1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十四日(水曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 東海林 稔君 理事 芳賀 貢君
伊東 正義君 池田 清志君
宇野 宗佑君 金子 岩三君
亀岡 高夫君 吉川 久衛君
倉成 正君 坂村 吉正君
田邉 國男君 高見 三郎君
中川 一郎君 中山 榮一君
丹羽 兵助君 野原 正勝君
藤田 義光君 細田 吉藏君
湊 徹郎君 山中 貞則君
渡辺 栄一君 卜部 政巳君
栗林 三郎君 千葉 七郎君
松井 誠君 松浦 定義君
山田 長司君 湯山 勇君
小平 忠君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
議 員 谷垣 專一君
専 門 員 松任谷健太郎君
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三月二十四日
委員小枝一雄君、田口長治郎君、細田吉藏君及
び松田銭鐡君辞任につき、その補欠として渡辺
栄一君、湊徹郎君、伊東正義君及び坂村吉正君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員伊東正義君、坂村吉正君、湊徹郎君及び渡
辺栄一君辞任につき、その補欠として細田吉藏
君、松田鐵藏君、田口長治郎君及び小枝一雄君
が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一〇四号)
競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する
法律案(笹山茂太郎君外二十三名提出、衆法第
六号)
農林水産業の振興に関する件(畜産物の安定価
格に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/0
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001・坂田英一
○坂田委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、まず、提案理由の説明を聴取いたします。舘林政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/1
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002・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由をご説明申し上げます。
近年におけるわが国の酪農の発展は、まことにめざましいものがありますが、近時わが国経済の高度成長、開放経済体制の進展、農業全体の構造変化等酪農を取り巻く諸情勢は急速な変化を示しつつあります。また、酪農自体としても、その経営規模は漸次拡大しつつあるとはいえ、なお一般に零細であり、飼料自給度も低く、全体として生産性、収益性は低い状態にあります。
また、生乳の流通加工面におきましても、生乳取引の公正と安定の確保、集乳路線の整備、の合理化等数多くの解決しなければならない問題をかかえている状況であります。
さらに、最近におきましては、生乳生産量の伸び率が鈍化しており、今後予想される牛乳乳製品の需要の増大を考慮するとき、これからの需給の逼迫が懸念されております。
これらの情勢にかんがみ、(1)今後とも増大が予想される需要に対応して可能な限り生乳の国内自給をはかるよう生産の拡大につとめること、(2)乳牛飼養規模の拡大等を通じて酪農経営の生産性の向上を促進すること(3)牛乳乳製品の生産、加工及び流通を通ずる合理化を推進することを施策の基本方針とし、またこれが実施に当たっては、輸入に依存することが困難であり、また生産者にとっても相対的に有利な飲用乳の比率を高めるよう配慮してまいるべきものと考えております。
この基本方針を具体化する方途の重要な一環として、生産及び流通を一体とした酪農の近代化を計画的、効率的に行なうための措置、生乳取引の安定に関する制度を整備するための措置、国内産の牛乳の学校給食の計画的実施をはかるための措置、地方公共団体等が管理する土地について大規模な草地造成事業を推進するための措置等を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきましてご説明申し上げます。
まず、酪農振興法の一部改正について申し上げます。
その第一は、酪農近代化計画等に関する制度の新設であります。生乳供給の安定的な増大、適地適産による近代的な酪農経常の育成及び集乳等の合理化を計画的、かつ、効率的に推進していくため、国がこれらに関し酪農近代化基本方針を定め、これに即して都道府県及び市町村が酪農近代化計画を定め、これらの計画に基づいて今後酪農に関する各種の施策の重点的実施をはかろうとするものであります。
第二は、現行の集約酪農地域の制度につきまして、最近における酪農情勢の変化に対処し、酪農近代化計画制度との有機的な関連を考慮しつつ、生乳の濃密生産団地としての性格を明確にし、指定基準等に所要の改正を加えたことであります。
第三は、生乳等の取引に関する紛争の適正かつ迅速な解決に資するため、契約の更新に関する規定を整備するとともに、紛争の当事者の出頭義務に関する規定を設けたことであります。
第四は、国内産の牛乳の学校給食に関する規定を整備したことであります。国内産の牛乳の学校給食への供給事業は、酪農の振興をはかるためにも、児童、生徒等の心身の健全な発達に資するためにもきわめて重要な対策でありますが、今後学校給食への供給量を逐年計画的に増大させる方針のもとに、酪農近代化基本方針に即して学校給食供給目標を策定し、かつ、毎年度学校給食供給計画数量を定めることとし、さらにその供給を円滑化するための援助措置に関する規定を設けました。
次に、土地改良法の一部改正について申し上げます。
草地改良事業につきましては、かねてその計画的推進をはかってきておりますが、昭和四十年度におきましては、さきに国会に提出いたしました農地開発機械公団法の一部改正案により共同利用模範牧場の設置事業を進めるとともに、新たに公有地等における国営草地改良事業を実施することといたしております。
これに伴い、土地改良法の一部を改正し、地方公共団体等が使用収益している土地につき、当該団体等の申請に基づき、国営または都道府県の農用地造成事業を行なうことができる旨の規定を設けることといたしました。
以上がこの法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/2
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003・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 引き続き補足説明を聴取いたします。檜垣畜産局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/3
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004・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、ここでは省略することといたし、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
まず、酪農振興法の一部改正について申し上げますと、第一に、酪農近代化計画等に関する制度を新たに設けることとしたことであります。
すなわち、適地適産による生乳生産の安定的増大、乳牛の飼養規模の拡大、飼料の自給度の向上等による近代的な酪農経営の育成及び集乳等の合理化を通じて生産から流通に至る酪農の近代化をはかることは、提案理由で申し上げました理由により、現下の酪農情勢のもとでその緊要性が高まっておるのであります。これを国及び地方公共団体の協調のもとに計画的、効率的に進めていくため、まず、農林大臣が、これらの重要事項に関して今後の向かうべき方向を明らかにした酪農近代化基本方針を示し、次いで、この基本方針に即して、都道府県知事が、その区域における酪農の近代化をはかるための基本的な事項についての計画を作成し、さらに、この都道府県の計画に即して、酪農の合理的な発展をはかるにふさわしい条件を備えた市町村の長が、その区域における酪農の近代化をはかるための具体的な措置についての計画を作成することができることといたしました。
これにより、今後、国、都道府県及び市町村の各段階相互間において、酪農関連諸施策の方向について一貫性を確保いたしますとともに、各段階におけるこれら各種施策の重点的、総合的な運用をはかり、酪農の当面する重要問題の解決を計画的、効率的に進めることをねらいといたしております。そして、このねらいを達成するため、農林大臣及び地方公共団体の長が酪農振興に関する各種の施策を実施するにあたっては、これら酪農近代化計画等に即して行なうべき旨を明定いたしますと同時に、従来計画を実施するために必要な国の助成等に関して設けておりました規定につき、新たに都道府県も各種の援助を行なうようにつとめなければならない旨の規定を追加することといたしました。
なお、従来一定の市町村が定めることができることとされておりました酪農経営改善計画に関する制度につきましては、これをさきに述べまして市町村酪農近代化計画制度に発展的に吸収することとして、従来の制度は廃止することといたしました。
第二に、現行の集約酪農地域の制度につきまして、最近における酪農情勢の変化に対処し、これを第一に述べました酪農近代化計画制度との有機的な結びつきのもとに有効に活用するため、所要の規定を整備することといたしました。
集約酪農地域の制度は、周知のとおり、特殊な生鮮産物である生乳の性格にかんがみまして、一定の地域において濃密な乳牛の飼養密度を持った生乳の供給地域を育成し、生乳の集荷処理加工を効率的に行ないつつ酪農の振興を進めるために設けられたものであります。今日、乳製品工場の処理能率の向上とあいまってわが国乳製品の国際競争力の強化をはかり、また、生乳の集荷及び輸送の効率化により大消費地を中心として急増している市乳需要に対して円滑な供給を期するため、この集約酪農地域の制度を有効に活用することはますます重要となってきております。
そこで、今回の改正におきましては、まず、集約酪農地域の生乳の濃密生産団地としての性格を法文上明確にいたしました。また、集約酪農地域の指定基準並びに振興計画の計画事項及びその具備すべき要件の改正についてでありますが、今後における生乳の濃密生産団地の形成は、単に地域内において乳牛飼養頭数の増加等をはかっていくことのみによってではなく、乳牛飼養規模の拡大、飼料自給度の向上等の基盤の上に立つ近代的な酪農経営群の育成を通じてこれを推進していくことが必要であると考えられます。したがって、このような生乳の適地適産による濃密生産団地が集約酪農地域であるという考えに立って、指定基準を改めるとともに、第一に述べました酪農近代化計画制度との有機的な関連を考慮しつつ、集約酪農地域の振興計画の計画事項及びその具備すべき要件に関する規定を整備することといたしました。
なお、集約酪農地域における草地造成等の事業の手続に関する規定は、後に申し上げます土地改良法の関連規定の強化に伴いましてその使命を全ういたすことになりますので、これを改め、国及び都道府県が、集約酪農地域における草地造成等の事業の推進につとめるべき旨の規定とすることといたしました。
第三に、生乳等の取引に関する規定の整備をはかることとしたことであります。
生乳等の取引に関しましては、すでに、現行の酪農振興法に、生乳等取引契約の文書化、生乳等取引契約にかかる紛争についてのあっせん、調停等につきまして規定がございます。しかしながら、生乳等取引契約の存続期間が満了した場合につきましては規定がなく、契約当事者が更新の意思を持ちながらもその表示をしないときの契約関係が非常に不明瞭となっております。そこで、生乳等取引契約の継続性にかんがみ、契約当事者がその存続期間の満了の一定期間前までに別段の意思表示をしないときは、当該契約が一カ月間延長される旨の規定を設け、契約関係の明確化と契約の更新に伴う紛争の円満な解決をはかることといたしました。
また、現行の生乳等取引契約にかかる紛争の調停に関する手続規定中には、紛争関係者に出頭を義務づける規定はございませんが、過去における調停の経過に徴し、さらには労働関係、建設工事関係の紛争にかかる調停手続の規定をも参考といたしまして、紛争関係者の出頭義務に関する規定を設け、紛争の適正かつ迅速な解決に資することとした次第であります。
第四に、国内産の牛乳の学校給食に関する規定を整備することとしたことであります。
現在、酪農振興法第二十四条の三におきまして、国内産の牛乳の消費の増進措置の一環として、国内産の牛乳の学校給食への供給を促進すべき旨が規定されており、畜産振興事業団が畜産物の価格安定等に関する法律に基づき、国内産の牛乳を学校給食に供する事業につきその経費を補助いたしております。
この牛乳の学校給食への供給事業は、生乳の飲用向け消費比率の向上をはかるためにも、また、児童、生徒等の心身の健全な発達に資するためにも、きわめて重要な措置であります。そこで、今後、この牛乳の学校給食への供給量を逐年計画的に増大していくことを目途として、農林大臣が、文部大臣と協議の上、第一に述べました酪農近代化基本方針に即して学校給食供給目標を定め公表するとともに、この学校給食供給目標に即して、毎年度、学校給食供給計画数量を定めることとし、さらに、その供給の円滑化をはかるための援助措置に関する規定を設け、国内産の牛乳の学校給食を制度的に広範かつ円滑に実施することとした次第であります。
つぎに、土地改良法の一部改正について御説明申し上げますと、国営または都道府県営による草地造成事業に関する規定を整備することとしたことであります。
草地造成事業につきましては、現行土地改良法上、農用地造成事業としてその実施手続に関する規定が設けられているのでありますが、酪農の生産性の向上のための施策の一環として、昭和四十年度から、国営草地造成事業、農地開発機械公団による共同利用模範牧場の設置事業を新たに実施することとする等積極的にその推進をはかることといたしておりますが、このためには、公有地等における草地の共同利用、乳牛集団育成等を目的とする大規模な草地造成事業についての法制を整備し、これが促進をはかる必要があります。
よって、地方公共団体、農業協同組合または農業協同組合連合会が使用し収益する権利を有し、かつ、土地改良法第三条に規定する資格を有する土地につき、これらの者の申請により国営または都道府県営による農用地造成事業を行なうことができることとし、その申請手続、適否の決定土地改良事業計画の策定、計画の変更等の規定につき所要の改正をすることといたしました。
以上をもってこの法律案の提案理由の補足説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/4
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005・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/5
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006・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 次に、笹山茂太郎君外二十三名提出、競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。東海林稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/6
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007・東海林稔
○東海林委員 今回笹山茂太郎君外二十三名から提案されました競馬法の一部改正は、条文としては、御承知のように、附則を改正して、市町村営の競馬の施行期間をさらに三カ年延長するという、きわめて簡単な条文ではありますが、現在の地方競馬の施行の実情並びに三年前に競馬法を改正した際の経過等から見まして、いま突如としてこういう改正案が議員立法という形で出てきたことにつきましては、きわめて理解しがたいものがございますので、提案者並びに自治省当局、農林省当局にお尋ねをいたすわけでございます。
御承知のように、この地方競馬は、昭和二十三年の競馬法制定の際に、戦災を受けて非常に財源に困っておる市町村に対して、一時的に財源を付与するというような点から、市町村の施行を認めることになり、さらに昭和二十六年に、競馬場所在地の市町村においても、たとえば道路の整備、その他環境整備等に、特に競馬場があるために支出が必要だというような観点から、これの施行を認めるということできたわけでございますが、しかし、すでに終戦後十数年を経た今日におきましては、そういう当初の情勢とは非常に変わってきているわけでございます。三年前のこの競馬法の改正は、これまた周知のように、公営競技調査会の答申に基づきまして、競馬とか競輪、ボートレース、オートレース、こういういわゆるギャンブルは、なるべくこれを抑制していくという立場に立って、将来これはあまり奨励はしないのだ、と同時に、その厳正な施行を期する、そして大衆の健全なるレクリエーションという方向にこれを持っていく、こういうような趣旨で改正がされたわけです。それで、施行者につきましても、原則として中央競馬会と都道府県ということにして、市町村については特に災害で財政の苦しいもの、それから競馬場所在地の市町村で、自治大臣と農林大臣が協議して、財政上やむを得ず認めるべきだというものについては、期限を付して再指定することができる、しかし、それ以外のものについてはもうこれ以上やらせる必要がないのだけれども、急にやめてはまたその切りかえに若干の問題が出るだろうということで、一応経過的に三カ年間はこれを認める、こういうことになったわけでございます。私は、ここに当時のこの委員会の審議の速記録を持ってきているわけですが、ここで政府の提案理由説明並びに補足説明、いずれを見ましても、すでに戦後十数年を経た今日では、地方財政上の理由でもって従来やっておった市町村全部に認めるような理由はなくなったということを説明して、その施行者を市町村から都道府県に移すということを説明されておるわけです。それに対して与党自民党も、そういう点を了承されて賛成して、この法案を通しているわけです。私ども社会党は、競馬の厳正な施行、そういう点できわめて不十分だということで、反対はいたしておるのでありますが、自民党の皆さんは賛成されておる。当時すでに市町村全部についてこれをやる必要がないという政府の提案説明を了承して、賛成して通しておられるはずなのに、いままた三年後の今日になって、従来やっておったものは全部これを認めなければならぬということは、何としてもわれわれは納得できないのです。先日の提案の説明を見ますと、現在競馬をやっておる指定市町村は、多くは大都市あるいは大都市周辺の市町村である、そこで、きわめて緊急かつ多額の財源を必要としている、しかもこのような財政需要は地方交付税等の通常財源付与ではなかなかまかない切れないから、延ばす、こういうようなことが書いてあるのですが、われわれは全く理由にならないと思うのです。そこで、前回の競馬法の改正の際の経過から見て、この点はわれわれは納得ができないのでありますが、その点についての御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/7
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008・谷垣專一
○谷垣議員 提案者を代表しまして、お答えをいたしたいと思います。
東海林委員の御質問並びに御意見にございましたように、この現在問題になっております競馬法の一部改正は、三十七年に、公営競技調査会が行ないました答申をもとにいたしまして、政府から提案をいたしたものでございます。当時の政府提案等の説明並びにその後の本委員会における質疑を通じて明らかになっておりますように、戦災復興等の原因、これが戦後ずいぶんたちました当時の時点におきまして、それを理由にしてやるのにはいささかもう古い、それよりも、市町村の経営というよりも、府県営というようなものを主体にして考えていくほうがいいのではないかということが、三十七年のときの改正の理由であったと思います。これはただいま東海林委員が御指摘になりましたとおり、私たちも、当時の提案理由に私たちが賛成いたしました態度そのもの、基本的な態度におきましては、これは変わっておりません。また、東海林委員の御指摘のとおり、私たちも、その点につきましては、意見を異にしているわけではございません。ただ、現実の問題といたしまして、最近におきまする地方財政の状況というもの、この現状を見ました場合に、確かに、最近におきまする地方財政の状況が、経済界の不況等の状況もございましょうし、また片一方、産業基盤の整備でありますとか、あるいは文教施設の問題、生活環境施設の増強等のような形におきまして、ことにこの競馬の益金を収入源といたしておりました市町村、これは先ほど御指摘のように、大都市周辺であるとか、地方都市の中心的なものというところがその主体をなしているわけでありますが、そういうところで特にそういうような財政需要が大きく伸びている、これはいなめない事実でございます。もちろん、この三年の間に、御指摘のごとく、政府がこれらの必要に応じた万全の対策をとっておってくれるべきはずであります。その点につきましては、私たち提案をいたしました自民党といたしましては、政府に対して強い反省を促さねばならぬと考えておりますが、現実の問題といたしまして、地方の財政の現在の状況、ことにいまこの法律によりまして指定を受けております百三十近い市町村というものが、今日直ちに財源をなくいたしました場合に、ところによりますと、これは市町村におきまして四割程度の財政収入の源になっているところもございます。そういう状況でございますがために、どうしてもそれに対するいわば暫定的な対策を考えてやらなければ、向こうへいかないという状況がございます。過去三年の間における政府がこれに対してとりました対策、これはかなり努力はいたしておりますけれども、現実にこういうところまで追い詰められましたことに対しては、私たちは政府の施策に対して強い反省を促さざるを得ないけれども、しかしながら、現実に財源としてやっております経営主体になった市町村の持っていきようのない状況というものを、何らかの形でここでもう少し余裕を与えて見てやろう、これが私たちがこの提案をいたさなければならないという決心をいたしました根本の理由でございます。いわば東海林委員のおっしゃいました理由そのものにつきましては、私たちは何ら不同意ではございません。そのとおりの意見でございますが、願わくは、非常にきびしい厳父の立場で言われるのに加えて、この事情に対しまして、いわば慈母としての立場で若干の余裕を与えていただきたい、これが提案をいたしました本旨でございますので、何とぞひとつ御了承をお願いしたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/8
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009・東海林稔
○東海林委員 市町村財政が全般的に苦しいということは私も認めます。しかし、これは根本的には、政府の市町村財政に対する指導なり財源付与ということがきわめて不適当である、そういうことが原因なのです。その点は十分与党にも反省してもらわなければならぬと思います。
と同時に、私はここでもう一つ質問したいのは、全般的に苦しいのはわかるが、現在競馬をやっているところだけが特に苦しいということにはなかなか了解しかねるわけです。この説明によりますと、現在競馬をやっている市町村が百二十八です。三年前は百三十五であったわけです。しかし、全体の市町村から見れば、わずかに四%程度なんですね。それで、いまの改正された競馬法によりますと、地方競馬を都道府県でやった場合には、これを県下全部に配分する。さらに中央段階にも一回六千万円以上売れるところについてはある程度の金を吸い上げて、競馬をやっていないところの都道府県にもこれを配分して、そうして競馬の益金を各市町村に均てんして、これを活用するということになっているわけであります。そこで、こういう四%程度の市町村にだけいつまでもこういう措置を認めておくことは、これは私は、この市町村間における財政施策の均衡を期する、公正を期するという点から見ても、まことに不合理である、こういうふうに考えますし、また、こういうことをやっているから、いつまでも市町村財政の根本的な確立ということがかえって阻害されている、このようにまで思うわけですが、その点についての御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/9
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010・谷垣專一
○谷垣議員 お説のとおり、全市町村におきまする四%の市町村がこういう対象になっておることは、御指摘のとおりでございます。先般の法律改正の場合も、いわば均衡化、公正化をはかるという意味におきまして、市町村の経営を府県営に直していく、こういう対案が出たわけでありまして、私たちもその点につきまして根本的な反対意見を持っているわけではなく、むしろ賛成の意見をもっておるわけでございます。ただ、四%という数は、全体の市町村に比しましてきわめてわずかなものではございますけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたように、この四%に該当いたしております市町村自体は、実は主として大都市周辺あるいは地方の中心都市というふうに、いわば社会開発と申しますか、文教施設あるいは産業設備、生活環境の施設等の特に需要の多い地帯でございます。そういう特殊な事情がございますので、したがいまして、これに対してこの際考えてやる必要があるのではないかというのが趣旨でございます。もちろん、先ほど御指摘になりましたように、全体の市町村に公平に財源等を考えるべきだという趣旨につきましては、これは私たち何ら東海林委員の御意見に対して不同意のものではない。それはそのとおり賛成をいたしておる次第でございますが、数は少ないけれども、四%の市町村にとりましては、現実問題として、財政収入の三割、四割というふうな、非常に高い比率を占めておる財源でございますために、今日ただいまの状況としてこういうような改正をお願いいたしておる、さようなことでございます。いろいろまだ地方財政の詳しいことは私も十分存じ上げぬところがございますが、提案の理由はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/10
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011・東海林稔
○東海林委員 自治大臣はお忙しいそうでありますから、提案者に対してはあとで伺うことにし、自治大臣にお伺いいたします。
いま私どもが検討いたしておりますのは、御承知のように、自民党の提案の競馬法の一部改正なんですが、これは私どもから一言で言えば、自治省の三年間におけるこの主催市町村に対する指導がきわめて不十分だったために、こういう変な形のものが出てきたので、非常に遺憾に思うわけでありますが、まず第一に、これまで三年間、こういうような点について、自治省としてどういう指導をしてきたかという点をお伺いしたいのです。というのは、私どものところに、この問題で多数の市町村から陳情にまいりました。その中には、これはとぼけて言うのかどうかわかりませんが、こういう改正をされたことは最近まで知らなかった、急にこれだけの財源がなくなってしまっては困るというようなことを言われる方もあるわけであります。法律でこういうことが三年前にきまったのですから、知らなかったというような理由も通りませんが、知っておったとして、こういうことについて善処しなかったことも、これは市町村自体にも問題があるが、常にその指導監督に当たっておられる自治省に対して、まことに私ども遺憾にたえないわけであります。三年前のこの提案の際にも、これは自治省当局の説明ではありませんが、そのときの農林省の説明によりますと、三カ年間に十分に指導して善処したいのだというような趣旨の答弁もあったわけでありますから、その点、まず大臣から、自治省はどのように責任を感じておられるか、またいままでどのように指導してきたかということをはっきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/11
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012・吉武恵市
○吉武国務大臣 この地方競馬につきましては、法の趣旨に基づいて、できるならば廃止したいと思って、いろいろ指導もしてまいりましたが、御承知のように、最近地方財政が、税の鈍化その他非常に窮屈になってまいりましたので、勢いいますぐこれをやめると、市町村の財政に相当困難を来たすようなことになりますので、したがいまして、ただいま御提案になったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/12
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013・東海林稔
○東海林委員 地方財政、市町村財政が全般的に苦しいということは私も認めますよ。それもわれわれから言えば、自治省の市町村財政に対する指導が悪いと同時に、国の財源付与等もそういう点に遺憾な点があるから、そういうことになっておると思います。しかし、ただいま提案者にもお聞きしたのでありますが、現在やっておるのは全体の四%です。これはむしろ市町村間における財源措置の公平を期する意味からも、いつまでもこういうことを認めておくことは、私は非常に問題だと思います。また、こういうことをやっておるからこそ、市町村財政の健全な確立ということもかえって妨げられるのじゃないか、こういうことをいま提案者にもお伺いしたのでありますが、その点についての大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/13
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014・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この指定した市町村だけというわけにもまいりません。ほかのところでも財政上困っておるような事情もございますが、できるだけ早い機会にこの市町村の競馬はやめていきたいというつもりでおりますが、ただ、いまここですぐやめると困りはしないか、こういう感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/14
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015・東海林稔
○東海林委員 そこで、これは大臣でなくともけっこうですが、現在一条の二項によりまして再指定の申請をされておる市町村がどの程度あるか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/15
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016・柴田護
○柴田政府委員 現在、私どものほうには、現在やっております市町村は、ほとんどすべて再指定の申請をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/16
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017・東海林稔
○東海林委員 それは、特に現在やっておるところで苦しいところは再指定ができるということになっておるのですから、それでそういう点は解決できると思うのですが、そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/17
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018・柴田護
○柴田政府委員 現行法の規定から言いますならば、そのうちで再指定が可能なものは四十九市町村でございまして、残りは法条に照らしまして再指定ができないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/18
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019・東海林稔
○東海林委員 私は、大臣にお伺いしますが、もし政府当局でほんとうにそういう措置が必要だというのなら、なぜ政府の責任においてそういうことを提案しないか、その点を大臣からはっきりお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/19
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020・吉武恵市
○吉武国務大臣 政府といたしましては、法の趣旨に基づいて、できるだけ早くこの市町村の競馬をやめたいということでございますから、したがいまして、政府は提案いたしませんでしたが、実情は先ほど申しましたように、地方財政が最近非常に窮屈になっております。さような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/20
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021・芳賀貢
○芳賀委員 関連して。大臣にお尋ねしますが、ただいま同僚東海林委員の質問に対する答弁は不明確なんですね。そこで、もう少し明らかにしてもらいたいのは、与党の議員提案である競馬法の改正については、政府として行なうべきであったというふうに現在はお考えになっておるかどうか、その点明らかにしてもらいたい。政府として必要であると現在の段階では考えておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/21
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022・吉武恵市
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、政府といたしましては、できるだけ早い機会に市町村の競馬はやめたいという趣旨に変わりはございません。けれども、最近の地方財政の実情は、先ほど申しましたように、非常に逼迫をしておりまするので、議員立法のこの法案につきましては、私は、時宜に適しておる、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/22
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023・芳賀貢
○芳賀委員 そういう人ごとのようなことでなくて、いいですか、議員から提案された法律が審議が進んで採決をする前には、内閣は必ずこの法案に対して賛否の意見を述べなければならぬということになっておるわけですね。ですから、まだ審議がやっと始まったばかりだから、これは今国会中に審議が終了するかどうかわかりませんが、しかし、いずれの時期か、内閣としての考え方を明らかにしてもらわなければならぬ。その場合、あなたは、しかも与党提案のこの法律案に対して、その趣旨に賛成であるか反対であるかということは、これはもう頭の中に整理しておかなければならぬのですよ。いいですか、あなたの意見を聞いておると、なるたけ早い機会にやめたいと思う、しかしいまは必要であるというような、あいまいな答弁では、いずれに考えがあるか、わからぬですね。ですから、この際、明確に、政府の立場において、この種の改正というものは政府は必要と認めておるかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/23
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024・吉武恵市
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、政府といたしましては、方針としては、できるだけ早くやめたい方針ではございましたが、この地方財政の現段階におきましては、いま直ちにやめることは無理であろう。そこで、議員立法で出ましたこの法案につきましては、政府としては賛成をいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 それでは政府が必要と認めた場合は、内閣提出とされたらどうですか。もちろん、国会は立法府だからして、むしろ議員に立法権の主体があることは当然ですが、最近の政府あるいは与党自民党の関係を見ると、与党である自民党が単独の提案はしない、政府のごきげんを伺って、政府が必要であるというものについては政府に出してもらって、それに無条件で賛成するというのが、いまの与党自民党の方針のようです。しかし、たまたま与党の立場においても議員の立場で立法権を用いて提案されたという趣旨には、われわれは賛成するものですよ。問題は、中身において、こういうものをわざわざ議員立法の権威にかけて出す必要があったかどうかということは、われわれとしては非常に疑問を持っている。この程度の軽微なものであれば、何も議員が出すというものではなく、むしろ、与党である自民党が政府を鞭撻して出させるぐらいの力がなければいけないのじゃないですか。一体、これは自治大臣としてどう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/25
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026・谷垣專一
○谷垣議員 いずれ自治大臣のほうから御答弁があると思いますが、提案者といたしまして申し上げたいと思います。
私たちは、前回の三十七年におきます本法の改正の際に、いろいろここで議論をされ、またその経過もよく承知いたしておりますし、私たち自身、この前回の改正、つまり、現行法に対しまして賛成をいたしておるわけであります。今度こういう延長の法案を出しましたのは、先ほど来申し上げておりますように、その後の事情が変化をしておるし、また、その現在の状況が、現実にこの指定を受けております町村の財政状況から見まして、延ばさなければならぬという判定をいたしまして——これは前の法律の精神そのものを何も私たちは否定しておるわけでは決してございません。ただ、こういうふうに一つの理屈で割り切れない現状認識の上に立ちまして、こういう提案をいたしたわけであります。政府のほうで提案するしないという問題は。これはまた政府の判断でございますので、私たちが申し上げる必要はないと思いますが、提案をいたしました場合、私たちの判断としては、そういう判断で提案をいたしたわけであります。必ずしも政府に対してこれは改正しろとか、どうこうという意見を申し上げたわけではございません。提案者の立場としてはそういう理由でございます。いずれ自治大臣から御説明があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 自治大臣にお尋ねしますが、それでは改正前の、いわゆる旧法の第一条第一項が現存しておると仮定した場合、どの程度の市町村が指定されるべきものであるかどうか、この点について、率直に答弁していただきたい。これは大臣からやってもらわなければ……。あなたを呼んだのですよ。自治省のあとの政府委員なんかだれも呼んでないです。自信がなければ何も出てこなければいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/27
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028・吉武恵市
○吉武国務大臣 もし今回のこの延期がないといたしますと、地方財政に響くのは約七十億程度だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、改正前の競馬法の第一条第一項の規定が現存しておると仮定した場合に、どのくらいの市町村が旧法の指定を受けなければならないか、それを聞いておるのです。大臣に聞いておるのです。いいですか、大臣が答弁できないときは、委員長に発言を求めて、私は答弁ができませんとか、わかりませんから政府委員に答えさせますということを言わなければ、かってに政府委員が発言するなんということはできないですよ。よその委員会はどうか知らぬが、もう少し衆議院規則やそういう規程をよく調べてやってもらわないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/29
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030・吉武恵市
○吉武国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、私はわかりませんので、政府委員からお答えをさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/30
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031・柴田護
○柴田政府委員 旧法が生きておりますれば、現在旧法に基づいて指定されております市町村がほとんどであります。新法に基づくものは、たしか一カ町村だったと記憶いたしております。したがって、その程度のものが今日なお必要である。なお、今後におきましてどういうことになるかということになりまずければ、市町村の事情によりましていろいろ変わってこのようかと思いますけれども、これはその数字と大同小異だろうというふうに考えます。
〔坂田(英)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、大臣にお尋しますが、それでは旧法の第一条第一項の規定というものは、これは市町村財政が困難であるということを理由にして地方競馬を開催するということは許してないわけですね。そうでしょう。当然の理由に基づいて、これこれの理由に基づいて開催できるということになっておるわけです。それで、その改正前の第一条第一項の規定というものはどういうものであったか、簡単に大臣から述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/32
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033・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のように、競馬法には明示してございまして、第一条に、著しく災害を受けた市町村で自治省から指定をしたもの、もう一つは、その区域内に地方競馬場が存在する市町村で自治省において指定したもの、こういうふうになっておるのは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、旧法の第一条第一項の二号の規定は、新法においてもこれは適用されることになるわけでございますが、この第一号の、著しく災害を受けた市町村で自治庁長官が指定するもの、これが改正されて三年たった今日、必ずしも現在地方競馬を行なっている市町村について、さらに全面的に、提案された改正のような趣旨に沿って行なうべきかどうかということは、非常に問題があると思うのです。そうお考えになりませんか。地方財政が困難だからもう少し延ばしてもらうというのは理由にならないでしょう。はなはだしい災害を受けてそれを復興するための特殊財源の措置として、この種の地方競馬というものを自治庁長官が、いま大臣ですが、認めるということになっておるわけで、抽象的な、これをやめた場合には財政が困難になるから、気の毒だとかかわいそうだということは、これは理由にならぬと思うのです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/34
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035・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のようではございますけれども、この中にありまするように、「著しく災害を受けた市町村」というのは、前のいわゆる戦災も引き受けまして、そのあとの問題として、いまこれを直ちにやめますと、その市町村が困る、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 それは改正前の法律を引用して、私が言っただけですが、そこで、今回改正案が出されないで、いわゆる旧法の第一条第一項の規定を新法の規定とみなすという点が改正されない場合には、三月三十一日、今月一ぱいでこれは消滅するわけですね。消滅した場合に、今度は地方競馬を行なうことができなくなる市町村が、百二十八のうち、たとえば八十カ町村あるとすれば、そこに特別の財政困難の理由が生じた場合に、たとえば自治省としてはどういふうにこれに対応されるか。競馬をやれぬからおまえはしかたがないと言うわけにいかぬでしょう。そうじゃないですか。地方財政を保護する立場に立って、一体そういう特殊財源が失われた場合にとるべき措置というものが、地方競馬を継続する以外にないということではないと思うのです。それを三年間に十分自治省において考究して、この適用を受けることができなくなった市町村のその後の財政の計画であるとか、財政運用というものをどうすべきかということは、当然これは三年間のうちに十分自治省としても対案を用意して、あるいは当該市町村に対しては事前の指導等を行なって、変化が生じないようにするというのが当然じゃないですか。そう考えていなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/36
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037・吉武恵市
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、私どもといたしましては、できるだけ改正の趣旨に沿うて廃止をしていこうというつもりでおりましたけれども、御承知のように、昨年ごろから急に地方財政の伸び悩みになってまいりまして、状況は苦しくなってきたのでございます。やめたらどうなるかというお話でございますが、やめますとそれだけ非常に苦しさが強く響いてまいりますので、この御提案に対しましては、私どもはやむを得ないということで賛成をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/37
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038・芳賀貢
○芳賀委員 やめた場合の状態、地方競馬が四月からできなくなったという状態は、従来地方競馬を開催しなかった町村と大体同様の状態になるということは言えると思うのです。全国の市町村が一斉にやっておって、一部のものだけができないというのであれば、そこに不均衡を生ずるが、ほとんど九割以上の大部分の市町村というものは、こういうものに依存していなかったわけです。しかも、自分の市町村の区域内に競馬場の施設を全然しておらない。それで、五十キロも百キロも遠方の都道府県に設置を認められた競馬場というものを使用して開催しておる。ですから、その開催権を持った市町村は、自分の市町村の住民に対しては開催しても競馬を見せることはできないでしょう。町村で旅費や何かを支給して行って見てくださいということになれば、ひまな人は行くかもしれぬが、所在地域に競馬場の施設がない、遠隔の地で開催して、そこから一定の馬券発券による利益を市町村財政の特殊財源として確保する手段にしかこれはすぎないわけなんです。こういうやり方というもの、どろぼうや詐欺でなければ、どこからでも収入の道があればやりなさいというような自治省の指導方針というものは、間違いじゃないですか。そこに問題がある。問題があるから、三年前に競馬法の改正を行なって、まず第一段階としては、市町村の区域内に競馬場の施設を持たなければならぬという点と、著しい災害等が発生してどうしてもこれに財源を依存しなければならぬという場合に限定して、認めるということになってきたわけですから、将来はこれは全面的廃止の方向に行くということは、提案者である与党の皆さんも頭の中に入れておられると思うのです。だから、たとえば三年後においても、またこういうことになるのじゃないですか。ここ三年間の自治省のような態度を持ってした場合において、またやれなくなった場合に困るから、これを延ばすというようなことは、繰り返し繰り返し継続されるということになるから、むしろこの際、そういう改正等は行なわないで、小手先を弄しないで、やはり法律の規定どおり、三年前の国会で定めたとおりの方針でこれは行なうということのほうが当然である。そうして自治省においては、それらの市町村に特別の財政的な困難が生じた場合においては、当然、これは交付金の措置とか、あるいは必要の場合にはそのことを理由にして特別交付金の措置等ができないということはないでしょう。これはやるつもりならやれるのですよ。総理府令を改正して、自治大臣の権限でやれるのです、特殊扱いにするということになれば。そういう方法があるということを知りながら、政府にお願いしたか、与党に頼んだかどうか知りませんが、なれ合いでこういうような安易な改正をやるということについては、われわれとしては断じで了承することができないのであります。この点について、これは自治省に一番関係のあることですから、所管の農林省でありますが、農林省はもともとこういうことには反対の態度をとっておるわけです。だから農林省は改正案を出さないのですよ。しかし、自治省のほうではやってもらいたいが、なかなか自治省が立案して出すわけにはいかぬでしょう。そういういきさつは、われわれは重々承知はしております。(発言する者多く、聴取不能)けしからぬじゃないですか……(発言する者多く、聴取不能)こういうことをやるということは、まことに自治省の無力というものを遺憾なく国民の前や国会に証明した以外の何ものでもないのであります。どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/38
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039・吉武恵市
○吉武国務大臣 お説、私はごもっともだと思います。これは決して好ましい方法ではございませんので、できるだけ早い機会にやめたいという気持ちでございます。ただ、地方財政も、ここ二、三年前までは非常に自然増収もふえて伸びてきたわけでございますけれども、急にいわゆる伸びが鈍化をして、苦しくなってきたようなわけでございまして、私ども、そうだからといって、いつまでもこれをほうっておくというつもりはございませんで、お話のごとく、できるだけ早い機会に調整をしていきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/39
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040・中村時雄
○中村(時)委員 非常にお忙しいようなので、もう一点だけ、まとめて明確な答弁をしてもらいたい。先ほどから大臣のおっしゃるのには、少なくともこの競馬法によって、競馬を財源にして地方財政の確立はやりたくない、早く競馬というものはやめさしていきたいという意図は、この競馬というものがギャンブルであるということを内心思っておられるからだと思うのです。ある意味で言うならば、そういうような姿の中で地方財政を確立するということは、少なくとも私はよき習慣ではないと思うのです。そういう立場から、あなたはこれを取りやめたい、こういうふうにお考えだろうと思うのですが、その点を一点明確にしておいていただきたい。
それから第二点は、今度の問題も、時限立法になっておる。時限立法ということは、三年間において今度はあなた方が——過去のことはここでは申しませんが、少なくとも三年後において、その最終時期には、この次はこのようなふしだらな方法での法案の出し方をしないという確信を持っておられるかどうか、その問題を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/40
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041・吉武恵市
○吉武国務大臣 第一点の質問でございますが、競馬というものがいいかどうかという点につきましては、私、ちょっといまここで申し上げかねますが、市町村の財源措置として競馬をやって、その収益をもって充てるということは好ましいものではない、私はかように存じております。
したがいまして、第二点の三年後にどうするかということでございますが、そういう趣旨でございまするから、私どもは、まあ三年後についてはこれをやめたい、これを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/41
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042・東海林稔
○東海林委員 次に、畜産局長にお尋ねしますが、いままで私並びに芳賀委員、中村委員の提案者及び自治省に対する質問をあなたも聞いておったわけですが、前回の経過から見ますならば、私は、農林省としてはなかなかこれには賛成しがたいのではないかと思うのですけれども、それを聞くと非常に困るだろうと思うから、それは聞きません。
そこで、一つ聞きたいことは、この問題について、自治省から政府提案として出してくれというような御相談があったかないか、その点をまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/42
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043・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 いままで自治省からいろいろ答弁がございましたように、自治省としては、附則七条による期間が満了いたしますと、現に地方競馬を施行いたしております市町村の財政事情が非常に困難になるという事情がございますので、この期間の延長について、政府提案による改正案の提出を考慮してもらいたいという意思表示は、受けたことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/43
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044・東海林稔
○東海林委員 そこで、意思表示があった際に、一体、農林省としてはどういう答弁をされたのか。たぶん断わったのだろうと思うのですが、その見解をひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/44
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045・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 政府側の協議、打ち合わせておりますことを一々申し上げるのはいかがかと思いますが、私どもとしては、東海林委員からのお話にもございますように、農林省としては、三十七年の競馬法改正の当時における市町村営の地方競馬についての姿勢は、基本的には変えたくないという考え方であるので、にわかに政府提案を行なうということには踏み切れないという趣旨の答えを自治省に対していたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/45
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046・東海林稔
○東海林委員 それでは最後に、提案者に伺います。私は、三年前にもこの改正の際に議論したように、競馬は健全な国民大衆のレクリエーションというものにして、射幸的な要素を極力排除していくということに努力しなければいかぬ、こう思うわけです。そこで、競馬をあまりにも財源の手段として考えることは、基本的に間違いじゃないか、こういうことを考えるわけですが、与党の皆さんとしては、そういう立場に立って、今度は地方競馬といわず、競馬全体の健全な施行、これをぜひ努力してもらいたいと考えるわけです。その点と、今後自治省を大いに鞭撻して、地方財政が競馬によらなければ非常に困難だというような変な説明をしなくても済むように、地方財政のほんとうの確立という意味において、自治省当局を大いに鞭撻していただきたい、こう思うわけです。この提案者は与党でございますので、そういう点についての考え方といいますか、決意といいますか、そういうことを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/46
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047・谷垣專一
○谷垣議員 東海林委員の御意見には賛成でございます。ただ、一点申し上げておきたいと存じますが、地方財政の財源にすることを目的にして競馬を維持したり、あるいは拡張したりすることは邪道だと思いますが、人間やはり一種の射幸心もございます。したがいまして、競馬もあれば、競輪とか、いろいろなことがあるわけでございます。そこで、これをもし行なうならば、単に民間営利団体にやらせるよりも、地方公共団体あるいは国でやるほうが、まだ弊害を少なくして、そして所期の目的を達成するのではないかというふうに私は考えております。そのような限度において御了解を願いたいと思うのであります。
第二点の自治省、政府等に対しまする御意見は、先ほどからの御意見をよく拝聴いたしております。東海林委員の御意見よりもいや増して、政府を鞭撻いたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/47
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048・東海林稔
○東海林委員 どうも私の言うことに大体賛成しておりながら、しかもこの法案を出すという点について、いろいろと質疑を重ねたのですが、私は、提案者並びに自治省、この両方の答弁については納得できません。畜産局長の答弁だけは了承できます。しかし、これ以上質問を重ねましても、これは現在の市町村競馬に対する認識なり考え方の違いだと思いますから、質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/48
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049・濱地文平
○濱地委員長 中村さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/49
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050・中村時雄
○中村(時)委員 まず最初に言っておきますけれども、実際にこの競馬法の一部改正が自民党から出てから、質疑応答というものは一回もやっていない。きょう初めてやっている。初めてやっているにかかわらず、いきなりこれをわあわあしているのは、どういう意味なのかわからない。当然十分な質疑応答があってしかるべきだ。それが一つのルールだと思う。
それをまず前置きしておいて、時間の関係もあるでしょうから、二、三点だけにとどめておきますが、まず第一点に、先ほど自治大臣にもちょっと関連して言いましたように、提案者であるあなたが、競馬というものがギャンブルであるのか、あるいはあなたは昔畜産局長をやっていらっしゃったが、これがスポーツの振興というような考え方を持っていらっしゃるのか、一体どちらの考え方を持っていらっしゃるか、これを少なくとも明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/50
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051・谷垣專一
○谷垣議員 中村委員も非常に競馬の愛好者であろうと思いますので、這般のお気持ちはよく察していただけると思うのでありますが、これはやり方によりますと、確かに非常にすぐれた大衆のレクリェーションになると思います。ただ、その中に、えてして一種のギャンブルと申しますか、そういうことに淫して、いろいろな弊害が起きているということも、これは認めなければならぬと思います。そういうような弊害をできるだけ除去いたしまして、健全な大衆のレクリエーションに持っていくということが、競馬の今後進むきべ道だと思います。意見として申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/51
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052・中村時雄
○中村(時)委員 ところが、競馬法にはちゃんと書いてある。畜産の振興並びに品種の改良ということによって、競馬というものが認められておる。レクリエーションというのは、あなたから初めて出てきたことばなんです。昔河野農林大臣がいらっしゃったときに、この競馬法の一部改正をめぐって、御存じのように、そのために、種馬というのは牝馬か牡馬かどちらなんだというような問題まで起こしたのは、あなたも御存じのはずなんです。そういうように、本質はレクリエーションという問題ではないのです。畜産振興が本質になっているはずなんです。だから、よくそういう点を考えて御答弁を願いたいし、また提案をされる場合も、自治大臣はおそらく内心にはギャンブル的行為である、あなたはそれをなるべくすみやかに直していきたい、こうおっしゃるのですから、直すということをこの次の競馬法のときには明確にしておいていただきたいと思う。
それで、次に問題としてお尋ねしておきたいのは、自民党がこの提案をされたのですが、実はこの前の三十七年には政府提案になっているわけですね。政府提案となっているなれば、そういうたてまえからいっても、私は、当然政府提案としてやっていくのがほんとうでないかと思うわけです。もちろん、あなた方が出したことがいけぬとかいいとか、そういうことを言っているのじゃない。ものの秩序としては、当然そういうふうにあるべきであって、少なくとも自民党としては、そういう努力をしていくのが本来の筋ではなかったか、こう思うわけなんです。もちろん、内面的には、おそらく農林省の中では出したくない、地方行政のほうでも、いま言ったように、わけのわかったようなわからぬような答弁で、出したくない、そこで、あなた方がそれをかぶらざるを得なかった、私はこう思うのです。あなた方が自発的に地方財政上におけるところの問題にからめてこの立案をしたとは思ってないのです。そういう点を明確にしておいて、そのことが明確になれば、地方自治体にもほんとうに真剣に考える一つの骨子が生まれてくるのじゃないかと思うのです。だから、そういうことは歯にきぬ着せずに明確に答弁しておいていただきたいと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/52
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053・谷垣專一
○谷垣議員 提案理由につきましてうたっておりますように、また再三申し上げておりますように、この三年間の限時法であったものが、今日の現状から見て、もう三年延期をしていただくように与党提案をいたしましたゆえんのものは、これは私は端的に申しまして、この三年間の政府の怠慢があったと思います。ただし、最近におけるいろいろな事情変化というものを考えてやらなければいかぬと思うのです。そういう意味でこれを提案をいたした次第でございまして、先ほど自治大臣からも返答があったのでありますが、与党提案をいたしましたものといたしましては、これは今後の三年の範囲において、それ以後延ばすようなことが絶対あってはならぬ、こういうふうに強く考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/53
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054・中村時雄
○中村(時)委員 私がなぜそういうことを言うかといったら、このようなギャンブル行為をもって地方財政の確立をはかるということは、そのようなことが容易に認められるなれば、少なくともほんとうの基本から地方自治体というものは崩壊していくのではないか。ただ人にすがりつき、政府にすがりつき、何でもかんでもすがりつくというかっこうのものが出てくるのではないか。基本的にみずから自立していこうという姿がだんだんなくなってくるのではないかと思うのです。そういうたてまえからいって、こういう問題は、本来ならば本月三十一日をもって明確にしておく必要があったのではないか。先ほどから社会党の方々もそれを突っ込んでいるわけなんです。当然私はそのとおりだと思うのです。そこで、いま言ったようなギャンブル行為を基本に財政確立の内容にするということは、これは断じて認めるべきじゃない、私はそう思っているわけです。しかし、いまここにおいて地方自治体の窮状という面から考えてみて、一がいにそうも言えぬという理由もあるでしょう。そういうたてまえから、最後に、一つだけ結倫をつけておきたい。
それは、政府のほうは、大体今後三年間において、最終時限のときにはこういうことを二度と繰り返さないような姿の打ち出し方をされたい。同時に、これは議員立法ですから、自民党の議員の方々も、今後三年後において、最終時限の際に二度とこういう議員立法として再提出をするようなことがないように、そういう事柄だけはあなた方自信を持って言えるかどうか、そのことをひとつ最後に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/54
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055・谷垣專一
○谷垣議員 きわめて適切な御質問を受けまして、提案者といたしましては、中村委員のおっしゃいましたごとく、三年後におきましては、今日のことを繰り返さないだけの努力をさせて、三年以上これを延ばすようなことは絶対ない、かようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/55
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056・中村時雄
○中村(時)委員 最後に、あなたは私が競馬を云々と言われましたが、私は生まれてから競馬はたった一回しかやっていません。私は大体こういうギャンブルは好きじゃない。それを明確にしておいて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/56
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057・濱地文平
○濱地委員長 本案の質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/57
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058・濱地文平
○濱地委員長 引き続き討論に入ります。
討論の通告があります。これを許します。東海林稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/58
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059・東海林稔
○東海林委員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいまの競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論をいたしたいと思います。
ただいままでの質疑で明らかになりましたので、こまかい理由は述べませんが、簡潔に申します。
まず第一点は、三年前の競馬法の改正の趣旨から見て、今回の法案はこれに反するものであるという点であります。
第二点でございますが、現に競馬を施行しておる市町村の財政上、これはぜひ必要だというような提案理由でありますが、しかし、ほんとうに財政上非常に困難な理由がある場合に、再指定という本文の規定もあるわけですから、それが活用されることによって、これは救済される、かように考えまするから、市町村財政上の必要という理由も、われわれは認めることができません。のみならず、現に競馬をやっておらない多くの市町村との間の不均衡、不公正という点からも、これは反対せざるを得ないのであります。
さらに、このようなこそくな財源措置をいつまでも認めるようなことは、ほんとうの意味での市町村財政の確立ということがかえって妨げられる、こういう点がわれわれが反対を行なう理由であります。
さらに、現に市町村でやっておる競馬の実情でございますが、これは必ずしも全般的に言えるところではありませんけれども、ところによりましては、市町村で非常に財源にのみきゅうきゅうとし、設備の整備でありますとか、あるいは競馬施行の公正を期するという点においてきわめて不十分な点がありまして、こういうものを存続することが、競馬全体に対する一般の信頼をなくし、競馬の健全な運営という点にも支障を来たす一つの理由になっておる。
以上の点からしまして、私どもは絶対にこのような法案を容認するわけにはいきません。反対するものでございます。
でございますので、私は、この際、提案者に御忠言申し上げたいのでありますが、採決に先立ちまして、すみやかに本法案は撤回していただきたい。このように申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/59
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060・濱地文平
○濱地委員長 これにて討論は終結いたしました。
引き続き、競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/60
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061・濱地文平
○濱地委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/61
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062・濱地文平
○濱地委員長 この際、小平忠君より本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
趣旨の説明を許します。小平忠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/62
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063・小平忠
○小平(忠)委員 ただいま採決されました競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議の提案をいたしたいと思います。(「小平委員個人で出すのか、民社党を代表して出すのか」と呼ぶ者あり)民社党を代表して提案いたします。
本案は、ただいま提案者並びに政府の答弁を承りまして、きわめて重要な内容を持つ法案であります。わが党は、本案について、今後政府もあるいは地方財政を確立すべき市町村におきましても、本案の適切なる運営を指向いたしますために、次のような提案をいたしたいと思うのであります。
競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
競馬等は、本来社会的な娯楽の健全化の方向で規制さるべきであるが、政府は、指定市町村の財政を速やかに確立して期間中に競馬法第一条の趣旨にもとづき、指定廃止ができるよう極力努力すべきである。
右決議する。
まことに簡単でありますが、以上のことを附帯決議として提案する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/63
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064・濱地文平
○濱地委員長 おはかりいたします。
小平忠君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/64
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065・濱地文平
○濱地委員長 起立多数。よって、本案は附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。舘林農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/65
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066・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨につきましては、政府といたしましては、十分に尊重いたしまして、御期待に沿いたいと思っております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/66
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067・濱地文平
○濱地委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/67
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068・濱地文平
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/68
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069・濱地文平
○濱地委員長 午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/69
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070・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/70
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071・芳賀貢
○芳賀委員 昨日、畜産物価格安定法に基づきまして政府は審議会を招集されて、昭和四十年度に行なうべき原料乳並びに指定乳製品、さらに畜肉等の安定基準価格をいかようにきめべきかということに対して諮問されたわけでございますが、これは非常に重要な問題でありますし、特に政府がすでに提案の手続をとられた加工乳に対する補給金制度等とも重要な関係があるわけでございますので、例年のことでありますが、審議会が答申を出すことに先立って、当委員会において、まず順序として、政府が審議会に諮問された事項の内容あるいは主要な資料等について、これは畜産局長からおおよその説明を願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/71
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072・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいま芳賀先生からお話がございましたように、昨日、昭和四十年度の、畜産物価格安定法に基づきます原料乳及び乳製品並びに指定食肉の安定基準価格及び安定上位価格の決定に関しまして留意すべき事項について、畜産物価格審議会の意見を求める旨の諮問をいたしました。
その点に関しまして、別にお手元に資料として御提出を申し上げておると思いますが、諮問の趣旨につきまして、また、前年度の答申に基づきまして政府のとりました措置並びに付帯事項及び建議について政府のとりました措置、そういうものの説明を申し上げ、かつ、最近における酪農、養豚等に関しまする事情についての説明を私から申し上げたわけでございます。その畜産局長説明もお手元に御参考までにお配りしてあるはずでございます。
なお、安定価格を決定するにあたりまして留意すべき事項を御審議願う御審議の参考といたしまして、「昭和四十年度畜産物安定価格算定説明参考資料」ということで、原料乳の安定基準価格の算定の方式について、算式一、二ということで、二つの算式を審議の御参考に供しております。
なお、乳製品の安定下位価格及び安定上位価格についても、下位価格につき二つの算式を示し、上位価格については、二つの算式ということがあり得ないわけでございますから、一つの算式を示して、御審議の参考にするようにいたしております。
指定食肉でございます豚肉の安定価格決定に関します審議の参考資料といたしましても、算式について、一、二という二種類の算定方式を審議の参考として提出をいたしまして、この算式の方法、算式の考え方について、事務当局から説明を申し上げ、御質問に対してお答えをするという段階で、昨日は散会になり、明後二十六日及び引き続き二十七日に審議会を開催いたしまして、御答申をいただくという段取りになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/72
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073・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま若干の資料が配付されたわけですが、即刻この資料を見て判断あるいは批判するということは避けたいと思いますが、特にこの審議会に諮問される場合の基礎的な材料としてお尋ねしたいのは、三十九年度一年間における、いわゆる前年度と比べた場合の生乳の生産の事情、あるいは需給の事情、それから特に畜産全体でありますけれども、大体生乳あるいは畜産物の生産費の六〇%近くを占めるえさの価格あるいは需給等の事情というものは、当然原料乳の価格あるいは畜産物の価格等に正確に反映さるべきものであるというふうに考えるわけでございますが、これらの重要な事情について、どういうことに動向がいまなっておるのか。その点について、必要な点は数字等をあげて説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/73
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074・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 いま御質問のございました諸点につきましては加工原料乳、指定食肉につきまして、若干ずつ事情が違うわけでございますが、昭和三十九年の生産費調査、これは厳密には昭和三十八年十月から三十九年九月までの間の一年間における生乳及び肉豚の生産費の調査でございますが、その中にあらわれてまいります共通の傾向は、いずれも酪農ないし養豚経営の規模の拡大等に伴います生産性の向上といいますか、コストダウンの傾向が、かなり顕著にあらわれつつあるということであります。特に生産性の向上といいますか、コストの低下を示します生産要素のうち、飼育労働費の投入時間数が非常に減ってきつつあるということが特徴でございます。一方、名目生産費としての上昇の要因といたしましては、労賃の上昇の傾向、それから自給飼料分にかわる購入飼料分の量及び価格の上昇の傾向がコストアップ、それからいわゆる機械化傾向を反映いたしまして、農具費の償却費用、そういうものの上昇が顕著でございます。これを通観いたしまして、大体三十九年度にあらわれました生産費の模様と申しますのは、これは畜産の中におきます合理化傾向、生産性の向上の傾向が着実にあらわれつつあるというふうに申し上げられるかと思います。
それから需給の関係につきましては、原料乳といいますか、生乳の場合におきましても、中期経済計画において見通しております国民消費の見込み、いわゆる需要の増高に対しまして、生産供給の面ではやや立ちおくれといいますか、供給不足という傾向がある。これは豚肉の場合にも、食肉全体の需要と供給の関係を豚肉の背負う部分に引き直しましても、同様の傾向があるということでございます。抽象的に申し上げますと、そういう傾向が出ておるということでございますが、さらに立ち入ってのことでございますれば、私からか、あるいは担当課長も参っておりますので、御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/74
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075・芳賀貢
○芳賀委員 農林省の統計調査部から、三月十六日の公表にかかる昭和三十九年の生乳の生産費、それから二月二十六日公表の生乳、乳製品の生産消費量、昭和四十年一月の、これは速報でありますが、これらの統計調査部が公表しました昨年の牛乳の生産費、あるいは生産事情、消費事情等は、今回の政府が作成されました牛乳の安定基準価格の算式の1あるいは2の中でどういうようにこの現象を取り上げたか、この算式との関連で御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/75
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076・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 いま御質問に出ました、本年三月十六日公表の三十九年の生乳生産費に関する統計調査部の調査及び同日付で公表されました三十九年肉豚の生産費につきましては、これは先ほど申し上げましたように、統計の標本数の増加等の関係から、調査期間が三十八年十月から三十九年九月ということに相なっておりますので、ごく俗的に申しますと、三八・五年の生産費ということに相なるわけでございますが、私どもは、この安定基準価格の算定方式に当てはめます場合の数字としましては、この調査に基づきまして、三十九年の年間の係数に傾向を引き伸ばして用いまして、そこで三十九年の生産諸要素をつかまえ、さらにその傾向線をもちまして、四十年の生産諸要素、したがって総計の生産費の係数を求めました上、この傾向が従前どおりの傾向であらわれるかどうかについては問題がありますので、四十年度の推定生産費の諸要素と、それから三十九年九月までの実績生産費との合計の二分の一、つまり、傾向というのは半分だけをとって、四十年度の最終の推定生産費を算出したというような方法でもって、この資料を利用をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/76
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077・芳賀貢
○芳賀委員 いずれにしても、この算式の一あるいは二の内容を見ても、これは従来政府が行なっているように、最初に結論を出して、そこから逆算して生産費の各要素というものを出しておるということにしかならぬわけですね。この点は、従来各種の審議会等においても、あるいは当委員会等においても、結論というものを先に政府が想定して、それを出発点にした生産費の算定というものは行なうべきではない、あくまでも積み上げ方式によって——それは一番大きな基礎になるものは、やはり農林省の機関が牛乳あるいは畜肉等の生産費を最も近い時点に調査されたものを基礎にして、それに種々の勘案すべき事項というものを加えて、そしてその上に農家の労働に従事したいわゆる自家労賃というものを適正に計算して加えて、価格というものはきめなければいけないということは、これはわれわれが常に指摘をしておる点ですから、そういうような大事な点が、全然今回の審議会の諮問の内容にも採用されていないということは、これはまことに不可解であります。その点については、大臣がおりませんから、舘林政務次官から、どうして農林委員会等で指摘した大事な点を反省の材料にして新たな正しい試算を行なわなかったのかという点について、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/77
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078・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 四十年度の生乳価格並びに豚肉についての価格の決定でありますが、これの算定方式は、いま局長が御説明したとおりでございまして、はっきりと算定方式がきまっておるわけでございます。食管法に基づく生産者米価の決定と同じでございます。したがいまして、あくまでもいまのお話のように、諸材料を中心といたしまして積み上げて決定すべきでありまして、結論を先にきめて、そうしてあとでつじつまを合わせるというような、かような考え方でやったということは絶対にありませんから、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/78
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079・芳賀貢
○芳賀委員 そうじゃないでしょう。この算式から見ても、一・八七五キロ当たりにすれば、端数を整理すると一升五十五円、前年同様据え置きという数字が、これは偶然に出たのか、積み上げた結果出たのか。逆算というものは、結果ではなくて、最初に五十五円ということをきめて、それにつじつまを合わすような算式を考えてやるというのが常套手段ですから、それはいけないから改めなさいということをあらゆる機会に勧告しているわけです。その場合には、十分御意思を尊重して考慮しますということを言うが、いよいよ作業になって、審議会を開いて諮問をするという場合のその政府案なるものは、全然改善されていないでしょう。これではいけないのじゃないですか。われわれの言ったとおりにせよとは言わぬが、少なくともそれに接近する努力というものは行なわれていなければ、われわれとしては、これは非常に問題として重要だと考えるわけです。政務次官からもう少し明確に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/79
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080・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 今度諮問いたしました原料乳につきまして、たまたま去年と同じように五十五円前後になりましたことは、御承知のとおりでございます。ただ、これは偶然になったことでございまして、生産費につきましては、先ほど局長が申しましたように、コストアップする原因もありますし、コストダウンする原因もありまして、さようなことを積み上げまして、かようなことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/80
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081・芳賀貢
○芳賀委員 そういうことを言われれば、少し具体的にお尋ねいたしますが、たとえば、この統計調査部の公表いたしました牛乳の三十九年の生産費の場合には、これは生乳百キログラム当たりの第二次生産費は、もちろん全国平均でありますが、三千五百八十八円ということになっておるわけです。これに占める一番大きな費用はえさ代でありまして、これが五五・七%を占めておるわけであります。大体生産費の六割程度をえさ代が占めるに至ったわけでありますが、この一番大きな生産費の中の飼料費というものは、前年度と今回発表されました生産費との比較においてはどういうことになりますか。偶然に同じことになるのかならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/81
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082・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 まず、お断わりをしておかないといけませんことは、先ほどもちょっと触れましたように、統計調査部の三十九年度の生産費と申し上げますものは、三十九年九月までの、年間でいえば中間の生産費でございますから、三十九年の生産費を出しますためには、年間修正を加えなければならない。したがって、私どもは統計調査部の数字をそのまま使うことはできないということをまずお断わしておく必要があると思います。
ただいまお話しの飼料費のうち、購入飼料費について申し上げますと、三十九年の統計調査部の実績では、千二百三十円の購入飼料費になっておるわけでございますが、三十九年の実績推定をこれで計算上進めますと、千二百八十二円という数字にのぼり、さらに四十年度の提出いたしました私どもの試算に基づきました購入飼料費は千二百九十七円ということで、数字的にも、購入飼料費の増高傾向というものは、統計の数字を追って私どもは傾向としてつかまえ、上がるべきものは上がるという計算をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/82
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083・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、統計調査部の公表した牛乳生産費のうちのこの飼料費というものは、これはいま局長の言われたどれになるのですか。三様の飼料費を言われたわけでありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/83
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084・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 同じ資料でお話をしておるつもりでございますが、統計調査部発表の三十九年牛乳生産費のうち、購入支払い額千二百三十円というものがございますから、それを例にとりまして、三十九年の年間の飼料費というものを推定いたしますと、さらに統計調査部の数字以上に上がる、四十年の推定をいたしますれば、さらに上がるということを御説明申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/84
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085・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、政府の諮問案によると、統計調査部の場合には、飼料費の割合が五五・七%ということになっておるが、いま局長の言われた内容からいうと、この飼料費の割合はさらに増大しておるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/85
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086・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 推定生産費の中の飼料費の割合を手元でまだパーセンテージを出しておりませんので、算定をいたさせますまでちょっとお待ち願って、後刻申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/86
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087・芳賀貢
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。本日の当委員会は朝の理事会で決定したわけですから、この委員会に出席する場合の用意は不十分であるとしても、昨日の審議会の場合には、政府が事前に開催の期日をきめて、そして重要な問題に対しての諮問を行なったわけでございますからして、政府のたとえば牛乳に対する算式一、二の方式を出す場合においても、その裏づけになる資料というものがなくて会議を招集することはできないと思う。だから、価格を最初にきめて、逆算方式でやるということであれば、何ら資料を持たないで、算式だけつくって臨めばいいが、先ほど次官が言われたとおり、そうではなくて、下から各要素を積み上げて、それに自家労賃というものを加算してきめるやり方をとった、偶然の結果として前年と同様の結果になったということを言われた場合に、私がいま聞きました簡単な、素朴な質問等に対して、材料がないというようなことはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/87
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088・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 材料がなくて積み上げるわけはございませんので、もちろん材料はあるわけでございますが、お配りをいたしておりますナンバー二の資料の二ページのQ1P1というところに、購入飼料費千二百九十七円、自給飼料費八百六十三円、項目別生産費が加わっておりますので、それが全体に占める比率は、この二つを加算をいたしまして、それとQ1P1の一番最後の欄の三千二百八十六円との比率を求めれば、簡単に出るわけでございます。それを御質問を予想してなかったものですから、やっていないというだけでございまして、簡単に出ますので、ちょっとお待ち願いたしと思います。たとえば購入飼料費だけでございますと、統計調査の場合には三三%という比率になりますが、四十年度推定生産費では三五%というふうに、購入飼料費が生産費中に占める割合が高まっておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/88
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089・芳賀貢
○芳賀委員 生産費を算出する場合は、それが自給飼料であろうが、購入飼料であろうが、結局飼料費というものが、全体の生産費の中でどれだけである、しかもその価格を形成した場合のその中に占める飼料費の割合というものは何十何%かということは、これは当然出てくる数字ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/89
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090・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいままで御質問のございました生乳生産費で、三十九年における資料では、購入、自給の合計の飼料費は五五・七%ということになっておりますが、四十年の推定では、この比率よりも、生産費中のウエートは高まっておるはずでございます。(「あわてないでやって、きちっとしてから答弁したほうがいいよ」と呼ぶ者あり)ただいま、三十九年は購入、自給合算いたしました飼料費のウエートが五五・七%ということを申し上げましたが、それに対する四十年の推定生産費の中に占める飼料費のウエートは五八%に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、その次に大きなウエートは、飼育労働費が二四・六%ということになっておるわけですが、これは四十年度の場合、推定してどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/91
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092・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 三十九年の実績で飼育労働費のウエートは二四・六%でございますが、四十年の推定では二四%というふうに微減をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/92
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093・芳賀貢
○芳賀委員 その次に、乳牛償却費が一〇・五%ということになっているが、この点はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/93
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094・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 三十九年のウエートは一〇・五%でございますが、これは四十年度推定では一〇・七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/94
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095・芳賀貢
○芳賀委員 残りはどういうことになりますか。とにかく一〇〇にならなければならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/95
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096・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 残りは三二・七%に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/96
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097・芳賀貢
○芳賀委員 ちょっとやり直してください。飼料費が五八%、飼育労働費が二四%、乳牛償却費が一〇・七%ということになると、残りはごくわずかでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/97
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098・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/98
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099・芳賀貢
○芳賀委員 七%ですか、それは主としてどういうようなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/99
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100・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 その他のものは、諸材料費、直接畜力費、建物費、農具費、賃料料金等がその中に入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/100
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101・芳賀貢
○芳賀委員 いまの御説明によりますと、統計調査部の生産費よりも、特に飼料費等においては約二%以上の増加を示すわけでございますから、結局、生産費総体においては、百キログラム三千五百八十八円よりも若干上回った価格になるというふうに考えられますが、これを価格としてあらわした場合に幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/101
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102・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 第一次生産費が三千二百八十六円になりまして、それに地代、資本利子を加えた第二次生産費で三千五百八十七円、さらに租税公課百二十五円を加えますと二千七百十二円というのが、租税算入生産費ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/102
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103・芳賀貢
○芳賀委員 統計調査部の三千五百八十八円は、第二次生産費ということになっておるわけです。そうすると、畜産局の計算された四十年度の推定生産費は、統計調査部の三十九年よりも一円下回るということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/103
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104・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/104
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105・芳賀貢
○芳賀委員 どういう理由なんですか。飼料の価格が非常に高くなっておって、それから償却費等についても、これは乳牛の値を安く評価すれば、同じ償却の方式をとっても、償却の割合が下がることにはなるが、価格を下げるためにそういうことは許されないと思うわけですね。さらに問題になるのは、飼育労働費の割合というものが、統計調査部の二四・六%に比べて、結局飼料費の値上がり等が理由になって、飼育労働費というものは圧迫されておるわけです。圧迫されておるから、結局単位当たりの労働費を低減させなければならぬということは、価格算定上これも認めるわけにはいかぬ点だと思うわけですが、内容をだんだん明らかにするに従って、政府が算定された一升五十五円というものが、非常に不当なものである。偶発的に出た数字とか積み上げた数字ではないということが、およそこれは明らかになっておるのです。ですから、計画的にこういう低乳価を設定したということであれば、一応政府のもっともな態度というものはわかるわけですが、そうでなく、良心的にやったということになれば、これはわれわれとしては絶対に了解できない算式の内容であるというふうに思うわけです。
そこで、もう一つお尋ねしたいのは、統計調査部の場合には、先ほど言いましたとおり、百キログラムで第二次生産費が三千五百八十八円でありますが、しかし、これを実際に農家が搾乳して販売した場合の実際販売価格、いわゆる実績販売価格というものは、百キロについて三千百六十四円ということになっておるわけです。これとの相関関係というものをどのようにお考えになっておるか。われわれの考えでは、昨年一年間のなま乳の価格というものは、たとえば畜安法の規定による原料乳にいたしましても、畜産物価格安定法で支持した安定基準価格より下回った取引というものは行なわれていないわけです。特に市乳を加えた全体の生乳の価格等についても、これは決して前年度に比べて低下しておるということは言えないわけです。しかも、統計調査部が採用しました三十八年十月から昨年の三十九年九月までの間においては、たとえば市乳の一合二円の値上がり等もあって、それはやはり生乳の価格面に対して相当の影響を与えておるわけでございますから、やはり生産事情というもの、あるいは需給事情というものを十分勘案した場合においては、どう考えても、昨年と同様の乳価が出るということにはならぬと思うわけです。ですから、この点を私たちだけではなくて、国民ひとしく理解できるように説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/105
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106・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 統計調査部の調査によりまして、第一次の生産費が三千二百八十七円、第二次生産費が三千五百八十八円である、それに対して、生乳百キログラム当たりの実際の農家庭先販売価格は三千百六十四円であるということは、調査で明らかなところでございまして、この数字から申せますことは、生乳の交易条件が平均生産費をまかなうに足る販売の条件ではないということは認めざるを得ないと思います。
それから、昨年の乳価の引き上げがあったにかかわらずというようなお話がございましたが、この調査は、先ほど来申し上げておりますように、三十九年の九月までの調査でございまして、飲用乳の引き上げに伴います生乳の農家販売価格の引き上げは、昨年の六月から九月までの四カ月分、つまり、年間の三分の一が入っておるだけでございますので、引き上げ以後における生産費と、それから販売費との関係は、この調査からは完全に出ていないというふうに考えられるわけでございます。
それから、生乳の生産費が、三十九年九月までの統計調査の生産費よりも、わずか一円でございますけれども、四十年の推定生産費において下がるという推定をいたしておるということにつきましては、お配りをいたしております資料の上でもおわかり願えるか、あるいは統計調査の数字とお比べを願いましても明らかでありますのは、主として飼育労働費の絶対額の減少、つまり、労賃の値上がりをカバーして、なおかつ飼育労働費というものが減少をするという、飼育のための労働投入量が減ったということが、一番大きな理由でございまして、このような推定の方法なり、算定そのものの妥当性という点については、引き続き畜産物価格審議会において専門的な御審議をいただくわけでございまして、私どもはその審議におきます御意見は十分拝聴するつもりでございますが、私どもとしては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方のもとに、一項目、一項目ずつ慎重に積み上げて計算をいたしたのでございまして、別に他意を差しはさんだことは絶対にございませんということだけを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/106
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107・芳賀貢
○芳賀委員 その点はあとでお伺いします。
そこで、統計調査部の生産費である第二次生産費の三千五百八十八円と、同じ期間における実績の乳価というものは三千百六十四円であるということになると、この差額が百キロについて四百二十四円ということになるわけです。ですから、この点は、昨年のいわゆる販売実績価格というものは、農林省が行なった生産費調査に基づいた場合、百キロについて四百二十四円、これは取引価格が不当に安過ぎたということが立証されておるわけでございますが、こういう点は、審議会において四十年の乳価を決定する場合には、当然是正されなければならぬと思うわけですが、その点はどのような配慮を講じておるわけですか。特に前年同様に乳価を据え置いた場合、このような販売価格と農林省の生産費による価格との格差というものは埋まらぬと思うのです。その点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/107
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108・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現行の畜産物価格安定法に基づきます安定基準価格の性格は、本法施行以来、政府としての見解は一貫しておるところでございますが、加工原料用の乳について、それ以上価格が低落することを防止するための下ささえの価格でございますから、その価格自体の支配いたします限界は、加工原料乳についてそれ以下の取引をすることを行政的に抑止するということでありまして、現実の価格の形成は、別に乳製品の実需要からくる実勢の価格というものがあらわれるわけでございます。端的に申せば、現在の生産事情のもとで、非常に不利な交易条件、販売条件を持っておりますのは、加工向けの原料乳でございまして、現在のところ、わが国の生乳の用途別の販売比率というものは、飲用乳が五四%程度、加工向けが四六%程度というように、相対的に加工乳の比率がなお高いというところから、販売条件としての不利があるというふうに思われるのでございまして、今回の審議会に説明をいたし、審議の参考に供しております結果がどうなるかということは、本日申し上げるわけにまいりかねますけれども、そのこと自身によって、端的に言って、平均生産費をまかなうような乳価の形成を保証するかどうかということについては、私自身言明するだけの確信がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/108
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109・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、統計調査部の三千五百八十八円のうち、労働費は二四・六%でありますが、この場合、単位当たりの労働費の計算というものは、たとえば一時間当たりあるいは一日当たり幾らに計算されておるか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/109
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110・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この三十九年度の生産費調査にあたりまして、家族労働報酬として、一時間当たりの労賃を八十七円八銭という計算で生産費調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/110
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111・芳賀貢
○芳賀委員 それでは一時間八十七円八銭の労賃を一日に直せば幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/111
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112・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 八時間労働ということで計算いたしまして、六百九十六円六十四銭です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/112
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113・芳賀貢
○芳賀委員 実績百キロ当たり三千百六十四円である場合には、自家労働費の一時間当りあるいは一日八時間の場合に幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/113
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114・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ちょっとすれ違いのようになると思いますが、四十年度の算式で用いております一時間当たりは、九十四円九十七銭という一時間当たり単価を用いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/114
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115・芳賀貢
○芳賀委員 そうじゃないのです。三千五百八十八円、この場合の自家労働費の計算は、一時間八十七円八銭、八時間労働で六百九十六円六十四銭ということはわかりましたが、次に実際の販売価格が百キロ三千百六十四円であったわけですから、その場合の実際の販売価格の中で、自家労働費というのを無視するわけにいかぬわけですが、結局その場合に、自家労賃というものは一時間にした場合幾らで、一日にした場合には幾らの分配になるかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/115
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116・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 実はこの飼育労働費のうち、家族労働が占める部分に対する実際販売価格からの割り振りは幾らになるか、要するに、家族労働報酬が幾らになるかということは、私どものほうも、統計調査部にせんだってから出してほしいということで要請をいたしておるのでございますが、まだ雇い入れ労働との全体の集計分析が終わっていないので、統計調査部では三十九年度の分は近いうちに計算を終わるが、それまでちょっとわからないということで、本日私自身もお答えする能力がないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/116
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117・芳賀貢
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。局長がもし答えることができなければ、直ちに統計調査部長に出席していただきたい。これは委員長に申し上げます。できないということはないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/117
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118・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 非常にやっかいなものらしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/118
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119・芳賀貢
○芳賀委員 三十九年度の農林省自身が作成した生産費の場合の労働費というものは、金額にすれば幾らであるかということはわかっておるわかですから、実際に販売した場合、その期間内に生産費よりも相当下回った価格で販売したことは事実ですから、この生産費の計算による価格と、実績販売価格との差額、いわゆる不足分というものは、すなわち、これは自家労働費に食い込んでおるということに当然なるわけです。それ以外の飼料費にしても、償却費にしても、あるいは雇用労賃にしても、これを繰り延べるということも、支出しないということもできないわけですから、結局自家労賃を犠牲にして、それだけ安い価格で販売されたということになるわけですから、それが複雑でできないというようなふらちなことはないですよ。そのくらいのことができないで、農林省の役人としてつとまりますか。あなたができなければ、統計調査部長を呼んでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/119
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120・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話のように、毎年生産費調査をいたしました上で、家族労働報酬は品目別にどれだけの対価が与えられたかという計算はいたしておるわけでございまして、出ないものではございません。出ないものではございませんが、現段階は、統計調査部としては、家族労働報酬の単価を想定をいたしましたもので、総体の生産費の計算が終わったばかりの段階であるために、飼育労働費のみならず、たとえば他のところにも、自給飼料の部分にも労働費があるというような、いろいろな問題がございまして、この計算はそう簡単ではないようであります。したがいまして、しばらく時間がかかるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/120
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121・芳賀貢
○芳賀委員 そういう高等数学的な複雑なことを聞いておるのではないのです。投下された労働時間というものは、これは当然ごまかすわけにはいかぬわけですね。農林省が算定した労働費というものは、その投下労働時間に対して、一時間当たり八十七円八銭という推定した自家労賃というもの——これは農林省の場合には、都市労賃とかあるいは民間産業に就労する労働者の平均賃金を持ってくるというやり方はしてないわけです。あくまでも農村における雇用労賃というものを基礎にしてやっておるわけですから、この一時間当たりあるいは一日当たりの、非常に実情に沿わない低い自家労賃というものが、計算の上に乗ってくるわけです。それにしても、そういう一時間当たり、一日当たりの労働費の計算の上に立って総計されたものが、百キロで三千五百八十八円ということになったわけです。ですから、この価格で販売された場合には、自家労賃は一日当たり六百九十六円六十四銭、これは所得として確保することができるわけでございますが、それが実際に販売された場合には、百キロについて四百二十四円、これは生産費よりも償わない価格で販売されておるわけです。だから、この差額の四百二十四円というものは、当然自家労賃の中に食い込んでくるということは明らかなわけです。これは実態がどうなったかということを、もう起きた現象をあとで調査するわけですから、これは正確かどうかということはまだわからないとしても、計算ができないということじゃないのです。生産費どおりで売れれば、六百九十六円の労賃が確保されるが、それよりも四百二十四円安く売った場合の自家労賃に対する配分は幾らになるのですか。一日幾らで、一時間幾らということは、できないことはないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/121
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122・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 できないことはありませんので、毎年品目別の自家労働に対する報酬額を出しておるのでございますから、いずれ統計調査部も計算の上で発表することと思いますが、現段階では、私どももそれがほしいと思って要請をいたしておりますが、まだ計算ができない、時間がかかるということを言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/122
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123・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、今度は農林省の畜産局の試算である五十五円の乳価で計算した場合の所要労働時間と、単位当たりの自家労働費というものを幾らに計算しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/123
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124・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 畜産局で四十年度の推定生産費を試算いたしました場合の、時間当たり家族労働報酬は九十四円九十七銭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/124
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125・芳賀貢
○芳賀委員 一日で幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/125
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126・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 一日八時間労働で計算をいたしますと七百五十九円七十六銭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/126
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127・芳賀貢
○芳賀委員 それでは農林省としては、酪農家、いわゆる生乳生産者の自家労賃というものは、一日当たり七百五十九円程度で妥当である、そういう考え方の上に立って、この五十五円なる乳価を計算したということになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/127
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128・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 四十年度の生産費を推定する場合に、他の項目と同様に、過去から得られましたデータに基づきまして、家族労働報酬、つまり、農村雇用労賃の水準を測定いたしました結果として、ただいま申し上げたような家族労働報酬時間当たりもしくは一日当たりの数値が出たわけでありまして、その限りにおいては、計算としては妥当な方法だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/128
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129・芳賀貢
○芳賀委員 だから、その妥当の根拠として、農家の自家労賃というものは、昭和四十年度においては一日七百六十円で妥当であるというふうに考えておるわけですね。一日一ぱい働いて七百六十円でしょう。それを妥当として今回の農林省の試案というものを作成されたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/129
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130・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 問題は、若干むずかしい問題にわたるわけですが、農林省の生産費調査というものは、われわれが用うべき最も信頼性の強い資料であるというたてまえで、将来の生産費の推定をするということから申せば、私どもはこの推定の方法及び結果は妥当であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/130
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131・芳賀貢
○芳賀委員 これは政治的な問題でありますから、政務次官に聞いたほうがいいと思いますが、政務次官としては、現在全国で農業と他産業との格差が非常に開いておる、農家所得あるいは農業所得の面で非常にひずみのために苦しんでおるという中において、なおかつ、四十年度一年間乳牛飼育者あるいは畜産農家が一日働いた報酬というものは七百六十円程度で当然である、これ以上与える必要はないというお考えで計算されておるかどうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/131
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132・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 畜安法に基づきまして、原料乳の算定方式がきまっておるわけでございます。たとえば米につきまして生産費・所得補償方式をとる。その算定の方式も整然としてきまっておるわけでございまして、さような点から考えまして、原料乳につきましては、三十九年度の統計にあらわれております家族労働につきましては、統計調査部が厳格に調べている。これは事実でございます。その事実に基づきまして、四十年の傾向と申しますか、トレンドをたどりまして、畜産局といたしましては、推定生産費として七百五十九円七十六銭というものを算出してわけでございまして、その限りにおきましてはこれはやむを得ない自家労働費だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/132
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133・芳賀貢
○芳賀委員 だから、ことしの四月から来年三月一ぱい全国で畜産をやっていく農家の数は相当多いわけですが、この諸君に対して、あなた方は、一日の自家労賃が七百六十円あれば、これは当然である、これが妥当な自家労賃ですよということを、農林省としても、政府としても説得できるわけですか。この一日七百六十円が、人間として生活できる、あるいは家族の生活をささえる一番基本になる自家労賃としてあたりまえであるということを、自信を持って生産農民に説明し、あるいは説得できるわけですか。推定生産費だからしようがないというわけじゃないですよ。四月からの乳価をきめる場合、四月から将来一年間営々と働く生産農家の一日当たりの労働については、どのくらいの評価というものが必要であるかということを、これは厳密に計算して——ほかの飼料費であるとか、償却費であるとか、材料費であるとか、当然投下されるであろうこれこそ推定生産費でありますが、実際働く農家に対しては、ある意味においては、これは政府が保障した賃金を一日当たりこれだけ最低支払いますということと同じ意味なんですよ。自家労賃というものは、推計してそうなったらしかたがないということではないですよ。そうじゃないですか。政府がたとえば四十年度の予算を編成する場合、政府職員に対しては、一カ月当たりあるいは一年についてどれだけの給与を支払うかということは、推定生産費から計算した給与ではないと思うのです。そうじゃないですか。それと同じ親切味と熱意を持って、農民の自家労賃というものはどのくらいにしなければならぬかということを十分計算して、牛乳の自家労賃以外の心要な生産費に合算して乳価をきめるということでなければ、これは妥当な計算ということはできない。だから、私が冒頭に育ったように、逆算方式で農民の自家労賃は七百六十円にする、それ以外の必要経費も幾らにするということを最初にきめて、それを一・八七五キロ当たりにすれば五十五円というふうにきめて、それに当てはまるような計算方式だから、自家労賃についても不当な七百六十円という——これは日本国中どこにも通用しないでしょう。一日の労賃が七百六十円でたくさんであるというのは、これは全く実情を無視したものではないですか。たとえば食管法に基づく米価の算定は生産費・所得方式で、自家労賃は都市均衡労賃で算出することになっており、この場合は、畜産局の提出資料にもある通り、一時間の労賃は百六十二円三十銭で、一日当りの労賃は一千三百円である。つまり、算定の方法を変えることにより、同一の労働でも、米作農家の一千三百円に対して、畜産農家の労賃はその六割の七百六十円ということになるわけであります。この法律があることによって、法律がかえって重石になって農民を苦しめるという結果しか出ないということになるじゃないですか。この点については、良心的な政務次官並びに畜産局長から率直に答えてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/133
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134・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 農産物の価格決定につきましては、いろいろ各法律ごとに算定の方式が異なっていることは、皆さん御承知のとおりでございます。しこうして、この原料乳につきましての下ささえ価格としての安定基準価格の算定の方式は、私が申し上げるまでもなく、先ほど局長が申し上げましたように、一定の方式がきまっておるわけでございまして、その方式の立て方に対しまして、農林省といたしましては、統計調査部の厳格な統計の結果を待たなければならない。その厳格な結果に基づきまして、新しく四十年度の傾向をたどりまして、推定の生産費をつくり出したわけでございます。しこうして、この推定生産費が七百五十九円七十六銭ということにつきましては、いろいろ問題がありましょう。しかし、農林省といたしましては、今日畜産物価格安定法によって原料乳の価格の算定はこうだということをきめられた以上は、これはもちろん、審議会としても妥当かどうかにつきましてのいろいろな意見もありましょうが、今日農林省として、畜産局が与えられた算定方式からすると、これ以外にないということに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/134
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135・芳賀貢
○芳賀委員 これは大臣にまた次の機会にお尋ねしたいわけですが、たとえば畜産物価格安定法を離れて、一切の拘束される、農民を苦しめておる法律制度から離れて、一舘林、一檜垣という立場に立って考えた場合に、この農村の今日における自家労働に対する報酬、いわば自家労賃が、一日当たりにして七百六十円というものが妥当であるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/135
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136・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 農産物の価格につきましては、たとえばミカン等は、一日当たりの八時間労働の報酬がたぶん三千幾らであったかと思う。米につきましては一日当たり千四百幾らであったと思うのです。しかしその他イモでございますか、そんなものは非常に価格が安い。しこうして、原料乳につきましては、先ほどからしばしば申し上げますように、七百六十円の案を出したわけでございますが、これが全般として、農林省の立場と申しますか、個人の立場、いずれにいたしましても、やはり農民の所得を増すという立場からまいりますと、あるいはミカンなり米穀並みにいくということが私は望ましいと思います。しかし、とにかく原料乳につきまして、算定方式がきまれば、これに積み上げの方式をとりましてたどった結果はこうだということを私は申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/136
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137・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、そういうかみしもを着た農林省政務次官とか農林省畜産局長として、法律とか制度の上にあぐらをかいて言う答弁でなくて、一舘林、一檜垣の立場に立って、農村に行って農村の現状というものをながめた場合に、毎日一生懸命に働いておる農家の一日の自分の労働報酬が、七百六十円程度で妥当であるというふうに考えておられるかどうかを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/137
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138・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 若干個人的見解を加えてもよいというようなお話でございますので、私は、農家の家族労働報酬が、ただいま申し上げましたような七百六十円程度で十分であるとは考えるものではございません。ただ、この問題には議論が両面あるように思われます。と申しますのは、農産物の持っております生産の形態なり水準なり、あるいはそれの商品としての特質なりによって、受ける労働報酬の水準が変わってくるということはある程度やむを得ない。御承知のとおり、日本の酪農については、まだ一、二頭飼いの農家が……。(芳賀委員「そういうことを聞いておるのじゃなく、妥当であるかどうか、簡単に」と呼ぶ)それを申し上げまして、見解を述べたいと思うのですが、一、二頭飼いということは、要するに、これは副業的な酪農というのが六〇%以上占めておるという現実から申せば、平均的な家族労働報酬としては、この水準は必ずしも低過ぎるというような意見だけではない。私も必ずしも低過ぎるというふうには言い切れないと思うのでございます。酪農らしい酪農を育てることによって、家族労働報酬がより多く、かつ市場との関係において実現できるというようなことを、酪農政策の将来の方向として私どもは考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/138
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139・芳賀貢
○芳賀委員 これはどうして牛乳や畜肉において自家労賃が低いかということは、たとえば米などの所得率は高いわけです。農産物の中で所得率が高いということは、その農産物を生産した中に占める自家労働の報酬の割合が高いということになるわけです。牛乳や畜肉の場合は非常に所得率が低いわけです。たとえばえさ代だけでも五六%かかるわけですから、こういう点は、米の場合なんかとは非常に価格構造の上において相違があるわけです。だから、所得率が低いものをどういうふうに是正した場合において、所得率をあげて、そうして自家労働の報酬部分を高めるかというところに、やはり問題があると思うのです。しかし、たとえば多頭飼育をやった場合においても、多頭飼育だからといって、一頭当たりについているえさ代を減らすようなことはできないでしょう。一頭当たりに一日どれだけえさが必要かということは、これは二頭おった場合には多くて、十頭の場合にはえさを減らしてもいいということにはならぬじゃないですか。飼育する場合の労力の節減とか設備の合理化というものはできるとしても、一番大きな割合を占める六〇%近い飼料費などというものは、一頭だろうが十頭だろうが、これは変えることはできないと思うのですよ。だから、そういうような実態というものは、これは統計調査の結果の中にあらわれてくるわけですね。しかし、これから将来に向かってこの畜産農家の自家労賃あるいは畜産農家の農業所得というものを確保してやらなければならぬということになれば、過去の実績だけにこだわって、七百六十円しかこれは計算できないということではないと思うのです。そうじゃないですか。この点をやはり政府としても明らかに解明してもらわぬと、これから問題を進めようとする場合に、やはり逆算方式しかできないということになると思うわけです。
そこで、もう少し詳しくお尋ねしたいわけですが、たとえば一日七百六十円とした場合、せめて日曜だけは休むと仮定して、二十五日稼働した場合には、一体月当りの報酬は幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/139
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140・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話しのような計算で、一カ月二十五日労働ということにしますと、約一万九千円ということになります。ただし、誤解といいますか、そういう表現には問題があるわけでございまして、一日八時間の労働を燃焼しつつ、一カ月二十五日働く酪農経営というのは、平均的な生産性を持った酪農家とは考えられないのでございますから、これは全く仮想の計算であるということだけ申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/140
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141・芳賀貢
○芳賀委員 それでわかりました。つまり、月給制にすれば一カ月一万九千円ですね。これには超過勤務手当もつかぬし、期末手当も石炭も勤勉手当も何もつかぬですね。全部合算して月当たりにすれば、一万九千円にしか当たらぬということになるのですね。これ以外には何もつかないでしょう。つきますか。つけば、それは自家労賃がもし少し上がるということになるので、何かこれに添加すべき自家労賃に類するようなものがあれば、ちょっと示していただきたい。そういうものがあれば、これは五十五円にさらに加算をしなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/141
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142・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいまの御質問には、私がただいま申し上げた、非常に誤解の起こる問題点があるわけでございまして、前提として、一カ月毎日の労働を完全燃焼をしながら、二十五日の酪農のための労働投入をするというような経営が、平均的な生産性しかないという無理な前提を置きました場合に、約一万九千円程度の月収に当たるということで、労働報酬としては、それ以外に入るものはございません。ございませんが、経営としては、そのほかにもし生産費を償い得る交易条件があるとするならば、資本利子とかあるいは地代等の所得は別に加わるということだけはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/142
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143・芳賀貢
○芳賀委員 それは檜垣さんがたとえば給料の中からつつましく貯蓄をして、それに貯金利子があると同じようなもので、それを生産費から差し引くというわけにはいかぬでしょう。
まじめな質問ですが、そこで、政務次官にお尋ねしますが、本年度四月から新規採用される高校卒業者、これは男女同一賃金ですが、四月から農林省で新規に採用される高校卒業の職員の初任給は、一体月額で幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/143
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144・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 突然のことでございますから、材料がありませんので、正確なお答えではありませんが、大体高校卒の初任給は一万五千円程度だと思います。したがいまして、いま相当の年配の酪農家が月に二十五日働いて一万九千円ということは、非常に少ないじゃないかというお話でございます。先ほど来いろいろお話しがありましたが、やはり一日の労働の対価が六百九十六円、今度四十年は七百六十円でございますが、これはもちろん芳賀委員のおっしゃいますように、必ずしも高いとは思わない。しかし、やはり酪農の構造と申しますか、今日の副業的に一、二頭の寡頭飼育をやっているという農家が非常に多いわけでございますし、また多頭飼育としては大体畜産局としては、六頭ないし七頭の酪農経営をやるということに指導しておりますけれども、なかなかそこまでいかない。したがいまして、多頭飼育、六、七頭とかあるいは十頭、二十頭やっておるところにおきましては、労働の対価というものは、たとえば米とかあるいはミカンなどより相当高いのもあると思う。しかし、現在の日本の酪農は発展の過程にございまして、寡頭の飼育のものが非常に多い。そんなものをすべて統計調査をして合計いたしますと、芳賀委員の指摘されますとおり、一円当たりわずか七百六十円であります。これはやはり今後の酪農の構造改善によりまして、漸次多額飼育を進めることによって、他の園芸並みに、米作並みに進むべきだと思います。その過渡でございますから、その点につきましては、芳賀委員に十分満足させることができない額を算出したわけでございますが、この点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/144
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145・芳賀貢
○芳賀委員 政務次官が高校出の初任給を一万五千円と言われましたが、それはあくまでも基本給与でありて、これは政府がおきめになった諸手当が、年間で通ずると大体四カ月以上ということになるわけです。そうすると、これを年の給与を月割りにすると、やはり高校を卒業して、すぐ農林省に就職した初任給者の場合でも、月額にすれば二万円をこえると思うわけです。ここに問題があると思う。農家の場合は二十年、三十年農業に対する経験と熟練の度を持っておっても、八時間労働でこれは七百六十円の報酬しか標準的な報酬は当たらない。もっと働けばいいではないかと言われるとしても、給料取りの場合にはきめられた時間外の労働をした場合には、一時間当たり二割五分の超過勤務手当をつけなければならぬということは、これは労働基準法できめられておるわけです。ですから、そういう点から見ても、農民が自分の肉体を酷使して長時間労働をしても、そういうような特別の支払いというものはないわけですね。九時間働いた場合に、その一時間分だけ二割五分自家労賃でふやしてくれるような、そういう計算が行なわれて、朝五時に起きて搾乳をするとか、夜九時に牛舎へ行って家畜の手入れをする、そういうものは深夜作業あるいは時間外労働だから、当然加算するというようなあたたかい配慮を講じてやれば、七百六十円というような不当な自家労賃の算定は出てこないと思うのです。だから、高校を卒業しても中学を卒業しても、農家に残る者がいないのじゃないですか。農林大臣が本会議で報告されたことしの農業白書の中でも、昨年、三十九年に全国の中学校、高等学校を卒業した卒業生の中で、農村に残った者の数は、全体で七万六千人しかいないのです。そのうち、高等学校を卒業して農村に残った者は一万六千人しかいないのですよ。役所とかあるいは民間の産業に就職すれば、初任給であっても月額にして実績二万円程度の給与はもらえる。農村に残った場合は、熟練者にしても一カ月一万九千円しか分配がないのだから、当然農村に残ることはできない、農業に従事することはできないということで、毎年毎年農村に残る若い人たちがいなくなるということは、白書の中で明らかになっておるじゃないですか。そういう現実を十分わきまえておりながら、昭和四十年度においても、依然として一日七百六十円でたくさんである、こういうような農政の姿勢というものをいつまでも先に続けることは許せないと思うのです。だから、われわれが繰り返して言う点は、こういう弊害というものを、政治の力で抑圧しておる農家の低賃金というものを是正するというところに重点を置かなければ、どのようなりっぱな法律を政府がお出しになって、多数決できめても、それは農民を苦しめる具にしかならぬとわれわれは考えておるわけです。
いろいろほかに問題もありますけれども、あるいは畜肉の安定基準価格の場合においても、これと同様な計算をされておると思いますが、こういう問題について、当然二十六日、七日の審議会においても真剣な論議が出ると思いますが、その論議の結果、審議会が、この政府の試算は不当である、正しい意味の計算をしなさいというような意見や結論が出た場合においては、諮問を発せられた農林大臣としては、それを尊重するか、従来のとおり、どのようなりっぱな意見や建設的な答申が出ても、依然として去年以前と同じように無視して、農林省の最初の試案によってきめるという考えでおるのか、その点を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/145
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146・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 昨日から審議会が開催されておりまして、審議会には各界各層の学識経験者もたくさんおられますし、いろいろの立場から御意見が出るだろうと思います。一応農林省が提出いたしましたこの五十五円という価格が妥当であるかどうかということにつきましては、非常に真剣な議論がきのうもかわされたわけでごいます。明後日から二日間にわたりまして、たぶん徹夜続きの議論がかわされるだろうと思います。
その結果、単一の答申が出るかどうかということにつきましては、まだ見通しがつかないわけでございまして、昨年の例によりますと、三つの形の違った答申が列挙されたということでございます。したがいまして、いずれの答申が出ますかということにつきましては、私予測できませんけれども、とにかく大事な問題をせっかく権威のある審議会に対しまして諮問した以上、その答申につきましては、十分尊重いたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/146
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147・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、大事な点は、昨年、一昨年もそうでありましたが、答申が一本にまとまらないで、二様あるいは三様の答申が出た。その二様、三様の答申のいずれを政府が尊重して採用したかとなると、そのうちの政府が最も期待した、一番低い答申を常に採用しておるということは、もう局長も次官もおわかりのとおりであります。
この審議会委員の選任の方法というものは、農林大臣が任命するということになっておるわけです。その中で、わずかに衆議院あるいは参議院を代表する者は、それぞれの院の議決を得て委員になるということになっておるので、これは農林大臣がかってに選ぶわけにいきませんが、それ以外の委員は全部農林大臣が任命しているわけです。例をあげると、御用学者——政府の御用をつとめない学者は、これは全然委員になっていない。あるいは評論家的な立場の人も、大体これは政府の農政の路線を推進するような役割りをしている諸君がずらっと委員に選任されておるわけです。次には農林省と大蔵省の古手官僚です。これは畜産局長とか、その他、政府の意見を代弁するために、農林省あるいは大蔵省の官僚の古手が任命されているということは、各委員会に漏れない実例です。そのほかは、農民の側と利益の相反する、たとえば乳業会社の社長であるとか、畜肉会社の社長であるとか、あるいはハム会社の社長であるとか、これらの代表というものは、生産者の立場を代表するのでなく、自己の企業の利潤追求にきゅうきゅうとして、しかも、政府のごきげん、政府の意思に迎合しなければ事業がうまくいかないというような考え方に立った意見の諸君が選任されておるわけです。それから与党から選ばれた諸君は、政府と与党の関係があって、個人的にはけしからぬと思っても、なかなか表面に積極的な意見はお出しになりづらいのです。りっぱな委員のみなさんが自民党から出ておるけれども、積極的な行動ができないという制限がついている。そうすると、わずかに社会党の側から選任された委員、生産者の立場から選任された委員、数の上からいうと、非常に少数であります。だから、こういう多数、少数という頭数だけの力関係だけで、答申のいずれを尊重するかということになると、もちろん、政府のめがねにかなった委員が八割程度占めているわけですから、それが大部分の意見であるということに当然なるわけです。そういうふうに仕組まれているわけです。
だから、この際、二様、三様に分かれたときであっても、正しい意見や建設的な答申については、謙虚な立場で、農林大臣としては、最も正しい答申を尊重する。それがたとえば、政府の五十五円というような前年同様の情けない試算でなく、非常に高度の価格が出るとしても、それは当然尊重すべきことと思いますが、いかがですか。これは大臣がいなければわからぬといえばそれまででありますが、政務次官、かわってひとつ答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/147
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148・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 審議会の人的構成につきましては、いろいろ御意見がございましたが、国会議員につきましては別でございます。自由民主党並びに社会党からそれぞれベテランの方々が出ておられまして、社会党も専門家の方ですから、ずいぶん痛烈な質問をいろいろやっておられます。また農林大臣が選ぶ他の委員につきましては、私は芳賀委員と御意見を異にいたしまして、決して農林省としては一定の結論を出していただくような委員だけ選任しているわけじゃない。顔ぶれをごらんになってわかりますとおり、メーカーの人もおりますし、生産者の代表もおりますし、学識経験者としての学者もおりますから、そのような大事な価格の決定をする場合には、各界各層の代表者を集め、また両党の周知を集めるというようなかっこうで、私は人選としては非常に公平にいっていると思うのです。したがって、その公平な立場からでございますから、乳価の決定についてはいろいろ意見がある。意見がありますからこそ、一元的な結論が出ない、答申が出ないということで、昨年におきましては三つの違った答申が出たわけでございまして、その三つの答申をどう採用するかということにつきましては、もちろん、私たちは、日本の酪農民の保護という立場を第一に考えまして採用いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/148
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149・芳賀貢
○芳賀委員 そういう真剣な御答弁ですから、私からも希望を申し上げます。
それでは、審議会に諮問された事項というのは非常に重要であります。ですから、これに加えて、本日特に集中しました自家労賃のあり方について、これをぜひ二十六日には、冒頭に農林大臣から審議会の委員諸君に、昭和四十年度に原料乳あるいは指定食肉について計算すべき自家労賃の値というものを幾ばくにすべきが妥当であるかということを、特にこれは諮問してもらいたいわけです。そうなれば、具体的な諮問が出たわけですから、はたして一日七百六十円が妥当であるか、これを千円にすべしという意見になるか、あるいはまだ高過ぎるから四百円にせよという意見になるか。去年の実績は、四十万戸の乳牛の飼育者が百二十万頭の乳牛を飼っておるわけですが、平均三頭であります。三頭飼育の場合の昨年の平均的な一日の自家労賃は五百五十円ということが、これは農林省から明らかになっておるわけです。ですから、こういう具体的に一番大事な自家労賃を原料乳あるいは畜肉の価格の中にどのように計算すべきかということを、ぜひ二十六日の審議会の冒頭に、農林大臣あるいは政務次官から、いまの御答弁の趣旨に沿って、これは諮問してもらいたいと思うわけです。それに対して各委員諸君は、私の指摘したことが間違いであれば、これはけっこうであります。御用的な委員だけを選んだということが、この問題の解明によって明らかになれば、私の指摘が誤りであれば、これは率直に是正するにやぶさかでないわけですから、これをぜひ計らってもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/149
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150・舘林三喜男
○舘林政府委員 二十六日からの審議会に、あらためて自家労賃につきましての諮問をするということにつきましては、時日的になかなか困難だと思います。しかし、いろいろ質問の過程におきまして、芳賀委員の御趣旨は十分伝えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/150
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151・芳賀貢
○芳賀委員 これで一応の質問を終わりましたが、最後に、先日政府が提案になりました加工牛乳の補給金制度ですね。これはまだ手続がされただけであって、本会議にも委員会にも付託になっておりませんので、これを直接に論議する考えはありませんが、ただ問題は、政府提案の法案の内容によると、実施の期日は昭和四十一年の四月一日からということになっておるわけです。したがって、四十年度一年間は現行の畜産価格安定法に基づいて、原料乳等の取り扱いあるいは指定乳製品の取り扱いをすることになっておるわけです。そこで、今年の原料乳あるいは指定乳製品の安定価格等をきめるわけですが、そのきめた価格と四十年から——これは法律が通るか通らぬかわからぬですが、かりに万が一通ったという場合には、これは新しい法律の規定を適用するわけですから、その場合の生産者に保証する価格の算定とか根拠というものは、いまから問題になるわけですね。特にわれわれは、今年の原料乳の決定あるいは指定乳製品の決定等は、直ちに今回提案された政府の法案と重大な関係を持つというふうに考えておるわけです。それはなぜかというと、現在の法律によりますと、農林大臣の決定して告示したいわゆる原料乳の安定基準価格というものは、原料乳の取引の場合にはこれが最低の取引価格ということになっておるわけです。あくまでもこれは乳業者の負担において、生産者との間において最低の価格として取引しなければならぬ、それ以下であってはならぬということになるわけです。これと政府提案の内容であるところの、たとえば加工乳と指定されたその生乳に対する政府が保証する価格、その価格の算定の基礎と、算定の方式として想定されておるものと、現在の法律にある原料乳のいわゆる安定基準価格というものの算定の方法というものは、私の判断によると、大体同様の趣旨のものを考えておるというふうに思われるわけです。いいですか。そうなると、いまの法律によれば、その安定価格というものは取引する価格でなければならぬ。今度は政府が出した法案によると、その価格は政府が保証する価格でなければならぬということになるわけですね。これが同様の計算の基礎に立ってなされた場合においては、名前は保証価格であっても、名前は原料乳安定基準格であっても、同じ次元で計算した場合においては、同一の価格というものが算定されることは、これはもう明らかであります。そうなると、現在においては、たとえば一升五十五円で取引したものを、これを法律がかわれば政府が保証する価格ということになると、そういう場合に、一体乳業者はどの程度の価格で牛乳の取引をすればいいかということになるわけであります。政府の法案によると、生産者と乳業者が取引する価格は、当然政府が定めた保証する価格よりもそれは安い価格であるということが明確になっておるわけです。そうすると、いまよりも安い価格で乳業者に取引をさせて、現在と同じ算定方式に基づいた政府が保証する価格との差額というものを、国が補給金という形で支出するということにおそらくなると思うわけです。そうなると、一体、これは生産者のためにそのような保証価格というものを設けるのであるか、乳業者の現在以上の利益を擁護するために保証価格制度というものをつくるのであるかということは、これは大きな問題点であり、またわれわれとしては疑問とするところであります。ですから、これは今後の審議の課題になるわけでございますが、そういう判断ではなくて、たとえば政府が指示するところの保証価格、あるいは実際に取引させる場合の目標価格というものの関係において、もしも私の言うように、政府が乳業者に指示する、生産者団体に指示する実際取引すべき目標価格というものと、現在の安定法によるところの原料乳の安定基準価格というものが、大体同様の趣旨において計算されるものであるということになれば、これは相当趣が変わってくるわけですね。取引すべき目標販売価格というものが、現在の原料乳の安定基準価格とその構想、あるいは算定の方式が同じであるということになれば、かりに現在の安定基準価格の乳価が五十五円であると同じ次元で計算した場合においては、新しい法律によるところのいわゆる取引すべき目標販売価格というものも五十五円であるということであれば、これは相当趣が変わってくるわけです。その目標販売価格よりも国が保障する価格ははるかに上位であるということになれば、その分を政府が補給金として生産者に交付するということになるからして、交付金の部分だけが、現在の制度よりも生産者に対しては加算されて支払われるということになるわけです。そうなれば、自家労賃の点についても、補給金として支払われた部分というものは農民の所得として、自家労賃の額の向上という形で渡されるという形になるわけでありますが、この二つの想定の上に立って、農林省としては、このいずれの構想というものが、今度の新しく提案された法律の主眼であるか、その点についてこれは参考までに説明を願いたいわけです。
〔坂田(英)委員長代理退席、仮谷委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/151
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152・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 新しい加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案につきましては、ただいま提案手続中でございますので、いずれ御審議を願い、その際詳細に御説明申し上げ、御審議のために用意をいたしたい、こう思っております。現行の畜産物価格安定法に基づきます安定基準価格は、先ほども申し上げましたように、加工原料乳についての、それ以下に下がることを防止するという目的で定められます下ささえの一種の保証の価格でございます。その価格は、当該加工原料乳を処理加工いたしまして生産されます乳製品が、市場の実勢価格の中で経済的に消費されていくという一連の関係を持つものとして考えられておるものでございます。ところが、その際に、乳製品の価格のきめ方も、安定下位価格と安定上位価格ということで、一定の安定帯価格の中で、市況の変動があるものという想定で、この安定下位価格というものと安定基準価格というものとの従来の実勢関連というものを考えまして算出をする方法をとっておりますのが、先ほど申し上げました第一方式であり、第二方式では、生産主要原料乳地帯における生産費のうち、安定幅の中で将来吸収し得る可能性のある費目を繰り延べて計算するとどうなるかという考え方をとっておりますのが第二案でございますが、新しく提案をいたそうといたしております制度におきましては、乳製品について、消費の安定を旨とする安定市場価格という中心的な価格を想定をいたし、それを行政的に定めましたわけで、その製品をつくるために処理加工業者として購入し得る価格水準というものを取引基準価格として定める。加工原料乳の生産酪農家に対しましては、主要原料乳地帯の生産費を基準として考えます価格水準、受け取り価格を保証するという考え方で算定をいたしまして、取引基準価格と安定基準価格の間の差額について畜産振興事業団を通じて国が補給金を交付する考え方をとっておるのでありまして、そういうことから申しますと、現在の安定基準価格というものと新しい取引基準価格というものは、算定の根拠を異にいたしますので、必ず合致するというものでもないわけでございますが、一つの算定方式のタイプとしましては、お手元に配っております乳製品の安定上位価格、下位価格を定めます場合の中心的な価格を積み上げ方式で計算したものでございますが、その方式にやや近い方式になるかと思われるのでございます。安定基準価格それ自身、農家に対します保証価格の制度は現在の法律の制度にはないわけでございますので、これは現在の算定方式とは直接関係がないといってよろしいかと思います。総体として申しますれば、現在の生乳の取引は、御承知のように、用途向けの価格形成をいたしませんで、混合乳価の取引をいたしておるわけでございますが、その混合乳価の取引の中で、メーカーは飲用乳に販売をし、あるいは乳製品を製造して企業を営んでおるわけでございまして、現在の価格水準は、メーカーにとって何ら酷な水準ではないということでございますから、政府が価格保証をするために補給金を交付いたします金は、総体としては、かりに農家の乳価水準に変動なしとするならば、現在の取引価格による農家の受け取り価格というものにプラスされて交付されるということになるはずでございます。ただ問題は、多少取引における用途向けの比率、つまり、飲用乳比率の相違等で、現在の混合乳価というものは、必ずしも実態そのものを反映しておるとはいえないという意見がございますので、地域別に不足払い金額というものの及ぼす影響に濃淡が出るということはあると思いますが、総体として申せば、現在の総受け取り額に補給金額だけが農家の所得としては増大するということになるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/152
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153・芳賀貢
○芳賀委員 あくまで参考の意見として聞いておきますが、局長も御承知のとおり、私が繰り返して、たとえば政府の算式の五十五円は依然として逆算価格であると言ったのは、これは現在の乳製品価格から逆算しているわけですね、詳しくいえば。そうでしょう。乳製品価格から逆算して、そうして原料乳というものはどのくらいのものである、一升についてどうなるということでやっておるわけですから、そういう点、われわれは従来の農林省のやり方というものを十分承知しておるわけです。そこで、新制度というものは、新しい法案のねらいというものと現在の法律との関係、しかも具体的には四十年度の原料乳の価格決定とこれは非常に強い関係があるわけです。だから、政府としては、できるだけことしの原料乳価格は昨年同様に低くして押えておくということにしておかないと、来年になって今度はかりに万一——これは通らないと思いますけれども、通った場合には、政府の負担がどのくらいになるか、あるいは乳業者の負担がどうなるかということを相当苦労をして判断されておると思うわけです。だから、従来の決定年度と違って、ことしはそういうものが横たわっておるからして、この際、どのような世論の非難を受けても、原料乳価は低く押えて、そうして将来に備えて、政府の負担をなるたけしないようにする、乳業者の負担も、逆算方式で、いまよりも軽くして利益を守ってやりたいというようなことで苦労されておると思いますが、これはそうだとは言えないと思いますが、大体その辺がずぼしではないかと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/153
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154・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私どもの不徳のいたすところでございますが、全く私どもの考えておることと違った御意見でございます。私どもとしては、本年度の価格の決定は、与えられた条件に基づきまして、審議会の御意見を拝聴した上で、良識に基づいた決定をただいまの御激励に従っていたしたいというふうに思っておるのでございます。この法案は私どもとしてはぜひとも御審議の上通過させていただきたいと思っておるのでございまして、制度実施に至りますれば、問題は、農家の経営安定という点に重点を置いて、価格の算定その他運用についても、われわれのできる限りの力を注ぎたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/154
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155・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/155
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156・中村時雄
○中村(時)委員 時間の関係で、簡単に一、二点だけ関連でお尋ねいたします。
特に政務次官にお尋ねをしておきたいのですが、いま芳賀委員から申していらっしゃったように、一つの価格の構成に対する労賃の基準の問題で取り上げられて、いろいろの質疑応答があったわけです。そこで問題は、私は労賃の基準の取り上げ方だろうと思うのです。そこで、労賃の基準の取り上げ方を先ほどから聞いておると、過去七年間について大体その基準を求めていらっしゃる。そこで考えてみたい。なぜ私がそういうことを聞くかといいますと、一度私以前にも話をしたことがあると思うのですが、農業の農村の労働量と、また都市における労働力と、それに伴う労賃の問題について、私は格差があると思う。その格差をなくすることが、ひずみの是正という形であらわれておる。たとえば、都市において一人の労働者は、将来においては年功序列によってだんだんよくなっていく。だから一人が三人ないし五人の家族を養い得るという一つの目標が立ってくるわけです。ところが、農村においては、かりに農村の中に嫁入りをしたそのときには、二の労働力になってあらわれてくる。その二の労働力が将来においても一になるかといったら決してならない。自家労働として、常に五人家族の中で二ないし二・五の労働力をもってこれに対処しているわけです。すなわち、将来においては、都市における一と農村における二ないし二・五というものの労働力の差があるわけです。それを基準にしておいて問題の解決をはかろうというところに、非常に低労賃としての問題が生まれてくるということが第一点。
さらに、それを基準にして過去七年間で取り上げるということになれば、かりに都市の工場において労賃の値上げをする場合においては、現在の時点から将来どれくらい物価指数が上がってくるか、それを勘案しておいて、大体何千円という方式が打ち出されてくる。ところが、農村の労賃の取り上げ方という場合には、過去七年間と、過去を取り上げてくるのです。二重にそれが低賃金になってあらわれてくる。だからこそ、七百六十円という線で妥当だというふうな出し方になってくるに違いない。だから、現在の時点から前向きに何年かというものが、大体物価指数においてこのくらいの上昇率を伴うのだ。事実あなた方は、能率が四・五%ですかあがると言われておる。だから、それを基準にしておいて一年間なら一年間の基準をとって打ち出してくるならば、少なくとも七百六十円という線は出てこないと私は思う。そういう姿に立って、農家の中において労賃というものをどのような取り上げ方をしていくか。これは非常に基本的な問題なので、将来これは全部農業経営の基本となる問題なので、その労賃指数の取り上げ方というものを根本的に農林省としては考えてもらいたい。これが第一点であります。
そこで、そのような姿がなぜ生まれてくるかということをもう少し突っ込んでみたい。それは少なくとも自由経済に基づくところの貿易の自由化、そのことが、高度経済成長に伴って農村のほうにしわ寄せをしてくるということであろうと思う。かりに一つの例をとってみても、酪農において、酪農製品がどんどん自由化されて入ってくる。そこで、たまらなくなって、構造改善の方向を打さ出さざるを得ない。構造改善の中で、それだけでは困るからというので、選択的拡大をやっていく。選択的拡大の中には、酪農というものが非常に大きなファクターを持ってくる。そこで、酪農をやってみようということで、前向きにしたりして、してみたところが、一方においては、御存じのように、麦に対しては反を減らしていけ、こういうことを言っている。ところが、濃厚飼料として——日本で足らないものは濃厚飼料です。その濃厚飼料の麦というものが非常に大きなファクターを持っているのです。濃厚飼料のほうは削減をせい、こう言っておる。そうでしょう。そういう矛盾撞着を平気でやっていらっしゃる。その中にほんとうの農業政策というものは私は断じてないと思う。それは、ただ都市における資本主義形態が農村の中にそれらのしわ寄せをどんどん持ち込んできているという形に、裏から見れば見えるわけです。だから、そういう基本的な問題に対して、一体政務次官はどういうふうにお考えになっているのか。事実、大麦というものを考えてみた場合、一体、大麦は、ふすまと比べてどういうふうな割り高になっているか。いま大麦は一トン幾らですか。ふすまは一トン幾らですか。それは畜産局長から答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/156
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157・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 農産物価格の問題につきましては、全く私しろうとでございますが、去年就任いたしましてから、やはり農政の根本は、何と申しましても、今日価格問題だと思うのです。価格につきましても、米の価格からその他の価格、品目といたしましては七十三品目が価格政策の対象になっておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、米をはじめとして、皆さんの御満足いくような価格政策を打ち出し得ないことは、これは事実でございます。したがいまして、農林省といたしましては、早急に価格政策につきまして、基本的な方針を確立いたしたい。労賃の問題は、もちろんその中に入るわけでございますが、さようなことで、今日農政審議会におきましては、価格政策につきましての特別の委員会を設けまして検討中でございまして、やはり各品目にわたり、あるいは共通的な農産物の全体についての価格政策をどうするかということは、真剣に考えなくてはならない。文字どおり曲がりかどにきておるということを私率直に感じておる次第でございまして、さような立場から、いま芳賀委員から詳しく原料乳の価格についての御質問をいただきましたが、やはりこれも一つの過度的な段階として、十分に御満足いただけなかったことは申しわけないと思いますけれども、かような価格政策につきましての農林省の方針を決定いたしまして、また農林省といたしましては、あくまでも農民のための農政でございますから、さような点につきましては、全力をあげて中村委員の御期待に沿いたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/157
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158・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私どもがいま考えております輸入大麦の政府売り渡しの価格は、トン当たり二万三千四百三十円という価格で売り渡したいというふうに考えております。これに対します内地産大麦の政府買い入れ価格は三万九千九百六十円でございまして、食糧用売り渡しの価格は二万八千七百四円ということになっております。私どもが大麦の売り渡し価格を決定いたします場合の考え方としては、過去三年間の主要な飼料穀物でございます、トウモロコシ及び大豆かすとの飼料成分比価というもので算定をいたしたものを基準にいたしておるのでありまして、それで算定いたしますと、実は若干値段が上がることになるのでありますが、日本ではまだ大麦の飼料としての慣行が普及をいたしておりませんので、値上げをいたしませんで、据え置くということにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/158
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159・中村時雄
○中村(時)委員 その問題に関しては、関連だからきょうは追及いたしませんが、この問題は、あと時間をいただいて、十分質疑応答をやってみたいと思いますが、先ほど言った労賃の基本的な取り上げ方、この問題だけは明確にしておいていただきたい。私は、誤まった方式をとっておる、こう思っておるのです。
そこで、もう一つは、——局長、よく聞いておらぬとだめだよ。私の聞いたのは、何を聞いたかといったら、大麦の価格を聞くと同時に、ふすまの価格を聞いた。そこで、ふすまとの対照をしていった場合、いま言ったように、大麦のほうが高値になる。その高値をふすまのところまで下げるべきではないかということを聞いておる。ところが、そのほうを抜きにして、大麦のほうを言っておる。それは、三万幾らを二万幾らでまだ安くしておるのだというようなことを言っておる。私はそんなことを聞いておるのではない。いま言った畜産振興という立場からいって、酪農振興をやろうということが選択的拡大から生まれてきたのだから、それを基本にして、ふすま以下にしておくのが妥当ではないかということを聞いておる。だから、質問のポイントははずさないでもらいたい。そこで勉強するのもいいけれども、その程度のことは頭に入れて、なるほどそうしなければならぬなということくらいは考えてもらわなくちゃ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/159
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160・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ふすまの価格につきましては、四十年度のふすまの売り渡し予定価格というものをきめますに際しまして考えましたことは、ただいまの大麦の価格の算定をすると同様に、輸入ふすまについて、過去三カ年間におけるトウモロコシ、大豆かすとの成分比価というものではじきまして、三十キロ六百三十四円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/160
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161・中村時雄
○中村(時)委員 それはトンに直したら幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/161
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162・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 トンに直しますと二万九百二十二円ということでございます。それからその価格をきめましたので、元来は、専増産ふすまは価格差をつけるべきでありますが、これは政府の操作のための特別の措置でありますので、輸入ふすまと同価格の六百三十四円にいたしたということでございまして、輸入ふすまと大麦との価格は、成分比価から申せば、均衡をとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/162
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163・中村時雄
○中村(時)委員 それは間違いないですか。あとでもう一回調べ直してください。ともかくも三千円近くの相違があるわけなんです、片一方は二万四千幾らといっているのだから。だから、そういうふうにふすまが云々というよりも、濃厚飼料としての大麦を国内生産できるのだから、それを削減するとかいろいろなことじゃなくして、それをそちらに回すために、価格を幾らに押えていくか。なるべく低位に押えながら、酪農振興前進の方向を進めていくのが、私は政策であろうと思う。それでなかったら、ただ官庁の中で計算機を持って計算しているにすぎない。政策というものは前向きでなければだめです。前向きにするためには、いま言ったような価格構成の基本というものを明確にしておかなければならぬと思う。そういうふうな面で、優秀な畜産局長を据えておるのだから、そのくらいのことは畜産局長前向きになって、そしてほんとうに選択的拡大の成果をあげるということをひとつ明確にしておっていただきたい。
それから委員長にも言っておきますけれども、この問題は、いま言ったように関連ですから、一、二点で終えますけれども、この問題は非常に基本的な問題がたくさんあるので、十分に討議をし尽くしていただきたい。これを要望しておいて、政務次官に、労賃のいまの基本的な問題をどう考えるか、それからふすまの問題と大麦の問題は、酪農振興に伴って非常に重要なファクターを持っておるので、なるべくなればふすまの線に沿って酪農というものを前向きにしてもらいたい。これに対してどういうお考えを持っておるか、その二点だけで終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/163
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164・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 労賃の問題につきましては、先ほど申しましたように、農産物の価格につきまして農政審議会でいま研究中でございまして、全般的に農産物全体につきましての価格を設定いたしたいと考えております。
なお、大麦とふすまの関係、もちろん御期待に沿うように努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/164
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165・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 次会は明二十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01819650324/165
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