1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月三十一日(水曜日)
午前十時二十三分開議
出席委員
委員長 加藤 高藏君
理事 有田 喜一君 理事 壽原 正一君
理事 中川 俊思君 理事 中村 寅太君
理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君
理事 細谷 治嘉君
田中 六助君 中村 幸八君
野見山清造君 廣瀬 正雄君
三原 朝雄君 岡田 春夫君
中村 重光君 伊藤卯四郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 村上 春藏君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
委員外の出席者
議 員 細谷 治嘉君
大藏事務官
(主計官) 吉瀬 維哉君
通商産業技官
(石炭局計画課
長) 佐藤淳一郎君
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
参 考 人
(石炭鉱業合理
化事業団理事) 町田 幹夫君
参 考 人
(九州鉱害復旧
事業団理事長鉱
害賠償金理事
長) 天日 光一君
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七〇号)
臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五九号)
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第六〇号)
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七一号)
産炭地域における特定の公共事業等に要する経
費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関す
る法律案(細谷治嘉君外七名提出、衆法第一〇
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/0
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001・加藤高藏
○加藤委員長 これより会議を開きます
内閣提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案へ臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案及び細谷治嘉君外七名提出、産炭地域における特定の公共事業等に要する経費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関する法律案を議題として、質疑を行ないます。
ただいま議題となっております五法案中、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の参考人として石炭鉱業合理化事業団理事の町田幹夫君、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案及び石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案の参考人として、九州鉱害復旧事業団理事長で鉱害賠償基金理事長の天日光一君に御出席をいただいております。
質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/1
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002・滝井義高
○滝井委員 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、少し逐条的なことを先にお尋ねをして、それからそれに関連をする二、三の重要な問題について御質問をしたいと思います。
そこでまず第一にお尋ねをしたいのは、条文の二十五条の九号の二です。今度合理化事業団の業務の範囲の中に、石炭資源の開発に必要な設備資金を貸し付けることが加わったわけです。そこで、現在合理化事業団が炭鉱に貸しておる金で利子補給の対象になるものが二百七十億円程度あることは、先日御説明があったわけです。今度新たにこういう開発に必要な設備資金を貸すことになるわけですが、一体四十年度にどの程度のものを予定しており、そして二百七十億円程度利子補給の対象として貸し付けておるものの回収方法というのは、一体どういうようにして回収されることになるのか、その二点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/2
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003・井上亮
○井上政府委員 まず最初の第一点でございますが、開発資金は、来年度予算におきまして、一応これは合理化事業団からの融資という形でございますが、二億を予定いたしております。二億というのは非常に少ないというふうにお考えになるかもしれませんが、これは昭和四十年度は今度の新しい制度に基づきます新鉱開発の初年度に当たるわけでございまして、実際の具体計画が四十年度の下期から始められるというようなことのために、一応二億を予定いたしております。さらに補足いたしますと、四十年度この二億円の貸し付けの対象といたしましては、原料炭を主体として考えてまいりたいというふうに考えております。
次の、第二点の利子補給等を含めたあとの返済の問題でございますが、ただいま御説明申し上げました開発資金につきましては、これは二十年程度の相当長期の延納を認めようというふうに考えております。利子補給につきましては、これは既往債務についての利子補給でございますので、利子補給を受けまして非常に将来収益性の高い企業になるというようなことになれば、あるいはそれをまた返済というようなこともあろうかと思いますが、一般的には返済ということを考えておりません。そういうような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/3
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004・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、設備資金は今年二億程度予定している。二百七十億程度にのぼる利子補給分については、そうすると、返済になるまでは永久に利子補給を続けていくことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/4
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005・井上亮
○井上政府委員 永久に続けるわけではありません。やはり石炭産業の経理状態の改善のテンポを見まして、この制度の適用を考えていく。ただし、いまのところ、当面昭和四十二年度ごろまでは、やはりこの制度は必要ではないかというふうに考えておりますが、永久ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/5
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006・滝井義高
○滝井委員 二十六条の二項九号の二をごらんになると、開発資金の貸し付け及び償還の方法が書いてあるわけですね。当然これは、事業団が貸し付けるときには、その償還の方法もやはりきちっとしなければならぬのではないか。それは二十七条の二項をごらんになると、その貸し付けの計画をやはりするわけでしょう。そうすると、そういうように四半期ごとに近代化資金なり開発資金の合理的な貸し付けの計画を立てる。そうすると、それに裏打ちされた償還の計画というものが当然出てこないと、事業団の経理というものがにっちもさっちもいかなくなるという可能性があるわけです。そこで、これらの状態は一体どういうことになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/6
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007・井上亮
○井上政府委員 返済についての問題でございますが、ただいま先生御指摘のように、事業団は毎年事業計画をつくらなくてはいかぬということになっておりまして、当然、事業団の担当いたしております融資業務につきましては、事業年度の四半期ごとに近代化資金の貸し付けとか、あるいは債務保証の計画とかいうようなものをつくるわけでございまして、その内容を政府といたしましても検討いたしまして認可を与えるというような仕組みになっておるわけでございます。返済につきましては、それぞれ近代化資金あるいは設備資金あるいはその他の融資につきまして、こまかく返済条件が別にきめられておるわけでございまして、たとえば近代化資金の融資であります場合には、近代化資金は先生御承知のように無利子の貸し付けでございますから、これにつきましては、ある工事に対する貸し付けにつきましては二年据え置きの七年均等償還とか、あるいは先ほど申しましたように、今度新たにきめます長期の開発計画、新鉱開発に伴います貸し付けについては二十年で返すというような、それぞれの項目で返還の規定がきめられておりまして、それによって事業団は返済を事業者に要求するという仕組みに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/7
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008・滝井義高
○滝井委員 それはわかるわけです。今度の開発資金も、近代化資金と同じように、無利子で、償還期間は据え置き期間を含んで二十年をこえない範囲で政令で定める期間になっているわけです。それはわかるわけです。ところが、この合理化法を見ると、非常に綿密に書いているわけです。三十六条の五をごらんになると、「半年賦均等償還」とあって、近代化資金も開発資金も半年賦の均等償還になっているわけです。そうしますと、今度二百七十億をこえる金は利子補給をやる。そうすると、あなたの言うように、はるかかなたの、経理がよくなったときに返すのだ、こうなっておるわけです。そうすると、この三十六条の五のような条文は、これは条文はあるけれども、骨抜きにされたと同じわけです。そうしますと、一体事業団の経理というのは、そういう関係はどういう形になるのか、この条文をずっと読んでみると、条文は非常に綿密に書いておる。そうして三十六条のいまの五を受けて三十六条の九は、返さなかったときは違約金を徴収することになるわけです。ただし、この三十六条の五の関係というものは、実際に利子補給をやって、はるかかなたの経理のよくなったときに返すということになれば、条文はそのときまで死文になる可能性がある。そういう関係は一体どうなるかということを説明を求めておるわけです。
それから、違反した場合は違約金を取るというが、今度は政府のいわばが行政措置で、利子補給というのはどういう形でするということは法律にないわけですから、三十六条の五の形がどうなるか。
それから、いままで石炭業者が非常にだらしがない状態できておるのだが、違約金なんというものは一体取ったことがあるのか。あるとすれば、その額は一体幾らくらい取ったことがあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/8
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009・井上亮
○井上政府委員 ただいま御指摘の三十六条の五の規定と利子補給の関係でございますが、利子補給につきましては、私ども一定の期間を限りまして、たとえば昭和四十二年度ごろまで、石炭の会社の経理がまだ再建されていない、弱い段階におきまして、政府関係の金融機関の既往債務についての利子相当額は国が補給するということでありまして、これは当然償還とか返還ということをただいま考えておりません。ただ私ちょっと言いましたのは、ただし将来、こういうことはあまりないことでありますが、収益性の非常に高い企業になったという場合はどうするかという問題は、問題として残ろうかと思います。しかし一般的に見まして、返還を考えておらないわけであります。したがいまして、利子補給はこの三十六条の五とは関係がないということになります。それから三十六条の五でいっておりますのは、「近代化資金に係る貸付金の償還は、半年賦均等償還の方法による」とありまして、これは近代化資金の償還の方式をここでいっておるわけでございまして、これは先生御承知のように、初めから無利子でございますから、この近代化資金については利子補給はございません。ですから、そういった意味からも、この規定は利子補給とは関係がないということでございます。
それからさらに違約金の問題につきましては、これは一つは元本返済の問題でございます。元本返済の問題として、これが貸し付け条件に従って返らないというようなことになれば、これは当然のことでございますが、やはり違約金の徴収というようなことをやろうという趣旨でございまして、利子補給との関係でいいますと、利子補給は先ほども申しましたように、既往債務についての利子補給ということでございますから、この利子補給はいまのところ、通常の場合では返還を考えておりませんから、違約金の問題は起こらないというように考えております。ただし同じ政府資金であっても、今後政府資金を借りる分につきましては、現在の考え方では利子補給をいたしませんから、したがいまして、それについて利子を払わないというようなことになれば、この違約金の対象になる、こういうような解釈をいたしております。
それからなお、いままでにどのくらい違約金を取ったかといいますと、いままででは大体五百万円程度の実績がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/9
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010・滝井義高
○滝井委員 少し私の質問も悪かったのですが、御存じのとおり、近代化資金と今度できる開発資金は無利子です。無利子であるが、これは半年賦均等償還で払わなければならぬ。それから二百七十二億に当たる整備資金その他の合理化事業団から借りている金は、利子補給をしてくれる。その二百七十二億は利子は補給をしてくれるが、返すのは返さなければならぬわけでしょう これは、ちょっといまあなたのあれでは、いやこれははるかかなたに返せばいいというような――返すのは返すんでしょう。そうすると、返代化資金とそれから開発資金も返さなければならぬ、半年賦で返さなければならぬ、二百七十二億も、利子は補給してくれるが、返さなければならぬ。そうすると、この返す金というものは相当多くなるんだが、その可能性はありますか、要約すると、質問はこういうことだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/10
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011・井上亮
○井上政府委員 近代化資金は、先生、無利子でございますから、これは……(滝井委員「元本は返さなければならぬ」と呼ぶ)元本はもちろん返します。ですから、金利は、先ほど申しましたようにありませんから、この問題は起こらない。元本は返さなければいかぬ。元本につきましては、この三十六条の五の規定によりまして、半年賦償還を要求いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/11
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012・滝井義高
○滝井委員 したがって、その半年賦で均等償還をしなければならぬものは、返す可能性がありますかと言っているのです。もっと具体的にいえば、たとえば近代化資金を借りて、現実に返す時期がきている。それは一体返しておりますか、こういうことなんです。順調に返っておりますか。それから、二百七十億程度にのぼる整備資金で利子補給をする分があります。これも返さなければならぬと思うのだが、利子は補給するけれども、元本は返さなければならぬが、それは返っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/12
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013・井上亮
○井上政府委員 御承知のように、近代化資金の制度ができましたのは近年のことでございますから、据え置き期間もございますので、まだ本格的に返済期に入らないものが相当多数にのぼっております。しかし返済期に来ているものにつきましては、一応回収は順調にやっております。しかし、しいて問題を求めますると、閉山炭鉱、たとえば大正炭鉱というような山につきましては、これはなかなか債権の回収がいま困難な状況ですが、一般的には一応順調に返還されております。
整備資金につきましても、ただいまのところ、一般的に申し上げますれば、順調に返還されています。しかしこれも近代化資金同様に、まだ据え置き期間等もございます。整備資金を始めましたのはたしか三十七年からだったと思いますので、ようやく返済期に入っておるというようなことでございまして、今日までのところでは、一応順調でございます。しかしこれも、先ほど申しましたように、一山一社というような場合の閉山炭鉱につきましては問題があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/13
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014・滝井義高
○滝井委員 ちょっと質問がまずかったのですが、ようやくわかりました。とにかく貸しておる金の返済は、据え置き期間等があってまだその具体化にはもうちょっと時間がかかる。しかし返される分については返されつつある、しかし違約金は五百万円程度あるということがわかりました。
そうすると、次は二十五条の十です。今度経営の改善に必要な資金の借り入れにかかる債務の保証をすることになるわけです。その経営の改善にかかる資金の借り入れというのは、これは多く市中銀行から借りることになるのじゃないかと思うのです。そうしますと、その債務の保証については利子補給をしていなかったわけです。市中銀行のものは利子補給はなかった。したがってこれは合理化事業団が、鉱業権者が金を返さないときには、保証人になっておるのだから、かわりに払わなければならぬ場合が出てくる。その実態は一体どうなっておりますか。今度こういう経営改善のための債務の保証までするということになると、これは相当合理化事業団の負担がふえる可能性がある。そこでこの前そこを少し聞いたんですけれども、何かはっきりしなかったんですがね。現在合理化事業団が保証している債務の総額というのは一体どの程度あるのか、そして合理化事業団が、鉱業権者が手をあげたために実際に肩がわりをして支払わなければならぬ額がどのくらいあるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/14
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015・町田幹夫
○町田参考人 ただいま合理化事業団が保証いたしております金額は、時期によって変化いたしますが、現在四十二億と記憶いたしております。合理化事業団が代位弁済をいたしましたケースは、いままでにまだ一件もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/15
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016・滝井義高
○滝井委員 そうしますと結局、債務保証をした分については、国鉄の問題はずっと延びていますから、代位弁済がないということは、順調に鉱業権者がその支払いをやっている、こういう考え方に立っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/16
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017・町田幹夫
○町田参考人 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/17
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018・滝井義高
○滝井委員 わかりました。
次は、三十六条の2の納付金のところです。納付金が、「石炭の数量一トンにつき二十円以内」というのが、「三十円以内において通商産業大臣が定める金額」云々と、こうなっておるわけですが、これは二十円が三十円に上がることになるわけですね。一体二十円を三十円に上げることによってどの程度の増収になるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/18
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019・町田幹夫
○町田参考人 御承知のように、交付金が十円上がるわけでございまして、年間生産数量が来年度は五千百万トン、この数字によりますけれども一、かりに五千百万トンといたしますと、それが全部は収納できませんので、九割といたしまして、年間四億五千万円見当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/19
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020・滝井義高
○滝井委員 この前、納付金の納入状況については質問をいたしましたが、この二十円を三十円に上げる理由は、四十二年度までのスクラップのワクを拡大するために二十円を三十円に上げるのだ、こういうことになった。国が補助金をやり、この納付金と一緒にして山の買い上げ、すなわち鉱業権の登録抹消による整理促進交付金の交付をやることになるわけですね。そうすると、昨日石炭鉱業審議会の答申も出たようでございますが、政府としては四十二年度までにどういうようにワクを拡大していく方針なのか、そこらあたりの方針をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/20
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021・井上亮
○井上政府委員 今後の閉山計画につきましては、長期的に見ますれば、昭和三十七年から昭和四十二年度までにおきまして新方式で千七百五十万トンの整備をいたしたいというふうに考えております。それからなお、先般の当委員会におきまして、滝井先生と総理とのお話し合いの中に、本年度から旧方式も併用しますというお約束をいたしたわけでございまして、ただいまの千七百五十万トンに旧方式がプラスされるというふうに御了解いただきたいというふうに考えております。ただ、しかし、おとといやりました合理化部会におきまして、四十年度の合理化計画と四十二年度までの基本計画の検討をいたしたわけでございますが、その際にはまだ旧方式におきましてどの程度の閉山を予定するかということは、私ども政府といたしましてまだ計画を立てておりませんので、今後検討するということにいたしておりますので、とりあえず旧方式については議論の対象から除きまして、新方式についてのみ合理化部会の了承を得たわけでございます。それが先ほど申しました新方式で四十二年度までに千七百五十万トンという数字でございます。それから四十年度におきましては、閉山規模として四百一万トンというふうに考えておるわけでございます。
なお、御参考までに申し上げますれば、来年度の予算といたしましては三百七十万トンを予算として予定しております。これは先生御承知のように、予算と閉山規模とは違うわけであります。閉山規模といいますのは、その年における現実の閉山数量でございます。予算は前年からの繰り越しとか、あるいは次年度へのずれ込みとかいうようなことを考慮して予算を計上いたしますので、差がございますけれども、そのようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/21
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022・滝井義高
○滝井委員 いまの四百一万トンと予算の三百七十万トンとの開きは、前年度繰り越し、あるいは次年度へのずれ込み等の関係があるそうでございますが、昨日の石炭鉱業審議会できまった合理化計画の炭鉱離職者の再就職の計画ですが、そういうものを合わせた資料をあとでひとつ当委員会に出していただきたいと思うのです。その上でまたその質問については別にお聞かせを願いたいと思うのです。
そうなりますと、四十、四十一、四十二、と三カ年で千七百五十万トンですから、旧方式も加えれば六百万トン程度のも一のを閉山させることになっていくわけです。これはいままでわれわれが予測したよりか、二十円を三十円に上げることによって非常に拡大することになる。そうしますと、それに伴う整備資金なり、、鉱害復旧のための経費というものが非常にかさんでくるわけです。したがって、そこらの見通しについてもやっぱりはっきりさせておいてもらわなければいかぬのじゃないか。たとえばことしは予算を三百七十万トンしか組んでいないのに、四百一万トンを閉山をするということになれば、実質的には、これは事務的に繰り越しあるいは次年度へのずれ込み等があるにしても、実際に山の息の根がとまるという点については、これは四百一万トンがとまってしまうことになるわけです。そうしますと、そこではそれに伴う離職者も出るし、鉱害の復旧の金も要る、こういう形になるわけですから、あわせてそこらの点についても明確な計画をやっぱり政府としては立ててもらわなければならぬのじゃないか。いままでは、もう大体閉山の山は越えた、これからずっと少なくなるのだというので、三百六、七十万トンくらいにずっといくのじゃないか、だからつぶれる山は千万トンか千二、三百万トンではないかと思っておったのですけれども、いまの御発表では、新方式だけで千七百五十万トンで、それに旧方式も加えるのだ、こういうことになると、われわれの予想よりか非常にこれはワクが拡大をしておるわけです。そうしますと、いまの二十円から三十円に引き上げた納付金で一体十分まかなえることになるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/22
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023・井上亮
○井上政府委員 まず最初の第一点でございますが、現実の閉山規模と予算、これにつきましては、私どもは個別の山につきましてその閉山時期等を勘案して予算を編成いたしておりますので、予算上の問題はございません。特に次年度にずれ込む分につきましては、これは二月とか三月に閉山する分について四月に払うというような計画でございますから、先生御承知のように、実際問題として閉山して実際に金を支払う時期は二、三カ月ずれます。したがいまして、予算上に狂いはない、それで問題は私はないと思います。それからさらにこの閉山計画につきまして、先ほど再就職計画はどうなっているかという話もございましたから一言お答えを申し上げたいと思いますが、再就職計画はこれはむしろ労働省に御答弁願ったほうがいいと思いますが、これは御承知のように石炭鉱業審議会の合理化部会、雇用部会、合同でやっておりますので、便宜私から申し上げますと、昭和四十年の三月末に求職者が一万三千人おるわけでございますが、今度の四十年度の閉山合理化によりまして約一万二千名程度が新規の求職者となってあらわれるわけでございまして、合計しますと、二万六千名程度の求職者になるわけでございます。これを先生御承知のように、会社あっせんによる就職とか、あるいは産炭地事業団のあっせんによる就職とか、あるいは安定所紹介による就職とか、その他の政府の行政指導等による措置というようなことによりまして、雇用部会で承認を得ました計画としましては、従来滞留しておる人も含めて、ほとんど大体において就職が可能であるという見通しでございまして、四十一年三月末には五千名程度の求職者が残る。つまり昭和四十一年度にずれ込むという数字に相なっております。今日までの実績で見ますと、大体年度の終わりに一万二、三千名程度へずれ込むというのが近年の通例であったわけでございますが、四十年度におきましては離職者数も非常に激減しております。そういった関係もありまして、次年度へのずれ込みは五千名程度というような計画に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/23
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024・滝井義高
○滝井委員 傾向としては、労働力の不足が新規若年労働力ばかりでなくて、中高年齢層までその影響がだんだん出てきておるという傾向はいいことですけれども、実質的にその人たちが一体食える職についたかどうかということが一番大きな問題です。この就職の問題はいずれ労働省にももう一ぺんお聞かせ願うとして、千七百五十万トンというようなばく大な山がつぶれていくということになると、いまの合理化事業団の状態ではこれはなかなか問題があるところなんです。それは先日も私質問をしたのですけれども、最後になって必ずしも明確でなかったのですが、旧方式で合理化事業団が買い上げた山があるわけです。そうしますと、現在そのあと始末で処理がうまくいかないところが出てきております。そこで被害者としては、当然連帯責任のある合理化事業団に行って、そのあと始末をしてください、こう言いますと、合理化事業団はその連帯責任を回避するのです。それはまず鉱業権者へ行きなさい、こういうことなんですよ。ところが被害者は連帯責任があるのですから、もとの鉱業権者に行こうと合理化事業団に行こうと、これは自由なんです。ところが合理化事業団はいまもとの鉱業権者のあるものについては簡単に面会もしないし、拒否するわけです。そして言を左右にしてなかなか金を出さないわけです。それは無理もない。出す金がないのです。あればおそらく出すだろうと思うのですが、ないのです。そうすると、もとの鉱業権者へ行け、こうなる。もとの鉱業権者へ行っても、おれのほうは事業団に売ってしまっておるのだから、そんなものは知らぬ、事業団に行け、こういう形になって、あちらこちらにボールが投げられるわけです。そこで私一点お尋ねをしておきたいのは、法律的には被害者はもとの鉱業権者に行こうと事業団に行こうと自由なはずだと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/24
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025・井上亮
○井上政府委員 被害者と申されますのは、鉱害の被害者ですね――鉱害の被害者は、新方式をとっています場合には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/25
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026・滝井義高
○滝井委員 いや、旧方式の場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/26
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027・井上亮
○井上政府委員 旧方式の場合には、一山一社の場合には無資力になろうと思いますから、無資力の場合には合理化事業団がやはり連帯債務を負いますので、その立場において合理化事業団へおいでになることもできるのではないか。ただしかし、無資力といいましても、一山一社の場合には鉱業権がありませんからこれはどうにもなりません。しかしやはり債務はあるわけでございますが、ただ無資力の程度によろうと思います。全然無資力かどうかというような問題だと思いますが、少なくとも旧方式の場合は合理化事業団が連帯債務者になる、その立場において被害者はおいでになることも当然できるというふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/27
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028・滝井義高
○滝井委員 無資力の場合とは限らないわけです。すなわち合理化事業団が旧方式で鉱業権を買い上げたわけです。新方式は、これは抹消ですから買い上げていない。だから、われわれはこの前から旧方式を場合によってはとってもらわなければならぬと主張しているのはそういうところですが、いまは旧方式のことを言っておる。合理化事業団は三十七年まで旧方式でたくさんの山を買ったのです。そのあと始末ができてないのがたくさんある。その場合に鉱業権者が無資力であろうと有資力であろうと――むしろ有資力の場合のほうが適切かもしれません。有資力の場合に、鉱害の処理がまだ相当残っておる。したがって、これをやっていただきたいと鉱業権者にまず行ってみたけれども、鉱業権者が相手にしない。そこで今度は連帯責任があるのだから合理化事業団に行きますと、合理化事業団はけんもほろろで相手にしない。しかしこれは当然連帯責任があるのだから、連帯債務なんだから、被害者はどちらに行こうと、これは自由なんです。それを合理化事業団は拒否して、いやそれは鉱業権者に行け、こういうのは私は僭越じゃないかと言うのです。通産省も見てこれはなるほど鉱害が残っておるのだ、ほんとうにやるべきだといったら、むしろ合理化事業団がやって、あと合理化事業団が求償権を発動して鉱業権者からおとりになったらいい、お互いに相対で鉱業権を買い上げておるわけですから。ここらが明白でないのですよ。明白でなくて、泣いている者が幾らでもおるわけです。そこで、まずその点、合理化事業団は連帯責任があるのだから、来た被害者を追い返すわけにはいかぬ、当然面会をしてその処置をしてやるべきだという明快な御答弁を私はいただきたいと思います。これがわれわれの立法の精神だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/28
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029・井上亮
○井上政府委員 大筋を申し上げますと、一つの大筋といいますか基本的な考え方といたしまして、被害者は、言うまでもなく合理化事業団にもあるいは旧鉱業権者にも直接賠償の請求ができるという解釈でございます。特に有資力の場合には資力があるわけでございますから、まず一次的には鉱業権者に行かるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/29
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030・滝井義高
○滝井委員 鉱業権者に行って鉱業権者が相手にしなかったら、回答が不満だったら、合理化事業団に行って差しつかえないでしょう。これははっきり確認しておいてもらわぬと、福岡の合理化事業団なんか実にあいまいなものです。逃げよう逃げようとかかっておる。それでは私はいかぬと思う。あとでまたそれに関連した問題を出しますけれども、逃げないような対策もわれわれは講じます。また講じてもらわなければならぬと思います。したがって、まず、旧方式で買ったものについては連帯責任があるのだから、被害者はどちらに行こうとそれは被害者の自由なんだ、このことを確認をしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/30
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031・井上亮
○井上政府委員 被害者は両方に行けるということが、現行法のたてまえでございます。ただし、鉱業権者が逃げるというのは、はなはだ不穏当でありまして、有資力の場合はやはり鉱業権者がまず責任をとるというのが鉱業法の精神からいって本筋ではないかというふうに私は考えております。ただしかし、どちらにも行けるということは現行法でできるわけですから、私は合理化事業団に行かれることもできるというふうに解釈しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/31
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032・滝井義高
○滝井委員 いまの答弁を、町田さん、九州のほうにひとつきちっと通知しておいてもらいたいと思うのです。旧方式においてはそれは明らかです。
そこで今度は、合理化事業団にいっても、出す金がないのです。旧方式で買い上げて、そして留保しておった積み立て金とか保証金を全部出しちゃって、もうなくなってしまった。こういう場合は、鉱業権者に行っても、鉱業権者は、もうおれは金もない、全部やっておれのほうは終わっておるのだ、文句があったら事業団に行け、こうなる。事業団に行くと、わしのほうは全部やっておるから、わしのほうにはありません、あとは鉱業権者のほうに行ってやりなさい、こうなるわけです。そうすると、ここらの連帯責任というあれで、法律論を知らない者は、そうでございますかと、お互いにボールのように、あっちに追い返され、こっちに追い返されして、ボールの投げ合いを始められるわけです。そこで、その投げ合いを始めないためには、この前言ったように、もうすでに整理が終わってしまって相当の年月がたったときに、鉱害が起こってくる。そのあと始末をどうするかという場合に、連帯責任を持つ事業団に行くのは当然です。行ったときに、事業団は金がない。鉱業権者に求償権を発動しても、なかなか金が取れない。こういう場合もあるわけです。すでに眞岡さんのときにあった。れっきとした、福岡県の教育長をやっておった人ですが、求償権をやったけれども一百万円しか取れなかった。九千万円も一億円も合理化事業団は出しかぶっておるのだ。こういう場合だってあるわけですからね。合理化事業団は、出す金がないわけです。そういう場合に、合理化事業団が出し得る制度というものを確立しておかないと処置ない。だから町田さんのほうもやはり、逃げなければならぬことになるわけです。金がないから、責められると、いや、だめでございます、だめでございますと言って、もうできるだけ引っぱって、長引かして、被害者を疲労こんぱいせしめればいいのです。そうすれば、被害者のほうがあきらめるわけです。十万円要求しておったものが、一万円でもいい、やむを得ませんとあきらめる。これを待つ以外ないわけです。これは性比べになるわけですね。寛容と忍耐比べです。そのうちには寛容と忍耐の限界がきて、爆発して暴力をふるうやつが起こる。こういうことで鉱害の暴力が起こるわけです。それではまずいのです。そこで、そういうことをさせないために、調整金というものを組みなさいということをぼくらは言っているわけです。これを、ことしの予算はとにかくとして、来年度予算からは総理もそういうものについては検討しようと言っておるわけですから、ここで明白にしておいてもらわぬとだめなんです。旧方式をとってもらうということにしたからには、その裏づけとして、そういう紛争が起こった場合には、紛争処理費でもいいです、合理化事業団に何らかそういうものを置いておかないと、これは合理化事業団はほんとうに気の毒なんです。そういうものをこの前総理も検討するということを言っておるわけです。いわゆる有沢答申の調整金の中にそういうものも入れておいてもらわぬことには処理ができないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/32
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033・井上亮
○井上政府委員 有沢調査団の調整というのは、個別案件の問題と総合計画的な復旧との間の問題について、国において何らかの調整を行ないなさいというような趣旨であると了解いたしておるわけであります。ただ、しかし、滝井先生ただいまおっしゃいましたようなことは、それは金銭問題でなくて復旧の問題だと思いますけれども、いずれにしましても、ただいまのような御趣旨はわかりますから、十分検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/33
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034・滝井義高
○滝井委員 この問題は現実に起こっておるわけです。合理化事業団に行ってごらんなさい、そういうのがたくさんあるのだから。そうして、合理化事業団は全部拒否しておるのです。それも、百万円とか二百万円とかいう額じゃないのです。これはもう、十万とか二十万とか三十万の額ですよ。旧方式で片づいたあとに問題が起こってきますと、鉱業権者の積み立て金とか保証金というものは何もなくなってしまっておるわけです。ところが、そのあとに起こった問題については、合理化事業団は絶対に出そうとしない。出せば自分の手腹を切ることになるから。そうすると、あなたのほうから監督でこちんとやられるわけです。こちんとあなたのほうの監督からやられないためには、がんばるほかない。だれが泣いておるかというと被害者が泣いておる。こういうものを解決する金を合理化事業団の経理の中に何ぼか入れてやらないと話にならないわけです。炭鉱にはどんどん金を貸してやる。ところが被害者のほうにはびた一文出さぬぞ、こういう厳重なやり方ですよ。そこで、そこらあたりもう少し、鉱業権者にこれだけのおおばんぶるまいをやるのですから、被害者のほうにもその千分の一から百分の一のふるまいは、私はやってもいいのじゃないかという感じなんです。そういう点では、ぼくら非常に義憤を感ずるのですよ。たとえば北九州で見るように、八幡製鉄とか三菱セメントの建物の下とか、それが使用する工業用水の池の下になりますと、なかなか鉱業権者も採掘の許可をもらえない。しかしわれわれのふるさとの筑豊の下はめちゃくちゃに掘らせて、そうしてほったらかしているのですからぬ。ところが大企業の下にいくと、待ったをかけて掘らせない。いままで筑豊の下はめちゃくちゃに掘らせたのだから、むしろ私は八幡製鉄や三菱セメントの下を一ぺん掘らせてみるといいと思う。八幡なんかが国をどういうようにかり立てて要請してくるか、われわれもそれを見てまねをしたい。逆説的な言い方をすればこう思うくらいです。だから、当然このくらいの金は出さなければいかぬ。しかも、何百万円の金じゃないのです。個々のケースについていったら、二十万か三十万の金です。それを現地の宮森君なんかと大げんかして、二人で鉱業権者のところに行って、ようやく二十万か三十万とにかく取って解決するというような状態では情けないです。それよりも、石炭鉱業に貸す近代化資金とか開発資金の一割なら一割をこっちに回してもらいたいです。石炭業者にそれだけするのだから、掘ったあと始末をもう少しそこから金を出してやらなければだめですよ。当然、個別計画、総合計画のアンバランスについて調整すると同じように、こういう調整金というものも必要なんです。これも一つのたとえばわれわれのところに、二百町歩に及ぶたぎりというのがあるのです。岡崎林平さんの鉱区ですが、開発してしまって相当に湧水が起こってきておる。そうすると、この金を一体だれが払うのか、事業団は金がないのですから、だれも一払い手がない。年々補償の問題も起こっており、復旧の問題も起こってくる。たんぼを復旧すれば、関連して地元の町村の負担金が公共事業、道路その他についてふえてくるわけです。そうすると、町村は金が出せません。二百町歩に及ぶ中の少なくとも一割とか一割五分のたんぼの復旧をやると、それにつれて道路もみんな上げなければならない。そうすると、一億とか二億の金が要る。その一億とか二億の金を市町村に出せといっても出せない。合理化事業団にそんな金はない。だから合理化事業団はお手上げです。しかしあなたのほうの通産局は、これは鉱害の再発生であるということを認めておるわけです。認めておるとするならば、臨鉱でやらなければならぬ。臨鉱でやった場合、これは一体だれが金を出すのかということになると、はたと行き詰まってしまうわけです。臨鉱でたんぼを上げれば、道路を上げなければならぬ。市町村はそんなものを負担する金がない。総理は、そういうものについても善処しましょうということをちょっと言ったのです。私の言う調整とは、そういう個別的な計画と鉱害の総合的な復旧計画とのアンバランスのほかに、そういう合理化事業団が買い上げて連帯責任のあるものについての問題もあるわけです。これは法律論的にいうと、合理化事業団が全部出さなければならぬわけです。鉱業権者だから出さなければならぬわけです。しかしいま言ったように、理論的にそう言ったって、合理化事業団に一文も金がなければ、これはのれんに腕押しですよ。だからこういう問題を、少なくとも合理化事業団というものを存続さして、しかもその金を貸したりなんかする限りにおいては、私はやはりしてもらわなければいかぬと思うのですよ。それがあいまいでは片づかぬことになるわけです。それをいまあなたは前向きに善処すると言ったが、幸い大蔵省の吉瀬さんがいらっしゃっておりますが、この問題についてもひとつ御検討いただけるかどうか。私がいまのような質問をしたら、総理は、検討する、こう言ったのです。しかし、事務処理段階ではっきりしておいていただかぬと、また来年になって、いや、これは入れておった、入れぬでおったというのでは困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/34
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035・吉瀬維哉
○吉瀬説明員 先ほどからお話がありました年々賠償被害者の救済の問題でありますが、先ほど石炭局長から御答弁申し上げたように、私ども一といたしましては、合理化事業団の経理の実態を判断いたしまして、たとえば、現在石炭鉱業の整備に充てるために納付金の納付が行なわれておるわけでありますが、それが一体どういうことになるのか、また被害者の数、それから真におくれている年々賠償被害者の実態その他を判断いたしまして、十分いろいろ検討していきたい、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/35
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036・滝井義高
○滝井委員 そういうよそ行きの答弁ではだめなんですよ、きわめて具体的なことを言っておるのですからね。政治は具体性がないとだめなんです、抽象的なことでは。
そこで、私がいま言ったように、二百町歩に及ぶわれわれのところのたぎり地区で――これは名前を言ってもかまわぬですよ、岡崎林平さんという真岡鉱業が買い上げて、すぐに復旧をやっちゃったわけです。やったら湿田化するわけです。われわれの地区で湿田化というのは、これはもうざらです。湿田化したものは、一ぺん復旧しておっても、湿田化するから再復旧をやらなければならぬ、裏作の麦ができないのですから。したがって、農民は年々補償を要求するのは当然だけれども、今度は復旧に要する経費の負担が出てくるわけです。その経費の負担も、農地の復旧だけならば、これは無資力の臨鉱で何とかやっていけますが、公共の道路もそのために関連が出てくるわけです。そうすると、公共道路は、今度はすぐに市町村の負担にはね返ってくるわけです。そうすると、市町村は出せない。そのときに鉱業権者の事業団がこの分を出してもらいたいという要求が必ず起こってくるのです。そういうものに関連する、われわれの思いも及ばなかったような経費の支出が、必ず事業団に要請として出てくるのです。その場合に、事業団が、いま言ったような年々賠償のほかに、市町村分の負担までしなければならぬという場合が出てくるわけです。そういうときに事業団は金がないから知りませんということでは困るわけです。その原因を確かめていくと、なるほどそれは炭鉱が当然払うものです。ところが、そこに五つも六つも炭鉱があって、一つの炭鉱は有資力、一つの炭鉱は無資力、その隣にいったら有資力、その隣が無資力というように、有資力と無資力の鉱業権者がその広い何百町歩というたんぼの中に入りまじっておるわけなんです。したがって、有資力で金の出せるやつは出すかもしれぬけれども、出せないやつもおるのですよ。無資力は当然出せない。そうすると、無資力の分については、事業団がそれを買い上げておれば何とかしなければならぬ。これは法律論的には、炭鉱は無資力になっておったって、事業団が有資力として残るわけですから。だから、当然事業団が無資力炭鉱にかわって出さなければならないが、合理化事業団には出す金がないのです。こういう複雑な問題が起こってくるので、あまり法律論的なしゃくし定木だけでものをきめておったら、第一線の合理化事業団はにっちもさっちもいかなくなって、ものごとの処理ができないわけです。だからそこらあたりを私は、紛争処理費というか、紛争処理費が悪ければ調整金の中でよろしい、その中にひっくるめて検討してもらいたい。そんなに額は多くならない。だから私はこの前の質問で総理に、そういう二つの場面がある、アンバランスの場合と、そういうたぎりのような紛争が起こった場合の二つがあるのです、そんなに大蔵省がびっくりするような額にはならないのですよ、だから、そういうものについて来年度予算においては当然見ておいてもらわぬと問題が起こりますよと、こういうことを言ったわけです。だから、両方ひっくるめてやれるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/36
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037・井上亮
○井上政府委員 滝井先生のお話は、私どもも実態の問題として十分理解される問題だと思っておりますので、政府といたしましても、今後さらにその実態を詳細に把握いたしまして検討を加え、善処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/37
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038・滝井義高
○滝井委員 いまの答弁、大蔵省もそれでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/38
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039・吉瀬維哉
○吉瀬説明員 私どものほうといたしましても、やはりその線に沿いまして検討していきたい、こう思っております。ただし、一言つけ加えさしていただきますが、たとえば先生がおっしゃったような例で、その当該湿田がまだ鉱害に関係があって効用未回復だという認定が下されれば、鉱害復旧法のほうで早急に処理される、こういう実態にあるということを、当然御承知だと思いますが、つけ加えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/39
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040・滝井義高
○滝井委員 この湿田がまだ不安定で、なお今後鉱害が起こるというようなものについては、これは安定鉱害でないから年々賠償だけで片がつくわけです。しかし、これが安定をしてしまっておった。一ぺん復旧をしてしまったわけです。復旧をしたら、神ならぬ身の人間の知能であったために、また湧水田、湿田に化してきたについて、湿田化すれば暗渠を入れたりいろいろやらないとできなくなる、そういうことを言うわけです。そういうことですから、当然これは不安定のときにやれなんということは言いません。不安定のときには、それは年々賠償だけで片づく問題だ、こう理解しております。
次は三十六条の三です。設備資金の貸し付けですね。この金を貸す場合に、貸し付けの相手方をいろいろ調査することは当然ですが、その場合に、その貸し付けの相手方、採掘権者が通産省令で定める基準に該当しておらなければだめなんですね。これはおそらくやる仕事の面と本人の資力その他も関係あると思いますが、この通産省令で定める基準に該当するものという基準は、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/40
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041・佐藤淳一郎
○佐藤説明員 合理化法の三十六条の三の貸し付けの相手方に関します通産省令でございますが、省令の第三条の二に「貸付けの相手方に関する基準」といたしまして「当該石炭坑の近代化に関し適切な計画を有し、かつ、これを適確に遂行するに足りる経理的基礎および技術的能力があること。」それが第一点、それから第二点としまして、「その者の事業に関し長期にわたる適切な経営計画を有し、かつ、これを適確に遂行し得る見込みがあること。」第三点といたしまして、「その者の経理の状況が明確に把握できるような経理を行なっていること。」となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/41
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042・滝井義高
○滝井委員 それから四十条の二、手数料は、貸し付けの業務の執行に必要な費用に充てるために、近代化資金や開発資金の貸し付けを受けようとする者、あるいは貸し付けを受けることとなった者は、手数料を払わなければならぬですね。この手数料というのは、一体幾ら取ることになるのですか。そしてその手数料というものは、事業団のどういう業務の経費に使われることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/42
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043・井上亮
○井上政府委員 手数料の規定は、石炭鉱業合理化臨時措置法施行令におきましてきめておるわけでございますが、この政令の第十条に手数料の規定がございます。これは「事業団が法第四十条の二の規定により徴収することができる手数料の額は、一件につき次の表のとおりとする。」ということでございまして、まず「法第二十五条第一項第八号又は第九号に規定する設備資金の貸付けを受けようとする者」は五千円取られます。それから次に第二点としまして、近代化資金の貸し付けを受けることとなった者につきましては、貸し付け金額が百万円未満の場合は一万五千円、それから貸し付け金額が百万円以上の場合には、「一万五千円に五十万円をこえる部分が五十万円に達するごとに一万五千円を加えた金額」というような規定に相なっております。事業団といたしましては、この手数料を取りまして、これを財源として事務費をまかなっていくというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/43
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044・滝井義高
○滝井委員 その取った手数料の総額は幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/44
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045・町田幹夫
○町田参考人 現在までに概算でございますが、大体、先ほど局長から申しましたものを計算をいたしますと、貸し付け金額の約三%くらいになります。現在まで貸し付けられました金額は百六十億程度になりますので、それから計算いたしますと、四億八、九千万円程度になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/45
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046・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この四億八千万円というのは、全く事業団の事務費という、いわゆる人件費や純粋な事務費に充ててしまうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/46
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047・町田幹夫
○町田参考人 御承知のように事業団の会計は、整備勘定と、それから貸し付け保証勘定と二つございまして、貸し付け保証勘定の中の収入の中にいまの手数料が入るわけでございます。したがいまして、貸し付け保証勘定の中の事務費と申しますのは、いわゆる近代化資金のほうの貸し付けの事務の費用でございます。それからもう一つは、整備資金あるいは再建資金等の貸し付けの費用もかかるわけでございます。近代化資金のほうは、そういうふうに三%の手数料を取っておるわけでございますが、整備資金のほうにおきましては、国から六分五厘で金を借りまして、それを六分五厘で炭鉱のほうに貸し付けておりますので、一切マージンがないわけでございます。したがいまして、その整備資金の貸し付けのほうの事務費等も、この近代化のほうの手数料等でまかなう。それからもう一点は、この近代化資金の貸し付け業務が、今後いつまで続くかという問題でございますけれども、一応現在のところは、法律では四十三年三月までということになっておるわけでございますが、その間の、四十三年三月までに貸し付ける金額につきましては、これは手数料が入るわけでございますが、それ以後は、あと十四、五年間にわたりまして、もっぱら回収業務だけをやるわけでございます。その回収をやりますときには、これは手数料というものはもう入らないわけでございますので、今後貸し付けが終了いたしまして、その回収が終了するまでの期間の事務費というものもある程度蓄積しておかなければいかぬ、こういうことも考えまして、三%の手数料を取っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/47
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048・滝井義高
○滝井委員 そうすると、一年間に合理化事業団の純粋の事務経費というものは、一体幾らあればいいことになるのですか。大体いまの程度の業務をやっておって、三十九年度で幾らぐらい純粋の事務経費が要るのか、四十年度にはどの程度の純粋の事務経費が要るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/48
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049・町田幹夫
○町田参考人 貸し付け保証勘定のほうの事務費といたしましては、年間約一億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/49
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050・滝井義高
○滝井委員 そのほかに整備資金のほうやら、それから整理促進交付金を出したりする金やらが要るわけでしょう。それから事業団全体の人件費と事務的な経費に必要とするものは幾らか。それは融資の金や何かは別にして、純粋の人件費、事務費ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/50
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051・町田幹夫
○町田参考人 三十九年度の予算では、約二億八千万円程度と記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/51
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052・滝井義高
○滝井委員 そうすると、四十年度も大体それにベースアップを加えた程度で、三億そこそこもあればいいということになるわけですね。
そうしますと、いまのそういう経費をまかなうための歳入にあたる部分というのは、まず第一に手数料がありますね。これは私の知識でちょっと聞いてみますけれども、まず手数料が一つある。それからもう一つは、これは先にお聞きして、それからそうだろうということにするわけですが、新方式で鉱区を抹消して、そして整理促進交付金を全部鉱業権者に渡すわけではないので、合理化事業団に鉱害部分その他は留保しておるわけです。三割は債権者に充てる、二割は未払い賃金に充てて、最低五割は鉱害に留保している。その三十七年以来の留保の金は一体幾らなのか、それから旧方式の金も相当留保していると思うのですが、旧方式の分の留保が幾らで、新方式の分の留保が幾らか、その中から旧方式で幾ら出す、新方式で幾ら出して、いま幾ら残っている。新方式は幾ら残り、旧方式は幾ら残る。これをちょっと説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/52
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053・町田幹夫
○町田参考人 留保金の額でございますが、これは御承知のようにほんとうにこげついた留保というのと、それから一般的に、要するに交付金の交付決定をいたしまして、それから一定の、たとえば鉱害等につきましては二カ月の公示期間がございます。そういう間は当然留保することになりますから、そういうものを計算いたしますと、現在約三十億円程度の留保がある、こういう状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/53
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054・滝井義高
○滝井委員 それをもうちょっと、旧方式で幾ら留保して、新方式で幾ら留保してあるのか、それから特に三十七年以来新方式になって留保額が幾らで、出したものが幾らで、いま幾ら残っておるのか。三十億というのは新方式を一緒にしたものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/54
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055・町田幹夫
○町田参考人 新方式だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/55
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056・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、新方式で留保した額が幾らで、鉱害のために出した額は幾らになるのです。それから旧方式で積み立て金なり保証金が幾ら残っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/56
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057・町田幹夫
○町田参考人 旧方式では、現在残は積み立て金のほうで八千三百万円でございます。それから新方式では、これは留保いたしまして、時間の経過とともにそれを次々に払い出しておりますので、ちょっといまここでは私手元に資料を持っておりません。あとでまた申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/57
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058・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、新方式で三十億程度いま残っている。旧方式で積み立て金が八千三百万円。保証金はもう払い出してしまっておるわけですね。そうしますと、私はずっと前に問題にしてだいぶこれは前進しておったのだけれども、そのうち私はものを言わぬようにしておったのですが、この八千三百万円に利子がつくわけですね。この利子は一体どの程度になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/58
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059・町田幹夫
○町田参考人 この利子の金額でございますが、全体の事業団の余裕金がございまして、その中のどの部分という区分けを別にいたしておりませんので平均金利で考えなければならぬと思いますが、大体現在運用にいたしておりますのが五分程度になっておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/59
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060・滝井義高
○滝井委員 だから、いままでずっと出てきておるわけですから、留保した額から年間どの程度の運用益があったかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/60
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061・町田幹夫
○町田参考人 私のほうは留保金だけを区別いたしまして実は利子計算をいたしておりません。全体の金額で利子を計算いたしておりますので、これは出たり入ったりいたしておりまして、それを一々こまかく個別計算をいたしませんと、いまここですぐに申し上げられない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/61
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062・滝井義高
○滝井委員 それならば五分程度としても二億五、六千万円は、算術計算をすればここから出るわけですね。そうすると、事業団の余裕金というのは、この前もちょっと質問をしたけれどもはっきりしなかったのですが、余裕金でまかないますというのがずいぶんいろいろ銀行の債務保証の問題のときなんかも出てきたのですが、その余裕金というものは一年に一体どの程度あるものなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/62
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063・町田幹夫
○町田参考人 余裕金という観念でございますが、この余裕金という観念は、それだけの金が余っておるというわけではございませんで、運用途中の当然今後出ることを予想される金がまだ出る時期が来ないために現在手持ちで持っておるという金でございまして、実は事業団が持っております手持ちの運用資金というものは、時々刻々変化いたしておりまして、多少出入りがあると思いますが、現在の三月末の段階で、全部の余裕金が七十五億程度になっておると思います。ただしその中の六十九億円は市中銀行の借入金でまかなっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/63
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064・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、七十五億の余裕金があって六十九億は借入金でまかなっておる。この七十五億の余裕金というのは、いま言った留保の三十億というのは無関係ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/64
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065・町田幹夫
○町田参考人 その中に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/65
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066・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、余裕金は計算外に置きまして、一年の純粋の合理化事業団の事務費が二億八千万から三億、こう見ますと――さいぜんの手数料が四億八千万円と、三十億の留保分の回転によって五%程度の利子がつくとすれば一億五千万円、そうすると六億円ちょっとの金が使える金として入ってくるわけです。したがって、三億を純粋の事務費と見ると、三億は石炭鉱業に直接出す金でなくて、積み立ててこれるわけですね。それを、最終的にあなたの言うように、貸し付けがなくなる時期になると手数料が入らなくなるわけだから、そのときに蓄積をしておってまかなっていく、こういうことになるわけですね。そうすると現在そういう金がどの程度一体蓄積されておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/66
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067・町田幹夫
○町田参考人 現在この事業団の勘定の中で、費目といたしましては任意積立金ということで八千万円程度留保しているわけです。
それから先ほどちょっと滝井先生のお説でございますが、四億八千万円の手数料と申しますのは、三十五年度から今日まで収納いたしました手数料金額でございまして、一年のあれではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/67
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068・滝井義高
○滝井委員 私の聞きたいのは、一年にどの程度の手数料が入ってくるのかを聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/68
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069・町田幹夫
○町田参考人 年間の手数料は約一億五千万円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/69
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070・滝井義高
○滝井委員 私この質問を吉瀬さんの前でしているのは、吉瀬さんもその実態をおそらく知っておるだろうと思うけれども、私自身知らないから、質問の中で吉瀬さんにも十分理解をしておいていただきたいと思うのです。それで吉瀬さん、いま一年の合理化事業団の手数料が一億五千万円、三十億の留保分に対して一億五千万円、三億ぐらいの金が出てくる。事務的な純粋の経費、人件費、事務費が三億要るということになると、結局事業団は金がないのですね。さっき言った六億、これが出てくれば三億ぐらいの金が積まれていくから、これから何とかやりくりができるのじゃないかと思って、実はここまでいま私の知識で詰めてきた。詰めてみたら、結局いま勘違いがあって、四億八千万円というのはそれは五カ年分だということになって、一年では一億ちょっと、一億五千万しか手数料は入らぬことになる。そうすると、留保分の利子一億五千万と手数料一億五千万、ちょうど事業団の経理や人件費、事務費がとんとんということになる。そうすると、事業団はいま言ったように紛争なんかが出たら金がない。私実は事業団の経理を洗って紛争ぐらいの金が出るのじゃないかと思ったが、出ない。出ないとすれば、紛争などの経費は、さいぜん言ったようにどこかからか出す以外にない。鉱業権者が出すか、鉱業権者が出すことが不可能なら国が出してやるほかはない。大体これは結論が出たですよ。洗って、結局ないということがはっきりしました。これは代数の証明じゃないけれども、大体私証明がついたですね。これは国が出していただく以外にしょうがないという結論になってきたわけです。
それからもう一つだけ条文のことで最後に聞かしていただきたいのは、三十六条の十三ですか、事業団は「採掘権者又は租鉱権者であってその者の」「一年間の石炭の生産数量が五十万トンをこえないもののうち通商産業省令で定める基準に該当するもの」が経営改善のための資金を借りることができるわけですね。この生産数量が五十万トン以下というのは、結局これは中小炭鉱に事業の経営の改善資金を貸すということがねらいであって、大手には事業改善のための資金は貸さないのだ、三十六条の十三というものはそういう趣旨のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/70
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071・井上亮
○井上政府委員 「一年間の石炭の生産数量が五十万トンをこえないもののうち」に出しますという規定になっておるわけですが、これは御指摘のように、中小炭鉱についてこういう保証業務を行ないたい、つまり大手企業につきましては開銀等いろいろな金融機関の措置もございますが、中小炭鉱につきましては中小公庫、開銀にかわるような中小公庫という制度がございますが、もちろん中小炭鉱も開銀から借りられないことはないわけでございますが、比較的開銀あたりの対象にはなりにくい面がございますし、大企業とのレベルの違いがございますので、特に中小炭鉱について手厚く措置したいというようなことがこの趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/71
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072・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは大手にも貸すのは貸すのですね、開発資金というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/72
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073・井上亮
○井上政府委員 大手は現行法で整備資金と鉱害の貸し付け金ということに限定されております。条文は三十六条の十三でございますが、「整備資金に係る保証契約の締結」ということで現在保証をやっておりますのは「労働者に対し支払うべき賃金(退職金を含む。)の支払いに必要な資金」ということになっております。
それから、鉱害は御承知のように、一応この二項に「当該採掘権者又は租鉱権者が事業を廃止する鉱区又は租鉱区に係る鉱害の賠償に必要な資金」というふうに、一応貸せるような仕組みになっておりますが、これは御承知のように鉱害基金等がだんだん業務を拡大しておりますので、そっちのほうに主力がいま移っておりますが、したがいまして、大手といたしましては、この整備資金の保証というふうに考えております。ただ整備資金については、中小は排除いたしておりません。排除いたしておりませんが、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/73
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074・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、通産省令で定めるところにより算定した一年間の石炭の生産数量が五十万トンをこえないものというのは、結局この条文というのは中小炭鉱を特に手厚くしよう、こういうことであって、同時に基準というのは、さいぜんの経理的な基礎とか技術的な基礎とか、ああいうことが同じような貸し付けをする場合の基準になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/74
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075・井上亮
○井上政府委員 大体においてそうでございますが、これは中小炭鉱に対する金融対策としての特別措置でございますので、あまりきびしいことは言いたくないという方針でございます。しかし、大体の考え方はお説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/75
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076・滝井義高
○滝井委員 あと二問です。これで逐条は終わりました。
そこで、自治省に来ていただいておりますので、二つお尋ねします。
一つは、千七百五十万トンという、四十二年までに相当の山をつぶしていくわけです。そうしますと、ここで問題になるのは炭住でございます。これからだんだん大正鉱業みたいな、あるいは比較的北九州に近いような山がつぶれるばかりでなくて、大手の山も相当これは閉山、合理化になっていくわけです。そうしますと、千戸、二千戸、はなはだしいのは六千戸の炭住というのが一挙にスラム街化するわけです。それが北九州に近いところ、あるいは町のまん中にありますと、これは非常にその当該市町村にとっては大問題なんですね。どういう面が出てくるかというと、まず、いままで炭鉱がやっておった清掃事業、し尿のくみ取り、これらのものがストップしてしまうわけです。たまたまそこで第二会社ができておれば、これは第二会社がやることになるが、五千戸、六千戸の世帯、そうすると、これは一家族三人おるとすれば一万五千人になります。いままで全部それは炭鉱でやっておったわけです。ところが、それを今度はだれがやるかということになると、簡単に市町村もそういうし尿の処理とか清掃をやれないわけです。市町村がやるとすれば、何らかの金をどこからか支給してもらわなければならぬ、こういう問題が起こるわけです。一方、炭住はスラム街化してくるわけです。いままでは炭鉱が手入れをし、修理をしておった。ところが、閉山をしてしまったあとの炭鉱の姿というくらい落莫たるものはないわけです。そこで、そういうスラム街化する千戸、二千戸の炭住というものを一体政府としては、合理化で買い上げた後にどうするかということです。それから、し尿のくみ取りとか清掃の措置というものを、一体どういうような形でやっていこうとするのか。こういう問題について、私は石炭調査団の有沢さんにもお話しした。これはなかなか重大な問題だと言っておったけれども、答申の中にはその問題は出ていないわけです。御存じのとおり、炭鉱がこれらの千戸、二千戸の炭住を建てるときには、かつて国会で問題になりましたが、復金の資金を安い利子で借りて建てているわけです。そうすると、いまはこれを自分のもあだとして、別会社をつくって家賃を取るなんということは、簡単にできるものではないと私は思う。そうすると、当然町のまん中、あるいは北九州に近い、そういう何千戸に近い炭住がスラム街化しようというのを防ごうとすれば、幸いにいま政府は労働者の財産形成の政策を打ち出しているわけです。持ち家制度ですね。いまの社宅というものは労務管理的なニュアンスがするからいけないのだ。社宅に住み、社内預金をさせられ、老後を保障する年金を企業年金化してしまったら、日本の労働者というものは魂を抜かれてしまったでくの坊になってしまう。そういうことではいけない。ほんとうに労働者が独立の精神をもって企業に協力をしていくという自由と独立の精神を持つためには、まず自分の本居の家屋を自分のものにする必要がある。社宅の制度というものはよくない。これはみなの意見の一致していることだ。だから西ドイツその他もやっておるし、石田労働大臣もそういう方向に事態を推進しようとしておると思う。そうしますとこれは、長年炭鉱に働いて、炭鉱がつぶれたら、そのスラム街化そうとする住宅を一挙に労働者に払い下げてやることも、一つの方法かもしれません。しかし政府はやはり住宅公団その他に命じて、何千戸と家が建っているのですから、しかもそれは非常に立地条件のいいところですから、ここに私は、そういう炭住を改造をして、産炭地ですから、東京みたように五階建て、六階建てなんという、住宅公団が建てているような高層アパートはできかねる、せいぜい三階程度です。私はそれでいいと思う。その炭住の土地とそれから家屋を一挙に合理化事業団が安く買い上げて、そうして今度は市町村に安く払い下げてやるわけです。これは合理化事業団が買う分なら、いままでの実績を見ても、筑豊で坪当たり百四、五十円から二百円程度でしょう。帳簿価格程度で買えるのです。炭住なんというのは、これは事業団が売っているのを見ると、五戸住いの一棟が一万円か一万五千円で鶏小屋にどんどん売られているのです。筑豊はいま非常に養鶏が盛んです。農家はこれを鶏小屋に買って、屋根瓦を売ると結局鶏小屋がただで建つわけです。こういう話です。したがって安いのですから、何千戸の社宅を労働者にしばらく無料で住ませて、そうして年次計画で三階建ての公団住宅に仕立てていくわけです。いま住んでいる人は、その土地と住宅とにいままで住んでおった権利があるのですから、一階に住ませる。しかし二階、三階は一般の住宅としていくんだ、こういう形の炭住の再編成計画というようなものを、もう少し長期の展望に立ったものをやる必要があると私は思う。いま大手の炭鉱でも千戸、二千戸、はなはだしいのは六千戸の炭住というものをもてあましておるわけです。そこには全部労働者が入っておったわけでしょう。最近はその炭住がだんだんあきができるわけです。あきができますと、一体だれが入ってくるかというと、生活保護者が入ってくるわけです。生活保護者がいま住んでいる町のあばら家よりか、まだ炭住のほうがずっと優秀です。そこで炭住に入ってくる。そうすると、家賃は安いし、ふろは近所にあるから非常に便利です。炭鉱が終わったあとでも、ふろは何とかやっておる。そうすると、便利ですから入ってくる。このことがやはりますますスラム街化を促進することになる。これは非常に盲点になっている大問題だと思うんですよ。これはもう大手がみんなそういう方針をとっていく。閉山したら大手は、炭住は買い上げてくれないですから、だれかが住まなければならぬが、より高い家賃を取って、そうして家を修理するということは不可能なんですね。家賃を取っておっても、ただ取るだけですよ。そしてこれが老朽化して倒れるまで住まわしておくという、こういう安易、こそくな、当面を糊塗する政策に終わってしまう。
そこで、これはひとつ、石炭政策をやった井上さん、今後地方自治体における財政問題にも関連してくるのです。これはいま言ったように、し尿の処理その他の支出が多くなる。固定資産税は住んでおる人は払いはしないのです。こういう点で画期的な政策をひとついま言ったようなぐあいに打ち出す必要があると思うんですよ。そしてそこにそういう住宅ができれば、労働力はそこにきちっと住めることになるのです。あなた方のほうで東京商工会議所等に、筑豊には産炭地振興事業団が工場誘致の安い用地をつくっておる、行ってくれというと、みんなそれは行きたいという相当の希望者があるということを、このごろ新聞で私は見ました。そうすると、住宅が一番問題があるのですね。そこで、そういう住宅をだんだん再編成して、少なくとも三階建てぐらいにしておけば、一階の人はいまの人に住まわせる。二階、三階は新しい人が住めるのですから、そういう炭住の若返り政策をとる必要がある。非常に立地条件のいいところがたくさんあるわけです。この問題については、一体政府は積極的にやる意思があるかどうかということです。これはまず事務当局のあなた方の意見を聞いて、そうして建設大臣なり通産大臣なりに来てもらって、もうしばらく、あしたでも詰めたいと思うのです。この問題をひとつ自治省の立場と通産省の立場とちょっと明白にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/76
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077・井上亮
○井上政府委員 ただいま炭鉱地帯におきます住宅問題、特に閉山炭鉱に関連いたしまして炭住街が残る、これを放置すればスラム街化するおそれもあるというようなお説でございますが、私どもといたしましても、そういう弊害が起こらないような政策をやってまいりたい。特に滝井先生御承知のように、私どもそういう疲弊の著しい閉山炭鉱の多い産炭地域につきましては、特に産炭地域振興対策を今後とも強力に進めて、新しい企業を誘致するとか、あるいは離職者の新しい職場を造成するとかいうようなことをいたしたいというふうにかねて考えておるわけでございまして、今後ともにこういう情勢に対処して産炭地振興に力を入れてまいりたい。そういうことを通じて、ただいまのスラム街化するというようなこともできるだけ防いでいくような方向で考えてまいりたい。特に炭住については、御指摘のように、うまく利用すればこれが企業誘致の一助にもなるわけでございまして、現実に筑豊に参りました新しい企業の中では、この炭住をやはり安く払い下げを受けたいというような空気もございますので、そういった面にも努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/77
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078・岡田純夫
○岡田説明員 炭住をめぐります問題につきまして、かねがねお話を承っております。地域問題と申しますか、地方公共団体が先頭に立って直ちに解決すべき問題かどうかということも含めて、やはり検討しなければならない問題であろう。これはおっしゃいますように、復金からの融資に基づきますところの炭住の施設が中心になっている問題でありますから、建設省当局の処分なりあるいは管理の意見もありましょうし、また清掃問題につきましては厚生省当局の配分その他についての考え方もございましょう。もちろん通産省の意見もお伺いしなければならぬということで、今後の産炭地域におけるところの一つ大きな問題であるという認識の上に立って判断いたしてまいりたいと思います。御承知のとおり、特別交付税の配分等にあたりましては、有沢調査団の報告もございますし、産炭地対策という意味におきまして、従来より以上に財政的なワクは検討いたしておるのでありますけれども、そういう一般的なワクの問題に限定しないで、具体的な問題として対処するように考えていきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/78
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079・滝井義高
○滝井委員 筑豊のある大手の会社でも、それは第二会社ができているわけですから、第二会社に働いている労働者もあるし、誘致企業に働いている労働者もあるし、住んでいる人は千差万別なんです。したがって、さあこれを払い下げようとしても、生活保護の人もいるわけで、千差万別でなかなか解決しないわけです。そこで私は旧方式を採用してくれということを言ったのですが、旧方式ではこういう住宅を買うたわけです。そこでもし炭鉱が旧方式ではすでに買い上げられている、交付金も決定した、しかし炭住だけはいままでのように残っておる。この炭住は合理化事業団が一括して買ってくれれば処理が非常にしやすくなるわけですが、そういう残った炭住と土地だけを一括して買うことが可能かどうかということです。これを何らかの形で解決しないことには、その五千戸、六千戸の炭住が、いまのまま放置されてスラム街化することはたいへんなでんす。だから合理化事業団が金をつけ加えて、これを買うて、どうせそういう炭鉱は鉱害が多いですから、これを鉱害の金に充てることにしてもらえば非常に助かるわけです。そしてこれをあとは合理化事業団が、自治省なり市町村も入れて処理をしていく。これができれば問題は簡単にいくわけですけれども、いままでこれが残っておるから問題なんです。したがって、営利会社である鉱業権者と、自治体なり労働者が交渉しなければならぬという問題になると、非常にむずかしくなってくるわけです。だからそういう旧方式を今後とるとすれば、その炭住と土地を合理化事業団が一体買うことができるかどうかということです。それはすでに買い上げられていて、それに追加です。追加買い上げができるかどうかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/79
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080・井上亮
○井上政府委員 今度新方式をとった場合に、炭住も買うかどうかという御質問でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/80
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081・滝井義高
○滝井委員 いや、旧方式。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/81
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082・井上亮
○井上政府委員 従来の旧方式によりますと、これは先生御指摘のように、三十二条におきまして、「事業団が買収することができる採掘権者の鉱業施設は、事業団が買収する採掘権に係るものでなければならない。」というような規定もありまして、採掘権者の鉱業施設は買えることに相なっておるわけでございます。炭住を買った例も、たしか私の記憶ではあると思います。ただそれにつきましては、予算問題もからむものですから、新方式とのバランス等もあります。しかし物件を買えば買っただけ国の財産になるわけだからという考え方もありましょうし、この点はむしろ従来の旧方式の条文を変えるつもりはないわけですから、やはり従来の旧方式の考え方を踏襲するということになりましょうけれども、この辺ちょっと予算問題にからむものですから、しばらく検討さしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/82
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083・滝井義高
○滝井委員 私のお聞きしたいのは、新方式で山は買い上げられた。しかし新方式は山の炭住、鉱害の設備は買わなかったわけです。ところがいまのようにスラム街化する傾向があって、このまま放置しておけばその地区の治安上、あるいはその地区の発展に非常に大きな支障になる。したがって、新方式だけれども、今後は旧方式も考える、こういうことだから、今度は旧方式で交付金をもらっておるのを、これに追加をして炭住と土地だけを合理化事業団が追加買収をする。追加買収をすればどういう利点が出てくるかというと、まずその山は非常な鉱害を持っているのですから、この炭住を五億なら五億で買い上げますと、その分だけ鉱害の金がふえてくることになる。すなわち留保金がふえてくることになる。留保金がふえれば、あなたのほうはこれを運用して利子がとれるのだから、それだけもうける。五億あれば二千五百万円の金が出てくるわけだから、これは非常にいいわけです。今度は買った価額で払い下げたらいい、どうせ安くしか買わないのだから。そういうことができますからということです。やはりこういう方式をとってもらわぬことには、旧方式でやりますという答弁が出たって、これはものにならぬ。つまりきわめて具体的に、現実的に問題を処理していくためには、そういう弾力的な方法を業務方法書に書いてもらって、そういう場合はよろしい、鉱害が非常に多い場合で放置されているときには、炭住も鉱害設備も追加買収をしてやる。これは合理化事業団は損にはならぬ。鉱害の被害者についても損にはならぬ。国にとっても、大蔵省にとっても損にはならぬ。炭住や土地をそのまま放置してあれば、もう寄り食いで債権者が来て何が何だかわからなくなってしまう。それがその金が具体的に鉱害に及び、国の予算の節約になるのですから、これは一石二鳥、三鳥です。だから、追加買収をすればよろしい。それを民生安定のためにやれば、民の喜びも出てくる。少しも損にはならぬ。会社も損にはならぬ。こんなものは売ろうと思っても売ればしない。したがって、何か不動産会社みたいなものをつくって、しばらく損を覚悟でやっていくというふうにしなければできない。そうするとこれはみんな関係者が喜んで、そうして政策の前進にもなるならば、こんないいことはないじゃないですか。だから買い上げてやるべきではないか。そうして買い上げたあとに、岡田さんのほうの地方財政の問題との関連をつけていく。これはどうですか。少しも損はないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/83
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084・井上亮
○井上政府委員 私、最初の答弁は、滝井先生の御趣旨を若干勘違いいたして答弁した節がありますが、ただいまの御質問を聞きまして問題の焦点が明らかになったわけですが、今日まで新方式で処理してきた、その山についての炭住を追加して買うということは、これはとてもできないことだと思うのです。私先ほどお答えしましたのは、滝井先生の御提唱で総理出席のもとにお約束しました、今後旧方式で行なうというようなものについては、これは現行法のたてまえで処理してまいりますから、場合によりますれば、そういう問題、炭住を買うなんという場合も起こるかもしれません。しかしこれは先ほど答弁いたしましたように、四十一年度以降ですと、私ももうちょっと明快な答弁ができるのですが、何分にも四十年度につきましては、予算がすでに決定いたしておるわけでございまして、この中で旧方式の予算がいろいろなものをつけ加えましてごっそり持っていかれますと、これは鉱業権者だって賠償の連帯義務者になるということだけでもたいへんな措置でございまして、そこへ持ってきて現行の四十年度予算の範囲内で考えますときには、これをどういうふうに運用するか、しばらく検討させていただきたいと私考えておるわけであります。ただあくまでも、旧方式というからには現行法のたてまえで運用するということは申し上げられるわけでございます。ちょっと予算問題があるものですから、いま明快な答弁ができかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/84
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085・滝井義高
○滝井委員 その炭住が旧方式なり新式方でたまたま買い上げずに残っておった、それは依然として、担保等にはなっているかもしらぬけれども鉱業権者の所有である。すでに鉱区を抹消し、あるいは鉱区を譲渡した鉱業権者の、依然として所有である。その鉱業権者がばく大な鉱害を持っておるというときには、これは買い上げてやっても国はちっとも損はない。財産を買い上げるのですからね。また、その買い上げた価格で一括して実際に払い下げてもいいのです。鉱業権者の話になると、債権者との関係ができたり何かして話が非常にむずかしくなる。合理化事業団ということになると、買い上げた価格もはっきりしているし、単純にものが処理できるわけです。ことしとは言いません。四十一年度でもけっこうですから、もし鉱業権者が炭住を持っておる、スラム街化する傾向もある、民生安定上やはりこれは一括して何らか炭住の再編成をはかる必要があるというような場合に、これを追加買い上げしてやっても悪くはないじゃないか。一体追加買い上げのどこに隘路があるかということなんです。ことしではないのです、来年からでもいい。
これはたとえば、大手はみんな第二会社をつくっております。第二会社の労働者は、この炭住に住まわしておるわけです。ところが、第一会社のときには五千人も八千人も使っておった。第二会社になると、ぽっと五百人か六百人になってしまう。そうすると炭住の中では、暁の星のように第二会社が住んで、あとは全部第一会社時代の人、生活保護で入ってきた人、縁故を伝って入ってきた人、いろいろな人が入ってきておる。そこで炭住の秩序がとれない。いままでは労務管理的な色彩を持って統制をとっていた炭住が、ばらばらになる。それでは一体だれが修理その他をするかということになると、第二会社の者が入っておるところは修理するかもしらぬが第一会社のかつての労働者のところは修理をしない。修理をするとすれば、不動産会社か何かつくって家賃をとって修理する以外にない。ところが高い家賃をとって修理するようなことになれば、みんな払わないですよ。家賃をとって修理するなんていうと、ごたごたが起こるもとなんですよ。だからそういうところは一括して買い上げてやりなさい、こういうことです。この問題はちっとも無理はないと思うのです。何もただ金をやれというのではないのです。買い上げなさい。買い上げた炭鉱は、その金を今度は鉱害のほうに出させられる。大手だって何十億という鉱害を持っておるのに、留保金は五億か六億か七億しか留保していないでしょう。その大手の炭鉱から手出しをしなければならぬ。手出しをしようといったって簡単にいかない。そういう土地と建物を売った金だけ押えておけばそれのほうが得だ、炭鉱も一挙に何億という金が入ってくるのですからね。そういう意味から、ことしでなくてもいいから、来年度からそういう道を考えてくれませんか、こういうことです。これはきょう御答弁ができなければ、あすもう一ぺん建設大臣と通商産業大臣に来てもらってやりたいと思うのです。これは民生安定から考えても、スラム街化する手はないでしょう。スラム街化しつつあります。そこらあたりは御答弁ができなければ、あすに留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/85
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086・井上亮
○井上政府委員 あすを待たずして答弁ができますので答弁をさせていただきたいと思いますが、最初は私滝井先生のおことばを先ほど申し上げましたように少し勘違いをいたしまして、追加買い上げというお話をされたものですから、新方式で処理いたしましたものの中で、滝井先生御指摘のような事態にある事例をたくさん知っておるものですから、そこで率直に言いましてぎょっといたしたわけでございますが、四十一年度以降でいいから、ただいまのようなことを検討しろということでございますならば、私最大限の努力をいたして検討いたしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/86
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087・滝井義高
○滝井委員 追加買い上げですから、これは去年新方式で交付が決定をした、しかし炭住と土地は残っているというものについて、ことしはもう八月から予算編成が始まりますから、そのときにこういうものを入れますということになれば、現地は非常に安心するわけです。そんなものがたがた騒ぐ必要はない、来年になれば可能性はあるぞ、そういうことになる。そうすると合理化事業団にそれを買い上げてもらって、そしてそれを今度は地元の市町村なりに払い下げるか、あるいは住宅公団に払い下げて、そして住宅公団が改造に乗り出せばいいわけです。だから、そこらあたりは道がつくわけです。いま鉱業権者が持ったままでは道がつかない。鉱業権者もそれだけの意欲がないです。そういう点ですから、なおもう一ぺんあす大臣に来てもらってお聞きします。できれば田中大蔵大臣に来てもらえば、田中さんは住宅に熱心だから……。
それから、これはこの前総理に言ったから、ついでにきょう言うことになるわけですが、特に福岡県を例にとれば、鉱害の復旧費における負担区分で、鉱業権者はうんと軽減したために、国と県との、特に有資力分の負担が増加をしたわけですね。ことしを見ても、福岡県で四千万円程度の負担増になるわけです。そこで、これを見てみますと、基準財政需要額にも入っていないわけです。たとえば農地で一一・〇五が一四・四五と三・四%上がるわけですね。家屋で一〇%が二二%と三%上がるわけです。この負担分は基準財政需要額にさえ入っていないわけです。県は被害者なんです。しかし、民生安定、国土保全の立場から、県は受益者の立場にあるんだ、したがって、鉱業権者の負担を軽減したら、その分だけは国と県が持つのは当然だ、これはいわば政治の中枢に当たるものなんだから、持つのは当然だ、国土保全なんだから、こういう言い方をして、県が負担をかぶることになっておるわけです。ところが、だんだん鉱害が多くなってくると、県の負担が異常に増加をしてくるわけです。もちろんこの県の負担する分については、八割は起債で見、二割は交付金で見ることになっておる。特に普通交付税で見るのは、その八割のうちの五割七分ですか。それから二割の交付税で見るという分は、その二割の八割が特交で見てくれるわけですね。したがって、実質的な県の負担は六一・六か何か、六割ちょっとぐらいになるわけです。しかし、これは現実に最終的にそうなるのであって、しかもその特別交付税なり普通交付税にどういう形で入っておるか、ひもつきではないわけですから問題があるわけです。やはり疑問が残る。実際は、その補てん額は、特別交付税のごときは要求した額の八割ぐらいしか認めないというのが定説になっておるような状態ですから、したがって、もし一一・○五の農地の負担を一四・四五にしたのを、引き下げることがどうしてもできないとすれば、これは残念ながら岡田さんのほうのベースで見てもらえるかどうかということになる。これは、岡田さんのほうとしては、そんなばかなことはない、石炭政策のしわをわが地方財政に寄せるとは何事だ、こう開き直ってくると思うのです。そうすると私は立つ瀬がないわけですよ。サンドイッチになる。岡田さんのほうからは拒否される。井上さんのほうからは、これはやってしまったのだからだめです、大蔵省も、ということになると、サンドイッチになる。サンドイッチになるわれを助けたまえ、こういうことになる。何かサンドイッチにならぬようにしてもらわぬと困る。昔、幸い特鉱という前例がある。これは自治体が一割負担をすればいいということになる。そこで私たちがこれを一割にしてくれということになると、先日総理やあなた方が言った、年々賠償についても、これは国土保全の立場からやはり幾分県が持ちなさいということになるかもしれぬ。そういう場合の予防線というわけじゃないけれども、やはり私は県の負担は一割が限界じゃないかと思う。これから七百億、八百億の鉱害復旧が起こってくる。その八割は福岡県にあるわけです。そうすると、福岡県とか、佐賀県とか、長崎県とか、山口県とか、福島県のような、こういう財政力の衰弱した県が、いま言ったような鉱業権者の肩がわりをしてやるということは、国民感情、県民感情としてこれは許されないわけです。こういうのを持っていったって、県議会を通らないです。これはこの前ここで県会の議長が来て言っておったとおりです。そこでこれを何らか私は措置してもらう必要があると思う。きょう御答弁ができなければ、もうきょうは十二時半になりましたから、次会でけっこうですから、少し通産当局と自治当局とが相談をして、私はこれは何らかしてもらわなければならぬと思うのですよ。これはむしろ臨鉱法のところでやったほうがいいと思うのです。しかしきょう宿題にしておかぬと、この次になってから、そんなことは、先生、もうちょっと早くから言ってもらわないと困る、法案を上げる前になってから、目に指を突っ込むようなことを言ってもらっては困る、こうなるから、前もって――きょうで三回目だ。三度ぐらい言っておけば、仏の顔も三度で、大脳に焼きつけられることになるから、一応印象だけは焼きつけておいて、その上で一ぺん相談をしておいてもらいたいと思うのです。この問題は細谷さんが詳細に質問するかさ上げの問題とも非常に関連をしてきますから、ひとつ相談をしてくれるかどうか、その答弁だけ聞いて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/87
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088・井上亮
○井上政府委員 鉱害復旧の補助率の引き上げを行なう方針を今度きめたわけでございますが、御承知のように、鉱害復旧につきましては、一般の鉱害賠償と違いまして、臨鉱法の精神は国土保全、民生安定というような趣旨で、特に無資力のものにつきまして国、府県におきまして善処するという体系になっておるわけでして、そういった民生安定、国土保全というような見地から行なう復旧でございますので、もちろん主体は、国が大多数の資金を出すことになりますが、地方公共団体も何分の負担はしていただくというような趣旨でございますので、やはり国の補助率をきめますとともに、地方公共団体にも御協力いただきたいというのが、私どもの基本的な態度でございます。したがいまして、そうなりますと、滝井先生のおっしゃったように、あと地方財政でどうしてくれるというようなお話になろうかと思いますが、この点につきましては、十分自治省、大蔵省等ともお打ち合わせして善処いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/88
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089・滝井義高
○滝井委員 それではもう一ぺん質問をしますから、ぜひひとつ一ぺん打ち合わせして、一応の基本方針を出していただいて、次会に質問さしていただきます。
では、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/89
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090・加藤高藏
○加藤委員長 次会は、明四月一日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01519650331/90
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