1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年三月三十日(火曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 田中 龍夫君 理事 中川 俊思君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
浦野 幸男君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 海部 俊樹君
黒金 泰美君 小宮山重四郎君
佐々木秀世君 田中 榮一君
田中 正巳君 田中 六助君
中村 幸八君 二階堂 進君
古川 丈吉君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 山下 榮二君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第四部長) 田中 康民君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
中小企業庁長官 中野 正一君
中小企業庁次長 影山 衛司君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 塩谷 忠男君
中小企業信用保
険公庫総裁 山本 茂君
参 考 人
(東京信用保証
協会理事) 黒川 義雄君
参 考 人
(長野県信用保
証協会会長) 北島 仙一君
専 門 員 渡邊 一俊君
—————————————
三月二十六日
委員二階堂進君辞任につき、その補欠として福
田繁芳君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員福田繁芳君辞任につき、その補欠として二
階堂進君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九〇号)
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
律案(内閣提出第六一号)
中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九一号)
小規模企業共済法案(内閣提出第七六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/0
-
001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、同じく中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、同じく中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案及び同じく小規模企業共済法案、以上四法案を議題といたします。
本日は、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として、東京信用保証協会理事黒川義雄君、長野県信用保証協会会長北島仙一君、以上お二人の方々が出席されております。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがたく存じます。
政府当局並びに参考人に対して質疑の通告がありますので、これを許可いたします。島口重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/1
-
002・島口重次郎
○島口委員 一昨年、総選挙の際に池田総理は、中小企業、農業対策で革命的な施策をやると、こう言っておりましたけれども、池田内閣の時代にはそういう施策が見られなかったのであります。その後、佐藤内閣が池田政策を踏襲いたしまして、今度中小企業信用保険法の看板である無担保、無保証を見ますると、ただいまの資本主義経済社会におきましては、まさに革命的である、こう考えるのであります。ところが、この看板だけ見ますると、だれでも保証の申請をする、融資の申し込みをいたしますると借り得るような印象を受けるのでありますけれども、ほんとうに中小企業者である限りだれでも融資の保証をお願いすれば融資ができるのであるかどうか、おそらくは何かの条件があるであろうと思いますけれども、その条件等を第一番に明らかにしてもらいたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/2
-
003・中野正一
○中野政府委員 いま質問のありました中小企業者のうちで、今度のいわゆる無担保、無保証、中小企業者の中でも特に小企業者、これは従業員が五人以下、商業、サービス業については二人以下、この小企業者につきましては、特に物的担保も乏しく、そして保証人を得ることもなかなか容易でない、そのためにせっかく信用保証協会というものができておって、これによって零細企業者の金融を円滑にさせよう、特に保証協会の保証によって市中の金融機関の金を中小企業のほうに円滑に流そう、こういう制度をやっておりましても、いま言ったような事情からなかなかこの制度に乗りがたいという事情にありましたので、このたび、これらの小企業者につきまして、物的担保の提供、保証人の保証も要しないで、保証協会がやって、その保証をもとにして市中金融機関が金を貸す、こういうことを考えたわけでありまして、今度の法改正をお願いいたしておるわけであります。いま御指摘がありましたように、小企業者のうちで一定の要件を備えた者について無担保、無保証でやるということで、その要件は省令で定めるということになっておりまして、現在考えておりますのは、小企業者が三年以上同一の市町村内で営業をやっておりまして、所得税あるいは事業税というような税金を完納しておる者、こういう者について無担保、無保証の制度をやろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/3
-
004・島口重次郎
○島口委員 零細企業者に保証人なり担保の条件を緩和いたしまして、いわゆる金融業界のベースに乗せるという私自身も賛成なのであります。そこで、ただいま長官からお答えのありました税金を完納しなければならないということが一つあること、それから同一市町村内において三年間同一事業を行なっている者でなければならぬ、こういうことなのでありますけれども、そういたしますると、税金の完納ということばが出ておりまするが、完納とはどういうことであるか、具体的にお知らせいただきたいと思います。具体的に申し上げますると、三年間の完納でありますから、その間において滞納がない者である、こういたしますると、納期が一週間おくれましても一日おくれましてもこれは完納でないのか、あるいは税金の完納であるから、その税金にも所得税あり事業税ありあるいは住民税等があり、国税、地方税があるから、その関係はどうなるのか、こういう点についてお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/4
-
005・中野正一
○中野政府委員 税金完納の意味は、税によって延納を認められる場合がございます。したがって延納が認められておる場合は、もちろん延納の期間内に納められておれば納めたということになりますので、そういうふうに解釈しております。税の種目は、個人営業につきましては所得税、それから法人については法人税、これは国税でございます。それから地方税につきましては事業税、これを完納しておる者というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/5
-
006・島口重次郎
○島口委員 そういたしますると、税金を納めておらない免税点以下の方はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/6
-
007・中野正一
○中野政府委員 今度の制度は、いわゆる対人信用によりまして健全な経営をやっておる者について、しかも物的担保も保証人もなかなか得にくいという零細企業者について適用しようという趣旨でございますので、どこかで線を引くというか、信用力を判定する一つのメルクマールが要るわけでございます。それをいま言ったように、三年以上営業しておって税金も納めておる者であれば、担保もとらず保証人もとらずに、対人信用だけで保証して金を貸すこともいいじゃないかということで踏み切ったわけでございます。税金を納めておらない方、これは二つの意味があると思いますが、非常に小額所得者で、いろいろ控除がありますから、赤字で納めてない者、これは今度の対象にならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/7
-
008・島口重次郎
○島口委員 この提案説明によりますと、零細企業者である金融ベースに乗らないものを乗せる、こう言っておるけれども、その根本趣旨と相反する面が出ておるのじゃないですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/8
-
009・中野正一
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、税金を納めておっても、零細企業者でなかなか物的担保も提供しにくいという状況で、なかなか信用保証協会の保証ベースに乗りがたいというものが相当数あるので、これをまず取り上げて処置をしようということから考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/9
-
010・島口重次郎
○島口委員 健全な経営をして、しかも担保も保証人もないという方が相当ある、こういう御答弁なんですけれども、しからば多くの中小企業者の中で税金を納めておる者の比率はどうなっておるか。なるべく具体的に、全国平均でもよろしいが、中小企業の中における小企業者が幾らあって、税金を納めておる人が何人あるかという点を出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/10
-
011・中野正一
○中野政府委員 これは調査が昭和三十五年度と三十八年度と出ておりますが、三十五年度で申し上げますと、中小企業者が全国で三百十六万人ございます。そのうちで、これはいろいろな推定のしかたがあるのですが、今度保険法でいう小企業者は、先ほど申し上げました従業員が五人以下、商業、サービス業については従業員が二人以下というものを推定してみますと、約二百六十二万人いるのではないかというふうに見ています。この二百六十二万人のうちで、税金を納めていない方が百六十二万人、それから所得税と事業税の両方を納めておられる方が八十万人、それから事業税だけを納めておる方が二十万人、したがって小企業者の中で今度の制度の対象になり得る者は約百万人というふうに考えております。それから昭和三十八年度につきましては、ちょっと全体の数がはっきりいたしませんので、税の対象だけ申し上げますと、事業税だけ納めている者が三十二万人、それから所得税と事業税の両方を納めている方が七十万人、したがって、こかからいっても、やはり三十八年度は百万人が小企業者で税金を納めておるというふうな推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/11
-
012・島口重次郎
○島口委員 それでいきますと、課税されている者が約三三%程度ですね、あるいは三〇%程度よりも税金を納めておらないという比率が出てくると思います。こういう結果を見ますと、無保証、無担保であるならばだれでも救済してやるというような印象を与えて、中身を検討してみますと、約三分の一程度より恩典を受けないという点がございますので、こういう点はどう考えておりますか。税金の完納であるとかあるいは同一営業三年間という条件をもっと緩和してはどうか、そういう御意思があるかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/12
-
013・中野正一
○中野政府委員 いまお尋ねの点は、われわれも非常にいろいろ苦心をした点でございますが、これはやはり先ほど言いましたように、健全経営をしている零細企業者で保証人をとろう、あるいは保証を求められても物的担保がなかなかないという方が相当おられることは事実でございますので、そういう方は今度の制度の対象として取り上げるべきではないかという検討の結果、こういうふうに踏み切ったわけでございます。しかしこれは、きょうは保証協会の方もお見えになっておりますが、この保証協会のほうで、この制度で十分やっていけるのではないか、もちろんそれには政府のほうからの信用保険公庫からの融資金を相当大幅にふやすとかいうような裏づけも要ると思います。また保証協会に直接いろいろ出捐とか融資をして監督しておられる県当局あるいは市等の援助も必要でございましょう。しかし保証協会ではこの制度で十分やれるのではないか、相当やれるということを言っていて、この制度に協力しょうという体制が大体でき上がりましたので、相当効果はあがるんじゃないか、てん補率も、御承知のようにある程度危険もふえますから、普通のてん補率の七割を八割に見るということで、これも政府としては相当踏み切ったつもりでございます。しかし御指摘のように、これを実施してみて、なかなか十分効果があがらぬじゃないかということがはっきりいたしますれば、これは政府側としても、この制度の運用についてさらに改善を加え、小企業者の対象となる要件等については省令で定めることになっておりますので、そういう点につきましては、いまのところ私は、これで相当効果があがるというふうに考えておりますが、将来はそういう点についてさらに実施の状況によって改善をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/13
-
014・島口重次郎
○島口委員 では長野県の信用保証協会からお見えになっておる北島さん、それから東京信用保証協会の理事をおやりになっておる黒川さんにお尋ねをいたしますけれども、いま長官のほうから、保証協会のほうでは、全面的ということばはないけれども、あらん限りの協力をいたしますという回答があって、これに決定したということなんでありますけれども、そこでお尋ねを申し上げたいのは、ただいま中野長官からのお話によりますと、事業税、所得税は、中小企業者の中で三分の一程度納めている。この者が対象である。おそらくは日本国民、中小企業者、零細企業者にいたしましては、政府のほうでは無担保、無保証で信用保証をしてくれる、融資をしてくれるからというので、相当期待が大きい。そういう面から見ますと、零細企業の受ける感じの問題、それからいまの説明によりますと、全零細企業が対象である、こういう印象を受けるが、実際は窓口が三分の一程度に縮小されている。これで一体協力をして相当な効果をあげられるかどうかという点で、どういうお考えでおられるかをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/14
-
015・北島仙一
○北島参考人 私、長野県信用保証協会長の北島でございますが、私どもの協会は、全国の五十一協会中、昨年末の残高が十四位、大体七十七億円というところでございますから、保証協会中の中ぐらいなところかと考えておるわけでございます。ただ特徴といたしますところは、非常に小口保証が多いのでございます。三十万以下が、件数にいたしまして全体の五三%を占めており、全額にいたしまして一七%というふうなことでございますすので、比例の高さからいきますと全国の上位だと思うのでございます。今度非常に画期的な無担保、無保証制度がいろいろ伝わりまして、県下の業界は——だけではございません、県、市町村も非常に期待をかけておるような次第でございます。私どもその仕事をやっております者として非常に責任を痛感いたしておるのでございますが、ただいまの御質疑にございました問題でございますけれども、実は私ども協会の中にもそれぞれ意見があったわけでございます。その意見につきましては、連合会を通じてお願いをいたしておったところでございますけれども、当面といたしましては、この画期的な、非常にみなの期待いたしておりますものをぜひ成立さしていただきまして、ただいま長官のお話にございましたように、その実施途上におきまして実情にそぐわないという点があれば手直しをしていくということでございますので、そういうふうなことでありますれば、当面といたしましては、ひとつこれに御協力をいたしてまいりまして、実施いたしました暁におきまして改善をしていただくということで、私どもは期待いたしておる次第でございます。そういうことでございますので、いろいろと考え方はあるのでございますけれども、お話しのように、税金を完納いたしておりますものは、私どもの県といたしましても三割程度ということでございますが、それだけでも救ってまいるということができますれば、たいへんけっこうなことではないか、そしてさらに一歩進めまして、納税該当者でない部面にまでも及び得るならば、さらによろしいのではないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/15
-
016・黒川義雄
○黒川参考人 東京の状況を御説明いたしたいと思いますが、実は私どもでは、二十万円以下の小口につきましては昭和二十九年から、五十万円以下につきましては昭和三十五年から、それぞれ無担保、無保証をたてまえとしまして、いわゆる担保及び第三者保証人を排除いたしておるのでございます。ただ企業における自己責任と申しますか、ひいては、それを通じまして企業の健全な育成に当たるというようなたてまえから、保証人とは見ないのでございますが、形式的には保証人という形で、個人企業の場合の身内、法人企業の場合の代表者というものに責任を負っていただいておるわけでございます。こういう状況でございますので、今回この措置が講ぜられましても、都の場合には直ちに急激な増加を期待することは無理だと思います。ただ昭和二十九年に実施しました実績を見ますと、二十万円以下につきましては、その後、最近の保証の大型化の現象があらわれるに至りますまでの間、毎年かなり著しい伸びを示してきておるのでございまして、これが行なわれました場合には、全国的には相当伸長するのではないかということが予想されるのでございます。都の場合にも、何ぶん小口というものは潜在需要がかなりございますので、そういう面、さらにまた最近の地方庁の施策融資が非常に増加してきておりますので、都におきましても、この制度の実施後はかなりそういった需要の増が見られるのではないかと期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/16
-
017・島口重次郎
○島口委員 もう一度長野県の会長さんにお尋ねいたしますが、ただいまのお答えによりますと、協会内部でも相当議論があった、こういうことですね。相当議論があったということは何のことであるかという問題です。ただいま都道府県なり市町村でやっている小口簡易保証と称する制度を見ますと、あるいは国民金融公庫の融資の方法を見ておりますと、国民金融公庫では五十万以下はほとんど担保をとっておりませんよ。みんな公正証書を出しております。それから市町村でやっておる段階にいきますと、ただいま申したように、金融業界でいわゆる担保物件を有する保証人というような厳格な保証人ではなくて、ただいま黒川さんからお話のあったように、おやじさんが借り入れを申請する、奥さんが保証人、身内保証でやっている。そういう面から見ると、金融業界で考えているような担保力を有するような保証人ではない。ある意味では無保証、無担保制度で金を出しているのです。そういう客観的な金融事情にあるときに、税金を完納しなければならない、あるいは同一営業を三年間継続しておらなければならぬということがはたしてやわ得る自信がありますかどうか。ただ政府のほうからそう言われるから一応ごもっともであるけれども、やってみてから直そう、こういうのであるならば、客観的な判断をして見通しを考えて、いまのうちから直すほうがよいのじゃないか、こう考えますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/17
-
018・北島仙一
○北島参考人 私ども内部的に、長野県の保証業務をあずかっている者といたしまして、いろいろ検討いたしたのでございますけれども、この無担保、無保証人制度というものは非常に画期的なものであるが、一面ただいま仰せのように、その対象となるべき要件についていろいろむずかしいことがついておるということについては意見があったわけでございます。通常、私どもただいまやっておりますものについては、一年以上事業を継続しておるというふうなことでやってまいっておるわけでございますから、三年以上というふうなことについては、一応現行のものとは少しくかけ離れているのではないかというふうに思うのでございます。また先ほども御指摘ありましたように、私どもの県におきましては、納税該当者がわりあいに、全体の小企業者の中で半分を割るといったような状態でございますから、それらの人についても考えなければならないということでございますけれども、一応これは実施をいたしてまいりまして、そうして時期により改善するということでございますので、私どもといたしましては、とりあえずこういう画期的なものを実施していただく。特に保証人等につきましても、無保証人であるという点からいたしまして、いままでとはやや趣を異にしておるということからいたしまして、そういうふうに御協力を申し上げてやってみたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/18
-
019・島口重次郎
○島口委員 政府次官と長官にお尋ねをいたしますが、ただいま言ったとおり、国民金融公庫のほうでは担保をとっておらぬで貸すのです。それから見ますと、あえてこれが無担保だということでは、画期的でも革命的でもない。それからいま保証協会のほうからお話があったように、市町村でやっている小口簡易制度と称するのは、非課税でも対象にして貸している。こから検討いたしますと、はるかに後退したものでありまして、前進的なものでない。そうやって看板を見ますと、無保証である、あるいは無担保であるというけれども、いまの制度よりも後退しておりまして、これをやってどれだけの効果があがると思っておりますか、その点お二人からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/19
-
020・中野正一
○中野政府委員 いまの先生の御指摘の、国民金融公庫が担保をとらぬで貸しておるじゃないか、これは五十万円じゃなくて百万円以下について、原則として担保をとらない。しかし保証人は全部とっております。したがって、今度の制度は保証人もとらない、そこがいわゆる画期的かどうか、これは人によって見方がありますが、相当前進じゃないか。それからもう一つは、従来の制度はあるわけなんです。従来の制度をやめてしまうわけじゃなくて、特別小口制度をつくったために、小口保険というものは第一種保険に統合いたしましたけれども、これは従来と同じ制度は残っておる。それに特別に今度は三十万円以下で三年以上営業しておって税金を納めておる者については無担保、無保証で保証しようという新しい制度を追加をするわけでございますから、私は改善じゃないかと思う。しかしこれは改善といっても、いま先生が御指摘になったように、もう少し簡便な手続でやったらいいじゃないか。たとえば三年というのはちょっと長過ぎるので、一年くらいがいいじゃないかという議論は成り立ち得ると思います。しかしこれは政府のほうで、相当予算折衝の過程で折衝しまして、てん補率を特に八〇%というふうに災害並みに上げたわけですから、その意味で条件をある程度しぼったほうがいいじゃないかというようなことにもなりまして、いわゆる無担保、無保証で金を貸すというわけですから、危険率も多いわけですから、てす補率を引き上げるということは各協会から非常に強い要望があったわけです。これを何とかして通したいということで、こういうふうに全体的に見て決着をいたしたわけでございまして、決してわれわれもこれで十分だというふうには考えておりません。
それから、先ほどもちょっと申されました地方でやっておる小口保証というものも、これは保証は全部とっております。もちろん第三者保証には限りませんが、保証人は全部とっておりますから、その点で制度はやはり違うのじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/20
-
021・島口重次郎
○島口委員 いま長官が、国民金融公庫と市町村でやっている簡易保険制度のお話をされましたが、あなたのおっしゃるとおり国民金融公庫のほうでは担保をとっておらないけれども、保証人はとっておる。公庫でとっておる保証人は、保証人価値というものは相当高く評価してやっております。ところが、市町村でやっておる小口制度と称するものは担保をとっておりません。非課税でも適用させております。保証人につきましても、担保価値を有するような保証人ではない。私が先ほど申し上げましたように、だんなさんが借り入れを申し込む、そうすると奥さんが保証する、いわゆる企業保証する、家族的な保証です。これから見ますと、はるかに後退だ。やはり政府がやるからと、にしきのみ旗を打ち出した限りは、前進的なものでなければならぬと思う。長官が、健全企業をやっておる方を救済する、ワクを拡大するんだ、こういうけれども、税金を三年間完納しておる方なら、三十万円程度であれば何も政府の無保証や無担保でなくても自力で金を借りておりますよ。これに適用される、これによって救済される人はごくまれだと思う。そういう意味から見ると、私は、あとで総締めくくりで申し上げますけれども、国民大衆も、無保証、無担保だから、われわれも対象になるという期待が裏切られるということ、それから事務を担当いたしまする保証協会でもそうでしょう。おそらく、お客さんが行って、無保証無担保だからわれわれにも貸してもらいたいといっても、三年間同一市町村内における企業をやらなければならぬということ、あるいは税金完納ということが出てくる。それを操作いたします当局もありがた迷惑な話だと思う。そうなる、全くないにひとしい。やらないにひとしい。やらないよりもやったほうが幾らかプラスになるだろうというような政策であるならば、表看板のような、画期的な、革命的なものじゃないと思う。そういう面から、もっとその条件を緩和するということが当然だと考えす。私の聞くところによりますと、通産省のほうでも、中小企業庁のほうでも最初は、この条件はきびしいということで相当折衝したようでありますけれども、大蔵省のほうではなかなか強硬だという話をお聞きしたのであります。確かにこの思想を貫いて業務を執行いたしますと、一石二鳥といいますか、金も貸すが税金も納めてもらう、そういう点はいいねらいだと思う。これにこだわると、税金に制約されまして、実際の恩典はあるが適用されるものがごくまれだということですよ。そういう面から、大蔵省から見えておる塩谷財務調査官の意見をお尋ねしたいと思いますけれども、こういうことはやらないに劣るのです。やらないよりも幾らかなりともやったほうがいいだろうというような甘い考えで、しかも国民大衆に期待を与えて、中身は何にもないということならやらぬほうがいいじゃないか、こう思うのですが、どうですか。これは財務調査官と中小企業庁長官にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/21
-
022・塩谷忠男
○塩谷説明員 ただいま御指摘の点につきましては無担保、無保証制度をつくります際に、通産省とはかなり深い検討をいたしたわけでございます。私どもの考え方といたしましては、保証を受ける相手方が健全な企業を営んでおる、ある程度の信用力もあるという人を対象にすべきではないか、その場合の資格要件につきましては、あまりきびし過ぎても問題がございますし、さりとてこれが非常に甘くなり過ぎるということにも問題がございます。どの程度の資格要件を備えるのが適当かということにつきまして、いろいろ検討いたしました結果、ただいま中野長官が御発言になったようなところに現在落ちついておるわけでございます。ただ、これは法律上の要件ではございませんので、ただいま長官から御答弁ございましたように、実情に応じまして弾力的に考えるということはわれわれとしても十分考慮しておる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/22
-
023・中野正一
○中野政府委員 いま大蔵省から答弁されたとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/23
-
024・島口重次郎
○島口委員 これは法律要件じゃないから相当弾力的に考えるという答弁ですけれども、その弾力的に考える時期の問題なんですよ。先ほども長野県の会長からお話があったように、やってみてから実績があがらなければ、効果が出てこなければ直すという態度、これは政令でありますから、国会が法案を決定いたしますと同時に条件緩和をやるのかどうかという問題が出てくる。あなたがたはサラリーマン生活ですから、俸給から源泉課税を差っ引かれるので、完納ということはたいしたきびしいものではない、こう考えておるかもわからないですけれども、今日の中小企業なり零細企業にとっては、完納ということは非常にきびしい条件なんです。これは、あえて第三者の例をあげなくても、私の例から言えるのでありますけれども、私の会社は昭和十八年に五百万の会社です。私は二十七年にその会社の社長をやりましたけれども、社長になった当時はすでに税金が約三年間くらいたまっていた。いかに直ちに税金を納めようと思いましても、一挙に経済的なプラスは出てこない。完納はできっこない。いまだにそれが完納されておらない。なぜ完納されないかというと、税金を納めに行きますと、前年度の、前の年から徴収いたしますから、いつでも徴収が残っておる。そういう状況では税金完納ということは、特に最近におきましては損益分岐点が高くなって、在庫が寝ておる。損益計算をして利益があるから税金を納めたらいいじゃないかというけれども、そうはいかぬ。そういう状況で、税金の完納ということは非常にきびしい。しかも三年間というのです。だから、この点も長官なり財務調査官から、もっと具体的に——先ほど納期は認める、期日はよろしいと言うけれども、一年間の間に税金を納めるのに四期に分けて納めるわけですね。その四期、三年なら十二年期ですよ。これを一回たりとも遷延させないということは、よほど経済力の余裕のある者でなければならない。同時に、私がただいま申し上げますとおり、私の会社ではまだ完納したことがない。ないけれども、対金融機関の信用度から申しますと、三百円でも五百円でも借りている。だから、あなた方の条件ではだめなものでも、市中金融機関や保証協会で保証をして融資を受けておる。あなたがたの条件よりはるかに下のものでも金融機関の恩典で融資を受けているのですね。こんなきつい条件で何が恩典があるか。あなたがたはサラリーマンで、俸給から全部税金を差っ引かれておりますから、その面では、納税者という立場においては、確かにきびしいものではないかもしれないけれども、いまの中小企業、零細企業から考えると、あなたがたの考えるようななまやさしいものではない。しかも、先ほど来言っておるけれども、無保証、無担保ということは資本主義経済社会においては確かに画期的なんです。ところが中身を出してみますと、いわゆる課税されたものでなければいかぬ、免税点以下のものは対象にならぬというなら、ほんとうに困っておる零細企業を救済するという精神が貫かれておらぬと思う。この面から、いま財務調査官のお話しでは、相当弾力的に考えるというけれども、時期の問題とそれから税金の課税、非課税の問題、どう考えておるか。この問題を財務調査官と中野長官のほうから詳細にお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/24
-
025・塩谷忠男
○塩谷説明員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、中小企業者の実情から申しますと、納税証明書の提出その他につきましてはあまり厳格な条件をつけますと、この制度の趣旨を生かせないということになる点は、私ども十分考えておるわけでございます。ただ、どこで線を引くかということになりますと、これは非常にむずかしい問題がございまして、やはりあまりに甘い線が出ますと、保証協会の立場からいたしましても、事務局にもいろいろ問題があろうかと思うのです。先ほどお話がございましたように、従前は保証人を立てておっても、いわば形式的な保証人であって、第三者保証というようなものでないというようなお話がございました。これは考えようでございまして、形式的には保証人を立てるけれども、そういう実質的な保証人でないような保証人でもいい、そういう制度がいいのか、あるいはいわゆる保証人も担保も要らないといったような制度をつくったほうがいいのか、これはいろいろ考え方があると思うのでございますが、今回は無担保、無保証という、いわば従来金融関係におきましてはあまり例のない制度をつくったわけでございまして、これをいかに運用していくかという場合におきまして、ただいきなり対象要件を非常に寛大なものにするのがいいのかどうか、この点について多少研究を要するに考えましたので、先ほど来長官から御説明申し上げたような基準をもって現在考えておるわけでございます。ただ、私どもといたしましても、先生の御指摘のように、そういう基準が現状にあまり合わない、非常にきびし過ぎるということになりまして、この制度が生かされないということになりますと、制度をつくりました趣旨にも合いませんので、その点については十分検討いたしたいと思っております。ただ、いまこの制度を発足させる際に、何と申しますか、どういうゆるやかな条件で出発するか、先ほど来のような条件で一度出発して、その実績を見ながら将来において手直しするか、その点について十分弾力的に考えたい、こういうように申し上げた次第でございます。ただいまこの段階で、それではいまの条件をゆるめるようにもう一度検討したいということを申し上げるような段階にはちょっとございませんので、将来実情を見ながら運用の面において改善をはかりたい、こういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/25
-
026・中野正一
○中野政府委員 いま大蔵省から御答弁がありましたように、通産省と大蔵省の意見は全く一致しておりまして、実施してみてぐあいが悪ければ直すということで、これは両省の意見の食い違いはございません。しかし、長い間この問題は検討して結論を得たことでございますので、せっかく各保証協会もこれについて協力をしようということを言っていただいておりますので、これでひとつ発足させていただきたいというのが、われわれの偽らざる気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/26
-
027・島口重次郎
○島口委員 これは法を改正する技術の問題からも非常に問題があると思うのです。これは無保証、無担保という看板を下げておるけれども、唯一のけじめと称しますか、かなめと称しますものは、この営業期間の問題と税金の完納の問題なんです。この点をなぜ出してこないのか、これを出してこないで、政令でこういう面をやるのだといったような、そこに非常に欺瞞性があると思う。この法律の一部改正のかなめと称すべきものは、私が申すように税金完納の問題と営業期間の問題です。これをなぜ出してこないかということなんです。
それから第二点の問題は、いまやっておる市町村の小口簡易保証制度よりも悪いのです。だから、おそらく現実め保証協会の窓口に行ったら、これをやりたくないので市町村の小口保証制度を活用する。ところが、おそらく保証協会のほうでは、政府のほうから信用願っておるのでお義理で、政府の願を立てるためにやるというだけにすぎないと思うのです。私は青森県ですけれども、青森県の市町村ではそれをやっていますよ。融資を申し込むのでも、ほとんど保証人融資はやっておりません。その制度よりはるかに後退なんです。何の政府のやることが革新的ですかね。おそらくやっても、これは保証協会も、政府のほうから保険金の問題やら融資の問題があるから、政府に義理を立てるために故意に市町村の制度のほうをやらないで、こっちのほうをやろうとする傾向が出てくると思うのです。この二点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/27
-
028・中野正一
○中野政府委員 第一点の、法律に要件を書かなかったというのは、先ほど来言っておりますように、実態に合うように弾力的に運用できるようにするためには、そのほうがいいんじゃないかというように考えられます。
それから、先生のおっしゃる市町村の小口保証というのは、市町村長がやっておる融資のことじゃないかと思います。私はよく詳細知りませんが、そういう別の市町村とか府県等で、いろいろ小口保証とか小口融資をやっておられます。それはそれで政府がやることとまた別に、そういうことは各府県なり市町村の事情でやっていただくことは、これはまあ多々ますます弁すと言うと言葉は悪いのですが、必要性があってやっておられることでございますが、今度の政府のやろうとしておるのは、従来の担保をとり、あるいは少なくとも保証人をとる制度に——制度と言うと悪いが、実際はそうなっておるわけです、制度上なっておるわけではございませんが。そういう実情だけでは零細企業者に十分の金融の円滑化は期せられないので、一歩前進をして、無担保、無保証というものに制度を広げようという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/28
-
029・島口重次郎
○島口委員 市町村でやっていると称するのは、市町村が保証協会にお金をやって、保証協会がその金を銀行に孤託しているわけで、その窓口を通して小口の融資をしてもらいたいというときに保証協会がやる、保証協会はその預託した金の効率性を考えて出してやるということですよ。それもやっているから、政府のやることは悪いことではない、これはなるほどそうだろうと思う。しかし、少なくとも政府がやる限りは、零細企業の信用保証制度をやり、融資の道を講ずるというのであるならば、市町村のやっているものよりもはるかに画期的で、前進的で、効率的なものでなければならないと思う。市町村がやっているものはやっているもの、政府もやるんだからいいじゃないかと言っても、少なくとも国が都道府県なり市町村の零細企業に対する行政的な面から考えても、政治的な面から考えても、一歩進んだ考え方で、処理で、これを指導しなければならぬと思う。そういう面から考えると後退であって、前進ではないと思う。看板に偽りがあると思う。こういう点をどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/29
-
030・北島仙一
○北島参考人 これは御参考になりますかどうでございますか、長野県といたしましては、二十八年のころに小企業資金というものをつくりまして、これは非常に零細なものでございますけれども、連帯保証のやり方でやってまいったわけです。当初は五万円から、ただいまば三十万円が限度になっておるわけでございます。ところが、三十八年度になりまして、国のほうで、ただいま行なわれておりまする小口特別保険でございますか、これができまして、これは単独でやれるということになりまして、実はこのほうが三十八年は約三億、それから三十九年四月一日から十二月までに六億ほどいたしておるのでございます。今度この無担保、無保証になりますと、要するに保証人の問題は、第三者と申しますか、そういうふうな心理的にも経済的にも保証人がないということは、借りる者にとりまして非常にありがたい、安易にできるというふうな考え方ができるわけでございますから、したがいまして、私どもの県でいたしました小企業資金から小口特別保険になりまして、今度行なわれようといたします無担保、無保証人制度というふうなものにつきましても、先ほど私どもいろいろ、対象となる中小企業者に対しての要件がきびし過ぎるように思うのでございますけれども、無保証人というところを考えてみますると、ともあれこれで御協力申し上げたい、こういうふうなつもりで申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/30
-
031・島口重次郎
○島口委員 いまの答弁は、保証協会からでなくて、長官なり大蔵省のほうから答弁してもらいたかったわけなんです。しかし、話が出ましたから私も言うけれども、一体家内が保証人に立っていることがいいか悪いかということです。これは形式的な保証です。私も長い間保証協会の事務を担当したことがある。その際、細君でなくて、よその第三者を保証人にしてもらってやったこともたくさんある。また原則はそうなんだから。ところが細君に保証人になってもらいましてむしろよい点が多々ある。だんなさんと奥さんと共同で小企業をやる。やるけれども、奥さんのほうでは、いつ、だんなさんが金を借りたのやら、信用保証してもらったのやらわからない場合が多々ある。夫が商売やって、妻が保証人に立てないという家庭はあり得ないと思う。これは全く形式的な保証人なんです。無保証と同一ですよ。そこで担保もとっておらない。非課税者でもできる。だから、政府のやっているのよりはるかに前進的だ、私はこう言っておる。政府が、看板だけは革命的な、革新的なことをやるんだと言っておきながら、中身を検討していくと、市町村のやっているものよりもはるかに後退だ、何ら画期的なものではない。大蔵省なり中小企業庁がそれでいいのかどうかということを聞いているのです。どうですか、長官なり大蔵省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/31
-
032・中野正一
○中野政府委員 いま先生のおっしゃったのは、各保証協会がどういうふうに運用しておるか、まあ先生は保証協会に関係されたことがおありだと聞いておりますので非常にお詳しいのじゃないかと思いますが、したがって相手の信用力を見る場合に、おやじさんがやっておって、その奥さんが保証人に立てば保証人としての力があるのかということ、あるいはその経営について責任を持つかという形、そういうことで信用力があると見て保証協会が保証する分には、これはちっとも差しつかえない。これはわれわれもそういうことを否定をいたしておりませんし、今度のこの制度ができたからといって、その制度を否定するわけではないのです。今度の制度はプラスアルファなんです。だから、そこは両々相まっていけるのじゃないかと思います。ただ問題は、三年税金を完納しておるという条件がきついじゃないかという御指摘になると、その点は保証協会の一部からもそういう話が出ておりましたし、現に青森県からも私のところに電報が来ております。来ておりますから、いろいろ実情に沿うように今後改善していこうということを言っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/32
-
033・島口重次郎
○島口委員 細君が保証人に立つということの信用価値の問題なんだが、これは営業保証の面から申し上げましても、家庭円満主義からいっても、いいのですよ。おやじが借りた金を細君が知らないということで、あとから家庭争議が起きることもある。これは実際問題としてあるのです。特に農村なんかそうなんです。むすこさんが金を借りる。ところが農村の経済状況から申し上げると、不動産は全部まだ六十なり七十のおとうさんが持っておる。子供が来て、おやじのものを担保にして金を借りて返済しない。おやじさんのところに督促状が行って初めて、おれの財産をむすこが担保に入れておるのかということがわかりまして、家庭争議などが起こる。だから長官の言うように、奥さんが保証人になったほうか——保証力があって保証するならいいけれども、そうではないんです。奥さんは何も無財産だ。無財産だけれども、夫と妻が二人で共同経営で責任を持ってやるのだという面から申し上げましても、家庭円満主義から言ってもいいことなんだ。何も法律的な担保能力がなければ保証人の資格がないということではない。そういう面から言って、私は三年間ではきびしいから、ただいま長官なりあるいは財務調査官が言っておるとおり、もし三年がきびしいというなら考える、考えると言うのなら一年にするかどうかという問題です。これをもう一回だめ押しをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/33
-
034・塩谷忠男
○塩谷説明員 ただいま先生の御指摘になりました点は一々ごもっともでございます。ただ問題は、先ほど来お答え申し上げておりますように、対象となる中小企業者の範囲をどの程度にやるかということは、こればいわば程度問題でございまして、三年がいいか、あるいは一年がいいかというような問題がございます。この点につきましては、制度の発足に際しまして非常にゆるやかな条件から出発したほうがいいのか、あるいは多少きつ目の条件で出発したほうがいいのか、そこの考え方によると思うのでございます。先ほど来お話がございますように、主人が借金をする場合に奥さんが保証人になる。これは形式的には保証人でございますけれども、経済的にいえば保証能力がないと見ていいと思うのでありまして、本来いえばそういう意味の保証人は、従来の制度におきましても、いわゆる保証人とみなすべきかどうかについてはむしろ問題があったのじゃないかと思うのでございます。ただ従来は、制度の運用を円滑にする意味におきまして、いま御指摘になりましたような奥さんとか身内の保証もいわゆる第三者保証と同じような扱いにしておったわけでございます。そういう制度の運用でございましたので、今回保証人を要しないということになりましても、その間の差というものはわずかじゃないかという見方もあるかと思うのでございます。これは保証人についての法律上の意味あるいは経済的な意味をいろいろ考えてみなくちゃいかぬことでございますが、ただ私どもは、この制度をつくることがきわめて中小企業対策としても有効だと判断いたしましたのは、健全な仕事をやっており、かつ信用もある人にかかわらず、保証人になってもらう人がいない、あるいはかりにいても、その人に保証を頼みにいくのが非常に頼みにくい、そういう人に全然保証人がなくても保証協会の保証が受けられるような、そういう制度をつくったほうがいい、こういう御意見がございまして、私どもも通産省と同意見で、この制度の発足に賛成したわけでございます。そういういきさつから見まして、この際制度をうまく生かしていくためには、対象になる中小企業者の範囲はできるだけ広いほうがいいわけでございますが、ただ保証協会の事務の面から見ましても、あまり条件が甘過ぎますと、全然無責任な人が金を借りるために多数押しかけてくる、これはそういうことがあるかどうかよくわかりませんけれども、そういうことになりまして、非常にその制度の運用が乱に流れても困るのじゃないか、そういう点も考慮いたしまして、健全な事業を営んでおる者、あるいはある程度の信用がある者というものは一体どの範囲の資格要件の者かということでいろいろ相談いたしまして、まあ三年くらいは同一市町村に住んでおるとか、あるいはその間税金もちゃんと納めておる、そういう人は一応健全な経営をやっておると見ていいんじゃないか、そういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、先ほど来御指摘のように、三年間ということは非常に長過ぎるとか、いろいろ御意見もございましょう。したがいまして、私どもとしましては、この制度を運用します過程におきまして、どうもこれはぐあいが悪いということでありますれば、時期にこだわらず内容についての改善をはかりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/34
-
035・島口重次郎
○島口委員 あなたの前段のほうの無保証、無担保にしたということそれ自体には私も賛成なんです。そこで、不特定多数の者に出してやるためには、その条件というものは緩急よろしきを得なければならぬということが問題だと思うのです。そこでそれを掘り下げてくると、税金完納の問題あるいは同一企業で三年間同一市町村でなければならないということは残酷だと言うのです。これだったら一つも前進的なものはないのです。いま市町村のやっているものよりもはるかに後退だと言うのです。そういう面から言いうと、革命的であるとかそういうことに、看板に偽りありということになる。だから無担保、無保証には私はひとつも反対するものじゃない、むしろ賛意を表する。だけれども、その条件をもっと緩和しろと言うのです。やってみてからというけれども、私は率直に申し上げるけれども、ただいま長官と財務調査官とのお答えを聞いておりますと、信用保証制度の全体というものをつかんでおらない、勉強不足ですよ。市町村がこういう制度をやっているということは、私が質問してようようわかっているような状況なんです。だからそういう実情がわからない見地に立って、そういう情勢分析に立って今度のこの制度を出してきたんじゃないか、少なくともただいま私が言ったような市町村の小口制度というものがわかっておったら、もっと前進的なものを出してきたと思うのです。そういうことがわからないで、官僚が机上の考えで、これは国民が期待するような保証制度である、あるいは金融制度だということはお粗末だと思う。だけれども、それはそういう情勢を認識しておらないとするならば、おらないでけっこうだから、その条件をもって緩和する必要があると思うから、それに対する考え方はどうかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/35
-
036・中野正一
○中野政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、大蔵省のほうからもそういう答弁がありました。実施してみて、そうして実態にそぐわない点があればどんどん積極的に是正をする、こういうことでひとつ御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/36
-
037・島口重次郎
○島口委員 私がいま指摘したように、市町村でも無担保、無保証で、しかも引課税者であっても、税金完納でなくてもやっているという新しい事態が出てきた、そういう事態があったら、そういう事態に即応するような制度を初めからやったらいいじゃないですか。あなた方も、税金の完納であるとか三年間同一企業、同一市町村でなければならないということにこだわる必要はないと思うが、どうなんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/37
-
038・中野正一
○中野政府委員 私か承知しておる限りにおきましては、市町村、県等が保証協会を通じて銀行等に預託をして小口の保証をやっておる、これはもちろん知っております。それはしかしやはり全部保証人をとっておりますので、今度の制度とは趣旨が少し違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/38
-
039・島口重次郎
○島口委員 だから、保証人という字句にこだわらないで、少なくとも金融業会なりあるいは政府の考えておる保証人と称するものは、物的担保力がある、あるいは信用力がある人を保証人と称しておる。さっきの質疑応答の中にもあったとおり、奥さんか保証人となるような、信用価値なり物的価値があるかないかということは別個にして、形式的にやっておるのです。そういうのはむしろ私は先ほど申し上げましたとおり、家庭の円満主義からいってもいいことだと思うのです。そういう制度は現に施行されつつあるんだから、政府のやることももっと前進的なことを考えたらどうか。どうです財務調査官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/39
-
040・塩谷忠男
○塩谷説明員 その点につきましては、先ほど中野長行から御答弁がございましたように、奥さんの保証とかあるいは身内の保証という、いわば形式的な保証人を立てて保証を受けるという小口保険の制度は、現在も今後も残っておるわけでございます。したがいまして、そういう形式的の保証人による保証によって、保証協会の保証を受けるということの道は十分あるわけでございます。ただ全く保証人がないとかあるいは保証人かいても保証人として頼みにくいといったような人を今回の制度によって救済しょう、こういうことでございます。問題は、したがいましてその対象になる中小企業者の範囲をどうするかということに尽きると思うのでございます。その点が厳格かいなかということについて、先ほど来いろいろ御指摘があったわけでございますが、いまの段階におきましては、とにかく一度この制度をいまのような条件のもとにスタートさしてみたい、それによっていろいろ問題があるようでしたら、早い時期にこれを改善するということについてはやぶさかでないということを申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/40
-
041・島口重次郎
○島口委員 どうもなかなか強硬なようですが、悪いということがわかりつつ何もそうがんばる必要はないでしょう。おそらくこれは保証協会の第一線の方々が政府の施策であるということを念頭に置かなかったら、いずれも市町村のこの制度のほうがはるかに簡単だ、はるかに条件が緩和しておる。先ほど財務調査官が、これを、一つの条件というものをある程度きびしくしておかなければ、だれにでも付和雷同をされる、こういうようなお話でありますけれども、この点は保証協会のほうは大丈夫なんです。大丈夫というのは、零細企業の方々はほとんど保証協会のほうから融資を受けている。そういう点で、前に前科一犯なり二犯ある者が全部保証協会の記録にあるわけです。だから二回三回これを活用しょうとしても、保証協会の円をくぐらなければ、この無保証、無担保制度の恩恵を受けられないという制度でありますから、二度三度来る心配はないわけです。そうでしょう。そういう面から見ても、あなた方の考えはどうも机の上の考え方だけであって、いまの中小企業の実態、保証協会の業務の実態というものを把握しておらぬと思う。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/41
-
042・中野正一
○中野政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、資格要件についてはいろいろ研究した結果、保証協会においても十分この制度で協力をしてやりたいという御意向も十分承っておりますので、これで実施をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/42
-
043・島口重次郎
○島口委員 それじゃ別個な観点からもう一度この問題を取り上げてみたいと思います。そうすると一市町村に三年間いて同一企業でなければならない、こういう条件を出されておりますけれども、これは通産省から出ました三十九年度の中小企業に関する年次報告、これから見ても、この方針とも矛盾しておると思う。これの十八ページにありますが、「三十三年以降事業を開設したものは、三十七年末企業数の一六%に及び」こうなっております。それから、三十八ページのところなんですが、「経済合理性に立脚する政策を適用しうる基盤をもたないものが多く、政府としては、かかる基盤をつくり上げるため、これら企業に対する民間の経営改善普及事業を助成するとともに、」こういう項がありますが、その中でもうたっているとおり、経済的合理性のないものがそういう点を清算して、経済的合理性のあるものに企業転換することを大きく奨励する、こううたっている項があります。こういうように、零細企業者が経済界の変動で常に改良しなければならない。その次の生活のかてとして新しい職業をやらなければならない。それを政府が新しい高度成長政策と申しますか、開放経済に移行する政策として、配置転換、職業の転換を大きく取り上げていきたい、こういっておりますけれども、それだったら、これらの新規のものが適用にならぬことになっておりますが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/43
-
044・中野正一
○中野政府委員 いま、昭和三十九年度、この間国会へ出しました中小企業に関する年次報告を見ての先生のお話がございましたが、十八ページにありますように、先生が御指摘のように、零細企業においては、企業の発生、消滅の割合が、零細企業でない中小企業に比べて、比較的高い製造業でしか資料がないようでありますが、昭和三十三年から三十七年まで、五カ年間のうちで企業数の一六%が新しく開設しておって、同程度のものが廃業しているんじゃないかということをいっております。それはそのとおりでございます。
それから、あと三十八ページだろうと思いますが、これはもう御承知のように基本法にも出ておりますが、零細企業というか、小規模企業に対しては、特別のいろいろな施策をやるべきであるということを書いてございますが、ここにもありますように、零細企業の中の相当部分というものは、いわゆる企業という形でなくて、いわゆる生業的な要素が非常に多い。したがって、ここにもありますように、企業の規模の小さいものについては経済合理性に立脚する政策を適用しようと思ってもなかなかそれがうまく当てはまらないという面が非常に多いので、全国に四千六百名程度の経営指導員というものを、国の金と県の金で配置をいたしまして、これがいわゆる経営改善という面から経営面についての——経営面といっても、実際は税制の税務上のお世話であるとか、金融のお世話とか、帳簿のつけ方等から始めていくと思いますが、いずれにしても経営改善ということを一方にやりながら、これを経済的な合理性に乗った金融というか、要するにやはり金融でございます。今度の無担保、無保証も、何も社会保障で金を借りてやるという制度ではございません。これはあくまでも金を貸すということでありますから、やはり借りるには借りるだけの経営基盤というものがあり、また返済する能力というものがなければ金を借りてもむだなことでございます。そういうことがここに書いてあるわけであります。決してここに書いてあることが、零細企業をやめさしてどんどん転換さしていくのだというような趣旨でいっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/44
-
045・島口重次郎
○島口委員 やはり信用保証協会なり金融機関のほうでは、これは救済事業ではない、あなたから言わせると社会事業ではない。そういう点から言うと、金融ベースに乗らないものは融資をしないという原則には変わりがないと思うのであります。ところが、もしそういう経済法則だけにまかしておいてよいのであったならば、中小企業対策であるとか信用補完制度など必要でないと思う。やはり政府の方針、政策を貫いているものが具体的にここに立法化されるもの、ここに法の改正されるものでなければ、政策と現実が一致しないと思うのであります。そういう面から見ると、明らかに三十八ページにも書いてあるとおり、「生産性向上の余地がもともと小さい分野もみられるが、このような分野にある中小企業対策としては、伸びるべき分野への転換等が望まれる。この場合においては、転換せんとする企業のもつ労働、資本、技術等の有効活用を図ることを考えなければならない。」こう言っておりますが、やはり従来商売をやってうまくない、何か商売がえをしなければならない、何かやって生活しなければならない、それが小口の零細企業の現状であるということが表現されていると思うけれども、そういう際には、新しい企業で生活の道を立てようとするのに救済の手を伸べる、民間金融ベースでは救済できないものを政府の救済の網にかけようとするのが今度の保証制度の改正の目的だと思う。そういう点からいって、新規のものが全然対象外である。他の市町村から転入してきてこの町で一旗上げようとする者にも適用されないというのであれば、一切がっさいだめだという結論が出てくるのではないか。こういう条件をもっと緩和することも大事だけれども、やはり信用保証協会が、申請が出てきてそれを検討する、計画性に間違いがない、これならばいけるという、調査の結果出してもよいというのであるならば、あまりこういう条件にこだわる必要はないのではないか。皆さんも御承知のとおり、やはり七回失敗して八度目に成功したという人もあるのですから、そういう面から出てきた計画性、企業の内容、周囲の裏づけ、条件はどうなっているかということを討議をして、検討して、よろしいという結論を保証協会が出したなら、出してやれるというような弾力性のあるものでなければならぬ。それを一方では税金の完納で抑え、一方では三年間同一企業、三年間同一市町村に居住する、この三つの条件がついている。こうなってくると、所得税なり事業税の課税されている者であって、しかも完納されている者であっても、三年間やっておらなければ対象にならない、あるいは他の市町村では三年間税金を完納して相当成績をあげましても、他の市町村へ行きますと、これが適用にならない、こういった矛盾が非常に多いと思う。こういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/45
-
046・中野正一
○中野政府委員 先ほど先生が三八ページのところを引いておっしゃったのですが、これはここに書いてあるとおりでございまして、中小企業というのは業種、業態が非常に千差万別であって、したがって、業種、業態に応じたきめのこまかい政策をやっていかなければならない。それをいろいろやっていこうとすると、調べてみると、需要が減退的で、しかも生産性の向上の余地も少ないというような業種も分野もある。そういう面については、これを幾ら政府がしりをたたいても政策をやってみてもどうもならないので、そういうものについてはむしろ転換を円滑にやってもらうように、これは何も政府が頭から転換させるわけじゃありませんが、自然に転換せざるを得ないわけですから、それに対してあたたかい気持ちでもって政策を親切にやるべきであるということを申し上げておる。これは零細企業だけのことをここでは言っておるわけじゃございません。
それから、いま先生のおっしゃったような場合は、これは新規に零細業者を転換させなければいかぬという場合も多々あると思います。これは現にございます。そういうものはかりに今度の制度に乗れない場合も、これは国民金融公庫で相談に乗るとか、これは金融ですから、いろいろな方法があるわけでございます。
それから、ちょっと数字を申し上げますが、中小企業のうちで零細企業者というのは、たとえばこれは中小企業基本調査によりますと、従業員が一人から三人までの製造業で二十四万三千事業取り上げておりますが、このうちで金を借りているというものは三七%しかないのです。したがって、金を借りる道も、こういうところにおいては従来は、一口にいえばふさがれておるといったほうがいいのじゃないかと思うのです。そのうちで国民金融公庫なり中小公庫という政府関係機関というもので借りているのが四割近い。三九%は政府関係金融機関で借りているわけです。それから約二割は貸し金業者とか取引先等から借りている、あるいは親戚から借りているという者もあると思いますが、要するに借りてない者が六割あって、借りている者のうちの二割は取引先とか貸し金業者等から借りているのですから、今度の制度ができれば、こういう面のものは振りかわりに新しい需要として出てくるのじゃないかというようなこともわれわれのほうとしては検討している。これはしかし非常に部分的な資料ですから、これだけでもって全般を律するというわけにはまいらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/46
-
047・島口重次郎
○島口委員 いまの議論をしてもこれはしようがないのだが、しからばなぜ高利貸しに金を借りるかという理由なり原因の問題はいろいろあると思うのです。その中には、ある一部に保証人がなくてやった者もあると思う。やみ金融のほうにいく者は、金融機関のほうでは事務が簡素化していないので非常にめんどうだ、あるいは保証人の問題、担保問題、簡単に金を出してくれないというような問題があると思う。しかし、きゃうはやみ金融の問題じゃないから、それを議論してもしようがないので、問題が本論に返ってくるけれども、三年間同一の営業をやって同一区域におらなければならぬということになると、先ほど言ったように、高度経済成長政策であるいは大企業が地方に進出して、従来やっている生業は放棄せざるを得ない、やめたくはないけれども、やめざるを得ない、そこで新しい商売をやらなければならないという階層がたくさんあるわけです。そういう面から申し上げますと、私がただいま申し上げましたとおり、このいまの制度からいうならば、転業者が対象外になって、それから先ほども申し上げましたとおり、他の市町村ではりっぱに経営しておったけれども、よその市町村に行った、移転をしたときには適用を受けられない、あるいは新しく商売をやろうとする者もやれない、こういってみると、あまりにも条件がきびしくて、あれもだめ、これもだめということで適用者がなくなって、この法のねらっている効果がほとんど出てこないのではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/47
-
048・中野正一
○中野政府委員 私はそう見ておりません。実は今度のこれも、いまの御質問にはないのですが、制度の説明になりますが、今度の制度による保証承諾額を一年間で大体百五十億円と見ております。実際、やってみなければわかりませんが、一応その見込みとして百五十億くらいの保証ワクを保証協会はふやしていただくということを考えて、それに必要な資金を保険公庫から、これはまだ正確に幾らと計算しておりませんが、所要の資金を出そう、それから府県等にも協力していただく、こういうことで考えておるわけでございます。かりに三十万円で割ると、百五十億ですから五万件、しかし三十万円限度ですから、そこまでいきませんが、二十万円平均でいって七万五千件、一応先ほど申し上げておりますように、やかましい条件があるから、そんなにないのではないかという御疑念もあるかもしれませんし、これはわかりませんが、一応零細業者で税金を納めておる者は百万人おるわけです。ですから今度の制度をやって、これもだめ、あれもだめだから対象がないのではないかというような話は、どこの保証協会からも私は聞いていないのです。ただ実施するときに、ここまできびしい条件をつけるということが、その実態から見て、もう少し条件を緩和したほうがいいのではないかという議論は、これは議論としてりっぱに成り立つし、われわれも先ほど言ったように、実施してみて、各保証協会からの意見等によりまして改善をしていきたい。また各府県、市町村等の実施の意見も十分聞いてみて、改正するにやぶさかではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/48
-
049・島口重次郎
○島口委員 さっきから同じことを繰り返しておるわけですが、そうじゃない。やってみなさい、あなたの見解が正しいか私の判断が正しいか。そういうことをやってきてから条件を緩和するよりも、初めのスタートをするときから直したほうがいいのではないかというのが私の意見です。おそらく、先ほども申し上げましたけれども、第一線の保証協会の職員の諸君がまさに正しく判断して、お客さんの便宜を考えて、簡単なほうの制度の活用をして保証してやるというならば、市町村の制度を利用いたしまして、あるいは担保という条件が問題になってくると、国民金融公庫のほうの無担保を活用します。国民金融公庫のほうは、先ほど長官が言うように、第三者の保証人がついておるわけです。そういう面からいって、ある程度のきびしい条件があるので、そっちのほうにどの程度流れるかわからないというが、そうではない。いまの政府の目標の無担保、無保証というものは、看板はすこぶるきれいだ、画期的だ、革命的だが、中身を検討してみると、私が先ほど来言うように、税金の完納の問題あるいは同一市町村における三年間の居住、三年間の同一企業という条件がついておる。かつ、無担保、無保証よりもはるかに条件がきびしい。おそらく日本国民の零細業者が、今度は政府のほうで無担保、無保証で金を貸してくれるということで大きな期待を持っていると思うが、これは完全に裏切られたということは否定できない事実だと思う。
第二点は、ここに来られる会長さん、常務さん等は、上層部だけでなくて、第一線で活動する職長の姿を見てもらいたいと思う。だれでも融資ができることに期待していますけれども、これはこういう条件なんだといったら、おそらく窓口の事務担当者はありがた迷惑ですよ。これもだめ、あれもだめということで、ありがた迷惑が出てくると思う。よほど上居部のほうから、これは政府でやれといったんだから、国会でも問題になったので、なるべくは政府の今度の一部改正である無保証、無担保のほうでやれというような強行指令でも出さない限り効率が出てこない。こういう面から、どうも政府のやっていることが、あえて極端に言うと自足党政府のやっていることが、看板はよろしいけれども国民を欺瞞するものだと考えています。そういう面で、どこまでもやってみなければわからないと言うけれども、一年やってみなさいよ。私の見解が正しいかあなた方の見解が正しいか。率直に申し上げますけれども、あなた方は、保証協会の第一線で、ほんとうの零細企業、あすの資金に悩んでいる零細企業者の姿なり現実の苦しみというものを理解しておらないと思う、正しく把握しておらぬと思う。そういう面では、いまからもっと条件を緩和すべきだ。あとで社会党の同志の諸君と御相談をして附帯決議を出すか、あるいは修正意見を出すかということで最終結論を出したいと思います。あなた方のほうでも、条件等に対しては相当検討する用意があるということなんだから、その点十分留意をしてもらいたいと思います。
それから最後に、長官の答弁の中にもありました、保証協会が代位弁済をした保険金の支払いにおける支払い率の問題、これを信用保険法では従来の七〇%を八〇%に引き上げたから基準条件が緩和したというけれども、これは昨年の本委員会でも私が言ったようにたしか昭和二十九年ころに、一度に債務者が金を弁済しない場合は保証協会が代位弁済をする。その代位弁済を、第一線の保証協会の職長が回収をしてきて公庫に返す際は、公庫のほうに九対一の割合で返しておるんだ。一は本部協会、九は現地保証協会でその手数料をもらっておったと考えております。そういう面で、一〇%を引き上げたことが必ずしも看板にうたってあるように効果のあるものではないと考えておりますか、この点どうでしょう。——わからなければもう二度質問します。
山本信用保険公庫総裁に聞きますが、一般のやつが中小保険で返してもらった、その金のただいまの配分はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/49
-
050・山本茂
○山本説明員 私どものほうで保険を払うのが七〇%でありまするから、返してもらう場合も七対三の割合で私どものほうへ返してもらうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/50
-
051・島口重次郎
○島口委員 私がただいま申し上げましたのは、昭和二十九年から三十年ころは、保証協会が代位弁済をする。そうすると信用保険公庫のほうでは九割支払いしておった、じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/51
-
052・山本茂
○山本説明員 保険公庫ができましたのは昭和三十三年でありますので、それ以後はてん補率というものは七割ということになっておりますが、それ以前はいろろろの基準がありまして九割てん補というようなもので、そういうものについては九割返してもらうというようなことがあったかと思いますが、それは保険公庫成立以前の問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/52
-
053・島口重次郎
○島口委員 それでは二十九年、三十年当時保険公庫のほうで九割払っておったという記録を見たことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/53
-
054・中野正一
○中野政府委員 いま先生の御指摘の制度は、昭和二十九年でございまして、中小企業庁の特別会計でやっておった保険公庫成立前に、それも小口包括保険という、全体でなくごく一部については九割てん補するという制度がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/54
-
055・島口重次郎
○島口委員 だから、その当時の特別会計から九割を支払いしておったわけでしょう。そうすると、いまこの一部改正法案に出ているのは、八割を支払いするから非常に優遇した措置だ、こういっているけれども、昭和二十九年、三十年程度から見るとはるかに後退するじゃないですか。それにもかかわらず、先ほど長官のお話によると、ただいまこの保険制度でいくと七〇%の保険支払いをしているのだ今度八〇%の支払いをするから緩和さしたというけれども、むしろ昭和二十九、三十年ごろより大きく後退すると思うのでありますが、ここに書いてあるように、緩和したいようなことばほどではないと考えますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/55
-
056・中野正一
○中野政府委員 御承知のようにここ何年来、保険公庫ができてきてからずっと一般のてん補率は七制で来ておるわけでございます。御承知のように特別に法律で災害のときとか、それから産炭地の例の中小企業売り掛け金、こういうものについて特別に国会で議論があって、そうしてようやく八割になっているのですから、小口のものを今度八割にしようというのですから、これは相当の前進であるということはだれが見ても間違いないことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/56
-
057・島口重次郎
○島口委員 いまの制度から見ると前進であるかもわからないけれども、昭和二十九年、三十年から見ると後退するのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/57
-
058・中野正一
○中野政府委員 当時と比べるのはちょっといかがかと思います。やはり保険公庫ができてからその後の情勢は変わっておりますから。だからいま改正しようというのですから、いままでやってきたことと比べるのがいいので、だいぶ昔の話と比べるのは必ずしも妥当じゃないのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/58
-
059・島口重次郎
○島口委員 この議論のしかたも一つの方法だと思うのです。いまの段階から比較するのが正しいと、言うけれども、二十九年、三十年は何も遠い昔の話ではないのですよ。同じ日本政府が母体となっていた会計なのですよ。日本政府が母体でその制度をやっておりまして、二十九年のときから見ると保険支払い金がさらに一〇%下がるということは、政策的に考えて後退じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/59
-
060・中野正一
○中野政府委員 いま、おっしゃることは、保険公庫ができたときに、こういうふうにしたことについての御批判ということになるわけですね。これは別個の問題になると私は思います。だから特別会計から保険公庫をつくって、そういう制度にしててん補率を下げたのはいまから見ておかしいのじゃないかということになれば、その年の資料等を私ども調べまして、また別に資料かなんか差し上げてもいいと思いますが、そうした場合、それだから今度の八割が後退だという結論は出にくいのではないかというふうに私は申し上げているわけです。いまの七割にてん補率をしたこと自身が、公庫をつくって特別会計をやめて——これは大議論があった点なのです。特別会計をやめるかやめないか、しかし特別会計をやめて公庫をつくってやったほうが信用保証を前進させるのに非常に進歩である。そのころもいろいろ議論があったのですが、そういうことになっているわけでありまして、しかしこれは、先生のおっしゃったのは過去の政策に対する批判としては成り立つと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/60
-
061・島口重次郎
○島口委員 特別会計から今度は公庫ができた。その新しい機構ができて新しい機構へ移行する際の検討からこうなったということは、政府官僚の面から見るとそういう計算が出てくると思うのです。しかし、それを見ておる国民の立場から考えると、二十九年、三十年当時は保険支払いのほうは九割やっていたものが、ただいま七割よりやっておらない。今度の一部改正でこの無保証、無担保だけは八割を支払いするということは、政府の事情どうあろうとも、国民の立場から考えると、はるかに後退ということには間違いないと思うのです。そういうこと、だと思うのです。
最後に、どうしてもいまの税金の完納の問題、それから三年間同一企業あるいは同一市町村におらなければならないという問題は、先ほども申し上げたとおり、うちのほうではこれから相談をいたしまして附帯決議をつけるか修正案を出すか態度をきめたいと思います。
それはそれとして、この一部改正法を提案いたしますあたな方自体の中にも、あるいは協力をするという保証協会内部からも、この条件がきびしいじゃないか、検討する余地があるというようなことを意思表明しておるのでありますから、一日も早くそういう方向へ態度を決定してもらいたいことを要望して、私の質問を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/61
-
062・内田常雄
○内田委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/62
-
063・中村重光
○中村(重)委員 長官に尋ねますけれども、これはどうなんです。あなたのほうの原案は当初からこういうこと、だったんですか。原案は三年なんというような、そういうむずかしい条件はついてなかったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/63
-
064・中野正一
○中野政府委員 実はこの問題は、正直に申し上げますが、自民党のほうでも今度の予算、三十九年度の予算編成のときにこの問題かちょっと出まして、その後相当長期にわたって無担保、無保証制度推進ということで相談がありまして、政府側でも相当長く研究をした問題でございます。それで、それほど長いこと研究してこんなものしか出てこないのか、知恵のない話じゃないかという御批判はあり得るかと思いますが、われわれとしては大蔵省、通産省を中心にして相当長く研究をしたのでございますが、いまの三年間、実はもう少し長く期間をとったほうがいいんじゃないか、無担保、無保証でやるのだからという議論も途中ではあったのです。しかし通産、大蔵としては、三年間という条件は当初から固執をいたしましたし、それより長くするというのは反対でして、短くするという議論はあまり出なかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/64
-
065・中村重光
○中村(重)委員 そうするとあなたのほうは三年という条件、それはあなたのほうの当初からの原案ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/65
-
066・中野正一
○中野政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/66
-
067・中村重光
○中村(重)委員 それは、そうだと言えば、そうじゃなかったのだろうと言ってもしょうがない。あらためて明日お尋ねします。
大蔵省の方に、さっき島口委員の質問に対して、あなたがいろいろ答えられておったのですけれども、従来やっておる個人保証、それによる貸し付けの制度は残されておる、こういうことですね。そういうお答えだったでしょう。私はそれを聞いておって奇異な感じを受けた。無担保、無保証という制度は、中小企業者が金を借りることができなくて困っておる、だから、そういう零細企業者を何とか救済をしていかなければならない、生業から企業へという方向で強めていかなければならぬという考え方がある。そういう最低の人を、最低の零細企業というようなものを何とかしなければいけないのじゃないか、こういう考え方の上に立ってこの制度が考えられたのだ、こう私は受け取っておった。ところが先ほど来あなたのお答えを聞いておると、さっぱり考え方がわからなくなった。だから基本的な考え方をひとつこの際明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/67
-
068・塩谷忠男
○塩谷説明員 私の申し上げておることが、あるいは意を尽くさなかったかと思うのでございますが、現在も小口保険の制度は残っておると申しましたのは、第一種保険に統合して残されておる、こういうことでございまして、無担保、無保証の制度はそのほかに新たにつくられた、こういうことを申し上げたわけでございます。元来これは、そういうことを申し上げてはたいへん言い過ぎかもわかりませんが、金融の問題を考えます場合は、担保を提供するか、あるいは保証人を立てるかということがいわば常識でございます。物的担保のない場合でも、保証人を立てて金を借りるというのが普通の常識でございまして、例が適切かどうかわかりませんが、育英資金の貸し付け等についても保証人をとるというようなことでございます。そういうような一般的な金融の常識から申しますれば、保証人も要らない、あるいは担保も出さないでよろしいという制度を新たにつくる、つまり制度としてそういうものをつくるということは非常な進歩じゃないか。零細な中小企業者に対して、金融の道を開くためにそういう制度をつくるということは、制度としては非常に画期的な措置だ、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/68
-
069・中村重光
○中村(重)委員 信用補完の制度というものは、私がいまさらここで申し上げるまでもなく、保証力のない零細企業者、そういう人たちを何とかしなければならぬということから信用補完の制度がある。それならば無担保、無保証という制度はさらにそれを強めたものです。信用補完の制度を強化したものである。そういうことでなければならぬ。それでなければ意味ないですよ。ところが、この制度をつくったためにどうしても現実に後退するという形になるならば、これはたいへんなことです。だから先ほど来、島口君とあなたの間に質疑がかわされておる。あなたのほうは非常に現実を御存じない。そういうことでやられたのでは中小企業はたいへんなのです。だから、悪ければ改善するなんて、そんな不見識なことであってはなりません。中野さんも、あなた中小企業庁長官たるものはもう少し見識を持って法律案を提案するようになさい。あらためて明日やります。
保証協会の北島さん、あなたも大蔵省だとか中小企業庁の前では答弁しにくいような面があるのじゃないかと思うのですが、この制度で保証協会は非常に困るのじゃないかと思う。三年間同一市町村に居住するとか、税金を完納した者でなければ無担保、無保証の制度を適用できないことになってくると——いままではそういうことじゃないのですよ。そうするとこれは最低基準になってしまうのですね。これは非常なうしろ向きの制度ということになる可能性がある。あなたはそれをどのように理解をしておられますか。お立場もありましょうけれども、零細企業者にとってはたいへんなことだと思いますので、率直にひとつ、あなたの体験の中からこれをどう受け取っておられるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/69
-
070・北島仙一
○北島参考人 先ほどもお答え申し上げてございますように、ただいま私ども小口保証をいたします場合には一年間の事業をいたしておるものというふうなことをお答え申し上げたのでありますが、実際三年間事業を継続して納税を完納ということは、きわめて厳格は要件だということを申し上げたつもりでございます。しかしながら、第三者の保証人を不要とするということは、これはきわめて重要な事項ではないかと思うのでございます。そういうふうなことで無担保、無保証人——普通金を借ります場合に、一般的な慣行といたしまして身内、あるいは会社、法人でございますれば代表者などの保証人はございますけれども、それ以外に保証人としてとっておるのでございますから、したがいましてこの第三者保証人が排除されたということにおきましては、何と申しますか、非常に革新的なことではないかというふうに考えておるのでございます。そういう点から、条件につきましては何と申しますか非常に厳に過ぎる印象を受けておるのでございますけれども、一応御当局の御意見をお伺いいたしますと、これを実施いたしまして、そして改善すべきものがあれば直ちに改善するという仰せでございますので、私どもむしろこの案が発足することを実は望んでおるのでございます。一般に無担保、無保証というようなことでみんな期待を持っておるわけでございます。実際問題といたしまして、ただいま申し上げましたような一年事業継続というふうなことでございますから、実施面においてたいへん矛盾ができまして、せっかくのいい制度が期待に反するということであっては残念でございますけれども、ともあれ無担保、無保証人制度、特に無保証人制度というふうな金融関係におきます画期的な考えをここで実施いたすということはたいへん必要なことではないか、かように考えておるわけでございまして、私どもこれに対してはとりあえず協力態勢をいたしましてやってまいる、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/70
-
071・中村重光
○中村(重)委員 金を貸すとき、こういうことがあるんですね。信用のある人には、あなたは、信用があるから保証人は要りません、担保も要りません、貸しましょうというのですね。信用がない人には、担保を持っていらっしゃい、あるいは保証人を持っていらっしゃいということで貸す、そういうことがあるのですね。それはわかるのです、それはそれなりに。だから、金を借りる人を保証協会が保証する場合、どうもあなたは無担保、保証人なしで保証協会が保証してやると危険性がある、どうも焦げつくおそれがあるから保証人を持っていらっしゃい、こういうことを保証協会が言わなければならぬようになるわけです。そうすると、保証協会というものが第三銀行的な役割りを果たすことになる。私はこれは邪道だと思うのです。信用補完制度ということになってまいりますと、やはり信用力のないそうういう零細企業者に対して保証をしてやるという、社会政策的な考え方というものが精神として貫かれておる、その点が私は問題だと思う。個人保証の制度が残されているのだからということで、こういう制度をつくるということは無理じゃないか。やはりこれは最低基準として考えていかなければ、非常な矛盾が起こってくると思うのです。ですから、悪ければ改善するんだ、そういうことでは適当じゃないんじゃないか。やはりいろいろな理論なり実際の実情というものを把握して、その上に立ってこういう制度は確立をしていく必要がある。保証協会でも保険公電からの融資金がある。あるいは地方自治体からの出捐金、そういうものでやっておるわけですから、そうなってくると無担保、無保証というようなことで保証をした。それは三年間というこれに一つの基準というものが設けられてありますから、この基準によってやったという場合は、それはたとえ焦げついても問題じゃないでしょう、けれども、そうじゃなくて、たとえば一年間の税金の完納者、こういうものに貸す、たまたま焦げついたということになってくると、これはやはりいろいろ問題が起こってくると思う。保証協会も実際は困ると思う、それは自分の個人の金ではありませんから。そういういろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのです。ですから、そういう疑問というものは十分ここでさらけ出して、そしてこの際、将来の問題じゃなくて、省令をおきめになる場合に、矛盾は矛盾として一応ここで考えられるならば、そういうものはやはりつくらない、現実に即応する省令をつくっていく、こういうふうにして、ほんとうに零細企業が期待をしているこの制度というものを生きたものとして活用していくということが必要じゃないか、こう私は思う。
きょうは時間の関係がありますので、この程度にとどめて、明日あらためていろいろお尋ねしたいと思います。私の参考人の方並びに大蔵省に対する質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/71
-
072・内田常雄
○内田委員長 参考人の各位におかれましては長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございます。御退席をいただきましてけっこうでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/72
-
073・中村重光
○中村(重)委員 次に、中小企業近代化資金助成法の一部改正案について長官にお尋ねいたします。
大村委員から過日の委員会で質疑をされた点でございますが、大村君から指摘されましたように団地が非常に行き詰まっておる、計画上そごを来たしておる、運営の面についてどうもうまくいかない、そういうことで倒産という形に陥るというような事態も起こっておるわけですね。そういう実情について長官は十分把握しておられると思いますから、問題点としてあなたが考えておられる点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/73
-
074・中野正一
○中野政府委員 先般、大村先生の御質問にもお答えいたしましたが、団地造成ということは、これこそ中小企業者にとっては画期的なことだろうと思うのです。これは政府の政策が画期的ではなくて、中小企業者御自身にとって非常に画期的なことでありまして、いわば同業というものは大体お互いに競争しておる立場にあるわけでございまして、従来からも協同組合等による組織化により共同事業をやり、共同施設をつくるというようなことはございましたが、一つの団地に入ってお互いに協調して共同事業もやり、共同施設も持つ、そこの団地に集まった者の全体が一つの協調精神でもって発展をはかっていくということは、それこそ画期的な施策でございますが、工場団地だけで現在八十一の団地が、全国で国、県の助成によってできつつあります。それから御承知のように、国の助成等のない自発的な、自主的な団地というものが非常に数が多いのです。これはやはり最近の経済情勢の変動に対応して、中小企業者御自身がみずから自覚をされて、そういう方向で進んでおる。それだけにこの間も申し上げましたように、何といっても団地に参加した企業の皆さん方の協調精神、相互扶助の共同の精神によって、これをやり抜くということでなければうまくいかない。
それから次は、やはり何といっても指導者の指導がよろしきを得る。要するに滅私奉公ということばは古いかもしれませんが、そういうふうな精神でもってほんとうに私をなくして、犠牲的精神でもって立ち向かうというような場合はうまくいっておるように私どもは見ております。
それからもう一つは、やはり何といっても計画性を十分持つ。それには、従来あるものについては、ややもすると自分たちだけでいろいろ計画をつくる、しかもいずれにしても、これは団地をつくって新しく工場敷地から取得してやるわけですから、自己資金だけではやれないわけなんです。しかし、ややもすると借り入れ金依存の度合いが大き過ぎるというようなことで、むしろ計画の当初から関係の金融機関、特に商工中金、中小企業金融公庫というような、将来この団地形成に金融面で最も重要性を持つ金融機関等の意見を最初から十分聞いていただく、それによって計画性が十分あり、その裏づけがあるということが必要ではないかと考えております。
それから計画実施にあたっては、いままでのところ非常にうまくいかなかったのは、一つは用地の取得ですね。これは例の農地転用がございまして、それに非常に時間がかかった。一年以上かかるというものもありまして、この用地の取得等についてやはり最初から調査を十分しておくことが必要じゃないかというふうに考えております。
それから、共同施設の点も、どうも計画に無理があるのじゃないかということを大村先生も御指摘になりましたが、この点については必ずしも最初つくった共同施設の計画を無理やりに強行させるというようなことはいたさないつもりであります。
それから何といっても団地ができたあとは、やはり市場確保の問題が非常に大事でありまして、私も二、三例は見ておるのでありますが、できれば、共同受注とまでなかなかこれはいきませんが、理想は共同受注だろうと思います。すでにそういう動きの出ておる、うまくいっておる団地の例もございますが、少なくともその団地に集まった企業全体として共同で受注の開拓をやるということをやはり考えていかなければいかぬ。たとえば富山の団地なんかも非常に問題があるようであります。あそこの不二越あたりに従来非常に依存しておったものが、いち早く団地形成とともに共同で名古屋地方の自動車会社の部品等の受注に努力する、共同の責任で受注をこなしていくというような形ですね。そういうこと等によります市場確保ということがやはり最も大事な点でございます。
昨年一年間は、御承知のような経済情勢の悪化というか、金融の引き締めということから、もう少し順調に経済全体が発展してくれればうまくいったのが、うまくいかない例もございます。概して申し上げますと、売り上げは比較的よく伸びておりますが、収益性においてそれほどうまくいっていないという点が見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/74
-
075・中村重光
○中村(重)委員 計画経済ではないから、いろいろ自由主義経済のもとでむずかしい点、やりにくい点もあるのではないかと思うのだけれども、いまあなたのお答えの中で明らかにされた農地の転用ですね、用地取得に非常に時間がかかった、一年以上もかかったところがあるというお答えですが、これを考えてみましても、団地の協同組合自体にも計画性にずさんな点というものがあるというように私は思うのだけれども、政府とかあるいは地方自治体、そういった機関においてもどうも連絡が密でなく、計画性が欠けておるという点があるのではないか。それでいまあなたは、団地計画というものを協業化という点で強調されたわけですね。私は団地計画という点については、それはそれなりに大きな柱であるとは思うのです。ところがそれだけではなくて、もう一つの柱というものがなければならない。町づくりとか、工業整備圏の問題、あるいは新産都市の問題、あるいは後進地域の開発、そういう問題の中で総合計画というものが強く要求されておる。これを効果あらしめるためには、いわゆる先行投資の問題というものもそこに必要になってくるわけですね。道路の問題あるいは水の問題、そういうような計画が伴っていかなければ、これは成功しない。団地計画というものも、単に協業化というような問題のみでは実際は成功させることはできないのじゃないか。いま総合計画の中にこれを取り入れていくということになってくると、農地転用の問題等ももう少しなめらかにいくということになるのじゃないか。そういう点が問題点としてここで考えられなければならないのじゃないかと私は思う。そこで、この団地計画に対する基本的な考え方というものを、いまあなたがお答えになったようないわゆる協業化一本というものの考え方に立ってこれを進めておられるのか、あるいは私が申し上げたような二本柱という考え方でこれを進めておられるのか、その点に対する考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/75
-
076・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘のありましたように、工場の団地化という問題は、中小企業の協業化というような点から進めておるわけでございますが、いま御指摘のございましたように、団地化をやっていく上の一つの問題は、やはり総合的に団地を中心とした町づくりという観点から見ないとうまくいかないということでございます。これは御承知のように、一つの新しい団地ができるわけでありますから、まず問題は道路を整備する、それから水でございます。そういう点、もちろん福利厚生施設だ何だということも、労働力確保のために非常に必要でございますが、何といってもやはり道路と水道あるいは下水、こういうようなものの整備があわせて行なわれなければいかぬ。これらは大部分建設省であるとかあるいは具体的には地元の市町村、そういうところが協力していただいているわけでございます。その意味におきまして、先ほど農地転用のお話がございましたが、確かにこの団地化をうまくやっていくのには、もう少し関係省の連絡の緊密化、特に今度は県当局を中心とした関係の省の出先等の、これもわれわれのほうとしても相当努力しておるつもりでございますが、まだまだそういう点で道路の計画だけが特におくれるとか水の計画がおくれていくというようなことのために、団地形式がうまくいかないというような例もございますので、そういう点は今後とも努力いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/76
-
077・中村重光
○中村(重)委員 あなたはそういった実情をお認めになった。ところが、いまあなたのほうで、ここで団地計画があるんだ、そこで道路の問題、水の問題に協力をしてほしい、こういう形ではなかなかうまくいかないです。当初から一つの総合計画というものを立てていく。そうして必要によればやはり先行投資をしていく、こういうことでなければうまくいかないです。実際問題として私はそうだと思うんです。ですから、いままでの取り組みというような点が、私が申し上げた二つの柱ということをいまあなたがお認めになった以上は、それが基本的な方針であるとするならば、やはりいままでの行き方というものを変えていかなければならないのですね。そういう基本的な考え方の上に立った計画を推進していくということでなければならないのじゃないか。ですから、いまあなたがお答えになったこと、それは努力してないとは私は申し上げないのだが、やはりその行き方というものを根本的に変えていく、こういうことが必要である、こう思うんです。ですから、この後、どういうことで取り組みをなさるのか。いままであなたがやって来た、考えられたということについて、こういう点が欠陥であるからこれはこうしなきゃならぬという一つの構想、そういう点をひとつ明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/77
-
078・中野正一
○中野政府委員 団地形成については問題点はたくさんございまして、いま申し上げました産業関連施設というか、あるいは道路、交通あるいは電気、ガスとか、いろいろそういう団地に関連した施設の整備ということがあわせて行なわれなければいかぬことは御指摘のとおりでございます。そういう点は、いまどの点をどうするということでなくて、先般来いろいろ実態調査を進めておりますので、そういう点を見まして、また従来やっておる施策だけでなくして、足りない点があれば今後十分補ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/78
-
079・中村重光
○中村(重)委員 工業整備圏の問題あるいは新産都市建設の問題等、なかなかうまくはいかない。うまくはいかないのだけれども、筋道だけは明らかにしておいて、そういう計画に沿うて、計画がうまくいかないような点をさらに是正をして、そうして協業化を積極的に推進をしていくということでなければならぬと思うんです。ただ協業化すれば、そのこと自体が近代化に通じ、あるいは合理化になるんだ、こういうことではないと思うんですね。それからまた、親企業の都合ということです。親企業の利便ということのみを中心とする協業化ということであっては、これはなかなか成功するものではないと私は思うんです。親企業は自分が最も都合のいい場所を求める。それに対する若干の援助でもするということになるわけです。ところが、それをやってみると、道路の問題、水の問題、いろんな問題が出でくるんです。そういうことからコストが非常に高くなっていく。実際は採算がなかなかとれない。いまあなたがいわれた団地というものが一つの共同受注をしていくというような形で、やはり専門化の傾向というものをたどっていかなければならないと思うんです。そういうことから、親企業の利便、親企業の制約という中でやりましてはなかなかうまくいくものではない、こう思うのです。そういう根本的な問題に重点を置いて取り組みがなされなければならないのじゃないか、こう思います。
いま一つの柱である協業化の問題にいたしましても、うまくいってないということは、これまた大村君からいろいろ指摘されましたとおり、貸し付け条件の問題があったと思うわけです。今度五年が七年ということになります。それなりにあなたのほうでは相当努力をされたということは認めるわけです。それから土地の取得の問題あるいは建物、そういうことで単価の引き上げということを相当努力の結果おやりになったということは多としますけれども、これとて実情にはなかなかほど遠いものがあると思う。いや四千五百円の土地を実際どこで求められるのか。山のずっと奥のほうではしょうがないのです。団地として何とか経営が成り立っていくという場所では、四千五百円くらいの土地はなかなかないと思う。その程度の土地を求めるということになってくると相当山奥になる。それを開発しなければならぬ。先ほど来申し上げた、いわゆる道路の問題、水の問題という形になってくると、いまのやり方ではどうしても事業者自体が負担をしていかなければならぬという点が非常にある。いわゆる受益者負担という形になってくる。それではとうてい借り入れ金の利払い償還という形でやっていけないと思う。ですから、やはり期間にいたしましてももっと大幅に延長していく、それから単価なんかにいたしましてももっと引き上げていくということでなければならないのであります。それでなければ自己資金の調達ということで、これはとうてい企業がやり得ないことなのです。そこらに対して、大蔵省と折衝していま御提案のような形で落ちついたと思うのでありますが、これではだめだと思います。そこであなたのほうの引き上げの見通し、いわゆる条件緩和の見通しに対して、考え方をひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/79
-
080・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘の貸し付け対象の限度の問題でございますが、たとえば土地については、現在は基準単価が三十九年度は二千五百円でやっておる。三十九年度の実績の平均が大体四千五百円程度。そういうことから、現実に低過ぎるじゃないかということで大蔵省に折衝いたしまして、来年度から四千五百円という予算単価にいたしました。
それから、貸し付け償還期限の延長は、従来は一年据え置きの四年の均等償還。これは非常に無理なんで、これは、実はほんとうのことを申しますと、十年程度当初は考えておったのですが、折衝の過程においていろいろ議論もありまして、三年据え置き四年均等償還ということになりました。決してこれで私も満足しておりません。ただ、昭和四十年度の問題としては、すでに予算で決定しておりますからこれでやらしていただいて、昭和四十一年度以降の問題として考えていきたい、というのは、先ほど御指摘のあったような問題もございますので、実態調査も現在並行してやっておりますから、そういう実態調査をもとにして、さらに詳細な資料をつくりまして、昭和四十一年度以降においてさらにこの点の改善をやりたい。
なお、これはおわかりのことと思いますが、たとえば建物の貸し付け率は、従来は三分の一を見ておる。それを今度はことし並みに二分の一にするというようなこと。それから公害防止の施設については、現在一年据え置きの七年償還というのを、三年据え置きの九年償還というふうに、やや改善のあとが見えるんじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/80
-
081・中村重光
○中村(重)委員 二分の一に引き上げられた、それだけ改善である。それはそのとおりであります。ところが、実際にそれでやれなければだめなんです。二分の一ということになりましても、単価が非常に実際の相場よりは低く押えられておるのですから、二分の一にならないわけです。そこで、団地で実際に貸し付けられておる公の機関からの貸し付け資金というものが、どの程度になるのかということで調べてみると、ほんの二〇%かそこらではないかということが言われるのは、やはりそういう実情にそぐわないかうな単価計算がなされておるというためである。ところが、実際は金に困っていますから、幾らかでも長期の低利の資金というものが借りられるならば、ここで借りようじゃないかというので、相当な無理をして、それで計画を立てて、実行段階に、実施段階に入っていく、こういうことになるわけです。ところが、実際やってみると、償還というものがなかなかうまくいかないというので、実際は悲鳴をあげて、あなたのほうにもこれは何とか延ばしてもらいたいという声が盛んになって、そこで、まあ五年を七年という形に延長をしたということになる。それなりにあなたのほうも努力をされたでしょうし、改善でもあるけれども、これとても、もうどうしてもやれないんだということです。だから、実際の実情が不満で、もっと大幅に条件緩和をするということでなければならないと思うのです。たとえば商店街、小売り商業店舗共同化資金の問題にいたしましても、あなたのほうで貸し付けをする金額というのが、店舗の面相は三十坪、こういうことになっているわけですね。これは改善されていない。来年度も三十坪、それから店舗の単価は六万二千円が七万八千円に引き上げられたわけですね。ところが、信用力の問題等々がありますから、なかなか実際に必要な金額を貸してもらえない、こういうことに——二分の一の場合ですよ、貸してもらえない。そういうところで、今度はこういうことをやるんです。どうしても狭いから中高層の金を借りる。中高層の金を借りて、中高層の金とこれを抱き合わせて、そして何とかやってみようという形が実は出てきている。なるほどいい考え方なんだ。中高層の金を借りる、そうしてこの近代化資金を借りる、こういうことになる。政府資金でやるということにはなるんだけれども、実際は償還になってくると、とうていそろばんに乗るような形のものではないわけです。ですから、そこらもこの住宅金融公庫の関係と連絡をとって、そして総合的な改善策を講じていくということでなければならないのではなかろうか、こう私は思うわけです。私は、こういう実情を踏まえて問題を指摘し、お尋ねをしているのですが、こういう点についてのあなたのお考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/81
-
082・中野正一
○中野政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、来年度から貸し付け条件、償還の制度等相当の改善を見たと思っておりますが、いま御指摘がございましたように、まだまだ不十分でございますので、今後さらに改善するように努力をいたします。
それから、いまの商店街の問題等についても、防災街区のほうの助成そのほかの点等もからみ合わせて、総合的にこれをやらないとなかなかうまくいかないのじゃないかということ、この点も御指摘のとおりだと思います。この点も今後十分考えて施策を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/82
-
083・中村重光
○中村(重)委員 いろいろまだ問題点は残っておりますので、あなたのほうだけでなくて、大蔵省にも来てもらって、あるいは建設省その他関係省に来てもらってたださなければならぬと思いますが、いずれ一般質問的な点もありましょうから、後日ひとつお尋ねしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/83
-
084・内田常雄
○内田委員長 田中武夫君から特に通産大臣に対して質問の申し出がありますので、これを許します。
理事会の打ち合わせがありますので、理事会の打ち合わせによりまして、どうぞ簡単にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/84
-
085・田中武夫
○田中(武)委員 そういうふうな言い方を最初からするならば、私はやらない。時間をしぼることは理事会できめたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/85
-
086・内田常雄
○内田委員長 きょうの手順がきまっているので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/86
-
087・田中武夫
○田中(武)委員 手順はきまっているけれども、時間はきまっておらないじゃないか。私は協力しようと思ってさっきから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/87
-
088・内田常雄
○内田委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/88
-
089・内田常雄
○内田委員長 速記を始めて。
田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/89
-
090・田中武夫
○田中(武)委員 委員長も今後委員会の運営について十分配慮と考慮をしてもらうということを前提として、簡単に一、二の点について質問をいたします。
まず第一にお伺いいたしたいのですが、いま議題となっておりますところの中小企業近代化助成金、この制度の主体はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/90
-
091・中野正一
○中野政府委員 中小企業近代化資金助成法は、この目的のところにも書いてございますように、中小企業者の共同化とか集団化、それからそのほかの設備の近代化、従来からあるこういうものに必要な資金、したがって、助成を受けるものは中小企業者あるいはそれの共同団体、これに対して資金を貸し付けようとする主体は、都道府県が窓口になってやり、それに国が金を助成する、こういうたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/91
-
092・田中武夫
○田中(武)委員 この制度の運営という、貸し付けを行なう主体は都道府県だ。都道府県は、これは本来の固有の事務として行なうのですか。それとも国の委任事務として行なうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/92
-
093・中野正一
○中野政府委員 国は貸し付けを都道府県にするわけでありますから、この仕事自身は都道府県の固有事務だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/93
-
094・田中武夫
○田中(武)委員 その根拠を示してくだたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/94
-
095・中野正一
○中野政府委員 いま条文を探しておりますが、地方自治法に根拠があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/95
-
096・田中武夫
○田中(武)委員 地方自治法の二条の五項四号に、求めるならばあると思います。そこで、憲法九十二条に、地方自治の本旨に従い地方自治法できめるとある。地方自治の本旨とは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/96
-
097・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘がありましたように、地方自治法の第二条に、「中小企業その他の産業の指導及び振興」ということが自治法によって認められておりますので、この条項に従って、地方自治法に従ってやっておるというふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/97
-
098・田中武夫
○田中(武)委員 そうじゃないのですよ。地方自治法第二条五項四号に、中小企業の振興云々という規定があるのです。だからそれに基づいて自治体がやる、しかしこの地方自治体自体は、憲法九十二条の地方自治の本旨に基づいてとなっておるのです。だから地方自治の本旨とは何かというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/98
-
099・田中康民
○田中(康)政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、地方自治の本旨は、やはり一定の地方の住民がみずからその地方の公共の福祉と申しますか、そういうものを追求するために、みずからが当該地域について選んだ機関を通じまして、自分たちが政治に参与して当該地方の固有の事務を処理する。こういうところが地方自治の本旨であると解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/99
-
100・田中武夫
○田中(武)委員 実はここで論争になる予定だったのです。地方自治の本旨とはそういうものじゃない。まず首長公選、住民自治、こういうところから説かなくちゃならないわけなんです。実はここで論争になって、あなたでは答弁できなくなって学者を呼ぶ、そういうことできよう採決ができない、ここが一つの山——まだございますが、そう考えておったんですが、約束ですからこの程度にしておきます。
次に、この法律の三条一号、事業協同組合もしくは事業協同小組合または云々となっていますが、この事業協同組合と事業協同小組合を分けて書いた——これは政令の一条にも分けて書いていますね。この分けて書いたのはどういうわけですか。と申しますことは、事業協同小組合も事業協同組合の一つでしょう。だから分けて書くとするならば、中小企業等協同組合法の二十三条の三で言うところの、小組合に対しては税制上、金融上の特別の措置を講ずる、これを受けてやるのならば、分けて書く意義があるわけですが、特別に考えていますか。この近代化助成金の運用について考えていないのでしょう。それならば何のために事業協同組合と事業協同小組合を分けて書いたか。協同組合の中に小組合が入っているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/100
-
101・田中康民
○田中(康)政府委員 先生おっしゃいますところは、中小企業等協同組合法の第三条に関連しておると思いますが、第三条の第一号では事業協同組合が掲げられ、第一号の二におきまして事業協同小組合というのが掲げられておりますので、種類が二つ違うものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/101
-
102・田中武夫
○田中(武)委員 中小企業等協同組合法の他の協同組合には適用がないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/102
-
103・田中康民
○田中(康)政府委員 ここに書いてあります事業協同組合及び事業協同小組合のみに適用があるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/103
-
104・田中武夫
○田中(武)委員 たとえば三条では、事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合と書いてありますね。これを総括して中小企業等協同組合というのです。そうすると企業組合には貸し付けを受ける資格というものはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/104
-
105・田中康民
○田中(康)政府委員 中小企業近代化資金助成法の第三条第二号に「企業組合の経営の合理化のための施設の設置に必要な資金」というのがございます。一号にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/105
-
106・田中武夫
○田中(武)委員 それではなぜ号をあらためて書いたか。事業協同組合に含まれる小組合をなぜ並列して書いたか、その根拠を聞いておる。これが中小企業等協同組合法の第二十三条の三を受けて、小組合に対して特別の配慮をするのだというならわかるが、そうではないでしょう。同じ資格のものを並べて書いて、一方のものを別に分けた根拠はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/106
-
107・田中康民
○田中(康)政府委員 私ども考えておりますのは、いま先生のおっしゃいましたように、事業協同組合以下企業組合までは、大きく言えば中小企業等協同組合というものでございます。そこで、事業協同組合と事業協同小組合とはやはり別個のものと解せざるを得ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/107
-
108・田中武夫
○田中(武)委員 企業組合は号をあらためたのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/108
-
109・田中康民
○田中(康)政府委員 企業組合を分けましたのは、中小企業近代化資金助成法の第三条の二号といたしまして、「経営の合理化のための施設の設置に必要な資金」という、そちらの実体の規定が違いますから、第一号とは分けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/109
-
110・田中武夫
○田中(武)委員 それでは事業協同組合と企業組合は目的を変える必要があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/110
-
111・田中康民
○田中(康)政府委員 今度の改正で企業組合を入れましたのは、やはり経営の合理化のための施設というようなものでございませんので入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/111
-
112・田中武夫
○田中(武)委員 私の言うのは、中小企業等協同組合です。そこに事業協同組合と小組合と分けてやっていますね。中小企業等協同組合の中に、同じ組合として認めている企業組合が別個になっていますね。そこで小組合を特にこううたったのは、中小企業等協同組合法二十三条の三に、事業協同小組合に対して税制上、金融上の特別な配慮をしなければならぬという規定がありますが、それを受けて今後別個にそれをやるというなら話はわかりますが、どうなんですか。これは法制局ではなしに大臣に聞きましょう。小組合に対して特別の配慮をしますか。委員長、ここでもアウトになる予定だったんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/112
-
113・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 正直に申しまして私詳しくは存じませんが、同一に取り扱うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/113
-
114・田中武夫
○田中(武)委員 それはおかしい。それだったら大臣の答弁は、中小企業等協同組合法二十三条三の違反の答弁になります。取り消しを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/114
-
115・中野正一
○中野政府委員 いま……(田中(武)委員「長官ではだめだ、大臣、大臣」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/115
-
116・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 一まず長官からお答えさせまして、その後に私の見解を述べさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/116
-
117・中野正一
○中野政府委員 ただいま田中先生御指摘になりましたように、第二十三条の三に、「政府は、事業協同小組合の組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」という規定がございます。これに対する政府の施策は不十分ではないかということは、前々からこの商工委員会でも指摘されておるところでございますが、その点の施策は不十分であるというおしかりを受けるほどまだ十分でないというふうに私ども考えております。ただ、組織は一応協同組合と協同小組合とは違っておるものですから、いま御指摘の近代化資金助成法の二十三条の趣旨を生かすために分けたということじゃないと思います。しかし、協同組合と小組合とは性格は相当違いますが、やる事業は大体似ておりますので、それを一グループにして、企業組合を一グループにしたということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/117
-
118・田中武夫
○田中(武)委員 この子組合に対して特別な配慮をしようと、こういうことで別個にあげておるならば了解できます。そうでないのに、一つの法律でこれだときめられておるものの中から一々あげたということは、なるほどこの適用を受けるにふさわしくない火災協同組合とか信用協同組合があるから——それじゃ先ほど言っているように、企業組合はどうして別個にしたのか、こう聞いているのです。——この点はよろしいです。またゆっくりやりましょう。
次に、近代化資金の運営、これの主体は府県だと先ほどおっしゃいましたね。予算編成にあたってどういうような編成をしておられますか。設備近代化助成金の必要資金の予算編成、府県が主体ならば、法律のたてまえからいえば、府県から要求が出る、それに対して法律のたてまえ上二分の一以内の補助をする、現在二分の一ですね、そういうことをするのか。先に国の予算がきまって、それを各府県に割り当てをするのが実際でしょう。それなら主体と実際の運営が変わっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/118
-
119・中野正一
○中野政府委員 各府県に割り当てするのではなくて、一応の予算をつくるときは、各府県の要望を聞きまして——要望どおりじゃありません、要望を一応聞いて大蔵省へ予算要求をし、国の予算として組む。そしてその予算がきまると、それをベースにして、各府県でこれはそれこそ独立に、あるいは自主的にこれだけの予算を組むということで、国はどれくらい金をくれるかということはもちろん参考にいたしますが、国のほうからこれだけおまえのほうにやるから、それの裏づけの予算を組みなさいというやり方はやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/119
-
120・田中武夫
○田中(武)委員 それで実際は、毎年各府県から、設備近代化助成金運営について、これだけ法律の名前を使うなら補助金がほしい、こういう申請があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/120
-
121・中野正一
○中野政府委員 いま申し上げましたように、国の予算は予算でございまして、予算が幾らになっておる、たとえば設備近代化資金はことしは四十五億、来年は五十億にふえた。高度化資金のほうは全体で約七十七億にふえたというようなことを府県のほうで見まして、そうして各府県の実情に合わして、高度化資金のほうはこれほどほしい、近代化資金はこれほどほしいという申請があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/121
-
122・田中武夫
○田中(武)委員 さっきの答弁と間違えていませんか。国がまずきめて、これだけきまったからということで、それに見合って府県がきめる、こういう言い方をしたでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/122
-
123・中野正一
○中野政府委員 私の申し上げましたのは、全体の国の予算を申し上げたので、各府県別に予算を割り当ててやるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/123
-
124・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、まず出発は、各府県が来年度はこれだけほしい、こういうものが上がってくるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/124
-
125・中野正一
○中野政府委員 いま申し上げましたように、予算ができ上がってから、それを各府県に説明会をいたしまして、そのときも大阪に幾ら、名古屋に幾らやるということは申しません。むしろ府県のほうが主体になって、どれほどほしい。そのときにかりに各府県の要望を全部集計してみると、例年の例だと、大体超過する場合があるわけでであります。そのときには通産局あたりが中に入って調整はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/125
-
126・田中武夫
○田中(武)委員 いや、それだったらやはり違うじゃないですか。まず第一に国の予算がきまる、そうでしょう、法律はそうなってないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/126
-
127・中野正一
○中野政府委員 それは全体の話を私は申し上げておるので、各府県別には、要望はそれをオーバーする場合もあるし、現実問題として要望がショートするというようなこともある。各府県の実情に応じまして、ほんとうのことを申し上げますと、三十九年度についても一部各府県から辞退の申し出があったりして、もうすでに再配分ということは間に合いませんので、設備近代化資金については国の予算を全部消化できないと、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/127
-
128・田中武夫
○田中(武)委員 もうお迎えが来ているようですからこのくらいにしますが、最初のあなたの主体だという答えは違うのでしょう。そうじゃないですか。主体は府県だと言ったでしょう。ところが実際は国の予算が先にきまるのでしょう。そうでしょう。だから、これは法案が終わってからまた各省の質問か何かでやりますが、これをとってもあなたの答弁はまともじゃないでじょう。
きょうはそういうことですから、最後に、大臣、この商工会議所ないし商工会に中小企業の経営指導員というのがありますね。あれの身分は一体どないになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/128
-
129・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 商工会議所、商工会、それぞれ民間の団体だと思います。その職員に対して助成をしておるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/129
-
130・田中武夫
○田中(武)委員 そのほとんどは国あるいは若干県が補助しておる。そうしておいて、その職員はその民間団体に所属しているというかっこうはどうですか。好ましいですか。ということは、いいですか、国が給料を出すのですよ。しかも政府は、小規模事業の予算はことしこれだけ上げましたと宣伝をしておるのだよ。その中身は、この改善指導員のベースアップなんです。そうしておいて、その人たちが商工会ないし商工会議所の職員というかっこうなんです。まだ身分保障がないんですよ。退職金というのは一体どないなものなんです。しかもこの商工会議所会頭あるいは専務理事、こういう人の個人的な仕事をさせられておるのでしょう。もっと言うならば、たとえば商店街振興組合法による振興組合をつくりたいから指導してくれという。ところが、たまたまその団体がそこの商工会議所の専務理事と合わなかったので、指導員をよこさないのです。一体給料はどこで出しているのですか。そういういまのかっこうでいいでのすか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/130
-
131・中野正一
○中野政府委員 いま田中先生が御指摘になりましたように、指導員の大部分の給与というものは国と関係府県がこれは出しておるわけです。これは出すようになった経緯はよく御承知でしょう。しかし一部商工会議所とか商工会が負担しておる面もございます。それから給与規定等も、できるだけ退職金規定等をはっきりしたものをつくらせるようにいろいろ指導はいたしております。しかし、それじゃこれを官の身分にしたほうが、はたして指導が徹底するかどうかということになりますと、当初この商工会をつくったときからの大きな問題でございますが、われわれ、いまのところはやはりできるだけ商工会なら商工会の自主的な活動というものを国なり府県でお助けするというほうがいいんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/131
-
132・田中武夫
○田中(武)委員 これでやめますが、いまあるのかどうか知りませんが、かっては国あるいは県が若干補助していますが、これをピンはねした商工会、商工会議所もあるわけだ。そして現在でも一応その商工会議所あるいは商工会の職員というかっこうですから、そこの会頭あるいは専務理事の指導というか、監督下に入っておるのです。本来の中小企業改善指導員の任務であるべき仕事をさそうと思っても、そこの会頭なり専務理事が困るということなら、その人間を使わないんですよ。そういうかっこうに置いておいていいのかどうかということです。(「運営の問題だ」と呼ぶ者あり)商工会議所の運営だと言いますが、運営じゃありません。身分の問題ですよ。身分を、たとえば地方公務員にするとか、国家公務員にするとかいうことは別として、監督権がなければ運営じゃありません。結局、団体の職員にしておくから、会頭なり専務理事の個人的な用にまで使ったり、自分の気に入らないところには指導にやらないのですよ。そういうことがある。もし何なら、その商工会議所の名前をあげてもよろしい。しかも国からは甲地、乙地ということで、ベースは違いますが一定の金が出ておるわけです。ところが現実においてもらうのはまちまちであるということ、退職金についてもはっきりしていないでしょう。そういう状態で置いていいのですかどうですか。これでやめます。議論はまたあとでやりましょう。大臣、ひとつ大臣としての政治的答弁だけ求めておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/132
-
133・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 先ほど長官から申しましたように、従来は自主的な活動が望ましいということでやってきたと思うのであります。しかしながら、ただいま御指摘のような実態につきましては、私としても十分調査をいたしまして、改善の要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/133
-
134・田中武夫
○田中(武)委員 自主的に動かすというが、的じゃないんですよ。そこの専務理事なり会頭に握られておって、自分のところの使用人のような考えを持っているんですよ。これはひとつ改めてください。
以上で、きょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/134
-
135・内田常雄
○内田委員長 おはかりいたします。
ただいま議題となっております四法律案のうち、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案についての質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/135
-
136・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/136
-
137・内田常雄
○内田委員長 次に、討論の通告がございませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/137
-
138・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
採決いたします。
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/138
-
139・内田常雄
○内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/139
-
140・内田常雄
○内田委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して桜井茂尚君外六名より、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。桜井茂尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/140
-
141・桜井茂尚
○桜井委員 ただいま提案いたしました中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、特に次の諸点につきすみやかに必要な措置を講ずべきである。
一、中小企業高度化資金の貸付償還期間の延長、貸付対象限度の引き上げ等諸条件の一層の改善を図ること。
二、国及び都道府県は、企業の集団化の事業計画並びに実施について、緊密な連絡のもとに適切な指導を行なうこと。
三、金融機関からの借入れによる団地造成資金の調達については、必要な資金量を確保できるよう所要の措置を講ずること。
以上が案文でございます。
御承知のごとく、昭和三十六年より中小企業対策の一環として中小企業の団地化が進められ、昭和三十九年度までに国の助成対象となった団地の総数は八十一にのぼっております。しかしながら、現在までの団地化計画と実態とを見るに、資金調達予定において、自己資金の占めるウエートがおおむね二〇%内外にすぎず、しかもその自己資金のうち、いまだに資金化の見通しの立たない旧工場の処分代金も含まれている状態であります。また土地建物に対する貸し付け限度の単価が実際より低く押えられているために、金融機関からの借り入れが当初計画より増加している団地が多数を占めており、運転資金すら設備に投入するのやむなきに至っているのが実態であります。この結果、団地造成が進んでも、借り入れ金の返済、金利等の圧迫によって資金繰りに困難を来たし、団地の運営が行き詰まっている現状であります。
今回の法律改正により償還期間の延長等がなされ、幾ぶん資金繰りが緩和されるわけでありますが、さらに償還期間の延長、貸し付け対象限度の引き上げ等の改善により、中小企業の団地化が進められ、その目的が十分発揮できるような体制を確保するために本決議案を提出したのであります。決議の具体事項については本委員会の質疑を通じて明らかになっておりますので、説明の重複を避けたいと思います。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/141
-
142・内田常雄
○内田委員長 ただいまの桜井君外六名よりの本案に関する附帯決議を付すべしとの動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/142
-
143・内田常雄
○内田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、通商産業大臣より発言を求められております。これを許可いたします。櫻内通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/143
-
144・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ただいま本委員会で行なわれました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/144
-
145・内田常雄
○内田委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/145
-
146・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
次会は、明三月三十一日水曜日午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02119650330/146
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。