1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二日(金曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君
理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君
理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君
理事 村山 喜一君 理事 山内 広君
天野 公義君 井原 岸高君
岩動 道行君 亀岡 高夫君
高瀬 傳君 塚田 徹君
辻 寛一君 綱島 正興君
二階堂 進君 野呂 恭一君
藤尾 正行君 湊 徹郎君
稻村 隆一君 大出 俊君
受田 新吉君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
自 治 大 臣 吉武 恵市君
出席政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
総理府総務副長
官 古屋 亨君
総理府事務官
(恩給局長) 増子 正宏君
運輸事務官
(大臣官房長) 堀 武夫君
運輸技官
(港湾局長) 佐藤 肇君
自治事務官
(大臣官房長) 松島 五郎君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 弘君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
消防庁次長 川合 武君
委員外の出席者
自治事務官
(選挙局管理課
長) 小池 昌雄君
専 門 員 茨木 純一君
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四月二日
委員茜ケ久保市重君辞任につき、その補欠とし
て井岡大治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員井岡大治君辞任につき、その補欠として茜
ケ久保重光君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
六三号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二八号)
自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/1
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002・受田新吉
○受田委員 このたびの法律改正の中で、最初に私が特に政府にただしておきたいことは、昨年の当委員会で附帯決議を付した事項がどのように処理されたかということ、この点についてまず御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/2
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003・増子正宏
○増子政府委員 御質問の昨年の恩給法の改正の際における本委員会の附帯決議のその後における処理状況でございますが、まず第一点としまして、恩給及び共済年金を現職公務員の給与ベースの上昇にスライドさせるという点でございます。この点につきましては、いわゆる公務員の給与ベースに対するスライドという内容をどのように理解するかということによりまして、いろいろな結論の違いが出てくるのでございますけれども、少なくとも公務員の給与が相当上がっており、その他経済情勢が変動しておりますことを考慮いたしまして、恩給、年金を引き上げるということにつきましては、その必要性を十分痛感いたしまして、今回の改正法案の中にそういう形で取り上げているわけでございます。いわゆるスライド制ということを制度上確立するという点からいいますれば、まだその結論には達しておりません。現在なお検討中ということでございます。
それからいわゆる二万円ベースと二万四千円ベースの二本立てとなっておりますことにつきましては、今回の改正案におきましては、いわゆる一本立てという形で改正をいたすことに準備しております。
それから傷病間差の是正という点がございますが、これは今回の改正案において取り上げておるわけでございます。
それから抑留加算の問題につきましても、今回の改正案にその内容を取り入れているわけでございます。
本委員会の附帯決議関係事項としまして、面接恩給法に関するものにつきましては、大体以上のとおりでございます。
なお、今回取り上げられなかった問題につきましては、なお現在も検討を続けておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/3
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004・受田新吉
○受田委員 附帯決議の処理については逐条お尋ねすることとして、大体恩給ということはどういう趣旨で給せられ、そして共済年金との相違点をどこに置いておられるのか。恩給なるものは、社会保障の性格をとるのが適当であるのか、加味することが適当であるのかないのか、そのことも含めて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/4
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005・増子正宏
○増子政府委員 恩給の意味、性格等につきましては、御承知のように、学者の理論としましてはいろいろ説があるわけでございます。現行法としましても、恩給法には別段その定義等を規定いたしておりませんので、大体解釈の問題ということになるわけでございますが、政府といたしましては、従来はいわば多数説といわれる経済獲得能力の減耗に対する補てんというような考え方、これによっておるというふうに申し上げてもよろしいかと存じます。要するに長年公務員として勤務しまして、その結果退職いたしました場合の公務員自身あるいはその一家族等に対します生活上の資金を国として給与いたしまして、退職後の生活の維持に寄与せしめるということにあるというふうに考えておるわけでございます。
なお、性格からいいますと、これはいわば国が使用主として一方的に給付するという形をとっておるわけでございます。いわゆる国庫納付金というものがございますけれども、これは保険における保険料あるいは掛け金という性格とは違うというふうに、従来から考えられておるわけでございます。
なお、共済組合制度による退職年金制度は、この恩給が国の一方的な給付というものであることに対しまして、一種の社会保険形式をとっておるという点が、非常に違った点であると思います。要するに、国も使用主として、もちろん経済的な負担をいたしますけれども、同時に必要条件として組合員自身が一定の掛け金を負担する。そうして相互扶助といいますか、そういう形でこの仕組み全体がつくられておるというところ、いわば共済制度の場合におきましては、一種の社会保険形式として、広い意味で社会保障制度の一環というふうにも考えられておるわけでございます。そういう意味で、共済と恩給とはおのずからその性格、したがってその給付上のいろいろな条件等にも差異が出てくるものと考えるわけでございます。お説のように、恩給というものの中に社会保障的な要素を取り入れることの可否につきましては、一つの問題でございますけれども、恩給が先ほど申しましたような意味で社会保障なりあるいは社会保険ではないとかりにいたしましても、具体的に果たしておる役割りなり機能から見ますれば、社会保障のいろいろな制度とそれほどかけ離れたものではない、むしろ非常に似通った点があるわけでございます。そういう意味におきまして、恩給の性格からくるところの運用の一種のワクというものはございますけれども、個々の問題の取り扱いにあたりまして、社会保障的な考え方を破り入れていくということは、あながち矛盾し、あるいは両立し得ないものではないというふうにも考えておるわけでございます。したがいまして、昨今の恩給法の施行にあたりましては、そういう点をいろいろと取り入れておる点は、先生もよく御承知かと思います。
お答えになったかどうかと思いますけれども、大体以上申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/5
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006・受田新吉
○受田委員 いまの現存の公務員が、能力補てん説を採用されておるというお立場から見て、退職町の経済取得能力その他のいろいろな条件を基礎にしながら、退職後の生活及びその遺族の生活を保障する性質のものであると解釈をしてよろしいかどうか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/6
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007・増子正宏
○増子政府委員 お説のように、退職時の条件というものを基礎にしているわけでございます。それから支給をいたします目的といいますか、ねらいは、退職した公務員本人なりあるいはその家族、遺族等の生活維持に役立たしめるという点にあるわけでございます。それをいわゆる保障ということでございますが、この恩給なりあるいはその変形であります扶助料等が、生活を維持する金額、いわゆる生活費の全面的な保障になっておるかどうかということにつきましては、これはいろいろ論議のある点ではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、退職時の条件に応じて、その生活維持に大きな役割りを果たさしめようというところが、恩給のねらいだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/7
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008・受田新吉
○受田委員 そういうねらいがおありでありますならば、ひとつここで私が提起したい問題点があります。国次公務員法の第百八条の精神は、経済生活を退職後においても保障するという精神ではないか、かように考えるのでございますが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/8
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009・増子正宏
○増子政府委員 御指摘のように、退職時の条件に応じて退職後の生活を経済的に支持するといいますか、維持せしめるということにあるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/9
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010・受田新吉
○受田委員 局長さん、人事院には当初国家公務員の退職年金制度なるものを起案せられ、それの実現を念願しておられた歴史があるわけです。ところが、それが国家公務員の新しい制度は、現実に共済組合制度のほうに移行してしまった。そこで問題が起こるのですけれども、人事院が退職年金に関する勧告権を持っておる。そして、いまあなたが仰せられたような退職後の経済生活を保障するという形であるならば、現時点における恩給法の改正の動向というものは、これは経済生活を裏づけするような退職後の保障の改正を考えておられない、場当たり的な、その場の単なる儀礼的措置のような印象を受けます。何となれば、今回の改正案を見ますると、昨年の附帯決議に盛った現職公務員へのスライド方式というものが、抹殺されております。二〇%の上昇というものは、一体これは何を基礎に二〇%というものを上げたのか。これは昭和二十何年でございましたか、八年ごろでございますか、を基礎にした消費生活水準なるものを基礎にした数字ではないかと思いますが、二〇%なるものの根拠をあわせて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/10
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011・増子正宏
○増子政府委員 先生の御意見なりお考え方をいま伺ったわけでございますが、人事院との関係等につきましてはお答えを省略さしていただきますが、最後の、今回の改正案が前回の改正の際における委員会の附帯決議の趣旨を無視しておるというふうに御指摘になった点でございますが、いわゆる在職公務員の給与ベースに恩給をスライドさせるということでございますが、先ほども申し上げましたように、これをどういうふうに理解するかということに、いろいろと問題がかかってくると思います。スライド制を最も端的といいますか、ことばの非常に狭い意味で申し上げますと、いわゆる自動制節制度といいますか、在職公務員の俸給がかりに一〇%なら一〇%上がりますと、恩給の年金額のほうも機械的に自動的に一〇%上がるという仕組みが制度上とられております場合には、それをスライド制というふうに正確に言い得ると思いますが、しかし、必ずしもそう自動調節的ではなくしても、公務員の給与がある程度上がりますと、それを重要な要素といたしまして、そのつど政府が選択的な配慮を加えて恩給金額を改定していくという形、これも広い意味でスライド制と言えば言えると思うわけでございます。外国の例等におきましても、そういうものがありまして、広い意味でそう言っているわけであります。でありますから、わが国の場合におきましては、在職公務員の給与ベースにスライドすると申しましても、その内容等につきましては、いろいろとやり方が考えられるわけでございます。その場合に、いわゆる附帯決議の趣旨を私どもどういう形で考え、どういうように実現していくかということにつきましては、なお検討の余地はあるというふうに考えておるわけでございますが、今回はそういった最終的な結論を得るまでに至りませんので、一応従前の考え方というものをやはり基礎にいたしまして、一方におきましては、公務員の給与はもちろん上がっておりますし、物価も上がっておる、また国民生活水準というものも一般的に上がってきておりますので、そういった諸情勢を勘案いたしまして、現存恩給をどの程度上げるのが適当であり、また可能であるかというようなことを検討いたしました。現実には、また、財政上の制約といいますか、そういった面もございます。それらを総合勘案いたしまして、二〇%増というものを今回決定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/11
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012・受田新吉
○受田委員 勘案した数字とおっしゃるけれども、私さっき昭和二十八年と申し上げましたが、二十六年と言いかえておきたいのでございますが、二十六年以前の退職者とそれ以後の退職者との間にも、大きな谷間が出てきておるわけなんでございますが、国民の消費生活水準の上昇を、今回の二〇%を引き上げるのについては、何らかの過去の実績をもとにして計算するという方式を検討された事実はあるかないか、この点もひとつ御発表願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/12
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013・増子正宏
○増子政府委員 今回の案を提出いたしますまでには、その過程におきましては、私ども、いまお尋ねのように、いろいろな角度からいろいろな資料を調査、検討いたしました。そういう事業はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/13
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014・受田新吉
○受田委員 局長さん、二〇%という数字が政治的に生まれた数字であるということは私よくわかるのでございますが、恩給局は最初から二〇%で納得したものですか。それとも、もっと高いところを局としては考えられたが、それが最後に折衝の結果下がったのか。これはやはり過程を御説明していただくのは、決して恩給局を冒涜するものでないのでございますから、公務員の年金を担当される局としての努力の足あとというものを伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/14
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015・増子正宏
○増子政府委員 先ほど申し上げましたように、まあ恩給局として申し上げますれば、いままでいろいろな検討をいたしましたことも事実でございますし、それから、率直に申し上げまして、この最終決定案よりはもっと率の多い改正案を考えたことは事実でございます。しかし、それを公式にここで作業過程として申し上げるかどうか、なお私検討の余地があるように思いますので、お許しをいただきたいと思いますが、結論的に申し上げますれば、二〇%という今回の改定案は、私ども最上の案として考えたものではない、いろいろな折衝の過程において最終的にきまったものであるということだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/15
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016・受田新吉
○受田委員 私は、この恩給関係の問題は、これはやはりいろいろな関係方面との折衝で結論が出るということはわかるのでございますが、恩給局としてはどういう経緯をたどって結論が出たかということについては、一応われわれ委員はその内容を伺って、われわれとしてももっと真剣にこれと取り組んで、政府原案をうのみにするような形でなくして、もっと積極的に問題点をえぐり取るというような形をとるべきだと思うのです。なかなか御事情もあるようでございますが、私の判断したところでは、二〇%の根拠には、昭和二十六年の国民生活の中の消費水準なるものを一〇〇とした計算から生み出すといりものも、一つの根拠になっておる、こう判断します。同時に、それだけを中心にパーセンテージをきめられたのでは意味をなさぬのであって、公務員のベースがどのように上昇しておるかということを常に頭に入れておかなければならぬ。それでなければ、さっき申し上げた退職後の経済生活の保障という、国家公務員法第百七条の精神にも反するわけだ。ましてや、昭和二十三年の二千九百二十円ベースという時代がありました。いまの十五分の一という時代があったわけです。それ以前、二十三年の二千九百二十円ベース以前にやめられた公務員というものは、旧制度の仮定俸給を基礎にされて、それを途中三回是正されたという例はありますけれども、依然として現状に比べたならおおむね半額になるという低い恩給額を、いまもらっているわけです。しかも、あの当時には退職金制度というものもなかったのです。恩給一本で、公務員なるがゆえに私企業にも関係できないという、つつましく国家に奉仕して、よわいすでに八十、九十となっておる際に、退職年金もなかった。恩給も、二十三年の六月以前にやめた人は、いまごろの人に比較して約半額であるというような悲劇の中に苦労されておる人がある。この問題は、昨年局長さんからこれらの問題の不均衡是正を目下検討しているといりおことばがあったけれども、すでに年齢的に八十、九十という非常におい先の短い立場に立つこの人々に対するはなむけが、このたびもなされておりません。これに昨年、局長さんからはっきりこれらを含めて検討しているという御答弁があったのでございますが、いかが相なっておるのでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/16
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017・増子正宏
○増子政府委員 いわゆる過去の退職者の中に、いろいろその恩給法上の取り扱いにつきまして不均衡があるという点は、確かに私どもそれを事実として認めなければならぬ部分があると思います。なお、現在までも、いまお話がありましたように、しばしばこの不均衡是正という問題を取り上げましての措置もいたしてきたのでございますが、今日においてなお、現に恩給を受けておる受給者個々の立場からいたしますと、まだ全く解決されていない不均衡という問題があるわけでございます。その問題は、実は私どもも解決を要する問題というふうにして検討を続けてまいったのでございますし、また現在もそうでございますが、御承知のように、恩給法全体の問題としましては、いろいろとむずかしい点をたくさんかかえておるわけでございまして、今回のいわゆる改正案につきましても、まあそれ一つでも相当の作業となったわけでございますので、従来から検討しておる問題のことごとくを今回一挙に解決するというところまでまいらなかったことを、ひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
なお、過去の退職者の格づけの問題でございますが、実は先生もよく御承知のように、この仮定俸給の取り扱いにつきましては、給与制度が全く根本的に変わってしまったとか、あるいは一方におきまして、任用制度が全く戦後において変わってしまった。しかもその変化というものは、今日においてもなお少しずつ継続しておるというような状況でございますので、そういった公務員制度における任用なりあるいは給与等の制度自体が変わっていきましたところを恩給の面においてすべてカバーしていくということは、実際問題として恩給としては負担を越えた問題になるものがあるわけでございます。そういう意味におきまして、従来までいろいろと改正をいたしてきましたものは、私どもいま考えてみますと、恩給制度としては大体やり得る範囲のことはやったのではないかというふうにも一応考えておるわけでございます。すなわち、これ以上の改正ということは、任用制度それ自体の問題、あるいは給与制度それ自体の問題とも関係がありますので、恩給のみで処理できないという感じでございます。
それからもう一つは、先生がよく御存じの個々のケースといいますと、実は一人一人によりまして相当個人差があるわけでございます。特に教職員関係などで申しますと、各府県で在職中において、すでに給与等では取り扱いがまちまちであったというような点もあるわけでございます。それを恩給の面におきましてきれいさっぱりと統一するということは、制度的には実は非常に困難でございます。そういった問題もございまして、私ども個々の受給者におきましてはいろいろと強い御意見があることは、承知いたしておりますけれども、それを御満足のいくような形で全部清算といいますか、処理してしまうことは、まことに困難で、不可能に近いことだというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/17
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018・受田新吉
○受田委員 その困難で不可能に近いことの解決策をお授けします。地方の公務員制度、給与制度がまちまちであったということに付しての処理は、古い個々の問題について触れますが、現在の国家公務員の最低基準を基礎にして、それへ勤務年数を当てはめて新恩給金額をきめるべきであり、仮定俸給を設定すべきである。これは国家公務員の中の同率、同給に該当するものを当てはめてみて、地方公務員のいろいろな形態のものをそれへ整理して、それを基準にして仮定作船をきめ、恩給金額をきめるという措置をとられれば、これは非常にすっきりします。特にいまでも前歴計算の上においては、昭和二十三年以前あるいは二十六年以前に勤務した者が、再び公務員になった場合に、前後を通算するという前歴計算の措置があります。以前の勤務期間も現在の勤務期間も、年数として通算するということになっておる。こういうことから言うたならば、古い勤務期間を基礎にして仮定俸給をきめ、恩給をきめられる場合に、現在の国家公務員の基準を当てはめていくという措置を一律にとられていくならば、この問題は解決する。教員でありあるいは警察官であったというような場合は、いまの教職員の俸給表あるいは警察職員の俸給衣の中で、一番低い基準でこれを考えていくという手があると思うのです。テンポの早い特別昇給などを抜きにして、普通の形態でいく方法を当てはめて処理をするという、これは一つの私の処理方法を申し上げたので、いろいろな個々のケースをかたがた研究しておったら、前といまの制度は迷うとか言って、大蔵省などもなかなか渋ると思います。だから、すっきりしたものは、現行公務員の給与法に従来の職員をそれぞれのところへ格づけして検討するという方法が、一番すっきりして整理しやすいという御提案をしておきまするから、御研究の際の御参考に資していただきたいと思います。大体恩給の審議室というのは、一体何をしておるのですか。去年私ちょっとお尋ねしたのですが、少しこの機構を拡充強化して、もっと専門家も入れて、もっと深刻に検討してはどうかと申し上げたのです。これは副長官がおられるので、副長官の所管事項としてお答えを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/18
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019・古屋亨
○古屋政府委員 恩給問題審議室の性格の問題でございますが、実は一昨年の暮れの予算折衝のときに、恩給問題、特に先ほどお話しになりましたような生活水準、あるいは公務員のベースが上がっておるということから考えまして、恩給の増額改定と申しますか、恩給の年額加算その他恩給に関する問題の調査、研究を専門的にする機構ということを考えまして、昨年の四月一日から恩給局に恩給問題審議室というものをつくりまして、実は半年間でございましたが、今回のベースアップになりました問題につきまして、専門的に調査、検討をいたしておった次第でございます。しかしながら、恩給局の審議室でございますので、いろいろその仕事を進めますにつきまして、私ども、いまの審議室のあり方がこれでいいかどうかという問題は、つまり恩給局の内部組織として審議室を設けたのでございまして、その審議の過程におきましては、恩給関係について専門的と申しますか、数人の学識経験者等もお集まりをいただきまして、そこで御意見などをお伺いしたのでございます。これは内部的な作業の過程においてそういうことをしたということでございますが、しかし、半年間で実はこの予算編成の問題、その他恩給に関するたくさんの問題、また、ただいまもお話になりましたような二十三年以前の格づけの問題につきましても、もちろん具体的な問題は今後研究をしてまいらなければならないと思うのでありますが、ただいま局長から申し上げましたように、恩給だけのワクで処理することが非常にむずかしいような問題も多々ありますので、実はこの恩給問題審議室の現在の性格がこれで十分であるかという点につきましては、私どもも何とか検討を続けてまいりたいと思っておる次第でございまして、とりあえず現在は、この恩給問題審議室におきまして、こういう問題を検討しておるということを申し上げますと同時に、将来の問題といたしましては、附帯決議にありました事項等について調査、検討を進めなければなりませんので、この審議室をとりあえずは活用いたしますと同時に、この審議室で十分でないというような問題につきましては、将来機構の上におきましても何らかの検討をしてまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/19
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020・受田新吉
○受田委員 機構の上において考えるというおことばでございますが、これは本気で言っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/20
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021・古屋亨
○古屋政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年の四月一日から審議室を発足させまして、いま申し上げましたようにベースアップの問題と取り組んでおりまして、この問題が進んでまいりますと、先ほどお話になりましたような、恩給というワクだけでは全部解決できない問題がございますので、いまは恩給局の内部の機構でございますけれども、これだけで十分であるとは私ども考えられないものもございます。将来におきましてこういう機構の点をどういうふうに持っていくか。これは実は昨年の四月から発足しておりますので、いまのところはこれで進めてまいりますが、いろいろな問題が起こってまいりまして、先ほどお話しになりましたように、審議室だけでは解決できない、もう少し広い幅において問題を処理する必要もあるかと思いますので、将来の問題といたしまして、恩給問題審議室の機構あるいは運用等の面において再検討するということを当然考えてまいらなければならない時期が来るということを申し上げたので、私どもも、この審議室で解決できない問題が多々出てまいりますから、そういう場合においてこの機構をどうするかということを考えてまいりたいということを申し上げたので、決していまのままで十分であるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/21
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022・永山忠則
○永山委員 ちょっと関連しまして。ただいまお説のように、これはやはり十分検討をせなければならない恩給年金問題であるからということは、お説になりましたとおりですから、すみやかに内閣に恩給年金問題調査会を設置して、すでに附帯決議は前からついておるような状態ですから、これらの点に対して抜本的に処理していただくというように特に推進を願いたいというように考えておるのでありますが、総務長官にその旨をお伝え願い、政府に進達してもらいたいと思うのですが、もう一度御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/22
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023・古屋亨
○古屋政府委員 ただいま永山先生の御意見でございますが、現在恩給問題審議室とそれから公務員年金制度連絡協議会と、この二つの活用によって、特に後者の公務員年金制度連絡協議会等におきましては、外国、主としてアメリカ、ヨーロッパにおける恩給制度、掛け金、基本額、恩給金額の算定事情等の検討を行なってきたのでありますが、しかし、財源措置をどういうふうにしたかというようなことにつきましては、目下資料がございませんので、外務省を通じてお願いして調査をしておるような次第でございます。この恩給問題審議室と年金制度連絡協議会の運用によりまして、現在のところはやっておるのでございますが、ただいま永山先生の御意見は、総務長官にお伝えいたしますと同時に、私ども現在の機構の点で必ずしも十分とは思っておりません。直ちに調査会をつくるかどうかという点は十分検討しなければならないと思いますが、やはりたくさんの根本問題が残っておりますので、この現在の二つの機構をいかにして今後調整するかということにつきましては、率直に申しまして十分勉強いたしまして、そうしてお話の線に沿いまして検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/23
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024・永山忠則
○永山委員 ぜひ内閣に恩給年金の調査会をつくるようにひとつ強力に推進していただくことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/24
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025・岩動道行
○岩動委員 私は、この機会に、赤十字の看護婦で戦地に従軍をしておりました者の恩給年金通算の問題につきまして、関連質問させていただきたいと思います。大体赤十字の看護婦は、現地の戦地に参りまして、正式に軍の衛戍病院等に入った者は、これは正式の通算年金が加算されておるわけですが、そうでなくて、赤十字の看護婦として現地で活動した者につきましては、従来からもたびたびそういう要望が政府にはなされておったはずでありますが、その後この問題の解決は一向進展を見ていないというのが現状であるわけでございます。衛戍病院等の看護婦は、むしろ指導、監督を直接やって、非常に重要な役割りを現地において果たしてまいっておるわけでございますので、実質的にはこれは当然単純なる普通の軍嘱託といったようなものと違った立場で検討されなければならない、かように考えるのでございますが、そのお考えをひとつお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/25
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026・増子正宏
○増子政府委員 ただいまおあげになりました日本赤十字社のいわゆる従軍看護婦の扱いにつきましては、確かにその実際の面におきましては私ども十分同情すべき点があるというふうに考えておるわけでございまして、関係の方々の御要望もあり、いろいろと検討して今日に至っておるわけでございますが、現在のところにおきましては、いわゆる日赤の看護婦の従軍期間におきましては、その身分は、いわゆる旧陸海軍の嘱託または雇用人の待遇を受けていたという実態関係でございます。したがいまして、恩給制度というものが、御承知のように、その創設以来官吏あるいは少なくとも待遇官吏を対象としておるというたてまえ、そのたてまえといまの日赤看護婦の法律上の身分関係といいますか、それをどう調節するかということが、非常にむずかしい問題として今日に至っておるわけでございます。お説の中に、この日赤の看護婦が普通の軍の嘱託などとは違うということがあったわけでございますが、なるほどそういう考え方もあるわけでございますが、ひとしく戦地において看護に従事しておった陸海軍の本来の看護婦におきましても、実はこれは恩給法の対象にはなっていなかったという点があるわけでございまして、広く言いますと、今日では政府部内における公務員でございましても、過去におきましては雇い、用人といわれておった者が、いまだかつて恩給の対象にはなっていないということがございます。そういうこととの均衡ということもありまして、実は今日まで解決を見ていない問題でございます。しかし、一方におきまして、公務員の退職年金制度は共済制度という形になってきており、従来の官吏、雇用人の差別も撤廃されておるということもございますので、そういうこととの関連におきまして、さらに引き続き検討さしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/26
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027・岩動道行
○岩動委員 国家公務員の共済年金制度とにらみ合わせてこれを検討されるという御趣旨でありますので、それを了承いたすわけでありますが、満州の協和会は、たしか昨年から恩給の通算の対象になったというようなこともございます。そういったようなものとの権衡から考えましても、まさに戦地において最前線において戦線に参加したという看護婦の非常に危険な献身的な立場を考えた場合には、どうしてもこれは救ってやらなければいけない、かように考える次第でございます。特に共済年金制度のほうで対象者がかなり多いはずでございますので、こちらとの連絡を十分にとられまして、ひとつ前向きにこの問題の解決に当たっていただきたいということを強く要望いたすのでありますが、副長官のこれに対する御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/27
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028・古屋亨
○古屋政府委員 ただいま岩動先生の日赤の従軍看護婦の問題でございます。ただいま局長から御説明いたしましたが、結局ただいまお話しのような、恩給制度が官吏、待遇官吏を対象としておりますたてまえになっておること、それから旧陸海軍本来の雇用人が恩給制度の対象外にあることとの均衡上の問題になりますので、この問題は共済の問題とあわせまして、ひとつ恩給問題審議室におきまして前向きの姿勢で検討さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/28
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029・受田新吉
○受田委員 質問に戻りますが、さっき私が提案した、永山委員から関連質問があった問題、答えは公務員年金というものをどういう姿にすべきかということで、臨時恩給等調査会なるものが岸内閣のときに一応答えを出したのでございまするが、その答えが出てから後に国家公務員共済組合制度なるものが生まれたわけです。恩給というものの比重がうんと下がって、共済組合のほうがうんと比重が上がってきた。こういう実態が起こってきたわけです。ほかに厚生年金保険とかその他の公的年金もございますが、公務員の年金というものは、私は、かねて公務員年金局なるものを設けてそこで一括処理すべきだという提唱を、ずっと前から繰り返しておるわけでございますが、まだそれは実を結んでおりません。その立場から、公務員年金制度の本質的検討を加えることが、臨時恩給等調査会のときよりも情勢が一変した現段階で、これは必要であるから、いま副長官の言われたような機構上の問題として一歩前進した、学識経験者を含む短期間の間に答えが出るような機構をつくることを要望しておきます。
質問を続けますが、恩給局長は、人事院にもおられた人だし、公務員制度調査室のお仕事もされた方ですから、公務員年金制度というものについては、あなたは大所高所から御検討いただくのには最適の人だと思っておる。したがって、あなたが局長になられて以来だいぶ前進した改正も出されておりますが、ひとつこの機会に、公務員の退職者の処遇というものは、私企業等に従事できないで、昔の官吏服務紀律を順守しながらいくという、この国家、国民に対する全体の奉仕者としての立場での退職後の保障という意味からいうならば、常にそのときの経済情勢に即応するような年金を支給するということを原則としなければならぬと思うのです。だから、今度の改正案を見て非常に不愉快なのは、二〇%しか上がっていないということと、三年がかりで全部の片がつくというやり方、しかも三年がかりのを見ると、七十歳以上はこの十月から全額、六十五歳、六十歳という段階によって二分の一とか三分の一とかばらばらの上げ方ですね。一つもまとまっていない。七月から上がる者もあれば、十月から上がる者もある。なぜこういう不統一な上げ方をするのですか。もし何なら一年間はきちっと二分の一、残りの一年間は二分の一という、こういう処理をなぜしなかったのですか。なぜこんなばらばらの上げ方をしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/29
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030・増子正宏
○増子政府委員 今回の改正案の内容に関連します点について申し上げますが、私どもとしましては、実はこれはいわば内部的な希望でございますけれども、恩給の増額改正は、できることならば一時に全面的に適用されるということを考えておったわけでございます。したがいまして、今回の改正案として御審議いただいております内容は、実はこれは必ずしも本意でないというものでございます。と申しますのは、これをいわゆる私どもが理想といたします形で実行いたしますと、財政的には相当の大きな負担になるわけでございます。恩給の増額ということも、もちろん私どもとしては必要であるというふうに考えておるわけでございますけれども、この財政の面におきましては、他の国政とのつり合いということもございましょうし、そういった広い観点からの結論といいますか、そういうものにも、私ども当然従わなければならぬわけでございます。そういう意味合いにおきまして、恩給局としての希望とはかけ離れた形にあったわけでございますけれども、少なくともいわゆる明年度から恩給を増額いたしたいという点、これだけは何としてでも実現しなければならないという考え方から、いま申し上げましたような点をいろいろ調整、勘案しましてでき上がったものが、この内容でございます。この二分の一、三分の一としましても、一定の期間、一年なら一年ということは一応姿としては望ましいのでございますけれども、私どもとしては、そういう姿として望ましいというよりも、できるだけ期間を短くしたいという気持ちも多分に働いたわけでございます。その結果として、その実施時期段階等について、二分の一とか三分の一とかいろいろ出てまいったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/30
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031・受田新吉
○受田委員 そういう二分の一とか三分の一とか、七月からとか十月からとかいうばらばらなことでなくて、三年間ということでなくて、もっと二年にして二分の一、二分の一というような案にしておけば、かわいいところがあったと思うのです。三年がかりで上がっていく。三年先には、公務員はいま三万四千円ベースが、おそらく四万円を突破すると思います。四万円を突破したころに、やっと二万四千円ベース、しかも非常に不均衡のままで、さらにその実質的に半額くらいのところにある退職公勝負を控えながら、三年後に一般公務員は四万円をこえるようなときに、二万四千円がやっと実現するというようなばからしいことで、退職後の経済保障ができますか。これが問題です。現職の公務員にしても、やがてわれわれも先輩のあとを継いで五年、十年後にはかくも苦労するかと、おそらく嘆いて、現在公務に従事する人材がよう集まってこぬと私は思うのです。
それからもう一つ、現に老齢の退職者は、生活保護の適用を受けている人がすでに何方といることを、私は伝え聞いております。これは恩給局で、生活保護の適用を受ける退職公務員が何人いるか、お調べ願いたいのです。恩給のほう、公務扶助料、普通扶助料のほうが五万にも足らぬ、そんなものをもらって、そして生活保護の適用を受けるならば一万に近いものがもらえるとなれば、それは生活保護の適用のほうに自然に転移をしますよ。かつて公務に従事した崇高な奉仕者が、かくして生活保護の適用を受けるという悲惨な運命になっていくことを考えるときに、そのときの経済情勢に即応するという意味ならば、三年がかりというようなばかなことはおやめになるべきだ。去年私がここでお尋ねしたとき、前の野田総務長官は、年齢制限はしません、年次的なものにはしませんと私に答弁したが、年次計画も実施したり、年齢制限もやりました。若年停止規定なるものは、昭和八年に初めて生まれたのでございますが、そのときには三十五歳以下のものを若年停止にした。軍人などであんまり若くして恩給をもらう者があるから、三十五歳で若年停止にした。いまは五十五までですぐ首になってしまうような人に、年齢制限を七十歳にするようなものをつくったら、一体これはどうなるのでございますか。私は年齢制限などというばかげた措置をとるべきでなかったと思う。前の長官の言明に反する。また、段階的な引き上げなどということも、一方現職はばかに上がるときに、三年後にやっとこれは半分とちょっと追いつくようなばかげた増額措置というものは、今回の改正措置としてはなはだ不満であると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/31
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032・増子正宏
○増子政府委員 先生の御指摘になっておる点は、実は私ども、ほんとうに内心を申し上げますれば、全く異論のないところでございます。そういう意味におきまして、実は前回、御指摘のように、野田総務長官からもお答え申し上げましたし、たしか私もそういう趣旨のことを申し上げたと存じます。それは全くそのように努力いたしたいという気持ちを率直に申し上げたわけでございまして、その気持ちにおきましては、現在でも全く変わりがないのでございます。しかしながら、現実にここに法律案として御審議をいただきますまでには、いろいろと経過がありましたこと、これは申し上げるまでもなく御理解いただけるかと存じます。すなわち、今後の考え方、気持ちといたしましては、先生の御指摘のような方向でなお努力いたしたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/32
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033・受田新吉
○受田委員 その努力のお約束を、総務長官にも、あとから来ていただいて、同じことを言うてもらいたいと思いますが、これは大事なことでございます。これは人をばかにしたようなやり方で
もう一つこれに関連する問題でございますが、いまの恩給、扶助料の最低をもらっている人は、どれだけでございますか。いまどれくらいもらっておる人が一番最低か、恩給局で調べておる数字がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/33
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034・増子正宏
○増子政府委員 最低額と申しますと、その金額としていろいろな条件の場合における金額があるわけでございますけれども、およそ恩給受給者として現実の支給額が一番少ないものという意味でございましょうか。(受田委員「そうです」と呼ぶ)低いという点から申しますと、実はいわゆる加算年で普通恩給なり普通扶助料を受けておるもの、これは制度的には一番低いという形で出てまいります。すなわち、兵の階級で加算年があるために恩給の資格がついたけれども、そういう意味で実質の年金額は非常に少ない。最低保障の額で受けておる者があり、それの普通扶助料の場合にはさらにそれの二分の一になりますので、これは非常に少ない金額になります。したがって、その金額を受けておるところの人数は、統計的に出てまいっておりますが、現在その数を持っておりませんので、あとで御報告いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/34
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035・受田新吉
○受田委員 非常に低いということになっておる。つまり退職後のそのときそのときの経済生活を保障するという精神から見たら、人をばかにしたような年金をあげておる、公務扶助料をあげておるということになるわけですね。これはたいへんな国家は約束を無視したことになる。しかも国民年金の併給を禁止する規定がある。先般までは二万四千円以下は併給しよう、こういうようなことをしておられる。それから公務の場合には八方円、こういうようなことになっておる。これが今度増額されるのでございますが、しかし、これからもこういう年金の併給は、こういうわずかな金額を国民年金として一方で出し、一方は国家の公務に従事したという立場で町方を併給されて、決して私はおかしくないと思う。国民もそれに異議を申し立てるとは思わぬのです。わずかなことですから。公務と国民年金とを併給するという措置は、どういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/35
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036・増子正宏
○増子政府委員 国民年金との関係におきましては、実は恩給のほうでそれを決定するわけに参りません。国民年金の問題といたしまして、それは国会でも御審議いただいておるわけでございますので、恩給法の立場からこれを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。なお、これは申し上げるまでもないと思いますが、厚生省の所管でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/36
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037・受田新吉
○受田委員 ここに国務大臣がおらぬのがはなはだ残念だ。国務大臣としてだれかが出ておれば、ここで解決の答えが出るのでありますが、はなはだ残念です。
もう一つこれに関連する新共済年金、共済組合のほう、このほうは、三十一年の国鉄職員など非常に低いところで、二万五千円くらいに赴かれた分を、今度はここで救われるわけでございますね。救われるのでございますが、しかし、二万円以上にははみ出ておらぬ。だから、その差額によってどちらを選択してもいいという規定もある。しかし、この新共済組合年金をもらう人にも、これはやはり新しい形態で、現職の公務員に直結する形で、今後この改正措置を検討していただかなければならぬと思うのです。これはあなたの御所管でないという危険があるので、私は、公務員年金局をつくれとしばしば言っておるのです。これは国務大臣がおられぬのではなはだ残念ですが、総務副長官、あなたなら政治的にこれは御答弁できやせぬかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/37
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038・増子正宏
○増子政府委員 ただいま御質問の新共済年金の関係につきましても、私承知いたしておるところでは、今回恩給と大体同じような改正を御審議願っておるわけでございます。つまり二万円当時の仮定俸給というか、基礎俸給に二割プラスしたところの金額にまで年金額を改定するということになっておるはずでございます。これは別途法律案を御審議いただいておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/38
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039・受田新吉
○受田委員 その問題は、今後現職の公務員は、この新共済制度の適用を受けておるのだから、これはすぐそのまま直結しておる姿でございますが、これは現職とあまりにもかけ離れておる。現職が四万円になるときに、ついこの間やめていった方が二万四千円にとどめられておるというばかげた措置になるわけでございますから、そういう面からも、新共済制度の年金は、現職と比較すると、非常に不当に低い。退職年金は、そういう現象が起こってくるのである。こちらの場合は、比較が非常にはっきりしてくる。それになぞらえて、恩給のこの差を縮めなければならぬということを配慮すべきであると私は御提案したわけですから、御理解願いたい。
それでは時間もきたから、結論に入ります。一瀉千里に御質問しますから、御答弁も簡単に……。局長さん、この恩給法の中に社会保障制度を取り入れるのはけっこうだと思って、なるべく範囲を広げるように、遺家族の場合でも未処遇の者をどんどんこれに入れていくように、継親子の関係なども救済するようにということを——まだこれは漏れているんですが、こういう問題を終始提唱しておりますけれども、これは恩給法のワクでなくして援護法だというので、終始こちらは御遠慮申し上げておったけれども、すでに家族加給制度というのができておるでしょう。いま傷痍軍人の家族加給、公務扶助料の家族加納というものは、月四百円ですね。年間四千八百円。これは、これができた当時に比べて相当年数もけみしておりまして、経済情勢も高くなっておるんですが、家族加給をこのような程度に、年額四千八百円に据え赴いていいのかどうか。このあたりでそろそろ増額措置をとるべきではなかったか。これがはずれております。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/39
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040・増子正宏
○増子政府委員 この家族加納の問題につきましては、恩給金額としてはたしてこういう形で適当であるのかどうかということも、実は根本的に問題があろうかと存じます。一方で、この金額でございますが、この四百円というのは、実は公務員の扶養手当の四百円というものが基礎になっておるわけでございます。この扶養手当が四百円ということも、先生これは一番よく御承知のように、給与法上でもひとつ問題であるわけでございます。現職者についてそういう制度がございますものですから、恩給としても一応それにのっとっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/40
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041・受田新吉
○受田委員 これは公務員の場合とは違って、恩給という立場をとって、恩給の一部支払いと見るかどうかは議論がありましょうが、一方が上がれば、方も上げてやるという配慮を——定額の恩給しかもらわぬ人に、現職は四方にもなろうというときに、一方は二万四千円で抑えられるというときに、家族加給くらいでせめてお手だてをしてあげるというような配慮が要るんじゃないでしょうか。公務員の家族手当とだいうような議論、それに関連するならば、傷痍軍人の中の款症程度の家族のうちで妻にだけ家族加給をつけられておる。これは妻以外のお子さまにも家族加給を出していいと私は思うのです。これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/41
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042・増子正宏
○増子政府委員 この種の制度は多々ますます弁ずという点がございますので、まあ先生のおっしゃるようなことにもなるわけでございますが、実はいわゆる傷病年金の場合の家族加給といいますか、妻加給とわれわれ呼んでおりますけれども、妻にだけつけたということにつきましては、確かに論議の余地はあるわけでございますが、前年の法律案の改正で御承認をいただいたわけでございます。先生が、社会保障的というふうに仰せられる点からいいますと、実は傷病年金程度に該当いたします他の社会保険の金額は、実は恩給よりはかなり低いのでございます。のみならず、この程度の傷病につきましては、一時金であるのが、社会保険等においては普通でございます。恩給におきましては、それを年金といたしておりますので、そういう点から見て、すでに恩給は、他の社会保険あるいは社会保障制度よりは手厚くなっておるわけでございます。そこへさらに家族加給を全部つけるということでは、あまりにその差が開くのではなかろうかという点が一つございました。そういう意味におきまして、増加恩給受給者につきましては、いわばこの家族加給といいますか、そういう形がございましたけれども、傷病年金につきましては、従来からこういったものはなかったのでございます。しかし一方で、この款症程度の傷病者の配偶者、妻等が、相当やはり気の妻な状況にあるというような点もありまして、そういった、あれこれ勘案いたしまして、実は確かに中途はんぱではございますけれども、妻だけの加給ということで改正をいたしまして今日に至っているわけでございます。したがいまして、多々ますます弁ずということに必ずしもいかないのでないかという点があることを、ひとつ御承知いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/42
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043・受田新吉
○受田委員 これは一般で傷つけられた方の場合と公務でからだを傷つけられた方の場合とにある程度の開きができてくることは、やむを得ないのです。それは公務であるということで、本人の意思に反してからだを傷つけられたという、国家補償の責任があるのでございますから、そこはあなたの方も十分検討しておられると思うのです。だから、傷痍軍人の場合も、目症度の皆さんが三百二十円で打ち切られておる。こんなのでも、ささやかでも年額一万二千とかというきちっとしたものに上げてあげるのが、金額はわずかでその汝当者は非常に喜ぶという現象が、私は起こると思うのです。ここに恩給法の心使いが要ると思うのですよ。これと、それから増加非公死——増加恩給をもらっている方がなくなった場合に、これはやはり公務で障害の身となってなくなったということになれば、増加非公死のこの金額というものは、扶助料にしましてもそれを少し引き上げてあげるという配慮をお考えになるべきではないか、公務扶助料に近いものを考えていくというお手だてをすべきではないか、公務性というものを重視するお手だてをすべきではないかと思いますが、これも簡単でけっこうでございます。応問が迫っておりますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/43
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044・増子正宏
○増子政府委員 最初に私が他の社会保険との関係と申しましたけれども、実は公務災害補償の関係でも、同様のことが言えるわけでございます。現職者の公務災害補償との関係、したがって公務であるかないかということの差以外に、同じ公務でもやはり差があるということを申し上げたわけでございます。
それからなお、目症者あるいはいわゆる増加非公死の扶助料につきましての御意見があったわけでございますが、もちろんこれもいろいろと考え方がございます。単純に公務扶助料と全く同じに扱うということも、先生の御意見のように一つの考え方でございますが、また非常に冷ややかな立場から言いますならば、公務で増加恩給の対象になるような不具廃疾になったけれども、なくなった原因はその公務の傷病とは全然関係がなかったという場合でございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/44
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045・河本敏夫
○河本委員長 増子君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/45
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046・増子正宏
○増子政府委員 同じく取り扱うことにつきましては、やはり相当異論もあろうかと思います。その中間を現在はやっている、むしろ公務に近い形で現行法は行なわれているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/46
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047・受田新吉
○受田委員 その額をもっと接近させるという御配慮を願いたいということを言うているわけです。同額にせよということを言うわけではないのです。特に傷病軍人遺族に対する処遇なども、この増加恩給の平病死のほうに近づく措置をするとか、とにかく一歩ずつ前進する措置をとれということを私は要望しているわけです。
おしまいに傷病関係の問題でもう一つ。今度の改正措置で戦闘公務と普通公務との基準を参考にされておりますけれども、戦闘公務一本になり得なかった理由と、それから傷痍軍人の階級は、平均して軍曹のところに当たっているにもかかわらず、これを共を基礎にされたという、その理由を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/47
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048・増子正宏
○増子政府委員 公務扶助料の倍率につきましては、御承知のように、現在におきましては戦闘公務も普通公務も差別をしていないわけでございますけれども、終戦までは、御承知のように、この差が歴然としてあったわけでございます。そこで現在戦闘公務とその他の公務と一本になっている倍率を上げる際に、一応時期としては終戦までの倍率ということを考えたわけでございますが、終戦までの倍率のうち、戦闘公務の倍率をとるか、普通公務の倍率をとるかということにつきましていろいろ論議いたしましたのでございますが、すべてを戦闘公務にするということにつきましては、やはり従来の関係からいうと行き過ぎということではないだろうかということで、それならば、どの程度戦闘公務に近づけるかといういろいろの論議がございましたけれども、大体この御審議願っております案は、それを兼ね合わせるといいますか、中間的な姿でこれをとったということでございます。
それから、平均を兵にいたしたということでございますが、実は兵ではなくして、これは兵長の位で一応統一しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/48
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049・受田新吉
○受田委員 私がお尋ねしておるのは、軍曹が平均の階級であるということになれば、実態に即する意味からいけば、軍曹の階級のところを考えるのが筋ではないかということです。それをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/49
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050・増子正宏
○増子政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、これはいわゆる昭和三十三年の改正の当時等におきましても、いろいろと論議になったところでございますが、一応従前の考え方を基礎にいたしましての改正案でございます。これらの点につきましては、なお今後とも検討を要する点があるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/50
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051・受田新吉
○受田委員 もう一つ、有期恩給という制度がまだ残っておるのです。これは療養所などでも無期化を希望しておるので、そろそろ無期化するという方向でいくべきじゃないか。そして今度の改正案の中には、抑留期間の一カ月につき一カ月の期間の加算制度ができておるわけですが、途中でなく、たとえば昭和二十五年とか二十八年ごろになくなって扶助料をもらう人にも、その恩典が追加して適用されるのかどうか。この二つを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/51
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052・増子正宏
○増子政府委員 疾病恩給の有期、無期の点でございますが、現実の問題としまして、すでに恩給を出してから今日まで長い期間たっておりますので、今後有期ということはまず大体少ないというふうに御了承いただきたいと存じます。ほとんど有期でなく、無期になっていくということでございます。
それから抑留加算は、御指摘のように過去の分まで適用されることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/52
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053・受田新吉
○受田委員 総務長官にお答え願いたいのですが、恩給局を中心にして、総理府としても恩給の特別取り扱いについて非常に配慮されております。しかし、なお未処遇なのが残っておる。これについては、いま副長官からも、恩給調査の機構を新しくつくってでもひとつ何とか手を打ちたい、さらに検討も進めたいというおことばがあった。しかし、いま未処理の中に満鉄その他の大陸の鉄道の職員であった人が、内地に勤務した場合の恩給制度の中における一つの欠陥が出ておるわけなんですね。こういうような未処理のものも、協和会等が解決した段階で、大陸鉄道に勤務した人々も、公的生活が同じならば、そういうものはこの際片づけていくという御処置をおとりになるべきじゃないか。これは政治的な立場で御発言していいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/53
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054・臼井莊一
○臼井政府委員 恩給につきましては、逐次未処遇者問題も解決を見つつあるのでございますが、ただ、残った問題につきましては、それぞれやはり恩給の立場としても解決のむずかしい問題が多いのでございます。しかし、昨年恩給局に審議室を設けまして、これに対しまして常時検討を続けてまいっておりまするので、残された問題についても、今後ひとつ十分検討をして善処してまいりたい。
なお、満州国の鉄道の方々、それは例の日満日と満日との問題だと思います。これはいろいろ議論もされましたが、ただ満一につきましては、当初内地で公務員になられてあちらへ行かれた方と違って、満州のそれぞれの職場を得られた方で、ただ不幸にして戦争によってこうなったので、国内に公務員としておつとめになられた方に対しましては、恩給年限に達するまではあちらの年限は満日についても考える。しかし、こちらのほうに何十年もつとめていたから、そこでこちらの恩給と全部通算しろということは、他との比例上ちょっと現在は困難であるということも、御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/54
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055・受田新吉
○受田委員 長官、いまの問題などは、大体日満日という場合には初めから通産するという法律があったのですが、それが日満日にまで波及し、今度満日までにいくというふうに前進してきたわけです。当初は日本の官吏がまじめに満州国へ国家の公務に従って——満州は日本がつくったいいかげんなかいらい政権だから、これは日本の政府と同じように取り扱わなければならぬ。要領のいい役人だけが日満日で恩典に浴して、要領の悪い分が、残ったということになるから、それはひとつこの際高い観点から共通の問題としておつくりになるということで実現願いたい。
それから長官も、特にさっきからたいへん長く時間をかけて議論したことは、二〇%増額、三年間分割払い、こういうようなばかげた措置はとるべきでない。前の長官も、はっきりわれわれにそういうことはしないと言明したのです。どうですか。きょうこの場で私たちはみんなで修正案をつくりたいくらいな気持ちですが、一歩譲って、来年はこの段階を減らすとか、二〇%ふやすという措置ができるのか、これは三年間くぎづけの方針で置くのか、来年は改正案をお出しになることもあり得るのか、それだけを一応伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/55
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056・臼井莊一
○臼井政府委員 この点につきましては、私どももできることならば一年で実施したいということは当初から考えておったのでありますが、やはり一番問題は財政的な見地から、ことに経済も正常化してきつつあるという際でございますので、おそらくここ一両年そう自然増収がまたさらに従来のようにふえるということも望めないと考えられまするので、遺憾ながら今回はこれに従うよりいたし方ない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/56
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057・受田新吉
○受田委員 来年でもやろうという気持ちがあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/57
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058・臼井莊一
○臼井政府委員 でございますから、来年財政がうんとふえて余裕が十分あればこれは別の問題ですが、来年のことはいまからちょっと何とも申し上げられないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/58
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059・受田新吉
○受田委員 私はおしまいにしますが、とにかくそういうふうに政府として一生懸命にやってもらわなければいかぬです。もう大国並みで、後進国とか弱小国でないとおっしゃる歴代総理がおられるような、経済は発展していばっておる国になったのですから、国力がついたのですから、先輩を処遇するということに事欠いてはいかぬと思うのです。総務長官、そこを来年でもできるだけすみやかに是正措置をしようという御決意を御答弁いただけば、引き下がります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/59
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060・臼井莊一
○臼井政府委員 受田先生のお気持ちは、もう私どもの気持ちとほとんど同じであります。ただ、さっき申し上げたように、財政上の問題から、どうも私だけでそれを来年必ずやるということは言えませんけれども、しかし、できるだけそういう方向で従来も努力はいたしておったのであります。これからも一そうそういう方向で効力いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/60
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061・河本敏夫
○河本委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/61
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062・伊能繁次郎
○伊能委員 今回の運輸省の改正案は、港湾審議会の問題を除いては比較的事務的な改正のように存じますが、港湾審議会の問題につきましては、来週同僚議員から詳細に質問をされる予定になっておりますので、私はこの問題に触れずに、当面の改正点等についてお尋ねをいたしたいと思います。
その第一点は、運輸省の所掌事務に委託による飛行場の工事の施行に関する事務を加えるということでありますが、今日の実情はどうなっておるか、今後運輸省にこういうような委託による飛行場の工事の施行に関する事務を加えるに至った必要性等について、関係者から御回答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/62
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063・堀武夫
○堀政府委員 空港には一種から三種までございますが、一種、二種は国が建設することになっておりまして、三種につきましては、地方公共団体がやることになっておるわけでございます。地方公共団体によりましては、非常にこういう工事の能力を持っておるところもございますが、あまり持っておられないところもございます。これは従来、港湾とか道路等につきましては、国が委託によって工事を行なうことができるようになっております。空港につきましては、その技術者を国で持っておりますので、地方公共団体の要望によりまして国も委託を受けてできるようにしたほうが、いろいろな点で、技術を算入する点でも、効率をあげる点でも、非常に便利であるという観点から、こういうふうに改正したいということでございます。
〔委員長退席、永山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/63
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064・伊能繁次郎
○伊能委員 それに関連して、飛行場の建設等の工事は、いままでは航空局、航空保安事務所で行なっておったのが、今回は、港湾建設局のほうが土木技術の能力を十分に持っておるというような点もあろうかと存じますが、そういう点で今後港湾建設局の管轄区域等も修正されるという状況ですが、これによってどういうような利便が今後与えられるか、その辺の問題も、詳細にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/64
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065・堀武夫
○堀政府委員 従来、空港の建設は、航空局が直接やっておりまして、地元に航空保安事務所というのがありますが、これはほんのわずかの仕事しかしておりませんで、人員も非常に少のうございます。だんだん航空機が大型化してまいりますし、運航回数も非常にふえてきますので、だんだん拡張工事とか新設の工事がふえてまいります。それに従って、いままでのやり方ではなかなか工事をこなしにくいというので、航空保安事務所は航空の安全業務ということに専念させる。そしてむしろ土木技術の専門家をたくさんかかえておる港湾建設局がちょうど運輸省の傘下にありますので、ここにやらすことが一番合理的である。しかも港湾建設局の出先は、さらに工事事務所というのを方々に持っておりまして、現場に非常に近いところにそういう事務所があるわけでございます。そこで、用地買収とか、補償とか、設計とか、工事監督、支払いというような事務を、浩海建設局と工事事務所、そういうルートでやることが非常に合理的であるということで、このようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/65
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066・伊能繁次郎
○伊能委員 そうしますと、来年度は港湾建設局の仕事量というものも相当ふえるだろうと思いますので、それに関する増員の問題、あるいは来年度運輸省は飛行場工事をどのくらいやられるのか、その辺も一括してお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/66
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067・堀武夫
○堀政府委員 飛行場関係の工事は、三十九年度は三十五億でありましたが、四十年度は三十八億、これは土木工事だけでございますが、さらにそれらの照明とか建築、通信工事関係を合わせますと、五十四億でございます。それから港湾工事関係の事務量でございますが、三十九年度は二百九十九億でございましたが、四十年度は三百六十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/67
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068・伊能繁次郎
○伊能委員 そういうように、運輸省みずから今後飛行場の工事を積極的かつ強力に航空安全のためにやられるということは、われわれ非常に適切な方策だと思うのでありますが、この際関連して伺いたいことは、別途新空港に関する法律案が出ておるようでありますが、あれには公団方式をとられるというように伺っております。ああいう大きな飛行場をつくるのに特に公団方式をとられた理由等についても、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/68
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069・堀武夫
○堀政府委員 新空港につきましては、非常に画期的な工事でもありますし、事業量も非常に膨大になるわけであります。しかも用地買収その他に非常に困難を伴うことが、当然予想されます。これらの事務を役所が直接やるか、あるいは公団という形式でやるか、あるいは特別会計のような形でやるか、いろいろな考え方がございますが、われわれが公団方式というものをとった理由は、国が直接やりますと、国の会計規則という非常にシビアーな規則で運営しなければなりません。いろいろこういう困難な仕事をするためには、そういう会計関係に弾力性ある運用ができることが必要である。また優秀な専門技術屋を集めるにしても、給与等について公務員と同じ拘束を受けるわけでありまして、現在の給与ベースその他からは、優秀な技術屋を集めることはなかなかできないという点もございます。また借り入れ金等を導入するという意味からも、公団方式が非常にやりやすい。そういうような観点から、新空港につきましては、公団方式をとるのが最もいい方法ではなかろうかということでやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/69
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070・伊能繁次郎
○伊能委員 この点に関連しまして一点大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、新空港建設の問題につきましては、私ども新聞その他で承知しておりますが、いろいろ政府として慎重に目下検討しておられる。私ども、慎重に検討していただくことは非常に大切なことだ、かように考えておりますが、同時に、一昨年航空審議会において、権威ある人々の手によって検討された結果も出ておりますので、大臣は従来しばしば航空審議会の答申は尊重する、こういう御発言がありましたので、私ども大臣の発言に全幅の信頼を寄せておるわけでありますが、最近政府部内で、この問題については何か私どもには理解しがたい埋め立て方式によるんだということばが使われておりますが、埋め立て方式という方式が、飛行場建設の方式にあるのかどうか、そういうことは私ども初めて聞いたわけですが、この点について、大臣、何か御存じよりがあれば、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/70
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071・松浦周太郎
○松浦国務大臣 この間も、最終日の参議院の予算委員会におきましても、御質問がありましたからお答えいたしましたが、同様にお答えいたしたいと思います。
まず、御指摘になりましたとおりに、航空審議会において富里及び霞ケ浦が一番適地であるということは答申を受けておりますから、それに対して運輸省は集中してまいりました。しかし、池田内閣のまだ存続中でございましたが、航空関係閣僚懇談会というものが聞かれまして、そこで座長をきめなければいかぬということで、閣僚中の古参というとことばはおかしいのでありますが、多く閣僚の度数を重ねた河野国務大臣を座長にすることになったのであります。これは座長であるから、すべての権限があるというのではなくて、その会をまとめてもらう、担当してもらうというだけのつもりで私はおるのでありますが、私の運輸大臣としての与えられた権限は、国民から与えられたものでありますから、どこまでも運輸大臣の権限は実行していくつもりでございますけれども、いろいろな議論のありましたことはありました。それはそのつどに新聞に出ておりますから、ここでこまかくは申し上げません。しかし、譲らなければならぬところは譲らなければなりませんけれども、最後の一点は私は死守するつもりでございます。富里と霞ケ浦のほかに、ここもあるじゃないか、ここもあるじゃないかという御指摘がありました。しかし、国家百年の計と申しますか、国際的に乗り出す一番重点のポイントでありますから、それにできるだけ皆さんの御意見をいれて、そこで十分調査の上、あやまちなからしむるようにすることが大事でございます。一日行程のごとく高性能の飛行機でおいでになるお客さんは、東京に用事のある方が多いと思うのです。しかもアメリカから三時間で来れるというほどのものでございますから、大阪付近にもつくったらどうだ、あるいは琵琶湖を埋めたらどうだという話もございましたけれども、せっかくそういう高性能のものに乗ってきて、日本に来てからまた三時間もかかるところに置いたのでは、ほんとうの効果を発揮することができませんから、やはり航空審議会で答申されましたように、東京に一時間の範囲内で行けるところに適地として置いたらいいだろうという総合説明があるのでございます。そういうことで考えてみるならば、御存じのように、東京西部にはブルーフォーティーンというものがありまして、入間川をはじめとして厚木までの間に四つのアメリカの基地があります。そのアメリカの四つの基地からは、毎日二千機以上の飛行機が、しかも超音速の爆撃機が練習いたしておりまして、ここを西にまっすぐに抜けていくことは許されないし、また航空管制上できないのです。ただ一カ所、一日に一ぺんだけ一万五千メートル以上のところでトンネルを通ってもいいということでありますが、そういうむずかしいところを無理に通ることはできませんから、木更津を回って、そこで大島から富士すそ野に行って、名古屋なり大阪に行くというコースをとる。木更津の話もずいぶんございましたけれども、もし木更津をそのようにいたしましたならば、せっかく千葉の臨海工業がどんどん伸びておりますときに、その臨海工業というものがある制限を受ける。同時に、いまブルーフォーティーンがあります以上、飛行機は大島回りと木更津回りしなければ行かれないというので、羽田が死んでしまうことになる。この大きな東京というものに対しては、どうしても副港が要るのです。現在も三百五十万人も乗りおりして百万坪の飛行場しかないのですから、どうしても東京の近辺に副港というものがなければならない。そうなると、東京から東北の地方にきめられてしまうということであります。でありますから、霞ケ浦及び富里というところを答申されたと思い、それがわれわれも最上と思うのでありますが、いろいろその委員会で出ましたのは、東京湾についてもさらに研究する必要があるということの議論が出ましたものでありますから、富里のほかに霞ケ浦及び東京湾の調査もするということで、あのときに埋め立て方式と書かれてあったかどうか私覚えがないのですが、そういう方式はないと思うのですが、埋め立ても研究する必要がある。しかし、第一候補は富里ということであります。ここに文書がありますので、きめられたとおりに読みます。そのほうが速記録にも残りますし、間違いありませんから……。「新国際空港問題の今後の検討方針について」これは三月二十九日です。「新東京国際空港の設置については、諸般の情勢から見て富里のほか埋立地の検討も必要と認められる。東京湾、霞ケ浦等の候補地についても関係事務次官会議において検討の上、至急調査を実施することとする。なお東京周辺の米軍使用の飛行場の利用等について、外交ルートを通じ早急に打診を行なう。」この三点をその委員会においてきめたのでございますが、方式ということばは入っておりません。新聞がああいうふうに書いたのでございます。富里の第一候補のほかに、埋め立てのことも考えたらどうかという議論になりましたが、これもせっかくそういうふうに言われるのですから、わかり切っておることで、東京湾にああいうふうに七百万坪も埋め立てすれば、十万トン、十五万トンという船が出入りする今日、東京の船の航路をS字型に千葉県のほうに回して掘り直さなければいけない。あるいは木更津につくれば羽田が死んでしまうのです。そういうことはどういうものかという議論もありますが、これはここにありますように、これから事務的にあるいは技術的に研究してもらいまして、それで最後的の決定をしようということでございますから、このことが全部その方式でやることときめてしまったことではないことをここに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/71
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072・伊能繁次郎
○伊能委員 ただいま運輸大臣の御説明で非常に明快になりましたので、私ども運輸大臣のただいまの御説明を全幅的に信頼して、りっぱな飛行場ができることを心から希望いたします。ただ、私ども外から見ておりますと、どうも政府部内においていろいろな論議が展開される。と同時に、それが国家百年の大計を考えた上で、技術的にも、またあらゆる観点からも、合理的に決定せられることが最も望ましい。それがいたずらに政治的に、あるいはことばがはなはだ適当ではありませんが、利権的にそういうものが左右されないように——この点は大臣非常な御決意で事に当たっておられますので、私どもは必ずしも富里とか霞ケ浦とかいうことを主張するものではなくして、ただいま大臣が仰せのように、あの答申を尊重した結果、富里がいけなければあるいは霞ケ浦、こういう問題はいずれかに決定せらるべきものと存じますが、あくまでもこの問題は、あらゆる航空技術的なもの、建設上の技術の点から、同時に国民の大きな利害体戚のかかるところでございますから、その点も考慮せられまして、ひとつりっぱな飛行場をつくっていただきたいということを最後にお願いを申し上げておきます。
それから次に、来年度の増員の問題に関連いたしまして、最近政府の交通安全会議等もありますので、自動車関係その他の増員もだいぶあるようでありますが、昨年度も相当の増員をして、運輸省としては登録その他車検等の問題の運輸行政の万全を期しておるようでございますが、来年度——もうすでに本年度になりましたが、本年度はどのくらいの増員になっておるか、その辺の実情を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/72
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073・堀武夫
○堀政府委員 車検、登録関係の定員といたしましては、百十名の純増ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/73
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074・伊能繁次郎
○伊能委員 私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/74
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075・永山忠則
○永山委員長代理 この席からちょっと私から質問いたしますが、近次LPGやガソリンが非常に不足いたしまして、ことにLPGははなはだしく不足を告げて、この使用しておるものは大体二分の一ぐらいいま運休しなければならぬ状況である。将来は全くこれはとまらなければならないかもしれないというような不安を感じておるのですが、その理由は、海外輸送の関係もありましょうが、特に大メーカーの石油業者が一割二分の製油調整を通産省の指導でやった。しかも公取はこれを適正と見ているというようなことが原因しているといわれているのですが、通産省は大資本のほうを擁護している。しかし、運輸省は、中小企業ですから、運輸省はこの中小企業擁護の立場において通産省とよく協議をして、やはり輸送の関係がとまらないように十分の処置をされるようにお願いをいたしたいのです。ことにマレーシア、インドネシア等の関係もいろいろ言われているのですから、輸送の非常な不安を感じているときですから、やはり貯蔵関係についても、積極的に運輸省から通産省と話し合うということを要望したいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/75
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076・松浦周太郎
○松浦国務大臣 いまのお話は、まことに重大な問題でございます。いまの委員長のお問いは二つあると思うのですが、このLPGの問題について、売り惜しみをして価格をつり上げるのではないかというような方向のお問いと、もう一つは、マレーシア及びベトナム地方における現在の不安が、海上不安を誘致するのではないか、もしそういうような場合に、日本の貯油量が足りないのでは困るのではないかというような意味の、非常に重大な問題でございます。これは両方とも重大な問題でございますから、この次の経済閣僚懇談会にこの問題を提案いたしまして、これは主として通産大臣が相手でございますが、必ず総理も出席されることでございますから、この委員会において、ベトナムの風雲急な状況と海上不安というものが、ひとり日本の石油のみならず、すべての物資の問題もありますから、大いに検討いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。特に、売り惜しみによって価格をつり上げようとするような悪だくみがあるとするならば、それは徹底的に究明いたしまして、輸送意欲を十分持たせるようにいたしたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/76
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077・永山忠則
○永山委員長代理 自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。
〔永山委員長代理退席、伊能委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/77
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078・伊能繁次郎
○伊能委員長代理 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/78
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079・村山喜一
○村山(喜)委員 自治省設置法の一部改正は、定員の一名を在外公館の要員として外務省に移しかえをするという簡単な法案でございますので、内容的には問題はございません。そこで、この際大臣にお伺いをしておかなければならない数点の問題の中で、特に重要な問題を取り上げまして、大臣の決意のほどをお伺いをしておきたいと思うのであります。
第一点は、臨時行政調査会の答申が出されているわけでございます。この内容は、大臣もよく御承知のように、きわめて重要な内容が含まれておるわけでございます。地方公共団体の総合的な行政機能を充実強化していこうという方向で臨時行政調査会の答申がなされているところでございますが、これにつきまして、自治大臣としてはどういう基本的な考え方をお持ちなのか、この際お伺いをいたしておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/79
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080・吉武恵市
○吉武国務大臣 これは臨時行政調査会の答申にもございまするし、国と地方との事務の再配分というものを考えまして、できるだけ地方自治体に委譲すべきものである、こういうことで、目下地方制度調査会におきまして、その問題を審議していただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/80
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081・村山喜一
○村山(喜)委員 経過はそのとおりですが、大臣はどういう立場でお臨みになろうとしておられるのか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/81
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082・吉武恵市
○吉武国務大臣 私といたしましても、できるだけ地方団体に委譲をしてほしいと思っております。ただ、その際に気をつけませんと、仕事だけ委譲されまして、財政的裏づけがございませんと、地方団体はそれでなくてもいま仕事がだんだんふえておるときでございまするので、事務の委譲と同時に、財政的裏づけということを要望しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/82
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083・村山喜一
○村山(喜)委員 財政的な裏づけが伴わない事務の委譲は、これは地方の今日の行財政の実情から見まして、無理のあることはわかるわけであります。しかしながら、この答申の方向というものは正しい方向だ、こういう方向で、答申は極力尊重されなければならないものだ、こういう姿勢で受けとめておられるかどうかということを大臣にお伺いしておるわけでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/83
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084・吉武恵市
○吉武国務大臣 その趣旨で、目下地方制度調査会におきましても、御審議をいただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/84
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085・村山喜一
○村山(喜)委員 いや、地方制度調査会における審議の問題ではなくて、大臣の基本的な姿勢の問題であります。それをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/85
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086・吉武恵市
○吉武国務大臣 基本的にはその線に沿うていきたいと思いまするから、地方制度調査会にお願いをいたしまして、どういう仕事とどういう仕事はどういうふうにいたしたらいいでしょうかということで、熱心にいま取っ組んでもらっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/86
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087・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣のお気持ちは、基本的には尊重するという立場で答申の実現のために努力をするという意味の御説明だと私は確認をいたします。そういう立場から、自治省の当面をする問題の中身について私触れてまいりたいと思うのでありますが、行政機構の統廃合に関する意見の中に勧告として出されておりまするように、整理統合についての五つの一般的な基準が示されております。特に策四項の中に、御承知のように、行政の民主的運営のためには、特に国民に直接的な関連性を有する行政事務に関しては、できる限り国民に近い段階において国民の意思を反映をし、かつ、総合的に実施するために、地域的に処理することが適当であると思われる事務は、原則として地方公共団体をして処理せしめるように事務の再配分等を行なう。これに伴って、当該事務にかかわる行政機構の整理・統廃合をはかることと打ち出されているのであります。この中で、補助金行政の企画実施に関する行政機構に関しても、合理化をはからなければならない、こういう立場から、具体的な事項としまして、補助金の整理合理化に関する事項としましては、それに伴いまして補助金関係部局の整理縮小をやる。当該官庁といたしましては、文部省、厚生省、農林省、これらのものがあげられております。さらに前に内閣委員会で農林省設置法の一部改正の中で、地方農政局が設置をされました。その地方農政局の現状のあり方について、臨時行政調査会の方々が、これを事実を調査をして、はたして二重行政にならなかったかどうか、あるいは国民の期待にこたえるような行政組織になっているかどうかというのを調査した結果として、やはり補助金関係の部局を大幅に整理縮小をすべきである。農地関係の部局等も、事務所、事業所に至るまでこれを整理統合をすべきであるという見解が出されている。あるいは運輸省設置法に関係があります港湾建設局及び同じ工事事務所の事務のうち、地方公共団体の能力に属するものについては、極力これを委譲することにより、これにかかわる部局の整理・統廃合をはかることといったのが出されております。さらにこれは機関委任事務に関しますが、公共職業安定所を都道府県に移管をし、その事務は都道府県知事に機関委任事務をしなさい。特に第四番目には、建設省の問題について取り上げているわけであります。現在建設省は、御承知のように現業官庁として地方の建設局を持っておりますが、今回の建設省設置法につきましては大臣も御承知のとおり、これに行政事務を付与する。そうして補助金の配分も地方建設局をして行なわしめるという考え方でございます。これは閣議の決定を経て国会に出されていることは、大臣御案内のとおり。ところが現在現業的な色彩を持っております。この地方支分部局の一つである地方建設局につきまして、どういう考え方が意見として出されているかということは、これも大臣御承知だと思いますが、地方建設局の事務を地方公共団体に極力委譲をすること、ともに許認可等の規則をできるだけ整理をして、本省各局部課及び地方建設局の整理・統廃合をはかることというのが出されているのであります。それと同時に、都市計画に関する事務は、地方公共団体に委譲することによって都市局の事務を大幅に整理し、課の統廃合を行ないなさい。このようないわゆる臨時行政調査会の決定の線が明確に示されております。ところが、今回出されてまいりまする内容のものは、現在都道府県が持っております総合的なそういう行政機能としての役割りを、今度は地方支分部局がかわって、いままで本省で行なっておったものが地方支分部局の地方建設局に任務が移っていくということになってまいりますと、従来知事会あたりにおきましては、猛烈にこれについては反対をした。最近は反対の声があまりございませんが、原案の内容はほとんど変わりがないといった内容になっておる。これは明らかに昨年の九月に、臨時行政調査会のほうから意見が出されて、その新しい時点において問題は検討をされなければならない問題だと私は思うのであります。自治省の若い幹部の諸君にもいろいろ個人的に当たってみますと、こういうように中央の官庁の出先機関を強化するということは、地方自治体、特に地方公共団体の権限、機能、あるいは役割りというものを不当に低く評価することになって、現在の日本の政治形態の上からは望ましい方向ではないと考えますという意見であった。しかしながら、これは表にあらわれてまいりません。そういうようなものが内在をしていることは事実であります。そういうような形の中からこの行政機構改革の問題については、先ほど大臣は、臨時行政調査会の答申の方向については基本的に賛成である、尊重をすると言われる。とすれば、大臣が閣議で建設省設置法あるいは運輸省設置法、それらの関係の問題、あるいは農林省設置法等の内容が審議をされて、閣議で決定をされて国会に出されることになるわけですから、それらのときにはどういう態度をおとりになったのか、大臣の今日までの経過を御報告願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/87
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088・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のように、農林関係の問題、あるいは港湾関係、あるいは職業安定、あるいは地方の建設局の関係等につきまして、できるだけ私どもとしては地方団体に委譲していただきたいと思っております。いま御指摘になりました地方建設局に対する補助金の問題でありますが、これは本省の持っておる仕事を、本省までわざわざ来て、陳情してどうこうということよりも、地方の建設局に委譲をして、そして近いところで話をつけたいという趣旨のもとになされておるところでございますから、それ自体は私は差しつかえないと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/88
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089・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣がそういうような考え方だから、地方自治体はその大臣の考え方にはきわめて不満だと思うのです。というのは、ただ補助事務を地建段階に委譲をするのだからそれでよろしいのだということになりますと、内部規定の中において、一億円以上の工事量の発注等についてはこれは本省でやる、あるいは金額の幾ら幾らのものについては、これを地建の段階においてやるとか、こういうような問題が出てくる。新規の事業やあるいは災害関係の問題は、全部本省のほうでやらなければ、大蔵省との関係がある。その中において、きわめて限定されましたものが地建段階において事務的に処理をされるという姿にすぎない。それでは何も解決ができないわけですから、地方のほうは地建と本省のほうに二度来なければならないというかっこうになろうと思うのです。それは明らかに二重行政だ、このような姿の中で、問題の解決がされない。それをただそういうふうに平板的に、補助金が地建に移されるのだから、それはけっこうなことだ、こういうような考え方では、地方自治体の行政の最高の責任者であります自治大臣としては、私は不見識ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/89
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090・吉武恵市
○吉武国務大臣 それはものの考え方でございますけれども、現在本省が持っておる一切がっさいの権限をみんな中央で握ってやるぞということは、私は必ずしもいいとは思いません。できるだけこれを地方に委譲し、あるいはできれば地方公共団体に移してもらいたいのでありますが、ある程度のものは地建に委譲をして、そして近所で処理したい、こういうことは、段階的には私はけっこうじゃないかと思うわけでございます。全部かしからずんばノー、こういうふうに割り切ってお考えにならぬでも、だんだんと委譲をしていく、そして差しつかえないものは地方団体に委譲するという方向に向かっていくべきである、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/90
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091・村山喜一
○村山(喜)委員 地建に委譲をし、地方支分部局に権限を委譲するという心理の中には、これは地方公共団体に対する中央官庁の不信の声があるのですよ。だからこそ、そういうような形の中で地方支分部局に権限の分散が行なわれる。これは行政法上から考えましても、そういうような完全な自治団体的なものに委譲をするのではないのです。分権的なそういう分散を行なう、こういう形になるわけですから、その裏には、自分たちが広域行政の責任を主としてやらなければ、地方の公共団体はだめなんだ、こういう不信感が背後にあるがゆえに、地方支分部局は一向に廃止されないのみならず、かえって強化される、こういう形になるのですよ。大臣としては、いやそういうことはない、やはり今日の地方公共団体は、これは国の機関委任事務もできるのだし、統一的な国の行政の一環として行なえる筋合いもあるのだから、地方公共団体を育成強化しなければならない、こういう立場に立たれなければならないと思うのですが、その地方支分部局に権限が委譲されて、それが強化されたから、その次の段階において地方公正団体にそれが委譲される、そういう論理はどこからくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/91
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092・吉武恵市
○吉武国務大臣 ものごとというものは順序がございまして、一ぺんに委譲をしなくても、地方に委譲して、そうしてやって差しつかえなければ、それをまた地方公共団体に委譲するということも、私は順序としてあり得ることじゃないか、かように思うわけであります。そうしませんと、いつまでも本省に何もかも、小さいものも補助までも全部握っちゃって、東京に出てこなければ一切解決がつかないということは、どうもあまり芳しくないという感じを私はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/92
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093・村山喜一
○村山(喜)委員 その問題につきましては、昨年の十月に、税制調査会の基礎問題小委員会に対しまして、自治省が柴田専門委員の報告に関連をして、補助金の整理に伴う国税二千八百億円の配分案を発表した事実がありますね。やはり零細的な補助金というものを極力整理統合していかなければならない段階に、もう今日きた。これは臨時行政調査会の方々もひとしく認めている。にもかかわらず、一兆円に近い補助金というものがある。しかもその中において、きわめて零細な補助金によって中央官庁が地方の公共団体自体を左右をする。地方財政計画を見ましても、やはりそういうような中央の一つの計画に基づいてなされる。長期計画に基づく単独事業等の割合がふえてきておる、こういうような実情から見まして、私は、これはきわめて進歩的な考え方であり、そうしてあるべき行政の姿というものは、臨時行政調査会の答申の方向とマッチした前進的なものとしてこの問題を受け取ったわけですが、この二千八百億円配分案は、その後どうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/93
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094・宮澤弘
○宮澤政府委員 二千八百億円の問題は、ただいま御指摘のように、税制調査会におきまして、地方税の地方財源中に占める割合がきわめて低い。地方自治をもり立てます以上は、もう少し地方税の占める割合を高くしなければならぬ。そのためには、国と地方との税源について再配分することを検討すべきである。こういうような考え方が出てまいりました。従来から地方税の充実強化については議論がございましたけれども、なかなか具体的な検討にまで至りませんでした。私ども事務当局のほうといたしましては、一つの議論の立て方、試案といたしまして、先ほど御指摘のように二千八百億円、国税から地方税のほうに財源を移していく。そうすることによって、大体財政計画のベースにおきまして、地方財政中に占める税収入の割合がほぼ五〇%程度確保できるのではあるまいか、こういう考え方で議論の材料として提出をいたしたわけであります。これにつきましては、税制調査会におきましても種々の検討をなされたわけでありますが、先ほども御指摘のように、これは国の補助金の整理に関連をいたします。税制調査会自身といたしましては、直接は税制のことについて検討することを使命といたしておりますが、補助金の整理については別に政府のほうでも審議会がありまして、これについて議論が行なわれたわけであります。そういうことで、なおこの問題については、税制調査会といたしましても、政府といたしましても、具体的に検討すべきことというふうに出されているわけであります。したがいまして、税制調査会におきましても、今後これらの具体化の措置について検討が行なわれるであろうと思われますし、それ以外の行政制度全般に関する各種の委員会等においても、この点についての検討が行なわれることを私どもは期待をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/94
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095・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、この問題はきわめて重要な問題だと思う。そういうような構想を自治省が出されるのは当然のことであって、現在地方財政計画上の補助金というものは九千九百十億円ですか、それらの約一兆円に近い補助金がいろいろなひもつきの形で出されて——零細な補助金は整理をしなければならない、これもなるほどわかります。しかし、零細な補助金であろうが、あるいは負担比率に基づく補助金であろうが、地方公共団体の自主性を強化するという形の中でこの問題だけは権限の委譲と同時に考えなければ、先ほど大臣おっしゃったように、財政的な負担の問題が伴わない権限委譲は困る。これは財源的に地方自治団体が自主財源を確保するという意味から考えたら、今日これ以外には解決の方法がないじゃありませんか。たとえば交付税率を大幅に引き上げる、なるほどそれは望ましいことでありましょう。しかし、それもできない。しかし、地方自治体の自主的な行財政の運営をはかっていくためには、やはり補助金の整理、統合、こういうような問題をはかりながら自主財源を当然地方公共団体が付与されなければ、自主的な運営は私はできないと思うのでありますが、大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/95
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096・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘の点は、私も同感でございます。先ほど申しましたのは、現在本省に補助金の制度全部を握っておって、中央に来なければ解決しないということよりも、簡単なものは地方の建設局その他において委譲をされて、そこで話がつくようにするほうが便利だということでございまして、補助金全体の問題の整理統合につきましては、御指摘のとおり二千八百億ということを、税制調査会でございましたか自治省が試案として出しましたのは、今日国庫支出金が九千九百億ございますが、この中から二千八百億というものを地方の財源に委譲をして事務委譲すれば、それだけ地方財源も助かるし、便利になるのではないかという根拠で示しておるわけであります。この問題は、現在税制調査会においても検討をされておりまして、意見としては非常にいい意見でありますけれども、具体的になるとなかなかむずかしいものですから、引き続き検討しようということでやっていただいておりますので、私は、その税制調査会の進み方と相まちまして、その方向に自治省としては進んでいきたい。そうすれば、いま御指摘になりましたように、軽微なものを地方建設局やその他農政局に委譲しなくても、それがそのまま地方団体へ行ってしまうのですから、それを私は反対しているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/96
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097・村山喜一
○村山(喜)委員 この補助金業務というものを、そういうような一般行政事務に関するものを、地建あたりに、あるいは地方の農政局あたりに零細なものを移しかえをするという段階は、もう過ぎている。もう今日においてはそういうような、零細なものは整理統合をして、一本で各都道府県なり市町村の自主財源を強化するという方向に使っていかなければならない、そういう段階に来ているのではないか。だから、そういうような意味において、今度出されている地方支分部局を強化するというような政府原案は、これは明らかに今日の著しい行政需要にこたえない非常に粗末な案だと思うのです。それをさらに具体的な問題として、臨時行政調査会のほうが一つ一つをあげております。たとえばこんなふうに取り上げられている。地方建設局の事務を地方公共団体に極力委譲する内容といたしまして、御案内のように、道路の管理事業面等については、国道、縦貫道路及び高速道を除き一切のものは都道府県に委譲すべきである。河川についても、国の利害に重要な関係のあるものを除いて、これも全部地方公共団体に委譲しなさい。地域開発計画については、総合的な開発の必要性があるので、本省でやらなければならない。砂防、地すべりの防止等については、地区指定権限は都道府県知事に機関委任をしなさい。これらの行政改革については、相当の無理と障害を克服しても、極力地方公共団体に国の行政事務を委任すべきものだ、こういうように、きわめて強い形の中で国と地方公共団体の行政事務の分野の調整といいますか、事務委譲の問題が明確に示されておるわけです。私は、この答申書の勧告の意見を見ましたときに、このような方向で尊重するのだということを政府がおっしゃるのであるならば、それに抵触をし、それよりも後退をするような政府原案は今度の国会に出さないというのが、尊重をする立場からの当然の姿ではなかろうかと思うのです。にもかかわらず、明らかに逆行するような、そういうものが出されている。しかもそれについて、地方自治体を強化し、民主化し、地方住民の行政にしていかなければならない最高の責任者である自治大臣が、閣議においてどのような発言をなされたかは私は不敏にして知らぬ。したがって、大臣は基本的には尊重するという立場を主張されたわけでありますから、これに対しまして、大臣がこれらの法案を提出されるときに、先ほどお答えになりましたようなあやふやな答えでなくて、基本的な方向に対する将来の洞察の上において、正確にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/97
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098・吉武恵市
○吉武国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、補助金をどう整理するかという問題から出発をいたしませんと、問題は逆になると思うのであります。私は、その点につきましては、臨時行政調査会の趣旨に沿うてできるだけ補助金を整理して、事務の委譲と同時に財源を移譲すべきであるということを言っておるわけであります。この問題は、実際問題になりますと、なかなかむずかしい問題であります。むずかしいからといってほっておくべき問題ではありませんが、幸い税制調査会におきましても、この問題を取り上げられまして、その方向で検討をしておられますから、私は、先ほど申し上げましたように、その税制調査会の審議を通じましてその方向に努力をしたい、かように申しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/98
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099・永山忠則
○永山委員 補助事業を建設省設置法で府県関係に委譲しているものは何もないわけですが、補助事業は府県のほうへ委譲はできないのですか、できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/99
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100・佐久間彊
○佐久間政府委員 建設省設置法案を政府部内で検討をいたします段階におきまして、御指摘のような点を私ども事務当局といたしましては建設省に強く要望をいたしたのでございます。ただ、どういうものが都道府県に委譲可能かということにつきましては、さらに時間をかけて検討をいたしたいという建設当局のお答えでございましたので、建設、自治両省間の事務当局の了解事項といたしましては、今回一応地方建設局にある種のものをおろしますけれども、それらの中でさらに都道府県に委譲可能なものについては将来委譲するようにということを了解し合っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/100
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101・永山忠則
○永山委員 関連ですからあまり多く申し上げませんが、どうも補助事業は府県へ委譲できぬのだ、こういうことを言われているのですが、それは法的に委譲できないのかどうか。ただいまのお説では、委譲できるものだけは今後相談して委譲するようにする、こういう了解事項だと言われるのですが、われわれの聞いている範囲では、建設省側は、補助事業は委譲できぬのだ、だからして地建委譲にする、こういうことを言っているわけですから、その法的解釈ですね、国の補助事業は町村団体、府県団体へ委譲できぬのだということが、法的にそうなのかどうか、その点をはっきりしてもらいたい。それで、結局はやはり一部委譲して、たとえば新規は地建へでも委譲せぬ、こういうわけですね。そうすると、一部は委譲し一部は本省に残せば、どうしても県のほうは一応地建へ行って、また本省へ出てくるということになるわけですから、委譲せぬ分でも、地建が審査をして本省でやるということになっているのです。そうすると、地建へ行ってまた本省へ行くということになれば、府県団体からいえば、どうしても地建を通らなければいけぬ、そういうことになりますので、非常に事務は二重行政で複雑化するのでありますが、この点に対して自治省はどういうように建設省と話し合われたか、この二点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/101
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102・佐久間彊
○佐久間政府委員 最後におっしゃいました二重行政になりはしないかという点につきましても、事務折衝の段階におきまして、私どもから強く指摘をいたしたところでございます。したがいまして、地方建設局に権限を委任をいたしましたものにつきましては、重ねて本省へ地方公共団体が行くということのないようにしてもらわなければ困るということで、それらの点につきましても、その趣旨に沿うて建設当局で内部の、これは訓令の問題になりますけれども、検討をするということになり、さらに必要があれば、その段階におきまして自治省にも相談をするという了解になっておるのでございます。
それから第一の点でございますが、これは補助事業そのものを、補助金の整理によりまして、先ほどのお話しのように地方公共団体限りで財源を付与いたしまして事業執行ができるようにいたしますならば、それが一番徹底するわけでございますが、事務によりましては、都道府県にその関係の事務を扱わせるということも、これは可能であると思っております。ただ、現在補助金の交付関係の事務につきましては、一つのルールができておりますので、この点につきましては、相当検討を要する点があるようでございます。したがいまして、早急に御提案までに結論が出ませんでしたのでございますけれども、将来そういう趣旨を含んで建設当局も検討する、かような了解に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/102
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103・永山忠則
○永山委員 関連ですからこれでやめますが、完全委譲するというのですが、事実は完全委譲になるかどうかわかりませんが、新規は委譲せぬ分もあるのです。そうすると、委譲せぬ分も地建を通してやっぱり審査をして本省へということになるのですから、それだけは別に地建へ行ってまた来なければならぬという結果になるようですから、これらももう少し御検討しておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/103
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104・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣が先ほど補助金の整理等に伴う分から行政機構の問題を取り上げて、それらについて明確な線を出されました。しかしながら、基本的な問題については、まだ私にはお答えをいただいていないと思うのです。といいますのは、この臨時行政調査会が打ち出しましたものは、やはり基本的には現在中央集権化されている日本の行政機構というものを民主化していかなければならない。そうして地方公共団体に分権化していかなくちゃならぬ。それは完全な意味における自治団体としての分権化の方向を、機関委任という形における調整もとりながら、一つの方向性というものを打ち出した、これはやはりきわめて重大な日本の行政改革の方向を示したものだと思うのであります。そういうような意味において、現在の地方支分部局がなぜふくれ上がっていくのかという分折をしている。この分折の内容は、大臣もごらんになったろうと思いますが、その間には相互不信感が根強くあるのだ。この相互不信感を取り除いていかなければならない。そうして住民の期待、国民の期待にこたえるように、行政というものが国民の手近なところで解決をされるようにしなければならない。一つ一つ東京まで来て陳情をしなければ解決ができないというのでは困るのだ。そのためには、やはり行政の機構、権限委譲を、当然都道府県あるいは市町村という身近な住民のための行政が行なわれるところに移しかえをしなければならぬ。この移しかえをするのには、大臣がおっしゃる財源の付与も当然に伴うというのは、これはもう前提条件でありますから、そういう立場で書かれていることは言うまでもないわけです。としますと、現在の国の地方支分部局を強化するという方向と、私たちが推進をしなければならない行政の民主化の立場から考えた場合には、当然こういう地方支分部局は強化すべきでないのだという考え方との間には、明らかに考え方が違うのであります。大臣としては、基本的に臨時行政調査会の勧告の意見というものを尊重するという立場におられるならば、当然そういうような方向とは逆行をするいろいろな地方支分部局の強化策というものには、やはり、反対をしなければならないと私は思うのでありますが、それはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/104
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105・吉武恵市
○吉武国務大臣 これは、前から申し上げまするように、基本的には補助金の整理の問題でございまして、補助金を思い切ってやめて、そうして財源を付与して地方でやらせるようにしたい、これが私は基本だと思います。現在の制度が残って、補助金を本省で一切がっさいを握っておるということならば、それは軽微なものは地方に委譲して、地方で解決をするほうがよろしい、こういうことで申し上げているのであります。
それから、先ほど永山先生がおっしゃいましたようなことも、これは実は考えなければならぬ点でございます。ですが、実際問題に触れましてどういう、ふうになるか知りませんけれども、かえってそのために事務が煩瑣になりましては、御指摘のようなことで意味のないことでございますが、現存の状況では、大きい問題は本省が握って、そうでないものは地方にやらせる、こういうことで、二重行政はできるだけ避けるということで進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/105
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106・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣は、補助金の問題だけを特に主張をされるわけです。しかし、この行政改革の問題は、補助金の問題だけを取り上げているのじゃありませんよ。大臣御承知のように、「広域行政の改革に関する意見」「行政事務の配分に関する改革意見」あるいは「行政機構の統廃合に関する意見」を私はここに持ってきておりますが、補助金関係だけからそういうような問題を取り上げて論議してのいるのは、ほんの一部ですよ。だから、私は、全体的な立場に少なくとも国務大臣であるあなたはお立ちにならなければ、おかしいじゃないですか。その補助金の見解はよくわかりますよ。そのほかに、私は基本的な政治の姿勢をあなたに聞いている。その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/106
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107・吉武恵市
○吉武国務大臣 政治の姿勢としては、臨調の趣旨に沿いたいと思って先ほど来申し上げておりますが、補助金を各省が握っておって、そうして事務をどうするこうするといったって、意味のないことなんです。ですから、その補助金を整理するということは、言うべくしてなかなかむずかしい。しかし、むずかしいからといってほっておくわけにいかない、こういうことで、目下税制調査会がこれを取り上げておるのですから、それで私は、その税制調査会の審議を通じて努力をしたい、こういうことを申し上げているのでございまして、両方ともあわせてやらなければならぬことでありますけれども、補助金を放さないでおいて、ただ事務をどうこうといったって、意味のない——まあ意味がないということじゃございませんけれども、補助金を整理して地方財源に移譲する、そうすれば、勢い仕事も移らざるを得ない、こういう意味で申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/107
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108・村山喜一
○村山(喜)委員 税制調査会は、いつ答申を出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/108
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109・宮澤弘
○宮澤政府委員 税制調査会は、この七月に任期が切れるわけでございます。先ほど来御指摘の答申は、昨年末に、ただいまの委員の任期のいわば最終段階に近いところで結論を出したわけです。七月に任期が切れるわけでございますが、設置法の趣旨から申しまして、七月以降、再び委員が任命をされて、税制の基本についてまた審議されることが予定をされているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/109
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110・村山喜一
○村山(喜)委員 行政管理庁長官の話を承りますと、政府は、ことしは間に合わなかった。しかし、来年度においてはこの答申を受けて抜本的な行政機構の改革をやりたい、こういう決意であるようであります。その準備をだんだんに進めておる。ことしの八月ごろまでにはそれを煮詰めていきたいという考え方をとっているわけです。まあ、補助金を握っておって事務だけを地方に委譲するというのはおかしい。なるほどおっしゃるとおり、しかしながら、補助金以外に、現実に国の分野でやらなければならない直轄の事業がありましょう。それから補助金を与えて国の行政の仕事を地方にやらせる場合もありましょう。あるいは単独事業で仕事をやる場合もあるわけですから、その単独事業費が、今度は中央の長期計画の中に計画化されていく、これは単独事業の性格から見まして、私はちょっとおかしいじゃないかと考える。いま四割は、そういうような長期計画の中に組み入れられておる。そのような形において地方公共団体の自主性は、だんだんになくなっていくわけです。なくなっていくのを放置しておいていいのかということになりますと、これは重大な問題です。だから、当然地方公共団体が総合的なその地域の特殊性に応じた行政行為が行なわれるようにしなければならないところに地方自治の本旨があるわけですから、そのようなものが、今度はいまのような形においても、だんだん中央の政策のしわ寄せが地方にやってくる。地方のほうはそれをはね返すだけの力がありませんから、それに順応して、結局地方財政計画自体の中で見ましても、一番圧縮をされるのは、そういうような地方公共団体の単独事業、こういう形になっているじゃありませんか。私は、そういうような意味において、単なる補助金関係だけではない。国の財政政策、国の行政政策、そういうようなもの全部に関連をする問題として、この行政機構の問題はとらえなければならぬ。行財政の問題はそうでしょう、大臣、私はそう思うのですが、その点を最後にお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/110
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111・吉武恵市
○吉武国務大臣 御趣旨の点は、私もわかるのでございますが、しかし、同時に総合的にものを考えていくということでございませんと、国と自治体というものは何か別問題であって、国は国がかってにやる、自治体は自治体がかってにやるということでは、私はいけないと思うのであります。どちらかというと、そういう弊害がないでもない。ですから、先ほど単独事業も総合計画の中に入っている、これは私は、入って差しつかえないと思います。道路のようなものは道路で国がやる。道路はどうやって年次計画を立てる。地方は地方の道路をどういうふうにやる。財政にいたしましても、財政計画はただ地方がかって次第にやればいいというわけではございませんで、地方財政は地方財政でやはり国とマッチした総合的な線でいくべきでございますから、先生が自治体というものを尊重して、自治体の考え方を取り入れたいというお気持ちは私も同感でございますけれども、ややもすると、それが自治体にかってにやらしたらいいじゃないかと、いまおっしゃっているわけではございませんけれども、そういうふうになりがちであります。ですから、これはやはり国と地方というものは、どっちにしましても住民の福祉に直結する政治をやるべきものでございますから、私は、総合的に考えていくべきだ、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/111
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112・村山喜一
○村山(喜)委員 同じ日本国内にありまして、完全な意味において排他的な権限を持つような、そういう地方公共団体というものはあり得るべきではない、これはだれもそれについて異論を申し上げているわけじゃない。ただ、一割自治とかあるいは三割自治とかいわれるような自治体の今日の機能というものが、行政面においても財政面においてもだんだんに規格化されて、国の統制下に入っている。そのことが間違いがなければよろしいのですが、ややもすると産業基盤の整備とかというような方向に地方行政が引っぱられる。しかも住民の存在を忘れた形で公共事業等が行なわれる。まあ具体的な例は、御承知のように、新産都市の建設のために過大なる投資をやって、財政再建整備の措置を受けなければならないような新産都市が出てきているでしょう。ああいうような中には、当然自分の財源能力というものを無視して、しかもそれが企業のほうに奉仕する、そうして住民のほうには奉仕する姿が見られない、こういうような姿が現実に出てきているわけですから、そういうようなのは、明らかに悪い政治として指摘をしなければならない。そういうような意味において、私はやはり各都道府県なりが国から独立して存在をするという姿での問題のとらえ方ではなくて、関連性を持ちながら総合的な日本の開発というようなものを推進しなければならないという点はわかっているのです。わかっているのですが、今日あまりにも中央の集権化が進む、しかも地方支分部局を強化していく、こういうようなものが法制的にどんどん強化されていくということは、明らかに地方自治体に対する不信行為です。機関委任にしても、あれなんか言うことを聞かぬからだめだ、こういうような考え方が中央の官僚の諸君の中にあるのですから、それをあなた方がそうだそうだというようなことで、それに対して臨時行政調査会というようなものをつくって、その基本的な精神を無視するような方向で閣議あたりで決定をされる。そういうようなものが、今度は国会に法案として出されてくる。特に地方自治体の責任者である、地方自治体を民主化し、強化していくという立場に立たれなければならない自治大臣が、そういうようなものについては一言あってしかるべきではないかと思うのですが、大臣は、閣議で地方建設局の強化等については、何か反対でもされたのですか、意見でも言われたのですか。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/112
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113・吉武恵市
○吉武国務大臣 私は、先ほど申しましたように、補助金の整理につきましては、これは大いに期待をし、またやるべきだと思います。現在の補助金を握っておる範囲において、これをどうするわけにもまいりませんから、建設省の今回の地方委譲の問題につきましては、反対をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/113
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114・村山喜一
○村山(喜)委員 まことに遺憾なことでございます。まあ建設省設置法のときにまたこの問題は取り上げる機会がありますので、自治大臣には地方自治体をもう少し強化し、財政的にも行政的にも自主性を付与していく方向で御指導を願っておきたい。
〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
どうも最近は、自治省の行政の姿勢を見ますと、地方財政が悪化したのは人件費が増加したからだ。だから、いまの財政状況から見ていくと、とても窮屈で、赤字基調を続ける地方財政の状況であるから、再建整備に落ち込まない前にひとつ事前指導をしてやろうというような形の姿しか見受けられない。まことに残念な姿を私は見るわけでございますが、もう少し大臣の積極的な姿勢を要望申し上げておきたい。
そこで、時間もありませんのでここら辺でやめたいと思いますが、ただ一点だけお尋ねをしておきたいのは、最近の地方債計画とそれから公債費の割合を見てまいりますと、だんだんに借り入れ金で償還金をまかなうというような状態にまできつつあるのではないかと思う段階が、もう目の前に迫っているような気がしてならないのです。もちろん今年の地方財政計画の中では、地方債収入として一千六百三十億円、ところが公債費の支出関係を見ますと、一千三百三十五億円という数字になっておるようであります。これがあとしばらくいたしますと、今度は新産都市建設計画であるとかあるいは工業整備地域の整備計画であるとかという、六兆三千億円ですか、たいへんな計画が出される。その中において国庫補助金が今度一体幾らなされているのかということを調べてみますと、これはまことに微々たるものであります。起債もついてはおりますけれども、そういうような内容から見ますと、この地方開発計画の問題等を中心にいたしまして、ますます地方財政は行き悩んでいく。結局そのしわ寄せが、働いている地方自治体の公務員等の上に出てくる。だから、たまりかねて、ひとつ定年制をつくってくれという声が、地方自治団体からは自治大臣のところにあがっている。このようなかっこうになってまいりますと、そのほかに医療費の負担やら国民年金の負担やら、当然国が持たなければならないものが、補助単価が低いがために、約七百億円くらいは地方がその単独事業費を削っても支出をしなければならなかったりするようなかっこうであるようであります。こういうようなものに対して、一体今後はどう対処をしていこうとしておられるのか、基本的な姿勢だけでけっこうでございますから、この際お聞かせを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/114
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115・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘の問題は、私どもも実は考えておるところでございまして、地方財政は非常に苦しくなってきております。その原因は、一つは高度経済成長のために自然増収がいままで多かったものですから、地方交付税もまたしたがって多くございまして、何とか切り抜けていっていたのでありますが、最近のように行き悩みになりますと、急に困ってきたのであります。そこで考え方としては、一つは独立税を何とかして考えていくという問題が一つでございましょう。この独立税につきましては、先ほど来申し上げましたように、国の国庫支出金を整理いたしまして、これを地方に移譲をするということしかないのじゃないかという感じがいたします。もう一つは、地方交付税を国と地方との配分において上げるということでございますが、これも国の財政が非常に豊かでございますればできることでございますけれども、国の財政も非常に行き悩んでおるときでございますから、四十年度も百四十五億で妥結をしているようなわけでございまして、将来やはり望みが持てないかと思います。第三の点は、私は率直に申しまして、今日の地方財政はここでひとつ引き締めなければいかぬという感じを持っております。しかし、引き締めるといいましても、私は地方の人件費を圧縮してどうしようという趣旨で言っていることではございません。人事院の勧告というものも、われわれは常に尊重すべきものだと言っておるわけでございますが、しかし、現在三兆六千百二十一億の中で、人件費に費やされる金が一兆三千億でございます。約三七%を人件費に使っていることでありますから、その中で人事院勧告を尊重していくということになりますれば、事務の能率化、合理化をはかって、できるだけ節約をしていくという態度をとりませんと、私はこれはできないことだと思うのであります。したがいまして、年齢が高くなれば、日本の給与体系としてはどんどん昇給せざるを得ないのでありますから、やはり若い者がどんどん入ってくれば、年をとった人は整理をされ、またどこかに就職のあっせんをするというようなことで合理化すべきものじゃないかという点が考えられるわけでございます。
それともう一つ、地方財政で問題になっておるのでございますが、それは大都市における税源をどうするかという問題でございます。私どもの悩みは、一つは地域格差をどうして是正するかという問題で、これを地方交付税によってある程度の是正をしておるわけでございますが、もう一つは、大都市の財源も実は窮屈でございます。大阪などは特にそのきらいがございます。これにつきましては、やはり都市開発税というような、再開発税というようなものでも創設いたしまして、その財源を見つけるということも考えなければならぬのではないかという感じも持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/115
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116・村山喜一
○村山(喜)委員 いまでも都市開発関係等につきましては、都市計画税等をとることができるようになっているわけですから、それらの問題から当然財産評価が上がるようなものについては、そういうような税の公平な負担というものは必要だろうと思う。いずれにしましても、今日地方財政計画は、赤字基調であることは間違いない。この中で行政の民主化をはかると同時に、働く人たちの勤労意欲を削減するような方向で対処してもらうことも困る問題であります。幸いにしてそういうような地方税の減税というのはもう不可能な段階にまできているという形の中から、二千八百億の補助金の再配分の構想というものも浮かび上がってきたというふうにも承るわけでありますし、さらにそれは当然行政権限の問題とも関連性が出てくる。そうして行政機構を簡素化していくという問題にも、当然関連性があるわけでございます。大臣が、もう少し勇気を持って地方自治体を強化していくという立場から今後善処されることを要望申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/116
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117・河本敏夫
○河本委員長 田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/117
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118・田口誠治
○田口(誠)委員 時間がございませんので、端的に三点質問を申し上げて終わりたいと思います。
第一問といたしましては、御承知のとおり、本年の六月一日をもって参議院議員の任期満了ということになりまして、通常選挙を行なわなくてはならないわけであります。したがって、そうしたことも勘案されて、今年度選挙対策費、ことにこれは公明選挙、棄権防止という点が重点になっておると思うのですが、そこで本年は四十二億四千万円ということになっておりますが、参議院選挙という大きい選挙を行なう場合に、普通の場合と違いまして、公明選挙を各有権者に徹底をし、また棄権防止もしなくてはなりませんので、この予算で十分であるかどうかという点については、相当疑義がございます。そこで、私は質問の内容を縮めて申し上げるわけですが、棄権防止の関係で各市町村はいろいろとポスターを張ったり、あるいはマイクで呼びかけを行なったり、いろいろな方法をとっておるわけなんです。そこで岐阜県の衆議院の補欠選挙のときに非常に疑義のある問題が出てきたので、自治省としてはどういう見解を持っておられるかという点をお聞きいたしたいのです。岐阜県の警察本部におきましても、こういうことが認められるということになりますと、次から次へと拡大されて、公明選挙が不明朗な選挙になるという憂いがあるということで、非常に心配をしておるわけなんです。実例をあげて申し上げますが、特定の市におきまして、おとうさんが市長をやっていて、そのむすこが候補者、こういうことで、まあ岐阜県のようないなかのことでございますから、イデオロギーということよりも、やはり地域代表というような意識が住民には働いておるわけなんです。そこで、選挙を行なう場合に、棄権防止という名前は使っておりましたけれども、全員に石けんを配ったということなんです。この石けんを配ったということは、選管が配ったのですけれども、これはその市が配ったわけなんです。市が配って、市長の子供が候補者であるということになりますと、これは言わず語らず、以心伝心、土地から出ておる候補者に一票を入れてもらいたいということがこの中に含まっておるのだ、地域住民としてはそういう解釈をしている人が、非常に多くあったわけです。それで公明選挙の場合に、特に今年度参議院選挙をやる場合に予算化されておりますが、この予算の使い方について、自治省としても、今日までの経験にかんがみて適切な指導をしてもらわなくてはなりませんが、ただいま申しましたような事例は、私は行き過ぎだと思うのですが、自治省としてはどういうようにお考えになっておるか、この点をまずお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/118
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119・小池昌雄
○小池説明員 ただいまお尋ねのございました昨年施行せられました岐阜県におきまする衆議院議員補欠選挙の場合における具体的な事例でありますが、目下調査中でございまして詳細はわからないのでございますけれども、投票を済ませた場合におきまして、その者に対して選挙管理委員会から石けんを配ったというようなことであるようでございます。選挙管理委員会といたしましては、棄権を防止し、あるいは選挙民に対し投票を促すためのいろいろな周知徹底の措置をとりますことは、本来の任務でもあるわけでございますけれども、それを行ないます場合におきまして、投票を強制するというふうなことにはならないように注意を払っておるものでございます。お尋ねのような事例の場合におきましては、従来から、たとえば投票を済ませたという場合に、選挙管理委員会が投票済み証というようなものを交付するようなことはあったようでございます。しかし、財物を交付するというようなことにつきましては、あまり適当な方法とは考えておりませんので、今後十分注意をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/119
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120・田口誠治
○田口(誠)委員 昨年末の岐阜県第一区に行なわれた衆議院の補欠選挙において、特定の市が公明選挙、棄権防止の方法として石けんを配った云々については、問題になっておるだけに、自治省のほうでも適切でないという御答弁もございましたので、私はその点で了解をいたしますが、こうした問題は、これは大小は別といたしまして、選挙運動というものにじょうずに利用される場合があるわけなんです。したがって、参議院選挙を迎えておるのでございますから、自治省としては、そういう点について十分に各市町村に対して徹底をしてもらっておかなくてはならないと思うのです。もちろんこれは選挙管理委員会が自主的に公明選挙、棄権防止の問題については行なうわけでございますけれども、現在のように各政党が対立をして選挙をする場合には、与党である自民党の場合には、地方自治体にそうした流れがそのままいっておるわけでございますので、私は、いま申しましたような事例は今後なくするように、これはほかの方法で棄権防止を十分にやっていただくように、強い希望として申し上げておきたいと思うのです。これは単に野党の私どもが問題にしておるだけでなしに、取り締まりをしておる警察当局が、このままでいいのかどうか、これがまだおそらくはっきりと結論を出されておらないと思うのです。結論が出ておらないということは、いまの公務員としてのいろいろな地方自治体の長との関係とか、いろいろな面ですっきりした発言ができないという点にあろうと思いますので、こういう問題があっただけに、自治省のほうから先んじてこういう問題の適正化をひとつ御指導をお願いいたしたいと思います。ただいまの答弁で了解をいたしましたので、指導方を強く要望申し上げておきたいと思います。
次に、予算でございますが、これは予算委員会でやるのが正当でございましょうけれども、ちょうどここに予算書の明細も持ってきておりますので、お聞きするわけです。
五億五千万円というこの金は前年度と同額になっております云々ですが、今年のように全国的に繰り広げられる選挙闘争の公明を期するためには、昨年と同額の金額ということは、私は十分でないと思うのです。どうしてこういう金額になったのか、その理由についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/120
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121・松島五郎
○松島政府委員 ただいまお尋ねのございました公明選挙関係の経費でございますが、選挙の常時啓発に必要な経費は五億五千万円で、御指摘のとおり前年同額でございますが、そのほかに参議院選挙の公明化推進に必要な経費、俗に臨時啓発費と申しておりますが、これが三億三千九百万円余計上されておりますので、本年度は選挙もございますので、そういう経費を計上して、明るい正しい選挙を推進するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/121
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122・田口誠治
○田口(誠)委員 この点はこれ以上質問を続けることを避けたいと思います。
それから、時間がございませんので一瀉千里でいきますが、消防庁の関係でございます。現在地方自治体の実態を申し上げますれば、消防庁は予算獲得をされておりますけれども、実際に地方の消防関係の実態を見ますと、大きい市の場合は、二カ所か三カ所に近代的なポンプを備え、必要な器具を備えて、一朝火災のあった場合には、きわめて敏速に行動を行ない、また成果があがるような設備体制はとっておりますけれども、市町村の合併によりまして、同じ市と申しましても、全くいなかがあるわけなんです。したがって、そうした郊外の旧市町村は、部落部落に消防器具というものを備えて消防団員をつくり、そうした一朝火災のあったような場合には真剣に行動を行なっておるわけなんですが、何ぶんにもポンプその他の器具が非常に古くなりまして、特別なものについては、火災の方面へ出かけたけれども少しもポンプが来ない、どうなっておるのかといったら、途中で故障を起こして、団員が全員で押したりいろいろな修繕を行なって、そしてやや火災が静まったようなときにようやくかけつけるというような事実があるわけなんです。したがって、そういう地域におきましては、ポンプを購入しようといたしましても、これは税外的な地域住民の負担になっておりますために、なかなかまとまらないわけなんです。したがって、こういうものに対しましての交付金は、大きいものにつきましてはおそらく三分の一の助成ということになっておると思いますけれども、部落の消防団が持っておる消防車、それに必要な機械器具というようなものについては、これを購入する場合に補助金をなかなかもらえないというのが実態であるわけなんです。したがって、そのことから、ただいま申しましたような、全く使いものにならないようなポンプを備えて、そして団員だけ訓練を行なっておるというのが、実態であるわけなんです。これは事実岐阜県にもある。いまポンプを購入するためにどうして資金をまかなうかということで、四苦八苦しておる地域があるわけなんです。したがって、こういうような点が十分に把握されておるのかどうかということをお聞きいたしたいし、またそうした地域消防団に対しては、必要な機械器具を買う場合の助成というようなものはどの程度なされておるのかということと、今後不十分であれば、それを増額する御意思があるかどうか、こういう点について、詳細に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/122
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123・川合武
○川合政府委員 私どものポンプの補助は、現在三十九年度におきまして七億円でございまして、本年度から九億五千万円という御決定をいただいておるわけでございます。私ども補助金の配分の方針といたしましては、大都市よりもむしろ地方の都市に考えておるわけでございますが、しかし、いま御指摘のように、市町村単位にこれを補助いたします関係から、その中に立ち入って、部落と申しますか、その方面に行き渡らないで、その市町村の中でも比較的市街地のほうに片寄る、こういうことはあってはならない。要しますに、偏在いたさないように心がけをしてやっておるわけでございますが、しかし、ただいまの御指摘もございましたように、今後これらの点につきまして、さらに綿密なる心がまえと指導を行なっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/123
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124・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで、私も不勉強でございますが、いわゆる末端地域の消防団が持っておる消防車、必要な機械器具、こういうものの購入の場合の補助金というものは、どういう経路をたどって、そして何割補助をするのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/124
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125・川合武
○川合政府委員 ことばが足りませんで、補足させていただきます。消防団に対しますポンプの補助につきましても、都市の常設消防に対します補助と全く同じ考えでありまして、三分の一の補助でございます。私どもとしましては、むしろ先ほど申しましたように、弱いというと語弊がございますが、そういうところに行き届かないようなことのないように心がけておるつもりでございます。繰り返しますが、常設消防と同じでございます。経路といたしましては、やはり市町村へ補助する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/125
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126・田口誠治
○田口(誠)委員 そうしますと、私が事実を申し上げておるのは、岐阜市の場合を言っておるのです。それで、中央から岐阜市の消防関係にどれだけかの金額を交付される。そこで岐阜市は、その交付金の使い方は、全く用をなさないようなポンプがあって、それを購入する場合に補助金の申請をしたような場合には、これはその地方自流体が三分の一という助成を行なうのが原則である、こういうように受け取っておいてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/126
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127・川合武
○川合政府委員 私のほうから三分の一参ります。そうすると、あと残り三分の二になりますね。三分の二の分はその市が持つ、岐阜市が持たなければならない、こういうたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/127
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128・田口誠治
○田口(誠)委員 もう一度その点、中央から地方自治体へ交付を一〇%やる。そうすると、この一〇%の総額は、その末端の部落消防団が消防車、必要な機械器具を購入する場合に、その自治体のほうへ補助金を要請した場合には、その購入する金額の三分の一は当然補助してもらえるのかどうか。それとも三分の二かどうかということをお聞きしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/128
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129・川合武
○川合政府委員 三分の一は国の補助でございまして、三分の二は市町村が全部持つことになっておりまして、部落が持つということは、私どもではそういうことは考えておらないわけでございます。残りは市町村の費用でやってもらう、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/129
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130・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで、こういうように分けてちょっと答弁をいただきたいと思うし、お話ししてもらいたいと思いまするが、岐阜市では北、中、南と、消防署がございます。この消防署の職員というものは、地方公務員であるわけです。ここにある必要なポンプ、機械器具の購入等の問題は、これは当然市が処理しやすいわけなんですけれども、そうでなしに、いま合併をいたしました旧村の消防団というのは、これは先ほど申しました地方公務員でない消防団ですね。お百姓さんとか商人をやっておる人が消防団員になっておる。そうしてふだん訓練を受けて一朝事のあったときに奉仕するという、こういうところなんです。こういうところの消防車並びに機械器具が使いものにならないようになったときに購入する場合には、いまお聞きをした範囲内では、国のほうからは三分の一の助成だけれども、三分の二というものはその市町村が当然負担すべきである、こういう回答なんですが、その点は間違いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/130
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131・川合武
○川合政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/131
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132・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで問題ができてきまするのは、市のほうでそれだけの負担をしてくれるなれば、これは順次古い消防車、機械器具というものは更新されていきまするけれども、現在のところではそうなっておらないわけです。その地域の住民に半強制的のような形で寄付をしてもらって、そうしてその消防車を購入するというのが、今日の実態であるわけなんです。だから、私はこれを解消してもらいたいというわけです。いま御答弁のありました内容からいきますると、その消防車なり機械器具が火災の場合に全く用をなさないということになれば、これは買いかえをしなければなりませんが、そのときには国は三分の一の助成をするし、そうしてあとはその市が負担をして古い消防車を買いかえをさせるのだ、こういう答弁なんですけれども、事実はそうなっておらぬわけです。そうできないというのは、いまの地方自治体の状態なんです。それというのは、各市町村へ交付される金が少ないのか、それとも交付するときの金額の配分のしかたの積算基礎といいますか、そういう基礎が、ただまんべんに三十五万の都市は幾ら、十五万の都市は幾らと、こういうようにいっておるのか。それとも、地方のほうから、それぞれ市町村からは、今年はこれだけ費用が要るのだ、だから、助成金を配分する場合には配慮してもらいたいというような、そういう要請を集約してその配分をされるのか、交付されるのか、この点もお聞かせをいただきたいのです。そうでないと、いまの御答弁のようであれば、これは楽にできるのですけれども、全然それができないということなんです。非常にいま困っておる地域が一つあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/132
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133・川合武
○川合政府委員 補助金を配分いたしますときには、理屈の上から言いますと市町村単位でございますけれども、実は偏在いたしませんように、どのところに送るのだということを、私どものほうといたしましてはその説明をよく聞いて考えるようにいたしております。したがいまして、大体のパーセントで平等に配るというようなことでなく、もっと緻密にやっておるわけでございます。ところが、御指摘のような点でございます。これはざっくばらんに申しますが、御指摘のようなことはあると私も思います。それはかようなことであろうと思います。率直に申しまして、現在の消防のポンプの状態が、私どもの基準から見ましてまだ六〇%、確正に申しますと五九%しかないわけでございます。絶対数が足りないわけであります。したがって、まだ十分に及んでいないということ、そのために、買いかえの場合よりも、全くないところにこれを配分するという現実の問題が出ておるということ、それから、そのために、御指摘のように、少し地元でも持つからどうだ——これは私ども困る、困る、それはいかぬと言っておるのでございますが、事実問題として、地元から、少し持つからどうだ、こういうような話が出るということは、現実に私正直に申しましてあると思います。しかし、これでは困るということで、私どもも一生懸命理屈どおりに——理屈どおりといいますか、ちゃんとした方式でやりたい、こう努力しておりますが、さらに努力を重ねたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/133
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134・田口誠治
○田口(誠)委員 この点についてはまだあと質問者の関連にあるようでございますので、私は質問をこの点については終わりまして、またいつかの機会に、直接お会いをして、説明を受けて、いま実際に困っておるところがあるから、そういう問題の解決にひとつ相談に乗ってもらわなくちゃならないと思う。だから、これはきょうの質問の中では十分にこなすことができませんので、直接お会いをして、実情を申し上げて、そうしてこの処理方にひとつ協力をしてもらいたい、こう思います。
そこで、こういうことをひとつこれは自治大臣にお聞きしたいと思いますが、これは国会の権威を阻害することになるか、その点のところは非常にむずかしいと思いますが、いまいわゆる村が町になったり町が市になったりしますね。そうすると、自治大臣は官報によってこれを告示するわけです。明確にするわけなんです。そうしますると、必ずそのあくる国会には、そこにあるところのいろいろな建物の名称等が設置法の改正の中に含まって提案をされるわけなんです。今度の自治省の設置法の改正は、一名の職員を移動させるということだけですけれども、やはり一つの事務的な簡素化というか、国会運営の簡素化というか、官報で自治大臣が明確にこれを公表された場合には、自動的にそういう名称は変更されてもいいのではないかという考え方も出てくるわけなんです。しかし、国会は最高の権威ある機関であるから、どんな小さなものであっても、やはりここへ出してもらって、国会の承認を得なければならないという、こういう議論が成り立つと思いまするが、そういう点について、何かお考えになったことがあるかどうか。そうして、ただいま申しましたような便法を講ずることは、法律の何に基づいてだめなんだとか、いいとか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/134
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135・佐久間彊
○佐久間政府委員 御指摘の点は、ごもっともな点かと存じます。現在、自治大臣の告示によりまして市町村の境界変更、廃置分合の処分の効力が生ずるわけでございますが、法律に市町村名が書いてございますものは、次の国会でその部分を改正するという形になっておるわけでございまするが、実態は、もうすでに自治大臣の処分によって変更を生じておるわけでございますから、先生のおっしゃいますように、それをもって他の法律の改正につきまして何か便法を考えたらどうか、こういう御趣旨かと思うのでございまして、この点につきましては、今後関係省とも相談をいたしまして、よく検討をしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/135
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136・田口誠治
○田口(誠)委員 それで、この問題は少なくとも国会の権威を傷つけるようなことになってはいけませんので、そういう点は十分に配慮をしてもらって、そうしてその範囲内で行なえるなら、これはまことに私は簡素化でけっこうなことだと思いますので、研究課題としてひとつ御研究を要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/136
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137・河本敏夫
○河本委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/137
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138・受田新吉
○受田委員 この改正案は、減員一名という法案で、これが通らなくても自治省は実害がない。通しても通らなくても、実際には通らなくてもよいという法案ですね。実害がない。大臣、これははっきりしておる。そこで、こういう法案の取り扱い方について、いま田口先生からも質問があったが、私からも、この法案の取り扱い方についてもっと簡便な方法をもってやれるような方法があるわけでありますから、御研究願いたい。
この法案でどうしてもじかに質問する事項があるのです。それは、一名を外務省へ移しかえるという目的は、地方行財政に造詣の深い者を常駐させる必要があるというのです。自治大臣、どこへ常駐させるのですか。その質問だけなかったようですから………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/138
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139・松島五郎
○松島政府委員 ただいま予定をいたしておりますのは、ロンドンに駐在をさせたいということでございます。提案理由の説明にもございますように、各国間との租税協定と申しますか、租税条約との関係もございまして、従来国税の関係がおもでございましたけれども、最近は地方税についていろいろの問題が出ておりますので、そういう面から考えまして、ロンドンに駐在をさせたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/139
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140・受田新吉
○受田委員 ロンドン一つで片づく問題か、また引き続きアメリカとかその他の国々にも派遣するというような構想があるのか。一名というのは、一名で済むという前提かどうか、これをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/140
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141・松島五郎
○松島政府委員 ただいまのところは、まだ二、三駐在させるほうが便宜かと考えておりますけれども、さしあたってのことでございますので、一応一名と予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/141
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142・受田新吉
○受田委員 こういう法案によって新しく在外公館に駐在させるということは、各省がそれぞれ争ってやっていることになると思うのです。この点は、自治省が真に切実な問題として考えて派遣するというのであればよいが、他省とのバランスでいくというような意味の軽いものであってはならぬと私は思いますが、今後まだ二、三あるとおっしゃるけれども、これは十分大局から検討して、自治大臣吉武さんも断を下してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/142
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143・吉武恵市
○吉武国務大臣 先ほど官房長からも申しましたように、このごろ地方税についての相互条約等の関係もございまして、さしあたりロンドンに駐在をさせたい、その必要があってお願いをしているわけでございます。御指摘のように、他にも置きたいのではございますけれども、そういうふうにたくさんというわけにもまいりませんで、まずロンドンに置いて、そして他の地域の状況はそこで把握をさせたい、かように存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/143
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144・受田新吉
○受田委員 もう一つの問題ですが、これは直接法案に関係がありません。それは、自治省の中に自治大学、消防大学という三つの大学があります。学校教育法に規定する大学は、大学と名称をうたわなければならぬから、ほかのところでは校はつけられない。ところが、ここで学校の校をつけて、あなたの省に大学というものが二つあり、地方の警察官を合わせて研修する警察大学というのもあるが、そういう大学はその三つしかない。水産大学というのは吉武さんの御郷里に近いが、これはもう実質的に学校教育法の大学とその中身がよく似ている。ところが自治省の大学というのは、単に自治研修所です。それをわざわざ大学という名前までつけて、自治省は二つまで大学をお持ちになっているが、自治研修所でなく総合研修所として、学校教育法の大学とまぎらわしい名称をおつけにならなくてもよかったと思います。教育系統の上から混乱を招くおそれがありますので、大臣、御検討をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/144
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145・松島五郎
○松島政府委員 地方職員の研修をやっていることは御指摘のとおりでございますけれども、地方職員の研修をいたしますについても、やはり大学校という名称のもとに研修を行なうほうが望ましいという御意向もございます。それで、設置法において大学校の名称を使わしていただきまして、国会の御審議をいただいて現在大学校としているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/145
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146・受田新吉
○受田委員 私、その理由は成り立たぬと思うのです。大学校と名前をつけるとみんな喜ぶ、これは子供だましの印象を深く与えます。大学校と名前をつけるとみんな喜ぶからというのですが、大学校と名前をつけても、中身は大学の内容等になっておりません。防衛大学は、学校教育法の大学の中身を持っておるので大学の資格を与えた。水産大学もそういうものです。ところが、自治大学と消防大学は、短期間の研修所です。大学と名前がつくとみんなが喜ぶという御答弁は、私は納得できません。自治大臣、願わくば文部省の大学校とまぎらわしい校の字をつけないで、すっきりと自流研修所、消防研修所として筋を通していくべきだと思いますが、大臣の御答弁を願いたい。筋が違っておれば、違っておる筋をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/146
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147・吉武恵市
○吉武国務大臣 まあ研修所でもやれぬことはないでございましょうが、しかし、実質的にも大いに充実をして教育をしたいというところから、大学という名前のもとにいまやっておるのでございまするから、これを研修所に改めるということよりも、みんなもそれを要望しておられるので、ひとつお認めをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/147
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148・受田新吉
○受田委員 これで終わりですが、大臣、これは自治省だけが——警察大学を入れると三つになるようですが、こういうまぎらわしい名称を使って、ちょっと何か希望を与えるような形のものを与えなくたって——あれは中身は防衛大学や水産大学と違いますよ。私は、防衛大学は大学校とやってもいいと思うのです。水産大学も、これはもう学校教育法に中身が合っておる。ただ自治省のこの二つは、ほんに短期間の研修所です。この点も思いつきで名称を学校教育法の形のものに持っていくといういき方は、私は筋が違うと思いまするので、今後付属機関としてこういうものを他省がまねないように十分研究をしていただきたい。質問終わり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/148
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149・河本敏夫
○河本委員長 伊能繁次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/149
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150・伊能繁次郎
○伊能委員 時間ももうないようでありますが、私は、実は数時間自治省についてお尋ねをしたいと思ったのですが、残念ながらもう残された時間がありません。さいぜん本法案自体の問題については受田委員から質問がありましたから、それで本法案については足りると思いますので、二点だけお尋ねをしたいと思います。
昭和三十四年に石原自治大臣当時、政府は町村合併に際して地方公営企業の奨励を通牒によって示達しました。当時私は、さようなことをすれば地方財政の赤字を一そう助長する、そういうことはやるべきものではない、特殊な必要のあるものについては別であるが、一般的に公営企業などを国がやることは、決して経済性と企業性の上から適切な運営ができないということを警告したのでありますが、六年後の今日、新聞その他でごらんのように、地方の公営企業はほとんど赤字を出しておる。この現状を一体どうごらんになるか。と同時に、当時の通牒方針について、いまなおそういう考え方を堅持しておられるかどうか、自治大臣の御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/150
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151・吉武恵市
○吉武国務大臣 私、どういう奨励でありますかは存じませんが、御質問の趣旨は、地方公営企業でやらなくても、民営でやるべきものを公営にわざわざするから赤字が出るじゃないかという御趣旨の御質問だろうと思います。今日、公営企業は、御指摘のように、累積赤字が三百七十六億ばかりございまして、ほんとうに困っております。その公営企業にはいろいろございます。御指摘のように交通関係、電車、バス、それから水道、病院、その他ほかにもいろいろございますが、おもなものはそういうものでございます。バスとか電車になりますと、やはりこれは公共団体が経営するのがよいのではないかと思いますが、しかし、今日ではもう路面電車というものはだんだんと姿を消しまして、バスになっておることでございますから、そういう方向に向かうだろうと思います。バスにつきましては、御指摘のように、民間がやっても公営でやりましても、民衆から見れば安くて便利なほうがいいことにきまっておるわけであります。それが民営と公営とで料金が同じで、市民に同じ便利を与えるなら、私は、公共性のあるものですから、公営がいいじゃないかという感じがいたします。けれども、今日、御指摘のように、公営は非常に赤字を出しているということは、その経営においてやはりまだ考慮すべきものが多々あるのじゃないかということで、今日市町村の公営で行なっておりまするバス等につきましては、合理化をして赤字を解消をするようにということを特に強調しておるわけでございます。この点は、目下地方公営企業制度調査会におきまして検討をしてもらっておるところでございます。どういう結論になるか存じませんが、先ほど申しましたように、公営企業でなければならないとか、あるいはまた公営企業で特に赤字出すということは、これはおもしろくないことだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/151
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152・伊能繁次郎
○伊能委員 しろうとの答弁をあげつらうつもりはございません。しかしながら、公営企業で民間と同じようにやれれば公営のほうがいいと大臣がおっしゃるが、公営企業は税金を払ってない。今度あなた方が値上げされた自動車税すら、一文も税金を払わない。いわんや法人税、所得税においては、税金を払ってないでしょう。しかもばく大な赤字を出しておる。民営企業は気息えんえんとしながらも、どうやら今日においてその目的を達しておるわけであります。こういうようなものについて、地方公営企業制度調査会の結果を待ってなんて、のんきな役人根性でおるから、いよいよ赤字が出る。こういう問題については、もっと厳正に、自治省みずからが、いかなるものを公営でやるべきが適当であり、いかなるものを民営でやるべきが適当であるかということをもう少し率直に反省、検討する必要があると思いますが、この点についての大臣の御答弁を重ねて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/152
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153・吉武恵市
○吉武国務大臣 その点等をも考えまして、目下地方公営企業制度調査会においては検討をしておられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/153
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154・伊能繁次郎
○伊能委員 そんなもの、検討しなくても全部わかっているのです。わからないから検討するということになる。自治省のやり方はなっておらぬです。現にせんだって決定された地方税法の改正法律案、すでに法律になりました。私は党内においてその非を鳴らしたが、国の税制調査会、わが党の税制調査会においてすでに検討、決定をしたというから、その内容を伺ったところが——きょうは、細郷君は私が出席を要求したにかかわらず、出てこない。はなはだ不誠意です。何も知らないで増税をしている。しからば申し上げます。きょうは公営企業課長、税務局の課長が出ておるか知りませんが、地方税法の体系は、その重要性に応じて税の負担の軽重が決定せられておる。自動車については、一番高くかけられるものは自家用、その次は比較的公共性の少ない営業用、それから公共性の高い営業用という三段階になる。ところが、バスについては、自家用はわずかに一万四千円しかかけない。そして営業用の貸し切りバスが今度四万五千円になろうという、こんなばかげたことはおやめなさいと言っても、皆さん事情を知らないものだから、法律も、ほかの法律改正と違って、「観光貸切用のもの」「その他」として、自家用は「その他」の中に入って、路線の公共性の高いバスと同じに一万四千円になる。しかも貸し切り観光バスだけを四万五千円、五割値上げをする。こういうばかなことをする。そんなことをしないで、公共性の少ない自家用をある程度上げれば、税額もよけいになるし、営業用についてそれほど負担をかけなくてもよろしい。私が忠告をしても聞かない。そして自家用の中には重要性のあるものがある、たとえば学校の生徒の通学用のもの。いいかげんなことを言う。それでは旅館や何かの送迎用で金を取っておるもの、会社の通勤をする自家用のもの、学校のもの、病院のもの、公共用のもの、その内容を全部明らかにしなさいと言ったが、自治省にはだれも知っている者はおらない。私が逆に教えてやっているようなものです。そういうようなめちゃくちゃな税金の取り方をして、しかも今日の自家用で一万四千円、営業用が四万五千円、こんなばかな税額が地方税法の中にありますか。それを変えない。そして私に対しては、小委員会を設けて検討すると約束したが、小委員会も何も設けない。そういうことを大臣御存じかどうか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/154
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155・吉武恵市
○吉武国務大臣 私も聞いておりますが、この問題は、税制調査会において論議されて、結果が今回成立をいたしました案になっておるのであります。私どもは、税制調査会の御趣旨を尊重して、そのまま採用したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/155
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156・伊能繁次郎
○伊能委員 しからば、どういう論議がされたか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/156
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157・宮澤弘
○宮澤政府委員 ただいま伊能委員の御指摘の自家用のバスについては、現在の自動車税は、主として観光用その他に区分をしておるわけであります。最近、御指摘のように自家用バスが非常にふえてまいりまして、これについての問題を御指摘になったわけでありますが、税制調査会等におきましては、自家用バスのことろまでは徹底した議論をいたしておりません。なお、自家用バスにつきましては、伊能委員御指摘のこともございまして、現在、御承知のように自動車税は標準税率制度をとっておりますし、標準税率を場合によりましては自動車の種類によって区分できる規定があるわけでございます。自家用バスは、最近非常に普及度合いが高まってまいりまして、ある県におきましては、自家用バスにつきまして、一般のバオに比べて負担の増を認めております。そういう事情もございますので、私どもといたしましては、御指摘の趣旨もございましたので、各府県における自家用バスの普及の状況その他実態に応じまして、自家用バスにつきましては、適正な負担を求めるように、現在指導をいたしております。自家用バスにつきましては、内容は、先ほども御指摘のように、通学用のものもございますが、あるいは旅館、ゴルフ場というような、いわばレジャー用というようなものもございます。通学用バスにつきましては、これはやはり負担を求めることは適当でないと思いますが、それ以外のものにつきましては、負担の均衡という見地から、今回は法律では措置をいたしませんでしたけれども、そういうような指導をいたしていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/157
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158・伊能繁次郎
○伊能委員 宮澤参事官と自治大臣の答弁が、まっこうから食い違っておる。宮澤参事官は、自家用バスについては、税制調査会においては遺憾ながら審議をせられなかった。吉武自治大臣は、税制調査会において論議をせられた、その結果を尊重して、ああいう方針を出しておる。なんたる答弁の矛盾です。取り消してあやまりなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/158
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159・吉武恵市
○吉武国務大臣 私は、今回の地方税において、自動車についての税金の問題は、税制調査会の答申をそのまま尊重したというわけであります。その中の論議一々を申し上げているわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/159
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160・伊能繁次郎
○伊能委員 論議をされたということは、あなたは言ったじゃありませんか。論議をされたから、その論議に基づいてわれわれは尊重した。速記録をごらんなさい。論議をしていないというなら論議していないでよろしいのだが、明らかに宮澤参事官との意見の対立を生じておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/160
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161・吉武恵市
○吉武国務大臣 自動車一々について論議されましたかどうか、私は速記録を見ないからわかりませんが、論議されなかったかもしれませんが、しかし、審議の結果、そういう結果が出ているわけでありますから、私どもは、その結果を尊重して考えた、こういうことを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/161
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162・宮澤弘
○宮澤政府委員 税制調査会におきましては、私先ほど伊能委員御指摘のような徹底した議論はなかったということを申し上げたわけであります。自動車税につきまして、いろいろ議論がございましたが、特に自家用バスについて、非常に大きないろいろな方面からの議論があって、これは上げるべきだ、下げるべきだというようなところまではいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/162
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163・伊能繁次郎
○伊能委員 しからば、私が冒頭に申し上げたように、自動車税の課税の方針基準というものは、地方税法で明らかになった。自家用が一番高くて、その次営業用でも、営業用のうち公共性の軽微のもの、これは貨物であろうと何であろうと、トラックについても同様なのです。次に最も公共性の高いい路線トラックだとか、路線バスが税金が安くなった。ところが、バスについてはそうなってないで、私はいつも——ここに奥野君がいませんが、奥野君が税務局長の時分に、十年前に間違った税制をつくったのです。それを常に指摘した。今回また再び誤った税制措置をやっておる。そうでなく、明らかに自家用、営業用、高度の営業用、この三つにお分けなさい。たとえば自家用というものをかりに貸し切り観光バスと同じに一万四千円を三万円に上げたとして、現在の自家用は二万台近い一万八千両になっております。営業用貸し切りバスはわずかに一万四千七百台、そうすれば、営業用を一万五千円上げるよりも、自家用を営業用と同額に一万四千円から三万円に上げれば、一億円以上の増税になるんだが、なぜそういう妥当な措置を講じないかということを、私はしばしば提案をした。しかるに、いわゆる役人のみつぎ取り、まるで税金取りみたいに、理屈を聞かないで、理不尽に、自分たちがきめたことだ、審議もしない、税制調査会の答申を尊重するんだというようなことで、あの暴行をあえてした。私はとうとう参議院まで持ち込んでこの問題の党内の調整を求めたが、理不尽な連中に押し切られて、私は総務会においてもあくまで反対をしようとしたんだが、小委員会を開いて検討するというから了承した。そのときに、わが党内においては、園田副会長、荒舩副会長が、かような理不尽な税制は逆戻しをしろという意見があったが、私自身提案者だったから、当時の発案者であったから、それを通した。総務会で、十分な再検討をというので、そんならよろしい、小委員会を設けて検討いたしますということを言ったが、何らの検討もしないで、いまの答弁は何ですか。次回において検討されるならともかくも、検討をあくまでされないのかどうかを、大臣、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/163
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164・吉武恵市
○吉武国務大臣 その点は、衆議院におきましても、参議院におきましても、通過する際に附帯決議の中に入れられております。その際に、政府はそれに対する所見を述べておりますから、お調べをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/164
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165・伊能繁次郎
○伊能委員 どういう所見を述べられたか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/165
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166・吉武恵市
○吉武国務大臣 将来慎重に検討するというふうに述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/166
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167・伊能繁次郎
○伊能委員 慎重に検討するということは、現状がいいということか、悪いということか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/167
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168・吉武恵市
○吉武国務大臣 それは、それを検討して、よければいいでやりましょうし、悪ければ悪いで改めるでありましょうし、それを検討するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/168
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169・伊能繁次郎
○伊能委員 それではぼくがこれだけ説明しても、まだいいか悪いかということがおわかりにならないと私は判断するのですが、わからないのですか。お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/169
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170・吉武恵市
○吉武国務大臣 自家用バスにつきましては、先ほど御指摘がありましたように、スクールバス等もございまして、これを一律に考えるわけにまいりませんので、とくと検討するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/170
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171・伊能繁次郎
○伊能委員 私が教えたことを今度逆にスクールバスとかなんとか言って、金科玉条のようにそれをたてにとる、そういう無能な連中のこれ以上の答弁を私は求めません。次の機会において、私はあくまでもこの問題については公正な措置をとるような要求を別途いたします。
私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/171
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172・河本敏夫
○河本委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/172
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173・河本敏夫
○河本委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
自治省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/173
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174・河本敏夫
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/174
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175・河本敏夫
○河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
次会は、来る六日、火曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X02619650402/175
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