1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十五日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武者 理事 赤路 友藏君
理事 東海林 稔君 理事 芳賀 貢君
池田 清志君 宇野 宗佑君
亀岡 高夫君 吉川 久衛君
倉成 正君 小枝 一雄君
田口長治郎君 田邉 國男君
高見 三郎君 中川 一郎君
丹羽 兵助君 野原 正勝君
山中 貞則君 卜部 政巳君
栗林 三郎君 千葉 七郎君
松井 誠君 松浦 定義君
山田 長司君 湯山 勇君
小平 忠君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
農林事務官
(園芸局長) 林田悠紀夫君
委員外の出席者
農 林 技 官
(畜産局長家畜
改良課長) 黒岩 裕君
農 林 技 官 佐藤 卯朔君
専 門 員 松任谷健太郎君
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本日の会議に付した案件
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五五号)
農林水産業の振興に関する件(養鶏及び飼料問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/0
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001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/1
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002・湯山勇
○湯山委員 私は、養鶏問題並びにこれに関連する飼料の問題についてお尋ねいたしたいと思います。時間の関係もございますので、なるべく端的にお尋ねいたしたいと思いますから、ひとつそのようなおつもりで御答弁いただきたいと思います。
養鶏の危機ということが伝えられまして、農村には相当深刻な打撃を与えておりますが、まずお尋ねいたしたいことは、鶏卵の需給の見通しについての農林省のお考えでございますが、今日養鶏が危機を招いたその一つは、需給見通しの誤りといいますか、それにあったのではないかという感じがいたします。オリンピックとかそのほかいろんな要素があったにしても、先般お示しになった中期経済計画においても、なお四十三年度には牛乳あるいは肉類、鶏卵、果実は大幅な増加を示すというように書いてございます。この見通しについて、一体そういう見通しをやはり持っておられるのかどうか、これからお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/2
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003・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 畜産物の需要の見通しにつきましては、中期経済計画を策定するにあたりましても、国民所得の増大に伴います消費支出の増を見込みまして、それに伴いますそれぞれの畜産物の需要の弾性値を用いまして、昭和四十三年における肉、乳、卵の需要の見通しをいたしておるのでありますが、この需要見通しは、現段階で考えます場合、ものによりまして需要増大の幅の相違がございますが、相当な需要の増大は見込まれるという点については、ほぼ間違いないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/3
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004・湯山勇
○湯山委員 大体計数的にどれくらいを見込んでおられるわけでしょうか。三十九年度が大体計画では七十六万二千トン程度に対して、実績が九十万トンをこえておるのじゃないか。そうすると、中期経済計画の区切りである四十三年には、どれくらいな需要を見込んでおられるか、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/4
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005・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 中期経済計画は、御承知のように、三十八年をベースにいたしまして需要の見通しをいたしておりまするが、四十三年の需要量は、鶏卵につきましては百十一万三千トンという見通しを立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/5
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006・湯山勇
○湯山委員 問題は、実績のほうは百十一万トン程度でおさまるかどうか。すでにいま九十万トンをこえているという状態で、四十六年には実績は百六十一万トン程度になるのじゃないか、そういう見込みなんですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/6
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007・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 四十三年の百十一万三千トンと申しますのは、最近の鶏卵の需要の動き等に基づいて実際の傾向を見込みます場合一その程度の数字になるということでございまして、もちろん、見通しでございますから、確実にぴたり合うと申し上げるわけにいきませんけれども、要するに、この数字からうかがえますように、鶏卵につきましては、需要に対しまして生産が相当高い水準にきておる。需要自身も、ほかの畜産物ほどの需要の伸びは見込めないということだけは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/7
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008・湯山勇
○湯山委員 そこで、農政局がお見えになっておれば農政局から、あるいは畜産局のほうでもこれはタッチしておられれば、畜産局長のほうからでもけっこうですが、構造改善の事業の中で、養鶏が取り入れられておるものが非常に多いということです。この構造改善事業の中に養鶏を取り入れておるものの、そこから出てくる生産の見込みと、いまの局長のおっしゃったその生産量の見通し、これは一致しておりますか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/8
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009・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、構造改善事業で養鶏を主幹作目にかなり取り上げてきた。これは比較的土地制約等も少なくて、資本装備の充実等でまかなえるという点から、構造改善事業発足以来、かなりの地域で養鶏を主幹作目に、現在までに百十三地域が養鶏を主幹作目に取り上げております。この一地域平均の羽数は私ども確実に把握しかねるのでございますが、かりに五万羽程度という羽数といたしますと、約五百六十万羽ということに相なるかと思います。昭和三十九年二月の飼養羽数が一億二千万羽でございますので、構造改善事業によって新たに主幹作目にして生産の増大をはかったこと自身が、非常に大きなウェートではございませんが、これが全体としての養鶏の増産熱のあらわれ、あるいは増産の刺激だというようなことはいなめないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/9
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010・湯山勇
○湯山委員 いま百十三地域ということでございますけれども、それも農林省の資料によれば、三十六年には一〇〇の中の七八、三十八年が一〇〇の中の六七と、構造改善実施地域の中で養鶏を取り入れている率というのは相当高いと思います。どちらかといえば、構造改善の花形のような役割りを演じておるわけで、その理由には、いま局長の御指摘のように、安易に取り組めるという要素もあると思いますけれども、しかし、この構造改善事業と、それから需給見通しの間にかなりしっかりした関連を持っていないと、私は、また計画と実施との間にかなり大きなそごが出てくるのじゃないかということを心配しておりますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/10
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011・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 構造改善事業はもともと、これは私から申し上げますと不十分な御説明になるかと思いますが、農業の生産の近代化をはかる、主産地の育成をはかるというようなことで、生産、集出荷等の合理化というものをねらいにしておる事業と心得ておるわけですが、このことと需給の見通し等には直接関係があるとは考えませんけれども、しかし、需給の見通しを離れて構造改善指導があるべきではないというふうには考えます。正直に申し上げまして、三十八年の事業採択のころから、鶏養を主幹作目にする地域がやや多過ぎるのではないかということには気づいておったのでございます。私どもも、事業審査の際には、できるだけ従来養鶏の事業が行なわれていた地域で、集団的な生産にするとか、あるいは新しい飼育の方法に切りかえるとかいうような、生産の合理化というねらいを持っておるものを優先的に考えて、いわゆるほかにやることがないから養鶏でもやろうかというような地域は、できるだけ押えるようにという指導をいたしたのでございますが、当時はまだ市場の実勢というのが、鶏卵の価格は総体的に有利な時期でございまして、なかなかその指導は徹底しなかった。昨年秋に通達を出しまして、構造改善に対しては、その点、金融措置に対する慎重な配慮とともに、構造改善事業の養鶏を主幹作目とする場合の対処のしかたは、一そう慎重にする必要があるということを明瞭にいたして、指導をしてまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/11
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012・湯山勇
○湯山委員 その御指導になった効果はどのようにあらわれておりますか。まだそこまでいっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/12
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013・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 これはちょっと手元に資料がございませんけれども、三十九年の主幹作目事業採択につきましても、養鶏の事業採択の希望に対して、実際に採択されました数はかなり減っておるのでございます。手元に資料がございませんので、数字がわかりませんが、減っておるのでございます。四十年度の事業はまだ審査中でございますので、結果を待ちませんとわかりません。これは農家自身養鶏の最近の状況に徴しまして慎重になっておりますので、指導の効果といいますか、指導の方向は、事業採択の上にもあらわれてくるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/13
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014・湯山勇
○湯山委員 なお、需給について、もう一つお尋ねいたしたいことは、国民の卵の消費量ですね。これは率直にいって、私は、現在の食生活の状態、そういうことから見て、かなり頭打ちに近いんじゃないかという感じを持つのですが、諸外国と比べて、それの二分の一とか三分の一とか、そういうことはありますけれども、いまの日本の状態では、いま申しましたように、この上消費の伸びというものは、そんなに大きく期待できないのではないかというふうに考えますが、その点はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/14
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015・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 結論から申し上げますと、湯山先生の御意見と私も全く同感でございます。先ほど申しました中期計画の数字にいたしましても、三十八年度八十二万トンが四十三年に百十一万三千トン程度の見込みであるということ自身にも、数字的にあらわれておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/15
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016・湯山勇
○湯山委員 そこで、これはあげ足取りのようですけれども、農林省の御指導も、それから畜産物価格の審議会への御意見の中にも、消費の拡大をはかるというようなことが書かれてありますけれども、その点については、いまの積極的な消費の増大をはかるという宣伝をしていくことによって、どの程度この上消費が伸びるというようにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/16
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017・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 消費宣伝によってどれだけ伸びるかということは、これはちょっと私も申し上げるほどの判断の材料がないわけでございますが、消費宣伝が効果があるはずであるということは私は言えるかと思うのであります。これもお話にもございましたが、欧米における国民一人当たりの卵の消費量が三百個ないし四百個程度でございますが、日本の現状が三十九年で約百八十個程度と思われますので、今後日本の消費等も伸びていく。また、総体的に廉価なたん白食料であるという点から考えますと、消費宣伝の効果を期待してもいいのではないか。そのためにどれだけ伸びるかということは、ちょっと測定いたしかねるのであります。
〔委員長退席、坂田(英)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/17
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018・湯山勇
○湯山委員 そこで、いま考えられることは、構造改善における指導その他によって、むやみな生産増というものはある程度押えていける、そういう前提条件のもとに、現在の養鶏農家の経営の安定をはかっていくということが、私は、農政としてやっていかなければならない緊急な問題ではないか、このように考えますが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/18
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019・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 養鶏が昨年来の卵価の低迷のために非常に苦しい状態にあるということは、私どもも非常に憂えておるところでございますが、今後鶏卵の需給事情の改善をはかる。消費の増大に努力をする。一方生産については、お話のように、むやみな生産増というものを自主的に調整をしていくというようなことから、養鶏農家の価格面における経営安定の条件をつくり出すということは、きわめて必要なことであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/19
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020・湯山勇
○湯山委員 そこで、お尋ねいたしたい点は、昨年来の卵価の不安定によって、実際に飼育羽数は減っております。幾らか減る傾向にある。それはそれとして、そういう御指導が逆に養鶏農家の経営を不安定にしている。さらに、そのことが、実は農業団体、農協等を圧迫しているというような事実があるのです。
その具体的な例を申し上げますと、かなり大きな設備投資をやっております。近代化資金等による設備投資は、大体一羽当たり五、六百円から七、八百円、そういう程度のものが多いのじゃないかと思います。ところが、そういう大きな設備をつくったために、今度は飼育羽数の制限をいたしましても、それとの関連において、羽数の減になった分は、実はコスト高にはね返ってきておるという現象がまま見られるわけです。これは相当どこでも見られる一般的な現象ではないかと思います。つまり、遊休施設というような形になっている。そこで、実際には卵価が百五十円、百六十円、百七十円になったといたしましても、いまのような遊休施設が生じたことによるコストの上昇によって、これはどうにも経営がうまくいかない。そうかといって、これだけの設備をしたものをやめてしまうわけにもいかない。こういう農家も相当あるということと、それから結局、そういう農家に対しての運転資金の資し出し——設備については近代化資金等が貸し出されますけれども、運転資金についての特別な配慮がないために、結局そのしわ寄せは、農協に対するえさ代の支払いにしわ寄せされて、えさ代が入ってこない。えさ代の未払い金といいますか、貸し付け金が近代化資金ととんとんくらいになっているというような状態も、相当各地に見られると思いますが、そういう実情についてはどのように御把握になっておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/20
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021・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 いまお話がございましたように、現在の生産過剰傾向に対処しますために、飼養羽数を自主的に抑制をするということから、一部施設に遊休化した部分があるということ、それから養鶏農家の経営上の難点から、えさ代の支払いの遅延という形になっておるという話は、私どもも聞いておりますが、それが全国的にどういうふうになっておるかということは、なかなか調査もできませんし、それを明らかにするような資料がございませんので、申し上げかねますが、さような実情が各地にあるということは、私ども承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/21
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022・湯山勇
○湯山委員 いまのような実情は、非常にこれは憂慮すべき事態でございまして、そこで、幾らあるということは資料がおありにならないにしても、そういう事実があるということはまあお認めになられたところでございますから、当然それに対する対策というものがあってしかるべきだと思います。これに対する対策としてはどのようなことが考えられるか、また、その中でどういうことを実施されようとしておられるか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/22
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023・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 鶏卵の価格の問題は、別途われわれのできますことはやっていくつもりでございますが、まず、養鶏経営の困難ということから起こっております金融上の問題として私どもに考えられますことは、近代化資金の実際の貸し付けは、制度上の貸し付け条件の範囲内でやっている。端的に言いまして、償還期限等については、制度で認められておりますぎりぎりまではやっていないという事例が多いようでございますので、養鶏農家の経営の実情に即しまして、制度上認められる償還期限までの間において融資条件を緩和することについて、指導をいたしてまいりたいというようなことが一つでございます。
なお、えさ代の支払い遅延につきましては、養鶏の運転資金は、御承知のように、非常に回転度の早いものでございますので、これについては、農協の相互扶助のといいますか、共同の力によって、経済条件の変動に対してある程度対処をするということは、私は、本来農協組織というものの機能ではなかろうかと思うのでございますが、そういうことによって起こる単位農協等の資金繰り等に困難が生じます場合には、系統金融の力は御承知のように相当大きなものがあるわけでございますので、系統の金融全体の力というものによって、特に困難を来たしておる単位農協等の資金繰りに支援を与えるというようなことについて、指導をしたいものというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/23
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024・湯山勇
○湯山委員 具体的にそういうことを御指導になったことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/24
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025・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいま申し上げましたようなことは、私どもといいますか、省全体としての農業金融上の問題でもございますので、私のほうから農林経済局のほうに、そのような姿勢で指導をしていきたいし、また、金融行政の面でも指導していただきたいという申し入れをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/25
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026・湯山勇
○湯山委員 これはひとつ早急に、いまおっしゃった程度のことでは私は不十分と思いますけれども、早急に実施されるようにお願いいたしたいと思います。
そこで、いま系統金融のお話が出ましたが、それだけじゃなくて、いまの養鶏の危機を何とか打開していかなくちゃならないということから、各府県で独自の立場から、これに対する卵価の価格補償をやっておるという例も幾つかあると思います。その実態はどのようになっておるか、おわ
かりでしたら、ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/26
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027・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お尋ねになりました府県単位の卵価の安定基金的なものあるいは協業組織的なものが、かなりの府県において行なわれておるということを承知いたしております。手元の資料では、全国の八県の農協連合会もしくは一部の単協で、ただいまお話がありましたような事業を行なっておりますが、これは一定の基金を基礎にいたしまして、生産者の販売価格から一定額のものを積み立て、一定の価格水準を割りました場合に、その差額について、その全部もしくは一部を農家に還元するというような運営をいたしておるようであります。この中には、相当の経験を経ておりまして、今日なおその運営をやっておるところもございますし、また、ところによりましては、価格条件が悪い時期に出発をいたしましたために、実際上その機能を十全に果たすことができなくなっているというような基金もあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/27
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028・湯山勇
○湯山委員 それらの県が、現在の状態ではたいへんだということで、八県か九県かそういうことをやり始めた。しかし、今日の状態では、その資金も多くないものですから、せっかくやり始めたけれども、もう数カ月でばたばた機能が麻痺してしまっているという例が相当あると思いますが、これは御把握になっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/28
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029・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 運営が現実にどうなっているかということは、実は私のほうでは確実に今日の段階を把握いたしておりませんが、家畜の基金について私どもが承知いたしますところでは、その過半が運営に非常に困難を来たす状態になっておるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/29
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030・湯山勇
○湯山委員 そこで、数百万円あるいは一千万円そこそこ、そういったような基金で府県別というような小さい単位では、これはとても卵価の安定対策は講じられない。だからといって、従来、昨年二回にわたって農林省のほうから発動されたその対策、これもどうもあまり役に立たないというようなことから、全国を打って一丸として鶏卵価格安定基金の構想ができまして、それがいま進められつつあるということについて、局長のほうではよくこれはおわかりだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/30
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031・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話のように、政府の卵価安定のための制度としては、畜産物価格安定法に基づきます農業生産者団体による自主調整保管の事業に対する金利、倉敷等の経費補助という制度があるわけでございますが、それを補完するための自主的な制度として、全販連が中心になりまして、全国的な規模での卵価安定基金的なものを設定をして、生産の調整と卵価の下落に伴います場合の差額の補給ということを長期的な観点からやっていきたいというふうなお話は、私どももその説明を受けておりますので、承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/31
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032・湯山勇
○湯山委員 この問題については、先般、二月の二十五日でございましたか、卜部委員から局長にも質問をいたしておりますし、大臣にも質問をしておるはずでございます。そのときの局長の御答弁は、そういうことをやってほしいという意味であったと思いますし、大臣も同様の趣旨の御答弁をしておられます。ところが、聞くところによりますと、まだどうもいまおっしゃった安定基金的なものはうまくすべり出していないということでございますが、農林省との間に何らかの連絡あるいは話し合い、協議、そういうものが行なわれたのかどうなのか、そして、今日この基金が当面しておる困難な問題、どういう問題で行き詰まっておるか、困っておるか、そういうことについておわかりでしたら、ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/32
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033・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この全販連を中心といたします卵価の安定基金というもの、まあ仮称でございますが、安定基金というものに対します私どもの態度としては、この考え方は、方向として私どもも適切な方向であるということで、われわれとしての立場からなし得ます協力なり指導なりということはいたしたいというふうに考えておりますが、本質的に自主的な安定機構というものをお考えになっておるのでございまして、特に農林省と協議を要するという性質のものではなかろうというふうに思うのであります。あとは民法法人としての大臣と主務大臣としての処理があるだけでございますが、現在までまだなお発足をいたしておりません事情には、やはり全国的な規模のものでございますから、各県連との内部協議というような問題が慎重に取り進められる必要があったというようなこともございましょうし、それからこの基金への出捐、つまり、寄付金を出そうとする組合もしくはその他の法人が、この寄付金額を法人税法上の損金に算入してほしいという希望が出ておるわけでございますが、その点についての政府内部での最終結論がまだ出ていないということが、一つの問題点ではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/33
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034・湯山勇
○湯山委員 ただいまの後段の問題でございますが、これについては農林省の御態度はどういう御態度でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/34
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035・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 事が税法上の問題でございますし、率直に申し上げまして、私どももどうも税法にはすこぶる弱いものでございますから、税法上そういう免税措置がとれるものであるならば、これはこの基金設立及び運営を一そう容易にする性質のものでございますから、私どもとしては、税法上許されるものであるならば、ぜひ免税にしてほしいということで、農林省としての立場から、大蔵省にも事業の内容なり団体の規模、農林省の意見を伝えて、交渉をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/35
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036・湯山勇
○湯山委員 それに対して大蔵省側の意見はどういう意見であるか、あるいはまた農林省の関係しておるもので類似のもの、たとえば魚価安定基金等ですね。そういうものとの関連において、これは当然そういう措置がとられていいんじゃないかということを考えますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/36
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037・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 大蔵省といたしまして、損金算入の場合に、いわゆる法人の資本金額の一定比率なり所得金額の一定比率の合計額のある比率の範囲内というものは、これは損金算入ができるか、それ以上のものは、いわゆる指定寄付として具体的な事業を告示をいたしまして、その上で免税措置をとるというふうにしておるのであるが、この事業は、従来税法上指定寄付金として寄付を免税にしたそこらの事例と性格を異にするので、この免税については、大蔵省の税法上の解釈からは困難であるということを私どものほうに言ってまいっておるのでございます。いろいろむずかしい理屈を言っておりますが、結論からいくと、そういう言い方でございます。他の事例につきましても、同様な事例で免税になったものは、私どもも大蔵省令による事例を見ましても、どうもないようでございます。全く同様のものはないようでございまして、魚価安定基金は、これは湯山先生も御承知と存じますが、出資の形をとっておりますので、当然損金算入はされないで、課税の対象となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/37
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038・湯山勇
○湯山委員 そうすると、いまのお話だと、税法上の問題だから、農林省としては、話はしたけれども、向こうのほうが強くて、どうもこの壁は破れないという現状のように、いまの御答弁を承ったわけです。それでは困るので、それではこれをやるためにはどうするかという問題ですが、そのための立法措置、法律をつくる以外に方法はないわけですか、それともそのほかに方法があるでしょうか、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/38
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039・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話しのように、立法措置を講じて、その立法措置そのものが政府部内で認められるということでございますれば、これは立法措置による免税、課税対象としての例外ということも考えられるわけであります。ただ、立法措置ということにいたしましても、事業に関する立法措置が課税の対象外の立法措置かということで、どうも私どもが考えられる道を求めることは、かなり困難な点があるわけでございます。そのほかに、この基金をつくるための出損に対する免税の方法があるかどうかという点は、私のほうもこのこと自身の意義は大きいわけでございますので、主税局自身にもひとつ検討してもらいたいということで、指定寄付としての免税、課税対象からの除外ということが困難であるという返事は受けておりますが、問題をそれでは引き下がるというふうにあきらめておりませんので、なお大蔵省主税局も含め、検討を進めたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/39
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040・湯山勇
○湯山委員 いまこの構想については、局長もぜひそういう方向に進めてもらうことは好ましいことだということですし、それの発足にあたってのネックがどこにあるということも、これもよくおわかりなので、いまおっしゃった問題が解決つくかつかないかということは、これの大きなかぎになっておると思います。そこで、引き下がるのじゃなくて、なお検討してもらうように要望しているのだということですが、あまりおそくてもいかぬのじゃないかと思うのです。一年も二年もかかると、せっかくのいま進めておるものが、話がついたときには、もうその必要はないというようなこともあるかもしれませんので、一体いつごろまでに結論が出るか、そして農林省のほうで全力を尽くせば大体何とかなりそうだというのかどうか、その辺はたいへん立ち入ってお尋ねして恐縮ですけれども、この制度といいますか、こういう機関の必要性と、それからいまの時点の緊急性から見て、早くひとつ結論を出していただきたいということを私ども考えるわけですが、これはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/40
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041・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 いつまでに結論を出すかということでございますが、相手のあることでもございますのと、それからどうもこれは税法上の法律解釈及びその運営の問題でございますので、私どもの努力といいましても、おのずから果たす役割りに限度があるものですから、いつまでにということをお約束申し上げるわけにまいりませんが、私どもとしては、できる限り早い機会にこの問題についての政府としての結論を出してもらいたいというふうに思っておりますが、私は端的に申し上げまして、この問題については、他の方法等も検討をした上で、ことしの七、八月ごろ、つまり、明年度の予算案を考えるころまでには、少なくともはっきりさせなければならぬだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/41
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042・湯山勇
○湯山委員 これもおことばにひっかかるようですが、他の方法も一緒に検討するということですが、私ども、他の方法というのはどういう方法があるか、全然見当がつかないのですが、これは具体的にどういう方法というのじゃなくてのお話なのでしょうか。具体的にどういう方法というのをお持ちになっていまの御答弁をしていただいたのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/42
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043・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現在の段階で、他の方法ということについて具体的にお答えできるほど検討をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/43
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044・湯山勇
○湯山委員 これはいまおっしゃった御答弁のような趣旨で、早急にひとつ御処理を願いたいと思います。
次には、いまの価格安定対策の問題についてですが、今度たいへんな御努力で、乳製品あるいは酪農については、政府のほうでも法律改正を御用意になっておられますが、鶏卵については、それと同じように、生産量からいえばはるかに多いわけでしょうから、何かそういうような価格安定対策を別にお考えになる御予定なのかどうか、これもいまの他の方法という意味の中に、私のほうからいえば含まれると思いますので、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/44
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045・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 鶏卵の価格安定の問題につきましては、私ども考えを固めますためには、さらに慎重な検討を要すると思うのでございますが、現在の段階で、法制を伴いますような制度の改正ということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/45
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046・湯山勇
○湯山委員 それはひとつ御検討願いたいと思いますが、やはりそういうところまでいかないと、いつまでたっても、卵価問題というのは農政の一つの隘路になって、生産農家はもちろんですけれども、困る問題が起こってくると思いますので、ただ考えてないというのじゃなくて、お考えいただきたいと思います。それと、さらに、養鶏共済についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/46
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047・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 養鶏共済というのは、現在の農業災害補償制度の対象としてという意味でございますれば、これは非常に現在の制度とはなじまない性格のものではないか。御承知のように、養鶏にはブロイラー生産で端的なように、年間非常に短期間に回転するようなものにつきましては、個体中心の災害補償制度という現在の共済制度には、その点非常になじみにくいのじゃないとかいうように考えておりますが、それは豚につきましてもなお問題が残っておりますし、農林省としては、将来の課題として検討すべきものではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/47
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048・湯山勇
○湯山委員 漁業共済に比べて、まだ養鶏共済のほうが条件としてはやりやすいのじゃないかという感じも私は持つのです。そこで、いま言ったような対象の性格によってできるできないの議論は別として、年間を通じてとか、そういう形での共済制度はあってもいいと思いますし、また、これだけ生産量の多いものであり、多数の農家に関係があるということから考えれば、当然考えてしかるべきだと思いますが、ひとつ積極的な取り組みをしていただきたいと思うのですけれども、そういう点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/48
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049・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 これはお話しのように、漁業共済の例も一つあるわけでございますが、養鶏共済ということになりますと、一種の経営共済というようなことになりますので、現行制度に改正を加えるとすれば、基本的な改正という大改正にもなりますので、私はそういう考え方は全くあり得ないということではないと思いますが、家畜共済に関する研究の機会というものも農林省内でも考えておりますので、その家畜共済に関します研究課題の一つとして、これは諸種のデータ、資料も要ることでございますので、そういう資料の集積等も含め検討していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/49
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050・湯山勇
○湯山委員 来年度から鶏卵の規格取引を実施するということを農林省のほうで発表しておられます。現在も必ずしも規格取引が行なわれていないというわけではないと思うのですが、規格取引を実施するということのねらいはどこにあって、それは生産者にとってどういうふうに有利なのか。これについては、逆に生産者にとって不利になるのじゃないかという意見もないではありません。そこで、この規格取引の構想と、それからそれの利害、これについてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/50
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051・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 鶏卵の規格取引と申しますのは、お話にもございましたように、従来からないわけではございませんが、本質的には、鶏卵の取引というものは、卵の品質に応じて行なわれるということが合理的なわけであります。そういうことと同時に、また品質の改善自身の指標ともなっていくということに意義があると思うのでございますが、本年の五月から規格取引を始めようとしますのは、規格の格づけ自身を産地においてするということによりまして、大量の取引を品質に関する信用に基づいて行なうという取引の簡便化、流通の合理に資したいということでございまして、このことのために農家に不利が及ぶということは、私はちょっと考えられないと思うのでございますが、将来にわたりまして、中間の経費、たとえば問屋あるいは札場等におきます荷口、荷口の検査というようなことを省略できるということから、長い目では農家にも有利な影響があるものというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/51
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052・湯山勇
○湯山委員 この規格取引が行なわれるようになった場合、庭先養鶏、これはまだかなりパーセンテージを占めておると思いますが、それらについては一体どういうことになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/52
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053・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 規格取引ということが実行されますのは、どうしても一定の集団産地でなければできないと思いますので、庭先養鶏については、規格取引の対象にすることは困難と思いますが、これは従来どおり現物に即しての品質確認というものの上で取引が行なわれることが継続されるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/53
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054・湯山勇
○湯山委員 そこで、前に、これも卜部委員その他の質問に対して、局長は非常にはっきりと、学校給食に鶏卵を回すということは、不可能とはお答えにならなかったけれども、できないだろうという御答弁でございましたけれども、規格取引が行なわれるということになれば、規格取引外のもの、それらについても、いまのような学校給食等に使うというようなことは全然考えられないことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/54
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055・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 鶏卵の学校給食ということが広範に実施不可能かどうか、あるいはそれが入れられるどうかということは、鶏卵の規格取引そのものとは別である、あまり関係ないのではないかというふうに考えるものでございまして、庭先養鶏による、規格取引外の従来の慣行等による取引が残る部分も、私は実際には相当多いと思われるのでございまして、これを学校給食の問題と関連づけて考えたこともございませんし、また、それはそれほど関連すべきものとも思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/55
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056・湯山勇
○湯山委員 大臣がお見えになりましたので、一応私の質問はここで留保いたします。なおお尋ねしたい点は、技術的な問題によって養鶏のコストを相当引き下げられるのじゃないかという問題が一つあると思います。それからえさの問題、これはまだ全然触れておりませんが、なかなかお見えになりにくい大臣がわざわざお見えになられたのですから、一応これであとの質問は次会に回させていただいて、留保いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/56
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057・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を続行いたします。卜部政巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/57
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058・卜部政巳
○卜部委員 前会に引き続いて質問を続行いたしますが、かねて問題になっておりました特別会計等の問題については、きょうは大臣がおいでになり、多忙な時間ということでもございますので、そういう問題についてはゆっくりとひとつこね回していきたいということで、きょうはひとつ簡単に大臣に御質問をいたしたいと思います。
そこで、まず、前会も問題をとらえて申し上げましたけれども、ぜひ大臣に御確認を願いたい点もありますので、あえて重複してお尋ねをいたしたいと思いますけれども、答申の具体化は、三十七年の調査の結果に基づいて農林省は構想を発表しておりますが、この答申の構想と、それを重視をして行政をやっていこうとする姿勢を大臣は確認をするかどうか、この点をまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/58
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059・赤城宗徳
○赤城国務大臣 三十六年の開拓営農振興審議会の答申に沿うて現在進めておるわけでございまして、これを尊重いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/59
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060・卜部政巳
○卜部委員 大臣も御承知のように、答申は、不振の原因を除去して、新しい振興対策をやらないと、いわゆる死に金になる、このように指摘をいたしておるわけでありますが、いま大臣の御確認になった点とこの点との関連、さらにこの点に対して大臣はどのようにお思いになるかをまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/60
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061・赤城宗徳
○赤城国務大臣 振興対策でございますが、それにつきましては、目標を立てておるわけでございます。その目標に従って振興対策を進めております。こういうことを申し上げる次第でございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/61
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062・卜部政巳
○卜部委員 大臣の答弁としてはそういう答弁になるだろうということを予想はしておりましたけれども、しかし、具体的にひとつお伺いをしていきたいと思うのであります。それは局長もおられますが、大臣もこの不振の原因というものを御承知かと思いますが、まず建設工事、これは公共事業でありますが、これのおくれ、これがあろうと思うのです。二つ目には、やはり開拓の不適地へ入植させたというこの問題もあろうと思います。三番目には、やはり経済性に立脚したところの営農形態が確立をしなかった、これもあるでありましょう。さらに畑作のいわゆる災害などの痛手で、こういうものが早急に回復が困難である。これは水田などは補償されておるけれども、そういう点が補償されていない。さらに旧債の重圧というもの、これが振興阻害の大きな要素となっておることは、私が申し上げるまでもなく、答申が指摘しておるところでありますけれども、しかしながら、この不振原因というものを考えた場合に、やはり開拓者の責任として押しつけられないもの押しつけたり、さらにすべての旧債がいわゆる営農にしわ寄せをされておるという点はやはり問題がある、こういうふうに私は思うわけであります。当然これは政府が責任を負うべきである、こういうふうに考えておりますし、同時に、前会も農地局長も確認をいたしましたように、開拓者はよい点、悪い点があるけれども、そのよい点を伸ばすということを確認をされましたけれども、開拓者の旧債というものは、通常によるところの旧債というものとは本質的に異なりまして、こういうような状態があるから、その旧債というものが出てきたのだ、これを解決せねばならない。こういう問題がやはり解決されなければならないと思います。大臣は、答申に沿ってそういうものを解決する、またしつつある、このように申されましたけれども、そういうものが依然として残っておるというこの現状をとらえて、大臣はどういうふうにこれを解決しようとするのか、さらに、その点については、いまどのような施策を行ないつつあるかを明らかにしていただきたい。同時にまた、将来の展望についてもお伺をいたしたい、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/62
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063・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のとおり、いまお話のあるような種々の原因があります。でありますので、開拓が非常に不振なところ、開拓農家として非常に困っておる者、また開拓が非常によくいっている者と、こういうふうに格差といいますか、出てきているのが現状だと思います。でございますので、不適地への入植もありましょうし、営農政策が確立されなかった点もありまして、開拓をやめて出ていこうという者につきましては、離農の対策を講じて、そのスムーズな離農ということを援助といいますか、協力しておる次第でございます。また、開拓地へ残ってよくやっている者、まだ手を加えてやればなお一そうよくなる者、こういう人につきましては、いま御指摘になりましたように、開拓地に入植して困っておった問題の解決を政府としてはかっていかなければならない、こう考えています。たとえば建設工事の立ちおくれということが一つの原因というふうに御指摘になりました。これは開拓ばかりでなく、全般的な問題といたしましても、公共投資が立ちおくれて開発が非常に困難だという全国の問題もあります。ありますが、開拓地等におきましてそういう点がありますると、そこに住みつけないといいますか、農業として定着できない、こういう困難がございますので、建設工事等の立ちおくれはすみやかに直していかなくちゃならぬ、こういうことで、内地は四十一年、北海道は四十二年に完了をするように予算措置をとっておる。こういうふうな対策をとっています。それからまた、入植者で負債に非常に困っております。これにつきましては、再三負債の整理ができるような対策を講じたのでございますが、なおまだ不十分でございます。こういう場合に対処いたしまして、あるいは借りかえ、あるいは延期する、こういうような方法をとりまして、負債の負担を軽減する、こういうこともとっておるような次第でございます。あるいはまた、御指摘の畑作の災害等が三十九年度等にもありました。畑作振興につきましては、特に北海道等については力を入れておるのでございますけれども、開拓地に適する作物あるいは寒冷に耐え得るような品種の改良等もなお加えまして、あるいはまた作物ばかりでなく、酪農の方向へ持っていけるような素地をつくっていくというようなことも考えて、営農政策を確立していくということに一そうの指導をしなければならぬ、こう思っております。やっている点もありますが、まだ足らぬ点も御指摘のようにあると思います。その点につきましては十分力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/63
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064・卜部政巳
○卜部委員 大臣の思いやりのあることばを聞いておるわけでありますが、しかし、大臣、率直に言って、それはやはりことばだけの問題ではいけないと私は思うのですよ。それがやはり具体化されていくものでなければならないと思う。これは前回にも指摘をいたしましたけれども、借金の中に、三十五年のいわゆる条件緩和による——これは簡単に条件緩和と申し上げますが、条件緩和法が出ました。これは又貸しを直接貸しにするというようなことから、一応その条件を緩和するための措置を行なったように見えるのですよ。ところが、実際問題としては、そういうものの中に何が残されたかというと、離農していった人のあとに残った開拓農協に対する債務も、全部分割をしておる。そしてそういうものも開拓者にしわ寄せさせておるのです。これもいわゆる旧債になっておるのですね。緩和をしたと言いながら、実際はまだ緩和されていない。こういうものも一つの旧債となってあらわれておるのです。そういうことや、先ほど大臣も指摘をされたように、まる腰でもって北海道の荒野に投げ込んだ、あるいは雪深い中国山脈のふところに投げ込んだというかっこうになっております。今日実際何もないのですから、金を借りる。その金を借りるときに、末端までいけば、それはいわゆる融資残の問題でもって自分で金を出さなければいかぬかっこうになります。国が当然やらなければならないものを、やはり開拓者が自分でやっておるのですね。そういうものが積もり積もって、こういうふうな古い負債となってあらわれてきているのですから、この点は何としても除去しなければならないと私は思う。私は率直に言って、これは来週でも論議をしたいところでありますが、中金だとか、そういうところもたな上げにしようじゃないかという声さえ出てくるのです。開拓に携わり、さらに食糧増産ということでもって投げ込んでいった農林省が、そのくらいのことを解決してやろうというような誠意がなぜないのでしょうか、その点を私は指摘をしておるのです。ただ単なる国会答弁、単なる一つのことばだけが愛情に満ちておるというのではなくて、具体的にそういう措置はどういうふうに解決するのかということを、ひとつ大臣のほうからも、さらに将来の抱負についても、やはりここで明らかにしていただくならば、開拓者もたいへん喜ぶでありましょうし、それに結びつく農民も喜ぶでありましょうが、その点については、大臣のほうからもう一度、その決意なり、将来に向かっての確認なりを行なっていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/64
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065・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かに口だけでなく、実際にそれが行なわれなければ、開拓者としても生きていく道がなくなるわけでございます。そういう意味におきまして、私も心配いたしておるのでございますが、たとえば例に引かれました三十五年の条件緩和の法律、これも実際には、いまお話しのようなたてまえではなくて、残った開拓者に借金をしょわせていく、こういうことでは私どもの趣旨と反するのでございます。また、そういうことをしなくちゃならぬような事態ということも、これはあるのだろうと思います。そういう事態をなくするようにするのが政治であると考えます。そういう意味におきまして、この借金を軽減していく、そして前へ進むということが必要でございますので、旧債等についての対策につきましては、書類で御配付申し上げておるかもしれませんが、ことしの三月十六日にも、「営農の振興を期し難い開拓農家に対する負債対策について」というような案をつくって、通牒を出しております。でございますので、こういうのを実際に行なっていくということが必要であろうと思います。また、それによって足らぬ分がございましたら、さらに検討を加えて、負債の軽減に役立つように進めていきたいと私は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/65
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066・卜部政巳
○卜部委員 大臣のことばの中に、それらしく措置をされたということと、前向きの姿勢が示されておるわけでありますが、まず根本的に考えなければならないことは、第一次振興から第二次振興になる過程の中の開拓三法の改正等も、常にその基本となるものは、貸してやるというたてまえであるわけですね。実際問題として、貸してやるというたてまえの中で問題が起きてきておるわけで、その状態の中で問題が解決されるような錯覚を起こしがちなんです。こういう点について、私は、だからすぐ全部をたな上げにせいとかなんとか言うことは、かなりこれは問題もあろうかと思いますが、まずたな上げが第一条件であります。第二条件といたしましては、借りやすくさせてやらなければならないと私は思うのです。その借りやすくさせるということは、一体どういうことかということになりますと、御承知のように、融資の問題が出てまいりました。これは民間のそれとは違いまして、民間は安全なところに貸すということになります。しかし、国が貸すところの金というものは、あぶないところに貸す、そして待てないものを待ってやるという措置のものでなければならないし、またそういうたてまえでもあるのです。ところが、現実に調査をしてごらんなさいませ。実際問題として、一番借りやすいところの国の金というものが、借りにくい、待ってもらいにくいという問題が出てきておるわけであります。私は、そういう問題については、ほんとうにもう五万円あればこの事業がスムーズにいく、こういうような状態があるということが出てくれば、それをすみやかに援助してやるというような、幅広い、あたたかい愛情があってしかるべきじゃないか。いや規定はこうだ、法律はこうなっておる、だから貸さぬのだというようなことでは、私はいけないと思うのです。そういう点についても、これから十分な配慮をお願いをいたしたい、こういうふうに考えます。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/66
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067・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御説のとおり、金融でございまするので、金融機関といたしましては、回収のできるようなところを目当てとして貸すということは普通だと思います。しかし、そういうことであってはいけない。農業、特に開拓者等につきましては、それでは開拓者の生きる道はないのでございます。逆で、困っておるところへ相当貸せるようにしなくちゃならぬというのが筋だと思います。そういう意味で、農業につきましても、農林漁業公庫資金だとかあるいは系統資金というものは、一般の金融機関と別にそういう面で存在しておると思います。でございますので、こういう関係機関の協力を得まして、いまのような開拓農家の実情に応じて、償還条件の緩和、取り立ての緩和等の措置を講ずることにさしたい。またしておる面もあるのでございますが、なお一そうそういう面に力を入れていきたい、こう考えでいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/67
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068・卜部政巳
○卜部委員 では大臣、少し具体的に申し上げてみたいと思うのであります。大臣、たまたま最初のおことばの中で、離農の問題にも云々ということをおっしゃられました。実際、現在は四十五万円を離農する人に渡しておるということになってはいるのです。しかし、これは農地局長もおられますから、一応その数字を出してもらって、大臣にその実態を察していただきたい。農地局長、現在までに離農した人が四十五万円——三十万円の時代でもいいのですが、もらって、それでその離農した人が、一体ほんとうに持って出た金は幾らなのか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/68
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069・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 お答えいたします。
昭和三十五年から三十八年までの離農者につきまして調査しました結果の平均でございますが、資産が二十五万円あって、負債が三十六万七千円ありまして、それに対して当初十、五万円三十万、四十五万とだんだんふやしていますが、この平均の実績におきます離農者が、現実に携行いたしました実績は二十四万一千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/69
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070・卜部政巳
○卜部委員 農地局長は一体何の資料でおっしゃっておるのですか。私の調べた資料とはだいぶん食い違いがありますが、もう一度はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/70
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071・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 私のほうでは、過剰入植対策、現在では離農対策事業として事業を行なっておりますが、その結果につきまして、実施したところから報告を聴取しております。その結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/71
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072・卜部政巳
○卜部委員 これは大臣もおられますから、どこの資料でやったかという論議は次会に譲ることといたしまして、私が調べた確実な資料であります。農林大臣、これを聞いてください。三十八年度までにありました離農者が一千二百九十七戸、この中の二百十三戸は五万円未満であります。さらに百三十一戸は五万から十万円程度ということであります。あとの残りが何であるかというと、まる腰です。全然もらっていっていない人が多いのですよ。大臣、離農していく人もこういう状態であります。しかし、離農対策については、またのときに私はお話をしたいのですけれども、そういう人が離農していったあとに残りますと、あと何が残るかといったら、残った人の借金が残るのです。そうでしょう。自分が保証人になっている。開拓農協の出資者になっておる。してみれば、率直に言って、夜逃げする人もおるのですよ。夜逃げする人が、悲しいできごとですが、あるのです。逃げていく。そうすると、そのあと残った人はそれだけの負担をかぶるのです。それをまた国が取るのですよ。こんな過酷な話がありますか。これは残酷物語ですよ。しかもそのあとに残されている者にもう一つ問題があるのは、離農をしていこうとすると、やはりそれに対するところの土地を売らないか、よし現金を握ったら私がその土地を買ってという、買おうとしても、その資金を貸してくれない。私は、離農対策はまたあとに申し上げますが、大臣、そういう金も貸さないのですよ。実際貸されないような現実になっておるのです。そういうものも実際これからどういうふうにするか、やはり私は、貸してやる方向に持っていくべきだ、こういうふうに思いますが、大臣いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/72
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073・赤城宗徳
○赤城国務大臣 出ていく人の土地を買うための金を貸さないというのは、私はおかしいと思います。貸すべきだと思いますが、事実貸してないとすれば、それは調べて、貸すようにしなければ、自作農創設資金の趣旨にも沿わないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/73
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074・卜部政巳
○卜部委員 農林大臣からそのようなおことばがありましたので、たいへん開拓者も喜んでおると思います。これからそういう土地を買える、そしてまた、そういう牛を買える、資産を買える、こういうことを確認いたしまして、この問題を一応終わりたいというふうに考えます。
ところで農林大臣、この点にも若干矛盾があるのです。と申し上げますのは、この「開拓営農振興計画の樹て方」というパンフレットが出ておりますけれども、この第二集の中にこういうことがあるわけであります。四ページに、「目標時の農家所得額(以下「目標所得」という。)が、おおむね目標時における世帯員数に応じた標準所得額であること。」こういうのと、四番目には「現在の延滞額が目標時の前年未までに所得の増加額をもって確実に償還しうると認められること。」こういうものがあるのです。なるほど読んでおれば、スムーズにそういうふうになるほどと考えられるのですけれども、現実は違うのです。どういうことかというと、四番目以降では、そういうものに対してはそれを償還し得ると認められなければだめだ、一番目には、そういう目標時のいわゆる農家所得額というものをふやせばいけないのだ、そうすると、結果的に融資がたくさん出てくるものだから、それはいけない、それは規制をしなさいというのです。そういうような問題が出てきておるわけでありますが、そういう点から、私は、その点もまたあとから一つの問題を提起したいと思いますが、その点はその点として、一応矛盾として、問題としておいておきまして、私は現在の中庸農家を想定いたしまして、区分なり所得水準なりというものをどういう方法でやっておるのか、ひとつ大臣でなくて、農地局長にお伺いをして、それでまた大臣に申し上げたいと思います。どういう一つの基準を設けておるのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/74
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075・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 開拓者の振興をはかるものとして、その目標をどういうふうにするかということが、審議会でずいぶん御議論になりました。答申にもございますように、あまりに高きを望んでもいかぬし、あまり低くてもいかぬ。そこで、できれば近傍の既農家の専業の中庸の辺にともかく持っていくということを振興対策の目標にしたらどうだという趣旨の御答申をいただきましたので、私どもといたしましては、振興対策の目標を立てます際に、考え方としてはそういう考え方で、それから実際の数字は、農林省の農家経済調査の専業農家の生計費というものを基準にいたしまして、開拓者等は戸数も形等も違いますから、その生計費を算定いたしまして、それに所要の公租公課を加味いたしまして、目標所得を定めて、その目標に達するための資本装備をどうするか、そのためには、必要な金を昨日来申しております振興対策資金で貸そう、こういう処理をいたしたわけであります。
そして、もう一つつけ加えさせていただきますと、それがどうしても困難なものは、三類農家として別途の対策を講じよう、こういうように考えました関係上、その数字は、あまり高からず、低からずというものの考え方をとっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/75
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076・卜部政巳
○卜部委員 ではついでに、生活水準は毎年上昇しておるのですが、この取り扱い方もひとつ含めて、述べてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/76
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077・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 世帯員の家計費を中心にして考えるわけでございますが、三十八年度を定めますときには、三十六年度のデータしかございませんので、三十六年度のデータを使いまして、先ほど申した農家経済調査から導き出されますところの一人当たり世帯員の家計費というものを使いました。三十九年におきましては、三十七年の農家経済調査を基準にいたしまして、それを使います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/77
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078・卜部政巳
○卜部委員 大臣もおられますので、もう一つ大臣に知っていただきたいこともございますので、農地局長のほうからひとつ答えてください。
三十八年に計画した開拓農家と四十年に計画する開拓農家では、周囲の情勢というものが一変をしておると思うのです。その面では、この水準の差というものは、一体この情勢の変化に対してどのように対処しようとしておるのか、この点を付加していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/78
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079・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 たいへんむずかしいところなのでございますが、十三五尺二千数百の地区でございますので、一挙に振興対策をつくるのが困難である。今度だけは遺漏なきを期した振興対策をやりたい、そういうことで、六百、五百というような形でやっておりますので、三十八年の開拓地区は、先ほど申しました目標でやりました。四十年は、これから三十八年度の農家経済調査を参酌いたしまして、目標を検討いたしたいと思っております。その意味におきましては、目標の絶対値というものには差が出てまいると思います。しかし、先に手をつけて、先に資本のお手伝いをしたところはほかのところよりもそれだけ早くスタートラインについて、伸びていっていただくわけですし、その間の物価の騰貴、生産物の価格の騰貴等もございますので、これを毎年やり直していては振興対策は進みませんので、そういうような考え方で、三十八年の目標の線に沿ってともかく邁進していただく、三十九年もその線で進んでいただく、かように処理をいたすことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/79
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080・卜部政巳
○卜部委員 大臣、お聞きのようなとおりなんです。ところが、だいぶ農地局長の言っておられることに偽りがある。なぜかならば、三十八年に三十六万となりました。それは三十九年も四十年も必ず三十六万でやろうとしておるのですよ。そんなばかなことはない。大体、三十八年の三十六万円自体についても、実際問題として問題がある。こういう問題については、その幅を上げていかなければならないのです。上げていけば、またこれを融資しなければない。そういう問題が起きるから、押えようとするのです。大臣、それであってはならないと思うのです。今日三十六万でどういう生活をせよとおしゃっるのですか。この間も、価格安定の問題で、東海林委員のほうからいろいろと追及されておられましたけれども、三十六万で一体どういうことができるか。そういうものが、三十八年の現在においてもそうである。さらに物価が上昇する。四十年もする。こういうことでは私はお話にならないと思うのです。大臣、そういうような問題についての所得目標というものをやはり上げなければいかぬということが一点。
二点目はどういうことであるかというと、実際問題として、振興対策のその計画に沿っていって、自分たちなり公共事業なり、そういうものの借金をして、そういうものは当然その中に入れて計画に含めて出しますと、計画は許可されないのです。許可されないから、私は大臣にことばをすっぱく申し上げたいのですけれども、ほんとうに私は、農地局長にも申し上げたいのだが、いまのあなたの第二振興計画の中で、私とあなたと約束して、山陰地方のいわゆる中国山脈のふところにあるところの、そのすそにあるところのこの農家を、第二振興計画そのもののとおりに、融資条件もそのとおりにやってみましょう。それでやれるかどうか。私はそんなことを言っちゃ悪いのですが、やれないと思うのです。そのとおりやったらやれない。やれないように仕向ける振興対策というものがありましょうか。少なくとも私は、そこには開拓者のビジョンがなければならないと思うのです。やはり目標としてそのビジョンがなくちゃならない。それを常にそういうもので押えつける、こういうものであってはならないと思うのですが、大臣、その点について将来のビジョンを抱かすために、さらに、私たちは反対でありますけれども、いわゆる農地管理事業団云々という問題から構想を発展して、拡大方向へいくというようなことを言っておられますけれども、こういうようなことを頭の中に入れた大臣の答えとして、一体将来のビジョンはどうあるべきか、この点をひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/80
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081・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いま問題は、不振農家をレベルアップしていく、こういうことにあろうと思います。一般の開拓農家のビジョンにつきましては、農政全体のビジョンのように自立農家としてやっていける方向に力づけをしていかなければならない、こう思っておりますが、ただいまのお話は、不振農家を一つのレベルまで持っていこう、こういうことだと思います。そういうことでありますれば、いままでやっていたこととそうかけ離れて、三十八年度にやったこと、三十九年度にやったこととそうかけ離れてやるというわけにはまいらないと思います。しかし、所得とか生活費は上がっておるのであります。でございますので、たとえば四十年度の計画を立てる場合には、最近の三十八年度の農家経済調査、こういうようなものを基礎として、所得とか生計費も増加しておるのでございますから、そういう内容を考慮して、所得目標を検討するということが至当だと思います。やり方につきましては、そう変わりはないといたしましても、内容につきましては、そういうような内容をもって所得目標をつくっていかなくちゃならない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/81
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082・卜部政巳
○卜部委員 わが党の理事のほうから、大臣はどこかまた予定があるということで、この程度で打ち切れということでございますので、打ち切りをいたしたいと思いますが、まだ問題はほんとうに氷山の一角であります。きょうは時間がございませんから……。しかしながら、大臣に申し上げますが、単に一、二点申し上げたのみでさえ、このような、言うならばこの世の中に想像もできないほどの過酷な残酷物語が展開されておる。こういう点を十分御勘案願いたいと思います。
来週は、私は、こういう農林予算をぐんと締めつけておるところの大蔵大臣を呼んで、大蔵大臣とこの問題をやりたいと思います。しかしながら、大臣に特にお願いをいたしたいのでありますが、忙しいというあれはよくわかりますけれども、あなたはそういうしいたげられた農民、開拓者の大臣でありますから、なるべく所管の委員会に出席をして、それで、大蔵省に対しましてもき然たる態度をもって、農民を、開拓者をどうしなければならないという身を張った戦いとでもいいますか、行動を示していただきたい。このことを強く要請いたしまして、私の発言を来週に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/82
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083・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/83
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084・芳賀貢
○芳賀委員 開拓者融資保証法について、事務的な問題をまず先にお尋ねいたします。
第一の点は、従来は、地方協会の会員資格については、開拓農協、いわゆる協同組合の構成員の主体をなすものが開拓者である、そういう開拓農協が債務保証を行なう資格者ということになっておるわけでありますが、今度は改正によって、農業協同組合の中にごく一部でも開拓者が構成員となっている場合には、従来の開拓農協と同じように、その農協を資格者とするということになっておるわけですけれども、この点について非常に疑問の点があるわけですから、少し明快にしてもらいたいと思います。
それにあわせて、現行法においても、北海道の地域においては、北海道の一般農協が一部開拓者が構成員になっておる場合には、北海道だけに限って特例としてこれは認められておったわけです。ですから、今回のように一部の組合員が構成員となっておる普通農協を融資保証法の対象とする場合は、北海道において行なわれたその特例措置というものは、どういう成果をあげたかということをまず説明していただいて、それを参考にして質疑を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/84
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085・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 今回御審議をお願いいたしております保証法の改正の第二条で、在来「開拓者を主たる構成員とする農業協同組合」すなわち、開拓農協が地方協会の会員資格を持っておりましたのを、「全部又は一部とする」ということにいたしまして、一部を含む総合農協が資格を持ち得るようにいたしましたのは、個人保証との関係もございますほかに、開拓農協がいろいろの意味で事務その他が円滑を欠く、そういうときには、総合農協が開拓農協の仕事をできるように道を開きたい、こういう考え方でございます。
それから、北海道は、御指摘のとおり、在来におきましても、「開拓者を構成員の全部又は一部とする農業協同組合」というふうにあったわけでございますけれども、その成果はどうであったかという御質問でございます。成果の意味でございますが、北海道では、開拓農協が中心でありましても、総合農協で開拓者を一部かかえておる組合でございますれば、その総合農協によって開拓者は融資保証の道が開かれておったという事実が過去においてあったし、その形のものを内地でも使おうということでございまして、それ以上の意味におきましてどういう成果があったかということにつきましては、ちょっと御答弁をいたしかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/85
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086・芳賀貢
○芳賀委員 成果というのは、実績がどうだったかということですから、北海道においてはそういう特例の扱いをしたわけですからして、一般農協が一部開拓者を構成員にした場合、その農業協同組合が地方協会の会員資格を持って、具体的にどういうふうに業務を行なって、会員である開拓者に対して本法の恩恵を確保したかということがわからぬということはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/86
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087・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 北海道におきまして、総合農協が本制度によりまして保証の金を開拓者に流した実績につきましては、調べまして後刻御報告させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/87
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088・芳賀貢
○芳賀委員 北海道でやって相当成果があがった、だから今回の場合には、北海道を含めて全国的に一般農協に対してもそういうような資格を持たして、そしてそれぞれの農協の会員である開拓者の諸君に対して、できるだけ債務保証が完全に行なわれて、営農の資金等についても再生産に支障のないように確保させるというのが本法改正の趣旨であると思うのです。だから、こういうふうに改正したほうがいいという基礎をなすものは、北海道において特例として認めた、その一般農協において行なわれた成果というものがこういうものであるということが立証されぬと、よろしゅうございますというわけにはいかぬじゃないですか。その大事な点をあとで調べるなんて、なおおかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/88
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089・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 北海道におきましてそういうふうにやっておりまして、成果があがったから北海道式に内地を改正しようという考え方ではないのでございまして、開拓者を主たる構成員とする組合でなければ地方保証協会の会員になれないというところに線を引いておきますれば、開拓農協が問題がある場合におきましては、その所属員は融資保証を利用したいと思ってもできないわけであります。たまたま総合農業でそれがやれる場合には、総合農協が会員になって保証のルートに乗れば、それはその道を開くことだけでも、理論的にもベターであるという判断からでございまして、北海道の実績がいいから内地でやろうという判断では実は私どもなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/89
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090・芳賀貢
○芳賀委員 それが期待されてもされなくても、一応そうやるということですね。そこで結局、現在においても、全国的に、一般農協に加入しておる開拓者の諸君は、みずから構成員になっておる開拓農協にまず加入しておるわけですね。大体全国で四千を上回る開拓農協の数があるわけですからして、この四千の開拓農協は本法の適用を全部受けておるわけです。会員の資格を持っておる。会員としての資格を出資等を行なって獲得しておらない場合は、会員にはなれぬわけですが、とにかくこの開拓農協というものは、その意思があれば、地方協会の会員になって、自分の組合の組合員である全部の開拓者の諸君に対して債務保証を行なって、必要資金の確保ができるということになっておるわけです。開拓者の諸君は、開拓農協に加入しており、さらにその地域の一般農協に加入して、そして開拓農協だけでは充足することのできない経済行為等に対しては、それに参加して、自分が農協の会員としての十分の要求を満たすということをやっておるわけです。だから一方においては、開拓農協に加入しておるわけですから、この開拓農協は債務保証はやれるわけですね。さらに今度は一般農協にも入っておるということになれば、局長の説明によれば、これは両方の農協から債務保証を受けて資金の確保ができるということになっております。しかし、同一の目的の資金を開拓農協からも一般農協からも確保するということは、これは無理だと思うのです。これはそのいずれかにおいて確保されればいいわけであって、ですから、そういう点から言うと、具体的な運営は本人の選択に今度はまかせるわけですか。自分の開拓農協で行なってもらいたいというものはそこでやる、また一般農協の会員であるから、一般農協のほうで扱ってもらいたい場合にはそうするということですか。選択を本人の意思にまかせるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/90
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091・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 結論的には本人の意思にまかせることに相なるわけでございますが、この制度をこういうふうに考えましたゆえんのものといたしましては、開拓農協に所属しておるのでございますが、開拓農協は、御承知のとおり、非常に零細で、適正な事務執行をなかなかやれないという組合が多い。したがいまして、別途開拓農協の事務委託とか合同事務所の設置について、いろいろの予算措置をしておるわけでございますが、たまたま所属する開拓農協がいろいろの問題があって、十分に保証資金の恩典に浴しない開拓者がございまして、それが総合農協にも所属している場合、総合農協も地方保証協会の資格を持ってその人間に保証資金を流してやろう、また流してくださいという話ができましたときに、そういうふうに流れる道を法律上開くということはけっこうなことではないかという考え方でございます。したがって、考え方といたしましては、開拓農協がりっぱにやっているところでは、開拓農協の在来のルールで本人の選択であっても動いてまいる。問題は、開拓農協に問題があって、総合農協の会員になっていただいて、保証資金を利用しようとする方に道を開くという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/91
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092・芳賀貢
○芳賀委員 道を開くということに何も反対とかけしからぬというわけではないのですよ。そういう選択の幅を広げるということが、結果的に開拓農協というものを強化することになるか、だんだん必要性を会員である開拓者が感じなくなって、やがては開協というものは機能を失って、必然的に一般農協だけに依存させるとか、するということにこれはなりかねないと思うのです。ですから、方向をそういうふうに誘導するということは、これは危険だと思うのですよ。ですから、見通しとして、現在の開拓農協というものは、これは経済行為を十分にやるだけの能力を持っておらぬ、将来は発展的にこれはやはり地域の一般農協との間において融合できるような道を講じなければならぬことは、これはもうだれが考えてもそのとおりなんです。そういう配慮というものを払わないで、将来の展望を明らかにしないで、幅を持たせたからなおいいじゃないかということは、これはやはり開拓農協の今後のあり方等についても、非常に大事な問題が取り残されておるではないかということを私は心配して質問をしておるわけです。
もう一つは、開拓農協といえども、これは農協法に基づいて形成されておるのですね。したがって、農協というものは、その会員に対してはすべてこれは平等の原則の上に立っておるわけですね。出資口数が十口の者であっても百口の者であっても、出資の大小によって発言権とか行使する権利に差はつけてないわけですね。そこに格式会社と違う点があるわけです。あるいは農協が総会等において一年を限って専属利用契約を締結する議決をしても、それを行なう場合においても、差別的な扱いをしてはならぬという規定さえも農協法には明確になっておるわけです。そうしますと、一般農協の組合員としては、開拓者であってもそうでなくても、これは平等に扱うことはもちろんですね。ところが、開拓者の場合には、開拓融資保証法というものが力を発揮して、一般農協に対しても、たとえその組合員が千人のうち五人であっても十人であっても、その組合員に対しては、融資保証法によって資金を確保してやらなければならぬということになるわけです。それ以外の九十何%の組合員は、君たちは開拓者でないからこれはだめなんだというような扱いをするということは、これはやはり農協の平等の原則からいっても——これはやってやるとかめんどうを見ることはいいですが、やはり純理的に考えれば、問題があると思うのです。
それからもう一つは、農協の場合は、農業信用基金協会法というものがあって、これに基づいて農協系統の債務保証というものは行なうことができるようになっているわけですね。この基金法の内容は、開拓融資の場合よりも相当きびしい制限がありますが、農業近代化資金を中心とした債務保証ということになっておるが、その他のものも行なえるということになっているわけです。それ以外のものを行なってはならぬということにはなっていないですからね。だから運用によっては、一般農協の場合には、その組合員に対して、農業近代化資金を中心として、やはり再生産の資金確保等については、農業信用基金協会法の規定に基づいた債務保証はやれるということになるわけです。開拓者であって二重加入しておる一般農協の会員に対しても、農協は現に行なっておるわけです。ですから、そういうことを考えた場合に、ただ単に、開拓農協は農林省の中の農地局の所管である、一般農協は農政局あるいは経済局に所属するというようなことで、農林省の内部において、同じ協同組合法に基づいて形成されておる農協に対する扱いというものが、非常に変わっておるわけですね。そういうような点については、やはり今回一般農協の組合員の中に開拓者が五人、十人おっても、これはやるというふうに全体に範囲を拡大するというこの機会に、それらの関係というものを、農地局長はもちろんでありますが、実際に協同組合を扱っておる農政局長のほうからも見解を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/92
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093・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 お答えいたします。
第一点の、ビジョンなしにこういうことをやるのは問題ではないかということでございますが、総合農協と開拓農協のあり方の問題につきましては、考え方といたしましては、振興対策を実施中は、開拓農協というものを中心に振興対策を行なう必要があるという立場におきまして、急激にその問題を処理するという考えは私ども目下のところとっておらないのでございます。今回の問題は、したがって一定のビジョンなり意図のもとにこの道を開いたのではなくて、まことに事務的な、先ほど御説明した素朴な立場でやったものでございます。
それから、農協法及び信用基金との関連の問題につきましては、私のほうから先に私どもの考えを申し述べさせていただきますと、これは前にも申しましたとおり、あくまで一つの道を開くという考え方でございまして、ぜひそういう方向に行政的に持っていこうという立場の意図を持っておるものでございませんので、総合農協と現に加入しております組合員の方々並びに非開拓者である方々との全体の話し合いのうちに、納得づくでこの仕事をやってやろうじゃないかという形で、できればそれをやっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。そのほかに対します保証との関係では、本制度の保証のほうがいろいろと有利な点もございますので、開拓者に対してはぜひこの制度でやらしていただきたいという立場で、農政局にもいろいろお願いをして、今回の改正案を提出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/93
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094・昌谷孝
○昌谷政府委員 今回の制度改正によりまして、開拓者を組合員に持ついわゆる総合農協が、この融資保証の制度の対象として登場し得るという道が開かれたわけでありまして、本来、開拓者融資保証制度は、通常の農民、通常の非開拓組合員であれば、特別の政策的な援護なしに、農協の系統融資、あるいは系統の自主的な金融ということでまかなっております一般の主として運転資金、これを、開拓者なるがゆえに特に信用度が低く、通常の組合金融、一般の農家が受けておられるような制度の中へ、いきなり開拓者も農民だということで入れたのでは、十分の手当ができないという意味合いで、開拓者に対する特別のてこが入れられたという趣旨のことは、そのとおりでございます。したがいまして、総合農協の中に開拓者が入っておられます場合、その農家が、一般の農家と同じように、総合農協の組合員として、特別の政策的援護なしにこれらの資金が円滑に得られますれば、これは問題がないわけでありますが、やはり現状では、まだ開拓者なるがゆえの特別の行政的な支援が必要であろうということであります。したがいまして、従前総合農協の組合員である開拓者について、この種の開拓者特有の制度が制度的に開かれてなかったことのほうに、むしろ欠陥があったとも言えるわけです。事実問題としては、それらの開拓者は、おそらく開拓農協を形成して、開拓農協という窓口を通じて、これらの恩典を受けておられたとは思いますけれども、制度のたてまえとしては、開拓農協に必ず入っておったという保証はない。やはりそれらの農協が開拓専門の農協でなくても、開拓者であれば、その恩典が一般組合員と区別して受けられるというような仕組みにされることは、開拓者に対する制度の公平ということから、私どもとしても十分納得もいきますし、けっこうなことだと思います。なお、今度は総合農協の立場から、ほとんど大部分の組合員が開拓者でない総合農協の組合員の利益を守る立場から見て、いかがであろうかという御懸念があろうと思います。これにつきましては、この制度が開かれましても、当然にその総合農協が入らなければならぬという義務づけのある制度でもございません。当然それらの開拓者をかかえた総合農協が、その組合のそれぞれの正規の機関で組合員の意思を十分確かめた上で、自分たちの組合員である少数の開拓者のために、そういった農協が今度新しく開かれた道を利用することが、直接的には開拓組合員のためではありますけれども、そのことが、ひいては仲間である一般の組合員のためにも益するところがあると判断すれば、この制度を活用するということにもなりましょうし、あるいはそうまでしなくても、たったそれだけの数なら、一般組合員と同じように、特別の保証がなくても、その程度の金なら、一般農家と同じように無差別にめんどうが見られるから、わざわざ入る必要もないという判断に立たれる総合農協も、おそらく相当あろうと思います。したがいまして、その辺のところは、農業協同組合の自主的な判断によって、この制度を利用することが組合員のためにいいと判断されるか、その必要がないと判断されるかは、今後の問題であります。私どもとしては、それは組合員の自主的な判断に従って行なうべきものだ。しかし、いずれにしましても、冒頭申しましたように、開拓者に開かれている道でありますから、それが開拓農協に入っていなければ利用できないという制度の仕組みそのものは、今度の改正のようなことで改められることのほうが、むしろ公平ではなかろうかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/94
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095・芳賀貢
○芳賀委員 いま農政局長のお話がありましたが、たとえば法律が改正されて、一般農協も地方協会の会員になり、それから組合員である開拓者も、今度は個人としての会員の資格が生じたわけですから、当然これは個人である開拓者にも債務保証は及ぶわけですね。しかし、農協の場合には、御存じのとおり、協会の会員になるという場合には、法律がこうきまったからなりましたというわけにはいかぬですね。やはり所定の手続で、少なくとも総会の議決がなければ、会員になることも出資をすることもできないわけです。その場合、従来の開拓農協であれば、構成員の過半数がこの適用を受けられる資格を持った人ですからして、総会の議決等は自分たちが利益になるという場合には、これはもう異議なくきまるわけですが、今度は普通農協の場合には、一割とか五%しかそういう仲間はいないという場合は、これはやはり総会にその趣旨を明らかにして、これは一般農協として、仲間の開拓者の諸君を農協の力で十分守ってやらなければならぬというような理解がなければ、一片の法律だけでこうなるというわけにいかぬでしょう。ですから、私が冒頭に聞いたのは、北海道においては、すでに今回の改正のようなことが特例として行なわれておるが、一体できる資格を持った一般農協というものは、進んで会員になり、あるいは出資をして、それらの行為をやっておるかどうかという点は、これは数カ年やっておるわけですから、その実績とか成果というものは、いかようであってもあるわけです。ですから、それを基礎にして今回の改正を行なうのかということを聞いたところが、そういうことは考えておらぬ。ただやるだけだということですから、それでは法律だけ改正してみても、何も趣旨に合わぬような結果が生まれる場合もあるわけですから、そういう点はやはり十分——単に開拓者は農地局の所管だから、農地局の判断とか考え方だけで独走すればいいというものではないですよ。基本は、これは農協法に基づくわけですからして、いま農政局長が言われたような、そういう事前の十分な調査とか配慮というものが行なわれて、これで行けばさらに前進するということにならぬといけないのではないか、そう思わぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/95
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096・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 確かにごもっともな御注意でございます。北海道の実態も調べまして、この法律が通過いたしましたあとの行政にあたりましては、十分配慮してまいりたい。ただ、かりに北海道で、北海道の総合農協の方々の内部の総会、総代会において、開拓者のために非常にうまく御同情を得てやっていただいたといたしましても、あるいは御同情が得られぬでやれなかったとしても、また内地には内地のそれぞれの事情もあろうかと思うわけであります。開拓農協そのものが動いておれば問題ないわけでありますが、開拓農協が動かないために、その下に属する開拓者が保証の道に乗れないというのは、何としても救いたいという気がいたしますので、同情をもってかかえていっていただきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/96
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097・芳賀貢
○芳賀委員 どうもあなたの答弁は、へたではないが、ほんとうに農協法というものを理解して、この組織にみなが結合して、これを有効に高度に活用することによって、農民が開拓者も含めて利益になるというような、徹底した実際の指導とか、そうさせるという気魄がないですね。どうも農地局のやっておるのは、法律をちょっと手直してやるとか、予算をちょっとつけてやるとか、振興計画の内容をちょっと手直ししてやるというだけで、それから先そこに到達させるという熱意とか努力というものが欠けておるのではないです、そう思わぬですか。それに反して、比較しては失礼ですが、農政局関係は、やはり農協の生みの親というわけではないが、農協ができたから、その仕事をやっておるにすぎぬが、その点は、やはり農協を所管しておる部局においては、相当農協というものに熱意を持って、中には、いまの資本主義経済の中において、やはり農協を強くして、独占資本や保守権力と対決してがんばらなければならぬというりっぱな役人もおりますけれども、どうも農地局のほうはおざなりですね。この程度まではやっていくけれども、あとはみんなでやりなさい、うまくいかなければあなた方の努力が足らぬとか、責任ですよとか、そういうことでは、いつまでたっても問題の解決はできないでしょう。これは答弁は要りませんけれども、反省をしてもらいたいと思うのです。
次に、農政局長にお尋ねしますが、農業信用基金協会法は、これは農協が会員になるわけですね。それで、今度の融資保証法の改正は、今度は組合員である個人が会員になって出資できるということになっておるわけですね。しかし、農協法の関係の基金協会法は、農協が会員になるが、それは個人である組合員までこれが及ぶわけですね。特に近代化資金等については、近代化資金を借り入れたら、農協の組合員そのものは、会員でもないし、出資もしておらぬが、その農協が出資して会員になることによって、その近代化資金なら近代化資金を借り入れた組合員に対するその個人の債務保証にまで農協の会員資格は及ぶということになっているわけです。今度は明らかに、融資保証法のほうは、個人である組合員が会員になる。会員になるということは、出資をしなければ会員になれぬですからして、大体これと同じような水準まで、局長の言われたように、もう少し改善、拡張をするということになれば、基金協会法の会員の規定あるいは個人保証の規定、それから取り扱う資金の種類等についても、この際さらに検討して、もう一歩前進させる必要があるのではないかと思うのです。まだこの基金協会法はできてから四年くらいしかたってないのですね。日が浅いですからして、開拓融資保証法だけの歴史や経験はまだないわけですから、これはやはりこの機会に検討を要するのではないかと思いますが、その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/97
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098・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 先に一言申し上げさせていただきたいのでございますが、十八条に書いてございまして、「地方保証協会の会員たる資格を有する者は、」、これは個人は入っておりません。保証を受けられるのは、会員である開拓農業協同組合または開拓農事組合法人である開拓者ということでございまして、会員資格はあくまでも個人には及んでおりませんということを申し添えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/98
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099・昌谷孝
○昌谷政府委員 一般の近代化資金あるいは近代化資金以外の系統農協融資を円滑にするために、御承知のように、信用基金協会ができまして、開拓者については先ほど申しましたように、それ以前から、特に開拓者なるがゆえに受信力の弱い点を補う意味で、保証協会ができた。この種のものについて、さらに制度を充実させて資金の供給を円滑ならしめるという基本的な御趣旨については、私もそのとおりだと存じます。ただ、お考えいただきたいと申しますか、それらの問題を検討いたします場合のわれわれの問題点として、いつも思い悩む点でございますが、農業協同組合が組合員に対して必要な資金の融資をするということは、農業協同組合の本来の任務でございます。そのために、各般の制度的な措置が講じてあるわけであります。したがいまして、こういった損失補償をすることの基本的なよしあし、こういうことをすることが農協の自主活動をそこねるという議論がかなりありまして、この信用基金協会法を出しますまでは、そういった見解が、役所というよりも、むしろ農協の内部の関係者の間にはかなり強くあったわけです。役所は、本来、農協の理想としては、農協がりっぱになって、個々の組合員に必要な資金をわきからよけいなおせっかいをしなくても農協が融通できるようにするというのが理想であり、そういう農協を育てることが役所の任務であって、その肝心のことをしないうちに、打開策として信用保証という形で農協にてこを入れることは、農協の育て方としてはむしろせっかち過ぎてよくないのだという基本的な議論があったことは、御承知のとおりであります。私どもも、そういった点で、一般的な債務保証ということを農協の制度の中に入れることについては、かなりちゅうちょした経過があります。ただ、天災融資の場合とか、家畜導入の場合とか、開拓の場合とか、全部の農協がそこまで成熟するまで待てないので、政策的にせっかちにならざるを得ない事情があるものについて、個別に債務保証の制度がいろいろな形でとられてきたわけであります。近代化資金の制度をつくります際、それらの制度をなるべく個別でなく包括的にやりたいということで、いまの問題については、特に政策的な必要性が強いという意味から、債務保証の制度をやや一般的に信用基金協会の制度で広げていった経過がございます。それまでは各県ごとに信用保証ということを県単事業としておやりになったのであって、それをそのとき初めて国が取り上げたという経過がございますので、会員資格等につきましても、たとえば信用基金協会の場合には、御承知のように、地方公共団体も協会の会員になれるというような、幅の広い信用基金制度があのときに発足したわけであります。したがいまして、この開拓の信用保証制度と、それから一般の農家がいま受けております信用基金制度との沿革的な相違もありますから、いまにわかに仕組みを一木化する、あるいはそろえるというようなこともなかなか困難だと思います。また、基本的に検討するとすれば、信用基金協会の中にこの種の開拓の信用基金制度も包括してはどらかという意見すら一部にはあります。それらの意見もありますので、なかなか簡単に結論の出ることではないと思います。しかし、要は、組合がその本来の理想のとおりに、組合員の必要とする資金を他の組合員に気がねなく貸せるというような経済基盤を持ち、またほんとうの相互扶助の精神が組合員の中にびまんするということが要諦であります。それを援助する意味でこういう制度を持っておるわけでありますから、そういう意味合いで発展をさせていきたい。また、いま問題になっております開拓者の問題につきましても、先ほど申しましたように、総合農協が開拓者の保証協会に入る入らないは、組合の内部議決を必要とする問題であり、開拓者に対する一般組合員の相当の理解を必要とする問題であります。しかしながら、この種の特別の処置なしに、一般組合員並みに開拓者たる少数の組合員に金を融通するならともかく、それもしないでおいて、しかも開拓者として開かれておるこの保証協会に加入する道も選ばないというような農協がもし将来ありますならば、それは私どもも農協のあり方としてははなはだ遺憾であります。いずれにいたしましても、開拓者がこの保証協会の保証を通じて、あるいは一般の農家と同じように、一般の組合員と同じように区別なく所要資金を借りられる、いずれにしても、そういう開拓者に所要資金が円滑に流れるということは、一般の組合指導としても今後一そう強烈にやっていく必要がある。また、そういう道が開かれたことが、そういう指導を強く呼びかける一つのきっかけとして役に立つというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/99
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100・芳賀貢
○芳賀委員 いまここで速急に結論をどうするというようなことは考えておりませんが、将来の問題として十分検討を要するということを言ったわけであります。結局融資保証制度というものは、受信力のない者に対して力をつける、みんなが共同して助力するというところに、制度の本質があるわけでありまして、最近の開拓者の固定負債の現況を見ても、北海道地域においては七十五万円をこえる固定した負債があるわけです。内地府県だけにしても大体三十万近い固定した負債があるわけですから、これはやはり信用ということになれば、受信力はあるといえないわけですね、そういう条件の人は。したがって、この制度が強化されるということについては、開拓者といわず、あるいは一般の農協の組合員である農家といわず、同様な共通性はあるということをよくわきまえておいてもらいたいと思うわけです。
次に、今度の改正によって、やはり農協法の規定にある農事組合法人に、今度わざわざ開拓農事組合法人という名前をつけて、そうしてこの制度につなぐという考えですが、これは農協法で、農事組合法人というものははっきり基礎づけられておるわけですから、何もその上に開拓の二字をつけなければこの開拓融資保証法の会員になれぬというものではないと思うのですよ。どういうわけでいろいろ名前をつけるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/100
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101・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 この間拓農事組合法人という制度をこと新しくつくるという趣旨においてこういう名前を設けたわけでございませんで、この法律の法律技術といたしまして、農事組合法人であって農協法に定める七十二条の八の一項一号の事業、つまり、共同利用のための仕事を行なう農事組合法人であって、開招者を主とするものというのを、この法の体系の中で本制度に乗っけてまいりたい、そういう考え方をとりましたために、これを法律技術的に特定して整理をしますために、開拓農事組合法人というのを法律の各条項で使っておりますので、二条で、「開拓農事組合法人とは、」こういうふうに整理をいたしたわけでございまして、若干法律技術的な意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/101
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102・芳賀貢
○芳賀委員 そういう名前をつけなくてもいいじゃないですか。農協法の中に農事組合法人の規定があるわけだから、その規定に当てはまって資格を持っておる農事組合法人は、大部分開拓者によって——その何々農事組合法人は主として開拓者によってつくられているということであれば、それでいいんじゃないですか。おかしいですよ。何でもかんでも開拓という名前をつけなければ仕事ができないというものじゃないでしょう。開拓者の人は、むしろ一日も早く、開拓者という名称あるいは開拓何々というようなものが取り除かれて、どこへ出ても一般の普通農家と同じである、そういうことが実現するように期待して、先頭に立ってがんばっておるのですよ。それをいつまでも未来永劫に、いや君は開拓者だ、君の農事組合法人は開招という名前をつけなければだめだというような、何か差別的に劣等感を植えつけるような扱いというのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/102
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103・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 私も先生と同様に、開拓ということをいつまでも言っているなという立場に立っては、全く先生と同じ立場におるものでございますが、これはあくまで法律技術論なのでございます。と申しますのは、農協法によりますところの農事組合法人というものがございます。その中で、たとえば単純にこれはこの保証制度の中に入れるというわけにはまいりませんで、構成員が主として開拓者であって、かつ共同利用事業を行なう者を会員にしようと考えたものでございますから、たとえば十八条、会員の資格の中で、三に開拓農事組合法人と書いてありますが、これはこういう名前を使わないで、ここでも長ったらしくこれこれの農事組合法人と書けばそれでもよろしいわけでございますが、よくある例でございますが、そういう長ったらしいのを省略するために、以下開拓農事組合法人と整理するという例はたくさんあるわけでございます。そういう趣旨でございまして、現実にございますものに開拓農事組合法人という看板など掲げさせる意思は毛頭ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/103
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104・芳賀貢
○芳賀委員 それじゃ、たとえば、最近は法人化がだいぶ進んで、一般農協に対しても、法人としての資格で組合員になっておる数がだんだんふえてきておるわけです。その場合は、開拓者だけの組合法人であっても、それは一々いままでの名前の上にこんな——たとえは丹羽農事組合という名前の場合、それは従来どおりでいいわけですか、それとも丹羽開拓何々とつけぬとうまくないということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/104
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105・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 全く関係のないことで、法文上の整理でございますから、いまの看板をどうこうという問題と全く別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/105
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106・芳賀貢
○芳賀委員 それじゃ、この法律が改正されても、その実際の名称は丹羽農事組合ということでいくわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/106
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107・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 在来どおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/107
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108・芳賀貢
○芳賀委員 わかりました。
次に、先ほどもちょっとことばが出ましたが、この開拓者としての制度上の処遇というものはいつまで続くものであるか、またいつの時点でこれは終わるものであるか、これは制度の上から見た場合の解釈を一応明らかにしておく必要があると思うのです。この問題は、いまから十年くらい前になるかもしれませんが、小倉武一さんが農地局長の時代があったのです。そのときでも、一体この開拓著という名称は、どういう時期に、国の制度の上で、その農家に対して、開拓者といわれたその人たちに対して、開拓者としての制度上の処遇が終わるのか、終わる時期が絶対ないというわけじゃないのだから、それはその者一代限りか、後継者の二代目までかというような、こういう問答をしたことがございますが、この際、やはり戦後開拓二十年を迎えておるときですから、開拓者に対する制度上の処遇というものは、どういう時点でこれは完了あるいは終了することになるか、事例をあげて明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/108
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109・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 昨日も申しましたが、日本の農民の多くは、いつの世か、かつて先祖は開拓者であった、したがって、いつまでも開拓者である必要はない。そこで逆に申しまして、現在なぜ開拓者という名前を使わなければいかぬかというのは、いま先生おっしゃいました制度がございまして、その制度に乗っけるというために、どうしても開拓者として特定をしなければいけない、その関係が出てまいりますもので、開拓者資金融通法で、特別会計で設備資金を貸してあげる方は、一般農家とは線を引かなければならない。そこで、どうしても開拓者というものを特定せざるを得ない。それから本日御審議いただいておりますこの保証制度も、開拓者のための保証制度でございまするので、開拓者という線を引かなければならない。それから過去におきまして金融公庫その他で融資ワクをつくりますときに、比較的財政力が一般論として弱いものですから、一般農家と同じワクにしておきますと、ほかへ持っていかれちゃうという意味で、開拓ワクというものをつくった時期がございます。そういうものがございますと、開拓者というものはやはり入れなくちゃならぬ。そこで、私ども、しからばいつまでこういう制度を続けるかという問題でございますが、先日来いろいろ御意見がございますが、私どもの考え方としては、この前の答申にございますように、振興目標の線に達したところからは、本質的にもう開拓者と考えなくていいのではないか。その場合には、一般の資金を使えばいいのではないか。そこで、そこへいくまでの当面五年の問題で、いまきめております振興対策が幸いにして実を結べば、そこで一定の線にまいりますから、開拓という制度を観念的にははずしていいのではないか。ただ、何ぶん既得権として非常に優遇された措置がついておりますので、そのような立場からだけでこの制度一切をやめるということが可能であるかどうかということは問題でございますが、基本的な考え方としては、かつて入植された方が一定の水準に達したならば、一般農政に溶け込まして、開拓者という名前を取る、あるいは制度も一般の制度に移すということが本来の筋であろう、かように私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/109
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110・芳賀貢
○芳賀委員 私の言うのは、あくまでも制度上の開拓者という扱い、処遇というものがいつまで続いて、どういう状態になった場合に終わるかということを聞いておるのであって、開拓者そのものは、おれは北海道の開拓者であるとか、あるいは北海道の屯田兵の二代目だ、これの誇りを持って自分は開拓者だから先駆的に農業を開いた、こういうことは、もう将来にわたっても大いに唱えてもらいたいが、政府があなたは開拓者であるとか、国が開拓者であるという特定の規定づけを行なって、その規定に基づいて特別の保護とか、いろいろな利益を供与しなければ、普通の農業者と同様の生産活動というものはできないということではいけないと思うのですよ。ですから、やはりそういう状態はすみやかに終わるように国が措置して、その後は一本立ちに、自分からおれは開拓者であるということを大きく唱えられるような状態にしてあげる必要があるのではないかと思うのです。
それで、具体的にお尋ねしますが、たとえば、いまの新振興計画の中において、一類農家はこれは卒業生と扱われておるわけです。ですから、一類農家の場合には、国の特別の処遇とか扱いというのは、これはもう必要がないという判断の上に立つわけじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/110
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111・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 さようでございます。それが証拠にはといいますか、現在特別会計からの振興対策資金は一類農家には貸さない、その意味において制度からはずれてまいるわけであります。ただ、こういう経営資金等は、組合の中にまだ雑居いたしておる状態もございますので、一部部分的に利用しておるところもあるわけでございます。それはまかりならぬというところまでは現在いっておりません。考え方としては、一番いい例は、政府の特別資金の貸し出し対象からは現にはずしておる。そうして先生のおっしゃったとおりに、そういう特別の措置が要らなくなったときに、特別の制度はみんな廃止すべきである、その点は全く先生のおっしゃるとおりに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/111
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112・芳賀貢
○芳賀委員 一類農家は、資金融通等について、たとえばいまの開拓融資保証法等は、一類農家であっても適用される、それ以外の分については適用する必要がなくなったというわけですね。それで一丁上がりとか卒業したということを言うわけですから、大体これらの人たちは開拓者としての特別の処遇の必要はないというふうに政府はみなしておるわけですね。
それから、二類農家に対してはどういうことになりますか。二類農家の諸君は、三十八年から四十二年までの間に政府が振興計画を認定して、そうして六カ年計画でやってもらうわけですからして、一番早いのは三十八年から始まって四十四年に終わる。おそいのは四十二年に始まって四十八年で完了するわけですね。たとえば新振興計画の認定を受けて、その計画を完了した暁には、やはり一類と同じような状態になるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/112
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113・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 振興計画の目標のラインは、同時に一類の線でございますので、振興計画の目標を達成するために金を貸してくれ、貸しましょうということでやっておるわけでございます。それが六年目に当初の計画どおりそこの線までいけば、それは一類農家になるわけでございますから、そこではずれてまいる。私どもはぜひそこまで持ってきたいということで、今後努力を全国的にずっと続けるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/113
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114・芳賀貢
○芳賀委員 それでは達した者は一類農家ということですね。これは卒業生になる。達しない場合はどうなるのですか。みんな達するわけじゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/114
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115・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 達し得る見込みがあると現段階において判断される方を二類農家として扱い、二類農家という方に追加の振興資金を貸しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/115
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116・芳賀貢
○芳賀委員 これはあくまでも計画目標というものを掲げて、これを行ない得る力がある、見通しがあるというものを認定するわけですから、入学を許すと同じなんですよ。そうじゃないですか。試験を受けてやっと入学した。あと六年間かかって、成績のいい者はこれは当然卒業しますよ。しかし、努力しても、その学校の教育が悪いとか指導が悪い、いろいろな条件が、本人よりも学校側のほうで手落ちがあって、卒業できない場合もあるのですよ。卒業した人たちは、これは卒業生だから、その以降においては特別の開拓者としての扱いを受ける必要はないが、努力しても、学校側の不届き等があって卒業できない人たちに対しては、これはどうするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/116
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117・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 学校側から見て、これだけ金を貸してくれれば自分は及第するから、入学さしてくれというお話を、教授会といいますか、関係の農協の方々、県の方々、金融機関の方々相寄って、教授会を開いていただいて審査をいたしまして、これならば入学させても卒業できると判断する者を入学させまして、そしてこれだけ設備資金があればできるとおっしゃるから、その人に貨そう、こういう体制で現在進んでおるわけでございます。卒業期に至ってどうかということは、いまちょっと言えない。私ども学校側といたしましては、できる人をいま入れておる、こういうことでございます。(「災害なんかあったらどうするか」と呼ぶ者あり)災害のお話が出ましたが、関連して申しますと、災害は災害に即応して、災害なき状態への災害対策を別途講ずることが本来の姿であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/117
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118・芳賀貢
○芳賀委員 それじゃ三類の場合ですが、これは離農対策の対象になって、離農される場合には、農業から離脱するわけですから、これはもう開拓者ではなくなることは明らかですが、いわゆる在農三類ですね。なかなか自立再建の見通しはないが、あくまでも農業者としてがんばっていきたいという三類の人たちを在農三類というわけですが、これらの諸君の場合、当然これは負債整理の対象になるわけです。この場合は、負債整理が完了して、その場合に、いわゆるいまの振興計画の対象者としての入学資格が大体できるんじゃないかと思われるわけです。ですから、それまで予備校で勉強さして、それから今度は入学して卒業ということで扱うのか、この点はどうなんですか。負債整理が終われば、そこでもう一般農家と同じような段階に達したとみなして、その場合には、もう開拓者としての処遇が終わるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/118
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119・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 立地、それから負債の大きさ、それからその人の個人的な状態等を考えまして、幾ら政府が追加的に金融的な援助をいたしても卒業できないという方を、遺憾ながら三類とせざるを得ないのであります。そこで、この人は予備校に入れれば伸びるという人は、最初から二類として考えるというたてまえをとっております。立地が悪いなら、ほかに行っておやりになったらどうかということを申し上げる問題はあるわけでありますけれども、いかんともなしがたいという人を三類と考えるという現在の考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/119
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120・芳賀貢
○芳賀委員 大体約束の昼めしの休憩の町間になりましたので、ここで一応とどめまして、まだ残っている問題は、新振興計画の運営に関する問題、もう一つは、開拓農業協同組合というものを今後いかに整備して将来の方向を明らかにさせるかという、この二点の質問が残っているわけでして、これは質問を行なえば三十分ぐらい要するわけですから、来週の火曜日の定例委員会においてさらに継続さしてもらうことにして、本日はこの程度でとどめておきたいと思います。この二点に対しては、あらかじめ検討をしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/120
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121・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/121
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122・松浦定義
○松浦(定)委員 開拓者の営農振興計画について、非常に重大な問題がたくさんございますので、なかなか審議は尽くせないのでありますけれども、特に政府が今日まで開拓者を中心として営農指導をやっておられました。したがって、時間がございませんから、極端に申し上げますと、指導をしたことについて政府はどの程度の責任を持つかということが私は重大だと思うのです。こうして審議しておる場合においても、ただ指導のしっぱなしあるいは計画の立てっぱなしではいかないので、最後までそれを見届ける、こういうことをやらない限りは、私は農政の指導の本意はないと思うのでありますが、そういう点については、政府当局として、農林省として、これは全体に及ぶ問題でありますが、どの程度まで責任を持たれるのか、この点、ひとつ政務次官からお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/122
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123・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 昭和二十年から緊急入植されました方々につきまして、いろいろ政策の変転はあっただろうと思います。しかし、どうしてもこれではいかないということで、昭和三十六年に新振興計画を立てたわけでございました。先ほど芳賀委員から御説明がありましたように、一類、二類、三類につきまして、きめのこまかい方針で指導を行なってきたわけございまして、今後数年のうちには、必ずその新振興計画に基づきまして、確固たるいい結果が出るだろうと確信しておる次第であります。さような意味で、今日、開拓政策といたしましては、その場その場の場当たりの政策をやっているつもりはありませんで、いまの答申の方針に従いまして、目標を掲げてやっておるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/123
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124・松浦定義
○松浦(定)委員 全体的な指導の責任は、いまのようなお話で私も了承できるわけであります。ただ、問題によってはなかなかそうおっしゃるような形にはいっていないのではないか、あるいは今後もいけるかどうかということに実は不安があるので、開拓者の営農の一環として政府が今日までとっておられました各作物別に対する指導、そういう内容の一点について御質問申し上げておきたいと思います。
実は最近、各業界におきましても倒産相次いでおる。最近の山陽特殊製鋼なんという問題については、本会議でも、総理はじめ大蔵大臣等が、これら問題については責任を持って善処したい、こういふうに言っておるわけであります。したがって、これに一貫する問題と同じように、この農政上の問題についても、農家は、農家の意思に反するということまではいかなくても、自分の意思を無視した指導あるいは奨励等によって、今日までやってきておる種類がたくさんあるわけであります。たとえば特殊作物である亜麻とかビートとか、こういう問題については、戦前戦後を通じまして一つの一貫的なやはり強い指導のもとに作付を強要された、と言っても差しつかえないような内容を持っておるものがたくさんあります。これは戦前においてはそうであったのでありますが、戦後においても、たとえば北海道の場合ですと、寒地農業といったような点に触れて、これが強い指導をされた。これはある程度私どもも認めます。しかし、農業基本法ができまして以来におきましては、やはり従来のような北海道における豆作というようなものをつくらないで、あるいは寒地作物の亜麻、ビート、そうしたものに重点を置くといったように、これは農業基本法、現政府の方針によって指導されておるのであります。ところが、最近、お聞きになったと思いますけれども、北海道の一地帯において今日亜麻工業をやっております日本繊維工業株式会社というものがあるわけなのです。これは北見、網走地区に存在しておるわけでありますが、この会社が最近会社更生法の適用を受けて、これを整備しようとしておるのであります。これはもちろん整備の過程は別といたしましても、戦前から戦後まで一貫して、その会社のもとで一方的に出荷を強要されて、しかも安い価格でつくってきた、そういうものが今日倒産の悲運に帰したということでありますが、この問題については、これはまだ本年の三月の初めにそういうことが起こったわけでありますが、こういうことになる前には、やはり政府としては一年も二年も前にわかっておるはずだと思うのですが、おわかりになっておったのかおらなかったのか、関係局からでもけっこうでありますが、お知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/124
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125・林田悠紀夫
○林田政府委員 仰せの日本繊維でございまするが、これは麻紡のほかに綿スフ、紡、それから合繊紡等をやっておりまして、実は日本繊維が三月の一日に不渡りを出しまして、二日に会社更生法の適用を申請するという事態になったわけでございます。しかしながら、この日本繊維がここまでに至りました原因につきましては、麻ばかりでなくて、ほかの綿スフ紡のようなものを兼営をいたしておるというようなことも原因になりまして、特に昨年からの繊維業界の不況ということが、綿スフ紡を多くいたしました日本繊維に打撃を与えたようでございます。そういうようなことで、実は私たちのほうといたしましては、亜麻のほうは所管をいたしておりまするが、会社そのものは通産省が所管をしておるというようなこともございまして、最近に至るまで、日本繊維があまりよくないということはわかっていたのでございまするが、ここまでに至るということにつきましては、十分認識をしていなかった次第でございまして、まことに遺憾に存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/125
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126・松浦定義
○松浦(定)委員 いま聞きますとたいへんな御答弁になると思うわけであります。私も前段申し上げましたように、農家はやはり亜麻をつくるということを中心として今日まで指導を受けてやってきたわけであります。日本繊維が何を一体つくろうとかにをつくろうと、そういうことは農家としては一向考えていないわけであります。最近のように、海産業をやっているものが陸へ上がっていろいろな問題を起こしているという点はたくさん聞いておりますが、それだけに心配しながら続けてきたのでありますけれども、いまのような答弁で、これは何かほかのほうの仕事で赤字が出たのではないか、亜麻そのものではあまり十分知らなかったといったような、そういうお話をされますと——農家には全く私は責任はないと思うのです。今度の日繊のこの損に対しましては、農家は昨年の亜麻の代金がまだ手に入らないわけであります。約三千三百万くらいの金が入らない。したがって、その他、近代化資金を利用して大型機械なんかを取り扱っておる農協なんかは、これはもうたいへんなことだ。それよりも、むしろ個々の農民は——御承知のとおり、昨年は凶作であります。昨年の凶作の中で、ようやく亜麻とかビートとかバレイショというものが、少なくとも多少とれたと言って喜んでおったそのものが、そういう形で入らないということになりますと、おそらく例年の約三倍の損失だと言って過言でないと私は思うのです。そういう状態であることが、やはり二、三年前からわかっていないということは、農林省、特にこの指導機関として——私、先ほど言いましたのは、ほかの作物ならかってにどこへでも売れるわけでありますけれども、亜麻とかビートというものは、売りたくても売れないのであります。特定の会社にしか売れないのであります。そのために、そういう価格の折衝にしましても、全部道や農林省の指示を受けて、あるいは指示でなくて、命令のもとに、その価格が決定したという事実の中に、農家は営農を続けてきた。しかも、その中におる開拓農家なんていうのは、たいへんなことだと思うのです。私は、その点については、過去にそういう問題があったことはやむを得ぬとしても、いま三千三百万、その他、近代化資金で借りた多くの機械等に対する損失補てん、そういうものをどうするかということを明確にしてもらいたい。
それからもう一つは、今年からこの地帯に亜麻をつくらせないのか、つくらせるのか。つくらせるとするならば、どういう形でつくるのか。おそらく管財人がきまりまして、このことの計算をした結果、方針を立てるのは、少なくとも三カ月、四カ月は私はかかると思うのであります。すでにいま三月の末でありますから、農家はもう一カ月もすれば亜麻をまかなければならぬのです。それにもかかわらず、いま去年の金が入らないことよりも、むしろ、ことしの作付はどうなるのか。おそらくいまのような形では、あそこの会社を操業させようとしても、これはやることはできないと思うのであります。今日こういう問題があることは非常に遺憾だ。ちょうど戦前には亜麻会社が三つあったわけなんです。そして戦後におきましてこれが合同いたしました。しかし、そのときには、中央繊維と帝国繊維は合併いたしましたけれども、日本繊維はこれに対して合併をしなかったのであります。私はあのときに、ちょうど北海道の亜麻耕作の公述人として、実は代表で中央において証言をしたことがあります。しかし、そのときには、日本繊維は参加しなかった。日本繊維がそのときに合併をしておれば、私は、これまでの事態にはならない、あるいはなったにしても、ここまだ三年や四年は持ちこたえたと思うのです。ところが、一番弱い会社が合併をしないで、そうして今日こういうようなことをやっておいて、しかも農林省は昨年——おそらく一昨年から私はわかっておったと思うのですが、それを知らなかったということで、三千三百万という損害を全部農民に負わせる。それからまた、これからの営農方針についても、何ら見通しがここに立っていない。先般、道の段階をある人から聞いてまいりますと、道としては、いまのところはどうにもならないと言っておるようであります。私はそれはそうだろうと思うのです。これは農林省がいままで指導をしておったのですから、道のほうで三千三百万出してやる、これからの指導もこうするということはできないと思うのです。これらについて、何か農林省当局として、この方針についていまきまっておる点があるなら、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/126
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127・林田悠紀夫
○林田政府委員 第一点は、農協が立てかえ払いをした亜麻の受け取り代金のことでございますが、農協が二千五十四万円立てかえ払いをしておるのでございます。そのほかに、近代化資金で実は機械を買うておるということでございまして、それで、これは仰せのように、管財人が実はまだきまらないわけでございまして、管財人が早くきまりまして、要するに、私たちのほうといたしましても、交渉の相手方というものがきまってまいりませんと、どうにもならないという状況でございますので、東京地裁八部のほうに、早く管財人をきめてもらいまして、交渉をいたしたいということにしておるわけでございます。
それから本年度の作付をいかにするかということでございますが、これは北見地区の亜麻が日本繊維のほうにいっておった次第でございまして、それがつぶれたということになりますると、帝国繊維の工場のほうへ運搬しなければいかぬという問題が出てくるわけでございます。そこで、帝国繊維が生産された亜麻を引き取ってくれるかどうかということが第一の問題になる次第でございまして、実は目下帝国繊維のほうとその交渉をしておるわけでございます。道庁のほうにおきましても、来週あたり責任者が出てまいりまして、農林省と一緒になり、最終的に交渉いたして、どうするかということをきめたい、かような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/127
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128・松浦定義
○松浦(定)委員 ビートの場合でも、いま輸送費その他で問題になるわけです。ましてや、亜麻等は、普通の考え方でいま帝国繊維にこれを扱えと言ったって、それはなかなか扱えるものじゃないと思うのです。しかも、いま緊急の場合、一週間後に道から来たら相談しよう、管財人がきまったら、何とかその損害について相談しよう、そういうことでは、先ほど申し上げた一カ月後に作付しなければならぬ農家を説得せしめる材料には全然ならないと思う。だから、管財人ができようとできまいと、農林省として、極端にいえば、政府として、はっきり二千万でも三千万でも——あとで管財人がきまって、取れたら取っただけ得だという考え方で、責任を持つべきだと思う。もしこれが戦争中だったら、たいへんなことだと思う。あの亜麻がなかったら、ホースや何かができなくて、戦争ができなかったろう。いまちょうどそういうことがないからいいようなものでありますが、そういうのど元過ぎれば熱さを忘れるといったような政治だから、引き続いて開拓者の問題について、営農計画で問題になっているように、ここだけの答弁ではいけないと思う。なるほどという実証をもって解決策を示してもらいたい。管財人は農民のあずかり知らぬところだから、ほかのほうの繊維を売ったり買ったり卸や何かもそこでできなければできないで、ほかから買ってきますので、営業にはさしつかえないわけです。ところが、農家は違います。農家については、原料を生産した農家ですから、この原料がなかったら、これは日繊にしてもたいへんだったと思う。これについては、政府は、特に農林省は、大蔵省、通産省と相談されまして、来週道から出てくるなら、できるだけ早く呼んで、損失についてどうするかということを明らかにしてもらいたい。
それからもう一つ、これからの作付につきましては、昨年度は一千町歩作付しておったわけです。今日は道の指導によって、あるいは農林省の指導によって、できるだけそういう寒地農業、特殊作物をつくらなければいかぬ、こうおっしゃるので、千二百町歩つくろうと計画している。ところが、いまのような形でどこへいくのか全然わからぬということでは指導はできません。帝繊にしても輸送費の非常に高まるものをかかえて、それはあとで何とかするからいまは指導しなさいといってもできないと思うのです。ですから、従来どおり道なりあるいは関係支庁なりの指導方針で千二百町歩の作付は行なわせる。そして機械の問題については、従来のような方針で、返済期間がくるまでは、いまこれをどうしなければいかぬということでなしに、そういう契約の中でこれを継続すべきである。そういう考え方でおやりにならないと、もしいま私の申し上げることも実行しないような農林省当局のお考であるなら、いま問題になっているビートなんかにいたしましても、いまの糖価市況からいったら、これは倒産寸前なんです。しかし、農家はこんなことではなかなかがまんできない。ビートをつくらなければ生活できないから、どうしてもつくりたいと言っている。その糖価の安定についてすら何らないということになれば、おそらくここ一、二年で製糖工場も会社更生法の適用を受ける。適用を受けたほうがいいということにれなば、原料生産者に損をかけても何でもないということになれば、適用を受けますよ。もしそういうことが来年度出てきたならば——おそらくいまのような糖価事情ならば、北海道の工場だけで必ずここ二、三年で出てくる。いまやその寸前だからどうにもなりませんという会社があるじゃないですか。もしビート工場にこんなものができたら、いま私は三千万円くらいのことを言っているけれども、これは何百億、何千億です。そういう点で、このことではっきり農民に対する答えを出しておおきになりませんと、そういう問題についても、これから農民は協力するどころでなしに、逆の方向にいかざるを得ない。そのことが、いま審議しておりますこの開拓者の問題を中心にして、これが既存農家にも影響して、農村の不信というものはそこから出くる。法律なんか何ぼおつくりになったって、一部改正されましても、そんなことは、先ほど芳賀委員がおっしゃっておるように、一るの気やすめとは酷評でありますけれども、効果のあがらないものであるならば、これは何にもならないと思うのです。効果があがることは、戦前戦後を通じて、極端に言えば、こんなに農民を安い価格で説き伏せて供出をさせ、しかももっと必要だというものを指定して、独占資本と同じような形の会社に奉仕させておると言っても過言でないような結果になってしまっている。実際そうですよ。損しても返さなくていいという法律があるのですから。それでは農民は納得できません。どうぞひとつ、そういう点で、きょうは時間がございませんから、政務次官から一言、その処置についてどういうふうな御処置をされますか。いま政務次官を苦しめる必要はございませんけれども、大臣以下皆さんで御相談を願って、一日も早くこの問題の解決を、事前事後の両面について御処置されるように期待いたしたいと思いますから、御回答を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/128
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129・舘林三喜男
○舘林政府委員 さっそく大臣にお伝えいたしたいと思います。日本繊維の倒産につきましては、戦中戦後を通じまして、農林省としても、亜麻の増産を奨励さしておりましたし、また今度の倒産によって、二千数百万の決損を農協に与えたわけでございまして、農林省としても、看過すべからざる問題でございます。とにかく会社更生法が適用されておりますから、事後処置について、農林省の意向も十分伝えますが、問題は、これから先の負債整理の問題、あるいはこれから先の再生産の問題でありまして、そのような問題につきましては、農林省としてはまだ実情を十分把握しておりませんので、北海道の知事とも十分相談いたしますし、また農林大臣にもこの趣旨を十分伝えまして、御趣旨に沿うよう努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/129
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130・松浦定義
○松浦(定)委員 この回答につきましては、次会にひとつ農林大臣から御回答ができ得るようにお進めを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/130
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131・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 暫時休憩いたします。
午後一時三十三分休憩
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午後二時五十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/131
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132・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、農林水産業の振興に関する件について質疑を行ないます。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/132
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133・湯山勇
○湯山委員 次にお尋ねいたしたいことは、養鶏に対する研究の体制の問題でございます。いろいろ御研究があるのですけれども、養鶏については、これの専門の研究体制というものが不備ではないかというふうに私は感じるのですが、現在どういう機関でどういうふうに研究しておるか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/133
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134・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 養鶏の技術的な研究ということになりますと、いわゆる厳密な意味での試験研究と、それから実際飼育に関連いたします広い意味の研究とあると思いますが、いわゆる試験研究という範囲で申しますれば、農林省といたしましては、中央の畜産試験場及び家畜衛生試験場が主として研究に当たっておるのでありますが、その研究を受けまして、国の種畜牧場、都道府県の試験研究機関等がこれに密接な連絡を持ちまして、研究実施の分担をいたしておるのでございます。試験研究の内容は、最近の養鶏が企業的な養鶏に発展をいたしてまいりましたので、その事態に対応いたしまして、優良品種の育成のための遺伝学的な研究、飼養管理に関する栄養学的な研究、鶏の疾病に関する研究等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/134
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135・湯山勇
○湯山委員 いま概要の御説明があったわけですけれども、他のものと比べて、牛とか豚とかいうものについては獣医さんというものがありますけれども、鶏には別に鶏医さんというのがあるわけではありませんし、そういう点から考えて、これだけ飼育されているものが、特にそれと専門に取り組むという人のないということは、やはりこの体制の一つの欠陥ではないかというように思うわけですが、つきましては、まず疾病関係ですけれども、その疾病関係で、卵を生まない鶏にずいぶんえさをやっている。統計的にはいろいろあるでしょうけれども、たとえばビールスによるコクシジウムだとかニューカッスル病だとか、いろいろあると思いますが、ビールスによる疾病の研究はどこでやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/135
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136・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ビールスに基づきます鶏の疾病が各種あることは、御指摘のとおりでございますが、ビールスに基づく疾病の研究は実用的な研究——実用的と申しますか、ビールス自身の基礎的研究というのが、これは動物ビールスの問題として、日本では京都大学の研究が最も中心的なものでございますが、その基礎的研究に基づきまして、ビールスの疾病関係の研究は、農林省では家畜衛生試験場が実施をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/136
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137・湯山勇
○湯山委員 京都大学の付属のウイルス研究所の研究というのは、鶏のビールスというようなものはほとんどなされていないで、もっとほかのほうに集中されておると聞いております。
そこで、これは以前に御指摘を申し上げたことがありますので、特に政務次官にお考えいただきたいですが、実は本年度になりますか、農林省の研究機関として植物ウイルス研究所というものが設置されました。これは植物ウイルス研究所が設置されましたときに、植物ビールスと限定しないで——動物に関するものは京都大学へ持っていく、植物のほうだけ農林省でやるというのでは、これは片手落ちではないか。ことに選択的拡大の対象が畜産であり、果樹であるというようなことから考えても、特に農林有に設置された植物ウイルス研究所というものは、畜産関係はもちろんですけれども、将来魚類についてのビールスの研究もやらなければならぬという性格のものではないかということを御指摘申し上げたのですが、いまの局長の御答弁のように、鶏のビールスの研究の基礎的なものは京都の大学の研究所でやる、それを受けて農林省のほうもやるのだというようなことではなくて、こういうものについては、せっかく研究所を持っておるわけですし、それなりの施設も持っておるわけですから、ひとつこういうものも農林省のウイルス研究所でやれるという体制をすみやかに確立される必要があると思います。これについての政務次官のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/137
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138・舘林三喜男
○舘林政府委員 農林省で植物ウイルス研究所を設置いたしましたときには、日本の学界全体から見まして、植物ビールスに関する研究というものがあまり各大学にありませんでしたので、特に農林省で受け持ちまして、植物ビールスに限りまして研究所をつくったわけでございます。お話の動物関係のビールスにつきましては、京都大学その他においてやっておりました関係上、いま申し上げましたように、植物関係だけに限ったわけでございますが、私も初めてのことでございますので、いましばらく研究させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/138
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139・湯山勇
○湯山委員 厳密な意味では、植物ビールスと動物ビールスの区別はだんだんなくなってきているということも、これは技術関係の方はよくおわかりだと思います。そこで、この内容を変えることにはそんなに手数はかかりません。必要なものを必要なときに研究できるようにしませんと、京都の大学あたりでは、動物ビールスといいながら、人体の病理関係が先行することは御存じのとおりなので、豚とか牛ならまだそれをそのまま使うこともできるかもしれませんが、鶏になると、かなり性格が違ってまいります。そういうこともありますから、これはひとつ政務次官、内容的には簡単に御理解願える問題でございますから、ぜひこの際、農林省のビールス研究所、これを植物ウイルス研究じゃなくて、農林ビールス研究所なりそういう名前にすれば、研究内容というものはどのようにでもなるわけですから、ぜひそのような御配慮をいただきたいと思います。
それから次には、雌でありながら卵を産まない。たとえば卵管が切断しているコリーザーというのですか、これはバクテリアによるコリーザーもあるようですが、そうではないコリーザー、これも相当多く発生しておると聞きますが、その状況はどんな模様でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/139
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140・佐藤卯朔
○佐藤説明員 それでは主として技術面からお話いたしたいと思います。
コリーザーは、現在でもやはり相当発生があるようでございます。ただコリーザーという病気は、従来は非常にあいまいな病気とされておりました。最近は原因は大体はっきりいたしまして、従来は鶏痘の一部もコリーザーと呼ばれておりましたが、最近ははっきりと分けて診断ができるようになりました。そこで、表面にあらわれる症状が非常にはっきりするものですから、コリーザーが目立つということがあります。しかし、いまお話ありましたように、ビールス病もたくさんございまして、おそらく伝染病という数からいいますと、お話のように、ほかの家畜に比べて、非常に多い病気の数を持っておると思います。これらの数多い病気の症状にあらわれる姿というものはあまり変わりません。目がはれたり、のどをごろごろさせたり、そういうふうに弱ってまいりますと、すべて一番活動する卵巣に鶏は一番先に影響を受けます。そのために、どの病気でもまず症状にあらわれるくらいの程度になりますと、産卵に影響が出てまいります。コリーザーだけが卵墜を起こしたり、産卵の低下を起こしたりするわけではございませんが、しかし、現在日本では非常にその発生が多いということは言えると思います。そこで、このコリーザーについては、現在研究面からまいりますと、ある程度予防の実用化ができるかもしれないというところまでまいりましたので、昨年から一部実用化試験の前段の試験に入っております。そういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/140
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141・湯山勇
○湯山委員 発生はどれくらいの率でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/141
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142・佐藤卯朔
○佐藤説明員 これは法定伝染病でございませんで、鶏の場合はニューカッスル病とひな白痢だけが法定伝染病で、その他は伝染性疾患として私ども予防の指導はいたしておりますけれども、報告の義務がないために、確実な数字を残念ながらつかんでおりません。ただし、大ざっぱに、私ども防疫をやりながら皆さんから情報を聞く感じでは、おそらくニューカッスルで一番大きな発生があったときで、約四十七万羽、五十万羽ありましたのですが、激しいもの、弱いもの、いろいろありましょうけれども、全部を集めましたらその程度の羽数はあるのではなかろうかと推測されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/142
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143・湯山勇
○湯山委員 パーセンテージはどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/143
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144・佐藤卯朔
○佐藤説明員 パーセンテージにしますと、約一億ですから、〇・五%に当たります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/144
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145・湯山勇
○湯山委員 これなどは非常に複雑ではあろうけれども、早期発見できれば、ずいぶんむだなえさを食べさせておるわけですから……。ことに卵管が切断しているこれなんかは、方法をくふうすれば、わりあいに簡単にわかるのではないかと思うのです。そういうものにむだにえさを食べさすことをなくすれば、かなりコストにも影響してくるということが考えられますのと、それからいまたまたまそちらのほうからお話があったのですが、決定伝染病等に対する対策、予防の措置とか対症措置がはなはだ不徹底で、行き届いてないのではないでしょうか。あるいはまたうわさによれば、駐留軍あたりで飼っておるものが、先般ニューカッスルにかかったときなどは、全然それを外に漏らさなかったというようなこともいわれておりますが、この法定伝染病の取り締まり、それからそれの予防対策、そういうものははたして完全にできておりますか、いかがでしょう。それができてないとすれば、その原因はどこにあるか。たとえば人手不足、技術者の不足とか、あるいは鶏だから安易にやっておるとか、庭先養鶏が多いとか、いろいろあると思いますけれども、その一番の問題点はどこにあるか、これもひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/145
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146・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ごく専門的な点につきましては、担当技官から御説明をさせることにいたしますが、法定伝染病の予防あるいは防遏等の措置については、都道府県の家畜保健衛生所を通じて努力をし、相当の成績をあげてきておると思うのでございますが、最近特に鶏について集団的な多頭飼養という、かって日本で経験しない飼養形態が普及しつつある。その段階で、従来の経験上発生したような鶏の疾病と違った形の発生が行なわれておるという点が、現在の防疫体制で手が回りかねるといいますか、措置いたしかねる面が出つつあるということでございまして、今後防疫体制の整備という問題、四十年度の予算から私どもも着手しようとしておるのでございますが、そういうような問題があるわけでございます。
なお、駐留軍におきまして、昭和二十七年に、神奈川県下でニューカッスル病の発生があったのでございますが、これは神奈川県においてその措置をとりまして、病鶏の全群淘汰をいたしました。その後、発生はいたしておりませんで、続発は防止得たのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/146
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147・湯山勇
○湯山委員 いま局長の御答弁のように、多頭羽飼育がだんだん取り入れられてくる。そこで、伝染病の注意といいますか、予防法とか治療法とかいうものは、相当完全にやっておかないと、その一つの飼育場全部が参るというようなことにもなりかねないと思います。そこで、四十年度においてさらにこれを強化するということでございますが、その内容はどういうものであるか。それから先ほどの問題にちょっと返りますけれども、そういう多数大規模飼育が大きくなればなるほど、それによる災害の程度も大きいわけですから、先ほど共済制度にちょっと触れましたが、一般的な共済でなくても、いまのような大規模飼育に対する共済制度というものは、特にいまの伝染病等の場合考慮する必要があるのではないかということを考えるのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/147
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148・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私からお答えいたしました防疫体制の整備の問題は、現在の防疫所は従来の飼養の形態というものに応じて、かなり小規模のものを分散的に配置をいたしておるのでありますが、そういう分散的な配置をいたしますと、鶏のみならず、家畜について病状が出ました場合に、その病源を確認するための高度な技術的な措置というものがとれない。たとえば解剖による病源の解明というようなことがいたしかねるわけでございますので、四十年度以降五カ年間に、家畜保健衛生上、高度の防疫技術を発揮し得るように技術の分化と総合とをはかるという意味で、家畜衛生保健所の整備という方向で進んでまいりたいと思っておるわけであります。
なお、多頭羽飼育ということになってまいりまして、その病気の発生がありました場合には、非常に集中的に大きな被害を受けるという事実は、確かに保険もしくは共済制の必要を感ぜしめるところでございますが、保険なり共済という問題は、それぞれの理論的な構成をもって組織立てる必要がございますので、午前中に申し上げましたように、共済制度の再検討の研究会の中で、一つの課題として究明をしてまいりたい、研究をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/148
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149・湯山勇
○湯山委員 次に、ひなの雌雄鑑別についてですが、これも先般の農林省の通達で相当育雛制限の調整があったようです。県によりますと、そのために鑑別士が失業いたしまして、その鑑別所が廃止の運命に迫られているというような例もあるようでございます。こういう技術というものは、これは日本の技術としては非常に大切なもので、むしろこれは助長していかなければならないものだと思いますが、その問題はまたあとでお尋ねするとして、現在雌雄鑑別の誤差は何%くらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/149
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150・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 鑑別士による鑑別の誤差というものは個人差があるわけでございます。一等鑑別士の非常にすぐれた技能を持つ者につきましては、的中率九八%ということで、誤差率は二%程度ということに相なっておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/150
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151・湯山勇
○湯山委員 その一等鑑別士、二等鑑別士というのは、三等まであるのですね。その人数の割合はどうなっておりますか。そうすると、全体として平均どれくらいというのがおおよそつかめているはずだと思いますが、それはどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/151
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152・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 手元に一、二、三等鑑別士の人数を調べたものがございませんので、後刻御連絡申し上げますが、全鑑別士による鑑別の的中率は、これも公式に調べたものがございませんが、大体八〇%以上の的中率を持っておるというようにいわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/152
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153・湯山勇
○湯山委員 いま八〇%の的中率とすれば、一等鑑別士で九五%としても、その開きは大体一五%程度ある。つまり、鶏の一五%には、卵を生まないものにえさを与えておる、こういうことになりますね。卵価が一五%上がり下がりする。えさを一五%よけい食べさせる食べさせないということは、これはこれだけ大きな養鶏であってみれば、非常にに大きな問題だと私は思うのです。この鑑別士の技術の向上については、ずいぶん努力をしなければならないにもかかわらず、いまただ鑑別所が独立採算のような形で運営されておるというところから、せっかくの技術が後退するという懸念が多分にあるわけです。これは少々国が費用をかけても、その一五%程度のミスがなくなるということになれば非常に大きいと思いますので、この問題は、日本の特有の技術ともされておるわけでありますから、この平均を九〇%以上くらいに持っていくのも、その気で取り組めばそう困難なことではないと思います。そういうことはできないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/153
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154・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御趣旨は私ども全く同感でございます。現在、日本鑑別士協会におきまして、毎年鑑別士の技能の向上のための講習会をいたしておるのでございますが、それに対して国から直接の助成はいたしておりませんが、地方競馬全国協会の畜産振興費の中から、事業に必要な経費の一部について助成をいたしております。今後もこの事業の充実ということは考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/154
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155・湯山勇
○湯山委員 いまの地方競馬というのは、ひょっとしたら今年やまるあれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/155
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156・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 それは競馬法に基づきまして、地方競馬施行の際に、一定額を特殊法人であります地方競馬全国協会に納付する、その納付金の中で、固有の費用のほかに、畜産振興費として使うことができるという法律上の規定に基づくものでありまして、昨日のあれで年限延期になりました地方競馬も含まれておるわけであります。なくなるという性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/156
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157・湯山勇
○湯山委員 金額はどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/157
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158・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 畜産振興費全体に充当し得る金額は三十九年度で約七億円程度でございますが、鑑別協会に交付をいたした金額は、ちょっと失念をいたしまして思い出し切れませんが、講習会費のことでございますから、たいした金額ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/158
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159・湯山勇
○湯山委員 そこで、非常に強く要望したいのは、こういうことに依存するのではなくて、国としてもう少し積極的にお取り組みになるということが大事だと思います。そうしないと、まあ競馬法はああいう形で通りましたから、まず三十九年度と財源的にはあまり変わらないと思いますけれども、それが廃止になれば、おそらく自動的にこの経費も、なくなるとは申しませんが、少なくなる、そういう要素を含んでおると思います。特に鑑別ということが、一割のえさをむだに食べさしているということになれば、これは非常に大きな問題なので、ぜひひとつそういう不確定財源ではなくて、これだけの費用はこうということで、その技術の向上に努力願いたいと思います。
それからさらに、これは少しとっぴな質問ですけれども、私はもう一つ進めて、卵で雌雄の鑑別をするというような研究はできないか。これはすでに卵のときに分かれておるわけですから、何らかそれをする方法があってしかるべきだと思います。いまあるというのではありませんけれども、そういう研究をしておるとかいうようなことをお聞きになったこともございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/159
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160・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 卵の場合に、染色体の数か何かでわかり得るのではないかという仮説的な話は聞いたことがございますが、まだ世界どの国でも、その問題を直接研究の対象にはいたしてないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/160
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161・湯山勇
○湯山委員 これは決してむだなことではなくて、いまおっしゃったように、もうすでに雌雄の区別というものはさまっておるわけですから、そこで、かりに六〇%なり七〇%なりでも選別できれば、今度ひなになったときの鑑別が非常に効果をあげるという結びつきがあると思います。そしてとにかく、事実雌雄の区別がついておることは、無精卵でない限りは、はっきりしておるわけですから、これなんかも費用はよけい要らないし、ほんとうに効果があるかないかわかりませんけれども、こういう基礎的な研究、じみな研究に役所としては取り組むというかまえが必要ではないかと私は思いますけれども、それはどうでしょうか。そういうことをひとつやってごらんになる御意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/161
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162・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 確かに斬新な御意見でございますので、私どもも、問題としては農林水産技術会議の問題であり、具体的な畜産試験場の問題でもございますので、一つの課題として、行政的にも、また試験研究のテーマとしても、ひとつ検討をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/162
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163・湯山勇
○湯山委員 次には、輸入鶏の問題とからみまして、品種改良の問題です。品種改良の前提条件になるのは、種鶏の問題もありましょうけれども、ひとつこの際お尋ねいたしたいことは、鶏の人工授精です。これはかなり進んでおるとも伝えられておりますし、まだ進んでいないということもいわれておりますが、その実態はどういうようになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/163
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164・黒岩裕
○黒岩説明員 人工授精につきましては、ここ数年来非常に進歩を遂げました。それはなぜかと申しますと、多数羽飼育のケージ飼育が始まってまいりましたから、非常に能率的に養鶏が進んでまいりました。ただ、いまどれくらい全国の成鶏羽数からやられておるかと申しますと、それはパーセンテージでは言えないようなりょうりょうたるものであります。ただ、都道府県の種鶏場なり試験場あたりではかなりこれを使っておりますが、全体の羽数からいうと、まだ率としては少のうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/164
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165・湯山勇
○湯山委員 これは現在牛なんかはほとんど人工授精でございましょう。将来は鶏についても、そういうふうに大部分を人工授精でやっていくというお考えなのか、それではやれないというお考えなのか、その辺のお見通しはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/165
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166・黒岩裕
○黒岩説明員 いわゆるコマーシャルの大量飼育になりますと、これは省力的にやらなければいかぬものですから、なかなか人工授精は普及しないと思います。ただ、国の牧場なり試験場なり、また都道府県の試験場なりで、育種改良のためにはかなり人工授精で効率的にやるべきだ、そういうふうに考えております。またその方向で進めていくべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/166
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167・湯山勇
○湯山委員 それでは、一般のひなは従来どおりの方法で生産させる、それから種鶏等については、その純粋性とかいろいろ輸送等の関係もあって、人工授精で進めていく、こういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/167
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168・黒岩裕
○黒岩説明員 一部は従来どおりの方式で群単位でやりますけれども、あるものについては、いろいろ交配の関係で人工授精を応用していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/168
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169・湯山勇
○湯山委員 そこで、問題になるのは、特にアメリカ種のひなの輸入ですね。これはいまのような研究をどんどん進めていかれれば、むしろ国内で品種の改良がどんどんできていっていいのじゃないか、昔はずいぶんそういう品種改良も日本ではできたのではないかと思います。これは歴史的な尾長鶏とかそんなものは別として、名古屋コーチンだとかいろいろあるのは、おそらく国内で品種改良ができたものではないかと思いますが、最近そういう品種改良に日本で成功した例というのはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/169
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170・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御承知のように、現在日本の養鶏のために、アメリカの種鶏が相当多数に入っておるわけでございますが、それの特徴は、産卵率も平均的であり、その他いろいろな産卵鶏としての能力が斉一であるという点、それから強健であるという点が特色なのでございます。それから産卵能力等につきましては、日本の種鶏にも非常にすぐれたものがあるわけでございますが、ただいま申し上げました斉一性、強健性において日本の鶏には問題がある。多数羽飼養ということになってまいりますと、ただいま申し上げたアメリカ鶏のすぐれた点が非常に顕著になってくるという特徴があるわけでございます。日本にもよい種鶏の系統はあるわけでございますが、アメリカのようないわば規格化されたものがなかなか作出されていない。残念ながら現在まで、日本の農林省、官庁系統、公的な機関あるいは民関の機関においても、まだそこまでなってないのでございます。結局アメリカ式の鶏を作出いたしますためには、大量の種鶏群から交配淘汰をいたしましたものの中から抽出をしていく必要がある。また、その交配の方法等についても、新しい理論に従ったものを応用する必要があるわけでございますが、日本では種鶏の育成は、最も権威あるものとしては、自画自讃のようでございますが、農林省の種鶏場でございます。その種鶏場がただいままで種鶏群わずかに千羽をもってやってまいったのでございますが、これではアメリカ型の種鶏をとることはできないのでございまして、三十九年度から大宮及び岡崎の種鶏場を飛躍的に拡充することにいたしまして、四十年の末には種鶏群約二万羽を擁する新しい育種の中心地にしてまいるということで、ただいま整備を急いでおるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/170
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171・湯山勇
○湯山委員 いまの御答弁はそのとおりで、それについての異議はないわけですが、ただ、一万羽といいましても、一万羽飼ったからそれでいい品種がとれるかというと、これもなかなかそうは言い切れないんじゃないかと思うのです。アメリカあたりで種鶏場をやっておるのは、どの程度の規模のものをやっておりますか、大きいもので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/171
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172・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 アメリカでは、いわゆる著名なコマーシャルのひなを売り出すための種鶏をつくるその原種鶏群として擁しておりますのは、少なくとも一種鶏群五万羽ということのようでありまして、大きいところは、いろいろタイプもありますから、一つの種鶏群であるかどうかも私承知しませんが、四十万羽程度のものを擁しておるところもある。私がただいま申し上げました大宮、これは白河へ移転するのでございますが、大宮種鶏場、岡崎種鶏場に一万羽を擁して種鶏改良をやるということにいたしましても、両種鶏場だけではとうてい新しい品種はできないわけでございまして、民間種鶏場ないし府県種鶏場を系統的に組織立てまして、全体としては五万羽程度の種鶏群からの新しい品種育成ということをやってまいるという企画になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/172
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173・湯山勇
○湯山委員 技術面から克服していただきたい点については、大体以上の点で終わりたいと思いますけれども、今日までの立ちおくれがいまなお影響しておりまして、これについての十分な対策というか、最低の対策もできていなかった。それから鶏専門のお医者さんというわけじゃないでしょうけれども、そういうものも実際にはほとんどいない。こういうことで、養鶏がこれだけ生産が拡大しておる状態においては、ひとつ思い切ってこれへも手を入れていただく、こういう必要があるかと思います。局長もよくそれにお気づきになっておられるし、その対策も若干講じておられるようですが、ぜひひとつ来年度あたりから飛躍的な対策を講じていただきたいと思います。その点についての政務次官の御意見をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/173
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174・舘林三喜男
○舘林政府委員 養鶏の技術の向上につきまして、湯山委員からいろいろ専門的な御質問をいただきまして、全く同感でございます。何ぶん文字どおり選択的拡大が最近選択的に拡大されたわけでございまして、いまお話しの点につきまして局長がお答えいたしましたように、まだ技術の点につきましてはほんとうに根本的に改良しなければならない点が多々あることは全く同感でございまして、お話しのとおり、来年の予算等につきましても、十分に御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/174
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175・湯山勇
○湯山委員 次は、えさの問題は、いずれ酪振法その他のときに詳しくお尋ねいたしますから、きょうはその一部分だけお尋ねいたしたいと思います。
問題は、自給飼料ということを問題にするとすれば、どうしても日本の裏作麦のことを考えなければならないと思います。麦の耕作放棄は毎年十万町歩をこえておるという数字が出ておりますが、この問題は非常に大きな問題であって、実は政務次官も米審の委員をしておられて、昨年の米価審議会のときに、政府は麦をどうするか、やめるのかつくるのか、どうするのか、つくるとすれば将来どういう方針でいくのか、これを確立すべきだということを、米価審議会の意見として農林大臣に要望し、農林大臣も次の機会には中間報告でも必ずいたしますという約束をされたことは、政務次官も御記憶のとおりだと思います。したがって、政務次官はそういう要望をされたお立場と、きょうはまた要望された者のお立場と、一人二役を兼ねておられるわけですが、とにかくえさの問題は、麦の問題が解決されなければ、方針が立たなければ、おそらく何もできないというのが実情ではないかと思います。それができない限り、自給飼料といっても、これはただことばだけの問題で終わって、実際は輸入飼料依存ということになってしまうと思います。この麦の問題をどうするか、これについて、ひとつ政務次官から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/175
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176・舘林三喜男
○舘林政府委員 養鶏、養豚の濃厚飼料の自給の問題は、実は畜産の大きな問題でございまして、率直に申しまして、日本の養豚、養鶏業の泣きどころという感じがいたすわけでございます。私も政務次官になりましてから、この問題を政務次官会議でも取り上げてもらい、たとえて申しますと、トウモロコシ、マイロ等につきましては、一年間にたぶん、昭和四十年度は四百万トンの輸入だと思っております。しかし、国内においてできるのはわずか十万トンという状況でございまして、文字どおりほとんど処置なしという感じがいたすわけでございます。私としては、政務次官会議でもしばしば意見を開陳いたしましたが、やはりこれはおもにアメリカから多く輸入されておる。しかし、スエズ運河の問題であるとか、今度のガルフのストライキ等を考えますと、やはり日本のトウモロコシ、マイロ等の需給の安定をはかるためには、タイとか南アフリカとか、その他東南アジア諸国からなるべくたくさん輸入するようにしたほうがいいのじゃないか。そのためには、耕作面積もタイ等に対してもふやしてもらわなければいけませんし、集荷組織とか港湾の埠頭、荷積み設備というようなものも充実しなければいけないと思います。とにかく東南アジアから今後第一次産品を買い上げてくれという圧迫がますます強いでしょうし、また日本のトウモロコシの需給の安定をはかるためにも、やはり幅広く世界各国から買うようにということが私の考え方の一つでございます。
また、魚粉につきましても、これだけ海国日本といわれてたくさんの魚がとれておりますけれども、ほとんどペルーその他から魚粉を仰いでいる。ある専門家に聞きましたら、これはお笑いになるかもしれませんが、日本でも魚粉の自給は必ずしも不可能ではない、たとえば魚の荷揚げ場で頭と臓物だけとってしまって、それを濃厚飼料に回わすということになれば、一ぺんに魚粉の問題は解決すると言われましたが、それは日本の国民の食生活の習慣からいってなかなか困難だ。かりにそう考えてきますと、結局自給度の向上をはかる。現在わずか五一%の自給度だと思いますが、この自給度の向上をはかるためには、結局お話しのとおりに大・裸麦をどうして増産するかというこの一点にかかっておるわけでありまして、私も湯山委員と一緒に米価審議会の委員をやりまして、私自身が赤城農林大臣に対しまして、もっと大・裸麦の増産をはかるべきだということを主張した一人であります。現在すでに裏作の放棄が行なわれておる。お話しのとおりに、毎年十万町歩以上の裏作放棄が行なわれているわけでございます。ことに数年前には、御承知のとおりに、大・裸麦の作付を放棄した場合に、左の作物に転換した場合には補助金を出すというような、あんな政策が一番悪かった。あんなことから非常に増産意欲がなくなった。しかし、今日の段階におきましては、通常の食糧庁という立場でなくて、畜産局、畜産行政も入れた農林省全般の立場から、大・裸麦の増産ということにつきましては、特別に重点を置いて考えなければいけないということを、私は局長にも食糧庁にも申し上げているわけであります。ただ、私は、政務次官として、あの中間報告の結果はどうなったかということになりますと、まことにつらいわけでございますけれども、私は、裏作をほんとうに大・裸麦に転換させるためには、なお若干の時間が必要じゃないかと思う。これから直ちに幾ら大・裸麦をつくれといいましても、反当収穫の問題から申しましても、大・裸麦の値段から申しましても、簡単につくってくれない。したがって農林省といたしましては、今日の段階におきまして、大・裸麦をモデル的な大規模な機械を使ってやるというようなことで、いわばお茶を濁しているような状態でございますが、これから先どうして農民の方々に裏作に大・裸麦をつくっていただくかということにつきましては、実は私まだ十分に研究をしていないわけで、また、農林省としても、中間報告を出す段階に至っていないと思います。しかし、とにかく湯山さんがおっしゃいましたように、日本の畜産の泣きどころである濃厚飼料の不足というものを解決するためには、文字どおり大・裸麦の増産以外にないということは、私は確信を持っておるわけでございまして、むしろ、湯山先生のような専門家にどうしたらいいかということをお知らせいただきたい、ほんとうに率直な気持ちで、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/176
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177・湯山勇
○湯山委員 率直な御答弁なので、それ以上その内容についてお聞きするつもりはございませんが、幸い政務次官が農林省にいらっしゃいます。麦作についての方針の中間報告等の作業が、まだどうも進んでいないように聞いております。もうすぐ麦価をきめる時期も迫っておりますので、ひとつ政務次官からそれぞれの担当部局を御鞭撻いただきまして、また省内全体も御鞭撻願って、最終報告になりますか、中間報告になりますか、とにかくりっぱな報告が出るように、政務次官にこの際格段の御尽力をお願申し上げたいと思います。
あと、基本的な問題はまた法案審議のときに譲るといたしまして、その一つは、今度ふすまの払い下げ価格が上がるということで、それは上げないようにしてもらいたいという陳情が相当ございます。三十キロ当たり六百十七円を六百三十四円にしようという意見のようでございますが、これは昨年いろいろ委員会でも取り上げられて、据え置きになったいきさつもございますので、四十年度はどうなさるのか、まだきまってないのか、どうしてもお上げになるのか、この辺はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/177
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178・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 輸入ふすま及び専増産ふすまの売り渡し予定価格、あるいは小麦の払い下げに関しまして織り込み価格として幾らにするかという問題につきまして、昨年度は輸入ふすまについて前年度三十キロ六百十七円でありましたものを六百四十八円、それから専増産ふすまについては六百六十五円という価格にしたいということで、予算編成をいたしたのでございますが、いろいろの経緯等もあり、また当委員会の御意見等もございまして、三十九年度中は据え置きにいたしたのでございます。私どもいろいろ考えたのでございますが、いわゆる民間ふすまの価格というものと著しくかけ離れた政府の操作飼料の価格というものを設けるということは、なかなか適当なことばでは言えない問題もございますが、流通上の障害というのが現実問題として起こり得るのでございます。でございますので、政府のきめます価格、いわば行政価格については、一定の基準を確立する必要があるということで、四十年度予算案を編成いたしますに際しまして、政府内部でいろいろ議論をいたしました結果、御承知のように、飼料穀物ないしふすまというものは、国際的には漸騰の傾向を持っておるのでございますが、これを昨年のような過去一年間の国際飼料価格というものを基準にしてきめるということには問題がありますので、過去三カ年の輸入飼料価格、代表的なトウモロコシ、大豆かすのでん粉及びたん白質の成分比較というものを基準にいたしまして、輸入ふすまの価格を定めるということにいたしまして、十算しました結果が、三十キロ当たり六百三十四円ということに相なりました。専増産ふすまは、特殊の政策目的からつくるものでございますので、輸入ふすまと同価格にするという考え方で、予算案の編成をいたしたのであります。私は、端的にいいまして、四十年度は、一つの方式として、政府の間でも、農家に対してもきわめて穏当な価格のきめ方というものをやはり確立をしていく、これを守っていくということが、政府操作飼料の価格の決定というものが安定的になるわけでもございますので、また、現状の需給事情あるいは価格事情を見ますと、民間のふすまが裸にいたしましても三十キロ七百三、四十円に当たっておるのでありまして、今回の価格の是正をはかるにしましても、約百円程度の価格差があるという事実を考慮いたしますと、ここで、国の財政負担の問題は別にいたしましても、予算上私どもが考えました六百三十四円というものは、きわめて妥当なものであるというふうに考えておりますので、四十年度はその線で実行いたしたいというふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/178
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179・湯山勇
○湯山委員 局長の御説明の範囲においては、それは納得できないことはございません。ただしかし、従来の経過から見ますと、いまそういうふうに御説明になったことも、はたしてほんとうだろうかどうだろうかと、疑惑ができてくるわけです。と申しますのは、昨年はたしか三十円ばかり引き上げるという案であったと思います。三十円上げるというのを上げないで押えておいて、そして今度は、去年よりはことしのほうが実際にはふすま価格は上がっているのに、ことしは昨年の三十円を下回って、十七円上げたのでしんぼうしようという、この上がり下がりの経緯は、これはどうも、いまの一点だけにしぼって見ればそうかなとも思いますけれども、そういう前年来の動きから見てみると、今度十七円上げるということも、何かまた、そうは旨いながら取りやめになるのじゃないかというような印象も受けるし、それから、それなら昨年よりは状況がよくなったのかなというような誤解を受けるおそれもある。そこで、局長の言われたような方針をお通しになるのであれば、もう一年据え置きして、来年はこういう計算でこうしますということを十分納得、了解の上でなさるとすれば、いまのような、毎年こうなっていいかげんにきめられるのだという疑惑はなくなると思うのですが、もう一年据え置きするという御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/179
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180・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私の数字がちょっと間違っておったかもしれません。昨年は輸入ふすまを三十キロ当たり二十七円、専増産ふすまを四十八円上げるというようなことに予算上なっておったのでございますが、これは、三十八年まで、ふすま価格の決定をします場合の方式として、農林省が概算要求をいたします時期からさかのぼって十二カ月の輸入トウモロコシ及び大豆かすの価格というものを基礎にしてはじいておった。ところが、たまたま去年は、御承知のとおり、かなり高い時期に出っくわしたものでございますから、計算上そういう数字が出たわけでございますが、それでは年々の価格変動というのが、政府の需給操作の資料にそのまま出てくるということに問題がありますので、この期間を過去三カ年に延ばした。過去三カ年に延ばしますれば、少なくとも新しい年における価格抑制の機能を十分果たし得る価格が出るであろうということではじきました価格が六百三十四円ということでございまして、これはそれだけのものが政府側で方式として認められ合うということになりますれば、将来にわたっての価格の恣意性という問題も排除されますので、私としては、四十年度は新方式によって出ました価格を妥当として実施をしていきたいというふうに思うのでございます。なお、この問題、このような考え方につきましては、非公式ではございますが、飼料関係の生産者団体等の意向も、予算編成に先立ちまして徴したこともございまして、必ずしも私どもが恣意的にといいますか、官庁だけの判断で適当だというふうにきめたわけでもないのでございます。ただ結果がそういうことになりましたので、団体等が完全に了解をしておるというようなことは私は申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/180
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181・湯山勇
○湯山委員 これはいまの御答弁を了承したというわけじゃなくて、留保したいと思います。と申しますのは、計算方式の変化という場合には、前の方式も、方式としては客観性を持った一般的なものだということで、方式については議論の余地はないというような形でやられる場合が多いわけです。今度の場合もり方式が変わったのだということで押されますと、それは確かにそうなんですけれども、方式が絶対動かせないという性格のものではないわけなので、ですから、方式が変わったからこう変わったということだけでは、私は納得のできかねる面もあると思います。ただ、いまおっしゃったように、最近の時点だけとって高くなるのを、過去三年間とることによって低く押えるという方式を採用した、そのことはそれは認めますけれども、今度上がったということについては、できれば私どもは上げないようにしてほしいという希望を持っておりますので、これをひとつお伝えするにとどめたいと思います。
それから、同じように価格の問題ですけれども、大麦が、ふすま換算に直してみると、二千円ばかり高いということをいわれております。えさには、ホフマンですか、何とか理論とかカロリー計算とか、いろいろありますけれども、実際には大麦は少し高いということは、これはよくいわれておるところですが、この大麦の価格を引き下げるということについてはどのようにお考でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/181
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182・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 大麦の払い下げ予定価格は、トン当たり二万三千四百円程度だと記憶しておりますが、この価格も、ただいま申し上げました輸入ふすまの価格計算と全く同じ方法で計算をしましたものでございます。厳密に申せば、二万三千四百円の上に端数が出るのでございますが、それを整理をいたしまして、昨年と同額に据え置いたということでございまして、輸入ふすまとの関係においては、割り高であるということはないわけでございます。かつ、輸入大麦につきましては、実は輸入大麦の国際市況の関係もございまして、トン当たりの財政負担はかなり大きくなっておるのでございます。これが割り高であるというような声は、一つは、輸入大麦の使用慣行、えさとしての使用慣行が、日本にはまだ外国ほど十分に熟していないという点があるだろうと私は思います。わずかではございますが、計算上の端数を切って据え置きましたのも、そういう配慮も多少加えたつもりでございます。大麦を政府操作の飼料に加えましたのは、三十八年の暮れに、同年の長雨による国内麦の減産を埋めるために緊急輸入をいたしたのが最初でございまして、その後三十九年度は、計画上三十五万トンということでございましたが、大体実績としても三十三万トン程度の操作が可能のようでございまして、順次使用慣行も普及しつつあるということでございまして、私は、いまの大麦価格は割り高であるということはないというふうに思っておりますので、これをトン当たりさらに千円引き下げるということは適当でないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/182
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183・湯山勇
○湯山委員 もう時間も迫りましたので、あと簡単にお尋ねいたしますが、その一つは、えさの輸送料の問題でございます。これはふすま、配合飼料、油かす、ともに二十三級に指定されております。ところが、肥料は二十四級、こういう関係で、現在、大豆かすなんかは、ほとんど肥料ではなくて、飼料になっておると思います。これは当然量も相当多い多量貨物でございますし、いまのような性格から考えて、当然肥料並みの二十四級、これはトン当たり四百十一円ですか、これの適用にすべきではないか。大豆かすなんかは、肥料ということでやればそれでいく、えさになったからというので同じ大豆かすを四百四十円というわけにもいかないと思います。この辺にはかなりの矛盾が——矛盾といいますか、あいまいな点もありますので、えさは一切を含めて二十四級、肥料なみの運賃にするということは、これは現在大豆かすがそういう扱いを受けている点からいって、不可能ではないと思います。これはまあ農林省にお尋ねする筋合いでもないかとも思いますけれども、やはり農林省のほうでその気ならなければできない問題でございます。これをひとつ引き下げるということについてどういうお考えを持っておられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/183
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184・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話しのように、いわゆる国鉄の貨物運賃のうち、政策運賃という観点から、飼料の運賃が二十三級であり、肥料が二十四級であるということは、私は均衡を失したものと思っております。したがって、私どもとしては、運賃等級の改定について、国鉄当局に事務的に申し入れをいたしておるのでございます。国鉄の貨物運賃につきましては、御承知のように、運輸審議会による抜本的な改定の答申等もございまして、当局としては、その問題を控えて、部分的な等級の改定というのはいたしにくいということで、現在まだ実現をしてないのであります。いかなる時期にいかような運賃等級の改定が行なわれるか、私もつまびらかにいたしませんが、私どもとしては、今後とも飼料の運賃の取り扱いが少なくも肥料並みになるような努力は続けていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/184
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185・湯山勇
○湯山委員 ぜひひとつすみやかにこれを実現していただきたいと思います。
それから最後にお尋ねいたしたいのは、配合飼料の中にビタミン等により強化されたものがあります。鶏のいろいろな疾病を見ますと、ビタミンAの欠乏症というのが若干ありますけれども、その他にビタミンの欠乏症というのはあまり見られない。ぬかなんか食べておるし、ああいうものを食べておるので、ビタミンBの欠乏症もおそらくないでしょうし、野菜なんか食べておるから、Cの欠乏もないだろうし、Aの欠乏が若干あるというのですけれども、魚粉なんかも入れば、そういうこともなくなるでしょうし、一体、鶏なんかの飼料で、ビタミンによる強化、そういう必要があるかどうかですね。相当これは高いものでもありますし、それから不明朗でもあるし、全くこれについては理解に苦しむ。やむを得ず買っておるという農家が多くて、ぜひその強化されたえさが必要だ、そういう希望はないようでございますが、この点はどうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/185
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186・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現在のいわゆる配合飼料の中には、ビタミン、ミネラル、あるいは抗生物質その他の添加剤が相当量添加されておるのでございます。家畜の生活現象だけの必要性から申せば、私は、お話のように、ビタミン等の添加が必要ない場合が多いと思うのでございますが、家畜の肉なり卵なりの生産効率の問題になりますと、世界各国、ビタミンなりあるいは希少元素なりの必要量の研究というものがかなり進んでおるのでございまして、いわば理想給与あるいは標準給与というものは、相当精細にわかってきておるわけでございます。そういう基準に基づきまして、ビタミンの添加等をいたしておるのでございますが、それがはたして必要最小限度のものであるか、あるいはむだなものであるか、あるいは場合によって有害なものであるか等につきましては、各国ともまだはっきりしたものがないわけでございます。
私のほうでも、飼料に対する添加剤の問題につきまして、多少時間をかけてもよいから、日本は日本なりで研究をしたいというので、飼料添加剤に関する研究会を、それぞれ専門家のお集まりを願って、昨年来続けておるのでございますが、それぞれの添加物質についての問題を究明いたしてまいります関係上、まだ結論には至りませんが、今後ともその研究会等で検討を進めまして、結論を得次第、行政上の措置をとってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/186
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187・湯山勇
○湯山委員 そこで、結論が出るまで、ビタミン添加飼料というものの販売を規制するというようなことはできないでしょうか。と申しますのは、ビタミンにしても、いまの希有元素にしても、これはごく少量で、過剰にとるということは必要のないものであることは、御存じのとおりでございます。それからかりに幾らかのそういう元素が必要であるとしても、土の上のものをついばんでおる鶏なんか、これはもちろんそういうところから補えるものも相当あると思いますし、実験的に純粋に飼育したものと、それから一般に農家でやっておるものとの間には、たとえ多数飼育をやっておったとしても、かなり違っております。ところが、出回っておるものの中には、いまの強化されたものが相当あるわけで、これはその必要があるかないか、まだはっきりしていないという段階で、それが出ておるということに問題があるわけですから、これについての対策を何かお考えいただくわけにはまいりますまいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/187
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188・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ビタミン等の添加剤というものを加えた場合の飼養上の効果というようなことについては、主として畜産試験場において給与試験をいたしておるのでございますが、普通一般に従来から用いられております配合原料だけでは、ビタミンあるいはミネラル等に理想的な給与としては不足するということは明らかなようであります。でございますので、ここで添加物をやめさせるというわけには私はまいらぬと思うのでございます。いずれにしましても、添加物はかなり高価のものでございますので、これがえさの価格形成上、必要でないとするならば、好ましいことでもございませんので、この点については過去の試験結果というものの範囲内で、最小限度の添加ということにとどめるよう指導いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/188
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189・湯山勇
○湯山委員 なお、ビタミンの原料などはそんなに高いものもないと思います。しかし、そういうものが入ると、それ以上に値段が上がってきておるということも事実ですし、それから御尽力願って、二種混の場合の関税はとりやめになりましたけれども、むしろいま要望しておるのは、単味でやってほしい、自家生産の飼料もまぜて飼料自給態勢に幾らかでも貢献しよう、それからコストをそれによって幾らかでも下げていこうという希望を多数の農家は持っております。そういうことから考えてみますと、おっしゃるように、こういう場合にはこういうビタミンを添加したらいいという指導は、私はずいぶんしていただいていいと思いますけれども、それを配合飼料の中に入れて、強化されたえさとして出さなければならないということは、これはそれとは別の問題だと思います。そこで、指導はうんとしていただきますけれども、しかし、高い強化飼料を使うという態勢は、すみやかにひとつ是正していただきたいと思います。
たいへんおそくまで失礼いたしましたが、以上で終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/189
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190・赤路友藏
○赤路委員 関連して。
一点だけこれは答弁は求めません。希望条件として述べておきたいと思います。湯山君から、養鶏の問題について、専門的にかなりいろいろと御質問があったわけなんですが、どうもいままでお聞きしておりまして、政府のほうの受けとめ方に少し甘い点があると思いますので、一点だけ私のほうから要望いたしておきます。
養鶏産卵業者に会って、いろいろ話をいたしてみますと、まず第一は、優良鶏をほしいということが第一の希望で、それから第二は、白血病その他の病気の予防を早くひとつ成功さしてもらいたい、これが第二の希望であります。第三は、安いえさを何とかしてほしい、この三点が養鶏業者の強い要望になっておるわけです。養鶏業者が言うように、この三点がうまく総合されて、調整されていきますと、もっと私はコストダウンができると思うわけなんです。この一番最初に申し上げました優良鶏がほしいということは、これは養鶏をやる者は当然なんです。それが今日アメリカ鶏にどんどん変わっていく原因だと思うわけです。昭和三十七年の統計を見てみましても、アメリカ鶏の輸入は七万ですか、それが三十八年では百七十何万羽ですか、急激にふえている。おそらく三十九年はもっとふえるでしょう。いまのような状態でいけば、何年か先には全部これは外国鶏になるのではないかと思う。からだが小さくて、えさが少なくて、病気にならなくて、しかも産卵率が多いというなら、それはだれだって養鶏家はこれにきますよ。先ほど湯山君が、こうした外国鶏に対抗する国産鶏の研究をやっておるかと言ったのはここなんです。ざっと考えてみて、いま一億羽でしょう。一羽六百円です。アメリカ鶏の卵を日本でとって、ふ化して育成することができないのですよ。そうすると、悪くすると、全部養鶏というのはアメリカ資本に押えられてしまう。かりに一羽六百円として、一億羽だったら何ぼですか、六百億でしょう。まだふえる可能性がある。こういうような事態は簡単でないと思うのですよ。私はそれを言いたかった。受けとめ方があまりにも甘いじゃないか。ということは、養鶏に関する限りにおいては、へたまごつくと、アメリカの養鶏に完全に押えられてしまうというあれがあるわけです。しかも私が聞いた範囲内では、先ほど御説明がありましたが、このアメリカの基本理論というのですか、今日ここまでアメリカ鶏がきた基本的な研究の基礎は、日本の学者の説だ、こういっている。私は、こういうことをもひとつお含み願って、ただ単なる答弁という形でなしに、ひとつぜひ突っ込んでやっていただきたい、このことを要望いたします。もう答弁は求めません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/190
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191・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 次会は来たる三十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X01919650325/191
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