1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十七日(月曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
稻村左近四郎君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 小沢 辰男君
海部 俊樹君 黒金 泰美君
小宮山重四郎君 田中 正巳君
田中 六助君 中村 幸八君
二階堂 進君 長谷川四郎君
古川 丈吉君 三原 朝雄君
早稻田柳右エ門君 大村 邦夫君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
島口重次郎君 田中 武夫君
多賀谷真稔君 麻生 良方君
山下 榮二君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
内閣法制次長 吉國 一郎君
総理府総務長官 臼井 莊一君
公正取引委員会
委員長 渡邊喜久造君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局長) 竹中喜満太君
総理府技官
(科学技術庁資
源局長) 橘 恭一君
農林事務官
(園芸局長) 林田悠紀夫君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(大臣官房長) 熊谷 典文君
通商産業事務官
(鉱山局長) 大慈彌喜久君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
中小企業庁長官 中野 正一君
中小企業庁次長 影山 衛司君
委員外の出席者
農林事務官
(畜産局参事
官) 吉岡 茂君
運輸事務官
(大臣官房審議
官) 中野 大君
専 門 員 渡邊 一俊君
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五月十二日
委員村上勇君辞任につき、その補欠として稻村
左近四郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員楯兼次郎君辞任につき、その補欠として多
賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
楯兼次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十二日
物価値上げ反対等に関する請願(野間千代三君
紹介)(第四〇〇三号)
東西貿易及び日中貿易の拡大に関する請願(唐
澤俊樹君紹介)(第四〇七九号)
同(井出一太郎君紹介)(第四〇八〇号)
同(小川平二君紹介)(第四〇八一号)
同(吉川久衛君紹介)(第四〇八二号)
同(倉石忠雄君紹介)(第四〇八三号)
同(小坂善太郎君紹介)(第四〇八四号)
同(下平正一君紹介)(第四〇八五号)
同(中澤茂一君紹介)(第四〇八六号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第四〇八七号)
同(原茂君紹介)(第四〇八八号)
同(松平忠久君紹介)(第四〇八九号)
同月十三日
東西貿易及び日中貿易の拡大に関する請願(増
田甲子七君紹介)(第四四三三号)
同月十四日
盲人世帯の家庭電気料金軽減に関する請願(小
沢辰男君紹介)(第四四五〇号)
同月十五日
物価の値上げ反対等に関する請願(加藤進君紹
介)(第四八四九号)
同(川上貫一君紹介)(第四八五〇号)
同外一件(谷口善太郎君紹介)(第四八五一
号)
同(林百郎君紹介)(第四八五二号)
物価値上げ反対等に関する請願(加藤進君紹
介)
(第四八五三号)
公共料金の引き上げ反対等に関する請願(加藤
進君紹介)(第四八五四号)
同(川上貫一君紹介)(第四八五五号)
同(谷口善太郎君紹介)(第四八五六号)
諸物価値上げ反対等に関する請願外一件(川上
貫一君紹介)(第四八五七号)
物価引き上げ反対等に関する請願(林百郎君紹
介)(第四八五八号)
は本委員会に付託された。
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五月十三日
沖繩パインアップル産業の保護育成に関する
陳情書
(第三八四号)
琉球パインアップル罐詰の保護育成に関する
陳情書
(第三八五号)
下請代金支払遅延防止法の改正に関する陳情書
(第三九三号)
物価値上げ反対に関する陳情書外五件
(第
三九四号)
下請企業の保護育成に関する陳情書外二件
(第三九五号)
東西貿易の拡大等に関する陳情書外一件
(第三九
六号)
同(第四五六号)
中部開発整備法の早期制定に関する陳情書
(第四五四号)
会社更生法の改正に関する陳情書
(第四五七号)
企業危機打開に関する陳情書
(第四五八号)
物価値上げ抑制等に関する陳情書
(第四五九号)
同月十四日
国土総合開発に関する陳情書
(第五
〇四号)
物価値上げ反対等に関する陳情書
(第五〇五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二七号)
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(板川正吾君外十四名提出、衆法第三二
号)
下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
律案(麻生良方君外一名提出、衆法第三号)
総合エネルギー調査会設置法案(内閣提出第一
一一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
まず、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
内閣提出の石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/1
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002・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/2
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003・内田常雄
○内田委員長 内閣提出、総合エネルギー調査会設置法案を議題といたします。
本案に対し、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。桜井茂尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/3
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004・桜井茂尚
○桜井委員 審議を始めますに際しまして、なるべく時間を節約する意味で、御回答くださる方は質問に対して明確に、簡単に、余分なことをおっしゃらずにひとつ御返事を願いたいと思います。五十問ございますので、なるべくそのようにお願いいたします。
また、石炭の関係につきましては、午後連合審査があるようでございますので、私は、わが国エネルギーの大宗を占める石油、ことにその九九%を占める輸入石油を中心に御質問を始めます。
最初に、前提として国際収支についてお伺いいたしますが、中期計画によると、昭和四十三年におけるわが国の国際収支は、貿易外収支の赤字が十億ドルであり、これを貿易外収支の黒字で埋めることになっておりますが、大体この程度の見通しだと考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/4
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005・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 お答えいたします。四十三年度の国際収支でございますが、御指導いただきましたとおりでございまして、為替ベースで八十九億ドルの輸入が見込まれております。他方、輸出のほうも三十八年度から年率一一・八%の増加率で伸びるということで、四十三年度は九十九億ドルを見越しております。したがいまして、サービス収支を入れまして、経営収支では均衡するものということに見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/5
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006・桜井茂尚
○桜井委員 次に、四十二年−四十七年の石油の輸入の計画はどうなっておりますか。金額でお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/6
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007・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 中期計画では四十三年を対象の年度にしておりますので、恐縮でございますが四十三年で答えさせていただきますと、 エネルギーの輸入金額としましては、原油と重油の石油関係、石炭、全部を入れますと、ドルにしますと二十二億ドルでございます。石油がそのうち約十八億ドルで、石炭、核燃料が約四億ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/7
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008・桜井茂尚
○桜井委員 ところで、現在これらの原油がイラン、イラクから輸入される場合は、これは米英国際資本の手によるものであるといって、これらの国は自国の輸出とはみなしてない、こう聞いておりますが、事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/8
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009・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 お説のとおり、イラン、イラクとは片貿易の問題がございまして、わがほうの輸出超過となっておりますが、石油はその場合に換算されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/9
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010・桜井茂尚
○桜井委員 またクウェート、サウジアラビアの場合は人口も少なく、わが国からの輸入需要がたくさんはございません。したがって、これら中近東からの原油の輸入は純粋なドル流出となっております。
そこで、従来わが国の貿易構造は、北アメリカ、ラテンアメリカ、オーストラリアからは入超であり、ことにアメリカ、カナダ、オーストラリアの三国だけでも三十八年に十億ドルの赤字であり、この赤字をアジア、アフリカヘの出超で埋め合わせてまいりました。そして対西欧貿易がほぼとんとんであります。だから輸入構造の転換が必要なのであります。だが、たとえば南北アメリカや豪州の赤字はこの地域に対する輸出増大でまかなうと仮定しても、なお四十三年には貿易外赤字の十億ドルと石油輸入の十八億ドル、計二十八億ドル程度はアジア、アフリカヘの出超でまかなわなければならない勘定になります。
そこでお伺いいたしますが、アジア並びにアフリカの国民所得の伸びは大体年薬何%でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/10
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011・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 ちょっといまわかりかねますので、取り調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/11
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012・桜井茂尚
○桜井委員 けっこうです。わからなければ、私のほうから申し上げます。大体アジアで二・一%、アフリカで一・六%の年率であります。
そこでこれらの国にとって、それに加えてなお不幸なことには、この低い国民所得の増加に加えて、人口増加がございます。このことが輸出余力を減らし、したがって輸入力を減殺いたしております。しかもわが国からの輸出は輸入に見合っておりません。そこで国連貿易開発会議の動向にも明らかなとおり、これらの地域の低開発国は相当強硬な態度で先進国に臨んでおります。そして現在でもアフリカ諸国においてはナイジェリア、ケニア、ウガンダ等に見られるように、対日輸入制限の傾向を示しております。しかもEECは、これら諸国と経済ブロックをつくる傾向にあります。さらに、アジアにおいてもカンボジア、イラン、イラク等の対日輸入超過国は、一次産品の買い付け増加をわが国に要求いたしております。現状はいま申し上げたような状態だと思うのですけれども、このように考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/12
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013・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 おっしゃるとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/13
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014・桜井茂尚
○桜井委員 しかるに政府は、中期計画によってアジアに対しては年率一一・七%、アフリカに対しては三・七%の輸出の伸びを計算いたしております。これらの国々の国民所得の伸びよりも高い。したがって米、英、仏、独、伊等の西欧諸国を席巻して、わが国が輸出シェアを低開発国に拡大するということになります。確かに現状ではこのような傾向は認められますが、今後も継続してそうだということは、先ほども申したとおり非常に困難であります。これに対処する方策は、先ほどもちょっと申し上げましたが、一つには貿易構造の転換を強力にはからなければならない。二つには、技術援助並びに経済援助であります。ことに開発援助は重要であります。ところで、この開発援助、開発輸入の問題につきましては、昨年わが国は国連貿易開発会議へ提案いたしてもおるわけでございます。しかも、これは石油について特に有効だと考えられるのでありますが、政府の見解臓どのようなものであるか、あらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/14
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015・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 開発輸入全般につきましては、恐縮でございますけれども、通商局長をいま至急呼んでおりますので譲りまして、石油につきましては、石油の開発をいたしますと、金額も相当大きな金額になりますし、国際収支の改善ないしは経済協力の観点から申しましても有効であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/15
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016・桜井茂尚
○桜井委員 どうも私の質問に答え得るような方がおいでにならなくて残念でございますが、とにかく一応審議を進めます。
ところで、わが国の原油の供給の上で、国内産石油、アラビア石油、北スマトラ石油並びに外資系原油の比率はそれぞれどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/16
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017・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 わが国に対する原油供給のうち、国産原油等の比率でございますが、四十年度の輸入計画によりますと、国内生産は総量の一%弱であります。対外開発原油は、アラビア石油、北スマトラ石油でございますが、約一五%になっております。残りがそれ以外の一般輸入でございまして約八四%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/17
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018・桜井茂尚
○桜井委員 次に、石油精製の分野で、外貨系と民族系の比率はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/18
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019・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 精製能力でいきますと、民族系が三十九年度末で四四・二%、外資系が五五八%ということで、約四五と五五くらいの比率になります。それから販売でいきますと民族系はもうちょっと落ちまして四一%、四割ちょっとということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/19
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020・桜井茂尚
○桜井委員 次に、外資系精製会社といっても国内法人であると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/20
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021・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/21
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022・桜井茂尚
○桜井委員 そこで、現在の政府の方針は、外資系であると民族系であるとを問わずみな平等に取り扱い、ことに設備投資の場合も石油需給関係を基礎として許可するのであって、申請者にはだれをも平等に取り扱っていると思われるのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/22
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023・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 石油精製の許可にあたりまして、御指摘いただきましたとおりでございまして、特に外資系ということで差別はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/23
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024・桜井茂尚
○桜井委員 そこで結果としては、わが国経済の最大の基礎であるエネルギーの源泉を国際石油カルテルに押えられ、利益の一番大きい産油の分野は彼らにとられ、あまつさえ精製の分野でもひもつき原油の輸入ということでまたまた利益をとられ、前に述べたように国際収支の膨大な赤字を招来し、国民経済の心臓部にメスを突きつけられ、生殺与奪の権を握られているといっても過言ではございません。
そこでお伺いいたしますが、フランスにおける国家の石油に対する政策はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/24
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025・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 フランスでございますが、石油は民営でございますが、政府が出資をしております会社といいますか、精製関係それから海外の関発関係に政府が出資をいたしておりまして、国内のシェアの確保それから海外の開発ということに非常に力を入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/25
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026・桜井茂尚
○桜井委員 フランスの石油政策は、非常にフランスの国民経済あるいは国家の安寧という点から強力なものとして行なわれております。そこで英、米、蘭におくれて第二次世界大戦石油開発に乗り出した西欧三カ国すなわち西独もイタリアも、フランス同様に国による強力な施策が現在着々行なわれております。
ところで、まず原油にしぼってお伺いいたしますが、産業構造審議会の総合エネルギー部会の答申にもあるとおり、また仏、独、伊の石油政策にもかんがみ、低廉かつ安定的、安全に原油を確保するには、そしてナショナル・インタレストの確保のために国の施策による協力を得うるような、わが国自身の力で採油できる原油を総供給量の三割、四割は確保すべきだと考えるのであります。こうすることによって初めて原油の購入の場合の、国際石油カルテルのひもつき原油による不利益を減殺し、自由な立場に立って低廉な石油を入手することができ、国民経済に大きな利益をもたらすとともに、外国資本により首を締められる心配も少なくなり、安全に石油を確保でき、真の意味での国の独立が達成できると思うのでありますが、政府としての見解はいかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/26
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027・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 原油の安定かつ低廉な供給の観点から、海外開発を行ないまして、一定のシェアを確保するということは御指摘のとおりでございまして、ぜひその方向で続けるべきだと思います。
ただし、四十年度でございますが、原油を現実に三割なり四割を達成するということも量的に見て非常に困難であり、容易なことではないと思いますが、長斯的にはその方向で努力を続けるべきだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/27
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028・桜井茂尚
○桜井委員 さらに供給の安定性と安全性を確保するためには、原油供給先の分散をはかるべきであるとも答申されております。この点についてどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/28
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029・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 安定的供給の観点から買い付け先の分散化ということも御指摘のとおりでございまして、海外開発を促進する、あるいは買い付け先として特にソ連圏の原油等もございますので、買い付け先をできるだけ広げるという方向が望ましいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/29
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030・桜井茂尚
○桜井委員 三割、四割の石油を確保するといたしまして、ただいま御答弁がありましたとおり、石油需要の伸びからいって、昭和四十七年には二億トンになるのであります。したがって三割で六千万トン、四割で八千万トンを確保しなければなりません。もしこれを七カ年計画で実施するならば、これはたいへんな事業であります。政府は本年度七億円の財政投融資で資金を出して石油開発株式会社に、インドネシアのセラム島、ブニュー島及びブニュー沖並びにマハカム沖の三カ所の試掘をさせる計画になっております。この程度ではいま言ったことは実現できません。七大国際石油会社の探鉱費だけで毎年ほぼ三千億は支出いたしております。そしてまた西ドイツは六年間七百二十億円、すなわち一年間では百二十億を探鉱費として国が援助し、しかもこれは成功払いとなっております。これに比較してわが国はあまりにも少ない。この点はどのように考えておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/30
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031・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 インドネシアの開発でございますが、御指摘いただきましたように、四十年度は七億円という出資でございます。これに民間等の金を合わせまして十一億という計画を考えております。海外の各国が石油開発に使っております金は膨大なものでございまして、比較をしますとはなはだ少ないわけでございますが、初年度として開発に手をつける、探鉱を実施するという観点からいいますと、一応この程度で対象の三カ地点は参加できるのではないかと考えます。今後本格的に開発がその地点で始まりますと、相当な金額が必要になろうかというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/31
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032・桜井茂尚
○桜井委員 初年度といたしましてもあまりにも少ない。そして先ほども申されましたが、十一億円のお金でSKが探鉱するわけでございますが、SKにはその程度の能力しかないのでございますか。また、日本の技術力は総力をあげてもこの程度の能力しかないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/32
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033・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 石油資源開発会社としましては、国内の探鉱も従来どおり進めていくということにしておりまして、技術者の観点からいいまして、ちょうどこれだけだということはないと思いますが、初年度としてはこの程度のことからスタートしてもよろしいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/33
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034・桜井茂尚
○桜井委員 私のお伺いしたのは、技術者はその程度しかいないのか、また、能力はないのか、日本の技術陣には、そういうふうにお伺いしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/34
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035・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 日本の技術者の能力は非常に高く国際的にも評価されておりまして、これはアラビヤや石油の成功以来でございますが、各国から協力を要請される、こういう状況にございますので、技術的な能力は、高さは十分高いというふうに考えます。それから量の問題でございますが、大規模な開発をやるということになりますと、今後これ以上に人をふやさなければならない、技術者を次々に養成していかなければならないと考えますが、現状では、インドネシアの三カ所はもちろん問題はない。しかしこの程度から進むのが技術者の、SKの技術陣の量からいってよろしいのではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/35
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036・桜井茂尚
○桜井委員 現にイランがペルシャ湾の広大な地域の物理探鉱参加会社を公募した際や、アルジェリア政府の公募会社の呼びかけに対してもわが国からは応じたことがなく、また、ほかの十三カ国にも及ぶわが国に対する石油開発申し込みに対して政府は辞退、見送り、懸案のままであり、インドネシアを除いてはどれ一つとして成約にこぎつけたものはありません。フランス、ドイツ、イタリア三カ国の石油会社が最近五カ年で五十件以上も新たな海外利権を入手したのに比較しまして、あまりにも世界の大勢におくれている、このようには考えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/36
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037・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 海外からの申し込みは、御指摘ございましたように非常にたくさんあるわけでございまして、昨年度も中東班と、それから東南アジアに調査に出しましたりしておりますが、海外との開発の条件、それからわが方の資金量、いろいろむずかしい点がございまして、御存じのとおり四十年度はインドネシアの三カ所、こういうことに限ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/37
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038・桜井茂尚
○桜井委員 私の質問は、世界の大勢におくれるとは思いませんか、こういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/38
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039・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 世界の大勢から申しますと、もう少し手広くやったほうがよろしいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/39
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040・桜井茂尚
○桜井委員 先ほども申し上げましたとおりに、七カ年計画で六千万トンないし八千万トンをもし確保しようとする、それがよろしいのだ、こうお考えになるならば、この程度で出発し、この程度で始まったのでは、いつのことやらわかりません。しかも、利権というものは、そうごろごろころがっておるわけでもない。世界じゅうが分割されてしまったならば、あとから入ったって間に合いません。世界じゅうから申し込みのあるときに、向こうから協力してくれと言ってきているときに、われわれが出ていかないなら、これは世界の大勢におくれるはずであります。あとになって悔やんでも間に合うものではございません。私は、世界各地において、わが国にもし石油採掘権を与えてくれるようなところがあるならば、どこを掘ってもいいのではないか。しかし、現実にはスエズ運河の通航料が六万トン以上の船に対しては高くなっている点から考えて、主としてわが国への石油供給圏はスエズ以東にならざるを得ないし、ヨーロッパは逆にスエズより西になるでありましょう。したがって、重点がインドネシアに指向するのはやむを得ないけれども、能率からいけば、中東のイラン、イラクの開発も重視しなければなりません。したがって、イランの国際入札からはずれたことは非常に残念であります。また、先ほど言ったとおり分散をはかる意味において、パキスタン、ビルマの開発に協力すべきであります。ビルマの採掘からはずれたこともまた残念であります。この点、政府はどのように考えておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/40
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041・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 海外の開発につきまして、ただいまビルマのお話、パキスタン、イラン等ございまましたが、そういう個所を開発することにならなかったというのは残念に思います。開発の規模としましては、もう少しこの際積極的に出るべきではないかというふうにも考えまして、今度の総合エネルギーの調査会でも当然海外開発のテンポということは検討さしていただきたいと思いますが、現在も石油の審議会では検討するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/41
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042・桜井茂尚
○桜井委員 次に、私はスエズより西でも日本は採掘すべきだと思います。現に、エジプトもアルジェリアも協力を求めてきております。この場合、必ずしも、そこで生産された原油をわが国に持ってこなければならないとは限りません。十六万トンタンカーで喜望峰を回って持ってきても差しつかえありませんが、産出した原油をヨーロッパに売る、そして、そのドル収入で近くから石油を買うということもできます。この場合、ヨーロッパに対する販路を確保する意味で、たとえばフランスなりドイツなりイタリアなりと提携することも有利だと思います。この点、政府はどのように考えているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/42
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043・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 従来、海外の開発原油につきましては、安定供給源の確保という意味から、国内に搬入することをたてまえにして今日まできております。しかし、お説のように、全部一〇〇%持ってこなければならないということにはならないかと思いますので、開発の場所あるいは開発原油の、たとえば硫黄分が非常に多いとか、そういう質の問題とかいろいろございますので、海外に適当な提携先を見つけ、海外に売ることによってドルをかせぐということも十分考えてしかるべきだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/43
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044・桜井茂尚
○桜井委員 また、フランスからすでに申し出があるとおり、オーストラリアなりカナダなりで採掘する場合、提携することも必ずしも不利とは言えません。この点、政府はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/44
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045・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 提携の内容次第によっては、そういうことも十分考えられると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/45
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046・桜井茂尚
○桜井委員 また、中近東の石油が概してサルファ分が多く、このことが公害発生の理由ともされております。これを薄めるためはサルファ分の少ない石油が必要であります。そこでインドネシアの石油もよいが、それ以外に良質なソ連原油の輸入が考えられます。現に出光は若干この方法をとっております。そして、ソ連原油をわが国の総需要量の一割程度輸入することは何ら国家利益に反するものではないと思うのでありますが、またこの点につきましては日本の石油の最高の学者といわれる方もそのようにおっしゃっておるのでありますが、政府の見解はいかがなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/46
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047・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 ソ連原油の輸入につきましては、御指摘いただきましたように硫黄分が非常に少ないという意味で、高い硫黄分の原油とまぜるということで非常に有効だと思います。何割くらいまでよろしいかというのは、明確には特に何割ならよろしいということはできませんが、相当輸入しても差しつかえないというふうに考えます。ただ現実は値段の問題がございまして、あまりふえてないという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/47
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048・桜井茂尚
○桜井委員 ソ連原油につきましては、御承知のとおり国際石油カルテルの謀略によって、数年前イルクーツクからナホトカヘパイプライランを引く、そのパイプを輸出することを妨害されました。で、今日国際石油カルテルは、わが国を一番成長率の高い優秀な市場だと思って必死になってかかっているようでありますが、われわれが国民経済の見地から、日本人としての見地からいくならば、先ほど申し上げましたとおり三、四割はどうしてもわれわれの手で確保しなければならないし、またソ連原油を一割程度、この程度は輸入したからといって何ら国家利益に反するものではありません。だが、昭和四十七年に二億トンの需要ということになりますと、一割といっても二千万トンであります。この二千万トンを日本に輸入するというためにはパイプラインを、よほど大きなパイプラインを引かないと、とても輸入できるものではありません。したがって、シベリアへパイプラインを設置する、ソ連に頼んでそういう方向をとってもらうということは、単に石油業にとって有利であるばかりでなく、鉄鋼業にとりましても非常に有利である、このように考えるのであります。このことはいまから準備を始めませんと、いまから交渉を始めませんととても間に合いません。このことについて政府はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/48
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049・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 ソ連の油につきましては値段の問題等で最近むしろ輸入量が、シェアが若干落ちぎみだという状況にございますが、今後パイプラインを引きまして長期的に入れるという場合にも、商取引の問題としていろいろ価格の問題とかその地の条件があろうかと思います。現在ではパイプラインを引いてくるという計画は聞いておりません。前にそういうことがありましたのは先ほど御指摘のとおりでございますが、今後どういうふうにこれを扱うかということは、現実の問題としてはまだ出ておりませんが、そういう問題がございますれば検討さしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/49
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050・桜井茂尚
○桜井委員 この問題は非常に大きな問題でございますので、実は通産大臣がおりませんと御回答はできないだろうと思います。国の大きな政治の問題でございます。しかもわが国の総合エネルギーの基幹をなす燃料政策の根本に触れる問題であります。しかもわが国の鉄鋼業にも関連がある。ただいま局長さんはただ単に値段値段とおっしゃいますが、ソ連はCIFでこっちへよこしているはずであります。現在は黒海から小さな二万トン程度のタンカーで日本に運んでいるはずでございます。だからいろいろと問題が出るのでありますが、日本の鉄鋼業の将来あるいは総合エネルギー全体の将来というものから考えた場合に、この点は日本の政府としてよほどしっかり考えて英断を下さなければならない問題と考えます。
ところで、いままで原油について質疑をいたしてまいりましたが、原油だけでは問題は解決いたしません。精製と流通の分野が確立しないならば石油政策が一貫したものとはなり得ません。そこでお伺いいたしますが、本年度アラビア石油のわが国での処理は千二百万トンときまりました。ところで、アラビア石油の生産能力は現在幾らあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/50
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051・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 原油の生産の能力と、それから積み出し能力とそのほか全部考えまして、大体千三百五十から千五百万キロリットルぐらいではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/51
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052・内田常雄
○内田委員長 桜井委員に申し上げますが、委員長から通産大臣の出席を要求いたしておりまするところ、ただいま参議院の本会議に大臣は出席中でありまして、十二時ごろには当委員会へ出席できるはずになっておりますので、それまでは政府委員に対して質疑を御継続願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/52
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053・桜井茂尚
○桜井委員 わかりました。
私の調べた範囲あるいは聞いた範囲では、二千万トンまでは十分出せる能力を持っておると言われております。それで、アラビア石油のカフジ原油は硫黄分が多く、公害を発生するといってきらわれているのでありますが、国際石油カルテルが生産する原油でわが国に輸入されるものは硫黄分はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/53
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054・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 硫黄分でございますが、カフジ原油が約二・九%程度でございます。それからサルファの高いものでは、中立地帯のものが一番多うございまして、そのほか中近東関係は大体硫黄分が高いわけでございますが、カフジの二・九というのは非常に高いほうでございまして、二・八%から二%程度までの間に中東の原油は大体入っております。それからサルファの低いほうでございますが、イランのものはわりあい低いほうでございまして、二%をちょっと割っております。それからインドネシアのほうはずっと低うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/54
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055・桜井茂尚
○桜井委員 私が御質問いたしたのは、日本に輸入される原油で一番中核をなすもののサルファ分は大体どのぐらいか。産地における硫黄分はどの程度か、それは別であります。日本に輸入されるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/55
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056・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 量的にはクエートの原油が二割ちょっとということで、比率から言うと非常に高うございますが、これが二・五%ちょっとでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/56
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057・桜井茂尚
○桜井委員 アラビア石油とクエートのものでは大体三、四%程度ある、このように聞いております。そこで、国際石油カルテルの生産する原油でもサルファ分の少ないものはあるはずであります。先ほどもイランのものはそうだとおっしゃられました。それとカフジ原油をまぜて使えば、この問題は解決するのじゃなかろうか、こう思うのですが、精製会社はこれに協力することを渋っているのですか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/57
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058・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 サルファの高いものは極力低いものに変えようということで、各社とも低い原油の獲得に非常に努力をしております。努力をしながら、現実にはカフジの油もサルファが高いため負担になっておる、こういう状況でございますが、ちょっと申し上げますと、三十五年くらい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/58
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059・桜井茂尚
○桜井委員 渋っているかいないか、それだけなんです。簡単です。国際石油カルテルはカフジの原油を入れることを渋っているのかいないのか。いるならいる、いないならいない、よけいなことを言わぬでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/59
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060・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 硫黄分が高いために渋っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/60
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061・桜井茂尚
○桜井委員 現にサルファ分の低いのを入れてまぜて使えば十分解決できるものを、日本のいわゆる民族資本によってつくられたものに対しては、外国資本は協力をしない、渋っている。それならアラビア石油がカフジの下層のラタウィ層を開発した場合、彼らはその引き取りに協力する見通しを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/61
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062・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 アラビアに硫黄分の低いものが出るということなら、十分協力すると考えます。渋っていると申し上げましたが、昨年度の一千万キロから千二百二十万キロリットルというように、昨年よりは輸入比率も上げてきておりますし、その程度では大いに協力をしていると考えております。したがいまして、サルファの低い油が出ますと、一そう引き取らせることができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/62
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063・桜井茂尚
○桜井委員 精製会社と一〇〇%の原油供給契約をしておるところで、そこへ日本のほうで生産したものをどんどん持っていって、それに全面協力するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/63
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064・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 ある程度までといいますか、一定の限度はあると思いますが、日本の政策であるということでございますと、現状以上に引き取らせることはできると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/64
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065・桜井茂尚
○桜井委員 また、前に申し上げましたが、サルファ分の少ないソ連原油とブレンドするならよいと思うのですけれども、これら国際石油資本はこれにも協力していない。現にしてなかった。妨害しておる。したがって、わが国が海外で石油資源を開発した場合、当然のこととして国の施策に喜んで協力する精製会社を育成しなければなりません。それでなければこの目的を果たすことはできない、このように思うのです。本格的にはそうする以外に方法はないと思うのですが、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/65
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066・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 御説のとおりだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/66
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067・桜井茂尚
○桜井委員 数日前の新聞によりますと、通産省は原油公社をつくって、国内産油並びにわが国が海外で産出した原油を一手販売するという案を持っておるようでありますが、事実ですか。そしてまたそれはいつから実施しようとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/67
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068・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 原油公社の問題については、まだ検討はいたしておりません。石油鉱業連盟、業界の団体でございますが、そこから設立を希望するという意見を聞いておりまして、これからこの問題を考えたいと思いますが、どういう点を趣旨とするかという詳細な点について、いま事情を聞こうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/68
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069・桜井茂尚
○桜井委員 また、当面すぐできることですが、わが国は現在千五百万トンに及ぶ重油を輸入しております。この輸入重油をなるべくサルファ分の少ないものを選んで、サルファ分の多いカフジ原油とブレンドするなら公害対策上もよいと思うのですが、カフジ原油と輸入原油をリンクする考えはございませんか。これはやるならすぐできると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/69
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070・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 カフジ原油に対して輸入制度上リンクするというのはいろいろ問題があろうかと思いまして、いまのところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/70
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071・桜井茂尚
○桜井委員 問題があるというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/71
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072・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 カフジの原油を円滑に引き取らせたいということで引き取りはしておりますが、輸入原油のうち特別のものだけにリンクをしてやるということよりは、実際上カフジ原油の輸入に極力協力してもらうというやり方のほうが円滑に進むということで、従来からそういうことで解決をはかっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/72
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073・桜井茂尚
○桜井委員 国際石油資本に泣き泣き頼んでやっとこさっとこ引き取ってもらうためにいろいろと皆心なさっておる。日本のエネルギー政策というものをわれわれが自分みずから決定することができない。それほど情けない状態です。そうしてそういういろいろの問題がある。問題があるというのは、国際石油カルテルが自分の都合でもうかるようにやりたいものだから、いろいろな形で脅迫してくれば、それをそうかという形で受けていかざるを得ない。そうしてお願い申してお願い申して、ひざを八重に折ってやっとこさっとこやってもらう。こういう状態で国のエネルギー政策というものはほんとうに確立しますか。先ほども申しましたとおり、低廉かつ安全、しかも安定的、これを確保するためには、三割というならば六千万トン、四割というなら八千万トン、これを国際石油に引き取れ、こう言うことはできますか。当面すぐにもわが国でやればできることさえも実施していない。そういう弱腰だから何もできぬということにならざるを得ません。独立国の政治じゃありません。そういう意味におきまして、とにかくもっと日本の国民経済、日本国民の利益に立った政策を通産省が腰を据えてやっていただきたいと私は思います。そしていま申しましたとおり、日本の資本による精製会社を拡大しなければならない。そういたしますと、現在のような許可方針ではできるはずもありません。現在の許可方針では総花的に、先ほども言っているようにやっているのでありまして、これでは日本の民族系の石油資本は育たない。だから許可方針を改めて、民族系の会社に優先的に設備投資を認めるべきだ、こう思うのですが、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/73
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074・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 現在の設備の許可の場合には、各社の操業率、それから販売実績、販売能力その他を考えまして、逐次許可をしているわけでございまして、特に外資系だということで差別をするということをしていないということは、先ほどお答え申したとおりでございますが、民族系の会社が、実際にそういう販売能力の点についても実力を持つということが一番大切ではないかと考えます。そういうことで、本年度考えております共同石油の問題ということは、中堅企業を集約化をいたしまして実際に実力を持ってもらう、そういうことで販売の力も出、体質の強化をはかっていこう、それが設備の許可にも結びついていくであろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/74
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075・桜井茂尚
○桜井委員 非常に考え方がみみっちいのです。先ほども申しましたが、もう一ぺん繰り返して申し上げます。昭和四十七年には二億トンにも及ぶ需要になるのだ。そして三、四割は国内で、国内資本による原油を確保しなきゃならない。それでなければ外国の国際カルテルの支配から脱却することはとうてい不可能だとするならば、六千万トン、八千万トンという原油を日本の民族系の精製会社なり何なりにやらせなきゃならぬ。それが、ことしは四十年ですから、四十七年といえば六年半しかない。六年半でそれを実施させなければ、ほんとうの意味での日本の独立した石油政策というものは成り立ち得ないのです。そこで、そういう場合に、いまのようなこそくな手段ではどうにもならない。大きな方針を立てていかなければならない。そこでお金が必要であります。原油開発と石油精製の設備投資を合わせた場合は、その資金量はたいへんであります。現在では、いま申し上げましたとおり石油に関する何らの基本方針がないために外資系がますます強大となり、民族系の資本不足の結果、外国石油会社に借款をするので、そのたびに原油のひもつきがふえるばかりであります。したがって強大な国際石油資本によるエネルギー支配、そしてこれを通ずるわが国経済支配を脱却し、国民経済の真の独立を確立するということはたいへんな事業であります。そこでイギリスにおけるBPやフランスにおけるCFPやイタリアにおけるENIのようなインティグレーテッド・オイル・カンパニー、すなわちわが国の事情に合った国策会社をつくることがぜひ必要になってまいります。特にこの場合、採油、精製、販売まで一貫したものをつくることが大切であります。そしてこのためには、戦争直後に傾斜生産方式というのをとりました。石炭、電力、鉄鋼等で行なったのであります。こういうぐあいの強力な方針を打ち立てないならば、一社で日本の国家予算の倍にも及ぼうとする国家石油会社に太刀打ちすることはとうてい思いも及びません。このことは、日本の民族系石油精製会社あるいはアラビア石油でさえ今日まで開銀融資の対象となっていない。それほど国家はないがしろにしていた。まさにふしぎな現象であります。この点につきまして通産大臣、そして資金に関係がございますので大蔵省の見解、この点をどの程度の覚悟を持って臨もうとしているのか。総合エネルギー調査会をつくるにいたしましても、初めからただつくるんじゃなくて、決意がなしには話になりません。その点についての御覚悟のほどをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/75
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076・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 石油政策の重要性はいまさら申し上げるまでもないと思うのであります。したがいまして、私といたしましては海外原油の開発、邦船タンカー船腹の増強、貯油の増強、国産原油及び天然ガスの開発など、各種の施策を総合いたしまして石油対策に万全を尽くすべきだ、こういう立場で行政を指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/76
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077・内田常雄
○内田委員長 通産大臣から、大蔵省を含めて資金の確保を期する旨を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/77
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078・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ただいま石油政策に対する資金の配慮の不足を御指摘いただきましたが、私としては今後そのようなことのないように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/78
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079・桜井茂尚
○桜井委員 次に、エネルギー部会の報告にもあるとおり、欧州諸国同様三、四カ月のストックを持つべきじゃないのか。欧州でもEECで勧告がございますが、現に重油が切れてあわてて輸入するというようなことがしばしばあります。このことは最近特にLPGにあらわれております。そうするとタンカーの配船が計画的に行なわれず、非常に不経済にもなっております。したがって、一朝局地的な動乱その他による場合に準備するばかりでなく、平生このことが必要になっております。この点政府はどのように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/79
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080・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 安定供給の面から、適正量の原油在庫及び製品在庫を持つことが必要であると考えます。ただし、現実には国際収支上の問題、といいますのは、大量のストックを持った場合の外貨の問題でございます。それから国内の資金量の問題等がございまして、本格的な貯油政策というものを取り上げるまでには至っておりません。現在は約四十日分程度の在庫を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/80
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081・桜井茂尚
○桜井委員 この問題を解決するためにも、先ほど申しましたとおり非常に重大な背景となる諸施策がなしにはできないのであります。しかし、これはやらなきゃならないことであります。この点は特に指摘いたしておきます。
次に、LPガスの利用が爆発的に増加してまいりましたし、また各種災害の発生に伴いまして社会的問題にもなっております。そこで、総合エネルギー政策の一環としてLPガスの将来についてお尋ねしたいのであります。まず前提といたしまして、エカフェの二十一回総会が本年三月十六日からニュージーランドのウエリントンで開かれました。ここにおいてわが国はどのような提案をいたしましたか、また、どのような決議がなされたか、この点科学技術庁から御回答を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/81
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082・橘恭一
○橘政府委員 第二十一回のエカフェの総会では、科学技術の立場から経済企画庁及び通産省から出ました代表団員と相談して各国に呼びかけ、決議を成立させました。その内容は、エカフェ地域の開発に科学技術を応用するということの必要性を強調したものでございます。その協力の具体例としましては、現在科学技術庁において調査中のもののうち、コプラ、トウモロコシ、サトウキビ、そういうものについて考えております。コプラ、またトウモロコシ、サトウキビ、それぞれございますが、いずれにしましても科学技術にまりまして新用途あるいは従来よりも用途の増、そういうものを考えて、一次産品の輸入増、現地の工業化、開発ないしは輸入先のスイッチ、そういうものをやるべく、国別、資源別の具体的な処方せんのごときものをつくるべく目下四十年度予算をとって具体的な調査を進めております。例につきましてはございますが省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/82
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083・桜井茂尚
○桜井委員 貿易や低開発援助の一般論につきましては本日はやめるにいたしまして、本日は科学技術庁のいま申されました協力について、もうちょっと具体的にひとつお教え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/83
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084・橘恭一
○橘政府委員 利用の例は、コプラは食品原料、工業原料、家畜のえさということで総合的に使うということで、たとえば工業原料として、現在下水処理の障害になっております合成洗剤の欠点、これは下水処理の機能を果たし得ないということでございますが、そういうものの対策としてソフト洗剤を開発、普及する。それからサトウキビにつきましては、そのしぼりかすである例のバガスをパルプにする、あるいは廃糖みつを原料としてグルタミン酸、リジン等のアミノ酸をつくることは現地で工業化できるのではないか。それからトウモロコシにつきましては、非常に地力を消耗しますので、栽培技術の開発をやりまして品種改良、地力の維持、なお貯蔵、輸送技術を改善いたしまして、かりに日本が買う場合に継続安定して輸入できるような見通しを立てる。そうしますと、現在東南アジア以外から買っているところを東南アジアに切りかえてずっと日本に輸入する、輸入増でございます。あるいはトウモロコシのばかでかい穂軸は一般に役に立ちませんが、その穂軸からフルフラールをつくるというようなことも工業化できるのではないか、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/84
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085・桜井茂尚
○桜井委員 次に一次産品の輸入の問題は、昨年ジュネーブにおける国連開発会議のときも、日本が低開発国からつるし上げられ、恥をかくほどの問題でございました。私はこの問題について、昨年も当委員会において、そしてことしは予算委員会の第四分科会で質問いたしましたが、不明確な答弁しか得られませんでした。農林省はこの問題について、基本的にどのような考え方を持っているのか、またこの問題に関する基本的調査研究を現在までやっているのかどうか、そしてもしやっているならその調査研究についての資料をちょうだいいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/85
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086・林田悠紀夫
○林田政府委員 私、園芸局関係だけ所管をしておりまして、農林省全体のほうを所管していないのでございまするが、一次産品の低開発国からの輸入問題は、もう昨年からの問題でございまして、特に最近はジュネーブにおきまして、いわゆるケネディラウンドによりまする関税一括引き下げ問題が農業につきましてもこの五月ごろから始まることになっておりまして、農林省といたしましては着々準備を進めておる次第でございます。ただ農業問題は、御承知のように世界的にもむずかしい問題でございまして、特に日本におきましては零細農がその多数を占めておるという状態でございまして、くだものにつきましても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/86
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087・桜井茂尚
○桜井委員 聞いたことだけ御回答願いたいのです。私がお伺いしたのは、この問題に関する基本的調査をやっておるかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/87
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088・林田悠紀夫
○林田政府委員 やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/88
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089・桜井茂尚
○桜井委員 その資料はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/89
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090・林田悠紀夫
○林田政府委員 資料はございまするが、現在はむしろ関税の一括引き下げという問題に対処しておるような状況でございまして、そういう資料はあるわけでございまするが、先生のおっしゃいますのがどの程度の資料か、ちょっとはっきりしないのでございます。概括的な資料はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/90
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091・桜井茂尚
○桜井委員 農業問題が非常にむずかしい問題であるということはよく知っております。各先進国も各種保護政策を行なっており、いろいろと苦心いたしております。わが国においても重大な影響がございますので、簡単に輸入を増加させることはできません。だから自由化や輸入増大をしないにしても、これができない理由を、ことばだけではなくて、確固とした各種の政策を現実に実施することによって低開発地域の国々に納得してもらわなければなりません。そしてまた、もしわれわれがこれに対処して国内農業政策を転換できるなら、そのできる転換策も考えるべきであります。この点についてはどのようにお考えですか。もう研究が済んでいるなら資料がおありだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/91
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092・林田悠紀夫
○林田政府委員 いろいろ種類がございますので、概括的に申し上げさせていただきますと、やはり今後低開発国の開発ということを考えましたならば、ある程度の輸入の増大とか、あるいは関税の引き下げとか、そういうことが必要になってくると考えておるのでございます。しかしながら、国内における農業保護ということが一方においてどうしても必要でございますので、そういう観点から、日本の農業の生産性を上げていくということが焦眉の問題でございまして、そのために、農業の生産基盤の改善とか、あるいは農業構造を改善してまいるとか、そういうことにつきまして現在努力をしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/92
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093・桜井茂尚
○桜井委員 ただ単なる生産性の増大だけでは、需要のないところには販売はできません。生産性が増大すれば外国との競争において勝つということはあり得ても、需要があって初めて売れるのであります。だから生産性だけ上がっただけでは問題は解決いたしません。
そこで、低開発国からの輸入で一番大きな影響を受けるものの一つとしてタピオカや糖みつがあります。これはわが国農業で米麦についで三位にあたるカンショ、バレイショに大きな影響を与えます。ことにカソショヘの影響は大きい。そこで作付転換はいますぐにはできないにしても、あるいはむずかしいにしても、もし温帯性野菜や果実の生産のできないシベリアあるいはその他南方のシンガポールでも、諸外国にマーケットを発見し得て、しかも輸送が可能ならば、イモづくりを野菜や果実の生産にかなり切りかえることは不可能ではないと私は考えるのであります。そして、これには冷蔵輸送が絶対に必要であります。私はこのことを昨年も当委員会で申し上げましたし、先ほども申しましたとおり、本年も予算委員会の第四分科会で指摘いたしましたが、もう一度農林省の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/93
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094・林田悠紀夫
○林田政府委員 先生仰せになりまするように、冷蔵輸送が可能になりましたならば非常にけっこうだと存じておる次第でございます。それで、現在南方に対して輸出いたしておりまするものは、果実とかあるいは蔬菜を入れまして大体二万五千トンぐらいでございまして、冷蔵輸送につきましては、南方におきましてもコールドチェーンがある程度確立をしてまいるということも必要でございまして、急にふえてまいるということはなかなか困難であろうと存じております。今後そういう……(桜井委員「シベリアはどうですか」と呼ぶ)シベリアにつきましても最近次第にふえておりまするが、大体秋から冬にかけての輸出ということでございます。たとえばリンゴとかあるいはバレイショとか、そういう品物でございまして、したがいまして必ずしもその冷蔵輸送が必要であるかどうかということは問題であろうと思いまするが、聞いておりまするところでは、シベリアの需要も急速にふえてきておるようでございまして、今後大いに検討いたしまして、輸出をふやしてまいりたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/94
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095・桜井茂尚
○桜井委員 ところで、冷蔵輸送は単にこれにとどまらず、食肉あるいは鮮魚の輸送、さらに食品衛生等にも大きな影響があるはずであります。そこで、冷蔵輸送はどのような利益があるのか、科学技術庁から御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/95
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096・橘恭一
○橘政府委員 基本的効果といたしましては、食品の品質を落とさないで貯蔵できるということでございます。それから二次効果が発生するわけで、大よそ三つございますが、第一に波のない出荷ができる。そのため生産者にとっては、いわゆる豊作貧乏、豊漁貧乏というようなことが解消いたします。また消費者にとっては、価格が安定し、常時入手できる。輸送面では、ピークが発生しない、そういうこと。それから第二の点は、冷蔵でありますから、添加物や食塩等を用いないで食品の保存ができるということで、いわゆる化学的添加物の使用あるいは食塩の過剰摂取というようなことが問題がある向きもある、これが回避できます。それから第三の点は、変質しないということ、したがって、当然ですが鮮度が向上し、資源のむだが減る。現在のようなロス込みの価格もなくなるであろう。ついでながら三十八年の食品需給表によれば、野菜二十三品目について約二〇%近く、果実だけをとれば総量の約四〇%程度近くというものがロスになっております。それから効果のさらに発展した場合は、いろいろ食品の等級、規格、生鮮でございますが、そういうものがきまり、検査保証という制度が確立されますと、生鮮食料品が次第に一般の食料品に近くなってくる。したがって電話で取引ができる。現品取引がなくなって、したがって商品が産地から直送され、いわゆるセリにかからなくても済むようなこともいずれは出てくるであろう。そのために直送による輸送の合理化がある。ついでながら現在東京に持ち込まれる生鮮食料品は、四〇%程度は一たん入りますが、また外へ出ていっているという状態でございます。さらに低温流通が産地加工というようなことと組み合わされました場合には、産地で殺す、そこで加工して一部低温で保存しておく、いわば農家の保有肉とも称すべきものができて、農村の食生活の改善、あるいは輸送面でも、牛を送らなくても肉を送るというような当然な合理化がある、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/96
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097・桜井茂尚
○桜井委員 そのような効果があることはわかります。諸外国への輸出ということを目途にいたすにいたしましても、技術的にまず完成し、経済的に採算のとれるものとして、ある程度国内で普及することが必要であります。これなしに海外へということは不可能でございます。そこで、たとえば北海道の牛乳を市乳として東京に供給したり、関東の野菜を北海道へ持っていくことが可能であるならば、国内問題の解決にも直接役立つと思うのであります。そして私はこれは可能であり、成功する見通しがあると考えるのですが、このことをやってみる気はあるのかないのか、農林省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/97
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098・吉岡茂
○吉岡説明員 LPガスを利用いたしまして牛乳、食肉、鶏卵、アイスクリーム等を冷蔵輸送するという問題につきましては、最近研究が進められております。そして、その一部につきましてはすでに実用化試験、そういうような段階になっておるわけであります。私たちといたしましては、その成績を見まして、将来普及の可否を決定いたしたいと思っておりますが、中間の段階で、ただいま私たちが聞いておりますところでは、あるメーカーにおきまして、牛乳とアイスクームのLPガスによる冷蔵輸送というものを実験的にやっております。結果につきましては、牛乳の輸送につきましては難色はないようでございますが、アイスクリームの輸送という段になりますと、マイナス二十五度というような低温に維持する点に難点があると聞いております。それからもう一つ、故障の問題もございまして、いま直ちに全国的な規模でこれを実用化の段階にするのはまだ早急な段階ではないか、そういうように考えておりますが、おいおい設計も進み、改良も加えられますれば相当程度実用化がなるのではないか、そういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/98
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099・桜井茂尚
○桜井委員 科学技術庁、どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/99
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100・橘恭一
○橘政府委員 北海道の牛乳につきましてお答えいたします。
輸送コストは一般的に大量輸送がいい、あるいは長距離の場合は海上がいいいということが原則でございますが、牛乳の場合は、北海道の酪農地域から必ずしも海上の大量輸送ができるかどうかという問題があると言えます。科学技術庁では、四十年の予算で小型のLPガス冷蔵船、この試作を計画しております。陸上のLPガスの冷蔵車につきましては、いま農林省のお答えどおりでございますが、アイスクリームにつきましても、かなり東京−阪神間の長距離輸送に成功はしております。それから実際に販売されつつあります。したがって、四十一年度は予算をとりまして、LPガスの冷蔵船によって実際に酪農地点の北海道から関東市場に送って、はたしてその経済性がどうであろうかという検討をやるべく、いま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/100
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101・桜井茂尚
○桜井委員 次に、消費面への影響として、LPガス冷蔵輸送が大気汚染や食品衛生上どういう意味と価値を持ち得るか。厚生省来ておりますか、あるいは通産省からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/101
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102・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 排気ガスの問題でございますが、自動車の排気ガスにつきましては、LPのほうがガソリンに比べまして一酸化炭素も少ない。それからオクタン価を上げるための四エチル鉛等もございませんので、公害上はLPガスのほうがよろしいということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/102
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103・桜井茂尚
○桜井委員 たとえば魚のような場合には、最近オーレオマイシンを使っております。そして、これは必ずしも衛生上よろしくございません。こういう点につきまして、厚生省がおらなければやむを得ませんから、科学技術庁から簡単に御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/103
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104・橘恭一
○橘政府委員 いまの件は、特定のカマボコのごとき二次製品、そういうものの原料魚としての魚、そういうものを小さな船でとるために、正規の冷凍ではなくて、氷詰めにしております。その氷にオーレオマイシンが法定量入っておる。それが往々にして、法の限りにおいてはもちろん害はないのですが、一般になまで食べるものにも、取り締まりの目をくぐって出てくる、そういう問題点であろうかと思います。また原則論として、抗生物質を食品に添加してはいけないという食品衛生法の根本精神から見てどうかという御質問と解釈いたしますが、その点につきましては、食品衛生法ではそういうことは好ましくないという原則でございますが、さりとて漁村の場合にオーレオマイシンの氷を使わなければいけないという問題、これはまた別でありまして、そういういわゆる社会開発ですか、人間の保健衛生の問題と、片方そういう漁村振興とか、そういう問題とのいわば不一致とでも言うべきものが、一応科学技術の介入によってこれを解決できるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/104
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105・桜井茂尚
○桜井委員 それにしましても、魚をとる段階で、この漁船はディーゼルエンジンを使って重油をたいておりますが、そして氷を使って冷蔵いたしておりますが、これにLPガスを使った場合には冷蔵も兼ねることができますし、船の貯蔵面積が広くなりますから、魚をたくさんとってくるということができると思うのですけれども、この点、科学技術庁はどういうぐあいに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/105
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106・橘恭一
○橘政府委員 いまの点は、氷の分だけ魚を余分に積むことができることは事実でございます。したがって重油とLPガスの値開きの点については、これを相殺し、かつオーレオマイシンの氷を使わないというのはメリットがある、目下これについて調査を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/106
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107・桜井茂尚
○桜井委員 いま科学技術庁からいろいろとLPガスの冷蔵による問題につきまして、こまかい、その非常に進んでいる点の説明がありました。ところで、漁業燃料としての重油の料金は非常に安い。LPガスの使用は奨励されなければならないし、科学技術庁からすでに一月二十六日各省に対して、その点についての勧告がいっているはずでありますが、LPGの税金はどう取り扱ったらよいのか、これは奨励するのがいいのか悪いのか、そしてまたそうした場合には、重油の税金との関係からいったらどうしたらいいのか、その点について、まず奨励すべきものかどうか、そしてその場合における税金に対してはどう考えるのか、通産省からお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/107
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108・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 現在LPGで税金が問題になっておりますのは自動車用でございまして、自動車用の税金だけが問題になっておりますが、そのほかについては現在考えていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/108
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109・桜井茂尚
○桜井委員 私は重油との関係について御質問したのです。もしLPガスが、いま言いましたとおり奨励さるべきものだとするならば、漁業における重油との関係についてどう考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/109
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110・大慈彌喜久
○大慈彌政府委員 奨励されるべきものでございますと、税金はかけるべきではないと思いますが、現在は自動車用のLPGだけが問題になっている状況でございます。ちょっと質問を取り違えて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/110
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111・桜井茂尚
○桜井委員 どうもいままで問題になってないということでうっかりしているようでございますので、この際、通産省でもってよくその点も検討していただきたいと思います。
次に運輸省にお伺いしますが、ガソリンとLPガスとの大気汚染について、先ほど通産省からはLPガスのほうがいいんだ、こういうように言われておりますが、この点について運輸省は、公害上の問題からしてどう考えているか、御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/111
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112・中野大
○中野説明員 お答えいたします。公害防止の関係では自動車の排気ガス、これはなかなかたいへんだろうと思いますが、通産省のほうでいろいろお答えになったと同じように、私のほうといたしましてもLPGのほうが効果があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/112
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113・桜井茂尚
○桜井委員 それならば税金についてどう考えますか。いま通産省のほうでは検討していると言いましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/113
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114・中野大
○中野説明員 ガソリンに税金がかかってございます。したがいましてガソリン税との均衡上、キロ当たり今度十七円五十銭ということになりましたが、そういった均衡上やむを得ないというふうに考えておりますけれども、ただ価格が安定いたしております限り、一応そういったことで考えておりまして、いろいろ問題もございましたが、話し合いまして、四月から実施というのを一応本年一ぱい実施を延期していただいたというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/114
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115・桜井茂尚
○桜井委員 LPガスにつきましては非常に問題が多いようでございますので、よく御検討をお願いいたします。
次に、北海道から東京に市乳を運搬することにつきまして、先ほど農林省や科学技術庁のほうからは御説明があったのですが、私は、この間の本会議の答弁で何か運輸大臣は、大量集荷が困難なので船による輸送はむずかしい、こういうようなことを言ったようにちょっと記憶しておるのですが、こういう点につきまして運輸省はどのように考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/115
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116・中野大
○中野説明員 北海道あるいは東北地方でなま牛乳が夏季には過剰化傾向にあるというふうに伺っております。それを本土に持ってまいりますにつきまして、いま先生からのお尋ねは船舶でございましたけれども、専用船をつくりましてそれを充てるということになりますと、それを集荷しますのに何百トンということになりますと、相当な期間北海道の港に停泊しなければなりませんし、また船足がおそいということによりまして質の低下ということも考えられまして、いろいろ問題点があろうかと思います。したがいまして、そういった経済性なり安全性その他いろいろな全般を考えて検討してまいりたいと思いますけれども、当面さしあたって船舶による輸送は困難じゃないかと思います。ただ、かわりまして鉄道におきましては、三十九年度に試験的にいろいろ検討いたしまして、四十年度には冷蔵車によります輸送ということを行なってみたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/116
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117・桜井茂尚
○桜井委員 運輸省のほうでは困難だと言いますし、科学技術庁のほうではできると申します。この点につきましては、まだ技術が開発途上でございますので、あるいはそういう点も無理もない、こう思いますが、しかしいずれにしましても科学技術が近代の世界をつくっているのでありますから、それに対して、運輸省の方面におきましても農林省におきましても、もっと本格的に取り組んでもらうという姿勢がほしい、このように考えます。
次に、コールドチェーンができるのでありますが、コールドチェーンは、商店や家庭に冷蔵装置が現在以上普及しなければならず、生活の近代化がまた急速に進まなければなりません。しかしその一方、これは流通の合理化が大きく展開いたします。そして消費コストの中で流通費の占める割合がわりあい多いのでありますが、中でも包装費は消費コストのうち六分の一を占めております。現在この包装費だけでも七千億円に達しております。ここに大きな節約が可能となると思うのですが、通産省はこのコールドチェーンをどのように考えているか、流通政策でございます。お伺いいたします——わからないようですからけっこうでございます。ただ、こういうことがわからないでは、いま物価が値上がりして、しかも物価に対して流通部面が非常に弱点であるといわれているときに、こういう問題について真剣に取り組んでいないから、答弁もできないような始末になるのであります。
LPGについてもうちょっとお伺いいたしますが、先ほど私申し上げましたとおり、一月の二十六日にすでに各省に対してこのことは勧告されている。だが、いまの答弁のように答弁ができない、こういう事態、要するに各省の認識が足らないのであります。これに本格的に取り組むのにはもっと運営を強化しなければ、とてもできません。この運営を強化するために、運営要領とかその他、そういうものを成文化する必要があると思うのですが、こういうものをいまつくってありますか、科学技術庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/117
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118・橘恭一
○橘政府委員 各省ではっきりしたものはまだつくっておりません。ただし推進のための連絡会は、去る一月二十五日と記憶しますが、第一回をやりまして、第二回目は六月上旬にやろうということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/118
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119・桜井茂尚
○桜井委員 もう時間がございませんようですので、非常にスピーディに申し上げますから、御協力をお願いします。
次に、簡単に原子力についてお伺いいたしますが、原子力は将来のエネルギーとして重要であるばかりか、すでに今日でもかなり明るい見通しが持たれております。したがって、いまからしっかりした施策を立てておきませんと混乱いたします。そして現在原子力発電株式会社の一号炉がすでに完成し、第二号炉も計画中であります。その他東電、中部電力、関西電力等がそれぞれ建設計画を持っております。このようにばらばらな開発体制で政府はよいと思っているのかどうか。問題は、国民経済に及ぼす原子力の影響力は、たいへんなものであります。また、より高度の国策に関係するものであります。私は計画的、統一的な国による開発が必要であり、いまから施策をきちっと立てておかなければならないと思うのですが、政府の見解はいかがなものでございましょうか、通産大臣からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/119
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120・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 詳しくは公益事業局長から答えさせますが、お話しのように今後の原子力発電の重要性にかんがみまして、長期的に計画的に考えるべきだと思います。しかしながら、民間の電力会社におきましても、おのずから新しい発電源としていろいろ考えておるところでございますので、それらの点を総合的に通産省で指導いたしまして、今後のエネルギー対策として十分措置していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/120
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121・桜井茂尚
○桜井委員 電力会社の問題につきましては、九分割そのものに、すでに昨年も当委員会で問題になりましたが、問題があります。それにもかわらず、原子力までそういうことになりますと、将来にとりまして非常に重大であります。したがってこういう原子力というような一国の運命を左右する問題につきましては、政府におきましてよほどしっかりと考えていただかなければならない。この点重ねて申し上げてだけおきます。
最後に、この法案につきまして、ごく二、三カ所だけ御質問いたします。
各種調査会で海外調査まで行ない、すでにエネルギー問題についてはほぼ意見が出そろって、方向もほぼ一致いたしております。しかるに、いままで各種エネルギー政策がばらばらであるばかりか、ことに石油関係が無方針であったのはどういうわけか、その点について大臣からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/121
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122・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ただいま御質問で、非常にばらばらであるというように御主張でございましたが、すでにこの総合エネルギーとしての問題は取り上げられておるのでございまして、今回の法案による調査会の設置を待たずに、産業構造審議会のほうでエネルギー調査をしておることは御承知のとおりでございます。ただ、部分的には不十分な点もあろうかと思いますが、考え方としては総合的に、石炭も石油も電力も、あるいは天然ガスも考えなければならぬということについては、われわれはそのような認識で行動しておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/122
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123・桜井茂尚
○桜井委員 石油政策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、実に無方針そのものであります。通産大臣のおことばではございますけれども、私どもはどう見たって、この問題につきまして従来施策があったというぐあいには考えられません。すでにいろいろな答申は出ておるわけであります。にもかかわらずそれができなかったのであります。
次にお伺いいたします。政策の将来の見通しに基づく計画性が欠除しておる。現実政策の上でも手が打たれていなかった。一九六〇年代の政策が一九八〇年代のエネルギーを決定するといわれております。しかも先ほどから私は申し上げておりますとおり、わが国国際収支の問題は、まさに焦眉の問題でもございます。そこで、今度できる調査会が、結論を早急に出さなければならず、また、その早急に結論が出たら、ほんとうに政府は実施する決意がございますか。この点一応お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/123
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124・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 総合エネルギーの施策を十年、二十年と長期にわたって判断していく必要は当然あると思います。しこうして、今回の調査会の各種の結論につきましては、それはわれわれとして直ちに実行に移すだけの腹がまえをもって臨んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/124
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125・桜井茂尚
○桜井委員 私の質問、もう一つ落ちておりますからお答え願います。
国際収支の問題は焦眉の問題であります。この問題につきましてはどうお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/125
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126・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 国際収支が大きな問題で、昨年引き締め政策を行なったようなわけでございまして、私どもとしてこれが改善のために貿易の面でも、あるいはいま問題になっておるエネルギー資源の上におきましても、またその他の貿易外収支の上におきましても、全力を尽くすべき日本の立場であるということは御指摘をまつまでもなく、また、そのような認識の上に善処しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/126
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127・桜井茂尚
○桜井委員 最後に、エネルギー関係の付属機関として通産省に石炭鉱業審議会、石油審議会、電気事業審議会、石油天然ガス審議会、企画庁に電源開発審議会、さらに原子力委員会があるのでありますが、これらの機関と総合エネルギー調査会との関係はどうなるのか、さらにまた、これらの機関と総合エネルギー調査会の結論が異なった場合にはどうするつもりか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/127
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128・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ただいまお話のございました各種の審議会、調査会、これらとこのエネルギー調査会の結論が違った場合どうするか、こういう御指摘でございますが、むしろこの総合エネルギー調査会はそれらの各機関の調整に当たる、総合的見地に立つ、こういうことでございますので、私どもとしては意見の相違を来たすということを考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/128
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129・桜井茂尚
○桜井委員 そうすると、総合エネルギー調査会というものは調整機関なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/129
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130・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 場合によってはそういう調整の役割も果たすと思いますが、これはあくまでも総合エネルギーとして基本的に考えていくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/130
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131・桜井茂尚
○桜井委員 以上をもって質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/131
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132・内田常雄
○内田委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/132
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133・多賀谷真稔
○多賀谷委員 わが党のエネルギーに対する政策については、商工委員会並びに石炭特別委員会等で詳細について述べておりますので、時間もありませんから大要だけ質問しておきたい、かように思います。
まず調査会、調査団にもいろいろありますけれども、最近における大きな調査団として第一次有沢調査団、第二次有沢調査団の答申を受けたわけですが、その際に、私どもは有沢さんに対して何か石炭の中でいろいろ操作をされようとしても無理じゃないか、一体日本のエネルギーはどういう地位を占めるべきか、さらに、その中で石炭の位置はどうあるべきか、こういうことを学者先生が高い角度から答申をしていただきたかった、こういう話をしたわけです。その際に、有沢さんは、次のような、いわば議員に対して反論がありました。それは、いまわが国においてはエネルギー政策というものがきまっていないのです。たとえば、石炭について五千五百万トン使うべきであるのか、あるいは三千五百万トンにするのか、われわれ委員の間でも議論がございます。英国のように石炭は二億トン使う、あるいは西ドイツのように一億四千万トン使う、そのことが国民的決定として原則が確立をしておる、日本においてはそういう原則がない、ここに私たちの苦悩があるわけです。こういう反論がありました。むしろそれは国会なり政府なりがおやりになることじゃないんですか、こういう反論を受けて私たち恐縮をしたわですが、エネルギーの根本政策を樹立するというのが、今度法案としてつくられようとしております総合エネルギー調査会ではないかと思う。ですから既存の石油審議会とか電気事業審議会とか、石炭鉱業審議会というようなものの調整をするのではなくて、ここで日本の今後のエネルギーの需要供給を見通して、一体日本のエネルギーはどうあるべきかという基本原則を立てるのがこの調査会の仕事ではないかと私は思うのです。先ほどの桜井委員の質問に対して、何か調整をするのだ——調整なんかは、それは後になってやることもあるかもしれないけれども、そうではなくて、むしろこの総合エネルギー調査会において抜本的な政策を確立して、あとは細部にわたっては審議会にまかせることはあり得るかもしれないけれども、しかし今後の長期の見通しを立て、そうしてその中におけるおのおののエネルギーの調整をするのはやはりこの調査会でやってもらわなければ困る、かように思うわけですが、ひとつ御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/133
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134・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 多賀谷委員のおっしゃるとおりでございまして、基本的な施策を今度この調査会で確立をしていく、先ほどの桜井委員の御質問は、もしその意見が相違した場合はどうするか、これは二つあったと思うのです。調査会と個々の審議会との間の意見の食い違いをどうするか、それは大体ないんじゃないか。それから、それぞれの間で意見の違いが出た場合にどうするか、それは場合によっては調査会で調整するという場合もあるだろう、しかしあくまでもこれは基本的な施策を樹立したいのだ、こうお答え申し上げた。いまの多賀谷委員のおっしゃる御趣旨を全く一致しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/134
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135・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先進国で総合エネルギー対策のないのは日本だけじゃないかと思うのです。イギリスだって御存じのように電力国有、石炭国有です。それから石油は御存じのように実際は高い関税をかけて、そして政府がコントロールしておる。フランスだって電力は公社でやる、石炭は公社でやる、そうして重油は御存じのように販売の一元化を行なっておるわけでしょう。それから西ドイツは、これは逆に言うと鉄鋼会社が石炭を経営しておるという形ですね、その石炭会社はまた電力を供給しておるという、いわゆる資本主義としてはきわめて強靱な姿をとっておる。しかしそうはいいながら、それでも重油の圧迫によってなかなかうまくいかないというので、相当高い重油消費税を設けておる。それからアメリカも私企業ですけれども、アメリカの場合は電力の補完的な役割として石炭があるわけでしょう。ですから先進国はみな資本主義なら資本主義らしくやっておる。自由経済なら自由経済らしくやっておる。それから一方社会主義政策をとっておるところは国有でやっておる。日本の場合はまるっきりどっちともつかずにやっておるわけでしょう。電力はなるほど私企業だというけれども、地域的独占でしょう。二重投資は許しません。これは地域的独占の形でしょう。それから石炭は鉄鋼とは全然関係ない。日本製鉄株式会社とは関係ないのです。ましてや八幡と富士に分かれても関係がない。あるいはまた鉄道がそうでしょう。石炭と全然関係ないでしょう。電力も関係ない。こういうばらばらな形で今日まできておるところにこの悲劇があるわけです。ですから一番弱い形できておる。ですから一方の業界が力の強いときには他の業界を圧迫しておる。石炭の景気のいいときには電力が泣いておる。そのしっぺ返しがいまきておるわけですね。逆にいま石炭が泣いておるという形、こういうことをずっと繰り返しておる。ですからこの総合エネルギー調査会において抜本的な対策をきめて、それらのエネルギーの利害関係を調整しなければならぬ。ここで調整しなければ、どこにも調整するところはないですよ。調整をしてあとの細部に対しては、それは審議会でやる場合があるでしょう。ですから、これは個々のエネルギーの利害関係を調整する、こういうことをはっきりしておかないと、ただ需要はこのくらいになり、供給はこのくらいになるだろう、それで終わったんではこの調査会というものは意味がない。これについて大臣はどういうようにお考えですか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/135
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136・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 総合エネルギー調査会設置法案の第二条でその目的をはっきりしておるわけでございまして、お話のような問題点も当然この調査会で取り上げ得るものと判断をいたします。また、それらのお話し合いが十分できるためには委員の人選が重要であろうと思いますので、おのおののエネルギー関係の方々に委員を委嘱いたしまして、この調査会が効果があるようにつとめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/136
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137・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政府としては、一体この調査会の調査をする問題点というものはどういうものを考えておられるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/137
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138・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 まことに概略的に申し上げて恐縮でございますが、各種エネルギーの位置づけあるいは基本的な施策、こういうふうなものを検討いたしたい、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/138
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139・多賀谷真稔
○多賀谷委員 法案を出している以上、政府として何か心がまえがあるわけでしょう、問題点としてはどういうものをあげるのだという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/139
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140・熊谷典文
○熊谷政府委員 大臣が抽象的には申し上げましたが、三つございます。第一は、各種エネルギー間の調整をはかりまして、どの程度の数量といいますか見通しになるか、こういう点が第一点でございます。第二の点は、それは簡単にはできませんので、基本的な施策というものが必要だろうと思います。石炭の試算ベースをこの程度にするためには、基本的な施策の方向としてはこの程度のものが必要だという施策が必要だろうと思います。そういう点、それから最後に各種エネルギーに通じます共通の問題があろうかと思います。たとえて申しますと、今後の関税等はどうするか、税制の問題等もあろうかと思います。そういう三点を根本的に検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/140
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141・多賀谷真稔
○多賀谷委員 エネルギーの基本政策については条件をつけないようにしてもらいたい。条件をつけないというのはどういうことかというと、端的に言いますと、かつてフランスからソフレミン調査団を呼んで石炭調査を依頼したが、そのときには、企業形態については触れてくれるなという条件をつけた。向こうは公社ですから、企業形態については一言も言ってくれては困りますよという条件だった。私はソフレミンの団長に会って聞いたわけです。なぜソフレミンは企業形態について言わないのだ、こう言いましたら、いやこれは契約するときの条件で、企業形態については入ってはいかぬということになっておりますからということであった。こういうことがあったのです。そこで私はこの調査会については、自由経済を標榜しておられる佐藤内閣ですけれども、やはり調査会については私はあまり条件をつけてはいかぬと思うのです。ほかのほうは別として、石炭だけについて例をとってみても、一体これはやれるのだろうかという不安が、われわれ中に入っておってもあるのです。いまから炭鉱が私的なベースとして投資をしていく価値があるのだろうか。いまから新しく炭鉱をやるというなら全く私企業ベースに乗らない。しかしそういう点は石炭委員会でも私は発言しておりますから言いませんけれども、いま佐藤内閣がやるならやるような方式がある。ですから、そういう方式についてもひとつ基本政策ですから十分考えてもらいたい、こういうように思います。これについて答弁をお願いし、さらにこの専門委員とか臨時委員とか、いろいろ部会がありますね。部会はどういうものを考えられておるか、これをあわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/141
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142・熊谷典文
○熊谷政府委員 前段の条件の問題については、私たちもそういうものはつけない気持ちでおります。
それから部会は、石炭関係、石油関係、電力関係というような部会を設けていきたいと思います。そのほか、全体的な総合エネルギーの需給部会等も設けてまいりたい、かように考えております。三つか四つになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/142
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143・内田常雄
○内田委員長 おはかりいたします。
本案についての質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/143
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144・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/144
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145・内田常雄
○内田委員長 次に、討論の通告がございませんので、直ちに採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/145
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146・内田常雄
○内田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
おはかりいたします。本案に関する委員会報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/146
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147・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/147
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148・内田常雄
○内田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時二分休憩
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午後三時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/148
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149・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、板川正吾君外十四名提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、麻生良方君外一名提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/149
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150・田中武夫
○田中(武)委員 先日の質問に引き続いて質問申し上げるわけですが、先日は、定義のところで休憩になったわけですが、まず一千万円とかトンネル会社の問題については、政府はというか公取委員会は、考慮するといいますか、そういう発言があったと思うのですがその点もう一ぺん明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/150
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151・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 政府のほうとしまして、そこに相当の問題があることは認識している、しかし政府原案に何ぞその条項についての改正案を盛り込まなかったかということにつきましては、まだ実態について多分に検討の余地があるという意味におきまして、政府原案においてはこれを盛り込むだけの進捗状況になかったということを申し上げたわけでございます。しかし、国会審議の過程におきまして、国会がその問題について一応修正なりどうこうなさるということ自身は、これはわれわれのほうとしてとやかく申し上げる問題ではない、こういうことをお答えしたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/151
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152・田中武夫
○田中(武)委員 なお引き続き第二条の定義についてお伺いいたすのですが、現在本法は、製造委託と修理委託、この関係だけを規律しているわけです。ところが、いわゆる親会社と下請会社という関係は製造委託と修理委託だけでなく、たとえば土木建築あるいは運送契約等々の部面にもたくさんあり、むしろ問題なのは、そういった製造あるいは修理に含まれない分野においてよりひどいことが行なわれておる。こういうことは認めるのに公正取引委員会としてもやぶさかでないと思うのですが、この定義を広げるということ、これについてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/152
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153・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 御指摘のように、現在の下請代金の遅延防止法は製造委託、修理委託というものを特に取り上げまして、特別な措置を講じております。特にこういう分について問題を取り上げたにつきましては相当の理由があると思いますが、最近のたとえば山陽特殊鋼の例などを見ますと、この定義に入らなもので、いわゆる常識的には下請というものに入っているものが相当あり、そこに私のほうで、その辺は直接法の対象の外にありますだけに、やかましく言い方が足りないぜいもありますが、相当かなりひどいことが行なわれているということは事実であります。われわれのほうとしましてこういう問題をどう取り扱うべきかという点につきましては、今後大いに研究していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/153
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154・田中武夫
○田中(武)委員 この法律で規制せられていない分野において、より問題が起こっているということはお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/154
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155・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その分野においても、やはり相当大きな問題があるということは、これは認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/155
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156・田中武夫
○田中(武)委員 それでは公正取引委員会ないし政府として、この定義を広げるということについて今後どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/156
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157・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その点につきましては、政府といいますか公正取引委員会としては、今後この問題をどう取り扱うかということについては十分検討していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/157
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158・田中武夫
○田中(武)委員 検討はいいんだけれども、すでにそういう分野においても問題がたくさんあるということは認められた。具体的に言うなら山陽特殊鋼の場合でも、この法律に合う範囲に入るものと入らないものというと、入らないもののほうが多いのですよ。そういうことはお認めになるのでしょう。ならば、どういう態度で検討するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/158
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159・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 いますぐここで具体的な代案を御披露するだけの準備がまだできておりませんが、そういった意味においての分野においても、いわば独禁法にあります優越した地位を利用していわゆるそうした広い定義における下請というものについて相当過酷なことをしているというものについては、やはり規制の措置を講ずる必要があるんじゃないかという考えのもとに検討をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/159
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160・田中武夫
○田中(武)委員 先日、山陽特殊鋼の社長等を呼びまして、委員会の都合で懇談会になりましたが、あの席上で渡邊委員長もお聞きのように、下請代金支払遅延等防止法という法律は知らなんだと答えているのです。そうして、御承知のように明らかな違反が出ておるわけですね。これが会社更生法によって、すでに当時とは状態が変わっておる。あるいは社長がやめた一といいますか形式ではまだ残っておりますが、まあやめたと同じような状態だ。こういうような場合に、明らかなる下請代金支払遅延等防止法の違反があってもそれは見のがしですか。あるいは先日の懇談会で明らかなように、違反を犯しておることは明らかなんですね。こういうようなことに対してはどういう態度をとられるか、あるいは会社更生法の申請を出せば、いままでやったことは全部まるになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/160
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161・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 この間の懇談会には私も出席しておりまして、山陽特殊鋼の社長の発言も聞きました。ああいう発言をするような状態にあったということは私は非常に遺憾だと思っております。山陽特殊鋼につきましては、私のほうもある程度調査をし、そして改善方を指導しておる過程におきまして、日がたちまして今度の会社更生法の適用になったわけであります。したがいまして、支払遅延等防止法そのものについての勧告をするという段階の時期はすでに過ぎたように思っております。しかし、そういった過程においてこういう事実があったということについては、われわれのほうとしては裁判所のほうにある程度の意見は出したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/161
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162・田中武夫
○田中(武)委員 裁判所のほうへある程度の意見を出したというのは民事ですね。会社更生法の手続を審査しているところへ出したわけですか。私の申し上げておるのは山陽鋼だけの問題じゃないのです。明らかなる違反を犯しておる。それがたまたま会社更生法の申請手続の開始といったようなことで明らかになった場合、これをどういうように処理せられるつもりなのかということをお伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/162
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163・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 下請法は御承知のように、いろいろ条項にもよりますが、支払い遅延防止に関する限りにおきましては、それの促進方を勧告する、こういう問題になっておりますので、その限りにおきましては、会社更生法の問題が出てきますと、支払いの促進ということ自体は、勧告ということをお出ししましてももうすでにちょっと時期がおくれている、他のことを考えざるを得ないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/163
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164・田中武夫
○田中(武)委員 現在のところでは、そういうのに対していわゆる刑事罰といいますか、そういうことを追及するというたてまえにはなっていないように思うのだが、そういうことが今後たくさん出ると思うし、いままであったと思うのです。その点について検討いたしますか一たとえば、過去にさかのぼってこの法律を知らなかったと広言するあるいは明らかに違反しておる、こういうのに対して、そのまま見送る手はないと思うのですがね。この法律にも刑罰規定がありますね。刑罰規定はありますが、現在では七条の勧告が出た後ということになりますから、このままでは刑罰規定は動かない。しかしそういうのに対しては何らか手を打つ必要はないですか、その点どう検討しようと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/164
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165・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 不公正の取引方法につきましては独禁法のほうにもすぐに刑罰規定というものは入っていないわけでありまして、したがいまして同じような意味におきまして下請法のほうにも書類の作成とか保存とかいう関係についての刑罰規定はございますが、勧告の対象にあるような事項をやったからすぐに刑罰規定ということは、これは現在ありません。こういったものをどういうふうにやるべきか、刑罰規定でやるべきかどうかという点について、かなり極端な場合、これでいいだろうかというような問題もおそらくないじゃないかと思いますが、刑罰規定をその辺に入れるについてはよほど各方面から検討してみる必要があると思っておりますので、現在の段階においてすぐこれに刑罰規定を将来新しく設けるということについてお約束的な意味の発言ということは、この際ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/165
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166・田中武夫
○田中(武)委員 違反を犯しっぱなし、そしてたまたま不幸にして交通事故じゃないがひっかかったときに、勧告に従えばこれで済むわけですね。まして、いまのような場合は勧告の出しようもない、そういうようなときに、そのままにしておいてこの法律の権威というものは保てるかどうか、ここが一つ疑問なのですよ。
それから会社更生法によって、いわゆる保全命令によって凍結せられている。それが明らかに下請代金支払遅延等防止法の違反であった場合、これは法と法とで衝突する場面が出てきますね。競合した場合、いずれが優先しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/166
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167・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 支払い遅延防止等に関する限りにおきましては、会社更生法の申請があり、これの認可がありますれば会社更生法が優先する、こういうふうに解すべきもの、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/167
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168・田中武夫
○田中(武)委員 せっかく法制局が見えておるのだが、古國さん、いま言っているように、会社更生法の三十九条ですか、何か忘れたが、ともかく保全命令の規定ですね。それとこの下請代金支払遅延等防止法との規定とが競合した場合、いずれを優先とみなすか、いま渡邊委員長は、会社更生法のほうが優先すると言っている。ところが会社史生法の保全命令は裁判所の決定、裁判官の裁量です。一方は、これは法律による規定なんですね。その点どうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/168
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169・吉國一郎
○吉國政府委員 会社更生法によりまして、更生財産として支払いの差しとめ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/169
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170・田中武夫
○田中(武)委員 その前に、保全命令とこの法律と……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/170
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171・吉國一郎
○吉國政府委員 保全命令につきましても、いま公取の委員長から御答弁申し上げた結果に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/171
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172・田中武夫
○田中(武)委員 いいですか、保全命令は裁判官が、これは除くと言えば除かれるものなんですよ。いわば法律の規定そのものではありません。裁判官の裁量によるものでしょう。決定によってなされるものでしょう。ところが下請代金支払い遅延防止法は、このまま法律として追及できるのですよ。やはり裁判所の任意に決定する決定のほうが強い、こういうことですか。この法律による何らかの請求を公正取引委員会等がなした場合は、裁判所はその決定の中から除外する。たとえば保全命令をなすときにでも、自由に、これを除外したほうがよいと思えば除外しているのでしょう。史上法の保全命令というのはそうでしょう。それが法律違反を犯しておるということであるならば、その点の法律違反の面については除外せい、こういうことはいえませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/172
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173・吉國一郎
○吉國政府委員 私ども会社更生法のその詳細については知悉いたしておりませんが、裁判所があくまで裁量によって保全命令を発するわけでございますので、その保全命令を発する場合に、裁判所がそういうことを判断の材料として十分に考慮をする、考慮をした上で、なおかつ保全命令の対象にするということになれば、先ほどお答え申し上げたような結果に相なると思いますが、あくまでその裁量の場合において、そういう下請代金支払い遅延防止法によってこれが禁止されているものだというようなことを、どの程度全体の公益という上から考えて考慮に取り入れるかという認定の問題じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/173
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174・田中武夫
○田中(武)委員 これは実際問題として、その決定を下す裁判官の意思に関すると思うのですがね。しかし裁判官といえども、法律に定められたるもの、これを無視することはできぬと思うのです。かりにこの法律によって決定をしても、この件は除外してもらいたい、こういうことを管財人から言っても、話によっては除外するのでしょう。公正取引委員会等から申し出ることはできませんか。あるいはその申し出たところの効果といいますか、そのものは、あくまでも裁判官の任意裁量より弱い。この場合、いうならば会社更生法に基づく裁判官の任意裁量のほうが法律の規定よりか強い、そういうことになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/174
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175・吉國一郎
○吉國政府委員 これは従来、実例としてはまだございませんようですが、事実上公正取引委員会等から裁判所に実態をよく説明をするということは可能だろうと思います。けれども、法律上の手続として公正取引委員会が一定の申し立てをし、その申し立てがあった場合には、その効果がどうこうというようなことは、現在の更生手続としては認められておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/175
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176・田中武夫
○田中(武)委員 それでは法律に基づく権限によって公正取引委員会が申し出ても、会社更生法に基づく裁判官の任意裁量のほうが優先する、そういうことを確認するのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/176
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177・吉國一郎
○吉國政府委員 これは会社更生法に基づきまして裁判所が行ないまする保全処分の性質の問題かもしれませんが、保全処分は、更生手続の開始の決定がございました場合に、一定の財産のいわば凍結を行なわなければ、会社の更生手続が順調に進められないという場合に、裁判所がその裁量によって、いわば職権あるいは申し立てによりまして財産に対する保全処分をするわけでございますので、その保全処分をしたので、最終的に財産の処理がきまるというものではございません。その保全処分をする場合に、たとえば下請代金については保全処分の対象から除外するということも、これは裁量によっては可能かとも思いますけれども、その額によりましては、下請代金を全部保全処分の対象から離すということになりますと、その会社の財産が散逸をいたしまして更生手続を進めるによしないというような状況になれば、これはおそらく認定の問題として下請代金についても保全処分をかけておいて、そのかけた上で必要な範囲において、また更生計画なり何なりの決定において考慮するということが通常の行き方じゃないかと思いますが、その前段階におきまして、保全処分ができないというふうには法律上は相なっておらないということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/177
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178・田中武夫
○田中(武)委員 たとえば保全処分をやる場合に、その後、これが詐欺だとか、あるいは窃盗だとか、賭博だとか、こういう法律違反のものであったら、それは除かれるでしょう。この場合も法律違反なんです。ただ違うところは、具体的にまだ勧告が出ていない段階、だから法律違反は抽象的である、こういうことになると思うのです。
私のうしろで盛んに、答えがあるなら言えと言っておるが、私の答えとしては、具体的に公正取引委員会が会社更生法適用以前に勧告をしておるならば、それは優先する、しかし、そうでない、いまの山陽鋼の場合は、これはおっしゃるとおりかもわからぬ。しかし、この下請代金支払い遅延防止法上、下請者の利益を守る上において果たす役割り、今日の実情等を考えた場合は、誠意を持って裁判所といいますか、裁判官と公正取引委員会は、本法の趣旨が生きるような折衝というか、強い申し入れをする、こういう必要はあると思うのですが、いかがでしょう。具体的に命令が出ておるときには、それは除外すべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/178
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179・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 具体的な命令が出ている場合には、田中委員のおっしゃるように、特に強いことが、裁判所のほうへ公取委員会としては意見の開陳ができるのではないか。それから具体的に出ていない場合におきましては、その具体性がそれだけないわけですから、われわれのほうとして意見を言いましても、おのずから出ている場合とは違うような強さにしかならないのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/179
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180・田中武夫
○田中(武)委員 もう一つまだはっきりしないけれども、ひとつ法務省の民事局長も呼んだんだが、法務省ともよく話し合って、できるならば、私はこの段階においても山陽特殊鋼の、具体的に言うならば下請のあの実情をあなたもお聞きになったと思うのです。この法律によって——ということは、たとえば六十日の支払いということに一なれば、少なくとも除外すべきだというぐらいのことは言うべきじゃないか、そう思うからあえて言うたわけです。これはあらためて法務省の見解をも文書でもって、ここにいないなら聞いた上で公取から御返事を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/180
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181・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 山陽特殊鋼の問題につきましては、特に私のほうでも委員を派遣しまして、実情のかなり詳細も調べております。したがいまして、御趣旨のような点については、われわれも法の許す限りにおいて措置すべきじゃないかという点については全然同感であります。したがいまして、法務省のほうとも十分打ち合わせまして措置も講ずると同時に、こちらへ御報告するということについてはそのように取り扱いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/181
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182・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃ審議に協力する意味において一つの山は越しましょう。いま提起したのは二つの問題があります。具体的に山陽鋼の場合と抽象的に一般的なものとしてどういう解釈になるのか、この二つですから……。いいですな。
次に、改正の内容について若干お伺いしたいと思うのですが、五点あるわけです。
まず改正の第一点は、六十日の起算、支払い期日の起算は検収の有無にかかわらず受領したときから判断する、こういう意味のことです。これはあってもなくても同じ解釈だと思うのですが、これは念のため——このごろ念書とかいうのがはやっておるそうですか、念のため、こういうように解釈していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/182
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183・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/183
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184・田中武夫
○田中(武)委員 次に、改正の第二点の下請代金の支払い方法、その他の事項を追加するというが、この支払い方法というのは一体どんなことを考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/184
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185・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 品物をそこで注文するわけですから、その代金を、いつどういうふうな時期に現金払いするか、手形で払う場合においては手形払いする、するならそれが全部かあるいは一部か、あるいはその手形自身は一体どの程度のサイトの手形かといったようなものを込めまして、そこに、これは公取の委員会規則で相当詳細に書けることになっておりますので、少なくともいま申したような程度のことはこれを書くべきじゃないか、書かせるべきじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/185
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186・田中武夫
○田中(武)委員 この法律提出の過程において、手形も規制すべきではないか、こういうことで一たん閣議にかかったが、出戻りしましたね。検討の結果だろうが、そのままでまた出てきたわけなんです。そこでいまおっしゃったように、公正取引委員会の規則で定められるものがなぜ法律で定められないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/186
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187・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 そこで公正取引委員会の規則に定められますことは、親事業者から下請事業者に渡す書面にどういうことを書くべきかということを公正取引委員会規則できめよう。したがいまして、どういうことを書かせるかという意味におきまして、先ほどお答えしたように、たとえば現今払いにするか手形払いにするか、手形払いにするなら何日サイトか、こういうことを規則で書かせよう。もちろん規則でもってすぐ手形のサイトの規制とかなんとかいうことは、規則の性格からいって、できるとは思っておりません。やるなら法律の問題である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/187
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188・田中武夫
○田中(武)委員 この支払い方法というのに一体何を書くかということでいろいろ問題があると思う。たとえば、聞くところによると、少なくとも現金は何%まで払え、手形で払う場合はどの程度である、こういうことをかりに書くとするならば、これは誤りだと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/188
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189・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その条文によりまして公取の規則で定めようと思いますのは、どういうことを書かせるかという書かせる事項を規定する、今度その書いた内容によってほかのほうの条文から、これは違反じゃないかという問題は別途出てき得ると思いますが、そこで書かせることは、どういうことを書けということだけを、その法律の条文だけでは意を尽くしがたい点もありますので、そのワク内においてどういうことを書くか、これは注文者と下請会社との話し合いの結果として一応きめられたことが書かれる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/189
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190・田中武夫
○田中(武)委員 私はあくまでも原則として、下請代金は同時履行の原則に立って現金で支払うべきが原則だ。それは違いますか、どうですか。もし私の言ったことが違うのなら、法制局、違うと言ってください。その原則の上に立って考えた場合に、支払い方法を書かすということは一体どういうことです。また、かりに手形を発行するなら何日の手形のサイトにすべきである。その場合は、第一点の改正点から見て、当然六十日以内のサイトということになるべきだと思う。それを越えて出したときに、親企業者のとった行為は、この法律からいってどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/190
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191・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 われわれも従来からの解釈としまして、下請代金については現金払いが原則であるべきだ、あるいは手形で払った場合においても六十日以内に割引し得る手形であるべきである、こういった意味の基準をもちまして、別途取り締まりをしておることは、これはございます。しかし、いまそこにおあげになりました条文におきましては、まず第一の問題としまして、そうした支払い方法を書かせることによりまして、その支払い方法は、先ほど言ったように、それ自体として規制するものではなくて、親事業者と下請業者との話し合いの結果がまず書かれる。それが、いま言ったような基準と違ったものがあれば、その注文書自身においてわれわれとしては違反事実をつかみ得る。それから注文書のほうは一応かっこうを整えていましても、現実に支払われる場合がその注文書と違ったものであるとすれば、これは一種の契約違反という面もございますから、そのほうからも攻めていける。こういったような意味におきまして、支払い方法をまず書かしておくことがやはり必要じゃないかというので、いま申したような規定になっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/191
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192・田中武夫
○田中(武)委員 この支払い方法というのは、親企業と下請企業との間の契約できまる。したがって、契約自由の原則というのはどんなことをきめてもいいというたてまえではありませんね。当然この法律による規制はあるわけなんです。ならば、これから出る規則も、この法律の範囲でなくてはならない。したがって、かりに手形で支払う場合は六十日を過ぎてはならない。これははっきりと言えることだと思うのです。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/192
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193・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 いま言ったような規制の点は、それは当然あるべきだと思っております。しかしいまおあげになった規則はどういうことを書かせるかということについて、公取の規則でもって、法律で定められている範囲内においてより詳細に書く、もちろんその書いた結果において、それが契約自由とはいいながら、当然そこでもって公益的な見地から規制されているわけですから、その規制の外に出るような条項が書いてあれば、それ自体としては、われわれのほうとしては違反として勧告の対象になり得るのじゃないか、そういう意味において、やはり第一段としてそういうものを書かせておくということは、取り締まりの上からいって必要でもあり、また、おのずから取り締まりを容易にさせるものじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/193
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194・田中武夫
○田中(武)委員 公正取引委員会規則では、支払い方法をきめるというのでしょう、それは一体どういうものをきめますかといえば、手形で支払う場合はこうだというようなことを書く、こういうことでしょう。ならば、六十日以内に支払えということは当然法のたてまえなんです。しかも、この法律に基づく公正取引委員会規則なんですから、それをはみ出すことはいけないわけでしょう。そうすれば、手形で支払う場合には六十日を過ぎてはならない、あるいは支払い期に到来しないものを満期とするものはいけない、そういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/194
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195・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 お話のような規制は、そのあとへくる条文において規制さるべきものだ、いまお引きになりました下請業者に交付すべき書面というところにおいては、どういう事項を規定しろということをまず書かせる、それであとのほうに、政府の原案によれば、一応六十日以内にその割引が困難である状態があって、そして一応下請業者に不当な不利益を与えるということがあるとすれば、これは法で認めていない行為なんですから、そういったことについては当然われわれの勧告の対象になる。しかしそれは条文の直接的な効果というよりは、いま御指摘になった条文はその前提要件として、こういうこととこういうことを書けといったようなことをまず規則ではきめる、それを書かせておけば、先ほど申し上げたように、あとのほうの条文の適用においておのずから取り締まりが容易になるのじゃないか、こういうつもりで全体の方向ができておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/195
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196・田中武夫
○田中(武)委員 ちょっと私の言うのと食い違っておるのですが、支払い方法について書かすというのでしょう。その支払い方法についてはどんなことを書けということを規則できめようとしておるのか、こう聞いておるのです。そうすると、手形で支払う場合にはこうだということを書くというのでしょう。それでは当然六十日を過ぎたサイトはいけないと書くべきじゃないですか、そう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/196
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197・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 私のほうの考え方としましては、結局繰り返すことになりますが、いま御指摘になりました公取の規制自身は、結局どういう内容のことを書くかというその詳細を書く、あとの問題は結局他の条文においてこれを規制すべきは規制していく。したがって、その公取規制というところにおいて、その手形のこうこうこうだというところまでは公取の規則は及ばないんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/197
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198・田中武夫
○田中(武)委員 公正取引委員会規則は法のもとにある規則なんです。したがって、法からはみ出すようなことは書けないわけなんです。それならこの改正案が通れば、これに基づいて出す規則の原案というのができていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/198
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199・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 規則の原案はいま手元にございませんが、一応考え方としてはできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/199
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200・田中武夫
○田中(武)委員 その原案をちょっと示してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/200
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201・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 支払い方法に関する限りにおきましては、公取規則できめることに一応われわれが原案的に考えておりまするのは、支払い方法とは現金であるか手形であるか、この区別、それからこれらをあわせ用いるときはその比率、手形による支払いの場合においては手形のサイト、こういうことを書かせるということを公取規則できめたい、かように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/201
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202・田中武夫
○田中(武)委員 私が言っておるのは、まず第一点として考えるべきは現金で支払うべきといいますか、同時履行ということが原則であるということが第一点です。それをわざわざ現金であるか手形であるかを書かすことはどうかということです。手形で払う場合はサイトはどうするのかということ、しかし少なくとも法律で六十日ということをきめておるのでしょう。当然そのサイトは六十日以内でなくちゃならない、こういうことになるんじゃないですか、どうです。そうじゃないのですか。かりにこれで、それじゃ三カ月というのを書いたとしたら、それはどういうようになるのです。私も手形はわからぬことはありません。手形は有効です。三カ月サイトのものを書いた場合、その手形自体は、手形行為は有効に成立すると思います。しかし親企業のとった行動は、親企業の順守すべき事項に違反しておる、そういうことになるわけなんですね、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/202
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203・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 われわれのほうとしまして、従来その問題になりますと、下請代金の支払い期日といいますか、第二条の二の問題になってくると思っております。その場合において、従来公正取引委員会がこの条文において解釈しておりますところは、現金払いが原則である。しかし手形払いを全然認めないわけではない。手形払いの場合においては、六十日以内に通常の金融機関において割り引き得るという前提のものである、それ以外のものであれば一応この二条の二に違反する、こういった解釈になっておりまして、田中委員の解釈より多少幅が広いのかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/203
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204・田中武夫
○田中(武)委員 ここに取引委員会規則の原案というか、あるのですが、先ほどおっしゃったように下請企業者の給付の内容、これは一体どういうことになるのですか。下請代金の額は、これは当然。支払い期日というのは、受領の日から六十日以内ということは当然ですね。支払い方法、現金、手形の別、比率、手形のサイト等と書いてある。その現金、手形の比率なんということをきめることがどうかと、こう聞いておるのです。きめられるかどうかということです。もちろんすぐに現金とみなされる小切手なんかもありますが、しかしいま約手が問題になっているのですね。現金では幾ら、手形では幾らということを書かそうというのでしょう。そういうことを書くこと自体が同時履行の原則からいってどうなのかということ、かりにそうするとしても、それは法律の受領の日から六十日以内ということの制約を頭からかぶるべきじゃないか。したがって、どういう規定を置かれようとも、現実に三カ月の手形を発行した場合はこの法律違反である、こう言わざるを得ないと思うのですが、いかがですかと、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/204
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205・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 われわれのほうで解釈しておりますところは、先ほど来申し上げているとおりであります。したがいまして、今度の改正のあとのほうにおいての分もまたおのずから御質問の中に入るかもしれませんが、手形を出したら何でもかんでも受領した日から少なくとも六十日以内の手形以外は全然いかぬというほどには考えておりません。しかし、少なくとも六十日以内に現金化できる手形でなければいかぬという程度の意味においては一応の制限を考えております。したがいまして、注文書において、あとから幾つかの条文によりまして規制されているものと違ったものを親事業者のほうで注文書に書いていけば、その注文書に書いておるという事実をつかまえまして、われわれのほうとしてはまずそこに法律の違反事項があるということで勧告の対象になり得る、こういうふうな考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/205
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206・田中武夫
○田中(武)委員 どうも私にはよくわからぬですが、私の言っていることは間違いでしょうか。吉國さんどうです、私の言っていることが間違いだったら間違いと言ってください。私はこの改正案にあまり熱意がないということは、先ほど手形の話が出たから次と比較しますが、改正の第一点では、どういう理由があろうとも受領の日から六十日以内だということをやるのでしょう。そして、改正の第四点で、支払い期日までに割り引けない云々ということは、その手形自体は六十日をこえるものが出ることを予想しているわけですね。その場合、出されるところの手形は支払いの手段なんですか、それとも代物弁済になりますか。六十日をこえてはいかぬということが原則でしょう。そういっていながら、一方においてこえることを前提とした条文があることはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/206
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207・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 いまの、支払いにかえてか支払いのためにとかいう問題は、これは非常に議論の多いところだと思っております。結局、それが支払いのためにとか支払いにかえてとかいう問題は個々の契約の中においておのずからきまるわけでありますが、一応われわれのほうで従来扱っており、今回の改正において同じ思想を貫いておりますのは、かえてとか、ためにとかいう場合の両方を込めまして、支払いのために手形を出す場合におきましても、それが六十日以内に割り引けなくて下請に不当な不利益を与えたらそれはいかぬ、こういったような考え方で全体の条文を整理しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/207
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208・田中武夫
○田中(武)委員 六十日以内に割り引けないものは論外です。これはもう当然のことなんですよ。私の言っているのは、今回改正しようとする中に矛盾がある。理由のいかんにかかわらず受領の日から六十日以内に払いなさい、支払い期は六十日だということをまず第一点で改正するんでしょう。現在の法のたてまえもそうですよ。そして、あとでもって六十日をこえることがあるということを暗黙に了承した規定があるということですね、これはどういうことなのかというのです。六十日ときめながら、六十日をこえた手形サイトを出してもかまわないのだ、ただ割り引けたらいいんだということの考え方のようですが、それと支払い期六十日ということとは矛盾しませんかということです。割り引く、割り引かぬはあとで論議します。六十日ときめたことと、六十日をこえることを予想した規定とあることは矛盾しませんかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/208
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209・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 手形について、一応それを代物弁済と見るか、支払い手段と見るかといったような問題とからみ合いまして、そこにかなりいろいろな解釈の問題があると思っております。しかし、われわれのほうとしまして、従来この条文の解釈としましては、現金払いを原則とするが、手形について六十日をこえた手形を出した場合においても、それが先ほど申したように六十日以内で割り引けるものならば一応許容範囲に入ってくるんだ、こういうような解釈を従来とっておりましたので、その意味において一応全体の条文を整理していった。それで、おっしゃるようにそれが支払いのためとか、あるいは支払いにかえてとかいう議論をしてまいりますと、そこにおのずからいろいろな問題が派生してくるとは思いますが、現在解釈しておりますところがいま申し上げたような点になっておりますので、その点の解釈をより明確にするという意味において今度の改正案を出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/209
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210・田中武夫
○田中(武)委員 それがどうも私はおかしいと言うのです。もうともかく理由のいかんにかかわらず受領した日から六十日以内に支払えという原則が一つあるのでしょう。そしてあとへ持ってきて、六十日以内に割り引けないということは、六十日以外のもっと長いサイトを認めた規定なんですよ。そのこと自体が矛盾しませんかと申し上げているわけですよ。公正取引委員会がそういう考えでやりましたということばかり言っているが、矛盾しませんかと私は言っているわけですよ。だから当然、先ほど申しましたようにこの第二点の改正において支払い方法を公正取引委員会の規則においてきめるとならば、それは六十日をこえてはならぬ、こうなるべきではないですか。私の議論が間違っておったら、間違っておると言ってください。法制局にも意見があったら伺います。もしそうでなかったら、これは改正の中に二つの相矛盾したものが同居しておる。このこと自体は、手形で支払うならば六十日をこえるサイトでもかまわぬということを暗に言っておるのと同じことなんです。したがって、無理をしてまで上げる必要はないではないかということが言えるわけなんですよ。そうじゃないですか。なお、これに対して自民党の諸君でもいい、私の言っているのが間違いだというならば、どうぞ討論をいたしますから……。二つ相違った思想がここへ同居していますよ。そうじゃないですか。私は、できるだけきょうはあまりいじめずに、すらっと質問するつもりでおるのですが、そうなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/210
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211・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 手形の問題は、私もあまり専門家でありませんから、詳しい法理論についてよく知りませんが、少なくとも私の知っている限りにおきましては、支払いにかえて手形を渡す場合、代物弁済の場合ですね、それから支払いの手段といいますか支払いのために手形を出す、こういう場合と二つあるわけであります。それで、実際問題としましては、それが支払いのために出された手形であるか、支払いにかえてなされた手形であるかという点につきましては、これは当事者間の契約があればそれによって当然きまるわけですし、契約がなかった場合においては、最近の判例においては、支払いのためにというふうに考えるんだというふうな判例が多いということまでは私も知っております。それから、支払いのために出した手形であれば、一応旧債権は残っている。その意味において、お話しのようにその六十日以内に支払わなければならぬというものが、一応手形として片方で払っていても、旧債権が残っているのだから、したがってこれはやはり六十日以内に払ったことにならぬじゃないか、こういうふうな御意見だと思います。したがって、よし手形で払ったとしても、その手形自身が六十日以内でなければ論理一貫しないじゃないか、こういう御意見だと理解しています。私のほうとしましては確かに、ためにか、かえてかといったような議論はございますし、また親企業者がこれはかえて払うんだといったような考え方もあり得ると思います。しかし、いずれにしましても、とにかく現実の場合におきまして、やはり手形というものによって支払われている例を見てまいりますと、六十日以内に払う、その場合におきましても、六十日以内に少なくとも現金化できる手形であれば、まあ現在の下請関係は非常に乱れておりますし、まず許容されていいじゃないか、こういったような考え方もございますので、ためにとかかえてとかいう議論につきましては、われわれのほうの内部でもいろいろ議論してみましたのですが、結局そういうことは一応その議論は議論として、やはり現在の改正案のように、少なくとも六十日以内に現金化されるということを中心にして、まずこの際取り締まるべきじゃないか、かように考えたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/211
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212・田中武夫
○田中(武)委員 私も、何もその代物弁済としての手形なのか、支払い手段としての手形なのかということをいま議論しておるんじゃないのですよ。それを分けた場合には、あるいは代物弁済としてした場合は、六十日以内に手形を交付した場合には、六十日の要件を満たしたと言えるかもわからぬ、しかし、支払い手段としてやった場合、六十日という大原則を立てておるんですよ、立てておりながらすぐそのあとへもってきて、六十日をこえることあるべきことを予想した規定があるということはどういうことなんですか。この改正にあたっての意思の統一がなされていない、こう申し上げているのですよ。そうじゃないですか。私の言っていることが間違いだったら言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/212
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213・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 支払いの場合におきまして、いまお話しのようにかえてとか、ためにとかいう議論はございます。したがいまして、いやこれはかえて払うんだということになれば、結局そういう問題を抜きにしまして、一応手形の期日の問題、サイトの問題と関係なしに当該債務は消滅してしまう。したがって、支払い代金の規制の点につきましても、それでもってセーフになってしまう、こういったようなのはおもしろくない結果だろうと思います。したがいまして、まあ支払いのためにという場合に、旧債権が残っているからという問題は、一応議論してみたのですが、そういった、ためにとかえてとをそんなに極端に違った扱いにすることが、かえって実際問題として適当でないんじゃないかというふうな考え方からしまして、その点についての問題は問題としまして、いま言ったような法文で整理した、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/213
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214・田中武夫
○田中(武)委員 私の質問に対する答えになっていないのですよ。私は何もここに支払いのために、あるいは支払いにかえてということを議論しておるんじゃないのですよ。なお、代物弁済なのか、支払い手段なのかということを分けて議論するなら、違った答えも出てこようと思うのですよ。それを引っくるめて議論した場合に、異なる思想がここに入っておる、こういうことを言っておるわけです。
そこで、協力する意味において私のほうから投げかけますが、それは六十日以内に、サイトはともかくとして、手形を交付したら支払いとみなすのですね、あとの改正点は一応のけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/214
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215・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 一応あとの改正点で別途の手は打ってありますが、いまのお話の点だけ言えば、みなすということについては、現在の現行法の上でありますと、そのあとのほうの手が手ってありませんから、したがって現行法の解釈においては、六十日以内に現金化されなかったら、支払いとみなすということは言っておりませんが、あとのほうの手がそういうふうに打てれば、その段階においては一応支払いとみなす、こう考えていいのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/215
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216・田中武夫
○田中(武)委員 私は、先ほど来言っておるように、第一点と、改正の第四点になりますか、それとは矛盾した考え方が入っておるということを言っておるわけです。だから、これは議論しておったらまだまだ時間がかかりますからやめますが、これについて答えを出してください。
そしてもう一つは、六十日以内に手形を交付した場合、これは支払いとみなす、こういうことをはっきりおっしゃったですね。そのことは、いままでよりか第四点の改正があることによってむしろ改悪になりませんか。これは支払いとみなす、六十日以内にとにもかくにも約手さえ出せば支払いとみなすということが一番先に出てくるんですよ。そうして、その期間内に落ちない場合には、支払いしたものとはみなさない、そういう考え方なんです。この考え方はそうでしょう。まずその点、はっきりしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/216
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217・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 現行の法文でございますと、六十日以内に割り引けるものでなければ支払ったことにならぬという解釈をしております。この解釈をそう無理に変える必要も私はないと思っておりますが、しかしあとのほうに別に長期の手形についての手がありますから、こちらのほうでより締めるということで解釈するのも一つの解釈じゃないか、かようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/217
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218・田中武夫
○田中(武)委員 どうも答弁がすっきりしませんね。私はあえて言いますが、この改正は六十日という原則を立てながら、相矛盾したものがあとから出てきておるということが第一点。その反面解釈として、とにもかくにも六十日以内に手形を交付すれば、それで一応の親企業の順守義務としての六十日ということについては義務を免れる、そういうことを認めたことが第二点。これは改悪になります。それはそれとしておいて、ここでそうでないということになるとまた問題があるが、私はそう認定します。もしそうでないとおっしゃるなら、公取あるいは通産省、法制局でもよろしい、おまえの考え方は間違いだというんなら、おっしゃってください。
さらに次に入りましたならば、支払い期日までに一般の金融機関で割引を受けることが困難と認める手形云々という改正ですね。この線は、一体実際問題としてはどうなるのです。一般金融機関とは一体どういうものをいうのか、次に割引困難な判断はいずれがするのか、それは結局は持っていってアウトになったときにそういうことになるのかどうか、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/218
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219・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 割引困難という判断は、結局下請がこの手形をもらいまして、そして一般の金融機関、これはごく簡単にいえば大蔵省の監督下にあるといいますか、普通銀行、都市銀行、地方銀行、相互銀行、あるいは信用金庫といいますか、大蔵省の監督下にあるそうした一般の金融機関、逆の面からいいますと、いわゆる高利貸しに持っていって割り引けるということではだめだ、一般の金融機関に割り引けるということを目安にしております。割引困難というのは、割引ができなかったというよりも、もう少し強いといいますか、大きな範囲のものが包含されると思っております。同時に、それは親企業がそんなはずはないということだけじゃだめでございまして、下請のほうでもって実際割り引けないという事案があれば、これは当然その困難に入りますし、割り引き得る場合におきましても、下請のほうでかなり、たとえば血の出るような犠牲でも払わなければ割り引けないといったようなことになれば、これは割り引き可能であったにしましても、割り引き困難には当然入る、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/219
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220・田中武夫
○田中(武)委員 いや、そう考えておりますが、実際問題としてはどうなります。じゃ、血の出るようなことで割り引いてもこれは困難になるわけですね。そうすると、困難という範囲がどうかという問題になるわけで、その認定の個所はどこだ。それからもう一つは、言わずもがなでありますが、大蔵省の監督下にある金融機関というのは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の貸し金業者も含むのですか、含まぬのですか。あなたの言う大蔵省の監督下にある、法律によってきめられた業者ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/220
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221・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 後段のほうの御質問からまず申しますと、一般の金融機関という中にはカッコしまして、「預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者」ということばが入っております。すなわち、受けるほうの受信業務と授けるほうの授信業務とを兼ね行なう者というふうにまず限定がされております。したがいまして、いわゆる大蔵省の監督下にあるといったことばはちょっと不十分であった点もありますが、貸し金業者というのはこういったような者でありませんので、これは入らない。これは改正条文の中にわざわざカッコして書いてございますから、まず申し上げておきたいと思います。
それから困難であるか困難でないかという点につきまして、結局最終的には客観的にこれを認定するということになると思います。したがいまして、その場合において、最終的には公取委員会が勧告を出すか出さないかという問題にまでいくわけでございますから、最終判定はあるいは公取委員会といいますか、それが判定するわけでしょうが、しかしそれはどこまでも客観的に見まして、そこが困難な事情があるとすれば、それはこの条文に違反しているというふうに解釈していいものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/221
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222・田中武夫
○田中(武)委員 まず第一点のほう、ぼくは要項だけでやって曲ったが、なるほどカッコして「預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者」というのだから、たとえば信用金庫、それから信用協同組合までくらいですね。そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/222
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223・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/223
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224・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃまあそれはそれとして、カッコのほうを私も読んでいなかったので……。
もう一つ、割引困難という認定ですが、持っていって簡単に割り引けなかったときに、これはだめです、こういうことなんですか。手形を交付せられた下請業者が、いま言うような一般の金融機関へ持っていって一口で割り引いてもらえなかった、こういうときは割引困難になるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/224
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225・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 さように解釈していいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/225
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226・田中武夫
○田中(武)委員 そうした場合は、下請者のとるべき行為は、金融機関へ持っていったが一口で割引をしてくれなかった、そうすると、親会社に持っていって、これはだめです、こう言った場合に、親のとるべき手段、あるいはこういうことが起こったときの公正取引委員会のとるべき手段はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/226
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227・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 親のとるべき手段としましてはいろいろな場合が考え得ると思います。その手形を受け取って現金にかえる場合もありましょう。あるいは親が他の自分の顔が相当きく——と言ってはどうかと思いますが、信用の融通の可能である他の金融機関をあっせんしてやる、こういうことも考え得ると思います。あるいは割り引けない理由として、非常に手形サイトが長かった、手形サイトがもっと短かければ割り引き得るという場合におきましては、そこに手形の書きかえをする、こういうこともやり得ることだというふうに思っております。公取委員会としましては、そうした幾つかの方法のうちにおいて、親企業の内容から見てどういう手段が一番より有効であるかということも考えながらの勧告をするということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/227
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228・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、持っていったが一口で割引してくれなかった、そのときに公正取引委員会に、これはこういうことなんです、こう言ってきたときには勧告するのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/228
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229・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 その話の内容をもちろん一応調べてみます。しかし結局親のほうで無理な手形を出しているということになれば、それは公取としては下請が不当に不利益を得たというふうに解釈しまして、勧告の対象にするというふうに考えていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/229
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230・田中武夫
○田中(武)委員 その場合、いろいろ調査するとか何かあるとして、最終的にこれはだめだというときに、現金で支払いなさいということを言いますか、言いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/230
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231・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 そう覆う場合もあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/231
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232・田中武夫
○田中(武)委員 現金で支払いなさい、こう言った場合は、裁判所の支払い命令と同じことになるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/232
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233・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 裁判所の支払い命令とはおのずから性質は違うと思います。しかし勧告であり、勧告に従わない場合としてそのあとの措置が出てくる、こういうふうな関係のものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/233
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234・田中武夫
○田中(武)委員 この点はこのくらいにしておきましょう。ただしこの条文だけではどうにも判断がしにくい。認定することになっておるから、まず第一段階において親に判断をまかしておるような感じですね。だからそういうことについては、私はこれは欠陥があると思う。
それで次に総務長官、あなたは先日当委員会においてこの法律案の提案理由の説明をなさいましたね。その改正の第三点に、「親事業者が下請事業者に対し有償支給した原材料等の対価を、下請代金の支払い期日より早い時期に、その下請代金と相殺し、または支払わせることにより、下請事業者の利益を不当に害することとなる」云々と言われておるのですが、ここでいうところの相殺とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/234
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235・臼井莊一
○臼井政府委員 本案の提案理由の際に説明申し上げました改正点の一つであります原材料等の対価の下請代金の支払い期日より早い時期の相殺等の禁止であると申し上げたのでありますが、これは本案の条文に即して申し上げますと、原材料等の代金を、下請代金の支払い期日より早い時期に下請代金から差し引き、また取り立てることが禁止されているわけでございます。ただ、相殺と申しましたのは、通常こういうようなことを早期相殺、俗にそういうことばを用いる場合もあるものでございますから、それを用いたのでございますが、本文にはそういうことは書いてございませんで、多少そういう点が説明が不足だったかとも思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/235
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236・田中武夫
○田中(武)委員 まず、相殺ということばが書いてあるので、民法の相殺のことについて考えてみますと、まず相殺をやるときの条件は三つですね。第一点が相互に同種の目的の債務を負担しているということ、もう一つはその双方の債務が満期に来ておるということ、そしてただし書きのほうで意思が一致したという、この三つなんです。これが相殺の条件なんですね。こう見た場合に、いま直そうとしておることは民法の規定とは違いますね。言わんとしておるのは、当然支払い期に来ていないものを差し引きしちゃいかぬ、こういうことなんです。それは当然民法にあることなんですよ。これはどうなんです。
それから、相殺ということばを俗に使ったとおっしゃるが、政府が法律案の提案に法律語を使った限りは私はそう読みます。私は民法上の相殺、法律上の相殺と読みます。もしそうでないとするならば、この提案理由の説明を差し引くとか何とかに変えてもらいたい。そうでなかったならば、この改正は、私は前から言っておるように中身がないと言っておるが、これも中身がありません。なお、このことがあることによって、たとえばそれではその時期が到来したら一方的に相殺ができる感じを与えるのですよ。そうでしょう。そうすると、民法の五百五条からいって違うんじゃないですか。それとも民法五百五条と違う規定をここでいうならば、民法の特別例といいますか、相殺について別個な考え方をここで打ち出そうとしておるのか、そうするならばむしろ改悪です。何とならば、意思が一致しなくちゃいけないということが一つ、それから同種の債務ということと、それからその性質が許さないということ。私は、下請代金というものを支払うところの親企業の債務と、原材料を支給を受けて、それを支払うところの下請業者の債務とは同じ性質であり、あるいは同目的のものであろうとは考えません。私は、民法五百五条にいう、その性質が相殺を許さない債務である、こう考えますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/236
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237・臼井莊一
○臼井政府委員 いまも御説明申し上げましたように、法律の条文には早期相殺ということばは書いてないのですが、ただ法案の提案理由の説明の際に、俗にこれを早期相殺というようなことばを用いるものもありますので、そこでまあ俗称を用いた点にそういう疑義を生じたと考えるのでありまして、でございますから、正確にこれを御説明申し上げるならば、この条文に書いてあるとおり申し上げればよかったのでございますが、その点は確かに民法のいわゆる相殺というものとの関連においては不備であったということは、これは認める次第でございます。何とぞよろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/237
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238・田中武夫
○田中(武)委員 提案説明の中に相殺ということばが使ってあるが、それはいま総務長官の言ったような意味であるというならば大体わかりますが、あとでけっこうですから、これを直すとか、あるいは追加しての提案説明の注釈といいますか、そうするか、あるいはいわゆる事実行為としての差し引き行為を云々というようにしなくちゃ問題があろうと思います。相殺ということばが残る限りは、問題が残ります。じゃ書いてください。
それからもう一つ、この際ですからはっきりしておきたいと思いますが、この改正案で言っておるところのいわゆる支給した原材料、これの代金を支払うという債務と、それを加工する、すなわち納めたときに受け取るところの債権といいますか、親企業からいえば債務です。これは性質を異にする、すなわち相殺を許さないものである、そういうように私は解釈しますが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/238
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239・吉國一郎
○吉國政府委員 今回の改正と一応離れまして、その相殺の問題についていま田中委員から御質疑がございましたので、非常に技術的な法律問題ということで便宜私からお答え申し上げたいと思いますが、この下請代金とそれからたとえば原材料等の代金が、民法の五百五条のまず第一に同種の債務であるかどうかということでございますが、民法の同種の債務についてのみ相殺ができるということは、債権債務の種類が同一であるということでございます。したがいまして、いわゆる種類債権についてしか相殺ができない。その種類債権の中でも、特に金銭債権というものが相殺に適するというのが、これが一般的な考え方、動かせないところだろうと思います。したがいまして、金銭の給付を目的とする債権でございますならば、原則としては相殺可能であるということであろうと思います。
それから第二の問題といたしまして、債務の性質がこれを許さないときはこの限りでないということが書いてございますが、債務の性質が許さないと申しますのは、たとえば同種の債権債務でございましても、たとえばこの公正取引委員会に近いところで例を申しますと、競業禁止の特約を相互になしている、お互いに競争を忌避するという契約をいたしました場合に、債権債務の性質それ自体といたしましては同様かもしれませんが、それをお互いに相殺いたしましてはその債務の目的を達成することができませんので、こういうことは認めない、あるいはまたそういう不作為の債務ではございませんでも、農繁期にはお互いに力を出し合って協業して、たとえば耕作をやるという場合に、お互いに相殺をいたしまして、おまえも一日休めばおれも休むということになりましては、そのような債務の目的を達成できないから、そういうような債務の性質がこれを許さないということは、これは学者の通説でございますので、そういうものを学者は言っておるのではないかと思います。この場合は原材料の代金を、あるいは下請の代金というものは、これは純然たる金銭債権でございますので、その他の条件において合致する限りは一応相殺可能なものであるということは言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/239
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240・田中武夫
○田中(武)委員 特に下請代金について支払遅延防止法という単独の法律をつくって保護しようというこの趣旨からいって、親企業が材料を支給したその代金と相殺を許すというような性格で私はないと思う。ということは、これの下請代金の中には労務といいますか労賃、いわゆる生活に直結する問題を含んでおる。普通の金銭債務とは違う。だからこそ下請代金支払遅延防止法という法律をつくったんじゃないですか。普通の金銭債務であるならば、こういう法律は要らぬのじゃないですか。特に下請代金について保護しようというのでしょう。それならば当然、性質が違うからといって全面的相殺は禁止すべきなんです。この法律の改正によると、支払い期に到達しないやつだけは差し引いちゃいかぬということなんですね。それは当然のことをいうておるにすぎないのですよ。むしろ私は改悪だと言うのです。その反面、支払い期が到達したならば差し引いてもいいという解釈が出てくるのですね。私は、支払い遅延防止法という法律をつくった趣旨、この法律の目的等からいって、当然相殺を許さない性質であると解釈すべきなんだ。また、そう解釈をして相殺を許さないように改正してこそ下請業者の保護になり、経済的に強い者から経済的に弱い者の、すなわち不公正な取引を是正しようということになるのじゃないですか。そうでないとするならばこの法律の大目的に反する、私はそう考えます。したがってこの点も改悪である、こう申し上げますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/240
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241・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 相殺の関係について、民法の解釈自体については吉國政府委員の申し上げたとおりと思っております。民法の場合におきまして、材料の支給代金をいつ払うべきかという問題は、それ自体として一つの契約が成り立ち得るわけでございまいます。われわれのほうでもって条文で特にこれは改正をしてよくなったとはっきり言えると思いますのは、見てまいりますと、材料を支給する、しかしその材料はまだ使い切ってしまわないで、今後下請注文を出したものに使わせるといったような場合に、材料自体は確かに下請業者に渡っておりますが、下請業者としては、それは来月なら来月分の下請のために使うというものを今月の代金の中から差し引いてしまう。これは材料支給の代金の支払いの期日というものとはまた別の観点でものを考えるべきだというふうに考えます。そういうことをしてはいけない。材料支給の代金をいつ払えということは、親企業がやはり相当の圧力でかなり無理なこともきめられるのですから。それでそれ自体は民法のほうからいえば、その期日がきめられれば、それを差し引くなんという行為が行なわれ得ないでもないですから、それはいかぬということを明記しておくことは、やはり下請には相当の利益になるのじゃないか、こら考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/241
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242・田中武夫
○田中(武)委員 いや、私はこのことを書くこと自体によってむしろ支払い期が来れば相殺をしてもいい、ここでは相殺といわないで差し引きだが、差し引きをしてもいいという反面解釈が出てくるからいけないというのです。もし書くならば、全面的に相殺はできないのだ、先ほどいった私の理由からいって、民法五百五条の一項の、性質を異にするものであるという観念づけをこそ必要じゃないのですか。あなたのいま言っておられることは、材料を支給して、今月使うたもの、来月使うもの、これはいわゆる使用高払いなんです。使っただけ払っていく、使用高払いの内容を持つ契約だと思うんです。当然ですよ、できないことは。先ほどの手形の問題とも合わせて当然のことしか書いていなくて、書くことによってむしろ反対解釈としていままでよりか悪いことができてくる。したがってこれは改悪である、こう申し上げているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/242
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243・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 考えようによっては私も当然なことと思っております。その当然なことが現在の下請関係においては履行されないで、それで、材料は渡した、その材料は今月だけ使うのじゃなくて来月使うというものまで含まれている場合において、相殺であるかないかは別としまして、一応その代金を差し引いた残りの分しか払わない、こういうことが事実上行なわれている事例を見ますので、いまおっしゃいましたように、それはやはり当然なことの線に当然直すべきじゃないか、かような意味において改正案ができておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/243
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244・田中武夫
○田中(武)委員 それならば四条の二項の一号と二号はもっと文章を書き直す必要があります。言わんとしておることと違います。これがきまれば当然その反面解釈としてできるんだということになってくると、民法の原則なりこの法律のいわんとする六十日ということから違ったものが出てくる。私はそう断言します。これであなたが言うようなことが読めますか。先ほどの手形の問題も含めて、これこれはしてはいけないということならば、これに対して、していいという反面解釈が出てくるでしょう。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/244
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245・渡邊喜久造
○渡邊(喜)政府委員 手形の問題については先ほど申したとおりでございます。
それからいまの四条の二項の一号でございますが、われわれはこういうふうに読むべきものと思います。自己に対する給付というわけですから、親事業者に対して下請業者が、たとえば鋳物なら鋳物を給付する。その場合に鋳物に使う銑鉄を親事業者が下請に買わした、こういう場合がまずこの条項の問題になってくるわけであります。で、銑鉄百を支給した。そのうち五十を使いまして一応四月には納めた。残りの分は五月以降に使う。ところが、それに対して四月に納めた代金から四月ないし五月に使う分の銑鉄も全部差し引いてしまう。それはいかぬ。四月に納めた代金から差し引き得るものは四月に納めた分の銑鉄代金に限る、こういうふうに読むべきだと解釈しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/245
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246・田中武夫
○田中(武)委員 そう言われなくてもそう読むよりしかたがないのであります。それがいかぬというのです。いいですか。原材料を支給するということは、この契約の内容の性質は賃加工なのです。そうじゃないですか。もちろん自分が仕入れた材料と合わせる場合もあると思うが、賃加工なのです。それが来月使うものまで差し引いちゃいかぬのは当然のことです。当然のことを書くことによってかえって原則を曲げて不利になる。したがって改悪である。これをこのまま議論しておってもしかたがないですから私も審議に協力する。本来ならば明らかにしない限りやめないつもりでありますが、いろいろ要望もあり陳情もあるようでありますから、この件については許しましょう。しかし私はあくまで改悪であると思う。
もう一度はっきり全部を申し上げます。まず改正の第一点の六十日ということは、これはなくとも当然のことを念のために書いたということ。それにとどまる。それから第二点は、一体何を意味しているのか、これがもう一つわからない。もし公正取引委員会で規則化されるならば、先ほど来私が議論しておるように、この法律でいう六十日ということの上に立ち、もう一つは、同時に現金支払いが原則である、こういう上に立ってきめられるべきものであり、そうでなくては何の意味もなさないということ。第三点並びに第四点は、先ほど来言っておるように、このことは当然のことであり、むしろあることによって反面解釈で、第三点は、私の主張からいうならば当然相殺はできないものが、期日が来たら相殺ができるんだというような解釈を与える。この下請代金と材料を支給した場合の代金とが相殺を許す性質のものであるかどうかということには議論がありましょう。しかし私の言っておるのは、下請代金支払遅延防止法という法律で特に下請代金というものを取り上げて保護しようという法律のたてまえからいくならば、当然違った性質のものと解釈すべきである。そういう考えの上に立って、これもかえってないほうがいい。あったらじゃまになる。ことに、先ほど来言っておる第四点については、六十日ということの原則を立てながら、六十日をこえて手形を出すことを暗黙に了承しているという点で、これまた改悪である。これだけ指摘しておきます。そのあとで当委員会がどう処理されるか、指摘だけはしておきます。そうでないと、後日、こんなばかげたことを、商工委員会は四十人一もおってわからなかったかと言われたら困るから、この点だけはっきりしておきます。
それから相殺の問題、提案の説明についてはどういうように直すか、明確にここで出していただきたい。
そうすると残るところは、私が一番先に言ったように、第五点の遅延利息の支払いを勧告する、これだけが若干中身があるのじゃなかろうかと思いますが、これも順守義務を怠った場合には当然勧告できるわけです。これも言わずもがな。
そうなりますと、この改正は何の利益もないといいますか、目的を達成するところについて強力なものとは言い得ない。あってもなくてもいいものである。したがって、これを審議未了ないし継続にしても、下請の人たちにとって何ら迷惑にならない。むしろへたにやれば改悪になるわけです。脱法行為を許すようになる。そういうように断言をいたします。
それから、政務次官が見えておるから、最後に一点伺います。これは通産大臣に伺うべきものであるけれども、大臣がいないのでかわりにお伺いしますが、私がかつて予算委員会において、二月の何日だったかと思いますが、会社更生法の改正について、逐次、改正点といいますか、現在の更生法が下請業者に対して不利になる点をあげて、法務大臣と二人に質問をいたしました。その結果、会社更生法の改正は検討する、こういうように答弁があったのです。通産省は、その後どういう検討をなされて、現在どういう時点に立っておられるか。なおかつ、私があげた点については、先日、社会党改正案としてすでに本委員会に提出をいたしております。それに対してどういう考え方を持っておられるか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/246
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247・臼井莊一
○臼井政府委員 本案に関する提理由の説明中に、「その下請代金と相殺し、」ということばで説明いたしてございまして、この「相殺」というのは、先刻申し上げましたように俗のことばに従って述べたのでありますが、しかし、民法上の性格の定義から申しましても確かに疑義がございますので、そこで、「相殺し、」を「から差し引き」と、こういうように訂正をいたしまして、「その下請代金から差し引き、又は支払わせることにより、」と、こう訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/247
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248・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいま田中先生のお話の点につきましては、通産省といたしましては鋭意研究をいたしまして、通産省としてこういう点についての改正その他をやってもらいたい、こう思われるような点につきまして、仮の案——まだ詰めた案ではございませんが、その案をつくりまして、総理府その他各方面と話し合いまして、ただいまの時点では、政務次官会議で三回ほど実は検討をいたしておる次第でございます。通産省はもちろんのこと、政府全体がこの問題について一生懸命取り組んでおるという点を御了承いただければありがたいと思う次第でございます。
社会党の案につきましても、十分参考といっては失礼でございますが、十分研究さしていただきまして、その研究も含めて検討いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/248
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249・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、不本意ながら、当委員会の審議に協力するということで、この程度で質問を終わります。ただし、私の主張したことは間違っているとは思っておりません。もし間違っておると考えられる方があるならば、いまでもけっこう、あとでもけっこう、おまえの考え方はこの点が間違っておるということを、政府委員だけでなく、与党の諸君の中からも御注意をいただければ幸いだと思っております。
二点要望いたします。
まず最初に触れました会社更生手続をやっておる親企業と下請の関係について、具体的に言うならば、たとえば山陽特殊鋼において、下請代金支払遅延防止法の存在すら知らないということで、頭からむちゃくちゃなことをやっておる。これをこのままにほうっておくならば、下請代金支払遅延防止法の改正をいかにやかましく言い、いかに論議をして通そうとも無意味であります。したがって、そういうようなことに対して今後どういうような措置をするのか、下請者の救われる道について、ひとつ公正取引委員会あるいは政府が責任ある答弁をしてもらいたいことが一点。
もう一点は、今回の改正は、私が申しましたように、何ら中身がないということ。あるとおっしゃるなら、もう一ぺん議論をむし返します。必要はない。むしろこのことを改正することによって、親企業の脱法行為といいますか、反面解釈がくる弊害がある。これだけはっきり言っておきます。したがいまして、与党の諸君においても、これについてどういう考え方を持つか、これからの修正の中において十分に検討してもらいたい。と同時に、政府あるいは公正取引委員会において、こういう意見に対してどういう考え方で善処しようとするのか、それを、意見があれば伺いますが、要望しておきましょう。
追加してもう一点申し上げますが、これは総務長官あるいは次官に申し上げますが、いかにやかましく言い、いかに委員会が努力をして、一歩でもいい下請代金支払遅延防止法をつくろうとも、現在の公正取引委員会の機構、予算では何ら実効が上がりません。同時に、中小企業庁においても、この法律の実施責任は公正取引委員会にあるのだと、こういう考え方ではなく、この下請代金支払遅延防止法をどう生かしていくかということは、中小企業庁の行政の中において生かされるべきである。その点についても十分なる配慮を願うというか指導を願う。こういうことを要望し、この私の要望にこたえて、政府あるいは中小企業庁、公正取引委員会がどうするか、それは後刻文書または口頭でお話を聞くことにして、不本意ながら、本国会におけるこの法律の質問はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/249
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250・内田常雄
○内田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後五時十八分休憩
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午後七時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/250
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251・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
おはかりいたします。内閣提出の下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案についての質疑は、これを終局するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/251
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252・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案についての質疑は終局いたしました。
次会は、明五月十八日火曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804461X03619650517/252
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