1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十一日(木曜日)
午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 内藤 隆君
理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
理事 佐藤洋之助君 理事 志賢健次郎君
理事 安宅 常彦君 理事 栗原 俊夫君
理事 森本 靖君
綾部健太郎君 小渕 恵三君
大町 明君 金丸 信君
木部 佳昭君 椎熊 三郎君
中村 寅太君 中山 榮一君
星島 二郎君 本名 武君
湊 徹郎君 南 好雄君
山村新治郎君 井手 以誠君
畑 和君 受田 新吉君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 徳安 實藏君
出席政府委員
郵政政務次官 服部 安司君
郵政事務官
(大臣官房長) 淺野 賢澄君
郵政事務官
(貯金局長) 武田 功君
郵政事務官
(電波監理局
長) 宮川 岸雄君
委員外の出席者
参 考 人
(日本放送協会
会長) 前田 義徳君
参 考 人
(日本放送協会
副会長) 小野 吉郎君
参 考 人
(日本放送協会
専務理事) 田辺 義敏君
参 考 人
(日本放送協会
専務理事) 赤城 正武君
参 考 人
(日本放送協会
専務理事) 春日 由三君
参 考 人
(日本放送協会
専務理事) 栃沢 助造君
参 考 人
(日本放送協会
総合企画室経営
総務) 野村 忠夫君
参 考 人
(日本放送協会
総合企画室営業
総務) 久保 進君
参 考 人
(日本放送協会
総合企画室主計
総務) 志賀 正信君
参 考 人
(日本放送協会
営業局長) 長沢 泰治君
専 門 員 水田 誠君
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三月十一日
委員鈴木善幸君、中山榮一君及び栗山礼行君辞
任につき、補欠として湊徹郎君、山村新治郎君
及び受田新吉君が議長の指名で委員に選任され
た。
同日
委員湊徹郎君、山村新治郎君及び受田新吉君辞
任につき、その補欠として鈴木善幸君、中山榮
一君及び栗山礼行君が議長の指名で委員に選任
された。
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三月五日
北海道東鷹栖村の市外電話即時通話に関する請
願(芳賀貢君紹介)(第一四〇五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四六号)
郵便振替貯金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四七号)
放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
を求めるの件(内閣提出、承認第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/0
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001・内藤隆
○内藤委員長 これより会議を開きます。
郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありませんので、両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/1
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002・内藤隆
○内藤委員長 これより討論に入るのでございますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/2
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003・内藤隆
○内藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/3
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004・内藤隆
○内藤委員長 この際、佐藤洋之助君外二名より本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
趣旨弁明を許します。佐藤洋之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/4
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005・佐藤洋之助
○佐藤(洋)委員 私は、ただいま可決されました郵便貯金法の一部を改正する法御案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案として、次の附帯決議を付する動議を提出し、あわせてその趣旨を御説明いたしたいと存じます。
まず、附帯決議の案分を朗読いたします。
郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
この法律の施行にあたり、政府は、次の各項の実施につとむべきである。
一、郵便貯金が国民大衆の貯蓄の集積であるとともに、国家資金源中に重要なる地位を占めている事実にかんがみ、郵便貯金預金者の福祉の増進を図り、あわせて国家資金の確保に資するため、預金者に対するサービスを一層拡充すること。
二、郵便貯金預金者の利便を図るため、預金者に対する貸付制度等をすみやかに検討すること。
右決議する。
以上でございます。
この附帯決議案は、委員会における法案審査の経過を参酌して起草いたしたものでありまして、その趣旨は詳述するまでもないところであろうと存じますが、要点のみを申し上げますと、
第一は、郵便貯金預金者に対するサービスを拡充さたいというのであります。
郵便貯金事業の現状を見ますと、民間金融機関と比較した場合、預金利率において劣る点があると見られるほか、窓口施設等でも著しく遜色があり、改善の必要が痛感され、また、預金者のための福祉施設についても検討の要があるものと思われるのであります。
郵便貯金が国民大衆の貯蓄の集積であるとともに、国家資金源中に重要なる地位を占めている事実にもかんがみて、サービスを一そう拡大充実すること等により、預金者の福祉の増進と国家資金の確保に資されたいのであります。
第二は、預金者に対する貸し付け制度等を検討されたいというのであります。貸し付け制度の創設については、かねてから預金者筋からの強い要望があり、当委員会においても再三にわたり検討方を促してきたところであります。言うまでもなく、貸し付け制度は、預金者の不時の出費に応ずる一方、長期性貯金の解約防止にも役立ち、預金者、事業側いずれにとっても望ましい制度であります。また、かかる貸し付け制度等の融資の開始は、従来とかく貯蓄のみの事業とされていた郵便貯金事業に新生面を開くことにもなると思われるのであります。これらの観点から本制度の開設等に関し検討方を強く政府に要望いたしたいのであります。
いまや、郵便貯金の総現在高は、二兆円を突破し、事業史上まれに見る好況下にあります。この恵まれた時期においてこそ、事業の将来策を案ずべきであると思うのでありまして、当局が長期展望に立ってこの決議案の趣旨を含め、広く事業各般にわたり検討されるよう強く期待する次第であります。
何とぞ全会一致本附帯決議案に御賛成あらんことを希望いたしまして、私の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/5
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006・内藤隆
○内藤委員長 採決いたします。
佐藤洋之助君外二名提出の動議のとおり、本案に附帯決議を付するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/6
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007・内藤隆
○内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/7
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008・内藤隆
○内藤委員長 次に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/8
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009・内藤隆
○内藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
この際、先刻決議いたしました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議について政府の所信を求めます。徳安郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/9
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010・徳安實藏
○徳安国務大臣 ただいま承りました委員会の附帯決議に対しましては、十分尊重いたしまして、検討を加えながら、すみやかに御期待に沿うように政府も最大の努力を払いますことを申し上げたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/10
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011・内藤隆
○内藤委員長 なお、両案に関する委員会報告書の作成等については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/11
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012・内藤隆
○内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/12
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013・内藤隆
○内藤委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。栗原俊夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/13
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014・栗原俊夫
○栗原委員 NHKの四十年度の予算の審議にあたりまして、最初の質問でございますが、まずNHKにお尋ねしますけれども、おそらく年度年度に予算を立てるにあたって、今年はひとつここへ重点を置いて一カ年間を過ごしていこうという目的があると思うのですが、昭和四十年度の予算を組むにあたって、今年は特にここを重点にやろう、言うならば、四十年度の特徴というようなもの、ことしはこういうことをやるのだというような特徴的なものがありましたら、ひとつ浮き彫りにして簡単に御説明をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/14
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015・前田義徳
○前田参考人 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。
昭和四十年度の予算の基礎となる私どもの考え方は大体三つございます。
第一は、もちろん聴視者との関係でございまして、従来にもまして、できるだけ費用のかからない方法で置局を促進してまいりまして、全国の聴視者の御要望にこたえたいということが第一点でございます。
また、聴視者との関係ではっきり打ち出した第二の基礎的な考え方は、従来の聴視者との関係をさらに総合的により密着さしていく方法を考えて実行してまいりたいということであります。
簡単に申し上げて以上二点が今度の予算の中心題目でございまして、これはすべて——繰り返すようでございますが、聴視者との関係、国民の要望により責任を自覚しながら積極的にこたえてまいりたいということでございます。
第三は、こういう方針を実行するために協会内において協会の業務のあり方を根本的に再検討して、より合理的、また、より節約を旨としまして、同時に、この二つのたてまえを足場としてNHKの近代化をはかることによって、ただいま申し上げた第一並びに第二の基本方針を固めてまいりたい、こういう考え方でございます。
簡単でございますが、以上の点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/15
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016・栗原俊夫
○栗原委員 本年の基本的な方針といっても、それは事新しく昭和四十年の方針ではなくて、おそらくNHKの毎年毎年の基本方針がそのまま四十年度の方針になっておる、このようにお聞きしたわけでありますが、そこでやはり放送法が要求しておる全国あまねく聴視できるような実態を一日も早く整えなければならぬ。それには置局をふやしていくのだということでありますが、単に置局ばかりでなく、電波のあり方等も、いろいろ中波だけでなくて新しい波を使うということのようであります。そうしたものと関連して置局をどうふやすか、またその内容はどういうぐあいに変わるのか、そしてそう変わることによってカバレージはどんなぐあいにふえていくのか、こういうこと等についてあらましお伺いいたしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/16
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017・田辺義敏
○田辺参考人 お答え申し上げます。
現在NHKは中波で第一放送、第二放送、それからラジオの分野といたしましてFM放送、テレビジョンにつきましては総合テレビジョンと教育テレビジョン、以上の全国放送網を持っておりますが、それらにつきまして御質問の点に関して要点だけお答え申し上げたいと思います。
まず、中波の第一放送につきましては、昭和三十九年度、本年度末におきまして局数は全部で百六十四局ございます。カバレージは九九・九%でございます。それを四十年度におきましては二局追加いたしまして、カバレージといたしましては、二局程度でございますので数字の上では増加してまいりません。やはり九九・九%でございます。第二放送につきましては、三十九年度末におきまして総局数が百二十五局ございます。これもやはり四十年度に二局置局いたしますが、三十九年度末のカバレージ九八・二%と同じようなカバレージが続いてまいることになっております。
FM放送につきましては、現在モノラルにつきましては実用化試験局、ステレオ放送につきましては実験局という形で放送網を形成しておりますが、三十九年度末におきましては局数が五十になります。カバレージは八〇%でございます。四十年度におきましては、さらに四十局建設いたしまして、カバレージを八四%まで持っていく予定でございます。
次に、テレビジョンにつきましては、総合テレビジョンにつきましては、昭和三十九年度末におきます総局数は二百五十八局の予定でございます。このカバレージがちょうど九〇%になります。昭和四十年度におきましては百二十局建設いたしまして、カバレージを九三%まで持っていく計画でございます。教育テレビジョンにつきましては、昭和三十九年度末におきまして総局数が二百五十四局、カバレージはやはり総合と同じく九〇%でございます。これも総合と同じように、まだ若干教育のないところがございますので、百二十四局建設する予定でございまして、その結果総合と同じく四十年度末には九三%になる、そういうふうな予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/17
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018・栗原俊夫
○栗原委員 いまの御説明で大体わかったわけでありますが、テレビのほうは私はしろうとでよくわかりませんが、普通総合、教育で使っておる波と違った波を出しておるところがあるやに聞いておるのだが、そういうものはないのですか。Uの波とかなんとかいう波を出しておるところが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/18
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019・田辺義敏
○田辺参考人 お答え申し上げます。
テレビジョンを開始いたしました当時の第一次チャンネルプランというもので、全国に四十九地区基幹的な地区を割り当てておりましたが、それに関しましては全部VHFでございます。その後第二次チャンネルプランというものが決定されまして、置局の場所が追加されたのでございますが、その中には約三分の一弱のUHFの割り当ての地区が中継局として割り当てられてございます。
いま御質問の点はそのUHFのことかと思いますが、漸次UHFの割り当て地区につきましてはUHFの送信を開始しておりまして、先ほど申し上げました局数の中で現在約三十五ほどUの電波を出しておる地区がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/19
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020・栗原俊夫
○栗原委員 そうしますと、先ほどの総合二百五十八、教育二百五十四、こういうものの中にすでに三十五局ほどUHFの波を出しておるところがあるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/20
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021・田辺義敏
○田辺参考人 さようでございます。先ほど三十五と申し上げましたのは現在でございまして、この総合二百五十八という数に相当いたします年度末の間もなく開局いたしますものの数に直しますと、三十九地区ございます。訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/21
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022・栗原俊夫
○栗原委員 そこで四十年度に総合百二十局、教育百二十四局の増局をする、そうすることによってそれぞれカバレージが三%ずつ上がるというお話でありますが、こうした取り残された難視聴区域にこれから増置局する、こういうものの内容は、Vの波でなくてUの波が大部分を占めるのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/22
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023・田辺義敏
○田辺参考人 約半分がUの割り当てになると思います。あと半分が在来どおりのVでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/23
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024・栗原俊夫
○栗原委員 Uの波が出ていくと、Uの波を受ける受信施設というものが必要になると思うのですが、それには従来難視聴であるけれどもVの波を見ておったというところは、既設のVの波を受けるテレビの機械にコンバーターとかなんとかいうものを取りつける、こういうことになるのでしょうか。いままで難視聴というよりも、全然だめだ、あるいは難視聴で、見たいけれども待っていようというようなところは、新たにU専門の受信機というようなものが取りつけられるのでしょうか。あるいはVも見える、Uも見える、こういうような機械開発の方向なんですか、この辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/24
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025・田辺義敏
○田辺参考人 いずれにいたしましても、Vだけを受け得る受信機ではUの波が受けられませんので、これはUをVに変換いたしまして、受像機の中でそれをVに直すか、あるいは別に外にコンバーターと称するものをつけるか、いずれかと思いますが、わが国におきましては、UもVも同じ受像機の中で単一の方式をもちまして受けるような受像機が、現在まだ日本では国内向けとしては生産されておりません。しかしながら、コンバーターを中に入れ込みまして、一つの箱の中でそのコンバーターもついておりまして、外から見ますと、いわゆるオールチャンネルのような感じのものはすでに出ております。したがいまして、そういうふうな初めてUが置局されます地区におきましては、そういうふうなコンバーターがすでに入っておりまして、一つの受像機の中でチャンネルを切りかえるようなことをすれば、Vと同じような操作でUが受けられますものも出回りつつございます。
それから、御指摘の在来のVの受像機だけで、すでに状態があまりよくないけれども、これを受けておったという人に対しては、コンバーターだけを別に装置いたしまして、これと在来のVとを組み合わせてUHFの放送を受ける、そういうことになりますが、その場合も、外にコンバーターを置きましても、中に初めからコンバーターが入っておりましても、原理的には同じことでございまして、ただ、それぞれの方の御都合によりまして、初めてお買いになる方は一つになったやつを買ったほうが便利である。そういうことが言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/25
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026・栗原俊夫
○栗原委員 そうすると、受像機の開発については、それはもちろん主体的にはメーカーが開発していくのだろうと思いますけれども、やはり何といってもプロモーターになるのはNHKだろうと私は思うのですよ。そこで、私が何でこういうことを聞いているかというと、たとえばUの波だけ受ける単独の受像機、こういうものがもし開発されていくという場合を、私しろうと考えで想像すると、そうするとNHKがこれから増局していって、そこからUの波を出す。そこでそれを受けようと思って機械を買う。そうすると、そこへは総合のUならばUの波だけしかこないということになる。これしか見られない。たまたまそこから総合と教育テレビのUの波が出れば二つは見られるけれども、民放は見られない、こういうことになりはせぬかと私のしろうと考えで思うわけです。そうなると、確かにNHKの波は見られるけれども、しかし一般にNHKのものだけ見ておればよいと割り切るお客さんは少ない。だからNHKも見たいし民放も見たい、こういうことなので、今後、いままで難視聴区域で、あるいはまるで見られない区域へあまねくというたてまえに立ってUの波を送り込むという場合に、民放との関係は一体どうなるのかということが、まあしろうと考えの私として非常に知りたいところなんです。ですから、NHKがUの波を出してこれから見せるんだというところへ、民放も見せてやるくめんというものがあるのかないのか、この辺を聞きたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/26
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027・田辺義敏
○田辺参考人 お答え申し上げます。
商業放送も同時に電波が出てほしいということは、一般国民の望むところかと思います。これは特にUの地区に限らず、Vの地区におきましてもさような要望はあるかと思います。
そこで、在来も、郵政省のほうにおかれましても、チャンネルの割り当ては全部UとVのいかんにかかわらず、NHKと商業放送両方に割り当てがございまます。その場合に商業放送とNHKと十分相談いたしまして、できれば同時に電波を出す、あるいは、若干商業放送のほうがおくれましても、なるべく早く出してもらう、そういうふうな政策でよく話し合いながら、場所の決定とかその他につきましても仕事を進めてまいってきております。
御指摘のUの地区につきまして二、三の例を申し上げますならば、東京の付近におきましては、銚子におきまして、これは建物、道路、あるいは電気の関係、あるいは鉄塔、こういうようなものを全部共同のものをこしらえましてほとんど同時に開局する。昨年のオリンピックの直前に開局いたしましたが、そういうふうなことをとりまして、銚子の場合でございますと、東京の民放が五社ございますので、NHKの総合、教育を合わせまして、七波出ております。七波が、送信機は別になっておりますが、同じ建物の中に機械をそれぞれ置きまして、鉄塔も共用いたしまして——アンテナは別でございますが、鉄塔は共用いたしまして、それから七波が出る、こういうよう形なを、総合放送とそれぞれ話し合いまして、それぞれ合理的な経費の配分を分担いたしまして工事をやっております。現にその他の関東地区につきましても、そういうような方針で、たとえば前橋地区などにつきましても、同じ方針で現在打ち合わせが進行しておりまして、きわめて円滑にそういう方向に向かっておりますので、開局いたします場合には、前橋の場合にもほとんど同時期に七波が出る。Uも七波が出る。そういうふうなことを御期待願ってけっこうかと思います。
なお、これにつきましては、別に東京周辺のみならず、全国的に同じようなポリシーで仕事を進めております。ただし、商業放送が、いろいろな経済的な理由で、どうしてもNHKと同時に同じような形でできないという地区もございますので、こういう場合にも、将来のことは十分考えておりますが、若干商業放送のほうが電波を発信する時期が遅れるというところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/27
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028・栗原俊夫
○栗原委員 よくわかりました。ただ、私は、そこで一応懸念を持つのは、純理的に言えば、NHKも民放も同じ波を出すのだから、これを建設するについての分担金については、まあまあ対等でということが一番単純で合理的であるという形になるのかもしれませんが、片一方はそろばんを持った経済的な立場ですから、やはり負担の範囲というものが受益の限度においてということでもって考えられる。それだけNHKのほうがよけい負担するというような場面があるいは出るかもしれませんけれども、この辺は十分無理のないところで、しかも民放も聞けるような施設を一日も早くつくらせるくめんをしてやってくれることが、民放から受信料に対してやっかみをあまり言わせない道でもあるのではないか。そうしてまた、そのことが全視聴者に対してのサービスを一日も早く全うする道ではないか、このように考えるので、ひとつ適正な方向で、一日も早く、単にNHKの波が難視聴地域に届くだけでなくて、それを契機に民放も届き得るようなくめんをひとつぜひやっていただきたい、こういうことを特に要望しておきたい、私はこのように思います。
そこで、次でございますが、こうしてあまねく各地に行き渡るということになると、勢い次には、その波に乗ってくる内容の問題、すなわち番組の問題になろうかと思うのです。先ほど会長は——私は、四十年度の特徴的なものの中に、番組の問題に触れられるのではないかと実は耳をすましておったのだけれども、三つの中には番組は入っておりませんでした。それは言わずもがなだから言わなかったのだろうと思いますが、前の会長にも聞いたのですが、単に波を送るということでなくて、やはり受信料を取って放送するわけでありますから、番組については、NHKとして、自信のある、責任のあるものをつくらなければなりません。
私は、前の会長にこういう質問をしたわけです。内容については、それでは受信者がNHKから送られる電波は聞かずにはおれないような番組をつくるのですか、こういうお尋ねをしたのですが、これに対しては、前会長はまことに名答弁をして、私も引き下がったわけですが、今回ひとつ会長から、番組作成にあたって、NHKの電波は視聴者として見ずにはおられぬ、聞かずにはおられぬ、こういう番組をつくるのだという方向でおつくりになるのですか。この辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/28
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029・前田義徳
○前田参考人 ただいまいただきました御質問に対して、私は、非常に簡単でございますが、御説のとおりの立場でこれをつくってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/29
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030・栗原俊夫
○栗原委員 これはなかなかむずかしいところなんで、前会長はどう答えたかと申しますと、見ずにはおられぬものをつくるとは言わぬです。見るに値するものをつくる、こううまく逃げられたので、私はあんぐりして実は引き下がったのですが、見ずにはおられぬというものをつくるということで、経費の関係もありますが、徹底的に追い込んでいくと、民放との関係がなかなかたいへんなことになってくるわけです。だから見ずにはおられぬものをつくって、全視聴者が全部NHKにスイッチを入れちゃうということになると、民放のほうがたいへんになってきて、あとから幾らか触れますが、「赤穂浪士」は二百万円だなんて言っているけれども、あれは六百万円もかけて、そしておれたちの時間を圧迫するんだというような議論が出てくるんですが、しかし私は、受信料をいただいて、そして公共放送というものを、あまねく電波を届けるという限りにおいては、見ずにはおられぬ番組をつくる意気込みでこれはつくっていただきたい、このように思うわけです。
ただ、問題は、聴視料の問題と、それから番組作成の経費との見合いの問題もありますから、見ずにはおられぬものをつくるにはこれだけ金が要るんだ、それだけはどうしても視聴料としていただかなければならぬのだと、制作費のほうに基準を置いて視聴料のほうをきめていくというような行き方だと、なかなか問題が起こるので、一般に承認される視聴料の中で、でき得る限り見ずにはおられぬものをつくるという経費関係を確立する、こういう方向でいっていただきたい、このように考えます。
そこで、少しく今度は、放送内容の問題に入るわけなんですが、放送法第一条の不偏不党ということを要求されておる。「不偏不党」、この問題はどのようにお考えでありましょうか、ひとつ端的に所信の表明を願いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/30
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031・前田義徳
○前田参考人 不偏不党の問題は、これは少なくとも、私どもに関する限り、本質かつ最も重要な問題だと思います。私どもといたしましては、単に放送法のことばでの表明の不偏不党というだけではなくて、これを体して、技術的に制作するということのほかに、私どもは、私以下全員が、社会的責任を痛感しながら、放送法による不偏不党の内容を、身をもって、絶対的な責任感の上に立って番組制作の基準といたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/31
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032・栗原俊夫
○栗原委員 ただいま前田会長からお聞きのようなお答えがあましたが、これは今度政府当局政務次官にお伺いするのですが、この不偏不党、こういう原則をどのように具体的に考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/32
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033・服部安司
○服部政府委員 当然なことで、それを貫くべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/33
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034・栗原俊夫
○栗原委員 どうもあまり、禅問答のお答えのようで、ちょっとわからぬのですが、いま少し私にわかるようにかみ砕いてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/34
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035・服部安司
○服部政府委員 栗原委員の御指摘のとおりで、不偏不党の精神でやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/35
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036・栗原俊夫
○栗原委員 私はまだ何も言っておらぬのです。政府のほうの見解をお尋ねしている立場なんで、いろいろ世の中には対立もある、それは政治的な対立もある、経済的な対立も、労使の対立もある。いろいろな対立がある。こういうものに処して、不偏不党というものを具体的には、たとえばというような形で、ひとつ政務次官のいいところをずばりとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/36
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037・服部安司
○服部政府委員 不偏不党とは、これ以上のことばはないと考えます。だから不偏不党の精神でこの放送法を実施すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/37
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038・栗原俊夫
○栗原委員 NHKにお尋ねしますが、やはり法律の第四十四条第三項第二号には「政治的に公平であること。」、第四号には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」 こういうように規定しているわけでありますが、まず最初は、「政治的に公平であること。」こういう規定をどのように具体的には取り扱うか、その心がまえをお聞かせ願いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/38
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039・春日由三
○春日参考人 お答え申し上げます。
具体的には、私ども番組をつくっております幹部といたしましては、あるいはNHKの番組をつくっている現場の人間といたしましては、この四十四条が私どもの番組をつくる憲法だと考えておりますので、その趣旨を受けまして、私どもが番組の編成の基準といたしております番組基準にも、そのことを特に強調し、それを全番組制作者に日常持っておりますよう一定の書類として持たせております。したがいまして、個々の番組をつくります場合にも、その精神が貫かれるような配慮を、番組委員会におきましても、それから各局の番組制作の責任者の会議におきましても、常に戒心をし、また注意をしながら制作しているわけでございます。
具体的に申しますと、いろいろなケースがございますが、たとえば毎週御利用願っております国会討論会、政治討論会というふうな場合に、政府の立場、与野党の立場、それがいまの四十四条の公平の上からいっても、それから、問題のあるときにはできるだけいろいろな角度からというふうなものにもおこたえすべく、事前に御出演くださる方々の選定、問題の選び方など、具体的に個々の番組においてその精神が生かされるような注意をしながら、番組を作成しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/39
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040・栗原俊夫
○栗原委員 これは、大臣、いま来たばかりで、ちょっ戸惑いになるかもしれませんが、いま放送法の内容について、不偏不党というあり方についてお尋ねをしておるわけなんであります。日本放送協会についていまこういう規定があることを論議しておるわけでありますが、しかしこの法は一般放送事業者にもこれを準用しておるわけです。ところが、基本的に違うのは、一般放送事業者のほうは、スポンサーがついて放送をやっておるのが多くの場合です。ときには自前でやる場合もあるでしょう。十二チャンネルあたりには、自前でやっておる時間もあるやに聞いておりますが、大体スポンサーがついておる。ここでよく一般に錯覚を持つのは、放送とその他のマスコミ・メディアとの違いだと私は思うのです。新聞は広告スペースを買えば、その広告スペースの中には、一応プレスコードか何かというようなものはあるかもしれませんが、大体常識的にスポンサーの思う内容を盛り込めるスペースになると思うのです。しかし、私は、放送に関しては、かりにスポンサーであっても、金を出しても、それはでき上がったものを買うのであって、金を出すからその内容について容象するという権限は、全然ないのがこの徹底した規定だと私は思うのですけれども、この点についてはいかがですか、大臣からひとつお答えを願いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/40
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041・徳安實藏
○徳安国務大臣 そのとおりであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/41
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042・栗原俊夫
○栗原委員 これは、私は不勉強なのでよくわかりませんが、社会党でも短波放送か何かでもって、社会党アワーとかいうようなものをやっておると聞いております。もちろん与党である自民党でもやっておられると思うのですが、かりにこういうものでも、やはり時間を買い切ったから、その時間内には何を放送してもいいということがあってはならぬ、と私は思うのですけれども、この辺は放送法からいってどうなんでしょうか。私も党でもって相談して発言しているのではないので、しかられるかもわかりませんが、私の感じでもってこれはやっておるのですが、放送というものはやはり他のマスコミ・メディアとは違うんだから、時間を買えばその内容は買った者が適当に盛り込んできていいのかどうか、この辺はなかなか重大問題だと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/42
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043・徳安實藏
○徳安国務大臣 編集の責任者は、もちろん事業者が全責任を負うことは申し上げるまでもございません。これはその責任があるわけであります。ただ、いまお話しのような、かりに自民党にしましても、社会党にしましても、政府にいたしましても、短波等で放送する場合に、約束しました時間だけには、正しい自分のほうの主張を盛り込まなくてそのままで言い得ることはできるかと思います。あるいは社会党のほうで、自分のほうはこういうことだということで御宣伝なさることも決して悪いことではないと思いますし、また、自民党がやっても、あるいはまた、政府のほうで政府の施策について、こういう施策を行なっておるということを放送いたしましても、これは放送法違反にならぬのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/43
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044・栗原俊夫
○栗原委員 これはたまたま与党であり、また野党第一党の社会党がやっていることだから、とかくそんなぐあいに解釈したいのだけれども、私は、これは大問題だと実は思っているのですよ。ということは、放送で時間を買うその時間の中が、新聞広告のスペースを買ったようなつもりで、内容を思うがままにスポンサーが扱えるということが、それでいいんだということになると、これはなかなかたいへんな問題になってくるんではないかというように実は私は考えます。この点はちょっと大臣に聞いておいて、監理局長にその訂正を求めるようなことがあっては問題なんですが、監理局長はどんなぐあいにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/44
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045・宮川岸雄
○宮川政府委員 放送法四十四条におきまして「協会は、」ということがございますが、これはもちろん一般放送事業者にも該当することになるわけでありますが、編集にあたっては、その定めるところによらなければならないというふうになっておりまして、「政治的に公平であること。」というのが第三項にあるわけでございます。法律的な解釈といたしましては、これは協会、一般放送事業者の準拠すべき心がまえといたしまして、編集にあたってということでございますので、全体の番組を貫きまして、その編集計画の中身におきまして、政治的に公平が保たれればそれが法律に該当する、こういうふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/45
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046・栗原俊夫
○栗原委員 どうも局長の答えは私の質問に答えてないな。ということは、私の問おうとしていることは、時間を買えば、その時間の中の放送内容というものを、時間を買った者の恣意によって編集することができるかどうか、こういうことを聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/46
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047・宮川岸雄
○宮川政府委員 どうも失礼いたしました。
その場合におきましても、もちろんその内容は、先ほど大臣のお答えいたしましたように、編集者の責任でございます。ですから、スポンサーの恣意によってということでなく、編集者があくまで法律その他の精神に、またすべてのことに対しまして適法であるということの判断を下してその責任において放送しているものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/47
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048・栗原俊夫
○栗原委員 もしいま言うように時間でもって買った——いま監理局長は形式論理からいってそれは決してスポンサーの恣意によって編集するのではなくて、まあ以心伝心というか、資料を集めてそしてスポンサーが最も好みそうな内容を編集する、しかもそれが放送法の規定には反しないんだ、こういうことであればいいんだ、こういうことなんですが、そういうことになると、放送というものが金によって相当歪曲されていく危険がここに伏在しておるような気がするのですよ、率直に言って。もっと端的に言えば、かりに特定な政党に放送局一局を許したということになって、これがバンスカ、バンスカ自分のものを放送するというようなことにまで発展していくような気がしてならないのだけれども、そんなばかものは許可しっこないのだ、こう言い切れば、議論としてはそれでもっておしまいになるけれども、どうもこの辺、私には割り切れません。私も勉強しますが当局のほうでも、新聞の広告、雑誌の広告などとは違って、見ようと思わなくてもスイッチを入れればすっ飛んでくるという一つのメディアですから、そこに普通のマスコミ・メディアと違った価値のあるマスコミメディアなのですから、やはり放送内容の編成についても、一般のマスコミとは全然迷ったシビアーな規制が必要なのではなかろうかと考えるわけです。
そこで、実は先般も問題になったと思いますけれども、田中大蔵大臣が「大蔵大臣アワー」というもののレギュラー・タレントになったということが週刊誌に盛んに報道されて、なるほどまさにタレントタイプで、和服を着て——テレビに出るのですから幾らか顔も直さなければならないので、パフでパタパタ顔をたたいている写真などが出ているわけです。こういうものははたして——私は、大蔵大臣でなくて田中角榮さん個人なら毎日出てもかまわぬと思うのですよ。政党政治の中で、時の与党自由民主党の堂々たる大幹部である政党人である立場の人が、数カ月にわたってテレビタレントのレギュラーというような形で出ていくことが、はたしてこの放送法でいっている、不偏不党であり、政治的に公平であり、しかも、意見の対立しているものはでき得る限りあらゆる角度からこれを見るのだというような、こうした心配されることに対して諸規制がある、この諸規制と照らし今わせてこういうことになるか、まず技術的に局長に答えてもらって、政治的には大臣からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/48
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049・宮川岸雄
○宮川政府委員 この問題につきましては、その編集の企画が那辺にあるかということにつきまして編集者のほうからの答えをいただいているのでございますが、それによりますと、こういう時間を設けることによりまして、時の政府が何を考えているか、また、それに対して国民はこういうふうに考える、ああいうふうに考えるというような問題を、そこで討論して浮き彫りにしていくということをねらったものであるというふうに、編集者のほうで言っております。そういうことを考えてみますと、この番組それ自体におきましても、そういう目的をもってつくられてある以上、当然政治的に公平であるということに対しての十分な配慮が払われているというふうに考えるとともに、先ほども申しましたように、放送法四十四条におきましては、「放送番組の編集に当っては」ということばがはっきりと出ておりまして、その意味におきまして、また、この前も御答弁申し上げましたように、全体の放送番組の編集計画の中におきまして、あらゆる政治的な見解が述べられるという意図をもって編集が考えられておるならば、これまた四十四条第三項第二号には当然該当する政治的に公平であるというふうに解釈いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/49
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050・栗原俊夫
○栗原委員 ただいま全体的な編集の中で、こういうのが局長の苦しい答弁なのです。あえて苦しいと私は言いますけれども、まことに苦しい答弁です。私は、不偏不党であり、政治的に公平である、こういうことは、その限界は反対党から猛烈な意見の出ないというのが私は限界だと思うのですよ。かりに与党の自民党の方がどんどんテレビ放送に出ても、野党のほうからその程度はあたりまえだと言われるのが私は限界だと思うのですよ。野党のほうからそんなばかなことがあるかと言われるのは、これはもはや不偏不党でなくして、政治的な公平な立場ではないと思うのです。それでは与党や大臣が出ることを、一々全部野党の社会党が、それはおかしいじゃないかというかというと、そうじゃありませんよ。一々言いませんよ。したがって、反対党が目にかど立てて反対に立ち上がる、そこには私は限界があるのでないか、こう思うのです。しかも、いまのような議論から言うと、もちろんこれは番組審議会を通っておりましょう。番組審議会を通っておれば、それで一切は政治的に公平であり不偏不党なんだ、こういう位置づけができるのがどうか。しかも、政治的に公平ということを要求されておるときに、野党第一党から猛烈に反対の声が上がるようなあり方を政府与党がやっておっても、番組審議会でオーケーをもらえば、それで政治的に公平なんだときめられるのかどうか。ここが私の聞きたいところなんです。大臣の政治的な判断をお願いいたしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/50
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051・徳安實藏
○徳安国務大臣 御質問もございましたので、口だけではいかぬからと思いまして、先方に書類で、国会審議に協力される意味において、その意図されるところを聞きたいという書簡を出しまして、向こうから回答が参っております。その回答によりますと、一応非の打ちどころのないような書類で回答されておるわけでございます。しかも三カ月とかいうようなうわさをされておりますが、向こうの回答では、向こう一カ月だというように参っております。もし社会党のほうの大蔵大臣ができましたら、もちろん社会党の大蔵大臣でありましょうとも、こういうことを聞いて、そうして国民に親しまれるようなことをしたいというようなことを書いておるようであります、これは一例ですけれども。
そこで、決して政府のちょうちん持ちをするわけではございません。時の台所を受け持つような重要な職におられる方から、それに配するに、必ずしも自民党やそれから大蔵大臣のちょうちん持ちをする人を相手方として出すわけではありません。十分これを聞きただし、また反対は反対として言い得るような、国民にはっきりとした、話し合いの趣旨が一方に偏しないようなものになるように苦心して考えております。したがって、相手方の人選につきましても相当の配慮をいたしておりまして、決して同一人でちょうちん持ちの者を並べてはおりません、こういうような申し開きと申しますか、趣旨を書いてきておるわけであります。これを法のたてまえから申しますと、こうして書いてきておることが眞実守られておりますならば、一がいに私どもが法の上でどうこうと言うことは一応言えないような形でございます。問題は、はたしてそういうことが一般に考えて編集責任者として妥当であるかどうかという、今度は良心的な問題になろうかと思うのでありますが、これらは院内での皆さんの御意見等も相当にわかっておると思いますから、全般を通じて決して一党一派に偏して、そして中立性を失うような、そういう編集方針ではなかろう。もしそういうことがあらわれて、そして法の精神に反するという場合には、もちろん私ども注意をいたしたいと思いますけれども、いまの段階におきましては、そうも言い切れないような状態でございますので、見守っておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/51
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052・栗原俊夫
○栗原委員 どうも大臣の説明だけでは納得し切れません。商売をやっておる放送会社のことでありますから、いろいろとこれを理屈づけて回答されておると思うのです。特に、社会党が大蔵大臣をつくったならばという、そういうことじゃないのです。少なくも、意見の対立するものについてはあらゆる角度からということは、与党であり野党である。特に政党内閣の大臣である、こういう立場に立てば、その反対的な立場は、少なくとも野党第一党は、これに対置しなければならぬ。NHKの国会放送においては、野党第二党である民社まで入れて国会放送をやるという形の中で公平を期しておる、こう思うわけです。そして、これはまた、一つには単に放送会社の編集ということだけではなくて、出ていく本人にもやはり相当問題があると私は思うのですよ。そこで、政党の幹部であり、政党の幹部としてたまたま大蔵大臣になっておる田中角榮君に、大臣として国会の逓信委員会でこういう論議があったから、君、ひとつやめたらどうだ、やめるべきだ、こういう勧告ができますか。もしできれば、私はここへ田中角榮君に来てもらって、ここでもって議論の中で勧告したい、このように思いますけれども、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/52
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053・徳安實藏
○徳安国務大臣 放送番組につきましては、いろいろ御意見があろうかと思います。先方の話では、決して大蔵大臣の独演会には終らせません、そういう行き方はやりません。ということを、かたく私どもには書類をよこしておるわけでありますから、意見の対立する者も加えて、そして話し合いをするような場をつくったわけでございますと言っておるわけでございます。
そこで、この編集者がただわが党の、あるいは政府の者だけを呼んで、年じゅうそういうことをやって、社会党のほうの方は全然考えないというような行き方があるといたしますれば、これはその編集者が全体を通じての偏狭な考え方だということも言い得ますけれども、いまではそうも考えられませんので、そこで、この質問のありましたること等は、私から大蔵大臣に話はしてございます。こういう御意見もございまして、こうでごいますという話はしてあります。でありますから、この質問のあった様子等は、大蔵大臣も詳しくは存じなくても、模様は大体承知しておられると思いますから、まあお互い政治家ですから、ひとつあんまり問い詰められなくて——これはどうしても呼んでお話し合いになるということは別問題でありますけれども、全然してないわけではございません。この話は大蔵大臣にもしてございますから、あんまりこれ以上ひとつ御追及にならなくても、この程度でいかがかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/53
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054・栗原俊夫
○栗原委員 これは、もちろん大蔵大臣といえば時の人ですから、この人が出ていろいろ議論をすれば視聴率が高いことはわかっています。そしてまた、そういう必要のあることも私も承知しております。しかし、それは時の人として、時の問題をとらまえて一回すぽっと、少しはワイドでやっても、四十五分が五十分、一時間になっても、それはいいと思うのですよ。しかし、相当長期間にレギュラーのタレントとは何ごとですか。冗談じゃないですよ。ひとつ呼んでもらいましょう。それまで私は待ちます。委員長、田中角榮君にここへ来てもらってください。——それでは理事会ではかってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/54
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055・内藤隆
○内藤委員長 それでは、この際暫時休憩いたします。
午前十一時三十分休憩
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午前十一時五十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/55
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056・内藤隆
○内藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
質疑を続行いたします。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/56
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057・受田新吉
○受田委員 私、いま議題にしておられる放送の内容についての不偏不党の問題だけに関連して一言だけお尋ねしたいと思います。
放送事業の本質的な問題を討議しておられるのでありますけれども、この問題は国民に与える影響が非常に大きい問題でありますので、特に放送法第四十四条の協会の放送番組編成使命について、私から取り上げてお尋ねしたい点が一つだけございます。これはNHKの場合に、この不偏不党のうちで、不党ということばをどういうふうに理解しておられるか、いまの質疑応答の中身から、不党ということばについて政治的公平という解釈以外のことばが出ておらぬようでございますけれども、不党というのはくみせずということばで、いずれの政党にもくみせずという意味を含んでいるのかどうか、お答え願いたい。超党派という意味かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/57
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058・前田義徳
○前田参考人 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/58
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059・受田新吉
○受田委員 実は、この間、具体的な例を引きますが、予算案の通過の晩の「ニュースの焦点」で、自民党と社会党の方々のかけ引き、その結論というものは、詳細に報道されましたけれども、いま、せっかく栗原議員も、民社党も野党第二党として国会討論会に出ておるような立場にお引き立て願っておるのでございますが、「ニュースの焦点」などでは、たとえ一分でも二分でも、民社党はその間にいかに良識的な予算案の解決をはかろうとしたかを、やっていただけるかと思って期待をしながら見ていたんですけれども、最後の最後まで民社の「民」の字も出なかった。こういうことは、意見の対立しておる問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしていただくという第四十四条の規定からも、民社党の存在意義も、これはいずれの党にもくみせずという意味であるならば、どの一角かで取り上げていただきたい。せっかくこれはNHKの苦心の作品であると思いましたけれども、私どもとしては、こういうところにも心づかいをしていただくことが大事なことであると思うのです。たとえ議席の数は少なくても、野党第二党に厳としてそびえておることを御認識願いたい。この点、ちょっとお答え願うまでもなくお考えいただけると思いますから、一応それは省きます。お答えいただかなくてもけっこうです。要望しておきます。
ただ、もう一つ、いま栗原議員が議題にされている民間放送の関係は、私も、スポンサーがうんと金を出すところが政府与党に味方するおそれがあると思います。この点は、国民に与える印象の上からも、編集者のほうで、スポンサーの政治的要求を退ける大きな力を十分発揮してもらいたい。そういうふうに郵政省も指導していただきたい。この点を申し上げておきます。事実問題として、スポンサーが金を出す以上は、金を出す目的を果たさなければ承知しないぞという心がまえになる危険があるのです。そこは、郵政省が監督官庁として編集者に良識的な編集をさせるような御努力を十分お含みの上でお約束していただけば私は質問を終わりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/59
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060・徳安實藏
○徳安国務大臣 御懸念のような点が、あるいは最近あったのですか、どうですか、私は少し不明ですが、むしろ、各政党に対しましては、民放もそっぽを向いたような形のほうが多くて、どっちのほうに力持ちするなんということは、最近、私どもはないように——むしろ、政治家のほうが、もう少しぐらいは、いまお話しのように、私らのことも言ってくれたらいいんじゃないかというような御議論のほうが多くて、時の政府、時の与党に迎合するような編集を、ほとんどもう意識的に避けておるような状態だと私は思います。ですから、今後もそうした問題につきましては十分気をつけますが、相当良識のある諸君であり、また番組編集につきましては、世間が非常に注意深くやっておりますから、そういう懸念は、おそらくないんじゃないか。また、あるといたしましても、そういう点につきましては私どもも、これは行政庁として、一党一派に偏せず、公平妥当な取材によって編集することと思いますから、その精神は貫けるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/60
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061・内藤隆
○内藤委員長 栗原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/61
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062・栗原俊夫
○栗原委員 先ほどの不偏不党に関連して、政治的公平の問題に及び、「大蔵大臣アワー」の問題につきましては、先ほど理事会で話し合いがありましたので、一応郵政大臣の善処に期待しながら、そのあとは留保しておく、こういうことにいたしたいと思います。したがって、続いてNHKの予算の問題をさらにお尋ねいたしたいと思います。
ここ数年来、急激に伸びてきたテレビ受像機でございますが、一応入るべきところへは入って、その増加趨勢が頭打ちになったといわれておりますが、ここ二、三年来の増加の実績と、四十年度の増加見込み、こういうものを数字をあげて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/62
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063・小野吉郎
○小野参考人 お答え申し上げます。
三十七年度から増加の実績を申し上げますと、三十七年度におきましては三百十四万三千件ふえております。三十八年度におきましては二百二十六万五千件の増加でございます。三十九年度は目下該当年度でございまして、まだ決算をいたしておりませんので、三月三十一日現在における状況は、いましばらく時日がかかりますが、現在の時点におきます趨勢からいいますと、今年度当初予算に計上いたしました年間目標と同様の程度の増加にとどまることが見通されます。その数は百三十万件でございます。四十年度、ただいま御審議いただいております予算の中に増加を期待いたしておます数字は八十三万件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/63
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064・栗原俊夫
○栗原委員 こうして一応テレビの受像機の増加は峠を越して、漸増が鈍化して、これからは逓減していくと一応見込まれる、マキシマムの全受像機の個数、こういうものは一応どんなぐあいに押えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/64
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065・小野吉郎
○小野参考人 その前に、先ほどの四十年度の予算に計上しております数字にちょっと間違いがございました。八十三万件と申しましたが、九十八万件を予想いたしております。訂正をいたしておきます。
四十一年度では八十五万と増加を想定いたしております。四十二年度におきましては七十五万、このくらいになるものと見込まれます。そうしますと、四十二年度末あたりにおきます集積しました全体の受信世帯は、千九百四十八万世帯、これだけがテレビ対象世帯になるわけでございまして、日本のその当時におきます推定の総世帯における普及の比率は、約八〇%というように想定をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/65
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066・栗原俊夫
○栗原委員 四十年度の仕上がった、九十八万を加えた集積台数はどれくらいでしたか。これはいま言ったのを引けばいいんですけれども、概算を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/66
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067・小野吉郎
○小野参考人 四十年度におきましては、年度当初におきまして千六百九十万でございます。年度末におきましては九十八万ふえますので、千七百八十八万と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/67
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068・栗原俊夫
○栗原委員 これは受像機を設備しておる世帯数、こいいうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/68
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069・小野吉郎
○小野参考人 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/69
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070・栗原俊夫
○栗原委員 NHK当局は、常にメーカのほうの製造個数、そして輸出個数、各店舗あるいは製造会社の在荷個数等々をにらんで、実際に視聴家庭に設備されておる数字をはじき出しておられるんだろうと思いますけれども、もちろん的確なものはないでしょうけれども、三十九年度年度末千六百九十万、四十年度年度末千七百八十八万、こういう世帯で設備しておる台数、これは一体どのくらいに御想定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/70
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071・小野吉郎
○小野参考人 現在のたてまえは、一世帯に何台ありましても、一契約として計算をしておりますので、ただいま申しました四十年度末における千七百八十八万は、一世帯一台として計算してございます。中には二台以上持っておる家庭もございますので、その台数を計算をいたしますと、これよりもかなり上回りますことは事実でございますけれども、この点につきましては、受信機設置の届け出の制度もございませんし、私どものほうでそれを現実に一々調査をする権能も法律上持っておりませんので、一応はいろいろな推定で出す以外にございません。その推定は、いろいろ日本の過去におけるメーカーの生産いたしました台数、この中で国外に輸出として出ましたもの、現在滞貨となっておりますもの等の関係を差し引き、さらにテレビ受像機の寿命もございますので、何年かすればこれは買いかえて、台数増加にはつながらないものもございます。そういうものを推定しなければなりませんので、まことに不確定な困難なめんどうな調査になりますので、私どもここでおおよそどのくらいと申し上げる自信のある数字を持っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/71
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072・栗原俊夫
○栗原委員 わかりました。実は、私も不勉強なものですから、初めて逓信委員になったときに、受信料の問題でいろいろ議論して、聞き得る設備を持った者は契約せねばならないという、受信料徴収の出発点、これは一世帯ではなかったのですが、一世帯単位になったのはいつでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/72
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073・小野吉郎
○小野参考人 これは放送開始当初からそのようになっております。しかもこの関係は、受信料制度のたてまえをとっております諸外国、ほとんど全部そういったような状況に偶然になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/73
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074・栗原俊夫
○栗原委員 そうでしたかね。そういう機械を持った者はということで、これは何台持ってもいい、こういう解釈だったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/74
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075・小野吉郎
○小野参考人 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/75
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076・栗原俊夫
○栗原委員 いまこちらからもささやきがあったのですが、これは一世帯ということなので、一世帯ならば三台でも五台でもいい。すると、ホテルとかああいうものは、これは別なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/76
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077・小野吉郎
○小野参考人 これは世帯ではございませんので、別でございますけれども、ただいまの四十年度末千七百八十八万件になると申しました中には、そういったものも入っておりますので、いわゆる生活の根拠であります世帯のものと、そういったホテル等の部屋に取りつけてありますものも入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/77
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078・栗原俊夫
○栗原委員 これも前にいやがられるほどしつこく聞いたことがあるわけなんですが、ホテルの設備受像機はかなり的確にとらえてある自信がおありでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/78
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079・小野吉郎
○小野参考人 この件につきましては、私ども可能な最大限度の努力を常に払っております。そのことがいわゆる受信料制度の公正と、これに対する存在の理由になるわけでございますので、いろいろ努力をいたしております。
いま試みに二、三の例につきまして申し上げますと、代表的なホテルでございますが、帝国ホテルにつきましては、部屋の数が八百五十ございます。この中で実際に受信機を設置しておるとホテル側のほうで申しておりますのは、テレビ百二十台でございます。ラジオだけのものが四百八十台でございまして、これはすべて契約をいたしております。ホテルオークラにつきましては、部屋の数が五百五十ございまして、テレビの設置個数二百四十二台、ラジオだけのもの二百二十三台、合わせて四百六十五台でございますが、これも全部契約対象にいたしております。その他、ヒルトンホテルにつきましては、部屋数五百二、これに対しまして四百八十八の契約をいたしております。大体そういうようなことで、いろいろ私どもといたしましても、この関係は制度の公正を維持いたしますために最大限の努力をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/79
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080・栗原俊夫
○栗原委員 よくわかりました。まあ、この中ではヒルトンなんというものはきわめて成績がいいのですが、どうも帝国の八百五十に対してテレビ百二十なんというのはこれはどうも不申告罪が成立しそうです。テレビのない部屋なんておそらくこの辺にありません。率直に言って部屋の数だけみないただいたってこれは間違いございませんよ。ひとつしっかりと徴収するようにお願いいたします。
最後に、申しわけございませんが、ローカルの問題で一つだけ聞いておきたいのですが、先ほどのUの波の中継局の問題で、群馬でも近くこれができて、しかもNHKばかりでなくて他の民放も共同してやる方向で七つの波が聞けることを期待してもまず間違いなかろう、こういうお話だったのですが、榛名の二ッ岳にできる、そのほかにさらに二個所ほどできるやに聞いておりますけれども、どんなぐあいになっておりますか。これはテレビのほうですが、それからいま一つ、かつて前橋ではラジオの波を出しておったことがあるのですが、その後ローカルは、強電の東京中心で適当に時間割りをするんだということで、波を断っておりますけれども、再び前橋で波を出してほしいという希望がきわめて強いので、こういう希望に対してどういう心がまえでおられるか。これらについて一応伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/80
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081・田辺義敏
○田辺参考人 お答え申し上げます。
群馬県の前橋地区につきましては、御指摘のように榛名の二ッ岳に現在着工寸前でございまして、大体九月ころには完成の予定でございます。これは先ほども触れましたように、商業放送と同時に共同建設をやる予定で進めております。その波が九月ごろに放送が開始されますと、それによってカバーされます地域は、大体北、西のほうは中之条、それから伊香保、それから西、南のほうは富岡それから東南方面では本庄、それから東の方向では桐生、それらの線を結びます大体円内は十分聴取可能となります。しかしながら、沼田地区あるいは松井田、下仁田地区につきましては、若干まだ不十分かと思われます。したがいまして、引き続きまして沼田あるいは松井田地区等につきましても置局の計画を進めておりますので、しばらくおくれますけれども、完成されるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/81
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082・栗原俊夫
○栗原委員 前橋で、ラジオの波が出るか出ないかという問題はどうなんですか。これはやはり東京のローカルでしんぼうしろということなんですか、当分は、あるいは、ずっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/82
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083・田辺義敏
○田辺参考人 これにつきましては、NHKといしましては二年ほど前からそういう希望を持ったておりまして、願書は一昨年の十二月に提出してございますが、まだ解決しない段階でございまして、発射しておりません状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/83
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084・栗原俊夫
○栗原委員 それではNHKではやるつもりで願書を出したけれども、郵政省でつつかえておる、こういう状況なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/84
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085・宮川岸雄
○宮川政府委員 広域圏というものがございまして、全国に幾つかの圏がございますが、関東広域圏におきましては、関東に幾つかの電波を集めまして、そこから強力な電波を発射しておるわけでございます。そういう圏内におきまして、各県にNHKもしくは民間放送が県域の放送を持ちたいということはいろいろ御要望がございまして、一部のものにつきましては、その充足もいたしておるのでございまするが、現在、中波といいます本のは外国放送その他によりまして、非常に波が窮屈になっておるのでございまして、昨今ますます、その窮屈さが減るというよりも、むしろきびしさを加えているような状況でございますので、まずNHKにつきましては、全国的な現在の聴取者に十分な放送が行き渡るような、中波のチャンネルプランをつくる。同様に、民間放送におきましても、そういう観点から中波のチャンネルプランを、必要があればつくっていくというたてまえで、現在、検討を加えております。そういうような観点から県域放送というものに相当するような中波の波が、現在におきましては、その捻出は非常に困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/85
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086・栗原俊夫
○栗原委員 地方の住民は、もちろん中央のテレビを見、中央から発射されるラジオを聞く、こういうことを楽しんでいるわけですが、その中でやはりローカルのものを見、ローカルのものを聞きたい、こういう熱望も、波がある限り燃え上がってきます。しかも、群馬の前橋はかつて波を出したことがないというなら別として、かって出しておったものを一ぺん引き揚げられておるのですから、その後栃木とか茨城とかは波が出ておるのに、前橋ではだめなんだ、一体これはどういうことだ、こういう議論にならざるを得ないのです。NHKでも出したいということで願書を出しておることでもありますから、でき得る限り研究の上で地域の住民の要望にこたえる方途をぜひ講じていただきたい。こういうことを強く要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/86
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087・森本靖
○森本委員 これは去年の委員会でも非常に問題になったわけですが、そのときにいろいろ郵政省あるいは、NHK等が話をして、できる限りこの関東の広域圏の問題については、NHKの要望を生かすような方向でやっていきたいということに、去年の予算を審議して、上げるときになっておるわけです。いま栗原委員が譲ったように、同じ関東広域圏であっても、水戸なんかはすでに民間放送のローカルができておる。こういうことであって、それに対してNHKが全然ないということは非常におかしなかっこうになっておるわけであって、これを一年間、波がないからということでのんべんだらりおいてきたということは、郵政省にも、あるいはNHKにも、両方とも責任がある。NHKにいわすならば、波さえくれればいつでもやるということで、おそらく郵政省に責任を持っていくだろうと思うけれども、しかし、いずれにしても、去年の予算審議の過程から見た場合に、あれから一年たっておるわけでありますから、その間に解決つけなければならぬ。だから中波の波については、局長は非常に技術的に困難だ、こういうことをおっしゃられたけれもど、困難なら何も民放だけにおろすという必要はない。広域圏放送でやるなら広域圏放送で趣旨一貫をして徹底してやればよろしい。ところが、一部民間放送には、どういう政治的な問題があったかどうかは別として、許可しておいて、肝心のNHKには波がない。これでは筋が通らぬわけです。だから、現実にどうしても波がないということで——私は技術的にも出てくるような気がします。チャンネルプランをいじくったら出てくると思います。しかし、どうしてもないということならば、いまFM放送の実験局を全国的につけておるが、あのFM放送の実験局でも、いま言ったようなそれぞれの地域に対して早急に与えるということをやる必要があるんじゃないか、委員会で論議しておることは、のんべんだらりと質疑応答しておるわけではないのであって、いいことは、与党であれ野党であれ、その結論に達したことはどんどん取り上げて実行に移していかなければ、ここで論議することは意味がないわけであって、私はいまの電波監理局長の答弁では非常に不満です。だから、その点については、いずれ自分の質問の時間のときにやりたいと思いますが、いまのような局長の答弁では、一年間何をしておったかということにならざるを得ないと思うのです。これはもう一ぺんよくNHKと電波監理当局とは打ち合わせておいてもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/87
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088・栗原俊夫
○栗原委員 本日は、以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/88
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089・内藤隆
○内藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十二日午前十時から理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X00719650311/89
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