1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十二日(水曜日)
午後零時十二分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 東海林 稔君 理事 芳賀 貢君
池田 清志君 宇野 宗佑君
亀岡 高夫君 吉川 久衛君
倉成 正君 小枝 一雄君
田口長治郎君 田邉 國男君
高見 三郎君 中川 一郎君
中山 榮一君 丹羽 兵助君
野原 正勝君 藤田 義光君
細田 吉藏君 松田 鐵藏君
山中 貞則君 川俣 清音君
栗林 三郎君 兒玉 末男君
千葉 七郎君 松井 誠君
松浦 定義君 森 義視君
湯山 勇君 稲富 稜人君
小平 忠君 中村 時雄君
林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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五月十二日
委員ト部政巳君、山田長司君及び中村時雄君辞
任につき、その補欠として石田宥全君、高田富
之君及び稲富稜人君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員石田宥全君、高田富之君及び稲富稜人君辞
任につき、その補欠としてト部政巳君、川俣清
音君及び中村時雄君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員川俣清音君辞任につき、その補欠として山
田長司君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十二日
食料品総合小売市場管理会法案(第四十六回国
会閣法第一〇二号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案(内閣
提出第一二五号)
牛乳法案(芳賀貢君外十一名提出、衆法第一七
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/0
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001・坂田英一
○坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長が所用のため、委員長のお見えになりますまで、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
内閣提出、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案及び芳賀貢君外十一名提出、牛乳法案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/1
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002・小平忠
○小平(忠)委員 時間的にもちょうどいろいろと重要な段階にある時間でございますので、ただいま議題となった本法案について、農林大臣に、私は、党を代表して率直にお伺いいたしたいと思います。したがいまして、時間の都合もありますから、簡明にお答えいただきたいと思うのであります。
まず第一点は、この法律案によりますと、生産者は乳業者に対して、用途別に価格を取りきめて取引することになっていると思うのであります。そこで、加工向け生乳価格については基準取引価格がきめられておりますが、その他の用途に向けられる生乳、特に市乳等については野放しということになっておるのであります。そこで、考えられる点でありますが、市乳価格の上げ下げで、乳業者が一方的に利益調整をすることが考えられる。そうなりますと、酪農民は市乳価格にしわ寄せを受けることを非常に心配いたしております。この点、政府は、今後市乳取引について適正な取引価格が実現されるような措置を考えておるのかどうか、その点を具体的にお伺いいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/2
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003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この法律案では、加工原料乳につきまして不足払いを行なおうとするものでありますので、飲用向け生乳の価格につきましては、法律上規制措置を設けることは問題がある。こう考えられるほかに、なお飲用向け生乳の価格は、その製品としての飲用牛乳が地域的商品としての性格を持っておる、こういうことでありますので、地域の需給状況に応じて価格が形成される、こういうのでありますので、法律上画一的に価格規制を行なうことは、牛乳の流通の円滑化あるいは消費の増進の面で実態に即しない、こういうふうに考えますので、飲用乳の法律上の規制を行なっておらないのであります。他面、本法律案におきましては、指定生乳生産者団体を通じまして不足払いを行なうこととしておりますので、本法律案の成立を契機といたしまして、生産者による生乳共販体制が確立され、強力な行政指導をそういうふうに行なう方針でありますので、このことは、生産者の生乳取引当事者としての地位の強化に役立ち得るものと考えられます。また、用途別取引の成果を期待するためには、飲用向け生乳価格が需給事情に応じ適正な水準に形成されることが望ましいので、必要に応じまして価格の面の行政指導を行なってまいりたい、こう思っております。法律上の規制は行なっておりませんが、地域的に形成されるような状況でありますので、行政指導等を行なってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/3
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004・小平忠
○小平(忠)委員 法律上規制をすることは非常にむずかしいというその論拠はどこにあるのですか。さらに価格面でいわゆる行政指導によって適正化をしていきたい、こういう御答弁でありますが、このことは、従来各般の法案の成立後における具体的な実際の行政指導面において、行政指導ということばを使うけれども、それがゆがめられるのが常であります。したがいまして、その点は、ただいまの大臣の御答弁では非常に危険性があります。さらに、この法律上規制することはなぜむずかしいか、また、単なる価格面の行政指導だけで適正な措置を講ずることができるかどうかという点で、ちょっと疑問があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/4
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005・赤城宗徳
○赤城国務大臣 法律的に規制することが困難だということは、困難であるばかりでなく、規制しないほうがよいというふうに考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、飲用向け牛乳の価格は地域的商品としての性格を有する、こういうことでございますので、画一的に価格規制を行なうということは、牛乳の流通の円滑化あるいは消費の増進、こういう面で実態に即しない、こう考えますので、画一的に法律上規制することを避けたのであります。しかしながら、行政指導を行なわなくちゃならぬという理由は、飲用牛乳の価格の安定を通じてこれが消費の安定的増進をはかる、こういうことによって、こういう方向で行政指導をしていく、あるいはまた用途別取引による飲用牛乳向け生乳取引価格の適正な形成を通じまして、酪農経営の安定向上をはかる、こういうことが重要なことでありますので、こういう方向に向かいまして、飲用牛乳の処理、加工、販売につきまして必要な調査を行ない、関係企業の合理化をはかりながら、価格面の行政指導を行なってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/5
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006・小平忠
○小平(忠)委員 根本問題は、その法律上画一的に規制することがむずかしいというのは、それは一つの大臣の判断であって、根本的に非常に重要な点は、従来の単なる行政指導というものが、真に法律なりあるいは生産者、消費者の意図に非常にこたえることができない面がある。そういう点から私は重ねてお伺いするのでありますが、それでは、行政指導とは具体的にどういうことをなさる考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/6
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007・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 行政面の指導といたしましては、現在の制度の上では、生乳取引に関します紛争が生じました場合に、酪農振興法に基づきまして、都道府県知事あるいは農林大臣のあっせん調停制度があるわけでございまして、これらの制度を適正に運用してまいるということが、一つの行政指導の方向であると思います。
それからいま一つは、加工原料乳と飲用乳との用途別取引をこの法案の成立後施行するということに相なりますと、飲用乳の各地域における卸売りの建て値というものが明確に相なっておりますので、したがって、適正な生産者販売価格というものも、あるめどが立ち得るわけでございますから、私どもといたしましては、ただいま大臣のお答えもございましたように、消費販売等に関する調査というものを通じまして、その地域における適正な価格形成というものを行政的に指導することができるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/7
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008・小平忠
○小平(忠)委員 その点だけではやはり非常に問題が残ります。特にこの法案の趣旨を生かすということで、単なる行政指導、いままでやっておるような点においては、非常に混乱をする、そういうようなことから、新たに本法案の趣旨を生かして、その行政指導の具体的な面としては、新たな政令を出すとか、そういう考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/8
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009・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私どもの考え方の一つとしては今回の法案が成立し、施行されるようになりますれば、ただいま申し上げました酪振法の規定によるあっせん調停の運用なり、あるいは飲用乳の加工、流通に関する調査を通じたデータによる指導のほか、本質的には生産者団体と乳業者との間の経済的な立場を対等にする、そういう対等の立場での相互の交渉によって、円滑な乳価折衝が行なわれ、かつ、適正な価格が形成されるということが最も理想的であるという観点から、生産者団体の共販活動、共販組織の強化ということも、行政指導の方向としては考えてまいりたい。
しかしながら、現在用意しております法律案のもとでは、飲用乳に関係いたします価格についての政令の根拠を持っておりませんので、特に政令を定めるというようなことについては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/9
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010・小平忠
○小平(忠)委員 この問題は、さらに共販体制との問題にもからんでまいりますから、質問を次に進めたいと思いますが、これは、酪振法の中のいわゆる実際の行政指導面、従来なされておるような点を考える、あるいは共販体制の指導面を通じてやるとかいうその考え方について、根本的にこの法案の趣旨を生かすということに、やはり今後まだまだ問題が起きてくるということを私は警告を発したいのです。
第二点は、この法律案によりますと、都道府県知事が生乳生産者団体を指定いたしまして、これに一元集荷、多元販売をやらせる考えのようでありますが、生産された牛乳の最も効率的な分配計画、すなわち、販売計画が、都道府県段階の生産者団体の視野のみでできるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
率直に申し上げて、単に農林大臣の都道府県知事に対するそういったようないわゆる指導面だけで、これが可能かどうか。特に乳業者の場合には、全国的な視野で集乳計画を立てておるという現状でありますが、生産者団体もやはり全国的な視野で配分計画を立てるというようなことでないと、ちぐはぐができてくる。特にこの法案のいわゆる交付金でありますか、そのせっかくの交付金も、こういう点を明確にしないと合理的に使われないということになります。これらの点で、これは非常に重要な点でありますから、もう少し現状と、今後どういうふうにしていくのか。一つの例を申し上げますならば、現在系統農協が実施している生乳共販事業を抜本的に強化して、北海道の場合にはホクレンが全道一元の生乳共販事業を実施しているというようなことを、やはりこういう点で明確にし得るのかどうか。そうでないと、新乳価制度におきまする補給金の交付というようなものについても、やはり問題が生じてまいります。こういう点で、特に法律の運用面などについても、具体的に私はこの際お伺いいたしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/10
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011・赤城宗徳
○赤城国務大臣 都道府県知事が生乳生産者団体を指定する、それよりも、全国的な視野といいますか、全国的のもののほうがいいのじゃないか、こういうお尋ねでございます。理論的には一応そういうふうなことも考えられますけれども、いま御指摘のような点の実態が実態でございます。北海道等におきましては、北海道を全部一括しても指定団体としてけっこうだと私は思います。しかし、全国的にやるということは、まだそういう段階には入っておらない。生乳の商品としての特殊性から考えまして、移動する範囲がおのずから技術的に限界がある。消費流通圏が形成されておる。こういう状況でありますから、最近のように道路網が整備されたとはいいながら、大体県単位で消費流通圏ができておるというのが現状だと思います。農協の組織も、もちろん県単位の組織におきまして、乳価等も県単位で決定されている。こういう現実の消費流通圏というものを頭におきまする場合には、やはりいまのところ、県単位に指定するというのが適当であろうかと思います。もっとも、全国農協組織等につきましての現状はどうかといいますならば、約三%程度は扱っているというふうに承知しておりますので、これが全国的に扱うということは、先ほど申し上げました理由によりましても、困難であり、不適当である。ただ、全国農協組織等が県の指定団体として、あるいはその県におきまして一元集荷、多元販売というような指定団体として機能を発揮する、こういうことは当然あってしかるべきだと思いますけれども、全国を一括して全国団体で集荷あるいは多元販売というような形は、現在は不適当ではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/11
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012・小平忠
○小平(忠)委員 さらにお伺いしますが、そうすると、その全国的なシェアということは非常にむずかしい、やはり都道府県単位に、これを重点に考えていきたいという考え方です。それはそうとして、しからば、いわゆるその生乳生産者団体ですね。やはり現行法のあらゆる角度から見て、必ずしも生産者団体が一つだけとは限らない。場合によれば、二つでも三つでも考えられるわけです。そういう点で、結局一元集荷、多元販売ということは、はたして大臣が考えておるようなことになるかどうかという点に疑問があります。その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/12
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013・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御質問のごとく、現在の段階におきましては一、二、の府県を除きましては、生乳の販売の実態は、一県平均ほぼ五十というような団体によって、乳業者との間の取引が行なわれておるような状況でございます。今回の法案におきましては、第七条の第一号の規定によりまして、一県一指定生乳生産者団体にするということを指導したいという考え方をとっておりまして、都道府県内の生産量について二分の一以上の集荷、販売をする実績を持つ、もしくはそういう比率を持ち得る可能性のある団体を指定をいたしたい。もちろん、その団体は農業協同組合もしくは農協連合会になるわけでございます。そういう指定をいたしますれば、現在のやや組織の整備されていない状態は、不足払い制度というものに参加をしてまいることから申しまして、お話のような、少なくとも一県単位における一元集荷、多元販売の方向に貢献をし得るというふうに考えておるのでございまして、私ども農林省といたしましても、関係都道府県といたしましても、一県一集荷機構というものの確立に強力な指導をしてまいりたいというふうに思っておるのであります。その際、やはり生乳の取引の相手方でございます乳業者に対しても、新しい取引の秩序というものを確立するために、その協力を必要とされますので、また乳業者側の協力についても、同じく強力に指導をしてまいるというふうにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/13
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014・小平忠
○小平(忠)委員 その場合に、やはり同じことでありますが、いわゆる行政指導とは具体的にどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/14
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015・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 具体的にどういう行政指導かと
いうことに相なりますと、私どもは、この法案の考え方の基本として、一県一集荷団体、一指定生乳生産者団体ということで進んでまいりたいと思っておりますので、都道府県を通じ、あるいは現在都道府県に酪農会議、また中央には中央酪農会議が置かれておるのでございますが、それらの酪農関係民間団体の理解、協力、そういうものを、求めつつ、県内における集乳及び販売ということについての一元化を進めてまいるというふうに指導していきたいと思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/15
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016・小平忠
○小平(忠)委員 一県一集荷機関というようなことを強力に指導していくといいましても、現在の法案では「都道府県知事が農林大臣の承認を受けて」と、こうあるのですね。そういうことになりますと、単に強力な指導といいましても、この法の解釈が非常に拡大された場合に、その指導方針によらないで、むしろ逆に混乱をするというようなことが起きた場合に、いや、強力に行政指導でやるのだといいましても、そうはいかない場合があると思う。ですから、私は、具体的に、ではその強力な行政指導をするというのはどういうことかと聞いておるのです。一つの例を言うならば、こういう問題こそやはり内容を明確に政令などで規制するというような考え方があるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/16
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017・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 指定生乳生産者団体たり得る要件として、第七条の一号で、農林省令で定める相当の割合の集荷平均を持っておらなければならないということになっておりますので、この農林省令で、集荷比率は二分の一以上という規定をする予定でございます。したがって、もしこの指定生乳生産者団体に対して販売の委託をするということでございませんと、それは不足払いの恩典に浴し得ないわけでございますから、この制度としては、全部の農民に不足払いの恩恵を与えようという考え方でございますので、その他、政令で集荷団体を一本にしぼるというようなことは、これは団体の自決主義の原則にも反することでございますから、そこまではいき得ないというふうに考えますけれども、実際の行政指導のほうで、この団体指定というものと不足払いの実施という面を通じて、指導を行なっていくことは可能であり、また、それは一元集荷機構の整備という問題に大きな足がかりとなり、貢献し得るというふうに考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/17
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018・小平忠
○小平(忠)委員 それは局長、必ずしも、あなたの言われるような考え方に、一元集荷ということが、単に強力な行政指導といってもいかない面があるので、これは私は厳重な警告を発しておきたいと思うのです。
大臣にお伺いしますが、いま局長の説明の中にも、現在の機構、特にいま中央酪農会議、都道府県の酪農会議などの例を取り上げられましたけれども、この酪農会議そのものをほんとうに生かして推進するかどうかという点も非常に問題であります。したがいまして、この中央、地方を通じての酪農会議については、一体どういう基本的な考え方を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/18
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019・赤城宗徳
○赤城国務大臣 現在地方に置いてありまする酪農会議でございますが、生乳生産者団体が指定されるということになりますならば、酪農会議の機能というものは薄れてくるといいますか、そういうことでございますので、この機能を生産者団体のほうに吸収する、こういうことによって発展的に解消さしたほうが適当じゃないか、地方酪農会議につきましてはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/19
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020・小平忠
○小平(忠)委員 もう一ぺんその点を……。はっきり聞き取れなかったので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/20
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021・赤城宗徳
○赤城国務大臣 中央の酪農会議はそのままにしておきますが、地方の酪農会議でございます。地方の酪農会議は、生産者団体が指定されますから、その指定された団体に地方の酪農会議の機能は吸収するということで、発展的に解消させる、中央は存置する、こういうような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/21
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022・小平忠
○小平(忠)委員 そうすると、地方は発展的に解消して、いわゆる中央酪農会議はそのままにしておく、その意味はどういうわけですか。中央をそのままにして、地方を解消するというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/22
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023・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 地方の都道府県に設置されております酪農会議につきましては、都道府県内におきます生乳の取引の合理化なりあるいは共販組織の強化等について、酪農関係諸団体あるいは酪農に関する学識経験のある人等で構成をいたしまして、民間における指導的な機能を果たしておるわけでございますが、一県に原則として一集荷機構として指定生乳生産者団体が設置されますれば、当然その機能は新しい指定生乳生産者団体が負うべきものであるというふうに考えまして、発展的に解消をしたいというふうに考えておりますが、中央につきましては、中央における生乳生産者団体というものの整備は、これは事実上かなりの日時を要するものというふうに考えるのでございまして、その間、ただいま申し上げました生乳の取引に関する合理化問題なり、あるいは組織整備の問題などにつきましては、関係諸団体あるいは学識経験等のある方々によって、われわれの指導のほかに、自主的な指導機構を持つことは、なお必要であるという考え方から、中央については、なお今後も存続をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/23
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024・小平忠
○小平(忠)委員 この点は、地方は発展的に解消して、中央は残すということについて、いまの局長の説明で一部は理解できるのですが、農林省の強力な行政指導のもとに一県一集荷機構という形が円滑にとられるかどうかという点は、やはり問題がありまして、そういう点も考慮に入れて、せっかく今日発足まだ日浅い酪農会議そのものの機能を十分に生かすということについては、相当慎重に考えなければならぬ問題であります。したがって、そういう点をそう短兵急に処置していいかどうかということについては問題がありますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/24
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025・赤城宗徳
○赤城国務大臣 生乳の生産者団体が指定されるわけでございますが、その指定される段階、あるいは強化される段階に応じて適当に処理していく、こういうふうに考えます。御意見の点も十分頭に入れて処理していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/25
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026・小平忠
○小平(忠)委員 次に、お伺いいたしたいのは、生乳生産者団体の指定をめぐりまして、乳業者は、従来の集乳地盤をめぐって、権益確保という観点から、相当な工作をするだろうということが考えられるのであります。また反面、この生産者団体相互でも、従来の経過からある程度対立の起こるというようなことも考えられます。こういう点について、どういう態度をもって臨まれるのか、この点もやはり関連いたしますから、私はお伺いをいたしておきたいと思ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/26
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027・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かにいまお話しのようなことがございます。この法案に対しての反対の大きな理由も、生産者団体を県単位にする、一元的にきめる、こういうことで従来の乳業者の集乳地盤が荒らされるというような観点から、これに対して反対が相当あるのは、私から申し上げるまでもないと思います。しかし、県単位で不足払いをするということになりますならば、どうしても生乳生産者団体が一つでなくてはならぬ、こういうふうに考えられますので、これは生乳生産者による生乳共販体制の確立、こういう観点から、集乳路線の合理化をはかっていかなくてはならぬし、それがまた必要だ、こう思います。でありますので、この不足払いをするということ、そのことが鶏の卵になるか親鳥になるか知りませんが、そういう不足払いを行なうのに生乳生産者団体の指定が必要だ、それはまた共販体制の確立になるのだ、こういう観点から、非常な反対あるいは妨害があるといたしましても、この線を推し進めていくことが乳業者、生産者のためになるのでございますので、乳業者の方面につきましても、一元的に集荷し、単県販売ということで無用の混乱を防ぐことが、乳業者としても適当であると私は考えますので、そういう理解も求めて、この方針を貫いていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/27
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028・小平忠
○小平(忠)委員 それは大臣、ただいまのような御答弁では、これはよほど腹をきめてやりませんと、従来の経緯から考えまして、やはり混乱が起きますよ。この点については確固たる政府の方針を示してやりませんと、せっかくのこの法案が生きないと思う。この点についても十分なる配慮を特にお願いをしておくわけであります。
次は、いままでの質問を通じてもある程度明らかになっておりますが、この法律の施行によりまして、輸入乳製品の量が非常に増大するのではなかろうかという声が生産者の中にもすでに出ております。こういう点は、国の全体のいわゆる輸入乳製品の問題についてやはりどうしていくのか、あらためてこの点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/28
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029・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いろいろ誤解があるようでございますが、乳製品輸入量の増大をはかって、それを財源として不足払いにするんじゃないかというようなことでございますが、そういうことは絶対にいたしたくないと考えております。もちろん、酪農品につきまして輸入の自由化を行なうというような考えは、今のところ毛頭持っておりません。また、輸入量はどういうふうなめどで輸入するかといいますならば、国内の乳製品の需給及び価格の安定、それに必要な限度——行政的、行政的という先ほどからのお話がありましたが、必要な限度を行政的にどれくらいに見るかということも、一つの大きな分かれ目ではありますけれども、私ども考えておるのは、必要以上に輸入をするという考えは毛頭持っておりません。国内の需給及び価格の安定に必要な一つのてこ入れのために輸入をする、こういうふうに考えておりますので、その点は取り扱いを慎重にいたしまして、誤解のないようにいたしたい、こう思っております。
〔坂田(英)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/29
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030・小平忠
○小平(忠)委員 それでは大臣、この法律の実際の施行の場合に、乳製品の輸入量がふえるとお考えですか、あるいは現状ぐらいだとお考えですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/30
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031・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この法律の施行自身によって乳製品の輸入がふえるとか減るとかいうことは、私は直接関係はないと思うのでありますが、間接的には、この法律の施行によって国内の生産量を増大するということでございますから、相対的には輸入量の防遏に資するものと考えております。法律全体の仕組みとしましては、ただいま大臣がお答えをいたしましたように、国内における乳製品の需給の関係は国内における価格面にあらわれるわけでございますので、この法律によって定めます乳製品の安定指標価格というものをある程度越えた水準になるときに、初めて輸入をし、また放出をするということでございますので、輸入量がどういう程度になるかということは、国内の需給関係から出てまいるのでございまして、法律全体のねらいとしては、輸入量は極力抑制をしてまいるという考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/31
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032・小平忠
○小平(忠)委員 それは局長、あなたはそう考えられても、そうはいかないと思う。やはりこれはもちろん今後の価格にも影響してきますけれども、現状のような日本の酪農政策を推進し、さらにこの法律を曲がりなりにも悪い点は修正をして通すということになった場合にも、やはり価格の変動、価格操作——真に政府が酪農民が期待しているような価格体系をつくるという英断に出る場合は別ですけれども、現在のような状態においては、逆に輸入量がふえるというようなことも懸念されるのであります。したがいまして、この点についても相当な腹を持って臨まなければならぬと私は思うのであります。
それと、やはり日本の今日の酪農問題で大きなネックになっているのは、小売り販売機構であります。私は先進地の国を再度訪れて、この小売り販売機構の実態なり価格面を見たときに、日本は生産者の窓口から実際に消費者の手に入るまでの中間マージンが非常に多いのであります。これは農林省の統計にもあらわれておる。こういう点、この法律を真に生かし、これによって従来の不合理な中間マージンを排除していくということで、現在の低乳価を生産費・所得補償方式による適正価格に引き上げ、さらに消費者に対しても、現在の市乳価格が大幅に引き下げられるというようなことを根本的にやらなければならない。この点は非常に大きな問題でありますので、この際、農林大臣の所見を承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/32
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033・赤城宗徳
○赤城国務大臣 確かにいまのような状態でございまして、農産物全体についてまた当てはまる問題だと思います。生産者のほうから見ますならば、なかなか再生産確保に困難だというような形で安い、消費者の面から見ますならば、相当高いじゃないか、農産物全体に通ずる現象だと思います。特に牛乳等につきまして、生産者から見れば、消費価格が相当高い、こういうことで、小売り面、流通面の改善につきましては十分意を注がなければならぬと思います。生鮮食料品等の流通、価格対策等につきまして、内閣といたしましても、その方途を逐次研究改善いたしておりますが、この牛乳等につきましても、この法律の趣旨をいまお話しのように十分生かすためには、末端の小売り段階の合理化といいますか、そういう方面に力を注いでいかなければ、せっかくの法律も十分に生きていかない、こういうふうに考えております。どういうふうにしたらいいかというような問題につきましては、それぞれ事務当局におきましても研究をいたしておりますが、根本的な考え方といたしては、御指摘に同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/33
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034・小平忠
○小平(忠)委員 大臣、いまの御答弁では、あなた重要な点だと認められておりながら、何らの具体策がないと私は思う。大事だから検討する、大事なことだから何とかしなければならぬという考え方だけであって、具体策がない。酪農民の生産者価格、特殊な加工を加えられて実際に中間経費がかかるという場合は別としましても、単なる殺菌あるいはその整理程度において約三倍の価格、あるいは三倍をオーバーするというような価格で消費者の口に入るということは矛盾ではありませんか。このことは、いまさら私が言うまでもなく、与野党通じてひとしくこの意見には同感であろうし、すでに先進地の国々において具体的に——農林省の統計調査の中にありますように、日本のようなこういう中間マージンの多い国はないですよ。だから、この点を思い切ってやらないと、せっかく酪農振興という意味から、相当な犠牲を払って、今日日本の畜産振興の大きな柱として酪農業を進めておることが、やがて大きな壁に——いま現在壁にぶつかっておるのです。ですから、単に重要だから何とかしようという考えだけでなくて、具体的にこれはこうしていきたいということを私は示してもらいたい。また、これをこうするのだという考え方をわれわれは持っておる。これは在野第一党の社会党でも、今度の牛乳法案の中で、一つの具体的な内容として示されておる。われわれが、昨年学校給食の問題について、政府案に対する不満な点から、当時独自の案を提案して、ちょうど一年有余にわたってこの委員会にたなざらしになっておる。だから、そういう点について、私は、少なくとも最近における農林大臣として、特に赤城農政の積極的な行動については信頼し、認めておるのですから、最も重要なそういう点について具体策を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/34
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035・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御指摘のように、わが国の飲用乳、いわゆる市乳の末端価格というのは、生産者価格の段階に比べて非常に割り高であるということ、つまり、生産者段階から処理、加工、小売り販売の段階に至る経費が高いということは、私どもも痛感をいたしておるところでございます。ただ、なぜそういうことになっておるかということになりますと、日本の現在の消費の水準なりあるいは市乳の販売の方法なりが、非常に特異な形をとっておるということに出ておるのでございまして、諸外国では消費が大口である、したがって、それに応じて包装、容器等も大型である、また配達方法も毎日戸口まで一合びんを配達するというようなやり方をやっている国もほとんどないというようなことから、一つは、消費の段階におきます事情の変化というものも必要でありますし、また消費者の理解もなければこの問題の解決になかなか進めないという、酪農問題の中の最もむずかしい問題の一つであるというふうに思っております。現在、私ども農林省の事務当局といたしましても、飲用牛乳の販売関係の人々に御参集を願いまして、今後飲用牛乳の末端価格の引き下げ、つまり、中間経費の低減ということについて、いかなる方法が考えられるか、またいかなる方法を実行すべきかということを研究いたしておる段階でございますが、現段階で考えられております具体的な方向としては、一つは、ただいま申し上げましたようなわが国の事情を変える一つの方法として、集団飲用を奨励をしてまいる。さらに、順次消費量もふえておりますのと、家庭における冷蔵の器具、機械も整備をされてきておるようでございますので、大型びんの普及をはかっていく。また店頭での月ぎめ購入というようなことの推進が考えられる。配達にしましても、現在の技術段階で考えれば、そろそろ隔日配達制をとるということも可能であろう。あるいはまた朝だけの配達ということも必ずしも必要ではないのではないか。終日配達制をとることによって配達のコストを低減していくというようなことを検討の課題として現在進めておるのでございますが、このためには、ある一定の地区においてモデル的にそういうことを実施しまして、それが消費の増進等との関係において支障があるかないかというような問題を慎重に見きわめた上で、具体的な一般的な施策方向として確立をしていきたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/35
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036・小平忠
○小平(忠)委員 大臣の答弁、ただいまの局長の答弁で、私は理解できないのです。さらに掘り下げたお伺いをいたしまして、本件に対する小売り販売機構について、私はもっと明らかにしていきたいと思いますが、午後の行事の日程の時間の都合もありますので、私の質問はきょうはこのくらいにしてやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/36
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037・濱地文平
○濱地委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時五分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03619650512/37
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