1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月三十一日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 田中 龍夫君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 中村 重光君
浦野 幸男君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 海部 俊樹君
黒金 泰美君 小宮山重四郎君
田中 榮一君 田中 正巳君
田中 六助君 中村 幸八君
二階堂 進君 長谷川四郎君
大村 邦夫君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 山下 榮二君
吉田 賢一君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(繊維局長) 新井 眞一君
中小企業庁長官 中野 正一君
委員外の出席者
議 員 田中 武夫君
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 塩谷 忠男君
国税庁次長 喜田村健三君
厚生事務官
(環境衛生局環
境衛生課長) 柳瀬 孝吉君
通商産業事務官
(企業局産業立
地部産業公害課
長) 平松 守彦君
通商産業事務官
(中小企業庁計
画部金融第一課
長) 中村 俊夫君
労働事務官
(職業安定局業
務指導課長) 佐柳 武君
中小企業金融公
庫総裁 舟山 正吉君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事) 阿部 久一君
専 門 員 渡邊 一俊君
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三月三十一日
委員麻生良方君辞任につき、その補欠として吉
田賢一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員吉田賢一君辞任につき、その補欠として麻
生良方君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
中小企業者の事業分野の確保に関する法律案(
田中武夫君外十四名提出、衆法第一六号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九〇号)
中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九一号)
小規模企業共済法案(内閣提出第七六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
まず、三月二十四日当委員会に付託になりました田中武夫君外十四名提出の中小企業者の事業分野の確保に関する法律案を議題とし、提出者の趣旨の説明を聴取いたします。田中武夫君。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/1
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002・田中武夫
○田中(武)議員 ただいま議題となりました中小企業者の事業分野の確保に関する法律案の提案理由をご説明いたします。
今日、中小企業の経営がきわめて困難な状態に置かれている原因のしたるものは、対大企業との関係であります。大企業がその資本力にものをいわせて、従来の中小企業の分野にまでどんどん進出し、弱小中小企業を駆逐しつつあるのが今日の実情であります。大企業が中小企業分野に進出するやり方には、大企業自身が直接行なうもののほか、既存の中小企業に資本や役員を投入して実質上の支配権を確立する方法があります。このような傾向を放置しますならば、中小企業は近き将来その存立の基盤までも奪われること必至であります。
わが党は、この事態を深く憂慮し、かねて中小企業者に適切な専業分野を確保して、その経営の基礎をまず安定させなければならないと繰り返し強調し続けてまいったのであります。これに対して、政府自民党は、事業分野を定めてこれを中小企業者に確保することは憲法に違反するといって反対してきたのであります。しかしながら、事態の悪化は、誤れる違憲論をもって放置することを許さず、最近ではようやく政府自身でさえ、大企業と中小企業との間の事業分野について何らかの調整の必要を認めざるを得なくなっているのであります。
この際、中小企業に適切な事業分野を明確にし、その分野への大企業者の進出を規制することによって、中小企業者に存立の基盤を確保することが何よりも緊急必要なことと存ずる次第であります。
これが本法律案を提出する理由であります。
次に、その内容の概要を御説明いたします。まず第一に、本法律案は中小企業者の事業分野として確保すべき適切な業種を次の基準に基づいて政令で指定することにいたしております。すなわち、製造業、建設業またはサービス業に属する業種のうち、その業種に属する事業を営むものの総数のおおむね五分の四以上が中小企業者であり、かつその業種の過去一年間の生産実績なり取り扱い量のおおむね三分の二以上が中小企業者によって占められ、経済的にも中小規模の企業形態が適切であって、もしこの分野に大企業者が進出する場合においては、中小企業者を著しく圧迫すると認められるものを中小企業の事業分野として確保しようとするものであります。
第二に、指定業種を営むものはすべてこれを届け出させ、大企業者が指定業種の分野に新たに進出し、拡張することを制限し、これに違反するものには罰則をもって臨むことといたしたのであります。
第三に、大企業者がみずから行なわなくとも、資本的または人的関係において支配力を持つ中小企業者をして行なわしめる場合も同様に規制の対象とし、主務大臣が大企業者に対しその違反行為を排除するための命令を出すことができるようにして、予想される脱法行為を未然に防止することとしたのであります。
第四に、かかる業種の指定並びに大企業者の進出制限、脱法行為の禁止等に関する政令を制定、改廃する場合、大企業者に対する命令を行なう場合は、特に公正を期すため中小企業審議会に諮問することにいたしたのであります。
以上が本法律案提出の理由並びにその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げて提案説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/2
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003・内田常雄
○内田委員長 以上で説明は終わりました。
本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/3
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004・内田常雄
○内田委員長 内閣拠出の中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、同じく中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、及び同じく小規模企業共済法案、以上三法案を議題といたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/4
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005・内田常雄
○内田委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。
中小企業関係法案の審査中、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の人選、日時、手続等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/5
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006・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/6
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007・内田常雄
○内田委員長 次に、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/7
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008・中村重光
○中村(重)委員 それでは中小企業庁長官にお尋ねいたします。
まず、信用保険法の一部改正案に企業組合が加えられておりますが、この企業組合を加えた趣旨についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/8
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009・中野正一
○中野政府委員 今度の信用保険法の一部改正におきまして、改正点の第二点として、小企業者の定義を改正して、小規模の企業組合を追加するということにしたのでありますが、御承知のように、企業組合というのは協同組合の一つの形態でございますが、その組合員は自分の資本と労働をすべて組合に投入しまして、その組合に入った方には企業者としての独立性を失うというような形になりまして、企業組合自体が一個の企業者、中小企業者として事業を行なうというところが御承知のように特色があるわけであります。その意味におきまして、会社、個人の場合と何様に、企業組合というのは一個の事業体でありますから、むしろ中小企業者それ自身と見たほうがいいのじゃないか、個々の企業者の集まりというよりは、そういう実態になっております。しかもこれは零細なものが非常に多いわけでありまして、その意味で小企業者の定義の中に企業組合自身を入れる、したがって使用する従業員の数も五人以下ということになったわけでありますから、小企業者の中に入れて、企業組合にも今度の制度の恩典が及ぶようにしよう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/9
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010・中村重光
○中村(重)委員 適切な考え方だと思うのです。そうなってくると、企業組合自体の事業所得という点、これは税の問題でございますから大蔵省の関係になるわけですが、当然あなたのほうでもこの企業組合に対する関心を持っている。個々の業者が集まって事業を営む、こういうことになってまいりますから、そこで個々の企業者というのは、その所得に応じて税金を納めておるわけです。それにもかかわらず、この企業組合自体がさらにまた事業所得を取られるということになってまいりますれば、二重の税金を負担するというようにも考えられるわけです。しかし一個の組合でありますから、全然これに免税措置を講ずるということにも問題点がないではないということになろう、ほかとの見合いという点も出てくるのであろう、こう考えられるのでありますけれども、現在やっておる措置を見てみますと、普通の一般の協同組合に対しましては、事業所得に対して減免の措置が講じられておるわけですね。ところが、この企業組合に対しては減免の措置が講じられていない。来年度の改正点を見てみますと、森林組合は今度追加になったわけですが、企業組合だけはそのままであるということは不合理である。ただいまの長管の御答弁の中から考えてみましても、そのことが言えると思うわけです。そういうことに対して、長官としてはどのような関心をこの問題に払っておられるか、また、経過としていろいろと折衝した面もあろうかと思うのでありますが、そういう内容に対してお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/10
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011・中野正一
○中野政府委員 企業組合に対するこの税法上の扱い、企業組合というものを認めまして、特に零細な企業者の方々が資本と労働とをすべて組合に投入をして、企業組合自体が一個の事業体として働くというような形の、これも一種の協同組合でありますから、そういうものも認めた以上は、しかもこれは現在でも数が約五千程度あるのです。そのうちで半分以上は相当活発に働いているのじゃないかというふうに私は見ておりますが、これに対して税法上、御承知のように協同組合の所得に対しては軽減税率というものがあるわけです。ところが、企業組合についてはその恩典がないということが非常にアンバランスじゃないかということがありまして、それ以外にもいろいろこまかい点はありますが、一番基本の点はその点でございます。この点について、本年度の税制改正において企業組合を中心とする中小企業片の協同事業というか、企業合同というか、こういう形のものを大いに推進すべきじゃないかということで、通産省といたしましては、この問題を取り上げまして大蔵省と折衝したわけであります。これは企業組合の税制改正について、これほど大幅にいろいろの問題を全部取り上げまして折衝したのは本年度が初めてでございます。ところが、まことにこれは遺憾なことでございますが、いろいろ折衝した結果は、大山鳴動してネズミ一匹ということで、たいした結果にならなかったのです。しかし、これはたとえば組合の団体の中央団体であります中小企業団体中央会あたりも相当この問題については真剣に税制の問題として研究をされました。しかし、結局はそういう点は認められないことに終わったということでございまして、最後に一点だけは改正になっております。正確に申し上げますと、企業組合の課税については、企業組合の組合員が給与所得をもらうわけであります。企業組合で働いておりますから、給与所得をもらうわけですが、その給与所得以外の雑所得について、年間五万円までは申告を要しない、したがって税金はかからない。この改正をやったわけであります。たとえば例をあげますと、企業組合に組合員が家を貸しておるというような場合、その所得が一年間五万円以下であったような場合は申告せぬでよろしい、したがって税金はかからない。この点は最後まで大蔵省と折衝を続けまして、ようやくこの一点だけが通った。しかし、これも非常に企業組合の方々には喜ばれております。長年企業組合の税制改正について主張してきて、初めて非常にささやかと言えばささやかですが、通ったということで、この問題については、さらに中小企業庁としては再来年度は、今後の中小企業税制の大きな問題として、もう少し実態調査を十分にやりまして、やはり企業組合について従来のような税制のやり方が不合理だということを、もう少し実証的にデータを積み上げてやらないと、なかなかこの問題は簡単には解決しない。私の折衝した経験から言ってそういうように考えておりますので、今度は十分準備をして取っ組みたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/11
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012・中村重光
○中村(重)委員 いまのお答えで、長官も誠意をもって取り組まれたということは、そのまま受け取りたいと思うのです。ところが、いまのお答えの中からでも納得のいかないことは、森林組合が今度追加になったということです。それに企業組合だけが取り残されたという点なんです。そうすると、どうして大蔵省が企業組合は軽減措置を講じないというのか、その理由は何かということを明らかにしていただきたいということであります。それからいま言うように、いわゆる別所得として五万円までは申告する必要がないということです。これは現在の税法上の中にもあるわけです。別途所得は五万円までは、これは個人の場合でありますが、申告の必要はないわけです。それと企業組合とはどう違うのか、そこらを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/12
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013・中野正一
○中野政府委員 企業組合は、先ほど御説明いたしましたように、組合員が資本と労働を全部組合に投入して一つの事業体のように、いわば会社の一歩手前のような形に、実際運営なんか見ますと、なっておるわけなんですね。その点で普通の協同組合――森林組合の話はちょっと私はいまこの席では勉強不足でできませんが、一般の協同組合とは違うのじゃないか。組合員がおのおの独立の事業を営んでおって、一部のことについて共同事業とかをやるというような形と非常に異っているじゃないかという点で、これは従来から大蔵省の主張でもありますが、そういうことで協同組合と企業組合は区別する、こういうことになっておるわけでありまして、この点については特に最近のような零細企業者の今後のあり方ということで問題になっておりますから、むしろ企業組合というようなものを積極的に活用するというとあれですが、制度があるわけですから、そういうものを活用して、零細企業者の企業共同化というか、そういう点を進めるという観点からいえば、むしろ積極的に税制上優遇を与えてもいいじゃないかというような議論も出てくるんじゃないかと思いますが、いままでのところはそういうことで問題は解決してきておりません。それからもう一つの、企業組合の組合員が給与所得をもらいますが、その給与所得以外の所得がある場合には、従来すべてこれを申告しなければいかぬということになっておったのですが、これを先ほど申し上げましたように、給与所得以外の所得については年間五万円までの場合を申告を要しないこととする、これは確かに御指摘のように法律改正でなくて大蔵省の通達になっておりますが、この点は明確にしてやるということになっておるわけであります。白書にもその点ははっきり書いてあります。というのは、最初の案は、ちょっとこまかくなりますが申し上げますと、企業組合の組合員の給与所得以外の所得で、その属する組合に関連する所得以外のものを五万円まで申告を要しない、そういうことにしようということで大蔵省と話が一応つきかけておったのですが、これだと、その属する組合に関連する所得以外の所得というとどういうものかというと、その組合員の人が、たとえば原稿を書いたとか講演をして所得があったというような、そういうようなものですね、それじゃちょっとおかしいじゃないかということで、先ほど申しましたように、組合に関連する所得であっても給与所得以外のものは全部五万円の中に入れてしまおう、したがって、例としては、先ほど申しましたように、組合員が家を提供しているというような場合に家賃なんか入りますね、そういうものを今度はみんな雑所得として申告をせぬでいいということにしたということで、相当の進歩じゃないかというふうに皆さんから言われておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/13
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014・中村重光
○中村(重)委員 企業組合の事業所得に対する課税の問題、塩谷財務官、お答えができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/14
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015・塩谷忠男
○塩谷説明員 せっかくの御質問でございますが、私はちょっと専門の外でございますので、お答えできかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/15
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016・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、いまの五万円までの申告の必要がなくなったということですが、あなたでも、あるいは私でもそうですか、給与所得というか報酬の以外に、家賃であるとかその他どういう所得でもいいわけですが、五万円までは申告の義務がないわけですね。それで、いまの企業組合員の五万円までの申告の義務がないということは、これはダブってもよろしいわけですか。その点はどうなんですか。――それでは、お答えができないでしょうから、あなたのほうでも大蔵省のほうと研究しておいてください。あらためてまた大蔵省の税関係の方に出ていただきましてお尋ねしたいと思います。
大臣、時間がお急ぎのようでございますから、それでは大臣にぜひお尋ねしておきたい点だけをしぼってお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/16
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017・内田常雄
○内田委員長 大臣は参議院の予算委員会の最終日で、向こうから呼ばれておりますが、何時ごろまでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/17
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018・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 三十分ぐらいあるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/18
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019・中村重光
○中村(重)委員 昨日からこの信用保険法の一部改正案の質疑をやっておるわけですが、この改正案の問題点として議論されておりますのは、特殊保険制度というのが新たに創設をされておる。ところが、これの適用を受ける企業者というのは、同一の市町村に三年間以上引き続いて事業を行なっている者、さらには同期間内において納付すべき所得税、法人の場合は法人税及び事業税をすべて完納しているものでなければならない、こういうことになっているわけです。これは非常な問題点として指摘をいたしておるわけですが、中野長官、あるいはいま御出席をしておられる塩谷財務調査官のお答えを聞いておりましても、これをプラスである、前向きの制度としてこれは十分考えられるものだ、こういう実はお答えなんです。私はそうは考えないのです。むしろこれは後退であるとも言えるのではないかという考え方なんです。いままでは保証協会は、一年程度税を完納しておる場合は保証してきたのです。個々の保証協会によってその扱いが違っておるという点はあるかもしれません。しかし、私の知る範囲においてはそういうことなんです。ところが、この無担保、無保証の特殊保険制度によりますれば、三年間税を完納していなければならない、こういうことになってまいりますと、これはいままで一年間税完納によって保証してきた保証協会がその保証をチェックされることにもなる、こう考えられる。この三年間の税完納というものは一つの最低基準という形になる可能性がないとは言えない。これは適当ではない。政令で定められるわけでありますが、これはきびし過ぎるから改めなければいけない、こういうことが私どもの主張であります。その点に対して大臣はどのようにお考えになられるか、大臣の所見を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/19
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020・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 御議論の焦点は、いまのお話で私にもよく理解ができます。今回一応無担保、無保証の新しい制度をとる上におきまして、三十万の口がどの程度初年度でやれるかということでいきますと、これが大体五万件と申しましょうか、五万人見当ぐらいまでの無担保、無保証を全国でやろうというような一応の事業のめどを立てております。従来のその保証のやり方を否定をするのではないのでありまして、新たなるそういう特殊の保険をやろう、保証をしようというについての一つのめどがございます。そういうめどから考えていきます場合に、今回の省令で規定をしようとする条件が、御批判の点もあろうかと思いますが、ひとまず、無保証でもあり無担保でもあることでございますから、多少きびしい条件ではございますが、この程度の条件で実施してみたい、そしてその実情をその後勘案をしてみたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/20
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021・中村重光
○中村(重)委員 新たにこういう制度によって保証をしていくんだ、こういうことでございますが、実は全然いままで保証の対象になっていなかった、保証していなかった、そういう人をここで保証しようというのではないわけです。従来ともに保証協会において保証をしておった、その保証によって借り入れの道が開かれていた人たちです。まあしかし、いままでは保証人をとっておったんだから、その保証人というのがなくなるんだから、それだけ前進ではないかというような考え方と思うのです。それはそういうことも言えないこともありません。しかし、いまここで対象として考えておられる人たちはどういうものであるか。相当な信用力のある者、健全な経営をやっておる苦というのが、きのう塩谷調査官のお答えの中でも出ておるわけです。長官も大体同じような御答弁なんですね。そういう人がいままで保証人を出すのにどの程度苦しんでおったのであるか。三年間同一場所において事業を悩んでおって、そして健全経営を行ない、ある程度の信用力を持つ者というのでありますならば、そう保証を受けることに困難をしてきた人だとは思えないわけです。大臣は実際の実情を御存じになっていらっしゃると思いますが、決して保証協会がずさんなやり方をやっておるとは思いませんが、保証協会の保証の場合、個人保証というものはそうきびしくないのです。大体申し込み者が出すものを、きょうだい、親類ですね、その人の財産がどれだけあるかとか、月の収入がどれだけあるかというようなことをきびしく審査をしてきめないのです。実はたいした問題ではないわけです。そういうような人たちを今度無担保、無保証という新しい制度によって保証の道を開いていく、信用度の強化をはかっていく、こういうことになります。私はそれをそれなりに否定するものではないわけです。それから出てくる弊害を非常に心配をしておるわけです。だからどうしてもこれは実情に照らしてきびし過ぎるんだ。弊害のほうをもっとお考えにならなければ、せっかくいい制度もむしろうしろ向きの悪い制度になる危険性がありますよと、こう申し上げているわけです。だから、その点に対してはこういうことをひとつやってみよう、こういうことで安易に政令事項としてこれを定められて実施をしていくということは、これは適当でないのではないか、こう私は申し上げております。だからいまのようなお答えでなくて、実際の実情に照らして、そういう私が指摘したようなことにならないような考え方の上に立って取り組んでもらわなければなりませんから、いま私がすなおに実は申し上げておりますから、そういうことに対してのお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/21
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022・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 初めてやる事業でもございますので、非常に平たいことばでいえば用心してかかっておるというきらいがなきにしもあらずだと思います。もう少し条件が緩和されることがより好ましいというように、いまの御質問で私も思いますが、しかし何といっても三十万円で五万件ぐらいの見当でいこうというのにつきましては、これは無担保無保証で申し込みが殺到して、そしてそれをまた選別をする、こういうことでは私はいかがかと思うのであります、甲乙をつけるということは。でございますから、まず手初めに多少条件がきびしくてもまあやむを得ないのじゃないか、私は、この法案をつくるときの省内での説明でそういう気持ちがしたのでありますこれをゆるくしておいて殺到した、それじゃその中から抽せんできめるとか、あるいはさらにそれを審査してとかいうことでは、どうも無担保、無保証でいこうという趣旨にもとるような気もいたしまして、この際この程度の条件で出発してみて模様を見たい。それでいま言われておることについては十分わかるのでございますから、今後の推移によってよく考えさせていただきたい。それからさらにもう一点つけ加えますならば、この無担保、無保証でてん補率も上げてやる、そうすると従来の保証協会の保証というものがこれは多少やりやすくなる面もあると思うのであります、そういうところに見えない好影響も出るのじゃないかということで、まずとっかかりのことでございますから、ひとつ御了承をいただきまして、また省令で規制することでございますので、相当ゆとりを持った考え方でいけるんじゃないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/22
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023・中村重光
○中村(重)委員 大臣、やりやすくなる面もある、それはいままで保証人をとったのですから、保証人をとらないということでやりやすくなる。ところが、やりにくくなる面はどうしますか。私は弊害を言っているんですよ。あなたのほうでは何というか、危険をおかすおそれがある、確かにやりにくくなる面が出てくる。それは昨日も私は保証協会の方に申し上げたのです。株式会社か個人の金融業者か、そういうものが自分の意思によって自分の金を貸すというような場合は、何ものにもそうたいしてとらわれることはないのです。ところが保証協会ということになってまいりますと、保険公庫からの融資やあるいは地方自治体からの出捐金、そういう形において運営をしてきておる。そうするとやはり無担保、無保証というのが、三年間というような規制措置が最低の基準だという形にどうしてもなるわけです。そうでなくて、今度は一年間の税を完納しておるのだからということで、保証人を相当信用のある人をとるとかあるいは担保をとったということになると、その危険性ということも少なくなりましょうけれども、いままでのような扱いでやってきて、もしそれが焦げついてきた、それが非常にふえてきたということになりますと、それは保証協会は相当の批判を受けるということになることも警戒して、一年間の税完納ということで保証するということは、どうしてもこれはちゅうちょするようになるんですね。ですからいままでやってきたことを、もっと基準を引き上げていくという形になる可能性がある、これが一点です。
もう一つは、三十万円五万件だから、わんさわんさ押しかけてくるということになるとこれは困るんだという、抽せんでやるというわけにもいかない。この無担保、無保証というのは必ず三十万円でなければならぬというわけじゃないでしょう、十万円でやることもあるでしょう、コントロールするでしょうが。そういう道はあるじゃありませんか。三十万以下は絶対しないので、これは三十万必ずやるんだということになってまいりますと、いま大臣が言われたような予算の面でしぼられるという形も出てくるわけです。コントロールするんだから、だからそういう基準をあまりきびしくしないでもっと基準をやわらげて、そうしていわゆる信用の度合いはいま言う保証の額においてコントロールしていけばいいじゃありませんかというのです。それが当然じゃありませんか。どうしてそういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/23
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024・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これは正直に申し上げて、今回やった場合にどれぐらいの希望が出てくるのかというところに私どもとして相当な不安感があるのです。そこでお話しのように基準を下げてみた結果が、非常に希望も多い。さてそれじゃもうみんな十万円にしてしまえといっても、それは借りるほうからいえば一応三十万円無担保、無保証ということが看板になっている。三十万円当てにしておるのを、これをある程度のことはやるとしても、非常に数が多いから、じゃあ十万円ずつ無担保、無保証をしようやということでもないと思うのです。やはりある程度の、借りるほうも一応の資金的な考え方があると思うのです。もちろん申し出る者が、こういう事情で二十万円ほどでいいとか、あるいは三十万円でいいとか、この辺の申し込みにもやはり相当合理性がなければならないと思うのです。まあ一つのお考え方ではあるが、何といっても、正直に言えば、最初にやることでございますから、ことしのところはひとつ細心の注意を払いながらやらしていただきたいということが偽らない私どもの気持ちだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/24
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025・島口重次郎
○島口委員 関連して質問します。
ただいま、大体の年度の仕事の目標として五万件くらいを考えておる、こういう点の問題なんですが、庶民がこれを要望いたしまして、これに救済されるというならば、あえて五万というものにこだわる必要はないのじゃないか。むしろ、ほんとうの零細な小規模業者が救済されることがねらいであり、目的じゃないか、こう思います。五万ということで限定すると、それだけより救済しない。必要があってもその限度より保証しないんだということでは、どうも不合理があると思います。そこで、この内容等を検討してみますると、三年間の完納の問題、それから三年間の同一企業の問題、三年間の同一市町村に居住という三つの条件があって、なければ融資の対象にならない、こういうことなんでありますけれども、その標準で検討してみますると、日本全国的には課税されるものの対象は全業者の三分の一程度よりない。都道府県によりましては、その二割程度よりもないということであります。その二割程度よりもないのに、さらに完納しておらなければならない。非常に範囲が縮小される。さらに同一企業でありますから、転業する者、新しく商売をやる者もできない。あるいは他の市町村から転入してくる者もできない。そういたしますると、非常にワクが縮小されるのであります。そういたしますると、政府が表看板に掲げておるところの零細企業と称するものを無保証で、無担保で保護政策をやるんだということと、目的が背反してくるじゃないか、看板に偽りが出てくるのじゃないか、こう考えるのであります。そういう面から、大臣も時間がないようでありますから結論的に要約をして申し上げますると、かりにその税金の完納が三年でありましても、税そのものを所得税と事業税ということにいたさないで、このワクを全部解消して、住民税の完納期間は三年なり二年なり、住民税ということになりますると、全零細業者が対象になるのであります。そういう面から、住民税を完納しておるものを何件というような原則に切りかえする必要があるのじゃないか、こう考えます。大臣にいたしましても、昨日中野長官からお聞きいたしましても、あるいは大蔵省の財務調査官からお聞きいたしましても、初年度であるから堅実にやる、こう言っておりますけれども、やってみて悪ければやり直すというのであれば、どうも不見識ではないか、無定見ではないか。少なくとも政府がやるのであるから、責任を持って零細業者の保護政策をやるのだというたてまえでやるとするならば、そうやってみて、悪ければ、実効があがらなければ手直しをするということでなくて、初年度から正々堂々と小規模業者の保護政策でやるのだということに踏み切る必要があると思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/25
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026・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 すでに御説明申し上げているようでございますが、今回の三年間同一市町村で事業をやって税金を納めている者というと、大体百万人くらいの対象になる、こういうことでございます。いま御意見がございましたが、私どもは、これをやることによって相当実効があがるという確信を持っているわけであります。実効があがり過ぎることをおそれるわけでございまして、先ほどから申し上げるように、悪いからそれじゃ今度は条件を変えるのだというような考え方でなくて、初年度の状況を見て、そうしてもう一つ条件を緩和してもやり得る、こういうことであれば条件緩和をしてもそれはいい、検討しよう、こういうことで、ただ、初年度のことでもございますから、やはりこれは細心の注意をしてやるべきではないかというような、そういう気持ちを申し上げておる次第でございます。先ほどからのだんだんの御意見でございまして、私ども、決していま申し上げている基準をあくまでも固執していこうというのじゃない。初年度の模様を見まして、できるだけ条件を緩和して広く御利用願うのがよろしいのであって、また、そういうように資金手当てなどができる、保険公庫からの預託などが十分できるというように今後進めていくことにやぶさかではないのであります。しかし、本年度はこの条件でいきたい、こういうことを率直に申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/26
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027・中村重光
○中村(重)委員 いまの大臣のお答えですが、私はその点に対して非常な危険を感ずるのですよ。全然無から出発をする、こういうような形で、それを実施したために弊害というものが起こってこなければ、それはいまの大臣のお答えで納得するのです。いいですか、その点なんです。その弊害をそれじゃどうしようとするのか。中野長官のお答えのとおり、アラスアルファだ、前向きだと言う、そのこと自体はプラスアルファであり、前向きであるということで、これを実施するということは非常に危険がある、後退の面がそこに多いから、弊害がふえてくるから、出てくるから、それをないようにしなければならないのだ。プラス面とマイナス面とどちらが大きいかということを検討なさいましたか。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/27
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028・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 中村委員のおっしゃること、よくわかりました。この制度によって従来の保証というようなものに影響があって、一般的な基準もこの無担保、無保証の条件で右へならえするような傾向が出てくるのじゃないか、こういうような御趣旨だと思います。私は実は、こういう信用補完制度というものは、かりにもそういう後退があってはいけないのだというように、根本的な趣旨としては考えます。でありますから、先ほど私が申し上げたように、ある部分が無担保、無保証にいくが、他の部分はより一そう活発に保証の行なわれるように、補完制度が活用されるようにということを期待しているものであります。その点では、中野長官が言うとおり、今度の場合プラスアルファである、あくまでもそういう考え方をしておるのでありますが、御指摘のような場合が、お話を聞いてみて、それじゃもう全然ないのだと今後言い切れるかどうかとなると、なるほど実情に即してみないと問題かなあという気も現在起きます。しかし、それであったらいけないのでございますから、今回の新しい制度というものは信用補完制度の一歩前進である、こういう考え方に立って、全国の保証協会の事務の衝に立つ者が事務処理をすべきであろう、またそういうふうに指導していきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/28
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029・中村重光
○中村(重)委員 問題は、いま大胆が答弁されたようなことで解決すれば、何も私どもはこう深刻に問題を取り上げて指摘をしないのです。保証協会は何と言っておるか、困った制度をつくってくれる、こう言っておる。いままで私どもは一年間の税完納で保証してきた、三年間同一市町村に居住をして同一事業をやらなければならぬというきびしい扱いをいままでしてこなかった。ところが、これが出てくると、どうしてもそれに右へならえしなければならぬようになります、こう言っているのですよ。きのう参考人としてここへ保証協会の方がお見えになりましたが、それは中野長官の前、塩谷財務調査官の前だものだから、思ったことは言えないのです。しかし言いたいことは、長官もお感じになったように、きびし過ぎると思いますと言っている。ですけれどもこれをやろう、この制度で一度やってみようと言っておるのでございますから、私どもはきびし過ぎると思いますけれども、一応それを期待する以外にはございません、こういって、消極的賛成なんです。積極的には、きびし過ぎるということを改めてもらいたいということです。それが偽わらない心境なんです。そういう点をお考えにならなければ、一度やってみる、そしてその実績を見た上で、まあだいじょうぶだと思えばこの額を三十万――大臣はそうお答えになりませんでしたが、この金額を引き上げようということも出てくるでしょう、あるいは三年間という基準を緩和するということも出てくるかもしれない、そういう気持ちだろうと私は思うのです。ですから、プラスアルファというような形においてのそういう面は、いま大臣が言われたことを私も理解できるわけです。だから何回も繰り返して申し上げておりますように、いわゆる弊害の面をどうするかということを申し上げておるわけです。大臣は、従来もっと低い基準でもって保証しておる、そういうようなものが今度のきびしい基準に右へならえしないように信用補完をさらに強化していくように指導をしていきたい、こう言っておられる。しかしそういう精神訓話的なことでは、こういう基準が出てくると、なかなかこの指導のとおりいくものではないわけです。だからそういう点を大臣は十分配慮されなければならぬ。
それから、いま大臣は十万、二十万が無担保、無保証でもあるまい、こうおっしゃった。そういうことを大臣が考えておられると、窓口は非常に困るのです。やはり二十万の無担保、無保証というものもあり得るわけです。決して一律三十万ということじゃないわけですよ。またそういうようにきびしくされると、それはただいま申し上げましたように、これはたいへんなことになるのです。それから信用力の低い人が無担保、無保証の恩恵に浴さないで、信用力の高いものが無担保、無保証の恩恵に浴するということは、これは矛盾ではありませんか。信用補完という制度の趣旨からいって、私はそれは適当なことではないと思う。そういう点に対する大臣の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/29
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030・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ちょっと私の税引が十分でなかった点があろうと思うのでありますが、私は御意見のとおり、一律三十万円であるべきだ、こういう考え方はしておりません。これは当然、こういうわけで資金が必要であるという申請に基づいてやるのでありますから、だからもちろんその十万の場合も二十万の場合も否定はしておるわけではございません。この点は私の申し上げ方が悪かったかと思います。私の言いたかったのは、これはあくまでもこういうわけで資金が必要である、よって、三十万だとか二十万だとか、こういうふうにいくべきだということを申し上げておるので、この点ではおそらく中村委員とそう意見の相違はないのではないかと思います。ただ、先ほどの御質問で三十万円という一応のめどを、十万なり二十万円をめどにしたらどうかということについては、私の見解としていまのようなことを申し上げたようなわけであります。
それから信用力の高い者が条件がよくて、信用力の悪い者が条件が悪くなっていく、実態的にはあるいはそういう場合ができてくるかと思います。しかし何といってもこういう制度を健全に発展せしめていく、これはやはり責任を持ってやろうとするその立場からいうと、御理解はいただけるのではないかと思うのでございます。これが最初から条件が甘くて、どうも根底から補完制度がうまくいかない、あまり申し込みが多くて、それにこたえることができない、やむなく個々の方々の資金計画によらずに、画一的な、三十万といったけれども、これだけ申し込みがあるのでは十万円にする以外にはない、こういうことではどうも不見識だと思うのでございます。そこで繰り返し申し上げるようでございますが、まず初年度はこの範囲でやらしていただきまして、その推移によって改善をしていく、御意見も十分参酌していく。なお、これに伴う一般的な保証に対しての影響というものに対しては、できるだけ行政指導を十分にしていきたい。また、どういうことになっておりますか最近の実情をよく承知いたしませんが、大体保証をやる場合には、保証協会にはそれぞれ審査機関などがございまして、そこには相当な実情に詳しい方が参加しておられて、この保証協会でやる保証行為に逐一意見を具申しておる場合が多いと思うのでございます。おそらく東京都のような場合はそういうことに現在でもなっておるのではないか。地方でもそういう機関があるところもあると思います。したがって、政府の指導のよろしきを得、またそういう保証の審査機関のようなものが十分理事者のやる行為を見ておりますれば、私ども申し上げます指導の万全を尽くせるのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/30
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031・中村重光
○中村(重)委員 それは審査機関があるのです。そこでやるのです。やるのだけれども、三年間の同一市町村の居住、同一事業をやる、そして三年間の税の完納という基準がある、この基準を侵すわけにいかないのです。その基準の上に立った審査です。そこでどういう審査が行なわれるか。これは無担保、無保証は基準には合致するけれどれも、経営が健全でない、信用力がちょっと乏しそうだから、これは保証しない、こういうことも出てくる。それから三十万円の申し込みなんだけれども、三十万はどうも適当でないから、これを二十万にしようということも審査の場合出てくるのです。しかしこの審査というものは、従来はその審査の委員会がそういう程度の金額では開かれないのです。理事長が専従しておるところは理事長、まあほとんど専務理事という者がおりますので、専務理事の専決事項というので、金額がきまっております。ですから、審査会が開かれるのは金額が専決事項を相当上回るものだ、そういうものだけやるわけですが、この無担保、無保証というものは具体的にはどういう制度で運営しようとするのか、それはあとで長官に伺ってみたいと思いますが、いま大臣がお答えになるようなことで、両々相まってうまくいくだろう、そんな簡単なものじゃないのですよ。大臣のいまのことばをきのうの中野長官のお答えになったことと突き合わせて考えてみると、弾力的な運営をやっていこうということでしょう。そうなんですね。そうだとすると、弾力的運営ということはどういうことをやるのですか。こういうきびしい基準があるのにどうしようとするのですか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/31
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032・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 これは私どもの考え方と中村委員のおっしゃることと、ちょっと食い違うのであります。私どもは、この基準が一般的な保証条件までには及ばない、まだ及ばしてはならないという立場をとっておるのでございますが、中村委員は、無担保、無保証がこういう条件になれば一般にも及ぶ、こういうお立場のようでございますから、その辺にどうも違いがあるんじゃないか。これは実態に即してみないと私どもの言うのが正しいのか、あるいは中村委員のおっしゃるような御心配が現実にあらわれてくるのかということになってきます。しかし、そのあらわれてくるということについては、私は、審査会などでそれは専務理事の専決事項になっておっても、その審査会での専務理事の最近の一般的な保証の決裁はきびし過ぎるじゃないか。これは何も無担保、無保証にとらわれずに、従来の七〇%のてん補率のものについてはもっと考えるべきだというようなことは審査会の実情から私は言えるんじゃないかと思う。また私どもとしても、全国の保証協会にそういう行き過ぎがあったならば、一般的なものも全部無担保、無保証と同じような扱いでいくというような行き過ぎがあるならば、それは十分指導していきたい、こう思うのです。そういう点でちょっと、お考え方は、そういうことがあってはならない、事実もし御心配のようなことが起きてはならないと私も思うのでありますが、これはやっていけるんじゃないか。特にこれは初年度のことでもございますから、この辺で出発をさせていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/32
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033・中村重光
○中村(重)委員 大臣が理解が乏しいのか、私がこの法案の内容についてまだ理解が乏しいのかわかりませんが、私は実情をふまえて問題を指摘し、お尋ねをしているのです。いままではこの基準よりも低い。先ほどから何回も申し上げたように、三年なんて言わないで、一年で、あるいは半年もあります。それから税の完納は大体一年です。そういうことで保証協会の保証を受けて十万、二十万、三十万、五十万と借り入れをしてきたんですよ。いいですか。そういう人はこの後どういう制度で、どの方法でもって金を借り入れる形になるのか。それはいわゆる第一種保険というのがあるからそれでやったらいいじゃないかということになるのでしょう。そういうお答えをするのだろうと私は思います。しかし事はそう簡単じゃないのですよ。無担保、無保証というのがそういうきびしい制度があるんだから、私は昨日も申し上げたのですが、無担保、無保証なんだから、だから信用力のない者に無担保、無保証でやると、これはこげつくおそれがある。そうするとこれはたいへんなことになる。だからある程度信用力の高いものに無担保、無保証の新しい保険制度を適用していくのでなければならないのだ、こういうことだろうと私は推定をいたしまして、昨日も申し上げましたが、しかし、もしそういうことであるとするならば、この信用補完制度というものの精神をじゅりんするというか、これをはき違えていくという形になると思うのです。この信用補完制度の概要というものを、あとで中野さんからもう一度読み直していただいてお答え願いたいと思いますが、いま私が私なりの理解の上に立って申し上げたことに対して大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/33
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034・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 信用補完制度の本旨については、私はおっしゃるとおりだと思うのであります。ですから、先ほどから繰り返し申し上げているように、初年度はこれでいきたい、そしてお話のような不安感がある、あるいは問題が起きるということであればこれは改善をしていきたい、こういうことを申しておるので、私も中村委員のおっしゃっていることがわからないわけじゃないのであります、これは十分参考にしたい。しかしあくまでもこの出発に際して無担保、無保証の制度というものが順調に行なわれることをわれわれは期待しておるために、いささか御指摘のような信用力の少ないものに信用をつけるのじゃなくて、それを、条件をきびしくして信用力のあるものに無担保、無保証をやるようじゃいけないじゃないか、こういうような解釈ができるのでありますが、私はもとよりそういう気持ちではございません。従来健全な経営もやっているが、しかしなかなか借りにくかった、そういう者について、いま申し上げたとおりに百万も対象者がいるのであります、これらの百万人の対象の中で、この無担保、無保証を十分活用して健全な経営に発展させていただきたい、こういうことにほかならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/34
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035・中村重光
○中村(重)委員 無担保、無保証の制度を確立してもらいたいというのは、当商工委員会におきまして附帯決議が何回もつけられてあるのですよ。少なくとも私どもが附帯決議をつけた趣旨は、いま実施しようとするこういう制度を期待しておったのではありません。少なくとも信用保証制度の本旨にのっとった、金を借りたいけれども担保もない、信用力も乏しい、しかし熱心にその事業によって生活をし、生業から企業へと発展していきたい、そういうものが金融機関から見放されている。これを何とか信用補完制度を強化して無担保、無保証の形においてやってもらいたいということが私どもの附帯決議をつけてきた趣旨なのです。それに乗っていないじゃないかというのです。少なくともこの法律をお出しになる場合、自民党のそれぞれの機関でも御相談になっただろうと思うのです。これは簡単に自民党の中でも、それはけっこうじゃないかということではなかったと私は考える。一緒に附帯決議をつけて、全会一致でもって政府に意思を表明してきたのだから。歴代の通産大臣はそのつど。御趣旨に沿って善処いたしますと、こういうお答えをしておられる。これは大臣が一度やってみて、その実績によって改めていこうと言われる。私どもは、問題はあまりにもはっきりしているのだから、だから朝令暮改という形であってはならぬ、初めが大事だからと、こう申している。あなたの用心している気持ちは全然わからないでもないのです。しかし弊害のほうが大きいから、これは政令事項なのだから、金額の面でコントロールできるのだから、こういうきびしい基準はもっとゆるやかに政令の中で定めてもらいたい、できないことではないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/35
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036・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 附帯決議が行なわれて、その決議をうけて無担保、無保証制度を今回実施をしようということには間違いはございません。ただ、この省令できめる条件がいまここで非常に問題になっておる。これをどうするかということだと思うのであります。いまも中野長官とここで相談してみて、一応大きなめどを立て、三十万――二十万でもけっこうでございますが、三十万、五万件、単純に表現いたしますが、そのめどを立てた上においては、この程度の条件でいかざるを得ない。そして実施の状況を見て御期待に沿うような条件緩和にいきたい、こういうことでございます。どうも平行線の論議でたいへん恐縮なんでございますが、中村委員も、私どもの言っていることを全然わからずにおっしゃっているんじゃないというおことばもございますので、おっしゃっている御意見は尊重いたしまして、できるだけ御期待に沿いたいと思いますが、何しろいまここで月の子で何かお答えをするわけにいかないので、おおむね三十万、五万件、それには百万人の対象でこの程度の条件というように作業が積み上がってきておりますので、この機会に中村委員をはじめ、無担保、無保証の制度を推進されておる方々のお考え方は十分今後に織り込んで善処をいたしますので、とりあえず初年度はこういうことで御了解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/36
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037・中村重光
○中村(重)委員 一番最後のことばがやはりひっかかる。初年度はというのがですね。十分御意見の点もわかるので、そういうものを織り込んで善処したい、まではよかったんです。これは政令事項ですから、あとでこれはやってもらってけっこうなんです、時間があるんだから。おそらく与党の部会でも問題が出たであろうし、また、私がいま申し上げておる――昨日島口委員からも十分申し上げておるわけですけれども、あとで大臣が速記録をお読みになれば、島口委員も専門家なんだから、実情にかけ離れるような議論はしないんです。だから、そういういろいろな点を参酌をして、大蔵省に問題がひっかかるんだから、塩谷調査官もきのうからきょうにかけて十分耳を傾けておられる。私どもの議論を否定するという態度でもなかったんです。自分の考え方は率直におっしゃったけれども、私どもの言っていることはそれなりに肯定的なお答えも出ておるわけです。ですから、そういうことで大蔵省と話し合いの必要があれば大蔵省とも十分話し合いをやって、政令の中で実情に即するようにきめていこう、こういうお答えであるならば、大臣もお忙しいでございましょうから、参議院のほうにおいでいただいて、まだ問題が非常に多いのですから、あとは長官なり塩谷財務調査官、あるいは厚生省からも見えておられるようでありますから、そういう事務当局との間にいろいろと質疑をかわしてみたい、こう思います。その点どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/37
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038・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 私もここへ短時間だけ出席をいたしまして応答をしておるのでございますから、あるいは私の答弁が不十分で、また失礼な点もあろうかと思いますが、この場のことでございますから、いま中野長官とも打ち合わせてみましたが、一応積み上げた作業のことでもございまして、責任を持って答弁のできる範囲はきょう申し上げておることでございますので、十分御意見は尊重して考えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/38
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039・中村重光
○中村(重)委員 本委員会におけるかわされた質疑を参考にして、政令を定むるにあたっては十分検討する、そして適切な政令事項を定めていきたい、こういう考え方であると理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/39
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040・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 中村委員の御期行に沿い得るか沿い得ないかは別といたしまして、私の気持ちはおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/40
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041・中村重光
○中村(重)委員 それでは、大臣はお忙しいですから……。
塩谷財務調査官に、考え方をこの際明らかにしていただきたい。いろいろ議論されて、お聞きになっておわかりのように、調査官として、大蔵省は、これに形としては賛成ですが、しかし、あなたのほうは相当イニシアをとられたのだろうと思う。どうなんですか、お聞きになっていて、基準、きびしさというものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/41
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042・塩谷忠男
○塩谷説明員 ただいま通産大臣からきわめて御懇切な御説明がございましたので、私がこれ以上加えることはございません。通産大臣が最後に申された御趣旨に沿って、通産省ともよく相談いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/42
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043・中村重光
○中村(重)委員 蛇足のようだけれども、中野長官、信用補完制度の概要というものの本質、それをあなたが理解をしておられることについて、そう長い文でもございませんし、読んでいただいてもけっこうでございます。あるいはお答えでもけっこうでございますから、どうあなたは理解をしておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/43
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044・中野正一
○中野政府委員 先ほど来、中村先生も御指摘のように、中小企業者というものは本来信用力が薄いというか、特に普通の市中金融機関から金を貸すというような場合には、そこに非常に問題があるのは御承知のとおりでございます。その意味におきまして、担保あるいは保証人等を立てるとか、いろいろむずかしい問題がございますので、そういう中小企業君の信用補完をする意味において保証協会というものが、これはいわゆる自然発生的にというか、必要性に応じてできたわけでございまして、その保証協会の保証が保証力というものを確保するために保険公庫というものができて、そういう政府機関から金の融通を一面においてはする、それから同時に、保証協会が中小企業者のそういう信用力が薄いものを補完するわけでありますから、そこに危険性が出てくるわけでありまして、その危険性をてん補する意味で保険制度をつくるということで、保証と保険というものが一体になって中小企業者の信用力の弱いところを補っていこうということがこの制度の趣旨でございます。ところが実際に、それではその保証協会といえども、幾ら保険公庫の七割のてん補があるからといって、信用力の弱い中小企業者に対して簡単にどんどん保証できるかというと、現実問題として、保証というのも、御承知のようにやはり一種の金融の一環でございますから、なかなか簡単にはいかない。そこで現実の姿を見ると、保証協会が保証する際に、さらに保証人を立てさせる、少し金額が大きいと担保までとられる、こういう実態でございまして、そこに従来から中小企業者の皆さま方から非常に不満があったわけですね。それかといって、それでは保証協会に、たとえば損失補償でもして、全部国でそれをかぶるから信用力の非常に弱いものもどんどん保証せいというようなことを言いましても、これはそういう制度をつくれば別でございますが、これもなかなか問題が多い。したがって、ここである一定の要件を備えたもの、すなわち健全な経営をやっておるが、零細な企業であるがゆえになかなか担保がない、保証人も立てようとすると相保証を取られるというようなことで、中小企業者というものは保証人を頼みにいっても非常にいやがるのですね。そういうものでも、先ほど言っておられるように一生懸命仕事をやって、いわゆる健全な経営をやっておると認定できるものは、これは担保も取らず、特に保証人も取らずにやろうということですから、その点だけでも相当やはり画期的なことじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/44
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045・中村重光
○中村(重)委員 中野さん、えらいあなたは力こぶを入れて、画期的だとこうおっしゃったんですが、あなたも中小企業庁長官として、零細な企業者から見れば雲の上におられるような人なんです。実際の実情を御存じない。実際はそういうものじゃありません。三十万や五十万のような金額までは、いまあなたが言われるようなことはないのです。担保を取ったり何かするというのは、これはもう少なくとも百万円以上くらいの金額が大体中心になっています。私どもはしょっちゅう窓口に行きますので、ある程度実情を知っておるつもりでございます。あなたがお答えになりましたように、信用補完制度は、物的担保力及び信用力の乏しい中小企業者の信用力を補完することによって、これを一般金融機関の金融ベースに乗せて中小企業金融の円滑化を促進することを目的とするものである、こうなっているわけですね。ですから、どうしても金が借りられない、そういう人に保証協会の保証によって信用をつけて融資の道を開いてやるのだ、これが趣旨なんです。この無担保、無保証の制度というものはその徹底したものだ、私どもはそう理解をしておるのだし、またそれでなければならないと考えている。いままで議論されたのは、そういう点がやや遊離をしているというところに問題があるわけです。それであなたがそういうようなお答えをしてこられるということであれば、またいろいろ問題もありますけれども、私どもは審議を深めていく上について、従来一年または二年の税完納で焦げつきがどの程度あったか、この実績をひとつ伺ってみたいと思うわけです。それから、焦げつきをしていない人の比率ですね、それがどの程度になっているのか。あなた方は三年間税の完納という基準をおつくりになったのだから、出然こういう点を最も重点を置いて調査をされたと判断できるわけでありますが、現況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/45
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046・中野正一
○中野政府委員 従来の小口保険の事故率といいますか、そういう御質問の意味だろうと思います。一応従来の小口保険制度は大体二・五%程度の事故率で、今度の新しい特別小口保険については、一応予算上これは三%程度、これは見込みでございます。先ほど来おっしゃっておるように、三年以上同じ市町村に住んで、そして税金を納めておる者というなら、むしろそんな事故は出ないんじゃないかというふうな見方もできるかと思いますが、一応われわれのほうは各保証協会とも相談して、やはり危険率がある程度ふえるから、てん補率も普通の場合は七割を今度は八割に上げているわけでありますから、一応そういうふうに計算をして事故率を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/46
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047・中村重光
○中村(重)委員 質問に対する的確なお答えでないわけです。いま私どもが、基準がきびし過ぎるから、これをもっとゆるやかにしたらどうかということに対して、どうも予算の面からいえば無担保、無保証というのでどんどん押しかけられてきたのでは、これはどうにもしようがないということが答弁の一点であったわけですね。もう一つは、初年度ということよりも、新しい制度なんだから、やはり慎重を期していかなければならないというお答えは、信用力があまりよくないような人にこの制度を適用すると焦げつきが出てくるということを警戒をしておられるということがうかがわれたわけです、そうなってくると、先ほど来私が申し上げましたように、いままでそうきびしくない基準でもって保証協会は保証してきたのだから、一年の税完納あるいは二年の税完納ということでやってきたのだから、従来の実績は、保証協会の保証したその保証の中で占める焦げつきの比率はどうなんだ、それを伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/47
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048・中野正一
○中野政府委員 従来の小口保険については二・五%程度の事故率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/48
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049・中村重光
○中村(重)委員 従来の三十万の小口保険は二・五%程度焦げついている――焦げついているのですか、損失ですか、どうです。ちょっと違うのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/49
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050・中野正一
○中野政府委員 いま申し上げました二%ないし二・五%の事故率というのは、保証をして結局代介をしたのですね。弁済をしないために、かわって保証協会が金融機関に払った。したがって損失になるわけです。しかし、実際にはそのうちの六割以上がその後何年かたって回収されますので、大体その六割ぐらいはあとになって回収されるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/50
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051・中村重光
○中村(重)委員 だから、一年程度の税完納で適用してみても一%かそこらですね、初めは二・五%というのは代位弁済なんだから。最近は代位弁済は非常に早くなったのです。保証協会の保証を実施いたしました当時は代位弁済というのは非常におそかったのですよ。代位弁済は最近は早くなった。だからこの二・五%というような数字が出るのです。だから無担保、無保証の形になりましても、この焦げつきは非常に少ないのです。これは三年間ということでやりましても、この程度はもう当然予想されるのです。だから、実際の実績から見てみると、税金一年完納という程度でおやりになりましても、何もそうあなた方のほうで心配をしておられるような、そういう実績は出てこない。それが実相です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/51
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052・中野正一
○中野政府委員 その点は非常にむずかしい問題ですが、こういうふうに考えていただいたらいいと思うのです。従来の制度は、要するに一年以上の納税というようなことで、これは各地のやり方で非常にいろいろと違います。しかし、大体いま言われたように一年以上税金を納めているとか、二年以上納めているとかいうようなものですが、保証人は全部立てさせておるわけですね。一人以上あるいは二人以上、保証人は全部立てさせておりますから、今度の制度は保証人を立てさせぬというところに意味があるわけなんですね。そうしますと、いま先生のおっしゃること、非常によくわかりますが、保証人を立てないために保証協会の危険が多くなるじゃないか、また今度はかりに代位弁済の率が多くなるじゃないかということが一つ。それから代位弁済をやった場合に、一言人がいないのですから、また担保は何もないのですから、回収が非常にむずかしくなるということは、当然保証協会として非常に心配するわけですね。そこで、政府としてぜひこの保険公庫のてん補率をふやしてくれ。最初これは九割にふやしてくれという要望だった。われわれも九割という主張をしたわけです。しかし、要するにこういう制度をつくって、そのかわり危険が多いから国のてん補率をふやしてくれというところに一番問題があったわけです。てん補率を上げなければ、新しい制度でも何でもないわけです。これはそこに非常に問題があるんで、だからそこがわれわれとしても非常にやりにくいところなんです。したがって、保証協会のほうも対人信用で貸すのだから、ある程度の制限をしないと、やたらにこれをほとんど無制限に近い形で、担保もなしに、保証人もとらずにやれなんといっても、保証協会は引き受けられないのです。そこがわれわれ折衝の過程において心配した点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/52
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053・中村重光
○中村(重)委員 全然基準を設けるななんて言ってないのです。現在の実績というものを無視した形であまりきびしいことをおやりになってはいかぬと言っておるのです。現在やっておることだって、実質的には一%かそこら程度の代位弁済にすぎぬじゃないですか。大体この信用補完制度というものを設けましたときは、相当こげつきがあるだろうということを予想して、それだけの予算措置というものがあったのですよ。代位弁済は一応あるのだけれども、いわゆる損金に損失として落とすこげつきというものは意外に少ないのです。大体こういう制度を設ける際には、ある程度の危険というものが伴ってくるのはあたりまえですよ。それをあまりきびしく独立採算性という形で締めつけをされると、この信用補完制度の本質をじゅうりんすることになるのです。よくそこらあたりをお考えにならなければ、大蔵省は銭をとるところだからきびしく言うだろうけれども、あなたはそういう零細企業者、中小企業者の利益をどう守っていくかというところに重点を置いて取り組んでいかなければ、あなたがあまり窮屈にこり固まったのでは、どうしても零細企業者、中小企業者は救われますか。もう少し頭の切りかえをあなたはなさる必要があると私は思う。私は全然むちゃなことを言ってないのです。従来の実績を踏まえて言っているのだから、現実遊離なことを言っているのじゃないのです。あなたとはあとでまた議論をしたり、質疑をしたりします。
厚生省にお伺いいたしますが、環境衛生関係に対して補助金をできるだけ押えていこうという考え方が第一に出て、いろいろな制度をお考えになったのだろうと思うのです。今度政府金融機関からできるだけ資金をあっせんしたいというような考え方を持っておられるわけですが、それについては、いま議論されている無担保、無保証信用補完制度というものが関係してくるわけです。今後こういう環衛関係の団体に対してどういう措置をしようとしておられるか、その点についての考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/53
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054・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 環境衛生関係営業の団体につきましては、昭和四十年度から環境衛生関係営業の団体に対する補助金制度というものを創設しまして、それで団体がいろいろ経営の合理化なり近代化なり、あるいはその他いろいろな営業関係の諸問題を自主的に解決するような活動に対する補助、助成をするということを予算化しようとしておるわけであります。そこで、これは中央の連合会とそれから各府県ごとの業種別の団体にそれぞれ補助金を出すことにしたいというふうに考えておるわけであります。それからもう一つ、都道府県の環境衛生関係営業の指導助成に当たるセクションにつきまして、これも補助金を出しまして、営業の指導面の強化をするというふうなことをやらせてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/54
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055・中村重光
○中村(重)委員 その予算総額はどの程度になっておるのか、それから配分の方法ですね、環衛団体は十三団体ですか、その中で重点があるだろうと思うのです。そこらあたりの内容をひとつ詳細に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/55
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056・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 予算の総額は六千万円でございまして、これが補助金で、補助率が、都道府県及び都道府県の業種別の団体に対しまする補助金につきましては都道府県が二分の一負担をするということでございますから、その倍になるわけでございます。十七業種環境衛生関係団体がございまして、そのうち業種をある程度しばりまして、九業種程度についてまずやっていきたい。これは約半分でございます。
それから補助のやり方といたしましては、都道府県の各種の団体につきましては、都道府県にまず補助をしまして、都道府県が二分の一を各団体にまた補助をするというふうな形で、これを平均いたしますと、一業種当たり二十万円程度が出されるというふうなことであります。それから全国の連合会につきましては、名業種別に九業種につきまして、平均百万円程度のものが補助金として出されるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/56
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057・中村重光
○中村(重)委員 九業種に平均二十万ということになるのですが、やはりその中でもまた重点があるのでしょう。それと、重点の中でもまた組合の規模、組合員の数であるとかいうようなことで配分の内容が変わってくるのではありませんか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/57
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058・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 業種別にいろいろと問題点の所在とか、あるいはおっしゃられるようにいろいろ規模が違うとか、それから近代化、合理化あるいは共同化なりのいままでの実績とか、そういうものがございますので、府県の業種別の団体につきましては、府県に実情を勘案して考慮してもらう、あるいは全国組織につきましては、厚生省のほうでそういう実情を勘案して事業内容を検討して、ウェートをつけていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/58
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059・中村重光
○中村(重)委員 こういう制度はけっこうだと思うのであります。ところが補助金を出す、一業種当り年間二十万円であります。それではないよりましだということになりますが、えてしてこういう補助金を出すことにおいて、その組合の自主性を制約するということが起こらないともいえないのですね。経理上の規制とかなんとかもあるのじゃないかと思います。そこらあたりはどういう方法で運営していくことをお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/59
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060・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 おっしゃられるとおり、経理上のいろいろな問題もあるわけでございまして、その点につきましては、補助金の支出される事業につきまして、これがいたずらに浪費されるとかあるいは不当な支出にならないような指導はしていきたいと思っております。ただこの補助金は、これだけで団体の事業をまかなっていくというものではございませんで、団体の事業というものを助成するための誘い水といいますか、事業活動を活発にするための助成の手段としてやるわけでございまして、そのほかいろいろ各団体ごとにみずからの財力におきまして自主的に大いに活動していただくことは、これは自由にやっていただくように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/60
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061・中村重光
○中村(重)委員 近代化、合理化というのは、その環衛団体にどういうことを期待しておるのですか。近代化、合理化というのは、具体的にこういうようなことを合理化させる、あるいは近代化させるということがあるのだろうと思うのです。そこらあたりはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/61
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062・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 これは業種別にいろいろ問題点が違いまして、たとえばクリーニングならクリーニングという業種で申しますと、非常に零細な事業規模で夫婦と店員さんを一人、二人雇っているというふうなものがたくさんあるという中で、非常に大きな機械を入れて大量に仕事の処理をしていくというような業者も出てまいりますと、そこでいろんなあつれきが生じてくる。そうすると、そういう零細な事業規模の人たちは一体どういうふうにこれから事業を展開して持っていったらいいかというような場合に、これを共同化をするならするにしても、どういう形で共同化して、これが共同化し過ぎて設備過剰になるということでも、またこれはマイナスになるということで、その面をどういうふうなやり方をしていけばいいかということも研究しなければいかぬ。一例を申しますと、クリーニングでいえばそんな問題もあるわけでございます。浴場は浴場、それから理容美容は理容美容なりでそれぞれいろんな問題をかかえているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/62
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063・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるとおりだと思います。業種によって違うのですね。クリーニングのごときは、あなたのほうで期待をしておられる近代化資金の対象にもなり得ると思います。浴場の場合にも、ボイラーなんかによって近代化資金の対象になり得るかもしれない。ところが、たとえば理容業のごときは、近代化資金を期待をしておるとすればどういうことが考えられるか。私どもの理解では近代化資金の対象にはなり得ないと思うが、その辺、あなたのほうではどのように理解をして取り組もうとしているのか。それから経営の近代化、合理化をおやりになるということになってくると、いまの助成金でそれをやろうといったって無理ですから、当然金融の措置が考えられなければならない。そういう点に対してどのように進めていこうとお考えになっているのか。また現在どう処置しておられるか、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/63
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064・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 業種によりまして、必ずしも近代化資金を借り入れるという問題だけの問題じゃないわけでございまして、美容なり理容なりにいたしましても、経営のやり方が非常に前近代的なやり方をしている。たとえば帳簿のつけ方にいたしましても、日金をとって、日金を生計費に充てたり支出をしたりというようなことをやっているということから、経営の計画性がないとか、あるいはいろいろな金融機関からお金を借りようと思っても、経理帳簿的に不備だとかいうようなことでお金が借りられないというものは、そういう指導もしたければならないわけでございます。それから、共同購入なら共同購入というのは、どういうものをどういうやり方で共同購入をすればいいかとか、あるいは機械設備はどういうものをやれば、より能率的、効果的であるかとか、業種別にもいろいろ問題が違うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/64
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065・中村重光
○中村(重)委員 業種別に違うことはわかっております。ところが、あなたのほうでは、そういう経営の近代化、合理化を進めるということについては、従来ともすれば政府金融機関からの借り入れがどうも重点が置かれてなかった。それについては、あなたのほう自身が今度はこの点に積極的に取り組んでいこう、そこで政府関係金融機関からの融資がなめらかに行なわれるように措置していきたい、こういう態度でございましょう。だからして、その点に対しては中小企業庁との関係も出てくると思います。したがいまして、どのようにこれを連絡をとっておられるのか。またいろいろ調整事項があるとすれば、ここらあたりはいままでどう進めておられるのか、この点を中小企業庁長官からもお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/65
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066・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 環境衛生関係の営業につきましては、一般の生産企業的な中小企業といろいろ条件的な違いがございまして、事業規模が、中小企業というより非常に零細企業だというような点とか、あるいは環境衛生関係のいろいろな衛生措置の基準を守らなければならぬとか、それからサービス業であるとか、消費者と直結しておる営業であるとか、いろいろな点で違う面がございまして、そのために金融関係につきましても、そういう特殊性からいろいろまた特別な考慮を払っていただかなければならぬところもあるわけでございまして、おっしゃられるとおり、金融措置につきましても、政府関係金融機関から環境衛生関係営業の借りにくい点をできるだけ借りやすいようにしていただくように御連絡をし、あるいはお願いをする。それから、近代化資金なんかの指定業種にも必要なものは取り入れていただくというようなことを中小企業庁のほうにも御連絡、お願いしでおるわけでございます。たとえば、近代化資金につきましても、三十九年度はクリーニングを指定業種にしていただきました。それから四十年度は浴場関係につきまして指定していただこうということで、いま折衝をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/66
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067・中野正一
○中野政府委員 いま厚生省から御答弁のあったとおりでございまして、政府関係機関金融についても、環境衛生営業の特殊性等もございますので、そういう点で厚生省からもよく連絡を受けまして、これを関係の金融機関として金融の円滑に遺憾なきようにさしておるつもりでございます。
それから設備近代化資金でございますが、これもいま厚生省からおっしゃったとおりでございます。最近特に物価対策、消費者物価安定というような見地からも取り入れて、設備近代化の業種をふやすようにしておりますので、できるだけ厚生省の御希望にもわれわれとしても沿うようにせっかく努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/67
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068・中村重光
○中村(重)委員 従来ともすると、環境衛生の団体関係の企業が、これは業種にもよりましょうけれども、政府金融機関の窓口が比較的狭められてきておったことは事実なのであります。保健衛生上の関係等もありまして、相当重視していかなければならないと考えられるわけです。ところが、従来の実績としては好ましくなかった。今度は積極的に厚生省もこれに取り組んでいこうということであるといたしますならば、中小企業庁との関係をさらに密にして効果があがるようにしてもらいたい、こう思うわけです。これは言うまでもないことでありますけれども、この信用保険法の関係の無担保、無保証というものは、この環衛関係の業者にも適用されるものと理解しておりますが、そのとおりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/68
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069・中野正一
○中野政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/69
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070・中村重光
○中村(重)委員 それから補助金ですが、これは、いま言ったように経営の近代化、合理化というようなものは、別に機械設備をするというようなことが条件ではないということでございますので、主として衛生上の完備あるいは経理上のいろいろな点に重点があるようでありますから、これは当然補助金は支給されるものだ、こう考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/70
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071・柳瀬孝吉
○柳瀬説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/71
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072・中村重光
○中村(重)委員 それではけっこうです。
長官にお尋ねしますが、第一種に今度小口保険を統合することになるわけですね。そうなってまいりますと、この小口保険の中にありました医業法人というのはどういう扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/72
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073・中野正一
○中野政府委員 第二条に、御承知のように小企業者の定義がございまして、常時使用する従業員の数が五人以下の会社個人、それから商業、サービス業では二人、それからその最後のところに「医業を主たる事業とする法人であって、常時使用する従業員の数が五人以下のもの」この従業員の五人以下の医業法人は、今度の特別小口保険制度の適用を受けるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/73
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074・中村重光
○中村(重)委員 そうすると、従来の小口保険の中には医業法人というのがあって、その医業法人は五人以下の従業員を擁する医業法人であった。今度はその小口保険が第一種保険のほうに統合された。ところが、その中には医業法人という字が消えておるわけですよ。だから、扱いとしてはどうなるのか、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/74
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075・中野正一
○中野政府委員 いま先生の御指摘のは、第二条のいわゆる中小企業者でございますね。その三号に「医業を主たる事業とする法人であって、常時使用する従業員の数が三百人以下のもの」いわゆる普通の中小企業と同じ扱いになって、第一種保険の適用が受けられる。したがって、医業法人は三百人以下のものは――五人以下のものでも当然ですが、従業員三百人以下のものは第一種保険の適用があり、従業員五人以下のものは特別小口保険の適用がある。したがって、医業法人で従業員五人以下のものは一種の適用もあるし、特別小口の適用もある。こういう形になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/75
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076・中村重光
○中村(重)委員 それはわかりました。それじゃ小口保険の中に医業と前はあったのだが……。(中野政府委員「それは残っております。」と呼ぶ)いや、今度は残っていない。医業というのは消えているんだ。書いてない。ただ、五人以下の従業員を持つ企業、こうなって、医業というのは書いてないでしょう。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/76
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077・中野正一
○中野政府委員 それは入っております。お手元に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の新旧対照表がお配りしてあると思いますが、これをごらんいただけば、要するに小口保険というのはやめて、特別小口保険ということにしたわけでありますが、小企業者の定義のところは、「医業を主たる事業とする法人であって、常時使用する従業員の数が五人以下のもの」というのは改正しておりませんから、そのまま残っておるわけです。新旧対照表をごらんいただけばはっきりすると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/77
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078・中村重光
○中村(重)委員 私は調査室から出ておる資料でお尋ねしておるのですが、それには「従業員が五人(商業、サービス業二人)以下の会社、個人およびその事業に従事する者が五人以下の企業組合ならびに事業協同小組合等であって特定事業を行なうもの」、こうなっているわけで、医業というのが載っていないので、その点をお尋ねしたわけです。それはわかりました。
そこで、小口保険、これは統合するんですね。従来の小口保険というのは第一種に統合する。統合するんだけれども、条件は第一種保険の条件という形になるんでございましょう。いわゆる利率の問題等にいたしましてもね。だから、統合だけれども、条件が第一種の中に二つあるはずはないんだから、事実上は廃止される、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/78
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079・中野正一
○中野政府委員 その点は御指摘のように第一種保険と小口保険を統合いたしましたので、両方の加重平均によって保険料が第一種よりも少し下がっているんですが、その意味では両方が一本になったというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/79
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080・中村重光
○中村(重)委員 それからこの特別小口保険の金額を、私がさっきからコントロールしたらいいじゃないかと言うのは、三十万ということにしなくて、最高をやはり五十万程度くらいに引き上げる、そうしてその中では、金額で、信用程度に応じてコントロールしていく、こういうことのほうが、実際は、いまの経済の上昇の状態、技術革新その他の条件の中からやはり適当ではないか、こういう考え方を持っているわけですが、三十万円にした根拠ですね。それから五十万というようなことを検討されたのかどうか。それから、コントロールの問題は大臣との質疑応答の中でやりましたが、あなたとはやっておりません。そういうことが、まあ大臣の理解というのがどうも若干どうだろうかと思われる節もありましたので、あなたのほうからそのあたりについてお考えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/80
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081・中野正一
○中野政府委員 いまの特別小口保険制度をつくるに際しまして、この対象になる最高金額を幾らにしたらいいかということは相当検討いたしました。実情を申しますと、五十万円以下で小口保証をやっておるところは東京、大阪でございまして、ほとんどの各地方の実情は三十万円以下ということになっておりますので、三十万円でやったほうがいいのじゃないかというふうに私は考えております。しかし、そういう資金の需要のあれもだんだん大きくなることは間違いないのでありまして、実は、現在の小口保険の三十万円というのは昨年改正をしたのであります。それまでは二十万円でございました。それを、昨年の国会で御審議願ったと思いますけれども、二十万円から三十万円に上げたばかりでございます。そういうことと、それから地方の実情から見て三十万円のほうがいいのじゃないかというふうに考えましてこういうふうにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/81
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082・中村重光
○中村(重)委員 それから所得税と事業税、法人の場合は法人税、これが三年間完納されておらなければならない、こういうことですね。そのことは、滞納の問題もありましょうが、いま一つは、やはりそういう税金を納め得るような企業でなければならぬという信用程度というものをお考えになったのではないか、こう思うのです。ところが、御承知のとおり、いまできるだけ税金を減税していかなければならぬという方向にあるわけです。そこで、基礎控除を引き上げたり、いろいろ控除があるわけですね。そこで、ある程度の収入がありましても所得税がかからない、こういう企業もいまあります。そうなってくると、内容的にはある程度の健全な経営をしているけれども、税金はかけていないのだということになってくると、それが対象からはずされるのかどうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/82
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083・中野正一
○中野政府委員 税金を納めていなければならぬという条件でございますので、その理由がどうであれ、税金を納めていない人は健全経営というワクからはずれるということになってきて、今度の対象にならないということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/83
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084・中村重光
○中村(重)委員 どうも、いよいよもって問題だと私は思うのですね。そうなってくると、実際は何とかして少しでも税金をかけるようにしなければならぬというので、実際は所得が低くても、所得があったようにして、税金を幾らかでもかけて、納めるようにしようというようなことにならざるを得ないという点も出てきますよ、これは、あなたはそう首をかしげられるけれども、そんなものじゃないのです。法人なんか現にあるのです。これはいま倒産会社がいろいろ経理をごまかして、そうして配当をやっている。こういうことも、いわゆる外部信用ということを考えるからです。赤字で税金を納めてなかった。しかし配当をするためには、いまの山陽特殊鋼の例なんかを見てもこれは考えられることなんです、だから、私どもが知っている法人の中で、どうも税金を納めてなければ銀行から金を借りられない、だからして幾らかでも税金を納めなければならぬというので、ない研得をあるようにして、実は税金を納めておるのが事実なんです。だからこれだって、第一種保険制度があるのだから、何も保険制度は特殊保険制度だけではないのだから、そんなばかなことはないじゃないか、こうお考えになるかもしれぬけれども、零細な業者というものは、実際問題としてきめこまかく考えるのです。だから、いまの所得税あるいは事業税、そういうような税金を納めていないというようなこと、それはいわゆる減税政策というような面からいくならば、所得の低い人はできるだけ税金を納めないようにしていかなければならない。そうすることによって資本を蓄積させて、そうして生業から企業へと強めていくというようなことも実際問題として考えていかなければならないわけです。そういうようなことから考えるならば、そういう税金を納めてないのだからそれは信用力が乏しいのだ、いわゆる健全経営じゃないのだから、この特殊保険制度の対象にしないということは、いささかもって冷酷無情の感なきにしもあらず、そういう点どうなんですか。塩谷調査官の見解を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/84
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085・塩谷忠男
○塩谷説明員 先ほど来通産大臣からも御説明ありましたし、中野長官からもいろいろ御答弁ございましたが、私ども全く同様な考え方でございまして、私自身の立場から特にこれと異なってどうということは、いま申し上げる時期じゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/85
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086・中村重光
○中村(重)委員 そこで、先ほど島口委員から関連質問で申し上げましたように、ここで住民税もひとつ加えられたらどうだ。住民税も滞納するような人は、これは健全経営じゃない、これは文句なしによくわかります。だから住民税を加えられる。そうすると、いわゆる減税政策の方向とも逆行しない、こういうように考えられますが、この点どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/86
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087・中野正一
○中野政府委員 そういう点についても検討はいたしたのでありますが、先ほど来申し上げておりますように、事業税、所得税、法人税というような税金を納めておる者ということを健全経営の一つのメルクマールにしようということで結論を得ておりますので、住民税にまでこれを広げるということになりますと、相当これは別の観点からいろいろ検討を要する問題でございまして、通産省としてはそこまではいま考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/87
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088・中村重光
○中村(重)委員 法人税を対象にすると相当広がってくるとおっしゃるけれども、こういうゆるやかな基準にしてもやはり予算に縛られるのです。無制限に申し込みがあったからといって保証してもらえばけっこうなんだけれども、そうしないです。やはり保証協会の保証能力というものがある。それでしぼるのだから、税金は納めておるけれども、審査をきびしくして保証しないということ、予算面からやはり制約が出てくる。だから何もあなたがそう御心配になるようなことはないじゃないですか。だから、所得税を納めておらぬ、事業税を納めておらぬ、だからこの対象にしないというような、そういう冷酷なやり方を住民税を加えることによって解決することができる、コントロールできるのじゃありませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/88
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089・中野正一
○中野政府委員 これも非常にむずかしい御質問でございまして、できるだけやはり客観的な条件で対人信用力というものを保証協会に判定させる、そのかわり保証人をとらずに金を貸せ、こういう制度でございますから、ある程度そこに制限が置かれるのは、これは先生もお認めのごとく、三年以上というのは少しきついじゃないかということは、これを実施してみて改めるにやぶさかでないという大臣の御答弁があったとおりでございまして、予算のほうで縛られるからいいじゃないかというのは、われわれのほうの実施担当官庁からいいますと、これは非常に指導しにくいわけですね、保証協会に対して。保証協会の窓口でできるだけ客観的基準でやってもらう。したがってそういう証明書を持ってきた者に、担保も保証人も立てにくいのだという本人の申し出があれば、たとえばその金を一体どういうふうにお使いになるのですか、ほんとうに事業のためにお使いになるのですか、何かむだなことにお使いになるのじゃないでしょうということは、これは保証協会として当然審査すると思います。それから過去において保証協会に対して事故があったかどうか、こういう点は当然調べると思いますが、やはり簡単な審査でスムーズに保証し得るように、それにはやはり客観的な証明というもので金を貸すようにしたほうがいいのじゃないか、こういう趣旨から出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/89
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090・中村重光
○中村(重)委員 私は、予算に縛られるからいいじゃないかとは言わないのです。よくはないのです。できるだけ保証能力をつけろと私どもは強く言っておるのです。だからできるだけ予算をつけて、保証するようにしてもらわなければならぬ。その点はあなたと同じなんです。ですけれども、無制限じゃないですよ、あれは。どうしても保証能力というものが弱いのだから、強めろといったってなかなかそうはいかない。地方自治体のいまの財政窮迫の中において出捐金を期待してもなかなかできない。地方銀行に対して出捐金を期待するといっても、なかなかいかない。ところが、保険公庫だって今度六十億でしょう。保証能力は非常に薄いのです。だからこれをふやすといっても、そう大幅に期待することはできない。したがって、実際問題としては制約があるのです。だからコントロールするなといっても、現実はコントロールせざるを得ないのですよ。だから基準の問題をそうきびしくなさらないで、逆行するような方向をおとりにならないほうがいいのじゃないか、私はこう申し上げておるのです。私は自分の感じを率直に言いますが、昨日来いろいろ議論されまして、あなた方の答弁を伺ってみると、この小口保険共済制度に関しましても前向きのようではあるけれども、大村君が本会議でただしましたように、また今度の通産大臣の通産行政に対する所信を表明した中にもありましたが、転換の方向というものを相当零細企業の中には考えておる。やはり保険制度というものも非常に基準をきびしくされたということは、もう信用力の乏しいものは中小企業、零細企業から消えてなくなれ、こういうことをあなたのほうでは期待しておられるのではないかという感を強くするのです。私はこれはただ単に勘ぐっておるのではなくて、いわゆる転換促進というものをあなたのほうでお考えになっておるのではないか、そういうように思っておるわけです。その点違っておりますか。中小企業基本法の中にも、とにかくどうもはっきりしない。当時あなたは長官じゃありませんでしたが、私どもが指摘したのはそういうことである。産業構造の高度化と国際競争力の強化、こう言うが、それに伴って中堅規模の中小企業というものを育成するということがはっきり出ておるけれども、零細企業に対しては何もこれをどうしようという対策はないのじゃないかという点を指摘した。だから当然これは非常に多過ぎるのだから、過当競争の中において自立することができないのだから、やはりこれを転換させるというならはっきり転換させる態度を打ち出して、これに対する社会政策的な、あるいは労働政策的な点から一つのビジョンを与えていく、こういうことでなければならないのではないか、勇敢に取り組むべきであるということを指摘したが、今度は方針の中に転換ということを打ち出しておるわけです。だからある程度方向を明らかにされたということをうかがうことができるわけでありますが、こういう小口保険の制度にいたしましてもあるいは信用保険制度にいたしましても、そういうような一つの思想というものがここにあらわれておるのではなかろうかという感じを持つわけです。そういう点に対してのあなたの考え方を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/90
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091・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘ありましたように、中小企業対策というのはやはり二つに分けて、中堅企業の育成ということと零細企業、小規模企業の振興、この二つに分かれて対策を進めていかなければいかぬわけであります。どちらかというと、零細企業対策、小企模事業者対策等は非常におくれているじゃないか、こういうことが国会においても何回も御指摘になりまして、その意味において今度初めて零細業者に対する無担保、無保証制度の推進あるいは小規模共済制度の推進、確立というようなやや新しい政策を打ち出したわけでありまして、決してわれわれは小規模事業者を転換しなければいかぬ、そういうものはやっていけないから切り捨てるのだ、別の方法でこれは進んでいくのだというようなことは毛頭考えておりません。ただ事業の転換等については、これは当然経済の発展、経済の激動の中でそういう問題は従来からも起こってきておりましたし、今後もそういう問題は、どちらかというとそういう必要に迫られて成長業種、成長産業等のほうへ転換せざるを得ない、こういうことはあるかと思います。この点については基本法でも、御承知のように、第十五条におきまして、中小企業が需要構造等の変化に即応して行なう事業の転換を円滑にするための施策を講じなければならぬということをうたっておるわけでありまして、この基本法の線に沿ってわれわれとしては施策を進めていきたいと思います。ただ御指摘があったように、今度出しました零細企業対策、小規模事業対策がまだまだ行き届いてないのじゃないか、こういう不十分な点があるじゃないかということについては、これは私は今度出しておるものが満点で、非常に完璧なものであるということは考えておりません。なおなお、まだこれは制度的にも内容を充実して、そうして多くの中小企業者にこの制度の恩恵がいくように今後とも努力を続けてまいりたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/91
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092・中村重光
○中村(重)委員 従来の小口保険は、その他の保険と一緒に適用されたわけですね。今度の特殊保険制度というのは、その他の保険と同時に適用されない、こういうことになってまいります。従来の小口保険ができて、この特殊保険が制度の中では他の保険と同時に適用されない、こういうことは、どういうことでそうなさったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/92
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093・中野正一
○中野政府委員 この点は先ほど来御説明しておりますように、今度の特殊保険、特別小口保険制度の対象となるものは、担保もなくて、保証人も立てにくい、こういう特殊のものについて保険をして、しかもその保険のてん補率を八割に――普通は、第一種保険については、従来の小口保険も七割でございます。そこに私どもとして八割のてん補をしてあげようということでございますので、片方の第一種保険、従来の小口保険で十分やれるという方はそれでやっていただいてちっとも差しつかえないわけでございます。従来の制度を否定しておるわけではございませんで、遺憾のないように指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/93
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094・中村重光
○中村(重)委員 それは公式論とすれば、従来の小口保険でやっておった人はそれでやればいいじゃないかと言うが、従来の小口保険の対象になるような人が、実際問題としてはその特殊保険の対象者になるのですよ。しかもこの特殊保険は、いまあなたが御答弁のように、担保力もない、信用力もない、私どもが昨日来本日にかけてしつこいほど言っているほんとうに最下限の人を対象にお考えになったならば、あなたのそのおことばを率直に私は受け取るのです。ところが健全経営をやる、さらには相当な信用力もあるというようなものを対象にしておるのだから、そういう人は保証人を求めることも可能なんだから、この特殊保険の適用を受けておっても、第一種保険というようなものを適用してもらいたい。三十万円じゃどうしても足りないのだ、こういうような易行、第一種保険一本ということでなくて、この特殊保険を適用してもらっておる間に信用力もついてきた、もう少し金を借りたい、こういう場合に第一種保険、いわゆるその他の保険との同時適用ということを考えてやってもいいのではないか、従来の小口保険の方法と同じような扱いをして差しつかえないのではないか、こういう考え方から申し上げておるわけでございますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/94
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095・中野正一
○中野政府委員 従来の小口保険の適用を受けておった方の、そういう対象の中から今度の特別小口保険の適用を受ける者があるのではないかという御指摘は、そのとおりだと思います。しかし制度は、先ほど言ったように、趣旨が違うわけでありますから、ダブらせないでやってちっとも差しつかえないのではないか。信用力が相当ついてきて、いま御指摘のように、もう少し三十万円ではなくて百万円借りたいという方は、これは一種のほうの保険でやっていただけばいいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/95
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096・中村重光
○中村(重)委員 そうあなたが言うように簡単じゃないですよ。今度は第一種保険を適用する、たとえば五十万円借りる、ところがこの特殊保険に二十五万円残っておって、二十五万円払わなければいけない、だから実際問題としては二十五万円しか使えないのですよ。そうじゃないか。そうでなければけっこうです。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/96
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097・中野正一
○中野政府委員 いま御指摘の、最初三十万円特別小口保険の対象になる保証で借りておって、そして十万円返して二十万円残っておる、あと五十万円借りたい、そうすると三十万円を超過しますから、殊特別小口保険の対象となる保証じゃないわけです。それは当然できます。できるかわりに、従来の二十万円というものを含めて第一種保険の対象になる。そのときにどういう差が出てくるかというと、保証人を立てなければいかぬ、それから保険料が違う、保証料が違うかどうかということは、これは各地の実情によって違いますが、そういうことになるわけでございます。二十万円残っておるからあと五十万円借りられないということでは決してなくて、自動的にいままでの二十万円が第一種保険にかかったものとみなす、そういう形になるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/97
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098・中村重光
○中村(重)委員 いまのはよく理解できませんでしたから、あらためてまたお尋ねします。この特殊保険を適用して三十万円私が借りておったとしますね。ところが金がどうしてもほしくなった、借りなければならぬ、そこで第一種保険でもって二十万借りようとする場合、オーバーをするから、第一種保険には保証を出せばよろしいのですか。そうなってくると、同時に適用ということになるのですよ、一方は完済していないから。それならば同時適用になるのだからよろしいのだけれども、ところがそうではなくて、同時に適用されないということになってくると、これは払わなければいけない、特殊保険の対象として借りておる金を払わなければいけない、こういうことになるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/98
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099・中野正一
○中野政府委員 非常に専門的な事項でございますので、正確を期する意味において担当課長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/99
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100・中村俊夫
○中村説明員 先生のただいまのお尋ねの件でございますけれども、最初に三十万円特別小口保険の対象になる保証を受けて金を借りております。その後事業が順調にまいりまして、なお二十万円借りたい、こういう事態が起こってくることが間々あるかと思います。その場合には、この改正法律の第三条の二というのがございますが、その四項で、そういう場各にはかりに一月に三十万円特別小口保険を借りておって、四月に今度はさらに五十万円借りたい、合計五十万円借りたい、こういう事態が起こりました場合には、四月の時点で従来の特別小口保険を返済するのはたいへんでございますので。その時点で従来の三十万円も新しい二十万円と同じように合計九十万円がその時点から第一種保険に変更されるという規定がこの改正法案に入っております。したがいまして、そうなりますと、三月まで、四月に返しますものは、最初の三十万円は安い保険料でてん補率は、八〇で保険が行なわれておりますが、四月から今度は前の三十万円と新しい二十万円と合わせまして五十万円が一種としましてその時点から保険料が一種の保険料になる、てん補率も七〇になる。こういうような切りかえ措置を特別にこの改正法でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/100
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101・中村重光
○中村(重)委員 扱いとしてはわかります。扱いとしてはわかったんだけれども、そうすると第一種のほうで二十万か三十万ならば、あるいは四十万でもいいんですが、それまでなら貸すけれども、五十万は貸せないんだということになれば、今度は保証人が要るんだから五十万は第一種保険の適用を受けることができなくなるのじゃないですか。扱いはわかるんですよ。いままで特殊保険の場合はその利率が安いんだから無担保、無保証というような形になっているんです。一方今度は、二十万借りると五十万になるんだから、そうなってくると、総額の五十万に対して保証しなければいけないんです。保証人が要るわけです。そうでしょう。第一種保険が適用されるんだから、保証協会だって今度は五十万を貸したという形の扱いにせざるを得ない。てん補率も八〇じゃなくて七〇になってくるわけです。金融機関だって、今度自分のほうも三〇%は負担をするとういことになる、五十万の責任を負うんだから。扱いは説明でわかったけれども、実態は、これは適用されない、同じようなことになるですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/101
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102・中村俊夫
○中村説明員 先生の御質問の点、私が理解したかどうかあれでございますけれども、保証は保険公庫の、保証協会の保証でございますれば、一種保険は百万まで保証の限度がございます。さらにそれをこえます場合には二種の保険になります。先生のお尋ねが保証人の保証ということでございましたら、保証人の保証はあとの二十万円の保証でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/102
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103・中村重光
○中村(重)委員 そうなってくると、さきの三十万円を借りている金融機関というのが、たとえばAの銀行から掛りてきたとします。今度は第一種保険を適用して借りる場合はBの銀行から借りるということが起ってくる。必ずしも同じじゃないです。そうするといまあなたがお答えになったような、そう事務的な処理というように簡単にいかない。やはり形は五十万円借りた、そして一種保険を適用した、実際はこういう扱いになってくるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/103
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104・中野正一
○中野政府委員 いま法律改正で第三条の二に書いてあることは、先ほどの、うちの金融課長が説明いたしましたように、三十万円借りておって、さらに追加で二十万円借りる場合は、その五十万円全体について第一種保険とみなすということで、移り変わりをスムーズにやっておるわけでございます。いま先生の御質問の場合は、実際現実に保証人がどうなるかという問題でございまして、これは保証協会の問題でございますので、いまもう少し的確に実際の現実はどういうふうになるかということをよく調べまして、この次の機会に正確にお答えしたほうがいいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/104
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105・中村重光
○中村(重)委員 単にみなすということだけで片づかないのです。この一種保険というものは、すでに特殊保険とは利率も違ってくる。それから担保率も変わってくる。条件が変ってくるのだから、いまのお答えでは的確ではないと思います。しかし、いま長官のお答えでけっこうですから、あとで、この次の機会に的確にしていただきたいと思います。まだいろいろ金融問題についてお尋ねしたいのですが、予定がございますので、次の私の機会にいたします。次の質問を留保いたしまして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/105
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106・内田常雄
○内田委員長 吉田賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/106
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107・吉田賢一
○吉田(賢)委員 以下私は、二、三の点につきしまて伺いたいのは、兵庫県を中心としまして、輸出綿織物の典型的なものであるギンガム産業が非常な危機におちいっておりまするので、これをめぐって伺ってみたいのであります。御承知のとおりに兵庫県は輸出ギンガムの八割を生産いたしておるのでありまするが、全体が中小企業あるいは零細企業でございます。そこで最近の経済、社会の諸情報から深刻な人手不足におちいっておりますることと、企業の分散、ごく零細化しつつありますることと、こういった事情にありまするので、根本的にこれが対策を立てる必要があろう、こう考えるのであります。
そこで、まず第一点に伺いたいことは、中小企業庁長官に伺いたいのですが、あるいは繊維局長が適当かもわかりませんが、いずれなりともけっこうでございます。これらの企業者の近代化の基本計画というものが、かなり広範な内容にわたって立てられておるやに聞くのでありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/107
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108・新井眞一
○新井政府委員 お話しのございましたギンガムにつきましては、これまた先生の御指摘のように、兵庫県の播州地区に集中をいたしております。ほとんどが対米の輸出品でございます。非常に重要な産業というふうに私どもも綿織物の中では考えておるわけであります。したがいまして、今般、近代化基本計画というものを策定いたしまして、これは全部綿織物と一般になっておりますけれども、綿織物と申しましても非常に広うございますので、特にギンガムあるいは別珍、コールテンというふうにそれぞれの業態に応じまして、四十三年に向かって近代化の促進をやってまいりたいということでやっておるわけであります。基本計画ができまして、本日、実は午後最終的な審議会の御確認をいただくという情勢にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/108
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109・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これは大事な根本的な点でありまするので、概要でよろしゅうございますから、たとえば生産費の引き下げの問題もあろうと思いますし、中心である設備近代化の方策もあろうと思う。あるいはこれをめぐりまして経営の合理化もありましょうし、また品質につきましても相当問題があろうと思います。特に重要なのは適正生産費、こういったものにつきましても、いずれもが近代化の基本計画ないしはいわゆる機屋の体質改善の根本の問題のみでございますので、概要でよろしゅうございますから、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/109
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110・新井眞一
○新井政府委員 綿織物の基本計画の概要でございますが、御質問にございましたように、特に賃金の上昇というものが、かなり御承知のように大幅になっております。これは全般の需給情勢からそうなっておるのでございますが、そういうものをやはり生産性を上げるということによって吸収しようという考え方でございますので、したがって適正な規模に持ってまいりますとか、あるいは特に設備が老朽化をいたしておりますものを、少なくとも老朽化設備を近代化していくということでございまして、綿織物全般といたしまして。現在基本計画では四十三年に向かいまして約五百二億の資金が要る。いま問題になっておりますギンガムがどのくらいかという点はさらに今後こまかく細分をしてまいりたいと思いますが、さような考えでやっておるわけでございます。そういったいわば設備的な近代化の裏に、やはり最も重要でございますのは全体としての構造改善、これは現実に即しましてかなりまだ時間をかけていかなければならぬかとも思いますけれども、個々の設備の近代化のほかにギンガムの全体の姿としてどうするか、集団化とかあるいは業務提携とかいろいろあると思いますが、この問題は安定法ともからんでおりますので慎重にやってまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/110
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111・吉田賢一
○吉田(賢)委員 四十三年を目途にかなり具体的な計画がある様子であります。そこでさしあたり本年具体的な危機対策というものを、やはりこの辺は相当積極的かつ的確に対策を立てませんと、せっかく数年後の、そういう大きな計画にもまた根底がくずれてしまうおそれがあると思うのであります。ところでこのギンガムの実態は、すでに繊維局におきましては十分につかんでおられるのでありますけれども、しかし現状は、たとえば四六の産地における工賃を政府の資料並びに私どもが実地の調査によってみましても、大体ヤール二十六円のようでございます。これはモデル的な工場、たとえば四七の広幅ギンガムの織機二十四台という程度の工場について大体採算を検討してみますると、最近、人件費が約六割近くかかりますので、これは完全に赤字でございます。したがいまして業者の所得は計算に入らぬというふうな数字すら考えられるのであります。こういうのでありまするので、最近の兵庫県特に播州地帯におきましては、実は一台ないし十台、こういった農家、半農半工場ですか、夫婦で労働基準法の適用を受けないで、二十四時間家族ぐるみの労働を行なって、そして主人と主婦が汗みどろになりましてやる。これは十台ということになりますと大体諸経費差し引きまして十万円そこそこが残るようであります。この点は兵庫県の県庁が本年二月一日付で、大学の教授なんかの動員もいたしまして、かなり厳密な実地の企業診断を遂げました結論も大体そうなっております。機業者の経験に徴してみましても大体そうなんでありますが、ところが十台をこえて三十台を分岐点といたしまして三十台前後になりますと、いわばめちゃくちゃの企業状態でございます。三十台あと先というのがまた最も多いのでありまして、二万余りの織機、千五十五の機屋のうちで三十台前後のものは、これはもう大工場における労働者の賃金並み、これが機業者の所得なり、こういう判定でございます。そのとおりなんです。そういたしますと、機業者としてのいろいろな計画、心配、投資、それからいろいろな交際等かなぐり捨てて大企業の労働者並みの所得というのでは、何といっても捨てておきがたい状況であります。だんだん上に上がっていきまして百台あと先になりますと、三十台をこえて上に上がりますと、利益よりも赤字になる工場のほうが多くなってくる。そこで三十台前後が一斉に一台、二台ないし十台へ分散していく、こういう状態なのであります。これが全国の対米綿輸出のギンガムの産地の八割までの実態なんです。そこで昨年は私どもも福田大臣にもいろいろ申しまして、二億円余りの融資が企業庁のお世話でせられたようでありまして、これも相当効果はあったようですけれども、しかしなかなかこのような実態に余るその底をなす長い間の損失の蓄積というものは、これはどうにもならぬ状態になっておる。とすると、根本的にどうすればいいのか、そこへ逢着いたしております。どうしたらいいのかということを、これは通産省を代表してこの点大臣にも伺ってみたかったのでありますけれども、あなたのお立場でまずどうしたらいいのか、三年後のそれもけっこうでございますけれども、きょうどうすればいいのかということの第一案をまず出してみていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/111
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112・新井眞一
○新井政府委員 吉田先生から非常に実情を御理解いただいたお話を承ったわけでございますが、確かに零細な十台以下のほうがいろいろな点で弾力性がございますので、そういう情勢であって、むしろ三十台以上が非常に困っておるということだと思います。ちょうど四月-六月と申しますのは、これまた先生十分御承知だと思いますが、対米輸出のシーズンオフになりますので、毎年このときがちょっと悪いという情勢でございます。そういう面からいいまして、生産の設備問題もそうでございますけれども、むしろ私ども率直なことを申しますと、受注の方式と申しますか、これがほとんどが賃織りでありまして、商社あるいは紡績による賃織りでございますので、そういった面の下請契約の合理的なあり方、あるいはそれをいたしますためには、播州といたしましてもばらばらではなくして、これは商社がどこで紡績がどこだということで、ある程度違った面はあろうかと思いますけれども、むずかしいことかと思いますが、抜けがけのないように、そういった下請関係契約としての合理的なあり方というところにむしろ重点を置いて、たとえば共同受注方式、これは非常にむずかしい問題でございまして、一部、これも御承知かと思いますが、播州におきまして試験的にひとつでき上がっておるのも聞いておりますけれども、そういうふうなことで、やはり共同受注の形というようなことが一番重要じゃないかと思うわけであります。むしろそんなに安く受けなくてもいいのを安く受けているという点にあるわけでございます。なお、アメリカにおきます製品の価格等も詳細、確実にはわかりませんけれども、かなり安くなっておりますので、むしろそういった賃織りあたりの関係の合理化というところを、私どもも一緒になって努力いたしてみたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/112
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113・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これはひとつ局長、あなたは一度最近現地に行かれまして、そしてあの三台とか、十台とか、だんだんとごく零細化しつつある実態を把握せられることが、日本の繊維業ないしは綿織業の中小企業対策を今後お立てになり推進する上におきまして非常に参考になると私は思うのです。おりから、あの辺に高野どうふの特産地がございまして、谷間ですが、八千代町と申しておりますが、それが一斉にこれまた四台とか八台の機屋にかわっていきます。四台、八台の機屋さんがギンガムで、準備工程は他にまかす、ただ若干の経験があればできるのでありますから、まあいわば未開地におきましてもできる産業ですから、どこでもやれるというので、これはやはり中小企業対策といたしましては全く典型的な一つのモデルでありますので、転落というか、前向きじゃなし、全くうしろ向きです。近代の中小企業でうしろ向きがかく整然と零細化しつつあるということは、まさに前時代的な現象です。こんなものをほっておく手はございません。こんなものをほっておきましたら、日本に中小企業対策というものは政治的に、行政的にないと私は断定せざるを得ません。こういう意味におきまして、ぜひ現地を一ぺん御視察を願いたい。
それからいまの共同受注の問題ですが、やはりこの問題は私自身も実はしろうとなんでして、機屋でもなければ、多くの知り合いがあるという程度でございますけれども、一つの問題は、やはり資金問題であろうと思うのです。体質改善と申しましても、いまのあれでは体質改善できません。たとえば資金の面について見ましても、いま西脇地区と申しますか、播州地区におきましては、高利貸しがはんらんしております。三月末の期日の手形二億四千万、これはあの地方の一流商社の手形で二十銭、二流になりますと三十銭もあります。日歩三十銭という、そんなべらぼうなものが二億円以上三月末に期日が来ておる。おそらく推定五億あると言われております。これは驚くべきことでございまして、こういうさなかで資金的に近代化するという手は打てますまいと思うのであります。この点はやはり金融対策といたしまして、商工組合中央金庫の阿部理事さんも見えておりますが、昨年あなたのほうでいろいろお世話になったようでありますが、これはやはりぜひ直ちに相当な額をもってこれに対処していただきたいのであります。このような高利がはんらんいたしていきますということは、これは連鎖拡大していきます。利息が利息を生んでいくのでありまするから、これはたいへんな状態です。全部利息が企業を食いつぶしてしまうだろう。でありますから、中小企業庁との連絡を、こちらもしたいと思いまするけれども、またきょうは長官も見えておりまするから、ともにひとつしっかりとした御意見をいただきたいと思います。公庫といたしまして、これに対してひとつ相当な覚悟で臨んでもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/113
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114・新井眞一
○新井政府委員 一度播州のほうに出てこいというお話でございますが、近代化計画もございまするし、御趣旨に沿いましてしかるべき機会にぜひ参りまして勉強したいと思います。
なお、金融問題でございますが、この点は昨年度、これまた先生の非常な御尽力によりまして、公庫と中金のほうからそれぞれ合わせて二億一千万の金融措置をいただいたわけでございます。ちょうど昨年度はアメリカのほうでも、これもまあ御承知かとも思いますけれども、綿花単一価格制という問題がございまして、日本から買いつけたらいいだろうかどうだろうかという気迷いがあったからああいう問題が起こったわけでございまして、今後かなり順当にいくかと思いますが、いまのお示しの金融問題等も関係のほうとよく打ち合わせをしてやってまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/114
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115・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ちょっと阿部さんにいまの点につきまして御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/115
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116・阿部久一
○阿部参考人 ただいま繊維局長からお話がありましたように、昨年商工中金といたしましては、中小企業金融公庫と協力いたしまして、期間三年ものであったと思いますが、安定資金を出したのでございます。その後の状況につきまして私が伺っております範囲では、昨年の春ごろに比べますと状況も改善されているようでございますが、なお問題も多々あるようでございますので、先生のただいまの御指摘の件は特に重要とも思いますし、関係金融機関、また中小企業庁、繊維局の御指導をいただきまして善処してまいりたい、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/116
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117・吉田賢一
○吉田(賢)委員 この問題につきまして、中小企業金融公庫の金融措置、これも非常に期待をしておる政府機関でございまするので、そのほうからもしかるべき御意見を拝聴しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/117
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118・舟山正吉
○舟山説明員 ただいま商工中金のほうからもお話ございましたが、私のほうといたしましても播州織物の重要性は、いろいろな意味で、あるいは中小企業対策として、あるいは輸出産業として重要性を認めておりまして、私のほうの神戸支店の管轄に属しますけれども、絶えず関心を払っておる次第でございます。いまお話のありましたように、昨年は商工中金と協力して企業安定資金を一億ずつ合計二億出しまして、実は私は業者のほうからは喜んでいただいておるというふうに伺っております。またそのほかに、輸出促進のための別ワク融資やあるいは輸出製造品のための融資も相当出ております。最近は支店のほうにこの六月ごろですか、さらに企業安定資金の相当額の借り入れをしたいというお話もございましたことを了承しておるのでありますが、御趣旨に従いまして十分に御協力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/118
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119・吉田賢一
○吉田(賢)委員 企業庁の長官に伺います。さっきの共同受注の問題に関連いたしますが、業者並びに地域における代表者ではありませんけれども、青年、中堅、そういった人々十数名のいろいろな意見を聞いてみたのですが、一つは、こういう点も非常に将来性があるように言うのです。つまり、地域別における協業化です。したがいましてこれは工業団地の計画もその一部かと存じまするけれども、工業団地でなくても、たとえば協同組合方式でも、幾つかが組みまして、そしてそれなりに地域で協業をしていくあるいはまた場合によりましては株式会社組織にしていく、こういうふうな方法によりまして――共同受注と申しましてもやはりそれ自身に力と信用力と機動性がなければできませんので、いまのそれではとてもいくまい、だから、一つの方法として、地域別における協業化方式をこの際大胆に計画してはどうだろうか、こういうふうに言う者があるのでありますが、この点につきまして、中小企業庁としてはどういうふうにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/119
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120・中野正一
○中野政府委員 いま先生から御指摘のありました問題は、確かにわが国の中小企業のこれからのあり方、行き方として非常に大きな問題を示唆しておるのじゃないかと思います。従来の形のままで、はたしてやっていけるかどうか。特に先ほども御指摘がありましたように、賃金がだんだん上昇をする。工賃も、私の聞いておるところでは、昨年からことしにかけてはある程度上がってきておるようでございますが、それでもなかなか追いつかない。そのために、かえってまとまった企業体では経営が苦しくて、これを零細化することによって、悪い意味の弾力性を持つというような形にいっているのじゃないか、私は先生のお話を拝聴しながらそう思ったのであります。これは一つは、やはり繊維局長も先ほど言っておられましたが、織物の全体の近代化計画の推進ということをはかりながら、産地産業としてどうしたらいいかということを真剣に考えて対策を立てるべきじゃないか。その方法として地域別の協業化なり共同化というようなことも一つの案ではないか。共同受注というようなことも一つの方法かと思いますが、そういうことをやるにしましても、その受け入れ体制がしっかりしておらなければそれはうまくいかないわけであります。これは中小企業庁としても、そういう根本的な体質改善、またそれに伴う金融対策、あわせてひとつ今後研究してまいりたい。特に、これはいま思いつきでございますが、産地診断をいままでどの程度やられたか。私も調べてみますが、名権威者でもって組織した産地診断というものを相当積極的にやる必要があるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/120
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121・吉田賢一
○吉田(賢)委員 最後にお述べになりました産地診断は、さきに申しましたように本年二月一日で中間報告をいたしております。これはかなりこまかいところまで述べてあります。勧告もしてあります。回答も出ております。また問題も提起してございます。したがいまして、これは最近における好個な生きた資料であると私は考えますので、いずれあなたのほうにも申し出ると思いますけれども、しかるべく御配慮の対象にしていただきたい。
そこでもう一つは、企業が幾つか寄りまして地域における協業化をするにしましても、現在ある協同組合がこの地域におきまして四つあります。五つありますが。一つは閉鎖状態であります。四つありますが、これが統一してはどうかという意見もあるのです。しかし統一も大事であろうけれども、この協同組合自体の強化対策というものが突破の重要な柱になるのではないだろうか。たとえば、農業における昔の産業組合運動からいまの農業協同組合、あるいは漁業における同種のもの、こういうようなものと比べてみましても、資本的にも、あらゆる意味におきまして、経済的にずっと恵まれておりますので、いまの協同組合というものをぐっと強化するという手はあるべきではないだろうか。この点が私は大きな柱である。私自身もさように思いまするし、また業界の人々が真剣にそういうことをこいねがっております。いまの協同組合を否定するのじゃありませんけれども、協同組合自身の、いわば強化対策といいますか、それ自身の構造の改善といいますか、これが大事ではないであろうか。といいますのは、たとえばこの点につきましては――きょうは国税庁次長さん見えておりますね。たとえば協同組合法によりましていろんな事業をやっておりますが、このやりましたものにつきましても、中小企業等協同組合法の九条でございましたか、参加事業の配分の残額には税を免除するとかいう規定があったように私は記憶しておるのですが、税の面におきましても大胆に保護をいたしまして、そして協同事業をやりまして、それで利潤を上げまして、そうしてそこに資金量を相当に保有するという状態にまで持っていく。そういたしますると、これはしろうとの一つの思いつきかもわかりませんけれども、たとえばアメリカにおきまして、いまアメリカのギンガムの生産原価は幾らであるということはなかなかつかみにくい。商社はどのくらいの価格で売っておるんだろうということになると、それぞれ過当競争が行なわれておるという中におきまして、やはり産地から協同組合がアメリカならアメリカへ行って、そして現地におきまして見本市でも開くというくらいにまで進出をしまして、あるいは現地に販売機関を設置するとかというようなところまで、協同組合が広く生産から販売ないしは豊富な資金量を持って活動する、そういうふうに協同組合が活動の場を発展せしむるというために強化する必要がある。強化対策として資金を持つ必要がある。資金を持つためには、幸いに事業をやっておりまするから、事業利益を国に吸い上げることをしないで、一切内部で留保せしめる、こういうことはできないものであろうか、こう思うのでありまするが、国税庁のお立場としてこの点についてはどういうふうにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/121
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122・喜田村健三
○喜田村説明員 協同組合の課税につきましては、現行法の規定によりまして、先ほどちょっとおっしゃいましたように、利用分量に応じて組合員に分配したという場合には協同組合のほうの損金になるという規定はございますが、協同組合に留保されていたという場合、それをいまのお話しのようないろいろの事業に使うということでございますが、事業に使って、協同組合の損金になるというような場合にはもちろん損金として落とせますが、留保されていろいろ蓄積されているといったような場合には、留保金が若干現在軽減される取り扱いになっております。またそのほかに、課税そのものは若干一般の法人よりも安くなっております。そうした税法上の若干の特典を利用していただいて、その留保資金を蓄積していただいていろいろの事業に使っていただく。こういうふうな現在の規定を活用していただくよりほかに道はないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/122
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123・吉田賢一
○吉田(賢)委員 やはり現状は、それぞれの参加業者が手元が苦しい、資金がないために若干でも配分を欲するらしいですね。そういったことから内部留保を牽制しているということが実情であります。
もう一つは、資金的には胴体であります。したがいまして、いま申し上げましたような、そういう一つの計画すら実現できないような状態でありまするので、いまの法律におきまして何か御指摘になりましたような面の活用以外に手がないとすると、これは立法化でもしまして、昨年でありましたか廃止になったようでありまするが、何か租税特別措置法とでもいうようなものが立法化せられて、そうして新たに資金が相当豊富に持ち得るような手を、そういう方面でなし得るような方法はないものでしょうかね。それならそれで立法に進めてまいりましょうが、それ以外にさらに検討してみるというような面でもないものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/123
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124・喜田村健三
○喜田村説明員 現在協同組合の留保金の所得の非課税の規定がございまして、出資金額の四分の一に相当する金額に達するまでは留保した金額の二分の一は非課税であるという規定がございます。その出資金額の四分の一までは非課税で留保ができる、こういう規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/124
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125・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ありがとうございました。その点はわれわれも研究いたしまして、その業界の人にも進言してやりたいと思います。やはり、協同組合を強化するということとともに、あわせまして各個人個人の体質の改善と、そうして改善し得る資金を持ち得ること、これはさっきの金融機関として御協力をいただくということが一つの方法でありますが、こういう点はいかがなものでございましょう。最近のアメリカで一体どういう階層がこれを使っているのかと聞いてみると、低所得者である。あるいは黒人である。いわば最大の生産量の、最低といいまするか、最も質の低い、社会的に低位性の繊維である。こういうふうに言われるのでありまするが、私は、一つは品質の高度化というものを企画して、そういう方面における開発というものが大胆に推進され、あるいはまた保護されるということを行政指導としておやりになることはいかがなものであろうか。たとえば発明といいまするか、あるいはそういったことに対しまして特典を与えるというようなこと、あるいは一面におきまして、そういうことを通じまして、それをもって世界的に新しい市場開拓をするという手はないものであろうか。こういうようなときには、市場開拓をするときには、金融機関といたしましては輸銀がありまするが、この点、先般も輸銀の方と少し問答をしたのでありますが、どうも私は、やはり現在のプラント輸出なんかの輸銀の活動はかなり積極的ですけれども、やはり繊維類の輸出につきまして輸銀の援助というものが相当あってしかるべきでないだろうかというふうに思うのが一つと、第三点は、内地市場を再認識するということが一つ重大な問題でないだろうか。やはり高度成長経済の現下におきましては、賃金所得もかなり大幅に上昇しておることは公知の事実でありまするので、したがいまして、嗜好あるいは実用の繊維というものがかなり高級品に移行しつつありまするので、内地需要というものについても積極大胆に一つの計画性を持って生産に対処する。そういたしましたならば、ただ需注の後に生産するというような受け身だけではなしに、積極性を持って企業を推進するということになるのではないだろうか。この三点につきましては、どういうふうにお考えになりましょうか。繊維局、並びにこの点は中小企業庁も関連するかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/125
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126・新井眞一
○新井政府委員 協同組合の強化に関しますお話しでございますが、私も同感でございまして、協同組合をやはり現実に即しながら強化してまいりたい、こう考えております。ただ、お話の中にございましたように、あるいはアメリカ市場に行って市場開拓をいたしますとか、あるいは現地にそういった展示場でも持ったらどうだというようなお話でございましょうが、これは先生よく御承知かと思いますけれども、現在繊維品の輸出と申します際に一番問題になりますのは、やはり海外からの輸入制限でございまして、値段の点、それから品質の点等におきましても、むしろ向こうのほうはほしいんだという形に相なっておるわけでございますけれども、遺憾ながらワクがあるわけですね。それで頭打ちであるというような、きわめて残念な情勢でございます。特にアメリカ向けのギンガムにいたしましても、ほとんど綿製品協定でワクがございますが、このワク一ぱいまではいっておるという情勢でございますので、したがいまして、かなり情勢の変化がございません限り、さような問題もここでやるということについては、ただいま問題があるわけでございます。なお、アフリカ方面におきましても、今後いろいろ開拓問題をやっていかなければならないところもございますが、これまた向こうの外貨の情勢ということから、一次産品の買い付けの条件という問題もありますが、ほかの機械とかそういうものと違いまして、やや繊維のほうはそういった点については、十分とは申しませんが、かなりできておる。むしろ問題はそれ以外の点にあるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/126
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127・吉田賢一
○吉田(賢)委員 昨年でしたか、クーリー法というものが制定されましたことから、一つは競争が非常に激甚化しておるということも若干存じておりますけれども、ただ、私が思いまするのに、日本の輸出貿易の対策の根本といたしまして、やはり政府はもっと積極的に業界と一本になっていくという体制が日本の場合望ましいのであります。これは、私自身しろうとですけれども、先年アメリカで、ニューヨークでドイツの総領事館に行きまして、総領事が前線の商社と一緒になりまして猛烈に輸出活動をやっているということを見たり聞いたりしまして、実は全く敬服したのであります。この点は通産省からも、外務省を通じて出先公館に出向せられており、あるいは各省からも出向せられておりまするが、やはり輸出貿易の大きなシステムといたしまして、高級品に転換する必要があるならする。やがて未開発国がどんどんと追っかけてまいりましょうし、したがってギンガムにいたしましても、いまのような、しろうとができるものではなしに、すばらしい高度のものができる、こういうことになりまして、きょうは私も見本をこんなにたくさん持っておったのでありまするが、持ってきませんでしたけれども、ほんとうにいいものをつくりましたならば、これはアメリカにおいて市場を開拓する、ないしアフリカにおいて市場を開拓するということも夢ではないだろうと思っております。こういう点につきまして、通産省といたしまして、これもしろうとが言うてまことに失礼ですけれども、やはり綿製品といって、あながち下級な需要品というふうに限らないで、高度な高級品ができるというふうにだんだんと持っていきまするならば、そのような制限もさることながら、別の意味における開拓の余地があるだろうと私は思いますが、次官、この点は省といたしましても相当検討するべき分野であろうと私は考えるのですが、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/127
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128・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいまお述べになりました御意見は、通産省としてもほんとうに双手をあげて賛成申し上げる次第でございます。もう先ほどからもお話がございましたように、外務省出先機関に通産省からも人を出しておりますし、御承知のように、ジェトロのような機構もつくって全面的に努力しておりますので、いままで以上に大いに努力いたしまして、市場の開拓等につきましては万全を期したいというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/128
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129・吉田賢一
○吉田(賢)委員 もう一点で終わりますから、簡単にいたします。御承知と思いますけれども、兵庫県における綿織物の厚地におきまして機屋があり、それからいわゆる産元商社があり、それから染色工場があり、それからこのごろ準備工程がだんだんと独立して企業化しつつあります。それ自身もまた任意組合をつくりつつあります。こういうふうに思うのでありますが、このうちで最も有力な活動をしておりますのはいわゆる産元商社であります。産元商社は大体におきまして十大紡を背景にしておりますので、なかなかこの力というものは抜くべからざるものを持っておりますから、したがいまして業界における発言権も大きなものでありますし、協同組合も左右し得るようなものでありますが、この産元のシステムを再検討するということが、これも非常に重要なことであるのではないだろうか。たとえば適正工賃をいかにして決定するかということになりましたならば、機屋さんが千軒ある、産元のそれがその二十分の一である。この場合に、千軒が二十分の一に圧倒されてしまう、こういうようなことでは、中小企業の育成ないしはこの難局を切り抜ける上におきまして非常に欠くるところがあると思うのですが、どうですか。これらの点につきまして、いわゆる産元システムの再検討をするということは必要ではないかと思いまするが、その点はいかがにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/129
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130・新井眞一
○新井政府委員 産元問屋の問題でございますが、御指摘のように、やはり播州のようなああいう固まったところでのいろいろの中小企業政策の面から申しますると、産元問屋の役割りというものは非常に大きいと考えております。と申しますのは、やはり地場でございますので、ほかの大きな商社とは違ったきめのこまかい配慮もございますし、あるいは非常に血の通ったような取引ができますので、私どもは、産元問屋は、筋の通った姿におきましてできるだけ指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。おそらくだんだんと問屋的な機能も減ってまいりますので、その間が問題だと思いますが、具体的な方法を私ども勉強をしてまいりたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/130
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131・吉田賢一
○吉田(賢)委員 この労働力の不足は実に深刻でございまして、特にいま申しましたような劣弱な、後進的な立場にある機屋の労働というものは、極端に言うならば、すぐれた優秀な若年の者が来ない、商等学校なんか出た者は、この畑では育成される余地絶対なしという現状でございます。したがいまして地元における中卒の若年も地元の機屋には行かない、こういう現状でございますので、このギンガム生産と労働力の関係というものは、実に日本の労働政策の面から見まして重要な関係にあるのでございまして、大企業ならばじっとほっておいても若年の優秀なる労働者が集まってくる。今日におきましては、この地域における十五歳ないし二十歳の女性がだんだん減ってまいりました。二十歳以上の主婦がだんだんふえてまいります。五十歳の労働者も相当ふえてまいりました。いわば中年労働者というよりも、次第に高年化しつつあるというような現象は、これまた憂うべきことでございますので、これにつきましても抜本的にやはり従業員を補充し、したがいましてこれは若い者に魅力のある環境をつくらなければいけませんし、またしかるべく工賃等の待遇におきましても十分にせねばなりませんが、いずれにいたしましても労働省といたしまして行政上非常に重要な対象であると思いますので、その点についてのお考えを聞かしていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/131
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132・佐柳武
○佐柳説明員 ただいまのガンガム地域におきます労働力確保の点についてお答え申しますが、御承知のように最近の労働事場は中学卒業等の年少若年労働力が急激に減少いたしておりまして、産業全般におきまする若年者不足の現象は全国的にあるわけでございます。その影響は、もちろん西脇地区におきましてもあらわれておるところでございます。それで西脇地区について見ますると、三十九年三月の学卒につきましては八千百人ぐらいの求人があったわけでございます。ことしの春の中学校卒業につきましては六千六百人ぐらいの求人となっておりますが、ことしの春の求人の中で従来と変わってまいりましたのは、高等学校卒業者の求人が増加しておる点でございます。この点は御承知のように昨年以来、高等学校卒業生で雇用労働者になる者の数は急激に増加してまいったわけでございまして、したがいまして産業界における若年労働者の中におきまして、中学校卒業者よりも高等学校卒業者のほうが雇用労働者になる数も絶対数も多いという面から、この面の求人も多くなるでございましょうし、これら学卒者の雇用労働者になります傾向は増加し、これらがある程度中学校卒業者の不足分を補う、あるいはとってかわる、そういう労働市場の傾向にもあるわけでございます。労働省といたしまして特に西脇地域においてとってまいりました施策といたしましては、安定所管内事業所に対しまする雇用促進融資の面につきまして申しますならば、昭和三十八年度におきまして千七百万程度の雇用促進融資が、三十九年度におきましては四千六百六十万、約三倍近い雇用融資の拡大をいたしておりますし、また、その労務充足の確保のために、管下の安定所の職員が、西脇地区の求職者開拓に四国あるいは九州へ出かけまして、西脇地区の産業事情を説明の上、求職者に対する情報の提供もいたしております。
また県自体といたしまして、物産加工協会と県の商工労働部とがタイアップして、県の立場からの、その主要給源地であります九州地区に対しますPRを行なう。さらには供出地の九州、四国の各県から出てきておりますところの駐在員、これは県の職員でありますが、そういうような県の職員を西脇地区に集めまして、その駐在職員に対して産業事情を説明させて、それを県下の子供たちにPRさせる。そのほかカウンセラーを設置して、定着の指導をやらせる。こういう面につきましても積極的な努力をしておるわけでございます。さらに移転就職者のための宿舎でございますが、これも昨年八棟二百四十戸を建設いたしまして、他地域から就職します者のための収容に備えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/132
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133・吉田賢一
○吉田(賢)委員 いまの御説明、ありがとうございました。しかし、人数の問題もさることですけれども、労働力の質が変化しつつあることは私が御指摘申し上げたとおりでございまして、したがいまして、十五歳ないし十九歳の少女は最近年間二千人減っております。三億ヤードの生産には女性が一万五千人も必要としております。したがいまして五年後には、いまの状態を継続していきましたら、生産は二分の一になるだろうという憂慮すべき実情にあります。したがって、あそこには染工傷あり、あるいはその他の産元あり、その他一部の優秀な工場もありますが、大部分はいま私が御説明申したように、よい労働力は漸減の傾向にあることは事実でありますので、なおそれらの点につきまして、あるいはひとつ十分に実態をお調べいただきまして、御説明になりましたようなことの推進を御希望申し上げておきたいと思います。
次に、ちょっと、簡単でよろしゅうございますので御答弁願っておきたいのですが、染工場の役割りは非常に大きいのでありますが、最近加古川に排水する汚水の問題が重大化してまいったのであります。これはたいへんなことでございまして、そのために、あの地区は工業整備特別地域になろうとしておりますが、これがもつれまして今後問題になりますので、この公害対策につきまして、特にいわゆる染色工場から排水します汚水対策、これは非常に重要でありますので、ごく簡単でよろしゅうございますから御説明いただいて、これをもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/133
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134・平松守彦
○平松説明員 西脇にあります染色工場の排水が、その下流の上水道に影響を与えていろいろ問題を生じておるわけでございますが、この中小企業一軒一軒に処理池を設け、除害施設を設けますことは、場所もございませんし、生産に直結しておりませんので、資金的にも非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、現在、県当局及び通産局と関係企業の方と御相談しておりますが、行く行くは上流のほうに団地化をいたしまして、その団地で共同処理施設をつくって共同処理をやってまいろう、こういった方向で検討をいま続けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/134
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135・内田常雄
○内田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる四月二日金曜日午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後二時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X02219650331/135
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