1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十五日(木曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 内藤 隆君
理事 佐藤洋之助君 理事 上林山榮吉君
理事 安宅 常彦君 理事 森本 靖君
小渕 恵三君 大野 明君
金丸 信君 木部 佳昭君
佐藤 孝行君 中村 寅太君
本名 武君 南 好雄君
片島 港君 栗山 礼行君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 徳安 實藏君
出席政府委員
郵政事務官
(大臣官房長) 淺野 賢澄君
郵政事務官
(電波監理局
長) 宮川 岸雄君
委員外の出席者
参 考 人
(東京大学東京
天文台長) 廣瀬 秀雄君
専 門 員 水田 誠君
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四月十三日
委員小渕恵三君辞任につき、その補欠として福田一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員福田一君辞任につき、その補欠として小渕
恵三君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十二日
郵便局舎等整備促進法案の成立促進等に関する
陳情書(第一五一
号)
通信施設の整備促進に関する陳情書
(第二九六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
二一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/0
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001・内藤隆
○内藤委員長 これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
すなわち、電波法の一部を改正する法律案の審査の参考に資するため、本日参考人として東京大学東京天文台長暦瀬秀雄君から御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/1
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002・内藤隆
○内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/2
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003・内藤隆
○内藤委員長 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御出席の廣瀬参考人には、御多用のところ、当委員会に御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。
まず参考人から電波天文業務についての御意見、実情を御開陳願い、しかる後、委員の質疑によって御意見を述べてくださるようお願いいたします。それでは廣瀬参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/3
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004・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 まず最初に、こういう機会を与えてくださいましたことを御礼申し上げます。
電波天文学と申しますのは、いわゆる天体が発しまする電波を観測いたしまして、それによりまして天体を研究する、または宇宙を研究する、そういうことを目的といたしまする学問でございまして、これは主として戦後発達したものでございます。しかし、私たちが取り扱っております天体と申しますものは、非常に遠いところにございます。したがいまして、そこより私たち地球上に到着いたしまする電波は非常に微弱なものでございます。でありますから、私たちは、できるだけ感度のよい受信機を採用いたしまして、しかも非常に能率の高いアンテナと申しますか、そういうものを併用いたしまして、この微弱な電波をとらえ、そして電波を発しております天体を研究する、こういうことをやっております。したがいまして、私たちが使いますアンテナと申しますと、直径が三十メートル、五十メートルあるいは百メートル、場合によりましては一キロ、二キロというような大きさに相当するアンテナを使っております。また、受信機にいたしましても、普通使われております、いわゆる実用上採用されております受信機の約十万倍の感度を持つような機械をもって微弱な電波をとらえ、これを研究することに尽くしておるわけでございます。
ところが、電波と申しますと、もちろん非常に波長の短いものから長いものまでございます。この電波でかりに空を見たといたしますと、そこにはあらゆる波長の電波が埋まっておりまして、したがいまして、夜でございましても、電波の目というものでかりにこの夜空をながめますと、夜空は相当明るいわけでございます。そして電波で明るく見えるところは強い電波を出しており、暗く見えるところは電波が弱い、こういうわけでございます。しかし、いま申し上げました明るいと申しましても、比較的のことでございまして、太陽を除きましては、あとの諸天体というものは非常に遠いところにございますので、非常にその電波が微弱でございます。したがいまして、地上で発信されますような電波、または地上のどこかで発信――と申し上げなくても、そのほかにいろいろ電波が出ておるものが地上にございます。したがいまして、そういう電波ができるだけ影響しないように、私たちも適当な観測地というようなものを選定いたしまして、比較的地上の電波にわずらわされないような場所で、しかもできるだけそういう電波の影響のないようなアンテナを使い、そして非常に感度の高い受信機を用いまして、この電波による天文学の進歩につとめておるわけでございます。
承るところによりますと、この電波法の改正によりまして、そういう微弱な電波を受けて科学的研究を進めておりますこの電波天文業務というものに対して、法律改正によりましてある種の保護が加えられるということを承ってわりますが、これは本日御審議のようでございますけれども、私たちといたしましては、このように地上から発生いたします電波の影響を最小限に食いとめていただけるということは、電波天文の研究にとりまして非常な福音でございまして、私たちは、ぜひとも議員諸先生のお力によりまして、こういうような保護が加えられ、そして世界的に電波天文の研究は、現在最も進歩の大きい分野でございますが、この分野に対しまして、研究上の保護が与えられるならば、非常にありがたいことと存ずるわけでございます。
電波天文そのものを一々御説明申し上げることは、本日は適当でないのじゃなかろうかと想像いたしますので、一応、私、ただいまのような概観を申し上げまして、この電波天文と、そして今回の法律案との関係、そしてそれと天文学進歩との関係、そういうものを申し上げまして、もし必要がございましたら、御質問くだされば、で承る限りお答えを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/4
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005・内藤隆
○内藤委員長 それではこれより質疑に入ります。森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/5
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006・森本靖
○森本委員 たいへん開会がおくれまして、参考人には申しわけないと思っております。
二、三聞いておきたいと思いますが、今度の法律の改正によりまして、第五十六条で、電波天文業務というのを混信防止という点で今回の法律改正で入れるわけですが、いま先生がおっしゃられましたように、この電波天文学というのは、戦後の学問である、こういうことでありまするが、われわれ電波を取り扱っておる者としては、これは初めて出てくる問題でありまして、大体電波天文業務というのは、具体的に言いますと、いま先生がおっしゃられましたように、宇宙のそれぞれの方面からくる電波を受信をしておるということになりますが、大体いま宇宙から発せられてくる電波の種類というのは、どの程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/6
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007・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 電波の種類と申しますと、これは波長で申し上げるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/7
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008・森本靖
○森本委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/8
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009・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 そういたしますと、これは連続的に非常に短いものから非常に長いものまでいろいろございます。ですから、それを私たちは、ほかの実用上に非常に使っておられる波長は、これはしかたがないものとあきらめまして、できるだけ電波天文としまして研究上重要な波長域につきまして、これはいろいろ電波科学の面からだとか、それから国際天文連合というようなところで、この部分だけはあけてほしい、この波長は天体の表面の状態を研究するのに非常に重要であるとか、または水素がこの宇宙には非常にはびこっておりますが、その水素の分布を研究しますのには、たとえば二十センチの波長域が非常に重要である、そういうようなことがございまして、たとえば現在おそらく十ヵ所程度、そういうものが――もちろんそれ以上幾らでも望ましいわけでございますが、最低限十数ヵ所だと思いますけれども、そういうところの電波に関しまして、地上局からの混信がなるべく避けられるように措置してくださるならはなはだありがたい、こういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/9
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010・森本靖
○森本委員 そういたしますと、現在この電波天文業務として受信をしておるところは日本でどこどこありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/10
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011・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 私存じておりますのは東京天文台、これは三鷹でございます。それから上野の科学博物館、新潟大学、京都大学の宇治観測所、それから名古屋大学の空電研究所、それから郵政省の平磯の受信所、これだけが電波天文の業務をやっておるところだと私存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/11
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012・森本靖
○森本委員 そうすると、参考人は東京の電波受信所に関係があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/12
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013・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 さようでございます。私は東京の三鷹の受信所の、つまり東京天文台の台長をやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/13
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014・森本靖
○森本委員 そういたしますと、東京だけで聞いてみたいと思いますが、いま宇宙から発せられておる電波というのは何個ぐらい受けておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/14
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015・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 現在、東京天文台におきましては、六十七メガサイクルから始まりまして、一万八千メガサイクルまで十三種類、ただしその中にはスペクトルと申しまして、ある範囲を連続的に観測しておる、そういうような観測もやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/15
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016・森本靖
○森本委員 そうすると、大体周波数としては、六十七メガサイクルから一万八千メガサイクルということになりますと、相当周波数が高いわけでありますが、それでその十三ヵ所というのは、大体どの方向から来ておるということはおわかりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/16
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017・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 これは大部分は太陽でございます。それからその次が天の川、銀河でございます。それからそのほか、あまりたくさんはやっておりませんが、いわゆる電波星といわれておるものが数個その中に含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/17
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018・森本靖
○森本委員 それでこの電界強度というものはどの程度ですか。入ってくる強度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/18
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019・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 入ってくる強度と申しますと、ボルトだとかワットだとか申しますと、私は、はなはだ申しわけないのでございますが、お答えできないわけでございます。要するに私常識がございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/19
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020・宮川岸雄
○宮川政府委員 大体電波天文局で受信しておりますところの電波の強さは、デシベルという電波の単位で申しまして、マイナス百六十デシベルワット以下というふうになっておりますが、比較で申し上げますならば、現在電電公社で固定の地点間で使っております受信電波の強さに比べまして千分の一から一万分の一くらいに弱い、現在の電電公社のマイクロウェーブで受けております受信電波の強さの千分の一ないし一万分の一程度の微弱さである、こう申し上げたらいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/20
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021・森本靖
○森本委員 そういう非常に強度が弱いということになりますと、これはかなりの妨害があると思います。そうなると、ほとんど受からぬ、こういうことになるわけでありますが、そうして向こうから受けた電波をどういうふうに分析するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/21
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022・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 電波を受信いたしましてこれを記録いたします。そうしてこの記録いたしましたものの、主としてこれは強度でございますが、その強度の変化と申しますか、ある波長につきまして、その強度が狭い波長の幅でどういう機構を持って向こうから発信されておるかという、そういうその波長の電波の強さの分布と申しますか、こういう言い方で申しますとよくおわかりかと思いますが、スペクトルの線、太陽を七色のにじに分けますと、ところどころに黒い線がございますが、あの黒みが一様の黒みではございませんで、それがふちのほうは明るくて、まん中が最も暗くて、ふちのほうがまた明るく在る、こういうものに相当するものが、電波のほうにつきましてもそういうような線がございます。その線のこまかい構造を調べまして、そしてこの電波がどういうような機構で発信されておるのであろうか、または、それを使いまして、たとえば天体の場合ですと、その天体の表面の状況とか、そのほか種々の物理的状態をこれから推定する、こういうようなことをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/22
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023・森本靖
○森本委員 そういたしますと、これは大体波長を一つの記録として残してあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/23
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024・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/24
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025・森本靖
○森本委員 そこで、この太陽系、銀河系等からおもにきておる、こういうことになりますが、その向こうからきた電波を受けて、それによって、向こうのいわゆる星座の研究をやる、こういうことになりますけれども、ここにくると、われわれも電波の問題はわかっておっても、そこから先は天文学になってさっぱりわからぬわけですが、一体向こうからくる電波というもの、たとえば六十七メガサイクルから一万八千メガサイクルということになりますと、かなりずっと高い周波数になってくるわけでありますが、こういうものは、それが太陽系、銀河系からきておるということはどこからわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/25
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026・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 それは電波天文の初期にこれが非常に問題になりまして、最初はなかなか電波が宇宙からきておるというような結論まで達しなかったのは、いま御質問にありましたような事柄がはっきりわからなかったわけでございます。ところが、現在では電波望遠鏡の非常に大きなものができまして、それといわゆる光学望遠鏡、つまり普通の望遠鏡でございますが、これと二つが併用、つまりこの二つが協力いたしました研究の結果、アンテナを向けます方向、その方向を大きな望遠鏡で写真をとりまして、そこに非常に奇妙なものがある。つまり、たとえば二つの恒星の大集団が衝突しておる、また、そこに非常に見表れない構造の天体があるとか、そういうことがございまして、その天体の物理的状況が、非常にわれわれの想像を絶しておるようなものがたくさん見つかりました。そして、その方向から電波がきておるということが証明されましたので、その天体からきておる――天文学と申しますのは、見まして、推定をいたしまして、その推定が正しいかどうかを何かの方法で検討する、こういうような研究の方法で成り立っておるものですから、われわれはそういうような手段を繰り返し繰り返しいろいろな天体についてやりました結果、これは確かにあの天体から到着しておるのに違いない、そういうようなことがわかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/26
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027・森本靖
○森本委員 どうもそこから先は、私もしろうとでなかなかわかりにくいのですが、そうすると、やはりいわゆる光学望遠鏡において認定ができるところでないとするならば、それが宇宙天体の電波であるということについてはわからぬわけですか。かりに、この間何か新聞にも載っておりましたように、ソ連で、いわゆる空想小説でなしに、現実にこの太陽系以外に生物が住んで、その生物から発信しておるところの電波を受信したというようなことが新聞に発表せられておったわけでありますが、しかし、一体どういう根拠でそれが宇宙から発せられておる電波であるということが認識ができるかということについて、非常に疑問を持つわけですが、いま先生がおっしやられたように、電波望遠鏡と、それから普通のいわゆる認識をするところの光学望遠鏡と申しますか、そういうもので、二つがかみ合わされて初めて宇宙から発する電波であるということがわかる、こういうことですが、そうすると、目に見えないところについては、電波だけではわからぬ、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/27
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028・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 必ずしもそういうことは申せません。と申しますのは、いわゆるハップルの法則というのがございまして、私たちからある天体が遠ければ遠いほど、ある電磁波の波長は、赤いほうというか長波のほうにずれる、こういう法則が知られております。そしてその赤いほうにずれる量というのは、遠ければ遠いほど非常に大きくなります。一般に波長がずれるというのは、ドップラー効果上申しまして、一応その天体のスピードであらわすというような習慣がございますので、速度であらわすといたしますと、一秒につき何万キロメートルというような大きなオーダーにも達するわけでございます。そういう法則は相当広い範囲において適用されるということがわかっており、しかも人工のものそのほかでは、そのような大きなドップラー効果を示すような原因は考えられませんので、したがいまして、そういうようなドップラー効果が観測されるというようなことがございますれば、そこに天体がなくても、何か天体のごときものがあって、しかもその天体が、非常に大きな速度でもって動いておるというようなことが推定できますから、したがいまして、これは宇宙から来ておるということがいえるわけでございます。
先ほどちょっと申し落としましたが、この距離が大きくなればなるほどスピードが速くなる。そしてその間に、どれくらいの距離のときにはどれくらい走っておるはずだという法則、これがハップルの法則と申すものでございます。したがいまして、一応もしドップラー効果が測定されますならは、その天体の距離が推定される。したがって、これは宇宙から来ておるので、地球上から来ておるのでないというようなことも推定する方法はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/28
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029・森本靖
○森本委員 それで向こうから発せられておるところの六十七メガサイクルから二万八千メガサイクルでありますが、その電波の発射原因というものは、これは要するにおそらく向こうから自然的に現在のものは発射せられておると思うのですが、発射原因というものは一体どういうところにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/29
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030・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 発射の原因は、要するにそこにありますアトムの状況によりまして、光を出すのと同じような意味合いで電波を出すということが一応は考えられます。しかし、この光を出すのと同じような状況のものは、これはいわゆる熱放射と申すわけでございまして、このほうだけですと電波はあまりに弱いのであります。ところが、宇宙には、いわゆるシンクロサイクロトロンというようなものに相当いたします原因ないしは天体というものの表面における物理的状況というものは、私たちの地上では想像できないほど、非常に高温であったり、または高圧であったりいたします。それからまた、そこにありますアトムは非常に特別な状況に置かれます。したがいまして、現在天体から出ます電波が、これこれの理由ということだけ一義的に申し上げることは非常にむずかしい
のでございますが、われわれとしてわかっておりますところは、この宇宙から発せられるものは、多くの場合、一つは非常に高温であり、一つは非常に極端な物理的状況になっておる。たとえば、先ほど申し上げましたように、百億、千億というような恒星が集まりました一つの大きな集団、これを通常渦巻き星雲と申しておりますが、そういう渦巻き星雲と渦巻き星雲とが衝突するというような特別な場合、またはその中にジェットと称するような非常に特殊な状況を呈しておるような場合に電波が生ずるらしい。そしてその電波が、どういうぐあいにして出るかというところを、地球上のわれわれ知っております物理的方法に照らしまして、もっと詳しく見きわめたいというのが、現在電波天文学の最大問題の一つでございまして、このためには、ぜひこの微弱な電波を十分研究できますような国家的保護が願いたい、こういうぐあいに私たち考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/30
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031・森本靖
○森本委員 大体輪郭はわかりました。
それから、この間の新聞に、この宇宙に人類以外の生物がおって、その生物が発しておる電波を受信したというようなことが載っておりましたが、そういうようなことはいままでないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/31
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032・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 数日前に載っておりました、他の世界からくる電波という話は、あれはさっそく翌日にシュテルンベルグ天文台の、つまりあれを発表したといわれておりました人の属しておる天文台の台長の談話といたしまして、あそこまで飛躍するのは間違いであるということで、たしか否定されておったように思いますし、私もそれが正しいだろうと思います。電波天文ではまだまだそういうところまでは考え及ばないはずであろうと私も信じております。そのように新聞社の質問に答えたということでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/32
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033・森本靖
○森本委員 いま宇宙天文台で使っておる受信機はどこの受信機ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/33
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034・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 どこのと申されるのでございますが、実は私のほうは主として手製でございます。各部分品は適当なメーカーから購入してわりますけれども、最後におきます組み立てば、主として、あそこの天体電波を研究しておる人たちが、できるだけいい機械をつくろうという努力のもとに手製したものでございます。ですから、無線局に行って見られるようなりっぱな装置ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/34
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035・森本靖
○森本委員 大体わかりました。
そうすると、この法律に関係がありますが、そういう受信機で実際に地上の電波で一番妨害の多いのはどういうふうな波が多いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/35
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036・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 どういうふうな波と申しますか、三鷹のことを申しますと、三鷹は、実は東京都区内の西辺にほとんど接して存在しております。したがいまして、あそこで現実に問題に在りますのは、いわゆる都市雑音でございますが、この都市雑音は、これは私たちいたし方がないと思っておりますので、私のほうでは、近いうちにできれば電波観測施設を山梨県のほうへ移したい、そういうようなことを計画しておりますが、そういうところになりますと都市雑音がなく在ります。したがって、どこかあまり近くに大電力の発信所ができますと、そういうところからいろいろ影響の及ぶような電波が到来するおそれがある。これはいわゆる混信ということばの広い意味かと思いますが、そういうような事柄がございます。
それからまた、現在三鷹では市街雑音か多いものでございますから強い電波しか観測できません。大体におきましてそういうことでございますが、この場合は、結局私たちが観測しようとする電波の波長域のところに他の発信局の電波があるとか、そのほか、主として地上局の問題が、市街雑音に次いでは三鷹において実際に感じておりま問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/36
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037・森本靖
○森本委員 そうすると、三鷹の東京天文台というのは、やはり文部省の所官になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/37
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038・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 東京天文台は東京大学に属しました一研究所でございますので、仰せのとおり文部省の管下にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/38
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039・森本靖
○森本委員 これはいま参考人がおっしゃられたように、こういう重要な観測を行なうのでしたら、ある程度山間の――受信設備のために非常に環境がいいところに移転をして、そこでゆっくり他の雑音に妨害せられずにやるということが必要ではないか。それから、受信機についても、これは手製でやられることもけっこうですが、やはりこういう専門的に相当感度のいい受信機をメーカーに五つか六つつくらせて、そうして六ヵ所のそれぞれの天文台に配置するというふうなことにすれば、より研究が進んでいくのではないか。これから先、この宇宙天文学というものは、私の考えでは、かなり重要になってくるのではないか。と言いますのは、これはやはりいまの人工衛星、それから、さらに進んできたところのいわゆる宇宙に対するいろいろな衛星が、これから先どんどん発射せられていくと思うのでありますが、それをやるためには、宇宙天文学というものはかなり重要になってくるのではないか。それで、いまのところは受信だけということになっておるようでありますけれども、将来これはやはり発信装置を持って、そうしてはね返ってくる電波によっていろいろな問題を測定するということも非常に必要ではないかと私は考えるわけでありますが、これは大学当局が、その大学の研究として細々とやっていくという仕事ではないような気がするわけでありますが、その辺の点について参考人から御意見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/39
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040・廣瀬秀雄
○廣瀬参考人 ただいま仰せになりましたことは、しごくごもっともでございまして、私たちも、たとえば先ほど申し上げました野辺山の観測所というものは、そういうような、いわゆる一つの原因でございます市街雑音のようなものをまず排除して、その上で、たとえば適当な法律によりまして受信所を保護していただいて、そこに置きます機械は、非常にりっぱな最高級の機械を備えつけまして、これを日本じゅうの研究者が共同で使用してやっていくというようなことを考えております。そういうような事柄が実現いたしますならば、私たちは非常にありがたいと存じます。
それから、先ほどお話がございました、将来発信所も備える云々という話でございますが、こういうものは、いわゆるレーダー天文学と申しまして、現在、非常に天文学の重要な分科として発展していこうとしておりますので、そういう方面も、私たちぜひ適当な機会に手をつけたいものだ、そういうぐあいに熱望しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/40
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041・森本靖
○森本委員 いまお話がありましたように、大体五ヵ所でやっておるということでありますが、これは単に受信だけのことをやっておることであって、先ほど参考人も言われましたように、これに加えまして、発信装置を持って、はね返ってくるものをいろいろ観測をするということも、相当重要だと思うのですが、電波研究所でもそういうことをやっているのですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/41
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042・宮川岸雄
○宮川政府委員 現在電波研究所でやっておりますのは、地球の周辺に飛んでおります衛星からの送受信という程度のものでございまして、遠い天体のほうへ届かしているということはまだやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/42
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043・森本靖
○森本委員 これは非常に日本の官庁のなわ張り的なところから――こういう宇宙天文学というものは、やはり天文学とそれから電波の学問とが総合的に成り立っていかないと、なかなか効果を発揮しない。単に気象学、天文学だけではむずかしい面があって、こういう問題こそ文部省、郵政省、それから科学技術庁の三者が十分に話し合いをして、そして国がこういう面に対する大きな援助を与えて、宇宙天文学というものを、総合的な観点から発達させていくということが非常に必要ではないか。いまの参考人の御意見を聞いておりますと、参考人のほうは一生懸命にやっておるということがわかりますけれども、われわれ電波の専門的な方面から見ますと、この機械、また電波の技術的な面からすると、私は相当おくれておりはせぬかという気がするわけです。そういうものを総合的にやっていかなければ意味がないのではないか、そういう点は、やはり大臣が文部省あるいは科学技術庁あたりと、総合的な科学の振興という点から考えていかなければならないのではないか。単に電波法の五十六条を改正して混信を防止するだけでは意味がないのではないか。もっと突っ込んだ総合的な研究体制を持つように政府が音頭をとるべきではないか。何か宇宙天文学というようなことになりますと、われわれと関係がないように感じられますけれども、これから先は非常に重要な学問になってくると思うわけであります。そういう点を、大臣が今後閣僚の一員として、総合的に研究ができるように政府としての大いに施策を望みたい。また、参考人のほうは、それぞれの上司がおられるだろうと思いますから、上司を通じてひとつ総合的な企画、立案ができるようにお願いしたいと思うわけですが、大臣に最後に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/43
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044・徳安實藏
○徳安国務大臣 お説ごもっともでございますから、近いうちに各省関係大臣とも相談いたしまして、御趣旨に沿うように、総合的な研究ができますように、検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/44
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045・内藤隆
○内藤委員長 本日はこの程度にとどめます。
参考人には貴重な御意見をお述べいただきまして、本案審査の参考に資するところきわめて大なるものがあったと存じます。まことにありがとうございました。
次会は来たる二十二日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804816X01519650415/45
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