1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月七日(水曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 渡海元三郎君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 八木 徹雄君 理事 二宮 武夫君
理事 三木 喜夫君
大石 八治君 木村 武雄君
熊谷 義雄君 床次 徳二君
橋本龍太郎君 松山千惠子君
落合 寛茂君 川崎 寛治君
高橋 重信君 前田榮之助君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
文部政務次官 押谷 富三君
文部事務官
(大臣官房長) 西田 剛君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(管理局長) 齋藤 正君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
―――――――――――――
四月六日
宮城教育大学設置反対に関する請願外一件(川
崎寛治君紹介)(第二五〇三号)
義務教育費国庫負担法の一部改正に関する請願
(伊藤卯四郎君紹介)(第二五〇四号)
同(受田新吉君紹介)(第二五〇五号)
同(内海清君紹介)(第二五〇六号)
同(栗山礼行君紹介)(第二五〇七号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第二五〇八号)
同(竹本孫一君紹介)(第二五〇九号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第二五一〇号)
同(西村榮一君紹介)(第二五一一号)
同(肥田次郎君紹介)(第二五一二号)
同外一件(山下榮二君紹介)(第二五一三号)
同(吉川兼光君紹介)(第二五一四号)
同(吉田賢一君紹介)(第二五一五号)
同(只松祐治君紹介)(第二八二一号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の改正に関する請願(伊
藤卯四郎君紹介)(第二五一六号)
同(内海清君紹介)(第二五一七号)
同(栗山礼行君紹介)(第二五一八号)
同(佐々木良作君紹介)(第二五一九号)
同(鈴木一君紹介)(第二五二〇号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第二五二一号)
同(西村榮一君紹介)(第二五二二号)
同(山下榮二君紹介)(第二五二三号)
同(吉田賢一君紹介)(第二五二四号)
同(受田新吉君紹介)(第二八〇六号)
養護教諭を各学校に必置等に関する請願(横路
節雄君紹介)(第二五五二号)
学校警備員の設置に関する法律案成立促進に関
する請願(赤路友藏君紹介)(第二五五三号)
同(赤松勇君紹介)(第二五五四号)
同(足鹿覺君紹介)(第二五五五号)
同(有馬輝武君紹介)(第二五五六号)
同(淡谷悠藏君紹介)(第二五五七号)
同(安宅常彦君紹介)(第二五五八号)
同(井岡大治君紹介)(第二五五九号)
同(井谷正吉君紹介)(第二五六〇号)
同(井手以誠君紹介)(第二五六一号)
同(伊藤よし子君紹介)(第二五六二号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二五六三号)
同(江田三郎君紹介)(第二五六四号)
同(岡良一君紹介)(第二五六五号)
同(岡田春夫君紹介)(第二五六六号)
同(岡本隆一君紹介)(第二五六七号)
同(加藤清二君紹介)(第二五六八号)
同(片島港君紹介)(第二五六九号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第二五七〇号)
同(川崎寛治君紹介)(第二五七一号)
同(川村継義君紹介)(第二五七二号)
同(河野正君紹介)(第二五七三号)
同(久保田鶴松君紹介)(第二五七四号)
同外一件(栗林三郎君紹介)(第二五七五号)
同(小林進君紹介)(第二五七六号)
同(小松幹君紹介)(第二五七七号)
同(五島虎雄君紹介)(第二五七八号)
同(佐々木更三君紹介)(第二五七九号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第二五八〇号)
同(坂本泰良君紹介)(第二五八一号)
同(島口重次郎君紹介)(第二五八二号)
同(田口誠治君紹介)(第二五八三号)
同(田中武夫君紹介)(第二五八四号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第二五八五号)
同(高橋重信君紹介)(第二五八六号)
同(滝井義高君紹介)(第二五八七号)
同(楯兼次郎君紹介)(第二五八八号)
同(辻原弘市君紹介)(第二五八九号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二五九〇号)
同(中村重光君紹介)(第二五九一号)
同(永井勝次郎君紹介)(第二五九二号)
同(西村関一君紹介)(第二五九三号)
同(野口忠夫君紹介)(第二五九四号)
同(野原覺君紹介)(第二五九五号)
同(芳賀貢君紹介)(第二五九六号)
同(華山親義君紹介)(第二五九七号)
同(日野吉夫君紹介)(第二五九八号)
同(肥田次郎君紹介)(第二五九九号)
同(藤田高敏君紹介)(第二六〇〇号)
同(穗積七郎君紹介)(第二六〇一号)
同(細迫兼光君紹介)(第二六〇二号)
同(細谷治嘉君紹介)(第二六〇三号)
同(堀昌雄君紹介)(第二六〇四号)
同(松井政吉君紹介)(第二六〇五号)
同(松井誠君紹介)(第二六〇六号)
同(松浦定義君紹介)(第二六〇七号)
同(松原喜之次君紹介)(第二六〇八号)
同(松本七郎君紹介)(第二六〇九号)
同(三木喜夫君紹介)(第二六一〇号)
同(村山喜一君紹介)(第二六一一号)
同(森本靖君紹介)(第二六一二号)
同(八木昇君紹介)(第二六一三号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第二六一四号)
同(安井吉典君紹介)(第二六一五号)
同(山内広君紹介)(第二六一六号)
同(山口丈太郎君紹介)(第二六一七号)
同(山崎始男君紹介)(第二六一八号)
同(山田耻目君紹介)(第二六一九号)
同(山本幸一君紹介)(第二六二〇号)
同(湯山勇君紹介)(第二六二一号)
同(米内山義一郎君紹介)(第二六二二号)
同(横山利秋君紹介)(第二六二三号)
同(吉村吉雄君紹介)(第二六二四号)
同(伊藤卯四郎君紹介)(第二七九八号)
同(今澄勇君紹介)(第二七九九号)
同(内海清君紹介)(第二八〇〇号)
同(栗山礼行君紹介)(第二八〇一号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第二八〇二号)
同(西村榮一君紹介)(第二八〇三号)
同(山下榮二君紹介)(第二八〇四号)
同(吉田賢一君紹介)(第二八〇五号)
へき地教育振興法の一部改正に関する請願(赤
路友藏君紹介)(第二六二五号)
同(赤松勇君紹介)(第二六二六号)
同(足鹿覺君紹介)(第二六二七号)
同(淡谷悠藏君紹介)(第二六二八号)
同(安宅常彦君紹介)(第二六二九号)
同(井岡大治君紹介)(第二六三〇号)
同(井谷正吉君紹介)(第二六三一号)
同(井手以誠君紹介)(第二六三二号)
同(伊藤よし子君紹介)(第二六三三号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二六三四号)
同(江田三郎君紹介)(第二六三五号)
同(岡良一君紹介)(第二六三六号)
同(岡田春夫君紹介)(第二六三七号)
同(岡本隆一君紹介)(第二六三八号)
同(加藤清二君紹介)(第二六三九号)
同(片島港君紹介)(第二六四〇号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第二六四一号)
同(川崎寛治君紹介)(第二六四二号)
同(川村継義君紹介)(第二六四三号)
同(河野正君紹介)(第二六四四号)
同外一件(栗林三郎君紹介)(第二六四五号)
同(小林進君紹介)(第二六四六号)
同(小松幹君紹介)(第二六四七号)
同(五島虎雄君紹介)(第二六四八号)
同(佐々木更三君紹介)(第二六四九号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第二六五〇号)
同(坂本泰良君紹介)(第二六五一号)
同(島口重次郎君紹介)(第二六五二号)
同(田口誠治君紹介)(第二六五三号)
同(田中武夫君紹介)(第二六五四号)
同(多賀谷真稔君紹介)(二六五五号)
同(高橋重信君紹介)(第二六五六号)
同(滝井義高君紹介)(第二六五七号)
同(楯兼次郎君紹介)(第二六五八号)
同(辻原弘市君紹介)(第二六五九号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二六六〇号)
同(西村関一君紹介)(第二六六一号)
同(野原覺君紹介)(第二六六二号)
同(華山親義君紹介)(第二六六三号)
同(日野吉夫君紹介)(第二六六四号)
同(肥田次郎君紹介)(第二六六五号)
同(藤田高敏君紹介)(第二六六六号)
同(穗積七郎君紹介)(第二六六七号)
同(細迫兼光君紹介)(第二六六八号)
同(細谷治嘉君紹介)(第二六六九号)
同(堀昌雄君紹介)(第二六七〇号)
同(松井政吉君紹介)(第二六七一号)
同(松井誠君紹介)(第二六七二号)
同(松原喜之次君紹介)(第二六七三号)
同(松本七郎君紹介)(第二六七四号)
同(三木喜夫君紹介)(第二六七五号)
同(村山喜一君紹介)(第二六七六号)
同(森本靖君紹介)(第二六七七号)
同(八木昇君紹介)(第二六七八号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第二六七九号)
同(柳田秀一君紹介)(第二六八〇号)
同(山内広君紹介)(第二六八一号)
同(山口丈太郎君紹介)(第二六八二号)
同(山崎始男君紹介)(第二六八三号)
同(山本幸一君紹介)(第二六八四号)
同(米内山義一郎君紹介)(第二六八五号)
同(横山利秋君紹介)(第二六八六号)
同(和田博雄君紹介)(第二六八七号)
同(湯山勇君紹介)(第二七五九号)
同(有馬輝武君紹介)(第二七六〇号)
同(今澄勇君紹介)(第二八〇九号)
同(受田新吉君紹介)(第二八一〇号)
同(内海清君紹介)(第二八一一号)
同(佐々木良作君紹介)(第二八一二号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第二八一三号)
同(西村榮一君紹介)(第二八一四号)
同(山下榮二君紹介)(第二八一五号)
同(吉田賢一君紹介)(第二八一六号)
私立学校に対する一般公費助成の増額及び補助
制度確立に関する請願(安宅常彦君紹介)(第二
六八八号)
学校給食法の一部を改正する法律案等成立促進
に関する請願(米内山義一郎君紹介)(第二六八
九号)
高等学校の定時制教育及び通信制教育振興等に
関する請願(秋山徳雄君紹介)(第二六九〇号)
同(稻村隆一君紹介)(第二六九一号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第二六九二号)
同(小林進君紹介)(第二六九三号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二六九四号)
同(野間千代三君紹介)(第二六九五号)
同外八件(平林剛君紹介)(第二六九六号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部改正案成立に関する
請願(秋山徳雄君紹介)(第二六九七号)
同(足鹿覺君紹介)(第二六九八号)
同(井伊誠一君紹介)(第二六九九号)
同(井手以誠君紹介)(第二七〇〇号)
同(石田宥全君紹介)(第二七〇一号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二七〇二号)
同(稻村隆一君紹介)(第二七〇三号)
同(卜部政巳君紹介)(第二七〇四号)
同(江田三郎君紹介)(第二七〇五号)
同(小川三男君紹介)(第二七〇六号)
同(大村邦夫君紹介)(第二七〇七号)
同(岡田春夫君紹介)(第二七〇八号)
同(加藤清二君紹介)(第二七〇九号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第二七一〇号)
同(金丸徳重君紹介)(第二七一一号)
同(川俣清音君紹介)(第二七一二号)
同(久保三郎君紹介)(第二七一三号)
同(栗林三郎君紹介)(第二七一四号)
同(黒田寿男君紹介)(第二七一五号)
同(小林進君紹介)(第二七一六号)
同(五島虎雄君紹介)(第二七一七号)
同(佐野憲治君紹介)(第二七一八号)
同(坂本泰良君紹介)(第二七一九号)
同(沢田政治君紹介)(第二七二〇号)
同(實川清之君紹介)(第二七二一号)
同(下平正一君紹介)(第二七二二号)
同(田中武夫君紹介)(第二七二三号)
同(千葉七郎君紹介)(第二七二四号)
同(辻原弘市君紹介)(第二七二五号)
同(堂森芳夫君紹介)(第二七二六号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二七二七号)
同(中澤茂一君紹介)(第二七二八号)
同(永井勝次郎君紹介)(第二七二九号)
同(西宮弘君紹介)(第二七三〇号)
同(野口忠夫君紹介)(第二七三一号)
同(野間千代三君紹介)(第二七三二号)
同(芳賀貢君紹介)(第二七三三号)
同(長谷川保君紹介)(第二七三四号)
同外二件(華山親義君紹介)(第二七三五号)
同(原茂君紹介)(第二七三六号)
同(日野吉夫君紹介)(第二七三七号)
同(平岡忠次郎君紹介)(第二七三八号)
同外七件(平林剛君紹介)(第二七三九号)
同(細迫兼光君紹介)(第二七四〇号)
同(前田榮之助君紹介)(第二七四一号)
同外一件(松井政吉君紹介)(第二七四二号)
同(松井誠君紹介)(第二七四三号)
同(松浦定義君紹介)(第二七四四号)
同(松平忠久君紹介)(第二七四五号)
同(松原喜之次君紹介)(第二七四六号)
同(森義視君紹介)(第二七四七号)
同(八木一男君紹介)(第二七四八号)
同(八木昇君紹介)(第二七四九号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第二七五〇号)
同(山内広君紹介)(第二七五一号)
同(山口丈太郎君紹介)(第二七五二号)
同(山崎始男君紹介)(第二七五三号)
同(山田耻目君紹介)(第二七五四号)
同(山中日露史君紹介)(第二七五五号)
同(横路節雄君紹介)(第二七五六号)
同(吉村吉雄君紹介)(第二七五七号)
同(和田博雄君紹介)(第二七五八号)
同(受田新吉君紹介)(第二八〇七号)
同(鈴木一君紹介)(第二八〇八号)
同(只松祐治君紹介)(第二八二二号)
同(吉川兼光君紹介)(第二八二三号)
高等学校産業教育手当の実習助手に対する支給
制限撤廃等に関する請願(秋山徳雄君紹介)(第
二七六一号)
同(稻村隆一君紹介)(第二七六二号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第二七六三号)
同(小林進君紹介)(第二七六四号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二七六五号)
同(野間千代三君紹介)(第二七六六号)
同外八件(平林剛君紹介)(第二七六七号)
義務教育における習字教育の振興に関する請願
(星島二郎君紹介)(第二七六八号)
学校図書館法の一部改正に関する請願(二宮武
夫君紹介)(第二八二四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇五号)
文教行政の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/0
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001・渡海元三郎
○渡海委員長 これより会議を開きます。
文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/1
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002・二宮武夫
○二宮委員 先般私は教育行政一般についての質問をいたしましたけれども、その際は大臣が参議院に出席するということで、理事の申し合わせでわずか二十分程度という話でございました。ところが大臣がこちらにお見えになりませんので、一時間以上やりまして、実は非常に間延びした質問になったという反省をいたしております。きょうはひとつ大臣もじっくりここの席に着いていただいて、そのかわり問題をごく集約いたしまして二、三の問題にしぼってお尋ねいたしたいと思います。
大臣は、今国会の当初におきまして、大臣としての文教行政に対する所信表明の中で、私学についてはこのように言われております。「私学についてはその役割りの重要性にかんがみ、かねて私学振興方策を進めておりますが、さらに適切な方策を推進するための調査会を設けて有識者の意見を承りたいと存じております。」こういう非常に慎重な態度をとっておるわけでございますが、私は実は私学について非常に関心を持っていろいろ調査した結果でございますけれども、つい最近起こった問題で、これは大臣に聞くより以前に警察庁の方に承りたいと思いますが、国士館大学というのがございます。ここで柴田学長が校医をしておるところの佐藤教授をなぐったとかなぐらないとかいう問題で、実は紛争を来たしておるわけでございます。これは教授側の意見を聞きましてもあるいは学校側の意見を聞きましても、意見が相当に食い違ってまいります。そこでこれは所轄の署である世田谷の警察署でもって調査をしておるわけでございますから、刑事局長のほうから公正な立場に立っての調査の経過をひとつ御発表をいただきたいと思うわけです。もちろんこれは傷害で告訴をいたしておる問題でございますから、やがて裁判になるかどうかわかりませんが、いろいろ微妙な問題もあろうかと思いますので、概括的なことをひとつ御説明いただきたい。双方に片寄りますと意見が公正を欠くと思いますので、警察庁の意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/2
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003・日原正雄
○日原政府委員 お話しの件につきましては、ことしの四月一日に世田谷署に、国士館大学の教授兼校医として勤務していた佐藤という者から、国士館大学の理事長柴田氏を被告訴人といたしまして告訴状が出ております。その内容は、昨年の十月一日、在宅中に被告訴人から電話で、医務室の管理が悪い、診察簿の記録がでたらめだ、こう叱責されたので、翌二日の二時半ごろ同大学の医務室前で被告訴人に診察簿を示して、医務室はよく管理している、診察簿はこのとおり正確に記録している、こう弁明したところ、被告訴人はこの弁明を聞こうともしないで、なまいきを言うなということで所持していたステッキで告訴人の右わき腹る殴打し、さらにその日の午後二時四十分ごろに、告訴人が同大学の構内にある被告訴人の自宅に行って弁明しようとしたところが、被告訴人ははいていたくつで告訴人の右ひざをけって、告訴人に対して外傷性右側ひざ関節血腫、右側胸部打撲傷により、全治およそ二カ月間の傷害を負わしたものであるという告訴状であります。この事件につきましては、この事件当時一一〇番で二時四十五分ごろ世田谷警察署のパトカーが臨場いたしまして、告訴人である被害者を本署に伴いまして、事情を聞いて被害届けを受理しております。それから被告訴人につきましては、世田谷警察署の刑事課長が大学におもむいて事情を聞きまして、任意同行を求めたのでございますが、口論したことは認めましたが、暴力をふるったことは否認いたしました。なお、高血圧のために外出はできない。取り調べが必要なら自宅で取り調べてもらいたいというので、一応事情を聞いた上で引き上げております。翌日、十月三日に告訴人が診断書を提出してきております。その際は、告訴状は待ってくれということで、告訴状は提出せずに、先ほど申しましたとおり四月一日に告訴状を提出してきたわけでございます。この事件につきましては、現在警察のほうで傷害容疑で捜査中でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/3
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004・二宮武夫
○二宮委員 大体の概要はわかりましたが、実は先般私が質問いたしました際に、齋藤局長は大学の自治という問題から、文部省としてはあまりいろいろな問題に立ち入りたくないという態度で、この私立学校法の一部を非常に強調されまして、報告を受ける、あるいは積極的な調査というような問題については御発言がなかったように私は記憶しておるわけでございますが、百八十五校の私立大学、六十万の学生が収容されておる、こういう大学の実態につきましては、国公立と並んで国の教育の非常に重要な部面を担当しておるわけでありますから、私、私立学校法の問題を調べてまいりましたが、文部省は、人事権に介入したり、あるいは学園自治を侵害したりという意味でなくて、善意における大学の管理あるいは大学の状況の聴取あるいは調査、こういうものに対しては積極的にやるべき問題が数多くあるのではないかというように考えておるわけでございます。特に、たとえば銃砲刀剣類等の取り締まりをする法律におきましては、わずか五センチの飛び出しナイフを持つことも禁止するという非常にきびしい規制をいたしておるわけでございますけれども、大学の学園の中には学生同士あるいは学校側における教授間のあつれき、こういう問題が非常にたくさん存在しているように聞くわけでございます。あるいはそれぞれの運動部などにおきましても、上級生が下級生をなぐるということは、これは当然のことのように行なわれており、ここに暴力的な行為が非常に多く存在しておるということを非常に心配するわけであります。六十万の学生は、特に地方からは国公立の学校に入れない場合には私立の大学を選んで入ってまいります。ところがその学校の中の学園の自治と申しますか、学園内における教育のやり方というものは、非常に一方的に学園の独裁者がこれを推進していくというような傾向がある学校も間々見受けるわけでございます。いま指摘いたしましたのは東京における相当歴史の古い学校でございますけれども、このような、学長は殴打したことは否認しておりますけれども、とにかく第三者の医師が診断をして二カ月の傷を与えるというような問題が起こっている。同時にこれに関連をいたしまして、おまえは日ごろからあの佐藤教授と行動、思想をともにしておったからということで、もう一人の教授が学校に出てくる必要がないということを言い渡された。同時に学長代理をつとめておったところの三上という教授も、おまえも学校に出てくる必要はない。これに連鎖いたしまして結局三名の教授が柴田学長から一方的に、学校に出てくる必要がないということを言い渡されているという実態があるわけでございます。これらについては、私学の教育を尊重する意味から申しますと、いま少し積極的に、不当介入をするのではなくて、指導助言、助成をするという意味からも、実態把握を文部省ではしておく必要があるのではないかというように考えるわけであります。そういう点につきまして、私立大学のあるべき姿というものに対しまして、文部大臣はどのような構想を持っておられるのか。調査会をつくって皆さん方の意見を聞こうということでございますけれども、文部大臣はそのほかにおきましても、こういう大学の教育のあり方については多くの発言をなさっていることを私は事実ここに持っておりますけれども、集約いたしまして文部大臣の私学のあり方に対して所見を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/4
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005・愛知揆一
○愛知国務大臣 私立大学の持つ教育上あるいは社会上の重大な使命ということにつきましては、ますますこれが強調されなければならない時期になっていると私は考えて、そういう前提のもとにいろいろ積極的な助成策について各方面の御協力を仰いで前進をはかりたい、積極的に対策を講じたいと考えているわけでございます。先般文部省設置法もおかげさまで成立いたしましたので、早急に私学振興方策調査会の発足をする用意万端を整えておるわけでございます。これにつきましては前々から御指摘がございましたように、私としても非常な意欲を持って対処してまいりたいと思っております。
ところでただいま御提起になりました国士館大学の問題でございますが、これは齋藤局長からも前会お答えいたしましたように、現在の制度あるいは法律のもとにおきましては、大学の自治という非常に大切なたてまえもございますし、ただいまお話しもございましたように、かりそめにも不当介入というようなことのそしりを受けることがあってはならない、こういう考え方でおるわけでございます。特に当事者がすでに告訴をし、そしてただいま警察庁からも御答弁のように捜査中になっておりますので、公正な司法当局の判断によって結果が明確になると思いますので、その結果を待ちまして善処いたしたいと考えておるわけでございます。しかしながらこれは法律的な問題であり、あるいは自治の問題というのは非常に微妙なことでありますだけに、われわれとしてもこういう事件が起こりましたことは非常に残念に思うわけでございます。また文部省としても、捜査の結果によってこの事実が明らかになるまでの間に、仮想に私の意見を申し上げるのもいかがかと思いますが、ともかくこういうふうな問題が起こったということは非常に残念なことである。今後こういった事態が起こらないように、何といいますか法律上の責務ではないにしても十分注意をしていかなければならない。これによって、ただいまお話がございましたが、事実上の指導と申しましょうか、そういう面につきましてはこの問題はいろいろとわれわれに考えさせられる事態を提起したように思いますので、善意における注意、あるいはこういった事態が起こらないためにはどうしたならばいいだろうかということについては、これを契機に十分に考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/5
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006・二宮武夫
○二宮委員 こうした問題の直接の責任者である齋藤局長にお尋ねいたしますが、この前の御答弁で私が得ました印象は、非常に学園の自治を尊重するのあまりに、こうした私立大学等に対する指導、助言というようなものが消極的なような印象を受けたのでございますけれども、そういうことではやはり大臣に今後十分な文教行政をやるための一つの方向づけといいますか、あるいは資料の提供と申しますか、そういう点について局長として私は不十分ではないかと思う。なおそれは法律的にも私立学校法において、学園の自治を侵害しない限りにおいては各所にそれぞれの立場が文部大臣の責任として明記されておる。こういう点についてはいま少し、問題が起こったからどうこうというのではなくて、この調査の権限、あるいはこれを設立しておるところの学校法人の性格そのものについても、十分な検討を日ごろからしておく必要があるのではないかというふうに思うのですが、局長の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/6
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007・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 一般的に申しまして、たとえば私立学校の法人の理事の相互におけるいろいろなトラブルとかあるいは役員以外の教授陣容と役職員とのトラブルというような問題につきまして、私、前に申しましたのは、そういう事象が見えましたのに一々これに対して関与することが私立学校法を通じます全体の思想から見ていかがなものであろうかということの趣旨で申し上げたわけでございます。と申しますのは、特に大学になりますれば、私立学校という考え方のほかに、やはり大学として成規の条文以外におよそ大学に対する考え方というものが一般的にあるわけでございますので、その際に私どもは両当事者からいろいろ文部省に対して争いを打開するための事実上のあっせんと申しますか、あるいは調停と申しますか、そういう種類のきざしが見えて、そしてそれに乗り出したほうがいいという場合に決して労を惜しむものではないのでございますけれども、千差万別いろいろあります学内の事情等に基づいて発生いたしますことに、あまり過敏にわれわれが手を差し伸べるということはいかがなものであろうかという趣旨で申し上げたのでございます。
なお、私学法のたてまえといたしましては、実はこの学校法人の監事というものが相当の職責を持っておりまして、そうしてそういう問題について、単に財政上の監査だけではなくて、監事は積極的にそもいう問題につきましては評議員会やあるいは所轄庁に対しても、いざこざ――要するに運営がうまくいかなかった場合に、その解決の端緒を開くようなシステム、それが私学法のたてまえでございます。理事が自主的にやるほかに監事がそういろ端緒を開いて、場合によれば評議員会なりあるいは所轄庁に連絡してくるというたてまえでございますけれども、実際上そういう問題では必ずしも監事の職責というものが十分に行なわれないという面も過去のいろいろな事例から見ましてあるわけでございます。私どもは決してこの私学の全体のあり方についての調査、関心というものが消極的であるということではなくて、具体的な事件について言い出す限度というものについては、なお慎重にしなければならないという意味で先般もお答えしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/7
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008・二宮武夫
○二宮委員 私がお尋ねしておるのは、齋藤局長がこの前御答弁になったのは、私立学校法の第五条における学則の変更あるいは学校の閉鎖等に対して積極的に文部省が見ていくという問題が主たる任務であるということを強調された。ところがそのほかにも学校法人の設立あるいはその事業内容そのほかについても調査し研究をするところの任務が法的にもあるわけでございます。それほお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/8
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009・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 設立につきましてはこれは一定の手続がありますけれども、文部省が認可すべき責任者となるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/9
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010・二宮武夫
○二宮委員 私立学校振興会というものをつくって、百億の一般財源をこれに出資をいたしまして、学園の拡張をやったり建設をやったりする方向に努力しておる実態あるいは財政投融資の金を回しておるような実態は、十分私どもも了解をするわけでございますが、あまりに――私は悪意をもって言っているのではありません。善意でこれを野放しにするということ自体に、非常に、問題が起こった後に、さてそこでいろいろ問題を処理しよう、それまではあまり関知しないという野放しの状態にあること自体がいいかどうかという問題でございます。そこで、そういう点については相当に責任を持って調査をしなければならぬ責任が私は文部省に法的にあると思うのです。
そこでお尋ねいたしますが、ただいま問題になりました国士館大学の中に、私も実はわからぬのでございますけれども、非常にへんてこな建物がある。選挙権銀行クラブという二階建ての建物がこの中にあるわけでございます。これは一体何をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/10
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011・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 いまの御指摘の点、事情を承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/11
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012・二宮武夫
○二宮委員 そういう点を私は総括的にでもいいから、なかなか手の届かない問題ではあるかもしれませんが、やはり指導助成をする意味からも、文部大臣の責任下にあるこういう問題については調査をしておく責任があろうかと思うのです。これはわからぬということであれば後日調査をしてお示しをいただきたい。私にもわかりません。学園の中に選挙権銀行クラブというまことに奇妙な存在があるわけです。これは一体何しているのかということを想像しますと、いろいろな想像が成立するわけでございますけれども、どうも自由な学園の真理探究の教育というものを本腰にやっている学校なのかどうなのかということが非常に疑われてくるわけでございます。
そこでもう少しお尋ねしておきますが、この学校法人の寄付行為を見てまいりますと、五人の理事の中に剱木という参議院議員も入っている。それから顧問の中には池田勇人、藤山愛一郎、佐藤榮作、岸信介、賀屋興宣、一萬田尚登というようないわゆるそうそうたる政治家が名前を連ねておるわけでございます。一つの学校法人の教育方針の中に、これも私、理解に苦しむのですけれども、非常に妙な目的がうたわれておるようでございまして、これがはたして憲法を是認し、教育基本法を前提とし、あるいは学校教育法を根拠にしたところの学校の運営であろうかということを疑うものでございますけれども、私はこういう顧問の方々にも責任を持ってもらわねばならぬ問題であろうかと思います。こういういわゆる実力者、権力を持った人々を顧問に持つことによって、私立学校であるところの大学が教育的に偏向性を持ってくるというおそれがないとはしないのでございまして、これらについては知りません、存じませんでは相すまない問題であると私は考えております。
こういう相当に名の売れた大学でございまして、これらの寄付行為やあるいは学校の実体や教育の方向づけやそのほかの問題が、先ほど申し上げました基本法あるいは学校教育法というものを基本にして学校教育をやるのだ、こういう定款に十分ひとつ目を通しておいてもらわないと、非常に相乖離したところの実態が出てくるのではないか。言いかえますと、平和を主張しながらも非常に心配をされるような思想がこういうところから芽を出してくるのではないかというおそれもないわけではないのであります。
七十四歳の学園長が四十八歳の教授をなぐった、これは否認しているから今後の捜査でわかると思いますけれども、こういうようなことが平気で、しかも二百人の学生の面前でやったという問題もあるやに聞いておるわけでございます。これがもし一学期が始まりまして、この三人の教授が学園から追放されるという問題が起こってまいりますと、それにつれて学生が動揺する動きが多分に出てくるのではないかということも考えられる。あるいはこれを押えるために、学園内におけるところのほんとうに私どもが望んでおるような教育と違った方向に教育が指向されるのではないかという心配もあるわけなのでございまして、これは齋藤さんに十分今後とも調査をお願い申し上げたい、そうしてこの委員会に責任を持って御報告を願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/12
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013・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 最初にお触れになりました学園内の建物の問題その他につきましてできる限りの調査をして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/13
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014・二宮武夫
○二宮委員 これはたまたまこういうことが新聞に報ぜられまして、教授間におけるトラブルが表面化したわけでございますけれども、それより以前にやはり文部省としては、法に示された範囲内における概括的な調査というものは一応やっておく必要があるのではないか、いつ尋ねられても、大体どこの学校の性格というものはこういうものだ、ここにはどういう者が顧問をしておるのだとか、あるいはここは非常に右翼思想の強いところの学校であるとか、あるいはここは非常に公正な教育の行なわれておる学校であるとかいう色分けぐらいの判別は、文部省としては指導するためにも把握しておく必要があると考えられます。私は国士館大学に限って言っておるのではございません。全般について十分な積極的な善意のある調査をして、実態の把握をしておいていただきたいということを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/14
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015・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連。今回の事件についてたまたま私立学校の問題が非常に大きくいまクローズアップされているだけに、私はその内容がうやむやの間に葬られるということは問題があろうと思います。いま齋藤局長がその内容についてはまだ詳しくは存じていないということでございますので、調査するということで終わっておるわけでございますけれども、これは十分に御調査いただいて、私立学校というものはどういうぐあいにあるべきかという、今度は一つの方策を立てる場合ですから、それを示していただきたいと思います。
そこで、私はこの問題についてはいま言うたそういう大きな立場と、もう一つは事件そのものの真相を文部省としてはどのように把握しておられるか、往々にしてこういう学校に起こっておる問題は、故意にその教授の悪業を言い立ててそれを追放するとかいうことがよく行なわれるのです。そういうことになれば私立学校に行ったところの教授というものはおちおちと教育に専念できない、あるいは学問の研究に専念できないということが起こってくると思うのです。特に国士館大学につきましては非常に世間が注目しておる学校ですから、その事件の真相と、それから学校経営自体の真相というものを明らかにしていただきたいのです。
私はいまその二つに分けた事件の真相の中で、いま二宮委員のほうから言われましたように、表へ出ておるのはこういうようなことでぐあい悪いという名分を立てておるようですけれども、文部省としてはこの事件の真相原因というものをどういうぐあいにとらえておられるのですか。こんなことをしておるのはたいへんなことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/15
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016・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 佐藤英雄教授の問題並びに佐藤嘉祐、三上弘之両助教授の問題につきましては、国士館大学側の一応の報告を聴取いたしております。ただ問題の核心になっておりますところの、十月の初めに行なわれました傷害の問題につきましては、ただいま刑事局長から申されたように捜査の段階の問題でございまするので、学校側がどう言ったというふうなことを、いまお答えのあったところでございまするので、ただいま申し上げないで、事案の結果というものを見たほうがいいと私は思うのであります。
なお、お三名の地位の問題につきましても、これは学校側から一応の話を伺ってはおりまするけれども、これもすでに東京地裁に地位保全の仮処分の申請ということが行なわれるやに聞いておりますし、そこで事実関係につきまして両者の言い分というものがはっきりするだろうと思いますので、これにつきましてもいま特に私のほうからこのことを申し上げないほうがいいのじゃないかと思います。私どもはこの被解雇者の側のほうは接触ございませんけれども、学校側のほうにつきましては新聞にも出たことでございまするし、また当委員会からも資料要求もございましたし、質疑もあるということでございましたので、一応の聴取はいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/16
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017・三木喜夫
○三木(喜)委員 ちょっと私はおかしいと思うのですがね。この学校をいま顧問として相当な人が援助しておる。それだからあなたが言えないというなら、これは私は問題だと思うのです。そういうところへの遠慮だったら遠慮なしに言ってください。これは国会審議の場ですからね。それから、あなたはいま刑事事件として事実司直の手が入っておる。だからその時点においていろいろ明らかになるだろう、こうおっしゃっていますけれども、それは最終段階において刑事事件として起こったことを調べるのであって、私たちの問題にしたいことは、教育問題として、こういう事件が起こるその以前の問題があると思うのです。それを文部省として把握する。大臣が言われましたように、なるほど私学に対しては援助して支配せず、この思想は厳として私は持っていただきたいと思うのです。しかしながらいまおっしゃるような、世間に対して非常に問題を提起したこういう事件については、そういうように言わず、見ざる、聞かざるというような態度でやられるところに私はおかしい問題があると思う。そういう問題はもっとはっきりととっつかまえていただきたいと思うのです。そこで文部省は、こうした右翼的な学校に対しては、何もよう言わぬのか、あるいはまた、具体的に言えば、陰で援助しておる、いまのこの話の中にもそうした節がうかがわれるので、非常に遺憾に思うのです。それ以前の問題を、そういうふうに学校側の調書が出ているのだったら、本人側のこともお聞きになることくらいは私はいいと思うのです。だからこの学校をつぶすか存続するとか、そういうところまでいけばこれは行き過ぎですから、これは大臣がかねがね言われておりますように、また私立学校法にも示してあるように、法の示したとおりにはいかなければならぬと思うのですけれども、もう少し積極的に、意欲的に、この問題はとらまえておいていただきたいと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/17
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018・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 御指摘がごさいましたが、だれが構成員であるから事情を述べないということを申したつもりではなくて、いま私どもは経緯につきまして概略学校側から、九月三十日に医務室において学生と看護婦が談笑しておって、それを契機にして、学長が佐藤教授に監督上の注意をした点と、それに対する学長の所見その他をいただいております。ですけれども、いまそれを契機として、傷害の事件として取り上げられておるから、これをここで事こまかに申さないでよかろうという趣旨で申し上げたわけであって、これを別に聞いた事柄を私が申し上げることが何らかの影響があるからということで差し控えているわけでは毛頭ございません。それからもう一つは、この一方の当事者であります三教授につきましての接触は、私どもございません。ですから、それを学校側の言い分とそれから教授側の言い分とを並べて、ここでその御説明をするというだけの資料がないということを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/18
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019・三木喜夫
○三木(喜)委員 学校の言い分をひとつ要点的に言ってみてください。それから一方被害者のほうの申し立ては聞いておられぬのですか、そこに問題があるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/19
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020・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 国士館大学からの報告の要点を申し上げます。
九月三十日に学長の学内巡視の際、授業中医務室において学生と看護婦が談笑しているのを見、これに注意をした。その注意のいきさつにつきましては別に詳しいメモがございます。また責任者の佐藤教授に監督上の注意をした。翌日佐藤教授――校医であり、医務室の監督責任者――は当該看護婦の勤務状況につき、学長に面会をし、報告をし、若干の言い争いをした。佐藤教授は看護婦の採用についても責任と権限を持っているということでございます。この校庭における論争のあと、佐藤教授は世田谷署に通報し、署員二名が来校して事情を聴取した等の事情は、先ほど刑事局長から報告があったとおりであります。
同教授は同日の学長との論争の以後大学に出校せず、十月分の給料は自宅に送金したそうであります。同教授は現在なお在籍しており、学校側としては解雇の事実はない。本人からは十一月以降の給料は送ってもらう必要ないとの申し出があった。ただ共済組合の掛け金は、本人の希望によって三月分まで学校側で立てかえて支払っておるということでございます。これは大学側の言い分でございますが、大学側は本人を解雇した事実はなく、佐藤教授が不当解雇として地位保全仮処分を申請するということは、理解できないという趣旨のことを申しております。
それから第二の問題であります佐藤嘉祐、三上弘之両助教授の問題でございますが、この両助教授につきまして、同大学の講師であります松本正雄氏より、講師の地位を得るにつきまして佐藤、三上助教授のやったことにつきまして問題があるという訴えがございまして、これを学長が詰問をしたところが、その事実が認められた。そこで学長は両氏が謝罪をするかあるいは辞職をするかという選択を迫ったところが、個人の病気という理由で辞職の申し出を口頭でなしたということでございます。この辞職の意思を申し出たのは十一月十日ごろであって、その後授業には出ていないということであります。両氏には十一月分までの給料は支払ったが、以後は支払っていない。両氏の希望によりまして三月までは一応共済組合の組合員としての地位を持っておきたいということで、これも学校側で掛け金等の支払いをしておるということでございます。これは学校側の言い分によりますれば、両氏は四月になれば他の学校に就職するから、そのときまでは学校に籍を置いてほしいという趣旨で申し出たということであります。
人事につきましては、学則によりますれば、教授会は学長の諮問に応じて人事に関することを審議することとなっておるので、本件についてはすでに本人の両助教授よりする口頭の辞職の申し出であるので、これを二月二十六日の教授会に報告する形式をとったということであります。
以上が学校側から聴取した概要でございます。ただおわかりにくいのはなぜ両者の関係等について学長が詰問したかということの事情につきましては、また学校側のあれがごさいますけれども、これをいまこまかに申し上げるのは、本人の名誉のこともごさいますし、あるいは私どもも御指摘のように、学校側の一応の報告を受け取った段階でごさいますので、これらの点については差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/20
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021・三木喜夫
○三木(喜)委員 その報告書は学長から出しておるのですか、大学から出ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/21
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022・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 事務局長を呼びまして私のほうで担当官と調べました。ただ、その覚え書きにつきましては別に学長の署名入りのものを私は受け取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 その調査は一方的になっておるということは明らかになったわけですが、一方被害者のほうからも、これは刑事的な面でなくて、行政の面として聞いておいていただきたいと思う。そうでなかったら片手落ちになろうと思う。後にまたこの問題につきましてはお伺いする機会があろうと思います。
そこで大臣にお聞きしたいのですが、非常に私学の財政的な危機がいま訪れてまいりまして、これについて私たちも非常に心配し、何とかしなければならぬ、すでにこれに対するとこうの調査会も設けられようとしておるわけなんです。しかしながら財政的にだけ援助し、これを心配するだけでは事は十分とはいえないと私は思うのです。いま非常に有名な学校でも教授会が二つに分かれてしまって、内部分裂を起こしているところがあると思うのです。これは後ほどまた私学問題が根本的に検討されるとき触れようと思ったわけですが、しかし、そういうことやら、いまこの国士館大学にあらわれておるような、学校教育としてこれでいいのだろうかというような問題を含んでおる学校もあると思うのです。そういうことについてやはり全体的な把握、それから私学にあらわれておるところの弱点、問題点というものを全体的にとらえてもらわなければならぬと思うのですね。そういう点について大臣として、介入しないということはけっこうな思想です。しかしながら全体的な把握ということやら指導ということは私は必要だと思う。そういう点についての御見解を聞いておいて私は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/23
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024・愛知揆一
○愛知国務大臣 先ほど御質問にお答えをいたしましたように、この国士館大学の問題についていえば、私は二つの問題の取り上げ方があると思います。一つは、刑事事件あるいは民事上の訴えにもなっているようでありますけれども、その事案についてはやはり公正な捜査の結果にまつべきものであって、したがって齋藤局長もたってのお尋ねがありましたから、たまたま大学側から出てきた報告の概要を申し上げたのであって、私たちは意図的に片手落ちの調査をするなどという意図は毛頭持っておりません。その事案はあくまでも具体的な事案として捜査の結果にまって、先ほども申しましたように善処いたしたいと思っております。
しかしそれとは別に、私学全体についてもっと実態を掌握しておかなければならないという御指摘に対しては全く同感でございます。これは言いわけがましくなりますけれども、御承知のように数も非常に多うございますし、文部省としての手も少ない。ことに文部省というのは出先機関というものもございません。またそれがいい制度であると思いますけれども、そういう関係もあって、なかなか実態の把握に欠けているとこうが多々あったことと思います。この点については問題のあるなしにかかわらず、とにかく客観的な実態だけは積極的に、できるだけ詳細に掌握しておかなければいけないと思います。そういうふうな基本的な態度でまいりたいと思います。
それからいろいろ御意見を伺いましたけれども、もう一つの点は非常に微妙なむずかしい問題があると思います。あそこの大学は右翼的である、あるいは左翼的であるというような、何と申しますか常識的な断定ぐらいで、そこに何か指導助言をするとかいうようなことを、必要以上というか、軽々にそういう発想の上に立った行政をやることは、日本の文教政策上非常な大きな問題になると思いますから、その点につきましてはいろいろの御意見は十分尊重してまいりたいと思いますけれども、これに対しましては、それこそ文部行政の最大の重点であると思いますから、慎重の上にも慎重に取り扱っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連でありますからこれでおきますが、問題の焦点につきましては今後の進展の中ではっきりしてくるだろうと思います。その時点において、こちらとしましてもまた質問をする機会があろうと思いますので、これでおきます。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/25
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026・渡海元三郎
○渡海委員長 次に私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/26
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027・二宮武夫
○二宮委員 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案の問題に触れて御質問をいたしたいと思います。
今回の問題で調査をいたしましたところ、偶然にもこの問題に関連をした材料が出てまいりましたので、この点をひとつただしておきたいと思うわけであります。
私が聞きましたところでは、いま学校内でいろいろ問題が起こっておりますこの教授の人々は、当初採用されました際に給与が三万円であった。それ以来ずっと年に一回の昇給もなくて現在まできておるという給与状況である、こういうことでございます。なお調査を依頼いたしましたところ、この学校では早稲田大学の給与体系を基礎にいたしまして、その八割ないし九割を支給するという給与体系を推し進めておるというのが実態であるし、今後はこれを基本にして給与体系を検討しようと考えておる、検討中である、こういう内容でございます。
そこで齋藤局長にお尋ねしますが、この私立学校共済組合法の一部改正の重要なポイントは、最低の給与額を引き上げたということと、それから退職時の給与の算定を五カ年間の標準給与というものの平均から、三年間に短縮をしたということであります。そうして、国公立の学校と私立学校との給与の差あるいは共済組合の待遇の差をなくしようとするのが基本的な考え方であるという提案の理由でございますが、早稲田大学の給与というのは、私立学校としては模範的なものなんですか。私はこれは実は不勉強でわかりませんけれども、調査の中に、早稲田大学の給与の八割ないし九割をやろうと思っている、今後はなおそれにもう少しプラスして整備していきたいと考えている、こういうことなんですが、国公立の校との差をなくしようということになれば、国公立の学校の給与体系というのはおそらくわかっているわけでございますから、私立学校の給与体系の調査は一応済んでおらなければならぬと思うのです、この法案提出の基礎の中に。そうして学校側の言うことを見ますと、非常にいいことを言っているのですけれども、調査してみますと本人は一切昇給がないのだという主張をいたしておる、こういう状態というのは、法案にも非常に矛盾が感ぜられてくるわけでございます。
まず第一点は、いまお尋ねいたしました早稲田大学の給与というのは、私立学校のサンプルとして見るべきものとしての性格を持っているのかどうかということでございますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/27
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028・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 私立学校、特に私立大学の給与と国立の大学の先史の給与の比較は、全国平均ではたしか九九%ということで、若干若干低いということで、平均的には大差がない。したがいましてかなり低いものもあるわけでございますから、いいところはむしろ国公立よりも高いという現状でございます。高等学校になりますと、むしろ比べてみた場合に大学よりは低いというのが全国的な平均の実態であります。
それからいまの給与体系の問題につきましては、これはそれぞれの学校によりまして体系としては異なるわけでございます。したがいましてこういう種類のところは公務員共済と違いまして、標準給与制度をとるわけでございます。標準給与制度を私学のほうでとっておりますのは、国公立でありますれば、その給与の体系、本俸その他の付加するものがはっきりしておりますから、本俸にスライドする。パーセンテージで掛け金を納めるとか、あるいは年金が出るとかということになっておりますけれども、体系が違う種類のものにつきましては、たとえば健保にいたしましても、厚生年金にいたしましても、あるいは農林漁業共済組合にいたしましても、標準給与制度というものをとって、今回もその標準給与のかさ上げをしたいということでございます。
それから御質問の点のもう一点。早稲田の給与の仕組みというものにつきましては、実はその資料を出すときにそこまで調べてから出すべきだったと思うのでございますけれども、昨日までには、一応大学側の言い方をお伝えするという限度でございまして、実態につきまして個々の学校の給与体系を正確に捕捉するだけの標準給与につきましては資料をまだ持っておらないわけでございます。標準給与の引き上げにつきましては、昭和三十二年の法改正におきましても、三十七年の法改正におきましても上げてまいったわけでございますけれども、これはやはり長期につきましては年金の基礎の額になります。あるいは短期におきましてもこの俸給を基礎にして、標準給与の額を基礎として行なわれる給付がございますので、これを行政職の最低まで引き上げる。そしてなお頭のほうは国家公務員の共済組合等の最高限度の十一万円に引き上げるほうが、私学の教職員の福祉に役立つだろう、こういう趣旨で提案しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/28
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029・渡海元三郎
○渡海委員長 文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/29
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030・二宮武夫
○二宮委員 僻地問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、一般文教行政でございます。大臣にお尋ねいたしますが、大臣は僻地においでになったことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/30
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031・愛知揆一
○愛知国務大臣 私も宮城県の出身でございますから、県内には僻地学校も相当ございます。実情もわきまえておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/31
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032・二宮武夫
○二宮委員 初中局長はどうですか。僻地というものの学校の実態については文書による報告ですか、あるいは自分で学校の状態をごらんになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/32
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033・福田繁
○福田政府委員 私はしばしば見たことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/33
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034・二宮武夫
○二宮委員 どういう地帯ですか。一級地、二級地ではなくて、五級地に属するような非常にへんぴな地域というものはなかなか中央のお役所の方方はおいでにならぬというのが例でございますが、どういう地点をごらんになったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/34
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035・福田繁
○福田政府委員 私、教育関係をやるようになりまして、長い間にいろいろ僻地を見る機会に恵まれたわけでございますが、九州では福岡、あるいは長崎、それから四国の愛媛、高知というような県の学校でございます。あるいは東北の県では山形、秋田、それから宮城、北海道、それから青森、それから北陸各県のものも、全部ではございませんが、ごく一部でございますけれども、大体少しずつ見て回ったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/35
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036・二宮武夫
○二宮委員 たまたま秋田の僻地をごらんになったということでございますが、これは毎日新聞の報ずるところでございますが、実は先ほど文教委員長が文教委員を代表して弔電をお贈りくださったということでございますけれども、僻地の学校につとめて三十年、その夢破れてついに自殺をしたという先生があるわけでございます。このような自分の死をかけて教育を守るという先生があられる、こういう具体的な例が出てまいったのでございますけれども、なおそのほかに採用が非常に困難な状況になりますと、新卒の若い人たちは、どういうところでもいいからいっちょう学校に行ってみたいんだということで、僻地に赴任をすることも何とも思わない。ところがそこにまいりますと、その地域では経験者が少ないものですから、あるいは学年の責任者になったり、あるいは重要なポストにつかされるということがある。ところが自分の教育体験から考えてそういうポストを充足させるだけの力がない、そのために辺地ノイローゼにかかりまして、いろいろな事件を起こすような問題が起こってくる。そういう一つの傾向があるのと同時に、僻地に定着をしてしまって、僻地におりさえすれば自分の教員の寿命というものは一応相当年数までは保てるものだということで、教育に熱意を失いながらも僻地に定着をするというような型の人も私は承知をしておるわけでございます。私は僻地の問題がこの前のいわゆる限度政令という問題とからんで、これは福田初中局長にひとつ十分に御検討をいただかなければならぬのでございますけれども、当時山中議員あるいは参議院の小林君が大臣あるいは初中局長に尋ねまして、この限度政令の緩和のためにいろいろな方策がある、その中に僻地における小規模学校に対する教員の配置というものを十分に考えるべきである、こういう問題を相当に議論をされたと思うのでございます。これはこの委員会の席上におきましても、大臣に即答しろということは無理な話だと私は聞いておりましたけれども、大蔵省の主計局の人もお見えになって、そこでこういう問題についての質疑をなされました。ただしかし私は一国の文教行政を担当する大臣としましては、非常に地域的に格差のある、あるいは離島であるとかあるいは山村、漁村におるところの、非常に社会的経済的文化的に立地条件の悪いところにおる人々に対する教育行政というものを、あるいは市町村の責任においてあるいは県の責任においてあるいは国の責任においてやらなければならない分野が非常にたくさんあるわけでございます。あの限度政令の問題の際にも相当この問題については強く要望があったわけでございますけれども、たとえば単級学校の解消であるとか、あるいは新一年の複式学級というものはひとつこの際免除しようではないか、そういう話も事実あったと思うのでございます。ところが具体的には、四十年度からいろいろな問題、予算やそのほかの拘束がございまして、実際問題はそういうものが解決されないまま現在まできておる。したがってここに報ぜられましたような、ほんとうに子供の教育に対して責任を持つ僻地の先生がついに自殺をして自分の教育の責任を負うたという、こういう事態も実は起こってきたのだと私は考える。したがってこういう僻地の問題、私はへき地教育振興法の法文あるいは施行令あるいは施行規則ですか、そういうものをずっとゆうべ一通り読んでみましたけれども、なるほど文部省のほうとしては、僻地教育の問題については、今年度から本腰になってこれと取り組む心がまえてあるという決意のほどは表明されておりまするけれども、実は財政的にほんとうに考えてみますと、あまり恵まれたような、非常に悪い立地条件をカバーするだけの財政的な援助というものが、国あるいは市町村、県においてなされておらないというのが実態ではないかというふうに考えます。
そこで、まず大臣にお尋ねをいたしますが、いまのへき地教育振興法というものに対して、なお一歩進めるという強い御関心をお持ちになっておられるかどうか。これでは、市町村並びに県にも事業によっては半分の責任がございますけれども、地方自治体というのは財政的に現在非常に苦しい状況に追い込まれておるわけでございまして、何としてもやはり国がその責任を持つ体制をつくらないと、こういう誘い水を出さないと、僻地教育の振興ということはなかなか困難ではないかというように考えられます。したがって、このへき地教育振興法の問題について、具体的になおこういう点について国として責任を持たなければならぬ、そのためにはこういう点を改正をすべきであるというような積極的な意見がおありなのかどうなのかということを、ひとつまず第一番にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/36
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037・愛知揆一
○愛知国務大臣 僻地教育につきましては、四十年度におきましても相当のくふうをいたしたつもりでございますけれども、これでは足りないということで、四十一年度以降につきましては、前向きにさらに積極的に取り組んでまいりたいという決意はかたく持っておるわけでございます。その具体的の内容についても、寄り寄り検討を進めておるわけでございますが、これらにつきましては誠意を尽くしてやってまいりたい、これは現内閣といたしましても、たとえば社会開発とか人間尊重とかいうような政治の基本的な考え方から申しましても、教育の面における僻地の教育の振興ということについてはあらためて努力を払わなければならない、私としてもかねがねそう考えておりますので、来年度におきましてはさらに進んだ対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/37
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038・二宮武夫
○二宮委員 社会開発とか、人間尊重とかいうことばは近ごろ非常に社会に言いふらされておりますけれども、実際僻地の教育の問題につきましては、具体的に伊豆列島の僻地のところにわざわざ国の人が出かけていくということはなかなか実際問題としてはできにくい問題であろうかと思います。ただし、帳簿の上ではいろいろな調査は完全にできておるであろうというように私は確信をしておるわけでございますが、初中局長にお尋ねいたしますが、僻地というものに属する学校数というのは一体全国でどれぐらいあるのですか。一級から五級まで分けて、委員会ですからこまかい問題になりますけれども、それぐらいの実態把握というものがあってしかるべきだと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/38
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039・福田繁
○福田政府委員 手持ちの資料で申し上げますと、昭和三十九年度におきまして、本校、分校合わせまして、小学校において六千二百三十八校、それから児童数で六十二万七千百八十二人となっております。それから中学校におきまして、三十九年度、本校、分校合わせまして二千四百五十九校、生徒数三十万五百八十三人、こういう数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/39
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040・二宮武夫
○二宮委員 ついでにお尋ねしますが、教職員の数、あるいはそれに必要な住宅の不足数、あるいは研修に必要な旅費の実際の必要額、あるいはそれに対して特別に県で支弁をしておるような実例というものがあるかどうか、あるいは教員定数においても、へき地教育振興法では県において独自の定数を置くことができるということになっておるようでございますけれども、僻地教育の重大性から考えて教員の増配を特にやっておる県があるかどうか。そのような具体的なものが集積をして初めて、こういうとうとい僻地教育に殉じた先生方の生命をかけての教育というものを、今後ともやはり国が責任を持って推進をし得るところの柱になろうかというように私は考えているわけですが、小さな数でたいへん失礼でございますけれども、ちょっと私どもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/40
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041・福田繁
○福田政府委員 教員数は、同じく三十九年度で、小学校が三万二千八百十七人、中学校におきまして一万四千三百五十五人となっております。
住宅等の不足などの資料につきましてはこまかい資料を持っておりませんが、大体概数としまして二万一千戸くらいが足りないという調査がございます。
それから僻地の定数の問題でございますが、最近各都道府県でも僻地の学校に対する教職員の充実ということに非常に前向きに検討してまいりまして、私の承知しておりますところでは、四十年度におきましてもそういう県がかなり出てまいっております。たとえば北海道のごとき、あるいは先ほど御指摘のありました秋田県のごときも、具体的に申しますと、僻地の学校で分校二以上のところには余裕定員を一名置くというような配置をしておるようでございます。その他の県におきましてもあると思いますが、私現在詳しい資料を持っておりませんので、その程度をお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/41
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042・二宮武夫
○二宮委員 こういう資料のやりとりで時間をかけることは非常に皆さん方に御迷惑をおかけすると思いますので、僻地教育振興に関するそうした文部省が非常に今後とも力を入れるという方針について、その基礎となるべき計数というようなものについては参考資料としてぜひお出しをいただきたいと思います。
なお、秋田県が非常に優遇措置をしておるように御説明がございましたけれども、この自殺をされました秋田県の学校では実際九学級に対して教員が七名しか配置されていなかったという実態が出ておるようでございます。おそらく欠員補充がなかなか十分できなかった実態の中からこういう問題が起こったのではないかと思います。あるいはブールがないために児童が用水路で泳いでおって溺死をした。それに非常な教育的な責任を自分は感じておった。あるいはまきをストーブに燃やすのにも、一本一本入れるのにまきに惜しみをかける生徒の姿を見て、非常に責任を感じたというような記事も出ておるわけでございます。
なお伊豆の大島ですか、伊豆のどこかにも、このたび僻地にいたために、教員が発狂状況になって傷害事件が起こったというようなことも報道されております。私は、そういう具体的な事実を表にして資料としてお出しいただくと同時に、根本的な精神としては、教育の機会均等とか、あるいは社会開発とか、あるいは人間尊重とか言いながらも、実際は僻地の学校というのは冷遇視されておるという実態は、これはいなめないと思うのです。たとえば、学校の先徒がスクールバスに乗って学校に通おうとしても、その運営費についてはなかなか困難をきわめておる。私は秋田や、新潟や、山形等の豪雪地帯の冬の教育の状態を見て回ったことがございますが、学校に通えない。したがって、お寺かどこかに先生も一緒に宿泊して教育をしなければならぬというような問題が起こってくる。こういう場合に、私はこれに対しては、特別交付税の措置ができるということを主張いたしました。三十六年度から、おそらくあの地方にもそういうものが交付されておる状況にあると思っておるわけでございます。私は観念的な、頭で考えたような僻地教育振興というものでは、とてもこの実態というものは救えない。したがって教員の状態を分析をいたしますと、今後とも僻地教育に命をささげるという先生があるいは起こってくるかもしれない。先生の生命を奪うというような問題も起こってくるかもしれない。あるいはもう転任で四苦八苦いたしまして、腰がすわらないという教員も出てくるかもしれない。あるいは長いことそこにおって、自分の身分の安定さえできれば、教育の実績はどうであろうともかまわないというような定着教員ができてくるようなおそれがなきにしもあらずというような状況が、私は起こってくることが考えられるわけでございます。したがってこういうとうとい犠牲者の出た際でございますから、今後とも文教、特に初中義務教育につきましては、初中局長等におきましても、おれはどこを見たんだと言っても、実際にその実態の把握はなかなかむずかしいと思うのです。したがって自分が考えたよりも、相当誇大に予算の要求をやり、あるいはあらゆる機会にすべての施設を完備するという熱意を傾けても、なお足りないというのが僻地教育の実態ではないかというふうに私は考えております。そういうふうなことを希望として申し上げまして、時間も参りましたので、私の質問を終わりますけれども、僻地教育の問題は、ことばやいろいろな机上のプランだけでは済まないのだということを十分御確認をいただいて、なくなられた先生に対しまして報いる意味からも、僻地教育振興については、ほんとうに本腰を据えて、大蔵省との折衝に当たり、自治省との折衝に当たるという基本的な態度で今後とも十分やっていただきたいということを要望いたしておきます。
以上で質問を終わります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/42
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043・渡海元三郎
○渡海委員長 この際、小委員会開会の件について申し上げます。
学校警備員小委員会は、本日の公報でも御承知のとおり、午後二時と予告いたしましたが、小委員から都合により散会後、直ちに開会されたいという希望がございました。
つきましては、先ほどの理事会で御協議願いましたとおり、委員会散会後開会することとなりましたので、御了承を願います。
次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01619650407/43
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