1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十二日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
遠藤 三郎君 小笠 公韶君
海部 俊樹君 黒金 泰美君
中村 幸八君 古川 丈吉君
三原 朝雄君 早稻田柳右エ門君
大村 邦夫君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
田中 武夫君 山下 榮二君
出席政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局長) 竹中喜滿太君
検 事
(民事局長) 新谷 正夫君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(大臣官房長) 熊谷 典文君
中小企業庁次長 影山 衛司君
委員外の出席者
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局取引部
下請課長) 辻 吉彦君
専 門 員 渡邊 一俊君
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本日の会議に付した案件
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二七号)
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(板川正吾君外十四名提出、衆法第三二
号)
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(麻生良方君外一名提出、衆法第三号)
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案及び板川正吾君外十四名提出の下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案並びに麻生良方君外一名提出の下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、以上三案を議題とし、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/1
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002・田中武夫
○田中(武)委員 下請代金支払遅延防止法の改正法案につきまして、昨日に引き続いて質問を続けたいと思います。
そこで、きのうの質問のときに、親企業の定義はこの程度で、現行法の程度でいいのか、こういうことの私の質問に対して渡邊公取委員長は、「われわれは、現在の執行の能力とかいうものとも考え合わせますと、やはりこういったような程度のところで一応の線を引いて、そしてまずその実効を期するということがわれわれのなすべきことじゃないか、かように考えております。」こういう答弁をしておるのです。このことは考えようによっては、公正取引委員会の能力、これは構成の人員、予算等にも関係あると思いますが、この能力によりて法律の規定をきめていくのだ、こういうように考えられぬこともないわけなんです。もしそうだとするならば、法律をつくるということ、改正するということはお役所の御都合のためにあるということになり、さらにいうならば国会の立法に対する権能に対して何らか制約を加えたとまで言わないにしても、そういう感じを受けるのです。きのうの答弁について、公正取引委員長もう一度、そのままであるのかどうか、私の質問しているのは現行法どおりで親企業の定義はいいのか、こういうことなんです。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/2
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003・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 多少ことばが足りなかった点があるのを遺憾に思います。現在公正取引委員会がやっております仕事が、限られた陣容のためにどうも思うように行かない点もあることは、それはあると思いますが、もちろん私の気持ちとしまして、国会の立法関係をそれによって制約しようという気持ちは毛頭ありません。国会において、親企業の定義というものについてしかるべくこれを直す必要があるとお認めになり、同時に御修正になれば、その法律の執行は当然われわれの仕事でありますから、これを実行してまいりますし、また必要な予算関係の問題につきましては、別途政府部内において大いに努力するという気持ちは持っております。その点につきまして、昨日の答弁に至らない点がありましたことを、この機会に遺憾の意を表しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 総務長官、お聞きのとおりでありまして、きのうからこれは続いておるのですが、親企業の現在の定義では不足であるとわれわれは考えておるわけです。だからその範囲をふやす必要があるんじゃないかということに対して、いま若干の訂正をした発言がありましたが、ざっくばらんにいえば、現在の規定ですら、いまの公取委員会の機能からいえばもう精一ぱいなんだ、こういうことを公取委員長は言っているわけなんです。精一ぱいどころではない、現在の法律ですら完全に執行できていないわけなんです。ということは、公正取引委員会の中に、これは公正取引委員会それ自体の姿勢の問題もあるのですが、やはり手不足というか、予算、人員の点に欠ける点がある、したがってそれを逆にいうならば、その範囲において法をつくるんだ、こういうことなんです。これであってはいけないと思うのです。したがって、国会においていかなる改正がなされようとも、それに即応しただけの人員の保持、予算等について考えてもらわなければならないと思うのですが、これはここの出席者では総務長官だと思うので、その点についてはっきりとひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/4
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005・臼井莊一
○臼井政府委員 わが国の経済が基調となしている自由主義経済の原則から申しましても、公正な競争、これを保持することが必要であるわけであります。もちろん自由放任の自由というものはほんとうの自由ということではございませんけれども、おのずから公正なる競争とともに公正なる秩序を保持する、そういう意味におきまして、公正取引委員会の使命というものも非常に重要でございます。ことにこの数年間における経済の成長に伴ういろいろの経済的問題に関しまして、その感をよけい深くするわけであります。そこで政府におきましても、この公正取引委員会の使命の重大性にかんがみまして、本年度におきましても地方事務所を三カ所ほどふやす、率直に申しまして予算要求もいたしたわけでございます。そして人員も四十五名増員の要求をしたのでありますが、遺憾ながらいろいろの事情で、財政上の事由もありまするが、基本的には公務員をあまりにふやすということでなく、できるだけこれを能率をあげて、そしてむしろこれを制限していかないといかぬだろうというようなことで、閣議におきましても、欠員不補充、こういうような一応原則的な決定も見たわけでございます。したがって、なかなか増員ということが困難でありまするが、しかし、それにしても、公正取引委員会の充実等についてはいろいろ御意見のとおりでありまするので、いま申し上げたように要望したのでありまするが、今回は仙台一カ所だけが地方事務所の増設ということになり、欠員が現在三名ほどあるわけであります。そのほかに十一名だけの増員、こういうことでございまして、それだけは増員できたのでございますが、しかし、これによって決して十分だとは私ども考えておりませんので、今後一そう御意見の方向に沿ってひとつ努力をしてまいりたい。なお一そう公正取引委員会においても能率をあげてやっていってもらう、こういう方針でございますので、御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 私は、いたずらに公務員をふやす、そういうことで言っておるんじゃないのです。行政改革についての問題がやかましく言われており、それに対する調査会もできておるわけです。しかし、法律をつくり、あるいは法律を改正し、それの執行に要する人員は確保してもらわなくちゃ困る。ことに、政府のやり方といいますか、態度を見ていますと、大衆のためにといいますか、そういう立場に立って行なう取り締まり、執行、この面において警察なんかまたべらぼうにふやしたような点もあるように思いますが、たとえばこの公正取引委員会の陣容とか、あるいは労働省の労働監督官といったものは、これはもうだれが見ても少ないです。一人で何百、あるいは何千という事業所の監督ができるわけはないですよ。そういう点について、この人員の再配分といいますか、そういうことも必要じゃなかろうか、こう思うわけなんです。とにもかくにも公正取引委員会の強化ということは、何年かこの委員会において主張してきたところなんです。しかも、やっていることは、経済憲法といわれる独禁法の番人であり、これの執行者である、あるいはこれに付随する補完法の取り締まり、あるいは執行者である、こういう観点からいって、国民経済の上からいって絶対必要なものなんです。したがって、この点は十分なる予算と人員を与えてもらいたい。そのかわりに公正取引委員会もしゃんとやってもらいたい、こう思うわけです。そこで、この質問のあとのほうで、私は公正取引委員長のほうに提出したいと思っておるのですが、ともかく公正取引委員会から要望のあったことについては、閣議の内部において、あるいは政府内において十分なる予算措置等を講ずるということについて確約を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/6
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007・臼井莊一
○臼井政府委員 ただいま私からも申し上げましたように、独占禁止法等の法律を厳正適確にこれを運用していくことが、日本経済の発展のため、また中小企業者や、また消費者、これらの利益を守る上におきまして重要でございます。そこで、ことに最近のように下請代金の遅延というようなことで、下請業者の保護とか物価対策、それの一環としての価格協定の取り締まりとか、管理価格の調査とか、あるいは不当な歩積み、両建ての規制、誇大な広告、不当景品類の規制というようなふうに、非常に業務も複雑になり、多忙をきわめてきておるわけでございまするので、御説のように、これの機能を十分公正取引委員会が発揮する上におきましては、現在の機構で十分だと私どもも決して考えておりません。この点につきましては、ここ数年間は特にその定員も増し、地方事務所等も増し、努力はしておりますけれども、この点につきましては、田中先生の御趣旨にも沿いまして、今後ひとつ一そう努力をしてまいりますことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 経済力の強い者、いわゆる独占大企業、こういった人たちといいますか、これらから見れば、独禁法だとか公取委員会というものは無用の存在だと考えている。それがないほうがより自由に経済力を発揮できるといいますか、いわゆる強い経済力を縦横に使ってやっていけるといいますか、それを乱用できる。それを規制するといいますか、監視しているのが公正取引委員会だが、こういう意味から、公正取引委員会というようなものはないほうがいいのだというような考え方は確かにあると思うのですよ。また、役所の中にもそういう考え方の者があるわけなんですよ。そういうところが反映して、現在の政府としては公正取引委員会をまま子扱いにしているのではないか、そう考えられる点が多々あるわけなんです。たとえば公正取引委員長の地位は、最初できたときは閣僚と同じ地位を与えるということだった。認証官でしょう。給料の上においてもだんだん遅れてしまって、かつては神奈川県の県会議員以下だった。それをわれわれがやかましく言って若干直ったけれども、閣僚級の待遇を与えていない。したがっていい人も得られない。あえて私は渡邊さんがいい人でないとは言わない。だがしかし、いい人が得られないというところに問題がある。そういう点から、この公正取引委員会が果たす役割りは十分にこれを把握していただいて、今後ともに強力なる措置を願いたい。これは総務長官よりもむしろ総理に申し上げたいことなんですが、総務長官から総理にひとつ十分に意を伝えてもらいたい。そのことをまず前提にしない限り自後の審議は進められない。幾ら法律を改正し、法律をつくっても、執行するところがそれだけの能力を持たない、あるいはそれに対してほんとうにやる気がないというなら、法律なんて幾らつくってもむだなんだ。だから、この法律案の審議の前提として、はっきりと、政府としての独禁法に対する考え方、公正取引委員会に対する考え方、把握のしかたを言ってもらわないとできないので、いま、努力するとおっしゃいましたのですが、この点については、くどいようですが重ねて要望しておきます。できるならば総理から言質をとりたい、こう思っているわけですが、これは総務長官から言っていただく。委員長、できるなら、このことについて総理からはっきりした明確な考え方をひとつ示してもらいたいと思うのです。ここに出席できないなら文書でよろしい。それがなければ、この法案の審議をしてもむだなんですよ。そうじゃないですか。どうしてくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/8
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009・臼井莊一
○臼井政府委員 この点につきましては、ただいまも私からお答え申し上げましたとおりでございまして、私の申し上げることがあるいは御不満かもしれませんが、私も政府の一員として政府を代表して申し上げるわけでございまして、したがって、政府といたしましても、独占禁止法等の施行、運用に差しつかえのないように、−予算面においても機構の面においても今後一そう拡充いたしまして、これを強力に推進していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 まず総務長官のいまのおことば、これを一〇〇%生かしてもらう、こういう上に立って自後の審議を進めたいと思います。
そこで公正取引委員長にお伺いするのですが、現在の親企業の定義はこれでよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/10
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011・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 現在の親企業の定義につきましてどういうふうに考えていくべきか、幾つかのポイントはあると思います。しかし、さしあたりまして話題になっておりますのが、一つは社会党の提案による改正案において、資本金一千万円以下の場合におきましても、業種によってはこれを親企業に見るべき問題ではないかという点について改正案が出ております。この点についてわれわれのほうでもいろいろ検討してみました。ただ遺憾ながら現在の段階においてわれわれのほうでは、そこに一つの問題があるということは認識しておりますが、それをどういうふうにさばいていくべきかという点につきましては、まだ十分実態把握ができておりません。したがいまして現在の段階においては、もう少しこの点については、実態把握についてわれわれのほうなり中小企業庁のほうで検討した上で解答を出すということにして、少し時間をかしていただきたい、こういうふうな考え方であります。
それから、もう一点社会党のほうの案として出ておりますいわゆるトンネル会社の問題であります。そうした形だけをこの定義の外に置きまして、実態はこの定義の中に入っている。しかし形式的に定義の外にありますがゆえに、法のそうした取り締まりの範囲に入ってこないというものがありとしますれば、これはやはり実態でつかむべきものとは思っておりますが、これもわれわれ話として聞かないでもありませんが、まだ具体的な事例として、そうこれの実態をつかんでおりません。考え方として、それでもそういうものが入っていいじゃないかという考え方もあると思いますが、少なくともわれわれのほうの改正案を出した気持ちとしましては、ほんとうにまだ実態がつかめていないという限りにおいては、これも前に申し上げました問題と同じように、もう少し実態をつかんで、その上でしかるべく取り締まりの規定を入れるように考えていったらいいじゃないか、こういうふうな考え方のもとに、現在の改正案においては、親企業の定義は従来どおり、こういうことになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 わがほうの改正案について前もってあなたは考え方を述べられたが、私は逐次話を進めていきたいと思います。
まず、この下請代金支払遅延等防止法というものは、なるほど下請は大体において中小企業である、したがって中小企業対策といいますか、保護政策の一つであると考えます。しかし、親企業という資格は、そういう中小企業とか大企業とか、あるいは五千万円以上とか、以下とか、一千万円とかいうことで区別すべきものじゃありません。少なくとも本法第一条の目的から言うならば、そういうものじゃないですね。一千万円でも親たり得るものがあるのです。しかもその関係は、やはり大が中を、中が小をというふうに、上が押えていけば下を押えていくという考え方、そこには、やはり大企業と小企業と同じような関係で、一千万円以下のものを親とするその下請企業との間にも封建的なもの、前近代的なものが存在すると同時に、より過酷な条件を押しつけられているという事実があるのです。したがって、一千万円以下でも親たり得るということを規定する必要がある。ただ、直ちに一千万円以上は全部がそうだということにするならば、いまあなたが言ったような問題もあろうと思いますから、私は、やはりあくまでもそう規定しておいて、実際は公正取引委員会かどこかの規定か何かで規定していく、そういうふうに考えているのです。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 一応この下請代金支払遅延等防止法自体は、優越した地位にある者が弱い者に対して、不当に不利な条件を課すということを防ぐ、それの具体化に一つあるわけですから、したがって一千万円とか五千万円とかいうこととは関係なしに、強い者、弱い者の関係が、そこにその関係から不当な条件がしいられるということになれば、これは当然その法の趣旨からいえば入ってくるわけと思います。ただ下請代金の法律の一つのねらいといいますか、これは独禁法にある公正取引のような抽象的な一つの線でなくて、それをより具体化した線において取り締まるというところにこの法律の一つの特色があるのじゃないかと思います。そういった面からしますと、御説のように、一度そうした道を開いておいて、具体化する場合は、公取の規則なりでもってこれを具体化したらという考え方もないとは思いませんが、その関係のはっきりした例が幾つかでもつかめておりますと、われわれのほうもその気になるわけですが、必ずしもまだつかめていないというものもありますので、今度の改正全体が正直に言いまして、とにかくこの際まず第一段としてやるべき改正、しかしこれで終わったというふうには、昨日も申し上げましたが、ちっとも考えておりませんで、引き続いて中小企業政策審議会ですか、ああいうところの御意見も伺いながら第二次の補完は当然すべきものだ。したがって、そういった問題につきましては、もう少し時間をかしていただいた上で法律に乗せたほうがいいのじゃないか。規則に乗せましても、すぐ規則に何をきめるかという点がどうもわれわれはっきり目標がつかめておりませんので、この問題については、もう少し時間をかしていただいたほうがいいのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 あなたもそういう意味のことをおっしゃったのですが、親と子との関係、優越した経済力と弱い者、それが優越した経済力を利用して不公正な取引をするというのは、絶対的な関係じゃありません、相対的な関係です。そうでしょう。
それからいま実態をつかんでいないということは、先ほど来言っているように、人員の不足かどうか知りませんが、あなたのほうが調査していないからです。それがあるのでしょう。たくさんあるのでしょう。だから私のほうでそういう実態をつかんでいないので云々ということは、この際人員不足等は事由になりません。そうするならばあなたのほうで調査不足ということになる。たくさんあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/14
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015・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 おっしゃるように、この遅延防止法のねらいは、繰り返し申しますが、相対的な関係といいますか、強い者と弱い者の関係、それが強い者が強い力を使って不当な、不利な条件を押しつけるというわけですから、押しつけられるほうがより弱ければ、その押しつけるほうが資本金一千万円以下であろうが、そういう関係は起こり得る、これはおっしゃるとおりだと思います。ただ繰り返して申しますが、私のほうももちろんですが、中小企業庁におきましても同じように、そういった関係が全然ないということを申す意味では毛頭ありませんが、具体的にこれを押えるのには一体どういう線を引くべきかという問題についても、まだめどがついていない、こういうことで、いま申したような考え方になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 公正取引委員会も中小企業庁も実態をつかんでいないというのは不勉強なんです。あるのです。そういうことは間違いない、あるのですよ。何なら教えてあげましょうか。
それから、いまの改正がさしあたってと、こう言っている。それはきのうから何回も言っているのです。不十分だということを言外にほのめかせておるわけです。こんな不十分なものならやめておいたらどうです。もう少し調査もし、勉強もして、はっきりしたものにしたらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/16
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017・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 一応そういうお考えも考え方としてはあるかもしれません。しかしわれわれは、やはりとりあえずはっきりわかっている問題をまず片づけておいて、それで中小企業の審議会におきましても一応答申として出したものは、これで全部じゃないけれども、一応中間報告としてまずこれはやっておくべきだ。私はそれは一つの考え方だと思います。したがってわれわれのほうとしては、まずやるべきことをやる。これで全部おしまいだというわけじゃない。全然やらないよりは、やはり現在やるべきことはやっておいたほうがベターじゃないか、そういう考え方で今度の改正案は提出されておるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 胸を張ってベターであるとおっしゃった。何も意味をなさぬということを逐次明らかにしていきます。そこで、あくまでも一千万円以下でも親たり得るものがある。それがより小さいものに対し、より零細なものに対し過酷な条件を押しつけている事実が存在する。したがってこのことを強調いたします。
次に、公正取引委員会という役所というか行政委員会は、発生した害悪に対してこれを除去する、こういうのがつとめですか。いわゆる狭義の警察権と言ったらどうかと思いますが、ともかく発生したものに対してこれを除去するというだけが任務なのか、あるいは発生するであろうことを予見してあらかじめ手を打つことも公正取引委員会の仕事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/18
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019・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 発生したものがあれば当然除去する、これはわれわれのほうの仕事だと思っております。しかし、それが純然たる司法機関と違いまして、準司法機関だという意味からしますと、単に発生すること自体はいわば放任しておいて、発生したらつかまえるというだけで公正取引委員会の仕事が終わるものとはちっとも思っておりません。むしろそういった事実を発生しないように予防するということは、やはり行政機関として存在する公正取引委員会としてはそこに一つの大きな課題があるんじゃないか。したがって、われわれとしましても、まずもって発生しないように努力する。これは発生したことを排除すると同じような意味の重さにおいて重要な仕事じゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 公正取引委員会はいわゆる狭義の警察権あるいは司法といいますか、裁判所のように、発生した問題に対して対処するということでなく、そのほかに、発生するであろうことを予見せられた場合はあらかじめ手を打つ、これが行政委員会としての義務だ、こう考えた場合、親企業の順守義務といいますか、親企業のやっていることを締めれば締めるほど、その脱法行為を考えていることは理の当然であります。ならば先ほどもあなたがおっしゃり、われわれが提案しておるいわゆるトンネル会社、こういうものをつくって、親企業としての、ほんとうの親企業が法の取り締まりというか順守義務からのがれようとする手を打つことは当然なんです。それは明らかな事実なんです。ならば、そういうことがあり得るということがわかる限り、トンネル会社についても配慮すべきじゃないか。その点どうなんです。あなたがおっしゃた、あるであろうことが予想せられる場合はあらかじめ手を打つべきであるということであるならば、当然そうすべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/20
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021・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私もトンネル会社について手を打つことに別に反対する気持ちは持っておりません。ただ、要するに手を打つにしてもどういう手を打つべきかということは、まずトンネル会社というものの実態なり、それの持つ弊害というものをはっきりつかむということがまず前提条件ではないかというふうに思うのです。今度の場合におきまして、その点はいろいろ話は聞いておりますが、まだ実態を私のほうとしましても中小企業庁としてもはっきりつかめていない。したがって早晩これについては何か考えべきではないかと思っておりますが、そういう弊害がもしあるとすれば、その実態をもう少し検討してみたい。したがって今回の場合におきましては、もうちょっと時間をかしていただきたいという意味において、今度の改正案の中にはトンネル会社を入れていない、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 俗に、へたな考えやすむに似たりということがある。もうしばらく時間をかしてくれ、もうしばらく時間をかしてくれと言っているが、それが解決にはなりません。弊害は何かといえば、トンネル会社をつくってほんとうの親が隠れる、すなわちこの法律からのがれようという脱法行為だ、これが弊害です。その方法といえばいろいろあるだろう。しかし考えられることはトンネル会社である、現にそういうのがあるのですよ。それを、実態をつかんでいないとかなんとか先ほど来盛んに言っておられる。そのこと自態は、公正取引委員会のいままでの姿勢のあり方あるいは調査活動の不十分、このことをみずから物語っているのと違いますか。われわれは何のスタッフも持ちませんよ。それでも事実を握っているのですよ。いかに小なりといえども二百何十人のスタッフを持っておりながら、その実態がつかめないとは何事です。私のほうでわからないからそれはできませんということならば通りませんよ。いいですか。厳格に規制すればするほど、それをのがれようとする反作用が起こることは当然なのです。そうするならば、あらかじめ予見せられる脱法行為に対しては手を打つべきなのです。そのことをつかんでいないということは、みずからの不勉強を物語っている。同時に、ほんとうにやる気があるのかないのかということなのですよ。だからこそ公正取引委員会の存在価値がだんだんぼけてくるのですよ。簿らいでくるのですよ。ばかにせられてくるのですよ。もっと権威を持ちなさい。私が知らないから、あるいは公正取引委員会としては調査ができておりませんからできないということは通りません。そういう脱法行為があるということが予見せられるかせられないか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/22
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023・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 公正取引委員会が実態をつかんでいない、それは確かにわれわれのほうの不勉強の一つのあらわれだとおしかりをこうむっても、これはやむを得ないと思います。中小企業庁においてやはり同じような問題がまだ正確につかめていない。中小企業に対する関係においては、角度は違いますが、やはり同じような立場にあるわけでございますが、中小企業庁においてもまだそういった点についての実態がはっきりしないということで、いま言ったような結論になっているわけでございます。しかしお説のように、片方で定められた親企業なり下請の関係がやかましくなればなるほど逃げるだろう、その点は私も全然同感でございます。したがって、その問題については、やはりしかるべき手が打てるように自信のある条文ができれば、われわれもこれを入れたいという気持ちは多分に持っておったのですが、遺憾ながら先ほど来申し上げましたようなことになっていたわけで、したがって今度の改正案に入っていなかった、こういうわけでありますから、その辺を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/23
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024・田中武夫
○田中(武)委員 先ほどから、中小企業庁もようつかんでいないと盛んに言われているのだが、中小企業庁、そういう発言を公正取引委員会の委員長に委任しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/24
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025・影山衛司
○影山政府委員 このトンネル会社の問題は、中小企業政策審議会の下請小委員会においても論議された問題でございます。それから最近は、近くは山陽特殊鋼の場合においても国際運輸倉庫会社がトンネル会社的なものとされておるわけでございますが、ただそういう場合に、公正取引委員会あたりでもいろいろ実態を調べていただいたのですが、国際運輸倉庫会社というのは資本金五千万円の会社でございまして、これはトンネル会社とするまでもなく、親会社として規制はできると思います。結局問題は一千万円以下の会社ということになるわけでございます。そうなりますと下請事業者の定義の問題とも関連するのでございますが、一千万円以下の会社ということになりますと、過小資本であるとか過大資本であるとかいう問題があって、実態をつかんでこれを規制するということはなかなかむずかしゅうございますし、また規定のしかたがやはり非常にむずかしいわけでございます。社会党のほうの改正案にございますような「資本的又は人的関係において支配を受けており、」というような規定をいたしても、それでは資本的に何%持っておればこれが支配関係にあるかというようなことになりますと、かりに五〇%ときめますと、これは四九%だということになりまして、なかなか脱法を防ぐこともむずかしいというようなことでございます。しかし問題・点があるということは私ども十分認識しておるわけでございます。中小企業政策審議会の下請小委員会においても今後検討をしていくということになっておりますので、しばらく時日をかしていただければありがたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/25
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026・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来、中小企業庁次長、公正取引委員長とも、しばらく時間をかしていただきたいということですから、しばらく時間をかしましょう。われわれも審議にしばらく時間をかすことにしたらいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/26
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027・内田常雄
○内田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/27
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028・内田常雄
○内田委員長 速記を始めて。
暫時休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
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午後零時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/28
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029・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
休憩前、田中武夫君から質問のありました下請代金支払遅延等防止法上、親会社としての規制対象の範囲の件につきまして、理事会におきまして政府側を加え打ち合わせいたしました結果に基づいて、公取委員長並びに通産当局より答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/29
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030・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 政府の原案といたしまして、親会社の範囲を現行どおりに据え置いたことについては先ほど来るる申し上げたとおりでございますが、われわれとしましても、現在の親会社の範囲で十分であるというふうな考え方をしているわけでないことは、これも先ほど来申し上げたとおりでございます。したがいまして、適当なる案があれば、その範囲についてある程度拡大するということについては、われわれとして特に反対する理由は持っておらぬというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/30
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031・影山衛司
○影山政府委員 公正取引委員会の委員長のいわれましたことと同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/31
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032・田中武夫
○田中(武)委員 私の先ほどの質問の中で、それでは進められないから理事会において協議してくれ、こう言ったはずです。理事会における協議は何をやったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/32
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033・内田常雄
○内田委員長 田中委員の質問の要点は、親会社としての現行法の規制の範囲を広げることについての政府側の答弁が不満足であるという意向の表明がありましたので、これに関連して理事会を開きまして、その親会社としての規制の範囲の拡張の可能性その他の点において、理事諸君の意見を交換をしていただいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 経緯は御承知のとおり、公正取引委員長も中小企業長次長も、時間をかしてくれ、こう言ったんです。それでは時間をかしてくれと言ったことは取り消すんですね。時間をかしてくれと言ったから、おかしいたしましょう、こういうのがいきさつですよ。委員長、ポイントをはずしては困ります。したがって、時間をかしてくれということはどうなったのですか。その取り扱いをきめなくて、何の協議があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/34
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035・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 先ほど来申し上げましたのは、政府原案として親事業者の範囲を現行どおりということにして改正案は出してある、それじゃ不十分ではないかという御意見に対しまして、政府としてこうした案を出したについての関係におきましては、その点について問題があることはわれわれも考えておりますが、しかしその具体的な策についての改正についてはもう少し時間をかしてくれ、したがって今国会後の問題にしてほしいと申し上げたわけですが、先ほど御答弁申しましたように、今国会の審議の過程においてそれにふさわしい改正が行なわれ得るとすれば、別に政府としては反対する理由を持っていないということを申し上げたわけですから、先ほど来申した意味の時間をかしてくれということの発言は、あとの発言において打ち消されたものというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/35
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036・田中武夫
○田中(武)委員 私がなぜこういう態度をとったかということは、この発言に重要な要素があったからですよ。委員長、わかりませんか。ということは、公正取引委員長も中小企業庁も、自分たちが把握していないんだ、実態がわからないんだ、だから法の改正はできませんということばを使ったのですよ。これがぼくは重大だと言っているのですよ。そうじゃないですか。自分たちが了承しなければ、あるいは自分たちがわからないことについてはできませんという答弁なんですよ。だから、ぼくはこういう態度をとったのですよ。ポイントをはずしてもらったら困るのです。取り消しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/36
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037・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私のほうで申し上げたのは、結局改正案として政府のほうで提案するについては、われわれのほうでやはり実態をつかんでいるという上でございませんと改正案として出しにくいという意味において申し上げたわけでして、別に国会の審議の過程において改正案を修正されるという場合において、われわれが実態をつかんでいるつかんでいないということがそのポイントになるというふうには理解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 答弁の中に、社会党の改正案についても拝見をいたしました、しかしそれについては云々ということがあるのです。だから、この件につきましては、後日議事録を見て、もう一ぺんはっきりさせます。したがって、そのことが終わるまでは絶対に前へは進みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/38
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039・内田常雄
○内田委員長 田中委員に申し上げますが、理事会を開きましたのは、社会党の改正案もすでに当委員会に付託されておりまするので、委員長としては、ひとり内閣提案の法律案のみならず、社会党の提案をも参照して、親会社としての規制範囲を拡大する可能性について、この際両党の理事をまじえて打ち合わせした方がいい、かように考えまして理事会を開いたわけでありまするので、その点も御了承おき願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/39
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040・田中武夫
○田中(武)委員 了承できません。私のいっているのはそんなことじゃないのですよ。社会党の改正案が出ている、そのことについて、実態をつかめていないからと、こう言ったのですよ。これは重要な発言ですよ。そう思いませんか。あらためて議事録を見て、はっきりしましょう。したがって、この点は保留します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/40
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041・内田常雄
○内田委員長 どうぞその点は議事録を後日見ていただくことにして、他の点にお進みください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、後日議事録ができ上がってそれを確認するまでは審議を進めない、これを確認しますか、重要な発言だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/42
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043・内田常雄
○内田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/43
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044・内田常雄
○内田委員長 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
次回の委員会は、公報をもってお知らせいたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03519650512/44
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