1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十七日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君
理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君
理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君
理事 村山 喜一君 理事 山内 広君
天野 公義君 井原 岸高君
岩動 道行君 池田 清志君
亀岡 高夫君 高瀬 傳君
塚田 徹君 辻 寛一君
綱島 正興君 二階堂 進君
野呂 恭一君 藤尾 正行君
茜ケ久保重光君 稻村 隆一君
大出 俊君 大原 亨君
中村 高一君 楢崎弥之助君
受田 新吉君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
建 設 大 臣 小山 長規君
出席政府委員
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 松永 勇君
総理府総務長官 臼井 莊一君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 井原 敏之君
厚生政務次官 徳永 正利君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 若松 栄一君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(国立公園局
長) 今村 讓君
厚生事務官
(児童家庭局
長) 竹本 精紀君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
建設事務官
(大臣官房長) 鶴海良一郎君
建設事務官
(大臣官房会計
課長) 多治見高雄君
建設事務官
(計画局長) 志村 清一君
建設事務官
(都市局長) 鮎川 幸雄君
建 設 技 官
(河川局長) 上田 稔君
建 設 技 官
(道路局長) 尾之内由紀夫君
建 設 技 官
(住宅局長) 尚 明君
委員外の出席者
議 員 田中 武夫君
専 門 員 茨木 純一君
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四月二十六日
委員武市恭信君辞任につき、その補欠として辻
寛一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
中小企業省設置法案(田中武夫君外十四名提出、
衆法第一五号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二二号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七五号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
田中武夫君外十四名提出、中小企業省設置法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/1
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002・河本敏夫
○河本委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/2
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003・田中武夫
○田中(武)議員 ただいま議題となりました社会党提出、中小企業省設置法案の提案理由を御説明いたします。
中小企業者を設置し、中小企業大臣のもとに、抜本的、強力な政策の実施されることは、全国中小企業者が、長年にわたり切実に待望してまいったところであります。
現在の中小企業庁は、その機構がきわめて貧弱であるだけでなく、大企業の代弁機関と化した通商産業省に完全に隷属しておるのであります。このため、従来、中小企業庁が、中小企業者の輿望をになって、せっかくよい施策を立案し、あるいは適切妥当な予算を要求いたしましても、大企業の立場から、あるいは通産省全体のワク内において、事前に葬られてきたのであります。
これでは、中小企業者の意見、要望を真に反映し、その利益を擁護する機関は、現在の政府にはないといっても過言ではないのであります。今日農民に農林省あり、労働者に労働省あり、大企業者のためには通産省あり、ひとり中小企業者のみが、日の当たらないところに置かれておって、これに相応する政府機関が欠けているのであります。中小企業者に中小企業省を、そして通産省と対等の立場で、中小企業政策なり、中小企業予算について、国政の最高の執行機関である閣議の場において、討議されるべきは当然のことであります。
ここに中小企業省を早急に設置し、機構を整備して、中小企業基本法にうたうところの諸政策を最も効果的に実施し、もって中小企業経営の安定と発展に寄与してまいりたいと存ずる次第であります。
これが本法律案を提出する理由であります。
次に、その内容の概要を御説明いたします。
まず第一に、本法律案は、中小企業者の所掌事務の範囲、権限を明確にし、あわせてその組織を定めるものであります。
次に、中小企業者の任務といたしましては、中小企業者の組織、経営近代化、振興及び助成に関する行政事務や、基本政策の樹立に関する事務等を一体的に遂行する責任を負うものであります。
第三に、中小企業者の具体的な権限といたしましては、収入、支出に関する事務、職員の人事管理等、通常の所掌事務の遂行に必要な権限のほか、事業分野の確保、設備近代化の助成、組織化の指導助成等があります。さらにまた中小企業関係機関に関し必要な権限を有することといたしておるのであります。このため、たとえば、従来中小企業庁の所管の外にありました中小企業退職金共済事業団や国民金融公庫に関することも、中小企業省の権限事項と相なるわけであります。
第四は、中小企業省の機構についてであります。
まず本省には、中小企業大臣のもとに、大臣官房及び振興、組合、経営指導、商業の四局を設置し、大臣官房には調査統計部を設けることといたしておるのであります。
次に、地方にも、支分部局として、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の八カ所に中小企業局を設置し、それぞれのブロックを担当して、本省の所掌事務の一部を分掌せしめることにいたしております。
さらに、外局としては、中小企業者と大規模事業者等との間における紛争を調整せしめる機関として、中小企業調整委員会を設置しているのであります。
以上が、本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/3
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004・河本敏夫
○河本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/4
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005・河本敏夫
○河本委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/5
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006・田口誠治
○田口(誠)委員 建設省設置法の一部を改正する法律案の質疑に入りたいと思います。
この法案は、四十三国会、四十六国会、四十七国会、引き続いてこの四十八国会に、同じ内容のものが提案されておるわけでございます。したがって、過去の三国会におきましては、廃案または継続審議という形で葬られてきておるわけでございますが、その理由といたしましては、この法案の内容に与野党とも相当疑義があり、また反対があったということが、裏づけとして出ておるわけでございます。特に四十六国会のときには、全国の知事会が反対をし、強力な反対闘争を進めてまいったわけでございますが、そのときの法案と同じ法案が、今日出されております。特に知事会議が反対をいたしましたことは、尾上屋を重ねるところの機構になることを憂え、また、補助金等の問題について二重的な行政がなされることになるということを憂えまして反対をいたしておるわけですが、最近に至りましては、知事会議の反対闘争の行動は、行動面においては静まったようでございます。したがって、こういう状態になったという理由については、何か知事会の反対をしておることについて了解し得るようなものが有形、無形の中において暗示、徹底されておるのかどうかということが、私どもとしては疑問があるわけでございまするので、まずその点からひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/6
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007・小山長規
○小山国務大臣 御承知のように、建設省設置法を改正しようと考えましたのは、一つには、本省で扱っておる仕事で地方にまかしたほうがいいというものが非常にたくさんありますので、本省のほうは企画、統制、そういうことに専念すべきであるという臨時行政調査会あたりの示唆もあり、そういうことでやりたい。そういうことで、本省のほうは企画、統制に専念をし、地方のほうは実施事務に専念をする、こういうことであったのでありますが、歴史的には、その内容がはっきりのみ込めていないために、本来は地方に移すときに、地方庁、いわゆる知事に権限を移したらどうかというような意見も一時あったことはあります。これは本省の内部の仕事を地方建設局に移したほうがいいかどうかという議論であるということがだんだんわかりまして、その面の反対はもう消えたと思うのであります。次には、二重行政にならぬか、二重行政になったのでは地方庁としてはまことに事務が繁雑になってしまうということで、その面の反対がありましたことも事実でございます。ところが、これもだんだんいろいろな説明をしてまいります間にわかってまいったのでありますが、現在では、知事会のほうとしましては、二重行政にならない、この法律案を実行しましても二重行政になるおそれはないということをおわかり願って、それでその面の反対もなくなってきた。こういう実情でありますので、私どもは、年来の念願でありますところの、地方と中央との事務を、一方は企画、統制、一方は実施事務というふうに分けて、そして国民の便宜もはかり、同時にまた地方の実情に即した建設行政ができるようにしたい、こういうかねがねの念願は正しかった、こう考えまして、さらに再提出いたしたような次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/7
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008・田口誠治
○田口(誠)委員 知事会の反対をしておりますることは、もちろん都道府県に委譲してもらいたいという機構内容も含まっておりましたけれども、特に二重行政という繁雑な行政が行なわれるというところに問題があったと思うのです。いま大臣から御答弁のありました範囲内におきましては、二重行政にはならないのだ、こういう点を知事会議のほうでも十分に認識をしてもらって今日のような状態になっておるのだ、こういう答弁でございまするが、知事会議にお話しになったお話の内容はどうかわかりませんけれども、実際にこの法案を改正案どおりに実施をするということになりますると、これは完全に二重行政になるわけなのです。したがって、二重行政にならないということになりますれば、少なくとも内容的に若干の修正等も加えなくてはならないと思うわけでございまするが、この点につきましては、提案者としては、それでは修正してくださいという答弁もなかなかむずかしいと思いまするけれども、法案どおりでいきますると、どうしてもこれは二重行政になり得るわけなのです。どんなに建設省の本省のほうから指導をされましても、そうしたことは払拭することができませんので、したがって、この法案につきましては、ただいまの答弁の範囲内におきましては、法案内容を幾ぶん修正しなければならないという点が残っておるということを私は考えておりまするし、そう考えられるわけでございます。この辺のところの答弁はむずかしいだろうと思いますので、答弁のほうは要りませんけれども、将来の問題としてこういう問題を取り上げる場合には、どうしても本省としては絶対にこの法案どおりでなければならないというこだわりだけはおそらくないのじゃないか。あるとするなれば知事会議の了解も得なかったと思うので、そのこだわり方をあくまでも固執をされるかどうかという点については、ここで答弁をしていただかなくてはならないと思います。修正云々については、審議の過程において委員会が決定することでございますから、これは委員会のほうでそうした修正も考えられると思うわけでございまするが、いずれにいたしましても、一番最初に申しましたように、四十三、四十六、四十七と、廃案あるいは継続審議として四回目、この四十八回国会に提案されて、しかもその内容が何ら変更されておらないところに、ぼくらが審議するに非常にむずかしい点があるわけでございます。こういう点から考えまして、答弁の方法はどういう表現になるかわかりませんけれども、私は、現段階において、絶対的にこの法案をそのまま一字一句も変更してはならないという、そういう態度であるということになりますると、なかなかこれは審議もむずかしくなると思いまするので、そういう幅があるかどうかという点について御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/8
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009・小山長規
○小山国務大臣 知事会議でやはり一番問題にしておりました二重行政の問題は補助金専務を本省に残すか、あるいは全部地建に移すか、このいずれかにすることによって、二重行政になるかならぬかという問題であったと思うのであります。私どものいまの原案は、補助金の事務が地方の実情に即するようにするためには、地方建設局長に全部委任したほうがよろしいのではないかという考え方でこの法律案を提案してあるわけであります。つまり、二重行政というのは、一部本省で権限を持っておって、それからその大部分は地方建設局に移すにしても、一部は本省に残るとなると二重行政になりますので、その点を知事会は心配したと思うのであります。その点については、自治省ともいろいろ打ち合わせました結果、全部地方建設局に移せばこれは二重行政にならない、こういう前提でいまの提案をしておるわけであります。一方これに対しまして、そういう事務は、補助金事務のごときものは、全国的な視野で見たほうがよろしいのであって、本省に幾らか残したほうがいいのではないかという議論があることは承知いたしております。しかし、私どもは、いまのような判断のもとに、二重行政という一本にしぼるならば、本省で持っておる補助事務を地方建設局に全部移して、そして本省に行かなくてもよろしい、地方建設局限りで全部済むのだという体制のほうが、地方の実情に即した建設行政になる、こういう考え方で出したわけでありますが、その点については、いま話の途中で申し上げましたように、ものの考え方には二通りありますので、この点にはわれわれの考え方が絶対であるというふうには思っておりませんが、しかし、われわれが提案しました趣旨はそこにあるということを申し上げておきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/9
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010・田口誠治
○田口(誠)委員 答弁を静かに聞いておりましたが、答弁としてはむずかしそうな答弁でございましたが、およそ私のほうで総合して聞き取れたことは、全部完全に地方へ委譲した場合には、二重行政にならない、こういう判断の上に立ってこの法案を提出したのだ。しかし、その後いろいろ反対の陳情等問題もございまして、そして今日の段階においては、必ずしも建設省の考えておる考え方をそのまま押しつけることが能でなはい。やはり一般大衆の意見を十分に参酌して、そうして、そうした大衆の意見に沿う、すなわち国会でございますれば、委員会の決定の事項に沿う、こういうお考えであったように思うわけでございますが、この点別に大きく開きがなかったら、答弁の必要はございませんが、そのように確認をして次に移りたいと思います。別に相違がなかったら、答弁しないでもよろしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/10
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011・小山長規
○小山国務大臣 私が申し上げましたのは、知事会のほうがこれでよかろうと言いましたのは、全部移すということであるから、それならば二重行政にならない、こういうことで知事会のほうも御納得願ったということを申し上げたわけですが、この判断には別の判断があることも私承知しておりますので、国会において別の判断が下されました場合に、別に私はその点で固執するつもりはない、こういうことを申し上げたのでありまして、いま田口さんがおっしゃったのと大体同じ趣旨になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/11
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012・田口誠治
○田口(誠)委員 その点は先ほど確認しましたことと、ただいま再答弁していただきました内容と相違がないようでございますので、次へ移りたいと思うのでございます。
いずれにいたしましても、この問題が四国会に提案されて審議され、今日の審議に入るまでにも相当問題があったわけなんです。したがって、そういう関係から、今後の審議あるいは答弁していただくにも参考になろうと思いますので申し上げたいと思いますが、四十三、四十六、四十七国会の分は別といたしまして、ごく最近に私のところへ反対の陳情——また反対の陳情でも、いろいろな内容を書いて陳情されておるのが、はがきにしますると二百七、八十枚、電報も相当来ております。こういうように来ておるわけなんです。そういう問題だけに慎重に審議させていただきたいと思うのですが、そこで補助金の二重行政の問題もございまするけれども、とかく建設省の行政は、一般国民から疑惑を生じやすい省であるということなんです。というのは、いろいろと工専を行なうわけでございまするから、この工事にからみまして、事実もあったりあるいはうわさも出たりして、そうして不正事件等が流布されておりまするので、こうした点を考えてみますると、建設省の場合には、一番多く疑惑の目を向けられておるわけです。したがって、私はこの際そうしたことのないように行政を行なわなければならないと思いまするし、特に地方へ権限を相当委譲されるということになりますると、工事の請負等では、地方において入札を行なうということも大半あるわけでありまするから、そういう点で私は事実を申し上げて、建設省の意見を聞かせていただき、今後に備えていただきたいと思うのです。よく建設省のお役人の方々が、土木建設会社のほうへ中途で転勤をされるわけです——同じ省でありませんので転勤とは言いませんけれども、建設省をやめて、そうして土木建設会社に引き抜きをされるわけです。その引き抜きをされたあとには、必ず国民から見て疑惑を生ずるような問題が出てきておるわけです。いろいろと名前をあげて恐縮でございまするけれども、まあ違っておれば違うという答弁でよろしいけれども、私どもの調査いたしました範囲内において、これはまあ事実であるから国会で質問をしても何ら差しつかえないという点が相当たくさんありまするが、これもたくさん並べてみましても時間が空費されまするので、一、二申し上げたいと思います。もとの中国建設局長木原さんという方は、これは昭和三十八年の七月二十三日に役所を退職されまして、そうして奥村組という土木請負の会社の常務取締役におつきになった。そのとたん、ちょうど三十九年の二月ころ、三十九年度の改良工事にこの奥村組が入るであろうという評判が立ちかけたわけなんです。木原さんが奥村組へ入ったことにおいて、奥村組は建設省から仕事がもらえるだろう、こういう評判が立ちかけたわけなんです。うわさが非常に流れておったわけなんです。それを裏づけするように、奥村組はある工事現場では入札の二カ月も前に作業場の準備を進めて、そうしていつでも落札すれば作業に取りかかれるという態勢をとったということなんです。これはだれが考えてみましても、どうもおかしい、くさいのではないか、こういうように考えられるわけでございます。
それからついででございまするからもう一つ申し上げまするが、東洋舗装の入札は、昭和四十年の四月十五日くらいに予定されていたのですけれども、すでに青山地区の道路には、三月の二十日ころから飯場を二むねつくったり、事務室をつくったり、それからアスファルトプラントの建築を進めたりして、東洋舗装が作業のできるような準備をいたしておったわけでございます。こういうことから考えてみまして、最後の結論を見ますると、それを裏づけするように、そうして準備をされておるところへ落札されて作業が進められてきておるというようなことがあるわけなんです。これは私は一、二の事実を申し上げただけでございまするが、こういうことは今日まで非常に多くありまして、いずれにいたしましても建設省の仕事というものは、非常に不明朗な工事の請負、落札、それにからむところのいろいろなうわさが流れておるわけなんでございまして、この中には全く事実なものもあれば、多くの中にはうわさの程度のものもありまするけれども、そういうような実態でございまするので、私は、この設置法を国会で上げる前に、もう再び建設省の仕事が、今日までのように建設関係は汚職がつきまとうのだ、こういうような汚名を払拭するようにしなければならない、こう考えておりまするので、あえてこうした固有名称、名前まであげて質問を申し上げるわけでございますが、こういう点は建設省としては知っておられるのかどうか。またこういう問題についてどう考えておられるのか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/12
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013・小山長規
○小山国務大臣 いまの二つの問題について、私のほうは全然聞いたことはありません。しかし、いまおっしゃるとおりであるとすれば、これはいかにもおかしい話であります。こういう問題こそ、いわゆる綱紀粛正といいますか、国民の疑惑を除かなければならぬ立場にあるものでありますので、これはいますでにあったとうわさされていることのようでありますけれども、もし今後そういうふうに入札にもまだかからないうちから、いかにも自分のところが落札するのだというふうなデモンストレーションをするというようなことであるならば、これは指名から当然除外すべきだと思うのであります。そういうふうに私は厳正な執行をしていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/13
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014・田口誠治
○田口(誠)委員 おそらくこの程度のことは建設省のほうでも把握しておられると思っておりましたけれども、大臣は初耳だということでございますので、そうであればそうといたしましても、ただいまここに二つの例をあげただけでございますが、こういうことでは国民の疑惑を買うことになるし、またその裏には不正あるいは汚職というようなものもからんでくるということも考えられるので、万が一今後入札をする前にそういうような準備を行なうような業者に対しては、どんな大きな業者であろうとも、いままで建設省とのいろいろなつながりのある業者であっても、入札から除外する、こういう答弁であったと思いますが、これはいまの建設大臣のお考え方だけでなしに、将来建設省としてそういう考え方で工事の入札等を行なっていきたいということであろうと思いますので、もう一度念のためその点を将来の問題として確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/14
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015・小山長規
○小山国務大臣 そういう点こそ、当然建設大臣として気をつけておくべきなんであります。これが将来にわたって確保されるような措置は、部内でどういう措置をとればいいか十分研究しますが、方針としましては、いま申し上げたように、それはどういうことでそういうことをやっているのか知りませんけれども、私もその実例を知りませんから、入札を希望する人たちがそういう準備をすることがあるいは慣例であったり、あるいはそのほうが便利であるというような問題があるかもしれませんけれども、その辺のところはまだ調べてみなければわかりませんが、いまおっしゃったようなことであると、どうもおもしろくないと思います。ですから、そういう意味で、場合によってはそういうものについては指名から除外するとか、何らかの方法をとって疑惑の残らないような措置を講じておきたい、こういうつもりで、これからまた省に帰りましてから、関係の者を呼んで、その措置について相談いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/15
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016・田口誠治
○田口(誠)委員 これは今国会でも問題になりました。これは直接建設省ではありませんで、電発の関係でございましたが、九頭龍ダムの入札の不正事件、この問題なんかは、六つの業者が入札をいたしまして、そうして六億円も高い入札をした業者に落札をした。これがくさいということから問題が出てきたわけなんです。したがって、こうした大きい工事をやる前には、工事をやる前の下相談というものが、業者なりあるいは電発なら電発、あるいは建設省なら建設省、こういう方面とあるように私どもは受け取れるわけなんで、そうでなかったら、何人かの業者が入札をして、その中で落札できる業者が、もう前もって飯場をつくったり、事務所をつくったり、いろいろな作業の準備を行ない、そうした敷地を確保するというようなことは、これはなかなかできないと思う。だから、そういうことから考えてみますると、こういう問題を取り扱うには、まあ潔白な大臣から考えられればどうもぴんとこないかもわかりませんけれども、これはだれが考えてみましても、将来の問題として明確に政府としての態度を打ち出してもらっておかなくてはならない問題であろうと思います。ただいまの答弁の中にも、私のほうから質問申し上げた内容について、先ほどお答えになったけれども、そのあとのお答えがまだまだ十分に認識されておらないような点があったわけなんです。これは一つや二つの業者が入札をする場合には、その二つの業者が甲か乙かどちらかへ落ちるのだということになれば、そういう場合にいろいろ準備をするというようなことは、場合によっては、それも程度がありますけれども、心回しはあろうと思いますけれども、少なくとも五社、六社という業者が入札をする場合に、落札をしてもらえた業者が、二カ月も前から、一カ月も前からもう準備をしておるというところは、これは完全にくさいわけなんです。こういうことを取り除かなければ、どんなに偉そうなことを言ってみても、建設省が各都道府県からもなめられるわけでありまするし、それから業者からもなめられるわけでございます。そういうことから、私はくどいようですけれども確認をいたしておるわけであります。
古い話ではございまするけれども、伊勢湾台風当時に、ある地域では、県の土木出張所の所長より請負主のほうがよけい発言権があったということがあった。これはその当時私が国会で質問もし、そして建設省も十分に了解をしていただいて、そうしてその方面に力を入れていただいて、最後に起こった災害の復旧工事は非常にりっぱなものができて、今後常識はずれの洪水でなかったら、堤防が決壊するようなことは起きないだろうと思う程度のものがつくっていただけたわけです。それまでは、三年も続いて同じところが水害にかかっておったわけです。それでその内容をよく調べてみれば、手抜きをしておる。手抜きをしておるという実態を考えてみますれば、やはり地域の関係をしておる顔役の人とか、都道府県の長とか、市町村長とか、こういう人が相からんでおって、県の土木出張所の所長よりも請負主のほうがよけいどこへいっても発言権があるというような、こう話してもほんとうにできないようなことがあったわけでございます。これはもう過ぎ去ったことでございまして、建設省の理解ある努力によって、あとは非常にすっきりとした、りっぱな工事ができて私は喜んでおるわけなんですが、それと同じように、将来こういう問題についての建設省の態度は、これは厳然たる態度をとっていただかなくてはなりませんし、ただ自分で考えておっていただくだけではいけないと思いますので、これは省内の関係の職員の方、あるいは地方局等へ十分に行政面で指導していただいて、そうして今後そうしたことのないように、いま流布されておるような悪い汚名をこの際完全に払拭するように努力をしていただきたいと思うわけでございますが、これは大臣だけでなしに、その他官房長あるいは局長さん等も、そういう点は十分に頭に置いていただいて行政指導をやっていただきたいと思うわけなんですが、その点、今度はよろしいでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/16
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017・小山長規
○小山国務大臣 私は、もう就任以来そういう点を是正したいと思って、今日までいろいろ施策を講じてきたわけですが、いまおっしゃったような点をさらに詰めまして、いささかも疑惑のないようにいたしていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/17
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018・田口誠治
○田口(誠)委員 大臣の答弁で了解いたしますが、つけ加えて要望いたしておきますが、きょう私が質問申し上げましたことは、今日まで建設がこの不正、汚職というようなことに国民から非常に疑惑の目を向けられておって、いろいろな問題について国民自身としても非常に気を配っておるわけなんですから、そうした汚名を払拭するために、ここでりっぱな態度をお示しになって、そうして行政指導を十分にやっていただき、今日までのようなことのないようにひとつ努力をしていただくことを強く要望申し上げ、今後はそういうことが建設省関係には絶対にないということを私はここで確認をして、次の質問に移りたいと思います。
そこで、建設省は昨年河川法の改正等もありまして権限を本省のほうへ相当吸い上げられたわけでありますが、いま都道府県、市町村で問題になっておりますことは、占用許可の問題でございます。この占用の許可の問題については、いかなるものといえども占用許可というのは与えないのだ、今日まで与えておるものでも、期限がきたらその期限で占用許可を与えぬのだ、こういう内容の通達が出されておるということを聞いておるわけなんですが、それがために、四月前の状態では、都道府県のほうでは相当かたくなっておりまして、この程度のことは占用許可を与えてもいいのではないかと考えられるものすら、本省のほうからの通達もありということではなかなか問題を取り上げてくれておらないということが実態であるわけなんですが、これは次官通牒で出されたのか、行政指導という面で出されたのか、その辺のところはわかりませんけれども、そういう事実があったのかどうかということを、まずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/18
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019・上田稔
○上田政府委員 お答え申し上げます。
占用の方針につきましては、いままでと現在では変わっておりません。したがいまして、現在では方針は出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/19
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020・田口誠治
○田口(誠)委員 いままでと変わっておらないということは、従来占用許可を与えておりましたそのままであるということなのか、途中で何か次官通牒かその他の行政指導かわかりませんけれども、一つの指導がなされておるということを聞いておるのですけれども、そういう指導も次官通牒というようなものも出されておらないということなんですか。昔のままということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/20
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021・上田稔
○上田政府委員 ただいまのは、新しい方針を新河川法によって出しておるかという御質問であったと思うのでございますが、それに対しましては何も出しておりませんということでございまして、普通の占用はいままでどおりでございます。ただし、いま東京都内あるいは大都市、六大都市といいますか、そういう都内の河川敷というものが非常に問題になっておるわけでございますが、そういうものにつきましては、現在いろいろ検討をいたしておりますが、そのほかの一般河川につきましては、新河川法によって新しくいままでと変わるのかという御質問かと思ったのですが、そういうものにつきましては、何ら出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/21
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022・田口誠治
○田口(誠)委員 そうしますると、新河川法ができましても、占用許可の許可基準というものについては別に変わっておらない、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/22
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023・上田稔
○上田政府委員 新河川法は、いままでの河川法で行なっておりました、あるいは慣習的になっておったものを法文化したわけでございまして、新河川法ができたことによって急激に変わる面というものは、この占用関係についてはないわけでございます。ただし、一級水系については国が管理をする、二級水系については知事が管理をする、あるいは一級水系の指定区間については知事に管理を委任する、そういったような面は変わってまいりますが、その占用関係そのものについては、いままでと変わりがないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/23
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024・田口誠治
○田口(誠)委員 すっきりとお答えになったのだから、まあそのお答えでいいと思いますけれども、私の県のほうで問題があったわけなんです。というのは、建設省のほうから、ぼくは文書だったか、それとも通牒だったか、単なる行政指導だったか、はっきりしませんけれども、そういうことを一つの口実にしていろいろ県のほうで言っておりましたので、それで一級河川のほうは、四月一日からは完全に本省のほうで管理するということになりましたので、何かいままでと占用許可の基準というようなものが変わっておるのかというようなことを考えましたし、またもし変わってはおらぬということなら、全く将来そのままでいいのか、こういう変わったときを動機に一つの基準というようなものをつくって、そうしてその基準に基づいて許可をされる、こういうことになろうと思うので——もちろんいままでも全然基準なしでやられたのではないと思いますけれども、そこらのところが先ほどの答弁はまことにすっきりし過ぎておって、私のほうで問題があったから、そんなにすっきりしておるのなら問題にならぬでもよかろうと思うので、その点をお聞きしておるわけです。補足する面があれば、もう一度ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/24
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025・上田稔
○上田政府委員 いままでの河川の管理は、直轄河川あるいはそのほかの河川に限らず、すべて知事がおやりになっておったわけでございます。したがいまして、県によって幾ぶんその管理形態が違うようなところもありますが、本質的にはそう変わりがないものというふうに私ども考えております。しかしながら、個々の面について当たってみますと、あるいは先生がおっしゃるように幾ぶん食い違っておるような面が出てくるかもわからないと思います。そういう面につきましては、方針は同じでございますけれども、よくその辺は調査をいたしまして、統一的になるように、一級水系についてはいたしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/25
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026・田口誠治
○田口(誠)委員 その点は答弁の中で確認ができましたので、次へ移りたいと思います。
そこで、河川の関係は毎年災害と直接関係があるわけなんですが、それは砂防工事とかそれから災害を防ぐというような面から、今度この法案が成立いたしましたときに、地方局においてそうした面を強化するということは、どこの部課で行なわれるのか、それともそういう点は本省からの指示に基づいて地方局が動くのか、この点を明確にしておいていただきたいと思います。最近は毎年毎年水害というものが連続的にありまするので、その原因を突き詰めていきますると、隘路が砂防工事の完ぺきを期する点に相当あるようにも考えられますので、その取り扱いについてまずお聞きをし、内容についてはあとからお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/26
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027・上田稔
○上田政府委員 お答えを申し上げます。
災害につきましては、災害査定官は本省にやはりおるわけであります。ただし、その災害査定官の補助をいたします者は各地方建設局からとりまして、そして災害の査定に当たっていくということになりまして、査定官は災害が発生したときに参りますのは一人でございまして、あとの査定官の補助をいたしますのは、地方建設局から出た者が参りまして査定をやる、こういう形になるわけでございます。その形は、いままででもある程度地方建設局のほうから応援を受けて、そうして実は査定を行なっておったわけでございます。小さな災害は別といたしまして、そういう形をとっておりましたのですが、それが今度の設置法がきまりますと、はっきりそういう形になるわけでございます。それから災害工事の検査といいますか、中間検査、そういった面が、今度は建設局のほうに移るわけでございます。したがいまして、近くにおって、その県の災害工事がどういうふうに行なわれていくか、またどういうふうに行なわれたかということを見ることができるようになるわけでございます。それから中小河川とか、小規模とか、あるいは局部改修とか、そういったような工事に、いままで地方建設局はほとんど関係なしといったほうがよろしゅうございますが、全然タッチをしておりませんでしたが、今度の設置法になりますと、そういう点におきましても工事を見ることができまして、川というものの性格を握ることができるわけでございます。したがいまして、災害の査定をいたすときにも、また検査をいたすのにも、そういう点においては非常に有利になることではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/27
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028・田口誠治
○田口(誠)委員 災害等のあったときの工事の検査を本省のほうで行なっていただく、また十分に厳正に行なっていただくという点については、私どもの強く要望しておるところでございまするので、その点につきましては、私は大いに期待をいたしておるところであります。
そこで、砂防工事等の予算獲得をする場合の予算編成にあたっては、これは大体本省のほうで全国の河川の実態、水系、いろいろ見ておられまして、年次的な計画を、きちんとでなくても、ある程度頭に描いて、そうして予算要求というものをされると思いますが、こういう場合に、地方局の意見の集約ということは十分なされておるのかどうか、この点承りたいと思います。特に、私は、この問題だけは、地方局のほうが何といっても現場ですから、周囲の実情というものはよく知っておりまするので、地方局からの要請にこたえられて予算要求というものはなされなくてはならないと思うのですが、今日までの経過としては、どういう経過を踏んでおられるか、一応承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/28
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029・上田稔
○上田政府委員 砂防につきましては、この新設置法によります予算編成も、本省のほうでいたすように考えております。これは先生も御存じのように、農林省の治山課との関係がございまして、この建設省が担当いたしております砂防というのは、川の流出に対して直接に影響のある部分、つまり渓流砂防を主体といたしております。幾ぶんそれに山腹砂防も入っておりますが、そういったものを主体に工事をやっておるわけでございます。しかしながら、その上流部分といいますか、あるいはそのもう少し上の面と申しますか、そういうところには森林行政に関係をしたいわゆる治山関係の仕事があるわけでございます。それとのにらみ合わせといいますか、そういうものを考えてやっていかなければ、せっかく川の流出に直接接する面だけをやりましても、やはり山のほうから大きく土砂が崩壊をいたしますと、非常に影響を受けますので、そういう面とのにらみ合わせでやはり予算を考えていかなければいけません。そういう点で、本省のほうでやるように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/29
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030・田口誠治
○田口(誠)委員 私の質問申し上げておるのは、そこがむずかしいのです。それは一切がっさい建設省の調査によって建設省によって行なわれるものなれば、これは完ぺきを期する方法もあろうと思いまするけれども、農林省との関連がございまするので、そこらのかみ合い、農林省との意見調整をどういうようになされて、農林省にも必要な予算をとってもらい、そして建設省は建設省としての予算獲得を行なうか、こういうことですから、そこがむずかしいから、その辺のところの総合調整というような面は、今日まではどういうように行なわれてきたか、これをひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/30
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031・上田稔
○上田政府委員 農林省との関係でございますが、本省におきましては、治山課と私どものほうの砂防部との間で打ち合わせをやりまして、もちろん課長なんかも交流をいたしておりますので、その辺は密接にいくわけでございますが、そうして一番荒れておるところはここだ、ここはこういうふうに私のほうはいたしますよというような打ち合わせをしておるわけでございます。それから現地のほうは、直轄砂防は、これは国直接にある大きな面をやるわけでございますが、そのほかに県の実施いたしております砂防があるわけでございます。この県が行なっております砂防は、おおむね土木部のほうに属しておるわけでございます。それから治山関係のほうは農林部のほうに大体属しておるわけでございますが、この農林部と土木部と話し合って、そうして計画を立てて、それを農林省に、また建設省に持ってくるわけでございます。持ってきたものをまたこちらも両方総合して、本省同士で打ち合わせをする、こういうふうな形で行なわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/31
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032・田口誠治
○田口(誠)委員 この点につきましてはこれ以上突っ込んでお聞きいたしませんが、農林省との総合調整というような面については、非常に技術的にむずかしい面もありまするので、これは定期的というほどにはいかなくても、おそらく年に二回とか三回とかそういう会合を持って、そして万全を期する、また公平で重点的な施策を講ぜられることが妥当であろうと思いまするので、そういう点については十分心も使っていただいておるとは思いまするけれども、なお私は実態を見まして、もう少しこれは何とかなるんじゃないかという点が多々あるわけなのです。だから、この点は、今後そういう問題についての善処方を遺憾なくひとつやっていただきたいということを強く要望申し上げておきます。
それから、これは昨年の四十六通常国会の予算委員会なりあるいは大蔵委員会で、農耕用のガソリンは減免するのだということが確約されて、そしてそれは四十年度から実施をするように努力をする、こういう約束になっておりましたのが、なかなかその方法がむずかしいという理由のもとに、今年度の予算には入っておらず、ただ、そのかわりに、五十億円でしたか、主として農道修理というようなことで予算化がされておるのですが、これは農林省のほうとは関係なしに、この予算の使用方法、また場所、こういうことは建設省で一切おやりになるのかどうかということを、ひとつお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/32
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033・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 五十億円の使途につきましては、農業改良事業助成費が十億円、農道整備費が三十四億円、林道整備事業費が四億円、漁港の関係が二億円、こういうふうになっております。これはすべて農林省のほうに予算がついておるのでございまして、事業も農林省でする、こういうたてまえになっております。ただし、この使い方につきましては、あるいはこれを実施するにつきましての方針が、実はまだきまっておりません。ただいま農林省と大蔵省、私のほうと相談中でございまして、その内容についてはまだ決定いたしておりませんが、重要な幹線農道の整備につきましては、おそらく各県ごとになると思いますが、県のほうにおきまして道路管理者と打ち合わせた上でやる、こういうことになろうかと思います。まだ未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/33
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034・田口誠治
○田口(誠)委員 道路の関係は、農道という農という名前はついておりまするけれども、道路関係は一切建設省が所掌するというのが当然だろうと思いまするが、そこでこの五十億の予算の使い方については、これはあくまでもいわゆる農道という考え方か、それともほんとうに山間僻地であれば、県道であっても農道のような道路がある。だから、県道であっても、それが村道であっても、これは農道という範囲でなしに、幾ぶん、山間僻地の場合にははみ出た県道とか村道とかいうことにその予算を利用されるのかどうか、この辺をちょっとお聞きをしておかなければ、地方自治体のほうでは、山間僻地の道路というのは、県道という名前がついていてもこれは農道のようなものでもあるから、そうした予算が要求によっては認めてもらえるのじゃないかという期待を持っておるわけです。だから、この際明確にしておかなければならないと思いまするので、あえて質問の中でお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/34
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035・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 ただいま申し上げましたように、五十億円のうちで、農道整備については三十四億円でございます。これについての内容を申し上げますと、まだきまっておりませんということを御返事申し上げましたが、基本的にはこれは農道をやるというたてまえになっております。ただし、農業改良事業との関連におきまして、現在の地方道をそのために整備しなければならぬという場合があり得ると思います。そういう場合には、道路法との関係を明らかにした上において実施するということが、これは例外的にあり得ると思います。そういうような線でただいま打ち合わせをしておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/35
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036・田口誠治
○田口(誠)委員 これはどこの県にもあろうと思いまするが、山間僻地の道路というのは全く農道のようなもので、バス等を入れようと思いましても、バスはなかなか入らない、まあ道交法によって待避所をつくればこれは入れることもできると思いまするけれども、学生等が通学する場合に、非常に長距離を自転車で通学しなければならない、こういう地域については、全般的に文化が向上してまいりましたので、幾ら山間僻地といえども、道路を改修し、改良をして、そうして通勤バスを入れたいという要望のところがあるわけなんです。したがって、そういう場合に、今度の五十億の予算の中からは出せるものか、出せないものかということです。これはまだ決定をしておらないという話ですけれども、大体建設省のお考え方としては、どうなんですか、これも省議できめなければ答弁できないのか、その点ひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/36
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037・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 いま先生のお話のような道路は、これは五十億の中の農道整備事業の対象事業ではないと、私察するのでございます。具体的に個所をお聞きしませんとわかりませんが、私のほうでやっております奥地の産業開発道路、あるいはそのほかの一般の地方道の整備事業として考えるべきではなかろうかと思います。農道整備事業と申しますのは、山間僻地というよりも、むしろ現在の平地部の農業構造改善に付帯いたしてやるような事業、土地改良等をやる際に、その幹線になります基幹農道を整備しようというようなことが中心になっておるようでございます。まだそれらの個所につきましても農林省で具体的に拾っておりませんので、ちょっとまだ、話が抽象的になりますが、いまそういうようなことで方針を、おおむね最終的の段階にきておりますが、きめようと思っておりますので、いまのようなお話の筋のものは、そういう基準からいきまして、おそらく入らないのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/37
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038・河本敏夫
○河本委員長 田口君に申し上げます。時間がだいぶ経過いたしましたので、お含みください。次の質問者の予定等もありますから、結論をお急ぎ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/38
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039・田口誠治
○田口(誠)委員 この問題は問題だけに、相当質問する事項がありまして、重要な問題は一番最初に私一つやっただけで、あとはあまり重要なところへは入っていっておりませんが、委員長からそういう要望がございますれば、その線で協力していきたいと思います。
そこで、これは地元のことで恐縮でございますけれども、ことし岐阜県に国体があるわけなんです。そうしますと、岐阜−高岡の元の二級国道は、国体の相撲をやるところの郡上八幡までは改良工事を終わり、そうして舗装も終わるという、こういう約束が、これはもう三年も四年も前からそういう要望もされて、そして楽に答弁をされて約束をしておるわけなんです。ところが、この間私自動車でずっと通って見ますと、なかなか十月までには、舗装工事まで終わるということが、相当これは急ピッチでやらなければむずかしいのではないか、こういうように感じてきたわけなんですが、これは私の感じだけで、いままでのお約束どおりに、改良工事、舗装工事というのは、郡上八幡まではやっていただける、十月までには完了していただけるということは、これはもう間違いございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/39
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040・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 前回も申し上げましたとおりでございまして、国と県との協力によりまして国体に間に合わせる、こういう方針でおりますが、現地はそういうふうに進んでおるかどうか、最近の状況を確かめておりませんが、十分間に合うと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/40
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041・田口誠治
○田口(誠)委員 間に合うということでございますれば、これからは県を責めて、そしてその約束どおりにやってもらわなくてはならぬと思うのです。
私の公式の質問についてはこの辺で終わりますけれども、今日審議に入るまでに、建設省の特に官房長またその他局長さん等とも、いろいろ話し合いの中で要望事項、問題というような点は指摘をいたしておりまするので、きょうの質問の中には入れて確認はしませんけれども、そういうことも含めてひとつ実行していただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/41
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042・河本敏夫
○河本委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/42
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043・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣にまずお尋ねをいたしたいのは、この建設省設置法案は、計画局に宅地部を設置をするという問題は、これは一部新たな要素として加わってはおるわけですが、地方建設局に所掌事務の分掌を行なうという問題につきましては、過去において三回ほど廃案になった。その廃案になった過去のいきさつをずっと考えてまいりますと、この問題の発端は、前の河野建設大臣のときにこの問題は生まれておるわけです。それに対しまして、建設省の内部におきましても、事務官僚の中にも、あるいは技官の中にも、いろいろな問題がございまして、率直に申し上げるならば、こういうような行政事務に関する内容が地建に委譲されるに従って、現在技術を専門職とする地方建設局の局長あるいはその他主要な地位を占めている人たちが、こういうような専門的な行政事務には習熟をしておりませんので、勢い行政官僚が技術官僚を駆逐する、こういうような問題の中において、この問題はきわめて重大な問題だということで、建設省の内部においてもいろいろ問題があった。ましてや地方公共団体、特に都道府県知事会あたりにおきましては、猛烈な反対運動を行なったわけなんです。私たちも、この問題については、臨時行政調査会の意見等も出るので、やはり基本的には国の行政機構の問題として、地方支分部局はいかなる姿にあるべきであるかという、行政組織の基本的な体系の中においてこの問題を考えていかなければならない。それにはやはりことしの八月には、臨調の答申を受けて、そして一つの政府の原案というものが出されようというやさきに立っている。そういうような情勢の中にありながら、若干の新しい項目は入ったとはいたしましても、依然としてここに建設省設置法関係の法案が出されるということになってまいりますと、まあ普通三回も廃案になれば、その問題については慎重を期して、将来そういうような国の行政組織制度について根本的な問題を検討した暁においてあらためて提案をするという運びが、政治道義の上から見て正しいのではないかと私たちは判断をするのでありますが、それにもかかわらず、今回ここにこのような法案をお出しになったその過程の中において、建設大臣はいろいろといきさつも御承知でございますので、この問題についての御所見をまず第一にお伺いをしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/43
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044・小山長規
○小山国務大臣 設置法の過去の歴史については、もうすでに村山先生御承知のとおりであります。そこでもう一度これを出すか出さぬか、いろいろ検討したわけでありますが、臨時行政調査会の答申を見ましても、本省は統制あるいは企画の事務に専念をし、そして地方は実施事務に専念することが望ましい、こういう点については全くわれわれの考え方と同じでありまするし、また一方において、地方建設局に事務を委譲したほうが都道府県の事務の簡素化にもなる、われわれの簡素化のみならず、地方の簡素化にもなる、こういうことで、これはぜひもう一度お願いをしたい、こういうことで出したような次第であります。
なお、内部のことについてお話がありましたが、これは率直に申し上げまして多少の誤解があったりしたようでありますが、十分に民主的な方法をとりまして内部の話し合いもいたしまして、心配するようなことはないのだということも十分な理解を求めて、今回は提出したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/44
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045・村山喜一
○村山(喜)委員 臨時行政調査会の答申が、本省段階においては企画、立案、そういうようないわゆるスタッフ的な仕事を行なえるようにして、業務の実施面、ライン的な業務というものは地方支分部局に移す、なるほどそれは一つの行政機構の、建設省なら建設省という問題を縦割りする形においてながめた場合においては、おっしゃるとおりであります。しかしながら、日本の行政組織の上からながめてまいりますと、ただそれだけで律しられないものがある。それは地方公共団体との関係をどういうふうにしていくかという問題が、当然の関連の問題として、この支分部局の強化の問題については出てくるわけであります。そこで、いま大臣が言われたようなものも幾らかはあります。しかしながら、この行政事務の配分に関する改革意見なり、あるいは行政機構の統廃合に関する意見なり、あるいはその全体の総合的な答申書によりましても、大臣のおっしゃることは十分の一くらいのウエートしか持たないようなふうに私たちは受け取っている。と言いますのは、これは一つ一つ読み上げてもよろしゅうございますが、まことに大幅な措置が勧告されているのが建設省であります。たとえば建設省の計画局の所掌事務のうち、国土開発計画に関する部門については、これを総合開発庁に移管をしなさい。都市計画に関する事務を地方公共団体に委譲をしなさい。地方建設局の事務を地方公共団体に極力委譲するとともに、許認可等の規制をできるだけ整理をして、本省各局部課及び地方建設局の整理、統廃合を行ないなさい、さらにまた、この行政事務の配分に関する改革意見書を見てまいりますと、「相当の無理と障害を冒しても、極力地方公共団体に国の行政事務を委任すべきものと認める。」、こういう立場から、砂防、地すべりの防止関係の地区指定権限は都道府県知事に機関委任をしなさい。あるいは河川の行政についても、道路の行政についても、実施事務は地方公共団体において処理するのが正しいのだ。こういうようなふうに明確に出されているわけであります。とするならば、これらの問題の中から考えられることは、総合的にこの問題を考えないと、自分の省に都合のいいように、本省はスタッフ的な業務を行ない、地方支分部局に実施事務を移して、ライン的な業務を行なうことによって、その一行政機関としての機構的な姿はすっきりするかもしれませんが、その他との関連性の問題は論議されていない。それがやはり基本的にどうあるべきかという姿を明確に出す中において、建設省の所掌事務権限というものを明確にしていくというたてまえがとられなければならない。私は、そういうような立場からこの臨時行政調査会の答申というものを正確に受けとめていくのが、正しいあり方ではないかというふうに考えるわけであります。そういうような点から、まだ行管が見えていないようでありますから、後ほどこの問題については行政管理庁の考え方を明確に聞いておきたいのであります。
そこで大臣にお尋ねをいたしたいのは、河川法の改正が行なわれました。あるいは道路法の改正が行なわれました。そして一級河川の指定が、ことし十五水系について行なわれる。将来においては、この一級河川の指定を五十本ぐらいにしたいのだという構想のように承るのであります。なるほど、われわれがこの内容を見てまいりますると、いままでよりも補助率がよくなる、あるいは事業費用が増額をする、こういうようなことにおいて、その問題だけについて考えたならば、きわめてけっこうなことであります。あるいは、いままで二級国道は都道府県知事が管理し、あるいは改修するというような形で維持、管理に当たっておった。ところが、これも一般国道として、今度国道の範疇の中に入れられている。こういうようなふうにして、いままで都道府県が所管をしておった行政事務を、最近は建設省が、道路といわず、河川といわず、中央に吸い上げていくという形をとっておる。その基本的な考え方というのは、国土総合開発の体系の中において、この問題は国の利害という問題を重点的に考えなければならない、こういう主張であります。しかしながら、私は、その背後には、いわゆる地方公共団体が自治体として、首長公選のもとにおいて、それぞれの議会が設けられて、そこには地方自治というものが行なわれておる。この地方公共団体にこれらの行政をまかせるということは、非能率的であり、しかも信用ができない、こういう地方に対する不信感というものを中央が持っておるのではないか、その思想的な背景というものの中には、それがあるのではないか、こういうような気がしてならないのでありますが、地方支分部局を強化するという考え方を、縦の行政組織の中における問題点だけでなくて、やはり建設大臣は地方との関係を明確にとらえて国の政治をやってもらわなければならない立場にありますので、この問題について、大臣の考え方をお伺いしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/45
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046・小山長規
○小山国務大臣 いま村山さんがお話しになりました、全体との関連はどうかという問題でありますが、この点は、臨時行政調査会の答申そのものは政府の全体として受けとめまして、そしていまの行政組織のあり方というものを一体どういうふうに答申を尊重しながらやっていけるかという点は、それぞれ研究をしている段階でありまして、われわれのほうとしましては、その中で特に地方と本省との間の事務分掌というものがどうあるべきかということをとらえ、また、いまの機構、陣容をフルに活用した場合にどういうふうにそれが活用されるであろうかということをとらえて、この設置法の改正案を立案し、御提案申し上げておるわけであります。
なお、道路や河川のことにつきましては地方自治体との関係はどうかというお話でありますが、むろん地方自治体が地方自治体としての責任においてそれぞれの地方住民のためにやります分については、当然その活動がしやすいようにしなければならぬことはもとよりであります。ただ、国全体としてただいま考えます場合に、道路について言いますならば、県と県との間の境目というものはとかくへんぴなところが多いわけでありますが、そのへんぴなところにはどうしても気の配りようが足りないといいますか、ほかにまだやりたいところがたくさんありますために、とかくそういう面が、忘れておるわけじゃありませんが、手が回りかねる。そういう面は国の責任においてひとつ見ようじゃないかという趣旨で、道路法の改正もしておるわけであります。河川についても同様のことが言えるわけでありますが、そういうことで、地方自治体の権限を取り上げるとか、そういうつもりでないことは、もう十分御了承いただけると思うのであります。そういう趣旨でこの建設省の設置法もつくられておるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/46
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047・村山喜一
○村山(喜)委員 まあ大臣はそういうようなつもりではなくても、従来ありました直轄河川を一級河川に指定がえをして、補助率をかさ上げをして事業量を増大していく、それはけっこうであります。しかしながら、河川行政の問題を一つとらえてみても、地域の総合開発計画の中でどのような地位を占めるかということになりますと、他の行政部門とのつながりというものがあるわけです。たとえば二級国道の問題にしても、これを全部国でやってもらう。なるほど、それは国のほうは財源を握っているからけっこうであります。しかしながら、従来都道府県が管理し、あるいは維持、修繕をやって補助金をもらう、そういうような業務内容が、逐次中央集権化されていくという実態、われわれがこうして見ておりまして、やはりそういうような姿に今日なりつつある。特に、建設行政はそういう姿をとりつつある。これは私だけではなくて、地方公共団体に言わせれば、そういうような点を考えているのだけれども、あまり大きな声で言うと、お前のところには補助金はやらぬぞ、お前のところには事業費は回さぬぞというようなおどしがきくものですから、一ぺんは吹き上がって大反対だと言っておったけれども、だんだん頭をなでられて、このごろは反対でも蚊の鳴くような小さな声で反対をしている。それで心の底ではどう思っているかというと、けしからぬと考えています。それは自治省の若い連中にも聞いてみなさい。建設省設置法というのは反対だと言う。それから建設省の役人の中にも、個人的に話をしますと、こういうようなのが通ったら私たちは非常に困りますと言う人もおります。これは表面では言えない。国がそういうような方向で方針を出し、国会の審議にゆだねる段階の中で、そういうようなことを表面に立って言うようなことになりますと、これは行政秩序の保持という上から見て好ましいことではございませんので、表面にはそういうような意見は出てこない。しかしながら、裏面には、そういうようなものが渦巻いている、私たちはそういうように見なければならないと思うのであります。そこで、この問題については、より慎重な態度でお臨みを願いたいと思うのであります。
ここで私は建設省設置法という法令関係の組織的なあり方を見てみますと、大体所掌事務というものが出されている、それから権限関係が明確にされておりますが、この建設省の範疇というのは、技術的な分野というものがありますので、各省にまたがってはっきり、この分野については厚生省であるとか運輸省であるとかというような所掌事務が、明確に分割されにくい省であります。やはり技術的な分類に基づいた組織形態というものになっていると、私は思うのです。そこで、今度地建に委譲するために三十二号ですか、十二条関係において幾つかの内容の改正が行なわれて、次々のことは地建において行なわれるようになるというように出されておる。ところがその内容は、前に掲げてあります建設省の所掌事務の内容と重複しているのです。そして、いわゆる指揮、監督の内部的な統制関係の中において重複するものについては、建設大臣の権限とするとかというふうに説明をされている。そういうような形の中で、地方支分部局に権限を委譲する中において、事実上どれだけの権限が委譲されるのかということは、法律の上から明確に出てこないわけです。それはやはり政令段階であり、あるいは建設大臣の訓令段階において、これが規程として、これこれの権限については一応地方支分部局である地建の局長に委任をする、こういうのがあとで出てくるわけです。そこで、法律を制定する場合においては、そういうようなあるべき政令あるいはつくろうと考えている規程との関連というものを頭に描きながら質疑を行なわなければならない。
そこで、私は大臣に率直にお尋ねいたしますが、現在の規程によりますと、地建の局長が行ない得る指名入札権は一億円以下ですね。これはずっと前に制定をされた権限です。そういたしますと、それ以上のものは、貨幣価値がだいぶ違っている今日においても、依然として本省に持っていかなければならないという形になっている。そうすると、地建を強化するというのだったら、この規程等は改正をする考え方があるか。あるいは指名入札権だけではなく、工事の予算関係にいたしましても、補助金関係にいたしましても、それとやはり関連をする問題として、ただ行政事務だけが与えられるのでは名実ともに伴わないわけでありますから、やはり法律をつくると同時に、そういうような方向というものを、基本的には政令段階あるいは規程、訓令段階において考えられているものがあろうと思うのでありますが、それについて説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/47
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048・小山長規
○小山国務大臣 委譲の内容あるいはこまかい点については、私どものほうでは法律案が通りました場合にはこういうようにしたいという案は持っておりますから、資料で提出をいたします。
また、いまのお話の指名入札の金額の問題ですが、これはいろいろな点がありまして、全部が全部地方建設局にまかせることの可否についてまだ議論が分かれておりますけれども、一億円以下ということでいまやっておりますが、これはもう少しふやしてもいいのではないかという議論もありまして、その点はまだ結論が出ておりません。しかし、そういう申請をしなければならぬ仕事の分量、またそのために起こりますところのいろいろな事務の繁雑さ、こういうものを勘案しまして、多少手直しをする必要があるのではないだろうかということで、いま検討している最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/48
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049・村山喜一
○村山(喜)委員 法案を提出して地建に権限を委譲するといわれる以上は、内容的なものが実質的に伴わなければ地建の権限の強化にはならないと私は思う。そういうような点から考えて、それは検討中でございます。法律案だけ提案いたしました、これでは説得力が出てこないと思うのであります。そこで、もうだいぶ前にこの一億円という限界線を引いたので、今日においては一億円以下の工事は、直轄事業等にはほとんどない。そうするならば、その権限を握っているのは本省のおえら方だ。仕事だけ仰せつかって、権限関係は何もない、そういうものをもらってもつまらぬじゃないか。忙しいことばかり多くなるかっこうになるわけであります。だから、地建が強化されるならばそれでよかろう。しかし、一億円以下の指名権というものは、三億円あるいは五億円というところにランクを上げてもらわなければならぬ、こういう問題が、当然の問題としてうらはらの関係で出てこなければならぬと私は思う。昭和二十四年から今日までの建設省の予算関係の増額を見てみますと、大体十四倍くらいにふえている。にもかかわらず、地建の局長の権限等はこんな小さなものにしておいて、上層部のほうだけ、本省のおえら方のところだけが、そういうような自分の手足まといになるような事務を下のほうにおろすというのでは、話にならないと私は思う。もう一つは、定員はふえないというかっこうになるのですね。振りかえでやりますから純増はないという。私は事業量がふえて、しかも地建には——もちろん本省から優秀なスタッフをやられるでしょう。あるいは地建の中からも一部引き上げて、行(二)あたりの職員を引き上げて行(一)の職員にして、行政関係の事務をやらせるでしょう。しかしながら、それだけの人間でもってはたしてやっていけるかどうかという問題を、非常に心配するわけです。というのは、この点については後ほどまた稻村委員が追及されると思うのでありますが、いままで一番労務管理のへたなのは建設省です。これは定評です。対労働組合対策という問題を考えてみても、各省庁の中で一番へたくそだというのが、通り相場になっている。それも無理はないのです。というのは、いわゆる技術を専門とする職員が多いということが、一つの原因でもありましょう。そして長い間のいままでの問題点のあることも、私はよくわかっている。しかしながら、こういう中において、業務量はふえる、予算はふえる、しかも新たに事務委譲はされる、それではますます労働強化になる、何もしくれぬじゃないかということが、末端で働く——上のほうになりますとそうでもないでしょうが、第一線の行政に当たり、あるいは第一線の事務に当たっている、その仕事についている人たちに言わせると、これ以上われわれのほうにしわ寄せがきたんではかなわぬ、こういう気持ちがあるわけです。そこに、職員の中から、全建労を中心にする一つの根強い反対運動が絶え間ないわけです。私は、この問題は、直営を請負に回すというような形の中でなくて、予算がこれだけふえてきたにもかかわらず、機構的にも人員的にもほとんどふえていない、今度もふやそうとしない、こういうような考え方が、はたして正しいのだろうかどうだろうか、そのあたり、行政の内容について十分にわかってはおりませんので、大臣が責任を持ってその労働業務のいわゆる業務内容、労働量の問題等について、どのように把握をしておられるのか、これをお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/49
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050・小山長規
○小山国務大臣 御承知のように、定員と申しますのは、建設省全体のことを言っておるわけであります。建設省全体の定員でありますが、今度委譲しますのは、いままで建設省という袋の中にありました部分の幾らかを地方に回すのでありまして、したがって、省全体としての仕事の量はふえることもなければ減ることもない、同一分量が移動するわけであります。しかしながら、一方地方建設局について申しますと、そこは仕事の分量がふえますし、本省のほうでは減るわけでありますから、したがって、仕事の減る部分から仕事のふえる部分に人を回す、そういう意味でいわゆる定員やら配置転換の問題が起こってまいります。また、地方建設局自体としても、仕事がふえますと、それに対応する人間を養成しなければなりませんので、行(二)の人たちの中からその仕事に当たってもらう人を考えなければなりません。そういう意味で、仕事の分量に応じた人員の配置というものはそれぞれあとで必要があれば資料を提出いたしますが、そういうふうに仕事の分量に応じた人間の配置は考えておりますから、したがって、いわゆる労働強化になるというふうな面はないと考えておるわけであります。ただ、中には、たとえばいままで行(二)の仕事をしておった人、あるいはいままで本省の事務になれないために、ある程度教育しなければなりませんから、その教育期間中、あるいはまた仕事になれない間に多少ぎこちない点もあろうかと思いますけれども、その点は訓練を経、また仕事になれてくれば、十分にこなし得るというふうに見ておるわけであります。また一方、住宅などにつきましても、すでに長い間の懸案でありますので、予算上の措置も講じてありますし、また住宅の確保もしてあるということで、業務に従事する人が不便のないような措置は講じておるつもりなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/50
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051・村山喜一
○村山(喜)委員 七百四名を落とされるわけですね。そうすると、年々の事業費というものはふえていくわけですね。それに対応する人員の伸びというのは、全然ないわけです。もちろん工事のやり方、あるいは監督のしかたなんかを変えていけば、それはできるでしょう。そして手抜きもやれば、なお監督も少なくて足る。そういうような点を考えてまいりますと、どうも私たちの地方におきましても、いま建設省の直轄の事業をやっている工事事務所あたりと、おえら方の——まああまり偉くもないんでしょうが、幹部の連中が業者とたいへんな飲み食いをやる、こういうのが、どこどこでやっておりますということを県会議員の諸君が、私たちのほうに連絡をするわけです。組合のほうから出てくる数々の資料も私は持っておりますが、これをここで申し上げる時間もありませんので省きますけれども、やはり綱紀粛正、これは権限がなお大きくなってまいりますと、いままでは技術的な困難な仕事をやっておる中において、さほど大きな問題はなかったのだけれども、今後権限増大に伴うそういうような汚職とか、贈収賄とかいう問題が発生しないとは、これは保証できないと思う。そして建設省から民間の土建会社に移る人たちも、定年になりましたら相当あるわけでありますから、その人たちが工事の指名をもらう、あるいは入札のときにある程度情報を教えてもらうというようなつながりができてくる。そして監督の人員が足りなくなったら、でき上がり検査というような形のものが生まれてくるのじゃないか。こういうような問題が、やはり将来の問題として私は生まれてくると思うのであります。それらに対しまして、現在のような考え方で、予算はふえても人員はふやさない、機構の改革はやっても全体としてはふやさない。こういうような問題はもう少し検討されて、一人当たりの業務量というものがどういうように変化をした、その業務の内容、業務量、あるいはその技術の高度性というようないろいろなものも付帯的にありましょう、そういうようなものを測定をして、これ以上は幾ら合理化をやってみてもだめだ、そういうようなものについては、建設大臣は所定の人員の要求をなされるべきではないか。ただ、それを特別会計から一般会計に移しかえをする程度で、定員をふやさないという考え方だけでは、内部のいわゆる行政執行体制というものが円滑にいかないところは、そういうのが一つあると思うのでありますが、これにつきましてはいかがでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/51
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052・小山長規
○小山国務大臣 業務が人間の能力の範囲をはみ出すというような場合には、当然定員の増ということを考えなければならぬわけでありますけれども、しかし、一方において、われわれはいわゆる国民の税金でいろいろな仕事をしておるのでありますから、できるだけ能率的にやる義務を負っておるわけであります。そういう意味で、いまの事務の委譲につきましては、現在においてすでに建設省全体としては人員は不足していないというふうに見ておるのでありますから、事務の委譲に伴って定員がふえるということは、ちょっと理輪的に私としては要求できないわけであります。問題は、地方建設局に委譲されたその仕事に対応する人間が確保できるかどうか、これが実際の問題であろうと思うのでありまして、定員の問題ではないと思うのであります。そこでいまの具体的には委譲された分量に対応する人間だけはぜひ確保するんだという考え方で、今度の御提案を申し上げておるというふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/52
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053・村山喜一
○村山(喜)委員 委譲関係の問題については、七百四名という者がどういうような科学的な根拠で打ち出されたものか、それも事務当局からこれは説明を承りますが、ただこれだけの事務が委譲されたんだから、だから大まかなところこれだけでいいだろうというものではなかろうと思うのです。それには何人幾ら充てて、それはどういうふうにやっていくんだという緻密な計画の上にその数字というものが出されておるだろうと思うのでありますが、ここでふしぎにたえないのは、毎年毎年二割方くらい建設省の予算はふえていくわけです。ところが、定員は一向にふえない。こういうような問題の中から、当然の形として業務量の問題が中心になっていく。そしてこういうような不平不満をなくしていくためには、直轄を請負に切りかえる。そうすると、そこは仕事がなくなっていきますから、ただ監視的な業務になっていく、監督的な業務に切りかわっていく、こういうようなのじゃ、せっかくいままでの技術が生きてこないというので、おもしろくない。あなたはもう仕事がないからやめていきなさいという形の中で、労働行政に対するところの不信感というものが、あちらこちらの事業所において出ておるようであります。そういうようなものを申し上げてもよろしいのですけれども、そういうようなものをもう少し合理的に把握をしていく機構的なものも、お考えになるべきじゃなかろうかと思うのでありますが、このまま放置される考え方でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/53
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054・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 従来、建設省の地建の仕事は、直轄工事につきましては、過去におきましては直営工率という方式で、みずから人夫を雇って川なり道路なりつくり上げていくという方式をとっておったわけであります。戦後になりまして、工事量の増大とそれから建設機械の普及、改良等のこともございまして、逐次直轄事業は直営から請負に切りかえてきております。直轄から請負に切りかえるということが進んでまいりましたに伴いまして、従来、定員をそれほどふやさなくてもやっていけたという実情にあるわけでございます。今年度の建設省の事業を見ますと、直営事業はもう三%くらいになっておりますから、九十何%というものは請負事業になっているわけであります。
そこで、従来、直営事業に従事されておりました職員、これは主として行(二)の職員でありますが、行(二)の職員にとってみますれば、逐次直営事業が減っていくということにつきまして、いろいろ不安をお持ちだろうと思います。しかしながら、将来ともこの行(二)の職員によってやっていただきたいと考えております。仕事がなくなってしまうわけではないのでありまして、たとえて申しますと、現在道路につきましては、一級国道の指定区間が昭和三十九年度には五千七百キロ前後でございます。しかしながら、現在の五カ年計画が終わります昭和四十三年度におきましては、この区間は約二倍に延びます。一万二千キロメートル程度にふえていく。また、河川につきましても、現在は十五水系を直轄管理区間として指定しておりまして、その延長は二千二百キロ程度でございますが、昭和四十三年度におきましては、これが五千キロくらいになるだろうというふうに考えております。これらの直轄管理区間の維持、管理につきましては、やはり行(二)職員が要るわけでございまして、この昭和四十三年度の状況におきましてどの程度の行(二)職員が要るかということを原単位方式によりまして計算をしたものがございますが、約九千五百人程度の行(二)職員はどうしても必要であるという結論に達しております。現在、直営事業が減りつつありますので、行(二)職員の方はいろいろ心配の向きが多いように考えますが、これだけの行(二)職員の仕事があるわけでございまして、昨年の七月現在の統計によりますと、行(二)職員は一万一千八百人見当でございました。将来九千五百人程度に下がるわけでございますが、これにつきましては、約千五百人程度の職員は行(一)に転換していただきたいというふうに考えております。行(一)に転換し得る学歴を持っておられる方々でございます。そういう方々につきましては、行(一)職員のほうに職種の転換をお願いしたいというふうに考えております。また、年々二百人程度減っております。したがいまして、昭和四十三年度までには約九百人の減少が見込まれますので、そういうものを差し引きいたしますと、大体将来におきましてもバランスできる。さらに、将来直轄管理の区間がふえるということになりますれば、またこれ以上の職員が必要になるということに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/54
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055・村山喜一
○村山(喜)委員 行管のほうから局長見えましたので、私、先ほどの問題をここでただしておきたいのでありますが、建設省設置法は、局長よく御承知のように、国家行政組織法上ユニークな特別な組織方式をとっておりますね。というのは、事項的な分類じゃなくて、比較的技術的な分類によってなされている。そこで、技術と目的の分類との衝突という問題が出てくると、そこには共管事務という問題がふくそうしてくる。これが建設省の組織形態における問題点であろうと思うのです。そこで、これらの行政組織法上の問題としてこのものをながめながら、今度、臨時行政調査会からいろいろな意見が出されているわけであります。先ほど大臣からも説明がありました、いわゆる本省においては企画あるいは総合調整、こういうようなスタッフ的な業務というものを中心に考えていくと同時に、その本省が一括してかかえている現業的な業務等は、これを地方支分部局に委譲していく。これはなるほど一つの行政機構の中においては、そうすることが望ましい。これは行政は国民の身近なところにおいて行なわれることが正しいのでありますから……。ところが、問題は、一つだけの問題としてそれをとらえるのではなくて、先ほどからも行政機構の統廃合に関する意見、あるいは行政事務の配分に関する改革意見、これらの中において、都道府県に委譲するような内容のもの、あるいはもうこれらの事項については他の総合開発庁のような新しい機構に委譲をすべきもの等が示されて、しかもこれはいろいろなトラブルがあるであろうけれども、勇断をもって実施しなさいということまで書いてあるわけですね。そうなれば、やはり今日まで農林省等において、あるいは運輸省設置法等にもありますが、地方支分部局を、特に農林省の場合、ああいうような形で行政事務を付与することによって強化しました。その結果、二重行政になっていないかどうかということをわれわれはわれわれなりに調査してみると、やはり現実の問題としては重要な問題については、地方の局長の段階では解決がつかない、本省に行ってくださいということで、本省に来なければならないというのが現実の運営なんです。そこで、そういうような前例等もあるので、この地建強化の問題については、今年八月ですか、この臨時行政調査会の答申を受けて、どういうふうに政府部内としても基本的な構想を立ててこれを前進をさしていくための一つの方向をつくろうとしているのか。それらの方向が出された後に、この建設省設置法のようなものが国会に出されるのが当然ではなかろうか。これについて政府は、いつも臨時行政調査会の答申を尊重するということを言っておりますけれども、しかしながら、現実にそういうような他との共管の問題等が出てまいりますと、事務内容において、当然一行政機関だけでこの問題を考えるわけにはまいりません。日本の国政の中における位置づけというものを明確にすると同時に、地方公共団体との関連性というものを今後行政組織の上においてはっきりしていかなければならないじゃないか、こういうふうに私たち考えておりますので、これについて、過去においては三回も廃案になり、それに宅地部を新たに増設をするということは、これは時宜を得た措置でございますけれども、そういうようなものを若干つけ加えた形の中で、前に出された、廃案になったそれらのいきさつも考えないでつくられた法律案について、あなた方が審査をされたときには、一体これについて問題点は指摘しなかったのかどうか、この点をお答え願いたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/55
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056・井原敏之
○井原政府委員 いまのお尋ねは、あるいは私どもの大臣からお答えしたほうがいいような部分もあるような気もいたします。が、私、事務的なお答えを申し上げたいと思います。
今回の建設省設置法の改正案、これは懸案になっておった問題であります。いま御指摘のように、宅地部の創設の問題が加わっておりますけれども、実はすでに臨調の意見が出る前に方針がきまって進んでおった経緯があるわけでございます。そこでわれわれ中身を検討いたしましたのですが、先ほど御指摘のように、中央省庁が企画統制というような事務に打ち込め、なるべく現業的と申しますか、実施事務は、地方出先機関ないしは地方公共団体に移すべきだ、こういうのが臨調の意見でありますが、その趣旨から申しますと、この今回の建設省の設置法改正案、必ずしも矛盾はいたしておりません。ただ、いま御指摘のように、地建に移しましても、結局いろいろな点で中央省庁は権限を保留しておる。それでまかしたがまかしたにならぬという実態が出てくれば、これはおっしゃるとおりまさに二重行政でありまして、中二階ができただけ行政監察されるのでまずいということになりましょうが、臨調の考え方はそういうふうな考え方ではなしに、まかした以上は思い切ってまかせるという方針であります。いろいろひもをつけるなという考え方であります。
それから地方公共団体との関係の問題でありますが、この問題は今後検討せざるを得ない問題でありまして、今回地建におります事務が、実は地建におろさずにストレートに府県におろすのが筋ではないかというような問題は、これは臨調もいろいろ基本原則を申しておりますけれども、個々の事項ごとに検討をいたしませんと、いまにわかに、これは府県がいい、これはやはりブロック段階の地方出先機関がいいということは、言えないと思うわけであります。したがって、この建設省設置法の権限事務委譲の方向が、臨調が出しておる意見とまさに矛盾をしたり撞着したりするものとは考えておらぬわけです。
それから、こういうことを含めて対外的な技術と事務のいろいろな相克があるじゃないかとか、共管とかそういう問題があるじゃないか、そういうことを含めてどういう機構改革を考えておるのかということのお尋ねでありますが、その件につきましては、実はいま全省庁につきまして、臨調の中央省庁に関する改革意見、機構の統廃合に関する意見等を中心といたしまして、基本的な考え方を練っておる最中でございます。その基本の基準によりまして各省庁に機構の再編をお願いしようと思っておりますけれども、まだ具体的に各省に正式にお話をする前の段階として、改革本部にも相談しなければならぬわけでありますが、そういう段階で、どういう基準で中央省庁の再編を考えるのかという問題は、いま共行管が中心で検討いたしておる作業の最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/56
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057・村山喜一
○村山(喜)委員 だから、私は、そういうような作業をせっかくやって、そうしてその結果今度地建を強化するというような形の中で、行政の事務委譲が内部でなされ、それがまた今度は朝令暮改という形で、一部についてはこれは本省に譲る、一部については都道府県に譲るというような形がとられるということになりますと、行政の混乱という問題が出てくるので、やはりここら辺は慎重に考えるべきではないかという意見を持っておるわけであります。そもそも今度の国会にそういうような含みがあるとするならば、臨時行政調査会の答申等もあり、そうしてまた国民の監視役である一つの機関もつくろうというような段階なんですから、そういうような場合には、各省庁の機構改革案というようなものは、もう緊急やむを得ないような最小限度にとどめて設置法関係はお出しになるというのが、政府のたてまえとしては正しいと私は思う。それをいままでのいきがかりがあったからという形でお出しになるというところに、問題が解決をしない点があるのではないかということを考えておりますので、その点については、それだけ指摘をしておきます。
そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、今回の改正案によりまして、地建が種々雑多な、いままで現業的な官庁として国のそういうような重大な、しかも技術的には高度な仕事の内容のものを中心にして運営をされたものが、ほんとうに小さな許認可の問題やらいろいろなものまでごったにして、そうして地方支分部局が一つの行政官庁化していくわけですね。その場合にあたって私は考えるのですが、やはり地建が一体今後の建設行政の中において、国土開発の中において、どのようなことを中心にになっていかなければならない任務を持っているのか、こういう点を明確にしておかなければ、ややもすればそういうような行政事務に追われて、肝心かなめの、いままで地建として存在価値のあったものがなくなっていくような方向になるとするならば、これはきわめて重大な問題だと思う。そこで私は、今日地建が行なわなければならない仕事、なすべき仕事というものは一体何だろうかと考えてみると、やはり新産都市なりあるいは工業整備地域の、あの地域総合開発計画といいますか、あるいは国土総合開発計画とか、あるいは高速自動車縦貫道路、そういうようなもの、並びにいままで直轄でやってきた工事、こういうようなものが中心になって、いわゆる補助金やその他の地方公共団体に対するところの監督行政というようなものは、従たるものとして考えるべきではないか。やはりもう今日においても、補助金行政一つを取り上げてみましても、新規のものはだめだというのでしょう。これは大蔵省と協議をしなければならないからだめだ。とすると、災害についても、これは地方支部局にまかすわけにはいかぬのでしょう、一定の年次計画の中できまったもののその配分だけは地建でやらせるけれども。そういうようなことから考えますと、やはりどんなに考えてまいりましても、この全体計画の中においてきめられたものの執行だけが地建にまかせられる、それだけのためにわざわざ用事をつくって地建に行かなければならぬ、あるいは地建に監督権が委譲されることによって地建から直接監督をされることになりましょうけれども、いざ大事な問題があったときには、東京まで飛んでこなければならないのが今日の政治の現実です。とすれば、やはりそこら辺においては、一ぺんにそういうような大改革をやるというよりも、そこには現実の情勢に合わせて、そうしてまた事務的なその執行能力というようなものも考えながら、この問題に取り組んでいくという必要性が私はあろうかと思うのでありますが、そういうような考え方から、与野党の中に補助金行政のあり方について、この際委譲をするというのは時期尚早ではないかという意見等があります。これについて、大臣はどういうふうにお考えになるのか、きわめて重大な問題でございますので、お聞かせを願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/57
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058・小山長規
○小山国務大臣 先ほども田口委員の御質問に対しましてお答えをいたしましたが、補助金の配分の事務、これはわれわれの原案では全部地方にまかしてしまったほうが、地域の実情に即して配分——ということは、当然予算の申請か、一切入るわけでありますから、そのほうが地域の実態に即した仕事ができる、それが望ましいのじゃないかということで原案はできております。ただ、田口委員にもお話を申し上げましたが、この考え方については、また別の考え方もあるわけであります。つまり全国的な視野で見たらどうか、そのためには本省に残しておいたほうがいいのじゃないかという意見があることは、承知いたしております。ですから、そういう二つの意見があります中で、われわれはこちらをとりましたということを申し上げておるわけでありまして、この点については、衆議院としてのお考えがあれば、またわれわれはそれを伺いまして、検討するにやぶさかではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/58
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059・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題については、全国知事会の前に出された意見の中にも出ているのです。「予算の要求、予算(補助金)の内定までの事務は、従来どおり本省において実施し、交付決定に至るまでの事務、すなわち設計審査、現地調査等の業務およびその施行に関する事務(検査、指導等)のみを地方建設局に移譲すること。」こういうのが、前の知事会の政府に対する最小限度の要求事項の中の第一項目として出されているわけです。こういうような声も、やはり率直に聞いて対処されることが必要だと私は思うのであります。
この問題はこれで省きますが、行管のほうにお尋ねをしたいのは、今度北海道開発庁の定員をふやしました。これは設置法の改正の中においてわれわれは賛成をして上げた。その中に石狩川の、直轄河川が一級河川になったことに伴いまして、いままで北海道庁が行なっておったものが開発庁のほうに移るということになる。これに伴って河川監視関係の業務内容がふえるということになるので、定員をたしか十八名だったと記憶しておりますが、ふやしたわけですね。ふやして、これは賛成をした。ところが、建設省とこちらのほうの関係は、一級河川として十五水系が指定をされたにもかかわらず、これは一人もふえていないわけなんですが、そういうようなことが、片一方においては定員をふやさなければならぬ、片一方においてはふやさなくてもよろしい——もちろん建設省のほうから定員をふやしてくれという要求がなかったのだろうと思うのでありますが、そういうような場合には、行政管理庁としては一体どういうふうに判断をして、定員の増減の問題についての基準をお立てになるのか、この点を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/59
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060・井原敏之
○井原政府委員 これは国会で、設置法改正で定員がいまの数字から頭を出す増員ということになっております。けれども、御承知のように、去年の九月四日の欠員不補充で凍結しておる数字があります。その中からたしか百名余りのものを解除いたしております。そういう意味で、北海道と同じように行政事務の内応に見合う実質上の増員といいますか、そういう面では満たしておって、あながち片手落ちにはなっておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/60
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061・村山喜一
○村山(喜)委員 官房長、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/61
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062・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 特別八会計の定員は、一般会計の定員百二名振りかえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/62
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063・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで一水系については、その前にどれくらい北海道庁ではやっておったんだと聞いてみたら、当時の説明では、約八十名くらいがその河川の監視業務等に携わっておった、それを国に移管をしたら十八名でいいというのは一体どういうわけだと聞いてみたら、一応の説明はありましたけれども、これはまたきわめて不十分な説明である。それにもかかわらず、われわれが賛成をしたのは、幾らかでも定員がふえるということにおいて、業務の内容が国に移管されたのですから、これは賛成をして上げたわけですが、石狩川を除いて十四水系で百二名、そうすると、石狩川だけは十八名、こういうような基準というものは、百二名が特別会計から一般会計に移されるのだという説明だけでは十分な納得ができない。そういうような点について、たとえば河川敷の占有権許可の問題等をめぐりまして、現実に国会でも論議されているように問題が出ておるのでありますから、河川監視の業務というものもおろそかにはできない。砂利等をじゃんじゃん取りまくって、そうして提防がくずれるようなことをやっても、それを無視するようなかっこうになるのですから、やはりそれには監視の業務というものが必要です。とするならば、百二名を解除したとか、一般会計に移しがえをしたというだけでは、これは行政効果をあげることはできないのではないかと思いますが、それでもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/63
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064・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 北海道の定員の増につきましては、私は詳細に承知いたしておりませんが、建設省の内地の十四水系の定員の増につきましては、建設省は直轄工事をやっている区間につきましては、従来ともある程度の維持関係の仕事あるいは占用関係の仕事をやっておったのであります。これは予算の要求当初におきましては、実は相当の数の水系につきまして相当の延長を直轄管理するという予定でおったわけでございますけれども、本年度の予算編成に際しまして、十五水系ということに相なりました。と同時に、直轄で管理する区間というものが、従来の直轄工事をやっておりました区間とそれほど結果的に変わらなかった、若干変動はございましたが、それほど変わらなかった、十五水系につきましてもそれほど変わらなかったという実情がございますので、この程度の増員にとどまっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/64
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065・村山喜一
○村山(喜)委員 しかし、水系一貫主義のもとにその水系が指定をされたのですから、いままで直轄工事のところの部分にプラスアルファとしてつけ加わってくるでしょう。そうでなければ、それを河川法の改正によってやる必要がないですからね。ですから、私はここで再度大臣に要望を申し上げたいのは、人間も無制限にふやすのは、これは行き過ぎでありましょうし、できるだけ安上がりの行政というものを国民は望む。しかしながら、それが一部の者にきわめて不特定な利益を与えるような形になるとするならば、これはきわめて重大な問題でありますから、最小限必要な人員というものは確保する、そしてその人員にはこういうような業務内容があって、これだけの権限と責任がある、それを果たしていくのには、一体現在の組織形態の中においてこれだけの人間が要するのだという、一つの科学的な労務管理の基準線というものを打ち出される必要があるのではないか。建設省は技術屋さんが多いので、そういうような点はふえてでありましょうけれども、他の省庁にないほどいろいろトラブルがございます。これはやはりそこに科学的な労務管理というものが十分になされていないという点にも、原因があろうと思います。これは小山建設大臣がずっと歴代の内閣の建設大臣をしておいでにならないわけでありますから、大臣だけを責めるわけにはまいりませんけれども、長い間の歴史があり、過程がある、その中において蓄積された不平不満というものが、そういうような形で、いびつな形で爆発するということは、これは行政の衝に当たる人たちとしては正しい姿ではなかろうと思うので、この点については、今後十分検討を願いたいのであります。
それから、ここで私は大臣に一言問いただしてまいりたいと思いますのは、補助金行政のあり方に問題についてであります。私も、建設省で地方道あるいは国道関係、それに河川関係から何から全部調べてみました。そうすると、地域によって、地区によって、非常に開発の計画が軌道に乗っているところがある。ところが、全然そういうような補助金の恩恵も、大きな町自体だった一つで二百万円——二百万円ですよ、あるいは三百万円、あるいは百万円という、そういう段階があります。そしてそれを調べてみました。そうすると、道路の側溝がないものだから、雨が降ったら道路が川になる。改良しなければならないのは山ほどあります。そういうようなところにかかわらず、人口が少ない、あるいは道路面積は広いけれども、改修率は十分でない、いろいろなファクターはありましょう。しかしながら、これを見てまいりました場合に、ある町村においては、道路改良事業で一億円をこえるような事業量が投げ出される。ある町においては百万円、二百万円という姿が見られる。そしてそれは同じ地域においてそういうような問題が見られるわけです。これを見まして、一体こういうような行政政策というものがいいのだろうか。道路局長お見えになっておりますが、そういうようなことは、たとえば都道府県でつくったものを基準にしてそれを査定をしていくというところに、一つのそのような姿が出てくると思うのであります。あるいは道路整備五カ年計画の中において、一つの策定計画のもとにおいて予算の査定がなされるところにそういう問題が出てくると思うのであります。そこで、大臣が就任をされました直後、大臣は道路の未改良率の問題を予算配分のファクターとして取り上げていこうというようなことも説明をされたようであります。その問題がいろいろ技術的には問題があるということも聞きました。しかしながら、現実にそのような姿がわれわれの周辺には起こっている。そういたしますと、その地域に参りますと、私たちは要望がかねがねあるのに県の計画にはのらない、まして県の計画にのらないものだから、建設省のほうでは補助金のつけようもない、こういうような形で放置される、このようなのが現実にあるわけですよ。それが一カ町村や二カ町村であれば別ですが、相当な数がある。そして政治力のある代議士が出ているようなところには、予算がたくさんついている。こういうようなのが一体行政における公正なあり方であろうかどうか。この点については私疑義を持っている。
それと、もう一つの問題点は、いわゆる公共投資のあり方であります、行政投資のあり方であります。大都会には、道路公団であるとかというような、企業収益を一応の目安にいたしますものが行なわれる。そういうようなのを大臣の出身地である宮崎であるとか私の鹿児島あたりに持っていきましても採算がとれないわけですから、できるだけ採算のとれるようなのは大都市中心。そうすると、そういうような採算のとれる企業的な会計のもとにおける特別会計のものは、大都市中心にばらまかれる。それからもう一つは、一般の公共事業であります。これはなるほど府県財政についてはその財源配分等もなされてはおりますけれども、やはり何といっても大都市中心の行政投資が行なわれている。その結果、それらの行政投資全体を含めてみますと、これは太平洋ベルト地帯を中心に、大都市中心の建設行政が行なわれている。そうして地方のほうは、離島は特別法があるので若干の救済ができておるようでありますが、そういう以外のところは、行政投資がきわめて少ない、こういうような姿が、大きく言うならば問題が出ているのであります。これらの問題を、地建強化というような問題との関連の中において、どういうようなものとして受け取っていいのか、私はわかりません。やはり事業量というようなものの決定をされるにあたりましては、これは政策的なものもあろうかと思うのでありますが、中期経済計画等においては、地域開発の問題、地域の所得格差の是正の問題等については、詳しく触れておりません。縦の部門ごとのやつだけしか取り上げられていないのであります。今後の課題として、地域開発の問題は、一切問題が将来に取り残されている。こういうようなときにあたりまして、大臣の基本的な考え方というものをこの際承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/65
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066・小山長規
○小山国務大臣 就任以来、この予算の配分について、従来整備率、舗装率などの全国平均よりもおくれているところは、できるだけ早く追いつくようにしようじゃないかという考え方をたびたび、公式、非公式を問わず、申し上げてきたわけでありますが、今度の予算配分にあたりましても、その点は貫きまして、全国のうちで十七県、いままでおくれておりますところを取り上げまして、この部分については、理論配分といいますか、一般の配分以外に、そういう特別な配分をすることにいたしたわけであります。ところが、いまお話にありました、それが今度は県の段階にまいりますと、県のほうで補助申請をしていないという問題は、私のいまの考え方を実行しましても、これは解決できないわけであります。そこで、補助金の申請から配分の事務まで地方建設局にやらせれば、そういう面まで解決できるじゃないかという考え方もありまして、補助金の事務を地方建設局にやったらどうだろうか、こう考えたわけなんであります。これについては、先ほど申しましたように、いろいろな考え方がありますから、必ずしも固執しませんが、そういう考え方のもとにやっておるということだけは、御理解願いたいと思います。
それからなお、建設省に関します限り、いまお話にありましたように、公共投資といいますか、財政的な収益事業というものが、都会地に片寄りがちであるという点は、おっしゃるとおりであります。そこで、たとえば建設省で申しますと、日本道路公団がやりますところの有料道路、特に縦貫道路があるわけでありますが、こういうものも、いまおっしゃった意味とは少し違いますけれども——おっしゃった意味は、地方にも公共事業がぐんぐん出ていって、そして事業の分量全体として地方のほうも潤うような公共投資をすべきじゃないかというお話であったようでありますけれども、それと直接にはぶつかりませんが、その効果も出てくるわけでありますけれども、たとえば縦貫道路の場合には、従来は採算性を重んじて、ともかく引き合うところからやろうじゃないかという考え方があったわけでありますが、私は今後の道路行政の場合には、それだけにたよっていると、ますますいわゆる地域格差が拡大していく、おくれたところはますますおくれたままでほったらかされるということで、これをひとつ是正していきたい。今年度から始まりますところの高速自動車道路の場合にも、そういうものを是正する意味の路線の選定というものをやってみたいと考えておるわけでありますが、いまおっしゃった意味とは若干違いますけれども、おっしゃったような効果は、その面からも出てくるのじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/66
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067・村山喜一
○村山(喜)委員 時間もありませんので最後の質問にいたしますが、次の問題は、どういうようにお考えになっているかということであります。これも知再会のほうから出された修正意見でありますが、「地方建設局に委譲すべき事務のうち、下記各号については、次のように修正すること。」これの第一は、「人口十万人以下の都市計画の決定についても、大都市周辺地区および広域都市計画として考慮すべき地域のものは、これを削除すること」、これは都市計画の決定のものです。それから「土地区画整理事業については、個人、共同ならびに土地区画整理組合の行なう事業計画の設計の認可は、都府県知事に委任すること」、「(3)市町村道にかかる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理の実施、監督は、都府県知事に委任すること」、これは機関委任のことであります。第四は、「防災街区造成事業の監督、防災街区造成組合に関する事務は、都府県知事に委任すること」、「市町村の区域ごとの公営住宅建設三カ年計画に関する事務は、都府県知事に委任すること」「(6)所管行政に関する監察事務は、二重監察にならないよう、監察事務の簡素化をはかること」。そのほかに第三といたしまして、「建設大臣の決定権のある駅務については、二重監督、二重行政の弊をさけるため、地方建設局を経由しないこととすること。」それから「地方建設局へ委譲される事務について、これを政令に規定するに当たっては、事前に関係都府県の意見を十分に徴すること。」こういうような内容のものがさきに要望として出されているわけでありますが、第一点の予算の要求、いわゆる補助金の内定までの問題については、国会の修正に応ずるような御意向を承りました。その点については満足をいたしますが、いま私が申し上げました点について、こういうようなものについては検討をされて、今度の国会にお出しになったのであるとするならば、それがどのように生かされているのか、これを説明を願いますと同時に、これらの内容について、やはりこの際考えるべきじゃないかと思いますので、意見をお聞かせを願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/67
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068・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 知事会の意見のうちの第一でございますが、「人口十万人以下の都市計画の決定についても、大都市周辺地区および広域都市計画として考慮すべき地域のものは、これを削除すること」という点でございますが、これは知事会の意向の方針に沿いまして措置したいというふうに考えております。したがいまして、大都市周辺なり、あるいは新産都市等の都市計画の決定につきましては、本省でよくこれを見るということでいたしたいと思います。
第二点の「土地区画整理事業については、個人、共同ならびに土地区画整理組合の行なう事業計画の設計の認可は、都府県知事に委任すること」、これは従来とも実は一部の規模の少ないものは委任いたしております。それは前々から行管等の勧告もございまして、その規模を引き上げようということを実は検討いたしておりましたが、これは土地区画整理法の施行令の改正によりまして、つい先般でございますが、三月の末に施行令を改正いたしまして、知事に委任する範囲の規模を引き上げております。
それから第三点の「市町村道にかかる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理の実施、監督は、都府県知事に委任すること」ということになっておりますが、現在、市町村道の管理者は市町村でありまして、その監督は、指定市の場合を除きまして、都府県知事が行なっております。
第四点の、「市町村の区域ごとの公営住宅建設三カ年計画に関する事務は、都府県知事に委任すること」という要望がございますが、市町村の区域ごとの公営住宅建設三カ年計画も、都府県の区域ごとの三カ年計画同様に、住宅公団なり、あるいは公庫住宅等の政府施策住宅との調整をはかった上で行なう必要がありますので、それに関する事務を都府県知事限りで行なうということは、適当ではなかろうというふうに考えております。
それから次に、「防災街区造成事業の監督、防災街区造成組合に関する事務は、都府県知事に委任すること」という項目でございますが、これらの事務は、技術的にも複雑でございますし、まだ法律施行後、日が浅うございます。したがいまして、現段階におきましては、建設省で行なうことが適当であるというふうに考えておりますが、将来、この事務に習熟していくとか、この事業を全国的に普及していくというような事態に応じまして、改正していきたいというふうに考えております。
それから「所管行政に関する監察事務は、二重監察にならないよう、監察事務の簡素化をはかること」という要望でございますが、これは二重にならないように、監察の実施にあたりましては、さように運用していきたいというふうに考えています。
次に、「建設大臣の決定権のある事務については、二重監督、二重行政の弊をさけるため、地方建設局を経由しないこととすること。」という要望でございます。原則といたしましてはさように取り計らいたいというふうに考えておりますが、ただ、地方建設局の仕事と非常に密接な関係のある仕事につきましては、一部につきましては経由ということもあり得るというふうに考えております。
次に、「地方建設局へ委譲される事務について、これを政令に規定するに当たっては、事前に関係都府県の想見を十分に徴すること。」という要望でございますが、実は今度の設置法の規定によりまして、事務を委譲する場合につきましては、他の法令に根拠がありますものにつきましては政令で制定しますが、原則といたしまして訓令で処置したいというふうに考えております。これにつきましては、現在地方建設局との間では打ち合わせが進んでおりますが、その線に従って処理したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/68
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069・村山喜一
○村山(喜)委員 私はこれで質問を終わりますが、訓令十六号等をめぐりまして、いろいろ問題が派生をしているようでありますが、それらの問題につきましては稻村委員のほうから触れるということでありますので、この点については省略をいたしますが、先ほど私大臣に要望を申し上げたわけでありますが、例の、もう少し業務内容というものを科学的に分析をして、必要なところは必要な人員を回す、そうでないところはへずることも、それは必要でございましょうが、これをもう少し検討願わなければ納得をしない人たちが多いのではなかろうかと思われますので、この点については、今後御検討を願う意思があるかないか、どうですか。その点だけを承りまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/69
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070・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 建設省といたしましては、今後の業務量の増大、あるいは事業執行方法の近代化というふうなことを予想しまして、近代的な労務配置と申しますか、科学的労務配置につきましては、さらに検討を続けていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/70
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071・村山喜一
○村山(喜)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/71
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072・河本敏夫
○河本委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/72
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073・受田新吉
○受田委員 時間があまりないようですから、質問のはしりだけさせていただきます。この席でけっこうです。十分ばかりで質問を終わって、お昼を差し上げたいと思います。
今度の建設省設置法の改正案の中で、ポイントの一つは計画局に宅地部を新設されるということでございます。もちろん職員定数等においてはあまり変更を見ずして、宅地部の効果をあげようとしておられるようでございます。私は基本的な問題をまずお伺いいたしたいのですが、建設大臣は、従来の建設行政の中で、特に御就任以来お考えになっておられると思うのでございますが、日本の宅地政策というものはよほどまずかった。文明国らしくない宅地に、多くのマッチ箱のような家が雑居している。一方においては、ばかげて広い邸宅を持ってのさばっている特権階級がおる。これを根本的に改めて、日本国民として生まれた以上は、人間らしい暮らしをすべての国民に与えるという基本線を建設大臣はお持ちにならなければいかぬと思うのです。かつては貧しく一市民であった人が、一たび自民党の代議士になり、閣僚になるというと、とんでもないでっかい邸宅を手に入れられる。どこから金を手に入れられたのか、私知りません。やはり閣僚になられるということになれば、それ相応の資金源もどこからか出てくるのでしょうが、しかし、自分の家をりっぱにつくって、別荘をつくってのさばるような心得違いの閣僚が、この日本の文明国家の指導者となっている限りは、スラム街で暮らす庶民は救われません。いまから基本的な大臣の心がまえを伺いたいのです。福祉国家をつくろうという現実の政治の中で、人間としての住まいようもないような六畳の間に四人も五人も住んで、そして三面記事をにぎわしておる多くの悲惨なる自殺とかあるいは家庭紛争とかの発源地は、そういうささやかな暮らしの家庭が、狭い家で夫婦とその子供が一緒に暮らす、親とその子が一室におるというようなところに原因がひそんでいることは、もう大臣十分御承知いただいておると思うのです。ところが、この大東京のどまん中にさえ、一人で何百坪も何千坪もの広々とした邸宅を持って、いにしえの大名のような暮らしをことさらに描いておられるような閣僚もおられるんじゃないかと、私懸念をいたしております。同時に、国有財産を安く払い下げてもらって、今度建設省のなさった道路にも関係してくるのでございますが、その道路計画の中に入る部分の値段とそれから本人が国から払い下げてもらった土地の値段とが、同じ時期に食い違っている点を御承知いただいておると思うのですが、御承知ないですか。——これはやはり建設行政に関係してくる問題になってきます。私は、きょうは、あなたのような非常に清廉潔白な建設大臣のときにずばっとやってもらいたい。いまの問題は決算委員会でもやっているけれども、これに関係するから、道路、国道の計画と国有財産の払い下げとの関係も、このあとで私はお聞きしてもいい。法案に関係する問題ですから、決算委員会だけでやる問題じゃないと思うのです。また午後四時以後にあらためてお聞きしますが、そういうことで、日本の建設行政の中、特に住まいということは、文明国として一番恥ずかしいことになっておるのです。私は何回か外遊をしてみて、ほんとうに目をみはるような諸外国の実情を見ておる。去年スウェーデンで九月に総選挙を行ないましたが、この選挙では何が与野党で政策の論争になっているかというと、セカンドハウスをつくることが論争の中心になっておる。お互いの住まいが一つある。第二の家、別荘をお互いがつくるようにしようじゃないかというようなゆとりのある問題が、総選挙の論争になっておりました、欧米の国々で、もうほとんどの国家は、公務員住宅をりっぱに完成しております。アデナウァーは、西ドイツを建設するときに、彼みずからが、この廃墟の西ドイツを復興させるためにはまず庶民の家をつくることである、官庁はあと回しにせよと言って、官庁の建設を一番あと回しにして、西ドイツでは、公務員はあの空爆でやられた青空のビルの中で相当長期にわたって——最近は解消しておるようでございますが、相当長期にわたって仮住まいのところで執務をし、そのかわり、勤労者の家だけはきちっとつくることを優先させました。西ドイツ今日の繁栄の陰に、人間が人間らしい暮らしのできる住まいということをまず実行に移したということは、これはなかなか善政の基盤であったと私は思います。日本の国のほうはどうかというと、どこでも官庁街はばかにりっぱにつくっておる。庶民の住宅は、建設省が長期計画をお立てになったけれども、途中でくずれておる。思うようにいっておりません。また、第二の長期計画をお立てになっても、一向一千万戸という住宅不足を解消する基本解決を見ておらない。これはおかしいですね。建設大臣がまずこの問題を処理されることによって、どんなに後世の人々に感謝されるかと思うのです。一つ私御提案を申し上げたいことは、官庁をつくることもけっこうでございますけれども、庶民の一人一人の家をりっぱにつくって、まず個人が、一人一人が安定した——ささやかでもけっこうです。何畳か基準をおきめになってもけっこう、庶民の家を一人が一つ持つ。あるいは高層建築のアパートでもけっこうです。一室を、必ず人間らしい暮らしのできるところを持たせるところに政治の基本を置かれて、でっかい広壮な邸宅をできるだけ開放し、あるいは縮小して、これを庶民に与える。もう一つは、官庁街、学校というようなものを衛星近接都市に移転してやるという方法も一つあるようでございますが、そういうようなことを思い切って施策の上で実行に移されて、この住宅不足、密集地帯の人間らしい暮らしのできない人々に、文明国に恥ずかしくない人間の暮らしができるように、建設行政の基本としての住宅問題の解決をお考えになっておるかどうか。基本国策を、抱負経論を小山先生からお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/73
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074・小山長規
○小山国務大臣 人間の生活を豊かにさせるものは住宅でありまして、その点、受田先住のお話しのとおりわれわれは考えておるわけであります。いま西ドイツのお話をされましたが、私の記憶違いかもしれませんが、たしか西ドイツでも、最初はまず生産設備に力を入れまして、生産設備ができ上がったところで住宅に力を入れた、こういうふうに私は記憶しております。日本の場合もまた同じような経路をたどっておりまして、これは国がやったわけではございませんが、政策の基本としては生産設備をまずつくり上げようということでやりましたことも伴いましてか、住宅が非常におくれておるわけであります。何とかしてこの住宅問題を片づけたいというので、公営住宅の三カ年計画をつくったり、あるいはいまの七百八十万戸の住宅不足を解消したいというので、建設省として一つの案を持っておりますが、これはまだいわばオーソライズされた案とは言いかねますので、次の予算の編成のときには、これをぜひともオーソライズされた住宅計画につくりあげたい。七百八十万戸をつくるについては、いわゆる五カ年計画といいますか、そういうものをつくり上げて、そうしてこの住宅問題に取り組んでいきたい。それには一番やっかいな問題は、土地の問題であります。土地の問題についても、国会でたびたび御議論がございまするし、私どもも真剣に取り組んでおるのでありますが、何と申しましても、一番の障害は私有財産と公共の福祉をどうするかという問題が一つありますのと、それからもう一つは、いま御承知のように、土地の収用の場合にも時価主義というのをとっておりますが、この時価主義というものは、一面考えますると不都合のようでありますけれども、一方においては、また合理的な面があるわけであります。不都合な面から言えば、御承知のように、安い土地を手に入れようというのに、それが不当につり上げをされたり、いろんな不都合な面が出てまいります。一方、今度は時価より安く強制的に収用しようとしますと、外国と違いまして、日本の地主というものは非常に小規模な地主が多いものですから、たとえば四、五反歩しか持っていないものから三、四反歩を強制的に時価より安く取り上げるとなりますと、今度は生活保障、職業転換の問題が出てくる。そういう面で、やはり国としては同じような値段を払わなければならぬという問題が出てまいるというようなことで、この土地の問題はなかなかやっかいな問題がたくさんあるのでありますけれども、しかし、いま土地の問題が一番やかましいのは、過密都市の問題と相関連して出てくるわけでありますが、そこで、過密都市対策の一環としても土地問題を強力に検討する必要があるというので、御承知のように、閣僚懇談会を設けてやっておるわけであります。一方、たとえばこの過密地帯内における住宅、これはあるいは都市の再開発というようなことばで言われておりますが、その再開発をやろうじゃないかということで、これまた今年度の予算にもある程度の予算を計上しておりますけれども、そういう面からもまた住宅問題を解決していきたい。何と申しましても、一番の隘路は、国がやろうとしますと、国のいわゆる財政力の問題にひかかってまいります。国だけでできない部門は、民間の協力を得たいということで、税法上の優遇措置を講じましたり、あるいは今度民間人もひとつ積み立てをやってもらおうかということで、地方住宅供給公社というようなものを今度つくろうといたしておりますが、そういうようなあらゆる問題、あらゆる面を総合しまして、住宅問題を解決していきたい、こう念願をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/74
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075・受田新吉
○受田委員 西ドイツの例をお引きになりましたけれども、私、いまの住宅政策で、廃墟の中から勤労者の住宅をつくることを第一として取り上げた——もちろん生産と伴うてきておるわけでありますが、官庁の建築はこれはあと回しにしたということです。私はそこをいま指摘したのです。庶民の住宅のほうができ上がって、官庁をつくろうというこの国策は、非常に西ドイツの今日の繁栄の基盤になっておると思うのです。日本の場合は、中央官庁をばかでかいものをどんどんつくって、目のさめるような都市美というものを考えればそれでいいですが、地方で市役所をつくるとか、町村役場というものができる。学校でもできれば非常にいいことだと私は思うのですけれども、そういう公務執行の場をいたずらに大きくするために、地方の市町村などが借金までして役場をつくることに、非常に力を入れ過ぎておる。そこで、赤字が累積してくることになる。庶民の家をそのままにしておいて、役所づくりのほうに狂奔しているこの行き方に、一つ問題がある。そのことについてのお答えをまだ願っていないわけです。
それから、安い宅地を取得させるということでございますけれども、公共福祉の問題と私有財産の問題とのかね合いもございましょう。しかし、これは話し合いで幾らでも解決できることであるし、それからいまや昔の皇族、華族にかわって新興成金の皆さんが、新しい皇族、華族のような住宅を持った者がたくさん出てきたわけですが、これが残念なんです。もう大東京などでは、一軒の住まいの規格というものは大体三百坪、五百坪程度に制限を付して、(「百五十坪以上は大きい」と呼ぶ者あり)せいぜいそのぐらいのことにしてやって、まあ百坪から百五十坪ぐらいのところにとどめる。この広い東京にものすごい邸宅を握っておるような者は、いたずらに国民の中に反感を抱かすばかりですから、みんなを納得させるような意味で広壮な住宅を開放して、住まい、宅地に困っている人々にそれを提供するというような政策をおとりになってはどうかということをいま私提案したわけでございますが、そういう基本政策が建設省にあれば、その心がまえでやられれば何とかなると私は思うのです。願わくば自民党のほうに一番多い——われわれのほうにもあれば大いに協力しますが、大体閣僚の皆さんあるいは大財閥の幹部の方々が、進んでわが家を半分ほど提供しようというふうな気風を、戦前にダイヤモンドを供出したような気持ちで、庶民の住宅事情の困難なときに——百五十坪以上は多いという先生もいらっしゃるわけですから、そういうものを庶民に提供する、開放するというような、みずから道義的に住宅不足を補うような心がまえを閣議などで御発言になられて、大いに住宅事情の緩和をおはかりになられてはどうですか。これは基本的な問題でございまして、末節の問題ではないのですから、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/75
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076・小山長規
○小山国務大臣 民間の住宅ができたところで官庁というお説は、しごく同感であります。ところが、これはまた受田先生も御承知のように、いなかへ行ってみますと、市役所をりっぱにしろとか、町村役場をりっぱにしろというような意見のほうがむしろ充満しているといいますか、そういう傾向にあることもまた事実のようであります。いまおっしゃいました点について、政府としては、今度の予算の編成にあたりましても、いわゆる営繕予算というものは極力これを押えまして、全体の伸び率よりも三%ぐらいたしか落ちておると思います。そういうふうな配慮はいたしたつもりであります。
それからもう一つの、いまの広壮な住宅の開放の問題でありますが、これは先ほども申し上げましたけれども、道義的に本人が出してくれる分については、これはもうその解決は本人自身承知すればいいわけでありますが、これを政治として、政策としていたす場合には、やはり価格の問題が出てまいることはいなめません。その価格は、いよいよ相手方が聞かないとなれば強制収用ということになるわけでありますが、強制収用は、御承知のように時価によるということになってくると、勢いそういうものを手に入れましても、安い宅地を庶民に提供するというわけにまいらなくなってしまうわけであります。ですから、われわれのねらいは、できるだけ都会地においても、たとえば工場の移転あとなどというようなものがまだまだあるわけでありますから、そういうものを少し大規模に手に入れまして、それを集団住宅化して、同時に過密の問題として考えなければならぬのは緑の問題があります。でありますからして、集団住宅をつくったならば、その周囲には必ず緑、いわゆる公園、緑地あるいは子供の遊び場、そういうものを配置していく。こういう考え方で都市の再開発に当たりたいというふうに考えて、今度の建設省の予算にもそれを計上いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/76
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077・受田新吉
○受田委員 先ほどお尋ねした中でお答えができてないのは、首都に例をとりましょう。首都圏整備の計画遂行上、大学とか官庁とかいうものを近接の都市に、そういう官庁街、学校街というようなものを移転さして、そして都内の住宅需要の緩和をはかっていくという手も一つあるわけです。これは国の基本方針がきまれば、イタリアのローマの郊外にすでにりっぱな官庁街が建設されております。これは非常にわれわれ共感を呼んだわけでありますが、そうあまり遠くない地帯に官庁街が並んでいる。ブラジリアの都市の計画を見ても、これは新設都市ですから、初めからそういう計画でやっているわけであります。リオと対等して新しい首都計画が進んでおる。これはいろいろ途中で問題もありますけれども、日本の国のような、お説の通り緑地のない、この密集した東京、大阪のような都市に、ひとつ画期的な非常な広い地域の空閑地ができるような計画をおとりになることは、これはやはり国づくりの上では非常に大事なことだと思うのです。人づくりも、このごみごみしたところで教育をするよりも、少し離れた空気のいいところでみっちり大学教育を施してあげる。これは人材養成の上からも、健康の上からも、いいと私は思うのです。そういう基本的問題をお考えになっておられないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/77
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078・小山長規
○小山国務大臣 学校と研究機関の移転については、学園都市をつくることの方針がきまりまして、今年度予算にも計上してありますように、学園都市の計画は進んでおります。これには研究機関のほか、一部の大学もだんだん話が進んでおるようでありますから、これを進めていけば、そのあと地において緑地もつくることもできましょうし、あるいは集団住宅をつくることもできると思います。これは強力に今後も進めていきたい、こう考えております。一方、官庁の移転については、いろいろお説があります。特に東京の過密を除去するためには、中央の官庁を外に移転することがいいのじゃないかという話が、私の就任前からあったのであります。これはまだ、議論としては出ておりますけれども、詳細な調査はできておりません。というのは、一つは、官庁を移転することによって一体過密問題としてどの程度の効果が出てくるものかどうかという点が一つと、そのために日本の長い歴史からいって、官庁と産業あるいは金融が結びついておったが、その問題にはどのような影響が出てくるであろうかという問題を研究してかかりませんと、いたずらに土地ブローカーを肥やすだけの問題になってしまいます。そこで私は、就任以来、この問題は慎重に考える必要がある。やるときまった以上は、土地ブローカーの暗躍を防ぐ方途もまた考えておいてやらないと、かえっていろいろな弊害のみが生じてくる、こう考えまして、この問題は慎重な検討の上でやるべきであるという方針を立てておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/78
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079・受田新吉
○受田委員 いまの、官庁移転の問題は慎重にやらなければならぬ、土地ブローカーを肥やすという副産物もあるということでありますが、これは土地ブローカーの実に悪質なやつは、撲滅しなければいけません。このためにどれだけの善良なサラリーマンその他の庶民がごまかざれたりして苦労しているか。もう土地の地図などもいいかげんなものが公開されておるし、それから、宅地調査士のようなものも、まことにあいまいなもの、にせものがおる。こういうようなところで、やはり土地売買業については厳重なワクをはめて、そういう悪質ブローカーの跳梁を許さないような思い切った御措置を願いたい。遠慮する必要はありません。もしそういう悪質なブローカーが、それを弾圧することによって大臣を刺しに来る危険があるならば、国民がこれを擁護します。これはやはり英断をふるわないと、のらりくらりしていると、あなたが大臣をやめたりしてあとおそるおそるしてからに手をつけられぬということになると、いつになったらこの住宅問題が解決するかわからぬことになる。だから、ここでせっかく計画的に宅地部を設けてやろうという、宅地行政の非常な熱意を示された機会に、そういう土地ブローカーを解決する、善良な土地売買業者を育成していく、不良なものを抹殺していくという思い切った御措置を願いたい。これはやはり建設大臣のほうでしっかりした腹がまえでやられないと、何かやるというと、すぐそこに陳情団が来る、恐喝が来るということになって、ものごとはおそるおそるやったら仕事はできません。これは国民全部が納得し、協力する形のものは、勇気を持っておやりになっていいわけです。副産物の弊害を除去する方法は、幾らでもあると思うのです。方法はありませんか、悪質ブローカーを撲滅する方法は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/79
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080・小山長規
○小山国務大臣 そのために、いま法制としましては、御承知のように、宅地建物取引業法というものがありまして、監督の権限をわれわれは持っているわけであります。これで本腰を入れてやっておるわけでありますが、宅地建物業者というのは全国で三万五千ぐらいありまして、これを一々われわれのほうで登録をしてやるという法制になっております。この問題がはたしていいのかどうか、非常に疑問の点もありますが、ともかくそれで善良なる宅地業者を助成をし、そうして悪質なものを振り落していきたい、こういう考え方で指導を今後も続けていく決心であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/80
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081・受田新吉
○受田委員 指導を続けていくことを、思っておられるだけではいけない。これはもう思い切って早急に手を打たなければいけない。営業の自由権は憲法にも保障されていることでもありますが、悪質な営業の自由というのはないわけです。公共の福祉に反するような営業はあり得ぬわけですから、このこともひとつ心に入れておかれて、どうですか、そうした悪質業者に対して登録抹殺措置などをどんどんとっておられるのかどうか、ケースなどはどういうふうになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/81
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082・小山長規
○小山国務大臣 免許制を実施しましたのは今年の四月一日からでありまして、いま初めて実施したわけでありますが、いまおっしゃいましたように、悪質なものがあればこれはどんどん登録を取り消していく、こういうきびしい態度をとりませんと、一罰百戒になりませんので、そういう面は、今後も一そう免許制になった機会にそれを実施していくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/82
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083・受田新吉
○受田委員 この宅地部という新部の設置について、機構上は部長一つつくるだけで、あとは何もつけ足さぬということになっているわけですね。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/83
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084・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 宅地部につきましては、一部二課を予定いたしております。二線と申しますのは、一つは、宅地政策を所掌いたします課であります。もう一つは、宅地の開発を所掌いたします課でございますが、従来、宅地の開発につきましては、住宅局に宅地開発課というのがございます。それから、都市局に区画整理課というのがございまして、そこでそれぞれ所掌しておりましたが、そこへ集めてやるということを考えております。それから、政策課でございますが、それにつきましては、従来、計画局の総務課で所掌しておりましたが、その仕事を持ってくるということになっております。
なお、これに伴いまして新規増は七人、それから省内からの二十人でありまして、合わせて二十七人を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/84
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085・受田新吉
○受田委員 この部をつくって課が二つできる、こういうようなかっこうで、定員が二十七名よそから来るわけですね、宅地部へ。もう一ぺんはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/85
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086・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 もう一度申し上げます。
省内からの振りかえが二十人でございます。現にそういう仕事に従事しておる者を二十人持ってまいります。そのほかに七人を増員、あわせまして二十七人になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/86
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087・受田新吉
○受田委員 つまり七人の増員だけで、二十人は振りかえだ、そうすると、七人の増員くらいでこの重大な宅地行政を遂行するのに間に合いますかね。労働過重などにおちいって、そこに働く職員がくたびれ込むようなことになるのじゃないですか。部をせっかくおつくりになるということでございまするから、ここへ書いてある提案理由を見ると、たいへんな戦果が期待される文句が書いてあるけれども、この文句だけで、実効を伴わないような部であれば、部長をつくったり、課長をつくったりする管理職製造部になって、さっぱり意味のないことになってしまいますが、労働量と定数の関係で、この大役を果たすことができるかどうか、この際ひとつお答え願っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/87
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088・志村清一
○志村政府委員 宅地部関係の定員でございますが、二十七名という数字は非常に少ないように見えるわけでございますが、宅地部の所掌いたします仕事は、非常にいろいろな知識を必要といたします。優秀な人材をそろえたいと考えておりますし、また実際いろいろやっていきます仕事も、宅地審議会とか公共用地審議会とかいったような、各民間の学識経験者の方々の御意見を拝聴いたしながら進めていくのが一番よろしいので、数がそうよけいありましても、質の問題かと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/88
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089・受田新吉
○受田委員 質論で片づけておられるようでございます。
空腹を訴えておる方が相当おられるので、一応終わりまして、四時以後の質問で掘り下げたお尋ねをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/89
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090・河本敏夫
○河本委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩いたします。
午後二時二分休憩
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午後四時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/90
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091・河本敏夫
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/91
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092・永山忠則
○永山委員 厚生省設置法関係の質疑をいたします。
改正案では、衛生検査技師に関する事務を公衆衛生局から医務局に移管することとされておりますが、従来この事務は何ゆえ公衆衛生局において所管されており、この際医務局に移管されるのでございますか、理由を伺いたいのであります。あわせて、現在医療体系の中に占める衛生検査業務の地位ないしは役割りについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/92
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093・若松栄一
○若松政府委員 衛生検査技師の所管につきましては、従来厚生省におきまして研究所課というような課がありまして、そこで地方の衛生研究所並びに検査施設と同時に、そこで働く衛生検査技師というような施設、身分関係、業務関係を総合的に所管いたしていたのでございますが、その検査業務につきましては、いわゆる公衆衛生検査よりも医学的な検査、医療に付随する検査の比重が非常に多くなってまいりまして、検査技師の数も最近きわめて急速に増加し、しかも大部分、九割までが病院、診療所に勤務するという状態になってまいりました。ちょうどエックス線技師等が保健所あるいは病院、診療所にもおりますが、これが医療従事者として医務局の所管になっておりますので、衛生保検査技師も、やはり検査技師としての比重が相当大きいという状態になりましたので、この際医務局が医療従事者の一環として所号するほうが妥当ではなかろうかということで、検査技師の所管を移すということにいたしたわけでございます。
なお、衛生検査の医療等に占める割合という問題でございますが、医療の中における検査業務の比重は、最近急速に年々増大しておりまして、検査業務の割合が大体五年間で三倍半くらいに増加しているという実情でございまして、今後ともこの比重がますます医療の中で増大してまいるのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/93
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094・永山忠則
○永山委員 次は、国民厚生運動とは、具体的には何を言っておるのでありますか。また、現在公衆衛生局でこの事務も所管しているのでございますが、これは国民厚生運動を健康対策の一環として考えてきたものと思われますが、この所管を国立公園局に移すことによりまして、行政の性格が変わることになるのではないのですか。さらにまた、国民厚生運動に関する事務が国立公園局に移管された後、どのような施策を講じようとしておるのでございますか、具体的にお伺いをしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/94
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095・若松栄一
○若松政府委員 国民厚生運動という名称は、実はこの発生の成り立ちから申しますと、外国語でいうレクリエーションというようなことばを翻訳して当てたということになっておりまして、その際のレクリエーションというような考え方は、国民が日常生活の精神的な緊張を緩和し、あいは肉体的な疲労をいやす、そして気分を新たにするというような仕事を考えておられまして、その中にはハイキングであるとか、登山であるとか、水泳であるとかいうようなスポーツ、特に自然に親しむ、あるいは施設を利用して運動するというようなことが考えられておったわけでございます。しかし、私ども公衆衛生におきましては、ただいまお話がありましたように、健康づくり、健康増進というような角度で仕事をしておりまして、この健康づくりというような問題に焦点を合わせました場合、公衆衛生局といたしましては、適当な栄養、適当な運動、適当な休養というようなことを主要な柱にいたしまして、これの方法論といたしましては、衛生教育あるいは啓蒙宣伝というようなことをやってまいりました。したがって、私どもの健康づくりあるいは健康増進という仕事の内容は、非常に幅の広いものでございまして、衛生教育を主軸にいたしまして、生活の知恵とかあるいは生活科学というような面まで含めまして、非常に広い部門でございます。したがって、レクリエーションももちろん一部は中に入ってまいります。また文部省等で所管しております体育の問題も、中に入ってまいります。しかし、それぞれの所管に部分的には他の所管で伸ばすことが適当であるものは、できるだけそういうところにまかせる。われわれとしては、国民全般を広く包んで、健康増進という問題を、特に栄養、運動、休養という形でやってまいりたい。ところが、最近レクリエーションに関しましては、国立公園やあるいは自然の施設、自然の環境を利用したいろいろなものが発展してまいりまして、そういう管理、あるいは施設の設置、運営というふうなものは、むしろ別に専管したほうがよかろうというような状況になりましたので、この際私どもは広く国民の健康づくりを所管し、厚生運動を最も関係の深い国立公園にお願いしたほうがよかろうという趣旨で、所管といたしたわけでございます。
なお、国立公園のほうから別にお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/95
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096・今村讓
○今村(讓)政府委員 行政の性格が移管によりまして変わるかということでございますが、いま公衆衛生局長からお話がありましたように、あくまでも国民の健康の増進という大きな柱の中におきまして、公衆衛生局でも健康増進をなさいますが、やはり国民の受け入れ態勢として、たとえば山に行きましても、国民宿舎あるいは山小屋とか、登山だとかいうふうな施設整備の面を相当大大的にやらなければ、現実面として、理論は別としまして、いまの行政ではなかなかマッチしないというので、国立公園局、これは自然公園法に基づきまして、国立とか国定公園、県の自然公園の施設整備に全力をあげておるわけであります。そういう方向に持っていって、受け入れの場のほうをそこでやらしたほうがより効率的ではないかというのが、第一点であります。
それから自然公開施設整備のほかに、国民宿舎、これは全国百五十くらいできておりまして、総額五十億円ぐらいの融資をいまやっておりますけれども、これは非常に要望が強うございまして、七、八百円から千円くらいで泊まれる。高級旅館はどんどん建ちますが、低廉なものはなかなか建たない。そういうふうな受け入れ態勢を整備しなければ、やはり国民の戸外のレクリエーションといいますか、旅行といいますか、なかなかむずかしい。そういう条件整備をしたい、そういうふうな意味で、施設整備の面から見れば、国立公園局のほうが、財政投融資の関係もありますし、非常にいいのではないか、こういう考え方でございます。時に移りました後においては、公園関係の施設も思い切った整備をし、それから宿泊施設の国民宿舎、国民休暇村というふうなものの、低廉な国民大衆を受け入れる施設の整備をやりたい。それから、これはまだ検討中でございますけれども、民間のいわゆる中小の旅館あたりは、何らかの国家助成の方策を得れば、やはり国民宿舎的な運営をして、若い人もどんどん泊められるというようなしかけをしたい、こういうふうな国のてこ入れなり何なりを考えてもらいたいというような、これは非常に強い要望がきておりますが、その辺の解決もいたしたい。受け入れ画は、施設整備の関係は、公園局のほうでやりましたほうが現在とマッチするのではないか、こういうふうな方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/96
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097・永山忠則
○永山委員 そこで、公衆衛生関係的見地に立った国民厚生運動というものは、全然離れてしまっていくというのですか。やはり関連性を持って、厚生運動には一番大切な科学的な公衆衛生的なものを深く取り入れるということが必要のようですが、そこらの関係はどういうようなことになっておりますか。行政の連絡をおやりになるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/97
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098・若松栄一
○若松政府委員 御趣旨のように、国民健康づくりという仕事を進めてまいりますには、国民の体力をつくる問題、栄養をよくする問題、あるいはレクリエーションあるいはスポーツという、いろいろの面をやらなければいけませんので、それを総合的に啓蒙、指導していくことは、私ども健康づくり運動としてやってまいりたい。その中の一部でもちろんレクリエーションも入りますが、レクリエーションに必要な施設の整備云々ということは、これは公園局でやっていただく、またスポーツ等に関しましては文部省でやっていただくというように、それぞれ専門の分野はそれぞれの方にお願いし、それの取りまとめといいますか、総合的にやっていく分野は、健康づくり運動としてやっていきたい。したがって、関連する部局、あるいは各省とも関連をとりながらやっていくというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/98
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099・永山忠則
○永山委員 それではその次に、現在精神薄弱者対策として国はどのような手を打っておられますか。かつ現在の精神薄弱者対策の中で、どのような点が最も不十分であると考えておられますか。今後の対策の重点はどこに置いておられますか。お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/99
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100・竹本精紀
○竹本(精)政府委員 現在精神薄弱者福祉の問題といたしましては、精神薄弱者福祉法によりまして、福祉の措置を講じているのでございます。具体的に申し上げますると、精神薄弱者更生相談所において必要な判定を行ないまして、この判定に基づきまして福祉事務所において施設に収容する、あるいは指導にまかせる、そういったような援護の措置を講じているわけでございます。
こういった問題はございますが、現在一番手薄であると考えられますのは、やはり精神薄弱者の中で、施設に収容しなければならないと推定される要保護者と申しますか、これが約五万八千ほどございます。これに対しまして、現在収容中の者は、昨年の六月一円現在でございますが、二千二百三十七人、こういったように収容している数が非常に少ないわけでございます。この辺にやはり問題があるわけでございますので、今後の施策の重点といたしましては、収容する人をできるだけふやしていくということ、つまり施設を設置していくということを第一に考えておりますし、また施設に収容しました人につきましては、できるだけ職業訓練等の指導を行なっていく、こういうことを考えております。
それからまた第三には、なかなか収容できないというような人もおりますので、そういった方々につきましては在宅指導を強化していく。これは精神薄弱者福祉司という専門職員がございますので、そういった職員によりまして在宅指導を行なっておるわけでございます。そういったことを強化していきたい、大体このような方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/100
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101・永山忠則
○永山委員 精神薄弱者は年々ふえる傾向にございますが、その率はどうなっておりますか。それと施設の関係ですが、精薄はふえる施設は伴わないでは、この不合理はいつまでたっても解消せぬということになるのではないかということ、そうして五万八千人の中でどうしても収容せなければならぬのがどのくらいで、在宅指導で可能な者はどのくらいか。実際問題として収容施設がこれだけなければどうもならぬというようにお考えになっておる点ですね、これはどういうような比率になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/101
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102・竹本精紀
○竹本(精)政府委員 精神薄弱児がふえているかどうかという問題でございますが、これは三十六年に調査を行ないまして、その後の調査がございませんので、ふえているかどうかということにつきましては正確にお答えができないわけでございますが、御承知のように、最近におきましては未熟児等の対策が進んでおりまして、未熟児の生存していく率というものがふえております。そういった関係からいたしまして、未熟児の中には精神薄弱児として相当障害を持っておる者も多くなっておりますので、減っていることはないというふうに考えております。
それから、そういった精神薄弱者がどのくらいおるかということでございますが、三十六年の調査によりますと、精神薄弱者のおとなのほうは約百八十一万というふうに推定されております。先ほど申し上げました五万八千と申しますのは、この中で特に保護を要する、できれば収容をしたほうがよろしい、こういった者が五万八千人おるという推定でございますので、本来ならば、こういった五万八千については、できるだけ収容の道を講じていくほうがほんとうじゃないかというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、対策の一番の重点は施設の整備をしていくということで、この五万八千をできるだけ早く収容していきたいというのが、私ども現在考えておる構想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/102
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103・永山忠則
○永山委員 これは、実際問題として大問題で、福祉国家建設といいながら、ほんとうに精華者が取り残されておるということは、われわれとしても非常に遺憾にたえないのでございます。自分がそうであったりあるいはその子供を持っておる家庭を考えましたときにおいては、われわれは涙なくしては見ておられないという実情でございますから、十分ひとつ対策をほんとうに積極的にやっていただきたいのでございます。したがいまして、現在児童とそれから成人とが分離しておりましたのですが、今回これを一元的に対策をされるということになっておるのですが、これに対する利点がどういうようであるかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/103
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104・竹本精紀
○竹本(精)政府委員 現在十八歳米満の精神薄弱児につきましては児童福祉法で規定がございますが、十八歳以上になりますると、その施設を退所しなければならない、具体的にこういう問題が出てくるわけでございます。したがいまして、精神薄弱児の問題及び精神薄弱者を一本にいたしまして、たとえば十八歳になりましても同じ施設において収容し、また訓練を続けていくというようなことも必要かと考えておりますし、あるいは現在のところ別個に施設がございますけれども、この施設間の子供とおとなとの連絡をできるだけ円滑に行ないまして、一貫した対策を講じていく必要があるのではないか。こういう点から見ますると、従来ばらばらでありました点がなくなりまして、特にこういった子供につきましては、十八歳までに職業訓練を行なうということが、必ずしも全部が全部可能でもございませんので、引き続いて職業訓練を行なうということが必要でございます。そういった面から見まして、一元化することによりまして、たとえばいま申し上げましたような施設に収容する年齢を超過したけれども、あるいは職業訓練を今後続けていく、こういったような点で利点が出てくるというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/104
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105・永山忠則
○永山委員 非常にこの点は好ましいのでございますが、十八歳以上の関係の施設が非常に少ないのでございますので、あわせてひとつこの施設の拡充を積極的にお進めになることが大切であろうと思うのであります。したがいまして、身体障害者対策についても、精神薄弱者対策と同様、行政の一元化をはかる必要はないかという点でございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/105
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106・竹本精紀
○竹本(精)政府委員 現在精神薄弱児と精神薄弱者の場合でございますが、精神薄弱者の場合は、おとなになりましても、精神年齢、知能と申しますか、そういった面は子供とほとんど同様である。こういった点からいたしまして、一本化をはかっていくのが適当であるというふうに考えたわけでございますが、そういった面は、身体障害者あるいは身体障害児の場合は、それぞれ正常な知能、精神を持っておるわけでございます。特に児童の場合でございますと、児童は成長していく。また、たとえば補装具にいたしましても、一ぺんつけた補装具を年齢の成長に応じましてつけかえなければならない、こういう問題もございます。特に身体障害児の場合は、正常児でございますので、教育という問題が非常に大きなウェートを占めておるわけでございます。現在肢体不自由児施設等でも教育をあわせて行なっている、そういう面から見ますと、身体障害児の取り扱いとおとなの場合は、現在かなり違ったものがあるわけでございますので、そういう面ではまだまだ別個の法体系でやったほうがいいのではないかということも考えております。しかしながら、特に障害が重度の場合、こういった場合には、ほとんど精神薄弱児と同じような対策を講ずる必要がございますので、私どもといたしましては、さらにこういった問題につきまして慎重に検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/106
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107・永山忠則
○永山委員 次は、伝染病予防調査会の問題でありますが、伝染病の脅威が次第に減少しておる今日、どういうわけで調査会を設けなければならないのか、その積極的な理由、並びに調査会で審議しようとする事項は何でございますかをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/107
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108・若松栄一
○若松政府委員 伝染病は、総体としては確かに減少しております。しかし、赤痢のような病気を一つとってみましても、この十数年間で、赤痢の病原体である赤痢菌自体が非常に様相を変えております。これは常時学者の御意見を聞き、知識を導入いたさないことには、そういう状況は的確な把握ができず、それに的確に対処することが不可能でございます。またインフルエンザ等にいたしましても、年によりA2が流行したり、Bが流行したり、あるいは新しい株が出てきたりというように、様相が刻々と変化しております。また日本脳炎等におきましても、最近は新しい技術で流行をある程度予測しようというような方法が行なわれておりますが、こういう新しい方法の採用等につきましても、常に新しい学問を導入する必要がございますし、また、昨年のようにこれらの流行等が起こりますと、比較的珍しい病気でありますと、これまた専門学者の御意向をお聞きしなければならないという状態が起こってまいります。また、昨年起こりましたように、法定伝染病ではございませんでも、茨城県の猿島地方に流行性らしい肝臓病が起こる、あるいは戸田のボートコースに戸田奇病といわれるような病気が起こるという事態が発生しておりますので、これらの事態に対処いたしますためには、それぞれの専門学者の意向を聞いて、的確な判断のもとに対処していくということが必要であろうと思いますので、この調査会をお願いしているわけでございます。実はこの調査会は、三十一年度以降予算措置としてやっておったのでございますが、これが法律上に根拠がないということで非難がありますので、現実の必要があるにもかかわらずやめるわけにもいかないということで、これを新たに法定なものにいたしたい、そういうことで今度の規定に加えていただくことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/108
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109・永山忠則
○永山委員 公害審議会ができるというのですが、公害関係は各省非常に多岐にわたっておるのでございまして、その行政の調整をどうしてやるか、また厚生省の果たす役割りはどういうようにやろうとするのであるか、またこの審議会はどういうような具体的なものを審議していこうというお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/109
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110・舘林宣夫
○舘林(宣)政府委員 厚生省の基本的な立場は、公害対策を国民の保健福祉の立場から取り上げてまいることでございます。したがいまして、国民の生活環境を保健衛生上安全なものにすること、あるいは公害が国民の保健福祉に及ぼします影響というような問題として公害を取り上げてまいりまして、そして公害を起こすべき根源を明らかにし、それの対策を厚生省みずから立て、あるいは関係各省に公害対策を立ててもらうことを推進するわけであります。その厚生省みずから行なう分野は、たとえばし尿、ごみ等に対して公共施設を急速につくろうということで、五カ年計画を立てて目下推進いたしております。これに関しましては、相当大幅な国庫補助を投入して急速に整備しようといたしております。そのほか、斃獣処理場の排水、あるいは製薬工場等における排水等は、今日における相当大きな公害の根源になっております。これに対する施策も、厚生省みずからの責任において行なっておるわけでございます。しかしながら、対策の分野では厚生省がすべてを行なうわけにはまいりませんで、建設省あるいはことに通産省に御協力をいただいて、工場等におきましては通産省が積極的に公害防止の施設に対する指導を行ない、また厚生省と通産省と共同で公害防止事業団等を設置して、資金面でこれを援助して促進してまいるというようなことをいたしておるわけであります。しかしながら、公害行政は各省に非常にまたがった行政でございまして、それらの連絡、調整を必要とする場合がございますので、総理府に各省連絡協議会を設けまして、その面で必要な問題につきましては各省が連絡、調整を行なっております。
また、新産、工特都市の公害防止に関する配慮というような点は、これまた各省に関係のあることでございまして、その計画の設定に関しましては、厚生省も十分参与いたし、公害がないという見通しがない限り計画を許さないという方針でやっております。それと、水質汚濁防止に関する最終的な調整は、経済企画庁が現在実施をいたしております。
次に、厚生省の公害審議会が審議しようといたしております具体的な事項にちょっと触れさせていただきます。公害審議会ができました場合にどういうことを審議しようとしておるかと申しますと、公害のための環境調査を具体的にしてまいるわけでございます。どのような公害があるかということを把握するわけでございまして、その調定方式を確定する必要がございます。たとえて申しますならば、東京都の空気の汚染はどの程度かという調査をする場合に、調査場所を一定の場所に設定せざるを得ないわけであります。そのような調査基準をつくるということが第一でございます。第二は、公害が国民の保健福祉に及ぼします影響を明確にとらえました、その環境の基準を作成するわけでございます。第三に、環境衛生関係の施設におきます除外施設、先ほど申しましたごみとかし尿とかいうような除外施設の設備基準を設けることでございます。第四に、上水道の原水としましての汚濁の限度に関する事項でございます。第五に、公共下水道の終末処理場におきます工場排水を受け入れる場合の費用の負担を定める方式に関する事項を審議いたしたい。第六に、中性洗剤の処理に関する基本的な方策。最近いろいろ問題となっておりますが、これが河川を汚濁するということで、どのような中性洗剤を選ぶかということでございます。
それから、順序が逆になりましたが、厚生省におきまして現在とっております公害防止対策は、昭和四十年度の施策としまして、通産省と共同いたしまして、先ほど御説明申し上げましたように公害防止事業団を設けまして、企業集中地域におきます公害防止を重点的に、計画的に推進してまいるということ。また、公害衛生研究を広範にするために、委託費を相当大幅に計上いたしまして、公害の各種影響、人体保健衛生上の影響を詳細に調査をいたしてまいるということ。また、大気汚染の調査網を主要な地に多数設けまして、その設置した場所の調査結果を東京のセンターに集めまして、そこで分析して公害の状況を調べてまいるということ。あるいはばい煙の人体に及ぼす影響を具体的に現地で調べるということを明年度はいたしたい。場所としては、一応大阪、四日市を想定いたしております。そのほか、従来少し手が抜けておりました自動車の排気ガス、騒音、振動というようなものを本年度から取り上げて、具体的にそれらの人体に及ぼす影響等を詳しく調べてまいりたいと思っております。また、新しい新産、工特のような開発地域の事前調査を厚生省、通産省共同で実施いたしたいということで、これも相当な予算を計上いたしております。また、公害の基本的な基準等を設けるために、ただいま御審議をいただいております公害審議会を設けて、公害の各方面の関係の学識経験の方の御意見を総合して基本政策を立ててまいりたい、かように思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/110
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111・永山忠則
○永山委員 それではちょっとお願いしておきますが、LPGの関係も十分ひとつ御調査を願いたいと思います。いまお説の中にございましたが、自動車の排気ガス、これは、オクタン価を上げるためにガソリンには四エチル鉛を混入してございます。またディーゼル軽油等は、不燃焼がございますから、ドイツあたりでは、LPGはディーゼルに比して十分の一、それからガソリンに比して二十分の一で、むしろこれを非常に奨励をいたしておるような状態でございますし、宮城前の松の木が枯れるというような関係等も、いろいろな点を勘案して御検討、調査を進めていただきたいということを希望いたしておきます。
この場合、大臣がお見えになりましたが、これはもう予算委員会できょう十分御説明になっておりますので、多くを御質問いたしませんが、予算委員会で、よく聞いておりませんが、おそらくあまりついてないだろうという点を二、三聞いてみたのです。
東京地方裁判所が医療費改正告示に対して行なった効力停止の決定について、厚生大臣は即時抗告されたということについての説明は十分あったように承っておりますが、行政事件訴訟法の第二十七条によりまして、総理は異議の陳述をするということができる。これを持ってきますと、停止が効力を失うという結果になるのでありますが、その方法をおとりにならなかったのは、どういう理由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/111
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112・神田博
○神田国務大臣 先般も医療費値上げに関連いたしまして異議の申し立てがございまして、この異議の申し立てについての即時抗告をいたしたわけでございますが、なぜ異議の申し立てを裁判所にしないで、即時抗告をしたかという意味のお尋ねだと判断いたします。御承知のように、裁判所の問題でございますので、医療費の改定は、われわれといたしましては中医協に諮問いたしまして、中医協で議を尽くしたが、その結論が明らかにされなかったのでございますが、中立委員の報告をもととして改定をした。これに対して、御承知のような決定を見たわけでございます。そこで、この決定は事実認定に誤りがあると申しましょうか、私どもの挙証が十分でなかったというような点も考えられますので、やはり総理大臣の異議の申し立てというと、いわゆる職権告示というようなことに相なりますので、そういう非常手段をとらないで、即時抗告にいたしまして、そして訴訟でひとつ明らかにしたい、こういうような考えのもとでやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/112
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113・永山忠則
○永山委員 中医協の関係が混乱をして、一方が出れば、いわゆる支払い者側が出れば、医療担当者が出ない、医療担当者の意見を聞けば、支払い者側が反対をする。これはとにかく利害関係が相反するのを一緒にしているのですから、どうしても一致した意見を見出すことは困難な情勢でございますので、やはり学識経験者が報告を出すということで処置する以外は、いかなる場合にも、私は今後も方法はないと思うのです。したがいまして、政府がおとりになりました措置はやむを得ぬことであると思うので、私は総理が異議申し立てをされることがむしろ至当ではないかというように考えておるのでございます。
それはそれといたしまして、この場合さらにお聞きをいたしたいのは、予算を通っていよいよ四月から実行するという時期になっているわけですね。ところが、これに伴う保険法の改正法案が国会に出ないということは、私は非常に行政の怠慢じゃないかというように思うのであります。政府が行政責任を持っているというのですから、この場合答申が出てこなければ、それを答申するほうが怠慢なんですから、それが出るまで持っているということになると、答申が出ぬときは出さぬということなんであります。やはり答申というものを尊重しなければなりませんけれども、期限を切って出るというような場合、あるいは混乱をしたというような場合には、行政の責任者が責任を持ってやらなければいかぬことじゃないか。そういうことをちゅうちょされていることが地裁でもああいうような判決になる一つの要因ではないかということを考えるわけでございますが、この場合政府は、予算書にも書いてあるのですから、いわゆる総報酬制を採用して薬価の一部負担でやるという原則のもとに予算が編成されておれば、その案をお出しになって、国会の審議の場で院議をもってこれを修正したりすれば、これはもう院議は尊重するということでお進みになると思います。審議会のために国会へも出さぬということになりますと、審議会は国会の審議権を侵すものだ。したがって、私はむしろそのほうが憲法違反じゃないかというように逆に思うわけでございますので、勇敢に所信に従ってお出しになるということが好ましいと考えるのでございますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/113
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114・神田博
○神田国務大臣 いわゆる保険三法の改正案をまだ国会に出さない、それは社会保険審議会、社会保障制度審議会にいま諮問中でございまして、そちらの答申がまだ参っておりません。そこで、答申が出ないなら、政府は国会に責任を持っておるわけだから、国会に出して審議するのが当然じゃないかという御意見のようでございます。そういう御意見のあることもよく了承できますが、御承知のようないきさつがございまして、政府与党と支払い側、あるいはまた予算総会を通じまして与野党の対策委員長と申しますか、幹部等においての話し合い、また予算委員会の各質問に対します総理大臣の答弁あるいは私の答弁等もございまして、社会保険審議会、それから社会保障制度審議会の答申を尊重したい、その答申をまってひとつ提案をいたしたい、こういう御了解を得て今日に至っておるわけでございます。両案とも、社会保障制度審議会は二月の一日でございますか、社会保険審議会は一月の三十一日にそれぞれ諮問の手続をいたしました。社会保険審議会では、八回ほど委員会が開かれまして、そこで基本的な問題は一応総ざらいが済んだような関係でございます。また、社会保障制度審議会では、もう十一回の総会も終わりまして、総務委員会も三回ほどやっております。いろいろ問題点を整理いたしましていま調査を進めておる段階でございまして、答申もそう長くないのじゃなかろうかというふうに考えております。いろいろないきさつもございまして、そういう話し合いと申しましょうか、そのもとになっておりますので、この段階ではやはり答申をまって、そして法案をそれぞれ御審議を願ったほうがよろしいのじゃないか。政府といたしましては、そういうような当初の方針を変えておりません。そのように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/114
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115・永山忠則
○永山委員 それでは建設省の関係の質疑があるようでございますので、大いにこの点論議したいんでございますが、もう一点だけぜひお問いにしておきたいことは、国民健康保険です。これは、自営業者、いわゆる農村や中小零細企業者や庶民大衆でございます。地域社会保険でございますが、これは非常に負担能力のない人々のグループですから、この保険財政は非常に混乱を来たしておるのでございますので、これに対する保険財政の確立ということに対して、どういうように政府はお考えを持っておられるのか。時間がございませんから申し上げれば、やはり強い者と弱い者と抱き合ってやるのが保険なんですから、一番強いのは健保組合ですから、健保あるいは国保その他の各種社会保険をやはり総合統一をするということに踏み切らなければいかない、こう思うのであります。しかも、それはやはり地域社会保険である国保へ発展的統一をし——保険庁なんかやめればいいんですよ。これは要らないんです。地域社会保険でやって、市町村へ事務委任をすれば、これはばく大なる事務費の節減になって、それを保険給付の補助に持っていくというようにやるべきなんですよ。それをいまなお考えず、部分的、局部的な保険財政の確立ということじゃ、とても間に合い切れぬ。ことに国保の問題で一番大切なことは何かといえば、標準保険料をつくるということです。これは健保と同じような保険料をかければいいんです。保険料をつくって、そうしてそれをオーバーすれば調整交付金でこれを調整していくということで踏み切らなければ——市町村の税の問題でも、やはり標準税率をきめて、そしてこれを一元化してくるというところへ入ったんですから、やはりこの医療保険料も、標準保険料を健保と同じようにしまして、そして不足した分は調整交付金でやるというところへ直ちに踏み切っていただいて、保険財政を確立する。ことに本年度当然政府が出さにゃならぬ予算の不足分もこれを出さないというようなことでは、町村はみな立てかえているのですから、経済状態の悪い町村はほんとうにまいっているわけですから、政府はすみやかにこれを補てんしなければならぬ。政府が金持ちで国民が貧乏だというのは、悪代官です。国民を富ましてこそ初めていい政治であるというように考えるのでございますから、大蔵省の財政的措置だけにとらわれて国民は苦しい状態に置くという今日の傾向があることを、非常にわれわれは遺憾に思っておりますので、この国民健康保険村政の確立には、各種保険の総合をやる。直ちに標準保険料をきめて、そうしてオーバーするものは調整交付金でやるという法的措置を確立するという抜本的な行き方、さらに今年度出さねばならぬ分だけはすぐお出しになるというようにやっていただくことが必要だと考えるのでございますが、この点に対する御答弁をいただいて、私は、他の建設省の質問がありますので、他を留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/115
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116・神田博
○神田国務大臣 ただいま永山委員からお話しがございまして、地域保険と組合保険の合体をして保険統合したらどうかというようなことでございました。保険制度も長い沿革のもとに今日までまいっておりまして、一長一短のあることはお話しのとおりでございますが、抜本的の改正をしたらいいじゃないかという声の高いことも御承知のとおりでございます。これらの根本的な問題は、それぞれ調査会等でひとつ論議いたしまして、そうしてりっぱなものに制度として打ち立てたいという政府も熱意を持っておりますことは、御了承願いたいと思います。
そこで、当面の国民保険の赤字処理の問題でございますが、三十九年度の所要の赤字につきましては、これは来たる臨時国会と申しましょうか、追加補正という道を講じたいということを、財政当局とも御相談ができておりまして、しばしば御説明申し上げておるとおりでございます。そこで、いま立てかえております赤字の当面の処理でございますが、これは四十年度の予算を繰り上げ配賦いたしまして当面の赤字処理をしていただく、後半におきまして追加予算で埋めてまいりたいというような打ち合わせになっておりますので、この点御了承願いたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/116
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117・河本敏夫
○河本委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/117
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118・受田新吉
○受田委員 能率をあげて質問をします。質問時間は、委員長が発言を停止されたらすぐやめますから、適当なときに打ち切ってもらいたいと思います。
先ほどの発言に続いて質問を続けさしてもらいます。私が非常に懸念していることは、今度の法案の改正で宅地部というものができたけれども実績はあがらないということになったんでは、機構だけを強化して空論に終わる建設行政の欠陥が露呈されると思うのです。だから、ここで強力な施策をどう打ち立てたらいいか、この法案はやっぱり建設行政の実績をあげる意味で大事なことでございますから、お尋ねを続けさしていただきたいのです。先ほど私が指摘しました土地を宅地用としてどう造成していくかということに関連して、宅地の大量造成という施策を政府が今度宅地部をおつくりになった機会にお始めになると思います。これは宅地審議会の委員さんとも大臣いろいろ御相談されておるようでございますが、その宅地を大量につくるということと、それから大都市——東京、大阪にしても空閑地が相当あります。ずっと歩いておっても、これは値上がりを待っているなというようなのが相当ころがっています。こういう空閑地を十分利用すること。できれば空閑地に対して税金をかけていいのです。そういうやり方と、地価というものが値上がりしては意味をなさないのですから、地価を適当なところで押えていく、こういう地価を公に示すような制度みたいなものを思い切っておとりになるべきじゃないか。具体的な施策について勇気をふるってやらぬと、机上のプランになる危険があります。こういう問題について、個々の施策が用意されておるのですか。宅地部ができてから検討するのですか、現に、そういうことについて基本政策ができているのですか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/118
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119・小山長規
○小山国務大臣 地価問題は、この通常国会が始まって以来、いろいろな委員会あるいは本会議で、いろいろ御議論がありましたことは御承知のとおりであります。地価の問題は、これがきめ手だという一つのきめ手がないというところに非常な難問題があるわけでございまして、あらゆる施策を総合して初めて解決が得られる、こういう性質のものでありますことは、受田委員も御存じのとおりであります。そこで、いまどんな方向で地価対策をやっているのかといいますと、これは、いま申し上げたように原因がいろいろたくさんありますので、それに一つ一つの手当てをしなければならぬわけでありますが、たとえば東京周辺あるいは新産業都市というようなところで地価問題が起こっておりますけれども、これは一体何だろうといいますと、要するに土地に対する需要、供給を上回るところの需要があるというところに大きな原因がある。土地というものは再生産はできませんし、そして一つの場所というものは、いろいろな商業をやる人にもあるいは工業をやる人にも、その場所がいいということになりますと、そこに集中することに相なります。そこでそれを分散させる必要があるのでありまして、一方においては、つまり首都圏の中でいいますと、開発都市をつくるとか、あるいは日本全国でいいますと、工業都市や新産業都市をつくっていこうという施策が出てくるわけなんであります。それをいま着々やっているわけでございますが、もう一つは、経済の運営というものに大きな問題があろうかと思います。というのは、たとえば経済の急激な成長ということが一つの気風、ムードになっておりますときには、工場も会社も個人も、将来必要な土地はいまのうちに確保しておこうという気分になりがちでありまして、これが三十五年以来の地価が上がった大きな原因じゃないかと思うわけでありますが、それに対しましては、やはり経済の安定的な成長ということが大事なことに相なります。
また、今度は一つ一つの問題をとらえてまいりますと、実際の需要から来ます土地の値上がりのほかに、いわゆる投機、思惑によるものが相当あるのでありまして、これを押えることも考えなければなりません。そこで、地価の公示制度あるいは鑑定評価制度というものを強力にやろうということで、いま現にこの問題には取り組んでおるわけであります。
そのほか、いわゆる抜本的な地価対策を考えろということで、よく本会議やあるいは委員会で言われるのでありますが、抜本的な問題となりますと、いま受田先生の言われましたような土地の利用区分の問題があるわけであります。土地の利用区分をきめて、ここは住宅地である、ここは工場用地である、ここは農地である、こういうふうにきめて、そしてそれの目的以外には使わせないのみならず、目的として使わない、つまり不作為に対しても何らかの制裁手段を講じたらどうだというのが、いわゆる空間地税という考え方であり、私は別なことばで土地利用促進税だと、こう言っているのでありますが、そういったような考え方も出てまいります。そこで、土地の利用区分というものが何とかできないかということで、これから、これは専門の方々にさらに深く進んで勉強してもらわなければなりません。たとえば宅地審議会の方とかいろいろな方々に、さらに一そう研究を深めていただかなければなりませんが、そういう抜本的なことをやろうとするために、しからば土地利用区分の法律をつくるのに一体どうすればいいか、あるいはどこにその障害があるか、これを実はいま探っておる段階なのでありますが、これをさらに一歩進めまして、宅地部などをつくりまして、さらに専門的にこれをやってもらおう、こう思っておるわけであります。
そのほか、いままだ国会提案までに至っておりませんけれども、いま法制局と盛んに詰めておる段階でありますが、新しい市街地をつくろうとしますと、いままでのような全面買収の方式とかあるいは区画整理方式によるような方式では、どうしてもうまくいかぬ面があります。そこで、大きな面積の市街地をつくる場合には、別の土地の収用といいますか、土地を入手する方式が必要であるというので、新市街地開発法という法律をつくるつもりで、ただいま各省及び法制局との間の折衝を進めておりまして、これまた、何とかこの国会に提案の運びにいたしたい。おそらく時間の関係で御審議願えないかもしれませんけれども、しかし、政府はともかくこれだけ土地問題に対してはやっているんだということを示す一助としてでも、この法律案をぜひひとつ今回出したいというので、いませっかく勉強してもらっておる最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/119
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120・受田新吉
○受田委員 この過密都市を解消するという問題は、当面の緊急事だと思います。したがって、いまの新都市開発法みたいなものをつくることについても共感を呼ぶわけですけれども、この国会のお互いの議員会館が七階建て、地下二階にしてやって、あれだけの議員があそこで非常有効に使えるようになっている。高層ビルをつくるということによって、市街地の住宅事情というものを非常に緩和するのです。だから、この地区はもう高い建物をつくらなければならない。たとえば四階から五階以上のものをつくらなければならない。ここは、一階建てで、広々とした庭を持ったぜいたくなのがたくさんあるのです。こういうところにひとつ高層建築を強制的にやらせるようにしていく。低い建物で、広々と大事な土地をのさばって暮らしているような人をなくする政策を考える必要があると思う。そういうこともお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/120
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121・小山長規
○小山国務大臣 そのことは考えておるわけであります。考えておりまして、それを実現するのにどうしたらいいかということを、さらに推し進めておるわけです。と言いますのは、いま現にあります平屋建てを大きな高層ビルに収用しようとしますと、当然そこにおります人たちの立ちのきの問題、それを一時どこに収用するかという問題があります。そういう問題を含めまして考えなければなりませんし、またその場合に、たとえばいまかりに住宅地に例をとりますと、郊外に住宅を建てて、たとえば坪二万円なら二万円で造成できる。それを四階建てにした場合に、いまの日本住宅公団の金利で一体幾らに貸せるかという、これはいますぐ出てくるわけです。現にやっておりますから、出てくるわけです。一万円そこそこで貸せるようになるわけでありますが、それを今度は東京都内で、たとえば十万円の土地——これは都内になかなかないと思いますので、二十万円の土地としますと、二十万円の土地に十階建てを建てた場合に、そこの一部屋は一体幾らで貸せるだろうか、これも研究しろということでやらしております。いま中間的に出てきております報告では、坪二十万円になりますと、ちょっと二万円をこしはせぬかというような数字でありまして、その辺が、また一体いまそんな高い値段で貸すことができるかどうかとなりますと、そうしますと、一部は補助しなきやならぬのじゃないかという問題が出て来るわけであります。そういういろいろな問題、どの程度の家賃であれば現在の日本の中級のサラリーマンは負担ができるだろうという問題、そしていま申し上げたように、坪二十万もするような土地に、高層建築を建てればいいにきまっておるのであります。わざわざ一時間も二時間もかかるとこから来なくても済みますし、一時間かかるところの家賃よりも少々は高くてもいいだろうと思うのでありますが、一体どの程度高くていいのか、そういうようなこともありますので、これまた宅地審議会のほうにお願いをしまして、一つの部会をつくってもらって、これまた研究を始めてもらっておる、こういう段階なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/121
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122・受田新吉
○受田委員 いま一時間という通勤の時間のお示しがありましたが、大体公務員住宅というのがありますね。これは官庁のほうのお役人さんたち、局長さん、課長さんまで入っておられると思うのでありますが、これは非常に安いですよね。これはもう3DKの規模で大体二千円程度じゃないですか。二千円以下じゃないですか。これはばかに安い。この安い公務員住宅、三室そろって千五百円から二千円程度の安い公務員住宅を利用されている高級お役人が多いわけです。と思うと、一時間という地域から通う皆さん、その一時間くらいのところでアパート六畳を一つ借りても、大体一万円くらいかかる。一万円くらいの家賃を支払い得る人は、大体国民の一割くらいしかおらぬわけです。その程度です。総理府の統計局の出された勤労者の収入を調査され、預金の調査をしてみると、最近の調査でも、五万円程度の所得のある人は九千円の貯金をしている。こういうことを考えてみると、二万円もかけて一時間もかかるところから通勤している勤労者が、しかもそれは国民の約一割しかおらぬというくらいの程度の人数、結局所得を月五万円くらいもらっておる世帯の人が一万円くらいのところに入るわけですから、そういう計算でいったならば、それ以下の所得のある人は、その一万円のアパートへも入れない。だから、大体自分の収入と見合って、収入の二割程度が住宅費と計算すればいいというのが、これが普通の常識になっておるんですが、その暮らしさえできない五万円以下の所得の人が、どうして暮らしているかということに寒心を覚えるわけです。そして、家を新しくつくろうとするならば、五万円の所得の人が九千円の貯蓄を全部新しい家をつくることへ回しても、土地と家とで百万円ないし二百万円の家をつくるとしても、住宅金融公庫の金も利用できないのが普通でございますから、これも全部貯金をこの貯蓄に回しても、一年に十一万足らずしかないわけですから、これはもう生涯、二百万の家さえできないことになります。残酷な話ですよ、現実は。それを一部の高級官僚は、安い公務員住宅でのんびり暮らしておられる。しかも国有財産を払い下げてもらう大蔵省の元官僚もおられる。安い、十六万と聞いたんです。ところが、首都高速道路をつくるときには、この同じ元お役人さんのお宅の借地権を取り上げるのに二十五万の計算にされている、こういうこともお聞きしているのです。この国家の道路をつくるとき、そういうときには二十五万円の評価、それから国有財産を払い下げるときに、同じ時点において十六万の払い下げをする。同じ国のなさる土地に対する評価がこれだけ違うというのも、おかしい話なんです。だから、一部の高級官僚は、ばかにいい条件で安い公務員住宅に住まっている。また、土地を払い下げてもらう場合、そこで優先的に、安い、時価の三分の一か四分の一で払い下げていただく。これは国民に非常に悪い印象を与えますね。一万円で、一時間かかるところで、自分の収入の三分の一も二分の一もかけて四苦八苦して暮らす諸君もおるかと思うと、一部のお役人はそういう特権を遺憾なく実行に移しておられる。国家もこれに協力しておられる。小山先生、残念なことだと思われますか。あるいは、これは当然なことだと思われますか。いま私が指摘した数字の差などについても、事務当局からお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/122
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123・小山長規
○小山国務大臣 いま、公務員住宅のお話がありましたが、公務員住宅は、課長や局長のような、そういういわゆる高級官僚も住んでおりますが、同時にまた、もっと安い、学校からいま出てきたような人たちも住んでいるわけであります。これはしたがって特殊なクラスの人たちに提供しているのではないのでありまして、公務員としての仕事の性質上、職場の関係などがありまして、ちょうど会社でいえば社宅を提供しているような形で提供しているわけであります。この点は、そういうふうに御理解願いたいと思います。
そこで、あとは、いまの土地の評価の問題ですね。土地の評価の問題につきましては、私も先ほど省に帰りまして調べたわけでありますけれども、あそこの高速自動車道路をつくるときには、いま問題になっている某氏を特に意識してつくったのではないのであります。そういうことでその値段をきめたのではないのでありまして、あの通りにいる人たちのあの通りにおける拠点、何か基準点というものをつくりまして、その基準点の一般的な地価の調査をしまして、そうしてそれを適用した、こういうことで、個人個人に別々のものさしを使っておるということはありません。これは一般的な基準でやっておる。その一方、大蔵省がどういう関係でそれをしたのか私はわかりませんが、たとえばこの間多摩川の河川敷で問題がありましたように、一ぺん貸しますと、そこに財産権が生ずるという考え方がいまあるわけですが、要するに時価から借地権を引いたもので計算したのかどうか、その辺は大蔵省にお聞き合わせ願いたいと思います。私のほうは、その一般的な基準によっての時価主義でありますから、地価以外の時価というものを、一応何人も納得するような時価をきめてやりませんと、不服な人がまた出てまいりまして、裁判ざたになってきたりしますと、とうていああいう道路をオリンピックに間に合わせるというようなことはできません。ですから、これは基準調査でもって、納得できる時価というものを算出して支払っておる、こういう関係でありますことだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/123
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124・受田新吉
○受田委員 これは国有財産を払い下げるときも、だれもが納得する時価で払い下げるべきです。同じ時点において、一方は二十五万で一方は十六万というような差がつくというのは、同じ国のなさる行政行為ですから、これはやはり差があってはいけないと思います。いかにも恩恵的な払い下げをしたような——あの辺をもし払い下げるとするならば、もし希望者がおればという調子で払い下げるならば、おそらく二十五万という、建設省が評価された、何人も納得する値段でこれが処分されたはずです。そういうところをやはり国、各省が一致した評価をしていただかなければ、ばらばらでは国民が納得できません。
それから、大体お役人さんの中で位人臣をきわめる方々が、そういう国の財産を処分していただくというときには、進んで高い値段で国へ寄付するというような心がまえでなければいかぬと思うのです。いかにして安く手に入れようかと値切ってこれを買い入れるというのは、道義的にも問題がある。付近では二十五万というならば、差額九万を国家へ寄付するという行為、これだって私は許されると思うのです。そのくらいのことが手だてしてあれば、国民の批判はもっと軽かったと思うのです。この点、普通の公務員の企て及ばないような特権意識をお持ちになっているところに問題がある。また、これに政府が協力されているところに問題がある。手きびしくやってもらいたい。そしていま公務員の住宅を利用しているのはみんなだとおっしゃるが、局長、課長クラス以上の人はたいてい入っておられるけれども、その他の者は、数ある公務員の中でどのぐらいの比率で公務員住宅を利用できておるか、比率を示してもらいたいのです。課長以上のクラスの人の利用している度合いと一般公務員が公務員住宅を利用している比率を、建設省のお役人でもけっこうですから、示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/124
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125・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ただいま比率についての資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお届けをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/125
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126・受田新吉
○受田委員 建設省で、いま公務員住宅は中央・地方を通じて何戸建てておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/126
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127・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 公務員宿舎の資料をただいま持っておりませんので、後ほど提出いたします発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/127
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128・受田新吉
○受田委員 アウトラインぐらいは心得ていただきたい。およそ何戸あるか、それで建設省の役人が三万何がしであるから、その何分の一が公務員住宅を利用しているか、そして残りはどのぐらいの家賃のところを利用しているか。自宅から通勤する者と家賃を払っている者と、こういうところでやっぱりこまかい公務員に対する心づかいをしていただかなければならぬと思うのです。したがって、住宅手当というものを人事院も勧告するようにということでしたけれども、要望事項で片づけられておるのです。何らその手当のできないところで、一方は千五百円から二千円程度の住宅に局長さん、課長さんは入っており、一方は一万もかかるところで二万、三万しかもらわぬ公務員が四苦八苦しておる。やはり行政上の大きなアンバランス、不平不満が生まれてくると思うのです。こうした住宅行政の責任者である建設省みずからがこの点の範を示していただくように、私からも要望をしておきます。
そこでもう一つの問題は、建設省は昭和三十五年、さっき私が申し上げた住宅建設十カ年計画をお立てになられました。ところが、これを途中で七カ年計画に切りかえられたわけですが、十カ年計画一千万戸というものがなぜ蹉跌をしたか、その原因がどこにあったか。同時に、新しい長期計画を現実に果たし得る見通しでやっておられるか、このことも合わせて、宅地部新設に関連する重要な問題でありますから、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/128
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129・小山長規
○小山国務大臣 一千万戸が七百八十万戸になりましたのは住宅局長からあとで申し上げますが、要するに、三十六年を基準としましたときには一千万戸足りなかったのが、その後民間あるいは政府、地方自治体の協力によりまして二百二十万戸ができた、その時点から七百八十万戸という計画になっておるはずであります。
それで、その七百八十万戸のうちで、政府の施策として計画年度の四十五年度までにつくり上げたいという数字は、われわれのほうとしては三百万戸以上、こういっておるのであります。これは個人個人の住宅全部を国あるいは地方公共団体がつくるのかつくらないのか、議論の分かれるところでありますけれども、私どもは、やはり個人の住宅は、国、地方公共団体あるいは企業者、個人、それぞれの人たちがそれぞれ応分の寄与をしてつくるべきものである、こういうふうに考えまして、その中でいま申し上げました三百万戸以上については、まだ多少努力の余地がありますが、大体伸び率からいいますと、計画どおりいくというところまでまいっております。民間の場合につきましては、それぞれ税法上の措置を講ずるとかいうようなことで、建ちやすいような方法を講じておりますし、そういった方式でこの七百八十万戸は、むろんまだ手放しの楽観は許しませんが、幸いに池田内閣、佐藤内閣は住宅問題はぜひともという考え方でおりますので、いまの伸び率に若干のウエートをかければ、この三百万戸以上は計画年度までに建ち得る、こういうふうに見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/129
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130・尚明
○尚政府委員 住宅の長期計画は、初めに昭和三十六年度から四十五年度までの十カ年計画として所得倍増計画に従ってつくったのでありますが、そのときに、四十五年度までの世帯の増加を考え、それから三十六年当時の不足を考え、その後、中間で滅失する住宅を数えまして、昭和四十五年に一世帯一住宅にするために千万戸要るという計算で出発したわけでございます。そうして三十六、三十七、三十八年度の三年間で二百二十万戸の住宅が、政府及び民間で建ったわけでございます。そうして三十九年から新たに所得倍増計画の手直しをする必要が起きました。そこで過去に建ちました二百二十万戸を引きました七百八十万戸の計画を三十九年度から四十五年度までの七カ年間に建設する計画にいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/130
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131・受田新吉
○受田委員 政府の計算は非常に数字のつじつまを合わせたようなかっこうになりますが、建てられた二百二十万戸のうちで、政府及び公団等によって建てられたものと民間が建てたものとは、どういうふうに計算しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/131
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132・尚明
○尚政府委員 三十六年におきまして建ちました住宅は、統計によりますと、六十八万九千戸でございます。そのうち、政府施策関係が二十三万一千戸、民間自力建設が四十五万八千戸になっております。三十七年におきましては、全部で七十三万七千戸で、このうち、政府施策関係が二十五万五千戸、民間自力建設が四十八万二千戸であります。三十八年は、合計七十八万七千戸でございまして、このうち、政府施策関係が二十八万七千戸、民間自力建設が五十万戸という計算になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/132
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133・受田新吉
○受田委員 大体いまの日本の建物というものは、戦前の建物が六割という計算になっておると思うのですが、資材不足のときにつくった建物だし、また年数のたった分は滅失住宅などに入る。それから非常な不正建築で、最近の火災などで二階、三階ではおりるのにおり口がなくて焼死をする。この人間の生命を軽々しくしている住宅というのはものすごい数にのぼっているが、そういう不正住宅に対する対策は一向にないのです。この点は老朽不正住宅、こういうものの計算をしないで、いま幾らあるから、それに新しいものがどれだけ、それから世帯の純増分がどれだけあり、滅失がどれだけあるという計算は、非常に机上プランで実態に即していないのです。日本の不正住宅、最近の不動産業者などがつくっている建物など、すぐ一週間くらいで建てて、届出の監督官庁が行ってみると、もうでき上がっており、人が入っておる。出ろと言うわけにいかぬ状況になっておる。そういうところは厳重に監督して、そうして住宅の実態を把握して、不正住宅、非常に危険な住宅、こういうものを計算に入れた住宅計画をお立てにならなければ、四十五年に一世帯一戸という目標は、果たされないと思うのです。そういう住宅の中身、量より質ということを同時に大臣よくお考えいただいて、そしていまのように、低所得層はこの恩典にさえも浴せない。四十五年に、いま五万以下の所得のある人がみんな入れるという計算になっておるのですか。これをちょっと御答弁願いたいのです。四十五年には、みんな二万、三万の所得、それ以下の所得の人も家が一軒持てるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/133
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134・尚明
○尚政府委員 七カ年計画では、一番骨子になる思想は、所得階層別、地域別の住宅建設計画を七百八十万戸について立てるということになっておるわけでございまして、常々所得階層別の調査をいたしておりまして、ごく低所得層につきましては公営住宅、改良住宅の供給を行なう。それよりやや上の方につきましては公団住宅、さらにいま少し上の人には住宅金融公庫というふうに、階層別を常に調査しつつ住宅供給を行なっているわけでございまして、地域別の配分及び所得階層別の配分は、計画どおりまいりますならば、低所得者の住宅も、一応一世帯について一住宅が渡るという目標のもとに計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/134
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135・受田新吉
○受田委員 その目標は、よほど精密に実態を把握されないと、昭和四十五年には低所得者もいまのお説のように一戸持てるのだ、こういう喜びはぬか喜びに終わります。政府のいまのような施策でやっていったのでは、これは容易でない。したがって、政府みずからあるいは地方にある住宅公社などをもっと強化して、そして思い切った正規の手続と資材によって、かたい建築を確保する形をとらぬと、民間の建築などというのはいいかげんなのがたくさんころがっているのですから、これは十分建築関係の監督を強化してもらい、斜面で、豪雨でもあると一ぺんに斜面がくずれるようなところへ家をつくって、悲劇を続出させておるというような状態、そして火災が起こると、いつも火災があるたびに何人か死んでいるというこの悲惨な状態を、大臣、克服しなければいけませんね。これは人道的に非常に重大な問題です。この点、今度住宅部を新設され、また建築などについての技術的な監督を強化するというような意味で、地方建設局関係などでも、そうした技術的な監督、こういうことも十分含んでやっていただきたいです。よろしゅうございますね。私は非常に懸念しておるのです。つじつまを合わせたいいかげんな一千万戸計画になっておるから、言うておくのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/135
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136・尚明
○尚政府委員 御意見のおありになる、指摘された部分は、今日の住宅の建設状況につきまして、確かに重要な問題でございます。したがいまして、たとえばただいまお話のございました宅地の造成につきましては、先年宅地造成等規制法を設けまして、法案を制定いたしまして、大都市の周辺におきまして地区を指定しまして宅地造成事業を進めて、すべてこれを許可にかかわらしめて監督を厳重にいたす処置をいたしております。それから、昨年住宅地造成事業に関する法律を制定していただきまして、さらにがけ地でなく平らな土地におきましても、大都市近傍におきましては、すべての宅地造成事業を知事の認可にかかわらしめることをやりまして、いま、この四月以降全国各地でその許可を要する部分の地域を指定するという段取りになりました。かかる方式によりまして、まず宅地造成のほうは、おおむね三千坪以上の造成をする者はすべて知事の認可にかかわるようになるように、大都市近傍ではいたしております。
なお、建築につきましては、確かに悪質不動産業者が法規を犯しても粗悪な住宅を建てて、それが売買されるという実例が、皆無ではございません。特に大都市におきましては、それは問題がございますので、これにつきましては、建築指導行政——これは建設省が建築基準法を持っておりまして、あとは都道府県知事もしくは大都市がこれが監督を執行いたしますが、鋭意それを督励いたしまして、そういう不正の建築が建設されないように、一そう厳重に監視するよう日ごろも叱咤いたしておりますが、一そう力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/136
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137・受田新吉
○受田委員 私、心配があるのです。その監督を強化するとおっしゃるけれども、そこへ人間が住まってくれば、それを出てもらってその建築をやり直しておるかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/137
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138・尚明
○尚政府委員 これは非常にデリケートな、実際問題としてむずかしい問題でございまして、その不良なる宅地及び建物の取り締まりは、一方では宅地建物取引業法の規定のもとでもやっているわけでございます。それから建築基準法のほうは、その建物の物理的な安全を見ているわけであります。それで、これらの業者は、十分なる竣工検査の認定も得ず、買い受け人を探して、また買い受け人のほうも十分な検査の済んでいないものを誤って買う、こういう点で、私どもはその住宅を買われる方に、必ずそれぞれのそうした規定に適合したものを求めるように、いわゆるPRというようなこともして、不正な取引を、また誤ってそういうものを購入しないような措置というようなものを、つまり監督面からもそれからPR面からも、それから宅地建物の取引業の監督のほうからも、各方面を動員して、そういう不正の事実をなくすようにつとめなけばならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/138
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139・受田新吉
○受田委員 私がお伺いしておるのは、なくさなければならぬのではなくて、そういう不正住宅へ入居してしまったあとで、それを成規の規格による建物につくり直さしておるか。もう人が住まっておるから、まあというので泣き寝入りになってくれたのでは、これは監督の強化にはならぬわけですからね。それで、現実の問題として、不正な住宅へ入ったときに退去していただいて、そこへ成規の規格による建物を建てさしておるかどうかです。もういまの段階は強力にやってもらわぬといかぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/139
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140・尚明
○尚政府委員 建築の法規のほうから退去を命ずることは、法規上もいたしておりませんで、その建物の是正を命じて、すなわち危険な部分を、面積なら面積が違反をしておれば、そこを取り除くということをやっているわけでございます。そこで実態といたしまして、誤ってそういうものを購入していました場合は、実情として各公共団体はきわめて危険でない場合は是正の命令を出しているという程度でありまして、一応やむを得ず見のがしている点もあると思います。それから、非常に危険な状態にあるものについては、是正命令を出し、かつこれに対して強制の執行等を強要するようにしているわけでございます。これがために、今度は売った人とそれを買って誤って入った人の間に訴訟が起きているというような例も、つまり詐欺の問題でございますが、二、三ございます。以上のようなことで、できるだけそれを直させるようにいたしているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/140
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141・受田新吉
○受田委員 それでは、一応質問がいまから定員の問題に入っていく大事な段階になったのですが、いろいろなあれが出ておりますので、一つだけ。建設大学と建設研修所を改称することになる、これは大学にして、どういうところに魅力があるのですか。大学校という名称をつけることで、何か特権があるのでございますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/141
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142・小山長規
○小山国務大臣 一口に申し上げますと、大学らしい設備も陣容も整ったので、ほかの省と歩調を合わせて大学にする、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/142
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143・受田新吉
○受田委員 それはおかしいですよ。大学というと、四年制の大学か二年制の大学らしいかっこうに、修業年限もなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/143
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144・小山長規
○小山国務大臣 大学令の大学でなくて、各省庁でやっております大学校、その大学校と遜色のないものに現在実態がなっております。そういうことも考えまして、建設大学校と、こうしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/144
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145・受田新吉
○受田委員 これはつい短期間で、何カ月とかという、修業年限はせいぜい一年程度のものですね。そういうものが、大学と名称を打ってある。これは行管の井原局長、どうですか。こういう大学校などと、いかにも大学のようなかっこうになったと大臣が言われるほど、錯覚が起こるほど大学の名称に魅力があるようですが、これはあまり大学大学と使うというとナンセンスです。研修所のほうがいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/145
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146・井原敏之
○井原政府委員 実はこまかいデータを持って参上しなかったのでございますが、従来の建設研修所が、これは最近の具体的なデータをもって御説明しないとおわかりにならぬかと思いますけれども、組織とか施設、教育内容等が、建設行政、建設事業を担当する者の養成機関としてはとにかく最高のものになっておるということで、これは先ほど建設大臣からお話がありましたように、普通の大学のような厳密な基準があるわけではございませんで、現在も六つ、七つ、行政府内の研修機関で大学校という名前をつけているものもございますが、そういう趣旨でありまして、その省の研修機関として最高の水準にまで拡充された段階で、非常に士気も上がるし——いろいろな意味で士気も上がるというようなこともあるのでつけておるわけでございまして、これは普通の行政機関の組織の審査のような厳密な審査をするわけではございませんのでその点を御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/146
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147・受田新吉
○受田委員 井原局長、これはナンセンスですよ。これは自治大学校、警察大学校、今度はこちらで建設大学校と、いかにも魅力のあるようなことを言っているが、むしろ研修所として真剣に研修するというところに魅力がある。大学校という看板を掲げることで魅力があるのじゃないのです。防衛大学校というのは、学校令にいう大学に準じてこれは大学校という名称を打ってもいいけれども、ほかの役所のものは研修所です。行管はこれは統一されたほうがいい。まだほかの省から大学校が出てきます。つまらぬことです。消防大学校、自治大学校というのと建設大学校、これは全部建設研修所、自治研修所で、行管でずらっとまとめてもらいたい。いまあなたは、何かちょっと子供がごまかされるような、非常な魅力のある御発言をされたが、決して研修をされる職員は、大学校という名称に魅力を感じておりません。ですから、これは行管で各省のそういうものを研修所として、すっきりした気持ちで統一し、しっかりと強化することのほうが賢明です。そうしないと、各省が言うてくるたびに大学校ができ、とんでもない大学校が全国にできるということを御注意しておきますから、来年度からはそういう大学名を廃して、研修所に統一強化することに御判断を願いたい。
定員その他、私の本番のところがまだ残っているのですが、いま自民党からも質問をやめてくれと言うし、社会党も何か用事があるらしいので、この定員関係の問題については次会にお譲りを申し上げまして、きょうは政府及び与党に御協力をさせていただきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/147
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148・河本敏夫
○河本委員長 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。佐々木義武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/148
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149・佐々木義武
○佐々木(義)委員 総理府設置法の一部を改正する法律案の内容は、三点にしぼられておりまして、一つは家庭生活問題審議会、もう一つは港湾調整審議会、もう一つは近畿圏整備本部の人員増加の問題、この三つの問題でございますが、私は、家庭生活問題審議会の審議内容といいますか、諮問内容、趣旨のようなもの、並びに港湾調整審議会の諮問内容等を御質問申し上げまして、若干希望をいたしておきたいと思います。
そこで、まず家庭生活問題審議会でございますが、この設置の必要性を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/149
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150・臼井莊一
○臼井政府委員 最近、いろいろ科学の進歩に伴いまして、家庭生活のあり方につきましても、その合理化とか、生活技術あるいは家庭生活の設計、さらにまた、戦後にいろいろ家族制度の変化もまいっております。したがいまして、家庭内における人間関係というような問題、また、社会に対する家庭との関係、これらの問題に関しまして、ひとつ現代の家庭についての一つのあり方のビジョンを策定することが願わしい、こう考えて、そういう意味で家庭生活問題審議会を設けることにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/150
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151・佐々木義武
○佐々木(義)委員 趣旨ははなはだけっこうだと私は思いますが、いまのお話でございますと、新技術の進歩に伴いまして、それが家庭生活における影響、あるいはこれに対する対処方策といいますか、家庭的な意味合いからの問題、あるいは主として道徳的な面からする人間関係、その他の問題を扱うということになりますと、これは相当やはり広範囲な、また非常に深い問題になろうかと思いますが、そういう問題を扱う際の委員の選択のしかたとか、あるいは海外の例等、どの程度まで研究されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/151
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152・臼井莊一
○臼井政府委員 いま申し上げましたように、家庭生活の技術とか生活設計とかいうような、いわゆる家政学的な問題を一つ御審議いただくのでありますけれども、しかし、いま申し上げましたように、家庭の生活のあり方のビジョンを描く、こういう相当高度の一つの理想をそこにつくるわけでありますから、したがいまして、その委員の選任につきましては、単なるそういう家庭生活の技術とか家政学的な面というようなことにばかりとらわれずに、むしろ広い見識を持ち、高度の理想を描き出すにふさわしい、そういう案を御審議願うのにふさわしいような幅の広い見識を持たれる方を委員にお願いしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/152
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153・佐々木義武
○佐々木(義)委員 ごく卑近な例でございますが、たとえばアメリカ等では、実物教育と申しますか、小さいときから科学的な理論というよりは、むしろ家庭におきまして実際のものを扱いながら科学教育をしていく。また教育面では、日本の家庭では、ややもしますと、子供のときは非常に甘やかして、社会に出ますと逆に干渉する。欧州のほうではそういうことでなくて、反対に、家庭は子供のときはひどく厳格な道徳教育なんかをしまして、一人前になりますと全然本人の自主性にゆだねる、そういう逆の方向になったりいたしまして、日本の従来の行き方から見ますと、海外の扱い方というものはずいぶん違っております。反面、また日本では日本で、かつての家族制度と申しますか、これにはこれで伝統的な非常にいい面もあるわけでございますので、相なるべくはそういう海外の状況並びに日本の古来の美風と申しますか、そういう点も加味していただいて、日本の今後に要請される国家並びに人間のあり方というものは、非常に高度な技術水準というものを身につけた、同時にまた高い道徳というものを身につける人、またはそういう人によって構成される国家が一番望ましいと思いますので、そういう意味合いにおきまして、この審議会におきましても、あまり広範になって結論がわからないのでは困りますので、問題をそういう面に少ししぼって、それからだんだん間口を広げていくほうが非常によろしいのではなかろうかという感じがしますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/153
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154・臼井莊一
○臼井政府委員 お説のように、外国の生活がずいぶん入ってはまいりましたけれども、まだ生活のあり方の内容につきましてだいぶ違うところがありまして、ことに家庭教育の面では、お話のように、日本は子供のときには少し甘やかし過ぎて、大きくなってからむしろやかましいことを言うのです。欧米先進国ではこれと逆である、こういう問題もございまして、したがって、教育というと学校教育にまかせ切りだということに思いがちでございますが、やはりことに子供のしつけというような問題については、幼児の時代から相当にきびしくやる必要があると存じます。そういう問題等についても、家庭のあり方に、一つのこれからの問題点もあろうと思います。ただ、お説のように、この委員につきましても、あまり高邁な、理想といっても望洋とした抽象論ばかりでも困るわけでございます。ですから、当初申し上げましたように、新しい生活の設計なりあり方なり、生活改善というようなことの面もあります。ただしかし、それだけにとらわれてはいかぬから、やはり広い識見の人もひとつ加えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/154
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155・佐々木義武
○佐々木(義)委員 こういう家庭生活の問題に対する各者の扱いというものは、非常に多岐にわたっておりますので、ほかの問題と違いまして、それほど権限的には争いがどうのという問題は特別ないと思いますが、これを総合調整してよりよい家庭生活のためのビジョンというものをつくり上げるということになりますと、これは相当従来の各省のままの行き方でいいのかどうかという反省の問題も起きてくるかと思いますので、審議会には、政府のそういう経験者などいろいろ加えておやりになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/155
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156・臼井莊一
○臼井政府委員 事実、この家庭生活問題となりますと、各省にまたがることが非常に多いのでありまして、母子対策、老人対策というようなことで厚生省方面とか、さらにまた消費生活という面から見ると経済企画庁あるいは通産省、農林省、それから家庭生活、先刻のお話の文部省とか、住宅問題では建設省、さらに勤労者の問題、御婦人の勤労者の問題については労働省の方面、あるいはまた農村における生活に関しては農林省、こういうふうに広いのでありますから、したがいまして、総合調整する上において、委員の中にはそれぞれ関係各省から出ていただいて、そういう問題に関してそでのないように、十分機能の発揮できるようなひとつ審議会にしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/156
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157・佐々木義武
○佐々木(義)委員 これから審議会をつくるわけでありますから、まだ、審議会をつくってからいろいろディスカッションして、それからの問題だと思いますけれども、最終的には何か家庭生活はかくあるべしというようなビジョンと申しますか、あるいは典型と申しますか、そういうものができてくるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/157
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158・臼井莊一
○臼井政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、日本の現代にふさわしい一つの家庭のあり方、ことに人間関係等では、戦後の家族制度が非常に変わってまいりましたので、そこで親子の関係、対老人関係とか、非常に従来と変わってきて、いいところもあるのですけれども、またそこに将来の日本にとって非常に心配しなければならぬような問題もございますから、それらについて、一つのビジョンというか、一つの理想図といいますか、家庭像といいますか、そういうものをひとつ審議していただいて、いいものをお考えいただきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/158
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159・佐々木義武
○佐々木(義)委員 企てはたいへんけっこうだと思いますので、できるだけひとついいものをつくっていただきたいと思います。
次に、港湾調整審議会に入りたいと思いますが、私も長い間運輸方面を担当しておったのですが、港湾の問題ほど、やってみまして複雑多岐のものはございません。しかも日本の港湾は、戦後におきまして占領軍等の関係もございまして、非常におくれております。おくれておるのを急速に伸びました経済成長に伴って追っかけていくわけですから、その間関連が複雑なばかりでなしに、それを扱う関連事業の複雑さを整備する、整備のしかたと申しますか、そういう点が、まことに不手ぎわの面が多いように私は考えます。そこで、港湾調整審議会を設置した理由をこの前の提案理由で見ますと、何か港湾労働者の管理と、従来の運輸省の港湾局等を主体にしたいろいろな港湾行政との調整等に主眼が置かれているような感じがいたすのでございますが、そういうねらいでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/159
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160・臼井莊一
○臼井政府委員 今度港湾調整審議会をつくりました理由は、港湾の近代的な秩序を確立して、その効果的な利用をはかりたい。それには、港湾労働者につきましても、従来、古い、いろいろのあまり芳しくない慣習等もありますので、そこで、これをひとつこの際近代化の方向に調整する必要があろう。要するに、労働者方面の需給の調整ということと、また、港湾運送の近代化とか、利用が十分にうまくいくように、これらの諸施策が総合的にうまくいくように調整したいということであります。これには、やはり関係の各機関がうまく、そごしないように調整する必要がございますので、先般出ました港湾労働等対策審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、この審議会をつくろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/160
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161・佐々木義武
○佐々木(義)委員 港湾の問題は、大きく分けまして二つに分かれまして、一つは監督行政機関と申しますか、税関とか、あるいは動植物の検疫とか、あるいは海港検疫、あるいは出入国の管理等、諸般の行政機関がある。これが非常にばらばらなんですね。一つの港湾ができ、さて動植物の検疫のほうをそこでといっても、農林省のほうは予算その他でもってなかなかできない。あるいは厚生省の検疫のほうは先にできてしまった。しばらくたってから今度は大蔵省の税関がやっと設置されて開港するといったように、これを監督する機関が、時期的にジグザグが非常に多い。こういう面等の調整は、一体どうなさるのか。
もう一つは、監督機構の問題ではなくて、港湾自体の問題としては、港湾関係の事業者、はしけとか倉庫とか上屋とか、あるいはいまお話しなされました港湾労働者、港湾を利用する利用者がいる。こういう民間業者と申しますか、民間の関連機関というものは非常に多岐にわたっておりますので、この監督行政機関の問題と、民間の関連業者、労働者の問題、これを全部総合して、初めて港湾としての機能が整備もされ、近代化もされていくわけですが、その辺、全般を通じての調整をここで検討してまいるのか。そうじやゃなくて、いまお話のありましたような、主として、一番不足でもあり、問題にもなっておる港湾労働者の取得というような問題を中心に審議するのか。そこら辺をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/161
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162・臼井莊一
○臼井政府委員 港湾関係につきましては、一つは港湾で働かれる労働者の問題、それから施設とか、いろいろ問題がございますけれども、この審議会におきましては、内閣総理大臣の諮問に応じていろいろ各省にわたる問題を調整、審議する、そして内閣総理大臣に答申するということでございますが、一方また港湾労働法案が通過いたしますと、港湾労働に関する労働省関係の問題につきましても、労働大臣の諮問に応じてまたこれも答申する、こういうことでございますので、相当広い範囲で港湾問題について調整、審議したい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/162
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163・佐々木義武
○佐々木(義)委員 くどいようでございますが、いまのお話わかりましたけれども、港湾労働と港湾関係事業者との調整だけじゃなくて、港湾調整審議会ですから、民間の関連機関の調整、並びに行政府内部がまたばらばらでございますので、そういうものをあわして調整していただければ、たいへんけっこうじゃなかろうかと考える次第であります。と申しましても、これまた問題が非常に多岐にわたりますので、各省の所管事項等もございましょうから、そこら辺は非常にむずかしい問題だと思いますが、あまり局限した扱い方でなくて、幅の広い行き方でやっていただけばいいと思います。
なお、近畿圏整備本部の人員増の問題もございますが、私の質問はむしろ内容的な面の質問だけで終えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/163
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164・河本敏夫
○河本委員長 次会は、明二十八日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804889X03819650427/164
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