1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十四日(水曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 田中 龍夫君 理事 中川 俊思君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
浦野 幸男君 小笠 公韶君
海部 俊樹君 黒金 泰美君
小宮山重四郎君 田中 正巳君
田中 六助君 中村 幸八君
二階堂 進君 三原 朝雄君
石野 久男君 大村 邦夫君
五島 虎雄君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 山崎 始男君
山下 榮二君
出席政府委員
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(大臣官房長) 熊谷 典文君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
専 門 員 渡辺 一俊君
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三月二十三日
委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として麻
生良方君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第六一号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九〇号)
中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九一号)
小規模企業共済法案(内閣提出第七六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、同じく中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、同じく中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、及び同じく小規模企業共済法案、以上四法案を議題とし、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中六助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/1
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002・田中六助
○田中(六)委員 私は、最近の中小企業問題並びに、主としていま審議に入ろうとしております中小企業信用保険法の改正法案を中心に質問したいと思います。
最近中小企業問題をめぐって非常にシビアーな情勢をかもし出されておりまして、特に山陽特殊鋼などは倒産の羽目になりまして、これをめぐる下請業者を中心とする倒産が相次いでおりますが、最近のこのような現状をはたして政府はどういうふうに見ているか、大臣にお聞きしたいのですが、大臣がおいでになって、これをまたもう一度議題としたいと思いますが、特に中小企業庁長官、この現実認識をどういうふうに考えておりますか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/2
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003・中野正一
○中野政府委員 いま先生から御指摘がありましたように、わが国の中小企業をめぐる環境というもの、あるいは情勢というものは、非常に最近シビアーになってきております。特に御承知のように、昨年一年間金融引き締めが引き続いて強化をされ、その影響というものが中小企業の段階に相当響いてきており、これが資金調達難を来たし、資金繰りの悪化を来たして、倒産の大きな一つの要因になってきている。しかし、これは単に金融の引き締めの影響でこういうふうに倒産が続いたということだけではなくて、昨年一年、その一年前を見ましても、中小企業の収益力というものは落ちております。それから財務諸表等を見ましても、財務内容が必ずしもよくなってきていない、そういう状況でございます。これは一つには、最近御承知のような数年間の高度成長の結果、労働需給の関係が御承知のように根本的に変わりまして、そのために、いわゆる労働力確保難、特に中小企業は人手不足から賃金が上昇する、人件費が高騰するというような状況になってきております。従来のようにいわゆる低廉な労働力に依存した経営というものはすでに成り立たなくなってきているのであります。それからもう一つは、何といってもやはり開放経済体制になりまして、要するに競争の激化、また大企業の、従来から中小企業のやっておった分野への進出、これがいわゆる大量生産、大量消費というように、商品の需給構造も変わってきております。また、技術革新等で原材料等が、非常に大企業のほうに有利な製品がだんだん出てくるというようなことで、どうかすると中小企業の分野が狭められる。それからもう一つは、やはり国際競争が激しくなって、自由化に備えるために、たとえば自動車産業のように、直接には大企業が自由化の影響を受けるわけでありますが、その自由化の影響に対応するために、いわゆる下請企業に対して大企業がシビアーな条件を出してきている、いわゆるコストダウン、原価の引き下げということを非常に強要するというような形が出てきておるのであります。そういうふうに考えてみますと、いろいろいわゆる循環的な要因によって中小企業等を取り巻く情勢が悪くなるだけでなくて、いわゆる長期的な、構造的な要因が個々に加わっておるということでございまして、白書でも述べておりますように、大企業と中小企業の生産性の格差は、大企業を一〇〇として中小企業は四七%というふうに、まだ半分以下でございます。これだけ根本的に生産性の格差があるということのために、中小企業は今後も非常にむずかしい情勢にあるのじゃないか。したがいまして、政府としては、昭和四十年度におきましても、中小企業の近代化を思い切って進めるということが、日本経済全体の安定をした、バランスのとれた発展を遂げるためにはどうしても必要であるという観点に立って、いろいろ施策をやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/3
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004・田中六助
○田中(六)委員 いま長官がおっしゃったことを要約しますと、高度成長の結果、労働需給が逼迫した。もう一つは、対外的な開放経済、そういう二つの要点から、構造的な欠陥として格差が依然として残っておる、それの対策としては近代化を進めているのだというようなことを言われておるし、政府の白書にも明らかにそういうことを書いておりますし、いろいろな点で、国会の答弁あたりで政府がいつも言っておりますが、近代化ということの具体的な内容、つまり、近代化を要約した具体策としては、どういうようなことをやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/4
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005・中野正一
○中野政府委員 これは中小企業基本法に述べてあるわけですが、中小企業の政策は、一つには体質改善、もう一つは取り巻く環境の整備、いわゆる取引条件の不利の是正、それから体質改善、こういうことになろうかと思うのでありますが、近代化の中身としては、何といってもやはり設備を合理化し、よくしていく。それから技術水準を上げていく。それからもう一つは、最後に、経営管理を合理的なものにする。この経営と技術と設備、この三者を一体にした総合的な経営力を向上さしていくということじゃないかと思うのであります。それから環境の整備のほうは、何といっても、一つには、中小企業の分野にやたらに大企業が進出するために非常に影響を受けるというような点、あるいは官公需の増進であるとか、輸出の振興であるとか、あるいは下請取引関係を適正化していく、それからもう一つは、中小企業に非常に問題の多い過当競争をどういうふうにして防いでいくかということじゃないかと思うのであります。それから中小企業対策を考えていく上にどうしても考えなければならないことは、中小企業といっても業種、業態が、御承知のように非常に千差万別でございますので、どうしてもやはり業種別に業態に即したきめのこまかい施策をやっていかなければならないということで、これも御承知と思いますが、中小企業近代化促進法によって現在四十五の業種が指定をされておりまして、五カ年間の業種別の近代化計画をつくりつつあります。これに対して税制上、金融上の優遇措置を講じてきておりますが、こういうことが非常に大事じゃないかと考えております。そういうことから、どうしてもやはり私は、中小企業の中でも比較的中堅層に属する——中堅企業ということばは、世間では中小企業以上のものを言っておる場合もありますが、中小企業の中の中堅企業の育成というようなことが政策の一つの柱でありまして、これはどういうことかというと、一つにはやはり中小企業の皆さん方が大企業にも負けない特色のある独特の製品、独特の技術、品質、そういうものを持ったものをつくるように指導していく、これによって中堅企業の育成というものをはかっていく。いろいろ今度法律案を出しております。たとえば中小企業の投資育成会社の改正法案を出しておりますが、こういう制度を拡充する。それからいま申しました業種別の近代化計画を進めていく、これの裏づけの金を調達する、こういうふうなことによって、中堅企業を育成をしていくということが一つの政策の柱である。もう一つは、何といっても中小企業の底辺をなしております数の多い、全体の八割以上を占めております。いわゆる小規模企業というか零細企業は、これはどっちかというと、企業とはいえ、生業に近いような形のものもあります。こういうものをできるだけ経済ベースに乗せるような経営の指導、これは御承知と思いますが、商工会議所、商工会の指導員が全国に四千六百人おりますが、こういうものの指導をさらに強化をして、経営らしい経営に持っていく、そうすれば、だんだん金融ベースに乗っていくわけです。それからさらに、いま提案しておりまする、特に五人以下の小企業者については、担保も取らず、保証人も取らないで保証協会が保証することによって金融の道を開こうじゃないか。それからもう一つは、小規模企業者御自身が掛け金をすることによる一種の共済制度によって、小規模企業者の将来の廃業の場合に備える制度をつくろう、こういうふうにして、三つの方法をこのたびは零細企業対策、小規模企業対策として、比較的その面が、政府の政策が従来穴があったのじゃないか、あるいは政策が薄かったのじゃないかということも指摘されておりましたので、そういう中堅企業の育成、中堅企業のほうは、先ほども言いましたような専門化をはかっていくと同時に、中小企業の皆さんがここで立ち上がっていくことはなかなかむずかしいので、やはり共同の力によって、組合の力によって立ち上がっていく、これは協業化というようなことで規模を大きくして立ち上がっていく、そして専門化、共同化を進めていく、それに政府がいろいろお手伝いをするというのが政府の政策であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/5
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006・田中六助
○田中(六)委員 いま長官は非常にきめのこまかい諸政策を述べ、中小企業を中堅企業にする、それと一方、零細企業対策については三つの法案でこれを救おうとしておるということを言っておるわけでありますが、私はそういうきめのこまかい政策が、ひいては中小企業というものを、医者でいえば対症療法といいますか、そういうようなことで、現状維持政策になるおそれがある。それを非常におそれるのです。したがって、現状維持政策は温存政策になって、結局二重構造を温存する、ひいてはそういう羽目におちいることが非常に最近の倒産と関連して——倒産が昨年は一年に四千二百十二件あったそうですか、そういうふうに倒れても、毎月四百、五百という倒産があってもけろりとしておる、すぐまた雨後のタケノコのように次の中小企業ができておるというような状態はどこからくるかというと、結局きめのこまかい政策があだになっておる点が非常にあると思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/6
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007・中野正一
○中野政府委員 いま先生の御指摘になった点は、確かにわれわれも心配をしておるところであります。政策があまりきめこまかくて、ことばは悪いのですが、いわゆる親方日の丸式に考えられては、これは非常に困るのでありまして、そういう点は、われわれはできるだけPRの面で言っておるわけですが、基本法にその点は明確に書いてあるわけです。いわゆる中小企業のうしろ向きの保護政策というものはとらない。むしろ日本の国全体の経済の発展の中で中小企業の振興をはかっていくということがはっきり書いてありまして、しかも先ほどもちょっと触れましたが、政府の政策というものは、いわゆる中小企業の皆さま方の創意くふうと自主的な努力というものをあくまでお助けする環境整備の政策である、あくまで中小企業の皆さん方御自身の努力というもので初めて中小企業の振興はできるんだ、それを取り巻く環境というものをできるだけ政府として整備をする、こういうことが基本法にはっきり書いてあるのであります。そういう点については、今後もわれわれとして施策をやっていく上に十分気をつけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/7
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008・田中六助
○田中(六)委員 政府のやり口につきまして、私には多少疑問の点がございますので、その点は大臣が出席なさってから一、二点聞きたいと思います。
本論に入りますが、中小企業信用保険法の改正案が提出されているわけでございますが、この法律は明らかに特別小口保険制度を新たに設けておるということに要約できると思いますが、この趣旨は大体どこにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/8
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009・中野正一
○中野政府委員 従来から政府におきましては、中小企業に対する金融の円滑化をはかるために、御承知のように、一方では政府関係三機関に対する財政資金というものを二千四十五億来年度投じようとしておりますが、一方そういう政府関係金融機関の資金量をふやすということも大切ですが、何といっても民間の金融機関の金を中小企業のほうに円滑に流し込むということが大事である。これはもちろん大蔵省等を通じまして中小企業向け貸し出しの比率が下がらないようにという指導はいろいろいたしたわけであります。しかしこれは行政指導ですからなかなか限度がございまして、そういうことでもう一つの政策として、きょう提案になっております中小企業信用保険法によりまして中小企業信用保険公庫が、地方にあります全国五十一の保険協会の保証によって民間の金を中小企業に持ってこよう、これの裏づけとして、保証協会が行なう保証に対して保険をやらせております。そういうことで、いま育ったような保険制度をつくることによって保証協会が保証しやすいようにしまして、そうして民間の金を中小企業に持っていこう、いわゆる中小企業の信用補完といいますか、その一環として、先ほどもちょっと触れましたが、中小企業の中でも小企業者についてはなかなか適当な担保がない、また保証人もなかなか立てにくいというような事情があるために、せっかくそういう保証協会の保証制度というものであっても、保証制度を利用しにくい現状になっております。現実に現在でも小口保険——今度は特別小口保険というものをつくって、小口保険はなくしますが、従来からそういう制度があるのですが、やはり保証協会は対人信用だけで保証するということに危険を感じて担保を要求し、保証人を要求するわけであります。そのために、そういう零細業者の方々はなかなか信用保証協会の保証を受けにくいということでありますので、そういう小企業者について担保の提供あるいは保証人の保証を要しない保証というものをやって、その保証をもとにして市中の金融機関から金を貸す、こういうことをやりたいということで、今度中小企業信用保険制度に改正を加えたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/9
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010・田中六助
○田中(六)委員 この新しい制度ですが、この制度の対象となる人数はどの程度と考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/10
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011・中野正一
○中野政府委員 大体私のほうで計算をいたしてみますと、従業員が五人以下、商業、サービス業については二人以下が小企業者なのですが、その対象が全国で二百六十万件くらい、一応小企業者というものはそのくらいあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/11
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012・田中六助
○田中(六)委員 この法案の第三条の二ですが、これは結局、当該信用保証協会が小企業者であって通産省令できめる要件を備えたものということが一つの大きな眼目になっているわけです。この省令の要件を備えたもの、この適用対象を省令にゆだねていますが、省令の要件というものは大体どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/12
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013・中野正一
○中野政府委員 通商産業省令で定める要件としていま考えておりますのは、同一の市町村の区域内で引き続き三年間事業を行なっておる、それからその三年間に所得税、法人の場合は当然法人税になりますが、及び事業税——事業税は地方税ですね、事業税を納付しておるという要件を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/13
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014・田中六助
○田中(六)委員 同一の市町村の区域内において三年間同一事業を行なっているもの、これは非常に問題がある。零細な企業を救うための法案ですが、同一市町村に三年間同一事業を行なうというような人で、零細企業をやっている人がこれに該当する率というものは、対象二百六十万件と言っておりますが、非常に何かきつい制度のように思うのですが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/14
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015・中野正一
○中野政府委員 これは先ほども申し上げましたように、担保もとらず、保証人もとらずに、対人信用で保証して金を貸そうということでありますから、やはりどこかで線を引かなければならないわけなんで、したがって、三年以上同じところで仕事をしておる、税金をちゃんと納めておるというのであれば、いわゆる健全な経営を行なっておる零細企業というふうに見ていいのではないか、したがって、そういうものは、担保も保証人もとらず保証させよう、こういうことでございます。
ちょっと申し上げますが、その対象はいまの事業税を納めておるということで相当しぼられるわけでございますが、全国で約八十万人くらいあるのではないかと推定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/15
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016・田中六助
○田中(六)委員 結局三年間税金を完納しなければならないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/16
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017・中野正一
○中野政府委員 その点につきましては、たてまえは、いま先生の言われたとおりなんですが、要するにこれは証明をとらなければならないわけですね。したがって、いま国税庁とそういうこまかい点について打ち合わせをしております。税金は過去三年間納めておるものというたてまえでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/17
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018・田中六助
○田中(六)委員 そうすると、一応三年間税金を完納するということになりますと、問題がいろいろ波及してくるわけですが、第一にあげられるのは、免税点以下のものが零細企業者でおるわけですね。そういうものに対してはどういうふうに考えておりますか。つまり、免税点以下になると当然課税されていないわけですが、そういうのが非常に多いと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/18
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019・中野正一
○中野政府委員 一応いまのところ考えておりますのは、いま申し上げたように、三年間税金を納めておる、これを、一つどっかで線を引かなければいけないので考えております。そういうことで、いま先生の御指摘なさったようなことも、いろいろ地方からもわれわれは聞いております。それで、実は要件は通産省令できめるということで、さしあたりは三年間税金を納めておるものということでやらしていただいて、それも八十万人くらいおるわけでありますから、相当これは利用される制度だというふうに考えております。その後情勢を見まして、省令の改正等で実態に合うように持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/19
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020・田中六助
○田中(六)委員 いま長官が大蔵省と折衝しておるということを多として、これ以上聞いても問題が多いことでございますので、はっきりした答弁はできないと思うのです。しかし長官の頭に入れておいてもらいたいのは、結局いま申しましたように、免税点以下のものがおるということと・それから滞納とか分納とか、そういうものの分析をよくしてこれに当たらないと、ほんとうに救おうというこの政策が全然対象外になるというおそれが、一番この税金の面からあるわけです。したがって、この点を特に注意して大蔵省と折衝をすることを望みます。
それからこの同一事業ということを、私は事業だけだと思っていたのですが、同一事業ということをはっきりいうことになりますと、これはまた問題がありまして、非常にいろいろの仕事を同じ人が変わっておる場合、特に最近のように高度成長の結果、経済の変動が非常に激しい、しかも政府みずから行政指導に当たって、いろいろな行政指導をしておるのに、同一事業を三年間続けることは、非常にこれまた問題があると思うのです。過密都市だからこれを分散しろとか、区域の変換とかいうようなことで大まかな網もかけておるし、小さな、こまかい線の行政指導をやっているさなかに、同一事業だということでおっかぶせることについては大きな疑問を感ずるわけですが、こういう配慮はどういうふうにしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/20
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021・中野正一
○中野政府委員 いま省令の案等をやっておりますが、同一の事業を三年間という書き方は、私どもする必要はないのじゃないかと考えております。いま先生の御指摘のとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/21
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022・田中六助
○田中(六)委員 それからもう一つ、私が最初質問をした中小企業全般の問題と関連してくるのですが、結局企業に責任体制がないために、非常に黒字倒産とか粉飾決算とかいうようなことを最近いわれておるのですが、そういうことが陰で行なわれている。倒産の数のわりにみんながあまり困ってないというような実情も、一つの道徳心、つまり責任体制が確立してない企業が非常に多いと思うのです。それでこの場合も、保証人を持たない、保証人は要らないということによって、経営の責任あるいは管理の責任——道徳心の欠除というものを誘導するおそれがあると思うのです。私に言わせると、つまり零細企業といいましても、法人の場合は自分自身が、代表者が保証人になるとか、あるいは同じ一軒の、夫が商売をしておれば妻が保証人になる、妻がやっておれば夫がなるというような、最低限度の保証人の必要性をしみじみ最近の実情に照らして考えるわけですが、この点の配慮、政務次官でも長官でもけっこうでござまいすが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/22
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023・中野正一
○中野政府委員 確かにいろいろの政府の政策をやることによって、企業の責任というか、自主的なそういう面がなくなっていくような方向に持っていくのは非常に好ましくない、これは私もそのように感じております。ただ今度の制度については、実際零細企業者というのは担保とか保証人ということをいわれて非常に困っておることも事実なんです。したがって、むしろいま先生のおっしゃるとおり、第三者保証でない家族の保証とか、そういうよろなものならいいのじゃないかという考え方も出たのですが、いろいろこれは研究した結果、むしろ片方で相当シビアーな要件をつけておるわけですから、それであればあらためて家族の保証だけとっても、はたして保証のどれだけの意味があるかというようなことの問題にもなってまいりまして、純粋の無担保、無保証ということに踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/23
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024・田中六助
○田中(六)委員 これは結局、信用保証協会を窓口としていろいろやるわけですが、てん補率の問題とかあるいは保険料、こういうことが問題になっております。てん補率は百分の八十、つまり八〇%ということははっきり書いております。金額三十万円で八〇%、一応災害または産炭地域並みでけっこうだと思いますが、私がやはり懸念するのは、対象金額が三十万円だということにも多少ひっかかりを感ずるのですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/24
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025・中野正一
○中野政府委員 先ほどちょっと触れましたが、従来からの小企業者を対象にする小口保険というものがありまして、これがやはり三十万円以下、それから第一種の保険が百万円以下、第二種の保険が一千万円以下の保証ということになっておるわけであります。これを三十万円ではあまり少ないから五十万円に上げたらいいじゃないかという考え方も成り立ちますが、しかし零細企業については、たとえば国民金融公庫あたりの平均の一件当たりの融資額が四十万円ちょっとくらいですね。案外そういう零細な金融というものが非常に大事なわけでございますので、一応三十万円ということで考えて、てん補率は八〇%、これは法律でちゃんと書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/25
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026・田中六助
○田中(六)委員 このてん補率八〇%はどうです、もう少し上げられたほうがいいのではないか。もちろん上げたにこしたことはないのですが、災害地、産炭地並みですから、これ以上思い切ってもう少し交渉してみるということはできなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/26
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027・中野正一
○中野政府委員 これはいまも御指摘のありましたように、一般の保証に対する保険のてん補率は七〇%、災害の場合とか産炭地の特別の場合に八〇%ですから、これを八〇%にしたということは政府としては相当の努力をしたというふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/27
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028・田中六助
○田中(六)委員 保険料は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/28
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029・中野正一
○中野政府委員 保険料は政令に譲っておりますが、日歩一厘四毛と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/29
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030・田中六助
○田中(六)委員 この保険料ですが、信用保証協会にとっては一応財政負担上、保証料との関係など考えてみますと、保証協会の人がおられないからあれですが、保証料がとの程度——五十一カ所ありまして、それぞれまちまちでしょうが、大まかな線としましては、大体保険料の幅が最高六厘と見まして、二厘半かあるいは三厘から六厘の幅だと思うのですが、保険料が一厘四毛、これはやはり私も計算してみまして、ちょっと高いような気がしますが、これは何とかまだならないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/30
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031・中野正一
○中野政府委員 保険料については、毎年できるだけ逐次下げるように、これは保証協会からも非常に要望があります。それから保証協会に対しては、御承知と思いますが、別に保険公庫に来年度は六十億円の政府出資をして、その六十億円の金を低利長期で、全部長期低利ではなく、災害などに保留いたしますが、大部分長期低利の金で、安い金利で保証協会にこれを融資をして、保証協会を援助いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/31
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032・田中六助
○田中(六)委員 私がちょっと計算してみますと、現行の三十万円以下の小口の保険料から見て、五十一協会の中からあれしたのですが、保険料が結局保証料から支払われますから、一厘四毛で計算しますと、二厘の場合に五六%、三厘の場合三七%、四厘の場合二八%で、やはり負担は相当重いのですね。結局、これがどこにいくかというと、保証協会は一応零細企業対策としてこれに協力するという精神でおっても、結局政府案の、この案でいきますと、また、そういう一つの協力体制というものが他の面から文句が出て、結局これが非常に画期的な法案であるというふうにいわれておるのですけれども、現実に画期的でなくなるという点があるわけですが、一厘四毛についても今後下げるように努力しておるということを聞いておきまして一応多としますが、その点よく保険料と保証料というような問題からも考えておいてもらいたいと思います。
大臣が来られないということでございますので、一、二私が思っておることを述べて御回答を得たいのですが、政務次官でけっこうでございます。
最近山陽特殊鋼の調査に私も行ったわけでございますが、そのときに思ったことは、特殊鋼の社長にまずわれわれが問いを発すると、どうしてこういう会社更生法の申請をしなくてはいけなかったかという質問に対して、社長はこう言うのです。それは現時点においては設備投資が非常に過剰であった、それからもう一つは、対外的な大きな不況の波にさらわれてこういうふうになったというようなことを言うのです。これで私しみじみ思ったのですが、自分の企業を持っておる、つまり企業の社会性という点についての認識とか道徳心がもう全く欠けておる。一方組合とかあるいは下請業者の意見を聞きますと、下請業者はどう言うかというと、自分たちは、もう一年もあるいは半年前からもいろいろな注意があったのだけれども、企業というものを持っていくために一生懸命納入したのだ一まるで自分の責任体制がない。しかも下請企業の協同組合なども全然つくってない。そういう点で、経営者あるいはそれに関連する雰細企業者あるいは中小企業者、両方の人々の考えを聞いたときに、政府が毎年毎年鳴りもの入りで中小企業対策を声を大きくしてやっておる、ああしたこうしたというようなことを言っておるのですが、はたしてどこにそういう中小企業対策が浸透しておるかということをしみじみ感じたのです。これはどこに問題があるか。やはり政府に大きな責任があるのじゃないか。それは金融対策だ、組織化だ、あるいは共同化だということを言っておるのですが、ほんとうの意味の行政指導というものを責任を持ってやっておるかどうかということに大きな疑問を感じます。これは金の要ることばかり、あるいは予算をどういうふうにふんだくってやらなければいけない、あるいは代議士の人に頼んで予算をとることばかりが問題ではないと思う。やはり診断行政というか、責任を持った行政体制というものをやっていないというような気がするのです。やっていないとは断言できないかもしれませんが、少なくともわれわれが調査した一つの段階におきましても、まさしくそういうことを感じたのです。したがって、こういう点をもう少しはっきり、ただ自分が任期中これだけ済ましておけばいいというようなことよりも、体当りでほんとうに中小企業対策をやってほしいと思うのです。
私がさらに考えるのは、現在こそほんとうに中小企業対策のやりがいのある時期じゃないかと思うのです。大きな高度成長政策という経済政策の波の中でいろいろ困っておる。しかも世界第一に中小企業の数が多いのです。それでこんなに倒産しておっても、外国の経営学者から見たら全くおかしい、ナンセンスなことが行なわれておる。しかもそれがあまり響いていない。昨年は四千二百十二件、ことしの一月が四百二件ですか、二月が五百十二件、そういうふうに数字だけばかでかい。そうして零細企業は少しも救われてない。救われてないと同時に、また次々に生まれておる。これはこんな法案を幾らどんどん出しても、何かの欠陥があるということをしみじみ思うのです。したがって、それにはやはり行政担当の者が、診断行政というか、つまり組織化とかあるいは共同化ということもさることながら、そういう点を配慮してほしいと思うのです。
それから、やはりバックボーンになる中小企業対策がないのじゃないか。私は与党ですが、ここに中高年齢層などを中心とした大きな最低賃金制度なら制度というようなもののバックボーンがありさえすれば、それに枝葉をつけていけば対策というものは成り立つと思うのです。そのバックボーンがどこにあるか、どこをさがさねばならないかということを、はっきり対象としてとらえて、これに対する検討を始めてもらうことを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/32
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033・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいまの田中先生の御注意、御意見等につきましては、通産省といたしましても十分留意いたさねばならぬと痛感させていただいた次第でございます。私は、やはり経済の体制は、企業を行なっていく人の責任を十分感じさせて、そうしてその人の全知全能が発揮できるような体制に持っていくという基本体制はあくまでとるべきだと思います。しかしこういうような複雑多岐にわたっております経済体制でございますので、それには、ことに中小企業、小規模事業というものについての保護政策というような点について、もっともっと徹底をした対策を立てる必要もありまするし、またお互いに相寄り協力していくような情勢を、政治的、行政的につくっていく必要があると思います。その点について、通産省はじめ政府といたしましても、十分いままで考慮をしてまいったつもりでございますが、御指摘のように、まだまだ不十分な点があるようでございますので、将来とも大いにこの点について考慮いたしまして、一そういままで行なっております施策の十分の徹底をはかりますと同時に、行政当局のおのおのの者がもっと実情といいものをしっかりと把握して適切な施策が行なわれるように十分努力いたしたい、こう感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/33
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034・内田常雄
○内田委員長 浦野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/34
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035・浦野幸男
○浦野委員 日本の産業構造の中で、中小企業の占めておる割合というものは非常に大きいと思います。ところが、この中小企業の企業自体というもの非常に基盤も零細であるし、さらに一つ一つの企業の投下資本というものも非常に少ないわけであります。しかしながら、日本の産業の発展の上には、非常に弱い企業ではあるけれども、非常に大きな力を持っておる、重要性を持っておる。そこで、特に一昨年から中小企業の問題が非常にやかましくいわれてきておりまして、政府といたしましても、いろいろな手が打たれてきたわけでございます。しかし、そのほとんどが金融の面とかあるいは補助金とかいうことに尽きておるのじゃないかと思います。もちろん、今日金融面が一番大事なことではあるけれども、しかしながら、それだけでは私はこの中小企業を救い上げるのには何か一本柱が欠けておるじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。そこで、今日の中小企業の構造の面とかあるいは組織の面というものをもう少し強力に打ち出していかないと、ただ、金が足らないから金を貸してやるのだとか、あるいはこの仕事に補助金をやるのだとかいって、零細な企業に金を貸す、あるいは補助金を出す、こういうことだけでは、私は今日の日本の中小企業はなかなか立ち上がれないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
そこでお聞きいたしたいことは、この構造の面、非常に数多い中小企業——農業は、もう農業基本法ができて、いろいろ農業の近代化もはかられるし、あるいは規模の拡大といったようなものに非常に強力に最近手が打たれてきております。農業協同組合を通じ、あるいは地方団体を通じて、非常に強力な手が打たれてきておりますが、中小企業庁としては、この現在の中小企業の構造の面において特にどういう手を打っておられるか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/35
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036・中野正一
○中野政府委員 いま先生の御指摘になったとおりでございまして、中小企業も、従来からある形のままで、これだけ激しく変動する経済の中で、しかも、先ほど来申し上げておりますような中小企業を取り巻く環境というものが、従来のような豊富低廉な労働力に依存し、限られた市場で経営を続けていくということは許されなくなっておるわけでございます。その意味合いにおきまして、これを金融の面とかあるいは補助金というようなことだけで、ほんとうに中小企業の体質改善あるいは構造の高度化というようなことはできないことは当然でございます。それには、一つは、やはり中小企業の場合は、何といっても組織化ということを強力に進めなければいかぬ。この面で最近問題になっておりますのは、従来からある協同組合、商工組合あるいは環境衛生組合、いろいろ組合がありますが、こういうものをひとつ全部見直して、組織化の点で、現在の情勢に、あるいは将来の情勢に合うような組織づくりというものを考えなければならぬじゃないかということが議論になりまして、実は中小企業基本法によって設けられております中小企業政策審議会に組織小委員会というものをつくりまして、これは実地にいろいろやっておられる方以外に、いわゆるその方面の学識経験者も入っていただきまして、もうすでに十回以上にわたって委員会をやっておりまして、その面で、ひとつ抜本的な組織の面からの改善ということも考えていきたいというふうに考えております。
それからもう一つは、やはり何といっても中小企業についても、特に業種別にいろいろ近代化計画をつくっていく過程において、適正規模というものを考えていかなければいかぬじゃないか。近代化計画には、適正規模はどれくらいかということは一応書いてございます。しかし、これに持っていく方法がまたなかなかむずかしいわけであります。かりに、あるいは合同とか合併でそういうふうにしましても、また小さいものがどんどん出てくるというところに問題があるわけでございます。その意味においては、そういうふうな適正規模に持っていく方法等についてもう少し研究しなければいかぬ。ただ、最近の事例から見ますと、みそ、しょうゆあるいはなまパンあるいは繊維というふうな業界において、やはりある程度の協業化をさらに進めて、企業の合同であるとか合併というような形に持っていって、やはり規模を適正化しようという動きが出ております。これは御承知と思いますが、そういう場合には国の助成もありますし、それから税制上のいろいろ恩典もあるわけであります。これも、政府のほうで何か頭ごなしに、こういうふうなものにしなければいかぬというようなことを言うことは、これはやはり中小企業の自主性をそこなうことにもなりますので、あくまでも組合等を中心に、みんなで自主的にそういうふうに相談していただいて、そこに行政指導というものを加えてやっていかなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/36
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037・浦野幸男
○浦野委員 いま適正化ということを替われましたが、私も、その適正化ということが一番大事だと思います。ところが、非常にむずかしい問題だと思うわけですが、むずかしいからといって手をつけぬでおれば、これはますます零細化していってしまう。そこで、農業でもここ数年前に、農業の適正化をはかるために、池田総理が、その適正化の表現のしかたは適当でなかったかもしれぬが、首切りといったような問題で一応問題になったことがありますが、やはり首切りということばで表現したんではちょっとまずいかもしれませんけれども、実際、将来の農業を考えたときに、農業の適正化をはからなければいけないということからも私は出ておると思います。そこで、中小企業におきましても、首切りということばでなくて、その適正化をはかるためにはどういう方法をとったらいいか。いま申されましたが、組合を通じて、あるいは組織を通じてだんだんとやっていかなければいけないと言われますが、それでは長官は、こういう問題についてはどう考えておりますか。いまの中小企業の数というものが日本の産業構造の中で適当であるか、あるいは今日の中小企業というものを、首切りということばではなくて、何か間引きをしてこれを強力なものにしたほうがいいか、これはむずかしいかもしれませんけれども、この点はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/37
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038・中野正一
○中野政府委員 非常にむずかしい御質問で、非常にお答えしにくいのですが、今度の白書でも申しておりますように、ここ数年来の日本の経済の発展の中で、中小企業の地位、ウエートといいますか、こういうものは減ってきておる。出荷額あるいは付加価値生産性、従業員の数等も、千七百二十万中小企業は雇用しておるわけです。そういうことでありますが、少しずつウエートは下がっている。しかし、生産の半分、輸出の半分というものはまだ中小企業が担当しておるわけですから、非常に大事であるということでございまして、そういうふうに転換等の問題についても、政府なりあるいは指導的地位にある人が頭ごなしにやるということは、今日の経済情勢、民主主義の世の中においては全く許されない。昔みたいなことはとてもやるべきじゃない。しかし、転換等についても、政府は必要な援助の手を差し伸べることが必要だろうと思います。ただそれを間引くこか、数が幾らでなければならぬとか、そういうことは実は適切な政策としてはとらない。しかし、同時に、将来中小企業のあるべき姿の一つのビジョンというようなものを描いていくということは必要だ。今度の中小企業白書の批判の一つとして、ただ過去こうなっておって、ことしどうするということで、将来に対する確たるビジョンがないじゃないかというおしかりを受けておるわけでありますが、まことにそのとおりだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/38
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039・浦野幸男
○浦野委員 そこで、中小企業の力を強化しなければいけない、総体的にも強化しなければいけないが、さらに一つ一つの企業を強化していかなければならないというようなことから、昭和三十八年の六月に中小企業投資育成会社株式法ができたわけでありますが、この中小企業投資育成会社をつくる当初におきまして、大蔵省は非常にこれに対して疑義を持っておったということを聞いておるのですが、それはどういうところに大きな疑義を持っておったか。できてしまったものであるからして、そんなことを聞く必要はないかもしれませんが、そういう気持ちが今日もまだ続いておるのかというところを私はお聞きいたしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/39
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040・中野正一
○中野政府委員 この投資育成会社をつくるときには実は私は参画しておりませんで、ただ大蔵省としては、どうせ金を出すほうの立場から審査をするわけですから、はたしてこういうものができて——これは御承知のように、東京、大阪、名古屋で六億円の政府出資、これは直接じゃありません、中小公庫を通ずる出資でございますが、そういうものを出して、これに民間の金を入れて、三社で五十五億の資本金で出発したわけですが、民間の力でそういうものをやるというのであれば、これは非常にけっこうです。しかし政府が金を出してまでこういうことをやらなければいかぬか。これは中小企業の自己資本の充実に必要な増資を引き受けてやろう、こういうことですから、けっこうなことであるのだが、政府が金を相当出してまでやらなければいかぬかどうかという観点から、いろいろ大蔵省としては考えてきたのじゃないか。通産省と折衝の結果、そういうものは必要である、したがって政府も金を出そうということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/40
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041・浦野幸男
○浦野委員 そうしますと、いま大蔵省の考え方というものは、この会社に対して基本的には別に反対しておるわけじゃないが、ただお金の問題だけで疑義を持っておったという程度のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/41
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042・中野正一
○中野政府委員 実は昨年、この投資会社ができまして、どうもなかなか活動が活発でないというようなおしかりを各方面から私も受けまして、一回外国の事情を詳細に調べてきたらどうかということで、調査団に、ここにおります土谷課長も団員として行ったわけです。大蔵省からも担当者が行きまして、ヨーロッパ、アメリカを詳細に見てまいりました。やはり外国にもこういう形のものがたくさんあるわけです。これを政府がみんな応援しておるわけです。特にアメリカでは投資育成会社が七百ぐらいある。そうういようなことで大蔵省としてもだんだん実態がわかって、いまではこれを大いに応援するという態勢になっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/42
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043・浦野幸男
○浦野委員 投資育成会社の資本構成ですが、定款を見ますと、通産大臣や大蔵大臣の干渉が非常に強く出ておるようでございますが、実際の面を見ますと、なるほど政府ではないが、金融公庫から出資をされておる。そこで、その資本の全般から見て約一割程度の出資が行なわれておるわけですが、それに反して、地方公共団体は金融公庫が出資しておる額よりもはるかに多い。東京で見ましても、二億五千万円が公庫で、地方団体が四億四千万円、名古屋が金融公庫の一億に対して二億出しておる、あるいは大阪が二億五千万円に対して三億七千万円出しておる。地方公共団体が非常に出資を多く出しておるようでありますが、この金融公庫の出資に対しては優先株式である。ところが、金融公庫というものもやはりある程度政府とはいうものの、収支を見なければならない。ところが、地方公共団体は全くの地方の自治体が出しておって、これも公の金である。ところが、公庫の出しておるのは優先株式であるのに、地方団体の出しておるのは一般株式と同じ取り扱いをいたしておる。こういうことは何か理由があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/43
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044・中野正一
○中野政府委員 この投資育成会社の成り立ちからいって、要するに民間の出資、これは地方産業の振興ということに役立つわけですから、地方公共団体が金を出し合っていこう、それに政府も、設立当初ではあるし、ひとつ応援をしよう、こういう形になって、三者相ともどもに助け合っていこうということでできておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/44
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045・浦野幸男
○浦野委員 三者相助け合っていくということは、これはよくわかります。よくわかるけれども、金融公庫の定款を見ましても、この優先株式に対してはいろいろ有利な条件がつけられておるわけでありますが、この金融公庫の出資だけを優先株式にして——一般の民間から出た、金融機関とかあるいは個人の会社とか、こういうところの出資に対しては一般の普通株式ということは理解できるけれども、少なくとも地方公共団体が出しておる出資に対しても優先株式を認めないという理由をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/45
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046・中野正一
○中野政府委員 地方公共団体の出資について、国からの間接の投資ではあっても、それに準じた扱いをすべきではないかという御意見、その点はもうちょっと研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/46
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047・浦野幸男
○浦野委員 これはくどいようですけれども、実際金融公庫のものだけは優先株式にしておいて、地方の税金でまかなわれて出されたものは——国家という大きな力、地方という力、その力というものに対しては差はあるか知らぬけれども、その金の出てくるところというものは同じだと思います。そういうのを差をつけておく。何か国家権力によって、国家のやることに対してはこういう優先を認めて、地方団体は別だ。私は、民間企業からの出資まではこれをどうこうとは申しませんけれども、少なくとも地方団体から出しておる出資だけはやはり優先株式という形にしなければならぬのじゃないか、こう思います。
それから次に、投資育成会社ができて各地方の中小企業にそれぞれ投資をいたしておるわけでありまするが、おそらく今日どの会社でもみんな、投資育成会社から融資してもらうことはほとんどの会社が希望するだろうと思います。ところが、そう全部が全部希望されても、そんなに資金があるわけじゃないので、どれもこれもというわけにはいかぬと私は思います。そこで、この投資育成会社が地方の会社に融資をする選定ということは非常にまた問題も多いようですし、あるいはいろいろなうわさもちょいちょい聞きます。あるいは激しい運動も行なわれるようでありまするが、育成会社が民間企業に投資する場合の投資のしかたあるいはその選考のしかたというものはどういう方法をとっておられるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/47
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048・中野正一
○中野政府委員 御指摘がありました申し込み企業に対する審査のやり方は、まず申し込みがありますと書類上及び実地の審査をやりまして、そうして慎重に検討をやった上で常務会あるいは常勤取締役会にかけまして投資を決定するということになっております。この決定にあたっては、政府は個々の申し込み企業について、投資会社につきましては全然関係しない。先ほど、監督が非常に厳重じゃないかということをおっしゃったのですが、これは業務方法書だとか何とか、会社運営の基本的な条項を変更したりきめたりするときは政府は関与いたしますが、それ以外は、実際の日常の業務については一切関与いたしておりません。しかし、しょっちゅう詳細な報告は受けて、情勢はキャッチしているわけであります。特に投資育成会社は、企業に関する業務方法書といいますか投資にあたっての、たとえば利益率が大体どれくらいであるとかいうようなことについては規定がございますので、その規定に従いまして事業の公正を期し、特定の者に利益が片寄ることがないようにやっておる。同時に投資先の中小企業の経営の自主性というものは十分尊重するようにつとめておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/48
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049・浦野幸男
○浦野委員 投資育成会社がいま六億というワクできめられておるわけです。たとえば東京、名古屋、大阪と三つの会社ができておるわけですが、そこへ各県がいろいろと出資をしておるようでありまするが、この企業というものが非常にいいということになって、九州にもあるいは四国にもあるいは山陰、広島あたりにもつくりたいというような機運がかりに出てきたとした場合に、いまのワクで、六億でしばって、これは全部三つの会社に出資されておりまするが、将来こうした投資育成会社というものの成果が上がってきて、これを増加するという考え方はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/49
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050・中野正一
○中野政府委員 東京、名古屋、大阪の三会社は発足してまだ一年ちょっとでございまして基礎固めの状況でございますが、今度法案の改正によって転換社債も出し得る。それから資本金一億円以上のものでも特別の場合には投資を引き受けられるというふうにこの業務の内容も拡充することになっておりますので、ぜひこの法案を一日も早く通していただく。そうすれば各地域の中小企業者の需要に相当応ぜられるような情勢になるのではないかというふうに見ております。したがいまして、会社の所在地以外の中小企業者に対しましても、現在は中小公庫の各支店に相談所のようなものをつくって、投資会社の人がそこへ回って行って各地方の需要にも応ずるようにやっておりますので、いまのところは三社以外に別に各地につくるよりも、いまあるものをそれぞれ強化、充実するというほうが得策ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/50
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051・浦野幸男
○浦野委員 この投資育成会社ができてから一年余りで、期間もきわめて短い期間でありますので、多くの実績を望むことは無理かもしれませんが、しかしながらわれわれは最初想像して、地方産業の大きな発展なり、しかも今日中小企業というものが資金難に非常にあえいでおる時期に、当を得た育成会社の発足であるというふうに非常に大きく期待いたしておったわけであります。ところが投資育成会社の投資先はきわめて微々たるものだと思います。しかも大阪、東京というものは非常に大きな出資を持っておる。名古屋が一番少ない出資である。その一番少ない名古屋が一番多くの会社に投資をしておる。東京、大阪、特に大阪は非常に活動が鈍いように思いますが、同じように運営せよ、同じような比率で投資をせよといっても無理かもしれません。大阪なり東京、名古屋とそれぞれ事情があるから無理かもしれませんけれども、総体的に投資の方法が活発でないということと、もう一つは、東京、名古屋、大阪にこうした大きな違いが出てきておるということは、何か原因があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/51
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052・中野正一
○中野政府委員 いま浦野先生が御指摘になったとおりでありまして、実績を申し上げますと、一年余りで東京の投資先が十四件、名古屋が十五件大阪が十三件計四十二件でございます。資本金は東京が二十五億、名古屋が十億、大阪が二十億、こういうことになっておるわけでございます。確かに御指摘になったような点は、名古屋については愛知、三重、岐阜、石川、富山の五県に限っておって、投資の育成会社はこういうものだというPRも非常によく行き届いているようでございまして、また各県も非常に活発に管下の企業を指導して、投資育成会社の対象になるようにいろいろ努力しておられるというようなこともありまして、比較的こじんまりした世帯というか形でいっておるので、かえって能率があがったのではないか。しかし大阪、東京方面も最近はようやく仕事にもなれてきましたし、特に各都道府県、中小企業金融公庫、そのほかの金融機関とも十分連絡をとってPRにつとめておりますので、今度法改正でもできますれば、相当今後活発化するのではないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/52
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053・浦野幸男
○浦野委員 今後に期待せよということでありますが、実は私はこの投資育成会社が中小企業の会社に投資するのに少し厳密過ぎるのではないか、いろいろ聞いてみますと、こまかいことを言い過ぎるのではないか。であるから、資金はほしいけれども、そんな投資育成会社の言うようなふうにはやれない。もちろん出資をするのですからそうずさんな投資はできぬと思いますけれども、少し厳格過ぎるのじゃないかという声を聞いて、これじゃとてもそんな投資育成会社の融資を仰ぐようなわけにはいかないというような声もありまするが、もう少し投資条件というものを緩和するというような気持ちはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/53
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054・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘になったようなことについては今後とも十分に気をつけさしていきたいと思いますが、何といってもやはり出資をするわけでありますから、相当慎重にならざるを得ない。しかも民間からの出資が大部分でございますので、そういうことで、現在のところは従来の基準を変えるほうがいいというふうには判断はいたしておりませんが、審査等はできるだけ早く親切にやってやるということでさらにつとめてまいりたいと思います。何といいましても投資会社のほうからいえば初めてのお客さんでございまして、日ごろつき合いがないわけございますので、今後御承知のように転換社債を引き受けるということになると、中小企業のうちでその経営状況あるいは将来性の判断から、いきなり投資ということはむずかしい、したがって投資対象になる一歩手前ぐらいの経営内容だというようなものでも、社債であればわりと気安く引き受ける、そしてつき合いをしておるうちにそれを株式に一この転換社債はあくまで自己資本の充実のための一手段でございますから、補助的手段ではございますが、そうなると比較的資本金規模の小さい企業に対しても投資が行き届いていくということになるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/54
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055・浦野幸男
○浦野委員 投資育成会社が投資をする場合に、条件として何か担保を出せとかあるいは逆投資、ちょうどいまの銀行で金を貸すようなことを言われるというようなうわさを聞いたのですが、これは単にうわさの程度か、そういうことは絶対にあり得ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/55
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056・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘のようなことは絶対にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/56
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057・浦野幸男
○浦野委員 先ほど、投資をする場合にどういう選考のしかたをするかということを申し上げたのですが、どうも育成会社が投資をする会社を選考する場合に非常にいい会社、いわゆる優良な株式、これはだれが投資をしてもよさそうなようなところを選び出す、そしてほんとうにここでひとつ投資会社が投資してくれれば会社の更生ができるというような会社はどうもきらわれる、いろいろ相談に行ってもきらわれるということを聞いておるのだが、どうも優良株式優先ということにあまり力が入り過ぎていはせぬかと私は思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/57
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058・中野正一
○中野政府委員 いままでのところは全部で四十二件取り上げておりますが、中小企業のほうからもいろいろ申し込みがあります。会社ですから、やはりいいほうから手をつけていくというか、そういうことに結果的にはなっておるのではないかと思いますが、しかしだんだん業務内容も改善されますし、審査等についてもだんだんなれてまいったようございますので、最近はだいぶスムーズにいっておるというふうに私どもは見ております。なお、先ほどから何度も繰り返すようでありますが、いまおっしゃたような企業については、むしろ転換社債を先に引き受けさせるというようなことのほうが実際的じゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/58
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059・浦野幸男
○浦野委員 今度の法の改正でも転換社債の問題が中心でありまするが、実際投資をするということと転換社債を引き受けるということと——転換社債ということばはあまりいままで私は知らなかったわけですけれども、転換社債を引き受けてやったならばどういう効果が出てくるのですか。投資と変わった効果というものはどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/59
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060・中野正一
○中野政府委員 これは社債でございますので、要するに一種の貸し付け金のような形になって、元本は保証されるわけです。それから利子も大体一割程度を考えておりますが、最初から約束をしてそのとおりにもらうわけですから、株のように配当が幾らくるかはっきりした保証がなかったり、元本についても、元本を割る危険性もあるというふうなこととは非常に違います。ただ転換社債ですから、将来数年間のうちに、もうそろそろ投資してもだいじょうぶだということになれば、投資会社のほうの意向でこれを株式に変更し得る、こういう制度でございますので、非常にぐあいがいいのではないかというふうに考えております。なお、転換社債を中小企業が出しておるかどうかという御疑問もあると思いますが、実は非公募でございますが、転換社債を発行した会社は現在二十三社ございまして、これは全部中小企業でございます。したがって、比較的この制度は中小企業にはなじみやすい制度じゃないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/60
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061・浦野幸男
○浦野委員 この投資育成会社は料本金一億に限られておるわけですが、この一億に限るという特例を設けておるということは、どういう意味ですか。どういう効果、効果というよりもどういう意味で一億に限っておるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/61
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062・中野正一
○中野政府委員 御承知のように、これは中小企業の育成策として特に自己資本充実のための応援の政策でございますので、当然投資育成会社の投資先は資本金でいって五千万円以下のものでなければいかぬ、しかしそれは増資させるわけですから、だんだん資本金五千万円を突破する場合に、五千万円以上になったら増資を引き受けてはいかぬということにすると、これはちょっと実際に合わない、それかといって、これが三億も四億もになるまでも投資育成会社が株を引き受けられるということにしても、これまた中小企業対策としていかがかということで、投資育成会社が増資を引き受ける場合、資本金一億円になるまでは増資を引き受けてよろしい、一億円以上になるといかぬ、こういう限度を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/62
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063・浦野幸男
○浦野委員 投資育成会社が、これからどんどんと一般の企業家にPRされて相当利用されてくる。しかしながら投資育成会社にしても資本の限度があるわけであります。そこで資本の限度一ぱいまで投資をしてしまえばなかなか投資の余裕がない。しかし一般にはもっと投資をしてもらいたいという場合に、先ほど申しました、重複するかもしれませんけれども、東京とか大阪とか名古屋というところだけでなくて、中小企業というものはやはり全国各地に非常に広く散在をいたしておるわけであります。そこで、あそこの県は株式を持っておる仲間だというものの、一定の地域に行って相談するということはなかなか不可能だと思います。将来こうした要望がかりにあるとするならば、国のほうの中金の資金もむろんふやしてもらわなければいけないと思うが、いまこの三つ以外のところから育成会社をつくってもらいたいという要望はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/63
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064・中野正一
○中野政府委員 以前に九州方面に別につくってもらいたいという要望がございましたが、現在のところはそういう要望はあまり強く出ておらないようでございます。したがって、既存の三つの会社を今後内容を充実して、これは私が前から考えておるのですが、まあできたら九州とか北海道とかいうようなところには、ほんとうは支店ぐらいはつくって、少し窓口相談を——いま中小公庫の窓口でいろいろ処理を受け付けておりますけれども、そういうことではなくて、直接支店等をつくることについては、将来の問題としては考えなければならぬというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/64
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065・浦野幸男
○浦野委員 中小企業を助けていくためには、三公庫の貸し出しもやってもらわなければいけないが、この育成会社というものは、ほんとうに内輪へ入って業務指導まで、金を貸すほうはなかなかできないけれども、実際に投資をすれば、その会社の経理にしても運営にしても身をもって入っていくわけでありますから、中小企業を育成する上においては非常に大きな役割りを果たしてくると思います。そういう意味からいきましても、この投資育成会社の資金量をできる限りふやして、そうして数多くの困っておる企業を助けて育成してもらうように指導していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/65
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066・内田常雄
○内田委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、人選、日時、手続等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/66
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067・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。
本日はこの程度にとどめ、次会は、明後三月二十六日金曜日午前十時十分五より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X01919650324/67
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