1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月五日(金曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君
理事 辻 寛一君 理事 永山 忠則君
理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君
理事 村山 喜一君 理事 山内 広君
井原 岸高君 岩動 道行君
大橋 武夫君 加藤 高藏君
綱島 正興君 藤尾 正行君
湊 徹郎君 茜ケ久保重光君
角屋堅次郎君 受田 新吉君
出席国務大臣
通商産業大臣 櫻内 義雄君
出席政府委員
通商産業事務官
(大臣官房長) 熊谷 典文君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 宮本 惇君
工業技術院長 馬場 有政君
特許庁長官 倉八 正君
中小企業次長 影山 衛司君
委員外の出席者
専 門 員 加藤 重喜君
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三月四日
農地被買収者等に対する給付金の支給に関する
法律案(内閣提出第七七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/1
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002・村山喜一
○村山(喜)委員 最初に大臣にお伺いをいたしたいことは、今回輸出振興体制を強化するために貿易振興局を設置をしようとされているのでありますが、これにつきまして、臨時行政調査会の行政改革に関する意見書によりますと、経済外交についての勧告、経済協力関係行政の勧告に対応いたしまして、今後通産省としてはどういうふうに対応していくのかという基本的な問題があるわけでございます。それと同時に、現在外務省を中心にいたしております日本の経済協力の形態の特殊性というようなものから、今日の日本の輸出振興をどういうふうにこれらの経済協力ともからみ合わせながら進めていくかという問題は、きわめて重大な問題でございます。さらにこの経済外交の中で、調査会の意見書にも出されておりますように、今日は海外の経済外交面の行政事務の変化に伴いまして、専門化されたもの、あるいは細分化されたもの、高度化されたものがその表面に出てまいりまして、輸入制限撤廃の交渉や制限措置の未然防止、指導調整、政府の援助的介入、調査というような事項が加わってくるわけでございますが、これらの面につきまして、外務省と競合する部面が各所に出ているわけでございます。さらにまた通産省としては、こういうような角度からこの勧告に対する対応策を立てていかなければならないという基本的な考え方をお持ちになっているのではなかろうかと私は思うのでございます。その点についての大臣の見解をお聞かせを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/2
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003・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 まず、経済外交の改革に関する臨調の意見についてでございます。その中の経済担当官の充実、また経済省庁と在外公館との一定範囲の直接連絡等について、運営面の強化が答申されておりますが、この点は、検討の結果、通産省としておおむね賛成でございます。そしてその早急な実現を期したいと思います。しかし、この提案のみでは不充分でございますし、権限、組織の改変にまで及んだ抜本的な改革を行なう必要があろうかと考えております。
それから経済協力行政の改革に関する点でございますが、特に問題となりますのは、経済協力行政の事務レベルでの総合調整を外務省でやるべきじゃないかという答申でございます。われわれとしては、事務レベルの調整は現在の体制下でも十分に行なわれておるのではないか、そういうことで、必要ではないというわれわれの見解でございます。事務的総合調整は、現在御承知のごとく経済企画庁が行なうようになっておるのでございますが、産業、金融、外交等各般に関連する経済協力行政の調整を、ただこの答申のような外交面から関与するにすぎない外務省に行なわせるということは不適当ではないかと、かように存じます。いずれにいたしましても、臨調の答申についてはさらに十分検討いたし、また政府に設けられた行政改革本部における検討も、当然行なわれるべきであろうと思いますので、それらを通じて具体化していきたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/3
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004・村山喜一
○村山(喜)委員 在外公館に経済担当官を充実をせよ。たしか昔は商務官制度というものがありまして、きわめてスムーズな形に行なわれておる。ところが今日においては、外務省に出向をするというような形にしか出られないというふうに考えるのでありますが、これらの経済担当官の質の向上の問題、あるいはその定員をふやす問題、さらに経済担当官会議の充実の問題、あるいは在外公館との情報連絡体制の強化の中で、直接的な連絡が経済関係の省庁との間に行なわれるようにすべきではないか、こういうような勧告が出されておるわけでございますが、外交一元化という立場からの問題点もありますので、そこら辺に経済省庁と外務省との調整的な判断というものも必要であろうと思うのであります。その中にありまして、この貿易推進等の通商行政に関する責任をお持ちになる通産大臣としては、ただいまの説明の中でお答えをいただきましたけれども、これらの問題について、今日までどのような推進体制をおつくりになって、の閣議あたりで、あるいは行政制度の改革本部あたりに意見をお述べになっているものかを、この際もう少し説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/4
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005・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 私が臨調に直接に意見を具申したことは、就任以来ございません。しかし、ただいまお答えを申し上げましたとおりに、通産省から、出向する担当官のあり方などについて、今後運営面で強化をせよということについては、これはわれわれは賛成なんであります。そこで、私就任後に、この答中いかんにかかわらず、今後の貿易を推進していく上に、通産省の出向しておる者が十分その責任を果たしてもらうことが必要であるということで、全員に対して、その職務の重要性、それからまた今後の活動というものがいかに貿易の上に影響があるかということで、書面を出していろいろ注意を与えましたし、また先方からの報告や連絡のあるつど、通商局長を通じて指示を与えておるようなわけでございます。これから一そう通産省から出ておる担当官の活動というものにまつ点が多かろうと思います。また、現在大使館のほうに出向をさせておるのでありますから、いま御指摘になられました一元的な活動ということについては、十分大使館の構機の中でやり得るものではないかと思います。同時にまた、足らざる点を当方から面接指導していく、こういうようなやり方をしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/5
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006・村山喜一
○村山(喜)委員 輸出振興体制を強化するために貿易振興局がこのたび設置を見たわけでございますが、現在の日本の貿易構造という面から見まして今後特に解決をしなければならない問題というのは、重点的にどういうような方向をお考えになっているのか、この際明らかにしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/6
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007・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 現在、多国間協議あるいは二国間協議、いろいろ外交上の折衝面があろうかと思います。特に昨年の四月にいわゆる開放経済体制下に入りまして、IMF八条国に移行する、あるいはOECDに加盟するということになってまいりまして、一番痛感せしめられますことは、先進国の仲間入りをしたけれども、日本が対等の立場に立っておるかどうかということについて、非常に問題があろうかと思うのであります。たとえば、アメリカやカナダの日本に対する自主規制の問題であるとか、あるいはドイツやフランスやイタリア等の対日輸入制限の問題であるとかいうように、たくさん問題がございます。またセーフガードの問題もございます。こういうことで、この多国間協議あるいは二国間協議を通じまして、そういうようないわば差別をすみやかに撤廃をしてもらうということが、貿易の促進の上に非常に役立つと、かように見ております。最近にフランス、イタリアとの貿易交渉もございますので、こういうような機会を通じまして成果をあげたいと思います。また、ガットの場などにおきまして、最近御承知のようなケネディラウンドの交渉をしておるのでございますが、こういう機会もとらえて、貿易の改善、日本の貿易の伸長のために役立たせしめたい、かように存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/7
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008・村山喜一
○村山(喜)委員 そういうような基本的な姿勢についてはわかるわけでありますが、現在、日本の貿易のあり方の問題に関連をいたしまして特に今後われわれが考えなければならない問題として、低開発国の貿易と援助の問題という問題が、日本の産業構造の面からも大きな問題として浮かび上がってくるのではないかと思うのであります。といいますのは、日本の貿易構造という問題が、低開発国に対しましてはいつも出超の形をとり、対先進国に対しましては入超の形をとる。それによりまして貿易の収支均衡がとられている。しかし、貿易外経常収支の赤字というものが出ておりますので、これは外資導入で補てんをする。こういうような状態に現在の日本の貿易構造はあるかと思うのであります。といたしまするならば、日本の経済協力の形態というのは、外務省のほうにおきまして明らかにいたしておりますように、二国間ベースの比重が非常に高いということ、賠償及びこれに準ずる支払いを除いて贈与がほとんどないということ、さらに、輸出信用が経済協力の主体であり、しかもそれは高金利で短期間しかなされていない。さらに第四点として、資本財を主たる対象としているという形であります。こういうような中において、最近東南アジアあるいは中近東方面の経済情勢を見てまいりますと、幾多の後進国からの強い要求が出されている。しかもその反面、日本の国内におきましては、農業面であるとかあるいは中小企業面の低生産部門をかかえているわけであります。そこで、通産大臣に私がお尋ねをいたしたいのは、今後日本が重化学工業を中心に、日本の貿易構造という問題を取り上げて進めていくとするならば、今日、日本の中小企業が受け持っております軽工業部門、あるいはその他の大企業との下請関係にありますそれらの関連、こういうような問題と、将来東南アジア等におきますところの開発関係との問題におきましては、競合する部面が出てくると思うのでありますが、これらに対するところの基本的な方針といいますか、貿易構造をどのように今後改善を進めていくのかという基本的な考え方というものが、打ち出されてこなければならないかと思うのでありますが、これに対しまする大臣の見解をお尋ねをしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/8
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009・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 お話しのとおりに、日本の貿易構造が軽工業品から重化学工業品に変わりつつあるということは、過去の統計を見れば、確かにそのとおりになっておると思います。そこで、いまお話しの東南アジアをはじめとする低開発国と日本の軽工業品の競合問題につきましては、これはある程度避けられないかと思います。しかしながら、私としては、日本の軽工業品が良質のものをつくっていく、こういうことによりまして、ある程度の摩擦は避けられるのではないか。この低開発国の軽工業の状況というものは、まだまだその緒についた程度でございます。日本の優秀な品物が、やはり文化程度も進んでいくのでありますから、相当出ていく余地かあるのではないか。またそういうことをはかりつつ重化学工業に変わっていく、こういう行き方をしたならばよいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/9
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010・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、大臣の考え方としては、重化学工業は伸ばしていく、軽工業部面は品質を高めて、これまた貿易の振興につとめていく。そういうような意味において、国内の中小企業というものを近代化し、高度化していく。このような基本的な考えをお伺いをいたしたわけでありますが、それで、現在の低開発国に対しましては、いつも出超の形をとる、先進国に対しては入超の形をとるというこの現在の貿易構造というもの、そのような形の中ではたして日本の将来性があり得るかどうかという問題は、私はもう少し突き詰めていかなければならない問題があるのではないかと思います。というのは、その後進国の開発の問題も、日本の資金なり技術というものを輸出いたしまして、開発した産品を日本が買わなければならない、そういうような開発輸入というものも考えなければならない段階にあるのではないか。工業化推進を支援をするという形の上から、どういう形の中で、今後低開発国の問題をとらえながら、また日本の中小企業の生産の上に悪影響をもたらさないような方向をとりながら、進めていくかという問題——第一次産品の問題につきましては、これは、品質の改善とか、あるいはそれによりまして、日本に対する輸出の増大というような問題や、さらに当該国における国内の食糧自給度を高めさせるというような問題が、解決面としては見出し得るとは思うのでありますが、工業面につきましては、きわめてむずかしい問題があるのではないかと思うのであります。といいますのは、これはきのうの新聞でありますが、「肥料輸出ブームに暗い影」として、欧米の化学、石油会社が、東南アジア、中近東など、わが国の輸出市場に工場を建設し、現地生産に乗り出しておる。それがいよいよ最近工場の完成が間近に迫った。こういうような形の中から、日本の輸出は将来においてはほとんどむずかしくなるのではなかろうかというようなのが出されてきておる。とするならば、当然日本としても、共同体制をつくって企業の進出をはかるべきであるという考え方も出てまいりましょうし、さらにまた一つの統一された商標を採用をして、輸出の拡大策を進めなければならないというような問題も出てくるでしょうし、こういうような他のアメリカなりあるいはヨーロッパの資金、技術というようなものが、これらの低開発国に進出をいたしまして、そこの国営企業あたりと結びついた形の中で市場を開拓をしていこうという動きを示しておる。とするならば、それに対応する日本の産業体制をどうするかということも、今後の問題として考えなければならない。いまのような低開発国の経済協力の推進方策をとる限り、日本は将来これらの地域からボイコットされて追い出されるのではなかろうかというのが、すでに大きな意見として出てきておるわけでございます。国際的にももうそういうような情勢が出されているようでございますが、それらの問題に対応する施策は、これはもちろん経済外交の推進役であります外務省が主たる責任者でありますけれども、その内容的なものを持っております通産省の考え方が、やはり私は大きな基本的な考え方として働いてこなければならないと思うのであります。そういうような面からの考え方をお尋ねしておるわけでありますが、大臣はもっと明快な答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/10
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011・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 現在日本と東海アジアとの貿易の関係は、御指摘のとおりに片貿易になっております。これについて特段の考慮を払う必要があろうかと思います。この点は、いまお話が出ましたように、日本からプラント類などを輸出いたしまして、そしてできた品物を買う開発輸入の考え方も、これも一つでございます。あるいは政策的に割り高の一次産品でも買い付ける、こういうようなことでコンペ制度をとっておるのも、一つの例でございます。貿易のことでございますから、いろいろな施策が必要であろうかと思うのであります。いまお話が出ましたように、ヨーロッパ諸国が東南アジア方面に企業進出をしてくるという場合、これもございましょう。しかし、日本もまた当然そういう点を考えて努力をしていく、これが経済協力施策であろうと思うのであります。そういうようなことを総合してやりながら、特に地理的には日本が条件がいいのでありますから、また東南アジア諸国から多数の技術者を日本に招聘して、相ともに開発をしていこうというような方向も持っております。ただいま御審議願っておる予算の面でも、相当な東南アジア方面からの研修生の受け入れができるようにしておるのでございます。何といっても貿易は競争でございますから、いま村山委員が御指摘になったいろいろ心配される点も多かろうと思いますが、各種の施策で努力をして、そういうことのないようにつとめたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 日本の貿易振興の問題の中で通産省の指導下にありますジェトロの問題、前に当該の商工委員会におきましてこの問題についてはだいぶ論議をされました。そのときに、日本の貿易の海外における振興について、施設の運営とかあるいは活動をいたしておりますジェトロの自主的な推進活動というものに対して、機構的に、あるいは人の上から見まして、一体ほんとうに自主的な活動ができる体制ができているかどうか。それについては、たとえば理事クラスを見てみましても、通産、大蔵、農林、外務、こういうようなところからの出身者が大部分を占めている。と同時に部長であるとか課長であるとかというようなのを見てみても、これも通産省あるいは外務省、農林省あたりから出向をした者が、中心に主要なポストを占めている。それらの人たちが主要なポストを占めるということはいいわけですけれども、この人たちが二年ないし三年ぐらいで絶えず異動をする。その中にあって部内で育った人たちが重要なポストにすわらない、こういうような形が現在とられているが、これについての基本的な改革の方針を明らかにしなければ、どうもおかしいじゃないかという質疑がなされておったのでございますが、その後の改革の状況を見てみますと、これにつきましてはどうもはっきりしていないようであります。それについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/12
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013・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 ジェトロの運営状況についての詳細は局員からお答えをさせますが、いまお話しのような役員の顔ぶれから、御懸念の点がいろいろ出ておるようでございます。もしそういうようなことが現実にございますれば、私としては改善するにやぶさかではございませんが、現状におきましては、私自身も、昨年ヨーロッパに参ったときに、ジェトロの関係者を集めまして会議などもし、また報告も受けてみました。あるいは前福田大臣の当時にもそういうことが行なわれたのでありますが、ジェトロの出先の諸君は、なかなか意欲に燃えまして、相当に活動しておると私は思います。しかし、もし欠陥がございますれば、十分その御意見は尊重していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/13
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014・山本重信
○山本(重)政府委員 ジェトロの現在の陣容は相当膨大になっておりまして、各省からの出向者の比率はかなり最近は低くなってまいっております。やはり発足当時適当な人材が容易に得られなかったということで、各省から出向者出しましたことと、それからもう一つは、特に通産省とは密接不可分の関係がございますので、そうした緊密な連絡をとる必要からもある程度出向者が必要である、こういうことから現在のような形になっておるわけであります。幸いにして最近は若手の中でジェトロ固有の採用者が育ってまいっておりまして、なかなか優秀な人もおります。大体課長クラスになりますと、相当に優秀な人物が参っておりますので、今後そういう人たちをできるだけ重用して、一方において自主性の確立をはかりますと同時に、通産省とは表裏一体の関係でございますので、緊密な連絡の体制ができるように考えてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/14
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015・村山喜一
○村山(喜)委員 実はこのジェトロの機構的は改革の問題と、あるいは本省あたりから人がどういうふうに派遣をされてきておるのかということを私調べてみました。それによりますと、通産省出身者がもちろん一番多いわけでありますが、海外の出張所、ヨーロッパあたりにありますジェトロの出先機関に勤務している人たちの顔ぶれを見ると、海外の出先機関の中できわめて便利なといいますか、ヨーロッパ地域あるいはアメリカ地域、こういうようなところには出先機関から来た人たちの数が非常に多くて、中近東とかあるいは東南アジアとかアフリカ、中南米、こういうようなきわめて不便なところにはジェトロ出身の諸君が行く。しかもどういう形で行っているのかということを調査してみますと、私はジェトロから参りました者でございますとは言わないで、向こうで貿易関係の業者の諸君が日本から参りました通産省あたりの派遣の職員に会うと、私は通産省の何々局の何でございます。こういうような態度に出ておる。それでせっかく相談をしようと思っても、どうも官庁と業者という間の壁が引かれて窮屈な感じがしてならない、こういうような声も業界に一部あるということであります。したがって、相談にいきましてもそのような態度をとっておる、そういうような職員があるということ、さらにまた二年なり三年なり行く前には、発令されまして六カ月なり一カ月の訓練をしてから出かけるわけでありますが、向こうに行って報告をするのは、そのジェトロのヨーロッパあたりの駐在員から直接通産省のほうに連絡はある。しかしながら、ジェトロ自体にはその連絡がなかなかうまくいかない。こういうようなことも聞くのであります。さらにまた、その二年なり三年くらいしかそのような実務に携わらないので、そしてせっかくそこらの地域である程度の熟練をして帰ってきても、今度はすぐまた本省のほうに帰ってくる。だから、ジェトロという一つの場が通産省の海外における研修機関となっているのではないか、こういうような批判をしている諸君もおるのであります。しかも、その駐在しております諸君が取り上げている問題というのは、民間に対するサービス活動という面よりも、政策的な、大部分通商政策的なものを取り扱って、それが中央官庁の通産省のほうに連絡がいくという形をとっておる。ジェトロというのが、何といいますか、通産省の一時的な腰かけ的な機関の役割りを果たすと同時に、研修機関的な役割りを果たす、こういうような行き方は、どうもおもしろくないじゃないかという空気があるわけであります。これは基本的には、通産省の山下輸出振興課長の見解なども新聞に出ておるわけでございますが、この内容を見てみますと、きわめて筋の通ったりっぱなことをおっしゃっているわけです。おっしゃっているけれども、実質はそういうふうになっていない。とするならば、これはやはり根本的にジェトロの体質というものを改善しなければならないのではないか。そうしてまた、現在二年なり三年間ぐらいで本省のほうにすぐまた帰っていくという形をとることは、これまたいかがかと思うのであります。やはりある程度の年限は、せっかく出した以上は、その体制を着実に進めていくことができる状況をつくってからまた行政官庁のほうに戻すとかいうような体制をおとり願わなければ、内部自体においてそういうようなコンプレックスを感ずる諸君もおるわけでありたすし、またきわめてはだ合いが合わないというような感じを持っている人たちも多いわけでございますので、それについて、そういう声があるのだが、その改善の方策を今日までおとりになったのかどうか、そしてまた、それが十分とられていないとするならば、今後これに対してどういう施策を講じようとお考えになっているのか、その点もお伺いをしたいのであります。
それと同時に、このジェトロの事業運営といいますか、この内容を見てまいりますと、収入源といたしましては、資本金の運用益、それから賛助会員の寄付金といいますか、これは毎年会費を出しているわけでありますが、その賛助会員の会費、地方庁の分担金、それに国庫のほうから事業費の運営費補助といたしまして、ことしも三十二億余り出されているようであります。そういうようなものによりまして事業が行なわれているわけでありますが、ここで同じような機構上の問題といたしまして、地方庁から分担金を七千万円くらいとられている。そしてそれぞれの地域に、各地方庁が当面地方の貿易といいますか、廃業を伸展するために、この地域に駐在をしたいということで、主として香港あたりが多いようでございますが、そこらに駐在をいたしております諸君は、これまた地方庁から出てきているわけでありますから、まずジェトロのことを考えるよりも、自分の親元の役所のほうに先に連絡をする。そうしてその中において自分の存在価値を認められるように働いている。だから、ジェトロ全体の体制としてどうもうまく行っていない、こういうような声も聞くのであります。これもやはりそういうような問題があろうかと思うのでありますが、これらに対するところの改善策をどういうふうに考えておられるのかをお答え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/15
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016・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいま御指摘のございましたような傾向が一部にありますことは、これは否定できないと思います。何となく通産省の人間だという意識が先に立って、ジェトロの人間であるということを忘れるような傾向は、これはほんとうは適当でないのでありまして、私たちのほうから出向させます人は、ジェトロの事業に最も適当であるという人間を出すのでありまして、ジェトロ精神に徹して、ジェトロの人間して腰を据えて仕事をしてもらうようにいたしたいと考えております。先般来この点についてはいろいろ御指摘がございまして、私たち人事当局のほうとも相談いたしまして、最近は駐在期間も比較的長くするようにいたしておりますし、また、適当な人物は海外の勤務の前かあとかに本部に帰って本部で仕事をするというような具体的なケースも、だんだんふえてまいっておるような次第でございます。
それから、ヨーロッパ駐在員の中で、民間サービスよりも政策的な事柄にとかく重点を置いていっているという御指摘がございました。これは実はヨーロッパの駐在員事務所は、設置以来まだ比較的日が浅いこともございまして、今後本来のサービス部門の拡充を本腰を入れて充実させていかなければならないと思っております。当面ヨーロッパにおきましては、御存じのように、日本に対する差別的な制限が、各国にございます。またさらに、新しく混合関税を課するとか、あるいはダンピング防止の措置を日本品に対してだけとるというような、直接商売に密接した政策が行なわれております関係で、どうしても商売の援護射撃をするためにはそうした問題にタッチしなければならないというような特殊な事情もございまして、御指摘のような傾向になっておるのかと思います。いずれにいたしましても、本来の民間サービス部門は、もっともっと充実さしていく必要があろうかと考えております。
それから、地方庁からの出向者でございますが、これは若干沿革もございまして、地方庁が単独でそれぞれ自分の庁の名前で駐在員を出したいという希望が非常に強かったのでございますが、各地方庁がそれぞれの単位で駐在員を出しますと、そこでまたお互いの間の過当競争が出たりいたしますし、いろいろむだもございますので、できるだけジェトロに吸収をして、ジェトロのかさの下に入ってもらおうというので、ようやく説得をしてジェトロという看板をかけた、こういういきさつもございますので、御指摘のように、必ずしもこん然一体となっていないといううらみはあろうかと思いますけれども、これも時間の問題でございまして、だんだんにいわゆるジェトロの気持ちになって仕事をするような態勢に持っていきたい、またそのようになるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/16
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017・村山喜一
○村山(喜)委員 政策的なものが重点的に取り上げられなければならないヨーロッパの情勢というものは、私もわかります。しかしながら、その問題は、基本的にはいわゆる外交の問題であり、経済の政策の問題であります。したがって、対日差別を撤廃させるというのは、これはあくまでも外務省なり通産省が国の行政行為としてなされなければならない大きな仕事ではないかと思うのです。主体はやはり日本の外交政策上の問題、通商政策上の問題であります。とするならば、それらはやはりそれぞれの主務官庁においてこれがなされて、ジェトロというものがそれに重点を注ぐということになりますと——これは民間業者にサービスをしていくという立場から展示、あるいはPR、調査、引き合い、あっせんというものが中心になるべき活動体系の組織でありますから、どうも筋がおかしくなってくると思うのであります。それが不足しているがゆえに通産省から出たジェトロの職員をそれに充てるということは、やはり本末が違っているのじゃないか、こういうふうに受け取れますので、これにつきましては、もう少しそういうような両面からの検討を願いたいのであります。
それと、いま一つジェトロの問題でお尋ねをしたいのは、この給与の問題について何か内規があるそうでありまして、その内規によります給与の格づけといいますか、この場合には、役所から出向をしてまいりました者については一一五%その期間分見る、商社からまいりました者は一〇〇%見る、これはおもに大きな企業関係の商社からきた人の給与の格づけの問題でありますが、その他の類似の業種からきた人は八〇%見る、その他関係のない業種からきた人は前歴計算等五〇%見るというようになっているようであります。そこで私いろいろ聞いてみたのでありますが、役所から出向をしてきた人については一〇〇%以上、一一五%にこれをしなければならないのは一体何だと聞いてみたら、役所のほうのそれぞれの有資格者といいますか、その人たちの給与のほうがかえっていいのだ、ジェトロの給与体系よりも役所のほうの公務員の給与体系のほうが高くなっているので、一五%の増しをしなければつり合いがとれないのだ、こういうような話であります。とするならば、政府関係の特殊法人の給与というものは、恩給やあるいは福祉共済的なものが不十分であるというので、初任給をはじめ給与の基本給の中において二〇%くらいの差をつけたもので給与体系をつくっていくのだという、当初からの計画があったと私は記憶しているのであります。そういうような点から考えてまいりますと、どうもこの賃金体系というものがおかしいのではないか。現にそういうようなこと等もありますし、さらに熟練をいたしました三十過ぎから四十代あたりの中堅職員が、自分の適当なポストも得られないというような問題もありまして、民間の商社関係に引っぱり抜かれていくというような事例等も多いようであります。そういうようなところにいきますと、給与が一躍三倍くらいにはね上がる、こういうようなことで、中堅層が、だんだんジェトロはえ抜きの諸君が、少なくなっていく。こういうような形がとられていくということになりますと、ジェトロの体制自体が十分に行なわれないということになりますので、これはやはり問題があろうかと思うのでありますが、それらの問題については、当事者間において給与を決定する能力が与えられなければならない。しかしながら、理事の諸君に組合のほうが交渉をしてみたら、いやこれは当局の考え方はこの線までだから、これ以上は私たちには答えることはできません、こういうような態度に終わっているようであります。そこで、これは公務員とは違いまして、団体交渉権が完全に与えられておるところでもありますし、組合の行き方を見てまいりますと、きわめて健全な考え方を持った人たちが組合の役員になってやっているようであります。そういうような立場からも、あなた方が主務官庁として、これはこういうようなんだからということで押えるのでなくて、当事者間にもっと当事者能力を与えるような方向で指導をされるのが筋ではなかろうかと思うのでありますが、そういうようなたてまえで今日おられるのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/17
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018・山本重信
○山本(重)政府委員 給与体系のことにつきまして、私もちょっとまだ勉強不十分なところがございますので、勉強いたしまして、御趣旨に沿うような改善の努力をいたしたいと思います。
いまお話のございました中で、役所からジェトロにまいります場合に一五%アップの格づけをしておるというお話、これは事実そのとおりでございます。これは一般的にジェトロが役所から採用する者とそれから商社から採用する者と、その前の給与を比較してみますと、どうしても商社のほうがよろしいわけでございますので、その間の格差をある程度縮めよう、こういう意図からそういう操作をいたしているようでございます。
それから当事者能力の問題でございますが、これは先般、ジェトロの、特に海外勤務者の給与が在外公館の給与に比べて非常に悪いという問題が出まして、私も各地でそういう話を聞きましたので、何とか早く改善をしようと思ってかかったのでございますが、政府関係機関の給与につきましては、横のバランスを考えるために、大蔵省のほうで一つの基準を考えておりまして、実は通産省だけでも決定しかねるような関係になっております。在外給与の改善につきましては、昨年非常な努力をいたしまして、ある程度格差圧縮に成功いたしたわけでございますが、ただいま御指摘の点につきましても、なお政府部内で十分に検討いたしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/18
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019・伊能繁次郎
○伊能委員 村山委員の重要な質問に関連いたしまして、私も二、三お尋ねをしたいと思います。
貿易行政、経済外交の行政が、日本の今後の平和的な発展の上に最も重要と言っていい以上の大切な問題でありますから、今回の通産省における通商局と貿易振興局、これには私どもは双手をあげて賛成であり、また、かつて昭和十三年か四年ごろには貿易省の設置の問題が政府において論議せられたことも、私ども当時の当事者の一人としてよく承知している。それほどに重要な問題でございます。したがって、単に二つに分けるというよりも、さらに一つ上へいった大きな機構があってもしかるべきだ、かようにすら私ども考えるわけでございますが、今回の通商局と貿易振興局について、さいぜん同僚の村山委員から大綱についていろいろ御質問がありましたが、私もそれに関連してお尋ねしたいことは、今度の分け方の大体の内容、それと同時に、経済外交として外務省と通産省の通商局、貿易振興局との仕事上の関連の大綱、さらにさいぜん村山委員も触れられましたが、通商局とジェトロとの関係、さらに民間輸出入業者とジェトロ、通産省における貿易機構との関連というものは、形式的には御説明でよくわかるのでありますが、実際上、説明どおりにうまくいかないと、貿易というものが皆さんの期待どおり、また国民が心から願うように進展していかないというような点を私どもは非常に心配をいたしております。と同時に、二、三の例も後ほどお尋ねもし、またそれに関連した問題も提起をしたいと思っておりますが、そういう根本の問題から、ひとつこの際政府出局の御解明をいただきたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/19
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020・山本重信
○山本(重)政府委員 今回通商局を二つに分ける案をお願いいたしておる次第でございますが、その基本的な分け方の方針を申し上げます。
現在通商局が担当しております仕事を非常に大ざっぱに性格づけますと、二つの面があろうかと思います。一つは外との交渉でございます。従来は外務省を通じて交渉をするような仕組みになっておりましたが、最近では先進諸国は、全部経済官庁が第一線に出て交渉をいたすようになりました。そのために、二年前に比べますと、通商局に参ります関係各国からの来訪者、あるいはこちらから出かけて行く回数が非常にふえました。それと国際会議、たとえばケネディラウンドとかOECDとかの会議もひんぱんに行なわれるようになりまして、経済担当官庁がそれに出ていく必要が急増しておるような次第でございます。そうした外との関係を主体にした部面、もう一つは主として国内体制の整備と申しますか、最も重要な輸出振興をいたしますために、税制、金融保険その他の制度を完備しまして、そして輸出の振興をはかっていくことが何より必要になってまいっておるのでございますが、そうした施策を、国内で整えますためには、新しい開放体制下の現状に合った思いきった体制の整備が必要でございまして、そのための仕事があるわけでございます。今回の二分割案によりますれば、通商局のほうは主として対外関係を中心にして受け持つように考えております。その場合に、対外折衝の内容といたしましては、お互いに相手の輸入政策を攻撃し合うということが、一番重点になっております。たとえば日本とフランスが交渉いたします場合は、日本はフランスに対しまして、繊維製品あるいはトランジスターラジオ等々の輸入をもっとふやすようなことを要求します。フランスは日本に対しまして、香水とか乗用車とか、そうしたものの輸入を要請してまいりますので、やはり輸入の権限を持った人が交渉に当たる必要がございますので、輸入関係の仕事を通商局のほうに一緒にすることにいたしております。貿易振興局は、先ほど申し上げましたように、輸出振興のための金融、税制、保険、デザインその他の国内体制の整備をしたい。それから輸出振興と密接不可分の関係にございます経済協力の関係、技術者の派遣、あるいは研修生の受け入れ、あるいは資本協力、こういった、面の仕事を貿易振興局のほうに一緒にする、こういう考え方にいたしております。
次に、外務省との関係でございますが、主要な国との二国間交渉あるいは国際会議に出席しますような場合に、実際には通産省と外務省とは一緒になって仕事をいたしております。外務省は、主として外交的な立場からの配慮をいろいろだしております。通産省は、産業政策あるいは貿易政策という観点からその方針を考え、また交渉に当たっておるような次第でございます。
次に、ジェトロ及び業界との関係でございますが、ジェトロの監督指導は新しくできます貿易振興局のほうが担当することになっておりまして、ジェトロの先ほどからいろいろ御指摘がありました点の改善その他につきましては、貿易振興局がこれに従来よりももっと精力的に当たり得る体制ができるかと考えております。
それからジェトロと業者、業界との関係でございますが、ジェトロは沿革的に、一般の業界ではできないような仕事、すぐに金になり、もうけになって返ってきませんけれども、長い目で見て市場開拓のためにいろいろ布石を打つような仕事をいたしておるのでありまして、したがいまして、最近では大手商社あるいはメーカーあたりも海外に自分が進出している仕事をしておりますので、ジェトロの関係は主として中小企業関係の援護射撃というところに重点を置くようになってまいっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/20
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021・伊能繁次郎
○伊能委員 そこでお伺いしたいのですが、さいぜんの御説明に、昨年の四月から開放経済体制に入ったということでいろいろ詳細なお話がありましたが、私ども日本が先進国の一つとして開放経済体制に入ったその結果として、まだ国際経済協力その他の問題はありますが、主として貿易上からどういう効果があらわれたのか。非常にいい効果があらわれたのか、必ずしもそうでないのかという点等について、まだ一年もたっておりませんが、大体の皆さまの考え方、実情等についてお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/21
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022・山本重信
○山本(重)政府委員 開放体制に昨年入ったわけでございますが、実は昨年はちょうど日本がIMFの八条国に移行いたしましたことと、それからOECDの正式メンバーになった、こうした事柄から、特に昨年を開放体制に移行した年というふうにいっておるわけでございます。実際には日本が従来から数年がかりで貿易の面の自由化をいたしてまいっております。そしてまた、各国とも通商交渉々通じまして相手の差別の漸減に努力してまいったわけでございます。そうした結果、昨年たまたまある段階にまで達しまして、そうして国際的にも一応一人前になったというふうにいえると思うのであります。それが貿易上にどういう影響を与えたかということにつきましては、私は率直に申し上げまして、最近輸出の伸びが非常に順調にいっておりますが、これもやはり日本自身が開放体制になって、外国からも相当に物を買う体制になってきた、そうして日本の市場というものに世界各国の者が目をつけるようになった、その反面として日本品の進出が世界各国に迎えられるようになってきている、こういうふうに考える次第でございます。それからなお、具体的にはOECDの機構の中に貿易委員会というものがありまして、私ども定例的に出ておりますが、先進国二十カ国の貿易担当の局長あるいは長官が集まりまして、お互いに非常に率直な意見の交換をいたします。そういうことを通じまして、徐々にではございますけれども、従来固かったヨーロッパの対日制限の壁がだんだんにほぐれてきているということがございまして、端的にどの分がどうというふうには申し上げられませんけれども、大きな傾向としては、非常に効果をあげつつある、またむしろ、長い目見て、これから先も非常に楽しみがあるというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/22
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023・伊能繁次郎
○伊能委員 大まかな総括的な御説明としては私どもは非常によく了承するのでありますが、ところが、その陰に隠れた犠牲の面、ことに農産物等については相当な犠牲があるのではないか。ことに池田内閣時代、あるいは岸内閣当時からずっと池田内閣に、開放体制に移行する中間において、政府では農産物は当分の間は輸入の自由化もやらないのだと言っておったのが、先般の自由化政策の推進によって今日の事態を来たしたわけでありますが、私ども特に農産物に自由化のしわ寄せが来ている傾向が顕著ではないかと思うのでありますが、この点についてはどういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/23
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024・山本重信
○山本(重)政府委員 御指摘のように、農林水産物は自由化をいたします場合に特に慎重を要する部門でございますので、自由化をいままで推進してまいります過程におきましても、十分に農林省とは打ち合わせをいたしまして、はたして自由化をしてだいじょうぶかどうか、また、自由化をした場合に国内産業にどういう影響が起きるであろうかというようなことも検討いたしまして、中には必要な対策を講じることによって踏み切れるものもございますし、どうしても踏み切ることができないようなものもございます。その点は国内産業との調整を十分考えてきておりますので、特にただいままでのところ自由化をしたために非常に国内の生産者に悪影響を与えているというような事態は防げているのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/24
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025・伊能繁次郎
○伊能委員 どうもいまのお話は、私どもちょっと理解ができないわけであります。たとえばレモンの問題にしましても、あるいはバナナの問題にしても、これらはすでに前国会において同僚議員から超党派的にいろいろな観点から論議が尽くされておりますのに、この問題はまだ解決がされておらぬのであります。こういう点については逐次改善されておられるというお話ですが、私どもが見ると、改善されておらない。一方、フランス等の例をとってみると、フランスなどは、ブドウの栽培、ブドウ活炭業の育成というような観点から、アメリカ等からはコカコーラだとかオレンジ関係のものなんかほとんど輸入をさせないというような、自由化についても、農産物その他のものについても、特殊な政策をとられている。あるいは最近のイギリスの賦保金制度、ああいうようないろいろな問題が世界の各国には起こっておる。日本については、そういう問題についてはどうも明確な政策がとられていない。この点は、私どもとして、日本国内の農業は、御承知のように政府みずから、経済成長のひずみの一番大きなものの一つだ、こういうようにはっきり言っておられて、それを助長するためにいろいろな政策がとられており、非常なたくさんの金が使われておるが、一方においては貿易上非常に不利な立場にしいて置くような政策がとられておるのではないかとすら、農村の一部からは批判の出るような状況にあるということについては、私は政府においてもう少し明確な措置が急送にとらるべきだと思うのですが、依然としてどうも明確な措置がとられていないということを非常に遺憾に思っておるのですが、その辺はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/25
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026・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいまレモンとバナナのお話がございました。この二つの品目、いずれもたいへんにむずかしいいきさつのある品目でございますが、自由化をいたします際に、私たち考えなければいけない立場が三つあろうかと思います。
一つは消費者の立場、一つは輸入業者の立場、もう一つ、最も重要なのは国内のメーカーの立場というものです。この両品目につきましては、消費者の立場から見ますと、自由化されます前には、正直言いまして不当に高かったということは否定できないと思います。自由化によりまして、レモンが一個七十五円しましたのが、ただいまは二十五円とか三十円になっております。その点では非常によかったと思うのであります。しかし、あとの二つの立場についてはそれぞれ問題がございます。第二の輸入業者の立場でございますが、一面におきましては、長い間実績主義の割当が続けられましたために、中には利権化したものもあるようなうわさも出まして、これはどうもすっきりしないという点がございました。その点は自由化によりまして解消したのでございますけれども、この両品目とも、供給者側が独占的な体制をとっているというところに一つの問題がございます。したがいまして、私たちといたしましては、自由化のメリットはなくしたくない。しかし、相手が独占形態でありますために、もしわがほうに不利なことが起きるような場合には、何らかの対策を講じなければならない。それには、たとえば業界で話し合いをされて協定をつくるというようなことが、一番適当ではないかと思っておるのでございます。この両業界ともいろいろそういう動きがあるようでございますけれども、話がまとまってまいりますれば、私たちとしてはそういう方向は支持してまいりたいと思います。それから一番大事な生産者に対する影響でございますが、バナナの場合は、直接国内に生産されるものではございませんので、ほかのくだものに対する間接的な影響ということがあります。それからレモンの場合には、かなりの生産者がおられる。そういうほうに対する影響につきましては、農林省で十分に検討しまして、だいじょうぶだ、それからもし必要があれば対策を講ずるということで踏み切ったわけでございます。必要があれば農林省のほうが所要の措置を講ずるということで、私たち期待をして自由化をいたした次第でございます。したがいまして、今後問題が起きますれば、農林省のほうで所要の措置をとってくれるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/26
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027・伊能繁次郎
○伊能委員 問題が起きますればというお話ですが、現に問題が非常に切迫して起こっておる。ことに生産者のごときは、このままでいけば、おそらくレモンの栽培に励む者がなくなってしまうだろうというような状態です。私どもは、自由化がいけないというのではなくして、大きな問題に前々からなっておった農産物あるいは農産物に重要な影響のある砂糖の問題——砂糖の問題は、現に自由化をしながら、また別に事業団をつくろうとかいうようなことが政府並びに党の間に起こっておることは、御承知のとおりだと思う。それに対して関係業界は猛烈なる反対をしておる。こういうようなことで、それが国内のイモでん粉あるいはその他の甘味関係に重要な影響を持つ、したがって関係業界を混乱せしむるというようなことで、私どもは、自由化という大きな旗じるし、これは日本が貿易をいろんな面から力強く推進していかなければならない一環として起こる問題だということは認めるわけであります。しかし、それについて、政府部内のやり方にはどうも総合性がない。いまお話しのように、これは農林省の問題である、農林省で適当に処理をするだろうというようなことでは、国民はその被害を解決はしていただけないわけです。ですから、政府として一貫した方策をとられ、そのもとに自由化を進めなければいけない、私どもかように考えるわけでありますが、どうもその点について、ことに農産物もしくは農産物に関連のあるものについての自由化が、慎重を欠いておったのではないか、こういう問題については、政府全体、ことに貿易を主管しておられる通商局あるいは貿易振興局等において、今後どういうような考え方でいかれるか、基本的な問題も十分に御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/27
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028・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいま非自由化品目が、ブラッセルの関税表による計算で百六十二ございます。その中で、ガットの規定によりまして、自由化しなくてもいいと国際的に認められております品目、たとえばアヘンとか武器弾薬みたいなものでございますが、それが三十九ございますので、これを除きますと、残存制限品目が百二十三になっております。各国の残存品を見てみますと、たとえばイギリスは二十七、西独は七十四、ベネルックスは十五、フランスはまだちょっと多くて百一ございます。達観してみまして、大体西欧水準というふうに言っていいのではないかと思います。したがいまして、私たちはこれから自由化を進めます場合には、この自由化が国内産業政策から見て、自由化したほうがいい、こういう場合に自由化をする。また、ある程度対策を講じて悪影響が防げる、こういう自信がついたものにつきまして、対外交渉上それを使うことによって日本が有利なかけ引きができる、こういうような場合に、初めて自由化をすべきであって、何でもかんでも自由化を進めなければいけないというような事態ではないというふうに考えております。
それから、ただいま申し上げました残存制限品目百二十三のうち、農林関係のものが七十二でございまして、圧倒的に多いわけでございます。通産関係四十五、それから大蔵、これは主として酒類でございますが、大蔵、厚生合わせまして六というような状態になっておりまして、この残っておる数から見ましても、農林物資については、比較的従来慎重にやって残してきておるというふうに考えております。したがいまして、今後は、従来もそうであったのでありますが、なお一そう慎重に、十分に検討した上で自由化問題は処理をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/28
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029・伊能繁次郎
○伊能委員 最後に一点、前回も私はこの点をお尋ねをしたのですが、考え方としては非常に理解できるのですが、最近の日本の輸出入業者、業界の実情を見ましても、戦前は、大きな財閥的な業界が、それぞれ地域的に、率直なことばでいうと、世界に雄飛をし、君臨をしておるという関係で、その点は自主的にというか、かなり分野がおのずから明確であると思うのですが、戦後日本の貿易業者の実情を見ますと、非常に混乱をしておる。最近の日本の経済界の推移に応じてある程度の整理がせられたのかどうかは存じませんが、どうもわれわれが海外にしばしば参りましても、非常にこの点にきついのですが、さいぜん局長のお話のように、ダンピングの問題等も言われますが、特に輸出についてそういう論議があって、非常に日本としては不利な状況にある。かつては御承知のように、東南ア、インド等については三井関係、また東洋綿花等はそれぞれ特殊なもの、あるいは南米等については三菱関係とか、それぞれおのずからの分野があったのですが、最近は大業者、弱小業者きびすを接して猛烈な競争をやっておる。その結果のダンピングがかえって日本の信用を落としておるというような状況になっておるのですが、この点は何らかの積極的な指導が常に官民各方面から望まれておるのですが、依然としてどうもそういう点については明確な指導、並びに指導に基づく体制ができておらないように思うのですが、この点についての通産当局のお考えをひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/29
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030・山本重信
○山本(重)政府委員 業者間の競争が過当に流れている分野があるという御指摘は、私もそのとおりであると思います。ある面からいきますと、最近の日本の貿易の体質的な一つの特徴といいますか、欠陥であろうかと思います。これは結果におきまして、輸出品の価格をお互いにたたき合って下げてしまって、もうかるところをもうからなくしてしまったり、また相手の国の市場を乱しまして、向こうからいろいろ不平、クレームをつけられるもとにもなるのでありまして、ぜひ改善をはかる必要があろうかと思うのであります。従来もいろいろな措置を研究もし、努力をしてまいっておりますが、正直に言いまして、なかなか取り扱いがむずかしい問題でございます。制度としては、過去におきましても、商社に登録制をしいて、なるべくしぼって、分野協定といいますか、そういうようなことをやったらどうかというようなお話もございますが、法律的にもなかなかむずかしい問題でございます。ただ、個々の品目につきまして非常に問題がはっきり出ましたような場合には、たとえば貿易管理令によりまして輸出承認制をしきまして、そうしてある程度輸出の全体の量にしぼりをかけていく。それからもし業界の中で話がうまくまとまるようであれば、政府も内面指導をいたしまして、業者間で協定をつくり、取引法によりまして秩序ある輸出をするように指導してまいりたい、このように努力をいたしております。しかし、たいへんむずかしい問題でございまして、今後も一そう根気よく努力をしていく必要があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/30
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031・伊能繁次郎
○伊能委員 むずかしい問題であることはよくわかるのですが、いまのお話では、どうも当分静観、野放しというような形のように受け取れたわけですが、管理令を発動した例はどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/31
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032・山本重信
○山本(重)政府委員 少し古い資料で恐縮でございますが、昨年の四月末現在におきまして、輸出入取引法に基づく協定ができまして、それによって輸出秩序を確立するということをいたしましたものが、延べで三百九十四ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/32
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033・伊能繁次郎
○伊能委員 最後に一点お尋ねいたしますが、これは非常にとっぴな、非常識だと、言われるかもしれませんが、さいぜん私の質問に関連する問題でありますが、日本の貿易業者は、率直に言って、輸出で出血をして輸入でもうけているのだというようなことが言われるので、これでは日本の国民の負担において輸出入業者が国民全体の膏血をしぼるような結果におちいって、これは明らかにダンピングの結果だろう、こういうようにこれは貿易業者自体がそういうことを言っておることを私は耳にするのですが、こういう問題については、通産当局は——私はこれは輸出振興の上に今後重大な問題だと思うので、どういう観察をしておられるか、お伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/33
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034・山本重信
○山本(重)政府委員 輸出の商売が輸入の商売に比べますともうけが少ないということは、事実であろうかと思います。ただ、それが出血までして出しておる例というのは、これは明らかにダンピングになるわけでございますが、そういう例はまずまずないのじゃないか、もうけもなしに、要するに利潤をしんぼうして、将来の市場拡大のために出すというようなことは、これはあろうかと思います。最近輸出が非常に伸びておりますが、輸出の価格の動向を日銀の統計あたりで見ておりますと、幸いにしてほとんど横ばいか、しいて言えばむしろ少し上がりぎみぐらいでございまして、前にはよく金融引き締めをやりまして、そのために輸出がぐっと伸びますときには、かなり輸出価格が下がったのでございますが、幸いにして最近はそういう傾向でございませんで、輸出価格はおおむね堅調な足取りを示しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/34
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035・伊能繁次郎
○伊能委員 私の関連質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/35
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036・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣が見えなければ、政策的な問題につきましては論議できないと思いますが、先ほどジェトロの問題で私質問をいたしておきましたけれども、このジェトロの仕事内容を見ますと、日本の産業のPRをやるとか、あるいは宣伝、その他海外有力者の招聘、海外見本市の開催、あるいは商品見本の収集、こういうような仕事をやっているわけでありますが、ここでジェトロの海外組織を見てみますと、トレードセンターにしましても、機械センターにしましても、ジェトロの事務所にいたしましても、ほとんど全部というか、まあ全部だろうと思うのでありますが、自由主義国家群内だけが対象になっておる。そして東西貿易の重要性が主張をされているにもかかわらず、共産圏あるいはその地域に対しましては、そういうジェトロの海外組織というものはほとんどないわけですね。こういうような現在のあり方というものは、一体、日本の貿易構造というものが、先ほど申し上げましたように、東南アジアに三〇%の輸出の依存度がある。しかもアフリカから中南米まで入れると、五〇%は低開発国を対象にしている。こういうような状況の中にありまして、いまのところ貿易の目先は明るいけれども、先行きはきわめて不安だという要素もあるわけです。そういうような点から考えたときに、政策的な問題として、やはりこの問題については検討をしなければならない段階にきているのではないかと思うのでありますが、これらにつきましてはどういうような考え方をお持ちなのか、事務的なレベル段階においてはどこまで検討がされているのか、政策的な問題は後日大臣に承りたいと思いますが、それだけをお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/36
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037・山本重信
○山本(重)政府委員 御指摘のようにただいまジェトロの海外施設は、ほとんど全部自由主義国でございます。一カ所ユーゴに、これはちょうど中間的な性格の国でございますが、そこに一人駐在員が出ております。御指摘のように、今後共産圏貿易の重要性は相当増してくると思いますので、そうした方面にもジニトロがこれから体制を整備していくことは必要であろうかと思います。ジェトロの内部でも、いろいろ検討を進めておるようでございます。おそらく昭和四十年度には、どこか場所はまだきまっていないようでありますが、東欧圏にとりあえず一カ所事務所を設置することになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/37
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038・村山喜一
○村山(喜)委員 委員長、まだ私は貿易構造の今後の問題について大臣にただしたい政策上の問題もありますし、さらにいまのジェトロの問題につきましても、政策上の問題がこれに関連する大きな問題であります。さらに特許庁の増員の問題等につきましても、いわゆる著作権等の競合の問題等もございますので、それらの問題は、やはり主管大臣においでを願わなければぐあいが悪いと思いますので、きょうは私の質問を続けるのを保留させていただきまして、後日質疑をお願いをすることにいたして、私はやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/38
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039・河本敏夫
○河本委員長 次会は、来たる九日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01319650305/39
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