1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十一日(木曜日)委員会において、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀山 孝一君 久保田円次君
田川 誠一君 村山 達雄君
秋山 徳雄君 細谷 治嘉君
安井 吉典君 門司 亮君
地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員
長
亀山 孝一君
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昭和四十年三月十一日(木曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長代理理事 田川 誠一君
理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君
理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君
理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀岡 高夫君 森下 元晴君
森田重次郎君 山崎 巖君
和爾俊二郎君 重盛 寿治君
華山 親義君 細谷 治嘉君
門司 亮君 吉田 賢一君
出席政府委員
自治政務次官 高橋 禎一君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 弘君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
自治事務官
(税務局長) 細郷 道一君
委員外の出席者
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の
件
参考人出頭要求に関する件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八七号)
石油ガス譲与税法案(内閣提出第八二号)
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣提出第一一三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/0
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001・田川誠一
○田川委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。
地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案審査のため、小委員十名からなる地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会を設置することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/1
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002・田川誠一
○田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、小委員及び小委員長の選任についておはかりいたします。
小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/2
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003・田川誠一
○田川委員長代理 御異議なしと認めます。それ
では、小委員に
大石 八治君 奥野 誠亮君
亀山 孝一君 久保田円次君
田川 誠一君 村山 達雄君
秋山 徳雄君 細谷 治嘉君
安井 吉典君 門司 亮君
を指名いたします。小委員長には、亀山孝一君を指名いたします。
なお、この際おはかりいたします。ただいま設置いたしました地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会の小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/3
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004・田川誠一
○田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/4
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005・田川誠一
○田川委員長代理 次に、地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/5
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006・川村継義
○川村委員 地方税の改正につきまして二、三お尋ねをしておきたいと思います。
その前に、地方財政の状況について少しお尋ねをいたします。いままでいろいろこの委員会で取り上げられました問題で、あるいは繰り返しになるかもしれませんけれども、いま一度お答えをいただきたいと思うのでございます。
今日、三十六年度を境にして三十七年度、八年度、九年度と地方財政が非常に悪化をしておる、そういうことばで指摘をされておりますが、そのおもなる原因について要領よくお話しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/6
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007・柴田護
○柴田政府委員 この間も吉田委員でしたかの御質問に対しましてお答え申し上げたのでありますが、確かに地方財政収支だけを見てまいりますと、三十六年度を頂点といたしまして三十七年、八年と少しずつ悪くなっておるのでございます。一般的に申し上げますならば、やはりこれは一処財源の伸長の度合いに対しまして義務的経費の伸びが大きい。一方、地方の実情は、投資的経費その他につきまして、地方財政を引っぱる需要と申しますか、これが一向衰えを見せない。その間に非常にやり繰りがむずかしくなってきておる、こういうことが言えるかと思うのでございます。しかもなおそのほかに、公営企業あるいは国民健再保険会計、こういったものが一般会計の足を引っぱっておりまして、これに対する繰り出しによって困窮してまいっておる、これも窮状に拍車をかけておる一つの原因かと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/7
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008・川村継義
○川村委員 自治省から出していただいておりますいろいろの資料、特に昭和三十七年度の決算及び三十八年度の決算、そういうのを見てまいりますと、お話のような原因があって、好ましい財政状態ではないということが指摘できると思います。いま財政局長から話のあったように、いろいろ義務的経費の増高に伴って地方税などの一般財源の十分な確保ができないというところに、一口に言うとお話のように原因があると思うのです。
そこで、私がこれまで考えてまいったことは、その一般財源を確保していくのにどういう手だてを講じなければならないか、具体的にどういう施策、どういう方法をとらねばならないか、そういう点をもっともっと当局もわれわれも考えてみる必要があると思う。よく新聞等で発表いたしておりますが、自治省あたりの言っておられるいろいろの言明を考えても、ただ単に一般財源の伸び率に比べて人件費の伸び率があまりにも大きい、——そういうことだけがこの財政を悪化させておる主因ではないのではないか、私はそう考えておるわけであります。
そこで一言お尋ねいたしますけれども、一般財源の伸び率とそれから人件費の伸び率、それはここ二、三年どのような比率をもっておるか、ちょっと数字的にお示しいただきたい。私たちのもとに資料があるならば、その資料を提示していただいてもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/8
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009・柴田護
○柴田政府委員 ちょっと資料が見当たりませんので、すぐ調べましてお答え申し上げますが、いまここでわかっておりますのは、三十九年度の財政計画面からだけ申し上げますならば、三十九年度の対前年度の給与費の伸び率が一四・三%、一般財源の伸び率が一九・二%でありますが、三十九年度対四十年度の伸び率は、一般財源の伸び率が一五・一%に対しまして給与費の伸び率が一六・五%、計画面からはこういう数字になります。
決算面からこれを追ってまいりますと、すぐ調べましてお答え申し上げますが、たしか昭和三十六年度までは一般財源の伸び率が給与費の伸び率をオーバーしております。三十七年、三十八年と一般財源の伸び率が給与費の伸び率を下回ってきておる、その度合いが三十七年、八年と激しくなってきておる、こういう状況でございます。
数字は、すぐ調べまして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/9
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010・川村継義
○川村委員 私の調べたところでは、一般財源の三十六年、三十七年、三十八年の対前年度伸び率は、三十六年において二四・〇%、三十七年が一六・三%、三十八年は一六・一%、このようになっておるのであります。これはおそらく決算に基づく伸び率であります。人件費は、三十六年が一八・二%、三十七年が一九・七%、三十八年が二〇・一%、こういう比率になっております。おそらくこれは間違いはないと思います。そこで、これを見て感ずることは、さきの委員会に同僚委員から給与問題等についていろいろ質疑がありましたが、一般財源は三十六年、三十七年、三十八年と下ってまいりまして、二四%、一六・三%、一六・一%というように相当減り方が著しい。人件費が伸びたといっても、一八・二%、一九・七%、二〇・一%と、約一%ずつの伸びである。こう考えてまいりますと、皆さん方のほうで、よく人件費の増高ということを言われる。非常に財政運営上大きな圧迫を与えているような強い指摘がよく行なわれるのでありますけれども、そのように目のかたきに取り上げるべきものではないではないか。しかもいま局長が言われたように、三十九年度の財政計画では、対前年度、一般財源は一五・一%、これまた相当三十八年度の決算に比べると減っておる。ところが人件費は一六・五%である。こう考えるならば、先ほども申し上げますように、この人件費の増高が地方財政を圧迫するというように、あまり大げさに考えることはどうであろうか、こう私は考えておるわけでありますが、その点についてお考えを少し聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/10
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011・柴田護
○柴田政府委員 先ほどお答えを保留いたしました計数は、全体としてながめました場合は、川村委員御指摘のとおりの数字でございます。
ただ、ただいま御質問の件で、ございますが、計画面の人件費と一般財源の伸び率というものとを決算面で比較してまいりますと、そこにひとつ問題点が出てくる。それを私どもは制度として、あるいは財政措置をとります場合のあり方として、かつまた実際の運営面の問題点として非常に心配をするわけでございます。と申しますのは、昭和三十九年度を例にとりましても、少なくとも計画面におきましては、給与費の伸び率というものは一般財源の伸び率を下回っておるのであります。三十八年度もこの傾向はさらに大きく、一般財源の伸び率が上回っておるわけでございますけれども、実態は逆になっておるということはなぜかと申しますと、財政計画で計算されておりますところの給与費の額というものと、それから計画外に置かれておりますところの給与費の額というものとの間に一番大きな開きがあるのでありまして、それが財政措置をいたします場合に、どのような形でもって給与費を扱っていったらいいかという一つの問題につながるわけであります。と申しますのは、御承知のように単価そのものはラスパイレス方式というものをとり、警察官なりあるいは義務教育職員につきましては、定員に基づいて計算するわけでありますけれども、この財政計画を追います場合に、実人員というものをずっと追っかけ回していかなければならないものなのかどうなのか。あるいはまたそこに何らかの一つの合理的な基準というものがあるのかないのか。地方側といたしますれば、その一般財源の伸びというものが縮まってまいりますればまいりますほど、計画外に置かれました人件費の重圧というものが、財政の中に大きくのしかかってくるわけであります。それをどのように調整するかということが、制度面におきましても、運用面におきましても、非常に大きな問題である、かような意味からいたしまして、給与費の問題というものに大きな問題があることを私どもは意識するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/11
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012・川村継義
○川村委員 確かに、現実に地方財政の中において占める人件費というものには相当関心を持たねばならぬ、財政運営上人件費のあり方というのが相当の問題となるということは、これは考えられると思います。しかし国家の施策あるいは地方自治、地方行政の運営という点から考えてまいりますと、この人件費あるいは補助費等の義務的経費の増加というものは、財政的に見て、あるいは政策的に見て、一体だれの責任なのか、こういうこともやはり私たちは常に掘り下げて考えておく必要があると思う。でなければ、ただ財政構造の中において人件費がぐんぐん増していく、ベースアップがあるたびにこういう圧迫を加えてくるというふうに考えて、それを何とか無理をして合理化しようとすると、あるいは行政上大きなマイナスを来たすこともあり得るということが考えられると思います。
そこで、政務次官に一言御所見を聞いておきますけれども、そういう点につきまして、こういう義務的経費の増高というものは、一体だれの責任であるかというような点について、お考えをお聞かせ置きいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/12
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013・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 御承知のように、地方公共団体の事務と財源、そういうことはきわめて複雑な問題があるわけでありまして、その問題につきましては御承知のように地方制度調査会においていろいろ御検討を願っておるというのが現在の段階でございます。お尋ねにございました一般経常費の増高ということについての責任ということでありますが、これはやはり国と地方公共団体と両者がおのおのその立場を尊重しつつ、かつ両者協力のもとにこの問題を解決していかなければならない立場にある、そういうふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/13
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014・川村継義
○川村委員 この問題についてはきょうはいろいろ論議する必要もないと思いますけれども、私たちは先ほども申し上げますように、やはりこの義務的経費の増加というものは、ただ財政面からのみ見て、地方財政の中に占めるウエートが高いから、これを何とか圧縮していかなければならぬ、そういう機械的なものさしで考えてはいけない。そこで人件費の問題につきましても、その考え方やあるいは態度を表明するにしても、相当慎重であってもらいたい、こういう考え方を持っているわけであります。
そこで、さらに重ねていまの問題について次官にお尋ねをして御所見を聞いておきますが、自治省のほうで発表した給与費の問題につきましても、以上のような状態の中で財政を安定させるために、何とか給与費にメスを入れなければならないということが考えられておるようであります。
そこで、私がもらっておる資料の中にも、一、新陳代謝の促進による職員構成の合理化、二、施設の共同設置等による施設職員の増加の抑制を図る、三、給与制度全般の合理化について慎重に検討する、こういうことが指摘されております。そのほかいろいろこの前の委員会でも問題になっておったような点があげられておるわけでありますけれども、その第一点でございます新陳代謝の促進による職員構成の合理化、なるほど相当高い年齢の人に、後進に職場を譲ってもらうということは、これは当然あり得るかもしれませんけれども、この新陳代謝によって職員構成を合理化するということは、これまたやはり相当慎重に考えていかねばならぬ問題ではないかと思います。長年薄給に甘んじて、いちずに地方行政のために努力してきたところの職員が、五十何歳になったからもうやめてもらうというような方法がとられるとするならば、まことにもって残念なことであります。これはみずからの家庭生活あるいは社会生活等々を考えて、大きな問題が残るわけであります。これについて自治省では定年制の検討等を始められておるやに聞いておりますけれども、やはり定年制の取り扱いにしても、そういう意味から私は非常に慎重であってもらわなければならぬと思うわけであります。年をとったらやめていけ、こういうような考え方、そういう非情な態度というものは、やはりとってはいけないのではないか、こういうことなどを考えておるわけでありますが、そういう点につきまして自治省当局のお考え方を、ひとつ次官のほうからお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/14
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015・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 御質問に出てまいりました問題は、いずれも重要な、そして自治省といたしましても絶えず真剣に研究してまいらなければならない問題でございますが、簡単に申しまして、やはり一般経常費の増高という問題に対処してまいりますには、やはり国の事務と地方公共団体の事務との配分の問題、そしてまた、それを処理してまいります財源の問題等を総合的に考えてまいらなければなりませんが、これは先ほども申し上げましたように、地方制度調査会等において御検討願っておる。自治省においても絶えずその問題について研究をいたしてまいっておるわけでございます。そして、特に人件費の問題に関連して人事構成の点についての御質問でございますが、その中の定年制については、やはりお説のように、ただ一定の年がきたからそれでさようならといったような人事のあり方というものは、必ずしも人事管理の上からいい影響を与えるものでない、非常に悪影響を与えるような場合もあり得るというようなこと等を考えまして、特にまた人は使い方によれば相当の年齢に達しても事務の能率をあげ得る人もあるわけであります。要するに全体として見まして、どこまでも地方公共団体の事務は民主的にかつ能率的に推進されなければならないわけでありまして、それと財政問題等を考慮いたしまして、そして人の取り扱いについて、そう冷酷無慈悲な感じを与えるようなことのないように、やはりおさまりのいい処理の方法が適切であると考えるのであります。ただ、いつまでも年齢を無制限にしておくということも、またこれ一般的に批判もあるというようなところにも思いをいたしまして、適当な線で定年制というようなことが解決つくものであれば、その線をという考えはあるわけでありますが、お説のように決して無理な処置でこの問題を解決しよう、そういうような考えはないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/15
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016・川村継義
○川村委員 十分理解のまいりました御所見をいただきましてありがとうございます。とにかくいま次官からお話しいただきましたように、これらの問題は先ほど私がいろいろ申し上げましたような観点で慎重に処理をしていただく、決して私も、八十までも九十までも職員が働けることを確保しなければならぬ、そういう無謀なことを言っているわけではないのでありまして、それはやはり地方自治、地方行政という大乗的立場から見るならば、そこにまた人的構成のある合理化が必要であるということは私もわかっておるつもりであります。ただ当初申し上げましたように、現実に一般財源の伸びがぐんぐん落ちている、ところが人件費等の増高が高まってきておるから、これはけしからぬ、そういう比較でだけこれを見ていただかないようにしてほしいものだ、こういう私の考え方を申し述べているわけであります。
そこで、一般財源の伸び悩みということは、端的に率直に申し上げますならば、必要な財源が確保されない、そこにあるのではないか。もしも必要な一般財源というものが確保されておるならば、私が申し上げるような、また当局が苦労しておるような問題、考え方というものも、ずいぶんやわらいでくるのではないか、こういうことを私は考えるわけであります。とにかくここ二、三年来の決算等を見てまいりましても、どうしてこんなに一般財源の伸びが少ないのか、あるいはそれは国の財政施策に大きな欠陥があるのか、あるいは地方財政計画の策定上問題があるのか、いろいろと考えてみなければならぬのではないかと私は思っておるわけであります。それらの地方財政計画上の問題につきましては、また後日いろいろとお尋ねをすることがあろうかと思いますから、そういう点には本日は詳しく触れませんけれども、この際財政局長に、いま一つその点でお尋ねをしておきたいと思いますが、この前に同僚委員の質疑にいろいろ出ておりましたが、自治省当局は四十年度の地方財政計画を策定するには、現在の、提案されておる財政計画よりも約一千億程度上回った財政計画が、歳出において、歳入において必要ではないか、こういうことを考えた時代があったようであります。しかしいろいろな要因でもって今日の財政計画に落ちついておる。そこでたいへん変なお尋ねになりますけれども、財政局長、自治省が大蔵省に対して交付税率の三〇・四%つまり一・五%の値上げの要求をなさった。それが〇・六%の増加にとどまったわけでありますけれども、もしも交付税率が自治省の要求通りに三〇・四%が認められたということになれば、大体本年度はその交付税率は現在の交付税の配分額よりも私の試算によりましても、おおよそ三百六十億程度は増加しておったのではないか、こう思っております。その三百六十億が入ってきたとしたならば、仮定でございますけれども入ってきたとしたならば、財政計画上財政局長はその財源をどのような方向に歳出面に振り向けるお考えであったのがどうか、それをちょっと聞かしてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/16
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017・柴田護
○柴田政府委員 御質問にお答えする前に、先ほど若干舌足らずでございましたので、給与費の問題につきまして補足させていただきたいと思いますが、私どもが実態調査をいたしました結果、計画と比べまして非常に大きく差が出てまいりましたのが施設関係の職員でございます。施設関係の職員につきましては、大きく出てまいりました部分について、ほとんどの部分を今度の計画で実は是正いたしております。しかしこの状態は将来続けていくべきものか、続けていかざるべきものかにつきましては、実は疑問を持っております。この前の実態調査、その後の積み重ねと今度の実態調査との差がたしか二十四万人くらい、五年間に二十四万人もの開きが出てくるというのは、いろいろな施設がふえる、これに関連する職員が要るわけでございますが、それが雑収入見合いの職員と申しますか、ほかに特定の財源があって職員がふえていくということにつきましては、あまり心配する必要はない、それが一般財源に食い込んでいくときにやはり地方財政上問題が出てまいる。それを計画上どのような形で今後持っていくべきか、また地方団体に対してはどういう指導をしてまいらなければならぬのかという問題が、この給与に関する財政措置の問題としては非常に大きな問題になると思うのであります。もう一つは御指摘のように、地方財政に伸長性のある財源が与えられておりますればあまり心配する必要はないと思います。もう一つの問題はやはり税制の問題だと思うのでありまして、先ほど来御指摘のありました一般財源と給与費の伸びを見てまいりましても、大都市なりあるいは都市というものにおきまする両者の開きというものは、非常に大きくなってきている。そうしますれば問題の一つが都市の税制というところにひそんでおるという感じが率直に申しましてするのでございます。
それからなお、あとのお尋ねでございますけれども、なかなかむずかしい問題がありますが、私どもは一・五%の引き上げを考えておりましたので、一%二百四十億でございますので、したがってもしこちらの要求が通っておりますれば、さらに百六、七十億の財源があったろう、こういうことになるわけでございます。どこに持っていくかということになりますと、私どもといたしましてはやはり単独事業費というものの計画化をはかり、これの充実をはかってまいることが、今日の地方財政には非常に大事だ。特に公共事業の投資といいますと語弊がありますけれども、県におりてまいります公共事業費の間の調整と申しますか相互調整をいたしておりますその機能は、財政的に見ますならば単独事業費であります。いわば単独事業費というのが各省からおりてまいります多少方向の違った施策というものを接着して総合していく、こういう機能を実態的に果たしているわけでございますので、私はそちらのほうに重点を置きたかった、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/17
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018・川村継義
○川村委員 私たちは実は交付税の率は三二%はなければならぬのではないか、こう考えております。これはいろいろ私たちなりの計算をいたしておるわけであります。そこで今回の二九・五%という政府の決定はたいへん少ない。そういうようなことを考え合わせながら、結局こういうような措置が一般財源を苦しめてくる一つの結果におちいってしまったのではないか、これが一つの問題だと思うのです。そういう点にやはり努力をしなければ、一般財源というものはなかなか現在の法律のたてまえからいってはむずかしい、こういうことを考えるわけであります。
それから前回の委員会で華山委員からいろいろと詳細にわたって質問がありました超過負担の問題がありますが、これはこの前いただいたところの資料でも、皆さんのほうの推計によりましても、こまかなことを申し上げる必要はありませんけれども、合計いたしまして昭和三十九年度は八百六十三億になる、昭和三十八年度は六百九十九億の超過負担であったと言われております。こういうものを、これらは幾たびも繰り返されたことでありますけれども、このままにしておいては、これはやはり地方の財政がいろいろ苦しくなるし、一般財源に大きな影響を与えるということも、これはいなめない事実であります。これは自治省だけにその責めを帰すべきものではありません。関係各省のやり方というものがこういう結果を生じておりますが、こういう点の解決というものがさらに努力ざれなければならぬのではないか。さらにはいま局長も言われたように地方税収のあり方というものをどうするかということに大きな問題があろうかと思います。それらの地方財政計画上の問題等々につきましては、また後日お尋ねをすることにいたしまして、華山委員からちょっと関連質問があるそうでありますから、委員長どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/18
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019・田川誠一
○田川委員長代理 それでは華山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/19
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020・華山親義
○華山委員 人件費のことでございますけれども、人件費が多くなっておるのは人数が多くなっているからでございますか、単価が多くなっているからでございますか、どちらが主たる原因でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/20
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021・柴田護
○柴田政府委員 両方あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/21
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022・華山親義
○華山委員 人数の多くなっているのは、警察官は国の方針によって多くなっているわけでございますし、教員もまた一応義務教育費等については国の基準というものによってやっているわけでございます。これは府県知事では何ともならない。それから残ったものはあまり多くないのでございますけれども、その中で市町村も含めましてどういう方面の人員が特に顕著に多くなりつつありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/22
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023・柴田護
○柴田政府委員 財政計画の人員百七十五万八千人でございますが、このうちで義務教育職員五十八万八千人、警察職員が十六万六千人であります。両方合わせまして大体七十万でございます。したがってその他の職員を入れますと、その他の義務教育と警察職員以外は約百万人近くある、こういうことであります。実態を見てまいりますと、最近は高等学校急増対策で高等学校の人員が相当ふえておりますが、一般職員の増加も必ずしも少なくありません。一般職員はならしまして八十万人ばかり。これが計画上の職員でございますので、若干これに実態の職員を考えてまいりますと、やはり十万人近いものがプラスされるかもしれません。私どもの考えますところでは、最近では先ほど川村委員の御質問にもお答え申し上げましたけれども、施設関係の職員が非常にふえております。施設関係と申しましても、たとえば保育所とかそういうものもあるわけでございますし、また会館みたいなものもあるわけであります。したがって、その施設はどういう施設がどうふえて、その職員がどういうぐあいにふえるかということはもう少し調べなければわかりません。わかりませんが、施設職員の増加というものにつきましては、いままでの地方債の許可その他を全部総合しまして、若干私どもにも反省すべき点があると思います。地方団体側にも、無計画に施設を増加させておるということにも原因がありはせぬか。この辺のあり方を今後どう持っていったらいいかということを非常に心配しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/23
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024・華山親義
○華山委員 高等学校もそういうふうに増加しているんで、あと施設職員ということになるのですが、実は施設というものについては、まあ施設をつくらなければこれは別ですけれども、いろいろな一般社会的な施設というものもあるし、あまり抑制はできないんじゃないかという気がするのでございます。局長のおっしゃる施設には、いろいろ医療関係の施設、たとえば身体不自由児の施設、その他児童相談所等の施設、そういうふうな社会施設としての施設も含まれておっしゃっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/24
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025・柴田護
○柴田政府委員 それが含まれております。したがって、中身をもう少し洗ってみなければ問題点が明らかにならないわけでございます。ただ、私どもは、社会で必要なものであれば何でも地方団体が手をつけてやっていっていいものだろうか、そのあとは全部財政計画で財源保障しなければならぬものだろうかと思うわけであります。不要なものもやるということになれば、これは国の立場から考えますればたまったものではないだろう、そうしますと、その辺の調整といいますか原則といいますか、何か一つの原則めいたものがあって、その上に立って、国も財源保障をし、地方もそれを尊重して運営していく、こういう態度をとっていかなければ、国も地方財政も詰まってしまうだろう、こういう感じがするわけでございます。そこを今後どのようなかっこうでもって打開していくかということが一つの問題点だ、こういう認識を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/25
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026・華山親義
○華山委員 施設につきましても単独事業でないものが、東京、大阪等は、私、よく存じませんけれども、国のいわゆる補助金に基づくものでそういうものが多いわけでございますね。県民会館のようなものは別ですけれども、大体施設といっても、貧弱な府県等でやっております、貧弱な市町村等でやっております施設というものは、これは厚生省なり文部省なりその他の補助事業が多いんです。私はなかなかこれは削減といってもむずかしい問題じゃないかというような気がいたします。
それから、いまおわかりにならなければ、あとででも調べていただきたいのですけれども、基準財政需要額の人件費というものは分類できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/26
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027・柴田護
○柴田政府委員 いま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、不可能ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/27
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028・華山親義
○華山委員 計算できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/28
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029・柴田護
○柴田政府委員 できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/29
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030・華山親義
○華山委員 基準財政需要額の人件費というもの、これは全国的な総計が出るわけでございますね。それと交付税とのここ五ヵ年ばかりの伸び方をひとつ調べていただきたいと思います。資料としてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/30
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031・川村継義
○川村委員 時間がたくさんありませんから、簡単にお尋ねいたしますが、問題になっております地方公営企業の経営問題につきましてはきょうはもうお尋ねいたしません。とにかく、これまでもたびたび指摘されておりますように、地方の財政をりっぱにしていくには、地方の独立財源を充実するということが必要でありましょうし、給与費等の問題につきましても考えねばならぬ、あるいは超過負担等の問題を解決していく、あるいは会計間相互の負担区分を明らかにする、確立するというような問題、いろいろあると思う。特にここ一、二年はあまり重要視されないで忘れがちになっております地方団体間の財政秩序を確立するということなども、ぜひこれは強力に進めていただかなければならぬ問題で、こういう問題がたくさんあるわけであります。いま問題になっております公営企業の健全化もそうでありましょう。
そこで私は財政問題として地方税関係のお尋ねをする前に、またたいへん心配になってまいりました国保の問題について簡単にお尋ねをしておきます。
いま地方の住民及び市町村関係では、今度の医療費の取り扱いによって、さらに国民健康保険の掛け金を引き上げねばならぬということをたいへん心配いたしております。医療費の決着がどうなるかわかりませんけれども、ずいぶん大きな影響があるということは、これはいなめないわけであります。そこで国保の問題につきまして第一に局長にお尋ねすることは、いままで国保の会計の事務費が百五十円であったのを、ことしは二百円にした。二百円に予算化してあるわけであります。ところが自治省としてはどうしても二百円では足らぬ、二百八十八円はなければならぬということで要求されたはずであります。この点につきまして、そうなりますと要求から八十八円不足ということになりますが、それで一体やっていけるのか、やはり八十八円相当の不足は生ずるものだとお考えになっているのかお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/31
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032・柴田護
○柴田政府委員 これは八十八円がなまに不足になるかどうかということになりますと、問題が若干残ります。と申しますのは、これは大蔵省側の主張によれば、一般会計で年をとってくると国民健康保険会計に移しかえる、だから国民健康保険会計の事務費がかさんで困るのだ、こういうことが大蔵当局の言い分の一つにあるわけでございます。これは実情を調べてみなければよくわからないのでございますけれども、まあそういうこともあるかもしれません。しかし私どもは地方の市町村の実態から導き出した数字の二百八十八円というのは、必要最小限度の数字である、つまりそれだけはどうしても要るだろうという前提に立って厚生省にお話をし、厚生省はその線に沿って要求をしてくれたわけであります。したがって、二百円しかあがらなかったということになりますと、なお地方側において合理化に努力すべき点もありましょうけれども、不足額が出ると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/32
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033・川村継義
○川村委員 皆さん方のほうでやはり実態をもとにして調べられた必要要求額であるならば、かりに国保の人員を四千万人と仮定した場合には、八十八円と見てここに約三十五億の不足額がもうすでに出るわけであります。これはたいへんな問題であります。こういうような点がやはり大蔵省の一方的な発言によって押し切られるというようなことは、大きな問題でありまして、これも自治省だけの、あるいは厚生省だけの責任に転嫁すべきでありませんけれども、こういうような、三十五億もすでに不足額が明らかである、こういう点をわれわれはどう解決するかということ、それが大問題ではないかと思うのです。こういうのをそのまま見送っておくところに国保会計のあるいは国保運営の大きな問題となってくる原因があるということを指摘せざるを得ません。
そこでいま一つお尋ねをするのでありますけれども、皆さん方からいただいた資料を見ますと、昭和三十八年度決算によりまして百三十二億の赤字が出ておる、財政措置額が九十五億である、実質収支の赤字が三十七億である。これは一体どう処置されるのか。これはこのままもう泣き寝入りになる金額なのか、あるいは国が責任を持って処置するのか。もちろん三十七億あるいは九十五億といっても、その金額を国に責任を求める金額ではないかもしれない。いわゆる国が間違いなく義務負担しなければならぬ金額は、あるいはそれよりも少ないかもしれませんけれども、そんなことは別にいたしまして、百三十二億の三十八年度の赤字というものは一体どう処置されていくのか。これについて何か見通しがありましたら聞かせておいていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/33
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034・柴田護
○柴田政府委員 毎年毎年繰り入れてまいっております金額というのが積み重なりますと相当な額になるわけであります。それは国保財政のたてまえからいいますならば、国保財政でもって始末すべき問題であります。一般会計の関与すべからざるところと私どもは考えております。しかしそれをどのような形で始末するかという問題は国保財政の再建問題というものに関係をしてくるわけでございますけれども、再建問題、いままでの赤字の始末という場合には、やはり今後赤字が出ないんだ、もうこれで当年度は収支均衡する、過去の赤字は別として当年度の、単年度については収支均衡するという措置が前提となるわけでございます。その措置がまだとられていない。むしろ当面の措置をどうするかという問題を先決問題として私どもは考えたい。そしてそれが確立いたしますならば、過去の問題について原因別に赤字の中身を明らかにした上で措置をすべきだというように私どもは考えるわけでございます。ただ実際の予算関係になってまいりますと、この問題は、予算的な権限が私どもには実はないわけでございます。はなはだ処置しにくいのでございますけれども、私どもの主張としてはそういう態度をとってまいるべきだというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/34
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035・川村継義
○川村委員 いよいよ全面的に大体七割給付が実施をされる、大体国保の所要額を三千億程度、二千八百九十七億でありますか、それくらいを見込んでおるようであり、それについて国庫負担が千九十五億、保険で六百七十三億、患者が一千百二十八億とかこれを負担をするというような試算になっておるようであり、今度それらに基づいて九・五%の値上げがなったというならば、所要額は二百四十九億だという。そのときに国庫負担は四十四億ぎりぎりは出さなければならない。ところが御承知のとおりに、今度これらが予算化されておるのはわずかに十五億であり、しかもそれは四月、五月、六月の三ヵ月分、十五億しか予算化されていない。一体あとはどうなるか、ここにも大きな問題があるわけであります。そうなりますと、当初申し上げましたように、これは必然的に国保会計の上から——いま局長は、国保会計が責任を持って始末をせねばならぬと言われたけれども、これはおそらく膨大なる患者の、あるいは被保険者の掛け金引き上げにならざるを得なくなる。そうなったらば、これは自治省としても、あるいは一般財源におそらく大きな影響をまた及ぼしてくるのであろうし、厚生省としてもやむを得ないことだといって見過ごすわけにまいらぬのじゃないか、こう思うのです。そうなりますと、当局は一体これ以上の——現在でもすでに全国平均四千円以上の掛け金負担をしておるといわれるこの国保において、これ以上の掛け金引き上げになったらば一体どうなるか。国保自体が破壊するのではないかということを、言い過ぎかもしれませんけれども、私は憂慮しているのです。それらを正しくしていくためには、相当の責任を持った財政的あるいは行政的な手が打たれねばならぬと考えるわけであります。政務次官、ひとつ次官のこれらについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/35
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036・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 お説のように国保財政の問題、それが地方公共団体の財政に及ぼす影響等々につきましては、非常に深刻な問題があると考えておるのであります。私どもといたしましては地方財政を守るという意味、したがいまして地方自治を守っていくという根本精神をもちまして、先ほど来お話に出ました、また答弁の上にもあらわれましたようなむずかしい問題が国の責任において根本的に改善されていくということをこいねがいますとともに、現在の制度の上におきましても、やはり地方財政を守っていくという線に沿うて各公共団体もいろいろ努力してまいるという方向で進んでまいらなければならぬ、そういうふうな意味で助言指導をしてまいらなければならぬと考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても非常にむずかしい問題であり、また放置することのできない問題であるという自覚のもとに善処したいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/36
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037・川村継義
○川村委員 またいずれ国保の問題につきましてはいろいろお尋ねをいたしたいと思いますが、私たちはいまの国保の国庫負担の割合が少ない、少なくとも負担において三〇%、調整交付金の率においては一〇%高めるべきであると常に主張しているわけでありますけれども、こういうわれわれの主張も十分お考えいただきまして善処願って、私が申し上げましたような点についての政治的責任をやはり負うていただくように申し上げておきたいと思うわけであります。
時間がございませんから少し急がせていただきますが、地方自治を守るためには自主独立の財源が必要である。先ほどから一言触れましたように一般財源を充実するということは、これは非常に緊要なことで、申し上げるまでもございません。そこで私は次に地方税の問題につきまして税制調査会の答申等に触れながらいろいろお尋ねをしておきたいと思います。税制調査会の「今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度のあり方についての答申」を見てまいりますと、昭和三十八年度決算において地方税の全収入に占める構成は三四%である、租税収入の七〇%が国税であるし、地方税は三〇%でしかない、これは非常に低過ぎるのではないか、もちろん実際支出として使用する場合には国が三七%、地方団体が六三%、こういう形で使用をしておる、それらの比較を見ても地方税の税収全体に占める比率の三〇%というのは低過ぎるのではないか、これを検討する必要がある、こういう答申が出されておるようであります。そこでこの答申を受けて、そのまま実現をなさろうという決意であったかどうかはわかりませんが、昨年の末ごろでございましたか、自治省は自主財源のてこ入れをするというので、ひとつ二千八百億円を取ろう、こういうことを発表しておられます。この二千八百億円を取る、国税を地方に移すという考え方は、そのまま立ち消えになっておるのでございますか、あるいは今度の改正に何かの方法で生かされておる部面がございますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/37
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038・細郷道一
○細郷政府委員 長期の答申にございますように、地方財源がパーセンテージの上から見ても少ない。しかも実際に、税金の使われ方は、いま川村委員がお読み上げになったとおり、地方において三分の二を使っておる。これについては、いろいろほかの問題もあるけれども、地方税源の増強策を検討すべきであるというようなことが、税制調査会の意向であったわけでございますが、こういった意向は、御承知のように従来からもしばしば繰り返されてきたところでございます。その場合に税制調査会で御審議をいただくにあたりまして、考え方についてはおそらく調査会の皆さん方も妥当な方向であろうという御認識であったと思うのでありますが、さてそれでは具体的にはどういうことをやったらいいかということになりますと、なかなか具体案がございませんと議論の進めようがない、こういったような状況にございましたので、われわれ事務当局のほうといたしまして、委員さんの審議の資料という意味において、地方税部会におきまして実は二千八百億の増強案というものを出したわけであります。ただ、そういった試案については、実は税制調査会の地方税部会におきましても、もう時間的にだいぶ残り少なくなっておりましたために、十分な審議の時間がございませんので、そういう点でその案自体については明確な結論が得られなくて、引き続いてその具体策について検討を行なうことが適当である、こういうことで、この長期答申の文面にも地方税のあり方のところで、そういう意味の答申文が掲げられておるわけでございます。非常にむずかしいという問題につきましては、この二千八百億という案は、国民の税負担を現行税体系のもとにおける程度にするということが、一つの前提であります。その場合にはどうしても国と地方の間の税源配分を考えなければならないわけでありますが、国と地方の間の税源配分にあたっては、国と地方の間におきます行政事務の配分問題、それから国と地方の間の財政制度、具体的には補助金制度といったような問題もございます。したがって、従来からいつもこの議論が出ますと、いわばそれぞれの調査会の土俵が分かれておりますために、なかなかその三つの間のつながりが十分できない。そこで税制調査会におきましても、先ほどあったような地方税増強の方向は認めながらも、なかなか突っ込んでいけない、そういうような状況にあったわけであります。私どもは、そういう状況にもかかわらず、実は税制の面から、非常に単純なものの考えでありますが、たとえば地方財政に占めております税収の割合をかりに五割に引き上げるとしたならばどういう姿になるかというのを、全くの検討の資料としてつくったわけであります。したがいまして、その問題自体につきましても、五割というのが一体いいのかどうかというような議論ももちろんあるわけでありますが、そういう議論をしておりますと土俵が違ったところに問題がいってしまうというので、こういった案を一応五割というのをめどに置いてみた。そういたしますと、昭和三十九年度の当初の地方財政計画で、税収を五割にするためには、ちょうど二千八百億地方税がいまより増強されるといいことになるということからこの試案を考えたわけであります。したがいまして、その試案の内容自体は、二千八百億を法人税から法人税割に、あるいは所得税から所得割に、専売益金からたばこ消費税といったような非常に荒っぽい中身でございますが、その出た場合に及ぼす影響をどう考えたらいいか、たとえばこれを府県と市町村にどう分けるか、その場合に税源が各団体の間にまんべんなく行き渡るかどうか、そういったような問題もございます。また、この案をやろうとした場合に、それでは国は歳出のどこを削っていったらいいものか。御承知のように、いろいろな、三兆にのぼる歳出があるわけであります。一体どの面を削ったらいいのかということになりますと、一番先に考えられますものは、財政面では国庫補助負担金ではなかろうか。三十九年度におきましても八千六百億にのぼる国庫負担金が国から地方に流れておるわけでありますので、これにまず目をつけてはどうであろうかということで、問題の提起をいたしたわけであります。提起をいたしましたが、これにつきましては、補助金のどれとどれを整理するかというような点については、税制調査会でもなかなかむずかしい。補助金等合理化審議会でも二年ほどにわたって検討をいたしましたが、具体的にどうこうということはなかなか全面的にいかないわけであります。そこでやはりそういった
一つの土俵にぶつかったわけでありまして、その問題については、そういう方向を意識しながら、もう少し掘り下げた検討をすべきであろう、こういったような答申をいただいたのでございまして、その意味におきましては、四十年度の税制改正にはその意味のことは盛り込まれておりませんが、私どもはこういった趣旨に沿って検討を続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/38
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039・川村継義
○川村委員 たいへん詳細にお答えをいただきまして、そのような段階であればこれ以上立ち入って聞く必要もないかと思いますが、ただ、皆さん方がそのような試算をしておられる、そういう構想を持っておられるということになりますと、これは一つの大きな問題であります。たとえば、いまお話しのように、税収を五〇%にするという一応の目安、それに基づいて、皆さん方の一つの構想によれば、住民税所得割を千四百億ぐらい取ったらどうか、府県のたばこ消費税を九百億ぐらい取ったらどうか、住民税、法人税の税率引き上げを五百億取ったらどうか、こういうような一応の構想を聞いておるのであります。私は時間があれば——いまのお話で少し触れられましたけれども、それらの方法というものをどう実現するか、これが非常に大きな今後の問題ではないかと私は思っております。しかし、大体いま局長の説明で一応その段階にとどめておきたいと思いますが、実は私が憂慮しておるのは、大蔵省当局が相当反対をするのではないか。はたしてその実現に成算があるのかどうなのか、これをひとつ率直に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/39
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040・細郷道一
○細郷政府委員 何しろそういう案を検討すること自体、考えようによっては非常に画期的なものであったと思うのであります。したがいまして、こういった検討資料を調査会の場に出すかどうかについてもいろいろと議論がございました。しかしやはりそういう方向を答申して是認しておる以上、は、やはり審議の資料というものはあってもいいのではなかろうかというようなことで、実は税制調査会に出したわけでございます。したがいまして、これをどういうふうに今後持っていくか。あるいは政府部内の反響はどうかということは、まだ税制調査会内におきます資料にとどまっておりますので、いまの段階でどうこうということは私どもから申し上げる段階でないと思います。ただ一般的に、これはもう皆さんも十分想像していただけると思うのでありますが、何しろ二千八百億の税金を国から地方へ移すということは非常な大問題であります。したがいまして当然一般論としての、国の財政当局の立場としての意見は、十分予想されるところであります。具体的に申しますれば、国自体が二千八百億歳出をどっからか削らなければならない。財政規模をそれだけ縮小させられるという問題が具体的にあるわけでありますから、そのこと自体に非常に重要な問題を含んでおると思います。しかしながら、これは多少将来を見た理想論になるかもしれませんが、国から地方へ出てまいります国庫補助負担金が毎年ちょうど地方財政の規模と同じ大きさで伸びております。どちらがいいので、どちらが不可であるかは申しかねますが、ともかく国庫補助負担金のふえ方と同じ比率で地方財政の規模がここ四、五年ふえておるのでありまして、その補助金のために、国も地方もかなりな人と金と日にちを使っておるのではないか。納税者の純粋な立場からしますれば、やはり百円納めた税金は百円で還元をしてもらいたい。しかし補助制度があるために、はたして百円納めたものが百円に還元されるかどうかといったような、もう原則的な議論も当然あるわけでありますから、そういう意味合いから言いましても、われわれとしては今後一生懸命こういう線で問題の解決に努力をしなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/40
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041・川村継義
○川村委員 できるだけお答え簡単でよろしゅうございますから……。申し上げるまでもなく、またこれはみんなが理解していることでありますけれども、こういう税を、地方税を強化していくためには、いまは地方制度調査会で鋭意検討をいただいております。行政事務の再配分、税源をどのようにして配分するか、こういうような問題が一つの大きな課題であることは、これはもう申し上げるまでもないことでございます。ただ税目それ自体をいじくっても、決して及ばないことであるということは明らかであるわけであります。しかしいまの一つの税制調査会に試案として提示しておられますこの税源の配分につきましては、相当の努力をしてもらわなければ、またきょうはもうお尋ねいたしませんけれども、一応試算をしておられますそれぞれの配分のその方法、あるいは徴収内容等には相当大きな問題があると思いますから、十分ひとつ検討しておいていただくようにこの際お願いしておきたいと思います。時間があればそれぞれの問題につきましてもう少し詳しく聞くわけでありますけれども、保留させていただきたいと思います。
そこで、今度の税改正にはほとんど触れておらぬというお話でありましたけれども、私はその点について、ひとつ立案者の自治省としては、また税務当局としては、やや消極的でなかったかと思うのです。たとえば法人税割の問題にいたしましても、現行の八・一%、それを今度の改正では八…四%にしておられる。ところが、これは私は必ずしも税制調査会の答申をいただかなければこの税率というものは動かせないというものではないと思います。これは立案者の一つの方針として考えられると思うのです。ということは、いま二千八百億円の試算をされたときに、住民税、法人税割の税率引き上げと、いうことで、皆さん方は一三・一%を考えられておるはずです。そこでせっかくこのような改正をなさるならば、現行の八・一%を八・四%にとどめることなく、もっと引き上げられてもよかったのではないか、こう私は考えておるわけです。なぜかと申しますと、今度の改正によって一体幾ら増収になったか。ちょっと表を見てみますと、たいしたことはないようであります。この見込み説明によりますと、市町村の法人税割は国税改正に伴う減が十億七千九百万、地方税法の改正によるもの十六億三千七百万、差し引き五億五千八百万、こう出ておりますね。これが府県民税になりますと、むしろ国税改正に伴うものが大きくて二億二千万のマイナスの数字がこの表に出ておる。そうしますと増収は差し引き三億ばかりということになりますか。法人税割をせっかく考えていくのに、つまり、国税の法人税の税率引き下げに伴う都道府県民税及び市町村民税の法人税割の減収を回避するため、——なるほど減収は回避になっておるかもしれませんが、これではあまりにも消極的ではないか。そういう面からすると、私はこの税率はもっと引き上げてもしかるべきではなかったか、こう考えるのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/41
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042・細郷道一
○細郷政府委員 税制を考えるにあたりまして、やはり私どもは住民の租税負担ということもあわせて考えなければならない、こう考えております。財政的な問題と住民の租税負担とをどうかみ合わせていくかというところに税制改正のむずかしさもあるわけであります。同じ税制調査会におきましても、現行税体系のもとにおける自然増収の二割程度をめどとしてこれを減税に回すようにというような御意見も出ておるのであります。したがいまして、そういったことも頭に入れつつ明年度の税制改正に臨んだわけであります。
いま一つは、いま御指摘のありました法人税の問題につきましては、法人税率引き下げに伴う減収回避というにとどめておりますが、先ほど出ておりました税源配分といったような問題は、先ほどお答え申し上げましたようにかなり基本的な問題にもなってまいりますので、なお今後の検討問題ということで今年はそこに触れていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/42
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043・川村継義
○川村委員 住民の税負担、それを十分考えなければならない、それはお話のとおりだと思います。ところがいろいろ地方税の住民税あるいはその他の税を考えてみますと、必ずしもそういう点で公平というか、そのとおりいっていないのが現行法の中にも相当見受けられると私は思います。そういう点から私はいまの点を実は指摘したわけであります。一応大ざっぱに触れておきますが、また詳細にわたっては、あるいは小委員会等でひとつお聞かせいただきたいと思います。
そこで、せっかくのお話でございますが、それでは一体所得割のほうはどうなのか、こう考えてみますと、所得割のほうにもいろいろと問題があるようであります。特に私が注意しなければならぬと思いますことは、税調の答申でいまの市町村民税の所得割のいわゆる標準税率、これはもっと緩和する必要がある、こういうことを言っておられる。あるいは住民税の諸控除についてはこれを取りやめて住民税控除というようなものを新設することがいいのではないか、こういう意見等も出ておるようであります。これは相当大きな問題を含んでいると思うのであります。
そこで、いま法人税割のことを聞きましたが、住民の負担ということを十分考慮しなければならぬというお話でありますが、そこでこの所得割のもとをなしております所得税について、一体どういうような状態であろう、これをひとつお聞かせいただきたいと私は思うのです。所得税の——これは国税関係でありますけれども、所得税の納税者の階級別というものはおわかりでございますか。たとえば三十万円までのものは納税人員がどれくらいで所得税額がどれくらい、五十万円までのものはどうなのか、百万までのものはどうなのか、二百万までのものはどうなのか、五百万までのものはどうなのか、五百万以上のものはどうなのか、それらの資料をお持ちでございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/43
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044・細郷道一
○細郷政府委員 ちょうど手元に、昭和三十八年度のでございますが実績がございますので、二、三お答えをいたしたいと思います。
給与所得者について見ますと、収入階級区分でございます、二十万円以下の人員は百九十六万九千人、そしてその所得は三千五百五億五千七百万円、三十万円以下が人員で三百四十八万五千人……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/44
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045・川村継義
○川村委員 時間がありませんから、この資料をひとつあとで出していただいて、いまの階級別の構成比だけをひとつ言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/45
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046・細郷道一
○細郷政府委員 では構成比率を申し上げますが、同じく三十八年実績の給与所得者について見ますと、人員で申しますと、二十万円以下が一一・九%、三十万円以下が二一・一%五十万円以下が三一・五%、七十万円以下が一九・五%、百万円以下が一〇・三%、そこまでで九四・三%、こんな姿になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/46
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047・川村継義
○川村委員 いまのはひとつ後日資料をお願いいたしたいと思うのであります。いまのは給与関係の区分でありましたが、百万までのものがほとんど大部分を占めておる。九十何%、こういう姿が所得税の場合、納税者の構成比が実はあるわけであります。同様にいまの給与所得と申告分を合計したものを考えてみましても、三十万円までが三〇・三%、五十万円までが三二・七%、百万円までが二九・五%、これを見ただけでもほとんど九十何%をこえるわけであります。ところがこういうような実情にありながら、もちろん地方税を取る場合には、所得割を取る場合には、国税等の計算は違いますけれども、都道府県民税の所得割においては百五十万を境にして二%、四%という比例区分になっておる。これは低所得層に大きく負担がかかっておるということが言い得ると思う。これはあの改正をするときにずいぶん問題になったところであります。つまりこのような形で都道府県民税の所得割を徴収する方法を法定しながら、県民、住民の負担を考慮してやったと直ちに言い切れるかどうか、私はここに問題があると思う。やはりこの都道府県民税所得割のごときも、ある点累進的に考えてやるということが実は必要ではないか。もしも税調の答申どおりに市町村民税の税率緩和が許されるということになるならば、当然都道府県民税の比例税率を廃止をして、やはりそこに累進的な税率を刻み、そして総合的に課税負担が増加しないように配慮するということも必要ではないか、こういうことが考えられるわけでありますけれども、この辺についてあなたのお考えをひとつ聞かせておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/47
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048・細郷道一
○細郷政府委員 県民税の二段階税率は、当時所得税とあわせての総合累進負担ができるように配慮されたものであることは御承知のとおりであります。住民税の将来につきましては、税制調査会でもいろいろと議論があったのでありますが、やはり住民税は所得税と違って、いわゆる自治体の経費を分担し合うものだ。俗に言えば会費的なものじゃないか。そういった性格を出すという意味合いにおいて、所得税とは違った納税者層を考えるべきである、こういうようなことから、いわば所得に対して所得税と住民税と二つある場合に、所得税は超過累進的な税により、いわば所得の再配分をしていく。住民税はどちらかといえば、経費を分担するような仕組みで広くこれを取っていく、あわせて所得課税としての累進効果を達成するようにすべきである、こういったような意見が出されておるのであります。そういう意味合いにおいて、累進税率の緩和といったようなことがうたわれておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/48
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049・川村継義
○川村委員 住民税において負担分任の考え方を強める、私もそれはよくわかります。わかりますけれども、やはりそこには力に応じて税を負担するというその原則は生かされておらねばならぬ。そういう点からすると、私は、いまの都道府県民税の所得割の比例税率というのは、いま一度やはり考え直す必要がある、このように考えておるわけであります。
時間がございませんから、またあとでお尋ねいたしますけれでも、大ざっぱなこと、基本となると私が考えておるようなことをお尋ねをしてまいるわけであります。
そこで、いま一つお尋ねいたしますけれども、いま、ことし昭和四十年度の税制改正による地方税の増減収見込みというのはわかっておると思いますが、国税の影響、いろいろありますが、地方税自体の影響、これもひとつあとで資料としてお願いすることにして、総計だけを要領よくお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/49
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050・細郷道一
○細郷政府委員 一般的な減税、国税改正の影響その他といったようなものを加えまして、明年度のこの改正案によります増減収は、地方税全体、府県市町村あわせまして初年度八十億の増、平年度五十億の増、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/50
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051・川村継義
○川村委員 いまの内訳をちょっと申しますと、つまり国税の影響のところだけ見てみますと、初年度が六億の減税、平年度五十九億程度の減税、こういうことに考えておいてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/51
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052・細郷道一
○細郷政府委員 この欄の作成上そういうことになっておりますが、ただ、その他のところで法人税割の税率調整分が別途増として立っておりますので、その分が平年度四十一億、初年度二十二億立っておりますので、結果的には国税改正の影響は、平年度で十八億の減、初年度では十六億の増、こういう姿になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/52
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053・川村継義
○川村委員 いま一つお尋ねをしておきます。いまのはひとつ資料でお願いしたいと思います。
もう一つは、国税の特別措置、租税特別措置による減収見込み、これは総計して昭和四十年度は幾らぐらいになるものでありましょうか。私三十九年度の資料をいただいているわけでありますが、合計して、国税の減収はたしか二千九十八億、それから地方税の特別措置による減収が、総計して五百四十九億、こういう資料をもらっているわけでありますけれども、本年はどれくらいにそれがなるのか。合計額だけでよろしゅうございます。詳しい資料はまたあとでひとつおつくりいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/53
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054・細郷道一
○細郷政府委員 四十年度のはちょっといま手元に持っておりませんので、あとで提出をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/54
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055・川村継義
○川村委員 昨年度が五百四十九億と計上されておりますから、おそらく今年度はもっと上回るのではないか。ということは、今度、御承知のとおりに、配当所得の分離というようなことがありましたので、相当これは住民税等に影響をするのではないかと心配いたしておりますが、その辺のところの数字はおわかりでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/55
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056・細郷道一
○細郷政府委員 配当分離課税によります影響は、御承知のように一銘柄五万円以下と五万円超の部分に分かれるわけでありますが、住民税におきましては、課税技術上五万円以下は課税ができないと思います。その分の減は、五万円以下全体を加えまして平年度で五十四億になる見込みでございます。五万円超につきましては、所得税は源泉選択になっておりますが、住民税は総合課税をするということにいたしておりますので、これは従来どおりということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/56
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057・川村継義
○川村委員 五万円超は、住民税の場合には総合課税にする。国税はそうでありませんね。いま一度このことをはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/57
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058・細郷道一
○細郷政府委員 五万から五十万については、国税は御承知のように株主が源泉課税を選択いたしますれば、一五%の税率で源泉分だけで終わるわけでありますが、住民税におきましては、全部その分も合わせて総合課税にする、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/58
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059・川村継義
○川村委員 そこで、私が当初、法人税率の引き上げが低かったのではないか、もう少し高めてよくはなかったか、こう申しましたら、局長のほうから、これは住民の負担を十分考慮しながらというもっともな答弁がありました。しかし、このような国税の影響による地方税の膨大なる減収ということもさることながら、それらによって、地方税において非常に恩典を受ける層がある。特に先ほど申し上げましたように、所得割においては九十何%というようなものが大部分であると、負担分任の一つの法則を考えることはもっともかもしれませんけれども、都道府県民等の所得割等を考える場合には、局長がお話のような、住民の負担ということを考えても、これは適当ではないじゃないかという考え方も成り立つ、そういう点を私は指摘をしておきたいと思うわけであります。
次にお尋ねいたしたいと思いますが、きょうは本会議が早く始まる予定でございますから、あるいは私がお尋ねすることが残るかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
事業税の問題につきましては、きょうは触れません。
その次に、電気ガス税の非課税措置については、本年度の税制改正の答申には触れられていない。基本問題調査の答申には、この非課税措置のことも触れてありますけれども、本年度の税制改正の答申には、非課税については触れていないのですが、これをば、今回思い切って省いたのもあったようですけれども、追加しておられる。この考え方をひとつ簡単に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/59
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060・細郷道一
○細郷政府委員 これは長期の答申の中で、電気ガス税を議論いたしました際に、産業用の非課税のものについては、前回の税制調査会で答申した線で整理をするようにという方針がうたわれておりますので、それに従って行なったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/60
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061・川村継義
○川村委員 こういう非課税措置についてはもう少し——いろいろ言い分はありましょう、お考えはあると思います、もう少し高いところからひとつ検討をしてもらいたいと私は思います。
われわれは地方の自主財源を強化するために、あるいは一般財源の充実をはかるために、できるだけこういう非課税は整理すべきである。電気ガス税の非課税品目につきましても、もうすでに相当部分は整理をしていいのではないかと思われるのもあるはずであります。特別措置の問題につきましても先ほどちょっと触れましたように、相当整理をしなければならぬ、そういう考え方を持っておる。ところが、ややともすると政府当局は、特別措置の問題やあるいはこういう非課税措置の問題については、非常に消極的である。これはたいへん不満に思うわけです。これはそれぞれの理由があることはわかります。しかし、だんだん問題になっておるように、地方財政の問題あるいは自主財源の強化の方法ということから考えてまいりますと、もう少しわれわれは積極的に考える必要があると思うのであります。
そこで、実は非課税の問題について少しお聞きしたいのでありますけれども、時間がございませんし、きょうは一時から本会議が開会でありますので、資料をひとつお願いをしておきたいと思うのです。
いまも申し上げましたように、この非課税が存続されておる趣旨はわからないでもありませんけれども、やはり全然手がつかないというようなこと、そういう点について非常に不合理な感じがするわけでありまして不可解な気持ちを持っております。もしもこの電気税についてあるいはガス税について、税調の意見にもありますようにいろいろの問題がある。いわゆる非課税としての立場から見るならば、むしろ思い切って全廃をして一般の負担を軽くする、こういう考え方もいいのではないかと私は思うわけであります。そこで次の審議の関係上資料をお願いしたいと思いますけれども、この電気ガス税が市町村民税になったのは昭和二十五年だと思いますけれども、それから非課税品目の範囲がずいぶん広がってきておる。そこでその非課税品目の種類を、これは少しめんどうかもしれませんが、あまりにも膨大だと思いますけれども、ひとつお示しいただきたい。それからいま一つは、電気及びガスの発生量と消費量をお知らせいただきたいと思う。私の古いメモでありますけれども、昭和三十二年のころには、昭和二十五年に比べてほとんど二倍、ガスにおいて三倍というような膨大なる伸び方をしております。今日ではもっともっと伸びておると思うのです。それらの状況をひとつ知りたいと思いますからいまの資料をお願いしておきます。
その次にお願いしたいことは、これは実はいろいろとお尋ねもしなければなりませんけれども、お願いしておく資料は、一般家庭の電気ガス税の負担状況をひとつお知らせいただきたいと思います。
なぜ私がこういうお願いをするかと申しますと、これはもうおそらく現状でも変わりがないと思いますけれども、家庭用の消費量はやはり全部の電気消費量のわずかな部分ではないか。二〇%に達するかどうかわかりませんが、わずかな部分ではないか。またガスは五〇%以上こえておるかもしれませんけれども、わずかな部分ではないか。ところが電気ガス税の税金のほうを考えてみると、おそらく一般家庭が負担する金額というものが相当高い率を示しておる。あるいは四〇何%、五〇%近くなっておるのではないかと推測をしておるわけです。そういう意味で一般家庭の負担状況をひとつお知らせいただきたいと思います。
それからいま一つは、さきの資料に関係するかと思いますけれども、非課税品目の使用電力料、それをとったら一体幾らとれるかというその料金の見込み額、これは私は相当膨大なものになろうと思っておるわけです。これがとれないということになるとやはり相当大きな問題として考えるから、以上の資料をお願いするわけです。
さきの本会議で、自治大臣は、水道の電気税などはまけてもいいじゃないかということを華山委員が質問しましたが、まけたってまけなくたって同じことではないか、こういうような答弁をしておられました。つまりどうせ市の税金等で払っておるのだから、こういう言い方でありますけれども、ここにも私は非常に問題があると思う。住民の負担ということを考えるならば、水道の料金等を軽減するということは当然であると思う。厚生大臣はそのほうが望ましいと本会議で言っておる。自治大臣は、そんなことをやったって同じじゃないか、こう言っておる。これはまたあとで大臣がお見えになってから、いつか機会のあるときにお聞きをしたいと思っておるわけであります。
以上、実はお聞きをしなければならないと思いましたことがございましたけれども、短い時間でありまして、時間もまいりましたから、きょうはこの辺で私の質問を終わりまして、ひとつ保留をさせていただきたいと思います。
なお、あとで農業課税の問題について二、三お聞きをしたいと思いますから、どうぞよろしくお願いをしておきます。本日はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/61
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062・田川誠一
○田川委員長代理 細郷局長、いま川村委員の言われた資料よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 ただいまの資料、作成の上提出いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/63
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064・田川誠一
○田川委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案審査のため、明十二日参考人として税制調査会委員木村元一君、同じく松隈秀雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/64
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065・田川誠一
○田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/65
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066・田川誠一
○田川委員長代理 次に、去る九日付託になりました内閣提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。高橋自治政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/66
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067・高橋禎一
○高橋(禎)政府委員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
御承知のとおり、恩給制度について、恩給年額の増額等の措置を講ずるため、政府は恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても同様の措置を講ずる必要があります。このほか、職員団体の事務に専従する組合員の長期給付に要する費用の負担及び健康保険組合の職員期間の通算等についても所要の措置を講ずる必要があります。これらがこの法律案を提出した理由であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
第一は、恩給法の改正に伴う措置であります。
その一は、市町村職員共済組合が支給する旧恩給組合条例または旧市町村職員共済組合法の規定による年金について、恩給または国家公務員共済組合の年金の年額の改定に準じ、その年額を改定することとしております。
その二は、高額所得停止を行なっている退職年金について、恩給法の高額所得停止基準の是正に準じその支給停止の基準を是正することとしております。
その三は、地方職員共済組合等が支給する国家公務員共済組合法の規定による退職年金等の額の改定に要する費用は、恩給公務員期間及び旧国家公務員共済組合法の組合員期間に対応する部分については、全額国または地方公共団体が負担するものとし、国家公務員共済組合法の施行日以後の組合員期間に対応する部分については、公務による給付として国または地方公共団体が全額負担するものを除き、労使並びに国または地方公共団体が負担することとしております。
第二は、その他の事項についての措置であります。
その一は、職員団体の事務に専従する地方公務員である組合員に対する長期給付に要する費用のうち百分の十五に相当する額については、当該組合員の所属する地方公共団体が負担することとしております。
その二は、地方公務員を被保険者とする健康保険組合の職員であった組合員について、その在職期間を組合員期間へ通算することとしております。
以上のほかに、地方公務員等共済組合法及び地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法について、若干の規定の整備を行なうこととしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/67
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068・田川誠一
○田川委員長代理 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804720X01519650311/68
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