1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年三月五日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 中馬 辰猪君
理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君
理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君
理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君
理事 安井 吉典君
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀岡 高夫君 島村 一郎君
武市 恭信君 村山 達雄君
森田重次郎君 山崎 巖君
和爾俊二郎君 秋山 徳雄君
阪上安太郎君 重盛 寿治君
華山 親義君 細谷 治嘉君
吉田 賢一君
出席政府委員
自治政務次官 高橋 禎一君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 弘君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
専 門 員 越村安太郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八七号)
石油ガス譲与税法案(内閣提出第八二号)
地方財政に関する件(昭和四十年度地方財政計
画)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/0
-
001・中馬辰猪
○中馬委員長 これより会議を開きます。
地方財政に関する件について調査を進めます。
昭和四十年度地方財政計画について質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/1
-
002・細谷治嘉
○細谷委員 私は昭和四十年度の地方財政計画と、昨日提示されました三十八年七月一日現在の給与の実態調査、こういう問題を中心として質問をいたしたいと思います。
問題が計画だけにあらわれた字句ばかりではなくて、仄聞する点あるいは自治省の方針として新聞紙上等に載せられた問題等についての御質問を率直にいたしたいと思いますから、ひとつ隠さずに、きょう大臣いらっしゃいませんけれども、すなおに自治省の方針を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
まず第一にお尋ねいたしたい点は、今度の地方財政計画は三兆六千百二十一億円ということで、前年比一五・一%、こういうふうな伸びになっておるわけでございますけれども、まずお尋ねいたしたい点は、自治省が四十年度の地方財政計画をつくるにあたって三兆七千二十九億円、前年比一八・三%というものが試算として出てまいっております。ところでまず、その試算の結果がそういうふうに新聞紙上に報道されておるのは事実かどうか、これをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/2
-
003・柴田護
○柴田政府委員 御指摘の点は、おそらく予算折衝の過程におきまして昭和四十年度地方財政見通しとして十二月末に私のほうで推算したものの数字じゃないかと思います。その当時は、現在の規模よりさらに千百億ばかり財政需要があるだろう、こういう見通しを立てて大蔵省当局と折衝をしておった時代がございます。そのときのベースでまいりますならば、現在の三兆六千億に一千億加わるわけですから三兆七千億くらいのものになる。実際は国庫負担金が加算されますからもっと上回る額になりますが、一般財源で試算いたしますとその程度になるであろうと予想された時代があったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/3
-
004・細谷治嘉
○細谷委員 いまの答弁、私が冒頭希望いたしました率直な答弁ではないのではないかという感じがするのです。と申しますのは、これは新聞でありますから、責任は持てない、こういうことをおっしゃるかもしれませんけれども、一月七日のある新聞に「悩み多い四十年度地方財政、人件費の重圧増す」こういう記事が出ております。この中ではいま申し上げました三兆七千二十九億という試算された地方財政計画の規模というのは書かれておりません。ところが一月十六日の夕刊、新聞名は申し上げませんけれども、私は記事を切り抜いております。それによりますと、こういうふうに書かれてあります。このため吉武自治相は試算の基礎になった本年度の地方財政規模三兆七千二十九億円、本年度比一八・三%を、三兆六百八十八億円程度に——これは少し記事が違うように思うのです。三兆六千八十八億じゃないかと思いますが、新聞には三兆六百とそう書いてあります。本年度比一五%増と書いてありますから、三兆六千八十八億でしょう。その程度に縮めるということで、以下自治省としての具体的な対策があげられておるのです。この記事から想像いたしますと、昨年度は画期的に早く国の予算がきまったわけでありますから、予算編成の際の資料としてできたものではなくて、自治省が四十年度の地方財政計画は従来のベースから推算すると一八・三%、この程度の伸びは最低必要だろう、こういうふうに試算したと私には考えられる。昨年度の伸びは一九・何%、その前は二〇何%の伸びですから、こういうふうに思うので、どうも財政局長のいまのおことばは少し歯に衣を着せておるのではないか、こういうふうに思うのですが、もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/4
-
005・柴田護
○柴田政府委員 私は正直にいつも申し上げております。歯に衣を着せるようなことは申し上げません。
お話の点は、おそらく新聞があの当時いろいろなことを推測して書いておりました。そのうちの一こまであろうと思うのです。私どもといたしましては、御指摘の点をいろいろ考えてみますると、予算折衝の当時の数字のことではないかと思いましたので、そうお答え申し上げたわけであります。その後におきまして、規模が幾らくらいになるということを、財政当局者としては責任も持って大臣に申し上げたこともございませんし、また外部に対しまして申し上げたこともないのでありますが、第一その一月中ごろには国庫負担金の中身がわかりませんから、規模の推測はつけようがないわけであります。したがって、財政当局者といたしましては、規模がどうなるだろうかということは見通しが立たない状態に置かれておる時期でございます。しかし、外部の方々はいろいろ、あれやこれやと探りに見えますので、そのときに、さあこのくらいになるかもしれぬというようなことは、不用意な発言としてあり得ることでありまして、それが新聞記事になるということはありそうなことであります。したがいまして、最初に申し上げましたのが事実でございまして、一切そのほかにはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/5
-
006・細谷治嘉
○細谷委員 地方財政計画が公表されたのは二月中旬、二月の十四日ごろだと私は記憶するのです、期日のことは正確ではありませんが、その前に、衆議院の予算委員会において、ある委員から吉武自治大臣に対して、来年度の地方財政計画の規模はどのくらいになるのかという質問に対して、自治大臣は三兆六千億程度になるだろう。三兆六千百二十億というのは、もう数字をつかんだ上と考えられるような答弁、三兆六千——百が入っておったかどうか知りませんけれども、三兆六千ということは明確に答弁されておるのです。これはおそらく衆議院の予算委員会が始まった四番バッターくらいの質問に対しての答弁でございますから、三月の初旬、非常に早いころと私は記憶する。そうしますと、私は、やはり国の予算が決定されて、ほぼ補助が決定します。自治省としては、四十年度の地方財政計画の規模というのは、国の予算との関連において補助あるいは公共事業、それを受けての試算というのが、私は従来のベースからいって妥当なものとして自治省は出されたんではないか、こういうふうに想像しておりますけれども、どうも財政局長、その辺が少し衣をかぶせておりますから、これ以上はこの点は追及いたしません。
そこで、その試算によりますと、地方税において約二千億円の増が期待される。地方譲与税においては七十六億、これは地方財政計画に出た数字とぴたりと合っております。地方交付税において七百八十一億円、これも地方財政計画に出た数字とぴたっと一致しております。そして、地方債において三百六億円ないし三百二十六億円程度、これは財政計画では三百二十六億円と決定しておりますから、これもほぼ正確な数字であります。合計いたしまして、歳入の増はおよそ三千二百八十億円程度、こういうふうに見積もられております。これに対して歳出のほうはどうかといいますと、給与費において——全部これは一般財源での話を私は申し上げております。財政計画の数字の中の一般財源について、話がすっきりしますから申し上げておるのですが、給与費において約千五百億円であります。これは財政計画では千五百二十二億円となっておりますから、これはほぼ固まった数字と考えてもいいわけです。公共事業等の投資的経費において千四百億円程度の増だということであります。合計して、歳出の増は最小限四千百七十億円程度と見積もられております。四千百七十億円ということになりますと、三兆七千二十九億円という財政規模になるわけであります。差し引き歳入歳出で八百九十億円程度、新聞によりますと、「八、九百億円の歳入欠陥」、こういうふうな見出しで書かれております。いま私が申し上げた数字によりますと、約八百九十億円程度の一般財源の不足だ、こういうことが書かれております。この八百九十億円からいろいろな通達なり方針——あとで質問するのですが、方針が出されているのです。ですからこの八百九十億円を、あとでお聞きしますいろいろな方針を立てて、そうしてこれを無理に圧縮していっておる。そうして三兆六千百二十一億円という今年度の地方財政計画ができた、こういうふうに私は考えるのでありますが、経過はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/6
-
007・柴田護
○柴田政府委員 何回も申し上げますように、御指摘になりましたような数字は、はじいた時代にはございません。私どもの試算いたしましたのは十二月末に公表いたしました。四十年度の歳入の増加を三千億程度、それから歳出の増加として四千百億程度のものが要る。それくらいのものがある意味においては必要な歳出になり、ある意味においてはなければ地方財政がやっていけないだろう、地方財政に課せられました任務を果たしますためにはその程度の歳出が必要である、こういうことを数字を計算いたしまして、差し引き千億程度足らぬのだ、これをどうして埋めるか、そういうところからいろいろ予算折衝を重ねたのでございます。その後におきましてはこういった数字に基づいて数字を詰め、計算をしていったわけでございますので、その結果今日お手元にお届けいたしておりますような財政計画になったということでございます。千億をどうして縮めたんだということになるかもしれませんが、この二千億という税が二千四十五億になった、国庫支出金が千三百億ふえたといたしまして、結果的には歳入におきまして三百六十億円程度の増加が見られ、歳出におきましては七百億円前後の減が立ちまして、そうして差し引き千百億が消えてしまった、こういう形になっておるわけでございます。ただ単独事業につきましては多少財源のある範囲で組まざるを程なかったという事情は、正直に話しておりますけれども、たとえば私どもはその数字を立てました時代におきまして、公共事業等におきましては地方負担が四百億程度にのぼるのではなかろうかといったような推算を立てておりましたが、これを開いてみますと三百五十億程度に縮まったといったようなこともございましてそのような結果が出たわけでございます。したがいまして、途中御指摘のありましたような数字は、全く推測に基づく数字であるというようにお答えする以外にはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/7
-
008・細谷治嘉
○細谷委員 いまの財政局長の答弁を聞きますと、いま私が申し上げたような経過はないのだ、ただ単に推測程度の数字なんだ、こういうことなんですけれども、それでは私が申し上げた点は、そういう経過を経て、端的にやはりつじつまを合わせるためにカットしていったんだ、こういうふうに考えざるを得ないこの財政計画の内容であると私は思うのです。試みに歳出中のおもなる項目を一般財源の前で拾ってみますと、給与関係費の中の給与は千五百二十二億です。昨年は千百四十三億円でありますから、三百九十七億の増という数字になっておるのです。これは給与費でありますからきちんと出てくる数字でありましょう。この点についても問題点がありますから、あとで少し掘り下げた質問をいたしますが、それから、二つ具体的にあげて高等学校教員の増と警官の増等と書いてある、この二つをあげてあとは書いてありませんで、等による費用の増、これが前年は百十五億円であった、人員増に基づくものが。今度は八百八十一億円の増でありまして、七百六十六億円の差し引き増ということになっております。ところが投資的経費においては六百二十六億円の、前年から比べますと減になっておるのです。そのうち直轄事業において約五十億円、公共事業において百七億円、単独事業において驚くなかれ四百六十七億円の減ということになっております。歳出の合計では、一般財源において前年比二百五十六億円の滅ということになっておるのです。これは明らかに、約九百億円の財源不足を、収支を合わせるために国の責任でない地方単独事業というものをねらってカットしたと考えるのが常識だろうと思うのです。いや、そういう意図じゃないのだ、そういうふうになったんだというお答えかもしれませんけれども、そういう形になっておるわけですね。ですから、自治省が御指摘のように、きわめて硬直した地方財政の実情だ、地方住民が渇望してやまない地方の単独事業を全面的にカットする、しかもあとで賛同もいたしますが、公共事業等の負担は旧態依然たる中においてこういう圧縮が行なわれておるということは、自治省も不満でありましょうが、結果としては収支を合わせるためにこういう措置がとられたと考えざるを得ないのですけれども、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/8
-
009・柴田護
○柴田政府委員 単独事業の伸びが鈍化いたしておりますのをどういうふうに考えるかということだと思います。単独事業の中にもたとえば災害復旧事業でございますとか、いろいろ必要やむを得ない事業もあるわけでございます。しかし、伸びはおっしゃるように鈍化いたしておりますけれどもカットしたことはない、既定規模は確保されておるわけでございます。しかし金が足りませんでしたならば、財源のある範囲内で財政を講じざるを得ないのでありまして、その場合にはやはり義務的な経費というものに重点を置いていかざるを得ない。したがって、給与費でございますとか、公債費でございますとか、こういったもので、従来財政計画のワク外に置かれておりましたのを極力合理化するということに重点を置いておる。その結果、逆に反射的に単独事業の増加財源の幅が縮まったということは、ある程度しかたがない。まあ、それを意識的にカットしたのじゃないかと言われれば、別に意識的に初めからそうねらったわけではございませんけれども、全体の増加財源の幅が縮まっておる中で、その財源をどのように割り振っていくかということになりますと、義務的性格の強いものに割り振っていかざるを得ないのではないか。その結果単独事業にしわが寄っておりますことは御指摘のとおりでございます。しかし、これは明年度の地方の一般財源の伸びから考えますならば、やむを得ないことだというふうに考えておるわけであります。決して好ましい姿とは考えておりませんけれども、置かれた地方財政の環境においてはしかたがない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/9
-
010・細谷治嘉
○細谷委員 いまの局長の、伸びが鈍化したということばは、これは数学者の使うことばであって一般には通用しないのですよ。伸びが鈍化したのは、昨年一九%伸びておったのが、今度一五%になった。これは増なんです。これは鈍化したと言えるでしょう。私がいま指摘しているのは、伸びの鈍化じゃないのです。マイナスの伸びが急増したというのが数学的表現の正しさなんですよ。いまも御指摘のように、単独事業が昨年は千百五十一億円の伸びがあったわけですよ。ことしは確かに六行八十四億円でありますから、差し引きますと、さっき言ったように四百七十億円程度の一般財源の投入が減っておる、こういうことでありますから、これは伸びの鈍化ということばで表現されますと地方はたいへんなことだと私は思うのです。
そこで、財政局長と政務次官にこの問題についてひとつお尋ねしたいのですが、率直にお答えいただきたい。私はこういうふうに理解しておるわけです。国の予算は財源の不足ということにかこつけて、財政投融資に逃げ込んだ。そして後年度に財政負担を伴うような措置が行なわれておる、これが特徴だろうと思うのです。またそういう財政投融資を媒介として、地方財政に公共事業等を通じいろいろな点を通じてしわ寄せされておる、こういうふうにこの財政計画を見て、一連のそういう姿勢があらわれておると私は理解せざるを得ぬわけです。新藤都市の問題も出ております。端的に言いますと、国の財政援助という形ではなくて、地方財政を工業開発の地盤整備のために動員する、こういう形に出てきておる、こういうふうに私は思うのです。社会開発は名ばかりだ、こういうふうにいわざるを得ないのです。それで私は率直に聞いておるのですけれども、地方財政の番人であり、また三王五百の地方団体が唯一の頼みとしている自治省の政務次官なりあるいは財政局長としては、理屈は別として、そういう形に結果としてなっておるのだということをお認めいただけるかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/10
-
011・柴田護
○柴田政府委員 先ほどもるる御説明申し上げておりますように、考え方はいろいろあろうかと思いますけれども、要するに国も金がない、地方も金がないというわけでございますが、その中で財源を割り振ります場合には、率直に申しまして義務的なものに重点的に持っていかざるを得ない。その結果反射的に単独事業にしわが寄っていくという事実は私もそう思うわけでございます。しかしその場合に、お話しのありましたような考え方がまずあって、それに基づいてこういう作業をしたのだということは全然ございません。われわれといたしましては、何とかこれも財源を確保したいとずいぶん悩んだのでございますけれども、何ぶんにも金がない、こういう情勢ではこういうことになるのもまたやむを得なかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/11
-
012・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 国の財政計画、それから地方財政計画、これはもうすでに数字となってあらわれてきておるわけでありまして、まあそれを見て解釈いたします場合に、いろいろの考え方があると思うのであります。地方財政にしわ寄せを、金がないから持ってきたんじゃないかというような意味でのお尋ねのようでございますが、先ほど財政局長もお答えを申し上げましたような経緯で、自治省といたしましては、この際、国と地方との財政について、一応調和がとれていくものである、まあこういうふうに考えておるわけであります。
心がまえについてのお話もございましたが、おっしゃるとおりでございまして、自治省といたしましては、やはり地方公共団体の自治行政というものが財政的な裏づけのもとに自主性を持ち、健全に発展していく、伸長していくというふうに最善の努力を払っていかなければなりませんし、まあ従来もそういう心がまえでまいっておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/12
-
013・細谷治嘉
○細谷委員 私は、時間もありませんから、あまりこの辺はさらに時間をかけませんけれども、お願いいたしたい点は、三十七年度の地方財政計画と、決算の実績との比較を資料として出していただいたわけです。それによりますと、かなり大きな食い違いが起こっておりまして、まあ府県、市町村と突っ込みますと、計画というのは、実績の七五%程度だと私は記憶しております。ところで、その内容を検討いたしますと、計画の大きな狂いというのは、投資的経費から起こってきている。端的に言いますと、給与関係の仲びというのは、計画から見ますと、一一二%くらいなんですよ。ところが投資的経費は九三%くらいのズレが起こっておる。これは三十七年度じゃありませんよ。ある年度の私が取材したところによりますと、そういう狂いが起こってきております。
そこで、私は資料としてお願いしたい点は、三十八年度の決算と三十九年度の見込みにおける計画と実績の歳出の主項目についての比較表をひとつ出していただきたいということが一つ。
もう一つは、この計上画によって、四十年度の計画と実績はどういう程度の狂いになるか、どういう比率になるだろうかというお見通しをお持ちであれば、これを漏らしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/13
-
014・柴田護
○柴田政府委員 三十八年度の計画と、決算の相違につきましては、昨日も吉田委員から御要望がございましたので、近く御提出できると思います。私の手元で、ある程度わかっておりますのは、おっしゃるように、三十七年度の決算と計画の比較で見ますると、投資的経費の差が非常に大きい。三十八年度は、これは逆転と申しますか、逆転までいきませんが、非常に縮まってまいりまして、給与関係経費で差が千四百億、投資的経費で千七百億というように差が縮まってまいっております。この点が実は非常に心配な状態の一つでございますが、いずれ資料を提出いたしまして、御説明を申し上げたいと思います。
三十九年度の見込みでございますけれども、これはいまのところ目算がつきません。しかし私どもの感じでは、この差はうんと縮まっていくだろうというように、私率直に申し上げまして考えておるわけでございます。
四十年度の見込みは、これから始まるわけでございますので、見当がいまのところつきかねます。私どもの過去の経験からいいますと、地方財政が比較的に収支バランスをとって、わりと均衡を回復して、しかもある程度活用財源がある時代におきましては、計画と決算の開きが非常に大きい。それが地方財政が苦しくなってくるに従いまして、計画と決算の差が縮まってくるわけであります。そういう過去の経験に照らしますれば、三十七年を頂点として、だんだんと地方財政の姿というものは苦しくなってきておるというふうに、実は判断をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/14
-
015・細谷治嘉
○細谷委員 局長の見込みのように、私もそう思うので、構造からいっても、三十九年よりも大きい狂いが必ず起こってくるのじゃないかという気がいたすわけで、三十九年度はここまできたので、間もなくすれば決算見込みが出るのだから、正確な数字をひとつお渡ししますということかもしれぬけれども、少なくとも四十年度には、一千億の当初考えておった規模との違いが、この計画の中に出てきておるわけですし、かなり大きな狂いが出てくる。というのは、地方自治の一つの行政上の柱ともいうべき、また地域住民の期待にこたえる単独専業というものを、しわ寄せ的に切っておる。そして、あげて財源を公共事業等に投入させようとする地方財政計画のその姿勢からいって、私は、自治行政というものが後退し、財政計画と実績の間の開きというものが大きくなるのではないかという気がいたします。
なお、先ほどの私が資料をお願いした点で、歳出と申し上げましたが、歳入歳出の主項目についてひとつ計画と実績との比較表を出していただきたいと思います。
この問題では、まだいろいろ問題がありますけれども、時間がありませんから、そこで、次にお尋ねいたしたい点は、こういうような地方財政の硬直性といいますか、そういうものに対処するために、あるいは端的にいいますと、自治省が考えている最低限度の試算三兆七千億という数字を押えるために、まず筆頭に上がってきたのが人件費の削減というものが出てきております。それについて、これは予算委員会で安井委員から大臣に対して質問もあったようでございますけれども、重ねてひとつお尋ねしたいのでありますが、新聞紙上ではこういうふうに書かれております。「ことに地方公務員の給与は「国家公務員の給与に準ずる」建て前でありながら、東京、大阪など大都市では国家公務員のベースを上回っているところがほとんどだが、現行の地方公務員法では規定があいまいでこれを押えることができないので、同法の改正が必要である。」こういうふうに自治省側は見ておりますが、どういう改正をなさるのかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/15
-
016・佐久間彊
○佐久間政府委員 私ども、現行の規定につきまして、お尋ねのような点についての改正は、現在のところ検討をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/16
-
017・細谷治嘉
○細谷委員 さらに読んでみますよ。「また給与費が財源と無関係に累増するのを跡ぐため、給与費の総額を歳入の一定割合までと規制する方法も検討する。」と自治省の方針が新聞に出ているのです。たぶん御否定なさるでしょうけれども、こういう考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/17
-
018・柴田護
○柴田政府委員 前段のほうは行政局長からお答えしたとおりでございますが、後段の問題につきましては、私たちはそういう規制という意味じゃございませんで、新聞は若干真意を正しく伝えておりませんけれども、要するに、住民から納付された租税を有効に使うという立場に立ちますれば、管理経費というものをできるだけ効率的に持っていくというのは財政の要求するところだと思います。したがって、そういう意味から言いますならば、管理経費の最たる人件費というものについて、ある程度の総額的なめどがつきますれば、大体このぐらいのところのめどというのが理想としての姿だという程度のものはできぬものだろうか、こういう考え方は常に財政的な感覚では持っております。じゃ、そういうものをどういう方向で示すかという問題については、検討の余地は十分あるでございましょうけれども、現在その形は、私どものほうでは指数表という形式でもって標準団体をつかまえまして、これについての給与費は何%くらい、何は何%くらいということで示しておりますけれども、この方法ではまだ隔靴掻痒の感がある。むしろある程度そこにもう少し突っ込んだ、あるべき管理経費としての給与費なり物件費というものが求められぬだろうか、こういう検討は私どものところではいたしております。しかし結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/18
-
019・細谷治嘉
○細谷委員 いまの財政局長の考えはかなり重要な内容を持っておると思うのです。昨年内簡問題というものが出たわけですけれども、昨日も秋山委員の質問に対して次官は答えておられるが、地方公務員の給与というのは国家公務員に準ずるというのが、公務員法に書いてある一つのことです。その周辺の同じような地方公務員の給与とのバランスを考えるということが一つの原則です。もう一つは、その地域の他産業との給与のバランスということを考えるという三つあるのですよ。国家公務員に準ずるというだけが要素じゃないのですよ。そうでしょう。ところが、もう法律に書いている二つはネグって、国家公務員に準ずる、準ずるということはイコールだという前提に自治省は立っていらっしゃる。そしていま財政局長のお考えによりますと、ある程度の規制ということについてはまだ具体的な考えというのは固まっておらないけれども、持っているんだということなんです。行政局長、どうお考えですか。これは地方自治という観点からいきますと、たいへん重要な問題を含んでおります。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/19
-
020・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公務員法の規定におきましては、国及び他の地方公共団体の職員との均衡を考えるというのが一つの要素であって、そのほかの生計費なりあるいは民間事業の従事者の給与についてはネグっておるじゃないか、こういうお尋ねでございまするが、私どもは生計費なり民間事業の従事者の給与につきましては、これは各地域によってそれぞれ地域差のあることはそのとおりであろうかと思います。全国的に、一般的に考えてみますると、これは人事院が調査されましたものをもとにいたしました人事院勧告の中には織り込んである。したがって、地方公共団体におきましては、一応人事院勧告というものを参考にし、それに準じて考えるということによって、国及び他の地方公共団体の職員との均衡なりあるいは生計費なり、民間事業の従事者の給与なり、すべて実際問題としては考慮したということになるであろう。もちろん特殊な地域において生計費なり民間事業の従事者の給与について、地域差があることは事実でございますから、その点については人事委員会がそれぞれ調査をされるということは、当然のことと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/20
-
021・細谷治嘉
○細谷委員 とにかく改正が必要である、それからやはり一定割合の規制ということを法律でやるかどうかは知らぬけれども、重要なポイントとして自治省が考えていらっしゃるということは、どうも想像するにかたくないと私は思う。地方財政の硬直、単独事業をまずカットしていくというやり方は、地方行政に対する締めつけの強化ということが日一日と、ひしひしと感じられるわけですけれども、どうもやはりそういうお考えに立っていらっしゃるようだから、さらにこの問題についてはお聞きしなければいけませんけれども、昨日、三十八年七月一日現在の「地方公務員給与実態調査、結果の概要」という資料をいただいた。これは三十八年の七月一日現在の調査でございます。そして新聞等によりますと、数日前に閣議に報告されたもののようであります。
まずお尋ねしたい点は、三十八年の七月一日現在のこの「結果の概要」というものが、いま四十年の三月ですね、どうしてこんなに時間がかかったのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/21
-
022・佐久間彊
○佐久間政府委員 この調査は、この資料にも注記してありまするように、いわゆるラスパイレス方式と申しますか、単純な平均給与の額ではございませんので、学歴別、経験年数別に国家公務員との比較をいたしたものでございます。したがいまして、この調査にあたりましては、百五十万人余の全地方公務員に対しまして、一々個票を徴しましてそれを点検の上統計局に集計を依頼いたしたものでございます。何ぶん非常に膨大な資料をもとにいたしましての集計の作業でございますし、かつまた、統計局におきましても、ほかにもいろいろ統計業務のあります問にお願いをいたしております関係もございまして、今日までかかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/22
-
023・細谷治嘉
○細谷委員 いろいろな事情はあったでしょうけれども、三十八年の七月といいますから、三十九年、四十年で、これはお役所仕事のティピカルなものだと私は思うのです。いや、お役所仕事というのはそんな非能率なものじゃないのだとおっしゃるならば、何かこの給与等の調査の実態をうまく活用するチャンスをねらっておって、この地方財政計画の硬直した時期に人件費の削減の有力なてことして出すか、これはどっちかねらったに違いない。どちらですか、前者のように了解しているのですが、前者ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/23
-
024・佐久間彊
○佐久間政府委員 せっかく、かなり多額の予算を使いましていたしました調査でございますから、私どもといたしましては、今後の行政に十分役立たせたいという気持ちを持ってやりましたことは事実でございます。しかしこれをもって人件費削減の資料とするために、今日の時期をねらって発表したというようなことは全くございませんで、ただ、できるだけ早くということで、私どものほうも統計局に急がしておったわけでございますが、今日の事態になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/24
-
025・細谷治嘉
○細谷委員 昨日もお願いしたのですけれども、二年かかった資料にしては、国会に出された資料としてはきわめて不十分なものである。拙速ということばは聞きますけれども、拙遅というのですか、そういうことばは日本にないですよ。長年月をかけたこの資料がきわめて不十分な形で、しかもどうもこれも悪く考えますと、大切なところは国会議員に見せないほうがいいぞという形で出されたのではないかと思われるような資料なんです。こういう問題は、貴重なものですから、お互いに科学的根拠を持って審議していくという点では、やはり拙速はいけませんけれども、適確迅速に、こういう調べたものは生かしていただきたい。私は要望しておきます。
そこでお尋ねしたい点は、府県と六大市と町村というものを見ますと、三十三年と三十八年——この中には義務制の教職員の給与は含まれておらないわけでありますけれども、それ以外の方を見ますと、この新聞にも書いてありますように、府県は良心的に国公に近づける努力をしておるというように結論づけております。六大市はけしからぬことだ。ますます国家公務員を上回るような経過をたどっておる。六大市は、三十三年が国家公務員に対して一三二・一であったのが一三四・二となった。市のほうは九五・九であったものが一〇八・三になった、けしからぬことだ、こういうふうに書かれております。ところが、町村のことはあまり書いてないのです。町村は七七・一なんですよ。五年後の三十八年には八七・二になったわけですね、実質給与水準は。これはどういうふうに直すおつもりですか、まずお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/25
-
026・佐久間彊
○佐久間政府委員 町村給与が国家公務員ベースあるいはまた他の地方公共団体と比較をして低位にありますことは、この表のお示ししておるとおりでございます。私どもといたしましては、町村の職員についてもできるだけ国家公務員ベースに近づけるように従来も指導をいたしてまいりました。特に昭和三十三年の数字が七七・一ということで相当低位にありましたので、この後において三十五年には町村給与の改善について自治省から通達を出しまして、町村においても計画的に国家公務員ベースに近づけるように給与改善の努力をしてほしい、さらに給与関係の条例、規則等も整備をしてほしいということを通達を出して指導をいたし、その後においてもその趣旨に従いまして努力をしてまいっております。もちろん関係職員団体におきましても、相当な努力をされてきていることでございますが、そういう努力の結果が、三十三年当時に比べてみますと今回は八七・二ということで相当改善されてきておるわけでございまして、この点につきましては私どもといたしましては私どもの指導効果も相当あったのではなかろうかと思っております。しかしまだこれでは十分でございませんので、引き続き指導をしてまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/26
-
027・細谷治嘉
○細谷委員 私が比率を使いましたから、いま行政局長は指数で七七が八七になったのだから行政指導の効果はてきめんにあらわれたのだという自画自賛をしておったのですけれども、それではひとつ絶対額で申し上げます。一人平均国家公務員において幾ら上がったかといいますと、三十三年から三十五年までの間に九千八百二十七円上がっているのですよ。町村は幾ら上がったかといいますと八千五百二円しか上がっていない。差し引きこの五年間に千三百円くらい国家公務員との昇給ベースの上がりの差があるのですよ。なるほど一円が二円になりましても百円が二百円になりましても一〇〇%なんです。問題は金額なんです。数字で生きておるわけじゃないのですから。七七が八七になったという問題じゃなくて、この間でも指導適確を得たならば、絶対額が国家公務員が九千八百二十七円上がったなら町村の職員だってやはり九千八百円上げていかなければいかぬのじゃないですか。指数の問題じゃないと思うのですよ。ですからこれは自画自賛できないです。もう一度お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/27
-
028・佐久間彊
○佐久間政府委員 そう大いばりで自画自賛いたしたわけではございませんで、私どもの指導も相当効果があったのでないかということで、控え目に申し上げたわけでございます。
それからお尋ねの数字につきましては、なるほど一人当たり平均額にいたしますと国家公務員が九千円余、町村の場合が八千円余で、そこに開きがございますが、これは単純平均でございまして、それではほんとうの比較ができない。同一学歴同一経験年数の者につきまして、国家公務員との比較がどうであるかということが大事であろうと考えるわけでございます。そういう観点からの比較によりますと、三十三年のときに国家公務員一〇〇に対しまして七七・一でありましたものが三十八年には国家公務員一〇〇に対しまして八七・二ということになっておりますので、相当改善されたと見ていい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/28
-
029・細谷治嘉
○細谷委員 たいへん正確なことで、私は単純算術平均の数字を申し上げたのであります。前の指数は、これは同一勤務年数、同一学歴という同条件で比較したのでありますが、それにしましても町村の職員の実態を十分御承知でありながら、私が先ほど申し上げたように地方公務員の給与は国家公務員に準ずるという一本の柱と、その地域の生活水準といいますか、公務員の給与の水準、他産業の給与の水準、こういう問題を考えていきますと、国は北海道から鹿児島まである、五大市といいますと、これは日本の代表的な市なんですよ。これは生活水準の高いことは明らかですよ。そういうところの給与が若干上がった。それから市のほうが国家公務員に対して一〇八%になった。これはけしからぬことだといって目くじら立てて言うのは、地方公務員法の原則からいって、間違いではないか。これは秋山議員がきのうかなり強く申し上げたので、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも五大市なり市の給与というものは、当然あるべき姿として出てきておると私は思うので、むしろ問題点は町村の給与がこういうふうになっている実態、その原因は那辺にあるか、そういう点を追及して国として適宜、適切な措置をとってやるべきではないかと思うのです。これについて両局長の明確なお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/29
-
030・佐久間彊
○佐久間政府委員 新聞の記事についての御指摘がございましたが、私どもといたしましては、別段目くじら立てて特に新聞発表にあたりまして強調をいたしたわけではございません。御提出申し上げているのと同じ資料を発表いたしたわけでございます。それはとにかくといたしまして、御指摘のように、国及び他の地方公共団体との均衡と同時に、その地域における生活費あるいは民間事業の従事者の給与その他の事情をあわせ考慮するということは、これは地方公務員法に書いてあることでございますので、それは当然でございますし、そういう観点からいたしまして、五大市におきまして他の団体と比較して若干上回る点があるということも、これは首肯されるわけでございます。しかしその場合におきまして、一体五大市における特殊事情というものが、どのくらいにこれを判断することが最も妥当であるかということにつきましては、なお検討すべきものがあるように存ずるのでございます。それから町村につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、私どもといたしましても町村についてはさらに改善の努力をすべきであるというふうに考えておるわけでございまして、今後も引き続き努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/30
-
031・柴田護
○柴田政府委員 公務員給与のあり方自身につきましての見解でございますが、これは私どもも行政局長がお答えいたしましたとおりに考えております。私どもは給与費全体の総額というものが、財政にどういう影響を与えるかということについて非常に心配しておる。そういう意味合いから、先ほど申し上げましたような考え方に立って、これをどういうぐあいに判定していくかということをいろいろ検討をいたしておるわけでございます。と申しますのは、先ほど申しおくれましたけれども、ここ数年来いままでは、一般財源の伸長率というものが給与費の伸長率というものを上回っていた。上回っておる時代におきましては、給与費の問題というのはそう大きな問題ではなかった。しかしここ三十七年、八年ころから今度は逆に給与費の伸長率というものが一般財源の伸長率を上回ってきた。ということは、要するに硬直性というものを加えることになる。それを考えてまいりますと、財政的に言いますならば、少数精鋭主義的な考え方というものをとっていって、住民から納付された租税というものを、住民の福祉に還元していくという方向でものを考えていかなければならない。しかし道路や物だけをつくるのが何も住民への福祉還元でもございません。人間を通じての福祉還元もあるわけでありますが、その辺をどう考えていくかというのが今後の問題であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/31
-
032・細谷治嘉
○細谷委員 行政局長は、町村の問題については今後努力する、こういうことでございますが、そんなことはなかったと思うのですが、ちょっと気にかかることがある。ある県の総務部長が、だいぶ前のことですけれども、町村の職員についても、国家公務員に準ずるように努力をしなさいという指示といいますか、あるいは連絡といいますか、そういうものを町村にいたしたところが、けしからぬことだと自治省がおっしゃったとか、おっしゃらなかったとかいうことを聞いたのですが、そんなことありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/32
-
033・佐久間彊
○佐久間政府委員 そのようなことはございません。先ほど申しましたように、昭和三十五年でしたか、自治省自体から、町村の給与を国家公務員に準ずる方向で、計画的に改善をするようにという通達を出しましたので、おそらく各府県ではそれを受けまして、さらに市町村に通達をいたしたものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/33
-
034・細谷治嘉
○細谷委員 ないということでありますから……。ただ私の聞いておるところでは、自治省のそういう方針に基づいて、県のほうで町村に出したら、町村長からけしからぬことだ、財政的にそういうことはできないんだという反撃があって、それも県を通じなくて自治省にきて、自治省はごもっともだということで、県のやつはけしからぬ、こういうことがあったとか聞いたのです。事実ないということでありますから、さもあるべきことだと思いまして、ぜひそういう努力を具体的にひとつ続けていただきたいと思います。
そこで、次にお尋ねしたい点は、このいただいた資料に「団体区分別職員数」というものがございますが、その中には、義務教育関係の教職員の数が入っておらないのです。この数はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/34
-
035・佐久間彊
○佐久間政府委員 約五十八万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/35
-
036・細谷治嘉
○細谷委員 この便覧を見ますと、二七ページに、普通会計の総数は三十八年度で百九十一万となっておるのです。そうしますと、これにあるのは百五十三万ということになっておるのですね。それに五十八万を加えますと、この便覧の数字と一致しません。若干の狂いはあると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/36
-
037・佐久間彊
○佐久間政府委員 後刻取り調べまして御返事を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/37
-
038・細谷治嘉
○細谷委員 それはひとつぜひこの関係をはっきりしていただきたい。
そこで地方財政計画の第九表についてお尋ねしたいのです。三十八年度の財政計画によりますと、百六十万七千八百五十八人というのが計画人員でございます。この数字と、それからいまお聞きしたこの調査による百五十三万に五十八万を加えたもの、これもまたずいぶん狂いがございます。この関係はどうなっているのか。三十九年度の計画人員は百六十一万六千人でございます。四十年度の計画人員は百七十五万八千人と、三十八年、三十九年のペースより急激にふえております。これは地方公務員の給与実態調査による職員数の是正という形で出てまいっております。この辺の関係をひとつわかりやすく御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/38
-
039・柴田護
○柴田政府委員 この実態調査の結果、普通会計分の一般職員として明確になりました人員数は百一万千七百五十二名、これから補助委託職員七力九百四十四人、それから義務教育職員負担法の事務職員一万二千四百九十四人——これはいずれも三十八年度の計画数でございます。それから高等学校の実習助手七千六百五十人を加減いたしますと、九十二万五千九百六十四人という数字が出ます。この九十二万五千九百六十四人と、昭和三十八年度の財政計画の人員七十三万四千二百七十一名、これは三十八年度の財政計画の普通会計分の一般職員としてとらえた数字でございます。これとの差額で、実態調査の結果十九万千六百九十三人というものが差額として出てまいっております。実態調査の結果、三十八年度ベースに置きかえますと、十九万千六百九十三人というのが財政計画を上回った数字でございます。この十九万千六百九十三人の中身をいろいろ精査いたしまして、財政計画上是正を要する人員として十一万八千五百人という数字が出てきたわけでございます。これはどういうものかと申し上げますと、たとえば高校の養護職員のオーバー分、あるいは警察の事務職員のオーバー分、こういったもの、あるいは保健所の職員、これは補助職員でございますので、補助予算として計上すべき人員、こういったもの、それからこの中で施策を織り込んでおりますのは、欠員不補充の方針を政府がとり、地方にもお願いいたしております。それは普通退職者の数を大体つかみまして、これに不補充率を五割という計算をしておりますが、それを若干織り込みまして、この財政計画と給与実態調査の差額十九万千六百九十三人から、七万三千百九十三人というものは、財政計画上是正を要しない職員である。したがって、是正を要するものはその差額の十一万八千五百人、それを三十八年度の財政計画上の人員に加えまして、それから三十九年度の計画上の増減数を加えまして、さらに四十年度の増減数を加えまして、それにラスパイレス方式ではじき出した給与単価をかけたこれが、今回の先ほど来指摘されました一般財源としての千五百二十二億という数字になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/39
-
040・細谷治嘉
○細谷委員 どうも私頭が悪いので、いまお聞きしたのでわからない点が多々ありますので、ひとつ実態調査との関連、先ほどちょっと資料を要求したのですが、実態調査との関連、三十八年度の財政計画からここまで参りました足取り、経過を、少し数字を追うて一覧表にして教えていただきたいと思うのです。資料を、ひとつそれをお願いします。
そこで、私はお尋ねいたしたい点は、前年度の計画人員と比べますと、今年度は、百六十一万が百七十五万と、こういうふうに急増しておるわけですが——急増というとことばは適切じゃありませんけれども、計画人員というのが非常にふえておるわけです。そのために一般財源千五百二十二億円という数字になったのですが、財政計画の中では一六・二%ですかの給与費の伸びになっているわけですが、いままでずいぶん実態とかけ離れた計画人員、今度は、これは正確かどうかこれはまたいまの資料ではっきりすると思うのですけれども、実態に即したような形で計画人員が補正されたわけですが、そうなってまいりますと、いままで当然計画の中に入れべきものが入れられておらなかった——そうなんでしょう。そこで、この実態調査による十一万八千五百人というのが加わったわけですから、一般財源もむろんふえるし、財政計画上の前年比伸び率というのが人件費において上がってくるのは、これは何も人件費が特段に上がったのではなくして、計画上の経過がおかしいところから、実態に即していないところから生まれたものであって、目くじら立てて新聞で書き立てるようなことは誤りじゃないかと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/40
-
041・柴田護
○柴田政府委員 私どもは、新聞の書き方まで一々異論をはさむべき筋合いのものじゃないと思いますので、お尋ねの点につきまして、私どもが別に目くじら立てているわけでもございません。私どもは、人員につきましては、昭和三十年に実態調査をやって、これはその前、昭和二十五年から財政計画をめぐる論議がいろいろございまして、それを昭和三十年に地方財政の立て直しをやりましたときに、給与計算を全部やり直したわけでございます。そのときの実態調査を基礎にして、あとは積み上げ計算でもっていわゆる計画計算というやつをやってきた。ところが、実情はえらい開いて、そこで、先ほど来御指摘のありました給与実態調査をやり直して、これは今後ずっと続けていく予定のようでございますけれども、そうして、そこで明らかになりました人員数をつかみ、そこで明らかになった給与単価をつかんで計画を組み直す。これはいままで何をしておったと言われますればそういうことでございますけれども、何ぶん調査には時日を要します。わかりました以上は改めるにはばかることなかれでもってさっそく改めた、こういうことになるわけでございます。しかし問題は、その改めた結果、給与費が増高したというような問題ではございません。私が先ほど来申し上げておりますのは、給与費の伸長率というものが一般財源の伸長率を上回ってきておるということは、全般として財政の硬直性が強まったことを示すものだ。そこにやはり地方財政としては慎重に検討すべき問題が宿っておる、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/41
-
042・細谷治嘉
○細谷委員 私は、誤解のないように申し上げますけれども、人件費は何でも上げるのは当然だなんていう前提に立ってものごとを申しているわけではないのですよ。私が申し上げているのは、地方財政の実態というものを客観的にながめて、数字によってものを申してもらわなければならぬのだということを私は申し上げたいのであって、端的にいいますと、百七十五万のうち十一万八千人の人間がふえれば率が平均の伸長率一四%より一六%になる。それも人間が一割と申しませんけれども、七、八%人数がふえて計画の中に織り込まれるわけですから、いままでの計画が実態に即してなかったわけですから、当然その率が財政計画の中で上がってくることは事実です。しかも一般財源の伸び率というものは鈍化している段階において、それが顕著に出てくるというのは科学的に、数字的に当然なことなんです。にもかかわらずそういう問題が客観的にあるいは科学的にどうもものを申されないで、何らかの前提意識を持って、私どもが言うと前提意識を持って言っているだろうと皆さん方お考えになるだろうし、私どもから見ますと、どうも人件費はけしからぬのだ、地方財政を硬直させている原因は人件費なんだというふうに、目くじらを立てて政治的にものを申しているのじゃないかという気がしますので、もっとお互いに地方財政の現実というものは人件費に目くじらを立てるのではなくして、あるいは事業に目くじらを立てるのではなくして、客観的にものを見て申さなければならぬのじゃないか、私はそういう前提に立ってものを申しているのですから、ひとつ誤解のないようにお願いしたい。
それではお尋ねしますが、この実態調査に基づく十一万八千五百人分の経費は、地方財政計画の中で幾ら見られているのですか。この歳出増減の事由の中には「高校教員及び警察官等人員増に基づく増」こう書いてあるだけであって内容がわからない。御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/42
-
043・柴田護
○柴田政府委員 財政計画の計算をいたします場合には、人員は申し上げましたような形でもって突っ込み計算、というと語弊がありますが、人員だけをまず出して、そうしてラスパイレスによる三十八年度の是正単価と申しますか、改定単価を伸ばしてきて四十年度の単価を導き出して乗じているわけでございますので、この計画の中で特にこれだけのものを取り上げて計上いたしておりませんが、それだけの計算をいたしたものは六百四億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/43
-
044・細谷治嘉
○細谷委員 六百四億というのはこの八百八十一億、十三ページの(ウ)八百八十億八千万円の中に入っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/44
-
045・岡田純夫
○岡田説明員 いまの六百四億は一応三十九年度の所要額になっておりますので、したがいましてその計画の増減の増と申しますのは、三十九年度の基礎額の中に入っております。それに(イ)の「昇給等に基づく増」がさらに加わって、四十年度の所要額にさらに移るわけでございます。要するにこの増と申しますのは基礎の中に入っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/45
-
046・細谷治嘉
○細谷委員 もう一度確認いたしますが、基礎の中に入っておるということは、給与費という中に入って、そしてその内訳として(ア)と(イ)との中にも入っておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/46
-
047・岡田純夫
○岡田説明員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/47
-
048・細谷治嘉
○細谷委員 これはすぐというわけにはいきませんかもしれませんが、昨年の計画人員百六十一万六千九百七十四人というベースでありまして、いまおっしゃった中に六百四億円が振り分けられるわけでありますけれども、それをひとつあとでもよろしゅうございますから教えていただきたいと思います。
そこで、給与の問題が出ましたので、昨日もちょっと質問があったのですが、財政局長さん、今年度人事院勧告がなされることは必定だろうと思うのですが、その財源ほどうなるでございましょうか。国の場合は予備費というものが、大蔵省原案では六百億あったのですけれども、百億削られて五百億ということになりまして、人事院勧告等がありましても若干備えがあるようでありますけれども、地方財政計画の中には、これ無手勝つですね、ないわけですが、どうなるのでしょうか、ひとつ財源等について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/48
-
049・柴田護
○柴田政府委員 先ほど来るるおしかりを受けておりますような地方財政上の措置で、さようなことまで考え得る余地というものは私どもはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/49
-
050・細谷治嘉
○細谷委員 ないということでありますが、人事院勧告がなされることは、これは間違いないことなんですね。そうなりますと、当然財源が要るわけです。ない、ないということでは済まされないわけですから、どういう御決意でこの財源確保につとめようとなさるのか、ひとつ決意のほどを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/50
-
051・柴田護
○柴田政府委員 決意のほどと言われましても、私は銭勘定をするのが商売でございまして、給与改定をどうするかという問題はむしろ私の所管でございません。しかしながら去年もいろいろおしかりを受け、その節申し上げましたように、私どもは国家公務員について給与改定が行なわれれば、地方公務員についてもこれに準ずる措置が行なわれるような措置を講ずべきものと考えております。したがって年度の途中でさようなことが行なわれますことは、私どもとしては本来は望ましいこととは考えておりません。地方財政に混乱だけを引き起こすことになるわけでございます。こういうことは避けてもらいたいということは、昔から言っております。今日もその主張は変えておりません。昨日も大蔵大臣から御答弁がございましたように、政府部内でもどうするかということでいろいろ検討しておるようでございます。私どもはその検討の結果を待つばかりということになるわけでございますけれども、しかし年度の中途でかりにわれわれの主張に反してそういう事態が実現した場合、それは財源の問題をその時点に立って考えざるを得ない、かように考えておるわけでございます。現在の段階ではあらかじめさようなことを考える余地が地方財政に一体ございましょうか、われわれとしてはないと判断をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/51
-
052・細谷治嘉
○細谷委員 われわれの主張に反してというのは、ことばじりをつかまえるわけじゃありませんけれども、それは年度の途中で勧告するということは地方財政を混乱させるという、それは好ましくないという御主張であって、人事院勧告そのものができるかとかなんとかということじゃないと思うのだ。これはひとついままで議論されたような地方財政の実態であって、国では若干の備えは予算の中でうかがわれるわけでありますけれども、地方団体にはこの財政計画を見てもないわけであります。やっとこさ単独事業を大幅にカットして収支のつじつまを合わせたという財政計画の実態でございますので、昨年のようななま殺しのような財源措置では、これはたいへんなことになると私は思うのです。そして、なま殺しの財源措置をしておいて、振り返ってみて真綿で首を締めるような地方団体に対するやり方では、これは困るわけであります。人事院勧告がやられることは必至でありますから、この問題については、大臣いらっしゃいませんけれども、大臣にかわって政務次官から、自治省としての財源の確保についての決意をずばり言っていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/52
-
053・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 給与改定についての人事院勧告が行なわれるか行なわれないか、行なわれるとして、いつの時期に行なわれるかというようなことは、いまのところ私ども予測することはできないわけでございます。したがいまして、人事院勧告があったときに、いろいろその解決策について考慮すると申し上げても一応の答弁になるのではないかと思うのですが、しかし私は、給与の問題は非常に重大な問題でございますから、平素からいろいろこれについて研究をし、配慮しなければならぬと思うのでありますが、何と申しましても地方財政の現状につきましては、先ほど来財政局長からも御答弁申し上げておるとおりでございます。したがいまして、もし国家公務員に対して給与改定が、しかもベースアップというような形において出てまいりますと、地方財政は非常に困難な状態に遭遇すると思うのであります。ただしかしながら、人事院勧告によって国家公務員の給与がベースアップされるということを政府が決定いたしますならば、やはり地方公務員に対してはこれに準じての措置がとられるということは、自治省として、また政府としての一つの方針でありますから、国家公務員の給与についてベースアップをしたというだけで、地方公務員の問題は全然関知しないぞという立場をとることは私はよろしくないと思うのであります。したがいまして、その時期において、国家財政、地方財政というものから、具体的にその問題解決のために政府としても最善を尽くしてまいらなければならない、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/53
-
054・細谷治嘉
○細谷委員 最善を尽くすという政務次官のおことばでございますから、この段階ではぜひひとつ最善を尽くして、昨年のようななま殺しでない、またなま殺しの上に締めつけをやるというようなことでないように、格段の御努力をお願いしたいと思います。
次に、この財政計画に関連して、自治省では給与費を押える一つの手段として地方公務員の定年制を検討している、こういうことでございます。これは臨時行政調査会等の答申もあって、五十五歳から六十歳ということでありますし、さらに新聞を読みますと、自治労等の了解も得たので、ぜひ定年制に踏み切る、こういうある新聞記事がございます。私は新聞記事を何も信用しているわけではございませんけれども、一応そういうことが書かれてございます。私は定年制というのは、何が何でもいかぬのだというような考えに立って申しているのではないのです。問題は、やはり長い間一生をささげて地方住民のためにつとめた人たちが、後進に道を譲るにしても、やはり老後の最低生活は一応保障できるという前提条件がなければ、これはやはり問題があると思うわけなのです。そういう問題で、これは地方公務員共済等の拡充という問題がありますが、公務員制度の問題でありますから、国家公務員についてはどういうふうにするのか、あるいはこれについては盛んに新聞に書かれておりますが、自治省としてはどういうお考えなのか。とにかく地方財政計画の硬直性、それは人件費からきているから、人件費を制限する以外にない、そのための有力な手段としての定年制という自治省のお考えのようでありますから、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/54
-
055・佐久間彊
○佐久間政府委員 定年制につきましては、先生も御承知のようにかねてから全国市長会、全国町村長会等からの強い要望がございまして、自治省としては、この問題については従来から検討をいたしておったわけでございます。たまたま昨年臨時行政調査会の答申もございましたし、この問題については、さらにひとつ進める方向で検討をすべきものという考え方で、現在検討をしている段階でございます。御指摘のように、これを実施いたします場合には、公務員の老後の生活保障をどう考えるかというようなことでございまするとか、あるいは年齢をどのように考えたらいいか、いろいろこれに関連して検討いたさなければならぬ問題が少なくないわけでございますが、それらの問題も現在検討をいたしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/55
-
056・細谷治嘉
○細谷委員 この給与実態調査によりますと、地方公共団体の全団体で六十歳をこえる者は一・八%なんですね。都道府県において一・四%、六大市において一・四%、市において一・七%、町村において二・六%、特別区において一・七%、組合において六・三%、特に高いと言われるのは組合の六・三%というのが出ている。石川啄木ではありませんけれども、この実態調査を見て、自治省は定年制、定年制というけれども、そのあまりに軽いのに驚いたということが新聞に書いてあるんですね。ですから、やはりこれは新陳代謝なり、あるいは後進に道を譲るその場合には、老後の生活は安定する、こういう形ならけっこうでありますけれども、この定年制を有力な柱として地方財政をひとつ立て直すなんていうことは、私はできないと思う。これは一つの要素でありましょうけれども、考え方としてはありましょうけれども、そう思っている。これはあまりに軽いというんですね。自治省も驚いたというのですが、局長さん、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/56
-
057・柴田護
○柴田政府委員 定年制の問題につきましては、直接私の所管でございませんけれども、自治省では大昔からいろいろ検討されておる問題でございます。私どもの立場で申し上げますと、これはおっしゃるとおり、定年制がすぐ給与費に大きい影響を及ぼすとは私ども考えておりません。しかし新陳代謝を促進するということは、給与費という給与財政的立場に立ちましてもこれは望ましいことでございます。それからまた、人事行政の立場からいいましても、これはある程度促進してまいらなければなりません。そういう立場から考えられたことでございまして、財政的には新陳代謝によりましてどれほど財源的効果が出てくるかということは人員構成、年齢別構成の問題にもからむわけでございます。年齢別構成が俗にいうピラミッド型になっておりますれば、ある程度の定年制の実施は効果がありましょうし、また逆ピラミッド型になっておりますれば、少々の定年制の実施というものはあまり効果がないということになるのだと思うのでございます。もっぱらやはり問題は人事行政の立場からどう考えるかという問題じゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/57
-
058・細谷治嘉
○細谷委員 時間もありませんから、次に税務局長にお尋ねしたいと思います。
地方財政の問題を解決する問題として、自治省におきましては、最近顕著なことは都市財政の悪化、特に大都市における財政の悪化ということが問題になっておって、大都市再開発税というのを創設するというお考えがあるようでございます。ある新聞によりますと、人口がふえた都市部では住宅、上下水道、し尿処理など、生活環境施設の整備を中心に財政需要が急増しているため、ことに東京、大阪などの大都市では過密化を防ぐ再開発事業に巨額の財政資金が必要となっているから、このために大都市再開発税を考える、その大都市再開発税は固定資産を対象としてお考えになっておるというようにいわれておるわけでございますけれども、御構想をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/58
-
059・細郷道一
○細郷政府委員 新聞に再開発税というようなことも出ておりますが、率直に申しまして、まだ考えは固まっておりません。ただ、最近の大都市の状況を見てまいりますと、税財源の面から何らかのてこ入れが必要ではないかという気持ちは非常に強く持っております。その場合に、過密対策というようなことになってまいりますと、広く大都市の行財政の面での全般的な構想のもとで一つ一つの施策が行なわれることが能率的ではないだろうか、こう考えているわけであります。そういった全般的な足並みをどういうふうに調整していくかということは、ただいま内閣審議室においても過密都市問題についていろいろ検討しておるわけでございます。かりに、まあそういったことをおきまして、税の面でどういう考えを持っているかと申しますと、やはり大都市の中で税負担を求めるならば、どういう面で求めるのが妥当であろうか、こう考えてまいりますと、やはり大都市内におきます固定資産、土地、家屋あるいは償却資産、そういったものについて税負担を求めることがいいのではなかろうかというようなところまで実は考えておるのでございますが、それ以上具体的に考えを固めておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/59
-
060・細谷治嘉
○細谷委員 固まっておらぬようでありますが、予算編成の過程において、自治省から交付税の三〇・四%を要求した際に、大蔵大臣は目的税である都市計画税を大幅に上げたらどうか、いま千分の二でありますが、千分の四か六ぐらいに上げたらどうかということをかなり主張されたということが書かれてございます。それに対して自治省としては、目的税の増額ではなくて、交付税の増率だということで主張されて、最終段階で若干自治省の主張が通ったわけですけれども、今日こういう都市開発を行なわなければならぬ大きな問題は、産業基盤の整備だとこういうふうに言われながら、その前提となるべき社会開発を怠ってきたのです。怠ってきたので、上下水道なりあるいは住宅なり、し尿処理という環境整備の問題が大がかりに都市にかかってきている、こう思うのです。目的税といいましても土地と家屋だけなんですよ、かかるのは。工場にある償却資産については、舗装道路をいためるのはやはり工場の償却資産の関係なんですよ。ところが土地と家庭だけにしか目的税というのはかからない。そういう形でおいて、産業基盤の整備にばかり一切の政策を集中して、社会開発というものをサボってきている、その上に都市開発の大きな原因になっている工場等に対する償却資産、こういうものを都市計画税の目的税からはずしている、こういう片手落ちな問題があると思う。そういう問題を考えないで、何かまだわかっておらないようでありますが、大都市の再開発税というものをお考えになっているのは、これは地方団体としてはたいへん気がかりな問題であろうと思う。新聞に出たので責任はありません、こういうお考えでありましょうけれども、一挙手一投足自治省の動きについては三千五百の地方団体は注目をしております、期待をしております。そういうことでありますから、これはスクープされたのだということでお逃げになるかもしれませんけれども、発表されるなら、もっと私は具体的な考えが固まりませんと、大蔵との折衝の過程においていろいろな問題が出てくると思う。いまの私の意見に対して税務局長どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/60
-
061・細郷道一
○細郷政府委員 スクープをされたというほど種のあるものではございません。ただ先ほど申し上げましたように、大都市問題について税制を強化するという場合に、一つはやはり固定資産の問題があるわけでございます。やはり大都市の生活環境というものが固定資産の価額というものに反映をしていくという事態はやはり社会経済上当然のことであろうと思います。そういった面から見まして、固定資産についての負担の求め方をどうしていくか、それはいまお話の出たような再開発税といったような名前のものなのか、もっと実態的にどういうところに負担を求めるかということを考えてまいりますと、それはあるいは固定費産税であってもいいのかもしれないし、あるいは都市計画税であってもいいのかもしれない。要するにそういったものに対する負担の求め方を検討すべきではなかろうか、こういうことでございます。この問題につきましては、私どもも非常に重要な問題と考えて、十分検討を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/61
-
062・細谷治嘉
○細谷委員 この問題は、社会開発、あるいは都市開発、こういう問題に関連して、ある程度たいへん重要な問題でもありますから、ひとつ十分に御検討をいただきたい、こう思っております。
最後に私がお尋ねいたしたい点は、地方債の許可方針というのが最近自治省から発表されておるようでございます。せんだっても本会議で指摘されたのですけれども、いまの地方債というのは、ほぼ地方債と公債費の額は同じ、極端にいいますと、地方債というのはこれはもう地方財政計画の中に入れるのはおかしいのだという議論もございます。もっとこれがこうじてきますと、地方財政計画なんというのをつくるのは地方自治のためによろしくないのだという議論もあるのです。自治省出身の非常に詳しい先輩の人からもそういう意見が出るのです。そういう地方債について、許可方針というのは、一般財源に対する一定の比率というものをまたひねり出して、そうして許可を制限していくという内容のようでございますが、どういう御方針かひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/62
-
063・柴田護
○柴田政府委員 御指摘の許可方針という問題は、こういう形で地方債の発行を許可しますということをあらかじめ地方団体に知らしておいたほうが、地方団体のほうも事業の財源をいろいろ当たる場合にやりやすかろうという趣旨から、毎年連絡しているわけでございますが、現在来年度の許可方針というものにつきましては、大蔵省当局とも話し合いの途中でございまして、また固まっておりません。三十九年度の方針に比べまして、いま御指摘になりましたような抑制的な経費率というものをむしろなるべく取り除いて、そして許可の手続その他について、より簡略化したい、こういう方向でものを考えていきたいということで、現在いろいろと折衝いたしております最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/63
-
064・細谷治嘉
○細谷委員 私はその新聞に出ておった資料を持ってきておったのですけれども、かなり具体的な内容が新聞等を通じて発表されておったわけですけれども、要するに、一般財源に対する一定の比率をこした場合にはもう出さないのだ、こういうことのようでございますが、とにかく地方債と公債費がイコールになっておるわけでありますから、地方団体の実態、こういうものをよく把握していただいて対処していただきたい、こういうふうに思います。
それから、もう一つお尋ねしたいのでありますが、これも気がかりだからお尋ねしておきます。日銀法が出るか出ないかというのがいま問題になっているようでありますけれども、それに関連して、日銀に関する地方税は免税しろということが主張されておるのだそうですが、自治省どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/64
-
065・細郷道一
○細郷政府委員 御承知のように、日本銀行は現在一億円の資本を持つ会社でございますが、したがいましてその資本自体につきましても、国並びに民間の資本が投入されておるわけでございますが、それを今回は、現在のところでは無資本の特殊法人にしよう、こういったような構想が出ておるようでございます。これに関連いたしまして、国税、法人税におきましては、従来の法人税の法人に対します扱いから見まして、これを非課税の法人にしたい。ついては地方税についても非課税にしてはどうか。地方税につきましては、法人税割あるいは法人事業税の問題があるわけでございますが、それについても非課税にしてはどうか、こういう意見が出されております。これに対しまして、私どもといたしましては、いままでの日銀と今回改組になります日銀も、その内容は同一性を持っておるようでございまして、業務内容も変わっていないし、かたがた、こういったいわゆる特殊の法人に対する地方税の扱い方について、従来のいき方について反省を加える必要もあるのじゃなかろうか、こういったような考え方から、これにつきましては、私どもとしては絶対に——あるいはこれにかわる何らかの方法を考えるべきじゃなかろうかというので、ただいま折衝中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/65
-
066・細谷治嘉
○細谷委員 これは従来から地方税としてあったものでありますし、さなきだに困難な地方財政の実情は、いま私がいろいろ若干の点で質問したとおりでありまして、ひとつ従来の例からいって、自治省の主張を最後まで曲げないでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/66
-
067・阪上安太郎
○阪上委員 この際、資料を要求しておきたいと思います。
一つは、地方公共団体に対する国の補助、負担、これらにつきまして、件別、単価、補助率、こういったものについての内訳、それから総額、この表を、かなり大部なものになると思いますが、ぜひひとつ出していただきたい。できれば、委任事務等にもこまかく分けていただきたい。団体委任事務、あるいは機関委任事務並びにその他の行政委員会等に対する委任事務の内訳、これを細別してひとつ出していただきたい。
いま一点は、ことしはだいぶふえていますので、税収入と使用料、手数料、これに対する内訳、これをひとつ細大漏らさず出していただきたい。
この二つを委員長ひとつよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/67
-
068・柴田護
○柴田政府委員 ちょっといまの資料についてでございますが、補助金は三十八年度でございますか、四十年度でございますか。四十年度につきましては、件別は実はわかりません。おそらく正確な資料ということになりますと、三十八年度のものでございますれば、件別はわかります。総額なり事項別でいいますならば、三十八年度、三十九年度、四十年度もわかります。件別になりますと、三十九年度もむずかしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/68
-
069・阪上安太郎
○阪上委員 わからぬことないと思うのですが、それじゃ四十年度の計画の基礎になるものはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/69
-
070・柴田護
○柴田政府委員 それはわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/70
-
071・阪上安太郎
○阪上委員 それらをひとつ出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/71
-
072・中馬辰猪
○中馬委員長 それではお願いいたします。吉田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/72
-
073・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ちょっと資料を要求しておきたいのですが、三十六、七、八年度の新産都市と工特地域の決算状況、これをひとつ出していただきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/73
-
074・中馬辰猪
○中馬委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。奥野誠亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/74
-
075・奥野誠亮
○奥野委員 第一に、税源配分に関連してお尋ねをしておきたいと思います。
地方税法は地方自治制度の基本をなすものの一つである、かように考えておるものでございます。さらに言いかえれば、地方税制度のあり方が、地方自治を伸ばしも殺しもできるんじゃなかろうかと考えるわけでございます。責任のないところに独立はないといわれて、責任を持って活動に必要な財源を確保していく、それは地域内の税源によって税収入を確保していくことだと考えるわけでございますので、地方自治体の財源が独立税を中心として構成されることが最も望ましい、かように考えるものでございますけれども、この点についてのお考えをただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/75
-
076・細郷道一
○細郷政府委員 昭和四十年度の財政計画におきましては、地方税の占めております比率は四一%ほどでございます。しかし従来も、財政計画と決算の間に地方税収入の占めますいわゆる歳入構成に変動がございまして、決算上はこれが大体三分の一程度になるわけでございます。これらにつきましては、御指摘のとおり地方自治の健全な運営という意味において、自治体としてみずから住民に租税を課し、それによって住民の意向を洞察しながら仕事をしていくという態勢をとる上において、地方税源の増強をはかるべきであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/76
-
077・奥野誠亮
○奥野委員 私の調べたところでは、昭和四十年度国の一般会計予算の歳出の中で、国の歳出予算に計上されているけれども、府県や市町村に交付され、府県や市町村で使われていく金が一兆七千七十八億円にのぼっておったように考えるのでございます。比率で申し上げますと四六・七%にものぼっております。ひるがえって府県について見ました場合に、三十八年度府県決算で、府県税収入に対して国から交付を受ける地方交付税交付金とか、地方譲与税譲与金とか、国庫補助負担金とかがどれくらいにのぼっているかということを調べました場合に、佐賀県では佐賀県税収入の八倍にのぼるものを国から受けており、島根県では八・二倍にのぼるものを国から受けており、鹿児島県では八・九倍にのぼるものを国から受けておるわけでございます。同時にまた全府県合算して計算してみましても、府県税収入の一・六倍にのぼるものを国から受けているようでございます。この数字に間違いがないかどうかだけを最初にお尋ねしておきたいと考えます。簡単にお答えいただいてけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/77
-
078・細郷道一
○細郷政府委員 一々の数字についてはお答えいたしませんが、全体としてそういう傾向になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/78
-
079・奥野誠亮
○奥野委員 このような傾向は、地域間における経済格差が開いてきたとか、あるいは企画の中央集権化、実施の地方分権化的傾向が最近の一般的な趨勢だと考えるわけでもございますので、あながち非難することも適当ではないと考えるわけでございます。しかしながら、国の一般会計歳出予算の半ばに近いものが府県や市町村に交付され、府県や市町村で使われていくものであるということは、一面から考えますと国の財政運営の弾力性を喪失していくという問題がありますし、他面には国の財政運営のあり方が、府県や市町村の行財政の運営に度を失した過度の影響を与えることになるという欠陥は、指摘せざるを得ないと考えるわけでございます。またいま私が、佐賀や島根や鹿児島のことを申し上げました。独立税収入の八倍から九倍にのぼるものを国からの金でまかなっているのだということを申し上げたわけでございますけれども、これは経済格差も広まっておることでございますので、特別に非難すべきものでもないかもしれません。しかしながら、全体として計算しましても、府県が完全な自治団体だとされながらも、府県税収入よりも多いものを国からもらっている。一・六倍にのぼるものを国からもらっているということは、やはりここに問題があると私は言わざるを得ないと考えるのでございます。独立税収入よりもはるかに多い一・六倍のものを国からもらって府県の行財政を運営しているのだということでは、まず第一に住民の府県行財政の運営に対する批判力を鈍らせるじゃないかということを指摘したいし、同時にまた、府県をして中央への依存心を増大せしめるという弊害も指摘しておきたいと考えるわけでございます。このような財政構造の実体というものは、府県は完全な自治体だとされているたてまえとはなはだしく矛盾している、こう考えるわけでございますが、そのような考えをお持ちになるかならないか、簡単でけっこうでございますがただしておきたいと思うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/79
-
080・細郷道一
○細郷政府委員 おっしゃるとおり、府県内の住民の負担においてその行政が行なわれる、それが歳入歳出の財政構造の面においても、そのとおりあらわれるということが望ましいと考えております。特に最近は、御指摘のように非常に国庫補助金がふえておりまして、四十年度につきましても、先ほど御指摘があったような多額の金が国から流れておるわけでございまして、これについては私どもとしましても、府県、市町村を通じて、地方公共団体におきます税収入の比率をもっと高めるように具体的な方法を検討すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/80
-
081・奥野誠亮
○奥野委員 府県を完全な自治団体としているその制度を維持しようと考えますならば、いまお答えがありましたように、やはり国庫補助負担金でありますとか、地方交付税交付金でありますとか、そういったものを減じて、同時に国税も減額する反面、府県税を増額するといった改革の方向をだどるべきだろう、かように考えるものでございます。しかしながら、現行の府県の区域が確定されましてから九十年の歳月を経過しておるわけでございます。その結果、今日では未開発の県と隣しながらも、全域が過密に近い状態に発展してきている府県もあるわけでございますので、このような改革を行なう結果は、一部の先進府県に必要以上に税収入を集中させるというおそれが出てくることはいなまれない、かように考えるわけでございます。その上、経済の発展等からいたしまして、府県間にまたがって処理しなければならない事務が増大してまいってきております。これらの問題に対しまして、道路法の改正とか河川法の改正などに見られますように、府県の権限を中央政府の責任に移しかえることによって解決するというような方向が幾多とられてまいってきているわけでございます。このような方向は、地方自治を充実させようという立場から考えます限りにおいては、好ましい解決方向だとはいえない、こう断言いたしたいのでございます。しかも現行の府県制度は、戦前とは異なりまして、完全な自治体だと規定されてまいってきているわけでございますが、府県の区域を変更するという点については、戦前府県が中央政府の出先機関であった当時と同じように、住民には何らの発言権も認めていないのでございまして、この点は明らかに矛盾した仕組みになっている、かように考えざるを得ないのでございます。こういうような点から考えてまいりますと、やはり府県の区域というものを再検討をすべきではなかろうかというようなことに考え至らざるを得ないように思うものでございます。現に、地方制度調査会にこの点についての諮問もなされているわけでございますけれども、府県自治を守ろうとする立場から問題の解決をはかっていこうといたします限りは、やはり府県の区域に手をつけざるを得ないのじゃなかろうか、かような考え方を持つわけでございまして、このような判断をどうされていますか、政務次官にお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/81
-
082・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 いわゆる府県の区域を、現在のままでいいか、あるいはもっと合併をして広範囲なものにしたほうがいいのか、いろいろ考え方があると思うのでありますが、この問題につきましては、ただいまお話のございましたように、地方制度調査会において検討を願っておるわけでありまして、政府といたしましては同調査会の答申を尊重していくという考え方でもってこの問題の解決に当たりたい、こう考えておるのであります。
それから、おっしゃるとおりにこの地方自治の確立ということは日本国憲法の精神でもあるわけでありまして、どこまでもそのために忠実でなければならぬことは申し上げるまでもないわけであります。しかし、この地方自治確立のためには、やはり財源、税制というような重要な諸問題を、どこまでもその線に沿うてこれまた確立をしてまいらなければなりません。税制の問題については、先ほど税務局長からお答えいたしましたような趣旨において真剣に研究をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/82
-
083・奥野誠亮
○奥野委員 私は、国と地方との間における税源配分について考えられるべき事項を指摘したわけでございますけれども、府県と市町村との間における税源配分についても、問題点を一つ指摘しておきたいと考えるものでございます。
戦後、市町村優先のたてまえで、事務をあとう限り国から府県へ、府県から市町村へ移そうと努力されてきたことは言うまでもないことでございます。その結果、現在すでに町村から市になりました場合には、社会祖母事務所を設置しも生活保護費等については市が支払っていくことになっておるわけでございます。また全国で三十余りの市は、保健所をみずから設置することになっておるわけでございます。さらにまた、大都市になってまいりますと、国・府県道や定時制高校の職員の給与費なども負担するようなことになってきているわけでございます。私は、市町村の財政需要のあり方に応じて、あるいは経費負担区分のあり方に応じて、まず税源配分が行なわれるべきである。その上で地方交付税制度を通じてならしていくべきではなかろうか、経費負担区分がどうであろうと、事務配分がどうであろうと、市町村税制は一律だ、あとは地方交付税制度でならすじゃないかという考え方は妥当ではないと思うのでございます。事務配分なり経費負担区分なりに応じて、まず適正な税制をつくるべきだ、そのあとを地方交付税制度でならすたてまえをとるべきだ、かように申し上げたいのでございます。現在三十余りの市が、保健所をみずから設置しているわけでございますけれども、それらの市よりもはるかに規模の大きくなった市でありながら、当時保健所設置市でありませんでした結果、いまだに保健所設置市にならない市が相当数出てまいってきておるのであります。おそらくこれは厚生省は厚生省なりの言い分を持っておるのだと思うのでありますけれども、団体側の立場に立って考えた場合でも、保健所を設置するのはいいけれども、責任が多くなり、経費はよけい負担する、しかしながら税制は同じことだということになってしまうわけでございますので、肝心の財源が十分に与えられないことになるうらみが生じてくるわけでございます。せっかく事務をあとう限り市町村におろして民主化を徹底していこうと考えながら、税制がそれをはばんでいるじゃないかということを私は指摘したいわけでございます。現在、市町村を通じて見ました場合に、大都市が国。府県道の経費を負担する関係もございまして、道路財源だけが府県から大都市に移されているわけでございますけれども、その他については何ら税制上区分がないわけでございます。非常にむずかしい問題であることは十分わかるわけでございますけれども、事務配分なり経費負担区分のあり方に応じて、少なくとも府県税として徴収したものの一部を市町村に交付するというような方式も考えられるわけでございますので、積極的に今後こういう問題と取っ組んでいただきたい、かような希望を申し上げておきたいと思うのでございますが、これについての所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/83
-
084・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 御質問の中にございました御意見は、いろいろ参考になる貴重なものがあると考えるわけであります。何と申しましても、先ほどもお話のありましたように、地域的な経済的な格差が非常にあるというところに問題があると思います。それに関連して、住民の税負担力の問題等々が基本となって、国税をどうするか、地方税をどうするかというような、その配分の問題が出てまいると思うのでありますが、しかし、これらはいろいろの面において複雑多岐な諸問題を包蔵いたしておるのでありまして、いまお話しのような御意見、御趣旨というものを十分参考にいたしまして、今後自治省としても十分、この地方公共団体の規模の問題、行政のあり方、そして国の行政と地方自治体の行政とのあり方の問題、すなわち事務の配分の問題、財源配分の問題等々と、総合的にひとつ検討をしてまいりたい、このように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/84
-
085・奥野誠亮
○奥野委員 いまの問題とも関連するわけでございますが、第二の問題として過密都市の問題を取り上げてお尋ねをしておきたいのでございます。従来、おくれた地域に財源を充実する、あるいはおくれた地域の発展を積極的に助成をしていくというような考え方に基づいての施策が、政府においても努力されてまいりましたし、当委員会においても努力をしてきたところだと考えるわけでございます。私も及ばずながら熱情を傾けてまいったつもりでおります。またこの問題は、なお解決し切られた問題でもないと考えるわけでございますが、しかしながら、今日では過密都市の問題について、もう一つ積極的な努力を払わなければならない時代に来ているじゃないかということを指摘しておきたいのでございます。社会開発のことなどもいろいろ取り上げられておるわけでございますけれども、私は積極的に、都市の改造を思い切ってやるべきだ。一年でも二年でも、おくれればおくれるだけその改造が中途はんぱなものになり、大きな障害がさらに大きくなってくる、かように考えておる次第でございます。従来大都市になればなるほど、市町村のうちでもわりあいに財政運営が楽だった、財源が豊かだった、こういうように考えられてきたわけでございます。今日は全く逆転しているのじゃないか、かように私は指摘したいのでございます。さらに言いかえれば、財政需要は、いま都市の大改造を取り上げただけでございますけれども、人口の急増とか、自動車の急増とか、あるいは生活が上がってくるに応じて整えなければならない施設でありますとか、膨大なものをかかえてきておるわけであります。反面歳入の面においては、必ずしも必要な増額が行なわれていない、かように考えておるものでございます。もちろん大都市の財政が苦しい、運営がいいとか悪いとか、こういう議論もあろうかと思うのでございますが、今日すべての大都市に、本来貧困団体に交付されるべき地方交付税交付金が与えられるようになっているのじゃないか。そのことは大都市も財政状態がなかなか苦しいのだということを制度的に立証していることだ、かように考えるわけでございます。わが国の富の集中地域である大都市に本来貧困団体に交付されるべき地方交付税交付金が交付されているという現状、これを私は地方財政の病的な現象だ、かように申し上げたいのでございます。病的な現象だ、こう私は考えているわけでございますけれども、すべての大都市が、現に国から地方交付税交付金を受ける団体に転落している。これが事実であるかどうか。私のそのようなものの考え方が間違っているかどうか、御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/85
-
086・細郷道一
○細郷政府委員 おっしゃるとおり、最近大都市のほうは交付税計算上交付団体になるわけでございまして、この意味からいきますれば確かに構造的な問題を持っておる、こう考えております。大都市に、特に過密都市に対する対策については、ただいま内閣の審議室においてもこれを総合的に検討いたしておるわけでありますが、その総合施策の一環として税制の問題も検討すべきであろう、こう考えております。税制を考えます場合には、やはり大都市自体については一つには国と地方の間の税源の配分のやり方によって与えていこう。それからさらに行政事務の配分内容に応じた税制のやり方をする。こういった制度的な問題も考えられますが、反面には、現状におきまして固定資産税の新評価に伴う税負担の求め方が、暫定指貫になっておる点をあわせて考えていくべきではなかろうか。現実問題としてそういった問題についても考慮を払うべきであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/86
-
087・奥野誠亮
○奥野委員 すでに自治省においても、問題を意識して努力されておるようでございますが、私もここで制度的な問題を指摘しておきたいのであります。一つには、大都市でありますと、本来府県が行なうべきものを大都市みずからが担当し、経営負担の責めを負わなければならないにかかわらず、税制上十分な配慮がなされていない。税源が、もっと府県から大都市に移されていいものが移されていないものがあるのじゃないか、こういうことが一つの問題。二番目は、建設事業を行なう場合には、高騰した宅地の地価を基礎にして補償費が支払われながら、宅地に対する固定資産税収入においては、昨年の新評価額を基礎にして算定した場合六分の一にとどめられておるじゃないかという点。さらにはまた大都市につきましては、下水道その他の施設について、国庫負担率が他の市町村の場合よりも切り下げられておる。先ほど地方交付税交付団体に転落したのだということを指摘したわけなんでございますが、その状態のもとにおけるところの国庫食担率に改められていないじゃないかという点なども指摘したいわけであります。そうしますと、こういう問題は、国と府県と大都市との三者にまたがってくる問題でございますので、なかなか自治省だけで努力されてもやりにくいことだろうと思うわけでありまして、私はすみやかに解決をはかってもらいたい、少なくとも四十一年度から新しい制度で発足できるように努力していただきたい、こういうわけでございまして、そのような解決を容易ならしめるためには、地方制度調査会に諮問されて、その答申を受けて解決に当たられたほうが問題の解決が比較的容易になるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。すみやかに過密都市の行財政の対策につきまして、地方制度調査会に御諮問いただきたいというような考え方を持つものでございますけれども、これについてのお考えをただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/87
-
088・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 過密都市対策、この問題をすみやかに解決しなければならないということはお説のとおりでございまして、これはひとり自治省だけの問題ではなく、政府全体としての問題であり、現にまたそういう考え方でこの問題と取り組んでおることは御承知のとおりであります。ただ自治省の立場といたしまして特に申し上げておきたいと思いますことは、この過密都市対策の間において、どこまでも地方自治の自主性確立ということの実現がなければならない、このように考えておるわけでありまして、これらについては当委員会の皆さんのむしろ御協力をいただきたい、こう思うのであります。ただお尋ねの、直ちに地方制度調査会にこの問題を諮問して、そうしてすみやかに解決をはかれ、こういうことについてでございますが、これらについては今後十分ひとつ検討してまいりたい。いま直ちにそういたしますと、こう申し上げる段階でないことをはなはだ遺憾に思いますが、そのように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/88
-
089・奥野誠亮
○奥野委員 地方制度調査会がいま別個の問題について討議しておりますので、いま直ちに諮問すベきだ、かように申し上げておるわけではございませんで、四十一年度から新しい制度にのっとって出発できるような時間的余裕を置いて答申をもらえるような諮問をしていただきたい、かような希望を持っておるわけであります。さらに具体的に申し上げますれば、年内に答申をもらえるような姿における諮問をお考えいただきたい、これを希望として申し上げておきたいと思うものでございます。
なお、大都市問題と関連をいたしまして、いま固定資産税の問題を申し上げましたので、続いてこの問題について、若干意見にわたる点もございますが御所見を伺っておきたいと思います。
昨年の固定資産の新しい評価額では、宅地はたしか従来の評価の六、七倍にもなったかと思うのであります。その結果、新しい評価を使っても税負担が二〇%をこえる場合には二〇%でとどめる、こういう措置がとられたわけでございまして、私はこの措置が、ただ無為無策のままに三年間もそのまま据え置かれていこうとは夢にも考えておらなかったのであります。ところが今度の法案を見ますと、やはり何ら手がつけられていないわけでございます。六、七倍になっているにかかわらず、二割をこえた場合には、二割でとどめる。そんなものを三年間も据え置いたんじゃ問題の解決にならないわけであります。土地と家屋と償却資産、課税客体相互間の負担の均衡ということは、たいへん重要なことだと考えるわけでございます。新しい評価を使う結果は、税率を下げるという問題も起こるかもしれませんけれども、とにかく負担の均衡化の努力は今後も積み重ねられていかなければならぬのじゃなかろうか、かように考えるわけでございまして、私は、むしろ毎年毎年幾らかずつ新しい評価へ固定資産税の負担額も近づけていくという行き方をしていくべきではなかろうか、かような考え方を持っておるものでございます。その結果、逐次他の課税容体との間の均衡を保持していく。ただ、いたずらに宅地の負担をふやせと申し上げているわけじゃございません。均衡化を年々前進さしていくべきだ、一挙に均衡化をはかることは非常にむずかしいことだから、毎年毎年このような方向をとることが一番妥当な解決方法ではなかろうか、というような感じを抱いているものでございます。
それと、もう一つ私指摘しておきたい問題は、今日都市改造ということが急務だと考えるものでございます。自動車がこれだけはんらんしてまいりますと、街路も広げるべきだ、歩車道の区分もし、立体交差も行なうべきだというようなこともあるわけであります。あるいは公園、緑地その他の問題もございましょう。いまにして思い切った都市改造をやらない限りにおいては、悔いを千載に残すの感を抱いている一人でございます。
そうなってまいりますと、都市計画税において宅地の負担を家屋の場合よりも六分の一に押えておかなければならない理屈がどこにあるか、むしろ都市計画事業というものを積極的に行なう。行なう結果は、土地の利益に反射するのじゃないか。土地の利益に反映するのだから、むしろ家屋よりも土地の負担を多くしてもいいのじゃないか、かように言えると思うのであります。都市計画税の税率というものを土地と家屋の間に不均一にすべきだ。土地のほうの負担をむしろ重くすべきだ、かようなことに考えられるにもかかわらず、宅地に関する限りは、六分の一に押えられているわけであります。そうなっていきますと、ある程度都市計画税の場合には、都市計画税の負担をきめる場合に、新評価額に近づける度合いを高めてもいいのじゃないか。固定資産税の場合よりも、都市計画税の場合には、新評価額に近づけてもいいのじゃないか。しかし、これはあくまでも最高限度をきめておるだけでありますから、当該市町村が都市計画事業をどの程度行なうか、行なう事業の分量と見合って宅地に対する負担の求め方を個々の市町村がきめればいいのじゃないか。法律は最高限度をきめているだけのことですから、その範囲内で個々の市町村に選択させればいいじゃないか。もちろん都市計画事業は宅地の利益にもはねかえってくることを考えるわけでございまして、したがって、宅地がある程度従来の負担と比べて六分の一に押えられているものが、若干上がることになっても、むしろ納得される場合が多いのじゃなかろうか、そのような考え方を持っておるわけでございます。
宅地に対する固定資産税制度のあり方と固定資産税と都市計画税との関連について、私の意見についてお考えをただしておきたい。四十一年度にはぜひこういう問題も取り上げて前進さしていただきたい。かように考えるものでございますが、御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/89
-
090・細郷道一
○細郷政府委員 宅地につきまして、六、七倍の評価になっておるのを、現在、御承知のように、三年間二割、こういうことになっておるわけであります。この事態は、御承知のような暫定措置でございますので、この問題の根本的な解決としての恒久措置を講じなければならないわけでありまして、それにつきましてわれわれも鋭意その措置の決定を急いでおるわけであります。
いまお話の出ましたような、毎年一定割合ずつ上げていくということも一つの方法であろうかと思っております。反面には、その宅地相互間の値上がりの比率がいろいろ違っておりますので、二倍のものもありますれば、十倍、十五倍というものもございます。その間の負担の均衡化をどういうふうに織り込んでいくかということもあわせて研究をする必要があろうかと思っておるのでございます。
また、都市計画税の問題につきましても、都市改造のための財源を地方団体だけで持つのか、あるいは国との協力のもとに持つのかといったような問題が別途あると思いますが、かりに都市計画税だけについて見ましても、いま申し上げました固定資産税における宅地の評価の均衡の前進のしかたと、さらに税負担の前進的な進め方との見合いにおいてこれをきめるべきであろうと考えておるものであります。
ただ、事態は非常に重要でもございますし、三年間の暫定措置ということだけで、私どもその期間をじんぜん過ごすことはいかがかと考えておるわけでありまして、鋭意案ができるように努力を続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/90
-
091・奥野誠亮
○奥野委員 第三に、地方税の相互間の負担の均衡化という点でお尋ねしておきたいと思うのであります。
福祉国家の建設を目ざしていきます以上は、特段のことがない限りは、どの地域に住んでおりましょうとも、地方税負担もおおむね均衡を得ておるという姿が望ましいことは言うまでもないと思うのでございます。またそういう意味で、市町村民税の負担の均衡化に相当な財源を用意しながら、三十九年度、さらに引き続いて四十年度と努力していただいていることは敬意を表しておきたい、かように考えるものでございます。しかし、市町村民税の問題だけでも、これらの措置だけで片づいていくものではない、私はかように考えておるものでございますから、敬意を表しますと同時に、将来にわたってなおこの問題について検討を続けていっていただきたい、かようなお願いをしておきたいと思うのでございます。
といいますのは、課税方式が一本化された、準拠税率を定められた。しかし、国で減収補てんをされるのは、準拠税率の一・五倍までのものであって、一・五倍をこえるものについて補てんをなされるだけですから、一・五倍までは下げられるけれども、それ以上は引き下げられないという団体が相当出てくると思うのでございます。私は、やはり特段のことがない限りは、大体準拠税率でいけるような市町村の財政状態にすみやかに持っていくべきではなかろうか、かように考えるものでございます。
三十九年、四十年二ヵ年にわたって大改革を行なっていただきまして、すぐ四十一年に引き続いてこれらの措置をとることは、市町村に相当混乱を起こすかもしれません。したがいまして、ある程度十分な対策を用意しながら、若干猶予期間を置いて取っ組んでもらわなければならぬ問題であると思うのでございますけれども、問題は片づいていませんぞ、同時に、こういう努力をしていただかなければなりませんぞということを私は指摘しておきたいと思うのでございますけれども、これについてのお考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/91
-
092・細郷道一
○細郷政府委員 住民税については、今明年と申しますか、三十九年、四十年二ヵ年にわたって標準税率制度の設定を予定しておるわけでございますが、なお、おっしゃるとおり、相当の市町村において超過課税をやむなくするのではないか、こう見通されるわけであります。
本来、地方団体の超過課税は、もう慢性的なものになってはいけないものであります。本来から申しますれば、やはりその住民の需要に応じて弾力的に運用されるような仕組みになるべきであろうと考えるのであります。そういうふうな姿にするためには、逆にいえば、標準的な行政を行なうためには、税、財政の面を通じまして、構造的に安定さしていくということが必要であろうと考えております。そういう意味合いにおきまして、御指摘のありました住民税の問題につきましても、四十年度におきます市町村の実際の姿が、どういうふうになるかということをも見合った上で、将来の問題として検討をしなければならない、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/92
-
093・奥野誠亮
○奥野委員 地域間の負担の均衡を前進させていきますためには、地方財政全体として相当の財源を用意してかからなければならないことも言うまでもないことだと思うのでございます。そういうこともありまして、あわせて伺っておきたいと思う問題がございます。利子や配当に対しまして、わが国の現下の経済情勢から、引き続いて利子については二年間、配当についても新しく二年間一〇%の源泉分離課税が行なわれることになりました。複雑なことを申し上げれば際限がありませんが、荒っぽく申し上げまして、一〇%の分離課税が行なわれることになりました。利子については分離課税が行なわれております関係上、住民税は非課税にしておったと思います。従来の五%の税率が一〇%に引き上げられた。やはり従来同様住民税は課税されていないと思うのであります。私は五%から一〇%に上げた、総体として一〇%の負担を利子に求めることが妥当だとされたと思うのであります。その場合に、全部国庫の財源にしておいていいのだろうかどうだろうか、やはり地方財政もその財源を確保するたてまえで研究すべきじゃなかっただろうか、かような感じを持つものでございます。たとえばさらに二年間、利子については五%を一〇%に上げるけれども、所得税において分離課税を行なう。その場合に、たとえば七%分は国庫の財源にし、三%分は地方の財源にするというような考え方でいかない限りは、地方財源はみすみす財源が減っていってしまうのじゃなかろうか、かように考えるものでございます。配当につきましても一社五万円までのものにつきましては源泉で一〇%課税されるだけになって、住民税は課税をしない、利子と同じ措置がとられたと考えるわけでございます。これも私は方向として妥当な措置だと考えているものでございます。ただ地方財政全体として財源を確保していかなければならないという要請がいろいろあるのだから、少なくとも財源確保の見地から一〇%の税負担を国と地方で分けるというたてまえでの話し合いを積極的になされるべきではなかっただろうか、かような考え方を持つものでございます。そのためには、自然従来のような府県民税、市町村民税のたてまえにとらわれておったのでは解決ができないと思うのであります。たとえば基本的には住民税は前年所得に課税するのだけれども、例外的に現年所得に課税するものがあってもいいのだという態度に踏み切らなければならないと思います。あるいはまた一々住所地市町村に税源を帰属させることは困難だから、税源によっては府県民税にとどめるのだ、府県と市町村との間の財源分配は地方交付税制度等の運用にゆだねるのだという考え方に踏み切らなければならないかもしれません。あるいはもっと極端な場合には、住民税のワクから離れて、別個の国税として徴収して、それを地方交付税交付金の特別会計に入れるというようなところまで踏み切らなければならないかもしれません。あるいはそういう粘性をとらない限り、地方交付税を引き上げてもらわなければならないという措置に出なければならないかもしれません。しかしながらいずれにしても、ただ地方財政上は地方税を出しません、財源はみな国庫に入れてもらってけっこうです、こういう態度をとられたのでは、でなくても困難な地方財政の運営がますます困難になるばかりじゃないか、かようなことを指摘して、将来に起こる問題に備えていただきたい、御検討をわずらわしたい、こういうお願いをしておきたいと思うのでございますけれども、これについての御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/93
-
094・細郷道一
○細郷政府委員 住免税は御承知のように前年所得に対する翌年課税というたてまえをとっております。住所地の市町村に納める。そして所得税と分かれて、いわゆる影響遮断と申しますか、独自の立場で課税をしていくというたてまえに、いまなっておるわけであります。むしろ最近においてやっとそういうたてまえに到達をしたような状況にあるわけであります。いま御指摘のような問題につきましては、住民税自体を、一体翌年課税といういき方がいいのか、あるいはもう所得税と同じように現年課税でいくというのがいいのかというような、実は基本的な問題があるわけでありまして、私どももその点についてはまだ結論を得ておりませんが、やはり所得に対する課税である住民税といたしましては所得の発生した年に課税をするということのほうが合理的ではないだろうか、こういう気持ちは持っておるのでありますが、そういたしました場合に、それならば現在の住民税の体系を、将来はそういうものへ持っていくのかどうか、そこまでの踏み切りはまだついていないわけであります。その段階のもとにおきまして、御指摘のような問題につきまして、確かに利子あるいは五万円以下の配当については、所得税が分離課税なるがゆえに住民税が課税できない、こういうことは、だんだんとこういう措置が広がるにつれて不均衡な問題を提起するし、また財源的な問題も提起しておるわけでありまして、これらにつきましてこの状態が長く続くというようなことにかりになるとするならば、やはりわれわれとしてこれに対する恒久的な踏み切り方をしなければならないのじゃないだろうか、かように考えておるのであります。先般も実は税制調査会で、利子の分離課税問題の際に、住民税をどうするかといったような問題も出たわけであります。さきの税制調査会におきましてもこのことが議論されまして、利子所得の分離課税措置が暫定の措置であるといったようなこと、あるいは課税の技術上の問題であるとか、あるいは所属市町村への帰属のしかたをどうするかといったようないろいろな問題がございまして、結論が出ていなかったわけであります。こういった事態につきましては、私どもはやはり住民税の将来の全体の姿を考えながら検討していかなければならないであろう、こう思っております。特に、率直に申し上げまして、従来問題になっておりました退職金に対する住民税の課税といったようなものにつきましては、翌年、所得のない、あるいは非常に減っておる段階において、相当の額の住民税を負担してもらわなければいけないという現実的な問題もございまして、そういったような問題につきましても、いまの住民税の総体のたてまえをどこまで貫いていくか、あるいはそういう特殊の所得については特別な考えを持つべきかどうか、ただいま実は検討いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/94
-
095・奥野誠亮
○奥野委員 時間的な制約もございますので、いまの問題に関連して、最後に、地方税制度をさらに納税者の便宜なりあるいは特別徴収義務者の協力なりを得やすいような方向に発展させていってもらいたいという見地から、若干の希望を申し上げて私の質問を終わりにいたしておきたいと思います。
いまの御回答を伺っていますと、部分的には現年所得課税をとる方向で考えたいとか、あるいは場合によってはそういう際に税率を地方税でありながら法定するという問題も起こってくるのではないかと思うのでございますけれども、積極的に考えていきたいという姿勢を示していただきまして、たいへんうれしく思っております。退職所得者についても分離課税をやっていきたいというお話のようでございました。私も大賛成でございまして、積極的にそういう方向でくふうをわずらわしていただきたい。従来の地方税制度のありきたりの観念にとらわれないで、前進的に考えていただきたいということを私は申し上げておきたいと思うのでございます。特に戦後からの地方税制の推移をたどってまいりますと、とかく取らんかなの観念に立った仕組みというものが相当に残っているように私には思われるわけでございます。たとえて申し上げますと、料理飲食等消費税、これは人の見えないところで飲食が行なわれた場合でも、そこでの売り上げ金額を基礎にして、経営者に税金を取っておいてもらうという、地方団体からいいますとたいへん虫のいい税金でございます。虫のいい税金であるにかかわらず、おれの言うことを経営者はみんな聞くべきだという大前提に立った仕組みが、今日なお残っているように私には思えるのでございます。たとえて申し上げますと、チップにも課税をしているじゃないか。あるいはまた、今日なお一定の金頭以上は税率を高めるのだと、二段階の税率をきめている。個人個人に割って計算をしてから、どの税率を適用するかというような仕組みでございますけれども、なかなか経営者に、税金をお客さんに納めてもらう場合にテクニックを要させるような仕組みをとっているじゃないか。こういうような点については、私は、ぜひすみやかに経営者に協力させる体制に切りかえてやっていただかなければならないのじゃないだろうか。チップのうち特別なものについては課税をしない制度をとり、税率については消費金額に応じて二段階税率をとるようなおろかなことはすみやかにやめるべきじゃなかろうか。協力しやすい制度に切りかえるべきじゃなかろうか。同時にまた、経済の発展に応じまして基礎控除なり免税点なりを引き上げていくべきじゃないかというようなことを考えているわけでございまして、四十一年度の税制改正にあたりましては、いま私が申し上げましたような納税者の便宜を積極的にはかっていくとか、あるいは、特別徴収義務者の協力を積極的に求めていく。協力をしてもらいやすい税制をつくっていくのだというたてまえで御検討をいただきたい。また、そういう方向で御検討をいただいて解決点を見出していただきたいということを最後に希望として申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/95
-
096・中馬辰猪
○中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01319650305/96
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。