1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十一日(木曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 加藤 精三君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君
理事 田村 良平君 理事 坂本 泰良君
理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君
唐澤 俊樹君 四宮 久吉君
中垣 國男君 早川 崇君
森下 元晴君 神近 市子君
長谷川正三君 志賀 義雄君
田中織之進君
出席政府委員
法務政務次官 大坪 保雄君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 鹽野 宜慶君
委員外の出席者
検 事
(大臣官房参事
官) 貞家 克己君
検 事
(民事局参事
官) 宮脇 幸彦君
判 事
(最高裁判所事
務総局民事局
長) 菅野 啓蔵君
専 門 員 高橋 勝好君
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三月十日
裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一七号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第六四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/0
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001・加藤精三
○加藤委員長 これより会議を開きます。
訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。、坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/1
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002・坂本泰良
○坂本委員 執行吏に関する問題について若干お伺いいたしたいと思います。
先般も参考人の意見等の陳述がありまして、執行吏の収入についてもいろいろ検討せられておると思いますが、非常に執行吏の収入については全国まちまちじゃないかと思うわけです。たとえば北海道の執行吏、東京、大阪等の執行吏、九州の執行吏というように、非常に収入がまちまちであり、ことにいなかの地方裁判所支部におきましては、事件がないせいもありましょうが、一週間に一回執行吏が出張しまして、その執行に従事するので、非常に権利の執行について遅延がある、こういうふうに考えられます。それはやはり執行吏の収入の問題が影響しておるんじゃないか、こう思うわけですが、全国的の執行吏の収入についての調査があれば、その点を聞かしていただきたい。北海道と東北、関東、大阪、それから中国、広島と、こう八ブロックですか、七ブロックですか、それくらいに分けたところでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/2
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003・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏の収入状況につきましては、お手元に三十八年度の執行吏役場の収入支出額調べという資料を提出してあることと存じますが、御質問のとおり、全国的に役場によりまして非常に地域による収入の格差があります。お手元に差し上げております資料は、昨年中報告を徴しまして調査いたしました、全国の役場のおもなところから報告を得まして、その報告に基づいてつくりました表でございますが、ごらんのように、東京とか大阪、それから名古屋というようなところは、大体純収入が一人当たり十万あるいはそれを多少こえるというような状況でございます。それから少ないところといたしますと、前橋であるとか、和歌山であるとか、盛岡、それから北海道の旭川、高松というような場所でございます。こういうところでは年間一人当たりの収入は四十万円という程度にとどまっております。中級のものといたしましては、御指摘ありました広島であるとか、福岡というようなところが六、七十万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/3
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004・坂本泰良
○坂本委員 多いのは月十万ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/4
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005・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 さようでございます。年間百万余で、月十万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/5
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006・坂本泰良
○坂本委員 年間六、七十万と申しますと、月に五万円以下ということになりますね。これは純収入、雑費その他全部差し引いた純収入がいまおっしゃったような金額だ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/6
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007・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたのは、手数料、立てかえ金収入から各種の経費を引きました純収入の額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/7
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008・坂本泰良
○坂本委員 それから地方の執行吏は不動産の競売と動産の競売と両方兼ねておるわけですが、そういう点はどんな関係になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/8
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009・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 東京、大阪のような多数執行吏がおりますところでは、不動産競売は不動産競売専門の執行吏がやっており、動産競売は各地域別あるいは依頼者別で競売を行なっておりますけれども、地方で一人しかおらないというようなところでは、それは両方やるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/9
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010・坂本泰良
○坂本委員 そうしますと、この都会地の不動産の競売と動産の競売を分けておるところは、それはやはり合同役場で全部収入を拠出して、そして案分に分けることになっておりますか、それとも不動産と動産の関係は違っておるか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/10
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011・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 合同役場でやっておりますところでは、先ほど申し上げましたように、不動産競売は、それを専門にやっておる一人の執行吏が不動産競売をやっておりますが、手数料の収入の関係は、不動産競売については、その事件について賃貸借取り調べ等を命ぜられた者が、ほかの執行吏がやってくれた、不動産競売を専門にやっておる執行吏のやったその競売について手数料をもらっておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/11
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012・坂本泰良
○坂本委員 執行吏の仕事はいろいろありまして、大きく不動産と動産とに分けて、動産も東京みたいなところは地域が分かれておりますから、地域担当をやって、そうしてやっておりますから、忙しい地域と忙しくない地域とあるし、そういう点の手数料その他競売の手続の費用とか、そういうのは地域によって多いところと少ないところとあるのです。それから不動産競売の金額によって手数料等がきまれば相当足しになるのもあるわけです。そういうのを私は、合同役場だから一緒に出して全部で大体案分して分けるか、こう思っておりましたら、古い人と新しい人とは何か格差があるのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけです。それから、不動産の競売の場合、執行裁判所から賃貸借の取調べを命ぜられた、そういうようなときは別にその収入があるものと思うのです。そういうような場合、各個人で収入を得たのは全部それを出しまして、そうして合同役場で適当と言っては語弊があるかもしれませんが、格差がある収入によって分配をするか、それとも案分で全部頭数で平等に分配をしておるか、そういう点がはっきりしていないものですから、その点をお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/12
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013・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 先ほで私ちょっと誤解をいたしておりましてたいへん間違ったことを申し上げまして失礼いたしましたが、不動産競売の場合の手数料、先ほども申しました賃貸借取り調べを命ぜられた者がその競売についての手数料をもらうというのは大阪でございまして、東京はすべての不動産、それから動産の競売による手数料というものは、これは合同役場の収入といたしまして全部プールいたしまして、そうして案分によって分配しているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/13
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014・坂本泰良
○坂本委員 そうしますと、東京でけっこうですか、不動産競売専門の執行吏が何人で、動産競売の専門が何名で、そうしてその収入は不動産の執行吏と動産の執行吏との違いがあるかどうか、大体どれくらいの収入になっておるか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/14
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015・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 不動産の競売をやっております執行吏は、合同役場の中の一人でありまして、専門の人が一人でやっておるわけです。それから動産の競売は、東京の場合で申しますと、執行吏が東京の合同役場で二十名おりますか、予てのうち十四名が動産の差し押え、競売をやっております。収入は動産、不動産の競売をやる執行吏、いずれも同じ割合で収入を得ておるよりに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/15
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016・坂本泰良
○坂本委員 不動産のほうの一人の収入はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/16
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017・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 東京では執行吏の平均収入が年間百六万円、月にしまして十万円足らずでございますが、これは動産及び不動産の執行をいたします執行吏いずれも同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/17
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018・坂本泰良
○坂本委員 そうすると、このほかに書類の送達だけをする民事、刑事の期日の呼び出し状とか、めるいは裁判所から書類を持参していく執行吏は何人くらいおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/18
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019・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 送達専門にいたしております執行吏は、東京の役場で申しますと一人でございまして、あとは執行吏代理二十三名でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/19
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020・坂本泰良
○坂本委員 その一人の収入、それから代理は二十三名ですが、その収入は大体一人当たりどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/20
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021・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 送達係の執行吏の収入も、先ほど申し上げました執行吏の平均収入約月十万円、それから執行吏代理の収入は三万から五万、平均四万くらいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/21
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022・坂本泰良
○坂本委員 そこでお聞きしたいのですが、執行吏代理を置くのは、その法の根拠と、それからその法の根拠に基づいてどういう場合に代理を置くか、その点をまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/22
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023・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理は、執達吏規則の十一条によりまして、臨時に執行吏が自己の責任を持って執行吏の職務を行なわせるために、執行吏が自分の責任を持って雇い入れたと申しますか、そういう人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/23
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024・坂本泰良
○坂本委員 そこでまずお聞きしたいのは、書類の送達、それは刑事、民事ともに最も重要な仕事なんですが、これが東京ですと、いま御説明のように執行吏は一人である、代理が二十三名おる。これは臨時に執行吏の職務を行なうわけでなくて、ほとんどこの人たちがきまって送達をしておる。だから、この法の趣旨は実際上無視されておるのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/24
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025・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執達吏規則十一条によりますと、御趣旨のとおり執行吏代理の制度というものは、臨時に執行吏がその仕事を頼む人であります。しかるに実際の運用におきまして、執行吏代理というものが、あたかも常勤の職務を行なうものであるがごとく運用されておることは実情でございます。ただ、しかしながら、執行吏の職務というものは非常に重要な仕事でございますが、その中にはたとえば明け渡しの執行であるとか、差し押えであるとか、競売であるとか、そういう比較的重要なもの、法律効果等におきまして、送達も重要でないとは申せませんけれども、しかしながら、事柄が判断を要するというような点におきましては、送達、告知というような事柄は、比較的機械的に行なえるという事柄でございますので、これが執行吏の資格を持たない、一段低い資格の執行吏代理によって行なわれておるという実情になってきたわけでございます。法律の執行吏規則ではそうなっておりまするけれども、事務処理規則等におきましては、執行吏代理が裁判所の認可を得て任命せられる、あるいは証票を用いるというようなことになって、多少そこに法律と規則との間にズレはあるかと存じますけれども、それは先ほど申しました執行吏の職務の中にも、その重要性に多少ニュアンスがあるということが実情に反映していって、そういう運用のしかたになっておると思います。そういたしますと、制度として、執行吏代理の中にも、いわゆる執行代吏と送達代吏とを分けたらどうかというような考え方もできるわけでございます。それで東京とか大阪のように執行吏の数も相当たくさんある、執行吏代理の数も相当たくさんあるというようなところでは、そういうふうに執行代理と送達代理を分けるということも可能かと思いますけれども、執行吏も一人、執行吏代理も一人というようなところでは、そういうふうに執行吏代理を二種類に分けてしまいますと、いざ臨時の必要が起きたというような場合に、間に合わないというような点もございまして、はっきりとそこを分けることもどうかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/25
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026・坂本泰良
○坂本委員 ちょっといまの問題とはずれますけれども、東京にはいま送達代理は二十三人、差し押え代理はいないかどうかという点と、それからこの執行吏は大体各地方裁判所管轄になっておるのです。ですから、各地方裁判所に執行吏のほかに代理がおるわけなのですね。その点は多いところと少ないところとあるでしょうが、東京、大阪、名古屋、福岡等は別にいたしまして、そのほか一般の年間六、七十万円程度の執行吏の収入のところの地方裁判所では、大体執行吏は何名いて、代理は大体何名おるか、その点をちょっとお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/26
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027・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 全国において執行吏が何名おって、これに対して執行吏代理が何名おるかというお尋ねでございますが、その点につきましては、法務省のほうから資料として差し出してございますこの法案につけました参考資料の八に、執行吏の数と執行吏代理の数、執行吏職務代行者の数があげてございますので、これで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/27
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028・坂本泰良
○坂本委員 この資料でわかりました。そこでこれを見ますと、執行吏数が全国に三百三十五名、執行更代理数が二百七十三名、それから執行吏職務代行者数が二十九名です。これは職務執行者代理だから、やはり代理と同じことをやるわけだと思うのですが、そういたしますと、執行吏数と執行更代理数、これは執行吏代理数が二百七十三名ですから、職務代行者二十九名を加えますと三百二名ですね。執行吏は三百三十五名、執行吏でないいわゆる執行吏代理が三百二名、だからたった三十三名しか違わないわけですね。こういうことで、いわゆる執行等は頭の判断を要するから執行吏でいいけれども、書類の送達、そういう頭をあまり使わぬのは代理でいい、こうおっしゃるけれども、大体権利の擁護のために執行吏を任命し、執行吏が動産の競売、不動産の競売並びに書類の送達等をやるわけです。それを執行吏と同じような数の代理者をもって扱わせる。それをまた裁判所のほうでその代理者を許可してやっておる。これは何か理由があるかどうか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/28
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029・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 その点は、送達についてもぜひ本執行吏でやらなければならないか、やるべきであるとすべきか、あるいは送達の事務は木執行吏よりも一段と低い任用資格の者でもよいかということにつながるかと思いますが、執行吏代理は非常に多い、この表でごらんになりましても非常に多いのは東京でございます。東京ではへいわゆる執行吏送達というのが非常に数が多いのでありまして、そのために私どもは必ずしも送達には執行吏を要しないであろうという考えでおりますので、東京では執行吏代理の数が非常に多い。これに反しまして、大阪は郵便による送達というのが非常に多いために、大体執行吏送達が少ない。そこで比較的執行吏代理の数も少なくなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/29
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030・坂本泰良
○坂本委員 それは、この表を見ますと少し違うようですね。私は出身が熊本だから、すぐ熊本になるのですが、執行吏が九名で執行吏代理が十名おるわけです。代理が一名多いわけですよ。上から見ますと、千葉が四名、四名、水戸が四名と執行吏代理七名、それから名古屋が執行吏六名に代理六名、福岡は執行吏十六名に代理十四名、こういうふうで、逆にいなかでも代理のほうが多くてやるわけですね。だから、必ずしも書類送達が多いところが代理が多いともいえないと思えるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/30
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031・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 先ほど私が申しましたのは、ことばが足りなくて説明が不十分でございましたが、送達の多いところは執行吏代理が多くなるというふうに申し上げましたのは、送達すべき件数が多いところという意味ではございませんで、送達すべき事件はございましても、そのうち郵便による送達を多く利用している地方では執行吏送達が少なくなるものですから、したがって執行吏代理の数は少ないのでございますけれども、地方でも、その地方の事情によりまして郵便による送達が少なくて、執行吏送達をやっている数がわりあい多いところでは、執行吏代理の数も多くなるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/31
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032・坂本泰良
○坂本委員 そこで、いま御答弁があったような点は何で調査をされるわけですか。ただ感じじゃないだろうと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/32
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033・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 それは毎年、各執行吏役場から年間の取り扱い事件数を報告さしておりまして、それによりますれば、差し押え事件は何件、送達事件は何件という項目によって報告さしておりますので、どの地方では比較的送達が多いというようなこともわかるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/33
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034・坂本泰良
○坂本委員 そういうところもあるでしょうが、大体地方の執行吏役場に行けば、代理者がほとんど動産の差し押え等をやっているのではないですか。その点いかがですか。書類の送達だけでなくて、代理者が執行をやる。したがって、先ほどの御答弁のようなことを見るならば、執行吏の本職をふやして代理をもっと減らさなければならぬのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけです。たとえば熊本あたりだけでも、もちろんそれは郵便送達によるよらぬは裁判所の都合ですから、執行吏送達が多いでしょう。しかし、そうかといって、代理を一名よけいに置くというようなことはちょっと合点がいかないわけですね。ですから、地方の執行吏代理はほとんど動産の差し押え、競売等に携わっておるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/34
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035・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 原則は、先ほど御答弁申し上げましたとおり、執行吏代理は送達はやるにいたしましても、執行行為等はごく臨時の場合でなければやってはいかぬというふうに指導いたしておりますが、現実にそういうことでなくて、執行吏代理が、本来執行吏のやるべき執行をやっておるというような場所、たとえば執行吏が長く病気をしておるというようなことで、やむなくそういう実情が出ておる場所も全然ないとは申せませんけれども、そういうところはすみやかに手を打ちまして、新しい執行吏を任命して、執行吏代理による執行というようなことを避けていくような措置をとらせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/35
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036・坂本泰良
○坂本委員 そこで東京に返りますけれども、この執行は、刑事事件なんかは非常に急いで夜間執行などが多いわけですね。そういうような関係で、本執行吏は一人しかいないから、そんなのにはほとんど行かずに、代理者をしてやらしてしまう。それで宿直なんかはどういうふうにやっているのですか。夜の送達の場合なんかは、ほんとうは執行吏が行かなければならぬ。しかし代理者を宿直に置いて、夜間執行などには、夜寒いときなんか代理者をもって充てておる、そういうような状態はないのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/36
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037・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 夜間執行等の関係で、本執行吏が不在のためにたびたび執行吏代理が出かけていくというような実情については、私どもそういう事例を聞いておりませんが、送達の場合ならば、そういう場合でも執行吏代理が出かけて参って差しつかえない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/37
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038・坂本泰良
○坂本委員 ちょっと資料の関係になりますが、この法案添付の資料によりますと、東京は執行吏二十七名、執行吏代理五十六名、執行吏職務代行者二名、合計八十五名になっております。先般資料として、「執行吏等に対する刑事事件一覧表」、それに添付しております「東京地方裁判所執行吏東京合同役場の機構と配置人員」、それを見ますと、総員八十五名でなくて九十六名ですね。執行吏が二十名、執行吏代理三十四名、事務員四十二名、こうなっているのだが、これはどういうわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/38
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039・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 法務省から出しました法案の参考資料につけてあります第八の表と、裁判所のほうから出しました表とに人数の食い違いがございますのは、裁判所のほうから私どもが出しました資料は、東京地方裁判所の東京合同役場の人数で、東京地裁の支部等の置かれております合同役場の職員の数を入れておらない点が一つの食い違いでございます。もう一つは、私どもが出しております表のうちには、執行吏代理という資格を持っておっても、実際に執行吏代理としての仕事をしていない人は一般の事務員というふうに計算いたしておるために食い違いを生じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/39
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040・坂本泰良
○坂本委員 東京は支部は八王子だけだと思うのですがね。それだから私は八王子支部の執行吏の点が抜けているからとも思うのですが、八王子支部だけでそんなにたくさんおらぬと思うのです。だからこの表の点はどっちがほんとうか明らかにしてもらいたいことと、それからいま局長の答弁の、事務員の中に執行吏代理がおるけれども仕事をしていない、それはまたどういうような関係なのですか。そんなに執行吏代理の任命はルーズにしておるのですか。執行吏代理をしない者が事務員をやっておる、どうもおかしいですね。
だから私がこれをしつこくお聞きするのは、執行吏というのは不動産、動産の競売をやるでしょう。ことに先端に行って——それは借金をしていても、動産の差し押えをされて、そうして家財道具のほとんどまで競売されるのがある。それは人間としておこりますよ。芝居でも執行吏の悪口をやるのがあるでしょう。不動産の競売にしても、これは各委員から質問もあったと思うのですが、暴力団と結託したり、競売をルーズにやる。それは執行吏だけが悪くなくて、そういう競売屋とか暴力団が悪いから、つい人間だからそこに引き込まれる執行吏もあると思うのです。しかしながら、少なくとも民事訴訟法における権利の執行というのは執行吏がやる。その執行吏を少なくしておいて、それと同じ数の執行吏代理を全国的に置く。それは国民の権利の侵害である。これは債権者に対しては権利の実行でしょうけれども、債務者に対しては、家財道具、家屋敷まで競売を受けるという、権利に対する非常な侵害なんですよ、債務ということはあったにしてもですね。だから私は、総活的にいえば、りっぱな執行吏、やはり権利関係をはっきりした者を執行吏に任命して、そうしてその職務の執行をやらせて、その職務の執行については裁判所のほうで指導、監督をされる。むしろ、裁判なんかよりそこに重点を置かなければ、このごろのような景気の変動とか、貧乏人は全く食えなくなるというような場合は、差し押えをできないものでも差し押えをするというようなことなっているから、だから代理にまかすべきでないと思うのです。しかも、代理に任命しておいて事務員をやらせておいて、それは代理の認可をもらっているから、場合によってはそれを派遣してやらせる。そうして収入にしたら執行吏の半分もないでしょう、そういうのを使うという現状ではないかと思うのですが、そういう点について裁判所、法務省は、権利の執行という方面からも考えて厳格にやっておられるかどうか、執行吏の任命、執行吏代理の任命についてはどういう方法をやっておられるか、そこをまずお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/40
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041・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 御指摘のように執行吏代理の制度というものは非常に変則的な制度でございます。身分におきましても公務員ではございません。これは執行吏が自分の責任において委任したものでございまして、そういう変則的な身分の者が国家の執行行為をやれる。したがいまして、その者のなしている執行行為は国の強制力の発動でございますから、これを妨害するということになれば、一面においてこれは執行妨害ということで、公権力の行使を妨害したというような意味で犯罪にもなりましょうし、ところが、その反面公務員の身分を持ちませんものですから、そこにおける災害というものに対して、国家公務員に対する災害補償というような恩典にもあずかることができず、恩給であるとか、補助金であるとかいう制度もないのでございます。そういう変則的な制度というものは、これは執行吏制度の根本的改革というときにはもちろん考えなければなりませんけれども、しかし、根本的改革につきましては相当の時日を要するものと見込まれておりますので、その根本的改革ができますまで待っておるということもできませんので、執行吏代理制度につきましては、根本的な改革ができるまでの間の暫定的な改革といたしましてもこの点を取り上げて早急に考えていかなければならない点の一つであろう、こういうふうに思っております。
それから、一体執行吏の任用、執行吏代理の任用というものがどういうふうになされておるかという点の御指摘でございますが、私どもは執行吏の任用につきまして、決して必ずしも適格でないというような人間をかってに執行吏に任命しているわけでないことは、執行吏の必要がありながら年々十分な充員もできない、かろうじて少しずつの充員を行なっておるという状況をごらんになりましても御理解いただけるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/41
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042・坂本泰良
○坂本委員 権利の執行に当たるのだから執行吏任命には相当慎重にやっておられる。この点はまたあとでお聞きしますけれども、ただ、私がルーズじゃないかというのは、ここに執行吏が三百三十五名おるわけですね。ところが、執行吏代理とその職務代行者を加えると三百名になるのです。三十名しか違わないわけです。それだから執行吏代理をやたら任命して、そうして執行吏は収入はふやしておいてそのままにしておいて、安い——先ほどの御答弁によりますと、執行吏代理の収入は三万か五万の範囲で、四万円というのでしょう。ですから執行吏の半分以下ですね。そういう安い者を使ってやるから非常にルーズじゃないか。したがって、この執行吏に対する任命はいまの御答弁でわかりますけれども、この執行吏代理の任命は、これはまたどういうような基準と申しますか、方針と申しますか、資格と申しますか、どういうようなことで任命をしておられるのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/42
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043・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理の任命資格につきましては執達吏規則第十一条に定められておりまして、その第一は「執達吏ノ登用試験二及第シタル者」それから第二には「執達吏ノ職務修習者ニシテ三箇月以上其職務ヲ修習シタル者」第三には「裁判所書記ノ登用試験ニ及第シタル者」第四は、地方裁判所におきましてその「職務ヲ行フニ適当ト認メタル者」という制限がございます。そして実際の運用におきましては、ただいま申し上げました四つの資格のうち第四、すなわち地方裁判所の認可を受けて選任された者が数の上では多いのでございますが、この裁判所が認定をいたしますにつきましても、十分適格であるかどうかを審査した上で認可をいたしておるのでございます。
なお、執行吏代理と執行吏とは同じ権限を持って執行という場面に臨むのではないかというお尋ねでございますが、なるほど、この執行吏代理も執行吏と同じ権限は持ち得ますけれども、しかし、それは執行吏の責任において、そうして執行吏が委任したその事項の範囲内においてそういう権限を持っておるにすぎないという点は、本執行吏と執行吏代理と性格の上で非常な差があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/43
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044・坂本泰良
○坂本委員 性格の上で大いに差があるけれども、実際人民に接して動産を差し押えし、競売してやるのは同じことをやっておるのです。この競売だけをやってこいといって、特に指示して執行吏が代理に委任したこともそれはあるでしょう。あるでしょうけれども、大体差し押えると、差し押えした執行吏代理は競売もやる。ことに家屋の取りこわしですね、こういうことになりますと、妨害されるかもわからないから、本執行吏は行かずに執行代理をやる。そういう実情を裁判所は御承知ですか。
それから執行吏代理の任用について、第一は執行吏登用試験に合格した者、これは代理を何年やらせて本執行吏にするか、その点が第一。第二の修習を終えた者、修習を終えたならばこれは本執行吏にしなければならぬ、これは半年か一年以内には本執行吏にするかどうか、この点。この点はごく少ないと思うのです。一番多いのは、いまの御答弁にあったように適当と認めた者、適格者の審査をして適当と認めて執行吏代理を任命する、その適当と認めた適当の範囲はどういうところでやっておるのですか、この三つをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/44
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045・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理の任命の資格といたしまして先ほど四つあげましたが、その第一の執行吏の登用試験に及第した者、これをどの程度の人間ならば執行吏代理にするのかというお尋ねでございますが、これは資格でございますので、こういう資格のある者を執行吏が執行吏代理に委任することは、これだけの資格で可能であろうと思います。ただし、その人を得なければ、結局は執行吏が自己の責任で選ぶわけでありますから、その責任は執行吏に帰するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/45
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046・坂本泰良
○坂本委員 執行吏登用試験の及第者をやるというのだが、これを執行吏代理にしたならば、執行吏にどれくらいで任命するかどうかということです。そのことは二にも関連します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/46
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047・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理の資格といたしましての第一の執行吏の登用試験に及第した者、これは当然執行吏にもなれる資格でございます。
第二の執行吏の職務修習者であって三カ月以上その職務を修習した者、これは執行吏になるためには執行吏の職務を六カ月以上修習いたしまして、そうして登用試験に合格しなければ執行吏にはなれない者でございます。
それから第三の裁判所書記官の資格を持っておる者であって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/47
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048・坂本泰良
○坂本委員 これはいいです。問題はその適当ということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/48
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049・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 適当とする者と申しますのは、要するに、一から三までの資格に準ずる程度の人でなければならない。そうして、そういう準ずる者であるというような認定ができる者に限って、執行吏代理になり得る資格を認可しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/49
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050・坂本泰良
○坂本委員 私がお尋ねしたのは、執達吏登用試験及第者、これを任命するのと、これが任命されて執行吏代理をして、本執行吏に任命されるのですね。こういう任命をされることがあるかどうか。これはほとんど何ヵ月かやれば本執行吏に拝命するかどうかということです。それとも、ただ資格を得た者を執行吏代理に任命して、そのまま五年も十年もほったらかしておくのか、ずっと代理でおるのじゃないか、こういう点です。それから修習者は、三カ月以上修習した者、さらに執行吏代理になって六カ月以上いわゆる執行吏代理の職務を行なって、そうして登用試験に合格した者、これはまた第一の登用試験だと思う。これに合格した者はまた一の登用試験及第者に入るから、これによって執行吏になれるかどうかの問題です。また裁判所としてはしておられるかどうか。それをせずに代理で放任せられておるかどうか、これが一つ。
それからもう一つは、一から三までに準ずる者の認定によってやる、試験の合格者でもない、それを裁判所が認定するのはどういう基準で認定しておられるか、その点を第二としてお伺いします。
と申しますのは、いまのような四つのことで執行吏代理を任命しておられるけれども、それは任命しただけであって、執行吏代理としてずっとそのまましておるんじゃないか、これは私の推測かもわかりませんけれども、そういう気がするものだから、第一の質問としましては、登用試験に及第した者は執行吏代理に任命いたしますから、そうすると、試験に合格しておりますから、執行吏代理に任命してから六カ月か一年たったら本執行吏にしなければならぬと思うのです。というのは、給与の点についても半分以下の執行吏代理ですから、そういう資格があってすでに六カ月も一年も執行吏代理で本執行吏と同じような仕事をやりますから、これは当然執行吏に任命しなければならぬ。そういう任命はやっておられるかどうか、その点が一つなんです。
それから第二の点は、先ほど申しましたとおり適当の認定なんです。一から三までなら、ちゃんと試験に合格しておりますけれども、試験に合格したと同じような資格を持っているのを裁判所が認定するわけですが、それは、認定するのは試験をするわけじゃないでしょうから、どういう基準で認定しておられるか。そしてこれが最も数が多いと言われるものだから、それで第二としてお聞きするわけなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/50
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051・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 執行吏の前歴を調べてみますと、執行吏代理としての経験者が四十九人でございます。比率からいいますと一五%、そうして先ほど申しました執行吏代理の任用資格の第一の執行吏の登用試験に受かった者は大体執行吏に任命されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/51
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052・坂本泰良
○坂本委員 どれくらいで執行吏になっておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/52
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053・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 それは執行吏になる資格としての六ヵ月の修習ということが最小限度でございますが、それ以上実際どのくらい経てという点については資料を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/53
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054・坂本泰良
○坂本委員 どうもそういうふうで、借金をしたのは悪いでしょうけれども、その債権の取り立てで直接国民の家財道具を差し押えをして、公権力で競売をして、それを売り払って債権に充当するのがこの有体動産に対する差し押え競売の執行吏の職務でしょう。こういう職務を行なう執行吏代理に対して、もう少し慎重にやらないから、差し押え競売について問題が起こるんじゃないだろうか、こういうふうに思われるのです。だからお聞きしたわけです。
そこでもとに戻りますが、資料の点ですが、東京は二十七名が執行吏数、五十六名が執行吏代理数、執行吏職務代行者二名、合計八十五名になうておるのを、東京地方裁判所執行吏東京合同役場の機構と人員配置を見ますと、執行吏が二十名、執行吏代理が三十四名、事務員が四十二名、この事務員の四十二名の中に執行吏代理が入っておるという先ほどの御答弁でした。ところが、東京では地方裁判所の支部は、私の考えが間違っておるかもわかりませんが、八王子支部だけだと思うのです。そこで八王子支部の執行吏と執行吏代理を合わせると、はたして資料に添付してある表と一致するかどうかですね、その点をまず明らかにしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/54
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055・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 法務省から出しております資料によりますと、執行吏の数は東京地裁管轄で二十七名、しかるに私どものほうから出しております東京の執行吏の数は二十名、七名差があるわけでございますが、私どものほうでは、執行吏の実数は、病気で休んでおります四名を除きましたのと、それからこれに八王子の執行吏の数三名が入っておりませんので、こういう数字の上の食い違いが出ておるわけでございます。
執行吏代理につきましては、ここにあげております三十四名は、執行吏代理としての本来の職務をしております人数でありまして、先ほど申しました執行吏代理の資格を持ちながら事務のみの仕事をしております十二名を除きましたので、執行吏代理の資格を持っております者は四十六名となるわけでございます。それに三名ほどの病気欠勤者を除きましたので、四十九名というものが本来ならば東京の執行吏代理の数としてあげられなければならなかった数でございます。八王子の執行吏代理の数はただいま資料がございませんが、四十六名と五十六名の差十名はおらないと思いまます。と申しますのは、この法務省の表は本年の一月一日現在の執行吏代理の数で五十六名ということになっておりますが、その後、私どもの出しました表の三月三日現在までには執行吏代理が二、三名やめた者がありますので、法務省の出しました表と私どもの出しました表との間に食い違いはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/55
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056・坂本泰良
○坂本委員 法務省ではこういう表をつくられる場合、病気欠席ならばやはり人数に入れて、カッコして病欠何名というふうにすべきがほんとうの表のつくり方だろうと思う。だからそんなことの釈明を聞くと、この表自身に信頼を持てなくなる。この表自身はどういう資料に基づいて作製されたか、それから病気の者は除外した表であるか、あるいは入った表であるか、その点、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/56
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057・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘いただきましてまことに恐縮に存じます。先ほどお話の出ました四十年一月一日現在の執行吏等の人員の表でございますが、これは執行吏が御承知のとおり裁判所の職員でございますので、現実に何人いるかという数は、実は最高裁判所のほうからいただいた数でございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、病欠でございましょうとも、やはり執行吏代理の職務を行なっていると申しますか、そういう肩書きを持っているということでございましたので、それをこの数の中に加えて製表した、こういうことでございます。
それから先ほど申しましたように、これは最高裁判所から一月一日現在の資料をいただきましたので、後に最高裁判所のほうから提出されました三月三日現在の東京合同役場の人員の数と多少の異同が生じているものと考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/57
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058・坂本泰良
○坂本委員 これを責めようと思えば責められるけれどもこれ以上はなにしません。しかし、表を出す以上は、あとで言いわけしないような表を出してもらわないと、われわれはほかとは違って、少なくとも法務省、裁判所だけは信頼しているわけだから、ひとつ間違いのないように、また言いわけしないようにしていただきたいと思うのです。と申しますのは、今後かりに司法試験の合格者の表なんかも、これは出ないだろうと思うのだけれども、出た場合においては、絶対でたらめの表をやってもらわぬようにしないと、人事院なんかは調査に行ってもあまり表をつくっていない、つくっていてもないしょにしていて出さない。しかし、官庁としては、そういう場合には、一般が行ったら出さないようでも、その法案の審議については出さなければならぬと思うのです。そういう点もありますから。ことに先般の暴力法の審議のときなんかも、いろいろ傷害とか暴行とかの表が出ました。あの場合審議の促進とか、政治的な問題もあったから、われわれ委員としてもそこまでは調査も不十分だった。しかしながら、少なくともこの国会において委員が審査する以上は、その内容まで政治的に考慮しないような表をぜひ出してもらいたい。いまだから言いますが、あの暴力法の審議のとき、私なんかは表についてずいぶん疑問を持っていたのです。一部は調査もしたわけです。しかし、そこまでここで審議する町間もなかったからしなかったわけですけれども、その点特にお願いしておきます。
そこでお聞きしたいのは、東京執行吏合同役場の執行吏代理をせずに事務員の仕事をしている者、こんなのはどんどん代理を解任して、事務員なら事務員としての職務に精励させて、それに対する相当の報酬を与えて事務に専念させなければならないと思うのです。というのは、執行吏の先端の仕事は、国民の財産を差し押え、競売するという重要な公権力の行使をやるものであるから、それを重要視しているからこそ、その職務を慎重に有資格者にやらせなければならぬと思うわけですが、こういう事務員が中に何名おるというようなことでこのまま放置しておかれるつもりかどうか、その所見をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/58
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059・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 先刻も申し上げましたとおり、執行吏代理については、これは異常な制度でございますために、いろいろの矛盾が生じておりますことは私どもこれを十分に承知しております。その点につきましては、制度としての執行吏代理制度というものを慎重に検討して何らかの方策をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/59
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060・坂本泰良
○坂本委員 そこで、この執行吏代理の問題ですが、執行吏と同じような数がおる。それは書類の送達等のため特別なことで人数が必要なこともあるでしょうが、根本的には執行吏代理はなくすべきものだと思うのです。規則十一条にもありますように、臨時に執行吏の職務を行なわせるものであるから、臨時というのは、そのときやむを得ないから代理を任命してやるのであって、ずっと同じように、毎年ほぼ私は同じだと思うのですが、この執行吏代理を置くというのは、やはり公権の発動について慎重を欠いておるのじゃないかと思うのです。だから、考え方によっては、現在の執行吏の収入を擁護するために、代理で安いあれで使っているじゃないか、こういうふうに考えられます。そうすると、そういう金の問題によって重大な国民の権利に対する公権の執行がゆるがせになってはならないのじゃないか。ですから、この執行吏制度の根本の問題についてはあとで聞きますが、この代理の問題については、早急にこの代理をなくして、臨時やむを得ないということだけに残して、早急に本執行吏をこしらえて、そうして国民に対するところの公権力の執行に当たらなければならぬ、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/60
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061・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 執行吏代理の制度は、御指摘のとおりいろいろ問題を含んでおります。先般から御説明申し上げておりますように、法務省といたしましては、この執行吏制度全体の検討をいたしておるわけでございまして、考え方の構想は、有給の国家公務員である執行官の制度を打ち立てるという方向へ向かって検討いたしているわけでございます。しかしながら、御承知のとおり、現在の執行吏制度を純粋の国家公務員である執行官制度に切りかえるということになりますと、そこにまたいろいろむずかしい解決をしなければならない問題が含まれておりますので、まだ多少の日時を要するわけでございます。しかしながら、いま御指摘の執行吏代理の制度につきましては、これ自体いろいろ問題を含んでおりますので、執行吏制度の根本的な解決の検討を進めるのと並行いたしまして、執行吏代理の制度自体についてもこの際検討いたしたいというふうに考えております。
なお、承るところによりますると、最高裁判所におかれましても、この執行吏代理の制度につきましていろいろ弊害の是正というような面について御配慮を加えておられるように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/61
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062・坂本泰良
○坂本委員 時間も来ましたが、もう一問……。
私は、執行吏制度の根本的の問題が時日を要するのならば、執行吏代理は早急になくしなければならぬ。やはりこの法に基づいて任命された執行吏が、これがやはり国民に対する公権力の発動によって公平に実行されなければならぬと思うのです。ですから、この執行吏代理は、代理で長くやっておる人は、これは執行吏に任命して、そしてそうでない人は、それはまた留任とか、そういうところもあるでしょうけれども、根本は、私は現在の本執行吏の収入を擁護するために、法を悪用して、そうして代理を多数、本執行吏と同じような数任命するような結果になったんじゃないかと思う。これはやはり執行吏制度の根本的な制度の検討より、その前にしなければならぬのじゃないか。早急にしなければならぬと思うのですが、そういう熱意と用意があるかどうか、所見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/62
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063・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 まことにごもっともな御指摘でございまして、私ども年来執行吏制度の根本的な改革を検討しているわけでございますが、これにつきましては多少の時日を要するのでございますので、その中途におきましても、さしあたって執行吏代理の制度の検討、整備ということに努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/63
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064・坂本泰良
○坂本委員 そこで本題に帰ったようなんですが、この執行吏の今度の改正は、公務員の恩給の増額に伴って執行吏の恩給を増額する必要がある、こういうためにこの法律が提案されておるわけですが、この執行吏が、裁判所書記官なんかを長くやられて、そうして書記官の恩給を取って、そしてこの執行吏になっている方もあるわけです。そういうような方の恩給の問題がどうなっているか、それをまずお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/64
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065・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ただいま御指摘のとおり、執行吏の恩給制度は一般の公務員の恩給と全く別の形をとっておりますので、たとえば裁判所書記官を長年つとめて、退職して執行吏になったという人は、裁判所書記官としてつとめた関係から生ずる恩給を受けておりまして、あわせて執行吏の手数料を受ける。執行吏を退職した場合には、裁判所書記官としての恩給と執行吏としての恩給と二つを受ける、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/65
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066・坂本泰良
○坂本委員 これは私が少し勉強が足らぬのかもしれませんが、この手数料を増額して恩給を増額するというのはどういう関係になるのですか。手数料は、これからの事件によって手数料があるのですが、それをこの法律に基づいて増額をするわけなんです。そうすると、増額された金額は、今度は執行吏をやめたときの恩給とどういうような関係になるか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/66
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067・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 今回の訴訟費用等臨時措置法等の改正の内容は、ただいま仰せのとおり、執行吏の手数料の増額と、それから執行吏の恩給の増額と二つの内容に分かれておるわけでございます。そういたしまして、その二つの内容のものはお互いに関連はないわけでございます。手数料の増額のほうは物価の変動、それから勤労者の実収入の増加ということをにらみまして、総体的に見まして三割五分のアップという手当をいたしたわけでございます。それから恩給のほうの増額は、手数料の増額とは直接関係ないのでございまして、これは御承知のとおり一般の公務員の恩給につきまして、本年の十月から、古く退職した者について二割のベースアップをするという措置がとられましたので、執行吏の古く退職した者につきましても、それと歩調を合わせて二割のアップをする、こういう手当をいたしたわけでございます。したがって、法案の内容は二つになっておりまして、関係ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/67
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068・坂本泰良
○坂本委員 そこで分けて聞きたいのは、二割の恩給のアップをするのについては、手数料の三割五分のアップでまかなえるかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/68
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069・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御説明が不十分で申しわけございませんでしたが、恩給は御承知のとおり、一般公務員につきましては退職時の旧俸給が基準になるわけでございますが、執行吏につきましては俸給というものがございませんので、手数料で生活しておるわけでございます。そこで執行吏の恩給を計算いたしますには、別に恩給の基礎となる金額をきめてあるわけでございます。その金額は、従来執行吏の国庫補助基準額というものがございまして、それを仮定の俸給年額というふうに考えまして、それを基準にして恩給を算出する、こういう形になっております。その執行吏の国庫補助基準額と申しますのは、執行吏が手数料制でございますので、地方によりまして事件数が非常に少ないという場合には、おのずから手数料も非常に少ない、こういうことになるわけでございます。そこで、そういうふうに手数料の非常に少ないところにつきましては、一定限度の金額以下にしかならないという場合には、その差額を国庫から補助してやるという制度があるわけでございます。その国庫補助基準額を一応仮定俸給年額というふうに考えまして恩給を計算している、こういうことになるわけでございます。その国庫補助基準額がやはり物価の上昇に伴いましてだんだんに上げてございます。したがいまして、古く退職いたしました執行吏につきましては、古い補助基準額が基準になっておりますので、新しくやめた人から見ると、かなり恩給が低い、こういうことになります。そこで、一般の公務員の恩給の二割ベースアップに合わせまして、古く退職した者の恩給の基礎額を二割ベースアップしてやろう、こういう考え方で整理してあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/69
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070・坂本泰良
○坂本委員 もう一つだけで終わります。
そこで、手数料の増額が三割五分になるわけなんですね。そうしますと、都合と申しますか、東京とか大阪とかの執行吏の収入の多いのと、それから地方の少ないのと、やはりそれに比例して増額するわけなんですか。そうすると、やはりこの格差というのはなくならないわけですね。この格差の是正をどういうふうにするか、そういう点についての御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/70
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071・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり今回は、手数料全体として、全国の執行吏の手数料の総収入を見ますと、今回の改定によってほぼ三割五分アップになる、こういうような計算になっているわけでございます、そこで、執行事件が少ない地方につきましては、やはり少ないなりにこの程度に上がるというふうにしか考えられないわけでございまして、地方のほうだけ収入が少ないからその分だけ上げるというふうな手当は非常に困難でござい一ます。今回もそういうふうな考え方の整理はしてしないわけで、ございまます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/71
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072・坂本泰良
○坂本委員 そこで、ちょっと変わるかもわかりませんが、東京で書類の送達代理が二十三名おるのです。これは差し押え、競売とは程度が違う、ただ書類を持っていくだけだから代理者でもいいというような御答弁をさっき聞いたわけですが、しかし、これは書類によっては重要な書類があるわけです。夜間送達なんというのは夜中でも行かなければならぬし、東京の例は、たった一人の執行吏で、それは宿直なんかないと思う。私は実際上知りませんが、ないだろうと想像するのです。大体代理の人が宿直して、裁判所のほうから十一時でも十二時でも書類の送達があると、遠いところまで持っていかなければならぬ。弁護士によっては、弁護士会が送達場所に指定してあるけれども、それじゃ翌日間に合わないから、結局、遠いところまで持っていかなければならぬ。その遠いところへ持っていくと、手数料は二十円か五十円と思うのですが、旅費があるわけです。その旅費は昼行っても夜中に行っても同じなんです。そういうところで職務遂行についても非常に矛盾があると思うのです。これも私は根本としては、やはりたった一人を置いて、二十三名の代理者にやらせて、そうして半分以下の手数料で——手数料と同じように月給になっているかどうか知りませんけれども、それでやらせるということは、これまた執行吏と執行吏代理者の格差が半分以下になるし、さらに、その仕事においては夜中でも、寒い厳寒の雪の中でも行かなければならぬ。こういうことになるから、こういうのもやはり五人か六人の執行吏にしてやりまして、そうして代理はなくさなければならぬ。こういうふうに早急に指導しなければならぬと思うのですが、御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/72
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073・菅野啓蔵
○菅野最高裁判所長官代理者 送達も、執行吏の職務のうちにございまして、これが重要なことは御指摘のとおりでございます。しかるに東京の合同役場におきまして送達事務に従っております本執行吏は一名、その他は二十三名の執行吏代理によって行なわれておりますということは、これはやはり本来の姿ではないと思われますので、こういう点につきましても、いま執行吏代理の制度というものを考えておりますので、将来は是正してまいりたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/73
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074・坂本泰良
○坂本委員 そこで、実は先ほど来申しましたように、有体動産の差し押えにいたしましても、不動産の差し押えにいたしましても、差し押え競売にいたしましても、これはやはり公権力の発動によって債務に充当するということですから、債務を充当する点については、それは債権者は満足するでしょうが、される方は、やはりこの差し押えまで受ける家庭と申しますか、そういうところは悲惨な状態ですから、それをやるのには、私はやはり執行吏代理なんていうことは早く改正して、本執行吏をやるべきだ。そういう制度の上に立って公平なりっぱな権利の執行をやらなければならぬ、こういうふうに思うのです。したがって、またこれに対しましては、競売屋とか、道具屋とか、それから競売ブローカーとか、暴力団の関係等もありますから、こういう点お聞きしたいと思うのですけれども、きょうは時間がまいりましたから、またの機会に譲りたいと思いますが、根本的には、この法案に対しては、基本的な執行吏制度の改革を早急にやるということになると思うのですから、そのほかのどうでもいい司法試験の問題なんかというのはやめて、こういうようなところからこそ法務省におかれては検討して、そうして国民のために公平な公権力の発動をやるべきだと思うのです。ですから、そういう点また次の機会に質問したいし、いろいろまた他の委員からも質問があったと思うから、私はきょうはやめますけれども、最後にもう一つお伺いしたいのは、特に私は執行吏制度を重視しますのは、これは民事訴訟法の規定によりまして警察権の発動の要請もできるわけです。また、大きいのは、これは自衛隊の公安出動か行政出動か、そこまで要求できるんじゃないかと私は思うのです。これはやはり旧民事訴訟法における軍隊の発動までできているようなわけですから。その点、詳しくは調べておりませんですけれども、そこまで公権力の発動ができる。ところが実際には一きょうは警察庁からもほんとうは来てもらいたかったのですが、この家屋の取りこわしの執行にいたしましても、強制執行にいたしましても、動産の執行にいたしましても、大きいのは暴力団が、これは債務者から雇われて入る場合もあるし、また債権者が雇って入る場合もある。だから、警察に警察権の発動を要求すると、民事問題はあなたたちのほうでやってもらいたいというので、絶対——とは言えませんけれども、警察が発動したことは、旧民事訴訟法の時代からほんとうに少ない。絶無といってもいいくらいに少ないと思うのです。これはやはり執行吏が真に公権力を公平に発動してやるという熱意に欠けておるからだ、そういう点にあると思うのであります。ですから、この法案については、収入等については、先ほど来申しましたように、このくらいの手数料の値上げくらいはやむを得ないじゃないかと思うのですけれども、上げたからといって、東京、大阪とまた地方とは格差が倍も違うというような面もあるし、さらにそのしわ寄せを執行吏代理という方法で打開していくという点については、これはやはり慎重に、早急に考えてやらなければならぬと思うのです。そういう点は特に法務省も裁判所も検討されて、基本的な問題は一年くらいおくれても、こういう大事な問題等は早急に解決してもらいたい。こういうことを要望いたしておきまして、きょうは留保して打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/74
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075・加藤精三
○加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
次会は明十二日十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01219650311/75
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