1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月七日(水曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
理事 芳賀 貢君
池田 清志君 宇野 宗佑君
亀岡 高夫君 吉川 久衛君
倉成 正君 笹山茂太郎君
田口長治郎君 田邉 國男君
高見 三郎君 中川 一郎君
丹羽 兵助君 野原 正勝君
藤田 義光君 細田 吉藏君
卜部 政巳君 兒玉 末男君
松井 誠君 松浦 定義君
森 義視君 山田 長司君
湯山 勇君 小平 忠君
中村 時雄君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 井原 敏之君
総理府事務官
(北海道開発庁
総務監理官) 小熊 清君
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
委員外の出席者
議 員 芳賀 貢君
専 門 員 松任谷健太郎君
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本日の会議に付した案件
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案(内閣
提出第一二五号)
牛乳法案(芳賀貢君外十一名提出、衆法第一七
号)
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/0
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001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案及び芳賀貢君外十一名提出、牛乳法案の両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/1
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002・濱地文平
○濱地委員長 まず内閣提出、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案について、提案理由の説明を聴取いたします。舘林農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/2
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003・舘林三喜男
○舘林政府委員 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
近年におけるわが国の酪農の発展はまことに目ざましいものがありますが、わが国経済の高度成長、開放経済体制の進展、農業全体の構造変化等酪農を取り巻く諸情勢は急速な変化を示しつつあります。また酪農自体としても、その経営規模は漸次拡大しつつあるとはいえ、なお一般に零細であり、飼料自給度も低く、全体として生産性、収益性は低い状態にあります。また生乳流通加工面におきましても、生乳取引の公正と安定の確保、集乳路線の整備、乳業の合理化等、数多くの解決しなければならない問題をかかえている状況にあります。さらに最近におきましては、生乳生産量の伸び率が鈍化しており、今後予想される牛乳製品の需要の増大を考慮するとき、これからの需給の逼迫が懸念されております。
これらの諸情勢にかんがみ、一、今後とも増大が予想される需要に対応して可能な限り生乳の国内自給をはかるよう生産の安定的拡大につとめること。二、乳牛飼養規模の拡大等を通じて酪農経営の生産性の向上を促進すること。三、牛乳乳製品の需給の安定並びにその処理、加工、流通を通ずる合理化を推進すること。以上の三つを施策の基本方針としております。またこれが実施にあたっては、需要の急速な増大が予測され、同時に生産者にとっても相対的に有利な飲用乳の比率を富めるよう配慮してまいるべきものと考えております。以上の基本方針を具体化する施策の一環として、生乳生産者に対する加工原料乳についての補給金の交付の措置、主要な乳製品について畜産振興事業団が行なう一元的輸入による需給安定の措置並びに同事業団が行なう乳製品の買い入れ、売り渡しに関する業務を改善整備するための措置を暫定的に講ずることとし、ここに加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案を提出した次第であります。
以下この法律案の内容につきまして御説明いたします。
その第一は、加工原料乳生産者に対する補給金の交付の措置であります。畜産振興事業団による乳製品の需給操作を通じて加工原料乳の価格安定をはかることをその骨子とする現行の畜産物の価格安定等に関する法律による価格安定措置につきましては、最近における生乳生産の動向と乳製品の需給実勢から見て運用上の困難が予想されるところであります。
今後酪農経営の安定向上及び牛乳乳製品の需給の安定をはかるためには、価格安定制度の改善強化を緊要とするゆえんであります。特に加工原料乳につきましては、乳製品の国内価格が国際価格に比して一般に割り高な水準にありながら、原料乳に支払い得る乳価は、なおその再生産を確保するに困難な水準であることから考えて、財政上の援助が必要であります。特に加工原料乳の主要な生産地帯の多くは、今後とも酪農を基幹作目として農業の発展をはかっていくことを必要とする地帯であります。またこれらの地帯は、今後とも急速な需要の増大が予測される飲用乳の将来における供給源として期待される地帯であることも配慮されねばならないところであります。
かような観点から、現在その乳価形成が不明確な生乳取引を用途別価格による取引に改め、加工原料乳につき生乳生産者に対して補給金の交付を行なうこととしております。これが実施の方法といたしましては、畜産振興事業団が、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体に、生産者から委託を受けて販売した加工原料乳の数量に応じて補給金を交付し、その生産者団体は、生乳販売代金に交付された補給金を加算して、生産者に対してその生乳委託販売数量に応じて支払うことといたしております。
補給金は、主要な加工原料乳地域の生乳の再生産を確保することを旨として定められる保証価格と乳製品の実勢価格を基準として定められる加工原料乳の基準取引価格との差額とし、補給金の交付の対象となる数量には、限度を定めることとしております。
第二は、加工原料乳に対する補給金制度及び乳製品の価格安定制度の適正な運営を確保するため、畜産振興事業団が、主要な乳製品の輸入を一元的に行ない、乳製品の需給及び価格の安定をはかることといたしております。
第三は、右の制度と関連いたしまして、乳製品の消費の安定に資するような一定の水準での価格の安定を確保するため、畜産振興事業団が行なう乳製品の買い入れ及び売り渡しに関する特例措置を定めたことでございます。なおこの法律案は、今後における酪農及び乳業の合理化の進展と酪農経営にとって価格条件の有利な飲用乳の比率が高まって行くことも期待されますので、昭和四十一年度以降当分の間の暫定措置を定めるものとし、これに伴い現行の畜産物の価格安定等に関する法律の規定の適用について必要な特例を設けてございます。
以上が、この法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/3
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004・濱地文平
○濱地委員長 次に、芳賀貢君外十一名提出の牛乳法案について、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/4
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005・芳賀貢
○芳賀議員 ただいま議題となりました芳賀貢君外十一名提出にかかる牛乳法案について、その提案理由と内容を御説明申し上げます。
最近におけるわが国の農業は高度成長政策に災いされて、農業基本法に掲げる生産性の向上と所得の確保は、単なる題目にとどまり、農業就業人口の都市への大量流失、兼業農家の急増等によって、農業生産は停滞し、国民食糧の供給に不安を生じ、今後の農業発展に対し、まことに憂慮すべき事態に立ち至っていることは御承知のとおりであります。
この際、酪農の現状について申し上げますと、昭和三十年の乳牛の頭数は四十二万一千頭であったのが、三十九年には百二十三万八千頭と、十年間に三倍に増加し、いまでは四十万戸の酪農家が平均三頭の乳牛を飼育しており、したがって牛乳の生産についても、昭和三十年には年産百万トンであったのが、三十九年には三百四万トンと、生産量も三倍に躍進しているのであります。またこれに対して飲用牛乳及び乳製品の国民消費は、毎年一三%ないし一五%と順調に伸長を示しているのであります。かかる生産と消費の動向にもかかわらず、酪農政策については今日多くの矛盾と欠陥が起伏しているのであります。
最近政府は、社会開発の推進によってひずみ是正をはかり、明るい農村を建設すると宣伝しておりますが、依然として貿易の自由化を促進し、食糧自給体制を放棄し、安上がり農政を強行しておりますことは、各方面から指摘されているところであり、まさに自民党政府に農政なしの感を禁じ得ないのであります。しかして政府はここ数年来、農業基本法にのっとり、畜産、果樹等の成長部門に対し選択的拡大の路線を推進してまいりましたが、この施策と並行して実行されるべき飼料資源の開発及び流通管理対策、あるいは牛乳、乳製品の生産と価格及び流通対策が、独占的な乳業資本または飼料会社の利益本位に進められているため、酪農民の適正な労働報酬すら確保されず、毎年のように生産者と乳業者の間に乳価問題をめぐって紛争を生起させ、結局生産者には低乳価をしい、消費者には生産者乳価の三倍にものぼる高乳価を押しつけているという矛盾をもたらし、いまや酪農民は政府に対し強い不信の念すら抱いているのであります。
まさに農民不在ともいうべき政府の農政に対して、わが日本社会党の酪農政策の基本方針を申し上げすまならば、すなわちわが国の食糧自給体制を確立し、食生活の消費構造の質的向上をはかるため、農業発展長期計画に基づいて、牛乳・乳製品の生産を確保し、酪農の発展と農民所得の増大を期することとし、国の責任によって、草地の開発造成を行って、自給飼料の増産等、生産条件を整備し、酪農経営の近代化、共同化を促進するとともに、牛乳の生産、加工、流通、価格、消費等の対策については国の管理を強め、特に価格対策、消流対策については抜本的な改革を行なうこととし、この基本方針に基づく重要な柱として今回牛乳法案を提出した次第であります。
したがって本法案の目的といたしますところは、牛乳及び乳製品の生産の確保、価格の安定、消費の増進等をはかるとともに、酪農及びその関連産業の健全な発達と農家所得の向上を促進し、あわせて国民食生活の改善に資するため、生乳についての交付金の交付、牛乳及び乳製品の販売に関する基準価格の設定、乳製品の政府の買い入れ及び売り渡し、学校給食用牛乳及び母子保健牛乳の給付等の措置を講じようとするものであります。
以上が本法案を提出した理由であります。
次に、法案の内容について申し上げます。
第一に、農林大臣は毎五ヵ年を一期とする牛乳等長期需給計画を定め、これに基づき牛乳等年度需要計画を定めて公表することとしております。年度計画の内容は、生乳の生産数量、飲用牛乳、乳製品の需給数量、政府の買い入れ及び売り渡し見込み数量及び生乳の遠距離輸送に関する事項等であります。
第二に、農林大臣は牛乳年度の開始前に、一、生乳の保証価格、二、生乳の販売基準価格、三、飲用牛乳の販売基準価格、四、飲用牛乳の小売り基準価格、五、指定乳製品の販売基準価格を定めて告示することといたしております。
まず一の生乳の保証価格は、食管法に基づく生産者米価と同様に、生産費所得補償方式によって算定された生乳の生産者価格であり、同時に政府の保証価格であります。また保証価格は、一物一価の原則により、全国同一価格をたてまえといたしております。
二の、生乳販売基準価格は、農業パリティ指数、物価及び消費者の家計費等を参酌して定めることとし、この価格は、生産者団体が乳業者に生乳を売り渡す場合の最低販売価格のことであります。
三の、飲用牛乳の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に飲用牛乳の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので卸販売価格のことであります。
四の、飲用牛乳の小売り基準価格は、飲用牛乳の販売基準価格に、小売り販売に要する標準的な費用を加えたもので、飲用牛乳の消費者価格のことであります。
五の、指定乳製品の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので、乳製品の卸売り価格のことであります。
第三は、生産者団体による生乳の一元集荷多元販売についてであります。生乳の生産者が構成員となっている農業協同組合または農業協同組合連合会は、生乳生産者団体として、生産者から生乳の販売の委託を受けて、生乳の一元集荷と販売の事業を行なうとともに、全国を区域とする農業協同組合連合会は指定生乳生産者団体として、政府からの交付金を生産者に交付する業務を行なうことといたしたのであります。
第四は、生産者に対する交付金の交付についてであります。まず生乳の保証価格から生乳の販売基準価格を控除した額が交付金の基礎となるのであります。政府は生産者団体が一元集荷して、乳業者に販売した生乳の総数量に対し、交付金を交付するものとし、その場合の指定生産者団体は農林大臣が指定した全国を区域とする農業協同組合連合会とし、交付金は農協系統を経由して生産者に交付することといたしたのであります。
第五は、指定乳製品の政府買い入れ及び売り渡しについてであります。政府は乳製品の需要及び価格の安定をはかるため、指定乳製品を生産者団体または乳業者からの申し込みを受けて買い入れるものとし、買い入れ価格は販売基準価格によることといたしたのであります。次に、政府が買い入れまたは輸入した乳製品の売り渡しについては、その時価が販売基準価格の水準に安定するようにつとめることといたしております。
第六は、乳製品の輸入についてであります。政府は牛乳等年度需給計画に基づき、需給上必要な乳製品を輸入するものとし、輸入については政府がこれを行なうことといたしたのであります。
第七は、学校給食用牛乳の無償給付と、母子保健牛乳の給与についてであります。わが日本社会党は、すでに第四十六国会において学校給食法の一部改正法案及び学校給食牛乳の供給に関する特別措置法案を提出し、今国会において目下継続審議中でありますが、両法案の趣旨は、義務教育諸学校の児童、生徒に対し、牛乳の学校給食を無償で給与することとし、これが実施に必要な措置を内容としたものであります。したがって本法案においても、学校給食牛乳を無償で給付する旨を明らかにいたしたのであります。また妊産婦及び乳幼児の健康の保持増進をはかるため、母子に対して牛乳、乳製品の摂取に必要な費用の全部または一部を国が負担する旨を明らかにいたしたのであります。
第八は、牛乳審議会の設置についてであります。審議会は農林大臣の諮問に応じ、牛乳等需給計画、生乳の保証価格、飲用牛乳及び乳製品の販売基準価格、その他重要事項を調査審議し、あわせて農林大臣に対し建議するものといたしております。
第九は、生乳の遠距離輸送に関する施策についてであります。政府は牛乳等年度需給計画に基づき、牛乳の流通の円滑化をはかるため、牛乳の遠距離輸送に必要な牛乳専用貸車または牛乳専用船を建造して、これを指定生産者団体に無償貸し付けを行ない、公共的な牛乳の輸送が期せられるようにいたしたのであります。
第十に、政府は生乳の価格安定をはかるため、生産者団体の飲用牛乳または乳製品の製造施設等について、経費の一部を補助することができることとし、また乳業者に対しても、それらの製造施設に要する資金の融通、あっせんを行なうものといたしたのであります。
第十一に、農林大臣または都道府県知事は飲用牛乳または乳製品の製造または販売業者に対し、流通経費の低減をはかるため、経営の改善、合理化等に関し、必要な勧告を行なうことができるものといたしたのであります。
第十二は、交付金の対象となる生乳の集荷及び販売の適正を期するため、指定生産団体及び乳業者は農林省令で定めるところに従い帳簿を備え付けること、農林大臣または都道府県知事が必要とする報告、または立ち入り検査に応ずる義務を明示いたしたのであります。
第十三は、附則におきまして農林省設置法、酪農振興法、畜産物価格安定法についての改正及び諸規定の整備を行なうことといたしております。なおこの法律の業務及び会計については牛乳管理特別会計によることとし、別途に法律案を提出することといたしたのであります。
以上が牛乳法案の内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いして、提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/5
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006・濱地文平
○濱地委員長 引き続き加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案の補足説明を聴取いたします。桧垣畜産局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/6
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007・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案につきまして、補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、ここでは省略することといたし、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
この法律案の構成につきましては、全七章及び附則からなっておりまして、以下章を追って御説明申し上げます。
まず第一章におきましては、この法律案の目的とこの法律案における用語の定義を定めております。
この法律案の目的につきましては、牛乳及び乳製品の需要の動向と生乳の生産事情の変化に対処して、生乳の価格形成の合理化と牛乳及び乳製品の価格の安定をはかることにより、酪農及びその関連産業の健全な発達を促進し、あわせて国民食生活の改善に資することを目的として、畜産振興事業団に、第一に加工原料乳についての生産者補給交付金の交付、第二に輸入乳製品の調整、第三にこれらと関連して行なう乳製品の買い入れ、売り渡し等を行なわしめることとし、これらの諸措置につきましては、将来わが国の酪農及び乳業の合理化が進展すべきこと、かつ酪農経営にとって価格条件が相対的に有利と判断される飲用乳の比率が高まっていくことも期待されますので、当分の間の措置といたしております。
次に、この法律案における用語の定義につきましては、生産者補給金の交付の対象となる加工原料乳及び畜産振興事業団の買い入れ、売り渡し等の対象となる指定乳製品について所要の定義を定めております。
第二章におきましては、畜産振興事業団が、畜産物の価格安定等に関する法律に規定される業務のほか、加工原料乳についての生産者補給交付金の交付、指定乳製品等の輸入及び指定乳製品等の買い入れ、売り渡し等の業務を行なうことになったことに伴い、その行なう業務の範囲の特例について定めております。
第三章におきましては、この法律案のねらいとする第一の措置であります加工原料乳についての生産者補給金の交付に関して定めております。
まず牛乳及び乳製品の価格安定措置につきましては、従来畜産物の価格安定等に関する法律に基づき、乳製品の売買操作を通じて間接的に原料乳の価格の安定をはかってきておりますが、最近における生乳生産の動向と乳製品の需給実勢から見て、現行制度では将来運用上困難が予想されるところであります。
そこで需要の動向に即応した牛乳及び乳製品の安定的な供給をはかり、酪農経営の安定向上を期するためには、酪農振興施策の重要な一環として、現行価格安定制度につきその改善強化をはかることが緊要であると考えるのであります。現行価格安定制度の改善強化の方途につきましては、用途別の取引が行なわれる場合、特に価格条件の不利が予測される加工原料乳について、これを補正するため、財政上の援助を行なうこととしたものであります。
加工原料乳についての生産者補給金の交付の方法につきましては、畜産振興事業団が、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体に対し、生産者から委託を受けて販売した加工原料乳について生産者補給交付金を交付することとし、その交付を受けた指定生乳生産者団体は、これを生産者補給金として、牛乳の販売の委託をした者に対し、販売の委託をした生乳の数量を基準として交付することといたしております。
生産者補給交付金の交付を受ける生乳生産者団体は、都道府県知事の指定を受けることを要することといたしておりますが、これは本制度が従来からの混合乳価取引を用途別取引に改め、この上に立って加工原料乳について生産者補給金を交付することといたしておりますので、酪農民相互間の公平を確保しつつ、本制度の円滑な実施をはかるためには、生乳の販売を行なう生産者団体の段階で乳価のプールが行なわれることが必要であり、現状において乳価が都道府県単位はおおむね同一水準にあることから見て、原則として都道府県単位で乳価のプールを行なうことが最も適切であると考えられることにかんがみ、都道府県の区域ごとに生乳の販売を行ない、かつ乳価のプールを行なうものとして生乳生産者団体を指定することとしたのであります。
都道府県知事の行なう生乳生産者団体の指定につきましては、以上の趣旨及びこれが生産者補給交付金の交付を受けることとなる法律上の地位にかんがみ、第一に生産者から委託を受けて販売する生乳の数量が、区域内で生産される生乳の数量に対し、相当の割合を占めていること。
第二に区域内の生産者のすべてが直接または間接に加入でき、かつ員外瀞の利用がその構成員に比し、実質的に制限されていないこと。
第三に生乳の販売の委託をした者に対して支払う対価の算定の方法、生乳の販売価格の約定の方法等が農林省令で定める基準に従って定められていること等を要件とし、これらの要件のすべてに適合するものに限って、指定することといたしております。
次に、畜産振興事業団が指定生乳生産者団体に交付する生産者補給交付金の金額は、次に御説明いたします保証価格と基準取引価格との差額に、当該指定生乳生産者団体が生産者から委託を受けて販売した加工原料乳の数量を乗じて得た額といたしております。
この場合における保証価格につきましては、生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として、農林大臣が定めることといたしております。
また基準取引価格につきましては、指定乳製品にあっては次に御説明いたしますその安定指標価格、その他の主要乳製品にあってはその生産者の販売価格から当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額を控除した金額、すなわち加工採算価格を基準として、農林大臣が定めることといたしております。
また基準取引価格の算定の基礎となると同時に、畜産振興事業団の行なう買い入れ、売り渡し等の基準となる指定乳製品の安定指標価格につきましては、指定乳製品の生産条件及び需給事情を考慮し、指定乳製品の消費の安定に資することを旨として、農林大臣が定めることといたしております。
なお指定生乳生産者団体が生産者補給交付金の交付を受けることができる加工原料乳の数量につきましては、限度を定めることといたしております。この限度につきましては、畜産振興事業団が交付する生産者補給交付金にかかる加工原料乳の数量の最高限度として農林大臣が定める数量を基礎として、指定生乳生産者団体ごとに算出することといたしております。この農林大臣が定める数量につきましては、生乳の生産事情、飲用牛乳及び製品の需給事情その他の経済事情を考慮して定めることといたしております。
なお、農林大臣は、保証価格及び農林大臣が定める数量を定めるにあたっては、酪農経営の合理化を促進することとなるように配慮することといたしております。
以上の保証価格、基準取引価格、安定指標価格及び農林大臣が定める数量につきましては、会計年度ごとに、その年度の開始前に畜産物価格審議会の意見を聞いて定めることといたしております。
次に、第四章におきましては、この法律案の第二の措置であります畜産振興事業団による指定乳製品等の一元的輸入に関して定めております。
まず牛乳及び乳製品の需給の推移によりましては、自給及び価格の安定上必要な乳製品につきましては、輸入を行なうことも考慮しなければならないのであります。したがいましてわが国の酪農及び乳業に対する悪影響を避け、かつ指定乳製品の価格安定措置及びこれが基礎の上に立って行なわれる加工原料乳についての生産者補給交付金の交付措置を実効性を確保するため、指定乳製品及び政令で定める乳製品の輸入につきましては、畜産振興事業団をして、一元的に行なわしめることといたしたのであります。
すなわち、畜産振興事業団は、指定乳製品の価格が、すでに御説明いたしました安定指標価格をえて騰貴しまたは騰貴するおそれがある場合には、農林大臣の承認を受けて指定乳製品等を輸入することができることとし、同時に指定乳製品等の輸入は、畜産振興事業団または同事業団の委託を受けた者でなければしてはならないことといたしております。なお指定乳製品等の一元的輸入の趣旨が指定乳製品の国内における需給及び価格の安定をはかることにあるから、指定乳製品の価格の安定に悪影響を及ぼすおそれがない場合については、一元的輸入から除外することといたしております。
次に、第五章におきましては、この法律案の第三の措置として、畜産振興事業団が畜産物の価格安定等に関する法律に基づき行なっております指定乳製品の買い入れ、売り渡し等につきまして、特例措置を定めております。すなわち乳製品の価格安定措置につきまして、すでに御説明いたしました加工原料についての生産者補給交付金の交付措置及び指定乳製品等の一元的輸入措置との制度上の連携をはかりつつ、所要の改善を加えたのであります。
まず買い入れ、売り渡し等の対象品目につきましては、すでに御説明いたしました一元的輸入品目と同様、売り渡し及び輸入を目的とする買い入れの品目に、指定乳製品のほか、政令で定める乳製品を追加することといたしております。
また指定乳製品等の買い入れ、売り渡しの基準につきましては、畜産物の価格安定等に関する法律における安定上位価格及び安定下位価格による価格帯での価格の安定にかえて、その価格を安定指標価格の水準において安定させることを目途に、安定指標価格を基準として上下にそれぞれ一定の幅を設け、需給操作を行なうことといたしております。
なお、以上の措置に関連して、指定乳製品等の買い入れまたは売り渡しをしない場合、指定乳製品等の交換等に関しまして、それぞれ畜産物の価格安定等に関する法律の規定に相応した規定を設けております。
第六章におきましては、雑則といたしまして、この法律の施行に伴う畜産物の価格安定等に関する法律の適用についての特例、政府からの畜産振興事業団に対する交付金の交付等に関する規定を設けております。
まず畜産物の価格安定等に関する法律の適用についての特例について御説明いたしますと、同法に規定する原料乳の安定基準価格及び指定乳製品の安定上位価格及び安定下位価格に関する規定並びに指定乳製品の買い入れ、売り渡し等に関する規定につきましては、この法律案に保証価格、安定指標価格等に関する規定並びに指定乳製品等の買い入れ、売り渡し等に関する規定が設けられたことに伴い、適用しないことといたしております。
また同法に基づく安定基準価格を下回る価格により原料乳を買い入れる乳業者に対する農林大臣または都道府県知事の勧告措置につきましては、この法律案による基準取引価格を下回る価格で加工原料乳を買い入れる乳業者に対して適用するため、所要の規定を読みかえて適用することといたしております。
さらに畜産振興事業団の業務、財務会計等につきましては、畜産物の価格安定等に関する法律の規定の適用がありますが、このうち所要の事項につきましては、これらの規定を読みかえて適用することといたしております。このうち主要なものにつきまして御説明いたしますと、畜産振興事業団の行なう加工原料乳についての生産者補給交付金の交付業務及び輸入乳製品の買い入れ、売り渡し等の業務にかかる経理について新たに一つの特別の勘定を設け、現行の業務についての経理と区分して整理することとして、輸入乳製品の売買により差益が出た場合には、これを生産者補給交付金の交付業務の財減の一部に充当することができることといたしております。
また畜産振興事業団が指定生乳生産者団体に対して交付する生産者補給交付金につきましては、国が国以外の者に対して交付する補助金とみなして、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律を準用することといたしております。
次に、政府は畜産振興事業団に対し、同事業団が行なう加工原料乳についての生産者補給交付金の交付業務に必要な経費の財源に充てるため、交付金を交付することといたしております。
またさきに御説明いたしましたように、畜産振興事業団は、生産者補給交付金の交付業務及び輸入乳製品の買い入れ、売り渡し等の業務にかかる経理につきましては、特別の勘定を設けて区分経理し、輸入乳製品についての売買差益が生じた場合には、これを生産者補給交付金の財源の一部に充当することができることとしておりますが、その反面輸入差損の発生も予想されるところでありますので、このため発生した繰り越し欠損金を補てんするため、政府は以上の交付金のほかに、同事業団に対し交付金を交付することができることといたしております。
以上のほか、この法律の施行に必要な限度において、農林大臣または都道府県知事が生産者、乳業者、指定生乳生産者団体等について報告を徴収し、及び立ち入り検査を行なうことができる等の規定を設けております。
最後に、第七章におきまして、所要の罰則規定を設けているほか、附則におきまして、この法律案は昭和四十一年四月一日から施行することといたしております。なお生乳生産者団体の指定に関する手続及び保証価格等の決定に関する手続につきましては、この法律案の施行の準備をいたしますため、法律施行前においても行なうことができることといたしております。
以上をもちまして、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案の提案理由の補足説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/7
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008・濱地文平
○濱地委員長 以上両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/8
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009・濱地文平
○濱地委員長 次に、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前会に引き続き質疑を行ないます。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/9
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010・湯山勇
○湯山委員 せっかく行政管理庁のほうからおいでいただいておりますし、お忙しいようでございますから、行政管理庁への質問を先にいたしたいと思います。
先般三十九年の九月に臨時行政調査会から勧告と申しますか、意見が発表されまして、それが資料としてわれわれのもとにも届けられております。その資料の中で、農地開発機械公団に対する意見の中に、農地開発機械公団の運営は非常に不安定だ、その収益力を増進しなければいまの不安定な状態はいつまでも続く、そこで農地開発の実施業務に関しては、農地局の代行ができるような能力と規模とを早期に確立しなければならないという意見書が出されております。昨日当委員会におきまして、この臨時行政調査会の御意見について、農林省のほうへ同僚の楢崎委員から御質問を申し上げましたところが、農林省の御意見としては、この意見の締めくくりになっている農地開発の実施業務に関しては、農地局の代行をする能力と規模を早期に確立するという点については全く意見を異にする。本来農地開発機械公団の使命は、法律の第一条にある高能率の機械の効果的な運用をはかることが目的であって、いま臨時行政調査会の意見にあるような、そういうことをやるということは間違いだと申しますか、それは農林省としてはいただけないことだという意味の御答弁がきのうございました。そこで一体臨時行政調査会はこういう意見を出されるときに、農林省についてお調べになったのかどうか。どういう調査の結果、こういう御意見を農地開発機械公団についてお出しになったのか、この点をまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/10
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011・井原敏之
○井原政府委員 私、実は臨調の事務局におりまして、いろいろと臨調の調査の進行状況をフォローいたしております。ただ、いま御指摘の特殊法人の実態調査はどういう範囲までいたしたかという問題につきましては、これは専門部会という段階で調査員を動員いたしまして、事務局とは別途に調査をいたしたわけであります。したがってその点では私の承知しておる範囲が必ずしも全部をおおってはおらぬと思いますが、大体九十九の特殊法人の中で約十九を指摘しております。この勧告案を出すにつきましては、相当な関係責任者の意見を聞き、実地調査まではいたしておらぬと思いますが、相当ヒヤリング等もして、単に机上ででっち上げたというものではないのであります。そういう資料等も集め、説明も聴取した結論でございまして、臨調としては十分自信を持って政府に提案をされたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/11
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012・湯山勇
○湯山委員 いま局長の御答弁にありましたように、臨調としては十分自信を持ってこの勧告をした、こういうことでございますが、それでは農地局長にお尋ねいたします。
昨日の御答弁では、機械公団が農地局の代行をするだけの能力を持つようにしなければならないという点については、意見を異にするという意味の御答弁がございました。そうすると、これはどちらかが間違っておらなければならないことになるわけです。いま行管の局長の御答弁がございまして、実地についても調査をやって自信を持っておるということですが、農地局長はそれについてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/12
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013・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 昨日も申し上げたつもりでございますが、農地局は、たとえば国営事業につきましては調査し、企画し、具体的な設計を立てまして、しかる後にその事業所でもってそれを請負業者にかけるという仕事をいたしております。したがって農地局自身がオペレーターを使い、機械を動かすということは、過去において直轄事業としてのごく一部においてやったことはございますが、現在におきましては、いわば一種の企画、事業主の立場にある。したがいまして現在の機械公団というものは、先生もいま御指摘のとおり、事業主に機械を貸すか、事業主の委託を受けて機械を実際に使って工事をやるかということを任務といたしております。したがいまして私昨日も申しましたとおり、機械公団の性格というものを全く変えまして、持っている機械等を全部処分をいたしまして、そうして要するにそういう企画、発注の公団たるべしというふうに変えるという御意見であれば、これは別個の御意見でございます。そこは昨日使いましたことばも、現行機械公団を廃止して新しい機械公団をつくれという御意見に本質的に相なると存ずる。それは別個の問題として検討を要する問題でございます。現在の機械公団をそのままを前提として、農地局あるいは農林省の現場の事業所のやるような仕事を機械公団にやらせるということについては、これは施行主と事業主を混同した結果になる、かように私は考えておりますということを昨日申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/13
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014・湯山勇
○湯山委員 いまのような御意見で、臨調のほらの御意見と農林省の御意見とは、その根底において違っておると思います。この勧告を拝見しますと、勧告は、どちらかといえば機械公団の経営面を重点的にお取り上げになっている。局長の御答弁はそうではなくて、この公団の性格、そこからいまのような御見解を持っておる。これではこういう勧告をなさっても、全く意味をなさないということになると思いますが、それでいいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/14
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015・井原敏之
○井原政府委員 先ほど私は、臨時行政調査会といたしましては十分自信を持って勧告を出したという御報告を申し上げました。ただこれをいま政府が行政改革本部で受けとめて、実は特殊法人につきまして、臨調が指摘いたしましたものについては、調査を進めております。行革本部としましてもう一ぺん再検討するというと語弊が少しございますけれども、臨調の答申を尊重しながら、いよいよ具体化させるという点について調査いたしておるわけであります。本件もいままさに調査中でございます。そういうことで、これから農林当局と十分詰めをやらなければならぬというふうに考えておりますので、臨時行政調査会は確かに一つの立場から割り切った提案をしているわけでありますけれども、いよいよ実施という段階になって若干再検討をしなければならぬということ、あるいは補足調査をするということもやむを得ないということもあり得ると私どもは思っております。そういう意味で改革本部としましては作業を進めており、具体的には行管が指摘の法人については調査を進め中でございますので、農林省と改革本部あるいは行政管理庁が平行線のままに最後までなるとは考えておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/15
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016・湯山勇
○湯山委員 平行線のままになるとは考えないというのは、どちらかが歩み寄らなければならないわけですね。そうなりますと、局長の言われるのは、法律の目的に立っていまのような立論をされている。それから臨時行政調査会のほうは、そういうことじゃなくて、実態に立ってそういう議論を進めている。これはどちらが一体正当ですか。本筋なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/16
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017・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 若干補足させていただきますが、実は御指摘の中でいろいろございますうちの、機械公団の機械の稼動を高めなければならぬ、あるいはいろいろの事業を公団に施行せしめる必要がある。たとえば牧野の造成、八郎潟耕地整備事業についても、公団で可能なものは極力公団に受託——これは委託と読むのかもしれませんけれども——していくという部面については、先般来私どももお答えいたしました。この御勧告の中での一つの問題点は、農地局に代替し得るほどの公団の能力と規模を早期に確立する必要があるというところが、ちょっと問題であります。そこで私は、機械公団そのものがどうあるべきかという大きな取り上げ方の問題といたしましては、機械公団というものを受注公団から発注公団といいますか、ほかの発注公団のように将来改めていくことがいいのかどうかということは、それ自身研究課題だと存じますが、いまの機械公団をそのままにして、そしてこの姿において、本法律のもとにおいて、代替し得るというふうに持っていくことは、性格的に本質を変えることでございます。それらを含めて慎重に検討を要する問題、かように考えておるわけでございます。その点、念のため申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/17
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018・湯山勇
○湯山委員 いまおっしゃったことはよくわかっておるのです。問題は、いま局長が最後におっしゃったことが、実はこの勧告の柱をなしておる。他は、ただこういう例をあげただけで、そういうことについてはそういう努力がなされておるということも、これはよく存じております。問題は、基本的な問題で両者に対立があるというところが問題なので、相当これには費用もかけたし、期間もかけて出た結論なので、それがいま基本的なそういうところで食い違いのあるような勧告だと、私は臨調の勧告というものはきわめてあいまいなものじゃないか、もっと言えば、一体こうなったときの責任は、現段階においてはどこにあるのか、そういうことも実はお聞きしたいと思うくらいですが、これがいまのように、現行法のもとではそういうことはできないというようなことだと、一体こういう勧告をなさった臨調のお考えというのは、どういうところにあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/18
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019・井原敏之
○井原政府委員 臨調は、現在の農地開発機械公団の現行制度のままで、それを是認して、そのワク内で運用で改めるという、そういう程度のことだけではなしに、相当立法論を含めて言うておるわけです。いま伺っておりますと、農林省のほうでは、現在の機械公団の性格としてはこれこれということをおっしゃっておる。臨調は、相当立法論を考えておるわけです。したがってこの機械公団は、将来必要とあれば性格を変えてもよろしいし、新しい事業を持ってもよろしいし、あるいは別途の似通ったものと統合するというような考え方もある。臨調としては、そういう特殊法人の縮小といいますか、整理というような観点も、かなり強い問題意識だったわけであります。現在これに与えられておる性格では無理だというような、そういうワク内の話ではなしに、少し立法論にはみ出した提案をしておると思いますので、その辺が農林当局と現在の段階では食い違っておるかと思います。しかしいま改革本部で調査中でございますので、先ほど申し上げましたように、いずれは一つの結論になる、かように私どもは見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/19
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020・湯山勇
○湯山委員 それでは現在の調査段階では、農林省とのいろいろな協議ですか、そういうこともやっておられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/20
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021・井原敏之
○井原政府委員 やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/21
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022・湯山勇
○湯山委員 その協議について、農地局長はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/22
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023・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 今回の臨調のたいへん広範囲に各部門にわたってのいろいろのお話がございます。その全部につきまして、各省あるいは農林省全体が、問題をついていろいろお話をしているので、具体的に個々にぎりぎりしぼりましてのいろいろのお話し合いの段階では、まだないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/23
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024・湯山勇
○湯山委員 これは将来の問題として、いま行管のほうで御答弁にあったように、法律改正をして公団の性格を変えるということについては、検討の余地ありとお考えなんですか。それはやるべきことではないというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/24
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025・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 私はこれを実は非常にむずかしい問題と理解いたしております。したがって土地改良事業、農用地造成事業のあり方の根本から始まって検討すべき問題だ、かように考えております。したがって研究としては大いに続けなければならぬと思っておりますが、当面は、昨日来申し上げましたとおり、機械公団の現行法でもりっぱなファンクションを持っておるわけであります。この現行法に基づいたファンクションをりっぱに果たせるように手当てを考えるという方向で進みたい、私としてはかように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/25
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026・湯山勇
○湯山委員 もう一つお伺いしますが、将来はそういうふうに変わる可能性もあるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/26
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027・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 臨調との関係では、広範囲にいろいろの議論をいたして、十分研究を続ける必要があると存じております。それからいま私どもの担当いたしておる農林省プロパーの問題としては、機械公団を、早急に一条の目的から業務までを変更して、新しい任務を持った新しい組織体に変えるということにつきましては、研究はいたしますが、そういう方針を近くとろうとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/27
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028・湯山勇
○湯山委員 それで御両所の立場はよくわかりました。ただ私は、これはここで申し上げるべきことかどうかは別として、もし臨調の勧告がいま言ったような性格のものであれば、この勧告自体に非常に問題があると思います。その調査というものは、当然農林省についてもなされなければならないし、それからその実態についても十分な認識の上に立っての勧告であれば、いまのような大きな意見の食い違いというものはないと思います。いまの局長の御答弁だと、かりに行政管理庁のほうでお話し合いをお続けになっても、これだけ違った平行線で一致した立場が出るということは、これは容易なことではないと思います。これはどうしてほしいとか、こうしてほしいということではありませんけれども、指摘だけにとどめて、行管のほうでひとつそういう基本的な問題について、もう一ぺん御検討を願いたいと思います。
なお、この勧告をつくるにあたって、非常に重要な役目をしたと思われるのは、この公団の監事でございます。一名の常任監事、その常任監事については、この勧告をなさるときに、十分意見をお聞きになったと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/28
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029・井原敏之
○井原政府委員 これも先ほど申し上げましたように、実は私自身が専門部会の調査員として、専門委員の指揮を受け、調査をいたしております。監事の問題だけをどれだけ検討したかということは、ちょっとはっきりいたしません。ただこれは行政管理庁が勧告をいたしております。これは臨調とは別途に監事の制度の問題について出しておりますので、それによって現在は改善を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/29
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030・湯山勇
○湯山委員 そういう場合に、常識論としても、こういう勧告をなさるときには、開発機械公団の監事については十分意見を聞く、これは当然のことだと思います。そういうことから、監事の権限強化についての御勧告もあった、こう思います。ところが、公団はたくさんございますけれども、それは監事が一名というのが非常に多いのです。単数制のものが非常に多いのです。自来私どもは常にそういうことを申しておるのですけれども、監事が一名というところにも、いまのような食い違いが生じた原因があるのじゃないか。少なくとも監事は複数でなければならない。常任監事が一名の場合は、非常勤でけっこうだと思います。とにかく監事を複数にするということは、直接大臣にものが言えるということよりも、もっと重要なことじゃないかと思うのです。そこで一体こういう性格の公団で、常任監事を一名しか置かないというのは、どれくらいの割合ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/30
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031・井原敏之
○井原政府委員 特殊法人九十九のうちで、監事一名の法人は二十五ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/31
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032・湯山勇
○湯山委員 九十九の中に二十五といえば、四分の一は一名しかいないということなんですが、その一名にするのか、あるいは二名以上にするのかという基準が何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/32
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033・井原敏之
○井原政府委員 これは行政管理庁が特殊法人の審査権を持ちまして、ことしが三年目でございます。そういう点について、実はざっくばらんな話が、はっきりした基準を持っておりません。主務官庁が、できたものを、おおむね支障がないということで承認をしておるという段階、これはしかし私十分とは思いませんけれども、現在の段階ではその程度でございます。したがって基準というものでお答えすべきほどのものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/33
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034・湯山勇
○湯山委員 率直な御意見で、そうだろうと思います。そこでこの勧告がいまそういうような平行線をたどるようになった。それから監事の権限強化というのは、ただ一人では、大臣に直接言ったにしても、いまのようにその中でも平行する場合もあると思います。そういうことが一人の場合はなくて、一方だけが一〇〇%になってしまうということは、私は非常に問題だと思います。そこで将来の問題として、こういう公団の監事というのは、それは人件費等の関係もありますから、必ず常任を複数にせよということは私は申しません。非常勤でもけっこうです。ともかくも複数にするということは、行政管理の方針としては当然とるべきだと思いますが、局長の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/34
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035・井原敏之
○井原政府委員 いまの御提案の件は、確かに重要なる示唆だと思いますけれども、将来行管が特殊法人の審査をいたします場合に、十分考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/35
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036・湯山勇
○湯山委員 その点は、ここに一つ農地開発機械公団という具体的な事実があったので、よくおわかりいただけたと思います。早急にひとつ御善処願いたいと思います。どうもたいへんお忙しい中をありがとうございました。
次にお尋ねいたしますが、これは昨日楢崎委員からも指摘がございましたが、現在の開発機械公団で、局長が先ほど来御主張になったように、高能率の機械の活用ということがほんとうに行なわれているとお考えなのかどうなのか、丹羽局長にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/36
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037・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 率直に考えまして、機械公団ができました当初の日本におきます土木工事、ことに開墾工事におきましては、先生御承知のとおり、全国的に手開墾が支配的な状況でありましたが、ここに大型のブルその他の機械を入れまして、一挙に短期間に開墾をするということの道が開かれまして、その後開拓の問題は非常に問題がございまして、逐年機械で開墾をするという仕事が拡大をいたしてまいりました。その意味におきまして、機械公団が上北、根釧でやりましたことにつきましては、パイオニア的な価値を持ったと高く評価をいたしておるわけであります。その後民間業界等におきましても、それの成果により、また農林省等が機械開墾というものを奨励いたします関係もありまして、大型の機械を逐次みずから持つようになった。いわゆるブルドーザーを中心とする開墾というものが、非常に伸びてまいりました。現状におきましても、やはりそういう一般土建会社が片手間に持っておりますブルドーザーではなく、主体的に大量のブルドーザーをかかえて、それに沿う機械を脈絡を持ちまして体系的に持っておりますので、その場所いかんによりましては、機械公団というものが十分成果を発揮し、その法律の一条に書かれた目的を果たし得ると存ずるわけでございます。問題は、そういう適当な場所の問題が一つございます。それからもう一つ、最近の問題といたしましては、草地の造成等が非常にふえておりまして、これもやはりブルを中心とする事業でございますから、その過程におきましてできるだけ大きな機械を長い経験で効率的に使う仕事のパイオニアとしての役割りを、機械公団には果たしてもらってきていると、かように存じております。最近におきまして圃場整備事業が非常に拡大いたしまして、新しい機械の問題が起きております。これらの問題については機械公団がパイオニア的に、機械によってそうした仕事をやってもらいたい。率直に申しまして、完全に高性能の機械を効率的に使うという任務を一〇〇%果たしているかという点になりますと、民間にも相当大型機械が入りました関係上、若干問題があろうかと思いますが、やはりこれだけの機械を持ち、これだけの組織を持ってやっておりますので、相当程度その使命を果たしておる、かように私どもは認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/37
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038・湯山勇
○湯山委員 いま行政管理庁の臨時行政調査会の勧告をめぐって、局長の御答弁も非常にはっきりしておりました。そこで私がいまからお尋ねいたしたいことは、いまの御答弁に関連してですが、開発機械公団の第一義的な任務は、局長御指摘のとおり高能率の機械の効果的な運用だ、したがって採算ということは第二義的なことである、その第二義的な問題を、臨時行政調査会のほうは第一義的に取り上げておるところに、いまの食い違いが出てきておった。こういうふうにいまの御答弁からは判断できるわけですが、これは先ほど来の御答弁から見て、採算ということは、無視するということは申しません。無視するのではありませんけれども、第二義的なものである、こういうことでいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/38
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039・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 御指摘のとおり、高能率の機械を保有して、これを他の事業主に貸し付けたり、自分で委託を受けて仕事をやるということは、工法につきまして機械化を促進する、あるいは短期間に工事を仕上げるというような、国としての要請といいますか、希望にこたえる面があるわけであります。したがいましてそのためにやる限りにおいては、私は公共性なり独自の使命を持っておると理解しております。したがいましてその線に沿って仕事を完全にやっておりますために発生する赤字は、やむを得ないのではないかというのが、三十数年ころからの赤字問題が非常にありましたときから私は考えておった問題でございます。ただ問題は、そこにおいて経営努力の問題、あるいはその赤字の発生が、それからだけ出ているかどうかというところに、問題があったわけであります。そこで赤字の発生は、ある程度やむを得ないのだという立場に立ちまして、三十三年には赤字を八百万円ばかり埋めまして、三十七年に一億五百万円埋めました。しかし赤字を出しておいて埋めておるというのは、あまりに能がないという立場に立ちまして、今度は前向きに最初から出資をしていこう、あるいは最初から機械を買う金があれば、無利子の金をたたき込むことによりまして当初は世銀の金でございますから四分でございます。財投になると六分五厘になりますから、そこを薄めるということによりまして、経営の援助をするということも、何のためにこういう機関に国が出資をしたり、無利子の金をたたき込むかということになりますれば、やはり公共性に着目しての問題、考えようによりますと赤字の発生の予防措置として考えていいという立場に立ちまして、ここ数年におきましては、むしろ前向きに発生を予防する意味において、機械の購入費も財投のほかに一般会計から出資をする、あるいは一般会計から基金として資金を入れておいて、その果実で管理費の負担を軽減するというふうにやって、一種の赤字発生の予防措置としてやっておりますのも、終局的にはこの公団が持つ公共性を考慮に入れての処理でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/39
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040・湯山勇
○湯山委員 御答弁の限りにおいてはよく理解できますが、ただ局長のいまの御答弁の中で、国の要請によってやるものといいますか、そういうものの事業量が非常に少ないということは、昨日指摘にあったとおりでございます。大部分については注文とりといいますか、そういう形でやらなければならないというところに問題がある。
この問題はその辺にいたしまして、そこでそのために、本来高能率の機械を効果的に運用するという以外の仕事にもずいぶん手を出しておるという面があると思います。そこで公団の職員の中にも、特に技術関係の職員で、これではどうも公団の仕事に希望があまり持てないというので、公団を離れていくというケースがあると聞いておりますが、その辺はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/40
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041・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 きょうお配りしました資料の中にもございますが、契約金三十億の中で二十五億近いものが、国の事業なり県の事業なり団体営の土地改良事業であります。それ以外に、農林大臣の認可を受けて農地の造成、改良に関係のない仕事もやれるという法律の規定を発動してやっておりますのが四億数千万。私の理解といたしましては、そういう仕事をやることがつまらない、そのために公団を去る人が相当あるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/41
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042・湯山勇
○湯山委員 それではその点はどういうふうにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/42
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043・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 率直に申しまして、先ほど来申しておりますように三十二、三年ごろから五、六年ごろにおきましては、根釧の仕事がだんだん縮まってまいる、したがってさらに見返りにそれ以外に仕事が相当伸びないということが収支面にも反映いたしまして、こういうことでは公団におることに将来について不安を感ずる、そういう関係は心理的に相当働いておる、かように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/43
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044・湯山勇
○湯山委員 いまの局長の御答弁は、最初申し上げたことを否定しておられますけれども、そうではないと思います。これは事業自体が見通しがよく立っていないということも一つあると思います。
そこでこの問題だけ一応整理しておきたいと思いますけれども、そういう特殊な技術を持った人が、安心してやれるような体制をつくらなければならない。このことについては今度の建て売り牧場の構想なども、その一つの考えとしては了解できると思うのですが、もっと将来の、単年度で切れるようなことでなくて、将来を見通した計画がなければなるまいと思います。これはまたあとでお尋ねすることにして、その職員がもう一つ失望する要素は、職員の区分が非常に複雑になっている。公団の第一職から第四職まであって、同じ技術系統のものでも、機械を整備する者と、それから設計等をする者とが別になっておるし、運転する者がまた別な職種になっている。この辺はいかにも公団に似合わない封建的なものがあると思いますが、これは一体どういうわけでこんな妙な職種を区分したのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/44
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045・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 これは公団にいたしましても一般会社にいたしましても、要するに給与体系なり職務規程等をつくります場合に当面する問題でございましょうが、考え方として、公一職として事務と技術ということを中心にして、公団の事業を事務の面から、技術の面から中心的に推進するものを公一職といたします。トラックの運転手とかオペレーター等を公二職としまして、その他雑役等のものを公四というふうに、要するに職種のクラスフィケーションをやりまして、そこでいろいろの休養、休暇、執務時間、いわゆる就業規則でございますか、そういうものを定めていくというやり方の立場から、職務の種類によりまして公一、公二、公三、公四というふうに分けたわけでございます。これで非常に問題等がございますれば、団交権もある組織体でございますし、話し合いで解決すべき問題と私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/45
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046・湯山勇
○湯山委員 お尋ねしておるのは、それに対する局長の御所見を伺っているわけで、同じ機械を扱う者でも、整備関係のほうは公三職になっておるし、運転する者は公二職、設計等をする者が公一職、その公一職の中には技術の人と事務と両方入っておりますね。ですからこの分け方というものは、すっきりしていないわけです。技術系統は技術系統、事務系統は事務系統、そういう分け方でもない。非常にこの分け方には了解しにくい点が多いわけです。しかもそれが給与とか身分とかにつながってくるということになりますと、これはどうも近代的な機械公団としては、いかにもおかしいことになっているのじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/46
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047・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 若干おことばを返すようで恐縮でございますが、私のこの規程を見、理解している範囲におきましては、職務の性格によってくくって、それぞれに応じた就業規則なり給与規程を定めるということの立場から見ましても、技術、事務という角度から分けるよりも、職務の態様としてオペレーターなり整備士に、いろいろの就業時間なり何なりの態様が違いがあるという場合には、そういうふうにくくることがむしろ合理的ではないか、私はかように存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/47
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048・湯山勇
○湯山委員 局長はどういうことをしておるという、その内容はよくおわかりでしょうか。たとえば小使さんのようなものはその中にないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/48
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049・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 考え方といたしまして、公一はいわばデスクといいますか、企画立案、まあデスク事業、公二はブルドーザーを現実に運転するわけでございますから、ブルドーザーの運転の就労の態様というものと、朝何時に来てデスクで事務をとるという態様とは、就労の態様が違うから、これを分けるということは私は一つの考え方であると思う。それから機械の修理の態様とブルドーザーの運転の態様はまた違うわけであります。これを別に分ける。公四というのは、先生御指摘の小使というのは、いわば庁務職員的なものを公四に分けるという制度でございます。技術か事務かという分け方でむしろ労働条件をもしいじくるとすれば、それは私は労働の態様の問題から申しましていかがかと、かように存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/49
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050・湯山勇
○湯山委員 デスクか現場か、しかしこの公一職の技術の人は、これだってデスクではないと思います。測量もしなければなりませんし、技術の指導もしなければならない。むしろ現場に出ることが多い人もそうなっているのです。だから決してデスクではないのですから、その辺はお間違いです。局長の間違いですから、指摘だけしておきます。少し実態を調べてやらないと、こういう分け方というのは、決していい分け方ではないと思います。そのことだけ指摘をしておきます。
お昼のようですから午後に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/50
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051・濱地文平
○濱地委員長 暫時休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後一時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/51
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052・長谷川四郎
○長谷川(四)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/52
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053・湯山勇
○湯山委員 大臣がお見えになりましたので、大臣にお尋ねをいたします。
それはお示しいただいた資料、先般大臣もちょっとお触れになられましたが、今度の法律改正によって、建て売り牧場というような構想が示されております。そこでそれを拝見しますと、いろいろ付属施設等もありますけれども、かなりコスト高になっているのじゃないか。今度おつくりになるものにしましても、大体育成牧場のほうで畜舎等も入れて反当七万円程度についておるでしょう。これはずいぶん高いのじゃないかという感じがいたします。たとえば反当七万円という費用を出すとすれば、そのこと自体が悪いというのではありませんけれども、もっと有効な使い道が農政全般として考えられるのではないか。たとえばいま裏作放棄等が相当著しくなっております。麦作なら麦作に反当二万なり三万なりというようなものを入れて、その効果と建て売り牧場との効果が一体どうなんだろうというような点を大きい立場から考える必要があるのじゃないか、こう思うわけです。それについて大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/53
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054・赤城宗徳
○赤城国務大臣 建て売り牧場の建設費といいますか、それがかかり過ぎるではないか。反当七万円くらいかかるならば、裏作放棄の百六十万町歩にそれをかけたらどうかということでございますが、それはそれとして、裏作の放棄を解消していこうというようなことで、御承知のように大型機械等を入れて、共同耕作といいますか、そういう面で裏作をやっていくように、裏作放棄を埋めていこう、こういう考えを持っています。これを、確かに反当だけで比較して七万円だから、裏作放棄に反七万円かければいいということですが、百数十万町歩に乗せると、その額は非常な予算になるわけでございます。建て売り牧場はしいて言えば一つの模範牧場で、そういう模範的な型をつくっていこうということでございますので、その予算をそのまま裏作の放棄のほうへ持っていくというわけにいきませんことは、御承知のとおりでございます。考え方として麦作をなお進めていくという方向に変えてはどうかというような御示唆でございますが、それはそれとしてやっていきたいと思います。裏作の放棄を少なくしていく、こういうことをやっていきたいと思いますが、予算そのままを振りかえるということは、困難だということは申し上げるまでもないと思います。御指示のような点については十分考えていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/54
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055・湯山勇
○湯山委員 事務的な予算の操作をどうこうするという問題ではなくて、ぜひお考えいただきたい点は、この事業そのものは、その観点から見れば、確かに私も悪いことではないと思います。非常にいいことには違いません。しかし大臣のお立場から、農政全体の観点から見たときに、一体どちらがどうなのかという問題です。今度の農地管理事業団の買い上げ価格ですか、それらにつきましても、現在の既成の畑地でも反当そんな程度で考えておられる。新たにつくる牧場というものが、今度はまた建物もありますけれども、ともかくも反当それと匹敵するぐらいになっているということには、一々並べてみて、それは確かにどちらもいいことだけれども、全体から見て、その辺の検討はもう一度やり直す必要があるのじゃないかということを感じます。そのことについてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/55
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056・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話の点は、ウエートのかけ方だと思います。どっちにウエートをかけるかということでございまするならば、ほんとうは飼料の自給という面から考えましても、裏作の放棄を解消していく、こういうことが非常に重要だと思います。ただ、いまの草地造成という一連の問題がございますので、こういう面は、自給飼料に依存していこうという方向でございますから、これは全般的ということよりも、先ほど申し上げましたように一つの模範的なものをつくっていこう、そうして国で草地も造成していく、あるいは機械公団によってもつくっていこうということでございますので、ウエートの点から言いましたならば、裏作の放棄を全部解消していくということのほうが、全体としてはウエートが重い、大事なことだ、こう思いますけれども、一つの模範的なものをやっていこうという新しい企画構想でもございますので、これはこれとして進めていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/56
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057・湯山勇
○湯山委員 いまの大臣のウエートの問題についての御見解は、私もそうだと思いますし、大臣もそのようにお考えいただいておりますので、それでけっこうだと思います。
そこで裏作の中では麦対策が、何といっても重点になると思います。そのことは当然飼料自給の方針ともつながるものであると思いますので、そこで前々から農林大臣にはそういう課題があったと思います。早い時期にその裏作対策、ことに麦についての対策を、中間報告でもいいからお示しを願いたいということを、米審でも御要望申し上げておりますし、ここでもそういう意見があったと思います。そこでそれについての作業あるいは構想が進んでおれば、ひとつそれを大臣から、こうこうなっておるのだ、あるいはこうしようとしているのだということをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/57
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058・赤城宗徳
○赤城国務大臣 全面解消という大きな構想と計画とは、残念ながら持っていません。ただ、いま考えていますことは、農協等に大型機械を導入さして、そして共同的に作付をしていこう、こういう面で進めようとしておることでございまして、全面的に百六十万町歩になんなんとするものを、どこからどういうふうに手をつけて、何年後に解消する、こういう一貫した対策というものは、まだ残念ながら持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/58
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059・湯山勇
○湯山委員 そういう全体の見通しに立った対策というものは、早急にお立ていただく必要があるのではないかということを私どもは感じているわけですし、農林省としてもそういう構想を持って計画をお立てになるもの、こう思いますが、それはそうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/59
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060・赤城宗徳
○赤城国務大臣 価格の対策もありまするし、いろいろ総合的に考えなくちゃならぬ面があると存じます。しかしいずれにいたしましても、この裏作放棄に対する対策につきましては、検討を加えていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/60
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061・湯山勇
○湯山委員 そこで今度は、直接建て売り牧場についてでございますが、現在お示しになっておられるのは、この那須の牧場ということになっております。これが一つの具体的になっていて、あと三カ所くらいの調査をするということまでしかはっきりしていないのですけれども、最初大臣がお話しになりましたように、これを模範としてどんどん進めていくのだということですと、その計画というものは、とりあえず一つやって、それからそのあと調査して、こういうことでは私はどうもいかぬのではないかというように考えるわけです。多くの場合、そのときの思いつき、まあとりあえずやってみて、それからあとどうするかということは考えていくということが、従来しばしばとられておった。そしてそれが実はその事業自体も不徹底にするし、それによってせっかくやりかけた人が、どうにもならなかったという例も決して少なくないと思います。
そこで今度こういう形で発足して、将来どうやっていくか、こういう構想をひとつ明らかにしていただきたいと思います。それは何カ所、何年計画でやるというようなことでなくてけっこうですが、将来の見通しというものがなければ、これは三つで終わるのか、五つで終わるのか、それさえはっきりしていないということであってもならないと思いますので、そういう点について大きい立場からの大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/61
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062・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 昨日もお答え申し上げましたように、調査を進めまして、その上で適当な地域を選定してまいるわけでございますので、この段階ではっきりいたしておりますのは、当面数ヵ所である。しかし今後十年間程度のうちに、全国に、三十カ所くらいの共同利用模範牧場を整備したい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/62
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063・湯山勇
○湯山委員 三十ヵ所というのは、大体どういう標準で出てきたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/63
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064・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 三十ヵ所と考えましたのは、日本の草地資源の賦存の状態を見ますと、平均的に申しまして、大体この事業は一県に一ヵ所程度のモデルがほしいという考え方でございますが、賦存状態から見まして、全国四十六都道府県全部に置くことは事実上困難であるということで、約三十ヵ所程度ということを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/64
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065・湯山勇
○湯山委員 三十ヵ所を十ヵ年でおつくりになる。調査の結果、実際にはそういかない場合もあるわけですね。具体的にどこということはないわけですから。そうすると極端な例をあげれば、那須はできたけれども、あとはやらないという場合もできますか。非常に極端な場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/65
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066・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この事業は、現在といいますか、従来から農林省で調査を進めております大規模草地改良事業の基本調査が終わったもののうちで、モデル牧場としての適格性と、地元にそのような意思のあるところを選んで、農林大臣の指示に基づいた建設整備の事業を行なうわけでございますが、大規模草地の調査事業は着実に進行しておるのでございますので、那須地区のみにとどまって、今後の事業は進まないというようなことは、私どもとしてはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/66
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067・湯山勇
○湯山委員 そうであるべきだと思いますし、そうあってもらわなければならないと思いますが、それでやっていくについてはコストの問題ですね。私はどうはじいてみても高いと思うのです。もしこれで農家が委託した場合、一体育成牧場の場合はどのくらいな料金を見込んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/67
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068・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この事業のコストが高いというお話でございますが、那須地区につきましての事業の全体につきまして、実は現在私どもが一応の試算的なものを持っておりますのは、大規模草地改良事業の事前調査の段階で考えられたものを基礎にしてやっておるのでございますけれども、共同利用の模範牧場としての事業ということになれば、あらためてこの事業のために必要な調査を行なわなければならないわけでございまして、そういう意味で現段階の概要的な計画というものは、変更の余地があるわけでございます。そういう前提を置きまして私ども現在の事業コストというものを見ますと、基本施設につきましては、これはいわゆる草地造成、それから道路の整備、飲雑用水等の施設を含めまして約四百三十町歩の事業量に対しまして、一億七百万円ということでございますので、事業費としては反当二万五千円程度ということに相なるわけでございます。この事業費は必ずしも高いとは考えておらない。むしろ草地造成の事業としては、この金額はそれほど動かないだろうというふうに考えます。あとの経営施設なりあるいは経営資産等に関しましては、その残りの三億ばかりの金額がこれに相当するわけでございまして、これは畜舎とかサイロとか、あるいは事業用の機械だとか、導入すべき家畜の価格等が入っておるわけでございますが、これらの問題は、ただいま申し上げました事業実施のための調査計画の段階で、さらに投資コストというものが下がるような方向で再検討させたいというふうに思っております。なお那須の場合にいま計画をいたしております段階での試算としては、育成牧場については一頭当たり周年の育成ということを考えておりますので、百二十円ということを一応のめどにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/68
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069・湯山勇
○湯山委員 そうすると飼料自給というものの一つのねらいは、コストの引き下げというところにもあると思います。これでいくと、その乳価はどれくらいな価格になりますか。
〔長谷川(四)委員長代理退席、坂田(英)委員
長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/69
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070・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 乳価につきましてもいろいろ試算をいたしておるのでございますが、現在の段階でこの事業について、搾乳部門についてはかなりのコストの低下と収益をあげ得るという見込みを立てておるものでございます。牧場運営費に償還金を加えた試算と、それから牧場運営費の中で償却費についての部分を加えてそれから副収入を引いたもので乳価のコストを出すというやり方と試算をいたしておるわけでございますが、牧場運営費に償還金を加えて計算をいたしますと、この額は約一・八七五キログラム当たり六十円六十銭というような額になります。この金額は、三十九年の栃木県平均の一・八七五キログラム当たりの乳価が六十五円、現在の乳価は六十九円でございますので、六十五円の乳価の場合には差し引き収益四円四十銭、六十九円の場合には八円四十銭という収益が出るという試算を一応いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/70
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071・湯山勇
○湯山委員 そうなったとしても、あまり大きな効果は期待できないということになると思います。と申しますのは、先般の畜産物価格安定審議会の基準価格、これはいまの六十円を下回っておるわけです。那須なんか非常に条件のいいところでこの程度だと、他のもっと条件の悪いところというのは、さらにこのコストが高くなるのじゃないかということも考えられるわけです。そこでもう一つ牧場建設の単価をうんと切り下げなければならぬ。そうすることは、当然県なりあるいはそれを最終的に払い下げを受けた農協だとか、あるいは市町村だとか、そこの負担も軽くすることに通ずるわけですからね。このコスト切り下げの方法というのは、よほど精力的に御検討願う必要があると思いますが、具体的にそういう検討をしておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/71
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072・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいま申し上げました牧場運営のための経費に償還金を加算するということは、実はコスト計算からいえば厳密なコストではないわけでございまして、償還部分には自己資産取得分として残るものも含まるわけでありますが、これもまたいろいろむずかしい計算がございますが、ただいま申しましたものを生産費的な見地で考えますと、約五十七円というような生産費になるわけでございます。この生産費というのは、いまの全国の統計調査部による生産費から見れば、かなり低位な生産費というふうに見込まれるわけであります。
お話のように今後の模範牧場として運営をしておるその効果をあげていくということについては、コストダウンということがきわめて重要な問題でございまして、その点は湯山先生のおっしゃるとおりに私ども考えております。ということにつきましては、牧場に対する当初の投資についても、乳牛の育成なりあるいは搾乳部門の施設整備なりに、必要最小限度の投資にとどめるということが一つ必要でありますし、また一方では草生による収穫の増大についての技術的な問題の解決というようなことをはかっていく必要があります。また導入する搾乳牛の資質あるいは肥育飼育管理による技術的な向上に伴う乳量の増大というようなことを、本格的に指導してまいるということが必要であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/72
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073・湯山勇
○湯山委員 そこで今度は大臣にお尋ねしたいのですが、いま局長のほうからいろいろ御答弁いただきましたように、償還金といっても、これはだれかがどうかしなければならないものですから、そういうものも含めて考えてみると、相当高いものについている。これを引き下げる努力はしなければならない。これはもうそういう御答弁のとおりだと思います。むしろそこまでいけば、そしてできたものの払い下げは半額以下というようなことでおやりになるわけですから、各県に一カ所くらいな程度のこういう模範牧場は、ひとつ国費で全部やってしまう。あとの運営とか維持管理は当然受益者でやる性格のものですけれども、せっかく酪農の振興をはかっていく、こういうことならば、ひとつ建設の事業というものは全部国がやるというように、思い切った施策があっていいのではないか。こういうことを私はこの計画を拝見して思うわけです。こういうことについては、それはそうなればそれが一番いいというように大臣もお考えだと思いますし、将来ひとつ、一挙にそこまでいかなくても、段階的にそこまでやろうというような御意思はございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/73
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074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かにいまのお話のように、そうなってできればそれに越したことはないと思いますけれども、全国的にこれを相当広くやるのならば、国で全部建設費を持って、そしてやるということも、国民に対する公平の立場からいいと思いますが、いま申し上げましたように、十カ年間に大体三十カ所、こういう予定でございまして、そういうところにだけ国費を全部投入して設けるということになりますと、そういうところと設けられないところとの均衡というような問題もあろうかと思います。あるいはほかの土地改良等につきましてのある程度の地元負担というようなこともありますので、これを一がいに全部国費で建設するというわけにはまいらぬと私は思います。しかしできるだけ負担を少なくして、実質国で施設をするような方向へは持っていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/74
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075・湯山勇
○湯山委員 局長にお尋ねしたいのは、これは三十ヵ所全部を国でやるとすれば、国はどれくらいの費用を持てばいいとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/75
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076・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 三十ヵ所の規模あるいは最終的な経営の形態というのが、調査のあとでなければきまらないわけでございますから、明言することはできないわけでございますが、御案内のように那須地区の現在段階における事業費が四億円でございますので、それらを考慮して、那須地区がほぼ平均的な規模のものであるということでございますれば、百二十億程度の総事業費ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/76
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077・湯山勇
○湯山委員 そこで百二十億を十年間といえば、そのために出す金は一年わずか十二億です。これは大臣、一年十二億くらいなものをこれだけ大きな事業に出すということは、そんなにむずかしいことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/77
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078・赤城宗徳
○赤城国務大臣 財政的には、十二億ですから、たいしたことないと思います。ただ先ほど言いましたように三十ヵ所なら三十ヵ所、そういうところが設けられないところもあるので、設けられたところは、国費で設けられたからという非常に恩恵を受けるわけでございます。そういう点もありまするし、また後ほど払い下げるといいますか、地元経営に移す場合のことも考えまするならば、やはりある程度地元の負担というものも考えざるを得ないのではないか、こういうようにいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/78
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079・湯山勇
○湯山委員 これは議論する問題ではないと思いますが、しかし不公平、公平という点からいえば、できたところはうんと安く払い下げを受けるわけですから、そのことは五十歩百歩だと思います。要は政府の方針がそう向くか向かないかということが焦点だと思います。財政的にもわずか十二億程度のものを毎年出していくということは、酪農振興という観点に立てば、そんなに大きい負担でもない。それをそういうふうにしておかないと、地域によってなかなかそのあとの経営がうまくいかないというようなことで、いまの委託料をうんと高く取らなければならない、あるいはそれがまたうまくいかないということになれば、日本の場合は牧場の荒廃というのは相当早いと思います。これは私もそういうのを見たのはイギリスの北ですから、非常にはえておる草の種類も単純ですし、やり方も簡単でしたけれども、しかし日本のようなところでは、それとだいぶ違いますから、荒廃の速度も早い。少し手を入れないと、すぐもうもとに返ってしまうおそれがある。そこでいまのように国がやって、これを無償で渡すなり、貸与するなり、何かそういうことについて責任を持ってやるという体制をとることのほうが、むしろいいのじゃないかということも考えられますので、ひとつそうならばぜひそうしてやろう、そうしようという御決意があっていいのじゃないかと思うのですが、もう一度大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/79
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080・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御意見、御提案は御提案として、十分参考にはいたしたいと思いますが、いまのところは御意見のとおりにはやりかねるというか、やりかねないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/80
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081・湯山勇
○湯山委員 ひとつ簡単なことですから、また方針としても各府県一ヵ所という方針であれば、やりかねないじゃない。やり得るほうでひとつお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、このことについていま計画のことをいろいろお尋ね申し上げたのは、私どもの立場から言えば、やはり計画ということが非常に重要だと思います。これは開発機械公団も今日までいろいろ臨時行政調査会の指摘も受けましたし、それから有能な職員が、先ほど農地局長の御答弁によりましても、相当他に流れております。それはいまの建て売り牧場についても、一ヵ所だけははっきりしておるけれども、あとがはっきりしていないというような状態、開発機械公団にいたしましても、国がめんどうを見ておるのは、国の事業を直接やるというのはわずかに二〇%足らずであって、あとは地方の事業なり団体の事業なりを公団自体さがしておる。これらも国がもっとしっかりした計画を持って、これこれのことは何ヵ年間公団のほうでやるのだというようなことのお示しがあって、そうしてそういう指示があれば、こういう仕事は他ではなかなかできない仕事ですから、公団の職員の人も、あるいは技術者の人も、喜んでそれに従事すると思います。そういう点から見ると、もっと——この事業もそうですけれども、公団についても国がもっとめんどうを見て、もっと見通しの立った指導なり、あるいは事業計画をつくらせるということが考えられていいのではないかと思いますが、その点は大臣、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/81
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082・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のとおりに考えます。この事業につきましても、この那須地区等が非常によくいくということになりますならば、あと三十ヵ所等につきましても相当方々から、盛り上がった機運がわいてくるのではないかと思います。そういう意味におきまして、そういうものを計画的に農地開発機械公団に委託するという計画もできますし、そのほか一般的の土地改良等の問題、開発等の問題等につきましても、できるだけ農地開発機械公団を活用する、こういう方針で進みたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/82
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083・湯山勇
○湯山委員 いま大臣からそういう御答弁をいただきまして、原則的にはそういう方針でやっていただけると思いますけれども、今日までの状態は決してそうではなかったということも事実でございます。ただ地方の事業は国の補助事業等だから、国の息もかかっているのだというようなこともありましょうけれども、実際には公団自体が乗り出していって、あるいは他の業者あるいは地方のそういう公団と競合しながら、仕事をとっていくという状態であったことも、公団の事業あるいは職員をそういう状態に追い込む一つの原因であったと思います。だから、いま大臣がお答えになられましたような方針を、具体的に農林省のほうでも十分御検討になって、少なくとも公団の仕事の半分以上ぐらいはいまのような形のものがあるということでなければ、ほんとうの公団としての、公団らしさもなくなるわけだと思いますので、いまの点につきましてはひとつ十分御配慮いただきたいと思います。
以上で終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/83
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084・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/84
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085・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしたい点は、昭和三十七年における公団法改正の際に、当時公団の運営が非常にずさんであり、あわせて内容も不健全であり、なおかつ政府のこれに対する監督指導等についても怠慢の点が非常に多かったわけでありまして、その後どのように改善されたかという点について、お伺いしたいわけであります。
当時の指摘事項といたしましては、まず第一に政府出資金の性格について、第二は公団保有機械の稼働について、第三は公団の予算等の認可の時期について、第四は農林省の公団活用について、第五は農地開発改良事業建設機械の一元的管理運営について、第六は国有機械の現物出資について、第七は公団の顧問、嘱託について、第八は公団役員等の退職手当規程について、以上八点が当時の重要な改善を要する指摘事項であったわけでございますが、これらの指摘された諸点が、現在の時点においてどのように改善されたかという点について、各順を追って農林大臣から直接明らかにしていただきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/85
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086・赤城宗徳
○赤城国務大臣 三十七年の改正のときに、改革を要望されております当時一番大きな問題は、赤字であったということでございます。そういう事情でありましたので、三十七年に一億五千万の政府出資をいたしました。従来無出資の公団でございましたが、その後毎年一億ほどの出資をしております。その政府出資金は公団の経営安定資金として、また一部は機械購入資金として有効に使用されておりますので、公団の経理が安定してきた、こういうふうに考えられます。
それから公団保有機械の稼働でございますが、これは必ずしも稼働率が伸長しているとは考えられない面もございますが、事業量を相当ふやしていきたい、もちろん自分で仕事を見つけている面が相当多いのでございますが、国の事業の委託というのは、先ほどもお話がありましたように、二〇%程度でございますけれども、事業量はふやして機械の稼働率をよくしていくということに進めているわけでございます。
それから公団の予算等の認可が非常におくれているではないかということでございますが、これにつきましては、迅速に認可するようにいたしております。
それから先ほども触れました農林省で公団の活用についてどうであるかということでございますけれども、これは極力努力してはおりますが、いまのところは約一八%、二〇%程度でございます。しかしこれは再々申し上げておりますように、できるだけ活用し、県の事業等も委託をさして、機械公団が委託を受けるというふうにしたい、こういうふうに進めております。
公団の役員等の退職手当その他、役員の給与の問題でございます。これは公団全体として非常に額が多いのではないか、あるいは一つの公団から他の公団へ移って、二回退職手当等をもらうというようなことがどうであろうかというような問題が、ほかの委員会におきましても問題にされております。この点につきましては、一般の給与規程といいますか、退職規程等、そういう規程がございますので、公団全体として検討を加えていかなければならぬ問題だ、こういうふうに考えます。機械公団だけの問題というよりも、全般の問題として検討を加えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/86
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087・芳賀貢
○芳賀委員 特にいま御答弁のなかった五番目の、農地開発改良用建設機械の一元的管理運営の問題と、六番目の国有機械の現物出資に関する問題と、七番目の公団の顧問、嘱託等について、これをどのように改善していくか、この三点をあわせて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/87
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088・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 公団の、当時議論になりました機械の一元管理の問題といたしましては、農業土木用の機械を農地商と公団と両方で持っているということが、非効率であるということでございまして、一元管理をという御指摘がございまして、現在までのところ、別にお配りいたしました出資の一億五千万等の出資のほかに、現物出資で三十七年に一億八千万、三十八年に七千三百万、そういう形で農地局、国の所有の機械を公団のほうに現物出資をいたしました。現在のところ汎用性機械は公団で一元管理し、特殊な機械で研究用に役立つものを国が歩掛かりその他の実験のために持つ、そういうふうに整理をいたしました。
それから公団の顧問、嘱託の問題につきましては、当時六名ありまして問題があったわけでございますが、その後二名を職員に振りかえまして、四名は民間に転職した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/88
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089・芳賀貢
○芳賀委員 そこでこの中で特にお伺いしたいのは、せっかく開発機械公団を法律でもって設置して、相当の事業を行なわせておるわけでございますが、問題は農林省のいわゆる国営直轄事業に対する公団利用が非常に少ないということは、三十七年当時も指摘したわけでございます。農林省として国営直轄事業を行なう場合には、当然公共性を持った開発機械公団が能率的にやり得る事業に対してはこれを行なわせるというのが、本来のたてまえであるというふうに考えるわけでございますが、直轄事業については、公団に対してはあまり重要視しておられないというふうに判断されるわけです。この点はいかなる理由によって農林省はみずから育成しておる公団に対して、直営事業を行なわせることができないのか。理由があればこの際大臣から明らかにしてもらいたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/89
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090・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私、詳細には承知しておりませんけれども、大体機械公団の事業として非常に適したものにつきましては、極力国営の土地改良等に活用していく、こう考えております。主としてはパイロット事業等が非常に適しておる事業でございますので、機械公団にやらせるということにいたしておるのは御承知のとおりだと思います。国営の事業等につきまして、適したものは極力公団でやらせておる、あるいはこれからもなお県営等につきましても、先ほど申し上げましたように公団でやるのが適当であるというようなものは、ぜひ公団に振り向けてこれをやらせる、こういうような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 大臣も御承知のとおり、農林省が行なう公共事業はほとんどが農地局所管でありまして、これは農地局建設部が担当しておるわけです。農地局建設部は御承知のとおり、みずから事業を施業する機械装備等は持っていないわけですから、直轄事業といっても、ほとんど全部に近い程度請負工事に付して行なっておるわけです。民間の業者に請負させるというやり方をとる場合と、農林省が自分で育成しておる機械公団にやり得る事業を行なわせるということについての利点とか長短というものはどう考えられるか。機械公団にやらせた場合においては、事業のコスト高というものがあって、請負にまかせるよりも公団にやらせたほうが国としては負担がかさむ、設計上難点があるということでやらせないのか。公団にあまりやらせると、請負業者に相当の利益を与えることができなくなるのでやらせないようにするのか、そのいずれかだと思うわけです。ですから前者か後者か。公団にやらせるとコスト高になって、設計上国が負担を増すことになるからやらせないのか。公団にやらせれば請負業者に渡す仕事が少なくなって、従来の業者に相当の利潤を提供することができなくなるから公団にやらせないのか、いずれでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/91
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092・赤城宗徳
○赤城国務大臣 実際にいままで行なっておりまする農地局長にお答えさせますが、私は機械公団に委託するのは、どっちかといえばパイロット事業、それから国営の土地改良でも直営的なもの、こういうものが適当だと思います。それで直営的でなくて、業者にやらせなければならぬような事業が相当あると思います。そういう面を取捨選択してやっておると私は承知しておりますけれども、なお実際にどういう扱いをしているかということにつきましては、農地局長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/92
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093・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 農林省農地局がやっております事業の範囲は、非常に多岐にわたっております。たとえば国営事業でもかん排事業等は、主としてコンクリート工事によりましてダムをつくったり水路をつくったりする仕事でございます。こういう工事は公団の持っておる高能率の機械を活用するという角度の問題としては、保有機械の関係その他から、適当ではございません。そこで現在は、公団の持っておるブルを中心とする大型機械を活用するに一番適する仕事を公団に原則的に振り向ける、そういう考え方をとっておるわけでございます。したがいましてそういう立場から見てまいりますと、たとえば国営開拓パイロット事業というようなものは、御承知のとおり一貫施工で、抜木から整地までを一気にやってしまう仕事でございます。したがって多くの土地をブルを使って開発するということで、この限りにおきましては公団にも適するし、また公開入札が原則なのでございますが、公団の特殊性を生かして、公団で随契でやらせるのが適当である、こういう判断で、そういう土工を中心とする開拓パイロット事業など、国営はもちろん、県営についてもなるべく県に指導いたしております。それから将来の問題についてはやはり土工が中心になる圃場整備事業を、ブルを中心とする事業としてはやってまいりたい、そういう立場で仕事を振り分けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/93
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094・芳賀貢
○芳賀委員 今回の改正によると、いわゆる建て売り牧場に関する公団事業の利用の道を開いたわけでございますが、いまの局長の答弁によると農用地の開発造成等は公団事業として適当であるということになれば、酪振法改正の中には国営大規模草地の開発造成の点も出てくるわけでございますが、そうすれば雑で売り牧場はもちろんであるが、今後国営による直轄大規模草地開発事業等についても、公団を利用することが好ましいということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/94
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095・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 草地造成も土工が中心に相なりまする。したがって公団の現有機械で高能率でもって大規模にやるに適する事業である、私どもかように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/95
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096・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、公団の法律自身の問題にも関するわけでございますが、先ほど大臣から答弁のありましたとおり、公団の予算等の承認の時期が非常におくれておる。これは主として農林大臣へ業務方法書を提出して、それから大蔵大臣と農林大臣の協議に入るわけでございますが、この協議の期間が大体二ヵ月ないしは三ヵ月くらいかかるということになっておるわけです。この欠点はどこにあるかというと、たとえば先般審議しました森林開発公団にしても、あるいは八郎潟新農村建設事業団にしても、この法律と一緒に生まれました愛知用水公団にしても、あるいはまた水資源開発公団にしても、いずれも法律の中にその公団が行なうべき事業の基本計画というものは農林大臣があらかじめ定めて、その農林大臣が定めた基本計画に基づいて、それぞれの公団は事業の実施計画または業務方法書によって事業実施の細目を公団が作成して、そうして農林大臣の認可を求めるという手順になっておるわけですが、この公団法の場合においては、たとえば事業の基本計画の件とか、あるいは事業実施計画の問題等については、出ていないわけですね。したがいまして結局あらかじめ年度初めに農林大臣が基本となる大筋の計画をその公団に与えて、そうしてこれに基づいて公団が実施計画、業務方法の内容を策定するということになれば、その提出された実施計画書あるいは業務方法書というものは、十分意にかなった線で提出されるわけでございますからして、認可についても期日が短縮されると思うわけでございますが、そういう点に関する改善というものは、農林大臣としてお考えになっておるかどうか、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/96
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097・赤城宗徳
○赤城国務大臣 事業を行なう地区等のこともありますので、一律的に指示、指導を行なうということは困難だと思います。しかしこの事業計画の認可等につきまして、おくれているのは両方あると思います。向こうも、公団のほうでも、書類やその他よく事前の打ち合わせ等がないというようなこともあるでしょうし、農林省側としても一斉に公団の認可などがふくそういたしますので、そういう点でとかくおくれがちであろうというようなこともあろうかと思います。これは両方にあると思いますので、そういう点はなお一そう改めていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/97
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098・芳賀貢
○芳賀委員 それでは機械公団は、必ずしも申請を三月末に出さなければならぬということはないのですね。それがたとえば前年の十二月であっても、一月であっても、早いほどいいというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/98
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099・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 三十七年に御注意をいただきましたときは、国の予算が年度末、三月にきまっておるにかかわらず、公団の予算の決定が四月、五月になって大蔵省に協議を申し出るとは何事であるかということが御注意ございました。そこで国の予算、公団に対する出資金とかその他がきまれば、公団の事業はすぐ組めるわけでございますから、三月末から公団が事業計画の認可を農林大臣、大蔵大臣に相談をして、新年度から公団予算ができるだけ早い時期に確定をしておるようにする必要があるということでやったわけでございますので、三月末に公団のほうから申請を出すように、常に指導をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/99
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100・芳賀貢
○芳賀委員 ですから公団からは三十八年は三月二十六日、去年の三十九年は三月三十日に、三月末に出ておって、それから農林省と大蔵省の協議に入ってから大体二ヵ月はかかるわけですね。そのかかるということは、事前にその基本的なものを示していないからひまがかかるのですよ。だから農林大臣が農林省の予算要求をやられる場合に、あわせて公団に対して、公団のその年度における事業については、たとえば農林省の直轄事業からはこの程度のものを事業として与える、あるいはそれ以外の付帯事業等についても、おおよそこういうような事業の種目について、これは委託事業として行なうべきであるというような大筋を示しておけば、公団はそれに基づいて実施計画とか業務方法書の内容というものを十分作成して、そうして期日までに農林大臣に認可を求める手続ができると思うのです。それが法律上農林大臣はあらかじめ基本的な計画も示さない。また法律には実施計画を立てる規定もない。単に事業実施上の業務方法書だけを業務の範囲としてつくって、農林大臣に出さなければならぬということになっておるので、この点が他の公団と非常に違う点であります。他の公団については、性格がそれぞれ違いますから、機械公団と一律に論ずるわけにいきませんが、もう少し農林大臣として指導性を発揮して、適宜な計画というものを機械公団に出させるような、そういう積極的な誘導の態度というものが必要ではないかと思うわけです。こういうものはじゃまになるとか要らないというのであれば、むしろ法律を廃止すれば一挙にこれは片がつくわけでございますが、生かしておるということになれば、これはやはり国民の税金で生かしておることになるわけですから、有効適切な運営というものを、農林大臣が指導しておやりになるのが当然ではないかと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/100
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101・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、事業計画を持ってくるわけでございますが、その事業計画について、あるいは資金計画について、事前にいろいろ指示をしておくということは必要だと思います。そういう面につきまして、なお緊密にといいますか、やっていきたいと思います。事業が非常に多いので、こっちも予算が通った、事業がたくさんある、その事業のうちどれとどれをどういうふうにやるかということにつきましては、なかなか手間をとる面もございますが、なるだけ手間をとらずに連絡をしていく、こういうことは必要だと思いますから、そういうふうにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/101
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102・芳賀貢
○芳賀委員 とにかくわれわれが聞く範囲でも、公団の理事長が菓子折りを持って仕事をさがしに歩いておるということも聞いておるわけです。それは理事長だからあぐらをかいていばっておるだけが能ではありませんから、仕事をさがしに菓子折りを持って歩くのもいいが、しかし現役の局長、長官の三倍もの高給をはんでおるその理事長が、わざわざ菓子折りを配るような仕事をしなければならぬというのは、これはまことに不見識きわまるのではないかと思うのです。そのくらいのことをやるのであれば、もっと安上がりの理事長でもいい。菓子折りを配るくらいなら、だれでもやれるじゃないですか。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/102
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103・赤城宗徳
○赤城国務大臣 どうもそれは事実がどういうことかわかりませんから、何とも申し上げかねますが、菓子折りなんか持って注文取りに歩くようでは困りますから、そういうことでないように、ちゃんと向こうから頼みにくるようなことになっていなくてはいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/103
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104・芳賀貢
○芳賀委員 次に、法律の改正点の主要な点について、大臣に二、三お伺いしておきたいわけですが、今度の改正は、いわゆる建て売り牧場を公団に造成させて、それを都道府県を通じて受益者である農業協同組合あるいは農業組合法人に売り渡すということになっておるわけですが、ここで問題なのは、せっかく建て売り牧場といいながら、まず一番肝心な牧場建設のための主体をなす用地の取得等については、これは機械公団が行なわないということになっておるわけです。用地は当事者がまず自分で努力して取得しなさい、その取得した用地に対して、委託事業ということで牧場の造成事業を行なう、ただ付随的に牧場の付帯施設あるいはそれに必要な機械器具等の導入を行なって、あるいは必要な場合には乳牛の導入等を行なって、付属の施設や機械、あるいは乳牛だけの売り渡しを行なうということになれば、本来の建て売り牧場とは違うと思うのです。これはどういうわけで——用地は自分でさがしなさい。自分で買いなさい。その用地の開発造成については、公団が適当な料金で開発してやりましょう。売り渡しは、その実際の牧場以外の付帯した施設だけしか売り渡しはしない。その分だけにしか国の助成はつかないということになっておるのであって、われわれとしてはこれはまことに不可解な建て売り牧場だと思うわけですが、この点は農林大臣の御意思に沿ったものであるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/104
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105・赤城宗徳
○赤城国務大臣 大体土地の取得ということは困難でございますので、国有林とか公用地、こういうものを活用するという考え方を持っています。しかしながら国有地や公用地のみでやれるべきものではございません。そういう意味におきましては、やはりこういうものを模範的にやっていこうというような機運のある地元で、土地を見つけてもらうということのほうが、これを進めていくのに非常にやりいいという観点から、土地を国が取得する、国が見つけるということをしていない。そういうことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/105
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106・芳賀貢
○芳賀委員 そういう法律は、大臣の御意思に沿ってできたものであるかどうかです。大臣としては用地の取得等も、国あるいは都道府県が行なって、それを機械公団に造成事業として行なわしめて、でき上がったものを、それを利用する農業協同組合とか農業生産法人に、いわゆる建て売り方式で売り渡しをするということが、大臣の年来の主張であったとわれわれは理解して、そういうことであれば農林大臣の構想に対しては、賛成しなければならぬだろうと思っておったわけです。農地は自分でかってにどこからかさがして、その農地取得代金も自分で払いなさい。造成だけは公団でやってやるということでは、これは本来の大臣の構想とは全く違うものでなんですね。まあ日韓会談とか日ソ交渉でお忙しいので、二人がどういうことでこういう法律にしたかわかりませんが、大臣としてもまことにこれは面目に関すことじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/106
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107・赤城宗徳
○赤城国務大臣 たいへん御貴重な御意見ではございますが、すべり出しは全然いまのお話と違うようなすべり出しでございます。そういうすべり出しでやっていこうという考えでございますから、いずれまた考え直す場合もありますけれども、いまのところはそういう方針で進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/107
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108・芳賀貢
○芳賀委員 この点はまだ審議に入っておりませんが、酪農振興法及び土地改良法の改正の中では、これは国営の大規模草地の改良事業というものを、酪振法、土地改良法の改正で行なうことになるわけですね。これはこの法律とは違って、たとえば地元市町村とか農業協同組合が、国または都道府県に対して、この地域を指定して国の責任で草地として開発造成してもらいたい。そういう意思を農林大臣に述べて、国はそれが妥当である場合には行なわなければならぬという趣旨の改正が行なわれておるわけです。これは筋が通ると思うのです。ここではそういうことは全然抜きにして、自分でかってに用地をさがして、頼むのであれば機械公団でやってやろうというようなことでは、何も公団法の改正までしてこういうものをやる必要はないのではないかと思うのです。だからいまのお話のように、すべり出しはこの程度でやむを得ぬが、少しすべり出した場合には、本来の趣旨にのっとって、やはり用地の取得をはじめとして、ほんとうの意味の建て売り牧場というものを造成して売り渡しをするというようなお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/108
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109・赤城宗徳
○赤城国務大臣 国営の草地造成につきましても、所有権を国に移すというわけではございませんので、この模範牧場と土地の関係においては同じようだと思います。建て売り牧場、建て売り牧場といいますものですから、住宅と同じように、どうしても土地を買って、そうしてこれを売るというようなのに結びつきやすいのでございますけれども、これはもうけるという意味もございませんで、盛り上がりといいますか、そういうところの機運とマッチして模範牧場をつくろう。つくる仕事の、事業の相手方を機械公団に委託するというようなことでございますので、機械公団が公団事業としてこれをやっていくというのといささか性質は違う、こういうふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/109
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110・芳賀貢
○芳賀委員 そこで結局用地を自分でさがすということになれば、用地取得についての国のあっせんとか、取得資金等に対する国の融資とか、そういうものが伴わないと、適地があってもそれを想定して対象にすることはできないと思うわけですが、この建て売り牧場の対象になる用地の取得等に関する問題としては、どういうふうな方式でいくつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/110
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111・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 共同利用模範牧場の用地取得につきましては、大臣からお答えがございましたように、地元において権利の取得なり、あるいは権利の調整を終えてから発動をしていく、発足するということになっておるわけでございますが、一般の民有地の取得につきましては、農業協同組合なりあるいは農事組合法人等については、農林漁業金融公庫の土地の取得資金の貸し付けということがあるわけでございます。ただ実際問題として、大規模の牧場建設をやるということになります場合、多くの場合国有林の活用ということに期待をせざるを得ないわけでございます。国有林を活用いたします場合の方法としては、これは国有林からの売り払いの方式と、農地法によります自作農特別会計への所管がえの上で売り渡しをいたします方式とがあるわけでございます。売り渡しをいたします場合の方式につきましては、これは農地法の、自作農創設の趣旨に合う場合に限られるわけでございますので、私どもは牧場の建設については、国有林の活用について、地元に対する利用権の設定、つまり貸し付け方式をある一定期間はとる、そういたしまして草地としての利用が安定いたしました段階におきましては、農地法の共同採草放牧地の開放という形で、自作農特別会計を通じまして売り渡す方式をとりたい、そういう方法によりますれば、少なくとも国有林についての活用の方式は非常にスムーズにいくということで、中心的な課題としてはそういうふうに考えております。民有林等がその間に介在します場合の措置としては、現在の制度下におきましては、公庫の土地取得資金を活用するということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/111
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112・芳賀貢
○芳賀委員 国有林の場合は、その国有林の所在がこれらの採草放牧に最も適する、そのほうが高度利用になるという場合は、むしろ国有林野から農地局なりあるいは畜産局へ所属がえを行なって、自分の所属にして、直接その建て売り牧場の造成を行なって、それを払い下げるという方法のほうがいいのじゃないですか。
もう一つは、民有林とかあるいは私有地の場合は、農林漁業金融公庫法に基づいた取得資金を出すということになれば、この建て売り牧場の場合には最低規模が三百ヘクタールでしょう。三百ヘクタールないし五百ヘクタールの間において規模が設定されるわけですから、そういう相当の大面積なものについても、十分その用地を取得できるだけの取得資金というものを、いまの公庫資金からはたして約束して出せるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/112
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113・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 国有林のうち、農用地としての適地については、自作農創設特別会計に所管がえをしました上で、いわば国有地の形で牧場建設を行なって売り渡せばよいではないかというお話でございますが、現在の農地法のもとでは、売収もしくは所管がえによって取得しました土地を売り渡しできます場合は、一つは農地を造成をいたしまして個々の自作農の創設を行なう場合に、農地及びそれに付帯する採草放牧地については開放することはできるわけでございますが、農事組合法人あるいは農業協同組合、市町村等に対する開放は現行法のもとではできないわけでございます。これは自作農創設ということの公共性の限度というものが許される範囲での法制のぎりぎりの線と私どもは了承しておるのでございまして、その点でこの共同利用模範牧場としての法制上との調和の問題として、難点があるわけでございます。いま一つはただいま申し上げました貸し付けを受けて、草地、採草放牧地としての利用が安定的になった場合には、共同利用のために農事組合法人なり、あるいは協同組合なり、市町村というものは、農地法の規定に基づいて開放を受けることができるということに相なっておりますので、ただいま申し上げた貸し付け方式による造成の後に、開放の手続をとっていくということを考えておるわけでございます。
それから農林漁業金融公庫金融によります場合は、土地取得の貸し付け限度が個人八十万円、法人三百万円、法人の特別に認定をされました場合には六百万までという限度になっておりまして、ある程度の未墾地の面積は取得ができるわけでございますが、三百町歩、五百町歩というものが全体として公庫融資によって取得できるかは、御指摘のように問題があると思われるわけでございます。また事実問題として民有地の集団的な活用ということは、現状のもとにおいて実態につきましてあまり考えられないのでありまして、この模範牧場の建設につきましては、大部分の場合は国有林の活用を考えており、また地方公共団体等の管理をいたしております公有草地ないしは公有未墾地というものを対象にして考えておるわけであります。それと補充的に民有地をあわせ開発するような場合に公庫融資も十分役立つものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/113
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114・芳賀貢
○芳賀委員 次に今度の法律で、たとえば搾乳牧場とか育成牧場というふうな種類に分かれるわけでありますが、いずれにしても乳牛の導入を公団が行なって、それをまた売り渡せるということになっておるわけです。この点については、以前ジャージー種の輸入を公団が行なって、昭和三十五年ごろまで扱ったわけですが、その成果は一体どうなったわけですか。われわれとしては機械公団がわざわざ外国からジャージー種の輸入をやって、それを売り渡すなどという商売までする必要はないのじゃないかと思う。そうして畜産とか酪農の分野において、公団が十分指導性を発揮する機能等を持っておるというのであれば別であるが、ただ買ってきて売るだけの単に商売的なことは、やるべきじゃないということを指摘した経緯があるわけです。今回も公団が乳牛の導入を行なって、それを売り渡すという、同じようなことをまたやるらしいのですが、これはどこに真意があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/114
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115・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 最後の御質問の点をまずお答えをいたしますと、この共同利用模範牧場につきましては、草地の造成、土地基盤の整備の上に、さらに経営施設であります畜舎、サイロ等の整備を行ない、さらにそれを利用いたしますための経営手段であります農業機械類、あるいはさらにそこで飼育いたします家畜の導入までを一元的に整備することによって、新しい集団的な大規模放牧方式の牧場をモデル的につくり上げていく。またそのことが日本の酪農家あるいは肉牛生産農家にとって、いままで慣熟していない経営をスタートさせるのに必要な方途であるというふうに考えたからでございまして、乳牛あるいは肉牛の導入につきましては、最終経営者に当たります、また公団の側からいえば最終買い受け者になります経営主体というものが、家畜の導入は自分たちでやるのだということで、当初からそういうことを期待しないということであれば、これは必ずしも家畜の導入まで公団が手を出すということはしなくてもよいと考えておるわけでございます。公団が家畜の導入まですることの意義は、相当数のまとまった家畜を導入するということでございますので、それに対する資金の手当てについて昨日も御説明申し上げましたが、三年据え置き十五年間の償還期間というような条件での金融というのは、事実上最終的な経営者にとって道が開かれていない状態のもとでございますので、公団の家畜の導入、売り渡しという形を通じて、共同利用模範牧場の発足を円滑にさせるという思想に出たものでございます。
ジャージーの導入につきましては、公団関係の輸入の問題等がございまして、一時はジャージーの問題について、いろいろ能力の問題、あるいはジャージー乳の乳価の問題等で問題があったのでございますが、現在は低性能のジャージーについてはほとんど淘汰が進んでまいりまして、ジャージーはジャージーとしての特性を発揮しつつある。乳価問題についても、一般的乳価の問題が解決したかどうかは問題でございますけれども、ジャージー乳についての特別の紛争というような問題も一応落着の状態になっておりまして、現在ジャージー種の特性を発揮し得るような地域については、新しい民間による導入の動きも出ておるわけでございまして、ようやく日本のジャージー乳の位置というものも、定着をしつつあるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/115
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116・芳賀貢
○芳賀委員 いまの問題は、いずれ酪振法の改正案を審議する場合にまた詳しくお尋ねしたいと思います。
そこで農林大臣に特にお尋ねしたい点は、草地の造成改良事業等については、いままで国の施策の中においても、たとえば集約牧野造成改良事業、改良牧野造成改良事業、湿地牧野改良事業、永年牧草地改良事業、さらに今回のこの建て売り牧場の造成、それから国営大規模草地造成事業、ずいぶんこれは種類が多いわけです。したがってこれは今後の問題でありますが、これらの逐年行なわれてきた草地の造成改良事業等についても、いずれの機会にか、これは統一した体系のもとに移行さして、そうして強力な実施を進める必要があるのではないかというふうに考えますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/116
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117・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御意見の点は十分尊重いたしまして、そういうふうに検討を進めていきたいと思います。草地を系統的、組織的に開発していくということが必要であると私も考えます。そういう意味におきまして、だんだんいろいろな面から草地造成をしておりますが、ひとつ組織的に系統的に整備するのが適当であろう、そういうことについての検討は加えさせていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/117
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118・芳賀貢
○芳賀委員 そこでお尋ねしたいのは、特に草地開発造成ということになれば、何といっても北海道に重点があると考えられるわけです。北海道につきましては、最近の農用地あるいは草地の造成事業は、これはもちろん機械開発を中心にやっておるわけでありますが、最近の方式はこれは国が、北海道庁が機械導入をする場合に、その施設に対して六割の助成を行なう。国が六割です。道は四割の負担をしまして、必要な機械の導入を行なって、この機械の実際の運営は、事業主体は北海道生産農業協同組合連合会が北海道庁からその機械の貸し付けを受けて、国及び北海道の適切な指導のもとに、現在は草地機械改良事業要綱並びに事務処理要綱というものを策定して、これに基づいて農協方式で機械開発が進められておるわけです。この実績は大体北海道で行なう農用地の開発造成あるいは土地改良事業とか、開田事業等も入るわけですが、約八五%程度は北生連が主体となった機械開発でやっておるわけです。したがって機械公団の事業ということになると、先般の根釧地区のパイロットファームの開発以来は、ほとんど機械公団は北海道においては仕事をやっていないわけです。それはいいとしましても、問題になるのは、北生連がやっておる機械開発事業の委託事業に対する料金と、機械公団の料金とに非常な差があるわけです。公団のほうが安いのであれば話はわかりますが、公団事業の料金は非常に高いというところに問題があるわけです。たとえば障害物の除去作業等については、公団の料金のほうが農協方式でやるよりも倍の料金を取っておるわけです。それから機械開墾あるいは整地作業等については、大体北生連の料金よりも五割増しの料金を公団が徴収しておるという、これははっきりした資料があるわけです。そうするとわれわれとして奇異に考えることは、農協の行なっておる機械開発事業についても、これは北海道が国の助成を得て機械導入をして、それを主体にして農協にやらしておる。機械公団の場合においても、国が出資を行ない、あるいは機械の現物を出資して、機械公団に公共的な事業を行なわしておるということになれば、いずれも公共性というものは具備しておるわけです。その公共性を持った二つの事業主体というものが、同一の作業をやる場合に、一方は倍あるいは五割増しの料金を取らなければ運営ができないということは、われわれとしては納得できないわけです。ですから、こういうような高率な料金を取らなければ機械公団の今後の事業もできないということであれば、生産者あるいは受益者に特別の負担を与えて建て売り牧場を公団に造成させる必要はないではないか。むしろ従来あるいわゆる機械貸付方式によって、その生産者団体である——北海道においては北生連であれば北生連を主体にして、その体制というものを強化さして、そうして行なわしめたほうがいいのじゃないかというふうにも、われわれとしては考えられるわけです。ですから問題は、どうして公団事業というものは料金が倍も五割も高くなければ運営ができないかという問題、これはやはり農林省として解明してもらわなければならぬ点だと思うわけですが、それからもう一点は、きょう北海道開発庁の総務監理官も来ておりますが、今後北海道の開発事業を進める場合、特に農業開発、農用地の開発造成事業等については、いろいろな方式はありますけれども、いままでいろいろ国や道が苦心して案出した機械開発の方式等について、それが大体定着しておるというような段階にある場合においては、むしろその機能を助長して行なわしめるほうが、これは最適ではないかという判断も、われわれは北海道開発の見地から考えた場合には持たざるを得ないわけです。ですからこの点について、政策的な見地から、農林大臣及び開発庁の当局から明らかな意見を述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/118
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119・赤城宗徳
○赤城国務大臣 北海道におきまして北生連ですかのほうが料金が安い、工事そのものが機械公団と同じようで料金が安いということならば、その方向で進めたほうが適当だと私は思います。しかしこっちの内地等におきましていまそういう機械を新たに買って預けて補助をして、そうしてやるというような組織にはなっておりませんので、この建て売り牧場につきましては機械公団でやらせることにいたしておるわけでございます。しかしその料金が比較して非常に高いということにつきましては、経営といいますか、そういう方面に幾ぶん十分でない点があるのかと思いますが、あるいはその他の原因があるかと思います。そういう面につきまして私詳しくまだ聞いておりませんので、農地局長からちょっと説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/119
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120・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 若干補足して御説明させていただきます。実は畜産局で草地改良事業を政策的に推進するために、草地改良の機械に対しまして五割近い補助をする。それを使いまして北生連は事業をやっておる。したがって減価償却は補助残についてだけ見て、コスト計算をする、こういうことでございますと、一方機械公団の機械は当然減価償却はフルにやっておる。半額だけを、補助残だけを減価償却していくというやり方ですと、実は償却期が来たときに、もとのとおりにはならない。この問題は道が持つという形において、問題を解決しておるようでございます。したがって問題は、政策的に草地改良のために機械の補助をするという政策機械を北生連が活用されておる、こういう因果関係にございます。なかなかむずかしい問題でございますが、事実の原因関係から言いますと、そこが一番大きな差の問題になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/120
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121・小熊清
○小熊政府委員 農用地の開発、特に酪農の振興がこれからの北海道の農業の大きな柱になるという点は、御指摘のとおりでございます。北海道の開発事業においても、特に草地造成を取り上げて積極的にやってまいるということで、現在はいわゆる小規模の草地というものを農業団体等が主体になって、国の補助事業として進めておるわけです。しかしながら酪農のために飛躍的に草地をふやしていこうというためには、そのようないわゆる小規模草地の造成だけでは十分ではございません。相当面積の広い五百町歩、千町歩というような、いわゆる大規模の草地、これはもう少し力のある、たとえば国が自分で造成する、あるいは公団が造成するといったような方法で進めていく。両々相まって北海道の農用地、特に草地の造成を進めていこう、こういうことでございます。したがいまして現在やっております開発事業、草地改良事業も、もちろん必要でありまして、これもさらに拡充をいたしたいと思いますが、あわせて四十年度から予定されております公団ないしは国営の大規模の草地改良事業も、積極的に進めてまいるというのが必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/121
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122・芳賀貢
○芳賀委員 私の言っておるのは、たとえば政府が導入機械に対して北海道に六割補助するということは、六割する価値があるから補助を出しておるわけでしょう。ただその金をどぶに捨てるために六割の助成をしているわけではないと思うのです。北海道が導入する機械購入費に対して、国が六割の助成を行なって、そうしてその機械は事業主体を生産連に置いて機械を貸し付けする。生産連において道の負担しておる四割分に対しては、確実にこれは償却の積み立てを行なって、しかも低廉な料金を委託を受けた受益者からは徴収して、健全な経営を行なっておるわけです。そういう方式というものは、だんだん定着しておるわけですね。一方機械公団の場合は、国から出資を受けておる。出資は補助よりもいいでしょう。利子もかからぬし、全額出資金というものはその事業に全部使えるでしょう。何も首をひねる余地はないじゃないですか、出資の使い方というものは。国有機械というものを現物で出資しているのです。最初は農地の局ポンコツの機械を現物出資して提供した時代もあったが、最近は新鋭な機械を農林省が購入して、現物出資の形で公団にこれを使用させておるわけです。だから現物出資の場合には、六割補助よりもこれは有利であるということは間違いないじゃないですか。しかも公団というものは、これは公共性を持って事業を行なうというところに、その目的があるわけですから、営利追求のために機械公団をつくって、農林省の古手をそこで養うという目的じゃないでしょう。そうであれば、この機械貸付方式も農業開発のためにできるだけ公共性を持たせて開発を行なう。機械公団もそういう目的でやっておるという場合に、同じ行なった事業の料金について、一方は倍も五割も高いということは、どういうことかということを私は聞いておるわけです。これは北生連の料金についても、農林省あるいは北海道庁はこれにタッチして承認を与えておるわけです。機械公団の場合においても、業務方法書に付随した規定に基づいて、毎年の料金額というものについては農林省が承認を与えておるじゃないですか。その場合にそういうような比較ができないところでは、公団の料金はこういうものだと思って安心しておるかもしれぬが、二つの方式が並列的に事業を行なった場合には、当然これは料金の比較というものはでき得るわけです。その場合にこういうような大きな矛盾が生じておるわけだから、こういう建て売り牧場の方式をやる場合も、公団にやらせるということだけが目的で、結果は生産者に重い負担をかけることのないように配慮されておるかどうかということを、念のため私は農林大臣にお尋ねしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/122
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123・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ですから先ほど答弁したとおりで、事業成績が同じであるとするなら安いほうがいい。だから北海道の場合などでは、北生連に仕事を多くやるということは、これは当然だと思います。それから同じような仕事であって料金が高いというのは、あるいは経営内容においてそういう欠陥があるか、でなければ請負との関係で料金のきめ方ができておるか、そういうことを私十分承知していない。でありますのでなお調べて御答弁をしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/123
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124・芳賀貢
○芳賀委員 それでは私の大臣に対する質問はこれでとどめておきますが、特にこの点について畜産局長あるいは農地局長において、私の指摘した点にもし疑点がありとすれば、さっそく北海道における公団の委託事業の料金表、それから農林省あるいは北海道が指導してやらせておる北生連の事業に対する料金表を、資料として国会に提出してもらいたいのですが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/124
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125・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 資料は提出をいたします。
農地局長からもお話があるかと思いますが、現在都道府県に助成をいたしまして、私どもも助成をいたしまして、草地改良用機械の整備をいたしておりますのは、当初購入時における経済的負担を軽減することによって、できるだけ草地造成に必要な機械を整えるのだという思想に出ておるものであります。北海道においてももとより同じ考え方で出ておるのでありまして、補助要綱上必ずしも拘束はいたしておりませんが、助成をして整備された機械は、当然償却を終わりましたときには、さらに更新できるような形で循環することが望ましいといいますか、私どもとしては当然のことだと思っておるわけでございます。ただ北海道におきましては、国の補助のほかに道の補助があるということがございますために、当初の負担というものがなくなっておるというようなことから、償却の部分がその一部にとどまった形で行なわれておるというようなことから、北生連がやっております賃料は、機械公団のものよりも安いという事実があるようでございます。建て売り牧場を公団がやります場合に、通常の経済的見地からいうならば、これは安く——安くといいますか、少なくともむだな経費のない建設整備ができるはずになっておるわけでございますが、北生連の事業費との関係において問題があります点は、国の補助の関係やあるいは道を通して売り渡しをいたします際の道負担の問題との調整、それから施行地帯をどう利用するかというような点で、具体的な問題として解決をしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/125
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126・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/126
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127・中村時雄
○中村(時)委員 私は質問をする前に、せっかく有能な大臣がいらっしゃるのだから、食糧の需給に対する問題の基本的な問題から、酪農問題、畜産問題にひっかけて、飼料問題の基本的考え方を四、五点伺って、赤城農相の構想をひとつお教え願いたいと思うわけです。
そこでまず第一に考えられるのは、いままでの農業政策をながめてみますと、ほんとうに基本的な問題としての食糧需給ということが、確固とした一つの方向を持っていないのではないか。そのために自由化の問題であるとか、何か一つの現象が起こってくると、つけ焼き刃的な一つの方途だけを一生懸命にやっていかなければならぬ。それにはそれの価値がありますけれども、やはり一つの基本路線があって、その路線にどのように合わせていくかということがなくては、ほんとうの自給体制の上からくる畜産振興に対しても、問題の焦点がぼやけてしまうのではないか、こう思うわけなんですが、農林大臣はこの日本の食糧需給に対して、どのような基本的なお考えを持っていらっしゃるか。ただ抽象的に八〇%くらいを自給するのだとか、いろいろな構想はあるでしょうから、どういう基本的な意味を持って農林大臣が考えていらっしゃるかを、まずお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/127
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128・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のとおり終戦直後におきまして、食糧が非常に不足したときにおきましては、食糧の自給ということで、生産政策といいますか、そういうものに非常に重点があったと思います。しかしその後食糧が、特に米等におきまして、相当豊作が続けられてきたという段階におきまして、農業基本法ができました。農業基本法ができまして、その中で選択的拡大というような方向を相当強く打ち出されました。その前提として格差の是正というようなこと、それから農家の生活水準の向上、こういう面に相当ウエートがかかってきたというふうに、歴史的には見ています。しかし農業基本法におきましても、そうすべての農産物の自給度を増すといいますか、こういう総生産を増していくということは、一つの大きな柱になっているわけでありますが、とかくそれが見失われてきておるように私も見ています。でございますので私は就任当初から、この見失われた食糧の自給体制というものをはっきり打ち出さなくてはいかぬ、こういうふうに考え、いまでもそう考えておるわけであります。というのは、戦争前のように世界大戦あるいは戦争というような面から、食糧の自給ということを考えるのではなくて、国の経済の総合的な発展という点から考えましても、食糧の自給体制があるということは、他の産業の発展に非常に寄与しておる。ことに日本のように工業の資材等がないところにおきましては、なおさらそうであると思います。そういう意味におきまして、食糧の自給制というものは維持していかなければならない。しかし食糧につきまして、自由化の問題もありますが、国内におきましても適地適作というか、適地適産ということを考えなくてはなりませんが、国際的にもやはり適地適産といいますか、農業におきましても国際分業の面が非常に出てきておると思います。そういう意味におきましては、自由化との関連におきまして、日本において必要なもの、日本において適当なもの、こういうものに対しましてはどうしても自給を進めていかなくてはならぬ。しかしものによりましては国際市場においてこれを調達するということも、経済原則に従ってそういうような方向に進むことはやむを得ない趨勢である、こういうふうに考えます。基本的な考え方はいま申し上げたようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/128
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129・中村時雄
○中村(時)委員 いまのお考えというものは、抽象的ではあるけれども非常にはっきりしておるのです。ただ農林大臣が言おうとしていらっしゃるのは、たとえば外国の農業と日本の農業との対比、国内経済の中の一環としての農業政策のあり方、こういう問題が総合的になって、それが発展をしていく。そして一般の他の産業等に、日本の農業というものは寄与しておるのじゃないか、こういうふうに見られていらっしゃるのですね。その根底の概念が少し私たちとは違うわけです。そういう基本を持つことはいいのですが、結果にあらわれてくる問題として、逆に他の産業の発展する犠牲を農業が非常にかぶってきつつあるのじゃないか。たとえば低労働の都市への流出であるとか、そういうことがひいては兼業農家になって発展してくるとか、そういうふうになってくるのであって、御承知のように一九六〇年、自由化大綱というものが閣議決定をされまして、本格的にこれから自由化に取り組もうじゃないか、こういうことになってくる。そこへちょうどたまたま池田さんの所得倍増論が出てくる。そしてこれが具体化して、ある程度経済の高度成長政策というものが伸展し始めてきた。ところがそのときに逆に、その証拠に農業のほうは麦作の転換の方向というものが支持された年なんです。だから片方のほうは経済的な構想で前向きになろうとしておる。そして農業もそれを支援しておるといいながら、総合的なものがないために、麦作の転換がその中から生まれてくる。これはどういうことからくるかというと、私はこう思う。都市において、官庁のお役人なんか特にそうですが、自分が経済社会の中で能力的に頭が進んでいくわけなんです。だから統計的にあるいは机上的に、ものの仕組みというものが非常に鋭敏な感度で打ち出されてくるわけです。ところが一方農村においてはまだ遅延社会、そういう姿の中から実体の上に立ってものの判断をきめようというから、どこかで相違点が出てしまう。そしてずれてしまう。だからやることなすことが、実際にはいいと思ってやったことが、結果においては悪い結果が出てくる。こういう行動が私は方々にあらわれておるのじゃないかと思うのです。その一つのあらわれ方が、いま言ったように高度経済成長だというたてまえから、経済社会としての効率の上がる手をどんどん打ってみた。ところが実際にはなかなかそうはいかない。外国から安い米でも買ってくればいいじゃないか、麦でも買ってくればいいじゃないかということになって、国内的には麦作の転換の方向を打ち出さざるを得ない。これは経済効率の上からだけ考えた原因。そういうところから一九六一年になりますと、自由化というものが実際非常に積極化されてきまして、そして自由化促進計画というか、そういうものが出された。それと相呼応して農業基本法というものが生まれてくる。農業基本法が発足して、麦作の転換が具体的に今度は予算化されてきた。それが私の記憶ではたしか一九六一年のそういう当時だったと思う。一方そういう麦作の転換と相呼応して、日本においては御存じのように、日本飼料協会というものが設立されておったはずであります。そのことは何を意味するか。ここで私はその事の是非論を言おうとは思っておりませんが、続いて一九六二年には自由化が御存じのように六二%になって、農業構造改善の政策が大体具体化されていき、そうしてまあ第一歩を踏み出してきた。こういう状態になって、ついに一九六四年には自由化率が九二%となって、御存じのようにIMFあるいは八条国移行、OECD加盟、そういう問題が国際的にいろいろな問題としてあらわれてきておるわけなんです。このような国際的な変化の中で、日本の農業がこの自由化に伴って、農業部門に相関関係として、どういう立場で農業政策がそのつどつど変更されてきたか、そういう問題に関して大臣のお考えを整理して承っておきたい、こう思うわけなんです。これは大事なことですよ。国際関係がそれだけ変わってきて、自由化が一歩一歩前進してくる。そのつどつど農政というものが変わっていっているのだから。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/129
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130・赤城宗徳
○赤城国務大臣 どうも相関関係ということを申し上げるのには、もう少し御説明を承ってから答えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/130
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131・中村時雄
○中村(時)委員 それは農林大臣、意識してあなたがやられたことなのか、あるいは無意識的に国内の一つの現象をとらえてやられたことなのか、そたはわかりませんけれども、たとえば先ほど言ったように、自作農創設ということを一生懸命考えられておる。ところがそれがだんだん行き詰まってくる。そこで構造改革という一つの政策が生まれてくる。そうしてこの構造改善なり、あるいはその裏づけとしての体質改善といいますか、そういうことがあなたの施策の中では至上命令となってあらわれてきておるわけなんですね。それは一つの外国のそういうような問題と相関連し、国内の経済社会の中で、日本の農業の占める立場、そういうものが相関関係をして、いま言ったような体質改善にまで入っていかなくちゃならぬのじゃないか。あるいは近代化の方向をとらざるを得ないのじゃないかということが、私は生まれてきたのだと思うのです。そういう意味でお尋ねをしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/131
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132・赤城宗徳
○赤城国務大臣 これは先ほど幾ぶん触れたつもりでございますが、従来農業というものが鎖国主義ではございませんけれども、その国その国で農業の保護というような考え方を持っておったと思います。しかしながら最近いま御趣旨のような年度において、それぞれ国際的な農業ということに入っていった、そういうような形でありますので、非常に矛盾が出てきたと私は考えます。簡単に言いますならば、まあ弁証法的な進め方を持たざるを得ないような相関関係になってきておる、こういうような関係でありますので、いろいろな弁証法的なテーゼが出てきた中においてジンテーゼをつくっていくということは、総合的にも、個別的な農作物につきましても、考えていかなければならぬ問題ではないか、こういうふうに相関関係からいえばどうだというお尋ねでありますならば、私の考え方はそういうふうなものであるということをお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/132
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133・中村時雄
○中村(時)委員 そういう情勢の中で二転三転をしていっている。農業構造改善となり、農業の近代化、機械化、そうして体質改善、そういう方向にだんだん農業政策というものが生まれ変わってきたと思う。そこでそのような方向に裏づけられた構造改善なり、農業の近代化なり、機械化なり、あるいは体質改善というものが、日本の農業が根本的にそのために変革されたかどうか。これが効果があるのだといって推奨されましたが、その変革が推奨されただけの価値を生んだかどうか、あるいは体質改善がほんとうになされたかどうか、そういう意味においての効果を大臣はどのように見ていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/133
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134・赤城宗徳
○赤城国務大臣 方向づけは持っておりますけれども、その効果が私はあらわれたとは考えられません。方向につきまして、しかし模索していた時代は過ぎて、その方向に進みつつある、こういう過程であるというふうには、私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/134
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135・中村時雄
○中村(時)委員 それは大臣、非常に安易な——あなたの性格が安易なのかもしれませんが、私は逆だと思う。そのような行き方は非常に宣伝もされ、いろいろされましたけれども、そのような近代化や体質改善の結果というものは、逆に変革の中心が農業経営の拡大という、私はそこにあなたの根本的な問題があったと思う。今度の農地事業団にしてもそうです。少なくともそういうような前提は、究極の目的をどこへ置こうとするというと、農業経営の拡大であろうと私は思うのです、あなたの考え方の基礎は。ただ先に前提が出てしまったものだから、結果がいまごろになって、やっとこどっこい出てきておるのであって、そういう一連の動き方というものの究極の目的とするところは、あなたのお考えとしては、私は農業経営の拡大という根本的な変革に何とかしょうという考え方であったと思う。いまもあなたがうなずいておられますけれども、ところが実際はそういうような影響ではなくして、逆に御存じのように挙家離村の問題であるとか、労働力というものが兼業化してしまうとか、農家数が減少して、逆に労働力の質的低下が行なわれてきたとか、そうして結論的に言ったら、日本農業の立ちおくれに対する根本的な改革、あるいは性格的な変化は、実は期待どおりには生じなくして、逆に農業労働の急速な減少と質的な低下となってあらわれてきたのではないか、こういうふうに考えられる。
そこでこのような農業労働の急速な減少、質的な低下という問題が、まないたの上に乗ったからこそ、農林省なんかの考え方も、協業化とか、共同化とか、そういう方向に進まざるを得ないという結論が、私はその中から必然的に生まれてきているのであろう、そう考えているのですが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/135
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136・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私がそういう方向へ進みつつあるということは、ことばをかえて言いますならば、いま御説示のような状況があるために、逆にいけばそういう方向をとらざるを得ないのではないか。たとえば労働力が減少している、こういう現象、あるいは労働力の質的低下をしている、こういうような現象から、いままでやっております機械化の問題につきましても、大型機械を入れて共同的にやっていかなくてはならぬという方向に進まざるを得ないのではないか。あるいはまた機械化をするにつきましても、土地改良等基盤の整備をもっと進めていくべきではないか。究極的に言いますならば、私の考えておりますような農業の構造改善が、経営規模の拡大、これは面積におきましても、あるいは質におきましても、資本の装備というような面で経営の拡大強化をはかっていかなくてはならぬ。そういう方向へ私は向いておる、大きな目から見れば。でありまするから、現実にはいろいろなそれと逆な方向が出てきたために、今度は逆にそれをアウフヘーベンしていかなければならぬような状況になってきているのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/136
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137・中村時雄
○中村(時)委員 まるで質問しているほうの質問の内容をとって、結論をつけられていくようですけれども、これが最初からあなたが構想されて、きちんとこういうふうになってきたなら、私はりっぱなものだと思うのです。ところが実際には具体的にそういうものにぶち当たりぶち当たりして、そういうふうな前提ができてきて、しかたなしにそのほうへ引っぱられていくように感じられるということは、そういう基本政策が、農林省をはじめ、ほんとうの農業政策としての基本の総体的なものが、私はなされていないのではないかという疑義を抱くのです。そういう立場で私はいま御質問をしているわけなんです。そこで自由化という問題が、共同化という表現を使っておられますけれども、その共同化という内容を考えましても、構造改善事業というものの失敗が、ついにもう一本の柱を立てざるを得ない。それが私は選択的拡大だ、こう思うのです。そしてその選択的拡大の中から、共同化の方向をとりながら、いま言ったように農地の増大化をはかっていこうとか、いろいろ具体的な政策が生まれてくるのではないか。それがあなたの構想の一環として事業団のほうに結びついていくのじゃないか、このように受け取っておるのですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/137
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138・赤城宗徳
○赤城国務大臣 どうも表現があまりじょうずでないものですから……。考え方はどうも同じようなことであり、いまの農政が成功していたからこういうふうにいくという、あるいは方向が初めからできておったから、その方向というよりも、いろいろな障害にぶつかりながら、だんだん方向が明らかになってきておるといいますか、そういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/138
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139・中村時雄
○中村(時)委員 ところが経済社会のほうは、御存じのとおり急速な進歩を遂げていくわけですね。これはもちろん財政的な援助もあります。いろいろな環境がございます。そのことの詳しいことは申しません。あるいは管理価格の問題等々、いろいろな問題をひっくるめての問題がありますが、ただ、いま言ったようにぶつかりながら行ったのでは、農村というものの所得格差は追いつけないのです。そこに問題がある。
そこで私はまず第一点にお聞きしたいのは、そういうような格差が多くなってきたという結論が、いま言ったように考え方がおくれていって実行に移す立場が非常におくれたために、所得の格差が生まれてきたと私は思うのです。そこでその所得の格差があまりにも激しくなってきたので、自立農家の規模というものをある程度引き上げなくては、これは世界的にも国内の経済情勢の中においても、とてもやっていけないのじゃないかという考え方が、農地事業団の一つのあらわれとして生まれてきたのだろう、こういうふうに見られるわけです。そこで私がお尋ねしたいのは、農林省の中で、よく当初において二・五ヘクタールの規模が非常に正しいのだから、自立経営農家としての規模を考えた場合に、大体二・五ヘクタールぐらいを中心にして考えていくのです。このことが御存じのように貧農切り捨て論であるとか、いろいろな問題をかもしたわけなんですが、ところが最近に至ったら、てんで耳にしたことはないのです。一体こういう変遷はどういうことになっているか。これは農地局長——いない。それではしょうがないから農林大臣だな。そういうことを聞くのは気の毒なんですけれども、一体どういうお考え方に構想が変わりつつあるのか、それをお聞きしておきたい。二・五ヘクタールというものが一体効果を持ったものなのかどうか。いまでもお考えになっておるのか、どうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/139
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140・赤城宗徳
○赤城国務大臣 二・五ヘクタール平均百万戸という所得倍増計画の計画どおりにいっておらないことは事実でございます。しかし一・五ヘクタール以上の農家などは、これは兼業農家が一方にふえていますが、この面などはふえておる面のも、統計といいますか、数字に出ておるわけでございます。でございますので、これは捨てるべき目標ではない。やはり目標としては二・五ヘクタールというものは、年度といいますか、十ヵ年にこれができ上がるとは考えませんが、そういう目標は持ってしかるべきだと思います。あるいはそれ以上持たなくては目標としてはだめではないか、私はこう思います。しかしそれとは恥に、そういう目標がなかなか倒達しませんし、所得格差という問題もございますので、自立経営というものが経営面積ばかりではなく、やはり所得の面で、たとえば六十万以上とか八十万以上の所得というものも、自立経営農家の一つのモデルといいますか、型だ、パターンだ、こういうような考え方を持っておることも、これは現実の事実でございます。そういう意味合いにおきまして、経営規模の拡大の面におきましても、あるいは経営の質的強化といいますか、資本装備等が強化されて所得が増すという方向へ持っていく、それがすなわち自立経営農家の育成だ、こういう方針はいまでも持っている、こういうことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/140
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141・中村時雄
○中村(時)委員 いま言われて思い出したように、自立経営というものが飛び出したわけなんですが、私は逆に思う。そんなものは、二・五ヘクタールというものも、これが適正なものかということは私は疑問を持っている。その例を示して一々列挙して、あなたとこれはまた何かの機会にしてもいいのですが、きょうの議題にはしたくないと思っているのです。それには非常に大きな疑問があります。その証拠に、あなた方がいま思い出したように自立経営、私が言ったら口からひょっと出たと思うのですが、そんなことにはもうこだわらなくてもいいのじゃないですか。政策の重点が自立経営から選択的拡大の方向へ大きくステップしよるのじゃないですか。その選択的拡大の中から、あなたは自立経営という面のがあっていいのじゃないかというお考え方になっているのだと思うのですが、基本の取り上げ方としては、自立経営の方向から選択的拡大とそういうふうに変わって、構造改善かあるいは主産地形成という方向に移行されているのではないか、こういうように思うわけなんです。
そこで農地局長、頭を振りよるから、農地局長から聞いておきたい。あなたの概念を言うてくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/141
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142・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 先生たびたび選択的拡大の御発言がございますので、私が首をひねっておったわけでございますが、実は基本法をやりました当時から、生産政策としての選択的拡大と、それから構造政策の問題は二本の柱でございまして、構造政策が——また農業でございますから結局物をつくっていくわけでございますから、その構造改善されていく形体が、つくる物も選択的拡大の方向において走るべきである、こういうのが二本の柱であったと私ども深く信じております。したがっていまお話のように、それからもう一つ、これは私見として申し上げたほうがいいのかもしれませんが、当時事務的にこれを考えました際に、将来における農業人口の減少、劣悪化、それから外国の圧力というものは直感をいたしておりまして、いわば防衛としての構造政策、生産政策という立場で基本法が、農林省内部では基本問題の検討会で議論されました。したがって路線としてはずっと予想した路線である、私はかようにいまだに信じております。ただその防衛としての構造政策なり生産政策が、当初予期した情勢の変化、変化して防衛しようと思って考えておった変化のテンポより早くて、はたしてそれに十分対応できる形において効果を結んでおるかという点になりますと、私どもも大いに現実を見る目におきまして見直さねばならぬ問題が、外界の変化の激しさ、当時考えました防衛体制の進め方というものとのズレというものは、切実に身にしみて現在感じております。ある段階において選択的拡大に変わったという点はどうも納得いたしませんので、首をひねっておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/142
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143・中村時雄
○中村(時)委員 そうするとあなたのおっしゃる防衛的な立場からものを考えてみても、そのテンポが非常におくれたという責任は、この何百万という農民に対しては、大きく黒い雲になってかぶさってきているわけなんですね。そうでしょう。当初から選択的拡大として、その時点でなぜこれだけのいろいろな問題が出なかったか。たとえば農地事業団にしても、あの当時から比べて何年たっていますか、あるいは今度の草地造成にしても何年たっていますか。しかも草地造成にしても何ヵ所かで——これはあとで質問いたしますが、何ヵ所かやっているものが赤字になってあらわれてくる現象は、どこに原因があるのか。そういう問題は当初から予期しているなれば、当然そういう事柄が机上の上においてもあらわれてなくてはならぬと思うのです。それがいまごろになってあわてて飛び出してくるということは、テンポがおそかったからちょっと困りましたというどころの騒ぎじゃないということなんですね。あまりにもひど過ぎるということが言えるのですね。それでいいかどうかという大きな疑問さえ私は抱くのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/143
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144・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 もう一言言わせていただきます。基本法をつくりましたときに選択的拡大と構造改善の二本の柱、そのうち選択的拡大ということは生産政策でございますから、農林省の行政としては非常になじみやすかった。したがいまして選択的拡大の行政ということは当初から進んでまいった。ある意味からいうと進み過ぎたのではないかと思われるくらい進んだと私は見ておるわけであります。しかし構造政策のうちでも、構造とは申すまでもなく土地と資本と労働と理解するなら、いわゆる構造改善促進対策事業を資本の装備、資本の整備施設の増強という意味におきます構造改善に取っ組んだけれども、どうしてもその土地と経営の問題についての取り組みが足らないというのも事実である。そこでその問題が非常に大きな問題であるけれども、どうしてもここで取り組むべきだということにその後の検討において相なって、私どもが今度管理事業団の問題を取り上げて御審議いただこうという道をたどった。しかしそれら全部を通じて外界の変化、二次産業の高度成長のテンポにそぐったかそぐわなかったか、そこに誤りなきゃという問題については、きわめて良心的にいろいろと反省をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/144
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145・中村時雄
○中村(時)委員 あなたを相手にしてこれ以上言ってもしようがないのですけれども、はっきりさせておきたいのは、あなたのおっしゃるように選択的拡大ということが、構造改善の中から農業基本法のときすでに云々されておるということになれば、構造改善あるいは選択的拡大のうらはらになるのは価格政策だ。ところがそのときの価格政策というものは明確にされていないばかりに、片一方だけが前進してしまって、片一方だけが後退するという結果が生まれてきておる。それが今度の乳価の問題であり、いろいろな問題になってあらわれてくる。一応ある程度の食糧の自給体制の中で米麦を中心にして、それに相関的に酪農というものの選択約拡大を訴えるなれば、当然そのときに出なければならない。私はそう思う。それはどういうふうに思われましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/145
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146・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 私でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/146
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147・中村時雄
○中村(時)委員 あなた、首をひねっておるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/147
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148・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 それではもう一言だけ答弁させていただきます。選択的拡大と構造政策を二本の柱として走らせようと考えたときに、一番端的な問題としては価格政策であろうということは、当時議論に出たのです。しかし価格政策を通じてこの二本の柱を走らせるということは、事柄の発想法そのものが、外国の影響なり何なりから発想いたしておりますために、価格政策を軸にするということに対しては、当初かち相当のブレーキをかけて考えていこうという思想が、私どもの内部間においてはずいぶん強く認識されて、この基本法段階の基本問題の議論では行なわれておったわけであります。したがって率直に言いまして、価格政策を軸としての選択的拡大ということは、農林省の施策としては行なわれずにまいりました。また当時当初からそれを軸にして、単純に選択的拡大をやることの意義というものに対しては、疑義を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/148
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149・中村時雄
○中村(時)委員 私の言うのは、三本の粒にして、構造改善といま言った選択的拡大とそれから価格政策であるというのじゃないのです。選択約拡大をやる場合には、一つの業種に対して一つの方向を裏づけるのですから、それに伴う価格体制というものは当然あってしかるべきじゃないか。これはうらはらの問題なんですよ。私はそう思う。あなたの言っておるのは、それはちょっと疑義があるというのはおかしいと思う。当初から選択的拡大をやる場合には、うらはらにやはり価格政策というものが伴わなかったら、やりそこなった場合には責任が持てなくなる。そこまで農業政策というのは推し進めて考えておかなければならない、こういうふうに私は理解をしておったわけです。それを言っておるわけです。農地局長、言えますか。はっきりしてください。あなたが首をひねるから、何ぼでも言いますよ。だんだん深みにいきますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/149
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150・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 選択的拡大と構造政策と要するに経営の近代化、こういうことが取り上げられた背景といたしまして、結局所得の問題と海外の問題になってくる。したがって価格水準を上げる政策を軸にしてやったのではこれも答えにならない。と同時に、しかし選択的拡大の対象たるものに対して最低価格に対するうしろからの逆ささえというものは、当然要るという考えはあったわけでございます。これはその水準の当否はいろいろ御議論はあろうと思いますが、現在の米以外のものの価格支持対策というものは、そういう考え方で補強されておるもの、私はかように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/150
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151・中村時雄
○中村(時)委員 価格政策というものは価格を上げることじゃないのですよ。私の言っているのは、あなた方の考えている構造政策やあるいは体質改善の目的はどこにあるかといえば、生産性の向上とか、あるいはあなた方がよくキャッチフレーズにしている生産コストの引き下げであるとか、そういうところを目標にした価格政策というものが、本来の価格政策なんです。それを間違えて価格を上げるためにどうしようとかこうしようとか、そのために手を引いたとか引かぬとか、そういう愚論を言っているのではないのです。もっと本質的な農業政策としての感度として打ち出してもらいたい。
私はあなたを追及しようとは思いませんが、そこで海外的な問題ということを取り上げられたから、その一、二点を言ってみましょう。たとえば選択的拡大自体が、私はやはり余剰農産物との関係があると思うのです。あなたは海外的な問題と、こう言いましたが、終戦直後、食糧の問題に対しても、一つの余剰農産物としてのマーケットとして日本というものを見詰めておったに違いない。これは事実、余剰農産物の法規の中にも、あるいはアメリカの国内法の中も、余剰農産物に対するところのシェアの問題をどう取り上げるかということは、明確に打ち出されておる。そういう関連性があるからこそ、日本の農業政策というものが端的にみずからの力によって前向きになりにくいということが生まれてくるのです。それがあるからこそ、私は先ほど来その変遷を言っていったわけです。だから余剰農産物を度外視して、日本の農業散策というものを農林省の中で正断切って打ち出すことができるかどうか、あるいは与党の中で農林大臣がそういうことができるかどうかを一点、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/151
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152・赤城宗徳
○赤城国務大臣 余剰農産物ということに限定するのはどらかと思いますが、とにかく日本の農産物が相当コスト高である、余剰農産物その他世界の農産物が日本の農産物に対してコスト安である、こういう関係にありますので、こういう関係を無視して農業政策、対策がやっていけないということは、私も十分承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/152
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153・中村時雄
○中村(時)委員 それは農林大臣のおっしゃることがほんとうなんです。少なくともMSA協定の中にもそれがはっきりしているのです。それからアメリカの国内法の中にも、余剰農産物の処理法というものの規定ができている。だからそういうものを勘案された結果における農業基本法であり、それから生まれてくるところの構造改善の問題であり 選択的拡大の問題であり だからそういう事柄が、非常に対外的な問題の圧迫が、御存じのように一九六〇年の麦の問題に関連をしてくるのじゃないか、こう受け取られてくるわけです。そこで裏作としての麦はどう考えますか。農林省のほうとしてはこれを衰退作物として今後取り上げようとしているのか、あるいは畜産に対する補強作物としてこれを取り上げようとしておるのか、そこらの点を明確にしておいていただきたたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/153
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154・赤城宗徳
○赤城国務大臣 裏作の麦は、確かに食糧としての麦としては衰退せざるを得ないような動向にあると思います。しかしこれは飼料としてやはり生産を進めていく、こういうような対策は講じていくべきだ、そういう意味で飼料作物としての麦類等を増産していくという対策は講じてはおりますけれども、これは価格の問題もあります。それから労力の問題と、いろいろなネックはありますけれども、飼料作物としての方向へ生産をやっていく、こういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/154
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155・中村時雄
○中村(時)委員 それでは、畜産局長に聞くけれども、いま大臣のおっしゃるように、これは衰退作物といっても補強作物として、要するに飼料ですが、補強作物としてやっていく。もちろん麦の品種の問題もあります。ハードの小麦を入れるとか、いろいろな問題が今後行なわれてくるであろうと思うけれども、それに対して具体的な一つの案件を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/155
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156・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 国内におきます濃厚飼料の給源としては、御指摘になりました麦類あるいはイモ類であろうと思うのであります。この麦が順調な生産を示しますならば、これは濃厚飼料源としてすぐれたものであるということは、私どもも考えて誇るわけでございまして、国内における濃厚飼料給源としての麦の生産の増強という問題は、真剣に考えるべきであるというふろに私どもも考えておるわけでございます。ただ、実際の趨勢としては、おっしゃるような衰退の形をとっており、しかも現在の制度なりあるいは生産の形態なんというものが、生産を上昇していくようなものとして働いていないという問題を、深く追及をしていく必要があるということでございまして、麦の今後の飼料給源としての供増給大という問題は、全省をあげて検討をしてまいるというつもりでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/156
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157・中村時雄
○中村(時)委員 あなた、頭がいいのだから、よく私の質問を聞いてもらいたい。たった一点だけ言ったのです。いま言ったように、麦の濃厚飼料は半分くらい輸入しているわけでしょう。そこでその麦に対する新方針として農林大臣は、衰退作物としてではなくして、飼料として考えていくべきだと、こうはっきりしている。その裏を受けて農林省の事務当局は、具体的に本年度はどのくらい、来年度はどのくらいというものを持っているのかどうか。持っていなければ持っていないでよろしい。今後やっていってもらわなくちゃならぬ問題だから、次の問題に発展するわけなんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/157
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158・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現在農林省として農政局において施策化をしようとしておる問題としては、麦の機械化栽培による合理化の方向を技術的に突きとめようという方向を打ち出しているのが第一点でございます。それからいま一点は、飼料大麦としての適品種の試験品種が行なわれておりまして、それ以上の問題については、正直に申し上げまして、明確な施策というものはただいまのところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/158
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159・中村時雄
○中村(時)委員 せっかくごりっぱな農林大臣を擁して、一生懸命そうやってやっているのだから、ほんとうに真剣に取り組んで、将来ともにこれはひとつ明確に一つの方向を打ち出していただきたい。これは農林大臣もそういうふうに指示をされながら、いま言ったように、将来の畜産業に対する振興が選択的拡大の中で一番いいのではないかと私は思っている。そういう立場からいっても、外国から中心を仰いでおる濃厚飼料の自給度の向上−先ほど言った食糧の自給度の向上と同じことになってくるのですけれども、その点で農林大臣の決意をはっきりここでしていただいて、それを受け継いで農林当局は——いま私は過去の問題がけしからぬじゃないかというようなことは申しません。将来に向かって前進の足場を明確にしておいていただきたい、こう思うのです。農林大臣、よくそのことを答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/159
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160・赤城宗徳
○赤城国務大臣 必要であり、適当なことだと思いますので、その方向を推進いたしたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/160
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161・中村時雄
○中村(時)委員 事務当局は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/161
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162・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私が事務当局全体として代表することはいかがかと思いますが、麦問題につきましては、過去一、二年間も検討を続けてまいったのでございますが、さらに検討を深めまして、大臣の御指示に沿いつつ、新しい施策の樹立という方向に努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/162
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163・中村時雄
○中村(時)委員 実はこの問題は、ほんとうをいえば土地の問題、労働の問題、いろいろやってみたいと思うのですけれども、時間の関係もありますので、全般的な問題は、それを中心にして、一応この機械公団の問題に関連させながら進めてみたい、こう思うわけです。
そこで次にお尋ねしたいのは、公団の予算の認可の時期についての問題なんですが、そのことで、那須において今度草地造成をやっていかれる、その内容を具体的に明確にして発表してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/163
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164・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現在の段階におきましては、これは事業団の一般の事業計画ということになりますと、私から答えるべきではございませんが、この法律が通過いたしまして成立施行されまして、初めて事業団の事業として認められるわけでございますので、現段階では事業団の事業として計画化されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/164
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165・中村時雄
○中村(時)委員 計画化されておりませんと言いますけれども、よく見てごらんなさい。あなた方農林省の農地開発機械公団法の一部を改正する法律案関係資料の中にある改善の問題を取り上げてみましても、たとえば期日がちゃんと出ておるのです。ひどいのは三十六年の三月二十九日、これは機械公団が申請した日、ところがそれが大蔵省が了解の月日はいつになるか。一年越して三十七年二月二十日、年度を越してまで、こういうことになっておる。しかもその法の二十一条にはこう書いてある。「公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こういうようになっておる。そうすると、いまこれからというような問題ではなくて、このような事態がこの法案が通ると、たとえば五月には施行されるという場合には直ちに実施していかなければならぬ。その実施をせんならぬというときにあたって、まだ那須の問題があんな中途はんぱなかっこうで、実際の、農林省としての責任を持てるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/165
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166・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 公団予算は、国の予算が成立施行に相なりますと、追っかけて公団の予算をつくりまして、大蔵大臣の認可を受ける。三十六年には御指摘のようなまことにルーズな処理でありましたのが、国会で非常に御注意を受けまして、事柄の性質上当然でございますので、その後においては、極力早く年度の初めにおきまして、公団予算が確立するように処理をいたしておりますというのが、この資料でございます。
そこで四十年度の公団予算の問題に相なりますが、四十年度の公団予算は、いま現に大蔵省と協議中でございますが、この建て売り牧場に関します問題は、国会に御審議をいただいておるわけでございますので、この部分ははずして、その他の部分について協議を進めておるわけでございます。事務的な処理といたしましては、いま先生が御朗読になりました予算の変更手続として、この法律が衆参で御可決をいただいた時点以後におきまして、それを修正の問題として、部分的にも、金額としては公団予算のごく一部でございますが、処理をする考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/166
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167・中村時雄
○中村(時)委員 いま言ったように、期日の問題が非常に重要な問題として出てくると思うのです。そこでそのことを一々追及して、これがどうだと一項目ごとにやっていくのには、あと三十分しかないからやめますけれども、その点はまず計画を立てる前に明確にしておいていただきたい。なぜなれば、ここにこういうことが出ておるのです。この資料の中に図解にして、共同利用模範牧場設置事業の概要図、こうなっておる。その3のところに、建設計画の指示を農林大臣が行なうことになっておる。そうすると建設計画の指示がある以上は、そのうらはらとなった一つの計画は、一応具体的に早期に私は持つべきじゃないかと思うわけなんです。だからそういう面に関して一々ここでおくれているじゃないか、進んでいるじゃないかという議論は申しませんけれども、今後においてそういう計画をやっていく場合には、自分の手元で明確な一つの方向の打ち出しが——できるだけの事柄は自分の手元に置いておっていただきたい。これは希望しておきますし、また今後はそういうことのないようにしておいていただきたい、こういうふうに思います。
それから第二点は事業量の問題で、きのうからも二、三御質問があったようですが、政府が大体二十二億円のうちで、公団の事業量として三十七年、三十八年は一五%、三十九年度は一八%、こういう状態で進められておるように見受けられるわけなんです。これは農地開発機械公団法の一部を改正する法律案関係資料の二ページ、そこにそういうふうに出ておるわけなんです。そこでこれは公団の事業量としての一五%、それから公団の事業量としての一八%、そういうふうにこれは書いているわけだろうと思うのです。国の事業量としての一五%じゃないでしょう。公団の事業量としての一五%ということになれば、国の事業量としては一体何%くらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/167
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168・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 これも先ほど御説明をいたしましたが、国の事業の中に多数ございまして、公団のブルドーザーを使うのに適格事業だといたしますと、内地の開拓パイロットが適格であるということをるる申しておるわけでございます。それに対しては、開墾農地その他に対しては六八%くらいに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/168
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169・中村時雄
○中村(時)委員 しかし総体量として公団の事業量としてのワクが一五%や一八%では、実際の公団の経営が成り立つか、成り立たぬかという問題なんですね。開拓のブルドーザーだけであれば八〇%前後ということは言えるかもしらない。しかし総体量からいえばわずかなものなんです。そうすると公団としては政府からの委託なり請負なりあるいは支持なり、そういうもののみにたよっての事業量だけでこの経営をやっていこうとすれば、公団の経営者に立場をかえてみたとすると、やっていけないということなんです。やっていけないならば、二つの問題が出ると思う。一つは縮小して機械を売る。縮小をして単に政府の依頼していったものの事業量だけを扱っていくか、これはしかし首切り問題にまで発展してくるでしょう。そうでないとなればこの事業量の拡大をどのような方式で打ち立てていくか。たとえば那須の草地造成の問題のように、次から次という計画をもってその年間の事業量を埋めるか、あるいは国全体の一部をそちらに回して、事業量をふやし、そして公団自身の立場においてこれをやり得るか、どちらかに分かれてくると思うのです。その点を明確にしておかぬと、たとえばグラウンドをつくらなければならぬ、何もやらなければならぬ、自分自身が事業の請負の注文も取りにいかなければならぬということになってくる。そうなってくると、公団本来の使命を逸脱するということにもなってきかねない。だからそこらのところを政府としても明確にしなければならぬ。その明確にするということが、農林大臣の権限の問題にまで引っかかってくると思うのです。そういう点に関して、時間がありませんので総括的に言っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/169
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170・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 本日御配付いたしました資料の第一ページをぜひごらん願いたいのでございます。公団の三十九年度の事業の契約金三十億、そのうち国営が四億五千万円、県営事業が七億八千万円、団体営事業が十三億であります。結局その九〇数%は、農地局が補助金を出しながら直轄でやっております事業で裏づけがされておるわけでございます。この県営の事業は県の事業主体、その事業主体の事業を施工するのでございますから、一県一県にいろいろのヒヤリングをやります際に、こういう事業はぜひ公団でやったらどうかという話を、県ごとに話し合いをいたしまして裏づけをいたしますものが県営で七億八千万、全体で約三十億の契約が年度内に支払い金としては二十五億くらいになると思いますが、前の資料の二十二億は計画でございますが、実績としては二十五億くらいになると思います。契約のベースといたしましては農地以外の事業量は四億五千万、約一割ちょっとでございます。この事業はやはり農林省が一緒になりまして公団と相呼応いたしまして、そのうちの農地造成事業の裏づけとして公団にやらせていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/170
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171・中村時雄
○中村(時)委員 私の聞いておるのは、そうするとその結果を見て、こういうふうに判断してよろしいのですか。今後における公団に対する事業量の云々は、政府のほうで責任を持ってそれだけのワクをはめていけるという自信を持ってやっていけるのだ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/171
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172・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 お答えいたします。公団の事業所は数カ所に分かれておりまして、いろいろな機械の配置の都合がございますので、個所別に公団とも協議して裏づけていくということは、今後とも続けていくということで、公団が何にもしないで、国がすわっていて仕事をしてくれるだろうというふうに安易に考えることは、私どもはとらざるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/172
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173・中村時雄
○中村(時)委員 公団が何もしないで云々ということは、それはまた逸脱しておりますよ。そうじゃない。私の言うのは、少なくとも政府のほうにおいて公団の事業量は確保するということを、言いかえてみたら公団が経営上やっていけるように政府のほうで責任が持てる。いままでのところは持てないわけですね。公団は実質的に赤字が出ておりますよ。だからそういうことのないように案分をしながら進められていく責任を政府が持つということを考えていらっしゃるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/173
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174・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 三十七年以来赤字が出ないように、こういう事業量の確保は相ともにやってまいる、今後もやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/174
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175・中村時雄
○中村(時)委員 次に共同利用模範牧場建設事業の概要図ですね。これでちょっとお尋ねしておきたいのは、まず第一番に調査をやって、二番目に建設計画の樹立をやって、三番目に農林大臣が建設計画の指示を農地開発機械公団に明示して、それから国有林野その他の土地の所有者が土地の売り渡しまたは貸し付けを牧場の経営者に行なう、この図解を見て、そこまではわかるのですが、国有林野その他の土地の所有者、この図解から見て、先ほど農林大臣も答弁なされたように、主として公共地、それがやはり主体になるのではないか、私はこう思うわけなんです。こういう公共地を売る場合には、いろいろな種類があると思うのですが、農地法の問題も出てくるでしょうし、あるいは大蔵省の、何といいますか、払い下げというのですか、払い戻しというか、そういろ問題も出てくるでしょう。そうするとその中の率が違うと思うのです。たとえば開拓地にして払い下げる、あるいは草地にして払い下げる。農地法のたてまえからいったら、直接この公団に売り渡すことは私はできないと思うのです。そういう立場から、こういう無理なやり方をやっているのじゃないか、こう思うわけなんですが、一体これはどういう理由でそういうふうにしているのか、その点を明確にしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/175
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176・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この図にございます右の「国有林野その他の土地所有者」から「牧場の経営者」のところへ矢じるしがついて、「土地の売渡し又は貸付け」という線が第四番目の手順として書かれておるのでございますが、これは先ほども芳賀委員でありましたか御質問がありましたのにお答えをいたしましたように、土地の権利の取得なりあるいは調整の問題につきましては、現実問題として限地的な問題でございますので、この問題については将来牧場の管理経営者の主体となるべきものが、国有林その他の土地所有者と折衝、協議をいたしました上で、権利関係の調整をととのえるということが、この事業を推進していく上に最も適当であるという判断に出たものでございます。国有林野その他の土地所有者と言っておりますが、お話のように大部分はこの事業に充てられる草地というのは、国有林野または公有地に類するものであると考えております。それが土地を取得あるいは貸し付けを受けます場合に、その所有者によって若干の売り渡しなりあるいは貸し付けについての条件が違うという場合は出てくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/176
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177・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると、たとえば国有林野と仮定した場合、それは受益者に対してどういう形でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/177
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178・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 国有林野に限定して御説明を申し上げますと、国有林野から牧場の最終の管理経営者に権利の移転もしくは設定がされます形としては、一般に国有林野法及び国有財産法に基づく売り払い方式というのが一つあるわけでございます。その場合には端的に言って、近傍類似の土地における実際の取引における時価主義をとるのを原則にいたしておるのでございます。別に国有林野が牧場の経営者に対して貸し付けをするという場合には、これはここに掲げられておりますような市町村、農協、農協連合会等については、減額貸し付けの可能性があるわけでございますから、貸付けを受けまして、その上に草地を造成しまして、草地としての利用が安定的な状態になりますれば、これは国有林から自作農創設特別会計に所管がえをいたしました上で、自創特別会計から売り渡しをするという手続を踏みますと、いろいろなケースによって違いますが、われわれが試算をいたしましたところでは、林野特別会計法なり国有財産法によって売り払いを受けます場合に比して、その対価が半分ないし五分の一になるという点がございますので、共同利用牧野としての開放というようなことを考えてまいりたい、そういう意味で国有林については原則的には当初の間は貸し付け方式をとっていきたいというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/178
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179・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると売り払いでなくして、農地法に基づいて一応貸し付けの方式をとって、共同利用牧野の開放ですか、それでやっていく。そのほうが効率的にというよりも、金額の上において低い。そこで問題はそれに限定する、こういう行き方をとるわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/179
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180・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 地元の要望にもよりますが、私どもの考え方としては、原則的にはその方法をとりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/180
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181・中村時雄
○中村(時)委員 施設について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/181
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182・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 施設につきましては、これは公団自身が建設をいたしまして、これを都道府県を通じて売り渡しをするわけでございますので、建設施設を整備するための経費から、国から助成をいたします補助金部分、つまり五〇%の補助金部分を差し引いた価格で、都道府県にまず売り渡しをする。都道府県がさらにその残余の部分に一部の負担をいたしまして、その部分だけ差し引きました価格でもって、最終の牧場の経営者に売り渡しをするというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/182
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183・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると施設の分は国の補助でやっていく。それから家畜の分は公団はどういう立場でやっていくのですか。国の補助じゃなくして、借り入れとか、別の方法でやっていくということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/183
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184・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 家畜につきましては、資金運用部資金からの借入金をもって導入をいたしまして、導入の価格をもって売り渡しをするというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/184
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185・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると受け入れたほうの、たとえば農業生産者法人であるとか、あるいは農協が経営するところの搾乳牧場については、これに対するところの、結果において指導といいますか、そういうものに対する範囲はどういうようになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/185
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186・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 農地開発機械公団が、農林大臣の指示を受けまして、牧場の建設なり、施設の整備なり、家畜の導入なりをいたします間の指導は、農林大臣がその責めに当たるわけでございます。もちろんその際、この牧場は都道府県も行政上の位置からいって関係がございすので、都道府県の協力なり、あるいは最終の地元経営者の意向の反映ということははかってまいりますが、形式といいますか、姿としては、農林大臣が責任を持つ。都道府県を通じて牧場の経営者に売り渡しをされましたあとは、農林大臣が都道府県の指導に対して援助の措置をとる、もしくは協力措置をとるということで、都道府県が牧場の経営についての指導に当たるというふうにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/186
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187・中村時雄
○中村(時)委員 ところが、都道府県がといいますけれども、先ほどの図解にあるように、たとえば建設計画の指示というものは農林大臣がやるのでしょう。農林大臣が建設計画の指示をやりながら、都道府県にその責任を持たせていく、あなたのいまの御答弁だとそうなりますね。そうじゃなくして、建設大臣がその基本的な建設計画の指示をやるのですから、結果におけるところの問題は、建設大臣にその責任があるというふうな行き方は考えられないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/187
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188・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 最終の経営主体というものが、牧場施設、家畜等の売り渡しを受けまして、経営を行なうようになりますと、それはモデルという特殊な経営ではございますが、やはり畜産経営であるわけでございまして、地方における畜産経営の指導主体としての責任を持つ都道府県知事が当面の行政指導主体になることは、これは姿としてやむを得ないのではないか。ただその際に特別な指導をこの事業については必要とするということでございますので、昨日もちょっと申し上げたのでございますが、将来の予算的事項でございますのではっきり申すことはどうかと思いますけれども、政府内部の問題としては、都道府県の牧場の経営についての指導については、特別なものの指導という観点から、財政上何らかの援助措置をいたしたいというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/188
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189・中村時雄
○中村(時)委員 なぜ私がそういうことを言うかといいますと、かりに経営不振のために事業を放棄するとか、あるいは縮小をしなければならぬとかいうようなことが起こった場合、−事実そういうことがありますね。そのことができてきた場合に、これをつくった法律の精神とは違ってくるわけですね。そうじゃないですか。そうした場合に、やはり五〇%からの高率補助をやっておるのですから、それに対する責任は——農林大臣がいま持っておるなら別ですよ。ところが都道府県に移行をするということになれば、今度は都道府県の責任になるわけですね。そこでいま言ったように、経営不振のための事業の放棄あるいは縮小、あるいは他に転用するというような場合に、その責任者は都道府県でなくして、いま言った農林大臣が基本的の指示をしているのだから、農林大臣が直接関連を持っておる場合には問題がないのですけれども、都道府県のほうに関連を持たすのですから、今度は都道府県と農林大臣との問題になるわけです。ところがいま言ったような状況が起こるということは、この法案から見ると違反する行き方になってくる。そうするとその場合の処置は一体どういうふうにとるのが。あるいは高率の五〇%の補助をしているのですから、それを返してくれというのか、あるいはそれはもうしかたがないというのか、そこらは一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/189
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190・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 都道府県の位置というのは、やはり地方産業の指導行政の機関ということで、この事業についても都道府県が都道府県としての責任を持ってもらいたいというふうに思っておるわけでございます。ということでございますので、まずそういうことがないように私どもいたしたいと思っておりますけれども、牧場の経営が行き詰まり、したがって最終末端の経営者からの売り渡し代金の納入が停滞をするというような場合には、都道府県にその点は責任を持ってもらうという、現行の土地改良法に基づく国営土地改良事業による都道府県の位置と、同様に考えてまいりたいと思っておるのが一点。それから牧場の経営というのが、正当な理由なしに他の用途にその建設された牧場を転用する、あるいは転売をするというような場合には、原則として国の補助金部分を都道府県を通じて徴収をするということを、都道府県と経営者との間の契約、農地開発機械公団との契約の上で明らかにしておきたいというふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/190
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191・中村時雄
○中村(時)委員 ちょっとそこのところはもっと明確にしておかなければならぬ大事な問題だと思います。たとえば都道府県が委託をして、都道府県とその当事者との契約になるわけですね。そうすると都道府県のほうの問題が、いま言ったように責任を持ってもらいたい、こう言っても、結局受益者である者は、これを売りさばくとか、あるいは経営が成り立たないとかいうような場合には、これは都道府県に返還しようと言ってもできないわけですね。そうすると都道府県に責任を持てといって口では言うけれども、都道府県が責任を持てますか。実際には私は持てないと思うのです。そこで、そこのところを明確にしておかないと、今後私は問題が派生してくるのではないかと思うわけです。何といっても五〇%からの高率の補助をやっているのですから、そうするとその中にはいろいろな考え方が出てくると思うのです。だからそういう点は、やはり私は明確にしておく必要があるのではないかと思うわけなんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/191
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192・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話のように高率の補助をいたしまして、特定の目的を持った事業を行なうわけでございますから、その点は農地開発機械公団と都道府県との委託の契約あるいは売買の契約、それから都道府県と牧場の経営者との間における同じく委託契約ないし売買契約について、ただいま御質問のありましたような事項については、明確に規定をさせるというふうにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/192
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193・中村時雄
○中村(時)委員 なぜ私がそれを言うかといいますと、こだわるようですけれども、この法二十一条と今度のとはたてまえが違っているわけですね。法二十一条には、「公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。」云々と書いてある。ところが今度のは建設計画の指示を農林大臣がするのですね。少なくともこの農地開発機械公団法とはある意味では違うわけです。農林大臣の権限が基本的に非常に強くなっている。だから基本的に農林大臣がそれだけの強い指示権を持つならば、いま言ったような状態は、公団と都道府県との契約の中にちゃんとするのではなくて、当初からこれに違反した場合は、こうするのだということを明確にしておく必要があるのではないかと、こう私は言いたいのです。そうでないとこれはぼけてしまいますよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/193
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194・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この事業については、法律的な仕組みといたしましては、草地の造成部分については、法律上は委託契約による法律関係が発生する。他の農業用施設なりあるいは家畜等の関係については、売買契約による債権債務が発生するという形で組み立てておりますので、表面上農林大臣が出てまいりますのは、開発機械公団が実施をしようとする事業の内容についての基本的事項についての指示にとどまっておるのでありまして、これは農林大臣と公団との関係の監督、被監督の関係として定められておるわけでございます。でございますので、ただいま申し上げましたような売り渡し対価の償還の問題なり、あるいは用途に関する規制の保持という問題は、どうしてもそれぞれ契約関係に立つ者の間における法律関係として規定するという以外には、法律構成として考えようがないということで、ただいま申し上げたような方法をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/194
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195・中村時雄
○中村(時)委員 それは内容が委託契約であろうと売買契約であろうと、公団に対する問題は、いま言ったように当初から基本計画を農林大臣が指示するのだから、だから実際にはそれに基づいてあなたのおっしゃるように高率の援助をするわけなんですね。だから高率の援助に対するところの裏づけだけは明確にしておくほうがいいのじゃないか。もう五〇%からのものを使うのですから、もしもそれが失敗して、先ほどのように受益者が——受益者と称していいか悪いか知らないけれども、その連中が売買をする場合なり、あるいは経営困難に陥るなり、そういうような場合におけるところの問題は、いま言ったように下から上へ明確になるのだから、そこのところの公団との明確さは私はきちんとしておいたほうがいいのじゃないか、こう思うわけです。これはくどいようですけれども非常に重要な問題ですから。そうでなかったら、実際自分が委託をされて、そうして売ってしまえばいいのですよ。ほかに云々する方向をとればいいのです。ところがたてまえ上はそういうことは法律の裏道は幾らでもあるわけなんですね。不当に売買はいたしませんということも言えますよ。法律論としてはこれは現に幾らでもあるわけなんですよ。だからそういうようなところは、精細といったら失礼に当たるかもしれないが、そこらのところはやはり明確にしておく必要があるのじゃないか。できてから問題が起こったのでは間に合わない。その事前にできることはきちっとしておいたほうがいいのじゃないか、そういうたてまえから言っているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/195
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196・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 まず私どもの考え方としては、いままで申し上げたとおりでございますが、ただ申し落としておりました点は、農林大臣と公団との関係においては、これは金は国の補助そのものであるわけでございます。したがってその補助要綱の内容としてお話のような問題を、補助の条件として明確にしておきたい。そういうことによって公団は都道府県との間に、都道府県は経営者との間に、同様の筋を通してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/196
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197・中村時雄
○中村(時)委員 それをやはり明確にしておかないと、あとさきで問題があるから、私はあなたにわざわざ答弁さすのに長い間かかっておるわけなんだ。
それからもう一点、この計画ができて実行に移されるまでには、どのくらいの年限を考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/197
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198・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 今後の事業の一般的な原則的な進度としては、建設計画の樹立後、着工いたしまして、着工後おおむね三年で整備を完全に終わるというふうな速度でやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/198
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199・中村時雄
○中村(時)委員 大体三年間というものに対して、早いところは早くなりますね。その間に、たとえば農地造成ができた、それから受益ができてきたというような場合には、これは一体受益者がその利益を取るのですか。あるいは都道府県がその利益を取るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/199
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200・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 これは三年の間に逐次草地の造成が行なわれまして、草生の収穫利用ができるというような状態が当然考えられます。その際には土地についての権利を持っております主体に対して、草生の利用を一時使用の許可という形で、無償で利用さしていったらと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/200
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201・中村時雄
○中村(時)委員 私の言っているのは、こういうことになっているのですよ。十二番目に、委託費及び売り渡し代金の納付というのが年賦払いになっているわけですね。そうするとこの牧場の経営者である市町村、農協あるいは農協連合会あるいは農事組合法人、それらの人たちがこれをかりに最初に手付金を打つとします。そうして実際にやりかける。一年目にはこれだけできた。しかし三年目の全額支払いはまだできていない、こうなる。全額支払いができていない場合に、その金額の三分の一なら三分の一の造成はできた。それから実際の利益は上がってきているのだ、こうなりますね。その利益の上がってきているものの所有の実態は、全額支払いがされていなければ、これは当然都道府県にあるわけですね。まだ所有権というものは持っているわけです。ところが実際の利益は上がってきているわけですね。それを行なっているものは牧場の経営者なんですね。その場合の、三年間にわたって、三分の一の一年間ででき上がった部分に対するものの利益は——これは例ですよ。それは一体都道府県に入るものなのか、経営者に入るものなのかということを聞いておる。それはやはり明確にしておく必要があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/201
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202・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この十二番目の年賦払いというところで、実はいままで十分御説明しておりませんでしたので、若干私どもの考え方が明らかでなかったわけでございますが、この制度のもとでは、委託費及び売り渡し代金の納付というのは、牧場完成後から年賦払いに入るということで、建設期間中は、代金あるいは委託費の徴収を行なわないのでございます。でございますので、その間に一部造成された草地の草生等がだれに帰属するかは、実は法律的に非常にむずかしいと私は思います。それで法律論的にはどうも土地の権利者に帰属するということになると思われますので、その際は建設途中、したがって売り払いの手続未了の段階でございますが、事業団としては地元の土地に関する権利者に対して一時使用の許可という形で、無償利用を認めるということが最も穏当であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/202
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203・中村時雄
○中村(時)委員 無償利用を認めるとかなんとかというけれども、実際にはまだいま言ったように、国有林野であれば、これはあなたが先ほど言ったように減額貸し付けをやっておるのですね。まだ土地は向こうで草地造成としてやってないわけですね。減額貸し付けなんです。林野庁なら林野庁が国有林として貸し付けているわけです。だからまだ実際的にはその土地というものの所有権は、この受益者にはないわけなんですね。そうすると一体農林省がそれを取り上げるものか、あるいはいま言った受益者がそれを受け入れるものなのか、あるいはもう一つ飛躍してみると、都道府県が管理するものなのか。そういういろいろな問題が出てくると思うのですよ。だからこの際はあなたのほうも、これは法律的にも非常に問題があろうと思うが、その点はやはり明確にしておかないと問題が起こってきはせぬか、こう思うわけなんです。だからその中途はんぱな考え方でなくして、これはこうなんだという規定を明確にしておく必要があろう、私はそう思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/203
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204・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいま申し上げましたように、法律的には確かにむずかしい問題でございますが、建設途中における一部造成された草地の草生の権利の帰属は、私は土地の権利者に帰属する。それは使用収益権を含む。したがって国有林の土地を借り受けをいたしております最終の経営者がございますならば、これは国有林に所属するものでなく、当然牧場の使用収益権を持つ牧場経営者に帰属するものであるということだと考えます。したがってそういう考え方のもとに、その草生の利用というものを認めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/204
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205・中村時雄
○中村(時)委員 いまの問題は、法的にも問題があろうと私は思うのです。だから、きょうの日ということは言いませんから、あすでも、おそらく今後の質問にも出てくると思いますから、それは明確にしておいて、すっきりした姿で打ち出したほうがいいのじゃないか、こう思っております。
それから委員長、きょうは一応これでやめて、質疑は明日に譲りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/205
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206・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 次会は明八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02419650407/206
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