1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月十三日(火曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 代理理事 坂田 英一君
理事 仮谷 忠男君 理事 谷垣 專一君
理事 長谷川四郎君 理理 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
理事 芳賀 貢君
池田 清志君 宇野 宗佑君
金子 岩三君 亀岡 高夫君
吉川 久衛君 倉成 正君
小枝 一雄君 笹山茂太郎君
田口長治郎君 田邉 國男君
高見 三郎君 中川 一郎君
中山 榮一君 丹羽 兵助君
野原 正勝君 藤田 義光君
細田 吉藏君 松田 鐵藏君
山中 貞則君 亘 四郎君
卜部 政巳君 兒玉 末男君
松浦 定義君 森 義視君
山田 長司君 湯山 勇君
小平 忠君 中村 時雄君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(大臣官房長) 中西 一郎君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
運 輸 技 官
(港湾局長) 佐藤 肇君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 深草 克巳君
建 設 技 官
(道路局長) 尾之内由紀夫君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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四月十三日
委員山中貞則君辞任につき、その補欠として亘
四郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十二日
消費者米価の級地別価格格差の圧縮措置反対に
関する陳情書外一件
(第五五号)
酪農基本政策確立に関する陳情書外三件
(第五六号)
同
(第二八一号)
農地転用抑制緩和に関する陳情書
(第五七
号)
沖繩産糖全量買い上げに関する陳情書
(第五八号)
松くい虫防除に関する陳情書
(第五九号)
松くい虫防除費国庫負担増額に関する陳情書
(第六〇号)
外国産雑豆の輸入促進に関する陳情書
(第六一号)
開拓不要地等の売り払い促進に関する陳情書
(第一三七号)
青果物価格安定制度確立に関する陳情書
(第一三八号)
蚕糸業振興対策に関する陳情書
(第
一三九号)
砂糖キビ価格の設定に関する陳情書
(第一四〇号)
砂糖の輸入規制新設反対に関する陳情書
(第一四一号)
沖繩産糖対策に関する陳情書
(第一四二号)
沖繩糖業の保護に関する陳情書
(第一四三号)
漁港の整備促進等に関する陳情書
(第一四五号)
脱脂粉乳の輸入即時中止等に関する陳情書
(第一九二
号)
穀物取引の改善に関する陳情書
(第二三二号)
園芸施策に関する陳情書
(第
二七二号)
農林漁業の近代化等に関する陳情書外二件
(第二七三号)
農畜産物の価格及び流通対策確立に関する陳情
書
(第二七四号)
農業構造改善事業の土地基盤整備事業面積基準
縮小に関する陳情書
(第二七五
号)
土地基盤整備事業全額国庫負担に関する陳情書
(第二七六号)
カンショでん粉対策の早期実施に関する陳情書
(第二七七号)
畑作物に対する共済制度確立に関する陳情書
(第二七八号)
農業対策に関する陳情書
(第二七九号)
農地法の改正に関する陳情書
(第二八〇
号)
林業研究グループの育成強化に関する陳情書
(第二八二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六九号)
農地管理事業団法案(内閣提出第九九号)
自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案
(芳賀貢君外十一名提出、第四十七回国会衆法
第七号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/0
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001・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局をいたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/1
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002・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もないようでありますので、直ちに採決に入ります。
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/2
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003・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/3
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004・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 この際、仮谷忠男君外二名から、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
趣旨説明を許します。仮谷忠男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/4
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005・仮谷忠男
○仮谷委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同提案による附帯決議案の趣旨を説明いたします。
決議案をまず読み上げます。
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、農地開発機械公団の事業を実施するに当っては、左記各項に留意し遺憾なきを期すべきである。
記
一、共同利用模範牧場については、買受者の負担を軽減するように努めるとともに、その売り渡し後における維持管理、運営等について充分なる指導を行なうこと。
二、農用地の開発改良事業の促進をはかるため、国および都道府県から機械の貸付けを受け又は機械の導入の助成をえて農業協同組合連合会等が行なっている農用地の開発改良事業と公団の事業とが競合することのないよう分野調整をはかり両者の育成に努めるごと。
三、公団業務の安定のため、年度当初に公団の事業量を定めてこれを指示するように努めるとともに、特に国営事業のうち公団の事業に適するものついては、極力公団に施行させること。なお、公団の実施する農用地の開発改良事業の作業料金については、公団事業の性格にかんがみ、受益者負担の軽減をはかるように努めること。右決議する。
趣旨につきましては、質疑を通じまして申し上げたとおりでありますので、省略をさせていただきます。
以上のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/5
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006・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 ただいまの仮谷忠男君外二名の動議のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/6
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007・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付することにいたしました。
この際、ただいまの附帯決議について、政府当局の所信を求めます。農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/7
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008・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨につきましては、政府といたしましては、十分に尊重いたしまして、実現をいたしたいと思っております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/8
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009・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/9
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010・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
〔報告書は附録の掲載〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/10
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011・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 次に、内閣提出、農地管理事業団法案及び芳賀貢君外十一名提出、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
なお、芳賀貢君外十一名提出、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案につきましては、前国会におきまして趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略することといたしますから、御了承願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/11
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012・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 これより両案の質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川久衛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/12
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013・吉川久衛
○吉川(久)委員 私は、ただいま議題となっております政府提出の農地管理事業団法案について、若干の質疑を行ないたいと思います。
昭和三十七年に実施を見ました農業基本法は、わが国経済のひずみである農業と他産業との生産性と所得の格差を是正することを強調して、生産性の高い農業経営の急速な育成をはかるため、わが国農業構造の改善の問題に取り組むことは、農政推進に携わる者の責務でなくてはならないと思います。特に最近におけるわが国農業の動向を見ますと、農業労働力の流出に伴って、次第に他産業所得への依存度を高めつつある農家が増加してまいりました。すなわち、兼業農家の増加であります。
いまから五年前に、時の総理大臣池田さんは、この勢いで農業従事人口が他産業へ流れていくとすれば、十年後には六割くらい移動するのじゃないか、もしそのような事態になるとするならば、それらの人の職業補導もしなければならないし、就職のあっせんもしなければならない、離農する人も出てくるであろう、離農したくても農地が足かせになって離農できない人も出てくるであろう。足元を見透かされるからであります。また、農地を拡大したり集団化をして、合理的経営を行なわんとする人たちが譲り受けられるような低利、長期の金融制度もつくらなければならない、ただ手をこまねいて傍観していては政治にならないと、今日の事態を予見して述べられたのであります。それを一部の心ない人たちのために、農村人口六割ちょん切り論という低い次元の発言となったのでありましたが、農業従事人口は減らすとも、農村人口を減らすなどとは考えていなかったのであります。農業従事人口を減らす施策をとっている国は、先進諸国競って努力していることは、今日多言を要しません。日本よりははるかに農業人口の少ない諸国でさえ例外でない状態でありまして、日本などかなりおくれていると言わなくてはなりません。
今日、世界じゅう農業は悩みの種となっているのでありますが、近代化がおくれて、合理的経営の可能な条件ができていなかっただけに、日本の悩みは深刻であるわけであります。
最近における日本農業の動向にかんがみまして、農業基本法に準拠して農業改善事業が実施され、その促進に必要な業務を行なう機関として、農地管理事業団の構想が具体化されたものと理解するのであります。農地管理事業団は、現在の農政の中でどのような位置づけをせられているのでございますか、この点をまず農林大臣にお伺いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/13
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014・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のような経過をもちまして、このたび農地管理事業団法案を提出した次第であります。農業政策につきまして、私から申し上げるまでもございませんが、あるいは生産政策、あるいは価格政策、こういう政策をとらえて対処していかなくてはならないのでございますが、一つ大きな問題として、構造政策が取り上げられなければならないと思います。農業基本法におきましても、構造政策というものが取り上げられて、大切な問題として提示されておるわけであります。その構造政策としての構造改善事業というものを数年来行なってきております。これは主として土地基盤の整備、あるいは主要作物を決定いたしまして、共同施設等によりまして主産地形成をいたしております。それと同時に、やはり日本の農業構造の脆弱性でありまするところの零細性、この零細性を脱却せしめて、あるいは経営規模の拡大、あるいは資本の装備の充実、こういう面から、日本の農業の対他産業及び国際的な競争力を強化していくということが、ただいま非常に重大化しているのじゃないか、こう考えております。でありますので、農業政策の中における農地管理事業団の位置づけはどこにあるかといいますならば、構造政策の中に管理事業団にこういう役割りを演じてもらって、そうして構造の基礎を強化していく、こういうふうに考えておりますので、位置づけといたしましては、構造政策の基本的な問題になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/14
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015・吉川久衛
○吉川(久)委員 この際、今日行なわれております構造改善事業について、まずもってお伺いをいたしておきたいのであります。その一つは、この事業は、事業主体がみずから事業計画を立て、県や国の指導のもとに推進されるものでなくてはならないと私は思います。しかし、実際には、国が採択基準をつくってデスクプランを押しつけて、それに従わなければやらせないというようなやり方、地元の意向をほとんど取り上げていない。これはトラクターやコンバインをはじめとする大農具のごときも、国営農場で使ってみて、これならば推奨してもよいという自信ができたときに持たせるというような親切なやり方をしておりません。いたずらに商社にのみもうけさせているような感じをさえ与えております。実験もしない、自信の持てないものを押しつけ、危険負担を農業者にしいるやり方は、どうしても納得ができません。実例などを見てみますと、構造改善事業完了地区において、ヘリコプターが播種するにしても、コンバインが日本の土壌に適合するように改良されるまで、国営農場が規模の関係で直ちに実験が不可能であるとするならば、補償金に相当する実験費を助成してはどうかと思うのでございます。政府はこのやり方の改善をしない限り、構造改善事業に対する非難の声はあとを絶たないと思いますが、どのようにお考えでございますか。農林大臣のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/15
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016・赤城宗徳
○赤城国務大臣 地元の意向といいますか、そういうものをとかくしんしゃくしないというような声もございました。いまお話しのように、デスクプランに片寄り過ぎているじゃないかというような批判もございました。そういう批判もございましたので、最近におきましては、構造改善の事業につきましても、できるだけ弾力的に地元の改善の方策というものを取り入れてやっていくようにいたしておる次第でございます。
また、大きな機械の導入等につきましても、実験をせずしていきなりそういうものを使わせるというようなことは、やはり責任を回避するようなことに相なりますので、今度機械化の法律等も出しておるような状況でございまするし、また、たとえばコンバイン等につきましては、相当研究してからでなければ現地に適用することはいかがかと考えまして、研究を続けておるわけでございます。なお、ヘリコプターによる直まき等につきましても、試験研究によって実用化の見通しを得ましたので、現在実用化促進のための実験を進めておる、こういう段階であります。先ほどのコンバインも、御承知のように、六十台程度は国の試験場及び県に配置して、実演の展示あるいはオペレーターの養成に重点を置いておる段階でございます。
さきに触れました大型機械の導入につきましては、労働生産性の向上をもたらす反面、反収の低下等のおそれもございます。そのため、運転技術の普及とか圃場条件の整備等を通じまして、収量の安定についての確信を得るとともに、省力化の結果生ずる余剰労働力の活用方法等につきましても見通しを持って、逐次導入をはかっていく。このたび農業用機械に関する法律なども提案して、機械の導入について十分考慮を払っておる次第でございまして、いろいろなことを進めておりますが、いまのような御批判等につきましては、十分配慮をいたしまして、そういうことを除去していくようにつとめていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/16
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017・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、構造改善事業指定の採択基準の問題でございます。
一市町村長の管轄する区域内、行政区域の中である地区は採択になり、ある部落は採択にならないとすれば、一市町村の中で将来ますます格差がひどくなると思います。格差是正の農業基本法の条項に反し、その立法の精神にももとると思います。A、B、C型というように幾つかのフォームをつくって、大かたの地区はいずれも採択になる、それにも適合しない地区は、山村振興法のような高率総合助成でやって、結果から見れば、いずれの地区も政治の恩恵に浴するというようなやり方でなければならないと思います。第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンドというぐあいに進めていくべきだと私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/17
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018・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のように、一町村内における構造改善指定地区が一カ所であるということでありますと、町村の行政面からいっても、なかなかやりずらい面がございます。また、町村内における不均衡といいますか、均衡の点等から見ましても、一ヵ所ということでは均衡を得ないということにも相なろうかと思いますので、昨年から、構造改善指定地区は一町村に一地区に限らないで、他の地区にもこれを指定して構造改善事業を進めていくことにいたしております。しかし、町村合併以後の町村でございますから、これでもまだ相当残された地区があるずでございます。そういう状況でございますので、構造改善の推進を熱意を持ってなお他地区についても逐次拡充実施していきたい、こういうふうな意図を持っております。いま行なっておるのは、第二ラウンドといいますか、そういう面と、新しい地区でございますので、同じ町村内におきましてもこれを逐次進めていくという予定を持っております。
なお、構造改善が狭い地域だけでは十分にその目的が達し得ないような状況もございます。でありますので、現在の構造改善事業の拡充実施と並行いたしまして、これを補完する意図を持って、広域構造改善といいますか、ことしも一地区テスト的に、そういう広基的な構造改善、広域農業経済圏というものの施策等を進めていく考えで、予算等も計上いたしておる次第でございますが、できるだけ広範囲に熱意にこたえていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/18
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019・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、構造改善事業はさきにも申し上げたように、反省すべき問題もありますが、かなりの成果をあげているところもあります。日本共産党は長野県の伊那市の西箕輪地区のパイロットを失敗であると宣伝しておりますが、この地区は養蚕の協業と酪農の協業地区であります。養蚕は成功していますし、酪農の一ヵ所が五人の協業で始められ、途中から二人が長期の病気になって入院し、他の三人で経営されておりますが、手不足で、二十九頭の乳牛の飼育、管理にも飼料作物のまきつけにも事欠き、自給飼料不足のため購入飼料にたよったことが、臨時に人手を雇用したこととともに支出の増岡を来たし、また手不足のために自給飼料が確保できなかったことによって、飼料の栄養のバランスを欠いたことが、栄養失調となって足の病となり、乳量が減退して、収入減を来たしたこと等によるもので、かつまた、施設に対して乳牛の導入資金欠乏のために、施設がフルに運営されていなかったというような特異な事例であって、このようなケースは珍しいのであります。この地区における他の酪農協業体制はいずれも良好で、だれが何と批判しようとも、これ以外に生きる方途はないというように経営者は申しているのであります。このパイロット地区は、ただいま申し述べたような一部分のケースに対して償還延期の特別措置が講ぜられるとか、施設をフルに運営するために、寒冷地の貸し付け牛のような配慮がなされることになるならば、全体的にかなりの成果があがっていくと言ってよいと思うのであります。
また、この際、ついでに伺っておきたいのでありますが、ライスセンターについても、一ランドとして採択された地域だけでなしに、隣接の地区を一括して設置し、白米にしないで、もみで一応保管し、必要に応じて搗精するような措置に改められないものでしょうか。大型機械の余裕がある場合には、隣接の地区ともこれまた共用のできるようにできないものか、お尋ねをしておきたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/19
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020・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いま御指摘の長野県伊那市の西箕輪のパイロット地区でございますが、これは昭和三十七年度に事業を実施して、三十九年度をもって事業を完了した地区でございます。お話のように、牛乳及び繭を基幹作目として構造改善事業を実施したのでございますが、その中で酪農の面、聞きますところ、いまのお話のような状況であるというふうに承知しております。そういうようなことでありますので、四十年度から都道府県段階におきましての経営管理指導を強化する措置を講ずることにしております。そういうことで、いままでのいろいろな欠陥を経営管理指導の活用によりまして是正していける、所期の成果が達成できるようにいたしたい、こう考えております。戸なお、ライスセンターの問題でございますが、その設置した地域だけでは、実際ライスセンターがほんとうに効率的にあるいは採算がとれていけるということには疑問があるようでございます。でありますので、広域事業として地区を越える事業の実施を認めておる次第でございますが、本事業により導入されたライスセンターその他の大型の機械施設につきましては、従来からその稼働率を高め、より合理的な利用を進める等の見地から、地区を越える広域事業として実施されている場合が少なくないのでありますが、今後ともそれぞれの地域の実情を考慮して、施設の一そう効率的な活用につとめていきたい、こう考えております。また、ライスセンターで飼料の乾燥などもやっておるところもあるようでございます。こういうほうの機能も受け持てるような形にしたならばよろしいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/20
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021・吉川久衛
○吉川(久)委員 農業にその生活の本拠を置いて、農業経営によって自立しようとする熱意を持つ農家について、その所得を向上し、その生産性を向上させ、わが国農業生産の中核とすべきものとしてこれを育成すべきものでありますが、このためには、農業の立地条件に応じ、経営近代化のため心要な資金の装備を促進するとともに、できる限りすみやかに農業経営の規模の拡大を進めることによって、生産性の高い農業経営の基礎を確立し、農業に専念しようとする者にとって農業を真に魅力のあるものとすることが肝要であるというように農林大臣はおっしゃいますが、魅力のあるものとすると申しましても、そう簡単にできるものではありません。ことに農業問題は、今日では農業の中だけでは解決できない時代となりました。農業外の他の諸施策と総合的に進められなければならない。構造改善事業も、その前提となるものは、農畜産物の価格の安定措置が講ぜられなければなりません。事業団が設立されて事業が開始され、農地の拡大がはかられたとしても、そこから上がる産物の価格が安定しない限り、農地の拡大は期待できないでありましょう。農畜産物の安定施策が確立されない限り、だれが農地の拡大なり集団化に踏み切る者がございましょう。農業基本法の幹に対する枝葉としての関連法が整備されることが急務であると考えます。これに対する農林大臣の具体的な御所見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/21
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022・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先ほど大ざっぱに申し上げましたが、農業におきましては、生産政策あるいは構造政策、価格政策、いずれも重大であると思います。価格政策はあるいは生産政策のうらはらでもあり、また構造政策を進めていく上においてもうらはらの関係にあると思います。根本的に考えますならば、生産政策も構造政策も、生産性を高めて日本の農業の競争力を強めることでございますが、その生産性を高めていくということが、農業の性質から、短日月にでき得ないような状況にあります。どうしても価格政策というものが必要でございますので、御承知のように、米麦あるいは繭その他農業生産物の約七割につきましては、財政支出を行なって、直接あるいは間接に価格の安定につとめておる次第でございます。その価格の安定につとめる度合いにつきましても、農作物によりまして、あるいは強度のもの、あるいは微弱なもの等、いろいろあると思います。最近は特に力を入れておりますのは、畜産物の価格、ことに牛乳の不足払い等によりまして、これを強化していくという法律案も出しておるようなことでございますが、そういう面を一そう進めていきたい。また、野菜等につきましては、これは生鮮食料でございますが、なかなかむずかしい問題でございます。御承知のように、キュウリ、トマト、カンラン、この三品目につきましては、指定産地推進事業ということを行ない、あるいはそれの対象地域に北九州なども加えております。さらに対象品物にハクサイ等を加える。あるいはタマネギ、カンランを対象として、生産安定事業、価格対策を講じて安定資金を設けておりますけれども、これも使い切ったということで、追加造成を行なっておる、こういう状況でございます。
なお、具体的にということでございますから、御承知のはずでございますが、なお申し上げますと、鶏卵等につきましては、生産者の調整保管に対してその経費の助成を行なっておる、こういう状況でございますし、肉豚生産の安定のためには、子豚価格の変動によって生ずる損失を補てんする子豚価格安定事業、こういうものに対しまして畜産振興事業団を通じて助成を行なう、こういうふうな大体の状況でございます。
先ほど申し上げましたように、生産政策あるいは構造政策のうらはらになっている価格政策でございますので、強弱の度合いはいろいろありますけれども、価格政策の裏づけを持つ生産政策あるいは構造政策等も、なお一そう推進できるような方向、あるいは農家の生活を安定するというような方向へ持っていく、こういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/22
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023・吉川久衛
○吉川(久)委員 ただいま具体的な御説明の中に、鶏卵の自主的統制ということに対して助成をされるというお話でございましたが、聞くところによりますと、拠出金に対して大蔵省は課税をもって臨むがごときお話でございますが、この出資に対して課税をする、せっかく自主的に盛り上がった、こういうヨーロッパでやっているようなものに対して課税をするというやり方は好ましくないと思いますので、きめこまかくひとつ農林大臣としてお取り計らいをお願いいたします。
それから、構造改善事業の前提となる農畜産物の価格の安定措置が講ぜられるほかに、それよりももっと大前提となるべきものがあると思います。それは大都市と農村とをつなぐ高速自動車道を必要とする輸送力の増強問題であります。輸送力の整備とスピード化は産業経済の動脈であり、農村を大都市の郊外状態とすることになるのでありまして、農業の構造に変革をもたらし、近代的農業発展に欠くことのできない重大問題であります。この問題に対する建設省の見解と具体的な今後の方針を承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/23
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024・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 ただいまお話しの道路の整備についてでございますが、もちろん、公共道路は、産業の発達あるいは民生の安定に寄与すべきものでございますから、当然そういうための方法を考えております。ただ、十分に行なえるかという点につきましては、若干問題があろうかと思います。国の助成道路の方針は、一般の国道並びに主要地方道というものを根幹といたしておりまして、その他の一般県道あるいは市町村道につきましては、必ずしも十分な助成ができない状況にございます。いまお話しのような構造改善に資するための都市と農村との道路、それが主要地方道以上である場合と、それ以下である場合には、やはりかなり投資の重点が違っておりますので、その道路の性格によって十分考得る場合がございますし、あるいは必ずしも十分に行なえない場合もございます。そういうような道路につきましては、また県のほうで、あるいはその他の公共団体におきまして単独で実施することを期待いたしておりますが、これはとても十分とは言えないと思います。私ども、先般奥地産業開発道路の法律ができまして、奥地につきましてはそういう施策の手が打たれておりますが、平地部における奥地といいますか、構造改善をやるような地区におきます道路につきましては、必ずしも十分とは言えません。むしろ、そういう意味におきましては一つの盲点になっておるかと思いますが、今後十分そういう構造改善の方針で検討いたしまして、道路政策を進める、こういうことが必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/24
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025・吉川久衛
○吉川(久)委員 また、港湾施設につきましても、鉄道輸送の問題につきましても、ことに農林畜産物の運賃の政策割引、農林畜産物というものは、非常にかさばって目方が重くて、輸送上まことにやっかいな物資でございますが、精密工業で生産されるような物資と違いまして、こういったものに重量やかさでもって運賃を定められるということは、非常に迷惑なことでございますので、政策割引という制度のあることは申し上げるまでもございませんが、こういった問題についても、農業にきわめて重大な関係がございます。農業憲法ともいうべき農業基本法の誕生の経緯、その法律の目標、国民の期待等を顧慮いたしますと、運輸当局も重大な関心がなくてはならないと思いますが、運輸省はこれらの問題についてどのようにお考えになっておられますか、この際、具体的構想なり計画を承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/25
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026・深草克巳
○深草政府委員 農林水産物資の運賃の問題でございますが、従来から当委員会その他で数度にわたりまして決議もございましたし、運賃の改定のつど、いわゆる暫定割引というものをやってまいったわけでございます。ただ、私どもといたしましては、一度国会できめられた運賃を、暫定にせよそれ以外の割引をするということは、本来正しいことではないので、やはり運賃自体をコンクリートにきめて――そのきめ方に問題があるわけでございますが、きめまして、それをそのまま国鉄に実行させるということが望ましいことではないかと思っております。
たまたま昨年政府に設けられました国鉄基本問題懇談会というものがございまして、いろいろと国鉄の財政問題、ひいては運賃の問題につきまして、御議論をしていただきまして、意見書が出てまいったわけでございますが、貨物運賃の考え方につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたことと若干方向が違うわけでございまして、従来は負担力主義と申しますか、その品物の値段の多寡によりまして、値段の高いものは運賃を高く取るというような方向でございましたけれども、今後はそれを是正をいたしまして、平均的な輸送キロに対しては単一の賃率を設ける、ただし、これは現在の運賃と非常に大きな開きが出てまいりますので、その実施にあたっては、十分ほかに与える影響を考慮してやりなさいということが一点でございます。それから、公共政策に基づく貨物運賃暫定割引、これは暫定の名において長期化して、国鉄経営を圧迫しているので、運賃制度の改正にあたっては、この種の事態が再び起こることのないよう、十分考慮するという二点が指摘されております。ただ、全般的に申しまして、運賃の改定の時期その他につきましては、物価政策との関連で十分配慮せよということがいわれておるわけでございます。
私どもも、方向といたしましては、この意見書の方向が正しいと思っておりますが、先生御指摘のように、現在物価政策上、特に生活必需物資という問題が大きな問題として取り上げられておりますので、改定にあたりましては、慎重な考慮を払いたいと思っております。
それと、ただいまの暫定割引の措置でございますが、これは三十六年に、運輸大臣から総裁あてに、当分の間情勢の変化がない限り暫定割引を続けなさいという書面を出しておりまして、ついせんだって、九月の終わりまで延長するという報告が参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/26
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027・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 港湾といたしましては、昭和三十八年の統計でございますが、港湾貨物量のうち、約一割が農林水産物でございます。これの内容を見ますと、大都市を背後に控えております特定重要港湾が二〇%、それから中小都市を対象としております重要港湾が三七%、地方港湾が四三%、大体地方港湾というのは搬出でございまして、重要港湾ないし特定重要港湾というのが主として搬入されておるわけでございます。私どもといたしましては、今後特に東京、名古屋、大阪等大都市に搬入されるこれら農林水産物のために、内国貿易施設を整備していきたいということと、それから地方港湾につきましては、搬出のための施設を現在も整備しております。今後も極力流通が円滑にいくように整備を続けていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/27
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028・吉川久衛
○吉川(久)委員 深草国有鉄道部長のお答えでもございますが、農林畜産物の運賃の暫定政策割引ではありますが、池田内閣以来、特に佐藤内閣はひずみ是正を表看板にしておりますので、農業のひずみが是正されるまではこの暫定政策割引は存続されなければならないというふうにひとつ御理解をいただいて、今後善処していただきたいと思います。この問題は、あらためてまたもっと詳しくお伺いすることにいたしましょう。
次に、自立経営たらんとする農家を育成することは、わが国農政の最も肝要な問題であることは、農林大臣のお答えでもうかがうことができるのでありますが、一方、基幹的労働力が他産業へ従事することによって、農業への依存度を弱めつつある農家についても、その農業部門の生産性の向上をはかるとともに、農外所得の増大と安定をはかる施策が必要であることは、申すまでもありません。このような農業への依存度を弱めつつあるいわゆる兼業農家も、建設、運輸、厚生、通産省等関係機関の協力を得て、総合的に可及的すみやかに環境や条件を整えて、安定した生活ができるように方向づけが進められなければならないと思います。と同時に、考えなければならないことは、日本農業の特殊性であります。国土は狭く、人口は多い。幸い雨量と肥沃な土壌に恵まれております。ここで営まれる農業は、諸外国と同系のものをまねするわけにはいかない、日本独特の行き方が考慮されてしかるべきだと考えます。農業の集約的な経営、これを全く無視することはできません。むしろ、ものによっては生かさなければならないところもありましょう。このように見てきますと、兼業農家対策はきわめて重要な課題であります。協業化への条件を特に整備するとか、農外所得の増収策をはかるとか、何か特別の施策が必要になってくるように切実に思うのであります。これらの問題について、農林大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/28
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029・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のように、農業が他産業あるいは国際的に競争力を持つということにしていくためには、いろいろの政策が相伴わなくちゃなりません。構造政策あるいは所得政策等からいいますならば、経営規模が大きいというようなことが一つの条件といいますか、前提だろうと思います。あるいはまた、経営規模が大きくなくても、いまのお話のように、日本の農業は世界的にも相当技術的に進んでおります。でありますので、経営面積が狭くても、ものによっては集約的に経営を非常によくやっていける、こういうこともあるのでございます。でございますので、私どもは自立経営農家というものを定義する場合に、経営面積の大きいことも一つの条件でございますが、所得が相当多いということも、自立経営農家としての資格といいますか、条件というふうにも考えております。でございますので、所得を外く得られるようなことを考えることは当然必要でございます。ただ、兼業農家の場合にはいろいろございまして、ほんとうに農業としての所得を得られるということでありますならば、これはそういう方向へどんどん進めていかなくちゃならぬと思います。しかし、兼業農家のうちには、農業による所得でなくて、農業外の所得を得ようというねらいをもって、また現実にそういう生活をしておる人が多いと思います。これは農業本来ではないと思います。農業の生産とか農業によっていきていこうというものではないと思います。しかし、人間として、あるいは社会人として、何も農業からばかり所得を得なくちゃならぬということではございませんから、それは他産業からも所得を得るということは、生活する上において必要なん人が相当あるわけでございます。そういう意味におきまして、第二種兼業農家等が非常にふえております。自立経営農家もふえておりますが、一面において、御承知のように、第二種兼業農家が四二%というふうにふえております。でございますので、これはやはり所得を得るという面におきましては、他産業からも所得を得るということであっても私はけっこうだと思います。そういう意味におきましては、近くにおいてそういう収入を得られるような方途を講ずる、それは政策面からいえば、地域開発であろうと思います。地域開発によりましてそういうほうの収入を得られるようにしたい。また、農業面において進んでやっていきたいという者が相当あるはずでございます。残念ながら耕地が少ないとか、経営面積が小さいとか、こういうことであろうと思いますが、こういう面におきましては、やはり農業が一つの共同化によって営まれるように、それは一つの単位としてはやはり経営規模が大きくなったものと思います。一人一人は小さいものが中に入っておりますけれども、それが共同によって行なうということにおいては、経営規模等も大きくなったものというふうに見ていいと思いますが、そういうふうに共同の力によりまして、あるいは大型機械等の導入によって作業の共同化をするとか、あるいは共同の施設をともに持ってそれを利用するとか、こういうような形で農業面に進んでいこうという者には、そういう方途を講じていきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/29
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030・吉川久衛
○吉川(久)委員 日本の兼業農家というのは、気候、風土あるいは地形、日本の農業の構造の成り立ち等から、どうしても無視することができない、相当長期にわたって、いや、半永久的にこういった一つの形が残るのではないかというふうに私は考えるので、この兼業農家対策というものは、わが国農業の中においてきわめて重要な位置を持ってきたことを忘れてはならないということを、私はあえて申し上げておきます。農地管理事業団をつくって、構造改善の促進に必要な事務を行なう機関とするというのでありますが、構造改善事業の前提条件でなければならない農畜産物の価格対策について、いろいろお話がございましたが、この政策が確立されて、農業従事者がほんとうに安心できる体制が整わない限り、構造改善事業の進展、構造政策の進展と申しますか、それは期待できないように思うのであります。また、その大前提であるべき道路、港湾等、輸送力の問題が解決できない限り、事業団の運営は思い半ばに過ぎることが心配されてなりません。すなわち、現在のような輸送力では、過密大都市はできても、新産都市計画は言うべくしてその実現は容易ではありません。したがって、地方には下請工場ぐらいしか入ってこないでしょう。下請工場では経営が不安定なばかりでなく、待遇も悪く、共済制度も十分でない、退職金も思うほどにはもらえない、定年退職後の生活が思いやられるので、したがって、零細な農地といえどもしがみついていて、容易に手放さない。また高年齢層の人たちは、先祖譲りの農地を感情的にも手放さないでありましょう。結局兼業農家はふえても、離農する農家は当分出てこないと見るべきではないでしょうか。ですから、農地の移動はあってもきわめて僅少であって、事業団が活用される段階は、相当将来に期待されるのではないでしょうか。ただいま緊急に要請されるのは、離農とか、転職対策とか、輸送力の増強とか、社会保障対策が早急に実施されることではないかと思うのであります。離農者報償終身年金制度を設けるとかして、農地を売り渡して離農する者に対し、年金を支給して老後の生活を保障するとか、離農者援助資金制度等によって、離農希望者に対し必要な資金を援助するというような制度の充実を待たなくてはならないように思います。輸送力が解決されたときに、農村が都市の近郊状態となり、また安定した大都会の大工場の分工場も出てきて、ここに働く人たちが安定した生活ができるようになったとき、初めて本格的な、離農する人と、農業基本法第十五条にいうところの健全な適正規模による自立経営農家とに分解作用を起こすものと私は推定しているのでございますが、誤りでしょうか。中央高速自動車道をはじめ、九州、中国、四国、北陸、東北と、それぞれ縦貫高速自動車道のようなものが早期に完成されて、初めてこの事業団は脚光を浴びると思いますが、管見でしょうか、お教えを願いたいところであります。
また、私の見るところでは、法案第二十二条に強制力がない限り、都市近郊の農地が本事業団によって移動することはおそらくないと思います。現行農地制度に相当弾力性を持たせた改正でも考慮されなければなりません。第一、事業団に農用地の買い上げを希望する者は山間僻陬の地域に限られ、しかもこの地域の人たちが手放すだけで、農用地の譲渡を受けて、農地や採草放牧地についての権利の取得を考える人は、おそらく皆無ではないかと言ってよいと思います。ことに農林大臣の指定する事業団の業務実施地域の採択基準であります。二十二条の三項にあるように、「国土資源の総合的な利用の見地からみてその区域内における土地の農業上の利用の高度化を図ることが相当であると認められる農業地域で、その区域内における農地保有の合理化等農業構造の改善を図るためその区域内にある農地及び採草放牧地についての権利の取得を適正円滑にすることが特に必要と認められるものについて、するものとする。」とあります。このような状況では、農山村においては採択基準に合わないものばかりであると思うが、いかがでございましょう。また都市の周辺は、将来土地の値上がりを予想しまして、事業団に買い上げを希望したりあっせんを依頼するようなものは、まず少ないと見なければなりますまい。都道府県知事が農林大臣に指定を申し出る地域は、都市の周辺で、農山村を除いたその中間の地域のみということになりはしないか。都市の周辺はまだそれでもよいとして、一体、農山村地区は将来どうなるのでしょうか。すでにこの制度ができると聞いて、農地や採草放牧地を事業団に買い上げてほしいと希望している者も山間部に多いのであります。おそらくこのような地域は知事の申し出もないでしょうし、もし申し出て、農林大臣が指定をし、農業者から事業団に買い入れを希望したとしたら、事業団は買い入れをするでしょう。しかし、その買い入れた農地や採草放牧地を譲り受けたいと希望する者がはたしてあるでございましょうか。離農したいというよりは、むしろ離村したいために、農地を手放すのであります。先祖代々の土地を離れたくはなくとも、山間僻陬の地域では今日ではいたたまれない感情ではないでしょうか。このような地域において農業によって安定した生活を考える人はきわめてわずかでありましょう。したがって、事業団は農地や採草放牧地をかえ込むだけで、その管理運用をどうするのか、想像しただけでもたいへんなことになりそうですが、どうなさるおつもりですか。このような地域は、農業構造改善事業の実施地域として採択できない地域であるとするならば、重ねてお伺いいたしますが、今回議員提案の山村振興法で思い切った施策をおとりになられるのか、それとも他に何か御方針でもお持ちでございますか。これらの土地は国有牧場にでもなさるのか、木を植えてしまうのか、何か御方針があろうと思いますが、この際、伺っておきたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/30
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031・赤城宗徳
○赤城国務大臣 経営規模を拡大する農地管理事業団によるこの方策というものは、これだけで全きを得るというわけにはいかないと思います。経営規模を拡大していくという面におきましては、一面におきまして開拓とか干拓とかによって、土地改良等によっての土地の造成も必要でございますが、大体におきましては土地を手放す者から土地を買って、経営規模を拡大する人にそれを渡すというのが大体のやり方でございます。そういうことでございますので、これにつきましては、農業面からのみではこの目的を達するのに非常に困難だと思います。確かに一つは労働政策もございます。労働政策の面におきまして、他産業に安定して入り得るというようなめどがありませんければ、土地を手放すということは困難でございます。そういう労働行政面がございます。それからいまお話しのように、社会保障制度の面がございます。大体農業そのものが、ことに兼業農家等におきまして収入が非常に少ないというものなどは、社会保障の対象になる傾向があるのでございますけれども、なお土地を手放していくということにつきましては、相当の決意が必要でございますし、その老後もどうなるか、他の収入が相当確実でない場合にはなおさらでございます。そういうもので離農年金というような裏づけ等も、これは必要であろうということで、御承知でございましょうが、フランスなどでは、構造改善の離農の場合に離農年金というものを出しております。私どももこの法案を研究しておる途上におきまして、あるいは国民年金に上乗せした年金というようなものなとが必要ではなかろうかというので、ずいぶん研究いたしました。しかし、御承知のように、ことしは発足のパイロット的なものでございますので、これはだんだん全国的にこの成績によりましては進んでいきたいと思うのでありますが、現在はパイロット的な考え方で進めるので、こういう年金の問題等を見送ったわけでございます。しかし、これをもう捨てたわけではございませんので、こういう検討を進めていきたいと思います。
ところで、先ほど申し上げましたように、自立経営農家というものは、経営規模の広いということが一つの条件でございますが経営規模は小さくても、資本の装備等がよくて所得が得られるというものも、自立経営農家というふうにわれわれは考えます。そういう面で都市近郊の農家、これはこの管理事業団の対象として経営規模を拡大させるということは困難でございます。また、困難であるばかりでなく、そういう必要のない農家も相当あると思います。近郊におきまして、花とか野菜とかあるいは養鶏とか、こういうものによりまして相当の収入をあげられるという面もございますので、大体の方向としては、都市近郊の農家等を対象とはしておりません。純農村地帯を対象として、そういうところにパイロット地区を設けていく、こういう考えでございます。ところが一方、御承知のように、農山村はどうなるか。これは農業としての収益も少ない、あるいは採草地として、あるいは林野として残るようなところでございます。こういうところもなかなかこのパイロットの対象とするにはむずかしいのじゃないかと私は思います。いま御指摘のように、山村振興法等におきまして、総合的にこの振興をはかるという方向に相当力を注いでいくほうが当を得ているんじゃないか、管理事業団の対象として特に選ぶということは、非常に困難な状況ではなかろうか、こういうふうに考えております。
なお、採択基準その他のお尋ねにつきましては、農地局長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/31
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032・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 基本的に管理事業団の考え方といたしましては、補足説明でも申し上げましたが、日本の経済成長に伴いまして、いろいろの原因から農地の有償移動がここ数年ふえてまいった、この傾向は将来ともふえてまいるであろう、このふえてまいりますものを伸びようとする農家のほうにうまくくっつけていかせたいという立場で考えておりますので、現在ありますところの農地移動の実態に着目して、それにいま申しましたことに役立つような立場において、その地区も考えてまいりたい。したがって、法の二十二条では、精神を書いてございますが、一言にして申しますならば、土地に依存します業でございますところの農業が、将来にわたって発展することが客観的に期待できる地帯、そしてそういう地帯におきまして、土地移動が現に相当あり、せっかくあるものならば、伸びようとする方につけていく、こういう形で村が御計画になるものを尊重して、事業団が乗り込んでまいろうという基本的な考え方でございますので、私どもとしては、一般論としては先ほでも大臣が申されたことになろうかと思いますが、やはり山村だからとらないとか、都市近郊だからとらないとか、頭からきめていく考え方では考えないで処理をいたしたい。ただ、一般論といたしましては、大臣のおっしゃったような傾向がどうしても残るだろう、かように思っております。そこで、採択基準としてはどうかといえば、いま申したことに尽きるわけでございますが、さらに翻訳いたしますれば、相当の農家が現におって、面積も相当あって、いわゆる純農村といいますか、農業地帯、国土の資源の全体的な立場から見ても、農業として育てていくべき地帯であり、そしていろいろの立場から農業として高度利用するのに適する地帯、こういうものを選んでまいる、ただし、上から選ぶ、指定するという考えではなくて、自分のところでそういう立場でやりたいというところを種々御意見等を聞いて選んでいく、かような基本的な姿勢で対処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/32
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033・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、この事業の規模についてでありますが、この事業によってわが国農業構造の改善を本格的に推進するためには、経営規模の拡大と農地保有の合理化に伴う農業近代化の機運が高まりつつあるような地域をすべて対象として、全国広範囲にわたって実施すべきものであると私は考えていたのでございます。ただいまの大臣、局長のお答えによりますと、お考え方がよくわからなかったのでございますが、しかし、原則的には、構造改善は、一部の市町村や一部の部落のみでなく、国内全農家、すなわち、自立経営農家たらんとする者全体に及ぼし、無差別、公平な施策をもって真に幸福な農家をつくるということでなくてはならないと思います。政府は当面パイロット的にこの事業を実施するものとしているのでありますが、さきにも申し上げたように、できる限りすみやかに本格的に全面実施に移るべきものと考えるのでありますが、百ヵ町村に限定された理由といいますか、根拠といいますか、どういうことで百ヵ町村をパイロット的に取り上げようというのか、その辺の事情がよくわかりません。
それから、売りたいという農地が出ても、直ちに買い手のない場合もあろうかと思いますが、そういう場合に、それが重要な農地であるような場合には、しばらく事業団が保有していなくてはならないと思います。そして時期を待って適当な農家に売り渡すというような措置も考えられなければなりませんが、大臣はこれについてどういうようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/33
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034・赤城宗徳
○赤城国務大臣 実はこの制度といいますか、構造政策からの一環として考える場合に、全国的にこれを行なうことが望ましい、そうであるべきだと私も考えたのでございます。しかし、何にいたせ、一つの土地を収用するような問題ではございません。強制収用するものではございませんで、私有の上に立ってあっせんあるいは売買して、それを売り渡す、こういう制度でございますので、実ははたして全国的にスムーズに行なえるか行なえないかということに対しましても、相当考えたわけでございます。でありますので、パイロット的にこういう機運の熟した地域からやっていこうというふうに考えましたので、全国的にいきなりこの事業を行なっていくということを差し控えたわけでございます。また一面には、財政的な面などいろいろありましたが、そういうことでございますから、決して全国的にやろうということを放棄してはおりません。でありますので、この実施の経験を取り上げまして、農業地域として発展させられるべき地域等につきましては、できるだけすみやかに全国的にこれを行なっていくという考えで進んでいくつもりでございます。
それから、土地を買った場合に、相当持ち込みになって保有してしまうようなことになりはしないかということでございますが、これもある程度は保有する場合もあるし、信託という場合も規定されておるのでございますので、ある時期はそういうこともあろうかと思いますが、いつまでもということのないように、やはり計画を立てて進めていくようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/34
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035・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、この事業は、農地の移動についてあっせん、売買等の手段をもって、公的機関が離農しようとする者を離農しやすくすることと、農業により自立しようとする農家を育成しようとするのでありますが、農地は農家の貴重な財産でありますので、このような事業を農村において円滑に推進するためには、地元の農家や関係者の意向を十分反映して、独断的行政におちいらないよう、民主的な配慮が肝要であると考えられるのでありますが、この事業に地元の意向を反映させるため、どのような方針を用意しておいでになりますか。また、農地を手放して他産業への転職を希望している農家については、農業からの離脱が円滑に進められるよう、あたたかい援護措置が必要であります。転業して農業をやめる者にも幸福が得られるような措置を行なうことは、政治の要諦であると思うのであります。本法案提出にあたって、農林当局においては離農対策の問題が検討されたようでございますが、そういったものが少なくとも並行して行なわれなければならないと思うのでありますが、これらの点についてどのようにお考えでありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/35
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036・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この事業を行なうにつきましては、地元の人々の意向というものを十分しんしゃくしていかなければならないということは、御指摘のとおりでございます。でございますので、事業実施地域におきましては、市町村とか、農業委員会とか、あるいは農業団体等の討議によりまして、この制度の目的に即して、農地移動の方向づけに関する指針となるべき農地管理事業の実施方針を策定してもらう、こういうふうにいたしまして、現地の意向を十分しんしゃくしてこの事業を進めていきたい、こう思っております。
それから離農の問題でございますが、この法案は、土地を収用したり離農を強制するものではございませんので、そういう無理のないように進めていくつもりでございます。ただ、強制するのではございませんが、離農を希望しておる者はどうしても土地を手放すということになりますから、離農を希望しておる者に対しまして相当あたたかい対策を講ずることは必要だと思います。でございますので、せっかくいろいろ離農に対する案も実は考えたのでございます。先ほど申し上げましたように、パイロット的でというようなことで、そういうものも縮小されたといいますか、いろいろ折衝の段階におきまして縮小いたしました。特に四十年度におきましては、売買は行なわない、あっせんだけだということで出発しようということでございましたので、離農対策に欠くるところが実はあると思います。しかし、この問題は、なお裏づけをしていくといいますか、推進していかなければならぬ対策だ、こう考えて、せっかく検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/36
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037・吉川久衛
○吉川(久)委員 農地管理事業団の業務範囲について伺います。
農業構造改善を推進するためには、現在の農地の移動について、それを経営規模拡大に方向づけるばかりでなく、生産基盤である農地の整備とともに、農用地の拡大が重要であると考えます。したがって、将来の構想としては、この事業団は、土地基盤整備とか農用地の拡大の事業等をも、先進諸外国でやっているようにあわせて行ない、この面からも農業構造の改善を促進することを検討すべきであると考えますが、この点について御検討があったかどうか。昨今農業者の立場を全く顧みない土地造成事業が、都市近郊の農用地を含む丘陵地帯に行なわれております。土地価格の高騰を押える手段として土地の開発、造成はまことに歓迎すべきことでありますが、農業者の立場を十分考慮して行なうべきであると思います。これらについて農林大臣の御所見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/37
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038・赤城宗徳
○赤城国務大臣 構造政策の一つでございますから、経営規模も大きくする、あるいは土地基盤の整備と交換分合、こういうことも一つの構造政策の中に入るわけであります。でございますので、土地改良、基盤整備というようなものにつきましても、これと相伴わなければ、構造政策として十分に目的に沿うような形にはならぬと思います。しかし、いま直ちにこの管理事業団自体が土地基盤の整備までも受け持つかということにつきましては、相当検討しませんと、実際事業としてやっていけるかどうかという問題もあります。土地改良事業との関係もございます。でございますから、いますぐにそこまではいけませんけれども、この運用上につきましては、土地基盤整備の諸事業と十分調整をはかって、並行していくような形で、そういう土地改良を進めたい、基盤整備を進めたいというところにおきましては、やっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/38
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039・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、農地管理事業団ができて第二十条の業務が開始されると、新産都市地域として指定された地域がそうであるように、農地価格が上昇する心配はないのか。また上昇した価格で譲り受けようとする農業者が、年利三分、三十ヵ年間の年賦償還の金で採算上どのような結果になるのか。私は外国の例を見てきて、年利二分、四十ヵ年間の年賦のものでなくてはと考えていたのでありますが、この点はいかなるものでしょう。事業団の買い入れ価格が安ければ応じないし、譲渡価格が高ければ譲り受ける者はないということになりましょう。また時価と地域差等はどのように考慮するのか。二重価格の問題もございますが、価格のきめ方はどうするのか、その辺、具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/39
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040・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 初めに私からお答えいたします。
事業団が売買をいたします際の価格のきめ方につきましては、なお準備すべき点が多々あるかと思っておりますが、基本的な考え方といたしましては、やはり時価の原則でございますから、その時価をどうやって押えるかという問題であります。そこで、そのためには、当該地域におきます売買実例価格――現に七万から移動しております。相当移動しておる土地を選ぶわけでございますから、実例価格というものが現にあるわけでございます。それから現在不動産研究所その他の専門機関がやっております精通者評価というものがございます。これらのものを基準にいたしまして、村の立地条件等を同じくするようなおもな標本につきまして、標準地価、価格をあらかじめ定めておきます。具体的に買い入れようとする場合には、標準地価と土地の土質及び固定資産の評価額等を参酌いたしまして、具体的にきめてまいりたい。御指摘の、本事業によって地価が上がるということに相なっては、私どもとしては政策目的上全く意に反するところでございますから、そういう事態のないように、標準価格を中心にしてやって、それ以上高いものは買わない、あるいはあっせんにおいても標準価格を勧奨するとか、こういう基本的な立場をとりたいと思います。
それから二分、四十年の問題と三分、三十年の問題でございますが、これは当初二重価格も検討いたしました過程におきましても、農業の立場から見ますと、地価負担が安いに越したことはないので、二分、四十年を理想と考えて、私ども当初は当たったわけでございますが、結論は三分、三十年でございます。三分、三十年で計算いたしますと、大体一年現在の二十万円水準で一万円程度の負担になるわけでございますが、これは零細な農家では――あまり零細な農家では対象に相なりませんので、ある程度の規模以上の農家が一反歩土地をふやします過程におきまして、いわゆる農業純収益の増加の観点から検討いたしますと、十分これでペイができるという基準にあると私どもは事務的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/40
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041・吉川久衛
○吉川(久)委員 事業団から貸し付けられる農地等の取得資金について、利率年三分、償還期間三十年の貸し付け条件についてみると、他の制度金融、なかんずく公庫の構造改善資金の農地等の取得資金の条件、あるいは開拓者資金融通法による資金の条件と比較して、相当差があるのでございますが、事業団の実施区域に指定された地区と他の地区、あるいは同一市町村においても、農地等の取得について貸し付けの条件の均衡を失する事態が惹起される懸念があります。さらに、この資金は専業農家に限るのか、同一地域内または他地域間に融資条件を異にする農地取得資金ができることは好ましくないと思いますが、その調整についての対策がありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/41
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042・赤城宗徳
○赤城国務大臣 なお事務当局から御説明いたしたいと思いますが、この制度は、特定地域を指定しまして、特定地域でこういう熱意が熟している一つの奨励的な意味もございますので、単なる取得資金よりも三分三十年という低利にいたしたい、こういう考え方から成り立っておるものでございます。でございますので、その点、単なる農地取得と均衡がとれていない、これはやむを得ないところではないかと思います。それから、経営の拡大に伴う収益の増加をはかっておる。その点では、まあ償還も可能だろう、こういう考え方でできておるのでございますけれども、全然持っていない人が新たに土地を取得して、これでやっていくというのでは、これはなかなか困難だと思います。しかし、専業農家といいますか、これは何も大きいものばかりを選びません。農業に精進するといいますか、農業でやっていくというある程度以上のものであれば、私は差しつかえないと思います。そういう面で、専業農家というものの経営の拡大に伴う収益の増加によって、農地の取得に伴う負債の償還が可能である、こういうことで、特定地域に特定の一制度のもとで行なうということでございますので、他との金利償還の年限に非常に差があっても、これはやむを得ないといいますか、むしろあって、奨励的にやっていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/42
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043・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 補足して一言申させていただきますと、この制度は、特別の地域でいわば村ぐるみでひとつ構造改善をやっていく、その際に、土地の問題と取り組んで、皆さんが一緒になって根本的に取り組もうという地域に、国が事業団を通じてタイアップしていこう、こういう形でございまして、当初売買を中心にして考えました場合には、延納の問題として考えていく。しかし、よく考えてみますと、あっせんによっても十分目的が達せられる場合もあり得るので、同時に延納にかえて、相手に貸してやってもいいではないかという考え方が並立してまいったわけでございます。したがって、一般の制度金融のように、相対でいろいろの取引をいたしまして、これでやるからひとつ金を貸してくださいという金融機関みたいな融資の問題とは、質が相当違っておる、かように私どもは考えておる次第でございます。なおそれでも一般の金融水準でもいいわけでございますが、ある政策的な意味も加味して、いま大臣が申されました奨励的な意味も加味し、かつ負担力等も加味いたしまして、このような条件を定めた次第であります。
それから専業農家に限るのかという御質問がございましたが、あっせんにいたしましても売り渡しにいたしましても、客体については、専業農家だから兼業農家だからとかいう形式では判断すべきものではない、かように考えております。要は、農業として客観的に伸びていく地域で、農業として仕事に没入し、伸びていこう、それが行く行くは理念的に考えられている自立経営に一歩でも二歩でも近ずいていく、そういう方のところのほうに土地をできれば集約もいたしていきたい、こういう考え方でございますから、形式的な専業、兼業の区分ではなく、当主、世帯主並びにそのあと継ぎが、農業をやろうという意思と熱と技術をどのように持ち、また周囲の方々がそういう人々であるというふうに裏づける方々を対象に考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/43
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044・吉川久衛
○吉川(久)委員 それから事業団が事業を行なう地域は、都道府県知事が市町村と協議し「、さらに農業会議の」意見を聞いた上で申し出たものを農林大臣が指定することになっておりますが、この場合、末端において受け入れ態勢の整った地域から指定するのではないかと思いますが、受け入れ態勢の整備の内容はどんなものでございましょうか。この場合、農林省は推進母体として、ただいま局長のお話のように、市町村ぐるみの態勢を固め、そこにおいて実施することとしているようでありますが、その具体的な実施方法について政府は準備されていると思いますが、あとで実施要綱等をお示し願いたいと思います。
この事業団は、農地等の売り渡しを目的とする信託の引き受け業務ができるので、指定業務の実施地域においては、農協が行なう農地信託と競合するのではないかと思いますが、事業団に農地信託を認める理由について、農業基本法十八条の規定との関連はどのように理解したらよろしいのでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/44
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045・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 第一点の実施のやり方、態勢の整え方の問題でございますが、現に私どものところにおきましても、村づくりを考えて、先ほど来お話の出ている農業構造改善促進対策事業をやろうと思っておるのだが、よく考えると、やはり土地と取り組まなければうまくいかないという立場で、相当詰めた御研究をされておる市町村もないわけではございません。一番理想的に言えば、そういうことを徹底的に詰めておられるのが、一応準備態勢が整ったと理解すべきでございましょうが、私どもはそこまでを直ちに期待をするということが無理であると考えましても、市町村当局、農業委員会、農協その他の農業団体の方々が、ひとつ村の土地の面から見た構造改善に取り組もうというための、できれば協議会の設立、まあそこまでいかなくても、設立準備の体制を整えるということが一つのメルクマールではないか、かように考えております。それらの実施のやり方の骨格的なものにつきましては、次回にお示しをいたしたいと考えております。
それから事業団信託と農協信託の問題でございますが、信託の制度を当初考えましたときに、信託制度の関係から申しまして、新しい機関をつくることなく、農協にお願いしようと考えたわけでございます。農業協同組合は、御承知のとおりいろいろの仕事をいたしておりまして、信託を御熱心にやっていただく組合もあるわけでございますが、信託の問題については、できれば別の機関が、土地問題と取っ組んでいただいた場合が、より効率がいいという判断を私どもいたしているわけであります。そこで、今度の事業団こそが信託事業を営むのには適格性を持つという判断をいたしまして、業務内容に入れたわけでございます。しかし、事業団の業務内容に信託を入れたからといって、農協に能力を付与した信託規定を農協からはがす必要はないという立場におきまして、法制的には両者がやれる形に整備をいたしました。で、具体的な地区におきまして、あるいは事業団の実施地区におきまして「も、その意味におきして」は御両者お願いしてもけっこうでございますが、村ぐるみでこの仕事と取っ組もうというような村等におきましては、この信託問題もお話し合いで、どっちでやったほうがより効率的かというようなお話し合いの上で、できれば話し合いをつけて、集中的にやっていただいたらという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/45
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046・吉川久衛
○吉川(久)委員 村ぐるみでやるということになりますと、実施地域の市町村に駐在員を駐在させるような場合には、農業委員会の職員の一人を嘱託にでもしてこれに当たらせるというようなことが、人的経済の上からも、また村ぐるみでやるためにはその円滑な運営のためにも、私は適当だと思っておりますので、この点は十分御配慮をお願いしておきたい。
事業団の業務実施区域内において、農地または採草放牧地の所有者がその所有権を移転する場合、事業団に対する通知義務を課し、これを怠った場合には一万円以下の過料に処するとしておりますが、このような義務を付与した理由はどこにありますのか。所有者に事業団より高く買う相手があるにもかかわらず、通知をさせることは妥当であるかどうか。むしろ、農地法の規定に基づいて、農業委員会の通知で足りることになるのではないかと思うが、どうでしょう。さらに、所有者が事業団に対し通知は行なうが、事業団からの譲り渡しのあっせんまたは買い入れ、借り受けの申し出の拒否を行なった場合の処置はいかようになさるのか、お伺いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/46
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047・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 当初この事業団を考えました際に、フランス等の立法例等から、先買い権を付与したらどうかということを検討いたしたわけでございます。が、いろいろパイロット的に大都市をとって進むという問題もございまして、いろいろの角度から検討いたしまして、当面は先買い権は本法案には入れなかったわけであります。しかし、事業団が先ほどのような仕組みの中で事業をいたします際に、あっせんに乗り出しながら、他に回るものを、話し合いで事業団のほうに売っていただくという立場をとります際に、先買いというほど強いものでなく、通知をしていただいて、事業団が、ひとつ私のほうに売ってもらえないか、あるいはどうせ売るならばBさんに売っていただけば村としては非常に役立つのではないか、そういうあっせんの機会を持つために、通知の義務をこの当該地域だけに課することにいたしました。その村でこの事業に取り上げるかどうかということは、そういう制約を御承知の上で名乗りをあげられるかどうかという御判断で、強制的に村を指定するわけではございませんので、その妥当性については十分御判断の上、村としてやるかやらないかの御判断を願う、こういう立場でございます。
それから、事業団はあっせんの申し出をしたり、買い入れの申し出をした場合には、拒否したらどうなるのかということでございますが、これは先ほど申しましたとおり、先買い権ではございませんので、拒否されれば事業団は別にそれ以上強制力を持つわけではございません。あくまで話し合いで御協力をいただくかどうかという問題でございます。
それからもう一点の、農業委員会の通知でいいのではないかということでございますが、農地法三条の権利移動に対します許可に当たります農業委員会の経由は契約成立後でございます。契約成立後に横から割り込んでいくということは非常に問題があるわけでございます。したがって、その段階以前に、契約を締結しまうとするときという段階に御通知を願う。そこで、いろいろの仕事の都合もございましょうし、また別の理由から、私どもは、パイロット段階におきましては、少なくとも事業団自体の職員をその村に配置するわけでございます。それらの方々の通知その他に関します御迷惑の度合いということは、極力少なくする配慮を十分いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/47
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048・吉川久衛
○吉川(久)委員 次に、農地法の改正についてであります。農業基本法の実施に応じて農地法の一部改正が行なわれましたが、その際においては重要な問題が取り残されておりますし、今回の事業団の業務に関連して農地法の特例を設けることになっておりますが、時代の推移とともに農地法の改正が識者の間に論ぜられるに至っております。今回この制度の構想が立てられ、提案されるまでの過程において、全面的検討の必要なことが論議されなかったのか。また、今後可及的すみやかに農地制度調査会とも称する公的機関を設けて検討すべきであると思いますが、いかがでございますか。この新しい制度の完全な成果を期待するためにも、この程度の特例では完ぺきとは考えられないが、これでよいとお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/48
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049・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御承知のように、農地管理事業団に関連いたしまして、権利移動の制限とか、小作地所有の制限、賃貸借契約の終了についての規制等につきまして、特例を設けることにいたしました。パイロット的な発足でもありまするし、実は全面的に全国的に行なうということにつきましては、経営規模拡大というものを借地によってしていく、そういうときに農地法の取り扱いがどうなるか、あるいは農地の権利移動に関する規制緩和、そういう点から、全面的といいますか、もっと広く検討はいたしてみました。しかし、先ほど再々申し上げますように、今度の発足がパイロット的でもございますので、農地法に対して全面的にこれをどういうふうに持っていくかということについてのまだ結論も出ておりませんので、この程度にとどめたわけでございます。しかし、農地法の改正につきましては、識者あるいは実際にこれに関係する者等からも、相当の要望といいますか、それがございます。私ども、農地法の制定当時のときとはいま相当違っておりますので、立法の趣旨等につきましても、根本的に考えてみる必要があろうかと思います。ただ、借地しておるといいますか、こういう人の立場等も十分考えていかなければならぬ、こういうような利害関係も相当ございます。でございますので、これにつきましては、十分検討をして、できるだけ早い機会に改正はしていきたいと思っています。そのために、一つの機関を設けて、検討するかどうかということでございますが、いま考えておりますのは、農政審議会がありますので、農政審議会等をはじめ、各方面の意見等を十分聞いて、それで検討の上、できることならば、なるべく早い機会に改正に着手したい、こういうふうな考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/49
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050・吉川久衛
○吉川(久)委員 最後に、私は、日本農業の基本にかかわる問題についてお尋ねをいたします。
今日、全国の農業者は、農業が今後どうなるのか、岐路に立って混迷を続け、悩んでおります。為政者を含めて、農業に関係あるものの悩みも、またひとり日本だけではないことも、私はこれを承知しております。しかし、日本が特にその悩みが深刻であるということは何でありましょうか。日本の農業の近代化がおくれ、合理性が欠けているからでありましょう。その意味で、近代化推進のために、構造改善策がとられ、その促進のために本制度を御構想された赤城農林大臣に敬意を表するものでありますが、もっと根本的なものが用意されてよいのではないでしょうか。農業基本法はあります。しかし、これは都市と農村へ農業と他産業との格差是正に気を奪われて、何か一本不足しているのではないか。いまや、農業国策の基本を確立しなければならないところにきているのではないでしょうか。
政治の要諦は、国民の生活の安定をはかることにあります。国民生活の安定の第一歩は、広い意味での食糧の自給確保にあると思います。国民経済の上からも、四面海に囲まれているわが国の国防の見地からしても、この問題は農政の基本ではなくてはならないと思います。どの程度に食糧の自給度を定めるか、どのような方法で経営するとき、どれだけの農地とどれだけの農業人口が必要か、輸入はまたどの程度に押えたらよいのかなどの基本問題を確立することなくしては、国民、ことに農業者の不安は一掃されないのであります。構造改善事業を推進するにしても、基盤整備完了地区に工場が誘致されたり、住宅地に転用されたりしては、農業経営に及ぼす影響は大きい。また交通政策が農村に及ぼす影響、農業教育のあり方、社会保障政策、貿易政策等、農業の構造改革に重大な関連を持っていることが十分考慮されなければならないのであります。従来農業問題を、農業の中だけで解決しようとする傾向が必ずしもなかったわけではないように思います。できるだけ視野を広めて、しかも長期の見通しを持って政策は立てられるべきであります。農林省に限らず、官庁間の横の連絡がうまくいっていない。この際、農林省は他の政府機関とも有機的に一体となって、総合的に諸施策が検討され、政策樹立の努力がなされなければなりません。
農業は、いかなる国、いかなる時代にも、産業の基盤としての役割りを果たしてきたものであります。農業軽視の国は滅び、少なくとも繁栄が望めないことは、史実の明らかにしているところであります。農業がすべての産業開発の出発点であることを反省し、国の政治の中における農業の位置を重視して、農業に対する施策に万全を期していただきたいのでありますが、私は、この際、特にわが国農政の基本問題確立の急務なることを強く要請して、農政の権威赤城農林大臣の率直なる御所見を伺って、私の質問を終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/50
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051・赤城宗徳
○赤城国務大臣 各方面から指摘されておりまするように、またお話にありまするように、日本の農業の将来性はどうなんだろうか。一面におきましては農業が斜陽産業的なもののように言われておる向きもございます。しかし、私は大きく見まして、農産物に対する需要といいますか、これは相当増大しておりまするし、また農産物に対してもいろいろ選択的拡大に対応するような需要の変化もございます。しかし、いずれにいたしましても、需要は相当ある。こういうことでございますので、農業そのものが滅びるといいますか、斜陽産業的なものではないというふうに私は考えます。
しかし、その需要にこたえる体制がどうであるか、こういうふうにお尋ねであり、御指摘だと思います。特に日本の食糧をどの程度に自給していったらいいか、こういう問題でございます。もちろん、全面的の自給が必要でございますけれども、私は、国内におきましても適地適作というふうに従来から見られておりますように、国際的な農業にもなっておりますので、国際的にやはり適地適作というような国際分業の面も、これは相当入ってくると思います。そういう面から、日本の農業につきましても、ほんとうに日本として生産を維持して自給度を高めていくべきもの、あるいは国際的にそれほど力を入れなくてもいいようなもの等もあります。そういうような観点から、やはり自給度を確保していく、こういうことが必要であり、ことに米等につきまして、あるいはまた選択的拡大の対象になっている面等を伸ばしていくというような面が必要でございますので、自給度を確保していく、あるいは維持していく。御承知のように、八〇%程度でございますが、現在の農地のつぶれ、あるいは農業労働人口の減少等によりまして、この自給度を維持していくということは、現在のままではなかなか困難であろうと思います。しかし、いまの構造改善とか生産性だとかあるいは価格政策と相伴いまして、この自給度を確保していくということが、農政として、これは日本の国民に対する食糧の供給者としての農業の立場から、当然必要だろうと思います。
ところで、今度農業者自身の所得の面でございますが、そういう面から、あるいは農業としての生産性の面からして、いまの農業就業人口をそのままこれを維持していけるか、そしてその所得のままでいけるかということから見ますると、私は、いまのままで千二百万近い労働人口を維持していくということは困難だと思います。現在年率三%程度の趨勢で他産業にでております。でございますので、やはり少ない労働力にある程度なっても、その少ない労働力でこの自給度を増していける、あるいは所得を増していけるというような体制を整えて進めていくということが必要であろうと思います。中期経済計画等によりますと、四十三年度の見通しが農業就業人口が一千五十万、しかし、もっとだんだん減っていくと思います。こういう農業就業人口の減少趨勢に対応して、しかも自給度が増していけるような、また所得が増していけるようなことにしていかなければならぬ。しかし、私は、ある程度減っていく少ない労働力でも、やっていけるようなことにやっていかなければならぬと思いますので、そういう一つの方法としても、この管理事業団というようなところに手をつけたわけでありまするけれども、あるいは土地基盤の整備とか価格政策、生産対策、相伴って日本農業の自給度を維持していく。少ない労働人口になっても、その労働人口がそれをやり通して、またその農業者が所得も増していくような方向に持っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。一つの方法によってどうこうということは申しかねますが、農業政策全般として、いまの考え方の方向に持っていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/51
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052・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 暫時休憩いたします。
午後一時二分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X02619650413/52
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