1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月三十日(火曜日)
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議事日程 第二十二号
昭和四十年三月三十日
午後二時開議
第一 オリンピック記念青少年総合センター法
案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
日程第一 オリンピック記念青少年総合セン
ター法案(内閣提出)
労働省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回
避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う
所得税法の特例等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
脱税の防止のための日本国とスウェーデンと
の間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法
及び地方税法の特例等に関する法律案(内閣
提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
脱税の防止のための日本国とカナダとの間の
条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する
法律案(内閣提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国政府とフランス共和国政府との間
の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び
地方税法の特例等に関する法律案(内閣提出、
参議院送付)
国会における各会流に対する立法事務費の交付
に関する法律の一部を改正する法律案(議院
運営委員長提出)
国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を
改正する法律案(議院運営委員長提出)
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規
程案(議院運営委員長提出)
地方住宅供給公社法案(内閣提出)の趣旨説明
及び質疑
午後二時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/0
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001・船田中
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/1
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002・船田中
○議長(船田中君) おはかりいたします。
議員毛利松平君から、海外旅行のため、四月六日から十九日まで十四日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/2
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003・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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日程第一 オリンピック記念青少年総合セン
ター法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/3
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004・船田中
○議長(船田中君) 日程第一、オリンピック記念青少年総合センター法案を議題といたします。
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005・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。文教委員会理事上村千一郎君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔上村千一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/5
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006・上村千一郎
○上村千一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
本案は、オリンピック東京大会を記念し、特殊法人オリンピック記念青少年総合センターを設立すること、政府は、この法人の資本金としてオリンピック代々木選手村跡の施設を出資すること、この法人は、その設置する青少年のための宿泊研修施設を適切に運営し、青少年の心身の発達をはかり、もって健全な青少年の育成に寄与することを目的とすること、及び同法人の資本金、組織、業務、財務及び会計、監督等について所要の規定を設けようとするものであります。
本案は、去る二月十六日当委員会に付託となり、翌十七日政府から提案理由の説明を聴取いたしました。自来、体育振興に関する特別委員会と連合審査会を開く等、慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
かくて、三月二十九日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決されました。
次いで、私外六名から、本案に対し、政府は、オリンピック記念青少年総合センターの設置目的にかんがみ、オリンピック選手村跡施設中国税庁職員宿舎として使用予定の土地、建物は、使用期間を二年以内とし、その期間終了とともにオリンピック記念青少年総合センターに追加出資すべきである旨の自由民主党、日本社会党、民主社会党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、採決の結果、異議なく可決されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/6
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007・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/7
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008・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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労働省設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/8
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009・海部俊樹
○海部俊樹君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、労働省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/9
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010・船田中
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/10
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011・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/11
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012・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長河本敏夫君。
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〔報告書は会議録追録に掲載〕
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〔河本敏夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/12
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013・河本敏夫
○河本敏夫君 ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案の要旨は、労働災害の防止に関する諸施策を総合的、一元的に推進するため、労働基準局に労災防止対策部を設置すること、広域職業紹介に関する業務体制の整備等に伴い、職業安定事務所を廃止すること、定員を三百十人増員すること等であります。
本案は、一月三十日本委員会に付託、二月四日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月二十六日質疑を終了、本日、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/13
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014・船田中
○議長(船田中君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/14
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015・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカナダとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との問の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案
(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/15
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016・海部俊樹
○海部俊樹君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、参議院送付、日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカナダとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案、右四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/16
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017・船田中
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/17
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018・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカナダとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案、右四案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/18
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019・船田中
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長吉田重延君。
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〔報告書は会議録追録に掲載〕
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〔吉田重延君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/19
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020・吉田重延
○吉田重延君 ただいま議題となりました租税条約関係四法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
政府におきましては、租税の国際的な二重課税を回避する等のため、アメリカ及びスウェーデンとの間に租税条約を修正補足する議定書を、また、カナダ及びフランスとの間に新たに租税条約を締結し、その承認方については、別途今国会にそれぞれ提案がなされたのでありますが、この四法律案は、これらの議定書または条約中に規定されております事項のうち、特に法律の規定を要するものについて、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
しかして、この四法律案は、ほぼ内容を同じくするものでありますので、以下、一括してその大要を御説明申し上げます。
まず、第一に、わが国の税法によりますと、外国人または外国法人で、日本国内に事業を有していない者が取得する配当、利子、工業所有権の使用料等の所得に対しましては、原則として二〇%の税率で源泉徴収所得税が課されることになっておりますが、この税率を、これら四カ国の居住者または法人が取得する配当につきましては一五%、利子または使用料等につきましては、カナダにあっては一五%、その他の三国にあっては一〇%とすることといたしております。ただし、アメリカ及びスウェーデンにつきましては、配当が親子会社間のものである場合には一〇%とすることといたしております。
第二に、外国人または外国法人がわが国に支店等を有して一定の事業を行なっている場合におきまして、ただいま申し上げました配当所得等があるときには、わが国内法により、これをその他の所得と合算して申告納税をしなければならないことになっておりますが、これら四カ国の居住者または法人につきましては、その合算の結果、配当所得等に見合う所得税または法人税の税率がさきの軽減税率よりも高くならないよう所要の措置を講ずることといたしております。なお、この場合、スウェーデン及びフランスにつきましては、地方税をも含めて軽減税率をこえることのないよう所要の措置を講ずることといたしております。
以上四法律案は、審査の結果、本三月三十日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/20
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021・船田中
○議長(船田中君) 四案を一括して採決いたします。
四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/21
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022・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、四案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
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国会における各会派に対する立法事務費の交
付に関する法律の一部を改正する法律案
(議院運営委員長提出)
国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部
を改正する法律案(議院運営委員長提出)
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する
規程案(議院運営委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/22
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023・海部俊樹
○海部俊樹君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、議院運営委員長提出、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/23
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024・船田中
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/24
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025・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、右三案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/25
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026・船田中
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長坪川信三君。
〔坪川信三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/26
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027・坪川信三
○坪川信三君 ただいま議題となりました国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案外二件につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案は、立法事務費の月額を現行三万円から四万円に改めるものであります。
次に、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案は、秘書の滞在雑費の日額を一律に六百円に、また、閉会中雑費の月額を一律に九千円に増額改定するものでありまして、両法律案とも昭和四十年四月一日から施行しようとするものであります。
次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案は、職員の定員千六百十六人を千六百五十二人に改めようとするものであります。
以上三案は、いずれも議院運営委員会において起草、提出したものであります。何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/27
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028・船田中
○議長(船田中君) これより採決に入ります。
まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、及び国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/28
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029・船田中
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案は可決いたしました。
次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につき採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/29
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030・船田中
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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地方住宅供給公社法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/30
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031・船田中
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、地方住宅供給公社法案の趣旨の説明を求めます。建設大臣小山長規君。
〔国務大臣小山長規君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/31
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032・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 地方住宅供給公社法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
御承知のように、政府は、社会開発の一環として住宅対策を重視し、昭和四十五年度までに一世帯一住宅を実現して、国民のすべてが健全な明るい住生活を営むことができるよう、政府施策住宅拡充強化するとともに、民間自力建設住宅の促進をはかっております。
この施策の実施にあたっては、賃貸住宅を希望する者には賃貸住宅が、持ち家住宅を希望する者には持ち家住宅が得られるようにすべきことはもちろんでありますが、最近の宅地価格の高騰等により、住宅の建設費が増大し、中堅階層の勤労者にとっては、持ち家住宅の取得が次第に困難となってまいりました。
したがって、持ち家住宅を希望するこれらの人たちに住宅の取得を容易にし、その生活に健全な目標と夢を与えるため、住宅を取得するための資金について国の援助を強化するとともに、これらの人たちにみずから資金の積み立てを行なわせることを奨励する必要があります。
この法律案は、以上の観点から、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に対し、住宅の積み立て分譲等の方法により居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給するため、地方住宅供給公社の制度を創設しようとするものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、地方住宅供給公社の行なう業務としましては、持ち家住宅を希望する勤労者から積み立て金を受け入れ、一定額に達した者に住宅を供給するほか、住宅及び利便施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡等を行なわせることとしております。
第二に、この地方公社は、その目的、業務の性格にかんがみ、都道府県または人口五十万以上の大都市が出資し、建設大臣の認可を受けて設立する特別法人といたしております。なお、関係市町村もこれにあわせて出資することができることといたしました。
また、必要に応じ、二以上の都道府県または大都市が共同して設立することも認めることといたしました。
第三に、この地方公社は、建設大臣と都道府県知事または市長が監督することとし、公社の事業計画及び資金計画につきましては、事業の公益性を確保し、経営の健全化をはかるため、建設大臣、都道府県知事または市長の承認を受けさせることといたしました。
第四に、この地方公社に対して土地の収用権を認めるとともに、新住宅市街地開発事業の事業主体となることができることとして、その宅地の取得を容易にいたしたのであります。
また、この地方公社に対して、国税、地方税を通じて税制上の優遇措置を講ずるとともに、この地方公社が積み立て者にその積み立て額に応じて還元する金額についても非課税とすることといたしました。
なお、都道府県または大都市が設立した民法上の公益法人で、現に住宅の供給に関する事業を行なっているものは、組織変更して地方住宅供給公社となることができることといたしております。
以上が、地方住宅供給公社法案の趣旨でございます。(拍手)
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地方住宅供給公社法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/32
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033・船田中
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。實川清之君。
〔實川清之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/33
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034・實川清之
○實川清之君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案された地方住宅供給公社法案につき、その背景をなす基本問題に触れて、総理大臣以下関係各大臣に御質問いたします。
総理はただいまお見えになっておりませんが、後日機会を得て御答弁をいただきたいと存じます。
今日、住宅、宅地事情は極度に悪化いたしておりまして、しかも、日を迫っていよいよ複雑深刻な様相を帯び、重大な社会問題となってまいっておるのであります。勤労大衆の多くが各自の努力の限界を越えた絶望的な住宅難に苦しんでいる現実を見るにつけ、われわれは、戦災復興の往時にさかのぼって、あらためて政府の責任をきびしく追及せざるを得ないのであります。
太平洋戦争直後、われわれは、住宅、総資産の二〇%を失い、戦時中の供給不足、海外引き揚げ者による不足等、合わせて四百五十万戸の絶対量が不足するという事態に直面いたしたのであります。しかるに、歴代政府は、住宅復興計画の樹立を怠り、長期にわたって応急対策のまま放置し、しかも、民間自力建設に大幅に依存して庶民の願望を無視してまいったのであります。今日の新住宅難時代の招来は、政府の貧困な住宅政策がもたらした当然の帰結というべきでありましょう。今日、衣食については、国民大衆の営々たる努力により、すでに戦後性を脱却しつつあるにかかわらず、ひとり住宅問題のみは、はなばなしい経済復興の犠牲とされ、著しい後進性を示しているのであります。現在、住宅不足戸数は依然として戦争による滅失戸数を下回ることなく、ことに戦災による罹災家屋の過半数を占めた大都市において、極度に困難な住宅事情を生んでおります。これは明らかに、当然政府によって果たさるべき戦後処理の責任を歴代自民党内閣が回避し来たったものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
佐藤総理大臣は、その内閣発足にあたり、いみじくも人間尊重、社会開発こそ目下の急務と説かれたのでありますが、そのスローガンの基本条件ともいうべき住宅建設に対し、いかなる決意をもって臨まれるか、また、国民の住生活破壊に対する政府の責任をいかにして果たされんとするか、まず第一にお伺いいたしたいのであります。(拍手)
次に、住宅政策の一貫性についてお尋ねいたします。
住宅問題は、前述のごとく、戦後二十年を経て一向に解決されないばかりか、近年、大都市においては、人口の過度の集中、世帯の細分化の要因が加わって、いよいよ深刻化しておりますことは周知の事実であります。この間、国の出資、補助または融資による住宅建設助成の法律は実に十指に余るものが施行されており、さらに屋上屋を重ねて新法案を提出されんとしているわけであります。
顧みるに、これら住宅問題に対処する政府の従来の施策は、常に住宅不足戸数を過小に見積もることに始まって、これを量的に解消することにのみ重点が置かれ過ぎたきらいがございます。現実の住宅難が次第に質的、経済的なものに移行しつつある面は等閑視され、また、住宅政策に並行すべき土地問題も政策対象としてはとらえられておりません。したがって、住宅政策には全く一貫した方針が見られないのであります。
複雑多岐にわたる本問題の困難性を考えるとき、政府は、たとえば住宅基本法の制定のごとき総合一本化した方針を樹立し、積極果敢にこれと取り組むべきときではないかと思うのでありますが、そういう意図があるかないか、総理はこれを明確に国民の前に示していただきたいのであります。(拍手)
次に、住宅建設については、特に低所得者を対象とする公共賃貸住宅の大量供給こそ最優先的に取り上げなければならぬと思いますが、この点につきましての総理の御見解を承りたいのであります。
現在、最も住宅に困窮しているのは勤労者であり、その四〇%が住宅に困難をいたしているのであります。また、特に月収三万円以下の低所得者層に住宅難世帯が集中しており、これらの事実は、政府の調査統計でも明らかなとおりであります。そして、これが住宅事情を悪化させる最大の原因をなすことも多言を要しないところであります。彼らは、政府施策の公営住宅、公団住宅に入居することを熱望しながらも、多くの条件にはばまれて実現し得ないのであります。建設戸数の過少、宝くじにひとしい入居競争、立地条件の不利等もさることながら、まず入居資格のきびしい規定そのものに申し込みすらはばまれておるのが現況であります。このため、巷間には、四畳半一間で家賃七千円といった民間経営の粗悪狭小な木造アパートが乱立し、住環境を一そう悪化させ、各種の社会悲劇を発生せしめているのであります。漫然と放置するならば刻々と悪化する住環境を、政府はいかにして収拾されんとするのか、きわめて重大な政治責任といわざるを得ません。
政府は、さきに、住宅七カ年計画を打ち出して、一世帯一住宅実現のため、七百八十万戸の住宅建設のアドバルーンを掲げ、公共賃貸住宅三百万戸以上を施策の中心とすることを力説されたのであります。しかるに、四十年度予算においては、前年対比五千戸の増加を見たにすぎず、早くも国民の期待を裏切っているのであります。諸物価の相次ぐ騰貴に生活は脅かされ、公共住宅にも入居できず、逆に居住環境劣悪な民間アパートに高家賃を支払っているのが低所得者の現実の住宅事情であります。これを思うとき、総理の言われる人間尊重は、その第一歩すら解決されていないことを痛感する次第であります。(拍手)政府は、この際、万難を排して、低所得者のため公共賃貸住宅を大量に建設し、住宅難の根本問題解消に努力を集中すべきであります。
ただいま提案されたこの法案は、政府が新たに制度を創設して、持ち家政策を促進しようとするものでありますが、ほんとうに住宅に困窮している勤労者にとっては、まさに絵にかいたぼたもちのたぐいでございます。(拍手)積み立て金の二割負担のみならず、建設単価、用地費の政府の見積もりが低きに過ぎ、地価の高いところでは、個人が実質的に五〇%を負担しなければならない場合もあるのであります。このような多額の負担にたえ得る勤労者がはたして何人いるでありましょうか。サラリーマンの夢を実現させるどころか、持ち家というはかない夢を庶民に抱かせることにより現実問題を糊塗しようとするものと断ぜざるを得ないのであります。これらの点につき、建設大臣の率直なお考えを御披瀝願いたいのであります。
次に、地価対策について伺います。
現在、住宅建設を阻害している最大のガンは、何をおいても、まず用地の高騰であります。国民経済、国民生活の全分野に影響する大きな社会問題として、ここ数年、各界にわたり論ぜられております。このことにつき、昨年五月、本院において、地価安定施策の強化に関する決議がなされたことは、事の重大性とともに、われわれの記憶に新たなところであります。われわれは、地価の高騰が国民の住生活を脅かし、公共事業等の施行を著しく困難にしていることに深い憂慮を表明し、地価高騰抑制のための強力な措置として、土地利用計画の策定、地価の公示制、空間地税等、これらの積極的な検討を政府に要望してきたのでありますが、これらに関する具体的、かつ、抜本的な対策はいまだに明らかにされていないのであります。
地価が一般物価上昇の構造的基盤であり、直接的に住宅建設を阻害する社会的ガンであることを思うとき、地価抑制策を望む圧倒的多数の国民の切実な期待にこたえるため、この対決策をお示し願いたいのであります。
一九六一年、ILO第四十五回総会におきまして、労働者住宅に関する勧告案が審議され、各国とも、政府、労使全員賛成で可決採択されたことは、先刻御承知のとおりであります。勧告は、その一般原則において、すべての労働者とその家族に対し、最も必要性の高い者の順に、適当で良好な住宅施設及び住宅環境の建設を促進することが国の住宅政策の目的であるべきことをうたっているのであります。特に、この勧告の趣旨に沿って実行される大規模な住宅建設計画が、その国の経済成長や開発計画と直接競合する点にまで考慮を払い、その際、労働者住宅の建設を優先して行なうべきことをはっきりと勧告いたしておるのであります。
ところが、これに反して、わが国の住宅政策たるや、前述のごとく、総合性、一貫性が欠除しておるのみならず、ILO勧告の精神は全く無視され、住宅建設を犠牲にした経済成長政策が政府によって強行されていることは、まことに残念なことであり、ILO勧告に対する政府の消極的態度が住宅政策の面を通じてもはっきりとうかがわれ、はなはだ遺憾にたえないのであります。(拍手)この勧告が条約覇ないからこれを順守する義務はないと解釈しておられるのであろうか、あるいはこれを十分尊重して、その内容の実現に努力する御意思を真剣に持っておられるかどうか、その決意のほどを労働大臣よりお答え願いたいのであります。(拍手)
要するに、ほんとうに家に困っている者に対し、その人の収入で居住可能な家を与えることこそ住宅政策の根本であります。住宅問題の解決は、すでに全く個人の努力の範囲を越えてしまった今日、なさねばならぬ政策は幾多本法案以前に横たわっておるはずであります。一世帯一住宅の公約実現のためにも、政府施策住宅建設の大幅拡大、公団、公庫利用の条件緩和等、的確な措置を積極果敢に実施し、もって、国民大多数の願望たる住宅、宅地問題解決に集中的な努力を払われんことを強調して、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/34
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035・船田中
○議長(船田中君) 内閣総理大臣の答弁は適当な機会に願うことといたします。
〔国務大臣小山長規君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/35
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036・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 私に対する質問にお答えいたします。
政府は、安い公共賃貸住宅をつくるべきであり、月収三万円以下の労働者にむしろ重点を置いてやるべきであって、持ち家政策は低所得者に対する住宅政策にならないじゃないかということでありますが、政府の住宅政策のねらいも、住宅に困窮する世帯の所得階層を考慮して実施することにいたしておるのでありまして、したがって、まず一番の重点は、低所得者階層及び都市勤労者に対する公共賃貸住宅の供給を最重点にいたしております。すなわち、低額所得者に対しましては第二種公営住宅や改良住宅を供給し、また、中程度の所得階層のうち、賃貸住宅の需要者に対しましては第一種公営住宅や公団賃貸住宅等の供給をやっておるのであり、ここに御提案申し上げました持ち家を希望する中堅階層者に対しては、公庫融資の拡充をはかってきたのでありますが、持ち家の取得をさらに容易にするために、自分自身にもあらかじめ計画的な資金の積み立てを行なってもらい、そしてこれに対して大量に住宅を供給していこうという考え方でいるのであります。
次に、地価対策につきましては、確かに仰せのように、抜本的施策を講じませんと、住宅対策が行き詰まってくるように相なっておることは事実であります。しかし、地価の著しい高騰に対処して、それでは何かきめ手があるか、ただ一本の筋があるかと申しますと、地価高騰の原因が種々雑多でありますだけに、これに対する対策も、いろいろな対策を取りまぜてやらなければならぬわけであります。つまり、地価の高騰を来たしておる一番大きな原因は何かと言えば、経済の成長に伴って宅地の需要が非常にふえたということであります。同時に、それに伴いまして、思惑、売り惜しみ、あるいは小さい宅地の需要がふえてきた、一方、土地は生産されるものではありませんので、そのためにこれが高騰を来たしておるというのが一番大きな原因であります。でありますからして、この基本的な問題は、やはり経済の安定成長ということがまず第一であります。一方においては、宅地需給の分散、緩和をする必要がありますが、このために地域開発や拠点都市の開発を行なおうとしておるわけであります。また、通勤者住宅地の供給を相当遠いところまで可能にするために、交通施設の整備をはかる必要がありますし、また、高速自動車道路の建設も必要になってくるのであります。また、宅地造成の積極化、土地の高度利用、これは当然なことでありまして、このためにいままで日本住宅公団あるいは金融公庫等を通じて土地の造成資金の貸し出しをいたしております。なおまた、いま仰せになりましたような不動産鑑定評価制度の強化とか地価公示制度による適正な地価形成基準の確立とか、あるいは土地利用計画の確立、こういう問題について私どもは真剣に取り組んでおるのでありまして、ただいま経済閣僚懇談会あるいは宅地審議会の中心の話題になっておるのがこの問題であります。早晩私どもはその結論を御提示できると思っております。
さらに、ILOの住宅に関する勧告について私の関係を申し上げますが、一九六一年のILOの総会におきましては、労働者住宅に関する勧告がなされましたが、この中で国の住宅政策の目的について諸種の勧告をいたしております。私どもがいまやっておりますところの一世帯一住宅の長期計画、これは、その具体的な実施にあたりましては、低所得者及び都市勤労者に重点を置いて施策を進めるという、先ほど申し上げましたような政策をとっておるのであり、また、持ち家を希望する中堅階級勤労者に対しては、ただいま御提案のような公社をつくりまして、その拡充をはかることといたしておりますが、これは勧告の線に沿っておるものと考えておるものであります。
なお、ILOの勧告では、企業者がその社宅を提供することは、これはよろしくない、望ましくないということを言っておりますけれども、わが国のように住宅事情が窮迫しておる状況のもとでは、企業者もまた労働者とともにその労働者の住宅の安定のために責任の一端を負ってもらうことがやはり必要であろうと考えます。そういうことで、現行制度を特に変更しなければならぬ必要はないものと考えるのであります。(拍手)
〔国務大臣石田博英君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/36
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037・石田博英
○国務大臣(石田博英君) ILO百十五号勧告は、私どもといたしましておおむね妥当なものと考えて、その線に沿って労働者住宅政策を推進いたしておるところでございますが、ただいま建設大臣から指摘されましたように、わが国の実情の中で問題点もございますので、細部にわたって全面的にこれを実施するというのには問題があるように思います。しかしながら、勤労者諸君に住宅を供給するということは、勤労者の福祉のためだけではなくして、労働力の流動化のためにもきわめて重要なことでございますので、労働省といたしましては、労働者移動用の住宅の建設あるいは炭鉱離職者諸君のための住宅の建設をみずから行ないますとともに、また、雇用促進事業団を通じまして住宅建設融資あるいは中小企業共済組合の還元融資等を行なっておりますほか、年金事業団その他各省と連携を密にいたしまして住宅建設に邁進をいたしておるところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/37
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038・船田中
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/38
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039・船田中
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十九分散会
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出席国務大臣
労 働 大 臣 石田 博英君
建 設 大 臣 小山 長規君
出席政府委員
大蔵政務次官 鍛冶 良作君
文部政務次官 押谷 富三君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805254X02419650330/39
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