1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月六日(火曜日)
午前十時十五分開議
出席委員
社会労働委員会
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 澁谷 直藏君 理事 橋本龍太郎君
理事 河野 正君 理事 八木 昇君
熊谷 義雄君 藏内 修治君
田中 正巳君 竹内 黎一君
松山千惠子君 粟山 秀君
山村新治郎君 亘 四郎君
淡谷 悠藏君 伊藤よし子君
小林 進君 多賀谷真稔君
滝井 義高君 八木 一男君
山田 耻目君 本島百合子君
吉川 兼光君 谷口善太郎君
運輸委員会
理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君
理事 關谷 勝利君 理事 久保 三郎君
理事 肥田 次郎君
有田 喜一君 川野 芳滿君
小川 三男君 泊谷 裕夫君
野間千代三君 山口丈太郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
運輸政務次官 大久保武雄君
運 輸 技 官
(港湾局長) 佐藤 肇君
労働政務次官 始関 伊平君
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(大臣官房労働
統計調査部長) 大宮 五郎君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
委員外の出席者
警 視 庁
(警察庁刑事局
捜査第二課長) 関根 広文君
専 門 員 安中 忠雄君
専 門 員 小西 真一君
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本日の会議に付した案件
港湾労働法案(内閣提出第八六号)
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〔松澤社会労働委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより社会労働委員会運輸委員会連合審査会を開きます。
先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
内閣提出の港湾労働法案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/1
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002・松澤雄藏
○松澤委員長 本案の提案理由はお手元に配付いたしております資料によりまして御了承願うことといたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/2
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003・關谷勝利
○關谷委員 これを提出する以前に相当論議をいたしておりますので、多くを申し上げませんが、非常に重要なことでありますので、一、二点だけ大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
この法案が通過をいたしますると、登録をせられた日傭労務者に対してはあぶれ賃が出ます。ところが常用労務者に対してはあぶれ賃は出ない。これを安定局長あたりに聞きますと、その常用者の分はそれは計算の中へ入れてあるということであります。その料率を決定の際にその計算の中へ入れてある、こういうことでありますが、私はそんなことはないと思います。計算の基礎がどうなっておるか、突き詰めていけば答弁に困るようなことになることもよくわかっておるので、そこまでは掘り下げて聞こうとはいたしませんが、日傭労務者には出す、常用労務者には出さないということになりますと、それは常用者を多くしてなるべく日傭労務者を少なくするというのがこの法律の精神であります。ところが常用労務者に出さないということになりますと、企業でありますので、業者みんな採算を考えます。そういたしますと、一例を名古屋にとりますと、これは三十九年の九月の統計でありますが、これは指数でいきますと、閑散期には六十一個それからピーク時には百十四個こういう数字が出ております。そうすると、この六十一に対応するだけのものしか常用労務者は持たない。それが一番経済的なんです。それが常用者の数によって料率はすぐ変わるものではないのです。これは中へ入っておるというのはうそなんです。そこでそうなりますと、閑散期に必要なだけの常用労務者を置く。あとは日傭労務者で済ますということが、港湾運送業者としては一番経済的になってくる。常用労務者をふやすのだということが常用労務者を少なくする、雇用の安定でなくして雇用を不安化するというのが、この常用労務者のあぶれ賃を出さないというところから出てくる。私はこの法律を完全に実行いたしまするためには、どうしても常用労務者もあぶれた者に対しましては出してやるのだということにならなければ、この法律の完全な実行はできない、こう思うのでありますが、ことしはもちろん予算の要求にそれがしてありません。来年からそれを要求しませんことには、この法律の完全実施はできません。これはざる法になってしまいます。来年の予算では常用労務者に対しまするあぶれ賃も計算をして、そうしてこれは波動性の多いものですから、その波動性をよく今年一ぱいに検討して、来年からは常用労務者に対しましてもあぶれ賃を出すのだ、こういうふうにしてもらわなければいけませんが、これに対しまして労働大臣はどういうふうにお扱いになりますか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/3
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004・石田博英
○石田国務大臣 現在の港湾労働の需給の変動の状態から考えますと、いま關谷さんのおっしゃったようなことは十分考えられることだと思います。したがって、常用化を促進いたします場合には、むろんそれに対する対策を講じていかなければならないと存じておりますが、それを常用雇用者に対するあぶれ賃という形でするか、常用雇用者は元来が企業者が雇っておるわけでありますから、企業者の責任でひまになったときに解雇するという形のものではないわけでありますから、その場合あぶれ賃という形が適当かあるいは運賃計算の中にそれを加味して計算することが妥当であるかは、いずれは検討を要する問題だと思いますけれども、そういうことについて十分配慮し、予算的措置を講じてまいることが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/4
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005・關谷勝利
○關谷委員 政治力のある大臣ですから、必ずそういうふうに実行していただけるものと思いますから、大きく期待をいたしておきます。
それから、この法律の中にあります定数の決定ということになってまいりますと、非常にむずかしいのであります。いまのようなこの港湾施設の近代化、合理化ができていないということになりますと、これはなかなか決定がしにくい。この法案を二年間というようなことにいたしましたのも、その点等から考えまして、定数の決定が重要なポイントになりますので、それをやりますためには、機械化、近代化、それに福祉厚生施設というふうなもの、それから港湾の管理というような面、そんな面がみんな近代化せられて初めてこの法律の効果をあげることができるということでありますので、これまたいままで港湾の近代化というようなことが非常におくれております。この点を急速に取り戻さなければなりませんので、これは運輸政務次官も、両方おられますが、労働省と運輸省とが一体となって、来年からその近代化は必ず二年間にするのだ、それについてはこれだけのことをしなければならないのだというその計画を立てて、両方でこれだけを二年間にいたしますという計画書、私はもう多くを質問いたしませんが、この計画書をこしらえて、あとで私のところへ送っていただきたい。これが一番重要なポイントでありますので、多くを申し上げません、それだけの資料を要求いたしまして、御答弁も、そうするという答弁だけでけっこうでありますので、御答弁をいただいて、私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/5
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006・石田博英
○石田国務大臣 これはいわゆる三・三答申にもございましたように、港湾の近代化と並行してやらなければならぬことは言うまでもないことであります。十分緊密な連絡をとってやってまいりたいと思っておりますが、いまの港湾の近代化というのは、運輸省の直接の所管ではございますけれども、それと歩調を合わせていくように努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/6
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007・大久保武雄
○大久保政府委員 ただいま労働大臣からも御答弁がありましたとおり、關谷委員の港湾近代化の促進ということにつきましては、従来も努力してまいりましたけれども、今後二年間の目標期間に最大の努力をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/7
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008・關谷勝利
○關谷委員 これは両局長相談して、その資料は委員会へ御提出を願います。それで私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/8
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009・松澤雄藏
○松澤委員長 久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/9
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010・久保三郎
○久保委員 この法案が実施されるのは、少なくとも二年をこえない範囲、いわゆる最大限二年以内には実施するということでありますが、この最大限二年以内ということでありますが、それでは、現状でできないのは何と何だろうということ。たとえば、普通の法律なら、最大限一年あるいは半年ということで実施するわけです。普通の審議会等の時限立法もございますが、そういうものは二年間でやるということになりますが、この法律は二年以内でやるのだ、こういうことでありまして、たいへん何か特殊な法律案だと思います。ついては、どうして二年をこえない範囲というふうにおきめになったか、最大の理由は何かということについて御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/10
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011・石田博英
○石田国務大臣 この法律の中で実行し得られるものは本年から実行するように予算的措置もとってございます。また、二年と限ってはございますが、港湾の近代化の促進と相まちまして、できるだけ期間を短縮するように努力すべきものだと思っております。
それから、二年と期間を延ばしましたのは、三・三答申にもございましたし、ただいま關谷さんの御質問にもありましたように、港湾の近代化というものと並行していかなければ効果をおさめられない部分もたくさんございますので、その近代化の促進と並行していく期間、そういうものを二年と考えた次第でございます。具体的にどういうことについてどうだということは、関係局長よりお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/11
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012・有馬元治
○有馬政府委員 この法案の中で一番重要な内容をなしまする日雇港湾労働者の登録制の問題、それから雇用調整手当の支給の問題、こういったことが準備に時間がかかりますのと、先ほど申しました港湾の近代化と並行いたしましてこの新しい制度を実施に移していく必要がありますので、この点が実際手間取るといいますか、即座に実施ができない部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/12
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013・久保三郎
○久保委員 いま安定局長のおっしゃることは、大体二年はかからぬと思うのですね。そうですね、登録なりあるいは出頭手当というかそういうものの支給、こういうものに二年もかかるはずはない、こういうふうに思うのです。これは大体手続あるいはそういう機構、実態の把握、少なくとも最大限幾ら見積もっても一年後にはこれは完全実施できると思うのですね。(「近代化ができないんだよ」と呼ぶ者あり)それから、近代化というお話が出ましたが、港湾の近代化はこの港湾労働とどんな関係があるのか、これは港湾局長なり運輸省から聞きたいのですが、まず第一に、労働者所管のいわゆる日雇港湾労働者の登録なり出頭手当というかそういうものが二年もかかるはずはないと思うのです。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/13
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014・有馬元治
○有馬政府委員 この法律に基づく登録制と、登録制に基づきまして、この法律に明記してありまするように、日雇港湾労働者の安定機関による一元的な紹介体制、それからあぶれた場合の手当の支給、こういったことはいままでの港湾における労働慣行を相当大幅に改善をしなければならない部分でございまして、これに要する準備期間としては、相当の準備期間が要ると思います。また、この法案と、総理府設置法によりまする港湾調整審議会に基づきまして、これらの重要事項については、それらの審議会の議を経るというふうな手続にもなっております。そういった手続を経ながらこれだけの大幅の改善を考えていく場合には、相当の準備期間が要ると考えております。さらに、この手当の支給を裏づけるために、納付金を事業主から徴収するわけでございますが、これらの納付金の徴収についても、相当の準備期間が要る、かように考えまして、先ほどの港湾の近代化と関連しまして、二年間の猶予期間を予定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/14
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015・久保三郎
○久保委員 あなたのおっしゃることはちょっとわからぬのでありますが、納付金を事業主から納めてもらう、そういうこともあるので、と言うが……。
これは運輸省にお尋ねしますが、大体この法案のねらいは、適用港湾は政令で定める。いまあるところの港湾全部じゃないですね。そうだとすれば、そういう業者団体というか、事業者についても、納付金を納めるような組織は当然半年もあればできると思うのですね、最大限半年まで。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/15
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016・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 いまの納付金でございますが、この納付金そのものは、実際に就労手当を支払った額に見合って出すものでございまして、これはこれ自身を準備するということでなくて、これが実施されれば自動的にそういうものが支払われる、こういうことだと思うのでございます。ただ二年間という猶予を置きましたのは、実際、内閣に設けられます港湾調整審議会の意見を聞いて、どのように実施していくかということにつきまして、関係各界の意見を聞いてまとめていくのでございまして、その実施に移すのに相当の準備期間が要る、準備期間と申しますか、そこで固めていくのに時間がかかる、こういうように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/16
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017・久保三郎
○久保委員 港湾局長のいまのお話で、総理府に設けられる港湾調整審議会、これの意見を聞いて定数をきめるというか、適当な数をきめるという作業があるというが、これもそんなに二年もかかるはずはないでしょう。手続をやって半年もかかれば、そういう結論が出るのが当然じゃないですか。しかもあなたらが言うように、全部の港湾に対してじゃないですね、さしあたり特定のものに対してこれをやろうというのです。だから、その理由だけでは二年は必要ないだろうということなんです。どうもちっとも理由にならぬと思うのですね。二年はかかるという理由にならぬと思うのです。これはもう少し、二年かかるのだという証明をしてくれませんか、二年はどうしてもかかりますよということを。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/17
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018・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 二年ということでございますが、二年以内ということでございまして、なるべく早くやりたいということにつきましては、私どもも労働省と同じ考えを持っておるわけでございます。いろいろと心配される点はこれは事実でございまして、答申におきましても、「港湾運送事業の実態ないし港湾関係施設の現状からみて、当面ただちに実施しがたいものもあるが、」こういうようにうたわれておるのでございまして、われわれとしては全力をあげて港湾の近代化ということをやるわけでございますが、集約化ということにつきましては、答申の中にも企業並びに労働者の不安というものを起こさせないように集約化というものをやっていくということがうたわれておりまして、やはり慎重にやるべきである。したがいまして、二年以内ということで、二年たたなければできないということでございませんが、やはり準備は慎重にやるべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/18
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019・久保三郎
○久保委員 慎重はけっこうなんでありますが、港湾荷役の渋滞ということが一番大きなものですね。その渋滞の原因は何かというと、現在の港湾荷役労働者の問題なんですね。そうでしょう。そのほかにもありますよ。港湾の近代化がおくれているという、おくれている幅をいままで労働力によってカバーしてきた。あるいは港湾の波動についても、労働力によってそれはカバーしてきた。そういうものを近代化するということなんです。だけれども、いまのままでも、いわゆる港湾労働を正常な姿に戻すことは可能なんですね。可能だから提案してきたのです。ところがその他の問題ができないから、それで歩調を一緒にしましょうということが多分に濃厚だと思う。私はほんとうに率直に考えて、あなたのお考えにも別に反対はしません。しませんけれども、まず第一に何が大事かという問題を先にやっていかぬと、問題は解決しないと思うのです。そういう意味で私はいま質問しているのです。あなたの答弁では、どうも慎重にと言うが、何が慎重だかわからぬのですね。
あなたは所管の立場じゃないようですから、これは労働省ですが、安定局長にお尋ねしますが、運輸省の港湾局長の言うことは、港湾全体の荷役能力というものを近代化していこうということでありまして、その中のいわゆる労働の近代化、これが港湾労働法案だと思うのですね。この中で私が聞きたいのは、これだけ取り上げてできない、いわゆるネックになるところはどこでしょうかと聞いている。(「定数の決定だ。」と呼ぶ者あり)定数の決定は、港湾調整審議会にかけて、これが大体一年かかれば実施ができるでありましょうということなんですね。半年あればできるのじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/19
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020・有馬元治
○有馬政府委員 いまの、登録とこれを裏づける手当の支給制度、これには先ほど申しましたように非常に準備が要るわけですが、その前提といたしまして、登録日雇港湾労働者の定数の決定をいたさなければならない。これには先ほど申しましたように港湾調整審議会の意見も聞かなければなりませんし、さらに関係の府県知事なりあるいは港湾管理者、こういったものの地元の意見も十分、手続上徴さなければなりませんので、これには相当の時間がかかります。また港湾局長の説明にもありましたように、港湾の近代化ということを、この港湾労働法の立法を機会に相当本格的に考えてまいる予定に運輸省でもしておるようでございまして、私どもとしましては、そういった近代化の歩調を参酌しながら、この港湾労働法の全面的な実施に踏み切っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/20
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021・久保三郎
○久保委員 定数決定というのでありますが、これはおっしゃるとおりなかなかむずかしい問題かもしれません。しかしいまの港湾労働の実態からいって、たとえばギャングの編成は常用と指名によって大半まかなわれているのですね。そうでしょう。そうだとすれば、定数決定はあまり抵抗もなく自然にできるのですよ。そう思いませんか。大体ギャングの編成は常用と指名によって大半ができているのですよ。そう認めませんか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/21
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022・有馬元治
○有馬政府委員 常用と準常用の指名によって大半が編成されておるというお話ですが、大半はそういった労働者によって編成されておりますが、港によって異なりますけれども、純然たる日雇い労働者に対する依存率の相当高いところもございます。したがって、常用と指名のみで編成されるというわけではないので、結局この港湾労働法の制定実施に伴って、日雇い労働者の労働力を十分確保していくという体制をとらなければ、港湾荷役の円滑な遂行はできないという実情に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/22
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023・久保三郎
○久保委員 あなたのおっしゃることは、私が言うことも全部がそうだとは言っていないのですよ。大半は常用と指名でギャングを編成しているのではないか、これが今日の実態です。そのほかに当然日雇いがいますよ。だから大半はそれでやっているのだから、いわゆる定数をきめるのにそう手間ひまはかからぬじゃないか。全港湾じゃないのだから、特定の港湾だけにしぼっていくわけですから、これはできるのじゃないかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/23
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024・有馬元治
○有馬政府委員 定数の設定を非常に簡単にできるような御指摘ですが、私どもとしましては、定数の設定は港湾に必要な労働力の需要の予測でございますので、いろいろな要素を検討して結論を出さなければ、定数がもし適正な定数でないという場合には、この港湾労働法の運用に支障を来たしますので、私どもとしましてはこの定数の設定については十分慎重に検討した上に結論を出してまいりたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/24
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025・久保三郎
○久保委員 慎重にやることはけっこうなんでありますが、慎重に慎重にと言って定数が二年たってやっとできた、そんなことは法案の趣旨ではない、三・三答申の趣旨ではないと思う。その点は圧力がかかっているから言いにくいことかもしれないけれども、ぼくが言うとおりでしょう。実態はそうじゃないですか。大半は常用と指名でギャング編成をやっているんでしょう。その実態は認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/25
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026・有馬元治
○有馬政府委員 ギャング編成の実態は御指摘のようでございますが、定数の設定は、日雇港湾労働者のみの定数設定ではなくて、全体の必要労働力の数の定数を設定するということから始まるわけでございます。したがいまして、これらの定数の設定には、特に最初に設定をいたします場合には、相当の時間をかけて慎重に検討するという基本的な態度で私どもは考えておりますので、時間的にも相当の準備が要ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/26
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027・久保三郎
○久保委員 あなたがおっしゃるように、なるほど常用と指名ばかりでギャングはできませんから、そのほかに純然たる日雇いが必要であります。しかしその部分はごく少ないじゃないかというふうに今日の労働の需給関係はなっているということですよ。そう思いませんか。だからその作業には、慎重にかまえても瞬間的にはそんなにかからぬではないか、こういうふうに私は言うわけです。
その問題はいつまでやっていても切りがつかぬからあれですが、それじゃいつのころまでに大体そういう計画を出して、実施しようと思うのですか。「二年をこえない範囲内」では非常にばく然としている。あなたの期待はどのくらいになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/27
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028・有馬元治
○有馬政府委員 これは大臣から先ほど答弁がありましたとおり、二年以内で極力早くということに尽きるわけでございますが、私どもの最も早い時期としまして考えておりまする一応の事務的な目標といたしましては、ことしの夏ごろに総理府の港湾調整審議会がかりに設置されたといたしました場合に、この審議会に雇用調整計画から定数の設定から必要な意見を徴する手続をとらなければなりません。これらの手続をとるにやはり今年度一ぱいぐらいの期間がかかるのではないか。そうしますと、審議会が結論を出すのに、やはり今日から一年程度の時間がかかるというふうに私どもは推定をいたしております。その設定された定数なり、その前提となりまする調整計画が固まりまして、それから納付金の金額、徴収の準備、こういった事務的な準備が必要になりますので、どうしても一年以上準備にかかるというふうに判断をいたしております。そこで、一年以上二年以内のできるだけ早い機会に実施に移していく、かような目測を立てて準備を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/28
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029・久保三郎
○久保委員 そこで、定数は常用、日雇いを業務別に策定する、こういうことになっているわけですね。法案はそうですね。
そこで、定数を策定する基本的な考え方でありまするが、これは運輸省に現状をお尋ねするわけです。運輸省では御案内のとおり、港湾運送事業法の免許の基準として、第六条第一項二号で「当該事業を適確に遂行するに足る労働者及び施設を有するものであること。」こうなっておって、施行規則かで言うならばその定数を届けさせることになっているのでありますが、これはどういうふうに見ておりますか。全部じゃなくてもけっこうだけれども、たとえばはしけのごときは大体きまったものだろうと思うが、沿岸と船内についてどういう基準で策定していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/29
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030・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 五大港について申し上げますと、これは上屋、現場職員、通船それから労働者及び施設ということになっているわけでありますが、上屋につきましては三百坪以上というのが一つの規定でございます。それから現場職員については十二名以上、通船一隻以上、それから労働者及び施設につきましては、現場監督として八名以上、船内基幹労働者、これは技能労働者でございますが、これが二十四名以上、一般労働者が六十名以上。それから沿岸につきましては、現場監督が四名以上、沿岸労働者六十名以上及び荷役機械六台以上、こういうことになっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/30
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031・久保三郎
○久保委員 そこで労働者の定数はわかったが、その中身を常用とか日雇いとか、別に区分けしてありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/31
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032・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ただいま申し上げましたのは常用労働者の数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/32
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033・久保三郎
○久保委員 実態として、五大港でこの比率は、このほかに日雇いがございますね、これはどういう比率になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/33
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034・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 港ごとにだいぶ差があるわけでございますが、全体を申し上げますと、沿岸におきましては六割が常用、四割が日雇い、それから船内におきましてはその逆になっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/34
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035・久保三郎
○久保委員 この港の荷役の問題は、今日港湾労働者がかような境遇というか条件にある一つの理由は、言うまでもなく長い伝統というか歴史というか、そういうものが今日まで残っておるわけですね。残っておる理由はいろいろありましょう。ありましょうが、一つには親方子分の関係、こういうものも一つ大きな柱として残っておる。言うならばこれによって港湾荷役の波動性をしのいでいるという面もございましょう。もう一つは、港湾の近代化ということを先ほどからおっしゃいました。近代化をおくらせているのは、いまの港湾労働者の実態がそうしておるとも逆説的には考えられますね。というのは、いわゆる港湾におけるところの荷役の波動性、これに応ずるためにはやはりいまのような労働条件下に置くことが一番いいというか、そういうことがあるからできる。しかも賃金もいま労働事情が違いますから多少上がってまいりましたが、言うならば、長い間歴史の中では一番劣悪な労働条件で使えるいわゆる自由労働者、そういうもののマーケットを対象として港湾荷役の波動性をしのいできた、こういうことなんですね。だから、港湾の荷役を近代化し、港湾労働を近代化するということがまずこの法案のねらいとするならば、そこへメスを入れてものを考えねばいかぬと思うのです。港湾局長の担当では、港湾を機械化し荷役を機械化する、こういうようなことが一つの目標になっております。ところが荷役機械を整備するよりは、いまのような労働慣行というかそういうものでつないでいったほうが得であるという限りは、残念ながらどういうふうな助成をしようが指導をしようが、港湾の近代化のための荷役の機械化はとうてい望めないと私は思うのです。だから逆ではありましようが、その根底にあるところの港湾労働の問題をまず先に解決する、それが近代化の一つの大きなプレッシャーになるということでこの法案が出てきたと思うのです。だからほかの近代化とあわせてやることもけっこうだが、これを先行せねば問題は十分に片づかぬ。ところが港湾におけるところの月末集中配船の問題を一つとっても、集中配船を認めているから日雇い労働者を片方にプールしておかなければならぬということなんです。それは港湾運送事業者にとっては、経営上圧迫なんです。だからいまのような形が一番いいのだというのですね。これでは問題の解決になりません。だからまず第一に、港湾労働力の絶対量はここである、それ以上のものがきても、いわゆる月末集中配船がきても応じられない、だから、月末集中配船はやめろ、こういうことにならぬと、残念ながらその辺の近代化はあり得ないのじゃないかというように私は思うのです。
そこで港湾局長にお尋ねするが、そういう私が考えておることが正しいと思うかどうか、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/35
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036・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 現状におきまして月末、月初の船繰りというものがあるわけでございますが、これはわれわれがどうすることもできないひとつの経済現象でございまして、これをまず前提としてものを考えていかなければならぬと思うのでございます。そこでその場合、いまおっしゃられましたように日雇いにピーク時を依存するというような、非常に不安定な形の企業というものがあり得るということもやむを得ないわけでございますが、一方近代化とはしからば一体何であるかということでございます。これは非常にむずかしい問題でございますが、一つは、やはり先ほどおっしゃられましたように、機械化というものが進めばそれほど労働者のプールだけにたよらなくてもいい、ひとつの計画的な経営ができる。その一つの理由といたしましては、沿岸につきまして常用が多いということは、機械化が相当進んでおるということの結果であるとも言い得ると思うのでございます。それから船内におきましては非常に機械化がむずかしいということが一つの原因となりまして、やはり日雇いに依存するというようなかっこうが多いわけでございます。しかし一方、近代化のもう一つの要素といたしまして、企業というものが現在のように小さいものがたくさんあるという形でなくて、これが集約されたような形でありますれば、ピーク以外のときの閑散時というものを何らかの形でカバーすることができる、そういうことになればさらに常用化が進め得る。ピーク時そのものは別な方法で、これは港湾行政以外の面で是正してもらわなければならない問題でございますが、それを前提とすれば、やはり機械化というものと企業の集約化というものでなるべく常用化を進めていく、そして経営が健全であって労働者の福祉施設もやっていけるようなかっこうに持っていくのが、われわれの任務ではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/36
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037・久保三郎
○久保委員 あなたの話もわからぬわけじゃございませんが、たとえば月末に集中する配船は、なるほどあなたのほうだけや労働省だけではできかねます。できかねますが、問題をいつまでもいままでのような形で、港湾荷役の機械化なり近代化、あるいは労働者の近代化をそれに合わせていくということは、これは実際はいかがかと私は思うのです。問題は逆だと思うのです。そんなことをやっている限りは、どれだけ港湾の設備をよくしたり人間をどれだけプールしてもかないませんよ。それは三十六年の船繰りが実態を示しているのじゃないでしょうか。これはもっと大きな視野というか舞台に立って処理してもらわなければならぬ。それを解決する一つのプレッシャーとしては、やはり港湾の中からそういう声を出し、そういう仕組みに持っていかざるを得ないように追い込んでいくという以外に方法はないじゃないか、こういうふうに私は言っているわけです。そこで、たとえば企業の零細性も近代化をおくらせるの理由になります。これはもちろんいまあなたが述べたとおりに考えていくほかはないと思うのです。そういうことでございますが、少なくともこの定数の問題をきめるにあたって考えねばならぬのは、私が前段申し上げたようなことを頭に置いて問題を処理してもらわなければ困るというよりは、問題の本質的解決にはならぬのではないか、こういうふうに言っておるわけです。
そこで、労働省にお尋ねするわけでありますが、日雇いに依存する分野というものを直ちに否定するわけにはいまの実態からはいかぬかもしれぬ。だから、ここに港湾労働法案なるものが出てきたのでありましょう。だけれども、この日雇いの存在というものを、いまのようなたとえば船内荷役がいわゆる日雇いに依存する部面は六割だ、常用は四割である、こういうふうな姿を変えることがこの法案のねらいであるとするならば、これはどういうふうな基準に上げていくつもりか、その基準はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/37
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038・有馬元治
○有馬政府委員 港湾荷役の波動性がなくなってしまえば全部常用化すればいいじゃないか、こういうことに相なるかと思いますが、私どもの見通しでは、港湾荷役の波動性を一気に解消することはできないのではないか、こういう前提で日雇登録労働者の依存率というものも、現在全国平均で約三二、三%になっておりますが、これを一気に解決してしまうことは非常に困難だと思います。したがいましてこの法案の考え方は、さきの三・三答申とその点は若干違うと思うのですが、四分の一以内というふうな法的規制を法律上明確に規定するということはやめまして、この法案の四条にも書いてありますように、現状の常用雇用労働者の状態をさらに常用化の促進をはかっていくという基本的な考え方で法案ができておるわけでございます。したがって港ごとに、業種ごとに現状を漸次改善していくという考え方で法案ごとの雇用調整計画を策定していく。そこに一律に四分の一とかあるいは三分の一というふうな規制をするという考え方はとっておりませんが、常用化を極力進めていくという考え方で調整計画を樹立してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/38
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039・久保三郎
○久保委員 いまのお話だと、これもわかったようなわからぬようなお話でありまして、奥歯にものがはさまったような感じであります。結論としては、法案を出した手前、法案にも書いてあるように、だんだん常用化を高めていくのだ、それはあたりまえの話でありますが、大体心づもりというのは、最初は四分の一と書いたが、何かのぐあいが悪いので落としたということでありましょう。しかし心づもりとしては四分の一くらいに上げていかなければいかぬということでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/39
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040・有馬元治
○有馬政府委員 答申には四分一ということが明確に書いてありますが、港湾の実情を見ますと、この答申のように四分の一で法的に一律に規制するということは実情に即しませんので、いま申しましたように漸進的に依存度を低めていくという方向をとってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/40
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041・久保三郎
○久保委員 それでは問答になりますから……。船内荷役、たとえばいま港湾局長から説明があったように、六割が日雇いである、こういうものはぐあいが悪いから少なくとも直していくということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/41
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042・有馬元治
○有馬政府委員 船内依存度が一番高いわけでございますが、これも漸次改称をしてまいる、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/42
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043・久保三郎
○久保委員 時間もありませんから、次にいきましょう。
そこで、船内荷役ですが、この実態は言うなれば労務提供事業ですね。実際は機械も何も要らない、単純なる労務提供事業だと思うので、職安法違反というか、それに抵触しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/43
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044・有馬元治
○有馬政府委員 現在、船内荷役作業は職安法にいう労務供給事業には抵触しない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/44
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045・久保三郎
○久保委員 理由を簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/45
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046・有馬元治
○有馬政府委員 労務供給事業とは違って、船内荷役作業を行なっておるわけでございまして、これは職安法にいう労務供給事業とは性格が異なるというふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/46
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047・久保三郎
○久保委員 労務を提供して荷役をするのでしょう。労務を提供して、それだけでしょう。労務提供でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/47
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048・有馬元治
○有馬政府委員 現在の船内荷役作業は労務を提供する事業ではございませんで、作業を企画し、監督して、一定の荷役作業を遂行するという責任を持っておりますので、単なる労務供給事業とは理解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/48
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049・久保三郎
○久保委員 この船内荷役業者がだれかの下請をやった場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/49
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050・有馬元治
○有馬政府委員 下請けの内容によって労供になることもあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/50
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051・久保三郎
○久保委員 そういう実態は調べてありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/51
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052・有馬元治
○有馬政府委員 現在行なわれておりまする下請方式は、職安法の労供に抵触するというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/52
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053・久保三郎
○久保委員 なかなか実態をつかんでおられないようでありますが、港湾局長にお尋ねしますけれども、裸下請というか、そういうのはございますね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/53
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054・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 裸下請というのはどういうのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/54
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055・久保三郎
○久保委員 何らの責任なくて下請に出す。たとえば、何人よこせといえばそこへ持っていくというだけでやっている状態もあるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/55
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056・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 いまおっしゃられたようなことはないと思います。一貫元請の港湾運送事業者から、船内荷役なり、はしけ、回漕なりという、そういう業種でもって下請けをしているわけでありまして、単なる人夫供給をやっているというのは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/56
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057・久保三郎
○久保委員 人夫供給とは名前がつかぬでも、同じ状態のものがありはしないかということです。もう少し調べてください。問題の根拠はたくさんあるのですよ。問題はたくさんここから出てきているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/57
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058・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業として行なっておるものにはそういう事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/58
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059・久保三郎
○久保委員 それじゃ、いまあなたのほうで免許に切りかえておりますが、切りかえられないものは何ですか。そういうケースのものがたくさんあるので切りかえられないのじゃないですか。登録から免許に切りかえできないものがたくさんありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/59
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060・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 私のほうで免許するには基準があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように労働省なり施設なり、そういうものがわれわれの基準に達しないもの、または資本その他の面、経営の面から見まして、港湾運送事業を免許して、発注者に対して責任を負い得るかどうかという危惧がある、こういうものが免許のでき得なかったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/60
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061・久保三郎
○久保委員 時間がありませんからあとは社会労働委員の皆さんにお願いしますが、実際はその実態をお調べになっておわかりなんですね。だが、ものが言えないというだけなんです。
これに関連して港湾におけるところの暴力について、警察庁からおいでになっておるからお尋ねするのですが、最近神戸を中心に手配師というか、そのたぐいの暴力がかなり横行しているわけです。これは大体において船内荷役というか、そういう六割も日雇いでまかなっておるというようなものにかなり多いと思う。警察庁あたりもかなり取り締まりに乗り出しているようでありますが、政府全体の中で見ると、その方針にあまり乗り気でないように、たとえばけさの新聞などにも出ている港湾局長の談話、あるいはここにおられる職安局長の談話、こういうものを見ていると、何かあなたらだけでできそうなことを言っておるが、できる自信があるなら警察庁のほうからきっぱり答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/61
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062・関根広文
○関根説明員 お答えいたします。
港湾関係の暴力団取り締まりの問題でございますが、警察は港湾に寄生する暴力団体の不法行為を取り上げております。大体の内容は、沖仲仕などの労務者を相手にけんかあるいはゆすり、たかり、賭博などを行なっている事犯、あるいは仲間同士が集団的な抗争を行なうというような暴力的違法行為の事犯、あるいは暴力団体やその所属の業者が、一般の業者あるいは従業員に対して不当な圧力を加えるというような不法行為がある場合に、この方面からきびしく追及して検挙をはかるという、こういう方向で従来やってまいったのでございます。現在把握しております港湾関係の暴力的団体というのは、昨年末、全国で七十四団体であります。しかしこれはもっぱら港湾関係に巣食いまして、荷役なり沖仲仕あるいはそういうふうな特有な業態に寄生している団体でございまして、そのほか港湾付近でいろいろ暴力行為を行なうものは、必ずしもこの七十四団体だけに限る、こういうものではございません。全体的な数字は、警察庁としては三十九年末に全国で四千五百七十三団体を把握しておりますが、これらの関係者の中には、港湾関係で暴力行為を行なって検挙されているというような事例も見られるのでございます。これは一府県の例でございますが、ただいま御指摘のございました兵庫県、これは昨年中に、いま申し上げました港湾にもっぱら巣食っている暴力団というふうに把握しております。その暴力団構成員の犯罰を検挙した状況は、一番多いのは傷害で三十九人、次が恐喝で二十七人、十九人、その他窃盗、賭博、暴力行為、殺人、強盗、その他刑法犯、特別法犯を含めまして、兵庫県下で一年間に百六十七人を検挙している、かような状況でございます。警察といたしましては、もっぱら港湾関係の不法行為の面から検挙取り締まりを行ないまして組織するところの暴力団の根絶をはかる、かように考えているのでございますが、もちろん暴力追放というのは、警察の取り締まりのみでこれを完全に行なえるというものではございませんので、関係の各機関と地元におきましても連絡協調の委員会などを設けまして、今後こういうもののさらに的確な取り締まりをしてまいる、あるいは暴力追放の完全を期してまいる、かような方針でやっている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/62
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063・久保三郎
○久保委員 そこで警察庁にもう一つお尋ねしますが、最近の港湾運送の再編成というか、そういうものを機会にして暴力団というか、そういう系統のものの勢力が台頭しておるというふうにも聞いておるのだが、そういう要素がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/63
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064・関根広文
○関根説明員 私ども数字で把握しておる関係から申し上げますと、特別にそういう傾向は見られませんが、従前から港湾関係に勢力を持っておるところの暴力団、関係団体が逐次下部の団体をふやす、あるいは構成員をふやすというふうなことが見られる。最近特にその状況が顕著であるというふうには見ておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/64
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065・久保三郎
○久保委員 職安局長と港湾局長、御答弁ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/65
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066・有馬元治
○有馬政府委員 私も毎日新聞の記事を読んでおりませんが、数日前に毎日の記者から電話連絡がありまして、いろいろ問いただされたのでありますけれども、そのときに申した記憶からいいますと、今度の港湾労働法ができて暴力団との関係はどうだというふうな質問が第一点にございまして、直接暴力団との関係を云々されても困るのでございますが、この法案が施行になりますならば暴力団が介在する余地は非常に少なくなってくるだろう、こういうことをお答え申し上げました。
それからもう一点は、警察にお願いしたらどうだというふうな御意見でございましたが、私どもとしましては、この港湾労働法を施行するにつきましては、警察の御協力は、先ほど捜査二課長からもお話がありましたように十分得てまいりたいと思いますけれども、行政そのものに警察の力をかりるということはまず避けてまいりたい。いろいろな面で御協力はお願いをし、またその協力がなければできないと思いますけれども、この法律の施行と警察の問題はそういうふうに答えておいたことを記憶しております。今後も、施行になりましたらそういう考え方で法の運営を期してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/66
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067・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業をやっている者の中には、いわゆる組関係省、組という名で呼ばれる者があることは事実でございますが、私どもがこの運送事業の免許にあたって調べましたところでは、この運送事業法の免許基準には該当しているわけでございますし、その後、ただいま警察のほうからもお話がありましたように、個々の暴力ざたはあったようでございますが、港湾運送事業法に違反した行為というのはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/67
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068・松澤雄藏
○松澤委員長 久保委員に申し上げます。
時間もすでに四十五分になっています。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/68
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069・久保三郎
○久保委員 そこで、それぞれ港湾の暴力というか、そういう問題についてお話がありましたが、要約すれば、職安局長なり港湾局長は自分の所管だけで、この法律に示されたことだけで間違いないから、そこは警察が手を触れられては困るという話だと思うのです。それはそれでいいのです。いいのだけれども、やはり港湾に暴力組織というか、そういうものがあって不安があったのでは港湾の近代化は何だ、こういうことになるわけですね。そうでしょう。だからそういう点について警察の暴力追放の行動にはやはり積極的に協力すべきだと思う。そういうことはちっともなくて、おれのなわ張りに手を触れられては困るという話ばかりしている。その話は逆じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/69
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070・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 そういうふうに申し上げたわけではありませんで、暴力というものに対して好ましくないことはよく承知しておりますし、警察の取り締まりに協力することも確かでございますが、現在のところ港湾運送事業者としてその法律に違反した事業は営んでおりませんということだけを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/70
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071・久保三郎
○久保委員 それを聞いているのじゃないのです。
それでは、もう時間だそうだから、最後にこれはほんとうに参考のために、わかりませんので聞いておきたいのですが、この法案によりますと、いわゆるステベあるいは乙仲と称されるものは港湾運送事業というものからははずしているのですね。これはどういう理由でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/71
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072・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 これははずしてないと理解しておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/72
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073・久保三郎
○久保委員 港湾運送という定義の中には「港湾運送事業法第二条第一項に規定する港湾運送のうち、同項第二号から」ですから一号ははずれるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/73
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074・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 一号は元請といいますか引き渡しまたは引き受けのことを書いてございまして、それに関連して行なう前後の作業につきましては二号以下になるわけでありまして、この港湾労働法の対象というのは作業の実態からきておるわけでございますし、二号以下の作業をこの一号に書いておる業者もやっておるわけでございますから、二号以下で縛られて当然運送事業の対象にはなっておると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/74
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075・久保三郎
○久保委員 それで結局この元請だけなら問題ないが、その前後の作業、二号以下の作業をやればこれは入る、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/75
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076・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 これは元請だけというのはございませんでして、その二、三、四でございますか、その中の必ずどれか一つは自分でやらなければならぬ、こういうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/76
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077・久保三郎
○久保委員 それでは全部が入るということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/77
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078・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/78
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079・久保三郎
○久保委員 そこで、港湾局長に最後に聞くが、運輸委員会で質問したときに、近代化のスケジュールを出していただきたい――そこで時間もありませんから簡単に御答弁いただきたいのだが、港湾運送産業の集約化の方向、一つだけでなくて、二つの方向ですね。それを言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/79
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080・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 一つは事業規模の拡大、それから一貫体制を強化するということのために港湾運送事業法の改正ということを検討しておるわけでございます。
もう一つは、五大港におきましては近代的埠頭業、いわゆる埠頭を一貫して管理し運営する業でございますが、こういうものを法的に裏づけして、これによって集約化というものをやっていきたい、この二つを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/80
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081・松澤雄藏
○松澤委員長 久保君、予定の時間がもう倍にもなっておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/81
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082・久保三郎
○久保委員 わかりました。それでいまの集約化の方向ですが、それではあなたがおっしゃるような方向で現在の業界はまとまると思っておりますか。これはなるほど法律で押えるということになりますればそうせざるを得ないと思う。しかし、そう言っても、法律ではきめるが実態はなかなかそういかぬような要素がたくさんあるのじゃないですか、あなたの実力でできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/82
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083・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 これにつきましては、これを全面的に向こうが受け入れるかどうかということの段階に至っておりませんが、業界は現在日本港運協会でございますか、それと全港振とか全沿岸とかいろいろな横の系列があるわけでございますが、これが打って一丸となって新しい日本港運協会というものをつくろうということで非常に積極的にこの近代化を考えていこう、こういう機運になっておりますので、そういう新しい組織と相談いたしましてわれわれの考えておるような方向に持っていきたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/83
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084・久保三郎
○久保委員 ほんとうに最後ですが、港湾局長、いまあなたのおっしゃったたとえば全国の港運協会ですか、これは六月にできるそうですか、これができたけれども、それでは作業はいつから始めるのですか。すぐ集約化の方向は始めますか。これは法律でできてから始めたってとてもできませんよ。それを待っておったのじゃ港湾労働はいつまでもたなざらしです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/84
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085・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 私どもはこの事業規模の拡大、一貫態勢の強化ということについて、現在それとは別個に案を検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/85
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086・松澤雄藏
○松澤委員長 泊谷裕夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/86
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087・泊谷裕夫
○泊谷委員 昔は航路が港湾に従って、産業革命以後は港湾が航路に従って、最近は特に工場に港湾が従うという傾向が顕著だと思うのですが、佐藤港湾局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/87
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088・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございますが、確かに当初における港湾というのは商業の中の一部門としてあったと思います。それが日本におきましても、最近は非常に臨海工業地帯というものができてまいりまして、それに貨物の全体の動きから見ると、そのほうの量が格段にふえてまいりまして、ただいまの状況は先生のおっしゃられたような傾向にあると思います。しかし、貨物の量は少ないわけでございますが、一般の雑貨輸送というものは人手も食いますし、港湾の全体の運営から言うと、むしろ一般の商業的貨物を扱うほうが重点的に考えられなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/88
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089・泊谷裕夫
○泊谷委員 答弁者にお願いいたしますが、委員長から時間制限ということでありますから、ぼくのほうで一分しか言わないのに、そっちで五分も六分もやられたんじゃかないません。これはきっちり簡単に願います。
労働大臣にお尋ねいたします。
高度経済成長政策に伴う港湾投資は、昭和三十四年度から三十八年度実績(各年時価)二千三百六十億です。中期経済計画の三十九年度から四十三年度計画額(昭和三十八年度価格)五千五百億、これは経済企画庁の向坂正男総合計画局長の編集しました「中期経済計画の解説」によりますと、「公共事業、奄美、地方単独および港湾機能施設」に投資されることになるわけですけれども、いまお話ししたように臨海工業地帯の増設が中心になり、これだけ巨額な金が投資されるわけでありますけれども、反面港湾運送の諸企業は御承知のとおり零細であり、荷主や船舶運航者の産業資本あるいは交通資本の系列下に従属しておるということで下請関係を構成しておる、この事実をお認めになると思いますが、そこで港湾運送企業の主体性確立を困難にしておりますし、荷役作業の面にも労働関係の問題を打開するということにたいへん大きな問題を含んでおると思うのでありますが、この打開策はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/89
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090・石田博英
○石田国務大臣 これは直接には私の所管ではなく、ここに運輸省を代表して政務次官もおられますが、私はやはり港湾の運送機構というものの規模を拡大し、近代的な装備を加えていくということが前提だろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/90
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091・泊谷裕夫
○泊谷委員 近代的ということばの内容も聞かなければなりませんけれども、船内荷役なんというのは、近代化され、機械化されたとしても限界があります。そういうことで一国の閣僚が答弁されるということは、私はもう少し現実を認識してもらわなければ困ると思うのでありますが、時間の関係で先へ進んで、大臣からあわせて答弁いただけるならその際答弁してもらってけっこうだと思います。
港湾労働は、――お尋ねするのは佐藤局長と大久保次官でありますけれども、貨物の積みおろしは本来荷主や船会社のためにあるはずなのですね。株主も船会社も港湾労働に対して直接的に関与する責任を持つということが現状どこの港でもありません。その運送契約者またはその下請け、これが労務者を雇用して作業を行なうのが普通の形になっておることは、私が指摘するまでもなく、これは横浜の市立大学の港湾論担当の高見教授も指摘しておるところでありますが、こういう形で港湾運送事業を認めるという考え方ですね、これに根本的に検討を加え修正する必要がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/91
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092・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 これはやはり分業的なものであると思いまして、現在のような港湾運送事業というものはやはり存続すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/92
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093・大久保武雄
○大久保政府委員 荷主が運送事業を持つか、船会社が運送事業を持つか、あるいは港湾運送事業がその分野において動いていくかという問題につきましては、やはり現在の状態におきましては、過去のいろいろな変遷もございましたが、港湾運送事業がその経営を進めていく、かような実態になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/93
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094・泊谷裕夫
○泊谷委員 私は今回の法案で最も重要な点がいまの点にあると思うのです。先ほど先輩の關谷委員も久保委員も質問いたしましたが、港湾運送事業に携わるものとしてとらえてみた場合に、いろいろと見解の違いがありますけれども、本来臨海工業を開発して港を増設する、そこに一般投資を相当巨額に行なって、本来船主である者とか、それから業者がその荷さばきをしなければならぬものを第三者を介して行なう場合、それが独立した経営力なり経済力なり力というものがあって初めて均衡がとれてき、そこに近代化ということばが採用されてしかるべきだと思うのです。この点について、設備投資に意欲的に金をつぎ込まれながら、肝心の零細企業である港湾運送業に対する改善策がない。閣議として抜本的な姿勢をこの際明らかにしてもらわなければならぬと思うのでありますが、この点についてあらためて石田国務大臣と運輸省担当の大臣代理であります大久保政務次官からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/94
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095・石田博英
○石田国務大臣 設備その他についての資金投入ということ自体それほどたくさんやっているとは思いませんけれども、しかしそれを急ぎますと同時に、いま申しました荷役業者の集約化及び運営の近代化というようなものについての所要の措置は当然必要だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/95
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096・大久保武雄
○大久保政府委員 港湾の施設の整備は産業の高度成長に立ちおくれまして、戦前よりもむしろ下がっておる、こういう状態でございましたけれども、今回の港湾の整備計画によりましてようやく戦前程度までこれを持ってきた、かようなことに相なる次第でございます。また経営の実態から申しますならば、港湾の事業が零細でございますと、これは大体荷主に振り回されるような形になるわけでございます。そこで先ほど来港湾局長が申しましたように、できるだけ港湾の事業体というものを力を強くいたしまして、港湾なりに荷主とも対抗しながら適正なる産業の運営が行なわれていくようにはかりたいというのが私たちの措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/96
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097・泊谷裕夫
○泊谷委員 大久保政務次官からお話がありました具体的な問題をお尋ねしたいところでありますが、それは後にまた答弁をしてもらう機会をつくりまして、現状認識の問題で、貿易規模の拡大に伴いまして港湾における取り扱い貨物量が急激にふえておる、昭和三十七、八年ごろ、この港湾労務者確保の問題が政治的な大へんな問題になりましたけれども、現状では船込み、滞船は慢性化しておるというのが実情と思うのでありますが、最近日本側商社が外国船主に払った滞船料は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/97
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098・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ただいま資料がございませんのではっきり申し上げられませんが、後刻資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/98
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099・泊谷裕夫
○泊谷委員 資料は後ほど提出していただくことにいたしまして、船込み、滞船慢性化の原因は何だと佐藤局長はお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/99
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100・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 一つは港湾施設が不足しておることと思います。これは物理的施設。その次にはいわゆるそれに伴う荷役をする諸施設並びに労務者の不足であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/100
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101・泊谷裕夫
○泊谷委員 私は最大のポイントは労務者確保だと思いますけれども、二、三点この際具体的な問題をお尋ねしたいと思います。
担当が違うと言うとそれまでの話でありますが、石田国務大臣に、月末集中配船――先ほども取り上げられましたがLC、俗にいう信用状の期日の打開策はどんなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/101
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102・石田博英
○石田国務大臣 これはかなり専門的なことで、文字どおり私の所管ではございませんが、それは発給者あるいは金融機関その他の協力を待ちまして月末の偏在ということを是正していくことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/102
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103・泊谷裕夫
○泊谷委員 重ねて大臣にお尋ねしますが、金融機関の協力体制について具体的な方策がおありなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/103
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104・石田博英
○石田国務大臣 この法案が成立をいたしまして、そして運輸省と連絡をとって、この法案の実効ある展開をはかっていく過程において、協議を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/104
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105・泊谷裕夫
○泊谷委員 野党の私が言うのでなくて、日本港湾経済学会会員の方で、原田港湾作業株式会社の管理部におつとめの方ですから会社側の人ですが、喜多村昌次郎さんという方がおりまして、「港湾労働の構造と変動」という本を書かれたのですが、その中で横浜港船内日雇い労働者の数並びにこの港湾から離れていく人々、横浜の場合二千人おりましたものが、現状は五百名を下回る、こういう状況にあって、ほとんどが他産業の優位な労働条件のところに移動を開始しておる、しかも組織的に移動を開始しておるということを指摘しておりますが、この事実をお認めになるか、あわせてこの対策はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/105
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106・石田博英
○石田国務大臣 私は数字的に詳細は承知いたしませんが、一般的にそういう傾向にあると承知いたしております。それを防いで、必要な労働力、所要労働力を港湾に確保する道は、結局港湾労働者の労働条件の向上ということ以外にはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/106
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107・泊谷裕夫
○泊谷委員 これは労働省の大臣でなくて、担当の局長さんのほうからお答えをいただきたいのですが、横浜市立大学の柾幸雄助教授の著書によりますと、最近の重要港湾における荷役労務者、常用と日雇いの比率、横浜はおおむね四対六、神戸は二対八、大阪は三対七であるというのですが、これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/107
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108・有馬元治
○有馬政府委員 いま御指摘の数字は私どもの調査資料とは多少違っておりますが、たとえば横浜で申しますと、船内は四七%が日雇い、神戸で申しますと七〇・七%が日雇い、こういう状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/108
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109・泊谷裕夫
○泊谷委員 大体似通った数字を示しておると思うのでありますが、沖仲仕の問題で、この沖仲仕の仕事はもう私から申し上げるまでもなく超重労働で、危険性も高く、死亡率も鉱山に次ぐ災害率を出しておるというのでありますが、実態はどうか、なおそのけがした常用と日雇いの比率はどういうことになっておるか、これを明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/109
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110・村上茂利
○村上(茂)政府委員 港湾におきます災害の傾向を見ますると、災害の傾向を見ます一つの指標といたしまして、災害の強度率ないしは度数率といったような基準が用いられておりますが、御指摘のように港湾運送事業におきます災害はかなり高い発生状況を示しておりまして、度数率において、全産業が昭和三十八年は一三・七六でございましたが、港液運送事業におきましては五二・四五という非常に高い率を示しております。試みに建設業などにおいても災害は多いといわれておりますが、度数率は一七・七六という状況でございまして、港湾運送事業は、こういった資料を見ましても、鉱業に次ぎまして非常な高率の災害を示しているということに相なっております。常用と日雇いの区別による災害発生率、この資料はいま手元にございませんので、後刻検討いたしまして、御連絡申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/110
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111・泊谷裕夫
○泊谷委員 常用、日雇いのところの資料をお持ちでないそうでありますから、この場合私はいま柾助教授の取り上げました数字だけを申し上げて、御理解を賜わっておかなければいけないと思いますが、神奈川県が昭和三十八年、これは港湾安全協会で発表したものでございますけれども、常用災害度数率八〇・八二、それから日雇い災害度数率二五二・二二、これまた三倍の比率を示しております。特にこの法案審議の際に重要な点として労働省関係の皆さんは御記憶いただかなければならぬ数字だと思うのです。次に常用や技術者は見習い大工の日給よりも安いというのが現状の給与体系です。昔はそういうことではなしに、港湾荷役に携わっている沖仲仕の給与などというものは相当あり、またその日に使うという弊害もありましたけれども、相当高額に処遇されておったものでございますが、陸上で特に建設ブームが起きている際に、深夜荒天の海での作業を避けて転出していくということは、これは単にかけ声だけではとどまらないと思うのであります。六大港の常用の現在の賃金形態は大体五万円。ところがこの五万円は百時間以上の超過勤務が含まれている。しかも厚生設備、退職金なども他企業に比べてほとんど対比するものがない。こういう情勢の中で根本的に港湾荷役に携わる労務者を確保する、これに対する方策はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/111
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112・石田博英
○石田国務大臣 先ほども申しましたように、一般的にはその労働の質と量に見合うような労働条件の確保であると思います。それを目ざして本法案を提出いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/112
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113・泊谷裕夫
○泊谷委員 大臣のお話がありましたのを、具体的に業者にどういう指導をされるかということについてお尋ねをしたいのでありますが、これも次の答弁とあわせてお答えをいただきたいと思いますが、必然的に港湾荷役関係の諸料金の問題が取り上げられてくると思います。これは避けられない問題だと思うのでありますが、関連してこれは公共料金との関係からたいへん議論を呼ぶ問題だと思います。特にこれに関連して多くの被害を受ける者をながめてみますと、先ほど指摘いたしました中小荷役業者関係労働者、さらに地方自治体、私はこの三者が最も大きい被害者だと思うのであります。ちなみにこの仕組みというものをこの際申し上げて、大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思いますが、六大港で昭和三十七年に港湾収入が七百七十二億ありました。国の収入は、関税三百八十八億を含む五百十三億で、全体の六六・五%国の収入としてあげております。船舶関係収入、百十九億の一五・四%です。貨物収入、百十七億の一五二%に対し、船内荷役収入は十九億の二・五%にすぎません。しかもひどいのは地方行政に携わる管理者収入は四億、実に全体の〇・四%という数字になっておるわけであります。特定の港を取り上げて考えてみましても、神戸は、船内荷役収入四十五億で全体の六・二%にすぎません。管理者収入は七億の一%であります。神戸における船舶貨物関係収入の合計は、船主、業者、この合計は三百八十五億の五三・五%です。名古屋は船内荷役収入二十億で全体の一一%にすぎませんし、管理者収入は五億の二・九%の少額にあります。名古屋における船舶貨物関係収入合計は百二十二億で全体の六七%あるわけです。こうなってまいりますと、港湾の整備、港湾を取り巻く問題を国会で議論をする、これは一体だれのために審議をするか、私は疑問を持つのです。港を中心に、これだけ、国なり船主なりが収益をあげて、関係する港湾運送業に携わる者がわずか六・二あるいは一一・一というような数字であって、しかもこの料金問題で苦悩しなければならぬ。このことは、先ほど申し上げました喜多村氏も、この著書の中で取り上げておりますけれども、「労働力の不足が重大問題として憂慮されている現在、これが整備拡充について、上位企業はその責任の一端を負うことが必要と思われるが、港湾における構造的波動性から来る危険負担を、つぎつぎと段階リレー式に回避しているのが現状である。これでは港湾労働の雇傭の安定も、雇傭形態の近代化も、また質量ともに満足すべき労働力の維持確保は望むべくもない。」と訴えております。従来、大手筋の商社や船会社は、圧力を港湾関係の下請中小業者にかけて値下げを強要し、競争相手のこれらの業者は、さらにそれらのしわ寄せを現場に向けておるというこの、実態をどう改善されようとしておるのか、この点については、石田大臣と大久保政務次官からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/113
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114・石田博英
○石田国務大臣 そういうような御指摘の問題は十分あろうかと存じます。ただ関税というものをそういうほかの収入と同一の系列の中に置いて考えていいかどうかということは別問題でございますが、しかしながらそういう港湾の荷役がだんだん下請にしわ寄せされておるという状態をも含めて改善を要すべきものだと思いまするし、港湾荷役の現状の諸問題は、特に他のいろいろな点に波及するところが多いので、港湾調整会議等におきまして十分御検討願いたいと存じます。またもう一方、たとえば日本の港湾における荷役その他の費用は、カルカッタ等に比べてなお低いというようなことも聞いておりますので、そういう点についても、やはり日本の労働賃金その他の実情にふさわしいように改善していくべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/114
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115・大久保武雄
○大久保政府委員 港湾の料金に関連してくる場合におきまして、これをどうするかという問題につきましては、いま労働大臣からもお話がありましたが、日本の港湾運賃の国内及び国際的なあり方の問題でもございます。御承知のように、先般港湾料金を上げたのでございますから、いますぐにこれをどうするということではございませんけれども、将来にわたりまして適正なる改定でもする場合におきましては、ただいま泊谷さんから御指摘がありましたような、港湾において行なわれておる諸産業の実態というものも把握いたしまして、これを適正な料金に定めていきたいと考えております。それはまたある意味からいいますと、外国船に対しましては外貨収入の向上になりまするし、また日本船に対しましてはそれだけの負担がふえてまいりますので、その辺をあんばいいたしまして、適正なる港湾料金の定め方をいたしていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/115
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116・泊谷裕夫
○泊谷委員 先ほど關谷先生のお話によりますと、閣僚の一人として特に政治性の高い石田労働大臣というお話でありましたが、私の訴えたいのは、日本の財政が窮屈だということを認めたとしても、日本国民として法のもとに保護を受けておる者は、同じ負担をしいられておるのであればこれはわかると思うのでありますけれども、船主とかいま言いました業者が相当収入を持ち、そして国としても相当の収入を持って、全然収入の道を狭められております中小港湾諸企業、関係する労働者、地方自治体、これにだけその改善策を求めておることは政治として片手落ちではないか、この点を抜本的に検討いただくことを特にお願いしたいと思うのでありますが、これはまた時間をあらためてひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。大久保政務次官のほうは先日お尋ねをいたしましたのでよろしゅうございますけれども、特に石田労働大臣にその点を強く要請をしておきたいと思います。
時間の関係で具体的な問題に入ってお尋ねをいたします。
船内日雇い労働者の種類はずいぶんあるわけですね。まず神奈川にあります優先班からお尋ねをいたします。船内取り扱いの経験の技術を有して港湾労働に専従する人々を組編成して、具体的にはギャング編成といわれておりまして、ウインチマン、デッキマンを含む一作業単位の組でありますけれども、これは職安に登録になって、日々就労することになっておりますけれども、これは昭和三十一年十二月十五日に横浜港湾自由労組ができまして、その組合のしかけもすでに八十六組、千二百七十六名を登録されておりますが、これは俗称青空組といわれておる人々です。現在それぞれ各荷役会社にこの人々は専属をしております。何といわれようとも専属をしております。この組編成上、班長はその人員を確保するために、仕事を離れても、作業が終わっても、生活面までめんどうを見るしかけになっておるわけです。そうして働いておる人々に作業能率に見合って作業手当、つけ銭といっておりますが、これを出しております。したがって班長はAクラス、キーマンはBクラス、一般労務者はCクラスということになっておりますが、常時固定した会社にこの人々を職安を経由しておるものは、労働基準法二十条との関連はどういうことになりますか、あわせて二十一条、三十五条、三十六条、三十七条、三十九条の取り扱いを明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/116
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117・村上茂利
○村上(茂)政府委員 御指摘のように、いわゆる港湾荷役労働者といわれましても、その労働の形態が種々ございますことは御承知のとおりでございます。また一般的な形態といたしましては、いわゆる常用と臨時というような名称で呼ばれておる形態もあるということも御指摘のとおりであります。そういった作業の種類あるいは雇用契約の実質の違いというものが、ただいま御指摘の労働基準法第二十条以下の規定の適用関係とはどういう関係に置かれるかということでございますが、原則的には労働の実態によりましてこれらの条条の適用を考えるべきものでございます。あるいは先生の御指摘の中で一番問題視されますのは、たとえば単独労働として扱われておる作業形態といったようなものも含まれるかと存じますが、いずれにいたしましても名称とか契約の形式にとらわれることなく、実態的にこれを判断して、労働基準法二十条以下の規定の適用を行なっておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/117
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118・泊谷裕夫
○泊谷委員 それでは基準法二十条の解雇の予告、二十六条の休業手当、三十五条の休日付与、三十六条の時間外就労、それから三十七条の時間外割り増し、三十九条の次年有給休暇、これらは常時雇用されておる者と同じように扱われておると理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/118
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119・村上茂利
○村上(茂)政府委員 ただいま申しましたように、その労働の実態によりましてそれぞれの条章の適用を考えるべきものでありまして、ウインチマンがどうだとか、あるいははしけの運航に従事する労働者はどうだというように形式的に法の適用を考えるべきじゃない、労働の実態によってそれぞれ判断するものであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/119
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120・泊谷裕夫
○泊谷委員 大学の講義を聞いているのじゃない。労働法を教えるときはそれでいいのですよ。いま優先班の皆さんは何と言おうと職安を通じて特定の会社に常時雇用されて就労している。そこでこの法の適用はどうか、その部分について適用されるかどうかをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/120
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121・村上茂利
○村上(茂)政府委員 従来までの取り扱いの実情を申し上げますと、臨時日雇い的な扱いをしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/121
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122・泊谷裕夫
○泊谷委員 先ほどの答弁の中で、呼び方がどうであろうとも、実態としては労働省はかく考えて法の保護を預ける、こういう説明であったわけですが、これは実態と違いませんか、優先班の問題。であれば、往年ありましたAの会社からBの会社に移動を開始する、そのときを青空組と呼称した。いま泊谷なら泊谷という荷役会社に固定して、あなた方の、ほうであっせんして常時入れているのでしょう。それがこの法の適用をどうして受けないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/122
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123・村上茂利
○村上(茂)政府委員 いまの特定の企業に対する結びつき、労働契約関係の継続性の問題でございますが、一見そのような形をとりつつも、しばしば二つ以上の企業に雇用関係が移しかえられると申しますか、外形的には継続雇用のようでありますけれども、労働契約の関係から見ますと、二つ以上の会社と契約を締結し直すというような実態がかなりあるようでございますので、一がいにこの場合は常用労務者かあるいは臨時日雇いであるかということを断定するのは困難である。従来の扱いとしては日々雇用という形で扱ってまいっておるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/123
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124・松澤雄藏
○松澤委員長 泊谷君に申し上げますが、本合同会議がきょうの午前中になっておるので、午前中にあと一人やっておかないと、慣例として午後に質疑の継続ができないわけですから、そこのところを考えてやってください。あなたはもう三十五分過ぎています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/124
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125・泊谷裕夫
○泊谷委員 先ほどの答弁は、昭和四十年四月六日の社会労働、運輸の連合審査の答弁としてはやはり心残りになるでしょう。実態が違うから。だとするならば、もしあなたの言われるようなそういう話をされるならば、健康保険法十三条の二号、それから失業保険法三十八条の二、日雇い労働者との関連はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/125
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126・松澤雄藏
○松澤委員長 答弁は要領よく簡単にやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/126
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127・村上茂利
○村上(茂)政府委員 いまの御質問の趣旨がよくわからないのですが、日雇い失業保険の適用を受けるという形に相なっておりますことは、日雇い労働であることが前提になっておるかと思うのでございます。したがいまして、失業保険の適用が日雇いになっておる、日雇い失業保険という範疇で扱われておる、それと基準法の適用関係がギャップがあるじゃないか、こういう趣旨ではないのじゃないかと思いまして、私は御質問の趣旨をはかりかねまして、答弁が不明確になりまして恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/127
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128・泊谷裕夫
○泊谷委員 私にすると、これは労働省で一番答弁のできない、むずかしい問題だと思いますが、これは午後の社会労働委員会で先輩から少し詰めてもらいます。時間の関係で委員長からせかれておりますので、これはあなたのほうも勉強する余裕をつくって、現地のことを紹介してもらって、すっきりした見解を出してもらうことを要請しておきます。
その次の日雇いですね。先ほどの優先班も日雇いと呼称しているのですが、顔付日雇いと呼称しているのを御承知ですか。神戸、大阪では指名日雇いと言っておりますが、特定荷役会社に個人的な結びつきで専属就労するものですが、昭和三十八年七月以降、荷役会社より一カ月の指名雇用承認願を提出して長期紹介に切りかえておりますが、これもやはり日雇いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/128
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129・村上茂利
○村上(茂)政府委員 紹介の方式と雇用が現実に継続されたかどうかという、紹介と雇用の継続性というのは違った概念と私どもは承知いたしております。労働基準法の適用につきましては、紹介形式とは別に現実の労働の継続性によって法の適用を考えるということにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/129
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130・松澤雄藏
○松澤委員長 泊谷君、あとの継続がなくなってしまうのですよ。午前中という時間が、あとの野間千代三君の質問が継続がなくなりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/130
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131・泊谷裕夫
○泊谷委員 港湾労働の実態を承知してもらうために、ただ日雇いとあなた方が言われておりますが、優先班といって常時常雇いと変わらない仕事をしておる者、それからいま言った指名日雇い、このほかに一般日雇いがあるわけでありますが、さらに門前日雇いの問題がありますね。四種類ある。さっき久保委員が指摘いたしまして、運輸省としてはうちの免許した業者に関連ないというお話でありますけれども、これは職安を経由しないわけです。荷役会社の労務係、連絡係、手配係が、手配料を会社から出して、大阪の実態としては、どうしても人を確保するために、安藤組、南組、河村組、吉川組、ここの飯場の主任にその労務名の確保を依頼しておる。これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/131
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132・有馬元治
○有馬政府委員 いま御指摘のようなケースが俗に手配師といわれるものだと思いますが、今度の港湾法が施行になりますと、そういった手配師の介在する余地がなくなってくる、こういうふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/132
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133・松澤雄藏
○松澤委員長 もう時間がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/133
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134・泊谷裕夫
○泊谷委員 これで最後にしますから……。大臣にいまの部分のお答えをいただきたいのでありますけれども、飯場主任に人を集めることを委嘱しなければならぬようなことでありますから、一つの集団になったものが沖仲士のように荒海の中で深夜作業をやって手取りの賃金が少ない、おかのほうが建設ブームで賃金もいい、災害も少ないということになれば、集団で移動を開始し、港湾労働の労働力確保に最も大きな弊害を残すと思うのです。したがって門前雇用については、ほかのものを排除しても、何としても今回の法改正とあわせて大臣は廃止する意思を固められることが好ましいと思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/134
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135・石田博英
○石田国務大臣 現在のような状態では、御指摘のような傾向になってくるのはやむを得ないと思います。これを防止するために本法案を提出したのであります。したがって、元来初めからそういうやみ手配師みたいなものの存在は法で許してないのでありますが、しかしながらこの法律の制定運用によりまして、実際的にも介在する余地のないようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/135
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136・泊谷裕夫
○泊谷委員 今回出されました法案の実施期日あるいは適用範囲の拡大などをお尋ねしたいのですが、それは避けます。避けますが、一つだけ、イギリス主要港における調査委員会の報告の中で、これは日本でも採用したらいいじゃないかと思われるくだりがあるのでありますが、従来とは違って港湾を一つの経済的企業体として扱わなければならないと主張しておるのです。そのためには中央及び地方港に民間業者を中心としてこれに管理業者及び所管庁、学識経験者並びに労働者代表も加えて港湾経営委員会を設置し、当面港湾全体の経営問題について適切な措置をする、労働者の確保及び生活向上に努力する、適正な港湾作業料金を決定する、こういうことをさしてはどうかというふうに指摘をしておるのですが、このシステムをわが国としても採用してよいではないかと思うのですが、労働大臣並びに大久保政務次官のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/136
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137・石田博英
○石田国務大臣 それについて私は詳しい知識を持ちませんが、ただいま御発言になったような範囲におきましては検討すべき問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/137
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138・大久保武雄
○大久保政府委員 イギリスの港湾制度は、いろいろ先進国として組織を検討した立て方をとっておるようでございますが、わがほうといたしましては、今回港湾審議会に管理部会を設けまして、港湾管理に関する諸問題を討議することに相なりましたので、その部会等におきましてできるだけ御趣旨を生かしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/138
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139・泊谷裕夫
○泊谷委員 労働者代表は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/139
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140・大久保武雄
○大久保政府委員 ただいまのところ管理部会でございますから、管理者を中心として組織することに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/140
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141・松澤雄藏
○松澤委員長 野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/141
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142・野間千代三
○野間委員 初めに、時間がだいぶ迫っておりますので、たくさんありますが簡単にいたします。
一つは安定局長にお伺いしたいのですが、港の日雇い労働者の現在の段階がありまして、いまの泊谷君の質問がそれに関係があるのでありますが、一番日雇い労働者の中で日常大体港の仕事につけるという状態になっておるのがいま言われた優先班、これは班長に隷属して働いているわけです。その次がいわゆる顔付とか組付とかいわれているものです。その次がいわゆる日雇いといわれて、ここまでが大体登録をされておるわけです。ここまではぼくらも雇用上の問題はそう問題ではないと思うのです。ところがその一番最後に門前日雇いといわれている――私も横浜の出身ですが、二カ所ばかりのところで御承知のように門前雇用が行なわれているわけです。私は運送事業法そのものに職業安定法の違反的な傾向なり、あるいは基準法違反的な傾向があると思う。これは別の機会にいたしますけれども、そういう問題があるのであります。門前雇用という問題はこれはもう純然として職業安定法違反になる。当然ですね。実際にそうなっている。これから労働法制定をされていく次元においては明らかにこれはきちっと整理をする必要があるというふうに思います。この問題はどういうふうに考えて現在までおられ、これからどうされようとしているのか、まず最初にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/142
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143・有馬元治
○有馬政府委員 現在でも三十三年ごろから行政上の制度として登録制度をとっておりますが、いま御指摘のような門前日雇いの労働者は登録外になっております。それからまた、その労働君の紹介なりあるいは供給なりという実態が、やみ手配師という形で職安法上も違反の状態が実情としては出ておるわけでございますが、今度この港湾労働法を施行いたしますと、港湾労働に必要な日雇い労働力が全部登録されますので、いま御指摘のような門前日雇いというのですか、これらは必要労働力として安定所に登録されて、そして港湾専属に就労する、こういう体制になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/143
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144・野間千代三
○野間委員 それは労働法が施行される段階では、労働法にあるようになくなるわけです。これはわかります。しかし二年間という相当長い期間があるわけです。これは早くされるということをしておるわけですが、問題は、その準備期間中にまだそれが行なわれているところによくいわれる暴力の残党が介入してくる可能性が非常に強い。すでに入っているかもしれない。そういう状態があるわけです。いまのような状態のままで進んでまいりますと、この暴力の連中が港湾労働法が制定されるまでにいわゆる登録労働者になる可能性があると見なければならぬ。そこに暴力の存在が港湾へ恒常化する――いままでは興行その他におったものが、港のほうに恒常化するという危険性がありはしないかという心配がある。これはどうですか。
〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/144
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145・有馬元治
○有馬政府委員 暴力の介在が現行の制度では余地があるわけでございますが、今度この法律が施行になりますと、登録制度のもとに、安定所の一元的紹介のもとに日雇い労働者の職業紹介が行なわれますので、そういう意味の暴力の介在はなくなってくる。暴力は結局ピンはねとつながらなければ暴力にならないと思いますので制度的にはなくなってくる。それからまた、現在長年の慣行として残っているそういった実態をこの際制度的に打破するためにも、相当の準備期間をかけて慎重にやらなければならぬ、こういう考え方で進んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/145
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146・野間千代三
○野間委員 労働法が制定され実施される段階ではそういう危険性は私はないと思いますが、準備期間中に暴力の介入する余地がまだ非常にあるわけですね。現在すでに行なわれておるわけです。ですから門前雇用というものは、労働法が制定されなくても現在の法律ですでに違反ですね。ですから、それもどういうふうに取り締まっていって、そして労働法ができるまでの間に彼らは入ろうとしているのですから、いまのうちにこの問題は現行法における違反としてきちっと摘発するなり処置をしてきれいにしておいて労働法が制定されるというふうにしないと、労働法が制定されるまでにすでに介入が行なわれ確立をされて、労働法がせっかく制定されても暴力がそこに残り得るというようになりはしないかという心配がある。だから労働法が制定されるまでの準備段階はどうするのかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/146
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147・有馬元治
○有馬政府委員 これのやみ手配師の絶滅ということは非常にむずかしい問題でございまして、業者のほうもあるいは労働者の側――労働組合、われわれも一体となってこの介入を許さないような環境をつくることをまずしなければならないと思います。そういう準備をいたしまして新しい制度に移行していきたい。これに相当な時間がかかることは先生も御承知のとおりと思いますので、私どもも、法律が予定されておるから一気に手配師を現行法で撲滅するという気合いはいいのですが、相当の準備をしてかからないと、そう簡単にはできないというふうに、慎重な用意と覚悟で対処をしてまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/147
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148・野間千代三
○野間委員 御答弁としてはそういうことになろうと思うのですが、問題は先ほどから言われている港湾労働法の実施期間ですね、それが二年以内となっておりますが、慎重に準備をされることはけっこうなんだけれども、特にこの暴力の問題は、慎重に慎重にと扱っているうちが、いわば暴力の連中の介入をする期間なんですよ。だから、これは労働者ばかりじゃなくて、もちろん運輸省、あるいは特に警察関係の人たちの強力な協力が必要だと思うのですけれども、そういう体制を早期に確立をして、できるだけ早い機会に暴力が介入をするような実態をなくしていかなければならないというふうに思います。ですから、これはいまの局長の答弁で、答弁としてはそうなろうと思いますが、時間的に非常に急ぐというふうに存じますので、これはひとつ労働大臣あるいは警察関係の方々の一そうの御努力を願いたいということだけ申し上げておきます。
次に断続労働の問題なんですけれども、横浜の港ではたしか三十六年だったと思いますが、三十六年の十二月の二十一日を契機にして断続労働の申請を許可をしないというふうにして、今日では、形は労働基準法あるいは労使間の団体交渉に基づく労働慣行が行なわれているというふうに見ていいと思います。ただ問題は、あとでもありますけれども、それが確実に行なわれているという点についてはなかなか問題があるのです。まずそれはあとにして、先に、今日なお港で断続労働の許可が行なわれているところがあるのかないのかという点について、これは基準局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/148
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149・村上茂利
○村上(茂)政府委員 断続労働の問題は、港湾労働者の中で特にはしけ労働者についてございます。はしけ労働者につきまして労働基準法第四十一条の適用があるかどうかということでございます。従来、許可を与えておりますものは、横浜の例について見ますれば、百三事業場のうち十事業場について許可をいたしております。他の六大港の許可状況もわかっておりますが、他の港に比較いたしますと、許可の比率はきわめて低い比率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/149
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150・野間千代三
○野間委員 ほかの港は低いのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/150
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151・村上茂利
○村上(茂)政府委員 ほかの港のほうが、たとえば東京でございますと五十二事業場の中で三十一事業場許可しておる。比率は五九・六である。横浜の場合は九・七であるというふうになって、横浜の場合は低うございます。しかしながら、最近の港湾労働事情の変化という点も認められますので、昭和三十七年の六月でございますが、従来許可を与えておりましたものにつきまして再検討を行なった次第でございますけれども、特に許可を取り消す必要を認めたものはなかったということでございます。それがただいま申し上げました件数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/151
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152・野間千代三
○野間委員 そうしますと、このはしけ労働というのは、確かに長時間労働になっていると思いますが、断続労働、そうしますと横浜ではまだあるわけですね。百三事業場中十事業場は現在でもまだあるそうですね。そうして、四十一条の三号ですね、断続労働を許可した基準があると思うのです。考え方がこれはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/152
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153・村上茂利
○村上(茂)政府委員 一般に考えられますのは、手待ち時間と実際の労働時間の比率、手待ち時間がかなり長いというようなもの、あるいは作業の密度、それから精神の緊張の度合いといったふうな諸要素を総合的に判断いたしまして、たとえば踏切番でありますとか、いま御指摘のはしけの労働者といったものにつきまして、個別に検討して許可を与えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/153
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154・野間千代三
○野間委員 このはしけの労働の場合に、確かに手待ち時間は相当長いと思います。そこに断続労働に許可をする重要な点があったんだろうと思いますけれども、しかしその断続労働を許可をする場合には、いま局長の言われるように、ただ単に手持ち時間が長いというだけではいかぬと思うのです。そうして、はしけ労働の場合の手待ち時間には必ずしもぼんやり待っているというのはそうないと思います。大体があか落としをしたり、あるいはペンキの塗りかえをしたり、次の作業の準備をしたりというような、いろいろな雑用がはしけの中にはたくさんある。そういうものがずっと行なわれていて、そういう実際のはしけ労働が行なわれるというのがはしけ労働の実態ではないかというように思います。ですから、手待ち時間に何もしないという――手待ち時間いわゆる待機の姿勢だけではなくて、待機の姿勢の中にはそういういろいろなたくさんの仕事がある、実際の仕事があるというのがはしけ作業の実態ではないかというふうに思います。それともう一つは、ああいうはしけ労働のような場合には、労働の密度というのは、ある時限には相当濃いわけです。ある時限に非常に濃いというのが密度の実態ではないか、ですから十時間なら十時間でならしていけば、密度は低いが、そのうちの三時間なり五時間なりは非常に強いというのが実態ではないかというように思います。それから危険度あるいは注意力、緊張度、そういうものについても、これは言うまでもなく相当高いものがあるというふうに考えられるのですが、そういう事業がはしけ労働の実態ではないかというふうに思いますが、これがいまの御答弁でまいりますと、単に手待ち時間が相当長い、仕事の半分くらいあるというようなことが重点になって断続労働の認可が行なわれておるというふうに考えられますが、これは私は少し考えてもらったほうがいいのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/154
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155・村上茂利
○村上(茂)政府委員 いわゆるはしけ労働といわれるものの中には、ただいま先生が御指摘のような手待ち時間の間においても何らかの労働をしておるというようなものと、そういう作業が比較的少ないもといろいろあろうかと思うのでございます。したがいまして、はしけ労働全部について断続労働としてこれを例外的な扱いをするというようなことはいたしておるわけではございませんで、先ほども申しましたように、横浜ですと、百三事業場のあります中で幾つか申請が出てまいりますが、この参りましたものの中でその実態を個別に認定いたしまして許可をしたということになっておるわけでございます。したがいまして、私どもははしけ労働一般を概念的にとらえてどうこうするというのではなくて、申請があった個別のケースにつきまして手待ち時間と実労働の長さ、作業の密度等を総合的に勘案して許可をしておるということでございまして、単に手持ち時間と実労働の時間との比率だけを見るということではございません。先ほども申しましたように、時間は短くても作業の密度、精神の緊張度が非常に高いといったようなものもございます。このような問題は、たとえば踏切番というようなものについても断続労働の扱いをしておりますが、都市の中における電車の通過回数のひんぱんなものとひまのところがございますので、これは一がいにこういう数字で判断せずに、実態によって処理しておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/155
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156・野間千代三
○野間委員 これは個別に審査をしておるようですから、そういう意味ではいま言われたようなことであろうとは思いますが、たとえば大阪のような場合に、五十二業者のうち三十一業者が許可をされておるとなると、これは相当な効率になりますね。五九%になる。この辺はどうなんですか。大阪のような場合には相当雑貨といいますか、いろいろな港の状態が非常に複雑になっておると思いますが、そういう意味では相当密度が高いというふうに考えられますが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/156
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157・村上茂利
○村上(茂)政府委員 御承知のように東京、横浜、大阪、兵庫それぞれ港の事情が違いますので、単純にどの港が多くてどの港が少ないというふうな判断は困難であろうかと存じますが、許可した当時におきますはしけ労働の実態は、横浜と東京においてはかなり差があるというような傾向が認められるのではなかろうかと思うわけでございます。たまたま東京の場合は、五十二事業場のうち三十一事業場について許可を与えておる、こういう実績に相なっておりますが、そういった問題の背後には、港のそれぞれの事情があるという点を御了察いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/157
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158・野間千代三
○野間委員 これは三十七年の六月に再検討をされて、そのまま現在行なわれているわけですね。最近、いわれるように、非常に港の作業量が増大をしてきているという状態ですが、今後の方針についてはどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/158
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159・村上茂利
○村上(茂)政府委員 はしけ労働のみならず、港湾労働につきましては、先ほど泊谷先生も御指摘のように災害が多い、あるいは、労働時間についても違反が多く、最も問題のある業種でございます。したがいまして、労働基準監督の場合には、港湾荷役の労働は、労働基準監督の再重点にいたしております。少なくとも全事業場につきまして、一年の間には監督を全部実施する。また、申告監督と申しまして、労働者からいろいろな申し出がありました場合には、そのほか別に監督を行なうというふうにいたしまして、他の事業場に比しまして、港湾荷役関係は労働省といたしましても監督を密にしておる、こういう状況にございます。したがいまして、はしけ労働の断続労働であることの実態に変更がございますれば、労働基準監督署を通じましてその実態変更に即応したような指導を行なっていきたいと考えておる次第でございます。ただ、はしけ労働だけについていまどうこうするというようなことよりも、港湾労働の労働条件、基準法の適用問題全体を監督いたしておりますので、今後さらに、実態とこの許可とにギャップがございますれば、是正してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/159
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160・野間千代三
○野間委員 それはわかりました
それから、今度は、これは断続労働でない、許可をされていない業者の関係であろうと思いますが、横浜の監督署で定期的に検査をした状況の報告がありますけれども、三十八年の四月から三十九年の三月までの間の資料で見ると、船内、沿岸、あるいははしけ、回漕、検数、倉庫というふうに、業種別にそれぞれ五十七事業場を個別に調査をした結果が、労働時間の違反件数が十九、年少、女子等についてが四件、それから割り増し賃金の違反が三十一件というふうに上がっておりますのが、横浜の実情ですけれども、これはもちろん業者の内容等についてもよくわかりますから、なかなか違反件数がゼロになることが非常にむずかしい問題は実態としてはあろうと思うのでありますけれども、これは一横浜ばかりでなく、多くの港において、こういう違反件数が行なわれているのじゃないかというふうに思います。そうなってまいりますと、違反件数は当然摘発をされる。これは定期的な検査でこう出ておるのですから、不定期の検査が行なわれれば相当な膨大な数になると思います。むしろ日常違反が行なわれているのが実態じゃないかというふうに思うのです。したがって、そう考えてみますと、反面、逆を見てみると、こういう実態であるので、断続労働の許可をもらっておかないと都合が悪いというふうなことに、結果的にはなる可能性もあるというふうに思われるのですが、これは断続労働の問題を審査をするときにはどういう手続で行なわれるのですか、許可をする場合にはどういう手続がされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/160
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161・村上茂利
○村上(茂)政府委員 御承知のように、労働基準法第四十一条第三号の規定に該当するかどうかという問題でございますが、その申請手続は、労働基準法施行規則の策三十四条で定めております手続によって申請を行なうわけでございます。ただ、長時間労働にわたっておるので、そのために監視、断続労働によって抜け穴と申しますか、抜け道を考えておるのじゃないかという問題につきましては、問題の性質は、労働基準法で定めました法定時間をこえます場合には、三十六条の規定によりまして三六協定を結ばなければいかぬという問題に引っかかってまいりまして、断続労働であるかいなかという判断の問題と労働時間延長の問題とはおのずからこれは別でございますので、私どもは直ちに相互の関連性を肯定しかねると思うのでございます。ただ、労働時間の問題については違反がかなりございます。御指摘のように、全体の約四割ぐらいが、港湾労働全体について基準法違反があるという現状でございますので、先ほど申しましたように、監督をこの港湾労働については特に重点的に実施しているというような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/161
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162・野間千代三
○野間委員 時間がないようですから急ぐので、別の機会にまた伺っておきたいと思いますが、ただ、問題は、いま言われた書面の審査で行なわれるわけでしょう。書面申請があって、それを書面の上で審査をして許可するわけですかどうですか。実態を調査されるかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/162
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163・村上茂利
○村上(茂)政府委員 断続労働につきましては、すべて個別に実態を調査した上で許可をするということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/163
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164・野間千代三
○野間委員 それでは、それはなかなかたいへんなことだろうと思いますが、ぜひ今後も強めてやっていただくことと、それから、やはり私は、これは港のはしけ労働が断続労働の主たるものですけれども、特に先ほど言いましたように、密度の問題や危険度の問題あるいは精神の緊張度の問題等、手待ち時間以外の要素ですね、そういう要素が相当港の労働というのは強いと思うのです。これははしけ労働もそうですね。そういう意味ですから、これはできるだけ厳格に実態調査をされて――これはおたくのほうで出していらっしゃる基収六千三百十一号の本旨は、やはり労働力の保全に支障がないようにということが本旨だろうと思います。ですから、できるだけ厳格な考えを持って許可するものは許可をする、できるだけ許可をしないことを方針としてやっていくべきじゃないかというふうに思いますので、それは注文として念を押しておきます。
それから、次の問題として、当然この違反件数が、定期検査でこれくらい出るのですから、いま局長もお認めのように、相当違反件数がたくさん出てくると思う。特に労働時間、割り増し賃金では出てきておると思いますけれども、これは違反が摘発をされたあとどのような監督が実態として行なわれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/164
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165・村上茂利
○村上(茂)政府委員 違反の事実を認めました際は、悪質な者はもちろん直ちに送検いたしますが、通常の行政指導といたしましては、まずその是正につきまして、是正する方法の具体的な態様、計画等を出させます。そうして一定期間を置きましたらさらに監督に参りまして、それが実行されているかいないかということをさらに確認をいたします。それでさらに違反がございますれば念書を取る。さらに違反があれば送検をするという形で指導いたしておるような次第でございます。
〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/165
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166・野間千代三
○野間委員 実はその問題についてこれは労働大臣にお願いがあるのですが、横浜の労働基準監督署――これは労働基準監督署の味方をするわけなんですけれども、横浜の港を、これは南監督事務所がやるわけですね。そこの港湾関係は、係長が一名、課員が一名、それがいま局長の答えられておることをやるわけですね。ですから、これはすべての港がその程度であろうと思いますけれども、これは労働法制定の準備段階として相当大きな問題になると思うのですね。そうして私は、これは業者を痛めるのじゃなくて、労働者が正確に使われ、そうして生活が安定をする、そういうふうにするために、やはり今度は、運輸省のほうで業者に対する政策的な援助なり指導なりをして業者の育成をする、その両方が相まって、港の労働問題が解決をしていくというものであろうというふうに思います。そういう意味で、これは別に頼まれたわけじゃないのですけれども、労働基準監督署等のそういう体制について、今後どういうふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/166
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167・石田博英
○石田国務大臣 全体といたしまして基準監督署の要員は非常に不足でございますので、本年度の予算には相当数の増員を見込んで承認を得てございます。ただいま御指摘のような事案、特に御質問の応答を承っておりますと、なかなかたいへんな仕事を二名ないし三名でやらせるというのは無理でありますので、増員された分の重点的な配置において具体的に十分処置をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/167
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168・野間千代三
○野間委員 もう一つは、いま言った二名の係長と課員の力は――ちょうど私が実はほかの用事で行ったことがあるのです。そのときに、工場で事故が起きた。港でなくて町の工場で事故が起きた。その工場の事故の調査に港の関係の二名の方が出払っているわけです。これが監督署あるいは事務所の実態ですから、これはひとつ頭に入れておいてもらいたいと思います。
時間がないので、ほかに問題がありますがまた別の機会にいたすことにいたしますが、最後に、ちょうど關谷さんがいらっしゃらないので残念なんですが、この定数を策定するということはきわめて重要なことであると同時に、それが港の労働関係を安定する措置ですね。それは非常な準備時間がかかるのだけれども、一つの資料を見ますと、この日雇い労働――先ほど申しましたように純然たる日雇いですね。日雇い労働者の混合の割合が災害とそれから能率にどういう影響があるかということを調べた資料がありますので、これは關谷先生にぜひ聞いていただきたいと思ったけれども、日雇い労働者の混合率が七〇%の場合、災害の発生度数が二五〇というふうに出ております。その場合の一人一日当たりの取り扱いトン数は八・八トン。これが日雇い労働者の混合率が四四%になったときの災害発生度数率は一六三であります。約半分ですね。そうして一人一日当たりの取り扱いトン数は十・六トン。ですからこれは明らかに常雇い、そして常雇いに次ぐ日常使われておる日雇い労働者、登録労働者ですね、そういうものが主として作業を行なった場合の能率にいかに影響を与えるか、災害が少なくなるかということがはっきりしていると思います。ですから私は、三・三答申にあらわれておることも実はそれをいっていると思うのです。そういう意味でぜひできるだけすみやかに、定数の策定というきわめて困難な作業ではあろうと思いますけれども、久保さんの言われるように、すでに港のほうでは私が申しましたように各階層ができておりまして、その階層の中ですでにある程度の恒常化が行なわれております。登録労働者、日雇い労働者のうちで恒常的に使われているのが実態です。それは統計で明らかに出ると思います。ですから、そうむずかしい話をしなくても定数を策定することはそう困難ではないというふうに思います。これは運輸省のほうでもぜひ協力をしていただいて――業界のほうで確かに問題があるというふうに見ますが、しかし業界のほうでもいま言ったような実態ですから、日雇い労働者を混合することが必ずしも業界の発展にならぬと思います。ですからそういう両々相まった考え方ですみやかに定数の策定をして、この十何年も待っていた港湾労働法ができるだけすみやかに実施をされるように心から希望します。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/168
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169・松澤雄藏
○松澤委員長 これにて社会労働委員会運輸委員会連合審査会は終了いたしましたので、散会いたします。
午後雰時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804421X00119650406/169
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