1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年二月四日(木曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 中馬 辰猪君
理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君
理事 佐野 憲治君
大石 八治君 大西 正男君
奥野 誠亮君 亀岡 高夫君
久保田円次君 武市 恭信君
登坂重次郎君 村山 達雄君
山崎 巖君 秋山 徳雄君
阪上安太郎君 華山 親義君
細谷 治嘉君 門司 亮君
吉田 賢一君
出席政府委員
自治政務次官 高橋 禎一君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
自治事務官
(大臣官房参事
官) 山本壮一郎君
専 門 員 越村安太郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提
出第一六一号、参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/0
-
001・中馬辰猪
○中馬委員長 これより会議を開きます。
地方行政連絡会議法案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。佐野憲治君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/1
-
002・佐野憲治
○佐野委員 ただいま議題となっております地方行政連絡会議法案につきまして非常に感慨深く思いますことは、昭和三十六年末にこの法案に対する構想並びに自治省原案なるものが発表されましてからすでに足かけ五年を経過いたしておるわけであります。と同時に、政府案として四十三国会に提案されましてから毎国会現在五回目の提案がなされておるわけです。このことを考えますと、この法案が長きの年月にわたって産みの苦しみに耐えようといたしておりますことに対して私、れんびんの情を感ずるわけであります。しかし、同時にこの法案がこのような産みの苦しみをなめておるにもかかわらず、やはりこの法案をぜひとも通してもらいたい、地方自治伸長のために必要なんだという世論の盛り上がりがほとんど聞かれない、こういうこともふしぎな一つの現象だと考えるわけでありますが、そうした中にありましても、やはり私たちの耳にささやかれてまいりますことは、この法案そのものの表現が抽象的であるということの意味もありましょうし、あるいはまた法案そのものを貫いておる真の目的なり真のねらい、意図が一体どこにあるか、こういうことをも了解するに苦しんでおる、そういう面が非常に多く出てきているのじゃないか。逆に申し上げますならば、警戒の色が非常に出てまいっておる。その一つといたしましては、私は道州制に対する一つの布石としてこの提案がなされてまいったのではないかというぐあいに心配している面もあると思います。
もう一つの点といたしましては、これは各省の中に流れておる一つの底流といたしまして、自治省が昔の内務省の復活をねらってこのような法案を出してまいったのではないか、こういう警戒も見られるわけです。あるいはまたこの法案そのものをすなおに読んでまいりますと、毒にも薬にもならない、こんなものは一体将来の効果というものが予想されるだろうかという意味から無関心におちいっておる、こういう面も見られるわけです。その意味から私、この法案の目的は一体どこにあるのか、会議そのものの性格は一体どういうものなのかという点を本委員会の審議を通じまして率直に自治省の考え方なりをお話し願いたいし、また質疑を通じまして明確にしていただきたい。そういう意味から社会党の各委員は大臣の出席を要求し、大臣ともっとこの問題を根本的に討議し、深めたいという考え方を持っておりますので、いずれ各委員から詳細な質疑が行なわれるだろうと思いますが、私、いま申し上げました意味から二、三の点につきまして質問をいたしたいと思います。
まず第一に、道州制の布石ではないか、こういう警戒が生まれてまいるその一つの大きな原因は、昭和三十二年第四次地方制度調査会の答申によります地方制としての道州制を採用する、この答申がなされておるわけです。ですから、この答申はその後一体どういうぐあいに処理されておるのか。答申そのものに対して自治省は一体どのような処理をやってまいっておるのか、この点に対してまずお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/2
-
003・松島五郎
○松島政府委員 道州制につきましてのかつての地方制度調査会の答申がどう取り扱われておるかという問題でございますが、私どもといたしましては、現状においては、少なくともせっかくの御答申ではございますけれども、いろいろ検討の結果、その時期にないという判断のもとに、これについては格別の、何と申しますか、この線に従って促進するというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/3
-
004・佐野憲治
○佐野委員 しかし、地方制度調査会としては、調査会の責任において答申を行なっておるわけです。たとえばその当時における委員の一人は、答申後において学術雑誌に所信を述べておりますが、それにいたしましても、この道州制が違憲かという決定が下されたとするならば、私たちの答申は憲法改正をすることを前提として答申をなしたものだ、こういうぐあいに理解してもいいのじゃないかというような大胆なことをも述べておられるわけです。そうした委員が今日もなお地方制度調査会の委員として歴任しておられるわけです。あるいはまた、当時の答申をなした委員が数多く今日も委員として残っておられるわけです。ですから、自治省があるいは府県制、広域行政に対するところのいろいろな諮問をなしておるわけですが、そうした場合におきまして、答申がそれぞれなされておりますが、そうした答申の前提となっておるものは、道州制というものをわれわれは権威を持って答申したのだ、それを前提として、それに到達するためにその過程としてどう広域行政あるいは府県制を改革するか、こういう考え方のもとで審議が積まれておる、こういうぐあいに考えておられる委員も現にあるわけです。そういう調査会自体としても、前回の答申はいろいろな事情で困難だ、だからこれを取り消すのだ、こういう意見も一回もかわされていないし、そういう決定も現在なされていない。こう思うのですが、何かそういうような決定でもなされておるのですか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/4
-
005・松島五郎
○松島政府委員 御指摘のとおり、委員の方々の中にはその当時道州制の答申に参画されました方も現在おられることは事実でございます。しかしながら、委員の方々はそれぞれの意見を持って調査会に参画しておられるわけでありまして、その中に道州制の意見を持っておられる方もあれば、あるいは反対であった方もおられるだろうと思いますが、そのことがいろいろな問題を今日の時点に立って議論する上に特段の問題があるというふうには私ども考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/5
-
006・佐野憲治
○佐野委員 そうしますと、全くおかしいわけだと思うのですが、地方制度調査会の中でもちろん反対論もあったことは速記録で明らかなとおりです。少数意見も、反対意見もありました。しかしながら、大多数をもってそういう諮問に対する答申がなされておるわけです。そういう答申に対しまして政府として、自治省として、それはでき得ないのだ、こういう回答を一体なしておるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/6
-
007・松島五郎
○松島政府委員 直接答申に対して何か文書のような形をもってできませんというようなお答えをしたことはございませんけれども、その後の地方制度調査会におきましていろいろ論議のありますたびごとに、私どもとしてはその答申についてどういう考え方を持っておるか、すなわち、先ほど御説明申し上げましたように、今日の段階においてはその答申を実現する時期ではないという考え方を持っておりますことを表明してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/7
-
008・佐野憲治
○佐野委員 こだわるようですけれども、そうした答申がなされたことに対してやはりもう少し明確に結着をつけておかないと、その答申がなされた後において、五次、六次、七次、それぞれの調査会が審議をしておるわけです。ですからこれを前提として、調査会の大多数の意見がそういう決定をなして権威をもって答申をしたというわけですよ。しかしながら、そうしたことに対して何らの明確な態度をとらない。そしてまた調査会にいたしましても、自分たちが答申したその答申のもとでいまいろいろな諮問がなされてきておるのだ。具体的にそれに到達する一つの布石として一体どういう方法をとっていったほうが摩擦が少なくて道州制の道に達するか、この考え方で審議をしておる人と、そうでないということになってまいりますと、非常に大きな相違があるわけだし、審議会そのものの審議におきましても混乱が起こるのじゃないか。調査会自体にいたしましても、前会、昭和三十二年の四次答申において採択したことを取り消してもいない。皆さんのほうは実現が困難だと考えておられる。そういう中でいろいろな審議が進められておるというふうなことに対しまして非常に疑惑が起こってくるし、私は、地方自治団体の側から、こういう案は抽象的な表現を持っておるだけに、この連絡会議法案というものはそういうような布石の一つとして、しかも地方制度調査会の第九次答申にもこの連絡会議法案のことに触れておるわけです。そういたしますと、同じ機関から答申がなされてまいったものであるとするならば、道州制の前提を踏まえた上で地方連絡会議なりあるいは地方連合なりあるいは府県合併なり、こういうものの答申が第九次答申として生まれてまいった、こういうふうに考えるし、その意味における疑惑、警戒というものが生まれてくるのが当然じゃなかろうか。国会の質疑を通じて、一応自治省の考え方というものは官房長を通じまして表明されておりますけれども、一般の公表されておるそうした調査会の答申を順序を追うて読んでまいりますと、そこにやはりどこで断たれておるのか、一脈の連関を持ってこのような答申が続けられておるのか、非常に理解することはできないのが当然じゃないか、そういう意味において疑惑が生まれてくるわけなんですが、次官、どうですか。こうした問題に対しまして、自治省といたしましては一体どういう考え方、どういう態度をもってこの疑惑を一掃するか、そういう考え方に対しまして、次官からもう少し明確な答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/8
-
009・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 佐野委員からのお尋ねの問題につきましては、官房長からお答え申し上げたとおりでございます。
御質問の趣旨を承りますと、地方制度調査会において道州制についての答申があったものを、その後それを採用するとかしないとかいうことの結末をはっきりとさせないで、やはり道州制に賛成したような方々が委員に加わっておられる新しい現在の地方制度調査会等においていろいろと広域行政の問題について論議しておるが、そういうふうな状態では、やはりすべての考え方というものが道州制に対する一つの布石のような疑惑を受けるじゃないか、それはおもしろい事態でないというふうなところで懸念されての御質問だと思うのでありますが、やはり見方からいたしますと、一応拝聴すべき御意見と思いますが、先ほど官房長からお答えいたしましたように、道州制についての答申がありましたけれども、いろいろ検討いたしまして、政府当局としては、いま直ちに、それを採用すべきものでないというような趣旨で、その後委員の選任なり新しい地方制度調査会に対しての諮問というようなことを行なってまいっておるのでありまして、やはりそのときそのときに調査会等においてもいろいろの御意見が出てまいるわけでありますが、そして政府もでき得る限りその御意見というものを尊重してまいるという基本的な態度においてはいささかも変わりはないわけでございますけれども、やはり御意見の中に、時間的に直ちに採用し得る御意見もございますし、また時をかしていろいろと検討もし、諸般の情勢を見てまいらなければならない問題もありまするし、またかりにその御意見を採用することはいまの場合でき得ないという考えでありましても、それを書面とかその他でその意見には従いかねるというような、こういう結末のつけ方をするよりは、むしろやはり時代の推移に従って皆さん方の御意見を伺いつつ、さらに時代に即した一般国民の要望する制度の方向に向かってまいるということが、案外ものごとがスムーズにいくんじゃないか、こういう場合もあることは、佐野委員も御承知のところであると思うのでありますが、大体いま政府がとってまいりました態度というものは、官房長が先ほどるる説明いたしましたようなとおりでありまして、いま私の申し上げたのも、その線に沿うて政府のとってまいりました態度を説明申し上げたわけであります。したがいまして、いまの時代の要請に対しております広域行政という問題を円滑にどのようにいい結論を出すかということについての努力は、引き続き続けてまいっておるわけでありまして、その間に決してある特殊な意図を持って地方制度調査会の御意見を聞くとか、あるいはその御意見をどのようにしてまいりたいとかいう考えはない。実にすらっとした公明な気持ちを持って、ほんとうにりっぱな広域行政樹立ということを念願して努力をしてきておるというのが、いまの姿であるというふうに御了承願いたいと思うのでありまして、いま議題となっておりますような法律案につきましても、道州制の布石とか、これをからませてどうするといったような点はいささかもないものである。ひたすら広域行政の促進、円滑ということに対しての考えを実現しようとするものであるというふうに御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/9
-
010・佐野憲治
○佐野委員 繰り返してくどいようですけれども、私の手元の昭和三十二年の十二月号の「自治時報」に、道州制採用の主張は憲法違反でもかまわない、答申しなければならない、憲法改正を前提としての答申なんだ、こういう強い主張、当時のいきさつを書いておられるわけです。片方におきまして、現在も調査委員の近藤さんと、いまの最高裁判所の判事の田中一郎さんが一緒に少数意見として反対をした。その起草委員でもあったという立場に立って「府県展望」の去年の三月号に、地方制度調査会における論議の制度改革へのいろいろな問題点を書いておられるわけですが、この中におきましても、やはり地方制度調査会の審議において、あるいは小委員会において、いま申し上げました問題が一体どう処理されるのか、こういう点が明確にされないままなので、そのことに対する論議、そのことがこの審議を進める大きな障害となってまいっておる。こういう点で事務配分の問題に対する審議を進めようとしても、まず第四次答申に対する取り扱いなり何なりが明確でないことがいろいろ混乱を呼び起こしておるという点も述べておられるわけです。非常に混乱をしたことは私は事実だろうと思います。ですから、もう少し明確な態度をとるべきではないか。そういう中から、この道州制への疑惑が生まれてまいりますし、道州制そのものが、地方自治体の制度としての、憲法で保障しておる地方自治の本旨にかんがみて、重大な問題を提起しておることになっております。こういう問題に対する明確なるものがなくて、こういう地方行政連絡会議法案が出てまいるというところに一つの懸念があるということを強く政府においても銘記しておいていただきたい、かように考えるわけです。
第二の点といたしまして、旧内務省の復活ではないか、そういう疑惑も生まれてくるわけでありますし、私はまたそういう中で、一体この会議の性格、目的というものが明確になっていないというところにやはり問題点があるのではないか、かようにも考えるわけでありますが、その意味から自治省が地方行政連絡会議法原案として発表いたしたのと、その後、現在政府提案となっておるこの法案二つを比較いたして、どういう点が変わってまいったかということを検討して見ておるわけですが、まず第一に、私は政府案と自治省原案の中でまっ先に、まず第一条の目的そのものが違ってきておる。こういう点で一体自治省の意図しておるところは何であろうかということ、いろいろ各省との折衝上、技術的に法律技術上の修正をやることはあり得るわけでありますけれども、第一条の目的そのものが変わってしまう、一体こういう法案というものを私は見たことがないのです。原案と政府提案との間に目的そのものが大きな変革を来たしてしまうような修正をやっておるわけです。そういう点に対して疑惑を持つわけです。そこで一応原案を見てまいりますと、自治省の原案では、「地方公共団体相互間及び国と地方公共団体との問の連絡協調を図ることにより、国及び地方公共団体を通じて、地方における広域にわたる行政の総合的な実施及び円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資する」これが原案であったわけです。ところが政府案として提案されてまいりましたのは、「地方公共団体が、国の地方行政機関と連絡協調を保ちつつ、その相互間の連絡協同を図ることにより、」云々というぐあいに変わってまいっておるわけであります。これは一体どうしてこういう目的そのものが変更になってまいったのか、この点に対して御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/10
-
011・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 佐野委員の御質問は、自治省に対する御鞭撻のような意味と受け取ったわけでありますが、第一のほうの御意見に関して特に私申し上げておきたいと思うのでありますが、調査経過から見ますと、道州制の問題が出、あるいは府県連合あるいは府県合併等、識者の間また公式の機関の間でいろいろな意見が出てまいっております。しかし、その結末というものはまだついていない。その間にあって本法案を審議いただく、こういうことになってまいっておるわけでありますが、やはり問題が非常に重大なことでありますのと、いま一つは、やはり社会、経済、文化、広域にわたる行政を必要とするものが日一日と多くなってきておるというのが実情です。すなわち、広域行政の必要ということが非常にやかましく要求されてくるという現在におきまして、このままではいかぬ、何とかこの広域行政の趣旨を一歩でも前進させたい、こういうふうなところから、いろいろくふう研究して生まれて出ておるのがこの連絡会議法といえると私は思うのであります。そうしてこの法案の実施ということは、他のいろいろあります問題と矛盾そごするものではなくして、やはり一つの大きな使命を帯びてその役割りを果たしていけるものであるということをかたく信じておるわけであります。その点をなおつけ加えさせていただきまして御了承願います。
第二の御質問に対しては、いろいろこれまでの長い経過もあることでございますので、官房長から説明することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/11
-
012・松島五郎
○松島政府委員 ただいま御指摘の、最初の原案と政府が最終案として提出いたしましたものとの間に相違があるのではないかというお話でございますが、御指摘のとおりのような相違はございます。相違はございますが、その内容と申しますか意味は、原案におきましては、やはり公共団体相互間及び国と地方公共団体の連絡協同をはかることによって云々とありましたが、これでは一体主体がどこにあるのかということが明瞭でございませんので、ただいま御審議をいただいておりますような政府原案に改めたのでございます。すなわち、地方公共団体という主語を明確にいたしまして、これが連絡協同をはかっていくことによって地方における広域行政を円滑にやっていくのだ、主体性を地方公共団体に置くということを明確にいたしますために改めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/12
-
013・佐野憲治
○佐野委員 どうもその点が単なる字句の「地方公共団体が」というところに重点を置かれておるわけですが、そうじゃなくて、よく読んでみますと、根本的に違っているんじゃないか。たとえば原案の場合におきましては、国と地方公共団体が同格の立場に立って、国、地方公共団体を通じて連絡調整をはかる。いわゆる国と地方公共団体との間における連絡調整、これが重点に置かれておるわけです。それが今度の政府案になってまいりますと、出先機関というのはわき役になってしまって、地方自治団体間における連絡をはかることを保ちつつ、国、地方相互間の連絡協同をはかる、こういうぐあいに変わってきておるわけです。ですからこれは後ほど、性格なりあるいは組織、構成という面にも影響をもたらしてくる重大な要素にもなっておるわけですけれども、やはり最初のねらいとしては、国と地方の間の連絡調整を一体どうするか、これが重大な問題とされておるわけです。今度は逆に地方相互の連絡を保つことが重点になってまいっておる。国との連絡協調という形になってきてしまっていますが、こういう点は一体どうしてこういう大きな変革をなさねばならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/13
-
014・松島五郎
○松島政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、地方行政連絡会議をつくります場合に、どこに主体性を持たしてこの会議を構成していくかということから、どちらが主体であるかわからないような表現よりは、地方公共団体が主体性を持って国との連絡協調をし、連絡協同をしていく、こういうところで、それによって地方行政の広域的な行政をやっていこう、こういう意味で書いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/14
-
015・佐野憲治
○佐野委員 私は率直にこの条文を読んでみまして感じますことは、原案のほうが国と地方とが同等の立場に立って、第三者機関としてこういう連絡会議を設けるんだ、こういう考え方と、地方の連絡会議なんだ、こういう考え方の中で大きな違いがあるんじゃないか。一体どうしてこういう違いが生まれてまいったかということです。その点をもう少し説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/15
-
016・松島五郎
○松島政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、最初の書き方でありますと、御指摘のとおり国と地方とが同等であるというふうにもとれますが、また逆にいえば、どっちに主体があってやるのかわからないというような感じもいたします。そこでやはり地方における広域行政というのは、地方公共団体に主体性を持たせつつやっていく必要があるという観点から、そこのところを明確にいたしますために、ただいま提案しておるような原案に改められたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/16
-
017・佐野憲治
○佐野委員 では第三者機関として設けるということは、法律技術的から考えても、そう無理な問題ではなくて、第三者機関としての地方連絡会議というものが設けられてもいいわけじゃないですか。そういう考え方があればこそ、そのほうが重大なんだ。第三者機関として、国、地方が同等の立場に立って、今日の縦割り行政なりを出先機関のばらばらな行政に対して、地方側としても主張する、話し合いをする、連絡調整をする。そのことが、今日の広域行政、あるいは府県間における矛盾、いろいろな利害対立、国の総合開発に対する方針と地元に対する利害関係なりあるいはいろいろな立場なり、そういうものの間の調整をはかっていかなくちゃならない。こういうところに一番大きなねらいがあったわけじゃないですか。そのためには第三者機関として設けねばならない。こういう考え方が一貫して流れて、目的そのものがぐらぐら変わってまいると同時に、あとの措置、構成なり組織なりあるいは運営なり、いろいろな点において大きな影響を来たしてきておるわけです。ですから、こんなに目的がぐらぐらしてしまう。最初に自治省が構想として持っておったのが、第三者機関として国と地方とが対等の立場に立って国の縦割り行政に対するチェックをする、連絡調整をするのだ、そのことが必要なんだ、この強くうたわれておることそのものが今度は変わってしまってきておる。地方団体相互間の連絡調整が重点になって、国と地方との連絡調整というものが今度は後退してしまっておる。一体目的はどこにあったのか、単に主体として地方か国か、どちらかわからぬから地方を主体にしたのだというのじゃなくて、構想なり、目的なり、連絡会議によってねらっている効果なり、そういうものと関連いたしまして、一体目的がどうしてこんなにぐらぐら変わってきたのか、その点をもう少しはっきりさせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/17
-
018・松島五郎
○松島政府委員 第二条の組織の条項で御承知いただきますように、地方行政連絡会議は、都道府県及び地方自治法のいわゆる指定都市をもって組織するという考え方でございまして、どこまでも主体は地方公共団体にあって、その地方公共団体が広域行政を行なっていくに際し、国の行政機関との連絡協調をしていこう、こういう考え方でございます。したがって、その点を明確にいたしますためには、やはり目的におきましても、地方公共団体が国の各機関あるいは地方公共団体相互間で連絡をとっていくのだという、地方公共団体に主体性を持った書き方をすることが、よりこの法律全体の趣旨が明らかになるのではないか、かような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/18
-
019・佐野憲治
○佐野委員 どうもその点が何か隠されておるのじゃないか。そういうのじゃなくて、いわゆる国と地方とが同等、同格の立場に立って、国と地方との間における問題の連絡調整をはかる、このことが非常に大きな問題を呼び起こしたのではないか。関連いたしまして、その結果として、たとえば調整ができたもの、協議がととのったものに対して第五条ですか、尊重するという形の訓示規定となってきておるわけです。国に対しまして責任の度合いというものは非常に低くなってまいって、原案では尊重することを義務づけておる規定であったわけですが、第五条におきまして訓示規定に変化してしまった。ここにも問題が尾を引いてまいっておるというように考えるわけですが、では一体義務規定であったものを訓示規定に切りかえなくちゃならない、相互が意見の一致した問題につきまして尊重してこの処理にあたる、これを義務づける、その会議の目的から考えて、当然これは義務規定を置くのが私は当然だと思います。目的そのものがぐらぐらしてまいりました結果として、第五条におきましては訓示規定に切りかえなくちゃならない。こういう問題が起こってまいったのではないかというぐあいにも考えるわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/19
-
020・松島五郎
○松島政府委員 第五条におきましては、「会議において協議がととのった事項については、会議の構成員は、その協議の結果を尊重してそれぞれその担任する事務を処理するように努めるものとする。」というようになっております。最初の原案におきましては、御指摘のとおり、担任する事務を処理しなければならない、こういうふうになっていたのが「努めるものとする。」と変わったので、訓示規定になったのではないか、こういう御指摘でございます。しかしながら法文の書き方といたしまして「努めるものとする」と「努めなければならない」との間には、慣行上それほど大きな相異があるものと私どもは考えておりません。「努めるものとする。」と書いてあったのに、つとめなくていいのだということには必ずしもならないわけでありまして、そういう意味では、法文の技術上の書き方の相違かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/20
-
021・佐野憲治
○佐野委員 だから私が言うのは、単なるそういうことばだけの問題として見のがすことができ得ない。目的が変わってまいった関係上、国に対する責任の度合いが非常に軽くなってまいる、そういうことが条文第五条の修正という形になってまいったのではないか。どうでもいいのだ、どうでもいいのだったらそのままでもけっこうであるわけで、法律用語としても、いわゆる訓示規定か義務規定か、こういうことはやはり慣行上から考えましても重大な問題となってくることは御承知のとおりだと思いますが、そういう切りかえ方をしなくてはならぬのが、しろうとにはちょっとわからない。いま官房長の言われるようなことばでも通るかもしれませんけれども、いわゆる法律技術上の問題としてながめてまいりますと、このような変更をしなければならなかった、何かあったのだろうという疑惑がここに生まれてくると思います。それだけではなくて、第八条だったですか、第九条だったですか、削除になっておりますね。いわゆる調整がつかなかった場合、中央に対しまして調整を要請することができる、こういう規定があったわけなんです。これが削除になってしまっておる。これは一体どういう理由で削除されたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/21
-
022・松島五郎
○松島政府委員 確かに調整の規定が削除になったわけでございますが、会議において協議がととのわなかった場合に、一体どういうふうにして最後の結末をつけるかという結末のつけ方について、前はたしか関係の大臣に調整を要請することができるという規定になっていたと思います。実際問題としましては、各省からいろいろ反対がありまして、これが削除になったことは事実でございます。しかし、考え方といたしましては、調整という問題をどういう形でするかということについては、なおいろいろ問題があるのではないかと私自身は考えます。調整がつかないからといって、それをより上位の機関と申しますか、そういう形のものに調整をさせるという場合に、そのより上位の機関なるものが全くの第三者機関でありますならば、これは全く公平に調整されるということも考えられるわけでございます。しかし、国の出先の機関と地方公共団体との間において解決がつかなかった問題を、その上位の機関に調整をさせるという場合に、その上位の機関というのが国の上位の機関であった場合において、その調整がはたしていわゆる第三者に調整をさせるような形で行なわれるかどうかという問題も考えてみなければならない問題であろうかと思うのでございます。したがいまして、ただいま提案しております連絡会議法案は、どこまでも地方公共団体と国の機関とが協議をし、協議がととのわなければ何回でも協議をし、お互いに納得の上で問題を解決していこう、こういう考え方に立っているのでございまして、そういう意味からは、そういう努力によって問題を解決していくという意味において、必ずしも調整の規定がなければその点は解決しないわけではない。また、かりに前に原案にありましたような調整の規定があったからといって、それが地方団体のために、あるいは地方自治の観点から、問題が解決するという保証も必ずしもないわけでございますので、そういう意味におきましては、調整の規定がなくなったからこの会議が無意味であるというようなことはないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/22
-
023・佐野憲治
○佐野委員 この場合におきましても、やはり目的と関連してくるだろうと私は思います。調整要請権がなくなったということは、そんなものなくても実際問題としてやっていけるじゃないかという問題なんですけれども、しかしながら、いま言われましたようにいろいろな問題が起こる。そういうものを調整を要請する、この場合は、原案の目的から考えてまいりましても、当然自治大臣を通じ総理大臣にこれを要請する、こういうきつい規定を置くことがやはり文脈としては一貫性を持たれておったのではないか。それが自治省原案では少し弱まっておりますけれども、やはりそういう問題を中央において調整を要請するのだという、こういう規定があってこそ対等の立場によって連絡協議ができる、行政の弊害を是正することができる、そういう保証をこの第八条ですか、削除されました中でやはり与えておった。同等でない、こういうことのために国の責任というものを非常に弱めておる中で、しかもこういう調整要請権を置くということには、これはやはり各省の抵抗というものが生まれてきたのではないかというぐあいに考えるわけなのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/23
-
024・松島五郎
○松島政府委員 先ほども申し上げましたように、調整権を与えるということについて、事実問題としては各省の非常な抵抗があって削除したということは申し上げたとおりでございますが、ただ、調整権がなくなったから全くこの連絡会議が当初の目的と違ったものになったかということになりますと、先ほども御説明申し上げましたように、必ずしもそういうものではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/24
-
025・佐野憲治
○佐野委員 先ほどの尊重の訓示規定も義務規定も実は同じことなんだ、やはり連絡調整を要請する要請権というものを置くことによってこの連絡会議の性格は明らかになってくるのに、これは置いても置かなくても実際問題としては何とかなるのじゃないかという中で、法律が持っておる調整権の位置づけというものに対してそう簡単に考えられないのじゃないか。逆に総理大臣がこうした地方団体と国との間に連絡調整しなくちゃならない事態が各所に起こってまいっておる。そういろのをやはり自治法のたてまえ、地方自治の本旨に基づいても総理大臣がこの調停に当たる、調整に当たる、ころいうことが本来の筋道じゃないか。それすらもでき得ないのだということになってまいりますと、一体地方団体と国とがどういう形で協議をやることができるだろうか、こういう点に疑問を持つわけです。単なることばのあやとして、そういう条文があってもなくてもよかったのだということでは済まされない重大性を含んでおるように解釈するわけですけれども、もう少しそういう点を御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/25
-
026・松島五郎
○松島政府委員 ただいまお答えをいたしましたとおり、協議がととのわなかったという事態は起こり得る問題でございます。そういう場合に何らかの調整の道を開くということも一応考えられるわけでございます。その調整の道を開く開き方として調整の要請というような形でやることが適当であるかどうかということに問題はなるわけでございますけれども、その調整の道が、関係のある大臣によって調整が行なわれる、そういう意味の調整を要請することができるということであれば、協議のととのわない問題と申しましても、国の出先機関と関係大臣という関係になってまいります。その調整を要請したからといって、必ずしも問題が地方公共団体の考えているような線で解決するとは限らないわけでございます。そういう意味においては、調整の規定があったからどう、なかったからどうというわけのものではむしろないのではないか。今日の行政において、いろいろと府県同士あるいは府県と国の出先機関との間に問題のあることは事実でございますが、そういった問題について、それじゃ調整の規定がないから、ほうっておいていいのかというと、そうはいかないわけでございまして、そこはかりに法律的な手続があろうがなかろうが、問題を解決して住民の福祉を増進していかなければならないという立場は、国も地方公共団体も同じでございますから、そこは調整の法律的な規定があろうとなかろうと、やはり解決すべき問題はお互いに話し合い、納得の上で解決していくという方途を講じていかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/26
-
027・佐野憲治
○佐野委員 地方行政連絡会議法案が当委員会で審議されておった四十三国会の当時は、建設委員会に回っておりまして、その建設委員会に河川法の改正が提案されてまいっておったわけであります。当時の主管大臣の説明によりましても、いわゆる府県から水利権を含む管理権を国は吸い上げなくちゃならない、この点を強調しておられるわけであります。そのために河川法を提案しなければならなかった理由をるる述べておられ、私はその場合に、連絡会議法案というものとの関連性をもいろいろと質問いたしておったわけですが、その中でやはり感じましたことは、地方においては解決でき得ない、国と地方との間にいろいろ意見の調整ができ得ないし、また現実的にできるものではないかということから、府県が持っておる管理権を国が吸い上げる、こういう形をとらざるを得ないということを力説しておられたわけであります。
それから私は、当時における河川法におきましても、この重要な河川に関しましては、機関委任事務として、大臣の権限によって指揮、命令することができ得るじゃないかということを述べて、いろいろ質問いたしておったわけですけれども、しかし大臣としては、そういうことでは解決つかないんだ、だから府県にこういう管理権をまかせておってはだめなんだ、これは当時における広域行政の要求が、府県の立場から出てまいったのではなくて、高度経済成長政策の結果として、いわゆる重化学工業が産業構造上に重要な地位を占める工業用水を確保しなければならない、こういう大きな経済界の要請も背景にあったわけでしょうけれども、そういう中でやはり河川法の改正というものが出てまいって、そのときにおける質疑のいきさつを見てまいりましても、私は、現在あるいろいろな権限が国に吸い上げられようとしておる。河川法の次は道路法の改正がやってまいりました。そのとき私はこの委員会に再び戻ってまいりましたので、連合審査会におきましても、一応その点をただしておったわけですけれども、やはり当時の主管大臣は、いわゆる二級国道を府県の管理にまかしてはだめなんだ、これはやはり国が独自の立場に立ってやらなくちゃだめだ、だから管理権を吸い上げるんだ、こういう改正案を出してまいっておったわけです。そのときもやはり感じたわけですけれども、そういう面ではなくて、連絡会議法案ができるならば、もっと調整権を持つということ、地方の利害、国の方針、これと相違する場合もあるでしょう。府県間におけるところの利害の対立もあるでしょう。それを話し合う、あるいは連絡をして協議をする、検討する。そこで、どうしても困難な場合には、総理大臣に調整を要請する、こういう権利が確保されておらないと、いまのような形で進めてまいりますならば、ますます現在持っておる地方自治体の管理権が、あらゆる面から剥奪されてまいると同時に、同じく建設委員会におきましても、やはり大臣から地方建設局の拡充が提案されておりました。農林省からは農政局の新設、これがすでに国会を通っておるという段階でありましたが、そういう地方建設局を拡大する、こういう考え方の底にも、国独自の権限の強化というものが趨勢となって、各省の中にひそまれて出てきておるわけです。そういうときに、調整権もなくてもいいんだという会議では、一体どんな調整会議が国との間にできるだろうか、こういうことに疑問を持ちますし、この調整権そのものをなくしたということは、単なる、こんなものはあってもなくてもいいんだということが考えられない客観情勢にいま立っておるんじゃないか、こういう点を思うわけですけれども、これに対しては、一体長官はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/27
-
028・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 佐野委員の御心配の点もわからないわけではもちろんございます。この御審議をいただいておる地方行政連絡会議法案は、ごらんいただいてわかりますように、連絡会議の積み重ねの努力によってものごとをうまく解決していこうというところに大きなねらいがあるわけであります。これは卑近な例で恐縮ですが、いまの日本全体の発展、繁栄ということを考えますと、中央の政治と地方の自治体の行政というものとがうまくかみ合って調和をとって進んでまいらなければなりません。そしてその間において、時代の進展とともに広域行政の必要性が生まれてきた。国の出先機関と地方公共団体との間にいろいろ話し合わなければならない問題が多く出てまいっておる実情でありますので、その地方自治体の確立、発展を念願しつつ、それら諸問題を解決していきますためには、やはり国の出先機関と地方公共団体との間で話し合っていこう。しかし、話し合いが結論が得られないからどっかで調整してもらおう、これも一つの考え方ですけれども、さらに協議を重ね重ねしていっておるうちに、やはり正しい結論が得られるであろう。こういう期待を持ちますし、そしてそれは良識ある人たちの話し合い、協議ということによりますと、当然そういういい結論が出てくると考えます。そこで国の機関に対しましては、この法案にもありますように、「連絡会議は、会議を開催したつど、会議の結果を自治大臣及び会議における協議事項に関係のある大臣に報告するものとする。」こういうことになっておりますし、さらにまた、第七条にもありますように、「連絡会議は、必要があるときは、会議における協議事項に関係のある大臣又は公共企業体等の長に対し意見を申し出ることができる。」そうしてまた第七条の二項には、「会議における協議事項に関係のある大臣は、必要があるときは、当該関係のある所管事務について連絡会議の意見をきくことができる。」こういうふうに報告であるとか、意見を申し出る、あるいはまた意見を聞くとか、こういう方法をとることになっておりますから、会議を積み重ねていき、そうして国の中央官庁においても、その連絡会議の模様というものが逐一これを知ることができ、かつ意見も述べる、こういうたてまえでありますから、その間に国の行政というものと地方公共団体の行政というものとが話し合いを進めていっておる間に、先ほど申し上げたように、調和のとれた、良識の線によっていい結論が出るものである、広域行政の期待にこたえ得る結論が出るものである。こういうたてまえでこの法案ができておるわけでありまして、佐野委員のお考えの点も、もちろんこの法案をつくりますその間においても、いろいろと研究をしてでき上がったんだというふうに御了承を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/28
-
029・佐野憲治
○佐野委員 どうしても了承できないわけですけれども、ここのところが、第一条の目的が大きく変わってまいったということとやはり関連してきておるのではないか。同時にまた、次官が述べられた中で、第九条ですか、報告先の問題を見てまいりましても、原案では自治大臣に報告する、それが政府案では関係大臣というものが加わってまいっておるわけです。この中でも、地方自治団体が関係大臣にまで一々やらなくても、自治省が——そのために自治省が存在しておるわけですから、自治省がそういう結果の報告に当たる、こういうことがやはり筋道として一貫して通っておると思うのです。それを関係大臣ということをわざわざ挿入しなくちゃならぬ、こういうのはやはり疑問を持つわけですが、これはどういういきさつがあったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/29
-
030・松島五郎
○松島政府委員 関係大臣を加えましたいきさつを私は詳細に承知はいたしておりませんが、自治大臣及び当該事務に関係ある、会議における協議事項に関係ある大臣、要するに会議に関係いたします事項については、やはり主官の大臣がそれを知っているということは必要なことであり、知ることによってまた、いろいろその会議の模様から考えられるべきところは考えていただくということにもなることを期待したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/30
-
031・佐野憲治
○佐野委員 この場合も、やはり先ほど述べてまいりました第一条の目的が変わってまいったということから会議の性格も変わってまいった。と同時に、条文におきましてもいろいろな変化が出てまいっておるわけです。この過程を通じまして一貫して流れてきておるものを評価してみますと、私はやはり各省が、自治省が内務省復活をねらった布石ではないか、こういうものに対する警戒心、これに対する抵抗、こういうものが、目的あるいは構成、それからまた性格あるいはいま申し上げましたところの条文の中における大きな修正を加えてまいったというあの原因になっておるのではないか。そこで私がやはり考えますことは、先ほども指摘いたしましたように、いま各省がとっておる方向というものは、やはり出先機関の権限強化、この方向にひたむきに進んでおると思います。と同時に、地方自治団体に与えておる管理権なりいろいろな権限をいかに縮小するか、剥奪するか、強いことばでありますけれども剥奪するか、こういう方向に動いておるわけです。しかも、そういう背景となってまいりましたのが高度経済成長政策を急速度に進めるための産業基盤の整備、このために地方自治そのものがじゃまになってきておるという傾向があらゆる面に出てきておるのだろうと私は思います。それから住民福祉を中心とする地方自治の本旨、たてまえ、固有事務、このためにいわゆる矛盾が出てきておるのではなくて、経済的な要請、こういうために地方自治団体が隷属化されなくちゃならないという方向が出てまいっておることを非常に遺憾とするのでありますけれども、そういう方向にある。ですから、自治省は道州制のためのワンステップとして内務省の復活を考える。逆に各省はそれは困る、もっと権限を強化する中でやはり地方庁なりあるいはまた道州制という方向を考えておるというところにも、大きな内部の矛盾、葛藤がこの法案をこのような形にしてしまったのではないかというぐあいにも考えるわけですけれども、そういう方向にあることを政府としてはどういうぐあいに考えておられるか。もっと広域行政に対しての考え方というものをもう少し率直にこの機会にお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/31
-
032・松島五郎
○松島政府委員 自治省が内務省の復活を目ざして連絡会議法を提案をしたのではないか、それに対する各省のそれぞれの出先機関の強化という考え方の反撃が、当初の原案と今日の案とが違ってきたゆえんではないか、こういう意味のお尋ねであったと思うのであります。自治省が内務省を復活するというようなことは考えたことはございません。この法律案をワンステップにしてそういうようなことができるものでもないし、またそれをやろうなどとも考えたことは全然ございません。これは考えたか考えないかという議論になりますと、それじゃ証拠を出せと言われましても、別に証拠があるわけではございませんけれども、これはここではっきり申し上げていいと考えております。
各省が反対をしましたのは、自治省が内務省々復活しようとしているから、それに対する反撃だというようなことでは私はないと思います。むしろ地方公共団体の立場に立って自治省がいろいろ各省をチェックする、地方自治の立場に立ってチェックするということに対する、各省は各省なりの自分の仕事に対する権限意識と申しますか、そういうものからの反対だったのだろうと私は推測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/32
-
033・佐野憲治
○佐野委員 私は二つの点に対して、もっと目的なり性格なり真のねらいというものをはっきりすることによって、いろいろ持たれている警戒、疑惑を払拭していただきたい、こういう意味でいままで質問を続けてまいったわけですが、第一段階の道州制への疑惑、第二の内務省復活への警戒、こういう問題がやはり条文の中でくみ取られるのではないかというぐあいにも考えたので、あえていろいろお尋ねいたしたわけですけれども、私はここでやはりお伺いしておきたいのは、そうした中にあって地方自治の本旨に基づく地方自治体の充実、このことを考える場合におきまして、まず第一番に大切なことは、国、地方におけるところの事務の再配分、このことの作業というのがやはり前提となってこなければならないし、これこそが目下の急務ではないか、かように考えておるわけですけれども、そういう問題が遅々として進まなくて、逆に国の権限の拡大、地方自治権の縮小という形にいま追い込められきておるということは非常に遺憾に思うのです。この機会に地方制度調査会なり、あるいはまたそういう中において、一体国と地方の事務の再配分はどうなっておるか。税制調査会も、税源の配分の問題を中心といたしまして、これらの点に対するところのいろいろな報告も出しておるわけですけれども、一体どういうぐあいに進んでまいっておるのか。補助金の場合にいたしましても、もはやもう款項目新設、委託費も含めますと一千億をこえてまいっておる。逆に拡大されてまいってきておる。一部には整理されたものもありますけれども、おそらく本年度予算におきましても、数多くの補助金が新設されてまいっておる。全く国、地方の事務の再配分という命題からはずれたような方向を現在政府においてとられつつある。一体どういう形において自治省としては取り組んでおられるのか。あるいはまたそういう作業がどういう形になってきておるのか、この点もあわせてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/33
-
034・佐久間彊
○佐久間政府委員 行政事務の再配分の急務であることを御指摘なされたわけでありますが、私どもも同様な考え方で地方制度調査会にこの問題についてかねてから御検討を願っておったことは御承知のとおりでございます。地方制度調査会におかれましては慎重御審議の結果、一昨年の十二月二十七日付をもちまして、行政事務再配分に関する答申を政府に提出されております。この答申におきましては、ただいま御指摘になられましたような、最近における地方自治に対するいわゆる中央集権的な統制を強化しようとする傾向ということにつきまして、まず注意しておられるのであります。そこで、地方制度調査会としては、そのような中央集権的統制を強化する傾向に対してたいへん遺憾であるという立場に立って、地方公共団体の自治権を強化充実するという方向で、当面するいろいろな問題につきまして、国と都道府県との間でどのような基準によって事務の配分をしたらよろしいかということをその答申の中で述べておられるわけでございます。この答申におきましては、このような事務の配分に関しましての基本的な考え方を示しておられまして、さらにその考え方について個々具体の事務についてどのようにしたらよろしいかという、いわば各論的な問題については引き続き検討をすべきであるということを申しておるわけでございます。そこで、政府といたしましては、この答申をもとといたしまして、引き続き地方制度調査会に各論的な部分——その各論的な部分の中には、事務の再配分に伴いまする税財政制度の問題とか、補助金制度の問題等も含むわけでございますが、これについて引き続き御検討願っておるわけでございまして、ただいま調査会の中で事務の再配分のための小委員会を設けまして、その小委員会で鋭意御審議をいただいておる状況でございます。調査会のスケジュールといたしましては、本年九月に任期が満了いたしまするので、それまでに成案を得たいということで、御審議を進めておられるわけでございます。
なお、先ほど御質問のございました点に官房長から御答弁ございましたが、私、補足をさせていただきたいと思いますが、都道府県の区域をこえる広域行政に対する対処のしかたといたしまして、御指摘のような、国の出先機関の権限を強化をする、あるいは地方公共団体に対する国の関与を強める、さらにまた権限を国に引き揚げるというような方向で、県の区域をこえる広域行政に対処しようという施策が打ち出されておりますことは御指摘のとおりでございます。それに対しまして、地方制度調査会の基本的な考え方は、地方公共団体、特に広域的地方公共団体である都道府県の能力を強化拡充する方向でそれらの広域行政の処理をなしていくべきだ、こういう基本的な考え方をとっておられるわけでございまして、自治省といたしましても、そういう方向で、都道府県の能力を強化充実する方向でこの広域行政に対処していこう。そのための一つの案が地方行政連絡会議法案になっているわけでございまして、先生御指摘のような、これによって道州制を目ざすとか、内務省復活を目ざすとかという気持ちは全然持っていない。むしろ逆な、中央集権的傾向強化に対処する対策として考えておるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/34
-
035・佐野憲治
○佐野委員 私、最後に、一つの問題として、この連絡会議は毒にも薬にもならない、どうでもいいんだという、こういう考え方も一部に解釈されておる。こういう傾向に対しまして、やはり考えなくてはならない問題を持っておると思うわけですが、一つは第七条に「意見の申出等」という条項があるわけですが、この意見の場合にいたしましても、ここでお聞きしておきたいと思うのですが、地方財政法におきましても、国に対しましていろいろ意見を申し出るという規定を置いておるわけですが、いわゆる補助金なり支出金なりいろいろな点に対しまして、国に対して意見を申し出る、あるいはいろいろな強い規定を置いておるわけです。これは一体どのように現在まで活用されておるか。地方財政法に規定されておる、国に対するところの意見の申し出に対して、地方公共団体は一体どのように対処してまいっておるか。何かそういう統計なり例がありましたら御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/35
-
036・松島五郎
○松島政府委員 私、ただいま資料を持っておりませんが、私の知っておる限りにおきましては、この地方財政法によるいろいろ意見の申し出というのは、ただいまのところでは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/36
-
037・佐野憲治
○佐野委員 ですから、現在における国の負担金なりあるいは交付金あるいは補助金なりのその単価にいたしましても、いろいろ問題も含んでおるし、現在大きな超過負担になっておる。こういう場合に対しまして、当然国に地方財政法によって意見を申し出ることができるのだという権利を保障いたしておるわけですけれども、しかしながら、これがほとんど行なわれない、こういうことが現在の実情である。そういう中で、いま連絡会議法の中で、第七条の中にもそういう規定を挿入いたしたといたしましても、ほんとうにこのことが活用されるのかどうかということに対して、やはり疑問を持つわけです。と同時に、先ほども申し上げましたように、いま申し上げました論者が指摘するように、目的自身から国の責任というものを大きく後退させてしまっておる。あるいは第五条によるところの「協議の結果の尊重」にいたしましても義務規定から訓示規定に後退してまいっておる。あるいはまた第八条にありましたところの要請権そのものも削除になってしまっておる。ということから考えてまいると、しかもこれは審議機関でもない、議決機関でもないということになってまいりますと、単なる話し合いの場ではないか、お茶を飲む程度のことしかできないのではないかということから、無関心さが示されてくるわけです。こういう点に対しましても、私は、こういうゆるやかな、法律的に考えてみましても、枝術的に考えてみましても、全く骨抜きになってしまって、最初自治省が構想として掲げたこと、原案の中に盛られていたことが、このように骨抜きになり、後退をしてしまっておる中で、しかもその性格というものがぼやけてしまっておる。だからこれは毒にも薬にもならない。現在任意に置かれておるところの知事ブロック会議なり、あるいはいろいろな協議会なり、そういうのと変わらぬではないか、こういう考え方を持つ方もいるわけですけれども、しかしながら、これはやはり現在のように地方出先機関の権限が強化されてまいっておる。しかも河川法なり道路法なり、いろいろな法律によって地方の権限が剥奪されていっておるという中で、しかもこのような国と地方とが対等の立場に立ってやるのではない、審議機関でもない、議決機関でもないという中で協議が行なわれる場合におきましては、今日の段階において、逆に協議の中で——成立、不成立ではなくて、協議そのものの中に、現在国の意思なり国の考えなり国の方針なりというものが地方自治体に押しつけられる。これに地方自治体としては隷属されていってしまうという、法が意図してないところの悪い、逆に法の運用が進められていくのではないか、こういう危険すらも考えられるわけです。そういう意味からこの運用に対しまして、もう国会に提案されましてから、四十三国会から今日まで一年有余の歳月をけみしておるわけですけれども、運用に対するところの基準なり運用方針なり、あるいはこういう場合に事務局は一体どういう構成をもってされるのか、そういう点もひとつ御説明を願いたいし、もう一つは災害対策基本法の設立のときにも私質疑をいたしておったのですが、二百にわたるところのいろいろな法律、それを一本に体系化する災害対策基本法、そういう中で、この府県防災会議なり地方防災会議が設立を義務づけられておる。この中に出先機関、行政機関が委員として参加をする。そういう中で、防災基本計画なりあるいはそれらに対するところの地域防災計画なりというものが、一体どのようになされてまいっておるのか。災害対策基本法の場合、はたして現在の地方自治体の段階におきまして、効果をあげることができるかどうか。そういう防災会議というものが、一体どういう歩み方をするかにつきまして、いろいろな警告をも発しておったわけですが、現在ほとんど有名無実の存在となっておりますし、出先機関は全く無責任な態度でしかこの会議に臨んでいないわけです。そういう現在の傾向から考えてまいりますと、私はそれは当然だと思うわけです。ところが、連絡会議におきましては、やはりそれと同じわだちを踏みつつ、逆に国の要請が強く地方にのしかかって、地方自治体そのものを圧迫する、こういう道具と化する危険性すらも将来持っておるのではないか。こういう点を危惧いたしますので、いま申し上げました点に対しての御説明をひとつお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/37
-
038・山本壮一郎
○山本説明員 先ほど来、国の出先機関の強化、あるいはしたがいまして地方公共団体の力がだんだん弱くなるのじゃないか、そういう心配があるのじゃないか、こういうことで御意見がございましたが、私ども最近の地方行政の事情を見ますと、それは先ほど来お話がありましたように、もっぱら広域行政、特に開発行政を中心にいたします広域行政の情勢からこういうものを考えたわけでございますが、この場合、やはり地方公共団体がそれぞれの割拠性を排除いたしまして、公共団体相互間の連絡協調が十分でありませんと、逆に、国がいろいろなことをみずから行なうというふうな見解が出てくる可能性があるのでございます。したがいまして、連絡会議をつくりまして、地方が十分相互に連絡調整をはかるということを中心に考え、そこに国の出先機関を入れていろいろな問題を合理的に処理してまいろうということを考えておるわけでございます。したがいまして、今後の運営にあたりましても、連絡会議におきましては、そのブロックのどこかの知事が議長になりまして議事を推進してまいる。事務局も、議長を引き受けました県の事務当局が事務局を引き受けるという考え方で今後の運営を進めてまいりたい。あくまで連絡会議におきましては、関係の県あるいは指定市、地方団体がイニシアチブをとりました運営をはかってまいるような運営をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。なお、災害対策基本法の運用状況につきましては、詳しい資料を持ち合わせておりませんが、最近私どもが地方で経験いたしました限りにおきましては、やはり基本法に規定されておりますような、あるいはねらっておりますような効果は、県が中心になって、関係の国の機関の協力を得まして進んでおるというふうに私自身は考えておりますが、なお全国的な状態等につきましては、調査をいたしまして、また御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/38
-
039・佐野憲治
○佐野委員 後ほど各委員からそれぞれ各省の考え方なり、あるいは運用の問題につきましても具体的にいろいろ御質疑を続けるはずでありますし、特に大臣の出席を求めて、目的なり性格なりをもっと明らかにする必要があるのではないか、かように考えるわけでありまして、この点につきましても各委員からそれぞれ質疑が行なわれると思いますので、私はこれ以上触れないわけですけれども、どうも私、いまの答弁を聞いておりましても、国と地方とが同格の立場に立って、しかも第三者機関を設けて、国の方針なり方向に対してチェックをする、そうして地方自治を守るのだという解釈、あるいはそういう構想であった自治省の案が大きく後退をしてしまって、それが逆に地方自治団体相互の連絡をはかるのだ、そしてそれに国の出先機関も参加してもらうのだ、主体性を強めたのだ、こう言われますけれども、構想から考えると逆の方向にいってしまっておるのではないか。そういう方向づけを行なったから全文にわたる修正を行なわなければならなかった。かように最初に指摘いたしましたように、そういう中からまず第一番に道州制の疑惑、あるいはまた内務省復活に対する警戒、こういうものも生まれてまいりますし、そういう性格なり目的なりがぐらぐら変更してしまっておる中で、法律技術的に見ても、押えるべき、保証すべきものを保証していない。倫理訓示規定が挿入されてまいるとなるならば、連絡会議の前途は一体どうなるのだ。そういうぐらぐらの性格のものだから、国が乗っかって逆に地方自治体の主体性を奪うのに都合のいい条件をつくり出すのではないか、こういう危惧も抱かれますので、私、総括的に三点に対して質問をいたしたわけです。
そこで総合行政の必要性なり、府県間におけるところのいろいろの対立なり、それらの解決が重点だという形で、国の出先機関なり国の権限強化のためにもたらされておる地方の利害との対立、こういうことが広域行政の面として重大であると私は考えるのに、先ほど来の答弁によりますと、地方自治団体内部におけるところの対立抗争がこの法案を必要とするのだ、だから出先機関も参加してもらうのだということであってみれば、これはまるっきり違ってきてしまうと思います。と同時に、総合開発法が昭和二十五年に成立いたしまして、しかもここでは府県計画を持たなければならない。県を越える問題につきましてはいわゆる地方計画、数県にわたって地方計画を持つ。それから特定地帯に対するところの振興計画を持つ。四番目には全国計画を持つ。全国計画そのもの、あるいは府県計画との中における照応の問題があるでしょう。あるいは対抗の問題が出てくる。こういうことは当然予期したものとして、しかも国土の資源の開発、利用、活用、このことを目的として出てまいっておる。しかも、その開発行政には地方住民も参加をして、地域の発展、住民福祉をはかるという大きな線を貫いておるところの民主的たてまえを持っておる総合開発法であるわけです。ところが、実際におきましては、ほとんどこれが骨抜きになってしまっておる。昭和三十七年に至ってようやく全国計画が生まれてま
いってきておる。しかも府県計画なり地方計画ができないところに、いきなり特定地域の振興計画が国によって取り上げられてくる。こういうことからくる混乱と矛盾、しかも国土の保全あるいは資源の利用、活用、こういう本来の開発行政という立場ではなくて、いわゆる国の経済政策の中から出てまいるところの地域開発政策、こういうものが昭和三十年ごろから全面的に取り上げられてまいり、しかも急激な、無計画ともいわれる資本の集中あるいは設備投資、このために現在におけるところの民主的なたてまえである地方自治体の行政がじゃまになってくる。あるいはまた、その中から混乱が引き起こされてまいってきておるというのが私は現実ではなかろうか、かようにも考えるわけでありますし、本来、もし地方自治団体内におけるところの連絡調整、こういうことであるとするならば、私は、すでに法ができておるのだし、国土総合開発法によって府県計画なり地方計画、これをやはり立てる。しかも住民も参加をする地域の福祉のための開発政策というものがここに取り上げられてくる。そこで国のいわゆる全国計画との間に一体性の必要もありますし、また利害の対立するということも当然として今後起きようといたしておる。こういう中から一つの調整なり何なりが生まれてくるということが私は当然起こり得るだろうと思う。そういう中でこそ本来の地方自治を伸長する、地方自治権を守る、逆に民主主義の基盤としての地方自治を擁護していく、その中での行政というものに広域行政としての意義が出てくるのではないか。そういう方向をとらずに、しかも事務の再配分をやらない、あるいは補助金等に対するところの合理的な整理もやらない、そうして国土総合開発法のたてまえをくずしてしまって、そういう中からいま取り上げられようとしている問題、それが社会経済の推移に伴うところの広域行政を必要とするのだというぐあいになってまいりますと、全く地方自治体というものが経済界に従属する一つの機関として役割りしか考えていないのではないか。これは私は重大な問題をはらんでいるのではないか。かように考えまして、そういう意味におきまして、きょうは時間もありませんので、次に大臣その他を中心といたしまして、総括的に質問いたしました点をもっと掘り下げて検討させていただきたいと思います。
本日は時間もおそいのでこの程度にいたしまして「質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/39
-
040・中馬辰猪
○中馬委員長 この際華山委員から発言を求められておりますので、これを許します。華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/40
-
041・華山親義
○華山委員 この委員会といたしましても、私どもといたしましても、慎重に審議したいと思います。その前提といたしまして、第四条に定める各省の考え方をお聞きいたしたいと思いますので、行政管理庁、警察庁、大蔵省、農林省、林野庁、通産省、運輸省、建設省の責任のある政府委員の方々の出席を求めたいと存じますので、委員長においてお取り計らい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/41
-
042・中馬辰猪
○中馬委員長 この問題は理事会において協議の上善処いたしたいと考えております。よろしくお願いします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X00219650204/42
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。