1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十五日(木曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長代理 理事 小島 徹三君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小金 義照君 理事 田村 良平君
理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君
理事 横山 利秋君
唐澤 俊樹君 草野一郎平君
中垣 國男君 濱野 清吾君
森下 元晴君 井伊 誠一君
志賀 義雄君 田中織之進君
委員外の出席者
検 事
(大臣官房司法
法制調査部司法
法制課長) 山根 治君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部参事
官) 貞家 克巳君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局
長) 寺田 治郎君
判 事
(最高裁判所事
務総局経理局
長) 岩野 徹君
専 門 員 高橋 勝好君
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三月二十三日
委員前尾繁三郎君辞任につき、その補欠として
草野一郎平君が議長の指名で委員に選任され
た。
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三月二十四日
裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一七号)(参議院送付)
同月二十二日
改正刑法準備草案第三百六十七条に関する請願
外二件(天野公義君紹介)(第一八〇〇号)
同(佐々木義武君紹介)(第一八〇一号)
同(椎熊三郎君紹介)(第一八〇二号)
同(進藤一馬君紹介)(第一八〇三号)
同(椎熊三郎君紹介)(第一八二八号)
同(大柴滋夫君紹介)(第一八五八号)
同(大平正芳君紹介)(第一八五九号)
同(佐々木義武君紹介)(第一八六〇号)
同(始関伊平君紹介)(第一九九七号)
同(田中榮一君紹介)(第一九九八号)
同(山中吾郎君紹介)(第一九九九号)
同外一件(天野公義君紹介)(第二〇〇〇号)
同(田川誠一君紹介)(第二〇一九号)
同(田中榮一君紹介)(第二〇二〇号)
同(福田篤泰君紹介)(第二〇二一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一七号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/0
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001・小島徹三
○小島委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長が所用のため出席できませんので、私が委員長の職務を代行いたします。
裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/1
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002・大竹太郎
○大竹委員 まず第一にお聞きいたしたいのでありますが、この裁判所書記官補でありますが、これができましたのは、裁判所法を見ますと、附則の二項でありますか、これによって、裁判所書記の中から書記官に任命された者として、書記官に任命されない者は別に辞令を待たずに裁判所書記官補に任命されたということになったわけでありますが、いまとしては実益がないかもしれませんが、一体このときの事情とでも申しますか、これをまずお聞きをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/2
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003・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま大竹委員からお尋ねのありました点、少し詳細になると存じますが、経過を御説明申し上げたいと存じます。
この書記官の制度でございますが、これは御承知のとおり戦前は裁判所書記という制度一本であったわけでございます。それが終戦後裁判所法ができましたときに、この書記の制度を全部一律に裁判所事務官ということにいたしまして、裁判所事務官の中から裁判所書記を補する、こういう一制度になったわけでございます。つまり官職としては事務官一本にしまして、その中で特に裁判事務を担当する者だけが裁判所書記になる。たとえば会計だとか人事だとか、そういう同法行政を担当する者は事務官という身分である、こういうことになったわけでございます。しかし、その後いろいろ新しい制度を検討いたしました結果、やはり裁判所において、裁判所の書記の仕事は非常に専門的な仕事でもあり大事な仕事でもあるので、これを事務官から補するという制度では不十分である。これをはっきり区別いたしまして事務官は事務官、書記官は書記官、こういう別個の官職にしたいということになったわけでございます。これが先ほど御指摘ございました昭和二十四年の改正でございますが、ただその際に、書記官というものは相当法律的な専門的な高度の知識、教養を備えたものにしなければならぬということで、その資格とかあるいは待遇を相当高度のものにいたしたわけでございますが、そういたしますと、実際上当時書記の身分にあった人たちが必ずしも書記官にふさわしいだけの能力、教養を備えておる者が十分ではなかったわけでございますが、これをそのまま横すべりに書記官にしてしまいましたのでは、せっかく非常に高い理想を掲げて制度を設けましたことにうまくマッチしない。そういうところから、これはいまお読みいただきましたように、むしろ原則としては書記官補をする。そしてその中の特に経歴、教養、能力その他においてすぐれた者だけを書記官に任ずる、こういう処置がとられたわけでございます。それに伴いまして書記官の定員等も比較的少なくとどめられた。そして従来の書記は書記官及び書記官補の二つに分かれることになったわけでございます。ただ、しかしながら、そういうふうにいたしますと、従来書記がやっておりました仕事の量というものは変わっておらないわけでございますから、書記官になる者が少数で書記官補になる者が相当いるということになりますと、裁判所の書記の事務は渋滞することになる。しかし、これは裁判所として一日もゆるがせにすることはできませんので、そこで先ほどちょっと御指摘でありました代行制度というものをつくりまして、これは理想的な立場からすると、とてもまだ書記官にはできないけれども、経過的にはやむを得ないから、書記官補に書記官の代行をやらせる、こういうような、いわば過渡的な措置としてそういう方法がとられまして、書記官補の中の八割ないし九割程度の人が代行書記官補になる。そうして書記官の事務の——大体同様、やや簡単な事件というような程度の差はございますが、ほぼ同様な仕事を取り扱う、こういうようなことになってまいったわけでございます。そういう状態がここずっと二十四年以来続いてまいった、こういうことになるわけでございます。
今回それを廃止していただこうということでございますが、その点にも少し触れてみましょうか。——そういうふうにして続いてまいったわけでございますが、その後、これは国会の委員会等の非常な御支援をいただきまして、三年ほど前から書記官補の定員を大幅に書記官のほうに組みかえていただいたわけでございます。これは三千人近い定員の組みかえが行なわれたわけでございますが、これは一つには、そういう状態が続いてまいりましたけれども、この間に裁判所としては書記官研修所というものをつくりまして書記官補の研修、教育に相当力を入れ、また、これはいろいろ社会的な背景等もございますが、従来は比較的学歴の低い人が来ておりましたのが、最近では大部分が大学の法学部を卒業された方が来ておられる。こういうようないろいろな関係で書記官陣営の実力が非常に充実してまいったわけでございます。そこで待遇も当然よくしなければなりませんし、仕事もまかせることができるというところから、書記官補の定員を書記官に組みかえていただきまして、書記官補なり事務官の中から優秀な者は書記官に任命する、こういう措置によりまして、すでに定員上われわれの大体目的とします書記官の定員は獲得でき、また、ほぼそれの充員ということもできてまいったわけでございます。そういうところから少なくとも代行書記官補という制度を残しておく必要がなくなったわけでございます。現在におきましては代行書記官補というものは一人もおらないわけでございます。残っておりますのは、ごく少数の書記官補が残っておりますが、これは現在のところは研修所に入っております者だけでございますので、これを事務官にかえますことには何ら支障はないわけでございます。そういうところから、従来書記官補がやっておりました書記官の補助事務は、事務官にやらせることにいたしまして、書記官補制度を廃止してもよい、こういう観点に立ちましてこの法律案を提案していただくというようなことになったわけでございます。一応大まかな経過はさようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/3
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004・大竹太郎
○大竹委員 この前、たしか横山委員のほうからもちょっと質問があったと思うのでありますが、当分の間書記官の職務を代行するということになっておったのでありますが、いまお話を聞きますと、議会その他の強い要請とでも申しますか、そういうことでこの書記官補を書記官にするように研修その他を始めて、ようやくこれをなくすることができたということになりますと、当分の間というこの条文になっていながら、この資料その他を見ましても、三十二年から書記官補をなくする方向へ向かわれたということになりますと、当分の間ということになっておったのだけれども、その当時とすれば書記官補をなくするというめどはついていなかったということになるのでありますか。その点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/4
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005・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま御指摘のございました附則のできましたのは、昭和二十四年の法律第百七十七号ということになるわけでございますが、その当時におきましては、これは私どもとしてはそういうことを志してはおりましたけれども、当時は何ぶん書記官の定員もまだ二千数百名ということであったと記憶しておりますが、そういう状況でございまして、とてもこれを一挙に廃止するということについては、はっきりしためどが立たなかったわけでございます。おかげさまで、この数年の経過によってこういう状態になってまいった、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/5
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006・大竹太郎
○大竹委員 それではお聞きしたいのでありますが、この書記官補は四十年度でなくなるわけでございますが、そういたしますと、いままでこの書記官補がやっておった仕事と申しますか、それは今度はだれがやることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/6
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007・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘の点これはまことにごもっともなお尋ねと存ずるわけでございますが、先ほどちょっと触れましたように、書記官補の従来やっておりました仕事は、今後は事務官がやることになるわけでございます。裁判所の事務官は、裁判所法にもございますとおり、これは裁判所の事務を担当することになっておりまして、その職務権限の範囲は非常に広いわけでございまして、これは十分その職務権限の範囲に含まれているわけでございます。また事実、従来書記官の補助事務を書記官補法がやり、さらにその書記官補の補助と申しますか、そういう形で事務官が従来から裁判所の事務を担当してまいったわけでございます。この点は実は考え方としてはいろいろあり得るところでございまして、およそ裁判所の事務の中には司法行政事務と裁判事務とございますことは、あらためて申し上げるまでもないことでございまして、その際に、司法行政事務を担当する職員と裁判事務を担当する職員というものを、いわば峻別いたしまして、両者は官職上全然別個のものにするということもむろん考えられるわけでございます。従来書記官、書記官補というような構想をとってまいりました考え方の中にはそういう面も含まれておったわけでございます。ただ、しかしながら、書記官でございますとか、あるいは代行書記官補でございますとか、そういう比較的高い、高度の職務内容の場合には、これは当然司法行政事務と一応区別して考えるのが相当であると考えられるわけでありますけれども、それの補助事務ということになりますと、非常に事実行為的な、いわば程度の低い職務内容になるわけでございます。ごく一例を申し上げますれば、たとえば記録の保存とか作成というものは書記官の事務でございまして、これは訴訟記録というものは非常に重要なものでございますから、別個の官職が必要でございますけれども、その場合に、たとえばそれをひもでとじるとか、あるいは表紙を書くとか、そういうような補助事務は、これは司法行政文書の表紙を書く作業、あるいはとじる作業というものと、観念的には区別はできますけれども、実際上、片方は事務官で片方は書記官補だというやかましい区別をする必要のある内容ではございませんので、これはまた小さな裁判所に参りますれば、当然一人がいろいろな仕事を兼ねなければならないということもございまいます。また人事管理その他の面もございます。むしろ事務官一本にいたしまして、こういう下のほうのいわゆる事実行為的な補助事務につきましては一本にして運用するほうがかえってやりいいし、また職員のためでもあるというふうな見地から、今後は事務官に全部裁判所あるいは行政事務系統の補助の仕事をしていただく、こういうようなことにしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/7
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008・大竹太郎
○大竹委員 それでは、このお出しいただきました資料についてちょっとお聞きしたいのでありますが、資料の第六についてちょっとお聞きしたいと思いますが、それで昭和二十九年度には書記官補が二百三十九人ということになっておりまして、それが昭和四十年度にはなくなる予定だということになっておりますが、この裁判所書記官の数がふえておらないのでありますが、これは定員の欠員にでもこの二百三十九人を充てることになるのでありますか、その点はどうなるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/8
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009・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 この第六の表について、いまの点にも触れまして少し御説明申し上げたいと存じますが、この一番左の端の欄が書記官の数の欄でございまして、そうして書記官補の数がその次でございますが、この書記官補の数が三十六年から大幅に減ってまいっているわけでございます。それだけの数を書記官に組みかえていただきまして、書記官の増員ということになってまいっているわけでございます。これは大部分において、書記官補から書記官に組みかえということでなってまいったわけでございますが、いま御指摘のございました最後の二百三十九人、これは事務官のほうに組みかえになるというわけでございます。したがいまして、定員上は書記官補が二百三十九人減員になりますと同時に、事務官が二百三十九人増員になるわけでございます。この表には事務官の数が出ておりませんので、ちょっとその点が御理解いただきにくかったと思いますが、二百三十九人は事務官に組みかえて、事務官の増員になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 そういたしますと、重ねてお聞きしたいのですが、昭和三十八年と三十九年の関係でございますが、これは六百九十四人代行書記官がおった。そうして、三十九年と三十八年との、三十九年のふえ方は、私ちょっとやってみたのですが、七百四十三人ふえておるのでありますが、そういたしますと、この書記官補のほうから全部裁判所書記官に来てもまだ七百四十三人にはならぬわけでありまして、その差額というものは一体どこから来たことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/10
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011・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘の点は、三十八年の六百九十四人の代行書記官が減って、書記官のほうがふえている。その数の差があるという点でございますが、これは大部分は六百九十四人の代行書記官、すなわち書記官補の中の代行資格を持った者を組みかえているわけでございますが、このほかに約五十人くらい事務官から書記官に組みかえていただいたわけでございます。これはあくまでも定員上の措置でございますから、現実にどういう人間が書記官になってまいるかという問題は別でございますが、定員上は代行書記官から書記官に六百九十四名、あと五十名近いものを事務官の定員から組みかえていただいたわけでございます。裁判所といたしますれば、代行書記官は従来から書記官の仕事をしておるわけでございますから、これの組みかえはあたりまえでございますが、事務官から組みかえていただくと非常にありがたいわけであります。なお、組みかえのほかに、新規に増員をしていただいた数もございます。組みかえと全然別に新規に増員をしていただいたものがあります。そういうものを含めまして、この数字がやや合わないということになってまいるわけであります。そういう関係になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/11
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012・大竹太郎
○大竹委員 いまのお話はよくわかったのでありますが、さっきの二百三十九人は、事務官のほうになったというお話なんでありますが、これは代行書記官じゃないのでありますが、先ほど来お話を聞いておりますと、やはり、この裁判所書記官補とすれば書記官になるのが普通だと思うのでありますが、そういたしますと、率直な言い方でありますが、あまり能力のよくない人だけが残ったから、書記官のほうにはなれないで事務官のほうに回ったということになるのでありますか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/12
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013・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま御指摘の二百三十九人残っておりますのは、これは全部代行資格のない者でございますが、これは実際上は現在書記官研修所に入っておる者でございます。そしてこの表は十二月一日現在で出てきておるわけでありますが、その当時の書記官補のポストを埋めておりますのは、実際はこの三月に書記官研修所を卒業する人たちでございます。卒業いたしますれば、これは当然に書記官になってまいるわけでございます。書記官が欠員がございますので、それに任官できるわけでございます。ただ定員としては書記官補でも事務官に組みかえになりますが、現実に書記官補の地位を埋めております者は書記官になる。残りの約百人くらいは、これは一応事務官に切りかえになりますけれども、書記官研修所に在所中の者でございますから、したがって、今後もうあと一年研修を終わりまして来年の三月になりますれば、特別に落等でもする者以外は当然書記官にその人たちもなってまいる。したがって、定員が書記官補から事務官に組みかえになりましても、現実にそれを埋めておる人たちは、自然に教育課程を終わって書記官に入ってまいるということで、この関係では全然不利を受けないわけでございます。ただ、あるいは御指摘の中に含まれておったかとも存じますが、このもう少し前の段階の六百九十四を組みかえました当時の段階におきましては、これは代行資格のある者を書記官に組みかえたわけでございますけれども、しかしこれまた、いわば定員上の組みかえ作業でございまして、現実に代行書記官の地位にあった者を全部書記官に組みかえという操作をすることを前提としているわけではないわけでございます。あくまでも定員上のものでございます。したがいまして、実際には代行書記官補であって、書記官になれなくて事務官になった人も現実におることはおるわけでございます。その点が御指摘の点かと存じます。そういう者は現実におることはおるわけでございます。ただ二百三十九人の今後の問題は、これは心配がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 それでこれは待遇上の不利益という問題はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/14
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015・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 この点まことに重要な点でございますが、御承知のとおり書記官には二八%の調整がついておりますし、それから代行書記官には四%の調整がついております。つまりその程度に俸給が、普通の同じ経歴の、同じ年次の者に比べて有利な給与を受けているわけでございます。それに対しまして、代行のつかない書記官補の場合あるいは事務官は、これは全然号俸の調整がないわけで、その限度で不利になっているわけでございます。そこでいま御指摘の、書記官補から事務官に切りかえになりますれば、当然その四%を失うということになりまして、もしそういうことになりますれば、これは本人に非常な不利益になるわけでございますので、その点は法律に基づきます最高裁判所の規則に規定がございまして、それに基づきます通達によりまして、一度代行書記官の地位にあった人たちは、事務官に転換いたしましても従来の四%の給与の保障をする、こういうことになっておるわけでございます。この方たちは今後昇給をされました場合でも、引き続き四%の調整を受けることになっておりまして、同年次の代行資格を持たない事務官と比較いたしますれば、いわば事務官でおります限り四%ずつ有利な給料を受ける、こういうことが保障されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/15
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016・大竹太郎
○大竹委員 それでは続いてお伺いしたいのでありますが、いままでは大体書記官は書記官補から補充するという形になっておるわけでありますが、今後は裁判所書記官の補充とでも申しますか、それは結局事務官から補充をするということに考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/16
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017・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘の点でありますが、これは従来も必ずしも書記官補のみが書記官の給源であったわけではございませんでして、事務官から試験を通って、書記官研修所に入り、あるいは直ちに書記官昇任試験にパスする者もないわけではなかったわけでございます。しかしながら、今後におきましては、書記官補というものがなくなりますので、これは当然に事務官が給源になるわけでございます。ただ、この書記官の仕事は非常に高度なものではございますが、いわば法律的な専門職でございまして、裁判所の事務官は一般に大部分の者が大学の法学部を出ておる者がほとんどでございますので、したがって、事務官から書記官を補給するこれには別に困難を感じない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/17
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018・大竹太郎
○大竹委員 ついでにと申してはあれでございますが、事務官、書記官に関連してお伺いしておきたいのでありますが、裁判所法の四十四条でございますが、一定の期間事務官をつとめた者は簡易裁判所の判事になることができるという規定があるのであります。これに書記官というのが落ちておるように思うのでありますが、これは普通からいえば、書記官のほうがかえって裁判所事務にたんのうとでも申しますか、そういうことがいえると思うのでありますが、この第四号には落ちておるように思われますが、これについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/18
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019・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは簡易裁判所の判事の中の、いわゆる有資格の簡易裁判所判事の任命資格の問題でございまして、その点はいま御指摘の四十四条の二項のほうにございますが、「前項の規定の適用については、同項第二号乃至第四号に掲げる職に在った年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在った年数とする。」ということで、実際上そう多くはございませんが、いわゆる研修所を終わって判事の資格を持った者の中で、たとえば最高裁判所の事務職に入ります場合には、裁判所事務官というものに転換して勤めておる者があるわけでございまして、そういう場合のことをいっておるわけでございまして、そういう人が、いわゆる研修を終えました有資格者が書記官になるということは実際上ございませんので、そこでここに入っておらないのだろうと思います。それに対しまして、いわゆる書記官や事務官の中から特別選考でなってまいります簡易裁判所の判事の関係は、そのすぐ次にあります四十五条でございまして、これは「多年司法事務にたずさわり、」ということになっておりまして、この中には当然事務官、書記官双方が含まれておる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/19
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020・大竹太郎
○大竹委員 次にこれも直接関係はないのでござますが、この際お聞きしておきたいと思うのであります。
この書記官補のほうはなくなったので、非常にけっこうなことだと思うのでありますが、家庭裁判所のいわゆる調査官補でございますが、これは依然として残っておるということになるわけでありまして、やはりこの裁判所書記官補をなくした精神からいいますならば、当然この調査官補もなくすべきもののように考えられるわけでございますが、これについてのお考えその他お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/20
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021・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま大竹委員から御指摘のございました点は、先般定員法の際に横山委員からも御指摘をいただいた点でございまして、私どもといたしましても、この附則で「当分の間」となっております点をも考慮に入れまして、代行書記官制度の廃止と並行して、代行調査官制度あるいは代行速記官制度というものの廃止あるいはそれの処置ということについて慎重に検討してまいっておるわけでございます。ただ、まだ現在のところ、その点について、はっきり廃止に踏み切るという結論にまで達しておりませんので、今回は書記官補のほうだけをお願いすることにしたわけでございます。
その調査官補の関係について、廃止に踏み切れない理由はいろいろあるわけでございますが、一つは、実際上まだ十分な調査官の数が確保できておらない、したがってまだもうしばらくは代行者を活用する必要がある、こういういわば実際的な理由も相当にあるわけでございます。その点で書記官とやや違う点があるわけでございます。それとも一つ、これはやや理論的な問題になりまして、少し理屈っぽくなって恐縮でございますが、書記官のほうは、高度の専門職と申しましても、法律的な専門職でございます。法律的な専門職というものは、裁判所の中におきましては、裁判官はむろんでございますが、事務官その他すべて法律的な職業でございますから、そういうものの中での高度の職業ということでございますと、事務官と質的には全然区別するということまでいかなくても、つまり書記官補というものをやめてしまいまして、事務官と併用いたしましてもそう支障はないわけでございます。何と申しましても、家庭裁判所調査官のほうの職務の関係は、法律学と申しますよりは、むしろ社会学とか心理学とかあるいは教育学とか、こういうものに関する高度の専門知識でございますし、実際上大学を出てまいります人たちも、法学部の人もないわけではござせんが、むしろ文学部とかそういう系統の関係の方のほうが多いわけでございます。また、それが非常に必要なわけでございます。したがいまして、どうしてもそこに補助職としても、単なる事務官ではなくて、やはり専門的な調査官補というものの補助を必要といたしますし、また昇進の経路といたしましても、事務官から調査官になるという率は、いわばきわめて少数でございまして、書記官の場合に比較すればはるかにその点が違うわけでございます。やはり調査官補から代行になり、調査官になるという昇進経路がむしろ通常の経路だということになるわけでございます。それから兼務等の関係も、書記官と事務官の兼務ということは、実際上必要でもあり、またそういうことが行なわれるケースが多いわけでございますが、調査官と事務官というものは兼務になじみにくい性質を持っております。そういう関係で、やはり調査官補というものがそういう一つの系列として、残すことも必要ではないかというような考え方がございまして、そういう考え方が最終的のものと考えておるわけではございませんが、その点でまだ踏み切れないということでございます。しかし先般来法務委員会でもしばしば御指摘をいただいておりますので、今後ともその点は十分検討いたしまして善処いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/21
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022・大竹太郎
○大竹委員 それでは書記官のほうは終わりまして、最高裁の新営審議会について、もう少しお聞きしたいのでありますが、この規定は非常に大まかにできておるのでありまして、この委員について、どういう中から出すというようなことが規定されておるだけでありまして、その構成、全体の数、それからその中でここに指摘されております国会議員とか、職員、学識経験の人にどれだけ割り当てるとか、そういうようなことは全然規定されておらぬわけでありまして、いずれ規則でそれらがはっきりするでありましょうが、そういう点についてあらかじめお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/22
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023・岩野徹
○岩野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判所法の附則にごく大まかな、簡略な規定を設けさせていただくということになっておりますが、その実際上の詳細は裁判所の規則で補充させていただくという考えでおります。ただ、その構成員のメンバーに関しましては、特に国会議員の関係だけは明らかにいたしておりますのは、実は一般の裁判所関係では特にそれを掲げておきませんと、国会議員の方々に委員になっていただきにくい、法制上そうなっておりますので、それを明らかにさせていただいておる。実際は委員の方々は、私ども考えておりますのは、二十五名の委員で構成する、その中に一応いろいろ考えておりますのは、政界、財界、法曹界、学界、言論界等、国の有識者の方々にお集まり願って十分御審議願う予定でいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/23
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024・大竹太郎
○大竹委員 一番最初に書いてあります「庁舎の新営に関する重要事項」こうなっておるのでありますが、この重要事項というのは一体どういう範囲にお考えになっておるのか。たとえば、仄聞するところによりますと、建設場所その他設計は、最中のようにも聞いておるわけでありますが、この建設場所なんかは非常に私は重要な事項の一つだと思うのでありますが、そういうのはすでにきまっておるとすれば、この委員会をつくるのはおそきに失したというようなことも考えられるわけでございますが、新営の重要事項というようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/24
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025・岩野徹
○岩野最高裁判所長官代理者 建物の建設に関しまする重要事項と申しますと、御指摘のとおり設置の場所、それから建物の規模、それから場合によりましては、いろいろなことばで適切に表現できるかどうですか、あるいは様式と申したり、構造とか申しますが、そういった何々式の建物、純粋の日本式でいくか、あるいは洋式でいくか、洋式の中でしかも現代的な様式でいくか、昔の様式をいろいろ探求してやるかというようなことも含まれましょうし、どういう程度の経費を使って処理していくかというような点がもっぱら重要なことになってまいると思います。ただ、その建設場所に関しましては、実は先般国有財産中央審議会のほうで、一応旧パレスハイツの南側半分を最高裁判所の敷地として予定することがきめられたおけで、委員会が設置されます前にかようなことが一応取りきめられましたことは、実は最高裁判所としましては旧パレスハイツのあと地全部につきまして最高裁判所の敷地として指定いただきたいという希望を持っておったわけでございます。その北半分が国立劇場の敷地と予定されることにたりましたために、まず、国立劇場の敷地が国有財産中央審議会におきまして決定された機会に、南側半分は将来最高裁判所の敷地の予定地とするということが理由中で一応定められていたわけでございます。それでいろいろオリンピックの関係がございまして、オリンピックの関係の建設現場と申しますか、工事場等が立ち並んでおりましたた
めに、さしあたり裁判所としてはその南側半分に手をつけることもできなかった状態でございますが、オリンピックが終わりました後、あの敷地が
一応きれいに取り片づけられた現況におきまして、裁判所は早くこの土地の所管がえを受けておこうということの必要がございましたために、国有財産中央審議会にかけていただいて、これを最高裁判所の庁舎建設敷地とするということをあらかじめきめていただいたわけでございます。そういう点で一部分設置の場所に関する問題は一応現在はずれたことになっておりますが、この点につきましても、また審議会において十分御検討願うことも必ずしも排斥する趣旨ではございません。もっと適地がございましたらそれを考えることもできるわけでございますが、ただいま一応そのようにきまっておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/25
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026・大竹太郎
○大竹委員 私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/26
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027・小島徹三
○小島委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。
次会は公報をもってお知らせいたします。これにて散会いたします。
午前十一時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805206X01619650325/27
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