1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月二十三日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 渡海元三郎君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 南 好雄君 理事 八木 徹雄君
理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君
理事 山中 吾郎君
大石 八治君 木村 武雄君
熊谷 義雄君 谷川 和穗君
床次 徳二君 松山千惠子君
高橋 重信君 長谷川正三君
前田榮之助君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
文部政務次官 押谷 富三君
文部事務官
(大臣官房長) 西田 剛君
文部事務官
(大学学術局
長) 杉江 清君
文部事務官
(管理局長) 齋藤 正君
委員外の出席者
文部事務官
(大学学術局
審議官) 村山 松雄君
専 門 員 田中 彰君
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四月十六日
委員原田憲君辞任につき、その補欠として辻寛
一君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十二日
学校警備員の設置に関する法律案成立促進に関
する請願(田中織之進君紹介)(第二八七二
号)
同(川上貫一君紹介)(第二九三六号)
同(谷口善太郎君紹介)(第二九三七号)
同(長谷川正三君紹介)(第三二一三号)
同(前田榮之助君紹介)(第三二一四号)
へき地教育振興法の一部改正に関する請願(田
中織之進君紹介)(第二八七三号)
同(川上貫一君紹介)(第二九四〇号)
同(谷口善太郎君紹介)(第二九四一号)
義務教育費国庫負担法の一部改正に関する請願
(谷口善太郎君紹介)(第二九三八号)
同(川上貫一君紹介)(第二九三九号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の改正に関する請願(谷
口善太郎君紹介)(第二九四二号)
同(川上貫一君紹介)(第二九四三号)
高等学校父母負担の軽減等に関する請願外一件
(林百郎君紹介)(第二九四四号)
教育予算確保に関する請願(林百郎君紹介)(
第二九四五号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部改正案成立に関する
請願(林百郎君紹介)(第二九四六号)
学童急増特殊地域に対する公立文教施設整備特
別措置法制定に関する請願(長谷川正三君紹
介)(第二九七四号)
同(小山省二君紹介)(第二九八七号)
同(山花秀雄君紹介)(第二九九六号)
同(福田篤泰君紹介)(第三〇二四号)
義務教育における習字教育の振興に関する請願
(四宮久吉君紹介)(第三〇七七号)
同(森山欽司君紹介)(第三〇七八号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第三一五五号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第三一五六号)
同(福田篤泰君紹介)(第三一五七号)
同(水田三喜男君紹介)(第三一五八号)
同(小川半次君紹介)(第三一七二号)
同(菅野和太郎君紹介)(第三一七三号)
同(辻寛一君紹介)(第三一七四号)
同外三件(菅野和太郎君紹介)(第三二〇六
号)
同(草野一郎平君紹介)(第三二〇七号)
同(田邉國男君紹介)(第三二〇八号)
同(高見三郎君紹介)(第三二〇九号)
同(長谷川四郎君紹介)(第三二一〇号)
同(森義視君紹介)(第三二一一号)
同(山口喜久一郎君紹介)(第三二一二号)
同(有田喜一君紹介)(第三三一二号)
同(加藤清二君紹介)(第三三一三号)
同(木村俊夫君紹介)(第三三一四号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第三三一五号)
同(始関伊平君紹介)(第三三一六号)
同(砂田重民君紹介)(第三三一七号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第三三一八号)
同(登坂重次郎君紹介)(第三三一九号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第三三二〇号)
同(横山利秋君紹介)(第三三二一号)
同(谷川和穗君紹介)(第三四二九号)
同(西宮弘君紹介)(第三四三〇号)
公立高等学校学級編制基準引き下げ等に関する
請願(星島二郎君紹介)(第三〇八五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会における参考人出頭要求に関する件
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇五号)
文教行政の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/0
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001・渡海元三郎
○渡海委員長 これより会議を開きます。
参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
学校警備員小委員会において、学校警備員に関する件について参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/1
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002・渡海元三郎
○渡海委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/2
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003・渡海元三郎
○渡海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/3
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004・渡海元三郎
○渡海委員長 次に、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/4
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005・三木喜夫
○三木(喜)委員 今回の私立学校教職員共済組合法の一部改正につきましては、その改正点の利点といいますか、よい点が五つほどあげられております。そのことはいいといたしまして、私は、この改正の中でいま少し考慮すれば有利になり、非常に教職員が喜ばれるというような点があるのじゃないか、このように思うのです。そこで、不利な点、これをひとつあげてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/5
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006・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 不利と申し上げることがいいかどうかわかりませんけれども、たとえば利点もあるし、また負担にもなるというような点のものが、第一点は標準給与の引き上げの点がございます。標準給与が引き上げになりますれば、それに伴いまして長期給付にいたしましても、あるいは標準給与を基準といたします短期給付につきましても、利点が出てくるわけでございますが、一面最低の標準給与の引き上げによりまして、最低の基準に満たない低額の所得の者が負担が増高するではないかという問題がございます。これにつきましては、先般もお答えしたのでございますけれども、最低の標準給与を一万二千円にいたしました場合に、約一割の方がそれに満たない方があるわけでございます。これに対する判断でございますが、従来の最低の標準給与のかさ上げというものは、今回行なわれますよりはわりあい多かったのでございます。一割よりももっと多かったのでございまして、それをやりまして順次間接的な効果として教職員の給与が引き上がってきたという実態もございます。それからまた今後私学の振興の諸般の施策によりまして、教職員の給与の引き上げというものも上向いてまいると思いますので、そういう利点と、それから不利な点とを彼此勘案いたしました結果、やはり標準給与の引き上げをなすほうがいい、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/6
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007・三木喜夫
○三木(喜)委員 改正点の利点は、給付水準の引き上げ、これが一つですね。それから標準額を八千円から一万二千円に上げた。それから三年間の平均をとった。それから四番目に退職年金の給付を百分の六十から百分の七十にした。それから福祉事業の範囲を広げた。この五点ですね。これはいいですよ。しかしながら掛け金の増加という点が問題になると思うのですが、その率は一体どのくらいになるのか、それから一割という人数は何人くらいに当たっているのかということをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/7
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008・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 標準給与の最低限に達しないものは約一割と申しましたが、正確に言えば一〇・一%でございまして、その人数が一万三千十二人と相なるわけでございます。
それから掛け金のことでございますが、掛け金のほうは、現在が掛け金率として千分の七十でございますから、本人負担が千分の三十五となるわけでございます。ただし現在におきましても、これは私学共済に特有なことでございますが、府県の補助というものがございます。これが大体千分の八に相当するわけでございまして、府県が補助した分だけ本人の負担あるいは法人の負担が低くなるのでございます。でございますから、現行でいいますと、千分の七十、すなわち法人も、それから組合員も千分の三十五でありますから、それから府県の補助に相当する千分の四がさらに実際には引かれるということになっておりますが、これが改正によりまして千分の七十が千分の七十六ないし七十八になると予想されます。しかしこれを、高くなることはなりますが、他の制度、他の共済等の長期の掛け金率に比べますと、まだ低いような実情でございます。たとえば文部共済でいいますと、千分の四十四でございますし、公立共済で申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/8
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009・三木喜夫
○三木(喜)委員 本人が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/9
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010・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 本人がでございます。組合員がでございます。
それから公立共済でいいますと、千分の四十二という数字がありまして、それから農林漁業でいいますと、千分の四十八というような実態になっておりまして、それに対応する現在のものが先ほど申しましたように千分の三十五でございますから、若干引き上げられることによりまして負担は増しますけれども、他の行なわれている制度等との権衡、それから改善によります利点ということを考え合わせましたならば、この程度の上がり方というものはやむを得ないものではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/10
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011・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に早稲田大学等が加入しない原因、その理由は何か、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/11
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012・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 未加入校の問題は長期短期両方問題がございます。いま問題になっております長期のことでいいますならば、厚生年金保険のシステムとそれに加えて学内で特有の年金制度をやっておるというところがございまして、それを合わせたものが私学共済の給付よりも有利になっているというような実態も出ているわけでございます。この点がやはり一つの問題点でありまして、組合独自の年金をやっております学校等におきましては、組合員がその既得権と申しますか、期待権というものを持っておりまして、それを維持したいという考え方もあって、昨年来いろいろ適用除外校の問題を解決しようといたしました場合にも、組合員の中からも異論が出てきた点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/12
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013・三木喜夫
○三木(喜)委員 もう少し不利になる点を明確にしていただいて、そしてこれを今後どういうようにして包含するかという方途を考えなければ、一方は一方でやっておるというような非常にバランスのとれないやり方では、この法改正の意味が非常に薄れてくると思うのです。その点を私は非常に憂えるものですからこういう質問をしているわけです。もう少し明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/13
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014・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 ただいま、長期については学内の固有の年金制度を持っているということで、給付の水準が上がっているものもある、それがなかなか一本にならない理由だということを申したのでございますが、そのほかに短期給付の問題にいたしましても、費用の折半負担という問題が、健康保険組合でやっております場合に、独自に事業者負担を増すというようなことを実施している学校もございますので、そういう関係で本人負担が一挙に共済の制度に乗り移っては不利になるというような考え方もあって、先ほど申しましたように、なかなか解決しないのでございます。
それならば一体適用除外校の問題をどういう点を解決したら推進するかという御質問だろうと思いますが、この点につきましては、実は本法案を社会保障制度審議会の議に付した場合にも、委員各位からいろいろこの問題について御意見があったところでございます。その委員の方々の御意見の中には、結局こういう既得の権利、あるいは期待権というものを残すような一種の付加的な制度というものを考える以外には解決の方法がなかろうという案を示唆された方もあるのでございます。この点はわれわれも今後十分に研究してまいりたいと思います。しかし、この付加給付の問題につきましては、私学共済だけでなくて、他の共済組合の制度といろいろな関連がありますので、いま直ちに結論を出しがたいことでございますけれども、そういういろいろな点を今後十分に検討してまいりまして、私学共済組合法が当初の理念といたしました私学が全部加入してこれによって利益を受け相互に助け合うという趣旨が実現されるようにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/14
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015・三木喜夫
○三木(喜)委員 これはデータがちょっと古いのですが、三十九年のデータですけれども、これには間違いありませんか。標準報酬月額及び拠出金率の比較をしてみますと、現行の厚生年金でいきますと教職員の負担が千分の十二、大学の負担が千分の二十三、合計千分の三十五、長期掛け金になりますと、教職員の負担が千分の三十五、大学の負担が千分の三十五、合計千分の七十、それから健康保険と短期掛け金と比較してみますと、現行の健康保険でいく場合は、教職員の負担が千分の十七、大学の負担が千分の三十八、計千分の五十五、短期掛け金は教職員の負担が千分の三十一、大学の負担が千分の三十一、計千分の六十二、この率が違っておるところもあろうと思いますので、正確な数字を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/15
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016・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 私学共済の三十七年から現在までの掛け金率でございますが、長期につきましては、先ほど申しましたように千分の七十でございまして、それを折半いたしておりますから三十五ずつということになるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、このきめられておりますものと実際の負担との間には都道府県の千分の八に相当する補助がございますから、実質上は法人にいたしましても組合員にいたしましても四程度ずつ実際の負担が減るという特色があるわけでございますが、形といたしましてはただいまお読みになりましたとおり七十でございます。それから短期のほうは昭和三十七年から現在まで千分の六十二でございます。この千分の六十二の中には、千分の二の事務費の財源と千分の一の福祉の財源を含んでおりまして、医療関係のものは、差し引きいたしますならば千分の五十九というのが正確な数字になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/16
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017・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると、改正案によりますと千分の三十六ということになりますか。いまのお話では千分の七十六ないし七十八ですから、それから四を差し引きますと千分の三十六のように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/17
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018・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 先ほど申しました改正をいたしますと、予想といたしましては、掛け金率にいたしまして千分の七十が千分の七十六ないし七十八に上がるということを予想いたしますから、そういたしますと、その半分ずつでございますから千分の三十八ないし三十九という数字が一応出ます。それから都道府県の四を差し引いて実質組合員負担として、千分の三十四ないし三十五というものになると予想しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/18
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019・三木喜夫
○三木(喜)委員 そのほか不利な点としては、短期給付の場合は家族の療養費の三割がなくなる。それから埋葬料とか分べん費とか育児手当とか傷病手当がなくなる、こういうことなんですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/19
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020・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 いまこの改正によりまして、従来行なわれておった給付がなくなるという点はないはずでございますので、ちょっと御質問の意味が私わかりかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/20
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021・三木喜夫
○三木(喜)委員 要望書によりますと、そういうことがいわれておるので、私はちょっと不審に思っておるわけなんです。それでお聞きしようと思ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/21
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022・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 今回の改正によりまして、長期給付につきまして、給付の内容、種類というものは変化は全然ございません。ただ標準給与の改正とか、あるいは頭打ちの是正とかいうことで、その内容が上がってくるということでございまして、給付の種類というものが増減するわけではございません。それから短期給付についてももちろん同様でございまして、法定給付につきましては短期、長期とも国立学校の教職員の属しております国公済、あるいは公立学校の教職員の組合、あるいは長期については農林漁業の組合と全く内容としては同一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 もう一つ不利な点として、早稲田大学等の長期勤続者は、学内年金と比較いたしまして、年金の受給が非常に低額になってくる、こういう不利があるのじゃないですか。その理由はおのずからはっきりしてくると思いますけれども、結局昭和二十八年の十月一日から起算するというところに、私は問題があるのだと思うのですが、長期勤続者に対するところの不利な点、この点をひとつ解明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/23
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024・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、学校で独自に年金制度を立てておるところにつきましては、現在もなお組合員にとって年金の額、条件等が有利だというものもあるわけでございます。この比較は実は私もかなり調べさせたのでございまするけれども、この厚年と両方突き合わしてみて、実質全部通算してみてどうなるかということは、かなり精細に見ないと、一がいに言えないところもございます。別の適用除外校がすべて有利だというようなことはないのでございまして、有利なものもあるということが言えるだろうと思います。
ただいろいろな要望といたしましては、先般も御質問も出ましたように、私立学校の特色として非常に高齢まで現職でつとめられる方が多いということで、そういう方々に対しては、現在のやり方以上に何かそれを優遇する措置も、特別に講じられないかということが問題点としてあるわけでございますので、この点についてはさらに研究をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に移ります。
私立学校教職員共済組合法の十二条の二項によりまして、文部大臣が運営審議会のメンバーを任命することができる、それで先がた運営審議会の人々の名前を見せてもらいましたが、事務局長とかあるいはまた学長とか、こういう人が組合員の名前で入っておられて、純然たる一般教員の代表というのが非常に少ないように思うのですね。これは私立学校共済組合の運営それ自体に民主的な点がやはり欠けてくる原因じゃないかと私は思いますので、この点はかなり考慮をしなければならぬのじゃないかと思うのです。これは後に問題が一つありますから、そこで申し上げてもいいと思いますが、その点はどうですか、これで十分だ、こういうように思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/25
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026・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 私立学校共済組合の運営審議会の委員を任命するのは、これは文部大臣が任命するのでございまするけれども、私立学校のことでございまするので、私立学校側の意向を十分にくむために、私学関係団体の推薦したものの中から任命するというルールを、これは発足以来とっておりまして、それと異なった方式で任命権を行使をするということはいたしておりません。いわゆる運営審議会は三者構成をするように、法人の経営者と教職員とそれから学識経験験者というふうに、三つの分類で任命しておるわけでございますが、私学側の、主として教職員の選び方について、もしもなお改善すべき点があるならば、十分それを御相談してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/26
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027・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうしますと、私立学校の教員組合というのがあると思うのですね、その組合に入っておるのはだれだれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/27
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028・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 教職員の方は入っておるわけでございますが、それが現実に行なわれております労働組合としての組合との関係でどうなっているかということは私承知しておりません。と申しますのは、おそらく私学におきましては、組合の結成その他は非常にまちまちでございましょうから、必ずしもそういうふうな関係で組合の役員とかそういうものがどうあらわれているかというようなふうにはあらわれてきていないのだろうと思います。ただ教職員の方はこの中に入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 先がた見せてもらいましたことを私ちょっと冒頭に言いましたが、どっちかというと管理者が、組合員の名前で入っておるのですね。管理者でなくて教職員組合をつくっておられると思うのですが、教職員組合の組合員にだれが入っておられるかということを聞いておるわけですが、明らかでなかったら、いますぐにという問題でありませんから、それでけっこうですから、また調べておいてください。
そこでこれは一番最後に、要望書といいますか、附帯決議として私たちの希望を申し述べたいと思いますが、関連があるのでお聞きしておるわけです。
それから次に、この法律の改正案と新旧対照表が出ておりますが、その中で第三節の福祉事業のところをお聞きしたいのです。いままでは「福祉施設」になっておりましたが、今回のは「福祉事業」になっております。そこに大きな変わり方があると私は思うのです。そこで本文の中身を見ますと、いままでは「事務を行う。」となっておるのですが、今回のでは「事業を行なう。」こうなっておるわけです。そこで事業の内容を見てまいりますと、一番、「組合員の保健、保養若しくは宿泊又は教養のための施設の経営」、ここに「宿泊」ということが一つ入っておるわけです。二番はそのままで、「組合員の利用に供する財産の取得管理又は貸付け」となっております。これは前のとおり。三番目に「組合員の貯金の受入れ又はその運用」ということが入っておるわけです。貯金とその運用ですね。四番目の「組合員の臨時の支出に対する貸付け」、これは前のままです。五番目、「組合員の需要する生活必需物資の供給」、これが一つ新しく入ってきております。六番目、「その他組合員の福祉の増進に資する事業で定款で定めるもの」、こういうことが新たに加わっておるわけです。こうしてみますと、なるほど事業ということばがここで生きてくるわけなのですが、その中で宿泊施設、それから信用組合といいますか、こういうようなやり方の貯金の受け入れとその運用、それから生活必需物資を供給するのですから、これは生活協同組合みたいな仕事、営利ということばは悪いですけれども、この中から利益を生み出さなければならない、こういう事業をやるということについて、この法律改正とともに、政府としてはどういう指導をしなければならないか、ここにやはり一つ問題点を置いてもらいたいと私は思うのです。どういうぐあいにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/29
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030・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 福祉事業の改正でございますが、これは国家公務員共済組合法に準じて福祉事業の範囲を同じようにするということが大ワクとしてございます。全部国家公務員共済組合法の書き方と同様でございます。
それでは具体的に新旧を対照いたしました場合どう違うかということになりますと、いま御指摘のありましたように、第一点は組合員の貯金の受け入れ、第二は生活必需物資の供給、第三点が定款で事業を定めるという点でございます。この改正によりまして当面しておりますことで一番必要なことは、その「定款で定めるもの」という点でございまして、具体的には、実は学校法人が所属職員のために所属職員の利用に供する住宅を建設するというような場合があるわけでございますが、この建設資金の貸し付けということをやりたい、この規定に基づいて特殊の住宅貸し付けということを実施いたしたいということで準備を進めております。それから他の二点、貯金の受け入れでありますとか、生活必需物資の供給でありますとか、こういう点につきましては、これはやはり遠隔の地等で特に組合員のためにそうする必要があるというような事態が起こりましたならば、そのときにやり得るように規定を他の共済と同じように整備しておくという考え方でございまして、こういうものが御指摘のように非常に営利にわたったり、あるいはそのために乱脈になったりすることのないように十分注意する必要はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/30
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031・三木喜夫
○三木(喜)委員 営利に走らぬこと、これはもう本質的な問題ですけれども、貯金されたものは、その運用にあたって大企業に貸すようなことのないようにしてもらわなければならないと私は思うのです。
それから、そのことと関連はないわけですけれども、総ワクが大体三十億になるという先がたのお話でしたし、その中で政府は補助金として一億七千五百万円余りこれに対して補助をしておるわけです。したがって、この剰余金ですか、余剰金の運用は、農林年金におきましても、共済組合法の改正案のときにも問題になったのですが、政府債を持たされた。そのときの答弁では、政府債を持ったのだけれども、大企業に貸すというような問題ではないからよかろう、こういう話が出ておるのですが、先がたのあなたの御説明では、余剰金というものは一切あげて私学振興会のほうに回すのだ、こういう話でしたが、それは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/31
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032・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 長期経理の運用でございますが、これは通常他の共済等と同じように、貯金または長期の預金、金銭信託あるいは貸付信託もしくは有価証券あるいは不動産というようなものがあるわけでございますけれども、その他共済自体が行なう事業に対する貸し付けをすることがございます。そのほかに「教育の振興上必要と認められる貸付金」その他となっておりますが、この「教育の振興上必要と認められる貸付金」という条項で、実際私学振興会に対してこの長期経理の余裕資金の一部の貸し付けを行なっておるわけでございます。これが三十九年で申しますと十一億余、それから四十年度の予定といたしましては十七億七千万というものを予定しております。それで私どもといたしましては、組合の経理と組合員の福祉のためにできるだけ安全かつ有利な利回りで資金を運用するということが一つと、それから同じ使うならば私学振興というワク内で使っていただきたいということがございまして、現在そのように計画しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/32
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033・三木喜夫
○三木(喜)委員 それでけっこうだと思いますが、「私立学校教職員共済組合は、私立学校教職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、もって私立学校教育の振興に資することを目的とする。」この目的にどこまでも合致するようにしてもらいたい、私はこういうように思うわけです。
以上質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/33
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034・渡海元三郎
○渡海委員長 この際暫時休憩いたします。
午前十一時十九分休憩
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午前十一時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/34
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035・渡海元三郎
○渡海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
他に質疑はございませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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036・渡海元三郎
○渡海委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/36
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037・渡海元三郎
○渡海委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
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038・渡海元三郎
○渡海委員長 次に、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して二宮武夫君外七名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/38
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039・二宮武夫
○二宮委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
私立学校教育の重要性にかんがみ、政府は左の事項に検討を加え、すみやかにこれが実現を図るべきである。
一、私立学校教職員共済組合法制定の趣旨にのっとり、本法が全私立学校に適用されるよう考慮すること。
二、私立学校とその教職員の実情にかんがみ、掛金負担の軽減を図るため国の補助率の引き上げに努めること。
三、物価変動等に対応する年金額のスライド制を検討すること。
四、女子組合員及び高齢組合員については、その実情に即して給付内容の改善を図ること。
以上であります。
本案は三月一日に本委員会に付託をされたわけでございますが、以上読み上げました附帯決議につきましては、その表現が多少弱いという点も指摘をされておるわけでございますけれども、私はやはり憲法並びに教育基本法、学校教育法等にのっとって、これが実現については政府は特段の努力をしてもらいたいということを要望いたします。
特に私立学校の重要性につきましては、国公立の学校における人のエリート感といいますか、あるいは私立学校のコンプレックスといいますか、そういうものを除去いたしまして、私立学校の教職員の諸君がこれらの根本になる法律に十分適応できますような教育実践が行なわれるように努力をしなければならないし、政府自身もまたこれに対して援助をいたさなければならないということを痛感するものでございます。どうか、この附帯決議につきましては、政府は強力なる実践の決意を固めていただきたいことを申し添えまして、附帯決議案の提出の趣旨の弁明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/39
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040・渡海元三郎
○渡海委員長 以上で説明は終わりました。
採決いたします。
本動議を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/40
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041・渡海元三郎
○渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、愛知文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。愛知文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/41
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042・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、その御趣旨を体し、誠意をもって検討の上善処いたします。
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043・渡海元三郎
○渡海委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/43
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044・渡海元三郎
○渡海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
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045・渡海元三郎
○渡海委員長 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。二宮武夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/45
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046・二宮武夫
○二宮委員 先般の文教委員会におきまして質疑をいたしました中で、その後調査を進めて答弁すべき問題が残っておるはずでございますが、その点についての政府の御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/46
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047・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 先般、国士館大学のことにつきまして御質問がございまして、二点につきまして調査をするということを申しておきました。
第一点は、問題の一方の当事者であります三教授側はどういうことを言っているかということでございます。この点につきましては、教授側から文部省におきまして事情を聴取いたしましたところが、まず第一の佐藤英雄教授の問題につきましては、医務室で学生と看護婦の間で冗談を言い合っておったという点でございますが、この点につきましては、実際はある学生が、寮費を滞納しておった。そして九月の試験が受験できないで困っておったので、看護婦が金を立てかえた。そしてそのたてかえた金の返済に来て、そこで雑談をしておったというのが実情であって、その際に病気であるということを看護婦が言ったのは、それはそうではなくて、実際はその金を返しに来たものであるということでございました。
それから業務の怠慢であると学校長より叱責を受けたので、十月二日学長に釈明をしようとしたが、校庭でステッキで横腹を打たれ、胸部を目がけて突かれた。胸部のほうは避けたので当たらなかったということでございます。おまえは免職だという罵声を受けたので、学長に誠意がないと悟って、帰宅しようとした際、左のひざをけ上げられた。自衛上一一〇番に連絡をしたということでございます。それから同日以後出校せず、十月分の給与は持参してくれたが、十一月分については送りますかとの連絡があったので、保留しておいてくれと返事したが、十二月以降は連絡がなかった。それから三月まで学長の反省を求める気持ちもあり、態度を保留してきたが、四月四日か五日に共済組合保険証の返還請求が学校よりなされたので、解雇と判断し、訴訟に及んだ。そして四月一日に訴えたということでございました。佐藤教授は体育学部の担当教授でございまして、校医を兼ねておるわけでございます。
それからもう一人の佐藤嘉祐教授の問題でございますが、十一月十二日に学長の呼び出しを受け、松本正雄講師に金銭を強要した。また私の悪口を言ったから退職したまえと宣言された。学長の意に従わぬとひどいことをされるおそれがあるので、黙って去った。松本講師に対する関係というものは事実無根であるということを申しておるわけでございます。学長は、松本講師の中傷をうのみにして誤った判断をしておる。それで十一月分の給料は送金してくれたが、以後は連絡がない。二月二十六日の教授会に退職した旨の報告がなされたことを聞いておる。辞職の意思表示をした覚えはなく、辞表を書けと言われたが、辞表は出していない。学長の反省を求める気持ちもあって、卒業式、入学試験等の多忙の時期に争いを起こすのは本意でないので、四月に入って二日に東京地裁に訴状を出したということでございます。
それから三上弘之教授の問題でございますが、学長に呼び出されて、十一月十四日でございますが、学長代理として学長と行動をともにすべきにもかかわらず、佐藤嘉祐教授に同調して別行動をとったとして、静養を命ぜられた。ただし給与は続けると宣告された。静養の理由としてはっきり示されているのはそれだけでありまして、この本人の申し立てによりますれば、これは表面の理由で、選挙権銀行倶楽部の運用をめぐる学長との見解の対立にあると思われる、こう申しております。給与については十一月分まで受けたが、十二月以降は連絡がなく、初め休職として給与は続けると言ったことに反しておるということでございまして、三上教授は政経学部の教授で社会学を担当いたしまして、昭和三十三年四月から学長代理という職についているわけでございます。
先般学校側の事情を聞いたのと、その教授側との意見は、いろいろな点で対立した意見が出ております。解雇の経緯に関すること、それから暴行の事実の有無という点で、集約して意見が対立をしているわけでございます。この点につきましては、すでに暴行事件につきましては検察庁におきまして、事件として処理が進行中でございます。それからもう一点、解雇の問題につきましては、すでに東京地裁ではこの仮処分をめぐる裁判が、すでに第一回の裁判が行なわれたということでございますので、この両者の申し立ての相違というものは、裁判によって明らかになり、それに伴ってこの地位の保全問題がどちらかに解決される、こういうふうになろうかと思います。
それから第二の選挙権銀行倶楽部の問題でございますが、昭和三十九年十月三十日に教育勅語下賜七十五年記念として東京日比谷公会堂におきまして記念式典を行ない、その際に国士館大学総長柴田徳次郎主唱による選挙権銀行倶楽部の提唱が行なわれたのであります。選挙権銀行倶楽部は、選挙権を金になぞらえ、主唱者が掲げる申し合わせ案の趣旨に賛成する有権者が申し合わせをつくって、同志を集めてカード式の帳簿に加入者を登録し、選挙権の公明な行使を呼びかけ実行しようとする趣旨であります。組織は、東京に本部、地方に地方支部を設け、東京二十三区に支部を置くというものであります。役員は、顧問、会長、副会長、監査、理事、幹事を置くということであります。
これは三十日に日比谷公会堂でこれを提唱いたしまして、十一月五日に東京都の選挙管理委員会に届け出を行なっております。この内容がいわゆる公明選挙に類することもございますし、それから中を見ますといろいろ政策にわたっておりますので、選管の話では、これを政治資金規正法による団体として届け出を受理しております。ただ全国組織のことでございますので、東京の選管といたしましてはこれは自治省のほうに出す、こういうふうに言っております。
そこで、問題は学校との関係でございます。その点につきまして、先般私直接学校の事務局長等を呼びまして事情を聞きました。それで学校側の説明といたしましては、これは総長である柴田徳次郎氏の運動であって、学校の事業そのものとは関係のないことだ、こう言っております。ただ問題になりますのは、先般も御指摘にありましたように、本部は大学以外の場所の民家でございますが、大学の用地を貸しておりまして、そこにプレハブの臨時的な施設を建てております。この点は誤解の生ずるおそれがあるということで、大学側としては倶楽部側に別の地に移るように話をしておるということでございまして、私もこの団体がどこまで政治的団体として組織されるのか、その辺はわかりませんけれども、まあ選管でも一応受理していることでもあるし、大学の用地からできるだけそういう運動のためのこういう施設というものは避けるほうがよかろうということで、これは早急に他の地に移るということを申しておるわけでございます。
以上がただいままでに調査したところの概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/47
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048・二宮武夫
○二宮委員 御説明のありましたように三十九年十月三十日に日比谷の公会堂で発会式を行なった。その際に集まった者は学生が四千名、それから父兄が三百名、一般の招待者が約百名、こういう者を集めて教育勅語の発布七十五周年というものを記念してこういう会合を持っておる。そしていま説明のございましたように、学校の校地内に二階建ての家を持っておる。
もう一つ私が非常にふに落ちないことは、この学生諸君に対してお金を集めさせるという運動をさしておる。これは大臣が所信表明をされましたときに、できるだけ父兄負担を軽減をするということを問題として提起されておる。ところが大臣が監督をしなければならない私立大学の学校の中で、金額は幾らかわかりませんが、ある政党と似たような、学生を使ってお金を集める。その本部は、名称は実質的にどのようになっておるかわかりませんが、学校内にある。こういう大学というものはこれは文部大臣は十分承知をしておらなければならぬ問題ではないかというように私は考えます。柴田さんが独自に個人的にやったということ自体は自由でございましょうが、学長が提唱して学生四千名を集めて発会式をやる、こういう大学のあり方というのは十分検討しなければならぬと思うのです。そうして、しかもその顧問の中には池田さんであるとかあるいは佐藤さんであるとか椎名悦三郎さんであるとか、保守党の議員のたいへん名の売れた人が顧問に名を連ねておるというような実態は、私は柴田さんという人の性格を疑う。おそらくこの人は、こういう人がバックにおるから何をやってもいいんじゃないかというような考えを持っておるのじゃないかというように考えられる。憲法や基本法やあるいは学校教育法というものを十分尊重しなければならない学園においてこのような行動をとるということは、これは見のがすわけにはいきません。これは大臣どうですか、その点についての所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/48
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049・愛知揆一
○愛知国務大臣 実は私も最近になりましてからその状況なども知りましたわけでございまして、その中には、ただいま局長から申し上げましたように、大学の中を利用して事務所があるというような、政治団体の活動というようなことが行なわれることは私は不適当であると考えておりますので、なおよく事情をさらに調べまして善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/49
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050・二宮武夫
○二宮委員 この前から私は質問をして、なお文部省のほうで調査できないということで実は答弁を待っておったわけでございますが、今日まで、いま局長から答弁がございました内容以外にもう少し深刻なものがあると私は思うのです。文部大臣の責任というものは学校教育法の中に、私立学校に対しては十分に明確にあるわけです。これをその場のがれに何か調査をしてみて善処しましょうというようなことでは一もうすでにこれは発足をしておる。しかも行動を起こしておるのです。こういうものをこのまま調査してみましょうぐらいの程度のものでは私は承服できない。私は学園の自由というものを十分尊重しなければならぬけれども、行き過ぎたものに対してはいま少し積極的に調査をして、そうしてそれに対する善処方というものは当然行なわなければならぬ問題だというように考えております。いま一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/50
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051・愛知揆一
○愛知国務大臣 ごもっともでございまして、そういう昨年十月以来の状況について私がつまびらかにしておりませんでしたことについては、たいへん恐縮に思っておるわけでありますが、事は大学のことでもございまするし、監督権というものの行使のやり方等についても十分の配慮が必要と思いますので、若干調査その他に時間をとりましたことを申しわけなく思っておりますが、なお私といたしましてもいろいろもうちょっと調べてみたいと思うこともございますので、先ほど申しましたように十分心証を得て善処をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/51
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052・二宮武夫
○二宮委員 局長、お金の件はどうですか、どのくらい集めておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/52
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053・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 その点につきましては、学校側の当事者を調べましたところが、はっきりいたしておりません。私は、やはり学校の事業としてそういう疑いを持たれることを排除する観点からの限度でありまして、この政党ないしは政治団体というものについての金の問題とか組織の問題を、私どもとして、それ自体として一体調査し得るのか、また調査することがいいのかという点については若干問題があろうかと思います。私がもっぱら大学当局に申しておりますことは、そういう大学の用地内に事務所があり看板がある、そうして大学の事業というものが政治的な行為にわたる、そういうふうに見られるおそれがあることについての懸念というものを払拭してもらうということが私どもの仕事ではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/53
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054・二宮武夫
○二宮委員 これはだれが考えましても、学校の中に選挙権銀行倶楽部という、これは非常にふかしぎな名前ですけれども、そういう二階建ての建物があるということ自体が、公正な学校教育が行なわれておるというようにはどうも考えられない面がある。しかもその発会式には気勢を添えるために学生を四千名動員しておる。あとの者はわずかです。たとえ私立学校であろうとも、こういう学校教育というものをそのまま認めていくということについては、これは担当の局長あるいは大臣としては、たとえそのうしろに大臣の親分がおろうとも、どんな顧問がおろうとも、私は公正な立場からこれに対して善処しなければならぬというふうに考えております。そういうようなお金を集めて、たとえばそれは方向が違う政治資金規正法でこれを取り締まるというのであれば、その方向から私は調べます。しかし学校の生徒がそれをやっているということになると、これは使い方そのほかについては規正法であるいは規正されるかもしれませんけれども、教育という面からやはり重視しなければならぬ問題だというふうに考えております。この前から質問をいたしましても、どうしてもその学園の自由ということに非常にこだわって、こういう行き過ぎた問題についても文部省はなおこれに手を染めないというような点が見受けられる点は非常に私遺憾であります。局長としてはいま少し積極的な、この前から申し上げておりますように、善意による積極的な面という本のをもう少し出していいのじゃないかというように考えておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/54
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055・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 私、管理局の職務といたしまして、文部省設置法に学校法人の経営に関し調査するという権限もありますし、また責任もあるわけでございますから、問題のありましたものにつきましては、この限度において調査をすべきものだと考えております。でございますから、これは学校の責任者を一々呼び出すということもそうたびたびはないのでございますけれども、本件に関しましては担当者が数回事情を聴取し、それから私も直接先般会ってこの銀行倶楽部との関連等についての質問もしたわけでございます。学校側といたしましては、この運動と学校の事業との関連を分けて考えるべきものであるし、また実態としてそうなんだ、こう申しますので、それではこの大学内に土地を貸して、そこへ支部を——本部は別でございますけれども、支部を大学の用地内に置くということについては問題ではなかろうかという点をお聞きをしたのでございますし、また学校側もそのような誤解を避けるため移す、こう申しておるのでございますので、そういう措置がすみやかにとられることを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/55
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056・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連。齋藤さん、いまおっしゃったことは重要なことだと私は思うのです。学校内に政党があるが私の調査範囲外だ、こういうお話でしたが、それならそれでこれはたいへんなことになると思うのです。学校内に政党があって、そこはひとつも手が入らないから、幾ら金を集めておったのか、その人はどんなかということは、いま二宮君のほうから話がありましたように、それはそれなりに調べなければならぬと思うのですけれども、学校の中にそういうものがあるので私たちは手が入らぬということは重要な発言だと思う。あなたその発言を取り消される意思はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/56
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057・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 私の申しますのは、学校が、教育基本法に定めておりますように、学校として政治的行為にわたるということは教育基本法の趣旨から見て過当でないので、それは分離してもらいたいということでございます。先ほど御質問のありましたのは、政治資金規正法の適用を受け、それによって届けられた団体のその経理、運営その他を私どもが調査をするということは、これは任意に話してくれるならばよろしゅうございますけれども、それを私どもが調査をする責任や権限の地位に立っていないのではないかということを申したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/57
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058・三木喜夫
○三木(喜)委員 それは切り離せないようになっておるのじゃないですか。朝日新聞の四月六日の記事によりますと、教授王氏が地位保全の訴えをした。その地位保全の理由は、解雇の真意は三上氏らが柴田理事長の考えている政治活動に反対したためと見られ、解雇は正当性を欠き権利の乱用であって、無効だというものである。だから学校と関係がありますよ。ここで接点ができておるのですよ。それをその真相は突きとめられぬのだ、ノーコメントだといって手をこまねいて見ておるという、こういう手はないと私は思うのですよ。しかしこれはあなたの考え方ですからしかたがないと思いますけれども、私はこれはたいへんなことだと思うのです。もうそのこととはっきり接触しておるのです。この三上氏らが解雇された理由として朝日新聞はそう伝えております。そういう地位保全の問題とそれからいまお話しになった学校内の政党の問題、これは見のがすことができないと思います。それからそのうしろに相当な大ものがひっついておるというようなことになれば、いま財界で問題になっておる吹原産業の教育版だと私は思うのです。それが二番目に問題になってきますし、三番目には、学長が日大との定期水泳戦で教授を殴打した、こういうような傷害事件、これも解明しなければならぬ問題だと思うのです。こういう三つに分けて私たちももう少し調査を進めたいと思いますが、あなたのほうでも調査されて後の問題にするべきだと思います。大臣ももう少し調査をしてみたいとおっしゃっておりますから、もっと調査をしてみてください。私の聞いておるところでは、学生が帰るときに、おまえはこの銀行倶楽部の会員を募ってこい、一人百円か三百円か知りませんけれども、大体一人何ぼという金がそいつにかかっておる。そして五人割り当てになる。三百円とすると千五百円、それを持ってこい。そうすると学生の本分がそこで確立したということになる。だから金さえ出しておいて、名前はそこに適当な者を書いておけばいいわというのが真相のようであります。こういうところまで調べてもらわなんだら、学生は迷惑しておるのですよ。それを私の責任範囲でないというような、正当だから責任範囲でないというような管理のしかたでは問題が残ると思いますので、よろしく御調査いただきたい。関連ですから私はこれ以上これはやりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/58
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059・二宮武夫
○二宮委員 大臣もいましばらく調査をしたいということでございますが、この前から聞いておる気持ちとしましては、非常に憶病な気持ちが文部省にはあるような感じがするのです。十分示された法律の範囲内においてはもう少し積極的に調査すべきものは調査してもいい、あるいは善処すべきものは善処してもいいのではないか。もちろん学園の自由というものに介入することは許されないと思いますけれども、非常にその辺が消極的な感じがするわけでございます。調査の結果どのように対処されるかを今後見守っていきたいというように考えます。
次に問題になりますことは、実は群馬県に高崎経済大学という大学があるのですが、大学局長にお尋ねします。ここでいま同盟休校といいますか学校がストを起こしているという実態があるわけなんです。しかもその裏面には非常にコネをつけて学校に入学をする、こういうことが従来ずっと行なわれてきておる。ところが学生自治会のほうから学長に申し入れをしましたところが、私が学長になった限りはそういうことは絶対にやらない、こういうことを言明をされた。それを信用しておったところが実は実態はそうではない。非常にたくさんのコネ入学、裏入学があって、それが実態として明らかになってきた。こういう問題があって、われわれを裏切った学長の答弁あるいは行動というものは許すことができないということで、いまいまだに学校は始まらないという理由のもとに学校を休んでおるそうでありますが、その実態について局長のほうでは十分調査ができておると思うのですが、その点について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/59
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060・杉江清
○杉江政府委員 従来大学と設置者、市側との話し合いにおいて、ある程度地元学生を優先して入学さしてきたということは事実のようでございます。ところで現在の学長はこれを改善したいということを考えて市側といろいろ話し合いを進めてまいったわけであります。その結果ある程度地元の要望をいれることが妥当だということを考えまして、一定点数、一般の合格者よりも地元の学生についてはある程度点数を下げて入学させる、そういう大体の了解を事前に話し合いの上つけたのであります。その結果一定人数の範囲内においてその措置をしようという了解がなされたわけであります。ところが本年度の入学志願状況、御存じのように大量の入学志願者が本年度特にふえたわけでありますけれども、その状況下においていままで話し合ったような了解線でいきますと、地元の者がごくわずかしか入れない、特別の考慮をいたしましてもごくわずかしか入らない。そういうことになりましたために、市側、地元のほうでは、それは約束に違う、あるいはそれは不当だというようなことで学校のほうにいろいろ申し入れをされたのであります。その過程においてはあるいは事務職員を呼んで強くその不当をなじったというようなこともあったわけであります。その後学長としましては何とか事態を円満におさめたいということで、聴講生としてすでにとった措置のほかに相当数を入学させる、あるいは委託生としてこれを入学させるとか、こういうふうないろんな措置を考え、市と話し合いを続けてまいっておるわけでございます。しかし学生側はこのことを知り、その不当を強く主張していまいろいろ運動もし、また授業にも出ていないという事態でございます。文部省としましても事態の深刻性にかんがみまして学校側からいろんな事情を聞いております。また市側からも進んでいろいろな情報の提供も受けておるというのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/60
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061・二宮武夫
○二宮委員 いろいろ調査をしなければならぬ問題がたくさんあるようでございますが、昭和三十二年に四年制の経済学部というものを文部省は認可をしておる。全国の大学一覧表を見ますと、一学年が大体二百名です。ところが現在の実際の在学生は二千名になっておる。そうしてしかも市長と学長との間に非常な対立が起こっておる。市長ばかりではなく、いろいろな団体から条件をつけて、コネで入学をさせるということできておる状況でございます。私が一番おかしいと思うのは、四月六日に入学式をやっておるのです。そうしてしかも事態収拾のために、入学式が済んだ後になおまだ学校は始まらないという理由のもとに、現在なお休校しておるという状況であります。これは公立の学校でございますから、当然大学局長としては実態を十分に把握をしてこの状況をどのように処理するのか、これを十分に検討しなければならぬ問題であるというように私は考えておるのですが、なに、高崎市の学校だからというようなことでは私はいかぬのじゃないかと思うのです。十分に調査をして、ことしの受験生は六千二百名というものが受験をしておる。入ってきた者の中には、大体四百点満点のうち総得点が二百十八点までは合格ということを一ぺん発表しておる。そうしておきながら、あまり地元が少ないからというので、それをまた点数をおろして非常に程度の低い学力の者をも入学をさせる、こういう学校教育のあり方というものは、これは私は非常に問題だと思うのです。四月の六日に入学式をやって、いままだ春休みだから学校は休んでおるんだ、全面的な学校のストではないんだといって糊塗しておるようでありますけれども、そういうわけには私はまいらぬと思います。これは根本的にいま少し大学局のほうで調査をいたしまして十分な善処をしないと、たいへんな問題になるんじゃないかというように考えます。高崎市の中における教育の考え方というものも私はいいものではないと思いますが、これを指導するほうの面におきましても、十分考慮しなければならぬ問題だというように考えております。そういう点について十分材料はお持ちであろうと思いますけれども、これを一体どのようにして処理するが妥当であるのか、この今後の見通しについて局長の御意見をひとつ最終的に承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/61
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062・杉江清
○杉江政府委員 先ほど申し上げましたように、大学としては従来の縁故入学というものをできるだけ少なくして、やはり公正な立場からの選抜をしたい、こういう基本的な立場でいろいろ市側とお話し合いを続けてこられたのであります。私どもはその大学の基本的な立場は正しいと考えているわけでございます。ただ実際当面する問題の解決については学長としてもいろいろ苦慮され、これを聴講生とか委託生とかいう学則に規定のある制度、方法によってこの問題を解決したい考え方で、いま鋭意努力中でございます。私ども全般的にはやはり公正な選抜方法によることが当然のたてまえでございますが、当面のこれらの措置についてはそういう大学側の御意向、御苦心の方向としては正しいと考え、今後とも大学側また必要に応じては市側ともお話し合いの上、妥当な解決、円満な解決を見ますような方向で、十分お話し合いも進めていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/62
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063・二宮武夫
○二宮委員 大臣は時間がないと思いますから、大臣に一つ承っておきたいと思うのですが、問題は別です。
千葉大学にマレーシアの学生が留学をしておるのです。二十三歳になる学生一人でございますけれども、国費で留学生として千葉大学に入って造般工学を勉強しておるそうでございますが、この国費留学というものを大臣が取り消された。そのときに学長は教授会を開いておらない。しかも学長のところにきておりますその途中の経緯というものは、非常にあいまいなものがある。これはもちろん所管は法務省でございましょうが、やがて二十八日に資格の審査が行なわれて、もしその資格審査が通らなければ本国に帰される。帰ったら、政変があった国でございますから、その前の政府を批判をしたというかどによって、おそらくこの留学生は死刑あるいは非常にひどい刑罰に処せられるという見通しがあるわけでございますが、国費留学生として来ておるものを大臣は取り消されたというところの経緯について、学長の個人の意見であったのか、教授会の議を経てそれを届け出てきたものであるかどうかという点について、私は確かめておきたいと思うのです。これは一人の命がなくなるというたいへん重要な問題でございますから、文部省としても慎重を期さなければならぬと考えますが、大臣はおそらく学長からそういうことを聞いて判を押されたのだろうと思いますけれども、しかし文部大臣の責任というのはのがれぬと思うのです。その経緯について大臣がおわかりでなかったら大学局長でもいいですが、御答弁いただきたい。
〔委員長退席、上村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/63
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064・愛知揆一
○愛知国務大臣 この問題はなかなか処理についてもむずかしい問題であったわけでございますが、実は御承知のとおりに、マレーシア政府のほうから日本政府に国費留学生として置くことをやめてもらいたいという趣旨の要請がありまして、したがって文部省といたしましては、そういった趣旨の問題でございますから、まず外務省その他の関係の向きの意見をも十分に聞きまして、そして穏便な措置をとるようにいたしたわけでございますが、やはりそういうふうな正式な政府からの要請にこたえなければならないということで、日本の政府としてこの国費留学生の取り消しをやらざるを得なかった、そういう背景がございますことは御了承願えるかと思いますが、その間のこまかい打ち合わせあるいは取り扱いのやり方等につきましては、審議官からお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/64
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065・村山松雄
○村山説明員 問題の学生は、マレーシアから国費留学生で日本に参りまして、千葉大学の留学生課程第三年次に留学中のチュアというものでありますが、いま大臣から説明申し上げましたように、本国のほうから国費留学生としては打ち切ってほしいという連絡がございまして、外務省とも相談の結果、国費留学生の打ち切り処分を文部省としていたしたわけでございます。その結果千葉大学としては国費留学生であるという条件でいわば預かっておるという見解のもとに、国費留学生が打ち切りになれば、千葉大学留学生課程としてはこの者を預かって教育をする前提がくずれたという判断で除籍処分をいたしたわけでございます。そういう関係でございますので、処分そのものにつきましては、一般の学業の成業の見込みがないとか、性行に問題があるとかいう判断を要するものとはちょっと性格を異にいたしますので、教授会等にはかることなく、留学生部長の処置によりまして除籍処分をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/65
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066・二宮武夫
○二宮委員 それでは外務省からの正式な書類あるいはマレーシアからの正式な書類というものは十分にあるわけですか。聞くところによると、途中では一度切れておる正式なものでない者が中を取り持っておるといういきさつがあるように私は聞いておるのですが、そういういきさつはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/66
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067・村山松雄
○村山説明員 本件は所管が調査局の所管でごいまして、大学局としては間接的にタッチしておるわけでありまして、折衝の正確な経過につきましては十分承知しておりません。したがいまして文書であるか口頭であるかつまびらかにいたしませんが、やはり正規のマレーシア政府、外務省、文部省というルートによります申し入れに基づいて処理したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/67
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068・二宮武夫
○二宮委員 どうかわからぬが処理したのだというあなたの答弁は、前半と後半が違っているんですよ。私が聞いているのは、正式にそういう書類があり、正式にどこに出しても正しいと思われるような手続ができておるかどうかということを聞いておるわけでございますが、その点どうですか。わからぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/68
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069・杉江清
○杉江政府委員 ただいま審議官から申し上げましたように、そのことの所管は調査局であり、留学生課という課が所管しているわけでございます。私どもも大体のことは聞いておりますけれども、しかしほんとうに確信を持ってお答えすることは残念ながらいたしかねるわけでございます。そういう意味におきまして、もしその辺のことを確かめたいということであれば、ひとつ調査局のほうからお聞きいただければありがたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/69
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070・二宮武夫
○二宮委員 それでは所管が違うそうですから、正しい担当の局について調査して再度質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/70
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071・山中吾郎
○山中(吾)委員 関連して。いま質問された問題は多岐にわたっておるわけですが、あの国費の学生の問題も、国際上の問題で国費を支給することを免除することと千葉大学の学籍をとるということは別問題で、外交政策と日本の文教政策という二つの問題がミックスされているという問題があるのだろうと思うのです。それが一つ。それから高崎大学についても、設立の趣旨というものは、その市の税金によって運営していくという趣旨ですから、その学生に何とか教育の機会均等を与えるということで公立大学が生まれてきておるところにこういう問題が出ておると思うのです。そこで一体大学教育というものが、国が責任を持つと一方にいっておって、高等学校はしたがって地方自治でやれといって補助政策もとらないという論理と、いろいろのものがこれもミックスして、基本的に文部省が方針を立てないところから、これを解決する場合について明確な大臣の声明も出せない。それは国士館大学の場合も学長みずからが——学生が運動しておるなら別だけれども、学長、理事長みずからが政治運動の先頭に立つというウルトラCのケースだと思うのです。そういうものをみんな含んで、大学の私立公立を含んで根本的に論議をすべき問題がありますので、連休明けにひとつ大臣が明確に答弁できるようなところまで論議をすべき問題である。オリンピック映画で一言言っただけでもあれだけの影響があるのですから、こういうときは大学そのものに監督権も——私学関係はできなくても、大臣の明快なる識見を発表するということが正しい方向に向かわしめる大きい効果があるのですから、そういうことを考えて、またそういうことができるための質疑応答をすべきだと私は思いますから、連休明けに必ずこの問題を深めるための委員会を委員長のほうにおいても配慮をしておいていただきたいと思うのです。
それだけ私から申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/71
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072・上村千一郎
○上村委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X01819650423/72
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