1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年二月十六日(火曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 田中 龍夫君 理事 早稻田柳右エ門君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
稻村左近四郎君 浦野 幸男君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
海部 俊樹君 佐々木秀世君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 長谷川四郎君
古川 丈吉君 三原 朝雄君
石野 久男君 五島 虎雄君
桜井 茂尚君 島口重次郎君
田中 武夫君 山崎 始男君
麻生 良方君 山下 榮二君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局長) 竹中喜満太君
外務事務官
(経済局長) 中山 賀博君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(大臣官房長) 熊谷 典文君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国際金融局投
資第二課長) 熊田淳一郎君
専 門 員 渡邊 一俊君
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二月十二日
委員石野久男君辞任につき、その補欠として中
井徳次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員中井徳次郎君辞任につき、その補欠として
石野久男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
委員村上勇君辞任につき、その補欠として稻村
左近四郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員稻村左近四郎君辞任につき、その補欠とし
て村上勇君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇
号)
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第六一号)
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
去る十日に付託になりました内閣提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/1
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002・内田常雄
○内田委員長 まず、総理府総務長官より趣旨の説明を聴取することにいたします。総理府総務長官臼井莊一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/2
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003・臼井莊一
○臼井政府委員 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
本改正案は、最近における会社規模の拡大に伴い、会社の株式保有及び役員兼任に関する規定を整備するとともに、公正取引委員会の事務局の機構を拡充し、定員を増加しようとするものであり、その内容は、第一に、金融業以外の事業を営む国内の会社で、その総資産が一億円をこえるものについて、株式所有報告書の提出義務を課しているのを、総資産五億円をこえるものに改め、第二に、会社の役員または従業員が、その会社と競争関係にある国内の会社の役員の地位を兼ねた場合、これらの会社のうちいずれか一つの会社の総資産が一億円をこえるとき、役員兼任の届け出の義務を課しているのを、総資産五億円をこえるときに改め、第三に、公正取引委員会事務局の地方支分部局として新たに仙台地方事務所を設置し、第四に、公正取引委員会事務局の定員二百六十六人を二百七十七人に改めようとするものであります。
これらは、経済の進展に伴う会社の規模の拡大に対応して、中小規模の企業についてまで株式所有報告書等の提出義務を課することの煩を避けるためと、第四十六回国会において私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律を成立させていただきました際の附帯決議の趣旨を尊重し、公正取引委員会の業務の重要性にかんがみ、公正取引委員会の事務局の機構を拡充整備することにより、物価対策、中小企業対策、消費者行政等の充実をはかろうとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/3
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004・内田常雄
○内田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/4
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005・内田常雄
○内田委員長 次に、去る十一日、本委員会に付託になりました内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/5
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006・内田常雄
○内田委員長 通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することといたします。櫻内通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/6
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007・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
政府におきましては、わが国経済において中小企業が占める地位の重要性にかんがみまして、従来より、その近代化の推進につとめてきたところであります。その施策の一環として三八年度より中小企業高度化資金貸し付け制度を設け、中小企業者が行なう工場、店舗の集団化、事業の共同化を強力に助成することとしてまいりました。しかしながら、工場または店舗の集団化等を行なうことは、中小企業者にとってきわめて大きな事業であり、その資金繰りはきわめて困難な状況にありますので、これを緩和し、工場、店舗の集団化等を一そう推進するため、中小企業高度化資金の償還期間を延長するとともに、あわせて中小企業者のほかに、工場または店舗の集団化に参加する企業組合を当該資金の貸し付け対象に加えることが必要であります。また産業公害防止の見地から中小企業者の公害処理施設の設置を促進する必要があり、そのため中小企業高度化資金及び中小企業設備近代化資金のうち汚水処理施設またはばい煙処理施設にかかる貸し付け金の償還期間を延長する必要があると考えまして、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、本改正法案の内容につきまして、その概略を申し上げます。
第一は、工場または店舗集団化資金の貸し付け対象として、中小企業者のほかに企業組合を加えることとしたことであります。
第二は、中小企業高度化資金の償還期間を五年から七年に、中小企業高度化資金及び中小企業設備近代化資金のうち汚水処理施設またはばい煙処理施設にかかる貸し付け金の償還期間を七年から九年に延長ずることとしたことであります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/7
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008・内田常雄
○内田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/8
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009・内田常雄
○内田委員長 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件につきまして調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許可いたします。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/9
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010・石野久男
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、新聞によりますと、昨日、最高輸出会議が持たれたようでございます。そこでは非常に総理も景気のいい演説をされておるようでありますし、また通産大臣も非常に前向きの姿勢のお話をなさっているようでございます。総理が、百億ドル台の輸出はきわめて近い時期に可能だというような趣旨の話をしておりましたが、百億台の輸出を可能にするための通産大臣の貿易体制に対する構想、特にどういう点を注意なさるか、そういう点でひとつ御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/10
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011・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 総理が百億ドルという積極的な御意見が述べられたのでありますが、たいへん大ワクな話でございまして、とっさに具体的にその裏づけを申し上げかねると思いますが、概略して申し上げますと、最近における国際環境はなかなかむずかしい点があろうかと思うのであります。しかし努力次第では相当伸びる要素を持っておるという見解に立っておるわけでございます。たとえば先進国との関係につきまして、昨年四月以降開放経済下に日本の経済も置かれたわけでございますが、先進国の仲間入りをいたしまして、これらの諸国との貿易関係を見ますと、著しい制限を受けておる。三十五条の援用を受けておるとか、セーフガードが設けられておるとか、対日輸入制限が行なわれておるとか、また自主規制があるとかというようなことでございます。先述国の仲間入りをした同じ立場に立つ以上におきましては、これらの障害を腹蔵なく話し合って打開をしていくということによりまして、相当改善ができるのではないかと思います。また共産圏関係につきましては、昨年の暮れまでの中共貿易の鉄鋼やあるいは肥料の協定の成立をごらんいただきましても、また最近における対ソ貿易の交渉における六五年の三億五千万ドルの協定ができた事情、そういうような共産圏の関係を見ますときに、最近中共との関係については問題がございますが、しかし過去における推移を見ていきますときに、明るい面が相当あろうかと思うのであります。また後進国関係についても、国連貿易開発会議における、今後先進国が後進国に対して国民所程の一%の援助を与えていく、こうして後進国に力をつけていくということになりますと、日本の周囲はほとんどすべてが後進国の関係にあるということになってまいりますと、力のついた後進国との貿易関係は日本に有利ではないか。もちろん国際情勢のきびしさは他面たくさんございます。ありますが、いま申し上げたような見地から、日本の努力次第によって貿易の発展が望み得られるのではないか、かように観察をする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/11
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012・石野久男
○石野委員 三十九年度の貿易は、最初の計画を上回って約七十億ドルぐらいに乗せるだろうというような見通しもあるようですから、これはけっこうなことだと思うのです。しかし、四十年度における貿易、必ずしも三十九年度がそうだったからというような情勢ではなかろうかと思います。いま大臣からお話のありました、各地域における貿易額増加に対しては日本の努力次第だ、こういうお話でございますが、ただ努力さえすればどこへでも大手を振って伸びていくものでもなかろうと思います。百億ドルを目ざしておる貿易額の増大ということになれば、貿易の姿勢としての立ち向かう重点指向の地域があろうかと思うのです。特に今後は日本はどういうところを重点指向していかなければならぬか、こういう問題について大臣に所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/12
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013・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 特にこの地域が大幅に伸びるんだ、こういうような見方をしておりません。ただいま申し上げたような、大づかみに申し上げまして、アメリカ、カナダの関係はどうか、豪州の関係はどうか、あるいはヨーロッパ諸国はどうかとか、共産圏諸国はどうかとか、東南アジア諸国はどう、アフリカ諸国はどうというように、それぞれの地域をいつでも努力をすべきではないか。どこに重点というわけではないと思います。ただ、若干その間に観測を入れますと、豪州などは相当伸びるのではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/13
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014・石野久男
○石野委員 大臣としてどこを重く見、どこを軽く見るというようなことは、それはなかなか言えないことかと思いますけれども、しかし実績から見て、傾向はおのずから出てきていると思うのです。本年度、三十九年度におけるところの貿易の状況から見ても、非常にいい場と、それから案外に思ったほどの伸びをしてないところとか、おのずからあると思います。そういうことなど勘案して、具体的に地域に対する通産行政上の指導方向というものがなかったならば、一般の業界としても、あるいはまた全体としての経済外交、貿易という問題でのめどというものはつきにくいのじゃないか。また、どこでもまんべんなくやっていいだけの力が日本に必らずしもあるとは言えないと私は思うのです。今日の日本の経済力からすれば、やはりできる限り労少なくして功の多い方向を求めないと、将来に対する計を誤るのじゃないか、こう思うので、そういう点を含めてざっくばらんな話を聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/14
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015・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 伸び率につきましては通商局長から一応の見解を述べてもらうことにいたしますが、これは御参考まででございますが、大体の輸出地域の構成比は手元に資料がございますので大まかに申し上げますと、東南アジアが六三年二九・五%であります。それから西ヨーロッパが一三・一%であります。北アメリカが二九・九%であります。これらのパーセンテージが大きいほうでございまして、アフリカが八・七、共産圏は四・六、こういうような輸出地域の構成になっておりますので、御参考までに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/15
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016・山本重信
○山本(重)政府委員 先ほど百億ドル輸出ということについてお話がございましたが、過去十年くらいの日本の輸出の伸びを見てみますと、平均いたしまして毎年一五%程度伸びております。今後かりに一二%前後——若干輸出の伸びが鈍化することも覚悟しなければならない点もございますので、一二%くらいの伸びでまいりますと、昭和四十三年ごろには、いわゆる百億ドルという目標に大体まいるのではないかというふうに考えております。
それから地域別の輸出比率でございますが、やや長期的に見まして、過去十年くらいの動向を見てみますと、輸出の中で占める比率が比較的顕著に伸びてまいっておりますものは、北アメリカと西ヨーロッパと共産圏でございます。数字を申し上げますと、一九五四年の市場構成比率は北米が一八%でありましたのが、一九六四年、昨年の一月から十一月までの統計で見ますと三〇%になっております。それから西ヨーロッパが五四年の八%から二二%にふえております。それから共産圏は五四年が一・五%でございましたが、六四年は五・七%、約六%になっております。これに対しまして、やや停滞ぎみといいますか、量としては非常にふえておるんでありますけれども、全体の中での伸び率がやや低いのが東南アジアでございまして、五四年当時は四三%という大きな比重を占めておりましたのが、ただいま二六%程度になっております。それからなお、三十九年度の見込みを試算をいたしておりますが、それによりますと、全体の伸び率が二二%程度でございますが、その中で特に大きな伸び率を示しておりますのは、率の大きいほうから申し上げますと、共産圏が約五五%程度、それから大洋州が四八%、中南米が四一%、アフリカが二五%、北米が二四%、西欧が二一%、アジアが低くて八・六%、こういうふうになっております。ただ、これは一年だけとりますと、いろいろそのときの偶然の事情等もございますので、やや長期的に見たほうが正しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/16
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017・石野久男
○石野委員 いろいろと年とともに情勢も変わってまいりますが、その中には、特に最近、国際的に輸出競争が非常に激しくなってきているという要素が大きく出てきておると思うのです。特に北米とかあるいは西欧諸国においてそういう傾向が強く出てきているように見受けられます。われわれがそう見ておるように通産省も見ておるんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/17
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018・山本重信
○山本(重)政府委員 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/18
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019・石野久男
○石野委員 東南アジアが、三十九年度は必ずしもかんばしくないように見受けられますが、それはどういうような理由からきておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/19
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020・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 東南アジア諸国はやはり購買力が乏しいと思うのであります。日本との関係で片貿易になっております。片貿易となっておりますが、さらに売り込みたい、こういう場合でも、相手国にドルなりポンドなりがない。また、日本のほうが買いつける品物がございません。御承知のように、これらの諸国からは一次産品を主として買うのでありますけれども、これらの品物が、日本農業に対する影響なども考えますと、あまり、自由にも買えないというようなことになりますから、相手国が片貿易の是正を強く望みますけれども、それがなかなか改善もできないし、また、一方的に売り込むにいたしましても、それだけの力が不足しておるというようなことで、先ほど局長の一言われるように、東南アジアの貿易の比率というものがだいぶ下がってきておる、かように観測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/20
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021・石野久男
○石野委員 北米の貿易の伸びという問題では、カナダもありますけれども、アメリカの場合には非常に大きい率を占める。で、アメリカの現在の実情、特に本年から来年度、四十年度の四月一日以降のものをずっと考えますと、まだまだきびしい状況が続くんじゃないだろうか。ドルを防衛するという意味での問題が非常に重要なファクターになっているだろう、こう思います。そうなってまいりますると、年々歳々貿易量をふやしていくという面で見ました場合に、必ずしもそこに大きな伸び率を考えるということは非常に無理なんじゃなかろうかというような予測を私はするわけです。その反面、先ほど大臣からも話のあったように、共産圏等の貿易は非常に伸びている。また、これからも伸びる幅が非常にあるんだ、こういうように見ていいんじゃないか、こういうふうにわれわれ見るのですが、こういう見方は非常に間違っておるんであろうか、どうであろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/21
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022・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 御指摘のように、確かに北アメリカの関係について、六二年、六三年、六四年と、先ほど申し上げた輸出地域の構成比からいいますと、大体地域的に見ては横ばいにいっておると思います。五四年に比較しては六四年が大きく伸びておりますが、最近の二、三年を見ますと、構成比は大体横ばいになっておると思います。ところで、共産圏の関係でございますが、確かにお話しのように伸びる要素は私はあると思います。しかし、先般の日ソ間の貿易協定をごらんいただきましても、相当貿易交渉の上に話を詰めて協定を結ぶ、こういうようなことで、自由に開拓をしていく、自由に売り込んでいくという要素が非常に多いかというと、必ずしもそうではないと思うのであります。ソ連側としても、日本との貿易があまりへんぱにならないように、国家管理的な要素を持っての交渉でございますから、自由主義諸国間のように、日本側が、商社がどんどん進出していって自由にやり得るかというと、その点は少しくニュアンスが違うのじゃないか、かように思います。なお、中共関係につきましては、御承知のようないろいろな困難な条件がございます。しかし、これは最近における日中貿易の状況からいたしますと、ある程度伸びておるということも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/22
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023・石野久男
○石野委員 私は、共産圏貿易の問題について今後日本のとる態度というものは非常に需要だと思うのです。共産圏貿易を伸ばそうとするについては、いま大臣が言われたように、たとえばソ連の場合に個々の自由な契約というものが非常にむずかしいのだという事情も一面よくわかります。しかし、これはその国の政治体制なりあるいは貿易の姿勢というものとの十二分なかみ合わせがありませんと、大臣の言うようなそういう形になってくるのじゃないかと思います。たとえばもしソ連貿易において、ゴスプランの中に日本の貿易とタイアップする姿勢が出てきたとすれば、これは年次計画の中で非常に大きいものになってくるだろうと思います。しかし、そういうものには全然関係しないで、ただ富士のすそ野のばらばらと落ちてきた石ころのようなところだけ拾っていくということになると、なかなか貿易の総額をふやそうとしても無理だろう、こう思うのです。これは自出主義諸国におけるところの貿易と共産圏貿易との考え方、姿勢の問題があると思います。こういうことは、私ども観念的にそういうふうに思っているだけじゃなくして、貿易の実態からしてそういうことが言えるのだ、こういうように私は思うわけなんですが、こういう対共産圏貿易に対するものの見方というものは片寄っているのだろうか、間違っているのだろうか、この点、ひとつ政府の御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/23
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024・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 通商局長から、ソ連などの接触をしておるいろいろな実情は、お話を申し上げさせたいと思います。
日ソ間の貿易交渉におきましては、あらゆる角度から現に努力をしておるということは間違いのないところでございます。そこに何か特に政治的な配慮をしておるかというと、そうでございません。相互に忌憚のない意見の交換をしながら進めております。現に昨年ミコヤン副首相が参りまして、三億五千万ドルの引き合いを出してきた。これに対して、日本としては相当前向きに交渉に参加しておると思うのであります。ただ多少考慮をしておるといえば、西欧並みに延べ払いをしていこう、こういうことでございます。これは商売としていたずらに日本だけが特別の条件で売り込んでいく、こういうことは、結局は自分の首を絞めるようなことになりはしないか、おのずからそこに節度が必要ではないかというようなことで、延べ払いなどについては西欧並みでいこうというような方針は持っております。しかし、これはあくまでも商売上の節度ということから考えておるのでありまして、特別な意味はございません。
なお、その他のこまかい点については局長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/24
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025・山本重信
○山本(重)政府委員 日ソ貿易につきましては、ほかの場合とは違いまして、ただいま三カ年協定をやっておりまして、その協定に基づいて毎年品目表の作成をいたしております。これはおそらく計画経済をやっておりますソ連にとっては、あらかじめ一つの目標を立てて計画的に貿易をするという必要から、向こうとしても適当ということで始まったものと思います。ただいまの三年協定がことしで終わるわけでございまして、ソ連のほうからは、来年以降その協定をつくり直します場合に、三年でなく五年にしたいという内々の意向もございますが、おそらく貿易をより計画的に長期的にやろうということから出ておるのであろうかと思います。そうした事情は、私たちのほうでも十分に了解できますので、できるだけそういう希望に沿って話し合いを進めようという基本的な考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/25
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026・石野久男
○石野委員 いずれにしても向こうは計画経済でいくのですから、こちらもそれにウマを合わせていかなければ話はうまくいかないだろう、こう思います。中共やソ連の場合については、従来、実績をあげておるし、その効果もあがってきておることはよくわかるのですが、同じ共産圏でも中国の場合は、三十九年度の伸び率というものは非常にいい結果が出ておる。そしてまた戦争前の日本の貿易の示した実績を見ましても、今後の日本は、中国との貿易というものを非常に重視しなければいかぬということと考え合わせまして、私は三十九年度の貿易の伸びが非常にいいということは喜ばしいことだ、こう思っております。こういう傾向はどんどんと助長させ、それを育てていくようにしなければいけない。だからこま業界でもその努力を真剣にしているし、また自民党では松村氏などを先頭とするLT貿易への努力もし、それが具体的な成果をあげてきておる。ところが、先般来問題になっているプラント輸出の問題には、最近いろいろな障害が出てきたわけです。昨日私は予算委員会の席上で、大臣に、特に中国へのプラント輸出の問題についての質問をいたしました。そのとき大臣は、この問題については、業者が自己の努力で解決できるものだというように見ておる、こういうお話でありました。私は、昨日の予算委員会で私の尋ねたいことがほかにございましたので、ただ大臣の話を聞きっぱなしにしたのですが、きょうは、企業者の努力でこの問題の解決ができるとおっしゃった大臣の真意は那辺にあるのか。私は率直に申しまして、今日の段階では、それはとても無理だ、これはもっと政府が積極的に考えて、同時に、やはり佐藤総理が吉田書簡に対して、それの拘束は受けにやなるまいと言ったことについても、ここでは真剣に再考しなければならぬという時期にきておる、こういうように思うのです。通産大臣、昨日の答弁に関連して、ひとつ業者努力でこれが解決していける、こう言われる趣旨は那辺にあるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/26
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027・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 中共貿易につきましては、いつも同じことを繰り返して言うわけでありますが、政経分離、民間ベース、こういうたてまえをとっておるのであります。この民間ベースというたてまえで、かりに私がニチボーなり日立造船の立場で考えてみますと、これは民間ベースだ、そうであれば、私自身が諸情勢を勘案しながら、この契約はそろばんに合っておるのかどうかというような判断をしていくべきだと思うのであります。その場合に、どうもそろばんが悪い、そろばんが悪いが、たとえばシンジケートでやってくれるならば、この程度のそろばんにはなっていく、要するに民間ベースですから、それぞれの企業者が、いまの情勢上は、みずからの判断で、どうもこの輸銀ベースは使えそうもない、しかしこういう方法でやればいけるのだということでどんどん企業努力でやれる、あるいは必要な筋には持ち込む、こういうことによって打開ができるのじゃないか。それからまた具体的に申しまして、契約はした、頭金がある、頭金である期間つないでいく、この間にまた新たなる情勢というようなことが、場合によるとできてくることもありましょうし、あるいは一応この商談では終局的にはそろばんが合わないのだ、しかしそのそろばんが合わないという犠牲を払っておるということが、将来における自己の商売の範囲を確保できるとか、私自身が民間ベースの企業者の立場になりますれば、いろいろそこに言われぬ妙味がある、こう思うのであります。そういうようなことについて申し上げておるのでありますが、要は、この時点においては頭金などでつないでいける、だから現在問題になっておるような輸銀ベースのことなどについては、いろいろなその後の情勢を考えていけるのじゃないか、これは企業者のほうの立場で、私はさように観察をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/27
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028・石野久男
○石野委員 いま大臣は、頭金でつないでいる間に何か新しい情勢が出てくるだろうというところに含みを持たしておると思うのです。しかし私は、大臣にもよく考えてもらいたいと思いますことは、この中国貿易の問題は、戦後約二十年にわたって民間で努力してまいりました。その間いろいろな障害もありましたけれども、今日政府間の交渉ができないままにLT貿易というような形のものができておるわけです。しかもその努力が、今度吉田書簡が「拘束性がある」ということを言ったことによってぶちこわれてきつつあるわけです。民間でせっかく積み上げたものがぶちこわれてきておる。たとえば昨日の新聞の報ずるところによりますと、東洋エンジニアリングの尿素プラントの輸出は、中国から破棄の申し入れがきていますね。この分はもう英国にとられているわけですよ。大臣のおっしゃる、各企業家がせっせと努力すればその成果はあがってくるものだ、そしてそれはまた将来に対して非常に妙味があるものだということは過去においては言えた。しかし、いまは自由主義諸国でもそんなことは言えないんですよ。きのうかおとといの朝のラジオで、日産自動車の川又さんがこう言っておった。われわれが一生懸命努力して市場を開拓する、だけれどもあとからきた人がそれを食ってしまうので困るのだ、こんなことは何とかやめてもらわなければいかぬのだ、日本の業者間でもこんなことをやっているのだ、だから妙味もくそもない、一生懸命努力しておるのに、あとから行ったものに条件よく食われてしまうものだから努力した効果がないということを川又さん自身が言っておる。ましてや中国との関係では、相手方が断わってきたら幾ら努力してもだめだ。ニチボーにしても日立造船にしても、どこにしても、こういうような努力がみんなむだになってしまうということは情けないことです。東洋エンジニアリングの尿素プラントはとうとうイギリスにとられてしまった、こういう結果が明確に新聞に出ている。だから、いまはこうあれば望ましいとかなんとかいっている時期じゃないと思う。廖承志氏は、吉田書簡に拘泥している以上はもう話に乗りませんよということをはっきり言っているじゃないですか。陳毅外相は何と言っていますか。日本にたよらなくても中国の建設はやれますよ、こう言っていますよ。だから、政経分離ということを日本は言っているけれども、中国は承知しない、向こうはそうはとっていないんですよ。相手側がそれをとっていないというのに、こちらは政経分離だ、政経分離だと言っておって、しかも民間の側の努力によってようやくつないできたものまでもぶちこわしてしまうということになると、とんでもないことになる。これはむしろ、政経分離だと言っていながら、貿易に対する民間の努力を政治でぶちこわしているのではないですか。こういう政府の態度で、はたして共産圏に対する貿易の拡大が望めるだろうか、私は非常に心配なんです。だからそういう意味で、なぜいま吉田書簡というものがこんなに政府を拘束しなければならぬのか、またそれが日本の将来のためにいいのかどうか、この点についてもう少しはっきりした政府の態度があってよかるべきだ。政府の貿易政策にはいわゆる自主性がないんだ。政府の妨害はあったが、民間業者たちが中共に対していろんな話を進めた。何がしかの前進が出たところで、台湾から文句が出たというので、それをひっくり返してしまった。そして吉田書簡という形になって出たでしょう。形になったけれども、橋本官房長官がそんなことは関知しないということで、ある程度日中貿易体制立て直しのめどが出てきそうになったところが、今度はまた佐藤総理は、吉田書簡に拘束性があると答えた、こうなったわけです。こういうことじゃいけないので、私はこの際、対中国貿易についての吉田書簡の持つ意味、いつまでもそういうように拘束性を持たせなければならぬものであるかどうか、そういう点をはっきりひとつ話してもらいたいと思う。特に通産大臣は日本の貿易を背負っておる最高の責任者なんです。だから総理が何と言おうと、あなたが将来の貿易というものに対して、こうだという考えをはっきり言うべきだと思います。あなたの次官佐橋さんがはっきり言っているじゃないですか。総理に対して、これからの日本はあくまでも中国との貿易を中心にしなければならぬのだ、中国を考えずに日本の世界とのつき合いは出てこないということまで言っておる。私はこういう率直な声が大臣から出てこなければならぬと思う。大臣は立場上ものを言えないのかもしれないけれども、それじゃ政治に対して不まじめであり、国民に対しても不誠実です。そして将来を誤ります。中国貿易についての考え方の本音というものはどこにあるのか、そしてまた先ほど言われたように、企業者の努力で解決できるというようにほんとうに思っているのかどうか、ここをひとつはっきり言ってください。日立造船でもあるいはニチボーにしたところで、もう一ぺん輸銀を使うことを申請するという、ニチボーの原さんがはっきり言っているじゃないですか。それをやらなければ、おそらく輸出はできないんだろうと思うのです。ペイしませんよ。この点はもういつまでもアメリカや台湾に遠慮する必要はないと思うのです。やはり自分たちを守るという立場で、最高の責任者としてのあなたの御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/28
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029・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 石野委員は石野委員としてのお立場で、非常な熱意でいろいろ御意見を述べられておる。私は、当面の責任者といたしまして、やはり私なりの諸情勢を勘案しながら、通産省としてはどの範囲をやっていくのが最も適当であるかというところにその考え方を置いておるわけであります。いま輸銀を使わなければならぬから申請しているんだというようにお話がございますが、この前も申し上げたように、通産省の輸出承認を与えるということの中には、輸銀がどうこうということはそこに入ってこないのであります。御承知のように、ニチボーのプラントは四月までに承認書を与えないと無効になる。日立の分については二月十五日、これが三月末日まで待つというように向こうがなったのであります。すでに輸出承認を与えておるわけであります。そういうふうに、本年になりまして、このせっかくの契約が無効になってはいけないというので、逐次私としては全部承認書を出す、こういう腹をきめてどんどん承認書を出しておるわけであります。この承認書を受けたそれぞれの企業者が諸情勢を考えて処理ができる、またそれに伴っていろいろ御注文があれば、その御注文に応じての民間の動きがあるものと期待をしておるのであります。いま何かここではっきりしなければならぬというように御発言でございますが、この点につきましても、私の見通しとしては、現在右から左にいろいろと考えなくてもおのずから情勢が熟してくる、こういうふうに判断をいたしておりまして、慎重に事を進めておる、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/29
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030・石野久男
○石野委員 いま私は熱意を込めて話をしました。あなたは自分の立場からいろいろお話をなさって、時期を待てば情勢はくるだろう、こういうふうにおっしゃっておる。私もそういうふうになることを望んでおります。しかし事実は必ずしもそうじゃないと思うのですよ。事実は、ただいま私が申し述べたように、向こうから、取引はお断わりしますということを言ってくる。それじゃじんぜんとして日を待っておったって何もならないじゃないですか。通産大臣はそういうことに対しては全然無関心だという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/30
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031・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 諸情勢が熟するのを待っておる、文字どおりそうなのでございます。これは問い詰められましても、なかなかお答えがしにくいのであります。それをお答えするということが、かえって私が前向きにいろいろ考えておることを自分のことばでまた束縛をするような、そういう事態になってはいけないということで、同じことを繰り返して申し上げておるのでございますが、皆さん方も御検討くださいますと、たとえば中共との各国の貿易の状況などを検討してまいりますと、おのずから日本もここまでは当然考えられるというようなことが結論として出てくる場合もあろうかと思うのであります。しかし、かりにいまのことがまた何か影響が起きるのでは私も非常に困るのでありますが、何か具体的に申し上げないと御納得がいきかねるようでございますので、一言つけ加えて申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/31
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032・石野久男
○石野委員 私は、大胆がきわめて微妙な動きの中で問題の出口を探そうとしているお気持ちはよくわかります。しかし、わかりますけれども、事実は、たとえば昨年の夏ごろ、ニチボーとかあるいは日立の話がどんどん進んでまいりました、案外調子よくいくなというように思っておったところが、台湾のほうから文句が出てきた、それで吉田書簡が出た、吉田書簡が出て、これはもたもたもたもたしておりました。しかし民間では一生懸命努力しておったわけですよ。しかし幾ら努力しても、ワクは吉田書簡ではめられておったわけです。しかし民間業者は、とにかく三十九年を過ぎてしまって四十年になったら解放されるかなと思っておった。吉田書簡に対しても一るの望みをそこに持っておった。ところが二月八日に、佐藤さんは予算委員会ではっきりと、拘束されますと、こうやっちゃった。その前に橋本さんは、拘束しませんと、こうやったもんだから、ぐっといい方向が出て、春には花咲くかに見えたところが、八日の日に総理が、これは拘束されると、こうびちっと言ったもんだから動きがとれなくなったんですよ。だから幾ら櫻内大臣が希望を持っておられても、実際問題としてそれはとてもそうはいかぬ。話し合いの中でいくようなものじゃなくなっているのです。問題は吉田書簡というものに明確に対処するということが出てこなければいけない。これはうち裏で何とかやれるものではないのです。そうできるなら、おそらく中共のほうでも廖承志氏だとか陳毅氏あたりの発言は出てこなかったと思います。しかもそれもただのおどかし文句かというふうに考えておると、そうじゃなくなってきておるでしょう。現実に尿素プラントが拒否をされているということろまできておる。こういう事実があるのに、そんなにのんびりしておるわけにはいくまい、私はそう思うのです。そこで先般あなたのほうの佐橋通産次官が八日の日のあと、十一日に、佐藤総理それから橋本官房長官と会った。そうしてそこでの話し合いをした中で、佐藤首相は「吉田書簡を無視することは国際信義にもとるので当分の間は拘束されるが、輸銀問題は時期を見て前向きに検討する」と、こう言われたというのですよ。総理はここまで言っている。通産大臣はこの問題をどういうふうに受けてどういうふうに対処しているのですか。そのくらいのことは言えるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/32
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033・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 通産省の佐橋次官がいろいろ動いておる、ものごとを進める上におきまして下交渉などの必要もあるわけであります。また通産省なりの見解を述べる必要もあるわけであります。しかし私がいよいよ発言をするということになれば、それはもう決定的な段階になるのでありまして、私としては現在の諸情勢の中でいつでも通産省は動きやすいような立場にしておこう、いろいろなことを私が申しまして、それが障害になってはいけない、こういう配慮をしておるわけであります。幸いにしてこの日中貿易の関係につきましては——これは決して逃げ口上を言うのではないのであります。障害にならないために言うのでありますが、金融の問題について通産省が責任ある立場をとる、あるいは発言をするという、そういう立場にないということは明白なんでありまして、したがって私としては、何かここで申すことが問題にならないように、与えられたワクの中でできるだけのベストを尽しておく、そういう配慮のもとで行動しておることを御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/33
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034・石野久男
○石野委員 あなたの立場上から言えば決定的なことになるとおっしゃる、しかし、あなたよりも総理大臣のほうがはっきり言っている。総理大臣は、当分の間は拘束されるが時期を見て前向きにやりますということを言っておるのですよ。そこまで言っているのですから、あなたはもっと言えるはずじゃないですか。その話の中で、金融の問題については明確な立場をとるということはなかなかできないような事情にあるというような意味、これは大蔵省関係ですね。大蔵大臣が文句を言うということなんでしょう。大蔵省は来ていますか。——大蔵省はいま来ていないようですが、それじゃとにかく大蔵省との関係で通産省としては動きがとれない事情があるというふうにわれわれ見てよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/34
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035・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ごらんいただくのは御自由だと思うのでありますが、明白にしておきたいことは、私の立場では輸銀がどうこうという、通産省のほうはそういう立場にないのでありますから、しかし私が何か言ったことが障害にならないようにはつとめておく、こういう私の気持ちを持っておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/35
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036・石野久男
○石野委員 あなたの口にしたことがいろいろ問題になっちゃいけない、これは政府にはいろいろ管掌がありましょうから、それぞれの管掌区分におきまして責任を持たねばならぬと思いますので、あまりあなたが越境したことばを言うようなことはさせたくはないと思うのです。ただ、しかし私どもの立場から見ますと、問題を解決するために、通産大臣としてはこういうところに障害があるということがわかれば、自分ができなければ、その部門を受け持っておる人に、解決の方策を依頼することができるはずだと思うのです。そういうことをすることまでもあなたは忌避するということじゃないのでしょうね。そうしてまた努力はしておるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/36
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037・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これは石町委員当然御想像がつくと思うのであります。私が自由に諸情勢を勘案して動く、それからだれだれに会う、そういうようなことは、これは私として遠慮なくやることなんであります。しかしこの公の席上で、あなたから聞かれて、私としては輸銀ベースはいいのです。そういうようなことが言えない立場、また言うべき立場でないということでございます。私は私として、諸情勢を見て——多少皆さん方の観察と違うところもございます。私の知っておる情勢からいうとそれほどのことでもないということもございますが、これもよけいなことを言わないほうがいいのでありまして、私のできるだけの行動はしつつあるわけであります。しかし表へ出るときは、いよいよそれは決定的なことですから、皆さん方から幾ら問い詰められても、これ以上お答えがしにくい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/37
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038・石野久男
○石野委員 通産大臣は貿易行政をするにあたって、なるべく日本の業者がもうけるように指導するという方針をお持ちでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/38
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039・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 それは当然のことであります。しかし申し上げたいのは、短期にもうけるか、長期にもうけるか、もうけ方もいろいろあろうかと思いますので、その辺もお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/39
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040・石野久男
○石野委員 したがって、なるべく日本の貿易が黒字を出すようにというために積極的な努力をされるものと思います。したがってコストの問題が出てくるわけです。コストの中に占める金利の問題は非常に重要です。この金利の問題を無視して行政は行なわれないだろうと思います。これは大蔵大臣だけの問題ではないと思うのです。通産大臣がいま真剣に考えなければならぬ問題はそのことだろうと思うのです。きょう提出された法案だってそうでしょう。中小企業に対する助成の問題だって、やはりこの金利問題を考えておる。ましてや貿易の問題でそのことを無視するわけにはいかないと思う。だから、そういう理屈はわかっておるけれども、なかなかやれないのだ、やれないのにはその所管、管掌の区分があるからだということになると、これは大蔵大臣の問題になるのだから、私はこの点は大蔵大臣に聞くことにしまして、通産大臣に聞いておきたいことは、輸銀の金を使えば、ニチボーのプラントにしても、あるいは日立のプラントにしても、これは非常に将来にとって長期にわたって有利だと思うが、どうですか。あなたはいま短期か長期かということを言われたが、私の言うのは目先だけのことを言っておるのじゃないのです。むしろ長期のことを言うからこういうことを問題にしておる。いまのときだけ利益を得てあとに損が出てくるということなら、私は政治家としてこんなことを言いはしない。だけれども、いまは困難であっても、長期にわたってそのことが有利になるから、そこで日本の貿易をそういう線に乗せなければ、将来輸出競争の激しい中で勝ち抜いていけないだろうということが一つ。それから日本の貿易の中で共産圏の位置、特に中国の位置というものは非常に大事だ。そうして立ちおくれてはいかぬということがあるのです。通産大臣はいまある小さな問題にこだわって、大きなものを逃がしてはいけないと思います。中国におけるところの西欧諸国の進出はめざましいものがある。これは私からあれこれ言わなくても、あなたはよくおわかりだと思うのです。特に中共貿易については日中輸出入組合の似田さんから非常に強い意見が出ておるはずです。似田さんは、どのように西欧諸国が中共に対してプラントの売り込みをしておるかということをはっきりと出しておりますね。日本は立ちおくれてしまいます。やはりこういう時期を失しないようにしてほしい。こういう意味から金利が非常に重要である。しかもこの金利の面では、今日では輸銀の金を使うということは、中共の廖承志氏や陳毅外相が意見を述べている、そういう立場を別にしても、日本の貿易業者のべースにおいてきわめて重要だ、こういうように私は考えるし、また通産大臣もその点はだれに遠慮することなく、はっきり言えることだろうと思いますが、そのことは言えるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/40
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041・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 お話しのように、金利が安い、そのほうが仕事がしやすい、そういう見地についてはあなたと全く意見が一緒でございます。しかし現在のこの問題の中におきましては、与えられたいろいろな条件の中で何か金利を吹くやれる方法があるのじゃないか、こういうことが一つあるのであります。しかし、そのことについては現在まだ具体的にはなっておらないのでありますから、これから私も関係当局に対しまして、この契約についての金利をできるだけ安くするように考えてほしい、こういうことは当然私として、はたから口添えをするということはやぶさかではございません。それは金利の問題は御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/41
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042・石野久男
○石野委員 いまの問題は非常に重要なんです。金利を安くするという方法は何か別な方法があるということと、総理が言っているところの、輸銀の問題は時期を見て前向きで検討するということとは全く違うのですよ。いまの通産大臣の考え方は、輸銀の問題には全然触れないというたてまえできている。別途な形でやろうとしている。これではあなたは総理よりもまだ後退ですよ。それが通産大臣の真意ですか。総理ははっきり言っているのですよ。輸銀ベースの問題は時期を見て前向きで検討すると言っている。ところが通産大臣の考えは、輸銀の問題はいろいろ問題が出てくるから、それは私はもうやりません、別なところでそれにかわるべき金利の問題の解決する方策はあるのだから、それをひとつ日立さんもあるいはニチボーさんも待ってください、こういうふうに読み取れますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/42
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043・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 話がまたもとに戻ってしまうわけでありますが、私は最初の段階は頭金でおやりになっていっていい、その間に諸情勢があります。しかしあなたからお固い詰めがございますから、金利だけでいうならばいろいろ方法がある、こう申しておるのであります。しかし話を最初から申し上げたことをずっと頭に置いて御判断いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/43
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044・石野久男
○石野委員 私もまたもとに戻していくのだが、私が金利を言うときに——金利というのは元金があるから出てくるのですよ。金利が全体として安くつくか向くなるかということは、借り入れ金の期間の問題も当然出てくるのですよ。私が金利の問題を言ったからといって、金利だけの問題で話しするような、そんな重箱のすみをつっつくような通産大臣の考え方では、私もこれは話にならなくなる。通産大臣はそういう意味じゃなかったろうと思う。私が金利を言うときには、もちろんそれは期限の問題が出てきますよ、それは五年よりも十年がいいのだから。総理は佐橋次官に対して、輸銀の問題については前向きで考えますということをはっきり言ったというのですよ。この新聞記事は間違っているのですか。あなたは佐橋氏を通じて交渉をさせているわけだから、佐橋氏が単独にやったものとは思いません。だから大臣の了解を得て総理と話をしているもの、そういうように思いますが、それは違うのですか、単独でやったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/44
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045・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これが表向きの話かあるいは準備の話か、こうなってくれば、準備の話でございまして、それを私がここで、次官と総理との話は確かにそのとおりの話でございましたとかどうとか言うべき筋合いではないと思うのです。やはり物事を進めるための準備がそこに出ておるのでありますから、要するに、いまの時点ではなかなか申し上げにくいことが多いわけであります。しかし、これは時日が経過いたしますれば、なるほどあのときによく通産大臣はがんばっておったということにもなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/45
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046・石野久男
○石野委員 私は大臣の御苦労のほどもよくわかりますけれども、しかしここには新聞にもはっきりと、佐藤首相は前向きで検討するということを言っているということが出ているのですよ。しかも佐橋次官が佐藤総理のところへ行くについて、あなたと全然お話し合いも何もなくて、あなたの了解がないままに行っているような、そういうことではなかろうと私は思っているのです。もし話し合いの上で行っているということであれば、この佐藤総理から言われた、輸銀は時期を見て前向きに検討するということを大臣は御承知であろうと私は思うから質問しているんですよ。大臣は、こういう総理の考え方については全然関知しないんですか。おわかりになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/46
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047・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 その文章をごらんになればおわかりのとおりに、やはり、かりにそれが事実といたしましても、それは佐橋次官からいろいろと進言をしておる。それに応じての答えでなかったかと思うのであります。したがって、ここで総理が言ったとか言わぬとか、こういうことは、またそれに伴う問題があろうかと思うのです。ですから、あくまでもそれは準備のためにそういう動きがあったという認識のほうがよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/47
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048・石野久男
○石野委員 私も、準備のためにそういう動きがあったというふうに理解していいと思っているんです。だから、こういう動きがあった。そこで総理は前向きの検討をすると、こう言っているわけです。検討をするということになれば、当然通産省にその仕事がくるわけで、やらにゃいかぬだろうと思うんです。これは総理が単独に考えるということの意味ではなかろうと思いますが、それに対する通産省として何か——こういうことをやっているということは言わなくてもいいですよ。これを前提として考えているのか、全然こんなことはもう私は知りませんというのか、これは大臣だって言えるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/48
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049・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これは繰り返し申し上げておるように、かりにそういうことが表へ出てきても、それは通産省がそれを受けて具体的に動く問題じゃないということは先ほどから申し上げておるところでございます。要するに、私どももいろいろと、こういうことが好ましいんじゃないかという進言をするほうの立場じゃないかと思うのでございます。それを受けて働くほうは、いまの政府内では別の機関になっているわけであります。それで、私は先ほど申し上げるように、日中貿易が前向きにいくように陰ながら努力をしておるということについては間違いがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/49
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050・石野久男
○石野委員 それを受けて動くのは外務省ですか。中山経済局長にちょっと承りますが、そういうことを総理のほうからでもあるいは官房長官のほうからでも話があって、何か働いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/50
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051・中山賀博
○中山政府委員 承っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/51
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052・石野久男
○石野委員 そうすると、この新聞はでたらめをいっているというふうにとってよろしいですね。佐橋氏がとにかく総理、官房長官と会って云々ということを書いたこの新聞記事は、事実を歪曲しているんですか。これまた事実じゃない、こういうふうに受け取ってよろしいわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/52
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053・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 なかなか手きびしく、いろいろただされるのでありますが、やはりそれはニュースとして私も拝見しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/53
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054・石野久男
○石野委員 私は手きびしくもどうもないんですよ。今日の日中間の貿易を、とにかく、総理じゃないけれども前向きに広げていかなければいかぬ、こういうように思う。二月八日の総理の予算委員会における答弁というのは非常に大きな障害になっているんです。率直にいって。それで事態はだんだん悪い方向へ向いていっております。こういう時期に、私は日本の政治が、そういうことがわかっていながら何がために打開する方向へ向かないのかということを憂えるんですよ、実をいいまして。だから私は尋ねているんですよ。何も通産大臣をどうしてこうしてとかいうような意味で言うんではありません。われわれは先年来、開放経済という中で、いろんないい面もありますけれども、非常に苦しい面がたくさん出てきていることはわかっています。しかも、過剰設備投資のために起きてくる問題もあります。また、金融引き締めが幾らかゆるんだということから出てくる生産の活発化、それに伴う過剰生産、こういうような問題をかかえ込んでいるわけですよ。日本経済は何よりもまず輸出市場というものに対して最大の関心を払い、そこで新しい目を開いていかない限り、この膨大な設備を支えていくことができないのが実情じゃないですか。これは、ただ単に中共と日本との貿易の問題だけ論じているんじゃない。国内の産業体制をどういうふうにするか、高騰する物価に対してどういうふうにわれわれは対処していくかというような問題にも関係してくるのです。だから、私たちはこういう問題を、ただ野党が政府のあげ足をとるとかなんとかいう意味で聞いているんじゃありません。将来の日本の経済というものをそういう観点で考えるということになれば、政府としてはここで明確な立場を出さねばいかぬと思うのであります。そういう意味で私は聞いている。総理がこういうふうに前向きに解決したいと言っておることはうそなのですか、どうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/54
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055・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 石野委員のおっしゃることは、もうよくわかります。したがって、繰り返して申しておるようでございますが、中共問題を前向きに解決していく上に私の一言一言がすぐ大きく影響していきますので、そこで慎重にお答えをしておるのでございまして、私も石野委員と同じように、中共質材の前進のためにあらゆる努力を払っておるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/55
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056・石野久男
○石野委員 私はくどく聞きませんが、あなたは自分の立場上ということを言われておる。総理が前向きで検討するということを言っておることを、その総理のもとに分掌しておるところの通産大臣が言えないことはないはずだと私は思うのです。あなたが言ったからといって、総理以上の影響が出てくるということはなかろうと私は思うのですよ。それをなぜそんなにこだわるんだろうか。あなたがそんなに大切に考えておるのならば、これはあまりにもひきょうだ。そんなことじゃいかぬですよ。総理がここまで言っておることを大臣がなぜ言えないのです。あなたのことばをもってすれば、私の言ったことは非常に影響が大きい。私そのまま受け取りましょう。それであるならば、あなたの答弁は非常にまた大きく影響します。そういうことになれば、総理の発言以上にあなたの発言のほうが大きくなる、それは越権ですよ。そんなことはありませんよ。総理がここまで言っておることをあなたが言えないという、そんなばかなことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/56
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057・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 おしかりでございますが、私もその記事はそのように読んでおるのです。これは先ほどから申し上げるように、何も佐橋次官と総理の間で物事をきめに行ったのでないのでありますから、それをここで私が何か決定的なお話をするというようなことによって問題を起こしてもいけない。私は私なりに、やはりこの新聞記事のそういうような方向で努力をしておる、総理がそうおっしゃったのであれば私も同じような方向で努力をしておる、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/57
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058・石野久男
○石野委員 とにかく総理の意向に従って努力をしておるというふうに受け取ります。また、いまもそうおっしゃいましたから、そのことを積極的に進めていただきたいと思います。
そこで私はお聞きしたいのですが、中国貿易については台湾の問題が非常に大きく響いてくるわけです。その台湾の貿易の量、そうしてまた中国貿易で、たとえばニチボーのプラントあるいは日立のプラントなどを輸銀ベースでかりに輸出する場合に起きるであろう台湾との貿易における損失、そういうものを大体どういうふうに政府は読んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/58
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059・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 いまお話しの前提があるわけでございますが、私としては、片っ方が伸びたから片っ方がだめになるというような方向へ貿易を持っていきたくはないのです。本来言えば、自由に無差別にどんどん伸びていく必要があろうかと思うのであります。その辺もまことに微妙だと思うのであります。前提を置かれての御質問でございましたが、できればそういう前提がないようにしたい、こういうふうに心がけておるわけであります。
なお、台湾関係の貿易はここに資料がございますので、局長から申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/59
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060・山本重信
○山本(重)政府委員 台湾との貿易は、一九六三年におきまして輸出が一億七百万ドル、輸入が一億二千二百万ドル、通関でございます。それから一九六四年の一月から十一月までで輸出が一億一千八百万ドル、輸入が一億二千九百万ドルになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/60
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061・石野久男
○石野委員 台湾との貿易は、この両二年間は輸入超過ということになっておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/61
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062・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいま通関の数字を申し上げましたが、入超かどうかのときには為替べースのほうがよろしいと思いますので、そちらの数字を申し上げます。
為替ベースでは、一九六三年は輸出が一億ドル、輸入が一億一千七百万ドル、それから一九六四年の一月から十月までで輸出は一億二百万ドル、輸入が一億一千八百万ドルでございまして、仰せのごとく入超になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/62
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063・石野久男
○石野委員 台湾との買切は、これからあと相当大きく飛躍的に伸びるという可能性はあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/63
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064・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいま台湾との貿易は、輸入におきましては、たとえば砂糖とかバナナ、パイかん等、比較的市場転換の困難なものが多うございまして、国内の需要も相当急速に伸びておりますので、まだまだ今後輸入のほうは伸びるかと思います。それから輸出のほうは、台湾の外貨事情等にもよりますが、日本の輸入のほうがふえてくればそれだけ向こうとしては購買力がふえますので、ある程度ステディーなベースでふえることは予想されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/64
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065・石野久男
○石野委員 いまのお話でしますと、ある程度努力によっては伸びるかもしれぬけれども、そう飛躍的に伸びるとは見えない、こういうふうにとってよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/65
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066・山本重信
○山本(重)政府委員 かりに中共あたりのマーケットを考えてみますと、台湾とはかなり古く貿易をやっております。したがいまして、ここで一挙に飛躍的にふえるということは期待できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/66
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067・石野久男
○石野委員 これはまた別な形でお聞きしますが、いま中共貿易というのは非常に日本にとって重要だと私は思っております。これは、それこそ大臣の言うとおりに、努力次第で非常に伸びる可能性を持っておるものだと思うのです。もしプラントものでこれがスムーズにいくということになれば、その伸び率は想像以上にいいものではなかろうか、私はそういうふうに思うのですが、そういう点の見通しはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/67
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068・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 現在中共貿易は、言うまでもなく友好取引とLT貿易方式、この二つの方向でやっております。LT貿易方式を見まするに、一応年間の貿易取りきめをやりながらいくのでございますから、やはりこれはおのずからある限度はあろうかと思います。やはり向こうの外貨事情もございましょうし、また相互の売り買いの関係もございましょう。だから単純にプラント類がどんどん売り込めるんだ、こういうことではないと思うのであります。しかしあれだけ大きい市場でございますから、長い将来を考えますれば、また相互の理解に立ってやりますならば、相当貿易も伸びがあるんではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/68
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069・石野久男
○石野委員 日中輸出入組合の発表しておるところでは、西欧諸国の対中共プラント輸出は、六三年下半期以降急速に伸びてきておる、こういうふうに言っておるわけです。しかも西欧諸国の輸出契約を結んだものだけでも、対中共だけで二十二件にものぼっておるのだ。日本はそれに対してようやく倉敷レイヨンとニチボーのプラントものだけしかいっていない。しかもその後、日立だとか東洋エンジニアリング等のそういう問題についても、だんだん話し合いが不調におちいっていくような傾向が出てきておるという事情にあるので、これは非常に憂うべきことだと思っておるわけです。日中輸出入組合の出しております。この各国の六三年下半期から昨年末までのプラントについては、先般この日中輸出入組合が発表したものを見ますと、ここではこまかく言いませんが、非常に数多くのものがございます。もし日本がこれに入っていけば、ずいぶんと幅広くたくさんあるわけでございますね。そういうものに道を開くということは、この際、日本の貿易の体制からどうしても必要なことのように私は思うのです。ですから、他の条件を考えないで、こういう問題は、やはり通産行政一般として無視できない問題のように私は思いますが、それは大臣も御異論はございませんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/69
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070・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 先ほども申し上げましたように、中共と西欧諸国との貿易状況などが日中貿易の前進のためにいい材料になるということは、いま石野委員が御意見を述べられたのと大体同じだと思うのであります。現にこれだけのプラント数が中共において買い付けをしておるというのであれば、日本の置かれておる地理的な条件からいたしますと、当然日本のほうがより有利に中共に売り込める、それは予想されると思います。したがって、そういう意味合いからいたしますならば、中共とのプラント輸出については何らかの条件がなければ、どんどん積極的にやれば、日本の貿易の拡大に寄与することは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/70
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071・石野久男
○石野委員 中共貿易については、いまの吉田書簡でぶつかって話が進まぬのだが、これは大蔵省に聞かなければならぬ問題でありますから、いまここではおきますが、同じアジアで、共産圏の中には北朝鮮がございます。北朝鮮のほうからは、いまプラントものについてのいろいろな話し合いが出ておるわけです。との話し合いがもしついていくとすれば、ここでも数百億円に及ぶところのものが商談が成り立つ可能性を持っておりますが、そういう問題については、通産省は積極的に指導し、それの達成ができるように配慮をされる用意があるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/71
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072・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 北朝鮮につきましては、政府の方針は中共の場合と同じだと思います。現在、輸出入合計約三千九百万ドルを若干上回る程度に輸出入が均衡を保ちつつ伸びつつあるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/72
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073・石野久男
○石野委員 北朝鮮に対する貿易は、中共と同じようなたてまえでやるということに大臣は話があるのですが、事実は、プラントものの商談についてはかばかしくいっていないのが実情だと思います。これをスムーズに進めてやるためには、特にこの商談をする場合の人の行き来という問題が一つ出てくるわけです。この人の行き来の問題について、政府としては何らか打開の策をとってしかるべきじゃないか、こういうように私は思うのですが、通産省の立場からしてどういうところに問題があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/73
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074・山本重信
○山本(重)政府委員 北鮮との関係につきましては、少し古いことでございますが、一九五五年に当時の次官会議で、北鮮との貿易その他の接触を認めないと、こういう申し合わせがございましたので、それ以来北鮮からの渡航は認めないことになって最近まできておるのであります。しかし実際には、貿易の面では、可能な範囲で貿易が進められてきておりまして、また貿易制度の面でも、徐々に改善を見つつございます。そしてただいまの人事往来につきましては、貿易の面からいきますと、何とか早く往来ができるように、実現する必要が出てまいっておるのでございますが、そのほかいろいろな事情もございまして、政府部内で慎真に検討中という段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/74
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075・石野久男
○石野委員 先ほど大臣は、とにかく北朝鮮の場合は中共と同じような立場で貿易をやっているんだとの御答弁でございましたが、いまの御答弁でしますと、また五五年の次官通達が出てきたようです。そうすると、これはやはり中共と違うわけですね。そこのところはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/75
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076・山本重信
○山本(重)政府委員 先ほど人事往来についての話がちょっとございましたので、経過として申し上げたのでございまして、実質的な貿易の面につきましては、おおむね中共と同じような考え方で処理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/76
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077・石野久男
○石野委員 この次官会議の通達は、従来朝鮮人民共和国との話し合いの問題のときには障害になっておったわけです。それがいまようやくなくなっているとき、またこれが出てきますと、問題がまたもとへ蒸し返されてしまうので、これはやっぱり先ほどの御答弁は一応改めてもらわなければならぬと思います。事実はそうじゃないと思いますから。そこで、人の問題については、貿易上の取りきめをするのには向こうから技術屋さんが来て商談を取りきめる——こちらからの人は何かの形で行くことはできるわけなんですね。しかし、これは正式ではありません。向こうからの人は全然来ることはできず、現物を見ることはできないわけです。いま北朝鮮との話し合いになりますと、図面だけで、実物を見ないままで、ずばりイエスかノーかをきめなければならぬ実情にございます。だから、商談はスムーズに進まない。だれか人が来なければ商談が進まないということになっているのが実情だと思います。北朝鮮の現状は、非常に購買力もついておりますし、支払の能力もあることは、何も私が言わなくたって当局はよくわかっておると思います。それであるだけに、これはやはり何とか商談というものを成立させて、そして日本の側もそれでもうけられるし、また向こうでもそれで利益をしてもらうというような、そういう商売を広げていくことがやはり大事だと思います。私は、さしあたって貿易についての技術者を送るとか、あるいは商売をするために来る人ぐらいのことについては、もっと積極的に、通産省の側から政府工作をしていただくことが大事なのではないかと思います。それはできないのでしょうか、それともそれをやっているけれども、やるということはかえってまた越権なのでございますか、そこらのところをひとつ承っておきたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/77
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078・山本重信
○山本(重)政府委員 先ほど次官会議の申し合わせのことを申し上げましたが、これは従来のいきさつとして申し上げた点でございますので、貿易については事実上その後かなりの量の貿易が進んでおりますので、そういう意味で御了承願いたいと思います。
それから貿易に関連いたしまして、特に技術者の入国を認めるかどうかという問題につきましては、貿易だけの見地からいいますと必要でございまして、実は通産省といたしましては何とか早くそういうことが実現できるような事態になることを念願しておるわけでございます。政府内部でいろいろ相談をいたしますときにも、通産省の立場はそういう立場から発言をしておるのでございますけれども、貿易以外のいろいろな考慮等もございまして、現在までのところまだ結論を見ていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/78
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079・石野久男
○石野委員 これは貿易以外の理由で貿易が阻害されるということになってまいりますと、いわゆる対共産圏に対する政経分離ということの意味がこれまた違ってくるですな。大臣、こういう点もやはり政経分離の範疇なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/79
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080・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 政経分離、民間ベースで北鮮も中共と同じように考えよう、それで御指摘は、中共の場合と比鮮が違うじゃないか、現実には確かにそうだと思います。したがって、いま通商局長が言われましたとおりに、通産省側としては、貿易上必要な技術者等については入国を認めるのが好ましいんじゃないか、そういう意見を申し述べておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/80
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081・石野久男
○石野委員 この問題は、通産省が努力しているけれども、また政府部内で問題があるということになると、これは大蔵省じゃないだろうし、これは法務省ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/81
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082・山本重信
○山本(重)政府委員 直接の所管は法務省でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/82
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083・石野久男
○石野委員 外務省のほうは、こういう点ではどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/83
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084・中山賀博
○中山政府委員 共産圏の国ともできるだけ貿易を増進いたしたいというのが、われわれの気持ちでございます。ただ今日まで、先ほど申しておられたような次官会議の決定等もあって、人の行き来はきわめて不十分でありましたが、今後情勢に応じて、いま通産大臣、通商局長がおっしゃられたような線で、外務省も情勢の推移に応じて御協力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/84
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085・石野久男
○石野委員 外務省としては、状況に応じて通産省がいま言ったような方向でいく、こういうふうに受け取っていいわけですね。やはりそのことは結局法務省でいろいろ問題があるのでなかなかやりにくいというのが実情でありますと、こういうことだと見てよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/85
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086・中山賀博
○中山政府委員 まことに申しわけございませんが、私は経済局長でございますので、問題を貿易の面にしぼって申し上げておりますので御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/86
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087・石野久男
○石野委員 問題は、せっかく伸びるべきところへ伸びていけないという悩みがいまあるわけです。それは政経分離をとっている政府の立場と相反する形になってきております。中国問題については、中国の側では政経分離を認めていませんから、政府の考えているように向こうはなかなか理解してくれない、これが実情だと思います。それから朝鮮の問題については、今度は、向こうは人を経済の問題だけで入れようとしているのだけれども、こちらが政経分離でなくて政経が一つになっておって、経済の面では入れたいのだけれども、政治の面でこれは入れられない、こういう形になっている。私はそういうことを見てきますと、政府のとっておる政経分離というものについてのものの考え方に一つの矛盾が出てきているように見受けられる。中国貿易とそれから北の朝鮮に対する貿易との関係で、そういうことが見られると思います。政府はずいぶんかってな御都合主義です。大臣はそういう点について矛盾を感じませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/87
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088・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 国交が正常化しておらない国との関係でございますから、なかなかむずかしい点があろうかと思います。総理も、この間、予算委員会において、その辺の御質問に対しては、現在行なわれておるような実情をわれわれとしては政経分離、民間ベースと考えておる、こういうようにお答えをしておるのであります。そういうわけで、何かここにはっきり定義づけて、かくかくであるということはなかなかお答えしにくい、もともとデリケートな関係にある問題だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/88
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089・石野久男
○石野委員 いまの御答弁は非常に苦しい御答弁のようです。結局政経分離というのは、口では言っても、実際の仕事の上では役に立たない、こういうことだと思うのです。中国に対しては非常に我を張っているし、北朝鮮に対しては、今度はこちらから政経分離ではいけませんぞということを言っているのですから、こんなむちゃなことはないと思う。これはやはり早急にこういう考え方を改めなくちゃいかぬと思います。
大臣のほうにも時間の都合があるようですし、私もちょっと忘れていたけれども時間の都合がありますから、話はまたあとにおきますけれども、せっかく大蔵省からおいでいただいておりますので、一言だけお聞きしておきたい。
通産大臣でもなかなか答弁できないことですから、これは大蔵大臣に聞かなくちゃならぬことだろうが、課長さんで御答弁いただけるのかどうかわかりませんが、中共貿易について輸銀ベースの融資の問題でございます。この問題は、通産省の側からすれば、やはり貿易採算上からいって輸銀のベースで金を使うことが望ましいことであるけれども、しかし金融の面についてはわれわれの管掌でないのでものを言うことができないのだ、こういう大臣の非常に回りくどい御答弁でございました。突き詰めると、結局これは大蔵省の問題なんです。大蔵省がなかなかうんと言ってくれないから使えない、こういうようにわれわれは理解しておる。最近佐藤総理は、輸銀ベースの中共貿易というものも前向きで考えるということを通産省の佐橋次官に話し合いの上で言っているのですが、大蔵省は、そういう問題についてはどういうようなお考えでございますか、この際ひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/89
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090・熊田淳一郎
○熊田説明員 この問題はたいへんむずかしいデリケートな問題でございますが、ただいま関係各省間で検討を続けております。今後慎重に検討をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/90
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091・石野久男
○石野委員 課長さんにこれ以上聞いても、なかなか答弁できないのだと思いますけれども、慎重に検討しているということの意味は、通産省とか外務省とか、そういう関係官庁との間に、総理が言うように、輸銀を使うということについて前向きの姿勢をとるための慎重な話し合いをしている、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/91
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092・熊田淳一郎
○熊田説明員 これは企業の採算の問題もございますので、業者の負担をいかにすれば軽減することができるか、こういうようなことにつきましていろいろな方法があると思われますので、その点につきまして検討しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/92
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093・石野久男
○石野委員 私はいまの御答弁で、ちょっとあなたに無理かと思いますけれども、やはり引き下がるわけにいかない。私の聞いているのは、吉田書簡を無視することは国際信義にもとるので、当分の間はこれに拘束されるが、輸銀問題は時期を見て前向きに検討する、総理はこう言っているわけだ。だから、こういうふうな総理の趣旨を受けて、慎重に各省間の討議をしているのかということを聞いているのです。あなたの言うのは、採算問題はどうだこうだ、それは先ほどから私と通産大臣とのいろいろな応答の中で出た問題で、問題になるのは、金融の問題は通産省の所管でない、それは大蔵省の所管なんで何とも言えないということを大臣は言うから、私は大蔵省に来てもらったわけです。あなたがおいでになって、ここで答弁ができなければ、できないと言ってもらえばいい。いまあなたの言われた慎重に討議しているということの内容は、ただいま私が申した吉田書簡に関連して輸銀問題の前向き討議をしている、こういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/93
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094・熊田淳一郎
○熊田説明員 これは単純に金融問題というふうに割り切れるかどうか、そこに問題があると思うのであります。吉田書簡の問題も関連をしておりましょうし、そこに外交、内政、両方錯雑した問題があると思うのであります。そこで関係各省——通産、大蔵、外務の三省寄りまして検討しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/94
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095・石野久男
○石野委員 私は、検討しているということの内容は、この吉田書簡の輸銀問題は時期を見て前向きに検討するということを検討しているのかと聞いている。ほかの金融とか外交とかいろいろな問題だということになると、先ほど言ったように、金利をどういうふうに安くするかということについては、通産大臣はまた別途何か考えているのでということも言っているわけだから、そういうことはやるのはやってもかまわないと私は言っているのです。それは話をしているわけです。問題は、やはり一番大根になるところのこの輸銀の問題は、輸出コストの上では非常に大きい問題だから、それからもう一つは、吉田書簡というのは、台湾を含むところの政治課題があるわけで、そういうことだから問題になってきたわけなんです。そういう意味で、この吉田書簡について、二月八日の佐藤総理の拘束されるという答弁は、いま中共貿易について非常に障害になってきている。それを打開するためには何とかしなければならぬというので、通産省は佐橋次官を通じて総理あるいは官房長官との話し合いもさせている。その結果はこういうことになってきている。それを大蔵省はやっているかどうかということを、あなた知らなければ知らないでもいい。無理に答弁すると、またあとでうるさくなってきますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/95
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096・熊田淳一郎
○熊田説明員 その間の事情は新聞その他でも承知をしておりますけれども、ともかく現段階におきましては、いかなる方法があるかということを検討しておる段階でございまして、これ以上のことは申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/96
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097・石野久男
○石野委員 一番あとのほう、ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/97
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098・熊田淳一郎
○熊田説明員 これ以上のことは申し上げることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/98
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099・石野久男
○石野委員 言うことはできないのですか、知らないのですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/99
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100・熊田淳一郎
○熊田説明員 言うことはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/100
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101・石野久男
○石野委員 いまの熊田課長の答弁は、われわれの審議に対してきわめて無礼な態度である。この席上で答弁するということについて、何のために来たか。委員を非常に侮辱している。そういうことは私は許せない。言えないじゃなくて、言いなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/101
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102・熊田淳一郎
○熊田説明員 たびたび申し上げておりますように、目下三省間で慎真に検討しておるわけでございまして、したがいまして、現有の段階ではそれ以上のことを申し上げるわけにいかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/102
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103・石野久男
○石野委員 三省間で検討しているということがどういう内容で、こまかいことはどうだこうだというんじゃなくて、私の聞いているのは、それは輸銀問題を時期を見て前向きに検討するということについて検討しているのかどうかということを聞いているんですよ。私はほかのことを聞いているんじゃないんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/103
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104・熊田淳一郎
○熊田説明員 その点も含めまして検討をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/104
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105・石野久男
○石野委員 それでは、大蔵省はこの点を含めて検討しているということを言っておられる。大臣にお尋ねします。先ほど大臣は、この問題については大蔵省の問題で、と言っていたが、いま大蔵省のほうはこの問題を含めて検討しているというのですが、それは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/105
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106・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これもしばしば申し上げておるように、私のほうは私のほうなりの意見を、これはさっきはっきり申し上げておるんですから、私のほうではこういうことではどうかと、こういうことはもちろん言っておるわけです。しかし、それについては、またそれに応ずるいまの段階はどうだとかこうだとかいうようなことがあるわけであります。これは動いておるわけですね。だから、そこを私が責任者としていまはっきり何かを言うことがどうかということで避けておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/106
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107・石野久男
○石野委員 私は、またあとの機会にお聞きしたいのだから、別にこまかいことをどうこう言うのではないのですよ。大蔵省が、いま総理のこういう方向に向けて、三省間で検討を進めておるということをやっておるのだ、しかし、その内容は言えないということは、先ほど大臣の話によると、そういうこともないようなお話でしたし、大蔵省との関係だから、われわれは関係しないのだ、こういうことを言ったのだが、しかし、いま熊田氏の御答弁によると、そういうものを含めていま検討しておる、こういうわけだから、そういうふうに受け取ってよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/107
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108・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これは通産省としての意見を言うことは、もちろん一向差しつかえない。しかし、それはどこが責任を持ってきめるのかというようなことについては私は言っておるわけです。それは私どもの立場における意見は当然言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/108
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109・石野久男
○石野委員 言っておるわけですね。わかりました。私は、まだほかにもいろいろありますが、またこれはあとの機会にさしていただいて、きょうはもうこれで終わります。
最後に、いままでの事情からして、吉田書簡というのは、佐藤総理が言っておるように、前向きで何か打開しなければならない立場に追い込まれてきておる、こういうように私たちは理解しておるし、また、そういうことを政府もいま検討を加えておるのだ、こういうように私はきょうは質疑の中で理解いたしました。そのように努力していただけるように、私のほうからも特に政府に対してお願いしておかなければいかぬと思う。これを私は知らぬというようなことではよくないと思いますから、ひとつ積極的に一日も早く、また吉田書簡の問題は他日論議しますけれども、打開策を検討してくださるようにお願いして、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/109
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110・内田常雄
○内田委員長 本日はこの程度とし、次会は、明十七日水曜日午前十時三十分から委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X00419650216/110
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