1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年四月二十七日(火曜日)
午前十時四十八分開会
—————————————
委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
平島 敏夫君 源田 実君
四月二十四日
辞任 補欠選任
源田 実君 平島 敏夫君
鳥畠徳次郎君 上林 忠次君
村松 久義君 井野 碩哉君
高橋文五郎君 河野 謙三君
—————————————
四月二十七日
辞任 補欠選任
井野 碩哉君 後藤 義隆君
河野 謙三君 白井 勇君
松野 孝一君 高橋文五郎君
出席者は左のとおり。
委員長 松平 勇雄君
理 事
江藤 智君
金丸 冨雄君
前田佳都男君
吉田忠三郎君
委 員
加賀山之雄君
後藤 義隆君
白井 勇君
高橋文五郎君
平島 敏夫君
相澤 重明君
小酒井義男君
浅井 亨君
中村 正雄君
国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
政府委員
運輸政務次官 大久保武雄君
運輸大臣官房長 堀 武夫君
運輸省海運局長 若狭 得治君
運輸省船員局長 亀山 信郎君
運輸省船舶局長 芥川 輝孝君
運輸省鉄道監督
局長 佐藤 光夫君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 深草 克巳君
海上保安庁長官 今井 栄文君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
水産庁漁政部長 山中 義一君
日本国有鉄道総
裁 石田 禮助君
日本国有鉄道常
務理事 豊原廉次郎君
日本国有鉄道常
務理事 今村 義夫君
—————————————
本日の会議に付した案件
○海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査(日本国有鉄道の運営
に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/0
-
001・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
初めに、委員の異動について御報告いたします。
二十四日付をもって、委員鳥畠徳次郎君、村松久義君及び高橋文五郎君が辞任し、その補欠として上林忠次君、井野碩哉君及び河野謙三君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/1
-
002・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/2
-
003・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、今回の改正案の骨子は、いわゆるカー・フェリーが漸増をする傾向にあるので自動車航送事業に対して規制を加える、そしてさらにいままでの定期貨物船と不定期貨物船との間における過当競争の調整をはかる、あるいは運輸大臣の勧告権を与える、こういうふうなことが中心になっておるということですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/3
-
004・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/4
-
005・相澤重明
○相澤重明君 そこで、現在までこの自動車航送船を許可しておるところは国内で何カ所ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/5
-
006・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 現在の自動車航送船の状況でございますけれども、全国で七十航路ございまして、このうち旅客定期航路というものは三十六航路でございます。それから不定期が二航路、貨物のみの航路は三十二航路ということでございます。旅客定期のうち、十三名以上のものは現在でも免許制でございます。それ以外のものは現在免許制にはなっておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/6
-
007・相澤重明
○相澤重明君 現在の旅客を取り扱っておる三十六航路のうち、十二人以下というのはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/7
-
008・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) ただいま申しました七十航路のうち、三十六航路がいわゆる十三名以上の旅客定員を持っておりますところの航路でございまして、これは免許制でございます。それから不定期二航路、それから先ほど貨物が三十二航路と申しましたが、この両方合わせまして三十四航路というものは免許にはなっておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/8
-
009・相澤重明
○相澤重明君 不定期を含んで、貨物の三十二航路と合わして三十四航路、これは免許になっていない。それはこの法律が通るというと免許事案になる、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/9
-
010・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) これはこの法律によりました許可事業といたしておりますので、許可制がしかれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/10
-
011・相澤重明
○相澤重明君 他に現在出願をしておるものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/11
-
012・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 相当ございますけれども、現在手元に資料を持ってまいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/12
-
013・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣、一体この法律をいま審議して上げようというのに資料がないというのはどういうことですか、これは運輸大臣答弁してください。何事です、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/13
-
014・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 必要ならば、すぐ取り寄させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/14
-
015・相澤重明
○相澤重明君 大臣、必要ならばといったって、いま法律を上げようとしているじゃないか。法律を上げようとするときに、わからぬということがあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/15
-
016・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 現在航路を経営いたしているものは、先ほど申しましたような航路数でございます。
それから、現在地方局等に出請を手続中のものが相当数あるであろうということでございました。われわれのほうでこれを受け付けて集計するという段階まで至っておらないわけでございます。事業をやりたいというものは相当数ございますということを御報告申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/16
-
017・相澤重明
○相澤重明君 そういう不見識なことじゃ困ると言うのだ。だから、運輸大臣は、この法律を通すときに、過当競争を防止するのが一つのねらいなんです。そうでしょう。陸上の道路交通がふくそう化して自動車交通を取り締まらなければならぬという一面に、今度は海上の交通もある程度整備しなければならぬということなんです。そうだろう。そういうことになれば、いま全国に七十航路なら七十航路ある中で、これはいま言ったすでに許可しておるものと、あるいは不定期なものと、それから新たな出願というものは当然あるはずなんです。そうでしょう。だから、そういうものを無制限に許可をしていいのか、あるいはある程度そういうものを運輸大臣が調整をとらなければいけないのかということが出てくるのだ。法律というものはそういうところに趣旨がある。それを事務当局がそういうことがわからぬという話があるか、いま一ぺん答弁し直せ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/17
-
018・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) そのお説ごもっともでございますけれども、ただいま運輸省に届いておる数を局長は答弁いたしたのであります。なお、出先の事務所のほうに届いておる中で、出先のほうでわれわれのほうと折衝しまして、これこれのものは認可する必要があると認めたものは順次あげてくるのでありますから、順次あげてきましてから検討するつもりでありますが、いまのところはいま答弁した程度のものがあがってきておるということでございます。それ以外はもう見ないというのではありません。これからあがってくるものを順次検討するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/18
-
019・相澤重明
○相澤重明君 これはまあほんとうに大臣は人がいいからそういう答弁をしているのだけども、ここにいま報告されておるのは、運輸省が現在営業をしておるのを認めているやつだよ。不定期であろうと、定期であろうと、これは認めているのだよ。これからこの法律が通れば、この法律に基づいて当然出願手続をしておるもの——これは認めているのと手続しているのとは違うのだよ。そういう点をある程度明らかにしなければ、航路がふくそうしますなんといって、どこにふくそうするのか。あるいは、調整をするなんといって、どこに調整をする必要があるか。結局は、今後はますますそういうことが陸上と同じように予想されるから、いわゆる今回の法律改正をするというのが一つのねらいであるわけです。いま一つは、いままでの先ほどの説明のあるように、規制ができなかったところを規制をするということがあるのだよ。法律の趣旨からいけばそういうことだから、そういうことぐらいは、もう二回も三回も当委員会で質疑をやっているのだろうから、そのぐらいのことはすぐ答弁できるようにしてもらわなければ困るよ。海運局長、どうなんだ、一体これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/19
-
020・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど報告いたしました数字は、私の説明が不足であったのじゃないかと思いますけれども、貨物フェリーをやっております三十二航路につきましては、現在許可も何もないわけでございます。これが、今度こういう法律が通りました場合には、許可制の対象になるということでございます。
それから、それ以外に、現在地方の海運局の手元に申請の出ておるものは相当数ございます。これは、われわれの本省まで実際問題としていろいろな案件の処理のために報告の来ているものも約二十件程度ございます。それ以外にも、なお現在計画中のもの、あるいは申請の手続をしようとしているもの等が相当数あるであろう、その数はわれわれの手元には明確にはわかりません、こういうことを申し上げたわけでございます。地方の海運局に現在来ておりまして、しかもその再案が相当むずかしい問題も含んでおりますので、われわれのところへ相談のあるものは現在二十件程度、これ以外にもあるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/20
-
021・相澤重明
○相澤重明君 その説明のしかたを、そういうふうに最初からやれば、おこられることないのだよ。結局、この法律を通すことは、いまの説明のように新しい事案が生まれてくると、こういうものを調整をしたりあるいは規制をしたりする必要があるからこそ改正案になっているわけだ、そういう点についてはわかりました。
そこで、この際ですから、きょう私も水産庁の関係者を呼んでおるわけですから、これは運輸大臣もひとつともに内閣としてやはり御検討をいただきたいし、答弁を願いたいと思う。そこで、まとめてひとつ聞くから答弁してもらいたいのは、第一は旅客船について、いわゆる外航、あるいは内航、沿岸、平水、こういうそれぞれの旅客もあると思う。あるいは貨物もあると思う。貨物の中を分けていけば、いわゆる商品になる貨物の問題と、それから貨物とはいえないだろうけれども、漁業の問題もあると思う。漁業の問題については、日ソ条約とか、あるいは日米加条約とか、あるいはいまのこの李ラインの日韓条約とか、いま当面の問題いろいろあると思う。
そこで、まず第一に私がお伺いをしたいのは、こういう船舶が災害を受けた場合に、この船舶に対する補償というものはどういう形になっておるのかというのが一つ。
それから二つ目は、この船舶に乗り組んでおる人命についての補償というものはどういう法律的な問題があるのか。
それから第三点は、いわゆるそれぞれ船舶安全法なりあるいは構造なりあるいは船員法なり関係の法律によっていろいろ御答弁があると思うが、今度は、そういう国際的にしても条約関係があって、一応わが国の生産あるいは産業に非常な甚大な影響をもたらすこれらの漁業の問題について、不漁であったりあるいは台風等災害時においてとれなかった場合の生計というものは一体だれがめんどうを見るのか、船主なり船員なり、あるいは漁船主なり漁労員なり、そういう人たちの生計というものは国家的にどういうふうになっているんだろう。おそらく私は現状ではそういうものについては何らの補償はないじゃないか、こう思うのだが、これについは何かの法律的な根拠があるのか、それがないとすれば、どういうふうにたとえば政府は考え、特に農林省、水産庁は監督官庁であるから、そういう遠洋漁業に出ておるような人たちの生活というものは一体だれがどう見るか、どういう法律的な根拠があり、どういう予算的な措置があるのかという三点について、それぞれ運輸大臣なり水産庁から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/21
-
022・山中義一
○説明員(山中義一君) ただいまの御質問でございますが、まず第一点の漁船そのものの災害についての対策でございますが、これは漁船保険法というのがございまして、漁船保険に入ったものを国がさらに再保険いたしまして、遭難したものの船の建造資金の足し前と申しますか、全額それでもって建造できるという場合はあるいは少ないかもしれませんけれども、かなりの面をカバーできるというふうになっております。
それから第二点の人命の補償につきましては、これは御質疑の中にもございました、李ラインとか、あるいは外国のほうの関係、ソ連のほうの関係、こういうところで抑留されたりいたしますと、これはやはり漁船保険のうちの一種の特殊保険というのがございまして、そこに乗り組員の抑留中の給与その他の保険措置がございます。しかしながら、そういう特殊の場合でない場合の一般の場合は、水産のほうの側からの人命に対します保険的措置は、これはございません。一般の生命保険的な厚生共済というのがございまして、共済のほうでめんどうを見るということになっております。
それから第三点の漁業の不漁の問題でございますが、遠洋漁業、特にカツオ・マグロ漁業につきましては、近年どうも総漁獲量が停滞ぎみになっております。それと、一方乗り組み員がほかの産業の盛んなのに反比例いたしまして不足いたしまして、労賃、それから労働力の不足、それから一般経費の高騰というようなものがいろいろ原因となりまして、経営がやや不振というようなことになっております。この場合に、国といたしましては、一つの方法として、乗り組み員の労力不足が個々の経営体につきましては一番大きな問題になっておりますので、労働力の軽減をはかるために、乗り組み員の労働の省力化の研究を至急開くということで、昨年度末にこれを発足させまして、漁業者と、それから関連の産業、メーカー、それから役所というようなものが一体になりまして、省力化対策を研究中でございますが、さらに今後、これの研究会と申しますか、懇談会を続けてまいって、総合的なカツオ・マグロ漁業経常の安定対策に役立てたいというふうに準備をしております。
なお、いまの不漁、災害等の問題に対しましては、漁業の災害補償法というのがございまして、一般的にこれを漁獲共済というふうに申しておりますが、共済制度によりまして、中小のカツオ・マグロ漁業者が、不漁等によって、その漁獲金額が過去の三年間の平均額の一定割合に達しない場合には、共済金を交付するというふうなたてまえになっております。大企業はこれに入ることができませんでございますが、中小の一般の船主はこれに入ることができるようになっております。
なお、この経営に関しましても、乗り組み員の方の分け前と申しますか——という問題でございますが、いままでは大体、全歩合制と申しますか、漁獲高の乗り組み員と船主が必要経費を差し引いた残りを全部で分けるというようなたてまえをとってまいって、不漁の場合には乗り組み員は非常に分け前が少なくて不安定な状態でございましたので、役所といたしましても、できるだけ全歩合制というものはやめて、一定の割合で最低歩合とか最低の固定給的な部分を設けるようにというふうに指導してまいっております。
大体、御質疑のおもなる点につきましては、以上のようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/22
-
023・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 私のほうへの質問は、総合的に漁民の保証をどうするかということであろうと思いますが、専管水域及びこのたびのイニシアルが近いうちに調印されるという李ラインの問題等の問題だろうと思いますが、李ラインは、御承知のとりに、李ラインというものはなくなりまして、これは共同水域というか、とにかくわがほうは十六万五千トン前後の漁獲高をもっていたしまして、専管水域十二海里というものはどこまでも厳守する、しかし済州島と韓国本土との間に十二、三海里の共同水域ができるはずでありますが、これは向こうに与えようということに話し合いがついたようでございます。でございますから、五月なり六月に調印が行なわれれば、それを基準にして今後漁民の保護をいたしていくつもりであります。また、ソ連におきましても、十二海里になっております。その範囲内において漁民の保証をいたしていくつもりでありますが、さらに、そのほかに、御指摘になりましたような海上における暴風、大波浪というようなものに対する難船をした場合においては、飛行機、ヘリコプターその他無電等によりまして、その救済に全力を尽くす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/23
-
024・相澤重明
○相澤重明君 私の第一の質問は、運輸省に対して行なったのは、外航船舶、あるいは内航船舶、あるいは沿岸、平水、いろいろな船舶の取り扱いのしかたがある。それぞれこの船舶については構造上の問題もあるだろうし、それから船主としてもかなりたくさんの資金を投ずるわけでありますから、この船舶が使えなくなった場合、いわゆる災害にあった場合には、どういう法律的なつまり基準なり援助なりというものを持つのか。これはいわゆる保険とか何とかいうさっきの話もあったが、そういう法律的根拠をひとつ示してくれ、それから乗り組み員の人命ですね、人命に事故のあった場合のその補償というものはどういう補償が法律的に行なわれているのか、こういうことを運輸省は説明をしてくれ、それから農林省、水産庁については、いわゆるこれらの船舶とは違う漁業の問題について説明をせよ、こういう話をしたわけです。したがって、運輸省のほうからの答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/24
-
025・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 船の難船をした場合における保険の問題は、漁船保険の関係ですから、さっきの農林省のほうでお答えしたようなことでありますが、船員に対しましては船員局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/25
-
026・亀山信郎
○政府委員(亀山信郎君) お答えいたします。
漁船の乗り組み員の災害補償は、漁船は二十総トン以上は船員法の適用がございます。したがいまして、船員法の適用のある船員はすべて船員保険法の適用を強制的に受けておりますが、船員保険法によりそれぞれ、なくなられた場合には遺族年金、けがをされた場合、かたわになった場合には障害年金、さらにけがをなおす間の治療費及びその間の給料の保障、そういうことは、一般の商船と同様に、全く同じ法律で、船員保険法によって保障をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/26
-
027・相澤重明
○相澤重明君 そこで、一つの考え方を聞いておきたいと思うのですが、遠洋漁業に出かけて南方に行った場合に遭難をした。その場合に、船をとても日本まで曳航ができない、持ってくることができない、こういう場合に、船が波浪なり災害によって破損をして沈没をしてしまえば、これは保険の対象になるわけですね。これがもし、その南方のところに近い島があったとする、無人島であろうと、有人島であろうと。そういう場合に、そこに一たん持っていって、それから日本の同僚の船なりあるいはそういう手続をとって日本に持ってきた、こういう場合の保険というのはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/27
-
028・山中義一
○説明員(山中義一君) ただいまのような、沈没しなくて、それからこちらに持ってきた、よその船の援助といいますか、引き船等によって持ってきたというような場合、漁船の損害補償法の中で、これは全損、そから分損、救助というふうに分かれておりまして、その救助の保険に入っておりますれば、その救助費に対して、たとえばサルベージが引っぱってくれますと、それに対しての費用を、全額ではございませんが、やはり保険でございますから、それのかなりの分は保険金で支払われる。その保険金は、一〇%がその船主が所属している保険組合が払いますし、九〇%は国がその分を払うというふうなたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/28
-
029・相澤重明
○相澤重明君 そこで、破損をし、あるいは沈没をしてしまえば、これはいま言ったように全額保険の対象ですね。それから、その場合に、とうとい人命がなくなったという場合には、いまお話しの対象もありますね。ところが、幸いにして海上保案庁や外国の船によって助けられた、島に上がっておったけれども助けられた、それで帰ってくると、一カ月なり二カ月なりの長い期間が必要になりますね。船に乗り組んでおれば、船員は当然船員としての待遇、そういう報酬というものは与えられると思うのですが、そういう難船をしておったときの、その際の給与状況というものはどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/29
-
030・亀山信郎
○政府委員(亀山信郎君) 船舶が沈没または滅失したとき、あるいは全く運航にたえなくなったときは、船員法上は、雇い入れ契約、船員の契約が当然に消滅するという規定がございますが、しかし船員は、人命、船舶または積み荷の救助のために必要な作業は必ずしなければならない。ただいま仰せのように、船舶が引っぱるなりあるいは自力でもって島にたどり着いたという場合でも、当然その船舶が全くこわれてしまわない限り、これを保全することは船員のつとめでございますから、それは契約にあろうとなかろうと、当然法律上必要な作業に従事しなければならないという規定がございまして、その期間は給料を払わなければならない。ただし、漁船の場合には、多くの場合歩合的な要素が入っております。つまり、漁獲がございませんから、最低報酬額というものをきめておりますから、最低報酬額だけの給料は払わなければならないということになっております。なお、船舶が沈没いたしまして失業いたしますれば、失業手当をいただく、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/30
-
031・相澤重明
○相澤重明君 水産庁としては、いまのような、そういう災害事故が起きた——災害というか、あるいは時によれば人災もあるかもしれぬけれども、そういう場合に、いまの運輸省の船員局長が言うように、いわゆる乗り組み員に最低報酬を与えるということですが、いまの漁船員の最低報酬というものはどれくらいになっておりますか、いままでの統計はありませんか、あったらお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/31
-
032・山中義一
○説明員(山中義一君) 手元に正確なのはございませんですが、私が記憶している範囲では、遠洋のカツオ・マグロ等では一万数千円−一万六千円とか、その程度になっております。ただし、詳しい資料は手元に持ち合わせておりませんので、もし御必要であればまた調べた上でお届け申し上げてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/32
-
033・相澤重明
○相澤重明君 たいへん恐縮ですが、いま少しやらしてもらいたい、大事なところですから。
いまの、船が破損した、この場合、当処運輸省の答弁のように、乗り組み員としてはその船腹の修理なりあるいは改善をしてこれを国に持って帰る、これが現在までの法律上なりあるいは保険上なりあるいは助成措置の中の私は形になっておると思うのです。ところが、いま言った人災にせよ、あるいは天災にせよ、災害にあった場合に、これはもうだめだと、この船はもうとても持って帰ったところでだめだと、こう思って沈没をしてしまったという場合もあるかもしれない。直そうと思っても、これは直らない場合もあるかもしれぬ。けれども、そうでなくて、これは直せるんだけれども、あるいはどうにか僚船なりあるいは外国船に頼めばできるかもしれぬけれども、しかし持って帰ったところでどうにもならぬので、損だからこれは置いて帰ってしまおう、人命だけは救助しよう、人命だけは何とかひとつSOSを発して救ってもらおう。こういう場合には、船は全額保険金をもらえるわけですね。船は全額保険をもらえるけれども、いま漁政部長の言うように、乗り組み員は一万五、六千円の収入しかもらえない、最低の報酬しかもらえない、こういうことになると、これは船主、船を持っておる者は保険でもって全額もらえるからいいけれども、乗り組んでおった人たちは、これは収入というものはばかに少なくなっていくということですね。これはそういうことになりませんか、どうですか。これをひとつ水産庁の御意見を承っておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/33
-
034・山中義一
○説明員(山中義一君) ただいまの点でございますが、先ほど漁業の災害等による不漁の場合にお答え申し上げましたように、その場合に漁業共済に入っておりますればという一つの仮定がございますけれども、入っておれば、これによりまして、三年間の平均、その平均額の何%かに達する初めの契約に相当する部分は、これは経営者に払われて、その中には労賃の部分も入っておるというたてまえになっておりますので、入っておればその場合相当カバーされる。先ほどの一万何ぼよりはふえてくるんじゃないかと思います。ただ、入っていなければ、やはりそういう点では何ともいたしかたない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/34
-
035・相澤重明
○相澤重明君 私は決算委員も兼ねておりますから、実は決算委員会で保険の審査をしたときに、残念ながら、漁船についての保険の掛け率あるいはまた加入率、そういうものが非常に決算上悪い、これはどういうことなんです、こういうことで、実は関係政府の諸君に決算委員会ではだいぶよく行政指導をするようにと話はしておいたんですが、いま農林省が把握しておる、水産庁が把握しておるところの漁船が保険に加入しておるのは何%ぐらいであるか。特にその中で木船関係はどうなのか、あるいは鋼船関係はどうなのか。こういう点、いまの漁政部長の言うように、保険に入っておればある程度これは船員に支給できる。ところが、漁船が保険に入っておらなければ、これは船のほうは沈没しようと、うっちゃってこようと、これは災害保険で全額もらえる。ところが、乗り組み員、漁船員というものは、いま育ったように、漁がない、それから保険もかけていないと、こうなったら、実際にもらえなくなってしまうということになると、一番肝心な人間というものが尊重されなければいけないのが、その人間が一番残酷に扱われるということになってくるのではないかと思うのだが、いまの保険の事情を少し説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/35
-
036・山中義一
○説明員(山中義一君) 手元に船の大きさ別あるいは鋼船、木船別の保険の加入表を持っておりませんので申しわけございませんが、いま一番問題に先生がしておいでになります遠洋のカツオ・マグロ船、これはほとんどが入っております。大体ほぼ九〇%ぐらい入っておるんじゃないかと思います。ただ小さい沿岸の漁船は、これはまだはなはだ入っておる率が低いと言わざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/36
-
037・相澤重明
○相澤重明君 いまの把握状況は大体間違いないと思う。思うけれども、そこで一つ聞いておきたいのは、三十九トン型、四十九トン型、いわゆる五十トン未満の型、あるいは九十九トン型、いろいろあると思うのです。そこで、どういう形式の船が一番海難が多いんですか、これは水産庁が把握しておるところでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/37
-
038・山中義一
○説明員(山中義一君) ただいまの御質問の点で、一番はなはだ残念でございますが多いのは、三十九トン型でございます。それから次には九十九トン型、これが多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/38
-
039・相澤重明
○相澤重明君 そこで、そういう日本の船舶の中で、海上保安庁の統計でいっても、いま答弁されたように、そういう該当のものが一番海難が多いわけです。その海難の多いものの中に、ただいまあなたが言うように九〇%遠洋マグロ・カツオ漁業の船が保険に入っておるとしても、残されたまだ未加入のものもあるということですね。特に小さいのになると、なお保険というものに加入していないのが多い。これは、いま前段に申し上げた、一たん事故が起きた場合に、いわゆる保険を—取れるものと取れないものとが出てくる。この場合は、私はこれはやはり行政指導上も考えなければならぬ問題ではないか。これが一つ。
いま一つは、その行政指導の面についてお答えをいただくと同時に、いま一つは、そう言ってもなかなかまだ全般的に前時代的な−かなり進んでいると思うけれども、まだまだ一般から見るとおくれている漁船等の関係ですね、これについて先ほど冒頭に私は、国家補償的なものが一体検討できないのかできるのか。いわゆる対外国とのそういう漁獲の問題については、それぞれの国と条約を結んで、そうしてわが国の生産量を上げるようにしておるのだが、一面、そういうふうにせっかく各国と話し合いをして、そうして大きな資源を確保しようと思っておっても、事実はそういう場合があり得る。災害によって不漁の場合があり得る。この場合の補償というものはある程度国家的に考えていいんではないか、こういうふうにも考えられるのだが、こういう点についてはいままで政府の中で議論をされたことがあるのか、討議をされたことがあるのか、どういうふうにお考えになっているのかという点について、ひとつ御答弁をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/39
-
040・山中義一
○説明員(山中義一君) ただいまの御質問でございますが、船の点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、国が保険を再保険いたしまして九〇%出すということになっておりますが、そのいまの災害のための不漁につきましては、これはまだそういうふうな段階にはなっておりません。しかしながら、政府が再保険すべきであるという御意見は、非常に国会その他一般のほうからも、業界のほうからも御要望がございまして、国といたしましても何年かのうちにはやらなければならぬのだということで種々研究しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/40
-
041・相澤重明
○相澤重明君 これは運輸大臣にひとつ私希望を申しておきたいと思うのです。これは当然経済閣僚懇談会なりあるいは内閣全体としても、もろもろの案件について御相談になると思いますが、その中の一つとして、私はいま御質問いたしました遠洋漁業等についてそういう災害時の補償という問題についてはひとつすみやかに検討をして、そうしてこれらの人たちがある程度生活の安定ができるというようなことを私は考えてもらいたいと思う、いまのようでは、まだ私は法律上、予算上から見るとそういう点の不備な点がありはしないか。こういう点で、この漁船の問題について一応御検討をいただきたいのが一つです。
それからいま一点は、これは先ほど運輸大臣から御答弁をいただきましたが、たとえば李ラインの問題であります。一時、楢橋さんが運輸大臣当時、どうも韓国の警備艇が日本の漁船を不法に拿捕したりあるいは執拗に追いかけ回すということで、一時は海上保安庁の警備艇に乗って、そうして私は日本の運輸大臣楢橋渡だと言ってやったこともあるわけですね。そうして韓国側に警告を発し、あるいは日本の漁船員を守ったと、こういう過去の例はあるわけです。当委員会でもそういうことを楢橋さんが運輸大臣のときにかなり強調され、また事実海上保安庁の船で沖上でそういうことをおやりになった。そこで、いまこの日韓問題が仮調印ということで、先ほども大臣から条約等あるいは批准等の問題がいずれの日か来るというお話がありましたけれども、そこで一つ気になるのは、いままで拿捕され没収をされたものの一体補償というものはだれが行なうのか。日韓交渉妥結に伴って、いま韓国に抑留されたり拿捕されているものについては、これは条約のきめ方によってお互いにこれはできると思う。その以前のものは一体どうなるか。それから先日も、閣議の中でも話があったかどうかわかりませんが、伝えられるところによると、十ぱい船を持っておった者は損害としてそのうち一ぱいか二はいかは代替ができる。しかし一ぱい持ちの船主は一体どうなるのか、中には、非常にそういうふうな、せっかく自分で努力をして船をつくって、そうしていままで日本の国のために尽くしてきたけれども、不法にも韓国に拿捕されて、あるいは没収をされて、そうして今日ではもう食うや食わずの生活をしておる船主の人もおる、こういうことがテレビや新聞でも伝えられておるわけです。これは伝えられておる話だから、私はここに参考人を呼んでおるわけでありませんから、そういう苦衷はわかりません。けれども、少なくとも政府関係としては、日韓交渉を妥結するにあたっては、現時点における没収をされたり、拿捕されたり、抑留されておるものばかりでなく、以前のものについても私は当然この話があってしかるべきだと、こう思う。そういう点について、政府間、いわゆる国務大臣としてあなた方がどんなふうにこういう問題については御論議になったのか、また佐藤内閣としてはこれらの人に対する補償というものを考えてやっておるのか、これはひとつ大臣から御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/41
-
042・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 最初に、遠洋漁業に対する災害時の船員に対する問題でありましたが、これは遠洋漁業のみならず、一般沿岸漁民もそうでございますが、一昨々年から、農業に共済制度がある以上、漁業にも不漁に対する共済制度を設くべきであるというのがわれわれの非常な主張でありまして、皆さんの御協賛を得まして去年成立したばかりでありまして、農業ほどまだ細密に各協同組合が徹底的にそいつを行なっていないのです。それをひとつ徹底的に行なってもらうことによって、不漁時における、あるいは災害時における乗り組み員にも及ぶ方法に多少なることと思います。と同時に、遠漁業にいたしましては、現在行なっている歩合制度というものも、いまちょうど質問がありましたし、今度の李ラインの問題がありましたから、近いうちの閣僚懇談会に話してみたいと思いますが、歩合制度もやっぱり改める方法を考えるべきである、かように考えます。
それから李ラインの問題に対しましては、李ラインだけではなくして、まあ三億ドルと三億ドルの経済援助と請求権とかいう名前がついておるのですが、これに対する債務の方法にまでまだ調印以前に話がついていないのです。それから、この間の閣僚懇談会の場合に、船は返してもらいたい、しかし漁民その他に対する補償についてはどういうふうにするかまだ話はきまっていないのです。ですから、これからまあひとつわがほうに損のないように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/42
-
043・相澤重明
○相澤重明君 あと一点だけお尋ねして、この漁業問題は終わりたいと思いますが、そこで、漁業に乗り組む人ですね。これは、御承知のように、どこでも人手が足りないということは、各方面で言われておる。遠洋漁業の乗り組み員もまた、その例では変わらないと思います。そこで、中には、品物を売り込むために、つまり三十日とか、五十日とか、六十日とかの航海のために、たくさんの物資を船に積み込むわけです。これを売る商人の人たちが、いやそうか、船の乗り手が足りない、船員が足りない、それじゃひとつ私があっせんをしましょう、こういう形で乗り組み員を周旋をするわけです。これは港の荷役等をやる場合には、よく言われる手配師ということになるのだが、そうじゃなくて、実はそういうことじゃないと私は思うのだけれども、事実手が足りない、どうも困った、どっかに人はいないだろうか、こういうことで、いわゆる船員を、そういう物資を納める人が幾人かを連れて、じゃあひとつおたくの船にうちの物を買ってくれ、そのかわり人はこれだけ人を連れてきてやるよ、こういうような問題は、これは厳格に言えば職業紹介法違反ですね。いわゆる職業あっせんについては、労働省の職業紹介というものでなければ私はいかぬと思う、本来は。ところが、漁業については、これは船員——そういう乗り組み員については、これはどこなんですか、これは海運局でできるのですか、あるいは都道府県のそういう職業安定所というところでできるのですか、いわゆる法律的な根拠というものはどこにそれを置こうとしているのか、こういう点をひとつ明確にしてもらいたいのが一つなんです。
それから、いま一つは、これらの若手の人たちが——若手というとたいへん語弊があるが、実際に長い間の漁労に従事している経験がない。けれども、人が足りないから、給与をよけい出すから、この人がよし乗ってやろう、乗ってくれ、こういうことで乗って、遠洋漁業に行ったところ、行ってみるとなかなか漁労というものはそんな楽なものじゃない。したがって、先ほど申し上げたようなしけでもあったり、不漁の場合には、むしろいままで積んでいった品物も捨ててしまって、これは早く帰ったほうがいい、人命が大事だ、こういうことで、積み込んでいったものを海中に捨てて帰ってくるものもある、こういうことも私どもは実は聞いておるわけです。政府がどういうふうに把握しておるかわかりませんけれども、とにかく一たん契約をされて、自分は給料さえもらってしまえばいい、こういうものもあるやに問いておるわけです。これはやはり私どもとしては非常に問題だと、こう思うのです。ですから、そういうようなたとえば乗り組み員があるとすれば、そういう素質の悪いということになると思うのですから、そういうものをなくするようにしなければいけないし、手が足りないのは、いい人を余成をする努力を政府がしなければいかぬだろう、こういうふうに考えるわけです。
また、第三の問題は、そういう船員の人たちが、先ほどのお話のように、船主の経営不振なりあるいは災害等によるところの不漁に基づいて失業する場合、その失業保険というものも、これは私は大事なことだと思う。かなりの、どこの漁港基地においても、これが支払われておると私は思う。もし例を申し上げるならば、たとえば神奈川県の三崎の漁港はどれくらいの保険の支払い件数があるかというようなことも、調べればすぐわかると思う。そういう場合に、たとえばこれは一つの例で、四国に室戸岬というところがある。室戸岬の船員が、神奈川県の浦賀に基地を持っておる。これは三崎の漁港の一つなんです。それらの中で、これらの人たちがそういう失業保険の給付なり、あるいはまた乗り組み員の事情なりというものについて、非常に多くの、三千人前後のこれらの出入りがあることを私は聞いておるわけです。ところが、残念ながら、これらに対するところのいわゆる監督官というものが、そういうものが私はきわめて少ないように考えられる。まあ実際に職業紹介の窓口というものもほとんどこれはないにひとしいと、こういうような話を聞いておるんだが、そういう点について、運輸省なり、あるいは水産庁なり、あるいは労働省なり、そういう政府関係機関としては、どうやったらそういうことが直るのか、どうやったならばいいのか、こういう点をひとつ御説明を願って、それで私はこの質問は終わりたいと思うんですが、ひとつ関係者から御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/43
-
044・亀山信郎
○政府委員(亀山信郎君) 最初に、漁船船員の職業紹介はどこの所管であるかということでございますが、これは船員職業安定法に基づきまして運輸省の所管でございまして、所在の海員局及び支局に職業紹介所というものを置いて職業紹介に当たっております。
それから、全般的に非常に人手不足である、その間に船具商等があっせんをすることがあるが、そういうことはどうかというお話でございますが、人手不足の点につきましては仰せのとおりでございまして、漁船に特に若い労働力が減ってまいりまして、雇うほうでも非常に苦労をされておる。また、ときには悪質な船員が入ってきて、前借りだけ借りて船が出る日に逃げてしまう、あるいは船に乗ってから途中で操業を無理にやめて帰るということによって、種々なトラブルを生じておることを聞いております。したがいまして、こういう職業紹介にあたりまして、はっきりと雇われるほうの人に対して労働条件なり航海のあり方というものを十分納得させた上で船に乗らせるようにという、いわゆる労働条件の明示ということの行政指導に現在つとめております。基本的には、やはり漁業に働く方の収入の安定ということがまず第一であります。また次には、漁船内における労働環境の改善というふうな問題があると思います。そこで、そういう点につきましても、行政指導によりまして、水産庁と協力をして現在もつとめております。
それからもう一つの点で、特に若い将来の幹部となるような人たちは、水産高校の出身者でございます。水産高校の漁撈科の出身者が、遺憾ながら卒業されても船に乗る方が非常に少なくなっておるということでございます。これは、先ほど申し上げましたようないろいろな漁業自体の持つ事情及び陸上におけるもろもろの産業の発展によって生じたことであります。私どもは、せっかく水産高校を出られた方に対してなるべく海上で働いてもらいたいというために、いままで水産高校を卒業しても、海上経験が少ないものですから、これに対しては乙種の国家試験を受ける——卒業しただけでは受験資格が与えられていなかった、船に一年乗ってから試験を受けろということにしておりましたのを、卒業と同時にとにかく筆記試験だけは受けられるようにし、その筆記試験に合格した後実際に船に乗り込んで一年の経験を経れば船舶職員として幹部になり得る道を開いた。こうした措置によって、若い学校出を一人でも多く漁業界に確保したいという方策をとっております。
また、最後の、職業紹介あるいは労働条件の改善指導に当たる役人の数が少ないのではないがというお話でございますが、仰せのとおり、職業紹介所も、各方面から希望が、最近のように人手不足になりますと、ございますが、浦賀には現在、横須賀の支局の管轄でございますので、横須賀で取り扱って、浦賀にはないようなわけでございます。また、船員労務官も全国でわずか八十名でございます。最近船員労務官、特に漁船関係に非常に力を入れておりますが、まだ人が足りないので、今後とも予算その他について十分な努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/44
-
045・相澤重明
○相澤重明君 これは運輸大臣がいるから、いまの局長の言う答弁でおわかりだと思うんですが、三千人以上も出入りするところに所長と事務員きりいないなんていうのはおかしいですよ。これはやはりあなた港をよく視察をされて、非常に精力的にやっているけれども、実際に見ることができない、書類を見るのさえやっとだと私は思うのです。こういう実情というものをいま一度検討されて、そして適正なそういう政府機関の仕事ができるように、私はひとつ要員の配置をやってもらいたいと思う。これはひとつあなたから答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/45
-
046・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今年の予算編成時におきましても、いろいろ努力いたしましたが、今後さらに、いままでも七つばかりの港湾を見ましたが、いずれも、いま御指摘のような点、あるいは港湾労務管理の問題その他諸般の問題について、運輸省側の人不足ということは十分認めております。したがいまして、この次の場合に十分努力をいたしまして御期待に沿うようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/46
-
047・山中義一
○説明員(山中義一君) 漁船の乗り組み員の問題につきましては、先ほど船員局長がお答えになりましたとおりでございますが、水産庁といたしましても、この乗り組み員の質の向上あるいは数の拡充という点につきましては、いろいろ苦心をいたしておりまして、各県に委託いたしまして、講習会あるいは研修会、それから技術の修練というような点で、総額の予算七百万円でやっておると思いますが、配りまして、養成につとめております。これは短期間の講習でございますけれども、長きは二週間、短いのは一週間くらいそれぞれやっております。また、この四月から、衛生の管理者というか、軽度の医務官のようなもの、これも乗せなければいけないので、この点につきましても講習等で至急その所要の人員が確保できるように努力しております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/47
-
048・相澤重明
○相澤重明君 政府関係者の答弁で、私もこの点は終わりたいと思います。特に運輸大臣の最後のおことばで、足りない事情も御了解のようですし、努力されることを期待してこの問題終わりますが、そこで、戻りまして、海上運送法の改正の中で、フェリー・カーの運賃料金等のきめ方の問題ですが、こういう点については、業者の申請をするものをそのまま認める、こういうことなのか、あるいは鉄道運賃料金のように一定の基準というものがあって、何キロまであるいはどの航路については幾らという一つの定め方を考えているのか。これは、これからたくさんの事案が出てくるということは私先ほど申し上げたのでありますが、この法律改正をするとそういう問題がやはり相当大きな負担に私はなってくると思う。そこで、やはりこの運賃料金というようなものについては一つの基準というものをきめておく必要が私はあろうと思うので、そういう点がどうなっているのか、これは政府がいままで法律を提案をするまでにいろいろ準備をされたと思うので、ひとつ御答弁いただきたい。私は、それを御答弁を聞いて、この質問終わる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/48
-
049・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 自動車航送船の航送料金につきましては、各航路の状況によりまして、船舶の大きさ、それから航海距離、その他まことに種々雑多でございまして、われわれといたしましては、この運賃を許可をいたしているわけでございますけれども、適正な原価に基づく個々のケースによりまして申請の運賃を査定いたしまして、それを公示させるという方法をとっているわけでございます。したがいまして、その原価の見積り方といたしましてはわれわれ統一的なものを持っておりますけれども、それが具体的な運賃額としてキロ当たり何円になるかというようなことについて統一的な基準を適用して現在やっているわけではございません。各企業の実態に応じまして、各航路の実態に応じまして運賃というものをきめておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/49
-
050・相澤重明
○相澤重明君 これはどうなんだろうね、運輸大臣。いまの答弁ですと、事業申請者の自由である。もちろん、出された内容については検討をする。検討をするが、その事業者の大きい小さい、あるいは船のよい悪い、あるいは距離の遠い近い——距離の遠い近いはこれはあとで直ると思うのですけれども、とにかく航路別によって、事業者の申請によってこれはばらばらだ、率直に言えば、こういう答弁になるわけなんだね。そうすると、最初のうちは、高くても、これは便利で、これはいい、利用者が多くなる。ところが、今度は競争者が多くなって、よしうちのほうはもっと安くしますというと、そういう人が出てくるというと、そのほうに行って、最初の高い料金というものは、これは利用者が少なくなる。いわゆる過当競争というものが行なわれたときに、どこに一体これを規制をする論拠の基準を置くのかということがないわけですね、政府としてのものさしがないわけですね。そういうことは、一体、過当競争を防止しようという、こういう趣旨が載っておるのに、いや申請者の事案については内応を検討しましたが、それはそれでいいです、個々ばらばらでありますということでは、私は少しこの法律の提案の趣旨と違うような気がする。また、そういうことであっては、この海上運送を規制をすることにならぬじゃないかと私は思うんだが、これはどういうことなんだろうね、いま一度わかるように説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/50
-
051・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) いまの御質問、まことにそのとおりでございますけれども、先ほど申しましたように、航路によりまして条件が非常に違うわけでございます。たとえば、具体的に申しますと、離島等の非常に利用者の少ないところで、しかも大型の船を持っていかなければ船舶の安全性が期待できないというところもございますし、また、非常に距離は近くて、しかも平穏な海上でございまして、その船舶の回転率も非常に多いというようなものもあるわけでございます。したがいまして、これを統一的に全国的にキロ当たり何円にするというような措置をとることは、実態から見まして今日の状況では適当ではない。われわれ、具体的な船舶の建造なりあるいは船員の見積り方あるいは償却のしかた等につきましては統一的なものを持っておりますけれども、具体的な運賃の決定につきましては、各航路の事業者からの申請を検討いたしまして、適正な原価を償い、それ以上のものは認めないという考え方で査定をいたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/51
-
052・相澤重明
○相澤重明君 どうもちょっと納得できない。局長は陸上のことはよくわからないが、自動車は、バスの料金等については一つの算定基準がある。山間料金を取るのは特定の場合です。そうですね。一般の場合には、これは自動車料金というものは一定の基準がある。特に山間料金を政府が認めておるというのは、特定の場合です。山があって、谷があって、道がでこぼこというような場合に、特別料金、割り増し料金を取ることを認めておる。自動車料金はそうですね。それから、自動車の種類によっては確かにいま言う問題はあると思うけれども、一応海上運送法を審議をするについても、何にも基準がない、ただ離島であるとか、平穏であるとか、あるいは距離が条件がいいとか、短いとか、こういうことだけでは、何か私は法律をつくる場合にあまりにも場当たり式な考え方ではないか。だから、特別の離島航路の場合は、こういう条件だから特別に運賃料金を設定することができるんだというような理由がないと、私は一体政府が提案をしておる改正案の骨子というのは何をさしているのか。さっき冒頭に申し上げたことは私としてもわかるけれども、そういう航路事業を行なおうとする人たちが自由に出したものをこれは認めるんだということでは、少し能がなさ過ぎると思う。そういう点について、いま少し運輸行政という面から私は考えてみる必要があるんじゃないかと思うけれども、この点は運輸大臣の御答弁を願っておきます。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/52
-
053・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) たとえば、自動車航送料金でございませんで、普通の海上の旅客運賃でございますけれども、これもわれわれのほうでは大体全国平均キロ当たり何円という検討はいたしておりますし、そういう基準で具体的な運賃の決定はいたしておるわけでございます。ただ実態的に各航路について出てまいります運賃額というものは、その基準というものはあくまでこれは平均的なものでございまして、たとえば離島等につきましては、非常に乗客の数が少ない、それから海が荒れます場合、いろいろございまして、たとえば北海道の離島と九州の離島では運賃額は全然違う。あるいは瀬戸内海の中の島とそれから本土との間の航路というようなものにおきましては、乗客数も非常に多うございますし、それから海上も非常に平穏でございます。したがいまして、船舶の構造等も非常に簡素なもので済むというような問題もございますので、そういう原価的に見ますと非常に安いものになるということでございまして、そういう点の比較からいたしますと非常にアンバランスでございます。したがいまして、われわれといたしましては、事業者の原価というものを適正に見積もるということをどうしても主体とせざるを得ないわけでございます。ただ実態的な考え方といたしましては、おおむねキロ当たり運賃は、たとえば四円なら四円というふうに、われわれのほうでは一応四円というような数字は出ておりますけれども、それを基準といたしまして、現在申請者の運賃というものを一応否定いたしまして、それからその航路の特殊事情というものを十分勘案いたしまして、運賃額を決定するということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/53
-
054・相澤重明
○相澤重明君 そういう一応の基準を持っていて、特殊条件というものを加味したものを航路別に検討してきめる、それならいいのですよ。何にも基準がないというから、先ほど個々ばらばらだと、こういうことだから、それならわかりました。ひとつそういうことで、この法律の趣旨を十分生かして行政指導が行なわれるように希望して、私は質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/54
-
055・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣がおいでですから、この機会に若干伺っておきます。本日は衆議院のほうも運輸委員会が開かれておりますから、大臣きわめてそういう意味では多忙なお身柄じゃないかと思いますから、そういうことも念頭に置きながら伺ってみたいと思うのです。
ただいままでの相澤先輩から、種々運送法の一部を改正する法律案についての質疑が行なわれました。提案理由もかなり分厚い文書になっておりますけれども、全体を目を通して見て、あるいはいままでの答弁を聞いてみましても、簡単に申し上げれば、この法律の改正というのは、自動車運送について、従来は登録制でございましたけれども、今度の改正は認可制にしようと、こういうものだと思うのです。ですから、そういう意味では、今日の経済事情、自動車商業の伸展等にかんがみまして、私は時宜を得た改正だと実は理解をしておるところであります。でありまするけれども、この改正のみで私はこの運送法は万全だとは言えないのではないか、こう思います。
この法律は、御案内のように、昭和二十四年に制定されました。その後たびたびの改正が行なわれまして、抜本的な改正が三十四年にされましたその間、他の法律との関係から、若干の改正がごさいましたけれども、大筋としてはただいま申し上げた改正が行なわれておるわけであります。そういう事柄からかんがみましても、先ほど申し上げたように、万全だとは私は言えないと思うのです。したがって、運輸大臣に伺いますものは、きょうここで質疑をいたしておるものは、先ほど申し上げた自動車の航送についてのみでありますけれども、現行の海上運送法では、外国の定期航路運賃同盟と、それから荷主協会との運賃契約の問題が私はあると思う。先ほど若干相澤委員からも運賃料金の基準について質問がございましたが、私は今日この法律全体の中で、やはり何といたしましても運賃と料金制度の中に問題があるように思うのです。いま申し上げたように、外国の定期航路の場合、いろいろな問題が派生的に出てまいります。しかも、特殊な場合には独禁法が適用されるたてまえになっております。大臣も御案内のように、海運業で特定の不公正な取り引き方法が行なわれたと、こうみなされる場合は、公正取引委員会から独禁法違反に問われるのであります。こういう問題、私はかなりむずかしい問題に今日運輸省が直面しているのではないか、こう考える。先般私は若干伺ったわけでございますが、運輸省も、この問題につきまして、何か近く海上運送法を改正するやに聞いております。しかもそのことが、これも聞いたことでございますが、具体的に去る二十二日に海運造船合理化審議会にその改正案というものを格間したと聞いています。この際、たまたま海上運送法の改正をいま行なわんとしているわけでありますから、諮問したものの内容を、できれば、簡単でけっこうでございますから説明をしていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/55
-
056・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/56
-
057・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) いま御指摘のように、海上運送法は、制定以来、数回改正いたしております。しかし、この制定の出時の状況でございますけれども、これは過去におきまして、まだ日本が占領中につくられた法律でございまして、非常に現在の情勢にマッチしない、そういうものが多いわけでございます。ことに外航海運につきましては、たとえば外国船に対する適用除外の条文がなお今日も残っておるわけでございます。こういうような法律というものは、おそらく海上運送法以外に今日の日本ではないのではないか——日本人にだけ適用されて外国人には同じ事業を日本国内で行なっておりましても適用されないというような法律はないのではないかというように私は考えております。これをできるだけ改正しなければならぬということでわれわれ考えておったわけでありますけれども、まあいろいろ海運に対する政府の干渉を排除しょうというような国際的な動きもございまして、今後の海運の規制に対する国の方針というものを明確に打ち出すということがなかなか困難な状況でございます。しかし、最近におきまして、御承知のように、独占禁止法と海上運送法との関係というものがいろいろ問題になっておりまして、独占禁止法自体もやはり政府部内として検討しなければならぬという段階にもあるようでございますし、同時に海上運送法につきましても、現在のような外船に対する適用除外という体系のままで戦後二十年たっているわけでありますから、それをそのまま持続するということは適当でないというようにわれわれ考えましたので、これを航路同盟の安定という問題から見まして一体どのように改正したらよろしいかということを、実は合理化審議会に諮問いたしているわけでございます。したがいまして、その改正の方向あるいはその内容というようなことにつきましては、まだわれわれとしてもはっきりしためどを持っておらないわけであります。
ただ、われわれとして、今度の機会に、今後の海上運送法の改正という問題を取り上げます場合に、ぜひとも解決しなければならない問題は、いま申しました外船に対する適用除外をどうするか、それから航路同盟の安定のために独占禁止法との関係をどうするかという、二つの問題点があろうと思うのであります。こういう問題について審議会に諮問いたしているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/57
-
058・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 概略の説明がございましたが、私は少なくとも外航海運の基盤強化という立場から運輸大臣に申し上げるわけですがね。できるだけそういう機会をとらえて、荷主の協議会というものがございますが、その設置を合理化をして、そうしてその協議会と同盟との間で一般的なつまり協定のようなものができた場合には、少なくとも海運というものの特質から、当然政府が干渉しなければならぬ問題が多々ありますけれども、この種問題についてはあまり干渉しないようにやらないと、結果的には、独禁法がどうあろうと、独禁法に抵触することは間違いない。ですから、こういう点を十分配慮して私は政府も積極的に取り組んでいただかなければならぬのではないか、こう思いますが、運輸大臣どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/58
-
059・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) お尋ねの点は、全くそのとおりでありまして、過般来も三重運賃の問題についてここでもいろいろ御質問がありましたとおり、われわれのほうはあくまでも正当なものである。独禁法のほうにこたえて、これを通過させるように努力しております。また、大体通るであろうと思います。これは、国益をはかるためには、そうしなければ日本の貿易の拡大はできないかと考えますから、いまのお説のように、どこまでも協定ができましたならば合理化進め、互いに協力し合って貿易拡大に奔走いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/59
-
060・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 運輸大臣から努力をされるという答えがございましたから、この点は時間がありませんから了承しておくことにします。
そこで、直接今度のこの運送法改正に関係はございませんけれども、せっかく運輸大臣がおられますから、ひとつ運輸大臣の考え方を私は伺っておきたいというふうに思います。それは、御案内のように、上陸用の舟艇の問題が問題になっています。LSTといわれるものがそうでございますけれども、これが最近非常に問題になっています。いままで政府は、この問題について、われ関せずかのごとき態度を従前とってまいりました。ところが、最近にわかに、外相がこの問題についての見解を衆議院段階でも明らかにいたしましたし、それからそれに追従するような印象を受ける発言を亀山君も衆議院の段階で行なっております。そこで私は伺っておきたいのは、どういうつまり見解をもってしたとしても、この問題は私はかなり国民には深刻な問題がなおかつ存在しておるような気がするのであります。で、第一に、いろいろ政府は、安保条約の条項、特に安保条約の地位協定の十二条の四項をたてにとって詭弁を弄しておるように私は見受ける。それとあわせて国内法上から、これは船員局長が衆議院で答弁した段階でも、ここへ速記録を持ってきていますが、国内法上の、外国から乗り組み員のあっせんを求められた場合に、労働条件を例示させるなどの業務を行なってそれに応ずる、こういうようなことが政府の見解の根拠になっているように考える。しかし、私が考えるには、第一に、一体安保条約の適用地域というのはどこなんだ。これは極東ということばで、文字であらわされておりますけれども、極東の範囲というのは一体どこなんだ。ここらあたりに問題があります。これは私が言うのではなくして、フィリピン以北、これをさしているのです、極東の範囲は。したがって、ベトナムというのは含まれていない。これはいまの佐藤内閣ではなくして、その兄貴である岸内閣当時から一貫した政府の極東というものの定義づけから来ているのです。まずこの問題が一つ問題になります。現実にLSTというものはベトナムに行っているわけですから、そうしますと、安保条約のつまりこの極東の範囲をこえているということになりはせぬか、この問題が一つあります。それからもう一つ問題になるのは、このLSTの活動は、ベトナム戦争の一方の当事者たる米軍の戦争遂行手段の一部であることは間違いない、上陸用舟艇ですから。したがって、この乗り組み員も、本人の意思にかかわりなく、戦争の協力者になっているとみなされても、いまの段階では私は一点の疑点もない、何人も否定できないと思う。現に、大臣あるいは亀山君も御承知のように、この上陸用舟艇がすでに砲撃を受けて、日本人が負傷したり、あるいはなくなっている事実が、ただいま申し上げておる瞬間的な時間だってベトナムの戦役の中にはあるのです。ですから、こうした関係が絶対に戦争協力者でないということは私は言い切れないのです、この事実問題をとらえても。それから加えて、旅券法という法律がございますけれども、この旅券法の第十三条を見てごらんなさい。第十三条に、「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」者については旅券を発給しない、こうなっておる。一体いまの現状は、この条項とあわせ考えましてどう判断されるかということがやはり問題になってくるわけです。さらに十九条には、「旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要がある」という場合には、一たん発行した旅券でもその返納を命ずることがあると明確に定めているわけです。ですから、先ほど来申し上げておりますように、ベトナムの海域というものは交戦地域であるということは、運輸大臣もこれは否定できないと思う。戦争をやっているわけですから、この戦争が危険でないということは、私はこれまたいまの政府の運輸大臣といえども否定はできないのではないか、こう考えます。こう考えてまいりますと、直接日本はいま戦争はしていないと答弁されるかもしれませんけれども、事実問題として交戦地域で、危険にさらされながら米軍の戦争遂行に協力をしています上陸用舟艇の乗り組み員の行動というものは、現憲法を尊重するということになれば、私はおのずから答えが出てくるように思うのです。とりわけ、どういま政府がこれをこじつけて、あなたが答弁しようとも、何といたしましても、われわれの同胞がベトナムでアメリカの近代戦争の実験にされているというこの事実は、私はいなめない、こう思うのです。こうした事柄は、かつてわれわれも一銭五厘のはがきで召集されましたが、かつて日本の政府、日本の軍閥が満州を制圧しようとしてやった行為と、いまのアメリカのつまりベトナムにおけるやり方というものは差がないのでありますから、私はこの際は、それぞれの船員が軽率に応募したとかあるいは一般の日本国民がアメリカの乗り組み員の募集に対して応募したというそしりだけをつまり非難するのではなくして、政府みずからがもとよりこれを考えなければならぬことだし、とりわけ船員ですから、日本の船員だけに、運輸大臣は、私はこの種問題については、慎重に、しかもこうしたいま申し上げたような事柄というものを十分検討されて、具体的な日本の運輸交通政策上の問題として、しかも政府の一閣僚として私は対処すべきではないか、こう思うのです。冒頭申し上げたように、海上運送法の一部改正とは若干関連はしませんけれども、大事なことだけに、私はこの際運輸大臣に伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/60
-
061・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) これは重大な問題でありますから、基本的な問題だけを申し上げまして、あとは船員局長にお願いしたいと思います。
LSTの問題については、これは三十七年まではLSSTという問題で、当時防衛施設庁——もとの調達庁がそれまであっせんして、安保条約の条項に基づいて日本があっせんしたものでございます。しかし、三十七年にこれを解除いたしました。ところが、自由雇用のもとに八百二十七名が残っておるのであります。それが、三十七年ごろにはこういう事変が起こることはだれも思っておらないものですから、そのままになって今日に至ったものであります。そこで、その後さらに増員を最近にしたということを、この間参議院の予算委員会において御質問がございました。外務大臣が答えておりましたが、やはりいま仰せになりましたように、安保条約の条文に基づいて供給したのだ、しかも自由雇用であるということでございました。このときのお話では、募集人員の四倍とか五倍とか応募者があったということでございますが、これはいずれも、北ベトナム行きというのではなくて、南ベトナムの安全地帯に行くということであったと思います。それが当時は、戦闘地帯であるとか、どうであるとか、戦争であるとかということは米軍はまだ発表しておらぬときであります。ところが、最近風聞するところによりますと、これははっきりした情報ではありませんが、二十二日に米軍は北ベトナムを戦闘地帯に指定するとかせぬとかという情報が入っております。今朝外務省からそのことを言ってまいりました。そういうことになれば、今後あらためて内閣で相談いたしまして、戦闘地帯の危険地域に立ち入ることは同胞の生命保全のためによろしくないことでございますから、そういう危険でない方向にお使いになるということであるならば、これは協力しなければならない。また、本人が自由に応募しているのでございますから、それはいまの極東云々ではなくて、自由に応募しているのでございますから、私は差しつかえないものであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/61
-
062・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 どうも運輸大臣の言っていることは、何を言っているのかさっぱりわかりません。私がわからないというのではなく、いまのあなたの答弁、国民が聞いたらがく然とすると思うのです。極東の範囲と言っておりますが、極東の範囲外です。これは、ここにもございますけれども、極東の範囲というのはフィリピン以北をさすものだ、これはもう歴代の内閣が言ってきているのです。この安保条約を強行採決した岸総理大臣もこのことを言って、これが今日の政府の統一見解なんていうものではなくて、公的な見解、これは国際的にもなっている、解釈されているんです。とすれば、実際問題として、つまりLSTというものは、アメリカの戦闘員あるいは軍需品、兵器等々を輸送するものなんです。具体的にそういう行動を起こしている。こうなってまいりますれば、明らかに安保条約というもののワクをすでに逸脱していると私は思います。ですから、日本の政府には何らその義務はないと私は思っているんですよ。つまり、この船員の契約は自由契約であって、自由意思に基づいて、アメリカ側は危険でないというから、それは協力にやぶさかではないのである、こういう言い方はいま通用しません。今日の段階で、あなたは戦争に行ったか行かぬか知りませんが、交戦地域に行って危険でないということは、何で保障されますか。現実に日本のわれわれの同胞の死傷者を出しているじゃないですか。ただ単に、契約が自由であって、その人のつまり生活のかてを得るための労力を提供するのであるから、政府が関知できないという、そういうなまぬるいこじつけ的な答弁では、私は了解できませんよ。明快に政府の統一見解、社会的に国際的に公に発表した極東の範囲というものを、もう少しあなたは、外務大臣ではないけれども、政府の一閣僚としてその程度の答弁は私はできると思う。
それからもう一つは、一体政府はこの乗り組み員の生活をどう考えるのか、あるいは生命や身体の安全についてあなた方はこの保障をどう考えるか、たいへんな問題です。明らかに私は、今度とっている政府の態度というのは、憲法やあるいは国内法の旅券法等々考えましても、法律違反していることについては間違いない。そうして一面では今度は、船員諸君が自主的に自由の意思によって契約しておるのであるから、それははばむことはできない、こういうようなきわめて無責任きわまる政府の態度というものは、私は国民の立場で断じて許してはならない、こう考える。私は、少なくとも国民に対する政府というものは、最低限度の責任意識を今日の段階では持たなくちゃならないものだと思う。いまの運輸大臣の答弁は、一片の責任意識というものがないがごとき答弁になっているところが、私はきわめて不満である。もう一回私は答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/62
-
063・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それは外務省が一番日本の耳であります。運輸省ももちろん出先を持っておりますけれども、外務省が国内においてこれを発表して統一見解をつくる以外に道はないと思うんです。外務省はまだ正式に閣議にこれをはかっておりません。しかし、風聞するところによると、北ベトナムを戦闘地と指定したかに伺っております。でありますが、まだ統一見解ははっきりいたしておりません。
それから、船員の生活権及びその人命の保護をどうするんだというお問いでございますが、この生活の問題については、一般船員、一般国内の給与よりもはるかにいいものですから、それで三倍も四倍も応募肴があるわけなんです。いまの新聞その他に出ていることはみんなよく知って行っておるわけですから、だますも何もありませんよ。
それからもう一つは、前からの八百二十七人の場合も、相当給与がいいものでありますから残ったものであります。そのときに、この前の予算委員会からこれは問題になっておりますが、八百二十七名中ほとんど当時は船員手帳だけがその身元保障の対象でありました。しかし、それでいいという見解は事実とったんです。けれども、国外に出る以上は、どうしてもパスを交付する必要があるということを、外務省とうちともう一つは入国管理局——法務省との三省で相談いたしまして、それでパスを順次交付したほうがいいということで、現在六十人くらいはパスに切りかえましたが、なかなかこっちへ寄港してこないものですから、パスを交付することが困難な状況でありますが、できるだけ早くパスを交付する考えでございますから、外国へ行くことにパスを待つ以外に身分の保障の方法はありませんので、生活に対する問題は、国内の生活費よりも大きく得ておると思っております。ただ問題は、三十七年にLSTの自由雇用によって八百二十七人というものが行ったのが、それが始まりなんです。それが始まりだけれども、その時分にはベトナムにこんな事変が起きるなんということは考えていないときなんです。ですから、そういう下心があってやったのではなくて、あとから事態が起こったということは御了承願いたい。それによって、あとから事態が起こった以上は、今日の日本政府がいかなる態度をとるべきであるかということを、あらためて事態の急変によって、閣議によってこれは決定すべきものであると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/63
-
064・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 閣議決定が必要であるくらいの
ことは、私どもとしても承知はしておりますよ。承知はしておりますが、運輸大臣に歴史的な経過を聞いているんじゃないのです。もともとLSTというものは、日本が戦争に負けて、アメリカが上陸をしてきて、その後に日本の船員の諸君が、つまり、あの日本が戦争に負けたという虚脱状態の中で、自分の生活を得るために本来的には雇用された。当時はこれは日本の政府もタッチをしておったけれども、その後にこういう制度に変わってきたわけでしょう。だから、ここにつまり政府が、自由契約であるとか何とかかんとかいう逃げ口上をつけられるものが存在しているわけでございますけれども、私はそういうことを聞いておるのではない。どうもいまの大臣の答弁を聞いてみても、給与は非常に高い、給与条件がいいもので——これを私は確かに、アメリカの賃金制度、給与の水準などというものは、日本などというものとは比べものにならないくらいいいことを知っていますよ。しかし、それは一般的な事柄にのみ限って言えることで、少なくともこのLSTの問題については、そういう甘い見方、なまぬるい考え方では私はいけないんじゃないか。あなた方は、いまも申されたように、一般の乗り組み員が、アメリカが募集をしたところが、条件がいいので、三百人とか四百人応募された。しかし、資格のない人がたくさん行っているのですね。だから、そういう応募した人々の無理解や、あるいはただ単に賃金が高いということで、船員の一部でかりに軽率的にそれに応募したからといって、そのことを何か道具に使ってこの問題から逃げようとする政府の態度、とりわけ船員というのは運輸大臣の所管事項でしょう、所管大臣がそういうことを言うこと自体に、私はこの問題からどうしても目を離そう離そうとしているところにあるのではないか、こう勘ぐらざるを得ないのです。しかも、いま運輸大臣が答弁されたように、北ベトナムを戦闘地域であるというふうに指定しないという問題は、そんな問題はもうすでに過ぎ去っていますよ。日本の国民の常識、国際的な常識から過ぎ去っていますよ。毎日の新聞で、アメリカが一回だって北爆をやめたという新聞記事がございますか。最近は夜となくあるいは昼となしに連続爆撃をしているのです。明らかに戦闘地域になっているのです。しかも、アメリカでは、まだ的確なる情報ではないと聞きますけれども、核兵器を使用するなど等も日本の新聞にさえちらちら活字になってあらわれてきている。そこへ日本の基地あるいは沖縄の基地から軍需品、兵器、アメリカの兵員を輸送するのです。その輸送する船に勤務している日本の船員なんですから、これは、先ほど来申されたように、すでにそういう極東の範囲であるとか何とか、安保条約の二十四条がどうこうなどというなまぬるい問題ではないと思う。もうすでに日本政府は安保条約のこの条項については責任を持てない、そのワクを越えた私は問題だと思うのです。しかも、アメリカの核戦争が、かりにですよ、かりに不幸にして——そのことを私は望んでいるわけじゃないのですよ、いるわけじゃありませんが、不幸にして、戦争ですからあり得ないという保証はないと思う。われわれだって国際法とか何とかいうくらいのことは知っておったが、かつて日本の軍隊は中国人民に対して毒ガスを使用したのです。ですから、そういう危険性はあり得ないと、今日的な次元では私は断定できないと思う。そうなってまいりますれば、事のいかんにかかわらず、日本人の乗り込んでおりますこのLSTなどというものは、集中的に攻撃の目標にもなるのであろうし、これは北ベトナムのほうの側になるか、どこの側になるか、とにかく目標になることは間違いないし、それからアメリカは自分たちの戦争目的を遂行のために使っておるのだから擁護する立場に立たなければならぬということは常識的にわかるけれども、あやまって攻撃をしたり、あるいはあやまって核攻撃をかけないということは保証できない。われわれだって、かつて軍隊であやまって自分たちの軍隊に大砲を撃ったことも何回もあります。日本の航空隊だってあやまって日本の地上部隊に対して攻撃をかけたことが幾たびかあるのです。ですから、そういう場合にも、一体この人々の生命財産あるいは生活権というものをどう政府が考えておるかということなんです。私は再三申し上げるようだけれども、そういう人たちが無理解のあまり、賃金があまり高いというそのことに目を奪われてややともすると軽率的にそれに応募したという、そのことだけであなた方が責任をのがれようとすることは、本末転倒だと私は思う。運輸大臣、あなたは所管大臣として、その人々よりは高い地位におるし、知識階級の中にもおるし、しかも閣内における担当の大臣として、これが対策として具体的にどう対処しなければならぬかというものを持っていなければならぬはずなんです。ですから、そのことを閣議で決定することは当然であろうなどというとぼけたようなことを言ったって通らない。きょうは運輸委員会ですから、せめて運輸委員会で、あなたは具体的にこの種の問題について、今後さらに危険な状態になってきておる今日的な次元に立って、私は所管大臣としてこう考えておる、この人々の危険性あるいは財産生命についてはこうしなければならぬ、こういうことぐらいはこの委員会を通して国民に約束したっていいじゃないですか、明言したっていいじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/64
-
065・亀山信郎
○政府委員(亀山信郎君) 私どもの事務的な範囲でただいま提起された問題に対してお答えを申し上げます。
先ほど来、安保条約の極東の範囲あるいは地域協定の問題が出ておりましたけれども、吉田先生がただいま御引用になりました、外務委員会において私が申し述べましたのは、そのこととかかわりなく、日本の国内法である船員職業安定法は、外国船に乗り組む者については、政府の紹介機関がその求人に応ずる義務、また紹介が成立するようにつとめる義務が書いてあります。労働条件その他の事柄が不当でない限り、われわれは国内法に基づいてこのLSTについても取り扱いをいたしますということをお答えをしておるわけでございまして、これは地域協定十二条四項によります、米軍の機関に対する労務の需要に対して日本政府が援助する義務を有するという規定と私は関係がないと思っております。つまり、われわれが、新たな応募者に対して、海運局及び支局が紹介を仕事として行なうのは、地域協定十二条四項の義務に基づくものではない、地域協定十二条四項は間接雇用のことを規定している、こういうふうに了解をしております。したがいまして、このLSTに乗り組む船員の取り扱いは、一般外国船に乗り組む日本人船員の取り扱い同様、これより不利な取り扱いはいたさないというのが船員局の立場でございますし、そういう線に従いまして今日までやってきております。そこで、ただ、これは言うまでもないことでございますが、一般の外国商船とLSTはすでにかっこうが違いますし、アメリカの旗を立てておりますし、御承知のように、ダナンにおいては550号艇が相当に損害を受けたという事実に私どもは目をおおっているわけではありません。また、したがいまして、ここに応募する方は、実は残念ながら職業紹介機関には一人もあらわれませんで、直接米軍のMTSTの窓口に行ったようでありまして、これらの者が雇われまして、正規にこれに乗船し働くためには、現在の制度で当然旅券が必要になってまいります。旅券の発給の際に、先ほど十三条を御指摘になり、十九条を御指摘になりましたけれども、十九条において、旅券の所持人の生命身体に非常に危険を及ぼすおそれがあるときには、外務大臣が返納命令を出すということになっておりまして、これは旅券の交付の制限のほうには書いておりませんけれども、当然その危険が十分ある場合には初めから旅券を交付しないというのが実際的な取り扱いであります。いまだかつて外務省はこの理由で旅券の返納を命じたことは一回もございませんけれども、それらについての、ベトナムにおける事態、またLSTの乗り組み員の危険の状態がそのような返納の命令を出す程度に至るやいなやの判断というものは、外務大臣において御判断になると思いますけれども、われわれが知っておる範囲においては、現在の事態ではそこまで事態は行っていないということでございます。もちろんLSTの特殊性はございますけれども、一般の日本の商船は南ベトナムの港に通常の貿易のために入港をしております。しかし、事態が非常に危険に及ぶような状態ということになりますれば、これはそのときにあたって適当な措置を講ずべきものであるというふうに考えております。
それから、こういう現実の中で、乗り組み員の生命身体の安全ということについてでございますけれども、これはまず第一に雇用主であるアメリカ軍が日本人の生命身体を守る、守ってもらうようにするというのは当然政府としてのつとめでございます。米軍に対しましては、しばしば危険の及ばないような十分の措置をとってもらいたい、これは一つの外交交渉だと思いますけれども、外務省を通じて、あるいは私ども直接MSTSに対して、自本人の乗り組み員の安全について十分に配慮をするように要求をいたしております。それにこたえまして、米軍側において、これらの船舶の船長に対しまして、危険の状態における船長の判断でいかなる回避行動もとれるというふうに運航管理規則もきめておりますし、さらに現地の港の状況を、なるべくひんぱんに当該船の船長に通報をする、そのことによって入港を回避するなり何なりができる。それからまた、夜間における港の停泊は、岩壁付近に停泊しないで沖のほうに停泊をする。そのほか夜間メコン川の遡航をやめさせるというふうな各種の具体的な措置を、現在の与えられた時点において、具体的な措置については政府も努力をいたしております。幸いにして、ベトナム民族解放戦線等の戦闘行動によって直接日本人船員がまだ大きな被害を受けた事例はございませんけれども、仰せのとおり、われわれも日々の新聞でそういう危険が起こり得るということは感じております。ただいま申し上げましたように、安全につきましては、あるいは外務省を通じ、これは政府の責任において日本人の生命の安全を守るようにするということに現時点においてつとめるべきである、その方向で努力をいたしております。現在のところ渡航を中止せしめるというところには至っていないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/65
-
066・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 船員局長、国内法から解釈してまいりますれば、一般的常識的に解釈すれば、あなたの答弁どおりになるのです。そのことは先般あなたが衆議院で答弁したことと何ら変っていない。私はそのことを言っているわけではないのです。運輸大臣に言っているのはそのことではない。安保条約に基づく地域協定の十二条四項というものは、つまり労務者の役務の規定になっているのです。だけれども、安保条約というもので、この極東の範囲を、その当時これを制定した岸内閣から今日の佐藤内閣に至るまで一貫して、フィリピン以北であるということの定義づけを、国内的にも、国際的にも、すでに明らかにしてきている点ですよ。これは間違いないんだ。したがって、いまのベトナムの問題からこのLSTの問題が出てきたんだけれども、すでにいま運輸大臣も認めたように、北のほうまでいわゆる戦闘地域になってきた一なりつつある段階では、日本の政府は、安保条約のワクを越えているのであるから、義務はないじゃないか、そういう点を一つ運輸大臣に聞いているわけですね。
もう一つは、このLSTに乗り組む船員の扱い、これは一般的な平和なとき、あるいは平常時の場合は、それは船員局長の答えたとおりになると思うのです。しかし、たびたび運輸大臣も言っておりますように、私も言っているように、勤務いたしているこの船——これは舟艇ですから、船には間違いないんですから、その性格、性能というもの、その船舶の使われる目的等々を考えてみ、プラスその先が戦闘地域である、こう考えれば、一般的に考えられる、常識的に考えられる、平和なところじゃないんですから、そうした問題を、それぞれ運輸省なり政府が十分知っておりながら、一般的な国内法の解釈で、いわゆる一般外国の商船、あるいは貨物船でもけっこうでしょう、船舶から、つまり日本の船員を雇いたい。そうすると、国内法では、それぞれの労働条件が明確になって明示されれば拒むことはできないと、こう単純に、簡単に国内法のみの解釈で扱ってよいものかどうか。私はよいものではないんじゃないかと思う。しかも、亀山さんが言うように、幸いまだ戦闘地域にいるわが国の同胞たる船員の諸君があまりたいした被害がないと、こう申されましたけれども、私はそのあまりということばの限度が問題だと思うのだが、一人の日本人といえども、一人の生命というのは地球より重いと言われているのです。それが、御承知のように、トンキン湾のときには、日本の乗り組み員が、幸いけが人はあまりたいしたけがではなかったけれども、全員襲われるという事態が起きていますよ。さらに、いまベトナムの戦争が拡大される方向にきている。毎日アメリカが夜昼問わず北のほうヘの爆撃をしている。私は爆撃のよしあしはこの場の論外にしますけれども、とにかくこの問題が起きたときといまと比べてその危険性の度合いというものはどうなっているかというと、危険性の度合いはかなりになってきていると思うのですよ。これは船員局長も否定できないと思うのです。ですから、そういう危険な状態が重なりつつある、危険の度合いが進行しつつある場合には、一般的な国内法のあなたが先ほど来答弁した答弁には間違いないが、その解釈だけでは済まされない問題が出てくるのではないか。出たあとで議論するなんてことは、これは死んだ子の年を数えるようなものですからやらないほうがいい。でない場合には、われわれはかつてもう二十年前にそういう苦い苦い大経験を持っているんです。全体の国民がそういうものを持っている。その危険性が二十年後にこのアジアの地域に発生して、幸か不幸か日米安保条約があるために、あなた方はこの十二条の四項をとらまえて——あなたたちはとらまえていませんけれども、椎名外務大臣はこれをとらまえて、それをはばむ何ものもないなどとうそぶいている。そんな状況で私はないと思う。ですから、それを運輸大臣に聞いているのです。とりわけ運輸大臣は船員の所管大臣なんですから、閣僚の一人なんですから、閣議でそれをきめることは当然ですけれども、その場合に、あなたはこの委員会を通して、日本の国民に最低線のやはり生命の安全とそれからこの人々の財産の保障を約束をしなければならない大臣に責任があると思う。何のためにあんた大臣になっておるんですか。いなかを回って——この間も四国の何とかいう船の上で談話を発表したり、あるいは北海道へ行って四十年には電化するなどということを新聞記者に発表するだけが私は大臣だとは思わないんです——それだけが大臣じゃないと思うのです。こういう重要な問題を、あなたがこういう委員会を通して国民にやはり安心をしていただこうという、そのことが私は大臣の大きな任務だと思うから聞いているのです。あまりこれから多くを申そうとしませんから、大臣あんたもクリスチャンですから、明快に人道主義の上に立って答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/66
-
067・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それですから、閣議で決定の上に、相談して統一見解の上に答弁したと言っておるんです。それはあなたはそうおっしゃるけれども、なるほど船員に対する専管大臣であります。それを守ることについては全力を尽くしたい、そんなことは言うまでもないことでございます。いままでのあなたのおっしゃることを全部援用いたしまして、あるいは局長の言ったことも全部援用いたしまして、それを含めた上で、この事態の急変、現地における事態の急変を中心に、やはり関係閣僚及び総理に相談して、この際どういう措置をとるべきか それには安保条約に対する区域の問題も関係することでありますから。しかし、われわれは安保条約に関係するかどうかということも大いに検討する余地があると思うのです、あなたはあるとおっしゃっておられますが。自由雇用であり、また今度雇う三十七人の場合にはどこへ行かれるかということはわかっていないのです。でございますから、ベトナムへ行くのか、あるいはフィリピンに行くのか、台湾に行くのか、われわれにわからぬのです、自由にやったものですから。先ほど言ったように、佐世保で今度の二へん目の時分にも、うちの就職関係の世話をするところに来ないで、直接米軍当局のところに行って入隊——何といいますか、乗り組み員に一応入っている状況なんであります。でありますから、これは本人たちがあぶないと思えば行かないのです。これは北ベトナムの戦闘地域にももちろん行かないのです。それで、いま仰せになっているように、日本の商船も出入りしているところに行っているのですから、(「あとの祭りだったら困るんですよ」と呼ぶ者あり)困るのですから、それに対しては、十分新しい事態とともに庁議をきめて、それから発表すべきだと思います。いますぐ、私の関係だからおれはこうすると言ってみたところで、そんなもの何にもならぬと思いますから、庁議をきめてその上で発表したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/67
-
068・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣ね、こういうあなたの考え方ね、申し上げても何にもならないと、こう言っておりますけれども、それはもう所管大臣としてこの問題についてのやっぱり見解を出すということは、非常に日本の国民に安心を与えることですからね、これはもうたいへんな利益になることですよ。ですから、ちゅうちょせずにあなたはもの言っていいと思いますが、そこのところはあなたと私と性格も違いますから、いまここでもの言えなんて言いませんがね。せっかくあなたは閣議統一見解を求めてあとあと答弁しようということですから、それはそれで了承しますよ。しますがね、できるだけすみやかに統一見解を出さないとたいへんなことになりかねない、このことだけをあなたに私は警告を発しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/68
-
069・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 吉田議員の警告に対しまして、十分胸にたたみまして、その意思をもって多数の乗り組み員が一人も生命に危険を感ずるようなことのない方向に所管大臣として全力を傾倒いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/69
-
070・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣から全力を投入をして努力をされる旨の発言がございましたから、私は了承します。大臣すでに御承知のように、どこに行くか行く先不明であると、こう言われておりますけれども、行く先はもう明白なんですよ。すでに亀山船員局長からも答弁がございましたが、旅券法の法律論議は私いましませんが、すでに外務省では、船員に対して、神奈川から申請された船長外五十九名に旅券を発行しておるのですよ。こういう事実がございますから、十分この辺もお含みの上で、大臣ただいま答弁されたように、大臣の私は生命までかけろとは言いませんから、大臣の責任において最低限の国民に安心を与えるような答えを私は閣議に出していただきたいことを申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/70
-
071・相澤重明
○相澤重明君 関連して一言だけ言っておきますが、私もこの点については、いまの吉田委員と同じように、実際問題として、佐藤内閣として実際こういうことはやめたほうがいい、それだけは勧告したいと思うのですよ。それで、実際に本人が希望をするからといっても、目の前で「おれは死ぬぞ」と言って投身自殺をする、鉄道自殺をする者を目の前に見て、死んでもいいということはないですよ。死ぬと言った者でも、やっぱりわれわれは、「待て」、こう言ってつかまえて、そうして身の上相談なり、あるいはいろいろな社会のそういう死ななくても済むような道を講じてやるのがいまの社会じゃないですか。特にいまの吉田委員のお話のように、今回旅券を交付した中に、明らかにベトナムが入っておるということは、これはもう全く戦争地帯に行くことを政府が了解をしておる。これはあとで外務省の旅券発給したやつの内容を見てもらえばわかると思うんですよ。そういうことは、外務省はとにかく外交交渉の中で、確かに日本の国とアメリカの国との間に立つと、何か日本人には考えられないようなことまでときによると出すと思うけれども、私はやはり、国内の生命財産、日本人の生命財産を守らないで、どこの国の生命財産を守ったら一体われわれは済むのかということは、これはやはり基本的な問題だと思うんですよ。だから私は、いろいろなことはあったろう、あったろうと思うけれども、やはり勇敢にこの際佐藤内閣は、こういう問題についてはき然たる態度をとって、やはり危険のある地域に対してはやらない。それで、中には日本の船員に、荷物を積んでくれ、その危険地帯へ行ってくれと言ったから、それは私どもは困ると言って拒否したら、どうも船員がそういうことを言うのはおかしいじゃないかというような批判をしたようなのもあるようだけれども、私はそれが正しいと思うんですよ。だから、全日海の人たちなり、いわゆる船員の人たちが、危険地帯に対しては、これはもう困る、こういう態度を出されたのは、当然だと思う。また、政府がそういうことをわかっていながら、わかっていてやるとすれば、政府は全く自殺を奨励をしているようなものだ。日本国民の犠牲に目を向けないで、いわゆる日本の国民がどんなに犠牲になろうともアメリカのためならしかたがない、こういうことになってしまって、全く佐藤内閣が国内の政治というものを忘れたということになる。そういうことのないように、佐藤内閣が公正な立場でやはり国民の生命財産を守るべきだ。さっき運輸大臣が吉田委員の御質問に御答弁されて、とにかく閣僚として閣内においてもできるだけ御趣旨に沿うような努力をするということだから、私はけっこうだと思うんですよ。けっこうだと思うが、私は本来ならば佐藤総理にもここに出席してもらっていまのような議論をしたらいいと思うんですよ。だから、私はその時間もないと思うから、ひとつあなたからせっかくのことですから、こういう議論のあるものは、やはり日本の国民として問題になるからやめさせるという方向に努力してもらいたい。もう先ほどから局長の答弁でいろんなことを言っているけれども、これは事務的だと言うけれども、事務的だといっても、日本国民の生命財産に危険があると判断されたらどうするか——これはもう、そういう問題がわかりきっていることを言うことは、一つの詭弁にすぎないというふうにとられますよ。だから、所管大臣として御苦労であるけれども、私は事務当局にあんまり苦しい作業をさせないように、これはやっぱり政治家が解決するのですから、政府が当面の責任者として、事務当局にそういう困らせないように指示する。したがって、閣議がそういう方向に努力をされる。私も横浜に生まれて横浜に往んでおるわけですが、横浜市民の中で約七十人ぐらいが乗り組んでいるんですよ。だから、非常に心配をしておるわけですよ。横浜には比較的船員が多くいるわけです。だから、この人たちが、一たんは金が多いからいい、外国が見られるからいいといっても、一たん事故があった場合にはそんなことでは済みませんからね。ですから、私どもとしては、多くの人たちが、家族をも含んで、まわりの人たちが心配しておるわけですから、いま多くを申し上げませんけれども、ぜひ佐藤内閣として、き然たる態度で、こういう問題をやめさせるよう、こういうことはひとつ所管大臣として運輸大臣に御努力いただく。先ほどの答弁で、私もあなたの御努力を期待をしている一人でありますから、ぜひひとつそういう点については政府のあり方を私ども見守っていきたいと思うのです。ひとつ、それこそ御健闘を祈りたいという気持ちで一ぱいです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/71
-
072・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 急迫する事態に対して、いろいろ示唆に富んだ御忠言に対しましては、衷心より感謝いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/72
-
073・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/73
-
074・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/74
-
075・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/75
-
076・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/76
-
077・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) ただいま委員の異動がありましたので、御報告いたします。本日付をもって、委員井野碩哉君、河野謙三君が辞任され、その補欠として後藤義隆君及び白井勇君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/77
-
078・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) それでは、これより採決に入ります。
海上運送法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/78
-
079・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/79
-
080・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/80
-
081・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) いろいろ示唆に富んだ御提議をいただきまして、慎重御審議、まことにありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/81
-
082・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/82
-
083・相澤重明
○相澤重明君 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案の趣旨はわかりました。そこで、今回の改正に伴ういわゆる現物出資の問題でありますが、政府や国鉄が考えておるところの現物出資について、当面の問題としては、名古屋臨海鉄道への現物出資と、こういうふうに説明をされておるのでありますが、これだけですか。それとも、今後そういう計画があるのかないのか、あるいはそういういわゆる申請といいますか——いうような問題について、おわかりになったらひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/83
-
084・今村義夫
○説明員(今村義夫君) ただいまのところでは、名古屋臨海鉄道だけでございまして、ほかのところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/84
-
085・相澤重明
○相澤重明君 そこで、一つの問題点を私はお尋ねをしておきたいと思うのでございますが、これは若干趣旨が違うかもしれませんけれども、横浜から大船に抜ける桜大線がありますね。現在まで磯子まで開業をしておる。これは公団は、国鉄に営業をさせておると思うんですが、国鉄に権利は移譲されたのですか。それとも、まだ公団のものになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/85
-
086・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 御承知のように、公団法によりまして、貸し付けあるいは譲渡の方法があるわけでございますが、現在は部分開業の段階でございますので、有償貸し付けをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/86
-
087・相澤重明
○相澤重明君 その有償貸し付けは、どのくらいの額になっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/87
-
088・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) これは、御承知のように、公団法の規定によりまして金額を算定するわけでございますが、三十九年度は約一億二千万円程度という金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/88
-
089・相澤重明
○相澤重明君 いまの一億二千万円が貸し付け料ですか。これに投資した額は幾らでしたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/89
-
090・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 正確な金額を申し上げますと、三十九年度の計算しました貸し付け額の金額、は一億一千六百十八万五千六百十円でございます。これの計算の基礎になりました内訳といたしましては、減価償却費が一億六百三十六万四千四百五十二円。それから管理費が九百八十二万千百五十八円。で、公団法の御審議のときにいろいろ御意見がございましたように、この線につきましては、御承知のように、国鉄が大部分を構築をして、後に公団に移管されたという経緯等も十分に考えまして、貸し付け額の計算の基礎としては、そのほかに利子、諸税等もあるわけでございますが、諸税につきましては三十九年度は現実にかかっておらない、利子につきましては大部分が国鉄が構築をしたという経緯から、この二つを除いて、以上を合わせましたものを計算の基礎にしておるわけでございます。で、お尋ねのこの計算の基礎になりました償却財産の額でございますが、鉄道施設全部で五十三億三千九百八十六万三千七百四十八円というものが計算の基礎になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/90
-
091・相澤重明
○相澤重明君 そこで、これはまあ桜大線の場合は、部分開業ということで、当面は有償貸し付けをしておる。しかし、これが全線開通をした場合には、有償であるかあるいは無償であるかということは、またその時点でこれは議論が行なわれるのですか。それとも、これはもう有償貸し付けという原則でいく、こういうことなんですか。その点をいま少しく御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/91
-
092・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 本線の性格からいたしまして、貸し付けの場合には有償であるというふうに考えております。ただ、全線開業した場合には、方法としては譲渡ということもあり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/92
-
093・相澤重明
○相澤重明君 そこで、今度はいまの法律の提案に戻るわけでありますが、たとえば名古屋臨海鉄道ができる、その場合に現物出資をする、この現物出資というのはどのくらいの額なんですか、投資額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/93
-
094・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) これは正確な評価を要するわけでございますが、当方で聞いておりますところでは、約一億五千万というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/94
-
095・相澤重明
○相澤重明君 一億五千万というと、これは三分の一負担ですか。つまり、業界と地元自治体と国鉄こういう三者ですか。それとも、その他の方法はどういうふうになっておるのですか。それから全体の額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/95
-
096・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 御承知のように、この会社に対する出資は現金あるいは現物になるわけでございますが、現金出資がすでになされておるわけでございます。で、おおむね同じ比率になるように国鉄及び港湾管理者から現物出資を受ける予定であるというふうにわれわれは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/96
-
097・相澤重明
○相澤重明君 聞いておりますじゃないよ、これはわからないのをこっちが聞いておるのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/97
-
098・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 出資割り当てでございますが、国鉄が四〇%、名古屋港の管理組合が四〇%、地元の会社が二〇%で、合計一〇〇%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/98
-
099・相澤重明
○相澤重明君 地元の負担が二〇%というのは、どういう性格の団体ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/99
-
100・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) ちょっといま御説明が、全体の出資の比率から申しますと、いま御説明しましたように、国鉄四〇%、管理組合が四〇%、その他二〇%ということになりまして、将来現物出資をする場合には、この四〇%、四〇%の比率に合うように出資をするということになっておるわけでございます。
そこで、お尋ねの地元関係でございますが、これは地元に運輸事業を営むもの、あるいは関連の会社ということでございまして、日本通運、東海製鉄、東亜合成等の関係会社がそれぞれ五百万円から一千五百万円程度の金額を分担して合計しましたのが二〇%、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/100
-
101・相澤重明
○相澤重明君 ですから、それで、相対的にこれが現物出資をしてそれから現金で出されたのもあると思いますから、そういう比率が四〇%、四〇%、二〇%で、全体の投資額、というものはどのぐらいになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/101
-
102・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 現在の全体の現実の投資額は十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/102
-
103・相澤重明
○相澤重明君 この十億の投資による国鉄の現物出資をも含むことが、合同の改正の一つの事項になっておると思うんでありますが、そこで業務運営というものがきわめて大事なことになろうと思うんであります。この名古屋臨海鉄道が完成したときには、どのくらいの輸送量、輸送トンキロといいますか、というものをお考えになっておるのか。それから、設立をされた会社、いわゆる名古屋臨海鉄道、この名古屋臨海鉄道の人事等の構成についてはどうなっておるのかという点も合わせてひとつ御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/103
-
104・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 現存の想定では、輸送量は一応三百万トンと見込んでおります。それから、人事につきましては、国鉄それから地元の管理組合、これは市あるいは県というところから重役がそれぞれ出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/104
-
105・相澤重明
○相澤重明君 この臨海鉄道の構成人員はどのくらいなんですか。いま役目の話が出て、国鉄なり、あるいは管理組合なり、いわゆる地方自治体なりというところから人が出る、こういう重役が出るという話だったんだが、全体で職員の数というものはどのくらいになり、役員は幾人になるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/105
-
106・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 全体で従業員約百六十名でございますが、役員は十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/106
-
107・相澤重明
○相澤重明君 まあ私は投資条項ができたことは、国鉄の運営にとって非常にいいことだと思う。そういう点では今回の改正は非常にいいと思うんでありますが、ただ問題は、もちろん現物出資については、運輸大臣は大蔵大臣と協議をしなければならぬということになっておるわけですね、そこで、大蔵大臣と協議をする場合に、国鉄のいわゆる独立採算制といいますか、そういう国鉄全般の運営と、それから今度あわせて、外部に対する投資というものとはきわめて密接不可分な問題だと思う。だから、外部には投資をできるけれども、部内のほうはどうも資金繰りなり運営はきわめて困難だと、こういうことになると、私は一般国民の受ける印象というものは逆な面になってきやせぬか、こういう点を心配をするわけです。そういう点について、いわゆるさいふのひもを握っている大蔵大臣との協議という問題は、これは事務的なことに考えていいのか。それとも、そういう政治性を持った政治配慮というものが含まれるのか。こういう点きわめて微妙な問題であるので、立案者としての考えというものを私はお尋ねしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/107
-
108・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 前回も吉田委員からお尋ねがございましたが、国鉄の現金投資は、御承知のように、国鉄財政に重大な位置を占めるので、予算に定められ、国会の御承認をいただいておるわけでございますが、現物出資は、その性質上予算に定めることができないわけでございます。しかし、御質問ありますように、国鉄財政には重大な位置を占めることは、現金出資と変わりがございませんので、財政の統括をしております大蔵大臣と実は協議をすることにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/108
-
109・相澤重明
○相澤重明君 これはいわゆる財産の管理ということになるし、国鉄のいわゆる財産資金運用の問題にも関係してくると思うのですね。したがって、二兆の国鉄財産があっても、実際に政府の投資が四十億そこらでは、これは日本国有鉄道とは言えない、こういうようなことも盛んに言われるわけですね。ところが、一面において財政資金の操作というものは、きわめて困難化しつつある。来年度はいわゆる運賃値上げも考えなければならぬというようなことがすでに示唆されつつある。こういうときに、一部のそういう臨海鉄道等をつくっておる土地については、確かに便利になった、やあよかった、しかし、それだけの金があるなら、あるいはそれだけの現物出資ができるなら、何も運賃の値上げをしなくてもいいじゃないか、こういうような単純ないわゆる考え方が批判として出てきはしないか。こういう点で、大蔵大臣が、いわゆる国鉄通常についての財政資金のやりくりといいますか、そういう問題のときに、よほど説明を上手にできないというと、私はかえって、せっかくいいことであるけれども、無用な誤解を受けることになりはしないか。こういう点を心配するわけなんです。だから、法律制定そのものはたいへんいいことだし、この運用条項、現物出資条項ができるということは、私は国鉄運営についてもいいし、民間についてもよろしい、こういうことが言えることはむろんであるけれども、しかし、そういう感情論というものが相当出てきはしないか。こういう点について政府はどういうふうに立案者としてお考えになったのか。いやそれにはこういうふうに説明します、こういう点でそういう誤解というものはございませんというような、いわゆる国鉄のPRというものはどうなのか。運輸省のPRというものはどうなのか。この点を少し御説明願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/109
-
110・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) まことにごもっともな御指摘でございまして、われわれとしても、投資の場合には、いろいろいままでの本国会における御審議を貴重な参考といたしまして考えておるわけでございます。そこで、御指摘のように、国鉄は新長期計画をつくって仕事をやろうとしておるのに、こういうようなまたほかへ投資をするというようなことはいかがかということでございますが、昭和四十年度よりの新長期計画も、御承知のように、必ずしも非常にたっぷりしたものではないわけでございます。特に中心となっております幹線輸送力の増強、大都市通勤輸送対策、保安対策というようなものが重点になっておりまして、最近の経済発展の伸長に伴う輸送需要に応ずるということが眼目であるわけでございますが、一方、最近における臨海工業地帯における鉄道輸送をはじめといたしまして、国民が国鉄に期待するサービスは各方面にわたっておるわけでございますので、これらに、現地的に十分話がつきまして、特に民間とも問題がございませんし、なお民間事業が、国鉄が出資をしてもらって一緒にやるということの希望もありますし、またそうすることが国鉄の資金の運用の面からいっても効率的であるというような、先ほど来申し上げておる名古屋の臨海鉄道というようなごく限られた特殊な状態のものについて出資をするということは、全体の長期計画の遂行の上からいっても望ましい姿であるというふうに考えて、今回の改正をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/110
-
111・相澤重明
○相澤重明君 次に、鉄道債券の担保権の問題でありますが、ひとつ御説明をいただきたいのは、今年度の予算で、いわゆる鉄道の債券を多く発行しなければいけない、こういうことになったと思うのであります。現在までのいわゆる鉄道債券の考え方について、いわゆる縁故債であるとか、あるいは金融機関の引き受けであるとか、あるいは民間にこの債券を消化してもらうとか、いろいろあると思うのです。そういう点をどのようにお考えになっておるかということが一つ。いま一つは、国鉄債券の利回りとか利率はどうなっておるのか。それがたとえば他公社の電電公社との債券の利回りとはどういうふうに違うのか、あるいは同じなのか、こういう点についてひとつ御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/111
-
112・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 御承知のように、ただいままでの鉄道債券と申しますものは政府保証の鉄道債券、これは公募債でございまして、これが銀行を通じて消化されておるものでございます。これが一つとそれから特別鉄道債券、これはいわゆる利用債でございまして、これは鉄道の投資によって利益を受けられる、主として地方公共団体でございますが、これに引き受けをお願いしております利用債というものがございます。それからさらに三つ目には、鉄道債券のうち、政府が引き受ける債券がございます。で、これは公募はいたしませんが、政府引き受け債と俗に言っておるものでございます。それから第四番目には、縁故債と申しまして、これは主として国鉄の共済組合が引き受けておる債券でございまして、この四種類がただいままでに発行されてきた鉄道債券でございます。で、今回、四十年度の予算でいわゆる特別債券というものがこれのほかに発行をするということになったわけでございまして、私どもといたしましては、この特別債券のうち、一部は利用債、従来の利用債的なものといたしまして、地方公共団体等に主としてお願いするものを一つ考えておりますけれども、それから、従来の縁故債にやや似ておりますが、国鉄共済組合をはじめといたしまして、車両メーカーその他のメーカー関係及び工事をやります土建会社関係というようなところにお引き受けを願うということをいま考えておりまして、その消化方に実は努力をしておる段階でございます。
それで、先ほど申し上げました四つの従来の鉄道債券につきましては、利率、もちろん利用債につきましては電電債券とはまた違っておりますけれども、この大宗をなします政府保証の公募債及び政府引き受け債につきましては、他公社の債券と全く条件は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/112
-
113・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 関連して。いま常務から債券のそれぞれのお答えがございましたが、間もなく運輸大臣がおいでになると思いますから、その時間等を考慮しまして、若干私がこの件について国鉄側に聞いておこうとする問題がございますから伺っておきたいと思うのです。答弁された債券の、たとえば公募する場合あるいは債券の金利、種類等々はそのとおりだと思うのです。問題はそれ以外に今年度予算では、これは政務次官居眠りしていますが、政府の責任にかかわる問題ですが、特別債券というものは六百八十八億ですから、かなりの金額でございまして、国鉄の私はせっかくの長期計画、とりあえず初年度の計画で、財政的には非常に大きなウエートを占めるものではないかと実は心配をしておる一人なんです。特にこの特別債券の消化いかんによっては、長期計画の初年度、私はやはり国鉄は財政面から蹉跌を来たさざるを得ない、こういうことになりゃせんかと。初年度計画が先般来各地方ごとに具体的に計画が発表されました。それぞれの地方の住民はこの計画を見て非常に一面においては喜んでおります、一面においては国鉄に期待をしている向きがあると私どもは判断しています。ですから、そういう意味からも、どうしても私はやはり長期計画全体はもとよりでありますけれども、その計画の初年度だけは、何としても国鉄がただいま計画をしておりまする計画を完成させたいという願いを持っているわけであります。そういう意味から、この債券の消化について特段国鉄側が非常に努力されていると思いますけれども、これまた私は限度があるのじゃないか。その能力、能力というのはいろいろございますけれども、あなた方が経営の能力がないということじゃなくて、つまりいまもお答えになりましたように、一般の従来の鉄道の債券におきましても車両を発注いたしますところの車両会社であるとか、あるいは地方自治団体、つまり県庁であるとかあるいはそれぞれの市町村等々へ消化をいたしておりまするものもございます。それから、問題は、この日銀の担保の適格債になるかならないかということも非常に大きな問題でありますが、このことにつきましては、たびたびこの委員会で運輸大臣が責任を持つ答弁をしていますから、これはまあ、大臣あとから参りましたときにお伺いしたいというふうに思いますから、これは省略をしますけれども、今度の特別債券をかりに完全に消化を国鉄側がするとすれば、一般的な債券とダブった行為、たとえば地方自治団体等々では見受けられるのではないか、こう考えるわけです。そうしてまいりますると、今度の政府全体の政策、施策、そうしたものからかんがみまして、予算全体、こう分析をしてみますと、どうしても地方自治団体に、従前から見ますると、これもわれわれは国会の場で議論したり、問題にしたところでありますが、いやおうなしに、これまたかなりの財政負担が、地方自治団体が負担をしなければならぬようなものが、たとえば保険行政等々にも明らかに出ています。それから建設関係の施策にもそういう面が出てきています。ですからその上に立って国鉄が、さらに市町村自治団体に特別の債券を消化をしていただきたいという要請をしても、去年あるいはそれ以前の国鉄の債券を消化をしたときとは、客観的に事情が、はい、そうですかということにならないものが、地方自治団体にもあるんじゃないか。こういう面で、私は非常に国鉄側の苦労と、国鉄側の努力するこの能力に限度があるんじゃないか、こう思うのです。それから金融関係になってまいりますれば、先ほど言ったように、債券が適格債になってないとすれば、これまたなかなか金融機関としても、このほかに国鉄の債券があるわけですからたいへんだと思う。ですから信用金庫等の窓口を大いに利用するとしても、これもまた限られてくるんじゃないか。そこで消化される負担能力というものは、これまた限度があるんじゃないか、こう思いますので、実際面、予算の中には六百八十八億ということで、計数上、予算の体系上、収支のバランスをとるように体系を整えられたけれども、それを消化していくという衝に当たる国鉄側というのは、どえらい私は苦労をするんじゃないか、前の委員会でも申し上げたように、これは政府に申し上げたわけでございますが、きわめてこういう不安定な要素を多分に含んだ予算の編成というものは、私は間違いだ。そういっても、国の財政等々についても、これまたかなり制約される面があるからやむを得ぬとしても、その場合は政府が責任を負うべきだということを、私は主張いたしましたが、いずれにいたしましても、国鉄側というのは、いま申し上げたように非常に苦労があると思う。すでにまあ予算が通過しましたですから、大事なことですから、国鉄がそれぞれ手を打ったと思いますけれども、率直に言って、国鉄がこの六百八十八億を、国鉄の全力投球の中で、どの程度消化されていくかという、私はやはり見通しがあると思う。端的に言って、総裁もおいででございますから、総裁に能力があるとかないとかいうことを言ってるんじゃなくて、総裁以下全力をふるって、この六百八十八億の消化にあたっては、私は努力されると信じておりますが、幾ら努力しても、私は今日国鉄の努力の中では条件が伴っておりませんから、一〇〇%国鉄の力で六百八十八億というものが消化をされるということにならないのではないか。こう思いますから、その見通しを若干聞かしていただくと同時に、幸い運輸大臣お見えになりましたから、時間を節約する意味から運輸大臣に伺っておきますが、途中で入ってまいりましたか、私の聞いた内容全般知っておられるとは存じておりません。ですから、国鉄側が答弁したその内容を運輸大臣が踏まえて、政府の見解を私はこの際明らかにしていただきたい。こう思います。端的に言って、予算の編成の段階でも、私は運輸大臣にこの問題について質問を試みました。そのときには、御承知のように国鉄基本問題の懇談会の結論、閣議の決定等々、運輸大臣が答弁をされて、とにもかくにもこの問題は国全体の問題になったのであるから、政府が責任を持って財政的な措置をする、こういう意味を明言をいたしたわけです。しかしその後、実際今度は予算が編成されて、国会審議の段階になって予算の内容を見てみたときに、ただいま申し上げたように、六百八十八億というものがきわめて不安定な予算の内容として編成された。この段階でも私は運輸大臣に質問をいたしましたが、初年度は別として、来年度の国鉄自体、つまり運輸収入の増、来年度の投資に対する見通しも合わせて伺っておいたところでございますけれども、その中では、やはり国鉄の限度があります。そのことも明らかになりました。したがって、運輸大臣に、来年度のこともさることながら、今年度については、十分この不安定な要素を取り除くために努力をしてもらいたい、第一に、その努力の条件は、日銀のいわゆる担保適格債にこの際しなければいけないということを私は主張いたしましたところ、ここにも速記録がございますが、大臣立って、私の責任において大蔵大臣の田中君と折衝する、政府はいかなる場合があっても責任を負う、こういうきわめてりっぱな答弁がされまして、私は大臣の答弁を心から敬意を表したと同時に意を強うしたものであります。したがいまして、今日的な段階で、もう予算を示達をされる段階になってまいりましたこのときに、一体政府がこの六百八十八億についての日銀の担保適格債にしたという話は、残念ながらまだ聞いておりません。大蔵省の諸君ともいろいろ私も側面的に何回も会ってみたけれども、依然としてまだその答えが出ていないですから、大臣の答弁とはかなり食い違ったような動きさえあるやに私どもは見受けるわけです。したがいまして、大臣は過去二回の委員会において答えたことに、私は松浦運輸大臣を信用しておりますから、狂いはないと思うのですが、この際ひとつ大臣の見解をもう一回明らかにしていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/113
-
114・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) ただいまの御質問の国鉄の債券の問題でございますが、四十年度の予算におきましては、御承知のように鉄道債券といたしまして、先ほど申し上げましたような公募債が九百二十五億、非公募債が七十億、それに利用債の百三十億、縁故債の百億、さらにお話のございました特別債券の六百八十八億という、相当大きな債券発行による財源の調達ということが定められたわけでございまして、公募債、非公募債につきましては、一応例年より多少ふくらんでおりますけれども、これは一般の伸びと考えまして、問題は利用債並びに特別債でございますが、利用債につきましては、三十九年度末で未償還の債務額が六百七十一億という数字になっておるわけでございます。それに四十年度百三十億が加わりますわけでございますが、さらに六百八十八億の特別債券のうち、約二百億見当は利用債的な性質を持つ地方公共団体にお願いをしなければならぬのではないか。こういうことを考えますと、本来の利用債と合わせて三百三十億程度ということになってまいりますので、従来の残高に比べまして非常に大きな額になってまいる。また一般の債券を引き受けていただいております市中並びに地方銀行に対しまして、結局は特別債券のうち、先ほど申し上げました二百億を除きましたうちの、四百八十八億のうち二百八十八億程度といま考えておりますが、そういうものがさらに加わってくるようなかっこうに終局的にはなるのではないか。そういうことになりますと、これも消化は必ずしも容易ではございません。残りの二百億につきましては、これは大蔵省等の御協力を得まして、何らかまた別の方法で消化を考えるというようなことが、現在のところ考えられておるわけでございますけれども、何ぶんにも、従来相当な債券を発行しておりますところに、ただいま申し上げましたような大きな額の債券を発行することになりますので、私どもできる限りの努力をいたしまして、現在におきましてもある程度のめどはつきかかっておりますけれども、しかし先ほどお話もございますように、この資金が完全に調達されませんと、新長期計画が計画どおりの仕事ができないということになりますので、今後とも私どもも努力いたしますが、関係の御当局の御指導、御指示をいただきまして、何とかこの完全消化ということを実行いたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/114
-
115・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 予算編成の直後、吉田委員の質問されたような御質問があって、私は答えたことを記憶いたしております。その当時は、六百八十八億全額を日銀適格債と言ったかどうか、私は記憶ありませんが、多分半分ぐらいは適格債にする、半分ぐらいはあっせんするといったような話は当時からあったのです。だからそのとおりに伝えたと私は思います。その後、財政事情が非常に変わってまいりまして、現在、その半分ぐらいというのもなかなかむずかしいような様子なんです。けれども、私は国会で、参議院ばかりじゃなくて、衆議院でも同様なことを言っているのですから、そのことは出中さんにも訴えて、できるだけひとつ当時の約束を守ってもらいたい。歩合が多少違っても日銀適格債をある程度に認め、なお国鉄だけではどうにもならん点もあるから、中央銀行その他であっせんをやってもらいたいということを、しばしば会見するたびに申し込んでおりまして、何とかしょうといってくれておりますが、皆さんの前にお約束しましたことは、曲がりなりにも実現するように努力する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/115
-
116・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣、予算委員会でも大臣はただいま申し上げたような趣旨の答弁をしまして、それからこの委員会で二回答弁しています。この記録、時間がありませんから私は読み上げませんが、いまあなたのおっしゃったような二分の一とかあるいは三分の一とかという表現は、あなたは一回も用いていない。だからといって、ぼくはあなたの責任を追及するとか何とかいう気はさらさらない。あなた非常に予算編成の段階で努力されたわけですから、そのことを私どもはよく身をもって感じ取っていますから、しません。しませんけれども、問題は、六百八十八億の特別債券の完全消化がなければ、国鉄側に幾ら長期計画が妥当なものだと認めて、やりなさいといってもやれるものではないです。やれるものじゃない。ですから、いまあなたが、まがりなりにも衆参両院で約束したことを努力したいし、そうなりつつあると、こうおっしゃっていますけれども、なかなか私はそうならないと思う。ですから、ここのところは、あなた方は政府の責任ある機関、立場にいらっしゃるわけですから、ぜひ、やる方法は幾つかあると思う、やる気になりさえすれば。かりに政府の、大蔵省のつまり金融制度上の問題から、担保の適格債になるならないの議論があったとしても、少なくとも国鉄側に、この六百八十八億の消化に対していささかも不安のないように、やはりそれぞれの施策を考え出すという立場に立たなければならないのじゃないか、私はこう思うのです。これは、ただ単に運輸大臣に私は迫まるのじゃなくて、国民の要請がそうなってきていますよ。今日、日本の産業経済の、つまり中期経済計画の中にもそういうことがうたわれていますが、そういう私は高度な経済議論、政治論ということよりも、かりにその経済計画を進め、目標に到達するように全体が努力したとしても、その中に占める第三次産業、つまり運輸交通、この関係を私は無視してこの計画などというものは達成できない、こう思うのです。とりわけ国鉄というのは、日本の産業経済の動脈であったことは、過去の一貫した歴史の中ではっきりしています。それをいま石田総裁以下、内部の財政事情がきわめて困難なときにも、政府が考えたこの経済政策に合わせて、おそまきながら合わせて、つまり輸送力の基盤強化をやろうとしているわけでしょう。今年度の予算の内容をずっとこうそしゃくしてみますと、三つの柱が立っているのです。一つには通勤輸送、通学輸送、一つには安全輸送、そうした問題を踏まえて、つまりおくれた地域の輸送のアンバランスをなくしていくというような、大きな柱が立っているのです。これは一つは何も国鉄のためじゃない、あなたが常に使う国家のためであり、国民の利益を守る、国民のためなんです。ですから私はあなたに言っているわけですが、決して私は率のことは言いませんけれども、ぜひ運輸大臣、この際あなたはふだん日ごろから身をもって実行に移しておりますることをもう一回政府に、この際日銀の原則的には担保の、適格債にするように大蔵大臣と折衝する、場合によっては総理大臣を動かしていただきたい。不幸にしてそれがならないとするならば、やり方は幾つもありますから、あなたは行政指導として、国鉄側がこの六百八十八億を消化しやすいように、あなたは運輸大臣としてそれぞれの私は手を打ってもらいたい、こういう気持ちを持っていますので、あなたの所見をこの際聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/116
-
117・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 経過は長く申さなくても御存じですが、実は私は率直に言って、この大事業をやるためには、初年度から運賃を上げなきゃいかぬということをしきりに言ったのです。ところが運賃を上げるか、政府が出資をするか、この二つのうち一つをとらない限りは、これはでさないだろうということを——どっちもやらないということになって、それじゃいままで実のところ過密ダイヤを見に行ったりしたのはおかしいじゃないかということまで閣議で言って、それで私は少し不満だったのです。その不満の動きを押えるために別室で話になって、そこまでいったわけなんです。だからほんとうに当時田中大蔵大臣はいま私が言ったとおりの気持ちだったのです。ところが、だんだんと熱がさめるにしたがって財政も苦しいですから、こういうことになったのですから、これは国鉄の副総裁も知っております。私もいろいろやったときに、三千三百億の話をつけたときには、政府も真剣に六百八十億については責任を持って言ったから間違いないですけれども、こうなってきたものですから、それで考えてみれば、運賃をなぜ上げなかったかといえば、米も上げた、医療も上げた、その上に運賃も上げられないということで上げなかった。医療があんなことになるのだったら、あのとき運賃を上げればよかったけれども、(笑声)実際皆さんは笑いごとであるけれども、私は真剣にかかった。だから今度はそのことを思い起こさせるために総理大臣に話をしますよ。それを総理大臣が言い出したから——総理大臣じゃなくて、ほんとうは官房長官か大蔵大臣がぼくに話をするならばあのように怒らなかったのです。総理が閣議で言うことは言い直しはできないのですよ。それで総理に私は閣議で話します。それで大蔵大臣に言います。これはどうしたって半分持つか三分の一持つかそのことはわかりませんけれども、とにかく財政当局が国鉄が頭を下げたってなかなかできませんから、財政当局が金融業者に話して、それで適格債何割あるいは一般のもの何判ということをきめてやってくれるのでなければできないと思うのです。これは私が言い出したのじゃないから、向こうが言い出して、これなら怒らぬでくれと言ったのですから、それはほんとうのことをここで申し上げますが、それはそういう事情から、磯崎さんいないからわかりませんけれども、これは実際のことなんですから、総理大臣に話して自分の去年を全うしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/117
-
118・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) ちょっと補足して。特別債の経緯、あるいは今後の決意については、大臣から御説明申し上げたわけでございますが、この消化については、先ほど国鉄からも説明がございましたように、われわれも事務的に大いに努力をしておるわけでございます。もちろん全部ではございませんで、国鉄が非常な御努力で、各方面にこれの消化のめどをつけていただくということをやっておるわけでございますが、債券自体の、いま吉田委員のお話がございましたように、さばきやすいようにするということも一つの条件でありますので、大蔵省と打ち合わせの結果、利率、償還期限についても、従来のものに比べて相当の考慮をするというようなことにもなりまして、一応大蔵省の協力を得て相当の部分については金融機関による消化というようなことの、事務的には一応ある程度のめどをつけてきておるという段階でございますので、大臣からもさらに強力に関係のところにお話を願いまして、われわれとしても事務的に、完全に結末をつけるように今後とも努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/118
-
119・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大臣からほんとうにりっぱな決意を表明されて、ほんとうにこれまた敬意を表します。事務局のほうからも努力される旨がございましたから、あえて申し上げません。ただ、大臣、ひとついまここで表明した決意を踏まえて、総理大臣と大蔵大臣に強く迫っていただきたいのものは、必ずや国家財政上云々という理由を言うと思う、その場合に私も国民の側から見ますと、決して国家財政にゆとりがないとは考えていない、あるからこそ、今日国会で問題になっています農地報償の、つまり再補償をするダブルプレーに使う金が千五百億あるわけですから、金がないとは言えないと思う。だからその可否の論議は、この委員会ですべきものでございませんからしませんけれども、つまりこの際は、そうした事柄を勘案して、ただいま表明された大臣の決意で、断断固あなたは総理大臣と大蔵大臣に迫っていただきたい。必ずや日本国民全体が、運輸大臣を支持することを付言いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/119
-
120・相澤重明
○相澤重明君 いま吉田委員から質問がありましたが、いま一度聞いておきたいと思うのです。四十年度の特別債券六百八十八億のうち常務が答えた中で、約二百億くらいが残る、こういう話でしたね。そこでいま一度確認したいのは、三十九年度までの未消化の残額は幾らか答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/120
-
121・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 公募債、非公募債等については未消化はございません。しかし、利用債について事務手続上若干の予算に対する残高というものは繰り越された額はございますけれども、未消化というものはほとんどないと考えていただいてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/121
-
122・相澤重明
○相澤重明君 未消化というものはない、手続上繰り越されたということになると、それでは四十年三月三十一日までにそのできなかったという、繰り越しになったものは幾ら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/122
-
123・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) ただいまここにはっきりした数字を持っておりませんけれども、利用債の百億というオーダーの金のうちの数百万円ないしは千万円程度という額でございまして、これは工事ができ上がらないということのためにということでございます。引き受け相手がないということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/123
-
124・相澤重明
○相澤重明君 そうすると、この利用債の中で、結局繰り越しという形になっておるということですね。引き受けた者がないというのじゃなくて、工事等がおくれておるから、それが現実の問題として繰り越しになった、こう理解をしていいわけですね。
その次に、公募債の中に、先ほどの特別債券のうち二百八十八億くらいが入るであろう、こういう答弁のように聞いておったが、二百八十八億ぐらいを入れるのか、それともそれを入れたならば公募債はどのぐらいの額になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/124
-
125・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 先ほどの私の説明が少し足りなかったと思いますが、公募債とこの特別債券とは、債券といたしましては別ものでございまして、公募債は四十年度の予算では九百二十五億ということになっております。先ほど私が申し上げました約二百八十八億程度のものは、これは国鉄共済組合をはじめといたしまして、車両その他の資材メーカーまたは建設関係の諸会社等に引き受けをお願いしておる段階でございまして、先ほど申し上げましたのは、結局、こういうものが回り回って、あるいは市中金融機関に流れ込むというような意味で、公募債とその財源が似ておるということを申し上げましたので、債券といたしましては全く別ものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/125
-
126・相澤重明
○相澤重明君 いまの常務の説明を聞いておると、これはむしろ縁故債的なものですね。車両関係とか、あるいは建設業者とか、あるいは共済組合関係のようなものまでということになると、これは縁故債的なものがこの二百八十八億ということですね。で、従来の縁故債は幾らで、そういうものを、二百八十八億を含むと縁故債的なものは幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/126
-
127・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 縁故債は三十九年度末で四百十億、少しはしたがございますが四百十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/127
-
128・相澤重明
○相澤重明君 そうすると幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/128
-
129・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) これは、従来の縁故債と申しますのは、共済組合がほとんど全部でございまして、今回のものは縁故債的なものということでは、仰せのような性質はございますが、従来の縁故債は共済組合のみでございますから、こういう金額でございますが、今回は、ただいま申し上げましたように、範囲を広げるという考え方を持っておりますので、いまの二百八十八億を加えますと約七百億近くになるわけでございますが、範囲が違うということで、縁故債的ではございますが、従来の縁故債ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/129
-
130・相澤重明
○相澤重明君 次に、地方公共団体、いわゆる利用債、これが先ほどのお話では、六百八十八億の中の二百億くらいはそこに回るであろう、こういうことを言われておったのでありますが、従来の地方公共団体が持った利用債はどのくらい、それでいまの二百億ぐらいを持つとどの程度になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/130
-
131・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 従来の利用債は、三十九年度末で六百七十一億でございます。で、それに会回利用債的な特別債券の二百億を加えるといたしますと、八百七十一億ということになるわけでございますが、利用債も、これは地方公共団体が引き受けたものがこの大部分でございますけれども、必ずしも全部ではございませんで、他の民間工場等が、特別の工場等ができまして、そのために特別の施設をするというような場合には、民間の会社等で引き受けておるものもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/131
-
132・相澤重明
○相澤重明君 そうすると、最後に残るのは政府引き受け債、先ほど大臣が努力をされると吉田委員に答弁されたものになるわけですが、従来の政府引き受け債は幾ら、それから、先ほどから議論をされたように、残る約二百億、こういうことになるわけでありますが、幾らになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/132
-
133・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 従来政府保証債であるものと、先ほど申し上げました政府が非公募で引き受ける債券とあることは先ほど申し上げましたが、この政府引き受け債は三十九年度末で約九百五十億程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/133
-
134・相澤重明
○相澤重明君 そんなこと開いてない、はっきり答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/134
-
135・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) ただいまの数字を間違えました。千九十一億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/135
-
136・相澤重明
○相澤重明君 そこで、今度は利回りといいますか、利率についてお尋ねをしておきたいのですが、公募債と政府引き受け債とは、これは利子は同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/136
-
137・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/137
-
138・相澤重明
○相澤重明君 幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/138
-
139・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 七分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/139
-
140・相澤重明
○相澤重明君 次に、利用債、縁故債の利子は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/140
-
141・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 利用債は六分七厘、縁故債は七分三厘でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/141
-
142・相澤重明
○相澤重明君 そうしますというと、ここでやはり私は、この債券の消化の問題が出てくると思うのです。そこで、先ほども吉田委員が強く指摘したように、国鉄というからには、政府ができるだけ多くの出資をするなり、またこういう債券の場合でも多く引き受けるというのが原則だと私は思う。実際に利用者がすべてをまかなうということになれば、これは国鉄というものではなくて、まさに民間の協力によるものだということになると私は思うのです。そういう面で、先ほど大臣が、とにかくできるだけ佐藤総理に対して責任をとってもらって、いわゆる政府引き受け債というようなものを多く確認をしてもらう、こういうことについてはぜひおやりをいただくことになると思うのですが、まあやっていただきたいと思うのです。
そこで次に、こういう問題については鉄道なり政府は考えたことがあるかどうか、一つの利用債の問題でありますが、地方自治体は、必ずしも地方自治体の予算の中で引き受けるわけではない。これは地方自治体の予算の中で引き受けるのもあれば、関係の業界に依頼をして消化をしてもらうというのもあると思う。それから、現在のような利用債が多くなるというと、個々の家庭に入ってこの利用債を消化をしてもらいたい、こういうことも私は出てくると思う。そういう点を、政府なり国鉄側としてはどういうふうに把握をしておるか、状況というものをつかんでおるのか、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/142
-
143・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 利用債につきましては、地方の府県別、またその中で、ある時期におきましては銀行別というような把握のしかたとか申しますか、調査はやっておりますが、ただいま仰せのような、最後どこから金が出ておるかというこまかい点までは、必ずしも調査が行き渡っておるとは申せませんが、しかし大部分の利用債の資金というものは、地方銀行を主とする銀行が主体というのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/143
-
144・相澤重明
○相澤重明君 どうもまだそういう点が研究不十分ですね。これは総裁、いま少しあなた自身勉強しなければいかぬですよ。これはあなたはそういう業界の大先輩だし、御苦労されてきたんだから、私も敬意は表していますが、この鉄道債券の消化について、金融関係必ずしも全幅的にというわけにはいっていないんだよ。だからこそ消化の問題が実は縁故債にもたよらなければならぬ、特別債も発行しなければならぬということになってきているわけだね。そこで、いまは非常に国民は国鉄に協力的ですよ、総裁。国民は何とかしていまのようなこういう輸送難の打開をしてもらいたいということで、まあ石田さんが今度国鉄の総裁になって、ほんとうに国会でもはっきりものを言っている。テレビでも新聞でも、なるほど石田総裁やる気であるぞというやる気十分をあなた国民に見せているわけだ。この点は非常に国民から信頼をされている。運輸大臣もそうだと私は思うんですよ。その点は私はほめておこうと思うんです。非常にいい。ところが、やる気十分であっても、現実にできなければ、これはやったことにはならぬ。そこで、やってもらわなくちゃならぬ。そこで、いま国民の中で、特に鉄道を新たに敷設してもらいたいとか、あるいは増設をしてもらいたいとか、あるいは改善をしてもらいたいという、その地域の人たちは、よしおれたちもひとつ鉄道債というものについて応援しようじゃないか、こういう意見もあるんですよ。ただ、頭から、幾ら引き受けよ、こう言われると反発というものはあるけれども、その事情を説明して、やはり苦しいということがわかれば、やはり自分たちが早くやってもらいたいために、できるだけ消化に協力しようということになる。現に、これは私の地元でありますが、横浜では、私も実は町内会長をやっている。町の町内会長をやっているわけです。で、私の町内会は約二千二百世帯ある。横浜市もとにかく百七十万からの人口になっている。横浜は全部の町内会、自治会にパンフレットを出している。そこで、鉄道が今度は横浜線の複線をやるのにどうも金がだいぶかかるぞ、こういうふうにかかるぞ、ついては市の予算はこうであるし、県の予算はこうであるけれども、ひとつできるだけ皆さんの御協力をいただきたいというのを出しているわけです。各家庭みんないっていますよ。そういうのを上層部では知らないわけだな。総裁も不敏にしてこれは関知せず——関知せずじゃなかったろうけれども、わからなかったろうと思う。それほど、たとえば川崎のいわゆる構内改善をはじめとして、まあ議論のあるところだけれども、貨物の問題にしても、あるいは列車、電車の全面停車という問題にしても、川崎の市の理事者側、あるいは川崎の市の議会側といえども国鉄に協力していこうという話は出ているわけです。けれども、具体的にどういうことなのかわからぬ、これじゃしょうがないわけですね。だから、そういう点を私は国鉄側が、やはり県なり市町村の団体なり、いわゆる自治体側に御説明をされるのに十分なそういう資料というものをつくってお話しになれば、いまのようなPRが徹底すれば、かなり困難な問題も私は解決するんじゃないかと、こう思うんですよ。単に、いわゆる民間金融だけを当てにするといったところで、なかなか、御承知のように山陽特殊鋼とか吹原産業のようなものならば貸してくれるかもしれぬけれども、なかなかそういう国鉄の利用債というものは金融関係では消化してくれない。これがいままでだと思うんですよ。ですから、そういう中で今回の特別債券というものを発行して輸送力を増強する、こういうことについて、私どもは基本的に賛成なんです。基本的に賛成だけれども、もし先ほど吉田委員の言うように、この債券が消化ができなかったから、国鉄の計画というものは、実際できないじゃないかということになってくるわけですね。そこで、そういう一つの例をあげたのだが、そういうふうにして業界なり商店街なり一般の住民なりに、やはり、国鉄の現状の苦しいところとそれから建設をしなければならぬということ、そういう事情について私はやはりPRをする必要がある。実際に国鉄の首脳部は、たいへん御苦労だけれども、実際のPRというものはそこまでいっていないのじゃないかという心配を私はするわけです。そこで、せっかく人気のある、しかもやる気十分だとみんな見ておる石田総裁に、いま申し上げたのでありますが、そういう点をひとつやってもらいたい、こう思うのです。そこはひとつ、それはテレビを通じてやるのも方法であるし、新聞を通じてやるのも方法であるし、国鉄自体がやっている広報宣伝活動も必要である。これは各般にわたって持ってもいいが、そういう地方自治団体にも十分呼びかけて、そうしてこれらの問題の消化に私は当ってもらいたいと、こう思うのです。そこで、その手続等についてはあなた方がやることだけれども、ひとつそこに私の言いたいみそがある。そのみそは何かと言えば、それじゃ、そういうふうに国民が協力をした、こういう場合に、協力費というのかあるいは手数料というのか、そういうようなものはいまこの利回りを見ても、だいぶ違うところがあるようだが、そういう点については、何らかの方法というものがあるのではないか。あれば私は自治体なり業界なり一般の人たちがかなりやはり私は進展をしてくると、こう思うのです。こういう問題について、ひとつ国鉄側の意見も聞きたいし、その答えいかんによっては、私は大臣に注文もつけておきたい、こう思うのです。まず国鉄から答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/144
-
145・石田禮助
○説明員(石田禮助君) さっき吉田さん、それからその他のお話を聞いておると、実に国鉄に非常な同情をしてくれた熱意の私は発露だと思う。これは実に私としては感謝にたえない。しかもこの六百八十八億というのは、われわれの頭痛の種である。これを何とかしなかった日には、第三次計画の初年においてすでに蹉跣するわけです。だからして、これは大蔵大臣に再三念を押したのだ。この前にも御承知のとおり利用債というものによって優先的に補正を組むなんといっても組まぬ。私のごとき民間で育ってきたもので、一たん約手を発行したら必ずこれを実行するのだ、こういうことに信仰づけられた者から言えば、実にどうも心細いのですね。だから今度のこの六百八十八億というものに対しては、ぜひこれはひとつ、ものにしなければならぬ、とにかく大蔵省というところは、兜町で事があれば三十億以上出すんだ。ところが、いま国鉄の交通難というものは、通勤通学というのは交通地獄ですよ。これをこのままにしておくというのは人道問題だからして、ぜひとも早く解決しなきゃならぬ。こういうことで、それには六百八十八億というものはぜひひとつ何とかしなきゃいかぬということで、私自身も日銀の総裁に会って、ひとつこのうちの大部分というものを適格債にしてくれ、もしもあなたがやらなかったら、交通地獄の責任はあなたが持つんだと、そのつもりでやってくれ、そういうことを言われても実に困る、困るといったって事実だからしようがないじゃないかと、私はこう言んだ。とにかく相澤さんのさっきのお話の利用債の問題ですがね、利用債というものは、要するに公共団体が引き受ける。公共団体が引き受けるということは、代表している住民の利益を、心持ちを代表して引き受けるんだからして、結局代表されている住民が持つということなんだ。実際、いままでわれわれが住民にまで直接に訴えることをしなかったということはですね、それまでの必要がなかったんですよ。今度は出てきたんだ。この必要に応じては大いにやらなければなりませんが、しかし、地方公共団体というものは、その住民の精神を発露することについては、実に遺憾なくやっている。あんた方が選挙のときに住民に訴えるようなぐあいにやる必要はないと私は思う。ちゃんとやっぱり代表者が熱意を持ってやってくれますよ。そうして、この鉄道債というものは、私は住民の手にはいっていないと思う。大体銀行が引き受けているんですね。それも六分七厘というような非常な安い利息だった。これは国鉄が輸送を何とか考えにゃいかぬということで、利息を上げるということにしておりますので、まず第一に、この初めの二百億というものは何とかいくんじゃないか。あとの二百八十八億もこれは弘済会そのほかの国鉄の仕事によって利益を受けておる——先生からいえば利便提供だ。これは、私は引き受けてくれると思う。現に相当引き受けるということの証言があるんですよ。問題はあとの二百億だ。これは、私は切めから日銀総裁に適格債にしてくれ、大蔵省に対してもやってくれ、大蔵省は何とかしょうと、こう言うんで私は大蔵大臣というものを信任して、必ずできるというものの確信を持っている。これはひとつさらに念には念を押せでね、運輸大臣から総理大臣に話をし、大蔵大臣にも話して、この二百億というものに対しては必ずものになると。すでにこの前あれですね、債務負担というようなわけのわからぬもので、ちょっと変なことになっていますが、今度だけはひとつ変なことのないようにしたいと、こういうことを私は考えます。これはもうできるだけの努力を尽くしてやる。運輸大臣にもそういうことにお願いしている次第です。まあ相澤さん、そう御心配くださらんでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/145
-
146・相澤重明
○相澤重明君 老石田総裁が心配するなと言うから、われわれ若い者は心配しない。けれども、えてして政治家は、うそを申しませんといううそをつくのが政治家なんだね。政権を持っているものがやりますと公約をしたところで、実際にはやらないことが多い。これは、やっぱり国民の不信を買う。政治不信のもとですよ。だから、特に政治不信ばかりでなくて、現実にこの国鉄の問題は、さっき総裁が言うとおり、交通地獄なんだ、これは。けさも早くからテレビでやってるように、池袋なんかではたいへんだと、年じゅうああいって放送されているわけだ。そのことを考えれば、われわれはこういう議論をするときには、お互いに仲がいいから、笑いながら話をしているけれども、一たん中へ乗ったものは死ぬ苦しみですよ。だから、何としても一日も早くこの交通地獄は解消してやらなければいけない。こういうことで、国民も期待をしているし、われわれ国会の者も、あるいは国鉄の当局も、運輸省も考えておると思うのですよ。そういう意味では、期待ということについては、私は期待をしないということじゃないけれども、やはりこれを確立させなければ意味がないわけです。そこで、せっかくの御老体がそういうことを言うのですから、私はそれを信頼します。しかし、これはできるだけ早くやはり一本とることですね、必ずやると。これはもう政府も、総理大臣の責任においてあとの二百億は引き受けた。こういうことは、いわゆる日銀適格債としての保証をしなければ、私はいなかの髪結いさんじゃないけれども、幾ら頭を結ったって次からくずれていっちゃう、結うだけが能じゃないのだから、やはりなるほどよかったということを見せなければいけない。こういう点で、私はやはりいまの総裁のお話や大臣の御答弁については、全く誠意あるものと私も理解をします。ぜひそういうことで貫徹をしてもらいたい。
それから、地方自治体の引き受けのいわゆる利用債の問題でありますが、これは場所によると、国鉄側にこういうふうに地元としては仕事をやってもらいたいという陳情というものがたくさんきますわね。われわれ運輸委員会にも、これから会期末になるというと、請願というものがたくさん来ておりますから、審査しなければならぬたくさんの問題がある。けれども、そういう人たちも、できるならば国鉄なんだから、国鉄が全部負担をしてくれと、こういう意見が私はかなり多いと思うのですよ。そこで、いやそう言われたところで、国鉄はこういう経理状況だから運賃を値上げしてもらわなければいかぬ、利用債を持ってもらわなければいかぬ、こう言うと、何を言っているのか、国の仕事でありながら、そんな話はあるかということが出てくると思うのですよ。そこで、頭から押しつけるというわけにはいかぬわけです。けれども、協力を求めることはできるわけです。こういう実情で、あなた方も急いでおるのだから、こういうようにしてもらいたいというのが、いまの債券の問題です。そういう中で、いま提案されておるいわゆる先取り権のいわゆる担保権を持つことは非常にいいことだ。私は賛成するわけだ。賛成するがゆえに、そういう問題について、むしろ基本的にそういう国民の各位からの国鉄に要望されておることを早く実現をする。その立場に立てば、私は先ほど申し上げた消化のしかたの問題だと思うし、これは広報費で払うのがいいのか、手数料で払うのがいいのか、これはよくわかりませんけれども、そういうものも検討してみる必要があるのじゃないか。いま総裁は、地方自治体、たとえば知事なり大きいところの市長なりに頼んでおけば、住民を代表するものだから、それが皆やってくれると思うかもしれないけれども、いまの自治体の予算は、そんな甘いものではない。国鉄の利用債を引き受けるといっても、実際には利子の補給くらいのものです。実際には何々株式会社に幾ら引き受けてくれ。それから一般予算のほうではこれだけしか県財政では計上できません。こういうのが、比較的富裕県と言われる私ども神奈川県さえそうですよ、実際は。そういう点を考えると、私どももそれではいけないというのが、さっき申し上げた運動の一つのしかたとして、地域住民にもひとつ協力を求めよう、こういう形に実はなって出したわけです。ですから、額面どおりにいけば、日本国有鉄道債ということになるわけですから、政保債と変わりがないのだから、何もそんなPRしなくても、あるいはよけいなひまをかけなくても、消化は十分だということは言えるかもしれぬけれども、現実はそうではないということになると、そこに何らかの消化の方法というものを考えていいのじゃないか。その点についてはまだ答弁がなされていない。そういう点の国鉄側の考えを、いままでそういう点については研究されたことはないのかどうか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/146
-
147・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 相澤さんのおっしゃることは、ごもっともだと思うのだ。やはり国鉄というものがいかに信用ありといえども、やはり形式というものがある。それにはいま法案に出ておる問題ですね、そのためにいまの法案を出して御審議、願った次第です。やはりこれは名実とも伴うということで、つまり担保債ということになったわけなんでありまして、これはやっぱり利用債を消化する上においては、利用債を持たれる身になってみなければ、やっぱり形式の備わったものが必要だ、こういうことでいまの法案を出しておるわけです。そういう意味において、ぜひとも御決裁をお願いしたいということなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/147
-
148・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) 相灘先生のおっしゃいました発行に伴う経費と申しますか、そういうものを国鉄が負担し得るかどうかという問題につきましては、これは債券そのものに結びつけますと、債券の発行条件というようなものの一つの変更となるおそれもございますし、他の私鉄債なり社債というものとの関係上から、おそらく金融の行政をやる大蔵省のほうにもいろいろ問題が出るかと存じます。そのほかのPRという点で考えますれば、これはまた別途の考え方はおのずから出ると思いますが、債券に直接結びつけるということになりますと、その辺に問題があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/148
-
149・相澤重明
○相澤重明君 それはそのとおりだと思います。現実の問題として債券の額面あるいは利回り、こういうものについては、これは変えるわけにいかないと思うんです。しかし先ほど申し上げたように、PRの方法としては、テレビを国鉄アワーの時間で使うのも必要だろうし、ラジオを使う場合もあるだろうし、新聞紙上を使うのもあると思う。それを地方自治体に引き受けてもらう場合に、そういう地方自治体がさらに国鉄債券を消化をするのに、まあガリ版刷りにせよ、印刷費を使ってそういう宣伝のしかたもあると思うんですよ。そういうときのものは、私はある程度のやはり協力費というか、そういう印刷費というか、そういうものを持ってやっても差しつかえないんじゃないかという気がするわけだ。直接の債券の額面高を変更するとか、利回りを変更するということじゃないのだから、これは国鉄業務の中の一端として私は考えられる気がするわけです。これはひとつ検討してもらいたい。さっき言ったように、佐藤内閣が全部国鉄債券については引き受けたから総理が胸をたたいて、「ようしやった」こう言って全部やってくれれば、それは問題ないですけれども、やはりなかなかそうはいかない。やはり各般にわたってみんなが協力しなければ、幾ら佐藤総理が胸をたたいたってできないと思う。そういう面で残された二百億については、大臣や総裁の言われるように、ひとつ総理に責任を持って大蔵省に消化をしてもらうように努力をされる、それからその他についてはいまの計画を、これを完遂できるようにやはり消化をする、こういう努力をみんなしてやるというところに、私は意義があると思う。そういう意味で、ひとついま私の申し上げたのは、町のささいなことを取り上げたようであるけれども、実は国民にとっては非常に大きい問題だと私は思う。そういう意味で国鉄の首脳部の中でひとつ検討をしてもらいたいと思うわけです。そこでいわゆる一般の民法上によるところ権利というものを持つわけでありますから、公社、公団等の比較からいって、先ほどの特別債券を持たせる、いわゆる縁故債的なものについては、これはある一定の規模に応じた、基準というものをつくるのですか、たとえばここに三十億の仕事をする、その三十億の仕事をするものについては、それの一%とか五%というもを引き受けをさせる、こういうようなことを考えているのかどうか、この点をひとつお聞かせを願いたい。ということは、実は逆を言って、建設省は大手筋の建設会社ばかりでなくて、いま中小企業の倒産に対して、できるだけ中小企業をやはり育成をしようということで、今度建設省も、これらの人たちが一緒になって仕事をすることについては、できるだけいい条件で仕事をさせようということがきまったようですね。したがってこの鉄道債券の引き受けについても、ある程度そういう問題がないと、大企業と中小企業との場合の、私は仕事の上で、問題が出てくると思う。これは私はよくまだそこまで聞いておらないからわからないけれども、衆議院の決算委員会では、九頭龍川の問題で五億円も上積みをして、最高価格を落札をさした、その五億円は何とかさんという人が持っていった、こういう話を、これは私ども野党が言うのじゃなくて、自民党の人が言うのだから間違いないと思うのです。そういう話が出ているわけです、決算委員会では。だから、そういった点で建設会社にあまり飛び越えたものを押しつけるということになると、そういう問題が出てきやせぬかということを私心配するわけです。私は国鉄はないと思う。運輸省はそういうことは絶対ないと思う。しかし衆議院の決算委員会で、堂々とだれだれはどうだということを田中彰治君が言っているのだもの。そうなると、五億円ももうかるということなら、少しは引き受けてもいいということになる。こういうことになると、それは非常に迷惑を国鉄自体も受けるし、国民の不信を買うから、そこでそういう点については、よほど慎重に配慮をしてもらわぬといかんと思うが、しかしせっかくの御説明をいただいたのでありますから、車両会社とか建設会社にもこれを引き受けてもらうという御説明なんだから、そういうものに対してはどういうお考えを持っているのか、基準というものがあるならば、その基準はどういうものなのか、こういう点もひとつお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/149
-
150・豊原廉次郎
○説明員(豊原廉次郎君) いまの特別債の引き受けと契約という問題は、たいへんむずかしい問題でございまして、御承知のように国鉄の契約は国鉄法の四十九条によりまして、公開競争入札ということが原則になっております。でございますから、契約額に債券の消化額をリンクさせるということは、本来できないわけです。したがいまして、そういう考え方は持っておりません。ただおのずから大きな規模のメーカー、会社には、話し合いによりまして、納得づくで、相対的に多くの消化をお願いする、小さいメーカーには小さくなるということは、おのずからあるわけでございますが、一定の基準というようなものは設けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/150
-
151・相澤重明
○相澤重明君 これでもう私の質問を終わります。賛成の法律なんだから、あとそう言うことはないのですが、いま常務の話では、利用債を持ってもらうにしても、特別債を持ってもらうにしても、一定の基準というものはない、話し合いだということになると、話し合いで打てないと言えば、これは持てないということになるわけですね。そうすると、どうもあそこはちっともいい返事をしてくれないから、あそこは仕事はよくできるのだけれども、どうも仕事をやらせたくないということが、反面、解釈として、出てきませんか。私はそれをやはり心配するわけですね。九頭龍川の問題が先ほど来ちょっと出たけれども、これはなぜそういうものが出たかというと、同じ競争入札をしたものの中で意見が出て来たわけですね。しかも入札をしたものは、適正な価格なり、あるいは、その発詳する立場からいけば、規格どおりできるなら、安いほうがいいわけですよ。ところが九頭龍川のものはその安いものより、適正と思われるよりさらに一番高いのを特別選んで入札をさした、こういうところに問題が出ているわけですね。ですから、いま常務の言うように、いや別に基準は設けておりません、もうそれこそ話し合いですから自由でございます。しかし、引き受けてくれるところは協力の会社であって、引き受けてくれないところはあまり好ましくありませんと、入札をするときに手かげんということは言わないだろうけれども、まあそういうふうなことが出てくると、私は、国鉄のような大事業にとっては非常に問題が出るのじゃないか、こう心配をぼくはするのですよ。そういう意味で、私はむしろある程度、この程度のことが、これだけの仕事についてはこの程度のことはどうなんだろうという話し合いの一つのやっぱり筋というものがないと、どうもそういう点が、建設省の問題にからんで、私はやっぱり電発等の問題にからんで問題が出てきやせぬかという点を心配するわけだ、これは。そういう点の心配のないように解明をしてもらえば、これで私は終わりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/151
-
152・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 御心配はごもっともです。問題は、つまりこれから新しく契約する金額に応じて持ってもらうというのじゃなくて、過去における、最近における契約をもとにして、このうちはまず大体このくらいのものは持ってくれるだろうという見当をつけて、そうして話をしておるのでありまして、これはわれわれが希望しただけのものはみんな持ってくれております。決して、これによって将来の入札の場合に手心をするとかいうことは絶対にそれはもうやらぬ。これはこれ、あれはあれということにちゃんとけじめはついておるのでありますから、その点はどうぞ相澤さん御心配のないように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/152
-
153・小酒井義男
○小酒井義男君 一点だけお尋ねしたいのですが、今度国有鉄道法の改正をされる中の六条に新たに加えられる二項として、「日本国有鉄道は、その業務の運営に特に必要がある場合に限り、前項の規定による投資として現物出資をすることができる。」というのが加えられるのですが、これがないために非常に困ったというような事例が過去にあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/153
-
154・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 今回御説明申し上げておりますように、現物出資が、過去で、法律的に可能であるかどうかということはいろいろ検討したわけであります。ところが法律的には相当疑義ということで、今回新たにこういう改正をお願いしたということでございまして、特に現物出資を必要としますのは、今回名古屋の臨港鉄道ということでございます。したがいまして、過去においてそういうことがなくてということではございませんで、今回特に現物出資について名古屋の事例が出てきた。それに対してまず対処したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/154
-
155・小酒井義男
○小酒井義男君 そうしますと、この法律の条文の中にもあるように、たびたびあることじゃないので、「特に必要がある場合に限り、」ということですから、将来方々でこういう問題が起こるということじゃないというふうに理解をしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/155
-
156・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 仰せのように「その業務の運営に特に必要がある場合」ということがうたってあるわけでございまして、国鉄が第一条の目的に沿ってその使命を遂行するについて、他の事業に投資することが必要であると認められると同時に、現物出資をすることが最も効果的である場合という、非常に限定的な場面というふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/156
-
157・小酒井義男
○小酒井義男君 特に必要だという判定は、国鉄総裁が御決定になるのか、運輸大臣はこれには関係がないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/157
-
158・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) まず出資について経営政策上決定をされるのは、国鉄総裁でございます。その場合に、特に現物出資が必要であるかどうかという御判断をされるのも国鉄総裁であるわけであります。ただ御承知のように、それに従いまして最終的には運輸省に認可を申請して、運輸大臣が認可をする、したがって、国鉄と運輸省が双方、経営政策と運輸政策の観点からチェックをする、こういうことをたてまえといたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/158
-
159・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ごく簡単なことをこの際伺わしていただきたいのだが、この現物出資の場合、評価は一体どういう方法でやられるのか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/159
-
160・佐藤光夫
○政府委員(佐藤光夫君) 現物出資の目的となる財産の評価については、御承知のように第一次には国鉄がなされるわけでございまして、国鉄においては、土地建物評価委員会というようなものがございまして、第三者を委嘱をして評価をなさるわけでございます。それに基づいて出てきましたものを、運輸大臣が適正な評価であるかどうかということの内容を審査をするわけでございますが、御承知のように、最終的といいますか、最後に、会社に投資された後に、商法の規定によりまして裁判所の選任した検査役の検査を得ることになっておりますので、これによりまして評価額を最終的に確定するということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/160
-
161・加賀山之雄
○加賀山之雄君 これはまあ名古屋臨港鉄道の場合にまず考えられるかと思うのですが、この名古屋臨港の今後の何といいますか、事業の見込みですね、これはりっぱにペイするのかどうか、それから国鉄としては一体どういうはね返りの利益があるのか、私はおそらく営業キロは、おそらく何位かに設定されるのじゃないかと思うのです。だから運賃計算方式も通算じゃなくて、併算と聞いているのですが、まあそういうようなことも会社並びに国鉄の収入を考えての措置だと思うのですが、これはまあ逆に言うと、利用者から言うと迷惑な話なんで、営業キロなんかつくらないで、通算になれば運賃がそれだけ安くなる、両方のそういう、この事業のはね返りですね、どうなるか、その見込みをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/161
-
162・今村義夫
○説明員(今村義夫君) 名古屋臨海地域は非常に大きな規模でございまして、四十四年度には約三百万トンの輸送量があると、われわれは想定しておるわけでございますが、ことしから会社をつくりましてすぐペイするかといえば、これはまあいろいろ新しい線も建設しなければなりませんし、必ずしもすぐペイするとは限りませんが、三、四年たった四十四、五年からは大体ペイできるものと考えております。
それから運賃等につきましては、お話しのとおり、荷主の負担がそれによって増加するということでは困りますので、われわれとしては荷主の負担が非常に大きくならないように、どういう方法でやるかは、いま検討中でございますが、根本的には荷主の負担がいまより大きくならないということを前提条件としているわけでございます。
それから国鉄の利益といたしましては、まああれだけの大きな臨海工業地帯でございますと、国鉄が全額を投資するということは非常に大きな負担になりますので、これを地元の主張をいれまして、国鉄資本、国鉄が資本参加することによって、国鉄と一身同体となって運営ができるということによりまして、国鉄側としても、大きなメリットがあるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/162
-
163・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって松野孝一君が辞任し、その補欠として高橋文五郎君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/163
-
164・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/164
-
165・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでごさいますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ考あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/165
-
166・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/166
-
167・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/167
-
168・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/168
-
169・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 本案審議に際しましては、慎重御審議をいただき、御決定を願いましたことをありがたくお礼を申し上げます。
なお、本案審議中いろいろ御注意や示唆に富んだ御発言がありましたが、これに対しましては、真剣に御期待に沿うように努力をお誓いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/169
-
170・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 本案につきましていろいろの御配慮にあずかりまして、まことにどうもありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/170
-
171・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/171
-
172・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣と国鉄総裁がおりますから一つだけ聞いておきたいし、それからお考を聞きたいと思うのですが、先日、東海道新幹線が静岡付近の地震のために運転が不能になった。こういうことで、中には運賃料金の払い戻しも行なわれたというは、これは一般に新幹線はだいじょうぶだというのが、やはり地震には弱いな、こういう話も出たわけですね。これはしかし初めてのことでありますし、私どもも事故が起きるということは喜ぶべきことではないのでありますから、できるだけそういうような際には、事故を起こさないように早く停止処置をとったことはいいと私は思う。このことは国鉄の職員がいかによくやったかというこで、むしろ私はほめておきたいと思う、ただ、せっかく大きな額を投資をして、そうして近代施設をしたにもかかわらず、こういう問題がたびたび起きるということになると、これはまた問題になってくる。そこで、今後はどういう措置をしてこれらの事故等の場合に対するか、ということは大事なことだと思うのです。聞くところによると、まあ機械設備等をお考えになっておるようでありますが、きょうでなくてけっこうです。でき得れば次回に、国鉄はこの近代設備に対してどう事故対策をつくるのかということを明らかにして、単に局長なり、あるは常務の一人か二人が地方に行って話をしたというのではなくて、やはり国会の場を通じて国民の皆さんに呼びかけるということが、私は大事だと思うのです。また私ども運輸委員会としては専門の立場に立っておるわけでありますから、いろいろ聞かれる場合もあるし、話をされる場合もあるわけですから、国鉄はこういうふうにやっておる、運輸省はこういう事故対策を持っておる、これにはことしの計画としてどういう措置を、あるいは金額的にも、またあるいは施設の一面でもこうだということを私は示してほしいと思う。地震が終わったから、もう地震がこないというわけにはいかないし、台風がことしはこないだろうというわけにはいかないだろうと思う。そういう点の、せっかく世界に誇る新幹線を国民各位に安心をして利用してもらう。また、いざという場合にも動脈を利用できるように私は対処をしてももらう、こういうことだけきょうの——本来なら運輸委員会にその経緯の報告を願うのがあたりまえなんですが、法律の審議のほうが先になってしまったので、きょうはそういうことで私も質問をいたしませんけれども、しかしこのことについては大きな関心を持っておりますから、次回に報告と対策を私は求めたいと思う。こういうことで、委員長にもお願いしておきますし、大臣並びに総裁に要望しておきます。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/172
-
173・石田禮助
○説明員(石田禮助君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/173
-
174・松平勇雄
○委員長(松平勇雄君) 本件について、本日はこの程度にいたします。次回五月七日に、午前中社会労働委員会との連合審査会を、午後は運輸委員会をそれぞれ予定しております。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813830X02119650427/174
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。