1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十三日(木曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 邦吉君
理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
理事 河野 正君 理事 八木 昇君
伊東 正義君 大野 明君
熊谷 義雄君 坂村 吉正君
田中 正巳君 中野 四郎君
橋本龍太郎君 藤本 孝雄君
松山千惠子君 粟山 秀君
山村新治郎君 淡谷 悠藏君
伊藤よし子君 小林 進君
滝井 義高君 八木 一男君
山口シヅエ君 山田 耻目君
本島百合子君 吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚生事務官
(児童家庭局長)竹下 精紀君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(社会保険庁年
金保険部長) 実本 博次君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 船後 正道君
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 山下 元利君
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 竹内 道雄君
専 門 員 安中 忠雄君
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五月十三日
委員内海安吉君辞任につき、その補欠として大
野明君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員大野明君辞任につき、その補欠として内海
安吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事竹内黎一君同日理事辞任につき、その補欠
として小宮山重四郎君が理事に当選した。
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五月十二日
優生保護法の一部を改正する法律案(参議院提
出、参法第一七号)
同日
戦傷病者の妻に特別給付金支給に関する請願外
一件(小川半次君紹介)(第三八七五号)
同(青木正君紹介)(第三九四六号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第三九九六号)
同外四件(小川半次君紹介)(第三九九七号)
同外一件(草野一郎平君紹介)(第四一二五
号)
同外一件(砂田重民君紹介)(第四一二六号)
同外三件(濱田幸雄君紹介)(第四一二七号)
引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願
(西岡武夫君紹介)(第三八七六号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第三九九八号)
同(松澤雄藏君紹介)(第三九九九号)
健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請
願外六件(松平忠久君紹介)(第三八七七号)
老後の生活保障のため年金制度改革に関する請
願(山本勝市君紹介)(第三九〇八号)
同(田中彰治君紹介)(第三九四八号)
同(藤尾正行君紹介)(第四〇〇一号)
療術の新規開業制度に関する請願外一件(大西
正男君紹介)(第三九四七号)
同外二件(森本靖君紹介)(第四〇〇二号)
同外一件(木村武千代君紹介)(第四一二四
号)
医療過誤事故対策に関する請願(野間千代三君
紹介)(第四〇〇〇号)
四日市市の公害による患者救援対策に関する請
願(山本幸雄君紹介)(第四〇一一号)
健康保険法改正反対に関する請願(奥野誠亮君
紹介)(第四一二三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国民年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。吉川兼光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/1
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002・吉川兼光
○吉川(兼)委員 国民年金法は制定以来四度にわたり改正を行なっておりますが、そのたびごとに多少の前進は行なわれておると言えましょうが、その進展の度合いは、牛の歩みのごとく全く遅々としているのであります。かりに老齢年金額を例にとってみましても、発足当時の月額千円のものが、その後ただの百円を引き上げたにとどまっているにすぎません。社会保障の大きな柱の一つである所得保障の中核とも申すべき国民年金が、いまなおこのような状態であることは、福祉国家を政治の眼目としておりますわれわれのはなはだ遺憾とするところであります。もっとも今回の改正案では、これが給付を二百円引き上げることになっておりますが、それにしましても、本法の制定を見た三十四年以降の物価上昇率やその他を考慮した場合におきましては、全くお話にならない額であるといわなければなりません。しかし、また一面から見ますならば、この制度は国民皆保険のいまだ完成しないうちに実施しておるという点では、その勇断のほどは多とするにやぶさかではありません。しかしその反面には、無理に実施に踏み切ったことに伴う弊害があるのは見のがせないと思います。つまり準備不足あるいは研究不足のままのこの法制定でありますがゆえに、内容がきわめて貧弱なものとなってしまって、その結果は、今日に至りまして国民にあまり魅力を感じさせないものとなり果ててしまったと申すべきでありましよう。
そこで、まずお尋ねしたいのは、国民年金の発足以来六年になりますが、当時におきましては相当な反対の運動すら行なわれ、したがって、滞納音もかなり多かったように思うのでございますが、現在ではその点はどうなっているのか、さらに、今日の適用被保険者数は、おそらく二千万人にのぼると思いますが、そのうちで適用漏れはどのくらいになっているのか、あわせてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/2
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003・実本博次
○実本政府委員 昭和三十九年度におきます強制被保険者の適用実績から申しますと、適用率は九二%とっております。大体捕捉されております対象予定者の九二%までを、強制被保険者の場合は被保険者として現実に捕捉いたしておるという状況であります。同時に、保険料の納付、これは事業の推進の非常に大きなファクターとなりますが、この保険料の微収率を検認率であらわしますと、全国平均で三十九年度におきましては九二%までまいっておるわけでございます。制度発足当初いろいろ険しい条件がありまして危ぶまれましたが、三十九年度の実績はそういう状態になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/3
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004・吉川兼光
○吉川(兼)委員 その適用漏れの原因はどこにあると思うのかをお聞きしたい。その原因の一つに、徴収方法が問題になるのではないかと思うのであります。つまり、現在は被保者が面接窓口に持っていく方法と、それから民間の団体が徴収して一括して支払う方法とがあるように思いますが、このように他人まかせのところに適用漏れの原因があるのではないでしょうか。はたしてそうだとすれば、社会保険事務所の職員あたりが直接徴収に当たるという方法、こういうことを法制化す必要があるのではないかと思うのでありますが、その点についてはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/4
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005・実本博次
○実本政府委員 お尋ねの適用漏れの者をどういうふうに捕捉してこの制度にのせていくかというお話でございますが、三十九年度の適用漏れの者に限って申しますと、適用漏れ者が約百三十万ございます。これに対して適用の方法といたしましては、都道府県なり市町村の役所の系統で適用加入の促進をしてまいるということと、それから先生がちょっとお触れになりました民間の組織を使いまして、そういうような組織活動によってみずから適用を申し出てもらう、こういう方法と二つをとっておるわけであります。それで本年度、四十年度におきましては、大体前年度に漏れました人たちのうちから失権していったり、ほかの制度へ転出していったりする人たちが見込まれてまいりますので、大体百二、三十万程度の人を目標にいたしまして、それぞれの適用促進についての措罪をとってまいりたい。やはり局間の組織というものもこれは無視できませんので、そういうものを適切に指導いたしまして、納付組織あるいはその他の民間組織を活用いたしまして適用推進を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/5
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006・吉川兼光
○吉川(兼)委員 滞納した場合に、滞納分については、金額は幾らになってもそれは強制徴収になっているようでありますが、その取り扱いの実態はどうなっているか、それを聞いておきたい。
それから事務費についても、本年度は百三十円から百六十五円に引き上げられているようでありますが、この程度の引き上げではとうてい間に合うものでなく、市町村では年金事務処理に、費用の面からして支障を来たすようなことを言っておると思いますが、私はこの制度のPRや加入推進などを積極的に進める意味におきましても、事務費はこの際大幅に引き上げるべきではないかと思うのであります。ことに本年は国民年金証書の更新とか、あるいは受給権の存否の調査ということなどが重なり、事務の分量も非常に増大するはずでありますが、それらについてのお考えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/6
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007・実本博次
○実本政府委員 最初に、先生のあとのお尋ねの事務費の問題について申し上げますが、事務費は、昭和三十九年度におきましては、被保険者一人当たりの単価が百三十円ということで、年度の途中で百三十五円というふうに補正いたしておりますが、百三十五円でございます。これについては、実施上市町村側に非常に持ち出しが多いというふうな実情がありまして、来年度の予算におきましては、前々回大臣からも御答弁がありましたように、一人当たり現在百三十円の単価を百六十五円と大幅に約三割近い増額をはかっていただきまして、これによって、まあ十分とは申し上げませんが、従来十円ずつしか上がりませんでしたものが約三十五円というふうに大きく上がりましたので、幾らか実施上の潤滑油になるというふうに考えておる次第でございます。
それから滞納分の問題につきましては、これはやはり滞納しました全員に納付書を配付いたしまして納付の機会を与えておるわけでございますが、滞納処分というようなことは事実上いたしておりませんので、なるべくスムーズに納めていただくというふうな指導方針で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/7
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008・吉川兼光
○吉川(兼)委員 年金額は今回の改正でおのおの二百円ずつ引き上げられることになっておるようでございますが、福祉年金もさることながら、拠出制の年金についてはどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/8
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009・山本正淑
○山本(正)政府委員 拠出制の年金につきましては、御承知のように、昭和三十六年の四月から発足いたしまして今日に至っているのでございますが、先般来各御意見が出ておりますように、拠出制の年金の改善ということを大幅に考えなければいけない情勢と同時に、福祉年金の引き上げにつきましても、拠出年金の改善ということが一つの、大きく前進するためには前提になるという意味におきまして、各般の御意見が出ておるわけでございますが、この問題につきましては、やはり拠出年金制度は各般の基礎資料の変化というものを見まして、そしてそれに即応いたしまして計算をする必要がありますので、再計算の時期が来年であると考えまして、その際に再計算をしながら厚生年金の改正と見合って大幅な改善を実施すべきである、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/9
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010・吉川兼光
○吉川(兼)委員 ちょっと同じような答えを聞くことになるかもしれませんけれども、厚生年金保険は今回の改正で一万円年金の形がとられたわけでありますが、私はこの国民年金の額につきましても、少なくともこの線までは引き上げるべきだと思うのであります。いまの御答弁がこの質問の答弁にも通用しましょうが実はもう少し具体的な構想のようなものがありますならば、それを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/10
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011・山本正淑
○山本(正)政府委員 次に予定いたしております国民年金の改正につきまして、年金額を幾らにするといったような具体的構想は定まっておりません。これは、いまも御指摘ございましたように、厚生年金の改正というものが、実現いたしますと、やはりそれとの均衡というものを当然考えなければいかぬわけでございますが、それと同時に、国民年金につきましては、その費用負担という問題が、厚生年金あるいはそれ以上に非常に重要な問題になるわけでございまして、そういった被保険者の負担能力という点ともかね合いながら、あるいはその費用を被保険者、国庫、どういったような形で負担できるかという問題との関連においてもものを考えなければならぬわけでございまして、この問題につきましては各方面の意見を聞き、かつまた現在国民年金審議会におきまして予備的にいろいろ御検討願っておるわけでございまして、速急に成果を得る方向に努力いたしたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/11
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012・吉川兼光
○吉川(兼)委員 次はスライド制でございますが、厚生年金法の修正にも見られましたように、これは当然問題となるべきものでございます。私はむしろ国民年金法に合わせて厚生年金法は改正が行なわれるべきものである、こういうふうに見ておるのでございますが、このスライド制につきましては政府はどういうふうに考えておりますか、これは大臣からひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/12
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013・神田博
○神田国務大臣 この国民年金のスライド制の問題でございますが、先般厚生年金の際にもいろいろ御議論がありまして、その際にもお答え申し上げたとおりでございますが、私は、こういうように物価の変動、賃金の上昇等がございますような現在の情勢下におきましては、やはりスライド制をとることがいい、こう考えております。じゃなぜこの問題をここにとらなかったかということになりますと、それは御承知のように、いま他の制度ともいろいろ関連を持っておりまして、恩給もございますれば共済もございます。その他もございますので、そういう面とも十分ひとつ連絡をとり、またスライドを物価だけでとるのか賃金だけでとるのか、あるいはこれを併用するのかといういろいろのとり方の問題もございます。そういうことをひとつ十分詰めて検討いたしまして、その結論を得ましたならば採用いたしたい、こういうふうに考えるのでございます。なかなか関係方向も広いし、問題も広範多岐にわたる問題でもございますので、御趣旨は私もまことに同感でございますが、実際問題としてそういう資料が十分整うのに相当の時間がかかる、こういうことでございます。検討を進めておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/13
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014・吉川兼光
○吉川(兼)委員 この問題は、御答弁のように実現するには相当な困難があると思いますが、神田大臣におかれては、ひとつ急速に実現を見るように御努力のほどを要望いたしておきます。
それから、老齢福祉年金の受給制限のことでございますが、老人一人の場合と夫婦の場合とではそこに制限があるのでございますが、年金額はお話にならないように低い今日の状態におきましては、この制限のごときは、すべからく撤廃する必要があると思うのでございます。この点を御考慮する余地があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/14
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015・山本正淑
○山本(正)政府委員 所得制限につきましては、先般来各般の御意見を拝聴しておるわけでございますが、御指摘のように、それぞれの部類に分けまして所得制限がございます。もちろん所得水準の上昇の実情に即しまして、毎年度所得制限は緩和してまいっておるのでございます。現実には、この所得制限によりまして三割見当のものがひっかかってといいますか、所得制限をかぶっておる、あとの七割見当のものは受給をしておる、こういう現状になっております。それから夫婦の場合の所得制限等につきましては、これは数の上ではごく一部のようでございますが、何がしの所得制限によってもらえない人があるわけでございまして、これらにつきましては、毎年度その実情に即して引き上げはいたしておりますが、これを撤廃してはどうかという積極的な御意見も出ておるわけでございます。この問題につきましては、まだそれぞれの項目につきまして毎年改善いたしたいという項目もたくさんございまして、何に重点を置くかといったような問題がございまして、年金額の引き上げ、それからまた所得水準の伸びに応じた制限の緩和という措置で今日までまいっておるのでございますが、なお財政ともにらみ合わせまして、この撤廃ということが可能であるならそういう方向をとりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/15
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016・吉川兼光
○吉川(兼)委員 次は、国民年金の積み立て金の還元融資のことでございます。現在は二割五分のワクの中で自主管理が行なわれているように思いますけれども、この二割五分の中には、社会福祉振興会費のような当然一般会計で負担すべき性質のものまで含まれておるのであります。このようなことでは、このワクがかりに三割、五割と広げていくようになりましても、一般会計で負担すべきものまでその中に混入していくというようなごまかしの内容であったのでは、何らの意味はありません。私は、この積み立て金の融資に関する限りは、あくまでも還元融資の内容を堅持して、怪しげなものは混入さすべきでないと思うのでありますが、これにつきまして大臣はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/16
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017・神田博
○神田国務大臣 いま御意見がございましたが、そういうような考えのもとに今後進めてまいりたい、こういう基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/17
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018・吉川兼光
○吉川(兼)委員 あまりに簡単で、そして抽象的な御答弁でありますが、まあいいでしょう。
次に、公的年金との併給についてでございますが、一般の場合には二万四千円までを認めておると思いますけれども、他の年金との見合いという観点から、これは当然供給の制限を撤廃すべきものではないでしょうか。少なくとも相当大崎に緩和すべきものであると思うのでありますが、この点についていかがですか。
さらに、ついでにもう一つ聞いておきますが、今回の改正案は、戦争公務によりまする死亡または廃疾の場合の併給限度額を八万円から十万円に引き上げております。これも一般の場合と格差があるように思われますが、あわせて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/18
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019・山本正淑
○山本(正)政府委員 福祉年金との併給の問題につきましても、従来、当委員会におきまして御意見を承っておるのでございますが、実はこの問題につきましては、国民年金の給付制限年金が二十五年の場合に二万四千円、こういう現状でございまして、国民年金の被保険者といいますか、国民年金法の中におきましては、拠出年金と福祉年金というものの併給を考えることは非常に論理的にむずかしい問題がございまして、そういったバランスもありまして、他の公的年金との併給限度額は一般に二万四千円ということになっておるのでございますが、この問題につきましては、従来は、厚生年金なり船員保険というものの給付が非常に低額でありましたために該当者もあったわけでございますが、今回の厚生年金法の改正によりまして、最低保障額を年額六万円、こういうことにいたしました。したがいまして、遺族年金が中心といたしましても、すべて六万円以下の年金はない、こういう結果に相なるわけでありまして、その意味におきまして、実質的にはこの最低保障を引き上げるということによりまして一つの解決方法を考えたわけでございます。理論的に考えますれば、やはり各年金制度を通じまして最低保障というものを考えていく、そうして併給というものはむしろ考える必要がないようにするのが筋ではないかと考えるのでございまして、国民年金の改正が実現いたしますれば、恩給関係の低額のものとの併給というものの限度額があまり変わらなければ残るということになるわけでございます。そういった問題から、あるいは各年金制度を通じて最低保障額というものの合理的な線を引いて、併給という問題をも考えないという行き方も一つあるかと存ずるのでございます。ただ現実に併給制度があるわけでございまして、これは先ほど申しましたように、国民年金の拠出年金につきまして二万四千円という一つの給付額があるということとの関連もございますので、次の機会に国民年金の拠出年金を中心として大改正をいたします際には、その限度額の引き上げ、あるいはその併給というものをどういうように考えるかということにつきましても、根本的に考えてまいりたいと存ずるのであります。
それから御指摘の公務扶助料との併給につきましては、御承知のように、公務扶助料の引き上げが本年の十月から七十歳以上の人につきましては一〇〇%実現するわけでございまして、公務によりまして死亡したむすこさんのおかあさん、おとうさんといった御老体の方につきましては、やはり感情的に一つの問題がありまして、そうして従来福祉年金をもらっておったのが、公務扶助料が上がったためにもらえなくなるという人たちについては、これはやはり従来どおりもらえるようにしたほうが適当ではないかということで、この公務扶助料との併給限度額を引き上げたのでございますが、一般的には、併給制限についてはさらに御指摘の点も十分考えまして、拠出年金の次の改正のときに根本的に検討いたしたいと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/19
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020・吉川兼光
○吉川(兼)委員 ただいまの御答弁はもちろん決して満足すべきものではありませんが、大体において私の意向に沿うものであると解します。この上はどうかこれが実現力につきまして当局には熱意を持って努力をしてもらいたい、ということを申し添えまして、この機会における私の質問を終わります。
〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/20
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021・澁谷直藏
○澁谷委員長代理 伊藤よし子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/21
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022・伊藤よし子
○伊藤(よ)委員 すでに先輩各委員から、あらゆる角度から御質問がございまましたので、重複を避けまして一、二の点だけを御質問したいと思います。
第一は、今回の改正によりますと、受給権者の扶養義務者の所得が、従来六十五万四千円から七十一万六千円に緩和することになっております。この点は、前よりは一歩遊んだわけですからけっこうだと思うのですけれども、私はこういうことを非常に痛感するのです。いま一般の家庭では、先日も大学の教授のお話でございましたけれども、百万くらい、あるいはそれ以上の家庭におきましても、子供が大学などに行っておりますとたいへん家計が苦しくて、なかなか老人まで小づかいも渡らないというのが現状でございます。少なくとも、その老人身体に所得がない場合にはこの福祉年金が渡るように、今後ぜひこれは改正をしていっていただきたいと私は思うのでございます。所得に全然制限なしということはできないでございましょうが、現状におきまして、せめて百万ぐらいの所得までには、その家庭で老人自体に所得がない場合には、何とか老齢年金が渡るようにしていただきたいと思います。それについて、いまできなくても将来、大臣はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/22
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023・神田博
○神田国務大臣 ただいまお述べになりました所得制限の制度に対する将来の考え方でございますが、私は、将来はこういうものはやめたほうがいいじゃないかという考えははっきり持っております。ただ、いろいろ今日の段階で他の制度等もございましてやむを得ずやっておりますが、御承知のように国民年金については特に少額でございまして、老後の保障でございますから、やめるか、もっと引き上げるということを考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/23
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024・伊藤よし子
○伊藤(よ)委員 いま一つでございますけれども、現在の福祉年金の年齢の制限でございます。これは全体としてぜひ六十五歳くらいから、来年の改正などにおきましてはやっていただきたいということを強く御要望申し上げるのですが、ただ、今回でも、身寄りのない老人が六十五歳から老人ホームに入っておる例がございます。これは各所でそういうことがございます。その際に、七十歳以上の方は老齢年金が渡りまして小づかいがあるのに、六十五歳から入った人には一銭も渡らなくて、同じ老人ホームの中でたいへんみじめな思いをしているので、たとえ半分でもいいから、何とか渡るようにできないかという要望を各所で聞くのでございますけれども、この改正はたいしたことではございませんから、今回の改正の中でもできるのじゃないかと思いますが、これについてのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/24
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025・山本正淑
○山本(正)政府委員 いま先出から御指摘がございましたように、この問題は、生活保護を受けて入っている方々につきましてやはり同じような加算の取り扱いをいたしておりまして、 したがって、生活保護を受けている場合に、七十歳以上につきましては正式の加算がある。ところが、六十五歳から入っている方々につきましては正式に加算されないというので、養老ホームでやりくりをしているという実情を私どもも聞いております。確かに理論的には、拠出年金が六十五歳といたしますとその補完的な制度でございますから、やはりその年齢を合わすというのが一つの考え方じゃないかと考えておるのでございます。ただ、大ざっぱに申しまして、現在の給付額で一歳下げますと、たとえば六十九歳にいたしますと大体五十億見当の金額が要るわけでありまして、五歳下げますと約二百五十億、こういった所要額になるわけでありまして、毎年制度を改善いたしたい項目がたくさんございまして、何に重点を置くかというような点の関連もございまして、御趣旨の線に沿ってものを考えたいと思っておりますが、現状におきましては、ほかのほうの改善に力を入れなければならないという事情がございまして今日のような状況になっていますが、やはり方向といたしましては御指摘のような方向にものを考えるべきだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/25
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026・伊藤よし子
○伊藤(よ)委員 ぜひその点は、全額でなくても半額でも、できるだけ早く、そういう老人ホームなどにいる人だけでも渡るような御措置を願いたいと思います。
最後に、この福祉年金の額を上げるという問題は各委員から全部おっしゃったところでございまして、ぜひこれは上げていただきたいわけであります。特にこの福祉年金の中で老齢年金というのが、非常にわずかな額でございますけれども現在老人から喜ばれておりますので、この点ぜひ、今回できなくても来年には大幅に福祉年金の特に老齢年金をお上げいただきますように強く御要望申し上げまして、簡単でございますが、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/26
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027・神田博
○神田国務大臣 ただいまの伊藤さんの御要望については、十分考慮いたしまして、検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/27
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028・澁谷直藏
○澁谷委員長代理 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/28
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029・滝井義高
○滝井委員 国民年金法等の一部を改正する法律案について、先日御質問をいたしました残余の部分について御質問さしていただきたいと思います。その前に、この前お願いいたしておきました、今回保険料の徴収が六対四から五対五に変化した、その理論的な根拠についての説明をいただきたいということでございましたが、これはあとでひとつ説明をしていただきたいと思います。
きょうは、まず第一に、この前の続きでお尋ねいたしたいのは、税金と社会保険料との関係についてでございます。現在社会保険料というものは、所得から社会保険料の控除として差し引かれているわけでございます。私はそれがいいとか悪いとか、きょうは言うつもりはございません。問題は、現在大蔵省のほうで非課税の限度額をきめるにあたって、標準的な生計費というものを五十三万五千六百九十六円というようにきめているわけです。これを基礎にして免税点が五十四万四千二百円であったかと思いますが、正確に言えば五十九円とついておったかと思いますが、きまっているわけです。その場合に、今回厚生年金が改正をされて、千分の三十五が千分の五十八に政府原案はなっておったが、それを修正して千分の五十五にいたしました。同時に、健康保険においては、政府は一応手簿編成の過程では総報酬制というものをとってきた。そうしますと、これらの社会保険の保険料がぐっと一倍半なり二倍程度に上がったということは、いわば国民生活の面から考えると、税というものを中心にして標準的な生計費なり免税点というものを割り出してきておるわけです、税というものとの関連で。その場合に、国民健康保険の保険料とか厚生年金の保険料とか健康保険の保険料というようなものは、そういう生計費を考える場合に全然ネグレクトされてしまっておる、考えられていないわけです。御存じのとおり、いままで一万円の保険料を払っておった人が、総報酬制をとることによって一万六千幾らになる。今度年金をぐっと上げることによって、さらにその一万六千円にプラスアルファがついて増加をしていく、こういう形になるわけですね。したがって、この保険料というものは、いわば強制加入における強制保険料なんですから、性格は税と全く同じなんですね。そうすると、こういうものについて、一体、税と同じ立場で大蔵省とものを言いあるいは主張して、標準生計費なり免税点を出すときに考えたことがあるかどうかということです。これは、今後われわれが総合的な観点からものを考える場合には当然考えなければならぬ。ところが、厚生省の行政施策を見ると、先日私は非常にマクロな形で中期経済計画の中における年金と医療の問題を出してみたけれども、これもさっぱり地歩を確立していないですね。そこで、きょうは、ちょっとミクロのものを見てみたわけです。一体、ミクロにおける生計費、免税点と、税はその中に位置を占めているけれども、保険料というものは位置を占めていないのじゃないか。これを位置を占めさせる必要がある。それについて一体どう考えておるのか。そのことは厚生省が考えるばかりでなくて、船後さんのほうの主計局も、やはり予算編成をするときには、当然それを頭に入れてもらわなければならぬわけですよ。そういうことが一体考えられて予算その他が組まれておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/29
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030・山本正淑
○山本(正)政府委員 おっしゃるように、保険料の性格とそれから税というものとは、ほとんど同じような性格を持っておるわけでございまして、強制保険の保険料として考えますと、そういうふうな性格を持っておるわけでございます。そういう意味におきましては、要するに社会保障の問題ということは、負担の面から考えますと、単に社会保障体系にある各制度の負担ということでなしに、税制というものを考えなければ、社会保障というものは根本的に考えられないのじゃないかという御意見があるわけでございまして、それはまことにごもっともな御意見であるわけであります。ただ、現段階におきまして、それでは税制を立てる際に、社会保障の各費用負担というものがどういうふうに特別に配慮されておるかということになりますと、御指摘のように、各般の社会保険料控除、あるいはまた、社会保険的な施策の医療その他における特別の控除というものが考えられておるということ以外に、特に税制との関係におきまして税制を立て、あるいは税制を変える際において保険料をどうこう、医療との関係をどうするという点について、税金の主税当局と厚生省との交渉というものはいままで持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/30
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031・滝井義高
○滝井委員 船後さん、予算編成のほうではいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/31
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032・船後正道
○船後説明員 問題は税の問題でございますので、私から責任ある答弁はできかねるものでございますが、一般的に申しまして、主税局のほうで税制を立てます場合には、各種の社会保険料というものを当然要素の中に入れて計算しておる、かように承知しております。詳しいことは主税局でないとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/32
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033・滝井義高
○滝井委員 それなら、ちょっと主税局の税制一課長か何かでもけっこうです、課長さんでけっこうですから呼んで、そこらあたりを聞かしていただきたいと思うのです。なぜかと言うと、一国の予算編成の姿を見て、ことしの予算が三百六十五日晴れ晴れ、三兆六千五百八十億八千万円、この予算だけでは財政需要をまかなうことができなかった。なぜならば、税の伸びその他が昨年に比べて少なくて、昨年に比べて一二・四%しか伸びなかった。一昨年から昨年にかけては、一四・二%だけ国の予算のワクは伸びたわけです。ところがそれを、財政需要に態ずるためには、財政投融資というものでまかなってきたわけです。だから、昨年の財政投融資は一兆三千四百二億円です。ことしは一兆六千二百六億円と、二〇・九、一割二分しか予算は伸びなかったのだけれども、財政投融資は二割伸びた、こういう形になっておるわけです。それでまかなってきたわけです。それで今年の予算編成はともかくとして、昨年の予算編成では、それでも足りずに国立学校の特別会計をつくったりした、それでも足りずに住民税の減収補てん債というようなものを出したわけでしょう。ああなってきておるわけです。そうしますと、ことしの一兆六千億に及ぶ、去年よりか二割以上増加した財政投融資というものの主たる財源は一体何であったか、重要な財源は何であったかと言うと、国民年金なり厚生年金なりというものですよ。こういう零細なものがその中の相当の部分を占めておった。しかもそれは、税金でまかなってくる一般会計のまかないと同じ役割りを、いまや日本の財政の中では演じておるのであるということになりますと、当然この保険料というものの評価を——しかもこれは強制貯蓄と同じです、零細な金を集めるのですからね。だからこれは、当然税と同じ観点でものを見ていかなければならぬわけです。いまや一般会計と財投というのは、その演じておる役割りを見るとたいして変わらぬでしょう。そうしますと、財投の重要な役割りの中に重要な要素を占めている保険料というものを、やはり税と同じ観点からものを見てもらわなければ困る。ということは、もうちょっと下におろしていけば、それは一つのがまぐちの中から、滝井義高という一つのがまぐちの中から税を払い、保険料を払っておるという、こういう形ですから、したがって、それを個人に帰着せしめていくと、集中的に個人を見ていけば保険料は税と同じだ。したがって、生計費を考える場合にはこれを考えてもらわなければならぬ、こういう形になる。こういう形でいきますと、たとえば株の配当を受けて源泉徴収を取られてしまいますと、それは一体所得控除になるかというと所得控除にはなっていない。それは税額控除になっておるわけです。そうすると、税と同じものならば、所得控除でなくて税額控除してもらうということも一つの方法として出てくるではないか。こういう点を、もう少し税と同じ立場で厚生省が少しものを考えておかぬと、おまえのところに、主計局から言わせると、わがほうから国庫負担を一割とか一割五分出しておるぞ、今度は修正して二割出したぞ、そんな、ぜいたくを言うな、こう言われたときにへっこむのではなくて、やはりこういう点をもう少し主張してみる必要があるのではないかと思うのですよ。税と同じように予算編成のときに見てくれ、財政投融資の大きな役割りをしておるじゃないかという点のベトーネンのしかた、強調のしかたが足らぬというのです。だから、ここらあたりをもう少し——これは新しい滝井理論なんだけれども、あなた方、もう少し考えてみる必要があると言いたいのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/33
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034・山本正淑
○山本(正)政府委員 結局税の立て方というもの、これはやはり最低生活費というものを考えて、そうしてそれを上回るものについては、税金の立て力といたしましては、間接税は別といたしまして、直接税は累進課税になっている。保険料につきましては、どちらかといいますと、そういった最低生活費というものを考えて控除して、その後について保険料というものを考えてないわけでございまして、いわば生活費、生計費の中で保険料を払う、こういうことになっておるわけでございます。そういたしますと、問題といたしましては、理論的にはそういう理論ならば保険料の減免措置というものがあるべきじゃないかという議論にも発展するわけでございまして、 この点は、そうするとまた逆に、保険料というものも累進的な保険料が妥当かどうか、要するにいま定率の保険料というのが常識になっておりますが、高額のものについては累進的な保険料が適当かどうかというようなことも検討しなければならない。税と同じ性質のものであると考えていきますと、やはり保険料の取り力も税と同じように取ることを考えなければならぬかどうか、こういった問題が起こってくるんじゃないかと考えられますので、滝井先生の御構想に対しましては十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/34
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035・滝井義高
○滝井委員 あなたがいみじくも指摘したように、生活費、生計費の中から保険料を払っておるというところに日本の社会保険の矛盾が出てきておるのです。それは御存じのとおり、国民健康保険の被保険者四千二百万人の実態を見ると、所得九万円以下というのが二割二、三分おるでしょう。所得二十万円以下というのは五割三分くらいおるのですよ。所得三十万円以下だったら八割近くになるでしょう。そうしますと、大蔵省が、御主人と奥さんと子供三人の標準世帯では小計費が五十四万円要ります。ところが、国民健康保険四千二百万の世帯の八割近くは所得三十万円以下だというならば、その中から医療費の値上がりと保険料を出すというならば、自分のからだをよくするために自分の血と肉を拠出しているという、こういう矛盾が起こってきているわけです。いまあなた方の政策は、この矛盾を目をつぶったままでいこうとしておるからこそ、こういうように医療問題というものが非常に大きな問題になってきている、ここなんですよ。結局生計費と生活費の中から保険料を出させようとして、しかもその上に保険料主義を貫く矛盾、無理というものが日本の医療を四面楚歌の状態にしているということだと思うのです。だから、ここらあたりのほんとうのヒューマニズムがあれば、こういうからくりをやめて、やはり社会保障をして、持てる者からは金をよけいもらう、持っていない人には、安くする、保険料の免税をやるということが社会保障だと思うのです。そうしなければならぬことをやってなくて、血と肉を拠出させて日本の医療を守ろうとしているところに、実は日本の疾病構造が改善されない根本的な理由が私はあると思うのです。これはそのことを医療でいえば非常にわかりやすい。年金というものは非常に長期だからわからぬだけなんだ。しかしそれは公害と同じです。公害と同じように、いつか窒息をしていますよ。この空気の悪い東京に三代にわたって住んでごらんなさい。いつも私が言うように、腰がこんなものになって赤ちゃんを産めませんよ。そうしたら、いなかから生きのいい若いのがやってきて天下を取っていくわけだ。だから新陳代謝が非常に激しい。それは、東京をふるさととする都民にとっては一つの悲劇なんだ。悲劇というよりも喜劇かもしれない。もう少しそういう点は、いまのように生計費から保険料を出すという理論を、私はこの際排除する必要があると思う、税と同じように。やはり私は、それを考えてもらう必要があるんじゃないかというのですがね。それでは、それはしばらくちょっとおいておきましょう。
そうすると、昨日から妻のことがいろいろ問題になっておりますが、あなた方は、妻というものを夫に従属をしたある一定の経済的需要を持った人間として見るのか、それとも夫の半身として、夫の所得に貢献をする人と見るのか、すなわち夫が百万円の所得を得るならば、少なくともその半分は妻の内助の功によって得たと見るのか、それとも全く夫の付属物として見るのか、ここがやはり妻の年金の立て方の根本論になってくるわけですね。どっちといままで見てきたのか。国民健康保険では、妻というものは独立のものとして見てきているわけです。厚生年金では、これはもう全然ネグレクトされてしまっているのです。夫の半身でもないし、一個の経済的な需要を持つ人同とも見ていない。厚生年金では妻をどう見ておるのかさっぱりわからないです。あなた方が今後、来年度の厚生年金を立てられるにあたって、二、三日前から盛んにラジオでは——ここでは見ざる、聞かざる、言わざるのつんぼみたいなふりをして言っておるけれども、ラジオではどんどんやっておる。私ちょっと書いてみたけれども、昭和三十六年から拠出制が始まった。二十五年したら月に二千円の金を差し上げる。今後の改正は、六十五歳からもらう場合には倍にする、二十五年で四千円にしたい、四十年で七千円にしたいというようなこと、それから三十四歳までの百円、三十五声以上の百五十円の保険料は倍にするというようなことをじゃんじゃんラジオやテレビでは放送しているわけだ。それで、厚生省はいまやこういう方向で検討に入ったなんということをラジオでは言っておる。これはNHKが言っておるのだから、どこかからニュースを持ってきて言っていると思うのです。大臣や山本さんは言っておられるのかもしれない。もちろん、どこからか出るからこそNHKは言うので、一体それほど具体化しているならば、妻というものはどういうものと見て、どうしようとするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/35
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036・山本正淑
○山本(正)政府委員 別に先般来申し上げておりますように、国民年金の改正につきまして、当委員会における質疑にはいろいろ出ておりますけれども、具体的な構想を持っておるわけじゃございません。そこで、問題の妻の見方という問題は、これはどうも哲学的な要素も入っておるわけでございまして、どういうふうに見ているかというのを、法律的にはこうなっておるということはありましても、どういうふうに見ているか、どういうふうに見るべきかという基本的なものの見方というものにつきましては、確かに御指摘のように、停止年金と国民年金の構成上の立て方が違っておる、そこに一貫性がないじゃないかという御議論もあると思います。ただ従来は、やはり妻と夫というものにつきましては、一体的に見てきておったということが言えるじゃないかと思います。しかしながら、今日の社会情勢におきまして、そいう見方だけでいいのかということによりまして、さらに掘り下げが行なわれる、そういうところから、妻の座というものが議論になってきているのではないかと思います。厚生年金におきましても、たとえばこれは二つの問題があるわけでございます。年金制度については、一つは、夫と妻とが老齢になった場合に側々の別々の年金を考えるか、それとも夫の年金というものを中心にして妻の扶養加算といいますか、そういったものを夫婦の生活の実態を見て考えていくか、あるいはまた遺族年金という制度がございますが、その際において、夫が死んだ場合、遺族年金というものを従来は慣例上二分の一ということできておりますが、そういった考え方というものに異論があるかどうか、あるいは夫が死んだ場合には、妻に夫の年金が支給されるというような立て方というのも外国の例にもあるわけでございまして、そういった妻の加算なりあるいは遺族年金の立て方というものを根本的に考え直さなければいけないという問題はあると思います。その意味におきまして、単に社会的に妻と夫との関係をどう考えていくかということを簡単に割り切るということよりは、やはり法制的にどう扱っていくかということにならなければならぬと思うのでございます。その点は、確かに現在の制度につきましては各制度ばらばらといいますか、基本的な考え方というものが一貫してないというそしりは免れないと思います。そういう点を妻の座の問題として今後検討してまいりたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/36
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037・滝井義高
○滝井委員 時間がありませんから、妻のことはもう一つ、これでやめますが、御存じのとおり労働者の妻は国民年金に任意加入です。その妻が国民年金に任意加入しておった。ところが、夫が災害でぽっくりなくなった。そうすると、妻には遺族年金がきますね。ところが、いま国民年金に妻が加入しているのですけれども、まだ年年の受給が発生してない。しかし、これが何年かして発生したときには、厚生年金の遺族年金と国民年金が併給されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/37
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038・山本正淑
○山本(正)政府委員 厚生年金の遺族年金の受給者である妻が、本人の保険として国民年金の受給期間を満たして一定の年齢に達すると、本人の国民年金とそれから厚生年金からの遺族年金と両方もらえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/38
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039・滝井義高
○滝井委員 そうするといままでは厚生年金と労災とが併給をする場合には、国の負担分と事業主の負担分とを削除してやるわけでしょう。そうすると、今度その理論がおかしくなるのです。どうしてそれを削除するのか、どうして制度が違うものを併給しないのか。厚生年金と国民年金の妻の場合は併給ができたのに、労災と厚生年金と、どうしてその満額の併給ができないのかということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/39
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040・山本正淑
○山本(正)政府委員 これは各年金の体系が別々であるために、厚生年金におきまして夫が死んだという場合には、夫が死んだという保険事故によりまして妻の遺族年金が出る、こういうことになるわけであります。国民年金におきましては、本人が国民年金の被保険者として保険料を納入しておった。別々の制度になっておりますから、したがって一方は夫の死亡という厚生年金の保険事故であり、一方は国民年金で本人が老齢に達して受給期間を満たしたという保険事故、それぞれの体系による事故としてそれぞれ年金をもらえる、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/40
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041・滝井義高
○滝井委員 そのとおりです。だから、どちらも保険事故です。そうすると、労災も労災の保険事故、厚生年金も厚生年金の障害年金の保険事故ですから、そのどちらも併給してもいいわけです。制度が違うたてまえです。ところが、制度は違うけれども、事業主が両方に半額負担している、岡も補助金を出しているのだから、国の補助と事業主の負担が二重になるのだから、その二重になる分は排除するという理論が労災と厚生年金にはあるのでしょう。それといまの理論、その理論からいくとおかしくなる。だから、ここらあたりは非常に観念の混淆があるわけです。ある場合はいま言ったようなことをやるし、ある場合は併給して持っていくということになるから、そこらあたりをもう少し整理して、すっきりしたものにしないと問題になってくるということを言っておるわけです。ところが、その糟糠の妻も、離婚したらとたんに二分の一が消えちゃう。もう親も子もみないなくなった、自分一人だ、老後がさびしいから、お茶飲み友だちでどこかにひとつ縁組みをしようというととたんに、これは消えてしまうのだ。糟糠の妻でも山内一豊の妻でも、とにかく山内一豊が死んだ翌日に離婚したら、それでもうだめなのですね。歴史に残る人物でもだめだ、こういうことになる。こういうところも、何かちょっと一本抜けているような感じがするのです。それで再婚したとかなんとかいうのじゃなくて、再婚も何もしなくて離婚した場合だってだめなのですからね。それで非常に経済的にどうにもならないというなら、今度は生活保護にいきなさい、ですからね。そこらあたりもちょっと考えてみる必要があるのじゃないか。いろいろ制限をつけてもいいですが、何か考えてみる必要がある。糟糠の妻で鏡の裏から金を出したけれども、夫が死んでしまったら、あとは何もなかったということでは何か問題がある。内縁の妻でも、事実婚姻関係に入っておるならば妻でよろしいのだという割り切り方を一方ではしている。しかし、ただ戸籍面から抜けたということで、結婚も何もしなくても、それだけでこれはだめになるというところは、これはバランスがとれていない。だから、そこらのバランスについて、妻を論議する必要があるという点です。どうですか、そこら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/41
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042・山本正淑
○山本(正)政府委員 実は今回の厚生年金の改正法で遺族年金の妻の年齢制限等を撤廃させましたので、それと関連いたしまして、いま先生の御指摘のような理論が審議会に出たわけでございます。若い妻でも遺族年金が出るということになりますと、二十年の糟糠の妻が離婚されて、若い妻が来て二、三年で遺族年金をそちらのほうがもらうということはおかしいじゃないかという議論が実はあったわけでございます。
それにつきましては、一つの考え方といたしましては、その死んだ夫との在籍期間と言ってはおかしいのですが、一緒におった期間の比例によって遺族年金を分けるといったような考え方も一つあり得るわけでございます。そういう点は十分検討を要すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/42
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043・滝井義高
○滝井委員 なかなか人生の機微なところがありますから、この問題については相当研究してもらいたい。戸籍に入っておらぬ者でも事実婚姻関係にあればいいという、これはなかなか粋なさばきですよ。その粋なさばきをこの年金というものはやっておかぬとあとから恨まれるのだから、山本さん、後世恨まれぬためにひとつ粋をきかせておいていただきたいということです。
次は、先日ちょっと山村新治郎君が質問をしたのに幾ぶん重複しますけれども、二、三点聞いておきたい。
現在、国民年金の給付内容が非常に悪い。もちろん拠出制も悪いし、無拠出制も悪いということで、自主的にこの国民年金に加入しようという人が少ない。かねや太鼓で、犬がくんくんと鼻を鳴らすようにさがして回って、どうぞ加入してくださいということでないと、自主的になかなか入ってこないのですよ、現状は。これを一体あなた方としては、どういうようにして自主的に加入する態勢をおつくりになろうとしておるのかということです。しかも高額所得者は、四十年かけて五年の据え置きをして、はるか霧のかなたで三千五百円くらいもらったってしょうがないじゃないかといって、魅力を喪失している。いわゆる負担能力が十分ある人は魅力を喪失し、そうでない人は、さいぜんから言うように日々の生活に追われて、みずからの血肉を拠出しなければならぬ年金なんだから、もうそんな血と肉を拠出する気はありません。はるかかなたの四十五年よりか、いまだという形ですよ。これはサルの心境ですよ。夕方四つもらうより朝三つのほうがいい、サルの心境です。そういうサルの心境になっている国民を、あるいはお金持ちの魅力を失っている人たちを、一体どうして年金に結集しようとするのかということです。それについて具体的に、あなた方は何か考えておることがあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/43
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044・実本博次
○実本政府委員 何といっても国民年金は地域保険でございますから、地区組織、地区に根をおろした組織、民間組織を通じて自発的に組織に参加させるという対策を推進してまいっておるわけでございます。で、現在全国にそういった組織を、約二十五万ばかり市町村別に組織いたしております。こういった民間の組織活動、地区組織を通じまして被保険者が自主的にこの制度に乗ってくるように、制度の普及、宣伝あるいはそういった国民年金の効果を説いて回るというふうなことで、そういう民間組織活動を主として使って育成してまいっておるわけでございます。それから、もちろん地方住民一般の福祉をはかります役目を持っております地方公共団体、市町村を中心とした被保険者の適用推進対策というものもやっておりますが、その二本立てで被保険者の取得に努力いたしておる次第でございます。
〔澁谷委員長代理退席、井村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/44
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045・滝井義高
○滝井委員 そうすると、二十五万の民間の組織と市町村の組織ですね、簡単に言うと。その二本立てでやっていく。それはしばらくそこへ置いておきましょう。そういうことで加入意欲をそそるというけれども、そういうことは、現実の姿を見ますと無理やりに徴収していっているのですね。私がある革深き川の上流の谷間の中に入ってみた。ばらばらっと家がある。そこの町内会長さんという人が——これは自治体の末端組織、昔の町内会ですから、それでは区長と呼んでいる。実は先生、わしたちのこの谷間の草深いいなかから、一回に国民年金の保険料として現金を四十万円ずつ持っていくのじゃと言うわけです。そうすると、おそらくそれは二回か三回に納めるのでしょうから、一年に百万か百二十万は持っていくらしいです。これが先年、なかなか集めるのがたいへんでございます。そしてこの貧しい部落で福祉年金なんかもらっておる人はほとんどおりませんと言うわけだ。そうして現金を持っていかれるばかりで、われわれ百姓は一日十円の金を使うのでも惜しんでおるのに、 この金を四十万、五十万と持っていかれるのは、ついていきたいようだ、こういう説明をしておった。こういうように、ついていきたいような金を取られておるという姿があるわけです。そこで、それをそういう形にしないためにはどうするかということが、今後社会保障の灯を国民の中につけていくためには非常に必要なんですね。
そこで私、もう少し突っ込んでいくことになるのですが、そうすると、そういうことをそれほどまでに苦心をしていっているのに、一体国は事務経費を幾らやっているのかということです。すでに国民健康保険では二百八十八円の事務費をいただきたいと、七重のひざを八重に折ってお願いしたのだけれども、なかなか船後さんのほうが出さぬ。そうしてようやく百五十円を二百円に上げた。それも、何か百七、八十円まではやっておったのだけれども、それが二百円に上がるのも、なかなか、富士の八合目まで行って、あと二合登るのもどうだかということで、苦心惨たんしてようやく二百円になった。しかも現実は三百円か三百四十円にいっている、こういう問題が一つある。それから、国民年金の事務費は、三十九年は百三十円、ことしは三十五円上がって百六十五円ですか、いままでマクロでいけば工十七億円、それが三十三億円程度になったことになるわけですが、それで一体いま言ったような二十五万の組織を動かし——二十五万の大軍ですよ、昔の日本の師団に相当するわけだ。山本年金局長は、いわば三軍の司令官ですよ。二十五万の組織を動かし、全国三千有余の市町村の末端組織を一体三十三億で動かすことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/45
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046・実本博次
○実本政府委員 いま御指摘の事務費の問題でございますが、先生のおっしゃるように、市町村の持ち出しというものが非常に多いのだという訴えがずいぶんきております。その実情も、われわれのほうもいろいろ調査いたしております。とりあえずこの四十年度におきましては、一人当たりの単価といたしまして、大幅に、三割近い増額をはかったわけでございます。そのほかに売りさばき手数料というものを八億ばかり計上いたしておりまして、これも相当役に立っておると思います。ですから、事務費三十三億手数料八億、合わせまして四十一億という金をそういった活動費に市町村その他に出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/46
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047・滝井義高
○滝井委員 私、いろいろ具体的なことをあげたいのだけれども、十二時までと言っておるから……。
市町村の年金事務が非常に支障を来たしつつある。それから、先ほど私の質問であなたがお答えになったように、やはり新しく二十歳になった者をどう把握するか、特に都市における適用漏れの被保険者を完全に適用させていくという二つが、今後の年金を確立する上に非常に重要なんです。あなたのほうで、三月三十一日、全国の一斉調査をおやりになったわけですね、国民健康保険の台帳とかいろいろ調べて。私市役所に行ってみたら、やっております。やっておるけれども、先生なかなか能率があがりません、こう言うわけです。その能率をあげようとすれば、百六十五円ぐらいの事務費では足りません。もう百円とか百五十円足さないと足が出てどうもかなわぬ、こう言っておる。新規加入者はみずからどんどんやってくるわけではないので、成人式があったら国民年金に加入してください、こう言ってやる。ところが、
いまの若い人は、こんなものに魅力をちっとも持っておりません、四十年光のことでは魅力を持たないですよ、だかう実に事務がたいへんです、
こう言うわけです。縦に首を振っておるのだから、そのとおりらしい。私は時間がないからあれしますが、そうすると、一体あなた方のほうで、ことしの保険料の収入を確保するために、給付の事務費も含んで事務費を国民年金は幾ら出しているか。同時に、厚生年金と健康保険は社会保険出張所でやっておるわけですね。片や国民年金は市町村を中心にやっている。もちろんこれは、県の保険課からずっと、社会保険出張所は一応経由する形はあるけれども、第一線は市町村、厚生年金と健康保険の第一線は社会保険出張所。そうすると、この保険料をあなた方が取るために、どの程度の事務費を使っておるか。できれば健康保険と厚生年金との事務費、それからあなた方の事務費と、ちょっと比べてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/47
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048・実本博次
○実本政府委員 いま手元でわかっておりますのは国民年金についてだけでございますので、国民年金から申し上げますと、先ほどの三十三億に八億足しまして四十一億と、そのほかに人件費でございます社会保険事務費、それが約三十二億、合わせまして約七十三億の事務費が要るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/48
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049・滝井義高
○滝井委員 そうすると、厚生年金と健康保険の事務費の予算の説明をちょっと見てください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/49
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050・山本正淑
○山本(正)政府委員 保険庁の予算でございますが、厚生年金の事務費系統の合計額は、昭和四十年度予算で約二十三億円になっております。健康保険はこれよりもう少し多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/50
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051・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、健康保険と厚生年金は同額、あるいは二倍の四十六億と踏んでも七十三億にならない。ここが大事なところです。一体これは何を意味するかというと、結局百円とか百五十円の金を取るために、七十三億の金を使っておるということでしょう。そうすると、拠出制の国民年金の保険料の総額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/51
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052・実本博次
○実本政府委員 二百六十四億であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/52
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053・滝井義高
○滝井委員 二百六十四億の金を徴収するのに七十三億使うのです。これは一体何を意味するかということです。非常に年金の資金コストが高くなっておるということです。ここを大臣、よく覚えておいていただかなければならぬ。
そうすると、厚生年金と政府管掌の健康保険を見てごらんなさい。健康保険でも二千八百億円ベースくらいの療医費になるでしょう。それから厚生年金だって、ことし財投に持っていくのだけでも三千二百六十億でしょう。これは給付を引いた残りですからね。そうすると、片方は五千億とか六千億の金を取るのに七十三億以下でやるのです。片方では二百何十億の金を取るのに七十三億かかるのですから、したがって、ここに厚生年金の資金コストと国民年金の資金コストの間に月とスッポンの差があるということです。これはさいぜん私が指摘したように、結局魅力がない。魅力のないものを、小林さんがきのうも言っておったように、水べに引いてきて水を飲ませようとするから、結局事務費がよけいに要るわけです。
そこで、これは船後さんに伺いたいのですが、船後さん、いまの実態のとおりです。たった二百六十四億取るのに、七十三億の金を打ち込まなければならぬ。少なくとも四分の一は経費にいってしまう。二割五分以上は年金の金を取るために要るのですから、こうなると資金コストは非常にだめになる。そこで、これは大蔵省の政策がどういうことかと言うと、一文惜しみの百文失いになっておる。だから、この際ほんとうに年金を確立しようとするならば、思い切って年金の事務費をまず二、三年だっと入れる。そうして国民的に年金のムードを一ペンわかしてしまう。国民年金に対する制度の改革もやらなければならぬが、これに対する認識と将来の展望というものを国民の中に入れて、そうしてその徴収組織を確立して、だんだん経費をぐっと減らしていく、こういう形をとらないからだめなんです。初めから百円とか百二十円とか百三十円とか百六十円、まるっきりさいの川原の石積みみたいに一つ一つ積んでいって、一つくずれるとがらがらと石がくずれる、またやり直す、こういうことでは国民年金の前進はない、こういうことです。こういう点について、これは私ちょっと盲点をついたわけですよ。大臣、一体これをどう考えるか。二百六十四億の保険料を徴収するのに七十三億も金を入れておったら、一体年金としてうまくいけるか。いけない。資金コストが非常に高くなってだめになる。あなたのこれに対する考えを伺い、同時に、大蔵省を代表して船後さんの考えを伺いたい。停止年金と健康保険とは、五、六千億の金を取るのに七十三億以下でやれる。同じ被保険者であるということには変わりがない。ただ、それが労働者であるか農民か——もちろんそれは、賃金で取るか個別に取っていくかという違いはあるのですけれども。だから、それだったらやはり金を少し入れて、組織を確立せぬといかぬと思うのです。これはひとつ大臣の見解を伺いたいし、船後さんの見解も伺いたい。できれば先に船後さんの見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/53
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054・船後正道
○船後説明員 国民年金を保険経済として見ました場合に、コストが三割程度かかっておるという事実は私ども承知いたしておりまして、ただいま滝井先先の御指摘になったとおりでございますが、これにつきましては、厚生年金と比較いたしました場合には、やり税における源泉徴収と申告所得で取るという場合の徴税方法の相違と似たようなニュアンスがあるわけでございます。厚生年金制度におきましては、これは被用者の保険でございますから、事業主が徴収事務をやるという関係があるのに対しまして、国民年金におきましては、個々の自営業者その他に対しまして、市町村が一々手間をかけて保険料を徴収するというところに根本的に相違があると思います。ただ、現在、御承知のように三割程度のコストがかかるという点につきましては、これは国民年金の給付水準が低く、したがって保険料が低いのに対しまして、保険料の徴収は、やはり一人頭絶対額がかかるというところにあると思います。今後国民年金は、国民経済の進展につれまして当然レベルアップをしなければならない、そういうことになりましても、事務費のほうはそれに比例して上がるわけじゃございませんので、こういったコストの比率というものを逐次改善していく、かように考えておりますけれども、これは非常に頭の痛い問題でございまして、今後とも、先生の御意見もございますし、十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/54
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055・神田博
○神田国務大臣 いま滝井委員のお尋ねございまして、大蔵省の船後主計官からお話がございましたが、全くそのとおりでございまして、これは一つの企業体と見たら問題にならぬと私は思います。こういうやり方をずるずるとやるということは、われわれ多少でも企業的な考えを持っておる者から言いますと、いま滝井さんの言われた感触と全く同感でございます。そこで問題は、国民保険はやはり持続していかなければならぬ、そうすると、いまの事務費を一体低減できるかと言うと、低減はできないと私は思う。むしろこれは増加の傾向にあります。それからもう一つは、保険料をたくさん増徴の余地があるかと言えば、これもなかなかむずかしい問題でございます。いろいろ総合判断して、いま主計官の答弁もありましたように、厚生省といたしましても十分検討いたしまして、大蔵省とも相談して、滝井氏の意見等については私ももう全く同感の点もありますので善処したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/55
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056・滝井義高
○滝井委員 私、一、二問ありますけれども、大臣はもうけっこうです。
それなら、さいぜんちょっと、市町村が相当の持ち出しをやっているということだが、一体市町村は三十九年度幾ら持ち出しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/56
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057・実本博次
○実本政府委員 三十九年度におきまして、市町村の持ち出し分が、こちらの二十七億の事務費の交付に対しまして、市町村の現用額としまして五十四億というものが出ておりますから、差し引き約二十七億ばかり、ちょうど半分ばかり持ち出している、こういうふうな現状になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/57
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058・滝井義高
○滝井委員 そうすると、船後さん、結局百三十円が二百六十円でなければならなかったというわけです、二十七億、同じ額持ち出しておるのだから。ただし、 ことしは人件費、事務的諸経費が上っておるのだから、百六十五円ではだめなのであって、三百三十円程度なければだめだ、こういう形になっておるわけですね。国民健康保険も同じですよ。だから、両方からやるわけですから、市町村としては国保の事務をやり、年金の事務をやっておるから、どちらが一体緊急かと言うと、医療のほうが緊急になるのですよ、いますぐの問題ですから。だから、これはあと回しになってかまわないのです。だから一体、今度はどういうところにそれがしわになってあらわれてきたかと言うと、それが今度は、私がいまこれから質問するところにあがってきている。昨年われわれは法の改正で、重度精神薄弱児扶養手当の改正をやった当時、あなた方はこの対象者、二十歳以下の重度精神薄弱児は三万人おります。こういうことだった。一体これはいま何人申請が出ているか。それからいま一つは、三十九年に精神と結核の内臓疾患を入れた。今度は福祉年金においても障害年金等の支給範囲を拡大をして、精神薄弱児を入れることになっているわけです。これだって相当のややこしい診断書等も要るわけです。まあことしのことはとにかくとして、過去のことを見ればことしもわかるわけであります。そこで、一体現在までに、昨年改正した結核、精神の内部疾患の障害者の裁定要務というのはどういうように進捗をしているか、この二点を教えてもらってみればわかるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/58
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059・竹下精紀
○竹下(精)政府委員 重度精神薄弱児扶養手当金の認定状況でございますが、四十年の二月末現在におきまして受け付けました件数が一万六百七十三件でございまして、その中で受給という決定をした数が六千八百四十四件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/59
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060・実本博次
○実本政府委員 福祉年金のほうに、いま障害年金の拡大といたしまして内部疾患を入れました。精神、結核の内部疾患につきましては、予定で両方合わせまして六万人という数字を踏んでおりましたが、それに対しまして四十年の三月末に受け付けております件数といたしましては、約一万六千件であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/60
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061・滝井義高
○滝井委員 私、ほんとうはこれは大臣にちょっと聞かしておきたかった。福祉年金で精神、結核等に、すなわち内部疾患まで拡大をして六万件程度あると言っておった。ところが一万六千。それから重度精神は、池田内閣総理大臣以来あれだけかねや太鼓で国民的にアピールをしたはずなんです。ところが、決定したのは六千八百四十四件ですから五分の一です。それは受付は一万六百七十三件ですから三分の一。それにしても少ないです。あれだけかねや太鼓で、「中央公論」にまで水上勉氏が書いてくれた問題でさえもこの程度です。ここですよ。結局施策をやって、自由民主党さん選挙のときのにしきの御旗に掲げたのだけれども、国民への徹底はこれだけしかしていない。金をもらうほうで徹底していないのだから、いわんや出すほうにおいておやである。これはやっぱり国民年金の魅力というものに対して国民が無言のレジスタンスを示しておるという証拠です。そんなちゃちな金はもらわぬとは言わぬけれども、やはり無言の抵抗を示している。そのことは、裏返してみれば、いわば年金を確立する保険料の徴収というものがいかにイバラの道であるかということを示している。ただで金をくれるほうでさえもが三分の一か五分の一しか出てこないのですから、いわんやそれを今度取るほうになったらたいへんなものだということになる。だから、ここらあたりで何か大きな刺激を与えて年金制度の確立の道を開かぬと、来年になってあなた方が五年に一回の改正だといってやったところで、国民は踊らないということです。その点についてはやはり真剣に考えてもらわなければならぬ。実態がこれを示しておる。その点は十分御配慮を願って、事務的な経費を市町村に負担させるのでなくして、もう少し思い切って来年度の予算においては三百円くらい入れて——それを私は五年も十升も入れろと言いません。二年なら二年、三年なら三年でいいですから、市町村に、とにかくこれは自分で全額やりますから徹底してくれというのを一ぺんやってみたらどうですか。そのくらいのことをやらないと、これは百年河清を待つにひとしい状態になりますよ。そのことは、年金に対する新しい——農村の労働力は、きのう農林省が発表したのを見ても七十七万人も出ていっているのですから、もう働き手はどんどん出ていって、いなくなっちゃう。きょうわざわざ船後先生にも来てもらって聞いておるというのは、そういうところなんです。ただ来てもらっただけじゃない。それを十分聞いてもらって、やはり予算編成は緩急自在に重点的に持っていくということにしてもらいたい。
そこで、税制一課長さんに来てもらっていますが、税金と保険料の関係です。あなたのほうで先日、国民の標準的な生計費というものを五十三万何がし、それから非課税の限度額を五十四万四千二百五十九円とかいうようにおきめになった。それをおきめになるときに、一体社会保険料というものを考慮に入れておきめになったのかどうかということなんです。
〔井村委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/61
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062・山下元利
○山下説明員 ただいま御指摘の五十三万何がしの標準生計費は、食料費からエンゲル係数をもって算出いたしております。その点につきましては保険料の問題は出てまいっておりませんが、五十四万円の計算の場合には、社会保険料は幾らということは一応計算の中に入れて計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/62
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063・滝井義高
○滝井委員 そうすると、答弁が食い違うことになる。山本さんのほうは、これは生計費の中から出すのだ。だから、五十四万の中から出すと言うのですよ。あなたのほうは、それは考慮していると言うから、そうすると、社会保険料は差し引いて五十四万というのが出ていることになる。両者食い違っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/63
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064・山本正淑
○山本(正)政府委員 ちょっと先先の誤解があると思います。私、あの御質問に対しましては、理論的な考え方としてはこういうことになるのじゃないかということを申し上げたのでございまして、五十三万円につきまして、標準生計費について主税当局と厚生省と打ち合わせの上つくったものじゃない、かようにお答えしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/64
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065・滝井義高
○滝井委員 そのとおです。だから理論上は、あなたは生計費、それから生活費の中から出すことになりますと答えておる。それじゃ血と肉を出すことになるじゃないかと私は言っておる。そうでしょう。そうすると、いまのこちらは、五十四万の免税の限度をきめるにあたってはそれは考慮に入れている、こうおっしゃるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/65
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066・山下元利
○山下説明員 ちょっと私の説明が十分でなかったと思いますのは、五十四万円の計算のときには、一定の金額まではこれこれの社会保険料を控除しているものとして計算しておるということでございます。五十三万を計算する場合には、もっぱら食料費は計算いたしまして、その余のことはすべてエンゲル係数ではじいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/66
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067・滝井義高
○滝井委員 そこで、いまのように保険関係を担当している局長とそれから税制一課長さんとの間には必ずしも意思の疏通がないですね、いまの両者の御答弁を聞いてみても。
そこで私が言いたいのは、今度健康保険はどうなるかわかりませんけれども、いままでの政府の基本的態度としては総報酬制をとる、ボーナスにもかける、あわせて薬価の二分の一も負担してもらいますということで出てきた。そのために、いままで一万円の保険料で済んでおった人が一万六千円の保険料になる、こういう問題が出てきておる。しかもこれは、五人以上の事業場は強制加入ですから、保険料は税と同じように強制的に源泉徴収されるわけですね。給料から差し引かれるわけです。それに今度新しく厚生年金では千分の三十五、これも事業場と組合員が折半しておった千分の三十五が五十五になるわけです。これも強制徴収、強制加入ですね。そうしますと、税のほうは、なるほど五十三万何がしあったならば五人世帯は生きていけるのですということにしておったのだが、それはいまあなた方の計算の外になっておるであろう。こういう社会保険の保険料がウナギ登りに上がっていったために、中堅サラリーマンはたいへんだ。ここにいらっしゃる方はみな中堅サラリーマンだから、身をもって体験しておられるだろうと思いますから、私は正直に言うのです。そうすると、これはどうもかあちゃんに持っていく給料袋が税を引かれて、保険料もごっそり引かれてかないませんということになったのでは、あなた方は自分で政策を立てて自分で首を切ることになりますよ。それじゃたいへんではないか。だから、こういうものをやるときには、税と同じような考え方に立ってやっていかないとたいへんなことになりますよということを私は言いたいわけです。そのためには、年金局が考えるばかりでなくて、大蔵省の税制の面で考えておかないと、これは税と同じです。これは予算編成の面で税金を取り上げて予算をつくるばかりでなくて、この年金の金自体は財政投融資に重要な役割りを演じているのです。しかもいまや、一般会計でまかなえないものを財投でまかなっているものがずいぶんありますよ。ということになりますと、保険料というものが非常に税と同じ役割りをしているじゃないか。だから、生計費や免税をきめる場合にも、これは忘れずにきめてくださいよというのが私の主張なんです。それが、いまの両者の考えを聞いてみるとうまく意思が疎通されていないし、やっていないような感じなんです。ことしは、もう過去のことは言いませんから、昭和四十一年度の予算編成なり税制を考えるときには、社会保険料を税と同じ形で見てもらわなければ困りますよ、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/67
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068・山下元利
○山下説明員 私どもの標準生計費の計算の仕組みは、ただいま御指摘のように社会保険料等をこまかく計算しておりません。食料費を基礎にしてエンゲル係数でやっております。ただ、それと比べまするところの課税最低限につきましては相当アローアンスがございまして、その間にいろいろなものが入り得るという仕組みをとっております。ただいまの御指摘の点につきましても、今後税制改正のときには十分考慮に入れて進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/68
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069・滝井義高
○滝井委員 ぜひひとつ今後社会保障を前進させて、特に保守党の政権のもとで保険主義をもって貫いていく限りにおいては、零細な金を強制的に取り立てていくものなんですから、税と同じような立場でこれを考えてもらわないとたいへんなことになる。結局自分のからだをなおすために、自分の血と肉を拠出して、なおることでも悪循環が起こって日本の病気がなおらないし、そのことが同時に年金の経済にも悪影響を与える、こういうことを言いたかったわけです。ぜひ両者連携をとって、来年から事務的な経費においても、あるいは社会保険料の地位を税金くらいに引き上げるという態勢をつくることを要望して終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/69
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070・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時十六分休憩
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午後四時十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/70
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071・松澤雄藏
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/71
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072・八木一男
○八木(一)委員 国民年金法の一部改正案について、厚生大臣並びに政府委員にこの前の続きの質問をいたしたいと思います。
だいぶこの国民年金法の審議も押し詰まってまいりましたので、これから他の委員の方の質問もあろうかと思いますけれども、来年度の改正について厚生大臣は非常に前向きな決心を持っていただけると思っておりますけれども、さらに強く固めていただかなければならないと思いますので、そういう主要点の筋について、なおまた、具体的な数点の問題についてしぼって御質問をいたしたいと考えております。
まず第一に、来年度の改正案は、国民年金法全体の改正案ということに当然なろうと思います。そうなりますると、今回の改正案とは違って、拠出制年金の部分が非常にいろいろと改善されるという部分を当然含むべきだろうと思います。拠出制年金については、各委員の質問に対しまして厚生大臣や政府委員の方から、非常に熱心に取り組むという御決心のほどを御披瀝になったわけでございます。重ねてその点について、一番大事な点でありまするから申し上げておきたいと思いまするが、年金の金額を非常に大幅に引き上げるということがまず第一であります。それとともに、年齢の引き下げというようなことを実行していかなければならないと思うのです。開始年齢の引き下げであります。そのようなことをいたしますために、いろいろ経費が必要になってまいります。この年金は引き上げても、これに対応して保険料が大幅に引き上げられた場合には、いま被保険者は非常に経済成長から取り残された人たちが多いわけでございまするから、そのことに対して非常に困難を生じ、またそれに対しての抵抗が起こるでございましょう。ですから、そういうことにならないように内容を配慮されることが必要と思うわけであります。その具体的な方法といたしましては、もちろん国庫負担を大幅に導入するということが一つの大きな本筋であることは間違いございません。そのほかに、これは改善の内容がわれわれの希望するごとく百点満点の大きさになるか、あるいは九十点になるか、八十点になるかによって違うわけでありますけれども、百点満点あるいは百二十点くらいのものをやるときには、保険料のほうにも賦課方式を採用するというようなことを考慮することによって、現在の保険料を上げずに年金給付金額を大きくするということが考えられてしかるべきではないかと思うわけであります。要約をいたしますと、給付の内容を非帯に改善する、改善するために国庫負担を大幅につぎ込むということが大事であります。そしてこの国庫負担をつぎ込むだけでは、改善の内容が大幅であって保険料の相当の引き上げをしないとつじつまが合わないときには、それを避けて、賦課方式をとることによって保険料をあまり引き上げないで給付の内容を大幅に改善するという、熱心な御努力の結果の法案が来国会に提出されなければならないと思うわけであります。この点について厚生大臣の前向きな、御熱心な決意のほどを伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/72
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073・神田博
○神田国務大臣 ただいま八木委員から、来年度の国民年金改定期にあたり、その取り扱いにつきましていわゆる前向きの大幅に改定をする意図があるかどうか、たとえば年金の大幅引き上げ、あるいはまた年齢の引き下げというようなこと、こういうことになりますと被保険者の相当数が経済成長から取り残されているという方々が多いわけでございますから国庫の負担を大幅に導入して、そして保険料をあまり上げないようにという御趣旨のお尋ねだと思います。私といたしましても、この年金の趣旨から考えまして、厚生年金の引き上げもあのような経過をたどって可決をいただいたのでありますが、引き続いて来年度国民年金の改定をするにつきまして、いまお述べになったような趣旨で、現時点においてはなかなかよくできたというような成案を得たいと、かように考えております。自由民主党でもなかなかいい案をおつくりになっておるようでありますから、その御援護もひとつ受けまして、大いに財政当局と談判したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/73
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074・八木一男
○八木(一)委員 給付の改善とともに、その仕組みについて何回も指摘し、また厚生大臣もそのとおりだとお考えになった、社会保険的な残滓のあるのを面して、社会保障の方向にこれが進むように、たとえば保険事故というような考え方でなしに、前に障害のある気の毒な人には、福祉年金でなくて障害年金が適用されるとか、免除を受けた人が一番年金の必要度が多いので、同じような年金がもらえるような年金システムにするということで、このような仕組みを社会保障的に前進させる、そのような改善案をぜひ御準備をいただきたいと思うわけであります。この点についても、ぜひひとつ前向きな、御熱心な御決意のほどを伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/74
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075・神田博
○神田国務大臣 国民年金が、社会保険的な要素がまだたいへん残っておるじゃないか、ひとつ社会保障的な仕組みに逐次変えていくようにということについては、私も全く同感でございます。所得配分の関係を考えましても、これはやはり国民年金を十分育成していきたいという熱意については、私も人後に落ちないつもりでございます。十分ひとつ検討いたしまして、できるだけりっぱなものをつくりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/75
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076・八木一男
○八木(一)委員 このような拠出制年金については当然、スライドということと積み立て金の運用ということが非常に重大な要件になるわけであります。スライド問題については、厚生年金の場合にも十分に論議をされ、厚生大臣の非常に明快な理解のもとにおけるこの前進の努力が約束をされているわけであります。拠出制年金においても、また当然、物価とそれから消費生活水準両面についてこのスライドが行なわれるように、その率に従って自動的に行なわれるような制度を推進される必要があろうかと思います。厚生年金保険法の一部改正案のときに、三党の、委員長提案の附帯決議にありましたように、この具体的なものについては専門の審議会等においてこれを審議して、社会保険審議会、社会保障制度審議会の儀にかけるというようなことが、大いに政府のほうでもそういう気持ちを固めておられるわけでございますが、厚生省自体としても、こういうことで、しっかり急速に、確実に、明確に進められる、このような御努力をひとつお願いをいたしたいと思いますが、それについての厚生大臣のお考えをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/76
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077・神田博
○神田国務大臣 ただいま八木委員のお述べになりました拠出年金の積み立て運用、あるいは物価、賃金等に見合った消費水準に伴うようなスライドをとるというようなことは、この年金法を育ててまいりますのに私は大事な要件だと思っておりますので、十分ひとつ留意いたしましてりっぱなものにいたしたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/77
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078・八木一男
○八木(一)委員 次に、積み立て金の問題でございますが、これは先日私が申し上げましたように、当然厚生省が管理を、されるべきものだと私は考えております。政府部内においては、この問題は歴史的にいろいろと大蔵省の管理にゆだねられた経緯がございまするけれども、問題の性質上、当然厚生省の管理すべきものだと私は考えておりますがそれについての最大の御努力をひとつお願いをいたしたいとともに、管理の問題以外に、この積み立て金というものが被保険者のものである、したがって、被保険者を代表するような代表者がたくさん入れるような審議会でこれを討議するとか、そういう被保険者の意思が十分に反映されるような方法をきめられて、またその積み立て金の運用は被保険者の福祉のために、たとえば年金であれば年金制度のものでございますから、老人の施設であるとか、あるいは未亡人、母子家庭の施設であるとか、障害者の施設であるとか、あるいはその関連の医療の施設であるとか、そういうことがまず第一でございますけれども、具体的には関係者の住宅等、自分の住宅を建てるために融資を受けるというようなものまで含んだ、そういうものが一番最的には多かろうと思いますが、大幅にそういう問題が進められるように、住宅であるとか、あるいは共同の厚生施設とか、こういうもののほうにいままでよりもずっと大幅に、急速に運用の対象が被保険者の利益のために進められるように、ひとつ御努力を願いたいと思うわけであります。その点についての厚生大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/78
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079・神田博
○神田国務大臣 ただいま国民年金の積み立て金の管理につきまして、これは被保険者の利益擁護から考えて、厚生省が責任を持って管理すべきだ、この考え方は、私も十分そういう考えであるべきだという考えを持っております。いろいろな事情で、いまのような管理をされておることは御承知のとおりでございます。これは逐次改むべきものだと思います。またこの運用等は、被保険者の利益に付加されていく方法をとるべきだという考え方も、これはまた私もそのとおりだと思います。特にいまお述べになりましたように、厚生施設とかあるいはまた住宅に大いに力を入れるというようなことは最も当を得た問題だ、こう考えております。そのようにひとつ努力してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/79
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080・八木一男
○八木(一)委員 まだまだ申し上げたいことは、この部分についてはたくさんありますけれども各委員の御質疑で十分おわかりだと思いますから、拠出制年金についてのいま言ったことを次の改正案にぜひ盛られるようにお願いいたしたいと思います。とともに、拠出制年金が国民年金の中の主要な部分でございますから、来年度は、その改正はいま御約束があったように当然あろうと思いますが、国民年金の中の福祉年金という現実に非常に大事な点については、今年ごく小部分の改正案が出ておるわけであります。これについては、この論議の過程でこの改正案が不十分である、急速にもっと改善しなければならないということが、この委員会の一致した意見であろうと思う。その福祉年金についても、抜本的なりっぱな改善内容を含んだ改正案を来年度出される必要があろうと思うのであります。その点について、ぜひそのような抜本的なりっぱな福祉年金の改善内容を含んだものを出される、そのような前向きの御答弁ひとつお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/80
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081・神田博
○神田国務大臣 ただいまお尋ねのございました拠出年金を大幅に改定すべし、こういうようなことになりますと、福祉年金もやはりそれに見合ったような改定をするということは、当然われわれとして考えなければならぬことではないか。ことに先般来この委員会におきましてそういう御要望のあったことは十分了承いたしておりますので、そういう線に沿うてひとつ努力し、検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/81
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082・八木一男
○八木(一)委員 福祉年金のほうは、すべてこれは国から全部出るわけでございまするから、問題点が拠出年金と違う点がございます。まず、その金額をふやすこと、全体の金額を大幅にふやすということが一つの全般的な要件であります。それから各制限を——所得制限を緩和していくということが、一つの大きな全般を通じた問題であります。それとともに、同様に必要なことは、老齢年金における実際の給付制限である年齢制限、七十歳という年齢制限をもっと緩和をして、六十代から支給されるというふうにすることがもう一つの大きな柱であろうと思います。その三点について、われわれが、よく厚生省は御努力になったと言うような、りっぱな原案を出していただくように、ぜひ御努力を願って実現をしていただきたいと思うわけでございます。どうか厚生大臣の熱心な、前向きな御決意のほどを伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/82
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083・神田博
○神田国務大臣 いまお述べになりました事項も、来年度の改正案につきましては十分取り上げて、考慮しなければならない問題だと思っております。ひとつ強力に推進したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/83
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084・八木一男
○八木(一)委員 それでは、やや具体的な問題について御質問を申し上げておきたいと思います。
今回のこの改正案を審議いたしますときに、具体的に非常に不合理があることを、これは政府側も、また委員会の各委員もお互いに確認をしたわけでございます。そのような不合理について、私どもは、当委員会としてぜひ今回修正をいたしたいと考えておりましたけれども、いろいろの事情もございまするし、来年度改正案のときに、政府がぜひそういう点を入れて改正案を出していただく御努力をしていただく必要があろうかと思います。数点、具体的に一つずつ申し上げてみたいと思います。
まず第一に申し上げてみたいことは、配偶者所得制限の問題であります。配偶者所得制限は、御承知のとおり、この制度の中に老齢福祉年金と障害福祉年金においてそういう項目がございます。老齢福祉年金の例で申しますと、本人所得制限と、それからいわゆる世帯制限といわれる扶養義務者の所得による制限というもののほかに、まん中に配偶者所得制限というものがあるわけでございます。本人所得制限は、本人が現行では二十万の所帯があれば、扶養家族があるときは少し加算がございますけれども、基本的に一人の場合には、そのような収入があるから所得保障は必要度が少ないではないかということで、一応いまついておるわけであります。将来においてはこういうものは全部撤廃されることが望ましいわけでございますが、現在においては、そういう理由のもとについております。またいわゆる世帯所得制限といわれる扶養義務者の所得に関係する制限は、その世帯の中で、いまだったら六十一万ございますか、そのような、五人平均でそのくらいのものがあるから何とか暮らしていけるから、国家の費用の関係もあるからそういう老人にはしばらく遠慮しておいてもらおうということで、こういうことがついておるわけであります。非常に残念でございまして、これは全部撤廃すべきだと思いますが、全体の予算の関係で段階的に、現時点でこれが少し今度緩和されるようでございますし、非常に残念でありますけれども、それをいますぐ全部撤廃することの案を出されない政府側の事情もわからないではございません。しかし、どう考えてもわからないのは、そのまん中にある点です。その配偶者所得制限、これは配偶者、おじいさんに収入があったときに、もう一人のおばあさんが七十歳以上でも、このわずかな老齢者福祉年金が支給されないということになっておるるわけです。具体的に行うと、おじいさんのほうに二十五万の収入があった。そのときには、そのおばあさんのほうが七十以上でもこの福祉年金が支給されない。ところが、むすこさんが非常に親孝行で、粒々としてやってむすこさんの親孝行を受けておるおばあさんの場合に、むすこさんがたとえば六十万の収入があった、ですから、さっきの場合の三倍の生活内容がよかったというような場合にも、これは支給されるわけであります。このように、むすこさんに死に別れて、年とった連れ合いが一生懸命働いてやっと暮らしているそのおばあさんに、全体の収入度が少ないのに支給されない。このような不合理なものは世界じゅうにないはずでございますから、これはぜひ撤廃すべきだと思うわけです。厚生大臣はぜひ次の、来年出る改正案の中において、これを撤廃する内容を具体的に盛っていただく御決意を当然していただいていると思うわけでございますが、そのようなことについて、前向きな、明確な御決心のほどを御披瀝をぜひいただいきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/84
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085・神田博
○神田国務大臣 ただいま八木委員から、配偶者の所持制限とか、あるいはその他の諸制限についてのいろいろ御意見がございました。私も、この所得制限につきましては、しばしばお答え申し上げておりますように、もう七十歳というようなことになりまして、これは制限をつけるべきじゃない。収入がたくさんある方なら、御自分で御辞退なさるだろうと思う。それをわずかな収入にみみっちいことをすることは、日本がほんとうに社会保障をやり、文化国家をつくるのだというたてまえからいきますと、あまりおとなげないのじゃなかろうか、私はかように考えております。お述べになりましたことにつきましては、私はまことにごもっともだと思っております。私もまたそういう考えであるということを申し添えまして、来年度の改正にあたりましては十分ひとつ努力いたしまして、そういうような趣旨をひとつ貫いてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/85
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086・八木一男
○八木(一)委員 ほかの問題と一緒に御質問し、一緒に御答辞になりましたのでややぼやけた形がございますから、もう一回申し上げておきたいと思いますが、配偶者所得制限については、来年度の改正案においてこれを撤廃することを入れた改正案をぜひ出される、そうなさるべきであると思うわけであります。それについてひとつ前向きな、明確な御決心のほどを承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/86
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087・神田博
○神田国務大臣 はっきりお答えしたつもりでございますが、そういうふうにお聞きにならなかったようでございますから申し上げます。
私はまことに御同感である、はっきりひとつそういうような処置をとりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/87
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088・八木一男
○八木(一)委員 厚生大臣の御熱心な御決意を伺って、関係者が非常に喜ぶだろうと思います。私も非常にうれしゅうございます。
さらに、似た問題でございますが、夫婦受給制限という問題がございます。これは夫婦のおじいさんとおばあさんが両方とも七十歳以上の年齢で、そしてその他本人所得とか世帯所得の制限がない、停止要件がないという場合に、両方の福祉年金を満額支給するのが当然だと思いますが、残念ながら現行法では、そのおじいさん、おばあさん二人に支給するときには、その金額を減らすという規定がございます。これは非常に不合理だと思うわけでございまして、ぜひこの夫婦受給制限というこの条項を来年の改正案において撤廃していただくことについて、前向きの熱心な、ひとつはっきりとした御決意のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/88
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089・神田博
○神田国務大臣 この点も私、八木委員のお述べになりましたことに全く御同感でございます。しばしば私の意見も申し上げてございます。来年はひとつ皆さんの御支援を得て撤廃したい、こういうふうに努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/89
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090・八木一男
○八木(一)委員 この年金法の改正案について、自由民主党の先生方も、日本社会党の同僚の先生方も、民社党の先生方も非常に熱心に考えておられます。そういうことで、三党共同のいろいろの附帯決議その他が出されるように伺っているわけでございます。それについては、当然その後において政府側の所信を御発表になるわけでありますけれども、それは非常に明確な意思を御表示願いたいと存じますとともに、この委員会のほうで、このように自由民主党や日本社会党や民主社会党が熱心にしたことは、それで確信を持ってそういう定義をしたことについては、もう絶対にそれが実現されるような、また実現していただくべきだろうと思います。国会を尊重し、社会労働委員会を尊重した行動を政府がとらるべきであると思います。厚生大臣はこの問題に非常に御熱心でございますから、万々その点心配ないと思いますが、衆議院社会労働委員会の決議が行なわれましたときには、それを絶対に尊重して、急速に実現をするという点について、厚生大臣として、 また閣僚、国務大臣として全面的に熱心にやられる、総理大臣、大蔵大臣もそのようにやられるということを、厚生大臣として、あるいは総理大臣や大蔵大臣のかわりという気持ちも含めて、そういう問題に取り組むという、ひとつ前向きの御決意を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/90
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091・神田博
○神田国務大臣 どういう附帯決議がつくか、まだ拝見しておりませんから、私その内容については何とも申し上げかねますが、しかし、いまお述べになりましたように三党一致でお出しになる、こういうことでございます。三党がかたい決意をお持ちになって政府を鞭撻されるわけでございます。政府といたしましては、これは院議尊重でございます。佐藤内閣は院議尊重を方針といたしておりますから、十分ひとつ尊重いたしまして御期待に沿いたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/91
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092・松澤雄藏
○松澤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/92
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093・松澤雄藏
○松澤委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の国民年金法難の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賓成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/93
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094・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/94
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095・松澤雄藏
○松澤委員長 この際、山村新治郎君、八木一男君及び吉川兼光君より、国民年金法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
その趣旨の説明を求めます。山村新治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/95
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096・山村新治郎
○山村委員 私は、自由民主党、日本社会党及び良主社会党の三派を代表し、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読いたします。
国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、国民年金制度の重要性にかんがみ左記事項につき速やかに実現するよう検討努力すること。
1 各年金の年金額を大幅に引き上げることとし、厚生年金の改正との均衡をはかること。
2 老齢年金、老齢福祉年金の支給開始年齢を引き下げること。
3 福祉年金の給付制限を緩和すること。
4 年金額、保険料、給付要件、受給対象等すべての面において社会保障の精神に従って改善すること。
5 右の実現のため大幅な国庫支出を行なうこと。
6 拠出年金の積立金の運用については、被保険者の意向が十分反映できるよう配慮するとともに、被保険者の福祉のため運用する部分を拡充すること。
特に左の具体的事項については可及的速やかに実現するよう図ること。
1 各福祉年金額を大幅に引き上げること。
2 各福祉年金の所得制限の限度額を大幅に引き上げるとともに、その後の所得水準上昇にともないこれを引き上げる制度を確立すること。
3 夫婦とも老齢福祉年金をうける場合の減額制度を廃止すること。
4 老齢福祉年金及び障害福祉年金における配偶者所得制限を廃止すること。
5 障害年金、障害福祉年金に関して配偶者並びに子につき加算制度を設けること。
6 内部障害の適用範囲をすべての疾病による障害に及ぼすこと。
7 福祉年金と他の公的年金との併給の限度額の不均衡を是正すること。
8 保険料の免除を受けたものの年金給付についてはさらに優遇措置を講ずること。
9 拠出年金について物価変動及び生活水準向上の二要件に対応する明確なスライド規定を設けること。
10 年金加入前の障害についても拠出制年金の支給対象とすること。
11 障害年金、障害福祉年金ともに障害の等級範囲を厚生年金とあわせること。
なお、国民年金の事務費については、実状に即し増額すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/96
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097・松澤雄藏
○松澤委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/97
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098・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本案については山村新治郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、神田厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。神田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/98
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099・神田博
○神田国務大臣 国民年金、どうもいろいろありがとうございました。
なお、ただいま附帯決議をおつけになったようでございますが、私どもといたしましては、この御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたい、かように考えます。
いろいろありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/99
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100・松澤雄藏
○松澤委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/100
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101・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/101
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102・松澤雄藏
○松澤委員長 なお、この際おはかりいたします。
理事竹内黎一君より理事辞任の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/102
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103・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/103
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104・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、小宮山重四郎君を理事に指名いたします。
本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後四時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X03119650513/104
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