても、伸びることは確実だと思うのです。そうしますと、いま言ったように、小山さんの感覚では六、七割、私では五割かそこら辺、半分ぐらいではないかと思うのですけれども、とにかくそれだけのものを占めておるわけです。社会保障費と言えば、生活保護から結核予防から、生活保護費から社会福祉費から保健衛生対策費まで、みんな入っておるわけです。したがって年金が入る余地があるのかどうか。だから、私があなたにお尋ねしたいのは、医療というものはなお今後伸びていくという客観情勢があるというのが私の認識、したがって、このカーブというものは、いままでみたいな急激な上昇カーブはとらぬにしても、なだらかになるにしても、とにかく伸びてていくことは確実。そうすると、あなたの感じとしては、そこに所得保障をする厚生年金なり国民年金が、大幅に給付の改善をされるという客観的な見通しが、医療を担当する側から言って、出てくるのかこないのかというその二点を聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/13
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014・小山進次郎
○小山政府委員 医療の費用の見通しについては、私、先生のおっしゃるとおりだと思います。やはり今後ともある程度のテンポで伸びていくと思います。特に国民健康保険関係の医療費というものはまだまだ伸びておる最中でございますので、いずれにしても、このほうの伸びはそう変わらぬと思います。ただ、全体としてどうなるかということについては、元来社会保障費の調達財源としましては国庫負担も一つの有力な部門でございますけれども、それよりももっと基本的なものは、何といっても保険料であるわけでございます。そういう点から考えますならば、現状から見て、保険料という形で調達される社会保障の財源というものはまだまだあり得る。そういう部門の充実を通じて、厚生年金にせよ国民年金にせよ、十分伸び得る。ただ国民年金の場合は、対象の性質上、当然それに伴って相当部分を国の財政負担に持ち込まなければならぬという事情がありますから、国の財政負担の中で、年金部門を中心にした社会保障関係の分野により多くのものを分けるということが必要になると思いますが、その点の将来の見通しというのが今後どうなるかという点が一つの問題であろうか、かように私ども医療のほうの分野からは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/14
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015・滝井義高
○滝井委員 国民年金に国の財政負担というものを相当持ち込まなければならぬということは、われわれもそう思います。その点については、あなたと私との間に意見の相違はない。したがって、この点はお互い意見が一致しておるし、年金局長もそういう意見ですから、これは三者意見の一致を見ておるわけです。そこで、問題は医療のほうです。医療のほうは、小山さんが何かいまアクセントつけたのは、保険料がうんと負担ができるというところにちょっとアクセントをつけたわけです。そのアクセントにもかかわらず、私は医療に対する国庫負担というものはいまよりか増加をする客観情勢が濃厚だと思うが、この点については小山さんはどう考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/15
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016・小山進次郎
○小山政府委員 割合として増加する可能性のある分野としましては、国民健康保険と日雇い労働者の健康保険の部門があるわけでございます。この方面については、やはりもう少し国庫負担は増していかなくちゃいかぬと思っております。
それから、それ以外の被用者保険につきましては、現在の財政事情から、ある期間はある程度のてこ入れば必要だろうと思っておりますが、それにしましても、政府管掌健康保健で申しますならば、給付費の規模が二千五百億とか二千六百億というような大きい規模の中で考えられる国庫負担としては、割合から見ればそう大きなものは必要ない。ただ、全体の規模が大きいという事情からいたしまして、さしあたりつぎ込まなければならない国の補助的な費用というものの額は、一時的にはある程度大きくならざるを得ない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/16
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017・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、私は非常に長期の見通しでいま議論をしておるのではないのです。昭和四十三年という中期経済計画の終期を一応議論の終局として見て言っておるわけです。それはどうしてかと言うと、そんな先のことは、これはもうなかなか議論してもうまくいかぬわけですよ。議論がかみ合わない。だから、少なくとも出てきておるものは、二兆一千百億という四十三年の時点が出ているわけです、振替所得としては。これは当時の池田内閣のときの所得倍増計画の相当大幅な手直しをして、そして同時に、経済の伸び等もやはりある程度科学的に見て、物価も安定をさせるということで見てきておるわけです。それがいま狂いつつあります。狂いつつあるけれども、まだ社会保障の計画についてこれを変更するということはどなたにも言っていないので、その四十三年の中期計画を基礎にしてやらざるを得ない。そうすると、医療については、国民健康保険と日雇いは増加をする情勢だ。それから被用者保険については、二千五百億とか六百億のワクの中の問題だけれでも、国庫負担はそうは増加をしないだろう。しかし、当面、ことしの政府管掌健康保険だと六百五十九億の赤字が出るという可能性があるとすれば、これは一時的にせよ相当入れなければならぬ。一時的ということは、やはりここ一、二年は入れなければならぬということになりますれば、すぐ四十三年になってしまう。そういうことになりますと、四十三年までにおける所得保障の二大支柱である年金の問題について、そう多くの期待をすることは、特に国民年金について多くの期待をすることは困難ではないだろうかということを、私は結局結論として言いたいわけですよ。それをあなた方が、二本立てでやるのだ、このごろこうおっしゃってきておるわけですから、その二本立ての厚生年金は発足したのだが、一体国民年金がそういう来年度の五年の改定期を迎えて、もういまから腹がまえをしなければならぬのだが、できましょうかということです。それをひとつ科学的にできるという証明をしてもらわぬことは話にならぬ。そのことは、二兆一千百億の振替所得を変えるということなんですよ。だから、そこまであなた方、やはり腹をきめておるのかどうか、私は聞きたいわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/17
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018・山本正淑
○山本(正)政府委員 国民年金の改正を控えておりますが、この中期経済計画の指標といいますか、目標年次における振替所得の額というものは確保いたしたいという前提で考えまして、現在差し迫って控えております国民年金の改正というものを、拠出年金のほかにまた福祉年金につきましても、それとの見合いにおいて改善をしていかなければならぬわけでありますが、それを、四十三年度の目標年次というものとの振替所得の見込み額というものに達するような国民年金の改正というものは、可能だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/18
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019・滝井義高
○滝井委員 そうすると、中期経済計画のワクの中で、一万円年金に見合う国民年金の改定は可能だ、こういうことですね。
それでは、経済企画庁がいらっしゃったのでお聞きをすることになるのですが、調査官いらっしゃいますね。これは厚生省から出向して、一緒にあなた方と作業をされたと思うのですがね。厚生省から出向した人が来ているのじゃないか、それじゃだめだな。厚生省から出向して作業したでしょうと言ったら、厚生省から出向した人が来ているのじゃだめです。——まあいいや。
二兆一千百億というのが、昭和四十三年度における中期経済計画の中における振替所得の額ですね。三十八年が九千七百億円程度です。そうすると、その二兆一千百億の中で年金の占める額はどの程度と見ておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/19
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020・蔵田直躬
○蔵田説明員 社会保障につきましては振替所得をもってあらわしているわけなんですが、しかし、その中身につきましては、内々では検討いたしたわけでございますけれども、なかなか諸般の事情がありまして、中身がはっきり幾らということはきめてないわけです。そういうふうな状況でございますから、全体の社会保障の規模、それが経済成長あるいはまた社会資本の伸び、その他諸般の事情等から見てどの程度進むべきであるかということをきめるのが、中期経済計画として非常に意義があるというふうに私どもは理解しております。ですから、中身のこまかい、たとえば年金はそのうち幾らくらいになるかということは、正式にはきめておらぬわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/20
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021・滝井義高
○滝井委員 正式にきめておらぬと言うけれども、三年先のことですよ。そうすると、ことしのたとえば国民年金の予算を見ると、国民年金の給付が、去年が十五億六千四百九十八万七千円、約十五億ですね。ことしの拠出制の国民年金の給付は二十一億三千百三十六万六千円、こういうように去年からことしに伸びが出てきているわけです。それから無拠出の福祉年金は、四百十五億が三百九十八億に減ってきているわけです。いま年金局長が言ったように、一万円年金が実現をしたのだから、したがって一万円年金が、昭和四十三年にはどの程度の厚生年金の被保険者の受給者が出るかということです。これは計算ができるわけです。できるでしょう。それから国民年金はいまの三千五百円の二倍程度に持っていきたい、こういうのだから、これも計算できますよ。これは計算できる。老人人口がきまっているのだから、これも計算できる。あと国家公務員の共済組合も、地方公務員の共済組合も、公企業体も大体計算できる。そうすると、それを足せばわかるじゃないですか。それを中身は——二兆一千百億という数字を出して、国民所得の七%とか五・六%とか出しているわけです。国民所得が出てきているわけです。そうして積み上げた数字が出てきておって中身が出ないなんて、そんなばかなことなら、われわれもこの審議をやめますよ。そんなものは審議したって意味がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/21
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022・蔵田直躬
○蔵田説明員 それは、先生のおっしゃったようなことは実は作業したわけです。ですから、大体内々の資料はあるわけなんです。しかしながら、われわれの国民生活分科会という今井一男先生が会長になっているところでいろいろ審議したところが、全体のワク七%自体が非常に問題だったわけです。われわれとしてはもう少し上げたいというふうな希望があったわけでございますが、先ほど申し上げた経済成長、国際収支その他のいろいろな制約、条件によりまして七%程度におさまったというふうなことなんです。ですから、気持ちとしてはもう少し上げたいというふうなことがあったわけですが、まあ七%でおさまった。しかしながらその内容は、いま先生のおっしゃっている年金部門については、これはかなり見込みましても振替所得として出てくる金が、現行制度のままでありますと、さほどふえないのです。かりに一万円年金にしましても、振替所得となって出てくる金額は、全体から見るとさほどの額ではないということで、年金部門については、いま年金局長からおっしゃったような、たとえば一万円年金が実現できるとか、あるいはまた健康保険につきましても給付の割合をもう少し上げられるのじゃなかろうか、それから児童手当などにつきましても、この期間中に実現することを本格的に検討するというふうなことを書いてあるわけです。しかしながら、そのこまかい、たとえば社会資本の配分のように、道路何兆円というふうなことはやらぬ。むしろその全体のワクをきめることが主眼であり、また各省との折衝といいますか、その中身をこれにするということはいろいろな問題がありまして、そこまでは決定できなかったというふうなこともあります。いろいろなことがありまして、いま申し上げたことになったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/22
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023・滝井義高
○滝井委員 それがおかしいんです。内々はやっております。しかし言われません。こんなものは秘密でも何でもないですよ。道路は一兆一千億とか二兆一千億とか出てきておる、治山治水も計画ができる。それから生活環境施設整備の五カ年計画もできるんだ、そういう五カ年計画ができて予算の数字がついておるのに、どうして社会保障だけが、二兆一千百億という数字がぽつんと出て、富士山の頂上だけが出て、あとはみんな雲におおわれているなんというばかなことになる。やはりすそ野から数字を示さなければいかぬ。その数字を示されぬという理由はない。その内々やっている数字を出してみたらいい。そういうことさえできないからこそ、日本の社会保障は風にそよぐアシになっちゃうのです。人間尊重内閣の一番大事なところを雲の中に置いておいて、空に高くそびゆる富士の山の頭だけしか見えぬという、そんなばかなことはない。すそ野がはっきりしないから、頭がしょっちゅう変わるでしょう。そういうことで山本年金局長あたりが満足をしておるというなら、これは山本さんの不信任案です。これはどうも厚生大臣がだらしがないので、こういうことでは処置がないのです。だからここでひとつ内々の数字を出してください。きょう持っていなければ、次会にそれを資料として出してください。どうですか政務次官、当然これは出すべきものですよ。
医療のほうは、もうすでに、小山さんは六割、七割と言ったが、計算しておるから、何割になっておるかわかると思うのです。医療のほうは現実にきちんと出て、それが減ることはない、伸びる情勢にある。そうすると、二兆一千億というワクがきまっておるのだから、その中で医療の占める比率が多くなれば年金の占める比率が少なくなるということは、赤ん坊だって知っているわけだ。だから年金をやるならば、年金をふやさなければいかぬということで、二兆一千百億の修正を要求しなければいかぬわけですよ。それは与党だって野党だって、あなた方だって一緒になって要求しなければいかぬ。ところが、二兆一千億のワクしかないのに年金のほうは黙っておれば、年金の制度が確立しない。いたずらに被保険者の保険料の負担だけをふやして、国庫負担はできるだけ押えていこう、こういう非社会保障的な時代逆行の政策をとらざるを得ないことになるのです。それは自民党に対しても、選挙に負けさせることになるから気の毒ですよ、率直に言って。だから、もう少しそこらあたりをはっきり、どうですか。これ以上質問したって数字を言わなければ話にならぬ。次会に資料をひとつぜひ委員長から要求してもらいたいのです。内々なんと言ったって、こんなもの秘密でも何でもない。いたずらに極秘の判を押すからいかぬと、この間佐藤総理も閣議で言ったでしょう。出すものは出す、ほんとうに極秘のものは極秘で出さぬようにする。極秘の判を押しておって、三矢事件みたいにばらばら出てしまってはいかぬというので閣議で注意されている。こんなものは出してけっこうです。今井一男さんが見られるものを、何で滝井義高が見られぬかということです。今井一男さんが知っておるものを、われわれだって知ってかまわぬわけですよ。どうですか、経済企画庁出してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/23
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024・蔵田直躬
○蔵田説明員 それはさっき申し上げたように、いろいろな情勢によってきまった。それでその中身については、われわれとしてはいま検討する意思はないわけです。というか、はっきりこうだときめるつもりはないわけです。しかしながら、先生のおっしゃったように、われわれとしては、もっともっとふやしたいという気持ちは非常にある。今度の計画は、御承知のように、マクロモデルという計量経済学的手法を使いましてやったわけなのです。それで国際収支であるとか、さっき申し上げた物価であるとか、そういう制約、条件をいろいろ考えながらきめたわけなのです。ですから、中身までこうだということを検討するのがいいのかどうか。たとえば社会資本については、道路幾らというふうな計画は、社会保障から見ますとわりあいにいままでに経験もあるし、やりやすいということもありますし、また社会保障が激動期といいますか、児童手当あたりを今度の五カ年間でつくりたいという空気になっておるわけです。したがって、中身としては、各省これでいいのだというふうなことをやるとすれば、非常に時間がかかるということですね。中期経済計画の中身としてきめることについては、いま早急にはできない、こういう御返事を申し上げるよりしかたがないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/24
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025・滝井義高
○滝井委員 中身について経済企画庁は検討する意思がないと言ったって、厚生省は検討しておるのですね。いま現実にやっているのです。だからあなたのほうがなくても、二兆一千百億というワクできめられることは確実なのです、これで締め上げられてくるのだから。したがって、このワクを拡大するためには、医療というものがこんなに大きな比重を占めておりますよ、あと年金部門というのは少ししかないわけですよ、その上に、私がいま尋ねようと思ったらあなたが先に言ったが、その上に今度四十一年から児童手当をやることになるのです。これでは年金はもうサンドイッチじゃありませんかということを言いたいわけですよ。それならば年金を一体どうするのだ、二兆一千百億のワクを拡大する以外にないのじゃないか、中期経済計画の修正に持っていかざるを得ない、その財源はどこから持ってくる、それじゃ公共投資を少しゆるやかにするよりほかにないのじゃないかということになる。公共投資が三分の一以上占めているのだから、そういう議論の発展がなければ、一つのワクの中で議論をしているのだから、財源というのは一定しているのだから、そんなに無制限に財源が拡大するものじゃない。だから遠慮して、社会保障の年金部門については、われわれはもう内容を討議する意思がありませんと言ってあなたのところが放棄してしまえば、しかも厚生省から出ていっている本家本元が放棄してしまえば、山本さんたちは何も言われぬことになってしまう。したがっていつも大蔵省から頭を押えられて、今度われわれが労働組合から頭をたたかれて、ようやく二割増加をしなければならぬという形になる。しかも二割は不満だと労働組合はまだ言っている。へまをすれば厚生年金をつぶすぞと言っている。そういう不満な形ではいかぬのであって、もう少しく資料を出してください。全然そんなものをつくっていないというなら、ぼくらはできるまで待ちますよ。こんなものしばらくできるまで待っていたほうがいい、来年になって大幅にやったほうがいいです。一番大事な基本の資料さえ出さずに、ただ枝葉の千円か千百円の福祉年金を、たった百円か二百円ずつふやすというその場限りの政策だったら話にならぬです。もう少し四十三年ぐらいの二、三年先の見通しも立ててやってもらわぬことには話にならぬです。
経済企画庁長官を呼んでもらいたい。これ以上彼に聞いたってだめですから、経済企画庁長官を呼んでください。
それでは、いまのところをちょっとあれしておきます。そうすると、昭和四十年度における年金だけの給付というのはどの程度になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/25
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026・山本正淑
○山本(正)政府委員 四十年度の予算では、厚生年金が約三百八十億、それから国民年金が、福祉年金と拠出年金を合わせまして四百十億、こういう計算になっております。その他、船員が二十数億でございます。それから各種共済組合がございますが、各種共済組合の給付の総額の数字は、いま調べておりますから、あとで申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/26
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027・滝井義高
○滝井委員 私が聞きたいのは、その総額が聞きたいわけです。だから、厚生年金、国民年金、これは福祉年金を加えますね。それから国家公務員、地方公務員、公企業体、船員保険、これだけですよ。その四十年が幾らになるのか。——あとでけっこうです。
それから、医療の額はわかりましたか。——わからなければあとでけっこうです。
それは経済企画庁長官が来るまでちょっと置いておきます。すでにもう四十年度なり三十九年、三十八年と、その現実の伸びがずっと出てきておるわけですから、大体類推をしていって、政策的な配慮を、もうすでに二倍程度やりたいということを言っているのだから、すぐ四十三年度は出るはずですよ。もとをしっかり把握しておらぬから、結局言われないだけのことです。そうすれば、年金の額が一体振替所得の中にどの程度占めるか。あとは医療だけです。そうすると、一体四十一年度における児童手当をやれる政策は、二兆一千百億の中で出てくるのか出てこないのかという、ここまでが大体詰められていくわけですよ。それくらいのことをぼくらに教えてもらわなければ、資料を握ってしまっておられるあなた方ですから……。われわれは一々そこのこまかいところまでは手が届かぬわけです。だから、われわれの質疑応答を通じてそこらの見定めをつけたいというのがわれわれの考えですから、経済企画庁長官が来るまでに明白にしておいていただきたいと思うのです。
次は、そこのちょっと大ざっぱな大局論をしばらくおいて、御存じのとおり、日本の人口構成というのが、ピラミッド型、富士山型の人口構成からつぼ型の人口構成になりつつあるわけですね。いわゆる老人人口がふえる、年少人口が減少するという形態になりつつあるわけです。同時に、その中で被保険者階層の流動化というのが非常に顕著になりつつあるわけですね。今度の国会でも、与党の賛成を得て五人未満なり日雇いに、特に五人未満については二年をこえない範囲で厚生年金の適用をする、こういう形になってきたわけです。そして、さいぜんから指摘をしますように、農村における働き手というのが都市に流入してくるという形があるわけですね。そうなった場合に、一体国民年金の見通しというものはどういう形になってくるのかということです。国民年金の姿はどういう形になってくるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/27
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028・山本正淑
○山本(正)政府委員 御指摘のように、人口の流動化といいますか、産業構造の変化といいますか、そういった事態が急激に起こっているわけでございます。その意味におきまして、国民年金がどういう形になってくるかという御指摘でございますが、これは一つには国民年金が自営業者、特に農村を中心にいたしておるということからいいまして、農村人口がどういった数になるかということ、これが被保険者の推移に影響してくるわけでございます。もう一つは、この農村人口の年齢配分といいますか、構造がどういった形になるか。ある年齢層に層がかたまるということを懸念されるわけでございまして、そういった形がどう変化していくかということによって、自営業者、特に農村を対象としておる部門につきましては相当な変化が起こってくる、かように考えられるわけでございます。
それからもう一つは、都市の自営業者につきましては、被用者保険に振りかわってくる方向をたどらなければならないということによりまして、その被用者保険に振りかわらない自営業者というものが、どういった形で残るかということを考えなければいかぬわけでございますが、一般的に申しまして、農村においても都市の自営業者においても、国民年金の対象となっている人口、国民のいろいろの構造というものは、変わってくると考えなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/28
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029・滝井義高
○滝井委員 変わってくるのはわかるわけです。どういうように変わるのかということを私は聞いておるわけです。それはあなたが、来年二倍くらいにしたい、こうおっしゃるわけです。二倍ができなければ、少なくとも厚生年金のフラット額、定額部分の左千円にはしなければいかぬと思うのですよ。そうしますと、二倍にすれば七千円になるわけですが、それはその財源を負担する保険料の問題にすぐばね返ってくるわけですね。そうすると、もう私の見るところでは、五人未満を厚生年金に入れる、それから最近における農村の出かせぎその他の状態から見ると、失業保険に非常に大きな問題を提起しておりますけれども、だんだん出かせぎが恒常化してきますと、これは必然的に日雇い健康保険か健康保険に入ることになる。そのことは、同時に国民年金から厚生年金への移動の転機になるわけです。そうすると、日本の農業は、じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんの三ちゃん農業と言っておったのだが、最近私の友だちの話を聞いたら、滝井君、もはや三ちゃん農業ではない、一ちゃん農業だ、かあちゃん一人になりつつある、こういうことです。国民年金の対象は女子だけになる可能性がある。そうして負担能力が非常に低いという形が出てくるわけです。ここに、この前から私が言っている一体妻の座をどうするという問題にも関連してくる。これは労働者の妻になる。農民であるけれども、ハーフプロデューサー、半生産者的な形になって、そうして半分は雇用労働者になる可能性が出てくるわけです。そうすると、その場合の妻の形というものはどういう形になるのかという問題が提起されるわけでしょう。そして御存じのように、平均寿命は男子が六十七歳、女手は七十二歳でしょう。負担能力は少なくて、そうして長期にわたって年金を取るというかっこうが出てくるのですね。この場合、一体この国民年金をどうやるかということになると、この政策を採用する場合は相当大幅な国庫負担というものを考えておかないと、年金制度の前進というものはあり得ないですよ。非常にいびつな年金制度になる。医療における国民健康保険と被用者保険とのアンバランスと同じ形が、長期だけに年金には出てくるわけです。だから、そこらあたりをもう少しく——来年やるのですからね。基本的な方向だけは基礎固めをしてもらわなければいかぬのじゃないか、それを一体どう考えておるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/29
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030・山本正淑
○山本(正)政府委員 おっしゃられるような事態というものも考えられるわけでございますが、制度の改正につきましては、やはり現時点に立って、そして現時点に立っての政治的な観察ということにならざるを得ないと思います。動態的に将来どういうふうに変化するであろうという推測を入れましていろいろ数字計算をするというわけにはまいりませんので、やはり現時点に立っての政治的な判断ということを考えるわけでございます。そういう意味におきまして、確かに変動はいたしておるのでございますが、五年前と現在と比べましての変動はあるにいたしましても、非常に極端な形であらわれてきているかどうかということは、実態に基きまして年齢構成その他の数字計算の基礎資料というものを整えまして、現時点における判断に立って考えなければいかぬじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/30
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031・滝井義高
○滝井委員 たとえば現時点に立って、実態的にものを見なければならぬということはそのとおりです。あなた方がそういうことをそろそろやっておる形跡が、ことしの予算の中にも出てきておるわけです。だから私は、一体あなた方がどういう具体的な構想を持ち、一体どういまの国民年金の姿を把握しておるかということを聞きたいと思って聞いておるわけです。というのは、たとえば保険料収入をごらんになると、ぼくはそういう型だから減るだろうと思っておった。ところが、保険料収入はことしふえているわけでしょう。これはふえておるということは、やはりあなた方が人口の動きというものを相当鋭く見ているということなんですよ。それはどうしてかと言うと、その百円納める層と百五十円納める層とのこの違いを見ないと、保険料の差というものは出てこないはずですよ。もう若者というものは農村には少なくなって、そうして三十五歳以上がだんだん多くなるということは、百五十円を納める層が多くなっているということを意味するわけでしょう。
〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
そういうことをこれは見ておるのじゃないかということを推測するわけです。だから、これは保険料の中に——これはもう少し詳しく聞かなければならぬけれども、いままであなた方は、これをフィフティー・フィフティーで見てきておったはずです。いわゆる三十五歳以下と三十五歳以上を半々に見ておったのじゃないですか。そこら、わからぬですか。おそらくそうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/31
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032・實本博次
○實本政府委員 当初発足当時は、四、六で若年層を多く見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/32
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033・滝井義高
○滝井委員 ちょっと私の発言を直しておきます。フィフティー・フィフティーでなくて、六、四に見ておったのです。ところが、今度この予算がふえるということは、結局フィフティー・フィフティーに見るということなんですよ。年をとった人と若年と同じ、こういう形に見るからこそふえるのです。きょうは、もう予鈴が鳴りましたからやめますけれども、あなた方のほうの専門家をというのはおそらくそう見ておる。私、予算を見ながらこれはふえるはずはない、普通の常識から言えば、いままでのとおりでいけばふえるはずはない。それはだんだん若年層が少なくなって、そうして若年以外の者の比重がだんだん多くなるという形に見てきているのじゃないかと思うのです。だから、そういう点でやはり専門家というのは少しく眼光紙背に徹しているわけです。その眼光紙背に徹した姿が上のほうに通じていない。だから、もう少し通じさせて、そうして経済企画庁のほうとも連絡をして、もっときちっとした数字を当委員会に、次回の質問までに出してもらいたい。それから、いまのいかなる理論的な根拠からフィフティー・フィフティーになってきたのかということも、もう少し詳細にひとつ科学的な分析と説明をしてもらいたいと思います。きょうはこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/33
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034・山本正淑
○山本(正)政府委員 先ほどの共済の数字がわかりましたから……。先ほど申しました厚年と国年、それから船員保険が二十七億で、各種共済総額が四百九十億でございます。総計千二百八十六億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/34
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035・滝井義高
○滝井委員 医療のほうその他も次会までにきちっと出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/35
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036・小山進次郎
○小山政府委員 医療のほうを申し上げます。
三十八年度をとって比べてみますと、中期経済計画を立てる際に判断の基礎にいたしました医療保険の給付費が、すでにおよそ千億違っております。あの当時およそ三千八百三十億程度というふうに踏んだわけでありますが、実際は、すでに医療保険における保険者負担の費用が四千八百二十三億になっておりますから、ちょうど千億程度そこで違ってきておるわけでございます。したがって、中期経済計画の全期間このズレがそのまま自動的にいくといたしましても、最終年次には、これがそのままで五千億ないし六千億の違いは当然出るわけでございます。これにさらに伸び率がかかりますから、その意味において、中期経済計画をつくるときに予定しておった医療保険の費用よりも、より多くのワクというものが自動的に必要である。したがって、おそらく結論としては、大まかに言って、先生がおっしゃったように、当初の判断はほぼ半々程度という判断が私も当たっておったと思いますが、もしワクというものが一応ああいうふうに与えられるとすれば、どうもやはりその中で六割から七割というものを医療に予定しないと、医療のいまの趨勢から見て、自然に伸びる費用というものがそこへおさまり切れない、こういう判断に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/36
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037・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十八年は三千八百三十億を予定をしておったが、決算をしてみたら四千八百二十三億になっておった、こういうことなんですね。その後の伸びその他千億の——毎年千億違うことになるから、その総額は五、六千億、それにその伸びが上積みされてくる。わかりました。
それで、これはいまの小山さんの証言のとおり六割ないし七割に占めるとすれば、山本さんのほうにいく金はない。いわんや児童手当なんというものを四十一年度からつくるなんと言ったって、それはさかさまになっても鼻血も出ないという形になる。これはおよそ確認ができた。次会もう一回経済企画庁長官にぜひ来ていただいて、この中期経済計画における振替所得の問題をきちっとしないと、政策の展望ができないのですよ。政策の展望なくしてその日その日暮らしをやれば、社会保障というものも、いつもいまみんなから頭をたたかれておるように今度は山本さんがみんなから頭をたたかれるので、前車の轍を踏んではいかぬ。これまで一回失敗したら、将来失敗しないようにしないと、そう歴史が同じ道ばかり歩まぬように、少しは歴史を前進的な、いい革新的な道をひとつ歩いてもらいたい。革新的になれと言ったって、社会党になれという意味ではない。こういうことです。だから、次会もう一ぺんいまのような質問をやりますから、もう少しあなた方も資料を固めておいて来てもらいたい。
委員長、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/37
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038・松澤雄藏
○松澤委員長 本会議終了後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時五十九分休憩
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午後二時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/38
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039・松澤雄藏
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/39
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040・滝井義高
○滝井委員 申し上げかねますけれども、わが党のほうで、どうしても四時から部会を開かなきゃならぬので、四時までやらしていただきたいと思います。政府もそれまでしっかりひとつ御答弁願いたいと思います。
午前中本会議前に、国民年金が一体今後どういう姿になっていくのか、農村からは多くの人が離れていく、女子の平均寿命は男子よりかだんだん長くなりつつある、そして同時に、女子の経済的な負担力というのは非常に弱い、五人未満が厚生年金に入ってしまう、そうしますと、国民年金は崩壊をしやせぬかということを質問したわけですが、明確な未来像が答弁として出てこないわけですね。そこで形を変えて少し聞いてみたいと思います。
一体、拠出制の国民年金が発足をした三十六年以降における被保険者の推移というものは、どういう推移をたどって動いておるか、それをまずちょっと数字で、三十六、三十七、三十八、三十九、四十年と、こう言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/40
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041・實本博次
○實本政府委員 三十六年の発足当時から申し上げますと、被保険者が、三十六年度におきまして強制、任意両方合わせまして千八百五十一万、三十七年度におきましては千九百一万、それから三十八年度におきましては千九百五十六万、三十九年度におきまして二千十八万、四十年度は、予算の被保険者の推計といたしまして二千二十三万、要求いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/41
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042・滝井義高
○滝井委員 だんだん被保険者の数が増加しておるわけですが、これは制度の普及によって国民年金というものをそれぞれ市町村事務当局も熟知をして、そして被保険者の未加入者を把握することによってだんだん数がふえてきているわけですね。一体四十一年、四十二年、四十三年の推移というものをどう見ておるかということです。これは御存じのとおり二十二、二十三、二十四年とベビーブームが起こって、日本の出生人口が二百五十万あるいは六十かになってきているわけです。それ以降出生人口はずっと減ってきているわけですね。現在、御存じのとおり百五、六十万しか赤ちゃんは生まれないわけです。そうしますと、四十二、三年以降になりますと、新規若年の労働力というものが急激に不足してくるわけです。そのことは、必然的に国民年金の被保険者にも反映してくる可能性があるわけです。なぜならば、新規若年労働力が雇用労働化していく可能性というものが十分あるわけです。農業に残る数は非常に少ない。中小企業も新規若年労働力の雇用というものが停滞をする、こういう客観情勢になってきますと、中小企業といっても五人未満ですね、そうしますと一体四十一、四十二、四十三の推移というものをどういうふうに見ておるかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/42
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043・實本博次
○實本政府委員 従来の被保険者の年度別経過をたどっての増を申し上げましたが、その内訳から申し上げますと、若年労働者の二十歳到達者を中心とした数は、先生のおっしゃるように若干減ってまいっております。そして全体といたしまして、やはり老齢化の現象が徐々に出てはまいっております。新規適用者の数を、一応三十九年度の実績に基づいて四十年度以降考えております計画といたしましては、大体適用予定者五十万前後を見込んで、四十一年、四十二年と二十歳到達者を中心とした若年の新規加入者の適用計画を、基礎数字を大体年間五十万と見込んで、各年度に三十万から四十万適用者をふやしていきたい、こういうふうな考え方であるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/43
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044・滝井義高
○滝井委員 これは、私昨年であったか、満二十歳になった人たちがどういう加入状況を示すかということについて質問をしたことがあるのです。当時非常に不満足な答弁しかできませんでしたけれども、この前の質問を通じて見ても、二十歳に達した人で十分年金の意義を認識して加入する数というのは、必ずしもそんなに多くないのですね。私、いまの傾向もたいして変わりないと思うのです。そこで、あなたが御指摘になったように、新しく満二十歳になって国民年金に加入する人が相対的に減少をしてくるし、特にベビーブームが過ぎたあとにおける若年人口の減少というものが、その傾向に拍車をかけることになるわけです。そして全体として老齢化の傾向が国民年金の被保険者階層にふえてくるということになりますと、そのことは、大局論から見ると、年金の経済が安定しないことを意味してくるわけです。しかも同時に、その中年層の中でも、三十五歳に近い中年層は、この際早く新しい職場に転換をしておかないと、年をとってからではつぶしがきかないというので出ていく可能性が出ることは、農民離村の状態を見ても明らかなんです。そうして残っておる被保険者というものが老齢化してくれば、その経済的な負担能力には限界がくるわけです。一方女子が増加をして、被保険者の老齢化が起こってくるということになりますと、物価上昇なり国民の生活水準上昇につれて年金の給付を引き上げようとすれば、それに見合う保険料の引き上げというものが並行してこないといけないわけですね。それが不可能になるわけです。そうすると、厚生年金の一万円年金に追いつこうとすれば、必然的に国庫負担を国民健康保険と同じように国民年金にも入れざるを得ないという形が出てくる。そういう認識はわれわれと同じなんでしょうね。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/44
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045・山本正淑
○山本(正)政府委員 将来の見通しにつきましてどう考えるかという点は、先生のおっしゃられましたような要素というものが出てくることは考えられるわけでございます。そうした場合に、国民年金を厚生年金なりその他の年金と比較しながら内容を充実していくという場合にどういうふうな結果になるかということになりますと、保険料、国庫負担という問題をどういうバランスで考えていくか。給付の面を固定的に考えますれば、保険料なり国庫負担というものでまかなわなければならない。それで保険料が、負担能力がなければ国庫負担になるのじゃないか、こういう論法で先生はおっしゃられたかと存じますが、現時点に立ちまして将来の趨勢を非常に悲観的に考えていくかどうかという問題はありますが、いずれにいたしましても現在の仕組みから申しまして、保険料、国庫負担というもののかね合いにおいてどういう費用をまかなっていくかを考えざるを得ぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/45
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046・滝井義高
○滝井委員 私がどうしてこういう非常に遠回しの質問をするかというと、御存じのとおり、政府は、無拠出の年金が昭和三十四年十一月ですか、発足して以来、画一な原則なしに無拠出年金を上げてきている。声が強くなる選挙の前になると、百円か二百円ちょっと上げるわけですね。これは選挙対策じゃないかもしれぬけれども、われわれ野党から見るとそんな感じがするわけです。そして一方、国民年金の拠出部分については、三千五百円据え置いたままにきているわけです。保険料もそのままなんです。無拠出は、物価が上がった、国民の生活水準が上がった、あめ玉年金だから、あめの値が高くなったら何ぼかこれは上げなければならぬと言いながら、池田さんのときには、総理府の統計から見ても物価を二割六分も七分も上げておきながらこれは一割しか上げなかった。百円しか上げなかった。そして今度佐藤さんになって、人間尊重というので、改定を前にして二百円くらい上げているわけですね。これを一割上げ、さらに二割上げ、三割お上げになるのなら——無拠出の年金は三千五百円のときに千円でバランスがとれておったはずです。それをお上げになって、今度は拠出の年金はそのまま据え置いて五年周期的な改正を待ってくれ、こういうことになっておるわけですね。これではバランスが合わないわけです。そのときになって、今度は拠出を上げたからこれもまた上げなければならぬことになるのは当然なんです。それならば何も今年あわてて上げずに、来年一緒にひとつ思い切って二倍にしてもらったらどうかということなんです。百円や二百円上げておると、大蔵大臣は必ず、山本君、去年二百円上げたじゃないか、またことし上げるのか、そんなのはだめだと言いますよ。だから、国民年金をあなたの言うように二倍にするというならば、無拠出のほうも二倍にする、こうでなければつじつまは合わぬでしょう。それをちょっぴりスズメの涙ほど、あめ玉だからといってあめ玉のこぶをちょっとつけるのではおかしいじゃないか。こういうものにも何か原則をつくらなければいかぬのじゃないか。それはちょうど拠出制の国民年金にスライド制のルールを確立したいというように、こういう無拠出のものにもルールを確立する必要があるのじゃないかという感じがするのです。ルールがないから、どこを読んでも、一体どういう理論的な根拠から二百円にしたのかよくわからないのです。加算だって三万を四万に上げてみたり、所得税のほうは、それぞれ適用に問題があるのかもしれぬけれども、税法に従ってお上げになったのかもしれませんが、よく読んでおってもはっきりした原則がわれわれにはわからないのです。おそらく物価が上がったから、児童手当や重度精神薄弱児扶養手当も国民年金にならって上げたのだろうということぐらいしかわからないのです。そこらあたりの原則を確立しておく必要があるのじゃないか。こういうものは長期のものですから、きちっと国民が見通しのつく形、少なくとも三年や五年の先はおぼろげながらわかるということにしておく必要がある。それが全然わからぬというのではおかしいという感じがするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/46
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047・山本正淑
○山本(正)政府委員 おっしゃられるとおり、福祉年金と拠出制年金との関係におきまして、一つの考えといたしましては、福祉年金を拠出年金とあわせて引き上げられるなら引き上げるということを考えるべきじゃないかという議論もあるわけでございます。そしてまた、福祉年金を前回百円上げまして今回二百円上げるという問題につきましても、来年度拠出制の年金に手をつけるならば、そのときに福祉年金をどうするかということを明確にして考えるべきじゃないかという議論もあったわけでございます。ただ、先ほども先生御指摘のように、実は物価の上昇というものを見まして、制度発足当時に比較して三割を引き上げないと実質価値が維持できないという事実の上に立ちまして、前回の分も合わせまして三百円引き上げるように、千三百円ということを老齢年金について考えたわけでございます。
それから、所得制限の緩和等につきましてもルールがないじゃないかという御指摘でございますが、これは従来、税法等のリンクがある部分はその税法上の措置が変わってくるに応じまして変更いたしておりますし、またそうでない扶養家族の所得による制限につきましては、生活水準の上昇に応じまして、従来福祉年金を受給しておった人たちは本年度においてもあるいは来年度においても大体受給できるといったような考え方によって、その限度において扶養親族の所得制限を緩和していく、こういう方向を毎年とってきたわけでございまして、ことしもまたそういった方向で大体一割ぐらい限度を上げまして、従来もらっておりた人はやはりもらえるといった観点に立っての措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/47
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048・滝井義高
○滝井委員 三割引き上げることによって実質価値を維持した、こうおっしゃるわけです。ところが、拠出制の年金のほうは、今度は実質価値が維持できないわけですね。維持ができないままで給付が行なわれてきているわけです。ことしの予算にも、さいぜん御説明になったとおり二十一億余りの給付を行なう。この人たちはアンバランスなんですよ。そうでしょう。物価は二割も三割も上がっておって、そうして掛け金をかけなかった人は三割だけ上げてもらったけれども、掛け金をかけた人は、上げていない価値でもらっているわけです。こういうアンバランスが出てきたわけです。そうでしょう。これについては、ほおかぶりをして何も言わないわけです。だから、金をかけておった人のほうが冷遇をされて、かけない人が優遇をされる制度なんというものはないわけです。こういうものを一体どう考えておるのかと私は言いたいのです。そうでしょう、現実に。さい、せんあなた方にちょっと計算してもらったように、これはことしが合わせて四百六十億。そうすると、四十三年になりますと、今度はこれが逆転をする可能性が出てくるわけです。片一方を倍にして七千円の年金にします。そうすると、これがもしいま言ったように三割かそこらでいっておったのでは、無拠出のほうが倍にならぬわけです。拠出は四十三年には倍になった。ところが、こちらが今度はおくれてくるわけですね。こういう、いつもシーソーゲームのような、ちぐはぐの形ではいかぬと言うのです。拠出と無拠出というのは、やはり同じ日本人を対象にするのですから、お互いに年金としての価値を保っていかざるを得ないのではないか。ところが、いまや顕著に、金を出していない無拠出のほうは実質価値を維持できたが、拠出のほうは実質価値が維持できていない。四十三年になったらそれが逆になる可能性が出てくるという心配をしているわけです。だから、そこらをもう少し調子を合わせる必要があるのではないか。オーケストラにしてくれと言うのです。それをオーケストラにせずに、かって気ままなことをやる。これは神田さんの責任です。もう少し、あなたが指揮棒をうまく振らなければいかぬのです。この指揮棒というのは、ただ年金の内部におけるシンフォニーをうまくやるばかりではない、年金と医療とを今度は調子を合わせなければいかぬ。それが全部できていないのです。だから、いま私は国民年金の中の無拠出と拠出のアンバランスをついた。さいぜんは医療と全年金との間のバランスシートを追及しておったのだが、そこがまだ答えが出ておらない。そこらは、実質価値を維持しない年金を、無拠出のものは修正したが、拠出のものについてはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/48
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049・山本正淑
○山本(正)政府委員 滝井先生も御承知の上で言われていることでございますが、拠出制の年金につきましては、厚生年金もそうでございますが、五年ごとの数理計算の時期においていじっておるのでございます。また、拠出制の年金につきましては、やはり給付と掛け金という保険料との見合いというものを考えていかなければなりませんので、その間における基礎資料の変化というものも、これは慣例としても五年ぐらいの実績を見てとって、それに基づいて拠出制の給付と掛け金というバランスを考えながら改善していくというのが適当であるという考えに立っておるわけでございます。これは何も五年に限る問題ではございませんけれども、適当な時期としては五年ごとぐらいが適当である。したがって、その結果、先生の御指摘になりましたように、五年後の再計算並びにその際における給付の改善を行なって、それが物価以上に給付改善をするという結果になると、今度は無拠出年金とのアンバランスができてくるのではないかといった御指摘でございますが、無拠出年金、福祉年金につきましては制度発足当時からいろいろ御議論がございまして、とにかくこれは全額国庫負担の年金であるから、毎年といえども物価の状況等を見て、政策的に給付改善をしていくのが適当じゃないかという御議論もあったわけでございます。しかも受給者が、現段階におきましてはほとんど福祉年金である。無拠出年金は、遺族年金等に若干は出ておりますが、全体的には福祉年金が中心になって動いているという現状に即しまして、毎年度じゃなく一年おきでございますけれども、改善をしてきたわけでございます。確かに、無拠出年金と拠出年金と正確にバランスをとってやっていくということをやるためには、拠出年金についても毎年度考えなければいけないという問題になりますが、この点につきましては、毎年度拠出年金を直していくということは、数理計算との関係もございまして、相当困難な問題であると御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/49
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050・松澤雄藏
○松澤委員長 滝井委員に申し上げます。質問の途中ですからむずかしいかもしれませんが、もしも御都合がついたら、高橋長官が大蔵委員会のほうにあらかじめ予定を組んでおったそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/50
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051・滝井義高
○滝井委員 ちょうど経済企画庁に質問する番に来たわけですが、午前中に中期経済計画と年金の関係を御質問申し上げたわけです。今度、二兆一千百億の振替所得を、四十三年に国民所得の七%として配分をすることになったわけです。そこで、その二兆一千百億の中に一体医療関係というものはどの程度占めることになりますか、年金関係は一体そのときになったらどの程度の額になって、こういう二兆一千百億という積み上げができたのですかと質問をしたわけです。厚生省は答えることができなかった。あなたのほうの厚生省出向の方がいらっしゃって、実はその内容については検討する意思がないのだというお話があった。しかし、検討する意思がないというのはおかしいじゃないかと言ったら、いや、実は内々は検討したのですけれども、その数字はちょっと言えません、こう言うわけです。数字が二兆一千百億という頭が出ておるのに、そのすそ野を出さぬというわけにいかぬじゃないか、富士山は雲の上に頭が出るが、同時に、時にはすそ野も出しますと言ったのです。ですから、ひとつその富士のすそ野を明らかにしてくださいということなんです。なかなか明らかにしないので、これはやっぱり事務当局では明らかにできないのだろう、長官を呼んで明らかにしたい、こういうことなんですが、検討した数字が出ておるはずなんですから、二兆一千百億の中における年金は一体どういう形で占めておるのか、それをひとつ御明示を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/51
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052・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 滝井先生十分御承知だと存じますが、中期経済計画は三十九年度から四十三年度までの計画でございますが、政府が昨年の一月に経済審議会に諮問いたしましてその答申を得ました次第でございます。その後、経済審議会の中に国民生活分科会というのを設けまして、その機関において、われわれ日本の国民生活の内容をどういうふうに向上すべきかということについてこまかく検討はいたしたのでございます。事務当局からお答え申し上げた、つまり検討はしたがという趣旨は、政府にどうしてもらいたいという趣旨の数字の提示はあり、またそれについて検討はいたしたのでございますが、何ぶんにも項目が非常に多岐にわたり、こまかく相なっておりますので、これを総合して積み上げて一体どうしたらいいかというところの結論に至ることは非常に困難な状況であるという事柄から、しかしながら、全体として国民生活の向上に対してはこれから相当重点的に力を入れなければいかぬという、そういうふうな大まかな方針については国民生活分科会においても意見が一致いたしました。そして、おそらくはお答え申し上げたと存じますが、三十八年度におきましては国民所得に対する振替所得の割合は五・三でございますが、なお目標年次である四十三年度においては七%にまで引き上げるという計画にいたしたわけでございます。これは御承知かと存じますけれども、国民経済の全体としての成長率は、実質において八・一%と予定いたしました。その実質において八・一%の成長率に対して、振替所得の増加額は年率一七%に相なっておるのでございます。いわば経済の成長の二倍以上の振替所得の増加額を見ておる。こういう点から、経済審議会の答申もまた、全体として国民生活の内容の充実にこれから大いに力を入れるのだ、他の項目に比較して、全般としては八・一%であるが、振替所得については一七%という点から見まして、そういう面で国民生活の向上に非常に大きな力を入れておるのだということだけは経済審議会においても御決定になって、そしてそういうふうな答申があったわけでございます。政府といたしましてもその答申を受けて、それを基本的な考え方として閣議決定をいたしたような次第でございまして、各事務当局が提案をし、または要望されました具体的な数字、それを中間的な検討した過程もございましたけれども、国民生活分科会においても結論を得る段階に至らなかったという状況でございますので、その点は御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/52
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053・滝井義高
○滝井委員 二兆一千百億、国民所得の七%という数字が出たら、その内容はおよそどの程度のものだというものを、医療と年金なり児童手当なりその他のものにこれはやはり配分するおよその額というものが、三十八年の現実があるわけですから、その現実を無視して飛躍することはできないと思うのです。あくまでも大地にしっかり足を踏みしめて、四十三年の展望をやらなければならぬと思う。そのときに幾ぶんの伸び縮みはあります。その証拠には、八・一しか成長しないのに振替所得についてはいま御説のごとく一七%も、経済の成長率をはるかに上回ったものにしている。こういう数宗が出てきているわけですから、そこまで数字が出るならば、一体年金には総ワクどの程度のものを予定したでしょうかということくらいは出ないと、全然議論にならないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/53
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054・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 御質疑の御趣旨は私もよく了解できるのでございますが、今回の中期経済計画は、しばしばお答え申し上げておりますとおりマクロ的な手法、また同時に電子計算機等を使ったところの計量経済学的な手法を用いてやっておる次第でございまして、言いかえれば全体の経済の規模がどうなるか、その相関関係においてたとえば成長率がどこまでいけるか、今度の大前提となるものは昭和四十三年度において国際収支が経常収支においてバランスがとれる、同時に消費者物価は年率二・五%に安定させる、そういうふうな前提のもとに、各般の国の施策をやっていく場合にどういう姿であるべきかという考え方のもとに検討いたしたわけでございます。ただ申し上げられますことは、そういう場合におきましても政策目標として、いかにも日本の現在の国民生活水準は他の先進国に比べまして相当に低い水準にある、したがって、そういう面に政策としては大きな重点を置いておくべきだという点において意見が一致いたしました。そういう観点から、特に振替所得の増加にこういうふうに非常な力点を置いたものでございます。その点、つまりマクロ的な手法からまいっておりますので、こまかい積み上げ計算の結果一七%というものが出たものではないという点をひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/54
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055・滝井義高
○滝井委員 不勉強で計量経済学をよく知らないのですけれども、しかし結論として二兆一千百億というものが出てきているわけです。そして昭和四十年度における年金給付の総額が千二百八十六億と出てきているわけです。そうすると、あとはそれを伸ばせばいいことになるわけです。その伸ばし方をどう伸ばすかということは、すでに厚生年金はこの国会で一万円年金にしますということになってきた。したがって、この厚生年金の四十年度三百八十億が四十一年に幾らになり、四十二年に幾らになり、四十三年に幾らになるということは、これは数字が出てくるわけです。これをまず出してください。それから船員保険については、二十七億円という答弁があったわけです。これも四十三年のものは、今度の法律の改正で、一万円年金に右へならえをして厚生年金の改正額が出てくるわけです。それから国家公務員、地方公務員、公企業体の共済組合も、恩給の改正につれ、あるいは厚生年金の改正につれて、この改正が今国会、たぶんきょうかあすにも衆議院を通る。これも出てくる。四十三年の給付率が幾らになるか出る。そうすると、あと出ないのは何かと言うと国民年金だけです。国民年金は、すでに現在の給付の倍額程度にいたしたいという答弁があった。これは希望的な観測だけれども、倍でいい。倍で計算したら幾らになるか。倍は七千円です。七千円にしたら、一体いまの人口構造から見て、四十年かけて五年間据え置きというのは、十年掛け金をかけたらこれは出てくるという制度になっておりますから、十年掛け金をかけた人は、昭和三十六年から始まっておるから四十五、六年になったら出てくるわけです。その段階の前の段階で出る数というものは、本格的なものは出ないのです。過渡的なものしか出てこない。その過渡的なものは、いままでの国民年金と無拠出の福祉年金とが四百六十億ですから、これはどの程度四十三年まで乗るかということを倍にして見ていけば、総額が出てくるのじゃないですか。私はそれが一体幾らになるかということを言っておる。それを教えてもらえば、医療の側は、すでに現実にさいぜん小山保険局長が答弁しておるのですから、そうすると、あとは両双極がわかればその間の小さなものはわりあい詰めが早くいく。それをひとつ言ってください。それさえも経済企画庁なり厚生省がわかりませんと言うならば、わかるまでこの法案は待ちましょう、こういうことになります。その見通しがなくて、こんな長期の四十五年先の問題を論議する法案を審議するわけにいかない。三年先のことさえもわかりません、頭だけわかって、あとは雲にかかっておってわかりませんというような答弁では、私たちは納得いかない。それは幾らになるか、その計算くらいはやっておかなければ、もうやがて四十一年度の予算編成があるのにそういう計算さえやってないというなら、やるまでこの法案を審議するわけにいかないのです。そうでしょう。当然のことじゃないですか。だから、それを経済企画庁長官がわからなければ、事務当局で計算してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/55
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056・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、中期経済計画はマクロ的な手法を用いていたしましたので、たとえば社会資本投資にいたしましても、五年間に十七兆八千億と一応三十八年度価格において決定をいたしました。しかしながら、その内訳等については、答申自体、また政府の計画におきましても弾力的にこれを配分するということで、具体的な姿は、その後一応四十三年までの姿としては一致いたしておりますけれども、こまかい点については、ある程度の弾力的な運営をせざるを得ないという事態に相なっておるのが実情でございます。したがって、振替所得の七%につきましてもまた毎年一七%の増という一応の予定をいたしておりますが、これらの問題につきましても、やはりそう一年ごとにこまかく積み上げていった計画ではない次第でございますので、したがって、その内客において非常に困難な部分があれば、それぞれその段階において調整することが必要であろう、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/56
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057・滝井義高
○滝井委員 困難な点があれば、それを調整するにやぶさかではない。何かこのごろ、新聞によると、佐蔵総理があなたに、中期経済計画はやはり手直しをする必要があると言ったとか言わないとか新聞に出ておりますが、私はそういうことをここで変えてくれと言うのではなくて、やはり一応閣議決定をされて、予算委員会等でも二・五の物価上昇なんかはだめだと横路君その他がずいぶん言いました。われわれもそれは、二・五のほうが正しい、真実のものだということは思っていないわけです。これは当然改定しなければならぬ運命にあることはよくわかっておるわけです。わかっておるが、その中でわれわれの担当しておる社会保障の中の年金と医療との問題が、二兆一千百億という当時想定した国民所得の七%のワクの中で一体どういう窮屈な婆にあるか、どの程度これは手直しをする必要があるかということを見きわめておく必要があるわけです。そのためには、二兆一千百億をお出しになった見通しというか、基礎のおぼろげなところぐらいは出しておいてもらわぬとそれを何も出さぬで富士の頭だけのぞかしておいたんでは納得がいかないということなんです。だから、そこらあたりを——いま私が申しますように、一万円年金はすでに衆議院段階では確定した、共済組合も衆議院段院で確定した、船員保険も確定したということになりますと、確定していないのは国民年金だけです。これはいまから審議しようとしているんですから。ところが、これは二倍程度にいたしたいという希望的な意見が述べられた。その場合に、二倍が不可能ならば五千円でもいい。三千五百円を五千円か七千円で二通り計算してみれば、ほかのものの要素、ファクターは全部わかってきておるんですから、それを積み上げた総額が幾らになりますか。四十年度の大かた二倍くらいになるといえば二千五百億です。だから二千五百億なら二千五百億でもいいですよ、二倍とすれば二千五百億になるんですから。そこらあたりの数字でいいのかどうかということを言っているわけです。そこで二千五百億と仮定した場合に、二兆一千百億というものに、どの程度に不足が生ずるかということの目鼻がつくわけです。そうすると今後神田さんが経済企画庁、大蔵省と話をやるときだって、振替所得の、国民所得の七%なんというものはだめだぞ、これは八%でなければならぬ、一割でなければならぬという主張の根拠が出てくるわけですよ。やはりそういう科学的などっしりした根拠がなくて、予算をその場その場の風のまにまに編成をしておったのでは、医療に食われちゃって、児童局とか年金局とか、他の局はいつも泣きの涙でおらなければならぬ。そういうことではいかぬではないか。医療は現実に必要なものは必要なんだ、そのほかに年金も必要ならば、それをどこからか切り落として持ってこなければならぬものがあるんではないか、こういうことなんです。だからそれをひとつ現実の時点に立って、これはもう現実なんだから、理想でも空想でも何でもないでしょう、自由民主党の池田内閣から受け継いだ佐藤内閣が、厚生年金は一万円年金をやりますということを出してきておるんだから。同時に、共済組合その他の改正案も現実に出しておるんですからね。出していないのは、国民年金の拠出制の改正だけです。無拠出年金は出てきているんだから、この無拠出年金が出れば、今度は拠出は推定ができてこなければならぬ。だからそこを言っている。もうすべての要素はそろっておるのに、どうしてこの名前をつけてくれませんか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/57
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058・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 先ほど消費者物価のお話がございましたが、消費者物価はいろいろな条件によってこれが変動するわけでございますが、消費者物価に最も大きな影響を与える要素は、言うまでもなく賃金でございます。よく物価と賃金の悪循環と一般的、常識的にいわれておりますように賃金でございます。ところで中期経済計画において、労働分科会において推定いたしました賃金の上昇率は、年率名目において七・六%でございます。ところが現実の姿として、昭和三十九年で言うとそれをはるかに上回るところの姿が出てまいりました。また四十年度においても、なかなか名目で七・六におさまるという可能性は少ないというようなことから、やむを得ず政府としては、現実に近い、しかも物価をそういうふうな条件のもとにおいてなおかつ安定的な方向に持っていくのにはどの程度が妥当であるかという観点から、四−五という現実的な政府の実現可能な目標を掲げたような次第でございます。そういう意味において、その限りにおいては少なくとも三十九年度、四十年度において中期経済計画のままでないということは、率直に申し上げざるを得ない次第でございます。
しこうして、ただいま御質疑の点につきましては、金額的にどこをどういうふうに、財源が要ってどうなるという積み上げ計算はいたしておりませんが、筋道としては、国民生活分科会においても一応の意見は提示されておるのでございます。非常に詳しく書いてはございますが、ちょっと読み上げてみますと、「厚生年金については、現在老齢年金給付額は月約三千五百円であるのを引き上げて四十年度よりいわゆる一万円年金を実現し、拠出制国民年金については現行水準の少なくとも二倍程度に、また、老齢福祉年金もこれに準じて引き上げることにする。同時に年金給付が生活水準の上昇や物価騰貴により生活安定機能が損われることを防ぐため、これらの事態に対する年金額の自動的調整措置」——すなわちスライド制でございますが、「自動的調整措置について検討する。このような年金給付水準の引上げに伴って、保険料負担の引上げも当然に必要となるが、これと関連して、国民年金についても、保険料に所得比例制を導入し、給付面でこれを反映させることも検討の余地があろう。」こういうふうなことが分科会の一応の意見として提示されておるわけでございます。ただしこれは、全体会議において、これがそのまま積み上げの計算の根拠として採用になったというものではないということを申し上げておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/58
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059・滝井義高
○滝井委員 だから私はそれを言っておるわけです。いま長官が言われたように、老齢年金三千五百円を四十年度から一万円にしようということは、すでに政府は国会でも一万円年金を提案した。そこで国民年金は二倍程度にいたします、老齢福祉年金もこれに準じて、こういうことでしょう。だからみんな二倍です。厚生省に尋ねますが、いまの一万円年金になった場合に、四十年度三百八十億の厚生年金の給付は、四十三年には一体幾らになりますか。それから国民年金は、四百六十億を二倍にした場合に四十三年には幾らになりますか。船員保険も、現在二十七億ですが、四十三年には幾らか。共済組合の四百九十億も、今度改正されておるからこれはわかるはずです。これがわからなければ、次会に公企体のほうと自治省と大蔵省にお聞きになればわかるはずです。それらから聞けばわかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/59
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060・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいまの御質問でございますが、厚生年金を一万円年金のベースで計算いたしまして、四十三年は約八百一億でございます。それから船員保険が三十六億、国民年金につきましては、拠出制も福祉年金も制度発足当時の倍にする、かような仮定のもとに立ちまして計算いたしますと、拠出年金は一応百四十億くらい一これは若干狂いがくるかと思いますが、福祉年金が七百二十億、各共済制度も君子狂いが生ずるかと思いますが、本年度の分を伸ばして約八百億、合計いたしましておよそ二千五百億くらいになる、そういう計算になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/60
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061・滝井義高
○滝井委員 二千五百億というものを、どうして私は早く言えなかったかという気がするのです。長官はもう答えを先に出したのですが、中期経済計画がいまのままではいかぬ、当然手直しをしなければいかぬという結論を言われたのです。そこで、年金をいまの姿で四十三年まで伸ばすと二千五百億、これも現実問題としてぎりぎりなわけです。それから医療のほうも、さいぜんの小山さんの答弁によると、三十八年に計画を立てたときに三千八百三十億、ところが決算をしてみたら四千八百二十三億、千億の狂いが出た。これで一年に千億ずつ狂いが出るとしても、四十三年には、五、六下億の狂いになる。その上に医療の伸びを入れますと、大体二兆一千百億の数字の六割ないて七割は医療がとらざるを得ないということになる。そうしていま言ったように、二千五百億を年金がとっていきますと、医療と年金で七割五分から八割とるわけですね。二兆一千億の中で一割で二千億ちょっと、だから七割五分から八割はとってしまう。そうすると、あとの二割は何に持っていくかと言うと、すでに恩給がこの中に入っておりますから、恩給が今年は幾らかと言うと千六百七十一億で、それをとりますと、あとはもう児童手当なんかできないですよ。その児童手当とあと残っておるものは何かと言うと、家族の七割給付の問題が残りておるわけですよ。これをこの上に上積みをしていくと七割給付の実現もできない、財源がない、こういう実態なんです。医療の七割給付というものは、選挙公約で高々と掲げておる。昭和四十一年から児童手当をやるということも掲げておる。これも三千円くらいだ。これは相当の国庫負担を入れなければならないことになるわけですが、入る余地が全然ないんですよ。そうすると、今度はもとへはね返ってきてすでに厚生年金なり共済組合は列車が発車をしてしまったので、これから発車をしようとする国民年金がチェックされることは火を見るよりも明らかで、されざるを得ないことになる。いま言ったように、児童手当の問題まで、家族の七割給付が出てくるというような形になってまいりますと、そういう形になるわけです。
そこで、企画庁長官と神田厚生大臣にここで明言してもらわなければならないのは、そういう形で人間尊重の政治、歩行者優先の政治をやろうとしても木によって魚を求めるようなもので、選挙公約はから公約になってしまう。そこでやはり四十一年から本格的に児童手当をやる、それから国民年金の五年に一回の改正に本格的に取り組もうとするならば、二兆一千百億の国民所得の中の七%のワクを、相当大幅にたたき破っていく覚悟をきめておかないとできないことになるわけですよ。これだけはひとつここで厚生大臣も経済企画庁長官も一応確認してもらいたいと思います。よく社会党は空理空論を言うといわれるが、私は非常に理詰めに、きわめて現実の上に立って現実の数字から伸びを議論してきたのです。いまも政府の代弁者である小山君が答えたのでも五、六千億の違いがあるように、これに伸びを加えていけば、どんなに少なく見積っても七割は優に占めるということになる。それに家族の七割給付分を加えたら七割をこえてしまう。そうすると金がないんですよ。八割か八割五分くらいは年金と医療にとってしまうから、それに恩給が加われば、それでもうお手あげですよ。だからこの点をひとつ両大臣、確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/61
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062・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 先ほど私が中期経済計画を改定するかのようにおとりになったようでございますが、そういうふうに申し上げているのではないのでございます。
〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
要するに、中期経済計画に予定しておりましたところの消費者物価について、最大の大きな影響を与えるところの賃金が、具体的に七・六という数字にとどまらずして、それをはるかに上回る結果になってきておるという観点から、勢い消費者物価に影響を及ぼさざるを得ない。そのことは、経済全体についてもある程度の影響を及ぼす、こういう趣旨でものを申し上げたわけでございます。
しこうして、ただいまの御質疑については、これは経済全般の運営として経済企画庁としてはものを見ておるのでございまして、振替所得は、でき上がった経済の成長の成果を、いわばパイをどういうふうな分け方をするかという問題でございまして、やはりある程度は成長の源泉になる方面にも向けていかなければならぬ。そういう面から八・一という経済成長を保ちつつも、しかも人間尊重の政治、または社会開発ということに重点を置いていくという場合に、どこまでできるかということをいろいろ検討しました結果として、五・三%というものを七%まで上げよう、そこまでは可能である、かような結論を得ましたので、そういうふうなことを政府としては基本的な考え方として、これを決定いたしましたような次第でございます。しかしながら、これはどこまでも基本的な考え方でございまして、この数字にこだわって、できるだけ厳密にそのままこれをやるんだという趣旨ではございません。申すまでもなく、われわれは自由主義経済の経済体制を持っておるのでございまして、いろいろな、たとえば国際情勢の関係または輸出入の関係その他諸般の経済諸元の動きによって経済は動いてまいるでありましょうから、それらの情勢をよく見きわめながら、経済の安定的な基調を失わない範囲において、できるだけ最大限度に社会開発に力を尽くしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
したがって、今後昭和四十三年度においてどうなるという、ただいまの滝井先生の非常に詳しい積み上げ計算ではございますが、必ずしもその積み上げ計算どおりにいかないのではないか、やはりそのときの情勢において年々検討してまいる必要がありはしないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/62
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063・滝井義高
○滝井委員 私が言うんじゃなくて、厚生省の方が答弁をしているわけですよ。厚生省当局が、つまり現実にもう厚生年金の立法も確定をしたし、それから船員保険も確定したし、共済組合も確定しているわけですから、確定しておるものを、ただずっと給付が伸びていくことが二千五百億、こう言っているわけです。医療のほうも、現実の計算からいって、三十八年は決算と千億の差があったということを伸ばして言っているだけで、決して空理空論を言っているのではないわけです。それから七・六%の賃金についても、御存じのとおり、昨年の三千三百円のベースアップ、いわゆる春闘相場、ことしは三千円相場、それでも日経連その他は一割以上だということを言っているわけですから、現実問題として七・六をはるかに三%も四%もこえたものが——日経連の五十嵐さんも、これはもう一割以下だと思ったものが一割をこえちゃった。総評の事務局長も、いや、ことしは一一%か一二%と言っているのですから、現実にアップがそれだけあれば、それに保険料率をかけるのですから、保険料の取り分は多くなってくる。保険料の取り分が多くなってくれば、当然年金の支払い額も大きくなってくる。お互いに相関関係を持っている。だから、私の言うのは空理空論でも何でもない。実際に中期経済計画というものは、現実の積み上げをしてみたら破綻をしている、こういうことを言いたいのです。破綻をしているから直さざるを得ないのではないか。だから二兆一千百億という亡霊にとらわれず、ひとつ自由奔放とは言わないけれども、つつましやかでいいから、神田さんの要求を経済企画庁も十分のみ込んでやってもらわなければいかぬですよ。現実は大きくずれておりますよ、こういうことを言っているのです。それだけ認めてもらえばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/63
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064・高橋衛
○高橋(衛)国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、現実に経済の動きが変わってくれば、その変わった姿のもとにおいて、政府といたしましては八・一%の経済成長を、安定約な成長を確保しながら、その範囲内においてできるだけひとつ社会開発に力を入れていきたい、こういう考え方で、そういう基本的な考え方のもとにこれからの経済の運営をやっていきたい。また物価の問題につきましても、結果として動いてまいりました場合においては、当然数字もまた動いてくるものだ、こういうようにお考えくだすってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/64
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065・滝井義高
○滝井委員 神田さん、いまお聞きのとおりですね。十分議論を詰められませんでしたけれども、とにかく厚生省予算に重大な影響を及ぼす振替所得というのは、非常に現実離れのしたもので、そのワクが非常に狭いということです。だから、予算編成もやがてまたくるのだから、きちっとやはり厚生省自身もそれを整備して、そして数字などというものを秘密にする必要はないので、お互いに議論をして、認識が間違っておれば直せばいい。何も、直したからといって、政治責任を追及するようなけちなことはしないのです。数字というものは動くものです。世の中は動いているのです。万物は流転しているのだ。数字だけが動かぬということもないので、万物は流転している。水も動いている。人間も新陳代謝しておって、今日の滝井義高は明日の滝井義高ではないのだから、心配せずに、大胆率直に神田さんやってもらわなければいかぬ。少しあなたは指揮棒の振り方がうまくいかないものだから、みんなちぐはぐです。そういうことではいかぬです。あなたのところから出た出先が、ミイラ取りがミイラになって経済企画庁の言うとおりになって、厚生省の言い分はそっちのけにしておるということではいかぬ。やはり出向した者はちゃんと足場を厚生省に置いて、厚生省のことをきちんとするということを基調にしてやらなければいかぬ。これではどうも社会保障は百年河清を待つにひとしいですよ。
そこで、いまの中期経済計画というものは大きな狂いができて、間違いを起こしておる。これを直してもらわなければならぬのだが、直してもらうについては、厚生省がそれだけの作業もしてもらわなければならぬ。そこで、さいぜんから人口構造の変化のところにきておったわけです。そして、ことしの予算編成を見てみますと、午前中にお尋ねをしたように、三十五歳未満と三十五歳以上の被保険者の年齢構成というものは、いままでは、三十五歳未満の者を六〇%に見て三十五歳以上を四〇%に見ておったわけです。ところが、今年度の予算編成の状態を見ると、三十九年度二百五十一億の保険料収入が二百六十四億と、四十年度には十三億円程度ふえているわけです。これはわずかに十三億だけれども、この内面的な変化というものは、四分、六分というのが五〇、五〇になってきているというところが、非常に大きなところなんですよ。これはさいぜんから私が御指摘申し上げるように、人口構造の変化によって、年金の被保険者の年齢構成が変わってきたということを意味するわけです。これは一体どういう資料に基づいてこういうことにしたのか、こういうことを尋ねたい。
〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/65
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066・實本博次
○實本政府委員 各年度ごとに適用計画を立てますが、それはその前年度の適用結果を見ながら適用計画を立てるわけでありますが、まず適用漏れ者がまだ相当ございまして、適用漏れ者の適用をまず先に取り上げていくわけでございます。その次は、若年被保険者の確保を志していく。こういうことで、この適用漏れ者の適用から計画を立てまして、それから若年労働の確保、それで約三十八万の純増ということで、四十年度の計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/66
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067・滝井義高
○滝井委員 いままで四分、六分できたものを一挙に−この間には二割の差があるわけですよ。二〇の差があるわけです。その二〇の差を一挙に縮めて五、五、こうやるのには、よほど三十歳以上と以下との間に人間の移動がないと、そういうことはできないわけですよ。そうでしょう。それをやるについての理論的な根拠、一体その数字の根拠というものは、どういうプロセスをたどって、そういう一挙に大きな変革がくることになるのかということです。いま言ったように、適用漏れとかそれから若年被保険者とか言ったって、これは若年被保険者が、私は四十二年以降になれば相当減ると見ておるわけです。だから、さいぜんこの質問をする伏線として、三十六年から四十年までの被保険者の推移を尋ねてみた。ところが、これはそんなに大変革は起こっていないのですね。千八百五十一万から発足して二千二十三万になる過程は、きわめて徐々にずっとふえてきた。これは四十一年、四十二年、四十三年までは、おそらくずっとふえていくんじゃないかと思うのです。しかし、四十三年以降になってから、少しくずっとカーブが下がりかげんになるのじゃないかという感じがするわけです。そこらあたりは私はつかんでいません。だから、あなた方が、二〇も差があったものを一挙に一〇縮めて、五〇、五〇にしたというのには、それだけのよほどの根拠が年齢分布上なければいかぬのじゃないか。何か保険料をふやすためにこそく的にこんなことをやったとは考えられないので、そこらをもうちょっとわれわれが納得のいくような——三十万やそこらの人間が動いたからといって、二割の差が一挙に縮むということはないはずですよ。だから、これはあとで資料でいいですからひとつ私に出してみてください。どうも、そこらあたり、ちょっと納得がいきかねるのです。
それでは、次に移りまして、年金の本来の問題にちょっと返るのですが、そうしますと、今度国民年金を二倍にしたい。経済企画庁長官も、国民生活分科会の文書をお読みになって、そういうことも言われたわけですが、その場合に、いまの百円と百五十円の保険料は、二倍にする場合には一体どういう変化が起こってくるのかということです。三十五歳未満は百円、三十五歳以上は百五十円というこの保険料の変化というものは、一体どういう形の変化になってくるのか。特に三十五歳以上の老齢の階層がふえてきたという現実に立つときに、一体この保険料というものはどういう形に、二倍にする場合になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/67
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068・山本正淑
○山本(正)政府委員 先生の御質問もいろいろの仮定の上に立ってのことでございますが、三十四年に本法を立案いたしました当時の基礎資料が変わらない、すべての条件が変わらないということになりますれば、給付を倍にすると保険料が倍という形になるわけでございます。ただ、その後の人口構成の変化あるいはまた——これは平均余命につきましてはほとんど変化はございませんけれども、そういったような基礎データがどう変わっておるかということによって変化するわけでございます。いまも先生御指摘のように、三十五歳以上の人口の割合がふえておるという結果に相なりますれば、おそらくは、給付を二倍上げると仮定いたしますと、それに見合う保険料、そのまま完全積み立てでまかなうといたしますと、保険料は二倍をこす結果になりはしないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/68
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069・滝井義高
○滝井委員 おそらく私はそうなるだろうと思うのです。それでさいぜんから人口構成の問題を非常に問題にしておるわけです。そうしますと、三十五歳以上は、いみじくもあなた方のほうが五、五にしたわけです。一割だけ三十五歳以上を引き上げたわけです。したがって、それだけ年齢構成が年をとってきているというときに、今度は保険給付を倍にするときには保険料を相当に上げなければならぬ。ところが、その上げなければならない被保険者大衆というものは、女性が多くなって、年寄りが多くなってきたというようなこの実態から、一体負担能力があるのかないのかということになってくるわけです。そうすると、私は、これに小山さんのほうの医療をかぶせてみるとわかる。国民健康保険をかぶせてみますと、国民健康保険は三十九年度において全国平均二割七分の引き上げをやった。四十年度には、九・五%のアップに耐え得るためには、どんなことがあっても全国平均一割八分上げなければならぬ。東京、大阪等は六割、七割の引き上げだ。住民税よりか高い国民健康保険料を払っている。それに今度は現金支出をしなければならない。国民年金の保険料を、いまの百円、百五十円の二倍以上上げるということになると、御存じのとおり国民年金の被保険者は一世帯二人ずつおります。そうしますと、百五十円階層がだんだん多くなってくるということは、それが普通ならば三百円が、今度は六百円とか七百円、八百円に上がらなければならぬということになるわけです、二人で倍の年金にするわけだから。そして医療のほうも上がるわけでしょう。そうすると、いまのように現金収入の少ない農村で、労働力が女性化し、老齢化した段階でそういうものが引き受けられるかと言うと、おそらく引き受けられないです。引き受けられないとすれば、国民年金に対して——国民健康保険がそうであるように、相当大幅な国庫負担を投入せざるを得ない、国庫負担を一体どうやるのかという問題がここに出てくるわけです。やはりここまで煮詰めていかなければいかぬのじゃないか。
一方においては、掛け金のない無拠出の年金というものを大幅に上げなければならぬ、二倍程度に上げなければならぬ。そうしてそれが最終段階になってくると、七百二十億程度金が要るのだということですね。これは既定の事実として要ってくるわけでしょう。そうして一方、その段階で拠出は百四十億だけれども、保険料はたんまり取っておかなければいかぬということになるわけです。したがって、その保険料をそれだけ取り得ないとすれば、いまの保険料の二分の一の国庫負担というものにプラスアルファをつけざるを得ないという形になるわけです。そこらあたりはどういう考え方をお持ちになっているのか。給付が倍になれば保険料は倍になる、しかし実際に年齢構成が高くなれば倍以上のものにしないと採算がとれない、計算が合わないということになると、倍以上の負担はできかねるので、そこに国庫負担というものがかみ合ってくる、こういう形は、論理の筋としては間違っていないですよ。あなた方はそこを一体どう考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/69
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070・山本正淑
○山本(正)政府委員 いろいろの仮定に立ちましての論理の推移はおっしゃるとおりでございます。
そこで、問題といたしましては、国民年金だけでなしに、国民健康保険ともからみまして、農村の保険料負担といったようなものはどの程度が適正であるかという議論も一方には出てくるわけでございますが、国民年金だけについて申し上げますれば、現在の保険料負担というものを、給付と見合いましてどこまで上げられるかというのは、客観的な各種の資料による認識に立たなければならぬわけでございます。私どもは、給付を二倍までには引き上げたいという目途は持っておるわけでございますが、そういたしますと、負担能力の面から給付が一挙に二倍まで引き上がらないといった結論が出るかもしれません。あるいはまた、給付はどうしても二倍にする、負担能力としてはこれ以上は無理だという限界があるとなりますと、国庫負担という問題も起こってまいります。そういった点は、総合してどういった構想をとっていくか、あるいはまた福祉年金につきましては一挙に目標の金額に持っていくか、あるいは段階をつくって実現していくか、かような諸点につきましては今後審議会等の議論も通じまして結論を得たい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/70
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071・滝井義高
○滝井委員 とにかく方向としては国民年金を倍にしたい、しかし、いまあなたがいみじくも言ったように、これは大幅な国庫負担を入れなければならぬということになると、税の伸びもいま非常に停滞したのだからなかなか財政的によくないからということで、それからもひとつチェックされる面が出ます。それから保険料の負担能力の面からもチェックされる面が出てきます。そうすると、七千円の理想が——いまはこれはまさに理想ですよ。結局フラット額と同じ五千円になる、こういう客観情勢が非常に濃厚なのです。私はもう先を見ておるわけです。そうすると、二倍にしたいというのが四割か四割五、六分程度の引き上げで終わる、こういう可能性が十分あるわけです、いまいろいろ数字を扱って客観的に見て。しかし、その場合でも一体定額の保険料というものでいいのかどうか、もしそういう五千円程度のもので百円とか百五十円とかいうことになると、今度は国民年金に対する魅力がなくなっちゃうわけです。魅力がなくなるとどういうことが出てくるかと言うと、高額所得者が、かつて厚生年金に魅力がなくなって私学が飛び出る、あるいは農林漁業団体が飛び出たように、だんだん飛び出るのが出てくる。ますますこれが国民年金の崩壊に拍車をかける。むしろ私は、あえて崩壊に拍車をかけると言いたいのです。そうしてそこに残るのはお年寄りと女性だけということになれば、神田さんが、私が質問をしたときに、国民年金と厚生年金はまさに老後保障の二大支柱であると言ったのですけれども、一つの支柱というものは非常に小さな支柱になって、これはびっこになるわけです。それじゃいかぬのじゃないかということを心配する。心配するがゆえに、今度は逆に言えば、一体あなた方は百円とか百五十円の保険料というものを、定額制でそのままお行きになるつもりがあるのか、それともそこにある程度の、高額所得者に魅力を持たせるために保険料の——さいぜん企画庁長官が国民生活部会の答申みたいなのを読んだように、所得比例制ですか、そういう所得に比例した保険料の制度をとるのか、それともすでに小規模企業共済法等がとっており、あるいは中小企業退職金共済法がとっておるような、まず最低百円とか二百円の定額をきめて、場合によっては二口、三口、四口、五口でも加入することができるという口数制というのですか、そういうものにするのか、こういういろいろな問題が出てくると思うのです。けれども、あなた方としては、二倍にするというおぼろげなものが出て、いま定額というものを維持しなさいということは、今井さんの国民生活部会では出ていないですね。報酬比例制みたいな案が出ておったでしょう。それであなた方は一体どういう案をお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/71
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072・山本正淑
○山本(正)政府委員 いま具体的に国民年金の拠出制の年金の改正の案を持っておるわけではございません。ただ、いま御指摘がありましたように、各方面から報酬比例制を加味するという意見は出ておるのでございますが、この報酬比例を加味するということに二つ意味があるわけでございまして、一つは、拠出者に返ってくるという意味の報酬比例という形もありますし、また、全部じゃなくても、一部はやはり再配分の機能を持たすという意味における報酬比例の保険料という考え方もあるわけでございます。その問題は、結局国民年金の定額制というものをどう考えていくかという問題と連なるわけでございますが、現在の国民年金の立て方でございます定額年金制というものを基本的にくずしていくという考えは全然ないわけでございまして、やはり定額制の年金というのを充実していきながら、報酬比例ということがどういった形において考えられるかという点は十分検討しなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/72
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073・滝井義高
○滝井委員 その定額制をとるか、それとも付加保険料をとるか、あるいは口数制みたようなものをとるか、そのとりぐあいによって国の負担の入れ方が違ってくるのですよね。だからその連鎖反応というのが、非常に及ぶところが大きくなってくるわけです。あなたの言うように、報酬比例制であってそれをそのまま拠出者に返してやるか、それとも一部を配分の財源に使って、貧しい層に切り落としていくかということによってもこれは国庫負担のやり方が違ってくるし、いろいろなファクターが非常に多いことはわかる。わかるけれども、やはりその中で、もはや五年の年月を経過して五歳になろうとしているのですから、人間でも五つをこえると死ななくなりますよ。ことに十ぐらいになると最も死ななくなる。そういう意味からいっても、もはや年金も五つになって、戦後二十年、満二十歳を日本の戦後財政が迎えたとすれば、ここらあたりで、少し早目に、政府としては政府の見通しぐらいはやはり立てなければいかぬと思うのです。それと、そういう拠出制年金の見通しと今度出す法案とは非常に関係があるのですよ。何か無関係のようにこれをぽこっと出しておるけれども、関係がある。これはもうすぐ来年の国会に出てくるのですからね、拠出制年金というのは。そろそろことしの夏ごろから審議に入るのでしょう。そうすると、私どももその長期の見通しを持って、この無拠出の年金の問題というものはやはり考えなければいかぬというあれが出てくるわけですよ。ところが、これが全然五里霧中で、何にもわからぬ中でこの枝葉の問題をやるわけですからね。
ちょうど区切りがきました。あと助成のことやら税金と保険料の関係等も少し尋ねたいと思いますけれども、これは次会にさしていただきまして、きょうはこれくらいで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/73
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074・松澤雄藏
○松澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後四時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X02919650511/74
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