1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十七日(水曜日)
午前十時二十四分開議
出席委員
委員長 加藤 高藏君
理事 有田 喜一君 理事 中川 俊思君
理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君
理事 細谷 治嘉君
上林山榮吉君 田中 六助君
中村 幸八君 野見山清造君
三原 朝雄君 井手以 誠君
岡田 春夫君 八木 昇君
伊藤卯四郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 宮本 惇君
委員外の出席者
参 考 人
(石炭鉱業合理
化事業団理事) 町田 幹夫君
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三月十三日
産炭地域における特定の公共事業等に要する経
費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関す
る法律案(細谷治嘉君外七名提出、衆法第一〇
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七〇号)
電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/0
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001・加藤高藏
○加藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行ないます。
なお、本日も参考人として石炭鉱業合理化事業団理事の町田幹夫君に御出席を願っております。
それでは、質疑の通告がありますのでこれを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/1
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002・細谷治嘉
○細谷委員 私は電力石炭共販会社のことについて若干質問をいたしたいと思います。
第二次有沢調査団の答申によりまして、一般炭についてはトン当たり三百円、原料炭についてはトン当たり二百円の価格の引き上げが必要だ、こういうことが答申されたわけでありますが、この問題について新聞等を拝見いたしますと、まだガスの業界、あるいは鉄鋼関係の業界、あるいは九電力の社長会等と折衝をしておるようでありますが、まだそのいずれもがはっきりとした結論に到達しておらないようであります。ひとつ、それぞれについての今日までの経過をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/2
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003・井上亮
○井上政府委員 石炭鉱業調査団の答申によりますと、ただいま御指摘がありましたように、石炭鉱業の今後の経理対策の重要な一環として、炭価の引き上げがうたわれておるわけでございます。御指摘のように、一般炭につきましては三百円、原料炭については二百円の値上げが妥当だという答申になっておるわけでございます。
政府におきましては、この石炭鉱業調査団の答申を受けまして以来、この答申の線を尊重するということをいち早く閣議で決定をいたしております。したがいまして政府の方針といたしましては、この答申の線を尊重して、炭価値上げを実施するというような考え方に相なっております。ただ実際問題として、これを具体的に実施いたしますために、関係の大口需要部門である電力業界、鉄鋼業界、ガス業界等と懇談をいたしておるわけでございますが、この答申にもありますように、値上げは必要である、しかし需要部門の負担を軽減するために、できるだけ負担増対策を講ずべきであるというふうに答申でもうたっておるわけでございますが、今日までずばりといかなかった一つの原因は、負担増対策についての業界との折り合いが十分つかなかったという点にあったわけでございます。しかし政府におきましては、この負担増につきましては鋭意大蔵省と折衝努力をいたしまして、大体電力、鉄鋼ともに値上げに伴います負担増分の半額程度のものは、負担増を関税還付の措置でめんどうをみるということに相なったのでありまして、現在の状況からしますと、負担増対策としては、もうこれ以上のことは政府としてはできない、これでのんでもらいたいという態度を関係業界に示しておるわけでございまして、これに対しまして関係の業界からは、基本的には値上げの線について私はほぼ御了承いただいたというふうに考えております。ただ具体的細目等につきましてなお打ち合せ中で、基本線は一応了解をいただいておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/3
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004・細谷治嘉
○細谷委員 それでは基本線は了承をいただいているということでありますけれども、少しそれぞれについてお尋ねしたいと思いますが、新聞によりますと、三月三日に通産大臣が日本瓦斯協会の原料対策委員長である安西さんとお会いになって要請した結果、その趣旨については了承するけれども、態度の決定は三月中旬になる、こういうふうに新聞に書かれてございます。あとで出てまいりますけれども、昨日の新聞によりますと、十六日に九電力の社長会の代表である正副会長等が安西会長等と会って、さらに有沢団長とも会って態度をきめるということでありまして、基本線については了承したようでありますけれども、まだこの段階において明確な態度が打ち出されておらぬ、こういうふうに理解しております。新聞はそういうことでありますが、これについては問題ないという理解に立っていらっしゃるかどうかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/4
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005・井上亮
○井上政府委員 ただいま公益事業局長お見えになりましたので、公益事業局長からも御答弁があろうと思いますが、私に関する限り御答弁さしていただきたいと思います。
私はやはり電力、鉄鋼、ガス業界ともにやはりこの答申の線は尊重して、尊重したお立場で御協力いただけるというふうに確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/5
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006・宮本惇
○宮本政府委員 ただいま参りましたので、あれでございますが、いま石炭局長からお話しございましたように、一応われわれ通産省といたしましては、電力業界の負担増対策は、関税還付ということによりまして電力業界を大体納得させ得るということで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/6
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007・細谷治嘉
○細谷委員 私は電力会社の問題に入っておらぬで、一つ一つ聞いておるわけでございます。ガス業界については、大体基本的な了承を得ているので、最終的に問題なくいくんだという石炭局長の答弁でありますし、私はそう信じているんですけれども、昨日の新聞によりますと、さらに鉄鋼関係とかあるいは電力関係等と相談した上で、三月中旬にきめるようになっておるようでありますから、少しもつれておるんではないかという気もするものですから、非常にこれは答申の柱をなしておる問題でありますからお尋ねしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/7
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008・井上亮
○井上政府委員 個別に申し上げますと、電力業界におきましては、やはり基本的な線におきましては御理解をいただいておるわけでございますが、ただ具体的な価格決定になりますと、非常に複雑な機構の問題もございますので、そういうような点につきましてまだ最終的にはきまっておりません。ただ、基本的にこの答申の線を尊重していただけるということは、ただいま公益事業局長もおっしゃいましたように、私どもは信じておるわけでございます。
それから、鉄鋼業界におきましては、同じくこの答申の線を基本的に御了解いただけるとは確信いたしております。また、そういうふうに私ども鉄鋼業界から聞いておるわけでございます。ただ鉄鋼業界におきましてもまた、具体細目等につきましては、実施面におきましていろいろな意見がまだ残っておるという段階でございます。
それからなお鉄につきましては、これを受ける一つの基本的態度として、つまり炭価値上げに応ずるということの一つの条件として、御承知のように、原料炭の需要は今後相当ふえてまいります。国内炭優先使用原則で、いまとにかく国内で生産される原料炭はすべて引き取ってもらうという原則は、鉄鋼業界も確認しておりますけれども、しかしそれでもなおかつ足りない。足りない原料炭についてはやはり海外の石炭鉱山を何らかの形で開発して、安定供給源をつくるようにという考え方に立っております。これは石炭局の立場から見ましても、当然のことではないか。ただそのときに、やはりいま外貨割り当て制度等をやっておりますので、政府の了解なしには海外の石炭鉱山の開発はなかなかできにくい。つまり国内炭が非常に生産されましたときには、海外から石炭を買うのは差し控えなければならぬというような問題が起こりますので、そこをスムーズにいくように政府として配慮してくれという申し入れをしております。これに対しまして、私どもは石炭特に原料炭の長期の生産見通し、これを的確につくりまして、もちろんこの原料炭につきましては、合理化法の改正で今度お願いしております新鉱開発の制度をやっていきますので、新鉱開発の規模とか、今後の出炭の見通しとかいうようなものも、まず国内の原料炭について適当に見通しを立てまして、そうして足りない分について海外の石炭鉱山の開発を計画的にやってまいるというように考えております。そこをぎごちない形でなく、円滑にできるような措置を講じてまいりたいというようなことが、やはり炭価引き上げの条件として提示されておる。これについては私ども十分鉄鋼業界の要望に沿えるのではないかというふうに考えております。
なおガス業界につきましては、ガスは公益事業局長の所管でございますから、あとでお話があるかもしれませんが、これは御承知のように、ガス業界は電力、鉄鋼と少し業態が違うわけであります。違うと申しますのは、いわゆる大企業だけではございませんで、地方ガスが相当、百数十のガス企業があるわけであります。大手を申しますと、御承知のように東京、大阪、名古屋等が大手になっておりますが、そういったガス業界の中の大手は、協力するにやぶさかでないという態度を示していただいております。しかし零細な中小企業的な地方ガス、これにつきましては、やはりガス業界の指導者とされましては、できるだけ協調を要請する。しかしながらガスについては、御承知のように今回負担増対策はございません。調査団もそれを予期しておりませんというような関係もあり、ガスは従来ともにやはりナフサ転換の問題も起こります。特に地方のガスは非常に経理状態が苦しい赤字企業が相当多い。安西さんのお話によりますと、過半が赤字経営だというようなお話でもありますので、これについては安西さん個人としても、できるだけ協力を要請するけれども、これについてはやはり適当な何か配慮がほしいという希望意見を申し述べております。もちろん大手としては協力するにやぶさかでないというお考えのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/8
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009・細谷治嘉
○細谷委員 いまお話がございましたように、ガス業界の主張は、原則的に了承しているのだけれども、地方ガス関係に経営の苦しいところがある。こういうことが難点で態度の決定が中旬に延ばされた、こういうことが新聞等に書かれておる。鉄鋼関係におきましては、要するに原料炭の長期的な確保ということを前提として、それが確保されるならばひとつ協力しよう、こういうことでございますが、お尋ねいたしたい点は、もう少し突っ込んだ、その地方ガスの経営という問題について、安西さんが何らかのことを考えてほしい、こういうことを要望されておるとすれば、具体的にはどういうお考えをこれに対してお持ちなのか。それから鉄鋼関係については七億七千万円ですか、リベートをしよう、こういうことが基本で協力要請をされておるようでありますけれども、何といってもやはり原料炭の確保ということが条件でありますから、これについての対策、けさ四十年度の原料炭等の見通しについて資料をいただいたのですけれども、もう少しこれを御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/9
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010・宮本惇
○宮本政府委員 ガス業界の問題について御報告申し上げます。
ガス業界の態度決定がおくれておるという話が新聞に出たようでございますが、これは十八日に社長会議で——社長会議と申しますか、ガス業界の会議で最終的に態度を決定いたしたいということなんでございますが、実は先週の土曜日におもなガス会社、有力なところが集まられまして、私も呼び出されたわけでございます。それでいま石炭局長からお話ございましたように、ガス業界の場合は、引き取り義務がございませんので、負担増対策というものの対象にはなっておらないわけでございます。かたがた、大手については別でございますが、中小ガス業者につきましては、ナフサ転換とか重油転換とかの指導をしてまいったわけでございますが、そうはいたしましても、やはり現在石炭を使っている会社が四十年度におきまして、大手を含めましてちょうど二十六社ございます。ところが、御承知のように、ガス業界の四十年度の原料炭の消費計画は約三百万トンでございますが、そのうちの二百六十八万トン程度が中央三社で使います。したがいまして、残りの中小で使いますのは約三十万トン前後。二十六社から大手三社を除きました二十三社でそのくらいを使うということでございますが、現在のガス会社というものは全部で約二百近くございます。その由ですでに重油の装置を持っているところもございます。現実に石炭だけしか現在使っていないところは、たしか九つくらいでございます。九つのうちで無配が三つ、これは詳しいことはあとで申し上げますが、そういうようなことで、現実問題といたしましては、引き取り義務がないから、それじゃ値上げに応じなければいいじゃないかということに、理屈としてはなりますが、現実に石炭しかたいていないという場合に、値上げを断われば逆に今度は炭を持ってこないという可能性もありますので、その辺が実は非常な問題でございます。われわれといたしましては、たとえば一つのやり方は、コークス価格に多少値上げを反映するというやり方もあるかと思いますが、これは具体的になかなか実際問題としてできないわけでございます。そこで現在、安西さんともこの間いろいろ御相談申し上げましたけれども、とりあえず来年度以降ナフサの関税還付というものも、いまございませんが、できるだけ強力に実現するとか、あるいは中小企業の金融公庫のワクを広げて、なるべく早くそういうところも重油のほうへ転換をするとか、そういう問題をいろいろやることによりまして何とかやらしていきたい。業界からは、たとえば中小企業金融公庫の金利の問題を、八・五%を六・五%にしてくれとか、いろいろ要望はございますが、これはガスばかりではございませんで、たとえばセメントその他も同じ状況でございますので、そういう努力はいたしますが、現在のところ何とか資金的にめんどうを見るとか、そういうことで今後十分検討いたしたい。ただ、いまずばり、電気のように負担増対策というものもございませんので、名案はなかなか浮かばないのでございますが、しかしガス業界といたしましても、通産大臣の慫慂にこたえて何とかお受けしたいという気持ちはあるようで、その辺、具体的な経営が非常に苦しくなった数社の会社にどういう対策を講ずるかということは、今後できるだけ対策を尽くしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/10
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011・井上亮
○井上政府委員 原料炭の今後の生産見通し等につきまして御説明申し上げます。
原料炭につきましては先ほどもお答え申し上げましたように、大体国内で出炭された炭は優先的に鉄鋼業界、ガス業界におきまして使用していただけるという方針を確認いたしておるわけでございますが、生産といたしましては、これは率直に言いまして、石炭合理化審議会の需給部会を近く開く予定にいたしておりますので、まだ確定ではございませんが、この前の調査団の段階で調査いたしました資料で申し上げますが、四十年度におきましては原料炭は千二百四十万トン程度の出炭の見通しでございます。四十一年度は千三百十五万トン程度、それから四十三年度に約千四百万トン程度というように増加の見通しに相なっております。ただ、以前から原料炭の新鉱開発をやっております日鉄の有明鉱あたり、これは非常に大規模な開発計画をやっておるわけでありますが、これあたりは昭和四十三年くらいから少し炭が出始めまして、四十四、五年くらいから本格的に出炭されるという見通しでございますし、なお、これは本年度の下期からになると思いますが、北海道の北炭の清水沢、それから三菱の南大夕張というようなところの原料炭の新鉱開発が着手されると思いますが、これにつきましては同じく供給力になってあらわれますのは四、五年あとになりますので、ただいま数字を申し上げましたが、この中にはそういう新鉱開発による供給力は入っておらないわけでございます。しかしこれ以降におきましては、さらにこういった新鋭炭鉱があらわれまして、供給力がさらに増加されるという見通しでございます。ただこれだけの増産を今後いたす見通しでございますけれども、需給の関係から見ますると、弱粘において相当不足が見られ、これも先ほど申しましたように、まだ正式に需給部会を通っておりませんので確定版ではございませんが、四十年度におきまして少なくとも百三十万トンくらいの輸入はせざるを得ないのではないかという見通し、それからさらに四十一年度には同程度でございますが、四十二年度になりますと、これがさらに百五十万トンをこえる見通しでございます。四十三年度になりますとさらにまたふえるというような見通しでございまして、したがいまして鉄鋼業界が炭価値上げに際しまして、やはり原料炭の安定供給ということを非常に強く条件に述べておられるわけでありますが、私どもも今後国内の原料炭の開発計画を適確に進めますとともに、正確な需要見通しをできる限りつくりまして、それと需給との関係を合わせまして輸入政策についても遺憾のないように、だからといって国内の生産あるいは供給にそごを来たさないように、そういった配慮をしながら御迷惑をかけないようにしてやっていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/11
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012・細谷治嘉
○細谷委員 ガスの問題と鉄鋼の問題につきましては、弱点なり対策等をお聞きしたわけでありまして、特に鉄鋼の原料炭の問題につきましては、今後いろいろな困難な条件の中で、いまおっしゃったような計画を達成するということは容易ならぬ問題があると思いますので、ひとつ格段の努力をお願いしたいと思うのです。
そこで、何と申しましても答申の大きな柱は、電力用炭の問題でございますが、新聞等を拝見いたしますと、大体電力会社の負担というのが相当大きい。六十六億、こういうふうに言われておる。これに対して、当初通産省が示したのは、問題にならない、こういうことであったようでございますけれども、二十五億、それもぎりぎり通産省の許される範囲内で三十億程度ということが新聞等に書かれておったわけでありますけれども、最終的には二十六億八千七百万円というものを電力会社に示されて協力を要請した。これに対して話はだいぶ煮詰まってまいったようでありますけれども、先ほどちょっと申し上げたような経過で、まだ結論が出ておらない。この間あまりにも通産省の考えと電力会社の考えというのはかけへだたりがあるので、六十六億欠損が起こるのだから半年ずらしたらどうかというような、ずいぶん石炭政策あるいは答申から見ますと重要な問題が取りざたされておりたわけでございますけれども、これについて確たる見通しと自信をお持ちかどうか、たいへん重要な問題でありますからお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/12
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013・宮本惇
○宮本政府委員 確かに御指摘のように、最初私が通産省の次官のところで決定いたしました二十五億という案を持ってまいりましたときは、とんでもないというような空気だったわけでございます。その後二度、三度やりまして、その間大臣もいろいろ政治的に折衝されまして、当初の約二十五億が今度二十六億以上にふえたわけでございますが、その程度でのむかどうかといった点、この間の十一日の社長会議で私は相当激論をしまして、これ以上政府としてもさかさまになってももう対策はないし、また電力業界自体も相当安定しているからあんまりかってなことを言うなということで、結局大体四十年度についてはしょうがないだろうという空気になってきております。ただ問題は、御承知のように電力会社といえども、特に産炭地は現在のところ関税還付の対象になっておりません。特に北海道電力、九州電力が直接困る。特に北海道は困るわけで、その辺は今度電力用炭代金精算会社法を新しく変えられまして、ある程度のプールをして産炭地に厚く、中央に薄くというような形をとるのでございますが、実施時期の問題は確かに大問題でございますが、御承知のように、法律が通りませんと電力側のプールはできないわけでございます。したがって、現在の法体系におきまして、たとえば石炭鉱業臨時措置法の五十八条による基準価格の設定は、これはできます。それから電力用炭代金精算会社法に基づいて十九条の個別の価格の指定もできます。ですから、かりに今度のプールと申しますか、そういよやり方をやりますと、電力会社から販売会社に払うのは、揚げ地は高く払うわけです。それから積み地は安く払う、そして中でプールされて、石炭会社はトン当たり三百円、こういくわけです。ところがこの法律が通って実際スタートしませんと、そのプールができないわけです。したがってそこに一つ問題があるのですが、これはもちろん四月一日から実施ということで、われわれも何も変わっておりませんが、その間をどうするか、たとえば電力業界が払った場合に、石炭側で適当にプールをしてトン当たり三百円ということができるかどうかといった点、問題点はございます。ただわれわれといたしましては、四十年度の関税還付というものはあくまでも四月一日から来年の三月三十一日までに二十六億幾らが返るのだから、そんなことを言ってもだめだということでやっておりますが、向こうはその辺の具体的問題がありますだけに、できれば延ばしていただきたいという希望は持っておりますが、われわれとしてはその辺は十分検討いたしまして、この答申自体が四月一日から施行ということになっておる以上、政府としては四月一日からやりたいという方針は変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/13
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014・細谷治嘉
○細谷委員 会社の問題につきましては後ほどさらに質問することにいたしまして、この新聞に書いてあるのを見ますと、九電力社長会の会長はこういうことを言っているのです。なかなか難問だ、こういうふうに言っている。理由として、炭価引き上げが単に電力会社の経理を圧迫するという問題のほかに、「私企業の立場を守る電力業界が、どこまで石炭政策に協力すべきかという限度を問われた問題だから、結論が出にくいのだ」、こういうのが理由としてあげられております。そこでこの新聞の記事がほんとうといたしますと、電力会社の経理上の問題として出てきたのじゃないかと私は思っておるのですが、この十五日の、宮本局長が案を示されたそれに対して、九電力社長会ではこの問題が一つ出ております。そこで電力会社の経理が、これを吸収できないような内容と理解されておるのか。もう一つ、この問題でどこまで石炭政策に協力すべきかという限度というのは、どういうことを話されたのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/14
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015・宮本惇
○宮本政府委員 経理の問題というのは確かにございますが、実は一番困りますのは北海道電力でございます。これは御承知のように、ずっと最近値上げもいたしておりませんし、御承知のように、ああいう広いところで配電線の設備、そういうものの負担が非常にかかる、あるいはその他、現在定率七〇%程度の償却をやっておりますが、内部留保といった点からいうと、九電力の中では、もし三百円の値上げをまともに食えばかなり苦しくなることは事実でございます。ただ、北海道のような、ああいう何といいますか、いわば端の、しかも未開の土地をよけいにかかえているところで、むしろ一般的に世論からいえば電力料金を下げこそすれ、上げるなんてとんでもないというようなことで、具体的にいま三百円をそのまま上げられましたときに、確かに経理的に問題になるのでございますが、そのほかは私は別に問題になると思いません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、内部の操作によりまして、北海道の値上げをできるだけ少なくして、その分を中央でかぶる。だから経理の問題は、私はこの際は問題にならぬと思います。ただ、その石炭政策に協力するかどうかという問題でございますが、実は昨年度電発火力という構想を打ち出したときには、御承知のように一昨年の石炭対策大綱におきまして、当時、初めの業界の自主的な話し合いよりはよけいにとれということで話が出たわけでございます。その後いろいろすったもんだいたしたのでございますが、結局、電発火力の構想というのは、電力会社がもうかっている、もうかっていないは別として、国の意思としてある程度石炭をとってくれというからには、むしろ電発にやらせるのが適当であるという形でああいう構想が生まれたわけでございます。しかし、その後石炭業界の全体の意思というものから三百円アップというものが出てまいりまして、その辺は確かに電力会社側から言わせれば、やはり電力会社というものも私企業でございまして、しかもほっておけば、いま重油のほうが安いのですから、重油を使いたいという気持ちがあるのに、高い、しかも灰捨て場も要るということからいえば、石炭を使わなければならぬ、国の意思である程度使わせられるということに対しては、確かに心の中で反発を感じておるわけでございます。しかもこの前の石炭対策大綱が千二百円下げでこれだけよけいとれというお話がありましたのに、今度はもとから上がるということに対しまして、いままでの、過去のいきさつから多少の心理的な反発を感じておる点はございますが、そういうふうに木川田社長が言われたという点については、私が帰りましたあとの記者会見でおっしゃったので、そう深刻な問題ではなく、すでに一度振り上げたこぶしをどうやっておろすかという問題でございますので、すでに大体この方針はのむ、しかし条件として、実施期日の問題は別といたしましても、具体的にたとえば二十六億幾らは必ず返るように、たとえば基準引き取り量を下げてくれ、あるいはそういうかなり技術的な問題でございまして、その点は一応そうは言っておられましても、実際問題としては、もう大体今年度はやむを得ぬ、のもうということに至っておると私は確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/15
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016・細谷治嘉
○細谷委員 本年度はやむを得ないということでありますが、ある新聞の社説等にはこういうことが書かれておるわけですね。電力業界の現在とつている態度にも問題がある、というのは、負担増対策の充実をあまりにもせっかちに政府だけに求め過ぎているきらいが見られるからである、こういうふうに、ある新聞の社説は指摘しております。さらに、九州なり北海道の両電力会社にも、還付金の問題等に関連いたしまして、電力会社の大型発電設備の輸入関税の免除をも考慮している。いろいろな問題が出てくるわけなんですね。まあ千二百円を下げるということを前提として、約束として、いままで引き取ってきたんだから、約束を破られる限りにおいてはこれは破棄だ、こういうことも中途では言われたように新聞では報じられております。むろん石炭業界にも電力業界から指摘されるような反省すべき点があったということを私は否定しませんけれども、何と言っても、やはりエネルギーの重要な一環をになっておる石炭産業というものを、有沢答申の線で守っていかなければならぬというのが今日の重要な課題だ、こういうことになれば、協力していただかなければいかぬのでありますが、私も、電力会社もこの点については、新聞が言うように、かなりかたくなだ、こういうように理解しておるのです。私も電力会社の経理の内容については、詳しくは承知しておりませんけれども、電力料金の問題についてはかなり前から興味を持って見守ってまいっております。そういう中において、電力会社の経理内容というものも、表面的でありますが、若干洗ってみたことがあるのです。ちょっとお尋ねしたい点は、九電力会社の中には、やはりこういう答申の線を考慮した経理対策というものを立てておるということを聞いたこともございます。そうなりますと、あまり経理問題というのは、どうも電力会社が破綻するのだとか、あるいは電力会社が非常に困ってくるのだ、こういうような六十六億の問題で、そのうち半分に近いものは還付されるわけですから、その辺で、問題は、協力体制に対する私企業という名において、ある段階においては公益事業ということをかさに着ますけれども、こういう段階においては私企業をあまりたてにとり過ぎるのではないかという気持ちが今日強くいたします。この点について公益事業局長としてどうお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/16
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017・宮本惇
○宮本政府委員 公益事業局長というポストは、決して電力会社の代弁をしているつもりはございません。私は、経理問題につきましても、そういうことはそうかってなことは言うなということで、むしろ通産省の方針に従って、その線を忠実に履行しておるつもりでございます。ただ、過去からのいろいろな石炭とのトラブルと申しますか、それが多少はあります。それから現に、たとえば三十八年度、九年度は二千五十万トンの引き取りを約束しておる、約束というものができておりながら、現実には千八百五十万トンとか、ことしも非常に少ないとか、そのたびにいろいろなトラブルがございまして、多少いままでのいきさつで感情的な問題はあるかと思いますが、先生のおっしゃるように、たとえば経理上すぐ響くというようなところは、北海道を除いてはないと思います。御承知のように、電気料金の問題と申しますのは総括原価全体の問題になってくるわけで、六十六億と申しましても、実際九電力だけでいえば五十七億でございます。それが各社に分割いたした場合に、それほどの影響があるとは思っておりません。したがいまして、対策と申しますか、要するに燃料費の中での問題でございますので、全体の売り上げその他から見ればかなり薄まって、私は具体的にそれがすぐどうこうということはないと思いまして、現実にわれわれも見ておりますし、そういった点はかってなことは言わせないつもりでおります。ですから、その点は先生のおっしゃるような方向で私も指導し、今回の二十六億八千七百万は、大筋としては、通産省として大臣からもお話を願いまして、大体やむを得ないか、のもうという方向に現在来ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/17
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018・細谷治嘉
○細谷委員 いまの公益事業局長のことばで、通産省が示した案でとにかく協力していただく、こういうかたい方針で臨まれるようでございますが、この点について要望いたしたい点は、この答申は、とにかく四十二年というものを目標にして、それでもなおかつ石炭企業というのは十分な安定産業になり得ないのだという内容のものなんでありまして、今年度あるいは四十一年度、二年度においてもこういう問題で混乱が起こらないように、あるいは安定性を欠くことがないように、ひとつくれぐれもお願いをしたい、こういうふうに思います。
そこで今度の共販会社の問題でございますけれども、いま法律案が審議されておるわけであります。これが参議院に回るわけです。そうなってまいりますと、一カ月おくれても二カ月おくれてもたいへんな問題になると思うのですが、すでにきょうは三月の十七日ですか、期日は余すところ、三月一ばいというと、もう二週間もないわけです。会社設立にあたっていろいろな準備が要るでしょう。これを消化できるのか。四月一日からこういう問題をやっていける、消化できる確信をお持ちなのかどうか。確信をお持ちとすれば、どういうふうにやっていこうとお考えなのか、この点をお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/18
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019・井上亮
○井上政府委員 先ほど公益事業局長からも御答弁されましたように、電力業界とされましては、とにかく答申の基本ラインには協力するということに相なっているわけですが、具体的な細目の点についてはまだ最終的に決定していないということでございます。その中に、やはり一つの希望意見として、電力用炭代金精算株式会社法の一部改正法案がまだ国会を通っていないじゃないか、これが通った上で、現在あります電力用炭代金精算株式会社は総会を開きまして、定穀改正その他諸準備をしなければいかぬわけです。そのためには、かりに三月一ぱいに国会を通していただいたというふうに仮定いたしますと、私どもその間に政令とか、あるいは来たるべき新しい販売会社の定穀とか、あるいは業務方法書とか、いろんなものを現在準備を進めております。したがいまして、政令等につきましては、この公布の日と同時程度に、あまりおくれざる時期に政令を出したい。しかしながら、やはり総会を開く等の関係がありまして、どうしても、予告期間等もありますから、国会を通らぬうちはそれをいますぐ出すわけにはまいりません。したがいまして、非常に急ぎまして、四月一ぱいには万端の準備を完了いたしまして、五月一日ぐらいに業務開始ができるように、これは前例はあまりないのですが、そのくらいのテンポで努力いたしたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/19
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020・細谷治嘉
○細谷委員 この間問題になったのですが、少し下品なことばになりますけれども、鉱山保安法のとき、急がなければいかぬ、急がなければいかぬと言いながら、法律は早く通してくれと言いながら、政令は半年も延びた、こういう例があるので、いまずいぶん例のないようなスピードでやるとおっしゃるけれども、どうも石炭局長の御答弁はともかくとして、通産省のことばについては、私もそういう経験があるものですから信用がおけないのだが、とにかく政令を準備して、そして四月一ぱいには一切の準備を整えて五月からは発足したい。発足しても一ヵ月くらいはなかなかうまくいかぬでしょう。しかし、この問題は四月からやらなければいかぬわけですから、そういう問題を具体的にどういうふうに消化するつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/20
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021・井上亮
○井上政府委員 この電力用炭代金精算会社を今回電力用炭販売会社ということに改める御提案をいたしておるわけでございいますが、文字どおりこの機能が発揮できますのは、先ほど申しましたように五月一日からできる。また、できるように準備をいたしております。ただそれができますためには法令的な、政令その他の準備、あるいはこの精算会社から販売会社にはかわる所要の会社としての手続、それだけではありませんで、やはり関係業界の協力も必要であります。しかしながら、そういう協力も得まして、とにかく少なくとも業務開始は五月初めにはできるというようにいま鋭意努力いたしております。ただ炭価値上げにつきましては、私としましては、これができるまで待つということはきわめて困る。やはり四月一日から炭価値上げは実施していただきたいということで、ただいま関係方面とも相当な決意をもって折衝いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/21
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022・細谷治嘉
○細谷委員 政務次官にお尋ねしたいのですが、どんなに急いでもこれはやはり一ヵ月はかかるというのが石炭局長の答えなんです。それを急ぐということについては、私はいま言ったように全幅の信頼が置けないのですけれども、かりに全幅の信頼を置いたにしても、石炭局長のお答えのとおり通産省としてはやり得る確信が持てるのか。お約束できるか。これをひとつ明確に、簡単でよろしいからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/22
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023・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいま石炭局長からも御説明申し上げましたように、諸般の手続を要することでございますから、その手続につきましては通産省あげて最大の努力を傾倒いたしまして、必ず御期待に沿うようにいたしたいということを申し上げておきたいと思う次第でございます。ただいま必ず実現するということをここで明言しろということでございますが、これはもうぜひ実現するように努力いたしますということで御了承いただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/23
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024・細谷治嘉
○細谷委員 全幅の努力をするということでございますので、ひとつ答申の線に沿ってやっていただきたいと思います。
流通対策の問題に関連して、この答申にはいろいろな点が書かれてあるわけでありますけれども、一つお尋ねしたいのは、共販体制の整備に関連いたしまして、この共販機関を中心として、第一に配船調整の強化という問題、第二に交錯輸送の改善等を実施するということがあげられております。第三には銘柄の整理ということ、この三点が共販体制の整備としてあげられているのですが、これについてどういう具体的な方針で臨まれていくのか。これをひとつ石炭局長にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/24
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025・井上亮
○井上政府委員 最初に配船調整の問題でございますが、配船調整は実は現在でも現行の電力用炭代金精算会社で実施しております。このやり方は、御承知のように、数年前から石炭対策の重要な一環としまして、特に石炭は相当高い海上運賃を払ってまいりましたので相当割り高になるというような意味で、石炭専用船の建造を始めているわけです。大体本年度までに二十一隻くらいの専用船ができるという見通しに相なっております。これらの専用船につきまして、各社ばらばらに配船調整をしますと、これはコスト的に見まして必ずしも有利でありませんので、この精算会社で配船調整をしている。各社の共同行為の一環としてこの精算会社がそういった配船調整をいたしておるわけでありますが、それが販売会社ができるに際しまして、販売会社の形態になりますとさらにやりやすい形になりますので、さらにそれを強力にやってまいりたい、こういう趣旨であります。それから銘柄の整理の問題でありますけれども、これも従来精算会社並びに関係業界の間で銘柄整理を精力的に進めてきておるわけですが、今回精算会社というような会社形態から販売会社ということになりますと、これはより一そう銘柄の統一というような点はやりやすい形になります。つまり販売会社になりますと、一たん所有権を持つという形になります。買い取って売るわけですから、その操作の過程で石炭業界と電力業界との間に立ちまして、銘柄の合理的な統一なり調整なりというものができやすい。したがいまして、そういうことを付帯業務として今後ともに精力的にやっていきたいという趣旨でございます。
それから、第三点の交錯輸送の点につきましては、これは従来単純な、単なる行政指導でできるだけ交錯輸送を解消してもうちょっと炭の流通の合理化に稗益するような、そういった指導をいたしておったわけですが、ただ、これは単なる行政指導でございますので、必ずしも十分な成果をおさめておりません。しかしながら今回販売会社というような形になりますと、一ぺんこの会社が買い取るということになりますので、そういった指導がさらに一そう強力にやりやすい。交錯輸送というのは御承知のように、北海道の炭が九州に売られ、九州の炭が東北に売られるという交錯でございますね。これは、きわめて売り手のほうも運賃がよけいかかるわけですし、買い手のほうもそれだけ高くなるというようなことで、できるだけそういうことのないように、もう少し合理的な販売をすべきではないか。そのことが石炭業者の利益でありますとともに、電力業界の利益でもあるというような意味で、今度販売会社ができるに際しまして、付帯業務としてさらにそういった点を強化してやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/25
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026・細谷治嘉
○細谷委員 確かに共販機関ができますと、答申が指摘しているような問題点は、機構上非常にやりやすくなると思うので、こういう問題について今日まで幾多の問題点があったのでございますから、ひとつ積極的にこういう問題に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/26
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027・加藤高藏
○加藤委員長 中川俊思君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/27
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028・中川俊思
○中川(俊)委員 この石炭政策ですが、政務次官にまずお尋ねしたいのです。
御承知のとおり、ここ数年来石炭政策というものは二転、三転しているんですね。私は、三、四年前でしたか、エネルギー視察に回りまして、帰ってきたときに、ちょうど当時の通産大臣はいまの総理であったと思うのですが、総理に対して、石炭だけいじってもだめなんだ、総合エネルギー政策を樹立しなければだめだということをさんざんお話し申し上げた。商工委員会でお話ししたのですが、ついに今日になっておるわけです。その後御承知のとおり、この国会で総合エネルギー調査会というものが出ておりますけれども、この総合エネルギー調査会も、はたしてほんとうの総合エネルギー政策に役立つものであるかどうかという点に対して、非常に疑問があるわけです。そういうようなことから、石炭政策はいま申しますように二転、三転しておる……いま政務次官にお尋ねしておるのですが、大臣がおいでになりましたから、大臣にお答え願いたいと思います。
実は、従来から石炭政策が盛んに論じられており、また、重要な課題として今日各方面で論じられておるわけですが、ここ数年来、政府の石炭政策というものが二転三転しておる。たとえば重油との関係上石炭の値段を下げろと言ってみたり、また、今度は上げろと言ってみたり、いろいろ情勢によって変わってきておるわけです。これはまことに遺憾なことですが、要するに、政府に総合エネルギー政策というものが欠除しておることも一つの大きな原因じゃないかと考えておるわけです。三、四年前でしたか、エネルギー調査に社会党の諸君も実は一緒に回りまして、帰ったときに、たしか時の通産大臣はいまの総理だったと思いますが、商工委員会で総理に対して、総合エネルギー政策を至急に樹立しないというと、将来この種の問題はエネルギーの需要が増加するに従って非常にむずかしくなる。だから、十分この問題を検討される必要があるんじゃないかということを、二時間にわたって私は委員会で総理といろいろ質疑応答をしたことをいま思い出すのでございますが、その後政府としても——いまもちろん通産大臣にその責任が全体的にあるというわけじゃないのですが、政府としてもそういう政策を今日まで樹立しておられなかったのじゃないかと思うのです。この国会でやっと総合エネルギー調査会という法案が出てきた。ところが、この調査会の内容を見ましても、はたして私が考えておるような総合エネルギー政策であるかどうかという問題に非常な疑問を持っておるのです。たとえば科学技術庁の中にもエネルギーの問題を取り扱っている担当部門があるし、また、通産省の中におきましても石炭と石油は別々に取り扱われておる。いろいろな面で、はたして私が考えておるような総合エネルギー政策が樹立されようとしておるのかどうかということについて非常な疑問を持っている。一つは、有沢調査団に少し通産省はたより過ぎているんじゃないだろうかと思うのです。ことばを変えて申しますと、ああいう連中にやらしておいて——やらしておいてというとはなはだ失礼ですが、調査を委任して、責任回避の挙に出ておられるのじゃないかということも考えられる。むろんああいう専門家にいろいろ調査していただいて、それを参考になさるということは非常にけっこうですが、しかし何といってもその第一線の衝に当たられるのは通産省ですから、通産省がむしろ主導権を握って、そうして調査団の調査報告というものをあくまでも参考にされるということが、私は本筋じゃないかと思います。調査団がこう言うたんだ、調査団の報告がまだないんだ、調査団の結論が出ないんだというので、何でもかんでもその調査団に責任を転嫁しておられるような気がするんです。非常にたよりない。このエネルギーの需要がどんどん急ピッチで増加していっておるときに、一体通産省としてはどんな定見を持ってやっておるのかということに対して、非常な危惧の念があるわけですが、これはむろん通産省だけの責任ではございますまい、政府全般の責任でございますが、やはり何といっても一番大きな部門を担当しておられるのは通産省でございますから、通産省としては、できればエネルギー省、イギリスの動力省ですか、そのくらいのものを設けるぐらいな決意を持ってこの問題に将来取り組まれないというと、私は、石炭の問題だけでも、今回とられた措置だけで解決しないのじゃないかと思います。将来もまた尾を引く、必ずそういう問題が毎国会、毎年出てくるのじゃないかと思うのですが、こういう点について通産大臣は一体どうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/28
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029・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 かねて中川委員が総合エネルギーに対する御見識を持ち、いろいろ御意見のあることを承知しております。また海外旅行された後にも非常な御熱意で私にお話をいただいたこともあるわけでございますが、御指摘のように、確かに通産省が有沢調査団の報告等を中心とするいわゆる審議会、調査団というものにたより過ぎておる面もあろうかと思います。しかし私は私なりの一応の考え方を持っておるのであります。
あえて申し上げさせていただきますと、何といっても電力とか、あるいは石炭とか、さらには天然ガスであるとか、また原子力の利用というような、いわば国内のエネルギーの資源というものを重要視していくべきではないか。かりに海外に依存しておる石油のごときにおきましても、民族資本を重要視していくというような一応の考え方は持っております。また、施策の上にもこれを反映せしめておるわけでございます。こういうことを言うと中川委員のおしかりを受けると思いますが、せっかく国会の決議に基づいての総合エネルギー調査会が発足をいたしますので、この調査会におきましてもう一つ掘り下げて、資料あるいは御意見をいただきたい、かように思っております。
なお、石炭施策に対して一貫しておらないじゃないかということでございます。これは確かにそのとおりで、いま御批判のあった有沢さんの報告を見ても、一次と二次とにそれほどの時間の間隔がございませんが、アフターケアといういいことばのもとに、相当な変化が見られたわけでございます。しかしこれは、当時多くの人の予想のできない石炭を中心とする状況の変化というものがあった。やむを得ないことではないかと思いますが、でき得るならば長期的な見通しに立ちまして、そういうあまり曲折のないような施策をとるべきだ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/29
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030・中川俊思
○中川(俊)委員 これは石炭の問題と非常な関通があるわけですから、この際大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、いま御承知のとおり重油が非常に乱売されておる。値段が非常にでこぼこである。そういうようなことから、いま大臣がせっかくおっしゃっておる国内資源と申しますか、民族資本と申しますか、国内資源においても重油に石炭が圧迫される。それから同じ石油を扱っておる会社を見ましても、民族資本は非常に貧弱になってきております。どうしてそういうことになるかというと、いろいろ検討してみますと、理由はいろいろございましょう、一つだけじゃない思いますけれども、海外資本によるところの日本における石油会社が非常にダンピングをやる。そういうことから、電力会社はできるだけ安いものを買う。需要家が安いものに飛びつくのは当然なことですから、これはやむを得ないですが、民族資本が非常に圧迫されておる事例がかなりあります。こういう点について、公益事業とはいいながらやはり一つの私企業ですから、政府がそう一々制肘するわけにもまいりますまいが、電力の問題と非常に大きな関係もあります。国民生活に非常に大きな関連を生じてくる問題ですから、これらの問題について、いま大臣がお話しのように、はたして政府全般は民族資本に対してどういう保護措置を講じようとしておるのか、このままでは石油業界だけを見ましても、おそらく民族資本の会社はやがて滅びていくのじゃないかというような気持ちがするのです。こういう点について通産省としてはさらに政府に強く働きかけて、通産省が主奪権をとって政府全般に協力を求めてこれらの問題を解決していくことが必要じゃないかと思うのです。そういう点から考えても、総合エネルギー政策というものは必要なのです。一例ですが、本委員会のごときも、私は、石炭対策特別委員会なんというようなことを言っておったのじゃだめなんだ、なぜ総合エネルギー政策特別委員会としないのかということをいままで何回も迫っておるのですけれども、そういうことを一向考えようとしないで、ただ石炭だけの問題がここで論ぜられておる。石油のほうは商工委員会で論ぜられておる、原子力やほかの問題は科学技術庁ですか、企画庁か知らぬが、そっちのほうで論ぜられておるということで、全くてんでんばらばらに措置が講ぜられておる。これはひとつ櫻内通産大臣が主導権をおとりになって、強く閣議等で発言をされて、とにかくエネルギーというのは産業のかてですから、これが安定して需要家に出せるようにならなければ、日本産業の将来に大きな影響をもたらすことになるのですから、この問題についてはひとつ生命をかけて通産大臣にやっていただきたい、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/30
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031・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 前段の石油関係のお話でございますが、これは通産省として一貫した方針でございますが、私の就任前から民族資本と外国資本は大体フィフティー・フィフティーでいこうという一応の方針のようでございまして、それをめどにいたしまして、新規の石油精製の許可を与えるというようなときには考慮をいたしておるわけであります。しこうして民族資本の育成のために現在の営業、販売の面がいかがかということから、今回共同販売会社の構想を打ち出しまして、融資を与えて育成をする、こういう方法も講じておるわけでございます。
なお、総合エネルギーとして石油も石炭も電力もみな考えていくべきであるということについては、全く私も同感でございます。国会が国会としての意思で総合エネルギー委員会を設けられるということについて、われわれとしては何らの異論もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/31
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032・中川俊思
○中川(俊)委員 最近の一例を申し上げますと、エッソの進出がもう全国的に非常なものである。これらにどんどん民族資本が食われているという実情でございます。そういう点について十分にひとつ通産省としてもお考え願いたいと思います。
大臣に対する質問はこの程度にしまして、次に石炭局長にお尋ねします。
先ほどの細谷君の御質問とダブるかもしれません。それからここに資料も出されておるけれども、一応お尋ねします。
まず重油と石炭との問題がからみ合ってきて、御承知のとおり、前に電力会社に石炭を余分に引き取らしたわけですが、これは現在一体どのくらいの負担になっておるのですか。電力会社に石炭を引き取らしたために、重油との関係で、電力会社というものは一体どのくらい負担がふえておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/32
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033・井上亮
○井上政府委員 電力会社に対しまして、現在大体千九百万トン程度石炭を売っておるわけでございます。ただ、電力業界に対してそのためにどの程度負担をかけているかといいましても、私の見解では、これは負担ということがいえるのかどうか……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/33
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034・中川俊思
○中川(俊)委員 石炭をいままでよりか余分に引き取らしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/34
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035・井上亮
○井上政府委員 余分に引き取らしたといいましても、そこは見解の相違もありまして、電力業界の気持ちとされましては——いままで私ども電力業界等と討論しておりますと、千二百万トン程度は、これは設備もあることだし、とらなければいかぬだろう、しかしそれ以上は、できれば本来重油にかえたかった、それを石炭会社に協力して千七百万トンとか千八百万トンとか従来引き取っておった、それをこの数年来、石炭対策に協力して、さらに二千万トンとる、あるいは昭和四十二年度には二千五百五十万トン程度まで引き取りましょうというような長期契約をやっていただいたわけでございます。ですから最低千二百万トン、そこまでは当然引き取る、それ以上は相当協力して引き取っているという見方もありましょうし、あるいは一説には、いまの設備能力からすれば千七百万トン程度はとってもいいのじゃないかという見解もありましょうし、ここはいろいろ、それぞれの立場の相違によって意見の分かれているところでございます。ただ今日負担増対策と申しておりますのは、今回炭価を三百円引き上げるという問題が出たわけでございまして、この点につきましては、従来石炭、電力両業界の約束では、石炭サイドとしては千二百円引き路線でやっていきます、それを前提にして長期引き取りをやってくださいという話し合いをしておったわけでございますから、その点はいいわけですが、今回その上にさらに炭価を引き上げる、こういうことでございますので、先ほど来御議論のありましたような値上げに伴う負担増対策というものがいま出ておるわけでございます。ただ数量的に見ましてどれだけが電力に犠牲をかけているということは、ちょっとにわかに言いにくい点があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/35
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036・中川俊思
○中川(俊)委員 つまり重油火力の建設を押えて石炭火力にしたでしょう。電力会社は、重油火力の設備をしておったものもあるだろうと思うのです。あるいは設備に取りかかっておったものもあるだろうと思います。それなんかを全部やめてしまって、石炭火力に切りかえさしたわけですね。そうでしょう。そうすると電力会社は、それによってどのくらいな負担増になっておるかということです。たとえばいま操業中のものでどのくらい、あるいは目下計画中、工事中のものでどのくらいになるか。重油火力にすれば非常に経費が少なくて済むはずであります。それを石炭にしたためにどのくらいよけいかかるか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/36
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037・井上亮
○井上政府委員 まっこうからのお答えにならぬかと思いますが、足りないところは、公益事業局の所管の問題もありますので公益事業局長に少し補足していただきたいと思います。
私どものサイドでわかります範囲で申し上げておきたいと思いますが、一つの角度としては、石炭と重油との価格の差といいますか、メリット換算いたしましてどっちが割り得だという、そういう見地からこの電力会社の負担の関係を見てみたいと思いますが、御承知のように九電力があるわけでございますが、現在の石炭の値段とそれから重油の値段、これをカロリー当たりで換算し、さらにそれをメリット換算をしてみますと、またさらに石炭のトン当たりの価格差で見ますと、高いほうから申し上げますが、中部電力はトン当たり千五百円程度割高な石炭を使っておるということでございます。東京が千三百円、関西が千円、それから東北は九百円、中国が八百円、四国は七百円、九州は石炭のほうが重油より安いわけでありまして五十円ほど安い。北海道は石炭のほうが重油よりトン当たり七百円ほど安い、というのが現在の石炭と重油の価格比較でございます。こういった点が一つの御参考になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/37
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038・宮本惇
○宮本政府委員 中川先生がおっしゃいましたように、確かに過去三、四年前に、重油をたくべきところを無理やりに許可しないで石炭につくらしたという例は二、三ございます。ただ御承知のように、いまたとえば、いわゆる負担増対策の算出根拠として、こまかいことになりますが、K1、K2、K3という三つの要素があるわけでございます。一つは値段の差、それから二つ目が能率と申しますか熱効率の差、三番目がいわゆる灰捨て場をつくるとか、こういったよけいな諸施設をしなければならぬというようなこともございまして、いま井上局長のおっしゃったのは、大体そういう点からはじかれた、そのくらいの差がある、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/38
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039・中川俊思
○中川(俊)委員 そういう点から考えまして、西日本共同火力の負担はどの程度になるのかそれから電源開発の負担はどのくらいになるのか、概略わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/39
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040・宮本惇
○宮本政府委員 お答え申し上げます。
三十九年度で石炭の消費量が、西日本が百六万トン、電発の若松火力が七十二万六千トンそれから常磐共同火力が百十七万二千トン……(多賀谷委員「平均カロリーをちょっと言ってください、三千五百とか三千とかあるでしょう」と呼ぶ)西日本共同火力の平均カロリーは三千五百カロリーでございます。それから電発若松が三千カロリー、常磐は三千五百でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/40
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041・中川俊思
○中川(俊)委員 今回の三百円アップによって電力会社の電力料金に何%ぐらいの負担をかけることになるのですか。また将来はどうなるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/41
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042・宮本惇
○宮本政府委員 御承知のように、電力料金と申します場合に総括原価というものがありまして、これが資本費、いろいろな燃料費、その他ということになっておりますので、北海道電力の場合でも、約百五十万トン使っておるので、三百円アップで四億五千万円負担がいままでより追加されるということで、先ほど申しましたように関税還付して、北海道と九州はなるべく上げ幅を少なくして中央でかぶろうということでございますから、電気料金にすぐ特に響くということは——電気料金の値上がりの要因と申しますと、たとえば補償費が上がるとか、あるいはその他もろもろが全部トータルになりまして、あるいは資本費が上がるということになって電力料金に響いてくるので、石炭が三百円上がったからそれをすぐ引き上げる云々ということにはならないと私は考えております。しかし概して言えば、三百円上がれば九電力としては千九百万トン使いますから、いままでよりは五十七億円負担増になる、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/42
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043・中川俊思
○中川(俊)委員 東京電力と九州電力と違うので、一律に論じられないと思いますけれども、何といってもエネルギー資源というものは電力料金に相当大きなウエートをもたらすものじゃないかと思いますが、そうじゃないですか。そういう点から考えて、このたびの三百円アップが料金に直ちに影響するというようなことはありませんか。一例を申し上げますと、中国電力はいま値下げしようと思っておりますが、これで値下げできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/43
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044・宮本惇
○宮本政府委員 将来、たとえば四十一年の十月ごろを目途にいまやっておりますが、いまのままでいけば、かりにこの程度上がったとして、もちろん負担増対策でかなり薄められますから、そのときになってみないとわからないにしても、現在のところはこの程度ならばある程度できるのじゃないかと思います。いま具体的に、たとえば今度の値上がりで全体の総括原価のうちでどれだけ響くか、ちょっといま計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/44
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045・中川俊思
○中川(俊)委員 それは会社によって違うと思いますから、資料を会社別に出してもらいたい。
それから、これは将来のことでわからないかもしれぬが、電力会社に対する負担増は今回限りですか。将来やるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/45
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046・井上亮
○井上政府委員 負担増対策につきましては、要するに値上げをいたしますと、その値上げはなかなか値下げにはならないと思います。したがいまして値上げしたものをまた来年度、特段の措置をしなければ値下げには応じられない。私どものサイドからは、そう簡単にはまいらない。しかしながら、負担増対策としては少なくとも今回特別措置でやりました程度のものは来年も継続しないと、なかなか御納得をいただけないのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/46
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047・中川俊思
○中川(俊)委員 ぼくの言うのは、そうじゃないのです。石炭を三百円アップしたでしょう。また将来どんどん上げるつもりかということなんです。これならば、当分このままでやっていけるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/47
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048・井上亮
○井上政府委員 ちょっと勘違いいたしまして恐縮でございます。
石炭価格の値上げにつきましては、今回は最近の石炭鉱業の苦境に対処をいたしまして、もちろん単に値上げだけを考えておるわけではありませんで、国におきましても私企業に与える相当高い助成を前提としてやりまして、それで足りない分を需要業界に値上げの形で御協力いただくということをお願いしたわけでございます。将来の問題につきましては、私どもの心がまえといたしましては、できるだけ炭価値上げをしないでも、石炭鉱業自体としてもさらに合理化あるいは経営の改善を行ないまして、やっていけるように最大の努力をしなければいかぬと考えております。しかしながら今後の見通しといたしましては、これで未来永劫炭価を値上げしないかというふうに言われますと、それは私はいま直ちに保しがたい。しかしながら、そういった石炭産業の経営状態になりましたときに、値上げの形をとるか、あるいはさらに国の助成策、たとえば四十年度から実施する予定にいたしております利子補給制度をさらに拡大するとか、いろいろな国の助成策もまだ残されていようかと私は思っております。したがいまして、そういった国の助成策とあわせて今後検討していかなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/48
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049・加藤高藏
○加藤委員長 中川先生、岡崎政務次官は万国博覧会のことで退席いたしますから、御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/49
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050・中川俊思
○中川(俊)委員 けっこうです。
将来のことは保しがたいと言われると、そのとおりです。将来のことはだれにもわからぬが、ぼくが冒頭に言うたのはそこなんです。政府に総合エネルギー政策が足りないから、そういうことになっちゃうのです。これは局長だけではできないけれども、そういうムードを通産省の中につくってもらわなくちゃだめだということなんです。将来のことはだれもわからない。ぼくも意地の悪い質問をしているようだけれども、わからない。それはなぜわからないかというと、政府に一貫した総合エネルギー政策というものがないから、わからないということになっちゃうのです。ですから、そういう点は十分に考えていただきたいということです。
それから販売会社法の十五条はちょっとおかしいと思うのです。会社の電力用炭の購入価格及び販売価格は、通産大臣がきめることになっている。通産大臣は何もわけがわからぬ。実はあなた方がきめるんだ。そうなんでしょう。こういうふうにすべて官僚統制のにおいが非常にぷんぷんとしている。これは電力会社と協議してきめるとか、あるいは、まずやってみて、それでも落ちつかなければ政令できめるとかなんとか条文にうたって、ここでぴしっと通産大臣がきめるのだというておくことは、ぼくはよろしくないと思うのです。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/50
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051・井上亮
○井上政府委員 ただいま御指摘をいただきました十五条につきましては、これは電力用炭の購入価格、販売価格、この会社の行ないますそういった価格を通産大臣がきめるという規定でございます。この条文にもありますように、この会社が会社の電力用炭の購入価格及び販売価格をきめるに際しましては、石炭のいわゆる「販売価格の基準額に準拠して」と書いてあるわけでございまして、これは合理化法の五十八条に販売価格の基準額の規定があるわけでございます。これは「通商産業大臣は、毎年、通商産業省令で定めるところにより、石炭鉱業審議会の意見をきき、石炭の生産費、石炭の輸入価格、石炭以外の燃料の価格」つまり重油等の価格「その他の経済事情を考慮して」基準額を定めなければいかぬという規定になっておるわけでございまして、この基準額が一番問題になろうと思います。この基準額に準拠してその購入価格、販売価格をきめるわけでございます。その基準額につきましては、ただいま申しましたように、やはり総合エネルギーの見地からそういった価格も考慮しながら、それから石炭の生産費をも見ながら、石炭鉱業審議会の意見を聞いてきめるのだということに相なっておるわけであります。この石炭鉱業審議会の意見を聞くというところで、需要部門の意見も聞くというのがこの中に入っておるわけでございます。電力、鉄鋼等の代表者も入ったこの審議会の場において討論して基準額をきめるということでございますので、私ども、まあ十五条につきましては、これだけお出しいただきますとちょっと誤解を招くかと思いますけれども、御意見のとおり慎重に需要部門の意見を聞きながら、その合意によってきめていくという方針をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/51
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052・中川俊思
○中川(俊)委員 合理化法にあれば、ここに書かぬでもいいじゃないですか、わざわざ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/52
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053・井上亮
○井上政府委員 合理化法では基準額をきめるわけでございまして、この会社法におきましては、その基準額に準拠しまして会社別に展開いたしますので、その会社別の展開をこの基準額に準拠してきめるという考え方でございます。実際問題としましては、お説のとおり、需要部門との話し合いもなしにやる考え方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/53
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054・中川俊思
○中川(俊)委員 会社別にきめるのでしょう。これは、たとえば還付税でも、重油を少ししか使っていないところは還付税もわずかしかない。ところが、重油をたくさん使っているところは還付税もうんとある。会社別にみな違うのだから、きっちりここで画一的にきめられたらその還付税の少ない会社は困りますよ。そういうような点から考えて、ぼくはここはちょっとおかしいと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/54
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055・井上亮
○井上政府委員 先ほどの私の答弁が舌足らずの点がありました。合理化法におきます基準額の算定に際しましても、会社別にきめておるわけです。したがいまして、それをさらにカロリー別にこまかく展開するのがこの規定でございます。したがいまして、会社別等におきましては、需要部門の意見を聞いて合理化法の基準額できめるわけでございます。それをさらに受けまして、さらに会社別、カロリー別のこまかい表をここできめるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/55
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056・中川俊思
○中川(俊)委員 石炭鉱業審議会でそこまでやりますか、やりやしないでしょう。まあ、かりにやったにしても、こういうことをここで条文に書いておかぬほうがいいと思うのです。とにかく、書くのならば、合理化法とダブってもいいから、十分業界の意向を聞くとか、あるいは石炭鉱業審議会の意向を聞く。意向を聞くといっても、石炭鉱業審議会というのはわけがわからないのだ。みな、石炭鉱業審議会に入っていてもわけがわからないのだ。あなた方がつくる案で、みな承知しましたと言うだけだから。そうでしょう。慎重審議をするということに形の上ではなっておりますけれども、実際に審議はしないのです。あなた方がつくった案で、御異議ありませんか、異議なしで手をたたくだけなんです。どうなんですか。そうだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/56
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057・井上亮
○井上政府委員 中川先生は非常によく御存じでございますが、おことばをお返しするのははなはだ恐縮でございますけれども、しかし、これはあえて申し上げさしていただかなければならぬと思います。
御承知のように、石炭鉱業審議会法では、特にこの価格関係は需給部会にはかって、需給部会で検討するということで従来やっておるわけでございます。この需給部会の主力のメンバーは電力、鉄鋼業界、ガス業界というような、あるいは国鉄というのが主力のメンバーでございます。毎回、そうおっしゃいますように簡単な会議ではございません。一回、二回でなかなか解決しない。けんけんごうごうたる会議でございまして、こういった中で、合意の上で決定さることでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/57
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058・中川俊思
○中川(俊)委員 局長のおっしゃることもわかりますけれども、けんけんごうごうとやっても、最後はあなた方のつくった案なんです。そんなことはわかっている。だからぼくは、やはりここは、通産大臣がきめるのだといってはっきりしておくことは、ちょっと官僚統制のにおいがあると思うのです。これは私もあとで相談しますが、あなたのほうで案があれば検討してもらいたい。もっと弾力性のあるものにね。できることなら附帯決議や何かつけたりしたくないので、ひとつその点を検討してみてもらいだい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/58
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059・井上亮
○井上政府委員 中川先生から検討しろと言われますれば、検討しないわけにはまいりません。これはやはりそういう立場で検討さしていただきます。いただきますけれども、しかし、御承知のように、この価格決定は、石炭サイドから見ますと、要するに石炭は、いわば非常に弱い立場でございます。電力業界を相手に対等の立場で——こんなことを国会の場で申し上げることははなはだ何でございますけれども、実際を申し上げますと、力関係は全く雲泥の違いでございます。したがいまして、そういう際に業界同士で話し合えと言われましても、これはそう簡単な問題ではありませんし、それから、御承知のようにそういった実態もございますので、もちろん通産大臣がきめますときには需要部門の意見を無視してきめることはございません。したがいまして、やはり本法におきましては、こういう形でないと公正妥当な決定がなかなかむずかしいというふうに私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/59
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060・中川俊思
○中川(俊)委員 石炭は弱いのですから、これはもっと政府が保護政策をやらなければだめです。保護政策がまだ足りない。だから、保護政策をやらなければ重油に対抗できない。何ぼ値段を下げてみたところで対抗できない。ですから、石炭に対しては各国とも、御承知のとおり保護政策をやっている。日本の保護政策は足りないと思う。だから、そういうことで石炭の弱いところをカバーしていただくことはけっこうであります。私も賛成です。それは私の持論でありますから、けっこうだと思いますが、しかし、そうかといって、やはり電力会社も一つの私企業ですから、公益事業だ公益事業だといっても、公益事業が何%で私企業という意味が何%ということは別として、はり一つの私企業です。政府は電力会社が損をしたら、一から十まで何でもめんどうを見るわけでもない。料金を上げるといえば文句を言う。だから、そういう点から考えてみてやはり電力会社の——ぼくは別に電力会社の代弁者でも何でもない。電力会社にはもうかっている会社もある。だからこれは一様に、同じように価格をきめるというのでしょう。もし同じようにきめるとすれば、なおさら悪い。だから、そこらは電力会社と協議の上できめるというふうにしたらどうかと思いあすが、一様にきめるということになったらなお、還付税の問題や何かにひっかかってくる。還付税が非常に大きな会社と少ない会社がありますから、一様にきめるというならなおさらよくないと思う。それならば各電力会社、需要家と協議をしてきめるというふうにしたほうが一番すっきりしてよいと思いますが、ぼくの説は間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/60
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061・井上亮
○井上政府委員 先生の御意見は間違っているとは私思いません。思いませんけれども、先ほど申しましたように、基準額の決定は、御承知のように石炭鉱業審議会の議を経てつくりますことは、需要部門の意見を十分反映さして会社別に決定するという行為が事前にあるわけでございますし、それからさらにそれをカロリー別にいろいろ展開するということになるわけでございまして、やはりこの価格をどうきめるかという問題、これは従来歴史的に見まして、特に近年の関係を見ますと、もう圧倒的に石炭サイドが弱いわけでございます。電力にこうだと言われれば、石炭会社のほうはそれに従わざるを得ないというのが従来の実態でございます。そういう実態をそのまま放置すれば石炭企業は崩壊あるのみだということで、以前に現在の精算会社法というものをつくりましたのも、価格維持の見地からでございます。今回これだけでもなお不十分だという意味で、販売会社法に改正さしていただいたわけでございますので、そういった諸般の関係を考慮いたしますと、私はこうしていただきたいと強くお願いをいたすわけでございます。
それからなお、通産大臣のお立場は単にこれは石炭サイドだけのお立場でございませんし、電力、鉄鋼、ガスその他の需要部門の立場も代表しているお立場でもございますので、電力業界の意向ももちろんこういう規定のもとに十分聞かれますし、意見調整なしにはまた実際問題として価格決定もできないわけでございますから、そういった事情からひとつ御了承をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/61
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062・中川俊思
○中川(俊)委員 いつまで議論をしても、これは平行線をたどるような気持ちもするのですけれども、石炭は確かに電力会社に対しては弱いですよ。弱いからその間に立って通産大臣があっせんの労をとってやるとか、合理化法に基づく基準額というものもできるわけなんですから、だからここでぴしっと通産大臣がきめるのだといってだめを押しておくようなことは、何か官僚統制のにおいがするのですね。だからそういうことでなく、すでに合理化法で基準額がきまることであれば、そこである程度の目的は果たされているわけだから、やはり個々の電力会社によって違いますから、そういう点は通産省が弱い石炭業者の立場をよく考えてやって、電力会社にも無理を言わせないようにするというふうにして、通産省が中に入ってそこをうまくまとめてやる、出雲の神さまをつとめてやるということならいいのですよ。だけれども、通産大臣がこれをきめるのだということにしておくと、井上さんのようなゼントルマンならいいが、やはり将来通産省にも悪い役人が出てくるかもわからぬ、そういうときに、これは法律の十五条でこういうふうにきめたんだといって押しつけるようなことにならないとも限らない。そういうようにいろいろの点を考えて、弱い石炭業者を保護してやる、同時にやはり電力会社も商売ですから、損をしてもおまえのほうはきめられた石炭を高くても買えといって押しつけがましいこともどうかと思う。そういうことは民主主義のルールに反する。そういう見地からぼくは言っておる。まあ検討してください。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/62
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063・加藤高藏
○加藤委員長 次会は明十八日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01019650317/63
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