1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十二日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 伊能繁次郎君 理事 辻 寛一君
理事 永山 忠則君 理事 八田 貞義君
理事 田口 誠治君 理事 村山 喜一君
理事 山内 広君
井原 岸高君 岩動 道行君
加藤 高藏君 高瀬 傳君
塚田 徹君 綱島 正興君
野呂 恭一君 藤尾 正行君
保科善四郎君 茜ケ久保重光君
稻村 隆一君 大出 俊君
角屋堅次郎君 伊藤卯四郎君
受田 新吉君
出席国務大臣
外 務 大 臣 椎名悦三郎君
文 部 大 臣 愛知 揆一君
国 務 大 臣 増原 恵吉君
出席政府委員
総理府事務官
(北海道開発庁
総務監理官) 小熊 清君
外務政務次官 永田 亮一君
外務事務官
(大臣官房長) 高野 藤吉君
外務事務官
(アメリカ局
長) 安川 壯君
外務事務官
(欧亜局中近東
アフリカ部長) 力石健次郎君
外務事務官
(経済協力局
長) 西山 昭君
外務事務官
(移住局長心
得) 山下 重明君
文部事務官
(大臣官房長) 西田 剛君
文部事務官
(社会教育局
長) 蒲生 芳郎君
文部事務官
(管理局長) 齋藤 正君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局長) 宮地 茂君
委員外の出席者
外務事務官
(アメリカ局外
務参事官) 安藤 龍一君
専 門 員 加藤 重喜君
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本日の会議に付した案件
北海道開発法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二四号)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一七号)
在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外
公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
北海道開発法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
おはかりいたします。本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/1
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002・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/2
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003・河本敏夫
○河本委員長 次に、本案を討論に付するものでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/3
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004・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
北海道開発法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/4
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005・河本敏夫
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/5
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006・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/6
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007・河本敏夫
○河本委員長 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/7
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008・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣も時間が四十分ほどしかないそうでございますので、私、きょうは設置法によります政策的な問題について、大臣の見解を中心にお伺いをいたしておきたいと思います。
今回提案をされました設置法の改正案の大きな問題点といたしまして、第一に、国立社会教育研修所の設置の問題が出されているのでございます。これは現在社会教育法の第二条によりまして、社会教育の定義がなされておりますが、今日の社会教育の実情はどういう状態になってきているか、また文部省あるいは都道府県が行なっている社会教育というものが、国民大衆から浮かび上がった存在になっているのではなかろうか、こういうような懸念が随所に最近見られるわけでございますが、これもやはりその状態を調べてまいりますと、社会教育の指導者に人を得ていないというところにも原因があるようであります。そこで今日、社会教育主事及び主事補の市町村の配置状況というものは、どういうふうになっているのか、この際お伺いをしておきたいのでございます。御承知のように、法律の改正が行なわれまして、三十八年の三月末までで、人口一万人以上の市町村の場合には必ず置かなければならないというふうに法律の規定がございまして、この猶予期間が三十八年の三月末で切れたのでありますが、その設置率を調べてみますと、市町村で社会教育主事を置いていないものが、ちょっと古い資料になるかと思いますが、三十八年の九月現在においては、町村の設置率は五六・四%、義務的に設置を要求されておりますところが、七九%しか設置されていない。しかも、その中の有資格者は一体どういうふうになっているのか、こういう問題を調べてまいりますと、ここらあたりで社会教育主事に対します政策的な問題も考えなければならない段階に来ているのではないか、たとえば教職員の中から充て社会教育主事等を考えていくというような方向をあわせて考えていかなければならないのではなかろうかと考えるのでございますが、今回予算書の中で、生徒学生の校外指導のための充て指導主事増員分として、それを含めて充て指導主事三百二十人の増員ということが、示されておるわけであります。その生徒学生の校外指導に当たる充て指導主事は一体何名三百二十名の中で考えられているのか、この点についての御説明を願いたいのであります。
なお、これらの問題に関連いたしまして大臣からお答えをいただきたいのは、この社会教育というものについて、機能的な教育に重点を置いていくという考え方をお持ちなのか、それとも有意的な教育に限定をして考えていかれるものなのか、社会教育の定義というものを見た場合に、控除的な定義を現在のわが国の社会教育法は定義づけているのでございますが、積極的にこの問題を行なっていくためにはどういう意図をお考えになっているのか。特に今回国立社会教育研修所を設置するということになってまいりますと、これらの問題についての基本的な解釈がはっきり大臣の方針として示されてこなければならないかと思うのでありまして、たとえば、具体的な問題として例示いたしますならば、婦人学級が四十時間で五百五十円の謝礼単価で年間二万二千円、庁費二万円、計四万二千円で計上されておりますが、そこで、御婦人たちが自主的に団体を育成して、その成果を経験として踏まえながらやろうという意欲を燃やしまして、次の年にはこういうことをやりたいという方向を出しましても、社会教育担当の主事なりあるいは地方の教育委員会は、一年ごとに地域の指定がえを行政当局がやるという結果が生まれているのであります。こういうような考え方の中から、行政の対象として社会教育は意図的に行なわれているわけでございますが、一体今回国立社会教育研修所を設置する目的といたしまして、社会教育というものを機能的な教育に重点を置く方向で考えるのか、それとも有意的な教育に限定をして考えるのか、こういう立場からの見解を、本質論でございますので、お聞かせを願いたいのでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/8
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009・愛知揆一
○愛知国務大臣 この社会教育の意義といいますか、とらえ方につきましては、われわれといたしましては、ただいまも御指摘がございましたが、社会教育法の第二条に定義が明らかにされておりますように、「学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動」ということを本義といたしまして、この線に沿うてやっていきたいと思っておりますので、いまお話しにございましたが、機能的とおっしゃいます意義を必ずしも私正確に把握できないかもしれませんけれども、御趣旨からいえば、いわゆる機能的な活動ということは当然この中に入っているもの、かように理解してまいりたいと思うわけでございます。
それから国立社会教育研修所を設置するということの必要性を認めたのは、この法案の提案の理由の説明にも申し上げましたように、またただいま御指摘もございましたように、近来社会がいろいろの意味で進展をしてまいっておる、そういう情勢に対処し、また現状についてもいろいろの御批判がございましたけれども、われわれといたしましては、社会教育をできるだけ振興していくためには、たとえば公民館にしても、図書館にしても、あるいは博物館、青年の家、児童館といったような社会教育施設の整備それ自体が非常に大事でありますけれども、やはり問題は、この運営の中心になるべき社会教育主事あるいは公民館の主事あるいは民間の社会的教育の指導に当たってもらうような人たちの量的並びに質的な充実をはかることがきわめて重要である、かように考えておるわけでございます。従来いろいろと文部省としても各種の研修事業を実施してまいりましたけれども、いずれもまだまだ関係各方面の要望の一部を満たしておるにすぎない状況で、十分にその効果をあげておりません。そこで社会教育に関する研修事業というものを拡充してまいりますためには、これに専念する独立の機関を設置して、そうして専門的、計画的に研修を行なう必要がある、こういうふうに考えまして、この研修所を特に国立として新設をしていただきたいということを御提案申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/9
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010・村山喜一
○村山(喜)委員 社会教育の主事の設置率の問題等は、事務的に後ほどお伺いをいたしますので、大臣にいまの点をもう少し突き詰めて申し上げたいと思います。
と申し上げますのは、機能的教育に重点を置いて考えた場合には、大臣も御承知のように、広く相互教育、そうして機会教育の重視、こういう形をとらなければならない。御承知のように、社会教育法の定義には学校教育を除くその他の教育ということになっておりますから、これは控除的な定義であります。しかしながら、行政の対象として社会教育そのものを見ていくならば、予算項目の中に明らかにありまするように、意図的に教育体制をつくる組織的な教育ということになるわけであります。そこに現実とのズレの問題があるという具体例を私はお話しを申し上げたわけであります。というのは、婦人学級をおつくりになる。その間に自主的な団体として婦人学級が育ってきた。今度はその団体をさらに構成員の要望に従って大きくしよう、またもっと別なものを学習したいという意欲があるわけです。ところが、行政当局は、機会均等とか、あるいは地域的に偏在をしたらまずいから、あなたの婦人学級は一年きりでおやめなさい、今度は新しい地域に同じようなものをつくってやります。こういう形になる。その結果、片一方のほうはやりたいという意欲をお互いが持っているにかかわらず、それができないというところから不満が生まれる。今度新しく生まれるところにおいては、また新しく指導をし直さなければならないということによって、社会教育自体の深みがなくなってくる。そして社会教育は当局が押しつけてくるものではないかという印象を、そういう地域におけるところの活動家の人たちが持っている。ここに私は、現在の社会教育の行き詰まりというものがあるのではないか、そういうような意味で申し上げたのでありまして、もう少しやはりこの問題を、控除説という立場に立っている以上は、相互教育、機会教育の重視という立場からお考えを願いたいのでございます。その点は要望を申し上げておきます。
次に、社会教育法の第九条の五によりますと、これは三十四年の改正の前におきましては、大臣も御承知のように、教育に関する学科または学部を有する大学が、文部大臣の委嘱を受けまして養成教育を行なうことができたのであります。ところがこれに対しまして、改正案が出てまいりました当時においては、講習実施の機関といたしまして、文部大臣及び文部大臣の委嘱を受けた都道府県の教育委員会というものが原案に出されてまいりました。しかし、これは国会において修正をされたのであります。そしてこの部分に関する限りはこれが削除されまして、御案内のように「大学その他の教育機関」、こういうことで、指導主事の講習機関というものが限定をされました。そこで私は、今回提案をされました国立社会教育研修所というのは、一体これは教育機関なのか、それとも国家行政組織法上の付属機関なのか。これは研究所なのか、文教施設なのか。特に、地方自治法の百五十六条との関係はどういうふうに解釈をされてつくられようとしているのか。特にいま大臣の御説明がございましたように独立してその権限を行なう機関とする、こういうことになってまいりますと、一体国家行政組織法上の位置づけは、どのような形においてそういう説明をされるのかという点が不明確でございますので、この点についての考え方を説明を願いたいのであります。
それと同時に、文部省設置法の第二十条の三は、研修を行なう機関であるというふうにわれわれは考えるのでございますが、そういう研修を行なう機関であるというふうに限定をして考えたほうが正しいのか、教育研修所というものは広義な意味におけるところの教育機関であり、そして一つの講習実施機関、こういうような形に考えて、資格を付与するような形のものをお考えになっているのかどうか、この点が不明確でございますので、説明を願いたいのでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/10
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011・愛知揆一
○愛知国務大臣 まず、国立研修所の性格でございますけれども、われわれの考えといたしましては、この研修所は行政組織法上は第八条に基づいて、法律によって設置される行政機関の付属機関、こういうふうに考えておるわけでございます。そして文部省設置法の上からは、国立社会教育研修研というものは、国立大学それから国立教育研究所と並んで文部大臣の所轄機関にする。そして所長の助言機関として評議員会を置いて、事業計画や予算や人事等の運営、管理に関する重要事項について助言をしてもらうことになっておるわけでございます。
それから第二十条の三にいわゆる社会教育に関する専門的、技術的な研修というのはどういうことであるかというお尋ねでございますけれども、この点につきましては、従来、本省において直接実施しておりました短期間の研修も御承知のようにございますわけですが、これは社会教育に関する専門的、技術的な指導、助言の一環として行なってまいったわけでございます。今回新たに研修所を設置して、これらの研修をさらに充実拡充したいというところに意味を持たせてあるのでございますから、研修所の目的といたしましては、社会教育に関する専門的、技術的な研修を行なうということを明らかに性格づけることが適当であると考えましたので、二十条の三にこういうふうな規定をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 第八条によるところの付属機関であるということで明らかになってまいりますが、私がなぜこれを申し上げますかといいますると、「社会教育法の改正の趣旨について」というので福田初中局長——当時の管理局長ですか、その解説書を見たのであります。それによりますると、その他の教育機関とは一体何ぞやということで、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって示されているように、教育機関というのは、各種の研究所あるいは図書館、こういうような広義のものを含むものである。ただし、はたしてそれはそういうようなものから適当なものとして言えるかどうかは別に判定をしなければならないが……、という説明がしてあるのであります。そこで私は、過去において社会教育法の改正が行なわれましたときに、国会において修正をいたしましたその趣旨から考えまして、大学その他の教育機関というその他の教育機関は、大学に匹敵をする職員、組織を持ち、施設及び設備の状況を備えたものでなければならない、こういう立場から考えまするならば、今回国立社会教育研修所として設置をされるものは、法律の第九条の六に示される研修というのがございますが、勤務能率の発揮及び増進のための現職教育、これが任務でなければならない。だから、言うなれば法律の第九条の五に示されるそういうものとは違うのだという点を明確にしておかなければならないのではなかろうかと思うのでございまして、その点について再度確認を申したいのでございますが、これはやはり研修を行なう機関、そして現職教育を中心にやる機関であって、認定講習その他の実施機関ではないのだ、性格的にはそういうように位置づけておかなければならないかと思いますが、そのように解釈して差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/12
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013・愛知揆一
○愛知国務大臣 その点につきましてただいまちょっと説明が足りなかったと思いますが、社会教育主事の講習について申し上げますと、社会教育法の第九条の五によりまして、「文部大臣の委嘱を受けた大学その他の教育機関が行なう。」とされていることは、ただいま御指摘のとおりでございます。そこで法律の解釈といたしましては、国立の社会教育研修所も、教育機関であり、この「その他の教育機関」に入るという解釈をすべきであると思いますので、文部大臣の委嘱を受けた場合には、社会教育主事の講習も実施できるものと法律的には考えたい、かように考えております。ただ、しかしながら実際の運営上、これから新たに発足する研修所でございますから、実際の運営としてただいまそこまでいくことは考えておりません。いわゆる認定講習というようなものは、国立社会教育研修所でさしあたり直ちに実施をするというようなことは考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/13
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014・村山喜一
○村山(喜)委員 どうもそこら辺の解釈をはっきりしてもらわなければ、われわれはにわかに賛成をするわけにはまいらないのであります。なぜかならば、今回設けられる国立社会教育研修所の職員の定数等を見てまいりましても、あるいはまたその講師になるべき人たちはどういう人たちを委嘱するのかということを聞いてみましても、教育機関としてこれが大学に準ずるものとしてはわれわれは見ることはできないのであります。やはりこれは現職者の教育を必要とする、資質を向上させるのだという設置目的の立場から考えてまいりましても、やはりそれに限定をして考えていくのが当然ではなかろうか。そういうような認定講習まで行なうような教育機関なんだということになってまいりますると、私は、行政組織法上の分立を非常に乱すものが生まれてくるのではなかろうかというふうに考えますので、やはりこの点は国家行政組織法上の研究所である。しかしながら、これはあくまでも教育機関ではないのだ、研修機関なんだ、そしてそれは現職教育というものに限定をして考えていかなければならないのだ、こういうたてまえで問題を了解をしておかなければ、議論が発展をしないのではなかろうかと思いますが、再度大臣の御見解をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/14
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015・愛知揆一
○愛知国務大臣 これは本日も第一に申し上げましたように、この教育研修所の設置の理由というものは、いろいろの意味で社会教育の運営の中心になるべき人を量的並びに質的に充実をはかりたいということが、あくまで主眼でございます。それからただいま御提案申し上げておりますこの研修所の構成等につきましては、ただいまお話もございましたように、いま申しましたその目的を達成するがために必要といいますか、最小限度と申したならばもっと率直だと思いますが、そういう構成でございますから、ただいまこの教育研修所で教育機関たるような性格の仕事をしてもらおうという期待はいたしておらないわけでございます。ただ、法律解釈から申しますれば、先ほど申しましたように、第九条五の規定によっての教育機関であるかどうかということになりますれば、教育機関であると理解すべきであって、将来この研修所が非常に充実をしたというような場合においては、あるいは認定講習というようなことも仕事にしたほうがいいという時期もあろうかとは思いますが、ただいまのところは、そういうことまで考えておるわけではございませんで、あくまで設置の目的に限定してというか、まずその目的が十分達せられるように運営をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/15
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016・村山喜一
○村山(喜)委員 最後の点だけはどうしても了解ができないのであります。それでは、社会教育の担当者である社会教育主事なり主事補の研修というものは、社会教育法の定めるところによりまして、あくまでも大学あるいはこれに準ずる教育機関において養成される。ということは、不偏不党の立場においてそれらの主事の教育が行なわれなければならない。こういう立場から、一つの教育の独立の体系として考えられたものである。そして文部省なりあるいは都道府県の教育委員会が行なうということを国会において削除したゆえんのものは、行政機関がそれに介入し、行政機関の直接の指揮コントロールの中における研修所というようなものは、そういう教育の担当者としてはふさわしくない、こういう立場のもとに修正がされたのでございますから、やはり法律解釈にあたりましては、修正をされた点を明確にしておいて処理していかなければならない。当面の問題は、そこまで陣容が整っていないから、単に研修を行なう機関であるということにとどめてあるけれども、法律解釈がそういうことであるならば、これを一つの解釈の起点といたしまして、社会教育主事やらあるいは青少年団体の指導者はすべてこの国立研修所においてやっていくのだという方向で、しかもそれは行政行為の一つとして行なわれていくということになってまいりました場合には、社会教育法の存立の上から考えて、その趣旨をきわめて逸脱する方向に発展をするおそれがあると私は思いますので、その点については了承いたしませんが、時間の関係もありますので、次に移ります。
次は、今日行なわれている社会教育の姿を見てまいりますと、学習内容のマンネリズム化といいますか、参加者の固定化といいますか、そういうようなものが出ておるわけであります。それと産業革命といいますか、新しい産業構造の変化というようなものが押し寄せてまいっておりますので、そういう時代の変化に即応した社会教育の体制というものもつくらなければいけない。たとえば青年学級あたりを見てみましても、過去におきましては、青年学級は農村部において非常に目ざましい発展を遂げました。ところが、青少年の姿が農村部から都市部に移ってきた。そういうようなところで対象になる者がいない。しかもその教育内容は——十人のうち七人までが高等学校に行くような時代を迎えてきた。そうすると、あとに残った者が、中学校卒業のそういうような青少年というものを対象にするような青年学級では、満足し得ない。参加者も、そういうようなところから、青年学級のあり方というものに対して自分たちの希望がかなえられたいという不満を持ってまいります。そこで、この青年学級という問題は、いま公民館等あるいは学校等の施設を使いまして行なわれておりますが、それらの農村におります青少年の諸君に何らかの希望を持たせなければならぬ。具体的に言いますならば、高等学校の通信教育というようなものがございます。こういうようなものを履修している者を公民館等に集めまして、そこで適当な指導者が助言をしていくというシステムをつくっていくべきじゃないか。そういうような方向に青年学級あたりも改めていく段階にきているのではないか。ただ、こういうようなことで、一般教育はこれだけ、何はこれだけというようなことで、上のほうからつくったその方式に当てはめていこうというところに、今日の不振の原因があるのではないか。たとえば公民館あたりに集まりました若い向学心に燃える青少年に対して一つの目安を与えていくというような方向を打ち出して、それを一つの青年学級として見ていく、こういうような運営の方法の改善をおやりにならなければならないかと思うのであります。そのほか、勤労青年学校の問題等もありますが、時間の問題がございますので、削除いたしたいと思います。
それから婦人学級の問題等にいたしましても、先ほども具体的な例を私あげましたが、共同学習、相互研さん、課題別、職業別の組織化という方向が、もう今日においては必要ではないか。学習内容に適した専門家を任意に依頼ができる自由権というものが参加者の中に保障をされなければ、この婦人学級あたりの活動というものも伸びていかない。ただ当局から、社会教育担当者のほうから、あの人がいい、この人がいいということで限られた人だけが限定されてあてがわれる。これでは望ましい方向に発展するわけはありません。その学習内容に適応した専門家、こういうような人に来てもらいたいという参加者の選択権といいますか、依頼権というものを認めていくという方向をお出しになるということ、そして職業別あるいは課題別に組織をしていくという方向が考えられなければならない、そういう点がまだ不十分でございます。
さらに成人学級の問題にいたしましても、サークル活動という方向に重点を置かなければならないのに、地域社会、地域的な課題というものにこだわっている。その大きな範囲の問題だけがあてがわれているので、どうも活発にそういうものが進まない。やはりそれは分類された同好会的なものをそこから出発さしていかなければならないのではないか、こういう点を考えてまいりますと、これらの問題に対する今後の改善策というものをおとりいただかなければ、ただ婦人学級幾ら、青年学級幾らという方式の、いままでこの予算書に見られるような方向だけでは、社会教育の発展にならないと思いますので、その点についての大臣の御見解を承りたいのでございます。
時間がございませんので、もう一つ基本的な問題だけお尋ねをいたしておきたいのでございます。
今回、臨時私立学校振興方策調査会を設置されるということでございます。けさの新聞でございますが、前の法制局長官をいたしておりました林修三さんが、この問題について、私学の助成助成と言っておるけれども、一体、憲法八十九条から見て、公金その他の公の財産は、公の支配に属さないところの宗教上の組織とかあるいは教育団体に対して支出はできないのだ、こういう憲法上の制約があるのだが、それについての論議がまことに不十分な形でしかなされていない、そういう中においてどうも私学振興の問題が考えられるということはおかしいじゃないか、こういう意見の表示がなされているようでございます。そこで、私はここに「私学振興」を持ってまいりました。この中に、愛知文部大臣の年頭の所感も出ております。それから押谷政務次官の年頭の辞も出ているわけであります。大臣の年頭の所感は、ずっと見てまいりますと、あまり問題はございませんけれども、政務次官の年頭の辞の中には、きわめてはっきりした方向性が出されておる。そこで、大臣がこの私学の助成という問題をお考えになるときに、公の支配に属さない現在の私立学校の振興という問題を憲法八十九条との関連でどのような方向でお考えになるのか、やはりこれは基本的な問題でございますので、私は大臣のお考え方をはっきりしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/16
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017・愛知揆一
○愛知国務大臣 まず、第一点の青年学級あるいは婦人学級そのほかの運営の問題でございますが、これは全く村山委員のお考えに私は御同感なんでございます。従来からも画一的な、押しつけ的な基準はやっていないはずでございますし、それから研修の際に、こういった人たちの教えを請いたいとか、あるいはこういったことについて、ただいまお話がございましたが、前向きに夢を持ちながら希望を持って勉強していきたいという場合には、どういう先生を招聘する、あるいはどういう教材を使いたいかというようなことについては、できるだけ自主的、自発的な要望にこたえるようにいたしておるつもりでございますけれども、まだこれらの点について十分そういったことが徹底していないところもあるようでございますから、そういう点につきましては、いま申しましたように私全く御同感でございますから、今後の運営については、積極的にそういう御趣旨のように運営するようにつとめてまいりたいと思います。
第二の私学の問題でございますが、これはいまある人の意見をお引きになりましたが、私は、少なくとも文部省をお預かりしている者の立場とし、あるいはまた一人の私見といたしましも、憲法上やはり公の支配に属するものである、こういうふうに理解していくほうがよろしいのではないかという考え方を持っておるわけでございます。したがって、これはまだそのこと自体としては行き渡っておらないきわめて小範囲のものではございますが、特定のものについて直接施設その他の助成や補助も現にやっておるわけでございますので、その憲法論は、私一個の考えとしては、私の考え方のほうが正しいというふうに考えておるわけでございます。しかし、いまも御指摘がございましたように、相当の権威者と目されるような人もそういう点について違った急見を発表しているようなわけでもございますので、この私学の振興助成の方策については、ただ単に予算上の出題であるとか、あるいはただ単に補助の問題だとかいうことだけじゃなくて、この際、より広い立場で国民的な関心を巻き起し、同書に積極的な考え方を取りまとめていきたい、こういう考え方も持ちまして、私学振興方策調査会というものをぜひともつくっていただきたいということをお願いし、提案もしておるようなわけでございます。この調査会の中では、さしあたって緊急を要するような問題については早く答申を出していただきたいと思いますが、同時に、恒久的な、いま申されましたような問題についても、この際はっきりした国民的な見解というものを打ち立てるようにいたしたい、かように考えておりますことを、あわせて申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/17
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018・河本敏夫
○河本委員長 村山君に申し上げますが、文部大臣は衆議院の文教委員会から出席の要求がありますので、それをお含みの上、質疑を続けられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/18
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019・村山喜一
○村山(喜)委員 あと一分間だけです。
大臣がおっしゃる私学の問題は公の支配に属するという見解は、これは教育基本法なりあるいは学校教育法、さらに私立学校法等の法制のもとにおいて公の支配に属している。われわれもこのように承っている。しかし、それのみならず、財政法上の規制という問題が、当然別個に考えられなければならないわけであります。そこら辺に憲法上の問題点というものがまだ論議されなければならないものがあると、私たちは思っているのでございます。これらの点につきましては、また他日大臣にお伺いをすることにいたしたいと思いますので、きょうは、時間がございませんから、このあたりで保留さしていただきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/19
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020・河本敏夫
○河本委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。八田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/20
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021・八田貞義
○八田委員 外務省設置法の改正法案の中で、中南米・移住局を設置する理由についてお尋ねいたしたいのでございます。というのは、従来外務省におきましては、機能局と称する条約局、情報文化局、経済局、経済協力局等の局があります。それとともに、一方において地域局と称するアメリカ局、欧亜局、アジア局等がございますが、今度の中南米・移住局という名前であらわされておる設置は、地域と機能の両面をあわせ持つ新局と考えられますが、こういうふうな中南米・移住局というような新局設置の理由について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/21
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022・高野藤吉
○高野政府委員 お答え申し上げます。
中南米は、最近わが国と移住、貿易、経済協力、文化交流等、いろいろ関係が深くなってまいりまして、現在のアメリカ局の一課ではなかなかまかない切れなくなったことが第一点であります。また、内容的に申しまして、中南米は北米と違いまして、ことばの関係、風俗習慣の関係でやや異質的なものがございまして、これを一つの局で見たほうがより効果的であるという点も考えまして、中南米を独立させたいというのであります。
次に、御指摘の地域局と機能局を一緒にした理由は何かという点でございますが、御承知のように、昨年海外移住事業団ができまして、実際の実務はその事業団でやっておりまして、外務省といたしましては、主として政策的な大きな面で移住を取り扱う。かてて加えまして、移住関係は中南米が大部分でございます。現在六十万の移民がおりまして、地域局と一緒に移住の政策とそれ以外の政務方面と一緒にやったほうがより効果的であろうということで、若干機能局と地域局が混淆されている観がございますが、これは打って一丸として政策面でやったほうがより効率的だという見地から、これを中南米・移住局としておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/22
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023・八田貞義
○八田委員 いまの御説明で大体了解できるのでありますが、そうしますと、中南米地域のわが国の移住政策というものの重要性についてお尋ねいたしたいと思います。
それとともに一体どれくらいの移住者数があるか、移住の分布、それから移住者の職業別内訳、移住者の移住後の実績、それから移住に関する問題点等について、従来の実績を示されまして御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/23
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024・山下重明
○山下政府委員 まず、最初の御質問であります中南米地域のわが国移住政策における重要性ということでありますが、わが国としましては、必ずしも中南米だけに移住を進めていくという態度ではありませんし、また事実、一部はカナダなり、北米なり、また短期には西独なりへ行っておるのでございます。しかしながら、現在行なわれております移住において最も大きい数を占めるのが、中南米であります。なぜ中南米に現在それだけ重点が置かれているかと申しますと、まず第一に、やはり移住となりますと、非常に恒久的な態度で移住してまいりますので、その行き先国が親日的であるということが非常に大事な問題点かと思います。また同時に、その国が将来発展性がある、非常なポテンシャリティーがあって、移住された方々が活躍されれば非常に有望な地域である、そういうような観点から、現在わが国では中南米地域の移住に最重点を置いて移住政策を立てておる次第であります。
次に、現在までの移住者の数でありますが、大体戦後の移住者の数を申しますと、中南米地域全体を見まして、五万七千名出ております。戦前の数字は、大体アメリカ地域に四十一万、中南米に二十四万という数字でありますが、戦後は五万七千名出ております。分布を見ますと、大体ブラジルが四万六千、パラグアイが六千、ボリビアが千六百、それからドミニカが千三百でありますが、御承知のようにドミニカはうまくいかなかったので、現在三分の二くらいが、ドミニカから離れて、三分の一くらいが残っております。それからアルゼンチンが約千名、そのほか少数の人たちが、ベネズエラ、コロンビア、メキシコ、チリ、ウルグアイその他に出ている状態であります。
その次に、移住者がどういう職業別になっておるかと申しますと、現在まだ農業移住者が大宗をなしておりまして、先ほどの五万七千のうち五万六千くらいが農業関係者で成り立っております。そのほか、農業移民のほかに送りました技術移住という関係で現在までに出られておる人が大体七百六十名、またそれ以外の商業でありますとか研修的な意味で行かれた方が二百五十名くらいという職別になっております。
次に、移住者の移住したあとにおける、実績がどうなっているかということでありますが、これはまだ必ずしも全部がうまくいっているとは申せない状態でありまして、非常にうまく順調にいっているのは、アマゾンの地域のトメヤス、パラグアイのコショウでありますとか、その他サンパウロ近辺に行かれた技術者の移住の方とか、またアルゼンチン方面で花の栽培などをやっておられる方、これらは非常に順調にうまくいっておりますが、その他の地域では、まだまだいろいろ問題をかかえて、それらの問題を解決するために努力している次第であります。特に現在問題になっているのは、ボリビアのサンファンの地区でありますとかブラジルのグァタパラなどは、まだ現在どういうふうにしてこれを十分に自立させていくかという問題を研究しているところであります。
それから、移住に関する問題点を申しますと、その移住者がほんとうに自立できるためにはどういう営農をやったらいいかということであります。そのためには、単に一時的なものじゃなくて、営農作物をどういうふうにするというようなことを、早急にはできませんから、数年かかって十分に検討するということが必要になってくるわけでありまして、同時に生産物の価格の対策というようなものを十分考えませんと、国によっては非常に市場が狭いものですから、すぐ価格の変動が起こりまして、昨年よかったけれどもことしは非常にひどい目にあうという状態になりますので、価格の対策、それに関連いたしまして、できればこれを加工して永久的に商品化できるというような、いろいろな問題点が今後の問題となると思いますが、同時に大きな問題点といたしましては、必ずしもいままでのような農業移住ではいかなくなってきております。同じ農業でも、より質の高い農場の経営とか、そういうふうなものを移住先の国々も希望しております。同時に、農業以外の技術の面も、移住先が非常に希望しておる。同時にカナダなども、技術を中心にした日本の移住者を要求しておる。そういうようなことで、移住政策全体としては新しい方向に向かっていかなければならない。そこでわれわれとしても、それに対する対策を立てなければならないというような状況になっております。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/24
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025・八田貞義
○八田委員 問題点等についていまお話があったのですが、たとえば農業移民の場合と技術移住の場合ですね、技術移住の場合について詳しくお知らせ願いたいのですが、農業移住の場合に、いま価格政策のお話がございましたけれども、一体価格政策としてどのような方法をお考えになっているか。私は、もちろんそれとともに所得政策もお考えになっておると思うのですが、そういった点をもう少し詳しく教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/25
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026・山下重明
○山下政府委員 いまの価格政策の面でありますが、たとえばボリビアにおけるサンファン移住地がなかなかうまくいかない。同時に、あすこには沖繩から出ていかれた移住地もあるのですが、あすこに搾油工場をつくって——大体いままでは米をつくってやってたのですが、米の価格が非常に変動が激しいというので、搾油工場を何とかつくろうということで、前からアメリカのUSエードの金を引き出そうと思っていろいろ交渉しておりましたが、これがなかなかむずかしい。そこで現在、これを日本政府が融資しなければならないような状態になるのではないかということで検討しております。そのように単に一つの作物だけにたよるということができないので、農産加工というものにだんだん向かっていかなければならないのではないかという考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/26
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027・八田貞義
○八田委員 時間もありませんからその程度にしておきますが、まあ農林省との関係が出てまいりますし、さらにまたいまお話しのようにアグリカルチュアからアグリビジネスの時代になっておるのですから、わが国としても融資分なんかについての心あたたかい政策をもって臨まなければ、農民移住をやってみても、アグリビジネスとしての開拓を考えていない移住政策では、私は失敗すると思うのです。この点は十分にお考えになって、農林省と連絡をとって、そのアグリビジネスにこたえるような農民を養成し、そうして移住させる。移住させたならばアグリビジネスが高度に、希望を持ってやっていけるような施策をやっていただくようにお願いいたします。
それから、続いて中近東アフリカ局の設置の理由をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/27
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028・高野藤吉
○高野政府委員 御承知のように、現在中近東、アフリカ地域は、欧亜局の一部として仕事をやっておる次第でございますが、この中近東、アフリカ地域は、面積、人口、国の数の点から見ましても、アジア地域、ヨーロッパ地域、アメリカ地域に匹敵するほど大きな地域でございます。国数から申し上げますと、第二次世界大戦以後アフリカに独立国が非常にふえまして現在三十カ国、それから中近東におきましても独立国がふえまして十七カ国、全部で四十七ございまして、これの国祭的な外交上の地位が非常に上がってまいりました。ことに中近東におきましては、東西の接点、石油の関係等におきまして、いろいろ国際政治上重要な地域でございます。それからアフリカにおきましても、独立国がふえると同時に、国連等において大きなボイスを持ってまいりました。と同時に、現存の南北問題におきまして、非常に国祭外交上重要な地位を占めているわけでございます。以上のような関係からいたしまして、現在の部ではなかなかまかない切れないので、これを独立の局といたしまして仕事をしていくということが、この各地方から来ている大使に対する事務の折衝上もよろしゅうございますし、また、わがほうから出ている現地の大使に対するいろいろの接触面においても効果的にいけるのではないかということで、一口に申しますればこの地域の重要性、それに伴いまして仕事の増大ということで、部から局にいたしたい、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/28
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029・八田貞義
○八田委員 局設置の意味はわかったのでございますが、次いで中近東、アフリカ地域とわが国との経済関係ですね。この点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/29
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030・力石健次郎
○力石政府委員 簡単に御説明申し上げます。
中近東、アフリカ地域とわが国との貿易は、年々相当のスピードで着実に増加しております。わが国のこの地域に対しまする輸出は、一九六三年、六億八百十万ドルで、わが国の総輸出に占める割合は一二・〇九%でございます。一九六四年も順調に伸びておりまして、一月から六月までに三億二千八百二十八万ドルを輸出しております。わが国のこの地域からの輸入も、石油輸入を中心といたしまして急速に伸びておりまして、一九六三年に十億六千五百三十六万ドルに達しております。それのわが国の総輸入に占めます。パーセンテージは一五・二〇%でございまして、また一九六四年一月から六月までの問にこの地域から輸入しました額は六億三千八百六十六万ドルに上っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/30
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031・岩動道行
○岩動委員 中南米・移住局の問題に関連して、私一つだけ関連の質問をしておきたいと思います。
ブラジルにおきます旧正金銀行が九十五万ドルの預金をブラジル銀行にいたしておったのでありまして、これは戦争に際しまして敵産管理にもならずに、旧正金におきましては、債権を確保するために九十五万ドルの米ドル預金に対して残高証明をもらって、その債権は確実に日本のものということになっておったわけであります。ところが、ブラジル政府は、どういう間違いか、これを敵産管理として没収をしてしまったということになっております。したがいまして、日本側におきましては、当事者が再三にわたってその返還を要求したのでありまするが、ブラジル政府はこれに対して何ら誠意のある回答もしていない。今日に至るまでその解決を見ていないという問題がございます。これは本来外務委員会等でやるのがあるいは適当かと思いますが、たまたまこの件につきまして、よく経緯を御承知の安藤参事官がお見えになっておりますので伺うわけでございまするが、特に最近、昨年の秋にIMFの総会が東京で開かれました。その機会にブラジルの大蔵大臣も日本に参りましたので、わが政府の大蔵大臣はブラジル大蔵大臣に会いまして、この問題の解決を促進してもらいたい。不当に財産の没収をしたではないかという申し入れをいたしました。これに対してブラジルの大蔵大臣も、善処をするという約束をして帰ったのでございます。その後、現地のブラジル大使を通じまして、ブラジルの外務省あるいはブラジルの大蔵省に折衝をしている段階にございまするが、一向に進展をしていないように聞いておるわけでございます。これは日本がブラジルに対してかなりの商業債権を持っている。その債権の処理につきましては、パリ会議等におきまして、いろいろと各国と協調して、その債権の処理についてはブラジル側の要請をかなり取り入れて協力をいたしておる事情にございます。あるいはまたウジミナスの製鉄所の問題に対しましても、非常に困難な中にも日本側は相当の協力をいたしてまいってきております。そういうように、わが国はブラジルの政府あるいは経済界に対して相当な協力をいたしておるにもかかわらず、一方においてそういう不当な私有財旗の没収をしておるということは、はなはだ外交上もおもしろくない問題があろうかと思います。今後、中南米・移住局というものができて、さらに強力に外交を進めてまいる。また、友好関係を維持していくというためには、この問題はぜひとも早急に解決しなければならない、かように考えておる次第でございまするが、外務当局からその経過並びにこの問題に対する見通し、さらに外務省の方針等をひとつこの機会に伺っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/31
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032・安藤龍一
○安藤説明員 御説明申し上げます。
本件の約九十六万ドルの返還に関しましては、長い間向こう側並びに旧正金側のほうで意見が合いませんので、ペンディングになっておったわけでありますが、たまたまIMFにブラジルの大蔵大臣が来られた節、田中大蔵大臣と会談されて、本件促進方を田中大蔵大臣から申し入れられたわけでございます。これにつきましては、外務省は公信をもちましてその会談録を大使館に送りまして、旧正金の弁護人として鈴木悌一氏を起用することとし、それの側面的援助をするようにという訓令を出した次第でございます。ブラジルのまず外務省のほうといたしましては、これをSUMOCに対して解決方要求いたした模様でございまして、その間館員が数回にわたって折衝いたしました結果、つい最近、SUMOCでは、日本側の要求はこういうものである、ブラジル側の見解はこういうものであるという見解の相違を両方並べまして、これを大蔵大臣の裁量に政治的にまかせるというところまでまいりましたので、その書類は近近ブラジル大蔵大臣の手元に届くことと思います。これにつきましては、ここまでまいったのでありますから、最後の一押しで、できるだけ早い機会に解決したいと望んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/32
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033・岩動道行
○岩動委員 経過の大体はわかりましたが、問題は、わが国がブラジル政府に対して相当な犠牲を払った協力をしております段階において、ことにウジミナスなどの、向こうのインフレの状態から非常にやりにくいところを、相当無理をして協力してやっておる、そういう機会をつかまえて極力にこの問題の解決をするということをぜひやっていただきたい。この問題だけを切り離して考えるとなかなかやりにくいかもしれませんが、そういうその他の外交交渉上の問題とあわせて、早急に、強力に折衝していただきたいということを特に強く御要望申し上げたいと思います。もう一度外務大臣のこの問題についての御所見だけお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/33
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034・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 御指摘の点につきましては、十分に検討して、御希望に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/34
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035・伊能繁次郎
○伊能委員 私は一点だけお尋ねしたいのですが、それは一昨年オリンピックの関係で私欧米のほうに参りましたときに痛感したのでありますが、現在日本から外務省の人々以外に各省の人がそれぞれの仕事を持って外国に行っておられる。ジェトロとか公社というものは別といたしまして、公務員が外国に駐在をしております。私はしばしばこの問題についての希望を外務当局に申し上げたこともありますが、きょうは官房長がおられなければどなたかから御回答いただきたいのですが、たとえば観光の仕事、特に外務省の情文局等と関係の深い観光の仕事、あるいは経済関係、貿易関係の仕事等について、在外公館とそれぞれの各省から出ている人々との間の連絡というような問題が非常に不十分じゃないかということを、私どもは向こうへ行きますと、痛感するわけであります。これについて、諸外国も日本へ在外公館を設置しているほかに、やはり日本と同様にいろいろと外国の公務員がそれぞれの仕事で来ていると思いますが、それらと在外公館との連絡関係といったようなものは、日本ではどう把握しておるか。少なくともヨーロッパならヨーロッパで在外公館の会議等がある際には、関係各省の、外交上の問題でない経済関係あるいは観光というような、いわゆるインビジブルトレードあるいはビジブルトレードの全体の日本政府としての公務員間の連絡、あるいはいろいろな問題について、当然向こうへ行っている人々にも周知せしめたほうがいい、かように私ども考えるのですが、その辺がどうも……。率直に私は申し上げますが、国内では、外務当局は、各官庁から行くものはできるだけ外務省の人間にしろというようなことで、今回の法律にも自治省から向こうへ行くのは、自治省の定員を減らして外務省の人間に一応するというような考え方をしておりながら、在外においては、各省から行っておる役人と在外公館その他との連絡が悪いというようなことは、どうも奇異に感ぜられるのですが、諸外国ではどういうような形でやっておられ、外務省は、考え方としては、統括をしようという意図は、いま申し上げたような事情によって明らかだが、外務省の役人の看板を着せなければ統括しない、こういうのか。それはあまりにも形式的なことだと思うので、その点はどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/35
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036・高野藤吉
○高野政府委員 御指摘のように、現在各省から在外に出ておりまして、これはみな外務公務員として外務省の身分を取って、大使館、公使館、領事館に行っておる次第でございます。御指摘の連絡不十分という点は、臨時行政調査会でもその点が指摘されまして、簡単なものは直接通信を許したらどうかというような意見の答申もございまして、その点は、外務省は実際上早く行くように、電信公信を、日本に参りましたら各省にすぐ通知し、各省からの御意見は外務省からすぐ大公使館に移すという点を迅速にやるようにいたしております。ただ直接通信を許したら、どうかという点は、これはほとんど現在各省から現地の大使館に行っておりまして、これはいろいろなことを言ってまいりますと、対外面におけるどんな小さいことでも、一応外交ないしほかの面に関係してまいりますので、外務省と申しますか、東京で各省の意見を調整したものを現地に流しませんと、現地の大使館としては動きにくい。かたがた各省からかってなことを言われますと、現在事務量がさなきだに膨大になっているということで、これまたさばき切れないという面がございまして、外務省といたしましては、迅速にやるということはもちろんいたしたい。それから簡易なものは、現地では大使ないし参事官を通ぜず、一等書記官くらいの目を通してすぐ送るように、また、本省においても局長ないし課長の承認を得て発信なり発送なりをするというようにいたしまして、改善をはかっている次第でございます。
それから各国はどうしているかという点でございますが、これもある国は通商代表部というのが独立しておりますが、これはあまり例が少ない、例外のほうでございまして、大体大使館に統一いたしまして、やはり各省の人が大使館員としてこん然一体として業務をやっておるようでございます。しかし、その間におきまして通信がどういうふうになって、またおくれるということが問題になっているかというようなことは、現在われわれとしては具体的につまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/36
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037・伊能繁次郎
○伊能委員 そうすると、運輸省の国際観光事務所なんかは、外務省の職員を兼任していないのじゃないか、こういうように私は思いますが、そういうような部類のものが他の役所にもあるのじゃないかと思うのですが、その辺については特に連絡が不十分である。しかも在外公館会議のときなとは、たとえ陪席でも——もちろん秘密の外交問題のときなんかはそれはいたしませんが、一般的な経済問題等については、招致をしてともに聞かせるくらいのことをやったほうが、双方の連絡上も非常にいいのじゃないかと思うのですが、その辺はどうもばらばらのような感じを持っておりますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/37
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038・高野藤吉
○高野政府委員 公務員の身分を持たないで在外に行っておる各省の方は、あまり多くないと思います。まあジェトロという例があります。あと特殊銀行の方がございます。あと運輸省関係では大使館の身分を取って現地に行っておられる方は八名おりますが、それ以外に観光目的で行っておられる方は、ニューヨーク、パリにおられると思いますが、経済問題のいろいろの会議があったり何かあるときは、大使館としても密接な連絡をし、またその方々からいろいろ情報を受けるということで、緊密な連絡をして共同でやっていると思いますが、何か至らぬ点ないしは不備の点がございましたら、今後とも改善していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/38
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039・伊能繁次郎
○伊能委員 まあ非常に形式的な御答弁ですが、私が言うのは、運輸省関係で、観光事務所はヨーロッパではロンドン、パリ、それからフランクフルト、ローマというようなところにもありまするし、アメリカではニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、それからトロントにありましたか、あるいはメキシコにもありましょうし、オーストラリアにもできましたし、それから香港にもあるし、各地十三、四あるだろうと思うのですが、それらで、いま官房長の御指摘のように外務関係、もちろんニューヨークの総領事館に外務省の身分を持って行っておるというような者は、これは総領事館内の職員ですからこれは問題ないと思うのですが、そうでなく行っておる連中等、たとえば情報文化局がオリンピックについていろいろな情報宣伝をやる。運輸省の関係は運輸省でやる。その間の連絡というようなことについては、私が回った限り、非常に不十分でばらばらであるというようなことから、先般も私はこの問題については質問もし、私自身の考えも明らかにしたのですが、やはりよその役所であっても、ともかく外交上の機密以外の問題等については、できるだけ時々連絡を緊密にし、外務省の職員にしたいという基本的な方針があるわけですから、たとえ職員でなくても、そういう問題についてはいろいろと連絡をし、あるいは公式の指示がなくとも、それぞれ外交官として多くの情報その他を持っておられるので、そういうところの連絡、指示等がもっと緊密にあってしかるべきじゃないか、こういう感じがするわけですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/39
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040・高野藤吉
○高野政府委員 観光事務で外に行っておられる方は、これは運輸省の国際観光局の身分ではなくて、観光協会という形の職員として行っておられる方が多いのではないかと私は考えております。そこでいろいろオリンピック等日本の観光を宣伝するために、大使館、領事館と連絡を密にするべきだという御意見はもっともだと思いますので、そういう地域に行っていられる公館に対しては、先生の御指摘の点は、大いにこれから促進するように申し伝えたいと思います。ただし、公務員の身分を持って行っておられないといいますか、そういうものは、役人的というか、形式的になりますが、実際の大使館内のいろいろの会議とかなんとかいうのにはなかなか参加できないと思いますが、絶えず便利になるように、実態的には御連絡、御協力申し上げたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/40
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041・伊能繁次郎
○伊能委員 公務員の身分は持っておるのですよ。ただ看板が観光事務所ということで、観光事務所の職員自体も運輸事務官という形で行っているのだと私は思っておりますが、その辺のところはジェトロとはちょっと性格が違うように思う。したがって、冒頭に私はジェトロとか公社と申し上げましたのは、国鉄ごときが行っておる、これは別にしていいと思うのですが、官庁プロパーの身分を保有して行っておる。これは何としても運輸省の出先機関だけでは情報その他は非常に不十分です。ことに予算等がありませんから、やはり在外公館のそういった方面の情報を絶えず提供をしたり招致して、こういうところをこういうように調べたらどうだというようなアドバイスをすることが、在外の国際観光事務なんかには非常に有効になりはしないか、かように思いますので、これらの点はひとつ運輸当局と官房長のほうで十分連絡をとられて、この間緊密な御連絡を願ったほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/41
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042・高野藤吉
○高野政府委員 運輸省とも連絡いたしまして、具体的に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/42
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043・河本敏夫
○河本委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/43
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044・村山喜一
○村山(喜)委員 外務大臣がお見えになっておりますので、私、二、三点にわたりましてお尋ねをいたしたいのでございますが、三月の十三日のエコノミスト誌によりますと、外務省が担当いたしております低開発国の援助問題に対しまして、次のような論評が掲げられているのであります。日本政府が行なっている対外援助は、非常に当該地域の住民にとって人気がない。一九六一年には三億八千万ドルあったものが、六三年においては三億六千五百万ドルに減少をしておる。これは国民所得の〇・五%以下に低落をしている。日本政府は国民所得の一%、五億五千万ドルの金額を援助に充てるという約束を行なったけれども、その決意だけはあるけれども、現実に行なっていることはきわめて不評を買うようなことしかやっていないじゃないか、こういうような論評がなされているのであります。
そこで私は外務大臣にお尋ねをいたしたいのは、今回、外務省の低開発国援助計画というものがあるやに聞くのであります。特に首相も、特別援助基金というものを設けて、東南アジア等におけるところの市場確保と、同時に日本の安全と平和のために今後処理していくのだという方向を打ち出したというふうに聞くのであります。そして初年度は一億五千万ドルをこれに充てる。このような方向を示されているやに承りますけれども、臨時行政調査会が答申をいたしましたその報告書の中に、いわゆる海外経済協力基金の現状は、百七十億の財源があるにもかかわらず、三十八年度の貸し付け残高を調べてみると、四十三億しかない。この基金というのは、政府の指導的な政策に基づく事業をこれに充てるべきであって、商業ベースを越えて低開発国の経済開発財政資金の供与の機関として筋を通さなければならないのではないか。民間企業であっても、政府が政策的な立場から支援をする必要のあるものが、この海外経済協力基金として使われなければならない。しかしながら、現実には日本輸出入銀行の業務と明確に区分されていないし、また海外経済協力基金に対する、自主性が付与されていない、こういうような批判が行なわれているのであります。そこで大臣は、これらの海外における評判というものを見ましても、また日本に対する後進国の諸国の要望というような問題を考えてみましても、日本の外交の平和と国民の安全保障という問題にも関係がありまする重大な問題でございますので、これに対する基本的な計画というものをお持ちでございましたら、お示し願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/44
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045・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 最近の傾向といたしまして、申し上げるまでもなく南北問題が非常に浮き上がってまいりまして、日本も先進工業国の一員としてこの南北問題に対して応分の当然の責任を遂行しなければならぬという立場に置かれておることは、御承知のとおりであります。さらにアジア、特に東南アジア方面は、日本の輸出市場としても相当重要な地帯でございます。今日においては輸出入のアンバランス、こっちから売るものは多いが向こうから買うものは少ない、こういうようなことで、至るところアンバランスであります。それで大切な輸出市場を育成するという上からいいましても、何とか誘い水を出して、そしてこれらの低開発国をもっと経済的に強化育成する、そしてしかる後において日本のこれに対する輸出力も増強する、こういうふうにいわゆるギブアンドテークでいかなければならぬ、当然そういう立場に立ち至っておったのであります。そのときにこの南北問題がやかましくなってきた、国連その他いろいろな機関ができまして、これらの場において日本も相当協力しておるような次第であります。そこで、そういうことになりますと、一そう低開発国というものを、結局長い見通しにおいては自分のために努力あるいは援助、助成をするのでありますが、そういう方面が非常に忙しくなってきております。しかるに最近の実績を見ますと、これら低開発国に対する経済協力の実功がむしろ後退しつつあるという現状でありますので、これでは日本も長い目で見るとだんだん立ち行かぬようになる、日本自身のためにも何とかしなければならぬ、こう考えられるわけでございまして、これらに対する対策をいろいろ考えたのでありますが、もうすでに時期おそく、いま御指摘になりましたような総理大臣の基金だとかいったようなアイデアもありましたが、すでに予算の時期としては少し立ちおくれのきみでございまして、これは将来の問題として、とりあえず海外協力基金——これもまことにふるわない状況でありまして、輸出入銀行と協力基金とはおのずから責任分野を異にし、協力基金は協力基金としての使命を持ち、輸出入銀行は輸出入銀行としての使命をおのおの分担しておるわけなんでありますけれども、この点の限界が少し乱れておる、そして協力基金は依然として不振の状況に置かれておる、こういうことに着目いたしまして、この際、この協力基金の強化をはかる企てをいたしたのであります。その結果、まことにどうもお恥ずかしい話でありますが、予算面では十億、それから政府の預金部資金等から十億の借り入れをして、合わせて二十億程度この際ふやして、この協力基金の活動をひとつ促したらどうかというようなことになったのでありますけれども、これではまことに不十分きわまるものであります。ただ、従来協力基金というものはあまり効力を発揮しないから、輸出入銀行と合併したらどうだというような意見も、政府部内に出たのでございますが、それはとにかく食いとめて、そして協力基金は本来の性格、使命を発揮するという端緒は握ったわけでございます。この協力基金を、今日の国際情勢において、特にアジアの低開発国の援助のために十分に活用するように今後進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。最近、この協力基金の借り入れ能力に関する法律改正もいたしました。そして輸出入銀行とは別に、長期低利の、やや政治的な意味も含めた海外援助をなし得るような体制を、ただいまつくりつつあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/45
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046・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これは事務当局でけっこうでございますが、現在海外経済協力基金は、先ほどの大臣の説明で、予算上十億円、財政投融資資金から十億円の借り入れ、二十億追加するということになったとおっしゃるわけてありますが、総額幾らになりますか。——出資金は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/46
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047・西山昭
○西山政府委員 出資金は、三十九年で合計百六十九億四千万円でございます。それから融資承諾額が、三十九年におきましては九億五千万円、貸し付け等の実行額は七億七千万円でございまして、現在貸し付け残高が、三十九年におきまして約六十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/47
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048・村山喜一
○村山(喜)委員 いま当局の説明にありますように、ほとんどこれは動いていない、活用されていないですね。ということは、海外経済協力に対する政府の基本的な方針というものが不明確である。臨時行政調査会から、輸出入銀行というものは、通常の貿易、海外投資等のため一般金融機関が行なう商業ベースによる金融を補完をし、通常の貿易等を推進、奨励することを目的とする機関として性格を明らかにせよ。さらに海外経済協力基金については、政府の指導的な政策に基づく事業に対するものに充てるべきである。これらの分類を明確にしながら今日の経済協力体制というものを推進をしないところに、非常に大きな問題があるのだという指摘をされている。この問題が、新聞が伝えるように、中華民国に対する円借款の供与というものが具体化されつつある。それに対して今度は日中貿易の支障の問題が出てくるし、あるいはまたこれと関連をいたしまして、台湾のような中進国に対する円借款の問題を考えるのであるならば、なぜわれわれ後進国の問題を考えてくれないか、こういう国際的な反響が出てくる。そういうような問題に対して、この問題はこういうふうに処理していくのだという明確な方針を、あなた方自身が指摘をされながらもお持ちになっていないところに、今日の混乱の原因があるのではないかと私は思うのでありますが、この点は外務大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/48
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049・椎名悦三郎
○椎名国務大臣 御指摘のとおり、この協力基金の使命というものは輸出入銀行とはおのずから別である。この本来の使命に従って十分に活動あるいは活用されておらなかったことは、事実であります。でありまするから、かような状況に放置することは、もはや許されない。この国際情勢に対処する上において、日本が日本独特の行き方、すなわち平和建設に協力するという、そういう道を進むべきであると考えるのでありまして、そういうことに思い至りましても、この協力基金というようなものは、もっともっと飛躍的にこれを拡大、強化いたしまして活用すべきである、さように考えて、おくればせでございますけれども、いまその第一段階を踏み出したというような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/49
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050・村山喜一
○村山(喜)委員 私たちの手元にも外務省の経済局、経済協力局、国際連合局の編にかかります「低開発国貿易と援助問題」というような資料をお配りいただいているが、この中にも確かに方向の転換をしなければならない、非常に不十分である、こういうような自己批判がなされている。しからば昨年の十一月ですか、佐藤総理が外相に対しまして、日本の経済力が先進国並みになった今日において、国力に応じて援助を強化すべきであるという指示がなされた。そのころに指示がなされているのであるならば、予算編成の上においてこの問題が手おくれになったということではなくしてやはり当然そういうような方向というもので日本の海外援助、開発援助の基本的な姿勢というものを明確にして、そうして後進国の期待に沿うような方向で、あるいはまた国内における中小企業や、あるいは農業政策、こういうようなものとの調整をはかりながら、大きなスタートをしなければならない段階にきているのではないかと思うて先ほどの御意見を聞いておったのでありますが、立ちおくれて間に合わなかったということになってまいりますと、日本政府のこの援助の方向というものは、一体どういうような方向で今後対処されるわけですか。基本的な姿勢について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/50
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051・西山昭
○西山政府委員 現在日本が行なっておりまする後進国に対する経済協力の中で最も問題とされます点は、簡単に申し上げますと、経済協力といいながら、輸出伸長の面が非常に強いわけでございます。もちろん後進国におきましても、所要な資本財その他プロジェクト、そういうものは必要でございまして、輸出と後進国の援助というものは両々相和する面が多分にございますけれども、日本の場合は、輸出業者に対する信用供与が大部分を占めております。それからまた長期的に見ますと、後進国の財政負担等から考えますと、日本の条件というものは、諸外国に比べまして相当きびしい条件が多いわけでございまして、こういう面を考えまして、私どもとしましては、政府から政府に借款を与えます直接借款、こういうものを主力にする経済協力をこれから進めていく必要があるのではないか。またそれと同時に、日本は国力が他の先進国に比べまして必ずしも同等に強いわけでございませんから、日本の実力に相応しました最大限の協力をする必要はございますけれども、現状におきましては、その条件が非常にきびしい。したがいまして、財力の許す限り、条件を各国の個々の国の事情に合ったような、実質的に経済協力の実をあげるように条件を緩和していく必要があるのではないか。これはまた他の面から申し上げますと、後進国におきましては、いずれも長期の基礎的な産業の開発だとか、経済開発の計画がございますけれども、日本の民間業者がこれらの国に対しましてプロジェクトないしは資本財の供与をいたします場合には、長期の低利の供与を行なうということは、日本の国内の経済の実情からいいまして、非常に困難でございます。したがいまして、政府において相当の責任をとって、日本の業者ができるというような体制をつくっていく必要があるわけでございまして、これはまた他の面からいいますと、そういう体制をつくらなければ、いろいろの将来性ある市場につきまして日本の業者は立ちおくれる、こういう点もございまして、こういう面をあわせまして、私どもは、大筋としましては直接借款を大幅に強化する、それから条件も可及的に緩和する。しかし、これらの問題は、国々によりまして与えられた環境が違いますし、そういう個々の国の実情をつぶさに検討しまして、日本とそれらの国との関係も慎重に検討しまして、きめのこまかい施策をする必要がある、こういうことで、私どもは日夜検討いたしまして、関係各省と打ち合わせをしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/51
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052・村山喜一
○村山(喜)委員 一九六一年にネットベースで三億八千万ドルもあったものが、六三年には一億ドルも少なくなって、二億六千五百万ドルに下がっている。こういうようなことを見てみますと、これはやはり低開発国の諸君が言うように、日本の国は、ナショナルインタレストのそういう政策だけしかとっていないじゃないか。そして輸出信用の問題よりも、経済協力の主体というのは、非常に高金利で短期間の資金だけしか供与していない。しかも貿易構造から見た場合に、先進国に対しては労働集約的な軽工業品を日本は売り渡しているけれども、後進国に対しては資本集約的な重化学工業品というものを中心にする貿易形態をとっている。こういうようなところでわれわれが開発をしたものを、日本の国は一次産品とともに買い入れてくれないという不平不満があるわけですね。これに対して、じゃそういうような前向きの姿勢でやりますという実績を振り返ってみても、まことに実績は低下しつつある。こういうことになってまいりますと、やはり今後の日本の貿易構造というものを是正をするというような方向や、あるいは貿易を伸長さしていくというような方向と同時に、日本国の安全という問題から考えましても、あるいは平和外交政策の上から考えましても、いままでの考え方なりことしの計画等をお伺いしておりますと、これはまことに不十分である、この一言に尽きると私は思うのでございますが、ここでちょっとお尋ねをしておきたいのは、一九五八年に政府ベースの経済協力といたしまして、インドに対して五千万ドルの円借款の供与を行なうことをきめられました。インド並びにパキスタンに対してわが国も債権国会議に参加しているということでございますが、最近のイギリスのフィナンシャル・タイムズの二月十八日号によりますと、インドの外貨の危機に対処する緊急策がとられているようでございます。公定歩合の引き上げと一〇%の課徴金を徴収をするという方向がとられまして、食糧品や肥料、殺虫剤等を除くすべての輸入品に対して一〇%の課徴金を課する。二番目には、IMFに対して最大限のスタンドバイクレジットを要請する。さらに第三番目に、対印援助借款団に対して可能な限り輸入援助借款を与えるように要請する、こういうような方向がとられたということが伝えられているわけであります。そしてしかも外貨準備高が一年間に三〇%も減少をしているという経済的な危機に当面をしているようであります。だから、この原因は一体何かということを調べてみると、食糧と武器の購入の支払い増加というものが主たる原因になっておる、このように伝えてきているわけでございますが、わが国は、インドに対する五千万ドルの円借款の供与を行なっておる。ところが、その前半においての契約は承諾をされたけれども、後半におけるところの支払い条件については、インド側がこれを拒否して、そしてあまりにも日本の円借款の供与は高金利に過ぎるじゃないか、しかも期間が短い、これを延長すべきである、こういうような要請がなされて、後半の援助計画に対する協定がまだでき上がっていないやに承るのでありますが、このような状態に対応して、インドに対するところのわが国の債権国会議の参加者としての立場から、どのような手を今日お打ちになっていらっしゃるかを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/52
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053・西山昭
○西山政府委員 日本がインドの経済開発に貢献しますために、いわゆるコンソーシアムに参加しまして、毎年援助をやっておるわけでございますが、御指摘のとおりに、当初におきましては若干条件が現在よりもきびしかったことは事実でございます。しかし、昨年からは、年々日本も努力しておりまして、昨年は金利を六分から五分七厘五毛に変える、また、総額の三分の一につきましては、いま申し上げましたように金利を若干低下し、かつ、返済期間も十五年から十八年に延長する、こういう方針をとっております。本年につきましては、近くパリでフリー・コンソーシアムと申しますか、毎年各国の拠出する金額の前提となりますインドの経済事情を、世銀その他の国際機関及び関係の債権国が寄り集まって討議しまして、インドからも事情を聞くわけでございますが、五月ごろに正式に、各国がどれくらいの拠出をするかを決定する段取りになっております。
現状について申し上げますと、さきに御指摘のとおりに、インドの最近の債務の累積はだんだんふえております。これはインドが一つの顕著な事例でございますが、世界全般におきましてそういう傾向がございまして、利子の支払いに相当額の外貨収入を食われる、こういう実情になっておりまして、このような情勢に対処いたしまして、どういうぐあいな経済協力が最も有効的な経済協力であるかということを、われわれは真剣に検討する必要があるのじゃないか、こう思っております。インドにつきましては、パリの会議におきましてよく事情を検討いたしまして、今後のコンソーシアムに対する態度をきめたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/53
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054・村山喜一
○村山(喜)委員 日本の国が先進国並みに工業国となって発展をしてきた、そこで広く東南アジアあるいは後進国に対して眼を向けていかなければならないという方向は、演説の中でわれわれは聞くのであります。しかしながら、具体的な現実の問題を、法制的な立場から、あるいは予算的な措置から、あるいは経済的な状態から見てまいりますると、まことに口で言っていることと行なっていることとの間には雲泥の差がある。この現実をやはり外務大臣が中心になって積極的に推進をしていかなければ、日本のいま当面の目安の貿易収支も改善をされつつありますが、将来にわたりますと、重大な問題に直面をしてくるのではなかろうかと思いますので、これらにつきましては、もっと本腰を入れて善処方を要望を申し上げておきたいと思います。
次の問題は、先ほど伊能理事からもお話しがございました経済外交についての臨時行政調査会の行政改革に関する意見の内容に関連をいたしまして、現在どのようになっているのかという問題についてお尋ねをいたしたいのであります。これはすでに外交面における経済問題の比重の増大というのが、七〇%程度かかってきた。国内経済行政事務と海外の経済行政事務というものとの関連性というものを十分に見詰めながら、今日の現行体制の問題点を幾つかあげているわけでございます。その中で、勧告の内容といたしまして、政策、企画、総合調整機構の整備が打ち出されているわけでございますが、これらに対しまして、大臣はお帰りになりましたので、政務次官から、今日外務省がこの勧告に対してどのような措置を講じようと準備をしているのか、これについての態度を御説明を願いたいのであります。
といいますのは、現在の経済協力の問題にしても、外務省を中心にいたしましてやらなければならないというたてまえはとってはおりますけれども、しかし、現行体制上の問題点として、在外公館の経済担当官が充実をしていないとか、あるいは広域対策機能が不十分であるとか、あるいは在外公館と外務省と経済省庁間の情報連絡に円滑を欠くとか、あるいは関係省庁間の調整が不十分であるとか、あるいは外務省の努力が足らないとか、非常に手きびしい批判をいたしているわけであります。これらの中から具体的な改善案の勧告も出されておりまするし、そしてまたそれに対する方向というようなものも指示されているわけでありますが、これらの諸点、特に関係閣僚審議会、あるいは対外経済協力審議会の改組、外務省の経済協力局を中心にした総合調整機能の明確化、こういうような問題につきましては、どういうところにおいて、どの程度まで検討が進行しているのか、承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/54
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055・高野藤吉
○高野政府委員 臨時行政調査会の答申に関しましては、非常に広範な……(村山(喜)委員「政務次官だよ」と呼ぶ)私からちょっと実態的な動きをいま御説明申し上げたいと思います。
各省にまたがるいろんな問題、それから法律事項等もございますので、現在各省同士でいろいろ検討を進めている次第でございます。外務省に関する件といたしましては、いま御指摘のように、経済協力に関しては経済協力庁的なものをつくって、打って一丸とした機関が必要じゃないかという答申がございまして、これは外務省といたしまして各省といろいろ検討していますが、すぐそこまで行くのには若干時間がかかるという感じでございます。本件は各省と検討中でございます。
それから在外にいる各省の人と直接通信をしたほうがどうかという勧告がございますが、これは先ほど伊能先生からの御質問に対して私がちょっと触れましたが、各省ばらばらになりますと、統一的な方針が打ち出されにくいという点、それからまた、現地の事務量が調整できずに、非常に事務が膨大になり、かつ、その結果渋滞するという点から、現在の機構を運営して、すなわち外務省を通じて一本でやる。しかし、軽微なものはできるだけ簡易に処理していくという面で、運営でこれを改善していきたいということをはかっております。
第三に、経済官庁と外務省及び在外公館との人事の交流をはかってはどうかという勧告がございます。これは勧告以前もずっと実施しておりまして、現在、各省から百四十名近くの者が在外公館に行っております。しかし、そのうちのおもなものは、やはり通産省、農林省、大蔵省等の経済官庁が大部分を占めているわけでございます。それからまた東京におきましては、外務省員が通産省等に出向しております。
答申の第四点には、広域在外公館等をつくってはいかがかという勧告がありましたが、現にいま各国とも主権国家——EEC等経済面では統合的な動きがございますが、政治面につきましては各国とも主権は譲らないので、一つの国にいて隣の国ないしほかの国を看過するということは、最後的にある程度情報の交換はございますが、外交交渉ないしは有権的な交渉なり活動をすることには、現状の国際慣行及び国際情勢からはきわめてむずかしいという結論でございまして、広域経済ないしは広域公館というような考え方は、もよりの公館ができるだけ連絡を密接にしていくという点で改善いたしていきたい、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/55
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056・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、この際藤崎条約局長に説明を願いたいのですが、見えておりませんか。——ベトナム問題に関連をする問題、政策上の問題でありますし、非常に重要な問題でございますが、これは答弁は、大臣もおいでにならないし、集団安全保障に対する問題なんですが、条約局長もお見えにならないということになると、次の機会にさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/56
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057・河本敏夫
○河本委員長 次会は、来たる十六日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X01619650312/57
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