1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十一日(木曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 加藤 高藏君
理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君
理事 中川 俊思君 理事 中村 寅太君
理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君
理事 細谷 治嘉君
上林山榮吉君 田中 六助君
中村 幸八君 三原 朝雄君
井手 以誠君 岡田 春夫君
伊藤卯四郎君
出席政府委員
文部政務次官 押谷 富三君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
通商産業事務官
(鉱山保安局
長) 川原 英之君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 今村 武俊君
通商産業技官
(石炭局計画課
長) 佐藤淳一郎君
通商産業事務官
(石炭局鉱害課
長) 佐成 重範君
参 考 人
(石炭鉱業合理
化事業団理事) 町田 幹夫君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七〇号)
電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九二号)
派遣委員からの報告聴取
産炭地域の振興問題
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001・加藤高藏
○加藤委員長 これより会議を開きます。
〔委員長退席、中村(寅)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/1
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002・中村寅太
○中村(寅)委員長代理 この際、過日、日本炭礦高松鉱業所の施業案等に関する問題について実情調査のため、現地に委員を派遣いたしましたが、派遣委員より報告を聴取することにいたします。それでは団長の加藤高藏君にお願いいたします。加藤高藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/2
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003・加藤高藏
○加藤(高)委員 去る二月十三、十四日の両日にわたり行なわれました日本炭礦問題に関する現地調査の状況を簡単に御報告申し上げます。
今回の調査に参加した委員は、私のほか現地参加を含めて八名でありまして、きわめて短時日の間に、できるだけ正確に実情を調査するため、全く白紙の立場で現地におもむいたのであります。
日炭高松に関する問題の内容をごく簡単に申し上げますと、当該炭鉱の石炭採掘については、従来、地上特殊施設の保全のため厳重な規則のもとに施業案の認可等を行なってまいったのでありますが、土地利用の発展と高度化により、地上収益との競合関係が激化するに至り、昨年十一月、福岡通商産業局長は、特殊物件保護並びに保安確保の見地から、現在あらわれている地上への影響の実態及び採掘範囲の発展等による影響を考慮した結果、瀬板貯水池等地上特殊物件に影響を及ぼすと認められる地区に関する採掘禁止を明確にした施業案の処理方針を決定したのであります。
この決定をめぐり、白炭側、地上権者側、さらには地元公共団体一炭鉱従業員等がそれぞれの立場から賛否の主張を続け、その結果のいかんは、白炭の将来のみならず、石炭の供給確保の面からもきわめて重大な事態に直面しているのであります。
われわれ一行は、事の重大さにかんがみ、福岡通産局をはじめ関係各位よりそれぞれの立場に立っての忌憚のない意見を聴取し、さらには瀬板貯水池、高松鉱業所、電源開発若松火力発電所等の現地を視察してまいったのであります。
本問題は、影響するところきわめて大きく、また技術的にも究明しなければならない点もありますので、通産当局はもとより、さきに通産省より派遣された円城寺調査団とも緊密な連絡の上、国会としての立場から今後のあり方につき慎重に検討すべきであろうと思います。
われわれが現地におもむいて感ぜられたことは、白炭をはじめ関係者が相互に信頼し、率直な態度をもって協調することが不足しているのではないかということであり、われわれとしてもこの協調体制を確立するために尽力することが必要であると痛感いたした次第であります。
最後に、当石炭対策特別委員会といたしましては、第二次有沢調査団の答申にもあるとおり、五千五百万トンの石炭目標を達成するため、また、わが国における貴重な国産資源を活用するという見地より、日本炭礦株式会社をして第二の大正鉱業とするがごときことは断固として避けるべきであろうと存ずるのであります。
この際、われわれとしては、政府においてこれらの点を十分勘案して特段の措置を講ずるよう強く要請するものであり、これはひとり白炭の問題ではなく、石炭産業全体の問題と考え、すみやかに日炭再建の方途を講ずべきであると存じます。
以上、御報告申し上げます。
〔中村(寅)委員長代理退席〕
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委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/3
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004・加藤高藏
○加藤委員長 次に、内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/4
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005・滝井義高
○滝井委員 委員長にお願いしたいのですけれども、他の常任委員会はみな大臣が来てから始まっておるわけです。政務次官で悪いわけではないのですけれども、やはり石炭政策の重要な問題点を質問しておるのですから、大臣が石炭政策がわからぬようでは困るので、ぜひ出るように要請をしていただきたいと思うのです。参議院の総括質問だといっても、そんなに大臣がつきっきりでついておらなければならぬことはないと思うのです。他の常任委員会へ行ってごらんなさい。大臣が出なければ開いておらぬですよ。大臣が出てから開いておる。社会労働委員会なんかもいま厚生大臣が来るということで開いておって、大臣が来なかったら質問をやめることになっておる。ぜひひとつ来ていただきたいと思います。
それからいま一つは、合理化事業団の経理と、そしてその経理がうまく石炭鉱業合理化の業務を運営していけるだけのものであるかどうか、円滑に運営できるだけの経理状態であるかどうかということも、現実に担当している理事から聞かしてもらいたいと思いますので、その理事をひとつ呼んでいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/5
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006・加藤高藏
○加藤委員長 お答えいたします。
理事を呼ぶことは承知いたしました。さっそく連絡いたします。
それから、前段の大臣出席の件はまことに御趣旨ごもっともでありまして、直ちに連絡をとって、十分御希望に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/6
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007・滝井義高
○滝井委員 それではとりあえず質問を続けておきます。
昨日、合理化事業団の業務の経理概要について御質問をいたしたのですが、いろいろ資料の都合で留保された部面がたくさんございました。きょう手元に資料が出ておるようでございますので、とりあえず石炭局長のほうからこの資料の概要を御説明になっていただきたいと思います。そして質問を続けさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/7
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008・井上亮
○井上政府委員 資料の御説明を申し上げます。
順序は、まず最初に、納付金の収納状況についてでございますが、昭和三十年度から三十九年度まで歴年の状況をここに述べております。調定額、収納額、それから未収額、収納率とございます。調定額としましては、ここにありますように各年によって多少のばらつきがございます。合計いたしますと百十三億五千二百万円ということに相なっております。これに対しまして、収納額は百九億七千万円、したがいまして、昨日滝井先生から御指摘がありました未収額の問題、これは三億八千二百万円に相なっております。それから収納率といたしましては、合計的に見まして九六・六%でございます。最近の苦しい事態にもかかわらず、まずまず納めているという実態でございます。
ただ、一言御説明をつけ加えておきますが、収納率が一〇〇%をこえているのがございますが、これは前年度の未納の分のずれ込みを次年度で徴収しているというような関係で一〇〇%をこえているものがありますが、これはそういうような事情でございます。
次は、雇用促進事業団への交付金の交付状況でございますが、これはやはり三十四年度から三十九年度まで年度別に交付金の額をここに記載しております。合計いたしまして、三十九年度までに二十六億七千二百万円でございます。昨日も答弁いたしましたように、三十八年以降は大体必要な援護業務の一割程度を事業団から交付するというようなことにいたしまして、このような数字に相なっております。
次は三枚目でございますが、整備資金の債務保証の状況でございます。ここでひとつおわびを申し上げなければならぬのですが、昨日、私、出資金五億円と申しましたが、六億でございます。これは三十六年度の予算が三億円、三十七年度に出資金として三億円、合計六億円が基金となっておりまして、この基金を運用して、石炭企業が市中金融機関から融資を受けます際に、事業団が保証するというたてまえになっておるわけでございまして、保証倍率は、三段目に書いてありますが、現在では十二・五倍でございます。したがいまして、保証限度額としましては七十五億円、つまり、六億の十二・五倍という意味で七十五億円まで保証できるということに相なっております。今日までの保証実績は、一番右の計欄を見ていただきますと、大体四十億円程度保証いたしております。そういう実態でございます。したがいまして、まだ保証の余裕がございます。
なお、ここで一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、来年度予算におきましては、さらにこの六億にプラス一億の予算をいただきまして、今後の方針といたしましては、この一億を中心といたしまして、中小炭鉱向けの整備資金に限らない一般の運転資金についての債務保証業務を事業団がいたしたい、ただいま提案いたしております合理化法の改正の一つの要点でもございますが、そういう考え方を持っております。
それから次の資料の御説明を申し上げます。次は運賃延納債務保証の状況でございます。まず、この運賃延納問題が起こりましたのは三十六年度からでございますが、現実に、これはいろいろの曲折がございまして、合理化事業団が中小炭鉱に対します運賃延納のための債務保証を業務開始いたしましたのは三十七年八月でございますが、一応三十七年の一月一日に遡及して保証するという制度をとったわけでございます。債務保証のための出資額といたしましては、三十七、三十八、三十九年度と予算をとりまして、合計六千八百万円、これが債務保証の原資に相なっておるわけでございます。昨日も答弁いたしましたように、四十一年度まで一応続くわけでございますが、債務保証業務は三十八年度で打ち切っております。保証実績といたしましては二億八千六百万円。既弁済額三千五百万円とありますのは、これは中小炭鉱におきまして閉山等に伴いまして弁済したというようなものの金額でございます。保証残高といたしましては二億五千一百万円ということに相なっております。
次は、石炭鉱山の整理実績でございます。これは、御承知のように、石炭鉱業の整理に伴いまして国が買い上げるというような制度を始めましたのは三十一年度からでございます。その当初からの推移をこの資料で盛ってあるわけでございますが、御承知のように、三十一年度から三十八年度まで旧方式の処理が続いております。しかし、御承知のように、旧方式制度におきましては、昨日滝井先生から御指摘がありましたような長所もありますが、反面、事務処理がきわめて遅延するというようなために、三十七年度から新方式制度に改めたわけでございます。新方式制度は、鉱業権を取得し買い上げるという方式でなしに、交付金を交付するという業務、鉱業権を抹消登録させまして、そのものに対して交付金を交付する、こういう制度に改めたわけでございます。最初に旧方式、次に新方式と書いてありますが、まず予算の欄を見ていただきますと、予算額としましては、旧方式で十億、新方式で百四十八億、買収または消滅させました山のトン数といたしましては、旧方式が二百六十七万四千トン、新方式が千四百八十四万三千トン、合計しまして、昨日御指摘のとおり千七百万トン程度に相なっております。
それから、昨日御質問がございませんでしたが、ついでに離職金の状況がどうなっておるかという資料もあわせてつけたわけでございます。離職金につきましては、旧方式時代は、御承知のように予算でまかないませんで、納付金でまかなっておるわけです。したがいまして、処理実績には離職金の額が書いてありますが、予算の欄は空白になっております。しかし、新方式になりましてから、納付金だけでなしに、ほとんど大部分を予算でまかなうという制度に変えたわけでございまして、そういう内容になっております。合計いたしますと、予算額としまして、補助金として百六十四億円が今日まで支出いたしております。予算としてはそういうことで、支出は、大体支払い額が百五十二億という内容、補助金が百二十億、この差額が納付金に相なっておるわけでございます。昨日も答弁いたしましたように、近年は必要な資金の大体八割は予算でまかない、二割を納付金でまかなっていくというような制度でやっております。
それから最後に、合理化事業団の買収鉱区、これは旧方式でございますが、これにかかる積み立て金、保証金の受け入れ、支出実績の御質問があったわけでございますが、これも三十一年度から最近までの実態をここに書いてございます。
まず、積み立て金の欄では、予想賠償額といたしましては四億六千万円、それから供託金は六千八百万円、これに対しまして、いわゆる確定鉱害については保証金を取るという制度があるわけでございますが、この関係が十二億八千万円ということでございます。そしてこの積み立て金、保証金を通じます支払い額を次の欄で掲げております。これは積み立て金として実際に支払いましたのは五億七千万円、保証金のほうでは十二億六千万円、保証金のほうは、ごらんになりますように大体マッチしておるわけでございますが、積み立て金は支払い額のほうが多くなっております。この点が、昨日滝井先生から御指摘のありました、事業団の会計支出で支払いが多いために積み立て金等が足りないんじゃないか、これはどうしているのだというような御質問がありましたが、この差額は事業団の余裕金で埋めて運用しておるということでございます。
以上、簡単でございますが、資料の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/8
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009・滝井義高
○滝井委員 それでは、いま御説明のありました資料の関係で、きのう留保しておったところから先に質問に入ります。
いま御説明になったまず第一の納付金の収納状況でございますが、これが百十三億五千二百万円調定をして、百九億七千万円の収納額があって、三億八千二百万円だけ未収であり、九六・六%になっておるわけでございます。そうしますと、まず私が知りたいのは、百十三億五千二百万円のうち、大手分が幾らで、中小分が幾らになるのかということでございます。それをまず先に——合計のところでけっこうです。そして大手の収納率が幾ら、収納額が幾ら、中小の収納率が幾らで、その額が幾ら、これをちょっと説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/9
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010・井上亮
○井上政府委員 ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんので、至急調べまして御答弁させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/10
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011・滝井義高
○滝井委員 事業団が来ればそこらわかりますかね。至急に調べてもらいたい。
そこから、実は私も問題にしたことがあるのですが、百十三億五千二百万円という調定額は、トン当たり二十円の納付金だけの額ではないんじゃないか。御存じのとおり、あなたが三十五年の項で御説明になったように、調定額は十億六千六百万円だけれども一、実際には十億六千八百万円と、前年度分が繰り越して入ってきておるので、これは一〇〇%をこえておる。あるいは三十八年においても一〇八.二というように、調定額をこえて収納額が増加してきておるわけです。これは前の分の繰り越しのほかに、ちょうど税に加算金を取るように、加算金を取るわけですね。したがって、百十三億五千二百万円の中に一体そういう加算金というものが幾ら入っておるのか、しかも加算金の収納率というものはどういうことになるのか。この加算金を納めないと山を買い上げてくれないのですよ。ここはそういう関係があるはずなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/11
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012・井上亮
○井上政府委員 お答えをいたします。
この調定額の内訳でございますが、御説のように、普通納付金と加算納付金と両方からなっておるわけでございますが、加算納付金としましては二十五億、それから普通納付金は八十八億ということに相なっております。それから収納額のほうでは、普通納付金が八十五億、加算納付金が二十四億六千万円というような内容になっております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/12
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013・加藤高藏
○加藤委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、ただいま議題となっております二法案審査のため、参考人として石炭鉱業合理化事業団の関係者に出頭を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/13
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014・加藤高藏
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、参考人には、二法案の審査中、必要に応じて随時出席していただくこととし、その人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/14
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015・加藤高藏
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/15
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016・加藤高藏
○加藤委員長 それでは、二法案に対する質疑を続けます。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/16
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017・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、調定額は、普通納付金で八十八億と加算納付金で二十五億、これが収納額になると、普通納付金八十五億、それから加算納付金二十四億六千万円、こういうことになったのですね。これが大手と中小との関係はわからない。これはあとでいただきます。
次は、整備資金の債務保証状況を見てみますと、すでに返したも)のが四億二千五百万円あるわけですね。しかし、なお四十億、保証残高が整備資金の中に残っておるわけです。それから、運賃の延納についても、返したものは三千五百万円で、なお二億五千百万円の残高があるわけです。一体こういう金の返済というものは具体的にどういう形で行なわれるのかということです。昨日御答弁があったように、市中銀行から借り入れたものを保証したり何かするものについては利子補給はやらぬ、こういうことになっておるわけですね。私はあとでもう少し法案の具体的な、今後の新しい開発資金やら、改善のための低利の資金の貸し出しをやるので、そこのところでもう一ぺん触れますけれども、こういう合理化事業団が保証人になっているものの金の返済の見通しがつかないことには、炭鉱の経理は何とかやりくりできるが、今度は合理化事業団が炭鉱の経理を肩がわりしてしょって倒れていくだけのことになるわけです。いま姫路で倒れておる山陽特殊鉱ですか、うまいところ借金をたな上げして、そして富士製鉄か何かがころっと肩がわりして入ってくるという、そういううまいことは簡単には許されるものじゃないわけですよ。これは国の機関だから、幾らしょったって、あと国が見てやるといえばそれまでかもしれぬけれども、今度は合理化事業団と対々で話をしなければならぬ。きのうも言ったように、被害者というのが話をしなければならぬところがあるわけですよ。合理化事業団の経理が詰まってくればくるほど、対外的な応対はきわめて冷たくなってくる。ないそでは振れません、私たちはさかさにしても鼻血も出ませんよということになってしまうわけです。それはどうしてだ。いやいや、私のところは整備資金の保証やなんかで一ぱい借金をしょっておって、通産省や大蔵省に金を出してくれと言ったって、とても一文も出してくれません。だから、いわんや、あなたたちに出す金なんかない、こういうことになってしまう。だから、こういう保証をしている金の支払いのめどをつけてくれぬことには話にならぬわけですよ。あなたの言うように、そういうときには六億の基金を少しふやすのだと言ったって、何十億とある保証をし、あるいは二百七十二億の実際の債権をたな上げして、利子だけを国が補給をしてやるということでは、実際の状態では身動きがとれないわけです。だから、これらの返済の見通しを——余裕金だとか基金をふやして何とかやりますということだけでは、私は現実の問題として納得がいかない。帳面づらではこれで話が片づいたことになるけれども、現実の生活面ではそうはいかぬ。それは池田さんや佐藤さんが、いやいや、卸売り物価は横ばいで、消費者物価はたいして上がっておらぬのじゃ、こうおっしゃるけれども、なるほど統計の上ではそうかもしれぬけれども、現実の、八百屋さんに行って買う場合には、十円、二十円の大根が一本七十円も八十円もするようになっているのですから。それは統計にあらわれてきていないわけです。だから、この四十億なり、あるいは運賃延納の債務保証の二億五千一百万円の保証がもし保証倒れになった場合に、その保証責任も何かめどをつけておかぬことにはこれはならぬわけですから、これは一体どういうぐあいにやるのか、もうちょっと具体的にしてもらいたいし、それから町田さんのほうの意見もちょっと聞かしてもらいたいのです。
町田さん、実はこの整備資金の債務保証というのが、いま残高が四十億七千万残っておるわけです。それから運賃延納の債務保証が二億五千百万円残っておるわけです。これは合理化事業団が二百七十二億円程度炭鉱に貸したものについては今度利子補給する、こういうことは言明があったわけです。それならば、炭鉱が市中銀行から借りた金を保証した分についてはどうなるんだというと、ここは予算のワクを広げるとか、余裕金でやっていくとか、いろいろおっしゃっておりますけれども、実際は、ないそでは振れぬのがあなたのほうの立場だと思うのです。そこで、いま私は、あなたのほうが保証した金が、炭鉱が手を上げてどうにもならぬようになった場合には、一体どういう責任を政府はとってくれるのかという質問をしているんだが、なかなかいい答弁が出てこない。これは最終的には大蔵大臣に尋ねなければならぬと思いますが、あなたのほうの立場としては、こういうものについては一体どういうようにして処理しようとされるのか。貸し倒れ、保証倒れになった場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/17
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018・町田幹夫
○町田参考人 ただいまお尋ねの件でございますが、幸いにいたしまして、整備資金につきましては、目下のところまだそういう貸し倒れという事態は起きておりません。炭鉱が銀行と約定したものにつきまして、一部、銀行のほうが契約を延ばしたという例はございますけれども、大体炭鉱が約定どおり返しておるということで、目下のところはございません。
運賃延納につきましては、これは若干炭鉱等がつぶれまして、私のほうに対しまして国鉄から履行請求等があったものもございます。これは目下のところ金額はまだわずかでございます。その整備資金の保証につきまして非常に大きな貸し倒れができた場合どうするかということでございますが、これは私のほうといたしましては保証いたしておりますのですが、もしそういう事態が起これば、事業団といたしましてできるだけこれを善処いたしまして保証を履行する、どうしても事業団の力でできないということになりますれば、これはその事態におきまして事業団のほうも国のほうと御相談いたしまして債務だけは履行しなければならぬだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/18
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019・滝井義高
○滝井委員 なかなか事業団良心的で、債務を履行したい、こう言っておる。炭鉱業者はなかなかそういう気持ちがどうも少ないのですよ。こういうところに非常に問題があるんです。しかし、何とかしたいと言うけれども、具体的な方法は何もないわけです。それは国が出す以外に方法はない。余裕金の運用、基金の増大等の予算措置で何とかするというだけのことであって、では一体具体的にどういうことにやってくれるのかというと、なかなかはっきりしない。昨日私ちょっと調べてみたのですが、少し石炭局長の答弁は間違っておるんじゃないかと思うのです。石炭の運賃の延納債務については四十一年まで延期をすると言ったのだけれども、私は何か読んだことがあるので、記憶ははっきりしませんが、調べてみましたら、合理化事業団のこの書類を見ると、三十九年三月五日に閣議決定をして四十三年までまた延期しておりますね。四十三年から三カ年間というわけですね。昨日あなたはそうは言わなかった。これはあなたの答弁が正しいのか、こっちが正しいのか、どっちが正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/19
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020・井上亮
○井上政府委員 運賃の延納保証は四十二年度末まででありまして、四十三年度から弁済が始まります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/20
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021・滝井義高
○滝井委員 したがって、それだけ国鉄は今度はまた金が入らぬことになるのですね。この分については国鉄に何か処置をしてやっているのですか。いま町田さんが言うように、すでにこの運賃の延納については、炭鉱がつぶれたりしてなかなか支払いができないような状態が出てきておる。これは中小が中心になっているので、中小はどんどん倒れていく傾向があるから、そういう傾向は顕著に出てくる可能性がある。そこで政府は、これを見越して四十三年から三年間、おそらくこうしたのだろうと思う。先手を打ったのだろうと思う。そうすると、泣かなければならぬのは、国鉄が泣かなければならぬことになるわけです。国鉄は親方日の丸でまあ国営企業みたいなものだからいいじゃないか、そういうことであれば、それも一つの方法であるかもしれません。そういう考え方なんですか。国鉄はどう言っているのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/21
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022・井上亮
○井上政府委員 それは私の古い記憶でございますが、三十六年度から三十七年度にかけまして国鉄の一五%運賃値上げに伴いまして、それをまるまるやられては石炭産業としてはその負担にたえないというようなことで、苦心しまして、特に中小炭鉱については保証人がおりませんので、昨日御答弁しましたように、合理化事業団が保証人になるという制度をとったわけでございますが、その当時国鉄との申し合わせによりまして、国鉄には、この保証措置を講ずることによって国鉄に損はかけないというお話をいたしておるわけでございまして、国鉄のほうでは、こういったものについては債権として会計経理上処理するというような形になり、一方、保証いたしております事業団のほうでこの保証債務を履行するというようなたてまえになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/22
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023・滝井義高
○滝井委員 私が言うのは、三十六年から三十八年までの間三年間延納することになっておったわけですね。そうすると、それからすぐ支払いが始まるはずなんですが、それが今度はまた五年延びて、四十三年から向こう三年間ということになると、国鉄はこれは保証はしてもらっておるけれども、その金はいつもたな上げされて、収入になってこないわけですね。もちろん債権ではあるけれども、しかし、新幹線をつくったり何かして、赤字の石炭山と同じような赤字に苦しんでいる国鉄が、そういうゆったりしたことは、私は簡単にいかぬと思うのです。これはわずかに二億か三億の金ですから、国鉄にとってはたいしたことはないかもしれぬけれども、やはりこういう政策は、私は、石炭政策が迷惑をかけたら、そのしりぬぐいだけは約束どおりにきちっとやってやるということが一番大事なところじゃないかと思うのですよ。それをいつまでも、たな上げしたような、しないようなかっこうでやっておれば、次にまた国鉄に石炭産業が迷惑をかけるときには、この前の借金も払っておらぬじゃないか、しかもわずかに二億五千万円だというようなことで、次の政策を打つときにうまくいかぬですよ。だから、こういうところは仁義を——やはり通産省としては国鉄に重んずる形をつくってやるし、同時に、合理化事業団が肩幅の狭い思いをしないようなことをやっておく必要があると思うのですよ。わずかな金なんだから、こういうわずかなところをけちけちしてやっているから石炭政策がうまくいかぬということになる。これは一事が万事ですよ。しかもいつの間にか閣議で決定をしてしまっておるでしょう。あなたが記憶がないぐらいにすらっと閣議で決定しておるんですよ。こういう点はもうちょっとしっかりしてもらわなければいかぬと思うのですが、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/23
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024・井上亮
○井上政府委員 お説のとおりだと思っております。ただ、本件につきましては国鉄も十分事情を了解いたしまして、国鉄としては一応会計処理上債権額ということで計上して、四十三年度からの弁済を待っておるというような事情でございまして、決して石炭サイドから不義理をいたしておるわけではございませんで、国鉄当局も了解をしてやっていただいているわけでございます。ただ、それはそうでございますが、ものの考え方あるいは処理としては、滝井先生の言われることも確かに一つの方法であるというふうに考えておりますが、しかし、政府部内におきまして話し合いまして現在のような形にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/24
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025・滝井義高
○滝井委員 まあわずかのことですから、ひとつ片づけられるところから先に片づけておかないと、いまの医療費の健康保険の赤字問題じゃないけれども、先へ先へ送っていっていると、どうにもこうにもならぬようになるということにもなりかねないので、ひとつ御注意を願いたいと思うのです。
それで、石炭山の整理については次に尋ねるとして、その前に、昨日の積み立て金と保証金との関係でございます。この積み立て金に見合う予想賠償額は四億六千三百七十二万二千円と出ておるわけです。そしてそれに対して供託金を差し引いた三億九千五百五十四万六千円は払わなければならぬ額だ。そうすると、この積み立て金に見合う鉱害というものは、確定鉱害で三億九千万の金があればこれは実際は片づいてしまうことになる。そうすると、さいぜんあなたも御指摘になったけれども、三億九千万円の確定鉱害で積み立て金を取っておったのに、積み立て金の支払い額が五億七千万円になったというのは、これは理由としてはどういう理由からですか。すなわち、確定鉱害の見落としがあったということなんですかね。いわゆる安定鉱害の見落としがあったということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/25
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026・井上亮
○井上政府委員 お説のように、見落としというと語弊がありますが、むしろ、実際精査した結果賠償額はもう少し多かった、そのために、当初予定しました予想賠償額よりも多く支払ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしてみますと、このことから言えることは、少なくとも四、五割方は、炭鉱がこの程度の賠償額があるでしょうと言ってき、それに対して、合理化事業団が見積もるときには三、四割方鉱害量が多くなるということがわかるわけですよ。そこで、三十一年以来の実績をずっと見ますと、これは大体三十八年までの実績のようですが、とにかく三、四割から、へまをすると五割ぐらいは多くなってくる、こういうことが一つはっきりしたわけです。そうしますと、いま保証金を取っている額は十二億八千四百八十万九千円ですね。そしてこの保証金に見合う額として十二億六千三百六十六万八千円をもうすでに払ってしまったわけです。そうすると、この保証金に見合う、すなわち、不安定、未発生鉱害の総量は一体幾らと現在見ておるのか。これがまず大事なところですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/27
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028・井上亮
○井上政府委員 鉱害課長からお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/28
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029・佐成重範
○佐成説明員 旧方式によりまして合理化事業団が鉱区を買収いたします場合に、保証金——これは買収いたします時点におきまして安定しております鉱害、これを賠償を担保するために保証金として積み立てさせたも一のでございます。これはその当時におきまして、ここにございますように、保証金として十二億八千四百八十万九千円というものを保証させましたことは、合理化事業団が賠償義務者といたしまして約二十五億円の鉱害を処理しなければならないという前提に立ちまして、この十二億八千四百八十万九千円というものを調定いたした次第でございます。これは要するに、臨時石炭鉱害復旧法に基づきます国の補助というものを考えますと、二十五億円程度の鉱害量に対しまして、補助金を勘案いたしまして石炭鉱業合理化事業団が負担いたします金額といたしましては十二億八千四百八十万九千円というものが妥当であるという観点から策定いたしたも一のでございます。結果といたしまして、順次、合理化事業団が、この鉱業権者の賠償義務者たる地位に基づきまして十二億六千三百六十六万八千円の支出を行なったわけでございます。したがいまして、残高の欄にございますように、二千百十四万一千円の残高になっております。したがいまして、合理化事業団が当初考えました鉱害量が妥当といたしますれば、残高の鉱害量というのはおおむね四千万円前後ということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/29
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030・滝井義高
○滝井委員 だから私は実績で言ったわけです。四億六千万余りの賠償を予想しておったところ、実際にやってみたところが、それが五億七千万円も支払わなければならなくなった。供託金を差し引いてみると約二億ぐらいは手出しをしなければならぬ。これは合理化事業団があとから鉱業権者から取ることになるのでしょう。そうすると、それは大きく見積もると、へますると五割方はよけいに出す。そうすると、保証金を十二億というものを一応見積もって取っておったとすれば、それは五割増しの十七、八億ぐらいになる可能性があるということなんですよ。そんなに積み立て金で間違っておって保証金で正確にいくというようなことはない。不安定、未発生鉱害ですから、保証金のほうがもつとロスが多くなってくると私は思うのですよ。そうしますと、そこから五、六億の間違いが起こり、すでに二億の間違いが起こっておるということになると、七、八億から十億ぐらいは何とかしなければならぬというものが出てくる。これは必ず出てくる。そのくらいでおさまれば大したものになると思うのですが、いまはわずかに六千百四十二万五千円、二千百十四万一千円、それぞれ積み立て金、保証金の残高があるのだが、これではどうにもならぬということですよ。そうすると、これは余裕金その他でまかなっていく、こうおっしゃるけれども、そんなことができるはずのものじゃないんですよ。だから、いま町田さんの下部機関である九州の合理化事業団等でわれわれがいろいろ鉱害の問題を折衝してみますと、それは一万円、二万円の金でも出し渋るのですよ。当然そのくらいのものは出すべきだ、連帯責任の鉱業権者じゃないかと言うけれども、滝井さん、そんなことを言ったって、私のところに出す金はない、だからもとの鉱業権者に言ってください、こう言うのです。もとの鉱業権者に言えば、もうあれは合理化事業団に売ってしまった分だから、私のほうは金はありませんと言う。なるほど、合理化事業団に行ってみると、積み立て金も保証金も一文もないのです。だから現金を鉱業権者が手出しをしなければならぬことになる。にっちもさっちもいかない。そういう問題が山積していますよ。合理化事業団は、すでに一切の賠償は完了したと言うし、地域住民は、まだここに残っておる、ここに残っておると言ってくるのです。いつになったら一体終わりになるかというけじめがついていないのです。だから、これは如実に保証金と積み立て金の実績がそれをあらわしておるわけです。
そこで今度は、一体二億というような金はどこから出しておるのかということです。いまの差額は余裕金でやっていくというけれども、ほんとうにこれは余裕金でやっておるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/30
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031・井上亮
○井上政府委員 余裕金で運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/31
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032・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今後保証の分が相当出てくるのですが、これは一体どの程度出るとお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/32
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033・佐成重範
○佐成説明員 お答えいたします前に、まず、滝井先生が、積み立て金と保証金の対象につきまして、いまの御質問の中で、保証金が不安定鉱害というふうにお考えのようでございますが、積み立て金が未安定と将来発生鉱害を担保するものでありまして、保証金のほうは、買収の当時におきます確定鉱害を担保するという制度になっております。積み立て金が未安定と将来発生鉱害を担保するものでございまして、保証金のほうは既安定鉱露の賠償を担保するための制度でございます。でございますので、どちらかと申しますと、積み立て金によって担保されます鉱害のほうが不確定要素が多い、事柄の性質から申しますと、さようなことになるわけでございます。いま申し上げましたように、積み立て金が買収の当時におきます未安定鉱害あるいは将来発生鉱害を担保いたしますわけでございますが、未安定あるいは将来発生の鉱害と申しますものは、それぞれ合理化事業団におきましても相当厳重かつ綿密に調定した次第ではございますが、なかなか発生の予想は困難である。また、四囲の状態あるいはほかの地層、地質の状態その他から考えまして、なかなか予測が困難な面もあるわけでございまして、合理化事業団が積み立て金調定の当初予測いたしませんでしたような事態が発生しているというふうな場合も間々あるところでございます。保証金につきましては、その当時確定した鉱害を担保するためのものでございますから、どちらかと申しますと、積み立て金のほうに不確定な要素があるのでございます。これは石炭鉱業合理化事業団の鉱業権を有する鉱業権者といたしましては、鉱害被害者との間に当事者関係に立つわけでございまして、先ほど先生御指摘のごとく、鉱害被害者から鉱業権者たる合理化事業団に対しまして、鉱害賠償請求のいわゆる鉱害紛争の案件が数件あるということは事実でございます。これは合理化事業団と鉱害被害者とが当事者関係に立ちまして話し合って処理してまいるということが、鉱業法のたてまえ上、筋道となるわけでございますが、この間に立ちまして通商産業局長あるいは地方鉱業協議会というふうなものが、あっせんあるいは和解仲介というような立場から、両者の適正なる処理に努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/33
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034・滝井義高
○滝井委員 それではちょっと私勘違いをしておりました。いま御指摘のとおり、積み立て金のほうが不安定と未発生分でございます。それから保証金のほうが確定鉱害、そのとおりでございます。
それにしても、理論は同じことであって、とにかく不安定、未発生鉱害で、三、四割から、どうかすると五割も違っておるわけです。これだけまだ片づいたわけではない。まだまだ続々確定したものの中から出てきつつある。いわんや、未発生のものも、これはまだ今後うんと出てくるわけです。それは人情として、もうこれで一切が店じまいで終わりだということになれば、われもわれもと債権者が来るのと同じで、やってくるですよ。だから、それを全部余裕金でまかなっていくということになると、今度は余裕金を尋ねることになるわけです。
一体、合理化事業団には年間どの程度の余裕金があるかということです。そしてその余裕金の性質というものは、どういう金が余裕金として使われるのか。国庫余裕金という場合には、税金が入って、そうしてそれが支出する前に一時大蔵省の金庫、日銀の金庫にあるという状態でしょう。そうすると、一体どの程度の余裕金が合理化事業団にはあるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/34
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035・町田幹夫
○町田参考人 余裕金の解釈でございますが、ただいま通産省のほうからお答えがありまして、余裕金でまかなっておるということですが、正確に申しますと、実は私どもの勘定は二つに分かっておりまして、整備勘定、要するに、整備のほうをまかなう勘定と、それから貸し付けのほうをまかなう貸し付け保証勘定、二つ勘定がございます。この二つの勘定の間はあまり流用はできないということになっております。と申しますのは、整備勘定のほうは、いわゆる納付金と補助金とで大体まかなっております。貸し付け保証勘定のほうは、出資金あるいは国からの借り入れ金等、国の金でまかなっておりまして、その間流用ができないということになっております。したがいまして問題は、整備勘定の中でやりくりする、こういうことになるわけでございますが、われわれのほうのたてまえといたしまして、事業団は御承知のように鉱業権者でございますので、鉱害を賠償すべき義務がございます。積み立て金あるいは保証金をオーバーいたしました場合も一、これが鉱害と認められたという場合には、そういう積み立て金、保証金をオーバーしてもこれを払わなければならない義務があるわけでございますが、その際、金をどうするかということでございます。整備勘定全体を通じて考えますと、整備勘定は、実は国から、現在のところ約六十九億でありますか、相当大きな借金をいたしております。と申しますのは、これは整備促進交付金を交付いたしておりますが、これの財源といたしまして納付金だけではまかない切れませんので、いわば将来の納付金を引き当てにいたしまして国から借金をいたしておるようなわけでございます。そういうわけでございますので、その整備勘定の中でまかなっておる、こういう形になっております。したがいまして、とりあえずは、現在の整備勘定の中の金から支出しておるということになるわけでございますが、長い目で見れば、究極的にはやはり納付金でこれをまかなわざるを得ない、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/35
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036・滝井義高
○滝井委員 どうもわかったようなわからぬような、結局整備勘定の中のやりくりでやっておる、しかし、長期的に見ると、結局納付金でやらなければならぬ。ということになると、買い上げの原資を食ってしまうことになるわけですね。その分だけ炭鉱は買えなくなるわけです。したがって、そうなると、その補助金の額をまたふやさなければならぬ。ところが、補助金の額はなかなかふえてこない。だからこれは自分で自分の足を食うことになる。三十八年度の損益計算書を見ると、二十三億くらい欠損になっておるわけでしょう。剰余金は八千何百万円ほどあるようですけれども……。こういうところにこれがあらわれてくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/36
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037・町田幹夫
○町田参考人 先ほど申しましたように、事業団の会計は、整備勘定におきましては、将来の納付金を引き当てに借金をいたしまして処理しておきまして、将来五十一年度まで納付金をちょうだいいたすことになっておりますが、納付金もちょうだいして順次この借金を返していく、こういうことになっておりますので、経過年度で見ますとそういうふうに欠損になっておりますけれども、最終的には一応つじつまを合わせる。ただ、ここで将来のことを申し上げるとあれでございますが、たとえば、われわれのほうの長期資金計画におきましても、現在のところ出炭目標五千四百万トンということでずっと納付金をちょうだいいたすことになっておりますが、将来のことでございますので、ずっと納付金の対象として出炭ができるかどうかというふうな点も、これは将来の問題でもございますので若干は問題もございますし、また、はたしてわれわれが所期しておるとおり鉱業権者が納付金を九四、五%程度も納めるかどうか、いまのところは、私のほうで近代化資金の貸し付けなりあるいは整備交付金等を交付しておりますが、それとのバーターというようなことである程度納付金の徴収率もいいわけでございますが、将来ともそれだけ継続するかどうかということについては、先の話でございますので若干の不安がないわけでもないというわけでございます。そういう点で将来問題がございますが、そういうふうになりまして、事業団が将来解散するようなときに、どうにも解決がつかないということになれば、やはり政府機関でございますので、最終的には国のほうに御相談するということになると思いますが、いまの途中の段階ではまだ結論が出ていない、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/37
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038・滝井義高
○滝井委員 いま町田さんが言われたように、問題は、収支計算が最終的に五十一年度にきまってしまう。そうすると、それまでは整理をする炭鉱の数がだんだん少なくなっていくわけです。したがってそれだけ支出は少なくなる。しかし、納付金は残った炭鉱がだんだん払っていくのだから、五十一年度になると、相当借金があってもとんとんになっていくわけです。それはそういう見通しだろうと思うのです。では、それまで鉱害の被害者その他の支払いは一体どうなるかというと、それはそれまではずるずると引っぱられていくわけですよ。私が言う問題はここなんです。だから、こういう問題は、家屋とか農地というものは、それまで待てというわけにいかぬわけです。美田が荒らされて、家屋がひっくり返されてしまって、それまで待てというわけにはいかぬ。最近は高松炭鉱等の関係もありますが、こういうのが出てきました。八木山ダムから北九州に向かって導水管を引くわけです。大きな工業用水なり飲料水の管を引くわけです。そうすると、その管を引いてはならぬと鉱業権者が言い始めた。鉱害の賠償を取られる可能性があるから……。そうすると、地上の物件は、鉱業権があるところは何も建てられないという状況が出てきているわけです。それは、高松炭鉱の問題がこんなに大きくなってきたから、みんな言い始めた。いままでは、われわれの祖先の美田なり家屋をひっくり返しておって、そしてそれをつべこべ言うて何も支払わず、今度は、地上にあるやつはまかりならぬと言う。いまに大かたわれわれの個人の家も建てることはできぬと言い始めるかもしれませんよ。そういうふうに鉱業権者が自分の権利を非常に強く主張し始めている。一方においては、既存の鉱害については言を左右にしてやらぬし、町田さんのほうも、今度は、三十七年以来新方式になって以来、鉱業権者は連帯責任がないのだから、鉱業権者に交付する金だけは私たちの責任です、それが終わったら、もう私たちは、あなた方が何を言ったってしようがありませんと言って逃げてしまうんですね。そうしていま言ったように、収支は五十一年にならなければわからぬということでは、これは話にならぬわけですよ。だから私は、昨日から、やはり連帯責任制をとらなければいかぬと言うんですよ。合理化事業団も連帯責任制をとってくれ、そうすれば大蔵省も、連帯責任になれば、毎年金を入れざるを得ないことになるんですよ。五十一年になったら収支が整うのだから、もういいではないか、五十一年まで引き延ばしておけ、そういうことを言うのは、これは社会開発を唱える佐藤さんの政治姿勢ではないんですよ。だから、池田はうそを申しませんと言い、今度は佐藤さんが社会開発になって、あまりうそばかり言って、だまされておったのでは困るので、ここらあたりでもう一ぺんもとのあれに戻ってもらいたいんですよ。合理化事業団が連帯責任を持って、連帯責任を持つかわりに金はどんどん出す、金は国からどんどん取って——余裕金や何かでいくということは間違いですよ。余裕金なんかありはせぬですよ。だから、そういう体制を今度の改正の中でぜひひとつとってもらいたいと思うんですよ。やらなければ、これはわれわれが修正案を出して、修正しなければ通さぬですよ。だれも責任を持たずに一切逃げてしまって、あとは野となれ山となれというわけにはいかぬですよ。日本の資本主義に貢献した筑豊の最後の大掃除は、やはり合理化事業団が責任を持つということ、すなわち国が責任を持つという体制でやってもらう、こういう形にならぬことには、私たちはとても納得がいかぬですよ。いま三百億とか四百億の鉱害というけれども、実際にはもう八百億から一千億あるんですからね。だから、合理化事業団がいまのような体制ならば、すらっと逃げてしまって、あとはだれもおらぬということになったのでは、私たちは納得ができないのです。余裕金でまかなうというけれども、それはまさにかげろうのごときものであって、実体はないということがわかったのですから……。
次に入るのですが、石炭の需給のことは次に回じまして、先にまず合理化の状態、先日私がお尋ねをしておったのですが、三十九年度に——これはあるいは三十九年度までの累計かも一しれませんが、自分の山を買い取ってもらいたいといって申し込んでおって、そしてもう買い取ってもらう必要がないといって申請を取り下げた山が三百万トンくらいあるんですが、これは一体どういうことなのかということです。これの内容を、正確にどの程度ある、主たる理由はどういうものだということをちょっと御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/38
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039・佐藤淳一郎
○佐藤説明員 いまの御質問にお答えいたします。
交付金の交付申請をいたしまして撤回いたしました炭鉱の状況でございますが、いま先生の御指摘のありましたように、合計で六十一炭鉱で三百六万三千トンという数字がございます。ただ、その内訳をちょっと申し上げてみますと、大体四つの分類に分かれまして、まず一つの分類といたしましては、一回申請をいたしまして撤回いたしまして、また再申請いたしまして、それで整理または整理確実なものが、そのうち十七炭鉱の九十万四千トン、これは実績といたしましては、ほとんど再申請いたしまして整理の確実なものでございます。大半はもう整理を終わっておるものでございます。それから第二の分類といたしまして、撤回いたしました後において、いわゆる保安勧告の整理で消滅あるいはまた事業団の手によらないで自然消滅した炭鉱、これが大体二十三炭鉱ございます。これが数量といたしますと四十五万六千トンでございます。それから第三の分類でございますが、一ぺん撤回いたしまして再申請はいたしておりますけれども、当分整理の見込みがないというものが大体三炭鉱ございまして、これが二十二万一千トンでございます。それから、撤回いたしまして現在操業を継続中のもの、これが十八炭鉱、百四十八万二千トンでございまして、これは大部分がいわゆる大手の第二会社でございまして、これは当分操業は継続すると思いますし、再申請の見通しはないと思います。大体こういうことでございまして、それを合計いたしますと、六十一炭鉱の三百六万三千トンというような状況になっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/39
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040・滝井義高
○滝井委員 おそらくそういうものがあるであろうと思って言ったわけですが、この大手の第二会社については、私は三十七年に合理化法を論議したとき以来、鉱区の分割についてはやらせるべきでないという主張をしてきたわけです。井上さんの先輩の石炭局長、大臣も、それはそうだ、鉱区の分割をさせるべきでないと言ってきたわけです。ところが、現実には、大手の炭鉱がほとんど全部、鉱区の分割を始めておるのですね。いいですか、自分の鉱区の中の一部だけを切って売りに出す、いわゆる鉱区決定の申請をする、あとの残りに第二会社をつくる、そしてまた一部は小さな炭鉱にやらせる、こういうのはいまざらですよ。そうしますと、非常に鉱害の多いところはいま言ったように残してしまう、そして農地その他補助率がよけいについてうまくやれそうなところだけは切って売りに出して整理資金をかせぐというか、運転資金とするというか、そういう傾向が出てきているわけです。いま言った三百万トンの約半数に当たる大手の第二会社になった十八炭鉱というようなものは、おそらくそういう傾向がほとんどじゃないかと私は思うのですよ。大手の鉱区の一部を第二会社にして、幾ぶん切り売りをするか、あるいは他の租鉱権者に出す、こういう形じゃないかと思う。こういう形でやられれば、ますます町田さんのほうに重圧がかかってきて、現実の賠償額といま言った保証金、積み立て金との格差がうんと出てくるのです。こういう行き方を全部やるのですよ。やって、だんだん鉱害の賠償を引き延ばしていくという形になるのです。もちろん、ある会社は昔の伝統ある炭鉱の銘柄を残すためにやっているところもあるかもしれません。そういうところもあるかもしれませんが、とにかくそういう傾向が強いのですね。だから、出たり入ったりまた出たりということを絶えず繰り返して、客観情勢を見ながら処理していくことになるのですね。こういう第二会社でやるのならば、全部の鉱区を残して第二会社にやらせるべきだと私は思うのですよ。そうすれば、第一の会社と第二会社とは明らかに連帯責任を持ってやることになるのですから、きちっといくわけです。ところが、半分か三分の一は売りに出して、それからまた三分の一ぐらいは第二会社、その残りの三分の一は名もなき租鉱権者に出していくということでは、これは何か映画にあった、名もなく清く貧しく生きていくとかなんとか、そいうことになってしまうのですね。清いかどうか知らぬけれども、みんな貧しくなってしまうのですよ。だから、こういう点もう少しきちっとした石炭行政をやってもらわなければいかぬのじゃないか。しかも第二会社というのは、きのうからさんざん問題になっておる組夫をどっさり使っておる。しかもその組夫は、もとの第一会社のときの炭鉱労働者が組夫になっておるわけでしょう。だから、何か石炭行政というものが、上のほうはきれいなようであるけれども、すそに行くほど全く秩序が乱れてしまっておるという形では、私はしかたがないと思うのです。こういうところが大手の北炭とか三池にガス爆発が起こるゆるみが出てくる原因になると思うのです。これはあなたのほうがだらしがないからです。だから、合理化事業団のほうが、第二会社をつくって、残りの幾ぶんかを第二会社にして、あとは売りに出すようなものを買うてはいかぬと思うのです。一緒にする、そうして第一会社に鉱害処理を第二会社をやっている間にどんどんやらしてくれば、今度きたときにはあなたのほうの負担はずっと軽くなってくるわけです。それをやらずに、鉱害の多いところだけ残して、そうしてどうにもこうにもならぬ、行き詰まってしまってから町田さんのほうの合理化事業団に売り込みにくるというのは、実に私はけしからぬやり方だと思うのです。資本主義の保護立法の悪い面を最大限に活用しているのだから、もうこういうことは許せぬですよ。一体今後どういうように行政をやっていくつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/40
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041・井上亮
○井上政府委員 ただいま特に鉱害処理の問題にからみまして、第二会社設立の是非の問題その他の御意見が開陳されたわけでございますが、私どもも滝井先生のおっしゃるような実態があるというふうに考えておるわけでございます。ただ私どもの方針といたしましては、滝井先生御承知のように、第二会社化とか、あるいは炭鉱を分離して租鉱に出すとかいうような方針は、好ましい方向あるいは傾向ではございませんので、こういうことはできる限り大手の経営者には慎むようにということで善処さしておるわけでございます。ただしかし、これまた滝井先生御承知だと思いますけれども、その場合に、炭量もだんだん枯渇してくる、あるいはその山が老朽炭鉱であって、もうこれ以上経済採炭もできないというような場合に、普通であれば全山閉山ということに相なるわけでございますが、あまり急激に全山閉山、思い切って山をみんな片っ端から閉めていくということでも、単に需給上悪影響があるだけでなしに、地元市町村等にとりましても、あるいはそこに働いている炭鉱労務者の立場からいっても、なおできるかぎり段階的に整理してもらいたいというような希望があるわけでございます。しかし、本来、私どもは、滝井先生おっしゃるとおり、そういう姿は好ましいものとは思っておりません。私どももそういうものは極力認めないというような方針で指導はいたしておりますが、ただいま申しましたように、地元市町村あるいは働いている炭鉱労務者等の段階的整理の希望というようなものもありますような場合には、やむなく第二会社も認めていくというような考え方をとっているわけでございます。ただ、そういった場合に、やはり鉱害処理の面で、確かに従来持っている鉱業権者、これも、将来ともにいままで発生しました鉱害につきましては連帯債務を負うわけでございますから、やはり責任は免れないわけでございますが、それにいたしましても、鉱害の面で御迷惑をかける面も現実には起こっていることも承知いたしております。そこで私どもは、こういった事態に対しまして、今後の方針といたしましては、特にこの鉱害問題に関しましてやはり相当広範な各方面からの調査をいたしまして、相当思い切った対策を今後樹立していく必要があるというふうに考えておりまして、これは今後鉱害関係の法案を御審議いただきますときに再びまた滝井先生から御指摘があろうかと思いますが、私どもは四十年度の事業計画といたしまして、石炭鉱業審議会に鉱害関係の強力な組織を設けまして、要すれば現地調査もし、また、現地の鉱害被害者あるいは現地の市町村の方々とも十分懇談をして、単に一時的な対策でなしに、将来に向かっての根本的な対策を立てるような検討も今後進めていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/41
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042・滝井義高
○滝井委員 将来に向かって検討するのではなくて、いまのいまの問題なんです。もう気息えんえんたる状態で、息が切れそうなんだ。あしたとかあさってとか言っておったって間に合う状態ではないわけです。どんどんやっておるわけですから。大臣なりあなたの先輩の石炭局長は、そういう鉱区の分割なんか絶対させません、そういうものは買い上げません、こう言っておった。全部、町田さん、大手が出しておるでしょう。第二会社をつくって、しかも、もとあった鉱区を三分の一とか二分の一分割をして売りに出しておるでしょう。大手みな出しているのです。しかも残った第二会社の近所の鉱区をまた租鉱権者に出している。これはざらですよ。三菱にしても三井にしても、名のある大手がみなそうやっている。そして鉱害については、民事関係の契約を結んで、鉱区は安くいただきます、しかし鉱害は一切私が引き受けますといって、租鉱権者がちゃんと大手に契約書を一筆出しておるわけです。そうすると、大手に行けば、いや、それは向こうがやると言っているから、向こうにまず行ってください、向こうがやらぬと言えば、それは私がやりますと言う。行きますと、いや私のほうがやります。いつやるか。いや、それはいま金がないからちょっと待て、もうちょっと待て、です。掘ったのはだれが掘ったか。大手が掘った。なるほど連帯責任です。それは法律的にはそうです。しかし、こういう金銭のやりとりというものは、これはもう力関係でいくわけです。社会党は今度の国会でも自民党から四枚の手形をもらっていますよ。農業用ガソリン税の問題にしても、水道の問題にしても、医療の問題にしても、三矢にしても、みな出している。書記長、幹事長で確認したけれども、きょう出した三矢の資料を見てくださいよ。あんなもの資料でも何でもないものを、独断的に判断して出しているだけです。これは力関係ですよ。現実の生活面ではそういう力関係が働くのだから、われわれは、現実に大きな企業と小さな庶民とが争う場合には、これは力関係では庶民が負ける、だから負けないように国の立法でうしろだてをしてやる以外に善良な庶民を守る方法はないのですよ。それをあなたたちは——これもまた一つの力関係。あなた方がうそを言ったとき、われわれはそのうそを直すことができない、力がないことを非常に残念に思う。残念に思うのですけれども、それでは国会の権威というものがないのですよ。だから、そういうことだったら、今度は全部法律に書かざるを得ないということになる。分割をいたしません、行政指導は必ずいたしますと言ったにもかかわらず、平然として白昼公然と分割さしてしまうのでしょう。それではまるきり行政が成り立たぬ。しかも、私の山を売りますと言って出しておいて、撤回をしてそうして操業をやっている山が十八炭鉱もある。しかもそれは大手のものが十八炭鉱全部やっておる。しかもそこには第二会社をつくっているというに至っては、これは話にならぬわけですよ。これでは鉱害というものは、第二会社がある間はずんずん延びていってしまうのですね。
〔委員長退席、中川(俊)委員長代理着席〕
こういう点は、今後大手といえども一第二会社をつくることはやむを得ぬ、地域の状況その他で第二会社をつくっても一いいということにちゃんと約束しているのですから、その点を私は文句を言っているのじゃない。第二会社が必要ならばおつくりなさい。しかし、そのときに鉱区を分割してそれだけを売りに出して責任をのがれるようなことでは困るということです。だから、それは第二会社が閉山するときに一緒に処理しなさい。その間に第一会社は財政の許す限りで鉱害の復旧計画を立ててやっていってもらったらいいのですよ。自今が明治以来、日清、日露以来掘り尽くしたあと始末をするのに、何か逃げよう逃げようとかかる、そういうさもしい根性が私たちはけしからぬと言うのです。どうですか。ここはあなたが答弁ができなければ、政務次官もいらっしゃいますけれども、政務次官は東京の方だからこういうことはしろうとですし、言ってもしようがないから、東京の人よさようならというわけじゃないけれども、やはり責任の大臣に来てもらって、もう一度きちっと言明したらどうか。今後は大手の閉山をして第二会社をつくったところは鉱区を一切分割しない、そのままいく、こういうくらいにして、やはり包括的に鉱害というものをきちっと把握してその大手の会社にやらせるようなぐあいにしないと、口では、第二会社になっても私どもの責任ですと言うけれども、第二会社のやっておる間は大手はやらないのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/42
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043・井上亮
○井上政府委員 滝井先生の御趣旨は非常によくわかります。非常によくわかりますが、そういった閉山とかあるいは存続とかいうようなことをきめますときには、もちろん鉱害問題も大きな問題でございますから、これを度外視して判断するわけにはまいりません。しかし、それと同時に、そこで働いておる労働者の気持ちあるいは地元市町村の考え方、そういったものをやはり総合勘案して、ケース・バイ・ケースに判断せざるを得ないというふうに考えておりますので、必ずそういうことはいたしませんということは言わないほうが、やはり行政指導としては適切ではないか。先ほど滝井先生もお話しいただきましたように、第二会社を設立することも、私どもは本来これは好ましいものとは思っておりません。御承知のように、三十七年四月六日の閣議決定におきまして、当時社会党の諸先生方は、第二会社は断じて認めるなというようなお話がありましたが、いろいろお話し合いの結果、やはり地元市町村とか、あるいはそこで働いている労働者が特に労使話し合って希望する場合には認めていいじゃないかというような閣議決定もございます。しかし、そうは申しますものの、できるだけ滝井先生の御趣旨に沿って、あまり御迷惑をかけないように、しかし、判断としてはやはり総合判断せざるを得ないと思いますので、ケース・バイ・ケースに処理させていただきますが、御趣旨はできるだけ尊重して、また体してやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/43
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044・滝井義高
○滝井委員 第二会社が、地域経済に重要な影響を及ぼしたり、雇用対策上どうしても必要だというときには認めることについては、われわれもやぶさかでないわけです。しかし、その場合に、何も鉱区を分割して一部を売りに出す必要はないという点なんです。ここを言っているわけです。その点を、いままでのあなたの先輩なり大臣は、そういうことは行政上させませんと言った。ところが、ケース・バイ・ケースで今度それをやるのだということになれば、どれでもケース・バイ・ケースになってしまうのだ。そのケース・バイ・ケースというのは、全くのレア・ケースの例外だったのが、公然としてみなやっておるでしょう。ほとんどやっておるのです。それはあるいは資金繰りのためかもしれません。しかし、資金繰りといったって、十億で買い上げられれば、七億くらい押えられてしまう、三億くらいは出すのです。ほんとうは鉱害が多いから三億も出してはいけないのだけれども、三割、債権者分とかなんとかいって、あるいほ未払い賃金がなかったら出しています。出しているけれども.それはもらえばそれだけ資金繰りは楽になるのです。しかし、それでは、あとの残りの七億、あるいは未払い賃金と、債権者がおって三割、二割を取ったあとの五割だけで鉱害の復旧ができるかといえば、できない。できないので、今度はあとの金をどうするかということになったときに、これはもう合理化事業団に売ってしまって、私のほうは金がありませんと言って、カタツムリのように東京の大きなビルの中に鉱業権者が立てこもってしまったら、のこのこいなかから汽車賃を使って出てきて取れるものじゃないですよ。だから町田さんのところに、苦しいから押しかけていくことになるんです。だから、どこか、押しかけていったらば、受け答えをするところがないと——町田さんのところへ行っても、足を払われる。おれのほうは連帯責任がなくなりましたと言われれば、それまでです。国がそれだけの施策をしておるならば、国も責任を持ってもらって、最後は国が受ける、そして国が大手の炭鉱から、求償権を発動して、住民にかわって取ってもらったらいいのです。それだけの腹をきめて石炭行政をやってもらわなければ話にならぬです。
この問題はうんと内容をはらんでおって、これから合理化法案の内容の新しい施策について尋ねることになるわけですが、ちょうど十二時になりまして、十二時から懇談会をやるそうですから、合理化事業団をめぐる問題点だけは、いままで過去に起こっている問題については一応終わりしまたので、今度は法案の内容の問題をもう一ぺん次会にやらしてくだい。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/44
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045・中川俊思
○中川(俊)委員長代理 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。
産炭地域の振興問題について、これより懇談会に入ります。
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〔午後零時二分懇談会に入る〕
〔午後零時五十七分懇談会を終わる〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/45
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046・加藤高藏
○加藤委員長 これにて懇談を終わります。本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X00919650311/46
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