1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十二日(水曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 渡海元三郎君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 南 好雄君
理事 八木 徹雄君 理事 三木 喜夫君
理事 山中 吾郎君
大石 八治君 大石 武一君
木村 武雄君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 谷川 和穗君
中村庸一郎君 野呂 恭一君
原田 憲君 湊 徹郎君
川崎 寛治君 高橋 重信君
長谷川正三君 前田榮之助君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
文部政務次官 押谷 富三君
文部事務官
(大臣官房長) 西田 剛君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(社会教育局
長) 蒲生 芳郎君
委員外の出席者
議 員 高橋 重信君
文部事務官
(社会教育局審
議官) 安達 健二君
専 門 員 田中 彰君
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五月十一日
委員松山千惠子君辞任につき、その補欠として
辻寛一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員辻寛一君辞任につき、その補欠として松山
千惠子君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員床次徳二君、松田竹千代君及び鈴木一君辞
任につき、その補欠として湊徹郎君、野呂恭一
君及び本島百合子君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員野呂恭一君、湊徹郎君及び本島百合子君辞
任につき、その補欠として松田竹千代君、床次
徳二君及び鈴木一君が議長の指名で委員に選任
された。
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五月十日
公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の
幼稚部及び高等部の学級編制及び教職員定数の
標準に関する法律案(高橋重信君外九名提出、
衆法第三五号)
同月十二日
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部
及び高等部における学校給食に関する法律の一
部を改正する法律案(高橋重信君外九名提出、
衆法第三九号)
同月七日
へき地教育振興法の一部改正に関する請願(谷
口善太郎君紹介)(第三四八四号)
学校警備員の設置に関する法律案成立促進に関
する請願外一件(谷口善太郎君紹介)(第三四
八五号)
同(川崎寛治君紹介)(第三五八九号)
同(鈴木一君紹介)(第三七三四号)
義務教育費国庫負担法の一部改正に関する請願
(谷口善太郎君紹介)(第三四八六号)
義務教育における習字教育の振興に関する請願
(小坂善太郎君紹介)(第三四九七号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第三五八六号)
同(長谷川正三君紹介)(第三五八七号)
同(早川崇君紹介)(第三五八八号)
同外一件(赤澤正道君紹介)(第三六五六号)
同(綾部健太郎君紹介)(第三六五七号)
同(池田清志君紹介)(第三六五八号)
同(江崎真澄君紹介)(第三六五九号)
同(江田三郎君紹介)(第三六六〇号)
同(遠藤三郎君紹介)(第三六六一号)
同(小澤佐重喜君紹介)(第三六六二号)
同(池田正之輔君外一名紹介)(第三六六三
号)
同(小泉純也君紹介)(第三六六四号)
同(椎熊三郎君紹介)(第三六六五号)
同外一件(砂原格君紹介)(第三六六六号)
同(田村良平君紹介)(第三六六七号)
同(竹内黎一君紹介)(第三六六八号)
同(床次徳二君紹介)(第三六六九号)
同(中山榮一君紹介)(第三六七〇号)
同(永田亮一君紹介)(第三六七一号)
同(南條徳男君紹介)(第三六七二号)
同(西村関一君紹介)(第三六七三号)
同(馬場元治君紹介)(第三六七四号)
同(華山親義君紹介)(第三六七五号)
同(藤山愛一郎君紹介)(第三六七六号)
同(森田重次郎君紹介)(第三六七七号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第三六七八号)
同(内田常雄君紹介)(第三七三五号)
同(澁谷直藏君紹介)(第三七三六号)
同(池田正之輔君外一名紹介)(第三七三七
号)
同(加藤常太郎君紹介)(第三七三八号)
同(黒金泰美君紹介)(第三七三九号)
同(白浜仁吉君紹介)(第三七四〇号)
同(中野四郎君紹介)(第三七四一号)
同(原田憲君紹介)(第三七四二号)
同(堀川恭平君紹介)(第三七四三号)
同(三池信君紹介)(第三七四四号)
同(小川平二君紹介)(第三七八五号)
同(木村武雄君紹介)(第三七八六号)
同(塚原俊郎君紹介)(第三七八七号)
同(徳安實藏君紹介)(第三七八八号)
同(古井喜實君紹介)(第三八八九号)
同(山手滿男君紹介)(第三七九〇号)
同外一件(小川半次君紹介)(第三七九一号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の改正に関する請願(谷
口善太郎君紹介)(第三五九〇号)
教科書の国家統制排除等に関する請願(川上貫
一君紹介)(第三五九一号)
は本委員会に付討された。
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本日の会議に付した案件
公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の
幼稚部及び高等部の学級編制及び教職員定数の
標準に関する法律案(高橋重信君外九名提出、
衆法第三五号)
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部
及び高等部における学校給食に関する法律の一
部を改正する法律案(高橋重信君外九名提出、
衆法第三九号)
著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七二号)(参議院送付)
文教行政の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/0
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001・渡海元三郎
○渡海委員長 これより会議を開きます。
高橋重信君外九名提出の公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案及び盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。高橋重信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/1
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002・高橋重信
○高橋(重)委員 議員ただいま議題となりました二法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
すでに御承知のとおり、近来、幼児教育の重要性が認識されてまいりましたが、心身に障害を持つ幼児の教育は障害を持たない幼児の教育に比して、より一そう困難であり重要であることは論をまたないところであります。
西欧諸国では、特に心身障害のある幼児の教育が重要視され、多くの国においては当該教育施設が整備されていると伝えられておりますが、わが国においては、盲学校七十五校中三校、聾(ろう)学校九十八校中五十八校、養護学校百六校中二校に幼稚部を設置しているにすぎません。しかもその大部分は専任の教職員を配置せず、小学部の教員が兼任し、このため労働過重になっているのが実情であります。
また高等部の教育は、卒業後の職業生活に必要な専門的技能を授けるために大切な最終課程であります。
小学部及び中学部の学級編制及び教職員定数の標準は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律によって定められておりますが、幼稚部及び高等部にかかる学級編制及び教職員定数については何ら法律上の措置がなされていないのであります。
したがって、教員配置についてはきわめて劣悪な状態にあるのが今日の実情であります。
以上申し述べました実情にかんがみ、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の学級編制及び教職員定数の標準を定めることはきわめて緊要なことと考え、本案を提出した次第であります。
以下二法案の内容についてその概要を説明申し上げます。
まず、公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案について申し上げます。
第一は、学級編制の標準についてであります。すなわち、幼稚部にあっては一学級の幼児数を五人、高等部にあっては一学級の生徒数を普通学科十人、専門学科八人とすることであります。
第二は、教職員定数の標準についてであります。すなわち、幼稚部にあっては教諭、助教諭、講師、寮母、事務職員及び用務員、高等部にあっては校長、教諭、助教諭、講師、養護教諭、養護助教諭、実習助手、寮母、事務職員、技術職員及び用務員について教職員定数の算出方法を定め、幼稚部または高等部ごとに合計した数の百分の百七を乗じて得た数をそれぞれ設置者ごとの教職員定数の標準とすることであります。
次に、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、学校給食を実施する盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部に栄養士及び給食作業員を置こうとするものであります。
なお、これら二法案はいずれも公布の日から施行することとしております。
何とぞ十分御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/2
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003・渡海元三郎
○渡海委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/3
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004・渡海元三郎
○渡海委員長 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますのでこれを許します。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/4
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005・山中吾郎
○山中(吾)委員 著作権法の改正について御質問申しますが、この著作権法の改正の内容については、審議会において慎重審議いたしておりますので、内容そのものについては、これは審議会の審議におまかせをすることとして、その結論が出たときに当委員会に法案として提案になるので、それについてしさいに御質問をいたしたいと思います。したがって、それは別として、この著作権法の取り扱いそのものについて大臣のお考えを主としてお聞きしておきたいと思うわけであります。
これは実は昭和三十七年に著作権法を根本的に改正するということを前提として審議しておる閥に、著作権者が死後三十年を経て、そうして未一人あるいは子供が、具体的には著作権が喪失するので、印税をもらうことができないでその生活に脅威を与えるという心配があるので、暫定的に予想される審議期間三カ年を前提として三十年を一十三年にということで法案として出されてきたわけでありまして、議員立法で私提案を申し上げて、与野党がこれに賛成をされて、委員長提案に切りかえてこの法案ができた歴史を持っておるものであります。したがって、予想よりさらに審議が延びるというので、三十三年を三十五年にするという法案で提案をされております。したがってその趣旨から申しますと、文部省設置法に基づいてできた著作権の審議会の審議がさらに延びるという可能性も私はあると思うのです。国際的な問題でもあるし、各方面からの複雑な要望もあれば、あるいは法律的に検討すべき問題があるので、あるいは延びるかもしれない、そのときにはこの著作権の期間が過ぎることによって、その著作権の利益を受ける者が被害を受けるという関係で延長しておるものですから、さらに延長をするという心がまえがなければならぬと思うので、その点について、たとえば三十五年にして、さらに審議会の結論が出ないときにはまた若干延ばすという法案をお出しになる方針であるかどうか、それをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/5
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006・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまお話がございましたような経過で今回この法律案を提案いたしました事情はまさにそのとおりでございます。そこで今回二年間再延長いたしまして、その期間内に、現在の私どもの気持ちといたしましては、著作権制度の全面的の改正が今後二年間の間にぜひ実現するように極力努力をいたしたい、かように考えております。しかしただいまも御指摘がございましたように、いろいろの要素のある問題でもざいますので、諸般の事情によってそれがかりに不可能となりました場合におきましては、保護期間を暫定的に、今回も延長したという趣旨に伴いまして、延長中の著作権が消滅することのないように、そのときはそのときでの事情を考慮いたしまして何らかの措置をとる必要があるのではなかろうか、かように考えておるわけでございますが、ここにこの法案を提案いたしました以上は、今後二年間の間において何とかひとつ成案を得て御審議をお願いいたしたい、これが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/6
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007・山中吾郎
○山中(吾)委員 大体大臣の御方針が表明されたので、著作権者のなくなったあとの未亡人あるいは子供さんたちは安心をしておると思いますので、その線でひとつできるだけ二カ年の間に審議を完了されると同時に、万一完了しない場合には途絶をしないようにしてやっていただきたい、こう思うわけであります。
そこで、これは局長にお聞きしますが、その審議の方向の中で、国際水準であるところの五十年に延長する——写真とかその他特別のものは別にして、文芸作品その他のいわゆる中核的な著作権については五十年に延長するという方向にいっておるのですか、どうですか。これは方向だけでけっこうですからお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/7
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008・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 御承知のとおり、現行法では原則として保護期間は三十三年となっておりますが、すでにとられておりますこの保護期間暫定延長の趣旨を考え、また世界の大勢といたしまして、死後五十年を保護期間とするという情勢にございますので、ただいま審議中でございますけれども、この審議会の方向といたしましてもやはり世界の大勢にならって死後五十年に延長をするのが妥当であろうといういまの方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/8
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009・山中吾郎
○山中(吾)委員 それでは、次にさらに大臣に、これも基本的な思想の問題でありますので、審議会の審議に一応は一任をされておると思いますけれども、ある意味においては御指導願うべき立場にもあると思うので、お聞きいたしたいと思うのです。
著作権が発行後あるいは死後三十年存続するというのを五十年にすることについて、そこまで保護する必要はないじゃないかという論と、いや、もっと保護すべきであるという意見が常識的には分かれておるわけでありますが、その場合に、五十年も保護すればあとはいいという考えの底には、実はいろいろ矛盾があると思います。それは、もし五十年で著作権が切れた場合には出版会社が自由にその著作物を発行することができる、そして著作者に対して何ら印税に相当するものを支払う必要がない、野放しになるということになるわけですが、その場合に、いままでのその著作物に対する価格を下げないでそのまま発行していく慣行がすでにある。そうすると、著作権が喪失したあとには、出版会社がただその利益、恩恵を受けるにすぎないというかっこうになるわけであります。ところが一方に著作物というものは、一般不特定多数に対して大きい影響を与えるものであり、ある意味においては、ある優秀なる芸術品というのは、これは社会的な所有に帰すべきだという思想もあるので、その著作をした人を保護するという思想が、その著作物そのものは社会的性格を持っておるものであるから、社会的所有に帰すべきだという思想と調和したときに、三十年にするか五十年にするかという問題が出てくると思う。ところが一方出版会社のほうでは、早くその著作権の期限が切れることを期待するのは、その分だけ支払わないで利益になるという思想から著作権の延長に反対する。それから著作者自身のほうでは、自分の血族を守るという意味において延長を要求する立場もある。しかし私たちは、三十年にするか五十年にするかということは、その著作者を保護すると同時に、著作物を日本民族の文化財としても残すという公共的な意味を持っておるので保護する、ということが出ておるわけでありますから、その著作権そのものが喪失しても、少なくとも出版会社の利潤追求の材料にするということは私は反対でなければならぬと思う。したがってそのあとは、印税に相当する分は国に納めるとか、あるいは著作権協会という一つの民主団体があればそこに入れるとかということによって、その財源をさらに文化の発展のために寄与するような方向に使うという考えでないと、私は統一した思想というものが出ないのじゃないかと思うので、その点について、審議会のほうではどう論議されておるか知りませんけれども、希望的意見を述べれば、その著作権の存続期間がなくなったあとは、その印税に相当する分はいわゆる国または適当な団体に帰属をされて、それが文芸復興の財源として使用される方向に持っていくべきじゃないか。そういう思想が統一されたときに、五十年を長くはないということも言えるし、あとの矛盾というものも解決できると思うのですが、その点についての大臣の御意見と、それからやがては文部大臣の責任において法案が提案されるわけですから、それについての審議会に対する考え方を含んで御意見をお聞きしておきたいし、もしそういう一つの御意見があれば、結論が出るまでに何らかの形において指導的な役割りをされることを期待するものですから、その点を直接大臣からお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/9
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010・愛知揆一
○愛知国務大臣 この問題は現に審議会におきましても検討の対象になっているかと私想像いたすわけでございますが、まず期限の問題については、ベルヌ条約でございますか、そういう関係から申しましても、世界の大勢が五十年というようなことになっておる。この延長をどこまで日本の立法例においても認めるかということと関連する問題であると思います。その関連する問題にどう対処するかということについては、ただいま御指摘がございましたように、一つは私権の保護と申しますか、そういう点もございましょうし、それから社会的な公共のものであって、一般の文化水準の向上にどうやって役立てたらよいかということもございます。それから出版会社の利益ということに壟断されはしないかということも考えなければならない。いろいろな要素から考えなければならない問題だと思いますが、いまの一つの御提案は、いわゆる有償公有制度ともいうべきものかと思います。率直に申しますと、従来の審議会等の意見ではそこまでまだ十分検討は入っていないのではないかと思うのでございますが、またそれだけに有償公有制度というものについてはやや消極的な考え方も多いのではなかろうかとも想像されますけれども、将来の問題といたしまして、この二年間のさらに猶予期間を延ばしていただきますその間に、審議会はもとよりでございますが、審議会の意見も十分聴取しながら、私どもとしても成案を得るように努力をいたしたい、かように考えております。今日ただいまのところ有償公有制度を是なりとするか、否なりとするかというところまで的確なお答えをするまでに、私どもとしてまだ研究が十分積まれておりません。しかしいまお話がございましたようなことは重要なポイントの一つであると思いますので、今後とも十分慎重に検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/10
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011・山中吾郎
○山中(吾)委員 次にお聞きしておきたいのは、著作権というのはいわゆる民法上の私権であるかどうか。この辺についていろいろと学説が違うのだろうと思うのですが、普通われわれは無休財産権ということで頭に入っておるわけなんですが、一応文部省としては著作権の法的性格をどうお考えになっておられますか。これは局長でも専門家でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/11
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012・安達健二
○安達説明員 現在著作権法のとっております著作権に関する考え方は、ただいま御指摘ございましたように、民法上のいわゆる無体財産権という考え方でございますが、著作者の持っておる権利は、そういう財産権的な無体財産権というもののほかに、著作者たることを主張する権利あるいはその著作物を毀損変更されざる権利あるいは未公表の著作物を発表することを決定する権利、そういうようないわゆる人格権的な権利というものを合わせまして、いわゆる著作者の権利というように考えておりますけれども、著作権というものは財産権的なものでございまして、御指摘のとおりの無体財産権であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/12
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013・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると、実際に自分がそのものを書いていないけれども、団体がかわりに著作権を取得する、そういう場合に、出版会社とかあるいはある一つの官庁とか、著作権を団体に付与するというようなことも慣行としてあるわけですね。人格権ということになるとそれがちょっとおかしくなるわけですが、実際の著作者自身の財産権というものが主であって、一般の団体とか会社に対しては、それは本来は与えるべきものでないというふうな考えでいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/13
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014・安達健二
○安達説明員 ただいま御指摘の問題は、いわゆる法人、団体の著作権というものが成立するかどうか、こういうことのお話であろうと思います。原則といたしましては、著作物は生きた人間が書くとかいう著作行為がなければ成立しないということが一般的でございますが、その場合にその著作権を団体が譲り受けるということがたくさんあるわけでございます。そのほかに団体自身が原始的に著作権を取得することができるかどうか、これが大きな問題でございますが、その点につきまして現在の著作権法は必ずしも明確にはしておりませんけれども、団体名義の著作物についての著作権の保護期間は発行のときより三十年間という規定を置いておりますので、これが団体に著作権を認めたものであるかどうかは学説の分かれるところでございます。このたびの改正の際にその点もひとつ明らかにして、およそ団体自体が持ち得るかどうかについても何らかの形で明らかにすべきではないかということで検討が進められているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/14
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015・山中吾郎
○山中(吾)委員 その点私もわからないのですが、そういう方向でとにかく財産権的な考え方と人格権的な考え方を少し入れながら結論をお出しになるということですから、一応そういう方向以外にないだろうと思うので、それだけにしておきたいと思うのです。
そこで、とにかく私権的な性格であるので、これについての法律をつくる場合には非常に慎重に審議すべきである、行政庁が上からかってに著作権の性格であるとかなんとかいうことをきめることは不適当であるという考えの人がだいぶあるようであります。その審議をする場合についても、利害関係の人々、法律専門家、その他多くの人を集めて審議をすると同時に、その審議の過程の中間報告書その他については、いわゆる私権的性格があるので、著作権の団体その他に対しても全部配付をしてやって、その意見を多く聞いて結論を出すべきだ。ところがいままでの経過においてはこの審議は封鎖的であって、どうも私権に関する法律をつくる手続としては不適当だという批判が一方にあるようです。その点は現実にどういう行き方をしておるか、私は聞いていないわけですが、少なくとも審議の過程をつまびらかにして各関係者に送り、それについて意見を聞き、その意見を十分尊重して結論を出すというやり方が必要であると思うのですが、その点はどういうふうに取り扱っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/15
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016・安達健二
○安達説明員 著作権審議会が発足して以来三年になるわけでございますが、その間六つの小委員会に分かれまして、現在慎重審議を続行中でございますが、ただいまの審議会のもくろみといたしましては、ただいま御指摘のようなことにかんがみまして、審議会として最終結論を出す前に、総会に出しました各小委員会の報告を一般に公表いたしまして、関係団体にも送付いたしまして、また説明会、公聴会等も開きました上で、各方面の意向をも十分しんしゃくしつつ、単に団体のみならず、一般有識者の意見をも聞きました上で、審議会としての最終結論を出すようにしたい、こういう方向で審議を進めるということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/16
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017・山中吾郎
○山中(吾)委員 そうすると、審議の報告書は、いつごろ配付してやる予定になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/17
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018・安達健二
○安達説明員 ただいま申し上げましたように、六つの分科会に分かれておりまして、全部の分科会の結論はまだ出ませんけれども、とりあえず五つの分科会の中間報告のようなものを二十日過ぎごろ、あるいはさらにもう少しおくれるかもしれませんが、総会に報告をいたしまして、それを同時に一般にも公表し、あるいは関係団体にも送付いたしまして、またそれらの説明会も開く、こういうような方向で進めたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/18
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019・山中吾郎
○山中(吾)委員 そういう意見を聞いて、今度は著作権法一部改正法案を作成されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/19
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020・安達健二
○安達説明員 そうして、いわゆる著作権審議会全体としての意見をさらにつくり上げました上で、総会の答申が出るわけであります。その答申が出ましたあと、一本化の作業に移る、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/20
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021・山中吾郎
○山中(吾)委員 そこでその法案ができたときに、法案を一般に公開をして一年ぐらい法律専門家あるいは関係者の意見を聞いて、それから提案をするようにすべきだ、そういう論があり、要望があるわけなんです。そこで私は個人的な意見としては、十分定見はないのですけれども、そういう人の意見を聞きますと、これは私権である、民法上のいわゆる財産権であるから、いわゆる民法とか刑法の改正手続のようなとり方をとるのが妥当ではないか。ところが現在の文部省の審議のしかたというのは、文部省設置法に基づいて審議会を設定し、いろいろな意見を聞くが、その意見の答申に基づいて法案が出されれば、そのまま国会に提案をする、そういうことは、一般の行政法の公権というのですか、国家と個人との関係の法案の出し方であって、いわゆる民法の特別法という法案の出し方としては不適当ではないか。法案が出たあと公開をして皆さんの意見を聞いて出すべきではないかという意見が出ているので、私はそれもなかなか妥当な意見ではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/21
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022・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまの御指摘もごもっともな点があろうと思いますけれども、まあ何はともあれ、ただいまのところは、実は率直に申しますと、もう少し審議会がスピードアップして審議をして、中間答申なり、できるだけすみやかに答申を出してもらうことを期待しているわけでございます。しかし、一部には、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは私権であるという観点から、民法の改正と同じような取り扱いをしてはどうかという意見もあることを承知しておりますから、そういうことも考慮に入れまして、提案をいたしますまでに十分慎重な配慮と段取りはいたしたいと考えております。そのこまかい方法論をどうするかということについては、まだ確たる意見をまとめるに至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/22
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023・山中吾郎
○山中(吾)委員 この著作権法がつくられた当時は、旧憲法の思想で、いわゆる思想の自由、出版の自由とかいうものも法律の範囲内という思想のもとにあるから、いわゆる臣民の権利として公権的に見ておって、著作権というものも一種の特許権のような性格という法律思想で設定をされた。ところが、時代の進むに従ってだんだん著作権が学説としては無体財産権という非常に私権的なものに移っていき、今度は、新憲法になった場合には、思想、出版の自由というものが絶対的な人権として認められてきているから、完全に私権的な性格に移行してきている。したがって著作権法の設定手続そのものも根本的に考え直すべきじゃないかという考えなんですね。私はなるほどそれは妥当な考えだと思うわけです。したがって、いま、こういう著作権法の改正の手続は、当初明治時代にされた手続のつもりで、検討しないでただ審議会にかけて、その答申に基づいて文部大臣が法案をつくり、そのまま提案をするという考えのようでありますけれども、できた法案そのものを一般の民衆にさらしてそして提案をする、法案のできたあとに一定の期間、私権でありますから、いろいろな意見を聞くという手続が必要じゃないか、私はかように思うので、それを申し上げているわけです。それはまだ未確定であるということですから、それでけっこうですけれども、いまの文部省のこの法案を出すまでの、手続は絶対的なもの、当然のことだというお考えだけはお捨てになる必要があるのじゃないか。それで刑法改正、民法改正手続のようなことをやはり頭に置いて、同じような性格の民法の特別法的なものですから、お考えになるようにされたいと思って申し上げているわけです。よろしゅうごさいますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/23
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024・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまも申しましたように、御提案と申しますか御示唆に対しましては十分ひとつ頭に入れまして、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/24
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025・山中吾郎
○山中(吾)委員 次に、教科書関係の場合と著作権の関係についてはどうも矛盾があって私もわからないのですが、これは何か著作者から別に許可なくしても教科書の場合には幾らでも教科書の中へ持ってこれるようになっておるそうですが、どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/25
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026・安達健二
○安達説明員 現在の著作権法三十条におきまして、「普通教育上ノ修身書及読本ノ目的二供スル為二正当ノ範囲内二於テ抜萃蒐輯スルコト」、たとえば国語の教科書をつくる場合に、著作者の承諾を得ることなくただで収録がきる、こういうのが現行の著作権法でございます。ところが、音楽の教科書に他の人のつくった音楽の曲を載せる場合には著作者の許諾を受けて金を払って使う、こういう制度になっておるわけでございます。ところが、教科書協会と文芸家協会との間の話し合いによりまし、教科書協会におきまして国語の教科書の出版社から年額百二十万円程度のものを文芸家協会に払い、文芸家協会が文芸家協会所属の教科書に載せられた著作者の各会員に送付をしておる、こういうような状況でございまして、これを新しい制度にどのようにするかということが問題になっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/26
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027・山中吾郎
○山中(吾)委員 その条文はどこにあるのですか。何条ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/27
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028・安達健二
○安達説明員 現行著作権法三十条第一項第三号でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/28
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029・山中吾郎
○山中(吾)委員 三十条第三号ですね。「普通教育上ノ修身書及読本ノ目的二供スル為二正当ノ範囲内二於テ抜萃蒐輯スルコト」とあるから、ほかの教科書はできない。いまはどうしておりますか、修身書なんてないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/29
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030・安達健二
○安達説明員 修身書はございませんから、国語の読本と英語の教科書のリーダーがこれにあたるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/30
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031・山中吾郎
○山中(吾)委員 これはまだ審議中ですから、ここをどうということはないんですけれども、教科書の場合は検定制度とかその他のことといろいろ関係があるから、どういう方向で審議しているのか、知っておるだけを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/31
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032・安達健二
○安達説明員 現在は先ほど申し上げましたように国語の教科書と英語のリーダーについてだけ自由利用が認められておりまして、音楽、図画の教科書等については有償で許諾を受けなければならない、こういうことになっておるわけでございます。ところで教科書検定制度におきましては、いかにしていい教科書をつくるかということが問題でございまして、したがいましてある著作者の方が自分は教科書に載せることはいやだと申しますと、教科書についても最良のものができなくなる、こういうことがあるわけでございます。したがって教科書制度から申しますと、まず何よりもいい教科書をつくるために、編集が自由にできるようにすることが第一の要請であろうと考えるわけでございます。したがいまして、著作者といたしまして、載せるか載せないかについては、なるべく教科書の作成に協力していただくという意味で、言うならば許諾をしないでも使えるようにする、教科書としては許諾を得ないで使えるようにするということをまず第一に考える。それから使った以上はそれに何がしかのお礼を払うというようにしたらどうだろうか、ただし教科書に載ったことを発行者が著作者に知らせないでおいてはぐあいが悪いという意味におきまして、教科書に使うことについては自由であるけれども、それについては使う場合には事前に著作者に通知をしなさい、そして使った場合には何がしかの使用料を払いなさい、ただし教科書の場合であるから、これはできるだけ低廉にいたしまして、現在文芸家協会を通じて払っております程度のものにして、現在の教科書の価格に大きな変動を起こさないようにしたらどうだろうか、こういうことが現在考えられておる内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/32
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033・山中吾郎
○山中(吾)委員 それはぼくにとっては非常に重大に思えるんですが、国定教科書の場合については、ある著作物をこちらに移す場合についても、本人の承諾なしにも教科書の中に採択することができる。そのかわり手数料を渡すとか、そういう思想は国定教科書の思想ではないんじゃないか。いま民間で個人が教科書をつくって、そしてあとは検定という制度——検定問題はまた川崎君からいろいろ質問があると思いますけれども、そういう場合にいわゆる個人、私権として著作物に対する著作権が認められて、そういう思想の上に立って今度は法改正をするんでしょう。御本人の承諾なしに民間でつくる教科書に、かってにその著作物を掲載することができるという法的な措置はできるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/33
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034・安達健二
○安達説明員 これはドイツなどもそういう制度が考えられております。教科書制度の上で一番日本に似ておりますのは、検定制度をとっておるのはドイツでございます。そのドイツでこういう制度をとっておるわけでございます。そういう意味におきまして十分制度的に成り立ち得るのではないか。もちろん一応法律上は強制的に使えますけれども、事前にちゃんと通知をして、ここはこういうふうに直しますとか、そういうことは十分相談をした上でやる。そしてそれについてはちゃんと使用料を払う。現在の法律でいえば、読本については全然許諾なしに、通知もなしにただでやれぬという制度でございますから、それを一方ではいい教科書ができるようにする。そしてしかも著作者の意向も十分しんしゃくできるような制度をつくる。そしてちゃんとお礼も払う、こういう制度が一番妥当ではないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/34
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035・山中吾郎
○山中(吾)委員 質問は終わりますけれども、ドイツがどういう法体系からきておるかわからない。わからないけれども、たとえば、ある著作者が過去二十年の間に著作をしておった。その者の承諾なしに教科書に載せる。しかしその人はすでに思想が変わっておるし、それを出されるということは、現在の自分の世界観、人生観に合わない場合もあるだろうと思うのです。教科書に関する限りについては、無断で掲載できるということが一体できるかできないか。政策論は別ですよ。私は非常に疑問になると思うので、そういうふうな考え方で文部省が指導願っておるのでは不適当ではないか。またそういう問題があるから、法案ができれば、民法とか刑法改正の場合と同じように、できた法案について、一般の意見を聞く期間を置かなければ問題になるのではないか。そういう意味において先ほど申し上げておったわけで、審議官の御意見ではどうもそういう考慮がないようだし、西ドイツにそういう前例があるから、日本の国内法もそれでいいんだと単純に言われておるけれども、そう単純な問題ではないと思うのです。その点をどうされるかお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/35
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036・蒲生芳郎
○蒲生政府委員 ただいまの御意見でございますが、先生のおっしゃることもまた一つの貴重な理論だと考えます。ただいま審議官が申し上げましたのは、現在までの審議会の一応の意見でございまして、まだもちろん決定もいたしておるわけでございませんので、いまのような御意見もまた反映をするようにいたしまして、さらに慎重に検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/36
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037・山中吾郎
○山中(吾)委員 現在の委員の構成について、どういう構成になっておるのですか。それはどういうことかといいますと、ときどき委員の顔ぶれが変わって、最初の審議から終わるころにだんだんと委員がかわるようなことであっては私はだめだと思うのです。それからこういう民法上のいわゆる私権なんだから、そういう意味における専門家も相当入っていなければならぬ。その点はどういうふうに構成をされておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/37
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038・安達健二
○安達説明員 著作権制度審議会は、三十名の委員をもって組織する、こういうことになっておりまして、会長には前東京大学の教授で、現在立教大学教授の国際私法の権威でございますところの江川英文氏でございます。そして委員の中には、いわゆる先生御指摘の民法なり著作権法に関する学識経験者といたしまして、日本大学教授の東教授、それから前東北大学の教授の勝本正晃氏、それから国際公法の専門家といたしまして、東京大学教授の高野雄一氏、それから憲法の関係で一橋大学の田上譲治教授、それから民法の専門家でございますが、前に、東北大学教授で現在学習院大学教授の中川善之助博士、そういうようないわゆる民法、財産法の学識経験者でございます。それからさらにそれぞれの権利者といいますか、そういうような関係におきまして、文芸家協会の小説家の丹羽文雄氏、劇作家の菅原卓氏、評論家の渋沢秀雄氏、評論家の浦松佐美太郎氏、こういうような方々が入っておるわけでございます。それからなお学識経験者の中には、申し落としましたけれども、弁護士の戒能通孝氏、こういうような方々が入っておるわけでございます。さらにいわゆる使用者関係といたしましては、レコード協会の安藤会長、あるいはNHKの専務理事、最近おやめになりましたけれども、春日専務理事でございます。それから民間放送連盟の専務理事の酒井三郎氏、こういうような方々がございます。さらにいわゆる関係官庁の委員といたしまして、法制局の第三部長、それから法務省の民事局長、あるいは外務省の条約局長、こういうような方がございますし、さらに一般有識者といたしまして、近代美術館の館長の稲田清助氏、それから新聞協会の江尻進氏、それから先ほど申し忘れましたが、音楽家といたしまして音楽家連合会会長の紙恭輔氏、それから菊池豊三郎氏、それから国塩耕一郎氏、それから西条八十氏、それから前に通産次官をやられました玉置敬三氏、それから美術家連盟の理事長の田中忠雄氏、電機大学学長の丹羽保次郎氏、出版協会の講談社社長の野間省一氏、日本放送協会の著作権法の権威野村義男氏、作曲家組合の委員長の服部正氏、それから東宝株式会社の副社長の馬淵氏、以上申し上げましたような三十名の方をもって組織されておるわけでございます。特に当初からの方が大部分でございまして、委員の方がなくなられたとか、久保田万太郎さんがなくなられたあと、そういうような方の補充、あるいは地位がお変わりになったということの変更はございますけれども、ほとんどの方は従来からずっと引き続いて御審議を願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/38
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039・山中吾郎
○山中(吾)委員 委員の顔ぶれはみんな古い人ばかりですし、旧憲法感覚の人ばかり集めておるんだが、新憲法に基づいて著作権法を改正しているのだから、もう少し新憲法を勉強した人を入れるべきじゃないのですか。そうしてなくなった人が何人かあるならば、補充する場合にはそういう人を入れて、結論が出るまでには、それは出版の自由というふうなものについて制限された、臣民の権利として規定した旧憲法時代に規定された著作権だから、そういうものでない新憲法に基づいて改正するのだから、そういう感覚の人を入れないと、私は結論に間違いが出ると思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/39
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040・安達健二
○安達説明員 私どもといたしましては、もとよりこれはすべての方々がいわゆる新憲法も十分に御理解になり、そして全般的な、単にその方面だけでなくて、広く学識経験豊かな方々であると信じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/40
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041・山中吾郎
○山中(吾)委員 いずれにしてもその結論を、法案ができるまでに、一般にいろいろと自由に意見を述べる機会をつくって、そして間違いのないようにしていただきたい。それが私の質問の要点です。それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/41
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042・川崎寛治
○川崎(寛)委員 関連して。
先ほど審議官のほうから、使用する場合著作権者に事前に連絡をとって使用料を払う、こういうふうなことを言っておりました。これはすべてのものに関してそういう方向に改めようというのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/42
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043・安達健二
○安達説明員 ただいま審議会での審議の様子をお知らせするという意味で御紹介いたしたわけでございます。ただいまのは教科書——小中高等学校の検定教科書についてだけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/43
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044・川崎寛治
○川崎(寛)委員 私、新聞でときどきトラブルとして出ております、あるいはNHKとか民放等の放送を聞いていていつも感ずるわけですけれども、たとえばレコードなんかですね、これはいまどうなっているのですか、著作権は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/44
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045・安達健二
○安達説明員 現在は三十条八号によりまして、レコードを興行または放送の用に供することは自由であるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/45
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046・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それはしかし著作権の保護という立場からいくならば、おそらくNHKができた当時、そういう公共の機関としての保護あるいは育成という意味からそういう法律の趣旨があったと思うのですけれども、しかしそのことは新聞等でよく見られる、いまあちこちでトラブルを起こしておる根本の原因じゃないかと思うのです。それから著作者あるいは演奏家、そういう人たちの権利の侵害というふうに思えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/46
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047・安達健二
○安達説明員 その点につきましても現在審議会で慎重に審議をされておりまして、むしろそういう場合に著作者あるいは実演象についての権利を認めるべきではないか、こういうような考え方が有力のように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/47
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048・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、これは欧米では非常にこういう点の権利の擁護という点は進んでおると思うのです。一九五八年のローマ条約ですね、レコードとかそういうものに関する——これは日本は承認しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/48
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049・安達健二
○安達説明員 現在まだ日本は入っておりませんし、世界的にも入っている国はまだごくわずかでございまして、イギリスとかスエーデン等、ごくわずかな国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/49
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050・川崎寛治
○川崎(寛)委員 この点は大臣も先ほど山中委員の質問に対して答弁されたわけですが、二年間延長する、その間に審議会の委員の人たちが少しスピードアップしてくれ、こういうふうなことだったわけですが、世界的に見れば、ベルヌ条約の改定がブラッセルでやられ、さらに来年はストックホルムで条約改正も行なわれる、こういうふうな方向に進んでおると思うのですね。そうしますと世界的にもそういう条約関係が進められておる、そういう中に、二年間という期限を限って、先ほどから言われておるようなそういう権利を十分に守っていく、正しく保護していくというふうな点について、二年間で十分にできるのかどうか、あるいは二年間というふうに限ったのはなぜか。その点、山中委員に対する大臣の答弁は決して明確でなかったと思うのです。もう一度お願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/50
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051・愛知揆一
○愛知国務大臣 それはすでに三年間延長になっておりますところをさらに延長をお願いしなければならないということは、まあ率直にいって私どもとしては残念なところでありますが、過去三年間の状況を見まして毛、先ほど来いろいろ御意見がございますように、実にこれはむずかしい問題なんでありますが、しかし相当研究も進んでおりますから、今後二年間でもって何とかひとつ提案を新しくいたすだけの準備を促進したい、こういうわけで二年間とみずから制約をつけたようなつもりでございます。しかし、先ほど山中委員の御質疑がございましたが、万々一にもいろいろの点でさらに不十分なことがあったり、あるいは私権というような法律問題等もございまするので、そういうところで万々一にもこの二年間でぐあいが悪いということでございますれば、何らかの措置をしなければならない、しかしそれはあくまで例外的で、われわれ、しては二年間でひとつ絶対に御提案申し上げたい、こういう気持ちでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/51
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052・川崎寛治
○川崎(寛)委員 最後に、いま大臣がいわれましたように、二年間と一応限って解決していきたい、こういうことでありますが、そういう国際条約の動向もありますし、あるいは先ほど来の趣旨からいたしましても、使用者あるいは権利者、そうした者の意見というものは十分にくみ入れられて慎重に検討された上で進められますことを要望しまして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/52
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053・渡海元三郎
○渡海委員長 他に質疑はございませんか。なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/53
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054・渡海元三郎
○渡海委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
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〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/54
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055・渡海元三郎
○渡海委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/55
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056・渡海元三郎
○渡海委員長 異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/56
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057・渡海元三郎
○渡海委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/57
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058・川崎寛治
○川崎(寛)委員 特に大臣にお尋ねしたいのですが、最近教科書の検定の問題、あるいは採択の問題をめぐって相当大きな議論がなされておる。そのことについては大臣もすでに御承知だろうと思います。特に教科書の検定の問題について、採択の問題は後ほどまた触れてまいりたいと思いますが、検定の問題について文部省のやり方というものが憲法違反だ、こういうような強い意向も示されておるわけです。今日もこういう意見が強力に出されてきておるということについて、大臣はどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/58
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059・愛知揆一
○愛知国務大臣 まず教科書の検定につきまして、政府というか、文部省のとっている態度が憲法違反云々というようなことについては、私はさようなことは絶対にいたしておらないつもりでございます。これはただいま川崎委員からも御指摘ございましたが、特にある人が著書を書いたりあるいは新聞その他に投稿しておる、そして憲法違反というようなことを主張しておられるというようなことが、何と申しますか、論議の対象になっておるのであって、こまかい点につきましては政府委員からも御答弁申し上げたいと思いますけれども、私はこうした方の、何と申しますか、主観的な独断的な意見であって、私どもとしてはさような態度は毛頭とっておりませんし、そういう方の御主張というものについては、私としては非常な抵抗を感じておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/59
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060・川崎寛治
○川崎(寛)委員 大臣は抵抗を感じられておるようでありますから、当然にそういうものについては目を通された上での御意見だと思います。
そこで具体的に申し上げますならば、高等学校の歴史の教科書を書かれた家永三郎先生が「新日本史」新訂版の検定に関する経緯というのを出しておられますけれども、それについて読まれたか、あるいは最近朝日ジャーナル等でも繰り返しこういう点について触れられております。さらにはエコノミストにも家永先生が「おそるべき教科書問題」、こういうことで書かれておりますが、そうしたものについて大臣自身どれか目を通されたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/60
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061・愛知揆一
○愛知国務大臣 家永教授という具体的な名前をお取り上げになられましたが、家永教授は最近著書も書いておられます。それから朝日ジャーナルその他新聞、週刊誌等にも投稿されております。これは私も非常に重大な問題でございますから、私としても一応目は通しておりますけれども、先ほど申しましたように、私どもとしてはこれは当たらざる意見である。われわれとしてはこういうふうに問題を取り上げられるということについては、先ほど申しましたように非常な抵抗を感ぜざるを得ない。率直にこのように感ずるわけでございますが、その一つ一つの具体的な問題等につきましてはひとつこちら側の考え方、やり方等については政府委員からも十分意見を聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/61
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062・川崎寛治
○川崎(寛)委員 まあたいへん抵抗を感じておる、こういうことでありますが、抵抗を感ずるということは、やはり従来のそうした当然に通っておった意見というものが、改訂をされて、あるいは阻止をされて、事前調査をされて、たいへんに問題をはらんできておる。そういうことを指摘されたことに対して抵抗を感じておられるのだろうと思います。たとえば具体的に申しますならば、三十八年度の改訂に申請をして不合格になった。さらに調査官の方といろいろやりとりをして、あとで修正をして三十九年にようやく通っておるわけでありますけれども、その中で一番問題になっておりますことは、これは大臣は非常に抵抗を感ずるというのですが、私は文部省が進めるほうに抵抗を感ずるわけです、それは何か、具体的にこの中に出てまいります。たとえば学徒出陣の問題です。そういう写真の掲げ方が悪いとかいう指摘をしておるわけであります。私は大東亜戦争には、太平洋戦争には第一回の学徒出陣でいったわけですが、私は身をもって体験してきておるわけです。そうしてその中で太平洋戦争というものを明るいものだとはもう決して感じておらぬわけです。そのことは憲法の前文にも明らかに「戦争の惨禍」ということで明確に反省をし、そのことを再び繰り返さないための決意というのが憲法の中にも示されておるわけですね。ところがこの家永教授の原稿に対して調査官があれこれと条件をつけております。その中を見ますと、太平洋戦争を明るく書け、こういう要求がなされておるわけであります。太平洋戦争を明るく書けと、そういうことについて文部省として意思統一をなされておるのかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/62
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063・福田繁
○福田政府委員 ただいま御指摘になりましたことに関連いたすわけでございますが、具体的に家永教授の著書についてお尋ねでございますので申し上げたいと思いますが、私ども教科書の検定に関係いたしております立場から申しますと、これは学校におきまして主たる教材として使う教科書でございます。したがって、教育的な配慮がなされておるかどうかという点が一番主要な点でございまして、学習指導要領に準拠しておることと、もちろん教育的な配慮がなされておるかという点が中心でございますが、個々の一字一句をとらえてからこれ言えば、これはいろいろな理屈もございます。どちらからもあろうと思います。要するに教科書全体の仕組みなりあるいは記述の内容というものが教育的に妥当であるかどうかということから判断をすべきであろうと思います。そういう点から申しますと、残念ながらこの家永教授の歴史教科書なるものは、方々たくさんの個所においてそういう妥当な配慮がなされていないというような結論が審議会においても出されたわけでございます。したがって、そういう多くの点についてこれを修正してもらいたいという要望が出たわけでございます。その修正要望に従って調査官がこれを著者なりあるいは教科書出版会社に対して伝えて修正を願ったわけでございます。結果においては、これは相当たくさんの個所がございましたが、三十九年度においては合格ということになったわけでございます。いま御指摘のありましたのはその中のごく一部だと思いますが、決して太平洋戦争を明るく書けというような指示は私はしなかったと思います。ただ教科書の中には、原文には無謀な戦争というような表現がございまして、特別にそういう立場からこの太平洋戦争の記述というものがなされておったようでございます。したがって、そういう記述についてはもう少し教育的な配慮をして書いてほしいという注文はいたしたと思いますが、御指摘のありましたような表現をとれということは指摘していないと私は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/63
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064・川崎寛治
○川崎(寛)委員 昭和二十七年から高等学校の教科書として使われてきていた本です。それが三十八年に改訂をする際に申請をして不合格になった。そうしますと、二十七年以来使われていた本が三十八年になって不合格になり、ようやく修正をして、妥協といいますか、その文部省の意見をのんだからようやく三十九年にパスをした、こういうことになるわけですが、二十七年から使われていたものが今度の時点でなぜ不合格になったか。その点はつまり検定制度の改定というものに基準があるのか、使われていたものがだめになったその根本は何か、どこがそういうことになったのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/64
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065・福田繁
○福田政府委員 この家永氏の歴史の教科書につきましては、もう少し過去にさかのぼって考える必要があろうと思いますが、問題は三十一、二年ごろからの問題でございます。検定のたびにこの家永教授は新版というような形で、過去の検定の際においても再々こちらから修正をお願いしたような個所、あるいはまたそういう過去において合格いたしましても、検定の際に削除されたようなそういう点を再びあるいは三たびこれを持ち出して、そうしてそこで新訂版としていろいろ新しい教科書をおつくりになる、こういうような態度で続けてこられたわけでございます。したがって、三十一年ごろからこの教科書につきましてはいろいろな修正意見が審議会でたくさん出ております。しかも、これは一々あげるわけにはまいりませんけれども、そういう問題がありまして、そうして三十八年にはその改訂版が不合格になっております。ところでまた三十九年に新改訂版として出てまいりました「新日本史」というものは、やはりいままでのずっと三十二年ごろからのいろいろないきさつのある問題につきましても、やはり同じような立場で主張されておるように見受けられるわけでございます。したがって、文部省に置かれております教科書検定審議会におきましても、やはり従来からのいろいろないきさつというものを考え、また記述されておる内容がもう以前において出版会社あるいは著者との間でいろいろやりとりのあった問題でございまして、決していまに始まった問題ではないと私は考えております。そういう点から特に検定が強化されたとか、一部の方々が言っておられますような国家統制が強められたといふようなことではなくして、この歴史教科書自体についての、この記述のしかたあるいは性格の問題というものが根本にあるということを御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/65
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066・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それは家永教授が、つまり文部省が意図する方向に自分の学問的な良心というものを変えていかないということ、であって、それは文部省にとっては好ましくないことであろう、あるいは憂うべき教科書として指定をする精神の根本ではないかと思います。ですから、言うことを聞かぬで何べんも出してきたからけしからぬとか、文部省の言うことに従わなければけしからぬのだ、好ましくないのだ、こういうふうなきめ方というものは、これはあとでまた少し突っ込んでまいりますけれども、そのことがたいへん問題だと思うのです。
そこでさらに、家永さんのその中に出てきております、あるいは調査官等が指摘をした問題等で明治憲法の評価の問題もあるわけです。明治憲法の非民主的な点というものを指摘をすれば、そのことを隠せというか、そのことを削除して、もっと、アジアで一番最初にできた憲法だから、こういうふうなことで、そういう面を強調させようとしておる。これは、明治憲法と日本国憲法の違いを考えます場合に、その調査官自体が指摘をしたその問題そのこと自体も問題でありますが、明治憲法と戦後の日本国憲法とその根本において違う点、それは基本的人権の保障の問題だと思います。そうした点について、憲法調査会の委員をしておられた大臣でありますから、明治憲法と新しい日本国憲法とのその民主性というものを比較した場合にどう判断をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/66
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067・愛知揆一
○愛知国務大臣 私として申し上げたいのは、教科書というものについて、家永氏はじめ言っておられるような特定の歴史観といいますか、主観を強制するというような意図を持っているものではない、ということが一番大事なところではないかと思います。
それから御承知のように、検定については審議会というものがあって、これによって十分審議されるわけでありますから、かりに、たとえば個人的に抵抗を感ずるものがあったとしても、それを押しつけるというようなことは私は全然やったことはございません。
さらに私の憲法に対する意見というようなこともお取り上げになりましたが、それとこれとは別問題でありまして、私は個人的に日本憲法についていろいろの所見を持っておりますけれども、それだからといってそれを押しつけるということは、いま申しましたように全然いたしておりません。
なお、つけ加えますれば、私はかねがね公にも言っておりますように、現行憲法の特色というものは、それこそほんとうにそれを国民の中に十分根づけがされるようにしなければならない、そういう点からいっても、ほんとうにこの憲法の精神を守るものはだれであるか、私はあえて私もその一員である、かような所見を持っておるくらいでございますが、憲法論についてはまた別の機会に必要があれば十分ひとつ私の意見を聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/67
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068・福田繁
○福田政府委員 私冒頭に申し上げましたように、あくまで教科書でございますから、子供に与える教材として適当かどうかという観点から検定が行なわれるわけでございます。したがって一般の学術論文だとか、あるいは専門書というようなものをお書きになる場合は、これはもちろん自由にいかなる学説、いかなる考え方が述べられようとも、それは自由でございますが、教育の場において使われる教科書としては、やはり全般的な立場で考える必要があろうかと思います。いまの明治憲法の取り上げ方にいたしましても、たとえば一例をあげますと、明治憲法は秘密の権化であるというような観点から記述がなされております。あるいはまた新憲法と比較しまして悪の根源だ、こういうような考え方で記述されることはこれは適当ではない、こう考えるわけでございます。もちろん明治憲法には明治憲法の特色がございます。現在の憲法には現行憲法としての特色がございます。こういうものを端的に比較なさることは子供にも有益でございますので、そういう意味において教材として使われることは私ども適当であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/68
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069・川崎寛治
○川崎(寛)委員 原稿が申請をされて、それに対していろいろの手続をとって不合格ということになるわけですけれども、その場合に問題点というのは文書で示されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/69
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070・福田繁
○福田政府委員 問題点につきましては調査官が口頭指示をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/70
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071・川崎寛治
○川崎(寛)委員 これは後ほどもう少し憲法論は別の角度からまたいたしたいと思いますが、学問の自由であるとか良心の自由であるとか、そうしたいろいろな憲法の根本に関する問題がありますから、これは後ほど愛知文部大臣の御所見もとっくりと伺わせていただきたいわけでありますけれども、この不合格の理由は、やはり口頭では、言ったの言わないのといろいろと問題があると思います。ですからその点はやはり文書で、これは文部省が偏向であるとか、あるいは学者が偏向であるとか、両方で水かけ論をやらないためにも、あるいは国民一般からもフェアに議論をしてもらうためにも、この点は当然不合格の理由なりあるいは修正しなければならないそういう条件、A条件にしても、B条件にしても、そういうものはやはり根拠を、文部省としての見解を明確にして、著作者と、それから出版者には明示をすべきだと思うのです。そのことが今日文部省が国家統制を進めつつあるという非難を避けるためにも私は大事だと思います。そのことが民主主義の根本だと思いますので、その点についてひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/71
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072・福田繁
○福田政府委員 ちょっと大臣がお答えになります前に、現在のやり方を御説明申し上げたいと思います。
私ども指示をいたします際に、なるべく公正なやり方をいたしたいというのでいろいろ苦慮いたしておりますが、何しろいろいろな記述のしかたにつきまして、いろいろな意見がたくさん出ますので、一つの教科書について何百カ所というような大小の修正個所が出てまいります。一々これを文書でやるということもできませんので、口頭で指示をいたしますが、その際に必要な場合は速記を許すこともございます。またテープに入れまして録音をとるということも場合によっては許すこともございます。決して一方的に何か押しつけてやっているというようなことではございませんので、できる限り公正なやり方をいたしたいというので、会社側にも、あるいは必要がある場合には著者に来ていただいて、調査官と相対して話し合いを願う、そういう機会をつくっていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/72
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073・愛知揆一
○愛知国務大臣 手続についてはただいま局長から申しましたとおりでございますが、たとえて言えば、率直に言って私が直接に検定についてこうやれというような指示をしておることは全然ございません。私のいままでの経験におきましても、公正、中立であらなければならないという教科書の本質から言いまして、園児の御期待に沿うように最もよい方法を守っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/73
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074・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと最も公正であり中正である、そういう立場を貫いていただきますためにも、速記を許すとかテープレコーダーを使わせるとかいうことではあるのでありますが、もっと制度的に、何百カ所もあればあるほどひとつ文書で明示をして、そのことについて明確にし、また文書で回答するなり十分に説明をして、納得していただける制度というものが必要だと思います。ですから不合格の理由あるいはチェックする理由というものについては、ひとつ文書で根拠を示して出すように大臣のほうで取り計らっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/74
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075・愛知揆一
○愛知国務大臣 この教科書の問題というようなものは、たとえは悪いかもしれませんが、団体交渉的に扱って、これはこうじゃ、これはこうじゃと文書でやりとりをするというようなことはできない一少なくとも不適当なことであろうと考えております。それからまた文部省が文書でもってどうこうというようなことで、基準をつくれというような話があったように思いますが、それこそ教科書を一方的に押しつけた内容にせよということになるのじゃなかろうか。したがって、その辺のところは、根本の精神が大切であって、中正な教科書はどうやったらつくれるであろうか、これは私は現在の教科書検定審議会の運営がいい方法であり、これに信頼していくことが一番いいやり方である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/75
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076・川崎寛治
○川崎(寛)委員 先ほど局長は家永さんの問題でもいろいろ問題点について指示をしたということであったのですが、こういう不合格の理由とか、チェックする必要があるときには、これは審議会できめるのですか、調査官同士で合議の上できめるのですか、それとも調査官個人の意見でやっていけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/76
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077・福田繁
○福田政府委員 実際に現在動いておるシステムをこまかい点まで御理解いただき得ないのじゃないか、そういう気がいたしますので、ちょっと説明させていただきますと、原稿がまいりますと、これは現場の教師あるいは大学の専門家等を入れました三人の調査員で検討するわけで、それに対して意見が出てくるわけであります。それから別に文部省の調査官が調査をいたしまして、その意見と両方を検定審議会に提出いたしまして、審議会のそれぞれの専門的なお立場の方々が検討されるわけであります。そうしてその意見あるいは独自に審議会できめられました意見に基づいて、こういう点を修正したならばこれは合格させても差しつかえにないだろうということになりますと、その修正していただく個所がきまるわけであります。それを文部省の調査官から会社側に対して連絡をして、これは修正していただきたいという点を指示するわけでございます。そういう手続になっております。したがって御懸念のような調査官が合否をきめる、そういうことではございません。これは検定審議会が独自の判断に基づいて決定をするわけでございます。そういう仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/77
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078・川崎寛治
○川崎(寛)委員 いまの局長の答弁でまいりますと、組織の運営からいきますと、審議会から調査官、こういうことではなくて、審議会は独立ですね。そうしますと、現場におります六百数十名、これは名簿はくれと言ったけれどもくれないので、資料として数字だけはあがってきておりますが、現場におります調査員にその原稿がおろされるわけですね。調査官というものは、文部省設置法に基づいて文部大臣、初中局長、それから教科書検定課長、調査官、こういう組織運営になります。ところがいまの局長の答弁では、おまえなんか知らぬだろうということの形で言われたわけですけれども、そうじゃなくて、いま説明ですと、調査官は、審議会と著作者なりあるいは出版社の間にあって、単なる橋渡しの役目しかしてないんだという機能を説明しておられる、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/78
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079・福田繁
○福田政府委員 そのとおりでございます。教科書の原稿について申請がございますと、一番最初に、まず文部大臣はこれを審議会に、合格さしてよろしいかどうかということを諮問するわけでございます。形としては、諮問を受けて審議会が先ほど申し上げました調査員におろして、現場の教師あるいは専門家から教育的にこれは妥当であるかどうかというような点を主として調査されるわけであります。同町に、文部省としては、学習指導要領をやはり守る必要がございますので、専任の調査官を置きまして、この調査官が専門の立場からそれぞれ教科にわたって一応の調査意見を付して、両方の意見を出すわけであります。きめました修正意見というのは、そうなりました場合には、これは審議会の意見であります。それを調査官が会社に対して御連絡を申し上げ、したがって審議会の意図を体して調査官がその修正なら修正の衝に当たる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/79
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080・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そういたしますと、調査官は、原稿の申請があったときに審議会にかけられますね。そうして調査員におろされる。それから問題があがってくる。その問題があがってきたことに対して審議会が一つの方向を出す。それを業者なり著者なりに伝達する。あるいは場合によっては意向も聞く、こういうことになりますね。そうしますと、調査官は、申請があがってきたときに、そして審議会のほうから問題を示されたときに、つまり調査していま言った組織運営を通して審議会からおろされてきたときに、それに対して橋渡しをやる。ですからつまり私のお尋ねしたいことは、問題ごとに、しかも申請をあげられてきたときに、審議会のほうへ問題が提起されたときに、それにしたがって作業をする、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/80
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081・福田繁
○福田政府委員 審議会にかけた後はそのとおりでございます。その以前において調査官として独自の調査をいたしますが、その意見が必ずしも審議会に認められるとは限らないわけでございます。かりに十の意見がございましても八つしかいれられなかった、あるいは五つしかいれられなかったということもございますので、そうなりました場合には、それは調査官としては、審議会できめられた意見に従って相手方の会社に対して指示をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/81
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082・川崎寛治
○川崎(寛)委員 独自の調査をされる、こういうことですね。そうしますと、その場合に、これは後ほどこまかく検定の規則と基準の問題についても触れてまいりたいと思います。あるいは学習指導要領の合法性なり合憲性なりというふうな問題についても、少しく触れてみたいと思いますけれども、調査官があらかじめ一つの判断の基準というものをみずから示して、こういう方向に教科書は書いてほしいのだというふうなことをする権限があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/82
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083・福田繁
○福田政府委員 個々の調査官はそういう権限はございません。文部省できめておりますこの検定基準、これは抽象的なものでございますが、内容の正確性とかあるいは立場が中正であるかとか、いろいろごさいますが、そういう検定基準のものさしに従って検定をするわけでございまして、しかも一人でやるわけではございません。したがって個々の調査官がそういう考え方で教科書を検定するとか、あるいはつくるというようなことは、これは考えられないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/83
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084・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは、一九六四年の七月号の初等教育資料、ここで渡辺調査官が「発達段階からみた社会科の教科書」、これはすでに初中局のほうには資料要求をしておりますから、検討しておられると思いますけれども、この中の十七ページで、渡辺調査官はこういうことを言っているのですね。「歴史教科書で望みたいこと」、私は特に社会科の関係でいきたいと思うのです。物理学やその他でもたくさん問題がいま提起されておりますけれども、時間もございますから触れていきたいと思いますが、この中で渡辺調査官は、「小学校六年の歴史分野ではたとえば次のようなことをわたくしは考えているが、」次のようなことを考えているということですよ。いま局長の言ったそういう姿勢とは違うのです。教科書については次のようなことを考えているのだ。で、「なお関係者の間でじゅう、ふん検討したいと思っている。」その中には、いま紀元節の問題もたいへん大きな、国民的な関心を呼ぶ政治問題になっているわけですけれども、「日本の神話伝説は遠い祖先の感情、信仰、生活を伝えているので、日本の統一に関連する伝承は、なるべくとりあげ、たとえば、天照大神(伊勢神宮)、神武天皇、日本武尊、神功皇后などにふれたい。」こういうことで、今日国家の起源の問題については学問的にもすでにもう問題が指摘をされている、そういうことについて一調査官か次のようなことを歴史教科書で望みたいんだ、また考えているんだ、つまり調査をする判断としてそういうことを考えているわけです。「大日本帝国憲法については、わが国ではアジア諸国に先んじて制定されたことにふれたい。」さらには日露戦争の問題であるとか、乃木希典、東郷平八郎、これは期待される人間像に入ってまいるのでしょうけれども、そういうものを取り上げよう。あるいは戦争の呼び名の問題であるとか、天皇あるいは皇室そういうものについても積極的な打ち出し方をしておるわけです。こういうふうな一調査官が、こういう立場で、つまり一つの学問的な面においても非常に問題とされておるそのこと自体を、文部省の調査官自体が、教科書調査の根底において考えておるということは、許されることですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/84
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085・福田繁
○福田政府委員 私、この書いております論文を読んでみたのでございますが、これは最初に断わってございますように、この記述は、教科書の検定に長い間携わってきた調査官が、自分のいろいろこれについての見方や感想を書くのだ、そして参考にするのだという趣旨に書いてございます。そういうことでございますから、これは別に、調査官自体の個人的な論文と見て差しつかえないと思いますが、いま御指摘になりましたようなところまで意図して書いたのかどうか、それは私も存じません。しかし、これを見た範囲におきまして、日本の神話あるいは伝説等の扱いでございますが、これは現在の学習指導要領の中におきましても、古典の中にあらわれてくる神話、伝承などについてもこれを正しく取り扱って、当時の人々の信仰だとか祖先の方々のものの見方、考え方というようなものについては教科書の中で十分正しく取り扱っていくべきだという趣旨のことが、学習指導要領にございます。したがって、そういう趣旨から申しますと、日本の神話、伝承というものを教科書なり教材の中に正しい位置づけで取り上げていくということは、これは適当な配慮ではないかというように私も考えております。この中に書いてございますいろいろなこともございますが、これらは、やはり戦後の教科書について二面において欠けておった点もございますので、そういう点については渡辺調査官個人としてはこういう感想を漏らしたものである、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/85
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086・川崎寛治
○川崎(寛)委員 私は渡辺調査官がどれくらい歴史の専門家であるか知りません。しかし大体私と変わらぬ大学の卒業年次のようであります。あるいは私よりちょっと先輩かもわかりませんが、しかし、そういう人が、これは中をこまかく言うのではないのですけれども、少し文部省の官僚として思い上がっているような感じがここには出ているわけです。今日、朝永振一郎博士が書いたものが問題になってみたり、あるいは小野博士もそういう点について物理学の面で問題を指摘をされております。今日学術会議自体が、この教科書の検定問題について重大な問題として取り上げているわけです。おそらく、ことしの三月一日、いろいろと学術会議の学問思想の自由委員会の人たちが集まってやられたシンポジウムについては、大臣あるいは局長等もいろいろ検討されておると思うのです。しかし、今日、一部の学者だとかあるいは一方的だとか言われることではなくて、学界の多くの人たちが教科書検定の問題について重大な関心を示し、教科書が国家統制の方向に行くことを憂えているわけです。それがただ単に憂えているのではなくて、もう実質的には国家統制なんだ、こういう点を学者の皆さん方は指摘をしておられるわけです。これは歴史を振り返ってみますときに、明治十九年から明治三十六年までが検定制度、それから三十七年から昭和二十三年までが国定制度であったわけです。といたしますと、愛知文部大臣も私も国定教科書で育ったわけです。そのことについては、大東亜戦争を、立場はどうであろうとも経験をしてきたものとして、そういう教科書の検定制度についても、特に今日政府与党の指導者であり、文教行政の最高責任者として、文部大臣も先ほど言われたように慎重に対処するお考えだと思うのです。ところが、歴史から学ばないものは歴史を再び体験するように定められる、アメリカ人はあまりにも歴史を知らなさ過ぎる、これはベトナムの問題でのエドガー・スノーの発言でありますけれども、われわれは歴史から学ばなければ誤りをおかし、民族百年の大計を誤ることになる。私がこのことを言いますことは、明治三十七年に検定制度から国定制度に移ったわけですけれども、すでに国定制度に移る前に修身が押しつけられてきたわけです。三十七年に国定制度、三十七、八年の日露戦争、こういうぐあいに歴史は進んでおるわけです。そういたしますと、今日、二十四年から検定制度であったものが、三十一年に教科書法案を出して、そのときにこの法案は廃案になっておるわけでありますけれども、その秋に調査官制度というものが置かれ、実質的に行政運営の面で教科書の統制支配というものが強力に進められてまいっておるわけです。この経過、あるいは今日憲法の空洞化——この点についてはいろいろ御異論もあろうと思います。しかし、憲法の空洞化といわれるこのときに、ナチス自体がどういう経過をたどったかということを振り返ってみますならば、そういった点もわれわれは深刻にやっぱりそこから学ばなければならない点があるのではないかと思う。ワイマール・憲法の崩壊過程というのはおそらく愛知文部大臣は若い青年として見られたと思うのです。ドイツにおけるこれを見ますならば、憲法が存在していながら実質的に憲法の存在価値をなくす授権法案というものが——国民及び国家の危機を除去するための法律、通称授権法といわれる法律が一九三三年の三月二十四日にはドイツ議会を押し通って、そして憲法の空洞化というものが行なわれてきたわけであります。これは四カ年間の時限法であったわけでありますけれども、一九三七年にはさらに延長された。この国民及び国家の危機を除去するための法律、ナチスが合憲的に独裁権を握っていったその法案の形成過程、制定過程というものを見ますと、先ごろの予算委員会で問題になりました三矢計画もそういったものと相一致するものが背景にあるわけです。そこで、ナチスにおけるそうした合憲的といいますか合法的に独裁権を獲得していった過程の中で、たとえば新聞記者の国家登録というものが行なわれたわけです。その新聞記者の国家登録ときわめて相似ておりますのがこの教科書の編集者の登録制度、これは一昨年の十二月、私たちが当選をしてきて十分に審議の経過というのを知らないまま、私も文教委員会であの法案の採決に参加をして、いま当時のことを振り返って、国会にいなかったために法案の十分な審議の経過というのは知っておりませんけれども、しかしその問題の重要性というのは私はいま反省をしておるわけです。ですから、そうした明治におけるそういう歴史の経過、あるいはナチスが完全に権力を掌握をして民主主義を踏みにじっていったあのファシズムというものの形成過程、それは愛知文部大臣自身もワイマール憲法の崩壊過程というのは十分に見ておられるだろうと思うのです。そういう点からいたしますならば、今日の教科書の検定制度というものは、具体的に制度それ自体の問題についてこれから入ってまいりたいと思いますけれども、私は民主主義を守る政治家として、このワイマール憲法の崩壊過程をもう一ぺん繰り返さない、あるいは日本においてそういう歴史を繰り返さないというためには、大臣としては自由民主党の立場でいろいろ拘束されておる。しかしその長い民族の歴史というものについては見通して対処していただきたい。検定のこの問題について私はいろいろと読むにつけても、憲法との関係でたいへんに大きな問題があるということを感じます。
大臣にお尋ねしたいと思うのでありますけれども、憲法の二十一条には「検閲は、これをしてはならない。」こういうふうになっておるわけでありますけれども、この教科書の検定と、憲法にいう禁止をされております検閲と異ならないのかどうか。私たちには今日行なわれておる教科書の検定のやり方というのは、先ほどの渡辺調査官の事前調査的な態度というものからいたしますならば、検閲と異ならない、こういうふうに判断をせざるを得ないのでありますけれども、その点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/86
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087・愛知揆一
○愛知国務大臣 非常に広範囲にわたっての御意見でございますから、一々お答えができないかもしれませんが、私は先ほどから申しておりますように、教科書の検定というものについては、教育の基本の問題として非常に大事な問題である、こういう認識を根本で持っているわけでございます。したがってこの教科書の検定ということを通じて、特定の憲法論議とか歴史観というようなものを押しつけることは、かりにどういう立場でそれがあろうとも、これは絶対に排除すべきものである、かように考えておるわけでございます。たとえば三十九年度の検定について具体的に申し上げますと、文部省としての意見というようなものが世の中にも公表されておるわけでございますけれども、先ほど来説明がございますように、教科書検定の審議会というところにおいて国民的な良識を持った審査をやっていただいているわけであります。これは先ほど福田局長からも申しましたように、申請の原稿が出てくれば文部省の検定官はもちろんそれに目を通すし、それに対して自分としての立場からいって、これに対する意見があるのは私は当然なことだと思います。しかしながらそれによって問題が左右されるわけではなくて、審議会の議を経てその中の一つの意見としてそこに出されるだけであって、審議会としては慎重に審議をした上で一つの結論が出るわけです。その結論に完全に拘束されているわけで、某々調査官がその決定された意見にかりに別の意見を持っていたとしても、それは最終の段階においては全体の中に包摂される、そしてそれを実施に移すための所定の任務を遂行するだけでございますから、文部省が検定の際に調査官をしてその意見を押しこくるというようなことは全然あり得ない、そういう制度になっておるわけであります。そういう点から申しましても、これは憲法第二十一条の検閲というようなこととは全然違った問題であって、そういう点でこの審議会のやり方というのが違憲であるということはあり得ないと思います。
それから、こうしたやり方は長きにわたって新憲法のもとにおける国会の御審議を経て妥当なりということになっておるのであって、それを忠実に履行しておるのが現状であると思います。しかしこの教科書の検定問題は、先ほど来申しておりますように非常に大事な問題でございますから、いろいろの意見や希望がありますことは謙虚に取り入れていかなければならない。運営上その他にも十分の配慮をしていかなければならない。これはもちろん当然のことであると思います。ただ私は冒頭から申しておりますように、特定の一つの世界観なり歴史観なりを持って、そういう意見を通せないということをもって、教科書の検定問題全体をこれは文部省の押しつけだというような、そういう議論あるいは発想をされることに対しては、私は非常な抵抗を感ぜざるを得ない。私の意見は以上申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/87
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088・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは、法的に検閲というのと検定というのはどう違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/88
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089・福田繁
○福田政府委員 私ども理解しておりますところでは、憲法に印しております検閲というのは、やはり公の権力をもちまして外部に発表されるべき思想等について事前に審査をして、それが妥当でないとか、あるいは必要である場合にはそれの発表をやめさせるというような措置をとるのが検閲の法的な趣旨であろうと思います。ところで教科書の検定というものにおきましては、一方において学習指導要領というものがきまっておりまして、教育内容なり教育のやり方について一応基準がございます。したがってこの基準に適合するかどうかという点から申しまして行政機関において認定をするわけでございます。したがって認定いたしまして適当であれば合格するわけでございますし、また適当でないという場合におきましては、これは教育の場においてそれは教育的な教材としては適当でないという認定をするわけでございます。したがって憲法にいう趣旨の検閲と教科書の検定というものはおのずから違うものだ、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/89
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090・川崎寛治
○川崎(寛)委員 検閲の見解についてはそのとおりであろうと思う。ところが検定がどういう内容の行政行為なのかという点については、いまの局長の答弁ではたいへん不十分だと思います。検定というのは、これは教科書の検定ということばが出てまいりますが、その検定を規定いたしておりますのは学校教育法二十一条、文部省設置法の第五条、第八条、二十七条、こういうふうなところでこれが規定をされ、あるいは教科書の発行に関する臨時措置法の第二条で規定をされておるわけであります。しかし、これらのいま申し上げました法律に関する検定というものは、きわめてあいまいとしておるわけです。検定というものについてはどういう内容の行政行為なのか、こういう点については明確になっていないと思います。ただいま学習指導要領に基づいて、つまり検定の規則に基づいた発言をされておるわけです。ところがこの規則なり基準なんというものも、改定過程でどんどんゆがめられてきておる。そしてまた、学習指導要領については、すでに昭和三十九年の福岡地裁の小倉支部あるいは福岡高裁の判決の判例等においても、明らかに不法であるということが出ているわけです。ですから、この学習指導要領に基づいて、それに当てはめていくということについても、それ自体問題だと思うわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/90
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091・福田繁
○福田政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、私先ほど申し上げましたのは、私どもが理解している点を申し上げたわけでございまして、法律上いろいろ検定というようなことばを使っております。例といたしましては、たとえば、度量衡関係の法律におきまして、度量衡器の検定ということばを使っております。また建築基準法の場合でございますが、建築主事の資格の検定というようなことばを使っておりますが、これらも考えてみますと、やはり度量衡器についての一定の基準というものがあって、その基準に適合しているかどうかということによって、検定が行なわれるわけでございます。また建築基準法にいう主事の資格の検定の場合も、やはり一定の条件あるいは資格というものがあって、それに基づいて検定が行なわれるように私は承知いたしております。それと同じように私どもとしては考えておるわけでございまして、いま御指摘になりましたように、学習指導要領というものは、時に応じて変わるであろうというようなお話のようでございますが、学習指導要領の内容というものは、時代の進展に応じまして、変わっていくものだということは、私も当然そうあるべきものと考えております。しかしながら、変わりましても、それぞれそのときそのときの指導要領の内容というものは、基準として示されておるわけでございますから、年月がたって、変更がございましても、やはりそのときそのときの基準にはなり得るものでございます。そういう意味において、私は学習指導要領を基準として検定が行なわれるということは当然なことであろうというように解釈をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/91
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092・川崎寛治
○川崎(寛)委員 度量衡や建築基準のそういうものとは明らかに違うものです。検定基準を見ましても、これは三十三年の十二月の文部省告示があるわけでありますけれども、三十一年の十一月の教科書検定基準というものと三十三年のこれを比較しますと、非常に大きな点で問題があると思うのです。といいますのは、中身がきわめて簡単に包括的に基準がなされてきているわけです。三十一年の基準の際には、たとえば各科目ごとに検定基準というものがあり、そこに絶対条件というものを明示されておるわけです。ところが、三十一年の場合の前の基準を見ますと、各科における絶対条件というものには、第一項目に教育の目的との一致、憲法とこれと対応するわけでありますが、この中には明確に教育基本法及び学校教育法の目的と一致し、これに反するものはないか、たとえば平和の精神、真理と正義の尊重、個人の価値の尊重、勤労と責任の重視、自主的精神の養成などの教育目的と一致し、これに反するものはないかということが、絶対条件の中に明確に規定をされておったわけです。ところが、今度の三十三年の、つまり調査官が生まれて以後の改定をされました基準の中においては、その絶対条件の中から、いま言いました大事な平和の精神であるとか、真理と正義の尊重であるとか、こういった項目が全部削除されておるわけです。これはどうしてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/92
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093・福田繁
○福田政府委員 三十三年の検定基準とそれ以前のが非常に大きく変わったという御指摘のようでございますが、私どもはそう考えていないのでございます。三十三年に検定基準が改定になりましたのは、そのときに学習指導要領の内容が変わったわけでございます。したがって、それに応じて検定基準の中身が変わってきたのでございます。絶対条件あるいは必要条件等の条件について大きく変わってはいない。従来からも、絶対条件の中にございますように、教育基本法及び学校教育法の目的と一致し、これに反するものがあるかないかというような点は、これは当然教科書の第一番目に考えるべき問題でございます。新しい検定基準の中にも取り上げられております、ただいま御指摘のありましたように、教育基本法に書いてございますいろいろな個々の事柄、これは簡略化する意味において省略いたしておりますけれども、もちろん基本法の大方針に一致しているかどうかということは、当然にこの表現において含まれておるものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/93
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094・川崎寛治
○川崎(寛)委員 その簡略化したというところにそもそもの根本問題がある。それで言うならば、憲法に合うかどうかということだけを最初にぽんと打ち出しておけば、それでいいんです。ところが、いま言いました、つまり平和の精神であるとか、真理と正義の尊重であるとか、そういうこと自体を削って、これは簡略化するんだ、つまりそういうものを簡略化していこうというところに問題があるわけであって、つまり憲法の空洞化と言わざるを得ない点が出てまいるわけであります。この検定基準というのは、落とすためのものですか、認めるためのものですか。どんどん落としていくために検定基準があるのか、あるいは教科書というものはできるだけたくさん認めよう。しかし、その中にいま言う基準に合わないものがある場合には、これをオミットしなければならぬ、こういうことなのか。大体優秀なものだけに少なくしぼっていこうという考え方なのか。それは当然学問、思想、出版の自由とか、いろいろ憲法にかかわってくる問題もあるのであります。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/94
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095・福田繁
○福田政府委員 検定基準でしぼるというようなことではないのでありまして、検定基準に適合しているかどうかということを認定するだけのものであります。したがって、基準に適合しておれば、幾らでも合格する、こういう性質のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/95
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096・川崎寛治
○川崎(寛)委員 次に指導要領の問題でありますが、私が先ほど言いましたように、昭和三十九年の福岡地裁の小倉支部の判決は、全文を読みますと長くなりますから、中だけ読みますが、「したがって、学習指導要領も教育課程を構成する場合の最も重要な資料であり、基本的な示唆を与える指導書として意味を持つにとどまる、法規命令としては効力を持ち得ない、」こういう判決を福岡地裁の小倉支部が出しておるわけですね。それからまた福岡高裁のほうも、「本件中、学習指導要領は教育課程につき大綱を示すにとどまらず、きわめて文部大臣による基準立法の限界を逸脱していると認められるものがないわけではなく、これらは実際の運用における取り扱いのいかんにかかわらず、法規命令としての法的拘束力を持ち得ないものと解すべきである、」こういうふうに福岡高裁も出しておるわけであります。検定基準の第二項の中に、三十一年の基準になかったのが、第二項に教科の目標との一致ということで入れられておるわけであります。学習指導要領に定める当該教科の目標と一致しており、これに反するものではないか、こういうことで縛ってきておるわけですけれども、しかし先ほど言いました二つの判決からするならば、学習指導要領が法規効力を持たないという明確な判決が出ておるわけであります。でありますから、そのことに法規効力を持たしてこれに締め込んでいくということには問題がある、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/96
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097・福田繁
○福田政府委員 御指摘になりました福岡地裁の小倉支部の判決も、私は読んで承知しております。これにつきましては現在控訴が行なわれておりますので、それについての批判めいたことは私は差し控えたいと考えております。そういう御見解もあると思いますが、私どもとしては行政当局として考えておりますのは、教育基本法の解釈の問題になるわけでございます。当然に教育内容について文部大臣が基準をきめる権限を持っているのだ、こういうような解釈をいたしておるわけでございます。したがって学校教育法の二十条以下にそれらの規定がございまして、これに基づいて文部大臣は教科に関する内容を決定して、全国の学校に対して一応の基準を示す、こういう権限を持っておるわけでございます。そういう権限に基づいて学習指導要領というものが衆知を集めてつくられたものでございます。これが効力がないとかいうような解釈は、私どもとしてはとれないことでございます。それには賛成いたしかねるわけであります。したがって学習指導要領というものが文部大臣の教科についての権限から出てまいりますならば、当然にこの学習指導要領というものに基準を合わせて教科書というものは検定されるわけでございます。したがって御指摘になりましたような御見解には、私は御賛成申し上げるわけにはまいらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/97
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098・川崎寛治
○川崎(寛)委員 その点については抗告しておられる、こういうことでありますから、これは争いとしてまだ残っているわけです。ですから争いとして残る場合には、これはもうほかの行政当局も全部そうです。争いとして問題になっているときには一応その点については慎重な扱いをしていくのが行政当局としての当然な措置だと思うのです。ところが自分のほうはその見解には服し得ない、だからという理屈で押し進めていくということには、たいへん問題があると思う。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/98
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099・福田繁
○福田政府委員 まあ小倉支部の判決につきましては、これは学力調査に関連して起きた問題でございます。私どもとしてはこの学習指導要領あるいは教育内容につきましては全国の学校で現在実施していることでございます。したがって、これを御指摘になりましたような趣旨でやめるとかそういう措置はとれないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/99
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100・川崎寛治
○川崎(寛)委員 全国で実施しているからやめられない、これは行政上の立場としてその言われるかもわからない、しかし法的には問題があるのですよ。全部が実施しているから合法だということは、これは成り立たない。そうですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/100
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101・福田繁
○福田政府委員 その点につきましてはただいま私が申し上げた程度でひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/101
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102・川崎寛治
○川崎(寛)委員 大臣がお急ぎのようですので、私実はまだ続けたいと思いますが、大臣と切り離してこの審議——根本的な面にもかかわってまいりますので、実はきょうはこれで一応保留をしておきたいと思いますが、先ほど最初に私が問題にいたしました家永三郎教授のその所論についてはいろいろと御意見もある、こういうことでありましたが、私らとしましては検閲あるいは検定、そうした点についてもきょうはもう少し突っ込んでやるつもりでありましたけれども、保留いたしますので、ひとつ委員長のほうで家永三郎教授を特別参考人として本委員会に呼んでいただいて、そうした過程についてひとつ公式に話を伺う機会をつくっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/102
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103・渡海元三郎
○渡海委員長 理事会におきまして協議させていただきたいと存じます。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X02019650512/103
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