1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十一日(火曜日)
午後二時二十六分開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
鹿島 俊雄君 川野 三暁君
石田 次男君 浅井 亨君
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出席者は左のとおり。
理 事
大谷藤之助君
丸茂 重貞君
瀬谷 英行君
光村 甚助君
委 員
石井 桂君
川野 三暁君
近藤 鶴代君
白井 勇君
平島 敏夫君
前田佳都男君
小林 武君
森 元治郎君
浅井 亨君
国務大臣
国 務 大 臣 愛知 揆一君
政府委員
防衛庁参事官 麻生 茂君
防衛施設庁長官 小野 裕君
防衛施設庁総務
部長 沼尻 元一君
防衛施設庁施設
部長 財満 功君
科学技術政務次
官 纐纈 彌三君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
説明員
原子力委員会委
員 西村 熊雄君
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本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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〔理事光村甚助君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/0
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001・光村甚助
○理事(光村甚助君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
初めに、委員の異動について御報告いたします。
本日、鹿島俊雄君及び石田次男君が辞任され、その補欠として、川野三暁君及び浅井亨君が選任されました。
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002・光村甚助
○理事(光村甚助君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の審査を進めます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/2
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003・瀬谷英行
○瀬谷英行君 衆議院の本委員会でいろいろと論議がございましたが、その中で、質疑の過程で、原子力基本法が存在を日本の憲法が今日存在をする限り自衛隊が原子力を推進力とする船舶を有し得ないはずである、というわが党の見解に対して、政府の統一見解というものが示されてはおりますが、愛知並びに小泉両大臣の答弁が必ずしも明白ではない、あるいは将来保持することがあるかもしれないといったような答弁があったが、これらの政府の統一見解というものがあいまいなままではよろしくないので、いま一たび、一体この問題については、政府としてはどういう態度であるのかという点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/3
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004・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま御質疑の点につきまして、衆議院の科学技術特別委員会におきましていろいろ論議がございましたことは御指摘のとおりでございます。そして、その問題につきましては、政府の統一的な見解といたしまして、次のようにお答えをいたしたわけでございます。
それは、原子力基本法の第二条には、御案内のように、原子力の研究開発及び利用は平和の目的に限るということが規定されておりまして、わが国における原子力の利用が平和の目的に限られておりますことは明らかであります。したがいまして、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、原子力基本法の認めないところであります。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されますことも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考えます。−以上が政府の統一見解でございます。そしてさらに、この統一見解に補足いたしまして、政府としては統一的に次のように説明をいたしたのでございます。それは、推進力として原子力の利用が一般化した状況というものが現在においては想像の域を出ませんので、そのような想像をも一とにして政府の方針を述べるわけにはまいりませんが、現時点において申します限り、原子力基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりません。——かような補足説明を加えた次第でございます。以上が政府の統一見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/4
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005・瀬谷英行
○瀬谷英行君 問題にしているところは、現在は基本法のたてまえからいっても核兵器を保持するようなことはあり得ない、こういう答弁ではあるんですが、将来については何とも言えませんというふうに聞き取れるような印象を受けたので、その点が追及をされたものというふうに私は信じております。したがって、その点について政府は、将来のことはまだわからぬと、こうおっしゃる意味なのか、将来とも核兵器は保持しないんだ、しかし推進力とする場合には何とも言えないのだ、こういう含みなのか、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/5
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006・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その点は誤解がございませんように統一見解におきまして先ほど申し上げましたとおりでございまして、それ以上に何らつけ加えることはないわけでございます。と申しますのは、将来、はたして原子力の利用が一般化すると推進力として一般的に使えるかどうかというようなことは、現在の時点からすればいまだ想像の域を出ない、そのような想像をもとにして現在どうこうと言うことはできないというのが、私は政府としてはきわめて自然な態度ではなかろうかと考えるわけでございます。同時に、現時点において言う限りということは、現在においては当然のことでございますけれども、現在の時点において申します限りにおきましては、原子力基本法第二条のもとでは原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりません。これがきわめてすなおな、自然な考え方ではなかろうかと、かように、政府にいたしましては、防衛庁その他の関係の向きとも十分打ち合わせまして、こういう表現で終始いたしてまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/6
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007・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この法案は、原子力を推進力として用いるということが将来一般化されるであろうという前提に立って、原子力船が日本においても建造をされる、だからそのための規制を必要とする法律であるというふうになっておるんではないかと思うのでございますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/7
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008・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、実はそうではございませんで、何と申しましても、現状におきましては、原子力の利用が推進力としては一般化していない、したがって、こうした原子力を推進力として船に使う場合におきましては、各国ともにいろいろの規制をいたしておるわけでございまして、これはまあ常識的に申せば、推進力として原子力を使うことはむしろ例外的なものである、その例外的なものでありますからこそ、いろいろな規制について万全の措置を講じなければならない、まあこういう考え方でございまして、推進力として原子力利用が将来一般化されるかどうかというようなことは、現在においてはいまだ想像の域を脱しないものである、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/8
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009・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは、日本で原子力船を建造しようとしているところの意図が一体那辺にあるのか、その、原子力船建造の目的は何であるのか、それについて再度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/9
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010・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、たとえば、アメリカにおきましてのサバンナ号、あるいはソ連におきましてのレー・ニン号とか、あるいは西ドイツにおきましてのオットーハーン号というものが、現在建造され、もしくは建造されつつあるわけでございますが、いずれにしても、こういったような先進国におきまして、何と申しますか、テストケースとしてやっておりますので、わが国といたしましても、そういった例にならいまして、日本の技術の力——これはある程度外国側の協力を得なければならないと思いますけれども、これをひとつ原子力の利用の方法の一つとして、いわばテストケースとしてやってみたい、こういうことが原子力船の建造についての私たちの考え方であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/10
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011・瀬谷英行
○瀬谷英行君 将来一般化するという前提なしにテストケースとするというのは、ちょっと理解しにくいわけなんです。テストケースとして原子力船を建造するということは、この原子力船の効率あるいはその性能といったようなことを考えてみて、採算上このほうがいいといったような結論が出た場合には、これを一般化していくというのが、この原子力船の第一船を建造する場合の第一の目的にならなければならないのじゃないか。しかし、そういうことを考えずに、全く一隻だけテストケースとしてやってみるのだということになると、何かしら道楽で船をつくるみたいなんですな。外国に対するみえを張るみたいな、そんな印象を受けるわけです。まさか、外国に対して、おれの国でも原子原船を持っておるのだぞということを自慢したいだけの目的で原子力船をつくるということは、これはあり得ないじゃないかという気がするわけです。いままでの大臣の答弁によると、一隻こしらえるけれども、二隻以上はもうこしらえる必要がないのだ、こういうふうにも聞き取られるのでありますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/11
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012・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、日本の原子力船の建造につきましては、これも一前に当委員会でも申し上げたとおりでありまして、初めてのいわゆるテストケースでございますだけに、設計なり、あるいはそのほかの点につきまして、いろいろと研究をしながら進めておる関係で、実はまだ契約も正式には取りきめができていない。予定した時期よりは少しおくれておる。こういうようなことから見ても、おわかりいただけますように、今日の段階におきましては、将来原子力を推進力として利用ができるかどうかということについては、やっぱり研究を進めていかなければならない。そういう過程から、御案内のように、現在やっておりますものも、政府の、何と申しますか、財政資金を中心にしてこれの建造を推進しようとしておるようなわけでございますから、これはやはり、将来こういったようなものが今後日本でも建造されて、はたして他のエネルギーを推進力として使うのと同様に、あるいはそれ以下にコストも低減するというようなものになるかどうかということは、これから大いに検討してみなければ、結論は私は出ないのじゃなかろうかと思うのでありまして、それらの点はやはり想像の域を出ない。しかし、この第一船の建造がうまく進み、かつ、それによって、この建造の具体的の実績を通しまして、将来にわたりまして、さらに日本においては一般的に原子力を推進力として利用し得るかどうかということが具体的に検討の域に入るのじゃなかろうかと、かように考えております。一隻だけつくって、あとはつくらないのか、あるいはつくれる状態になるのかということについては、いましばらくいろいろの経過を経てみなければわからないのじゃなかろうか。
しかし、いずれにしても、原子力の平和利用については、いろいろと進めてまいらなければなりませんので、ほかの国が持っているから、みえとして、こちらもやらなければならないと、そういうわけではございません。日本の科学技術の力によってどういうふうな実績があがり得るであろうか。将来に対して方針を立てる場合に、どれだけこれが有効な資料になるであろうかというような点を含めて、これはやはり私は将来の問題である、その点につきましても、将来いかになるかということについては、いまにわかに政府として見通しを申し上げる段階ではないというのが、ありのままの姿ではなかろうかと、私はかように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/12
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013・瀬谷英行
○瀬谷英行君 ソビエトのレーニン号とか、アメリカのサバンナ号というのは、現実に動いているわけですね。これはもう、目的を持って動いているわけなんです。日本で建造しようとしているところの原子力船というのは、そういう目的が明確ではない。要するに、原子力船としてのテストである、あくまでも。こういうことに限られるものなのかどうか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/13
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014・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、レーニン号は砕氷船としてどういうメリットを発揮しつつあるかというような点については、これはもう具体的に検討の課題に私なっておると思いますけれども、日本の原子力船は、御案内のように、海洋観測ということを目標にして、その方面にどれだけ有効であるかということを中心にして建造を進めてまいりたい、かような関係でございますから、将来の想像の問題として、あるいは客船として、あるいは貨物船としてどういうように考えられるかということは、やはりまだ現在としては想像の段階でなかろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/14
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015・瀬谷英行
○瀬谷英行君 いままでの御答弁によると、ともかく、日本の原子力船そのものも、いつできるかわからない。じゃ、世界である船というと、ドイツに一隻、アメリカに一隻、ソビエトに一隻ということになると、この法律をつくってみても、この法律が適用されるというような場合がほとんど想定をされないわけなんでありますが、現実の問題として、この法律を急がなければならないところの理由、たとえばサバンナ号が入港するとか、レーニン号が入港するとかいったような話は起こってるんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/15
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016・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) サバンナ号につきましては、いつ、たとえば今年の何月ごろに入港を希望してくるかというような確たる日取り等については、まだ何らの連絡を受けておりません。しかしながら、いずれ近い機会に入港の希望が来るであろうということは、相当の確率性をもって予想されるわけでありますから、それに備えておく必要があるということが第一点でございます。
それから、この法律の基礎になっておりますいわゆるSOLAS条約、これが本年の五月二十六日に効力を発生するわけでございますが、この条約にはかねてから日本が参加しておりまするし、また、その条約自身が五月二十六日に発効する、こういうかっこうになっておりますので、それとにらみ合わせまして、この国会でぜひ御審議を願い、成立をはかっておきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/16
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017・瀬谷英行
○瀬谷英行君 防衛庁関係の人、見えていますね。防衛庁の方に伺いたいのですけれども、現在、日本の海上自衛隊における保有船舶では、原子力を推進力としているものはないと思うわけでありますが、将来原子力の平和利用が一般化をするという段階においては、原子力潜水艦を建造するかしないかということは別としても、推進力として原子力を取り入れるということは考えなければならないと思っているのかどうか、あるいはまた、原子力潜水艦も保有するというような考え方、現在は持っていないと思います、持ってないと言わざるを得ないと思いますが、将来においては、それはあり得ることになるのかどうか、その点について防衛庁としてはどういう研究を進めておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/17
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018・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 御質問につきましては、先ほど科学技術庁長官から御説明がありましたように、われわれは、この原子力基本法との関係におきましては、船舶の推進力としての原子力の利用が一般化しない現状においては、自衛艦に推進力として原子力を利用するということは認められないというふうに考えておるわけでございます。なお、先ほど科学技術庁長官からも御説明がありましたように、推進力としての原子力の利用が一般化した状況というのは、だいぶ先のことでございます。現在においては想像の域を脱しないわけでございます。したがいまして、そうした想像をもとにしていろいろ政府の方針をこの際はっきり申し上げるというわけにはいかないわけでございまして、少なくとも現時点において申しまする限りにおきましては、現在の原子力基本法第二条によって、原子力を自衛艦の推進力として利用するということは考えておらない、というのが防衛庁の現在の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/18
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019・瀬谷英行
○瀬谷英行君 推進力が一般化しない現段階においては考えることもできないということはなんでありますが、そうすると、アメリカの原子力潜水艦の場合には、推進力としての原子力の利用が一般化したかのような印象を受けるのでありますが、その点はどうなんでしょう。アメリカの潜水艦の場合は、今日どういう役割りを持って、その推進力は主としてどのような動力を用いているのか、おわかりだったら、この機会にお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/19
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020・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 私、直接その関係の担当者でないので、はっきりしたことをお答えいたしかねますが、先ほど申しました、原子力の利用が
一般化した、と申しましたのは、世界全体を通じて見て、広く推進力として原子力の利用が行なわれるということでございまして、アメリカの潜水艦について、原子力を動力とするいわゆる原子力潜水艦が多くつくられておるということは別な話でありますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/20
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021・瀬谷英行
○瀬谷英行君 アメリカの原子力潜水艦がどういう装備を持ち、どういう動力を推進力として用いているのか、その点わかったらお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/21
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022・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 先ほど申しましたように、実は私はその方面の専門家でございませんので、どういう動力ということについて正確な御答弁を申し上げかねますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/22
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023・瀬谷英行
○瀬谷英行君 科学技術庁としては、アメリカの原子力潜水艦がどのような存在であるか、これを明らかにしているのかどうか。その性能なり、あるいは動力なり、装備なり、等について、どのように認識をされておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/23
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024・村田浩
○政府委員(村田浩君) アメリカの原子力潜水艦につきましての調査は、私どものほうの担当ではございませんので、正確な御答弁ができかねると思いますが、昨年来、アメリカ原子力潜水艦のわが国への寄港に関連しまして、国会において防衛庁の担当の方が御答弁になったところから私ども聞いておりますところを申し上げますと、現在アメリカでは、原子力潜水艦が、建造中を含め、八十隻余りあると、こういう話でございます。そのうち約半分ぐらいがいわゆるポラリス型、残り半分ほどが、攻撃型といいますか、俗にノーチラス型といわれておるものだという御説明でございした。これら原子力潜水艦にいかなる装備をしておるかということは、ますますもって私どもにわからないことでございますが、ただ、アメリカの原子力委員会が出しております年報等から見ますと、いわゆる私どもの申します軽水型原子炉、もっと正確には、加圧水型の原子炉を搭載しておる、こういうことが原子力委員会の資料の中に見えております。私どもとしてわかりますのは、大体そういうようなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/24
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025・瀬谷英行
○瀬谷英行君 科学技術庁としては、アメリカの原子力潜水艦の現状は、半分がポラリスで半分がノーチラスという程度であって、詳細はよくわからないということなんですね。しかし、科学技術庁の責任において「政府の窓」というパンフレットに出しておりますところの記事によりますと、原子力潜水艦の安全性ということを強調しておるわけなんです。そうすると、よくわからないけれども原子力潜水艦の安全性については心配することはないのだ、こういうふうに宣伝をしておるということになりますね。それはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/25
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026・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力潜水艦の安全性につきまして科学技術庁のほうで一応検討いたしましたのは、当然のことでございますが、原子炉にかかわる安全性でございます。それで、先ほど私が申し上げましたように、アメリカの原子力委員会の報告と、さらに、現実にアメリカから原子力潜水艦がわが国に寄港するという問題に関連して、その安全性を政府で検討されますときにいろいろ検討いたしましたのですが、搭載されておる加圧水型原子炉そのものにつきましては、同様の形式のものが陸上にもすでに数多く建設されておりますし、わが国にも、それに属します一つの型のものとして東海村の原子力研究所に動力試験炉というものが一基すでに建設され、運転されておることは御案内のとおりであります。このような点から、アメリカの原子力潜水艦に搭載されておる原子炉にかかわる安全性というものについては、そういったような傍証等から、かなり正確に推定できるあというふうに考えまして検討をいたして、そのことにつきましての説明を「政府の窓」に一応書いておいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/26
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027・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それじゃ、何のことはない、ペンタゴンの受け売りをそのままやっているだけということになるわけですか。内容的には、別に日本の科学技術庁が行って調べたわけでも何でもない。アメリカのほうで安全だと言っておるから、アメリカにかわって科学技術庁が原子力潜水艦の安全性を宣伝をしておいたのだと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/27
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028・村田浩
○政府委員(村田浩君) 昨年の八月の原子力委員会の見解にも述べてございますように、一昨年の二月以来長い年月をかけまして、アメリカ側に、いろいろと原子力潜水艦の安全性につきまして外務省を通して折衝しましたわけでありますが、もちろん、原子力潜水艦は軍事機密下にございますために、必要な技術的な詳細の資料は入手できません。しかしながら、ただいま私が申し上げましたようないろいろな技術的な傍証、並びにそれ以上に、アメリカ政府として所定の原子炉の安全を管理しております機関、すなわちアメリカの原子力委員会並びに原子炉安全諮問委員会、こういったところが客観的な判断の上に立ってアメリカの原子力潜水艦の安全性を確認し、それをアメリカ政府として保証しておる、この保証を取りつけることができました。その保証が十分守られておるということを確認しまして、安全性についての見解をまとめておる。今日入港してきておりますアメリカの原子力潜水艦については、原子炉の安全については十分信頼してよかろう、こういうふうに判断いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/28
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029・瀬谷英行
○瀬谷英行君 額面どおりに、アメリカの海軍が原子力潜水艦の安全性を強調し、日本の原子力委員会もこれを認めるということであれば、心配はないのだということを科学技術庁として強調したのだということになるわけなんですね。それならば、それほど安全なものであるならば、こういう法律をつくって規制する必要も、またないのじゃないかということになってくるわけです。何も、推進力に原子力を用いるという場合に、これは心配ないのだということであれば、それまでの話なんです。潜水艦よりも一般の商船のほうがより危険である、こういうようなことは考えられないことなのでありますが、その点はどうなんでしょう。潜水艦の場合も商船の場合も、動力に原子力を用いている船については、これはさほど危惧するには当たらないというふうに、科学的な立場から断言できるのかどうか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/29
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030・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力潜水艦につきましては、詳細な資料がございませんので、これを直ちに、たとえば技術的な資料の判明いたしますサバンナ号と比べて、技術的に安全性の上でどのようなことになっているかという比較は困難と思います。しかしながら、原子力潜水艦につきましては、ただいま申し上げましたように、安全性の確保について、アメリカ側が十分な所定の手続によって安全性の確認を行ない、その行なったものに対して政府としてはっきり保証してきております。さらに、それらが守られておるかどうかということを日本側が確認することについても協力を申し出てきております。こういうような幾つかの保証並びに約束の上に立って、それらが信頼できる場合に安全であろう、こういう判断でございます。
他方、たとえばサバンナの場合でございますが、こういうような原子力船、原子力商船に関しましては、ただいま申しましたような米国原子力潜水艦に対するごとき米国政府あるいは関係政府における安全性の保証について政府の約束あるいは保証ということはないわけでございます。改正法案にございますように、その原子力船の運航者か一ら、わが国の水域に立ち入りたいというときに、初めて申請が出てまいります。その申請を出してまいりましたときに、いわゆる安全説明書といいますか、種々の技術資料を提出してまいります。そこで初めて、これをわがほうで検討して、安全かどうかを確認し、そうして安全であるということを判断したときに初めて立ち入りを許可する、こういうことを行ない、この必要から今回の法改正をお願いしておるわけでございまして、その点では、原子力潜水艦の場合と原子力商船の場合とでは全く立場を異にしておるものである、したがいまして、取り扱いにおいても全く異なる取り扱いがなされるもあである、このように御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/30
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031・瀬谷英行
○瀬谷英行君 原子力船と潜水艦とは全然立場を異にするという点、それから政府の保証の有無ということが、この取り扱いを異にしておる理由である、こういう意味の答弁になるわけなんでありますが、そういうことですね。
それならば、もう一度、科学技術庁の見解に戻るわけでありますけれども、原子力潜水艦の安全性を強調するこの文書というものは、アメリカには原子力潜水艦サバンナ号がある、ドイツにはこういうのがある、ソビエトにはこういうのがある、こういう例を引いてきて、そうして結論として、「単に原子動力を備えた外国軍艦が入港してくるというのに、いたずらにこれを不安がって大騒ぎをするなどというのは、この科学技術革新の時代に生きるものの態度として、まことに恥ずかしいことと思う。」と、こういうふうに結んでありますよ、科学技術庁のパンフレットは。これは、ずいぶん私は軽率じゃないかと思うのです。いまのあなたの御答弁によると、商船と潜水艦というものは明らかに立場が違う、こういうことをおっしゃっておる。ところが、このパンフレットは、立場が違うことを少しも説明してないのです。あたかも立場を同じくするかのように説明をして、だから原子力潜水艦の入港も安全であるという結び方をしておるじゃないですか。これは私は、国民に対する非常に重大なごまかしだと思うのです。科学技術庁というのは、こういう重大なごまかしをしていいのかどうか、国民に対するPRとしては、非常に非科学的なんです。これは私は、良心的に原子力潜水艦の問題をPRするのだったら、商船の例を引いただけで、だから潜水艦も安全だ、こういう飛躍した論理は使えないと思うのです。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/31
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032・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま私御答弁申し上げましたのは、もっばら法律的な観点からの違いを申し上げたわけでございます。軍艦は、御承知のとおり、国際法上並びに国際慣例上特殊な地位を持っておりまして、一般商船と同じように取り扱えない、こういう制約がございます。そういう立場の違いがありますので、そういう範囲で、その違いを反映して取り扱いも違ってきておるということを申し上げたわけであります。
他方、ただいま瀬谷先生からいろいろ御発言がございました安全性の点につきましての問題は、技術的な問題かと思います。技術的な問題の範囲で申しますと、原子力を推進力として使うという意味においては明らかに共通したものを持っておるわけであります。ただ、技術的に申しましても、詳細についての比較ということは、先ほど申しましたように、潜水艦についての技術的資料というものがございませんから、サバンナあるいはレーニン等と正確に比較することはできませんけれども、技術的な見地からする一般的特性というか、安全性についてのいわゆる軽水型原子炉の特性、そういったものは、共通に論ずることがある程度可能である、こういうふうに考えて、ここには説明が書いてあるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/32
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033・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは、原子力潜水艦の入港に反対をするところの反対の主張というものは、推進力の問題について技術的に不安を持っているから反対をしているというふうに理解をしておられるのか、あるいは潜水艦の戦略的な価値、あるいは装備、役割り等について非常に重大視をしておるから反対をしておるというふうに考えておられるのか、その点の認識はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/33
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034・村田浩
○政府委員(村田浩君) 私どもの立場としましては、いろいろ見方はあると思いますけれども、これに搭載されます原子炉からきます安全性の問題、これにつきまして、何と申しましても新しい技術でございますので、その応用されたものがどのように安全か、危険かと、こういった点で国民一般の方々の御不安があったものと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/34
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035・瀬谷英行
○瀬谷英行君 私は、そういうふうに、国民の不安、あるいは一般の原子力潜水艦に対する不安を都合よく限定をして考えるというのは、これまた非常に非科学的だと思う。原子力潜水艦というのが、原子力商船とは全然違う、その性格が全然違う、それから装備、戦略的価値も全然違うといことは、今日子供でも知っていることだと思うのですね。そうじゃないですか。これを知らないとは、私言わせないと思うのですよ。にもかかわらず、そういう相違について全然ほおかぶりをして、技術的に推進力の点にだけ限定をして、心配はないのだ——その心配はないのだということも、実際に確認をしたわけじゃなくて、アメリカの言い分をそのまま信用して、心配はないのだ、こういう説得をするというのは、まことに私は科学的じゃないと思うのですね。はたしてそういうようなPRのしかたが正しいとお考えになっておるかどうか、これは長官にお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/35
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036・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) いまの御質疑と原子力局長からの答弁で、多少補足して私申し上げたいと思いますけれども、原子力潜水艦の安全性の問題というものの中には、われわれ日本国民の不安としては、いろいろの要素があると思います、たとえば、いわゆる核兵器をすべて搭載しているかどうか、これは搭載していない。搭載しておればこの入港は拒否すべきものである、こういうようなものもその中に入っておるわけであります。そういう点は、はっきり搭載をしていないということを前提にして寄港を許しておる。それからその次に今度は、原子力潜水艦であるということにおいて、確かに御指摘のように、原子力商船の場合とは、私、常識的にいっても違うところがあると思います。そこで、そこでの問題は、そういったような原子力潜水艦について、何と申しますか、危惧の念があるようなところを、十分になし得る限りの方法によってその安全性というものを確認していかなければならないという態度をとって、政府としては、ただいま申しましたように、一昨年来、昨年の八月に至りますまで、十分の時間をかけて努力をいたしました。それで、問題の焦点は軍艦であるというこの性格に基づくものでございますから、これは国際法上からいっても、国際慣行上からいいましても、どこの国の軍艦であっても、寄港地の政府がそこの中に現実に立ち入って、そうして安全審査を実地についてやるということは、これはできない。これはもう、いたし方ないことであると思います。
今回御審議を願っております法律案に関連してのSOLAS条約におきましても、軍艦というものは明らかに除外されておる。
そこで、そういったような制約のもとにおいてアメリカの原子力潜水艦の安全性をどうやったらば確認することができるか、実地の安全審査はできませんけれども、潜水艦としての危惧されるような各種の点については、外交交渉を通して、いわば常識的に申し上げるのでありますけれども、クエスチョネアと申しますか、危惧すべき点を十分に外交科学交渉を通じて確める。たとえば、潜水艦の場合でございましたならば、商船の場合等と違って、たとえば一次冷却水を放出する必要も、港内においてもやはりあるのでありましょう。そういう点についての安全はどうなるだろうか、あるいはまた、原子力潜水艦の運航についてどれだけの安全運航ということが確保されるのであるか、あるいはまた、廃棄物の処理についてはどういう方法をとるのであるか——これは二、三の例でございますが、それらの各般の点について十分の時間をかけて、そしてこちらの危惧する点については、かくかくの方法によってアメリカとして責任を持つということで、国と国との間の交渉を通じて、先方が保証をするということになったわけでございます。で、その保証というものが十分確保されることを前提として考えた場合においては、国民生活に支障を来たすものではない、こういうふうに原子力委員会としては判定をしたといいますか、見解を出したわけでございます。
それからなお、これも再々申し上げたことでございますけれども、軍艦でありましても、日本側として自主的になし得る方法はいろいろございます。たとえばバックグラウンドの調査でありますとか、あるいはモニタリングでございますとか、こういうものが、こちらでも、入港前後、あるいは寄港中におきましても、海面、海底その他周辺においての調査も十分できるわけでございますから、これらにつきましては、予算上も予備費をとり、各省庁の非常な御協力のもとにおきまして、あらゆる調べをいたしました。その結果は、公表いたしておりますように、モニタリングの結果におきましても、入港前後あるいは寄港中において何らの変化は認められなかった。こういうことは、外交交渉を通じてとりました保証がそのまま実行に移されていると、かように私は判断して間違いないのではなかろうか。
この原子力潜水艦の問題につきましては、以上申し上げましたような方法によって、安全ということを私どもとしては確信をいたしておりますわけで、これは、事後の調査によってもこれが実証されましたので、われわれとしては、国民の生活の安全に対して支障を与えるものではない、こういうふうに、何と申しますか、公表をし、また解明もしておるわけであります。同時に、原子力船についても、これは、原子力潜水艦とどういうふうに技術的に違うかということはともかくといたしまして、原子力船についても、先ほど来申し上げておりますように、何としてもこれは列国も初めての試みでございますから、SOLAS条約もできており、日本も加盟しておることでありますから、安全の上に安全をとったほうがしかるべきも一のである、かように考えまして、この法律によって十分安全審査——これは条約に基づき、また本来各国が自主的にやり得ることでございますから、そのやり得る最大限度まで、十分安全審査をやりたい、またやることが国民の心配を解消するゆえんでもある、かように考えて、この法律案を、あえてこの時期に御提案申し上げて御審議を願っておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/36
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037・瀬谷英行
○瀬谷英行君 結局、この法律案は、SOLAS条約といったような条約上のたてまえも非常に政府としては重視をしておるというふうに解釈をされるわけですが、国際条約をわれわれが尊重するというのは、これは当然なことでありますが、条約でもって安全審査に万全を期しているということは、それだけ、原子力船については慎重を要するという考え方に立っていると思うわけです。これは当然だろうと思います。それならば、このような法律を制定しなければならない理由も、おのずから私は明らかだろうと思うのです。わが党は、これは後刻討論の際にも申し上げますけれども、この条約に反対しようとは思っておりません。しかし、こういう条約の必要性というものを認める以上は、この法律でもって規制する以上に細心な注意を原子力潜水艦について払うのが私は当然だろうと思う。この前の委員会の際にやはり質問がありまして、一般の原子力船についてこれだけの慎重な態度をとるにもかかわらず、原子力潜水艦だけは除くということで、手放しで入港を許すのじゃ何にもならないじゃないかという意味の、石田委員だったかと思いますが、質問があったことを私は記憶しております。それで、今後この法律ができても、実際の適用になるのは全く限られた原子力船だけである。いつできるかわからない日本の原子力船だけであるということになれば、この法律ができても開店休業である。しかし、潜水艦のほうは、まだちょくちょく入港する可能性があるということになる。この法律以上に細心の注意を払って、原子力潜水艦の入港に対して、政府としての態度、心がまえというものを私は固める必要があるのじゃないか。これは、科学的に考えても、当然そうならなければならないと思うのでありますが、その点は、長官としてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/37
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038・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 瀬谷委員のおっしゃることは、私は非常によく理解できるのであります。そういうお考えになるのが私は相当であり、妥当であると考えます。そこで、先ほど申しましたように、軍艦であるという特殊な地位を持っているものに対して、なし得る限り安全を確保するようにしなければならないということは、従来におきましても、私どものとりました態度でございます。今後におきましても、そういう点については十分配慮していかなければならない、かように考えるわけでございます。
軍艦ということの特殊性ということについて考えてみますと一これは、相手国との間の信頼関係に基づいて、そうして日本の国民の安全を守る点からいって、十分の保証をとるということで、その特殊性のある軍艦について考え得る、あるいはできるだけの安全確保ということをやっていかなければならない。これは、法律や条約の力によってではできない点でございますので、そこにむずかしさはありますけれども、先ほど申しましたように、われわれとして十分のかわるべき方法をとり、そしてその結果が安全が守られたということは、たいへん私としてはよかったことだと思いますけれども、今後においても、十分のそういったような配慮は必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/38
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039・瀬谷英行
○瀬谷英行君 防衛庁のほうに質問したいのですけれども、原子力潜水艦が、日本の港に入港したという実績はすでにできたわけであります。今後また入港するという可能性もあるわけです。その場合に、やはり、このような法律でもって一般商船さえ規制をしようとしているのであるから、潜水艦に対しても相当細心の注意を押う必要が私は出てくると思うのでありますが、防衛庁は、原子力潜水艦の今日の役割について、科学技術庁と連絡をとって、科学技術庁に対しても、当然原子力潜水艦そのものの認識を誤りなからしめるようにするのが私は必要なことじゃないかと思う。科学技術庁何など何にも知らないということでは、ちょっと私はお粗末と思う。だから、そういう点では、防衛庁にも、この原子力潜水艦についての認識を、単に防衛庁のみではなくて、各方面に徹底させる義務があるんじゃないかと思うのでありますが、それらの点について、防衛庁はどのようにやっておられるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/39
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040・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) アメリカの通常の原子力潜水艦の日本の寄港につきましては、すでに政府として態度をきめて、それを承認することの通達をしておるわけでございます。したがいまして、この線に沿って私どもとしてはやっていきたいということでございまして、特にいまどういうことをやるというような考えはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/40
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041・瀬谷英行
○瀬谷英行君 政府が認めるから、特に原子力潜水艦について、どうのこうのといった突っ込んだことまでは、別にPRもしなければ連絡もしないというふうに聞き取れるわけです。しかし、これは政府の見解として明らかになったように、サブロックに関する鈴木官房長官の談話というのがありますけれども、このサブロックはもっばら核弾頭を使用するものであるということが明らかになった、将来サブロックを搭載をした原子力潜水艦が寄港する場合には事前協議の対象となると、こういうふうに言っているわけなんです。サブロックのみならず、今日の原子力潜水艦の割役りというのは、戦前における海軍の潜水艦のように、単なる奇襲兵器、あるいはどちらかというと防御的な兵器というワクから完全にはみ出して、攻撃兵器というふうに性格を変えてきているということは、私ははっきりしていると思うのでありますが、そういうことを考えると、移動する核兵器の基地ということになるわけであります、原子力潜水艦は。そういうような認識を持っても私は差しつかえないと思うのでありますが、その点は、防衛庁としてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/41
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042・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) いま、移動する核兵器というお話でございましたが、先ほど科学技術庁のほうから説明がありましたポラリス潜水艦は、これはまさに核兵器を積んだ、ある意味においては、移動する核兵器ということが言えると思います。しかし、現在政府がアメリカ等に寄港を認めました潜水艦は、これは通常の原子力潜水艦であるわけであります。その発射するものは通常の魚雷であるわけであります。したがいまして、移動する核兵器というようなものであるとは考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/42
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043・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そんなことは、一応、外国を訪問する場合に、あまり危険だというふうなことを宣伝するわけにいかないのですから、これは魚雷を発射をするだけの潜水艦だという言い方を、いまのうちはしているかもしれない。しかし、これからの潜水艦のあり方というのは、核武装をしないような潜水艦というものは、潜水艦として価値がなくなってくるわけです。そうすると、潜水艦そのもののあり方というのが、特に原子力潜水艦のあり方というものが、攻撃兵器、おもなる攻撃兵器であるということは、はっきりしてくると思うのでありますが、私は、先般入港した潜水艦の問題にだけ限定するというのじゃなくて、原子力潜水艦そのものの性格から考えていうならば、この潜水艦というものは、あくまでも移動する核兵器としての性格を持ったものであるということは、結論として言えるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/43
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044・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 先般、政府からアメリカ政府に対して通告をしました原子力潜水艦は、あくまで通常の原子力潜水艦ということがはっきりしておるわけであります。したがいまして、ポラリス潜水艦というようなものが入る場合には、これはまさに核兵器の持ち込みということになるわけであります。それからお話のありました通常の原子力潜水艦でもサブロックを搭載して、そのものが日本に入ってくるということになりますと、これは当然事前協議の対象になるわけでございます。従来、政府の繰り返し宣明しているところによりますならば、核兵器の持ち込みはこれは認めないと、こう言っているわけでございますから、そうした核兵器を積んだ原子力潜水艦が日本に入ってくるということは、われわれとしては予想し得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/44
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045・瀬谷英行
○瀬谷英行君 予想し得ないと言ったところで、核武装してくるかこないかということは、これは軍艦の性格からいって立ち入って調査をすることもなにもできないということであれば、わからぬわけなんですよ。「葷酒山門に入るを許さず」というふうな看板を掲げてみたところで、これは酒じゃない、般若湯だ、といって持ってこられれば、これはごまかされちゃうということになるわけですね。まさに、それ式のごまかしに、これから乗せられる可能性が多分にあるわけです。しかし、このことをいま論議してみても始まらないので、私は、もう一度科学技術庁としての考え方に戻りたいと思うのです。
私は、科学技術庁というものは、あまり非科学的な論理を展開しちゃいかぬと思うのですよ。あくまでも、科学技術庁というのだから、科学的でなければいかぬと思うのです。ごまかしではいかぬと思うのです。ごまかしをしないためには、ここで科学技術庁の責任において展開をされた、このパンフレットについて、やはり反省してもらう必要があると思う。これは、私は愛知長官に再度お伺いしたいと思うのでありますけれども、原子力潜水艦の安全性ということを強調する場合には、政府が言っているのは、アメリカではこう言っている、日本の原子力委員会ではこう認めた、だから日本の政府としては安全を認める、という言い方が一番正直なところじゃないかと思うのですね。それを、アメリカにはサバンナ号がある。ソビエトにはレーニン号がある、これは各国をもうすでに回っておる、だから、いまどき原子動力を備えた船が日本に入ってくるのを反対したり不安がったりするのは間違いであるという言い方は、明らかに私は論理の飛躍だと思うのですね。これはごまかしであるということになっちゃう。だから、こういうごまかしや論理の飛躍をして、科学技術庁が先走って——政府のちょうちん持ちをしようとして点数をかせごうとした魂胆はわかりますけれども、しかし、こういう卑劣な、あるいはごまかしを今後展開するということは、私は穏当じゃないと思う。
これはしかし、そこを追及しようと思えば幾らだって追及できますよ、だれがこれ執筆したか知りませんが。気がつかなければ、これはそのまま見過ごします。しかし、これは追及しようとすれば、どこまでも追及できるのです。ごまかしであるということを指摘せざるを得ない。だから、今後科学技術庁として、その見解を発表するにあたって、こういうごまかしをやってよろしいのかどうか。こういうごまかしでもって、あくまでも国民を瞞着することをさせようとするのかどうか。その点を、私は長官の口から再度明らかにしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/45
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046・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは、時間を取って恐縮でありますけれども、先ほど私がるる申し上げましたのが真相でございまして、これは軍艦であるということを前提にして、そうしてその中で、なし得る限りの保証を取ろうと思えば、これこれかくかくの点について、こういうふうな見解であり、こういうふうなアメリカ側としては保証をしたと、したがって、この軍艦というものの特殊性にかんがみ、かつ日米間の相互信頼という基礎の上に立って考えて、これは安全であると認めましたというのが、原子力委員会の見解でございまして、それに、ただいま御指摘のような、よけいなものがついたために、あるいはいろいろの誤解を与えたかという点については、これは私は恐縮に存じます。この原子力潜水艦の問題については、昨年八月十日過ぎに、原子力委員会から、相当のことばを費やして見解として出しましたことが、われわれの何といいますか、正式の見解でございまして、あるいは、それに対して、多少ほかの引用等が適当でなかったかというように思われる節もあるようでございますが、これらの点については、十分今後戒心をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/46
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047・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そういうような、まあ問題はあっても、社会党の立場からすれば、いろいろ大臣が言われたことについて、問題はあります。しかし、それはきょうの議題に直接関係のあることではないので、さらにその問題を蒸し返したり、突っ込んだりするという気はございません。しかしながら、この潜水艦の安全性の強調を行なうあまり、発電用であろうと、船舶用であろうと、ともかく中に物騒な核爆弾が入っているわけじゃないのだから、推進力として原子力を備えた場合には、少しも危険なことはないのだ——こういうことをほんとうに強調するんならば、きょうのようなこの法律の必要もまたないということになる、これは。科学技術庁自身が、このパンフレットでいくならば、こういう法律案を提案すること自体に矛盾を感じてこなければならない。これは、そういう点も十分に今後戒めてもらわなければならぬ。これはあわせて要望したいと思うのです。PRもけっこうでしょう。しかし、これは、私ども社会党の立場から言うならば、社会党の反対運動を故意に歪曲をして、焦点をそらして、事実を曲げて、ことさらに反対運動を侮辱をしたような言い方をしているということになる。こういう態度をとられるというと、われわれは、本来ならば賛成していい法案までも文句をつけたくなる。このとおり、額面どおりいくならば、何もこんな法律は必要ないんじゃないかというふうに開き直れる。しかし、そこまで意地悪をしようというのではない。まあこの程度にして、今後、長官のほうから、この執筆者に対して、あんまり調子に乗らないように十分に注意してもらいたい。そういうおっちょこちょいが科学技術庁にいるようじゃ、あんまり信用できなくなる。そのことを申し上げておきたい。
それから、これも衆議院の科学技術委員会の議事録の中にもありますけれども、こまかいことは私重複して申し上げませんが、茨城県の東海村に研究所もあるし、発電所もあるわけです。ところが、あの近所に米軍の射爆場がある。この米軍の射爆場の問題については、もう何年も前から、地元の県会でも決議をしている。地元の知事の方も陳情に見えたことがあると思う。それから衆議院でも、参議院でも決議をしているわけです。あすこに米軍の射爆場があるというのはよくない、ときどき爆弾を落っことしたり、何か落っことしたりして、住民の被害も大きいということを指摘されているわけです。ところが、一向にこの射爆場が移転をする気配がないということは遺憾だと思うのです。何のために今日まで衆参両院の科学技術委員会等におきまして決議をしてきたかということになります。いつまでもこういう状態が続いていくのは、私はよくないと思うのでありますが、愛知長官の代で、ふん切りをつけてもらいたいという気がする。その後、決議だけして、何もしていないというようじゃ困ると思うのでありますが、一体米軍は、日本の国会で決議をされた内容を尊重する気があるのかないのか、折衝の結果はどうなっておるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/47
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048・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、実は私も非常に困った問題でございまして、私自身といたしましても、就任後直接に関係の向きにも大いに話を進めてまいっております。主たる所管庁といたしましては、防衛庁でございまして、これは、衆議院の議事録でも一ごらんのとおり、防衛庁長官といたしましても、また外務大臣といたしましても、関係閣僚協力して、特に今回のこの法律案の御審議を願いましたこの機会に、一段も二段も効力を新たにいたして解決をいたしたいと、かたく決心をいたし、また関係の向きが、それぞれあらためて動いておるわけでございまして、アメリカ側に対しましても、この問題の重要性、あるいは国会の御意向というものは、私は十分に反映しつつあると考えております。問題は、具体的に、代替地の問題その条件の問題というようなところに現在なっておるわけでございます。これは、私もかねがね申しておりますように、関係閣僚がほんとうに力を合わせてやらなければいけないことであると考えておりますし、また、そういうふうに動いておるわけでございますが、なお今後におきましても、なるべくすみやかな時期に解決ができるように、努力をあらためてしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/48
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049・瀬谷英行
○瀬谷英行君 これは、佐藤総理が長官のときに、それから近藤さんが長官のときにも決議されたという、ふうに私記憶しているのです。何年かかっても一向に問題が解決しようとしないということになると、これはアメリカ側の誠意というものを疑わざるを得なくなってくるのですよ。よく、道路拡張計画の際、道のまん中に居すわって、ごね得をねらうという業つくばりが世の中にいるわけですけれども、そういう道路拡張計画の障害になるような場合は、土地収用法等でもって今日では強制的にどかせるという手段も残されているわけです。アメリカばかりは、日本の政府には土地収用法的な適当な手がないということになるのかどうかですね。これは、歴代の長官が、防衛庁長官をも含めて、追及されれば、もみ手して頭を下げるだけだというのじゃ、少し能がなさ過ぎると思うのですね。だから、代替地をこっちで見つけましょうというようなことを言っていたのじゃ、きりがないと思う。代替地は、アメリカの国内でも、韓国でも、竹島でも、好きなところに自分のほうで見つけろと、日本の国内は狭くて困るのだから、いいかげんにしてどいてくれというくらいの強腰な態度は、いまの政府じゃ言えないのかどうか。その点は、そのくらいのことは、私は言ってもいいと思うのですが、そういう折衝は今日やっておるのでしょうか。どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/49
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050・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 他の第三国、あるいはそれに準ずるような地域に持っていけ、あるいはアメリカに持っていけ、というようなことを含んで交渉をしているということはございません。とにかくこの射爆場は返還してくれ、それから国内において代替地を向こうも希望しておりますので、その条件の折衝等にいま焦点が集中しておるという状況でございます。ただいまも御指摘がございましたが、これはもう、前内閣以来、歴代科学技術庁長官も、これは非常な努力を払っておられるわけでありまして、私はさらにそれに輪をかけて努力をしなければならない立場にあるわけでございまして、十分に責任を感じておるわけでございます。先ほど申しましたように、直接には、これは、所管からいえば防衛庁の所管、あるいは調達庁の所管ということになりますけれども、関係閣僚が相協力いたしまして、努力を新たにいたさなければならない。現にこれをやりつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/50
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051・瀬谷英行
○瀬谷英行君 これは防衛庁長官にも聞きたいところなんですが、きょうは見えておりませんが、防衛庁の関係者として、この問題について答弁ができなきゃしようがないでしょうけれども、どうなんですか、少しは具体的に折衝をしているといったような事実があるんですか。お答えできたら答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/51
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052・小野裕
○政府委員(小野裕君) 水戸射爆撃場の移転の問題につきましては、従来、一生懸命折衝はいたしておるんでありますが、ただいまお話のありましたように、代替地の選定難のために解決せずにまいっておるわけであります。今日の段階におきましては、私ども若干の候補地というものは意中にはあるわけでありますが、この土地が、いずれも米軍側が必要としておる代替地の条件というものから、はるかに遠く条件の悪いものでございますので、米軍としてはなかなか納得をいたさぬわけであります。そういうような事情から、ただいまそれぞれの要求しておりまする条件の緩和ということにつきまして、その条件のほうについては相当具体的にそれの緩和方について申し入れをし、いま折衝を続けておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/52
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053・瀬谷英行
○瀬谷英行君 代替地について、こちらのほうで及び腰でもって、お願いを申し上げておるというような状態では、私はなめられると思うんですよ。もう少し、こういう点は強腰で折衝していいんじゃないかという気がするんですがね。大体よその国へ来て、かってに演習場を設定して、既得権のような顔をしているのは、私は間違いだと思う。そういう点で、これは愛知大臣も輪をかけてやるというように言っておられるし、これ以上言ってみても始まらないですけれども、いつまでたってもこの問題が進展をしないということであれば、これは私は問題だと思うんですよ。日本の国会の権威に関係してくると思う。だから、これはもうこの辺で、愛知大臣の代ぐらいでもって問題は解決してもらいたい。また、そうすべきであるということを申し上げておきたいと思います。
それから原子力委員の方、きょうお見えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/53
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054・光村甚助
○理事(光村甚助君) 来ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/54
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055・瀬谷英行
○瀬谷英行君 原子力委員の方にお伺いしたいと思うんですが、原子力委員会が結論を出す場合に、原子力委員会自体で、客観的に、政治的な配慮なしで結論を出していただかないと、原子力委員会の権威に、これまたかかわることになってくると思うんであります。それで、従来とかく、去年の原子力潜水艦の入港問題から、原子力委員会に対して、一つの不安を感じ先といったような点が、国会の議事録等にも散見をしておりますけれども、今後の問題として、今回提案をされている法律の制定と関連をして、アメリカの原子力潜水艦の入港といったようなことも、再度これは想像できるところでありますが、その際原子力委員会としての方針なり態度というものは、どのように結論づけていただけるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/55
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056・西村熊雄
○説明員(西村熊雄君) 御質問に対してお答え申し上げます。
私は、原子力委員会委員を拝命いたしましてから、ちょうど四年七カ月に相なりまするが、その間の私の体験からいたしまして、原子力委員会が委員会としての決定をなす場合には、原子力基本法の精神に従って行動してまいっておりますので、いまだかつて、どの案件につきましても、先生から言及されました合衆国の潜水艦の本邦寄港問題を含めまして、政治的配慮を加えて結論を下したという自覚は毛頭ございません。これは今後とも、原子力委員会の最大の指導精神は基本法にある、それから並びに設置法にある。設置法において何を言ってあるかといいますと、原子力委員のいわゆる政治的には完全に中立な立場をとらなければならないと、明文が、規定がございますので、その点は、各人各員十分自覚しております次第でございますので、過去に、もし先生におきまして委員会が政治的な配慮のもとに行動したのではないかという御懸念があるのでございまするならば、それは全くの誤解でございまして、どうか将来におきましては、従来どおりあくまでも政治的観点から離れた中立的な機関として、その目ざすところは、基本法の精神を生かすところにあるという観点からわが原子力委員会は行動するものであるということを、御信頼をお願いしたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/56
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057・瀬谷英行
○瀬谷英行君 衆議院の科学技術委員会で、この法律案を議決をする際に附帯決議がついております。その附帯決議の一つには「政府は原子炉の安全性を確認するにあたっては、原子力委員会の意見を尊重するとともに、原子力委員会もまた安全審査にあたり、常に科学的、客観的判断をくだすべきである。」、こういう附帯決議がついておる。この附帯決議は、自民党、民社党、社会党、それぞれの三党の円満に話し合いのついた附帯決議なんですね。してみると、これは、老婆心ながらという意味合いを込めているのか、あるいはまた、過去における若干のいきさつ等にかんがみて、このような附帯決議をつけたのか、それぞれの思惑はあるかもしれませんけれども、原子力委員会の判断が多少客観性を欠いたり、あるいは政治的な配慮をしたり、といったような疑念を持たれたからではないかというふうに、私のほうでは勘ぐりたくなるわけですよ。衆議院でこのような附帯決議をつけているんですからね。そういう心配がなければ、附帯決議をつける必要も私はなかったと思う。だからその意味では、原子力委員会が、今後起こり得べきあらゆる問題に対して、やはりほんとうに科学的立場から結論を下してもらうのでないと、原子力委員会の意見を尊重しろということも、今度は政府に私どものほうとしては強く言えなくなってしまう。だから、たまたま、これはうわさであったのかどうかわかりませんけれども、いろんな話を私聞いたことがありますから申し上げたわけであります。また、この附帯決議、こういう附帯決議がついているわけですから、そういう点、この附帯決議の趣旨について、委員会としては心配ないんだというふうに断言してもらえるんならば、それにこしたことはないんです。それ以上私は突っ込んで言おうと思わないのでありますけれども、これから起こる問題について、いろんなことが私は起こってくると思います。その点で念を押したわけなんです。政府としても原子力委員会の意見を尊重する、これは当然のことでなければならぬと思うのでありますが、政府としての見解も含めて、この際表明していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/57
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058・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この点については、ただいま西村原子力委員からお話がございましたように、私は、原子力委員の方々の意識、あるいは自覚としては、原子力基本法の趣旨をあくまで尊重しておやりいただいておるものと確信をいたしておる次第でございます。しかしながら、ただいまお話のございましたように、こういう附帯決議が衆議院でついているという、そのゆえんのものには、私はいろいろの意味がくみ取れると考えております。したがいまして、先般原子力委員の任期満了等に伴う改選の機会におきましても、なお一そう世間の信頼を確保できるように、その運営等について十分政治的中立性が保持でき、原子力基本法の趣旨が貫徹できるようにいたそうという申し合わせもしておりますし、現に運営も相当改善されつつあるように考えておるわけでありまして、今後大いに御期待に沿うように、ますます努力いたしたいと、われわれとしても非常に固くあらためて決意しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/58
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059・森元治郎
○森元治郎君 突然上がりまして詳しく存じないのですが、二、三伺いたいと思います。
この外国の原子力船が日本に入ってくる場合に、この法律案の要綱を見ますといろんな規制が行なわれますこういう特殊な船に対して、その性格を明示する旗のようなもの、こういうものは国際的に話し合いが行なわれておらないのですか。たとえばサバンナ号は商船でありますし、これからつくろうとする日本のものは海洋観測船とかいうことですが、何か特殊な旗みたいなものはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/59
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060・村田浩
○政府委員(村田浩君) そのような原子力船であるということを表示する特殊な旗といいますか、そういうものを国際条約上きめてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/60
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061・森元治郎
○森元治郎君 きめることのほうが、これだけのやかましいことを規制する場合、たとえば、ある災害の発生があるような場合には、あらかじめ港長は、たぶん運輸大臣かだれかの指示に従って、その船がいかりをおろした所を変えて、あそこへ何ポイントのところにいけとかいう指示があるわけでしょう。そういう危険がある場合には、一般船舶の人、港の付近で働いておる人のためにも、入港のときには旗があがっているということは非常によいことだと思うの、だが、それをやるお考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/61
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062・村田浩
○政府委員(村田浩君) 御趣旨はよくわかるわけですが、現段階におきまして、この規定に基づいて入港いたすかもしれない外国の原子力船といいますのは、さしあたりサバンナ号しかないと思います。これが入ります際において、改正法案にございますように、私どもとしては約六カ月ぐらいの猶予をみておりますけれども、あらかじめこの水域へ立ち入ることについての許可申請を出させますし、さらに大体二カ月ぐらいの目安を持っておりますが、余裕を持ちまして、特定の港、その原子力船が入りたいといっておりますその港、ここへ入りたいという届け出を総理大臣に出させるようにしております。それを受けまして、その特定の港の環境条件を私どもよく調べまして、それが原子力船サバンナ号でございますと、サバンナ号の種々の特性、これが安全説明書その他でよく出ておりますので、それらを検討いたしまして、慎重に検討した上、万一のことも考えまして、どのような措置を講じておくべきかというようなことをきめまして、運輸大臣に通知する、運輸大臣はそれを海上保安庁長官を通じて当該港長に通知する、当該港長は、それらの通知、指示等も一十分頭に入れて、あらかじめその準備をいたすわけでございます。したがいまして、サバンナ号が現実に入ってきますときに、その航路なり、入港の時間なり、あるいは出港の期日なり、十分周知徹底された上で運航させる、こういうたてまえになっておりますので、先生の御心配のことは十分防止できるものと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/62
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063・森元治郎
○森元治郎君 私は、心配しておるというのではなくて、それが将来そうなると思うのですね。あなた方専門家同士の、行政機関同士の話し合いで、裏でこそこそやっているだけでは足りないので、そういうふうにすべきだと思うのです。私はそうなると思う。そこで、何で私は旗のことを聞いたかというと、これは防衛庁のほうに重大な関連質問があったけれども——帰ったんですか。それはまた別の機会にいたします。
そこで、私はここへ来て書類をいただいて見たんですが、ほかにもっと詳細のものを読めば書いてあるかもしらぬが、この要綱と、西ドイツと原子力船サバンナ号寄港に関する二国間協定をちょっと見ますと、日本のより相当しっかりしているのです。日本の要綱をちょっと拝見すれば、船が港へ入ってからの問題が主となっておりますが、ちょっと見ただけでも、たとえば第三条「(ドイツ港湾への近接、立入りおよび利用に関する規則)」というところを見ても、まず船が外洋から領海に入り、領海から港に入るまで、その水先案内についても、検証、引き船の助力についても実によく書いてあるのです。要綱のほうは、入ってからのことだけに集中しているんですよ。この点が非常に私はたるんでおるという感じがするのです。
それから、時間がないから、私は五条までしか読まなかったんですが、五条の(b)をごらんになっても、「ドイツ領海および港湾内における放射性液体または」云々というところですね。「ドイツ主管当局の特別の事前承認を得た場合にのみ同船から行なうものとする。」と、なかなかはっきりと、外国人らしく合理的に書いてあります。日本のを見ますと、日本の法律の特徴でありまして、その際には必要な措置を講ずべきものとする、と、特異の表現なんですね。科学の問題で必要な措置という場合には、必要な措置として考えられるだけの事項を列記するのが大事なことなんです。科学的な問題を扱う場合には、こういう点でたいへんこれはずさんなものだと思うのです。あるいはどこかに詳しく書いてあるかもしれないが、ちょっと拝見してそういう印象を受けたので申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/63
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064・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま先生の御引用なさいました二国間協定でございますけれども、これは、提案理由説明の際に、補足説明を申し上げたかと思いますけれども、近く発効いたしますSOLAS条約、一九六〇年海上人命安全条約の発効以前に、つまり昨年でございますが、昨年サバンナ号が西ドイツの諸港を訪れますについて、あらかじめ両国政府の間で締結いたした双務協定でございます。当時はSOLAS条約は発効いたしておりませんので、今日SOLAS条約の中に入っております国際的な規定に該当するものまで詳細に双務協定の中で取りきめておるわけであります。引用されました第三条あるいは第五条等のこまかい問題でございますが、これは改正法案の三十六条の二で、特定の港に入ろうとするときはあらかじめ届け出るということになっております。届け出ます際にはどのような事項を届け出させるかという点につきましては、法律に書いてございませんが、政令段階においてこれをきめることにいたしてございます。この政令の中ではどのようなことが入るかと申しますと、私どもが考えておりますのは、その入ります特定の港の名称、それからその港へ入出港する予定の期日、時間、それからそこに至ります際の航路、どういう航路を通って入るか、それから、入港時にその船はどのような原子炉の運転を行なって入るか、すなわち炉の出力はどのくらいにして入るか、それから、入りましてどの場所に停泊したい、さらに万々一の事故を考えましたときのために、引き出して遠方に投錨させるわけですが、その場合の遠隔投錨地、それから、その際に引き出すときに、これを引っぱっていくための引き船の用意の状況、タグボートの用意の状況、そういったもの等を届け出させることに考えております。したがいまして、西独の場合の第三条等にありますことは、現実にサバンナ号がこの改正法案に基づいてわが国に入ってこようとしますときには、約二カ月ほどの余裕をもって、ただいま申したようなこと、すべて必要事項として届け出てもらえるわけでございますので、その届け出を見まして、さらにこちらで検討しまして、当該港等の環境条件等の検討を行ないまして、そうしてさらに向こうが用意しております状況よりもさらに安全確保のために必要と考えられる事項があれば、これを、運輸大臣を通じ運航者へ指示する、あるいは当該港長に指示しまして、当該港長をして必要な指置を講ぜしめる、このような段階で必要な規制が十分行なわれるようにいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/64
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065・森元治郎
○森元治郎君 一言。大臣、私の御質問は、防衛庁長官、運輸大臣所管も含めますが、どうも、艦船の出入、潜水艦、原子力船を含めて、第一回の安保条約のころ、日本が平和条約を結んで一応独立国を回復して以来、守ってもらうのだという癖がずっと残っておって、この間の改定された安保条約で今度は対等になったのだといいますけれども、全体、政府の態度は、まだ、守られているのだと——ちょうど飛行機が沖繩におりれば、その事前協議の必要がない、直接戦闘行為にかかるものだけがその事前協議だとか、いろいろ言いますけれども、いずれにしても、守ってもらっているのだからしかたがない——軍艦は、国際法、国際慣例上、中へ入って見ることもできない、向こうを信頼してやるほかない——そのとおりではありまするが、どうも入れなければならないのだということを言いまするが、それは非常な間違いで、今日足りないのは、港、この船舶の、船の出入について、戦前は、ことに海軍などでは、——大谷さんがいればおもしろいのですけれども、艦船要務令のようなものがありまして、たとえ軍艦であろうとも、自分の港へ入って来た以上は、その要港なり、要塞司令官の命令に従っておとなしくしなければならぬ。たいへんきついものなんですよ、軍艦といえども。ところが行政協定は、日本を守ってもらうのだからというような考えが一番下に、いつも意識的に、無意識的に働くために、たいへんルーズになっておりまして、行政協定は、ことに港の使用などについてはきわめてルーズであります。これが私、いろんな問題の発起点になるのだと思いますので、飛び入りではありまするが、意見を申し上げて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/65
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066・光村甚助
○理事(光村甚助君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/66
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067・光村甚助
○理事(光村甚助君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/67
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068・瀬谷英行
○瀬谷英行君 私は、この法律案に若干の要望を付して賛成をいたします。
第一点としては、政府がSOLAS条約、日本国憲法並びに原子力基本法の精神を十分に生かしていくということであります。特にこの法律において、将来建造されるであろうところの原子力船の安全審査についてのきびしい指摘をしておりますし、各種の規制をも行なうようになっているのでありますけれども、商船に対する各種の規制をする以上は、原子力潜水艦の入港等についても、それ以上のきびしい態度をもって臨むのが私は当然であろうと思います。その意味からするならば、原子力委員会も、単に米国の報告をそのまま信用するというようなことではなくて、独自の立場に立って、客観的に、科学的に判断を下し、また、政府もそのような原子力委員会の結論を尊重するという態度こそが望ましいものであるというふうに確信をいたしておりますので、その点についての、より以上慎重な配慮をまず要望したいと思います。
第二点としては、茨城県の東海村を中心とする原子力施設の周辺地帯における地元の事情と、それから射爆場の返還に対するわれわれの決議といったようなことを、いつまでも同じことを繰り返さずに、この機会に一挙に解決をする、そのために全力をふるうということについて、格段の努力を要望したいと思います。
以上の二点について、要望を付しまして賛成の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/68
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069・光村甚助
○理事(光村甚助君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/69
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070・光村甚助
○理事(光村甚助君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/70
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071・光村甚助
○理事(光村甚助君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104813913X00519650511/71
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072・光村甚助
○理事(光村甚助君) 御異議ないと認め、決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時八分散会
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